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1964-04-14 第46回国会 参議院 地方行政委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月十四日(火曜日)    午前十時五十分開会   ―――――――――――――   委員異動  四月十四日   辞任      補欠選任    占部 秀男君  山本伊三郎君   ―――――――――――――  出席者は左のとおり。    委員長     竹中 恒夫君    理事            石谷 憲男君            西郷吉之助君            西田 信一君            松本 賢一君    委員            井川 伊平君            熊谷太三郎君            沢田 一精君            館  哲二君            鈴木  壽君            林  虎雄君            松澤 兼人君            山本伊三郎君            辻  武寿君            基  政七君            市川 房枝君   国務大臣    自 治 大 臣 赤澤 正道君   政府委員    総理府総務副長    官       古屋  亨君    警察庁長官   江口 俊男君    警察庁交通局長 高橋 幹夫君    自治省行政局長 佐久間 彊君   事務局側    常任委員会専門    員       鈴木  武君   説明員    警察庁交通局交    通企画課長   宮崎 清文君    自治省行政局給    与課長     胡子 英幸君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○地方公務員共済組合法等の一部を改  正する法律案内閣提出) ○道路交通法の一部を改正する法律案  (内閣提出)   ―――――――――――――
  2. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。四月十四日付、占部秀男辞任山本伊三郎選任、以上であります。
  3. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 初めに地方公務員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。御質疑の方は御発言願います。
  4. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃこの前に引き続いて若干地方公務員等職員共済組合の問題について質問をいたしたいと思います。  本日は幸い大臣も御出席願ってあるので、理事打ち合わせ会で聞きますと、本日これを終結をするという方向にきまっておるようであります。したがって、そういう立場に立って大臣あるいは政府委員に御質問申し上げたいと思うのですが、大臣のほうには、一番最後に確認するときにひとつお尋ねすることにいたします。  政府委員に若干質問しておきたいと思います。第二百二条の準用規定をちょっと聞いておきたいのですが、二百二条の準用規定で第二条第一項第三号あるいは第二項等が準用されております。これは運用上の問題としてきわめて問題あるのですが、生計を維持する遺族考え方ですが、政令に委任しておるのでございますが、たまたま遺族が、その組合員死亡する当時の収入が云々ということで、遺族年金なんかの点が失格するような点があるのですが、この点につきましては、国家公務員も同様でありますが、今日の運用状態はどうなっておりますか。きわめて運用上重要な問題ですから、この解釈についてまずお聞きしておきたい。
  5. 胡子英幸

    説明員胡子英幸君) ただいまお尋ねのございました遺族関係についてお答えをいたしたいと存じます。  現行制度におきます遺族範囲といたしましては、組合員配偶者、子、父母、孫及び祖父母のうち、組合員死亡の当時主としてその収入により生計を維持していたものに限られておるわけでございます。具体的には組合員の子、父母、孫及び祖父母につきましては、組合員死亡の当時その被扶養者としての要件を備えていることを必要といたしますし、配偶者につきましては、組合員死亡の当時これと生計をともにいたしておりまして、かつ組合員でなくなった当時の給与の額をこえる所得を将来にわたって有しないことを必要といたしておるわけでございます。したがいまして、配偶者につきましては、いろいろと問題が出てくるわけでございますが、たとえば子女の養育の関係その他やむを得ない事情によりまして、夫が死亡いたしました後、引き続き勤務を継続する場合等のように、近い将来におきまして勤務を離れることが十分に予測され、しかもその勤務を離れた後の所得が、組合員でなくなった当時の給与の額をこえないような場合には、遺族として秘める取り扱いをいたしておるわけでございます。大体このような運用によりまして、できるだけ遺族適用につきましても過酷にわたることのないように配慮をいたしておるつもりでございます。
  6. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 現在の政令が生きておる以上、いま言われた答弁では、なかなかはっきりとしないのですが、ぼくは配偶者の場合は、この該当者が多いと思うのですが、そういう必要が年金制度においては私はないと思う。というのは、たまたま俸給生活者であるがため収入というものが捕捉できるけれども、そうでない一般の商業なんかを営む場合には、そういうことが捕捉できないために、現実には、その夫の死亡当時においてもなおかつ生計を維持する以上の収入があっても、これは年金給付には影響されておりません。法律の文言からいくと、そういうものはいけないのだけれども、そういう収入というものを捕捉できない。もっと極端に言うと、資産収入の場合、非常に資産があって、遺族は別に困らない。そういう場合にはこの第二条第一項第三号あるいは第二項には該当するのだけれども運用上そうやることができない。俸給生活者だけがそういう規制を受けるということは、公平な議論からいって私は間違いであると思いますが、私は、これは政令を変えばそういうことが正せると思うのですが、この点どう考えておられますか。――わからなかったらもう一ぺん……。その本人死亡当時の要するに給料と同等またはそれ以上の場合には、年金を停止するというのが大体の趣旨ですね。ところが、本人より収入が多いというけれども俸給生活者の場合は給与を比較して多いということがわかりますけれども、それ以外の収入の場合、それ以上の収入がかりにあっても、とめる根拠はないでしょう。たとえば借家をたくさん持っておる。家賃がよけい入る。それでもこれをとめておらないでしょう、年金は。そういう不合理は、社会的に認められないというのが私の趣旨なんです。だから、むしろもうそういう「生計を維持していたもの」というような考え方は、俸給とか収入というそういうものを考えずに、これをはずしてもらいたいというのが私の趣旨なんです。わかりましたか。
  7. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) お尋ねの御趣旨は大体わかってまいりましたが、現在の収入によりその生計を維持していたものということの認定の問題、主としてそういうことの認定の問題になってくると思うのでございます。その認定にあたりまして、先生の御指摘のように、いろいろな収入の源泉が、形態がございまするので、お話のように、扱い方によりましては不均衡も生じてこようかと思います。その点につきましては、先ほどお答え申し上げましたように、実際の扱いにおきましては過酷にわたることのないように十分配慮をしてまいっておるわけでございますが、ただ、ただいまお説のように、「主としてその収入により生計を維持していた」ということを削除するということになりますと、かえってまた別な意味の不均衡も生じてくるおそれもあるように存ぜられますので、なおまた、この点につきましては各共済組合の全部がこういう要件規定をいたして、統一的な運用につとめておる状況でございまするので、今後よく検討をさしていただきたいと思います。
  8. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それから、あまり大きい問題じゃないんですが、この準用規定給付制限の問題で第百八条、これは三十七年法における第百八条、第百九条、第百十一条は準用をされているんですが、百十条を除外されておるんですが、これはおそらく短期給付がないというところから除外されておるんですが、それだけではちょっと理解できない点があるのですが、百十条を除外された趣旨をちょっと御説明いただきたい。
  9. 胡子英幸

    説明員胡子英幸君) この百十条を準用いたしておりません理由は、いま御指摘のとおり一つには短期給付を行なわないということと、それから同じくこの法律の四十八条の二項を準用いたしておりますので、この第百十条を準用する必要性がないと、かように判断をいたした次第でございます。
  10. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 われわれは準用されないということは、これはもう前から好むところなんです。大体三十七年法の第四節の給付制限自体に私は問題があるんですから、むしろ準用規定だけでなくして、三十七年法における第百八条から百十一条までもう一ぺん再吟味をする必要があると、私はそう思っておる。特に百十一条のごときは、本法関係なく他のいわゆる罪と申しますか、あるいはそういうことで処分を受けた場合でも給付制限をするということは、これは年金制度のような福祉法において、私はこれは間違いであると思う。もともと恩給法のような、国が一方的に給与にかわるものとして支給する場合には、こういう制限というものは必要であるけれども本人掛け金をして、いわゆる保険制度年金制度においては、ここまできびしく給付制限をすべきではないというのが私の持論なんですが、それを私は主張したいために、特に反対に百十条を除外したことを聞いたんですが、この点は社会保険制度としての年金制度としては、あまりに給付制限がきついと思うんですが、その点どうですか。
  11. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 御指摘の点は国家公務員共済組合法を御審議いただきましたときにもそのようなお説を拝聴いたしたように記憶をいたしております。確かにこの年金制度の上から申しましても、百十一条のような公務員関係からの要件によりまして給付制限するということについては、御批判もあろうかと思いますが、一面この制度は、もちろん職員の「福祉の向上」を主眼とはいたしまするけれども、同時に、「公務の能率的運営にも資する」という目的もございまするので、公務員関係におきましてこのような刑罰あるいは懲戒処分に処せられました場合に給付制限を行なう、このようなことになっておるわけでございまして、これは国家公務員共済組合法にも同様な規定がございまするので、地方公務員共済組合法の場合におきましても同様な規定をいたした次第でございます。しかし、かと申しまして、このことが組合員にとりまして非常な過酷な制限になりますことは、これは共済制度趣旨から申しまして私どもも好ましいことではないと考えまするので、その運用にあたりましては、できるだけ過酷にわたることのないように現在配慮をいたしておる次第でございます。なお、この規定そのもののあり方につきましては、他の制度との関連もございまするので、将来検討をしてまいるということにいたしたいと思っております。
  12. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは地方公務員の場合をもって自治省当局に迫るのは無理かと思っております。しかし、厚生年金にはこういう規定はないんです。給付に対していろいろ損害とか、そういう年金制度自体に対する不正行為の場合は、これは給付制限ということは妥当であるけれども、それ以外の懲戒なり、あるいは懲罰を受けた者に対して、福祉法であるいわゆる社会保障的な法律であるところのものにおいて給付制限をやることは、私はやはり根本的な間違いがあると思うんです。しかし、これは本法だけではなくして、いわゆるその基本法である国家公務員共済組合法等に問題があると思いますので、いまの政府委員答弁――今後とも誠意を持って運用していただきたいと同時に、この本法自体をあずかる自治省としても今後考えてもらいたいと思います。  次に、これも実は運用上いろいろ問題があったんですが、この機会に明らかにしておきたいと思うのですが、これは三十七年法の第三条のこれも組合員管轄権の問題です。いわゆる市町村共済組合に属するか、あるいは公立学校共済組合に属するかという問題で、いろいろいままで論議をしてきたんですが、具体的に申しますと、公立学校用務員とか、あるいは給食従業員方々は、あの法施行当時までの人は市町村共済組合、それ以後は公立学校共済組合所属するということになっておるんです。法律上からいうと公立学校共済組合ということになるんですが、運用上二つにまたがっておるんです。そこで、これは私の多年の主張ですけれども、その職場実態給与体系、それらから見ると管轄争いということでなくして、保険数理なり年金保険料の算定の基礎の財源率の計算からいっても、当然これは市町村共済組合所属すべきであるという私は論拠を持っておるんですが、いまの自治省文部省の間で問題があって解決をしておらないんです。これがため末端組合が非常に運用に困っておる状態があるんです。したがって、この点、私は明らかにしておく必要があると思うんですが、第三条の組合所属範囲の問題について、自治省はどういう見解を持っておるか、その点をお伺いしたい。
  13. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) お尋ねの点につきましては、山本委員のおっしゃいます御意見、確かに一つの御意見だと私どもも拝聴をいたしておる次第でございます。おあげになりましたような職員につきましては、ただいま御指摘のありましたような事情からいたしまして、むしろ地方公務員共済組合所属にしたほうがいいんじゃないか、こういう御趣旨も私どももよく理解できるのでございます。ただ、これは関係省ともいろいろ意見の調整もいたさなければなりませんので、なお今日十分結論を得る段階に至っておらない状況でございます。
  14. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは重ねて言うんですが、法律制定のときに私問題にしたんですけれども、なかなか自治省文部省の間で、いわゆる政府部内で意見が一致しなかったようでありますが、これは私はぜひ早く解決してもらわなくちゃいけないと思うのです。単なるなわ張り根性であると私は思いませんが、共済組合長期給付また短期給付もこれに関連いたしますが、それらを実際に理解すると、やはり地方公務員共済組合所属するのが妥当であるという考え方を持ってきているのです。文部省管理局長――だと思いますが――も、相当主張いたしまして納得をしておるようでありまするが、どうも私はその後実際職場に行ってみると、単位組合に行くと非常に困っておるようであります。この点は、政府部内の問題ですから早急にひとつ解決してもらいたい。解決するときには、そんな安易な妥協ではなくして、一つ共済組合の本質というものを把握して、どこに所属するかということを十分検討してもらいたいと思う。困るのは単位組合が困っておりますので、大臣はその点の事情をよく御存じないと思いますが、ひとつその点、大臣としてはどうお考えになっておりますか。
  15. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) どうもそういう点、実は詳しく研究しておりませんので、事務当局をして十分検討させたいと思います。
  16. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 事務当局どうですか。
  17. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 大臣の仰せに従いまして、よく検討したいと思います。
  18. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ぼくは自治省でもその点十分わかっているかどうか、その点が私疑問なんですが、ぼくが文部省に言うと、文部省自治省と相談してというようなことを言うのですが、実際末端では困っておるのですよ。それに該当する人は、たとえば千人くらいの大きいところでは、用務員がおりますが、そのうちだんだん年を経るに従って新しい人がふえますから、公立学校組合員のほうがだんだんふえてくるのですが、職場では七百人は地方共済、三百人は公立学校、そして福祉施設を利用するにしても、お前は向こうだ、わしはこっちだ、同じ団体で旅行しても、泊まるところはお前は向こうだから向こうへ行け、わしはこちらだというような、ほんとうに末端事情を知らないような運用がされておるのですよ。それがいま第三条によって、それがどうもならぬというのです。法律上のなには、非常にふしぎなものだと私は思うのです。実際の実態というものを全然わからずに法律をきめてしまって、これは立法府のわれわれとしても責任があることはわかっておるのですが、幾ら言ってもそれが解決できない。この点は十分説明できないから、大臣もその実態を把握できないかしれませんが、今後ぜひひとつ早急にこれの解決自治省なり文部省、いわゆる政府部内で努力していただきたいと思います。その点いかがですか。
  19. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 御趣旨に沿うように努力をいたしたいと思います。
  20. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 次にもう一つ、この前の関係のやつで確認しておきたいのですが、三十七年法の施行法によりまして第十七条でいろいろ問題がありましたが、国家公務員その他の共済組合にない第十七条第五項で若年停止制というものが国会修正で設けられた。これはわれわれとしてはいいことでありますが、その後、政令、規則で、運用方針で相当きつくされておるやに聞くのですが、今日までこれの運用された実例について、自治省で把握されておるものがあれば、ひとつ具体的にあったかないかを聞いておきたいと思う。
  21. 胡子英幸

    説明員胡子英幸君) お尋ねの点につきましては、まだ私どものほうでその実態をつまびらかにいたしてございません。恐縮でございます。
  22. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題については相当あると思うのです。自治省実態がわかっておらないようでございますが、私は、この第十七条五項ができたのですが、実際にそれがうまく運用されておるかどうかということにちょっと疑問を持っておるのですが、特にこれは公立学校共済組合に相当あると思うのですが、まだ実態はわかっておらないということですが、この点をどういう運用をしておるか、今後もう一ぺん調べてもらいたいと思うが、いかがですか。
  23. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 御要求の点は、できるだけ早く調査いたしてみたいと思います。
  24. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それから、私はこの前の経験があるから、心配になるのでいろいろ聞いておきたいと思うのですが、この第百四十三条の二の期間通耳の問題ですが、第百四十三条の二に「団体共済更新組合員施行日前の次の期間は、団体共済組合員期間新法第百九十七条第一項に規定する団体共済組合員期間をいう。)に算入する。」として、一号、二号、三号ということでやられておるわけですが、これは大体地方公務員共済組合における更新組合員のものをここに引き継いでおると思うが、一号、二号、三号について、大体その趣旨説明しておいていただきたいと思う。
  25. 胡子英幸

    説明員胡子英幸君) 百四十二条の二の趣旨でございますが、まず第一号は、厚生年金保険法によります厚生年金保険の被保険者期間は、これを通算しようという考え方でございまして、従来団体職員といたしまして厚年法適用を受け、厚年掛け金等を納めました期間は、これをすべて団体共済組合員期間通算をしようという考え方基本にとったわけでございます。  それから第二号でございますが、第二号は、旧市町村職員共済組合職員でありました期間、この点につきましては、附則三十一条の削除をいたすことにいたしてございますが、これは、旧市町村職員共済組合法ができました際に、従来健康保険組合を組織しておりました市町村につきまして、健康保険組合が解散をし、旧市町村職員共済組合が結成されることになったわけでございますけれども、その際、健康保険組合組合員であって、旧市町村職員共済組合組合員たる資格を有しない人があったわけでございます。具体的には、町村会なり、あるいは議長会なりの職員でありまして、公務員でございませんので、本来ならば、そういった市町村職員共済組合組合員となり得ないわけでございましたけれども、そういった人々につきましては、特に法律上、附則二十二項を規定いたしまして、これによって旧市町村職員共済組合組合員たる資格を特に与えたわけでございます。この人について二号のイで規定をいたしておるわけでございまして、「旧市町村職員共済組合法附則二十二項後段規定により旧市町村共済法退職給付廃疾給付及び遺族給付に関する規定適用を受けていた期間」はこれを通算しようということに考えておるわけでございます。  それからロは、この旧市町村職員共済組合法附則二十二項後段適用を受けて今日に至った人につきましては、新しく地方公務員年金制度ができました際に、附則三十一条を設けまして、これを新しい地方公務員共済組合法による市町村職員共済組合組合員としての資格を与えたわけでございます。したがいまして、旧市町村職員共済組合組合員としての資格を特に法律が明記いたして規定をいたしましたものにつきましては、その期間を今度団体共済組合員期間通算をしよう、こういう考え方をとったわけでございます。  それから第三号でございますが、第三号は、この団体職員であります期間の中で、一号にも二号にも該当しない純然たる団体職員、つまり厚生年金の被保険者でもないし、また旧市町村職員共済組合組合員でもなかった、しかし団体職員としてはその身分が継続しておる人、この人々につきましては、地方自治法施行後の期間につきまして、これを通算することにいたしたい、かように考えたわけでございます。
  26. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 引き続いて期間通算を受けて、第百四十三条の三で、その額の特例規定しておるんですが、念のため、いま言われた期間通算と同時に、その額がここに出ておるんですが、この内容について、ここでひとつ御説明願いたいと思います。
  27. 胡子英幸

