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1964-06-02 第46回国会 参議院 地方行政委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月二日(火曜日)    午前十時十三分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     竹中 恒夫君    理事            石谷 憲男君            西郷吉之助君            西田 信一君            松本 賢一君    委員            井川 伊平君            熊谷太三郎君            沢田 一精君            館  哲二君            占部 秀男君            鈴木  壽君            千葉千代世君            林  虎雄君            辻  武寿君            市川 房枝君   国務大臣    自 治 大 臣 赤澤 正道君   政府委員    自治政務次官  金子 岩三君    自治大臣官房長 松島 五郎君    自治大臣官房参    事官      山本  弘君    自治省行政局長 佐久間 彊君   事務局側    常任委員会専門    員       鈴木  武君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方自治法等の一部を改正する法律 案(内閣提出衆議院送付) ○地方行政連絡会議法案内閣提出)   —————————————
  2. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  地方自治法等の一部を改正する法律案を議題にいたします。前回に引き続き質疑を行ないます。御質疑の方は御発言願います。
  3. 占部秀男

    占部秀男君 前回大臣おいでにならないので、お聞きしたいと思っております問題点を保留しておきましたので、その点をまず大臣にお伺いしたいと思うわけであります。というのは、今度の地方自治法改正すなわち都区事務事業移管中心とした制度的な改正の問題でありますが、前回にこの問題に関連して都政実態の問題を行政局長にお伺いをいたしたわけでありますが、特に最近、都の行政広域的なものが相当多くなっておるということ、それからもう一つには、いわゆる都民考えておる都政という事務事業の中には、行政主体が都の場合はもちろんですが、区の場合があり、あるいは国の場合があり、あるいはまた公社・公団のような場合がある。特に国の場合については、相当各省間に縦割りの方式による不統一なやり方が行なわれておって、それが結局都制行き詰まりに大きく影響しておる問題である。かようないろいろな問題からして、都制を根本的に改正して、行き詰まりを打開していくためには、都制関連するところの首都圏といいますか、もっと広い意味首都制度といいますか、そうした首都圏の問題に入らなければならないんじゃないかと、こういうような関連から大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、こうした面を解決していかなければ、結局は都制というものの行き詰まりを打開できないと私は考えておるのですが、首都圏制度について何か大臣のお考えがあるかどうか。  それからまた、最近伝えられておる、今度の国会には出なかったわけですが、首都圏制度についての何か政府としても改正案を出そうという意図があるやに聞いておるのですが、そういうことがあれば、いつごろか、そういった点についてお伺いをしたいと思います。
  4. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 全国の道府県東京つまり首都圏とは、私は、いろいろな別なやっかいな問題をかかえておると考えております。特に各省もこの区域内にありますせいもありまして、やはり各省における行政に対する権限というものも、いろいろ錯綜をいたしておりまするので、こういうものをやはり調整しなければならぬという場合などを中心といたしまして、いま、御案内のとおりに、行政改革本部をつくって、そうして現状並びに将来を勘案して首都圏をどういう形にするかということは、いま検討してもらっておる最中でございます。こういうお答えを先に持ち越すことになりましてまことに恐縮でございまするけれども、実は御案内のとおりに、たとえば特別区の区長公選問題にいたしましても、地方制度調査会のほうでは公選がいけないと言っておるわけではないので、いましばらく様子を見ようという結論しか出していないのですから、私どもとしても扱いにちょっと困っておる点もありますけれども、やはり大切な問題でありますので、なるべく早い機会に明確な線を出したいと考えております。
  5. 占部秀男

    占部秀男君 これは大臣がそういうように御答弁になる事情もわかりますから、私は、御質問をこれ以上深くはいたしませんが、ただ二つの点だけは大臣としても御答弁を願いたいと思うのですが、それは、往々首都圏構想関連をして、地方自治体を何か中央集権的に制約するような疑いというか何といいますか、そういう方向が出ておるやに聞いておるのですが、少なくとも首都圏の問題を考える場合には、首都圏の領域における——東京都をはじめ、まあどれだけの現在の県がそのままなるかどうかは別にして——少なくとも住民自治団体自治の基本的な線は、これは貫いて守ってもらわなければならない、こういうふうに考えるのです。何か自民党の中で岡崎私案なるものが出たように聞いておりますが、ぼくも新聞で読んだだけですが、あれでは、何か首都圏庁ができて、そこで全部やるような印象を与えられる。臨時行政調査会答申案では、これはまあ御存じのように調整機関というものをつくるとしての首都圏という形で、しかも労組の代表、あるいは民主団体等も入れた評議会もつくるというような、だいぶ住民自治の筋が入っておるわけですけれども、それにしても、そういう地方自治を制約するような方向首都圏というものがつくられるのでは、これは現在の首都制度行き詰まりを逆に複雑にして、逆に行き詰まり拍車をかけるようなものじゃないかと私は考えるので、そういう点についての大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  6. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 御指摘岡崎私案というものにつきましては、私も知らぬわけではありませんが、いまいろいろ御指摘のような問題を取り扱うために三つ四つ調査会のようなものができておるわけです。私どもといたしましても、やはり地方行政制度調査会考え方というものを中心として、尊重しながらいっておるわけでございますが、いずれにいたしましても、こういう他に例のない自治体になっておりまするので、他の道府県とは、先ほど申しましたように、よほど様相が異なります。ですから各省の力も強くて、縦割り的な面が出てくるきらいがあると考えますので、ことさら私は地方自治というものにひびを入れてはいかぬと考えまして、私はもちろん、各省立場から、当然でございますけれども、そういう方向は厳に守っていくという根本観念に立っておるわけであります。
  7. 占部秀男

    占部秀男君 それからもう一つは、いま大臣の御答弁の中に出ました国の行政事務事業縦割りの問題についての調整の問題です。これも率直に言って、この調整が行なわれない限り、都制行き詰まりを打開するといっても、これはなかなか一朝一夕には私はできないと思うのです。これはもう現実都政事務事業に携わってみたわれわれの経験からして痛切に感ずるところなんですが、こういう問題については、臨時行政調査会では、いわゆる調整機関としての首都圏庁ですかに、予算面の何か相当な権限を持たして、調整をできるようにしておるわけですね。あの臨調の答申案がそのままいいとか悪いとかいうのじゃなくて、少なくとも都制度行き詰まりを打開するためには、この都制度行き詰まり拍車をかけておる国の事務事業の不統一、これを調整する国だけの機関というものがやはりがっちりとできなければ、とてもじゃないけれども都制行き詰まりは打開できないと考えるのですが、そうした点についての大臣何かお考えございませんか。
  8. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 言うまでもなく、そういった考え方は私も持っておるわけでございます。しかし、先ほど申しましたように、私がここで簡単に結論めいたものを申し上げることは、たくさんなそれぞれ学識経験のある方々によっていま真剣に討論されておる最中でございますので、慎みたいと思います。
  9. 占部秀男

    占部秀男君 大臣のいま置かれておる立場もわかりますから、私もそれで了承したいと思います。  次の問題としては、府県の連合法案、あれはどういうふうに結局はなる見通しでございますか。
  10. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 簡単に御質問ですが、なかなか長い経過や、いろいろ事情がからんでおるわけでございますが、一言で申し上げれば、あれは一応御破算にいたしまして、そして新しい観点から早い機会にさらに広域行政処理するために適切な方法を見つけて御提案申し上げたいと思います。
  11. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、前回に引き続いて区長公選の問題について二、三大臣にお伺いをしておきたいと思うのです。  前回委員会では、この問題については現在置かれておる特別区の自治体としての性格が、いわゆる制限自治区だと、そういうようなところから区長公選ということがなくて、区長区議会選任制になっておる、こういうようなお話行政局長からお伺いしたのですが、私は、この区の性格制限自治区というようなあり方考えて、結局は、都区一体性という問題にうらはらの問題として関連をしてくると思うのですが、そういう点については、ある程度私も制限自治区であろうと思うのでありますが、制限自治区という意味が、私の考えておるのは広域的な事務事業については、一般市が行なうような権限はなくて、これは都のほうに置かれておるかもしれぬけれども、少なくとも狭域的なその区限りで解決のつく行政が非常に都の中にも多いし、また、今度もそのために移譲するのですが、そういうような問題については、これは完全に処理できるというたてまえから、事務事業についての制限はあっても、本来団体自治住民自治の本則から言うところの自治権は、完全に区に与えるべきではないか、つまり事務事業については一般の市とは差別のあるところの性格は持つけれども、その自治体としての構成的な性格というか、そういうものについては、これはやはり同じものであって、区長公選にすべきではないか、かように考えるのですが、大臣の御意見をお伺いしたい。
  12. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 特別区を行政区と考えるか自治区と考えるかという判断の問題ですけれども、大体制限自治区ということが中途半端なことでありまして、これは一時のがれでそういう名前をつけて新しいことばを編み出したのだろうと言われましても、どうにもならぬわけでございますが、しかしながら、私どものほうで考えていま努力しておりますことは、やはりどういう形にしたら一番地域住民福祉に役立つかということでございます。先ほど申しましたように、結局区長公選が適当でないという結論調査会で出しているわけではございません。ただ、そういうことから、前段階としてまず事務の再配分をやってみて、そうしてやった上で、なおいろいろな不都合が出てくるかどうかということを非常に注目してわれわれは見ていこうとしているわけでございます。この間もこれは衆議院社会党の控え室の前を通りかかりましたところ、ちょうど陳情団が来ているから入ってくれということで、社会党でもどこでもいい、それは一般都民諸君陳情なさるなら受けましょうということで入りましたら、いまのその問題であったわけであります。事実、いまの区長選任方法をめぐりましていろいろなトラブルが起こっておることは周知の事実でありますし、こういうことは、やはり住民としても快しとしていないわけであります。そこで、陳情にお見えになった方は、何も社会党の方ばかりではありませんで、中には自民党事務局におった人も来ておられました。一様にこういう不合理な点があるから何とかしてほしいということを訴えられたわけでございます。ちょうど練馬の場合が話題にのぼったわけですが、そういった点も十分勘案いたしまして、やはり今後と申しますよりは、事務を再配分し、その経過を通じて、この問題を早く割り切りたい、こういうふうに考えております。
  13. 占部秀男

