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1964-02-04 第46回国会 参議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月四日(火曜日)    午前十時三十二分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     新谷寅三郎君    理事            柴田  栄君            西川甚五郎君            柴谷  要君            天田 勝正君    委員            川野 三暁君            栗原 祐幸君            津島 壽一君            日高 広為君            堀  末治君            木村禧八郎君            野々山一三君            野溝  勝君            原島 宏治君            大竹平八郎君            鈴木 市藏君   国務大臣    農 林 大 臣 赤城 宗徳君   政府委員    大蔵政務次官  齋藤 邦吉君    大蔵省主税局長 泉 美之松君    食糧庁長官   齋藤  誠君   事務局側    常任委員会専門    員       坂入長太郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十八年産米穀についての所得  税の臨時特例に関する法律案(内閣  提出)   —————————————
  2. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  昭和三十八年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案を議題といたします。  まず、本案提案理由説明及び補足説明を聴取いたします。齋藤政務次官
  3. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 昭和三十八年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案について、提案理由を御説明いたします。  この法律案は、昭和三十八年産米穀につき、事前売り渡し申し込み制度の円滑な実施に資するため、米穀生産者が、同年産米穀政府に対し事前売り渡し申し込みに基づいて売り渡した場合においては、同年分の所得税について、売り渡しの時期に応じ、玄米換算百五十キログラム(一石)当たり一千七百五十円ないし一千百五十円を非課税とする措置を講じようとするものであります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願いする次第であります。
  4. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 補足説明を願いたいと思います。
  5. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) ただいま提案理由を申し上げました三十八年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案につきまして、補足説明を申し上げます。  御承知のように、戦後の供出米円滑化をはかりますために、昭和二十六年から供出米に対しまする各種奨励金非課税とする措置がとられたのでございます。その後昭和三十年から、現在のように供出米制度事前売り渡し申し込み制度に変わりまして、それ以来引き続きまして、所得税につきまして毎年臨時特例法を出しまして、事前売り渡し申し込みによる集荷の促進をはかるために、毎年の米につきまして臨時特例を設けておる次第でございます。今回も、三十八年産の米につきまして臨時特例非課税にする措置をとろうというわけでございます。  三十年から三十七年までにつきましては、制度内容が変わりませんでしたので、毎年同じような法律内容でございましたが、今回は法律内容が二点において変わっております。その点を申し上げたいと思います。  一つは、従来時期別格差につきましては、八百円、六百円、四百円、二百円という四段階制度になっておったのでございます。そして時々に応じましてそれぞれ時期別格差が付されておったのでございますが、三十八年産米からは時期別格差が六百円、四百円、二百円というふうな三段階に狭められたのが一点でございます。  いま一つは、申し込み加算金が従来百五十キログラム当たり百円でございましたが、これが三十八年産米価格から五十円に引き下げられております。  そこで、この非課税といたします金額につきまして、従来は法律には玄米換算正味六十キログラムで表現されておりますが、その計算基礎といたしましては、百五十キログラム、つまり石当たり計算を出しまして、それを六十キログラムに換算して、この表の数字が出ておるわけでございますが、そこで基礎となります百五十キログラム、つまり石当たりについて申し上げますと、昨年は最高の非課税つまり九月——もっとも昨年は九月三十日が日曜日でございましたので、十月一日までになっておりますが、十月一日までに予約申し込みに基づきまして売り渡しました場合におきましては、昨年は百五十キログラム当たり二千円であったのでありますが、時期別格差が二百円下がりましたのと、それから申し込み加算金が五十円下がりましたので、それが千七百五十円と相なっておるわけでございます。これを六十キログラム当たりに換算いたしますと、お手元の法律にございますように、七百円ということに相なるわけでございます。それからその次が、昨年は千八百円であったのが、二百五十円低くなりましたので、千五百五十円、六十キログラムにいたしまして六百二十円、それから昨年は千六百円でございましたのが、同じく二百五十円下がりましたので、千三百五十円、六十キログラム当たりに直しますと五百四十円、それから時期別格差のない場合におきましては、昨年は千二百円でございますが、それが先ほど申し上げましたように、申し込み加算金が五十円下がりますので、百五十キログラム当たりにいたしますと千百五十円になります。これを六十キログラム当たりにいたしますと、四百六十円ということに相なるわけでございます。ただ、それからまた時期別格差の付されない、いわゆる等外米につきましては、時期のいかんにかかわらず時期別格差が付されませんので、六十キログラム当たり非課税金額は時期別格差がつかない場合と同様の四百六十円と相なるわけでございます。  