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1964-03-17 第46回国会 参議院 商工委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月十七日(火曜日)    午前十時三十二分開会     ―――――――――――――   委員の異動 三月十二日   辞任      補欠選任    大谷藤之助君  古池 信三君 三月十三日   辞任      補欠選任    古池 信三君  大谷藤之助君     ―――――――――――――  出席者は左のとおり。    委員長     前田 久吉君    理事            赤間 文三君            上原 正吉君            近藤 信一君            田畑 金光君    委員            岸田 幸雄君            剱木 亨弘君            小林 英三君            豊田 雅孝君            八木 一郎君            吉武 恵市君            椿  繁夫君            中田 吉雄君            藤田  進君            鈴木 一弘君            奥 むめお君   国務大臣    通商産業大臣  福田  一君   政府委員    通商産業政務次    官       田中 榮一君    通商産業大臣官    房長      川出 千速君    通商産業省重工    業局長     森崎 久壽君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    通商産業省重工    業局産業機械課    長       山形 栄治君   参考人    日本ミシン輸出    振興事業協会理    事       石坂 元貞君    市川光学工業株    式会社取締役社    長       市川 由勇君    勝間光学機械株    式会社取締役社    長       勝間  清君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○軽機械輸出振興に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出) ○中小企業金融公庫法の一部を改正す  る法律案内閣送付予備審査)     ―――――――――――――
  2. 前田久吉

    委員長前田久吉君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員長及び理事打ち合わせ会協議事項について御報告いたします。  本日は午前中は軽機械輸出振興に関する法律の一部を改正する法律案について、参考人から意見を聴取し、質疑を行ない、午後は同案について大臣質疑を行ない、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案について提案理由説明を聴取し、時間があれば、電子工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案質疑を行なうことになりましたから御承知を願います。     ―――――――――――――
  3. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 軽機械輸出振興に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  午前中はお三人の参考人の方に御出席を願っております。ただいまから順次御意見をお伺いいたしたいと存じますが、その前に一言御礼を兼ねましてごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中にもかかわりませず、本委員会のために御出席をいただきましてまことに参考人の方にはありがとうございます。委員一同にかわりまして厚く御礼を申し上げます。  参考人の方々からは大体各自十分程度意見をお述べ願いまして、お三人の御発言が終わりましたあとで、委員の方から御質疑がありました場合にはお答えを願いたいと存じます。  それではまず、石坂参考人お願いをいたします。
  4. 石坂元貞

    参考人石坂元貞君) 本日はミシン業界実情をお聞きくださる機会をいただきましてありがとうございました。これからミシン業界の問題につきまして若干御説明いたしたいと思います。  まず、日本家庭用ミシン業界実情でございますが、昨年度の一年間におきます生産実績は三百三十五万三千台に達しております。そのうちの五九%に相当する百九十六万一千台といった数字がこれが輸出向けに向けられている総数であります。この数字は大体自由世界の現在のミシン生産の約四〇%に相当するのじゃないかと考えますが、こういった大きな規模で活動しております日本ミシン業界状況を御説明する前に、一応世界的なミシン業界実情がどうなっているのか、その辺から話に入らしていただきたいと思います。  現在、日本に次いで大きなミシン生産国と申しますのは、有名なシンガーによってつくられておりますイギリスの大体年産八十万台、それから同じくアメリカシンガーでございますが七十万台、次にドイツがパフ、シンガー、アンカー、フェニックスといったようなメーカーによりまして年産が五十万台、それからイタリアの場合がネッキ、シンガー、ビゴレリーといったような形で年産約四十八万台、スペインのアルファー、エスタルタ、そういった会社によりまして三十万台、スイスが有名なエルナ、それからベルニナといった会社によりまして年に十八万台、それに続いてフランスシンガーとかコッサンで十六万台ほどつくっておりますが、大体こういった先進諸国生産額年産で三百十二万台くらいにあたっているんじゃないかと思います。この世界の現在の生産というものは約八百万台と推定しておりますが、八百万台の中で日本が年間三百三十五万台を占めておる。同時にまた先ほど申し上げました国のメーカーさんが同じように三百十二万台からのミシン生産しておる。結局いろいろな問題がミシンについて出ておりますけれども日本ミシン先進諸国ミシンがあちらこちらでぶつかり合っているというような様相を呈しまして、現在ミシン業界にいろいろな問題をもたらしておるかっこうでございます。  まず、これを世界的な需要の面から申し上げますというと、最大消費国でありますアメリカの例で申しますと、アメリカでは大体年にミシン需要が百四十万台から百七十万台くらい、そういうような推定をいたしております。振り返って一九五六年、古い数字でございますが、その辺の輸入数量から見てみますと、当時のアメリカ輸入は九十九万二千九百三十台になっております。その中で、ヨーロッパのただいま申しました諸国から輸入されておりましたミシンが三十三万三千七百四十七台でございます。日本からはそれに対しまして、六十四万八千台というようなことでございまして、ヨーロッパが大体輸入の三三・六%、日本が六五・三%といった比率になっておるわけでございます。  ところが、これが一九六二年、昭和三十七年でございますが、そのときの輸入数字が大体これが五六年と似たり寄ったりで百四万六千台でございますが、その中では、日本が八十二万五百八台ということでございまして、輸入数量の八〇%を占めております。それに対しましてヨーロッパが十七万一千四百二十一台というわけでございまして、一六%に下落しております。最初のヨーロッパの三三・六%が一六%に落ちたというような、そういった悩みヨーロッパメーカーには当然あるわけでございます。そうしてヨーロッパメーカーが次の需要をどこに求めるんだというかっこうになりますが、当然地場消費というかっこうになるわけでございます。  ヨーロッパ需要がどのくらいありますかというと、大体推定でございますがEEC諸国、これが百四十万台くらいあるんじゃないかと思います。EFTAその他になるわけでございますが、これが百万台、合計二百四十万台程度というようなことでございます。この需要に対しますいまの生産力が大体各国でもって二百七十万台だというのでございますが、アメリカも非常にいま好ましい状況ではない。次いでヨーロッパについてもどうかというと、ここでもすでに生産がオーバーしておるというようなことで、ヨーロッパミシン業界は何とかして需要はけ口を見つけなければならないというかつこうになるわけでございます。  ところが、それ以外のそれでは後進国需要はどうかと申しますと、後進国日本から相当出ておりますが、残念ながら後進国工業化がどんどん進んでおる、日本ミシンが非常に成功したというのが一つの刺激になっておるわけでございます。たとえばインドあたりは、かつて完全な輸入国であった。ところが現在、インドにはウシヤという会社ができまして、これが何と年産四十二万台を生産しておりまして、自分のところの需要を大体まかなっております。また、ブラジルあたりにいたしましても、イルコップとか、レオナンとか、こういった会社が大体三十五万台ぐらいつくっているような形でございまして、後進国工業化が非常に進んでおるというようなことがありまして、ヨーロッパミシンは、現在どこへいくんだ、どこへ需要をさがすんだという悩みを持っております。アメリカシンガーあたりにいたしましても、自分のところでもって六十万から七十万を消費いたしておりますけれども、これらもどこかに現在のはけ口を求めなければならないというようなかっこうになっておるわけでございます。  それから、最近問題になりました事件としては、たとえばシンガーのアンチトラスト事件があります。これは、シンガースイスメーカーからパテントを買いまして、そのパテントをもとにいたしまして、アメリカ市場高級ミシン独占化をはかったというような事件だと思いますが、そういったようなことでもって、何とかアメリカ市場を確保して、日本ミシンをボイコットしようというような動きが、アメリカシンガー、さらにまた、スイスベルニナというような会社の共謀というかっこうにおいて行なわれているのであります。  それから、EECにいたしましても、現在有名な混合関税事件というのが問題になっております。これにいたしましても、結局は、ドイツなり、あるいはまたイタリアフランスなりメーカーさんが、何とかしてEEC需要だけは自分のところに確保したいというような意味で、日本からの流入を避けよう、これは表向きといたしましては、低価格国からの軽機械輸入制限というかっこうではございますけれども、大義名分はともかくとしても、実体は日本ミシンである。こういうようなことでございまして、アメリカなりEECなり、そういったところで、絶えず日本ミシンとの間に問題が起こっておるというようなかっこうが、現在の世界ミシン業界実情であろうというふうに私どもは考えております。  さて、そういった世界ミシン業界実情はともかくといたしまして、日本ミシン業界を振り返ってみたいと思います。  御承知のように、日本ミシン工業というものは、戦後の全然輸入資材も期待できなかったような時代から、官民が一体となりまして部品標準化、あるいはまた、完成ミシン標準化につとめてまいりました。この結果、現在のような品質、性能あるいは価格、そういった面においても非常に優秀なミシンができ上がりまして、いち早く輸出産業の花形になって、その後、このミシンが始めたアッセンブル生産構造というものが逐次完成をされまして、そういった生産構造日本の軽機械産業においても十分に取り入れられて、発展の基礎になっているのじゃないかと思っております。  ミシンは、戦後の昭和二十一年に生産がわずか三万七千台から始まりまして、二十六年には早くも百万台に達し、昨年が三百三十五万台になったのでございますけれども、大体戦後だけの総生産量を見ましても、二千八百六十一万台の生産をしている。その中の七〇%に相当いたします千九百六十六万台が輸出向けミシンでございまして、それでかせぎましたドルの高は四億八千万ドルに達する、そういうような実績を持っているわけでございます。  しかしながら、いいことばかりでございませんで、日本ミシン業界アッセンブル生産構造というような方法に活路を見出した結果、従来のミシン生産が非常にむずかしかったために、ある程度資本がないというとできないというようなかっこうになっておりましたけれども、それに対しまして多数の中小企業が参加することができるようになってきた。部品部品、あるいはまた、組み立て組み立てというぐあいに生産構造が分かれておるわけでございますが、それぞれの分野が非常に狭い範囲で、また、その組み立てによりましてつくるという形でやりますので、わりあいに資本力が要らないで幾らでも生産に参加することができるというような構造になりましたために、逆に今度は、過当競争が起こるようなことになってきた。ことに、これは国内ではそれほど問題はないのでございますけれども輸出向けの場合でございますというと、大体輸出市場需要の変動が非常にはなはだしい、したがって、たとえば、今月は一千台をつくる、来月は需要がないから五百台つくる、そういったような需要の激変がある。それから、中小企業あたり生産を非常に簡易にやれるというようなことが、過当競争一つの原因ではないかというふうに考えるわけでございますが、とにかく、十何年来というものは、過当競争ミシン業界が非常に悩まされて、たとえば日本輸出ミシン工業組合連合会というものがありますが、これが昭和三十年に設立されて以来、ずっとこの過当競争防止ということを専門にやっておるわけでございます。ところが、そういった工業組合の活躍にもかかわりませず、非常に簡単に生産に参加できる。極端な例で申しますと、ミシン組み立てというものは、ドライバー木づち金づち、そういったようなものがあれば、何とか見られるミシンができるのだというようなことが言われておりますが、そういったような非常に簡単な製造機能をもちまして生産に入ってくるというような、アウトサイダーの問題にもぶつからざるを得なかった。そのために、せっかくの過当競争防止のためのいろいろな施策というものが実るに至らなかったという状況だったわけでございます。  幸いなことに、昭和三十四年になりまして、現在御審議いただいております軽機械輸出振興法ができ上がりまして、そのために、これらの問題が相当程度緩和されたというようなことが言えるのじゃないかと思いまして、私どもとしても感謝申し上げておる次第でございます。  この問題を、軽機械輸出振興法効果といいますか、そういった面に振り戻してみたいのでございますが、とにかく、ミシン業界といたしましては、軽機械輸出振興法が実にタイミングよくでき上がって、そのために、ミシン業界といたしましては非常に大きな利益を得たというように考えておるわけでございます。  まず、軽機械輸出振興法というのは、御承知のように、登録制という問題と、海外に対する輸出振興事業協会の問題、こういうような二本の柱で形成されておりますけれども、第一に登録制の問題でございます。  この登録制によりまして、先ほどのような、いわゆる木づちドライバー金づちがあれば簡単に生産に入れるのだというようなことが一切排除されたということが言えるのじゃないか。いわゆる過当競争防止への第一段階ができ上がったというふうな見方をしております。  それから次に、そういったような、一応今度は、アウトサイダーが簡単に入れなくなったというようなことができ上がりましたので、業界がいままでいろいろ施策をやろうと思いましても、それに対するアウトサイダーの問題があって、中途はんぱに終わっておりましたが、そういう施策をやろうという意欲を深めてまいりまして、この辺は、現在、いわゆる取引系列と言われておりますけれども、この取引系列確立という面で非常な効果があった。この取引系列確立というのは、まずメーカー、次に、輸出業者輸入業者、それにつながっております卸売り業者小売り業者、これらの段階一つの線を通しまして、なるべくその線によってお互いに適正な利潤が得られるように、さらにまた、できれば、日本の軽機械でもって最も不足しておると言われております宣伝活動、あるいはまたアフターサービスという問題も、その系列化の責任においてやってもらうような形を望んでおるわけであります。そういった取引系列確立という問題も、登録制度によりまして非常に大きく進むことができたということが言えるのじゃないかと思います。  それから先ほど来問題になっております日本ミシン業界先進諸国との問題ということになってくるわけでございますが、現在、世界ミシン需要というものは、直線縫いミシンジグザグ縫いミシンにどんどん変更されていっております。私ども高級化と言っておりますけれども、そういうものの需要が非常にふえておるのです。このいい実例でございますけれども昭和三十三年当時の日本ミシン輸出を見ますと、直線ミシンが百三十一万台に対しまして、ジグザグミシンがわずかに二三・四%の三十九万九千台だったわけです。ところが、昨年になりますと、今度は、その様相が一変しまして、直線ミシンが九十四万六千に対しまして、ジグザグミシンが百一万五千台というようなぐあいに、つまり、輸出の品種といたしましては、このように逆転しておる。こういうような形でもって、現在の世界におけるミシン需要が行なわれておるわけでございますけれども、そういった需要高級化というものに対して研究を続けなければいけないというようなことも、このアウトサイザーが完全に規制をされておるという面によって大きな効果を奏しておるのじゃないかというような感じを持つわけでございます。  まだいろいろございますと思いますけれども、気のついた点を申し上げますと、登録制では、そういうような効果日本ミシン業界にもたらしておるというようなことが言えるのじゃないかと思います。  次に、第二の柱になっております輸出振興事業協会の問題でございますが、先ほど来問題になっておりましたEECにおきます混合関税の問題、それからまた、アメリカにおきますシンガーの問題、そのほか、最近では、たとえば南阿連邦におきます輸入制限の問題とか、あるいは豪州におきまする輸入制限の問題とか、いろいろ日本ミシンというのは、いま世界最大先進国になりつつあるわけでございますから、そういった事件がいろいろ発生してくる。そういったような問題を、海外駐在員、あるいはまた海外に張っております情報網、そういったようなものを通じまして、どんどん日本側としては情報をキャッチしておるわけでございます。そのキャッチされた情報を私どもの機関でございます評議員会でありますとか、あるいは総代会、そういった場を通じまして施策をして対策を講ずるというようなことでもって、非常に効果を発揮したのであります。大体そういたしますと、EECの問題にいたしましても、どうやら混合関税がかけられないでも済むのじゃないかというような情勢になりつつある。同時にまたアメリカシンガー事件にいたしましても、これはアメリカ政府側の控訴が受け入れられて、最高裁では勝訴になり、日本業界側に有利な判決が出たというようなぐあいでございまして、いずれも事件といたしましてはミシン業界に好ましい方向にいきつつある。こういったような動き、これはおそらく輸出振興事業協会があったればこそ、この法律があったればこそ、できたのじゃないか、――そういうような効果を発揮したのじゃないかと思います。  それからまた、一般的に法律の四十六条で、事業協会業務は定められておりますけれども、その中に調査であるとか宣伝とかアフター・サービスとか、そういうものとかがうたわれております。そういった面にいたしましても、アメリカにおいて、あるいはパナマにおきまして、デュッセルドルフにおいて、あるいはバンコックにおきまして、これを積極的に実施している、こういうようなたゆまざる宣伝活動が、そういったような日本ミシン輸出が減退にならないで、とにかく曲がりなりにも増大しているというような実情にうまく合っているのじゃないか。  それからまた、これは非常に古い数字でございますけれども、たとえばいまから十年ほど前の二十七年ころの数字で見ますというと、当時欧州に対します日本ミシン輸出というのは、輸出数量のわずか一・四%しがなかった。それが昨年あたりになりますと一八・二%になっておる。そういうようなこの行き方というのは、結局後進国が先ほど申し上げましたように、徐々に工業化をしている。それに伴って輸入制限をするということになって、とにかく輸出市場としては道をだんだん断ち切られつつあるわけでございますけれども、そういった輸出のできない部分を先進国に向けていく。同時にまた先進国需要もますます拡大していくというようなことを事業協会のこの業務の面でやっておるわけでございますけれども、そういった意図というのは、ある程度目的を達成しているのじゃないかというような実情になっていると思うわけでございます。このことはミシン輸出振興事業協会でやっておりました、この法律によってやっておりました効果ではないかと思います。そういうふうに思われるわけでございます。  本日参考人として呼ばれましたのは、この改正につきましての意見供述というわけでございまましたけれども、私どもはただいままで申し上げましたように、日本ミシン業界というのは世界先進諸国ミシンメーカーと従来強烈に市場争奪をやりつつあった、そのためにいろいろな問題を惹起しやすいというようなこともありましたので、これ以上とにかくメーカーさんが簡単にふえないように、こういう軽機法登録制、それからまた事業協会を通じまして行なう海外活動といったようなものがせっかくここまで効果があがりまして、ここでもってなくなってしまうというような事態は好ましくないのじゃないかというように考えております。  で、できれば、この法律がなおしばらく、できれば五年ほどは延長されるようにお願いをしたい。その一つ実例としまして、大体この軽機法ができました以後、アメリカに対する取引系列確立といったような問題を真剣に進めているわけでございまするが、大体現在はアメリカ市場につきましてはほぼ安定期を迎えつつある。大体アメリカのバイヤーに対します取引系列というのが十二ないし十五くらいにいまのところなっておりますけれども、そういったところと完全に手をにぎった形で、アメリカ市場の開拓、市場拡大ということを日米相互でやっておるような状況が、現在のアメリカ市場でございます。  そういったような状況でございますが、今度アメリカ以外の地域、たとえばEECにおきます問題、これの問題解決はどうするか――欧州共同市場の問題をどうするかといった問題が出るわけでございますけれども、そういったアメリカ以外の地域に対します。いわゆる取引系列確立というものもミシン業界の悲願でありますが、しかし、この方面にはある程度年限を要するのではないか。その辺の目標というのは、政府側が御提案になりました五年程度というのは、ちょうどミシンとして希望しておりますのとマッチするのじゃないかということで、まずぜひ五年ほどの延長をお願いしたいというようなことでございます。  非常に簡単でわかりにくい面もあったかと思いますけれども、私の参考供述を終わります。     ―――――――――――――
  5. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 次に、市川参考人お願いいたします。
  6. 市川由勇

