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1964-03-27 第46回国会 参議院 大蔵委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十七日(金曜日)    午後一時五十二分開議   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     新谷寅三郎君    理事            柴田  栄君            西川甚五郎君            成瀬 幡治君            渋谷 邦彦君    委員            大竹平八郎君            岡崎 真一君            川野 三暁君            栗原 祐幸君            佐野  廣君            堀  末治君            柴谷  要君            野々山一三君            野溝  勝君            鈴木 市藏君   国務大臣    大 蔵 大 臣 田中 角榮君   政府委員    北海道開発政務    次官      井川 伊平君    大蔵政務次官  齋藤 邦吉君    大蔵省主計局次    長       中尾 博之君    大蔵省主計局法    規課長     相澤 英之君    大蔵省主税局長 泉 美之松君    大蔵省関税局長 佐々木庸一君    大蔵省銀行局長 高橋 俊英君    大蔵省為替局長 渡邊  誠君    国税庁長官   木村 秀弘君    文部政務次官  八木 徹雄君    文部大臣官房会    計課長     安嶋  彌君    文部省管理局長 杉江  清君    運輸省自動車局    長       木村 睦男君   事務局側    常任委員会専門    員       坂入長太郎君   説明員    運輸省海運局参    事官      高林 康一君    運輸省港湾局管    理課長     見坊 力男君   参考人    日本開発銀行総    裁       平田敬一郎君    日本開発銀行理    事       大島 寛一君    日本開発銀行理    事       市田 禎蔵君    北海道東北開発    公庫総裁    北島 武雄君   —————————————   本日の会議に付した案件所得税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○相続税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○揮発油税法及び地方道路税法の一部  を改正する法律案内閣提出、衆議  院送付) ○物品税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○とん税法及び特別とん税法の一部を  改正する法律案内閣提出衆議院  送付) ○関税定率法等の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○食糧管理特別会計法の一部を改正す  る法律案内閣送付予備審査) ○自動車検査登録特別会計法案内閣  送付予備審査) ○国立学校特別会計法案内閣送付、  予備審査) ○日本開発銀行法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○北海道東北開発公庫法の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送  付) ○地方自治法第百五十六条第六項の規  定に基づき、税関支署及び税務署の  設置に関し承認を求めるの件(内閣  提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件   —————————————
  2. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案租税特別措置法の一部を改正する法律案相続税法の一部を改正する法律案、とん税法及び特別とん税法の一部を改正する法律案物品税法の一部を改正する法律案揮発油税法及び地方道路税法の一部を改正する法律案関税定率法等の一部を改正する法律案食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案自動車検査登録特別会計法案国立学校特別会計法案日本開発銀行法の一部を改正する法律案北海道東北開発公庫法の一部を改正する法律案、「地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税関支署及び税務署設置に関し承認を求めるの件」、以上十四件を一括議題といたします。
  3. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) なお、この際、参考人出席要求に関しおはかりいたします。  日本開発銀行法の一部を改正する法律案及び北海道東北開発公庫法の一部を改正する法律案審査のため、同銀行、同公庫役職員参考人として出席を求めることとし、出席を求める日時、人選等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。   —————————————
  5. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) それでは、これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 柴谷要

    柴谷要君 十四件の法律一括上程になっておりますので、質問がバラエティーに富むかと思いますが、右に飛び左に飛び御質問をいたしますので、お答えをいただきたいと思います。  まず最初に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税関支署及び税務署設置に関し承認を求めるの件について御質問を申し上げます。特にお答えをいただきたいと思いますのは国税庁長官お願いをいたしたいと思います。  この承認案件は、税務署を増設し、税関支署を設けて納税者便益をはかる、こういうことがうたわれております。特に最近、大都市におきまする税の業務というものは非常に膨大になってまいりました。そのために設置が必要だということであります。そこで、一から五まで掲げられておりますように、東京で主著、名古屋二つ税務署がふえるわけでありますが、まず最初に、東京の状況からお尋ねをいたしたいと思います。東京国税局の現在の要員は何名で、欠員は何名あるのか。これに対する、二十九年度は欠員に対していかような補充考えておるか。  一ぺんに申し上げますから、ひとつ一括して答弁を願いたい。現在、税務署というのがございますが、これを向島税務署江東東税務署に分ける、こういうことになっております。ところが、税務署は現在の墨田税務署を使うと、こういうことになっておる。それから川崎税務署新規予算によって別途にできると、こういうことでありますが、江東税務署は別段そのような対策がない、こういうことになるというと、税務署側が、非常に税務処理上は不都合はないけれども納務者側には、何ら、新しく税務署ができても、その地域中心税務署ができるわけじゃありませんから、納税者には何ら便益はないんじゃないかと、そんな感じがするわけです、感じが。それで一体税務署設置することがいいのか、それとも将来は、それら納税者便益をはかるために、その地域中心地に新たに税務署設置しようと考えているのか、この点。  それからもう一つは、税務署ができればもちろん署長さんができる、その下には課長さんができる。現在人員管理職がふえていけば実情に沿わない、いわゆる実際に働く人の員数というのが管理職に食われるために、むしろ実際面で働く人の員数が少なくなるのじゃないか。これに対する適切な増員措置が行なわれているかどうか。これらの問題について、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。答弁いかんによっては、その次、その次の質問をいたしたいと思いますので、ひとつ明快にお答えいただきたいと思います。
  7. 木村秀弘

    政府委員木村秀弘君) 御質問のまず第一点でございますが、東京局定員は一万二千二百三十八人、これは今年の三月一日現在の数字でございます。一万二千二百三十八人。現在員が一万一千三百二十一人、したがいまして欠員が九百十七人でございます。そこでこの欠員に対して、どういう対策を持っているかということでございますが、御承知のように四月になりますというと、昨年採用いたしまして、一年間、税務講習所研修を受けてきました新人が入ってまいります。現にきょうは各地の局で採用いたしまして、その中の税務講習所で、研修を受けた人たち東京にまいりまして、きょう式をあげている次第でございまして、この欠員は、したがいまして、四月一日には全部埋まる予定でございます。  それから第二の、墨田税務署二つに分割しても、庁舎が同じところだからという御質問でございますが、これにつきましては、現在、墨田税務署人員は三百三十七人でございまして、一税務署の単位としてはあまりにも大き過ぎる、したがって、これを事務管理なり、あるいは人事管理なりをいたします場合に、やはり百五十人ないし二百人程度の規模のものが適当であるという考慮から分割をいたしたいと思うのであります。また、納税者に対する便益ということからみますならば、これは申し上げるまでもなく、向島本所両方庁舎を持つということが望ましいのでございますが、なかなか最近のこの地区における土地を入手するということは困難でございまして、当初、庁舎二つ持つという計画で進んでおりましたけれども、どうしてもその土地の入手ができないということで、今回はやむを得ず墨田税務署の中に二つ税務署を置いて、人事なり事務管理を確実にやる、こういうことにいたしたわけでございます。  それから、将来の問題といたしまして、もちろん各管轄地域の中央に税務署がある、したがって、各納税者の方々と税務署までの距離ができるだけ開かないということがサービス上は心要でございます。しかしながら、東京名古屋、大阪というような大都市におきましては、さっき申し上げました土地関係、あるいは非常に狭い地域に多数の法人なり個人の納税者の方が密集しておられますような地域におきましては、やはりどうしてもその中心地におのおの居をかまえるということができない場合が多いのでございまして、われわれとしては、もちろん納税者便益ということをまず第一に考えなければなりませんが、そういういろいろな事情から、やむを得ず、中心地に置けないというような場合があることを御了承いただきたいと思います。  それから第三の、管理職がふえることによって一般役付以外の職員を圧迫する、それに対して増員の手当てをしているかどうかというお話しでございますけれども、この点につきましては、なるほど若干管理職はふえますけれども、しかし、御承知のように、最近、地方税務署は比較的閑散になってくるのに反比例いたしまして、大都市納税者なり、あるいは課税対象が集中をいたしておりますので、やはり地方人員を引き揚げてこれらの密集地帯に持ってこざるを得ない。そうしますと、勢い税務署の数も多くなります。多くなりますと、やはり先ほど申し上げましたように、管理職もそれだけ事務なり人事管理をいたします必要上ふえざるを得ない、こういうことでございます。しかしながら、これによって一般の人を圧迫するかどうかということになりますと、たとえば、今度も地方の署を三署廃止をいたします。そういう方法によって、できるだけ管理職をふやさないように心がけてまいるつもりでございます。
  8. 柴谷要

    柴谷要君 長官が私に説明をいたしましたのは、定員が一万二千二百三十八人、現在員が一万一千三百二十一人で、欠員は九百十七名、これは税務講習を受けた者で穴埋めができます。いまこういう御答弁でありましたが、しからば、東京税務講習を受けた人の割り当てを今回何人やられたか。私の手元に入っております内容は六百数十人、少なくとも三百人くらいは欠員が残っているはずです。九百十七人の割り当てをしておりません。これはあなたの答弁は間違い。これはもう三百人近くの欠員がある。一体東京国税局実態を見るというと、年間を通じますというと四百人ぐらい、やめられたり、他職へ行ったりして四百人ぐらいの欠員が出ている。それが累積されて今日千人近い欠員がある。それを六百何名か埋めたって、なお三百人の欠員が出ますよ。これは一年たちますと、また四、五百人やめられるので、依然として、八、九百人の欠員状態東京国税局徴税事務がやられる、そういう状態の中で税務署ができて、管理職がふえていけば、ますます一般職員を圧迫していくということは、これは当然のことだと思う。これは長官、お認めになりますか。——これは事実の数字ですから、認めざるを得ないと思う。完全な穴埋めではありません、三百名近い欠員のままおくという状態、なぜ、定員をとっておきながら、定員だけの員数を保確できないのか。これはその税務署職員諸君が、欠員分まで働いているという証拠じゃありませんか。きょうの、講習を受けた人で東京国税局割り当てた人間は六百何人と聞いておるのだが、その正確な数字をひとつ聞かしてください。
  9. 木村秀弘

    政府委員木村秀弘君) 東京国税局の付属の税務講習所教育を受けて、そして今度卒業いたします分が三百八十人でございます。それからなお、地方——昨年地方で採用いたします場合に、地方税務講習所教育をするが、卒業をした際にはひとつ東京転任をするという約束をしてもらいたいという、そういう条件で採用いたしまして、一年間地方税務講習所の支所で教育をいたしまして、こちらへ来てもらうのが二百二十五人ございます。合計六百五人でございます。そのほかに、こういう新規税務講習所卒業生ではなくて、すでに長年地方の局につとめております人で希望者を募って東京転任または応援をしてもらうという者を約二百人予定しております。そういう関係で、できるだけ現在の欠員を補ってまいりたいと考えております。  それから先ほどの、現在の管理職がふえて、一般職がしたがって圧迫されるのじゃないかという点でございますが、私たちは現在事務合理化簡素化をはかっております。現に、昨年第一次、第二次の合理化をいたしまして、たとえば、国税庁に対する報告上申類につきましては、その五割以上を圧縮をいたしたのであります。そのほかに、この報告上申類だけでなく、事務処理手続簡単化をはかりまして、これによって相当人員が浮いてまいる、こういう段階に至っております。そういう面では若干の役付がふえましても、私は一般職員労働量をそれだけ過重にするとは考えておりません。なお、三十九年度におきましては、いわゆる内部事務でもって比較的機械的な仕事をいたすために、全国で九千三百万円ばかりのアルバイトの賃金を要求いたしておりますので、こういう面が充足されますならば、私は三十九年度においては税務仕事は支障なくいけるものと考えております。
  10. 柴谷要

    柴谷要君 長官、私は管理職をふやしてはいけないというけちなことを言っているのではありません。税務署をおつくりになるからには、当然、管理職が必要になってくる。しかし、その増設するということ自体が、税務署長ができ、課長ができる、この人たちがやはり窓口の相談員として納税者相談相手になられるわけですから、それは私は決して管理職をふやしてはいけないということは毫も言っていない、管理職が新たに設置されますことは、いままで管理職でなかった人が新たにいくわけだから、その人がふえるわけだから、その穴になるものは埋めていきなさい、現有勢力を減らしていくのではなく、現有勢力は間違いなく確保してやりなさい、こういうことを申し上げておるので、ひとつ誤解のないようにおとりをいただきたいと思います。  先ほどもお尋ねいたしましたが、地方から二百人講習を受けた人を予定している、そういたしますというと、約束したとおり九百十七人の欠員については間違いなく補充できる、こういうお見通しでございますか、この点を重ねてひとつお尋ねしておきます。
  11. 木村秀弘

    政府委員木村秀弘君) 先ほど申し上げましたように、今度新規に入ってきます者が、東京地方分合わせて六百五人、そのほかに現在各局につとめております人の中から、東京宿舎を充実いたしまして受け入れ態勢を整えて若干名を持ってこよう、それによって現在の欠員は埋められる、こういう考えでございます。
  12. 柴谷要

    柴谷要君 そうしますと、地方税務講習を受けた二百人の人たち東京に吸収されるということになりますと、地方の局に対する割り当てが全然ないということになるのですか、その点どうお考えになっておられますか。
  13. 木村秀弘

    政府委員木村秀弘君) 地方に対しましても、もちろん割り当てはございます。その数字はあとで申し上げます。各局別にももちろん配分をしてございますが、実は昨年、定員の改定をいたしまして、比較的仕事の少ない局の定員を減らす、また、大都市等定員の足りないところはふやす、また、各税別にみましても、法人所得のように人の足りないところはふやす、あるいはその他で比較的事務合理化等で手数の浮くところは減らすというような作業をいたしまして、その関係東京定員をふやしておるのでございます。問題は、いかにしてこの定員を実際の人で埋めるかということが問題でございまして、それには先ほど申し上げましたように、税務講習所卒業生及び従来各局で働いている中堅層職員、これの希望を募って東京転任をいたしてもらいたい、こういう方向で進んでおります。
  14. 柴谷要

    柴谷要君 かつて大蔵委員会国政調査を行ないましたときに、私は第二班で四国方面を回ったのです。そのときに国税関係を注視をして、いろいろ国税庁職員諸君がいかに努力をしているかという実態をまざまざと見せつけられてきたのです。そのときに言われたことは、一番、職員として切実に要求したいことは何かと聞かれれば、住宅問題である。実は、税務署職員というとなかなか市井の人たちが快く家を貸してくれない、あいておっても貸してくれない、こういう悩みがあります。そういうことを考えますと、どうしても国として宿舎をつくっていただきたい。これが私どもの今日の希望です。こういうことが言われた。  それから二つ目には、私どもは骨惜しみはいたしません。与えられた仕事を完遂するために努力をいたします。しかし、制限をこえた仕事はできません。どうしても人員不足がありありわかっているのだから、これはどうしても補充をしてもらいたい、こういう、決して私はオーバーな要要ではないと思う。作業実態から見まして、また、日々の勤務の状態からみて、非常に何といいますか、努力をしている姿をまざまざ見せつけられて、地方局人員を削られるということは、私は現在の人員事情の中から非常に酷な問題だと思う。東京実情はまたそれ以上にひどい、あるいは名古屋実情はそれ以上にひどいとは思いますけれども、しかし、そういうところには手厚いやはり政府の配慮があってしかるべきであって、地方局人員を減らすなどということは、長官、いまの実情からいってできないと私ども判断をするわけですが、ただいまの御答弁を聞きますというと、地方に当然配置をしなければならぬ講習生もあわせて東京へ引き揚げる、あるいは名古屋へ引き揚げるというような措置をとられることは、いま申し上げたようなことに結果的になるわけでありますが、それでよろしいとお考えでございますか、むしろ政府の問題として、一国税局の問題ではなしに、政府の問題として十分考えてもらわなければならない問題でありますけれども、それにはやはり基本的に、国税局自体が、こうしてほしいという要望があってしかるべきだと思うのです。そのことについてどうお考えでございましょうか、ひとつ長官としての希望でもよろしいですから、最後につけ加えてひとつ御答弁いただきたいと思います。
  15. 木村秀弘

    政府委員木村秀弘君) 私は、増員が許されて、相当数希望が満たされるということは、これは私の立場としても望ましいことはおっしゃるとおりでございます。ただ私は、国税庁をお預かりしている責任者といたしまして、やはり全体の定員をふやす前に、できるだけ内部合理化をやって、そうして最終ぎりぎりで、どうしてもここからはいけないというところについて定員の増加をお願いいたしたい、こういうつもりでおります。先ほど申し上げましたように、やはり従来の仕事内部仕事を見てみますというと、かなり節約のできる部面があるのじゃないか。たとえば、国税庁が局からとっておりますいろいろな報告類上申類、こういうものにいたしましても、局に要求いたしますと、局はまた署に要求するというようなことで、相当人手を要しております。それから事務処理手続にいたしましても、もっと簡単にできるような処理方法、こういうものがやはり研究をすれば相当ございます。また、国税庁がとっている報告上申類だけでなく、ほかの法令で、たとえば人事院であるとか、あるいは会計検査院であるとか、あるいは大蔵省にいたしましても、国有財産関係管財局であるとか、主計局主税局というような方面提出を求められている書類等にいたしましても、かなりこういうものは要らぬじゃないか、もっと簡単にしてもらいたいというものがございます。たとえて申しますならば、百円か二百円ぐらいの立木一本切るのに、一々、大臣まで承認を得る、あるいはまた、その結果を報告をとるというようなことは、これはひとつやめてもいいのじゃないか、われわれの目から見てはやめてもいいのじゃないか、こういうような、ほかのところから求められております手続類で、現在やめてもいいのじゃないかとわれわれが思われるものは、極力、当該部局あるいは当該官庁と折衝をいたしております。こういうような方法、また場所によりましては、現在の税務署配置というものは、必ずしも現在の経済の情勢にマッチしておるとは言いがたいのでございまして、一例を申しますならば、相当農業所得というものに比重をかけられておった時代の税務署配置、そういうものが現在ではかなり反省をされてしかるべきではないか。そういう場合におきましては、やはりこの地方の、いなかの署でもって比較的閑散なところは、これを廃止いたしまして、そうして必要なところをふやす。こういうことで、できるだけ内部合理化をはかりまして、その上で定員がどうしても足りない場合には、ひとつお願いをしなくてはならぬ。現在その内部合理化を実施中でございますので、その結果によって判断をいたしたいと思っております。
  16. 柴谷要

    柴谷要君 いろいろ合理化を十分行なって、要員を検討の上で、どうしても必要だという最小限度要員だけは要求したい。まあ責任者立場としては当然な御答弁だと思うのでありますが、一体、それでは事務合理化をはかって、現在の地方局ないしは税務署合理化が、長官の言われるように合理化によって何人の人員が浮くか、私は非常にこれは疑問だと思う。今日合理化を前提にした要員配置のような状態に私はなっているのじゃないかというふうに思うのです。ですから確かに事務簡素化をはかり、簡単なものはそれを取りやめにするとか、あるいは一括報告で届けるとか、いろいろ手順はあると思いますが、現在の税務署要員実態からいいますというと、なかなか他の産業と比較をしてそうそうできないと私は考えるのだ。ですから、むしろ年々増加されていきます徴税業務ふえ方の割合に少しも人手がふえていない。それはやはり現人員の中に大きな負担が課せられておる、しかし、まあ税務職員諸君が非常に努力されている、こういう姿で私は今日あると思う。ですから一がいに世間並み合理化に伴って要員が浮くだろう、それを欠員場所に埋める、こういうふうな理論どおりには税務関係においてはない、こういうふうに思うわけであります。でありますから、少なくとも定員だけはいつも満ぱいにしてやる、こういう心がけがまず第一に必要じゃないか。これに対して政府がそのような措置が行なえないとするならば、これは徴税局に対する無理解と思う。租税特別措置だけに力を入れて、大企業に減税をやることばかりにきゅうきゅうとして、こういうところに目の届かない政府じゃなかろうと思うが、こういう面については、まあ大臣にでもものを言ったほうがいいと思うのでありますが、責任者である長官にお尋ねするのは無理かもしれないと思いますが、大体、私ども関心を持って調べてみるとそういう結論が出てきている。でありますから将来の方向としては、何もどんどん人をふやせというのではありませんが、最小限度要員だけは確保してやるという態度が明確に打ち出されていかなければならぬ。こういうことを私は力説したいと思う。  それから、これは内部の問題になろうかと思いますけれども、実は川崎の北税務署が新設されることになるわけです。ここは新しい税務署に移られるわけですね。現在の税務署から分割をしますと、新しいところに行ける、さて、それならば新税務署だからそこへ行ってひとつ手腕を発揮してやろうという考えの人が定員だけいるかというと、川崎の北税務署には希望者がいないという実態がいま出ているのです。かりに、北税務署ができたならば、ひとつ行ってやろうと、希望者を募ってみても北税務署に行く希望者がいないということを風のたよりで聞いているのですが、その理由は一体何でしょう、長官はおわかりになりませんか。現在の税務署を離れたくない、北税務署に行きたくないという理由は何でしょう。それをひとつ聞かせていただきたい。
  17. 木村秀弘

    政府委員木村秀弘君) 合理化定員の再配分が必ずしもパラレルに行なわれていないというおことばでございますが、これはそのとおりでございます。これはまあ理想ではございますけれでも、なかなかそういうぐあいにはいっておりません。ただし、先ほど申し上げましたように、庁が要求をいたしております報告上申類を第一次、第二次整理をいたしまして、その五割以上を切り捨てております。これによって大体われわれの推算では、五百人程度の人員の節約ができておると思います。そのほかに事務処理手続の改善によりまして、やはり五百人以上の、全国的には五百人以上の節約ができておる、現在の段階でできておると、こういうふうに私たちは推算をいたしております。もちろん先ほど御指摘になりましたように、からの定員を幾らふやしても、これはひとつも意味はないのでございまして、現在の定員を一ぱい一ぱいに満ぱいにするというところに意味がございますので、各学校等にも卒業期前に、なるべく早い時期に、各税務署から連絡をとらせまして、できるだけこの税務職員の応募者を募って、そして欠員を置かないという方向で努力をいたしております。  それから第二の、川崎の北に対してあまり希望者がないというお話は、私はいままでそういううわさは聞いておりません。おりませんが、もしそういう事実があるとすれば、あるいはこの地区は民商関係の勢力が非常に激しい地区でございますので、あるいはそういうことが影響しておるかもしれぬと想像をいたします。
  18. 柴谷要

    柴谷要君 いまのは長官の推測だろうと思うのですね。まあそういう地域にあまり行きたくない、こういうので希望者があまりないと、こういうのだと思う。もしかりにそれが原因であって行き手がないとしても、そういう場合には強制配置転換ということをやるわけでしょう。これは新しく税務署をつくられたのですから、これは希望しないものをやるということになると、強制配置転換ということになるのでしょう。それにはそれ相応のもちろん局の単位でやられると思うのですけれども、そういう場合には、長官としてはどういう御指示を下部に流されておりますか、それをひとつ承っておきたい。
  19. 木村秀弘

    政府委員木村秀弘君) これはただいま御指摘のように、全く私の想像でございます。ただ、全国的にあらわれております傾向としましては、やはりこういう反税行為の非常に激しいところには、税務署員はなかなか行きたがらないという傾向は一般的にあらわれております。いろいろいやがらせであるとか、あるいは妨害のような行為が盛んに頻発をしておりますので、どうしてもそういう傾向にならざるを得ない。そこで私たちは、局にはこうこいう指示をいたしております。たとえばそういう民商等の集中しておる地域で、一般職員に比べて非常に精神的な苦労の多い署、そういう署の職員については配置がえの期間を短くする。もともと私は、できるだけ従来のように職員を転々と配置がえをするということは、その生活条件に与える影響も相当ございますので、できるだけ配置がえは差し控えるという方針をとってきておりますが、こういう特定の地域、あるいは僻地のようなところ、これはやはりある程度転任の時期を早めていかなくちゃならぬということで、一般的にはそういう特定なものについては転任の時期を早めるように指示をいたしております。
  20. 柴谷要

    柴谷要君 次は、この五つの税務署で、大体新しい庁舎のできるのは川崎だけだ、こう思うわけです。こういうふうに納税者便益をはかるために税務署の分割等を考えられたのでありますから、将来の方向としては、最も納税者の便利を考え、かつ能率的な税務行政が行なわれるようにするためには、どうしても独立した税務署というものが必要になってくるのじゃないか、こういうふうに考えられるわけです。その場合に、現在の状態でいきますと、名前だけは分割したけれども、一ヵ所に二税務署が同居するということになると、意味がそがれるわけです。一体これを将来分割してりっぱな庁舎をつくり、そうして徴税事務をりっぱにやらせるということで予算を計上して新築する意思があるのかどうか、一体それに要する経費はどれぐらいなのかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  21. 木村秀弘

    政府委員木村秀弘君) 先ほどお話に出ました墨田税務署にいたしましても、現地といたしましては、敷地購入の予定計画を立てて持ち主といろいろ折衝をしておったのでございますが、やはりどうしても入手できないという状況で、やむを得ず同居ということに相なったわけでございます。将来は、ただいま御指摘になりましたように、客観的条件が許すならば、できるだけ分散をいたしまして、各納税者中心地に近いところで、そういう便利なところに増設をいたしたいと存じます。予算につきまては、やはりその土地が現実にきまってこないと、土地によっても非常に値段が違いますので、ただいま私たちは予算をどれだけということはまだ計算をいたしておりません。
  22. 柴谷要

