運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-03-05 第46回国会 参議院 商工委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月五日(木曜日)    午前十時四十分開会     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     前田 久吉君    理事            赤間 文三君            上原 正吉君            近藤 信一君            田畑 金光君    委員            大谷藤之助君            岸田 幸雄君            八木 一郎君            吉武 恵市君            阿部 竹松君            大矢  正君            椿  繁夫君            中田 吉雄君            藤田  進君            奥 むめお君   衆議院議員    発  議  者 神田  博君    発  議  者 小笠 公韶君    発  議  者 春日 一幸君   国務大臣    通商産業大臣  福田  一君   政府委員    通商産業政務次    官       竹下  登君    通商産業省公益    事業局長    宮本  惇君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   参考人    電源開発株式会    社総裁     藤井 崇治君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○消費者基本法案衆議院送付予備  審査) ○電源開発促進法の一部を改正する法  律案衆議院提出)     —————————————
  2. 前田久吉

    委員長前田久吉君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員長及び理事打ち合わせ会協議事項について御報告いたします。  本日は予定どおり消費者基本法案及び市場支配的事業者経済力濫用防止に関する法律案提案理由説明を聴取し、電源開発促進法の一部を改正する法律案質疑を行ない、時間があれば先議法案質疑を行ない、午後は電子工業関係工場視察を行なうことになりましたから御了承願います。     —————————————
  3. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 次に、一月二十一日予備審査のため、本委員会に付託されました消費者基本法案議題といたします。  発議者春日一幸君から提案理由説明を聴取いたします。発議者春日一幸君。
  4. 春日一幸

    衆議院議員春日一幸君) お許しを得まして、消費者基本法案提案理由を御説明申し上げます。  本案前文の冒頭に述べましたように、国民個人消費、すなわち年間の国民所得支出面で分析するとき、そのうちで個人消費支出の大きさは、全体の過半を占めており、経済活動の基盤となっております。しかるに、現在の、国の経済政策は、生産流通本位で、国民消費についての施策は甚だしく立ちおくれております。  しかも最近は、技術革新の進展に伴って、生産力は増大し、かつ国民消費購買力も増大して、いわゆる大量生産大量消費時代流通革命時代に入りまして、商品サービスの種類はますます多くなりました。かつまた、大企業生産流通部門に強く進出してきまして、「消費者は王様」という美名のもとに、実は国民消費生活が大企業本位経済機構に完全に巻きこまれるに至っております。  申すまでもなく、国民は毎日の日常生活で、すべて消費者であります。したがって、国民日常消費についての国の施策を充実し、確立することは、国の主権者である国民消費を充実し向上するという国の施策の当然の義務を履行することであります。  この意味において、本案は、国民消費生活の向かうべき新たな道を明らかにし、消費保護と充実についての政策基本を定めるものであります。  本案は、ただいま述べましたような趣旨を明らかにした前文と、法の主文で構成されております。  法の主文は、第一章総則、第二章一般消費者保護、第三章行政機関及び消費者団体、第四章消費者保護政策審議会の四章よりなっております。  第一章総則の第一条政策目標として、本案にいう国民消費生活に関する国の政策目標は、国民日常生活の用に供される商品サービスについてである旨を明らかにしました。すなわち、本案は、特殊な高級消費、浪費、ぜいたくの購入までも政策対象とするものではありません。あくまでも国民日常消費のみを対象とするものであります。  第二条で、国の施策基本は何であるか、十項目に分けて明らかにしました。この内容は、第二章で各条ごとに具体的に規定することにしました。かつまた独禁法で指定する不当行為、不公正行為についても、本案は、施策の範囲といたします。地方公共団体も国の施策に準じて施策実施することとし、政府実施に必要な法制、金融と財政上の措置をとるものであります。  第二章では、価格、計量、商品の表示、危害の防止標準化の各条項を定めて、商品サービスが持つ本来的な要素についての基本政策を定めました。  本案の特長とするところは、それらの条項に続く第十二条国民普及型商品、第十三条消費者金融、第十四条不利益救済、第十五条消費者教育広報活動、第十六条消費者意見の国の施策への反映の各条項であります。すなわち、第二章第七条価格より第十一条標準化までが、商品サービスが本来的に持つ要素についての基本規定であるのに対しまして、第十二条から第十六条までは、積極的に国民日常消費を充実し向上するための基本規定であります。  第十二条国民普及型商品とは、家庭電気器具大型家具類などのような耐久消費財をより多くの国民家庭に安い価格供給する態勢をつくるための施策であります。いまやこれらの商品は大企業大量生産し、誇大な宣伝のもとに販売しておりますが、毎年のように新型品を販売して、新型なるがゆえに価格引き下げをなかなかやらないという営業方針をとっております。これに対して、本案では、国民普及型商品を指定した耐久消費財商品について法定して、これを安い価格で大量供給する制度を確立するものであります。なお、これらの普及型については、企業側がアフターサービス義務を負うことに定めます。  消費者金融不利益救済消費者教育消費者意見については、それぞれの条項を御参照願いたいと存じます。  第三章は、第十七条消費者保護行政について、独自の行政組織を確立すること、第十八条消費者団体を育成し整備する規定であります。  第四章消費者保護政策審議会は、特に総理府に設置しまして行政機関に諮問答申し、調査審議する民主的な諮問機関であります。  以上が本案の概要でありますが、何とぞ慎重審議の上、御賛成賜わらんことを切望して提案説明を終わります。
  5. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 以上で提案理由説明は終了いたしました。自後の審査は後日に譲ることといたします。  なお、先ほど申し上げました市場支配的事業者経済力濫用防止に関する法律案提案理由説明については、提案者の都合により後日に行ないたいとの申し出がありましたので、御了承願います。
  6. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 次に、電源開発促進法の一部を改正する法律案議題といたします。前回に引き続いて質疑を行ないます。  なお、本日は発議者及び政府委員の方と、先般御決定願いました参考人として電源開発株式会社総裁藤井崇治君が出席されております。  それでは御質疑のおありの方は順次御発言願います。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  7. 前田久吉

    委員長前田久吉君) それでは速記をつけてください。
  8. 藤田進

    藤田進君 提案者にお伺いいたしますが、先般議員提出になったことについて、その本意は、この問題に関する限り政府提出が望ましい、諸般事情から今回引き続き、前回に引き続いて提案したのだということでありますので、その点はそれといたしまして、しからば、理事の今回三名という必要をお感じになったということは、提案理由説明等にありますけれども、その前段は規模が漸次大きくなったという点が主要な点だと思う。そこでさらに、この三名を必要とするという上に立って、今後将来どういうふうに想定されているか。大体三名という、従来の五名に加えて八名ということになれば、これで電源開発株式会社それ自体の自主的な政策なり、政府政策なり、開発その他の規模等から見て、これでいいというのか、あるいはまた将来増員可能性は出てくるというのか、電源開発株式会社発展というようなことから、どういうふうに現時点ではお考えになっているか。
  9. 神田博

    衆議院議員神田博君) お答えいたします。ただいまの電源開発会社理事三名の増員についてでございますが、私ども大体今回お願いしております三名を増員できれば、当分の間これでやっていけるということは、よほどの情勢変化のない限りは、これで相当やっていけるのだ、こういう見通しで三名にしぼったわけであります。
  10. 藤田進

    藤田進君 提案者立場から言えば、現状九電力、それに電源開発株式会社原子力発電株式会社、さらに公営あるいは自家発という、いわばかなり、独占企業の中でも、諸外国に見られる、ことに最近の集約的段階にある趨勢から見て、複雑な状況日本を呈しているわけです。こういう電気事業主体的事情の中において、電源開発会社の将来について、すでに電気事業法も出されるという段階でございまするので、どういうふうな役割りを期待し、電気事業全体の中における位置づけとしては、電源開発株式会社をどう持っていったのが一番わが国消費者の面から見ても、電気事業自体の合理的な発展から見てもいいか。これが当初、御承知のように大規模であり、開発困難な所、資金的その他ですね、こういうことから電源開発会社特殊会社として設立された。この点によってまあネックを打開するというのが趣旨でございます。その後当該開発せられました発電所保有あるいは送電幹線保有といったように、業務が漸次拡大してきたわけです。こういったような状態で、わが国電気事業のあり方、詳しい点についてはいずれ電気事業法の中で論じたいと思いますが、提案者の御見識を承るのも電気事業法ではむずかしいかと思いますので、この際、その御抱負をお聞かせいただきたい。
  11. 神田博