    占部秀男君 念のため局長にお伺いしたいのですが、この問題については、御案内のように、三十七年でしたか、野瀬判決東京地裁であり、さらに野瀬判決を棄却する趣旨の高裁判決があった。野瀬判決では、これは完全自治区がたてまえであるというところから現在の置かれておる地方自治法上の規定憲法違反である、こういう判決であったと思うのですが、同時に、高裁最高裁判決もそれを棄却はしておるけれども制限特別区に区長公選をさせることが望ましいのだということは、あと垂水裁判官ですか、あの補足意見の中にも明らかになっておって、この点は、結局は政府がどう考えるかという地方自治に対する立法政策上の問題じゃないかと、かように考えるのですが——まあいまのところですよ。法律上の——高裁並びに最高裁判決がそうなっているので——その点はいかがでございますか。
  14. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 御指摘のように、野瀬判決に対しまして最高裁判決が出ておるわけでございますが、最高裁判決におきましては、憲法の解釈といたしましては特別区の区長選任を、憲法上の規定からくる公選にしなきゃならぬということはないということで、これが憲法違反だという主張は退けておるわけでございますが、その上でもって、憲法に違反する違反しないの問題は別といたしまして、特別区の区長公選にしたほうがいいかどうかということは、これは立法政策の問題であるというふうに述べておられます。
  15. 占部秀男

    占部秀男君 さらに二十三区の区議会の動向ですね、これと東知事前回における選挙公約、これについて、区長公選の問題についてどうなっているか、御答弁願いたい。
  16. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 特別区議会区制特別委員会というものをつくっておいでになりますが、それの首都行政制度構想というのがございまして、そこでは現在の特別区の区長はやはり公選——住民の直接選挙によることにするという結論を出しておられます。それから東知事公約の問題でございますが、これは私ども公式にその公約を伺ったわけではございませんが、前々回の選挙のときに、区長公選公約にしておられますことは承知をいたしております。前回選挙の際には、区長公選を含めまして区の自治権強化ということを強調しておったように記憶をいたしております。
  17. 占部秀男

    占部秀男君 どうも局長は都合の悪いところは少し歯切れが悪いのですが、いつものように歯切れよくひとつやっていただきたいのですが、東知事は、選挙公約で、区長公選をこれはもうはっきり打ち出しておるのですね。しかも自民党の公認としての東さんがそれを打ち出しておる。しかも二十三区は、特別区議会調査機関だけでなくって、ほとんどの区議会というものは区長公選の決議をして公選運動に、これはもう社会党だけでなく、自足党といわず社会党といわず、区議会が一致して公選問題の運動をしておる、これが実態なんですね。そういうような現実事情をやはり率直に政府は取り上げるべきじゃないかと私は思うのです。特に今度のように事務事業移譲、相当われわれが思ったよりも大幅な移譲、その点は、われわれは非常にいいと思うのですが、大幅な移譲が行なわれようとしている以上、これはもう現実の、しかも問題は立法政策上の問題であるということになるならば、現在の政府現実の声というものを取り上げて、住民自治団体自治のその責任を明確にしていく意味で、区の住民から直接選挙によるところの代表の人が、区政の執行に当たる、こういう本格的な線を少なくとも今度の改政案には取り上げるべきであったと私は考えるのですが、この前の局長のあれでは、地方制度調査会が当面の問題点としてこれだけの答申をしたので、それを取り上げたということなんで、それはそれとして了承できるのですけれども、しかし、それだけでは私は足りない、少なくとも現在の行き詰まった都制というものを、ほんとうの意味で打開していこうとする以上は、何といっても区長公選と、そうして自治財源の確立と、やはり事務事業広域的なものと狭域的なものとの再配分と、この三つだけはやらなければ、結局は車の両輪の一つを失うような問題になっていくのじゃないか、かようにわれわれは考えるわけです。こういう点について、大臣が、いま、区長公選の問題については、やらないと言っているわけではない、この問題については検討をしていくのだ、事務事業移管した過程を見ていくのだというそのことは私はわかるのですけれども、少なくとも事務事業移管する前提としてこの問題を取り上げるべきではなかったか、かように私は考えるのですが、その点、大臣いかがでございますか。
  18. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 御指摘の点は全く同感でございます。ただ、われわれといたしましても、この問題について、自治省自治省としての考え方を出したいのですけれども、しかしながら、やはりいま地方制度調査会に諮問をしておりまして、現段階答申をいただいているわけであります。ただ簡単に言えば、東京府の渋谷市、千代田市というふうに、ぱっと割り切ってしまうのがいいのか、それとももとの東京市的な立場に立ってやったほうが、東京都民全般福祉と申しますか、都行政のためにそれがいいのか、なかなかむずかしいことであります。また東京渋谷市、港市というふうにいたすにいたしましても、他の都道府県と同じような考え方には立てません。これだけ人口が、しかもぴっちり詰まっているという日本にもほかに例のない地域でございますので、ただ慎重を期しているということだけでありまして、この問題の解決につきましては、やはり割り切ってやる時期の早いことが、私ども望ましいと考えておりますので、努力しているということを申し上げたわけであります。
  19. 占部秀男

    占部秀男君 区長公選問題については、大臣からさように御答弁がありましたから、これ以上は御質問はいたしません。ただ、大臣内閣委員会に行かれるというお話なので、重ねてもうちょっとそのことに関連して、結局は都区一体性の問題になってくると思うのです。この都区一体性ということばは、区長公選の場合にもいろいろな場合にも使われているわけなんですが、大臣は、一体都区一体性をどういうふうに考えられておるかという、非常にばく然とした質問のようですけれども、非常に問題点のある問題なんですが、私は、少なくとも都区は、やはり二十三区がそれぞれ一つの市ができ上がって、そうしてそれが連合体になって今日の都制になったのだという意味ではないわけでして、一つ東京がずっと大きくなって二十三区になった、そういうような意味で社会的な、経済的な、文化的な意味における一体性は確かに私はあると思うのですが、少なくとも、私はこの都区一体性という問題を、今後政府側として検討してもらう場合に、四つ問題点があるのではないか。それは、一つ東京都市的な構成がやはり一体であるという問題があると思うのです。都市的な構成一体であるという問題がね。したがって、第二には、事務事業にどうしても切れない問題がある。たとえば交通にしろ、水道にしろ、これはもうどうしたって二十三区にばらばらに分けるわけにはいかない問題点がある。たとえば清掃の問題なんかも私はそれの一つではないかと思うのですが、これはあと事務事業移管のときにお伺いしますが、それから第三には、各区ごと財源がアンバラで、これはやはり都区一体の原則に立って調整をしていかなければならない問題がある。それから第四は、都の職員ですね、これがいま御案内のように、十何万といるわけですが、この都の職員給与勤務条件が、これがばらばらになったのではとうてい能率のある都政というもの、したがって区政というものはできないので、職員給与勤務条件一体性という問題がある。私は、この四つの問題は、都の行政上で都区一体性という問題で基本になっている問題ではないか、かように考えるわけなのです。具体的にいろいろと申し上げたいこともあるのですが、時間の関係もありますから、少なくともそういうようなところを中心にして今後の都区あり方の問題を私は検討してもらいたい、かように、これは希望を申し上げるのですが、大臣の御見解をお伺いしたい。
  20. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 御指摘のように、そういう問題が伏在しておりますために、みんなそれぞれこれに関係しておる者は迷うわけでございます。ということは、とにかく自治という精神を貫く、しかも人口がいまの一特別区だったって地方の数都市、数十都市を加えたぐらいな人口になっております。当然これは完全自治区でなければならぬし、だから区長公選するのだと、こういう議論が非常に強く表面に出ておりますが、ただいま御指摘になりましたような広域処理しなければならない問題が、この首都圏内にはたくさんあるわけでございます。そういう問題との調整一体どうはかっていくか。完全自治区にいたしました場合には、それは自治行政ですから、まあ広域行政的にいろいろな機関をつくり、実際の方策をきめましても、なかなか完全にやることには難点があるし、逆に言って、都のほうで、その一つ行政区として、都知事の指令一下、何でもやれるという形にするのもまた、一面自治を害するおそれもある、こういうことで私ども非常に苦労をいたしているわけでありますので、いま御指摘になりましたような四つ問題点は、私ども十分頭に入れて、今度新しくこの首都圏と申しますか、本問題についての結論を出したい、かように考えております。
  21. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 速記をとめて。   〔速記中止
  22. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 速記を始めて。
  23. 占部秀男

