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1964-06-26 第46回国会 参議院 商工委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月二十六日(金曜日)    午前十一時九分開会     —————————————   委員の異動 六月二十六日   辞任      補欠選任    戸叶  武君  中田 吉雄君     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     前田 久吉君    理事            赤間 文三君            上原 正吉君            近藤 信一君            向井 長年君    委員            大谷藤之助君            川上 為治君            岸田 幸雄君            剱木 亨弘君            小林 英三君            豊田 雅孝君            八木 一郎君            大矢  正君            中田 吉雄君            藤田  進君            鈴木 一弘君   国務大臣    通商産業大臣  福田  一君   政府委員    通商産業政務次    官       竹下  登君    通商産業大臣官    房長      川出 千速君    通商産業大臣官    房参事官    宮澤 鉄藏君    通商産業省公益    事業局長    宮本  惇君    工業技術院長  馬場 有政君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    大蔵省理財局国    庫課長     稲村 光一君    大蔵省理財局資    金課長     海堀 洋平君    工業技術院総務    部長      小林 貞雄君   参考人    電源開発株式会    社副総裁    大堀  弘君    電源開発株式会    社理事     白石 正雄君    日本開発銀行理    事       今井  博君     —————————————  本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○電源開発促進法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○中小企業団体組織に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○日本電気計器検定所法案内閣提  出、衆議院送付) ○中小企業近代化促進法指定業種拡大  等に関する請願(第一九四号) ○公衆浴場業に対する特別融資等に関  する請願(第一八四〇号)(第一九  二九号)(第一九六八号)(第二〇  一八号)(第二〇三九号)(第二〇  九七号)(第二一二二号)(第二一  八九号)(第二七三九号)(第二七  六一号)(第三一二九号) ○中小企業振興に関する請願(第二二  〇〇号) ○電話加入者事業協同組合強化に関  する政府緊急措置請願(第三二  一二号)(第三二一三号) ○上水道事業用電力特別料金設定に  関する請願(第四六〇号) ○一般物価値上げ反対及び独占価格  の引下げに関する請願(第九五〇  号)(第一四三一号)(第一四三二  号)(第一四三三号)(第一四三四  号)(第一四三五号)(第一四三六  号)(第一四三七号)(第一四三八  号)(第一四三九号)(第一四四〇  号)(第一四四一号)(第一四四二  号)(第一五三五号)(第三〇九二  号)(第三一五二号) ○物価値上げ反対に関する請願(第一  四二九号) ○物価値下げ等に関する請願(第一四  三〇号) ○物価対策等に関する請願(第一七三  〇号)(第一九六九号) ○昭和三十九年度雪寒地帯対策予算編  成等に関する請願(第二二二号) ○福島県「常磐−郡山地区」の新産業  都市早期指定に関する請願(第五  四五号) ○青森県むつ市にむつ製鉄株式会社工  場建設促進に関する請願(第一二九  六号) ○東北開発株式会社再建策に関する  請願(第一七三三号) ○電気工事業法制定に関する請願(第  一〇八六号)(第一一一六号)(第  一一一七号)(第一一一八号)(第  一一一九号)(第一一二〇号)(第  一一二一号)(第一一二二号)(第  二四三七号) ○奄美群島電気事業に関する請願  (第一一七一号) ○炭鉱坑内保安等のため特殊防爆型照  明兼非常警報電灯設備に関する省令  制定請願(第七三八号) ○鉱業政策充実強化に関する請願  (第八三二号) ○競輪選手制度改善に関する請願(第  一三九五号) ○中国経済貿易展覧会の北九州市開催  に関する請願(第二六九四号) ○競輪選手制度改善に関する請願の趣  旨反対請願(第二九三五号)(第  二九九七号) ○日本電気計器検定所法案廃案に関す  る請願(第三〇〇八号) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————
  2. 前田久吉

    委員長前田久吉君) ただいまから商工委員会開会いたします。  まず、委員長及び理事打ち合わせ会協議事項について御報告いたします。  本日は、理事補欠互選の後、電源開発促進法の一部を改正する法律案中小企業団体組織に関する法律の一部を改正する法律案及び日本電気計器検定所法案並びに請願の審査を行ない、継続調査要求書委員派遣承認要求書の決定を行なうことになりました。  次に、閉会中の委員会開会日時は、明日午前十時、七月は三十一日、八月は一日とすることになりましたから、御承知願います。     —————————————
  3. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 次に、理事補欠互選についておはかりいたします。  理事が一名欠員になっておりますので、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。互選は投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないと認めます。  それでは、私より向井長年君を理事に指名いたします。     —————————————
  5. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 次に、電源開発促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府委員から補足説明を聴取いたします。宮本公益事業局長
  6. 宮本惇

    政府委員宮本惇君) お手元九頭竜川開発計画という資料がお配りしてございますが、この前も提案理由で申し上げましたように、今後の日本水力発電の何と申しますか、質的な需要に対応するために、この九頭竜川開発電源開発株式会社がいたすわけでございますが、この際世界銀行から二千五百万ドル、九十億円の資金借り入れるという方向で現在世銀と折衝が行なわれております。ただ、その場合に、世界銀行は貸します場合に、貸し付け金債権に対しまして電源開発会社の財産につきまして一般担保規定が現在ございませんので、これを設けませんと、世銀自体としても金が貸せないという事態になっておりますので、この法律改正いたしまして、一般担保規定を入れていただくというのが一番大きな問題でございます。  なお、これに付随しまして、もし世界銀行資金の必要から、その外債を日本におらない外国投資家が譲り受けたような場合に、元本及び利子につきまして、ほかにいろいろ例があるように、外資法による送金保証の道を開いておいたほうがいいということで、そのことも一緒に規定してございます。  なお、附則によりまして、今度はその利子につきまして所得税を免除するということが必要でございます。これはすでに輸出入銀行あるいは愛知用水公団等で一応例がございますので、附則におきましてこの関係法律を直しまして、電発も同じ扱いを受けるというふうにいたしたのがこの今回改正のおもなと申しますか、三点でございます。したがいまして、きわめて事務的な改正でございますが、よろしくお願いしたい、こう考える次第であります。
  7. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 以上で補足説明を終わりました。  それではこれより質疑に入ります。なお三人の参考人の方が出席されておりますので、あわせて御質疑を願いたいと思います。
  8. 藤田進

    藤田進君 まず、内容審議に入る前に、法案の性質並びにその提出等に対する態度についてお伺いをしたい。  この問題の起こりました時期等の関連において、ことしの五月十五日に政府提出になっておるように思うのでありますが、この国会はすでに昨年十二月から開会がなされている。電源開発促進法については、うわさはあったけれども、会期末になって、憲法の定める百五十日以内ということになれば、もうあとわずかというときに提案されて、しかも同じ部局において電気事業法という膨大な内容を持つ法案がこれまたおくればせ提出されて、ここに会期末ぎりぎりの二十五日、昨日衆議院が参議院に送るという、こういう状態では慎重に審議する時間的な余裕から見ても、他に非常早く来た法案も当院にある、特に当商工委員会にはある。これらについてその経過説明していただきたい。
  9. 竹下登

    政府委員竹下登君) いまの御指摘でありますが、このような長い通常国会、それも会期末になって、そそくさと法律提案した理由なり態度なりということに対する質問であると理解をいたします。これは、この法律自体を成案を得る形においては十分前から準備をいたしておったのでありますが、この法律案提案いたします時点において国際復興開発銀行との話の見通しがついた、その時点において提案をした、このように理解をいたしておりますが、詳しくは局長から御答弁申し上げます。
  10. 宮本惇

    政府委員宮本惇君) まことにおくれまして、その点は申しわけないと思っております。ただ、この点につきましては、世界銀行側がまあたしか三月ごろにもまいりましたのでございますが、ほんとうに貸そうという態度と申しますか、積極的になってまいりましたのが五月ごろでございまして、そういった意味で、現在の段階では、一応九月ごろまでに何とか成立させたいという非常に積極的になっております。九月ごろにIMFの総会で世銀総裁もお見えになると伺っておりますので、まあそういう意味におきまして、急に御提出申し上げた次第でございますが、われわれといたしましては、そういうふうに実態が固まってきたということでおくれまして、その点はまことに申しわけなく思っておりますが、そういう事情でございます。
  11. 藤田進

    藤田進君 だって、これは国際的にもこれがこの国会で成立しなければ、来国会を持ち得ないということであれば、非常に信用を失墜することにもなるだろうと思う。納得のいく説明のない限り、こんな短期間で重要な法案を通すわけにはいかない。そこで、従来は外資導入等に関連する法改正もあった。そういう場合には輸銀なり、世銀なり、それぞれの外国銀行等との話し合いがついて、これに国がどの程度を保証する、それに対する所要の立法をしなきゃならぬということで、一応の話し合いが固まってきて後、法的措置を講ずるというケースもあった。この場合は、こういう法文の中に国際復興開発銀行か、こういった明文を入れるけれども、まあある程度固まったとかいう程度で、にわかにこれを判断することができるものかどうか、むしろわれわれの側からいえば、話が十分固まって間違いがないと、仮調印もしたという時期に、臨時国会等も予想されることだし、その際に国内法整備をはかったらどうなんだろう、こう思われる。われわれのほうにこういう事情が逼迫してきたといわれても、行政当局がもっと手順よくやれば、われわれに迷惑がないはずだ。借り入れの仮契約等が済んだ後にこれが国内法措置をすると、かってもそういう例はあった、外資算入について。今回に限り国内法措置そのものが不明確であり、一方国際復興開発銀行関係も明確ではまだないだろうが、仮調印その他してあれば、その事情も聞きたいけれども、どういうものですか。事後処理として、国内法整備ということを取りつけて話し合いを進めるというわけにいくのか、いかないのか。
  12. 宮本惇

    政府委員宮本惇君) 先ほど世銀態度がはっきりしなかったということをちょっと申し上げたのでございますが、実はことしの二月ごろにおきましては、電発担当者から電源開発株式会社石田理事にあてた手紙にも、計画経済性並びに銀行融資の対象の適合性について相当疑問を抱いておりますというような私信がありましたが、その後、いろいろ説明をいたしまして、好意的になってまいりましたのが、たしか四月ないし五月ごろでございました。それで、すでに現在世銀からも人がまいっておりますが、非常に積極的でございます。したがいまして、世銀の意向といたしましても、あるいはまた電発資金計画の面から見ましても、やはりこの国会でできますれば、この法律をお認め願えれば、九月ごろまでに調印ができて、そうして万事スムーズにいくということで、御提出がおくれましたこと自体はまことに申しわけないのでありますが、そういうふうにこの国会でお通しいただくと非常にスムーズにいく。また臨時国会とかあるいは次の通常国会ということになると、御承知のようにこれは予算財政投融資でございますが、大蔵省のほうも見積もられておりますので、そういうような意味から非常におくればせではございますが、何とか改正をお願いしたい、こういう意味で御提案申し上げたわけでございます。
  13. 藤田進

    藤田進君 まことに不明確、あいまいで、これのみでは了解しがたい。しかし、内容とあわせて審議を進めた上で判断したいと思います。
  14. 大矢正

    大矢正君 まず、最初大蔵省当局お尋ねをいたしたいのでありますが、これはまあほんとうに事務的な問題を二、三参考のために承っておきたいと思います。  その一つは、このたびの電源開発促進法の一部改正に基づいて、電源開発株式会社世界銀行との間に借り入れ契約を結び、同時にその借り入れ契約に見合う社債を引き渡すと、こういうことになるようでありますが、そこで過去において開銀を通して世銀から借款を得たという経過はありますが、直接世界銀行から借り入れをするというのは今度が初めてである。そこで世界銀行借款というものの内容が私にはよくわかりませんので、できることならこの際世界銀行が今日までわが国のそれぞれの企業なりまたはその他の法人なりと契約をした借款内容、こういうものについてお尋ねをいたしたいと思いますし、あわせて、元来でありますと、借款ということになりますれば金を借りるということでありますから、社債を発行することとは意味が違ってくるわけですね。社債を出すということになれば、債券を引き受けてもらうということでありますから、これは借款と俗に言われる言葉とは意味が違ってくるわけであります。そこで借款契約を結び、なおかつ社債を渡すという形が今度のこの電源開発の中では生じてきているわけなんでありますが、考えてみますれば、資金の不足がどうのこうのという問題もあろうかと思いますが、そういう形がなぜ行なわれるのかということもあわせてお答えいただければ幸いと思います。
  15. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 従来の世銀からのわが国借款の実績のお尋ねのようでございますが、だいぶございます。件数といたしましては相当ございますので、大きなのを申し上げましょう。  一番初めのは、一九五三年十月の十五日に契約いたしまして、発効いたしましたのが五三年の十二月二十九日、借り入れ者開銀が借りております。そして借款契約額は二千百五十万ドルでございます。それで実際に借り入れを引き出しました額が二千五十七万八千ドルというのが一番最初でございます。これは借り入れ人開発銀行でございますが、それをさらに開発銀行から関西電力に貸し付けているようでございます。それが最初の分でございます。以下ずっとございますが、最近で大きいのを申し上げますと、国鉄が東海道新幹線借款をいたしました。これは一九六一年五月二日に貸し付け契約調印をいたしまして、発効がやはり六一年六月三十日でございます。借り入れ者日本国有鉄道でございます。その事業はいわゆる東海道新幹線、正式には東海道幹線増設工事でございます。契約額は八千万ドル、実際八千万ドルを引き出しております。以下最近におきましては、日本道路公団が一九六一年十一月二十九日に契約いたしまして、これは名神高速につきましての借款でございます。それから六三年には、同様に日本道路公団東名道東京静岡間について借款をいたしております。これが大きな最近の借款でございます。  その間にずいぶん件数といたしましてはございまして、この東京静岡間の借款まで含めまして、借款契約額の合計といたしましては五億六千二百九十万ドルになっておるようでございます。純借款額といいますか引き出し額といいますか、まだ引き出していないのも含めておると思いますが、すでに終わった分につきましては、純引き出し額にして計算いたしますと、五億五千七百十六万四千ドルというふうな資料手元にございます。  それからもう一点の、借款であって、わざわざ社債を引き渡す必要はないではないかという御質問でございますが、これは私も契約条項を正確に現在手元に持っておりませんのですが、契約条項によりますと、一応借款という形をとりますが、世銀側要求するときにはその借り入れ額相当債券を引き渡す形、いわゆる社債に転換するというか、そういう条項世銀側要求によりまして社債を発行しなければならないという契約書になっておりますので、通常はそういう事態は起こっておりませんが、そういうことができるように、そういう事態要求のあった場合を想定いたしまして、法律改正が必要になってくる、こういうことでございます。
  16. 大矢正

