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1964-02-18 第46回国会 参議院 商工委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月十八日(火曜日)    午後一時二十五分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    理事            赤間 文三君            上原 正吉君            近藤 信一君            田畑 金光君    委員            大谷藤之助君            川上 為治君            岸田 幸雄君            劒木 亨弘君            小林 英三君            豊田 雅孝君            八木 一郎君            吉武 恵市君            阿部 竹松君            椿  繁夫君            中田 吉雄君            藤田  進君            鈴木 一弘君   国務大臣    通商産業大臣  福田  一君   政府委員    公正取引委員会    委員長     渡邊喜久造君    通商産業政務次    官       田中 榮一君    通商産業政務次    官       竹下  登君    通商産業大臣官    房長      川出 千速君    通商産業大臣官    房参事官    宮沢 鉄蔵君    通商産業省重工    業局長     森崎 久寿君    通商産業省鉱山    局長      加藤 悌次君    通商産業省鉱山    保安局長    川原 英之君    中小企業庁長官 中野 正一君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○軽機械輸出振興に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出) ○電子工業振興臨時措置法の一部を改  正する法律案内閣提出) ○中小企業信用保険法及び中小企業信  用保険公庫法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○商工組合中央金庫法の一部を改正す  る法律案内閣送付予備審査) ○日本貿易振興会法の一部を改正する  法律案内閣送付予備審査) ○金属鉱物探鉱融資事業団法の一部を  改正する法律案内閣送付予備審  査) ○産業貿易及び経済計画等に関する調  査(昭和三十九年度通商産業省の施  策及び予算に関する件) ○派遣委員報告   —————————————   〔理事赤間文三委員長席に着く〕
  2. 赤間文三

    理事赤間文三君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員長及び理事打ち合わせ会協議事項について報告をいたします。  本日の委員会では、軽機械輸出振興に関する法律の一部を改正する法律案外五案について提案理由説明を聴取し、昭和三十九年度通商産業省施策及び予算に関する件について質疑を行ない、派遣委員報告を聴することになりましたから、御了承を願います。   —————————————
  3. 赤間文三

    理事赤間文三君) 次に、昨日、本委員会に付託されました軽機械輸出振興に関する法律の一部を改正する法律案電子工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案、二月十二日、予備審査のため本委員会に付託せられました中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案及び商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案、同月十三日、予備審査のため本委員会に付託せられました日本貿易振興会法の一部を改正する法律案、同月十四日、予備審査のため本委員会に付託されました金属鉱物探鉱融資事業団法の一部を改正する法律案、以上六案を一括して議題に供します。政府から順次提案理由説明を聴取いたします。福田大臣
  4. 福田一

    国務大臣福田一君) 軽機械輸出振興に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。  御承知のように、軽機械輸出振興に関する法律は、軽機械輸出重要性にかんがみまして、昭和三十四年に制定施行されたものであります。この法律は、第一に製造業者の大部分が中小企業アセンブル製造方式を採用しているミシン双眼鏡について登録制度実施することによって、生産設備等整備品質向上をはかるとともに輸出面における過当競争を防止することをねらいとしております。  第二には、ミシン双眼鏡のそれぞれに輸出振興事業協会を設立して、海外における市場調査宣伝等事業を活発に行なうとともに、品質改善に関する調査研究等事業を行なうことによって軽機械輸出振興に資することをねらいとしております。  この法律施行によりまして、ミシン双眼鏡の両業界とも、生産設備品質管理等の面における整備がかなり促進され、また、輸出の面におきましても海外市場動向の把握による輸出体制整備系列取引促進外国輸入制限に対する対策実施等相当の効果をあげてまいっております。  しかしながら、両業界ともいまだ完全に輸出秩序が確立したとはいえず、依然過当競争の要因が払拭されていない実情にあります。また海外における市場開拓輸入制限対策等事業先進国の巻き返しの激化、後進国の台頭に伴って、その重要性はますます増大する傾向にあります。  しかると、御承知のようにこの法律は五年間の限時法になっており、本年六月三十日までに廃止することになっておりますので、この際この法律有効期間をさらに五年間延長することによって、その間に両業界生産輸出体制の一そうの整備輸出秩序の確立をはかりまして、ますます困難の度を加えつつあります海外市場の動きに対処して、わが国機械輸出を一段と進展させていきたいと考える次第であります。  これが、法律案提案するに至った理由でございます。何とぞ慎重御審議の上、御賛同下さるようお願いいたします。  次に、電子工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  御承知のように電子工業振興臨時措置法は、昭和三十二年六月に制定施行されて今日に至っているのであります。この法律は、電子工業のうち第一に試験研究促進する必要のある機種、第二に生産の開始または拡大を促進する必要のある機種、第三に生産合理化促進する必要のある機種の三つを政令で指定し、そのそれぞれについて振興のための基本計画年度、ことの実施計画を定め、生産合理化に必要な資金確保につとめるとともに、必要に応じ品種、技術等に関する共同行為の指示を行なって計画の達成をはかることを規定しております。  この法律施行わが国電子工業は、技術面においても生産面においても目ざましい発展を遂げ、諸産業設備近代化国民生活向上に広く貢献してまいり、この法律の果たしてきた役割は大きいと考えられます。  しかしながら、わが国電子工業現状を見ますと、産業用に使用される機器については、欧米先進諸国に比して、技術水準及び生産性の面においてなお低位にあり、さらに今日の世界における電子工業技術は急速に進展しており、新技術や新製品が開発されつつある現状において、わが国電子工業世界の大勢におくれることのないように技術開発並びに生産合理化促進を急速にはかる必要が痛感されるのであります。  しかるに、現行の電子工業振興臨時措置法は、七年間の限時法として制定されており、本年六月十日までに廃止することになっておりますので、ただいま申し上げましたような現状にかんがみ、この際有効期間をさらに延長し、昭和四十六年三月三十一日までこの法律を存続せしめて電子工業の一そうの振興をはかり、もってわが国経済の健全な発展に寄与いたしたいと考える次第であります。  これが、この法律案提案するに至った理由であります。何とぞ慎重に御審議の上、御賛同くださるようお願いいたします。  次に、ただいま提案になりました中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  中小企業金融円滑化をはかるため、政府といたしましては、かねてより、政府関係中小企業金融機関業務拡充をはかりますとともに、中小企業者信用補完につきましては、その重要性にかんがみ、各地の信用保証協会中小企業者債務保証することを容易にするため中小企業信用保険公庫保証債務についての信用保険と同保証協会に対する融資を行なわせてきている次第であります。しかしながら、現状においては、中小企業者信用保証協会に寄せる期待はますます大なるものがありまして、政府としても、当公庫を通じ信用保証協会保証機能を一そう拡充強化する必要があると考えるのであります。このような趣旨に基づきまして、今回、中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正しようとするものでありますが、その概要は、次のとおりであります。  第一は、現在中小企業信用保険対象とされている特殊保証は、信用保証協会が通常行なっている根保証とその範囲が一致しない点がございまして、十分活用されておらないきらいがありますので、中小企業信用保険法改正して特殊保証範囲を拡大し、保証簡易迅速化を推進し中小企業者信用補完に遺憾なきを期そうとするものであります。  第二は、最近における中小企業者一人当たりの借り入れ規模増大に対処するため、中小企業信用保険法改正して、小口保険付保限度額を二十万円から三十万円に、第一種保険付保限度額を五十万円から百万円に、第二種保険付保限度額中小企業者については七百万円から一千万円に、中小企業者団体については一千万円から二千万円にそれぞれ引き上げるものであります。  第三は、中小企業信用保険公庫信用保証協会に対する融資業務拡充し、その保証機能強化をはかるため、当公庫に対する政府出資昭和三十九年度において四十五億円増加し、これを当公庫融資基金に充てるごとにしておりますが、これに伴い、中小企業信用保険公庫法改正して当公庫に対する政府追加出資に関する規定整備しようとするものであります。なお、このほか、中小企業信用保険公庫業務の適切なる運営確保するため、当公庫の監事の権限に関し所要の改正をしようとするものであります。  以上が、この法律案提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。  次に、ただいま提案になりました商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  商工組合中央金庫は、政府関係金融機関として、長年にわたり中小企業者団体あるいはその構成員である中小企業者に対する金融円滑化をはかる上におきまして、多大の役割りを果たしてきているのでありますが、特に最近における中小企業金融実情にかんがみまして、当金庫業務について、なお一そうの拡充を期する必要があると考える次第であります。かような趣旨に基づきまして、今回、商工組合中央金庫法の一部を改正しようとするものでありますが、その概要は、次のとおりであります。  第一は、商工組合中央金庫資本金及び当金庫に対する政府追加出資に関する規定整備することであります。  中小企業者金利負担の軽減に資するため、昭和三十九年度において商工組合中央金庫に対する政府出資を三十億円増額することといたしておりますが、これに伴い、当金庫資本金及び当金庫に対する政府追加出資に関する規定整備するものであります。  第二は、準所属団体範囲を拡大することであります。  現在、輸出に関し所属団体構成員の共通の利益を増進するため必要な施設を行なう法人主務大臣認可を受けたものは、商工組合中央金庫貸し出し業務対象となることになっておりますが、法人範囲輸出振興または事業合理化をはかるため必要な施設を行なうものに改正、拡大しようとするものであります。  第三は、当金庫業務外国為替業務を追加することであります。  現在、商工組合中央金庫為替業務は、内国為替に関するものに限られておりますが、所属団体構成員輸出入取引円滑化をはかるため、今回新たに外国為替に関する業務を追加しようとするものであります。  このほか、当金庫保護預かり業務代理業務範囲を拡大するとともに、役員の任期を五年から四年に短縮しようとするものであります。  以上が、この法律案提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。  次に、日本貿易振興会法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。  わが国経済を長期にわたり拡大発展させるためには、官民一体となって輸出振興のために不断の努力を払っていかなければなりませんが、開放経済体制への移行が本格化し、また、国際競争がますます激化しつつある現在、輸出振興に対するこのような要請は、一そう切なるものがあります。  政府といたしましては、かねてから輸出環境整備輸出振興税制及び輸出金融拡充強化日本貿易振興会に対する助成強化輸出振興気運醸成等各般の面にわたって努力いたしてまいりました。  なかんずく、日本貿易振興会につきましては、従来から民間政府共同輸出振興中核体として、育成強化をはかってまいりましたが、現在国会において御審議いただいております三十九年度予算案におきましても、貿易資料センター設置輸出秩序維持対策事業国際見本市事業トレードセンター等海外施設設置運営事業業種別輸出振興対策事業等の一そうの拡充強化をはかることといたしまして、五億円の追加出資を含む、合計三十一億三千万円を計上いたしている次第であります。一方、このような日本貿易振興会に対する助成強化、同会の業務量増大に対応いたしまして、同会の体制整備の必要が生じてまいっている次第であります。  次に、この法律案内容を御説明させていただきます。  内容の第一は、政府一般会計から追加出資を受け入たることができるように、資本金関係規定整備しようとするものであります。  第二は、業務量増大に対処して、業務の円滑な遂行をはかるため、理事を増員しようとするものであります。  第三は、日本貿易振興会運営全般にわたって、より一そう民間各界意見を反映させるため、運営審議会委員を増員しようとするものであります。  以上が、本法律案提案理由及び要旨でございます。何とぞよろしく御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。  次に金属鉱物探鉱融資事業団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  わが国金属鉱業は、貿易自由化を契機として、急速にその体質改善を進め、金属鉱産物の低廉かつ安定的な供給体制を確立する必要に迫られておりますことは、御承知のとおりであります。金属鉱業体質改善方策としては、さまざまのものが考えられますが、最も重要かつ効果的な方策は、探鉱を急速に促進して優良資源確保をはかり、採掘品位向上をはかることであります。  このため、政府におきましては、従来から中小鉱山に対し新鉱床探査費補助金を交付し、地質調査所において地質調査を行なう等の施策を講ずるほか、昭和三十八年度には、新たに金属鉱物探鉱融資事業団を設立して、探鉱に必要な資金貸し付けを行なうことといたしております。これらの施策につきましては、今後とも鋭意その充実をはかる方針でありますが、探鉱を急速に促進するためには、これらの施策にあわせて、優秀鉱床の賦存する可能性の高い地域地質構造の精密な調査実施し、企業の行なう探鉱に指針を提供することがぜひとも必要であります。  近時、探鉱技術の進歩に伴い、従来の露頭を端緒とする探鉱方法からボーリング等による潜頭鉱床探鉱へとその重点が移行し、各企業は、多大の資金と長年月を要して探鉱を行なっております。しかしながら、金属鉱床賦存地域地質構造はきわめて複雑でありますため、探鉱の前段階として、組織的な地質構造調査実施し、その結果に基づき企業探鉱実施するのが最も効率的な方法であると考えられます。  このような調査は、その性格上、国ないしは国に準ずる機関実施することが適当でありますが、金属鉱物探鉱融資事業団は、探鉱促進を目的として設立された機関でありますので、この事業団に、本調査事業を行なわせることが最も適当であり、これによって従来からの探鉱資金貸し付け業務もより効率的になし得ることと考える次第であります。  この法律案は、以上に申し述べました理由に基づき、金属鉱物探鉱融資事業団業務拡充して、これに地質構造調査実施させることとし、その調査に必要な事項に関する規定整備するため提案したものであります。  次に、この法律案のおもな内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、事業団業務拡充に伴い、その名称を金属鉱物探鉱促進事業団に改めるとともに、理事一名を増員することであります。  第二は、事業団業務として、探鉱資金貸し付けのほかに、地質構造調査を加えたことであります。この調査実施にあたりましては、事業団は、あらかじめ利害関係人意見を聞いて実施計画を作成し、通商産業大臣認可を受けることといたしております。  第三は、本調査に要する費用は、政府補助金、都道府県の負担金及び鉱業権者負担金をもつて充てることとしたことであります。  第四は、負担の公平という見地から、事業団が行なったボーリングにより鉱床が発見された場合には、その発見により利益を受ける者から納付金を徴収することとしたことであります。  第五は、本調査の円滑な実施をはかるため、土地の立ち入り、鉱物採取等規定を設けたことであります。  なお、このほか、調査結果の公表、区分経理審査請求等規定を設けることといたしております。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  5. 赤間文三