    衆議院議員神田博君) 電発電力事業における位置づけと申しましょうか、将来の構想ということをお聞きしたいということでございますが、これは申し上げますといろいろ考えもないわけではございませんが、しかし、ここで私が申し上げて、何か私見を申し上げるようなことになりましても、はばかることもあるのではなかろうかという気もいたしますので、大胆率直にこう申し上げるというようなことは慎んだほうがいいんではないかというような気もいたします。  そこで、せっかくのお尋ねでございますので、若干申し上げてみたいと思いますが、電発を設立さしたいというようなことで、この法案をつくった当初の考え方からでございますが、九電力日本電力供給をやっていく、あるいは開発をやっていくというようなことについては、どうも当時のあの分割された情勢から考えて、御承知のように、相当不備と申しましょうか、ぎごちない点があったわけでございます。まあ特殊会社の性格を持った電発をつくりまして、そして大容量の発電所をつくる、あるいは政府資金を投入して、まあひとつ豊富低廉な電力供給させようというようなことで、この会社ができたわけでございますが、その後、ただいまお話がございましたように、性格的にもまたその使命がだんだん重加してまいっておるわけでございます。ことにまた火主水従と申しましょうか、相当大きな火力が出てまいる、あるいはまたピーク用水力もある程度持っていかなくちゃならぬ。そういうことになりますと、電源開発地帯が奥地になってまいりますので、これらもいまの九電力がコマーシャル・ベースでやっていくには必ずしも適当じゃないというようなことで、しかも、多目的のダムを持っておるというようなことで、そういう点から言っても、電発の将来というものは、やはり相当長期を予想されるのじゃないか。特にまた石炭政策上、石炭火力電発が相当部分受け持って、石炭産業の安定に一役買おうというようなこと、さらに超高圧線の問題あるいはまた行く行くは原子力発電というようなことも、相当これは担当していかなければならないのじゃないか等々のことを考えますと、これはむしろ藤田先生のほうがなお専門でございますから、私が申し上げるまでもなく、電発電力界における位置というものは、相当やはり重要性が加わってまいるのじゃなかろうか。そういう諸般のことも考えまして、こうした理事増員をして万全を期したい、こういうふうに考えております。
  12. 藤田進

    藤田進君 現在電源開発会社事業規模というものは、九電力の中のそれと比較いたしましても、かなり膨大な業務を背負っておることは私もよく承知いたしておるのであります。この提供せられました資料によりますと、九電力北海道から九州までの取締役陣営はその数において最低のところが十五名。実際に定款はそうであっても、現在補充されておる実人員は、ここに表示されておるのは最低北海道の十名、こうなっておるわけであります。この各電力取締役陣営つまり電発で言えば理事に相当すると見なければなりますまい。これがいま提案され、当分これでいけるであろうという八名との対比において、かなり開きがあると思われるわけです。九電力状況を見ますと、会社資本金なり供給区域規模なり保有発電設備といったようなことについては必ずしも比例していないことは、これでわかるのであります。四国の十五名とそれから三大電力といわれる中部電力が十五名といったようなこと、四国に比べて中国が十二名、こういう関連から見て、電源開発株式会社の八名というのは、電源開発会社業務様態が九電力会社よりは違うという意味でこういうことになるのか、あるいは電発会社は苦しいだろうがプラス三名でやっていけということなのか、これは物理的に、数学的な計算はできないにしても、大まかに見て業務量その他を比較するときに、電源開発株式会社が従来五名でやってきた、今度プラス三名で八名ということについては、私どもこれは一体九電力のほうが多過ぎるのか、どうなんだろうかという判断に苦しむわけです。三名増員については、それぞれここにも言われているように、根拠もあるわけですが、しかし、比較論が全然提供されておりません。この際、こういった同種の産業における陣容との比較において、八名対いま申し上げた九電力関係はどう認識をされているかお伺いいたしたい。
  13. 神田博

    衆議院議員神田博君) ただいま藤田さんのお尋ねでございますが、この電発理事を何名が一体いまの事業量に比べまして適当かということにつきましては、実は私どももいろいろ議論いたしまして、ただいまお述べになりましたような御意見も非常に出たわけでございます。また同時に、電発総裁等からもいろいろ事情も詳細お聞きし、また党、政府の間に十分折衝いたした次第でございます。その過程におきまして、いまお述べになりましたようなこと等々非常に議論があったのでございますが、電力会社とは性質の違うことも御承知のとおりでございまするし、また他の公団等人事定員等関係も実は検討いたしまして、最小限と申しましょうか、この辺でひとつどうだろうかというような、煮詰めていって八名になるのでございまして、何名がいいかということについては、まあ十名ぐらいこの際一ぺんにしたらいいじゃないかというような非常な有力な議論もあったのでございますが、五名に三名というと六割増加ということにもなりますので、この辺でひとつどうだろうかというような結論になりまして、電発側三名増員すれば、特に大きな変化のない限りは、当分の問はやっていけますというようなことできまったわけでございます。全くいまお話にございましたように、何名がいいかというようなものさしのあて方が、なかなかむずかしいのでございまして、議論をし、いろいろ検討を加えまして、煮詰めて三名増員、こういうことになったわけで、その点、そういうように御了承を願いたいと思います。
  14. 藤田進

    藤田進君 どうも速記をつけて聞くとあれですが、当初三名というものは、これでしばらくやっていけるという構想のもとにきめられた以上、根拠があると思うのですが、いまの御答弁では三名の根拠はないが、一応この辺でという感じでおきめになったように思うわけです。  さて、これはそれぞれ法人としての内部運営というものは、今日各種の運営方法があるのであります。電力の中においてもそれぞれの取締役、特に常務取締役業務分担を持って、社長なり会長がこれを総括していくというやり方もございます。あるいはそれぞれの業務分担は特定なものは持たないで、いわば集団運営というか常務会中心主義、これという業務分担を持たないで、隔日あるいは毎日のように常務会という会議で事を決定していく、部長中心主義といったような方法もあるわけで、ここで拝見いたしますと、理事八名の担当業務として電源開発会社はそれぞれ分担を持って、ここに八人の所管をおきめになった運営やり方をお考えになっていると思うのです。  そこで理事が少数であれば、五名の理事分担をするという方法もありましょうし、業務機構としては部局長制をとっているとすれば、そこにある程度委任専決事項という形で社内処理をされていく場合もありましょう。この電源開発会社の場合に、理事にするということには、かねてからいろいろ私ども注目するものがあるのであります。この点は通産大臣にもお答えいただきたいのですが、当初の電源開発会社法なり促進法提案者の一人でもあった通産大臣でもありますが、ややもすると、このような長期にわたる総合計画電力という基幹産業に従事する役員、ことに総裁をはじめ副総裁あるいは理事、まあ部長等にもかなり至っておりますが、ここで個々のことは申し上げたくないと思いますが、時の政治の影響を非常に受ける。最近かなり安定した感は持って私どもも見ているわけですけれども、何かの拍子に、政界事情によって総裁が一期二年で、あるいは重要な理事が一期二年で、さした過誤もないのにすぐ更迭されてゆく。いわば安心して仕事にすべてを打ち込んでやっていると、案外政界方面が手薄になって、あいつはどうもというようなことではないかと私は思うのです。開闢以来、高碕さん以来、ひとつ過去を振り返ってお考えいただければわかると思います。表面の理由はいろいろありましょう。けれどもかなり不安定な状態のもとに、これだけ大きな会社というものが、その中軸部において、首脳部において不安定なものがあったのじゃないか。今回も三名をふやすということについては、承りますと、業務量等においてやっていけなくなったということですから、そのまますなおに受ければいいのですが、あるいは人が先にきまって——通産大臣、先般中小企業庁長官所管中小企業関係主体とする下請代金支払い促進というようなことの関連質疑において、どうも現役通産なり諸官庁の幹部がいわゆる民間へ横すべりをするという傾向が非常に多い。中小企業を守ってやるというポストにいた人たちが、いきなり大企業へ、むしろ中小企業——あのときの私の表現では、いじめるような立場にあったわけです。そういうことはどうかということについて、御答弁があったので、私もその後速記録を引き出して調べてみました。このことは、私が申し上げるまでもなく、すでに国会では問題になって、いまでも人事院報告等に基づいて、池田総理もこの点については触れて、閣議でも御発言になっているわけですが、こういったような客観的な事情が諸官庁、各省庁の首脳部人事の中にはあるわけで、勘ぐれば若干そういったような必要性も百のうち一%か五%かあるのじゃないだろうかということを、当初敏感な人たちは特に指摘していたわけです。今回の場合は、これを必要とするという理由考えるというと、自然これにふさわしい理事というものを充当し、身分も安定して仕事に一〇〇%取り組んでもらう。わが国電気事業のために、需用者のために、消費者のためにやらせるということでなくちゃならぬと思う。このように、一連のいま問題になっている人事院報告等関連して両院でも問題になった、内閣でも注目されているような——三名増員にはそのようなことは一切ないと私は思うのですが、実施段階においてもそれぞれエキスパートとしてすでにここ数年、かれこれもう十年になりますか、電源開発会社としてはかなりの主体的にも陣容は持っていると私は推定するのであります。したがって、三名というものがここに成立し、実施されるということになれば、いわばそういった電源開発株式会社自主性というものも尊重しながら、片や通産大臣としては全責任を持ち、議会に対しても全責任を持っておられる所管大臣ですから、この意見はもちろんあってしかるべきだと思いますけれども、その意思の決定ということについては、当然自主的な意見も参酌されつつ、いわば過去若干見受けられたようなことのないように、事業主体考えていかれるべきじゃないだろうかと思うわけですが、この際、念のために提案者及び通産大臣にこの点を明確にお答えをいただきたい。
  15. 福田一

