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1964-02-06 第46回国会 参議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月六日(木曜日)    午前十時十八分開会     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     竹中 恒夫君    理事            西郷吉之助君            松本 賢一君            市川 房枝君    委員            石谷 憲男君            沢田 一精君            館  哲二君            松野 孝一君            鈴木  壽君            千葉千代世君            林  虎雄君            辻  武寿君   政府委員    警察庁長官   江口 俊男君    警察庁保安局長 大津 英男君    消防庁長官   松村 清之君    消防庁次長   川合  武君   事務局側    常任委員会専門    員       鈴木  武君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○消防組織法及び消防団員等公務災害  補償責任共済基金法の一部を改正す  る法律案内閣提出) ○風俗営業等取締法の一部を改正する  法律案内閣提出)     —————————————
  2. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  初めに、消防組織法及び消防団員等公務災害補償責任共済基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑を行ないます。御質疑の方は順次御発言を願います。
  3. 鈴木壽

    鈴木壽君 今回のこの消防組織法の一部改正、これはまあ端的に言うと退職報償金支給することができることを中心としたものだと思うのですが、この退職報償金支払和については昨年の消防審議会答申が取り入れられたものじゃないだろうかと思いますが、昨年のその答申は、非常勤消防団員に対する処遇改善に関する方策として、いろいろ相当具体的に述べられておるのでありますが、一つはこの場合のねらいは、最近各地において消防団員の補充ができないとか、団員になる人がおらぬというような問題、したがって、消防団としての活動に、あるいは災害に対処する場合の業務相当支障があるという、こういう、現実から、その団員確保というようなものをねらいに考えられたものだと思うのでありますが、そのように理解していいんですか。
  4. 松村清之

    政府委員松村清之君) お話のように、最近いろいろな事情から、消防団員確保に困難を来たしておることは事実でございます。そこで、いろいろな面から消防団員処遇をはかっていきたいと考えておるわけでございまして、今回の退職報償金もその確保一つとは考えておりますけれども確保対策というには実際のところ、あまりにも、それにふさわしいかどうかと思われるような額でもございますし、その確保対策考えますとともに、私どもとしては長年消防団員として勤務された方がおやめになったときに、その御苦労に報いる感謝のしるしとして賞を差し上げる、こういう気持でおります。したがいまして、確保対策一環というふうに考えることも、これはできるかと思いますが、そういう気持をあらわす、そのことによって消防団員になっていただく空気を少しでも醸成していこう、こういう考え方に立っております。
  5. 鈴木壽

    鈴木壽君 長官の今のお話消防団員確保のための一つ対策として、さらにまた、長い問消防団員として災害防止業務に当たってこられた方々に対する、退職した場合の感謝気持をも含めたものだと、こういうふうなお話でございますが、それはそれでけっこうだと思うのであります。従来も退職団員に対しての金ではないんですけれども報償のそれが規定として出ておりましたですね。団員として十五年以上勤続して退職した者に対して行うという、こういう報償範囲をきめてやってきたんでありますが、今度はこれはこれとして、さらに退職報償金を出すのだ、こういうことでございますね。
  6. 松村清之

    政府委員松村清之君) ただいまお話のように、従来も十五年以上勤務しておやめになりました団員に対しましては、これは国として賞状並びに銀杯を出しておりますが、今回はそれに加えて、これは市町村団員に対しまして感謝の意を表するために一定額報償金を贈ろう、こういうことでございます。
  7. 鈴木壽

    鈴木壽君 団員のそういう長年勤続された方々に対する報償、これは今のお話のように、また私もさきに質疑しましたように、国における報償のそれと、今度新たに市町村退職報償金を出すという、こういうことになるわけでありますが、一般的に言って、いわゆる消防団員に対する処遇という問題に、私なお、いろいろ問題があると思うのです。まあ今回、この法の改正によって、行なおうとするところの団員に対する退職報償金のことは、あとでもう少し具体的にお聞きしたいと思いますが、一般的に消防団員に対する処遇という問題は、どうも現在のところ、従来もまあしばしば問題になっておりましたけれども、私どもからいたしますと、どうも不十分だ。まあ、一体十分という限度をどこに置くか、これはいろいろあると思いますが、ともかく、きわめて低いところに置いておるということは言えると思うのですね。こういうことに対して全般的な問題として、今後どのようにして、この処遇を高めていくかというようなことに対するお考えをひとつお聞きしたいのです。
  8. 松村清之

    政府委員松村清之君) まあ、自分生業犠牲にいたしまして、消防活動に一身を顧みず従事いたします団員に対しましては、いろいろな面からその処遇をはかってまいらなければならないと存じます。そのためには、公務災害の場合の十分な補償、まあこれにつきましては、幸い近年基金制度によって行なわれてきておりますが、そのほかに、団員出動した場合の手当、これもやはり生業犠牲にして出るわけでございますから、まあそれ相当手当支給することが、私は団員処遇の問題の最も大きな点ではないかと思います。これにつきましては、市町村によって額がまちまちでございますけれども地方交付税の上では、本年度——三十八年度は二百円計上されております。しかし、この点につきましては、今後毎年少しずつでもできるだけふやして、将来は一日の生業犠牲にしたそれに見合うだけの——数百円くらいになりましょうか、まあ消防協会のほうでは四百円と言っておりますが、私は四百円でも少なかろうと思いますが、これをふやしていく。こういうところに重点を置いてまいりたいと考えております。まあ、そのほかに、被服の問題等についてもできるだけ財政的な措置考えてまいりたい。そのほか、これは精神的な処遇になりますが、この点につきましては、現在でも叙位、叙勲報償あるいは長官表彰等によって、できる限り団員処遇にふさわしいような措置をとってまいりたい。こういうふうに考えております。
  9. 鈴木壽

    鈴木壽君 いまお話しのように、消防団員方々自分生業を持っていながら、さらに、こういう団員としてのつとめを果たさなければいけない。相当そこに何といいますか、犠牲的な要素が入ってきておるのであります。考えようによっては、犠牲的精神によって支えられておることが、いいことなんだとも、もちろん言えるかもしれません。しかし、だからといって、そういうことに甘えてはおれないと思うのでありまして、やはりどうしても出動した場合なりあるいはその他の業務に従事した場合には、それにふさわしいだけの何かの手当なり実費の支弁なりというものがあるべきじゃないだろうか、こういうふうに思うのであります。そういうことがないために、さっき冒頭に触れましたいわゆる団員確保という面でも、なかなかこれは容易でない事態になってきていると、こういうことになると思うのであります。いまお話しのように、交付税法では団員の、災害あるいは警戒等出動の場合に、あるいは訓練に出動の場合に手当を二百円出す、そういう計算にはなっている。実情はその二百円も出さないところがあるのですね。二百円出しておるといっても、いなかのほうへ行きますと、ほとんどないと言っては、あるいは言い過ぎになるかもしれませんが、とにかく二百円以下のところがずいぶんあるのですね。百円くらい、あるいはそれ以下というところもあるようでありますが、こういうことに対して消防庁自体で、面接指導なり何かそういうことをすることができるのかできないのか、あるいは、いやどうもこれは自治体のやることだから、そういうところまでは口を出すわけにはいかぬというようなことなのか、あるいは消防庁のほうでできなければ、県段階を通じてなり何かの方法で、それに対する指導なり勧告なりというようなものが行なわれないと、いつまでたっても、やっぱり非常に低い額の金でやっておる。そして、それはどうも一回もらったってどうにもならぬから、ためておいて、一年に一ぺん飲むときに使いましょうなんていうことになりかねない。なっているのが現状なんです。ほんとうをいえばそういうところがずいぶんある。いま言ったようにそういうことに対し、少なくとも二百円と交付税に算入されておる額というものは、これはいまのお話のように決して高い額じゃない、低過ぎると思う。二百円の額にすら達しないところがある、それを二百円までには引き上げるのだと、こういうことに対しての皆さんでの何か方法があるのかないのか、この辺どうですか。
  10. 松村清之

