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1964-05-19 第46回国会 参議院 商工委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月十九日(火曜日)    午前十時五十二分開会     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     前田 久吉君    理事            赤間 文三君            上原 正吉君            近藤 信一君            田畑 金光君    委員            岸田 幸雄君            豊田 雅孝君            吉武 恵市君            阿部 竹松君            大矢  正君            中田 吉雄君            藤田  進君            鈴木 一弘君   国務大臣    通商産業大臣  福田  一君   政府委員    通商産業政務次    官       竹下  登君    通商産業大臣官    房長      川出 千速君    通商産業省繊維    局長      磯野 太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○繊維工業設備等臨時措置法案(内閣  提出、衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 前田久吉

    委員長前田久吉君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員長及び理事打合会協議事項について御報告いたします。  本日は、繊維工業設備等臨時措置法案質疑を行なうことになりましたから御承知願います。     —————————————
  3. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 繊維工業設備等臨時措置法案を議題といたします。  本案につきましては、前回提案理由説明並びに補足説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 近藤信一

    近藤信一君 まず、政府にただしておきたいことは、昨年の二月ごろから、非常にアメリカ日本綿製品輸出制限に対するいろいろな問題があったわけなんです。特に昨年のいまごろだったかと思うのですが、磯野局長は直接アメリカに行かれまして、アメリカ側と取りきめ問題等について話し合ってこられた。その後まあ新聞等によれば、一応解決したかのごとくに私ども聞いておるわけなんですが、当時アメリカ局長がいろいろと折衝されましたいきさつ、それから取りきめ、こういう問題についてお聞きしておきたいと思うのですが、これは大臣おられないので、局長が実際向こうで当たられたのですから、局長からこの点御報告をしていただきたい、かように思います。
  5. 磯野太郎

    政府委員磯野太郎君) 綿製品交渉につきましては、ただいまお話がございましたように、私が向こうにまいったわけでございますが、期間的に申し上げますと、アメリカ政府のほうから綿製品について協議をしたいというふうな申し出がございましたのは一昨年の十二月の末でございます。したがいまして、一月から交渉いたしまして、妥結いたしましたのが八月でございます。約八カ月かかった非常に長い交渉であります。交渉までの経過等は御承知と思いますが、感じといたしましては、このアメリカ政府、特にケネディ氏が大統領であったわけでありますが、そういうアメリカの政治的な環境からいきますと、繊維製品の問題、特に綿製品それから毛製品等の問題につきましては、経済的にもいろいろ問題がございますけれども、また政治との関係でも非常に大きく向こうでは取り扱われておるというふうな感じでございます。その協定の実際の施行につきましては、これも御承知と思いますけれども、本年の二億八千五百万平方ヤードを基点といたしまして、第二年目には三%、三年目には五%と、こういうふうに相なっております。昨年の三十八年の実施関係につきましては、これは協定どおりワクを達成することができませんで、大体全体といたしましては九一%くらいの達成率、これは数量的に見ましてそういったことになっております。
  6. 近藤信一

    近藤信一君 当時は、アメリカ日本綿製品に対する輸出制限に対していろいろと新聞等の報道によりますると、食い違いの点があったということも報道されておる。これはジッパーなんかも、従来なかったのが綿製品として向こうで取り扱われておる。こういうふうなことも盛んに言われて、日本業界としてはこの点なんかおかしいじゃないかということで、これをはずすべきだという意見も出ておったかに私思うのですが、その点はどうなったのですか。
  7. 磯野太郎

    政府委員磯野太郎君) いま御指摘のとおり、御承知のようにアメリカ綿製品範囲を非常に広い範囲考えておりまして、しかも、その広い範囲の中で何といいますか、非常にたくさんの品目に分類いたしております。そういうふうな関係で、いまお話しのように、たとえばタイヤベルト等につきましても、これは日本ではゴム製品というふうに内訳をしておりますのを、向こうでは綿製品考えるというふうに、雑貨的なものにつきまして、日本では雑貨、アメリカでは繊維というふうなものがございまして、そういう点で、品目の点でもなかなか交渉はむずかしかったということでございます。
  8. 近藤信一

    近藤信一君 アメリカが当時日本綿製品を規制しようとしたのは、日本製品アメリカ市場を撹乱すると、こういうことが一番大きな理由であったと思うのです。そこでいろいろと、でははたして実際にアメリカ市場を撹乱しているかどうかということで、当時の日本政府としても強い態度交渉に臨むのだと、こういうふうな話であって、具体的に、じゃどういうふうにアメリカ側市場を撹乱しているかというふうなこと、それをアメリカのほうで示してきて、これに対する日本側の回答といいますか、これはどういうふうになっておりますか。
  9. 磯野太郎

    政府委員磯野太郎君) その点につきましては、御承知のとおり十二月に、アメリカのほうから三十六品目につきまして、アメリカのマーケットで市場撹乱をしておるから、その三十六品目について輸出規制をやってくれというふうな要請でございまして、それで長期協定綿製品国際取りきめの関係からいきますと、第三条がございますが、第三条に基づきまして市場撹乱があるということで、輸入協議をしてきたということでございます。その点につきましては、経過的に申し上げますと、私どものほうでいろいろなことを総合判断いたしまして、そのうちのギンガム、別珍等品目につきましては、アメリカの言うことも一理あるのではないかというふうに考えまして、四品目につきましては輸入協議に応じようというふうに考えておりますが、結局その点は日本の四品目アメリカの三十九品目あとで追加を認めましたので三十九品目でございますが、この点で協議が整いませんで、結局いろいろな紆余曲折を経たわけでございますが、結果的には、第三条の協定から第四条の二国間協定に切りかわってきたというふうな状態になっております。
  10. 近藤信一

    近藤信一君 当時日本紡績協会村山調査部長ですか、この村山さん以下数名の人、代表アメリカに行きまして、日本側としては長期協定実施を阻害するような気持ちは少しも持っていない、むしろ協定どおりアメリカのほうが実行してほしいと言っていたことは、当時新聞に報道されておったのですが、それのいきさつはどういうふうになっておりますか。
  11. 磯野太郎

    政府委員磯野太郎君) 日本のほうでは長期協定どおり実施しておるということでございましたが、結局基本的に申し上げますと、御承知のとおり短期協定がその前の年にあったのでありますが、その翌年に長期協定が十月一日に発効いたしまして、その綿製品国際取りきめが実施された暁におきましては、まあ日本業界考え方といたしましては、おそらくはその長期協定を取り結びましたときのいろいろな議論等からいきまして、そういうふうなアメリカ長期協定ができましたとたんに、第三条を発動してくるようなことば、これは夢にも思ってないというふうな考え方でございまして、そういう点から言って、アメリカ態度はいかにも理不尽で日本にとっては不可解であるというふうな基本的な考え方でございました。そういう点でいろいろ議論し、日本の立場を協議したわけであります。
  12. 近藤信一

    近藤信一君 こうした昨年の綿製品問題で、アメリカ側日本との交渉がいろいろなされて、それがさらに今年に入りますと、アメリカ側では綿花法ですか、いままで輸出綿花に対しましては、これを国内綿花より安く輸出しておった。そこでアメリカ業者は、そういう安い輸出をしておるから今度安い日本製品アメリカに入ってくるので、これではアメリカ業者としては日本製品競争することはできない、だから綿花輸出に対してこれを規制するか、または国内業者に対する補助政策をとるかというふうなことで、何かアメリカ側綿花法が通過したやに聞くのですが、この点はどういうふうに把握しておられますか。
  13. 磯野太郎

    政府委員磯野太郎君) 私どもが知っておりますことといたしましては、ただいま御指摘の新綿花法が四月の十一日に向こうの上院を通りまして成立をいたしました。その内容といたしましては、御承知のとおり、アメリカ紡績業者が使います綿花は、ポンド当たり三十二・四七セントでございます。それに対しまして、アメリカ綿花輸出するというかっこうで消化させますために、アメリカ政府輸出原綿につきましてポンド当たり八・五セント安いということになっております。したがって、自分たちが使う原綿よりもアメリカ以外の紡績業者が使う綿花のほうが八・五セント安いという点が非常に問題になっておりまして、これが綿花の二重価格制度の問題として、アメリカ業界からは常にその解消が叫ばれておったわけでございます。今回そういう点で二重価格制度を廃止いたしまして、単一価格制度を取るために六・五セントの補助金支給されるということになったわけでございます。
  14. 近藤信一