ただ、こういうふうに数字が違っておりますが、従来の課税やり方からいたしますと、こういうふうな時期別格差及び申し込み加算金収入に入れて、それから課税しない金額にするわけでございますけれども、課税実務にあたりましては、収入に入れてまた引くというのは手数でございますので、収入に入れないで、つまり実際の課税にあたりましては、石当たり裸で千百円、つまり課税されて最低の時期別格差のない場合の非課税金額石当たり千二百円から申し込み加算金の百円を引きました千百円を非課税にするという措置をとっておるのでございます。その点からいたしますと、今回の場合におきましても、百五十キログラム当たり千百五十円、そのうち五十円が申し込み加算金でございますので、それを引きました千百円について非課税措置を講ずるという点におきましては、昨年と非課税措置金額は同じになるわけでございます。ただ米価構成上時期別格差申し込み加算金とが違ってきましたので、ことば表現の上では違っておりますけれども、税の実務におきましては百五十キログラム当たり千百円を非課税とするという点は前年と同様でございますので、その点におきましては違いがないわけでございます。  以上のような非課税措置をとることによりまして、減収額といたしましては、当初予算に見込んでおりましたとおり、約九億円でございます。所得税のほうが九億円。なお、御参考までに申し上げますと、住民税のほうにこの非課税措置が及びますので、住民税のほうの減収額は自治省の計算によりますと二十一億円というふうに相なっております。  以上、簡単でございますが、補足説明を終わらせていただきます。
  6. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 引き続き、本案質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言願います。
  7. 野溝勝

    野溝勝君 実は卑近な問題で、の所得税臨時特例に関する法律案と関連を持っておる問題をお聞きしたいと思いまして、特に大臣を要請しておいたのでございますが、大臣がまだ見えませんので、その間一、二の質問をいたしたいと思います。特に農林省方面におもにお聞きしたいと思うのですけれども、農林省の方はお見えになりませんか。
  8. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 食糧庁長官がお見えになっております。
  9. 野溝勝

    野溝勝君 では、ひとつ食糧庁長官にお伺いいたしますが、これは答弁の有無はどちらでもよろしゅうございます。  まず、どうかと思うことは、内容的には変わらぬと言いましたが、内容的に変わらなければ、何もこういう臨時特例法を出さなくても、行政的な処置で、ある程度できるのじゃないかと思うのです。しかし、実際はなるべく多く時期別格差なり申し込み加算金などをここで削減しようという意図があるのではないかと思うのです。しかし、主税局長お話だと、石当たり依然として千百円の減税額には変わりはないというお話でございます。私はもう少し検討してみないとわかりませんけれども、農民の間からはいろいろな意見が出ております。そこで、あらためてこういうようなことをした意図というものは、税制調査会答申に基づいて、何かそこにテクニックを講じなければならないというような気持ちで出されたのじゃないですか。その点、もう少し具体的にお聞きしたいと思う。それならそれでいいんですよ。いいから、そういうふうに話を。
  10. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 野溝委員のおことばでございますが、別段、私どもとしては、税制調査会答申で毎年この特例は廃止すべきだというふうに答申になっているわけでございますが、その関係で今回直したということでは全然ないのでございます。今回のこの数字が変わりましたのは、先ほど補足説明で申し上げましたように、全く米価算定上の価格構成やり方が違ってきましたために、数字が変わっただけでございます。その実体は、先ほども申し上げましたとおり、百五十キログラム、つまり石当たり千百円は非課税とするということに変わりはないのでございます。ただ米価構成が違いましたために、表現が違ったというだけでございます。
  11. 野溝勝

    野溝勝君 数字上のことは、私はまだ具体的に調査しておりませんから、いずれ後日の機会に詳細に調査しましてお聞きしたいと思いますが、ちょっと食糧庁長官にお聞きしたい。この法案に税制調査会答申資料として添付されていますが、この資料が添付されている理由は何ですか。一方に特例があり、他方これをやめるというような資料をここに出しておくことは、どうも矛盾した話のように思うが、だれかがこれを要望したのですか。委員会で要望したのですか。
  12. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) これは参議院の大蔵委員会のほうでそのことはなされたことで、政府のほうでやっておることではないのですが。
  13. 野溝勝

    野溝勝君 そこで、この参考資料を渡されたのですが、この中に終わりから四行目のところに「連年にわたる農作」と書いてありますが、これは誤りで、豊作という意味だと思いますが、どうでしょうね。
  14. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) これは私のほうから出したものではないのでございますが、文章から申しますと、「豊作」の間違いじゃないかと私は考えます。
  15. 野溝勝

    野溝勝君 そういう意味でお聞きしたいと思いますが、もし「豊作による」というこの答申が出たとすれば、これは農林省統計によってこういうものを出されたと思う。農林省豊作と見ておるかどうかということをお聞きしたい。
  16. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 最近の米の生産の推移でございますが、ここ数年におきましては、作況といたしましては比較的高い水準を毎年示してまいりまして、当初豊作というふうに申しておりましたものの、最近におきましては、ほとんどそれが平年のペースになってまいりましたわけでございまして、予約制度をとりました三十一年以後の生産額を見ますと、三十一年産が一千八十九万九千トンというふうになっておりましたものが、三十七年では千三百万トンになり三十八年は若干落ちまして千二百八十一万二千トンというふうなことで、最近の大体の平均の米作の伸び率を見ますると、生産としてはほぼ毎年、最近五カ年では二・六%という伸び率を示しておるというふうに考えております。