    大矢正君 そこで、過去においても幾多の世銀からの借り入れの例があるわけでありますが、たとえば開銀からまた借りをするという電発の過去の例、その他にもいろいろあることと思いますが、特に社債を引き渡さなければならない理由というのは、もちろんそれは契約内容がそうだからとあなたおっしゃるが、考え方としては一体どうなのかということを念のために承りたい、こう思うんです。
  17. 稲村光一

    説明員稲村光一君) ただいまの社債の問題でございますが、これは大体世銀が方々に貸しますときに定型的になっておりまして、そうして貸しました債権世銀からいたしますと債権、これを場合によりましては市中に流動化すと申しますか、世銀のほうの資金の都合で流動化するという必要が出てくる場合があるために、一部を社債という形に世銀のほうで要求する場合にはいたしまして、そしてそれを世銀のほうはほかに肩がわりするという必要のために、世銀としては大体定型的にそういう約款を入れておる、日本世銀借款につきましても、従来の例で大体入っておる、その点ではこの電発の場合は初めての例ではございません。
  18. 大矢正

    大矢正君 貸したものが戻ってくるか戻ってこないかということに対しての不安であれば、政府が保証しているわけでしょう。だからその不安というものはないはずであります。予算総則でこの限度額、九十億の限度額までは借り入れをした場合に政府が保証すると、こうなっているわけだから、貸した金が返ってこない、世銀がかりに電源開発に貸した金が返らないのではないかという不安はないわけですね、極端なことを言えば。にもかかわらずそこで債券が発行される、発行される債券をそれじゃ一体どうするのかといえば、あなたがいま言われているとおりだと思います。結局法人個人を問わず外国投資家というものの手に渡るんでしょう。事実上渡らぬでそのまま世銀の中に置かれる場合もあるのだが、それは単に世銀の希望によってだけきめられる問題なのか、あるいはわが国がそれに対して、わが国というか当事者である電源開発が直接交渉すれば、世銀が了承を与えるなり何なりというような一つの目安があってきめられるものなのか、その辺は一体どうなのか。
  19. 稲村光一

    説明員稲村光一君) ただいま申し上げましたように、これた世銀のほうの形の上では定型、きまっております貸し付け規程に基づいておるわけでございまして、したがいまして具体的な場合に、たとえばそれは困るということを形の上で要求することはできないと思います。いわば世銀として、どこに貸す場合でも大体そういう約款貸し付け規程をとっておりまして、それに従わなければ借りられないということでございます。
  20. 大矢正

    大矢正君 そうすると過去の例、先ほど説明がありましたが、これらは全部社債を引き渡しておるわけですか、借り入れ契約に基づいて。
  21. 稲村光一

    説明員稲村光一君) ただいま申し上げましたとおりの貸し付け規程でございますので、いままでのに入ってはおります。ただし、具体的にそれに基づいて世銀のほうが社債を出してくれという要求があったことはございません。
  22. 大矢正

    大矢正君 あったことはないんだが、今度の電源開発にだけそれを要求するんでしょう。ただ、ここでいわゆる債券の発行だから、もちろんそれに伴う担保物件というものも必要になってくると思うが、単にそれだけのことで、実際に社債を受け取るという状態はないんですか。
  23. 稲村光一

    説明員稲村光一君) ただいまちょっと御説明が不十分であったかと思いますが、世銀貸し付け、今後の世銀借款契約におきましては、いずれも社債に転換されるということについての条項は入っておりますので、これはまたそうでなければ借りられませんので入っております。しかし、その条項に基づいて具体的に世銀が転換を要求してきたということはないということでございます。つまり今回の場合も世銀からはこの条項を入れませんと借りられない、しかし、それに基づいて、従来ほかの世銀借款について具体的にこの部分を社債に転換してほしいという要求があったかと申しますと、その例はないということでございます。
  24. 大矢正

    大矢正君 そうすると、過去における契約内容はすべて社債要求する場合には引き渡すのだという前提がある、しかし実際上の例はない、こういうことになるわけですね。さすれば、第二項というものは必要であるようであり、実際問題として必要がないということも言えることにならないか。なぜかといえば、要求をしてきたときに初めてそこで考えればいい問題で、引き渡さなければならない段階で考えればいい問題で、こういう条項電源開発促進法の中になければ向こうは金を貸さないということになるのですか。
  25. 稲村光一

    説明員稲村光一君) ただいま御指摘のとおりでございまして、世銀借款契約を結ぶ、この借款契約の中にはこの条項が入っていないといけないわけであります。したがって、この法律改正されておりませんと、そういう内容を持った世銀借款契約をすることができませんので、したがって世銀借款が成立しなくなるということがございます。
  26. 大矢正

    大矢正君 次に、開発銀行のほうに若干事務的なことでお尋ねいたしたいのでありますが、過去において、年度は忘れましたが、電源開発に対して世銀からあなたのほうが一たん借り入れをして、これを電源開発のほうに又貸しをしておるという経過がありますが、このときの条件というものはどういう程度のものであるかということをこの際承っておきたいと思います。
  27. 今井博

    参考人今井博君) 御指摘のように、昭和三十四年に開発銀行を通じまして電源開発世界銀行資金を転貸いたしております。金額は一千万ドル、これに対する条件は特別の条件はございませんで、世界銀行開発銀行の締結いたしました契約でそのまま電源開発に転貸いたしました。金利等は五分九厘、期限は二十五年ということで、それ以外には特別の問題はないと思います。
  28. 大矢正

    大矢正君 このいま言われた五分九厘というのは開発銀行さん自身の手数料というか、それはあるわけでしょう、それを加味したものがこういう金額になるのですか。  それからもう一点、償還期限は二十五年と言うが、据え置きがあって、その据え置き期間の上に立って何年の償還期限とこうなっているわけでしょう。そのもっと具体的なことを説明してもらえませんか。
  29. 今井博

    参考人今井博君) 据え置きは十五年であります。それから手数料といたしまして二厘ちょうだいいたしております。
  30. 大矢正

    大矢正君 そうすると、逆に言うと、手数料が二厘なければ年利五分七厘、五・七%という数字になりますね。
  31. 今井博

    参考人今井博君) そうでございます。
  32. 大矢正

    大矢正君 次に白石さんにお尋ねをいたしたいと思いますが、今度新しく契約をされる見込みの直接の世銀借款は、条件として今日まで話されている内容はどういう内容のものか、あなただいぶ最近精力的にお話をされておるようでありますが、御説明いただけたら幸いだと思います。
  33. 白石正雄

    参考人(白石正雄君) 具体的な条件につきましてはまだ詰めておりません。ただ、ただいま開発銀行から御説明のありましたように、前回の場合が五分九厘五毛でございますが、五分九厘五毛で開発銀行からお借りしておりまするので、その手数料の二厘は実質的には低くなるものと考えております。  なお、具体的な交渉の条件といたしましては、これは政府のほうにおきましていろいろ御折衝もあることと思いますが、さらに有利な条件契約締結できるものと期待いたしまして、私どもといたしましても、説明に努力をいたしておるという現状でございます。
  34. 大矢正

    大矢正君 大蔵省のほうにもう一度さかのぼってお尋ねをしたいのでありますが、ここ数年の間、世銀からいろいろの借款をいたしておりますが、多少内容によっての差はあると思いますが、平均金利としてはどの程度の水準のものか。それから最近は下がる傾向にあるのか、それとも上がる傾向にあるのか、そういう推移をひとつお答えいただきたいと思います。
  35. 稲村光一

    説明員稲村光一君) 世銀借款の金利は、大体そのときの一般の金利水準というものに影響されますのでございますが、最近の例を申し上げますと、一番最近のところで、先ほど資金課長から御説明を申し上げました道路公団の借款等は五・五%でございます。最近のほうの道路借款でございます。その前の三十七年一月の道路借款は五・四分の三%でございます。その前、三十六年から三十七年の一月までの世銀借款は全部五・四分の三%でございます。その前の三十五年の道路公団の借款は六・四分の一%でございます。それから年代順にさかのぼりますが、その前の開銀借款は、三十五年の一月でございますが、これは六%、したがいまして、今回のものも、大体最近の金利情勢に変更がなければ、この六とか六・四分の一ということではなくで、最近の道路借款のあれに近いようなものが期待できるのではないかと思っております。
  36. 大矢正

    大矢正君 いまのお話をいろいろと承ると、過去の金利の水準については変動があったわけですね。そこで、このたび新たに契約を結ぼうとしておる電源開発の金利の水準というものは、おおよそどの程度のものが妥当だと大蔵省は考えておられるのか。これは電発が借りるのかしれぬが、事実上は大蔵省が了承を与えなければ契約の締結は困難だと思うんです。先ほど過去において開発銀行借り入れたときは、手数料も含めて五分九厘五毛という数字が出ておりますが、これは今度の電発の直接借り入れの場合にもおおよそこの程度の数字ということになるのか、あるいはもっと下がるという傾向にあるのか、そういう状況について御説明をいただきたい。
  37. 稲村光一

    説明員稲村光一君) 先ほど申し上げましたとおり、世銀借款の金利は大体そのときの金利水準に左右されますので、また、この借款が実現いたしますころどういうふうになっておりますか、ただいま必ずしもはっきりいたさないと思いますが、大体これは借り手のいかんによってそう差はないわけでございます。たとえば、外債等におきましては、相当そういう点はございまして、条件に差が出てまいりますが、世銀借款でございますと、わりに定型的な金利が世銀借款として適用されますので、そういう意味で、先ほど申し上げましたとおり、最近は以前に比べますと、全般として世銀借款の金利が下がっておりますから、そういう意味では最近の道路借款程度の金利が期待できるのではないか、情勢に変化がなければ、ということでございます。
  38. 大矢正

    大矢正君 先ほど白石さんのお話によると、開発銀行を通して借り入れをする場合には、当然のこととして開発銀行に〇・二%の、言うならば手数料を払わなければならぬ、その部分が電発が直接借り入れをすることによって金利の低下になるというお話でありますが、考えてみると、単に〇・二形の金利の低下だけが今回直接借り入れをするということになったのではないのではないかという、実は私は気がするのですがね。と申しますることは、やはり昭和三十四年当時——過去においては、言うならば、電源開発の力では借銀はなかなか金を貸してくれそうもなかった、しかし今日では、その電源開発それ自身の企業の規模なり内容等から見て、借りれる状況になってきたのではないか、金利の低下は私は第二の問題ではないかという感じがするのだが、大蔵省の当局としては、ほんとうはこれはあなた方に聞く問題ではなくて、局長に聞きたかったのだが、局長お見えにならないので聞いておきたいと思います。これは私がまさか電発に聞いても、開発銀行に聞いても、これはおかしな話になるので。
  39. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 開発銀行を通じないで直接電源開発が借りるというに至りました理由お尋ねでございますが、最近の世銀借款につきましては、まあ大きなのは道路公団とか、国鉄とか、政府関係機関が多いわけでございますが、電源開発株式会社も、御存じのように民間出資は一億円、ほかはすべて政府出資ででき上がっております。電源開発促進法に基づきます特殊会社でございまして、財政投融資の面から見ましても、直接資金運用部資金を貸し得る対象になっております。いわば政府関係機関に準ずる機関でございますので、特に開発銀行を通ずる必要というものを認めませんで、国内的に財政投融資の対象として直接資金運用部からも金を貸している。そういう意味におきまして、世銀からも直接借り入れを受けるのが妥当であろう、そういうふうに考えたわけでございます。
  40. 大矢正

    大矢正君 ここでひとつ大堀副総裁に基本的な電源開発のあり方の問題についてお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、先般、電気事業法が新たに制定をされるときに、わが党の藤田委員からもおそらく通産大臣その他政府当局に対しての質疑が行なわれたと思いますが、それは政府当局としての考え方の答弁であったと私は思いますが、きょうはひとつ電源開発という立場において、日本の電力全体の中で電源開発が果たすその役割りと申しましょうか、目的といいますか、そういう点について直接お尋ねをしてみたいと思うのでありますが、電源開発促進法の目的の中に、電発という会社がなぜ必要かということが明確になっておるのでありますが、これは書かれていることは、電源の開発をするのだ、そのことによって電気の供給力というものを増加するのだということが書かれておりまして、言うならば、その電発法ができた当時の日本の経済、産業という情勢を反映して、とにもかくにも供給不足なその当時の日本の電力事情を何とかして一日も早く解消したい。それには国家的な立場からの資金の投入も必要であるというところで、電源開発が生まれてきたと、しかし、最近の情勢を見ますれば、すでにそう大きなものではありませんが、供給力に対して多少なりとも余裕を持ちつつある。また九電力におきましても、新鋭火力に対して非常に大きな力を入れている。こういうことから参りますと、電力の供給が不足であるという立場からつくられた電源開発促進法、それに基づく電源開発株式会社というものが、すでにその使命を終わって、何らか別な使命を持たなきゃならない段階にきているということは、だれがみても考えられるのじゃないかと私は思うのでありますが、こういう事態に対処をして、電発それ自身としていかような考え方を持っておられるか、念のために承っておきたいと思うのです。
  41. 大堀弘

    参考人(大堀弘君) ただいまのお尋ねの点でございますが、確かに従来はともかく水力開発ということに取り組んでおりました。これは電気が足らぬからできるだけ急いでつくれという趣旨でやってまいったわけでございますが、今日の段階といたしまして、私どもの役割りというものがどういう方向に展開していくべきであろうかということを、われわれとしても現在相当真剣に社内で検討をいたしておる段階でございます。また政府の御方針によることも多いわけでございますけれども、私どもの頭にございますことは、やはりこの変わった情勢の中で、今日広域運営ということが非常に言われておりますが、この広域運営の中で当社がどういう役割りを果たしていくかということ、それから政府機関としての立場で民間企業としての九電力会社で達成できない面、それを背負っていくということであろうかと思いまして、昨年暮れに御決定いただきました石炭火力、これは石炭政策のために国策の線に沿って当会社が担当するのがよろしいということに御決定いただきまして、最近は石炭火力を着工いたしておるわけでございますが、あるいは私どものやっておりまするのは、五十サイクル、六十サイクルの連携のために周波数の転換装置というものを佐久間に現在建設いたしております。こういったこと、すでにでき上がりましたが、四国と中国との連絡線、瀬戸内海を渡る連絡幹線、こういった一つの広域運営の中で、当社の特殊な立場を活用して働いていかなければならぬ面が次第に具体的にあらわれてまいってきておるわけでございますが、なお水力につきましても、今後新鋭火力が相当に拡充されました暁には、今日水力は、いろいろ火力との経済性の問題で議論はございますけれども、長い目で見まして、やはりピーク調整火力、あるいはポンピンダ・アップのピーク調整用の水力、特にポンピング・アップ・ステーションとしての水力開発といったようなものも問題になってまいろうと思います。電力会社の中ではいろいろと会社の間に力の相違がございますので、われわれがそういった面も考えて地域的な配慮もして開発を担当していかなければならぬ。  雑然として並べましたが、結局は、広域運営の中でそういった役割りが従来と違って質的な面でいろいろとわが社の働かなければならぬ面があらわれてまいっておるというふうに考えておりまして、これらの点を今後どうするのか、われわれも検討いたしておりますが、政府当局とも十分御相談をして進めてまいりたいと考えております。
  42. 大矢正