    ○一説明員胡子英幸君) 百四十三条の三の御説明でございますが、第一号が、いわゆる厚生年金の被保険者期間でございます。ただし、団体職員でなかった期間を除いておるわけでございますが、これにつきましては、旧市町村共済給付の八割を支給するということで、この率を書いてございます。  それから第二号は、旧市町村職員共済組合期間でございますので、市町村共済給付並みの率を規定いたしてございます。  それから第三号は、団体職員でなかった厚年の被保険者期間と、それから第三号の純然たる掛け金も何ら納めておりません団体職員期間、これにつきましては五五%を見る、こういう考え方でございます。  それから第四号は、施行日以後の団体共済組合員期間並びに新しい地方公務員共済組合法施行後における市町村職員共済組合組合員たる期間でございますので、現在の地方公務員共済組合法新法並み給付をする、こういう考え方をとっておるわけでございます。
  28. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ここで相当問題が――この前も提起したんですが、一応三種類に分けての期間通算なり、あるいは額の特例は了解する点があるんですが、特に先ほど説明されました期間通算の場合に、この改正法によって、附則三十一条が削られてしまった。それがため地方公務員共済組合法適用から団体共済に移らざるを得なかった対象はあると思うんですが、対象があるからここに規定されたのでございますが、それによって不利な扱いになる人は、私はあると思うんですが、そういう人に対して、いわゆる救済措置というもの、これはどうしても考えてもらいたいと思うのですが、自治省では、そういう対象がないやに考えておられるように聞くんですが、なければ、この三十一条削除――この法律自体が必要でないということになる、反対になるからそうなんですが、この点どう考えられますか。この前の質問にも若干これに触れておいたのですが、きょうは大臣も出ておられますので、もう一回その点、政府見解を聞いておきたい。
  29. 胡子英幸

    説明員胡子英幸君) お尋ねの点は、この前の委員会におきましても御質問がありまして、私どものほうでは、そういった附則三十一条の削除によって非常に不利になるような方々は、いま直ちには該当者がないように考えております、こういう御答弁を申し上げたわけでございますが、その後、実態について一応調べてみたわけでございます。この附則三十一条の削除によりまして、市町村職員共済組合から団体共済組合に移ってまいります職員数は四百四十二名というふうに私どもの調査では判明をいたしているわけでございますが、この市町村職員共済組合から団体共済組合に移ります四百四十二名の中には、団体共済組合の行ないます給付と、それから地方公務員共済組合の行ないます給付で、最高限の問題、それから掛け金の標準となります給料の額が七月五千円と十一万円というふうに異なっている点がございますので、こういったことのために不利になる者が直ちに生ずるのではなかろうか、こういう御質問もございましたので、実態を調査いたしましたところ、そのような該当者はないということが明らかになってまいりましたので、私どもの判断におきましては、先生の御指摘になりましたような事態は生ずることがない、そのように判断をいたしているわけでございます。
  30. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いや、そのないという断定であれば、これはわれわれ皆さん方を信ずる以外にないのです。しかし、あった場合に、この前の三十七年法制定のときにも、われわれがまあそこまで深く追及しておかなかったから問題が残っているところがあるのです。もちろん、基本的には公務員でないこういう人々団体共済で救おうという法律をつくるのだから、そこに移管するということの法律精神はわかるのですけれども、やはり、たとえば八万円あるいは八万円以上のそういう組合員であって、それが団体職員であった場合に、その人はその基本地方公務員共済組合掛け金を出しておった、そういう人が引き続いて次の団体共済に入った場合には、それまでの納めた掛け金は、これはいわゆるただ受りと申しますか、そういうことで本人の不利になることは明らかなんです。したがって、あった場合に――まあ仮定であるか知らぬが、ないと言われる、私はあると思うのですが――あった場合にどうするかということも一応聞いておかなければ、当面出ないから、それでよかったということでは、立法としてもやや私は足らなかったところもあるという批判も受けますので、あった場合には一体どうされますか。どういう救済法がありますか、運用で。
  31. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 私どもの調べましたところでは、先ほど申し上げましたように該当者がないので、その規定を用意いたさなかったわけでございますが、もし、かりにそのような者がありました場合には、それに対する救済の措置を検討いたしてまいりたいと思います。
  32. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その答弁趣旨はわかります。誠意はわかります。こういう法律でございますから、この組合員というものはきわめて善意に加盟していると思うのです。それが法律が変わったために、いつの間にか自分に不利益になる法律ができておる、こういうことでは、われわれとしては、不注意ということだけではおさまらない場合があると思いますので、仮定を論ずることは、われわれとしては、あまり好まないのでございますが、私はあり得る、ということは、可能性のあることは事実でありますので、あった場合には、それの救済については、今後法律の改正が必要であれば法律も改正しなければいけないし、運用でやり得るものがあれば運用でやるべきものである、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  33. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) そのように考えます。
  34. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、大臣を何か衆議院のほうで要求しておるようでありますので、質問を続ければ二日や三日ではどうも私不満なんですが、まあ今回はやむを得ないといたしまして、集約する意味において大臣にひとつ聞いておきたいと思いますが、これは一番最初の委員会のときに、この審議の際に、西田委員からも相当にいろいろ質問がありまして、議事録でごらんになったと思うのですが、まあわれわれとしては、今度の八団体ですか、大体地方団体関係団体というこの概念と申しますか、規定については、まだもう少し考える範囲があるんじゃないかという気持ちを持っておるのです。まあしかし、法律制定ですから、あいまいな表現ではいけないので、はっきりと法律規定されたわけですが、今後、やはり地方団体関係団体という範疇に入るところもあると思いますので、こういう点は、ひとつ今後自治省としても政府としても、そういうはっきりした地方団体関係団体であるという認定がつけば追加してもらいたいという希望がきわめて強いのですが、この点どうですか。
  35. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) あまり内容を詳しく研究いたしておりませんので、先ほどのいろいろな御質問に対して十分御回答ができかねまして、まことに恐縮でございますが、こういう地方団体関係団体職員の諸君のいろいろ陳情を前から受け続けてきておるのでございまして、本来ならばおっしゃるとおり、まだこれに追加しなければならない団体も数々あるんじゃないかと私も考えます。しかし、いまいろいろな事情がありまして、これだけにしぼって提案をいたしておる次第でございますので、これは御期待にこたえるように将来前向きで検討いたしまして、逐次加えていかなければならないと考えます。
  36. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それから第二にですね、団体共済の場合と地方共済の場合とのやはり給付の格差――団体共済は私立学校教職員あるいは農林漁業団体職員に準じてつくられたと思うのです。政府部内でも相当これに対して論議のあったことを聞いておりますが、しかし、地方団体関係団体と地方公共団体との間には、人事交流のある団体もありますし、大体同一に考えていい職場だという実は認定をしておるわけです。ところが年金制度におきましては、なまの通算はできない、そういうものになると人事行政上問題があるようでありますが、職員としても、やはり僕は何らか差別されるような気持ちがあって、いわゆる地方公共団体の発展あるいはこの業務の遂行上も何らかやはり支障があると思いますが、今後、やはり地方公務員共済組合法に統合する方向に向けるべきである。今回は一応法律を出されたのですから、やむを得ないとして、将来そういう方向に進むべきであるという考えを持っておるのです。佐久閥行政局長もその方向については、われわれとしても反対でないという答弁があったのですが、大臣としてどう考えておるか、ひとつ聞いておきたい。
  37. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 全部は明らかにいたしませんけれども、私も個々には、具体的な事例で、はなはだまずいなと思うものにぶつかっておるわけでございます。やはり御指摘のように、統合と申しますが、統一の方向に私は向けるべきものであると考えますが、基本的に、まだその前に解決しなければならぬいろいろな問題があるようでございまするので、今後すみやかに検討いたしまして善処いたしたいと考えます。
  38. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体そういう方向で努力していただきたいと思います。  もちろん、まあこれは私の意見になりますが、いまの日本の公務員というか、それに準ずるような、われわれとしては共済グループという名で表現しておりますが、たとえば公企業体職員共済組合、これは国鉄あるいは電信電話公社、専売公社あたりになりますが、それらともまだなまの通算はできておらない。したがって一般社会保険年金のような厚生年金、船員保険、あるいは被用者保険ではございませんが、国民年金とは若干違いますが、それらとの共通性ということには、まだ日本の年金体系ではむずかしいと思いますが、少なくとも共済グループからでも、ひとつ共通性のある通算措置なり、あるいは給付のレベルを同一にすべきであるという考えを持って、おるのですが、こういう方向にひとつ政府として――これは自治大臣だけの意見ではとうていいけないと思いますが――政府部内でそういう方向で御検討願いたいと思うのですが、その点いかがでしょう。
  39. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 全く御指摘のとおり、ばらばらの感じを私ども受けておるものでございまするから、これもただいま申し上げましたように、全部ということはなかなか容易なことではないでしょうが、いま北八洲グループと御指摘になったわけですけれども、御期待に沿うような方向で検討を進めていきたいと思っております。
  40. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それから、まあこれは大臣でなくてもいいのでございますが、ちょっと専門的になるかどうか知りませんが、通算年金通則法によりまして、公務員と、それから一般厚年とか船員保険の社会保険年金との通算の際、公務員の場合の通算のレベルと申しますか、内容が、厚生年金のレベルまで下げて通算されるようになっておるのです、いまの通算年金法では。しかし私たち、少なくとも公務員年金制度である場合は、その期間公務員のレベルで通算する措置をとるべきである。もちろんこれは掛け金の留保の額にも影響しますが、それも一応勘案の上、通算措置は公務員の場合、地方公務員なら地方公務員共済組合法規定する給付の内容そのままをその期間給付としてやるべきであるという考え方を持っておるのですが、この点どう考えられておりますか。
  41. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 通算年金通則法の現在のたてまえからいたしますと、お説のような点を実現いたしますには、いろいろと検討いたさなければならない要件があるように思います。ひとつ今後の研究課題にさしていただきたいと思います。
  42. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この前の委員会で、私執拗に政府委員に食い下がって、今度の附帯決議を入れてもらうように話がまとまったのですが、これはもちろんいまの赤澤大臣のときじゃございませんから、追及するわけじゃないのですが、あの三十七年法ができた場合に、ちょうど先ほど申しました附則三十一条に該当するような、公務員でないもので市町村の共済条例の組合員として、それだけの掛け金をかけて、義務を果たしてきた者が、地方公務員共済組合ができたために権利が喪失してしまった、こういうものがございます。これはどうしてもやはりこの機会に救済をしていただきたいということで、前の自治大臣のときからいろいろ自治省と話をしておったのですが、どうしても三十九年度のこの改正案には、どうしてもできないということになっておるのです。しかし、その本人にとってみると、通算もできないということで相当苦痛を感じておられますので、この法律の改正はぜひひとつ考えていただきたいと思うのです。それと同時に、法律改正になるまでの間の措置として、できるだけ本人に不利にならないような措置を講じてもらいたいということを、再三再四当委員会で君は政府委員方々質問し、要求したのでございますが、最後に、法律案が上がります前でございますので、大臣からこの問題について御意見をお聞きしておきたい。
  43. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 御趣旨に沿うように検討いたします。
  44. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 政府委員より大臣のほうがえらいんですから、大臣検討すると言うんですが、もう少し誠意のある答弁があると思ったんですが、逆戻りしては、質問したのが損になりますから、その点をもう一回誠意ある答弁を……。
  45. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 御趣旨に沿いますように検討するという大臣のおことばでございまして、私ども事務当局といたしましては、前回も申し上げましたように、御指摘になりましたケースは、いろいろ実態は私どもまだつまびらかにいたしていない点もございますので、すみやかに実情を調査いたしまして、そして御指摘のように当該職員にとりまして不利な扱いになりませんように、運用上処置のできますものにつきましては運用上処置をいたしますし、立法的解決を必要といたしますものにつきましては、あらためて御審議をお願いするように、そういう方法で検討いたしたいと思います。
  46. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 えらいしつこいようでございますが、いま政府委員の言われたことは、先ほど大臣の言われたことと同意味であるととっていいですか。
  47. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 残念ながらこまかいことを存じないで、たいへん申しわけないということを申し上げましたけれども、根本は、地方公務員共済組合法の第一条の2に、すでに「国及び地方公共団体は、前項の共済組合の健全な運営と発達が図られるように、必要な配慮を加えるものとする。」と、ちゃんとあるわけでございますから……。しかし、私どもが気づかぬいろいろなそういった問題があると思うのです、根本的には。ただ何とかのがれようという意味ではございませんで、やはり前向きの姿勢で検討いたしますと申し上げ、今度厚生年金制度から始めて、これが地力関係団体職員年金制度に変わっていった、その変わりましたにつきましても、やっぱりいろいろとっていけば、いまお述べになりましたようなその間の過渡的にも不合理な点も生まれてきまして、いろいろあるでしょうから、よく御意見を承って、そしてその精神をできるだけ生かしたいという意味で発言したのでございまして、決して逃げを張っておるわけではございませんから、その点は御了承願います。
  48. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 じゃ、そのことばを聞いて、もう一点だけ。  実は、これもまた資金運用上の問題としてわれわれしょっちゅう主張しておるのです。これは単にこの団体共済だけではありません。広くは厚生年金、国民年金関係する問題でありますが、資金の運用の問題です。現在大部分は政府の資金運用部資金、財政投融資方面に使われている、これは私は最初から全部否定しません。しかし、この共済組合掛け金というのは、御存じのように大体長期について折半主義をとっておりまして、国庫が補助をする、したがって、組合員掛け金というものは組合員福祉に、ある程度還元をするということは、これも原則であろうと思うのです、これは諸外国の例を見ましても。ところが日本の場合は、どうもその点が徹底をしておらない。最近厚年なんかでも還元融資ということで、厚生省あたりががんばっておるようです。また、幸いにして地方公務員共済組合法ができる場合にも、自治省は相当主張して、大蔵省との間のいろいろな話し合いの末、財政投融資ばかりに回すのではなくて、地方公共団体の行政目的、福祉に使うのだという一項を入れた、そこは私ども一応の敬意を表しているんですが、ただ、福祉に回す場合でも、政令第十六条で、労働金庫というものだけをはずしてしまっておる。御存じのように、現在金融機関で一般勤労者が生活資金その他の融資を受けるのは、普通銀行ではだめなんです。労働金庫以外にたよるところがないのに、その労働金庫に預託することを拒否されているということは、法の精神からいっても、積み立て金の運用の原則からいっても、やはりその点は政府として一歩考えなくちゃならぬというのが私の持論なんです。これは私だけでなくして、広くそういう賛成者はあると思う。そういう点について、今度も実は附帯決議と言ったんですが、いろいろ関係があって、具体的にそういうことはやっぱり遠慮すべきであるという意見もありまして、それは避けましたけれども、精神としては、やはり運用上そういう方向をとってもらいたいという私は強い希望を持っておるんですが、この点について最後に大臣の所見を聞いておきたい。
  49. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 全く御指摘のとおりで同感でございます。これまた第一条にちゃんと「給付及び福祉事業に関して必要な事項を定め、」これは言うまでもなく、給付ためまた事故の場合の給付ため、また組合員福祉事業に役立てなければならぬ、法律にも書いてあります、そのとおりと私は思いますが、いまの問題は、私いろいろ調べてみますと、他の原因からそういう扱いをしているんじゃないか。これは御承知でしょうけれども、例の預金の安全性というほかの面から、まだ労働金庫の内容を私調べてもおりませんけれども、大体政府の中でも一部異論もあるようでございます。つまり時期尚早という意味での私は黒八論と解しておりますが、精神においては全く御指摘のとおりでありまするので、これもやはり御期待に沿うような方向で運用してまいるべきものと思います。ただ、短期のものはやっておりまして、長期のものもということになりますと、ちょっと政府部内でも異論があるようでございまするので、いましばらくは御猶予をお願いいたしたいと思います。
  50. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大臣答弁で私はある程度満足しております。私は大蔵省が一つのガンだと思って、いろいろといままで大蔵省と砧をしておるんですが、表面は信用上の問題が取り上げられておるようでありますが、私らにはそれは言わない。そんなことを言うと労働金庫が法律でできて、しかも労働省と大蔵省の共管で、きびしい監査をやっておるんですから、どうもあぶないということは私に蓄えない。しかし気分としては、大臣非常に率直な人ですから、きょう初めて聞いたんですが、そういう気持ちがあるんです。私はそれをここで追及いたしません。ただ、しかし、実態が先ほど申し上げましたように、ただ一つの勤労階級の生活資金とか、そういうものの金融機関ですから、やはり何とかそこに一つの資金源というものを与えてやるということは、国の政策になかったらいかぬと思います。大蔵省の銀行局長あたりは、いわゆる一般銀行と労働金庫とは、目的、性格が違うということを言っておりますが、目的、性格が違うなら違うほど、こういうものについては預託の道を開いてやるほうがいいのではないか、一般銀行ではその他の多くのそういう資金源を持っておるんですから。ただ一つの資金源として、共済年金あたりの資金は、やっぱり預託してやるという道を、全部と言っておらないんですから、幾らでもいいから道を開いてやれと言っておるんです。しかも道を開いても、各組合で決議して傾けたくなければ何も一文も預けなくてもいいんですから、法律の中にそれを除外すること自体に、私は民主主義の金融機関としては問題があるということを指摘しておりますので、この点は答弁要りませんが、先ほどの答弁で私は十分誠意があると思っておりますので、今後ひとつ政府部内でもその点について御努力をお願いいたしまして、私の質問は以上で終わります。
  51. 辻武寿