    近藤信一君 一ポンド六・五セントの補助金アメリカ側では出すことにまあきまって、それでアメリカ側業者はそれを見越して、日本からの買い付けに対しましても非常に控えておると、こういうようなことも通産大臣が言っておられる。昨年とことしと比較すると、相当輸出面においては現在足踏み状態じゃないかと、こういうふうなことを大臣は言っておられるのですが、この点新聞にも数字が、パーセンテージが出ておるのですが、この点はどうですか。
  15. 磯野太郎

    政府委員磯野太郎君) ただいまのように、六・五セントの支給の問題が決定になりましたから、アメリカのほうの業者でいろいろ買い控えが起こっておることは事実のようでございます。これはアメリカ国内生産品自体につきましてもそういう現象が起こっているのはもちろんでございますが、まあそういうふうな意味合いかどうか、その点はまだ検討を要しますけれども、一月から五月までの輸出契約を見ますと、大体まあ年間ワクに対しましてただいまのところ四割程度でございます。昨年はいろいろ問題がございましたけれども、大体五月までに六割程度契約を結んでおりますので、そういう点からいきますと、やっぱり日本品についても若干の買い控えがあるというふうな感じが出てくるのではないかというふうに考えております。
  16. 近藤信一

    近藤信一君 今度ポンド当たり六・五セント綿花に対する補助金アメリカ政府が出すということになりますると、日本から輸出される綿製品アメリカでつくられる綿製品との比較ですね、これはどういうぐあいになるのか。いわゆる来従どおり価格で、アメリカ製品アメリカで同じような価格になるのか、まだ日本製品アメリカ製品より安いのか、この点はどうですか。どんなような見通しですか。まだ一局いか。
  17. 磯野太郎

    政府委員磯野太郎君) 一般的に申し上げますと、今回の単一綿花制度影響というふうな点を考えますと、まあ単純製品つまりシーティングでございますとか、あるいはクロースものといったような、綿が糸になる、それから糸から布になるというふうなそういうふうなあまり付加価値の多くないものにつきましては、これは原綿代コストの中で相当のウエートを占めておりますから、そういう製品につきましては、六・五セント支給影響が相当大きく出るのではなかろうかと考えます。それから反対にいろいろ縫製加工段階を通ります高級品につきましては、生産段階がたくさんございますので、比較的に原綿コストが下がったという影響についても、これはわりあい少ないというふうに考えてもいいのではないかというふうに感じておりますが、そういう原則的な考え方からいたしますと、御承知のとおり、大体同一品質のものをとりまして、日本品アメリカ品では、従来いわれておりますのは、一〇%ないし一五%ぐらいの価格差がございましたので、この価格差が今回の補助金支給によって、どういうふうに違っていくかというのが問題の点であろうと思います。
  18. 近藤信一

    近藤信一君 いま御説明がありましたように、高級品といいますか、比較的高い二次製品、これらについてもアメリカで値上げされるであろうと、こういうことになりますると、日本から輸出しておる二次製品高級品が、はたして将来価格が維持できるかどらか、アメリカ側は値を下げるといっておりますし、これに対して日本輸出価格の引き上げをやらなきやなら山かどうか、こういうふうなことはどんなふうに見ておられますか。
  19. 磯野太郎

    政府委員磯野太郎君) そういう点でいろいろ問題が今後あろうかと思いますが、これはよく御承知のことでございますが、一つの例をとりますと、たとえばシーティング、シャツの生地でございますが、シーティングをとりますと、アメリカ品ヤード当たり十四セント六十でございます。同じ日本のものは十一セント三十九でございまして、ここで三セント余の価格差があるわけでございます。それから原綿コストをとりますと、アメリカ原綿コストは八セント四十になっております。それから日本原綿コストが七セント八十一でございますので、原綿コストからいきますと、日本のほうが〇・六〇セントぐらい安いというふうになっておりますが、この例からいきますと、アメリカ原綿コストが大体日本品と同じ程度まで下がってくるのではないかと思います。それであとは、いろいろ原綿コスト以外のコスト、これは労賃とか、いろいろございますけれども、こういう点は、概してアメリカのほうが高いわけでございますが、問題はただいまの例をとりますと、三セント二十というふうな従来の開きが、今度幾ら縮まってくるかというふうなことでございますが、これは計算上からいきますと、今回の支給によって、ポンド当たり三十二セントのものが二十四セントに下がるわけでございますので、四分の三になります。そういうふうな関係からいきまして、これを計算いたしますと、アメリカのほうが若干今度下がってくるわけでございますが、大体ただいまのシーティングでいきますと、原綿コスト日本と同じか、日本より若干下がるということになると思います。
  20. 近藤信一

    近藤信一君 従来日本綿製品アメリカ市場で、相当販売が高かったというのは、やはり日本製品アメリカ製品と比較して非常に安いということで魅力があって、相当量輸出されたと思うのですが、それがほとんど価格で違わないと、むしろ、若干高くなるんじゃないかというようなことになれば、これは日本綿製品というものがアメリカ市場では非常に困難な状況になるのではないかと思うのですが、その場合の対策としてはどんなようなことをお考えになっておられますか。
  21. 磯野太郎

    政府委員磯野太郎君) 今回の補助金支給影響がどういうふうに出てくるかということにつきましては、これは支給前のものがまだ在庫として相当残っておりますので、それがはげまして、新しく補助金対象になったものが出回りましたときにその影響が出てくるわけでございます。それで私どものほうといたしましては、これは大体そういうような影響は六月末ごろから九月ごろまでにはっきりするかというふうに考えておりますが、そういうふうな支給影響を各品目につきまして調査をすることになっております。それで調査をいたしまして、その点で支給影響がはっきり出ましたものにつきましては、これは必要に応じましては、いろいろアメリカとも話をしていくということになろうかと思います。
  22. 近藤信一

    近藤信一君 かつて、局長も御存じだろうと思うのですが、ワンダラーブラウスですか、一ドルブラウスということで盛んに世論を喚起したことがあるのです。あの当時も日本品の問題で相当騒がれたわけなんですが、現在はああいうふうな状況アメリカには起こっていないのですか。
  23. 磯野太郎

    政府委員磯野太郎君) 現在はああいうふうな、特に一つのものを取り上げましてああいうふうな問題になっているのはございません。
  24. 近藤信一

    近藤信一君 私は、やはり綿花法の問題や、アメリカにおける日本綿製品の問題は、アメリカ自身が相当神経質になっていると思うので、これからの日本輸出に対しては相当私はむずかしいのではないかと思うのです。そこで今度の法案を、いろいろと政府としても考えておられるようでございまするけれども、やはり長期見通しのもとに、アメリカでの競争といいますか、市場での反動というふうな問題、それからこれはアメリカだけでなくて、やはり東南アジア方面においても相当圧迫されてきておるというふうなことも私聞いておるのですが、そうすると、綿製品の将来の見通しというものは、あまり日本側としても楽観できないと私は思うのですが、さらにこの綿製品の問題に関連して毛織、羊毛、こういう問題も何かアメリカで話題にのぼっておるやに聞くのですが、この羊毛関係についてはどの程度把握しておられますか。
  25. 磯野太郎

    政府委員磯野太郎君) ただいまお尋ねの羊毛毛製品の問題につきまして、これもよく御承知と思いますが、アメリカ業界とそれから欧州の業界がいろいろ会合を重ねております。これはローマ会議パリ会議等といろいろございますが、去る三月の十三日に会合いたしましたときには、その会合に出席しておりました十五九国ぐらいの業界でございますが、その会合の正式の意思表示といたしまして、毛製品の最近の国際貿易状況から見て、毛製品についても政府間の協定をつくることが必要であるということで意見が一致をしたというふうな情報を得ております。
  26. 近藤信一

    近藤信一君 毛織り関係業者が非常に神経をとがらしておるのは、やはり日本毛織り製品というものが、従来世界で一番だったと言われておる英国製品を凌駕するというふうなところまで、技術的によくなってきておる。こういう点でアメリカあたりでも日本毛織り製品に対しては相当注目されており、また、この問題は英国側におきましても、将来日本が一番大きな競争国ということになってくるのじゃないかというふうに私は思うのですが、その場合のいろいろとアメリカ日本イギリス、こういうふうなところの関係、こういうことはどうですか。
  27. 磯野太郎