    柴谷要君 そうすると、土地等の確保がまだ見通しがつかない、また見通しがつかぬということではなくて、見通しをつけようとしておらない段階でしょう。税務署は増設はしてもらうけれども、新しく用地を物色をして、そうして新庁舎をつくってやろうというまだ全然段階にないでしょう。ですから、数ばかりふやしてみても、要員はその中の人たちを分割するというだけでしょう。墨田実態からすると、署長さんが二人できる、課長さんが幾人かできるというだけの姿では、税務署設置の効果というものが出てこないと思う。ですから、まず分割しようとする前には、土地の確保のある程度の見通しをつけて、そうして税務署の分割、こうなってくるのが順序じゃないか。土地の入手をして建築をして、新庁舎ができてから分割するというのじゃなくて、何としても土地の見通しぐらいはつけ、そうして予算を計上して、それから承認案件として国会に出されてくるのが私は順序じゃないかと思うのです。実は分割はした、だけれども墨田税務署向島と本所が同居をする、こういうことでは——まあ窓口だけは署長さんが二人できるのですから、税務の相談に向島と本所の人たちが別々の署長さんのところに行かれる。こういうことは確かに便利になったと思います。それ以外には全然ないと思うのです。やはり目的の所在地に税務署ができ、長時間かけて税務署通いをするのではなくて、近くに税務署ができたといって、それで初めて分割の意義が出てくると思うのです。これは少し早過ぎたという感じじゃございませんか。いかがですか、この点をひとつお伺いいたしたいと思います。
  23. 木村秀弘

    政府委員木村秀弘君) 原則としては、やはり分割をすると同時に、その中心地税務署を新設するというのが理想でございます。現に川崎北、名古屋北、名古屋中村等の場合にはそういう方法をとっております。ただ墨田におきましては、先ほども申し上げましたように、敷地の交渉をいたしまして、大体だいじょうぶじゃないかというところまでいったのでありますが、どうしても最後に折り合いがつかないということで、やむを得ず断念をいたしたわけでございます。したがって、将来適当な土地が入手できますならば、やはりそういう方向でいくのが私は積極的な方法であろうと思います。もちろん分割をいたしまして、同じ庁舎におります場合におきましても、先ほど申し上げましたように、あまりにも多くの人員を一人の署長が握っておるというよりも、やはり適当な規模で分割をすることによって、税務署事務あるいは人事管理に便なるのみでなく、やはりその土地土地として相当分割をせざるを得ないほどの納税者の数なり、課税の対象なりが多い土地でございますので、そういう方々にはやはり課長なり、係長なり、そういう相当専門の人が一人ふえることによって、納税者税務の相談等にはやはり便利になるじゃないか、こう考えております。
  24. 柴谷要

    柴谷要君 十四の法律案ですから一時間ずつ質問していっても十四時間かかるということになりますが、まだたくさんお尋ねしたいことがありますが、本案については一時間だけで終わりたいと思います。  これは長官にお尋ねしておきますが、今月一ぱいに通してもらわなければ困るという法律案でありますか、それとも来月になってもよろしいとお考えになっておる法律案でございましょうか、これだけひとつ承っておきたいと思います。
  25. 木村秀弘

    政府委員木村秀弘君) われわれの希望といたしましては、できるだけ年度内に御承認をいただきたいと存じます。
  26. 柴谷要

    柴谷要君 法律は今月中に通った、それじゃ新しく税務署として出発するのは大体いつごろですか、見通しとして。
  27. 木村秀弘

    政府委員木村秀弘君) 御承認をいただければ、さっそく内部的には準備委員会のようなものを局に設置するとともに、対外的には納税者の方々にもPRをいたしまして、そうして内部的な仕事は極力進めてまいりたいと存じます。順調にいきますならば、おそらく七月ごろには新税務署が発足できるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  28. 柴谷要

    柴谷要君 それで、特に私は最後に要望しておきたいことは、新税務署ができた場合に、当然職員配置転換ということが考えられる。しかし、強制配置転換は極力避けて、ぜひこれは円滑にやってもらいたい、その円滑にやってもらいたいということは、非常に国税局の中は複雑だと思う、幾つかの組合があり、組合に参加をしておらない人もいるということで、まことに複雑怪奇といったことばが一番当てはまるのじゃないかと思います。これらの組合と十分話し合いをして、強制配置転換のようなそしりを受けないように、ひとつ新設の税務署ができたら円滑にやってもらいたいということを要望して質問を終わります。  次は、ごく簡単に物品税の問題をお尋ねしたいと思います。これは泉さんでよろしゅうございます。  今回の改正の内容は、三十七年に物品税の改正を行なったときに、特に暫定軽減税率を適用したのが七品目であったと思います。それを今回は三品目に削って二ヵ年間延長する、こういう改正法であると思うのです。その事由についてひとつお願いいたします。
  29. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) お話のとおり、昭和三十七年に物品税の改正を行ないました際、従来の課税品目との権衡からいたしまして、ステレオ、パッケージ型ルームクーラー、カ−クーラー、冷風扇、脱水式洗たく機、冷水器、芝刈り機、この七品目につきましては、新たに課税することにしたのでございますが、従来、課税になっていなかったものが課税を受けることになりますので、激変緩和という趣旨からいたしまして、暫定軽減税率一〇%でまいっておったのでございます。大体、二年経過いたしましたら、本則の税率に戻るという趣旨であったわけでございます。その後、この七品目につきまして、いろいろ調査いたしましたところ、ステレオ、パッケージ型ルームクーラー、カークーラー、この三品目にきましては、輸入品との競争関係等もございまして、まだ、生産が本来の規模に乗ってこないし、まだ今後コストを低減して輸入品と対抗していく必要がある。しかし、その揺籃期を過ぎて、企業の基礎が強固になってくれば、将来、輸出品として大いにわが国経済に寄与し得るというような予測が立ちます、この三品目につきましては、なお、暫定軽減税率でやっていきたい、かようなことに決定いたしまして、このような改正案を出したのでございます。他の四品目につきましては、この九月三十日限りで、本則の税率に戻るわけでございます。
  30. 柴谷要

    柴谷要君 いままで、七品目を暫定軽減税率一〇%で処置をしていたものが、三品目に、今度は限定をされていくと、あとの冷水器、冷風扇、脱水式洗たく機、芝刈り機等については、十月一日から二〇%の本則を適用すると、こういうことになるわけですね。そこで、この三つのいわゆるステレオ電蓄、 ルームクーラー、カークーラー、これは開放経済に伴って、どうしても輸出品として太刀打ちさせきなゃならぬと、こういう配慮からされたと思うのですが、それならば、あとの四品目は全然輸出の対象品目でないかというと、そうは言い切れない、その点について、ひとつ今日までの輸出状況その他を詳しく説明を願いたい、
  31. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 四品目のうち、冷風扇につきましては輸出実績はございません。脱水式洗たく機につきましては、三十七年度五百台、三十八年度、これはまだ確実ではございませんけれども、七百台程度の輸出の見込みでございます。それから冷水器、芝刈り機は、これは輸出はございません。カークーラーにつきましては、三十七年千台、三十八年、まだ十分正確ではございませんけれども、一応千八百台ぐいの見込みでございます。それからパッケージ型ルームクーラーにつきましては、三十七年六百二十台、三十八年七百五十台の見込みでございます。これは、いまの業界の見込みでは、三十九年以降、急激にふえる予定になっております。一応三十九年の見込みは千二百台ということになっております。それからステレオにつきましては三十七年に十二万三千台、それから三十八年に十六万台というふうになっております。
  32. 柴谷要

    柴谷要君 芝刈り機につきましては輸出がないと、こういつているのですが、日本に駐在しておる在外公館での品物などは輸出品物にはならぬですか。日本の土地の上にあるのだから輸出じゃないと、こういうような計算でしょうか、その点をひとつ聞いておきたい。
  33. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 日本にありまする在外公館が使用するのは輸出に扱っておりません。
  34. 柴谷要

    柴谷要君 大体ステレオとか、ルームクーラー、カークーラーというのは大企業が製作をしておる。脱水式洗たく機もそうでありますけれども、あとは大体中小のメーカーだと、私はこういうふうに判断するわけです。その区分けはそのようにお考えになっておられますかどうか。
  35. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) これは必ずしもステレオ、パッケージ型ルームクーラー、カークーラーが大企業というわけではございません。比較的中小の企業がつくっているのが相当ございます。むしろ脱水洗たく機とか、冷風扇なんか大企業がつくっております。
  36. 柴谷要

    柴谷要君 それではステレオ電蓄をつくっている会社は何カ所、それからルームクーラー、カークーラー、どういうところがつくっているか、それを知らしてもらいたい。
  37. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) ステレオにつきましては、ビクター、コロムビア、これは大企業でございます。それから日本電気、早川電機、三洋電機、三菱電機、日立製作所、東芝、富士電機、まあこの辺は、大企業と申してよいかと思います。それから松下電器、八欧電機、パイオニア、こういった法人がつくっております。それからパッケージ型ルームクーラーにつきましては、富士電機、日立製作所、三菱電機、三洋電機、それから松下電器、早川電機、東芝、東洋キャリア、これは比較的小さなほう、大阪金属、これは大きいほうです。それから新三菱重工、これは大企業でございます。それからカークーラーは、東芝電気、日立製作所、日本電装、ヂーゼル機器、こういった事業がつくっております。それから冷風扇は早川電機、三洋電機、日立製作所、東芝電気、富士電機、大阪金属、八歌電機、脱水式洗たく機は、日立製作所、三菱電機、早川電機、こうなっております。冷水器は、松下電器、三菱電機、日立製作所、東芝電気、大阪金属、こういった企業がつくっております。
  38. 柴谷要

    柴谷要君 まあ私はただいまの局長の説明のとおりわかるのですけれども、実は十月一日から本則によって二〇%の課税に帰るということになりますと、これら企業の方々は、税の増加に伴って下請にこれがしわ寄せされる。実は、別に下請の代弁じゃありませんけれども、現実に価格の変動があっても、これが下請にしわ寄せされるというようなことになる。そうすると、この税の改正が、飛ばっちりがメーカーではなしに下請に移る、こういう状況が考えられるので、これに対する何らかの配慮があるかどうか、これをひとつ伺っておきたいと思う。
  39. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 三十七年に、これらの七品目に課税することにいたしました際は、従来の他の課税物品の権衡からいたしますと、当然、本則の二〇%の税率で課税してもいいという性格の品物でございますが、ただ、従来課税されておりませんでしたのを、急激に二〇%の課税をすることは適当でないだろう。しかも、これらの生産が、課税を始める当時まだ始まって間がないといったような事情を考慮いたしまして、とりあえず、暫定税率一〇%ということにいたしまして、年々の企業がコストダウンを行なうことによって、消費者価格にそれほど影響を及ぼさないで、この税を消化し得るようにという配慮からいたしまして、二年間暫定軽減税率一〇%でございますれば、一年間で約五%程度のコストダウンを行なえばやっていける、こういうような配慮からいたしまして、暫定軽減税率一〇%を二年間ということで始まったのでございます。その後の経過を見ますと、冷風扇だけは当初の見込みと見込み違いがございまして、そのようなコストダウンになっておりません。と申しますのは、当初企画いたしました品物が、ルームクーラーと扇風機の中間をねらうということで、低所得層に売れるんではないかということで発足したわけでございますが、湿気が非常に強く室内に出るというようなことからいたしまして、型式の変更をいたしましたので、そのためにコストダウンが十分はかられておりませんけれども、それ以外の品物につきましては、コストダウンが相当はかられております。したがって、今後十月から税率が本則の三〇%になりましても、消費者価格にそれほど影響を及ぼすようなことはないのではないかというふうに期待いたしておるのでございます。
  40. 柴谷要

    柴谷要君 大メーカーがつくっている輸出品だから暫定軽減税率をしいてやる。ところが、その他は輸出にはごく少ない。しかもその税の面でいけば一億そこそこ、見込み額はそうでしょう。そこそこだから、これを直して二〇%にしてしまう。この結果、価格に変動はないかというと必ずある。価格に変動がないとすれば下請を泣かせるとか、いろいろやりますよ。国内の市場のものについては何らやらず、しかも消費者、国民のほうは高いものを買え、しかも輸出のほうはまけてやるんだと、こういう精神じゃございませんか。たとえばステレオ装置の電蓄では十八億円、ルームクーラーは六億七千万円、カークーラーは二億五千万円、合計で二十七億二千万円というのが課税見込み額でしょう。そうするというと、物品税額の中で、千五百十三億円の約一・八%、そういうものについてはまあ一〇%にしてやろう。従来どおりの暫定でやってやろう。しかし、国内で使うものについては、ひとつ価格のほうで何とかすればいいだろうから、下請を泣かせればいいだろうから、二〇%取っちまえ、こういう精神じゃございませんか。ひとつここを明らかにしてもらいたい。
  41. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) それは非常に酷なお考えだと思うのでございますが、私ども、決してさようなことを考えてやっておるわけではございません。これらステレオ、パッケージ型ルームクーラー、カークーラーで、輸出もありますけれども、国内需要が相当多いわけでございまして、その国内需要の分については課税になるわけであります。なるほど税額から申し上げますと、お話のように、ステレオ、パッケージ型ルームクーラー、カークーラーは、税額においては多うございます。しかし、それだからといって、何もこういう三者だけそういう特別扱いをするというわけではございませんので、これらの三品目につきましては、なお今後コストダウンを行なうことによって輸入品と対抗して、将来わが国の輸出に大きく審与し得ることが期待できる、こういった見地から、なお暫定軽減税率を用いていきたいというだけでございまして、他の品目につきましては、先ほど申し上げましたように、冷風扇を除きましてはコストダウンの効果が出てまいっておりますので、これで消費者価格にさしたる影響はなくしてやっていけるのではないかと思っておるのでございます。ただ、お話のように、こういうふうに物品税の税率が実際的に上がりますれば、それが下請企業などに影響するのではないかという点は確かに考慮しなければならない点と思いますけれども、カークーラー、パッケージ型ルームクーラー、あるいはステレオ等についても、もちろん下請が相当あるわけであります。結局、その下請企業と親企業との関係は物品税の上げ下げということだけでなしに、そのほかの金融その他のいろいろな施策と伴っていかなければならないもの、かように考えるのでございます。
  42. 柴谷要

    柴谷要君 それからもう一つ。物品税の改正の内容の第二番目は、未納税移入の手続の簡素合理化ということになっておりますね。ところが今回は、簡素合理化と名をうたっているけれども、かえって簡素ではなくて複雑にしていると私は思うのですが、この点について質問したいと思います。というのは、現在は未納税で課税物品を移入した場合には、移入した日から十日以内に税務署長のところに申告すればいい。それでいいのですが、ところが、今度は翌月の十日までに報告すればいいことになっておりますけれども、一応、政令で定める長期的なもの、しかも税務署長さんが承認をしたものだ、そうなるというと、今度はその品物については、税務署長承認を取り、翌月十日にまた申告に行くというようなことで、かえって簡素化じゃないじゃないかと、こう思うのだが、その点はいかがでございますか。
  43. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) おことばではございますが、今回、未納税移入をした場合の税務署長に対する届け出の事務簡素化を行なおうといたしますのは、未納税移入の回数の多い業者につきましては、従来のままでございますと、輸入のつど十日ごとに申告しなければならないことになっておりますが、これでは非常に手数がかかりますので、業者の便宜を考慮いたしまして、一ヵ月分まとめて申告することがきるということにするのでございまして、その承認は、あらかじめそういう制度の適用を受けたいという旨の承認をするだけでございまして、そのつど承認するわけではございませんので、一たん承認を与えておきますれば、そういう未納税移入の回数が月に何回もあるといったような方は、この手続でやっていかれることができるわけでございます。それから未納税移入の機会があまりないような方は、従来どおり、十日ごとにやっていかれてもよろしいわけであります。したがって、その意味では今回の措置によって手続が非常に簡素化される、かように考えておるのでございます。
  44. 柴谷要

    柴谷要君 そうなりますというと、選択ができる、一ヵ月まとめてやるにはやる手続をとれ、従来十日ごとに申告をしていたのは十日ごとに申告できる。いずれまたどっちでもいいから便利なほうをとりなさいということで選択できるのですか、この点をひとつ伺っておきます。
  45. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) さようでございます。業者の都合によって、自分のほうは輸入の回数が多いから、毎月まとめて移入申告をするようにいたしたいということで、その選択ができることになっているのでございます。
  46. 柴谷要

    柴谷要君 それから第一種の物品税は、小売り業者が納税義務者、それから二種、三種についてはこれは製造業者、それから保税地から出す場合には引き取る者が義務者となっておる。これはいわゆる税務署の役を小売り業者にやらす、製造業者にやらせている、こう見るのですね、税金を取るのでしょう、納めるのでしょう、税務署に。その場合に、納税義務者として義務を果たしたものについては何らかの恩典があるのですか、特例で何かやっているのですか、やらせっぱなしですか、この点をひとつ伺っておきたい。
  47. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 物品税は御承知のとおり、消費税といたしまして、その品物に対して課税いたしました税金が消費者に転嫁することを予想してできておる税でございます。したがって、その点から申し上げますと、できるだけ消費の段階に近いところで課税をするのが望ましいわけでございまして、そういう意味では小売り課税の段階で課税することができればいいわけでございますが、しかし、品物によりましては、小売り商の数がたいへん多うございまして、そこで課税することが適当でなく、むしろ、少ない製造業者の段階で課税したほうがより円滑に課税徴収ができるということでありまするので、第一種の物品につきましては小売り業者、第二種、第三種の物品につきましては製造業者を納税義務者といたしているのでございます。これは別段、税務署にかわってこの消費者から税金を取り立てるという性質のものではございませんで、自分の販売する物品に課せられた物品税相当額を加算して販売する。そういうやり方によって、自分の納税義務を消費者に転嫁をするということになっておりますので、物品税を納めたからいって、まあ、特別に報奨措置を講ずるということはございません。ただ、優良納税者として表彰する措置は講じておりますけれども、これは納税成績が優秀であるということを表彰するものでございます。一般的な報奨措置はとっておらないのでございます。
  48. 柴谷要

    柴谷要君 確かに商品を売ってその商品の中に課せられておる税金を一緒に取るわけですから、別段、その点においては——ただ、それ以後の問題に、やはり一般納税者とは違った負担がかけられており、責任が課せられておる。ところが、これはほかのことをお尋ねしますが、酒税の場合は、あれは免許制になっているので何かあるのでしょう、酒税の場合は。そういうことをちょっとよそで聞いたのですが、これに対しては何かあるわけですね。あったらひとつお聞かせ願いたいと思う。
  49. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 酒税の場合、まあ酒税は製造業者に対して課税することになっております。ただ、従価課税を行ないます場合におきまして、販売業者が納税業者になる場合がございますが、大部分は従量課税でございます。製造して業者が免許を受けておることばお話のとおりでございますが、そうかといって、別に酒類の製造業者に特別の恩典を与えているということはございません。ただ、中小企業近代化促進法の規定によりまして、清酒製造業者、それから乙類のしょうちゅうの製造業者につきましては、近代化促進法の指定業種としての特別償却と、それから融資についての措置を講ずることになっております。これは、近代化促進法の規定に基づくものでございます。そういう意味では、物品税の納税義務者の中にも近代化促進法の指定業種に該当するものがございますが、それは同じような扱いを受けておるわけでございます。特別な扱いということではございません。
  50. 柴谷要

    柴谷要君 従来であれば、税務署の手をわずらわして徴税というものが行なわれるのが原則だ。ところが、物品税というのはこれを扱った小売り業者なり製造業者なり、特定の人が保税地から出す場合には買った人が払う、そういうものの扱いに対して、これはもちろんガソリンもそうですし、軽油引き取りもそうでありますが、いわば国民に税金を課して、そうしてあげておる。それ以外に本人の収入以外のことで徴税業務を手伝わしておいて、それでいいとお考えになっておられますか。これは、あんまりいい方法じゃないけれども、便宜的にやっている、まあまあがまんしてやってもらうのだ、商売だから一緒にやってくれ、こういうお考えでおられるのか、その点をひとつお尋ねしておきたいと思います。
  51. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 税に直接税と間接税がございます。そのウエートをそれぞれどういうふうにあんばいするかは、それぞれの国によって違うと思いますけれども、間接税というのは、どこの国におきましてもその消費物品に対して課税いたしますので、消費物品の製造業者または小売り業者を納税義務者とすることにならざるを得ないのでございます。したがって、これは税の課税で間接税を取る以上は、そうならざるを得ないと思います。もちろん支出課税と申しますか、消費税の形でなしに、支出形態に課税するということも考え得ることではございますけれども、しかし、現在の多くの国がとっておりますような間接税課税のやり方では、こういうふうに製造業者あるいは小売り業者を納税義務者として、その販売の過程において課せられた間接税が消費者に転嫁されていくということを期待するほかはないと思うのでございます。ただ、問題は、そういった転嫁が予想どおり行なわれないような事態にもしなるということでございますと、それでは間接税の本来の機能が果たせませんので、そういう転嫁ができないという事態でありますれば、その課税が適当でないのではないかといったような点を反省はしなければならぬと思いますけれども、納税義務者として製造業者、小売り業者を選ぶことは当然のことではないかと思うのでございます。
  52. 柴谷要

    柴谷要君 法律規定をし、義務者に指定をしておるのですから、これは当然のことなんですね。だけれども、他の納税義務者と違って特別に業務をやらしておるという点についてはどう考えておるか、こういう質問です。ですから、その点については、あまりうまい方法じゃないけれども、それ以外に取り方がないのだ、こういう説明でいい、そういうことを率直に言ってくれればいいのだ、私だけに聞かせるのではなくして、国民に聞かせるのだ、そのほかに何かうまい方法があったら考える、研究します、こういう一歩前進した前向きの御答弁がいただければなおけっこうです。そういう点を伺っておるのですから。
  53. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 間接税の場合に、いま申し上げましたような趣旨からいたしまして、製造業者あるいは小売り業者以外の者から徴収する方法がございますればいいのでありますけれども、そういった方法は格別見当たりませんので、やむを得ず、製造業者あるいは小売り業者の方に納税義務を果たしていただいておるのでございます。そのためにこういう課税品目を扱っておりますと、ほかの方とは違った意味でのいろいろの負担がありますことにつきましては、やむを得ないこととは言いながら恐縮に存じております。
  54. 柴谷要

    柴谷要君 どうも時間がないので何ですけれども、物品税というのは、これは金持ちも貧乏人もひとしく扱われるものだ、与えられるものだ。ところが今回の税制改正では、単にこれだけしか物品税の改正が行なわれない。もっと物品税のほうに力を入れてやらなければいかぬのじゃないか、こう思うのですけれども、それに対する局長さんの御見解、大蔵省の見解、ひいては次官もおられますから、政府の見解までただしておきたいと思います。いかがでございますか。
  55. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) お話のように、物品税は同じ品物を金持ちが買う場合でありましょうとも、金持ちでない人が買う場合でありましょうとも、同じ税がかかるわけでございまして、その意味では、所得税などのような累進課税に比べまして逆進的な傾向があるということはお話のとおりでございます。ただ、わが国の物品税におきましては、そういった点を考慮いたしまして、物品の性質が比較的大衆的な品物につきましては税率を軽くする。そして奢侈的なもの、便益の程度がきわめて強いものに対しましては税率を高くする、あるいは大衆の買うようなものにつきましては免税点を設けまして課税にならないようにする、こういった配慮を加えておりまするので、逆進の程度も相当緩和されているとは思っておりますけれども、しかし何と申しましても、間接税全体がそういう逆進的効果を持っておりますので、そういう意味では所得税などに比べますと、逆進的傾向が強いと思っておるのでございます。で、物品税の減税につきましては、先ほども申し上げましたように、昭和三十七年に相当大幅な改正を行ないまして、現在の負担はある程度その物品及びその消費の形態に照らしまして合理化されたものになっておるのではないかというふうに考えておるのでございますが、しかし、三十七年に改正いたしましてから、すでに二年目になりますので、物品税につきまして、またその後の情勢の変化がいろいろと考えられますので、これにつきましては、今後検討いたしまして、私どもといたしましては、物品税につきましては、できれば三年か四年目かに一度大きく改正する。間でちょこちょこいじり出しますと、課税品目のバランスというのはなかなかむずかしいものでございますので、一ついじり出すと切りがないといったようなことにもなりますので、三年か四年ごとにまとめて大きく改正をしたらどうか。そういう意味で、ちょうど三十七年に改正を行ないましたので、明年、または明後年にそういった検討をするようにいたしたい、かように考えておるのでございます。
  56. 柴谷要

    柴谷要君 何か泉さんの話を聞いていると、大衆に影響のあるような物品税のほうはたいへん配慮してあってどうのこうのと言っておられる。それは確かに奢侈品に対しては高率のものがかかっていることは知っていますよ。しかし、国民生活の上において消費されているものは、金持ちでも貧乏人でも同じ物品税を取られている。それが証拠には、これは国税庁長官の部下ですけれども税務署職員の人が非常に克明に、間接税が一世帯あたりどのくらいかかるかということを二年間にわたって調査したというやつが出ておりましょう。あれを見て、かなりの金持ちの人が、これならわれわれの生活と同じだと言ったのをそのわきに書いてあるのを私は読んだ。そういうことになると、あなたの言っているようなことにならぬわけです。いいですか、最も生活必需品である砂糖あたりが一体幾らかかっているかというと、四三・一%もかかっている、消費税ですよ。そういうところにやはりもう少し配慮があってしかるべきじゃないか。物品税のような、とにかく所得税納めなくてもこれは納めているのですから、生活している以上は物品税取られているのですから、取られているというと語弊がありますけれども、物品税はちゃんと納めている。そういう階層にまでひとつ影響するような減税をやはり打ち出してもらわぬと、高いところばかりたくさん減税をして、だんだん下へいけば下へいくほど細まっている減税ですよ。今度は多少でも減税になるから、この法律案を通してやろうという多少のいま気持ちになっている。何%ぐらいは通そうという気持ちになる。しかし、たいがいのパーセンテージは上に厚くて下に薄いから通すまいという気持ちもある。ましてや物品税なんというのは、輸出だからといって軽減税率を二ヵ年間延ばすが、しかし、その他の物品税については何ら考慮をしない。国民生活必需品、しかも貧乏人が納めなければならぬ物品税などについて何ら配慮しない。こういうことなんで、まあ泉さんが今回の改正は悪法だったと、こういうことをきのう言明されたということを聞いておりますから、それ以上のことは言いませんけれども、悪法でない、最もよい税金の体系をつくっていただくということのほうにひとつ努力をしてもらうということで、二年なり三年の間には大いにやろうということでありますから、どうかひとつこの議論を身にしみてお考えをいただいて、よい物品税の減税を打ち出していただくようにお願いをして、あまり長くやるな、十四もあるのだから、こういうことでありますから、次へ移りたいと思います。それにしても自民党さんいないようだけれども、少し休憩いたしましょうか。
  57. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  58. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を起こして。
  59. 柴谷要