    占部秀男君 次に、今度の法律移譲される事務事業問題点について、大ワク的な問題を二、三お伺いをしたいと思うのであります。今度の改正案の第一条には、これからの特別区の事務事業として一から二十一までの問題点が書かれているわけでありますが、この二十一の問題を通覧すると、三つに分けることができると思うのです。一つは、都から新しく区へ移管する事務事業の問題、二は、従来は実際は都で行なっておったのだが、今度の法律で新しく事実上、法律的にも区の処理になる問題、それからもう一つは、新しくここへ区の仕事として入った問題があるわけです。それは十一号の「産業振興助成に関する事務を行なうこと。」、二十の「競馬を行なうこと。」、この二つは、現行法にも区の事務事業の中にはなかったところでありますが、これはどういうわけで今度の改正案にはこういう形で入れたわけでありますか、お伺いをいたしたいと思います。
  24. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 十一号の「産業振興助成に関する事務」でございますが、これは区の公共事務といたしまして、現在でも事実上はやっておったことでございまするが、今回これを法律の上にも明確にいたしまして、区におきましてもこの種の事務を行なうことができるのだというたてまえから明らかにいたしたわけでございます。  それから競馬につきましては、これは現行法では、地方自治法の二百八十一条には書いてございませんけれども、現在でも区が競馬を行なう権能が法律上あるわけでございまするので、今回規定を整備をいたしました次第でございます。
  25. 占部秀男

    占部秀男君 次に、今度のこの事務卒業移譲を見ますと、政令事項で定める問題が相当あるわけでありますが、六の保健所の号からずっと清掃、道路あるいは環境衛生関係建築関係等、これはもっとはっきりと、ここで政令はあまり使わずに、明確に法律で内容をはっきりと規定すべきではなかったかと思うのですが、どういうわけでこんなにたくさん政令事項にゆだねられる問題があるわけでありますか、その点についてお伺いしたい。
  26. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 都と特別区の間におきましては、先ほど先生も御指摘になっておりましたように、一体的に関連をとりながら処理をしていかなければならない種類のものが非常に多いわけでございます。そこで、その事務を細部にわたりまして、都と特別区と書き分けますることは、法律技術的に申しましても非常に煩瑣になりまするので、その方法を避けまして、区に移譲される事項を書きまして、その中で、いまのような趣旨から範囲をさらに都と区との間でふるい分けをいたさなければならないようなものにつきましては、これは政令で細目を定めるようにしよう、こういう立法技術上の考慮から出ておるわけでございます。
  27. 占部秀男

    占部秀男君 第三には、この事項の中で、たとえば第一、第二、第三、あるいは第十六の道路関係とかというように、従来「主として当該特別区の住民の使用する」とか、あるいは「区域内の交通の用に供する」とかいうように、政令的な、規制的なことばが入っていたわけです。今度はそれは大部分というよりは全部取られたわけですね。これは一体どういうことを意味しておるのか。つまり、これこれの事務事業については一般市と同じであると、こういう権限、権能の程度を明確にするために、かような方向をとったのかどうか、そういう点についてお伺いいたします。
  28. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 今回の事務移譲にあたりましての基本的な考え方といたしましては、なるべく一般の市に近づけるという考え方でいたしたわけでございます。ただいま御指摘になりました部分につきまして、「主として当該特別区の住民の使用する」という字句を取りましたのも、現在よりも特別区の権能を一般の市並みに近づけようという配慮がありますことは御指摘のとおりでございます。具体的に申しますと、たとえば公園につきまして「主として当該特別区の住民の使用する」ということがかぶっておりまするというと、非常に区が管理いたしますものの範囲が限局されることになるわけでございますが、「主として当該特別区の住民の使用する」ということは言い得ない、かなり他の特別区の住民も使用するようなものでございましても、かりに中規模の公園でございましても、これは特別区が管理することが十分可能なものにつきましては、なるべく特別区に管理させるようにしたほうがいいと、かような考え方で「主として」云々という字句を取ることにいたしたわけでございます。
  29. 占部秀男

    占部秀男君 今度の事務事業移管は、現在の都の機構上からいきますと、何局ぐらいの関連の幅の問題になるわけでありますか、その点をお伺いしたい。
  30. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 御質問の御趣旨が必ずしも正確に承知できませんでしたので、もしまた不十分でございましたら御質問をいただきたいと思いますが、今回の移譲されます事務関係をいたしております都の部局の範囲でございますが、民生局、衛生局、首都整備局、建設局というようなところが主として関係を持つわけでございます。
  31. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、この法律案の書かれている順序に従ってまずお伺いをしたいのですが、一、二、三の問題点については、いずれもある程度区域を越えて利用のできるような問題まで区の権能の中に入れたと、そういうような意味で市的な権能が強まってきたと、こういうように、率直に言って、とって差しつかえないわけでございますか。
  32. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) そのとおりでございまして、公園につきましては、現在都が管理をいたしておりまして、中小公園につきましても区が管理できますものは区に管理させるようにいたしたいという気持ちでございます。
  33. 占部秀男

    占部秀男君 次に、第四号の福祉問題でありますが、第一に福祉に関する福祉事務所の問題であります。この法律は、政令その他でということが、この分については書いてないので、したがって福祉事務所は区が設置をするようになるし、同時に、市長権限でいろいろと福祉事務所で行なわれておる事務というものは、区長権限で行なうようになったと、かように理解してよろしいわけですか。その点をお伺いしたい。
  34. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 福祉に関する事務所につきましては、現在都立の福祉事務所でございましたものが、この結果区立の福祉事務所となりまして、その事務所で処理いたしております事務も区の事務になるわけでございます。もちろん現在機関委任事務として都の処理しておりますものが——これは性格はやはり機関委任事務としての性格を持つわけでございます。
  35. 占部秀男

    占部秀男君 次に、福祉事業法によると、十三条の事務所の設置を具体的にどういうような方向でやるかということですが、一部には新しいものをつくらないんだというような話もあるんですが、いずれにしても、福祉地区は設けなくちゃならぬと思うが、福祉地区ごとに福祉事務所というものはつくらなければならぬと思うので、どういうように具体的にその福祉事務所を設置されるようになりますか、お伺いしたいと思います。
  36. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは都が管理をいたしておりましたものが区に移管になりましても、それによって福祉事務所の数をふやすとかふやさぬとかいうことは、別個の問題と考えております。
  37. 占部秀男

    占部秀男君 そうなると、福祉事業法十三条の福祉地区を設けるということは、これは現行のままでやるんだというふうに解釈していいわけですか。
  38. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) それはこの法律の運用にあたりましての都の方針の問題になろうと思うのでございまして、私ども、ただいまのところ都のほうから聞いております段階では、さしあたり現在都でいたしております福祉事務所をそのまま区立の福祉事務所に移譲をする、こういうような方針のように伺っております。
  39. 占部秀男

    占部秀男君 次に、事務所の所長は、これは区長の指揮監督下に完全に置かれるわけですか。
  40. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) それはそのとおりでございます。
  41. 占部秀男

    占部秀男君 たしか福祉事務所の所員の定数は、社会福祉事業法できめられておったと思うのですが、現在、社会福祉関係する職員も都の職員で、その都の職員を配置するわけで、この配置された職員の数が法に定められた定数と矛盾するような場合には、これはどういうふうになりますか。その点についてお伺いしたい。
  42. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 現在、当然都の職員でございますが、福祉事務所が区に移管になりましても、福祉事務所の職員につきましては、都の職員としての身分を保有をさせていくと、そういう考え方をいたしております。それから所員の定数につきましては、条例で定めることになっておりまして、その基準が社会福祉事業法に規定をされておるわけでございまするから、現在も、この法律の基準に従って定められておると思うわけでございまするので、区に移管になりましても、そのために定数が特に変わるということは起こらないのじゃなかろうかと思います。
  43. 占部秀男