    ○辻武寿君 私の聞きたいことは、だいぶ皆さん聞いてくださったのですが、ひとつお聞きしたいことは、共済組合の一万、五千円ベースから二万円ベースに引き上げた際、その増額分については六十歳に達するまでその支給を停止することにしておった。それが恩給制度の改正に準じて停止を解除するものとなるわけですが、それの人数と金額はどれくらいになりましょうか。
  52. 胡子英幸

    説明員胡子英幸君) この点につきましても、まだ正確な資料がそろっておりませんので、恐縮でございますが、私どもの手元でとりまとめました範囲内においてお答えいたしたいと存じます。  現在までに私どものほうでわかっておりますのは、対象人質が地方公務員関係といたしまして三千五十二名、所要経費見込みといたしましては六千六百四十二万円、これだけがわかってございます。
  53. 辻武寿

    ○辻武寿君 それから旧樺太町村の職員期間通算する地方公務員は何人ぐらいいるか、その金額はどれくらいになりますか、わかりますか。
  54. 胡子英幸

    ○一説明員胡子英幸君) 人員はわかってございますが、私どもの手元で判明をいたしております人員は約百二十名ということでございまして、金額につきましては、今後退職なり何なりの実態が出てまいりませんと、金額的にどのようになるかは不明でございます。
  55. 辻武寿

    ○辻武寿君 満州のほうが入って、樺太のほうが抜けたのはどういうわけですか。
  56. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 樺太につきましては、いろいろな資料を関係者の方にお願いをいたしておりましたが、まだ十分な資料が手元に集まりませんでした点が一つと、それからいま一つは、いろいろ検討いたしてみますと、樺太につきましては法律改正をしないでも、現行法の解釈、運用で行けるんじゃなかろうかというような見通しもいたしておりまするので、今回はこれを入れなかった次第でございます。
  57. 辻武寿

    ○辻武寿君 こういうふうに諸外国に行ってきたのを、不公平にわたるようなことがあってはならないと私は思うのであって、これに対する大臣の今後の方針、決意を承りたいと思います。
  58. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 御趣旨に沿うように善処いたします。
  59. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 他に御質疑はございませんか。――他に御発言もないようでございますので、本案についての質疑は終了いたしたものと認め、これより討論を行ないます。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  60. 西田信一

    ○西田信一君 私は自由民主党を代表いたしまして、地方公務員共済組合法等の一部を改正する法律案に賛成し、あわせて各派共同提案にかかりまする附帯決議案を提出いたしたいと思います。  申し上げるまでもなく、本法案は、第四十一国会におきまして、地方公務員共済組合法の審議にあたり、本委員会が行ないました附帯決議の趣旨に沿い、地方団体関係団体の事業の円滑な運営に資するために、それら団体職員をもって地方団体関係団体共済組合を設けるとともに、あわせて、今国会において審議中の恩給法の一部改正に伴い、地方公務員組合員期間に外国特殊機関の職員期間通算する等の措置を講じようとするものでありまして、きわめて妥当なものと考えます。  全国知事会等の地方六団体あるいは国民健康保険団体連合会等の団体が、地方公共団体の民主的、能率的な連合組織でありまして、これに従事する職員は、地方公共団体の連絡調整あるいは共同に処理すべき事務を扱っているのであります。その本質は、地方公共団体の事務に準じたものといえるのでありまして、したがいまして、これら団体の性格並びに職員の従事する事務の内容から見まして、地方公務員のそれと著しく処遇を異にすることは、均衡を失するものと考えるのであります。地方公務員につきましては、昭和三十七年十二月に共済組合が発足し、着々その運営の実をあげているのでありますが、今回この改正法律案により地方団体関係団体共済組合の新設を見るに至りましたことは、まことに適切な措置であり、むしろおそきに失した感があるとも言えるのであります。しかしながら、この法律は、今後全く問題を残さない完ぺきなものであるとは思われません。私は、本審議の過程におきまして問題となりました幾つかの点を取り上げ、これを各派の共同による附帯決議といたしまして、本法施行の後、政府のすみやかなる善処を要望いたしまして、本案に賛成いたすものであります。附帯決議案を読み上げます。     地方公務員共済組合法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案   政府は、本法の施行にあたり、特に次の諸点を配慮すべきである。  一、地方団体関係団体職員共済組合について   (一) 団体職員期間公務員在職期間とは、相互に通算する措置を検討すること。   (二) 団体共済組合員の掛金の標準となる給料及び退職年金の最高限度額については、地方公務員との均衡を考慮し、検討すること。   (三) 団体共済組合の資金の運用にあたっては、組合員福祉の向上に資するよう配意すること。   (四) 地方公務員共済組合法の施行前において、都市健康保険組合職員であった者で、当該地方公共団体職員となった者の共済条例の適用を受けていた期間通算について、救済措置を講ずるよう考慮すること。   (五) 団体共済適用者で共済条例の組合員であった者については、その共済条例の組合員期間について完全な通算措置を講ずるよう考慮すること。  二、地方公務員共済組合組合員期間に、旧樺太等外地における地方公務員職員期間通算する措置を講ずるよう考慮すること。   右決議する。であります。  どうか、委員各位の御賛同をお願いいたしまして私の討論を終わります。
  61. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) ほかに御意見もないようでございますので、討論は終局したものと認め、これより採決を行ないます。  地方公務員共済組合法等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  62. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 全員一致であります。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました各派共同提案の附帯決議案を問題とします。木附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  63. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 全員一致であります。よって本附帯決議案は、全会一致をもって本法律案について本委員会の決議とすることと決定いたしました。  それでは、ただいまの附帯決議について、自治大臣の所信をお聞かせ願います。
  64. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) ただいまの附帯決議の内容は、なかなかむずかしいことを含んでいるようでございますけれども、御趣旨を体しまして、前向きの姿勢で善処いたしたいと考えます。
  65. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) なお、本案の審査報告書につきましては、委員長に御一任願います。  午前中の審査はこの程度にして、午後は一時まで休憩いたします。    午前十二時休憩    ――――・――――   午後一時二十四分開会
  66. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。御質疑の方は順次御発言願います。鈴木委員
  67. 鈴木壽

    鈴木壽君 改正事項について一、二お伺いしたいのですが、一つは、第二十六条関係でございますけれども、条約の十一条のこの規定から、それを受けて、二十六条、二十七条の改正をしようというのでありますが、このうち、いま申し上げましたように、その二十六条の二項の問題であります。これは条約では、必ずしも今度改正しようとする二十六条の二項、このものを置かなきゃならぬというふうには読めないと思うのですがね。というのは、第十一条の3に――これは条約のほうですよ、条約の十一条の3に、「追い越そうとする運転者は、危険を伴うことなく追い越すため十分な余地があり、」云々と、こうあります。そしてこの場合は、追い越したあとのことが書かれておりますが、「運転者は、追い越された車両、歩行者又は動物の進行を妨げないことを確認した上で、当該国で実施されている規則に従って右側又は左側に車両をもどさなければならない。」と、こういうことだけでありますが、二十六条の二項では、今度は、うしろの車に注意せいということなんですね。車間の距離を、あとから進んでくる車との間の距離を、追突や何かの事故を避けるために必要な距離を保たなきゃならぬと、こういうふうにつけ加えられるのが二項だと思いますが、この条約十一条そのものからすれば、私は、ここまで一体規定しなければならないのかどうかということが一つと、それから現行の二十六条ですね、これは、うしろから進む車、あとから進んで行く車が、前の車との間にいわば車間距離というもの、適当な距離を保たなきゃならぬと、こういう規定でございます。としますと、今度の改正によって二項が加わることによりまして、うしろの車もそういう距離を保たなければならぬし、また前の車もうしろの車との間にある必要な距離を保つような走り方をしなければならぬ。両方で今後、車間距離を、ある必要な限度において保たなければならぬという、前の車も、あとの車も両方の車が義務を負わせられるという、こういうかっこうになってきましたね。そこで第一点は、いま申し上げましたように条約との関係一つと、それから実際の問題として、これはむしろ現行の二十六条そのままで、うしろの車が前の車に絶えず注意をして、追突とか何とか、そういうことが起こらないようにやることがいいんじゃないだろうかと、こういうふうに思うのですが、そこら辺は、これは前の車にも一つの義務を負わせるのだということ、用心をする意味ではわからなくもないが、実際の問題となりますと、私はちょっとこれでは事故なんか起こった場合に、これは相当の罰則がかかっておりますからね、罰則等の関係で、これは一体どういうふうになるのか、そこら辺、ちょっと私は心配なところがあるものですから、二点についてひとつもっと説明をしていただきたいと思うのです。
  68. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 多少技術的な問題でございますので、私から説明さしていただきます。  御指摘の第一点でございますが、御指摘のように条約におきましては十一条の3に、後段のほうで「追い越した後は、運転者は、追い越された車両、歩行者又は動物の進行を妨げないことを確認した上で、当該国で実施されている規則に従って右側又は左側に車両をもどさなければならない。」こう規定してございます。これに対しまして、今回改正をいたそうとしております二十六条の二項は、追い越した場合に限らず、およそ進路を変更した場合に、後車と衝突するような距離で進路を変更してはならないという意味の規定をしておりますので、御指摘のように条約より若干幅が広くなっております。したがいまして、条約の規定の部分は、当然今回の改正の中に含まれるわけでございますが、わが国におきましては、それ以外に進路の変更の場合にもこういう危険がしばしば起こるものと考えられますので、両者あわせて二十六条の二項で規定いたした次第でございます。したがって条約の分はこの中に含まれてございます。  御指摘の節二点でございますが、現行の二十六条は、後車に車間距離の保持義務を探しておるという点でございますが、これは同一の進路上を進行している場合に限りそういう義務を課しておるわけでございます。したがいまして、今回の二十六条の二項の改正は、進路を変更いたしました場合の前車の注意義務でございまして、この場合は後軍は、自分の前に本来車がないと予想して走っておる、そこへ突然進路を変更して出てくる場合には、これはむしろ後車に義務を課するよりも、その進路を変更して前に出てくる車両に義務を保するほうが合理的ではなかろうかと、かように考えてこういう規定を設けた次第でございます。
  69. 鈴木壽

    鈴木壽君 現行法第二十六条の規定は、同一の進路を進行しておる車についての規定だと、こういうことで、第二項では、さらに今度は進路を変更した場合にも、新しくこういうふうに規定すべきだと、こういうお考えのようでありますが、前の車が進路を変更したこの二項の場合は、あとの車も進路を変更してその前の車についていく場合ですよ。そういうことじゃないですか。「車両は、進路を変更した場合にその変更した進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等」ですから、進路を変更した場合に、また前の車が変更したあとからその後の車がついてくる、こういう場合だと思うのです。私そういう理解のもとに疑問の点を出しておる。その点はいかがですか。
  70. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 多少法文が読みづらい点があるかもしれませんですが、この二十六条の二項の意味は、たとえば二台並んでおりまして右側の車両が左側に進路を変更した場合に、その左側を走っておる車両、こういう意味でございます。
  71. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうしますと、二項は、文章を変えなければいけませんじゃないですかね。「車両は進路を変更した場合にその変更した進路と同一の後方から進行してくる」――そうすると並んでおってこの市がちょっと前に出ているかもしれませんが、いずれこう回って左へやっていく場合に、あとの車との間の距離をある必要な――安全なという意味での「必要な距離を保つようにしなければならぬ」と、こういうことでございますね。
  72. 宮崎清文

    ○一説明員(宮崎清文君) そうでございます。
  73. 鈴木壽

    鈴木壽君 その場合に、私はやはりただ車が曲がるのじゃなしに、当然方向指示器なり手による合い図なりこういうものが必然的に伴うものだと思うし、伴わなければならない義務づけられておるものだと思うのですね。そうすると、やはりあとの車が前の車のそういうのを見て、何といいますか、車…の距離なりあるいは自分の車の進む方向なりというものに対する判断をし、それによって動くようなことをすることが、そっちのほうに重点を置くことが、私はいいのじゃないだろうか。実際車をやってみてそういうふうに思うのですが、そこら辺……。
  74. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) ただいま御指摘の点は、交差点で右折ないし左折をいたします場合、それから今回の改正によりまして、道路を車両が横断いたします場合には、あらかじめ道路の中央寄りとかあるいは左側に寄ることになっておりまして、その場合は、右側に寄る車あるいは左側に寄る車が合い図をいたすことになっております。これは交差点の右折、左折の場合にはそういう状態が非常に多いものと考えられますので、特に後車のほうに注意義務を課して、前車がそういう合い図をして右側に寄った場合あるいは左側に寄った場合に、進行を妨げてはならないと、こういう規定になっております。これに対しまして二十六条の二項は、一般に追い越しをいたします場合あるいは進路を変更いたします場合に、後車の前に突然に出て、出ることによる危険が実際的にも相当ございますので、それを防止するという意味で設けた規定でございます。
  75. 鈴木壽

    鈴木壽君 追い越しの場合には、追い越しの規定は、追い越す車並びに追い越される車それぞれ――ことばはあるいは適当じゃないかもしれませんが――義務づけられておりますね。追い越す車については、左側を通っておる追い越される車に対して、すぐその前に出てくるようなことをしないで、安全な距離を走った上で左側へ入ってくるというような一つの義務づけがされておるし、また追い越される軍は道路の左端をできるだけ走らなければならぬ。加速してもいかぬ。速度を早めてもいかぬと、こういうふうなのがありますね。私は追い越しの場合は、その車については、いまの規制なりあるいは今度やろうとするそれだけでいいと思うのですよ。これは二重に追い越すような場合のことを予想しているんじゃないか。二重という意味は、一つの軍がここにある、追い越す車がここにある、またそのうしろからその車に続いて追い越そうとするようなことを予想しておられるのじゃないか。しかし、これは実はこの法ではすぐ続いて追い越すようなことはこれは禁じられておりますね、いまのたてまえからしますとですね。だから、どう考えても何かこうちょっと、私この点についてまあ一般的な注意義務としてこういうふうなものをつけ加えてもいいと思うのだが、しかし、さっきもちょっと言いましたように、これは罰則がついておりますものですから、もしものことがあれば、一体うしろの車と前の軍の責任関係はどうなるのか。そこら辺で問題が起こりはしないだろうかということもありますし、実際問題としては、前の車にももちろん注意してもらわなければいかぬけれども、それに続くうしろの車が注意をし、あるいは現品の規定にあるように、車間の距離というものを安全な程度を保って走る、こういうことでいいんではないだろうかと思うのですがね。その点いかがですか。もう一度お聞きします。
  76. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 追い越しに関しましては、ただいま御指摘のように一般的に現行法の二十八条におきましていろいろ規定を設けております。この中で非常に抽象的に、できる限り安全な速度と方法で追い越しをしなければならないと、こういう規定になっておりますが、今回二十六条の二項で改正いたそうといたします部分は、はたしてこの抽象的な規定でいけるかどうかという疑問もございますし、また、条約でも同趣旨規定がございますので、さらにまた実際から申しまして、突然進路を変更して前に出てきたために事故を起こしておるようなこともございますのでこの際、そのような危険を防止するという意味で設けた規定でございまして、私たちといたしましては、決してむだな規定とは思っておりません。
  77. 鈴木壽

    鈴木壽君 むだな規定という意味じゃないのですがね。だから、一般的な注意をしなければならぬ、用心しなければならぬという意味では必要だとも思うのですが、たとえば車のバックミラーで、中のも、あるいは前のほうにそとについているものでも、車の鏡の構造、なんかからいっても、距離感覚というのは非常にむずかしいものです、と私自身はそう思いますね。非常に相当広範囲に映るようにできておりますし、レンズの場合なんか構造の性格から、距離感覚なり大小の判別というのは、なかなか普通のぼくらが目で見るようなものとは、あるいはフロントのガラスで運転手が前を見るそれとは違うのですね。ですから、そういうものに、何べんも言いますように、一般的な注意義務としてのそれを課することはいいのだが、さて、そういうふうに車間距離の保持についての義務づけをし、さらに事故等の場合には罰則のかかるというようなことの際に、何かちょっと私は実際問題として心配な点があるのですがね。  それからもう一つは、一番初めに聞いた二点のうちの一点、この条約の十一条の規定からは、こういうふうなものがなくたっていいのじゃないだろうかというようにちょっと思われたもの、だから、やはりこれは必要でしょうかね。
  78. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) いまの最初の御指摘の点でございますが、いろいろな場合がございますが、概して進路を変更して前に出ます場合には、その前段階としましては、並進をしているか、あるいは追い越しの途中で並進状態をしているか、どちらかであると思います。したがいまして、車両が真うしろにいる場合ではございませんので、御指摘のように、バックミラーその他で非常に距離の判断がむずかしいという場合は、それほどないと思います。  それから第二の条約との関係でございますが、これはわが国の道路交通法の体系から、追い越しの場合と進路変更の場合と一括とらえてございますが、かりに二十六条の改正すべき二項を、追い越しの場合だけに限定いたしますと、それはまさに十一条の三項と同じことになります。
  79. 鈴木壽