    大矢正君 いま大堀副総裁が言われた中で、民間企業としての九電力ではなし得ない幾多の問題がある。したがって、そこに電源開発としての必要性がある、電源開発株式会社の必要性がある、こういうお説なんですが、今日九電力においては、言うならば私企業においてはできない部面、分野というのは一体どこら辺が残っているのか、もしこれがなければ電源開発というものの必要性というものは実際上なくなってくるのじゃないですかね。だから、そこが一体どこにあるのか、どういう点にあるのかということをあなた方自身お考えになっておられると思う。この際参考のためにひとつ聞いておきたいと思います。
  43. 大堀弘

    参考人(大堀弘君) これは絶対できないということを申し上げられないと思うのでございますが、現在ございます形において、わが社が担当することがより適当であるというふうに考えるべき問題かと思いますけれども、いま申し上げましたように、石炭火力につきましても、石炭政策から見ますれば、やはりある程度これを建設していかなければならぬということでございますが、今日の段階では九電力ではこれは引き受けかねる、結局電発が国策会社の立場で今後の新しいものをつくっていくのがよろしいかということかと思います。先ほど申しました周波数の転換装置というものは新しい技術で、これは広域運営に相当役立つわけでございます。これとても、もちろん電力会社相互にやってできぬものではございませんけれども、こういった種類のものは、わが社が担当するのが適当であろうかということで、現在わが社で建設をいたしておるわけでございます。水力につきましても、これは九電力ももちろんやっておりますし、またやれることではございますけれども、今日までのわが社の技術的な能力もございますので、そういう面でこれを活用し、あるいは地域的にはわが社がやったほうがよろしいという面もあろうかと思います。例示的に申し上げましたが、そのように考えております。
  44. 大矢正

    大矢正君 私は電源開発というものがこれから必要性をさらに保持していくためにはどういうことが必要であるか、そうしてどういうことが障害になるのかということを具体的に質問してまいりたいと思いますが、藤田委員が何かいまのことで関連があるというお話しでございますから、そこへ入る前にもう一点だけいまの点で承っておきたいと思いますことは、いま石炭火力の話を副総裁述べられたのでありますが、石炭火力というものが今日なぜ必要であるかといえば、なかなかこれは炭価等の問題があってコストが高くつく。したがって九電力はなかなか手をつけない。したがって、これを国家的な見地に立って、多少高い石炭でも国内産業開発振興という意味から、石炭火力というものを電源開発が本年は三基、また将来二基、合計五基程度はという話であろうと私は思うのであります。ただ、そこで問題になってくるのは、そうなってまいりますと、結局コストの上において高くつくということは必然なんですね。コストが高くついた場合に、その高いコストで生まれ出た電力というものを一体だれが買うのかというのが問題になってまいりまするし、あわせて原価主義をたてまえとする今日の電力の事情からまいりますると、そこで国が相当積極的かつ具体的な何らかの資金的な面においての援助の体制がなければ、これは九電力はやれないけれども、同じく言うならば、資金内容でもって電発ならできるというわけはないのであって、そこに何らかの方法がなければいかぬ。それがない限りは、電発というものはこれからもなお発展をしていくということはできないはずでありますがね。そこでそういう点について電発それ自身として、とりあえずいまあなたの石炭火力の話があったので、私はまだまだ水系別のコストその他について承らなければなりませんが、そういう考え方の点についてお尋ねをしておきたいと思います。
  45. 大堀弘

    参考人(大堀弘君) 御指摘のとおりに、当社が担当いたしまして、できるだけ安い資金を調達をして、石炭火力としても、これは完全に重油専焼火力と完全な競争ができるようになるまでということは事実上困難かと思いますが、少なくとも九電力が担当いたします場合よりも安い単価で発電ができるようにという趣旨で、実は本年度御決定いただきます際にも、特にこの数年間ございませんでした出資を認めていただきまして、出資十億円、さらに融資の面でも特に安い金利の金を、余剰農産物関係の安い金利の金も入れていただきまして、平均金利を非常に安くしていただいたわけでございます。私どもとしましては、現在これによって、できれば三円以内の電気にしたいと思っていろいろと努力いたしております。多少重油と比べれば高い面もございますけれども、この点は九電力のほうもその面については協力をいたすということに相なっておりまして、私どものつくりました電気はその原価で九電力に引き取っていただきたいという話し合いで進めておるわけでございます。
  46. 藤田進

    藤田進君 今度の九頭竜川電源開発の二カ所は四十二年に竣工予定のようだけれども、これはどこに売電する予定になっているのか。
  47. 大堀弘

    参考人(大堀弘君) この点につきましては、従来の経緯もございまして、北陸電力に一括して売るというたてまえでございますが、半分の電気は中部電力が受け取るという線で現在話し合いができてきております。
  48. 藤田進

    藤田進君 どうも羊頭狗肉のようで、これだけ大きい容量の、これは五万キロワット以上のようだけれども、火力がだんだんと設備がふえてくると、調整用ピーク時の大貯水池の水力が必要だ、金利の安い国際復興開発銀行から借りてやる必要があるんだ、こういうふうな、われわれに納得しろという書き方なんです。「火力の建設と並行して一定割合の水力を開発することが必要であり、」云々と、これはいま開くというと、北陸の火力はそんなに大きくないと理解している。その後できたなら別だけれども、日本の有力な水源地帯、関西電力などがもし調整が必要だというならば、この書き方はいいかもしれないが、その辺はよくわからない。なるほど低金利だろうけれども、大蔵省の答弁を聞くと、金利がまだきまっていない。借りるめどがついた、こういうことなんです。およそこういう特殊会社で借り、そして議会に対して答弁をし、法改正をする場合には、金利はこの程度で安いのでございますというのじゃなくて、聞けば道路公団その他についても時期的には非常に金利の幅がある。これは少々の金でないのですから、わずかの金利がわずかの間に大きな影響を持つと思う。金利の点もまだ不明確のようです。実際に内々仮契約まではいかないけれども、これで借りられる。よって国内措置としてはこういう法改正をしてくれというのでないと、法改正はしていった、どうもあとあそこが気に食わない、向こうがはずれたといったようなことでは、われわれは原因のない審議をすることになる。以上の二点について電発側から御答弁をいただきたい。
  49. 大堀弘

    参考人(大堀弘君) 九頭竜にできました電気の問題につきましては、これは北陸電力に電気は引き渡す。ことに西勝原第三は北陸が担当することになっておりまして、そういうたてまえにしておりますが、今日広域運営の場で電気の融通につきましては、きわめて密接な話し合いをいたしておりますので、たとえて申しますれば、只見の電気は東北と東京と半分半分だということでございましたが、実際上は東京に相当量ピーク用として使っておる、こういうことになっておりますが、本地点が北陸の地点でもございますし、建設についての経緯もございまして、電気は一応北陸に渡すというたてまえで話し合いができておりますが、実際上これをどう有効に活用するかということになりますれば、おそらく相当関西あたりもこれを使うという形になろうかと考えておる次第でございます。  それから世銀の問題につきましては、これは私から出過ぎたことを申し上げるといけないかと思うのでございますが、まあ私どもは今日までの折衝の段階では、本法律をお認めいただければ、早急にこの問題を解決していただけるというふうに、見通しについて確信を持っておるわけであります。金利の点はおそらく五分五厘程度の線までやっていただけるのじゃないか、そのように思っておりますが、これはまだ確定でございませんので、私から申し上げるべき筋かどうかわかりませんが、私の観測としてはそのような観測をいたしております。
  50. 藤田進

    藤田進君 だから方法論としては、いろいろと政府当局でも、電発でも、大蔵省でも、それぞれ三人に答弁してもらえばなおいいが、国内法整備をはかるということであれば、これはILOだって、意味は違うけれども同様なんです。あるいはその他の国際条約にしたって同様なんです。国内法のまず改正をしておいて、それから向こうと話を始めて確定するということでなくて、向こうとの諸条件の仮決定をして、その中に彼我の間にわがほうとしてはこの上に立って国内法改正について国会に問うという形で話がなぜ進められないのか。われわれ審議する側としては、不確定なものを前提とする法改正ということについては、どうも勇気が出にくい、これが第一点です。なぜそうすることができないのか。
  51. 大堀弘

    参考人(大堀弘君) 私どもの立場から申しますれば、この担保に関するその他の今回改正の対象になっております条項の御了承が得られませんと、先方に対して調印の前提になる段階まで話を詰めることが非常にむずかしいことになるのじゃないか。これは先方から金を借りるわけでございますから、これだけの条件をそろえろと言われた場合に、内容はいいが、この点が条件が足りないと言われることになりますので、先生のお話もございますが、先ほども局長から御説明ございましたように、たいへん時期的に差し迫った問題で申しわけないと思いますが、この点はひとつ御了承いただいて、この条項で承知しましたという状態にしていただきますことが、話を妥結させるために必要であると考えておる次第でございます。
  52. 藤田進

    藤田進君 それがやはり国の最高機関としての国会に対する態度としてはまことにどうもいかんのです。およそ対外的折衝を持たれる場合に、あるいは国内的の場合も同様ですが、どういう条件でという仮調印というものはなされて国内的な措置をとる、そうしてあとほんとうの本契約をする、あるいは内々の話し合いというものがある程度進んで——ところが、金利にしたってまだ……たぶん五分五厘だろうと思う、低金利であるというけれども、低金利になるかどうか、はっきりしない、予想にすぎない。どうもその辺が私にはふに落ちない。いままでおやりになっておる対外交渉の場合でも、これはむしろ政府は行き過ぎて、外国と本条約調印をしておいて、そうして批准を求める。われわれのほうは本条約の段階じゃなしに、中間報告をし、あるいは仮条約の形の中で国会審議にもゆだねてくれ、こういうことなんで、われわれは一貫している。この場合でも議会に対してこういうものが確定的だ、しかるのちに法改正という順序でないとどうも……。  それから第二の点ですが、水力の開発はもとより電気事業に関連していろいろ指摘したところです。本会議における国家財政の配分等についてもどうも遺憾の点がある。こういうことに対して大蔵大臣並びに通産大臣は、日本の全土的に見てアンバランスのないようにやっていく、こういうふうに言うけれども、北陸は御承知のように水力地帯、これはまあ最近火力のほうが高くつくと言われていることは御承知のとおり。けれどもどうも私的資本の電力会社が開発する場合と電源開発株式会社開発する場合では、少なくとも資本費については国家資本の導入なり、今度こういう開発銀行融資なりということからすれば、いわば低金利でもあるし、国家財政の優遇を受けている電源開発株式会社だとすれば、火力地帯で、資金その他から見て開発困難である、電源開発株式会社のそもそもの設立の目的というものは、開発困難なところ、そして大容量であるといったようなところを国策会社でやっていこうという、電源開発株式会社法にもこの精神は一貫して通っている。だとすれば、北陸以外にピーク調整に必要であり、国家的見地でやらなければならないところがある。たとえば島根県になりますか、先年来電源開発株式会社は調査を進めてきた高梨ダム、江川の開発はどうしたのです。地元がちょっと反対だということになると、すぐほうり投げてしまってやる気がない。ぼくはこういうことを指摘している。困難であればこそ国策会社である電源開発会社がやるということになって、そうしてこういうところへああいう外資導入だ何だと言ってやらぬと、一体一貫して水力の——書いてあるように火力の調整に必要だ、そういう趣旨で電源開発調整審議会なるものも取っ組んでいるのかどうか、ますますこういうものを読んでみて疑問に思う。もっと具体的に説明してもらいたい。
  53. 大堀弘

    参考人(大堀弘君) 最初の問題は
  54. 藤田進

    藤田進君 手順の問題。
  55. 大堀弘

    参考人(大堀弘君) 手順の問題といたしましては、相手が銀行でございまして、金を借りる立場でございますから、条件をそろえませんと調印まで持っていくことがむずかしいと考えるのでございます。そういう意味で私どももこの法案の取り扱い等につきましては、よく事情がわかりませんでございますが、私どもの立場から申しますれば、この条項を御了承いただきませんと、内容的には相当煮詰まった段階にまいっておりまして、私は私だけの責任で申し上げますれば、条件がそろえば九月までにも話がまとめ得るという確信を持っておりますが、この点について、はなはだ申しわけございませんが、ひとつこの点を御了承いただきたいと考えておる次第でございます。  水力の問題につきましては、藤田先生御指摘のとおり、私もちょっと先ほど申し落しましたのでございますが、今日いわゆるOTMと言っていたあの時代に比べますと、確かに水力の地点としては非常に一そうむずかしい地点が多くなっておりますが、最近の新しい方向としましては、工業用水あるいは上水道、治水、農業関係、その他の総合開発といった見地等から見まして、ダムをつくって、それぞれアロケーションをもって電気の開発をやるという、いわゆる総合開発の立場から実施すれば、適当な地点が相当に浮かび上がってまいっております。私どももこの総合開発の立場からやるべき地点につきましては、相当大きなものをわれわれとして取り組んでいかなければならないと考えている次第でございます。  江川につきましても、決して今日問題にしていないわけではございませんで、実は社内におきましては検討いたしておるわけでございまして、あるいは四国の吉野川の地点、あるいは中京方面の問題、その他総合開発的見地で検討を進めている地点も相当ございます。これらにつきましては、何と申しましても、私どもだけの電気の立場からだけで開発に着工できない問題がございますので、その他の工業用水なり、その他の水の利用なり、治水なり、そういった面での話し合いを調整いたしませんと、話になりませんから、多少時間はかかるかと考えております。しかし、これはわれわれの担当する非常に重要な仕事であると考えている次第でございます。
  56. 藤田進

    藤田進君 関連ですから、私の質問のときやりますが、そうするとあれですか、相手側は、仮決定という、金利は幾ら、貸し付け金額が幾ら、償還期限は幾ら、担保その他についてはどうという話し合いが、最終的には国内法整備をしてこなければできない。断片的には何だかんだと言うけれども、一つのセットとなった借款条件というものは向こうは一向に進めない、そういうかたくなな相手ですか。そういう条件を若干文書にも書かれているように仮決定というか、そういうものがあって確信が初めてつくのだろうと思う。国内法を要請されるにはそういう辺からこなければならない、海のものか山のものかわからないのに、国内法を先に改正いたしました、いかがでしょうか、貸してくれますか、ここから交渉を始めていくという、そんな不確定な状態での法改正というものは、私は態度としてとりたくない。
  57. 白石正雄