    柴谷要君 それではガソリン税、軽油引取税について、これはあすあらためて建設省の関係者をひとつ呼んでいただきたいと思います。これは目的税であることは間違いありませんが、昭和二十九年に道路整備財源の目的税として制定されたものです。それから以来今日まで、一体ガソリン税は何回ぐらい値上げになってきたか、その上がったときの理由、そういうものについてひとつ御説明をいただきたいと思うのです。
  60. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 先ほど柴谷委員のおことばでございますが、私、今回の税制改正が悪法だと言った覚えはないのでございますので、訂正さしておいていただきます。  それから揮発油税は目的税ということにはなっておりません。目的税的な性格をもちまして揮発油税と同額を道路整備のために予算に計上するということにはなっておりますが、地方道路税及び軽油引取税は明確に目的税として規定されておりますけれども、揮発油税は目的税として明確に規定されておるのではございません。お話の揮発油税の税率でございますが、これは戦前の状態は別といたしまして、戦後、昭和二十四年に復活いたしまして、それから昭和二十六年、そのときは小売り価格に対する従価税率でございましたが、二十六年から従量税率になりまして、一キロリットル当たり一万一千円であったのでございます。それが昭和二十九年から道路整備財源に使用するということになりまして、このとき一八%引き上げられまして、一万三千円になりました。それから三十二打に四一%引き上げられまして二万八千三百円になりました。三十四年に二四%引き上げられまして二万二千七百円になりました。三十六年に二五%引き上げられまして二万六千百円というのが現行税率になっているのでございますが、これらの引き上げの理由はそれぞれ道路整備財源を増強する必要があるということでございます。今回さらに一〇%引き上げまして二万八千七百円、揮発油税と地方道路税と合わせまして二万八千七百円の税率にするように御提案申し上げておるのでございます。
  61. 柴谷要

    柴谷要君 しかし、これほど年を越すに従って改正改正できたものはないと私は思うのです。目的税的なんて言っているけれども、道路財源に必要だから増徴するというんだから、目的にきまっているじゃないですか。目的税ですよ、これは。「的」なんて入れるからいかぬ。目的税には間違いありませんよ。そこで、現在の小売り価格は四万四千二百円、税金は幾らかというと、現行では二万六千百円ですから税率はすぐ出る、六〇・五%、これはたいへんな高率だと思うのですよ。これより高いものはほかにありましたかな。一つあるだけですね、ガソリン税より高いのが、一つありますね。大体これに類似の、税率の高いものを幾つかあげてくれませんか。
  62. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) たばこは、これは専売益金の形をとっておりますけれども、小売り価格に対する専売益金の割合は、品物によって多少違いますけれども、大体六三・五%から六四・.五%くらいになっております。そのほかの品物といたしましては、以前は、清酒のうち特級酒などが六〇%を上回っておりましたけれども、これは減税の結果、現在は五〇・七%でございまして、まあ消費物資としましては、いま申し上げましたたばこくらいのものが、揮発油と同じくらいの小売り価格に対する負担と、こういうことでございます。
  63. 柴谷要

    柴谷要君 確かにたばこだけが上で、あとはみな下ですよ。ビールが五二・三%と低い、清酒一級なら四〇%でしょう。ところが、現行が六〇・五%で、これに一〇%というと七〇・五%で最高になるわけです。一〇%上げて七〇・五ですか、どうなるわけですか、その点をひとつ。
  64. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 今回の税率引き上げが、そのまま小売り価格に反映するといたしました場合に、消費税の負担は、小売り価格に対しまして六二・七%になるのでございます。これはイギリスの六三・五%、西ドイツの六三・五%にほぼ近い数字でございますが、フランスの七四・三%、それからイタリアの七六・二%に対しましては、まだわが国の揮発油税の税率のほうが低いということになっております。もっとも、これは小売り価格に対して税率が低いということだけで、なお今後増税の余地があるかどうかといったような判断はできにくいと思いますので、一応数字の比較だけ申し上げたのでございます。
  65. 柴谷要

    柴谷要君 泉さんは、同じような数字が出てくるというと、必ず外国の例を引かれるんですね。ところが、西欧諸国のガソリン税は目的税ではない。フランス、イタリアの税率が高いのは、直接税をきらって、国民感情から、間接税や流通税のほうが高くなっているのですよ。そういうきらいがあるでしょう。税体系自体が違うでしょう。だから似かよった数字が出ると、必ず諸外国の例を引くんです。それで少しまさっていますと、ほれ見ろ、日本の低うがいいんだと、こういうことを言うけれども、だめなんです。これは一体、国民所得状態からいって、課税最低限の問題にしたってそうでしょう。これは十分御認識のことなんですが、いまイギリスの例が出たから言うのです。イギリスの課税最低限度は七十三万一千三百八円、日本は幾らかというと四十三万、国民所得の平均なんというものはえらい違いがあるわけです。そういう国柄と比較をしますけれども、それは間違い。そういうことでなしに、現実の日本の実態の中から、ひとつ討議しましょう。それで、ガソリンの使用というものは、一体どういうふうな分布状態になっていますか。官庁の車が使っているのか、トラックとか、バスだとか、そういう営業車が大半使っているのかというと、私はそうじゃないと思う。ガソリンというものは、中小企業の一軒一軒が持っているあの小さな車、これが現在のガソリンの五〇%は使っていると思う。そうすると、この税金が上がることによって、中小企業の負担というものが重なって、それが今回あなた方が苦心をされてつくられた——先ほど悪法とあなたが言ったというのは取り消してもいいのです。ただ私は、他の同僚議員から聞いたから引用しただけなんで。ところが、ほかで減税しても、このガソリン税の値上げによって、ある商店では、計算してみたらもうけがふいになっちゃっている。支出がよけいになっちゃっている。そういう例が出るんですよ、厳密に計算をすると。だからこういうものを上げる場合には、ひとつ慎重にやってもらいたいというのが結論になるわけですけれども、それにいく前にお尋ねしたいのは、大体、基礎物資に対する課税が、目的税的なものであっても、こういう高率であっていいのかどうか、これが基本だと思う。これに対する見解をお伺いしておきたい。
  66. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 道路整備の必要があります場合に、その財源を何に求めるか、これはそれぞれの国によっていろいろ違っております。お話しのように、外国でも、西ドイツは揮発油税を目的税にいたしております。フランスはそうではございません。そういったいろいろの違いがございますが、しかし、どこの国におきましても、揮発油からの税収を相当道路財源に使っておるようでございます。わが国の場合におきましては、御承知のとおり、社会資本のうちでも特に道路の整備がおくれておりますので、これを急速に整備することが、他の産業投資とのバランスからいきましても必要だというふうに考えられておりますが、そういった点からいたしまして、揮発油税と軽油引取税に相当多くの財源を求めざるを得ないという状況にあろうかと思います。ただもちろん、揮発油税あるいは軽油引取税以外に、そうした道路建設については、建設公債を発行すべしといったような議論もございまして、これらの点につきましては、今後なお十分検討すべき問題であろうかと思います。が、現在までのところ、わが国では、御承知のとおり健全財政ということで、税収によってまかなってまいっておるわけでございます。しかし、今回の揮発油税の引き上げによりまして、揮発油の小売り価格に対する税負担の割合は相当高くなってまいりましたし、また現在、石油精製業界は、特殊な状況にあるとは申しながら、そういった業界が非常に混乱をしておるといったような状況からいたしますと、今後、揮発油税の税収の増加にあまり多くは期待できなくなるのじゃないか。他方、道路整備の必要はますます高まってまいっておりますので、この間の財源調達をどうやっていくかということは、わが国として今後慎重に考えなければならない問題である、かように考えております。
  67. 柴谷要

    柴谷要君 私は、道路財源の受益者側としては、それは当然負担するということは考えられるわけですけれども、それをその限度をこしてまで押しつけるというやり方についてはどうも納得がいかない。それから、これは明日また建設省の関係の人にお尋ねしようと思うんですが、道路五カ年計画の一期、二期を通じて六兆の金がつぎ込まれるのですよ。確かにそれは道路はおくれていましょう。おくれている。しかし、わずかの間に六兆の金をつぎ込んでいく、その財源を苦もなく大蔵省ははじき出してやっている、はじき出してやっているとぼくは見るんです。ところが一面、公共企業体である国鉄あたりの現状をあなたごらんになりましたか。安全確保のためには資金が必要だといったって、これに幾ら与えていますか。衆議院の予算委員会、参議院の予算委員会で、公述人が、道路につぎ込む金、国鉄につぎ込む金というものを分析検討して、どっちが効率的か、もっと基幹廃業である国鉄方面に投資をするのが政府としては当面の緊急の問題じゃないかと言われている。それを五ヵ年計画第二期に六兆からの金をつぎ込む。これに対して大蔵省としては、もう、何といいますか、そういった方面に金をつぎ込もうとしてこういうふうな無理なことをしている。こういう行き力が泉さん、あなた主管の局長として正しい行き方だと思いますか。国全体をながめた場合に、道路につぎ込むのはいかぬとは言いませんけれども、こういう財源の捻出方法、それから、片や資金に困って安全対策さえできないような状態に国鉄を追い込んでいる状態をながめた場合に、いい政治が行なわれているとあなたはながめますか。これはよくないという考え方が必ず出てくると思う。声は小さくていいですから、これをなおすためには、あなたはひとつ大蔵省内で正論をうんと吐いてもらわないと困る。そういう点について御見解を御表明願いたい。
  68. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) おことばではございますが、私ども建設省から、御承知のとおり、道路の五ヵ年計画をつくっても、大体五ヵ年たたぬうちにすぐ倍増倍増となってまいってきますので、易々諾々としてその財源調達に奔走しているというのではもちろんございません。私どもとしましては、揮発油の消費並びに生産販売の状況から見まして、ある程度までがまんしていただける点はがまんしていただくといたしましても、これ以上はなかなかむずかしいという点につきましては、その増徴をお断わりするようにいたしてまいってきておるのでございままして、決して建設省のおっしゃるとおり、易々諾々とやっておるものではございません。なお、財源を国鉄に使ったほうがより効率的なのか、あるいは道路整備をしたほうがいいのかという点につきましては、私あまり所掌等でよく存じませんので、この際、発言を差し控えさしていただきたいと存じます。
  69. 柴谷要

    柴谷要君 全部知っていることを聞くのはもう何だか工合が悪いんですけれども、一応、議事録に残したいものですから、しゃべらせていただきますけれども、これはあす建設大臣に伺いますけれども、その前に、一体、道路ができるというと、だれが恩恵に浴するのか、こういう問題があると思うのですね。その場合に、いま政府答弁をしているのは、一番道路がよくなって便利をするのは自動車じゃないか、こういうのです。確かに、いい道路と悪い道路を走る場合には、自動車はいい道路を走ったほうが工合がいい。これは利益の一端でしょう。しかし高い所から見た場合には国民全体じゃないか。そうでしょう。そういう場合に、ウエートをいつも自動車がいい道路を走ればタイヤの減りも少ないし、機械の故障もないだろう。だから、これくらい取ってもいいんだ、これくらい取ってもいいんだというので、毎年毎年増徴してきた。そういうことが累積されていったら、しまいには税金が大半でほとんど品物の値段というのはなくなってしまう、こう思うのです。ところが今日まで、道路がよくなるということでがまんをしてがまんをして負担をしてきた。そういうふうにまあ値上げをしてきたんですけれども、ここで矛盾が一つ生まれてきていると思います。公共料金一年間据え置きというやつを政府がきめた。ところが、この一年間据え置きの中でどうにもならない問題が一つできている。これはわれわれが言うのはどうかと思いますけれども、公営企業の中におけるバス業界、バスの営業ですね。これなどは年々累積されている赤字の上に、今度はガソリン税の値上げということで、赤字がまた累積されるわけです。これについてはほかの手を打ってあげます、こういう政府考えが一枚あるようでありますけれども。独立採算である東京都のような交通事業の中では、これはたいへんなことになると思う。こういうものは、こういうガソリン税値上げをするときに、そういうことも加味して公共料金一年間据え置きと、こういうことをおきめになったのですか。これとは別に、何でもかんでも物価抑制、国民の手前、物価の引き上げを押えるために一年間公共料金を押えてやろう、こういうことで先走って、あとで河野さんに突き上げられて、財源がなくて、ついガソリン税値上げと、こうきめたのでしょう。そうじゃないのですか。そうじゃなければ、どうも論旨が合わないのですよ。ちょうど衆議院で損得保険料の五千円を二万円に上げた、二千円を三千円に修正したのです。それを同僚議員であるが、院が違うからといって、われわれがはっきり裏づけしてくださいということを言ったけれども、きのう泉さんが答弁になったのは理屈じゃないのです。とにかく全会一致で国会の意思決定をしたのだからということで最終的なあれなんです。ああいうのじゃなくて、その議論が納得するかしないかということは別として、ちゃんと理論体系を整えてもらわなければならない。ところが一年間公共料金据え置きときめ出しておいて、それならば、一年間据え置きさせても塊状を維持できるような状態にこの企業を全部やらしておくかというと、そうじゃなくて、出費のほうは強要するわけでしょう。そうなると、このバス業界あたりがいま盛んに国会に陳情しておるのです。こういう政治は愚の骨頂だと思う。こういうことについてどういう別な考え方があられるのか。いま私が申し上げたように、先にきめちゃって、あとは、これは差し込まれたのだからやむを得ぬとお考えになっておられるのか。そういうことで、このガソリン税、軽油引取税の値上げでちゃんとこうやって先にきめておいて、こういうものを加味して公共料金据え置きと政府としてきめられたのか。これは大臣に伺う筋合いですけれども大蔵省だってこれに何ら関与しないことはないと思いますので、それの今日までの状態を率直に聞かしていただきたい。
  70. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 今回の措置は、私の記憶いたしておるところでは、揮発油税、軽油引取税の引き上げがきまりましたあとで、公共料金は一年間据え置きという決定がなされたのでございます。過去の経緯をごらんいただきますと、揮発油税は、先ほど申し上げましたように、二十九年に道路整備財源として目的税的に使うようになりまして、以来三十二年、三十四年、三十六年と数回引き上げが行なわれたのでございますが、バスあるいはトラック料金の引き上げは、必ずしもその揮発油税の引き上げのときに行なわれたのではございませんで、多くの場合、人件費の関係から引き上げが起きておるのでございます。今回の揮発油税の一〇%引き上げによりまして、もちろんそれがバスあるいはトラックのコストに若干影響があることは事実でございますが、しかし、それだからといって、それだけでバスの料金あるいはトラックの料金をそれほど引き上げなければならないという事情にはないと思われるのでございますが、たとえて申し上げますと、一車一キロメートルあたりの運賃は、現行のバスでございますと七十円五十四銭でございまして、その中に占めます揮発油税の負担額は、従来が八円八十七銭、これが九円七十五銭と、今度の引き上げによりまして八十八銭上がることにはなっておりますけれども、しかし、これでそれほどバス代に大きく影響するとは考えられないのでございまして、バス代の引き上げの理由は揮発油税の引き上げよりもむしろ運賃、賃金とか、そういったほかの経費の影響が大きいのではないかと思うのでございます。いずれにいたしましても、公共料金の引き上げをしないという方針は、揮発油税の引き上げがきまりましたあと行なわれたのでございます。これはそれらの諸般の情勢を考えて、公共料金を引き上げないで低物価政策でやっていこうという政府の御趣旨と拝察いたしております。
  71. 柴谷要

    柴谷要君 バス関係の業界が国を相手に公共料金据え置きは違法だという告訴をしましたね。告訴をした。そしてその告訴状の中に非常にこまかくいろいろ書いてあるのですけれども、その理由の最も最たるものはここにある。私が読んでみると、それはね、これは政府の行政機関では、これは上げなくてもいいのだが、日本のような労働条件のもとにおいて働く者に賃金を上げずに——いいですか、三十年、三十一年ごろの賃金でそのまま今日使おうたっても、これはできない。このほうは年々それが累積されてきて、今日多少値上げになった。これはわかるでしょう。これは筋道が立った言い方です。ところが行政上で他に大蔵省が財源を求めるということになれば、この問題は省けるわけでしょう。目的税的なものをこんな高率にかけていいかどうかというような疑問がある問題ですから、こういうことが主たる理由になってきているわけです。だから、これは政府を相手どって告訴しよう、争うというのですから、容易な決意でなければ民間団体でやるとは思わない。そういうことをやらせている政治が一体いいというのか。これは公共料金値上げを一年間抑える、ストップするということをきめたので、そういう結果が出てきたと思うのですけれども、そういう告訴ざたをさせないような行政が行なわれなければいけないと思うのです。どうですか。この点については、これは政務次官どうですか。
  72. 齋藤邦吉

    政府委員(齋藤邦吉君) だんだんと御意見でございましたが、御承知のように、ガソリン税の増徴は緊急なる道路整備ということで、まあ出発をいたしたわけでございますが、そうした税制の方針がきまりましたあとに、何と申しましても、わが国経済の最大の問題は物価抑制だという考え方からいたしまして、公営企業のバスの料金等の値上げは一年間ストップしていただきたい、こういうふうにいたしたのでございます。私どもといたしましてはガソリン税の増徴、まあ、これは高い低いといろいろ御意見のあるところだと思いますが、私どもは先ほど主税局長から御説明申し上げましたように、諸外国の例から申しましても、そう必ずしも高いところではない。しかも先進諸国として、日本もできるだけ早く道路を整備したいというようなことで、まあ増徴したのでございまして、しかもその増徴はそれが直ちに料金引き上げに結びつくかどうか、これは私は問題があると思うのでございます。局のほうで事務的にいろいろ計算してみますと、ガソリン税の増徴が直ちに料金引き上げに、それは私全然関係がないとは申しませんが、直接すぐ結びつく問題でもない、こういうふうに考えている次第でございますが、いずれにせよ、いまの日本の経済におきましてはやはり物価抑制、こういう大目的のために、ひとつ皆さん方に御協力をいただきたい、こういうことで、まあ一年間そういう料金の値上げをお待ちいただきたい、こういうことをいたしたのでございまして、その点につきましては十分ひとつ御了察をたまわりたい、かように考えておる次第でございます。
  73. 柴谷要

    柴谷要君 それはまあ次官の御答弁のとおりに聞いていいのですけれども、一〇〇%は受け取りませんよ、それは。それは料金の値上げの理由にはならぬと思います。というようなことでありますけれども、私はやはりこれを理由に今後バス、トラック、タクシー全部がそれ相応の運動を始めると思うのですよ。それから奇怪なことは、たとえばバス業界にしろ、トラック業界にしても、ハイヤー、タクシーの業界にしましても、非常な勢いで反対の大会を開いてやっているんですね。だけれども、これを一体政府はどう考えているんですか。あの団体の連中はけしからないと見ているんですか、ああいう団体の要求することも無理からぬことだと、こう思っておられるんですか、それからあの連中はけしからぬ、政府の方針にさからうけしからぬやっと、こうお思いになっておられるんですか。三とおりのうちどれに当てはまるんですか。お答えいただきたい。
  74. 齋藤邦吉

    政府委員(齋藤邦吉君) 公営企業の、特にバス関係の料金値上げについて押えられたということで、そういう反対のいろいろな動きのありますことは、私ども十分承知をいたしております。その気持ちにつきましては、私ども理解できないわけではありません。ただ、日本経済の大きな将来の発展、また現状から申しまして、どうかしばらくひとつごしんぼう願いたい、こういうことで御了解、御納得をいただくようにつとめなければならぬと考えております。しかし、またそれと同時に、こうした企業体の経理の苦しい面、私は十分わかります。理解できます。そういう面については、この税の問題と離れて、別途にやはりあたたかい努力の手は伸べてあげるということは、私は必要ではないだろうか、こういうふうに考えている次第でございます。
  75. 柴谷要

    柴谷要君 いまの三つのうちのどれにも当てはまらない答弁をいただいたんですが、新しく生まれた表現だと思います。そのように聞いておきますけれども一体いまこういう団体が反対をする。あるいは声なき声といいますけれどもね。ガソリンの五〇%を消費しておるのは個人なり、これこそ零細な企業あるいは中小、こういうところで使っているのが、大体、五〇%と、私の計算では出てくるわけなんです。こういう人たちは、別にどこという団体を通じて、国会にあるいは政府に意思反映ということはやっておらない。だから、一業者一団体の反対だけだと、こういうふうに考えになることは間違いなんです。そうでしょう。特に民主政治というものは、国民の声を聞いて、それを政治に反映するということなんだ。このガソリンを使っている人たち、たとえば農機具を使っております農村の人たちに聞けば、上げてもらっちゃ困るという声は、だれ一人として言わない人はない、みなそう言うと思うんです。そういう場合に、農機具の問題については、これの使用については、政府は特段と考える、四十年以降どうという話が出ておりますけれども、現実にガソリンの問題については、参議院では初めてでございますから、大蔵省の見解を明らかにひとつしてもらいたい。衆議院と異った答弁をされちゃ迷惑ですから。あるいは裏口の話し合いでもけっこうです。明らかにしてもらいたい。いいほうに違うならいいですよ。
  76. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 御承知のとおり、衆議院の予算委員会におきまして、大蔵大臣から、四十年度以降農業用のガソリンの減免について検討したいという御発言をいたしているのでございます。事務当局に対しまして、この点について減免の方法等について検討するように命ぜられているわけでございます。この問題につきましては、すでに三十六年ごろから農業用の、特に圃場において使用いたします農業機械に使用するガソリンにつきましては、これを減免されたいという要望がありまして、私どもとしましても、いろいろ検討をいたしているのでございますけれども、現在までのところ、技術的に減免の方法がむずかしいということで、今日に参っているのでございます。そのいろいろの問題点があるわけでございますが、その問題点を申し上げてみますと、まず第一は、減免の理由をどういう点に求めるか、揮発油税及び地方道路税が道路財源として目的税的、あるいは地方道路税は目的税でありますので、目的税としてあるという点からいたしますと、道路に使用する自動車用以外の用途に使用されるガソリンは免税するという趣旨で農業用機械のガソリンの免税を行なうとしますれば、ひとり農業用のみならず、漁業用、林業用あるいはそのほかの揮発油ライターあるいは溶剤用あるい窯業でたく場合、このういったいろいろな用途、かあるわけでございまして、どの範囲まで減免を行なうかという問題があるわけでございます。そこで自動車用以外に使うけれども、農家とか漁業あるいは林業の場合には、その所得が他の場合に比較して零細であるということにかんがみまして、その税負掛を軽減するのだという見地からいえば、農林漁業用という範囲が一つ出てくるわけでございますが、この場合、中小企業が使用するガソリンについてどう考えるべきかという点が問題になるわけでございます。  次に、減免の額について問題が一つございます。これは先ほど申し上げましたように、揮発油税が道路整備財源として使用されるようになりましたのは昭和二十九年以降でございまして、それまでの税分は、これは本来の揮発油としての消費税としての性格から見て御負担順えるということになりますと、それ以後の増徴分ということになろうかと思いますが、そういたしますと、先ほど申し上げましたように、今回の増税分を加えますと、一キロリットル当たり揮発油税と地方道路税を合わせまして二万八千七百円でございますが、昭和二十九年前は一万一千円でございましたので、二万七千七百円分を減税するということになるわけでございます。で、その金額が計算してみますと、農業用のみの場合におきましては約六十億円、それから自動車用以外の用途全部に及ぼすということになりますれば百億円になるわけでございます。大体これが道路整備五ヵ年計画の四兆一千億という計画に対していかなる影響を持つかという点も考えなければならない点でございます。  その次に、それでは減免をするとすればどういうやり方があるか、技術的に検討いたしますと、大きく分けて二つあろうかと思います。一つは減税切符発行方式と申しますか、たとえば農業用の耕うん機でございますと、その標準燃料消費量、それから耕作面積といったようなものを基礎といたしまして、減税によって揮発油を購入し得るといった切符を税務署が発行いたします。農家はこの切符をもって販売業者から安い価格で購入する。そうして販売業者は税務署の確認を得ました上で、これを卸し売り業者を通じて製造業者まで戻していきますと、その後製造業者が揮発油を出荷いたします際にその分だけ税率を安くする、減税切符を発行して玉がえをしていくというやり方でございます。まあこれについての問題点は、各人ごとの消費量の決定が、先ほど申し上げましたように耕うん機の標準消費量といったようなものからやっていくわけでございますけれども、その決定はなかなかやっかいであるということ、それから減税切符の発給とか、減税確認のために税務署事務量が相当たくさんふえるのでございます。現在の見込みでは、計算いたしますと約千人税務官吏を増加する必要があるというふうになっておるのでございます。  それからもう一つの問題点は、これによって購入いたしましたガソリンが耕うん機などに使用される場合には問題ないのでございますけれども、子供がモーター・バイクに乗るというときに使用しても、これはなかなか取り締まるということは事実上できません。そういった意味でこの減税切符が売買などによって流通するといった点もありまして、揮発油税の取り締まり上いろいろ問題があるのでございます。  もう一つのやり方といたしましては、これはアメリカでやっているやり方でございますが、消費者へ税額を還付するというやり方でございます。これは消費者である農家に耕うん機でガソリンを使用した数量などを記帳させておきまして、その申告書を税務署提出させまして、その申告書に基づきまして減税額を還付するというやり方でございます。しかしこの問題につきましては、いまの農家の実情からいたしまして、そういう記帳をしてもらうということは、非常に困難ではないか、それからまた還付の事務が非常にたいへんなことになりまして、ことに還付の時期がおくれて一年たったときということになりますと非常に殺倒するということになりましょうから、非常な手数ではないか。それから還付を行なった後に、はたしてその記帳が正しかったかどうかというようなことを調べるということになりますと、無用のトラブルが起こりはしないかというような問題がございます。そういった点から見ると、この方法はアメリカではともかく、日本としては実行困難ではなかろうかというふうに考えるわけでございまして、したがって、これらの問題点につきまして目下検討をいたしておるのでございます。その検討の結果、四十年以後どうするかということを決定するわけでございますが、同時にこういう減免の方法と同じような効果をそういった農家に与えるには、歳出のほうでそういったことはできないかといったような点もございますので、大蔵省といたしましては、ひとり主税局だけでなしに、主計局その他も加わりまして、大蔵省全体としてどのようにこの問題を処理するか、今後慎重に検討するという段階にあるのでございます。
  77. 柴谷要

