運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-03-27 第46回国会 参議院 地方行政委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十七日(金曜日)    午後一時四十六分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     竹中 恒夫君    理事            石谷 憲男君            西郷吉之助君            西田 信一君            松本 賢一君    委員            館  哲二君            占部 秀男君            鈴木  壽君            千葉千代世君            林  虎雄君            市川 房枝君   政府委員    自治政務次官  金子 岩三君    自治大臣官房参    事官      宮澤  弘君    自治省税務局長 細郷 道一君   事務局側    常任委員会専門    員       鈴木  武君   参考人    一橋大学教授  木村 元一君    栃木県足利市長 木村 浅七君    山梨県白洲町長 古屋 五郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方税法等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○市町村民税減税補てん債償還費に係  る財政上の特別措置に関する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  地方税法等の一部を改正する法律案市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案、両案を一括して議題といたします。  本日は、初めに両法案について参考人方々から御意見をお伺いいたしたいと存じます。  参考人方々におかれましては非常に御多忙中にもかかわらず、御出構いただきましてまことにありがとうございます。これよりさっそく御意見をお伺いいたしたいと存じますが、それぞれのお立場から御自由にお話ししていただきたいと思います。なお、時間の関係上お一人二十分程度にお願いいたしたいと存じます。  また、委員の方に申し上げますが、参考人方々に対する質疑は、参考人方々お話が全部終わりましてからお願いいたすように運びたいと思いますので、御了承願いたいと存じます。  それでは初めに、木村元一参考人にお願いいたしたいと思います。木村元一参考人は腰痛のため着席のままどうか御発言願いたいと思います。
  3. 木村元一

    参考人木村元一君) 職業柄立ってしゃべらないと声が……立ってしまえばもういいのですが……。  いま御紹介いただきました木村元一でございます。地方税法改正並びに地方債に関する意見を求められまして、これから二十分ほどお話さしていただきます。  御案内のとおり、わが国の地方財政は最近の経済界社会情勢の変化に伴って財政需要が非常にふえてきておりますにもかかわらず、歳入構造の面では必ずしも満足すべき状況ではないのでございまして、これは国地方を通じて現下の財政税制の一番大きな、また困難な問題をはらんでいるとかねて思っておるわけでございます。つまり国のほうにおいても相当財源が必要であり、地方においてもいま申しましたような事情財政上の需要に押されております。ところが、いろいろな沿革で国税のほうにはどちらかといいますと、有力な税源が与えられておる、地方のほうはどうしても中央に比べると税源の面で弱い状態に置かれておる。そこで地方財政を補強いたしますために、何か有力な税源地方に回すということが絶えず考えられておるのでありますけれども、これはもう御案内のとおり、地方と申しましても、全国に三千五百程度の非常に多数の地方団体がございますし、また、段階的に見ましても、府県市町村違った性格のものが一緒にされて三千数百の中に混在しておるわけでございまして、かりに地方に有力な財源を渡すといいましても、渡されたほうでこれを十分活用できるところと活用のできないところとが出てくるということでありますが、ここに地方財政のむずかしさといいますか、解決のめどのなかなかつきにくい理由が一つあると思います。ここ数年来のたいへんな経済成長によりまして、全般的に見ればある程度余裕のできたところもないわけではございませんけれども、しかし、全般的に見ますと格差といいますか、富裕な市町村と、そうでないところ、また、県にいたしましても大きな府県とそうでないところとでの格差が大きくなっておる。最近ちょっと実地に見てまいりましたのでございますが、鹿児島県のごときは、県の歳出が約三百数十億、四百億近いのでありますが、その中で県税でまかなっている部分がたった八%程度しかないというような状況府県があるかと思うと、不交付団体東京、大阪のように、相当部分税収でまかなえるようなところもできておるという状態でございます。したがって、税の面で補強をいたしますと、その格差をかえって広げるような傾向が出てくるのでありまして、財源保証税源強化という要請府県間あるいは市町村間の格差是正という問題とが絶えず二律背反的な関係でわれわれに解決を迫ってきておる状態でございます。で、この問題を根本的に解決するということは、経済界が現にこのような激しい状況で動いている際でもありまして、おそらくどなたにも、こうすればみんなの満足のいくような解決ができるというふうな、納得のできる案というものをいまの段階考えるということはたいへんむずかしいことだと思っておるのであります。しかし、今回の改正案のもとになりました税制調査会答申の趣旨は、格差の解消ということもさることながら、もちろんそれは考えるのでありますが、何ぶんにも貧弱な市町村における税負担というものが、極度に大きくなっておる。これも数字がいろいろございますけれども、まあ、たとえば東京市町村民税本文方式を採用し、準拠税率を使っておるところで、夫婦、子供三人、五人世帯で五十万円程度の年収がある人が、東京でありますというと三千何百円程度しか納めていない。ところが、ただし書き方式をとりながらなお準拠税率を加えて課税をしております市町村に参りますというと、それが一万七千円も一万八千円も負担をしておるという状況、この状況国民税負担均衡という点から考えて、何としても見のがすことができない、こういうようにだんだん考えてまいりまして、かねてから、そういう意見があったのでありますが、今度、税制調査会のほうの答申として提出せられ、それが政府原案の中にも取り入れられてきたのであります。この点はやはり慶賀すべきことなんですが、この方向でとにかくひとつやってみなければならぬ段階にきているということがはっきり認識せられ、また、これに伴ういろいろな問題がまたあとからあとから出てくるわけでありますが、一応ただし書き方式廃止という方向に踏み切っていたその第一年目というのが、昭和三十九年度に約百七、八十億の減税という形でしたかになって提案されているのであります。ひるがえって、所得課税という観点から考えますと国税のほうでは、年々生活費の上昇その他に応じまして、基礎控除引き上げも行われる、あるいは扶養控除引き上げ、今度のように、いま給与所得改定ということをかなり大幅に行なおうということでありますが、他方、市町村民税のほうは昭和三十五年の改正でしたかによりまして、中央租税制度改正地方にはね返ることを遮断するという方式がとられまして、地方住民税のほうの基礎控除は、現在でもなお昭和三十五年度の基礎控除でありました九万円にくぎづけになったまま今日にきているのであります。したがって、所得課税における構成ということを考える場合に、ややもすると、国税のほうだけがいい子になるというと、ことばにとげができますけれども国税のほうでは最低生活費考える。諸般の情勢考え納税人口がふえることを防ぐというような措置がとられるにもかかわらず、それが地方のほうではあまり考慮されない、これはいろいろの事情があってのことなのでありますが、租税の公平ということを考える場合に、等閑視しないことがひとつ重要ではないかと思うのであります。  以下は税制調査会考えではございませんで、私の個人的な考えでありますけれども国税のほうで最低生活というものを非常に強く考えまして、ことしのように標準世帯四十八万円以下のものには税金をかけないのだということを声を大きくして言っておりましても、実は地方のほうでもっと低いほうからかけておるのだ。したがって、考え基礎としましては、何も四十八万円にこだわる必要はないのです。ないので地方でそれ以下のところから取っておる分についてむしろ考慮を払う——かりにこれは当てずっぽうでありますが、四十万円以上の人から税金が取られるようになったとしても、これは国税地方税どちらかでもかまわないのでありますが、それをあまり非難することができないと思うのであります。つまり繰り返して申しますが、所得課税として考えたときに四十万円以上、現在地方で三十五万円以上から取っておる場合に、これでも困るということで四十万円以上から取ろうということになってくれば、国税であろうと、地方税であろうと、何もそう区別をして、一方だけが最低生活費免税の金科玉条を守っておるというような言い方をすること、これは少し反省を要することではないかと思うのであります。それで、そういう意味から申しまして、今度特にひどくなっておりますただし書き方式廃止に踏み切ったということは、これは何といっても、一つの収獲であった、今後は国税地方税を通じてさらに現在本文方式をとっておりますところでも、もう一度基礎控除が九万円という昭和三十五年のくぎづけになっておる金額でいいのかどうかということの反省をし直す第一歩がここに出てきた、このように考えるのでございます。