  17. 野溝勝

    野溝勝君 大臣の時間が予算委員会関係がありますので、なるべく要約してお伺いいたしますから、ひとつお答え願いたいと思います。  あなたは昨日予算委員会で、わが党の石田君に対して、米の需給計画等に対する質問並びに構造改善等に対する質問の際お答をされたらしい。私もこの際あらためて大臣にお聞きしたいのは、大臣たちがこの米の需給計画を甘く見ておりはせぬかと思うのです。と申しますのは、いま大臣がお見えになる前に質問をしたのでございますが、この税制調査会答申に「連年にわたる豊作」ということが出ておるのですね。これによって、こういうものを非課税にする必要はない、申し込み加算金なり時期別格差のようなものは非課税にする必要はないんじゃないかというような意味がこれに出ている。この税制調査会答申にいう豊作根拠というものは、農林省統計によっていると思う。そこで食糧庁長官に聞いたのですけれども、あなたのほうの調査資料から、新聞などでは三十八年は史上第三位の豊作だということを盛んにPRした。事実は、三十九年度の需給計画数字から見ても、そんな豊作といえるようなものではないですよ。こういう点は大臣責任をもってやってもらわぬと、農林行政に大きく影響してくると思う。と申すのは、ややともすると、一方においては食管制度を改めるとか、安い外米を買ってこいとか、あるいは貿易の自由化輸出増進ということで、鉱工業生産品はどんどん輸出されて、この方面は恵まれる反面、農民はそのしわ寄せを受けて、非常に安い輸入農産物影響国内産は買いたたかれる。これでは問題にならぬですよ。きょう私はこういう調子で一々こまかく一問一答はいたしません。ただ私の所見を述べて、それから大臣の御意見を聞きたいと思う。  先般の脱脂粉乳などもその一つですが、とにかく八万五千トンの輸入を計画した。ところが、その脱脂粉乳は、過日の新聞では、正規のルートだけの問題でなくて、不正業者がどんどんとやみ輸入をしておる。こういうのはやはり食糧に大きく影響してくると思う。酪農関係、その他食糧関係にも。そこで、こういう場合、根拠を誤ると、数字根拠を誤ったりすると、重大な影響があるわけです。そこで、大臣は真剣に統計というものに責任をもって、これを充実していくことに御努力願いたいと思います。まず第一に、この点に関し所見を伺いたい。
  18. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) お話の点、一々ごもっともといいますか、総合的には私の考えていることをお述べ願っておったように聞いておったのであります。そこで、米の需給等につきましても、非常に大事なことですから、真剣に検討をして、また私も検討しておるわけですけれども、去年の七月ごろに非常に天候が悪かったもんですから、これは豊作よりも不作になるのじゃないかというふうに案じておったのでありますが、その後の天候の回復その他によって非常に統計調査等を見まするとよくなってきておると、こういうことで、これはまあわりあい安心じゃないかということで、ああいう豊作だという報道が出たわけでございます。その後、東北あるいは中国地方に作柄が非常に悪くて収穫もまずいものが出ましたので、結果においては三番目の収穫量と、こういうふうになっておるわけでございます。  そこで、今の自由化の問題その他につきましても、お話のように慎重にやっておるのでありますが、それにつけても、統計というものをしっかり正確に出させて、また統計の上に立って誤りなき農政を指導しろと、こういうお話でございます。まことにそのとおりだと思います。統計につきましても、いままでも十分正確さを期するように、そしてまた統計基礎に立っていろいろな農政を進めていきたいということは強く考えておったんでございますが、なお一そう御注意の点なども深く頭に入れまして、統計上の問題、統計に基づく農政等誤りなきを期するといいますか、そういうことにいたしたいと、こう考えております。
  19. 野溝勝

    野溝勝君 そこで、これは大臣参考までに、もう大臣のほうでは御承知でありますけれども、申し上げておきたいと思います。昭和三十八年度の水陸稲収穫量は、前年比十九万七千トンの減で、千二百八十一万二千トンです、玄米で。私はこの数字だけでも、豊作どころじゃない、いかに減収かということがいえると思うのです。昭和三十八年度産米の供出量は六百七十九万九千二百六十トン、これは三十九年の一月十日現在。このうち昭和三十八米穀年度買い入れ量が二百二十三万五千トン、精米で。これは農林省統計でございますが、間違っておりましたらひとつ言うてもらいたい。昭和三十八年産米需給計画といたしましては、政府買い入れ量が六百九十七万五千トン、玄米で。それから、昭和三十八米穀年度供給量は、内訳といたしまして、昭和三十八年産米買い入れ量二百二十六万トン、昭和三十八年の米穀年度からの持ち越しが三百六十四万八千トン、それから昭和三十九年産米米穀年度内の買い入れが四百十万一千トン、トータルにいたしまして一千万九千トンというわけです。そういう点から検討すると、昨三十八年度などは豊作どころではないのでございます。特に大臣お話しになりました御意見もありまして、中半からこちらあまり芳しからざる情勢になったといいますけれども、農林省はあまりにPRし過ぎると思うのです。それだから、私はもっと統計を確立するとともに、試験場などもその充実をはかりまして、あまりかような食い違いを起こさないようにすべきです。そういう点から見ると、私はいまの統計に甘さがあると思う。注意の足りない面があると思います。先ほど供給量に対して、需要量は御承知のごとくふえて六百二十八万トンでございますから、いかにその間の需給事情というものが芳しくなかったかということがわかると思います。  さらに、国内産の不足を外米によって補っておりますが、この外米数字は一々申し上げません。すでに皆さんが御承知のことだと思います。特に外米につきましては、全体において買い入れは二十六万トンです。前年に比べて四万一千トンの増です。この事情から見ても、国内の需給関係はよくない。さらに、いまのような数字があらわれておりまして、農民は非常な痛手をこうむっておるわけです。  特に私はここで御注意申し上げておきたい。大臣をこの席にお願いしたのはこの点をひとつ申し上げておきたかったからです。というのは、最近の農林行政に問題がある。何といいますか、質的に行政の面を強めてきた。質的にやることはけっこうなんですが、どうも納得のできないようなやり方をしちゃいかぬと思います。たとえば、たばこの検査だって肉眼検査する。