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説明員(道正
邦彦君) 三点に分けまして御説明を申し
上げたいと思います。
第一点といたしまして、ただいま御質問の
失業保険がどういうふうに運用されて、概況はどうか、こういうことでございますが、特に季節的労務者が
失業保険を受納している
状況は、統計的に申し
上げますると、二十八年度以来三十八年度に至りますまで、景気変動に
関係なく一貫して増加の一途をたどっています。さらに具体的に申し
上げますると、二十八年度におきましては十一万六千人、全受給者の中に占める割合は一四・四%
程度でございました。これが着実に増加いたしておりまして、三十八年度は四十八万人、全体の受給者に占めます率は三〇・七%ということでございます。これは杜氏だけじゃございませんが、そのほかの季節的労務者も含みますが、こういうことでございまして、
失業保険全体の財政にとりまして、このままの傾向が続きます場合には、ゆゆしき事態になるということでございまして、再
検討を何らかの形でなさなければならない
段階でございます。
さらに、具体的に御理解いただきますために付言いたしますると、通常季節的労務者が保険金を受給いたします場合は九十日分を受給いたしますが、これは本人の保険料の二十二・五年分に相当するわけでございます。したがいまして、この傾向で季節的労務者が増加をするといたしますると、保険として当然成り立たなくなるわけでございます。そういうことでございますので、
失業保険全体といたしまして問題だということは御理解いただけ
ようかと存じます。
さらに、第二点といたしまして、
日本経済の波は若干いろいろございまするけれ
ども、全体といたしまして、一ころに比べまして雇用情勢は好転いたしておることも御
承知のとおりでございます。そういたしますると、いままで季節的労務者に対しまして、失業の
状態になる、その場合に就職をあっせんし
ようもないということもあったわけでございます。したがって
失業保険を支給せざるを得ない、こういうことになるわけでございますが、最近の
ように求人と求職のバランスがまあ次第に好転をしてまいっております場合には、就職のあっせんを申し
上げるということで、適職があればそちらのほうにごあっせんを申し
上げ得る
ように、一ころに比べますればなりつつある、こういうことでございます。
第三点といたしまして、しかしながら、
先生ただいま御質問の
ように、杜氏であるとかそのほかの季節的労務者の皆さんが従来まで
失業保険を受給しておったということは動かしがたい現実でございますので、最初に申し
上げました二つの問題はございまするけれ
ども、あわせて、やはりいままでの運用の
実績というものも十分に考慮しなければならないということは、これまた当然のことかと存じます。そういう意味で、現在の
大蔵省あるいは
農林省、あるいは
業界直接の御
意見、行く行くは審議会の御
意見等も十分に拝聴いたしまして、成案を得たいと思っていますけれ
ども、改正の内容等につきましては、いろいろ問題も非常にございますので、現在目下鋭意
検討中の
段階でございます。