    政府委員松村清之君) 消防団員手当支給しておる市町村は全体の八割五分にのぼるわけでございますが、お話のように、その中の半分ぐらいは団員個々手当を渡しますけれどもあとはまとめて何かに、共同のことに使う、こういうことをやっておるような状況でございまして、全国平均の調査から見ますと、交付税の面では二百円考えておりますけれども平均は百二十七円というような状況になっております。そこで、私ども消防庁のほうといたしましても、交付税はその筋から申し上げて当然のことでございますので、交付税の中の金を消防団員手当として必ず使え、こういう指図はできませんけれども、しかし交付税計算には二百円計上してあるということを、直接あるいは府県を通じまして、市町村当局者あるいは団員等に周知せしめることによりまして、市町村予算の上に計上していただく。こういう方法を従前も講じておりますし、また今後も、より一そう機会あるごとにそういう方法に訴えて、二百円の交付税計算予算の上で実現化しますように、やっていきたいと考えております。
  11. 鈴木壽

    鈴木壽君 この交付税で算入されておる二百円という額、これは交付税性質からいって、あるいはまた、さっきもちょっと触れましたように、自治体消防といういまのたてまえ、自治体でやるそういうことに対して一々規制するというわけには、これはいかぬだろうと思うのです。しかしこれは、やはり二百円というのは全国的なめどとしてのそれだと思うので、それに達しないものに対しては、やはりそこにいくようなことについて、全般的な指導一環として、ぜひそこまでやらなければならぬじゃないだろうかと思うのであります。このいただいた「火災の実態消防現状」、この三十八年版を見ますと、手当支給しておる市町村が二千八百七十九、支給していない市町村が五百七十六。全然支給していないところがかなりあるわけですね。支給の額も、さっきもあなたがおっしゃったように、平均百二十七円五十銭ですが、最低が二十円というのがありますね。これはどう考えても、あまりに低過ぎると思うのであります。それから報酬なんかも、支給している市町村が三千九十七、支給していない市町村が三百五十八。この支給しておるものの中でも、団員として最低が五十円、年額ですよ。最高は一万八千七百五十円というのがありますが、これは最高のほうはかなり出ているなと思うのですが、最低の五十円というようなことになりますと、これは人間として扱ってないと言わなければならぬと思うのですがね。これは皆さん、各市町村ごと実態はつかんでおられると思うのです。もっとこういう面に対する的確な指導なり助言なりをすることを考えないと、いけないと思うのですが、どうですか。
  12. 松村清之

    政府委員松村清之君) 私も全く、ただいまの御意見に同感でございまして、実態を把握しまして、適当でないところにつきましては、もっと強力な指導助言等によって、今後は適当な報酬手当支出、少なくとも交付税計算されておる程度の額の支出確保されるように、ひとつ努力していきたいと思っております。
  13. 鈴木壽

    鈴木壽君 実は、長官は最近なられたのですが、これは前から、私だけでも毎年のように、消防関係のこういう問題について、この委員会でも言っているんですが、まあそのつど努力する、努力すると、こういって、なかなか努力の結果というものは的確にあらわれてこないんですね。ですから、これはひとつ長官、今のお答えのように、単にここだけの話でなしに、やっぱり真剣になってこういう問題はやらないと、今の消防団のさっきも申しました団員確保というようなこと——これだけではもちろんないわけですが、こういうことからも団員のなり手がないというような、こういう現実は、これは否定できないことなんですから、そういうことのためにもやっぱり強くやっていただきたいと思うのです。それで、くどいようでありますが、さっき手当のことを申し上げましたが、報酬についても交付税では団員一年に千円という、そういう計算になっておるわけですね。それぞれ班長、分団長、団長まで幾つかの階級に分けて計上してあるわけなんでありますが、これだって一年に千円というのは、これはどうかと思うのでありますが、これも今言ったように、こういう額すら支給しておらないと、こういう現実ですから、ぜひひとつ、これは少なくとも三十九年度では全体的のレベルを上げ、こうした支給していない市町村があったり、あるいは支給しておってもきわめてわずかな、報酬が年に五十円とか、手当が一回二十円とかいうような、ばかげたことのないようにやっていただきたいと思うのですが、これはひとつ、先ほど長官からも一生懸命おやりになるということですから、さらにだめ押しのようなかっこうでございますけれども申し上げて、善処を要望したいと思うのであります。  それから、いまのは報酬とか手当の問題でありますが、災害補償の問題では、災害補償が出るようになりまして非常にけっこうだと思うのであります。今の災害補償の中にないことなんですが、こういうことが考えられないかということの提案をひとつしてみたいと思うのであります。いろいろな災害種類等によりまして、それの補償のしかたがきまっておるわけでありますが、死亡した場合あるいは不具者になって仕事ができないというような場合、こういう者に対して年金支給できるようなところまで考えられませんか。
  14. 松村清之

    政府委員松村清之君) 団員処遇につきましてはいろいろ考えられるわけでございまして、将来はいまお話しのような年金という制度考えることが理想だと思っております。けれども、その前にも、先ほどからお話のありました手当その他のことも十分考えていかなければなりませんし、はなはだ年金支給しますことはけっこうなことと存じまして、これから検討もいたしますけれども、そのほかにも、いろいろ経費がかさみますし、それらを財政上から総合的に考えて処置いたさなければならないと思います。まあ年金のことは将来の課題としてひとつ考えてみたいと思います。
  15. 鈴木壽

    鈴木壽君 いまの損害補償のこれを見ますと、いろいろ療養補償なり、休業補償なりというものがあります。ありますが、これもまことに私は現在の経済状況等からいたしましても、そうしてまた、その災害を受けた人たちの生活、そういうものからいたしましても、これでは不十分だと思うんです。そういう問題もありますが、特に私は、いま申し上げましたように年金制というものを考える必要があるんじゃないだろうか、こういうふうに思っているのです。外国にはたして例があるのかないのかわかりませんが、外国状況なんか、そういうものをお調べになったことがございますか。
  16. 松村清之

    政府委員松村清之君) 外国にも常設の消防職員のほかに、わが国と同じように、わが国消防団員相当するようなものが存在しますけれども、あまりその内容につきましてつまびらかにしておりませんので、はたしてそういう年金のようなものをやっておるかどうか、ここでお答えするだけの資料を持ち合わせておりません。
  17. 鈴木壽

    鈴木壽君 ILO条約の八十七号——じゃない、十七号、労働者災害補償に関する条約ですがね、この中に年金支給せいというようなことが一つありますね。これは公私あらゆる業務に従事する者に対する給付としてやれと、こういうことなんでありますが、もちろん日本はまだこれは批准はしておりませんから——。しかし外国批准をしている国々で、もし消防団員等に対してこういうことが行なわれているのかどうか、そこら辺ちょっと実は聞きたかったのであります。あまり自分年金制だと、こう言っても、どこもやっておらないということになると、これはちょっと弱くなるんじゃないかと思ったものですから、まあ、これはいますぐというわけにもいかぬでしょうが、これから検討する問題として取り上げていっていただけるようでありますから、その際に外国の例なんかも、もしありましたらひとつ調べていただければありがたいと思っております。やっぱり私はそういうところまでいかないといけないと思うんです。これは、ひとり消防団員に限ったことじゃございませんけれども、しかしまた一方、消防団員にまで、やっぱりこういうようなことが適用されるんだというところまでいかないと、私はいけないと思うんです。しかし、この問題はいま言ったように御検討いただけるということでございますから、きょうはこの程度にいたしておきたいと思います。  それから賞じゅつ金の問題ですが、現在賞じゅつ金は百万円を最高にして七十五万円と、こういうふうにあるわけなんですが、警察官の場合に特別賞じゅつ金制度がございますね。警察官とか、それから麻薬の取り締まりの関係の人とか、そういう限られた範囲人たちのために総理大臣が出すのがございましたね。いろいろ仕事性質なり状態等からして、あるいは危険の度合い等からして、私は消防関係人たちにもそういうものがあっていいんじゃないかと思うのです。これはひとり団員ということに限らないのですが、こういうことに対しての御見解はいかがですか。
  18. 松村清之