    政府委員磯野太郎君) これはただいまの段階では、いろいろ各国業界が動いておるわけでございまして、各国業界といたしましては、私どもとしては直接そこへ出ておりませんので、まあ発表というふうなものを信用するよりいたし方ないわけでございますが、そういう点からいきますと、ただいま申し上げたような状況でございますから、毛製品輸出国の各業界は、毛製品について何か輸入制限を行なうことが望ましいというふうなことでございます。それから各国政府態度でございますが、各国政府は、これは私ども聞いております限りでは、いずれもこういうふうな取りきめについては反対であるという態度をとっておりまして、これも御承知と思いますけれども、一番その態度のはっきりしておりますのはイギリス政府でございますが、イギリス政府はただいま申し上げましたような会合がありました後におきましても、正式にアメリカ政府に対して反対であるという意向を申し入れておるようでありますが、そういうことで各国政府はこれについては反対をしておるというのが、ただいまの状況であります。
  28. 近藤信一

    近藤信一君 特に毛織りの場合には、原毛はほとんど輸入に仰がなければならぬ、こういうことになってくるので、将来原毛との問題ですね、原毛の問題の見通し、これはどういうふうに考えておられますか。今度アメリカでも綿花法が出て、保護政策をとっておる。またそういうようなことが原毛の場合に出てくる危険があるのじゃないかと思うのですが、そういう点。
  29. 磯野太郎

    政府委員磯野太郎君) 原毛の問題につきましては、一つ意見といたしまして、アメリカ原毛関税が高過ぎるという問題でございます。これは御承知のとおり二五%かけておりますが、どうしてそういう高い関税をかけなければいかぬかということにつきましては、これはアメリカといたしましては、国内牧畜業者を持っておって原毛そのもの生産がある、国内生産があるという点から、それを保護する点から高い関税をかけておるわけでありますが、そういう高い関税につきましては、これはいまの毛製品をめぐる問題からいいますと、アメリカのほうがそういう高い関税原毛についてかけているから、アメリカの毛の紡績業者はそのしわを受けているのではないかというふうなことを、これは御承知のとおり公式の席上、たとえば羊毛国際研究会の席上におきましても、アメリカ以外の代表がそういうことを言っておりますし、また私どもそういうふうに考えておるわけでございますが、そういう点で原毛につきましてもいろいろ問題があります。
  30. 近藤信一

    近藤信一君 綿製品のほうにつきましては、いままで国内でもいろいろ臨時措置法というものがあって規制されている。ところが羊毛毛製品の場合ですね、産地へ私ども行ってみますのと、毎年毎年小企業が、いわゆる機屋さんですね、これがタケノコのごとくふえてきている。こういうようなのはいま野放しになっておるのですか。
  31. 磯野太郎

    政府委員磯野太郎君) 毛の関係につきましては、御承知のとおり紡績関係はただいまの現行法、それから新しい法案につきましてもその対象になっております。それから機の関係につきましては、これも御承知と思いますが、中小企業団体法でその対象になっております。まあ具体的には設備制限がしかれているというようなことであります。
  32. 近藤信一

    近藤信一君 やはり毛の場合も、アメリカでも問題になっておるように、早晩これはやはり綿製品のような過程をたどらなければならぬというふうな感じがするので私お尋ねしたわけなのですが、やはり綿製品国際市場を荒らしておるということで、日本がその目標にされていろいろとアメリカでも規制され、さらに今度の綿花法ということになり、さらに続いてくるのは、私どもしろうと考えからいけば、当然これは毛製品に今度はくるであろう、こういうことが予想されるわけなんで、こういう点政府としても十分今後考えていかなければならぬじゃないか、私はそういうふうに感じるのです。そして若干その質問をしたわけなのですが、そういう点をひとつ政府として考えていくべきじゃないか、こういうふうに思って私いまお尋ねしたようなわけです。
  33. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 関連して。綿製品の対米輸出の問題で近藤先生から若干質問がございましたが、アメリカ市場におけるいわゆるわが国製品占拠率というのですか、綿製品市場占拠率というものが毎年低下をしてきている、そういうことが言われているわけなんでございますが、局長その点どういうことが原因でわが国の対米輸出綿製品アメリカ市場におけるシェアというものが下がってきているか。
  34. 磯野太郎

    政府委員磯野太郎君) アメリカにおける日本綿製品のそのシェアがだんだん減っておることは事実でございますが、これはいろいろな関係があろうかと思いますが、一つは御承知のとおり一九五七年から日本自主規制に入りましたので、これは自主規制からいきますと当然でございますけれども、大体まあ年間平均で五%程度ふえてきているわけでございますが、そういう点で頭打ちになってきたということはございます。それから、それと反対に一番顕著なのは、これは御承知と思いますが、たとえば香港でございますけれども、香港の例を申し上げますと、日本自主規制に入りました一九五七年当時は、香港の対米綿製品輸出というものはほとんど微々たるものであったのでございますが、最近ではアメリカ輸入綿製品の中で二〇数%のシェアを占めております。それと反対日本シェアがだんだん減ってきたというふうなことでございます。
  35. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまの香港であるとかその他の後進国、特に香港であると思いますけれども、その辺の繊維産業というものがものすごく発達してきた、そういうことからその国が、いまの局長の話だと、ほとんど輸出してなかったのがものすごくアメリカ市場に対して輸出国に変わってきた、そういうことが言われているわけですけれども、一方、それに対していまも自主規制ワクの話があったわけですが、わが国綿製品輸出を見ていると、自主規制ワクというものを完全に消化しきれていない、九〇%であるとか八〇何%であるとかというような不完全な消化に終わっておるわけです。その不完全な消化、どうしてそういうものができてきたのか、自主規制をした上に完全に消化できないとなれば、よけい、頭打ちが強くなるんじゃないかと思われるのでありますけれども、それに対しての考え方、原因と対処ですね。
  36. 磯野太郎

    政府委員磯野太郎君) たとえばアメリカ綿製品ワクと実績との関係を見ますと、これはまあ当然のことでございますが、一つ国内の景気と関係がございます。国内の景気が非常によくて繊維製品がどんどん売れます場合には、これはどうしても価格関係からいきますと、国内価格のほうが輸出価格を上回るわけでございますので、輸出するよりは国内で売ったほうが得だということがございまして、そういう点で達成率影響があるということになっておると思います。それからもう一つは、これはまあ規制のしかたに関係がございまして、こういう点はわれわれとしては今後大いに打破していかなければならないと考えております。御承知のとおり、綿製品の二国協定におきましては、約三十品目につきましていろいろワクがございます。数量の協定がございます。それでこういうふうに三十品目につきましてワクがそれぞれ設定されておりますと、どうしてもその点で非常に輸出が弾力性を欠くわけでございます。そういう点からやはりうまくいかないというふうなことが影響されているという考えでございます。
  37. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまの局長のお話ですと、ワクがあるためにということでありますけれども、振りかえということはできないのですか、その品目ワクの。
  38. 磯野太郎

    政府委員磯野太郎君) 技術的に申し上げますと、まあややあれになりますが、ワクの中に二つございまして、一つは、これは厳密なワクかどうかは別でございますが、上限をきめたものでございます。この上限は最大限度をきめておりますから、それにつきましては実績との関連を見まして、そうしてほかのものに振りかえができることになっております。それからただいまの協定では大体大きなグループは三グループになっておりますが大きな三グループ間におきましても五%の振りかえがございまして、その五%以内であればいろいろ振りかえができるということになっております。
  39. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 その振りかえの五%という率でございますけれども、その率が低いからいわゆる輸出規制ワクというものの消化ができない。もっと振りかえがきくのであれば、ある製品とほかの品目との間に、片方が消化しきれないときには片方のほうで大いに消化できる、こういうふうになるんじゃないかと思うんですけれども、それに対しての努力はどうなさいますか。ワクの振りかえ率を上げていくというそれについての努力は。
  40. 磯野太郎

    政府委員磯野太郎君) いまのような振りかえ率は、率は高ければ高いほど輸出国としては好ましいわけでございますが、やはり輸入国から見ますと、その点があまりルーズといいますか、弾力的になりますと、結局いろいろな品目について数量ワクをきめたということが結果的には相当無意味になりますので、その辺で両方の妥協がございまして、ただいまとしては大体そういうふうなあまり全体の仕組みに大きな影響がない程度の振りかえを認めているということになると思います。
  41. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 数量のワクがはっきりきまっているとなれば、今度は先ほど局長綿花の問題から、答弁の中に二次製品のほうのことが出ておりましたけれども、いわゆる高級品というか、そういうものを中心として、金額の面で伸ばしていく以外道がなかろうと思います。そういういわゆる高度な加工品といいますか、高い価格の品物といいますか、そういうものについてのシェアを広げていく、そうしていわゆる数量制限、数量規制というものを突破していく、そういうものを乗りこえていくというような努力ですか、それについては政府はどんなふうな考えですか。
  42. 磯野太郎