    参考人(白石正雄君) ちょっと補足的に御説明申し上げます。  まことに貸し付け条件もはっきりしないのにお願いを申し上げているということにつきましては、御指摘のとおりだと思うわけでございますが、金利につきましては、従来世銀理事会が貸し付けを決定したときのニューヨーク金融市場の金利を基準として決定するというようなことになっているようでございまして、したがいまして、そのときのニューヨーク金融市場の金利が幾らになるかということにおいて決定せられますので、ただいまのところ、金利が幾らになるかということを申し上げることはできない、こういう事情でございます。その見通しといたしましては、先ほどから申し上げておりまするように、前回の電発開銀を通じて借りました金利よりも安くなりますし、やはり道路公団その他が借りましたところの金利等を考えてみますれば、その程度になるものと期待できまするので、今日の段階におきましては、さように御了承願いたいと思うわけでございます。
  58. 向井長年

    向井長年君 両委員質問に若干関連しておりますが、特に電発の基本的な開発の問題について、先ほど大堀副総裁から九電力の水力等の開発が困難なところを国策的に開発していくべきだと、こういうことが中心になっておりますが、このただいま問題になっているところの九頭竜の問題は、おそらく北陸電力との競合地帯であったと思う。これは間違いないと思うが、北陸電力はおそらくこれに対しましては、死命をかけて自信を持ってやるのだということでいろいろとこれに対する対策を進めておったと思う。ところが、これはわれわれ聞く範囲におきましては、地元においてのいわゆる補償問題が問題になって、いわゆる補償のせり上げといいますか、北陸電力であればこれくらい、電発であればこうだ、こういうところから非常に地元においては、これに対していろいろな工作なり運動が行なわれた。そういう中で、最終的にはこれは電発にきまったようですが、こういう経緯は、先ほど言った開発地帯というものが他の電力会社ができ得ないところをやるということではなくて、やはりそういうように競合地帯がそういうところにあるということですね。こういう問題については、各電力会社と電発との間にどういう関係をもっていわゆる処理しておるのか。特に今回の問題についてはどうであるか。これは政府にもあわせて聞いておきたいと思います。
  59. 宮本惇

    政府委員宮本惇君) 九頭竜の開発につきまして、御指摘のように、北陸電力との間に何と申しますか、両方がやろうということで多少のごたごたがあったことは事実でございますが、その後当時の北陸電力も資金的にめどがつかなくなったので、いま現在お手元にお出ししております資料のとおり、湯上と長野は電発がやる、西勝原第三は北陸がやるというふうに決定をいたしたわけでございます。  なお、ほかの地点について電発と各電力会社との間にそういった点についてごたごたがないかという御質問だと思いますが、その辺は、最近は何と申しますか、広域運営的な精神が非常に徹底いたしまして、現在のところ電発と電力会社の間にトラブルがあるというふうには全然聞いておりません。以上でございます。
  60. 大堀弘

    参考人(大堀弘君) ただいま公益事業局長からお話がございましたとおりでございますが、私も多少九頭竜の問題が処理されます段階関係しておりました一人でございまするので、ちょっと申し上げますと、これは相当大きな金が要りますが、電気の質から言いますと、先ほど藤田先生から御指摘ございましたように、かなり。ピークをとる目的のダムでございますので、これは北陸電力として、こういった大きな投資をやるということが非常に会社の経営からみてむずかしいではないかと、これは電源開発会社が担当することになりまして、電気を北陸その他に分けていくという方式が結果において非常によかったと考えている次第でございます。  もう一つの点は、各電力会社とわが社の間では、広域運営の中で、最近は話し合いによりまして担当をそれぞれきめていくということが円満にまいっております。
  61. 向井長年

    向井長年君 いま局長から北陸電力が資金的に困難だと、こういうことの見通しのために電発というように言われておりますが、当初北陸電力は自信をもって、資金的に裏づけをいろいろ考えつつ開発しようとして対処してきた問題であろうと思うんですよ。しかも、その当時は、いわゆる福井の地元も非常に歓迎をして、北陸電力に対する開発を非常に強く希望しておった。補償の問題まで入った話し合いまで進めておった。こういう経過があると思うんです。さらに電発のこれに対する開発という問題が出てきて、その中で電発の補償問題が出てきたときに、いわゆる北陸電力の補償を電発の補償と見比べて、これでは電発のほうが非常に有利である、したがって、電発のほうの開発を希望しようというかっこうで、非常に地元の考え方が補償問題から強く変わってきたと、こういう傾向があると思うんですよ。国策会社と言われておるが、こういうところが補償を地元の要望に従って高く出す、他の配電ではやはりいま言った資金的な問題があるから、非常に低い形でしか補償できない。こういう一つの補償問題からくるいろんな問題がそういう形においてきめられるということは、これは根本的に誤まっておるのではなかろうかと、こういう考え方なんですが、そういう資金は北陸電力は無理だから、お前のところはやめろと、こういうかっこうである程度強硬に電発に持っていったのかどうなのか。
  62. 宮本惇

    政府委員宮本惇君) 確かに御指摘のように、当時は福井全県をあげて北陸電力がやれという一種の政治的の猛烈なバック・アップがあったことは事実でございます。また当時電発といたしまして、やはりやりたいという希望がありまして、せり合ったのは事実でございます。またあの際、長老の調停案が出たことも事実でございます。しかしながらその後、冷静に北陸電力が考えました場合に、富山火力をやりますために、資金的余裕もなくなってまいりましたことと、それからまた公平に見まして、当時北陸電力がこれだけ大きなものをやるのは、われわれから見ても無理ではないかと思っておりましたが、だんだん冷静になってまいりますと、むしろ富山火力をやり、そして電発に譲ろうということになったので、決してわれわれが頭から補償費目当て云々というようなことできめたわけでなく、その後北陸電力が実は調停案の線よりさらに下がりまして、富山火力のほうをやるということで、結局電発に譲ったわけでございます。したがいまして、政府といたしまして、これに圧力をかけたというようなことはございません。
  63. 向井長年

    向井長年君 こういう電発と九電力との開発に対する競合という問題これは先ほどの大矢委員質問のように、競合ということが起こることがそもそもおかしいじゃないかと思うのですよ。本来電発会社というのは、先ほど言ったように、九電力のやり得ないところに総力をあげるという一つの基本的な考えを持った会社なのですから、それが競合して調停しなければならぬというあり方というものは、どうもわれわれは納得できない。もちろん資金の裏づけ等もありましょうが、そういう点は、もちろんこの電源開発調整審議会において調整するということになって、調整もいたしていると思いますけれども、しかし、九電力の中ではいろいろ電源地帯に対する競合というものはあり得るかもわからないけれども、電発との競合という問題についてはどうもわれわれ納得できないのですが、その点どうなのですか。
  64. 宮本惇

    政府委員宮本惇君) 確かに御指摘のように九頭竜の場合、あるときにおきまして明らかに競合いたしたわけでございますが、その後電発が御承知のように広域運営の場におきまして、それぞれのブロック協議会の中で、最近は非常に円満に各電力会社と話し合いをしておられまして、確かに九頭竜のときは御承知のように競合がありましたけれども、その後はそういうことはございませんし、またわれわれといたしましても、そういうことのないようにやっております。したがいまして、今後どういう地点がいいか、電発自身でいろいろ調査地点をお持ちでございましょうけれども、これは電発から御発言いただいてけっこうでありますが、九電力との間に水力地帯の取り合いという事実は、現在のところは全くないと申し上げていいのではないかと思います。
  65. 向井長年

    向井長年君 電源開発調整審議会の機能ですが、これはどうなのです。こういうことを調整をするところの機能を持っているのか、あるいは電源開発地点をいろいろ計画的に検討をし、そしてそれに対する開発方向を打ち出そうとする審議会なのか、この点どうもわれわれは、現状においてはいわゆる開発申請受理機関であって、競合があれば調整をするけれども、そういう機能が非常にあいまいのような感じを持つのです。この審議会の機能というものはどういう形で運営されているのか。
  66. 宮本惇

    政府委員宮本惇君) 御指摘のように法律的にもちろん調整をいたす権能があるわけでございます。ただ実際問題といたしまして、水力地点の場合は、ことにこれからいわゆる多目的と申しますか、いまお話のありましたような工業用水あるいはかんがい用水、あるいは上水というようなことで、ある程度事前に相当な各省間の調整をつけるわけでございます。大体幹事会あたりで調整がつきまして、それが本審議会に上がるという形が多いわけでございますが、確かにこの調整審議会で調整をいたすということになっておるわけでございます。ただ、どうしても調整がつかない場合には、これは調整がつくまでその決定を次の審議会まで延ばすということをやっておりますが、確かに調整審議会にかけるために、やはりその間のいろいろな話し合いが行なわれておることは事実でございます。
  67. 大矢正

    大矢正君 これは私は、特にこの際白石さんにお伺いしておきたいのですが、まああなた、言うならば大蔵省出身の方であって、昔私も大蔵委員会であなたとずいぶん顔を合わしたこともあるのだが、そこで、電源開発というものは目的の上においてすでに過去のものとはおよそ違った考え方と、それから運営の方法をやらなければ成り立たない段階にきつつあるのではないか。先ほど来言われておるように、単に九電力と競合していても電源開発というものを維持していくという考えでは、もう今日許されない。やはり電源開発それ自身の意義というものを求めて運営していく以外に、また目的を持っていく以外に、電源開発のこれからの進むべき方向は出てこない。そこで、過去においてはまあ安い建設資金といいますか、そう大口ではない、比較的建設費の安い地点において電源を開発することができたが、今日のように高い建設費を要する段階になってまいりますれば、それ相応にコストも高くなる。同時に販売電力料金というものも引き上げざるを得ない。こういうことがあなたのほうの資料にある販売電力料のキロワットアワー当たりの単価という形になってあらわれてきておるものだと、こう思うのであります。さらにまた、先ほど大堀副総裁の話にもありましたが、石炭火力ということになりますれば、これまた同様に九電力が手をつけないもの、どうしてもコストが高くなるという前提で手をつけないものを電源開発がつけるということになりますれば、これまた電源開発それ自身の経理の運営、その企業としての将来ということになりますと問題が出てくる。おそらくいまのままで推移をいたしますれば、ますますこの電力の単価というものが上がらざるを得ない。しかし、これは買う相手がおって初めてそこにその必要性が生まれてくるわけでありますからして、売電をする際にあたっての話し合いというものも問題になってくるし、それやこれや考えてみますれば、結局せんじ詰めて言うと、やはり大蔵省が一体これからの電源開発にどういう考え方を持っているのか、そしてまたどの程度の協力をしようとしているのか、また電源開発それ自身の目的と運営に対してどのような考え方を持っているのかということが問題になってくるのではないかという気が私はするわけです。  そこで、きょうは私は局長さんに来ていただいて、大蔵省の話を承って、私の意見も述べて御意見を承ろうと思ったのでありますが、あなたも長い間大蔵省におられて、十分どのような考え方を大蔵省自身が持っているかということはみずから知っておられることと思うので、あなた自身経理担当の理事として、これからの電源開発株式会社の行くべき方向、そしてそれは特にいま私が申し上げた内容等を加味して、どのような考え方を持っておるか。非常に抽象的なものの尋ね方をして恐縮ですが、どうも本会議との関係で時間がなくなってまいりましたし、ここで私があまり長い間こまかい問題に触れてやると、これは本会議に間に合わないということになると、あなた方もお困りだろうと思うのです。そういう意味で集約して、まあことばをはしょって聞いているわけだが、ひとつ私の聞こうとすることの意味を十分おくみ取りいただいて、あなたのお答えをこの際承っておきたいと思います。
  68. 白石正雄

    参考人(白石正雄君) 私個人に対する御質問のようでございますが、まあ個人的なことを申し上げて恐縮でございますけれども、率直に申し上げまして、私いままで電気事業にいきましてあまり関係しておりませんでしたので、まあ税の面あるいは予算の面で大蔵省におりましたけれども、電気事業につきましては全くしろうとであったわけでございます。昨年電発にまいりまして、皆さんの教えに従いまして、目下鋭意勉強いたしておる次第でございまして、今後電発の役割りと申しますか、国策の線に沿うてどのようにその使命を果たしていくかということにつきまして、理事の一人といたしまして、目下勉強いたしておるという段階でございます。したがいまして、私がいまここに電発の将来をどうするというような個人的な見解を実は申し上げるまでの段階に立ち至っていないわけでございまして、電発の考え方といたしましては、先ほどから大堀副総裁から申し上げましたような方向で私どもは考えておる次第でございまして、さらにこれは通産省を初めとしまする政府関係の御指導に従いまして、私ども努力いたしたい、かように考えておる次第でございます。まことに弁解がましいことになりまして、御質問の御要望に沿いかねるかと思うわけでございまするが、ごかんべんを願いたいと思うわけでございます。
  69. 大矢正

    大矢正君 まあ私も時間があれば、あなたは経理担当理事として、実際の今日までの決算状況や、それからまたそれの将来の展望等について承って、そういう中から結論を導き出して、最終的な私の質問をしたいという考え方でありましたが、それを許されない段階にありますので、その点はまあ省略をいたしまするし、また先ほど藤田委員も盛んにあなたに言っておりましたとおり、こういう法律改正があるにもかかわらず、まだ話し合い段階で、金利が幾らだということも答弁もできないという中で、私どもこの法律の是非を論ずることは本来私はおかしいのじゃないかという気がいたしますが、まああなたのほうもいろいろと世銀との関係もあって、具体的にここで表明ができないのだろうということは感じ取ることができますので、そういう点についてはこの際まあこれ以上深くは申し上げませんが、ただ、やはりこれからの運営にあたりましては、従来とやはり異った、相当思い切った考え方を持っていかなければ、電源開発というものそれ自身の意義が失われていくことだけは、これはこの際強調しておきたいと、こう思うのであります。  そこで、大臣にこの際お尋ねをしておきたいと思うのでありますが、実はあなたがここへ来られるまでの間、いろいろと電源開発というものの今日の意義というものを議論をいたしましたが、ここで言えることは、電源開発促進法に基づく電源開発株式会社、そしてその会社が持つ目的というものは、従来とは変わりがない。なぜ変わりがないかと言えば、電源開発株式会社ができて電源開発が行なわれた当初は、明らかに供給不足の段階であった。しかし、今日多少なりとも供給に余力を持つ段階にきて、単に電源を開発し、そして電力の供給をすればよろしいというような、そういうものではもうすでに電源開発株式会社というものはなくなった、そういう点から考えてまいりますと、やはり電源開発一つには目的、一つにはその運営、こういう点については、法律上も考えなければならない幾多の問題が出てきたのではないかと私はそう思うわけでありますが、そういう点について大臣はどういうようにお考えになっておられるか、この際念のため承っておきたいと思います。
  70. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) お説のとおり、あの法律ができまして以来、今日の状況とは変わってまいっております。そこで、電源開発というものをどういうふうに新しい時代に即応して活用するかという問題については、われわれとしても今後検討を重ねてまいるべき段階に来ていると思っております。
  71. 藤田進