    理事赤間文三君) 以上で提案理由説明は終了いたしました。六案に対する自後の審査は、いずれも後日に譲ることといたします。   —————————————
  6. 赤間文三

    理事赤間文三君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査議題とし、なお、昭和三十九年度通商産業省施策及び予算に関する件の調査を進めます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  7. 近藤信一

    近藤信一君 私は、特にきょうは下請代金の問題についてお尋ねをいたしたいのですが、その前段として、今日非常に新聞等においてもいろいろと言われておりますように、中小企業の三月危機ということが叫ばれております。昨年の十一月の倒産件数が、新聞の報ずるところによりますると二百九件で、戦後の最高を記録しておると、こういうふうに言われておりますし、本年一月には二百八十二億円という負債額もこれまた戦後最高だと、こういうふうに言われて、新聞等においては、三月の年度末決算を控えておりますし、特に金融の引き締めが今後続くということになりますれば、さらにこれは見通しとしては悪化していくと。そうすると今日、新聞等で非常に叫ばれておりますように、三月危機ということが現実の問題として回避できないではないかというふうに私は思うのですが、この点、大臣見通しとしてはどのような見解を持っておられるのか、まずその面からお尋ねをいたします。
  8. 福田一

    国務大臣福田一君) お説のように、昨年の暮れ、それからことしの一月にかけましては、相当額にのぼる倒産並びに倒産件数が発生いたしたのは、まことに遺憾でございますが、これは一応二つのことを考えておかなければならないと思うのでありまして、一つ件数及び金額増大いたしましたが、手形交換等件数から見てみますというと、不渡りになった件数等は、この前の何といいますか、非常に不景気といいますか、いわゆる企業規模を押えた時期と比べまして、むしろ比率が減っているという事情もあるわけであります。しかし、そういうふうに比率的には減っておるということ、しかも実質的には金額件数がふえたということは、経済規模がそれだけ拡大してきたということをあらわしているのではありますが、しかし、そういうことが出たこと自体を、われわれとしては看過するわけにはまいりません。またこれに注意を払わないなどというわけではないのでございまして、こういうことはできるだけ少なくするようにいたさなければならないのであります。  そのうちで倒産の起きたのはこれは近藤委員も御存じかと思いますが、暖冬異変による繊維関係の問題が一番大きくあげられているのでありまして、事実暖冬によりまして非常な品物の売れ行き不振ということ、それから手形決済が十二月に集まってきているというようなこと等が、その大きな原因かと考えております。  そこで、三月末でございますが、これはなかなか大事な時期でありますので、われわれとしては十分これは手当てをしなければいけない、こういうことでございまして、そういう意味からいって、一応商工中金、中小企業金融公庫、国民金融公庫というようなものを対象として、どれくらい資金が必要であろうかということを一月の末あたりから調査をいたしまして、いろいろ詰めてまいったのでございますが、その結果といたしまして、さしあたりの措置として、すでに新聞紙上でも読んでいただいておると思いますが、百二十億円追加して融資ワクを拡大する。それから中小企業、ほかのいわゆる政府関係機関以外の分については百億の買いオペをやる。これはむしろ一段銀行ではないのでありまして、相互銀行とか信用組合を中心にいたしまして百億の買いオペをやる。こういうような措置をいたしまして、三月におけるそういう危機がないように一応の手当をいたしたわけでありますけれども、われわれとしては今後の事態に処して、必要に応じてはまた必要な措置をとるという心がまえで、金融によるしわ寄せ等中小企業に及ぶことが、できるだけ少ないように極力努力をいたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  9. 近藤信一

    近藤信一君 いま見通しについて大臣の御説明があったわけでございますが、その中で特に繊維関係、それから商社関係暖冬異変による影響によって倒産したということがいわれましたが、それもまあございますが、私どもいろいろと現地で聞きますると、そういう暖冬異変ということで倒産したというのは、思惑生産をやったり、それからメーカーではあまり暖冬異変というものはなかったが、特に中小の機屋さんといいますか、そういうところで思惑生産をした、こういうのが多いということも聞きましたのですが、この暖冬異変ということのほかに、繊維関係それから商社のほかに特に私ども目立ってきておるのではないかと思われるのは、機械工業に対するところの問題が相当今年度は重要な課題じゃないかと思うのです。それはなぜかと申しますと、やはりここ昨年から今年にかけまして、特に機械工業関係下請関係というところは、相当生産規模の問題に対しましても親企業等からこの設備の増強の問題、それから近代化の問題、こういろいろと押しつけられておるわけですね。これは生産を高めるための一つ方法をどうしても下請に親工場は持ってくる、こういうことになりますと、金属工業における本年度のいわゆる三月危機ということを私どもは非常に心配するわけなんですが、この金属工業関係における見通しはどうですか。
  10. 福田一

    国務大臣福田一君) いまおっしゃった機械、金属両方合わせておっしゃっていられると思うのですが、確かにお説のように、親会社が下請に対して、こういうような合理化機械を買って合理化をしてくれ、そうして製品を作ってくれというようなことで、下請がそのために金を借りて、そうしてやっておるという場合は、相当最近多いようでございます。おっしゃるとおりだと思います。それがそういう過度の資金繰りをいたしまして、今度はそのしわ寄せがきておる。そこへもってきて、金を借りておるのをすぐ返せ、三月なら三月の期限がきたら返せ、こういう場合はあると思います。私は、そういうことについては、この間、大蔵大臣も一般金融業者に対しても通知を出しまして、そういうようなことで困っておる場合には、何らかつなぎ融資をするように工夫をせいと、こういって、実を言うと、通牒を出しております。これは実際的にはその受けた銀行、そういう通牒を受けて、そのとおりやっておる銀行もあれば、あるいはそんなことをいったって自分の業務範囲だがら、そういってもそうそうできないというところもあると思いますが、大きい目で見ると、割合にこれは私は効果をあげるのではないかと考えておるのでありまして、まあ三月は何とか切り抜けられるかもしれぬが、むしろそれよりは四月、五月になって、そのしわ寄せが今度はきやしないかということを、実はいま警戒をいたしておるのであります。近藤委員の仰せになったような点については、われわれとしても今後十分注意をしなければならぬ、かような考えでおるところでございます。
  11. 近藤信一