    鈴木壽君 これどうですかね。私、罰則が気にかかるのですがね。二十六条の一項には罰則かわりませんか、かかりますか。これはかかるでしょう。
  80. 宮崎清文

    ○一説明員(宮崎清文君) 二十六条の一項も罰則はかかります。
  81. 鈴木壽

    鈴木壽君 従来もそうでしたね。ただ項目の名前で、ちょっと改正によって違ってきたのですが、二十六条の一項にもかかる、二項にもかかる、こういうふうに理解すべきだと思いますが、その場合に、これはもし何か事故があった場合に、判断なり、なかなかむずかしいですね。
  82. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) ただいまの点でございますが、従来のいろいろな事故の例を見ておりますと、進路を変更する車が後車の直前にすぐ飛び出してくるという例が割合に多くて、そのために事故ができておるということで、名神高速道路のような場合におきまして、あれは追い越しでございます。あのときにおきましても車間距離の保持ということで事実上私どもが指導しておりますやり方は、必ず後車を見て進路に入れということを指導しておるわけでございます。そういう点で、過去のいろいろな違反、違反といいますか、事故の実例と、それから名神高速道路におきますところの最近の車両の通行の状況等を見まして、いま申し上げたような前車に後車との間の車間距離を保持する義務を課するということに踏み切ったわけでございます。
  83. 鈴木壽

    鈴木壽君 追い越しの場合は、追い越しのところの規定でいいでしょう。今度は特別な場所でない限り、車はみんな左側を歩かなければならない。並進ということはあまりありませんね。通行帯以外は並進ということは許されないはずですね。今度はそうしますと、かりに前の車が並んでいない。いわゆるほんとうの前の車、この前の車とうしろの車のこれは、さっきも言った現行の二十六条で、うしろの車が車間距離の保持を義務づけられている、かりに方向を変える、右なり左なり変えなければいかぬというときには、これは前の車がそれぞれの指示器なり手で合い図をするなり、そういう方法で方向を指示しなければならない。それに対してうしろの車が、それこそ何というか、しかるべくやらなければならぬということに私はなると思うのです。私はそれでいいのじゃないだろうかと思うのです。いま局長がおっしゃったような追い越しの場合に、並進の場合にひょっと入って来たというようなことは、これは特殊の場合じゃないとないでしょう。今度の改正によって私はそうなると思う。通行帯があり、あるいは特に指定した道路でないと、車は全部左側を歩かなければならないということになると思うのです。追い越す車だけが右側を通って行くのだ。そうして追い越しの場合には、またこうしなければならないという規定がありますから、ですから、ここの二項で予想されるのは追い越しではないと私は思うのです。追い越しに必要な規定だというふうにはちょっと考えなくてもいいのじゃないのでしょうかね。結局左側を通っている車は、前の車とうしろの車の関係というふうに考えざるを得ないのですね。私にはそういう頭があるものですから、はたしてこういう罰則のかかるようなものを置く必要があるだろうかという気がするわけなんですがね。たとえば追い越しの場合、あるいは今度改正によって、普通の道路では全部左側を通らなければならない、いわゆる並進ということは、私はあり得ないというような認識を基礎にしてものを言っておりますから、それがもし誤っているとすれば、これは直さなければいけませんから、その点をひとつ頭に置かれてお答えいただきたいと思います。
  84. 宮崎清文

    ○一説明員(宮崎清文君) 御指摘のように、今回の改正によりましてキープ・レフトの原則をとりますと、大部分の場合には、追い越しをいたしまして、追い越しした車がもとの通行帯に戻るときの問題かと思いますが、これも御承知かと思いますが、わが国の道路交通事情の特殊性から、一部キープ・レフトを適用しなくてもいい道路を予定しておりますので、そのような道路におきましては、先生のお考えで言えば例外的なことになるかもしれませんが、一応並進の事態も起こり得る、この場合は、その両方をとらえておりますので、追い越しの場合でなくて、車間保持の義務のところで規定いたしております。これは多少立法技術的なことでありますが、大部分は追い越しをしてもとに戻る場合の状態になるかと思います。
  85. 鈴木壽

    鈴木壽君 条約の第九条からきた第十八条なりまた第十九条なりの問題、特に十八条の問題ですが、これは日本で特殊的な事情等によって通行帯を設けている、あるいはその特定の場所に並進が許されるようなことがあると思いますが、その場合に必要だったら、通行帯のその許されている際に、一つの、まあいわば例外的な規定として、そのものにだけ適用される規定として、どこかにそれを書いておくというようなことをなさったらどうでしょうかね。いまの二十六条になりますと、一般的な規定になりますね。私は、こういうのはあまり例がないと思うのです。もしお話のようなことでしたら、追い越しは追い越しの場合に別の規定があるし、それから一般の場合には現行二十六条によって、後車に車間距離の保持の義務を課している、できなかった場合には罰則もあるのだぞと、こういうふうになっていますしね。何か重複して前車、後車双方にそういう義務づけをするほどの必要性は、私はないのじゃないだろうかと、こう依然として思うのですがね。ちょっと課長さんに、書くわけにもいかぬが、具体的にひとつどうなんだということで、何か物でも持って、何かやってみていただきたいと思います。
  86. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) さっそくいま図面を取り寄せまして、それで御説明申し上げます。
  87. 鈴木壽

    鈴木壽君 その点はあとでまたお聞きすることにいたします。  三士五条ですがね、この前もちょっと個人的にあなたからお聞きしておりますが、三十五条の三項であります。このいわゆる四つつじの場合ももちろん想定しておられるだろうと思うのです、ほんとうの意味で四つの交差点。この場合に、交通整理の行なわれておらないそういう場所、しかもそういう場所は都内だって相当あって、車がひんぱんに通るところがあるんです。いなかのほうへ行くと、いわゆる何々市というても、ほとんど交通整理の信号なんというのもあまり多くない所で、しかも車が相当通る交差点がある。その場合に、今度この新しい規定からしますと、三十五条の三からしますと、これはかえって動きのとれないことが起きやしないかというふうに思うのですがね。というのは、一方から来た車、それから向こうの左手のほうから入ってくる車。いま進んでいる車と、左手のほうから入ってきた車は、この車からすれば左のほうを先に通さなければいけませんね、入ってくる車を。そうすると、この車と向こうから今度一本きている、この関係からすると、その車よりもこっちの車は早く通さなければならない。四方において双方のいまの左先きの法則が適用されると、一体どっちがどう動けばいいかということも起こりかねないと思う。これは私は現に、麹町のあの電車道路の平河町寄りの一本上の通りで十字路があって、ひんぱんに朝なんか交差する点がある。紀尾井町の坂を上って道路に出てくる、麹町からも入ってくる、プリンス・ホテルからも入ってくる、それから半蔵門側のほうからも車が入ってくる。非常に毎朝のようにとまるところなんですよね。そうして中にはむちゃだと思われるようなもぐり方をして、まあ車をかわしながらすり抜けていくと、こういうようなことをしばしば私は見ておるのですが、これをもしやっても、やっぱりこういう事態が解消できないような感じがするのですがね。この新設でない三十五条の三項だけではさばき切れないのではないかと思うのですが、そこら辺どういうふうにお考えになりますか。これでうまくいくのだというふうにお考えになっておられるのかどうかですね、この点ひとつ……。
  88. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 三十五条の三項は、多少今回改正をいたすことにしておりますが、実はいま御指摘の問題とは直接関係のない改正でございます。これは車両の優先順位を交差点で働かせることを廃止しただけでありまして、実態は、ほとんど改正前と改正後と変わらないだろうと思います。  なお、御指摘のように、交通整理の行なわれておりません交差点に、同時に循環的に四方から車両が参りました場合は、これは観念上は御指摘のように四すくみになることもあろうかと考えますが、実態的にもそういう場合はほとんど聞いておりませんし、かりに相当量の交通量があるとすれば、これは公安委員会のほうで信号機を設置するなり、時間帯によりまして交通整理を警察官にさせる、こういうふうに考えております。  なお、御指摘の平河町の所でございますが、あれはいまちょっと道路工事をやっておりまして、そのためにいま特に混雑しているのではないかと考えますが……。
  89. 鈴木壽

    鈴木壽君 いまの三十五条のあれは、私ちょっと言い足りなかったのですが、改正によってそうなるのではなくて、優先順位のやつを取っただけでありますが、この規定からして、実際問題としてどうなるのかと、こういうふうにお尋ねしたかったのですが、その点はその次におきますが、これですね、私あげたのは、しばしば目にしておるところのそれをちょっといま申し上げたのですがね。道路工事や何かでないのです。電車道路のほうからも車が来る、それからプリンス・ホテルの都市センターの前も車が行く、それから紀尾井町の坂を上ってあそこに上ってくる、それから逆に半蔵門の側からやってくる、こういうことで、四方面の交遊点があるのです。そこにしばしば車の渋滞があるものですから、一本陰の通りですが、非常に最近利用する車が多いのです。そこで、そういう事態があって、それから、はて、いまのこういう規定から、何か不十分ではないだろうか、むしろ車の優先順位でも設けておいてやったほうがよくはないかというふうな気もしたのですが、しかし、それはそういう車両の優先順位、それをどうのこうのという問題ではありませんけれども、事実上としてそういう場合があるから、何かもう少し考えていかなければならぬじゃないだろうかと。それはそこに信号がついたり、整理の人がおったりすれば、これは問題はなくなると思いますが、いますぐというわけでもないでしょうが、私は、ほかにも都内にあるのじゃないかと思うし、いなかの町に行きますと、信号ももちろんなし、交通整理もだれもやっておらないという所で、いなかの町の繁華街みたいの所にこれは相当あるのじゃないかというふうに思ったものですから、そういうふうにいまお聞きしてみたところなんです。いまのところは私はそれじゃよろしゅうございます、いまの点は。
  90. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) それじゃ先ほどの件でございますが、現行の二十六条は、同一進路を走っておる場合においては、後車は前の車が急にとまったときに、これにぶつからないように距離をあけておけ、こういうことでございます。今回改正いたします二十六条の二項は、進路は最初異なっておりまして、これはこういう場合もございましょうし、先ほど御指摘のような、ここからこう追い越す場合でございますが、いずれにせよ、この車が進路を変更しようとする、その場合にうしろから来る車がぶつからないように十分間隔をあけて前に進路を変更しなさい、こういう規定でございます。したがいまして、同一の進路を進行しております場合は、いわばこちらのほうに進行の優先権があるというふうに私ども考えておりますので、後車に注意義務を課しております。この場合では、こちらのほうにやや優先権がある。後車に注意義務を課したいと、かように考えております。
  91. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  92. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 速記を始めて。
  93. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 御指摘の点も確かにあろうかと存じますが、現在の二十六条もそういうふうに抽象的に規定いたしております。また、しかしながら、この車間距離は結局両方の車――追い越しをする車、される車――それぞれのスピードと道路の状況その他で非常に変わっておりますので、一義的に規定することはできない。また逆に、運転いたします者は、大体口分の車のスピード、それから抜こうとする車のスピードが大体わかっておりますので、大体どれだけの距離をとれば安全であるかということは、大体運転手にはわかりますので、そのような規定を設けたわけであります。したがって、その点の御懸念はあまりないのではないかと思っております。
  94. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) 率直に申し上げまして、鈴木先生のおっしゃるような疑問につきましては、庁内で論議したときも確かにあったのでございます。その点について、実際の実務家といろいろ論議をいたしまして、この点についての踏み切り方をいたしたのでありますが、その際に一つの間脳は、やはり罰則の問題があるのでございます。ただしかし、私どもといたしましては、先ほど私が御説明申し上げたように、過去における事故その他の関係から見て、罰則を付することによってこれが確実に履行されるということを確保したい、こういうように考えて、こういう規定に踏み切ったわけでございますが、ただ、おっしゃるとおり、いろいろな問題があるかと思いますので、これらの点の具体的な運用につきましては、先ほど御指摘のあったとおり、確かに車間距離の問題とか、あるいはその他の問題については、道路の状況、あるいは天候、あるいはそのときの状況によって、いろいろ立証する場合においていろいろな問題があるかと思いますので、この点の運用につきましては十分検討をいたして慎重を期したい、こういうふうに考えておりますので、この辺でひとつ御了解をいただきたいと思います。
  95. 鈴木壽

    鈴木壽君 この罰則ですね。いわゆるぶつかったとかなんとかしたという場合に初めて罰則がかかりますか。それとも、だれか見ておって、その距離が適当でないんだと、こういうことで罰則がかかってくるのか。そこら辺どうですか。
  96. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) 実際の問題といたしましては、やはり具体的な事故の場合におきましてこの罰則が適用されるというふうに考えるのが一般的かと存じます。
  97. 鈴木壽

    鈴木壽君 私まだまだちょっとのみ込めないところがありますが、何べんも申し上げますように、罰則があって、前の車にもうしろの車にもそれぞれ義務づけられており、さらにいま言ったように罰則がかかっておる。ここで私は実は一番気にかかることがあるものですから、いま局長のお話にあったように、この規定をこれから運用するにあたりまして、ひとつ特にこの点について注意をしてやってもらいたいと思うんです。私は、くどいようでありますけれども、さっき申し上げたように、追い越しの場合は追い越しの規定だけで足りると思うし、同一の進路を同方向に進んでおる車の場合だったら、現行の二十六条、後車の車にそういう義務を課することによっていくべきが至当と思うし、それから、もし通行帯を設けておるところがあって、そこにこういう問題の起こる心配がある、こういうのでしたら、いわば例外的な規定としてどこかにやっておくほうが、ここで一般的な車間距離の保持の規定をするよりはいいんではないかと、こういうように思っておるんですが、いずれ意見意見として、さっき申し上げましたように、実際の場合にこれはいろいろ問題になると思いますから、今後特にこの点についてひとつ検討していただきたいと思います。  それから四十四条の駐車禁止の今度の改正でございますが、いままでは停車及び駐車を禁止する場所としていろいろあげられております。一号の「交差点、横断歩道、踏切又は軌道敷内」、今度軌道敷内は依然として残りますが、「坂の頂上附近、勾配の急な坂又はトンネル」と、こうなりましたのですね。そこで、これはふだん実際の問題としてあるわけなんですが、いわゆる「勾配の急な坂」ということになりますと、これはなかなか主観的な問題として普通の人はとらえるし、むずかしくなると思うんですが、こういう点については、何か特に注意するようなことでもなさるんですか。たとえばここはだめだというようなことでもしないと、標識あるいは何かの方法でやらないと、なかなかこういうふうな問題になりますとデリケートなことが出てくるんじゃなかろうかと思うんですが、そういう点についてはどのように考えておりますか。
  98. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) この「勾配の急な坂」を駐停車禁止にいたします意思は、十分御承知と思いますが、そういう所に自動車をとめておきますと、往々にして自動車が暴走する危険がある。したがいまして、逆に言いますと、そういう自動車が暴走する危険がある坂ということに相なりますが、一応私たち事務的に考えましたのは、大体傾斜の度合いが八度から十度以上というような坂がこれに大体該当するであろうと、かように考えております。ただ、御指摘の点は、一般の市民の方方にあるいはわかりにくい点があろうかと思われますので、この法律改正がもし国会で御可決いただきますれば、PRその他広報に十分意を用いたいと、こういうふうに思います。
  99. 鈴木壽

    鈴木壽君 勾配の急な坂に車をとめておくということになりますと、ともすれば車のブレーキがきかなくなって、はずれて事故を起こしがちなんですから、こういうものを今度加えるということは私は適当な措置だと思いますが、ただ、かりに八度から十度と言ったって、ちょっと一般の人ではなかなかぴんとこないわけです。ですから、こういう場所に停車をしちゃいかぬ、あるいは駐車をしちゃいかぬという何かの標識――単なるPRだけでなしに、そういうものがあれば、これは非常にお互い守るためにも親切なやり方だと思うし、守りやすくなると思うので、ひとつそういうことでも考えないと、お前ここはだめじゃないかと言っても、八度とか十度とかいっても、おかしなものだしね。これは問題が起こるんじゃないかと心配するものですからね。これは要望になりますけれども、ひとつそういうふうにしていただきたいと思うのであります。その点はいいでしょうね。これは公安委員会等の関係でしょうけれども、いかがでしょう。
  100. 宮崎清文

    ○一説明員(宮崎清文君) 御承知のように、この四十四条の各号に列記しております場所は、いわゆる法定の禁止場所でございますので、法に規定いたします道路標識を立てる必要はございませんが、御指摘の点もございますので、周知徹底につきましては十分に配慮いたしたいと思います。
  101. 鈴木壽