今回の改正の一番大きな眼目は、ただいまお話ししております地方住民税改正金額の上からいいましても大きいのでございますが、そのほか提案されておりますものとしましては、事業税免税であるとか、不動産取得税改正、それから電気ガス税減税その他がございます。一々申し上げる時間がございませんので、特に問題になっております点について二、三お話し申し上げます。  まず第一は、固定資産税の問題でありますが、この固定資産税というものをどのような性格税金として考えるかということについては、私ども理論的に考えようとする人間の間でも、いろいろ意見が分かれておりまして、御案内のとおり、戦前におきましては地租家屋税というのがいわゆる固定資産税の二つの項目であったのに、シャウプ改革のときに償却用資産というものも含めて固定資産税という一本の税金にいたしまして、その結果、従来はそれぞれ家屋税とか地租で別の税率を使っておったものが一本になって、最初は一・六でございましたか、それがだんだん引き下げられてはおりますが、現在一・四%という税率課税をされている。その場合に種類別課税対象評価という問題があるわけで、いろいろお話を伺ってみますというと、大体地租家屋税というものは、戦前賃貸価値価格つながりがあるし、賃貸価格というのはさらにさかのぼっていきますと、古い話ですが、明治六年の地租改正のときの金額つながりがあるということで、必ずしも理論的に納得のいくような形で評価が行なわれてきておったわけではないのであります。それが最近世の中の事情が変わってまいりまして、特に都市近郊住宅地における土地居住用住宅値上がりが非常に著しくて、この実情はなかなかつかめせんけれども、所によりましては、固定資産税の台帳に載っております値段の二十倍ぐらいになっているようなところもたくさんできてきておる。これに対して固定資産税課税標準、それから相続税課税標準、あるいは不動産取得税課税標準、それぞれ標準が違っておって、同じ土地にいつも政府のほうで価格をつけて税金をかけるということが非常に困ったことであるというふうな事情。もう一つは、固定資産税の性質をどう考えるかということと関係があるのでありますが、かりに一・四%という一本の税金が正しいとした場合に、固定資産税の中の種別ごと評価が違ってきた場合、たとえばいま言ったように、居住用土地が上がってくればそちらのほうがもっと負担すべきであって、償却用資産のほうはあまり負担しなくてもいいのではないか。あるいは農地だとか山林の場合はどうか。固定資産税内部負担均衡という問題もからんで出てきたのであります。そんなことで、従来うやむやのうちに、何と言いますか、隠れておりました問題が今度の評価ということを契機として一時にこれがあらわれてきて、われわれに対しましても国定資産税の本質をいかに規定するかという問題を投げかけてくるという状況に現在きておるのであります。これに対してどんな措置を今後とっていくかということは、先ほども地方税全体について申し上げたと同じように、激動しておりますこの経済界の動きの中で、理想的な案をつくり上げることは、あるいはたいへんむずかしくて、来年七月の税制調査会の任期までに完全な理想案が組み立てられるかどうか、その点も私自信がないのでございますけれども、ただ、一般にこういう議論が非常に強いのでございます。つまり、自分がだんだん住んでいるだけで、何も利用状況が変わっていないのに固定資産税が上がってくるよう場合には、特殊な措置を講じなければならぬのじゃないか。これは考え方の違いがいろいろあるのでありますが、ごく突っぱなした経済的な観点に立ちますというと、買ったときに一万円くらいの土地が現に五千万円も六千万円もしているというふうな土地を持っておられる方は、そこにただ住んでいることが経済資源配分という点から申しますというと、実は大きなむだとしているのだという考え方一つ成り立つのであります。ただ、五千万円になったという事情人口都市集中とか、経済の激動という特殊な、一時的な事情でもってなっているとすれば、それを課税標準にすぐ用いることは問題があろうかと思いますけれども、かりにほんとうの意味でそれが五千万円になっている、そこへ平家を建てて、昔のままで住んでいるということは、広く社会経済的に見れば資源の浪費をしているのだという観点一つあるわけであります。したがって、固定資産税課税のやり方については、一つの方針ですっと割り切った形で結論が出るかどうかわからないのでございますが、税制調査会のほうでは、まあまあここ二年、三年の間の暫定的な措置というものを答申いたしまして、農地については従前どおり居住地値上がり相当する分は、個人々々の負担が二割前年度よりもふえた分まではふやすけれども、それ以上はふやさないというところで答申を出している。しかし、これはあくまで暫定的なことでございまして、もし、正確に評価し直していけば、かりに農地のほうの評価が二割や、三割上がりましても、宅地のほうの評価平均でもって約七倍に上がっているそうでありますから、そのまま同じ金額だけの固定資産税を徴収するとすれば、配分がえが行なわれて、宅地のほうで増税、農地のほうでは減税といったようなことも起こってくるかと思うのであります。ただ、これについて、理論的にすっきりしたものにする方法がどういうものでなければならぬか、私もまだ十分自信を持ってお話しすることができないのでありますが、まあ暫定的な措置としては、この程度のことしかできなかったのではないか。ただ、個人的な私の感じから申しますというと、市町村というものは、シャウプ改革で一番大きな税源を与えられたのであります。一つ住民税一つ固定資産税地方自治の根底を市町村に置こうというシャウプ改革の端的なあらわれが財源配分に出ておったのでありますが、その後の経過を見ておりますというと、市町村民税の一部が府県のほうへ移ってくる、また、固定資産評価というものは、これはどこの国でもむずかしいことになっているんでありますけれども自治省できめました指示平均価格というものを基礎にいたしまして、上げ方を非常に抑えに押えて今日にきておったという事情があります。で、市町村運営機関が非常に強力であれば、私は固定資産税というものは、もう少し実情に照らしてふやし、市町村財源強化する一番手っ取り早い、そうしてまた合理的な道が固定資産税収入の増加という点にあるのではないか、このように感じております。これはまあ私個人考えで、反対の意見の方もおることは承知しておりますが、もっと固定資産税をじょうずにたくさん取って、先ほど申しました地方財政欠陥を幾らかでも埋める道を考えていく必要がある、このように思うのであります。  それから電気ガス税につきましても、これはまあことしの改革市町村関係の多いものが多かったのでありますが、いろいろ御意見があることを承知しております。今回は八%の税率を七%に下げるというところの答申がなされ、原案もそのようになっておるようでありますが、これも私の個人的な考えでありますが、現在の状況におきまして電気ガス税というものがそれほど悪税であるとは私は考えていない。ただ、産業用に、コストの中に含まれてくる電力、ガス、それに対して課税するということは若干問題がありますので、今後電気ガス税というものは家庭の直接消費に対する支出税という形でもって編成し直して、現在ありますように、いろいろな産業電気ガスをよけい使うところだけを特殊扱いにするような複雑きわまりのないこの措置をここいらですっきりしたものにして、産業用のものは全部免税する。そのかわり家庭用電気ガス税というものは現状あるいは場合によっては増税しても残しておくというふうな線でひとつ考え直してみたらどうか、このように思っておるのであります。  なお最後になりますが、今度の減税補てんのための地方債の問題でございますけれども、これは事柄としましては、私もこれ以上考えてもいい案はどうもないのじゃないか。いろいろ公債発行論との関係議論があることは承知してありますけれども、私の腹の底では、近代的な国家において公債発行もできないような国家というものは実は国家じゃないのだと、つまり公債発行を何となしにみんなこわがっておるということは政治に対する不信である。現在の政府なり内閣なりに、公債を自由に発行してもいいということを国民が認めた場合には、一体何をされるかわからぬという実は心配が残っておる。それがなければ必要に応じて公債発行することは一向差しつかえないのであります。その意味から申しまして、それが地方発行されようと国で発行されようと、まあまあ問題はさほど重大な差異であるというわけではないように思うのであります。ただ、まあ今度の減税補てん公債を認めました場合に、同じ程度市町村で、一方は非常に節約をし苦労をして、ただし書き方式から本文方式に変わっておった市町村と、同じような状態であるけれども、それだけの努力を払わないで、もとのままただし書き方式を採用しておったところと二つありました場合に、今度の方式でいきますというと、なまけておったもの、なまけるという意味はなかなかむずかしいのでありますが、かりにそういう表現が許されるとしますというと、なまけておった市町村のほうが、三分の二は元利償還国家が見てくれる。またあとの三分の一については交付税対象として十分考慮するということになりますので、実際の起債のワク、その他を現実に御指導なさいますときには従来の経過どもよくお考えになって、あまりへんぱな処置にならないように御注意いただけたらよろしいんではないか、このように思います。  いただきました時間をちょっと過ぎたようでございますので、これで私の話を終わります。
  4. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) ありがとうございました。  次に、木村浅七参考人にお願いいたします。
  5. 木村浅七

