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1964-02-27 第46回国会 参議院 逓信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月二十七日(木曜日)    午前十時十七分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     光村 甚助君    理事            鈴木 恭一君            寺尾  豊君            松平 勇雄君    委員            白井  勇君            野田 俊作君            最上 英子君            永岡 光治君            横川 正市君            白木義一郎君            須藤 五郎君   政府委員    郵政政務次官  金丸  信君    郵政大臣官房長 武田  功君    郵政省郵務局長 佐方 信博君    郵政省貯金局長 淺野 賢澄君    郵政省人事局長 増森  孝君   事務局側    常任委員会専門    員       倉沢 岩雄君   説明員    郵政省簡易保険    局次長     泉  秀則君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○簡易生命保険法の一部を改正する法  律案内閣提出) ○郵政事業及び電気通信事業運営並  びに電波に関する調査  (郵政省所管事項に関する件)   —————————————
  2. 光村甚助

    委員長光村甚助君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  簡易生命保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本法案に対し、質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 今回の保険法改正は、保険金最高限引き上げ、従来五十万円であったものが百万円に、最低限引き上げ、一万円のものが五万円に、なお、新種として特別養老保険を創設するという、この三点に要約されるわけでございますが、結論といたしまして、私は、これに全面的に賛成するのでございますが、確認する意味もありまして二、三質問をいたしたいと存じます。  まず、最高限引き上げで、今度百万円になるわけですが、百万円になりました根拠と申しますか、何でおきめになったか、その点をお知らせ願いたい。
  4. 泉秀則

    説明員泉秀則君) お答え申し上げます。  現在、簡易保険保険金最高制限額は五十万円でございますが、最近の社会経済情勢にかんがみまして、これを百万円に引き上げまして、加入者に対します保険的保護を厚くし、事業使命を十分に発揮したいと思っておるのでございます。  その百万円に引き上げます数字的根拠というお尋ねでございますが、これにつきましては、保険使命としまして、死亡しました場合には、その医療費あるいは葬祭費遺族生活保障という問題もございます。それから満期の場合におきましては、その保険によります老後生活の安定というようなことがその額を考えます基礎になるのでございますが、最近のそういう関係の計数を見てまいりますと、医療葬祭というような関係考えますと、大体医療費が、死亡します場合に考えますと、五万円余りかかっておるような統計になっております。それから葬祭費も六万円くらいかかっておるような数字統計上見られます。なお、遺族生活費を大体三年分くらい考えますと、現在の生活水準というか、そういうものの統計から見ますと、大体百十万円ほどが数字として出てまいります。それらを合わせますと、死亡しました場合には百二十万円見当が、その遺族生活保障考えますと、必要といった数字も出ております。  それから老後生活安定という観点から考えますと、現在の、何といいますか、生命状況考えまして、先般出ました第十回の生命表基礎にいたしますと、五十五歳の方の平均余命は男女平均しまして約二十年でございます。それから七十歳の平均余命が十年でございまして、それから平均余命を、現在統計に出ておりますところの一人当たりの支出が月大体一万円くらいな生活というような統計も出ておりますので、それらを逆算してまいりますと、大体五十五歳で考えますと、百五十万円くらいないと二十年間の生活安定には間に合わない。あるいは七十歳の場合を考えますと九十八万円程度の金が必要だというような観点から考えまして、百万円を最高制限額基礎的数字として考えている次第でございます。
  5. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 ただいま御説明のように、簡易保険というものも、やはり生活の安定のためになる保険ということになると私は思うのでございます。  そこで私は、特に当局の方にお願い申し、今後の簡易保険の発展のためにも申し上げたいのでありますが、どうも今日まで、簡易保険というものは単なるお弔いの費用であるというようなことが一般に言われてきたのであります。大正五年にこの制度が行なわれましてから、あの当時二百五十円だと思っておりましたが、その簡易保険がだんだんだんだん発展してまいったのでありますが、その当時の考え方で、簡易保険というものは葬式料であるというような観点が、政府の間に、また民間保険会社においても、またおそらく私は当局においても、そういうふうな考えを持っておったのではないかと思うのであります。去る三十七年に五十万円になったわけでございます。もしこれが、そういうふうな考えから抜け出ることがなければ、今日、二年たって百万円という数字は出てこないわけでございます。したがって、今回の改正というものは、ただいまの説明にもありましたように、医療費とか葬祭費とか遺族生活費とかいうもの、あるいは養老保険におきましては老後生活安定、これが九十八万円ないし百五十万円かかる、死亡保険の場合でも大体百二十万円くらいはかかると、ここらで大体百万円というものが妥当ではないかという考え方政府が踏み切られたということには私は敬意を表します。私もこの仕事関係してまいったこともありますが、こうした考え方で今後私は簡易保険というものが運営されてしかるべきと、かねてから考えておったのでありますが、今回、さような考え方のもとに、この百万円ができたということは、私は事業のために、また国家社会のために、非常に喜ばしいと考えるのでありますが、はたして当局がほんとうにそういうことを考えておられるか、その点がやや私は疑問に思わざるを得ない。いま、大体一件平均どの程度になっておるのですか。
  6. 泉秀則

    説明員泉秀則君) 簡易保険の、何といいますか、使命といいますか、目的のような観点先生から御質問があったのでございますが、簡易保険独占時代におきましては、先生の言われたような要素も、社会保障的という関係も、何といいますか、ごく少額所得者といいますか、そういう方面を重点にした時代もあったのでございますが、戦時中全部国民簡易保険に入れるという時代を経まして、戦後、独占を経ましてからは、簡易保険の無診査保険という観点で、弔い料という観点から離れまして、無診査保険によりまして国民保険的保護をするというような観点に立っておりまして、弔い料というような観点は現在持っておりません。  先ほど五十万円になって保険金はどういうふうになったかという御質問でございますが、三十七年に五十万円に引き上がりまして、その後の平均保険金関係でございますが、三十七年度におきましては、一件平均十四万七千円でございましたが、それがその後五十万円への引き上げの効果が出まして、本三十九年一月分の新規だけをとりますと、十六万九千八百円という数字になりまして、約十七万円になっております。一方、これは普通の全部の平均でございますが、家族保険という保険の種類がございますが、それの平均保険金を見ますと、三十九年の一月分一カ月の平均では二十一万一千円ということになっております。平均が一挙に上がりませんのは、一人当たり最高制限額を五十万円で押えておりますために、積み上げといいますか、一人の契約者に、過去の保険に積み上げまして、五十万円以内で契約しているために、五十万円になりましても一挙にその数字が出てこない形になっております。一方、五十万円そのもの契約がどのくらいあるかといいますと、三十七年におきましては、全契約の六・五%、それから三十八十二月分だけを見ますと、八・七%ほど占めておりまして、この最高制限額引き上げ関係で、五十万円そのものずばりのものも相当ふえてきておるような状況でございます。
  7. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 もちろん私は、簡易保険の持つ使命から申しまして、国民保険、いわゆる広く国民全般保険思想を普及し、また、保険による老後生活保障、あるいは死亡に対する遺族保障ということを考える場合に、他の一般保険会社保険とは趣を異にしておる使命を持っておるということは、これは私もよくわかるのであります。しかし、従来のような考え方で、何でも小さいものをとればいいのだというふうな考えで進まれておるのではないかというような気がいたすのでございます。こういうことは、ひいては、やはり事業の安定というものにも反するわけであります。  そこで、五十万円になっても、平均一件当たり、いまのお話を聞けば、十七万円、それで、フルに五十万円に入っている人も、この三十八年の十二月で八・七%というようなことでは、私はやはり簡易保険としては、まだ努力が足りないのじゃないか、民間保険会社等におきましても、簡易保険というものはもう額が少ないのだから百万円に上げるなどということは、もってのほかだというような議論も生ずるのでありまして、今後一そうの、何と申しまするか、無理はできませんけれども、高額の保険金に対しての御努力をお願いいたしたいと思っております。そこで、平均を上げることには努力すべきであるのですが、国民保険のもとで、民間と競争するというふうなことはもちろん避けなければならないのですけれども、特に簡易保険政府事業であるということで、最も大事な点は、私は、保険維持だと思うのです。あとあとのめんどうをみるということが、私は保険の大きな使命だと思っております。家庭の主婦が、医師と保険屋さんに入ってもらっては困るというふうな、そういうように、保険というものは国民から好かれておりません。しかし、重要なことでございます。ずいぶん無理な勧誘もしているようですが、私は、こういって高額の保険金をねらうべきだということを申しますと、ついやはり募集に無理がいく。そうして、保険使命というものがそこなわれるというようなことにおちいりやすいのであります。ことに、民間あたりでは、一回でもおかけになればそれでけっこうです、という募集のしかたがある。これは私は、ていのいいどろぼうだと思う。そういうことでは絶対に相ならぬので、維持ということに一そうのお力を願いたいのですが、現在維持はどんなふうになっておりますか。
  8. 泉秀則