    国務大臣福田一君) ただいまいわゆる天下り的な人事とか、公社、公団ができるようになると、とかく関係省の役人がそれに入っていくというようなおそれがある、今回の場合においては、そういうことではなくして、実際の必要を認めてやるのであるから、会社内部事情というものを中心にして人事を進めるべきではないかというような御質問と承るのであります。われわれ通産省といたしましても、今回この法律が成立をいたしました場合には、会社自主性というものを重んじ、また仕事本位にして人事が進められていくものと考えております。もちろんこれについては、きまれば総裁から通産省のほうへお話があることになっており、そういう手続になると思うのであります。従来もそうでございましたし、そういう手続になりますが、その場合においても、ただいま藤田委員の言われたような御趣旨で人選が進められるものと信じており、そういうような趣旨で進められてきた人事について、私はとやこう異議を差しはさむ意思は毛頭ございません。
  16. 藤田進

    藤田進君 この際、電源開発会社藤井総裁にお伺いしますが、これは前回以来継続審議になってまいりましたわけです。ちょうど電気事業法も出されるということでございます。あとから明確な予想について答弁があると思いますが、私どもの承っているところでは、少なくとも今月上旬までにお出しになるのではないかと思う。そうすれば一連電気事業全体の問題として論ぜられる機会があるわけで、そういう時期まで待って、その上で決定してもいいんじゃないだろうかという意見もあるわけです。しかし、非常に他面急がれているということも聞くわけです。これが急がれる理由並びに決定いたしますればどういう手順をふんで、どういう時期にこれが実際の理事として就任されるという、そして業務を担当されるということに、時間的にいって、将来の展開はどのようになるだろうか、まずお伺いします。
  17. 藤井崇治

    参考人藤井崇治君) ただいまのお尋ねにつきましては、実は理事増員につきましては、御承知のように、当初は建設のみを目的にしてこの会社が設立されたのでありまするが、当時の情勢として、各電力会社ともまだ基礎が十分でなくて、せっかく建設した発電所を各電力会社にそのまま引き取ってもらうという体制になかったために、引き続いてこの電源開発会社運営までも引き受けてやるということにして推移してきておったのでございますが、次々と佐久間、田子倉、奥只見、御母衣というような大きな水力発電所ができますと同時に、日本石炭有効利用というようなことも目ざして若松に低品位炭を処理する火力発電所を作ったりいたしてまいったのでありますが、ちょうど九分割されましたために、そのよさもありまするが、またそのためのぎごちなさもございますので、幸い電発というものがありますために、二地帯間の需給がうまくバランスがとれるというようなことから、六年ほど前から広域運営をやることになりまして、その広域運営実施する場合に、ちょうどここにおられる岸田先生の御在社当時のことでございますが、電発が一役買わなければ広域運営はうまくいかない、こういう業者間の御希望がございまして、広域運営に踏み切ったのでございますが、間もなく私がただいまの地位を引き受けることになりました。これはきわめてもっともなことだというので、私といたしましては、広域運営に相当な協力をいたしたつもりでございます。幸いに今日ではそれが一年一年とだんだん程度が進んでまいりました。そうしていまでは各九電力会社電発が加って十電力会社の協調によってあれほど一時窮屈であった需給の関係が、今日ではまず平衡を得た。産業界に対しましても、一般国民の方々に対しましても、不自由をかけないようなことができるようになったと思うのでございます。特に電発が、東西幹線と申しておりますが、佐久間を中心にした名古屋から奥只見に出るところの超高圧送電線の建設とか、あるいは中国、四国の間の瀬戸内海横断を、これは世界的に画期的なものだと私どもは自負しておりますが、それを建設いたしましたようなことで、それが相当な働きをいたしまして、一時四国電力等におきましては、非常な渇水で電力の需給のバランスがくずれて非常に危機を訴えたことがあるのでございますが、そういう場合に、本土から電気を供給して事なきを得たというようなことがございまして、これはまあ私どもが申し上げると、いささか口幅ったいような感じがいたしますが、相当成果をあげておるのでございます。ことに最近になりましては、各電力会社がひとつ計画までも一緒にやろうじゃないか、一つの計画によってやろうじゃないかというような機運になりまして、それがもとになって、今度は石炭政策に御協力申し上げる意味で、火力発電を——石炭の揚げ地発電の、火力発電を電発では引き受けないかという話が、これはもうそのとおりに電力会社側からの要請によって計画が進められまして、幸いに今国会にその予算が組まれて御審議をお願いしておる段階になっておるのでございます。  そういうように、当初会社が設立されたときよりも、よほど変化してまいっております。それは私ども当時の速記録なりいろいろの経緯から漏れ承っておりますると、参議院におきまして電源開発促進法が改正されるときに、ちょっとよけいにいい意味において御修正願ったことが、あべこべに今日では非常に効果を発してきておると思うのでございます。こういう情勢が今後一そう強化されてくると存じます。  そういたしますると、電源開発株式会社というものは政府の有力な機関として電力政策を御遂行になる場合に非常にお役に立つのではないかと思います。と同時に、電発といたしましても、九電力との間に非常な緊密な関係を来たしておるのでございます。そういうような状態になってまいりますと、建設だけでやっておった当時に五名の理事が一生懸命やっておったのでございまするが、手がどうしても張ってまいります。九電力との交渉が非常に複雑になってまいります。これは需給関係ばかりでなく、料金の決定等もそうしなければなりません。九電力の側におきましては、少なくとも常務クラス以上の方、大体副社長の方がおやりになっておるようでございますが、副社長が二人もおられる電力会社さんもあるくらいで、これは下のほうへまかしておけない。また最後のものを、いつまでも小田原評議しておるわけにいきません。適当なときには話を煮詰めていかなければなりません。そういうときに会社としても相当な責任者を出していかなければならない。こういう事情に追い込まれてまいりまして、九電力との関係が非常に複雑になってきております。  それから建設自体につきましても、かつては奥地開発だといってわりあい補償問題等も単純なところを手をつけておったらよかったのでありますが、地点が奥地化したりあるいは非常な複雑な多種利水等との関係もございまして、そういうようなものの調整に当たらせなければならない、その場合にやはり出かけていって御相談申し上げる相手方は、知事さんなりあるいは地方議会の議長さんなりを相手にして御相談しなければならないという場合に、かつてはまあ部長あるいは課長くらいで済んでおったものが、そうまいりません。話をどうしても最後の段階に煮詰めていきます場合においては、理事が出ていかなければならない。  それからいまひとつ、特に切実に感じておりますることは、先年国会でこれも促進法の御改正を願って、海外の技術協力ができるようになりまして、それまではまあ日陰者として実際の人間を出してお手伝いはしておりましたが、堂々とコンサルタントの程度までは、ひとつ電発がやったらよかろうというのでやっておるのでございますが、これはもうすでにペルー、タイ、この両国においてはコンサルタントの契約までも取り進めて、工事が進められておる地点がございまするが、その他いろいろ調査の依頼を受けております。ところがこれは私どもは国内の同業者の平和を乱さないようには最善の努力はしておりまするけれども、とにかく何といっても政府機関であるということが諸外国の信頼を集めるとみえまして、電源開発会社にいろいろの調査の依頼を受けておる。また技術者の養成を頼まれているというようなことがございまして、そういう場合に、外国へ派遣いたしまする人間が——やはりペルーの場合なんか大統領みずからがおやりになった。タイの場合も総理大臣がみずから立ち上がられるといったようなことがございまして、やはり海外へ派遣する場合にも相当な資格者が行く。できれば私みずからが出かけて行く必要があるのでございますが、全部そういうわけにもまいりません。  そういうようなわけで、実はかねがね理事増員をやっていただきたいというので、おととしくらいから私は切実に役所にもお願いし、それから当時電源開発促進法をおつくり願った当時の提案者の方々に、まあここに通産大臣もおられますし、神田先生もおられるのでございまするが、その他の方々に何とかしてひとついまの手薄な理事をふやすことをやっていただけませんかということをだいぶ前からお願いしておったのでございまして、それでそのようなことから昨年来、まあ政府もいろいろ御都合がありましょうから、それならひとつ議員提案でやってやろうかという御同情をいただきまして、継続審議にまでもっていっていただいたようなわけでございます。全くこれは私のほうの会社の都合で一日も早くひとつ理事をふやしていただきたいということをお願いしてまいったような次第でございます。
  18. 藤田進

    藤田進君 わかりましたが、これがきまりますれば、どういうプロセスでいつごろ理事というものが業務をほんとうに分担するということになるのか。またその御希望の時期はいつごろなのか。重ねて伺いたい。
  19. 藤井崇治