    柴谷要君 泉さんから大臣の腹の底まで聞こうたってこれは無理なことなんで、後刻大臣が見えることになっておりますのでそのときにしたいと思うのですけれども、とにかく四十年度以降農村を対象に何らかの処置を検討してみたい、こういう答弁であったことは間違いないようであります。そこで、私はやはり国民所得の面からいきますというと、農村漁村と都市集中の状態から見ますというと、格差が非常に大きい。こういう点から考えますと、もう一農村だけではなしに、農村、漁村に及ぶこれらの問題を検討されることが望ましいのじゃないか。確かに特定な処置をとられるわけですから、いろいろな点でむずかしい点が生れてくると思いますし、事務も繁雑になってくるとこう思いますので、なるべく簡素な、うまい方法ができれば大臣が言明されたことを生かしてもらいたい、こういうふうに思うわけです。できれば徴税の方面でとこう言われておりますけれども、こういった無理な税金の取り方によって生まれてくるようなことはしないほうがいい。第一ガソリン税の値上げを出さなければよかった。そうすればそういう繁雑のものがなくなるので、こういう法律案は出さないほうが一番いいんです。こういうふうに結論はなると思うのです。しかしまあ、これがどうも審議の熱のないどころじゃない、非常に熱意を持って審議しているんですから、これを何とかけりをつけなければいかぬということになるとこれが実施されるので、これがそれじゃ実施された場合に一体どうなるかということで、課税方法の仕組みについてちょっとお尋ねしたいと思います。  納税期限の定め方、これはガソリン税を一体どこで取るのか、取ったらば、きょうガソリンが売れたと同時に、税はその日から起算して何日くらいで納めるのか、納税期限の定め方。それからもう一つは、納期限延長の期間とその運用のしかたの定め方、まとめて答弁を願いたいと思います。それからガソリンスタンドなどあるいは大口の石油を売っても貸し倒れというようなものができるのじゃないかと思います。これは商売ですから品物を売る、ところが使われてしまったけれども代金の納入がない、貸し倒れができる、こういうときに税は一体どうなるのか。金は入ってこないけれども一体そういうものはどうするのか、こういう問題。それから四番目は、納税義務者のきめ方、一体だれか、ガソリンスタンドで売っているところが納税義務者か、それ以前の中間的な機関か、それとも会社か、こういったような問題、それをおきめになっておるのか、そういうことについてひとつ御説明をいただきたい。
  78. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 揮発油税の納税義務者は揮発油を精製する者、または保税地域から揮発油を引き取る者ということになっております。それから納期限でございますが、揮発油の精製工場には、税務署所管の工場と、税関の所管の工場と二とおりございます。税関のほうの所管になっておりますのは、保税作業をいたしておるのがそれでございます。税務署所管であるか、税関所管であるかによって若干違っておりますので、これを分けて申し上げたいと存じます。税務署所管の場合におきましては、一ヵ月中に出荷いたしました揮発油の数量を、その出荷いたしました翌月の末日までに申告をいたすのでございます。そうしてその後三十日以内に納付するということになっております。したがって、出荷いたしました日を三十日の平均をとりまして半分の十五日といたしますと、その翌月の三十日と、それからその翌々月の三十日合わせまして七十五日目に税金を納めるということになるわけでございます。しかし最近の状況を見ますと、出荷いたしまして手形を受け取るわけでございますけれども、それが換金されますのに相当日数のかかるような長い手形が多いようでございます。したがって、現在の段階におきましては、さらに十五日徴収猶予を認めまして、いわば出荷いたしましてから九十日目に納付するようにいたしておるのでございます。ただこの三月末は年度がわりでございますので、翌年の収入になりますと、道路整備計画に支障を来たしますので、この一月に出荷いたしました分は、従来のやり方でございますと、四月の十五日まで徴収猶予するのでございますけれども、それを三月三十一日限りで納付していただくようにいたしております。次に、税関所管の場合でございますと、これは保税作業を行なっておりますところから引き取るつど、そのつど課税価格がきまりまして、その納付は七十五日目に納付するということになっておるのでございます。そしてこの精製業者あるいは保税地域から引き取ったものがそういう揮発油税を加算して消費者にまで卸し売り業者を通じて販売するわけでございますが、その過程で貸し倒れが起きるということはお話しのとおりあるわけでございます。ただこれにつきましては、揮発油税の納税額は貸し倒れがありましても納めていただくということになっております。倒れに対しましては、税法上貸し倒れ準備金を認めておりますので、その準備金のほうで法人税のほうは処理されますけれども、揮発油税につきましては貸し倒れが起きたから納めなくてもいいという取り扱いになっておりません。
  79. 柴谷要

    柴谷要君 貸し倒れ準備金で処理するから、貸し倒れに対する税の問題は考えない、こういうことのようですが、そうですか。貸し倒れなどがあって……、税を納めちゃいますね、こういうものが明らかになった場合には、法人であれば法人として貸し倒れ準備金の中に入れて当然法人税であれになりますが、だけれども法人でなくて個人の場合に、これはどうなんですか。
  80. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 個人の場合も、個人の事業所得の計算上、貸し倒れ準備金がございますので、その適用がございます。石油精製業者は全部法人でございまして個人はおりません。ただ、保税地域から引き取るような場合に個人の場合があろうかと思いますが、大部分は法人でございます。個人の場合にも貸し倒れ準備金はありまして、所得税のほう、あるいは法人税のほうはそれで処理されるのであります。したがいましてこの貸し倒れが多額になりますと、金繰りがつかなくて揮発油税を滞納するという事態もあり得るわけであります。現にそういう事態が起きているときもあります。
  81. 柴谷要

    柴谷要君 好況のときには九十日手形とか百二十日手形というものがありますが、今日の手形は大体割り引きはどのくらいになっておりますか、平均は。百五十日、百八十日、長いのは二百十日といっておりますが、一体その平均はどうなっておりますか。
  82. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) これは柴谷委員御存じだと思いますが、揮発油の販売につきましては、現在相当販売競争が強く行なわれておりますので、標準的な手形の日数というものが明確になっておりません。かなり手形の日数なんかで販売競争が行なわれている面もあるようであります。私どもの調べたところでは六十五日から七十五日、長いのになりますとお話しのように九十日といったようなものもあるようでございまするが、そういった姿と聞いております。
  83. 柴谷要

    柴谷要君 それではあと一問で終わりたいと思いますが、ガソリン税などの増税は、物価に影響すると私は思いますが、あなたのほうはどうお考えになりましょうか。
  84. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 揮発油税あるいは地方道路税または軽油を引き上げますことによりまして、これは数字の上からだけ申し上げますと、卸売り物価につきましては、揮発油税の引き上げ一キロリットル当たり二千六百円でございますが、その卸売り物価に及ぼす影響は〇・〇五%、それから消費者物価に及ぼす影響は〇・〇〇四%、軽油のキロリットル当たり二千五百円引き上げの及ぼす影響は、卸売り物価につきましては、〇・〇一四%、消費者物価に対しましては〇・〇〇四%、こういった数字になっておりまして、この点だけから申し上げますと、一般物価の引き上げにそれほど大きな影響を及ぼすとは考えられないのでございます。
  85. 柴谷要

    柴谷要君 これはまあ一つのあれになりますけれども、いまトラック業界の実情からいいますと過当競争が行なわれているはずです。過当競争を行なうということは、いわゆるダンピングをしながらお客を集める、こういう姿でぎりぎり一ぱいの仕事をしておるところに、ガソリン税の引き上げによって負担が増してくるということになると、どうしても運送費の一般的な値上げを要望する声が強くなってくる。こういうふうになって、運送費が値上がりをするということになれば、これが物価安定政策に響いていくことは理の当然だと思う。ただ、率が〇・〇五だからということで、机上算数で、たいして影響がないんだというふうに考えていると、これはたいへんな間違いじゃないか。ぎりぎり一ぱいのところで仕事をしているのに、月の支出がふえてくれば、どこかで補わなければならないということになれば、弱い産業等においてはやはり自分の職業上からいって運送費に多少かけていかなければならぬ、こういうことになってくると思う。こうすれば、やっぱり政府の物価安定政策に、反することになる。それはお認めになりますか。物価には何ら影響しない、安定政策にはちっとも反していないんだと、こう言明おできになりますか、この点お聞きしておきます。
  86. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) お話しのように、トラック業界などにおきましても、相当激しい競争が行なわれておるような状況でございますので、揮発油税の引き上げがいろいろな影響を持ち得るということは、私どもも十分承知いたしております。したがって、この引き上げの結果いろいろの問題が出てくるだろうと存じます。ただ、物価全体に対しましては、それほど大きな影響はないんではないかと思いますけれども、しかし、個々の部面におきましてはいろいろ問題が出てくるだろうと思います。したがいまして、政府としてそういった点について十分慎重な対策を講じなければならないものと考えるのでございます。
  87. 柴谷要

    柴谷要君 自家用小型トラックが一年間のガソリンの消費量は二・二キロリットル、これくらいが平均使用量だと、こう言っているのですがね。この二・二キロリットルの今度の値上がりは金額にしてどのくらいになりますか。
  88. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 二・二キロリットルでございますと、今回の引き上げが二千六百円でございますので、約五千七百円くらいだと存じます。
  89. 柴谷要

    柴谷要君 個人の家で自家用小型トラック一台くらいで商売をしておるところが、五百何がしの税負担が重くなるということになると、直接税の減税が大半帳消しになる、こういう姿が出てくると思いますが、そういう心配はございませんか。
  90. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) お話しのように、所得税、住民税等の軽減がございますが、揮発油税の引き上げによりまして、中小企業が小型トラック一台持っておれば、その値上がりの影響を受けることによって、そういった所得税なり住民税の軽減の影響が相当消されてくるということは、お話しのとおりだと思います。ただ、中小企業全般として申し上げますと、常に申し上げておりますように、今回の税制改正によりまして中小企業全体としては平年度六百十五億の軽減を受けるわけでございまして、揮発油税あるいは軽油の全体の税収額がその六百十五億円に比べますと、それより少ないのでございますし、もちろん中小企業が使うのはその何割かでございます。そういった点から見ますと、まだ中小企業は全体としては相当軽減を受けておるということが言えようかと思います。ただ、個々の事例について申し上げますと、お話しのように所得税なんかの減税がある程度帳消しにされるということは事実でございます。
  91. 柴谷要

    柴谷要君 税の公平な負担、こういう見地から見ると、一面減税をしてやったというのは、とにかく経費もかかることだし、自然増収も出たから、ひとつ軽減さしてやろうということで一面減税をした。ところが、今度はこっちは道路をつくるために金が必要だからといって取り上げたら、これは帳消しでしょう、そういう解釈になる。そうかと思うと、膨大な減税によって恩恵を受ける人がある。これは税の公平な負担ということにはならぬでしょう、なりませんね。そういう点が、それは万人に、九千何万の国民に平等と、一分一厘も違わない平等ということは、それはできませんよ。これは望んだって無理だけれども、しかし一面減税、一面増税ということをやる場合に、特定の人にしわ寄せされる、大きなものにでなく小さなものにしわ寄せされるというこのやり方がいいと思いますか。先ほどあなたは訂正されましたけれども、この今度のガソリン税、引取税の増徴については悪法と思います。これはお認めになるでしょう。いい法律ですか、これは悪い法律ですよ。これは悪法ですよ。これは詭弁しようと悪法だと思っている。腹の中でそう思っている。口に出しては言えないけれども立場上。これは同僚委員も発言されたと同様に悪法だと思っている。この答弁がないとまた続けますよ。それを認めれば、この程度でやめてもいいと思っているがいかがですか。それに対する答弁を願いたい。
  92. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) おことばではございますけれども、先ほども申し上げましたように、道路を急速に整備しないと、わが国の産業投資全般の効率を発揮する上において、道路が一番おくれておりますので、そういった面で道路整備をする必要がある。その道路整備の財源として揮発油税の増徴によらざるを得なかったというのでございまして、もちろん中小企業の方がその増税を負担していただきますれば、それによって道路がよくなるというまた別の利益も得られるわけでございます。したがって、そういう全体を日本の現状から見てこの際どうすべきかという点から見れば、この程度の揮発油税の増徴をごしんぼういただきまして、そうして道路が非常によくなって、トラックなどによる物資の輸送が円滑に行なえる、そうしてそういったトラックの運送コストも非常に安くなるというようなことになることが望ましいと思うのでございます。そういう意味では、今回の揮発油税の増徴はやむを得ない措置である、かように考えるのでございます。
  93. 柴谷要

    柴谷要君 道路がよくなるんだから、まあまあがまんをしてもらいたい、こういう気持が真実だと思うんですね。まあまあがまんをしてください、まあまあがまんをしてくださいというのは、多少控え目の言い方なんです。このくらいは当然負担をしても差しつかえない、こう胸を張るのがいい法律なんです、そうでしょう。ところが、まあまあ道路をよくするためにはやむを得ませんから、ひとつ負担をしてくださいというのは、これは胸を張って言える法律案じゃないんですから、これはいい法律じゃない、こういうことになる。そうすれば悪法だと思うんです。そうすれば、あなたが言わぬとしても顔にちゃんとあらわれているからこれは悪法だという、こういう結論がつく。これなら理論がちゃんとつく。理論体系がつきます。そういうことですから、これを認めるほうが賢明だと思う。そうでないとあれですよ、課税最低限の割合などここでくどくど述べなくちゃならぬ。それじゃ一体一方では道路のためにわずか小さな小型トラック一台持っている人間が、減税という政府がいい方針を打ち出してくれて恩恵に浴したら、とたんに今度は道路のほうで、おまえは小型トラック一台持っているから、車がスムーズに動くようになるから、ここで税金を出せというので取り上げられてしまう。そうすると、減税に浴するところが一銭もないということになれば、この国民は一体減税が行なわれて助かりましたと喜ぶ国民は一人もないでしょう。そういう階層が相当ある、調べてみると。これは泉さんおっしゃるまでもなく、今度の四十年の税制改正には真剣に考えてもらいたいと思うのですよ。それで一体国民の課税最低限というのは何%ぐらいが一番いいと思いますか、所得に対する課税の最低限。課税最低限というのは、現在は五五・六%になっているでしょう。それが五〇%がいいのか、四五%がいいのか、どういうのが一番いい国民生活が安定をしているという線でいけるかどうか。収入の半分以上を税金で取られてしまうという姿がいいと思いますか。それをひとつそのパーセンテージを、あんたの目標とされるところ、それをお尋ねしたいと思うのです。
  94. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 御趣旨は所得税の場合に、この所得者のうち何%程度が納税するのかいいかという御趣旨かと思います。この点につきましては、所得者の種類によってずいぶん迷うわけでございまして、御承知のように農業所得者は比較的に所得が低うございまので、所得者のうちで納税いたしておりますものの割合は、最近におきましては非常に減っておりまして、農業所得者全体の六%程度が納税いたしておるのでございます。これに対しましてそれとまた農業以外の事業所得者の場合におきましては、約二二%の方が納税しておられます。これに対しまして給与所得者の場合には給与所得者のうちの六二%ぐらいが納税をいたしておるのでございますが、でこれらをひっくるめまして世帯単位で考えてみますと、日本の全世帯数の二千二百五十万世帯のうちで約そのうち一人か二人所得者がおる場合に、その世帯のうち一人でも納税者がある世帯を勘定いたしますと、その世帯数は約五三・五%程度に相なっております。で所得税の考え方につきましては、この所得の再配分機能ということに注目いたしますると、できるだけまあ比較的大きな所得者から所得税を徴収いたしまして、これを社会保障その他の経費に使うということが望ましいという見方もございます。もう一つは、国の財政を国民ができるだけ広く負担するのが望ましいんだという考え方からいたしますと、できるだけ多くの人が税金を納めていただくような組織がいいという見方もあるわけでございます。したがいまして、その国の置かれておる財政の状況、歳出の内容、こういったものに関連するのでないと、一律に、一がいに納税者が何%程度が望ましいということは、なかなか言い切れないと思います。ただ、所得税の中では先ほど申し上げましたように、給与所得者は比較的所御者のうちで納税する人の割合が多い、農業あるいは農業以外の事業所御者の場合は、その割合が低いということになっておりますのは、もちろん所得の多寡によるわけでございますけれども、しかしこの点につきましては給与所得者がどうも割が悪いのじゃないかといったような点もございます。これは結局課税最低限と申しますか、控除などの額が比較的少ないために、税務署で正確に所得を調査して課税するのにいろいろ困難がある向きも考えられるのでございます。そういった点からいたしますと、今後機会あるごとに所得税の減税を行ないまして、そういった控除を引き上げるということが必要であろう、かように考えておるのでございます。
  95. 柴谷要

    柴谷要君 ガソリン税及び軽油引取税についてはあすまた建設省の方にお伺いをすることにして、大体大蔵省の御意見はわかりましたから、きょうは時間もありませんから他の同僚議員に譲りたいと思います。質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  96. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 とん税と特別とん税についてお伺いいたします。  今回の提案理由を見ますと、港湾経費の赤字を埋めるということが第一点。それに関連して国際収支の改善に資すると、こういう内容のように思います。そこで、今日まで推移を考えてみますと、ものすごい赤字が累積されておるようでありますが、初めに伺いたいことは、今回の改正によって根本的に改善できるとはとうてい思いませんが、どの程度までに改善できるのか。それについてまず最初に伺っておきたいと思います。
  97. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 補足説明で申し上げましたとおりに、この今回の改正によります収入は、収入増は、そのうちで外貨収入になると認められますものは十二億円程度でございまして、外貨換算約四百万ドルと考えておる次第でございます。
  98. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 大体四百万ドルということになりますと、とうてい焼け石に水のような感じを受けるのでありますが、この貿易外収支状況について昭和三十九年度の見込みがここに出ているのですが、この出たところの赤字、予想される赤字というものはとうてい埋められない。一体そうしますと、いささか改善にはなるでしょうが、これだけのとん税率を上げて一体はたして改善になるのかどうかという疑問がここに出てくるのですが当局として一体どういうところに根拠を置かれて今回の改正案を試みられたのか、その理由についてお伺いしたと思います。
  99. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 御指摘のように、現在見込まれております貿易外の赤字五億ドル余りに比較いたしまして四百万ドルという金額はまことに僅少でございます。しかし、小さなものを積み上げていかなければ貿易外収支の改善ということはなかなか困難であるという状況にございますので、やり得るものから実施するというたてまえで行なうものでございます。もちろん、根本的に貿易外収支の改善につきましては、この赤字の大きな原因をなします海運関係、その改善につきましては、鋼船の積み取り比率を上げ得るように船腹の拡充その他の措置を講じなければならないように思われますし、観光収入その他の増加等もはからなければならぬかと考える次第でございます。
  100. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 やりやすいものからまあ積み上げていくものからという御趣旨はよくわかるのでありますが、この三十五年度以来の統計を見ますと、はたしてこれが積み上げられてきた内容であるのかどうか、これもまた非常に疑わしいものがあるわけです。特にわが国の港湾設備等については、またその他のいろいろな関連した業務については、特に外国船舶の入港が激しくなるにつれて、一そうこの問題が焦点となってくるのではないか。このように思うわけですが、はたして、いままで積み上げてこられた内容がどういう内容で、どのように改善されてきたのか、その推移について述べていただきたいと思います。
  101. 渡邊誠