    参考人市川由勇君) 軽機械輸出振興法は御案内のとおり、海外PR、それから品質の向上、こういうようなことを目的でやっておるのでありますが、私どもはこの法律ができる当初に反対したのであります。その反対した当時には多少私どもの感覚においても、想像をもって話しておった、こういうような点もございますが、この法律が実施されるようになり、そこに事業協会というものができまして、そうして事業協会理事を四年ほど勤めて、この法律の実施されていく姿をつぶさに見てまいったのであります。で、現在振り返ってみますというと、本法案は、いかにも工合の悪い点が多いのでありまして、その点を指摘して御批判を得たいと思います。  この実施をみましたのは、三十四年に入ってでありますが、それから今日まで私どものグラフを見ますというと、ほとんど輸出数量は伸びておりません。そうして価格もはなはだ好ましからざる価格で終始いたしてきておるのであります。これを以前のデータで見ますと、数字も進んでおるようでありますが、本法案ができましてから、全く数量価格は下降線をたどって、法律目的に相反しておるという結果を見てきておるのであります。  それで、実例で内容について少し申し上げてみたいと思います。目的の重大な一つである品質向上は、軽機法による事業協会を利用して実施した血統書制度のために品質が非常に悪くなり、バイヤーより納期及び品質について苦情が多くなった、品質については、検査協会で調査すれば、検査員で検査を通すのに苦心をした事実もあるのでありまして、品質はそのために低下してきておる、こういうようなことでありますが、この中にあります血統書制度と申しますのは、私ども業界が団体法によりまして、規制命令を受けてやっておる、そこへまた、この軽機械振興法の適用を受ざけるを得なくなった状況に立たされてやってきておるものであります。ところが、その後さらに団体法によるところのレンズ、金物、押し型こういうものを、これも、団体法をつくったので、規制してくれと役所へ持ち込む、そうすると、押し型のごときは、これは新案でもなんでもないものを、これはいろいろな役所へ取り入れるための策略を、なかなかうまいことをやったのでしょう、それで取り入れまして、やはり団体法によるところの規制を事実化したのであります。ところが、それらのものをチェックしていくのに、どうしても扱い方が困難なのでありまして、私どものやっておる事業協会のもとで、事業協会がさらに一から四までが海外PR活動と、それから五のところでもって商売ができるのであります。その商売ができる業務方法書というものの中にチェックすることにしたのであります。それですから、私ども品物を出荷するときには、鏡体のワクがそろっていなきゃならない、レンズのワクもそろっていなきゃならない、押し型の切符もそろっていなきゃならない、こういう三つの切符をそろへ、そうしておのれの割当を受けたところの製造ワクを持って、そうして事業協会へ持っていって、これこれでございますといって、販売承諾書というものをもらうのであります。このやり方を血統書制度と申しております。こういうやり方が、いかにもわれわれの業界を苦況におとしいれております。  そうして、なお、この法案の実施の仕方は、官僚統制の温床になっておるというような点が明らかであります。協会の理事の中に退官官僚がおり、その理事の言うことでなければ、役所に業界意見が率直に通らない、こういう事実があるのであります。特に、海外駐在員の選定等は、予算は協会の総代会できめるようになっておりまするが、業界に全く相談なく、海外駐在員は、もう役所の一方的なきめ方でもってきめられて、この人が向こうに行くのだ、こういうことになっておるので、事業協会は、その送り迎えに礼を厚くしてやっておるのでございます。役所は、一方的な決定でいままで全部通産官僚が駐在員となっている。その費用は相当の額である。全くそのとおりなのであります。役所の考えで駐在員がきまっておるのであります。  双眼鏡一台出荷するごとに平均二十九円の負担金を完成品業者からとっております。これは宣伝、市場調査PR等に充当しているが、実際の注文は商社に入り、完成メーカーは、商社のクオーターがあり、PRしても、商社ワクのためにメーカーは買いたたかれておるので、何のために費用を負担してPRしているか、全く意味がわからないのであります。負担金を払っておるのですけれども、何のために負担金を払っておるのだか、その意味がわからないのであります。  さらに、昭和三十五年、事業協会で一手買い取り販売を実施し、約八カ月間にわたりまして十六万本の双眼鏡を滞貨してしまったのであります。デッド・ストックにしてしまったのであります。その処理は、全部業者がこれを負います。全部業者が負ってこれを処理したのであります。業者は、一台四、五百円の損害をしつつ責任を果たしたのであります。全く協会、通産省は責任を負わなかった。そのために倒産した業者は相当数にのぼり、約三十社くらいあるのじゃないか、こういう見当であります。  それから、団体法で数量制限を実施しているので、事業協会が行なう見本市に、自己のブランドで出品して注文が出ても、出荷の割当がないために出荷できず、むしろ、そのために、ハイヤー等の不信を招き、見本市等の意義が半減している。こういうような事柄もございます。  軽機法四十六条の五号業務で、一手買い取り、販売業務を実施し、失敗したのであるが、部品業界のチェックのために形式買い取りを依然として残しておりまするが、このために部品の割当ワクがないときは、完成品業者は完成品を出荷できず、商社、バイヤーより不信の声が高まり、LCの期限を延期しなければならず、輸出の阻害となっておる。また、取引をキャンセルされた場合も相当ある。  まあ、こういうような、まだそのほか数えあげれば多々ございまするけれども、要するに、この軽機械輸出振興法案なるものは、私どもが当初に反対し、しかし、それも一時実施されたからしかたなしに、それをいただいてやってきた。しかしながら、実際やってきた姿を見てみるというと、実際私どもが心配しておったこととほとんど似たようなことであった。大体私どもは五年の時限立法であるから、五年たてば、これは消えちゃうんだろうというふうに考えておったが、どっこいそうではない。これは時限立法でも五年たてばまたいい法律だからやってくれといわれて、三年でも五年でも増さなきゃならぬ。また延ばす。結局恒久法と同じになってしまうのだというようなことも聞かされまして実はがっかりいたしておるのであります。  私どもはもうこういうようなことで、さらに事業協会がこの法律に基づきまして登録の停止をいたしておるのであります。登録の停止ももう何も要らないから、私どもとしてはもう一切こういうことはやめて、そうして自由に商売ができるようにさしてくれと、こういうような気持で、もう切実に、こうした委員会に今日呼ばれまして、たいへん光栄で嬉しく思うておりまするが、ぜひひとつこういう法案を即刻やめていただきたい。こういうふうに考えておるものであります。  なお、私ども業界では今月五日に団体法の規制命令を延期するかしないかでもって争いまして、五日の日には私どもの考えておる、もうこういう規制命令、こういうことをしておっても、海外がどんどん進んで、他国でもってやっているんだから、日本だけでなんぼ規制してやっておっても、これはもう温室育ちであって立ちおくれちゃって、世界市場で技術上の競争その他できなくなって、だめになっちゃうか、世界の市場を奪われてしまうから、もうこの辺でもって団体法に基づくところの規制命令はやめてもらおうじゃないかということで、三分の一以上の者が総会においてその意見を出しまして、そうして三月五日の会議は規制命令延長を打ち切るということに決定したのでありまするけれども、さらに役所のほうから盛んに圧力をかけまして、そうして三工組がどうだとかこうとかいって、またもう一ぺん総会をやり直せとこういうことを聞かされまして、しかたがなしに今月二十三日にさらにまた総会を開いて、そのことを決戦をするのでございまするが、この決戦の暁には、私ども事業協会に及ぼす影響も相当あらわれてくるでありましょうししますが、どちらにしても、もうこういう法律はもうとどめておいてもらいたくない。やめちゃってもらいたい、こういう念願で一ぱいでございます。     ―――――――――――――
  7. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 次に、勝間参考人お願いいたします。
  8. 勝間清

    参考人勝間清君) 勝間でございます。私は現在日本輸出双眼鏡工業組合の副理事長、それから日本双眼鏡輸出振興事業協会総代会の企画委員長、そうして現在も勝間光学の代表取締をやっております。  軽機械輸出振興法案に基づきまして、諸先生方が双眼鏡の業界の実態を御傾聴下さることを厚く御礼申し上げます。  まず、世界における双眼鏡の市場情勢について申し述べたいと思います。戦後初めてわが国の双眼鏡が輸出されましたのは昭和二十二年でありまして、その数はわずかに二万八千台、金額にして約五百三十三万です。その後、輸出の伸長に伴いまして、八年後の昭和二十九年には五十万台、さらに、三年後の昭和三十一年には百万台に達しまして、この当時輸出の花形としまして、大いに刮目されたわけであります。昭和三十八年には百五十万台、金額にして約六十億円をこえるに至った次第でございます。このように、双眼鏡の輸出については、先進国であります西ドイツフランス等を断然圧倒いたしまして、いちじるしい伸長を遂げまして、世界の双眼鏡の供給においては、ほとんど独占的といってもよい地位を占めるに至ったわけであります。この陰にはいろいろとPRの活動の力もあったわけでありますが、こうして獲得しましたマーケットを維持するため、現在事業協会を通じて、PRあるいはアフター・サービス、市場実態の把握につとめておりますが、西ドイツのツアイス社、最近になりましてアグファー社等の先進国が市場の巻き返しということを着々進めており、また昨年あたりから香港が双眼鏡生産に乗り出し、また一、二の後進国もこの生産計画を立てているような現状であります。  昭和三十四年の十月、現在の事業協会が設立される前は、双眼鏡の輸出は、全くのめくら貿易でありまして、全生産の九五%以上を輸出いたしております産業であるにもかかわりませず、海外市場の実態は、輸出業者等の情報に基づいてやっており、販売はもちろんのこと、アフター・サービスも、PRも、すべて商社まかせというような状況であったのであります。この業界は九五%以上が、もうほとんど中小企業の小企業と申しましょうか、小企業よりも零細企業が非常に多いのでございまして、こういうことは、それまではたいへんいたし方ないことであったのでございます。しかし、事業協会が設立されましたあとは、少額の負担金と政府の補助金によりまして、長年の宿願でありました海外市場の調査あるいはPR、アフター・サービス、品質改善という業務が実現されるようになったのであります。  このことにつきまして、もう少し詳しく述べますと、海外市場の調査とPRにつきましては、海外市場調査団を、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、香港、台湾に派遣いたしまして、われわれの輸出した双眼鏡の実態といかに消費者に愛用されているかを調査いたしまして、この結果は――事業協会から派遣されたのでございますから、われわれ業者に対して報告会あるいは会報によって発表されまして、その調査資料に基づいて業界の運営を計画しまして、PRとして、双眼鏡の使用方法だとか、あるいは扱い方の注意事項、それによります今度は双眼鏡につきますLJマークあるいは輸出検査の合格証の意義等のパンフレットを小売店に配布しているようなわけでございます。アフター・サービスという面におきましては、海外主要都市にサービス・センターを設け、消費者等の相談に応ずる体制を整備して、輸出の倍増を企画しております。この点は現在私が企画委員長を担当しておりまして、いままでのこの点で及ばなかった、いわゆるセンターを設けることに及ばなかったことを非常に強調して、このことに対しては着々とこの方面に伸長しているような次第でございます。  現在ニューヨークに事業協会の職員を常駐さしておりまして、常にその情報をキャッチさして、品質の改善と苦情処理につとめ、品質改善には、現在財団法人として日本双眼鏡開放研究所に委託し、それと、われわれの工業組合に技術委員会というものがございまして、それから選抜された委員と、かつ日本望遠鏡検査協会との緊密なる連係のもとに、その成果を着々とおさめている次第でございます。  以上は事業協会のほんの概要を述べたのでありますが、前述のとおり、海外の競争相手が生じつつありますので、市場調査、PR、アフター・サービスの確立品質の維持向上は、ますますその必要の度合いを増してきていると言わざるを得ないのであります。したがいまして、われわれ零細業者のみの資力ではとうていなし得ないこれらの業務を、少額の負担金と、それに政府の補助とによって強力に推進するためには、事業協会の存在ということが不可欠であると信ずる次第でございます。  次に、登録制の必要性につきましてですが、われわれ双眼鏡製造業界は、典型的なアッセンブル・システムでもってやっている業界でございます。特に大規模な設備は要しませんが、双眼鏡の性能、精度を検査する設備が最も必要であります。よく双眼鏡はドライバー一本ででき上るように言われておりますが、これはとんでもないことでございまして、ドライバー一本だとか、勘で双眼鏡をつくるということは、これはできないわけでございます。そういう点、海外の消費者は高度な双眼鏡を望んでおりまして、一定の基準、つまり品質管理、あるいは卓越せる技術者、それから設備が、機械が――それこそ高度な機械ということは必要ありませんが、双眼鏡をつくる上においての一定の設備によってつくれた双眼鏡、しかも製造業者の保証、すなわち登録番号を付した双眼鏡がほしいのであります。これにこたえようとするのが登録制でありまして、この登録番号の表示は、消費者に対する生産者の責任でもあるのであります。  このようなことから、必要な登録制によりまして、現在登録されている月間の最大製造量は、二十五万四千台でありますが、昨年の月平均出荷数量は約十二万七千台でありますから、実に二倍近い生産能力を有しているということになります。このことはすでに生産能力が過剰であるということを示しておりまして、これ以上業者がふえるということは、業者が共倒れの危険にさらされていくと言わざるを得ないと思います。昭和三十六年四月以来、登録の停止の措置が講じられておりますが、これはまさに中小企業団体組織法による調整事業を、さらに効果的なものにしていると私は考えております。このような登録制に加えて、登録停止により過剰生産能力を完全に防止しているのは、この輸出振興法に基づく双眼鏡と、それからミシンだけでございます。何としてもこの特権を守るのがほんとうであって、みずからこれを放棄するようなことがあっては、私はならないのではないかと考えております。  ここで、前に触れましたが、団体法に基づく調整事業、すなわち第五十六条の規制命令について申し上げたいと思います。現在の生産能力は需要の二倍をこえております。このことは非常に、好むと好まざるとにかかわらず、業界全体の経営を維持するために、万難を排しまして、需給の調整をはかって、無用な業者間の生産競争、出荷競争を避けなければならないことを訴えているものと言わざるを得ません。これは規制命令による調整事業を開始しました昭和三十一年十二月当時も同じような状況でありましたが、十年近くも何も行なってこなかったじゃないかというおしかりを受けるかしりませんが、いわゆるPR等によりまして伸びを示しているとはいえ、限られた需要に対して二倍をこえる生産の能力があること自体に問題があるのでありまして、これは時でもって解決するとか、そういうものではないのじゃないかと思われるのであります。解決策はただ一つ、これ以上過剰生産能力をふやさないことで、この問題はPR等によって需要を開拓することにあるのじゃないかと考えるのでございます。  さきに述べましたように、香港、あるいは後進国等の生産攻勢ということは、これは別個に考えたいと考えおります。すなわち香港の双眼鏡、つまり私たちの輸出検査基準にはとうてい及びもつかないいま現在、粗悪品でございますが、西ドイツの高価品に対抗する手段としましては、廉価な優秀な双眼鏡を輸出すべきであって、この問題に関しては、われわれ業者間で過当競争をもたらし、そして香港あるいは西ドイツあたりの思うつぼにはまるような規制をまで撤廃して過剰生産に打ち込むべきでない、こういう考え方を持っておるわけでございます。そういう意味におきましては、登録制の廃止などということはとうてい考えられない問題でございます。いまこそわれわれ双眼鏡に寄せております消費者の期待にこたえるのには、そういったようないろいろの問題に惑われることなく、独自の輸出産業に飛躍発展することが一番大切でありまして、もう一度声を大きくして申しますならば、規制の撤廃、登録制の廃止ということは、これはわが業界にとってはもう自殺行為にもひとしいのではないかということを考える次第でございます。  わが国の業界の、前にも申し上げましたが、九五%以上が非常に零細業者でございます。大体三十人以下が多いのでございまして、百人というのは数えるだけしかございません。資本力もきわめてそういう面で乏しい次第でございまして、設備の近代化、品質の改善ということは非常な困難な状況にあります。それに加えまして、最近は労働力がとみに不足しております。おまけに経費は非常に上昇しておりまして、採算面の悪化はひどいものでございます。これを打開いたしますためには、事業の共同化とか、あるいは取引の系列化等によって企業力を強めまして、生産性を高める必要があると思います。またこれによりまして、資材の共同購入とか、いろいろなその面におきましてコストの引き下げ、そして海外諸国に対しての競争力を大いに涵養しなければならないと思います。このために現在当局にお願いいたしまして、中小企業近代化促進法の指定を受けまして、税の軽減あるいは近代化資金の借り入れを行なって企業体質の改善をはかりたい、こう考えている次第でございます。また、品質の改善、新製品の開発にも力を注いでおりますが、これは双眼鏡開放研究所に依頼し、先ほど申しましたように、着々その成果をおさめて――ここで申し上げてもおわかりにならないかもしれませんが、レンズの研摩機とかあるいは検査機だとかというものに対する研究を盛んとやっているわけでございます。  わが業界の調整活動は、ちょうど八年目を迎えておりますが、その間、調整数量の割り当ては実績に基づいて行なてわれきているわけであります。割り当てと生産の実態との間にアンバランスが生じてまいっておりますが、これは何としても早急に是正していかならないものの一つでございまければなすが、これに関しましては非常に困難な問題がございまして、なかなか業界全体の賛同を得られるような解決策が見当たらない実情でございます。これは私ども小ワク業者、大ワク業者という問題にからまってくるのでありますが、いまこのときこそ、お互いが譲り合って、そうして業界の実態に即した割り当てを、何とか改善方法を考えて、もって業界を一丸にして、そうしていわゆる外患――と申すと非常に大げさになりますが、内憂は、中心でもって反対があり、賛成がありといういうことでなく、一致して処するようにしたいものだ、そうして海外に大いにPRして輸出の倍増をはかりたい、そう考える次第でございます。  取引秩序の確立に関しましては、これも工業組合におきまして、いろいろ立案いたしました。協同組合による資材の購入あるいは協同組合によって共販、共同受注ということも打ち出していろいろと研究いたしております。そういう面におきまして、これはこの業界に当てはまらないかもわかりませんが、現在鶏卵あるいは青果、こういったようなものの例を見ましても、非常にうまく円滑にいっているじゃないか、そういう面におきましての、われわれ業界には、いわゆる機種は同じにいたしましても、品質がまちまちでございますから、これに乗せるということは非常に至難な点もございますが、その点は双眼鏡の開放研究所におきまして、いわゆる規格の統一をはかって、そうして安心して消費者が買え、あるいは外国のバイヤーから注文を受けられるように持っていって、業者間の値下がりを防止して、過当競争をなくすという方向に持っていきたいという考えを持っておりますのですが、まだその成果はあがっておりません。商社のほうからは盛んに取引の系列化を申してきております。そうして向こうの輸入業者輸出業者メーカー、そうしたような一本の線で、優良系列でもって、価格の維持をはかろうという相談を受けているのであります。共同受注、共販には資金が必要でございますが、その資金を獲得するために、私は幸いにして事業協会の企画委員長を担当しておりますために、事業協会の資金を何とかして工業組合に融資を受ける、あるいは協同組合に融資を受けて、これを共同受注の一本化で一カ月あるいは二カ月のブランクがあった場合に、その穴埋めに利用したいという考えも具陳いたしまして、目下事業協会と盛んに折衡しておるような次第でございます。  以上双眼鏡につきまして、世界市場におきまする地位、今後の市場対策あるいは国内体制のことについて申し上げましたが、市場対策としましては、いままで大きく飛躍いたしました双眼鏡のマーケットを失いたくない。さらに市場の開拓を初め、アフターサービス・センターの設置、そうしてそういったようなことで、われわれ業界からも盛んに海外に調査に出まして、大いに事業協会を活用していきたい、こういう考えを持っておるわけでございます。国内対策としましては、登録制による品質の維持、保証、規制による需給の調整並びに中小企業近代化促進法による企業体質改善、こういうものをもとにしまして海外生産に対抗していきたい、こういうわけでございます。  以上をもちまして、私のこの法案に関する賛成意見を具陳いたしましたが、われわれの意図するところをよろしくお取り上げ下さいまして、よろしく御指導下さることをお願い申し上げる次第でございます。     ―――――――――――――
  9. 前田久吉