    占部秀男君 ぼくの聞くのは、現状は、かりに余裕があったとしても、あれは、たしか人口何万までは何人というふうに職員定数がきまっていたと私は思うのですが、そうでしたかな。かりにきまっていたとするならば、その都の配属職員、だから、将来、法にきまった数に満たない場合が——これは余剰の人間が出るほど配属してくれれば、それで申し分ないのですが——満たない場合が出てくると困るのでお伺いしているのです。
  44. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 御質問意味が、よくわかりかねたのでございますが、御指摘のように、所員の定数は条例で定めますけれども、その基準は法律にきめてございます。「市の設置する事務所にあっては、被保護世帯の数が二百四十以下であるときは、現業を行なう所員の数を三とし、被保護世帯数が八十を増すごとに、これに一を加えた数」というような基準が示されております。そこで、現状におきましても、その基準で都がやっておることと思いまするが、お尋ねの点は、これが区に移管になりました後に、区の人口の移動がございまして、区ごとに所員の数にアンバランスが起こる、そういうふうになった場合にどうするかという御趣旨かと思いますが、その点につきましては、私ども考えでは、都のほうから福祉事務所の定数その他につきましては基準を示しまして、その基準に従いまして区が措置を講ずるというようにいたしたい。その基準を設けるにつきましては、都区議会におきまして、必要がございますれば都区間の協議をするというような機構の運用に期待をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  45. 占部秀男

    占部秀男君 次に、同じ法の関係で、社会福祉主事の問題なんですが、御案内のように、この社会福祉主事は、一定の資格条件が法律できまっておるわけであります。しかも、それは専門職的な形で現在行なわれておるということは御案内のとおりです。ところで、今度、区へ移管になると同時に、社会福祉主事の任命及び監督の問題がどういうふうになるか、これが問題なんですが、どういうふうになりますか。
  46. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 社会福祉主事は、区に移管になりましても、引き続き都の職員として置くわけでございまするから、任命権は都にあるわけでございます。そこで、現在ございます都の配属職員の任命の方式に従って任命がなされていくというふうになるわけでございます。それから職務上の指揮監督につきましては、区立の福祉事務所になるわけでございまするから、現在都知事の行なっておりますのを区長が行なうということになるわけでございます。
  47. 占部秀男

    占部秀男君 この問題は、同時に、各事務事業移管になっておるそれぞれの法律の中にも関係がある問題になってくるのですが、たとえば、身体障害者福祉には身体障害者福祉司があり、精神薄弱者福祉司もあり、それから例の売春禁止の問題については婦人相談員もあるわけですね。さらにまた建築基準法関係あるいは防災建築街区造成事業その他の問題については、建築主事の問題点があるわけなんで、いずれも同じような形で一定の資格をやはり持たなければならないようにそれぞれの法律規定されておるわけです。これの扱いは、全部ただいま言ったような社会福祉主事と、任命及び監督その他同じ扱いになると、かように考えていいのでありますか。
  48. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) そのほかの職員につきましても、原則的には都の職員の身分を持つわけでございまするから、任命権は都知事にあるわけでございます。個々の特別な何か他の法令に規定がございますれば、その規定関係につきましては、よく検討をしてみたいと思います。
  49. 占部秀男

    占部秀男君 いまの社会福祉主事の問題点について、これは一つ代表ですから、この一つの問題が解決すれば、あとの問題はおのずから解決がつくのでお聞きをしておるのですが、先ほど私が言いましたように、この職は、あとの身体障害者福祉司その他も全部そうなんですが、法律上の資格と職名を有しておって、専門的にその問題にぶつかっていて、いわば専門家として一つのプライドを持ってこの職員は仕事をしておるわけです。これが区のほうへ移管されて、他の事務事業のほうへ配置転換になる。何の理由もなくそういうような形になってしまうというようなことになると、これは相当大ごとの問題になってくると思うのです。これは人事運営の面ですが、そういう点についてはどうなんですか。従来の専門的な、しかも法律で職名がきめられているものについては、区長としても、それをどうこうというように、すぐにはできないような形の何らかの措置というものが——あるいは都区議会でやることかわかりませんが——とられなければならないと思うのですが、そういう点はいかがでございますか。
  50. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 再開の資格を持ちました専門の職員につきまして、一般職員にかってに区長が職場がえするというようなことが行なわれるようになっては困るという御趣旨かと思います。その御趣旨につきましては私どもも同感でございます。今回都から区に事務移譲になりましても、そのことのために、従来と違いまして、そういう専門の資格を持った職員の扱い方が異なってくるということは、私どもは毛頭予想をいたしていないわけでございます。いずれにいたしましても、これは運用上の問題でございまするから、運用上そのような問題がございますれば、都区議会でよく協議をしていただくことに、私どもといたしましても注意をいたしてまいりたいと思います。
  51. 占部秀男

    占部秀男君 次は、民生委員の問題になりますが、これは民生委員法の三条によって市町村に設置するということになっておるわけですが、結局それと同じものが設置されるということになるわけでありますか。
  52. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) そのとおりでございます。
  53. 占部秀男

    占部秀男君 次に、民生委員についての区の費用負担関係はどういうふうになるわけでございますか。その点お伺いしたい。
  54. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) ちょっと取り調べまして、後刻お答えをさせていただきます。
  55. 占部秀男

    占部秀男君 次に、児童福祉の問題ですが、この法律案によると、児童福祉法の関係の中で、特に「児童福祉施設」というふうに「施設」ということばが書かれておって、そのあとに「公益質屋」その他ずっと並んで「その他社会福祉に関する事務を行なうこと。」、こういうことになっておるわけです。そこで、今回移譲されるのは、児童福祉法にある児童福祉施設以外のその他の事項についてはどういうふうになるわけでありますか。その点をお伺いしたいと思います。
  56. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 「児童福祉施設」と書いてございますのは、御指摘のように、児童福祉法でいうておるものでございます。「その他社会福祉に関する事務」と申しますのは、法律で明確に書いてございませんものでございましても、事実上、地方公共団体が行なっておるものでございまして、たとえて申しますと、生業資金の貸し付けとかミシンの貸し付けというような事務もその例に考えておるわけでございます。
  57. 占部秀男

    占部秀男君 そうすると、たとえば母子寮であるとかあるいは保育所その他の施設へ法によって収容さしたり入所措置を行なったりする問題があるわけですが、そういうような問題も関連して区長権限になる、かように考えていいわけですか。
  58. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) ここでは、施設の設置管理は区の事務として区長権限ということを明らかにいたしたわけでございますが、この児童福祉施設に収容する児童福祉の処分等の問題でございますが、これは機関委任事務になっておりまするので、その点は、区の事務とは別個に、現在都知事の持っております権限をどの程度区長に委任をするかという問題になるわけでございます。この点につきましては、考え方といたしましては、施設の設置管理が区に移譲になるわけでございまするから、機関委任事務としてのいろいろな仕事も可能なものは区長に委任するようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  59. 占部秀男

    占部秀男君 これはほかのたとえば保健所なり環境衛生なりその他の問題については政令事項、「政令で定めるものを行なう」とか、「政令で定めるものを除く」とかいうふうにしてあるわけですね。この児童福祉については、政令云々ということがないわけなんで、したがって、私はこの「児童福祉施設」と書いたことば、それと、最後に「その他社会福祉に関する事務」と、この中に児童福祉施設以外の児童福祉法に定められたいろいろな市長が行なう救助、援護その他の仕事があるので、それは入っているのじゃないかというふうに考えたのですが、そうではないのですか。
  60. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) ここに例挙してございまするのは、区の団体事務でございます。そこで、施設に収容いたしますための児童に対する行為処分につきましては、これは法律によりますと機関委任事務ということになっておりまするので、ここの例挙されておりまするところには含まれないわけでございまして、別に都知事の権限区長に委任して行なわせることができるというところがございまするから、その委任の問題として考えていこうと、こういうことでございます。
  61. 占部秀男

    占部秀男君 二十一号にひっかけての問題になるわけなんですか。
  62. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 二十一号はやはりこれは団体の事務でございます。
  63. 占部秀男