    政府委員松村清之君) 賞じゅつ金につきましては、普通の賞じゅつ金につきましては消防団員警察官と同じ扱いになっておりますが、ただいまお話がございましたように、警察官等につきましては、昭和三十六年閣議決定で特に総理大臣賞じゅつ金が出ることになっております。これが決定されました当時の話を聞いて見ますると、実はこの消防団員まで含めてもらいたいということが希望であったようでございますが、この事の趣旨が暴力犯罪に対処いたします警察官麻薬取締官鉄道公安官海上保安官というような、武器を携帯する職員暴力犯罪に対処して亡くなられた。こういうような場合に支給するというような方針できまりましたために、消防団員はそういう武器携帯者でもなく、暴力犯罪に対処するものでもございませんから、この閣議決定対象からはずれたようでございます。  そこで、私はこういう特別な報償制度として、総理大臣警察官同様に、消防団員にも特殊な場合に賞じゅつ金を出すということも、そうしていただければそれはいいことだとは思いますが、それよりも前に、普通の賞じゅつ金につきまして、もっと弾力的な活用をして、その恩典に浴する人が少しでも多くなるような方向で、まずひとつ考えていきたい。こういうふうに考えております。
  19. 鈴木壽

    鈴木壽君 現在の賞じゅつ金のこれについてのお考えは、それはそれでいいと思うのですが、私お聞きしたいのは、特別の、警察官等に対して与えられる賞じゅつ金について、これは武器は持っておらんかもしれませんし、あるいは暴力犯と言いますか、そういうものを対象にはしておらん消防団員ですが、しかし危険の度合なり、あるいは実際起こる災害等からいって、武器を持っているからとか、いないからとかいうことだけで区別できないものが私はあると思うのです。そういうことに対して、それこそ身を挺して災害防止のために、直接的には住民の方々の生命なり財産を守るために働いておる。その結果、不幸にして命を落とすというようなこと、これは功績度合いとか何とかいったら、私は何も警察のそういうものと差別をつけて考えるべきでないと思うのです。そういうのに対して、一方では特別の賞じゅつ金制度というものがあって、総理大臣が、最南三百万円ですか……。
  20. 松村清之

    政府委員松村清之君) 三百万円です。
  21. 鈴木壽

    鈴木壽君 たしか三百万円だったと思いますが、そういうものが出る。一方には全然そういうことがない。こういうことは私は当時から片手落ちだと思っていたのです。特別な賞じゅつ金の問題は国会に法案として出そうとしておったのですが、私は、もっとほかの今言った消防関係人たちのそういうことも、あわせて考えなければならんのじゃないかと言って、すぐ提案するに至らなかったことがあるのです。それがいつの間にやら閣議決定ということで、ああいうことが行なわれてしまった。非常に私は、考え方についてはともかくとして、運ぶ手続上の問題から言っても非常に不明朗なものがあったと思うのです。それはともかくとして、私はそういうものがぜひ消防関係人たちにも適用されるようにあってしかるべきだと、こういうふうに現在も思っておるのですが、あなたもそういうものができればいいが、しかし、現在の賞じゅつ金の適用なりそういうものにおいて、その前に考えなければいかぬ問題があるというような意味のことを、先ほどおっしゃったように私は聞きましたが、今の賞じゅつ金のそれはそれとして、私がお尋ねしておる特別賞じゅつ金閣議決定によってなされている警官等に対するそれと、一体消防人たちに対するそれについて、どうお考えになるのかということ、それを私はあらためてお聞きしたい。
  22. 松村清之

    政府委員松村清之君) 消防団員につきましても、警察官と同じように特別な賞じゅつ金を特別な場合にもらえる道を開くということにつきましては、私自身も全く同じ意見でございまして、先ほどお話のように、消防団員といえども警察官にその他の武器を携帯する者と決して遜色のない存在であると考えております。ただ、この特別賞じゅつ金制度が、暴力犯罪に対処する武器携帯者ということで範疇を画されていましたために、消防団員が漏れたわけです。その点は私としても非常に遺憾に存じておるわけでございますので、できますならば同じように扱っていただきたいという考え方気持においては私は変わらない考え方を持っておる次第でございます。
  23. 鈴木壽

    鈴木壽君 長官、あの問題について積極的に、たとえば自治大臣と話しするとか、あるいは政府部内で検討してもらうというようなことをなさったことがありますか。
  24. 松村清之

    政府委員松村清之君) 先ほど申し上げましたように、この閣議決定がなされます当時においては、消防団員も含めてもらうようにいろいろお話を申し上げたわけですが、最近においてはそういう試みをしたことはございません。
  25. 鈴木壽

    鈴木壽君 これはあと大臣に来てもらって、私は大臣考え方も聞きたいと思うのですが、強くこういうことの実現のために努力をしてもらいたいという要望も申し上げたいと思いますが、特別賞じゅつ金のあの制度は、さっきも申し上げましたように、どうもすっきりしない形で出てしまったのです。三十五年の安保あと、これは三十六年でしたから、安保のあの問題で、特にあるいは警官方々、そういう人たちに対するそれは考えなきゃならぬということでしたでしょう、きっと。しかしひとり警官だけでなしに、しばしば申し上げておるように、私は消防団員であっても、危険の度合いなり、ほんとうに身を挺してそういう災害関係仕事に当たった、そのための功績というものは、これは非常にあると思うし、そのために命を落としたというような人なんかに対するそれというものは、差別をつけて考えるべきじゃないと思うのです。いずれ、この問題はあとでひとつ大臣にもよく聞いてみたいと思っております。ですから、きょうはこの問題についてはこれ以上触れないことにしますが、私いま手当の問題やいろいろ賞じゅつ金の問題、災害補償の問題、幾つかをお尋ねしたわけでありますが、私の願うところは、こういうものがもっとよりよいものになって、そうして消防人の活動に対する、何といいますか、感謝気持もそういう形においても十分あらわれるように、さらにまた消防団員確保のためにいろいろ苦労しておるのだが、そういうことにも役立つことでありますから、そういう面でぜひ考えなきゃいけないことじゃないだろうかと思って申し上げておるわけです。  そこで、この際お聞きしたいのですが、いわゆる消防団というものの今後のあり方、育成、こういうことに対してどういうふうにお考えになっておられるのか。いま言ったように処遇の問題が一つあります。それらのほかにいろいろ問題があるのですが、そういうことに対して、一体どうお考えになり、どうやっていかれるつもりであるのか。それからもう一つ、それに関連をして、消防団というものの存在というものが、一体これからどういうふうになっていかなきゃならぬのか、こういうことについても私、この機会にお聞きしておきたいと思うのですがね。
  26. 松村清之