    藤田進君 大臣が見える前、私ども注文をしていたのですが、以下申し上げることについて、ひとつ正確に御答弁をいただきたい。  その第一は、今回、通産大臣所管の法案について、いろいろありましたが、電気事業法しかり、ことにただいま審議中の電源開発促進法の一部改正案は、五月に入って、たしか十五日ですか、提案されているのですね。こういうことでは非常に私ども遺憾であります。自後、大臣もむろん留任されることでありましょうし、そうでないとしても、これは厳重にバトン・タッチをその場合にしていただきたいのは、もっとこういう性質の法案は、新潟の大難災でぜひこれをいま急ぐとおっしゃるならば、私ども理解します。審議時間を置いての提案をぜひお取り計らいを今後はお願いをしたい。この点についての所信を承りたい。  第二は、今度の借款のねらいは、まあ外貨事情なり、金利事情なりということのようでありますが、一貫して基本的に考えてもらいたいのは、電気事業法においていろいろ審議いたしましたが、広域運営の限界性というものがある。私どもが公共事業である高度な産業であるという意味からも一社化したらどうか、社会化したらどうかと言うその根底は、只見川水系なり、今度の九頭竜なり、非常にコスト安のところの開発はどんどん進めていって、若干の送電ロスがあっても、そういう形がむしろ望ましいのではないだろうか。日本の地理的条件等から見て、渇水期豊水期のいろいろな事情から見ても。しかし、これが今次国会では早急にできないので、これらの問題も抜本的に検討する意味で、内閣に調査会を設けてこれからやっていこうということなんだが、あわせて水力開発にあたっては、特に近時ピーク調整という役割りは大きい。したがって、大容量貯水池を必要とするといったようなことであるといいながら、いわゆる水主火従——水力地帯にコストその他の点で開発会社、特殊会社の開発というものが振り向けられてきた。しかし、ほんとうに調整を必要とする火力地帯というか、特に西の地帯ですね。こういうところには電源開発株式会社開発というものは宮崎方面で若干、四国の四万十川その他で若干あるにすぎない。これでは羊頭狗肉と言われてもしかたがない。今後はもっと水力というものを、これに派生する補償、その他はもうすでに議論いたしましたとおり、強力な措置を講じられて、そうして水力への拡大方向を持つこと。と同時に、これが地点の選定にあたっては、以上申し上げました真に目的に沿う電源開発株式会社としては方策をとっていただきたい。たとえば江川であるとか、たとえばこれは多目的でやると言われておりますが、あの大水力包蔵力を持っている吉野川であるとか、これはぜひ今後の日程に早急にひとつのぼせていただきたい。  第三には、今後開発銀行との借款交渉をさらに煮詰めるとの由のようでありますが、聞くところによると、金利はまだ不確定、しかし借款の公式的なものに沿ってきまるだろうというにすぎない。われわれは国内資本、民族資本というものを十分考えたいが、この際借款をするということであれば、法改正も済んだという安心感で安易な交渉でまとめてもらっては困る。やはり、わがほうはわがほうとしてのき然たる態度で交渉を進め、妥結をして、借款の成約をしていただきたい。  以上、希望かつ政府の御所信を承りまして、私の質疑はこれで終わります。
  72. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 本法案提出が非常におくれておりまして、お示しのとおり五月十五日に提案をいたしたわけでございます。いろいろのことがありましたが、いずれにいたしましても法案がおくれたということは事実でございまして、これはまことに私としても、遺憾に存ずるのであります。今後そのようなことのないように、お示しのとおり、あとの人がかわられるというときにも、十分申し伝えておきたいと思います。  それから今後のこの開発の問題に関連をいたしまして、いわゆる火主水従というような傾向になりつつあるが、しかし電発といたしましては、どうしてもこの水力問題の開発というところに一つの重点を見失わないようにしていかなければならないのではないか、こういう御趣旨かと存ずるのでありますが、確かにピーク時の電力を供給するという立場から見まして、電発が一そうやはり水力の問題に力を入れることは必要かと考えております。お示しを願いました江川とか四国の吉野川などございますが、これにつきましても、電発としてもまた通産省といたしましても、できるだけこれを実現するというか、開発に着手いたしたいと考えまして準備を進めておるのでありますが、これは御案内のとおり補償の問題でありますとか、その他の地元との関係、あるいはまた電力会社との調整等等の問題がいろいろございまして、まだ具体化いたしておりませんけれども、積極的に前向きにこの問題を解決するように努力をいたしまして、こういうような地点の開発を進めてまいりたいという考えでございます。  なお借款をいたします場合には、金利その他の条件は、できるだけわが方に有利にするように努力することはこれは当然でございまして、御指摘のように法案が通ったからもうあとはどうでもいいというような考えではなくて、できるだけ日本にとって、また電発にとっても有利な条件借款ができるように通産省としても十分な指導をいたしてまいりたい、かように考える次第でございます。
  73. 前田久吉

    委員長前田久吉君) それでは参考人の方々に対する質疑はこの程度にとどめます。  参考人の方々には、御多忙中まことに御苦労様でした。厚く御礼申し上げます。  他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  電源開発促進法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  76. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  78. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 中小企業団体組織に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  御質疑のおありの方は順次御発言願います。——別に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございます。討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  中小企業団体組織に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  81. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午前の審議はこの程度にとどめ、午後は二時に再開することとし、これにて暫時休憩いたします。    午後零時五十二分休憩      —————・—————    午後七時三十八分開会
  83. 前田久吉

    委員長前田久吉君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  まず、委員の異動につき御報告いたします。  本日、戸叶武君が辞任され、その補欠として中田吉雄君が選任されました。     —————————————
  84. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 次に、日本電気計器検定所法案を議題といたします。  まず、政府委員から補足説明を聴取いたします。馬場工業技術院長
  85. 馬場有政

    政府委員(馬場有政君) 日本電気計器検定所法案提案理由とその概要につきまして、補足説明させていただきます。  われわれの家庭にございます積算電力計その他の電気の取引に使用する電気計器を、取引用電気計器と申しておりますが、これらの取引用電気計器は、電気の取引の基本になるものであり、それが正確なものであることが、国民生活の上から強く要請されるわけであります。  したがって、取引用電気計器につきましては、一品ごとの検定を通商産業大臣が行ない、これに合格したものでないと使用できないことに、電気測定法によって定められております。この検定は、現在工業技術院の電気試験所が行なっているわけでありますが、電気計器の公差、検定および検定手数料に関する件という勅令によりまして、主務大臣が指定した公共団体または公益法人に対して、検定の前提となる計器の試験を委託し得ることとなっており、この指定試験機関の試験に合格したものにつきましては、国が検定を行ないます際に、試験を省略し得ることとなっております。現在指定試験機関といたしましては、東京都及び社団法人日本電気協会が指定を受けておりまして、この両機関に対しましては、電気試験所から駐在官を派遣いたしまして、駐在官が試験の監督等を行なっているわけであります。  以上のような体制で、長年にわたって取引用電気計器の検定が行なわれてまいったわけでありますが、年間五百万件近い検定を行なって行く上に、各種の問題が生じてまいっております。現在、検定の前提となる試験につきましては、先に申しましたように、東京都及び日本電気協会、それに当院の電気試験所が行なっているわけでありますが、東京を初めとする全国各地におきまして、これらの機関が併存して業務を行なっておりますため、設備その他の重複が生じておりますし、また、自動機械化等の運営の能率化にも支障を来たしております。さらに、検定機関と試験機関が分離している点から生ずる問題もいろいろございます。  一方、電気計器の試験、検定のような、定型的かつ大量の業務を、予算・人員等の面で多大の制約を受けている国の試験研究機関が行なうことは妥当でない面があり、このような業務を国の試験研究機関から分離すべきであるとの趣旨が、一昨年行なわれました科学技術会議の答申等におきましても指摘されているところであります。  近年の検定件数は着実な増大を示しており、かつ、電気計器の精密化、大容量化、多様化の傾向は著しいものがあります。今後、電気計器検定を能率的に行なっていくためには、現行検定体制の抜本的改革をはかり、電気計器検定のための近代的かつ能率的な体制を確立する必要があると考えるものであります。このような観点から、この際、既存の機関を母体として、試験と検定を一元化し、かつ、検定と密接な関連を有する各種の業務を一元的に行なう機関を設立することが必要であるとの判断に至ったものであります。この一元的機関をどのような性格のものにするかという問題につきましても、いろいろと検討をいたしたわけでありますが、電気計器の検定は、きわめて大量のものを扱う業務であり、迅速な検定を行なう必要があること、しかも、それが公正に行なわれなければならないこと等の点から見まして、特殊法人という形が最も望ましいと考え、本法案を立案いたしたものであります。  次に、本法案の概要を御説明いたします。日本電気計器検定所は、独立の法人格を有する特殊法人であり、取引用電気計器の検定等の業務を行ない、電気の取引の適正な実施の確保に資することを目的とするものであります。  次に、事務所でございますが、検定所は、東京都に主たる事務所を置くほか、電気試験所及び日本電気協会の支所を母体といたしまして、当面、全国十五都市に出先機関が置かれることになる予定であります。  検定所の資本金は、その設立に際して、政府及び日本電気協会から出資される額の合計額であり、いずれも現在検定・試験等に用いられております資産を現物出資いたすこととなっております。なお、法案には書いてございませんが、検定所の職員につきましては、電気試験所及び日本電気協会の検定関係職員を全員引き継ぐことにいたしております。また、これらの職員の待遇につきましては、両機関からの移行者を平等に処遇いたしますと同時に、従来の待遇に比較して不利益にならないよう処遇いたしますことは当然であると考えております。したがいまして、職員の身分上の不安は何らございませんし、さらに、電気試験所から移行する職員につきましては、移行の際に、いわゆる整理退職の扱いといたしまして高率の退職金を支払うことといたしておりますし、検定所移行後の給与は、国家公務員ベースを相当上回ることを予定いたしております。  なお、東京都も現在試験を行なっておりますが、その業務量が小さいこと等のため、この検定所には参加せず、検定所の発足と同時に試験業務をやめまして、その設備、人員等は他の業務に転換することとなっております。  法案のほうに話を戻しまして、本法案の総則におきましては、このほか、持ち分、定款、登記等についての規定を設けております。  次に、検定所の役員につきましては、理事長一人、専務理事一人、理事三人以内、監事二人以内を置くことといたしており、理事長及び監事は通商産業大臣が、また専務理事及び理事通商産業大臣の認可を受けて理事長が、それぞれ任命いたすこととなっております。このほか、役員等につきましては、その任期、欠格条項、解任その他の必要な規定を設けております。  次に、検定所の業務につきましては、その主たる業務は、もちろん電気測定法に基づく取引用電気計器の検定でございますが、このほかに検定と密接な関連を有する電気計器等の依頼試験、調査研究等を行なうことといたしております。以上のほか、通産大臣の認可を受けまして、一定の依頼業務を行ない得ることとしております。このほか業務につきましては、業務方法書、検定の実施等について規定しております。  第四章の財務及び会計の章におきましては、予算等の認可その他検定所の財務及び会計に関する各種の規定が置かれております。このほか、監督、雑則及び罰則の三章が置かれており、通産大臣が検定所の監督に当たること等が規定されております。  以上のほか、附則におきまして、検定所の設立手続、経過規定、検定所の設立に伴う電気測定法の一部改正、その他関係法規の一部改正等を行なうことといたしております。  以上、簡単でございますが、日本電気計器検定所法案につきまして、補足説明いたしました。
  86. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 以上で補足説明は終わりました。  それでは、これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  87. 近藤信一

    ○近藤信一君 日本電気計器検定所法案につきまして、まず最初お尋ねいたしたいことは、計量器の検定につきましては、国民の日常生活、さらに取引関係の上におきましても密接な関係を持っていることは大臣も御承知のとおりでございます。したがいまして、この検定にあたりましては、最も厳正に行なわなければならないものであると私は思うのであります。計量法に基づく計量器は、通産大臣または都道府県知事が行なっていくこととなっておるのでございまして、このことは計量器の検定が公正な立場に立って行なわれなければならないことを意味しておるものと思うのです。今回の電気計器の検定につきましては、わざわざ特殊法人をつくって検定業務を行なわせようとしておるのでございまして、このようなことで検定業務の公正な実施ができるものかどうか。やはり検定は国が主体となって行なってこそ、初めて厳正なものができると私は思うのですが、これに関しましてどのような見解を持っておられるのか、この点からお尋ねしていきたいのであります。
  88. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) お説のように計量の問題は、これは非常な重要な問題でもあります。また消費者に対する点から考えてみましても、われわれは軽々にこの問題を取り扱ってはいけないわけでございますが、今度のこの法案によって設立を企図いたしておりまするいわゆる検定所というものは、いままで通産省あるいは電気協会、あるいはその他のところに置いてあるものをまとめて、そして電気の計量計器の検定をしようと、こういう考え方でございますが、われわれが考えますに、これを国に一括してやらせるというのももちろん一つの方法であるとは思いますが、こういう検定を受ける数量というものは、非常に不確定といいますか、ときには非常にたくさん出てきたり、あるいはまた少なくなったりするような事情等もございますので、この種のものは、いままでもやっておりましたが、この電気協会、いわゆる協会のようなものでやっておってもやり得たものであるし、監督さえ十分にいけば決してそれが不公正な計器ができるということではない、いわゆる能率がうまくあがるという点からいいますと、一年の間に一ぺんしか予算の編成というものもない、もちろん補正予算というものもありますけれども、事態に即応しながら人をふやしたり、あるいはまた経費をふやしたりするというようなことのできない国でやるよりは、むしろこういうような社団公益法人をつくってやるほうが適当である、またそれによって消費者の利益を害することはない、またむしろ迅速に事が運ばれる、こういうようなことを考慮いたしまして、この法案提出いたしておる次第でございます。
  89. 近藤信一

    ○近藤信一君 計量計器に関する基本法としては、現在計量法とそれから電気測定法のこの二つがあるわけでございますが、この電気測定法は、明治四十三年に制定されまして今日まで五十数年間も経過しておるわけなんです。いつまでもこの二つのままこの法律が放置してございますが、一体計量法とそれから測定法を一つにまとめる考えはないのかどうか。この問題については計量審議会におきましていろいろと検討されているようでもございまするが、現在どのようになっておるのか。さらに、両法を統合した場合、計量法のように電気計器も国の検査となることをおそれて、そして改正前にこの検定所法を成立させよう、そして、実績をつくっておいたほうがいいというふうな意図からこういうことになったかどうか。この点はどうですか。
  90. 馬場有政