    参考人藤井崇治君) これが御決定願えれば、一日も早いほうが先ほども申しましたような事情でよろしいのでございまして、国会を通過いたしますれば、これは緊急に定款も変えなければなりませんので、緊急の総会を開きまして定款の改正をし、できることならば年度がわり早々四月一日くらいに理事の任命ができるようにこれは持っていきたいと、こう考えております。もっともそのためには各電力会社のいわゆる株主さんの御都合も承らなければなりませんが、私はそういう手段までとって、せっかくお願いした以上は一日も早くやりたい。また一日も早くやらなければいけないほど実はタイなんかでもやかましく言ってきているのでありまして、実は内々非常にあせっているような次第でございます。
  20. 藤田進

    藤田進君 かなり広範な点を指摘しながらお伺いしたいのですが、時間の都合もありますので、主要な点だけをお尋ねいたしますが、電源開発会社総裁とされては、過去を振り返り、今日のわが国の電気、電力事情等を考えられまして、将来どのように電源開発会社としてあるべきか。ことに当面する石炭火力に進出してお行きになるということですが、これも進めながらさらに大水力開発もするということなのか。漸次有利な、包蔵水力も枯渇してくるからしてコストの面、あるいは石炭政策という国策の面等から、将来はおおむね水力から火力へとその開発については主力を置くべきだと思われているのか。まず、この点御所見を承りたい。
  21. 藤井崇治

    参考人藤井崇治君) 将来の問題でございまするが、もちろん火力のほうに重点が移ってきておりますことは、水力の地点が枯渇したことも一つの理由でございましょうし、またコスト高になっているということも理由でございますが、私はやはり水力開発は今後とも進めていくべきものと考えております。もちろんそれはコストは高くはなりますけれども、水資源ほど私は根本的に考え、できるだけ有効に使っていかなければいけない、こう考えておりまするので、不利益にはなっておりまするけれどもが、まだわが国といたしましての包蔵水力は相当なものがございますから、これは進めていきたいと考えております。ただそのためには、あるいは下流の低落差の地点でありましても、工業用水、農業用水等との関係も考慮して、既設の発電所の性能をにらみ合わせながらやっていかなければならぬ地点も相当ありますので、そういう問題も考えておるわけでございまして、一例を申しまするならば、天龍川の下流におきましては、あれは非常に砂利が深く川幅も広いのでありますが、いかにしてこれを安い、しかも割合安全な方法で工事ができないものかというので、いまフロービング・ダムというようなものまでも研究を進めているわけでございまして、これは水力は今後といえどもやめてはいけない。ことに、日本のように資源の乏しい国におきましては、どうしても国内にある資源は、私は一厘も外貨を使わぬでもすむところの水力開発というものはできるだけのものを開発していったほうが国利になると、こう考えておりますので、それは政府御当局にお願いをいたしまして、開発を進めていきたいと思いますし、それから火力の問題でございまするが、もちろん需要が増大いたしますると、どうしても火力に重点が置かれ、今日では出力でこそ火力水力はほぼ半々になっておりますが、やがて火力のほうがオーバーしていくことは、これは免れないと思います。現時点におきましては、石油火力のほうがコストでは有利でございますが、コストなり操作の上では有利でございますが、しかし、国内にありますところの石炭も、これは考えていかなければならない。これは申し上げるまでもなく、藤田先生等の十分御承知のとおりの事情でございますので、私どもはそういう国の政策に協力するのが国策会社の使命だとこう考えまして、石炭火力につきましても、できるだけのことはひとつやってみたい。ただ御承知のように、石炭火力の場合におきましては、大きな意味と、合理的な地点に開発してこそ、多少でもコストが下がるのでございますから、そうするためには、やっぱり数社一緒の立場に立った計画のほうがよろしいと思いまして、やはり大きな意味と、できるだけ安いものを作る。そうするためには、広域運営の精神に徹していく、こういういき方でできるだけ石炭の合理化をはかっていくようにしたい、こう考えております。なお、先ほど原子力の話も出ましたが、原子力の問題は、いま原子力発電会社が一生懸命おやりになって、これは試験時代ではありますけれども、将来この問題とも取り組むべきだと思いますから、こういうことはすべては私の会社に関する限りは、国策の線に沿ってすすめていく。そして九電力、分割された九電力の形ではどうもうまくないというものを、この電発会社が国の機関として果たしていくというのが最も妥当ないき方ではないかと考えております。
  22. 藤田進

    藤田進君 藤井総裁にもお伺いをいたしますが、通産大臣にこの際お伺いするわけですけれども、当面政策としては、政府立場として石炭火力電源開発会社でもやってもらうということに今回されたようであります。これは当面の着手になりましょうが、将来にわたって、御承知のように、おそらく今度も火力発電について相当の技術陣を電力会社との提携等もありましょうけれども電源開発会社としては、当然にしかるべき最小限の技術陣を包容しなきゃならぬでしょう。そういったように、なかなか他の産業と違って、これが受け入れ態勢というものを整えるについては、特に最近は優秀な技術人が払底しているとか、あるいは給与その他の条件、待遇といったようなことも関係いたします。いわんや将来性のない、ここ二、三年の仕事はあるけれども、行く行くはまた仕事がなくなるのだというようなところは、ますます人材は集まりにくいといったような悪条件もあるわけでありますが、電源開発会社の今後、将来の需給関係をにらんだときに、相当な伸びはあると資料を見ると想定されているようであります。この需要の伸びにそのまま対応するかしないかは別として、いわゆる石炭火力、この発電所の建設計画については、電源開発の分野の場合、かなり長期にわたって継続的にその開発を担当されるという基本的方針のもとに今回発足されるのか、当面の暫定的ないわば石炭政策方法論等からきているのか、これについてお伺いしておきたい。  そうしてあわせて、電気事業法が二月一ぱいにはということを仄聞しておりましたが、いまだ出ておりません。これは今国会ではおあきらめになったのか、お出しになるとすれば、いつごろお出しになるのか、審議計画もございますので、特にお伺いしておきたい。
  23. 福田一

    国務大臣福田一君) 今回の電発火力発電の建設をやってもらうということをきめましたのは、御案内のように、四十二年までに石炭を二千五百五十万トン発電用として使用するということによって需要を安定させるというか確保するというのが目的でございます。その場合において、約二百五十万トン分については、これは電源開発株式会社でやってもらうことが好ましいということが、九電と電発の間で大体話が整っておりますので、これを政策の上に取り入れまして、これが実現のために、今度のようなこれに必要な予算六百七十億円と想定されておりますが、そのうちで五十八億円を今年、昭和三十九年度で予算化する、こういうことにきまったわけでございます。ところが、石炭の将来の需給関係を見ますと、供給は何といってもエネルギーという、総合エネルギー政策から見て、どうしても少なくとも石炭は五千五百万トンを消化するということが必要である、こういう見地に立っておりますので、その五千五百万トンの石炭を将来どういう方面で消費することになるか、何といっても油に、石油といいますか、ガソリンといいますか、重油といいますか、そういうものに相当食われてきておりますから、だんだん今後もそういう一般の需要面においてはこれが減るであろう。そうなれば、今後やはり石炭も少なくとも電力として使用する分は三千万トンぐらいと見ておかなければならないと、こういう実は想定をいたしております。しからば、いま二千五百五十万トン、四十二年までにできたとしましても、あとの四百五十万トンをどうするかということは、これは藤田委員も御案内のように、エネルギーの構造の変化というものはなかなか急速なものもありますので、ここで確定的にどうしますということは申し上げることはできないと思いますが、はたしてその場合において、電力会社、九電力が四百五十万トンを消費するだけの火力発電をつくる余裕があるかどうか、自分の持っておりまする範囲内における水力発電の開発、あるいはまた重油による火力発電の開発等々の問題もございまして、全部それがやれるかということもいまの見通しではかなり疑わしいと思うのです。そうなれば、また電発と九電力がよく話し合いをされ、そうして電発でもってこういうものをつくったほうがいいというようないわゆる体制ができてまいりますれば、国としてもこれに応じて予算化していくという方向をとってまいりたい、こう思うわけでありまして、今後の確定的な計画があるかということになると、いまそれは想定しておりませんが、しかし、将来電発がまだこれ以上の石炭火力を建設する必要が相当あるであろうという感触をもって、私たちとしては見ておるわけであります。今後もそういう考え——いま申し上げたような九電力並びに電発の隔意なき意見の交換あるいは協調のもとにおいて、政府もこれに協力しながら、エネルギー政策を進めてまいりたい、こう考えておるわけであります。  なお、あとの御質問でございますが、二月中に実は法案を作成して提案いたす予定でございましたが、法制局等の関係もございまして、ようやくこれが大体今月中旬には閣議の決定を経て国会に提案さしていただけると考えておるところであります。
  24. 藤田進