    政府委員松村清之君) 消防力を充実強化して、近代的な消防を確立するということが当面の消防の目標でございますが、そのためには基本的には常設消防力を保持していくことが大切ではないかと思います。そのために昨年消防関係法の改正によりまして常設消防力を設置しなければならない、一定の市町村については設置しなければならない規定が入れられたわけでございますが、それはそれといたしましても、日本の三千五百に及びます数多い市町村において常設消防力を持つということは、これは年に一回か二回しか火災があるかないかというような所も多うございますから、そういう点から言っても、全部が持つという必要はないでしょうし、また、たとえ常設消防力を持っておる市町村にいたしましても、それだけで消防が十分だとは言えないと思います。したがって、いかに常設消防力の推進をいたすにいたしましても、やはり生業に携わっておる人たちが、一たん事ある場合には消防に携わるという消防団の存在というものは、今後も欠かすことのできない重要な存在であると私は思っております。外国等の例を見ましても、この日本の消防団員に対応する存在があることが認められるわけでございますが、そういう意味において、私は消防団員というものは、絶対的な数こそ常設消防力等に見合ってある程度減少していくかもしれませんけれども、この存在は不可欠なものと考えております。したがって、そのためにも消防団員が今後確保されるような方策を考えていかなければならないわけでございますが、この点につきましても先ほど来御論議もございましたように、報酬手当退職報償金の問題、公務災害補償賞じゅつ金の問題、そうして、精神的な問題として叙位叙勲、その他の表彰、こういうものを総合的に考えてまいって、住民が喜んで消防団員として参加する、そういう気風というものを醸成していく必要がある。こういうふうに私は考えております。
  27. 鈴木壽

    鈴木壽君 私は、消防団を将来どうもっていくかということ、こういうことについていまお聞きしているわけなんですが、お考えのほどは大体わかりました。端的に申し上げますと、これは消防団のあり方というものは、だんだんやっぱり性格が違っていかなければならんのではなかろうかと私は思っておるのです。それは基本的にはやっぱり常設消防というものを中心に考えていかなければならないのではないだろうか、しかし、私は消防団というものを否定するという意味は全然なく、確かに常設消防だけではでき得ない、何といいますか、現在においては限度があると思いますから、そういうものを補うといっては少し言葉が妥当でないかもしれませんけれども一体となってやるところに、完全な防災の姿勢なり、仕事ができていくと思いますから、そういう意味においては、私は否定は全然しておりません。一方そういうことを考えながら、消防団だけではなしに、やっぱり常設消防というものに、だんだん切りかえていかなければならぬのじゃないだろうか、それを中心に考えるべきではないだろうか。特に、私はお話のように、全市町村に全部常設消防といっても、これはなかなかたいへんでございますけれども、少なくとも市の段階、あるいはこれに準ずるような町村があると思うのです。こういうところにはやっぱり常設消防というものを中心に考えていかなければならんのじゃないだろうか、こう思うのです。これもあなた方の資料から見たところなんですが、昭和三十七年四月現在の全市五百五十六のうち、四百二十一市に常設消防機関が設置されている。そうしますと、七六%ですか、そういうことになるようであります。私はいま言ったように、少なくとも市——市と言ってもいろいろありますけれども、心の全部、あるいは市に準ずるような態様を持っている市町村がありますから、そういうところにはやはり常設の消防機関というものを必ず置くんだというようなところにまでいくべきだと思うんですが、こういう点についてはどうですか。
  28. 松村清之

    政府委員松村清之君) まあ、この点につきましても全く同じ考えでございまして、先ほど申しましたように、昨年消防関係法律の改正に基づきまして、常設消防を設置しなければならない市町村をきめることができることになっております。そこで近々新年度から常設消防力を置かなければならない市町村を指定いたしたいと考えておりまして、現在も案を検討中でございますが、一方これをやりますると、財政的な措置も必要でございますので、そういう財政上の問題とあわせ考えて、新たに現在のところ八十ぐらいの市がこの義務設置をしなければならないものに加わるように指定いたしたいと考えております。まあ行く行くはできるだけ財政措置とあわせて、少しでも多くの市町村が常設消防を持てるようにいたしたい、そういうふうに思っております。
  29. 鈴木壽

    鈴木壽君 いまのお話の設置しなきゃならぬという市町村の指定ですね、これは年度早々おやりになるんですか。
  30. 松村清之

    政府委員松村清之君) これはごく最近の機会において政令でもって指定いたしたい。ただ、いま腹案といたしましては、全国で四百八十六市を指定いたしたい。そういたしますると、この中で八十一がまだ設置していませんから、新たにこの八十一の市が常設消防を新しい年度から持つと、こういうふうになるのでございます。
  31. 鈴木壽

    鈴木壽君 ちょっと数字のことですから、もう一度お尋ねしますが、四百八十六市に対してここで……。
  32. 松村清之

    政府委員松村清之君) 正確には町村も若干入ってきますから四百八十六市町村と、こう申し上げるほうが正確かと思います。そこで、そのうちすでに設置してあるのが四百五市町村でございますから、未設置は八十一市町村、しかしいま申しました四百八十六の指定されます市町村のほかにも、すでに常設消防を持っておる市町村がございますから、現実に常設消防を持つ市町村は四百八十六を相当上回ることになる状況でございます。
  33. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうしますと、四百八十六を指定する、それ以外にももちろん設置しているところもあると、この統計でも町村のうち七十七町村に設置されておるようにみえますが、こういうものも入れますと数は相当大きくなると思うんでありますが、これは市を名乗っている、その市はどうなりますか。市を名乗っておっても指定からはずれるというところが相当あるということになりますね。
  34. 松村清之

    政府委員松村清之君) いまのあれで、市ではずれますところは百一市と、こういう計算になります。
  35. 鈴木壽

    鈴木壽君 こまかいことになりますが、その市のうちで指定からはずれますけれども現実に常設消防を持っているというようなところがありますか。
  36. 松村清之

    政府委員松村清之君) ちょっとこまかくなりますと、ここに資料がございませんが、さっきのをずっと繰り返して申し上げますと、今度指定しようとするところが四百八十六市町村になる勘定でございます。この四百八十六市町村のうち、四百五市町村はすでに設置されておりますから、残った八十一市町村が未設置、したがって、これが今度義務づけられますから、新たに常設消防力を持つようになります。この四百八十六市町村のほかに、これは指定されない市町村でありますが、常設消防力を持っておる市町村が四十二あります。そういう勘定であります。
  37. 鈴木壽

    鈴木壽君 だから全市、いま五百六十ぐらいありますか、その市全部は指定されないということになりますね、全部じゃないということになりますね。
  38. 松村清之

    政府委員松村清之君) 現在五百五十八市ございますが、このうち……。
  39. 鈴木壽

    鈴木壽君 長官いいです。そんなこまかいことを聞くのが目的じゃなくて、実はさっきも申し上げたように、少なくとも市全部、それにまた、それに近いような町村でも指定によって義務づけるような方向でいくべきじゃないかと、こういう考え方から、いまの指定なんというものだと市全部じゃなくなるようですから、これはいろいろ指定の基準等もあると思いますが、そういう意味でちょっと聞いたので、これは数字そのものを聞くのが私ねらいじゃないのです。これはあとでもう少しあれしますが、いまはよろしゅうございます。それじゃいま私が言ったように、指定の基準なりいろいろこれは当然あるべきでしょうし、そういうことからいって、一〇〇%ということはあるいはできないかもしれませんが、少なくとも大まかな標準からいって、心あるいはそれに準ずるような町村に設置をさせると、こういうことで進むべきじゃないかと、こういうふうに考えているのです。これは私の考えについては御賛成なさっておるようでありますから、強くそういうふうに進めてもらいたいと、こう思って、いまお尋ねしておるわけなんです。よろしゅうございますか。
  40. 松村清之

    政府委員松村清之君) 現在、市の中で常設消防力を持たないものが相当残るわけでございます。しかし、これにつきましては、お話のように、私どももせめて市あるいはこれに準ずる町村については常設消防力を持つようにいたしたいと考えておりますが、何分にも常設消防力を持つには、一方において財政上相当な負担がかかります。そこで地方交付税の上でこの負担の額を見なきゃならぬわけでありますが、いま一挙にそういう目標までに地方財政の上で措置することが困難でございますので、これはだんだんそこへ近づけるようにいたすことにいたしまして、とりあえずは先ほど申し上げたようなことで、ひとつ指定をしてまいりたいと考えております。
  41. 鈴木壽