    鈴木壽君 いわゆる道路標識、広義の意味での標識にするか、ペイントで何かやっておくとか、道路そのものについてですね。あるいは、もし舗道なんかある場合、舗道との境い目に、いまもやっておられるような、ああいうふうな方法でもっていかないと、なかなか効果をあげることができないんじゃないだろうかと、こう思うんです。  今回の条約を批准することによって、国内法の手直しの問題でありますが、私は、いま一、二心配のような点もありますけれども、大体妥当なものだろうと思っておりますのですが、この機会に、道路交通の他の問題について、法文とは多少離れてまいりますけれども、若干お尋ねをしてみたいと思うのであります。  交通事故が依然として減らない。減らないどころか、むしろまたふえてきたというような傾向があることは、いただいた資料によってもわかるのでありますが、しかもその事故が、車と車の事故だけでなく、人間の関係において死傷者が依然として多い。これはまことに困った問題だと思うわけなのであります。交通法規あるいはそれによる取り締まり、これだけではとても現在の交通事故なり、そういうものを防止するというようなことは、これはいわば不可能だと、私は現在の時点では、そういうような状況になっていると思うのであります。しかしこれは放置できる問題でもなし、あらゆる面から交通事故の防止、撲滅について、これはほんとうに真剣に取り組まなければいけないことと思うのです。三十五年にこの現行道交法ができた際に、ずいぶんそのころにおいても交通事故の問題で、いろいろ当委員会におきましても論議がありましたし、また、それについての対策等についてもいろいろ質疑なんかがかわされておりますが、道路交通法が三十五年にできました際に、いま一言った交通事故防止というような点を含めて、幾つかの附帯決議がつけられているのでありますが、まず最初に警察のほうからお聞きしますが、附帯決議につきましては、私がいまさら一々読まなくてもいいと思うのですが、十分御承知だと思いますが、これについて、まず参議院の地方行政委員会でつけました附帯決議のうち「交通関係行政の連絡調整を強化し、総合的施策の策定推進を図るため、内閣に法的根拠に基く強力な審議機関を設置すること。」こういうことが第一に述べられているのですが、あなた方の立場から、これがどういうふうにその後行なわれてきているのかということについて、ひとつ長官からお答えをいただきたいと思います。なお、大臣のほうからもひとつこの問題についてお答えをいただきたいと思います。
  102. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 非常に微細にわたって専門的な御意見を承りましたが、ただいま御指摘になりました道路交通法案に対する附帯決議が昭和三士五年三月にされましたものを手元に持っておりまして、私もよく承知しております。さらにそれに関連いたしまして、警察法の一部を改正する法律案に対する附帯決議、これは昭和三十七年の三月に同じように当委員会で決議をされております。この決議をその後どう扱ったかということについての御質問と考えますが、政府は、御案内のとおりに、すでに臨時交通関係閣僚懇談会及び交通対策本部を設けまして、これらを中心に陸上交通の混雑緩和対策及び交通事故防止対策に関する総合的な施策を推進するかたわら、総理府に交通基本問題調査会を設けまして、将来にわたる根本的な交通対策を樹立するため基本的な事項について検討をお願いいたしまして、先ごろ答申を得たところでございます。警察におきましても、従来から交通安全思想の普及徹底だとか、交通安全施設の整備並びに近代化、交通警察体制の整備などにつきまして所要の施策を積極的に推進してまいりましたが、なお不十分な面もありますので、今後もさらに予算上、法律上の措置について格段の努力をいたしまして、この附帯決議の趣旨に沿わなきゃならぬと考えております。前大臣の早川君も、この交通事故を半減するという一つの目標でずいぶん努力をされたようでございまするけれども、まことに残念ながら、半減どころか、最近は昨年を上回るというふうな状態になっておるわけでございまして、いろいろ原因もございましょうけれども、なおわれわれといたしましては鋭意研究を進めまして、一日もすみやかに、半減とまではまいらぬけれども、前年よりこれを少なくするという努力を傾けてまいりたいと考えておる次第でございます。
  103. 鈴木壽

    鈴木壽君 総務副長官が出られておりますが、総務長官が交通対策本部の部長でございますか。何かそういう立場に立っておられるはずでございますね。
  104. 古屋亨

    政府委員(古屋亨君) ただいまお尋ねになりました交通対策本部でございますが、これは三十五年の十二月に閣議決定によりまして総理府に設置されたものでございます。そして、その本部長は、お話のように、総理府の総務長官でありまして、副長官が副本部長、関係各省の次官が部員となりまして、そのもとに部員を補佐するために幹事を置きまして、幹事は関係行政機関の職員で、本部長の指名した官職にある大体関係各省の局長でございます。そういうような構成になりまして、本部の庶務は総理大臣官房において処理いたしておる次第でございます。
  105. 鈴木壽

    鈴木壽君 このいわゆる強力な審議機関とか調整のための機関というようなことにつきましては、これは参議院のこの地方行政委員会あるいは衆議院のほうの地方行政委員会、まあどっちの委員会においても同じような趣旨の決議がなされております。ただ、参議院の場合には、法的な根拠に基づくものを、強力なものをつくれ、こういうような表現をいたしておるわけでありますが、私どもこの際に考えましたことは、各省の関係の人たちが集まっていろいろなことをなさる。そこで、その本部できまったことを実際に実施するのは、また各省へ戻ってばらばらな形で行なうというようなことが従来のあり方であったものですから、それでは、いわゆるほんとうの意味での交通対策あるいは事故防止対策、こういうような問題になりますと、なかなか強力な手が打たれないのじゃないだろうか、こういうことで、もちろん実施機関ということまではいかなくとも、相当な力のある、規制力のあるそういう審議機関でなきゃならぬというような意味で、法的な根拠に基づくものがそういう場合には必要であろう、こういうふうな考え方でやったのですが、まあ法的な根拠というようなことになりますと、いまの交通対策本部では、別に法に基づいたそれではなかったわけなんですね。さっき大臣が答えられました基本問題調査会は、これは設置法に基づいた一つの機関として設けられたのでありますが、この対策本部そのものは、別に法的な根拠というようなことではなかったと思うのですが、その点はいかがでしょう。
  106. 古屋亨

    政府委員(古屋亨君) お話のとおりでございまして、交通対策本部は、閣議決定によりまして従来の交通事故防止対策協議会を廃止いたしまして、交通対策本部を設置したのでございます。  少し経過を申し述べさせていただきますと、交通対策本部が三十五年にできましてから、あの当時問題でありましたダンプカーあるいは砂利トラックの事故防止の問題、あるいは地方における各都道府県の交通対策協議会を設置するという問題、時差通勤通学の実施の問題、それから交通安全運動を全国的に実施する問題、あるいは都内の交通混雑の緩和対策あるいは年末交通対策等につきまして、本部での決定をいたしまして、それを実施官庁において実施をしてきたのでございますが、御承知のように、連絡調整をやっておりましても、なお交通問題は事務的レベルの話し合いによりましては解決困難なものが多いのでございますので、交通関係の閣僚会議というものによりまして、高次の立場から問題を取り上げまして、対策を強力に推進することを目的といたしまして、三十六年の十二月に、内閣に臨時交通関係閣僚懇談会を設置いたしたのでございます。この懇談会は、法務大臣、大蔵大臣、通産大臣、運輸大臣、建設大臣、自治大臣、国家公上安委員長、行政管理庁長官、科学技術庁長官、官房長官、総務長官をもって構成をしておるのでありまして、構成員以外の国務大臣も、必要に応じて懇談会に出席しまして意見を述べることになっておりまして、この懇談会の庶務を、先ほど申し上げました交通対策本部におきまして処理するように、それ以後は実施をしておるのでございます。懇談会は、しばしばその後会合を開きまして、交通問題を検討し、交通混雑緩和対策といたしまして、たとえば都内の道路整備の促進、また、国有未利用地を駐車場へ転用する問題、それから自動車の保管場所の確保に関する法律の制定の問題、あるいは車種別、時間別の交通規制の実施の問題、自主規制を促進するという問題、特に年末におきまする交通混雑緩和特別対策、あるいは交通情報センターの強化というような問題につきまして検討し、あるいは実施をしてまいったような次第でございます。それで、こういうように閣僚懇談会を開催いたしまして、交通対策本部として活動いたしますと同時に、高度の見地から閣僚懇談会において協議された事項の庶務部局として活動してまいったのでございますが、先ほど先生のお話で、基本問題調査会を設置するという問題がございましたので、三十七年の六月に、法に基づきまして、総理府設置法によりまして、総理府の付属機関といたしまして交通基本問題調査会の設置を見ました。長期的、総合的対策をここで調査審議するために、総理大臣の諮問機関として基本問題調査会を設置をされまして、委員が二十名からでございまして、何回も会合を開きまして、総理大臣からこの調査会に対して、わが国の陸上交通に関する総合的施策について諮問をしました。これに対して調査会は、全国的な交通体系の整備の問題、大都市地域における交通難の解決の問題、交通安全体制の確立の問題等に分けまして、部会制度によりまして審議を進めまして、三月の終わりに答申をいただきました。この期間は三月三十一日までの期間でございます。いただきまして、現在、その答申を印刷して一両日中に印刷が完成をすることになっております。
  107. 鈴木壽

    鈴木壽君 従来も政府でいろいろ交通問題、特に事故防止のための対策が講じられてきておるのでありますが、さっき大臣もお話しになったように、さっぱり――さっぱりということばは少し言い過ぎかもわかりませんが、なかなか効果があがらない。これは一がいに責められるべき問題でもないのではないかと思うのですが、日本のいまの状況、それと最近の自動車の数の増加など、いろいろ原因があるわけでありますが、しかし、いろいろなそういう問題、特に道路の容量をもっとふやすというような問題につきましても、ほんとうに抜本的な対策を講じないと、こういう大都市における交通状況というものは、これはもうどうにも動きのつかないものになってきていると思うのですね。そこで、そういうことを実際にやらせるためにも、さっきもちょっと触れましたが、内閣に置く審議機関なり調査機関なりというものは、単にそういうものだけでなしに、もっと各省にわたってのいろいろな仕事の分野があるのですが、そういうものを強力に推進させるような、そういうものを内閣の責任においてやるというようなことでないと、なかなか効果があがらない。いつまでたっても、この問題は繰り返し――繰り返しどころではない、ますますもってひどくなるというような状態になってくると思うのであります。  それで、私の考えることは、今回の、先ほどお話がありました交通基本問題調査会の答申は、なかなかいいことをたくさん書いてある。いいことと言うと失礼な言い分ですが、りっぱなことが書いてある。しかし、これは一体、答申を受けた政府がどの程度本気になってやっていくかということについては、これは答申が出たばかりでありますから、いま、にわかにと言っても無理かもしれませんけれども、どうも私どもは、従来のそれからしますと、心配な点があるわけです。で、あなたは立場上あるいはどういうふうにお答えできるか、ちょっとわかりませんが、大臣もおられますが、この答申を受けて、政府が一体どう具体的にこの答申を生かしていくように施策を進めていくかということが非常に大切な問題でございますから、それについても、いまの段階では、あるいはこれは政府全体の統一見解というようなことにまでも至らないかもしれぬけれども、ひとつ大臣の立場、あるいは古屋さんのほうの立場から、お述べいただきたいと思うのです。
  108. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) なかなかむずかしい問題でございます。先ほど法的根拠のある機関をつくったかということでございます。なるほど三士五年の附帯決議には、明らかにちゃんとそういうふうに要求されておるわけであります。それに基づいて、先ほど申しましたようないろいろな機関を閣議決定その他でつくったわけでございますが、法的根拠を求められるのには、いろいろ理由があるのじゃないかと考えます。ただいま御質疑になりましたことから拾いましても、その内容がうかがえるわけですが、私もやはり懇談会のメンバーでございますので、言うまでもなく、広く各省に関係があるわけでございますので、この問題は、実効があがっておりませんから、さらに突っ込んで真剣に検討を加えなければならぬと思います。ただしかし、大部分はやはり取り締まり当局の責任にかかってくると思う。そうすると警察関係になりますので、警察は警察でまたひとつ意を新たにして、もっと具体的に取り締まりの面から交通事故を防止していくという対策を積極的に進めなければならぬということを痛感し、いまでもいろいろ努力をしている最中でございます。ただ道路の容量、道路幅をどうせいとか、あるいはどんどんふえていく車両ですね、これをどう扱うかといったような問題につきましては、いま私直ちにお答え申し上げるわけにはまいりませんけれども、やはりこういった当面した問題を解決するためには、総合的に努力をしなければならぬということは、私も痛感をいたしております。
  109. 鈴木壽

    鈴木壽君 いや私はもっと具体的にお聞きしますが、今度の基本問題調査会の答申を見ましても、さっきもちょっと申しましたが、長期にわたっての、しかもまた、相当具体的な点について答申が行なわれておるのであります。そういう意味で、私はりっぱな答申だと思うのですが、この答申の趣旨をどう政府で生かして、実際の施策として具体化していくかということが私は問題だと思うわけなんであります。いままでも、たとえば安全対策の措置として踏切の改良あるいは立体化というような問題、保安設備の問題等いろいろやられてきた。しかし踏切事故というものは、一向に減らない、むしろ非常に最近心配なような事故が起こっておると思うのであります。こういうふうなことであっては、ばらばらな施策をそれぞれの立場においてやったにしても、十分な効果をあげることができないだろうと思うのでありますが、そういう意味で具体的なこの答申というものを、ほんとうに総合的な立場において実施していくのだ、こういうことが私必要だろうと思うわけなんです。特にいわゆる交通の安全という問題ですが、この答申には非常にこの問題を私は重視して取り上げて出ておると思うのでありますが、こういうことも単に取り締まりとかなんとかということだけでなしに、ほんとうに根本的な一つの、総理のことばを使って言えば、画期的な一つのそれをやらなければならぬ、こういう段階になってきていると思うのであります。そういう意味で、ひとつもっと、これから一生懸命やるということでなしに、何かの政府のお考え方をこの際はっきりお聞きしたいと思ったのですけれども、しかし、これはさっきちょっと触れましたように、答申が出たばかりでありますから、おそらく閣議でもこの扱いをどうするかというようなことについては、十分話し合いをなされておらないだろうと思いますから、ですが、ただ、ひとつ私はここで答申で大臣ももちろんごらんになっていると思いますが、交通事故の防止のために非常にはっきりした考え方が述べられておる。まあいろいろ事故が起こる、こういうことに対してこれは何として防止していくかということについて、「政府は、いやしくも福祉国家を目ざす以上、この際従来の考え方を根本的に改めて、人命の尊重がなにものにも優先するということを確認し、あらゆる施策の立案にあたって安全最優先の原則を貫くべきであり、」と非常に従来のこの種のいろいろなそれの中には見ることのできないような、非常にはっきりした考え方が中心になってこの答申ができておるのですね。こういう点について、政府として、あるいはまたこれに非常に関係の面の多い担当大臣として、今後の心がまえといいますか態度といいますか、私はそういうことについてひとつ御答弁をいただきたいと、こういうふうに思うのですが……。
  110. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) この問題に対処する心がまえといいますか、決意と申しますか、これは私は大切なことであると思います。その態度によりまして、やはりそれは事故の防止に大きな影響があると考える。ただ物理的に危害を予防するために踏切をつくるとか、あるいは立体交差にするとか、これはまあ交通の繁閑はありまするけれども、端から手はつけていきつつありまするけれども、なかなか目下の状態ではこれが急速に全国で実現できょうとは思いませんし、また踏切のごときは、だいぶ進んでおるようであります。警報器をつけたり、いろいろなことは運輸省でやっておるようでございます。また取り締まり当局といたしましては、先ほど申しましたように大きな部分はやはり警察の交通取り締まりの考え方自体に大きな関係があるわけでございますが、基本的には、やはり一般の人に交通道徳と申しますか、とにかくやはりいま何せ忙しい時代ですから、みんなそわそわしておると申しますか、何か注意力が足りない点もあるのではないか。やっぱりこの交通安全週間とか、いろいろなものを設けて指導啓発につとめますけれども、なかなか実効があがらぬので、がっかりしておるわけでございまするけれども、これはまた名案があったら私のほうでまた伺わなきゃならぬ次第ですけれども、とにかくせっかくこういう答申が出ておるわけでございます。その精神は、言うまでもなく尊重いたしまして、端からとにかく事故絶滅を期して努力をいたしたい、かように考えております。
  111. 鈴木壽

    鈴木壽君 ここで抽象的なことを申し上げるようなことで恐縮ですが、これからのいろいろな対策にあたって考えなきゃならぬやっぱり大切な問題だと思うのですが、この答申の中にこういうことがあるのです。いま大臣がおっしゃったように、注意力とか、あいは関心とかというものも、忙しい時代になりますとなかなかたいへんだと、PRなんかやってもそれをうまく受け入れてもらえないような世相のこういう中で困難があるというお話ですが、その答申の中に、「人間の注意が、事故を防止する根本要件であることは明白であるが、人間の注意力にも限度があって、」と。だから注意力とか、あるいは義務とかなんとか、そういうことだけでやられないいろいろな諸条件が日本にはあるんだからということをここに言っているわけですね。私は、やっぱりいまの時点では、大臣のお述べになったこととも関連して考えていかなければならない一つの限度があるということを前提に、いろいろな施設なり施策というものをやっぱり考えていかなければならぬ。人間がその注意力を持つことを、何と言いますか、否定するのはもちろんそれはいけませんけれども、そういうものに期待をしながらも、しかし人間の注意力には限度があるということを前提に、事故防止についてのいろいろな効果のある対策というものをやっぱり考えていかなければいけないいまの段階だというふうに私も思うのです。ですから、これは、きょうはあまり時間もないので、実はここに答申されておりますいろいろな項目についてもお聞きしたいことはたくさんございますけれども、きょうはまあやめますが、何といっても、やっぱりいまの日本における交通問題――交通問題というよりも、事故防止の対策が緊急な、重要な事項として取り上げられていかなければならぬと思うのであります。ひとつ古屋さん、あなたのほうでいろいろいままで、たとえば砂利トラックとかダンプカーの対策とか、いろいろなことをやっておる。一体どの程度に効果があったということをあなた方考えておられるのですか。
  112. 古屋亨

    政府委員(古屋亨君) 効果の点からいたしますと、ただ抽象的に効果があった、なかった、こういうふうにして成果があがったということを立証的に申し上げることは非常にやはりむずかしゅうございますが、私どものほうとしては、関係各省の連絡調整という機関でございますので、この交通対策本部におきまして、先ほど申し上げましたように、最初は特に重点的ということで砂利トラック、そういうものから始まったわけでございますが、これをやりましてあるいは都内の大型トラックの自主規制ということをやりまして、そのやりました、瞬間におきまして、たとえばいつからやるということをPRをいたしまして、やりましたその当座におきましては、数日前とは相当変わっておるという様相を見受けるのでございますが、ただ、時間がたちますと、やはりいろいろの、それはプラス・アルファするようなケースが起こってまいりまして……。効果があったということは申し上げられると思いますが、しからばどういう根拠でどういうふうになったか、数字的根拠というものは、私のほうの総理府側として申し上げることは非常にむずかしゅうございますが、ただ、何と申しましてもこういう問題は、私のほうは、一般の関係官庁のこれに対する何といいますか、体制というものを一体として整備をしてものを進めていかなければならないと思っております。したがいまして、対策本部といたしましても、閣僚懇談会の設置に伴いまして、特に年末等におきましては警察庁を中心に、警察の方々を中心に関係各省が協力いたしまして――たとえば通産省関係は荷主関係、御承知のように非常に都内におきましても交通の非常に渋滞になるような町で荷おろし等が行なわれるところもあるようでございます。こういう場合の、どういうふうにするかという問題につきましては、交通対策本部におきましても、本部長とともに現場を督励して、ことばが、督励と申して悪ければ、現地に参りまして、その実態をよく把握いたしまして、再びそれを持ち帰りまして、対策本部として施策について反省を重ねておるというような事情でございまして、数学的にこうと申し上げることは非常にむずかしゅうございますが、熱意を持って何回も繰り返してこういう事態に対処していかなければならないという決意をもってやっておるような次第でございます。
  113. 鈴木壽