    参考人木村浅七君) 私、足利市長でございます。今回の地方税改正案につきましては、私どもはそのことが市町村財政に及ぼす影響が大きいだけに重大な関心を寄せてまいったのでありますが、このたびの改正案は、税の減収につきましては原則的に補てん措置が講ぜられておるということはまことにしあわせでありまして、このことは諸先生の御協力が大きかったことだと感謝をいたしております。私どもは、地方税法改正が論議せらるるたびごとに、改正の結果、市町村財政税収減となって、そのためにより一そう行政水準の低下を来たすべきことを懸念してまいったのであります。そのことは市町村においても、住民生活の向上をはかったり、福祉の増進を期したり、また、産業基盤の育成のためには各般の施設の整備や建設的事業の実施が強く要請をせられております。その上に経常的の経費の増大は市町村財政をいよいよ貧困におとしいれておるのでありまして、このことを是正をするには市町村税源拡充強化をはかるというほかに方途がないと思うのであります。よって、私ども税制改正にあたりまして、政府に対して税源拡充あるいは減収補てん方途を要望しておるのでありまして、政府においても市町村財政現状にかんがみまして、市町村収入欠陥を来たさないように税制改正にあたっては措置をせらるることを強く要望をする次第でございます。  そこで、今日は口述時間の制限もございまするから、改正案につきまして端的に申し上げてみたいと思います。  第一が市町村民税改正の問題でありますが、住民負担の不均衡是正するために二ヵ年にわたって課税方式本文方式に統一をするということにつきましては私ども賛成であります。また、その改正による減収補てん方途が講ぜられておりますることは適当な措置をしてくだすったと考えておるのであります。今回の改正が三十九年度は本文方式による基礎控除のほかに、扶養控除また青色、白色の専従者控除等、新しい暫定方式として、四十年度には従来どおり本文方式に移行するという漸進主義で二ヵ年間の段階をとったということは、相当に私ども市町村財政現状を考慮せられたことだと考えるのでありまして、そういう意味から、この改正案については賛意を表するのでございます。  しかし、ここにひとつ御検討を願わなけれ、ばならない問題点があるのであります。それは減収補てん措置対象団体として、三十八年度普通交付税交付団体に限定しているということ、及び三十八年度以前において自主的に努力して減税を行なった団体対象から除外されているということであります。特に不交付団体の場合は特別の財政需要のために、やむを得ず超過課税を行なっているものがあるのでありまして、こういう団体が三十九年度以降においては、法の改正によりまして減税せざるを得ないのでありまして、これに対しては当然何らかの措置、たとえば激変緩和措置として特別の交付税、あるいは起債等方途を講ずることをお願いを申し上げたいと考えるのであります。  次に第二に、固定資産税の問題について申し上げますが、第一に、今回の固定資産評価改正によりまして、著しく評価の上がった土地に対しましては、負担調整措置をとって税率は据え置きとしたこと、また、住宅の建築の促進や、中小企業経営合理化のための軽減の措置もとられておるのでありまして、さしあたりこれの改正も妥当な改正だと考えます。今回の評価改定によりまするというと、従来の評価に比べて土地等は大きく倍増をしておるのでありまして、そういうことで、今回の改正による土地等評価法につきましては、宅地山林については新評価にて課税標準価格を算定をして、旧評価の二割増しまでとする、こういうことになっておるのでございますが一このことは、今回はともかくも、将来の、次回の改定については相田にお考えを願いたい体であろうと考えるのであります。新評価が適正な基準評価であるとするならば、旧評価の二割増しまでということは、いまの時期においては公平でないのではないか。むしろ新評価によって計算をして激増緩和措置の必要があるならば、課税の特例の措置を講ずべきである、そのほうが妥当な公平な方法ではないかと考えるのであります。こういう点、も次の評価改定の時期までにはお考えを願い、新評価制度の適正な実施を希望する次第でございます。  固定資産税改定について、第二として、三十九年度の第一期分の納期が一カ月延期することになったのでありまして、このことは市町村として三十九年度の当初の資金繰りが困難となるということが考えられます。これに対しましては特別の財政援助の措置が必要ではないかと考えます。たとえば地方交付税を繰り上げ交付をするとか、また、つなぎ資金についても国が考慮すべきではないかというふうに考えるのであります。  第三の問題といたしまして、この問題は常々市長会等からも要望しているのでありますが、固定資産の大規模資産に対する課税の限度額を引き上げていただきたいという問題であります。このことは都市については六億五千万円というような限度額がございますが、こういう大規模の固定資産のある都市におきましては、いろいろ都市的な施設等のために相当に経費が増大をしているのでありまして、そういう限度を置かれるということは、市町村行政水準引き上げるというような点からも実態にそぐわないのではないかと思うのであります。そういう撤廃をお願いするか、もしくは大幅な限度の緩和を望ましいと思う次第であります。  次に、電気ガス税について申し上げたいと思います。電気ガス税につきましては、従来いろいろな御意見があります。しかし、私ども市長会としては、電気ガス税は普遍性もあり、安定性もあり、伸長性もあり、独立税源としては適当した税目であるから、廃止または軽減にも反対をしたのであります。御承知のように、電気ガス税は、一般家庭において消費をいたしますけれども、生活必需品課税であるとは考えられないのであります。電気 ガスの消費は、所得の大小にほぼ応じていると考えるのでありまして、むしろ所得税の補完税的な種目であるとも言えると思います。すでに低所得者−少額の電気及びガスの使用者については月三百円の免税体の制度が設けられておりますし、また、産業の政策的な見地から大口な使用者であって第一次製品の製造業について原価の中に電気ガスの占める割合が五%をこえるものについては非課税の取り扱いをすでにとられているのであります。この電気ガス税は大衆課税とは考えられない、むしろ市町村税の中では最も適当な税源だとさえ私ども考えておるのであります。電気ガス税につきましては、そういう基本的の考えを私どもは持っております。そこで、この税につきましては昨年に続いて税率が一%引き下げられて、かわり税源としてたばこの消費税の増税がされて、今回の改正もまたそれと同様な措置がとられておるのでありますが、ただ、たばこ消費税の伸長性というものは電気ガス税の伸長性と比べまして約二分の一以下だということがいえるのであります。私どもはそういう意味からも電気ガス税の、いろんな御意見もありますが、これが適当な税であり、存続すべき税目である、廃止にも反対である、また軽減にも限度があるのではないかという見方をいたしておるのでありまして、もし将来今後さらにこういう問題が検討をせられる場合につきましては、電気ガス税というものの性格についても十分再検討をお願いを申し上げまして、私どもはそういう適当な税だと思いますが、これをもしも廃止をするというような場合、または大幅な軽減をするというような場合につきましては、この税に見合うような安定性と普遍性と、かつまた伸長性のあるかわり税源というものを要望してやまないのであります。そこで一応今回はかわり財源も御配慮願っておることでやむを得ないものといたしまして、私どもあえて反対をいたさないのであります。ただそこで電気ガス税についていろいろ免税その他軽減の処置がとられておるのでございますが、この点についてはさらに御検討を将来お願いを申し上げたいと思うのでありまして、免税等につきましては税制調査会の決定された基準等を尊重を願いたいということを申し上げたいのであります。  そこで今次の改正にあたりまして、輸出振興のための綿、スフ、人絹の紡績、織物に対しましては、暫定的に二%に軽減するという措置がとられておるのであります。この点も私どもは実は賛成のできない点であるのであります。ことに織物のごときは中小業者が非常に多い。したがって、小規模な事業の経営でありますが、しかも全国相当市町村に織物に関する事業所が多いということ、今回の軽減措置は輸出の振興用ということがうたわれておるのでございますが、聞きまするところ、輸出あるいは内需用の区別というものは困難であるというようなことで、一様に軽減の措置がとられるやに伺っておるのでございます。で、こういう中小、零細事業者の電気の使用量というものは、織物業等は特にもう事業用と家庭用というものの区別が困難であるということは私ども想像がつくのであります。しかし、いやしくも輸出振興用ということが法文に規定されておりまする以上、どうもこの点については何となく納得できない点であるのであります。ことに織物を主産物といたしておりまする土地が近畿地方にも東海地方にも北陸地方にも関東地区にも、相当な都市の数がございまして、これらにはかなり多数の事業所があるのであります。これを二%に軽減するということは、そういう特殊的な産業を主とする都市に、あるいは町村におきましては、電気ガス税というものが激減するという結果を招来すると思うのであります。こういった国の経済政策の一環として実施をすることでありまするので、こういう面の減収につきましては、十分に補てんの方策を講じていただきたい、こういうことを強く要望を申し上げる次第でございます。  次に、電気ガス税と関連をしまして、プロパンガス課税の問題でございますが、現在プロパンガスに対して課税されておりませんが、需要の実態から申しまして、課税をするということのほうが適当なことではないかと考えられる点であるのであります。この点も十分御検討を賜わりたいと思っておる次第でございます。  以上が直接今回の地方税改正について関連した問題で申し上げたのでありますが、これも次に申し上げまする問題は、地方税改正にも関連をいたしておりまする問題でありまするが、お考えを願いたい問題であります。それは市町村道路の財源に対しまして、軽油引取税あるいは地方道路税というようなものを市町村にも御考慮願いたいということであります。最近御承知のような交通事情になってまいりまして、自動車が著しく増大をし、さらに今後なお急送にこの勢いを継続すると思うのでありまして、道路の損壊というものが著しく、道路の改修費に要する市町村負担というものも非常に多いのであります。しかし、自動車税等は県税以上の段階で、県でも取っておるというようなことであるのでありまして、私どもはこういう自動車税の小型自動車等については、一部は市町村に移譲すべきものだと私ども考えまするとともに、軽油引取税あるいは地方道路税というようなものの一部を市町村にも配付を願うような御考慮を願いたい。ことに今回は軽油の引取税の二〇%引き上げというようなことにもなってまいっておるのであり、こういうこととあわせて私ども市町村道路につきましても税源を与えていただきたいということを強く要望申し上げる次第であります。  なお、地方税改正につきまして、従来各種の地方税について国の政策によりまして、各種の非課税また軽減の規定あるいは課税標準の特例というようなものがございまするのみならず、これが年々増加をしておるということは、地方税の歳入の上に大きな影響を来たす問題であるのであります。こういう問題も必ずしもそういう特別な措置を講ずるのに必要のない対象もあるように私どもは見ておるのであります。今日は時間がありませんから一々申し上げませんが、こういう問題につきましても、あわせて御検討を賜わりたいと考えております。  以上で終わります。
  6. 竹中恒夫