    近藤信一君 過日、通産大臣中小公庫に対する百二十億円でしたか、あの措置をとられたことに対しては感謝しておる業者もあるということを私告白しておりましたんですが、そういう点では、中小企業機械工業の人たちも一応望みは持ってはおりまするけれどもやはりどうしても機械工業関係になりますると、近代化のために投資をしなければならぬ、そのために金繰りが非常に困難、これも一つの原因になっておりますし、特にこれは私昨年もいろいろと言いましたんですが、若年労務者の確保が非常にむつかしい。このためにどうするかというと、大臣予算委員会のときに私に答弁されましたように、特に中小企業は厚生施設の問題が悪い、その点で厚生施設の問題を共同化によって何らか考えていかなければ、なかなか中小企業に対する若年労務者は寄らないだろう、こういう御答弁でもありました。そのために、やはり中小企業はそういうことに努力をしておる、いわゆる若年労務者を何とか集めようと厚生施設にも金をかけなければならぬ。それから特にここ二、三年来目立ってまいりましたことは、若年労務者を雇うにいたしましても、非常に昔と違いまして、初任給が高くなってきておる。これは大企業に負けないような初任給を出さなければ人が寄らない、それでも人が寄らないというくらいでございますから、どうしてもこれは初任給の問題で、大企業に負けない初任給を出す、そういう点でも金繰りで非常に困っておる。それから生産性を高めるためにも、先ほど申しましたように、設備投資にこれはいろいろとあれやこれやと頭をひねってやっておるわけなんです。そういたしますると、通産大臣が三月危機見通して、こういういろいろと金融上の措置を講ずるべく努力はしておられますけれども、それはやはりなかなかあれだけの百二十億のあれでは、私は全般的にうまくいくとはとうてい考えられないんで、こういう点はどうですか、今後におけるさらに、大臣努力するようなお考えは持っておられるかどうか。
  12. 福田一

    国務大臣福田一君) 私は一応そういう関係者と相談をして、中小企業関係の三機関に対しては、あれだけの支出をすることに、二十五億、二十五億の七十億というやり方をしたわけですが、これで十分であるかどうかということは、これは私はいまここでにわかにお答えすることは非常にむつかしい。まあ一応そういうことであったから、われわれとしてはそれだけの手当てをした。しかし、今後においても必要があれば、また緊急にそういうことも考えていいんじゃないか、私はそう思っております。大体こういう急激に経済が膨張しておるような時代においては、しかもまた日本の経済が膨張するばかりでなく、海外経済から海外の影響を非常に大きく受けながら成長しておる段階では、あまり遠い予測というのはなかなかむつかしい。したがって、一応の予測は立ててやっていきますが、やはりそのときそのときに応じて措置をしていくということは考えなければならないと思うのでございまして、いまそれで十分かとおっしゃれば、一応十分だと思ってやりましたと、こう申し上げ、今後何かあったらどうする、それはそういう事態になるべく早く対処する処置をとりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  13. 近藤信一

    近藤信一君 それからもう一つ中小企業危機に追い込まれるという一つの原因として、私はこういうこともあるんじゃないかと思うのですね。大企業は採算の合う仕事はおおむね自分のところでやる、採算の合わない仕事を下請のほうに回していく。そういたしますると、どうしても採算の合わない仕事を下請の子会社のほうでは押しつけられて、しかも、それの生産を高めなければならぬということで、いろいろな機械設備の問題や何かで無理を言ってくる、それを断われば下請の系列から切られなければならぬ、こういうふうなこともございまするから、やはり私はいろいろと、特に大臣も先日も言っておられましたように、自動車関係に対しましては、非常に競争力が激しくなっておる、自由化に伴うところの競争が激しくなってくる、こういうことになれば、ますますこういうふうな傾向がよけいたくさん出てくるんじゃないか、こういうふうなことも考えられるわけなんです。そうすると、私は工賃は半分もたたかれてまで引き合わない仕事をやらされる。これでは金融面だけではなくて、実質上は系列から離れてよそに仕事を求めなければならぬ。よそに仕事を求められるとして、いまそんなに下請利益を上げる、利潤を上げるような仕事はそうざらにあるわけじゃない。泣き泣き仕事をやりながら倒れていく、こういうふうな傾向が私は出てくるんじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  14. 福田一

    国務大臣福田一君) 確かにお説のような例はあるわけであります。実際に際して全然ないわけじゃない、あると思います。そういう場合私はやっぱり下請のほうがみんなで組合なら組合を作られるとか、共同してそして親会社と話し合いをする。あるいはまたそういうことをやった場合でも、どうしてもうまく話がつかぬというような場合等があって、お話があれば、私はこれは行政指導等で、そこまでいけるかどうかわかりませんが、われわれとして話をしてあげるという意思だけは持っておるわけであります。強制するわけにはいかないのです。たとえば今まで一つの部品を百円で作らして、今度これを次から七十円にせい。やってみるというと、下請のほうではとても七十円ではどうにもならぬ、少なくとも八十五円もらわねばいかぬという場合等、あくまでも親企業がそういうことを言ってくるという場合等があれば、団結していれば非常にやりやすいのですね、品物をつくる関係が。そしてやはり共同化、協業化といいますか、組合というか、そういうものの必要性が非常に出てくると思う。そうなれば、わりあいにこちらも話がしやすいと思う。
  15. 上原正吉

    ○上原正吉君 ただいま大臣から、下請業者が集まって組合をつくって共同でやれる条件を改善していかなければならぬという話がありまして、私も常にそう思っておるわけでございますけれども、それがなかなかうまくいかないというのは、同じ下請をやっておる業者が残らず組合に加入してくれて、組合にまとまってくれれば、それで話の片がつくのですけれども、組合に強制加入させる権限はない、中小企業を組合に強制加入させる権限はない。それからまた価格の協定維持、これをやれないのですね、原則としても。また、実際において、いま公取委員長いらっしゃるからついでに伺っておこうと思うのですけれども、それができない。ですから、残らずの業者を組合に入れて、その組合に価格協定をやらせることができれば、下請業者に金をもうけさせることができるのです。下請業者は、金がもうかれば何とでも自前で近代化でも何でもやっていくのですけれども、金がもうからぬから幾らやってもだめなんです。金を借りても、幾ら融通してもらっても、どれほど政府に援助してもらっても、やる仕事それ自体が過当競争でもうからぬようになっているから、どれほどやってももうからない。もうからないから近代化もできない、改善もできない、高度化もできない、能率化もできないということになってくる。中小企業をほんとうに育成するためには、中小企業者に金をもうけさせる——過当競争でもうからぬようになってしまっている。暴利をむさぼるわけじゃないのですから、何らかの方法を講じて中小企業者の利潤というものを検討する機関でもつくってもうけさせて、そうしてそのもうけるということを保護してやれば、自前でちゃんと税金も払えるし、施設改善できるし、近代化施行することができるようになってくると思うのです。それがどうしてもやれないのですね。そういう点は、通産大臣並びに公取の委員長さん、どういうふうにお考えになっていらっしゃるか、この機会に伺っておきたいと思うのですが。
  16. 福田一

    国務大臣福田一君) 確かに具体的な場合になると、そういうことがあり得ると思うのです、あなたのおっしゃったように。ただ、私は、そういう場合でも、ある程度、それはその業種業種によってきめていくという場合もあるでしょうが、大体これくらいの値段がいいのじゃないかと基準価格みたいなもの——石油なんかは基準価格がありますが、そういうものを設定できるようなものを法律でつくって、もしそういうことがあれば、そういう立法をして、そうしてこまかい一つ一つの業種でありますから、問題の起きないところはいいけれども、どうも非常にそういう問題が起きそうなところがあれば、そういうことができる——それはたとえば審議会の意見を聞いて公正な立場で値段をきめるような仕組みにするとか、私はそういう問題も今後場合によっては考えなければならぬことがあると思っております。これは公取との関係でどういうことになるかわからぬが、法律で——それは一応御相談をしなければならぬと思いますが、確かにそういうことはあるでしょう。それはやはり競争がなくては自由主義経済の効率は発揮できないのだし、過当になれば中小企業が参ってしまう、中小企業のみならず、大企業でも参ってしまう。いまの石油業法でもちょっとその傾向があるのですが私はそういうことは非常に必要性があると思うので、そういう問題も考えてみる価値があるのじゃないかとは考えております。
  17. 上原正吉

    ○上原正吉君 そこで、いま石油業者のお話が出ましたけれども、日本で両手で数えられるくらいな業者、つまり強大な業者がやっているのは、仕事は強いということができる。たとえば繊維のごとき、鉄鋼のごとき、過当競争からまぬがれるということが実際問題としてやれるのです。また通産省の指導もそういうことがあるのですが、しかし中小企業、ことに零細企業などになってくると、とてもだめなんですね。めちゃくちゃな競争をやっています。仕入れ先に納めるときは何ぼでもいいという業者が実際問題としてあらわれている。だからこれは組合に強制加入をさして、組合に強大な権限を持たして価格維持をやらせること以外に、中小企業、零細企業を救う道はないと思うのですが、その担当の任であられる公取委員長にひとつお考えを伺いたいと思います。
  18. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) いまの下請業者の関係、それから親企業と結びついている下請業者の協同組合に参加をする場合に、強制加入ということをもしやりましても、親企業としてその協同組合を相手に取引しなければならぬという義務がないわけですね。その点に、その協同組合は独禁法の一応適用除外を受けていますから、一応調整行為はできないことはありませんけれども、しかし、親企業にすれば、いま普通できておりまするのは親会社の下請業者が集まって一つの協同組合をつくっておる、その場合にはお話のようにアウトサイダーもあり得る。ただ、しかし、親会社にすれば、その協同組合と取引しなければならぬというものではないので、もし協同組合全体が無理なことと言うかある程度のことを言えば、それじゃ新しいアウトサイダーといいますか——強制加入といいますか、強制加入さして一応協同組合に全部入れたがろうとしても、なおかつその余分の業者にさがすということは、これはいまの親企業と結びついておる協同組合の零細企業では幾らでも考えられる。そうしますと、お話のような点もそれでは目的が達成できないと思う。まあ中小企業団体法のように、一応ある特定の業種全体を網羅すれば、これは商工組合なり何なりで一応の制限はありますが、条件次第では出荷統制もできるし、価格統制もできる。そこまで現在の下請の場合におきましては、非常に仕事もまちまちですから、そう簡単に——一つの工業組合とか何とかができる業種ですといいんですけれども、部品的なものをつくっているものだとなかなかそう簡単にいかない。その場合に私は問題があるのじゃないかというふうに思っておりますが、親会社のほうにしましても、ある程度下請会社を養っていくという機運をつくらすといった意味の通産省における御指導とか、いろんな指導とか、そういったものが加わりませんと、どうも単純に協同組合をつくって強制加入ということで、この問題がすぐ片づくかということは、私どもとしては疑問を持っております。
  19. 上原正吉