    鈴木壽君 財政の問題が出てまいりましたのですが、いまの交付税で見ておる市町村消防費、これではとうてい常設消防はやれない、ああいう程度ではやれないということになりそうなんです、いまのお話を聞いていますと。いまの交付税で見ておる消防費の、何といいますか、それを根本的に考えていかなければならぬということになると思うのですが、そういうことに対して具体的に財政当局と何か話をしておりますか。
  42. 松村清之

    政府委員松村清之君) 来年度は、この市町村に常設消防力を置く経費、それから救急業務を行ないます経費、あるいは今日議題になっております退職報償金の経費、それらを全部含めまして財政当局のほうと先般来いろいろ交渉をしておるのでございます。その結果として大体話がまとまりましたので、ただいまお話しいたしましたような範囲で常設消防を持つ市町村を指定するということに結末がついたわけでございます。
  43. 鈴木壽

    鈴木壽君 今度、指定をするにあたって、現在見られておる、あるいは今度の三十九年度の交付税で見られるいろいろな経費、こういうものとにらみ合わせて、その範囲でやれるところは指定する、こういうことなんですか。
  44. 松村清之

    政府委員松村清之君) これは私ども消防庁としましては一つの目標があるわけでございますから、できますならば先ほど申しましたように、市あるいは市に準ずる町村までやりたいということで財政当局と交渉するわけでございますが、しかし地方財政上の事情もありますから、いろいろ話し合った結果、お互いに譲り合いまして、先ほど申しましたような線で、とりあえず常設消防力を持つ市町村を指定する、こういうことになった次第でございます。
  45. 鈴木壽

    鈴木壽君 ですからまあ事情はわかりましたが、交付税でいわゆる消防費というものを見ておるのですが、これはどこの市町村でも一応消防関係に必要ないわば最低の基準というような意味で、いわゆる財政需要はこうだということで見ておる、そういう性質のものだと思うのですが、大きければ大きいなりに、小さければ小さいなりに、それなりにやれるという一つのめどを持ってつくっておるものだと思うのです。実際に適合するかしないかということには問題がありますよ。ありますが、考え方としてはそうだと思うのです。ですから、ああいうふうないろんな経費の見方、今度新たに入ってくる退職報償金のことはともかくとして、現在まで見ておる経費、したがって、そういうものから出てくる単位費用ですね。これと人口との関係からいって、私はいま言ったように、一応どこでもやれるのだ。その中に私は当然常設消防なり、そういう性質のものも含んでの計算であるというふうに見ておるのです。そうじゃないでしょうか。だからそこをちょっとお話が、いや全然そうじゃなくて、いまのあの関係からいうと常設消防というものはみんながやれないのだ。みんなという意味は、少なくとも市の段階においてはやれないのだ、こういうふうに聞こえるのですが、もしやれないとすれば私は根本的にやはり、あそこの積算のいろいろな基礎なり、単位費用の問題なりというものを、もっと考えていかなければならないと思うわけです。そこら辺どういうふうに見ておられるのですか。
  46. 松村清之

    政府委員松村清之君) ちょっと手元にこの数字的な資料はございませんが、この基本的な考え方としては、財政当局では法律あるいは政令等で義務づけられたものにつきましては、それがやれるように最低限度の財政措置を講ずる。しかし任意のものでありますれば——現に自発的にやっておりますれば何ほどか経費を見ますけれども、そうでない場合には経費は地方財政の上で見ない、こういうような考え方で従来やってきておりますから、常設消防力を全然持たない市町村につきましての消防関係の経費といたしましては、これを義務づけない限りはそれがやれるだけの財政措置が講ぜられていない、これが現状でございます。
  47. 鈴木壽

    鈴木壽君 しかし単位費用を、人口標準団体では常設消防があることを前提にしてはじいておりますね、いまこまかい数字がないからちょっと言えませんけれども。ですから、あの計算からしますと、実情に合うとか合わぬとかいう問題はございます。こまかいいろいろの計算を見ていきますと。しかし、たてまえはそういうものであることを前提にして、投資的な経費なり、あるいは消費的な経費をいろいろ見て、その結果単位費用幾らという——ことし幾らでしたか、幾らかのそれが出てきておりますね。ですから、かりに人口五万なら五万の都市としますと、いろいろの補正も出てくるでしょう。出てくるでしょうが、いずれ小さい範囲でも一応やれるという計算にはなっていると思うのですね。ですから、いまのそれでは全然やれないので新たにということなのか、もしそうだったら、そのように交付税消防費の計算のしかたというものを、単位費用の立て方なりその積算のいろいろの問題というものを、根本的に考えなければいけないのじゃないか。こういうことを考えるものだから、いまお聞きしておるのです。
  48. 川合武

    政府委員(川合武君) ただいまのお尋ねの点でございますが、単位十万の標準団体で、たとえば人間を例として——私もちょっと数字を持っていないので恐縮でございますが、人間で見ますと、あれでは六十人くらいの人間を見てもらっているはずであります。ですから、その標準団体ではやっていけるわけなんでございますけれども、ただ、あの交付税の方式から人口が減ってまいりますと非常に少ない数字が実は出てきまして、一番極限のところにおきましてはやればやれないこともないが、われわれの考えておる、せいぜい消防本部及び署としてやるには二十人くらいの人間は、やはり交代でございますからあらねばならぬ、そういう小さな数字になっちゃうわけです、下のほうが。そこで、いままでは義務設置でございませんでしたから、そこら辺のところにつきましては大めどでございましたけれども、今度義務設置にしまして一番極限と申しますか、しますならば、一番規模の小さいところでも最小限度のものは持たせるべきじゃないか、したがいまして、交付税の算定費用を変えてもらっております。いまその作業中でございますが、大体私どもも十分とは申しませんけれども、常識的にほどほどのものになるように作業をやってもらっておるわけでございます、財政当局に対して。したがって、逆に申しますと、いままでの標準団体のほうも下から今度上がっていって格上げになる、こういう形が想像されるわけであります。御質問の趣旨と私の申し上げましたことが合っておりますかどうかあれですが、交付税の問題につきましては、そのようなことでございます。  なお、先ほど長官から申し上げましたとおりでございますが、今度の政令指定の基準と申しますか、それは財政の需要を見ながらでございますが、同時に私ども集中人口一万を持った市、その集中人口一万を持ったところでも必ずしも全部必要でないようなところもございますけれども、集中人口二万以上持ったところを一つの基準として指定をいたします。そのほかに若干の条件を加えておりますが、基本はそのようなことでございます。
  49. 鈴木壽

    鈴木壽君 じゃ消防経費のことについて、交付税のことについてあとの機会にひとつお尋ねしたいと思います。ただ、この際ちょっと聞いておきますが、今度新たに指定をすれば、指定して常設するために必要な最低限度の費用だけは見なければならぬ、そういうことでいろいろ財政当局のほうへ要求をして、大体見てもらえるのだと、その範囲においてこの指定をするのだと、そういうことですね。その場合に新たに指定をするために必要な、ぜひ算入しなければならぬ経費として新たにいまの消防費のいろいろな投資的な経費、消費的な経費、いろいろたくさんありますが、あのうちでどういうのが新たに入ることになりましたか。  それから経費の単価等の問題でどういうふうに変えていくという、方向だけでいい、あまりこまいことは要りません。
  50. 川合武