    政府委員(渡邊誠君) 貿易外収支の大部分は、貿易に伴いますところの運輸関係すなわち貨物運賃、港湾経費、それから用船料、貿易商社の事務所の経費、貿易商社、海運会社、保険会社等の経費の送金関係、そういうふうなものが大部分でございます。なお、その他の項目といたしましては、外貨の導入に伴いますところの利潤の送金、技術の導入に伴いますところの特許料の支払い、海外旅行関係の支払い、こういうものでございますが、大部分のものは貿易に伴う支払いでございます。もちろん受け取りもございますわけですが、最近輸出入の貿易が急速に伸びておりますので、どうしてもこれらの関係の支払い——受け取りもふえておるのでございますけれども、たとえば船について申し上げますと、船腹の増強がはかれないとか、したがって用船がふえるとかというようなことで支払いの増加のほうが非常に多いわけであります。そういうことで、貿易外の支払いは年々受け取りを大きく超過いたしてまいっておるのでございまして、いまや放置を許さないという段階にまいっておるのでございます。
  102. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 澁谷委員に申し上げますが、成瀬委員質問を……。
  103. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 大臣に特に御発言を願いたいと思うのですが、先般来から祖税特別措置法のうち、輸出振興の問題について今回の租税特別措置法の改正の中でいろいろ議論をしてまいりました。で、当局においても、種々努力されたということは、われわれも十分了解をしておるわけであります。しかし、付かもの足らないではなかろうかというようなことも、また事実の問題でございます。そこで、大臣のお手元にもお渡しておるようなことにつきまして、各党同の理事におきましても一応いろいろと検討をしてみました。しかし全会一致というのではなしに、全会一致ということになるといろいろな問題がございますから、若干のズレはございましょうけれども、大幅としては大体意見の一致をみたものでございます。そこで、便宜私から読み上げつつ説明を申し上げて、大臣の決意を承りたいと思います。  その第一点は、御案内のとおり、輸出証明書を商社がメーカーに対して出すように、中小企業庁において行政指導を行なうこと。したがって大臣のほうからは、これは所管外だということがなしに、政府を代表してひとつ御答弁を願いたいと思います、これは何も商社が輸出証明書を出さないためにメーカーが不利になるということではございません。したがって、商社のほうもメーカー育成の立場からいけば、たいした問題もないようでございますから、中小企業庁においていままで欠けた点があるとすれば、行政指導を強化してこの輸出証明書メーカーに対しても渡るようにしてもらいたい。  その二は、輸出振興のため、中小企業に対して金融の道を強化するとともに、中小企業近代化促進法の業種指定を積極的に拡大すること。これは政令で通産省と大蔵省との合議の上いろいろきめられておるようであります。そこで、輸出振興のためになる業種の問題について積極的に今後していただくということで非常にいいことじゃないか。  三番目は、輸出振興のため、中小企業対策を考慮して何らかの優遇措置を次期国会で講ずること。この点は必ずやるのだということになると、非常に私はきつい文書になりますが、昨日町々山委員に対する大臣答弁も、積極的に前向きの姿勢でやるということは、ことばの裏を返せば、こういった意味にもなるかもしれない。しかし、検討をしてみたけれども、何も知恵が出てこなかったということにもなり得るかと思います。こういうことは私たちは不可抗力だと実は思っております。不可抗力の問題については、そのことについてどうこうするつもりはない。しかし、何らかのものはあるであろうということを期待をしておりまして、以上の三点について、特に大臣から政府を代表しての御答弁を承りたいと思います。
  104. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 非常に適切な三条件を御提示いただきまして、まことにありがとうございました。政府といたしましても、輸出振興は最大の重要施策でございますので、かかる御提示がありますことも予期をいたしておることでございます。まず具体的に三ヵ条に対して申し上げます。  第一の輸出証明書を商社がメーカーに対して出すように行政指導することにつきましては、当然のことでございまして、ただ、商社が実際輸出をしながらメーカーに対して輸出証明書を出していない例があるやに聞いておりますので、政府といたしましても、今後そのようなことがないように、通産省において、商社に対して必ず輸出証明君を交付するよう十分な行政指導を行なうつもりでございます。  第二点の輸出振興のための中小企業対策を考慮して何らかの優遇措置をとること、しかもこの業種指定を行なうことということでありますが、これはもう当然そうあるべきでありまして、輸出に関係のない他のものさえも指定しておるのでありますから、輸出振興のために、かかる業種を指定するということは当然のことと思いまして、この御提示の趣旨に沿うように大いに努力したいと思います。  第三点の輸出振興のための中小企業に対する金融の道を強化するということでございますが、これもそのとおりでございまして、考えて何もないということもあり得るのです、そういうお話でございましたが、考えれば必ず道があるはずでございますので、政府もこの趣旨を体して、あらゆる角度から輸出のために努力をしておる中小企業の金融対策に万全を期すように、何らかの措置考えたいというふうに考えておるわけであります。
  105. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  106. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて。
  107. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 お忙しいところ、大臣の御出席をいただいておりますので、大綱的に一、二の点について、いまとん税及び特別とん税のことについて伺っております。いま私の手元にあります資料の中で、昭和三十五年以来のわが国の港湾経費がまことにおびただしい赤字を累積しているわけであります。政府として、今後この海湾経費の赤字というものは、現状であれば、たとえば今度の改正の内容を見ましても、貿易の自由化に伴って、当然いろいろな支出のほうも相当大幅に考えられますので、むしろ今後の赤字というものも相当考えられるのじゃないか、このように思うわけでありますが、この海湾経費の赤字を補てんし、国際収支の状況を改善するという根本的な方法を現在お持ちになっていらっしゃるのかどうか、それを大綱についてお伺いしておきたい。
  108. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 貿易外収支の状況を見まして、特に港湾経費が非常に赤字の原因になっておるということも御指摘のとおりでございます。政府もこの事態に対処しまして、今度のとん税及び特別とん税に対して改正をお願いいたしておるわけでございます。これは率直に申し上げまして外国の港湾使用料は非常に高いわけであります。こちらは今度改正しても、まだ二分の一ないし三分の一ということでございます。香港その他安いところもございますが、おおむね常識的に見まして非常に高い。外国のほうは高いということでございます。ですから率直に申し上げると外国船を使っておりますと、日本の港湾が安いので、外国に対してサービスが過ぎるじゃないか、こういうことも言われるわけでございますが、急激に引き上げてまいりますと、日本国内の船主に対しても負担があるわけであります。でありますから、今度のように船舶固定資産税というような問題でカバーできる面はよろしいと思いますが、これから二倍に引き上げると仮定いたしますと、国内船主に対しても何か差別的に、国内船主は現在据え置きであって外国船に対しては高いということができ得れば、もうこういう問題の解決は簡単なわけでございますけれども、そういうことこそ差別待遇でガットで問題になるわけであります。外国との交渉で非常に問題になるわけでありますので、私のほうの考え方からいたしますと、国内船主に対しては何らかほかのことでいろいろめんどうを見ながら、港湾使用料、水先案内料その他すべての港湾経費でありますが、だんだんと上げていくという方向にあると思います。ですから今度船をたくさん日本船主がつくったといたしましても、外国の港湾使用料は非常に闘いので、計算をしてみますと、船をつくっただけで賢易外の赤字が消えないというような一応の計算も出るわけでございますので、諸外国の状況も十分参照しながら、できるだけ、今度の改正もその第一段でございますが、そういう意味で貿易外収支の改善対策に資したいという考えを、基本的に持っておるわけであります。
  109. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 そうしますと、将来においてはこの海湾経費の中にいろいろな内容がございますが、こうした内容についても、逐次世界の港湾経費と歩調を合わせるというわけにはまいらないと思いますが、合理的な、あるいは常識的な、そういう基本的な線を改正されつつ港湾経費一の赤字を埋めていく。そうしてまた貿易外収支に寄与していく。そういうようにいまの大臣答弁考えられるのでございますが、何せこの内容を世界の主要国と比較しますと、おそろしく低いわけです。ここにずっと出ている内容を見ましてもそうでございますが、なぜわが国だけが世界の主要国と比較いたしまして非常に安い費用であったのか。またこのバランスは、過去において十分是正できる機会があったのではないか、このように考えられるのでありますが、そこに政府として今日までたどってこられた改正できなかったという理由についてお伺いしておきたいと思うのです。
  110. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) これはまことに申しわけない話でございますが、大蔵省当局としては、このような方向で考えてきたのでございますが、運輸省当局としましては、国内船主に対して負掛がかかる、こういうことに重点を置いておったわけであります。しかし運輸省と大蔵省の間でございますから、もう少し早くからかかる問題に対して、もっと前向きで対処すれば、おしかりを受けないで済んだわけでございますが、今度の改正案に対しましても、なかなか在来の主張が非常に強かったわけでございます。大蔵省がものをやると必ず何か税金をよけい取るというようにとられますので、どうも大蔵省の言うことはよろしくないということでございましたが、私は綾部さんに話をしまして、こういう計算になりますと実際において国内船主負担は減るのでございます。こういうことを申し上げたら、綾部さんも政治家でございますから、大所、高所から、いやこういうことが事実であるならば、事務当局を抑えましょう、こういうことでこれは急転直下きまったわけでございます。いまになって数字をお示しをすれば、何だ、こんなことはわかり切った話であるから、もっと早くやれということであったであろうと思いますが、運輸当局も、戦後の海運業界の全く相次ぐ不況、それに対してあまりにも、国も海運問題に対しては適切な施策ができなかったというようなこともございまして、今日に至ったわけでございまして、いまにして思えば、こんなわかり切った話を、もっとなぜ早くやらなかったかという、これは政府機関間の連絡が悪かったことでございまして、これは申しわけないことと思っております。大蔵省の連中は、一体こういうことを、こんないい手を昔から考えておらなかったのだろうかと聞いたら、考えておったんですが、なかなかということでございまして、実際はざっくばらんに申し上げると、以上申し上げたとおりでございまして、こういうことを契機にして、やはり一つずつ国際収支改善の対策に対しては勇気をもってやはり対処していかなければならないというふうに考えているわけでございます。
  111. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 確かに全般的に経費を上げてまいりますと、何といってもわが国の船主の税負担は非常に重くなる、これは十分に理解できます。いままでそういたしますと、いままでの経過からその船主によってはいろいろ種類が多岐に分かれておりますので、一がいに言えないと思いますが、いままでのその港湾経費を払えなかった、そういういわゆる未納税と申しましょうか、というものがあったかどうか、またそれに対してはどういう措置を講じてこられたか、それについてお伺いしたいと思います。少々こまかい問題で恐縮でございますが。
  112. 田中角榮

    政府委員(田中角榮君) 事務当局からひとつ。
  113. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) いままでとん税、特別とん税が未納になった例はございません。
  114. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 いままで未納になった例がないとすれば、おそらく相当余裕があると一面においては考えられないこともないわけでございますが、特に最近外国船舶の出入港というものは、非常にふえてきておるんじゃないか、今後もふえる見込みが当然考えられると思います。そうした場合に、やはり日本の国内の船主に対する負担については、いまの大臣の御答弁でありますと、別途対策を立てて、やはり世界的にその収支の改善をはかっていくほうが望ましいのじゃないか、このように申されたように記憶しているのですが、そうした場合に、やはり総合的にこの内容については考えもし、またできるだけすみやかに改正を全面的にする必要もあるように思うわけであります。いままで政府が将来においてまたできるだけ早くということで、その改正の方向は一応明確にされましても、その時期等については非常に不明確な点が多かったように思います。わが国の経済事情が、多少なりともこうした面について改善されていくとするならば、非常によろしいと思いますが、何せ先ほど申し上げましたように、今日までのその内容を見ますると、あまりにも赤字が多いということ、将来においてもこのままでは赤字が非常に累増されていく、先ほども事務当局のほうから回答があったわけですが、四百万ドルそこそこの増を見ましても、三十九度に見込まれております五億五千万ドルの赤字と比較して見ますると、とうてい、もうどうにもならない、ほんとうに焼け石に水のような気がするわけですが、しょせんはこの穴埋めのためには、どこかの会計から埋められていくように思うわけでありまして、つまり究極的にはやはり国民の税負担にかかってくるということになりますと、いつまでたっても悪循環が切れない。したがって、抜本的にやはりいろいろな将来、条件あるいは世界の状況等も十分考察されて、これまた改善に政府としても検討していただければよろしいんじゃないか、このように考えるわけであります。大臣として、今後のそうした赤字の累増というものを食いとめるために、現在さらにこのとん税のみならず全般にわたって、先ほども少しくお話があったようでありますが、その時期等について、また将来こういう方向でこの内容を改めていく方針ですということが伺えれば、まことにありがたいと思います。
  115. 田中角榮

    政府委員(田中角榮君) 特別とん税、係船料、それから水先料、引き船料、こういう問題は非常にたくさんあるわけでありまして、いままでは国内船主は非常に力が弱かったために、いろいろな問題がありましたが、私が申し上げたのは、税制上とかそれから金融の上とか、まず海運業者の体質改善をはかれるように政府が各般の施策をやって、そうしてこういうことはやはり外国と同じまでにいかなくとも、日本の特殊性を加味した料金まで引き上げていくことに賛成をしてもらえるような各般の施策をやってまいりたい、このように考えております。  それからとにかく四百万ドルという小さい金額だといいますが、これはやはり小さいものが積もると、なかなかたいへんな赤字になるわけでありますから、まず一つずつそういうものに対して貿易外の収支改善に資したいという考えでございます。その幾つかのやり方といたしましては、こういうふうに港湾経費が一つでございますし、もう一つは、申し上げにくい話でございますが、率直に申し上げますと、このくらい困っておりながら、食管でもって買う小麦だとか飼料だとか、そういう問題、一体なぜ六割も七割も外国船を使っておるか、こういう問題がありまして、これはずいぶん前から私も相当声を大にしておりますが、長い商習慣とか、リベートの問題とか、いろいろあると思います。私はこのような大きな問題に取り組まなくてはどうにもならないというので、きのうの経済閣僚懇談会でも特に農林大臣の協力を求めまして、少なくとも政府管掌の船舶等に対しましては邦船を一〇〇%使うというくらいは考えられないことはないのだ。こういう意味で、なぜ一体外船でなければいかぬかという原因を探求いたしまして、これらを一つずつ解決しながら、この食管の中の船だけでも邦船に切りかえられれば、五千万ドルも六千万ドルも違うのでございますから、こういう問題もひとつ積極的に取り組んでまいりたい。  それから御承知のとおり、今度アラビア石油とか北スマトラ石油とか、いろいろな日本業者のやっておる石油がございますが、この原油の運搬も船がないということで、外船を一部使っておるということがありますので、いよいよ自社船の建造にひとつ踏み切ろう。今年、御承知のとおり、計画造船で約六十四万トン、自社船で約二十万トン、八十四万トン程度でございましたが、自社船もひとつ開発銀行の融資の対象にしなきゃならぬじゃないか。しかも、六十四万トンというものを総理は百万トンに上げろということでございましたが、そういう問題もひとつ前向きで解決をしながら、少なくとも原油等に対しましては、邦船積み取り比率を上げるということではなく、全幅的に邦船を使えないかという問題を考えておるわけでございます。  また、去年までは外国観光渡航につきましては、約百万ドル程度の黒字でございました。今年は九百万ドルないし一千万ドルの黒字でございますが、三十九年度におきまして、五百ドル制限をしましても、五、六千万ドルの赤字になるのではないかということも考えられますので、観光ということに対しても相当努力したい。その意味で、この間、外人旅客の飲食税等の免税もお願いしましたが、遺憾ながら衆議院で修正になってしまったわけであります。やはり小さいものであるというけれども、五百万ドルずつ十重なれば五千万ドルになるわけでありますから、私たちはこういう問題をも積極的に一つずつ考えまして、そして外国貿易外収支の改善をはかるとともに、海上収支の黒字をはかって、しかも外国からたくさんの借り入れをやっておりますが、こういう問題も無制限にいけるわけではないのでありますから、やはり国内資本の充実という面もあわせながら、一面においては、資本収支をなるべく小さくしながら、同時に経常収支の黒字をはかるということになれば、国際収支が長期安定をすることは言うを待たないのでありまして、そのような意味で、あらゆる角度から、長期国際収支の安定を期しておるわけでございます。  この機会でありますから、もう一つだけ申し上げますと、私も、これは間違いがございましたが、戦前は日本の貿易外収支は非常に黒字だ、海運収支というのは、海国日本ということで、非常に黒字だとだれでも考えておったようですが、ほんとうに黒字だったのかということを検討してみましたが、なかなか各省に書類がないわけでございます。大蔵省は明治から続いておるんだからあるだろうというので、大蔵省のいろいろなものをひっくり返してみましたら、戦前のものが出てきた、ところがそこで新しい事実を発見しました。戦前は相当な点字だと思ったのですがそうではないようであります。戦前もやはり赤字だった。なぜかと申しますと、輸入をするときの船賃は全部輸入にぶち込んであった、いまのIMFの統計のようなやり方であって、実際においては、そういう新事実を発見したわけであります。だから私は、こういう新しく発見した事実も、全部一つの机の上に上げて、そして四方八方からこれを検討しまして、長期国際収支の安定という面を考えなければならぬといことを考えておるわけでございまして、そういう倉庫までひっくり返そうということでございますので、いかに深刻に、また一生懸命やっているかということにつきましては、御理解をいただけると思うのでございます。そういう意味で、ほんとうに政府も国際収支の安定対策についてはまじめに、積極的に取り組んでおるわけでございます。
  116. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 大臣、時間がもう五時でございます。けっこうでございます。
  117. 柴谷要

    柴谷要君 ちょっと……、短かいのですが、大臣、きのうの経済閣僚懇談会で決定になったことが、実は夕刊で報道されている。二十六日の経済閣僚懇談会というそれに、決定になっているという中で、ちょっと二問ばかり質問したいと思うのです。  「国際収支改善のためには基本的には輸出振興をはかるべきであるが、まず当面は輸出入貨物の横取り比率向上による海運の運賃収入の赤字縮小をめざすことに着手し、」という、ついては「三十九年度は外航船の建造目黒を百万総トン以上にふやすべきである」——新聞に出ておるんですよ、新聞のとおりに言ったのですよ。計画造船としては六十四万総トン、自社船を含めて八十四万総トンを三十九年度は考えておるけれども、これを二十数万トンふやして百万総トン以上のものにするのだ、こういうことで実は提案がなされて、船をふやすことのみによってなかなかうまくいくものじゃないけれども、総理はこれを了解をした。こういうことになっている、新聞は。それからもう一つ、通産大臣の提案で、今後も輸出所得控除を認めることについて、ひとつ各省は検討してほしいということを言って了解を得たとなっております。この二点を、ひとつきのうの経済閣僚懇談会のことでございますので、ひとつ御答弁いただいてお帰りをいただきたいと思います。
  118. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 国際収支の改善対策につきましては、いろいろ考えておるわけでございますが、とにかく早急に結論が出る問題ではありませんので、きのう、まず第一回といたしまして、これから二回、三回と随時開いて、この問題を重要議題として、ひとつ早急に結論を出すようにしていきたい。しかし、きょうやみくもにきめられても、きまるものではございませんし、国会に対しては、一般会計及び財政投融資の御審議を願っておるのでございますから、そういう意味で、ひとつきょう総理が言ってもきまるものではないのだ、ひとつ十分検討してもらいたいということを、私が冒頭にそういう発言をしたわけでございます。しかし、これはもう国民的な問題でありますので、真っ正面から取っ組んで、一つずつでもできるものはひとつ片づけていこう、こういうことになったわけであります。まずその中の一つとしまして、まあ六十四万二千グロストンの計画造船を考えておりますが、これは少ない、中には自社船二十万トンを入れて、八十四万二千トンという数字を百五十万トンベースに上げなければならぬという議論もありますし、こんなことを言ってもしょうがない、やると仮定しても百万トンだろうという意見もあったわけであります。まあしかし、そういうものがいますぐ片づくわけではありませんし、大体百万トンにしても、財政資金があるかないかという私の問題もありますので、そんな短兵急に言われてもきめられませんよ、まだ国鉄の問題もあるし、いろいろな問題があるので、そういう問題とも、重点的にいろいろなことをしてみなければいかぬし、一体金があるかないかという問題もありますので、ひとつ慎重にしてもらいたいということを私が発言をしたわけであります。しかしさしあたり、開発銀行で六十四万二千グロストンの昭和三十九年度の建造計画があるわけでありますから、これは予算を通していただいたら、四月の初めからひとつ早急にまずその建造計画を、うるさいことを言わないで率直にひとつこれは受け付けてもらいたい。いままで十年間の荷物を予約しなければ開銀は受け付けなかったわけですが、いまこのテンポの早いのに十年間というのは戦前の百年にも当たるから、そんなこと言わないで、五年、三年でやってくれないかということを、開銀総裁はここにおいでになりますが、そういうことを言ったわけです。大蔵省からそういうことを言うのはむずかしいことであって、十年ということもきっと大蔵省が言ったのだと思います。しかしそんなことを言っておったのでは、今日のことにもなったのでありますから、六十四万二千グロストンの建造をひとつ早急に受け付けてもらい、それから条件も少し緩和してもらいたい。そうしてその上になお建造しなければならないという問題は、これからひとつ国会の意向もございますし、またわれわれの財政上の問題もございますので、十分それに引き続いていけるように、テンポを合わせて早急に結論を出そうということになったわけでございます。でありますから、国会にいま出しております予算、財政投融資の計画を変えようなんということじゃございませんで、これはそのひとつ、一年間でやるものを半年ぐらいでまずやることを考えようということでございます。  第二の問題は、御承知の輸出造船及びプラント輸出の問題が、三月三十一で切れるわけでございます。もうすでに九割方、八割方、七割方、六割方と、こうしかけになっておるわけであります。そういうものは契約をしておるのだし、何とかその方法はないか、こういうことでございます。私も事実、国内的な問題でありますから、片づくならば片づけてやろうという前向きな考えでございましたが、御承知のとおり、租税法定主義でございますから、準拠法がなくなって、適当にやれるものじゃないのです。まあしかし、そうはそうでもどうだ、ひとつ新しい観点でできないかというので、国税庁長官及び主税局で検討はしてみたのですが、それはむずかしいのです、こういうことになっておるのです。なってはおるのですが、運輸大臣と通産大臣等は非常に強くこれを何とか便法がないかということでございます。まあ私はガットの問題があるのでだめだ、こういうことを答えたのですが、外務大臣及び経済企画庁長官が、ガットのほうでは問題がないので、大蔵省が方便を考えれば方法はあるのだ、しかもそれは無制限に行なうのでなく、ある時間だけの話だというので、私は国際的な問題ですからそんなことをして、わずかなことで国際信用を失墜するようなことをしてはいけないぞというようなことは言ってはみましたけれども、輸出振興を非常に積極的にしなければならないときでありますので、とにかく三十一日までできるかできないかを慎重に検討いたしましょうと、こういうことになっておるわけでございます。通産大臣はきょうも、三月三十一日といえばもう五日しかないから、きょうひとつきめてくれと言ったんですが、大蔵大臣がきめ得るものであれば、これは一ぺんにきめてしまいますが、租税法定主義という、いわゆる非常に租税上むずかしいものがありますので、これは主税局長及び国税庁長官に検討をせしめまして、この結論が出なければ、私といえどもどうすることもできないと、こういういま態度をとっておりまして、福田君がどういう発言をしたかはわかりませんが、事情はいま申し上げたとおりでございまして、了解を得たということはありませんし、了解を得うるものではないのであります。ただ実情はそれはよくわかりますので、どの程度救済方法があるかどうかということは、いま事務当局をして検討をせしめておるわけであります。
  119. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 とん税についてさらにお願いしたいと思います。とん税の納付方法については、二つ方法があるようであります。一つは入港した場合に納付すること、もう一つは一年分を一時に納付するということでありますが、この表によりますと、大体一括納付は一回の約付の三倍、こういう計算だと思います。そうしますと、年間三回しかわが国の港に入ってこない、こういうふうに思うのですが、実際調べたところによりますと、最近非常に船足が速くなっておるために、年間の航海が相当回数がふえておる、これは当然いえると思います。そうしますと、この年三回、この計算の上から見ると、そういうふうな一括納付の割合になると思いまするが、これじゃあまり少ないじゃないかというそういう感じを受けるわけです。もっと上げるならば上げてもいいようなふうにも考えられるわけです。なぜなれば、いま申し上げたように、たとえばアメリカ航路ですか、ロスアンゼルスあるいはサンフランシスコ定期航路を考えてみますと、これは日本のたしか大阪商船だったと思いますが、速力は十三ノットから十四ノットで、一航海大体二ヵ月の期間がかかるといたしますと、大体一年間六航海ぐらいできるんじゃないですか。そうしますとかりに横浜の港には十二回ぐらい入る勘定になるわけです。これはあくまでそういう計算の上に立てられた勘定でありますから、はたしてそれが妥当であるかどうかはわかりませんが、その根拠ですね、入港ごとの納付と一括納付の根拠について、あるいは前の補足説明にあったかと思いますが、重ねてここでお願いしたいと思います。
  120. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 一年分として三回分納めればよろしいという立て方は、いわば歴史的なものでございまして、これがきめられましたころ、おおむね平均三回くらいであったということに基づいておるようでございます。御指摘のように、最近、船足が速くなってまいりましたから、二カ月で一航海を終わるといたしますと、定期修理その他で稼働しません時期を考えましても五回はできるというふうに思われるわけであります。   〔委員長退席、理事西川甚五郎君着席〕 最近の平均回数は四回強ぐらいになっておるかもしれないと実は見ておるのでございます。御指摘のように、一括納付します場合の金額を四回分取るということも考えられるわけでございますが、日本の船主側の負担その他の関係を考慮いたしまして、倍に上げた場合におきましては三回がまあぎりぎりのところだということで、前例をこのように踏襲してまいったわけであります。
  121. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 これは少し論理が飛躍すると思いますが、世界の主要港、特にニューヨーク、ロンドンあるいはハンブルグ、東南アジアにおいてはボンベイ、バンコック、こういうところが、非常に、水先料とか引き船料が高いわけです。ことに、係船料については、ロンドンは最高額を示しておるわけであります。これは、当局として、そうした、いろいろな外国の港湾設備等についての客観的条件というものが違うために、わが国とこれほどの開きがあるということを検討されたと思いますが、あまりにも違い過ぎますので、当局として調べられた内容について、お伺いできれば幸いと思います。
  122. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 柴谷委員に申し上げますが、水先案内科、引き船料などにつきましては、実は、税関の所管と申しますよりは、運輸省の海運局の所管でございまして、お手元に差し上げました資料は、運輸省の資料でございます。はなはだ恐縮でございますが、こまかい内容につきましては、十分御説明申し上げる資料を持ち合わせておらぬ次第でございます。
  123. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 確かに運輸省の関係でありますので、主務官庁が違っておりますので、御説明いただけないと思いますが、しかし、かりにこれは運輸省の資料であったとしても、当然この資料を根拠にして、今回の改正案というものがはかられる、その経緯があったと思いますので……、運輸省の方、来ておりますか。
  124. 西川甚五郎

    ○理事(西川甚五郎君) 海運局いますか。
  125. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 係の方がいらっしゃらないようでありますから……、いずれにしても、関連のある内容については、それはあまりにもセクト的な考えをお持ちになることは、非常にどうかと思う気持が強いわけです。少なくとも、この税法を出される以上は、その根拠等については、外国においては、こういう理由によってこういうふうに高いのだと、かりに主管官庁が違うといっても、アウト・ラインぐらいは承知しておかれたほうが、説明にあたって、われわれを納得せしめることになるのじゃないかと、私は、そう思いますので、今後そういうことのないようにお願いしたいと思います。私は、以上申し上げて、いま、御回答いただけませんでしたので、また、別の機会に、この点については、当該の係の方にお伺いしたいと思います。とん税については、私の質問は、以上で打ち切りたいと思います。   〔理事西川甚五郎君退席、委員長着席〕
  126. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 いまの渋谷さんの質問に関連して聞くのだけれども、その人がいないならだめなんですがね。
  127. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 海運局参事官が見えました。
  128. 高林康一

    説明員(高林康一君) ただいまの渋谷委員のお尋ねでございますが、大体、港湾関係の経費、たとえば水先料につきましては、やはり根本的には相当、外国と違いますので、違い方はいろいろでございますけれども、やはりいろいろな賃金条件というようなことが大きいかと思います。あるいは港湾施設につきましては、従来、これを公共施設として、なるべく安く提供するというようなやり方をやっておりましたことが外国と違いまして、相当、低位になっていると、こういうような状況ではないかと考えます。
  129. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 いまの渋谷委員質問に関連して聞くわけですけれども、この水先案内料というのは、これは民間の業者が勝手にきめるものですか。それとも省令もしくは政令に類した、そうしたものによって、一定の協定をきめてやるものですか。
  130. 高林康一

    説明員(高林康一君) 水先料につきましては、水先法二十二条であったかと思いますが、の規定に基づきまして、省令できめております。
  131. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 省令できめているようなものであるとするならば、あまりにも諸外国との比において低過ぎるという、今日のこのようなとん税の改正の機会に、もっとこれを引き上げるという処置をなぜあなたのほうでは講じなかったのか、あるいは全然そのことは考慮になかったのかお聞きしたいと思う。
  132. 高林康一

    説明員(高林康一君) 諸外国に比べまして、たとえば水先料につきましては、ニューヨークなんかは、これはまあ形式的な比較でございますけれども、ニューヨークなんかは五倍ぐらい、あるいはまた香港あたりはあんまり違いはありませんが、いろいろ各国の状況によって違うわけでございます。それらの点を勘案しまして、水先料につきましては、昨年十月に五〇%値上げをしたわけでございます。ただ値上げをいたしましても、ただいま御指摘のございましたように、なお諸外国に比べまして相当低位にあるというふうにも考えられますので、さらにしかも国際収支改善という観点も考え合わせまして、これがさらに再改訂を目下検討しておるという段階でございます。
  133. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 これはやっぱり水先案内人というのは、海上生活者の中でも一つの特殊な技術を持っていて、やはり労働者ですから、日本の低賃金を基礎にしてこういうものをきめるだけが能ではなくて、やはり諸外国との振り合いにおいて、十分しかるべきところまで引き上げていかなければならぬ性格のものだろうと思うのです。  それから次に引き船料とか、あるいは綱とりはなし料ですか、あるいは係船料、こういったようなものも諸外国に比べて必ずしも高くはないのですが、こういうことは全然港湾局のほうとしてはタッチしないのかどうか。つまり地方団体がやっているのだからということでそれにまかしておくのか、その辺のところはどうでしょう。
  134. 見坊力男