    政府委員磯野太郎君) まあ私ども考え方といたしましては、基本的に言いますと、とにかくこういうふうな協定といいますか、輸入についての制限があること自体があまり好ましくないというふうに考えておりますが、これはいろいろな関係がございまして協定を結んだわけでございますけれども、結局その中のいろいろな仕組みの問題といたしましては、たくさんの品目につきまして、それぞれの数量ワクをきめていくというようなことは、これは輸入国の輸入をできるだけ制限したいという思想からいたしますといいかもわかりませんけれども輸出国からいたしますと、非常に輸出の弾力性を欠くわけでございますから、そういう点はこの前の二国間協定でも、私どもとしてはできるだけ品目を少なくしたいということで努力をしたわけでございますが、まあそういう点で各品目の選定及びその数量ワク等につきましては、今後もできるだけそういうような点を弾力的に改めていくというのがわれわれの態度であろうと思います。
  43. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 その規制ワクというものを広げていく、あるいは弾力的に振りかえなど考えていく、そういう交渉をしていく、そういう制限を撤廃していく方向にいきたい、その考え方は基本的に当然であろうと思いますが、そういうことでなくて、私の言うのは、そういう規制ワクがあるときに、同じ数量規制であるならば、低い品物よりも高級品を出したほうがいい、そうして数量規制によるハンディキャップというものをカバーできなければ損じゃないか、それについて政府としては、当然規制は撤廃すると言っても、これはなくなるわけじゃないと思いますので、そうすればそのワクの中でいかにして有利に持っていくかということでありますから、そういうふうな高級二次繊繊製品というものについての、輸出していく品物の内容を高めていくことについてのどういう努力をなさるかということなんです。その点について伺っておきたいのです。
  44. 磯野太郎

    政府委員磯野太郎君) 現実の結果といたしまして数量的な規制があるから、そういうことで考えれば、できるだけ高級品を出しまして、金額の面でこれを伸ばしていくということは、まことに御指摘のとおりでございまして、現実の輸出の結果も大体そういうふうな方向で動いておりますが、私どもとしても、それが一番好ましいという、ふうに考えております。生産品の高級化につきましては、これは業界でも、そのことが一番大事であるというふうに考えておりまして、いろいろ努力を払っておりますが、私どもとしてもそういう方向で指導をしていきたいというふうな気持であります。
  45. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それについてのいままで何か努力をなさったことがあれば、伺わしていただきたいと思うですが。
  46. 磯野太郎

    政府委員磯野太郎君) これは、まあ高級化につきましては、たとえば高級化の点で一つの点はデザインの点がございますが、デザインの普及と指導につきましては、大阪に御承知のとおりデザイン・センターを設けておりまして、いろいろ各国のデザインの紹介とか指導をやっております。それから高級化というふうな問題につきましては、結局これは二次製品になりますと、もちろん国内業者もいろいろそれを研究し、いろいろな点で成果をあげているわけでございますけれども、これは御承知と思いますが、最近の新しい現象といたしましては、縫製加工の二次製品段階につきまして、先進国からの高い技術の導入が数件なされております。そういうふうな技術導入の点につきましては、私どもとしてはいろいろな輸入防遏とか、いろいろな問題を考えまして、それをそれぞれ許可しておるわけでございますが、そういう点も日本の高製品の技術アップに今後相当いい影響を持つというふうに考えているわけでございます。
  47. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 二国間協定で、いまのところは政府交渉綿製品の規制をやっておるわけですけれども、いわゆる国際繊繊協定による綿製品長期協定ですか、こういうものを二国間協定で持ってゆこうと、こういうような考え方は基本的にはどういうふうになっておりますか。
  48. 磯野太郎

    政府委員磯野太郎君) ただいまのは綿製品の話でございまか。
  49. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そうです。
  50. 磯野太郎

    政府委員磯野太郎君) 綿製品につきましては、御承知でございますが、国際綿製品長期取りきめがございまして、これは期間は五年でございます。一昨年の十月に発効いたしました。現在二十一カ国がこれに参加しております。それから日本アメリカとの関係は、先ほど申し上げましたように、この長期取りきめそれ自体で動いているのではございませんで、長期取りまめの第四条に基づいて二国間協定をつくって施行しておる、こういうかっこうでございます。
  51. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  52. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 速記を始めて。
  53. 大矢正

    ○大矢正君 先ほど来、近藤委員その他から繊繊製品の対外取引について質問がありましたが、私は特にこの際出すほうではなくて入れるほうの、言うならば、わが国輸入の問題に関連して二、三お伺いをしておきたい。一つ繊維局から出された資料によりますと、最近の繊維及びその製品輸入実績の数字が出されております。これを見ますと、毛織物が圧倒的な金額、続いて二次製品ということになっております。そこでこの毛織物、二次製品というものが、今日のわが国業界、それからまた消費の段階においてどのような影響を与えているかということと、さらにこの毛織物、二次製品等の関税はどういう姿になっているのか。それからこれら繊維製品の自由化に対する考え方というものはどうなっているのか。以上三点についてお伺いをいたします。
  54. 磯野太郎

    政府委員磯野太郎君) 最初の今後毛織物、二次製品輸入はどんな推移をたどるであろうかというふうなことでございますが、これは実は二次製品につきましては、御承知のとおり全部輸入の自由化をやっております。それでそういうふうな輸入の自由化がすでになされているという関係等を入れまして数字を見てまいりますと、これは私どもが思っていたほど現実にはたくさん入ってこないというふうな感じでございます。  それから今後の問題といたしましても、先ほどもいろいろ技術導入があるというふうなことを御説明いたしましたけれども、大きな方向としてはそういうふうな方向で動いていきまして、二次製品についてぜいたくなもの、それから日本ではできない高級なものの製品自体の輸入をどんどんやっていくということにはならぬのではないかというふうな感じでございます。  それから毛織物でございますが、毛織物につきましては、これも御承知でございますが、輸入の自由化はやっておりません。それでここで輸入品として入ってまいりましたのは、それぞれイギリス等々と輸入ワクをきめておりますので、その結果入ってまいったものでございます。いま毛職物につきましては、直接主たる輸入先は、梳毛につきましてはイギリス製品、それからもし自由化をやりました場合には、紡毛製品についてはイタリア製品が入ってくるというような感じでございます。しかし、これは梳毛の毛織物につきましては、ただいま出ておりますような数量、金額が入っておりますけれども、これがイギリス製の非常に高級品でございまして、今後そういう点がどんどん輸入が増大するかどうかという点につきましては、輸入の自由化に備えまして、これはいろいろ日本業界が技術の向上をやっておりまして、最近におきましては、もうほとんど遜色のないようなものが出かかておりますというふうな状況でございます。それから関税でございますが、関税につきまして、問題は毛織物の関税でございますが、この毛織物の関税はそんなに低い関税ではございません。これはまあ保護関税というふうなことでやっております。平均して申し上げますと、大体品質によっていろいろ差違が設けられておりますけれども、平均で三〇%程度になるような、あまり低くない関税をただいま持っております。
  55. 大矢正

    ○大矢正君 二次製品関税
  56. 磯野太郎

    政府委員磯野太郎君) 二次製品関税は、ちょっと記憶にございませんので、あとから御説明申し上げます。
  57. 大矢正

    ○大矢正君 わが国が海外から輸入をする繊維及びその製品は、ただいま局長が御答弁をされたように、比較的加工度の高い物ということが言えると思いますが、ただ、ここで一つ心配な点は、後進地域と呼ばれるインドやパキスタン、あるいは香港というような地域においては、最近紡績業が非常に進んでまいりまして、これらの国の、言うならば比較的下級品がむしろわが国に綿を中心として入るのではないかという一つの不安があると思うのであります。その点についてはどのように見通しておられるか、お答えをいただきたいと思います。
  58. 磯野太郎

    政府委員磯野太郎君) これはもういま御指摘のとおりの現象がすでに起こっておりまして、昨年以来中共——まあ中共は別でございますが、直接日本に問題のあるのは韓国の綿布でございますが、そういう韓国などの安い綿布が多少入っております。それで今後どうなるかということでございますが、これはそのことが残念なことでございますけれども、どうもそういうふうな付加価値の少ない下級の綿糸、綿布につきましては、日本繊維工業はやはり後進国の繊維工業から追いかけられていくというのが残念ではございますが、趨勢ではないかというように考えております。
  59. 大矢正