    説明員泉秀則君) 簡易保険維持につきまして、月額集金でございますが、募集も大切でございますが、そのあとの維持成績ということが非常に大切なのでございます。で、保険局としましては、ただいま維持成績の向上には非常につとめておりまして、おかげさまで、最近維持成績は逐次向上しております。  それで、維持関係は、例の解約失効の率で成績が出るのでございますが、それを最近の年度別で見てまいりますと、件数比率で申し上げますと、三十四年度が二・六五%、三十五年度が二・三七%、三十六年度が一・八八%、三十七年度におきましては一・五六%と、非常に現場に御努力を願いまして、成績が向上しております。この成績でありましたら、相当いい成績ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  9. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 民間等比較したら、どういうことになりますか。
  10. 泉秀則

    説明員泉秀則君) 民間失効解約率は、これはやはり件数比率で申し上げますと、三十四年度から申しますと、三十四年度が八・二%、三十五年度が七・八六%、三十六年度が七・六八%、三十七年度が七・一七%と、民間も逐次向上しておるようでございますが、簡易保険比較いたしますと、若干差があるようでございます。
  11. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 非常に維持がよろしいので、けっこうなことだと思いますが、なお一そうこの点については御努力を願いたいと思うのですが、この原因は、どういうところにあると思いますか。
  12. 泉秀則

    説明員泉秀則君) 簡易保険維持のいい原因と申しますと、簡易保険は戦前から月額集金制度をやっておりまして、制度的には、外務に固定した集金人を置きまして、それが集金しておりまして、毎月大体大部分契約を月払いで集金しておりますので、その関係で、その点特に維持のことも指導し、強調しておりますので、いいと思うのでございますが、民間との差がどこに原因があるかということにつきましては、ちょっと具体的にわからないのでございます。
  13. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 それは、集金員固定給を持っているというようなことが相当やはり大きな原因になっているのじゃないですか。
  14. 泉秀則

    説明員泉秀則君) 民間簡易保険におきまして、給与体系といいますか、簡易保険固定給相当な大きなウエートを占めまして、それに募集手当という、募集しました場合に募集手当が出るという制度でございますが、民間のほうは、会社によって若干差はあるようでございますが、固定給よりも歩合といいますか、募集の、何といいますか、ウェートのほうが高いような給与制度でございますので、その点も若干影響しているとは考えられます。
  15. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 どうぞ、そのいい成績は十分今後とも発揮していただきたいと思います。  簡易保険は、国民保険——維持もりっぱにやっていくということも必要なんですが、国民保険だというので、保険思想をよく国民に徹底し、親しまれる保険というようなことが私はやはり重要じゃないか。加入者との関係というものは、従来も加入者のホームをつくったり、レクリエーション・センター等もつくられております。なかなかいろいろ施設もされて、けっこうでございますが、加入者と直接事業面での接触というものは、どういう施設がされているのでございますか。何か、大臣の今度の説明にも、簡易保険加入者から保険金最高制限額引き上げが強く要望されておりますというようなことがありまして、加入者意見というものもいろいろ聞いておられるようでありますが、これは非常にけっうこだと思います。そういう制度はどういうことになっておりますか。
  16. 金丸信

    政府委員金丸信君) 加入者全国連合会をつくりまして、その関係接触をいたしております。なお、ただいま先生からもお話がありましたように、簡易保険外郭団体といたしまして福祉事業団等事業をいたしておりますが、直接の関係は、先ほど申し上げた連合会関係接触をいたしているような次第であります。
  17. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 加入者の会というのはどの程度あるのですか。
  18. 泉秀則

    説明員泉秀則君) 簡易保険加入者の会と申しますのは、郵便局単位に、その郵便局内加入者の方を、何といいますか、対象にして、会をつくっているのでございますが、現在全国で千の郵便局加入者の会をつくっております。そうしまして、大体そういう加入者の会という形で組織的な形になっておりますのは、全国で、会員数といいますか、大体十万人ぐらいではないかと思っております。各郵便局加入者の会がございまして、それを県単位で、加入者の県の連合体といいますか、そういうものを組織し、さらに、それを郵政局単位組織しまして、全国的なものは、先ほど政務次官が申されましたように、全国郵政局管内連合会代表者を集めまして、中央の加入者の会というようなものをやっております。そうしまして、先ほど先生が話されましたように、簡易保険国民相当部分の方に入ってもらっておりまして、民間保険会社におきましては、相互保険組織というような形で、その契約者の意向を吸収するというような組織になっているのでございますが、簡易保険としましても、生命保険の性質上、そういう加入者の声を反映してもらうという形で、この加入者の会という組織を通じまして簡易保険に対するいろいろの意見を反映してもらうように考えている次第でございます。
  19. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 全国に一千、そうしてそれが十万人くらいだ、四千六百万件ありましたですね。四千六百万件の加入者に対して十万人というふうなのは、私はむしろ非常に少ないのじゃないか。やはり、国民の力を借りながら、加入者の力を借りながらPRしていく、そうして全国民に健全な社会保障の実をあげるように協力していく、というような体制が、私は特に郵政省としては必要じゃないだろうかということを考えますが、将来こういうものをどんどん発展させていくようなお考えはおありになるのですか。
  20. 金丸信

    政府委員金丸信君) 先生のお説、まことにごもっともだと私たちも思うわけでありますが、まだこの加入者の会は出て間もないものですから、お説に従いまして、できるだけひとつ育成して、たくさん入っていただくような会にいたしたいと考えております。
  21. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 これは、政府奨励費かなんかでやっておいでになるのでしょう。
  22. 泉秀則

    説明員泉秀則君) 予算上も、加入者の会の運営費という経費は認めてもらっておるのでございますけれども、実際にはその額が少なかったものでございますから、いろいろの関係でこういう形でやっていたのでございますが、いま先生が申されました点を要望しまして、三十九年度の予算相当大幅に増額されるような形でございますので、三十九年度におきましては、この会をさらにできるだけふやしてやっていきたいというふうに考えている次第でございます。
  23. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 第三番目にお願いしたいことは、保険料の問題です。  保険法の第一条にも、なるべく安い保険料で提供するということになっておることは言うまでもないのでありますが、一方、それでは積み立て金運用はと申しますると、運用法の中には、社会公共の利益にこれを使えとなっており、だんだんお伺いしますと、実際積み立て金運用利回りは、民間では九分何厘になっておりますが、簡保のほうは六分何厘というふうな、非常にそこに格差も出ております。しかし、保険料というものは、特にこれは国民保険でございまするから、安くするという努力がなければならない。ややともすると、運用でああいうふうな財政投融資にも千六百億も昨年も出しておるという、社会公共のために尽くしておるのだからやむを得ないのだというようなことで、保険料というものを安易に考えるという傾向がありはしないかと私は心配いたします。したがって、これが非営利というような安易ないすの上に乗っていては相すまぬと私は思います。事業経営面におきましても、あるいは節約の面におきましても、十分考えていかなければならない。いま、保険料民間比較いたしまして決して安いと私は思っておりませんが、その辺の事情をひとつ御説明願いたい。
  24. 泉秀則

    説明員泉秀則君) その運用の問題につきましては、先生の言われるとおりでございまして、簡易保険運用利回りが、現在、三十七年度におきまして六分三厘八手、民間運用は八分九厘ということでございまして、その差が二分なんぼあるというのが現状でございまして、保険料——いわゆる表定保険料と申しまして、最初契約者の方におすすめします保険料におきましては、民間簡易保険と、生命表の使い方とか、あるいは付加保険料計算のやり方が若干違うことがございまして、簡易保険のほうが高いものはあまりないような数字になっておるようなことでございますが、たまたまいま申し上げましたように、保険運用の差がございまして、配当に差がございまして、正味保険料におきまして格差が出ておるのが現状でございます。その差がどの程度かということは、具体的資料を持っておりませんのですが、その配当関係で、簡易保険は、剰余金を一分五厘を死亡とか満期のときに確定額配当しております。民間のほうは、現在若干違うところもございますが、平均いたしまして、民間のほうは四分三厘の配当をしておりまして、それで向こうは不確定で毎年配当しております。その配当額の差が正味保険料の差になって出てくるのでありますが、個々の形でどれだけかということは、いま資料を持っておりませんので、御説明できない次第でございます。
  25. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 事業経営の面の節約とか、特に原簿事務等におきましては、いまは電気計算機も出ておるのですから、そういうふうな面についての配慮が必要だと思う。これにはなかなか、労働問題もありまして、非常に困難かもしれませんが、事務合理化というものは必至なんでございますから、これはよく組合等とも相談されて、無理のないところで実行さるべきだと私は思います。民間比較をいたしまして、そういう点についてのテンポが非常におそいような気がいたすのでありますが、いまどんなふうな状況になっておりますか。
  26. 泉秀則