    鈴木壽君 いまのいろいろお聞きしたことにつきまして、たとえば特にこの答申に対する政府の受けとめ方、こういうようなことにつきましても、いずれ後日機会をつくっていただいて、またよくお聞きしたいと思いますが、附帯決議の中で「交通に関する行政処分等についての苦情処理機関の設置につき検討を加えること。」というのが衆参両院の地方行政委員会で同趣旨のものが決議として上がっておるわけなんで、これについて警察庁のほうは、どういうふうに現在のところやっておられるのか、こういう問題について…。
  114. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) この行政処分の問題につきましては決議にございます「行政処分等についての苦情処理機関の設置につき検討を加える」その前段階といたしましても、行政処分を適正にやるということがきわめて大切でございますので、行政処分のやり方につきましては、たとえば全国的な水準を統一する、調整をするような基準を設けて適正を期する、あるいはそれぞれ都道府県の各警察の機関等に行政処分の適正並びに統一化とというような観点から、行政処分の処理をする組織機構を整備をするというような点について、いろいろ努力をいたします。さらにその結果出ました行政処分に対するいろいろな苦情処理の問題といたしましては、府県警察本部あるいは警察署等に交通相談所というような、いわゆる交通に関する相談業務というものを充実をしていく、あるいは交通安全協会、交通全般に関するいろいろな問題をやるというようなことの一環といたしまして、特に行政処分につきましては警察署及び本部に交通相談所を設ける、あるいは苦情処理係というようなものを貫いて、いろいろと苦情処理をいたしておるわけでございます。  なお、昭和三十七年の十月に行政不服審査法というものが施行されまして、運転免許に関する行政処分と、その対象になりましたいろいろな問題につきましては、いろいろと不服審査の問題もございましたので、これの処理の適正ということについては、十分われわれといたしましては運用に遺憾のないというふうなことを期して処理をいたしておる次第でございます。
  115. 鈴木壽

    鈴木壽君 局長さん、いまの苦情処理の機関でありますが、その前のやはり行政処分等についても十分に配慮をやっておる、苦情処理の問題についても現段階では遺憾のないようにやっているつもりだと、こういうふうにおっしゃったというふうに聞いてよろしゅうございますか。
  116. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) ええ。
  117. 鈴木壽

    鈴木壽君 その次の、安全運転の一般原則に関する基準について、何か規定をしたのがございますか。
  118. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) これは私が着任する前、前局長のときに安全運転の基準と、それぞれの違反の事例というようなものを内容といたしました安全運転要綱というような――これは案でごさいますが――ものをつくりまして、各都道府県警察に通達をいたしておるようでございます。  なお、その他運転者向けのパンフレットあるいはその他のいろいろな安全運転の問題につきましては、安全協会等からもいろいろとパンフレット、資料等が出ておりますが、ただ、この問題につきましては率直に申し上げまして非常に技術的な問題についてさらに検討を要する問題がありますので、今後ともに安全運転の一般原則に関する基準というものについては十分努力をして考えていきたい。この前もほかの委員の御質問にお答えいたしましたが、何と申しますか、英国等でやっておりますハイウエー・コード、これに類するようなものをつくりまして、たとえば交通安全ルールというようなものをつくりまして、この秋の交通安全運動を期して、できるだけの充実を期していきたい、こういうふうに考えております。まだまだ私どもといたしましては努力を要するものが相当たくさんあるかと思っております。
  119. 鈴木壽

    鈴木壽君 自動車教習所の指定基準の問題ですが、これは四十年一ぱいのあれですね、この法ができてからの政令に定めた基準、それに適合しないものは。しかし四十年一ぱいまではいわば猶予期間といいますかというようなものがあるというふうに思ったのでありますが、その点が一つと、それからいま一つ特に既設の都会地の狭い教習所、これは四十年一ぱいですから、そのときになってどういうふうになるか、いまから心配しなくてもいいかもしらぬけれども、こういうふうな問題について、何か現在指導とかあるいは用地の拡張なり場所の移転等による基準に適合した土地を得てやるというような、そういうことについて、直接何かあなた方が指導の面でタッチしておられることありますか。
  120. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) その点につきましては、特に該当するものは東京都に多いのでございます。東京都の指定教習所の協会がございまして、この指定教習所の協会の幹部と私どもいろいろ検討をいたしております。そこで、それぞれこの所属する指定教習所で、いわゆる施設的な基準に合わないものにつきましては、それぞれの指定教習所におきまして、いろいろ基準に合うような施設の獲得とかいう点について、いろいろ努力をいたしておりますが、どうしてもその努力をいたしましても施設を獲得できないというものにつきましては、現在いろいろしぼって考えまして、とれをいかにするかということで、具体的に個々別々について、私どもといたしましては指導をいたしておる次第でございます。
  121. 鈴木壽

    鈴木壽君 特に私心配なのは施設の面積の問題ですね。たしか政令では八千平方メートルということになっておると思いますが、都内の私ども二、三のところを見て知っておるところでは、その半分に達しない、こういうようなところもなきにしもあらずというような状況ですが、これをあくまでやはり私は政令で示したそれを守るべきだと思うんですが、しかし、実際問題としてこれはなかなかむずかしい問題も出てくるのじゃないかというふうに思うんですが、こういう問題については、四十年一ぱいで土地の問題が解決ができないといった場合に、端的に教習所の指定というものを取り消すとかなんとかいうようなことも出てくるんじゃないかと思うんですが、そういう点いかがです。
  122. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) その点につきまして、従来この基準が厳格に適用されるということを考慮に入れて、たとえば東京都内にあって適格でないと思われるものについては、三多摩その他の所要の所に土地の買収をして移ったものもあるわけでございます。そういう点から申し上げますと、すでに移ったものも相当ございますし、あるいはこの施設の基準に合うように土地の拡張をいたしたところもございますので、一応現在といたしましては、従来そういう措置をいたしたものと、全然措置をしないものとの間に不公平があってはならないというふうに考えております。ただ、しかしいろいろな問題点がございまして、特に都内のいわゆる施設基準に合わないような地域にあるところは、実際から言うと需要が多いのでございます。そういうような点を勘案いたしまして、これをいかにして処理するか、特に従業員等の問題もありますので、この点については、個々具体的に考えていきたいと思っておりますが、先ほど申し上げたように、前に移った者は損をしてあとまでがんばっておった者が得をするということがないようにいたしたい、こういうように考えております。
  123. 鈴木壽

    鈴木壽君 附帯決議には直接関係しないことなんですが、車両の制限令が、今度、八月からいわば全面的に実施されるということになっておるのでありますが、都内等においては、そうなったらたいへんだというようなところもあるやに聞いておるし、しかしこの問題ですね、やはり交通安全の立場から、私ども制限令に沿った措置をやっぱり続けていくべきだというふうに考えておるのですが、こういう点について、実情を何かお調べになっておられるかどうか。もし、そういうことにつきましての実情、あるいはそれから起こるいろいろなあなた方の見方、そういうものがございましたら、この機会に聞いておきたいと思うのですが、いかがでございますか。
  124. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) この車両制限令の問題につきましては、関係いたしますところの運輸省それから建設省それから私のほう三者で、それぞれ具体的にいろいろ検討をいたしておったわけでございます。各都道府県におきましては、それぞれの三者、公安委員会と、陸運局、それから建設省の都道府県出先というものが、三者がそれぞれ車両制限令の協議会をつくって、実際問題の処理に当たっておったわけでありますが、率直に申し上げて、必ずしも現状の把握というものについて十分ではなかったと、先般――だいぶ前になりますが、中央におきまして、建設省の道路局、運輸省の自動車局、警察庁の交通局、三者集まりまして、この点については政令の施行を延期しないという原則に立ちまして、いま一度具体的な問題について調査をするということで、現在、それぞれの機関を通しましてそれぞれの立場から調査をいたしておるわけでございます。一番調査の進んでおりますところは東京都でございまして、現に東京都におきましては、都庁と東京陸運局とそれから警視庁の三者において、具体的な路線を、十何路線だと思っておりますが、それぞれ検討をいたしまして、これをいかに処理するかという具体的な問題になっておりますので、東京都の処理の例を、まあおそらく全国的な一つの処理の基準になるかと思いますが、そういう点でいろいろ検討をして調査中でございます。
  125. 鈴木壽

    鈴木壽君 私は、いまの車両制限令で、いろいろ今度その路線にバスが走れないとかなんとかということになるところ、これの扱いについて、制限令をゆるめるということについては、原則的にすべきじゃないと思うのですが、ただしかし、実際の利用しておる住民といいますか、利用者といいますかね、こういう方々のいわば利便というような点からいいますと、これは簡単にこのままで押し切っていいのだというふうなことにもちょっといきかねるような心配も実はあるわけなんですね。しかし、それは何とか、たとえば車の大きさをもっと小さいようなものにしていくとか、あるいは路線の多少迂回とかその他の方法によってやっても、基本的にはそこの人たちの足を確保してやるというような形においてやるべきじゃないだろうか、こう思っておるのですが、これは非常に私はむずかしい問題だと思いますね。特に、あなたもおっしゃったように、東京都内に十何カ所というような問題、まあ個々のその個所についていろいろこれから検討していこうということなんでありますが、原則としては、さっきおっしゃったように、制限令をゆるめるということについては考えておらないと、こういうことでございますね。
  126. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) いまの問題について、原則はそのとおりでございますが、ただ私どもは、原則論で延ばせ、あるいは、原則論で延ばせないというようなことをやっておりましても、事態は解決できないという認識に立っているわけでございます。この車両の制限令の適用の問題は、その路線の、路線を廃止するか、あるいは道路を拡幅するか、あるいは道路に退避場等をつくるか、あるいは一方通行の措置をとるか、あるいはいま御指摘の迂回路を通るか、あるいはバスを小さくするかというような問題があるわけでございます。現在の一応の見通しを申し上げますと、バスを小さくするということについては、相当の難色があるようでございます。バスを小さくした場合においては、小さくしたバスを何回かまた運行しなければならない。いろいろな問題があるかと思います。これもしかし真剣に検討すべき事項でございます。それからしぼられた段階におきましては、道路の拡幅という点については相当のむずかしさがあるようでございます。ただ、一部のところに退避場をつくるという問題、あるいは一方通行の考え方をもう少し徹した考え方をするというようなことで、もう少し具体的に掘り下げて考えてみたらどうだろうか。そこで、原則として制限令をゆるめるという考え方には立脚しておりませんけれども、もう少し個々具体的に、もう少し実情を調査いたしまして、やはり住民の利便というものを考えなきゃなりませんので、そこのあたりの総合調整、妥協点をどこに求めるかという点が非常に具体的にむずかしい問題だと思いますので、個々別々に実情を調べ上げまして、個々別々に、むしろ政令適用について検討したほうがいいんじゃないだろうかというような考え方も私どもは持っておりますが、さらに十分関係省庁において検討いたしたい、こう考えております。
  127. 鈴木壽

    鈴木壽君 車両制限令の、そのもののねらいじゃないんですけれども、車両制限令を出す場合に、何と言いますか、こうありたいという、その期待と言いますか、そういうものも一つあったと思うのです。それは道路の状況をいつまでもこのままほって置くということじゃなしに、道路の、大ざっぱなことばで言いますと、改良と言いますか、拡幅なり、いろいろな形において道路整備を一方にやりながら――やりながらと言うよりも、むしろそういうものを期待しながらやっていかなければ、一方的な制限ということだけではいけないという考え方が私はあったろうと思うし、それをまたいまの日本の交通の、いろんな問題の事故等の問題を考える場合に、当然それは期待されていいことなんだと思うのですね。ただ、いま問題となっているようなところ、拡幅といってもなかなかこれはたいへんだと、あるいはまた金の面でも、これは都の場合には、そういうところに金が回っていかぬといり事情もあったようでありますね。たとえばオリンピックのために、主要な幹線道路なりそういうもののほうに金が食われるために、当初考えておったそういう道路の手直し等においての予算措置というものができなかったという事情もあるようであります。しかし、なかなかむずかしいのでありますけれども、当時、制限令を出す際に、まあいろいろこれは問題になった事柄、そういう実は心配されたような事柄が、いまにして出てきているということなんですが、やはり考え方としては、この規制令というものを、車両制限令というものをやはり八月から実施するのだという、こういう前提で、もう時期的にあんまりひまがありませんからね。早く具体的な、土地の事情なり条件なりというものを考えて、それはまあ一方交通で片づく場合もあるかもしれませんし、一方通行でも片づかないようなところもあるのです。実は一方交通ですら、この制限令に規制されたようなこういう幅を持っておらないように見えるところがあるのです。私ども一々はかったわけじゃありませんけれども、そういうところもあるのだし、これは早急に検討をして、一方には住民、利用者の利便ということも考えながら、この問題をあまりごたごたしたかっこうでなしにこれはやっていかなければならぬと思いますから、その点ひとつ要望みたいなことになりますけれども、お話の筋からいっても、そういうことは十分考えておられるようでありますから、それに期待をしながら申し上げておきたいと思います。  それから交通のいろいろな渋滞でひとつ考えなければならぬと思うことは、私都内のことをいま言っておるのですが、バスなんかをもう少し優先させるようなことを考えてみたらどうでしょうか。そういう点について何か御検討していませんか。いわゆるほんとうの通勤その他でバスを使う、特に私は通勤時あるいは帰りの時間、そういうもののバスの運行についてもっとこれはスムーズにいけるような方法を考えてもらう。これは今度取れますような車両の通行の優先権、しかし何らかの措置でそういうものを考えていくべきではないだろうかと、こういうふうに思っているのですが、その点何か検討されておりませんか。
  128. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) この問題は、いわゆる大量輸送機関としてのバスという見地に立ちますと、いわゆるバスの優先通行ということについて非常に要望があるわけでございますが、また反面、いろいろな他の面から見ると、バスが横暴ではないか、こういう議論もあるわけであります。しかし私どもといたしましては、一応大量輸送機関でありまするバスの優先通行というような点につきましては、従来の交通規制の面においてもできるだけ配慮を加えておるわけでございます。もうすでに御承知のことでございますが、たとえば右左折禁止のところを、バスについては右左折禁止をしないというようなことをやっておりますし、いろいろな点で直接的ないわゆる優先通行の確保ということでも努力をいたしますが、まだ今後いろいろと努力をしなければならない点がございますので、この点は基本問題調査会の中にもそういう答申の趣旨が入っております。ただしかし、もう一つ他面考えられますことは、いわゆるほかの車両を間接に統制をする――いわゆるバスの優先通行というものを直接的に確保するという反面、ほかのいわゆるバス以外の車両を間接的に統制をするということも、一種バス優先通行の道に通ずるものだと考えられると思います。そういう問題につきましては、将来の問題として、乗用車の駐車禁止の区域を拡大していくとか、あるいは乗り入れ禁止の時間とか、そういうようなものについてはいろいろと影響するところ非常に多い問題がございますので、慎重に検討いたしたいと思いますが、直接的に確保する方法、間接的に確保する方法、こういう二つの面からいまの御指摘のような点について検討をさしていただきたい、こういうふうに考えております。
  129. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは、考え方は必ずしも私がいま、育ったような趣旨考え方だけでもないと思うのです。これは実はむずかしい問題です。じゃ、バスを優先的な扱いをしてほかの車は一体どうなるのかと、こういうようなことも当然考え方としてはあるのであります。しかし、いまのバス、私、特に朝、夕方のある程度の時間を限っての通勤なりあるいは退庁なりという、そういう際の一つの措置として、直接的にバスだけを、どうするということのほかに、おっしゃるように、ほかの車の規制によって結果的にバスの優先というような形が出てくると思いますが、いずれの方法をとるにしましても、何かやっぱりいまの職場勤務関係なりいろいろなそういう面からいって必要なものではないだろうかというふうに考えるのですがね。さればといって、いま、言ったように、ほかの車を通さないとか、あるいはそっちへ寄っておれというようなことも一がいにはなかなか言い切れる問題でもないですけれども、この問題は、私はやはり考えて検討していかなければいけない問題の一つとしてあげていいんじゃないだろうかと思っておるもんでございますから、御検討をいただきたいと思います。  なお、バスの乗車の定員の問題でございますが、これ実は道交法が三十五年に審議された際にもいろいろ問題になり、附帯決議の中にもありますが、朝晩なんか、これまた実情に即して運用の慎重を期せというようなことが少しルーズじゃないだろうかというふうにも思うのですがね、最近こういうことについての何か指導なりそういうことについてやっておられますか。
  130. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) いまの定員過剰の問題は、一番私どもとし憂慮しておりますのは、事故の起きた場合の負傷者その他の問題でございますが、最近地方のバス等で事故が起きた場合において、あとで調べてみましたところが定員を相当オーバーして乗車させておるということで、一つは岡山の倉敷と思いましたが、あそこで市営のバスが事故を起こした場合において、私どもの指導方針としては、平素からそういう乗車定員をオーバーしないような指示なりあるいはそういう管理をしておるのかどうかということで、具体的にそういう平素のやはり定員オーバーの問題についての管理のしかたというようなことについても、警察の交通の取り調べというものの一項目に入れるようにということを言っておりますが、しかし、一般的にどうも現在私どもがそういうことを厳格に注意するということについては、技術的にもいろいろむずかしい問題がございます。しかし、十分配慮いたしまして今後考えたいと思いますが、率直に申し上げて、非常にむずかしい問題だと思います。
  131. 鈴木壽