    占部秀男君 団体のやつですね、はいわかりました。  そこで、この児童福祉施設は、具体的には、都の児童福祉施設は全部区へ移管されると、こういうことに具体的な扱いとしてはなるわけでありますか。その点いかがでございますか。多少残るものも出るのですか。その点いかがですか。
  64. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) この第一号、第二号、第三号、第四号に規定してございまするのは、これはまあ公共事務としての性格を持つ事務でございます。したがいまして、公共事務でございまするから、都もまたこれらについて権限があると、こういうことでございます。ただ、まあ今回ここに区の公共事務といたしまして列挙をいたしましたので、これらの事務につきましても特別区で管理することの可能なものはなるべく特別区に管理させるようにさせたいという考え方は持っておりまするが、規模の大きいもの等につきましては、都がすべての公共事務として行なうということは指定をいたしておるわけではございません。したがいまして、児童福祉施設につきましても、大きいものにつきましては都立のままに残すというものもあるわけでございます。
  65. 占部秀男

    占部秀男君 そうすると、どれを残しどれを区へ移管するかということは、今後どこできめることになりますか。
  66. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) この法律が成立いたしましたならば、施行まで準備期間がございまするので、その間、都の当局におきまして立案検討をしていただく、私どもももちろん必要な助言をしてまいりたいと、かように考えております。
  67. 占部秀男

    占部秀男君 次に、第六の保健所についてお伺いをしたいのですが、これについては、「保健所及び優生保護相談所の施設の管理に関する事務政令で定めるものを行なうこと。」と、こういうことになっておるわけです。そうなると、この「施設の管理に関する事務で」という意味は、どういう意味になりますか。この保健所及び優生保護相談所の物的な建物及びそれに付属したものの維持管理、こういうことに限定されるわけですか。その点はいかがですか。
  68. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) この「施設の管理に関する事務」ということば意味は、ここで申しておりますのは、物的施設の管理を主として考えております。物的施設の管理の中で、どれだけのものを区にやらせるかということにつきましては、政令でさらに範囲を明確にいたしたい、かように考えております。
  69. 占部秀男

    占部秀男君 そうなると、保健所法に規定されたいろいろな運営あるいはまた仕事、こういうものの権限、さらには保健所を将来もし設置をさらにしなければならない、こういうような場合があった場合には、そうした一般的な管理権というか設置権というか、そういうものは依然として都に保留してあるのだと、かように解釈していいのでありますか。
  70. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) そのとおりでございます。
  71. 占部秀男

    占部秀男君 これはもう私が申すまでもなく、保健所の仕事というものは、これは社会福祉事務所の仕事と並んで、何というか、都民の、あるいは区民の健康維持の問題を中心に、非常に重大な問題なんですね。これを事務移譲のときに、建物の管理を主にした、物的な施設の管理を主にした移譲だけにしてしまって、内容的なものは都に置くというのは、これは少しどうもやり方がおかしいのではないかと私は思うのですが、むしろ、施設の管理はもちろんでありますけれども、保健所を区に移管して不都合だということは、これはあり得ないので、保健所を福祉事務所のように内容も含めて移管すべきではなかったかと思うのですが、そういう点はどういう考えでこういう扱い方をとったのか、御答弁を願いたい。
  72. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 保健所につきましては、お説のとおりに私ども自治省といたしましては考えておりまして、ぜひ今回の移譲におきましては施設の管理だけではございませんで、保健所全体として区に移管をいたしたい、かような方針を持っておったわけでございます。しかしながら、政府部内におきまして折衝の過程におきまして、私どものその考え方を貫くことができませんで、いわば、率直に申しますと、一つの妥協の結果といたしましてかような御提案をいたすことになった次第でございます。
  73. 占部秀男

    占部秀男君 法律をつくる過程で、政府部内でのいろいろな問題点はあると思うのですが、私は妥協にしてはあまりにひど過ぎる妥協ではないか。もし保健所の建物の管理だけを中心にするならば、そんなことは移譲しなくてもいいことであって、内容を含めての移譲のときにあらためてやればいいと思うので、しかも施設の管理の中には「政令で定めるものを行なう」ということで、物的な施設の管理だけ、しかも、その中で政令で除くものもあるのだというのでは、ますます内容が狭くなっていくのではないかと私は思うのですが、一体政令で定めるものを行なうこと。」という政令の内容はどういうことを考えておられますか、お伺いしたい。
  74. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは現在まだ政令案の内容は固まっておりませんけれども、私どもといたしましては、物的施設の管理は、原則といたしましては区に移譲をいたしたい。しかし、こまかい具体的な細目になりますと、たとえば新築はどちらがやるのか、あるいは修繕はどちらがやるのかというように、いろいろはっきりさせなければならぬ点がございまするので、そういう点をなるべく都区間で疑義の起こりませんように明確にいたしたいということで、原則的には、保健所の敷地、建物の維持管理は区に移譲するという方向考えておるわけでございます。
  75. 占部秀男

    占部秀男君 そうすると、念のためにお伺いいたしますが、保健所及び優生保護相談所の法による設置者というものは、これは区長でなくて都知事であると、かように理解していいわけでありますか。
  76. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) お説のとおりであります。
  77. 占部秀男

    占部秀男君 次に、第七の項なんですが、「診療所及び公衆浴場を設置し、及び管理し、」、これは現行法にもたしかあったと思うのです。ところが、そこに「その他保健衛生に関する事務を行なう」ということばが新しく入っておるわけです。これはたしか新しく入ったと思うのですが、新しく入ったことばでなければ、これはまあけっこうでありますが、もし新しく入ったことばであるとするならば、この「その他保健衛生に関する事務」というのは、一体何をさすのか、この点を明確にしていただきたい。
  78. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これも先ほどの「その他社会福祉に関する事務」というのと同様の趣旨で入れたわけでございまして、公共事務といたしまして法律に特段の規定のないものにつきましても、区が保健衛生に関する仕事をやり得るというたてまえを明確にいたしたわけでございまして、たとえば衛生思想の普及向上に関する事務というようなものが考えられるわけでございます。
  79. 占部秀男

    占部秀男君 次に、十五の「清掃に関する事務を行なうこと。ただし、政令で定めるものを除く。」この問題について一点だけお伺いしておきたいのですが、これは衆議院で三党の修正が行なわれた、と同時に、附則その他の問題点があったわけですが、私はこの際、この清掃に関する事務の内容の問題について念のため明らかにしておきたいと思うのですが、この法律案が通った後に、したがって、清掃法第七条に定める多量の汚物を生ずるものに対しての当該汚物の処理の命令をするところは、これは都の事務であっていいわけでありますな。
  80. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) それはそのとおりでございます。
  81. 占部秀男

    占部秀男君 次に、同じ清掃法十五条に定めてありますこの汚物関係の業者に対する許可の権限でありますが、これはやはり都の権限であるとわれわれは考えておるのですが、その点はいかがなものですか。
  82. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) この点は衆議院で御修正になられました表現が「汚物の収集及び運搬に関する事務」ということでございまするので、ただいまおあげになりましたものが「汚物の収集及び運搬に関する事務」の中に入るかあるいは入らないかという解釈の問題になろうかと思うのでございます。この点につきましては、この条項が施行になりますまでの間に、なおよく検討をさしていただきたいと思います。
  83. 占部秀男

    占部秀男君 時間の関係がありますから、私はしつこく質問はいたしませんが、問題は、一方では清掃法の改正の問題が、国会の中で当委員会でも問題になりましたが、もちろん社労のほうの問題になって、しかもそれに対する市町村が直営でやるべきであるという意向が強くいま院内で論議されておる最中であります。そこで、こういう問題について、やはり現在の業者というものをすぐそのまま認めないとか認めるとかという問題ではなくて、やはり清掃事業そのものの近代化、あるいはいま都内一帯の問題になってきているやや広域的な事業になってきておる、こういうような情勢、あるいはまた事実、こういうものを率直に事実として認めて、その上に立ってこういう問題はひとつ決着をつけてもらいたい。つまり部分的な、何だか業者関係をやるために、いろいろと問題点が、この委員会で言えないような、金に関した、あるいはその他いろいろに関係した問題点が出てきておるわけです。こういう点は、やはり都なら都が許可権というものを持って、そういうことのないようにまずしていく、そして直営の、つまりすべて直営の方向にいまいこうとしておるのですから、その前向きの姿でいけるように、自治省としてはこの業者問題についての許可の権限の問題を扱ってもらいたい、かように私は考えるのですが、そういう点は、局長はいかがでございますか。
  84. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 業者の許可の問題につきましては、御指摘になりましたようなふうに私ども考えるべきものだというふうに思っておりました。したがって、政府原案におきまして政令で定めるものを都に残すという場合にも、業者の許可は、やはり都に残すのが適当であろうという考え方をいたしておりました。ただ修正されました条文に即して読みました場合に、先ほど申しましたように、解釈上若干検討する余地も多少あるようなふうに思いましたので、先ほど答弁をいたしたわけでございますが、実態といたしましては、お話のようにするのが適当ではなかろうかと考えております。
  85. 占部秀男