    説明員泉秀則君) 地方局等事務機械化につきましては、簡易保険局としましても、相当前から研究しておりまして、三十四年の六月から東京の地方局受持区域内の神奈川県と茨城県二県につきまして、PCSJパンチ・カード・システムというので、機械化に切りかえまして、現在実施中でございます。さらにそのPCS制度を、三十八年度末からは、北海道はじめ札幌管内につきましても、この制度を取り入れた次第でございます。そうしまして事務機械化を始めているのでありますが、現在の機械の、何といいますか、改良といいますか、技術の進歩というものは非常に激しいものがございまして、こういう地方局事務的な仕事機械化いたします場合には、いわゆるEDPSといいますか、電子計算組織を取り入れるのが最近の動きでございますので、保険局といたしましても、昨年、一昨年ごろから、その研究にとりかかりまして、来年度はその実験費を要求しまして、相当額実験費を要求しているような段階にまで調査も進みまして、その実験でいい成果をおさめまして、現在、そのEDPS地方局事務機械化に取り入れるように考えております。  民間との比較ということでございますけれども、民間会社におきましても、生命保険会社におきましても、このEDPS機械を逐次現在取り入れている状況でございます。
  27. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 ぜひ、そういうふうな点について積極的な施策をお願いしておきます。  大体総論的にはそういうお願いをしておきますが、一、二の点について、個々の問題について簡単に御説明願います。  今度百万円にこう飛び抜けていくわけですが、そうしますと、いろいろ心配されておると思うが、逆選択が行なわれはせぬか、不良加入が起こりはせぬか、ということを心配するのですけれども、それに対してはどういう御配慮を願っておりますか。
  28. 泉秀則

    説明員泉秀則君) 簡易保険は無診査保険でございますので、そういう弱体者と申しますか、不良契約の入ってきますことを十分日ごろから警戒しながら運営しているのでございますが、今度百万円になりますと、その危険もさらに強くなると思いますので、私たちのほうとしましては、何といいますか、この新種保険募集にあたりまして、従来よりも一そう面接監査の励行を徹底させ、そうしまして、告知義務の確実なる履行を求めまして、不良契約の防止につとめたいと思っております。
  29. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 その点の注意が私は非常に肝要だと思います。  その次には、最低限引き上げの問題ですが、御承知のように、最低限は、終戦後五千円であったものが、三十六年に一万円——三十万円のときに一万円になり、この前の五十万円になったときは据え置かれたはずであります。今回一っ飛びに五倍、一万円から五万円に上がったということは、非常な御決意であったと思うのです。事業経営の面から見ますれば、私は別にけっこうだと思うのでございますが、一挙に五万円に上げるということは、下のほうに非常に圧迫がありはせぬか。特に、国民保険でありまするから、社会の各層にわたっておるわけでございます。少額所得者もあるわけでございますので、そういう点の配慮はどういうふうにお考えになっての結果でございますか。
  30. 泉秀則

    説明員泉秀則君) 簡易保険最低制限額は、いま申されましたように、現在一万円なのでございますけれども、最近の経済事情考えました場合に、保険の金額としまして一万円というのはどうも低すぎるのではないか。一万円によります保険的価値というようなものは非常に乏しくも考えられます。また、最近の新種契約状況を見ます場合に、これは三十八年の十二月の数字でございますけれども、つまり一万から五万までの契約でございますが、これが件数で二・六%というようにごく少ない件数になっているのでございます。と申しますことは、国民の皆さん方からの需要も非常に減ってきたという点もございます。一方、いま申されましたように、この少額の契約というものは、事業経営観点から申しますと、何といいますか、あまり好ましくないものでございますので、いま申し上げました三つの点を考えまして、この際五万円まで引き上げるのがいいのじゃないかということで五万円に引き上げることにしているわけでございます。
  31. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 五万円未満だと二・六%だというのですか。それは非常にネグリジブルなものでして、心配はないと思いますが、やはり国民保険でありまするから、少額の保険金といえどもないがしろにしないという考え方は私は持っていかなければならないのだと思っております。  三番目には、新種保険についてですが、今度五十万円の養老に入れば死亡のときにはその倍額の百万円がもらえるという、なかなか考え制度だと思うのです。元来が、保険というものは死亡保障というものが本来の機能だと思うのですが、だんだん貯蓄的な方向に進んでおる。ことに、簡易保険の額が小さいものですから、死亡保障というものよりも養老的なほうへ進むのもやむを得なかったかもしれませんが、これはやはり第二次的に考えていかなきゃならぬ問題だと思う。そうした意味において、今度の制度は、いわゆる死亡保障というものに重点を置いての考え方、まあ人の機微をつかんだ、いい制度だと思うのでありますが、これもやり不良が私は出やせぬかという心配がありますことと、いま一つは、これだけが五十万円の養老であります。それで、死亡のときに百万円になる。この養老のほうにどうして百万円にならぬか。今度百万円にするというのですから、養老のほうに百万円になれば、死亡するときには二百万円もらえる、そういうふうには考えられないのですか。
  32. 泉秀則

    説明員泉秀則君) 新種保険の創設ということにつきましては、先ほど先生が申されましたように、生命保険の本来的な使命死亡による保障にあるというのでございますが、わが国の保険の、何といいますか、思想観点からは、保険も貯蓄だというような観点がございまして、なかなかそういう死亡保障を厚くする保険には加入しない状況でございましたのですが、最近は、そういう死亡保障を厚くしたものにつきます保険的需要も出てきたような状況でございまして、まあ簡易保険としましても、この死亡保障を厚くする、つまり定期的な保険でございますが、やはり貯蓄的な思想を入れないとなかなか売れないというような状況でございますので、養老保険と足しました新種保険、定期付き倍額養老保険といいますか、そういう保険を売り出したのでございますが、これは、最近の生命保険の需要等もございますので、私のほうとしましても大いに伸ばしたいと思っておるのでございますが、この場合に、いま申されましたように、死亡保障を厚くしますと、逆選択、つまり不良契約の入ってくるおそれが多分にあるのでございます。この点、不良契約の防止につきましては、先ほど百万のときに申し上げた点もあるのでございますが、そのほかに、この新種保険につきましては、養老部分が半分ついておりますために、純然たる定期の死亡だけの場合に比べますと、そういう逆選択をされる可能性も若干少なくなるとは思うのでございますけれども、この場合も、先ほど申しました、何といいますか、不良の入るのを防ぐのでございますが、制度的にも、新しい新種保険につきましては、いわゆる削減期間という、つまりある期間内に死亡しました場合に保険金の支払いを減額する制度があるのでございますが、この制度におきましても、一年未満に死亡した場合には、普通の養老でございましたら三割支払いをするのでございますが、これを二割にするとか、あるいは二年未満は六割を五割に減らすというような形で、こういう制度的にもチェックしておる次第でございます。  もう一点の、この際、百万になったのだから、新種保険満期保険金も百万にしたらどうかという御意見でございますけれども、この点につきましては、現在の簡易保険最高制限額のきめ方が、死亡の場合の——まあ死亡満期を含めまして、支払いする保険金の額できめておるという体系になっておりますために、最高制限を百万と申しますと、満期を百万としますと、死亡の場合に二百万となりますから現在の法律の立て方からいきますと、ちょっと無理だ。なお、簡易保険の無診査の場合に、死亡の場合に二百万というのは、ちょっと現在の体制からは無理じゃないかというような観点もございまして、この新種におきましては、死亡の場合は百万、満期の場合は五十万、というワクで考えている次第でございます。
  33. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 いや、そうすると、普通の養老保険は、もう百万には入れないのですか。
  34. 泉秀則

    説明員泉秀則君) ちょっと最高制限額の表現が……。普通の養老保険なら百万に入れるんでございます。
  35. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 お答えがどうもわからない。あなたは、死亡満期の場合に百万円だという法律のたてまえだと、こうおっしゃるわけですね。だけれども、普通の養老でも百万に入れるんなら、この新種保険の養老にどうして五十万円という制限を与えるか、ちょっと私のみ込めない。
  36. 泉秀則

    説明員泉秀則君) 先ほど表現が少しまずかったのでございますが、まあ、死亡保険である終身保険の場合も、また家族保険とか、あるいは養老保険の場合も、保険金として払う額の最高制限額を百万できめておるわけでございます。
  37. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 それからその次に、不慮の事故死の場合です。  これは、保険金の倍額を払うというのがわれわれ常識として持っておるんですが、この場合には、死亡したときには百万円、五十万に入っておれば百万円もらえるわけですね。したがって、事故死の場合は二百万円もらえるという、単純にわれわれは考えるわけですが、この法律を見ますと、養老の際の、養老に該当する部分の五十万の三倍額を与える、すなわち、言いかえれば、死亡のときの百万円と養老の部分の五十万とを加えて百五十万円である、また、さらに言葉をかえていえば、養老の場合の三倍だと、どうもそこら辺の事情がはっきりしないんですが、端的に、死亡した場合には倍もらえるんだというような意味から、死亡の百万円が二百万円になるというふうには考えられないんですか。
  38. 泉秀則