それならしろうとでもわかると思います。肉眼検査ではなくて、もっとほかの科学的な技術検査をやるというなら、これはわかるのでございます。米などもそうです。硬質米軟質米かといわれましても、どうもしろうとにはちょっとわからぬ。特に品種などにおきましても、最近における改良品種をやっておりましてもたたかれる。ところが、改良品種、在来の品種のよかったもの、それがどこで違うかということが明確でない。それで問題を起こしておる。現に富山などでも大きな問題が起こっておることはあなたも御承知のはずです。しかし、これは大臣の就任する前でございますから、いまでもやはり起こっておりますから、こういう点は十分統計あるいはいま申しましたような検査というものも、大衆にわかるようにしてやらぬと非常な誤解も起こる。更に農民は生活の基礎が非常に弱い上に、米単作地帯などでは、一年間一回の米の収入だけでやっておるわけでございます。あなた自身農村出身であり農民出身でありますから、特にこの点十分御留意を願いたい。  特に、米などの問題におきましても、食糧庁あたりでは盛んに質の問題をいいますが、情けないことに、大事な米の試験場研究費などもまことに微々たるものであります。この間も私は青森県の藤崎試験場に行ってみたのですが、これは年間研究費が十五万円だという。何を一体試験研究するのか。情けないことです。これは最初は農林省直轄試験場でございました。そのうちに県に移管いたしました。で、一部補助は農林省がいまやっておるわけであります。だから、どちらの経営ということになっておりますかはっきりしませんが、品種問題などは、これは国でやるべきものだと思うのです。そういう点は、農林大臣、ひとつ十分配慮を願いまして、統計試験場、いわゆる科学の基礎体ですね、そういうものに対しましては、この際、私は特に配慮を願いたいと思って大臣の御出席を願ったわけです。この点に対する所見をひとつ聞いておきたいと思います。
  20. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 第一に、農林省PR等について行き過ぎといいますか、そういう点がありはしないか、こういうことですが、私としては極力——結果があらわれるのでございますから、PR等につきましても間違ったり、あまり水増ししたようなPRはしないように、こういうように注意をいたしておる次第でございます。  それから、米の等級出荷等につきまして、私も聞きまして、下の検査員のほうが等級を落とすのじゃないかというような農民の声も聞きました。食糧所長会議等におきまして、私の考えとしては、麦等におきましても、等外買い入れるというふうな措置もしておるくらいだから、ことさらに等級を上げるということは別としても、等級をことさら下げるような態度で検査に臨むようなことは差し控えるように、こういうふうにまあ私言っておいたのでございますけれども、末端等におきまして、いろいろいまお話しのような点も聞いております。なお、注意をいたしておきたいと思います。  研究所費用等も足らなくて十分な研究ができないじゃないか、こういうことも私も憂慮いたしまして、まあ予算等におきましてもいろいろ苦労をいたしたのでございます。なお、数日前にも研究所長が集まりましたときに、実態等も直接聞きました。青森所長なんかからも聞きました。研究試験等にいろいろ県と重視しておる点もありましたり、県と連絡の不十分な点がありましたり、そういう点を直すように……。なお、何といたしましても、技術研究というものは基礎でございまして、十分にその成果が実際面にあらわれるように、なお一般の配慮を要望しておいた次第でございます。お話し点等につきましても、なお注意をして成果をおさめていきたい、こう考えております。
  21. 野溝勝

    野溝勝君 最後にひとつ、特に誠意ある大臣に申し上げておきたいと思いますが、こういう状態でございまして、米の需給はなかなか容易ではございません。でありますから、これも食管制度を廃止するとか廃止しないとかいうような声をちょいちょいしろうとが出したり、あるいは食管制度赤字はいかにも百姓のものだから、百姓にそれ以上赤字を国民が負わされちゃかなわぬじゃないかというような印象まで出ています。こういう食管制度赤字につきましても、私はもう少し内容を明らかにしてもらいたいと思います。貯蔵食品費用がどのぐらい、あるいは輸入米倉庫費がどのくらい、あるいは買い入れ負担費用がどのくらい、それでこれはどのくらい、こういうことを出せば、食管制度赤字に対して百姓の取り分はどのくらいあるかということが明確にわかります。いかに本百姓がぼろいもうけをしているような印象はまことに困るので、むしろ赤字だけをPRしないで、内容を明確に出していただきたい。そうすることが、行政上うまくいくことになっていくと思います。さらに卸売り業者にも御承知のように百六十億出しておるでしょう、配給機関に。ああいうものをぴしゃっと出せば、なるほど食管赤字はこれは百姓のために出すものではないということがわかりますから、ぜひひとつ正直なまじめな赤城農林大臣に、特にこれを希望しておくものでございます。  さらに、いま問題になっているのは、臨時行政調査会、あの中で七班は農林省関係も扱うことになっているのですが、いま申しました臨時行政調査会で、大事な農林統計の問題も、蚕糸局の問題も、これを縮小あるいは廃止しようとかいうような方向にあるらしいんだね。これはとんでもないですよ。日本あたりで農産関係から原材料として輸出できるというものはほとんど蚕糸くらいのものかと思う、代表的なものは。その掌にある機構や、日本農業の近代化をやっていく上で基礎となる統計関係の機構を縮小しようとかやめようとか、これはばかげておると思う。これこそ逆コースだ。こういう動きもありますから、そういうものはおそらく大臣まだまだ御理解を願えぬかもしれませんが、十分御留意を願いたい。  それから、大臣は日経にも近代化という論文を出された。確かに私は同感いたします。近代化はけっこうでございますが、あなたの示されておるとおり、生産構造におきましては第一次産業などといわれておる農業が昭和三十年には二二・八%を占めておったのですが、それが三十八年においては一四・三%になってきています。ほかのものはずっと第二次産業、第三次産業は上がっています。さらに所得の面におきましては、驚くなかれ三十年には一八・八%あったものです。それがあなたのお示しになっておるとおり今度は九・九%、こういうおそろしい格差ができてくるのですね。農業基本法というものは格差を強める法律かと私は言わざるを得ない。これは皮肉じゃございませんよ。こんな状態になっている。池田さんが格差をなくすると言ったって、どんどん格差は開いてくる。