    委員員(竹中恒夫君) ありがとうございました。  次に、古屋参考人にお願いをいたします。
  7. 古屋五郎

    参考人(古屋五郎君) 白洲町の古屋五郎でございます。このたび参議院の地方行政委員会におきまして、明年度の地方税法改正について、全国の町村を代表して意見を述べる機会を与えられたことはたいへん光栄に存じます。  今般の地方税制改正の一番大きい問題は、住民税負担調整と、それからこれに伴う減税補てん措置であったと考えます。昨年来の予算折衝以来、法案の国会の提出に至るまで政府部内の意見がまとまりませんで、私どもも成り行きをたいへん憂慮した次第でございます。幸いにいたしまして、関係国会議員諸先生の御尽力を賜わりまして、当初原案のとおり減収額全額について起債が認められ、政府予算並びに交付税によって全額元利補給がなされることとなったのは感謝にたえません。これによりまして、全国のただし書き方式採用市町村としても、さしあたりは歳入欠陥を生ずることなく減税ができる次第であり、喜ばしいことだと思います。  しかし、これに関連いたしまして御配慮願いたい問題があります。第一は、今回の措置は、国が全体的視野から税負担の地域的バランスをはかる趣旨のものでございますし、関係市町村としても大きな手術をすることになりますので、当面の輸血的措置として配慮されたものと考えます。したがって、補てんも一時的な措置でございまして、五カ年を経過いたしますと、関係市町村としては自力で別途に財源調達をしなければならないのであります。したがって、この間、行政水準を落とさないためには、漸減してまいります税収の肩がわりといたしまして、交付税配分措置していくという配慮が重要であろうかと考えられます。  第二に、この措置は、あくまでも財源補てんでございまして、積極的な財源付与ではないということであります。住民負担の軽減は大きい福音でございまするけれども、このことで町村財政が安定し強化されたということではありません。住民の行政需要の累積に対して、財政が追いつけないというう現実は、何ら改善されないのであります。今回の補てん措置に対して、従来から本文方式であった町村は損をしたという声もないではございませんけれども財政強化という基本問題につきましては、本文方式であろうとも、ただし書き採用町村でありましょうと、共通の命題といたしまして、今後、十分の御配慮をわずらわしたいと考える次第でございます。私どもは、財源の積極的付与がなされまして、初めて町村財政の確立が期せられるものと信ずるものであります。この点、交付税制度を含む地方税財政制度のあり方について、さらに積極的な改善を御要望申し上げる次第でございます。  第二に、固定資産税について新評価の実施と、それからこれに伴う税負担の調整がなされております。全国に所在いたします固定資産について、全国的バランスをとった新評価を行なうことは大きい意義をなすものでありまして、取引や担保価値の格づけがされるというプラスもあります。しかし、新評価額をそのまま税負担に移すことは、理論的にも、また実際的にも問題がありますので、今回の政府案のように経過的な措置がとられたことは当然であり、内容についてもけっこうなものだと考えております。ただ、三年後には負担のあり方について根本的に考えねばならぬこととなっているようでありますけれども、その際、大衆資産が増徴で、企業資産が軽減というようなことにならないように御配慮願いたいのであります。特に農地につきましては、目下新農政の展開との関係もありますし、農家の負担増とならないように措置すべきものと考えます。要は、新評価が直ちに税負担とならないように配慮すべきものと考える次第でございます。  第三は、電気ガス税の料率引き下げと、たばこ消費税引き上げによる補てんでございます。私どもは、電気ガス税の性質並びに市町村収入に占める重要性にかんがみまして、元来反対でありました。今回、諸般の政治的事由から軽減が行なわれることは、まことにやむを得ないところと存じますけれども、このように、連年の料率の引き下げが行なわれて、いわゆる問題の税目となってきておりますので、今後なお減税が行なわれる場合は、今回のように、たばこ消費税等による全額補てんを前提とすることをルールとしてぜひ明確にすることをお願いしたいのであります。ただ町村といたしましては、この税に対する考え方は、前参考人と全く同一でございまして、この税の伸長性、普遍性などからいたしまして適当な税源であり、性格としても所得に比例した消費税として、所得の補充税的性格を持つ意味のある税目と考えております。大衆負担ということにつきましても、現在の免税点制度で十分措置されていると存じます。  最後に、町村といたしましては、近年道路財源の増強を強く要望いたしております。国の道路計画におきましても、地方道の整備が取り上げられておりますし、町村道整備に対する住民の要望も強いのであります。市町村に対する地方道路譲与税の配分は、私ども町村関係者共通の要望なのでありますけれども、今回のガソリンに対する地方道路税の一〇%引き上げの際もなお実現を見なかったことはまことに遺憾でございました。近い将来にぜひ何分の御検討をお願いいたしたいと存じます。  以上で陳述を終わります。
  8. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) ありがとうございました。  参考人方々の御意見陳述はこれにて一応全部終了いたしました。参考人方々に御質疑の方は、どうぞ御発言を願います。
  9. 千葉千代世

    千葉千代世君 一橋大の木村先生にお尋ねいたしますけれども、先ほど電気、ガス税金について触れられたんですけれども産業用のものは免除して家庭用のものをもっとふやしたほうがいいという御意見だったんですけれども、そうすると、家庭のいまの負担よりもどのくらい大体ふやしたらいいとおっしゃるのでありましょうか。というのは、家庭の主婦たちが集まりまして、物価が高くなって困るからという懇談会をしましたときに、公共料金の値上げについては反対すると、電気、ガス税金もだんだんふやされては困るという意見がかなり多かったわけでございます。ですから、この負担がどのくらいになったならば大体産業用のほうを免除してもいいとかいうような目安がおありでございましたら教えていただきたいと思いますが……。
  10. 木村元一

    参考人木村元一君) お答えいたします。  詳しく数字に当たって言っているんじゃございませんのです。ただ、先ほどもちょっと話がありましたように、産業用の電力とそうでないものとの区別を現にやっておるのでございますが、五%以上の電力を使っているようなところは免税を現にもう大部分受けている。ところが、五%なら免税になるが四・九九%使っているところは免税にならぬというところから、しきりに今度の場合でも輸出関係のものについてはもっと下げろとかいう議論が出ている。世界各国見ましても、電気ガス税というのは悪税のように言われているのでございますけれども、ことに製品をつくっておるところが費用として電力を使う、それに対して課税するというのはどうかと。しかし、他方家庭用の電力というものは最近の電化ブームということに関連があるのでございますが、前には定額灯ちょっとつけておりましても電気ガス税というものはかかっておったので、私ども税制調査会のとき、いつでしたか、五、六年前に免税点というものを設けて、定額灯で月二、三百円くらいしか払っていないようなところまでかけるのはどうかということで、これは免税にしてしまった。したがって、残るところということになりますと、まあまあ最低水準の生活をしている人よりも上のところではなかろうかと、そこで最近さらにいま電熱器を使うとか、まあテレビ、ラジオというようなことで電気の消費量も上がってくるけれども、所得の低い人は、やはり電気、ガスよりも、またほかの練炭を使うとかなんとかいうような形であるし、また、金持ちの人は各部屋ごとにいろいろな電熱設備その他使っておるというようなところで、まあまあ所得にかなり比例したような消費内容じゃなかろうか。そういう意味でこれは悪税だとは言えないので、けれども、それじゃ現在の七%がいいのか、あるいはもっといままでのように八%ないしは九%にしたほうがいいのかという点になりますと、私もちょっと具体的な数字を持って申し上げているわけじゃございません。  ただ、これまた私のほんとうの私見でございますが、公共料金というものを政府があまりに押え過ぎているために、かえって設備が整わないでいろいろな問題が起こってくるということが一方にありますので、私、まあ政府が押えられるものだけ押えて、押えられないものだけを野放しにしておって物価等が騰貴していくという形は、実は経済の原則としてはおかしいのじゃないか。鉄道料金など、まあいろいろ議論があるようでございますが、定期券を九割引きにしているために、もうどんな遠くからでも平気で通ってきて電車を込ましている事情も実は起こると、そういうことを考えるというと、公共料金で押えられるものだからというので、あまり押えて、そのために今度は政府のほうとしては電力を増強するためには低利資金を特別にめんどう見てやらなければならぬ。低利資金でめんどう見るということは実は補助金を出しているのと同じことなんでございますが、それほど片方でゆがめながら公共料金で抑えて設備がうまくいかぬいかぬと言っている状況はどうかと、これはちょっと議論になりまして恐縮でございますが、まあ公定料金が非常に安く押えられているからというわけじゃございませんけれども、電力の消費量というものは光線のほうの関係のほうは大体免税規模のものの中に入っていると考えますと、少し存続ないしは七%を八%に戻して、地方財源に狂いのこない程度にしておいて、市町村の仕事のほうで住民に便益を与えてあげるというほうがかえっていいんじゃないかと、こんなふうに考えております。
  11. 千葉千代世

    千葉千代世君 続いて伺いますが、そうすると、産業用のこの電気の免税というのは、産業用でもいろいろありますわね、たとえば特定産業ですぐ消費過程につながらないものをつくっているところと、それからある程度消費過程に、一般に購入している対象とされるものでありますれば、いまのようなお話もちょっと私わかるような気がいたしますが、かりにそうでなくて、全然ほかに使うもので、一般消費生活になじみのないものをつくった、そういうときでもやはり免税で、その免税した負担家庭にかかるようであってはならないと私は思うのですが、その点の御意見をちょっと伺いたいと思います。
  12. 木村元一

    参考人木村元一君) 先ほども出たのですが、パチンコ屋さんで使っている電灯が無税になって、家庭の電力のほうがふえてくるということになると、これはおもしろくないと思います。したがって、区別をつけるということになりますと、やはりいろいろ問題があろうと思うので、私は何も産業用免税にするあるいはそういう浪費的な電力を免税にしてそれを家庭にかぶせろという意味でなしに、電気ガス税を一がいに悪税だというので廃止方向に持っていくという意向がいまのところ非常に強いのですけれども、必ずしもそうじゃないのだ。ある程度所得に比例しておる面もあるし、免税点も設けてあるから、ほかの税金でもっといいものがあれば別ですけれども、いまの事情では、それほど目のかたぎにして、将来五まで下げていくのだというふうなことをおっしゃっておられる向きもありますけれども、まあまあそれほど悪税視する必要はないのじゃないか。ただ、いま御指摘のありましたような矛盾その他があることを私もよく承知しておりますので、事業用とそれから家庭用との区別をどこでつけるか、商店や何かの場合たいへんむずかしいのでございますが、それらについて何らかの規制措置ということが必要だということは私も承知しております。ただ、具体的にいまどういうふうにしたらいいかということになりますと、皆さんの御意見も伺ったり何かしないとよくわからない。
  13. 千葉千代世

    千葉千代世君 実は設備投資に相当政府のお金がいきましょう。財政投融資の中の一兆二千億もいく。そういうもの設備投資のほうに金が入っていく。一方ではそういう恩恵を受けながら産業をやっている。そして、今度は電気ガス税相当免税点も考慮している。そして、この電気ガスが採算が合わなくなった場合にどこへそれを求めるかというと、政府でもなければ、一つの企業体ですから、どうしたって維持していくためにはどっかにいくのじゃないか。そうすると、数多くの零細なものがそれをかぶっていく。こうなってくると非常に私危険じゃないかということを、個々にいえば非常に少ない数字のようですけれども、これは数えてみると、かなり膨大なように伺っている。特に、占領中、その後も引き続いて、やはり駐留軍の方々電気ガス税についての免除もあるし、そういう面でそれをまあ相当一般の家庭負担した面もあるように数字的に伺ったこともございますので、やはりこの点は、産業用を免除してそれを家庭が持ってあげたらいいじゃないかというようなあれじゃなくて、その背後をもう少し検討しあった中の総合的な問題と地方税というものとの関連をお話しいただけたらありがたいのですが、一言何かあったらおっしゃっていただきたい。
  14. 木村元一