    政府委員(馬場有政君) お説のとおり、計量法と電気測定法との一元化、これは多年の懸案でございます。現在計量行政審議会におきまして審議されているところでございます。しかしながら、一元化の審議の対象として主要な点となっておりますのは、法規制の対象とすべき計量器の範囲、あるいは事業規制の存置、あるいは使用中の計量器の検査の有無などでございまして、計量器の検定に当たる機関の問題は、その機関が公正であって、かつ技術的に権威のあるものであれば十分である、十分目的を達せられるものと考えられるわけでございます。したがって、計量行政の一元化の問題と、それから検定機関の問題は、別個の問題であると私ども考えているわけでございます。
  91. 近藤信一

    ○近藤信一君 新しい検定所をつくるという構想が出たときには、電気協会とそれから東京都も含まれておった。いわゆる東京都の電気研究所ですか、それも何といいますか、含まれてつくられるように私どもはお聞きしたわけなんですが、この法案を見ますると、東京都のほうは何か不参加のような形でこの法案というものが出されておるのですが、そういたしますと、いまは三カ所の統一というのが二カ所になった、東京都がこれに参加しなくなった理由というふうなものがあれば、この際お尋ねしておきたいと思います。
  92. 小林貞雄

    説明員小林貞雄君) お説のように、現在は国の電気試験所と電気協会と東京都と三者でやっておるのでございますが、三者の比率から考えていきますと、全体で約五百万個の中で東京都はわずか二十万個をやっている、ごく小規模のスケールにとどまっているのが現状でございます。ところで、今度の検定所に出資するにあたりまして、もともとこういうものでございますので、いわば出資者の任意にまかせる、強制するというのは必ずしも適当でないというふうに考えるのでございますが、東京都の考えといたしましては、この業務が必ずしも東京都民だけのためというようなことになるとも考えられないというような観点もございますし、東京都といたしましては、都の現在この検定の試験業務に従事いたしております人間だとか、設備などというものは、ほかに転用する計画等もございまして、したがって、そういうような関係から、東京都としてこれを出資しないというような意向を示してまいっておるわけでございます。先ほども申し上げましたように、試験所がはなはだ少のうございまして、設備的にいきましても、それほど言うほどのものもないというような関係から、われわれとしても、東京都が出さないことについて賛同してまいりました。やむを得ずこれをぜひ出してもらいたいというような気持ちではなくて、主たる大きな機関である日本電気協会と国の電気試験所が一体になってやる、かような観点で今回の計画を進めているわけでございます。
  93. 近藤信一

    ○近藤信一君 全体から考えますれば、わずか東京都の研究所のほうは二十万くらいである。そういう関係からいっても、まあ一緒にならなければならない理由はないと、こういうことで、将来はやはり東京都の研究所というものは、従来どおり残って業務を続けていくのかどうか。さらにそうでなく、将来はやはりこの統一したものに参加するように努力をされるのかどうか、こういう点はいかがですか。
  94. 小林貞雄

    説明員小林貞雄君) 申し落としまして恐縮でございますが、東京都は将来この検定の仕事は、法人ができましたとき以後は一切やらないというふうに考えておられるわけでございます。したがって、東京都としまして従来試験をやっておりました人員は、ほかの電気の研究の部面のほうに振り向ける、かような計画を持っているわけであります。
  95. 近藤信一

    ○近藤信一君 この検定所は、おそらく独立採算制をとるであろうということが予想されるわけです。独立採算制をとると、電気試験所と電気協会を合併したことによりまして、従来より本検定手数料の引き上げを行なう危険性が多分にあると思うのですが、その点はいかがですか。
  96. 宮本惇

    政府委員宮本惇君) 今回の検定所の独立に関連いたしまして、手数料を改定するという考え方はございません。ただ、御承知のように、現在の手数料昭和二十三年に改定されたものでございまして、三十七年に一部若干手直しをしたというだけで、ほとんど変わっておりません。その間に電気計器の種類や利用状況がいろいろ変わってまいりました。したがいまして、現行の手数料体系と必ずしも合わないという点がございます。たとえば、現在の手数料は大体何といいますか、に比例してきめられているようでございますが、実際の検定に当たる場合の手数がそれ以上によけいにかかるというようなことで、特に最近は工場用の大型計器が非常に多いということで、いわば手数料体系をきちっと守るという意味で、多少の手直しということだけを考えている次第でございます。御承知のように、この法律附則の第十四条に手数の原価主義ということもうたっているわけでございまして、そういった点の部分だけの手直しはしたい。  なお、御承知のように、この手数料を払いますのは電力会社でございまして、その点が電気料金にはね返るというような心配もございませんし、電力会社も了承いたしておりますので、全体としての手数料値上げというような考え方ではなく、体系を一応整備するというような形での改定のみにとどめておる次第でございます。
  97. 近藤信一

    ○近藤信一君 新法人は当然独立採算制をとるということになりますれば、私がいま申し上げましたように、これは検定の手数料を上げるとか、または検定業務を合理化していくということが考えられる。その場合に、首切りや賃金ストップというふうなことが出てくるのではないかということが、一方においては心配されるわけなんですが、その点はいかがですか。
  98. 馬場有政

    政府委員(馬場有政君) 先ほども申し上げましたとおりに、これが設立されます来年におきましては、大体五百十万件程度の検定の量が必要と思われるわけでございます。これに要します必要な人員は約千二百名と考えられるわけでございまして、現在、電気協会及び電気試験所のこの面に従来しております実人員は大体千百名、少し足らないということになっておりまして、そのために合併をいたしましても、人がむしろ少し足りないというような形が出てきておるわけでございます。したがって、この新法人をつくりますために首切りその他を行なうということは絶対にない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  99. 近藤信一

    ○近藤信一君 ただいまの御説明からいきますと、人員はまだ不足しておるくらいではなかろうかと思うのであります。千二百名というところに千人くらいしかないわけなんで、そういう点も考えますると、合併したからといって首を切られるというふうなことは心配はないようでもあるわけですが、特に今度の法案提案されましてから、電気試験所の職員は、新しい法人に移行するということに対しましては賛成をしておる職員もあると聞いております。しかし、職員組合のほうは、移行することには全面的に反対して、いろいろと私どものところに陳情が来ておるわけでございますが、そういう職員組合と電気試験所の職員との全く相反した意見に対して一体どのような判断をしておられるのか、この点をお聞きしておきたいと思います。
  100. 馬場有政

    政府委員(馬場有政君) 御指摘のとおり、通産省の組合といたしましての全商工の組合は反対をいたしております。それから、この検定業務に従事しております電気試験所の人々は賛成のほうが多いわけでございます。この原因につきましては、私どもいろいろ考えたわけでございますが、一つには、全商工が反対いたします理由の大きなものは、やはり四百数十名の人がその組合から去っていくわけでございます。こういったことに対する反対、これがまた一つの反対の大きな理由であろうかと考えております。また、そのほか私どもに申しておりますいろいろな理由がございます。この法人がいろいろなほかの力によりまして厳正、公平さを欠くような状態になるのではないだろうかというようなことも理由一つとして言っております。また、そのほかに行く先不安ではないか、国の機関、国家公務員という身分を離れまして、この新法人に移るということが不安である、行き先不安である、こういったようなことがそれぞれこの反対の理由に考えられているものと推察しているわけでございます。また一方におきましては、電気試験所のこの面の検定に従事しております人々につきましては、この検定の業務というものが電気試験所の中におきまして、その研究業務とそれからこういう検定するという定量的な、しかも膨大な量をこなしてまいります仕事というのが性格が少し違っているわけでございまして、そういった仕事が一緒にいるためのいろいろな問題、そういったものから離れまして、一つの単一な目的の法人に移る、それを使命といたします法人に移るということのための何と申しますか、一つの誇らしさと申しますか、考え、そういうもの、あるいはこの場合に、先ほど追加説明の中でも御説明申し上げましたが、こういう公務員のベースを上回る待遇が得られるというようなこと、そういったことが賛成の理由になっていると私ども考えている次第でございます。
  101. 近藤信一

    ○近藤信一君 ただいまの御説明から見ますると、試験所に従事している職員はおおむね賛成をしているやに御説明なされましたわけでございますが、いろいろとここ数日間というものですね、現地のほうから私どものところにも陳情がきているわけなんです。私どもも最初はそのように理解しておりましたが、地方から実際試験所に出ている職員が上がってきて私どもに言っておりますることは、試験所でも圧倒的多数が反対をしているんだというふうなことを私どもも聞いているわけなんです。特に私の地元の名古屋あたりでも、東海、北陸なんか、支部とかいうことになっておりまして、分会ですか、支部が、特に北陸のほうを控えている金沢のほうでは全面的にこれは反対をしているというふうなことで、まあ現地から陳情がきているわけなんです。そうして私どもが聞いておりましたお話と全く逆な話を私どもは聞いているわけなんで、正確にあなたのほうが御調査なさって判断をされたのかどうか。また、このことにつきまして、そういうふうに一応新法人に移行されるわけでございますから、今日まで何回も組合との間に団体交渉というふうなものが持たれていろいろと折衝をしてこられたものと私は判断をするわけでございまするが、そういう点についてはどのような措置をとってこられたのか、ひとつお聞きしておきたいと思います。
  102. 小林貞雄

    説明員小林貞雄君) ただいま御指摘のございました賛否の問題でございますが、私どもそれぞれの支所長がそれぞれの傘下における組合の動向等を、組合が調べました数字、あるいは組合の動向等をもとにいたしまして判断しているわけでございますから、私どもは実際検定に従事しております職員は、大部分の者がこの特殊法人新設につきまして賛成をしている、かように考えている次第でございます。お話しのように、非常に数の大きな開きというふうなことは、私どもの調べた限りでは、そういうことはないわけでございます。私どもは、この特殊法人設立につきまして、いろいろ組合の人たち、あるいはまた、実際仕事をやっている人たち、各方面の意見を何回となく回を重ねて意見を聞き、意見を交換してまいったわけでございますが、その結論が、先ほど申し上げましたように、大多数の現場の、実際この仕事に従事しております職員は賛成しておる、かように判断するわけでございます。
  103. 近藤信一

    ○近藤信一君 いままで通産省に働いておられました人たちが今度特殊法人のほうに移行するということは、私は、その立場に立って考えますと、非常にいろいろな問題があろうかと思うのであります。やはりこういう問題に対しましては、当局としても十分職員の諸君が納得するようなことでなければ、気持ちよくいけるものでもないし、さらに、いろいろと私どもの聞いておりまする範囲から判断をしますると、団体交渉に出ても、なかなかわれわれのことを聞いてくれない、一方的にどうも押しつけられて困る、こういうふうなことも言われておるわけでございますが、そういうことを私どもが聞きますると、その法案には若干の無理があるのじゃないか、こういうふうにも判断ができるわけでございまするが、今日までこの件について何回くらいの団体交渉を持たれたのか、この点はどうですか。
  104. 小林貞雄

    説明員小林貞雄君) この検定部門につきましての一元的な機関をつくるという問題は、十年来の古い問題で実はございますが、いろいろとその間議論はあったのでございますが、最近一年間急速にこの問題が検討されてまいったわけでございます。その間に一体、何回くらい組合の人々に交渉したかということは覚えていないくらい、実は数が多うございまして、全商工という全体の組織もございます。あるいはまた、実際検定をやっている人々の意見も聞く、あるいは地方の人たちの意見も聞くとか、いろいろなことを数を重ねてまいっております。私ども、可能な限りその内容を明らかにし、でき得る限り内容を明示してまいり、また、熱意と努力を重ねまして、いろいろと組合なり職員の了承を得るべく努力してまいったわけでございますが、その結果は、先ほど院長が御説明いたしましたような現況に相なっておるわけでございます。私どもとして、できるだけの説得といいましょうか、努力を重ねてきたつもりでございます。
  105. 近藤信一

    ○近藤信一君 いろいろといままで数え切れないほど、何回も団体交渉を全商工とも持たれ、さらに試験所の職員とも持たれ、さらに地方の職員とも持たれて、いろいろといままで熱意を尽くしてやってきた、こういうことでございますから、私はこれ以上お尋ねいたしませんが、新しい検定所が設立されるために今度統合される電気試験所と、それから電気協会では、従来職員の待遇が違っていると私は思うのです。なぜならば、一方は公務員のベースでございまするし、片方は民間のベースでございます。したがいまして、このアンバランスをどのような方法で今後是正しようとしておられるのか、これは私は重大なことだと思うのです。統合によりまして身分が移る場合に、両者から来た職員の待遇が違うと、こういう結果になりますれば、せっかく統合いたしましたけれども、内部に融和というものがなかなかとれないのではないか。内部的に融和をとって、職員が愉快に働いていける、こういうことでなければならぬと思うのですが、その両者の待遇上の問題で違っておる点を、今後どのようにあなたのほうでは解決していかれようとしておられるのか、この点はどうですか。
  106. 馬場有政

    政府委員(馬場有政君) その基本的な考え方といたしましては、この両者に対しては公平でなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。それから同時に、従来の身分上のいろいろな利点があるわけでございますが、それが相互においてそれぞれ不利益にならないように、こういうのが基本的な考えでございます。それで、この詳細な問題につきましては、数字を用いまして部長のほうから御説明さしていただきたいと思います。
  107. 小林貞雄

    説明員小林貞雄君) 御指摘のように、この特殊法人設立、一種の合併でございますので、とかく合併をやりましたときに、出身別による差別扱いとでもいいましょうか、そういう問題がうまくいかない場合には、せっかくの合併の効果が発揮できないというようなことも間々あるように聞いておりますが、この特殊法人の場合には、いささかもそういうことがあってはならない。特殊法人設立のねらいは、あくまでも一本化による能率的な、機動的な運営ということでございますが、さような意味で、職員の身分が出身による差別をいささかも受けないというような所存でまいるということでございます。さような意味で、給与の問題につきましては、現状を申し上げますと、大体電気協会のほうの給与は、電気試験所の給与よりも平均いたしまして約二割五分ぐらい違っておるわけでございます。したがって、そういう給与水準まで上げるというようなことは、ぜひ公平の原則の上に立ってそれをやりたい、かように考えておるわけでございます。  もう一つの大きな問題といたしましては、退職金の取り扱いの問題が実はあるわけでございます。電気試験所のほうから特殊法人に参ります職員の場合には、これは一般の公務員の退職基準よりも五割増しの退職金をもらうわけでございます。したがって、この公務員出身の人たちについては、一応退職金の問題については、国の機関から離れるときは解決するわけでございますので、新法人に移りましてからは、勤続年限等の計算、全く一からスタートするというような方法をとるのがいいわけでございますが、これに反しまして、電気協会の場合には、これまた、公務員の原則にならいましてやはり退職金を払っていく。そうして特殊法人で新しくスタートする。かような構成をとりたいというふうに考えておるわけでございますが、これには、電気協会のほうはもちろん申し上げるまでもなく、バランスは黒になっておるわけでございますが、当然支払うべき退職金引き当てのバランスシート上の財源はあるわけでございますが、現金の問題が残るというような問題等もございまして、その点は金を借りてくるなり、あるいは社内預金的やり方をするなりいたしまして、その間、両者のバランスをとって、退職金の問題についても、両者差等がないようにしていきたい、かように考えておるわけでございます。
  108. 近藤信一