    政府委員(川合武君) 単価の問題でございますが、いまの交付税の建て方が、先生御承知のように、大体常設のものと、消防団の中で常備夫を持っておるものと、それから消防団だけでやっておるものとの三段階に荒っぽく——というと語弊がございますが、大きく分けて、交付税の試算をやっておるわけでございます。そこでいま申しましたように、今度義務設置にしますと、規模の小さいところでは非常に、たとえば人員でも数名しか見てもらえない。そうするとポンプ交代もできない、こういうような数字にもなりかねませんので、基本的に交付税の建て方を変えてもらって、そうして一番低いところでも一定規模の交代要員のある消防署をつくり得る規模にしてもらう。それから全体の数字が大きいところは、それに準じて規模が大きくなっていく、こういうふうなちょっとオーバーな言い方でございますが、いままでの建て方をかえてもらう作業をやっておるわけでございます。  それから個々のあれでございますが……。
  51. 鈴木壽

    鈴木壽君 じゃいいですよ。そこまでお聞きして次の機会に。実はまだ固まっていないでしょうけれども、しかし方向は、いまあなたのおっしゃったようなところで、いままでの積算のしかたがだいぶん変わるようでありますから、そういうものをどういうふうに、どう変わるかという大体の——こまい数字までは要りませんけれども、方向というものをひとつ聞かしてもらいたいと思う。それで現在のそれと比べながら、常設消防の必置というような、そういうことに対して、はたして消防財政としていまの交付税の見方がいいのか悪いのか。あるいは今度あなた方が新しく要求して、変えてもらっておるそれで、はたしてやれるのかやれないのか、こういうような問題もあると思いますから、この次の機会にひとつお聞きしたいと思います。何も最終的なものという意味でなしに、数字的なものもあるいは項目なんかも、これがこういうふうになるのだというようなことがわかるようにひとつプリントにしてもらって、聞きたいと思いますが、それでよろしゅうございましょうか。
  52. 川合武

    政府委員(川合武君) あまりくどくお答えするのもいかがかと思いますが、お話のとおりでありまして、一番問題なのは人員なんでございます。消防ポンプの単価なんかが変わるというわけじゃなしに人員でございます。しかし、より具体的な数字で御報告いたします。
  53. 鈴木壽

    鈴木壽君 いまのに対して、一応この答えも出たと思いますが、ひとつ常設消防の設置をもっとやるような方向へぜひ考えなければならぬじゃないだろうかということで、いままでいろいろお聞きをしたんですが、そういう方向についても大体わかりました。さらに私は、やはりその問題は、同時に、一体消防団というものは、どういうふうなものにならなければならぬのかというようなことになってくると思うのです。ですから、いまの形において消防団員確保が不十分だとか、あるいは人手が足りなくてどうにもならぬとかいうような、そういうことだけで、その対策のための手当がどうのというような問題に局限して考えるべきじゃない段階だと思いますから、そういうことでお尋ねをしたわけなんです。  それから具体的に、今度の退職報償金についてですが、どういうことをいま内容的に考えておられるのか。退職報償金を出すことができるのだと、こういうことなんですが、どのくらいの額をどうするのか、そういうことについていま考えておること、これは近く政令等できまるだろうと思いますがね……。
  54. 松村清之

    政府委員松村清之君) これは法律が通りましたあと政令できめることになりますが、いま腹案として持っておりまするのは、十五年以上勤めておやめになった団員に対して、最低三万円を支給するようにいたしたい。しかし、これは最低三万円でございまして、十五年の人、二十年の人、二十五年の人というふうに年限で五年ごとに段階をかさ上げしたい。それと同時に、同じ年限でも団員と副団長、団長、こういうふうな階級と申しまするか、そういうものでも区別したい。そういたしますると最低は三万円でございますが、最高は七万円になる。こういうような間隔でその間に段階をきざんで政令をきめたいと、こういうように考えております。
  55. 鈴木壽

    鈴木壽君 これはまだ政令が出ないのですから、どうですか、正式にはあるいは出せないとおっしゃるかもしれませんが、一応考えておるところで、たとえばいまの団員最低十五年以上の場合は三万円、二十年の方は幾らになる、二十五の方は幾らになる、あるいは副団長、団長、大体この三つのクラスですね、こういうようなのをひとつやはり出していただいたほうがいいんじゃないでしょうか、この次に。
  56. 松村清之

    政府委員松村清之君) そういうこまかなことを、これはまあ一つの案として、この次までにお出ししたいと思います。
  57. 鈴木壽

    鈴木壽君 それをこの次に見せていただいてから申し上げたいと思いますが、それにしても十五年も勤めて三万円、最低だから最高がどういうふうにいくかわかりませんが、額はどうですか、これは。
  58. 松村清之

    政府委員松村清之君) まあ十五年もの長い間勤めまして、三万円という額は、いかにも少ない額で、それで先ほどもこれは団員確保対策というよりも、ほんの志を出すというふうにお答えしたわけですが、しかしまあ、これは何ぶんにも財政的な問題を伴いますので、いまのような少額でございますけれども、実は交付税で十二億円出すことにいたしております。したがいまして、とりあえずは、この程度から出発しまして今後財政的な状況とにらみ合わせまして、その増額等についても考えてまいりたい、こういうふうに考えております。
  59. 鈴木壽

    鈴木壽君 どうもせっかくの退職報償金が、これじゃ、少しけちをつけるようでありますが、どうももっとこれは何とかなりませんかな。これはあれですか、交付税でみると、もちろんそれに必要な経費は市町村で支弁するという格好でしょうね。
  60. 松村清之

    政府委員松村清之君) これは地方財政の上で基準財政需要額等をみまして、交付団体には、今申しましたように十二億円相当の額がいくことになります。そうして市町村から、これは今度は不交付団体も含めてでございますが、各市町村から団員数に応じて基金に掛金を出していただく、そうして基金から現実に退職者の生じました市町村に還元していく。こういうことで全国的に退職者の人数を毎年平準化いたしまして、この制度の的確、円滑な運営をやっていきたい、こういう考えでございます。
  61. 鈴木壽

    鈴木壽君 団員一人当たりにすればどのくらいになります、これは。
  62. 松村清之

    政府委員松村清之君) これも政令段階の問題でございますが、今考えておりますのは、条例できめられた団員数を百五十二万、全国でございます。それに一人当たり九百円の掛金を徴収するようにしたい、したがって、総額では、全部これが集まるといたしますれば、十三億五千万円になる勘定でございます。
  63. 鈴木壽

    鈴木壽君 どうもこれはあれですね、これはいいです。あとで表をいただいた際に意見を申し上げたいと思いますが、もう少し考えられませんかね。まあいいです、それはあとにしましょう。  それで最後に、どうも私だけやってすみませんが、こういう基金でやることになりましたが、消防審議会のこの問題に対する答申とは、これはちょっと違ってきたところがございますね。答申の中にある報償金制度の要綱にある考え方とは違ってきておりますね。要綱には、消防団員退職報償金組合ということで、「市町村は、都道府県の区域ごとに退職報償金に関する事務を共同処理するため、地方自治法に規定する一部事務組合たる消防団員退職報償金組合(以下「組合」という。)を設けなければならないものとすること。」そうして、その組合の連合会を都道府県ごとに云々と、こう書いてありますが、これとはちょっと違ってきておりますね。それで、このいわゆる答申の趣旨と、今度の法改正によってこういう形になったことに対するあなた方の考え方ですね、また、どういうことでこういうふうに違ってきたのか、これはどうです。
  64. 松村清之

    政府委員松村清之君) この答申の要綱によりますと、まず都道府県単位に組合を設け、そうして全国に連合会を設けまして、その連合会と都道府県単位の組合でもってこの退職報償金を運営する、こういう仕組みになっております。こういう方式も考えられると思いますが、これでございますると、この運営に要する費用が相当かかるのでございます。そこで、従来公務災害のための基金がございますから、この基金にこの仕事を付加さしてやるようにする。そうすることによって、いわゆる事務費も相当節約して運営することができる。そういうことで、答申とは違った構想に結果としてなりましたけれども実態としては、私はその効果としては決して違ったものではなくて、同じ効果を果たすものである、こういうふうに考えます。
  65. 鈴木壽