    ○上原正吉君 ただいまの、現在行なわれておりまする独占禁止法並びに各種の組合法では、親企業に属するものしか組合はできない。業者全体が集まって組合を結成するということが不可能である。加入脱退は自由であるが、親企業の鼻息をうかがう以外に生きる道がないのだからどんな無理でもする。だから、たとい組合ができても、親企業を中心とした組合しかできない。組合というものは、本来親企業を中心として行なわれるべきものではなくして、親企業と対抗できて初めて組合の価値がある。そういう組合ができないということは、組合法としての欠陥であり、また独占禁止法の行き過ぎじゃないかと私は思う。私はこういうふうに思うのです。では、具体的に例をあげれば、どういう企業に属しなければ組合にならないか。具体的に例をあげてくれば、組合が三つあれば、その三つの組合を連合させることができる。そうなって初めて三つの組合は親企業と対抗できる。三十の組合が全部集まれば七つの親企業に対抗できる。こうなるわけですから、私はどこまで行っても、幾ら金かけて税金をつぎ込んで中小企業を助けようとしても、中小企業同士の過当競争を放任しておいては救えない、あらゆる努力が徒労に終わると、こう考えておるのです。絶好の機会ですから、根本的な考え方をお伺いして、できることなら改めてほしいと、こう思う次第なので伺っておきます。
  20. 福田一

    国務大臣福田一君) 私は、それが中小企業基本法をつくって、一応ああいう基本法をつくった意味がそういうところにあると思っております。実際は、日本のいまの産業構造の中における中小企業はどういうことになっておるか、業種も非常に多い。それをずっとやはり今度はこの産業においてはこうなっておるという下調べができていないのですね、実際をいうと。通産省だってそれを全部大体、たとえば自動車くらいだったらまだわかりやすいのです。ところが失礼な話ですが、ほかの企業をとってみますと、とてもわかっていないですね。そういうものをもっときめこまかく調べながら、そしてそれに応じた今度は施策、政策というものを樹立しなければいけない段階に来ている。それがいまの段階じゃないかと私どもは思っております。だから金融とか税制とかいう面だけでものを考えてもいけないので、その実態を把握し、それが親企業とどういうつながりになっておるか、あるいはほかの産業とのつながりはどうなっておるかというようなことをよく勉強しておりませんと、なかなかむずかしい。というて、統制でやっておるわけではないのでありますから、やはりいま言ったような共同的な行為によって何らかのあれをする、あるいは無理なことがあれば親企業に対してそれはひどいじゃないかというようなこともいい得る場合もあると思いますから、そういうような行政指導をやっていく場合もあるでしょうが、いろいろな手でもってこまかく——これから非常にきめのこまかいというか、業種別くらいに見た指導というものが必要になってくるのじゃないか、こういうふうに私は考えておるわけであります。いまおっしゃったような点も加味しながら、将来の政策を決定してまいりたい、こう思っておるわけであります。
  21. 近藤信一

    近藤信一君 いま通産大臣に三月危機の問題についてお尋ねをしたわけです。そこで、私は、公取委員長に二点ばかりお尋ねするわけですが、私どもが先年下請法を大きく改正したことは、公取委員長承知のとおりだと思うのですが、その中で六十日以内に下請代金を支払うべし、こういうことになって、それ以上の遅延に対しては利子をつけなければならぬこういうふうに改正をしたわけなんです。それでもまだ下請法というものはざる法であると、こういわれておるわけなんです。というのは、やはり下請法の法自体が、この趣旨そのものが励行されていないのじゃないか、こういうふうに思うわけなんですが、先日も私ども委員会から派遣されまして地方へ回っていって、いろいろとお聞きいたしまして、あの点はどうですかとお聞きしますると、下請のほうの手形に対しては、これは利子を親企業がなかなか払わない、しかし、下請のほうが遅延した場合には親のほうが利子を取る、こういうふうなこともあると、こういって笑っておられた話もあったわけなんですが、親企業はこれに対してやはり無利子で支払いをやっておる、親に対しては現金払い、これでは下請企業としてはいじめられっぱなしと、こういうことになるわけで、それが今回の金融引き締めの影響もまた受けて、一そうこのしわ寄せというものが下請関係に寄せられることは、これは事実だと思うのであります。  そこで、まず公取委員長といたしましては、下請の実態が最近どういうふうになっておるのかどうか、それから先般の業務概略の御報告では千八百の親事業者を調査して十八の業者に支払いの改善と勧告をやったと、こういうふうな報告を受けたわけですが、百六十四社に対して支払いの改善を指導した、こういうふうにありますね。その内容は一体どんな内容であるか、その点ひとつお示しを願いたいと思います。
  22. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 私のほうで現在やっております仕事は、第一には書面でもって一応下請代金の遅滞状態といいますか、支払い状態といいますか、それを書面でもって照会をいたします。そしてその中で大体六十日以内の支払いというものをはみ出していると思われるものが、いままでの経験ですと二割くらいあるのですが、そうしたものを中心としまして、今度は親企業についての、工場に対しての立ち入り検査、それから同時に相手方に対する、下請業者に対するいろいろ事情調査、これをやっております。そしてその両方からにらみ合わせまして、下請法の規定に照らしまして、これは実情法律に違反しているといいますか、抵触するような状況になっているという場合におきまして、結局勧告を出すわけでございますが、勧告を出す以前に、会社のほうから自発的に改善するからといって、改善計画まで出してまいりますものがある場合におきましては、これをあえて勧告にしないで、いわゆる行政指導ということでやっております。で、勧告をした場合におきましても、行政指導の場合におきましても、自後の改善される状況がどういうふうになっているか、で、相当期間にわたりましてその支払い状況の改善計画がありますから、その改善計画実施の状況というものを一応私のほうへ出させる。これを通常の仕事としてやっております。  なお、そのほかに、どうもそういうふうな書面検査、定期検査だけでは、やはり行き渡らない点が多分にございますので、下請関係のいろいろな団体といいますか、どうも下請会社の方々は、先ほど来いろいろお話がありましたように、直接自分がものを言うというのは非常に言いにくい立場にあるようでございます。できるだけそうした団体を通して間接的にわれわれのほうへ、あの会社の支払い条件が悪いとかといったような苦情を持ち込んでもらうように努めておりますが、直接またはそうしたルートにおきましていろいろ話題になる会社がありますと、いまの定期の分と別に、われわれのほうとしてはその事業所に立ち入りまして、立ち入り検査をしまして、そして事情を調べる、こういうことでいままでやってきております。ただ、実績から見まして、いわば全体としまして必ずしも従来やってきた形がどうも、一時的にはそこで改善される、あるいはそのねらわれた会社はある程度改善されるのですが、全体としては必ずしも、改善されるかというと、どうもあまりよくいってないような感じもありますし、したがいまして、将来のやり方としましては、単にそうした事情を調べ、その改善を促すのと並行しながら、一体何でそんなふうにそこの会社の親事業者がそういうふうな状態になっているのかという原因関係もあわせて明らかにしていこうということを、いま係のほうにもやかましく頼んでおります。  それから、もう一つ現在私どもとして計画しておりますのは、この下請に特に関係の深い大会社に対しまして、その会社自身が一体代金受け取りの状況はどんなふうな状況で受け取っているのか、あるいは支払いの状況はどんなふうにやっているのか、というふうに、受け取りのほうと支払いのほうを両方の状況を一ぺんに、これはとりあえずある程度の調査でもって調べております。そこで、一体どこに原因があり、どこにネックがあるかということを片一方で探求しながらやっていこうじゃないか。これを本年度のと申しますか、明年度といいますか、現在の仕事として考えております。同時に、従来のやり方は相変わらず続けていく。  それから、もう一つつけ加えさせていただきますならば、中小企業庁のほうでも、この問題を各通産局を通じて、これは九条二項でもってやっていらっしゃいますが、もう少し私のほうと中小企業庁の関係を調整しまして、そうして、どうも私のほうは、わりあいに数が少なく深くやっている。中小企業庁のほうは、数は多く、しかし浅い。そういうふうな関係で、ある程度お互いに役割を分けまして、そしていま私のほうで集めているやつは、数が少のうございますので、これをもう少し広げていきたい。中小企業庁と抱き合うことによって広げていきたい、こういうようなことを考えております。
  23. 近藤信一

    近藤信一君 いま衆議院の予鈴が鳴ったそうですから、大臣は向こうに行かれるらしいから、向こうが終わりになったらまた来ていただいて、大臣に対する質問はそのときにまたやりますから……。
  24. 赤間文三

    理事赤間文三君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  25. 赤間文三

    理事赤間文三君) 速記を始めてください。
  26. 上原正吉

    ○上原正吉君 ひとつ関連させて。公取委員長に伺っておきたいのですがね。下請というものの定義が、どうなんですか。普通下請といいますと、たとえば機械のいろいろな部品を集めて機械が組みあがる。そのどれか一つを作るのをみな下請と、こういうふうに解釈されているらしいのですけれども、よく考えてみると、たとえばビールというものができ上がる。それにはいろいろな材料が要る。びんもその一つです。ビールのびんをふく。もっともビール会社は自分でみんなびんもふきますけれども、もしビールのびんをふいて、そのビールのびんをビール会社に納めるものがあったら、これはビール会社の下請ということになるかどうかということなんです。確かにびんがなければビールはでき上がらないのだから、私はある意味で下請だと思うし、また、この場合に、みんな親企業と言えるかどうか、私はその定義を伺っているわけでありますが、親企業から非常なやっぱり圧迫を受けております。これは親企業に買ってもらわなければどうにもならないものをつくっておりますから、そういう場合に下請という言葉が使われるのか、用い、扱われるのかどうか。また取り扱うべきであるか、べきでないかということをひとつ委員長に伺っておきたい。
  27. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 現在下請法で対象にしておりますものは「製造委託」とか「修理委託」ということを一応頭にかぶっておりまして、「製造委託」という場合におきましては、「事業者が業として行う販売若しくは業として請け負う製造の目的物たる物品若しくはその半製品、部品、附属品若しくは原材料又は業として行う物品の修理に必要な部品若しくは原材料の製造を他の事業者に委託すること及び事業者がその使用し又は消費する物品の製造を業として行う場合にその物品又はその半製品、部品、附属品若しくは原材料の製造を他の事業者に委託すること」、それから修理の委託のほうは、これは別でありますが、いまのお話に関連することは「製造委託」でありますが、「製造委託」というのはいわゆる下請と通常考えられております機械メーカーなどの使っている下請とか、あれなんか典型的でございますが、下請に該当しない、単に原材料を供給するだけの企業も、最近における企業間信用の膨張を考えますと、同じような影響を受けているような状態が相当あることは、これも私認めております。しかし、支払遅延防止法でつかんでいるのはその一部で、しかし、その下請代金支払遅延等防止法でつかまれている業者というものは、大体中小企業というのが大部分でございまして、これをもう少し幅を広げますと、われわれのほうのいろいろな取り締まりの手もかなり薄く広くということになり過ぎはせぬだろうかという点も一つ考えられますので、現在これで企業問信用の全体を尽くしているとは決して思っておりませんが、いまのところは一応この下請という定義に該当するものを中心に、これでも実は手に余っているような状態ですけれども、われわれとしては、さらに努力していきたい。ただ、このほかに問題があるということはわれわれも考えておりますし、その点はどういうふうにつかんでいくかということについては、さらに通産省ともよく相談していきたいと思っております。
  28. 上原正吉