    説明員泉秀則君) 新種保険の場合には、養老部分と定期部分を含めまして構成しているんでございますが、その養老部分につきましては、何といいますか、従来の養老保険と同じような形で保険料計算してございます。一方、定期部分につきましては、定期でございますので、掛け捨ての保険料になりますために相当安い保険料計算してございまして、大体平均しますと、養老部分の約二割見当の保険料になっているんでございます。で、定期部分でない養老部分保険料からは相当剰余金が従来出ておりまして、それをもとにしまして倍額支払いをしているんでございまして、この不慮の事故の場合の倍額支払いにつきましては、簡易保険としましては、特別な倍額支払い用の保険料は取ってない体系にしておりまして、でございますが、定期部分につきましては、いま申しましたように、保険料も少ない、その部分からは倍額支払いに回します剰余金の出ることを期待できない状況でございますので、したがいまして、この倍額支払いをしますのは、養老保険部分についてのみ倍額支払いをするという制度にしたいと考えておるのでございます。
  39. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 定期保険というのは、どういうのですか。
  40. 泉秀則

    説明員泉秀則君) 定期保険と申しますのは、掛け捨てと申しますか、定期の場合、一年間の間に死亡すれば、その保険金を支払う、死ななければその保険料は返ってこない、いわば火災保険のような感じの保険でございます。
  41. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 現在、それをやっておいでにならないのでしょうか。
  42. 泉秀則

    説明員泉秀則君) 簡易保険としましては、現在、家族保険につきましては、何といいますか、主人が養老に入りまして、奥さん、子供が定期保険に入る、という形の家族保険をやっております。で、家族保険の場合におきましても、定期の保険関係しております配偶者とか子供につきましては倍額支払いはいたしておりません。
  43. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 わかりました。  私の質問はこれで終わります。
  44. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 本日は、この程度にいたします。   —————————————
  45. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 次に、郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題といたします。郵政省所管事項に関する件について質疑のある方は順次御発言願います。
  46. 横川正市

    ○横川正市君 最近のことで、ちょっと政務次官にお聞きをいたしますが、公務員法の、退職後再就職する場合に、各省関係で、その省と、例外なく、関係のある役職に対しては、人事院の承認を得て横すべり人事が行なわれることにいまなっておるわけです。最近では、郵政省も四件人事院の承認をもらって横すべりをいたしておるわけでありますけれども、日本逓送株式会社という会社は、これは郵政省とどういう関係にあるわけですか。まあ、私の知っておるところでは、共済組合が株券を相当所有しておるから、株式会社としての別個の性格を持って、郵便の逓送その他については、これは入札によって落札して仕事を請け負っておると、こういう関係だと思うのですが、まず最初に、郵政省と日逓、日本逓送株式会社というのはどういうふうな関係にありますか。
  47. 金丸信

    政府委員金丸信君) ただいま横川先生のおっしゃったとおりであります。
  48. 横川正市

    ○横川正市君 私は、この関係で一番問題になるのは——政務次官にずっと、郵務局長が来るまで答弁していただきたいのですが、郵便物の取り扱いの種別ですね。一種、二種、三種、四種、五種、小包等があるわけなんですが、一体、この種別はあるけれども、独占企業ないしは独占に類似するような企業としての取り扱い業務のその郵政省での心がまえといいますか、たとえば料金は差があるとか、それから取り扱いの行のうが違うだとか、そういういわゆる取り扱い上、形式上の問題じゃなくて、取り扱いをする心がまえの問題で、こういう種別の、非常に大きないろいろな段階が設けられておりますけれども、どうお考えになっているか、それをまずお聞きしたいと思います。
  49. 金丸信

    政府委員金丸信君) 郵便物の問題につきましては、一種、二種、こういうものは重要に扱うべきのものでありまして、まず、その重要度に従いまして、逓送のほうも考えなくちゃならぬ、あるいは郵送も考えなくちゃならぬと、こんなような考えを持っております。
  50. 横川正市

    ○横川正市君 もっとはっきり、そういう点が私はどうも——まあ、大臣の所信問題で質問をするのが重点でお聞きをするわけですが、先般大臣がここで読み上げた所信説明の中に、ページ数がありませんから、ずっと、五枚目の中途から、「次に、郵便事業について申し上げます。従来、郵便業務はおおむね正常に運行されてまいりましたが、」云々と、最後からの三行目のところで、「非常措置をとりました点につきましては御了承をいただきたいと存じます。」と、こういうふうに結ばれておるわけですが、もっとも、所管事項説明ですから、こういう簡略な報告で済まそうとしたのでしょうけれども、私はやっぱり、事業の責任上の問題からいうと、相当重要な問題ではないかと私は思うわけなんです。  そこで、たとえば日常排送業務が、何らかの事故によりましてその排送ができなくなってまいりますと、まず小包からはずす、その次に第三種をはずす、最後には一種もはずし、速達ぐらいをやる。実は、事業官庁というのは、一体自分で受け持っている業務内容というものをどういうふうに考えておるのか。その点が少し私どもとしては納得いかないのです。これは、暮れのときも、私が大臣質問をいたしましたときも、私どもとしては、非常に問題なのは、ああいうふうな紛争が起きる起きないにかかわらず、郵便業務の中には、たとえば超勤ができなくなったら郵便が積滞をする、あるいは別派行動をとらなければいけないというような人員配置、それからいわば排送業務なんかについても、いま言ったように、日逓がかりにストライキをやるというような場合になると、これはまた物の運行について支障を来たす、こういったことが、一般に物の運行というものにもう少し明確な考え方があっていいのじゃないか。私はやはり、どういう事態があっても、私の考え方は、引き受けるべきその物については、これはやっぱり国民の負託にこたえて完全にこれを排送するという責任体制は郵政省にあるのじゃないかと思われる。簡単に排送を中断するとか、あるいは停止するとかということは、これは軽々に行なうべきことじゃないのじゃないか。独占企業というのは、そういう性格のものではないかと思っておるわけなんですが、そういう点から御質問をいたしているわけなんです。ですから、まず、幾つかの種別があるけれども、この種別の取り扱いの省側の態度というのは、一体どういうふうに心がまえとして持っているのか。これはもう万難を排して——というのは、ある郵便配達人は、ふぶきのときに、十円か五円のはがきを持っていくために、ふぶきの中で倒れて殉職をしたという例もあるわけなんです。これは、命をかけて郵便を排送するという、そういうことです。その後人命が非常に大切だというので、危険の度合いというものが十分に判断がついたら持ち帰りが可能であるというふうに、だんだん変わってきていますが、しかし郵便の取り扱いについても、一人の従業員でもこれくらいの責任感を持って郵便というものを排送するという、そういうふうに取り扱いについての心がまえというものを持っているわけです。  ところが、郵政省は、事態が起こってまいりますと、簡単にばつばつ、ばつばつと切り捨てていって、排送の責任というものについては結果的には負わない、こういう結果が非常に強く私は最近出てきているのじゃないかと思うのです。この点で、どういう心がまえで排送、郵便の取り扱いをしようとしているのか、その点をお聞きいたしているわけです。
  51. 金丸信

    政府委員金丸信君) ただいまの横川先生お話は、小包の問題であろうと思うのでありますが、重要通信を確保するという非常事態に対処いたしまして、小包というような問題は、小包はいわゆる独占企業じゃないというようなことで、非常事態に備えまして、重要通信を確保するというようなことでいたしましたことは、もちろんこのために国民の皆さんに非常に御迷惑をかけたということにつきましては、遺憾に考えております。
  52. 横川正市