    鈴木壽君 この答申で、答申報償金制度の要綱案で考えたいわゆる審議会の方々考え方というものは、私流に解釈させれば、今のあなたのお話の効果とか、あるいは効果の具体的な問題として金が退職した場合に行くのだ、そういうことについては、それはそれなりでいいかもしれぬけれども災害補償制度のための共済基金の問題と、それから退職者に対するいわゆる報償金を出すのだということは、私は性質が違うものだ。だから、その性質の違ったものを、財政的な関係とか経費の問題とかあるいは便利でいいとか何とかということでくっつける。今の基金の中で扱わせるというようなことを考えないで、やはり退職のための——それぞれ性質の違ったものを一つずつに考えて、それでやったらいいじゃないか。こういうふうに考えたのだろうと思うのですがね。それで、私の今言ったのは、たぶんそうじゃないだろうかと考えるということを申し上げたので、私も結果なり効果というものは同じであっても、一方は公務による災害の出た場合の災害補償のための措置だ、一方はいわゆる災害ということとは関係なしに、災害による場合も出てくるかもしれませんけれども、退職した場合のそれに対する先ほどからいろいろ話の出ておりますお礼の気持とか、それに対する感謝気持とかいうものを含めたそれというものは、私はやっぱりおのずから違うものだと思う。それから、筋からいえば、私はこの答申案にあるような、こういう形で行なったほうがいいのではないだろうか、こうも思うのですが、そこら辺どうです。
  66. 松村清之

    政府委員松村清之君) お話のように、退職報償金公務災害補償とは、これは全く性格が違ったものでございます。したがって、筋といたしましては、答申にありますように、公務災害のための基金と別個の連合会をつくって処理することが筋だとは考えられますけれども、しかし、これは便宜論になるかもしれませんが、同じように市町村対象とする仕事でございますし、現存あります公務災害基金に少し事務費、人件費を含めました事務費を賦課することによりまして、同じような効果をあげることができるわけでございますから、実際問題としてはそのような形で処理することが効率的であり、経済的であるという考えで、現在提出されてありますような法律の改正案にいたしたわけでございます。
  67. 鈴木壽

    鈴木壽君 くどいようですが、やっぱり筋からいうと少しおかしいんじゃないかと思うんですがね。経費の点で問題がある、新たにそういう事務を行なうために相当な経費がかかる。答申案によれば、その経費は国が補助したらいいんじゃないかというようなことが書いてありましたね。国では出したくないんだと、こういうことで便宜的にくっつけて、いまの制度基金の中で扱わせるようになったと思うんですがね。どうもしかし、かりにこれがさっき私申し上げた災害補償一環として一時的な金を出すとか、あるいは年金を出すとかいうのだったら、それはそれでいいですが、この場合はあくまでも、あなた方の趣旨からしますと、お礼なり感謝気持をあらわすための処遇一環として、あるいは団員確保のそれとしてのものですから、どうも私は、どっちだって出たらいいじゃないかという妥協案もないわけじゃないんだと思うんだが、しかしちょっと違うような感じがしますね。私は答申を尊重するというたてまえから、やっぱり答申でやるような形でやったほうがいいんじゃないかというふうにいまでも思っているんですがね。
  68. 松村清之

    政府委員松村清之君) 地方公務員に対しまするいろいろな共済的な金につきまして、長期給付と短期給付を一緒に地方職員の共済組合でやっております例もありますように、同じように消防団員に対する給付の問題であり、そしてそれについての市町村の共済の問題でございますから、これを二つにはっきりと区別した団体を設けて処理することも一つのやり方かもしれませんけれども、これを一つの団体で、あるいは基金で運用することにいたしまして、ただ、もちろんこの運用にあたりましては、会計は別にいたします。その基金の中で退職報償金を扱う会計、そして一方は公務災害のことを扱う会計と、実質的には二つに分けて運用するつもりでございますけれども、それを運用する全体の組織としては一つであっても、私は決して不適当なことではないんじゃないか。このほうが効率的であり、経済的であるんじゃないか、こういうふうに考えております。
  69. 鈴木壽

    鈴木壽君 これでやめますがね。いまあなたが例に出されました地方公務員の共済の長期給付なり短期給付なりとは、私は性質が違うと思うのです。これはいわばつかみ金で、別に市町村は負担しますけれども、これは頭で、どのくらいやるためにこのくらい負担しなきゃならぬという頭のつかみ金を土台にして、三万円なら三万円、五万円なら五万円ということをやって、そうしてその逆算した形で九百円あればいいんだ、それを交付税で見て市町村から納めさせようと、こういういわばつかみ金的な性質報償金でしょう。それは何にも根拠があるわけじゃないですね。サラリーの何パーセント積み立てろとか吸収するとかいうことも全然あるわけじゃなしに。だから私は、このものと、いまあなた方が考えたこういうことと、地方公務員の共済制度の給付の問題とは性質が違うと思うのですね。あくまでもこれは報償です。それを、さっきも言ったように、便宜的にやることもときにはあり得ると思いますが、性質上これは別にすべきだと思います。公務の災害補償は、これはそれとして別の観点から、別の考え方から、別の必要性において当然やられるべきであって、長いこと勤めてくれたから、まあ今までは国から銀杯をもらったとか何とかいう、そういう報償のそれがありますが、さらにまあそれだけでは足りない、少し金でもやろうか、その金もいま言ったように根拠のある金じゃないんですね。そういうものとは私はやっぱり性質が違うと思うんですよ。そういう点からしますと、繰り返して申し上げますが、答申で出したこういう仕組みが、煩瑣であるかもしれませんし、あるいは経費の面でもこういうものに含めた場合と比べて、相当多くかかるというようなこともあるかもしれませんけれども、やっぱり違った扱いをすべきでないだろうかというふうに思うんですがね。まあいいです。きょうはこのくらいにして、いずれまた具体的に、額なり、そういうものをお聞きしますが、私はいま言ったように考えるんです。そんなにたいした、ばく大なお金なんか——業務をやるための、事務をやるための経費が、ばく大な金なんかかかりませんよ。これは一時の金をプールしておくことなら、どこか頼んでもいいんでしょう。しかし私は、いま言ったように、こういうふうな経費のためにやれないんだということだけではちょっとおかしいんじゃないかと思うので申し上げたんですが、まあ私、きょうはこの程度にしておきます。
  70. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 辻委員から資料要求の発言を求められておりますので……。
  71. 辻武寿

    ○辻武寿君 資料要求に関連して、二、三分時間をほしいのですが、消防団員は、非常勤の退職金についての法案が出ておりますが、常勤の消防団員は何人ぐらいいるんですか。
  72. 松村清之

    政府委員松村清之君) 常勤の消防団員も存在いたしますけれども、いま手元に資料がございませんので、あらためて御報告申し上げます。
  73. 辻武寿

    ○辻武寿君 常勤の消防団員と非常勤の消防団員とは、給与体系というものは違うわけですね。
  74. 松村清之

    政府委員松村清之君) これは当然違っております。
  75. 辻武寿

    ○辻武寿君 それで資料要求ですが、この最低三万から最高七万までの年数ですね、一覧表をつくって出してもらうようにお願いしてあるんですが、私もう一つ資料をお願いしたいのは、常勤と非常勤とを比較した給与の体系、それから死亡手当災害補償に対する違いを比較してほしいのです。それを要求いたします。
  76. 松村清之

    政府委員松村清之君) 次に提出いたします。
  77. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 本案についての本日の審査は、この程度にいたしたいと存じます。     —————————————
  78. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 次に、風俗営業等取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、前回の説明に補足して説明を願います。
  79. 江口俊男