    ○上原正吉君 だいぶ明確になってきたと思いますが、私は下請というのは遅延防止法で「製造委託」という言葉が使われておりますけれども、「製造委託」とはそもそもどういうことかということにも疑念があると思いますが、こういうふうに解釈するのが一番妥当ではないかと思います。というのは、ほかに流用のきかない原材料を製造して納めている。これは製造を委託されているということになると思う。たとえば、ビールを作る場合に、麦を作るのは、麦はどこにでも向くから、豚屋でも米屋でも向くから、これは委託製造ではない。びんは「アサヒビール」という刻印が押されていれば、朝日麦酒に使ってもらうよりほかに使ってくれるところがない。だから、そういうものは「委託製造」ということで、下請の仕事であると考えて保護して上げるということがそもそも立法の精神じゃないかと思う。
  29. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) お話のとおり、いま御例示におあげになったような「アサヒ」なら「アサヒ」のびんは、もう朝日が規格をきめまして、そうして朝日麦酒は、特にこのごろは朝日麦酒でつくったびんは、ほかの会社では使っていない。こういうような状態にある場合には、先ほど私の読み上げました定義の中の「製造委託」の中に入る、こういうふうに解しております。
  30. 近藤信一

    近藤信一君 先ほど公取委員長の答弁の中にありましたように、検査の方法としては、書類検査とそれから立ち入り検査と、こう二つあるわけでありますが、おおむね書類検査が用いられているわけですね。立ち入り検査が少ないでしょう。
  31. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 書類検査の中で、大体その二割程度を立ち入り検査、八割は一応書類検査のままで終わっております。
  32. 近藤信一

    近藤信一君 そうすると、検査自体はやはり、私は、書類で検査するのと、立ち入りで検査するのと比較すれば、どちらが確実かといえば、立ち入り検査が私は確実だと思うので、それが全体の二割程度ということは、どうして二割程度しかできないのか。機構の問題か。どういう点に障害があるのか。
  33. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 書面調査をしまして、そうして一応下請法に違反していると思われるやつは実地調査に回していく、それが大体二割程度。もちろん、その場合において、今度はさらに勘ぐりますれば、書面調査へは非常にうまいことを言ってきながら、あるいは実際は変なことをしていたというやつがないとは、これは私も言い切れないと思いますけれども、現在はそこまでの分は、書面調査でもって、一応われわれのほうとしては、まあまあ許容できると思っているものにまで立ち入り検査をするということは、現在はやっておりません。これは、主としては、仕事の分量の関係、私どものほうの人間の関係というふうに御了承願いたいと思います。もちろん、先ほどちょっと言いましたように、書面調査対象であれ、あるいは書面調査対象でなかれ、下請業者のほうから直接、あるいは組合を通じていろいろな情報を出してもらうことは、協力団体をお願いしております。そのほうからお話のある分は、それとは別個に立ち入り調査をやっております。
  34. 近藤信一

    近藤信一君 下請業者なり団体に積極的に申請していただくように、あなたのほうでは処置をとっておられるけれども、これは、この前も同僚中田委員から歩積み両建ての問題で発言されたときに、そういう意見があったのですが、被害を受けている中小企業がまた団体が、では公取に積極的に異議の申し立てをやるかというと、なかなかこれはできないのですよ。やっても、これは、匿名でやるくらいが関の山で、やればすぐ圧力が加わわるから、泣き泣き、泣き寝入りする。積極的にやるなんということは、私はなかなか考えられないと思うのですよ。ここに問題が、私は、公取として積極的にやる必要があるのじゃないかと思うし、また、この下請法の第六条に、「中小企業庁長官は、親事業者が第四条第一号、第二号若しくは第七号に掲げる行為をしているかどうか又は同条第三号から第六号までに掲げる行為をしたかどうかを調査し、その事実があると認めるときは、公正取引委員会に対し、その法律規定に従い適当な措置をとるべきことを求めることができる。」と、こうあるのですが、そういう処置をいままで求めたことは、中小企業庁としてありますか。
  35. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 第六条の規定を発動して中小企業庁長官が公取に、正式に、適当な措置をとるべきことを求めたことはありません。ただ、実際上の問題として、中小企業庁においては、公取と別途に、主として下請業者のほうの調査をやっておりまして、その関係から、親企業のほうが支払い遅延をしているとか、そういうような、この法律違反の疑い事実がある場合には、別途立ち入り検査をやりまして、そうして行政指導はいたしております。
  36. 藤田進

    ○藤田進君 私も聞いてみたいと思ったのです。実績は皆無だそうですけれども、これは公正取引委員会体制、機構というものと、通産局という手足を持つ中小企業庁とは、その規模において違うのです。それが公正取引委員会のレールへ乗せていかないということの理由は何ですか。これはひどいものですよ。それは下請の関係ね。特に公正取引委員長にもあわせてお聞きするんですけれども、親といってもいろいろありますがね。まあミシンとか。自動車とか、部品関係について組み立ててちゃんと製品として市場へ出すいわゆる親、その下請下請のまた下請、また下請、大体四段階ぐらいに分けて、その末端というのは惨たんたるものです。そういうものに対する取り締まりの事例、あなたのほうの業務を通じての監督なりといったようなものをお聞かせいただきたい。どういう運用をされているか。
  37. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 近藤委員のおっしゃいましたのに幾つかお答えいたします。下請業者自身が直接公取へもの申すことが非常に申しにくいというのは、われわれもその一応前提でものをいっております。したがいまして、まあ商工会議所がいいか、いろいろな団体がございますから、そういった幾つか、すでに私のほうでお願いしている協力団体というのは、全国的な団体、そこを通じてできるだけ、いわば匿名的なだれがものを申したということはわれわれのほうへいう必要ないから、そうしてそういう間接的に安心してものがいえるようなルートを何とかして開きたい、こういうことを片方で努力しているということをお答え申しておきたいと思います。  それから藤田委員の御質問のように、確かに下請業者に対する親事業者が、その親事業者がまたその親というものとの結びつきが、そこの支払いが悪いために、だんだん順次下へわたっていくということも、こういうことも私はあり得ると思います。したがいまして、その関係をもう少しオーバーホールに見てみようじゃないかということを、いま調査として考えているということは、先ほど申し上げたとおりでございます。  それから具体的にやった事例というのは幾つかございます。しかし、いま例示されたような事例はいま係の者に聞いてみますと、電気器機製造業などの場合においては、私のほうで立ち入り検査した会社も支払いが悪い。しかし同時に、それを突き詰めてみますと、またもう一つ上のほうの親のほうがまた支払いが悪い、こういったような事例があるそうでございます。で、私は先ほどちょっと触れましたが、とかくいままで私のほうのやり方が、そうした支払い遅延の事態だけを注目し、それらに対する改善だけを注目してやっているというだけでは、全体の問題の把握が不十分で、ございますから、それで一体親企業がどういうわけで、そういったような事態になったかということを、絶えず特に立ち入り検査の場合におきましては十分調査しまして、これも少しデータ的にまとめてみたい、かように考えております。
  38. 藤田進

    ○藤田進君 なぜ、第六条の規定にかかわらず、今日までの運営で一件もないのか。その理由
  39. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 過去の中小企業庁のほうの立ち入り検査のほうの件数を申し上げますというと、昭和三十七年度は三百九件であります。これは下請のほうの……
  40. 藤田進

    ○藤田進君 九条の問題。
  41. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 九条の検査でございます。三十八年度が大体五百件程度でございます。これらの立ち入り検査からさぐって、親のほうがやっぱり工合悪いじゃないかということが相当出てくるわけでございます。それを調査しまして三十七年度につきまして親企業のほうが八社、三十八年度の一月末で八社につきまして、それぞれこれは行政指導によりまして改善方を指導しております。内容としては支払いの改善が四件、手形期間の短縮が五件、これは三十七年度でございますが三十八年度は支払いの改善が四件、手形期間の短縮を四件、その他二件、その他というのは、たとえば注文書のやり方が悪い。これを改善する。あるいは単価決定の方法改善するというふうなものでございまして、こういう指導をやっておりまして、今までのところでは、第六条を発動するような事例に乏しかったのじゃないかというふうに私は解釈しておりますが、最近はいま御指摘のように、特に支払い期間の非常に不当に延びるというようなことから、中小企業者に非常に問題を起こしておりますので、近くこれは大臣とも、いろいろ御意見を拝聴しながら公取とも相談をして、さらにこの第六条の問題、このもとは第九条の第二項でございますので、第九条の二項の中小企業庁の長官の調査あるいは立ち入り検査というものをもう少し厳重にやるべきじゃないかということで、いまよりより研究しておるところでございます。
  42. 小林英三