    ○横川正市君 そういうふうにしか答えられないところに、私は問題があるのじゃないかと思うのですよ。だから、小包は独占企業ではないと言っても、暮れの排送の実際の状態を見ていると、私は独占企業として持っておった機能がとまったために、ずいぶんこれはいろいろな面で不都合というのが起こってきているわけですね。従来、郵政省独占企業として小包を取り扱っておらなければ、私は民間の小包配送、いわゆる小さな荷物の配送の機関というものは、十分採算のとれるような形で発達していると思うのですよ。ところが、郵便局で取り扱っているから——都内配達とか何とかというようなことでは、人を擁して自転車か何かで配達しているデパートなんかを見受けますけれども、しかし、郵政省がやっているから、これなんかもほとんど部分的な配送でとまっているわけですね。  私のお聞きしたいのは、郵政省が重要通信を確保するというその考え方が、一体小包は重要でないとか、三種が重要でないとか、それから二種が重要でないとか、一種も重要でないとかというように、小包が重要でないという考え方というものは、その取り扱いの時点に照らして逐次拡大されていく危険性があるのじゃないか。段階的に言えば。たとえば、年末のような段階では、小包の引き受けを制限する、小包だけ、しかしもっと事態が窮迫してくれば、今度は三種もやめます、さらに事態が混乱してくると、二種についても、一種についても、というように拡大しないか。それからもう一つは、その取り扱いについて、町内会の御婦人、婦人会だとか、ああいうような他の団体に依頼するということを、非常に、いとも簡単に考えるような傾向があるのじゃないか。そういった点で、私は郵便局の、独占企業というものを経営している郵政省の心がまえというものは、もっと他に最善の策、次善の策というものがないかどうかについて考えるべきだと思うわけなんですが、それは、労使間の安定の問題が第一で、第二は機構とか、あるいは要員確保、常時要員確保の問題とか、郵便の取り扱い、いわゆる独占企業の官庁として取り扱っているそういう性格の上からいけば、事態に対して対処できるだけの心がまえと、それから準備と同時に、起こってきた問題に対して、これは何をおいても解決をするという、そういういわば態度がなければ、独占企業というものの性格というものは、あいまいになってくるのではないでしょうか、実際上は。  だから私どもは、やはりもう少し明確に独占企業というものの性格というものを把握しておいていただかないと、何か、いとも簡単に方法をとられてくるので、最近は、郵政省に対しては、非常に信頼というものが薄れてきているわけです。それは、あなたたちが経営や管理の任に当たっておって、責任をもって当たらなければならない郵便排送に、あんまり簡単な取り扱いをする結果だと私は思うのですけれども、そういう面から、まず第一点としてお聞きしたように、一種から五種ある、小包もあるのだというのだけれども、独占企業体としての郵政省の取り扱う物、それの取り扱いの心がまえというのは、どういう心がまえでその衝に当たられているのか、もう少しこれは明確にしていただきたいと思うのです。  先進国には、こういったことはないようですね。最近の「アメリカの郵便事業について」という大冊を私も読んでみたのですけれども、あれには、たとえば非常勤制度なんというものはなくしてしまって、それから郵便排送についてはベテランが配置されている、もちろん六カ月とか一年だとか、そういうのは見習いであって、五年だとか七年だとかという、ほんとうのベテランが、その人の事故がある場合には、それにかわって処置のできるような定員配置、そういう、機構上や人員の問題からまず解決を日常心がけている。その他のときでも、たとえば労使関係の問題が起こったら、その労使関係の問題を解決するために全力をあげて迷惑がかからないようにする、こういう、この迷惑をかけないということが第一義で問題が処理されているのです。これは、日本の場合にはまだそこまでいっておらない。  そういう点を勘案してみながら、一体、物に対する郵政省の取り扱いの心がまえというものに、少し安易さがあるんじゃないかというふうに私は思うのですが、そういう点から、まず第一点の御質問をしているわけです。
  53. 金丸信

    政府委員金丸信君) ただいまの横川先生お話もごもっともだと私は思うわけでありますが、正しい労使のあり方、これが国民に迷惑をかけない、また、ただいま横川先生のおっしゃっていることであろうと思うわけでありますが、そういう点につきましては、まず第一に正しい労使のあり方というものを確立すべきだ、たまたま不幸にいたしまして、昨年の暮れには、かかる状況に相なったわけでありますが、ああいうことにつきましても、最善の努力をして、あのような結果にならないということにわれわれもつとめなきゃならぬと、こうも考えておるわけでありますが、そういう点から考えてみまして、たまたまあの年末闘争というようなものが起こりまして、この問題について非常に国民にも御迷惑をかけた。しかし迷惑を、全部に迷惑をかけたのでは困るというようなことから考えてみまして、一応小包は独占ではない——これもほんとうに申しわけないことだけれども、まあ重要通信の確保というような考えから、この問題につきまして、これも国民の皆さんに御協力していただいておるので、できるだけ早くそういうような意味で国民にわかっていただくような周知徹底もいたしたわけでありますが、しかし、あのような姿が理想の姿でないということだけは考えられると思うわけであります。
  54. 横川正市

    ○横川正市君 私は、どれが重要か重要でないかということになれば、正月の一月一日に配達するという約束をもって売り出した年賀はがきですから、その年賀はがきが一日につかないということは、あなたのほうの、売り出した立場上の問題からいっても、何とか回避しなきゃいけない問題だと思われるわけであります。しかし、年賀はがきには、疎遠者への言葉はあっても、それほど重要さというものは実は私はないと思う。ところが、小包の中には、排送がおくれたら、くさってしまうかもしれない。年賀はがきの字づらで受ける人情の伝播といいますか、相手側に伝えるという気持ちと、物を送って、その品物の価その他からいってみても、小包というものが時間内に到着しないということは、これはやはり問題だと思うのですね、取り扱い上。どれが重要かといった場合、そういうものの見方もあると思うのです、重要か重要でないかということは。  それから、先ほど言いましたように、独占企業ですから、もし郵政省が従来小包というものは取り扱っておらないというならば、民間企業の配送機関というものはどんどん発達しておったのです。しかし、それが郵政省が取り扱っているから、民間の配送機関というものはきわめて微々たるものしかない。郵政省の配送機関にたよる。そういうことになるだろうと思う。そういうどれが重要か重要でないかという、そういう問題と関連してみると、私はこれは解決する方法というのは他にあるのじゃないかと思うのですよ。たとえば労使間の問題も一つでしょう。それから先ほど機構とか内容とか言ったのですが、年賀はがきをやめたらどうですか、郵政省は。私は、ヨーロッパでやっているクリスマス・カードのような、最も親しい、金丸さんには世話になったから、私から一年に一回私の心をこめた内容で十円切手を張って、そうしてひとつことしもよろしくという、そういう取り扱いとして、重要通信にかえたらどうですか。もう捨てられるビラみたいに、踏んだりけったりされるようなもので、しかも取り扱い者は未熟練者、アルバイトを数百万雇って、そうして、何のことはない、束にしてどさどさと置いていくという、そういう年賀はがきというものについては、私はもうあまり魅力を感じなくてもいいのじゃないかと思う。かえって、これは悪いほうへ悪いほうへ利用されていますよ。商店なんかの広告になったり、それから売名行為になったり、いろいろな形でやられているわけなんで、あえてこれに固執するという手は私はないと思うのですよ、まあ考えれば。  だから、重要通信を確保するためにやったのだといってさらっとするのではなくて、私は、最善か次善の策かを郵政省考えて、これに対処するような心がまえが出てこなければならぬのに、出てこないのはなぜかと実は思うのです。それは何かというと、乏しい、財源の少ない郵政省だから、これにたよるという気持ちもわかります、実際上は。しかし、それであっても少しぐらい収入の面で減が来ても、対国民郵政省に対して信をつなぐ、このことのほうが重要だと思うのです、実際上は。だから郵便の遅配というものは三百六十五日絶対ありませんというような対策が立てられないということはないでしょう。おそらく郵政省では、もし全逓という組合にストライキ権を与えておったら、どうしますか。私はおそらく、あなたたちストライキに対処するための次善の策というものを考えると思うのですよ。何人かの首切りをやれば、処分をやれば、おそれて仕事を始めるだろうという期待感で仕事をやっておったのでは、実際には重要通信確保とか何とか、へ理屈を並べてみても、一般郵政省に対する感情というものは不信感で一ぱいだと思うのです。  私どもやはり逓信委員会に参加をしておる者というものは、大体、郵政省の業務と切っても切れない関係にあるわけですから、これはもう普通の機械的な、闘争の中で、どちらに味方するとか、どちらに反対するとかいう態度で実際にはものを見ておらぬのですよ。やはり、企業については、どうやったら一体いまの郵政省国民からの不信というものは払拭できるだろうか、それには、いまの態勢で私は別に困らぬと思うのですよ。四円はがきを売って、そうしてあの混雑をするよりか、あの三分の一であっても、十円の実際上きれいな手紙が届けられるという郵政省になったほうが、私はもっと国民からは通信そのものの信用が増すと同時に、それと、ひいて郵政省の信用というものは増してくるのだと思う。  それから、経理局が来ておりませんが、私が聞いた話では、年末の小包を停止しただけで約八億収入減。それからもう一つは、非常勤を——私はまあ、前回の委員会でも、非常勤の労働能力はどのくらいかと言ったら、三分の一以下だ。三分の一以下の未熟練非常勤を雇い上げた金額について、どれだけ郵便の収入というものからそちらへさかれているかという、その数字も出てくると思う。これは、あとからも十分聞きたいと思っているのですが、そうなってくると、年賀はがきに依存をして——あれは一枚四円何ぼですかな、実際上原価計算でいきますと。ですから、事実は、一時に収入は入っても、実際上はそほれど収益になっておらない。こういう点を厳格に計算をすれば、私は年賀はがきの制度というものはやめるべきだと思うのですよ。機構上から、取り扱い上からいって。そうして、日常重要だと思われる小包を含めての排送業務というものを立るてべきじゃないか、こういうふうに思うのですが、その方策が出てこないというのは、どうもやはり、扱っているものに対する重要さというものの認識に欠けるところがあるんじゃないか。絶対に遅配はいたしません、絶対引き受け制限のようなばかなことはしません、という郵政省になるための、そういうための方策というものを郵政省としては考えるべきだと私は思うのですけれども、どうですかその点では。
  55. 佐方信博