    ○大矢正君 大臣が来られましたので大臣質問をいたしたいと思いますが、その前に一点だけ局長にお尋ねをしますが、日米綿製品協定によってわが国アメリカに対しての繊維及びその製品輸出上の規制措置が及ぶようになりましたが、最近の実績から見て、その輸出規制数量に対して実際の輸出は何%であったか。同時にまた昭和三十九年度、すなわち今年は輸出規制ワクに対して実際に規制ワク一ぱいだけ輸出することが可能であるかどうか、このことについて御質問したいと思います。
  60. 磯野太郎

    政府委員磯野太郎君) 昨年の一九六三年の綿製品輸出につきましては、協定ワクに対して達成率は約九二%でございます。ワクそのものも達成できなかったというようなかっこうになっております。それから本年の見込みでございますが、これはまあ私どもとしてはただいまの契約状況から考えますと、先ほど申し上げましたとおり五月で大体四割程度契約しかございませんで、そこから考えますと。なかなか達成がむずかしいのではないかというふうな感じがいたします。ただ、昨年と本年との関係からいきますと、昨年は御承知のとおり非常に金融引き締めがとられますまでは国内の景気がよかったわけでございますので、そういう点でやや輸出のほうが国内のほうに引っぱられたという感じがございますが、ことしはむしろそういうふうな内外の関係は逆の関係ではないかというふうに考えておりまして、輸出ドライブというほどではございませんけれども輸出情勢としては昨年よりはいいということで考えております。
  61. 大矢正

    ○大矢正君 いま局長の御答弁によりますと、一九六三年の規制ワクに対しての実際の輸出は数量的には九二%という御説明がありました。私が調べた限りでは九〇%を割っているという数字が出ておりますが、しかしいずれにしても、これは統計のとり方、資料の収集のしかた等によって数字が変わりますから、局長の言われる九二%というものをかりに正しいと考えてみましても、規制ワクの一ぱい一ぱいの輸出もできないというのが今日の情勢であろうと思うのであります。いま局長は、国内の需要の減退に伴う、言うならば不景気だということが逆に輸出ドライブをかけて、そういう意味では海外に対しての繊維製品輸出が増大するであろうという御趣旨のほどはわかりますけれども、先ほど来近藤委員がるる質問をしておりましたとおり、新綿花法によるアメリカ紡績業界の言うならば体制強化、あるいは東南アジアを中心とする諸国のアメリカに対しての綿製品を中心とした輸出、これらの影響というものは、多少の輸出ドライブがかかってもそれ以上の減殺をする効果があらわれてくる危険性が今日あると思うのであります。そこで最近新聞等を見ましても、アメリカが新綿花法によって紡績業者に対しての力をつける政策をするならば、当然のこととして日米綿製品協定はこれを改定もしくは廃棄すべきであるという主張がなされているようであります。通産省におきましても対処策を検討中であるというように新聞が報じております。  そこで、大臣にお尋ねしたいのは、こういう状況の中にあって、通産大臣として、主管大臣として、日本の中心的な輸出産業、輸出製品であります繊維及びその製品に対してはどう対処されていこうとお考えになっておられるのか。今日一つには昨年一年間で、私の記憶に間違いがなければ、おそらく二億八千万ドルを輸出しているアメリカの情勢がありまするし、一つには東南アジアの紡績業界の、言うならば合理化その他による国際競争力の強化という問題がありますが、それら全体を考えてどう対処する考えであるか、この際伺っておきたいと思います。
  62. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) お説のとおりの国際情勢でございますが、私はこの問題については、まず業界の方々がこの点を非常によく認識されて、そうして努力をして、これはたいへんである、もっと製品の高度化をはかるとか、あるいは輸出のやり方についてももっときめのこまかい手を打たねばいけないということを一部の繊維業者が相当真剣に考えてくれておるようでありますが、まだしかし、それでも一部の業界ではまあいままでどおりやっていれば何とかなるのではないかというような安易な考え方を持っているところもありますので、まず第一には、国内業者に対していわゆる警鐘を乱打していくということが必要である。われわれとしてはまず第一にそういう面を考えなければならない。その次には、今度は国内に対する何といいますか、国内消費の面におきましては、これは国内の景気の動向がかなり影響いたしてまいりますので、われわれから見れば来年はどうなるであろうということをいまから言うことは早計でありますが、消費自体がそんなに減退するとは考えておりません。問題はいま御指摘になったような東南アジアのインド、パキスタン、香港等々、いわゆる繊維産業を順次高度化してきておるもの、うしろから追いかけてくるもの、また一方においてはアメリカがやっておりますような、いわゆるアメリカ業者の体質改善、そのための綿花の同一価格の採用というようなことは、これは非常に大きな影響をもたらすのではないかということを考えておるのであります。私はそういう点から考えてみるというと、大体日米綿製品協定というものは、日本アメリカから安く綿花を買って、そうしてその綿花をもってつくった製品アメリカ輸出する、その場合にはすでにアメリカ業者としては非常な一つのマイナス血を受けておるのだから、そういう点から考えてみても、あまり日本輸出を町方図に認めることはできないということが、これはおもな主体原因とは言い得ないかもしれませんが、一つの大きな原因であったことは間違いないと思っておるのであります。その原因がこういうふうに解消するということであれば、この際われわれとしては、何らかのアメリカとしてもこの自主規制の問題について考慮をしてもらいたいという、いわゆる二国間協定についてもよく考えてもらいたいということを、私はいまから申し入れておくことは決してむだなことではない。むしろそういうような姿勢を少なくとも示すべきである。まあ向こうがどう応じてくるか、一応約束はしたことでありますけれども、そういうような綿花を同一価格にした場合には協定はもう一ぺんやり直しますということをきめてあの協定を結んだわけではないわけですから、これは向こうがどう出てくるかということが問題でありますけれども、姿勢としてはそういう姿勢を示すべきである、こういう私は感触を持っておりまして、この点については私の省内においても、また外務省とも連絡をとらせるつもりです。また研究をいたしております。一方、今度は各国への輸出の問題でございますが、これは綿製品とかあるいはまた繊維製品に限りませず、いまの日本輸出のやり方は、まだまだ私は改善し、改良すべき面が多々あるように見ておるのでございまして、もう少し輸出ドライブを商社もあるいは製造業者もかける気持ちになれば、まだ輸出が相当伸ばせるのではないかという私は感触を持っておるのでございます。もちろんあとから追いかけてくるころの香港その他に対しては、追いかけられる面はありますけれども、しかし、また日本の製造業はかなり高度化されつつあるのでございますから、私はこの輸出先を開拓するという面において一そうの協力をわれわれとしてはいたしますと同時に、いわゆる日本輸出商社、特に大きいところはそうでもないんですが、小さい輸出業者あたりが輸出秩序をむやみに破って、そうして向こうの商社に迷惑をかけるというようなやり方をいたしておりますことは、今後ともひとつ十分戒しめて、そういうことのないように、大体商売をふやそうという場合には相手をもうけさせなければだめなのであります。相手に損をかけてでも自分が一時の負担をのがれようというような、一時の苦しみをのがれるような考え方では、私は貿易というものは伸びない。ほんとうに伸びない。信用はつかない。こう思いますので、こういう点についても格段の努力をいたしてまいりたいと思います。もちろん輸出のことでございますから、税制とか金融とか、いろいろの問題はございます。あわせてこれを強力に推進しなければならないことは論を待たないところと考えておるのでございます。
  63. 大矢正