    ○小林英三君 ちょっと関連。いま同僚議員諸君が下請代金の支払い遅延防止の問題で御質問中でありますが、私もこの問題については、他日また日をかえて私のほう自身でももう少し調査をいたしまして、質問をいたしたいと思いますが、ただきょう聞いておきたいと思いますことは、公正取引委員会のほうにおいて、いま委員長が御答弁になりましたような、あるいは書類審査とかあるいは立ち入り検査とかというような問題について、実際にあたっておられる方はどのくらいの人数でやっておられるか、どういう部でやっておられるか、同時に中小企業庁のほうにおかれましても、あるいは六条とか九条二項とか、そういう問題について、これはいかぬというので発動されるような場合においては、どういう部がやっておられるか、また何人くらいで専門でやっておられるのか、あるいは専門でないのか、こういうことを一応聞いておきたい。他日また質問いたします。
  43. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 三十八年度で申しますと、この下請関係で、私のほうで本局でこれの仕事に従事しておりますものが十二人、それから私のほうは名古屋、大阪、福岡に地方事務所を持っております。この関係で九人、両方で二十一人。現在御審議願っでおります三十九年度予算あるいはそれの関係の機構改正におきましては、全体で十五人の増員になっておりますが、この結果としまして、下請関係の従事人員は本局で十四人、地方関係で札幌地方事務所の案が予定されておりまして十一人、二十五人、現在これだけの人員を持っております。
  44. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 中小企業庁のほうで、下請関係調査に当たっておるものは、本省におきまして中小企業庁に振興課というものがございます。ここの人数が全体で八人でございます。そのうちで一人か二人、専任は一人私はきめておりますが、あとそのときの仕事の繁忙によりまして一、二名これに応援をするというような体制でございます。また地方の通産局におきましても同様でございまして、地方の通産局に中小企業課というようなものがございますが、非常に仕事の忙しいせいもございますが、実働何人程度これに当たっておるかということは、それほどいままでのところは多い人数でないと思います。正確な数字につきましては、後日調査をいたした上でお答えいたします。
  45. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 私も後日あらためて質問を徹底的にやるつもりでおりますけれど、その関係もあるのでひとつだけ、この際質問というよりも明らかにしておいてもらいたいと思うのであります。それは、法律の第二条の二でありますが、「下請代金の支払期日は、親事業者が下請事業者の給付を受領した日から起算して、六十日の期間内において——定められなければならない。」、しかし六十日たって、そのときに手形でかりに二百十日の台風手形を振り出した——支払い手段としてのその手形が二百十日であるというような場合には、これは第二条の二に違反すると解釈しておられるかどうなのか、そこを、これはあらためて徹底的に質問するときの関係があるものですから、その点だけ承っておきたいと思います。
  46. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 現在公正取引委員会でこの法律施行していく場合においての考え方としましては、六十日の間に現金または手形で払うと、もちろん現金で払えばそれで問題はございません、手形の場合におきましては、これが金融機関で割り引きが通常可能であるという場合においては、それが一応この条項に違反していない。二百十日というような期日になりますと、おそらく私は割り引き可能の中に入らないと思います。そういう意味においては、一応この条項には合致しないと解釈しております。
  47. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 五カ月の手形を振り出したらどうですか。
  48. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 常識的にいえば、私は三カ月ぐらいまでだと思いますけれども、現在、まあ大体非常に手形期間が延びておりまして、四カ月ぐらいまでは一応割り引けるのじゃなしだろうかというようなところで、一応うちのほうの事務の者は大体考えていっておりますので、大体私としては百二十日はちょっと長いと思っておりますが、何しろ全体が非常に延びておりますので、とりあえず百二十日ぐらいまでに、まず第一段としては一応短縮させるということを目途に仕事をやっております。
  49. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 あとはあとにしまして、じゃまするといけませんから。
  50. 近藤信一

    近藤信一君 いまも同僚議員からいろいろと心配されて大切な質問がいろいろあったわけですが、このいただきました資料を見ましても、御説明によりましても、支払い問題の改善ということは一向に私はなされていないのじゃないか、これが表をみますと、だんだんとふえてきておるというような結果を招いておる。そういうふうなことで、この法律案というのがざる法などと言われるゆえんというものも、そこにあるのじゃないかと思うのです。したがって、下請法は大幅に大改正をする必要があるのじゃないかと、こういうふうな感じを私は持つわけなんです。この点につきましてはわが党といたしましても、いろいろといま案を練っておるわけなんですが、公取委員長、何らこういう改正問題については触れておられませんが、新聞の報ずるところによると、これは大蔵大臣までも、これは改正せなきゃならぬのじゃないかと、こう言われておりますし、経済企画庁の長官もしかり、通産大臣も二十日には何か言っておられる、こういうことで、下請法の改正ということがもう現実の問題として、声として上がってきておると私は解釈をするわけなんですが、下請法の担当というものは、私は公取委員会が主管をしておられるわけですから、公取委員長はこの改正について何かの検討をして改正するかというふうな気持を持っておられるのかどうか、それとも改正しなくてもこれでいけると思っておられるのか、この点いかがですか。
  51. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 現在の下請代金の支払い遅延防止といいますか、その取り締まりが、これはたまたま私のほうにつかまったといいますか、対象になった会社は、私のほうでも区別しておりますが、だいぶ気を使って支払い状況をよくしておる、その意味では全然効果がないとは思っておりませんが、大きく見まして、特にわれわれのほうでは扱っておるのが非常なわずかな件数しか立ち入り検査しておりませんから、全体としてどこまで改善されているかといえば、最近のように金融事情が非常に逼迫してきますと、すぐその影響が出てくるというような状態で、必ずしもこれで十分だとはちっとも私ども思っておりません。ただそれじゃどういうふうな改正をしたらこれの万全を期し得るかという点になりますと、これはいま事務当局で通産省なり企画庁なりいろいろ打ち合わせをさしておりますが、私としまして、どちらかといえば、もっと根の深い問題があるようにも思いますし、同時に、それじゃこの法律はどういうふうに改正したらいいかという点につきましては、まだ検討の過程にございまして、いまこの点をこうというだけの成案を持っておりませんことを御了承いただきたいと思います。
  52. 近藤信一

    近藤信一君 しかし、先ほど来いろいろと同僚委員も言っておられるように、手形もだんだん長くなってくる、台風手形というふうなものも出てくる、先ほど来私が通産大臣に質問しました三月危機ということは、おおむねこうした下請企業がこの三月危機倒産をしていく可能性が多い、だからまず下請の代金の支払いの問題に対しては何とか処置をせなければ、手形がだんだんだんだん長くなって、手形だけで商いをやっていかなければならない、こういうことでは私は正常な事業ではないと、こう思うのです。やはりこういう問題、私は公取なんかが先頭に立って徹底的にやる必要があるのではないか、私はこういうふうに思うのですが、徹底的にやるにはじゃいまの法律でいいかどうかということになると、私はいまできない、またあなたのほうでは人員が足りないのでそんなことはできないといわれるかもしれないけれども、人員が足りなければ足りないでもっとふやす方法を講ずる必要があるのじゃないか、こういうふうに私は考えるのですが、あなたのお気持はどうですか。
  53. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 私もいまの状態で、公取のやっていることだけで満足すべき状態だとはちっとも思っておりません。同時にいまお話しの三月危機とかいろいろな問題、これはまだいろいろ憂慮さるべき問題があると思いますが、これは単に支払い遅延防止法の運用だけで片づく問題というよりも、もう少し広い意味のいろいろな施策の要る問題じゃないだろうかというふうに思っております。それにしましても、支払い遅延防止法を今後どういうふうに運用していくか、あるいはこのままでいいか悪いかという問題につきましては、われわれのほうとしては、よほど考えていかないと、少なくとも現状の運用のままでは満足すべきものではない、かように考えております。
  54. 近藤信一

    近藤信一君 私どもはよくお聞きしまするのは、一つ事業をやっておって現金収入がほとんど下請関係にいきますとないのですね。全部がもう九九%までが手形であるといっても私は過言じゃないと思うのですが、それでは私は下請というものが立ち行かないのも当然じゃないか。先ほど藤田委員が言われましたように、下請に行っても直接の下請ならばまだ親企業がしっかりしているからという一つのよりどころもあるけれども、二重三重の下請というようなものも現在ざらにあると思うのです。それらは、仕事を遊んでおるよりはいいからというふうな気持でやっておる。それらが次々と手形をもらって、仕事だけはまじめにやっていかなければならない。こういうことでは私は正常な事業といわれないじゃないか。私はこういうふうに思うのですが、こういう点を何とかもう少し、その半分なり三分の二なり現金支払いをしなければならんというふうなことができないものだろうか。こういうことを私もよく考えるんだが、この点はどうですか。
  55. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 私のほうも今のお話の、手形でどのくらい払って現金でどのくらい払っているかということにつきましては、相当やはり一つのポイントとして注目して見ております。それでお手元の資料にもございますと思いますが、手形支払い率というのをずっと一応出しております。これは一つのアベレージ計算でございます。これまたこれよりいい会社もあればもちろん悪い会社もある。したがいまして、手形支払いの割合がどのくらいで、現金払いがどのくらいということは、われわれのほうとしてもたえず注目しております。その場合に、それじゃ何割まで現金払いといったような法定の仕方をして、これはまた企業のふところの関係もありますし、はたしてそれがどこまで強制できるものかといったようなものを考えて参りましたときに、それを法定することがはたしてどこまで意味を持つか。いろいろな問題がありますので、現在の私どもとしましては、その点につきましてはもう少し検討させていただきたいという以上に申し上げる段階になっておりません。
  56. 近藤信一

    近藤信一君 いま委員長が現金支払いと手形の割合について非常に関心を持って見ておるといわれるが、見ておるだけではなくて、私はそういう点を公取でももっと調査をする必要があるんじゃないかと思うのですが、そういう調査はどうですか。
  57. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 要するに調査をしておりますので、こういうふうにデータが一応あるわけでありまして、したがって、これをやはり改善勧告の場合におきまして、これの要素を入れながら改善勧告をしていく、こういうわけでございます。
  58. 近藤信一

    近藤信一君 この調査というのは、間接的なその下請、いわゆる二重、三重の下請というところにまで達してのあれですか。そうでないでしょう。
  59. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 私のほうで一応つかまえてまず調査を始めておりますのは、親事業者という定義に当たるものを一応ピックアップして年間千八百くらい選んでおるわけです。その親事業者の中には、それこそ大きな製鉄会社の事業所のようなものもありますし、あるいは下請でありながら同時に下のほうを使っている意味の親事業者、いわゆるお話のような意味の親事業者も一応その下に下請を持っている限りにおいては親事業者に入る。それ自体として、もっと大きなやつの下請をしていても、親事業者に入るわけですから、したがって、お話のような意味の親事業者も、あるいは、ないしそれの下の下請というものとの関係も、この数字の中には入っているわけでございます。
  60. 近藤信一

    近藤信一君 調査されるときの対象として、親企業調査されるのか、実際その下請のほう、いわゆる子会社ですね、子の子というところもあるわけなんで、孫のところもあるわけなんで、そういうところが調査対象になるのか。重点的にはどちらを重点にあなたのほうは調査しておられますか。
  61. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 従来のやり方としましては、どこに重点というほどの意味はございませんで、一応毎年繰り返し繰り返し新しい会社にわたっていくようにといったようなやり方で選択をしてきております。したがいまして、その親事業者の中には、繰り返して申すようですが、非常に大きなマンモス会社の事業所がありますし、あるいはその事業所から下請をやっているような会社の親事業者もある。したがって、特にねらい撃ちにこれをといったような区別でなしに、順次地域的に分けまして、全体に行き渡るような調査の仕方をしていく、こういうわけであります。
  62. 近藤信一