    委員長前田久吉君) それでは、参考人の方々の御意見の開陳は終りましたので、ただいまの御意見に御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  10. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 この法律は五年前に施行になって、これからさらに五年間延長をしたいというのがいま審議をしております法律の内容でありますが、この法律メーカーが非常に零細な人が多い。そこで、他の業種ではあまり見られない登録制を実施いたしまして、企業体質の改善を初め、過当競争を何とか押えてやる、そうして業界全体のためになるようにということで、これはできたものなのでありますが、この登録制を採用いたしまして、新しい業者の出てくることは、より競争を激甚にするものであるというので、企業そのものの登録制を採用しておるのが非常な一つの特徴であります。で、これまで五年間、まあ登録停止を命令いたしましてからは五年間はたっていませんけれども、この三年なり四年なりの間に業界としても自主的にこの法律の趣旨に沿うような努力がなされていなければならなかったと思うのであります。そこで、登録停止の実施が行なわれましてから、ミシン業界あるいは双眼鏡業界ともに、これを教えていただきたいのですが、ただいま業者の数はどのような変遷を示しておりますか、それからこれに従事する労働者数はどういうふうに変わっておりますか、生産性はどのような推移を示しておりますか、この三点について石坂さん、勝間さんからそれぞれおわかりでしたら、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  11. 石坂元貞

    参考人石坂元貞君) ただいまの椿先生の御質問の中で、事業者の変遷、それから従業員数の変遷と、あと生産量の変遷状況についてお答えいたします。従業員数は私の手元に資料がございませんので、また後ほど調べまして申し上げます。事業者につきましては、この軽機法が施行されます直前の当時ミシン工業組合に加入しておった員数についてお答え申し上げます。百九十一社ありましたが、軽機法登録制ができまして、いわゆる輸出向けミシン製造業者の資格を得て登録されたものは百二十一社でございます。ここに大きな開きがございますけれども、この大きな開きと申しますのは、先般もいろいろ申し上げましたけれどもミシンにつきましては、いわゆるメーカーといっておりながら、実体は小売業者であったり、あるいはサプライヤーというような方々が、組合に相当数加入しておりました。それが登録の際にほんとうに輸出ミシンを専心やるという方々だけが残ったわけでありまして、決して希望された方が排除されたということはありません。その後、組合内部でもいろいろ皆さんの案のせり合いをいたしまして、とにかく百二十一社でもまだ多いというようなことが盛んに検討されまして、何とか生産の窓口を減らし、そして過当競争を少なくしていこうというような意欲があらわれまして、たとえばミシン生産をやめたいというような者には、特別な費用を組合が補償いたしましてやめてもらってたわけです。その結果、現在六十七社が残っているような状況でございます。これ過当競争防止というようなことを含めまして、いわゆる軽機法登録制を活用して徐々に生産窓口を減らしていくというような方法をとったわけでございます。  次に、生産数字でございますけれども生産は大体漸増の傾向をたどっております。というのは、輸出自体も概して伸びております。また、国内の需要もふえているというようなことでございます。生産を申し上げますと、ちょうど軽機法ができました三十四年は二百五十七万一千台、三十五年は二百七十四万九千台、三十六年が二百九十三万一千台、三十七年が三百八万九千台で、昨年の三十八年が三百三十万三千台でございますから、徐々に生産数は伸びております。この辺が輸出向けに向けられ、あるいは国内向けに向けられておるということでございますから、一社あたり生産はそれ相当に増大をしておるということは言えるかと思います。
  12. 勝間清

    参考人勝間清君) お答えいたします。ただいまの御質問につきまして、事業者数でございますが、三十三年度におきまして二百十三社、三十四年度におきまして同じ二百十三社、三十五年度で二百十七社、三十六年度で二百十九社、三十七年度も変わりはございません。三十八年度も変わっておりません。三十九年度でもって二百十七社になっております。  労働力のほうは、三十三年度がこれは組み立て業者ばっかりのことを申し上げるのでございますが、四千五百人、三十四年度が四千二百人、三十五年度が三千八百人、三十六年度が同じく三千七百人、三十七年度が三千五百人、三十八年度が三千人、三十九年度が三千人となっております。  これに伴いまして生産量でございますが、輸出数量として申し上げたいと思っておりますが、三十三年度一〇〇%としますと、三十四年度は一一三%、三十五年度が九九%、三十六年度が八六%、三十七年度が一〇八%、三十八年度は一二五%、こういったような数字が出ております。
  13. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 ミシンのほうは登録停止を行なったときが百二十一社で、現在は六十七社になっておるということでございますが、これは企業統合などを行なって、そして設備を適正な規模に高めることによって近代化を考えられたのであるか、それとも自然に減少したものであるかということを、ちょっとお尋ねをいたしたいと思います。  それから双眼鏡のほうは、業者が大体登録停止のときから、業者の数は横ばいであって、従業員数は漸減の傾向にある。生産のほうは最終年度においてわずかに向上を示しておるということなんでありますが、私のお伺いをしたいのは、五年間のこの法律の時限立法というのは、憲法で保障しておりまする職業選択の自由の原則を制限して、法律によってではありますけれども、制限をして過当競争をさせないように取引系列確立などを行なって、そして輸出産業として発展をしてもらうようにということの願いで、そういう大胆な法律的措置をとっておるわけです。それにこたえるにしては、双眼鏡業界の自主的な努力というものが、この数字の上では、ちょっと見られないのですが、大体主要な理由というものはどういうところにあるのでございましょうか。
  14. 勝間清

    参考人勝間清君) 製造業者数は登録によりましていまお話のとおりに横ばいでございまして、この点はこの振興法が施行せられたときと何ら変わらない。従業員数におきましては、先ほど申し上げましたように、非常にここでは労働力が不足しておるということを申し上げましたわけなんでございますが、われわれ大企業のメーカーでもございませんので、ほとんど零細でございますので、この労働力の不足を補うのには、過当な時間を要求するというわけではございませんが、ほとんど残業を重ねまして生産能力をふやしているような実情なんでございます。そういう面におきまして、輸出数量は大体三十六年が八六%と申し上げましたが、三十三年度の一〇〇%から見ましても上昇しているように考えられるわけなんでございます。この点は私は先に申し上げましたように、PRと、それからその間、数量の調整活動によりまして、増ワクとか、いろいろなものを取り上げたということで行なってまいりましたために、この稼働率と相まって決して劣っているものではないと考えているわけなんです。それでよろしゅうございましょうか。
  15. 石坂元貞

    参考人石坂元貞君) ただいまの御質問でございますけれどもミシンの場合に、確かに業者の数が減っておりますが、その中で純粋な自然減というのはおそらく三社か四社かと思いますが、あとの業者につきましては、これは実際問題として非常に小さな生産のワクあるいは生産の規模というのでは、バイヤーとうまくつながらないといったような状況がございまして、バイヤーのほうでは、たとえば一応ジグザグミシンから直線に至りますいろいろな機種の、ファミリー・タイプと言っておりますが、そういったミシンの注文をするというような形がミシンにだいぶ多くなってまいりまして、そういったバイヤーからの需要に対応するためには、どうしても生産を高めるというか、いわゆる自社の生産の範囲を広くしていくというような必要がございまして、大体においていわゆる合併されたという形でもって一つの企業体になっている、そういう形じゃないかと思います。ですから自然ではなくて、一応とにかく現在の需要におこたえするというような意味から徐々に小さなメーカーさんがかたまりつつあるというような傾向だと存じます。
  16. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 双眼鏡のほうは、中小企業の設備の近代化促進法の対象業種に指定を望んでおられるようですが、いま伺いましたようなことでは、もう少し適正規模にまで引き上げていくような企業合同といいますか、自主的な合同などによって、業者数というものがもっと整理される必要が、業界にあるのじゃないかというような気がいたしますが、それはそれとして、問題はその輸出なり生産割り当ての実績が、過去の実績が中心になって、現在もその実績のままで、調整活動が両業種とも行なわれておる。ところが、この数年間の経済情勢の推移などもありまして、実際にその割り当て量というものはそぐわなくなっている。実際とは違ってきておる。何とかここで法施行前の実績ワクによって割り当て制というものを維持していくということを、再検討しなければならぬ時期にきておるのではないかということが考えられます。勝間さんもそのことは御発言の中にあったようですが、その場合は、どういうふうにこの割り当て数量というものを変更していくかということは、なかなか、業界どこでも同じだと思いますが、むずかしい問題です。生産実績あるいは設備の状況、それに従業員数等も勘案してみて、再検討をするというふうなことがいろいろ考えられると思いますが、どのような方法によってそれをお考えになっておるかということが一つ。  それから市川さんにもお尋ねをしたいのですが、そういう割り当ての実績について不満がある、あるいは事業協会の金の使い方についても不満がある。そういうことで、さらに五年間この法律の期間を延長するということには反対であるというふうなことが、主要な原因だろうと思うのですが、この割り当て制度の再検討、それから先ほどお話の中に、協会が一手買い取りのことをやってストックを多くして、ためにその損害を業者にかけたというようなことがお話に出ましたが、そういうことは、組合としてはやっぱりできることになっておるのですか。あわせてそのお尋ねをいたします。
  17. 市川由勇

    参考人市川由勇君) 今日はもう公な場所でございますのですから、出ておるデータでも数字でも、何でもみんな公なものを出しておるのですが、実際の私ども業界は二百十何社なんて、そんなにはないのであります。実際に繰業しておるものは百五十社も――それ以下かもしれません。あとはやはり、ワクがありますからね、ワクを操作してワクでもって操作しておる、こういうような姿が相当あるのです。それと、かなり大きな規模のメーカーと称しておっても、そのメーカーには従業員も置いておかない。わきの、ちょっと裏だなのほうでやっておる、調整だけ、組み立てだけやっておるところへ出しちゃって、自分のほうはワクのほうで操作をしておる。こういうことです。  それからワクの配分でございますが、これはまさにできた当初から今日までちっとも変わっておらない。大名は大名、大ワクは大ワク、小ワクは小ワクで、でんとしてそのままきておる。途中にスライド制をするとか何をするとかいって、多少ずつ直したようなことをいってはおりまするが、事実は直ってはおらないのであります。依然として昔のままなんです。そういうところにやはり小ワクの連中の不満があります。そうして、もうこの辺で、団体をこのまま、業者のための法律なんだから、お前たちを守ってやるための法律なんだから、あたりがたくちょうだいしておけよという法律を、ちょうだいしないで、団体法の規制命令の法律が、三月の五日の総会におきましては、賛成九十七、反対が七十一票ありまして、それで、規制命令延長は、それでつぶれてしまったのです。ところが役所のほうから、アッセンブルのワクがなくなるとたいへんだというので、パーツを呼んで、拇印でもって判こ押させまして、さらに工業組合のところへ持ち帰ってきて、これらのパーツのほうですね、レンズをつくるとか、金ワクをつくるとか、それからガラスを押し型するとか、こういうような三つのコースの陳情書を添えて、さあお前たちまごまごしていると、これらのものに占められちゃって、ワクを占められちゃって、お前たち商買できなくなるぞと言わんばかりのあれで、さあ総会やり直せと、こうきたのです。それですから、よろしいということでもって、今月二十三日にはさらに総会をやりまして――たいがい私たちは勝てると思っております。三分の一以上あれば、団体法でもって規制命令延期はお断わりすることができるんですから、それでいま盛んにやっておりまするけれども、そういうようなぐあいに、ともあれ商買の中に役人が入ってきたのじゃだめだという考えから、もう役人お断わりだ、それからすべてこういうような規制命令だ、何だかんだ、こういうものは、このままやっておっても私らはつぶれてしまう。法律のためにつぶれるよりも、いさぎよく自分らは野放しで自由に戦わしてもらって滅びるほうがいさぎよいんじゃないか、こういうところまで確固とした覚悟になってきておりますので、あとはもう二十三日の決戦を待つのみです。
  18. 勝間清

    参考人勝間清君) 私、先生にお答えいたします。この場合におきまして、市川さんが、私とはちょっとまた違う意見でございますが、この会はそういったようなものでディスカッションしたくないと私は思っておりますが、ただ先生のお答えだけにしたいと思っております。先ほど申し上げましたように、調整数量の割り当てということにつきまして、これは私は非常にこの点頭を悩ましておりまして、私はここで自分のことを申し上げると非常に誤解もあり、いろいろの面でまずいのじゃないかと思われますけれども、一応前後の事情としまして申し上げたいと思いますが、私のところは一期問七千幾らでございますから、一カ月千八百本でございます。それで大ワクといわれているわけでございますが、従業員は約百人抱えております。設備は全部、レンズ工場、それから機械工場、組み立て工場、あらゆる部門、一貫作業を実施しているわけでございます。それで千八百本で実績をあげて、給料は約三百万払っております。月に。そういう状況におきまして、小ワクという問題に関しては、こういう面が小ワクの人にも言える問題でもあり、そのワクの中でもって、何とかして努力してやっていかなければならない。そこで、私が申し上げたいことは、先ほど申し上げましたように、過当競争におちいるということが一番こわいわけでございますから、登録制が絶対必要であるということを申し上げたい。同時に規制命令も、これもまた必要であると。関連部品――いわゆる団体法の規制命令は、関連部品とはいえ、別個の規制命令を受けているわけでありまして、私のほうがはずされた場合に、単に、その規制命令があるというこれは非常に遺憾にたえない次第であります。そういう面におきまして、いろいろ反対、いや賛成とかいうことがございますので、調整数量の割り当てに関しましては、私は実に画期的と申しましょうか、全部献上してしまおうじゃないかという案を第一番に持っているわけであります。ということは、割り当てられた、いわゆる一期割り当てられました四十万本なら四十万本の総ワクを、工業組合に全部供出して、使いたい方はかってにお使いなさい、そういう考えでもっているのでございますが、さて、この問題に関しても非常に疑義を持っております。これは私は先般私のほうに調整委員会というのがございまして、この案を自分かってに出して、御検討願ったのでございます。この問題に関しても、いろいろ疑義がございます。なぜならば、一つの条件としまして、価格は絶対に守ってもらわなければ、このワクを使用してもらっては困るのであります。この前に、一応保有ワク制度というものを設けまして、自分の持ちワクから二五%を工業組合に供出いたしまして、さらに協同組合のほうに委託されるような結果になりましたが、それを持ったのでございますが、どんどんと使い切ってしまって、値段にかまわず――一応の値段の点は考えて約束したのでございますが、値段の点を考えずにどんどん使ってしまった。言うならば、特定の業者が非常にこのワクを使ってしまった。その面におきまして価格はどんどん低下したのでございます。それで、私は理事でもございますし、副理事長もやっておりますので、この次は四月の調整数量の割り当てですか、査定になるのですが、今期の数量には保有ワク制度をいろいろの面から要求されましたが、私は断然反対したのでございます。それは価格が維持できない、価格が低下していく。それは言うならば、善良な業者を侵食するような結果になるわけでございます。そこで、私がこの間調整委員会に出しましたのは、全部のワクを供出しようじゃないか、工業組合に。そうして全部がそれをお使いになりたい方はお使いなる、ただし、価格というものは、ひとつここで国内の販売価格というものはこしらえてもらわなければ困る、その価格に似合ったものならばお使いになってもけっこうではないでしょうか、こういうことを出したわけですが、価格という問題になりますと、ずっと前にチェック・プライスができましたが、チェック・プライスが廃止になりまして、価格というものにはたいへん問題がございます。ですから、この価格をきめるということが非常にむずかしい問題になってきております。それで、まだその問題に関しましては、出しただけでもって、この間私も所用がございましたので、調整委員会出席することができませんでして、結論も聞けませんでしたが、案はそういう案を持っているわけでございます。  それからもう一つは、これは価格一つもかかわりなく、先ほど申しましたように保有ワクを二五%出した、それは価格にかまわずに使いたい人が勝手に使っていく、いよいよ自分が使いたいときにはなくなっていたというような不合理な点がございますので、私が出しましたのは一〇%程度工業組合に供出して、そうしてそれをスライド制でいわゆる小ワク業者に厚く大ワク業者には少なく配分したらどうでしょう、そうしたら自分の使うワクはもう決定していて、安心していつでも使える、こういう面があるのじゃないでしょうか、そういうことも立案して、同時に調整委員会に提出しております。以上のようなことでございます。
  19. 市川由勇