    政府委員(佐方信博君) 途中からで意を尽くさないかもしれませんけれども、二点申し上げておきます。  第一の重要通信の解釈の問題でございますけれども、具体的にどれが重要で、どれが重要でないということは、そのときの情勢によってきめると、法的な私たちは別に一定した考えを持っておりません。  そこで、一般には、年賀を排送するために、重要通信、年賀がすなわち重要だ、したがって小包をやめた、というような話がございますが、実はそうじゃございませんので、御承知のとおり、十二月の十日から二十日までというものは小包が非常に殺到する時期でございますし、小包をうまく排送いたしておりませんと、二十五日以降の年賀の排送がうまくいかないという関係はございますけれども、実は一番問題になりますのは、十日から二十日までに、普通ですと東京中央あたりで一日に五万個ぐらいの引き受けがありますのに、あの時期には一挙に三十万個の引き受けがあるというようなことになってまいりまして、それだからこそ、いままでも組合との関係でも、何とはなしに十日前後に妥結するとうまくいくのだという、何といいますか、お互いに意識はあったような次第でございます。したがいまして、あの段階において、にわかに解決の見通しがないということになってまいりましたので、これは年末非常に重要な金融の関係でございますとか、そういう一、二種の郵便物がおくれを来たすおそれがある。特に東京では、小包の三割が都内になっておるという実情でございますので、都内で三六協定が結ばれず、しかもちょうどあの時期が高等学校の学期末の試験の最中で、ほとんど高等学校生徒に期待できないという時期でございましたので、そうしますと、勢いそれだけの小包が一ぺんに出て、配達にかかってまいりますと、どうしても小包の配達に追われまして、一、二種の郵便物の排送ができなくなってくるという問題がございます。  それからもう一つは、これは先生御承知の、三十四年に全郵との間の紛争が解決しましたが、二十日過ぎに藤林あっせんて解決しましたけれども——というより、やれ解決したと思いましたけれども、現場には小包が山と積まれてくさっておるという実情もございましたし、私たちとしましては、この際、積極、消極両面からいろいろな手を打たなきゃならぬというので、積極的にアルバイトをもっといろいろな方法で集めるように、またもう一方では、小包につきましては、公衆に迷惑をかけないように、できるだけ引き受けるけれども、配達はいわゆる民間の請負をお願いしようじゃないかということを考えました。したがって、都内のある局では、氷屋さんが全部引き受けて、そこで配達するということができましたが、たとえば山の手あたりにおきましては、最近全部電化しておりますために、氷屋さんも炭屋さんもないということで、アルバイトは集まらない。民間の小包請負もできない。そうすると、どうしても常在員が小包を配達しなければならぬ。先ほど申し上げましたような小包の程度でございますと、まあ何とかやれますけれども、四、五倍になってくるというと、これはどうしても十日から二十日までの重要通信を確保するために小包の利用制限をせざるを得ないんじゃないかということで、あの段階におきましては、年賀との対比でなくて、一、二種の郵便物をどうしても確保しないと困るということから、幸い郵便小包というものは郵政省独占でございますけれども、いわゆる小包というものは郵政省だけがやらぬでも、いまでも国鉄でも日通でもやっておるのでございますから、できるだけそっちのほうにお願いするよりほかに手がないんじゃないかということで、あの段階におきましては、小包の利用制限をお願いしたわけであります。しかし急にやってはいけませんと思いましたので、段階を三つに区別して、第一は六大都市等の市内小包だけを制限する。それから第二段階には、近県から東京大阪等へ向けるものを制限しようということにいたしたわけでございますが、第一段階の制限までに約一週間の予告期間がございましたために、非常にたくさん参りまして、実は最盛期におきまして、一日三十五万個ほど引き受けるというような実情になりました。したがって、小包全体としましては、利用制限の結果、ある程度の利用減が出ましたけれども、総体の物量としましては、実はあの利用制限によりまして、平常月と同じ程度にしようと思ったわけでございますけれども、ほとんど減少が少ないという形になりました。  それから減収の数字につきましても、先ほどお話しのように、小包の利用制限によって相当の減収がございましたけれども、それは年を越しましてまた少し小包が出ましたために、先生のおっしゃいましたような金額の約半分くらいの小包の利用制限による減収じゃないかというふうに私たちは了解しております。  いずれにしましても、そういうことで、何が重要かということになりますと、小包と年賀の比較でなくて、十日から二十日までの段階では、われわれは一、二種の郵便物と小包の比較において、他に代替物があるからということで、どうにもやりくりつきませんので、小包の利用制限をしたというような実情でございます。  それから年賀状のことにつきましては、先生御指摘のように、ここ数年来非常に買い手が多いのに、なぜもっと出さないのだという要求が非常にあるわけでございますが、まあ普通の商売から見ると、まことにおかしい話と思いますけれども、実は十二月の末にアルバイトにたよって、しかも元旦にできるだけ配達をしたいということを考えますと、局舎のスペースの問題、それから人の問題から、これ以上はなかなかやれないという限度に来ておりますために、私たちとしましては、発売の枚数を非常に憶病なくらいに少しずつくらいしかふやしてないという現状でございます。  一方、これからだんだん人もなくなってくるということから考えていきますと、年賀状につきましては、重要な研究課題として何らかの結論を出すべき段階じゃないかということを私たち考えております。この点につきましても、郵政審議会等でたびたび議論が出ておりますし、最近の審議会にも、この問題はどうしても討論課題になってくると思うわけでございます。しかし、年賀状を廃止するとかりに言いましても、これだけ習慣のついたことでございますから、やはり郵便物はたくさん出てくるだろう、そこで、先生御指摘のように、外国のクリスマス・メールのように、来たらいつでもだらだら配達していくというようなことも一応考えましたけれども、とにかく、一日の郵便物の受付が全国で二千万通というくらいのときに、十億のはがきを一ぺんに配達しようということになりますと、やはりだらだらやっておったのでは、これまた切りがつきませんし、それからまた、現場での区切りがつきませんので、ほんとうに年賀はがきがなくなれば別でございますけれども、やはりある程度受付期間をきめて、そして一気にやっていくということのほうが、事務的な内容から見ますと、処理のしかたとしては、このほうがまとまって処理できるのじゃないかというわれわれ意見を持っております。いずれにいたしましても、年賀状の問題についていろいろな対策が出ますまでの間は、御承知のとおり、年末には非常な郵便物の、何といいますか、山になってくるわけでございますから、私たちといたしましては、いろいろな手を考えなくちゃならぬというふうに考えております。  それから、かねて、年賀以外のときにおいて、一切遅欠配をしないようにするためにはどうしたらいいかということについてでございますけれども、長い間の組合との間の団体交渉を拒否しておりましたあとで、いよいよ両方で協力して仕事をしようという段階になってきますと、現場での労務管理の問題を確立することも非常に大事でございましたけれども、私たちは一面、あの三十年に戦前の水準に達しました郵便物が、それから七、八年いたしまして約倍近くになってくる、非常に郵便物がふえてきた段階で考えまして、やはり大都市における局舎事情をよくする、それからいろいろなことで定員を確保していくということに全力をあげてきたわけでございます。同時にまた、私たちといたしましては、先生御指摘の予備定員ということにつきましても、いろいろ努力をいたしておりました結果、少なくとも年次休暇の要員につきましては予備定員を確保することができてきました。また、いままでは当該年度の物増に対応するものは、ある程度非常勤の予算をとっておりましたけれども、これも最初から定員でやっていく。それからまた、大都市におきますところの集配手は、御承知のとおり、できるだけエキスパートでなくちゃならぬわけでございますので、いわゆる班制度というのをつくりまして、逐次そういう何人かのグループには一人の何といいますか、監督すると同時に、すぐ応援できる人を持っていこうということで、いろいろな努力をいたしております。  そこで、制度的な問題でも、できるだけ簡素化も一方ではかっていく、しかし、定員も見ていく。それから一番一つ大事なことは、いわゆる三六協定がなくとも、年末時は別としまして、定員だけでやっていけないかという一つの問題がございますけれども、これは世界じゅうの悩みでありますが、郵便物というものが、非常に日によって、月によって波がある。しかも、どこの国も、やはり夕方五時に郵便物の八〇%が局に持ち込まれるというような実情からいきまして、全部定員というのはなかなかできないのじゃないか。やはり、どこの国でも、超勤とか、あるいはアルバイトというものに依存する面が非常に多いように思いますけれども、できるだけ郵便物を平準化して出していただくという御協力などが、これから特にわれわれといたしましては概念的にもお願いしなければならないだろう、こういうふうに考えておる次第でございます。
  56. 横川正市