    藤田進君 通産大臣の御答弁ですけれども、国策を受けて立つ当該、電源開発株式会社としては、また国民立場消費者立場から見ても、諸般の良質、低廉豊富の電力供給するという基本態度である以上、この種かなり長期を要する、またばく大な資金を要する、高度な技術を要するこういう産業においては、まず第一期の計画というものを立てながら将来の需給見通しを立てる、その分野における伸び率に対して、火力に対する分野はこう、水力はこう、開発審議会も近く持たれるそうでありますが、そういう総合的な計画を立てられるその中から電源開発株式会社は、今回地点を定め——それぞれの需給の事情が地域によって違うでしょうから、あるいは石炭事情も違う、運搬その他のコストの事情もありましょうから、地点を決定され、着手し、そうして並行して次期計画というものは持つ、つまり、電力開発ということに関する問題は、特に長期計画のもとに発足せられないと、今回の数地点で次の見通しはないということであれば、それに対応する電源開発会社内部運営というものはなされなければならないと思う、技術陣においても、建設機材においても、その他の機構においても。ですから私は今後九電力の分野はこの程度、電源開発会社石炭専焼火力はこの程度、電力は特に長期見通しと長期計画を持っているわけですね、開発について。それがある以上、その中におけるシェアとして電源開発石炭専焼はこうだというものが立てられなければならぬと思うのです。いまの御答弁聞きますと、先のことはまだわからないが、とりあえずといったようなふうに響くのであります。これは出発点からかまえというものが変わってくると思います。この点もっとはっきり言えませんか。
  25. 福田一

    国務大臣福田一君) 御承知のように、四十二年度において二千五百五十万トンの石炭火力発電として使用するということは、もう決定をいたしておるわけであります。四十二年末まででございます。そうしますと三十九、四十、四十一、四十二と四年間の計画がいま確定をいたした、こういうことに相なるわけであります。そこで、そのあとのまた三年ないし四年の分については、これはまだ今年中にでもあるいはまたおそくも来年の年度中くらいには、これは確定をいたすべきであろうと思いますが、その場合に、電発もやはりまた残り四百五十万トン使わなければいけませんから、四十五年度までには三千万トンは石炭火力発電として使う、こういう方向は大体きまっておるわけであります。  そこで、その内容を九電力電発とでどう配分してやるかということは、これからひとつ十分に九電力電発との間でも研究してもらい、われわれとしても研究をいたしまして、そうしてやっていく、こういうことに相なろうかと思うのであります。これは私は火力発電は、これでもう電発は打ち切るのだ、こういう意味で申し上げておるのではなくて、やはり電発が九電力とよく協力しながらも相互に話し合いを進めながら、日本電力行政をやってもらうのが一番正しいと思いますがゆえに、ここでそういうような話し合いも進めながら計画を決定していただいてはどうか、こう考えておるわけでありまして、おそらくはまたある程度やはり電発がこれを担当されることに相なろうかと思います。しかし、そのうちの幾ら幾らを電発がすべきである、あるいはまたさせるべきであるということを私がいまここで明言することは、これは差し控えさせていただいたほうが、将来の電力行政を円満に運営していくという意味において適当ではなかろうかと、こう考えているわけでございます。  なお、人の問題が出まして、まことにごもっともな御意見でございますが、私はできるだけこういう人の問題も九電力電発がよく相談をされまして、もちろん必要量小限度のものは電発が持たれることも必要でありましょうが、各電力会社等と人事の何といいますか、交流というよりは、火力発電についてそういう必要な技術者があれば、九電力のほうから応援をするというような形で、できるだけそういうことについても協調と協力をしてやってもらえばいかがかと思っております。ということは、できた電力はやはり九電力が使う、特に関西、中部あるいはまた東京というようなところが使うんですから、こういうところから人が入って、むしろある程度建設が進められておれば、これを使用する場合にも便利ではないか、これはまだここに総裁おられますけれども、私は実はそこまで詰めて話はしておりませんけれども感じとしてはそういうふうにして、いわゆるむだを省く、人の面においても重複を避ける、こういうことを私は考えていただいてはどうか、それが電力のコスト々安くする道であれば、なおさら必要ではなかろうか、こういう感触をもっておるわけであります。
  26. 藤田進

    藤田進君 重油ボイラーの規制法を延長いたしましたが、いまのお説から言って、次回さらに延長するということなしに、それまでに石炭消費については解決をしていこうという心がまえなんですか。つまり、電発のほうで石炭専焼火力を今回を皮切りにつくっていく、将来もそうなる可能性が強い。一方九電力において新規開発、これも火力に傾斜しておるわけですが、これは混焼ないし重油専焼といったことに肩がわりをすれば、さらにここに重油ボイラー規制法との関係も出てくるわけですから、総合的に考えて、一定の石炭消費を想定されて、三千万トンを一応天井とされるならば、その辺まではコンスタントに必要だということにならなければならぬ、その場合に、片や九電力においては、石炭専焼中心に進めてこられたが、今後、電源開発会社の新しいそういった石炭専焼火力ということとの関連で、どういうふうに持っていかれようとしておられますか。
  27. 田畑金光

    ○田畑金光君 関連。大臣にいまの問題でお尋ねしたいんですけれども、四十二年度までに石炭消費について、電力として二千五百五十万トン期待されていたわけで、政府としても、九電力で二千五百五十万トンの石炭消費という角度で努力されてきたと私は思うんですが、それが今回、いまお話にありますように、二百五十万トンは、電源開発石炭専焼火力を持つということになるわけです。それはどういう事情でそうなったのかということですが、たとえば九電力で、といっても、その中の一部であるかもしれませんが、建設資金の面で制約があったのか、あるいはまた、電力の需給の面でそうなったのか、あるいはコストの面からそうせざるを得なくなったのか、これはいかなる事情電発が二百五十万トンを引き受けるということになったのか、その辺の事情説明願いたいということが第一の質問です。  第二の質問といたしましては、いま大臣の御答弁にもありましたが、昭和四十五年度までにさらに四百五十万トンの石炭消費電力が受け持たねばならぬ、そういう課題について、これは電発と九電力が話し合いでその割合をきめるようになるであろう、こういうお話ですが、それはやはり、あくまでも平等な立場でと申しますか、同じ立場で話し合いをするのか、それとも、九電力が四百五十万トンについても、まず主たる責任と申しますか、そういう立場で努力をしてみたが、なおかつできないから、この分は電発に引き受けてもらう、こういう形に話はなっていくのかどうか、これが第二のお尋ねです。  そこで、第三のお尋ねとして、私、感じたことは、電発特殊会社あるいは国策会社といわれているわけです。なるほど国策会社であり、特殊会社であるということは理解しておりますが、それは政府出資の面とか財政投融資の面とか、電発のよって生まれてきた経済的な使命から、国策会社というように理解しておりますが、そのように、最近のたとえば石炭消費の問題をめぐって、電発と九電力が入り込んできますと、どっちが国策会社か、どっちがそうでないかということも、非常にこれが微妙になってこようと思うんです。私は、電力事業自体が公益事業であるし、そういう面においては国策会社といっても差しつかえないわけで、最近の広域運営一つを見ましても、先ほど電発総裁からお話が出ましたように、電発と九電力が一体となって電力問題を、開発運営から経営まで全部やらなければならぬ事態になってくれば、電発だけが国策会社であり特殊会社だというよりも、九電力全体を含めて国策会社である、また、九電力が私企業であるとするならば、その限度においては電発も私企業の性格を持っている、こういうふうに、解釈もデリケートになってきたような感じがしますが、この辺について、ひとつ大臣の見解を承っておきたいと思うんです。
  28. 福田一

    国務大臣福田一君) 藤田委員からの御質問、ちょっとよく理解いたしかねたのですが、ボイラー規制法との関係においてということでしょうか。
  29. 藤田進

    藤田進君 ボイラー規制法はまた延ばしたいという下心で、今後、電発火力専焼なり、あるいは九電力火力開発ということになるのか、もう延長しないで、大体石炭政策の面は今期で終わる、ボイラー規制法の期限内で、ということで、電発石炭専焼と九電力考えておられるのか、それが私のポイントです。
  30. 福田一