    参考人市川由勇君) この席を討論会のようにいたしてしまいまして、まことに申しわけございませんが、勝間さんのおっしゃっていることは何が何だかちっともわからないのでございます。それで、保有ワクという、先ほどそこへデータを出しました下のほうに保有ワクとしてある。そのときに出荷が非常に伸びたのでございます。あとは買い取りをやってからずっとだらだらきておるのであります。それ以前の数字はずっと軽機械振興法が実施されてから、ずっとだらだらきておるのであります。そして、大ワクを締めて価格を安くならないようにしよう、こうする。ところが小さいほうのワクのものは一カ月に、さっき勝間さんは千二百本とか三百本とか言っておられましたが、小さいほうのワクは二百本ないのですね。百五十本ぐらいしかワクをもらっていないものですから、ですから、そこにも争いの種があるのでございまして、そうして、そういう少ないワクではとてもやり切れないということで、もう少しよけいもらいたいとい5運動がある。それではああしてやろう、こうしてやろうと口先だけはいいけれども、実際になると、大きいワクの連中はそういうことではだめだとこれを押えられてしまって、いつまでたっても同じことを繰り返して、口先だけいいようなことを言っておって、この保有ワクをやらせておいて、ちょっとやったらすぐやめにしてしまう。こういうような工合でもって、私どものほうの業界はもう対決あるのみでありまして、そういう点価格の統制なんかも、たいへんありがたい法律案でございますけれども、実際は自然情勢の需要供給の原則に支配されまして、もう何ぼチェック・プライスを設けても、それを下回ってなくなってしまった。ワクでもって数を締められておるから、ばかに安いことを言ってくれば、ワクがないからと、これは断われますけれども、しかし、在庫品を整備した当時は、在庫品が潜在供給力となって品物がずっと安くなった。それも苦労して在庫品を引き取り、また苦労してほかの品も売って出た、そのために十社や三十社は変になってしまった。それから後も少しずつ値段がよくなってきて、そうしてちょっとよくなったんですが、去年の終わりごろですか、非常に外国からのオーダー、注文が少ないんです。少ないというと、みんなやはり抱え込んでおったら、たいへんなことだというので、安くても出してしまう。そこで値段が下落した。それでぽつぽつシーズンになりますから、また値段が直ってきて、たいへん皆さまありがたいお考えで、こういうふうな規制をしていただきますが、しかし、それ以上に大きな自然の流れの、自然の需要供給の原理の上に立って商売が行なわれておるんです。どうしてもこの大きな動きには従わなければならない。それで私どもの商売もしょっちゅう上がったり下がったりしておるんです。規制のためにぴたっと価格が安定して過当競争がなくなった、こういうような工合にわれれの業界はいっておらないんです。ですから、ここまで来ておるから仕方がないですから、すべてそういう規制はお断わりしろと、団体法でもお断わりしよう、軽機械法もお断わりしよう、こういうところに私どもの――私も工業組合理事長を二回もやっております。それから事業協会のほうは議長を四年間やってきました。そうしてつぶさに見てまいりましたが、結局いいことはありません。ぜひ廃案に、廃せられるように、お願いいたします。
  20. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 業界のいろいろ御意見のあることはわかりますが、意見の違うのは、ひとつここでなしに別の機会にやっていただくことにして、お尋ねを続けますが、勝間さんの割当数量の再検討ということは、これはぜひ業界でやられる必要があるのじゃないかということを感じます。で、実績だけをもっていて割り当てをもらって実際は生産をしていない。アッセンブルのメーカーにやらせる。そうして部品を買い集めて組み立てをやるということは往々あるわけでございますが、その実績の割り当てなどでそうやっておる者があるということを聞いております。これは石坂さんにも勝間さんにもお尋ねしたいんですが、そういう者についての業界としての自主的な規制といいますか、もう少し自立性がなければいかぬのじゃないかということを考えておるんですが、何か対策ございますか。
  21. 田畑金光

    ○田畑金光君 ちょっと関連して。勝間さんにいまの問題に関連してお尋ねするんですが、市川さんのお話によりますと、登録された業者が二百十三社かあるけれども、実際には百五十一社で、あとワクをもって、いま椿委員の質問のような趣旨で売り買いしておるというようなお話のように聞いたわけですけれども、そういう不健全な業者をなくするためにこの法律ができ、登録制度ができて、登録制度によって設備の改善とか品質の向上、こういうことをねらったのがこの法律目的だと、こう思うのですが、いま言ったように、二百十三社、実際は百五十一社で、登録業者は二百十三になっているけれども、その実態が非常に不明朗な業者が存在するように聞いたわけですけれども、その辺の事実関係、一体それがほんとうなのかどうか、この辺の事情をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  22. 勝間清

    参考人勝間清君) いまの御質問に対しまして、実績者でないということでございますね。結局私たちとしては青空メーカーと申しておるわけなんでありますが、全然昔からの青空メーカーではなくて、実績は持っていたわけなんでございます。現在のような状況において、値下がりとか何とかということになって、その実績を使わずに、いま言われましたように、それを片方のいわゆる注文の入ってくるところでもって使っていたというようなことになるわけでございます。この点に関しましては、工業組合の私の考え、あるいは理事長の考えでは、再審査をして――登録再審査でございますが、再審査を当局と実施して、そうして登録の停止をする、停止というよりも登録の取り消しをするということであります。それからもう一つは、各税務署、そこのほうへ業者から行っていただきまして、営業届けの確認、それからこれは物品税に非常に問題がございますので、物品税届けをしなければなりません。そういう意味において、物品税の届け出の証明書をいただきます。もう一つは、営業をしておるのか、実際にほんとうのいわゆる青空メーカーという実態を調査していって、工業組合で処理したいという考えを持っているわけであります。ところが話に聞きますというと、通産で、先ほどこの問題に関しましては、従来工業組合理事会でも非常に取り上げました問題でございまして、早く実態の調査をしてもらわなければ困る。私も工業組合理事長をやっておりましたそのときから、ぜひ実態の調査をということでもって、昨年実態の調査に通産のほうで踏み切られましてやられたようですが、おかしなことには、途中から横やりが入って、それを調査してどうなるんだとか、それでもっておれたちの権利をなくするのかとかいうような、非常に不信な質問だとかいうようなものが出たような次第であります。でも、現在の状況におきまして、そういったようなワクが右往左往しておるよりも、実績者にそれを配分するということが一番好ましいことでございますので、早く調査に踏み切りまして、そういったような断を下したいと、こう考えておる次第でございます。
  23. 石坂元貞

    参考人石坂元貞君) 先ほどの質問とただいまの質問まとめてお答えしたいと思いますが、ミシンの調整数量といいますのは、一応規制地域アメリカとカナダを第一地域、それ以外の地域を第二地域といって規制しております。それでワクは、先ほどの直線、本縫みミシンというもののワクと、ジグザグミシンの二つになっております。それから最初に直線ミシン数量規制から出発しまして、その後ジグザグミシンの規制に入ってきたというような段階でございます。直線ミシンのワクは、設定の際に持ちました実績は、一応輸出実績が大体七五%と思いますけれども、七五%輸出実績を見よう、あと二五%は生産実績を見ようというような形で、直線ミシンはやっております。ジグザグミシンにつきましては、輸出実績と、軽機法で与えられました最大月間製造量を考え合わせたいわゆる生産規模、この両方をからみ合わせていま数量規制をしているわけであります。したがいまして、そういった実績等が入っておりますから、必ずしも大ワクをもらっている人が大メーカーではなく、中小メーカーの中にもそういった大きなワクをお持ちの方がおられるわけであります。で、たまたま実績とそれから出荷がうまく見合わないという問題が確かにミシンにもございまして、そのワクを売り買いするというような問題も事実でございます。しかし、先ほど申し上げました例の企業統合をやりました際に、そういった悪習を断ち切るというような意味で、企業の合同と両方一緒にして、いわゆる調整数量の譲渡といったような方式はやめさせてしまったわけです。だから、現在調整数量の譲渡という問題はない。たまたま見合わないという問題がいろいろございますが、それを調整する意味で、軽機法の施行後二回ほど、いわゆる基準数量の交換といった調整方式を考えまして、たまたま自分は第二地域ジグザグミシンを出荷する予定はない。ところがジグザグミシンのワクがだいぶありますから、これを放出して、かわりに第一地域直線ミシン需要が多いから、これをやりたい、このワクを分けてもらいたいということで、交換調整を二回ほどやりました。ですから、現在わりあいに企業の実態というものと出荷は、そういった点でうまく見合っているのではないか、それでもなおかつ数量が足りないというような問題も徐々にございますけれども、そういった場合には、一応調整数量の増量という措置もいたします。あるいはまた、全般に輸出は好調でないけれども、この業者は非常にいい、しかもその仕向け地域も確かで、値段がよろしいというような事実がございますれば、輸出確保のための特別の数量をあてがうというようなことをやっております。それ以外に、内部でたまたま自分数量が余って要らないという場合、これは組合に供出させて、組合が希望者にお渡しするというような方法をとりまして、現在のところでは、大体ワクを金で売り買いする事態は防げているのではないかと思います。そういうようないまのところ状況でございます。
  24. 田畑金光

    ○田畑金光君 市川さんにお尋ねしますが、先ほどお話の中にもございましたが、香港でだいぶ品質の下らしい、わが国の検査基準よりはるかに下らしいレベルの企業が、国際市場で非常に有力な競争相手になっている。これは日本の双眼鏡にとっては一大脅威ではないかと思うのです。こういうことについて、あなたの御主張も、この法律を五年間延期することと不可分の関係にあるように思うが、あなたはこういう制度をなくしてしまったほうが、国際競争力が強くなり、しかも品質も下がらない。日本商品の国際市場における信用を低下させないでやっていけるというふうにお考えでしょうか、これが一つと、それからこれは皆さんにもお聞きしたいのですが、新しい登録を希望する業者というのはどの程度ございますか、それからいま一つは、登録されて一定数量の割り当てを受けることは、やはり社会的信用などにも通ずるわけでありまして、登録制度がなくなって、そうしてこの法律ができる以前の無政府状態になりますと、過当競争が起こり、業者のたたき合いが起こる、こういう状態のもとにおいては、金融界などは一体この業種をどう見ているだろうかというようなことについて、どのようにお考えでしょうか。
  25. 市川由勇

    参考人市川由勇君) 香港でやっている双眼鏡というのは、二、三年前には粗雑であって問題にならなかった。ところが、もう最近では日本品とも遜色ないところまで進んできている。そうして、月産生産量が一万四、五千のところまできている。さらに、大きな建物を建てまして、その中へさあっと機械なんか入れまして、こちらからも調査員を出しましたり、そのほかの調査のものたちによって様子を聞いております。  それから宝源という香港でやっている会社がありますが、宝源の社長がまいりまして、オークラ・ホテルで事業協会でもって、一応こちらから出ていたものが世話になったからという意味でもって、お礼の意味で呼んで夕飯を食ったのですが、日本で規制してくれている間は、自分らのほうは枕を高くして仕事がしていける。こういうようなことを言っております。香港で最初トランジスタをやり出した。そうしたところが、最初数千くらいであったやつが、もう数万個から百数十万個、どんどんこれは人件費は安い、労力はたっぷりある。どんどんどんどんあれしてしまって、日本のトランジスタが食われるというようになったのじゃないですか。そんなような工合に、双眼鏡も光学機械、光学機械といって日本内地でこそ大騒ぎしているけれども、この種の雑貨物ですね。雑貨物はもうどんどん野放しにしてやらして下さらないというと、品質は衰えるし、もうこれはだめです。これは規制をはずしてしまえば、製品はぴたっとよくなっちゃいます。あとは製品がいいというので戦うか、価格が安いので戦うか、それより余地ないのですから、製品はもう刮目して見るごとくよくなります。ずっと製品はよくなりまして、りっぱになりまして、そしてやります。そして、香港、それから台湾、朝鮮等で、それぞれだいぶあの辺でやっているようです。ですけれども、いまのうちなら日本世界の競争国に立ちまさっていけますけれども、この規制を長く続けておられれば、温室育ちでもって向こうの、日本じゃこれだけしかできないし、価格もこれだけだというような工合でもって、向こうは野放しでどんどんやっていきますから、したがって、生産コストにおいて立ちまさって、いい製品の争い、価格の争いにおいても時代的におくれてしまう。ですから、この規制がもう一年または二年これがおくれて、私ども団体法の規制命令延長をお断りするというのが、一年、二年おくれたときの業界はみじめなものだと思っているのです。ですから、極力そういう点ではおくれをとらないようにしていかなければならないと思ってやっております。それから団体法だってそうです。こんなものをやって、ミシンなんかはうまくいっておるようで、それはけっこうです。ミシンさんのほうで、この団体法はけっこうなものですからぜひお願いしますといって、皆さん拝み倒すけれども、双眼鏡は団体法からはずしてもらう。軽機械輸出振興法からも除外してもらおうじゃないか、何とかして除外してもらいたいという、こういう念願でわれわれの業者がたいへんです。全部業者を集めてみれば、九〇%はこの法案には反対でございます。
  26. 石坂元貞

    参考人石坂元貞君) 双眼鏡が香港でだいぶ問題になっているようですが、ミシンの場合も、シンガーという非常に巨大なブロックがあるわけであります。このシンガー世界的なシェアでもってミシン生産をされている。シンガーアメリカということになりますけれどもアメリカだけでなくて、フランスにもあり、イギリスにもドイツにもあるというかっこうでやっておりますが、現在世界の二十九カ国にアッセンブル工場を持っておるというような事態になっております。たとえば、最近クアラルンプールでもアッセンブルを作る、台湾でも作るということで、その辺が非常に日本側としても脅威を感じておる。同時にまた、シンガーとしても、そういう世界的規模でやっている以上は、ミシンについてはやはりそれぐらいの規模あるいはそういった考え方で進める必要があるということで、日本輸出先に対する非常な刺激になっているのですね、ですから、ミシンがそういった輸出問題ではうまくいっているというようなことになるのではないかとも思われるわけです。これも香港のただいまの双眼鏡と同じような具体的な問題で、インドのウシヤという問題があるのですけれども、この点がドイツに、たしかCIFでもって十一ドル何ぼというかっこうでもってミシンを売っている実績があるのですが、ドイツあたりのたまたま輸入実績を見ますと、一昨年の一月から十二月までに五千二百台をインドから買っているわけです。ところが、昨年になりまして、一月から七月が五千二百台と、同じ実績輸入しているということになります。インドあたりは非常に日本ミシンにとっても脅威になってくるということは考えられるわけであります。こういった問題につきましては、最近例のガットの第三委員会か何かの問題がありまして、特恵関税を設けようという動きがあるようですが、日本といたしましては、こういった点については大きな関心を持っていただきたい、それがいわゆるシンガーなり後進国ミシン生産に対する動きでございます。  それから、先ほどの新規の登録者の希望があるかという問題があるのでございますが、これはふたをあけてみませんとわかりませんが、現在希望したいと言ってきたのは、おそらくないのじゃないかと思います。たまたま、これがミシンかな、といったような機種につきまして、登録をしなければ輸出ができないといったような具体例が一件ございましたけれども、それ以外に登録をしたいといって希望しているものは、いまのところないのじゃないか。もちろんこれはふたをあければ、先ほどの百九十何社といった問題がありますから、参加する可能性があるかもしれません。  それから、いわゆる調整のワク等によりまして、金融界からの信用といった問題でございますが、なるほど登録をされている輸出メーカーであると同時に、また工業組合から輸出ワクをもらっているといったようなものが、これは具体的によくわかりませんけれども、金融界ではやはり相当の評価をされているというような話でございまして、このワクがあり、しかも登録がありといったことがもしなければ、金融の面でもって輸出の手形が簡単に割れないといった事態は起こるかと思います。以上で、ございます。
  27. 勝間清

    参考人勝間清君) ちょっと市川さんへの御質問でわからないところをもう一つ……。先ほど先生のほうからの、新しい登録業者の問題ですが、これは現在停止になっておりますから、いま特に申し出はございませんですが、もしこれが廃止になる、団体法の規制命令も廃止になった場合には、これはどなたでもおやりになれるので、おそらく出てくるのじゃないか。そのときの場合のいわゆと過当競争だとか、値下がりムードは非常に多くなるのじゃないか。すでにそういったような風評が立っております。この問題は商社からバイヤーに向かって伝えられるところが非常に多うございます。もう、発注の停止、そういったような面がこれはもうすぐに私たちに反映してくるわけでございまして、金融関係におきましては、今度の――こんなことを私が大きな声で申し上げても非常に恐縮なすですが、金融の引き締めによりまして、だいぶ銀行関係も苦しくなっております。中小企業にはそれだけの金融の措置をとられたと言いますけれども、やはりその点は相も変わらず変わっておりません。問題は銀行関係が、支店長その他にまいりますと、話によりますというと、やはりこの双眼鏡のいまの実態をよく把握いたしております。どういう動向に行こうかということを注目しております。ですから聞きますところと、私が実際に銀行関係に当たったところの体験に見ましても、この団体法並びに軽機械輸出振興法案によるところというものが、非常に評価されている、それによって銀行の金融の道も講じられているように私は推察するわけでございます。
  28. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 もう一言だけ、最後にお尋ねをいたしたいんですが、これはミシンのほうでしたか、生産量がぐっと上がってきて、現在の需要の二倍になっている。したがって、輸出をどんどん伸ばしていく努力をしなければならぬというお話があったんですが、そういう状況のときに、この登録制度というものをやめるということになると、そうたいした設備でなくてできる業界であるだけに、心配になるわけなんです。競争がより激甚になり、価格のたたき合いというふうなことが、予想される。先ほどもお話が出ましたが、EEC混合関税の問題なども、明るい展望はあるようですけれども、それは確定しておる条件じゃない。今後、政府なり外交機関なども動員してよほど努力しなければならぬ条件というものは、まだ解決されていないように思う。だからまあ、この法案の存否については、皆さんの意見を伺って、後ほどそれぞれ各党で協議をしたいと思うんですけれども、そういうわれわれが心配になりますような条件が、数々あるわけです。  市川さんから最後に、そういうヨーロッパ市場の問題など、対抗策としてでも、日本双眼鏡の業界として、やはりこの法律はなくて、自由にやらしたほうがいいということを、みんなの力で対抗していくというふうなことは、やはりお考えになりませんか。
  29. 田畑金光

    ○田畑金光君 関連して。石坂さんにお尋ねしたいんですが、双眼鏡のほうは、勝間さんと市川さんと、同じ業界で全く相反した御意見のように承りましたが、ミシン業界の代表としては、事業協会石坂理事がおられまして、六十七社の代表という意見で、この法律の存続について、積極的な賛成論者だというように私は承ったわけですが、これはミシン業界全体としては、石坂さんが代表されておる御意見が、業界の一致した意見であるのかどうか、ミシン業界の六十七社の中にも、いま申し上げた双眼鏡の二つの会社の代表のお話のように、相対立した意見があるのかどうか、これも明確にひとつお話し願いたいと思います。  それからもう一つ市川さんには、いま椿さんから御質問がありましたが、あなたのようなお考えでいくとした場合、自由競争で、それによって品質もよくなる、業界もよくなる、これも一つの見識だと思うんですが、ただそういうようないき方でいった場合に、海外輸出ということが、一番この業界の生命のようですが、めくら貿易という心配からこの法律の出てきた大きな事情があるんですが、海外の貿易関係については、どういうような方向で調整し、発展さしていくのか、過当競争をどのように防止して、業界輸出をさらに発展さしていくのか、その点だけひとつ明確に……。
  30. 赤間文三