    鈴木壽君 バスの定員のそれは、お話のようにむずかしいので、法律どおりやっても困るし、さればといって、いまのあの都内の朝晩のようにあんまりルーズでも困る。事故のあるなしにかかわらず、やっぱり一つの限度というものがなければならぬのじゃないだろうか、こういうふうに思うので、バスのほうでは詰められるだけ詰めろと、それこそ立っておることもできないくらいぎゅっと押されて、ドアが締まらないくらいやられている。また乗るほうの側からいっても、少しくらいきゅうきゅうやられても少しでも早く帰ったほうがいいというような気持ちが働いたりしてなかなかこれはむずかしい問題だと思いますが、しかし、これはやはり規制というものはやっていかなければならぬと思いますね。どうでしょう。これは何十人乗りと車はみなきまっておりますから、それの込むようなときには、何%程度ふえたらいいんだというくらいの何かそういうのでもありますか。それとも、ただ詰めちゃいかぬとか、あるいは少しくらいオーバーしてもいいのだというような、そういうことで指導しているんですか。その点どうですか。
  132. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) この点につきましては、むしろ道路運送車町の保安基準の問題の一部かと思います。この点につきましては、従来、陸運局が運輸省におきまして、いま申し上げた道路運送帳面の保安基準というものを一部改正をいたしまして、バスについての従来の乗車定員についてのいろいろな保安上の必要な制退というようなものを付して臨時乗車定員というものを定めているようでございます。この臨時乗車定員というものの内容については私も詳細心骨ておりませんが、いろいろ実情に即したような乗車定員のきめ方を保安の基準の一部としてやっておるようでございますが、これらのきめ方の際に、運輸省とよく相談をする、あるいは具体的な実情と照らしてよく考えるということが一つのやり方かと思いますので、いまの御指摘の点につきましては、道路運送電荷の監督官庁であります運輸省と保安基準の問題につきまして十分話し合いをして、御指摘のような点についての配慮をいたしたい、こう考えております。
  133. 鈴木壽

    鈴木壽君 面接には運輸省のほうの所管だと、保安基準というものを向こうでつくるんだ。あなた方のほうではあれですか、実情について、もしあまり詰め込んでおるというようなことについての注意なり、あるいはそれの直接的な規制なりというものをあなた方の立場からはできるのですか。
  134. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 道路交通法におきましては、乗車積載の制限規定がございまして、これに違反した場合には、一応は取り締まりの対象になろうかと存じます。それからそれ以外に、一般的に道路交通法の七十一条に運転者の遵守事項がございまして、これらの中でもこれらの遵守事項に触れる場合にはやはり一応取り締まりの対象になろうかと存じます。
  135. 鈴木壽

    鈴木壽君 ですから、いまのように非常に詰め込んでおるといったような場合に、あなた方の立場でこれを、たとえばだめだとか、こういうふうな規制の措置ができるんですか、その点についてだめになったから運輸省のほうに行って基準に合わないから運輸省のほうの所管だと、こういうことなんですか。
  136. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) 私の申し上げ方が悪かったと思いますが、保安基準は運輸省だから運輸省がやるべきだということではなくて、この保安基準をきめる際には、当然警察庁と自動車局との間でいろいろな問題について協議をして保安基準をきめているわけでございます。したがいまして、臨時乗車定員の問題につきましても、「必要な保安上の制限を附して、臨時乗車定員を定める、」こういうようなことになっておるわけでありますので、私どもがそれを見つけた場合においては、私どもの立場で所要のこともできますし、また同時に、保安基準そのものについてどうもおかしいということであれば、保安基準を直させるということも可能でございます。したがいまして、警察の取り締まりといたしましては、道交法なりあるいは道路運送車両法違反として取り締まれるものは取り締まれる。あるいは指導できるものは指導できる。さらに、その前段階として、保安基準の改正等については、必要な私どものいろんな勧告なり改正についてのいろいろな申し出をして共同して改正をすることができる、こういうことでございます。
  137. 鈴木壽

    鈴木壽君 道交法のたてまえからいっても、直接担当のいわば警察の立場から違法だというふうな場合には、それに対する規制ができるということなんでございましょう。もちろん、注意のみならず、場合によっては、そんなに乗せちゃいかぬということも言い得るわけなんでございますね。だとすれば、私いまの実際の状況からしまして、もっと警察のほうでその点についてきびしく――ということばは悪いかもしれぬけれども指摘をするものは指摘をしてやったほうがいいのじゃないかと思うのですね。ほとんどこういう点についてはいまほうっておるのじゃないでしょうか。どうです。
  138. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) 確かに御指摘のとおりそういう点についてもわれわれとしては考えておりますけれども、一般的にそれに対して取り締まりをどうするかとか、具体的な指導はどうするかというところまで十分な配慮が及んでいないというのが、実情かと思います。いまの点につきましては、過去のいろいろな事故の実例もございますので、十分その点配慮して、そういう点についての一体指導なり取り締まりのあり方というものについてどうしたらいいかということについては、もう少し研究をさせていただきたい、こう考えております。
  139. 鈴木壽

    鈴木壽君 関連するようですが、これはまあ切り離しての問題としてでもいいのですが、町のあちこちに交番がございますね。交番に一人か二人おりますね。あそこにおられる方々は、単の問題、交通問題について、何といいますか、いわゆる交通関係の警官ということでないためか、事故でも起こらない限り、ほとんど交通関係の、道路にいろいろ車がどうしておるこうしておるというようなことについても、あまり注意なりあるいは関心を持つ――関心じゃないのだろうが、積極的でないようですがね。あれは交通関係の方でないとできないというようなことでもあるのですか、どうなんですか。
  140. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) 確かに、一般的に外勤警察官というものが交通の問題についていろいろな場面があるわけでございますが、それへのやり方というものについては、確かに御指摘のような批判があるわけであります。で、私ども考え方といたしましては、専務交通警察官とそれから一般の外勤の制服の警察官と二種類を考えておりまして、専務の警察官の中にも、外勤交通と内勤交通と二つございます。外勤交通は、御承知の交差点あるいは必要な個所で交通整理に従事している者が外勤専務の交通警察官、それから内勤は、いろいろな交通事故とか行政処分とか、そういうものを処理しておる者でございますが、あと残る一般的な外勤の警察官は、それぞれの勤務を通して交通警察の仕事をやれ、こういうことになっておるわけでございます。ともすると、率直に申し上げて、たとえば虎ノ門の前の警察官、交通渋滞した場合においてもなかなか出てこない、こういう御指摘があるわけでございます。この点については、私ども、もしもそういう交通でどうしても警察官がやらなければならないことがあれば、専務と専務でない者にかかわらず、現場の処理をしなければならないということになっておるわけでございますが、なかなか実際問題として、度胸がつかないといいますか、技術がこれに伴わないという問題がありまして、ともすれば消極的な勤務になりがちである。そういうことであってはならないということで、できるだけそういう交通についての教養をいたしておるわけでございますが、なかなかそれらの点について必ずしも御要望に沿えないような向きがあると思いますが、この点については十分指導、教養をしていきたいというふうにわれわれも思っておるわけでございます。御了承願いたいと思います。
  141. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあ外勤のああいうところにおられる方々は、それぞれの任務もあるでしょうし、しかし、目の前にいわば交通のあまりひどい混乱なり、渋滞でなくとも、あったようなときでも、いすにかけたままじっとしておられるというのを見ると、やっぱり、おやこの方々は一体交通関係では全然所管外であるのかというふうな気になりますわな。警官である限り、それは内部では交通専門とかいうような交通関係の警官があるわけですが、しかし、警官である限り、道交法の関係なりその他のいろいろ交通関係の問題だって私は無関心であってはいけないことだろうと思うのですが、やっぱり実情からしますと、さっき申し上げたように、何かちょっと注意でも与えてくれたらよさそうなもんだというようなときに、そういうこともなさらないでおるということを見かけたことがあるもんですから、はてな、仕事の分野がこれははっきりきまっておって、交通関係の警官以外の者は、これはそういうところに口を出したりなんかすることができないもんだろうかというちょっとした疑問みたいなものを感じましたもんですから、しかし、これはやっぱりお話のようなふうだとしますと、ああいう方々にもいろいろな仕事はあるけれども、なお交通の問題等についてもよほど注意をしながら、しかもまた、適切な措置について積極的に動いてもらう、こういうことが必要だと思うんですがね。この点は、さっき今後十分指導してまいりたい、こういうお話でございましたから、了解しますがひとつ注意してやってもらいたいと田
  142. 辻武寿

    ○辻武寿君 私は二、三点。提案理由の説明の中に、今回の改正の理由に、「条約への加入に伴い、」と、こうありますが、条約というのですが、これに加入しておるとどんな利点があるか、その点をひとつ教えていただきたい。
  143. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) 国際道路条約につきましては現在世界で七十カ国が加盟しておることでございます。そこで従来いろいろな経緯がありまして、特に自動車の輸入問題と関連いたしまして、いろいろと難点があったのでございますが、今回十月に開催されますオリンピックの関係につきまして相当多くの観光客が来て、しかも、みずから自動車を運転する者も相当多いであろうというような問題、あるいは最近海外に渡航する日本人も相当な数に達しておるというような点、そこで、この国際道路条約に加盟することによりまして一つの私どもの利点と申し上げますものは、当方から外国に参ります日本人が、日本の公安委員会が発行いたしました国外運転免許証によりまして、一年に限りまして外国で車を運転することが可能であるということと、それから同時に、海外から観光客その他の外国人が参ります場合において、本邦に上陸して一年以内の間におきましては適法に発給されましたところの国際運転免許証を持っております場合におきましては、何ら日本の国の免許証によらないで向こうの発給いたします国際運転免許証によって国内を自由に運転をできる。こういう点についていわゆる国際運転免許証の点につきましていろいろと利点がある、こういうことでございます。
  144. 辻武寿

    ○辻武寿君 今度の改正によって、キープレフト、左に寄っていくやつが用いられるようでありますが、これは都心へ来ると必ずしも便利でないんじゃないかと思うんですが、都心の交通事情はどういうふうに変わりますか、やっぱりこのほうがいいですか。
  145. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) この国際道路条約に加盟するにあたって、国内のどうしても条約に関連して改正をしなければならない規定の中で一番問題であったのは、やはりこの車両の通行方法のキープレフトの問題でございます。そこで、この問題についていろいろ私どもとして技術的にも具体的にも検討いたしたわけでございますが、確かに御指摘のように、いわゆる都内あるいは非常に雑踏、混雑をいたしておりますところの都市の中におきましては、必ずしもキープレフトの原則は守られないであろう。そこで私どもといたしましては、そういうようなところにつきましては、それぞれの公安委員会が指定する通行方法によりまして通行することができる。つまり通行帯を指定して通行するという場合におきましては、必ずしも条約に規定しておりますキープレフトの原則によらないでもよろしいという例外を設けたわけでございます。したがって、あるいは現段階においては例外のほうが多いかもしれませんけれども、現在の建設省等の考えております日本の道路の建設の基準等を検討いたしておりますと、いま申し上げたような二車線プラス軽車両というようなことの道路がだんだん多くなるという傾向がありますので、私どもといたしましては、一応こういう車両の通行方法に踏み切った次第でございます。
  146. 辻武寿

    ○辻武寿君 次に、今度の改正法では、自転車の並進ですね、二台までは認めておる。で、われわれ車へ乗っておっても、単車は非常にあぶないことに考えるんですが、特に自転車が二台まで並進していいということは、非常に危険じゃないかと思うんですよ。自転車はやっぱり一台ではじっこのほうを――それでも私は非常に事故が多いんじゃないかと思う。それが二台並んでもいいということを許すということは意外なんですけれども、どういうわけですか。
  147. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 御指摘のように、自転車の並進はしばしば危険な場合が多いと考えられますので、今回の改正法におきましても、原則としては自転車の並進を禁止しております。ただ、非常にいなかのほうに参りまして、交通量があまり多くない、自動車等があまり通らないという道路におきましては、公安委員会が指定いたしまして、それらにおきましては二台まで並進を認めることにしたわけでございます。
  148. 辻武寿

    ○辻武寿君 自転車の並進は私は非常に危険だと思うんですね。それから、さっき国際運転免許証の話が出ましたけれども、本邦に上陸してから一年間は利用できる。ところが、アメリカあたりでも車は右側通行、日本の国は左側通行である。その初めの一年門において日本へ上陸してこれを許可すると、かえって交通事故がふえるのじゃないか。なれない交通法でありますので、非常に多いんじゃないかということが考えられるけれども、この点は、いままでの実績からいって、あるいはあなた方のほうはどういうふうに考えますか。
  149. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) 従来国際運転免許証に該当しない、つまり外国の適法な運転免許証を持ちまして本邦に参って、適性検査を受けて国内の免許証を与えていた外国人が相当数おるわけでございますが、特にいままで、そういう点についての事故が起きた、それが原因で事故が起きたというようには私ども聞いておりません。ただしかし、御懸念のとおり、確かにキープレフトなりあるいはキープライトということで、それぞれの国によりまして統一はいたしておりますけれども、違った通行方法をとっておりますので、この点について私どもといたしましては、十分な、外国に対する日本の交通事情あるいは道路の状況あるいは交通の規制、交通の方法等については、事前のPRをしなければならない、こういうふうに考えておりますので、そういうものに関係をしております日本自動車連盟、これは国際的の団体の日本の一団体でございますが、そういうものを通しまして、できるだけ日本の道路交通の状況について事前にPRをする。まあ蛇足でございますが、現に私どもの保有を派遣して、日本のオリンピックにおける東京の都市交通の状況はどうだということについて、この五月にイタリアで開かれますところの欧州各国のその種の団体の会議に私どもの保官を出席させて、いろいろ説明をするというような手を打っております。また、在外公館を使ってできるだけの手を打っていきたい、こういうふうに考えておりますので、その点については、いままでの実情等を勘案いたしまして、十分対処できるのではないだろうか、こういうふうに考えております。
  150. 辻武寿

    ○辻武寿君 この一年間有効だということに関して、免許証の書きかえというものは、その期間が途中で来た場合にはどうなんですか。日本へ来たら一年間はとにかく有効ということなんですか。
  151. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 国際運転免許証の有効期間は一年ということは条約で定められております。したがいまして、もし外国の人で当該外国で発行いたします国際運転免許証を所持して日本へ参ります者は、その発行国における発行の期日から一年間は有効でございます。
  152. 辻武寿

    ○辻武寿君 外国で発行した日から一年間というのですね。
  153. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) さようでございます。
  154. 辻武寿

    ○辻武寿君 最後に大臣にお答え願いたいのですが、交通規則を変えることも当然大事ではありますが、交通事故が非常に多いその原因の一つとして、暗いために両方から来るライトの盲点になって、横断の途中で見えない場合があるのですね、車のほうから。特に雨の日なんか車に乗っておってひやっとする場合がわれわれあるわけですよ。そのために私の友だちにももう二人ばかり道路のまん中で死んでいる人がいるのですが、これは全国のこういう主要道路には街灯をつけて、そうしてよく見えるようにしなければならないと思うのです。人命尊重という上からも、このことは強く自治大臣には考えてもらいたいわけですけれども、こういうことに対してどういう関心を持っており、どういうよう具体的な方法を考えておられるか、大臣にお伺いしたいと思うのです。
  155. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 交通事故防止につきましては、先ほど申しますように、あらゆる観点から危険を未然に防いでいかなきゃならぬことは申すまでもないことでございます。私も例を知っておりますが、住民の要求がありまして、ある交差点の非常に危険個所に若干の電灯をつけて明るくしたら、その後ほとんど事故が起こらなくなったという例もあるわけでございますので、そういう観点からよく危険地帯というものを調査いたしまして、そうしてそこを明るくすることによって事故が防ぎ得るものならば、そういう措置はまず手をつけていかなきゃならぬ、こういうふうに考えております。
  156. 市川房枝

    ○市川房枝君 ちょっと簡単に一、二伺いたいと思います。今度の改正案の要綱の一つは、交通違反の罰則を強化されたことだと思いますが、ひき逃げに対して、いままで一年以下の懲役または五万円以下の罰金だったのを三年以下の懲役または十万円以下の罰金ということに重くされたようなんですが、これでひき逃げがある程度少なくすることができるのでしょうか、その点はどうお考えになっておりますか。
  157. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 私どもも罰則を引き上げることのみによってひき逃げが完全に防止できるとは考えておりませんですが、従来までのひき逃げ事犯に対する罰則の適用、裁判所における宣告を見ておりまして、どうも一般に非常に軽いのではないか。そのためにこれがひき逃げの一般的の事故としてなかなか効果がないんじゃないか、かように考えまして、この際ひき逃げの罰則の引き上げをいたしたいと思っております。
  158. 市川房枝