    説明員(見坊力男君) 港湾の施設の使用料につきましては、港湾法の四十四条に規定がございますが、国は直接規制をする立場にはないようになっています。規定の内容を申し上げますと、港湾にはそれぞれ港湾管理者がきまっておりますが、「港湾管理者がその提供する施設又は役務の利用に対し料金を徴収する場合には、あらかじめ料率を定めて、その施行の日の少くとも三十日前に、これを公表しなければならない。これを変更しようとするときも同様」それで利害関係人が港湾管理者の定めた料率が不当である、あるいはこの法律に違反すると認めるときは運輸大臣に料率の変更を港湾管理者に命ずることを請求することができるという規定になっておりまして、こういう使用料等を定めます場合には、その実施の少なくとも三十日前に公示をして利害関係人から異議の申し立てがない限り効力を発生する、実施されるということになっております。
  135. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 それはおそらくあなたのお説のとおりだろうと思いますけれども、全体としてやはり見る場合には、先ほどの水先案内料もそうですし、今度とん税の引き上げといったような問題とも関連して港湾経費というものに対する全体的な観点から見たときに、やはり監督官庁としての運輸省がしかるべき一つの方針を示すなり、あるいは相談するなりということがあっていいものだと思うんですね。事実問題としてはあるだろうと思うんです。今度の改正に伴って、そういうことが実際問題として行なわれたかどうかということをお聞きしているんです。
  136. 見坊力男

    説明員(見坊力男君) 今回の改正と申しますと、その対象が昨年の九月並びに本年の九月に実施を、値上げを予定されております岸壁使用料及びブイ使用料につきましては、法律上は先ほど申し上げたような形で参りましたけれども、実際上は港湾管理者と船主協会との間で相当長期にわたりまして話し合いが進められておりました。その間におきまして、港湾局は、事実上両者から相談を受けて、話が円満にまとまるというところまで両者の相談を受けて、実施に移ったわけでございます。
  137. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 大体先ほど大蔵大臣答弁したような、そういうそれに関連するような内容のものが行なわれたと、そう理解をしておいてよろしいわけですな。それで、とん税の今回二倍の引き上げについて、どうも先ほどから渋谷委員質問に対して答えているところを見ても、つまり二倍に引き上げなければならないんだという正当性あるいは科学的な根拠というものに乏しいように思うんですね。何か腰だめだと、いままでは安かったから、二倍くらいでどうだろうかといったような、腰だめ的な引き上げだという感じを強くするのです。なぜ二倍でなければならぬかという根拠について、ひとつ御説明いただきたい。
  138. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) とん税、特別とん税の増収を考えます場合に、料金を、単価を据え貫きまして、たとえば先ほど渋谷委員の話もありましたように、三回分で打ち切りにしておりましたものを四回、五回で打ち切るのかという考え方もございます。また、その他いろいろな方法が単価の上げ方にからませまして考えられるかと思うわけでございますが、日本の国内の船主の負担を重からしめず、外貨収益をその範囲内で上げるという見地から進めてまいりますというと、鈴木委員御指摘のように、若干試行錯誤と申しますか、いろいろやってみた結果、負担増とならない方法というのはこれではないかというところで決定したものでございます。
  139. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 かなり根拠が薄弱だと思いますけれども、こういう問題については、いま盛んにやられているガットや何かの問題とも関連し、とん税に対する国際的なある一定の協定といったようなものですね、そういうふうなものが近い将来に話し合われるであろうか。あるいは、そういうものではなくして、これはどこまでもそこの国及び港の独自性にまかせられるものであるというふうに考えられるのか。とん税に対する国際協定の方向を日本はとろうとするのか。そうではなくて、このままでやはりいくのか。こういう方向についてはどうですか。
  140. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) とん税と申しますようなものを国際的に何か協定等によって制限するようなものはないのかという御質問の御趣旨だと思いますが……。
  141. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 ないのかではなくて、そういう方向ですね、国際協定といったような方向を指向しようとしておるのか、現状のままでよろしいと考えているのか。
  142. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) とん税と申しますものを国際的に見ますというと、いろいろの名前がつけられております。灯台税とか入港税とかというものが、日本で言えばとん税に該当するのではないかというふうに思っているのでございますが、これらのものを、何か協定によって一定の限度に押えるというような考え方は、いまのところ国際的にも承知しておりませんし、海運局も含めまして、私どももそのような考え方をまだしていない次第でございます。
  143. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 この際、私もわからないのでひとつ質問したいと思いますが、たとえばソ連の港に入ったときあるいは中共の港に入ったとき、これは一体いわゆる資本主義の港と、こういう問題に対しては、どういう違いがあるか、もしおわかりならお示し願いたい。日本だって、相当ソ連の港に行ったり、中共の港に行ったりしておられるはずと思うのですが、どういうことになっているのですか。
  144. 高林康一

    説明員(高林康一君) とん税の取り扱いについては、実は私まだよくソ連あるいは中共でどのように扱っているかということは承知しないわけであります。おそらくいままでソ連あるいは中共ということだけでなしに、外国の場合をとりますと、同じ国の中でも、実は港ごとにいろいろの取り力が違うと申しますか、統一したものはないような感じがするわけでございます。それぞれその港の発生した実情に応じまして、たとえば先ほど関税局長がおっしゃいましたように、灯台税というような名前でとっているところ、あるいは入港税というような名前でとっているところ、いろいろの形がございまして、必ずしも画一したものはないのじゃなかろうかというふうに考えておりますが、先ほど先生の御質問の点は、残念ながらよく承知してございません。なおいろいろ研究したいと思います。
  145. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 最後に、これはちょっとこの主題とは離れるかもしれませんけれども、つまりざっくばらんにしろうと考えで言うならば、その港に入る船に対するいわば停泊料みたいなもの、そういうものを取るということに、何か制限があってはならない、すべてのものに適用されなければならないと思うが、これは外国の貿易に関するということできめられているとは思いますが、港そのものについて見るならば、港あるいは港の施設を外国の船が使用する場合には、何らかの形でやはりそういったものを取らなければならないじゃないか、取る必要が生まれてくるのではないかと思うのですけれども、たとえば外国の軍艦なんかが、十年に一度、五年に一度の親善の訪問でなくして、常時使用するような場合、あるいは港のある一定の区間を使うとか、埠頭を占用するといったことが起きてくる場合において、港税といわれるようなものは、いまのところ何も取っておらないのですか、また取ろうとも考えておらないのですか、この点どうですか。
  146. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 御指摘のように、とん税は外国貿易船から徴収することになっている次第でございます。これは外国貿易船というものの入港というものを契機に、そこで物品の流通が行なわれるということに着目いたしまして、流通税的に取っておりますものでございますから、御指摘のような場合には取っていないことになります。
  147. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 それはまああなたのほうではそうでしょう。港湾のほうにお聞きします。港湾のほうでもその必要なしと認めるのですか。
  148. 見坊力男

    説明員(見坊力男君) 港湾法では、港湾管理者は入港料を徴収することができるという規定がございます。ただし、除外がございまして、「警備救難に従事する船舶、鉄道連絡船、海象又は気象の観測に従事する船舶、漁業監視船その他政令で定める船舶については、入港料を徴収することができない。」という規定がございます。その港湾法に基づく入港料は現在ほとんど実施されておりません。洞海港のみが入港料を徴収いたしております。ほかのところでは入港料を設定いたしておるものはありません。
  149. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 それは、たとえば神戸の港なんですが、特に第七埠頭なんというのは、アメリカの第七艦隊がしょっちゅう使うわけです。どのくらい港としての機能を喪失しているかわからないような場合に、取らないというのはけしからぬと思う。取ったらよろしい、取るべきです。アメリカ軍だって取ったっていい。電話を使えば電話料をちゃんと取っているんだから。汽車に乗れば汽車賃を取っているんだから。日本の港に入ってくるのに、私たちは入ってもらっちゃ困るんだ、入ってこないほうがいい。しかし、入ってきたあと入港税も取らない、入港料も取らない。まるで盗人に追い銭みたいなものだ。こういうことは、私は主題とこれは離れるけれども、まことにけしからぬことだと思うんですよ、考えてみれば。どういう協定によって取らないことにしているのか。取らないことは私は怠慢だと考えるが、この点についてどう考えますか。
  150. 見坊力男

    説明員(見坊力男君) それは安保条約によって、おそらくそれに規定されて取らないことになっておると私は聞いておりますが、条文を私ちょっと持っておりませんので……。
  151. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 この主題と直接関係がありませんので、私はこの辺のところで質問を終わりますけれども、港の問題を考えるときに、そういうことは許されないことだと思うのですよ。ひとつあなたが言っている安保条約、おそらくきっと行政協定の地位に関する協定のことを言っているのだろうと思いますけれども、よく調べてください、その点。電話料だって取っているんですから、取るべきようにすれば取れるんですよ、これは。それを初めから取らないように考えて、取らないような条約ができているんだろうというふうな答弁ではとても納得できないけれども、きょうは、これは、とん税とは直接いますぐさしあたっての関連がある問題ではないですから、この辺のところで質問をやめておきたいと思います。
  152. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  153. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて。
  154. 野々山一三

    野々山一三君 この委員会でもしばしば議論になっている問題ですが、同時に、また、新聞などでも、最近俳優団体から脱落をするという人なども出たりなどしている芸能関係の人の税の問題、これは毎日にぎわしておりますが、うかがうところ、たとえば市川団十郎というような人は、大体その経費率が五割ぐらいだということで、そういう気持ちでこうやっていったらしいのですね。そうしたら、あとになったら、いや、経費率は三割しか認めないのだということになったことのために、彼は非常なふんまんを持って、これが一つのきっかけになって芸能人関係の税問題というものが新聞の面に出てきた。さらに、どうも聞くところによりますと、この種の芸能人及び文筆家並びに大学の教授などの給与外の所得に対する経費の算定基準というものを、去年は三割というぐらいのものを基準にして徴税をしておった。ところが、ここに見てみると、それが三割であったり五割であったりといういろいろな個人差がどうもあったようで、そこらが一つの今日的時事問題を引き起こした要因ではないかと思われる節があるのですが、さらに、それを突き進めまして、ことしはさらにその基準の経費率を下げて徴税をするというような方向にあるやにうかがえる。まさにこれは片一方では今度の法律で一〇%の源泉徴収を芸能人なんかはするわけですね。そこへもってきて経費率を落とす、下げるというようなことになりますと、これはまさしく徴税強化です。それから、去年までは経費率を大体三〇なら三〇という線でやっておったようでありますが、ことしはそれを二〇に下げて徴税をするというようなことに進められておるようであります。他の問題と関連して私はものを言えば幾らでもいろいろ問題がありますけれども、それは一応さておきまして、そういうように芸能関係及び文筆家、学校の教授などの給与外の所得及び報酬、そういうものの経費率をどういうふうに考えるか。私がいま申し上げるように、さらに徴税強化の方向に向かってやられるようなつもりがあるのかどうか、その点を伺いたい。
  155. 木村秀弘

    政府委員木村秀弘君) 芸能人であるとか、あるいは文筆家等に対しましては、昨年特に高額所得者、一千万円以上の方々に対して実地に調査をいたしまして、もちろんいまおっしゃったような個人差はございますが、実地に調査をいたしまして、大体平均的な一応のめどというものを出したわけでございます。それで、もともとこの標準的な率でもって課税をするというものではございませんで、現在の税制のたてまえから言えば、当然その経費の率に差があるのは当然でございまして、それをそのまま認めて申告をしていただく、それによって課税をするということは、これはもう当然でございます。しかしながら、人によってはいろいろ経費も違いますし、と言って、全部のこういう方々の調査をしてやるというのでは税務署人手も足りませんので、大体の標準的な率と一応のめどをつくっております。それで、まあそういうめどで申告をされた力に対しては調査を省略する、しかしながら、その率ではとうていやっていけぬ、もっと経費が高くつくという力ももちろんございます。そういう方は、やはり経費をはっきり出していただいて、それを税務署でもって調べまして、そうしてなるほどその経費が実際に必要な経費であったという認定がつきますならば、もちろんその経費を認めていくつもりでございます。
  156. 野々山一三

    野々山一三君 そうすると、私がうわさとして聞いておる、また、事実そういう動きがあるようですけれども、去年はその標準率というものを三〇くらいで押えて、税務署がそれに適合しているかどうか、あるいはそういう観点からの経費率審査というものをやっておったようでありますが、ことしはそれを二〇に下げるというような話があるのでありますが、そういうようなことはないんでしょうね。
  157. 木村秀弘

    政府委員木村秀弘君) 先ほど申し上げましたように、若干率を動かしております。それはやはり実地に調査をいたしました結果に基づいて、その平均的な率というものを取って動かしております。しかし、従来、このいわゆる標準率というものは、単にこういう芸能人、あるいは、文筆家に限りませんで、あらゆる業種につきまして、税務署仕事をいたします場合の一応のめどとしてつくっておりますけれども、これは御承知のように、発表をいたしておりません。したがって、この率につきましては、ここで申し上げることをごかんべん願いたいと思います。
  158. 野々山一三

    野々山一三君 いま申し上げたような傾向は、あなたがここで言うことはできぬという話でありますが、実際にやられている人たちの集団があって、そこではたいへんなこういう真実の話が報告されているものですから問題にするわけですよ。で、私は、あなたがここで従前の例によってやるので、こと新しくそこで徴税強化をするというような考え方はないんだというふうに言われるならば、その気持ちが下まで落ちていくように、それから、そのめどといわれる標準率ですか、それをやはり従前の例に従って下のほうまで落としていくというようになさるとでもおっしゃるならば、これでこの問題を終わります。全く雲をつかむような話を申し上げているのではないので、そういう具体的な数字を言われないならば、考え方をはっきりと言っておいていただきたい、いかがですか。
  159. 木村秀弘

    政府委員木村秀弘君) この標準率と申しますものは、やはり架空の数字ではございませんで、実際ある業種、また、その業種の中における所得階層別に実地に調査をいたしまして、そして一定の標準でもって平均的のところを出しているわけであります。それで、こういう文筆家、あるいは芸能人については、三十八年の所得税につきましては、一般的な傾向としては、大体所得の低いところについては経費率が高くなっております。それから、ただいま申し上げましたような一千万円以上というような、非常に高額の収入を得ておられる方については、経費の率が若干下がっております。これはいずれも架空の数字ではございませんので、先ほど申し上げましたような実際の調査に基づいて得た結論でございます。
  160. 野々山一三

    野々山一三君 それは、たとえば一つの公演で十万円なら十万円もらうにしても、その経費が五万円も要るなんという、そんなやぼなことを私は申し上げようとは思わない。したがって、金額がふえてくれば、勢い経費率は下がるだろうということは、傾向的には考えられるのでありますが、いまそういう細部の話をするのならしてもいいのですけれども、そうじゃなくて、ずっと年々それがひどくなってきて、実際に同じような収入であってもひどくなってきている。うるさく言われる、締められるという徴税強化が起こっているから、たとえば大学の教授なんかが講義をした、あるいは原稿を書いたというものに対して、従前の考え方で申告をしていっても、それがなかなか通らぬということになって、それが明らかにされておる。だから、そういうことをやらない、やっているつもりはないし、やらないというなら、そういう態度をはっきりお答えになれば、これは問題は解消します。そうでないならば、またあらためて数字をつき合わして議論してもいいのですけれどもね。それから、各署ごとにも相当やり方の違いがあるということもあらわれているのでありますから、そこでこういう問題が起こるのでね。もとへ戻しまして、申し上げたように、これからさらに徴税強化をするというようなことをやらぬ、強化になるようなことはしない、したがって、めどといわれるそのめどを、えらく同じような水準にあるものを、三〇を二〇にするとか、四〇を三〇にするとかいうような、めどを落として、これによって徴税するというような考え方はとらない、こう言ってもらいたい。
  161. 木村秀弘

    政府委員木村秀弘君) 私たちは意識的に徴税の強化をはかろうなどということは考えておりません。一番問題になるのは、やはり実際の所得がどれほどであるか。実際の所得は、もちろんこれは標準的なものの数字を出しておりますけれども、その標準的なパーセンテージにぴったり当てはまるという方は、これはほとんどというか、絶対にないはずでございます。したがって、各人について一体ほんとうの所得がどれだけであるかということは問題でございます。もちろんわれわれとしては、実際の所得を把握するためにはあらゆる調査方法をとらなきゃなりませんけれども、先ほど申し上げましたように、やはり膨大な事務量をかかえておりますので、徴税上の便宜の方法といたしまして、実際の調査をある程度のグループについてやりまして、そして、その標準的なところをとる。それで、もしそういう標準的なところではとうてい経費でまかなえないという方があれば、これは実際の経費というものを申告をしていただいて、その申告費用を税務署で調査をいたしまして、間違いなくそういう経費が要っておるということであれば、これはその実際の所得に応じて課税するのは当然でございます。
  162. 野々山一三

    野々山一三君 繰り返すようですけれども、まあ百万なら百万という、ずっと大体同じような傾向で数年得てきた人、ないしは、多少は変化はあるけれども、ほんとうは大体三割五分ぐらいで毎年やってきたのに、ことしはぴしっとひどくなっているという苦情がたくさんきているのですよ。なかなか言うことを聞いてくれないという話だ。そこで言ういう問題が起こるのですね。で、あなたのほうの言い分によれば、いや、それはおれのほうは一定の地域なり業種なりを調べてみて検討した結果がそれなんだから、どうもいままでごまかしておったという、こういう言い方なのかもしれない。何年かの実績があって、そしてことしはひどくなったということでなければ、それは問題にならないのですよ。ちょっと高過ぎるなという、めんどうをみてくれないなという、その意見はだれだってこれは持っていますからね。けれども、ことさらにいろいろなそういう集団が、こういう経費率をたくさんみてくれなくなってしまったということのために、こと新しく大きな動きを示しているということ、それをもってしてもそういう強化が行なわれているということで、先ほど言ったように、そういう意見が私どものところに相当きているということからして問題にしているんですよ。したがって、あなたのほうも調べたと言われるものが、結果において多少意図的なものが加わっているんじゃないかというふうに見ざるを得ない。まあこれはある意味では抽象論でありますからね、ここでの議論は。私は、繰り返して言うように、やはりいままで調査をして標準的なものはあるが、特別えらい経費率を下げてみるというような特別の意図があってそういうことをしたとか、徴税強化をやるために、あるいはいままでどうもインチキしていたようだから、そういうふうな見方で事を始末する気持ちはないのだと、こういうふうにいまのあなたの答弁を私はこう受け取っておいていいんですか。それでは逆に聞きますけれども……。
  163. 木村秀弘

    政府委員木村秀弘君) ただいまお話になりましたように、徴税強化をはかるとか、あるいはいままでの標準がごまかしであったというようなことではございませんので、私たちは、やはり毎年毎年実際の各人の所得がどれだけであるか、そういう実態把握をいたしておるのであります。そこで、先ほども申し上げましたように、三十七年の所得について実際の調査をいたしましたところ、やはり同じ文士でもピンからキリまでございまして、一千万以上の所得の方もございますし、それから、また、売れない方はほとんど問題にならぬというような人もございます。芸能人についても同様でございます。そういう所得階層別の調査をいたしまして、そして大体平均的なところ、標準的なところがこのぐらいの率になるということを出しておるのでございます。ただ、これによってそれではこの標準的な率の適用を強行するんだということになると問題でございましょうけれども、しかし、そういうことは、先ほどから申し上げておるように、ございませんので、実際経費がそれよりも高い、その経費ではやっていけないという方があれば、これは正確にそういう経費を申告していただけば、その実際の必要経費がそれだけならば、その認定によって経費率を認めるということになるわけでございますから、私どもは別に徴税強化であるとか、あるいは従来がごまかしである、そういうような先入心を持ってやったのではございませんで、実際の調査に基づいてやる、こういうたてまえをとっているわけでございます。
  164. 野々山一三

    野々山一三君 いまのことは、俗な言い方で申しわけありませんが、警察と税務署というのが、国民の気持ちですよ。そこで一つのものさしをもって、おまえはどうだ、こううるさくやられては手をあげてしまうというのが結果で、その手をあげた人たちが、世間にいって、このやろうけしからぬという話でこの問題になっている。したがって、まるっきりあなたの言うことはわからぬというふうに私は言うのではないのですよ。ここでやはりなまの意見をよく聞いて、そして事に処するという気持ちで、前向きに国民に接する態度をあなたのほうが示すということになれば、この種の問題は解消できると思う。こういう気持ちをあなたはここで示して、であるから、ことさらに問題になるような強化をするつもりはありません、こう答えられるならば、私は信用していいと思う。もう一ぺんあらためて伺いたい。あなた方は、おれたち税金を取り立てる側だから、そんなことを言われてもしようがないといわれるかもしれないが、やはり国民の素朴な気持ちは、警察と税務署というものはやっかいなもので、よう言わぬやというわけです。そこをやはりよく考えて、もう一回御答弁願いたい。
  165. 木村秀弘

    政府委員木村秀弘君) 警察と税務署はたいへん重要な仕事をいたしておると私は思っておるのであります。ただ、仕事の性質上、絶対にほめられない。非難、あるいは苦情ばかりで、ほめられることはないということも、遺憾ながら仕事の性質からくるものでございまして、その点は御同情をいただきたいと思います。よく相手の意見を聞けというお話でございますが、これは私たちも同感でございまして、納税者のほうの主張、あるいは意見というものは十分に聞いて、そしてこれをでき得る限り取り入れていくという態度は、これは国税庁の基本方針の一つになっておるのであります。ただ、問題は、やはりたとえば個人的な経費と、それから、その仕事に必要な経費というものとが、とかくこういう種類の自由職業の方々にはなかなかはっきり分けられない面がございまして、その点で税務署で実際に調査をいたしました場合に、これはやはり必要経費と認めがたいというものがかなりあるわけでございます。しかしながら、御説明によって納得のできた限りにおいては、これは十分にそういう御意見なり御主張を尊重していくということは、今後ともわれわれ十分基本的な態度としてとっていきたいと思っております。
  166. 野々山一三

    野々山一三君 あなたの言われたこと、先ほど来の議論を私が言っている気持ちを十分に生かして措置をするというように特に心がけてもらいたい。最近こういう問題が顕著な問題になっているということをよく考えて、徴税強化になる、あるいは個人を対象にして事うるさくつつくという、そういうことの、何といいますか、きびしさがこういう社会問題化して新聞をにぎわすようになっているという事態をよく考慮に入れて、下のほうに対しても、これ以上問題が起こらないような配慮をしておいてもらいたい。ここまで議論しましたから、私も十分にさらに今後の成り行きというものを見きわめて、一体あなたがここで答弁されたことが実際に映っているかどうかは、機会をあらためて議論をするようにいたしたいと思う。そのときには、ひとつこんなことでおこられないような万全の措置をあなたのほうでとっておいてもらいたいことを強く要求しておきたい。
  167. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 開発銀行関係でお尋ねします。  最初にまず伺いたい点は、今度の改正で、民間による土地造成をする会社に対して融資する道を開かれるというのが改正の趣旨の一つになっているのですが、そこで、お尋ねしたい第一は、民間にある土地造成会社、いわゆる既存の会社の過去の実績というようなものを対象としておやりになろうとしているのか。それとも、工場進出を考えているところの、何社になるか知りませんが、そうした会社、工場のグループの人たちが出資をしておると申しましょうか、共同で土地を造成して会社をつくり得るということも考えられるわけですが、そういうところを主点にしてお考えになっておるのか、まず第一にそれを伺いたい。
  168. 平田敬一郎

    参考人平田敬一郎君) いまのお尋ねの点につきましては、今後の場合におきましては、開発銀行にこういう道を開くことになりますと、おのずからこの趣旨に従いまして、あるいは私どもの方針に即したような一種の造成会社とか企業体ができまして、そこで合理的にやっていただく、これを私どもは実は最も期待いたしておるわけであります。ただいままでできているものを全然排除するのかと申しますと、これはやはり率直に申し上げまして、いわゆる土地会社として皆さんの耳に入っているような会社は大部分入らない。しかし、中には一定の公共性を持ちまして株式会社の組織でやっているころもございますから、そういったようなところを対象にする場合がございますことをつけ加えて申し上げておきます。
  169. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 実は、いままで開銀としては、地域開発のためにいろいろと御努力してこられたわけでございますが、まあ主として地方公共団体等がそういうことをやっておった。どうも私らが考えるのでは、地方公共団体がやっておれば十分なような実は気がするのです。それに、なおかつ、いまあなたが答弁されたように、進出をしようとしている各工場が寄り合って土地造成会社をつくってやらなくちゃならぬというのは、何か屋上屋を積むような感じがしてならないわけでございますが、今回の改正をしなければならないそのよって来たる、何と申しますか、根拠と申しますか、理由と申しましょうか、いままでやってきた自分たち地方地域開発ではどうにもならない点があったのだ、それを打開するためにそういうことを考えたのだということがあったら御例示を願えれば、私たちもよく納得ができると思うのです。
  170. 平田敬一郎