    ○大矢正君 通産大臣に具体的にお伺いいたしますが、一週間ほど前の新聞の報道によりますと、日米綿製品協定は、新綿花法の成立による、言うならば新しい事態によってこれを改定する必要があると発表したと、こうなっておるんです。そこで、それは私は新聞をもって知り得たことでありますから、実際はどういう姿でそれが発表されたかということははっきりした根拠があるわけではありませんが、そういう趣旨の表明をなされることは今日の時点では当然のことであろうと思うのでありますが、もし今日の段階で新綿花法成立によるわが国綿業界の打撃を解消する意味で協定を改定することの交渉をなされるとすれば、それはどういう点にポイントを置いてなされようとするのか。この際お答えをいただきたいと思うのであります。
  64. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 私はいま述べられました新聞、改定交渉をすると言ったつもりはないのでございまして、そういうことについて研究をし、外務省とも連絡をとって措置をとるべき問題が生じてきたと思う、こういうことを申し述べたまでであります。また、いまでもそう考えております。その点においては。したがって、これまでいろいろ私たちとしてはそういう研究をしております。これからも研究をいたさねばなりませんが、その場合においてまず第一の問題はこういう国際協定は向うこうが応ずるか応じないかということが一番大きな問題であります。そして、それについて一応話をきめておきましても、たいてい自分に都合の悪い場合はなかなか応じてこない問題なんです。実際には。応じてこないからこれを破棄するというわけにはいかないのです。約束しておるのでありますから。条件的条約ではないのであります。いわゆる一種の停止条件がついておったわけでないのでありますから、破棄ということは、国際信義にもとることになります。しかし、そういうことを明らかにしておくということは、将来の問題解決のために非常に必要である。またそういうふうにいたしておりましても、今度は事態が非常に変化をいたしまして、たとえば来年においても日本綿製品が激減するというような姿が出てくれば、これはまたその場合に再度申し入れる。私はアメリカもそういうような場合になれば、場合によっては考慮してくれるのではないか。両国間の問題は、相互に信頼を持ちながら経済を円滑に発展させていこうという意図があれば、私は応じてくれるものと思います。しかし、これはどのくらい減ったらどうなるとか、そういうことはいまから予側はできません。少なくともこういう事態であって、しかもいま御指摘のような、日米綿製品協定に基づいて輸出している量が満額に満たないというような状況下に置かれているのでありますから、私どもは、こういうことではひとつ考え直してもらわなければ日本業界は非常に困るということを言ってもいいと思っているわけであります。  しからば、内容はどういうことなのかということになりますと、それより前の問題であります。いわゆる私どもがそういうことを求めるかどうかということがまず問題でございまして、その上で、もちろん求める場合には一応の案というものを考えて置かなければなりませんが、いま私がここでお答えするような具体案は、まだ事務のほうでも用意いたしておらない、こういうことでございます。
  65. 大矢正

    ○大矢正君 去る十一日の日に紡績業界代表通産大臣に会われる、新綿花法の成立というものは、日本国内業者にとりましては重大な影響を与えるから、すみやかにこれが善処方をお願いしますと言って要望されている。これは事実なのですね。それに対して大臣のほうからも、早速通産、外務それぞれ話し合って新事態に対しての対処策を講じようということで、検討を始めているということもどうも事実のようであります。いまの大臣説明によると、この新綿花法によってアメリカ紡績業界がどの程度力がつくかという点については、すでに二次製品段階においても、価格の引き下げがアメリカ国内において行なわれているという事実を見ても明らかなとおり、これが及ぼすわが国影響というものは非常に私は大きいと思うのであります。そこでいまの大臣説明によれば、日本輸出というものが急激に減少したというような事実があらわれた際にというお話がありましたが、もしそういう前提で日米綿製品協定や新綿花法考えるといたしますると、来年にならなければ結論は出てまいりません。すでに昨年の輸出規制ワクは、局長の答弁によれば、九二%しか達成していない、そういう事実と、本年度はさらにそれが減少するであろうと思われる現段階において、いま通産大臣がお答えされたような内容では、とうてい満足がいかないわけであります。しかも日米綿製品協定ができ上がる時期におきましては、アメリカはよもや国内綿花を使用する業者に対して補助金を出すなんということはなかったはずでありまして、たとえば、かりにわが国が特定の業種に対して国が補助金を出すことにより国外から入ってくる品物の輸入規制をしようといたしますれば、かなりの反撃を受けることは必至であります。自由貿易を原則とするアメリカにおいてむしろそういうことがとられているにもかかわらず、日本政府が、それをどの程度影響と結果が出るかということを、これまで待ってから話し合いをしようとか、考えをまとめようというのは、非常に大きな間違いだと私は思うのであります。むしろこの際積極的に、新綿花法成立という、補助金まで出して国内紡績業界に力をつけようというアメリカに新しい事態が起こったのでありますから、やはり私は具体的な案をもってすみやかに当事者との間に交渉を行なうべきであると思いますが、通産大臣は一体いつになったら、綿製品協定の改定のための、もしくは廃止のための話し合いをなされようとお考えになっておられるのか、お答えをいただきたいと思うのであります。
  66. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 先ほどお答えいたしましたときにも申し上げましたが、将来そういう綿製品の米国における輸入が激減したときに交渉をすると申し上げたわけではありません。いま現段階においてすでに調査をし、そのこと自体が一つの原因となって日米綿製品協定というものが行なわれたと思っておるので、この際やはり申し入れをすべきであるか、いついかなる時期においていかなる方法によってやるかということについて事務的に打ち合わせをしているということを申し上げたのであります。しかも、激減した場合というのは、そういうふうに申し入れておいても、相手が受け入れるかどうか、交渉に応ずるかどうかわからない。わからない場合において、将来また激減したというようなことになれば、再度あるいは再三でも申し入れをして、そうして向こうの注意を喚起して何らかの方法を講ずるようにしなければなるまい。その場合にはアメリカも何らか考えるであろううということを私は申し上げたわけでありまして、いまここで申したからすぐに綿製品協定の再交渉に応ずるかどうかということはなかなか問題があるかもしれない、こういうことを申し上げたのでございますので、この点は誤解のないようにお願いを申し上げたいと考えております。  そこで第二の問題でございますが、いわゆる綿花を同一価格にしたということは一つの大きな事情の変更である、事情変更の原則によりこれは国際協定の再改定を申し入れるべきである、こういうお説でございます。もし日本が原料に補助金を出して輸出を奨励するということがあったならば、必ずや外国から反撃を受けるであろう、お説のとおりだと思います。ただ、アメリカ綿花の場合において相違しますことは、いままではいわゆるアメリカ業者日本よりは高いものを買って物をつくっておった。ところが今度は同等にした、こういうわけでありまして、これがちょっと事情が違うわけでございまして、やはりその点においては、いわゆる同じような原料を使ってそういう条件がなかったときに補助金を出すのとはいささか趣を異にするのではないか、かように私は考えておるのでございますが、しかし、いずれにいたしましても、こういうような事情の変更があったということは事実でございますので、私はこの際何らかの措置をとるべきものであると考えて、その対策をいま考究をいたしております。したがって、いまここでいつとか、時期、内容について申し上げることをいたしませんが、何らかの措置をとるべきである、こういう考え方を持っておるということを申し上げたいと思います。
  67. 大矢正

    ○大矢正君 今日綿製品の対米貿易の面を見ますると、競争相手というのは、単にアメリカ業者日本のメーカーなり輸出業者だけではなしに、後進地域から、インド、パキスタン、先ほども大臣が言われたような香港等新たな競争相手も加わって、もし貿易上、協定上不合理な面があるといたしますれば、すみやかにこれが解決をしない限り、わが国の対米輸出というものは、綿製品の面で見ると、後退をすることは必至であります。昨年一年間綿製品協定に基づく輸出規制ワクが一〇〇%達成をざれなかったというこの事実の背景の一つにも、インドやパキスタンやその他東南アジア諸国のアメリカに対しての切り込みに日本がおくれたということがあると言われておる今日でありますから、一日も早く、やはり日米綿製品協定の内容が今日の輸出振興上阻害になるといたしますれば、対等の立場における話し合いを実施すべきであるということを私はこの際申し上げておきたいと思いますし、それは単にわれわれだけの主張ではなしに、またひとり一綿紡の業界だけの主張ではなしに、全体的な世論の私は背景が今日あると思いますので、どうかそういう方向で善処方をお願いしたいと思います。  次に、東南アジアとの関係において一点お伺いをいたしたいのでありますが、最近の新聞その他の報ずるところによりますると、インドネシアのほうからわが国に対して綿布の大量輸入の引き合いがあり、そのことについて通産大臣に対して業界から要望が出ているように承っております。もちろんこれは延べ払い方式でなければならないということのようでありますが、インドネシアに対する三千万ドルにのぼる綿布の輸出向こうから見ますれば輸入の引き合いというものは、わが国繊維の現状からいたしては、非常に大きな内容を持つものであります。しかし反面には、これはかなり政治的な問題でもあるやのごとく報ぜられておりますが、通産大臣として、インドネシアとの間における綿布の引き合いに対しての延べ払いについてどうお考えになっておられるか、どうこれを処置されようとしておられるか、お答えをいただきたいと思います。
  68. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 確かにお説のような引き合いがあるわけでございまますが、これは私は日本の経済力と関係を持つものだと考えておるのであります。ということは、綿製品業者にとりましては、これは非常に福音でありましょう、それをもし許したといたますならば。しかし、その場合においては、輸出入銀行から相当の金をいわゆる綿製品業者に出すということになります。   〔委員長退産、理事赤間文三君着席〕  しからば、こういうような綿製品について許すならば、その他の消費物資についても、そういう申し入れがあったときに、これを許さないわけにはいかなくなるのであります。こういうふうにして、消費物資について全部輸出入銀行にたよって物を出していくということにいたしますならば、いわゆる日本輸出入銀行の資金というものが枯渇をしてしまう。そうして、日本全体から見ますというと、非常に外貨が不足してくる。いつでも原料はアメリカから輸入し、労働力を加える。しかし、ともかく少なくとも原料の分だけは、インドネシアにまた出してしまう。そうして三年間貸してやる。三年間というのは、全部が全部三年間ということじゃございませんが、延べ払いにするということになれば、相当の貸しができる、こういうことになるわけであります。この点を考えてみますと、いままでの日本輸出の姿といたしましては、消費物資についてはそう長い延べ払いは認めないという方針をとってきておるのであります。特に、ただいま申し上げた事情、いわゆる国力がそれまでにつちかっておらない、国力がまだ足りないというところに一つの大きな原因があるわけでございまして、したがって、この問題をどう処理するかということについては、三年というようなことではちょっと応じかねる、こういう感触を私は持っておるわけであります。
  69. 大矢正