    占部秀男君 最後に、この問題について、この清掃法の二十条には、御案内のように、汚物の収集や処分についての手数料、手数料といいますか、まあ料金的なものを、条例をつくって取ることができるようになっておるわけですが、たとえば東京都のような場合に、二十三区がばらばらの手数料ですな、あるいは料金、こういうことになってしまったのでは、これはもうどうにもならないのであって、これはやはり手数料のようなものを、まあ取らないのが一番いいのです。われわれは取らないほうへひとつ向かっていかなくちゃならぬと思うのですが、かりに取る場合でも、単に区条例だけにまかせるというような問題がかりにあったとしたら、これはたいへんなことになると思うのですが、いかがですかその問題点について、これはむしろ都のほうでやはり基準なら基準を定めてというように、あるいは都の条例でこれは規定するのだ、こういうことになるべきではないかと思うのですが、いかがですか。
  86. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) その点は先生のおっしゃいますことに全く同感でございます。
  87. 占部秀男

    占部秀男君 次に、この移管事務事業の内容についてはまだあるのですが、その前に、もう一点念のためお伺いをしておきたい点をお願いしたいと思うのですが、それは今度の衆議院の修正によって、昨年新設された地方自治法の二百四条の給料手当及び旅費、この規定の中に、今回また農業改良普及手当を、漁業手当でしたか、そういうように改正をするということがきまったわけです。この三党の修正の問題でありますから、われわれはまあこれはいけないと、こういうようなことは言うわけではないのでありますが、どうもこの二百四条の中に、こうした業種別の手当問題を入れること自体が私は少しおかしいのじゃないか、というのは、二百四条は御案内のように、給料諸手当旅費等の、各職員一般した、たとえば超過勤務の問題であるとか、その他寒冷地手当とかというように、職員に共通した諸手当の問題を言っているわけなんですね。その中へ突如として昨年は農業改良普及手当なるものが出てきたわけですが、さらに今度またこれが入る、こういうことになると、非常に知事や市長、地方公共団体の首長が、他の職員との振り合い上困ってくる問題がだんだんふえてくるのじゃなかろうかというふうに考えるわけですが、こういう点について局長はどういうぐあいにお考えになりますか。
  88. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 二百四条の第二項に列挙されております手当は、お説のとおりにきわめて一般的な、全職員を対象にした手当と、ごく特殊な職務に従事しております者を対象にいたしました手当と、両方あるわけでございます。しかしながら法律規定のいたし方といたしましては、二百四条の二に「地方公共団体は、いかなる給与その他の給付も法律又はこれに基く条例に基かずには、支給することができない。」という制限規定がございまするので、やはり支給の許されております手当の種類は、地方自治法に明確に書いておくということが立法の態度としては適当であるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、今回、昨年入れられました農業改良普及手当を、さらに林業、漁業、産業等の同種の、同様の職務内容を有する職員に拡張をして支給をするということになりましたので、農林漁業改良普及手当という名称に御修正になられたわけでございます。私どもとしては、そのような特殊な職務内容を有する職員に支給される手当でございましても、二百四条の第二項に規定をしておくということが、先刻申しましたように立法の態度としては適当であるというふうに考えておるわけでございます。
  89. 占部秀男

    占部秀男君 なぜこういうことを言うかというと、農業改良普及手当なり、また今度拡大した林業なり漁業なり、私は拡大することは、その職員に与えられておる仕事の実際からして、必要のあるものはやはり拡大すべきだと思っておるのですが、補助職員に対する手当、これが拡大されているだけであって、その他の職員についての問題点ではないわけです。そういう意味で、その他の一般職員の中にもこれ以上の、あるいはこれに等しいような職務内容、諸手当をつけていかなければならない内容のものがまだまだたくさんあるわけです、具体的に言えばですよ。そういうものをつけずに、補助職員にのみ、ある小部分にのみ限定をして、しかも職種別的な手当をつけるということは、これは何といっても知事なり首長はやりにくいことは当然なんであって、したがって、むしろこの際、それならば業種手当というようなものをつくって、そういうような農業改良普及員に対する手当であるとか、あるいはまた、たとえばこれ以外にも中小企業の指導員などで、各現地を歩いて苦労している人たちもおるし、また保健所には保健婦が、特にまた保健婦の中でも山間の無医村等へ行って苦労しておる保健婦等もある。そういう人たちに、やはりそういう手当がつけられるような法律制度につくり上げていくことのほうが正しいのじゃないか、かように私は考えるわけですが、結論的に言って、業種手当というようなものを創設して、こうしたものをその中に含めるというお考えはございませんか。
  90. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 私も特別な事業の事務に従事しておりますものを対象といたしました手当が次々にできてまいりますことは、給与制度の上からいたしますと、あまり望ましいことではない、かように考えるものでございます。そのように職務の内容に特殊性のありますものは、特殊勤務手当という制度があるわけでございまするから、それに該当するものはそれでいく、それ以外のものは特別なものはなるべくつくらないということがむしろいいのじゃないか。ただ、現在の特殊勤務手当につきましては、不快、困難、危険というような内容が一つの基準になっておりまするので、そういうことに該当いたしませんもので、しかし、ある程度特殊性があり、特別な給与考えなければいかぬというものにつきまして、このような手当が設けられたものと思うのでございまするが、私は、それをさらに拡充して、業種手当というようなものに拡張したらというような御意見よりは、むしろあるべき姿としては、なるべくそういうものはつくらないようにしていくことのほうが望ましいのではないかというふうに考えるわけでございまして、確かに長が運用いたしてまいります上には、それと均衡上、他にも考慮しなければならぬというものが出てきて困るということはありましょうが、これは切りがないわけでございまして、どこで線を引いたらいいかということは、なかなかむずかしい問題でございますから、むしろそういう点につきましては、あまりふやさないほうがいいのではないか、こういう感じがするわけでございまするが、なお、その点は今後の問題といたしまして、よく検討してまいりたいと思います。
  91. 占部秀男

    占部秀男君 私も、本筋からいけば特殊勤務手当があるのであるから、そういう中で、ある程度は処理できる問題点だと思うのです。それが出てきたのには出てきた理由があるわけですから、したがってわれわれは、これは三党修正で出てきているのですから、一応認めるのですが、その認めるについては、どうせ認めるならば、これは業種手当のような形で。……一部分的なものだけで、何らかプッシュしたものだけで、だんだんこれはふえてきますよ、いまの情勢では。これは局長が幾らいやだとかおうだとか言っても、局長の力の外でこれが行なわれることなんだから、どうしてもふえてくる。どうせふえるなら、業種手当というようなもので内容を統一していって、そうして地方団体の首長もある程度まで自分が手心を加えられて、そのことによって職員行政運営が円滑にはかられる、そういうものに発展的に持っていくのが、これは局長立場ではないかというように考えるのですが、まあきょうはいいです。きょうはいいとして、そこで、その問題については一つだけ関連してお伺いしたいのは、ところが同じ農業関係についても、たとえば病害虫発生予察員などはこれの適用を受けないのです。これはどうもおかしいと思うのですが、この前は農業改良普及員手当であったからこれはやむを得ないと思のです、今度は農業・林業・漁業職員手当ですか何かになっているわけなんで、病害虫発生予察員は、これは明らかに農業関係の、ほとんどこれは農業改良普及員と同じように、苦楽をともにして地方では一生懸命やっている人なんですが、これはどういうわけでこの手当の該当者から抜いたのかどうか、お伺いしたい。
  92. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 今回、農林漁業改良普及手当の中に包含されるように承っておりますものは、林業関係におきましては林業専門技術員、林業改良指導員、水産業関係におきましては専門技術員、沿岸漁業改良普及員、蚕業関係におきましては蚕業技術指導職員、開拓営農関係におきましては開拓営農指導員ということでございまして、いずれも現在ございます農業改良普及員とその職務の内容が同様のものだけを拾い上げているわけでございます。なお、今回衆議院で御修正になられました御趣旨は、それらのものにつきましては、すでに三十九年度予算におきまして所要経費が計上されておりますので、予算が通りましたが支給ができないということでは困る、こういう御趣旨で地方自治法の修正をなされたわけでございます。したがいまして、病害虫害発生予察員につきましては、そういう事情から除かれたわけでございまして、この点につきましては、一体職務の内容その他からいたしまして、同様に扱うべきものかどうかにつきましては、私どもまだ検討をいたしておりませんので、御答弁いたしかねる次第でございます。
  93. 占部秀男

    占部秀男君 そうすると、この問題は検討していただいて、今国会中に何らかの御答弁をいただけるようになりますか。
  94. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 今回の農林漁業改良普及手当の対象となりますのは、先ほど列挙いたしましたものでございますので、おそらく病害虫発生予察員というものは、先ほど申しましたものに該当いたしていないと思いますし、したがいまして、予算措置も講ぜられていないと思いますので、これは支給の対象にするということは、現在の段階におきましてはできないと思います。
  95. 占部秀男