    参考人平田敬一郎君) 御指摘のとおり、私は、今後におきましても、やはり地方団体が直接やる部分がまあ相当部分を占めるということにつきましては同じ考えを持っております。やはり今後とも大体そういうふうになるのが大部分じゃなかろうか。ただ、御承知のように、いま一方におきましては公社とか何とかいう形態で、実はまあ率直に申しまして、経営と責任の所在がやや明らかでないと言っちゃ語弊がありますが、そういうようなものが大部分でございまして、そこでいろいろつくっていることも事実でございます。それから、純粋に民間でつくっておりますものも従来からございます。でございますが、私ども今回設けましたのは、やはり相当まとまったところで土地の利用者、あるいは土地造成の会社、あるいは関係の市町村、府県等が入りまして、まとめて一緒に造成していくといったようなことになりますれば、地域によってはいままでよりもっと合理的にできるというところが幾つかどうもあるように思うのです。そうしまして、地方団体でやりますと、結局大部分を資金運用部資金、それに一部の銀行から起債の形でやると思いますが、私のほうは大体まあ財政資金を二、三割程度つける、あとは民間の金融機関と協調融資の形をとりましてやっていくことによりまして、財政資金の効率も高くしながら、しかも、合理的に土地ができる。したがいまして、企業体の選定等につきましては、あくまでも慎重を期しまして、合理的にやるに値するような形態等になりますようにできるだけ指導いたしまして、土地造成の仕事を、全体の見地からいきましても、そう高くならないで、しかも、タイミングよくできますようにやっていきたい。それによりまして、私、今後の産業の発展、開発の上におきまして相当な違いが出てくるのじゃないか、まあそういうことに何とか私ども協力してまいりたいというのが、実は今回の改正をお願いしている主たる理由でございます。
  171. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 次に、これは開銀の直接責任でないかと思いますが、一つの資金計画の中に外債七十二億円ですか、二千万ドルを大体予定されておるわけじゃございませんか。二千万ドルのこの外債に手をつくということは私もないだろうと思いますけれども、しかし、三十八年度分はアメリカがいろいろむずかしくなって、スイス等でやっておられるようでございますが、その見通しはどんなふうになっておるのか、直接の責任じゃないとおっしゃるかもしれませんが。
  172. 平田敬一郎

    参考人平田敬一郎君) 実は、開発銀行は、過去において三回ほど外債を発行いたしました。これは国会の実は法律改正で御承認を得まして、過去三年の間に三回発行したのでございます。合わせまして六千万ドルでございます。それはいままでは全部ニューヨークの市場を通じましてドル債を発行いたしたのでございます。ところが、昨年は少し直接産投で国債をやってみたらどうかという意見がございまして、三十八年度は私ども一服するということになりまして、産投国債で相当多額な国債を出す、その資金を開発銀行にいただきまして、電力の開発等に使わしていただくということになっておりまして、その途中で、御承知のとおり、金利平衡税等の問題が出てきて、だいぶ政府もお困りになったような状態でございます。ただ、幸いにしまして、開発銀行は電力に充てるということで、最初の金利平衡税が起こる前の国債の発行、その分で実は資金を一部いただきました。それから、残りの分は、先般政府もヨーロッパのほうにおいて極力発行しようというので、スイスにおきまして初めて政府の御努力で外債ができまして、この分を先日二十数億資金をちょうだいいたしまして、大体開発銀行といたしましては、三十八年度に関する限り、産投外債の発行によりまする転貸及び融資、これは実は完了さしていただきまして、いまのところ、それで完結ということになっております。それから、来年度におきましては、これまた開発銀行で二千万ドルほど新たに発行してもらう、その保証につきまして実は予算でいまお願いしておるところでございますが、私も昨年の秋、海外を回りまして、主として外債の発行市場の状況等を調べてきたのでございますが、御承知のとおり、金利平衡税の問題は、なかなかどうもこれは問題が多くて、私はアメリカでさんざん批判して、率直に申しまして、あんなのは困るということを強く言ってきたのでございますが、アメリカの議会に提案をせられましたあとでございましたので、あとは通りましたら、日本としては免除方を強力に要請すべきだと私は思っております。やはりこれは状況次第でございますが、可能性もあるというふうに見て、断定はできませんが、あるのじゃなかろうか。しかし、これは日本も強力にうまく働きかける必要があるのじゃなかろうかと存じておりますが、そういったような状況でございます。ただ、これはなかなか法案がアメリカの議会でいま審議中でございまして、ストップしたままでございますので、条件がきまらないで、外債は事実上発行できないという効果を生じておるようでございますが、いろいろ情報がございますけれども、いつ通過することになりますか、いまのところはっきりしない、こういう状態でございます。いずれにいたしましても、五、六月ごろまでには少なくともはっきりするのじゃなかろうかという見通しでございます。  一方、アメリカ政府も、ヨーロッパのほうに極力外債市場を振興してほしいという希望をいたしておりますし、ヨーロッパのほうも回ってきたのでございますが、ヨーロッパにおきます外債市場もだいぶ機運が出てきているようでございまして、漸次ふえていく可能性がある。スイスの外債は、先ほど申しましたように、成功しまして、あれはさらにマルク債、これは大阪の市か何かやっておられますが、そういう点につきましても、ある程度明かるい見通しがいまのところあるようでございます。その他におきましても、ヨーロッパにおきましてはいろいろな外債の方法がございまして、そういったようなものもやはり今後十分私どもとして検討し、よく研究をいたしておりまして、いまのところ、まだどこで発行するときめておらないのでございますが、両方の市場の状態考えまして、二千万ドルくらいの程度は来年度ぜひ発行できるように全力を上げて努力していきたい。いまのところは何とかいき得るのじゃないかという見通しのもとにありますことを申し上げたいと思います。
  173. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 続いて、北海道東北開発公庫法のほうに関連してというか、その点でお尋ねいたしたいわけですが、いままで開発銀行地方開発ということで土地造成をやってきたわけですね。で、あなたのほうも土地造成ができるわけです。今度は開銀は民間に貸し付けるというのですが、あなたのほうが土地造成をやって貸し付けておいでになります苫小牧港ですか、開発株式会社というのはどういう性格のものでございますか。
  174. 平田敬一郎

    参考人平田敬一郎君) 当公庫におきましては、公庫法の第十九条の第五号で主務大臣の御指定をいただきまして、苫小牧港開発に伴うところの工業用地の造成事業に対して融資いたしております。この苫小牧港開発株式会社と申しますのは、株式会社という名のとおり、株式会社でございまして、民間会社でございます。その内容を若干申し上げますと、資本金が五億円でございまして、そのうち、当開発公庫が三〇%の一億五千万円を出資いたしております。その他は、苫小牧市が一五・二%の出資をいたしております、それから、石炭大手六社で四六%の出資、それから、その他で残りということになっておりまして、いわば純然たる民間会社でございます。その趣旨といたしますところは、昭和二十六年度から北海道開発事業費で施行いたしておりました日本に類例のない掘り込み式の苫小牧港の整備建設に伴いまして、それに付帯する工業用地を造成するために、これは主として非常に公共的にあるものでございますが、石炭積み出し港として一応とにかく出発しようということでございますので、石炭の大手六社がこれに出資し、開発公庫といたしましても、その開発的意義を認めまして一億五千万円を出資いたしておるわけでございます。なお、これに対する融資もずっと続けておるわけでございます。
  175. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうしますと、土地造成の問題が三本立てぐらいになるわけですか、開銀を通してですね。開銀が地方団体にやる。もう一つは、民間にやると、それからあなたのほうが、これは北海道だけの、——東北に区切ってもよろしい、そうですね。開銀は北海道なり、あるいは東北に対する土地造成の問題でやることができるわけです。で、今度はまた民間でやれることになる。あなたのほうも、公庫法に基づいて主務大臣が指定をしさえすれば、その土地造成に対してできる。しかも、それは苫小牧港開発株式会社というものは民間だと、こうおっしゃる。それには出資もできるのだと、ただ、融資だけでなく、開銀のほうでいうと、協調融資で二割くらいしかやれない。二、三割やって、あと市中金融に仰ぐのだとおっしゃる。あなたのほうは、つまりこの融資二十四億五千万円くらいやっておみえになるようでございますが、これは市中銀行との協調融資になっておるのか、あるいは単独融資になっておるのか私わかりませんが、もし単独融資だとするならば、まあいろいろな問題がございましょうが、何かこう資本みたいな形になっておるようですが、その辺の御説明を伺いたい。
  176. 北島武雄

    参考人(北島武雄君) まず、開発銀行との関係を申しますと、開発銀行は、北海道及び東北地方におけるこの工業地の造成に対する出資、融資はいたさないわけでございます。まず分野が違いまして、当公庫におきまして北海道及び東北地方における工業用地の造成資金を貸すことになっております。従来でも、主務大臣の告示によりまして個々に指定してできることになっておったのでございますが、開発銀行法を改正いたしまして、開銀が新しく工業用地の造成をするにつれまして、当公庫においても、これをはっきり法律の上に書いたらいいじゃないかということで法律に載ったわけでございます。  なお、苫小牧港開発株式会社に対する融資は、現在残高二十五億以下でございますが、これはこのほかにもちろん民間金融機関の協調融資が伴うものでございます。
  177. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 協調融資ですが、たとえば、それじゃ融資は苫小牧港開発株式会社というのはどのくらいいま残を持っておるのでしょうか。そうして、それに対してあなたのほうの二十五億ですか、大ざっぱに言って。その二十五億くらいの残が占めておる比率はどのくらいになっておるのでしょうか。
  178. 北島武雄

    参考人(北島武雄君) 昭和三十八年度までにおきまする苫小牧港開発株式会社の設備投資の金額は四十億近いものがあります。正式には三十八億数千万円でございます。このうち、当公庫がいままで融資をいたしましたものの現在の残高が、昨年の十二月末で二十五億七千万ということになっております。あとの差額が、当初の石炭各社の出資と、それから、苫小牧市の若干の出資、それから、民間の金融機関の融資、こういうことになっておるわけでございます。
  179. 柴谷要

    柴谷要君 関連質問日本開発銀行についてちょっとお尋ねしたいのでございますが、本年オリンピックが日本で開催されます。従来、オリンピック委員会でも、非常に外人客宿泊の問題でいろいろ議論をしたのでありますが、ホテル建設、あるいは日本旅館の改造、そういった面で開銀からの融資が多額なものが要請されておったのですけれども、それに対しましてどの程度の融資を今日までやっておりますか、その内容について御説明をいただきたいと思います。
  180. 平田敬一郎

    参考人平田敬一郎君) ホテルの融資につきましては、先ほど大蔵大臣からお話もございましたが、外客誘致、国際収支の改善という見地から、実は少し前から取り上げておりまして、三十二、三年ごろからぽつぽつやっておりますが、特にいま御指摘のオリンピックということで相当その後増加いたしまして、三十八年度の見込みにおきましては、件数で三十三件、六十億程度の融資を行なう考えでございます。その前の年は二十一件、二十七億四千五百万程度の融資をいたしております。ただ、これは私の銀行は、ほとんどすべての場合同様ですが、大体協調融資でございまして、ホテルの場合も大体工事費の二割から三割、あとは自己資本と民間の市中銀行の協調融資ということでやっておりますので、実際ホテルの工事費は、この何倍かに相当するホテルができておるということに相なるかと存じます。
  181. 柴谷要

    柴谷要君 最近の日本のホテルの実情を見ますると、何か第一ホテルや帝国ホテル程度が黒字会計で、その他は非常に調子が悪いというような話が伝わっているわけですけれども、これが融資先に対する開銀としての不安というものをお持ちになられるかどうか、オリンピックに外客がたくさん入ってまいりますので、本年度の実績によってはかなり上向いてくる、引き続いて観光客が増大をしてまいりますれば、非常に有利な事業と私どもは見ているわけですけれども、さて、当事者になりますと、なかなか先き行き不安も感じておるようなことを聞くわけでありますけれども、開銀自体でごらんになっております方向はどういう方向でございますか、お尋ねいたします。
  182. 平田敬一郎

    参考人平田敬一郎君) お話の点、そういう場合がある場合もございますが、大体お話のように、いままでからある代表的なホテル、だいぶ増設いたしましたが、たとえば帝国ホテルとか第一ホテルですね、例をあげて恐縮でございますけれども、そういったようなところは増設後直ちにもちろん黒字でございまして、たいした負担にならないでお客さんもふえ、収入もふえ、利益も出まして順調にやっております。ただ、全然新しく、たとえば四、五百室の部屋をつくった大きなホテルでございますね、新しい。これは率直に申し上げまして、まあ最初の年から黒字を出すということはとてもこれはできません。私ども審査の方針としましては、大体三、四年でございますか、少なくとも三年か四年ぐらいの間には黒字が出るという見込みがなければ、これはとても金融ベースに乗らぬというつもりでいるのでございますが、どうも私ども審査部で審査をいたしました予想より、結果は多少早目によくなっているようでございます。それはそれで、あまり言うとホテルブームになるのでございますが、少し最初はあまり景気がよ過ぎないほうがちょうどいいくらいになるのではないかと見ているのでございますが、東京状態はそうでございます。状況によって違いまして、京都の場合は、季節的に非常に繁閑の差がございますので、やはり新しいホテルができますと黒字採算になるのに、東京の場合よりもやや時間を要するという状況でございます。したがいまして、私どもは、できるだけ新設ホテルの場合におきましては自己資本を多くしてもらう、資本金を多くしてもらう、できれば三分の一以上してくださいということを、そうはいかぬ場合もございますが、初期の段階で持ちこたえるようにしておく。私ども開発銀行の融資につきましては、額は二、三割で少ないのでございますが、期限は、大きな固定投資でございますので、十年から十五年くらいの市中の倍くらいの期限を設けまして、無理のないところでやるといった、大体そういうことでやっておりまして、いままでのところ、若干例外はございますけれども、そう見込みはずれといったようなものはない状態でございます。今後やはりそういったような点につきましても、十分私ども注意をいたしまして、適正を期したいと考えております。
  183. 野々山一三

    野々山一三君 今度のこの改正で、譲渡を目的とする土地の造成についても融資できるというのでありますが、法律のほうによれば、経済の再建及び産業の開発に寄与する事業の用に供する土地の造成といううたい方、したがって、ワクがあるようにも思われるのですが、一体どういうようなものを対象に一「譲渡を目的とする」という土地造成についても金を貸せるというようなことになりますと心配事ですから、聞いておきたいのでありますが、ある地域の開発というような、ある民間鉄道なら鉄道が特定なところをお客を誘致するためにずっとやりますね、住宅団地を建設するために、そういうような部類にまで及んでいくとすれば、これはこの種のものでやれるというのは、まるきりこれは開発ということよりも、会社的な利益効果を求めるという目的で土地造成をし、それを分譲するということになってしまうじゃないか、それは一体この開銀の性質から言って、そういうことまでいけるように予想をしてこういう法律考えられるか、その点を。
  184. 平田敬一郎

    参考人平田敬一郎君) いまお尋ねの点がございましたので、融資に当たってどういう線でやるかという基準を設けてやりたいと考えております。一つは、お話のように、やっぱり開発銀行としては産業、経済の発展というのを主たる目的にいたしておりますので、産業用地でございますが、港の施設なんか一部含められると思いますが、産業用地に限りたい。ただ、工場内で一部住宅をつくる場合に、そういうものも一々こまかく配慮するかというようなことは付帯的にございますけれども、主たる趣旨はそういうことにいたしたい。住宅用地は、私は、別個政府委員会で参加してやっておりますが、やるとすれば、他の一般住宅金融公庫等でやるのが妥当ではないかと考えております。私ども産業用の土地の造成ということにまず限りたい。  それから、第二番目は、地区につきまして、やはり新産都市とか工業整備特別地域とか、あるいは、また、これに準ずるような、政府の政策で工業の開発に重点を置いてやらなければならないような土地、そういうものを中心にいたしたい。それから、場合によって例外が出てくるかもしれませんが、例外の場合はよく調べて、適切かどうかを審査してやる。それから、規模のあまり小さいものは国民経済的効果から見てどうかと思います。一定規模のところにしたい。具体的にどうするか、目下いろいろ検討いたしております。  それから、さっき申し上げましたように、企業体でございますね、どういう企業体がやるか、これにつきましても、よく検討いたしまして適切を期したい。先ほどお答え申し上げました点は、その典型的な例を申し上げたわけでございます。  それから、もちろん公庫審査にあたりましては、融資の場合と同じように、ケース・バイ・ケースで十分な審査を加えまして、特に土地の利用し得るタイミングでございますね、造成の時期、それがはたしていつどういう形で利用し得るか、これはなかなかむずかしいことでございますが、その辺に産業その他の知識経験をできるだけ活用いたしまして、適切な判断を下して妥当を期するようにしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  185. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 平田総裁に一言伺いたいんですが、ただいまのお話のヨーロッパ市場に外債をこれから多く求めていく傾向になるだろうと思うのでありますが、先年の、金額はわずかですけれども、ドイツの大阪市港湾の外債と同じように、金額は非常に少ないが、いい影響を与えた。まあアメリカがなかなかいろいろな事情でまとまったものが受けにくいという場合に、ヨーロッパ市場において、たとえば二千万ドルなら二千万ドルを一つの国でまとめるということはなかなか至難じゃないですか。そういう点について、かりにおやりになるとすると、これは何回かに分けて、分類して募集するとか、そういうような構想がおありなのか。それから、もう一つ、視察をせられた結果、特にこの国に重点を置いていくほうが今後いいのではないかというような御意見をお聞きできればひとつお聞かせ願いたいと思います。
  186. 平田敬一郎

    参考人平田敬一郎君) まだ私ども開銀の場合、来年度ヨーロッパへ出すということをきめておるというわけではないことをあらかじめ申し上げておきますが、市場の状況を見た上できめたい。御承知のとおり、ヨーロッパの市場は、アメリカの市場に比べまして、率直に申し上げまして、いままでたいへん小さい。スイスの市場はたいへんいいのですが、ニューヨークの市場と比べて、率直に言って、規模はいままでは十分の一以下、それからドイツは、御承知のとおり、日本のマルク債を中心に発行できましたことは御承知のとおり、これは私は漸次うまくいきつつある。最近、昨年の秋でございましたか、出ましたものは、条件が前よりもよくなっているのであります、発行者にとりまして。したがって、ドイツは日本にとっては一つの市場である。しかし、この市場はまだニューヨークやスイスの市場と違いまして、ほんとうの市場らしい市場までに至っていないように見受けられます。そこで、最近はヨーロッパの国で、その他の市場もございますが、いずれも小さいので、まとめて外債を発行するという構想が打ち出されております。これは私は一つの行き方じゃないだろうか。まとめて発行地の通貨でそれぞれ出していく、計画その他はまとめて出すという話が、これはドイツのドイツ銀行中心に打ち出されているようです。これは一つの考え方じゃないかと思いますが、それからロンドンは、これは直接ロンドンで消化する分は少のうございますが、ロンドンは相当のいわゆるアンダーライター、有力者が昔からおりまして、その辺の人々が最近だいぶ活躍いたしております。たとえばヨーロッパでドル債を出すといったような場合におきましては、こういう方面相当有力な活躍をしているようでございまして、これも一つの方法かと存じます。しかし、いずれにしても、いまヨーロッパはそういう時代でありまして、市場がだいぶまだこれからというときでございますので、やはりよく状況を見ながら、できるだけ私どもとしましても、ひとり開銀債のみならず、日本の外債がヨーロッパにおきましても、そう不利な条件でなく発行できるような情勢になるように十分よく見ておりますし、また、研究してまいりたいというふうに考えております。
  187. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 開銀関係につきましては、実は明日他党の方が質問されるということを承知しておりますから、これ以上これは伺いません。それから、北海道東北公庫については他党の質問の御希望はないようですが、しかし、貸し付け残が少し多過ぎるんじゃないか、いろいろな意見もございますから、そういうような点については、今後ああいうたいへんおくれておるところでございますからして、事情等もわからぬわけでございませんし、いろいろ前に御尽力をおやりになることを承知しておりますので、敬意を表しまして、これで質問は省略さしていただきたいと思います。  次いで、関税関係でお伺い申し上げたいと思います。
  188. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  189. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めてください。
  190. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 関税定率法等関係二つ三つお尋ねしておきたいと思います。いろいろな議論をいまさら私たちもする必要もないと思いますし、これは外国為替等の問題でいろいろと御意見を承っておりますから、そこで、肉のことで少し承っておきたいと思いますが、一体三十七年に対して三十八年は、私のところにあります資料は十二月末の資料でございまして、これはおそらくあなたのほうからお出しになった資料だと思いますが、これがまあ大体期末も近づいてまいりましたが、どのくらいにふえておるのか。肉関係でまず承りたいと思います。
  191. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 委員部からお配りになりましたお手元の資料の四枚目のところに数字をお出しになっておるわけでございますが、若干訂正を申し上げなければならないのは遺憾でございますが、三十七年度のところが四千四と書いてございますが、三十八年十二月末のところが七百六十五と書いてありますのは三十七年度の価額と三十八年十二月までの数量とが入れかわっております。これは十二月末までの数字となっているわけでございますが、三十八年暦年で見ますというと、この数字は四千六百八十九トンとなっております。暦年で三十七年は四千七百六十四トン、数字がおおむねこのようになっておりますのは、牛肉は割り当てをやっておりまして、めどが五千トンということになっておることに基づくものと思っておるわけでございます。豚肉の輸入量は、三十七年はあまり行なわれませんでして、二トンという数字になっております。三十八年は六千五百十二トンという数字になっております。
  192. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 目標はどうなりますか。
  193. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) これも年度間五千トンという……。
  194. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 豚も五千トン。
  195. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) はい。これは、ただし、豚の値段が安定価格の上位をこえまして、需給価格が上がったときにやることになっております。これは緊急輸入的にやることになっております。実績を申し上げますと、三十八年度上期の割り当て量は三千トンでございます。六月に行なっております。下期にも同じく三千トンでございます。それから家禽肉でございますが、若鳥、ブロイラーの輸入は、お手元の資料に年度で示されておりますように、三十八年度は三百二トンというものが、十二月末で三千四百二十四トンというふうに、非常にふえておる次第でございます。
  196. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 これも目標でございますか。
  197. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 家禽肉のほうはAAになっております。自由になっております。
  198. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 これは、しかし、豚が非常に変動をして主婦を悩ます大きな問題になっておりますが、それに対して緊急輸入でいろいろと御努力を願っていることはわかります。農林省等もいろいろと苦労をしておられるようでございますが、今度のこの税率改正でこの問題が一ぺんに解決するとも思いませんし、これは税関係の話だから、おれは知らぬわいということではなくて、やはり価格があまり大きな変動のないようにやっていくにはどうしたらいいだろうかということは、これは所管外だということではなくて、何か御検討されておると思うのですが、そういうようなことに対する何か対策というようなものはございましょうか。
  199. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) いまお話がございましたように、年末にかけて、非常に騰貴を一般にいたしたわけでございますが、豚についてみますと、その主導力になりました豚についてみますと、どうも価格が三年間ぐらいの周期で、非常に高くなりましたり、非常に下がりましたり、かなりの変動を示しております。そのことがまた養豚農家に対する意欲というものにかなり響いているように聞いておるわけでございます。これにつきましては保蔵、流通等につきまして、いろいろ予算措置等を考えまして、価格が安定するよな措置を農林省でも考えておられるところでございます。高かった時期の豚の値段を比べてみますというと、輸入しまして国内に卸にかけました場合に、どうもいままで三十七年などは輸入品が高かったものでございまから、赤字を出した例がございます。つまり緊急輸入によって値段を下げたいということで輸入が行なわれましたけれども、そのときにはまた外国も値段が高いという、同じような値段のサイクルを描いておることもございまして、はなはだうまくままいりませんでしたので、豚につきまして、関税面では、あまり高くなりましたときには関税を軽減する、または免除するということにいたしております。ただ、国内養豚農家の関係もございますので、農林省のきめられます上位安定価格をこえた場合に限り、やることにいたしております。牛につきましても、同じように上がってまいりまして、非常に消費物価に影響したのでございますが、このような場合に、農林省ではまた牛肉の輸入を行なっておるわけでございますが、それによる効果を見ますというと、どうも冬場、年末年始にかけて高くなるようでございますから、割り当てをそのような時期に合わせてやってまいりました。ところが、牛肉の供給源は、御承知のように、現在実際に入っておりますのは二ュージーランド、豪州でございます。ここらは南半球でございますので、夏場になりましてあまり市場に出ないということでございまして、なかなかうまくまいりませんでして、その点は、割り当てを今後農林省においても、もっと前広にやるというふうに改正されることを考えておる次第でございます。
  200. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 この点は、まあ農林行政の手腕だと思いますが、そこで、家禽のほうですが、まあチキン戦争はこれからどういう見通しを立てておられるか、私はわかりませんが、私個人としては、どうも激化するのじゃないかというようなことも予想されると思うわけです。そこで、今回の一〇%引き上げになるわけでございますが、これは大体五十円に相当するわけです。そうすると、最近の国内、国際で見ますと、大体五十円のいま差があるから、ちょうどパーパーになるからいいじゃないかということも言えると思います。しかし、三十七年から三十八年にかけまして、これは十倍も実はふえているわけですね。そうしますと、これはAAだということになれば、なお入ってくるのじゃないだろうかといえば、なるほど農家では牛も豚も大切でございますが、鶏も大切な問題だと思っております。そういうことについてはどういうような見通しで、まあこのくらいやっておけば間違いないわい、こういうような見通しが立ったとするならば、立った根拠を承っておきたいし、もしたいへんなことになるという見通しがあるとするならば、これは何か二〇%で弾力的になるのか、その辺のところは私は勉強不足でございますからわかりませんが、どうおやりになるのか、承っておきたい。
  201. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 成瀬委員にまず最近の数字の動きを申し上げておきたいと思います。三十八年の輸入額を概観いたしますというと、一月から四月にかけましては、おおむね二十トン前後の月の入り方でございました。それが五月ごろから少しふえてまいりましたが、顕著になりましたのは九月百二十八トンという大台が変わった時期がございます。十月が二百二十二トン、十一月千九十五トンでございます。ここで急増いたしております。十二月は千七百六十九トン、この調子でふえたのでは相当になると思って見ておったわけでございますが、一月は五百八十トンと落ちておるわけでございまして二月の実績は五百七十四トンでございます。まあここら辺の水準でおさまるかと実績の上からは見ておるわけでございまますが、いままで見ておりますところ、国産品と輸入品の格差は、成瀬委員御指摘のとおり、約二三%で、五十円ぐらいのものになるかと思われます。ただ、若干品質の差というものもあるのではないか。つまり非常に冷凍されてきましたものと、それほどでないものとの、何と申しますか、冷凍をもとに戻す手数とか、味の差というものも若干あると考えられておるわけでございます。おおむね二〇%程度の関税をかけますならば、まあ非常な打撃を受けることはないのではないかと見ておるわけでございます。ただ、日本の養鶏業は、これは成瀬先生御存じでありますが、非常に外国と比べまして、そう劣ったものではないというふうな産業だと思っておるわけでございますが、ただいまのところ、ブロイラーについて見ますると、飼育期間がアメリカのように短くなっていないようでございまして、これは品種の改良をやらなければならぬということになっておるわけでございますが、日本のいまのところの研究では、向こうからそういう品種を入れてきましてやるということを行なっておりますので、国内でそういう品種ができますことになりますれば、かなり値段はまた下がるという問題はございます。それから、施設にいたしましても、向こうは非常に大規模なものをやっておりますことは御承知のとおりであります。大規模で人の手を省きまして非常にコストを下げておるわけでございます。御承知のように、えさや水をコンベヤーの上に乗せてやっておるわけでございますが、その施設に似たものがありましても、まだ日本のものは改良の余地があるのであります。かなりの設備資金を要するようでございますが、改良を加えますれば、国産もまた輸入品に十分拮抗できるように考えておるところでございます。ただし、そういうふうな十分に拮抗できるまでに設備なり品種なりの改良を進めます期間はどうも相当要ると思われますので、今回この関税を倍にするという措置お願いしておるわけでございます。
  202. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 ちょっと数字をお聞きしましても、どうも私たちにはわかりかねるのですが、一体大手の卸の人たちが操作してくるものなのか。ということは、三十八年一月から四月まではこれが約二十トンくらい。それが三十九年度になりますと五百八十トン、二月はやはり五百七十四トンとおっしゃいました。しかも、昨年十月、十一月、十二月というのはたいへんなふえ方をしております。消費者のほうの側で言えば、そう一ヵ月によけい食ったり減らしたわけじゃないわけです。どうしてこんなに変動が出てくるのか。何か流通機構のどこかに欠陥があるのじゃないかという感じがするわけです。これはまあ関税のほうの関係ではない、付も大蔵省の責任じゃないように思いますが、よって来たる原因はどこにあるのでしょうか。
  203. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 豚肉が上がりまして、それらに引きずられまして、動物たん白系統の食料と申しますか、そういうものが年末にかけましてだんだん強含みになってまいりましたことは御承知のとおりでございます。どうも慣習的に年末年初は非常に肉の使用量が多いようでございます。そのために国内でも相当消化されましたけれども、輸入の量もふえたということだと思います。
  204. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 これは局長さんにお伺いするのは無理な話なんで、それなら食糧庁なり、あるいは農林省ということになっても、これは時間的な問題もございますから、私はお願いだけしておきたいと思います。これは私もしろうとでございますから、感じを申し上げるわけですから、当たっておらないかもしれぬけれども、どこかに流通機構の欠陥があるからこそこういう形になるのじゃないか。御指摘のように、正月、年末は、それは確かに脂肪をたくさんとらなくちゃならぬ。これは生理的な問題です。しかし、何倍というふうなことは、大体消費者の側でいえば、収入がそれほど許さぬですよ。ですから、それほどに何倍も食べるなんということはあり得ないことなんです。ですから、私は、消費の側でいえば、少しはそれはふえるかもしれませんけれども、一〇〇%増になるなんていうことはあり得ないはずなんですから、そこで流通機構関係、特に農林省関係等と、今後どうせまたチキンの問題については私は問題が出てくると思うのです。そういうような点については、十分ひとつ打ち合わせをして、消費者の側にも、もしそういうようなところで、これは関税定率法とは関係がないわけですけれども、ぜひひとつあまり消費者が不幸にならないように、あるいは、また、農村で養鶏をやっておる人たちが被害をこうむらないようなことにやっていただきたいと思います。これは要望でございます。  次に、毛織物のことで少しお尋ねしておきたいと思うのですが、今度は二〇%の従価と、一メートル百七十円の従量を併用しておったものを、片一方を二〇%と、それから三百三十円の従量と、どちらか高いほうをやるのだというふうなことになっておるようですが、これは何か目的と申しましょうか、目標があってこういうようなふうに改められるのか。どういう点でこういう改正が必要になってきたのか。
  205. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 初めにちょっと前の家禽肉のことについて補足させていただきたいと思いますが、国内の鳥肉の消費量は、農林省の統計によりますと十四万三千トンぐらいになっております。したがいまして、五千トンという数字は確かに相当数字ではございますけれども、消費を一人当たり非常にふやすことになるという数字ではないわけでございます。  それから、いまお聞きになりました毛織物の関係でございますが、これは毛織物のうち、厚手の紡毛製品を問題にいたしまして、安いものが入ってまいりました場合に、従価税では税がまた少なくなるわけでありますので、従量税にいたしまして、あまり国内の産業との間にフリクションを起こさないようにという措置でございますが、これはほんとうにねらっておりますのはイタリア製品でございます。
  206. 柴谷要