    ○大矢正君 次に、輸出についての国内業者協定等についてお伺いをいたしたいと思うのでありますが、この法律の目的にもありまするとおりに、わが国繊維製品はかなりウェートを持っておる。これは、単に国内だけではなく、貿易方面からも言うことができると、こうなっております。そこで、アメリカとの間の綿製品協定についてはいままで議論のあるところでありますが、輸出を正常な形で伸ばすことについて、政府としては具体的にどんなお考えがあるのか、抽象的な質問でありますが、お答えをいただきたいと思うのであります。
  70. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 御案内のように、今月の二十六日には最高輸出会議というものを開きまして、これらの問題について基本的なラインを決定し、また将来に対する施策を研究するということになっておるのでありますが、私はそういうようなところにおいて、税とか金融とか輸出秩序とかというようないろいろの問題があると思いますが、これはもういままでに言い古されたことであり——しかし、言い古されたことではあるが、これからも強力に推進しなければならぬ施策であると考えております。しかし、私がもう一つ一歩進んで考えたいと考えておりますことは、やはりその品種品種、産業自体に応じた輸出先の姿、輸出取り扱い商社の姿、こういうようなもの、それから今度は地域地域におけるこまかいいわゆる日本製品のPR、あるいはまたアフター・サービス、アフターケアといいますか、そういうようなものができる施設を充実する、こういうようなことはかなり今後必要になってきておると思うのであります。いままでの日本輸出を見ておりますというと、まあ大まかに、アメリカに対してはこうだとか、あるいはまた豪州に対してはどうである、あるいはまた繊維製品はこういうような輸出になっておる、こういう大まかな姿で処理されておりますが、これではもうならないんでありまして、私はこれは前々言っておるのでありますが、輸出関係の人にもこれを言っておりますが、もっとこまかく、アメリカでもたとえば繊維製品がどことどことどこにどういうふうに入っておって、そしてそれをもう少しどこへ力を入れれば伸ばせるんじゃないかというところがあるわけなんですが、私はそういう研究をされていくということは非常に大事だと思います。したがって、ジェトロにもそういうことを言っておるのですが、これも人手がそう十分でございませんので、なかなかそこまでこまかく手が回りかねておるようでありますが、私はそういうふうな産業別、地域別にもっとこまかく、仕向け地あるいは製品内容の検討等を加えていきますれば、まだまだ日本輸出は伸び得る余地がある、こういうふうに考えておりますので、こういう点にひとつ重点を置いて今後対処をいたしてまいりたい、かように考えるわけでございます。
  71. 大矢正

    ○大矢正君 わが国の海外に対しての繊維製品輸出について、これはメーカーが直接海外の業者契約を結んで輸出する方法というものがとられているのかどうか。逆に言うと、わが国の商社が輸出をするというものはどの程度の比重を持っているのか、これについて局長からお答えをいただきたいと思います。
  72. 磯野太郎

    政府委員磯野太郎君) 非常に大ざっぱに申し上げますと、天然繊維綿製品、それから毛製品もそうでございますが、そういうふうなものにつきましては、これは従来非常に古くから輸出をやっておったということ、それから日本のただいま申しました総合商社が輸出面におきましては繊維品を手がけましていろいろ大きくなったというふうな現象もございまして、こういう天然繊維関係につきましては、大体商社ベースで、商社が指導的な役割りを演じて輸出をいたしております。それから、これも御承知かと思いますが、化合繊の関係、スフ綿なんか最近相当輸出されるわけでありますが、そういうスフ綿、それから合成繊維製品、合繊綿というようなものは、これはむしろどっちかといいますと、メーカーのほうが、指導的な役割りを演じまして、御承知かと思いますが、いろいろソ連等にも定例的に調査団を出しておりますが、そういうメーカーのほうの指導的な役割りによって輸出しているというような、大ざっぱに申しますと、そういうことでございます。
  73. 大矢正

    ○大矢正君 大臣にお伺いをいたしますが、かりにメーカーなり商社なりというものが、一つの国に対して数量的に、また金額的に協定を結ぶ、その場合に、その協定に参加をしないそれぞれのメーカーもしくは商社というものは、何ら規制を受けるということはないわけです。言うならば、かってにやってもいいということになるわけです。そこに数量や価格上一本にまとまった姿での輸出ということはおよそ困難になってくると思うのであります。メーカーなり商社というものが、一つの国に対しての輸出協定をすることの是非が、いいか悪いかという問題がありますが、事実上協定を結んでかりにやったと仮定した場合に、それに入っていない他の業者というものは一体どうなる、こういうことは、これからの繊維製品の、天然繊維、あるいはまた化合繊を含めて、私は問題が出てくると思うのでありますが、以上の点についてどのようにお考えになっておられるか、どうされようと思っておられるか、お答えいただきたい。
  74. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 私はいまのところ、ある国とある特定のメーカーとだけがそういう協定をしているという姿はまだ聞いておりませんが、私はそういうことはあまり好ましくないことで、やはりメーカーはメーカーとしてみな集まって、そうして一国と話をするということでなければ、私はとてもほかのメーカーを縛って、ある輸出業者制限したりするということはできないのじゃないかと思いますので、将来そういう問題がございましても、できるだけ輸出商社、メーカー一体になってやる、あるいは少なくともどっちかが一体になってやるというようなふうにすべきではなかろうかと思っております。
  75. 大矢正

    ○大矢正君 私の質問をちょっと勘違いしておられるようでありますが、私の申し上げておりますことは、国内の商社なりメーカーというものが他の国との間に協定を結ぶということではなしに、日本国内業者やメーカーが、ある特定のものが集まって協定を結んで、数量上、また金額上こういう形で輸出をしたいと考えておりました際に、その協定に参加をしない業者なり、それからメーカーがあった場合に、それをどうチェックするのか、どうすればいいと思っておられるのかということを承っているのです。
  76. 磯野太郎

    政府委員磯野太郎君) 技術関係を多少御説明いたしますと、これはよく御承知と思いますが、まあ御承知のインドネシアとの加工貿易がございまして、このインドネシアの加工貿易につきましては、これは綿紡績業者が、輸出のできる業者が集まりまして、そうして協定をいたしております。これは御承知のように、輸出入取引法の五条の三の生産業者協定協定をやっているわけであります。それから人絹糸とか、それからスフ綿のような関係でございますが、これも生産業者協定がございます。このほうの関係は、わりあい生産業者が少ないというふうなこともありまして、御承知のとおり、メーカーが、比較的大きな企業で、まあ比較的数が少のうございますので、これは円満に話し合いによって協定を結んで、そうして輸出数量あるいは輸出を実行しておるというような状況でございます。
  77. 赤間文三