    参考人木村元一君) 確かに御指摘のとおりで、税金というものは一つだけを取り上げて言うわけにもいかぬし、しかし、一つ一つ税金についてもやはりジャスティフィケーションといいますか、合理性を考えなければならぬ。両面ございます。大きな目で申しますと、日本の税金というものはもっと直接税でいくべきだ。つまり間接税でいきますと、砂糖などというものは、日本は世界でも一番商い砂糖をなめさせておる。だれが負担しているかというと国民大衆だ。国民大衆の中でもそれじゃだれかといわれるとわからぬ形でいくのでありますが、そういう税金よりは少々納めるとき苦しくても直接税のほうがまだ家庭事情その他を考えておるからよろしいのじゃないか、こんなふうに思っております。ただ、そのいろいろな利益を受けておる人がまあガスや電気を使っておって、しかも事業用だからといってそれが免税になる。免税になった分が家庭にすぐにかぶさってくるというような形になると、これはその両者の間の不均衡ということになろうと思います。ただ業者というものは、また他方から申しますと、いろいろなまあほかの税金も納めておると、それで、かりにこの電気ガス税免税になって利益が上がってくれば、今度は府県の場合では事業税の増収という形にもなりましょうし、国税の場合には所得税の増収という形にもなりましょうし、なかなかこちら側のものを押えたその分をこっちにかぶったんだというふうに、まあわれわれすぐ言うのですが実はなかなかどこからどっちに移ったのかむずかしいところもございます。  そんなことで、まあ電気ガス税の合理性を考える場合には、その税金自体の合理性を考えると同時に、ほかの税金との関係でまあ考えるという二通り意味がありまして、私自身は先ほど申しましたように、どちらから考えても現状においてはまあまあそうむやみにいけない税金だというほどのことはないのじゃないかと、こんなふうに考えるのでございます。  御質問によくお答えできたかどうかわからないのですけれども
  15. 松本賢一

    ○松本賢一君 木村先生にちょっとお尋ねしてみたいのですが、固定資産税にまあ関連した、今度の税改正と直接関係のない問題かもしれませんが、いま地価がうんと上がったために、まあ特に大都会の付近では家を持つことが非常に困難になったわけですけれども、それを何とか緩和しなきゃならぬということは、これはだれしも考えておることですが、さてそれをですね、税の面からどういうふうにやってそれを促進する方法があるかということになりますと、なかなかまあいい知恵がないわけなんですね。そこでこれ何とかしきゃならぬ問題で、ほかにもいろいろほかの方面からの解決策もありましょうけれども、税の面からの何らかの解決策を、先生もし御意見がおありでしたらひとつ個人的な御意見でけっこうですから。
  16. 木村元一

    参考人木村元一君) 率直に申しまして、税の方面からやっていく道は、私は全然ないと言ってもいいと思います。二年ほど前でございますか、この休閑地税という考え方を提出された学者、松下先生おられますけれども、税がだれの負担になるかということは、土地なら土地、あるいはそのほかのものでもよろしゅうございますが、それに対する需要と供給との関係できまってくるのでございます。したがって、需要が非常に強いときには、休閑地税をかけますと、その休閑地税はおそらく買い主のほうに転嫁されていくのじゃないか。それよりも根本でありますのは、やはり供給をふやすということで、おそらくいま土地の供給を妨げております一番大きなものは、農地法ですか、農地住宅地転用について一年も二年もかかるという状況一つある。それで、まあもう少し日本が資本力に富んでくるようになりますれば、おそらく生活環境あるいは生活意識というものも変わってまいりまして、一々庭とそれから小さな平屋を建てるという意味住宅欲求というものはだんだんなくなってくるいいますか、なくさなければいけない。そうしますと、坪何十万円という土地にもっていって平屋を建てるということは、先ほどちょっと申しました、資源の浪費ということもちょっと言い方は悪いのですけれども、まあそういうところであれば、どうしたって五階建、六階建の家を建てて、アパート的な感覚になれてくるという状況が一方また必要でもあるし、だんだん出てくるのじゃないか。で、東京をもっとりっぱな町にするには、私はもっと土地が高くなったほうがいいんじゃないかと、逆の言い方でございますけれども、少し突っぱなした言い方では、そんなことまで考えております。それを安くするためには、近隣の農地がどんどん転用できるようにするというような、供給の増かということを一方に考えないで、ただ税金でそれをやるということは、なかなか困難ではないか、こんなふうに私個人考えております。
  17. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうおっしゃられてみると、どうも私なさそうな気もするのですけれどもまたちょっと全般的な解決にはならないと思うのですけれども農地の問題を一応別にして、宅地だけの問題として考えてみますと、投機的にやっているものは、これは税金が上がれば買手のほうにおっかぶせていくということになるでしょうけれども、そうでなく、投機的でもなし、ただ漫然と広い住宅を持ち、漫然と休閑を持っておるというような地主もたくさんあると思うのですよ。こういう人たちは、現在食べるのには困っていないし、そうかといって土地を売って金をもうけてみたところでしょうがないしというようなことで、漫然と持っている人がある。面積にしたら相当の面積だと思うのです、東京付近にも。そういう人たちが、一定の面積までは税金が安くて、それ以上になると非常に高い税金をかけられるというようなことになるとですね、一日も早く売ってしまわないととてもかなわないというような気持ちになって、土地を手離す傾向が出てくるんじゃないか。そうすれば土地の値段もしたがって下がってくるんじゃないか、こんなふうな効果が多少あるんじゃないかという気がするんのですが、そういう点いかがですか。
  18. 木村元一

    参考人木村元一君) 課税技術上どうも問題が一つございます。そういう方式でちゃんと区別ができまして、どこからどこまでは休閑地である、休閑地いいますか、ただ漫然と持っているんだという証明がすぐ取れて、区別ができるという前提が一つないといけない。それがひとつむずかしいという問題があります。  それからもう一つ、持っている土地を手離さざるを得ないという状況に持っていくということの、一つの私は手段としては、語弊がありますが、合理的な手段としては、固定資産税引き上げじゃないか、私は吉祥寺に住んでおりますが、聞くところによりますと、あのあたりでも十万円程度の値段になっておるけれども固定資産の台帳のほうでは千円か二千円にしかついていないというような状況、それからもう一つは、漫然と持っているということの意味のもう一つは、もう明らかに、その土地はいま農地にはなっておるけれども、もうあと三年か四年もたてば、必ずや何といいますか、住宅地になるに違いないようなところを持つている、そういうところもございますですね。しかしまた、課税技術上宅地に認定してというような話になると摩擦が大きくなってむずかしいのじゃないか、まあできれば、少くとも正当に土地評価して、それに対し、正当に課税をするという状況になれば、いま持っておって値上がり考えるのと、毎年々々相当高い固定資産税を払っていくのとでは、どっちが得かという計算が出てくる思います。  もう一つ、日本の土地問題を考える場合、アメリカなどと全く違う点は、ほかの点では、先祖の御意向などは無視しておる方々でも、土地を手離すという問題になってまいりますと、これは先祖代々のものだと非常に親孝行になる、そのときだけ、これはまあ日本のように、長い間開けてといいますか、農業を営んできておった国柄の土地所有者の気持としては当然の心理でございますけれども経済的に考えれば、それだけ高くなつた土地を売って、よそへ行ってまた適当に暮らすというふうな心理状態のほうがむしろ経済的には合理的なんでござますね。ですからそういう状況がこれから、まあことしはだんだん出てくるだろうと思いますけれども、どうも税金で適切に休閑地を手離して土地の供給をふやさせるという方式をとることは、ほかの摩擦と考え合わせますと、なかなかうまくいかぬのじゃないかという感じを持っておるのでございますが……。
  19. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうしますと、まあ結局、私も先ほどことばが足りなかったのかもしれませんが、要するに、私も固定資産税引き上げて、そしてそのかわり一世帯当たり幾らまでという必要な面積だけは特別に安くするという方法をとってやっていけば、全体を高くされてしまうと自分も逃げ出さなければならないようなことになりますから、そうじゃなくて、自分だけは安泰に住めると、しかしそのほかのところを、ただ、将来まだ上がるのだから漫然と持っていようといったような気持ちでなく、早く処分しなければ税金に追われるというようなことは、やはり考えてもいいのじゃないかという意味で申し上げたのでございます。  それじゃ続けて市長さんと町長さん方にお伺いしたいと思うのですが、いまのそれぞれ地方自治体でこれをなさっておられる方々ですから、地方財政というものを中心にして議論が進められていっておったように思うのでございますがね。その中で、ちょっとお二人の意見がわりに違っていたところがあったように思うのですが、それは固定資産税のところで、足利市長さんは、土地評価は二割くらいの引き上げじゃかえって不公平だと、だから新評価になるべく近づけるように、激変を緩和するような段階的な方法をとるのはいいけれども、新評価をなるべく近い将来にとるようにしてもらいたいというような御意向のように伺ったのです。そうでございましたか。
  20. 木村浅七

    参考人木村浅七君) そういうわけじゃないのです。もちろん宅地山林等旧課税額よりも二割増で限定をしておりますが、そうしまするというと、やはり旧評価というものが土台だということになつてくるのです。しかし、政府も新評価を、改定するということは、いまの評価というものがいまの時代にそぐわない、なるべくこれをいまの評価に引き直して、そして公平な課税をするということが根本の目的だろうと思うのです。でございますから、もちろん二割の限定をしておりますが、評価は新評価でやっておるのですが、課税は旧評価の二割増しの限度だということになっているわけです。ですからそういうことでなしに、評価を新評価でやりまして、それでその何割か特例の措置をするということのほうが新評価がいまの時代に沿う適正な評価で、でそれが公平だという見地に立っておるならば、新評価を基準としたということがいいのじゃないかと、もちろん……。
  21. 松本賢一

    ○松本賢一君 段階的にまあ十倍に、今度十倍に評価されたのは、十倍の税金段階的に何年かの後には取るようにしようという、そういう意味じゃなかったのですか。
  22. 木村浅七