    ○赤間文三君 関連して一つだけ。私、市川参考人に尋ねたいんですが、われわれもともと自由を非常に欲するのですが、過去のいろいろな実例から見てみますと、貿易の障害というのは、過当競争――安かろう悪かろうというようなものをむやみに一ぺんに出したり、それから、たとえ品物はよくても、あまり急激に、短時間の間に一度に送り出すということは、貿易の秩序を害して、すぐもう故障が起こってくる。で、今日一番大事なのは、われわれが貿易秩序を維持するということが、日本の貿易の一番大きな問題じゃないか。今日これをやらなければ、日本の貿易は、私は、たとえ品物がよくて安くても、行き詰まるんじゃないか、こういう考えです。それでたとえば、ただいまのお説のように、自由にするというのは、気持としてはおもしろいかもしれぬが、いよいよ輸出に秩序を立てぬでやらせるということになれば、まず、あまり出るのが多くなると、諸外国から輸入の制限というものが起こってくるようなことが考えられる。それからまた、いま言うた、なお、過当な競争が起こってくる、品質が低下してくる、そういうことで、われわれの気持ちとして、自由でいくならば、およそ日本の貿易に、問題を起こす危険がありはしないかというような心配が、今後の日本輸出について起こってくる。そういう点については、いや、それは自由にしておけば、品質もよくなる、過当競争も起こらないというのですが、こういうことについて、市川先生は、どういうふうにお考えになっておるのか。われわれ過去の実例から見ると、どうもその辺がどうかという心配があるのです。これは重大な問題で、この問題だけじゃないと思う。ほかの問題においても、日本の貿易は、輸出秩序を確立するにあらざれば立ち行かない、大きな貿易はできない、こういう考え方を私は、一面に持っているのです。その点を、いまの椿先生その他の質問との関連でお聞きしたい。
  31. 市川由勇

    参考人市川由勇君) 私どもは、いまのいろいろな規制を受けて、それらが自分らの業態に全部からまってきて、もう自繩自縛で非常に苦しんでおります。その観点から、あれも取っ払っちまえ、これも取っ払っちまえといって、盛んにやっておりますが、パーツのほうは、私どものほうではずせばはずせるのじゃないかと思っておりますが、まだそのほかに、商社ワクというのがあるのです。これは貿管令の関係でもって、一応商社ワクというものがつくってあるのです。それですから、ちょっと勢いづいて、盛んに、あっちもはずせ、こっちもはずせとやっていますけれども、結局、商社のワクは残るだろう、そうすると、その商社のワクの線で輸出の調節はできていくだろう、こういうふうに考えております。  それから、この規制が始まった当初と現在とは、たいへん違うのです。労力なども、まるっきりなくなってきちゃっている。いま人を雇うということは、中小企業の工場で、人を五人でも十人でもかかえておけるというところは、人をなでて、一生懸命に押えておくのですが、だんだんに大企業へ移っちゃう。われわれのような中小企業のところへは、やってこない。それから、大企業が、双眼鏡にかかろうとしても、こんなマージンの薄い、みな手でこつこつとたたいて、その工賃かせぎだけが仕事で、あと原価のほうは、全部コストがきまっちゃって、一銭一厘を争っている。ですから、これは大きいところがやってきてオートメーションをやるとしても、これは砂を使い、水を使い、砂と水でもって、機械だってすぐあれしちゃいます。つまり、よほどの大資本をおかけになるならどうだかしれないですけれども、何十億というような資本でもおかけになれば、何か画期的なことができるでしょうけれども、普通の資本力では私どものやっておる双眼鏡は、なかなか大企業が乗り出してもできない。小企業のものが、このワクをみんなはずしちゃえば、われもやる、かれもやるといったところで、ちゃんとそこには序列がありまして、商社と手を組んでおるところが仕事を持ってきて、あとで物を納めさしてもらうというように、はずしてしまえば、おのずから秩序づけて、皆さん御心配になっておるようなぐあいに、また、これをはずして一年もたって、業界はどうかなと眺めてみたときには、統合すべきものはすなおに統合し、それから下請に落ちているものは落ちているし、上に立って仕事を取ってきて配っているものは配るし、これは口と鼻を押えておいて手を放したらたいへんだぞと言っても、手を放してしまえば、めいめいが自分らでぐあいよく生きて、一年なり二年なりたった姿を現在と比較してごらんなさい、必ず自由になったときの姿のほうがよろしいです。すなおにみんないきます。いまのは、法の力でもって無理に一緒になれ一緒になれと言っても、これはなりたくないのに一緒になったりいろいろして、無理になんぼワクをやるからひっついたほうがいいとか言っておりますが、なかなか人の気持がうまく融和しなければ統合なんかできるものじゃございません。それでお答えよろしゅうございますか。
  32. 石坂元貞

    参考人石坂元貞君) ただいま私が述べましたことにつきまして、業界全体としてどういう考えかというお話でございますけれども、実はこの軽機法の改正問題につきましては、私どものほうの業界では事業協会評議員会がおもな審議機関になりまして、これを審議したわけでございます。この評議員会と申しますのは、構成が組立業者が七名、部品の製造業者が二名、商社が四名、テーブルのメーカーが一名、さらにもう一名ジェトロが入っております。そういうような形でもって一応業界意見、あるいはまた非常に大きな問題についての意見、そういったものを調整している団体の機関でございまして、これが一昨年の十一月の十七日だと思いますけれども、第一回のこの問題についての会合をいたしまして、その際に、軽機法につきましては、前向きな姿勢で積極的な意味でもって存続を要望するということが、まず最初の前提できまったわけでございます。その後、前後七回ほど会合を開きまして、とにかく一部におきましは、もっと積極性を加味してもらいたいといった意見もございましたけれども、そのままで存続賛成であるというのが、この評議員会意見でございます。でございますので、いわゆるアッセンブラーだけでなくて、全体の意見がこれの存続をお願いするということにまとまっておるんじゃないかと思います。これはことしの三月の三日の日に総代会がございまして、その際にまたお話しをしましたが、そのときにも確認をされております。
  33. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 他に御発言もなければ、午前の審議はこの程度にとどめます。  参考人の方々には、長時間にわたりまして、まことにありがとうでございました。厚く御礼を申し上げます。  それでは、午後は一時十五分再開することとして、暫時休憩いたします。    午後零時四十四分休憩      ―――――・―――――    午後一時四十八分開会
  34. 前田久吉

    委員長前田久吉君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  まず、昨日予備審査のため本委員会に付託されました中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から提案理由説明を聴取いたします。福田通商産業大臣
  35. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) ただいま提案になりました中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  中小企業金融公庫は、政府関係中小企業金融機関として、一般金融機関が融通することが困難な長期資金を、中小企業者に対して融通いたすことによりまして、中小企業の発展に多大の貢献をしているのであります。  当公庫は、これまでその資金源を政府からの借り入れに仰いできたのでありますが、最近、中小企業の近代化を早急に実現することが国民経済の均衡ある成長発展のために特に強く要請されている実情にかんがみますとき、この際、当公庫が債券を発行することにより、民間資金を調達する道を開きまして、中小企業に対する融資の一そうの拡充をはかることが必要であると考える次第であります。  かような趣旨に基づきまして、今回、中小企業金融公庫法の一部を改正しようとするものでありますが、その概要は、次のとおりであります。  すなわち、中小企業金融公庫は、主務大臣の認可を受けて、資本金の二十倍に相当する金額を限度として、中小企業債券を発行することができるようにするものであります。これに関連いたしまして、政府が中小企業債券の元本の償還及び利息の支払いについて保証することがきるようにするとともに、中小企業債券の発行に関する手続等について所要の規定を設けることとしております。  なお、このほか、中小企業金融公庫の適正なる運営を確保するため、当公庫の監事の権限に関する規定を整備しようとするものであります。  以上が、この法律案提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同下さいますようお願い申し上げます。
  36. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 以上で提案理由説明は終了いたしました。自後の審査は後日に譲ることといたします。     ―――――――――――――
  37. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 次に、午前に引き続き、軽機械輸出振興に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言願います。
  38. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 この前の委員会でも、大臣出席でなかったのですが、ちょっとお尋ねはいたしたんですけれどもこの軽機械輸出振興に関する法律は、三十四年の三十一国会で、これは成立を見たものであります。このときに、大臣も御承知のように、政府原案では五カ年の期限を付していなかったんですが、衆議院のほうで時限立法とすることとなり、今日まで五年間推移してきたわけでありますが、さらに五年間延長を政府は望んでおられるわけであります。そこで、この五カ年の間に過当競争防止するために、企業の近代化、あるいは輸出振興のための取引体系の確立などを主眼として、これはやってこられたわけですが、この五年の間にできなかったことが、さらに五年間延長することによって、立法趣旨の目的を達することができるかということについて心配を、実はいたしておるのであります。これについて大臣どのようにお考えになりますか。
  39. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 腰かけていてお答えをさせていただきます。  お説のとおり、これは五年間の時限臨時立法でございましたが、その間において、われわれ、やはり過当競争防止と、輸出振興のための輸出秩序の確立という面においてかなりの効果をあげたと考えておるのであります。もう十分な効果をあげたともちろん言いませんが、ある程度効果をあげてまいりました。そして、なおかつ、いま申しましたような輸出振興をはかっていき、また過当競争を除去するという意味におきましては、ここにあげられておりますような業種については、なお、相当期間これを延ばしまして、そうしてその目的達成をはかることが必要である、こういう考え方でこの法案を提案いたしておるものであります。
  40. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 これは他の業種では見られませんように、職業選択の自由を制限する内容を持っております。機械の使用制限とか、設備制限とかなどとは違いまして、業種そのものを登録制にいたしまして、企業そのものの登録がなければやれないようにしておる限時法であります。自由経済の趣旨から申しますと、この種の法律というものは、これはすみやかに期間がくれば自由に解放すべきものじゃないかと思うのです。それを重ねてここで五年間の延長を政府は望んでおられるわけでありますが、午前中に参考人に来ていただきましていろいろ伺ったんですが、ミシン業界はさほどではございませんけれども、双眼鏡の業界では賛否半ばしておるようでございまして、もし、この法律が成立する、業界のほうではこういう規制を継続してもらっちゃ困るというような、三分の一以上の登録業者の中で反対が出るというようなことになりますと、法律そのものが空文になるおそれなしとしないのでありますが、それについての見通し、及びそういうことになったときの対策などについて伺いたいと思います。
  41. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) ただいまお話がありましたように、職業選択の自由というものは、憲法第二十二条によってまあ「公共の福祉に反しない限り、」ということが規定されておるのでありますから、できるだけこの種のものはないほうがいいということはわかるのでありますが、しかし、実際問題といたしまして、この輸出振興日本にとりまして重要な国策にもなっておりますし、また過当競争によって輸出価格が低落をする。現にいまでもそういう、この法律がなくなるのだから、ひとつというようなわけで、双眼鏡あたりにはむしろ値段の買いたたきの傾向があらわれたりしておるような状況でありますが、輸出価格が低落をし、そうしてそういうことをしますというと、また過当競争の結果、国際信用をなくすということになりまして、そうすれば、大部分が中小企業でありますところの双眼鏡業者、またミシン業者というようなものは、私は企業の経営が行き詰まるおそれが多分にあるのではないかと思います。お説のとおり、やはりある程度反対が双眼鏡業界の中にありますが、しかし、それならばといって、はずした後のことを考えてみるというと、その悪影響のほうが大きいとわれわれは考えるものでございまして、やはりこの際は、この法律を通して輸出秩序の確立をはかりますと同時に、そういう過当競争のないようにしながら、相互がうまくこの問題を処置していくように行政指導なりあるいは何らかの指導を行なうようにすることが、業界のためにプラスである、こういう考え方をもってこの法律の延長をお願いをいたしておるわけでございます。
  42. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 重工業局長にお尋ねしますが、あなたも午前中の参考人の御意見一緒に伺ったわけですが、市川参考人のごときは、この三月二十何日かに予定される総会においては、九分九厘までという話がありましたが、まあさほどではないにしても、とにかく調整活動を振興事業協会がやりまするのに、かくかくのことをやってもらう必要はない、かえって業界の発展の妨げになるというふうなものが三分の一以上、あるいは過半数に近く登録業者の中で起こってきましたような場合、この法律がものをいわぬということになるように思うのですが、もしそういうふうになりますれば、これはどういう対策がかわってあるのでございましょうか。
  43. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) 二十三日の総会でどういうふうになるか、見通しの問題は、見通しの問題でございますので、どうなるかわかりませんが、ただ現在におきましては、双眼鏡業界全体が非常に最近の空気を憂えておりまして、賛成者のほうが非常に心配をしておるような状態でございますので、どういうかっこうになるかはわかりませんが、万が一もし調整活動を今回もやめるというふうなことがございましても、本法の関係とは一応切り離しててその問題が行なわれるわけでございまして、もちろん調整活動が中止されるということになりますと、中小企業団体法によるアウトサイダー規制命令も出せなくなる。そうなってまいりますと、この法律の登録の停止命令も一応廃止という形にならざるを得ないと思います。そういう事態におきましても、なお、この登録制の必要性は非常にございまして、過当競争の激化の傾向が、これから少しは登録停止の期間よりは起こるかもわかりませんが、やはりこの登録制度によりまして過当競争の激化の傾向というものはある程度防げていける。と申しますのは、登録をするためには、やはり登録基準に従いまして、その基準に合致するものでなければ登録されないわけでございますので、そういう過程を通じまして、品質の向上ができるような業者だけが登録されるというふうなことになるわけでございまして、また、この登録自身がねらっております他のもの、すなわち輸出をします場合の責任の明確化、LJマークをつけたものでなければ輸出ができないというふうな効果とか、あるいはまた、アッセンブルメーカーというものはつかみにくい実態でございますが、この登録制によりまして実態を把握いたしまして、今後の輸出秩序確立のために役立たせるとか、あるいは先ほど申し上げました登録基準ということの実施によりまして、業界品質向上をはかるということの効果、並びにこの法律のもう一つの柱でございます輸出振興協会の活動でございますが、この問題につきましては、従来から活動してまいりましたと同様に、なおそれ以上に対外活動の必要性を認める次第でございますので、今後ともそれを十分活用して実施していきたいと思っております。なお、一時的に調整活動が中止するというふうな組合の決定がもしございましても、事態によりましては、また元へ戻るというふうなことも考えられますし、二十三日の総会それ自身がやはり問題でございますけれども、すでにもうそういう空気も若干見受けられるような事態でございますので、この中小企業団体法そのものに対しての問題とこの問題とは、お互いに補完し合うものではあるものの、やはりこの法律自体の目的というものが一つ別にございますので、そういうことでやっていきたいと思っております。
  44. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 いや、私どもも、この生産の大部分の量を輸出に向けておる、ことにその業者が非常に零細なメーカーが多い、したがって、この品質の向上あるいは設備の近代化、輸出取引体系の整備というふうなことが必要であることは、これはもう認めておるわけでありますが、いろいろ参考人の話などを聞きますと、多少感情的なところもあったんじゃないかと思うんですけれども、官僚統制の排除だとか、それには何か、振興事業協会理事の中に通産官僚が入っておって、その役人上がりの人の言うことを聞かなければ圧迫をされるとか何とかいうふうな意見もちょっとございましたが、この根本は、やはり登録制にして、しかも生産割り当てをやっている、その組合が行なう調整活動に対する業者の不満があるのではないかと感じました。その割り当ての基準、数量基準というものを、輸出なり販売の実績、数年前の実績において行なわれておるようでありますが、これを、経済情勢も非常に目まぐるしく推移してきておるこの数年間でありまするから、相当、本法施行当時の情勢とは変わってきておるのじゃないか、その変わってきておる情勢に基づいて、割り当て制の再検討というふうなことが、業界の一部に不満があるのを緩和するゆえんじゃないかということを、先ほども感じました。局長からも前回、割り当て制について、数量の再検討というふうなことがやっぱり必要じゃないかという意味の答弁を聞きましたが、大臣としても同様のお考えでしょうか。
  45. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 重工業局長がただいまお答えをいたしたように考えておる次第であります。
  46. 前田久吉