    占部秀男君 現在の段階においてはこれはできないとしても、内容を検討した結果、これは当然農業改良普及員その他と一諸に扱うべき問題であるということになった場合には、そういうように主眼を今後に置いて……。今国会では、私はこれでいいと思うのですが、その後において検討してもらえますか。
  96. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 先ほど来おあげになって、お述べになっておられますように、なお職務の内容の実態がこれに類似するものがいろいろあろうかと思うのでございますが、それらの点につきましては、今後の問題といたしまして検討をしてまいりたいと思います。
  97. 占部秀男

    占部秀男君 それじゃまだあれですけれども、一応きょうは打ち切ります。
  98. 鈴木壽

    鈴木壽君 ちょっと資料のことで……。いただいた参考資料のおしまいのほう、五十ページ、五十一ページに財源関係、税関係の調べが出ておりますが、この三十九年度予算から拾って、こういうふうなものをつくってもらえませんか、その一点。  それから各区ごとの現在のものと、いま申し上げた三十九年度予算から拾った移譲後どうなるかという一応の推定と申しますか、見通しですね、こういうものができたらほしいのですが、いかがでございますか。
  99. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) お尋ねの御要求の資料の中で、最初の分でございますが、これはただいま都におきまして作業をいたしておる最中だそうでございますので、さっそく都に連絡をいたしたいと思いますが、二、三週間くらいはかかるように聞いております。  それから区ごとの後段の御要求のものでございますが、これは財政調整関係がございまするので、早急にはできかねるような事情があるようでございます。
  100. 鈴木壽

    鈴木壽君 その後段のものはともかく、そんなに前の三十九年度当初予算のほうは二、三週間もかかるというのですかね。われわれ今度の改正によって、特別区に事務移譲が相当大幅に行なわれる、こういうことを審議する際に、そういうことによって事務をやっていくための必要な金の問題が一体どうなるのか、できるだけひとつ的確というほどには、あるいはむずかしいかもしれませんけれども、できるだけ握って、見ておきたいと思うのであります。いただいたさっき申し上げました資料は、三十八年度当初予算によって、それから拾い上げてきたもののようでございますから、できれば三十九年度の予算の中からこういうふうな形のものをつくってもらえれば都合がいいと思うのですが、まあしかし、これは都のほうでもいま作業中であると、こういうのであって、しかもできるまでには二、三週間も必要だと、こういうことであればやむを得ませんが、ひとつできるだけ御連絡していただいて、急いでいただくようにお願いをしたいと思うのですが、どうでございますか。
  101. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) できるだけ御趣旨に沿いますように努力いたします。
  102. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 本案についての本日の審査は、この程度にいたしたいと存じます。   —————————————
  103. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 次に、地方行政連絡会議法案を議題といたします。御質疑のある方は順次御発言願います。
  104. 辻武寿

    ○辻武寿君 私は、地方行政連絡会議法案について若干の質問をしたいと思うのですが、まず第一に、提案理由の説明にありますが、「都道府県の区域を越えて広域的に処理すべき問題が次第に増加」してきたのがたくさんあるというその「広域的に処理すべき問題」が、具体的にはどんなことをさしているわけですか。
  105. 山本弘

    政府委員(山本弘君) 数県にわたる地方の開発計画の広域行政計画のほか、府県を越えて広域的な見地から計画され、あるいは実施されなければならない行政、たとえば地域総合開発計画の実施、以上の諸問題をはじめ、水資源の開発利用あるいは道路交通体系の整備、防災対策、観光ルートの開発、汚水、煤煙等の公害対策、あるいは広域的な農・水産業の振興対策、広域職業紹介等雇用対策、住宅環境衛生施設等の建設等々、計画実施上の諸問題について、この連絡会議の場において協議をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  106. 辻武寿

    ○辻武寿君 こういうことについて、現在までもいろいろ連絡協議というものは当然持たれてきたと思うのです。東北なら東北で、また共通な問題があるのですから……。そういった連絡協議会というものはどの程度見られているのですか。
  107. 山本弘

    政府委員(山本弘君) ただいま東北開発促進法その他の開発促進法に基づく計画作成の場合の問題についてお話がございましたが、開発促進法によりますところの計画の策定は、これはいわゆる国がつくるのでございまして、それに、それぞれ審議会が付置されておりますが、審議会構成メンバーには衆・参議院の先生方はじめ、学識経験者、それに地方公共団体の代表者の方も入っておられますが、計画の策定は、それぞれの区域の基本的の事項についての策定をいたすわけでございますが、これは実施の場合におきましては、それぞれ実施の権限のあるところの行政主体が行なうことになっておりまして、この地方行政連絡会議におきましては、地方団体を中心といたしまして、こういった先ほど申しましたような問題につきまして連絡協調をはかるということでございます。したがいまして、各促進法に基づく計画が作成された場合におきましても、これが実施上の問題その他を、この連絡会議の場において円滑なる運営をなしていくということが依然必要である、かように考えておるのでございます。
  108. 辻武寿

    ○辻武寿君 そうしますと、例をあげて、東北六県、七県ですかは、いままでこの連絡をとっていろいろなことを相談をしてやってきているはずですが、新しくここにこういう法案をつくらなければならないという、いままでと違った点はどういうことなんですか。
  109. 山本弘

    政府委員(山本弘君) ただいまも申しましたように、これはただいまの東北開発促進法によって申しますと、これは基本的事項を国の計画としてきめるわけでございます。それについて地方公共団体が審議会に参加をしておるのでございますが、この連絡会議におきましては、単なる計画策定の場合もそうでございますが、実施上の問題につきましては、各具体の問題を地方団体が中心に連絡協調しながら円滑なる運営をはかっていく、こういうところに主眼があるのでございます。申すならば、計画ができましても、現在の制度におきましては、それぞれの機関が、いわゆる縦割り行政のまま行なうのが現在の法制度のもとにおいてはやむを得ないのでございますが、これを地方において地方団体を中心調整をとりながら、地方公共団体と国の出先機関が話し合いをしながら円滑にやっていく、こういうところに意味がある。かように存じておるのであります。
  110. 辻武寿

    ○辻武寿君 私この間宮城県へ行っていろいろ聞いてみたのですが、あまり密接な連絡会議というものはやっていないみたいな印象を受けたのです。いままではそういう会議を開いても集まりが悪い。あまり集まってこない。連絡ができない。また必要を認めてないのかもしれませんが、そこで、こういう法律でもって規制したならば、いままでよりもっとみんな集まってくるだろうし、連絡もとれるだろう、そういうような意図からこの法案が出されたのとは違うのですか。
  111. 山本弘

    政府委員(山本弘君) 現在、地方におきましても、たとえば東北におきましては東北地方のブロックの知事会議が事実上任意に置かれておりまして、知事さん方が集まって任意にいろいろな問題をお話をなさっておるという場があるのでございますが、この地方行政連絡会議は、知事さんのみならず、国の地方出先機関もこの協議に参加をしてもらう、それを法制化しようとするのでございます。したがいまして、これは法律ができたからどうだこうだということ、必ずしも絶対的なものではございませんが、少なくとも現在のような任意的な団体におきましては、やはりその活動というものはどうしても低調になりやすいのでございますが、法律制度化して、広域行政をいまの協議方式による展開の仕組みを法制化する場合におきましては、さらに知事さん同士の、地方公共団体間の連絡協調も密接に行なわれ、それに加えまして地方出先機関、これも言うならば義務的にこれに参加するということにもなるわけでございまして、大きな効果を期待し得るものである。かように考えておる次第でございます。
  112. 辻武寿

    ○辻武寿君 それで各県の知事やその他の人々が集まって連絡会議をやるわけですが、これではそれをきめる決定権がない。つまり拒否権はあるということですね。埼玉県なら埼玉県の知事がそれはいやだと、そういう場合には、各県の利害が共通している問題は問題がないけれども、相反する場合も相当ある。まとまらないというような場合が非常に多くなってくるんじゃないか。そうすると、この会議を置いた意味が、何のためにこういう法案をつくって会議を持つかということが意味がなくなるような心配がある。それとも、やはりこれをつくったほうが能率が増進するのだ、いいんだという何か確信がありますか。
  113. 山本弘

    政府委員(山本弘君) 御指摘のように利害が相反する場合におきましては、なかなか協議がまとまらない、そういうことは確かにあろうかと思うのでありますが、この連絡会議におきましては、直ちに結論を出していくということも、これはむろん大事でございますが、これを直接に目的とするのではなしに、そういった利害相反する問題をこの連絡協議会の場において話し合いをしていく、そうして協議の積み重ねによって共通の方向を見出していくというところに大きな意味があるんじゃなかろうかと思います。なお、むろん協議のととのいました場合におきましては、それぞれ会議構成員は協議の結果を尊重しなければなりませんが、意見がなかなか分かれてまとまらないという場合におきましては、それぞれ関係大臣に対する意見の申し出という制度を第七条に書いておりますし、さらに第九条におきましては、会議の結果を報告するということを規定しておるのでございまして、こういった意見の申し出とか、あるいは報告を通じまして、中央の各機関におきましても、問題の所在を明らかにすることによって、解決方向に徐々に持っていけるということでございます。すなわち、いわゆる協議による積み重ね方式、これがこの会議のねらいなのでございます。
  114. 辻武寿