    参考人木村浅七君) そういう意じゃございません。
  23. 松本賢一

    ○松本賢一君 ああ、それなら私の聞き間違いでございました。  それからこれはあなたの市の特別な事情だろうと思うのですが、いまの織物の電気税ですね、これはあれですか、どのくらいの響きがあるのでございましょうか、実情をちょっとお知らせいただいたらと思うのですが。
  24. 木村浅七

    参考人木村浅七君) 実はこれの実態をつかもうと思いまして、税務当局に調査をさせておりますが、なかなかむずかしい問題でございます。ことに私のほうの足利市も昔から織物の産地として古い歴史を持っております。したがって、織物関係の業者の数というものは非常に多い。私の市内で事業所三千百、従業員がで三万二千ということを言われておりますが、一事業所当たり十人平均ぐらいしかございません。それほど零細企業。で、そういう企業はもう作業場も住宅もみんなごっちゃになっております。まあそういうことで、家庭用の電気、事業用の電気まあ動力は別ですけども、一般の電灯その他は区別ができない面がございます。そういうことで、非常に困難をなめますが、しかし、何とかしなければならないと思いますが、したがって、とにかくそういう織物工場、まあ輸出振興という名でありますが、内需物を織っておりましても、これも軽減の対象になるようでございますから、そうしまするというと、電気税というものが激減をするということは私どもはまあ三割あると思う。で、実は各市の状況等も市長会において一応照会をいたしておりますが、まだなお各市の状況がはっきりつかめておりませんけれども市長会には五割というようなことを報告しておる。あるいは四割、三割というのがたくさんございます。私のほうの市でもおそらく三割はあるだろうと思っております。三割あるといいますのは、私どものほうの市で電気税がだんだん、自然の伸びはありますけれども税率が減ってまいりましたから、今年あたりは電気税は減ります。しかし、年間約六千七、八百万円はあると思っております。そういうことは、かりに三割減ったということになりまするというと、二千万円ということは私ども地方財政から申しまするというと、大きなウエートになるということを心配いたしております。
  25. 松本賢一

    ○松本賢一君 それで、たばこ消費税なんというようなものではとてもカバーができないというようなことも先ほどお話があったようでございましたね。古屋町長さんのほうはたばこ消費税でカバーするという一つの原則を打ち立ててもらいたいというような案があったのですが、あなたのほうの町で電気税のマイナスよりもたばこ消費税のプラスのほうがむしろ大きいくらいになるような事情があるわけですか。
  26. 古屋五郎

    参考人(古屋五郎君) 大体同じような向きですが、たばこ消費税で一・一二に伸びまして電気ガス税で〇・七八、これを差し引きいたしますと一・〇五、まあ〇五だけの伸びがあるというような状況でごいます。
  27. 鈴木壽

    鈴木壽君 市長さんと町長さんに最初にお尋ねをいたしますが、おたくのほうでは現在住民税課税方式を本文でおやりになっているのか、あるいはただし書きでおやりになっているのか。それからもう一つは、かりに本文であれ、ただし書きであれ準拠税率と、実際におやりになっている市あるいは町でおとりになっている税率ですね、これはどういうふうにやっていらっしゃるのですかということをお知らせいただきたい。
  28. 木村浅七

    参考人木村浅七君) ただいまのお話ですが、私のほうでは、現在ただし書きの方式で、準拠税率よりも少し高い超過方式と申しますか、をとっております。今年は、法の改正の趣旨に準じまして、新しい方式に移行しているつもりでございますが、税率は現行税率で今年だけは生かしていこうと考えております。
  29. 古屋五郎

    参考人(古屋五郎君) 私のところは、ただし書き方式準拠税率でございます。なお、山梨県におきまして本文方式をとっているところは、わずかに五十七町村のうちの六つか七つであったと承知いたしております。
  30. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうすると、これもお二人にお答えいただきたいのですが、ただし書き方式をとっていらっしゃるとすれば、今度の法改正の趣旨にのっとって扶養控除等の新設をした方式になさろうとお考えだと思います。その場合に、どの程度減収額になるかどうか。その点をひとつお二人から。
  31. 木村浅七

    参考人木村浅七君) 私のほうでは、もちろんいまお説のとおり、今度の新しい本文方式に近い方式を採用いたします。そこでしかし、従来準拠税率よりも少しく超過した税率をかけておりますが、今年だけはその従来の私どものほうの現行税率でいこうと考えております。ところで、それを今度の新しい方式で、準拠税率で計算をした場合に、私のほうでいまそういう新しい方式で若干の超過方式をやっておりますが、そこで二千二百万円ばかり違います〇二千二百万円ということは、率から申しますというと約一割一分減になっているということでございます。
  32. 古屋五郎

    参考人(古屋五郎君) 私のところで今回の経過措置方式をとった場合には一二%が減になります。それから四十年度におきまして本文方式に完全に移行した場合には、それからさらに三八%が落ちることになっております。
  33. 鈴木壽

    鈴木壽君 額は……。
  34. 古屋五郎

    参考人(古屋五郎君) 額で経過措置の場合が百四十万円、それから次の完全本文方式になった場合に四百六万円でございます。
  35. 鈴木壽

    鈴木壽君 市長さんも町長さんも電気ガス税についていろいろ御意見が述べられたわけでありますが、一方、木村元一さんのほうもこの問題についても質問いたしましたが、いろいろ御意見が出ましたが、率直に言って、私自身もこの電気ガス税というものの性格をどう把握し、どういう姿で置くべきかというようなことについては、どうも私自身非常に不安なものの一つでございます。で、確かに、先生のおっしゃったように、これについて一つ所得課税的な性格も、いまの時点では持ってきておると思うのです。さらにまた、産業用の電気に対する課税あるいは非課税の問題これもまたいろいろ議論のあるところだと思うわけなんですがね。まあ先生のおっしゃるには、産業用の、いわばコストにかかるような税というものはやめて、一般の家庭の、いわゆる消費したものに対しての税として残して、場合によっては、その率なり程度なりはどの程度になるかはともかくとして、場合によっては、もっと引き上げた形で電気ガス税として存置すべきでないか、こういう御意見であったようにお聞きしましたのですが、まあ確かに私もそういう御意見もあると思います。と同時に、しかし、将来の根本的な、いわゆる税のあり方というものについてのそれと、それから現実にいまこういう形にで電気ガス税が置かれ、そしていろんな形に課税されておる。こういう時点に立ってみると、また、特に企業に対する課税のあり方というものには、私問題があると思うのですね。先生もさっきちょっとおっしゃったと思いますが、たとえば、コストの五%以上を占めるものについては無税にするという取り扱いをするんだが、非課税とするんだが、しかし、四・九九%の場合、一体どうするのか、こういう御意見もあったようでありますが、まあそういうところにも、現在どうも割り切れないものがある。特に原料といいますか、コストにかかる税金というような意味で、非課税措置をとっておりましても、それが一体生産費あるいは販売価格、一般のわれわれ消費者、これらの関係からいって、はたして一体そういうものがどう生かされておるのか、こういう問題も、私は、もし非課税にする、あるいは減税するといった場合には、私検討されなきゃならぬ問題だと思うわけですね。で、まあそういうような非常にむずかしい問題があるんですが、いまこういう形で、お互いすっきりした形で、全部の方々納得できるような姿での税でないという、こういう時点で、まあいろいろ問題がいま言ったようにあるわけですが、特に私は企業課税というものは、やっぱりこの際税調あたりでももっとも御検討いただけたらと思うのであります。くどいようなことになりますが、性格をはっきりするというようなことから、あるいは課税すべきじゃないという結論が出るかもしれません。まあそれはそれで私いいと思うのですが、いずれにしても、この企業課税の、たしか非課税対象になっておるいろいろ産業の実態、どうも私は納得のいかないものがあると思うのです。年々非課税品目が追加されて、当初はきわめてわずかな、製鉄とか、ああいうほんとうの意味での基幹産業といいますか、しかも、国民生活に重要な関係を持つというようなことで、わずかな品目で非課税範囲というものは押えられておったのですが、だんだんふくれて、現在まで百二十、それに今度もまたというふうになりますから、百三十種類くらいになってくると思うのです。これは私はこのままの姿ではいけなくて、もっと検討されてしかるべきじゃないだろうかと、こう思うのですが、そういうことにつきまして税調なりで論議の過程の中でどのような御意見があったのか、あるいはどういう方向であるのか、もしありましたらひとつ、また先生のお考えもこの機会に、さっきお話がございましたものの、もう一度聞いておきたいと思います。
  36. 木村元一