    委員長前田久吉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  47. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 速記を始めて。
  48. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 前回も大臣に私は申し上げたのですが、この種の大部分の生産量輸出している実際個々の業者では、とても海外市場の調査でありますとか、あるいはPRでありますとかいうものを個々の業者ではなかなかやりにくい。そこで本法の場合でも、ジェトロに、海外における調査活動なり宣伝活動を分担してもらっておるようですが、この制度は私、必要だと思います。ところが、このジェトロの今年度の政府からの補助、どういうふうになっておりますか、不勉強でまだよく見ておりませんが、海外に駐在しておるジェトロの人に業務の大きい部分を担当さしておるわけですが、ジェトロは、月給はもらうのだけれども、現地における調査活動ができない。ために、十分目的を達していないということを出先でちょいちょい、諸外国を回りました際に聞いてきたのです。今年度の予算及び大臣の将来の御方針として、海外におけるジェトロの活動について、もっと積極的にやらせるような財政援助、経済援助ですか、国としての補助というものが、私、力が弱いように思います。こういうジェトロの活動を助けていくための政府の御方針というものを伺いたいと思います。
  49. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) ジェトロの拡充につきましては、実はことしも予算獲得上の一つの大きな目標にいたしまして、去年に比べて大体四〇%ふやしておりますし、出資を五億させるというようにして、それから理事も増加するということにいたしまして、近年ではこれほどジェトロに力を入れた予算はないかと思います。もちろんこれで十分とは申せません。まだまだふやしていきたいとは思いますけれども、ことしはかなり、一般予算が一四%か一五%伸びに対して四〇にして、しかも出資も五億つけたということで、われわれの意欲のあるところをひとつおくみ取り願いたいと思います。また事実上、いまおっしゃった調査等の活動も不十分な点があれば、今後ひとつ十分注意をして、そういうことのないように努力をいたしたいと思います。
  50. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 これは強く望んでおきたいと思うのですが、五億の出資増、これはジェトロがそのまま金が使えるのじゃなくて、政府出資の利息でもってたしか、めし食っておるという仕組みになっておると思います。それで相当額の予算の増が得られたというお話ですけれども、伺いますと、これは外務省の役人との何といいますか待遇の差を縮めるための経費であって、活動費そのものがいわれるほど増額されたのではないというふうに私は聞いておるのですが、まあこれをいまどうこう申し上げるわけじゃございませんが、この種の零細な企業、しかも生産の大半を輸出にその販路を求めておる、こういうふうなものを、本法のごときものをもって保護しつつ海外市場への飛躍を助けていくのには、ジェトロの役割は大きいと思いますので、将来も一段とこのジェトロの活動に対して裏づけをするような援助を強く望んでおきます。  先ほど、局長さん、通産省からたくさん事業協会理事が出ておって、どうも業界の自主的な活動がそのために妨げられておるかのごとき参考人からの発言がございましたが、何人の理事中、ミシンのほうの協会、双眼鏡の協会には何人ほど役所の前歴者が入っておられるのでしょうか。
  51. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) ミシン輸出振興事業協会には通産省出身の人間はおりません。それから日本双眼鏡輸出振興事業協会の中には、役員の一人としまして通産省出身の人間が一人おるわけです。申し上げますと、会長のほか理事が二人おるわけでございますが、そのうちの一人が通産省出身でございます。監事は一名でございますが、これは業界の方でございます。通産省出身と申しましても、かなり古い方でございまして、前歴は、この双眼鏡の開放研究所の専務理事をしばらくなすった方で、途中でこの輸出振興事業協会のほうへ移られた。なお、その方は、もともと役人ではなくして、学校の教師といいますか、そういう仕事をしておられて、戦時中、戦後しばらくの間、商工省、通産省というところに勤務しておられた方であります。この方が非常に強権を発動していろいろおやりになったということは、おそらく私はないと思いますし、また非常に御人格の円満な方でございますので、そういうことはないと思います。
  52. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 先ほど、双眼鏡の一手買い取り方式というものを協会が採用して、これは国内、国外における価格の変動というものを調整するための組合の活動であったかと思うのですけれども、ために力以上のストックができて、そのために損害を一体どの程度したのでしょうか。その損害を各組合員といいますか、登録業者に分担、支出せしめたというような話があったんですが、そういうことを御存じでしょうか。
  53. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) 一時そういう買い取りを行なうということにいたしまして、その買い取ったものを一元的に輸出するという構想が業界で考えられ、事実そういうことが行なわれたわけでございます。デッド・ストックといたしまして一番ピーク時におきまして十五万五千個、金額にいたしまして四億一千万円のストックがあったわけでございます。これは回転の資金は、商工中金からの資金で買っておりますが、この問題を解決する方法といたしましては、むしろ輸出の問題とこれを関連させまして、引き取ったもの一個に対して四個の新規輸出を認めるというようなルールを業界ではおきめになりまして、三十七年の三月に無事に事後処理が完了したというふうに聞いております。
  54. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 前回もちょっとお尋ねしたんですが、EEC諸国における輸入制限の問題対策あるいはその他の地域における輸入制限など、いろいろ各国それぞれの形で行なわれておるようですが、国内の市場開拓ということについて、この秋はオリンピックなどがあるわけですが、ああいう広いところでこう見るのには、双眼鏡などというものは、えらい好個の市場のように思うのですが、国内市場の開拓ということについての何か行政指導の御方針があれば、伺っておきたい。
  55. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) 御指摘のとおり、オリンピックを機会にいたしまして、日本の双眼鏡のマーケットを拡大していくということにつきまして、現在双眼鏡の協会でいろいろと検討いたしております。特にわれわれといたしましては、この機会に日本の光学機械の優秀性を海外に知らせると同時に、これを機会といたしまして、国内の人々が従来カメラばかりでございますが、双眼鏡を使ってスポーツを楽しむ、またそれが一つの動機となって、旅行その他に双眼鏡が使われるようになることを念願するのでありまして、いま御指摘のとおり現在の業界におきましては、このオリンピックを一つの契機といたしまして国内マーケットの拡大ということについて検討中でございます。われわれもそれに対しては指導を惜しまないつもりでおります。
  56. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 この法律は、私は輸出秩序の確立、それから設備近代化とか生産規模の適正化への努力というふうなことは、二つの業界においては、この五年間あまり見るべきものはないという感じが――ミシンのほうは若干進んでおるようですけれども業界の自主的な努力というものは十分でないように思うのですが、三十四年にこの法律が成立いたします際に、いろいろトランジスタなどを含めて、この種の対策を立てるべきだという意味の附帯決議が行なわれたと思うのですが、いまミシンと双眼鏡だけで、やはり今後五年間の限定をして、そして政府としてもう一押し力を入れてやれば、一人前の業種になるというふうなものがいろいろ考えられるはずなんでありますが、何か指定業種のワクを広げていくということについてお考えはありませんか。
  57. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) お説のとおり、この法律が制定されましたときに、トランジスタラジオのようなものについて考えたらどうかというふうな附帯決議がございました。実はいまのところトランジスタラジオの輸出は、割合に規模の大きなところが多うございまして、この法律の要件に当てはまりがたい点がございます。また、トランジスタラジオの中でも二石以下と申しますと非常に軽い、軽いラジオ――おもちゃに近いラジオでございますが、その生涯及び輸出中小企業でございますけれども、この団体は現在中小企業団体法の出荷制限だけによりまして、一応価格の安定がはかられておりますので、この法律を適用する必要は、いまのところないというふうに考えておりますが、今後の推移いかんによりましては、この法律の要件に該当するものでございますので、業界がこれを非常に希望し、またその必要があるならば指定の対象にも考えてみたいと思います。  なお、時計、カメラ等につきましても、いろいろ検討いたしましたが、この法律の要件にはちょっとはまりがたい大企業、中堅企業によって行なわれておりまして、輸出比率は、時計はまだ低くて八%、カメラは四〇%ということで、大部分が輸出に向けられておるというふうな要件にちょっとはまりがたい状態でございます。  ただ、軽機械輸出一つのパターンといたしまして、この法律の運用によりましてよりよく輸出を伸ばしていくということが必要であるものにつきましては、いつでも将来この指定の対象にいたしたいというふうに考えているわけでございます。
  58. 近藤信一

    ○近藤信一君 若干お尋ねしておきたいと思うのですが、いなかったので重複する点もあるかもしれませんが、そういう点は簡単に御答弁をしていただきたいと思います。  この法律の改正といいますか、法律目的といいますのは、やはり登録制によって品質を向上するということが第一のねらいでございますが、一体、先ほども参考人からいろいろと意見を聞いておりますると、たとえば香港あたりも相当技術的には前と違って進歩してきておる、まあこういうことも言われておりますし、そういたしますると、はたして日本の双眼鏡の品質と香港の品質というものが一体現在はどのような違いがあるか。先ほどの参考人が言わわれましたような、いわゆる市場で香港に負けるというふうなこともあるのかどうか。その点ひとつお答えを願いたいと思います。
  59. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) 品質の改善につきましては、われわれといたしましては最も力を入れるところでございますが、ただいまの香港製品につきましては、現在われわれの双眼鏡の、同種の双眼鏡に比べましては、なお品質は劣っているというふうに聞いております。ただ、今後向こう、香港側はいろいろと研究いたしまして、これを引き上げていくということが十分考えられることでございますので、これにつきましては、われわれといたしましても業界を指導いたしまして、品質の向上をはかりたいというふうに考えております。その一案といたしましては、中小企業の近代促進法、そういったものにこれを指定して品質の向上をはかりたいというふうに考えております。
  60. 近藤信一

    ○近藤信一君 先ほど市川参考人意見を聞いておりますると、香港あたりと将来競争していく上においては、やはり今日のような調整活動のもとで輸出をしておるのでは、やがて香港の双眼鏡に負けるだろう。これをオープンにして、野放しでやったほうがいいんじゃないか、そのほうが日本の貿易業界にとっても有利であり、さらに品質の問題でもどんどんと研究していくということができるから向上すると、こういうふうなことを言っておられたようでございますが、この点はどうですか。
  61. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) 乱売をすることによって、香港製品をたたいていくという考え方は、われわれの考え方からは相当遠ざかった考え方じゃないかと思います。われわれの考え方といたしましては、やはりあくまでもいい製品をいい価格で売っていくということが最も大切なことでございますし、また輸出先におきましても、アメリカ、カナダ、EEC諸国といった先進諸国でございますから、そう安い品質の悪いものを乱売するということはできないわけでございます。現在のところ、香港製品の輸出量とわが国の輸出量との比較は、ちょうど十対一くらいのところでございますので、このシェアを持っている段階におきまして、あまりあわてないで、十分なる品質の向上をはかって、秩序ある輸出をはかるということのほうが究極のところ輸出振興になるというふうに考えております。
  62. 近藤信一

    ○近藤信一君 先ほどいただきました資料を見ますと、三十四年の双眼鏡の価格が、これは輸出価格ですね、九ドル、三十五年が八ドル七十セント、三十六年が七ドル七十八セント、三十七年が八ドル三十三セント、三十八年が八ドル三十三セントと同じで、三十九年の二月には、七ドル二十二セントと、ぐっと値段が一ドル十一セントも安くなっているのですが、この原因はどこからこういうふうな値下がりをしておるのか、この点解明を願いたいと思います。
  63. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) 双眼鏡につきまして、三十九年に入って急に下がっておりますが、実はこれは三十八年の終わりごろからそういう傾向が見えております。これはわれわれとしましても詳しい点はわかりませんが、大体二点ありまして、一つはやはり香港製品が出回った、それに対する影響ということと、もう一つは、中小企業団体法によるところの出荷制限のワクを小ワク業者その他の関係がございましたので、組合のほうで少し広くしたということによりまして、価格が下がったというふうに見ているわけでございます。
  64. 近藤信一

    ○近藤信一君 そういたしますると、先ほど市川参考人が言っておられましたように、野放しでやるということになりますと、これはもっと輸出価格というものが下がっていくというような見通しですか。
  65. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) 御説のとおり下がっていくという見通しをいたしております。現に、最近双眼鏡の組合でそういう動きが少しあるということだけで、輸出業者あたりから買い控えの傾向があるというふうなことも伺っているわけでございまして、これが価格面に響いてきますと、やはり相当な価格の値下がりが起こるのではないかということで、いま実は心配しているわけでございます。
  66. 近藤信一

    ○近藤信一君 そこで、野放しにした場合、過当競争になって、これがさらに値がだんだん下がっていくという見通しでございまするが、そうなりますと、もしアメリカならアメリカ輸入制限ということに引っかかってくる。これは綿製品の場合でもそういうことがあったわけなんですが、その場合に、この綿製品の例をとりますと、アメリカ輸入制限にかかり、それから国内におけるところの制限を加えた。そうすると、今度は香港の綿製品ですが、香港におけるところの綿製品が市場をだいぶその後荒しているというような事実もあるわけなんで、それを市川さんは言っているのではないかと思うのですが、この点はどうですか。
  67. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) 御指摘のとおり、綿製品におけると同じように、みずから自主調整をするものがばかを見たというふうな結果になることも、われわれといたしましては、おそれるわけでございますが、そういう点につきましては、対米関係の交渉を通じまして、われわれの自主調整の真意を十分知らせまして、そうして、単に数量的な調整をやっているものだけが結果的に損を見るというようなことのないようにするということのほうが大切じゃないかと思っております。
  68. 近藤信一

    ○近藤信一君 聞くところによりますと、その工業組合ですか、では、団体法による調整活動をやるべきだという意見と、それから、もう野放しでいいのだという意見とだいぶ接近しておるような、先ほども参考人からの意見があったように思いますけれども、だいぶ接近しておる、そうすると、今度は、調整活動がむずかしくなってくるのじゃないかと思うのですが、この点はどうですか。
  69. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) けさほどの参考人の御説明にもありましたように、この調整活動についての議論は、出荷ワクの制限の方法について、常にすべての人が納得し得るような体制でないというところに問題があるかと思いますが、そのワクの調整につきましても、きょうの参考人から御説明がありましたように、いろいろの検討を加えて、何とかして皆の人々が一応納得できるような出荷ワクのつくり方ということについて検討しておられるわけでありますので、われわれといたしましても、他の業種において非常に成功した調整のしかた、そういったものにつきましていろいろと検討しまして、この組合に対して、そういう計画を見せたり、それからまた参考になるような資料を渡して、あくまでも業界の自主的な努力によりまして、そういう問題を解決していただくということが一番大切なことだと思っております。
  70. 近藤信一

    ○近藤信一君 そういたしますると、業界が賛成と反対と伯仲する程度の勢力で、両方がいろいろと議論をしておるのですが、行政指導の面はなかなか困難になってくるのじゃないかと思うのですが、この点はどうですか。
  71. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) けさ参考人が御説明になりました点を少し詳しく申し上げます。調整活動反対が七十一名、賛成が九十七名というふうに伺っておりますが、これは生産の全体のシェアから申し上げますと、八〇%の方々が賛成をしておられるというような状態でございます。また、これに関連いたしまして、双眼鏡の部品の組合でございますが、あるいはまた輸出の組合でございますが、この組合はすでに、調整活動をさらに延長するということを決定いたしまして、中小企業安定審議会に提出しているような状態でございますので、そう大きなトラブルなくして、この調整ワクの問題についての検討が進められるような雰囲気が出てくるだろうというふうに考えております。
  72. 近藤信一

    ○近藤信一君 それからもう一つは登録の問題でございますが、先ほども参考人が言っておられましたが、新しく事業をやろうとする場合は登録しなければならぬ。そこでいまは登録漏れというふうなものはありますか、現在。
  73. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) 現在はこの法律によりまして新規の登録を停止いたしておりますので、潜在的に登録を希望しておられる方をわれわれのほうではちょっとわかりかねるような状態でございます。
  74. 近藤信一

    ○近藤信一君 これは椿委員からも質問があったかとも思うのですが、たとえば、登録をしなければ、これは仕事ができないということになる。で、もうこういうものは約五年経過しているわけなんです。きょうまでに。五年間という実績の上に立って新しくやろうとする人は、登録申請した場合には、登録をどんどん許しても、これは五年間の実績の開きというものはあるんだから、そんなに心配することはないじゃないかと、私どもしろうと考えから思うのですが、その点はどうですか。
  75. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) やはり潜在的にそういう需要があるということに対しまして、非常に敏感になりますので、そういうことを一つの契機といたしまして、値がやはり相当動いていくというふうにわれわれは観測いたしているわけでございます。
  76. 近藤信一

    ○近藤信一君 この双眼鏡のまあ製造というのか、製作というのか、私も現場を見てきたんですが、簡単に自分でできるというふうなことも言い得るので、やはりいま局長が登録を野放しでどんどん許していけば、現在もある会社で働いておられる人が独立してまたやる、こういうことにもなろうかと思うんです。そうしてやはりそれらに対するところの今度は輸出の問題も出てくるわけだから、そういうことはできないんだ、こういうことになるわけですけれども、さらに現在私はただ会社に働いている人以外に、たとえば内職なんかやっている人があろうかと思うのですが、そういうのは輸出をしたいというのは、たとえば下請というふうな形でやっているのか、そういう下請も何もないんだ、こういうことなのか、この点はどうですか。
  77. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) その調査は私のほうではいたしておりませんが、双眼鏡協会にはそういう形の下請はないように思います。
  78. 近藤信一

    ○近藤信一君 双眼鏡にはそういう下請事業みたいなものはないように、局長言われておりますが、それはそれとして、先ほど市川さんが特に言っておられたのは、何とか事業協会ですね、事業協会というものがあって、それに対するところの負担金を相当支払わなければならぬ。で、この負担金を払ってまでもやるということには、あまり効果もないというようなことを言っておられたんですが、これはどういうことですか。
  79. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) これは事業所の方々によりまして感覚が非常に違いますが、このミシン輸出振興事業協会並びに日本双眼鏡輸出振興事業協会の事業活動については、先般資料でもって御説明いたしましたように、相当な海外活動をやっているわけでございまして、それに対して非常に満足の意を表しておられる方もおりますし、また感覚としてそういうものをあまり高く評価しないという形の方もおられるかと思います。しかしながら、われわれのほうで率直に見まして、やはりミシンにつきましては、事業協会の一般的なPR活動以外に、EECの保護関税問題とか、あるいはシンガーミシン問題について具体的な成果をあげているようにも思いますし、また双眼鏡につきましても、アメリカ等におきまして非常に変わったPRのしかたをやっているというような点で、非常に効果があるんじゃないかというふうに考えております。
  80. 近藤信一

    ○近藤信一君 それから、これは賛成者側の勝間参考人が述べておられたのでございますが、調整活動を改善していかなければならぬということを言って意見を述べておられたのですが、調整活動を改善するということになると、一体どういう点を改善せなければならぬのか、この点どうですか。
  81. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) あくまでも中小企業団体法の精神にのっとりまして民主的にきめられる問題でございますので、われわれが直接それに対して手を加えるということはできないかと思いますが、考え方といたしましては、やはり調整活動を通じていい品物を作る、またその調整規程をよく守るメンバーがだんだんとワクを大きくし、またそうでない人々があまり急激な形じゃなくして漸次ワクが減っていくというふうな、みんなに納得し得るような流動性のあるワクを考えていくということが必要かと思います。私どもといたしましては、手をこまねいてそれを見るのではなくして、先ほども申し上げましたが、他の業種において非常に理想的に動いているもの、あるいはこういうことに対して経験を持たれた方の御意見を承りまして、この業界に対して参考のためにそういうものを提供するというふうなことによりまして調整活動、特に調整ワクの作り方について今後十分の検討をさしていきたい、こういうふうに考えております。
  82. 近藤信一

    ○近藤信一君 特に日本の双眼鏡が安くてドイツあたりの双眼鏡が高いということがいわれておるが、これは一口にいいますと、ドイツの双眼鏡は高級品である、それから日本のは何といいますか、高級品でなく、一口にいうと子供のおもちゃのようなものだ、こういうふうにも聞いておるわけなんですが、実際の輸出先の需要層といいますか、そういうのは、あなたのほうでお調べになった点からいくと、どういうところがおもに需要されておるのか、この点おわかりでしたらば御説明願いたいと思います。
  83. 山形栄治

    説明員(山形栄治君) お答えいたします。詳細は判明しておらない点もあるわけでございますけれども、いま先生のお話しのように、ドイツ等の高級品は、これは高級品であると同時に非常にブランドが売れておりまして、たとえばツアイスというような、世界的に長年つちかわれました評価が確立しておりますための値段の開きというのが、相当程度日本品と外国品との間の値開きの原因になっておるかと思います。それぞれのしむけ先の需要におきましては、一番大きいのが何といいましても、クリスマス、それから日本でもそうですが、学校の入学等におきます贈答品が多いわけであります。この辺が、高級でない中級的な日本製品が非常に圧倒的な比率を占めておる一つの原因といいますか、理由になっておるかと思いますけれども、最近におきまして、双眼鏡、ミシン、特にだんだんと消費性向が高級化しまして、ボートに乗って出て行くときの使用方法とか、登山のときとか、非常に双眼鏡で申しますと、倍率の大きくて、しかもわりあいに携帯に便利のような双眼鏡、またミシンにつきましても、そういう傾向が徐々に需需先の面に拡大しつつありますけれども、先ほど申しましたように、何といっても贈答品、これはミシンもそうなんでございますけれども、嫁入り道具、あるいは贈答品というのが非常に需要の大宗を占めておりますので、日本品の輸出というものはそういう需要に強く支えられておる、こういうふうに考える次第でございます。
  84. 近藤信一