    ○近藤信一君 同じような民間の経営が合併する際ですら、同じようなベースで同じような会社が合併した場合にでも、いつまでもそういう問題があとをひいて、会社の内部にいわゆる旧会社の派閥と、それから新しい合併した派閥というふうなことでうまくいかない合併の会社というものを、私どもしばしば耳にしておるわけなんです。特に今度の場合には、いわゆる公務員と民間と全く違った立場の人たちが一緒になるわけでございますから、私は、待遇上の問題におきましても非常に問題になるであろうかと思うのであります。特にこれを統一する場合に、少なくとも、そんなことはないと私は思うのですが、ベースの古いほうにそろえようというふうな考え方も、これは融和をはかる一つのあれかもしれませんが、そんなことは私はないと思います。やはり統一される場合には、高いほうに統一されるであろうと私は信じておるわけでございますが、こういう点、今後の問題で非常に困難な問題、いわゆる派閥的な問題が起こってくることを私は心配するのですが、そういう問題についてはいかがですか。
  109. 馬場有政

    政府委員(馬場有政君) これは、私どもも非常にその御指摘の点については、十分な留意をしなければならないと考えておるわけでございます。しかし、先ほど申し上げましたとおりに、待遇その他についても差別をしないというように申し上げたわけでございますが、特にこの特殊法人をつくりまして、一つの大きな目的が、これによって機動性を発揮し、能率を向上しようということでございますので、人の和というものについては、十分な考慮を払う必要があると私どもは考えておる次第でございます。
  110. 近藤信一

    ○近藤信一君 日本電気計器検定所の資本金は国と電気協会からの現物出資となっているようでございますが、国と協会の現物出資は幾らくらいになっておるのか、この点をおわかりでございましたならばお聞かせ願いたいと思います。
  111. 小林貞雄

    説明員小林貞雄君) 法律に、現存試験所あるいは電気協会が検定の業務に使っております資産を現物出資するというふうに書いてあるわけでございまして、さような意味で、具体的な、この資産が出資の対象になるかどうかというのは、今後設立委員等で精細に調べて、また評価をいたしまして、評価にあたりましても、評価委員会というような客観的な公正なものをつくりまして、その評価を待つわけでございますが、さような点からいいまして、決定的な数字はここでは実は申し上げかねますけれども、私どもが一応概算といたしまして試算したところを申し上げますと、電気試験所につきましては、現在持っております資産から減価償却引き当て金を差っ引きました残りの資産、いわゆる純資産と称するものでございますが、これが約五億でございます。それから電気協会のほうからの出資でございますが、これは、あるいは流動資産の中から固定負債、流動負債を差っ引きまして、さらに減価償却引き当て金を差っ引き、さらに職員に支払うべき退職金を差っ引きますと、約一億円の出資金が、純資産の出資金として電気協会からこれに出資されるわけでございます。したがって、合計約六億円の金が、この特殊法人の純粋の純資産というものに該当することになります。
  112. 向井長年

    向井長年君 近藤委員から若干具体的に入っておりますが、基本的な問題で通産大臣に重ねてお伺いしたいんですが、特にこの法案で、現在は、通産省の電気試験所なり、あるいは東京都、あるいは電気協会、三機関でこういう検定をやっておることは、非常にふくそうして、設備等も非常に重複して弊害を生じておる、こういうことを言われておるんですが、本来これはやはり通産省が行なうものである。で、便宜的に現在までは、電気協会なり東京都に委託してそれを行なっておった、こういうことであろうかと思うのです。したがって、根本的な問題を考えますならば、現状において一つの機関でやろうとするなら、通産省のいわゆる試験所でその他のものを吸収してやるというのが、たてまえでなかろうかと思うのです。で、特殊法人をつくるということになっておるんですが、こういう点は本来、この試験は政府、いわゆる通産省の試験所で行なう、こういうたてまえをとっていくのが妥当ではないか。そういうことについて政府はでき得ないということは、やはり予算上の問題とか、あるいは不確定ないわゆる計器台数の問題であるとか、いろいろそういうことが理由になっておると思うのですが、この点、私は決してそう不確定ではないと思うのです。というのは、メーターの検査の推定というのは伸びておる。それに対する台数の年間の伸びなり、あるいは再試験台数なりは、ある程度、年間推定とれると思うのですよ。そういう点、どういうように考えておられるか。根本論の問題ですが、いかがでしょうか。
  113. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) お説のとおり、この仕事は通産省、電気協会あるいは東京都というようなものでやっておるのでありまして、計器という点から考えてみますというと、国が責任を全部負って、そうして、そこに統合していくというのが一つの姿であるというお考えについては、私は、これは一つの考え方であると思っております。ただ、私たちがこういうような今度の法案を出しましたゆえんのものは、それぞれそういうように国が責任を負うべきものであり、国がやるべきものであっても、しかし、仕事の内容によっては、この種の法人をしてやらしめる場合のほうが、より有効であり効果的であるものもあり得ると私は考えておる。何もこの問題だけではございません。たとえば日本消防検定協会というのがあります。消防器具についてのいろいろの問題をやるのであります。これも公共の利益を守るという意味合いからいったならば、これは非常に大事なものだ。むしろ国家公、安委員会その他消防関係というようなものが国でやっている以上は、むしろそこへ統合してやるべきではないか、こういう議論が成り立つと思うのであります。しかし、この問題につきましても、やはり日本消防検定協会というようなものを設立をいたしまして、これをやっておるわけでございます。また、通産省関係といたしましても、最近特にその需要がふえてまいりました高圧ガス・ボンベの問題がございます。これも自動車にも使われるようになりましたし、また、みな消費者がいろいろたくさん使っておられるというものでありますから、これも非常に重要な一つの問題であろうと思うのであります。これの保安その他に関するような問題をやはり高圧ガス保安協会というようなものをつくりまして、そして、そこでやっておる。これは皆さん方にも御協賛をいただいて、私はこういうことをやっておると考えておるのでございますが、そういうように、ものによっては、必ずしもその役所の直属に置かなければならないというものではない。その事の性質によってどちらがいいかということを考えてやっていいのではないか。だから私たちは、そのかわり、こういうものをつくった場合においても、通産省としては、これはもう厳重な監督をしながら処理をいたしていかなければならないということで考えておるわけでございまして、何もこういうものをつくったからもうそれでわれわれの責任は足りた、野放しにしていいんだ、こういうような気持ちでおるわけではございません。十分監督はいたしますが、そのほうがより能率的である、効果的である、こういうような一応の考え方、それは、先ほどもちょっと御答弁申し上げたのであって、予算その他の関係からいって、フラクチュエートするこの検定の仕事について、予算などで縛られるよりは、むしろ、こういうような姿にしておいたほうが能率的であるのだ、こういうような考え方に基づきまして、私たちはこの法案提出いたしておる、こういうわけでございます。
  114. 向井長年

    向井長年君 その予算に縛られてということですが、これは特殊法人になったところで、やはり予算は立てて、そして、やはり経費を考えていかなければならぬと思うのですが、一番大きな理由は、やはりこういう不特定である、非常に年々増加し、あるいはまた増減が激しいとか、こういうところに基礎を置かれておるということを先ほど説明があったと思うんですよ、補足説明の中にも。これは一応そういうことは言えますけれども、しかしながら、これはやはり年間推定明確に大体出せると思うんですね。これらの需要増加、あるいはまた、再検定のこういう問題につきましては、若干の増減はあってもこれは推定はとれる。だから、それに対する手数料でまかなうんだというかっこうになっておるわけなんですが、これは一台ふえたから一人ふやさなければいかぬ、十台ふえたから一人ふやさなければいかぬというのでなくて、ある程度の日常の人員と、あるいは試験の増減という問題から考えれば、これは法人になってもやはり予算は立てていかなければならぬし、ただ問題は、政府が直轄した場合に、その人員の増減なり、あるいはその予算というものがやはり年々にきめていくということになれば、そういうことが理由になっておるのか、その他理由があるのかですね。これはどうもわれわれ、それだけでは納得できないわけなんですがね。その点、もうちょっと具体的に説明を願いたい。
  115. 小林貞雄

    説明員小林貞雄君) 国におきます場合には、こういうふうに年々増大してまいります事務を消化していく場合に定員をふやすという問題を一つとるにいたしましても、なかなか御存じのようなことで簡単にふやせないというのが、率直な現状でございます。予算につきましても、なるほど特殊法人といたしまして予算は当然立てますし、それを主管大臣としての通産大臣が、検定業務は能率的に遂行されるという観点から一応認可はいたします。しかしながら、それにいたしましても、国の予算の場合よりははるかに手続的な弾力性というものを考えてみますと、ずいぶん違うわけでございます。そういう事情と、かてて加えて、先ほど大臣の答弁にございましたように、メーターの増加状況というものは、年々の全体としての増加率を見ますと、一応安定した増加率を示しておるわけでございますが、これが実際、年間どういうふうに入ってくるかといいますと、修理会社の資金繰りの問題電力会社の資金繰りの問題等からいって、非常に波を打ってまいってくるわけでございます。さような意味から、やはり弾力的なやり方をする方法が非常にいいのではなかろうか。現状を申し上げますと——実情を申し上げますると、先般来御説明申し上げておりますように、現在電気試験所と電気協会と二本立てでやっておりますが、それぞれの担当しておりますメーターの検定の消化量を見てまいりますと、国のほうでは、やはり予算定員で縛られてなかなかふやせない。したがって、増加しますメーターの検定は、もっぱら電気協会のほうで消化してもらうというのが現状でございます。その辺の事情から御勘案いただきましても、この検定の仕事を国でやるということがはなはだ適さないというような感じになるわけでございます。  一方、この検定の仕事は、向井先生御存じのように、わりに単純な機械的な作業でございまして、標準になるメーターと個々の持ち込まれてまいりましたメーターがどれだけ誤差があるかないかというような問題を中心にして見るわけでございますが、そういうような仕事は、国が必ずしも直接やらなくても、十分民間でやって、しかも、厳重な監督が、可能な限り、国のようなところでやるよりは、そういう単純業務は別のところでやってもらうほうがいいのじゃないか、かように考えられるわけであります。  特殊法人と申しますものは、人事権につきまして、あるいは業務の監督の面におきまして、厳重な国の監督ができるわけでございまして、一般の民法の公益法人よりははるかに厳重な国の監視ができるようになっておりますので、さような点を考えてまいりますれば、必ずしも国でやることが適当じゃなくて、むしろ厳正な運営ができる民間機関で、半官半民機関でやったほうが適当ではなかろうか、こういう考え方に立っておるわけでございます。
  116. 向井長年

    向井長年君 その後段はまあ大体了解できますが、前段の予算に縛られる、予算に縛られるという、通産大臣がそんなことを言うのはおかしいと思う。本来の業務であるならば、その予算を十分通産大臣がそれに対してやはり要求し、とらなければならぬ性格のものであって、みずから予算に縛られてというかつこうで業務を民間に委譲していくという、この考え方は、この根本的な考え方はやはり誤りじゃないですか。通産大臣、どうなんですか。
  117. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) まあ、いまおっしゃる向井さんの言われるのは、筋論として一つの筋であると私は思っております。しかし、実際、私らが政治をやっておりますというか、通産行政をやっております場合において、われわれ、大蔵省予算要求して——この問題だけではございません、あらゆる石炭の問題にしても何にしても、われわれ、これは必要だと言っても、ほかの面から制約を受けて、思うだけのものがとれない場合があるわけでございます。この場合におきましても、そういうものが起こるおそれがある——とれないとは申しません。とるべきものはとるべきでありましょう。そういうおそれもあるからということでありまして、とれないからという理由じゃなくて、とれないおそれがある。これはおそれがあることだけは間違いないと思うのであります。そういう意味で申し上げておるわけでございます。
  118. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いまのことに関連するわけですが、大臣はいまの答弁の中で、まあ今度の検定所になれば、予算あるいは財務諸表そのほかについては認可なり承認ということになって、かなり自由に動けるからということが一つありました。それから、いま一つの当局の答弁の中では、かなりこのように予算やあるいは財務諸表についても、通産大臣、大蔵大臣が協議をして認可をする、あるいは承認するということになるので、相当強くなるだろうというふうに言われているわけですが、どうも二つのことばが相違っているように聞こえる。むしろ思い切ってこの予算の認可とか、財務諸表の認可などということをやらないほうがいいんじゃないか。もし財務諸表が出てきて決算がされたときに承認をしなかったということになったらどうなるか、これが一つ心配があるわけであります。そういうようなことでないようにするべきがほんとうだと思うし、その辺の問題と、いま一つは、定款以外の事業というものをもしやったほうがいいというようなことができたときに、これでは、役員はございますが、役員会の規定がない。どこで一体——変更しようとするときに通産大臣のところで認可をもらうわけでありますが、役員会できめるというような規定がないわけでありますし、総会の規定もない。どういうところでおきめになっていこうとするのか。むしろ、そういうふうになってまいりますと、ねらっていらっしゃることとは反対の方向に動いていくんじゃないかという心配が考えられるわけなんですが、その点について伺いたいのです。
  119. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) これは、補足説明の中でも申し上げておりますが、事業内容については、もちろん認可をいたすわけでございますから、一応の予算というものがあるわけでございます。しかし、それは一応われわれが推定して、大体これくらいのものが必要であろうということを考え、また、協会のほうで——協会といいますか、この特殊法人がこれだけくらいのものが必要であろう、こう考えれば、それを行なうについてわれわれがそれを制約する、たとえば十のものが必要だというときに、通産省は、そんな十は必要ないから八つにしなさい、こういうような考え方でこの問題を処理しようとは考えておりません。われわれは、それが必要だという分を出してこられれば、これは考え方として大体一致するわけでありますから、だから私はそれを認めるということに相なると思うのであります。  それからもう一つ指摘がございました、いわゆる定款外の仕事をするときに、役員会か何かできめないでそれを持ってくるということになると、その場合に、本来の仕事以外のことを考え、あるいは、そっちのほうへ仕事がいってしまうおそれがあるではないか、こういう御指摘だと思うのでありますが、これはわれわれは、この法案の趣旨でも明らかにしておりますように、いわゆる、この電気計器の検定という業務が中心でございます。その業務を大きくはずれるものであれば、これはわれわれとしても、たとえ役員会があってきまっても、われわれは認めるわけにはいかないので、これがよそのほうへ逸脱するようなことがないようにすることこそ、通産省としての監督の責任ではないか、また、そういうふうに指導をいたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  120. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 役員会を設けなかった理由というのは、どういうわけですか。
  121. 小林貞雄