    ○辻武寿君 そういたしますと、いろいろ話し合いをしてお互いの気持ちを知り合う親睦ですね、そういうことがどうも本法の目的になるような気がいたしますが、それはそれとして、昨年十月の、地方制度調査会が都道府県を越える広域行政について、こういう会議を設けるような答申をした、その答申とこれは同じものですか。
  115. 山本弘

    政府委員(山本弘君) その趣旨に沿いまして立案いたしたものでございます。
  116. 辻武寿

    ○辻武寿君 私は、現在の都道府県制というものは、明治以来そのまま変えられないで踏襲されてきている、ところが一方、政治にしても経済にしても社会文化にしても、もう隔世の感があるわけです。発達しておるわけですから、いままでどおりの都道府県制というものは、ほんとうに実情に即さない、ですから広域行政にするのは当然だと、こういうふうに思うわけですが、やり方ですね、九ブロックにしたわけですが、むしろ府県統合を、たとえば三重とか愛知、岐阜、あるいは大阪府、奈良、和歌山というような、こういう程度の府県統合ならば、非常に適当なような気がするのですが、関東のようなこんなたくさんの——関東といえば関八州で一つのブロックですけれども、実際問題としては非常にまとまらない場合が多いんじやないか、また利害相反する場合が多いんじゃないか、そうすると、会議を設けた意味が薄くなってくるんじゃないかという心配があるわけですが、いまアメリカあたりには州——道州制というものかありますが、これではむしろ広過ぎると私は思うが、こういうことでだんだん道州制に持っていこういうような考えがあるのですか、ないのですか。
  117. 松島五郎

    政府委員(松島五郎君) 広域行政を推進いたしますためには、府県合併のほうが適当ではないかという第一の御質問でございますが、府県合併、府県連合というような、広域行政に対処するためにいかなる方式がいいか、いろいろ議論の存するところでございます。しかしながら、今日の府県制度を見ました場合には、確かに御指摘のとおり明治以来、時代の進展に合わなくなった面もあろうかと思いますが、府県合併あるいは府県連合というような問題を考えます場合に、現在その可能性のある地域ということをまず考えますと同時に、その可能性のない地域というものも同時に考えていかなければならない面があろうかと思います。合併も連合も、いずれもできないというような地方府県も、少なくとも現段階においてはあり得るわけでございまして、そういったものについてどうすべきかということになりますと、これはできるところは合併する、できるところは連合するというような問題としてでなく、やはり将来の府県制度をどちらの方向に持っていくかという基本問題として考えなければならない面が多かろうということでございますので、自治省といたしましても、いろいろな場合を考えまして検討を今後続けてまいりたいという考えを持っております。  それからなお、こういうゆるやかな会議では利害関係の対立したものの解決ができないのではないかという御指摘でございますが、これも現在のままでは御指摘のようにいろいろ問題があって解決がしにくい面もあろうかと思います。しかしながら、府県間に及んで利害関係が対立している問題を解決していく方法というものはどういう方法があるかということになりますと、府県を越えた第三者によって、権力を持って調整をするか、あるいは府県同士の間でもって話し合いを進めてお互いに互譲しながら問題を解決していくか、考えられる道はこの二つしかないわけでございます。第三者の権力によって解決するという方法は、事柄としては手っ取り早いやり方ではございますけれども、そういうやり方を続けていったのでは、地方自治というものはやがて消えてなくなってしまう。やはり困難ではありましょうとも、相互の互譲によって問題を解決していくという方向をとるべきではないか。そういうことから、これは強制力もありませんし、なかなか話し合いがつきにくい面もあろうかと思いますけれども、先ほど山本参事官からもお答え申し上げましたように、協議の積み重ねによって問題の解決をはかっていくという方向をとっておるわけでございます。  それから道州制の問題、やがて道州制を実施しようとするのではないかという御指摘でございますけれども、道州制というものをどういうふうに考えるかということも、ことばは道州制という一つことばでも、考える人によっていろいろ内容が違っていまして、道州制によって例えば前の地方制度調査会答申にありましたように、首長の公選制をやめてしまう、すなわち地方自治団体としての性格を失なわせるというような形の道州制も考えられます。また、首長の公選制をとった完全な自治体としての道州制というものも考えられると思いますが、いずれにしても、道州制と申しましても、いろいろニュアンスの相違があろうかと思いますが、しかし自治省の間の考え方といたしましては、どこまでも現在の地方自治団体に主体性を持たせつつ広域行政の問題を解決していこう、こういう考え方でございますので、道州制というようなことは、ただいまのところ全然考えておりません。
  118. 辻武寿

    ○辻武寿君 いま府県連合のことについて、可能性のあるところと可能性のないところと二つあるから、できないみたいな印象を受けたのですが、市町村だって可能性のあるところと可能性のないところとあって、可能性のあるところはどんどん合併してやっておるのだから、府県連合も可能性のあるところからどんどん実現していくということは考えないのですか。
  119. 松島五郎

    政府委員(松島五郎君) 市町村の場合は、一万有余の市町村が合併によって三千有余になったわけでございます。その市町村の場合にも、大体府県において合併計画というようなものを一応想定をいたしまして、地理的条件、あるいは歴史的な条件等を考えまして、またあわせて町村の適正規模というようなことも念頭に置きながら合併が進められてきたわけでございます。もちろん関係団体の意思の合致によって進められたものでございますから、強制的にこことこことが合併しろというようなわけにはまいりませんために、多少でこぼこのところはできておりますけれども考え方といたしましては、一応適正規模というものを念頭に置いて合併計画を策定し、そのもとに合併を進められてきたわけであります。しかし、府県になりますと、御承知のとおり四十六都道府県、そのうち北海道は地形的にも全く別でございますので、四十五都府県について考えますならば、これをやはり合併のできるところだけ合併して、合併のできないところは合併しないという形にかりになったといたしますと、人口何千万の府県ができたかと思うと、依然として人口六十万足らずの鳥取県が残るというような形では、やはり府県制度という形で考えてみた場合に、無理があるのではないかという問題も考えられるわけでございますので、その辺は、やはりいろいろな場合を想定いたしまして、もう少し検討する必要があろうかと考えておるわけでございます。
  120. 辻武寿

    ○辻武寿君 私は、あなた方の言っているように積み重ね方式で、連絡会議だって回を重ねていくうちに必らず話し合いができるのと同じように、やはり積み重ね方式で府県連合を考えていくべきではないかと思う。それを検討してもらうように政務次官にお願いするわけです。どうでしょうか。
  121. 金子岩三

    政府委員(金子岩三君) 辻さんの御意見、私も同感でございまして、私らも広域行政を促進すべきだという主張の上に立って将来の検討を進めていきたいと思います。画一的という考え方もどうかと思いますし、できるところから先にということも考えておりますが、まあ取り残されたものを、それではどう処分するかというような問題については、どういった方法が将来一番悔いのない府県統合になるかといったようなことで検討を続けているのでございますが、御期待に沿うべく、ひとつそういう方向広域行政の促進をはかっていきたいと考えております。
  122. 辻武寿

    ○辻武寿君 もう一つ。一歩前進した姿には違いないけれども、実際にやってみると、先ほど申し上げたように、なかなかまとまらない。集まりにくい。広域行政にすれば集まるかもしれないが、実際問題としては、どれだけまとまった話ができるかということは疑問の余地がある。そのあげく、月に一ぺんだから一ぱい飲もうじゃないかというような関係で、そのまま料亭に行って、単なるめし食い会、宴会になる。それを繰り返していくようなことになったならば、この法案は死んでしまうと思うのです。そういうことがないように、私はあらかじめ十分警告しておきたいと思うのですけれども、そういう心配についての考えをお伺いしておきたい。
  123. 金子岩三

    政府委員(金子岩三君) ただいまのような御意見は、ほかでもよく承っておるのでございます。十分そういった点を考慮して、名実ともに実効のあがる組織の運営をさせたい。かように考えます。
  124. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) ほかに御質疑ございませんか。——他に御発言もなければ、本案についての質疑は終了することといたしたいと存じますが、さよう決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 御異議ないと認めます。本案に対する質疑は終了することに決しました。  本日はこの程度にいたしたいと存じます。次回は六月四日午前十時開会の予定でございます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十七分散会