ここら辺は、大臣、ひとつ開き直って、十分農業基本法なりあるいは所得の格差をなくするということに真剣になっていただかぬと、こういう状態では、これは専業農家どころじゃない。おそらく私は今後農業の就業人口というものはますます減ってくると思うのです。特に就業人口などにおきましても、三十年におきましては三七・一%、それが最近では二七・六%に減っておる。こんな状態でありますから、米の需給計画などにおきましても、いかに農業が近代化し機械化してきても、とても私は日本の農業におきましてはまだそんなに近代化、機械化というところにはいかぬと思います。やはりある程度農業人口というものがなければ生産性をかちとることはできない、こういうものでございます。  こまかいことは時間がございませんから省略いたしますが、土地改良の問題につきましても、農業構造改善について大臣は力を入れておりますけれども、土地改良に対するところの農民負担が非常に大きなものがございます。福島県におけるところ柳津土地改良区の問題、あるいは成田におけるところの御承知の地元の問題などにつきましても、負担に対して非常に迷っているわけです。この際にあたって、構造改善などやるにいたしましても、政府が思い切ったことをやらなければとても農民の負担は容易でないのでございまして、今後の米の生産におきましても、あるいはその他農産物の拡大におきましても、非常に問題があるのでございますから、十分大臣はそういう点に配慮を願いたい。  農業とか中小企業のために大いに政府はやるなんというようなことを言いましたけれども、予算がばかに少な過ぎて問題にならぬ。しかし、赤城さんだからあれまでいったのだと思いますけれども、今後の運営が大事です。さらに補正予算の際におきましては、この点を十分にひとつ赤城さんから力説されんことを特に希望いたしまして、私の質問は終わります。でありますから、その間、私の論点といいますか、中心のところだけお答えを願います。
  22. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 行政組織法といいますか、行政組織を改正するというような場合に、蚕糸局とか統計調査等をやめるというような意向を持っているとか、そういうことがあってはいけない。これは実は私のほうではそういう意向を持っておらないのでございますが、臨時行政調査会における総評の議長ですか、先生が、蚕糸局をやめてしまえ、統計事務所は県のほうへもっていけというような案を出してきましたので、これはとんでもない、私のほうではそういうことは絶対に受け付けられないというようなことで、私のほうで出すものにはそういうことは全然考えておりません。  それから、格差の点でございますが、全くお話のとおりで、ただ三十七年度だけ少し格差も是正——是正というわけではありませんが、少し歩み寄りましたが、三十八年度からの様子を見ますというと、三十七年度のようなわけには参らぬと思います。そういう意味におきまして、ほんとうに農民が安んじて農業をやっていける、こういう体制へもっていきたいと思いまして、いま予算の点にもおほめをいただきましたが、私も十分だとは思っておりません。今後いろいろな面から農民の生活を安定さして、また国民の食糧を充足していく、こういう点に一段と努力いたしたい、こう考えております。
  23. 柴谷要

    ○柴谷要君 食糧庁長官、昨年の三十七年産米の審議の第一段階、二月八日に提案説明があって、二月十四日に質問を少しした。そのときに関係大蔵当局の委員諸君は全部出席されておった。ところが農林関係が出て来ない。いろいろ国会のほうで連絡等が不十分で、開会になってから連絡でもしたのでおそく来たのかと思ったら、そうじゃなかった。その際に大蔵当局からの答弁は、自今そういうことのないようにいたします、今回はまことに申しわけありませんということが議事録に残っている。きょうはどうでございましたか。提案説明がされておるときに、あなたのほうの関連の仕事である法律案提案説明がなされておるときに、列席せられておりましたか。私は年々こういう問題が起きるときに御注意申し上げているのですが、あなた方は担当の農林水産委員会だというと非常に出席がいい。こういうふうにあなたのほうの所管である仕事の法律がかかるときに、大蔵省関係だからまかしておけばいいのだという気持ちであなたは臨んでおられるかどうか、明確にお答え願いたい。
  24. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 実は私は、私的なことを申し上げて恐縮でございますが、昨年の九月に食糧庁に参りましたので、前回におきまする委員会のことにつきましては承知いたしておらなかったわけでございますが、本日の委員会におきましては、前日からこの委員会があることを承知いたしておりまして、定刻に参りたいというふうに考えておったわけでございますが、かぜを一週間前ぐらいから引いておりまして、いまも、うちからさっそく出てまいったような次第でございまして、決して本件につきまして、大蔵委員会であるからどうだこうだというような考え方は毛頭持っておりません。
  25. 柴谷要

    ○柴谷要君 まあいまの答弁で、あと追及するのはあまりおとなげないのですけれども、大体こういう法律案がかかって、大蔵委員会でどういう審議をされたか、議事録でもひとつごらんになることが将来のためにいいんじゃないかと思います。前任者がやったといっても、その前任者のやったことが議事録に載っておりますから、だから議事録をごらんになって、どういうふうな審議日程でこういう法律案大蔵委員会を通っておるかということも、一つはあなたの任務じゃなかろうかと——まあお聞きすれば御病気のようですから、きょうのところは追及いたしませんけれども。  そこで、問題に入りたいと思いますが、きょうは時間もありませんし、大臣から重要な話を聞かしていただきましたから、一、二点だけお尋ねをしておきたいと思います。  三十七年のときにも申し上げたのでありますが、一体こういうまぎらわしい法律を時限立法で制定して、毎年毎年こう出してくる、こういうことがいいのか悪いのか、ほかにもっとうまい方法はないのか。これは税制調査会からも指摘をされておりますように、価格差の上からいっても、こういうものはあまりいいものじゃないということをいわれておる。こういうことを実際に、食糧庁としてはどういうふうにお考えになっておられるか。この法律案はあったほうがいいんだと、全農家の三%にしか該当しない、十八万戸の農家の戸数にしか該当しない、こういうような法律が、はたして存続することがいいのか悪いのか。この点についてひとつお答えをいただきたい。