    説明員小林貞雄君) この特殊法人につきましては、特殊法人法律にも書いてございますが、理事長が全体の業務を総理するという、理事長が全責任を持つということになっております。ただ、運営上の問題といたしましては、もちろん理事長が一人で独裁的にやるということは考えられませんで、専務理事及び理事がそれぞれおります。さようなものが全部相談してやるということになることは当然のことでございます。この法律のたてまえ、あるいは全体の考え方といたしましては、理事長が全体の締めくくりをし、全権限を有する、かような考え方になっております。大体これがかような特殊法人の一般の例でございます。それにならって運営していきたいと思っております。
  122. 近藤信一

    ○近藤信一君 本法では、検定所に対しまして政府は現物出資のほかに出資をしない、こういう規定を設けているわけです。附則第二条にこれは設けてあるわけでございますが、現物出資のほかになぜ出資を行なわないのか。特にそのことを本法の中に規定しなければならなかった理由というものはどこにあるのか、この点はどうですか。
  123. 小林貞雄

    説明員小林貞雄君) 御指摘のように、この法律では、当初の現物出資のほか追加出資をしないというふうに規定いたしておるわけでございますが、これは、この特殊法人は、現在電気試験所なり電気協会が持っております現有施設を出してもらえれば、あとは適性な原価を反映してまいります手数料によりまして、その手数料によって独立採算制を保っていく、かような意味の、いわば国との財政的なつながりはできるだけ薄い関係に保っていくというふうにして運営していくことができるだろうし、また、それがこの特殊法人全体の運営として適当であるというふうな考え方から、かような規定を設けたわけでございます。たとえて申し上げますと、ほかの特殊法人では、役員はもちろんのことでございますが、職員の給与などにつきましても、何かと国がいろいろ介入するというような問題が実はあるのでございますが、かようなことは特殊法人、まあ国の息のかかった特殊法人の性質といたしまして、国の息のかかった機関が、能率的に自主性を持って運営するという観点から、個々の職員の給与まで一々チェックするということはいかがなものであろうかというふうに考えられるわけでございますが、なかんずく、この特殊法人の場合には、さような個々の賃金までいろいろと国が関与するということは、高能率、高賃金をたてまえとしてやっていきたいこの特殊法人からいきまして、非常に困るわけでございます。さような意味で、財政的なつながりを薄くするというようなこともございます。現在の法律の立て方といたしましては、追加出資はしない、かようにいたしておるわけでございます。
  124. 近藤信一

    ○近藤信一君 政府は現物出資の対象に土地を入れていない、こういうようでございますが、そうすると、この検定所は土地を借りるということになるわけです。土地を借りれば、賃貸料は当然払わなければならない、こういうことになるのだが、そういたしますると、賃貸料が非常に高くなってくるということが心配されるわけなんですが、この点はどうなんですか。
  125. 小林貞雄

    説明員小林貞雄君) 土地を出資しない点も、先ほど申し上げました財政的つながりを薄くするという考え方につながるわけでございますが、現在でも電気試験所がみずからの土地として持っておりますのは、大阪と福岡と福島の三カ所にとどまっております。全体といたしまして九つの支所を持っておる中の三カ所の土地しか持ってないわけでございます。その土地の借料は一応五百万円ぐらいの金額にとどまっているというような、非常にわずかな金額でございます。さような意味で、財政的なつながりを濃くして、いろいろとめんどうなことを言われるのがいいのか、五百万円の借料を払って自由に運営していくのがいいのかというような観点から、私どもとしては、後者の考え方をとりまして、必ずしも土地をもらわなくても、十分、五百万円ぐらいの金は払っていける。四十年度のこの法人の財政規模といたしましては、大体年間収支十二億円というふうになるわけでございます。金額のことは、その十二億円に比較して御推察いただきたいと思います。
  126. 近藤信一

    ○近藤信一君 私のほうも要点を質問しておるわけなんだから、答弁のほうがどうも長いようですが、幾ら長くやってもらっても私、かまわぬと思うのだけれども、やはり簡潔に、要点を片合弁していただければいいと思います。  そこで、現物を出資するということになっておりまするけれども、いま一つお聞きしておきたいのは、建物は、業務上に必要な建物ということになっておる。ところが、公務員の住宅に入っておる者、これが民間に移行されれば、その住宅から立ちのかなきゃならぬという心配が出てくると思うんですが、これに対するところの対策というものは、あなたのほうは持っておられるのかどうか。この点はどうですか。
  127. 小林貞雄

    説明員小林貞雄君) 御説のように、住宅につきましては、この特殊法人に出資しないというふうにいたしております。ただ、現在公務員宿舎に入っております者は、六カ月間引き続いて残れます。あとまた、その期間を過ぎましても、現在の借料の三倍、と申し上げましても市価よりは非常に低い金額でございますが、それで居残れるという方便もございます。あるいはまた、そういう方法でなくて、公営住宅その他公団住宅等について、できるだけ住宅あっせん等を考えて問題を解決していきたいと、かように考えております。
  128. 近藤信一

    ○近藤信一君 日本電気計器検定所の初年度の収支決算書は、すでにあれがあると思うんですが、これはどうですか。
  129. 小林貞雄

    説明員小林貞雄君) 一応、私どもといたしましては、四十年度の収支予想を立てております。
  130. 近藤信一

    ○近藤信一君 従来の電気試験所と電気協会の仕事の量から見まして、今度の検定所は、電気協会的に運営されるおそれがある。電気協会の役員は、九電力の役員、大きな電気機械のメーカーで占められているはずでございますが、したがって、電力会社、それから電機メーカーの意のままに協会の運営がなされるのではないかと、こういうふうなことが非常に心配されておるわけなんです。この点はどうですか。
  131. 小林貞雄

    説明員小林貞雄君) 先ほど来申し上げましたように、特殊法人としての監督をいたしまして、人事権、あるいは業務の面で、あるいは必要な限度において財政の面で監督をいたしておりますので、電気協会、あるいは電力資本等の不当な干渉の防止につきましては、十分、公正な検定業務を遂行する上から、特殊法人の監督という面から、でき得るだろうと思います。  なお申し上げますと、電気協会は、この特殊法人出資者として出資いたしますけれども、それは出資者としては、株式会社の株主のような権限は何ら持っていないのでございまして、財務財産の請求権等、実質的な権限はほとんどないような実情でございます。
  132. 近藤信一

    ○近藤信一君 最後に、私、一つお尋ねしておきますが、今度できる新組織理事長と監事は、これは通産大臣が任命することになっており、その他の理事、専務理事理事長が任命することになっておるわけなんですが、そういたしますと、もう大臣の腹の中では、だれを理事長にし、だれを監事にしようかなんという腹案があるであろうと私は思うんですが、この点いかがですか。
  133. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 法案も成立いたしておりませんときにおいて、そのようなことを考えることは僭越だと考えておりまするので、何らいまのところ考えておりません。公正なお方をひとつ任命いたしたいと思います。
  134. 藤田進

    藤田進君 これは、従来技術院なり電気協会なりといったようなことでおやりになっている部外からですか、部内からですか、一体。まあ藤田進にしようかなんという名前は別としても。どうなんです。新聞広告をして募集するわけでもないでしょう。
  135. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 先ほどお答え——そういう意味合いにおいても腹案を持っておりません。
  136. 藤田進

    藤田進君 それじゃ、ちょっと休憩して、その間に相談してください。いまこれだけの機構をつくるのに、一体、どういう人がいいだろうか、部内がいいか部外がいいか、そのくらいのことは御検討になっているんじゃないか。いろいろその他のことを聞いても答えられるのに——なんなら速記をとめてからでもけっこうです。案外、通産大臣はまだ知らないかもしらぬ。ぼくたちも、この国会でここまで追い詰められてくるとは知らなかった。ですから、工業技術院あたりでは、そのくらいのことは下馬評にしてもありそうなものです。これは、機構は人が動かしますからね、人によっては……。たとえば自由民主党の衆議院議員落選の人を置くなんという場合と、ほんとうに見識を持った、これにふさわしい、多年の経験を持ち、人格、識見ともにりっぱな人を据えようという場合とは、これまた違う。そんなことは全然検討もしていないなんて……。
  137. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) いま藤田委員の仰せになったあとのほうでございまして、自民党の者なんというようなことは毛頭考えておりません。
  138. 藤田進

    藤田進君 そうすると、自然、従来経験を積んできた部内からこれを検討してみるということになるのが自然でしょう。あるいは工業技術院の定年退職——定年というか、退職される人という場合もあり得るかしれないが、これも含めて、部内でけっこうでしょう。
  139. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 私は、部内とか部外とかいうことでなくて、やはりこの法律の精神をよく理解して、そして、だれが——われわれが通常考えてみて、この人ならばこの法律の精神を体して十分に仕事をしていってもらえるであろうという人を、むしろ、そういう立場で選考いたすべきである。これを部外に求めるか部内に求めるかというよりは、いま申し上げた趣旨が一番大事である。いやしくも、これに政党的色彩を加えたり、あるいはまた、役人をやめる人をそこに持っていこうという意図、そういう考え方でこの問題の処理はいたさないようにいたしたいと考えております。
  140. 藤田進

    藤田進君 この理事長をまず通産大臣がおきめになる手順は、どういうふうに考えていますか。手順。
  141. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) これは、この問題に関係しておる人の意見も——意見といいますか、工業技術院のほうでそういう人たちの意見も聞き、あるいは中立的なお方の意見も聞き、私は、あらゆる——あらゆるというのはおかしいんでありますが、とにかく、われわれが一応人事をやる場合において想定されるような各方面について、よく意見を聞いて、そして、この仕事はできると思うような人をまず選考しよう、こういうたてまえで人を選ぶようにいたしたいと思っております。
  142. 藤田進

    藤田進君 これは検定をなさる場合——私は検定所にしょっちゅう顔を出しますがね、各所でやっておいでになる。そして検定に携わり、事情に明るいということはあろうけれども、ある程度重要なこういった、たとえば家庭の計量器、メーターですね、これだって、かなりのやはり誤差があります。これは二年なり六年なりすれば、もちろん誤差が累積してくる。ところが、十年もそれ以上も事実上入り口に置いてあるといったようなことなんですが、したがって、この検査をする者についてはそれぞれ資格試験があるが、何らかやはりそういった権威あるものにすべきではないだろうか、これが一つ。  それから、特殊法人とおっしゃるが、確かに、まあ従来よりは姿においては前進とも見えます。しかし、その他のメジャーというものは、固定でもって、長さにしろ、あるいは目方にしろ、やっておいでになるわけだけれども、こういうものが先進諸国ではどういう形態をとってやらせているか聞きたい。  それから、そのときのいわゆる時価で現物出資の評価をなさる、それはまあ審議委員がと、こういうことのようですが、それ自体がどういう形であらわれ、どういう人たちで構成するのか、あるいは設立委員だとおっしゃるが、これは一体どういうものなのか、補足説明にも何も出てこない。五里霧中でこういうものをきめてしまおうというのは困るんで、あまり与党も急がないで、質疑をさしてもらいたい。まあ以上三点だけとりあえず答えていただきたい。
  143. 小林貞雄

    説明員小林貞雄君) 御指摘外国の例でございますけれども、ヨーロッパ諸国では国がやっているケースが多うございますが、一方、ヨーロッパの中でも半官半民的なところもやっております。アメリカのごときは、全く民間でやっている。かように国によっていろいろと、それぞれの実情によって異なっております。  設立委員につきましては、各省の事務次官なり、あるいは関係の有識、学識経験者、そういう人たちに参加してもらうことに相なるわけであります。
  144. 藤田進

    藤田進君 それはだれが任命するのですか。
  145. 小林貞雄

    説明員小林貞雄君) 通産大臣であります。  それから時価のほうは、これは公正な顔ぶれの専門家をもって構成する土地評価委員会というものをつくりまして、それでやっていくというようにいたしたいと思います。
  146. 藤田進

    藤田進君 評価委員会をつくって専門的にやる——たとえば鑑定士法が通って鑑定士というものができたと、そういうものを加えるという意味ですか、どうなんですか。今度の法律で鑑定士というものがきまった、そういうものを入れるという意味ですか。
  147. 小林貞雄

    説明員小林貞雄君) そういう人も一部分入ってくることになると思います。
  148. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  149. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 速記つけて。  他に御発言もなければ、(「まだまだあるぞ」「発言許せ」と呼ぶ者あり)質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  日本電気計器検定所法案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  152. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次に、赤間君から提出されております附帯決議案を議題といたします。  まず、赤間君から、本附帯決議案の趣旨説明をお願いいたします。
  154. 赤間文三

    ○赤間文三君 私は、この際、各派の御了承を得まして、本法案に対する附帯決議を提出いたします。  まず、案文の朗読をいたします。  以上が案文であります。  内容については、質疑の過程におきまして、すでに十分尽くされていると思いまするので、別に説明の要を見たいと存じ、省略させていただきまするが、何とぞ、各位の御賛同をお願い申し上げます。
  155. 前田久吉

    委員長前田久吉君) ただいまの趣旨説明に対して、御発言のおありの方は、順次御発言を願います。——別に御発言もなければ、本附帯決議案の採決を行ないます。  赤間君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  156. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 全会一致でございます。よって、赤間君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議をすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対して、福田通産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許可いたします。福田通産大臣。
  157. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) ただいま御決定をいただきました附帯決議の内容は、私は、十分われわれとして考慮をいたしつつ処置をいたすべきものであると考えておりますので、その趣旨に従って善処をいたしてまいりたいと存じます。     —————————————
  158. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 次に、本委員会に付託せられました請願五十七件を一括して議題といたします。  本請願につきましては、慣例により、本日、委員長及び理事打合会を開きまして、慎重に検討をいたしました。  以下、お手元に配付いたしました表によりまして、その結果を御報告いたします。  まず第一の中小企業関係十五件につきましては、いずれも採択を適当と認め、第二の物価関係二十一件につきましては、第四六〇号を除き、いずれも採択を適当と認め、第三の地域開発関係四件につきましては、第二二号及び第五四五号を除き、いずれも採択を適当と認め、第四の電力関係十件につきましては、いずれも採択を適当と認め、第五のその他七件につきましては、第八三二号は採択を適当と認めました。  以上、御報告申し上げます。  ただいまの報告のとおり決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  なお、報告書の作成等につきましては、慣例によりまして、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  161. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 次に、継続調査要求に関する件についてはおはかりいたします。  産業貿易及び経済計画等に関する調査は、会期中に調査を完了することは困難でありまするので、本院規則第五十三条により、継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成及びその取り扱い等は、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  163. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  164. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。  閉会中に産業貿易及び経済計画等に関する調査のため、委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  165. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、その内容及び手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後九時十三分散会      —————・—————