    国務大臣福田一君) ボイラー規制法で大体どれくらいの程度、これを延長したことによって石炭を使用されておるかという数字でございますが、これはあくまでも見込みであります。われわれは百五十万トン前後、こういうことで見込んでおるわけであります。そこで、四十二年までの時限立法になっておりますから、その場合に、四十二年で廃止をするというたてまえをとれば、これは新しく百五十万トンの需要というものを考えなければならぬわけであります。もっとも、そういう場合に、撤廃したからといって、設備も残りますから、すぐ全部が全部減るわけじゃないでしょう。少なくとも半分——私、目の子で言うのですから、当てはまるかどうかわかりませんが、半分ぐらいは減ると見なければなりません。でありますから、今後、ボイラー規制法をどういうふうにするかということも考えながら、また、将来の石炭に対する一般の消費傾向がどうなっていくかということも考えながら、私は、この需要をどういうふうに想定し、それに対応して政府がどのような措置を講ずるかということも、常に研究を怠らないで施策をきめていかなければならないと考えるのでありまして、ここで、にわかに、いまボイラー問題を直接の対象として、まだ四十二年までございますから、私は、そういうことも十分考慮しながら、いわゆる火力発電の問題、特に石炭問題というものを考えてまいるべきである、かように考えておる次第であります。これは、あるいは、あなたの御質問にぴったり来なかったとすれば、もう一度御質問をいただきたいと思います。  それから、あとの御質問でございますが、実は二千五百五十万トンを電力で使うということがきまりましたのは、一昨年相当まあ押し詰まりまして石炭政策を決定する前後になりまして、九電力としては、いまあなたの仰せになったような、会社としての設備能力の問題、それからまた、石炭火力が非常に高いというような面等も考慮されて、どうもなかなかむずかしいが、しかし、これをやらぬということでは、政府としての石炭政策というものも立たないであろう、だから一応承諾しておくが、将来ひとつこの問題は特に考えてもらいたいという話もあった。やらないというわけじゃない、九電力で全然やらないという意味じゃないが、あとの二百五十万トンについてはかなり困難があるだろうという空気があったわけであります。しかし、お引き受けいたしましょうということであったのですが、その後の事情、いろいろ相談をいたしまして、やはり、なかなか困難であるというようなこともありますので、そこで、電源開発にこれをやってもらうようにしようということに意見が一致し、政府としてもそれでけっこうであるということで、今度のような措置に踏み切ったわけであります。  そこで、その次の第二の御質問は、四百五十万トンを九電力がやるか、電発がやるか、どちらでやるかきめるときにあたって、九電力中心にまず考えて、それから残りを電発がやるか、こういう御質問のように承ったのでありますが、これは私は、どちらが中心ということはないと思います。あとの御質問でお答えせねばわからないと思いますが、私は、電発でやろうが、九電力でやろうが、またその話し合いをするときに、おれのほうが先にやっておまえのほうはあとだ、こういうようなことではなく、相互にひとつ協力をして、対等の立場で十分お話をしていただきたいと思います。  それから第三の質問でございますが、そういうような場合において、電発もいわゆる国策会社であるが、九電力も国策会社ではないか、したがって、性格が非常に不明瞭になってきておる。不明瞭というか、差がだんだんなくなってきているんじゃないかという御質問でございますが、確かに仰せのとおり電力事業は公共性を持っておるのでありますが、一面においては国策的な使命を果たしておる。電発もとよりしかりでございます。しかも、どちらも株式会社であるということであれば、性格は似ておる。そういう意味では似ておるわけでありますが、ただ電発の場合におきましては、その設立された目的が御案内のように、非常に大きな水力あるいはまた公共事業との関連性において取り上げたほうがいいというようなものをやるんだという目的があり、それに対して政府が出資をするということが入っておるわけであります。この点は、出資をいたしますというと、それは金額は別といたしまして、出資したものは利子がつきませんから、その意味では電力は安く供給できるわけに相なります。一方九電力のほうは、融資のほうは認めておりますけれども、出資は認めておらないということになりますから、そこに一つの特色があろうかと思うのであります。なぜ電発のほうにそういう出資を認めたかということは、電発法をつくりましたときも御説明したのでありますが、九つの電力会社にみんな出資をするというような形にしますと、九電力会社同士で出資金の争奪が行なわれる。そこにいまわしい政治的な、何か問題が挿入されても困るじゃないか、だからこれは一つ別につくっておいたほうがいいということから、こういうことになったわけでありまして、将来も私は九電力政府が出資するということはあり得ない。ただ電発の場合に出資をいたす。電発の場合出資をするというのは、大事業でしかも公共性のあるようなものをやるような場合には出資がなくては困るじゃないか、高くなるじゃないかというようなこともございまして、これを応援する。こういう意味で相違がある。しかし、低廉にして安定した電力国民供給するという意味においては、これは私は一致をいたしておるのではないかと、こういうふうに理解をいたしておるわけであります。
  31. 藤田進

    藤田進君 総裁からの御発言にもあるように、時々必要の要員というものの中には、海外への技術開発の進出ということもあるようであります。私はまた十日の委員会の節、通産大臣の出席をいただいて逐次確かめていきたいと思っておりますが、私、おととい予算委員会でも触れたように、かなり諸外国の技術輸入をやっておる。そのロイアルティーも一億を相当上回るし、これはまだまだ問題でしょう。大体その権利金額等においても一対二十くらいでしょう。日本の輸出は一ぐらい、諸外国からは二十ぐらいといった割合になる。これはやはり人口の多い、技術の水準も漸次高くなりつつある日本としては、一次製品である電力をそのまま売るわけにまいりませんが、いわば産業の分野において、私は詳しいことは時間があれば予算委員会であなたと問答したいと思って用意しておりますが、世界の経済というのが逐次専業化する方向にある、ブロック経済とともに。そういう中でわが国が、一つの目安としては、電力輸出をする、これは直接は輸出できませんがね。これは水力開発をしていないという電源開発総裁の言われたことは私も同感なんです。当面公共補償なり金利なり、一連の資本費もかかるということで、ややもするとイージー・ゴーイング、火力に偏在し過ぎる。水主火従はもう主客転倒いたしましたが、その資本効率からいってやむを得ないことでしょうけれども、しかし長期的に見て、減価償却なども考えるべきでしょうし、ダムや水路その他の設備が、そんなに四十年や五十年でなくなるものじゃないんですね。したがって、わが国の国内における電力開発というものは、つまり専業化した世界経済のもとにおいて、わが国の強みとしては私は電力は一つ数えていいんじゃないか。これを考える以上、いわゆる電力を多く必要とする産業というものに着目しなければならぬでしょう。そうして直接的には電力技術、特に諸外国では当面水力中心になっております。この水力技術陣はどれも優秀です。しかも日本の中においては、後ほど電発総裁にお伺いしたいと思っておりますけれども水力屋とか水力開発技術の集団というものが漸次不安定な状態になりつつある。ところが国際場裏においては、測量か設計ぐらいの目安ぐらいで、あと実際の着工という段階になれば、御承知のように、エジプトの場合もそうですし、諸外国に賠償関連工事以外はほとんど食い荒らされている。ここに経済の関連と、それから電力技術の海外との協力ということが問題になってきて、一つの法人もできたわけですけれども、しかし、電発自身としても相当手広くやるという心がまえもあるようでもある。このような情勢から、私は政府施策として、もっと格段の施策を講じられる必要があるんじゃないだろうか。今年度見ますと、各大学の入学関係、これは就職ということと直結する関係でしょう。従来機械が何といっても競争率が高かったのです。ことしは機械とともに建築が高い。けれども土木関係はかなりがた落ちに落ちております。入学競争率を見ても。これはいま申し上げたような、日本の中における道路開発五カ年計画等々、公共投資はあるけれども、より高度の技術を要する電力であるといったようなことが漸次先ぼそりになるという、いわば成長株でないから買わないという傾向が出ております。私はこの際、理事増員関連して、電源開発会社がもっと腰を入れて、政府という、協力援助の体制の背景をもって海外に進出して、そして他の先進国と競争し勝ち得るような体制を整えられる必要がある。これは相当急を要すると思うわけです。私はこれに対する御所見を伺って、次の十日のときに引き続きお伺いするとして、本日は通産大臣にはこれで一応とどめます。あと電源開発総裁提案者のほうにお伺いいたします。
  32. 福田一

    国務大臣福田一君) これは電発総裁への御質問かと思いますが、私も関連をいたしますのでお答えいたします。まことにけっこうなお考えで、われわれとしても極力藤田委員お話があったような趣旨に基づいて努力をいたしてまいりたいと思います。
  33. 藤田進

    藤田進君 具体的にひとつ答弁の用意をしておいてください。十日にまたお伺いします。同感ならばその裏づけを聞きますから。  総裁にお伺いいたしますが、いまわれわれの手元に出されている電源開発会社の組織一覧表を見ますと、なるほどかなり業務が多岐にわたっておるし、その機構もこれに対応するようにつくられておるわけであります。今度理事二名増員の要因として、業務の増大、海外進出あるいは原子力といったような、あるいは火力も当面ありましょう。これに付随してこの業務組織というものは、大体ここの手元にお出しいただいたもので当面おゆきになるのか、機構改革が伴うのか、これが一つ。電源開発会社の従業員数等を見ますと、この次にあったと思いますが、現在三千百三十一名ということです。これは昨年の十二月三十一日現在ですね。との人員については、理事増員になるが、従業員自体については動変があるのかないのか。あるとすれば、どういった面、増員の見込みなのかどうかという点、まず、二点をお伺いいたします。
  34. 藤井崇治

    参考人藤井崇治君) 理事分担は、大体、お手元に差し上げてあるような配分にするつもりでございまして、これは、情勢のいかんによって、将来は、これらの分担が、多少変わってくるかと思いますが、差し向きは、これでやっていくつもりでございます。  それから全体の要員の問題でございまするが、要員の問題につきましては、当該年度の工事量と、それから既設の設備の運営をにらみ合わせまして、新しく採用する人間に手かげんを加えております。現在では、御承知のように、水力開発が、一時ほど、奥只見、田子倉同時にやっていたときほど、工事量はございません。土本人員を、事前に、その方面では抑制をしておりまして、中には、希望者もありまするが、定年で退職しているというようなものもあります半面に、新しい採用も、多少はやっておりまするが、きわめて消極的にやっております。それと、理事をふやしたがための増員はいたさないつもりでおります。大体、現在の人間で、将来、火力をやるにいたしましても、そう人はふやさないつもりでございます。  なお、これはよけいな、お尋ねではございませんが、火力をやるためには、これは、先ほど御指摘のとおりに、東京電力、関西電力、中国電力といったようなところと、それぞれ、内々、御相談申し上げて、そういうところのエキスパートのお手伝いなり、あるいは電源開発会社に御出向願うなり、いろいろの方法で、極力、むだな人のないようにいたしております。その点は、これは、はっきり申し上げてよろしいかと思います。
  35. 藤田進