    近藤信一君 私が聞いておるところによりますると、昨年の暮から今年にかけて、いわゆる親企業は二〇%ダウンをやっておる。そうすると、その下請系列におる企業はその下にまた小さいのを使っているわけなんで、それに対してまたダウンをしなければならぬ、こういうことで下請代金の切り下げが非常に活発になってきておるということが事実あるわけなんです。先ほど公取委員長は、本人から直接異議の申し立てがなくとも、商工会議所等からのあれもあるしと、こういう話だったのですが、商工会議所自体が雰細企業下請関係までそうめんどうを見るというふうには、いまの機構では私はなっていないんじゃないか、こういうふうに思うのですが、この点どうですか。
  63. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 私どもで考えておりますのは、これは近藤委員もおっしゃっていますように、なかなか下請というものは、親企業の悪口といいますか、に対する不満を直接言ってくることはむずかしい。われわれも確かにそういうような事態があるということを考えまして、もう少し何か途中にクッションを入れて、そしてものを言えというふうにしたら、少なくとももう少し効果がありはせぬか。そこでいまお願いしておりますのは、一応十五の段階、この青い冊子の十四ページをごらん願いますと一応書いてございますが、全国中小企業団体中央会とか日本鋳物工業会とか、以下そこに列挙しておりますこの十五の団体にお願いし、それぞれの支部などを通じまして、その実態について、できるだけこの団体の名前において公取のほうへものを申していただきたい。これで私も万全とは思いませんが、せめてこういう団体と始終連絡をとることによりまして、一般情勢のお話を伺い、さらに直接の問題としては、特定会社の支払いが非常に悪いといったようなことをわれわれのほうへ耳に入れていただく。もちろんこれで十分だと私もちっとも思っておりませんが、下請業者自身が直接われわれのほうに言いにくい事情にあるという前提が考えられますので、まあこういう団体の人にお願いしながら、この団体を通して申し出てもらう、これでわれわれのほうの一般調査とあわせてやっていく、こういうわけでございます。
  64. 近藤信一

    近藤信一君 あと大臣が来られるまで、大臣にまだ若干残っているので、あと一点にしますけれども、いろいろといままで御質問を申しましたように、非常に下請代金の問題では、私どもも心配しておると同時に、公取委員長もまた中小企業庁長官も、私は非常に心配しておられるだろうと考えるわけなんですが、特に下請企業、その下請企業の中でも零細企業下請関係、これらに対するところのいわゆる監督といいますか、運用といいますか、この法自体ももっと十分に活用して、もっと働いてもらう必要があるのではないかと思うのです。中小企業庁長官は直接担当しているし、また公取の委員長はこういうことに万全の策を講じなければならぬのじゃないかと、こういうふうに私考えるのですが、公取委員長も長官も将来のひとつ心がまえを披瀝していただいて、私は公取委員長に対する質問を終わります。
  65. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 下請代金の問題が非常にたくさん問題を含んでいる、それから法律がなかなか思うような効果を全般的に見てあげていないというような実態につきましては、われわれも非常に心配しております。今後ともこの面につきましては、十分対策を講じていきたい、かように考えております。熱意の点におきましては皆さん方に劣らないつもりでおります。
  66. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 下請代金支払遅延等防止法の運用等につきましては、従来の中小企業庁のやり方というものが非常に不十分じゃないかということを、私も最近の下請事業の実態も考えまして非常に痛感をいたしておるわけであります。先般来大臣の御指示を受けまして、この運用の適正化につきまして、公正取引委員会とも十分連絡をとりながら、この運用の適正をさらに期していきたいというふうに考えております。なお、下請業者の実態がいま先生から御指摘のような状態にございまして、同時にこれはこの法律の運用だけで問題が片づくわけじゃございませんので、さらに長期的な観点に立ってひとつ総合的な下請業者の改善策というものを、どうしても考えたいということで、これも大臣の御指示で実は昨日中小企業政策審議会がたまたまございましたので、その席でも御説明いたしまして、大臣からもお話がありまして、政策審議会の中に下請委員会というものを作りまして、これは稻葉秀三さんが主査になられまして昨日発足したわけでありますが、長期的な観点に立って、根本的な対策も並行して考えていきたいというふうに考えております。
  67. 藤田進

    ○藤田進君 中小企業庁長官に伺いますが、第四条によって七項きめてあるが、過去の事例から見て、それぞれについてどういう実情なのか、件数なり実態をひとつ説明してもらいたい。
  68. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 先ほどもちょっと触れましたが、三十七年度、三十八年度におきまして、中小企業庁のほうで主として下請業者のほうの立ち入り検査をした件数は、三十七年度が三百九件、それから三十八年度が四月から十二月までに百八十三件でございます。この一−三月の間に三百件程度をやりたい、三百件以上やりたいということで、年度間で約五百件になると思います。過去、三十七年度におきましては、この調査をやりまして、立ち入り検査をやりまして、そのうちで特に改善方について行政指導をいたしました。もちろん、立ち入り検査の過程において自発的に改善したものは不問に付することにしておりますが、三十七年度で八社、親企業のほうで八社でございます。三十八年度の行政指導の件数が一月末までで親企業の数で八社ということになっております。その中身を見ますというと、やはり支払いの改善、手形期間の短縮等について改善方を行政指導したものが大部分でございます。たとえば支払いの改善あるいは買い掛け金残高の減少、それから手形期間の短縮、こういうものが大体おもなものでございまして、さらに注文書交付の方法改善、あるいは単価決定方法改善等の勧告をいたしております。そういうものが過去の立ち入り検査の結果では、この法律に照らして改善すべきじゃないかということを勧告した例でございます。
  69. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると、いま七項、法は明定しておるわけだけれども、その中では、下請代金の支払いの遅延、それがまあほとんどだ。あと不当な値引きであるとか、あるいは返品の関係だとか、そういったことがほとんどないのですか、あるのですか。
  70. 中野正一

    政府委員(中野正一君) いま申し上げましたような事例が行政指導の内容でございまして、それ以外の点については、特に取り立ててたいした大きな問題は過去においてはなかったように聞いております。
  71. 藤田進

    ○藤田進君 その立ち入り検査の事業のそれぞれのランクだけれども、いま言っているような、つまり親企業から又請け又請けといったように、相当段階がいまではあるのです。末端ではもう零細企業ですね。そういうところにかなり現在では問題が出ている。そういうものの調査対象というのはあったのですか、ないですか。
  72. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 過去の立ち入り検査におきましては、非常に雰細な事業者等につきましても、件数はそう多くないようでありますが、立ち入り検査をいたしております。
  73. 小林英三

    ○小林英三君 開運。いま藤田君が御質問になっておりましたいろいろな模様を私聞いておりまして、一体千八百軒の親工場に対して云々とか、あるいは二百件とか三百件の立ち入り検査をやったとか、こういう話を聞いておるのですが、私は、今われわれがこういう商工委員会において、中小企業庁長官とか、あるいは公取委員長とかに聞いておりますのは、ただわれわれの質疑を速記録にとどめるというだけではなく、実際において中小企業の支払い遅延防止をいたしたいということなんですが、われわれが平素常識的に考えまして、たとえばどろぼうするとか、あるいは人殺しをするとか、人に傷をつけるとか、こういうことは刑法上の問題で罰せられることでありますから、だれしも常識的にそういうことを、悪いことをするやつはないわけであります。ただ、問題は親企業が全国に何十万軒あるか、あるいは何万軒か、私あとで聞いてみたいと思いますけれども、いわゆる親企業と称せられるものがどのくらいあるかということを聞いてみたいと思いますが、いまの立ち入り検査をしたとかあるいは書面審理をしたとかいうようなほうは、これは今日法律の上において中小企業代金の遅延防止法があるということは知っておりましょうけれども、どのくらいあるか知りませんが、いわゆる親企業と称するものが、ほんとうにこういう法律があるのだということを知っていると思いますか。あるいは公取は、五、六年前にこの法律ができて、つい最近国会においてこれを改正したわけですが、こういうふうな法律があるのだということを、これは全国のそういう親企業と目せられておる人に知悉せしめた、政府として知らしめたということがありますか、ありませんか。それを承りたいと思います。
  74. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 私のほうで千八百とかそういう数字を出しておりましたのは、これは法律の上における親事業者の関係でございまして、この親事業者の下にそれぞれ何十といったような下請がついている。私のほうでの調査によりますると、大体三十八年度における親事業者の数は八千八百ぐらいでございます。それからその下にある下請事業者の数は約二十二万三千あるのではないか、こういうふうな一応の見通しを持っております。それでお話しのこの支払遅延防止法につきましての周知方でございますが、これはわれわれのほうといたしましては、この法律が制定されたときはもちろん、改正されたとき、それからこの間も改正がありました、この場合におきましては、こういう小冊子も作っておりますが、こういうようなことも通じ、それぞれの業界につきまして係が出向きまして、集まっていただいて、いろいろよく話していただいているという意味におきまして、かなり宣伝には力を尽くしていると、かように考えております。
  75. 小林英三

    ○小林英三君 いま御答弁を聞いておりましたが、そうするというと、つまり全国で八千軒と目されているような親工場には、別に政府としては通知を出してない。法律を出したんだからかってに見るだろう、いつの間にかわかるだろうということであって、その他は、ときどき集めてPRしておると、こういうことですね。
  76. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 八千八百の親会社に全部通知を出したということはありません。しかし、商工会議所とか、あるいはそういうようなそれぞれのいろいろな団体がありますから、そういうところに集まっていただくなり、あるいはそういうところを通じて、一応こういうふうに法律の制定をした、あるいは改正をしたという意味の周知方につきましては、ずっと努力してきております。
  77. 小林英三

    ○小林英三君 今の御答弁を聞きましても、それは一応そうおっしゃれば、いかにも公取委員会において親企業と目されている八千軒の人には周知徹底しているだろうというお考えがあるだろうと思いますが、私は必ずしもそうではないと思う、おそらく。刑事問題において罰するわけではないのだから。そうでしょう。それだからあなたのほうで立ち入り検査をしたときにはわかるでしょうけれども、そうでないときには、われ関せずえんというような態度にいる人が大部分じゃないかと私は思いますが、どうですか。
  78. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) まあ私のほうでは、私は必ずしもそう思いませんが、すでに三十一年からこの定期検査というのはいろいろ対象をかえてやってきております。最初は数も少のうございますが、三十五年には千二百、三十六年千五百、三十七年千八百、本年も千八百、それぞれ対象を違えながらやってきております。したがいまして、そうした具体的な問題においてのわれわれの照会も行っておりますので、親事業者として少なくとも支払遅延防止法の存在は私はわかっている。ただこれがどの程度重んぜられているかとか、履行されているかという問題になりますれば、先ほど来の御質問にお答えしたとおりに、必ずしもそれは満足すべき状態ではないので、われわれとしては、今後大いに考えなけりゃならぬと、それは私は全然同感でございます。まあ、この支払い遅延防止法の存在を親事業者が知らない、あるいは少なくともこの大体の内容がわかっていないということは、私は、全然ないとは思いませんが、まあ大体の親事業者においては、それはもうわかってはいる。ただ、それがどこまで履行されているかという点が、むしろ問題だというふうに思います。
  79. 小林英三