    政府委員(江口俊男君) 風俗営業等取締法の一部を改正する法律案の内容につきまして、逐条御説明申し上げます。  第一は、風俗営業の範囲を明確にするための改正でございます。  第一条におきましては、風俗営業の定義を定めているのでありますが、同条第一号及び第二号におきましては、客席で客の接待をして客に飲食をさせることを風俗営業の要件といたしておりますため、たとえば、カウンター越しに客の接待をして客に飲食をさせているバーなどにつきましては、地域によって、その取り扱いが区々になっておりますので、この際カウンター越しに客の接待をして客に飲食をさせている営業も風俗営業に該当するものであることを明確にし、その取り扱いの斉一を期するため、第一号においては「客席で」を削り、第二号においては、客に飲食をさせる風俗営業についての用語を統一するため、「客席で」を「設備を設けて」に改めることといたした次第であります。  第二は、遊技場営業の許可の更新期間を延長することについての改正であります。  第二条第三項におきましては、パチンコ屋その他これに類する営業で都道府県が条例で指定するものについては一月ごとに、その他の営業については三月ごとに許可の更新を受けなければ、その効果を失う旨を定めているのであります。この更新は、同条第四項において、公安委員会は、更新を求めた者に滞納にかる娯楽施設利用税があるときは、原則として、その許可を更新しないものとしていることでもわかりますように、もっぱら徴税の確保を目的としたものでありますが、遊技場営業の変動が特に激しかったころであれば格別、最近では、これらの営業も比較的安定してまいりまして、徴税上も支障がないということでございますので、営業者の利便と許可事務の合理化をはかるため、パチコン屋その他これに類する営業で都道府県が条例で指定するものについては三カ月、その他の営業については六カ月それぞれ許可の更新期間を延長することといたしたのであります。  第三は、都道府県が、条例により風俗営業に対し制限を定めることができる範囲を明確にするための改正であります。  第三条におきましては、都道府県は条例により風俗営業における営業の場所、営業時間及び営業所の構造設備等について、必要な制限を定めることができる旨を定めているのでありますが、本条におきましては営業を営もうとする者の資格及び営業を営む者の行為について制限を定めることができるかどうかについて、法文上明らかにされておりませんので、この際、本条に営業を営もうとする者の資格及び営業を営む者の行為を明記することといたしたのであります。  第四は、風俗営業者に対する営業停止の処分の長期を定めることについての改正であります。  第四条におきましては、公安委員会は、風俗営業者に対し、風俗営業の許可の取り消し、営業停止等の処分をすることができる旨を定めているのでありますが、営業を停止できる期間については定めがありませんので、今回、営業を停止できる期間を六カ月をこえない範囲に限ることといたしたのであります。  第五は、風俗営業者に対して風俗営業の許可の取り消し、もしくは営業の停止を命じたとき、または飲食店営業者が無許可で風俗営業を営んだときは、公安委員会は当該違反行為にかかる飲食店営業につきましても、営業の停止を命ずることができるものとすることについての改正であります。  客に飲食をさせる風俗営業と食品衛生法にいう飲食店営業との差異はきわめて微妙であり、外見上ほとんど区別しがたいものが少なくないという実情にありますため、飲食店営業の名において、許可を受けない風俗営業を営んでいる者や、風俗営業の許可を取り消された者等で、なお、依然として飲食店営業の名のもとに風俗営業と同じ形態の営業を継続している者が増加しつつあるのが、最近の実状であります。もし、このような状態を放置いたしますならば、本法が風俗営業を許可にかからしめておりますことも、風俗営業に対して営業の許可の取り消し、または営業の停止の処分をすることができるとしておりますることも、事実上その効果の大半が失われることになるのであります。  したがいまして、本法の風俗営業等に対する規制の目的を達成いたしますために、第四条に第二項及び第三項を設けまして、風俗営業者に対し、営業の許可の取り消しもしくは営業の停止の処分をしたとき、または飲食店営業者が無許可で風俗営業を営みましたときは、公安委員会は、当該違反をした者が当該施設を用いて営む飲食店営業につきましても、風俗営業に対して営業停止を命じたときはその期間、その他の場合は六カ月をこえない範囲内で飲食店営業の停止を命ずることができることといたしたのであります。  第六は、設備を設けて客に飲食をさせる営業に対する規制の範囲を明確にするための改正でございます。  現在、深夜喫茶等に対する規制の根拠となっている第四条の二第一項におきましては、都道府県は条例により、客席を設けて客に飲食をさせる営業の深夜における業態について必要な制限を定めることができる旨を定めておりますが、ここにいう業態の意義について明確を欠いておりまするため、現実には、営業の手段、方法として行なわれる行為及びこれに付随して行なわれる行為について規制されているにすぎないのが実情でございます。そこで、この種営業に対しましては、営業の場所、営業時間、営業を営む者の行為及び営業所の構造設備について必要な制限を定めることができることといたしたのであります。  この改正は、深夜喫茶等が風俗事犯の温床になっており、特に少年の非行を誘発し、非行少年のたまり場になっている実情にかんがみまして、これらの営業に対して必要な規制を行なうことができることとするために行なうものでございます。  この改正によりまして、たとえば、都道府県が条例によって、深夜において喫茶店を営んではならない場所を定めますと、そこにおきましては、いわゆる深夜喫茶はなくなることになるわけでございます。  第七は、設備を設けて客に飲食をさせる営業の深夜における法令違反に対する行政処分についての改正でございます。  第四条第二項におきましては、いわゆる喫茶店等を営む者が深夜における当該営業に関し、深夜において、法令または第四条の二第一項に基づく都道府県の条例に違反する行為をしたときは、当該営業を営む者が、当該施設を用いて営む深夜における喫茶店等の営業の停止を命ずることができるとしているのでありますが、この種の営業の深夜における法令違反等の行為は、業の一体性にかんがみ、深夜以外の部分におきましても善良の風俗を害するおそれがありまするので、このような場合には六カ月をこえない範囲内で、当該施設を用いて悩む飲食店営業を停止することができることといたしております。  第八は、年少者に関する禁止行為を定めることについての改正であります。  最近、風俗営業やいわゆる深夜喫茶等が、少年の非行を誘発し、非行少年のたまり場となっているような事例が増加の傾向にありますので、新たに第四条の三を設け、風俗営業者に対しまして、営業所で、十八歳未満の者に客の接待をさせ、または客の相手となってダンスをさせること、十八歳未満の者を営業所に客として立ち入らせること、営業所で二十歳未満の客に酒類を提供することを、また、設備を設けて客に飲食をさせる営業を営む者に対して、都道府県が条例で定めた場合を除き、深夜の営業において、十八歳未満の者を客に接する業務に従事させ、もしくは十八歳米満の者を営業所に客として立ち入らせること、または営業所で二十歳未満の客に酒類を提供することを、それぞれ禁止することといたしたのであります。  第九は、罰則規定を整備することについての改正であります。  設備を設けて客に飲食をさせる営業の深夜における順守事項違反に対しましては、罰則規定を欠いておりますため、これに対し有効な取り締まりを加えることが困難な実情にありますので、新たに設けられた年少者に関する禁止行為違反とともにこれを罰則規定にかからしめることといたしております。  なお、年少者に関する禁止行為違反のうち、風俗営業者が十八歳未満の者に客の接待をさせ、もしくは客の相手となってダンスをさせたとき、または設備を設けて客に飲食をさせる営業を営む者が、深夜において、十八歳未満の者を客に接する業務に従事させたときは、これらの違反行為の特質にかんがみ、過失による行為をも処罰の対象にすることといたしております。  以上今回の改正案について、その内容を御説明申し上げた次第であります。何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  80. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 本日はこの程度にいたしたいと思います。次会は、二月十一日(火曜日)午前十時に開会の予定でございます。  それではこれにて散会いたします。    午後零時十二分散会