    藤田進君 最近、私、感じますのに、各電力が、東京事務所ないし東京支社とか、これが、また、ばらばらにお持ちになり、電源開発株式会社は、一応、借家住まいをなすっておる。これを見るときに、広域運営ということが前面に出て、法制化しようとさえ通産省考えておるとき、それぞれ借家住まいし、業務能率から見てもどうかと思うし、借家の家賃も安いとは思わないのです。ことに、八重州口にある電源開発株式会社は、ときに調査に参りたいと思っても容易に行けるところじゃない。自動車なんか置くところが全然ないです。こうして、これから発展して日本電力事情のために尽くそうということであれば、もっと、まず、みずからの住まいからお考えになったらどうか、素朴にいつも私は思うのですね。家賃も聞いておりませんが、実は国会の両院議長、副議長邸というものは、借家しておりました。いろいろ調べて聞いてみると膨大な家賃を出しているのですね。これは最近御承知のように、漸次使い勝手のいいように、議会のそばにああして設けて、かなり広範な面で使えるようになってきたわけですけれども、これは開発というものが急ぎですから、予算の関係その他事情もございましょうが、行く行くはもう少しお考えになって、それぞれ出入りが激しくなるとおっしゃる。理事増員しなければならぬということのようですけれども、まずどうも、ひざ元から少しお考えになる必要があるのじゃないかと思うわけでありまして、これはまあ突然の質問ですからあれですが、総裁は、ちゃんと駐車場もございましょうし、理事もございましょうから、案外不自由なことがわからないかもしれませんが、国会あたりで聞いてみても、一ぺんあそこに調査を、呼ぶのも何だから行ってみようと思っても、容易になかなか行けないというのが、どうも私だけじゃないようで、いかがなものですか。
  36. 藤井崇治

    参考人藤井崇治君) これは非常に御親切なお尋ねで、実は私どももそういう自分の場所は多少不便であっても、事務所を持ちたいという希望はございまするけれども、何と申しましても、まだ開発創立以来日も浅うございまして、内部蓄積もそれほど多額ではございませんし、といって、政府予算をそういうところにいただくこともなかなか、こういう時節でございますので、お願いしかねておるのでございまするが、全く仰せのとおり、お客さま方に対して申しわけのないような実情でございまして、毎日のようにうちではそういうことを話しておるのでございますが、また今後、内部蓄積あるいは政府の御了解等を得て特別な資金でも調達でき、同時にまあこれもかってな希望でございますけれども比較的他よりも有利だと思われまする国有財産でもひとつ分譲願えれば、今の御注意のような方法をとりたいと考えております。電気事業のほうにおきましても、私ども協議会といっておりますが、中央電力協議会でも、あるいは電気事業連合会でも、場所はありまするが、あそこにはたまたま日活会館があるものですから、そこの駐車場を有料で利用しておりますからいいようなものですが、そこでも実は問題になっておるのですが、先立つものは金でございますものですから、どうも意のごとく進んでいないような実情でございます。
  37. 藤田進

    藤田進君 まあ今の点は、電源開発そのものも相当な家賃だと思うし、あそこらなら非常に経済的にいいということは私はないと思うのです。あそこはあそこなりに、また、鉄鋼ビルは皆さんお使いになるでしょうけれども、建築中にも全部あそこは埋まってしまって、冷暖房も動かないぞということだったと聞いているのです。ましてや九つの電力、東京は本社があるからあれですが、八電力については諸々ばらばらに、これまた駐車場があるわけじゃない、停車さえむずかしいところで、それぞれのビルの一角を借りてお入りになっている、部屋のある電気協会、電気事業連合会、これまた御承知のとおり、これは広域運営をやるお互いが提携し、そして仲よく電気事業発展のためにやるということになれば、もっと基礎から固めて、たとえば電気センターなり、ビルなり——相当な投資を電力会社も各方面にしておられるから、ですから、もっとそういったところにサービスを強化する意味においても、広域運営その他の諸会合がしばしばあるといったようなものを、一つの中でおやりになれば、とても能率が違うのじゃないか。そうしてそのことが、東京はいま事務所、あるいは研究施設のしかるべきものはほかへ疎開するという案もありますけれども、もしそうなるとすれば、当然国有地なり、しかるべき場所にしかるべき広さを持ったものが私は出てくるのじゃないか。私はどこが提唱されるのが穏当かしりませんが、内部事情はよくしらないけれども、何かそういった内部的な問題も整備して、態勢をつくられるということが、私は必要ではないだろうかと思うので、この際、ひとつ十分お考えをいただいて、できれば軌道に乗せるようにいまからおやりになれば、研究施設その他が疎開していくということで、池田総理も先般閣議で、早くあれを実施せようというかまえのようでございますし、当然問題が解決しやすい時期が遠からずくるように思うので、いまからやはり検討していただきたいと思います。  それから他の委員の質問があるようでございますから、あと一点だけお伺いしますが、通産大臣の、あるいは提案者の御発言で、電源開発株式会社自主性を十分尊重して、理事三名増員に関しては、業務運営に最も効果を発揮できる人的体制をとるということである以上、電源開発株式会社考え人事については、これを尊重するということが表明されました。そういたしますと、電源開発株式会社総裁責任というものも重くなるわけでありますが、三名増員にあたっては十分私、従来主張して申し上げたように、部内のエキスパートというものをまず第一次的に考えられて、補充にあたってはその間に遺憾のないようにされることが至当ではなかろうかと思いますので、御所信を承っておきたいと思います。
  38. 藤井崇治

    参考人藤井崇治君) 御指摘ごもっともでございます。そうして今日までおかげをもちまして、私に関する限りにおきましては、政府から人事の問題でいろいろ御注文をいただいたこともございません。いままで理事の更迭をやりましたが、そういう意味で、私は私の推薦する者を、しかもそれは社内から抜てきするという方針を貫いてきておりまするが、幸いにこの法案が通過いたしました暁におきましては、社内から人事をすべてきめたい、こういう心がまえでおります。私の会社ももう創立以来満十二年になんなんとしてきておるのでございます。それほど人才に枯渇していないと自負している次第でございますから、どうか御安心願いたい。
  39. 田畑金光

    ○田畑金光君 一、二点だけ総裁お尋ねしておきたいと思うのですが、それはいま藤田委員の質問の中にありました前段の、提案者神田衆議院議員からお答えになりましたが、三名の増員について、九電力会社の役員の数等を見ますと、さらにまた総裁が先ほどお話しになりましたように、電発の現在やっている仕事、これから新しくやっていこうという大きな国家的な仕事等を考えてみますと、三名の増員ということで、ほんとうにやっていけるのかどうかという、これも問題ですが、総裁はこの点について、どういう見方をしておられるのか。直接仕事を担当しておられる総裁ですから、八名の理事で今後さらにふえていく仕事をやっていけるだけの配置が十分可能かどうか、この点について総裁の気持ちをもう一度伺いたいと思いますが、それが第一です。  もう一つの点は、現在五名の理事がおられ、さらに新しく選ばれる三名の理事についても、総裁は部内から優秀な人たちがおるので起用される、こういうことで、その点はよく了承できましたが、五名の現在の理事のたとえばいままでの経歴と申しますか、技術系統とか事務系統、こういうような割り振りがどうなっておるのか、また新しく選ばれる三名の理事等についても、そういう面から見た場合に、総裁としてはどういう配置を考えておられるのか。いろいろな電発仕事の内容から、当然いろいろバラエティーに富む人事の配置等もなされるものと、こう見ておりますが、そういう点について総裁考えを承っておきたいと思います。
  40. 藤井崇治