  26. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 御承知のように、この予約減税制度は、従来の供出制度が、予約売り渡し制度に切りかわりました措置一つとして、予約減税制度というものが出てまいったわけでございます。当時の予約の一つの促進手段として、概算払い制であるとか、あるいはこの減税制度とかいうものが併用されて、今日に至ったわけでございますが、集荷事情が変わるとか、あるいは予約の意味が年とともに変わってまいるとか、あるいはこの予約減税制度によって減税の恩典を受ける農家の階層にも相違が生じてくるとかいうようないろいろの問題もありまして、大蔵省とこの問題についてずいぶんいろいろと論議をいたしたこともあるわけでございますが、まあ予約減税も、事前売り渡し申し込み制度が続く間におきましては、一時廃止論、これにかわるべき措置といったようなことの論議もあったわけでございますが、いま申し上げましたように、存続する限りにおきましては、これをやはり残すかやめることによって影響する部分が各方面に出てくるということで、今日まで至ったわけでございまして、そういう経緯から、毎年毎年提案されて御審議を願っておるというのが現状である、こう考えております。
  27. 柴谷要

    ○柴谷要君 これは泉局長さんにお尋ねするのが妥当かと思いますけれども、三十七年産米まではいわゆる四段階、今度は三段階ということに変わりましたですね。で、おのおの金額も変わってきている。このことだけ見たのでは、昨年のをとられたほうがいいようにわれわれは思うのです、ひょっと見た瞬間に。だけれども、現実は何ら変わりはないのだ、こういう御説明がありましたですね。このことはもう少し明確に、こうなったからこうで、同率なんだと、こういう御説明がいただけたら、ひとつお願いしたいと思います。
  28. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 先ほどちょっと申し上げましたように、昨年の三十七年産米につきましては、時期別格差が八百円、六百円、四百円、二百円というふうに四段階になっておりまして、それが三十八年産米につきましては、六百円、四百円、二百円という三段階に、つまり百五十キログラム当たり二百円ずつ狭まって、従来二百円だったところが時期別格差がなくなったというような勘定になっておるわけでございます。  そこで、従来のやり方でございますと、時期別格差収入に入れて、それから時期別格差相当分は非課税金額にするということになっております。したがって、収入に入れて非課税にするというのは手数でございますので、実務におきましては、事前売り渡し申し込み制度に基づきまして政府売り渡しました米につきましては、その時期別格差及び申し込み加算金収入に建てないで、単純に政府売り渡しました百五十キログラム当たりにつきまして千百円を非課税にするという課税実務にいたしておったのでございます。これは本来、この時期別格差なら時期別格差の八百円を収入に入れ、あるいは申し込み加算金の百円を収入に入れて、本来なら二千円の収入のあるところを、そのうちの時期別格差の八百円と申し込み加算金の百円と、この九百円は収入に入れて、もう一つ非課税金額に入れるという手段を省略いたしまして、二千円のうちそういったものを差し引いた千百円をネット非課税にするのだという措置であったわけでございます。今回もその点は変わりないのでございまして、時期別格差申し込み加算金が減った額だけ金額は変わっておりますけれども、百五十キログラム、つまり石当たり千百円を非課税にするという点は昨年と同様であるというわけでございます。
  29. 柴谷要

    ○柴谷要君 その点はわかりました。  それでは、次の問題ですが、三十七年産で、特例によって税の減収は十億と推定されておりました。ことし三十八年度、この特例によりますと九億ということになりますと、非課税対象が千百円だという額は変わりはないのに、一億の差が出てまいります。これは農家戸数が減ってきたのか、あるいはその税改正によって形態が変わってくるから、一億ばかり少なくなるのか、こういう点があろうかと思いますが、この点のひとつ説明をいただきたいと思います。
  30. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) その点につきましては、御承知のように、三十七年の所得税と三十八年の所得税とでは、税制改正が行なわれましたために、基礎控除、配偶者控除、専従者控除などが違ってまいっております。そのために、農家の課税金頭が違っておりますので、三十七年産米のときの減収額は十億円でございましたが、三十八年になりましては、それが減りまして九億円になる。これは三十年当時から、年々税制改正の結果、農家の課税人員及び課税額はそれぞれ減ってまいっておりますので、その特例による減収額も減るという勘定になっておるわけでございます。
  31. 柴谷要

    ○柴谷要君 最後に、食糧庁長官にお尋ねしますが、こういうふうに三十七年度と三十八年度では内容が変わったのでありますが、こういう場合には、食糧庁とし、大蔵省としては、一方的にきめるのでなくて、多少これに影響する団体等にこういう改正をやろうと思うということで話をされて、オーケーをとるという必要はないですが、大体内容に変わりはありませんのでけっこうですと、こういう話があったのかないのか、この点がおわかりでしたらお知らせを願いたい。
  32. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 実は、米価の決定に際しまして、申し込みが加算金であるとか、時期別格差金であるとかというようなものが終戦以来から——申し込み加算は事前売り渡し制度がとられてからでございますが、それ以前から端境期における時期別格差奨励金というものがついておったわけでございます。それがその後に至りまして、だんだん米価体系を食糧事情の緩和に伴って合理化すべきである、特に時期別格差については集荷奨励的な意味よりも価格的な要素のほうがだんだん強くなってきたこと、価格差としての観点から、これを適正合理化すべきではないか。これは御承知のように、三十五年度から米価の決定については生産者所得補償方式というものを採用しまして、これで米価を決定するということになったわけであります。そうなりますと、時期別格差につきましては、特にその生産者所得補償方式の水準の中でどのように地域的な価格差を設けるかというふうな意味にだんだん強まってまいりましたので、米価審議会におきましては、すみやかにこれが適正化をはかるべし、こういう答申を出しまして、政府もそれに基づきまして学識経験者の意見を聞いて時期別格差の適正化をはかる、こういう実は了解を、三十七年でございますか、いたしたわけでございます。