    ○近藤信一君 この法が制定されたときに、五年ということで、附則の第二条には「五年以内に廃止するものとする。」となって五年やってきたのだが、けれどもまだどうもいけないということで、五年間もう一ぺん延ばしたい。こういう今度の法改正なんでございますが、これを五年で、もうあと五年延ばせば、もうこれはいいんだというふうな見通しで、五年というふうなことを、ここへ提案されたと思うのですが、またその半面五年も――いままで五年ということでやってきて、五年以内で廃止するということになっておるが、さらにこれを五年延ばさなければならぬのか。これは三年くらいで何とか完成できないだろうか。こういうふうにも思われるわけなんですが、この点これはどうしても五年はかかるのか、三年くらいではだめなんだ。こういうふうなことで、一体私どもといたしましては、五年をまた五年延ばすということは、いままで一体、何をやってきたのか、三年くらいにこれは縮まらぬのか。この点はどうですか。
  85. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) 改正案を国会に提出する際に、われわれといたしましても、いろいろ検討したのでありますが、画然と五年という数字は出てこないわけでございますけれども、従来の実績から考えまして、ミシンを米加向けの輸出体制に持っていくまでに、いろいろ系列化のために努力したのでございますが、これには五年前後かかったんです。今後EEC諸国に対しましても、そういう形で軽機械輸出秩序の確立という目的を達したいということがございますので、そういう観点から、ひとつ考えたわけでございます。それからまた、先ほども申し上げましたように、今後のミシン、双眼鏡につきましては、やはり相当品質を高めていくということが必要でございますので、この法律とは別に近代化促進法にこれを乗せまして、そうしてこの品質の向上をはかっていきたいという一つの考え方を現在持っておるわけでございます。近代化促進法もようやく御案内のように、五年間ということで、一応促進がはかられるわけでありますので、そういった点、いろいろ考えまして、まず、この五年間延長をいただきまして、われわれの考えておる輸出秩序の確立完成できるのではないかというふうに考えております。
  86. 近藤信一

    ○近藤信一君 この品質というものは私は固定したものではないと思うのですね。今日のように技術が発達してまいりますと、次々によくなっていく。品質が向上していく。で、五年ここでまた期限を延ばしまして、五年後になって、そのときは局長はまあ局長じゃない、大臣くらいにはなっておられるかもわからないけれども、そのきとまた五年というふうなことが今までの例からいくと、しばしばあるわけなんですが、その見通しはどうですか。
  87. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) われわれはもうこの五年でもって、一応この形の軽機械輸出振興施策は十分ではないか。その時代におきまして、また新たなる事態が起こるということも考えられますが、現実においては、この五年間でもって一応所期する目的を達成することができるのではないかというふうに考えておるわけでございます。たとえば輸出振興事業協会がやりますところのPR業務につきましても、過去五年間と今後五年間、十年間のPRを続ければ、一応日本ミシンにつきましても双眼鏡につきましても、その内容が十分に相手方にわかるのではないかというふうな観点から、まずこの五年間の延長によりまして、目的を達成することができるのじゃないかというふうに考えているわけでございます。
  88. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 三十八年、一番近い年度でいいんですが、ミシン輸出総額――金額にして、それから双眼鏡の輸出金額というのはどのくらいになっておりますか。
  89. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) 家庭用ミシンにつきましては、この統計資料にございますように百八十億、ドルに直しまして四千六百万ドルでございます。双眼鏡につきましては六十五億、ドルに直しまして約千八百万ドルでございます。
  90. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 先ほどの参考人のお話を伺いますと、生産の九五%を輸出しておる、双眼鏡の場合。たしかそういう話があったと思うのですが、これからもこの四千六百万ドルあるいは双眼鏡の千八百万ドルというのは、この線で輸出は伸びていくものと、こう思うのでありますが、一方、設備の近代化ということはあまりなされていないように思いますのに、従業員数は年々漸減しておるのですね。三十三年に四千五百人であったものが三十八年には三千人となっている。しかもそれが年々こう減っておる。政府としては、こういう生産の九〇%も、それ以上も輸出に仰ぐような業種の労務確保ということについては、相当援助しなければならぬというふうに思うのです。それは、厚生施設でありますとか、賃金の関係でありますとか、いろいろやはり条件はあると思いますけれども、この年々従業員数が漸減をするという傾向は、これはちょっと注意を向けなければならぬ点だと思うのですが、こういう対策はいかがでしょうか。
  91. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) 非常にむずかしい問題でございまして、御趣旨の点は全くわれわれとしては賛成でございますが、その手段、方法につきましては、実のところあまり考えられていないわけでございますので、やはり根本的には、ミシン、双眼鏡が非常に安定した業種であり、かつ利潤もなかなか適当な利潤を得られるような業種にするということによって、労務が安定するということが一番大きな点であるかと思います。なお、先ほども申し上げましたように、中小企業近代化促進法に、ミシン部品だとか双眼鏡を指定いたしまして、設備の近代化ということによって、労務不足を補っていくというふうな方法をぜひとっていきたいというふうに考えております。
  92. 田畑金光

    ○田畑金光君 ちょっと関連しますが、人の問題ですね、あなたのほうから出た資料によれば、ミシン、双眼鏡従業者数の推移というこの資料によれば、双眼鏡は三十二年が四千八百八十一名、三十三年六千六十八名、三十四年六千八百四十名、三十五年七千八百十七名、三十六年六千七百四十九名、こうなっておりますが、さっきの市川さんでしたか、あの人の話したあれと一これは資料で出した数字市川さんの説明したやっと同じなんですか。
  93. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) この機会にお断わりいたします。私どものほうから御提出いたしました資料は、工業統計によるものでございまして、部品が全部ここに入っておりまして、先ほど参考人が申されたのは、完成品だけの労務者の数だというふうに思います。
  94. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 この双眼鏡の業界で先ほど討論会みたいなことになったのですが、できるだけ今後の行政指導において、業界が一体化することが本法の目的を達する上にも重要だと、こう思いますので伺うわけですが、市川参考人の参考意見の中に、事業協会に対して負担金を払っているが、協会の業務はこれに見合った効果をあげていないということがある。で、これは業界が負担金をどの程度払えるか。それから輸出検査などで支払う手数料、あるいはほかに会費というようなものはあるのか。臨時徴収というようなものはあるのか。そういう点についてお聞きをするとともに、見合った効果をあげていない。何とか見合った効果をあげるように、これは指導する必要があると思うのですが、お考えはいかがでしょうか。
  95. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) ここにたまたま数字がございますので、どういう形でそういう負担金的なものが払われるかということについて御説明申し上げますと、事業協会に対しまして、双眼鏡一個につき三十円、輸出組合が徴収するものが三円、検査協会が二十二円ということでございます。なお、完成品の双眼鏡でございますから、その前に鏡体とかレンズとか成型、そういうおのおのの工業組合に対していろいろと支払われるものがございますので、双眼鏡一個当たりそういうものを合計いたしますと、約八十余円程度のものになるわけでございます。それからこの輸出振興協会の活動状況は、事業報告書で御説明申し上げましたが、そうした具体的な活動を個々の事業者にいかによく知らせるかということについて、今後十分われわれのほうも組合側に対して注意をいたして、自分たちが払った金がどういうふうに使われたのかということについて、単なる事業報告書だけによって明らかにするということでなくて、それぞれの活動状況に応じて各メンバーに周知徹底するようにいたしたいと思います。実際の仕事としましては、いろいろとマーケット・リサーチであるとか、あるいは現地の業者との会合とか、いろいろなことをやっているわけでございます。それをむしろ個々の業者に知らしめる内部的なPRの点について欠けておる点があるのではないかというふうに考えるわけでございますが、その点はよく組合当局にも注意をいたしたいと思っております。
  96. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 この双眼鏡の一個当たり八十余円ということですが、やはり高価なものもあり、安いものもあろうと思うのですが、それは一個当たりということの負担金になるのですか。
  97. 山形栄治

    説明員(山形栄治君) お答えいたします。いま局長が申し上げました八十余円といいますのは、アメリカ向けのFOB価格二千九百円ということを前提にいたしまして、それぞれの組合なり協会なりがそのFOB価格に応じてパーセントをきめておりますので、それで申しあげた数字でございまして、先生のおっしゃいますように、非常に高級品の場合には当然金額自体はもっと多いものになるかと思いますが、比率は同じでございます。
  98. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 製造、販売の規制は困る、さらにその手続の煩瑣なことが目に見えないコスト高を招いており、よけいに困っておる――こういうその概要のなにがございますがね。そんなにこの製造の割り当てを受ける場合の手続、販売をする場合の規制というものは、小さい業者になると、なかなかその手続に明るい者がそれぞれおるわけではないと思うのですが、そういう煩瑣な手続を個々の業者に課しておるのでしょうか、組合なり協会なりが。であれば、これはコスト高にならないような事務の簡素化ということを指導される必要があるのじゃないか、こう思いますが、いかがでしょう。
  99. 山形栄治

    説明員(山形栄治君) 双眼鏡を例にとりまして御説明申し上げます。輸出の波打ちぎわに近いところから順にさかのぼって申しますと、まず検査協会がございます。それから輸出組合がございまして、その次に事業協会があり、その次に組み立て部品の三組合のそれぞれの出荷確認という一つの行為があるわけでございます。このうち、検査協会と輸出組合につきましては、ほぼ日本の重要な輸出品につきましてはほとんどが関係ございまして、それぞれの物資につきまして検査協会をつくりまして検査手数料を徴収して、正当な輸出品質の保持をしております。それから輸出組合につきましても、ほとんどの重要輸出品につきましては商社団体、それからメーカーも入りますが、輸出組合を結成して公正な輸出を運営しておるわけでございます。この二つにつきましては、当然双眼鏡特有の問題ではないわけでございます。それからそれぞれの工業組合は、これは団体法に基づきまして結成されておりまして、御存じのとおり、数量の調整をしておりますので、個々の企業の方が自分のワクの範囲内であるかどうかということは、組合で確認する必要があるのでございますので、これも団体法上のすべての組合におきまして、その場合に確認手数料というものをとっております。したがいまして、双眼鏡はたまたま部品が三つに割れておるので、非常に数が多いように見受けられますけれども、これは大体において、考え方といたしましては、ほかの輸出品と同じような、またやむを得ないものであると、われわれは考えておる次第であります。
  100. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 この双眼鏡にしてもミシンにいたしましても、労務確保ということに非常に困っておるということが、るる述べられたわけですが、当局の対策としては、中小企業近代化促進法に乗せて金融の面なり設備近代化の助成等をやることを考えておるということなんですが、この近代化促進法に乗らない現状において、政府はこの両業種の協会なり組合に対してどのような財政上の援助が行なわれておるのでしょうか、現在。
  101. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) 少し過去にさかのぼりますが、昭和三十一年から三十五年の間にわたりまして、機械工業振興臨時措置法に基づいてこれは特定機械と指定いたしまして、開発銀行によるところの特別の融資をミシンについて行ないました。その金額は総計一億五千三百万円にのぼるわけであります。またその間におきまして、商工組合中央金庫によります融資をいたしまして、双眼鏡の輸出事業協会の一手買い取り資金に対する融資、あるいは一般の運転資金の融資については、個々にわれわれのほうであっせんをいたしております。なお、技術振興の問題で今日までやりましたところは、双眼鏡、ミシンとも開放研究室を持っております。これに対しまして機械工業振興資金から補助をしておるというような状態であります。なお、一般の海外需要につきましては、ジェトロを通じまして、政府から補助金を出したということは前回申し上げたとおりであります。そういう形で、いままでのところは進めていっておるわけであります。
  102. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 もし、この法律がさらに五年間延長する必要がないということになりますと、いまこれまでにいろいろな政府としても便宜をはかってきたことが、だんだんやりにくくなるということになりますか。
  103. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) もし、この法律がことしの六月でもって廃止されたということになりますと、やはり今日まで築きあげてきました輸出秩序の確立というふうな点が非常にあぶなくなりますし、また業界におきまして品質をよくしていこう、あるいはまた香港問題が出てきて、これからまた気を新たにして品質問題と取っ組んでいこうというふうな空気が消えていくわけでありますが、そういうふうな業界自身の体制が、従来のような形でないという場合に、金融その他の関係でどういうふうになるかということでございますが、そういうことがなくても、やはり中小企業対策としてはこれを進めていく必要があると思っております。
  104. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 この法律にかかわらず、中小企業対策として一般的な助成というものは考えられるが、特にこの法律によって規制をし、しかも登録制まで採用して保護を加えておるということが、やはり少しはやりにくくなるんじゃないですか、そういうことが予想されないということでありますか。
  105. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) やはりこの法律は、大部分を輸出に向けますところの中小企業を育成いたしまして、輸出振興の線に持っていくということがこの法律の根本的な趣旨でございますので、そういう考え方というのはある程度くずれていくのではないか。そして一般の中小企業問題としては、一般の中小企業並みのいろいろの助成措置を講じていくということになるかと思います。
  106. 田畑金光

    ○田畑金光君 二、三点だけお尋ねしておきたいんですが、いまの質問の中に全部入っておりますけれども、考え方としてですが、この法律があと五年間延長されたならば、この法律のねらいは一応うまく成功して、あとはこの法律がなくなってもいいような業界状況、あるいはまた輸出の面においても自由放任してもうまくいくであろう、こういう前提で五年の法律延期、施行延期ということになっておるわけですが、しかし、きょうの参考人の、特に双眼鏡についてあの二人の考え方の実に対蹠的な対立ということを見ますと、これは私は経済の底に流れる基本的なものの考え方の違いだと、こう思うんです。一方は、やはり経済のあり方というものは、自由主義、自由競争をあくまでも貫いていくことが、業界の発展だという立場に立っておるし、他方は、やはりいまも経済の競争の中にも、ある意味において規制あるいは計画、あるいは統制というような一つの政策を導入しなければ、業界の発展も輸出秩序の確立も、したがって、輸出産業の伸長も期待できないという、本質的な私は考え方の対立だと、こう見るのです。やはり、今後の日本経済の推移を考えてみた場合、特にこの数年間の双眼鏡、ミシン業界の推移というものを見てきたときに、たとえば輸出面において相当なまあ比重というか、相当なという言葉は金額から見ると適当でないと思いますけれども、とにかく輸出の面においてある程度伸びてきて、わが国の経済の発展に寄与したという、その面から見るならば、やはりこの法律によるこういう思想とこういう計画の統制があったから、経済の指導性があったからできたと、こう思うのです。私は、五年後の状態を考えてみても、同じように私はこの状態は続くのだと、こう見るのです。そこはやっぱりもっと経済の本質的なあり方からくる私は宿命じゃないかと、こう思うので、先ほど来答弁を聞いておりますと、まあ五年後は撤廃してもいい状態になるだろうという御答弁のようですが、私はそれは安易に過ぎると、こう思うのであります。五年後になれば、またこの法律について延長するなり、あるいはそのまま踏襲するということでなくても、別の規制の方法を考えなくちゃならなくなるんじゃないかと、こう思うのですが、その点はどうでしょうか。
  107. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) 少々甘い考え方かもわかりませんが、現在米加向けにやりましたミシンの例に見ますように、輸出ケースをはっきり確保いたしまして、EECその他の諸国についても系列販売がうまくいくようになる、そういうことによりまして、団体法によりますところの出荷制限もうまくいき、また価格の維持につきましても、そういう系列ができることによって、スムーズにいくというふうに考えているわけでございまして、そういう体制ができれば、まあこの法律がなくなる時代がきても、その形で進めることができるのじゃないか。また、それまでに品質の向上につきましても、この法律によって推進している業界が十分の努力をいたしました結果、新しい業者がみずからその高い品質のものの生産に急に乗り込むということも非常にむずかしくなるということが考えられますし、また先ほど申し上げましたように、海外へのPRにつきましても、過去五年間、将来五年間、計十年間の間のPRを続けていくことによりまして、一つの段落がくるのではないかというふうに考えております。ただ、また全然思いがけない新しい事態がきましたときに、この法律の延長が行なわれるか、あるいはまた別の形でこれが出るか、こういう法律が出るかということについては、ちょっと私もいまのところ申し上げることができないわけであります。
  108. 田畑金光

    ○田畑金光君 まあそれは質問しても、それ以上の答えもできない問題だと思うので、その程度にとめますが、次にお尋ねしたいのは、たいへんけさほどの参考人意見の中では、通産省の干渉、介入が度を過ぎている、あるいは多過ぎるような説明がなされたわけです。ところが、先ほど来通産省が、このこういう二つの業界に対してどういう具体的な援助措置をとっているかというと、そう大きな援助措置も現実はとられていないように私はお聞きしたわけです。まあ輸出入銀行を通ずる金融措置、あるいは商工中金等を通ずる金融措置であるとか、ジェトロを通ずる間接的な援助措置等に限られているわけですが、それに対して、けさの参考人のお話は、そういうわずかな援助にもかかわらず、通産省の介入が多過ぎる、こういう話があったわけです。そこで、どういう点にしからば監督行政ですか、強過ぎるのか、これを私はお聞きしたいのですが、ただこの法律のたてまえが一方においては設備の登録ということ、もう一つは事業振興会を通じて輸出の援助措置、こういう二つの仕事がこの法律の骨組みですね。その二つがこの法律の骨組みであるとするならば、それぞれの骨組みの段階で、通産省はどういう関与あるいは介入をなさっておられるか、ひとつそれを御説明願いたいと思うのです。
  109. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) この法律に即して申し上げますと、まず最初に登録をいたします際に、登録基準をつくりまして、その基準に合致するものについて登録をするという、その登録の基準をつくるということで、まず介入され、関与するわけでございます。それからあとは、主としてこの振興事業協会業務でございますが、振興事業協会業務につきまして、もちろんこの業務の内容は総代会の一致した意見によりまして運営されるわけでございますが、これに対する役員の解任それから役員の任命に対し、会長及び監事というものについての任免、それからこの協会の行ないます事業計画に対する認可、それから一般的な協会に対する監督、この事業協会の事業報告書の聴取、こういうことが法律に基づくところの関与でございます。
  110. 田畑金光