    参考人藤井崇治君) 理事定員の問題でございますが、実は私は正直に申し上げますと、十名ぐらいにふやしていただけないでしょうかという希望を申し上げたのでございまするが、まあ一ぺんに十名にすることは、どうも形がよくないだろうというような御注意もございました。八名でがまんできないか、こういう話でいろいろ考えてみました結果、まあ人名でひとつ私やってみよう、将来さらに思わぬところの仕事がふえてきたときは、きたときとして、ここ一、二年の間、そう定員をふやしてもらわぬでも、これでやっていく——やっていく以外には方法がないのでございますから、やっていきましょう、こういう工合で、実は八名にお願いしたような次第でございます。多々ますます弁ずるといいましても、そうむやみやたらに多くなるというと、会社の統制も乱れてまいりますので、会社の統制という点から考えてみると、あるいは御注意のような八名くらいで仕事分担していくのがいいのじゃないだろうかと思います。  それからついでに蛇足でございまするが、私は会社運営のすべての全責任は私一個に帰しておりまするが、副総裁はじめ理事全員が毎週必ず一回以上役員会をやっているのでございますが、もう五時間でも六時間でもぶっ通しでやって、主たる問題はそこできめていく、そうしてそれを今度部長以下の方に徹底させていくといういき方をとっておりますので、理事はあまり多過ぎても、そういう点が非常に困難になるし、会議のときにはもう自由に意見を述べさせて、そうして私はそれを採決していく、こういういき方をやっているのでございますが、ただ業務分担をしていく場合に、分担をきめて置いたほうが処理がすべて円滑にまいります。こちらにいろいろな方がお見えになりましても、その問題は何々理事に聞いてください、こういったことで、そこで片づく問題が多いので、一々全部私のところに持ってこられても、これはとても全部会い切れるものではございませんので、そういう運営方法をいたしておりますので、まずまあ八名ということでがまんしろとおっしゃいまするので、それでがまんする以外に方法はない、こう考えているような次第でございます。  それから人選でございまするが、現在おります理事のうち、これは大体五名の定員の場合には、二人ないし三人は技術者出身でございます。技術者といっても、一人は土木の担当者であり、一人は電気の担当者でございます。その場合、あるいは副総裁が技術出身の場合においては、理事のほうは事務出身の人が三人になる、副総裁が事務出身の場合には、技術者を三人にするとかというように、その配分を変えておりまするが、大体技術者は相当重要視しているつもりでございますし、今度の増員にあたりましても、技術者出身を相当重要視するつもりでおります。私のところのように技術を重んずる会社におきましては、どうしてもこういう配置でないと、運用の妙を得ません。ただ用地補償などは技術出身の人を使いますと、これは人物経済ではございませんので、そういう種類のものは、事務出身の方にやってもらうということにしております。大体いま申し上げたような気持でおります。どうかさように御承知願いたいと思います。
  41. 田畑金光

    ○田畑金光君 よくわかりました。  それからもう一つお尋ねしたいのは、先ほどの質問また答弁で大体了解できましたけれども電発のできた一番大きな使命である水力開発、この問題についてはもう相当限界にきているように見ているわけであります。しかし、それでは、電発のできた主要な使命から見ても、今後また、困難であっても奥地の水力資源の開発ということが大きな課題として出てこようと思うのですが、こういう面の将来計画については、どういうふうになっているのか、この問題が第一です。  第二として、お尋ねしたいのは、今度、初めて先ほどお話がありましたように、石炭専焼火力電発が乗り出されるわけです。五年計画で百二十五万キロワットと承知しております。六百七十億という建設費がかかるわけです。これについては、特に私は建設費でございますが、専焼火力の建設等については、どうしても政府の財政投融資がなければ、発電単価の面からみましても、今後の経済の需要に決して大きな貢献ができない。こういうことを見た場合、当然、電発の手がけられる今後の火力発電については、政府の財政投融資によってまかなわれていくものだと、こう考えておりますが、その辺の話し合いはついておるのかどうなのか、これが第二の問題です。  それに関連して、第三にお尋ねしたいのは、電発が北九州の若松に低品位の石炭を使って発電所を作られているわけでありますが、これは低品位炭対策という、言うならばエネルギー政策の一環として取り上げられた仕事だと考えておりますが、この仕事はあそこ一カ所だけに終わっている、現段階からいうと終わっているわけです。これは、私もよく承知しておりませんが、どういういきさつで電発が若松の低品位炭発電所を建設されたのか、その事情と、将来、こういう計画をさらにほかに考えておられるのかどうか、この点です。  第四点として、ついでにお尋ねしておきますが、先ほどお話のありました海外に技術協力を積極的に進めておられる。この点、これはわれわれとしても非常に大歓迎であるし、この点こそ、国策会社としてのりっぱな国家的な使命を遂行されていると、こう考えますが、これは、将来、さらに諸外国から需要も相当あるかと思いますが、どのような諸外国との今後需要関係になっているのか。また、そういうお仕事は、たとえば政府の経済協力資金等でおやりになっているのか。あるいは相手国との、政府との借款で、こういう仕事をやっておられるのか。あるいは賠償の一環としてこういうような仕事をやっておられるのか。その資金的な面等について、どういうことになっているのか、御説明を願いたいと思うのです。
  42. 藤井崇治

    参考人藤井崇治君) 水力開発の問題でございまするが、これはまだ、わが国においては、千九百万キロワットほどの包蔵水力を持っているので、それを対象にしまして、相当長期の十年間くらいな長期の計画を立てております。中には近ごろお聞き及びかと思いますが、揚水発電所というようなものも考えられるので、そういうような地点で大きな地点も私どもはちゃんと調査して資料を持っております。ただ、そのときどきの電力開発につきましては、大体長期計画に従って需給のバランスを考えながらやるものでございますから、ときにおくれたり縮んだりする場合がありますが、奥只見、田子倉、御母衣を同時にやったような、あんな計画は今度立てないほうが私はいい、また立てる必要はないと思っております。しかし、またここ当分は水力開発もそう悲観したものではないと考えております。  なお、先ほどもちょっと申しましたが、上流ばかりでなしに——奥地ばかりではなしに、下のほうだって考えなければたらない、いろいろ水資源の有効利用等につきましても考えなければなりませんので、そういう点もあわせて検討をし、いろいろ計画をいたしております。  それから、第二点の石炭火力の問題でございまするが、これはさしむき先ほど通産大臣からお話がありましたように、二百五十万トンを四十二年までに消化できるような火力設備を作るというので、各電力会社と、全くこれは協力いたしまして、土地の選定から何からやっております。一口に石炭火力と申しましても、その地点がなかなかそうどこでもというわけにまいりませんので、これは当然各電力会社と協力してやらなければなりませんが、これは大体計画どおり進められていくつもりでございます。  それから、第三点の若松の問題でございますが、これは当時の情勢といたしまして、いまのような石油火力のまだやかましく言われないときに、日本の限られた資源のうちで、とうとい石炭を最も有効に合理的に使う方法はないかというので、九州の悪い石炭をそのまま、掘って選炭とかいろいろなことをしないで、あるいはボタ山として捨てているようなものを活用できないかということをひとつ検討してみないかということがもとで、そうするためには、運賃を安くしなければならない、運賃を安くしなければならないために炭鉱に接続したような地点に発電所を作るのが一番合理的でございますので、そういう意味で、若松に火力発電所三千カロリー未満の石炭を消化するという発電所を作ったのでございますが、これはおかげで非常な好成績で、しかも価格が安くございまして、相当な成果をあげておるので、今後これは九州方面の火力発電には一つの示唆を与えるものではないかと考えております。ただ、先ほども申しましたように、電力は需要の関係考えて計画いたしませんと、設備だけ作りましても、それは利子に食われたり、高いものにつきますから、経落ベースに乗りながら計画を進めていくというために若松の拡張はいま見送っておりまするが、そういう実情でございます。  それから、海外技術協力でございまするが、いままでのところ、私のほうは延べ払いとかあるいは賠償とかいったような問題を扱っておりません。ペルーにおきましても、これは工事をやるのは三井物産会社が一手に引き受けてやるのでございまするし、タイのほうは、今度はタイの法人が工事をやるのでございまして、私のほうはコンサルタントだけを引き受けてやっておりまするが、これは年々予定の、約束の収入があがっております。そういう事情で、まだ賠償とかあるいは外債とか、そういうような問題には触れないでおります。
  43. 田畑金光

    ○田畑金光君 一つ答弁漏れがありますが、私の質問した中で、例の、これから二百五十万トンの石炭専焼火力をおつくりになるその建設費ですね、それはどういう政府との話し合いになっておるのか。
  44. 藤井崇治

    参考人藤井崇治君) ただいまの計画は、すべて各電力会社がつくっておりまする実績をもとにいたしまして計算したものでございまして、たぶんあの予算の範囲内でできる確信を持っております。
  45. 宮本惇

    政府委員(宮本惇君) 田畑先生のあれにお答え申し上げますが、御承知のように昨年度の暮れの予算要求におきましては、総工費六百七十六億円で、百二十八万キロワットの石炭専焼火力をつくるということで予算要求をいたしまして、当初といたしましては三十九年度に三基をつくる。全体としては五基の発電所をつくるということでございますが、三十九年度予算ではわれわれといたしましては五基のうちの三基であるというふうに了承しておりますが、大蔵省の立場から言いますと、あまり先のことをいまここで約束できないということで、われわれといたしましては、もちろん当年度分として六百七十六億のうちの五十八億の予算をいただいたのでございますが、今後の問題は、むしろ予算の勝負はこの秋の予算折衝できまるかと思います。ただわれわれといたしましては、あくまでも五基建設という目標でがんばるつもりでございますが、ただいまのところは、初年度分三基分の予算がついたと、こういうことでございまして、それ以上のところはまだきまっておりません、これは予算制度上もそうでございますので、いよいよ具体化するかどうかは、この秋の予算で勝負がきまる、こういうことになります。
  46. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  参考人の方には御多忙中まことに御苦労さまでございました。  本日は、これをもって散会いたします。    午後零時四十三分散会