    参考人木村元一君) 税調での考え方は三通りございます。一つは、そもそも電気ガスといったような、いわば生活必需品的なものに課税するというのはおもしろくないのだから、将来は廃止方向考えなくちゃいけない、いわんや、そういうことを考えた場合に、いまの税率をそのままに置いとけば、電気ガスの消費量というものはどんどんふえていくので、動かそうにも動かせないほど大きな税収市町村に与えてしまうことになるからで、できるならば全廃の方向で、それも、一ぺんにいかない、少しずつ、一%ずつくらいでも下げていって、将来電気ガス税というものは廃止してしまったほうがいいという考え方の人がおられます。  それから、そこまで極端ではないけれども、まあいまの税率は少し高過ぎるから、五%くらいに下げて、もう少し課税対象を広げていってもいいのではないか、つまり、広げるのではございませんけれども、いろんな例外措置で、いまのお話のように、抜けているものをもとに戻していくという考え方。  それから、私先ほど申しましたような考え方、あまり大っぴらに一生懸命議論したわけではございませんけれども支出税という形で、電気ガス税というものを残していくのはどうだろうと、私はその立場を、先ほどちょっと申し上げましたのでございますが、たまたま足利市の実情等から考えて、また、先ほどこちらの委員の方から御質疑がありましたように、同じ事業用といっても、消費生活に非常に近い分野のものと、それからまた、同じ事業だといっても、自宅と作業場が一緒になっているところでどういう区別をするか、いろいろ課税技術上の問題もあろうかと思うのです。  そんなわけで、四年ほど前ですか、免税点を設けましたときにはだいぶ議論がございまして、そのときの議論では、一方では、あなた方都会にいて、電気ガスをふんだんに使っている人は考えてもみておらぬだろうけれども、いなかを回ってみてごらんなさい、電気もないようなところは、そういうところでは自家発電をやるというので、非常に苦労して高い電灯をつけておるようなところもあるんだと、これは一種の文明の利器であって、これを利用できるということ自体はたいへんなありがたいことでもあるし、一割やそこらの税金をかけた、月二千円使う人が、二百円よけい払ったからといって、そう問題にすることはないじゃないですかという御意見もあって、それと、市町村にとって非常に重要な財源であるということから、免税点を設けるべきか、あるいは基礎控除方式で、どんな人にでも三百円だけは基礎控除にしてやるべきか、ずいぶんいろいろ議論がそのときにはありましたが、一応免税点ができましてからは、税調のほうで特に議論をしておりませんでございます。けれども、いまのお話は、実は固定資産税についても同じことが言えるのでございます。つまり、同じ固定資産であっても、家庭用資産と、事業用資産とはどうであるかとか、酒、たばこのようにもうほんとうに末端で消費されるような形になっているものについてはあまり問題がございませんけれども、自動車税をかけるにいたしましても 自家用の自動車と言っておるその中に、中小企業の人が運搬用に使っておる自動車と、それからほんとうのオーナー・ドライバーの場合の自動車と、経済的に見れば、一方はコストに入ってくるし、一方は家庭の所得の消費である、そういう違いがございます。さらにまあ大きな問題としましては、法人税であるとか、あるいは事業所得税であるとか、さらには府県でかけております事業税、そういうものを含めて、一体企業課税というものはどうあるべきか。これはいろいろ考え方がございまして、ヨーロッパあたりでは、しきりにいま企業課税を間接税方式にもっていくような、取引高税とか仕入れ税とかそういう形でとっていく、その場合には消費税であるのか企業課税であるのかわからぬような流通税方式で取っていくというような考え方もありますし、日本でも両三年前から売り上げ税という形で、これはやはり消費者に転嫁することを頭に置いた上で企業から取るわけでございますが、そういうことを考えて、直接税をもう少し減らしたほうがいいんじゃないかといった議論もございました。議論のおそらく焦点になりますのは、法人というものをどういうふうに考えるかといったこととも関係がございますし、さらに進んでは、いまお話のように、企業というものを課税対象として見る場合に、どのような扱いをしたらいいか、いろいろ議論もあるし問題もありまして、おそらく来年の七月の最終答申までには何らかの形ですっきりした、できるかどうか知りませんが、すっきりしたものまでもっていくように努力しなければならぬ。ことに府県段階では、いまの事業税が、ちょうど国の事業所得税の付加税みたいになっている、さらにそこへもってきて住民税がかかるということで、事業所得者の場合には一つ課税対象に三重にかかってくる、そんなことでいいのかどうか、つまり府県事業税を付加価値税方式にもっていったらどうかといったような議論もございますので、いまお話しの点も含めまして根本的に検討させていただきたいと、こういうつもりでおります。
  37. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあ税調等におきましてもしばしばこの問題についての御検討はあったようでありますが、しかし、先般の十二月に出されました税調の答申の中には、意見はいろいろこういう意見もあったというようなことで結論を出し得なかったというようなことが書いてあるわけなんですね。それだけもう何か性格のはっきりしない税だということにもなると思うし、また、すっきりしようとしてもなかなかこれはたいへんな問題を含んでいる税だと思うのであります。しかし、このままの形で何かわからぬようなかっこうでこの税を置くというようなことではやっぱり私はいけないと思うので、いま申し上げたようなことをひとつお願いやら御要望を申し上げるわけなんです。従来自治省はこの税というものを消費税として純化してまいりたいということをしばしば私どもに言っておった。私はそれならそれでもいいと思うのです。いいというのはそれを直ちにそのとおりだという意味でなしに、一つ方向として何らかのやっぱり性格づけというものをもう少しはっきりしないと、この問題の扱いというのは、とりあえずさしあたって今年は一%引き下げておこう、あるいはこれらの事業に対する課税を減免しようとか、あるいは非課税にしようというような、何か、その何といいますか、そのときどきのたとえば輸出振興が大事だというとそれではひとつこれをやろうじゃないかというような、はっきりした方向というものを持たない手直し程度でやっているということは、私しばしば申し上げますように許されないんじゃないかと思いますので、いま申し上げたようなことを御要望申し上げたわけなのであります。  それから先生先ほど固定資産税についてお述べになりまして、個人的な御意見として、もっとじょうずに上げて、市町村の大事な一つの大きな税であるから、財源の充実の一つのそれとして考えたらいいんじゃないかというふうにも思われるというようなお話がございました。確かにこの税というのは、現在の市町村における税の一番大きな柱と申し上げてもいいと思います。ところによってはそうでないところもございますけれども。しかし、そのことと、固定資産税をもっとふやして坂ってもいいということとは、あまりすぐくっつけて考えても私困る問題ではないだろうかと思うんですがね。私こういう場合だったら、いわゆる固定資産税というものを考える場合に、たとえば都市計画税として、都市計画のためにやっていく場合の負担の際に、固定資産評価、こういうものを使いますから、そういう場合だったら私はもっともっと負担をしてもらってもいいんじゃないか、一般的に固定資産税として土地あるいは家屋でも、その他全般の問題としてこれを負担をふやすという方向はこれはとるべきではないじゃないかと、こう私は思うのですが、この点いかがでございましょうか。
  38. 木村元一

    参考人木村元一君) たいへんむずかしい御質問でございますが、いまのお考えは、一つには一種の利益説といいますか、利益主義の立場が背後にあるんじゃないかと思うのでございますが、たとえば揮発油税を増税するというときには、道路をよくするのだから揮発油税を上げるのだ、都市計画をやればその土地の地価もまた上がるだろうし、便利にもなるだろうというので上げるのだ、しかし、まあ税金の性質ということから考えますと、私はたとえば道路というものを揮発油でやらなければならぬというのではなくて、揮発油の増税というものは、たばこの税金と比べて揮発油のほうが重いか重くないかということで考える、たとえたばこの消費税であろうと何であろうと、所得税であろうと、道路が必要ならば道路に出すべきである、それが近代の租税というものの性格じゃないか、いまのお話で参りますと、一種の受益者分担金式の形になるので、問題は国定資産というものがほんとうに担税能力をあらわす物件として適当なものであるのかどうか、もし適当であれば、それはそこから上がってきたものが都市計画のためであろうとなかろうと取っていく、そういうふうに私自身は考えておるのでございます。もちろん全国津々浦々事情が非常に違うのでございますが、早い話が私ども吉祥寺に幾らかの土地を持っておる。シャウプ改革が行なわれましたときの固定資産税の納税通知を見まして私はほんとうにびっくりぎょうてんするくらいに驚いたのであります。その後、自治省のほうで三年ごとくらいに全国平均で一割程度、七%程度の値上げの指示価格をやってきた、したがって、まあ口幅ったい言い方でございますが、現在は固定資産税は私ちっとも驚いていない。しかし、私のように所得が上がった人というか、たいして上がっておりませんけれども、上がった者と上がらぬ者との間の違いということがありますから、どうしても固定資産税というものは平均の担税能力といいますものしかつかめない、そういう性質のもので、あまり高くすれば、それよりも担税力のない人にとっては非常に過酷な税金になります。また、それ以上に余力のある人にとっては、これは楽な税金になります。これはしかたのない性格のものです。したがって、固定資産税がいい税金であるかないかということは、税率をどうするかということとも関係あるのでございますけれども、私の感じでは、昭和三十年以降今日まで十年間の間に伸びた経済的な実力というもの、それが主として建物と償却資産のほうで吸収されておりまして、土地のほうもほんとうは相当の担税能力をあらわす形で存在しているんじゃないかと思われるのに、どうも指示価格の上げ方がまだ十分じゃなかったんじゃないか、そんな感じを持っているものでございますから、金額でどれだけということは申しませんけれども、もう少し固定資産税、ことに土地関係のものを上げて税収をおあげになることは、ほかとのつり合いから考えてそう無理じゃなかろうじゃないか、こんなようにいまは感じているのでございます。
  39. 鈴木壽