    ○横川正市君 いまの説明が、逐次具体的な効果をあげてくる時期を私としては早めてもらうように、ただ現状の業務実績というものにこだわり過ぎておって、そうして手を入れることがおくれてくるとか、だんだん手が入らないようになる最大の原因というのは、やはり年賀はがきなんかの取り扱いの最初のときの行き方だったと思うのですよ。あれは、最初はお年玉をつけて、そうしてファイバーに物を入れて街頭売りまでして売ったという当時の状況もありますし、その後だんだん安定するにしたがって売れ出したということなんで、当時私どもも必ずしもはがきの売り出しに賛成はしておらなかったけれども、郵便の収入、郵政省の収入の問題を考えて、やむを得ざるものとしてあれを承認するようなかっこうになっておったと思うのです。そのまま、これがだんだん、だんだん改善のできない、いわば大きな一つの目的みたいなものを持ってしまった内容になってきているわけですね。その一つが、お年玉はがき付き一円の支出の問題とか、そういった抜き差しならないものになってきていると思う。  ただ私は、そういう年賀はがきの問題のよしあしということよりか、日常郵政省がどう国民の信頼にこたえて業務を正常化していくかという、そういう観点とあわせて、やはり郵便物に対して、物そのものに実はぼくは信用と、まあいわば無形のものかもしらぬけれども、高い値というものを与えていかないと、取り扱っている者が便利屋さんみたいなかっこうになってしまって、郵政省自体の私はまあ内容の問題になってくるのじゃないかと思うのですよ。だから、そういう意味合いから、取り扱いについては十分慎重にしていただきたいし、それからおくれたものに固執しないで、変わるべきときはやはり変えるということのほうが必要なんじゃないか、こう思っているわけなんです。  その中で、一般業務報告、大臣の行なった中にも、小包の引き受けを制限したために、まあ大体年末には混乱をしないでやりましたというように簡単に言われると、私どもはもっと、やはり独占企業としての取り扱い官庁は、経営上も管理上も国民に責任を負うような具体策というものをつけて報告すべきじゃないのか、それがもう、郵便というのはおくれるものだと慢性化された国民の感情の中で、惰性的に日常業務というものをやっているならば、これはこれでもしかたがないということが言えるかもわからぬけれども、まあこれは何回言っても、私どもとしては業務そのものについて愛着を持ち、やはり信頼の問題についてはいろいろな意見を持っているわけですから、それについて郵政当局が受けとめて、時期のおくれないうちに改善をしていく、こういうことが必要なんじゃないかと思うのです。ことに、この改善の方向というのは、やはり常時遅配がないということが私は根本じゃないかと思うのですけれどもね。その遅配のない態勢というのはどうするかという点をもう少し考えていただきたいと思うのです。  ことに、最近の郵便取り扱いで私どもはひんぴんと不満を受けます。これは実際上お前は郵政出身じゃないかということで。たとえば、そういう場合に、麹町でもう七十年も八十年も前から住んで大邸宅をかまえているのに、番地がないので郵便が返されたというので、麹町郵便局にどなり込まれたという話があるわけです。ところが、実際に取り扱った学生に聞いてみると、知らないわけですね、それは全然。こんなのなんかは、私は怠慢ということじゃないと思うのですよ。実際上は、まあそういったところにも問題があるし、いまの番地一番地違っても返せということで、私どもも逆に国民側を啓蒙する意味では、番地を正確に書きなさい、書かないと手紙は返りますよというふうにアッピールすることはいいけれども、それに甘えることは、これは厳に私どもは慎んでもらわなければいけないけれども、この点は、やはりどこがその責任かということになると、もう少しやはり熟練者が番地を見て、これは違っているから返すのだと、こういうのじゃなくて、番地がなくてもそこの家へ、こういうのが、私はやっぱり集配する者の日常業務じゃないかと思うのですよ。まあ、それまでの訓練というものがどうされるかですね、この点が私は日常の取り扱いで非常に気になる点なんです。  だから、どうして遅配が完全になくなるのか、同時に、私どもは非常にこれだけはやめてほしいと思うのは、町内会とか、婦人会を利用して郵便を配達するという方法ですね。これは、まあどこまで追い込まれたかわからないけれども、これはやめてもらわにゃいかぬと思うのですよ。私は、郵便物に一つの値を持たせたということは、いわゆる郵政省のルートの中で制服制帽の者が時間に持ってきてくれると、これがやはり一つの信用の形だと思うのですよ。奥さんが割烹前かけで買いものかごに郵便を入れて持ってこられたのでは、これは私は、郵便のいわゆる形からいっても、これはもうせっぱ詰まった問題だと思うけれども、実際上は、これは歓迎すべき方法じゃないと思うので、そういう点で、ぜひひとつこれは改善をしてもらいたい。  それからもう一つ、これは私どもとしてもやむを得ざるものというものも持っているのだけれども、日逓という株式会社郵政省と日逓との関係がどういう関係かという点は、私どもはうすうすわかるわけですがね、実際上は。ところが、日逓の会社で働いている職員側の立場に立ってみますと、郵政省の行なう人事の波及が日逓の人事に大きなウェートを持っておって、その人が、日逓の会社経営の立場からすると、郵政省のほうを向いておって、職員側の実際上の待遇改善その他にはどうも消極的にならざるを得ない。そういう人たちが人事の配置を受ける一つのクッションになる。こういう点を、やむを得ざるものならば、待遇改善の問題等で、もう少し、やはり、会社に請け負わした以上は、会社側が経営が成り立ち、職員側の不満がある程度消えるぐらいまで、逆にいえば、めんどうを見てやるという手も、これはなきにしもあらずだと思うのです、実際上は。それが行なわれておらないというところに問題があるのじゃないかと、これが第一の問題なんです。  それから第二の問題は、一体鉄道輸送の問題にそう信をおけなくなってきて、だんだんもう郵便物に対する取り扱いが、国鉄とすれば、粗末にしているのじゃないのだろうけれども、あと回しあと回しという、こういうかっこうになっていくのに、次善の策というのはどういうふうに考えておられるのか。それで、ことに労働者の組織の中には、鉄道郵便局従業員というのがおるわけですから、これはもう相当長期な計画を立てていかないと、あなたのほうでかりに合理化をするとしても、これは激しい問題点が出てくると思うのですよ。そういった日常の郵便の運送形態というのを見ておりますと、私どもとしては、何かもっと策があっていいのじゃないかという点が幾つかあるわけですが、これに対して、省としてはどういうふうにお考えですか。  日逓の会社の問題、人事の問題、待遇の問題ですね。さらに排送の問題等、あわせてどうお考えになっているか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  57. 佐方信博

