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政府委員(馬場有政君)
日本電気計器検定所法案の
提案理由とその概要につきまして、
補足説明させていただきます。
われわれの家庭にございます積算電力計その他の電気の取引に使用する電気計器を、取引用電気計器と申しておりますが、これらの取引用電気計器は、電気の取引の基本になるものであり、それが正確なものであることが、国民生活の上から強く要請されるわけであります。
したがって、取引用電気計器につきましては、一品ごとの検定を
通商産業大臣が行ない、これに合格したものでないと使用できないことに、電気測定法によって定められております。この検定は、現在工業技術院の電気試験所が行なっているわけでありますが、電気計器の公差、検定および検定
手数料に関する件という勅令によりまして、主務大臣が
指定した公共団体または公益
法人に対して、検定の前提となる計器の試験を委託し得ることとなっており、この
指定試験機関の試験に合格したものにつきましては、国が検定を行ないます際に、試験を省略し得ることとなっております。現在
指定試験機関といたしましては、
東京都及び社団
法人日本電気協会が
指定を受けておりまして、この両機関に対しましては、電気試験所から駐在官を派遣いたしまして、駐在官が試験の監督等を行なっているわけであります。
以上のような体制で、
長年にわたって取引用電気計器の検定が行なわれてまいったわけでありますが、年間五百万件近い検定を行なって行く上に、各種の問題が生じてまいっております。現在、検定の前提となる試験につきましては、先に申しましたように、
東京都及び
日本電気協会、それに当院の電気試験所が行なっているわけでありますが、
東京を初めとする全国各地におきまして、これらの機関が併存して業務を行なっておりますため、設備その他の重複が生じておりますし、また、自動機械化等の運営の能率化にも支障を来たしております。さらに、検定機関と試験機関が分離している点から生ずる問題もいろいろございます。
一方、電気計器の試験、検定のような、定型的かつ大量の業務を、
予算・人員等の面で多大の制約を受けている国の試験研究機関が行なうことは妥当でない面があり、このような業務を国の試験研究機関から分離すべきであるとの趣旨が、一昨年行なわれました科学技術会議の答申等におきましても
指摘されているところであります。
近年の検定
件数は着実な増大を示しており、かつ、電気計器の精密化、大容量化、多様化の傾向は著しいものがあります。今後、電気計器検定を能率的に行なっていくためには、現行検定体制の抜本的改革をはかり、電気計器検定のための近代的かつ能率的な体制を確立する必要があると考えるものであります。このような観点から、この際、既存の機関を母体として、試験と検定を一元化し、かつ、検定と密接な関連を有する各種の業務を一元的に行なう機関を設立することが必要であるとの判断に至ったものであります。この一元的機関をどのような性格のものにするかという問題につきましても、いろいろと検討をいたしたわけでありますが、電気計器の検定は、きわめて大量のものを扱う業務であり、迅速な検定を行なう必要があること、しかも、それが公正に行なわれなければならないこと等の点から見まして、特殊
法人という形が最も望ましいと考え、本
法案を立案いたしたものであります。
次に、本
法案の概要を御
説明いたします。
日本電気計器検定所は、独立の
法人格を有する特殊
法人であり、取引用電気計器の検定等の業務を行ない、電気の取引の適正な実施の確保に資することを目的とするものであります。
次に、事務所でございますが、検定所は、
東京都に主たる事務所を置くほか、電気試験所及び
日本電気協会の支所を母体といたしまして、当面、全国十五都市に出先機関が置かれることになる予定であります。
検定所の資本金は、その設立に際して、
政府及び
日本電気協会から出資される額の合計額であり、いずれも現在検定・試験等に用いられております資産を現物出資いたすこととなっております。なお、
法案には書いてございませんが、検定所の職員につきましては、電気試験所及び
日本電気協会の検定
関係職員を全員引き継ぐことにいたしております。また、これらの職員の待遇につきましては、両機関からの移行者を平等に処遇いたしますと同時に、従来の待遇に比較して不利益にならないよう処遇いたしますことは当然であると考えております。したがいまして、職員の身分上の不安は何らございませんし、さらに、電気試験所から移行する職員につきましては、移行の際に、いわゆる整理退職の扱いといたしまして高率の退職金を支払うことといたしておりますし、検定所移行後の給与は、国家公務員ベースを相当上回ることを予定いたしております。
なお、
東京都も現在試験を行なっておりますが、その業務量が小さいこと等のため、この検定所には参加せず、検定所の発足と同時に試験業務をやめまして、その設備、人員等は他の業務に転換することとなっております。
法案のほうに話を戻しまして、本
法案の総則におきましては、このほか、持ち分、定款、登記等についての
規定を設けております。
次に、検定所の役員につきましては、
理事長一人、専務
理事一人、
理事三人以内、監事二人以内を置くことといたしており、
理事長及び監事は
通商産業大臣が、また専務
理事及び
理事は
通商産業大臣の認可を受けて
理事長が、それぞれ任命いたすこととなっております。このほか、役員等につきましては、その任期、欠格
条項、解任その他の必要な
規定を設けております。
次に、検定所の業務につきましては、その主たる業務は、もちろん電気測定法に基づく取引用電気計器の検定でございますが、このほかに検定と密接な関連を有する電気計器等の依頼試験、調査研究等を行なうことといたしております。以上のほか、通産大臣の認可を受けまして、一定の依頼業務を行ない得ることとしております。このほか業務につきましては、業務方法書、検定の実施等について
規定しております。
第四章の財務及び会計の章におきましては、
予算等の認可その他検定所の財務及び会計に関する各種の
規定が置かれております。このほか、監督、雑則及び罰則の三章が置かれており、通産大臣が検定所の監督に当たること等が
規定されております。
以上のほか、
附則におきまして、検定所の設立手続、
経過規定、検定所の設立に伴う電気測定法の一部
改正、その他
関係法規の一部
改正等を行なうことといたしております。
以上、簡単でございますが、
日本電気計器検定所法案につきまして、
補足説明いたしました。