    ○市川房枝君 ひき逃げ罰則の強化以外のひき逃げ防止方法はどんなことをお考になっておりますか。
  159. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) 一般的に申し上げまして、罰則によって交通違反の防止をはかるというのは一つの方法でございますけれども、しかし、むしろ積極的に法にきまっておりますところの運転者の救護義務というのは、具体的に何と何と何をやるべきかというようなことを各運転者に徹底をさせるということが必要でございます。最近の実例を申し上げますと、職業運転者、特に東京都内を走っておりますハイヤー、タクシーでございますが、これらの運転者はきわめて正確にむしろ救護義務を果たす。むしろオーナー・ドライバーの中で、悪意のある者もございますけれども、善意の人で、ひいて驚いて逃げるというような実例もあるわけで、むしろいま申し上げたように、いたずらに罰則でたいへんなことになるのだぞということを言うことによって逆効果を生ずる場合もある。私どもは、ひいた場合においては、すぐ何と何と何をやるべきである、どういう処置をとるべきであるということをむしろ運転者に徹底させるということが必要だと、こういうふうに考えますので、そういう点のいわゆる運転者教育という面からもひき逃げの防止ということも考えられるのではなかろうか、こういうように考えます。
  160. 市川房枝

    ○市川房枝君 いままでひき逃げしてつかまらなかったのはどのくらいの割合になりますか。
  161. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) 私の手元にございます三十八年のひき逃げ事件の検挙の問題で御説明いたしますが、ひき逃げも二つに分けまして、人身と物件とございますが、いま御指摘の点は、人身の問題に限定をいたしまして御説明申し上げます。特に死亡の場合だと五百十四件、三十八年度におきまして検挙が四百十四件、したがいまして、検挙率は八〇・五%、こういうことでございます。その他重傷、軽傷等合わせまして、検挙率は人身事故の場合は七五・三%ということで、私どもは最近やや枚挙率が低下しているということで、具体的にいろいろな捜査のやり方等については研究をして、この検挙率を向上しなければならぬ。特に死亡事故を起こしたような者については、全部これを検挙しなければならない。つまり検挙をすることによって、同時に、先ほど御指摘になりましたようなひき逃げの防止にもなる。こういうことかとも思いますので、極力検挙率の向上ということについて、捜査技術の向上という点について努力いたしたい、こう考えております。
  162. 市川房枝

    ○市川房枝君 一般の国民からいいますというと、ひき逃げは一番悪質といいますか、危害を加えられた上にさらに放置されるということでございまするけれども、これはひとつぜひそういうことがないように要望したいと思います。  それからもう一つの、刑を重くされたのは、酒気を帯びて車両を運転した者に対する罰則でありますが、いまで六カ月以下の懲役または五万円以下の罰金であったのが、今度は一年以下の懲役で、罰金は同じことで五万円以下のようでありますが、これは事故を起こさなくても六出五条で、「何人も、酒気を帯びて、車両等を運転してはならない。」ということに対する罰則ですね。これはどうして発見なさいますか、それを伺います。
  163. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) これは、ちょっとその前に御説明申し上げますが、六十五条でこの運転者の義務としては、お酒を飲んで運転をしてはならないということになっておりますが、実は罰則のほうは、ただお酒を飲んでいるだけでは直ちに罰則にかかりませんが、酔っぱらって運転している場合に初めて罰則がかかることになっております。
  164. 市川房枝

    ○市川房枝君 ちょっともう一回。
  165. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 運転者の義務といたしましては、おおよそお酒を飲んで運転してはいけないという役務違反がございますが、そのことについては特に罰則にはかかっておりませんので、お酒を飲んだうちで特に酔っぱらっている者だけ、つまり相当飲んでおります者、これについていま御指摘になりましたような罰則がかかっております。なお、一般的には、それ以外に酒を飲んでいる者が交通違反をいたしました場合には、酔っぱらっておりませんでも、酒を飲んでいたということだけで罰金になる、科刑が倍加されるという規定が別にございます。
  166. 市川房枝

    ○市川房枝君 そうすると、やはり酔っぱらってというか、その人の体質によって、少しよけい飲んだって酔っぱらわない人もあるし、少し飲んでも酔っぱらう人もあるんですが、酔っぱらって運転していても、事故を起こさないで運転していれは、それは別段罪にはなりませんね。めっからなきゃいいわけでしょう。
  167. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) ことばのつかい方が非常に微妙なところで恐縮でございますが、酒を飲んでるだけでございますと、ほかに違反をいたさない限りは罪則の対象にはなりません。しかしながら、酔っぱらっておりますと、酔っぱらっておることだけで罰則の対象になります。
  168. 市川房枝

    ○市川房枝君 それをどうやって発見なさいますか。
  169. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 一般に酒気を帯びた――最初に申し上げました酔っぱらいではございませんで、その前段階の酒気を帯びた状態、これはどういう程度でとらえるかと申しますと、一応これは法律上は血液一ミリリットル中に〇・五ミリグラム、または呼気一リットル中に〇・二五ミリグラムのアルコールが含まれている、こういうことになっておりまして、実際には、あるいは御承知かと思いますが、風船をふくらまさせまして、それも簡易な方法で――簡易と申しますのは、不確実でございませんで、相当確実でございますが、その方法ではかります。
  170. 市川房枝

    ○市川房枝君 普通事故がないときにはというか、どっかの十市路なら十字路とかで、皆さま方交通の方が出張していて、そしてとめて、一々風船でやってごらんになるというようなことをやっていらっしゃいますか。
  171. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) 大体酔っぱらい運転を見つけるのは、一斉取り締まり等の場合に見つけるわけでございます。したがって、最近におきましても、各都道府県あるいは各警察署等において一斉取り締まりをやった場合においては、酔っぱらいもつかまりますし、無免許もつかまりますし、スピード違反もございますし、各種いろいろございますが、そういうような一斉取り締まりということで大体やっておるのが実情でございます。
  172. 市川房枝

    ○市川房枝君 交通事故を起こした中に酔っぱらいによる事故というのは相当あるわけなんです。これは、私、普通の事故を起こしたのよりももっと悪いと思うんです。酔っぱらえば交通事故を起こすかもしれないというか、酒を飲んでいないときにはそういうことをちゃんと自分で承知しているんだから、それを飲んで運転して事故を起こす、こういうことになるんで、これは普通のあれよりももっと罰していいといいますか、刑罰を倍まで重くすることができるようになっているということなんですが、これは今度少し重くなるんですけれども、私はもっとこれを重くしてもらってもいいんじゃないかというふうに思うんです。少し重くしたので幾らかそういう酔っぱらいによる事故を少なくすることができるとお思いになっておりますか。どうですか。
  173. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) 御指摘のように、最近私どもが一斉取り締まりをやりまして多く起こっている事件は、やはり酔っぱらい運転が多いのでございます。これはもう各都道府県において、いまどうしたらこれを防げるかということで、非常に私ども苦慮いたしておるわけであります。そこで、ただいまのように罰則を強化するということと同時に、私どもは運転免許の停止なりあるいは取り消しの行政処分をやっておりますが、この行政処分を厳格に適用するということで、かなり飲酒運転、酔っぱらい運転等をやった者については情状悪質として見て取り消しの対象にしているというようなことで、各都道府県の公安委員会においても、そういう点については非常に熱心にやっておられますし、私どもも、昨年ですか、二月ごろにそういう通牒を出して、酔っぱらい運転の防止をやる、酔っぱらいをした場合の行政処分を厳格に適用していくということで防止をはかっていきたいと、こういうふうに考えております。
  174. 市川房枝

    ○市川房枝君 さっきのひき逃げと、いまの酔っぱらい運転による事故というのが、私は一番たちが悪いと思うんですが、これは罰則を重くするということよりも、いまお話のような行政処分といいますか、免許証を取り上げるということが一瞬きき目があるんだと思うんです。そこで、いまお話のように、そのほうを励行していただければたいへんいいと思うんですが、いままで、どの秘匿といいますか、これからそうなさろうと言うんですか。いままでどの程度免許証をお取り上げになっておりますか。
  175. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) 従来行政処分を全国でやりました件数は三十八年度で約百万件近くございます。その中で、いわゆる悪質なものについて私ちょっと件数は忘れましたのですが、相当な酔っぱらい運転についての行政処分をいたしております。さらに最近御承知のように、私どものほうで電子計算機を備えまして、そして悪質なる違反をした者を電子計算機に入れまして、そしてその者がまた再び免許を取らないようにということで、照合制度を確立いたしまして、現在電子計算機を運用しているわけであります。これには約十三万人のいわゆる私どもがマークした悪質なる者、十三万件をこれに入れたい。さらに、だんだんいろいろ具体的に検討いたしまして、その件数をふやしていきたい。こういうふうに考えておりますので、電子計算機の活用によって、いま申し上げましたような適正を期すると同時に、行政処分をさらに厳格に施行するということで、相当数の酔っぱらい運転の行政処分をやっていると思います。
  176. 市川房枝

    ○市川房枝君 いまそれをお伺いしようと思ったのです。局長からお話があったのですが、免許証を一ぺん、取り上げられて、またすぐ戻って事件を起こしている例がいままでずいぶんあったらしく、それじゃ何にもならないじゃないかということをある人から私聞かされておりまして、それをお伺いしようかと思ったのです。しかし、それはいまの電子計算外機で、そういうものには免許証を渡さないという方途を請じてくだされば、たいへんありがたいと思います。  それからもう一つ、そういうひき逃げ、酔っぱらい運転の交通事故というものは、かなり青少年が入っている。年齢の若い人が相当入っているみたいですが、それで一度私新聞で、政府当局が、未成年者が犯罪を犯した場合は一般の成人より罪が軽くなるということで、よけい犯罪を犯すというような傾向がある。交通事故においてもあるのだ。それだから交通事故においても成年者と同じように罰するように立法しようということの計画があるのだということをちょっと新聞で見たように思うのですが、そういうことはありましたか、そういうことはいかがですか。
  177. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) いまの少年法適用除外の問題でございますが、この点につきましては、国家公安委員会等においてもいろいろ論議がございました。また、法務省等においても論議がございまして、私ども警察庁あるいは法務省の間においては、この問題については、基本的に考え直すべき時期に来ているのではないだろうか、こういうことが論議されました。しかし、単に交通問題だけでなく、一般的な刑法犯についても同じようなことが言えるのではないだろうかというようなことで、いろいろな点から研究いたしておったわけでございます。ただしかし、御承知のとおり、最高裁の関係方面からは、少年法の適用除外ということは慎重にやるべきであるということで、少年法の精神を尊重しなければいけないということの議論が他方にあるわけでございます。そこで、先般来法務省と私どものほうでいろいろ考えまして、少年の交通事故事件の取り扱いに関する臨時特例法案というものをいろいろ事務的に考えたわけでございます。これは少年法の精神なり、少年法のたてまえはそのままにしておきまして、そして具体的な少年の保護処分とか、いろいな処分がございますが、その処分適用について従来よりも厳格にしていく、常識的に申し上げて。そういうような方法を考えたらどうだろうということが一つと、それからもう一つは、少年にはたとえば罰金を科した場合においても、換刑処分というものはございませんで、罰金を納めない場合においては、そのままになってしまうということで、これを労役場留置というような換刑処分にしたらどうだろう、この二点を包含しましたところの少年事件臨時特例法案というものを検討いたしたことは、私どもいたしました。しかし、いろいろな関係で、最高裁と法務省、私どもの話し合いの結果、現行の少年法のたてまえで、現在自分たちの取り扱っているやり方についていろいろ議論があるならば、いまの現行法のたてまえでも十分目的が達せられるのじゃないだろうか。したがって、検察、警察の意見を十分反映して、いわゆる保護処分等についてもう少し具体的な運用について配慮しようというようなことで、一応現段階はそういう状況でございますが、私どもといたしましては、やはりさらに検討しなければならない問題だと、こういうふうに考えております。
  178. 市川房枝

    ○市川房枝君 その運営の上で、青少年の交通事故を少なくするにはどういうふうに考えますか、具体的にはなっておりません現行法のままで。
  179. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) 現在その少年の事件で多いのは無免許運転でございます。で、ほかの事件につきましては、成人と同様に、私どものいわゆる行政処分というものが適用になるのでございます。したがって、少年につきましては、行政処分適用をいたす場合においては、罰則は適用になりませんですけれども、行政処分適用して運転免許の取り消しなり停止ということはできるわけでございます。  それから、ただ問題になるのは無免許運転だけでございまして、無免許運転の場合には罰則のみによってやらなければならない。行政処分のこれは範囲外でございます。そういう点で、私どもといたしましては、いまの段階においては、行政処分の活用ということによって少年の問題を処理するということは、警察の立場からいえば、できるわけでございます。さらに、行政処分に関連いたしまして、これは一般的な問題でございますが、講習制度を確立しなければならない。御存じのように、行政処分をやりまして、講習を一日もしくは二日受ければ行政処分が半分になると、こういう制度があるわけでございます。そこで、行政処分運用によってさらに講習制度を徹底していくというような考え方、あるいは無免許運転を防止するためには、やはり学校なりの教育の中で、原付の運転の技術を教えるようなことをしたらどうかというようなことで、いろいろな点で無免許運転を防止するための措置を講ずるというようなこと、あるいは違反を犯した場合におきますところのあとの補導の問題として、いわゆる行政処分運用に関連して講習をしていくというようなことで、私どもは現在の時点で少年の交通違反に対処いたしていきたい、こういうふうに考えております。
  180. 市川房枝

    ○市川房枝君 その問題に関連して、もう少し伺いたいのですが、きょうはこれくらいで……。ありがとうございました。
  181. 井川伊平

    ○井川伊平君 一点だけちょっとお伺いいたしますが、国際運転免許証を持って日本に上陸した者は、上陸後一年間は日本の免状をもらわぬでもいいことになっていますね。そのときに、上陸のときに持っておる国際運転免許証の効力がいつまであるかという、そのことを審査する必要があるのですか。言いかえれば、日本で一年間運転するのには、その一年間は国際免許証の有効期間であるということが前提になるのか、あるいは上陸したときに有効な免許証を持っておれば、それは一年たたないうちに期間が到来しても、その者にはやはり一年間は日本で運転ができるということになるのか。その点を先ほどの御答弁にからんで、ちょっと不明になりましたから確かめておきたい。
  182. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 先ほども申し上げましたように、国際運転免許証の有効期間は、条約上発給の日から一年ということに相なっております。したがいまして、それぞれ当該国におきまして発給を受けた日から一年間が有効期になりますので、国内において一年間を認めておりましても、知れ以前に有効期間が満了すれば、その時点から効力がなくなるわけであります。
  183. 井川伊平

    ○井川伊平君 そうすれば、発行を受けてから日本に上陸するまでには、とにかく若干日時がたっているわけでしょう。日本に来てから一年間はないでしょう。だから、日本に来てから一年間じゃなくて、国際免許証を発行した日から一年間と規定すべきじゃありませんか。一年間ないということがはっきりしておるじゃありませんか。
  184. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 御指摘の点は、百七条の二の文言のことと承るのでありますが、これは別に国際運転免許証の有効期間のことを申しておるわけではありませんで、国際運転免許証を所持して適法に運転できる期間が一年であると、これだけを規定しておるわけであります。
  185. 井川伊平

    ○井川伊平君 この前の説明を承りますと、国際運転免許証を所持する者は本邦に上陸してから一年間とはっきり書いてありますね。ところが、その上陸するよりも何日か何カ月か前に国際運転免許証をもらっておるわけでしょう。だから、上陸後一年間ないのが原則でしょう。飛行機で来ても何日か切れておるわけでしょう。一年間とここに書くことは正確な書き方じゃないのじゃないかということを聞いているわけです。
  186. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) この一年間という意味は、条約で国際運転免許証の利用を認める期間は一年だけでよろしいと、一年以上は認める必要はないと、こういう趣旨で国際条約が定められております。最大限度一年間ということでここに規定したのであります。  それからもう一つ、先生の御疑問の点でございますが、それぞれの当該国の発給条件によって違ってまいると思いますが、国際運転免許証の更新ができるという国もあろうかと思います。そういう国から来た人にとりましては、まるまる一年が有効期間に相なると思います。
  187. 井川伊平

    ○井川伊平君 もらいたくてももらえないかもしれぬ。
  188. 鈴木壽

    鈴木壽君 関連して。ちょっとこれね、いまお尋ねがあったように、私どももとにかく本邦に上陸した日から一年間はその免許証で運転することができるのだと、こういうふうに思っておったら、もし途中で、たとえばもう少し具体的な例で申し上げますと、アメリカでことしの四月なら四月に免許証を獲得すると、そしてオリンピックに近い九月なら九月に来たとします。そうすると、九月に来た、本邦に上陸した日から日本ではさらに一年の間その免許証が有効で、一年の間は日本でやれるのだと一もし一年以上おる人であればね、こういうふうに思っておったら、話はちょっとそうではなくて、途中でアメリカで取った免許の有効期間が切れた場合には、一年以内においても失効するのだと、こういうふうにいまお答えになったようでございますが、それでもう一度はっきりおっしゃっていただきたいのですがね。この法文からしますと、「上陸した日から起算して一年間、当該国際運転免許証で運転することができるとされている自動車等を運転することができる。」、こういうふうにあるですから、ここら辺、いまお聞きしたように、ちょっとはっきりさしていただきたい。
  189. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) この百七条の二の規定趣旨は、これはもちろんその有効な国際運転免許証を所持する者は、本邦上陸後一年間、当該免許証で運転することができると、こういう規定でございます。したがいまして、その前提には、当該国際運転免許証が有効であるということが前提になっておりますので、その免許証自体の有効期限が切れた場合には、この規定は働かないということになります。
  190. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) ほかに御質疑はございませんか。-他に御発言もないようでございますので、本案についての質疑は終了したものと認めます。  これより討論を行ないます。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います――別に御意見もないようでございますので、本案の討論は終局したものと認め、これより採決を行ないます。  道路交通法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  191. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 全会一致であります。よって本案は、全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案の審査報告書につきましては、委員長に御一任願います。  ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  192. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 速記を起こして。  次回は十六日の予定、続いて四月二十一日は午前十時から地方交付税法等一部改正案並びに大規模な公有水面の埋立てに伴う村の設置に係る地方自治法等の特例に関する法律案等の質疑の予定でございます。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時十三分散会    ――――・――――