    柴谷要君 関連して一問だけお尋ねいたします。それは国産原油の購入にかかわる関税の特別還付というのが新設されましたですね。これはまあ国内産業開発の一助ともなることで、非常にいいんだと思うんです。大いに賛意を表したいと思うんですが、そこで、いまの国産原油というのは、外国から輸入してきますようなものより、はるかに高い、千円と見当をつけていますが、千円の割り高になっている。こういう状態になっているので、揮発油にかかるものを算定をして、七百円分だけ関税のほうで還付をする、こういうのでございましょう。千円見当、高いものを七百円、これは揮発油税に関係をして、原油から出た揮発油税に対して概算すると七百円、こういうことだと思うんですが、なぜこれを千円にしなかったか、また一歩進めてやったらいいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  207. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 委員部で御配付になりました資料にも千円と実は書いてあるのでございますが、常識的に実は千円といわれておるわけでございますが、厳密に国内産の石油を精製しますために引き取る場合のコストと、輸入原油を引き取る場合のコストの差を詰めてまいりますというと、実はいろんな問題が出てくるわけでございます。これら日本の精油所が国産の原油を精製しておるわけでございますけれども、精油所を具体的にいいますというと、港に接岸施設がありまして、非常に安く輸入原油が入れられますものと、奥のほうに引っ込んでおりまして、陸上輸送でかなりの経費をかけなければ精油所まで持ち込めないというのがございます。なお、港にわりあいに近接しておりましても、港自体が輸送船を着け得るような設備を持っていないものもございますから、それは少し厳密にやりまして、そういうところへ輸送するタンカーを回しまして石油を引き取るということをしました場合に、その実際の輸入分の引き取りのための経費と、国産原油の引き取りのための経費というものを詰めて比べてまいりますというと、差は千円よりも縮まってまいるわけでございます。いろいろの問題がございますところをだんだん整理してまいりますというと、平均いたしまして、国産原油を引き取っておりますために負担が多いといわれます。千円は六百八十円見当に詰まっておるわけであります。したがいまして、これをベースにいたしまして還付額を計算することに考えておる次第でございます。
  208. 柴谷要

    柴谷要君 委員長、最後に、これは答弁なくてもいいのですが、あとで資料をいただきたいのですが、日本石油と昭和石油、日本鉱業が、これは国産原油を引き取っておる会社でございますね。この会社が大体国産原油をどの程度の割合でこの三社で引き受けておるか。それから、それに該当する大体五億の還付見込み額だけれども、その金額は引き取り額に応じていっていると思うのですが、その還付額は大体この三社でどんなふうに配分されているか。そういうふうなのを、あとでけっこうですから、出していただきたい。これをお願いして私は終わります。
  209. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 免税関係の期間延長ですね、あるいは適用の期間延長、これは「一年」というふうに短く区切っておるのだが、また来年こうした問題が議論されるわけですが、それはまあ自由化の一つのテンポ、そういうふうなものとあわされてこういうふうにやられておるのか。また来年になってもう一年伸ばすというようなことをおやりになることはないでしょう。
  210. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) これは暫定一年というものは、暫定措置法というものの規定の大部分になっておるわけでございますが、関税暫定措置法の本文に書いてありますほうに、学校給食用でございますとか、航空機用の品物の減免でございますとか、重要機械というようなものは、これはどうもまたお願いをすることになりそうだと考えておるのでございます。  それから、税率を暫定的に一年とお願いいたしておりますものも、自由化の結果、輸入がどうなるかを見さしていただきたいということでお願いしておるわけでございますが、一年では済まず、もう一年お願いするのも出てくるかもしれないと考えておるわけでございます。いままでの例も、一年できちんとはなかなかいかなかったというふうになっておる次第でございます。
  211. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私は、関税の問題については、ペンディングするということはおかしいわけですが、また三十日にあらためて御質問する場合があるかもしれません。そのときに譲って、国立学校の特別会計のほうに入りたいと思います。  時間がございませんから、簡単に御質問を申し上げておきたいと思いますが、まず、第一に伺いたい点は、もしかりにこの法律案が三十一日に通らなかったとすると、それはほんとうに四月一日からどういう点でお困りになるかという点をまず伺っておきたいと思います。なぜこういうことを伺うかというと、何かほかの委員会の御答弁によると、そうたいしたことはないのだ、やっていけるのだというような御答弁があったやに承っておりますから、承っておきたい。
  212. 相澤英之

    政府委員(相澤英之君) もしこの特別会計が三月末までに成立いたしませんと、歳入面でも歳出面でもいろいろと不都合が生じてまいります。たとえば付属病院におきまして、患者の診療用の薬や資材の購入ができなくなり、また、食糧費がないので入院患者に給食のための野菜や魚が買えなくなるとか、あるいは、また、血液の供給者に対して現金払いができないので、急患に必要な採血に支障ができるとかいったような事態も考えられます。また、臨時人夫等に対する賃金の支払いができなくなりますので、入学等の準備に支障を来たしますし、また、教育研究用の資材等の購入もできないということになります。また、さらにおくれますと、国立学校一万七千人の職員の俸給の支払いができないといったようなことになるおそれもございます。  以上は歳出面でございますが、なお、歳入面におきましても、付属病院の診療収入等、大体一日六千万円近くございますが、これが一般会計の収入になってしまいまして、特別会計ではそれだけ歳入が減るということになる。また、入学料とか授業料といったものの現金収入も一般会計の収入となるといったような事態が出るわけであります。また、こういうことを避けようといたしますと、妙なやり繰りをするということになりまして、経理上の点でも問題を残すことになります。したがいまして、やはり年度内にはぜひ成立いたしませんと、各所で非常な不都合が生じてくるということが考えられます。
  213. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 一般会計から特別会計をおつくりになったわけですが、特別会計を設けることがいいか悪いかという議論は省略して、今度一般会計から特別会計に移すことによってどれだけ具体的に学校がよくなるかという点ですが、私は、委員部からいただいている資料を便宜上とらさしていただきまして申し上げてみたいと思いますが、一般会計からの受け入れ金、こういうものがふえてくることはわれわれもわかるわけですが、借り入れ金が十億ほどあるぐらいのことで、ちっともいいような感じがしないわけですが、この特別会計を設けられることによって何か特別な措置をされたことがございましょうか。どういう具体的な利益がございましょうか。
  214. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) いろいろございますが、お話がございましたので、施設の点だけについて簡単に申し上げますと、病院収人によりまして施設を充実していくといいましても、収入は徐々にでございまするし、施設は一時に金が要りますので、その引き当てに借り入れ金の制度を設けましたが、今回は初年度でもあり、それは十億円はお話のとおりであります。そのほかに債務負担行為をだいぶ計上いたしております。これらはいずれも交換、あるいは新規取得のための契約権限ができますので、それらを合わせますというと、施設費は、全体で三十八年度百八十九億というベースでございましたのが、三百億をこすことになります。これらのことができましたのは、この特別会計によりまして予算も分かれるのでございますが、むしろそれは結果でございまして、収入、支出、それから資産、負債、これをそれぞれ一般会計より分けまして、独立の経理主体といたしまするので、その関係で、学校関係の収入は、学校の経営のための入ってまいりまする収入も、それから、あるいはつけかえをするために売って買う、あるいは売って建てるといったような操作の間に入ってまいりまする収入も、一切あげまして一般の収入とは分けまして、特に学校だけの経費に充てる財源である、こういうことに固定されますので、したがって、その資産が固定される関係上、その収入が固定され、収入が固定される関係上、債務負担行為というものが成り立ってまいるということでございます。全体で、簿価でございますが、二千百億ほど現在学校で使っておられる行政財産がございます。これらが無償で一般会計からこの会計に帰属せられることになります。以後は、これらの施設はこれを処分いたしまして、近代化する、あるいは立体化するというようなことになります場合、あげてそういう操作の結果はこの会計に入るわけでございまして、その点は、国有財産管理の面からいきましても、相当大きな踏み切った措置になっております。
  215. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私は、中央教育審議会等でいろいろと議論されたとか何とかを、そういうことは一切抜きにしてやらないと、議論をすればきりがございませんから、そうさせていただくわけでございますが、あなたがおっしゃるように、借り入れ金ですね、資金運用部から十億。これはいつかは返さなくちゃならない。それから、国庫債務負担のほうは三十五億ほど見積もられておるように承っておりますが、これに対して、これは私は何も特別会計じゃなくたってやれるような感じがするのですよ、もしやればですね。ですから、何か特別なことがなくて、むしろそういうことよりも、非常にみんなが心配しております点は、たとえば付属病院の収入を三十八年度と三十九年度を比較してみますと、これは一般会計のときもやるから同じじゃないかとおっしゃるならそれまででございますけれども、大体三一%増になっておる。それから、授業料及び入学検定料が三十八年度と三十九年度を比較いたしますと一九%増になっておるわけです。こういうことは、何か病院関係のほうも、いろいろな意味合いにおいて、使うものが締められて、もっと付属病院として研究などということに主点を置かずに、もう少し民間のようなサービスのほうにちゃんと力を入れて金もうけしなければいかんというようなふうにだんだんとワクをかけられてきはしないだろうか。それから、授業料のほうも、伸びの一九%というのは、なるほど大学の生徒数をふやすというようなことも考えられておりますから、それは私らもわかるわけですが、何か授業料も近々のうちに値上げをしなくちゃならぬというようなふうになりはしないだろうかというようなことを心配しておりますが、そうじゃなくて、これはもう生徒数の増だけでこれだけになるんだと、こうなっておるのか、どうでございましょう。
  216. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 御質問の点は、今回の特別会計をつくりますにあたりまして、文部省側でもその点を一応御心配になり、それから、さらに各学校の御当局に対しましても、十分にこの点の正確な御理解がないことにはということで懸念された点でございまして、われわれもたびたびすでに明らかにいたしておるところでございますが、その趣旨に従って申し上げますが、今回のことで歳入を増徴するということのために特別会計をつくったものではもちろんございませんし、それから、特別会計をつくりましたことによりましてそういうようなプレッシャーがかかる、あるいはかけるということを全然意識いたしておるものではございません。国立学校と申しましても、戦後非常に数が多くなったわけであります。しかし、その整備は、広いために、予算の点では相当重点として力こぶを入れておりまするが、なかなかこれが意にまかせません。しかし、まあいろいろなうわさをつくられ、設備が悪いので批判を受けておるわけですが、何としてもこれはいいものに持っていかなければならないということで、その施設あたりも、国有財産の旧軍財産でありまするとか、あるいは返還財産でありまするとかいうようなものを利用しておられるところもだいぶございます。それらのものも一時使用の形からほぼ固定した体系になってまいりまして、その実質が大体において固まってきたように感ぜられましたので、この際にそれらの資産をここに特定する、そして、今後は売った場合にも、その財産価値だけは学校の会計から流れ出さないようにするということが趣旨でございまして、これらの場合には、学校は、その学校のあるべき姿といたしまして充実さしておくことを考えておるのでございまして、これを収益化するということを考えておる次第では決してございません。真意はそういうことで、幸いにそういうことでもって明らかになりましたので、文部省側におきましても、大学側に対してこれなら説明ができるということで御納得がありまして、むして最後はそれを要望されたわけであります。  なお、いまの数字の点でございますが、学生から徴収いたしまする手数料の類の増加は、これは自然の増加でございまして、人数の増加もございます。それから、過去に行なわれました月謝の引き上げの学年進行など、進んでおりますので、その関係も一部響いていると存じます。  それから、病院のほうの増加でございますが、これは御承知のとおり、医療費の関係が全般に非常に増高いたしております。そのうらはらといたしまして、病院の収入は、これを収入する機関からいいますと、これはふえてまいりますが、現実には、従来よりもこの点は比較的実情に即して組んだという点はあると存じます。従来でございますと、年度末になりまして予備費を組んだり、あるいは追加予算で追加をお願いしたりして歳出を足したりしたこともございますが、その裏には自然増収が毎年相当出ておったわけであります。それらのものをできるだけ合理的に計上したという点もあると存じますが、しかしながら、そのほかに、主たるものは医療費、関係の収入の実績の傾向によるところの増加でございます。
  217. 相澤英之

    政府委員(相澤英之君) 病院の収入の点でちょっと補足いたしますと、三十八年の実収入見込みは、十一月までの収入実績をもとにしまして年間見積もり額を出しますと約百五十億円、三十八年度の予算額に対して二十二億円ほどふえる見込みでございます。そこで、この百五十億円を基礎にして、過去三カ年間の平均増加率一五%を乗じて算出したものが三十九年度の予算額となっております。病院収入が増加したのは、入院患者の増加等によることはもちろんでありますが、三十七年の十二月及び三十八年三月の薬価基準の改定があったことももちろん影響しております。で、病院の歳入歳出の割合は、大体過去におきまして歳出額の八〇%程度が歳入予算ということになっております。このバランスは三十九年度におきまして変わっておりませんので、無理に歳入をあげる努力をしいるというような考え方は予算面においても加えておりません。
  218. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 これはどうも数字がございませんから何とも言いようがないのですが、どうも三一%増ということは、いま相澤さんがおっしゃるのをお聞きすれば、まあ二十二億なんだ、これはしかし、年間で四十五億実はやっているわけですが、どうも三一%増になってくるということはそうじゃないのだということについて、もう少しこれは三十日に私も議論したいと思いますから、そういう三一%増にしたその資料をいただきたい。  それから授業料のほうは自然増だと、こうおっしゃるが、それならば自然増でどれだけふえてきた、あるいはすでに引き上げが完了して、だから交付をやるということならば、私は、三十八年度でやれば、三十八年度の歳入が決算においてふえてくるわけです。それが三十九年度の決算の上にどうなってくるかという点があると思いますが、どうもこの一九%増というようなことも納得いたしません。ですから、そういう点についても資料を三十日の朝までにお出しを願っておきたいと思いますが、これは出ましょうね。
  219. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 予算の積算の内訳を詳細に資料をもって御説明いたしたいと思います。  なお、ただいまちょっと説明が足りませんでしたが、授業料のほうは去年値上げになっております。学年進行で来年は一学年また上がっていきます。全部一律に上げませんから、そういう関係も響いております。その点詳細にまた後ほど資料をもって御説明申し上げます。
  220. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 もうこれだけできょうは終わります。国有財産が二千五百億ある、こういうんです。そのうちの大体十五億今年度売る、こういうことになっておりますが、これ全部売払ってしまったらたいへんなことになるだろう。一体、国立学校の今度財産移管になりまして売り払える限度というものを押えておみえになっておると思うが、どれくらいございましょう。これも年々一方のほうで設備を強化していくために計画的に売り払わせようとしておるのか、それもなかなかうまくいかないだろう。まあどういうような計画と申しましょうか、そういうものに立っておられるか、そして限界をどのくらいに押えておられるか。
  221. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 数字は文部省のほうから申し上げることにいたしますが、考え方といたしましては、売るといたしましても、使っておるものでございますから、必要なものを売るということでは決してございませんので、やはり技術革新の関係がございまして、あるいはいろいろな施設が市街地化して、教育目的の上からいっても、これを時価で換価して、もっと充実したものに直したほうがよろしい、あるいは場合によっては、もっと閑静なところへ移したほうがよろしい、そういうようなそれぞれの事情に応じまして処分が可能である。しかし、大体においては、それに代替する施設をまた必要とするといったような性質のものでございます。そういうようなものを財源に当てにしておるということでございます。それが従来でございますと、現金にかわった瞬間に一般会計の普通財源になってしまうものですから、特定されません。それで、特定されませんので、また、そういうことを合理化するほうの努力もとかく消極的になりがちでございます。そういう点は今度は学校そのものにまた戻るということになりますので、全体の姿はどの程度になるかということの目安は、なおこの制度が発足いたしましてから、これに慣熟いたしてまいりますると、これをいろいろ御利用なさる向きがこれを発展さしていかれるものと思います。しかし、ただいま申し上げましたように、学校はちゃんとやっておるわけですから、お使いになっておるのが大部でございます。それらのものを端から売ってしまうというものでは決してございません。おのずから限度があると存じます。
  222. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 国立学校の財産の処分可能額でございますが、これは実は今後の問題でもございますので、正確に評価は私どもいたしておりません。しかしながら、いま一例を申しますと、たとえば福岡学芸大学でございますが、これを赤間地区へ統合いたしておるわけでございます。統合が完了いたしますならば、現在の福岡、これは久留米、田川等におきまする施設があくわけでございまして、そういったものが今後の財源になるわけでございます。その他この種のものは幾つかあるわけでございますが、そういったものが締めて幾らになるかというような評価は、実はまだいたしておりません。  それから、現在、統合計画が大体めどの立っておるものについては、これは評価をすることは可能なわけでございますけれども、今後新たに統合計画が立つというものもあるわけでございまして、そういった不確定要素が非常に多うございますので、将来の処分可能額ということになりますと、具体的に幾ら幾らと申し上げかねるわけでございます。
  223. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 これでやめると言ってから立ちますのはおかしいわけでございますが、タコ足みたいに、ほんとうにみんな中で財産処分しながら施設を強化しなければならぬというふうに押し込められてまいりますと、おのずからそこには施設強化をするということで、片一方は財産を売らなければならぬということで統合するとか、あるいはいままでの演習林を持っていたものを売っていかなければならぬというような、自分の足を食っていかなくちゃならぬというようなところに、何と言ったって、文部省は大蔵省に比べたら、さいふを握っておるほうと、頭を下げて使わしてもらうほうですから、弱いわけですよ。おまえのほうでやればいいことじゃないか、こういうことが起きやしないかということを実は心配しておりますが、そういう心配はないものでしょうか。
  224. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 財産を売りまして、それを財源に充てておりまするので、二つの問題がありまして、どんどん売って滅ぼしてしまうではないかという御懸念があろうかと思いますが、その点につきましては、ただいま御説明いたしましたとおり、学校を生かすためにこの措置を講ずるのでございますから、学校といたしまして、合理化をするためにやるというための必要に応じようということでございます。統合にいたしましても同様でありまして、統合によりましておよそ処分可能なものが出てまいると思います。しかし、処分するために統合するというようなことでは決してないのでございまして、そちらの事情に応じてそういう売り買いが行なわれる、その金は一般財源にしないで、この特別会計へためておこう、それで、しかも、それは当該年度には金が入るが、実際に使うのは後年度にまとめて使いたいという場合のことも考えまして、特別会計にいたしますと剰余金に入らないで積み立て金の制度もできますというようなことを考えておる次第でございます。もう一方、今度はそういう特別の財源制度がありますというと、一般会計の税負担をもってまかなうべき経費のほうが元気がなくなるじゃないかという御懸念が当然あろうかと存じまするが、この点につきましては、そういうつもりは全然ございませんということでこの会計を初めから考えておりまするし、それから、この会計制度を初めから議論しまして、文部省側ともいろいろ議論いたしましたときも、その点が一番のやはり問題であったわけでございます。御承知のとおり、文教関係の経費、その中でも国立学校の経費というものは最重要経費の一つでございまするし、それらのものはまた千億をこえる金としまして、ことしも一般会計へ計上されておるわけでございます。それらのものは今後も十分に予算でもって御批判を願います。一般会計についてごらんになって御批判を願います。特別会計をごらんになっていただいてもわかるわけでございます。それらのこともございまして、われわれ財政当局といたしましては、そういうような新たな手段を加えたからと申しまして、財政上許される限りの努力をここでもってそちらに転嫁するというような気持ちは決してございません。今後の需要というものは、なお相当熾烈なものがあることを予想しておるわけであります。現状におきましても、施設その他が非常にまだ行き届いておらない、病院あたりも非常に設備が悪いというのがもうすでに定評でございまして、これらを促進してまいるということでございまして、一般会計をもっていたしまするところの努力は、従来にも増して、今後も実情に応じてできるだけの努力をいたします。それになお加えまして、それをさらに促進するという措置がさらに必要であるというのがわれわれの判断でございまして、それでこの付加的ないろいろな方法をここに動員いたした次第でございます。
  225. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私は議論をしたって切りがございません。この十億いま現に売り払われる予定のところで十五億というものを一応見積もってお見えになりますが、これは資料でひとつお出しを願っておきまして、あと、ひとつそのことに関連して、また、いま中尾さんが言われたことが、どうも外交辞令じゃないかということについて、もう一ぺんあらためて議論してみたいと思いますので、資料をお出し願いたいと思います。
  226. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 御要望の資料につきましては、調製いたしまして、後日提出いたしたいと存じます。
  227. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) それでは、本日の質疑はこの程度にとどめておきます。  次回の委員会は、明日午前十時開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時二十六分散会    ————————