    理事(赤間文三君) ちょっと速記をやめてください。   〔速記中止〕
  78. 赤間文三

    理事(赤間文三君) 速記を始めて。
  79. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまの大矢さんの質問の中からでございますけれども大臣も、日本輸出繊維輸出構造ですか——というものが変わってきている。言いかえれば、いままでは、低開発国にも、後進国にも、アメリカにもということでいっておったのが、後進国のほうが、先ほどのお話のように、香港であるとか、インドであるとか、繊維工業も起きてきている。したがって、そちらのほうの輸出というものは自然と停滞せざるを得ないというか、品目によってはそうなってくる。一方、そうなってくれば、しかたなしに、製品の高度化、高級化ということが避けられない動きになってくるわけであります。そこで、アメリカの場合も、先ほど局長にも伺ったわけでありますけれども、主要綿製品アメリカ市場におけるシェアというものは、香港あたりが、いままで〇%近かったものが、二〇数%に上がってきておる。日本のは、それに比べてどんどん下がってきている。その上に、数量規制のワクというものを消化し切れないような状態である。そうなれば、当然のことでありますけれども、そういうような後進新興国の繊維業に対しても、こちらとしては、より高級的な、より高い製品というものを育てていく、数量規制によるところの不利というものを輸出金額によって補っていく、こういうような努力というものが一面なされなければならない。局長の答弁によるというと、デザインの選択であるとか、そういうことでいろいろ考えていきたいということでありますけれども、まだまだ不十分なような考えをするわけであります。それに対して、大臣として、そういうような考え方に対しての事態に対して、どう対処していかれようとするか。積極的にこれは進めていかなければならないと思うわけでありますけれども、その点についての見通しといいますか、方策というか、御答弁願いたいと思います。
  80. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) お説のような問題があるわけでありますが、そこでまず、インドとか。パキスタンとか香港というようなところにおきまして、いわゆるある程度製品ができることは事実でありますが、高級品はできません。したがって、高級品はやはり、そういうところへなお輸出が可能でございます。それから、それ以外の低開発国に対して、しからば、いわゆるあまり高級でないもの、いままで売っていたものが、インドやパキスタンや香港から全部出てしまうかというと、そうもいかない。といいますことは、バーター・システムみたいなことによりまして、そういう低開発国のものを買って、そして物をまたこっちから売るという場合において、向こうのほしい物がインドやパキスタンや香港にあればいいのでありますけれども、そうもいかない。だから、全部がなくなることはない。要するに、十あったものが七に減るとか六に減るということになる。それは、全然なくなるわけではございません。しかし、お話しのようなことでありまして、四減ったもののカバーをどうしてするか、また四減ったものが、そのままにしているんじゃ十が十だからどうしようもない。十二にするのには、四つ減ったのだから六ふやさなければならぬ、こういう考え方があります。そういう点については、何も私は、今後も低開発国だからといってほっておいていいものだとは思っておりません。もちろんどんどんやらなければなりませんが、しかし、いままで、同じようなものでございますれば、そういうものができるようになった国にもう出なくなる、これは間違いないところであります。今後も、いわゆるそういう製品の高度化を通じ、あるいはまた低開発国でも、いい繊維製品をつくることが不適当で、やはり日本などでつくったものを買いたいというところがあるわけです。将来ずっとそういうのが続くところもありますから、そういうところに対しては、やはり親切な姿で、できるだけよそよりは安いようにして輸出をしていくというような方策はとらなければなるまい、こう考えているわけでございます。
  81. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまの私が申し上げました、特に対米綿製品輸出の問題について、製品の高度化ということをうたったわけでございますけれども、できる限り数量規制をカバーできるような輸出金額を伸ばすには、どうしても製品の高度化をはかっていかなければならない、それは一番進んでいるということをいわれる日本の産業でなければできないわけでありますから、その点について、業界にまかせっぱなしというような形でなくて、積極的に進めてもらいたい、こういうふうに思うわけです。  もう一つは、先ほど香港の話が出たわけでありますけれども、これは綿製品と限らず、そのほかの、おもちゃ産業についても言えることでありますけれども、だいぶ香港などには、現地へ日本人の技術者というものが流入しております。雇用契約をもって実際に香港に行っている。ところが、高度な技術を持っているそのような技術者が行って、機械の設備を据えつけるころになるというと、まあ契約金額が——英語がわからないので、適当にサインする例もあるんでしょうが、下がってくる。そうして、日本製品と変わりない、それ以上のすばらしいデザイン、発想を持った製品がどんどんできてくるころになったときには、一介の貧乏な労働者として、こき使われている。何とか日本へ帰りたいけれども向こうにいついて、現地人を嫁にとったというような状態で、動きがとれないというのが実情で、実際現地にいるところの、香港で働いている技術者の実際の姿であり、声であります。何とか早く日本へ帰りたいというのが真実の声でありますが、そういうようなわが国の技術の流出といいますか、そういうことによって、またその犠牲によって、いま香港においてすばらしくいろんな産業が起きてきている。ただ造花だけでなくて、おもちゃなども、逆に日本へどんどん輸入されてきて、日本業界を圧迫しているというような状態がございます。こういうことが綿製品市場にも言えるのじゃないか。不幸にして、その綿製品繊維産業の技術者について私はつかんでおりませんけれども、実際現地の日本人労働者、技術者のそういうような泣いている声というものが現実にあるわけであります。こういう点について、よく考えてみれば、労働問題としても、全世界的なワクからいって、これは見のがしはできないことでありますし、輸出市場のほうからいっても、不穏当な問題である、こういう点について、大臣のほうで積極的に、現地の領事館を通じたり、あるいは調査機関を通じて、日本のエンジニアがそういうような状態で現地で酷使をされ、逆に輸出市場を乱すというような、わが国に損害をかけるということであっては相ならぬわけでありますから、厳重な調査や、あるいは場合によっては秩序、規制を全世界的なワクでもってやるなり、抗議をするなりというような形をとってもらえないものだろうか、この点について十分おつかみになっていらっしゃらないだろうと思いますけれども調査を進め、どうなさるかというような点についての御抱負を承りたいと思うわけであります。
  82. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 私、実はその実情をつまびらかにいたしておりませんが、あり得ることだと思うのであります。なぜかというと、戦争に負けたあと日本人は、とにかく生活の安定とかというようなことに非常に関心がある。日本の復興がどの程度になるかということもよく知らない。そこで、好条件をもっていざなわれるというと、そういうような、いわゆる技術者が海外へ流出したこともある。特に香港等は、そういうことは、甘言をもって招かれたという場合があると思います。したがいまして、そういうことについては、ひとつ現地で調査をするように、お説のような御趣旨に基づいて、現地で調査をいたしたいと思いますが、ただ、そういうことがあったとして、日本に帰りたいというくらいについては何とか処置ができるかもしれませんが、それ以上どの程度のことができるかどうか、自分が契約をして行った、やはり自由契約で行ったわけでございましょうから、契約の内容を知らなかったということでは、どうもそういうのはけしからぬというわけにいくまいかと思いますが、それは非常にお気の毒な方が多かろうと思いますので、十分調査をいたしたいと思います。なおしかし、そういうようなものではなくても、相当いまなおかつ高級技術者がアメリカその他に引きずられて引っぱられていくということもございますので、こういう点については実はわれわれも頭を悩ましておるところでございますが、日本ももう少し技術の開発ということに国力を投入しなければならない時代にななっておるのじゃないか。私がそういう担当者でありながらこういうばかなことを言うとおしかりを受けるかもわからないと思いますが、なかなか予算となると、そううまくいかないかもしれませんが、しかしこれは何とかひとつ打開をしなければならない大きな問題である、こういうふうに私は考えておる次第であります。
  83. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまの大臣の答弁でわかりますけれども、私は、エンジニアだけのことでなくて、そういうことで日本に不利を与えるような輸出秩序というものが向こうの香港あたりから出てくることは、非常に問題だと思います。その点は、積極的に抗議を申し込むなり、あるいは国際的な場裏で、不当な秩序撹乱ということでブレーキをかけていくなりということをしなければ、わが国輸出そのものも防衛できないようなことになってしまうのじゃないか、そういう感じがするわけであります。その点について積極的にお願いしたいと思います。
  84. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) まあそれが不当行為であるという抗議ができるかどうか。たとえば日本アメリカの技術者を連れてきて技術の開発をしているということについては、アメリカとしても抗議を申せないわけでございます。だから、そこいらはどういうふうにやっていっていいかわかりませんが、とにかくもし不当な事態がございますれば、御趣旨のような措置をとってまいりたい、かように考えます。
  85. 赤間文三

    理事(赤間文三君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  86. 赤間文三

    理事(赤間文三君) 次に、参考人出席要求に関する件でおはかりを申し上げますが、繊維工業設備等臨時措置法案審査のため、参考人の出席を求めてその意見を聴取することが適当と存じますが、別に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 赤間文三

    理事(赤間文三君) 御異議がないと認めます。  なお、その日時及び人選等についてはこれを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 赤間文三

    理事(赤間文三君) 御異議ないと認めます。委員長に御一任願うことに決定をいたしましたから、御了承願います。  本日はこの程度において散会をいたします。    午後零時四十四分散会      —————・—————