その結果、それに基づきまして研究会を設けまして、その研究会の実は答申が、現在ある四段階の時期別格差を毎年一段階ずつ減らしていくという形になり、また価格につきましても、年々二百円ずつ引き下げていくというような一応の答申案が出ておるわけでございます。そこで、三十八年産米につきましては、一昨年の暮れに閣議で、三十八年産米の時期別格に差ついては三段階とする、そして金額は六百円、四百用、二百円というように、九月末と十月十日と十月二十一日までに出された数量に対して価格差を払うという一応の決定を閣議決定いたしたわけでございます。したがいまして、それを受けまして、昨年度の米価審議会においては、時期別格差というものはそういう考え方でやるということを一応諮問もいたしました。諮問だけじゃございませんが、政府側としては説明いたしておるという事情にあるわけでございます。
  33. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 一つ、簡単に主税局長に伺いたいんですがね、この措置によって、三十八年度国税が九億、地方税二十一億減収になるという推定なんですが、農民に対する減税効果から考えまして、なるほどこの措置だけで二十一億の地方税の減税になるというのですが、この地方税の減税はおそらく所得割りを納めている人だと思いますがね。そうしますと、地方税の所得割りにつきましては、昭和三十六年から基礎控除は九万円、その後据え置きなんですよ。三十六年から最近まで、とにかく消費者物価の値上がりは二〇%以上ですね。それによって生活費が非常にかさんでおる。そのために国税のほうでは基礎控除を三十六年から上げてきまして、現在は十一万円、今度の改正では十二万円になりますが、その場合、物価が上がって名目的に所得がふえる、その場合に基礎控除を据え置いておけば実質的にこれは増税になりますよ。ですから、国税においては、三十八年度の税制調査会答申では、この物価補正をしなければいけないというので、その物価補正的減税を答申したのです。地方税においては何ら基礎控除の引き上げをしないのです。したがって、片方では実質的に増税になっていると同じである。それでこの米価——供出ですか、についてはなるほどこれは減になるといったって、片方でそういう増税になれば、これはプラス・マイナスすれば、農民の家計については必ずしも、全体として見てですよ、減税効果があるとはいえないわけです。ですから、一つ一つの、個々の税制による、税金の負担による減というだけを考えないで、もっと総合的に農民の利益を考えていく場合には、もっと基礎控除を、いわゆる地方税所得割り、住民税所得割りの基礎控除を引き上げるとか、あるいは今度は本文方式に統一した場合は、基礎控除以外にその他の諸控除があるわけですね。配偶者控除とか、扶養控除とか、医療費控除とか、いろいろあります。そういうものを引き上げる。そうすれば、そこに総合的な調整ができるでしょう。そういうことをお考えにならないのかどうか。  われわれから見ますと、なるほどこれだけでこっちで減税しても、他方で増税になったのでは、農民の全体の家計負担を軽くするものではない。何かわれわれから見ると、まだ面はゆいみたいに、ごまかしみたいに見えるのですよ。総合的に考えてそういう問題点があると思うのですが、今後そういう点についてはどういうふうにお考えになっておるか。また、農林省のほうも農民の利益をはかるということが建前ならば、片っ方で減税しても、片っ方で増税になるのでは、何にもならぬですよ。総合的にそういうふうにお考えになるのかどうか、まず主税局長のほうから。
  34. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 木村委員からおっしゃいましたように、住民税につきましては、国税の昭和三十五年の控除額をとりまして、それから以後国税の改正を遮断いたす処置をとっております。この国税の改正を遮断する措置をとる趣旨につきましては、もう木村委員の御承知のとおりでございまして、従来のように国税の改正が自動的に地方税に及ぶということになりますと、地方自治団体としての財政計画を立てていく上において困るから、一応国税と遮断して、そうして地方の財政計画を考慮した上で地方税の改正を考えていくのだという考えのもとに、そういう国税と地方税との控除税率の遮断措置がとられたわけでございます。  ところが、その後、お話のように、国税のほうはもちろん物価の上昇だけではございませんけれども、物価の上昇あるいは国民の税負担を軽減するという見地に立ちまして、控除の改正、なおいろいろやっておるわけでございますが、地方税のほうにおきましては、住民税基礎控除は当時の九万円をずっと据え置きのまま今日に至っております。それが、増税ということばを木村委員はお使いになりましたが、国民の負担の見地から申し上げますと、実質的に負担が増加する。増税ということばは当たらないと思いますけれども、負担が実質的に重くなるという点は確かにあろうかと思います。したがって、そういう見地に基づいて減税をすべきではないかという点はあろうかと存じますが、一応地方税のほうはそういう遮断した措置をとっておりますので、これはひとり農家だけではなしに、勤労者に対しましても、あるいは農家以外の営業、あるいはその他の事業を営む者につきましても、同じことになっているわけでございます。  そこで、なるほど農家の面から見れば、米の予約減税による減収がある反面、基礎控除がずっと据え置かれておることによるところの実質的な負担の増があって、差し引きしてみると、どっちがどうかわからぬという点は確かにあろうかと思いますが、ただ、そういう見地からいえば、ひとり農家という階層だけでなしに、すべての国民を対象として事を考えるべきではないか。そういう意味では、こういった一種の特別措置による減税をやるよりも、一般的に減税の効果の及ぶ基礎控除であるとか税率であるとかといった一般的改正を行なうのが望ましいということは、税の制度としてはいえるのではないかと思うわけでございます。ただ、その際に農家の場合におきましては、米価の統制の際に、そういう予約減税があるという前提のもとに米価ができておりますので、そういった点も考え合わせていかなければならないという面もあろうかと思います。  ただ、私どもとしては、いままでは国税の減収額に比べまして住民税減収額が非常に多いために、この予約制度が農家のうちごくわずかの者にしか適用されなかったと申しておりますのは、国税のほうでございまして、住民税のほうでは相当多数の人が適用になっておるわけでございます。そこで、この廃止がなかなかむずかしい事情があったわけでございますが、今度、御承知のように、市町村民税につきまして二年がかりで本文方式に統一するということになりますと、今度は農家のうちで所得割りを納める人はごく少なくなってまいります。そういたしますと、住民税のほうで見た場合のこの事前売り渡し申し込み制度に基づく予約減税の内容も違ってくるということも考えられます。そうなると、その際、一般減税でいくべきか、こういう特別措置でいくべきかをもう一ぺん考え直す必要があるのではないかというふうに考えているわけでございます。