    ○田畑金光君 そこで、私はいま局長の説明なされた第一の登録の基準というのは、あくまでも政府、通産省がつくられて、その基準にかなうものを登録するということになってくるわけです。そうなってきますと、二百十三社の登録業者の中で、実際仕事をやっているのは百五十社前後である。あと五十ないし六十というのは単にワクをもらって、ワクの売り買いをやっている。まあブローカーみたいな存在だ。こういうように私は説明を聞いたわけです。けさほどの参考人の話を聞いた感じでは……。そういうことを見ますと、登録業者の登録基準というのは通産省がつくられて、そこでこれは適格業者であるかどうかというふるいにかけるには、登録基準の段階によって十分できるはずだと思う。してみるならば、二百十三社の登録を受けたならば、二百十三社はまともな設備を持ち、能力を持ち、技術を備え、品質管理等においても、十分規格に適応する品質を確保する業者でなければ登録基準に該当しないはずですね。しかし、先ほど来の質疑応答を聞いておりますと、何か局長の御答弁は、ワクの増減等については、あくまでも業界の自主的な問題だというような話のようですが、しかし、私は登録という段階において、その能力を持たざる業者については、当然そこで整理され、あるいはまた適格条件を持つように指導助成がはかられるべきだとこう思うのですが、その点はどうでしょうか。
  111. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) この軽機械輸出振興法に基づきまする登録は、主として検査方法、品質管理方法、それから設備、技術者ということが――技術者がこの登録にふさわしいものであるかどうかという観点からの登録でございまして、出荷数量そのものについての問題につきましては、もっぱら団体法によるところの調整規定に譲られているわけでございます。もちろん御承知のとおり、登録の段階におきまして、実際に設備は持ち、技術者は持っているけれども、実際に仕事をしないというようなことが見受けられれば、そのときは一応問題にいたしますけれども、やはりそういう営業の意思があるかないかというふうなことを、登録の段階で確かめることは非常に困難でございます。やはり団体法のところの調整規定によりまして出荷量をお互いにきめていくということになるかと思います。そこで、実際に団体法によりましてワクをもらいながら、仕事をしないというふうなものが出た場合に、どうするかということでございますが、これはまず第一次的には業界工業組合でもって、そういうもし、からワクがあるとするならば、それの整理をするなり、それの処理についてきめていくということになるのでございます。
  112. 田畑金光

    ○田畑金光君 その点はそういうことでありましょうが、ワクのお互いの配分とか、融通し合うということは、組合の自主的な仕事の範囲でありましょうが、しかし、問題とするところは、単なるワクをもってそれを権利として売り買いをするような、そういう不健全な業者をなくして、健全な業者で、しかもりっぱな品質で、しかも輸出競争にたえ得る業界をつくっていこうというのが、この法律のねらいだと思うのですね。そのために、いま局長の御説明のように、第八条に登録基準というものがあって、幾つかの条件が備わるならば、登録をいたしましょうということになっているわけですから、しかもこの法律を実施してすでに五年間になるわけですね。その五年間の間に、それは業界の自主的な仕事だというふうなことで、通産省の指導行政というものが何ら徹底していないとするならば、この法律のできた大きな趣旨というものがまだまだ実現されていないということですね。これは二百十三社の中で、まともなこの基準に該当する登録業者が百五十社前後しかないということです。一体、そのことは私は通産省の監督行政の責任でないかと思うのです。私はそれはそっちのほうで、業界のほうで自主的にやる仕事なんだからといって、私は逃げるというわけにいかぬと思うのです。しかも、五年間経過しておりますし、しかもこれから五年間延長しようというのだから、少なくともまじめな業者がまじめな仕事をやっている実態くらいは、やはり通産行政の指導の中から当然出てこようと思うのですが、その点どうなんですか。
  113. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) けさほど参考人の方のおっしゃいましたように、私どものほうは、実際上は監査をやっているわけでございます。そして今後ともお話のとおり十分な監査をいたしまして、業界がうまくまとまらないような、そういう青空業者といいますか、そういうものがないように十分の努力をしていきたいと思います。ただ、こういう業界でございますので、たまたまある時期に仕事がなかった。そのために休んでいるという場合と、それから全くワクの上に眠って遊んでいるというところのけじめが、非常につきにくいような問題もございますので、非常にむずかしい問題ではございますけれども、ただいま御指摘のとおりに、事業活動の中心であり、またそこから一番不服だとか、いろいろな問題が起こるところでございますので、今後とも十分に注意をいたしまして、指導していきたいと思います。
  114. 奥むめお

    ○奥むめお君 関連。局長さんにちょっと伺いますが、いままで五年やっていらっしゃるのだから、いろいろな実績を持っていらっしゃると思いますけれども、百幾つとおっしゃったかね、百九十一が、ほんとうに働いているのは百五十ぐらいしかない。先ほどの参考人がおっしゃいましたね。あなた方のお調べではどうなっていますか。
  115. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) 以前に監査いたしましたときは、それらしい……。
  116. 奥むめお

    ○奥むめお君 いつでございますか、それは。
  117. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) 昨年の秋でございますが、昨年の秋にやりましたときには、約三十程度の事業者がそういうことをやっているのではないかというふうなことを発見いたしまして、十分に注意をいたしたのでございます。こちらから行政的な権限に基づきまして勧告をしたことがございます。けさほどの百何十名というものについては私たちは存じておりません。
  118. 奥むめお

    ○奥むめお君 そうしますと、あなた方は的確に現実を把握していないということになりますか。
  119. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) けさお話しになりました数字が正しいかどうかという点につきましては、はなはだ疑問がございますので、われわれのほうとしましては十分に、ああいうことがもう一度あるのかどうかという数字の根拠につきまして検討さしていただきたいと思います。私どもとしましては、現在のところ約三十件について注意をしたというふうな段階でございます。
  120. 奥むめお

    ○奥むめお君 私、ほんの、きょう聞いてびっくりしているわけでございますが、参考人が全然別の角度から意見をおっしゃって、どちらも見ておると、役所が規制に介入する、そのことの精神も、実質も理解しない人があるのじゃないかしらん、PRが足りないのじゃないかと思うのですね。たいへんいいことでしょう、役所は、指導してくれるのだしね、金もくれるのだし。それになおかついやだ、やめてほしいと言うておりますね。これはどういうふうにわれわれが感じとったらいいのかしらと思って聞いておりましたがね。あなたのほうが一番責任をおとりにならなきやならないところですね。そうすると、言われたよりも局長のお出しになった数字は控え目ですね。小そうございますね。それを今度はどっちがほんとうだろうか、新しい資料か、古い資料かということも、いまおっしゃいましたね、ミシンとか、双眼鏡とかいうふうなものは、どこの家庭でもほしいものですね。ですから、それが日本から出る前に、いろいろ混乱しているということは非常に残念なことだと思うのですけれども、どういうふうに見通しがつきますか。
  121. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) ただいま御指摘のありました第一点でございますが、個々の事業者が、この法律で意図しているところ、また中小企業団体法が意図しているところについて、十分にお理解がないという点につきまして、組合ないし役所側のPRが足りないというふうな点があるかと思いますが、その点につきましては、今後とも十分にわれわれとしては努力をいたしたいと思います。特に業界が零細でございますし、しかも零細でありながら、非常に高度の技術を必要とし、また一番大切な輸出を背負っているというふうな業界でございますので、この点につきましては十分に今後心がけていきたいと思います。  それから、先ほどのからワクの問題でございますが、けさのお話と私どものつかんでおります数字との違いでございますが、これは至急にけさのお話の出所、それからどういう観点から調査されたかという点を十分に伺いまして、われわれのほうの今後の参考にしていきたいというふうに考えます。
  122. 田畑金光

    ○田畑金光君 もう一つだけお尋ねしておきたいんですが、いまの数字も確かに確かめてもらわなくちゃなりませんが、もう一つ確めてもらわなくちゃならぬことは、双眼鏡の中で、先ほどの参考人の話では、この法律延長に反対するのが、七十一対九十七でしたか、こういう反対意見の業者がいると、そうしますと、ほとんど半々ですね。それをまた局長、いかにもそうであるというふうな前提の上に立って、先ほどの質疑応答を聞いておりますと、答えておられましたが、業界の実態は、実際そんなに反対が多いのですか、皆さんのほうで観察されて一応の動向はおわかりだと思うのですが、賛成、反対意見がどの程度になっておるのですか。
  123. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) 実はこの問題につきましては、過去三回にわたりまして評議員会が開かれ、そのつど賛成が非常に多くて、賛成されておったわけです。そのときはたしか全会一致というふうに伺っておりますが、ところが、ごく最近に行なわれました会合におきまして、賛成九十七、反対七十一ということになっております。そのよってきたるゆえんのものは、あまり私たちのほうからいろいろと介入して調べるということもどうかと思いましたので、一応現在のまま、そのままにしておきますが、過去三回の空気から見まして、急にこういうことになったという点につきましては、ちょっと私たちのほうも理解に苦しむ点がございます。
  124. 田畑金光

    ○田畑金光君 そうしますと、政府は、過去三回は賛成者がほとんどであり、圧倒的に多かった、最近急に情勢が変わって反対意見が強くなってきた。で、もしそのような空気で、そのような情勢で推移した場合、三分の一以上が団体法に基づく規制命令に反対した、こういうことになってきますれば、先ほど局長は、この問題についての答弁は、それでもなおかつ本法の趣旨を十分生かし得るというお話でしたが、しかし、この法律のねらいというのは、提案理由説明の中にもはっきりと書いておりますが、両業界の目標である輸出の拡大と、海外市場への積極的なマーケッテングを行なうため、従来の中小企業団体法等の施策を補完するために制定されたのが本法である。これはあくまでも補完法であって、本家本元は中小企業団体法による運営だ。中小企業団体法による調整命令等についても、業界の自主的な意見、動向によって処理されるんだ、もし、三分の一以上が反対の意見ということになってくれば、団体法に基づく調整活動なんということは、これは発動することができなくなってきて、当然、この法律一つの柱である登録停止の問題等も、通産省としては、これはやめねばならぬということにもなってくるわけですね。そうなれば、この法律の趣旨というものは半分の使命というものはなくなるんじゃありませんか。かりに、輸出振興事業協会が残るからといっても、いわゆるそれに登録された業者全体が参加して、初めて輸出振興事業協会の使命というものが全うされるのであって、登録の停止ができなくなったということになってくれば、おのずから輸出振興事業協会の役割り、機能というものもそこで大幅にこれはなくなってしまうのであって、そういうことを考えてみますと、最近のこの業種の動きというものは、しかく簡単に、局長の先ほどの答弁のごとく楽観できるわけじゃない、こう私は考えるわけです。やはりこの法律が延長され、さらにこの法律がその目的とする使命を達成するためには、国体法に基づく、三分の一以上の反対で、業界がこの法律の精神に即してやっていこうとする体制ができなければ、これは私は法律の精神がなくなると思うのです。この点についての考え方と対策、所見を伺いたいと思います。
  125. 田中榮一

    政府委員(田中榮一君) きょう竹下政務次官がちょっと差しつかえがございますので、私がかわりまして出ました。一応、ただいまの田畑委員の御質問に対しましてお答え申し上げたいと思います。  この双眼鏡の生産並びに輸出に関しましては、実はもう相当の長い間いろいろと組合の内部におきましても紛糾がございまして、実を申しますと、私の選挙区の中にあるものが大部分がこの生産業者なり輸出業者でございます。したがいまして、われわれも両方の意見はいままで十分聞いておるわけでございます。そこで前から、もう昨年来からワクをひとつぜひ撤廃してもらいたい、こういうことをわれわれのところにも何回も陳情なり嘆願がまいっております。で、また一面、このワクがあったほうが、将来の今後の輸出体制を整備するとか、あるいはまた品質の向上がぜひ必要であるからして、これをぜひとも残してもらいたい、こういうまた一派の陳情もございまして、両方の間に立ちまして、われわれも第三者としていろいろまあこの問題について考えておったわけであります。そこで、だんだん組合の内部の事情を聞いてみますと、中には、こうして本法を存続して、そうして本法の適用によって今後の運営をしていくということについては何ら支障はない。しかしながら、組合が自主的に現在割り当て制をやっておりますので、それに対して、いろいろやり方に対して非常に不平不満がある。だから、こういうものは非常にかえって弊害があるのだから、こういうものを政府がこのまま認めておくということは、かえって弊害があるのじゃないか。中には、相当生産意欲がございまして、そうしてもう設備をどんどん拡張して、もっと生産したいというものも中にはあるわけです。ところが、従来の実績によって生産の割り当てを受けるものでありますから、もっと生産をしたいという意欲と努力を持ちながら、どうしても生産することができないというものは、非常に不平であります。この割り当てに対しましては。したがって、私どもは、このいまの組合の内部の紛争等も、先ほど奥委員から仰せのごとくに、政府側といたしましても、いま少しく本法の精神なり趣旨を十分にひとつ理解をさして、そうして反対する者に対しましても、こういう趣旨なんだからということを十分に理解さして、そうしてなおかつ、その運営のやり方について、まずい点があり、またやり方について不適当な点があり、不公平な点があるならば、これはひとつ政府としましても、組合に十分に勧告いたしまして、その方法等につきましても反省をさせ、これを是正さしていく必要があるのじゃないかと、かように考えております。しかしながら、本質的に絶対にこれはもう必要はない、こんなものは必要ないのだ、全部撤廃しろという意見の者も中にはございます。しかし、こうした一部の意見のあることは、これはどうもやむを得ないと思うのでありまするが、まあ今後の双眼鏡の輸出をさらに振興させ、またこれの品質の向上をさせるためには、本法の存続というものは、まあ第三者から、私もその当時はやむを得ないのじゃないかと考えておったわけでございますが、今後もひとつこういう方面に、政府としても努力いたしまして、いろいろ皆さま方の御意見も十分拝聴いたしまして、こういう点を取り入れまして、是正すべきものは是正していったらどうかとへかように考えております。  それからなお、これは五年続けて五年後にどうするかというお話でございましたが、むしろわれわれとしては、こういうものはなるべく早く撤廃したほうがいいのじゃないか、自由主義経済においてもこういうものはなるべく自由にやったほうがいいのじゃないかと、こう考えておりまするが、何分現在の双眼鏡の業界の現状から見ますと、これを野放しにするということは、非常に将来混乱を来たすおそれもございますので、まあ、めどとして一応五年程度をひとつ存続して、この規定は「五年以内に廃止するものとする。」という表現になっております。したがって、業界がこういうものをもう存続しなくてもよろしいのだというような水準に達しましたならば、これはわれわれはあくまで五年間だけこれをやらなくちゃいけないのだというような意思は持っておりません。これはまあできれば、なるべく早い機会にむしろ野放しにしてもいいのじゃないか。しかし、それは業界がそういう状態になるという条件のもとに、そういう野放しにしても、何ら混乱を生じない、絶対に安全だというような状態でありまするならば、これは私は五年を何もあくまでも固持する必要はないと思いますが、まあ、一応めどとしては五年というころをひとつめどにさしていただきまして、そしてこれでもって、さらに業界の刷新改善をはかっていったらどうか、かように考えておるわけでございます。
  126. 田畑金光

    ○田畑金光君 政務次官のお話はそれとしてよくわかるんです。ただ私の考え方は、この種法律は、いまのミシンだの双眼鏡というものを考えると、しかもこれがほとんど輸出商品だということを考えると、また零細企業であるという性格から見て、この種の法律は必要だという前提なんです。むしろ私は、五年経過後もこの法律をなくする条件は生まれてこぬのじゃないか。これは政務次官のお話のように、輸出秩序が確立され、業界の事業運営が、自主的に秩序ある運営ができるならば、理想としては法律をなくすることは望ましいことであっても、五年後にこの法律をなくする条件は私はなかなかこぬと、こう思うんです。したがって、私はこの法律の必要を認めるという前提の上に立って、この運用については、いろいろいま政務次官の御答弁のように、十分善処されることを要望しますが、何といってもやはり不満の出るところは、そのワクの割り振りの問題だと、こう思うんです。しかも、そのワクの割り振りにあたって、先ほど来の質疑応答の中で明らかになったように、全然設備があるのか、技術を持っておるのか、技術者がいるのかわからないような五十ないし六十社の業者が、単なるワクを持って、ワクの権利の売り買いによってもうけておる、いわばブローカー的な存在がまだあるやに拝聴いたしましたから、そういうような面はひとつ行政指導によってなくしてもらいたいということが一つです。それから第二の、実はいま局長に質問いたしたのは、もし、かりに、今後二十三日の総会で、三分の一の多数がこの法律の精神に基づく調整活動はもう反対だときめた場合に、団体法に基づいてこの調整活動というものができなくなった場合に、その上につくられたのがこの法律のたてまえがくずれてきはしませんかと。そうなってくれば、この法律の施行等についても大きな障害が出てきますから、私はこの法律の採決等についても、二十三日の動きを見なければ、法律の機能というものが疑問が出てきます。その段階においては。それまでは疑問が続いておりますから、三月二十三日の業界の自主的な結論を見なければ、この法律を論議するのもどうかという感じを持ちますから、その点に対して、局長はどのように見通し、どのような指導をなされようとしておるのか、それをお聞きしたわけです。
  127. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) もしそういうふうな事態があった場合には、先ほど申し上げましたように、団体法に基づく調整行為が廃止されるわけでございまして、したがってアウトサイダー規制命令も廃止される。そこでこの法律に関連してまいりますのは、新規の登録をいまのところ停止しておりますが、その停止措置がなくなりまして、新規登録ができるというふうな形になるわけでございまして、その意味では登録業者が数がふえるという可能性が出てくるわけであります。それ以外の点につきましては、やはりこの登録制のメリットと申しますか、登録のあるものだけのメーカーによってつくられた製品が輸出されるということだとか、あるいはアッセンブル・メーカーを登録することによりまして、その実態を把握するとか、あるいは輸出振興事業協会の活動によりまして、対外活動が継続されるという、そういうメリットというものは、なお依然として残るわけでございます。なお、根本的に、この団体法の調整活動が、調整業務を実際に停止するかどうかというふうな問題でございますが、私どものほうは客観的な情勢からこれを考えまして、やはりこの間のようなことではなくして、調整活動は再開されるという見通しを持っておるわけでございます。またその点は、この双眼鏡の組み立て業者だけの問題でございまして、あとの部品業者並びに双眼鏡の輸出業者、いずれも調整活動は従来どおり継続いたしまして、そういう所要の手続をいま踏みつつあるわけでございまして、ひとり完成メーカーだけが調整活動をはずして、みずから非常に不利な立場にみずからをおとしいれるということはあり得ないと考えておりまして、あくまでも調整活動はおそらく再開されるものというふうに考えておるわけでございます。
  128. 田畑金光

    ○田畑金光君 私は一番最後の、調整活動は再開されるであろうような方向に指導するなり、業界の世論の統一をはかるように御努力願いたいというのが結論です。以上です。
  129. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日は、これをもって散会いたします。    午後三時四十六分散会      ―――――・―――――