    政府委員(佐方信博君) 最初に、配達関係のとこにつきましてのいろいろな御忠告、実はいろいろな投書ももらっておりまして、一番これから大事な問題だと思っております。大都市におきまして、なかなか集配関係の人が集まってまいりませんので、こここれからの一番の問題は、やはり大都市における外務員の確保をどうするかということだと思います。どんなに途中を早く郵便物が来ましても、配達段階で配達ができない、それから返されるということになりますと、何にも目的を果さないわけでございます。給与関係におきましても、その他の処遇の問題におきましても、これから一番大きな問題としてこの問題に対処していきたいと、こういうふうに考えております。  それから、集まりました人間に対しては、いろいろ訓練をしておりますけれども、実は郵便局におきまするところの中堅の幹部——主事、主任級のところがよくやはり若い人を指導しなければならぬと思いますので、いままでいろいろな通牒は出しておりましたけれども、ごく最近の機会におきまして、そういうほんとうに現場を指導する人に対する業務上の訓練というものをやりまして、よくわかるような指針をひとつつくって、この辺を新しく入ってきた配達の人たちに対してよき指標となるようにしたいというふうに考えております。  それから配達の関係につきましては、郵便物は、特に一、二種、あるいは親書に類するものにつきましては、これは外部に委託して配達できるものではございませんので、あくまで郵便局の手でやらなければならない。事実問題としまして、町内会の人たちにお願いしたにしましても、その場合には、郵便局の局員という資格でお願いしておるわけでございますけれども、実態的にそういう人たちにお願いすることは、親書の秘密の面からいきましても、あまり好ましくないと思いますので、やむを得ないときには、小包のことなどにつきましては、これは請負配達もできるわけでございますけれども、一、二種等につきましては、どういうことになっても局の力で、よほど万やむを得ないとき以外は、そういうふうに局員でやるということでなければならぬ、こういうふうに思っております。  それからお話の日逓のことにつきましては、形式的には運送委託法に基づきまして契約をしているわけでございまして、私どものほうとしましては、何ら法人監督権もないし、料金の決定権もない。運輸省できめられました料率に従って会社がやっているわけでございますけれども、事実問題としまして、年末等におきまして、大都市で日逓がいろいろな仕事をいたしますときには、外部から用車をするとか、いろいろなことがありますために、財政上非常に苦しくなっていることは御承知のとおり事実でございます。これにつきましては、郵政省限り話のつきますというか、筋の通ることにつきましては、極力不当な財政支出——不当な支出が会社にないように、できるだけの応援はしてみたいと思いますけれども、基本的には、これは運輸省との間の料率の決定いかんということになっております。しかし、いいサービスをしてもらうためには、やはり会社内容がよくて、従業員がみんな喜んでやらなくてはならぬということは当然でございますので、そういう点につきましては、今後とも十分ひとつ話を聞いて、あっせんすべきところはよくあっせんをしてやっていきたい、こういうふうに考えております。  第二番目の、国鉄の集約輸送に関連するいろいろな問題につきましては、いろいろ組合との間の事前協議の問題もございますし、いままでもそのつど計画内容を話をいたしております。ただ、国鉄の集約輸送の計画が、新幹線の問題とからみましてだんだんずれてきて、それからまた内容がだいぶん変わってきておりますために、いまはっきりここでいろいろなことを申し上げられませんけれども、少なくとも二、三年前に考えられましたほど大規模なものではなさそうでございますし、実施もだんだんおくれていくような傾向にあるように思います。ただし、趨勢としては、先生御指摘のとおりのことでございますので、私たちといたしましては、いわゆる近いところは自動車で、遠距離は飛行機でと、これはわかりきった、いまごろ何だという御指摘を受けるかもしれませんけれども、そういう面で解決をしていきたい。特に東京からの近県につきましては、できるだけ自動車輸送を強化していく。それから分配局制度等も、国鉄に依存するのがだんだん減ってまいりますと、その置き場所も考えていく、分配局制度にも検討を加えていきたい、こういうふうに考えております。それから、このごろ郵便物が非常にふえましたために、大阪から出した郵便物が北海道にかりにいくとしましても、たとえば秋田とか山形あたりで非常に多くなっていく。それまでの間はあまり郵便物がないということになってきますと、一部分のために郵便車をたくさんつなぐということも、これは非常に不経済になってまいりますので、遠距離は、将来の構想としましては、できるだけ航空機に積んで、そして国内全部翌日配達が主要都市間はできるようにしたい、こういうふうなことで、いまいろいろ計画を練っている実情でございます。
  58. 横川正市

    ○横川正市君 これは、私の言っていることが無理か、私が自分で納得しないから何回も聞くかということになるかもわかりませんけれども、やはり私としては、郵便取り扱いの心がまえは、独占企業に与えられたからというただ形式だけでなしに、やはり郵政省が万難を排して取り扱う、こういう確固たるものをやはり持ってもらいたいと思うのです。労使関係というのは、そういう面では最も大切な点ですね。労使関係が正常化し、安定していなければ、これはやはりいろいろな点で問題が起こることは当然なんです。しかし、労使関係で、私は郵便局舎の実情を見ていると、たとえば一番活発な運動形態をとっているのは外勤者ですよ。労働運動そのものが、やはり日の当たらない所からどんどんどんどん発展をしていくという、そういう自然性を持っているわけです。そうすると、郵政省の安定というのは一体どうなのかといえば、郵政省全体がほかの企業と比べて見てどうかという点もありますし、それから郵政省の中のアンバランスは一体どう解決するかという問題もあると思うのです。こういう点から、日常十分これは心がまえをひとつしっかり持って——てんびんにかけて一番重要なのは労使間におけるところの、何といいますか、メンツの問題だ、絶対これは譲れないという問題が出てくればそれが一番重要で、そのほかのものはそのことが解決するまではどういうようになってもしかたない、これはやるだけのことはやっておきましよう——こうではなしに、私は実は逆になるべきだと思うのです。日常労使の関係について、郵便の正常な運行というものが、一番労使関係に、人の手足に乗らなければならないということならば、その労使関係に一番日常の重点が置かれておって、そして問題を解決して、それでその日常業務というものが正常化される、こういう傾向にいくべきじゃないか、私はそう思うのです。  たとえば、一年八カ月の団交再開闘争を振り返ってみて、一体何が残ったか。二つあると思うのです、明確に言えば。一つは、郵政省の労務管理が強化されたということ、その定員がふえたということ。それからもう一つは、それに対する抵抗が非常に強まったということだと思うのです。しかも、藤林氏の三行で団体交渉ができたというようなことは、私はやはり労務管理の上からいけばナンセンスだと思うのです、実際上から見れば。その点で、労務管理そのものというものは、私はやはり郵政省の場合は、最重点問題として、日常正常化はどうあるべきか、たとえば幾つかの要求が出るものについて、どう郵政省として解決していくかというところに来なければ、ほんとうの労使安定と業務の正常化というものはないのじゃないかと思う。  こういう点で、なおあと一つ、大臣の所信表明で質問をいたしたいと思いますが、きょうは郵務関係その他にとどめて、これからの研究題材にしていきたいと思うのです。  最後に、人事局長に、郵政の場合、横すべり人事をやるのは大体どことどことどこですか。ここでは四件人事院から承認をもらっておりますが、どことどこですか。
  59. 増森孝

    政府委員(増森孝君) 突然の御質問で、順序不同かと思いますが、気のつくまま申し上げますと、電電公社、国際電電、それからNHK、それから日本逓送会社それから住宅公団——これはいま行っております、等でございます。
  60. 横川正市

    ○横川正市君 いろいろ関係がついておるわけですが、私は、これを少ないか多いということよりか、発令するときにどういう形態をとられるのか。根本に聞きたいのは、現業官庁の場合の人事というものは、たとえば次官が五十八歳であっていいと思うのです、定年退職が。それから各局長が五十歳であろうが、五十五歳であろうが、いいと思うのです。それほどのベテランを配すべきじゃないかというふうに私は現業官庁の場合には根本的に思っておるわけです。ただ、人事の入れかえがあった場合の日程を最近ちょっと見てみますと、白根さん、津田さん、荒巻さんというように、短い期間に幾つか人事が行なわれて、これも筋道のついたところで、いまの形態からいえばやむを得ざるものかわかりませんけれども、ただ、あたりのことを考えるよりか、自分の省のそれ自体の人事のあり方として、ほかの省との関係もあろうと思いますけれども、現業官庁の場合には、もっと年齢にこだわりなしに、有能な者が長期同一業務を、仕事をするという、そういう考え方に立たないかどうか。他の電電、国際、NHK、日本逓送、住宅公団等いろいろありますけれども、そういったものとの関連で、ほかの官庁とつり合いをとるように回していくということは、これは当面はやむを得ざるものがあるかもしれませんけれども、人事を行なう場合の根本的の問題としてどうお考えですか。この際お聞きしておきます。
  61. 増森孝

    政府委員(増森孝君) これは、私の直接の権限ではないのでございまして、私は責任を持ってお答えできる立場かどうか、ちょっと疑問だと思います。ただし、知っている事柄を政府委員として申し上げますれば、ただいまのところ、一般の人につきましては、五十八歳ということで高齢退職を勧奨しております。その五十八歳というのも、最近では三カ月ほど延ばしまして、だんだん——五十八歳でございますが、これももう少し延ばしていったほうがいいのじゃないかという傾向にはあります。  それから年齢にこだわるなということでございますが、いまNHKとか公団とかへ行った方々はどういう例かと申しますと、これは、いわゆるわれわれ局長クラスでございまして、何といいますか、昔から各省ともそうでございますけれども、次官にもしも自分より、局長より下の人がなったならば辞表を出さなければならないという不文律がございまして、したがいまして、私どもいま首がつながっておりますのは、一年先輩が次官をしておりますのでつながっておるのでありまして、これが一年あとの人が次官になりますと、われわれまあ辞表を出さなければいけない。なぜそういうことになるかと私考えてみるのでございますが、やはり、新しくなられた次官が先輩を使うということが非常にむずかしいらしい。そういう心理的なところから不文律としてそういうことになっているのだろうと推測しております。
  62. 横川正市

    ○横川正市君 本日は、この程度でお尋ねを打ち切ります。
  63. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 本日は、この程度にいたします。  これにて散会いたします。    午後零時八分散会    ————————