  35. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) ただいま主税局長からお話がありましたようなことにつきましては、私どももそのように考えております。全体としての農民の税の状況がどうであるかということについては、私、直接の所管ではございませんけれども、そういう見地でいろいろの税制についての検討をし、また税改正のつど要望いたしておるわけでございまして、まあ本件は直接予約減税、予約制度との関連で生まれたものでもございますので、税一般としては、いま先生がお話しになりましたようなことも十分考えていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  36. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この問題は、いま主税局長が言われたように、単に農民だけの問題ではございませんので、これはまたその他の所得税の改正の案が出たときに、またあらためて質問をいたします。
  37. 野溝勝

    野溝勝君 簡単ですが、先ほど同僚柴谷委員、木村委員からも申されたとおりなのですが、実際この特例法案は、そのつど出すのは、実際法令上から見ておかしいと思うのです。だから、こういうのは、まあそのつどこういうことをするのではなくて、根本的に考える必要がありはせぬかと思うのです。というのは、何も加算金の問題や早場米奨励金の問題ということを農民は言うておるのが原則ではないのです。いわゆる生産所得補償方式によりはじかれた十分な米価がきめられさえすれば、農民は異議がないので、したがってこういうものが必要なくなるのです。だから、そういう根本の問題がきまらぬから……。食糖庁長官、聞いていて下さいよ。ですから、こういう問題が起こるのですよ。これは実際おかしいですよ。あなたたちも恥ずかしいと思うのだ、時限方法では。だから、その結果を改めるには、私はそれ以外にないと思うのです。たとえば早場米奨励金というのは、先ほど食糧庁長官が言ったように、やはり食糧不足のときに特に早場米をもって食糧不足を補うという意味から出たのです。しかし、それならば早場米の生産は、他地方の生産よりは早場米をやるだけに非常に労力も要る。また、寒い場所で、北陸、東北、北海道等の地域的な悪条件のもとで生産をするのですから、そういうところでは、保温料やあるいは健康上の問題に人一倍努力をするわけです。だから、保温器を使うなら、それなりに生産費というものを計算してやればいいわけです。そういう点について完全な補債というものはなかなかできておらぬ。ところが、生産費補債方式に基づく原則の方針は一応きまりましたが、それじゃ具体的にどうするかということについては、農民団体も相当に意見があるんです。ところが、先ほど柴谷同僚委員の言われるように、農民団体、農業団体にそういう意見を出して、そうしてそれらの了承なりあるいは地方の調節なりできたのかという質問があった際に、食糧庁長官のほうでは、米価審議会、これには学識経験者を入れております、こういうんですが、正直なところ、学識経験者が農民の気持ちがわかるようならば、こんな問題は起こらぬですよ。農業協同組合、農民組合があるんですから。ところが、その諸君の意見を聞くと、生産費がかさむという。そういうことを心配をして、学識経験者という名のもとに集めているのだが、これがまた御用学者なんです。正直にいえば、それは生産価格というものを実際にわかっている学者じゃないんです。これはむずかしいことばでいうわけじゃございませんが、そういうわけなんですよ。だから、そういう人々を集めて、それではほおかぶりで済まそうというこの量見がよくないんですよ。これはひとつ主税局長食糧庁長官、よく聞いておいてほしい。大臣になるというと、政治家になってしまってだめだ。あなたたちは、こういう機運は法令上まずいから、これはひとつ生産所得補償方式を取り上げるということに政府はきまっているのだから、さてそうするにはどうするか、そうするには、農業団体、農民団体の意見を聞く、学識経験というものをその範囲に広げて、そうして、審議会の答申を尊重するようにしてもらいたい、こういうことを諸君らが建言するようでなくちゃ、これは問題は絶えません。  だから、私は、その意味におきまして、まず皆さんがいつもこの臨時立法をそのつどそのつど出して、答弁に苦しむようなことをしないで、そうして三段階だ、四段階だという小手先ばかりやって、百姓に幾億円の減税を——減税といいましょうか、少なくしてやったというような、恩を売っておいて、片方ではやはり、木村君じゃないが、こういう百姓の利益にならぬような結果になる。上のほうではよくやっても、地方税のほうではやはり狭められてきているわけです。さらに、米の値を上げたといっても、先ほどから申すとおり、今度は米の検査でもって、いや、もみが幾らあった、水分が幾らあった等々といって百姓を追い込んできて、米価の値上がり分だけをそっちのほうで差っ引いちゃって、等外米にぶち込んでしまったんじゃ、何にもならぬ。それだから、農業所得は九・九%というふうな、一八%から半分になるというようなことになるのであり、こんな所得の格差、悪政をやっておっては私はいかぬと思う。これでは代官政治、苛斂誅求政治だ。こういうことをあなた方に言ってもいかぬけれども、ざっくばらんに申せばそういうわけでありますから、そういう点を真剣に考えてもらいたい。憎まれ口を言うようだが、ざっくばらんに私は申しておるんだから。じゃ、あと答弁よろしい。
  38. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめておきたいと存じます。  次回は、明後六日午前十時から委員会を開きまして、本案に対する質疑を続けたいと思います。御了承願います。  本日はこれにて散会いたします。   午前十一時五十一分散会    ————————