    鈴木壽君 時間もないのでもう二点。一つは、先生一番最初にお述べになりました住民税の、今回の税調で出した結論なり、あるいは政府改正に関連をしまして、いわゆる最低生活費と申しますか、所得税の場合においては、それに税金が食い込むようなことのないようにという配慮をされているにもかかわらず、住民税の場合は、そういうことがあまり問題にされておらないのはおかしいじゃないかという意味のことをおっしゃったと私聞きましたんですが、とすれば、実は私も同感なんでございます。かりに四十八万円なら四十八万円といたしますと、所得税はかからないけれども、いわゆるその地方の住民の立場で、道府県民税は取られるし、それから市町村民税がかかってくる、しかもその額というものはあまり小さくない額としていま課税されている。もし税というものが、これはもういろいろな、これについても、税そのものの性格はどうのこうのというようなことになりますと論議がありますけれども、しかし、所得に対する一つ課税、いわゆる所得課税として見た場合に、それだけではなお割り切れない性格を持っていると思いますけれども、少なくともそれが重点として私は考えられなければならぬ問題だと思いますが、その場合に、いま申しましたように、生活費の中にやはり県税あるいは町村税として二重に入っていくというようなかっこうというものは私は避けなければならぬじゃないか。先生は、たとえば基礎控除の額の引き上げ等も例としてお出しになったようであります。そういう問題も含めて基礎控除の問題、こういうものも取り上げて——今回の税法の改正の中には政府も取り上げておりませんし、それからまた、税調の答申の中にも何ら触れてはおりませんけれども、しかし、早急にこういう問題に対してのやはり方向というものをお出しになっていただくことが大事じゃないだろうか、こう私思いますし、実は政府の方おられると悪口みたいになりますが、いまみんな税調まかせなんです、実は。そのくせ、税調から出てきたものをそのままとるかというとそうでもないのですが、とにかく税調まかせなんです。結論はみなそちらにげたを預けたようなかっこうで、これは悪口のようで悪いんですけれども、私は、ひとつ政府自身でそういう問題に対して——税調がありますけれども政府自身としても、はっきりした方針なり、態度というものを打ち出すべきであるし、あるいは場合によっては税調の方々政府はこう思うのだがどうか、こういう諮問のしかたなり、そしてそれからの答申なりを求めるということも私必要だと思うのですけれども、それはともかくとして、いま言ったような状態ですから、税調等におきまして早急にこういう問題についての方向を、先生さっきお述べになりましたように、また私がいま申し上げましたような方向で出していただきたいものだと思いますが、それに関連をしまして、何かそういうようなことについて、答申にはあらわれておりませんけれどもお話等がありましたら、先生の個人的なお考えは先ほど聞きましたが、税調等におけるところの論議があったら、もし述べていただくことがございましたら、それを一つと、これは簡単に聞きますけれども国税のいろいろな特例措置特別措置地方税にはね返ってきて、地方税減収を来たしておるというようなことがいろいろあるのですね。地方税というものは、やっぱり国税との間に、そういう関係でなしに、一応遮断をすべきだという——特に住民税の場合は、そういうことで現行のようなことになっておりますが、それは住民税以外のものであっても、やっぱり国が政策的に、あるいは政治的な配慮からいろいろな角度が行なうところの税の特別措置というものを、すぐそのまま地方税に波及するというような、おっかぶさってくるというような形は私は好ましい形ではないと、避けるべきものだというふうに考えておるのですが、その点について結論的なことでよろしゅうございますから、住民税のいわゆる負担軽減という問題と、二つについてお教えいただきたいと思います。
  40. 木村元一

    参考人木村元一君) 住民税の遮断をいたしましたとき、非常に私個人も、税調の委員方も、念を押しましたことは、遮断はするけれども住民税もやはり所得税であるのだから、事情に応じてはこの基礎控除引き上げをその他をお考えいただきたいと申し上げた覚えがございます。  ただ、実情を申しますと、いまお話しのとおりでございまして、地方のほうは、財源的に非常に弱いところがある、三千三百なり、三千五百なりの地方団体のうちで、一番考えていかなければならぬのは、非常に困った団体のほうだということが基準になるものですから、ここで、たとえば九万円の基礎控除を十万円に上げたとするというと、小さな貧弱な市町村では——まあ村でございますが、納税者がほとんどいなくなってしまうのだというような議論がございまして、なかなかこれは理屈どおりにいかないといううらみがございます。  それからもう一つは、私先ほど説明が足りなかったのですが、最低生活費というものをいろいな形で出して、ことしは四十八万円ぐらいだということを出しておる。一体それで足りるのか足りないのかという議論がまた次に出てまいりますし、物価の騰貴その他を考えたら、もっと上げなくちゃいかぬのじゃないかという議論もある。ところが、地方を回ってみまして、つくづく感じることは、同じ四十八万円でも、都会地の四十八万円と、漁村、農村における四十八万円とは、いわば生活をささえる金額として、金額は同じだけれども、力としては非常に違うという点もございます。それである一つ考え方によれば、たとえば三十五万円以上の人は所得税の課税対象になるのだ、国税は。そのうち四十八万円以上のところを国税対象にして、地方税の場合は三十五万円以上から含めるのだという形でひとつ所得税の体系を考えたらいいのではないかという意見がございます。私は、もしやるとすればそういう形で考える。しかし、国税国税地方税地方税考えるのではなく、やはり与えられた四十八万円という最低生活費というものを無視するわけにはいかぬと思いますけれども、何も四十八万円以上とらなければならぬというわけではなかろうではないか。どうもお答えが二通りになってしまいましたけれども、一方ではあまり国税だけがきれいな姿になっていこうとする。そうして片方は忘れられていくという、そういう風潮は、今後も直していかなければならぬ。そのためには努力をしていきたい、こういうふうに思っております。  それから、国税減税措置その他の改正地方税にはね返ることを遮断しなければならない、これは原則として私そのとおりだと思うのでございますが、御存じのとおり、国と地方との関係というのは、税の配分だけの問題ではなしに、行方においては、つまり市町村なり府県収入の約三分の一しか税金平均して入ってきていなくて、あと残りは補助金であるとか、あるいは交付税であるとかという形で回っておりますので、国が政策としてやるというものが地方に全然遮断させないということになりますと、納税者のほうは、場合によりますと、国税関係のある帳簿を、地方に出すときに、また、変えた帳簿なり申請をしなければならぬという納税者のほうの便宜にひっかかってくる問題もあります。それから業種によりましては、国で何かやろうと思っておった場合に、国税減税ということを関連して、どうしても地方のほうも少し減税せぬことには実効があがらぬといったような問題もあります。そこで、原則として、すぐ国で減税措置をしたものが地方にはね返るということを原則として認めるということはございませんけれども、かりに原則として遮断するといたしましても、やはりある程度個々のケースに応じて波及させるものとさせないものというものをそれぞれ検討していく必要があるのではないか、御趣旨には原則として賛成でございます。
  41. 鈴木壽

    鈴木壽君 いろいろ、いまの問題のほかにもまだお尋ねしたいこともございますけれども、あまり時間もないようでございますから終わりにしたいと思いますが、地方税の各税目一つ一つの問題だけでなしに、地方税全般としての、いかなる税目をどのような形でという基本的な問題をも現在の時点ではどうしても検討していかなければならぬ時期になっていると思うのです。市町村財源がないとか、財政力が弱いとかいう、こういう問題、このままにいっては何かやはりびぼう的な一時的なことをやって、市町村等に何がしかの財源を与えていくとか、あるいは財政措置をしていくということしかできなくなってくるのですね。こういう問題もございます。したがって、問題というのは、非常に根本的に大きな問題になってきていると思います。そういうものをぜひひとつ税調等におきまして真剣にお取り上げいただく、真剣でないという意味ではございませんが、さらにやっていただければということを私常に考えているのでありますが、私どもよくそういうことを口では抽象的には言っても、なかなか一体、どの税をどうするのか、国、地方を通じての問題になりますと、なかなかわれわれの手に負えないようなところもございまし、ひとつ先生方から十分の御検討をいただいて、ほんとうの意味での地方の自治がやっていけるような税財源のあり方ということのために、ひとつぜひおやりいただきたいということを申し上げまして、どうもいろいろありがとうございました。
  42. 木村元一

    参考人木村元一君) ちょっとそれについて申し上げたいのですが、御趣旨はもうかねがね私ども考えていることでございますが、ちょっと実情を、さしさわりがあるかもしれませんが、申し上げたいと思います。税調で地方財源なりの問題を考えますときには、まず、事務配分というものをどうするかという問題が根本にある。ところが、税調で検討いたしますものは、税制調査会であるがゆえに、補助金と交付税には及ばないというしきたりでございましようか、何かがございます。次に、今度も出ておりますが、臨時行政調査会等で中央地方を通じて全体の事務配分ということを考えるという大きな仕事をしておられますが、さて、税金関係のあることは、税調がやっているからということで、ちょっと何といいますか、人の畑にあまり足を突っ込みたくないという気持ちがございます。さらに、補助金合理化審議会というのがせんだってまでありまして、任務がこの三月で終わったのでありますが、ここでやっておりますことは、補助金なるがゆえに交付税については足を踏み入れない。税金の問題は税調でやっているということで、これも踏み入れない。もう一つ地方行政調査会でしたか、そこでは事務配分をやっているのですが、ほかのほうとの関係もあるということで、つまりこの問題がどこにほんとうの根底があるかというと、私は、日本の国家制度、地方制度、広くいえば日本の国家なり社会なり経済なり全体の問題にひっかかっている問題である。したがって、お説のとおり、根本的にやりたいと思いますけれども、それをほんとうにやるだけのおそらく行政機構なり調査機構なりも総合的なものがない。それに事務配分なり行政機構をいじくるという話になってきますと、御承知のとおり、非常に抵抗の強いもので、従来も内閣の命とりになるような抵抗が出てくるといったような実情がございますので、勢いわれわれがやることは、現状交付税制度なり補助金制度なり事務の配分なりは一応前提とした上で、さて、税源はどうだ、議論は絶えずそこまでいくのでございますけれども、さてどうしようという結論はだれにも出せないというような形で今日まで来ている。これはどこにお願いしてそういう総合的な審議会といいますか、しかも、その審議会が意見を徴するだけだという審議会ではしようがないので、やはりほんとうは取り組んでやっていくようなものをうしろに控えた、そういう審議会といいますか、調査会といいますか、そういうものがどこかでほしいとは思っているのでございますが、ちょっと苦しいところでございますので、ここの席を借りて申し上げさしていただきます。
  43. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) ほかに参考人の方に対する御質疑はございませんか。——それではこれにて参考人の方に対する質疑は終了いたしたいと存じます。  参考人の方に一言お礼のごあいさつを申し上げます。  本日は、長時間にわたりまして、さわめて貴重な御意見を詳細にお聞かせいただきまして、まことにありがとうございました。当委員会の審査のために、きわめて有益な御意見を伺いましたことを、心から厚く御礼を申し上げます。  本日の審査は、この程度にいたしたいと存じます。次回委員会について皆さんに申し上げます。過日、委員会の開会予定といたしまして、地方税関係二案につきましては、三月三十日、月曜質疑、討論、採決と申し上げましたが、都合により、次回は、三月三十一日、火曜日午前十時開会とし、地方税二案について午前中を目途として、質疑、討論、採決いたしますから御承知おき願います。  では、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十一分散会