    ○小林英三君 もう一つ。  いまの公取委員長のお話を聞きまして、まあ公取委員長はそう信じていらっしゃると思います。どうですか、こういう冊子もできておるんですから、これを、ある程度費用はかかるでしょうが、親会社の会社名で送ったんじゃ、これはほごになってしまうんで、少なくとも、ある種のプリントをつけて、社長であるとか、専務であるとか、あるいは会計の重役であるとか、あるいは会計課長であるとかいうようなものに一応お配りになる意思はありませんか。
  80. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) その点につきましては、私のほうで検討さしていただきたいと思います。
  81. 藤田進

    ○藤田進君 こまかい事例等については、また後日指摘しながら質疑を続けますが、大臣が見えられたので、大筋だけお伺いしておきたい。  私ども、過去から今日まで、中小企業政策、これをずっと見てまいりますと、結局、自然淘汰を待ち、そして集中独占といった形で輸出貿易を維持していこう。つまり、低コストで量産の形。そこで、わが国の特徴としては、高金利ではあるけれども、しかも低賃金といったような矛盾は持っているけれども、そのすべての生産されたところの物資について低コストという根源は、何といっても二重構造にある。また他面、親企業中小雰細企業下請として持つことによって、親企業の不況期における安定をはかろうとするといったようなものが強く出てきておる。ですから、通産大臣はどういうお考えか伺いたいのは、輸出振興しなきゃならぬ、しかし諸外国との市場における競争がある、技術水準もさることながら、そのコストにおいても勝負をしなきゃならぬ、といったようなことが重点になって、結局中小企業対策、特にいまの問題となっている下請関係ですね、これが、ほんとうはもうからだ全体が大企業へ向いてしまって、ちょっと横目で中小企業下請企業を見ているというふうにしか受け取れないです。公取なり、あるいは中小企業庁の下請関係に関する、担当している人たちの質なり量なり見てもわかるように。そこで、大きな線として、一体、いまのような輸出に関しての関係の矛盾といったようなことはさることながら、結局下請というものを保護していく、そして低コストは、若干そうでない、若干コストアップになっても、下請というものを守っていく政策、立法的にも資金的にも、ということを本気で一体考えられるのかどうか。考えられるとすれば、いろいろ言われているけれども、どうも納得がいかないんで、今後の立法の部面なり、あるいは資金の面なり、それから、これを運営する公取なり、中小企業庁の今後の増強政策なり、こういうものを聞きたい。  さらに私見ていて、中小企業庁長官にしても、まあ今度のは知りませんよ、知りませんが、通産事務次官になり、やがて下請をいじめるところの大企業の取締といったようなことで逐次入っていっているんです。大体そうです。それから地元の通産局はどうか。まあ係長ぐらいあたりから大企業へだんだんと身の振り方を考えていく。要するに、下請というものをしゃにむに保護していくという立場にありながら、そうじゃない。身の振り方を考えていく。そこに大きな問題がある。そして政治とか政治資金といったようなことで、これまた大企業でしょう。これじゃ下請が保護されるといっても、根本からもう現状は誤りがある。そういうことを認めませんか、どうですか。以上のことについて。
  82. 福田一

    国務大臣福田一君) 私は、中小企業と大企業の格差を是正するという意味において、中小企業基本法を制定いたしました。税、金融、その他の施策において、できるだけこれを実現するように努力をいたしておるのであります。  そこで問題は、二つ私は考えなければいけないと思う。それは、格差の是正という問題と、経済規模の拡大、すなわち輸出振興による経済規模の拡大、この二つを問題として考えなければならない。幾ら格差を是正すということに努力をいたしましても、日本の経済輸出によって大きくなり、規模が大きくならないうちは、ちょうど一升のますの中にある大企業中小企業の分野を幾ら変えてみても、所得の全体は上がるものではありません。そこで、一升ますを二升ますにし、三升ますにする。経済を拡大する。拡大しながら、その間において大企業中小企業の格差を是正していく、こういう姿が日本の経済を成長させる道である、こういうふうに私たちは考えておるわけであります。これは、おわかりといいますか、御理解を賜わるところだと思うのでございますが、その間において、経済は拡大しておるが、しかし格差が少しも是正されないでいるという姿は、これは決していいことではないのでありますから、その格差を是正するためには、先ほども申し上げたように、税、金融、あるいは行政、あるいは立法、その他いろいろの方法はあるでありましょう。いずれにいたしましても、中小企業と大企業との格差是正に向かってわれわれは努力をいたさなければいけない。そういう、その努力を一段と強めるためにも、中小企業基本法というものができているし、また、予算においても、できるだけそちらのほうに力を入れるというわけであります。しかし、力を入れたからといって、こんなことは一年で解決するものでではありません。二年、三年という努力をずっと続けていくことによって順次格差をなくしていく、こういうふうにいたさねばならないと思うのまありまして、私たちとしては、そういう方向で、これからも産業の育成、またその産業の中における中小企業と大企業との格差の是正、こういうことに当たっていきたい、かように考えておるわけでございます。
  83. 藤田進

    ○藤田進君 それからあと、申し上げた行政指導なり、あるいは公取のおやりになるそういった人たちの、上から下まで、業務に当たるかまえとして、若干の事例を指摘したわけですけれども、どう思いますか。
  84. 福田一

    国務大臣福田一君) 私は、そういう場合において、通産省にいる人、あるいはその他の役所にいられる人が、どこに入るとか入らないとかいうことは、外から要望があれば、また、下から行っても、どんどん上がる人もございますし、私はこれを——あなたはもちろんそういう意味でおっしゃったのじゃありませんが、ためるとかためないとかいうことは根本の問題ではないと思います。ただしかし、通産省の仕事をし、あるいは大蔵省の仕事をし、あるいは農林省の仕事をする、そういう人たちが、大企業のほうばかりを見ておって中小企業を見ない。あるいは農業とか、そういうような弱小企業のほうを見ない。こういう態度であっては私はならないと思います。常に、いま私が申し上げたような気持ちで行政の面に当たっていってもらいたいものだ、実は私は心からこれは念願しておるのでありまして、そんなことを申し上げては失礼かと思いますが、私はよく、いまでも、みんなと話しするときには、どうか、できるだけ下で何をしているかということをよく勉強してもらいたい、そしてその上に立っての政治でないというと、ほんとうの政治にならないんだということを、いつも私は申しておるのでありまして、あなたから、藤田さんから見られれば、まだまだその面が足りないという御不満はあるかと思いますけれども、今後とも、あなたの御叱正もございますので、あなた方からもよく十分見ていていただいて、そして役所の者がみんなやはり、いまあなたがおっしゃったような気持ちで政治に当たるように、私も努力をさしていただきたいと思うのであります。
  85. 藤田進

    ○藤田進君 まあ、表面化しているのでは、この百貨店のスペースの問題だ何だと出てまいっておりますが、これは他の委員があとで指摘するそうですが、これなんか見ても、百貨店と他の周辺における小売り業者との関係というのは御承知のとおりで、なかなか問題がある。で、いやしくも監督行政に携わる者が刑事事件にかかるということは、ぼくは氷山の一角で、各通産局の状態をあとで資料を提供して申し上げますが、一体、日常の予算等の関係もありましょう、交際費がなかったりとかね。まあ各官衙庁として、いや送別会もあるだろう、歓迎会もあるだろう、また、時にはゴルフの会もあるだろう、といったものは国で見ていないものだから、どこかでまかなっていかなければならない。どこが外郭団体としてまかなっているかということは御承知だと思う。そういう体制の中における日本の中小企業下請企業というのは、単に立法だけではどうにもこれはならないと思う。そういう機構そのものについて、最高責任者である国務大臣、所管大臣は相当これは考えられなきゃならない。  そして、経済の拡大と相まってということですが、まあ、ほとんどの企業規模を、今度の高度経済成長の波に乗って設備投資をいたしましたが、そのことよりも、むしろ、これは統計上にも出てくると思う。やはり下請企業、又請企業といった形で、低コスト量産という姿のほうが出てきて、ここに格差が出てきている。親企業規模よりも下請企業規模のほうが大きい、その従業員数においても、あるいはその他の生産の量においても、親より多い、けれども、利益勘定というものは親企業が六倍もある、下請企業全体を集計しても、六分の一しかない、といった現実の例があります。ですから、格差を是正しながらということは、私は方針として正しい、そうしなければならない。一つの矛盾ですから、いま。けれども、それはなかなか言うべくして容易でないわけですから、具体的にここに政策というものが出てきませんと、私は通産大臣の本委員会における、いわば通産行政の施政方針演説の内容について、逐次お伺いするつもりでおりますけれども、こういった点は、もっとあとで近藤委員からお尋ねするそうですから触れませんが、とりあえず、立法上どうなんだといった点は、むしろおそいくらいで、腹をきめてかからなければたいへんなことになると私は思います。
  86. 近藤信一

    近藤信一君 先ほど公取委員長にもお尋ねしたわけですが、最近の新聞の報ずるところによりますると、通産大臣が、下請法の改正に関しまして、何か二十日ごろまでに結論を出すように中小企業庁に指示した、こういうようなことが出ております。また一方、省内におきましては、そんなことをしなくても、現行法の運用強化という面で十分な効果があがっていくのじゃないか、こういうふうな考えもあるようでございますが、じゃ現行法の運用強化とは一体どういうことを意味しているのか、この点大臣から御答弁が願いたいと思います。
  87. 福田一

    国務大臣福田一君) ただいまの御質問でございますが、そういう問題について事務的に法を改正していいか、あるいは法を改正しないで、現行法を活用してできるのか、またそのやり方等々は、いま実は調べさしております。そうして大体調べができたらば、二十日ごろまでにはひとつ、そんなぐずぐずしておってもいかぬから、なるべく早くやれと、こういうことを言うておきましたけれでも、まだ実は事務から上がってきておりません。したがいまして、どういうことになるか、もうしばらくお待ちを願いたいと思っているわけでございます。
  88. 近藤信一

    近藤信一君 そういたしますと、まだ、現行法でいくか、改正しなければならぬか、こういう結論には達していないと、こういうわけでございますね。
  89. 福田一

    国務大臣福田一君) さようでございます。
  90. 近藤信一

    近藤信一君 次に、手形割引保証制度を実施するために、中小企業信用保険法改正したり、また中小企業金融を緩和するために、政府機関資金をつぎ込んでも、もし下請法がざる法ということにとどまるということになりますると、支払い遅延がひどくなるのではないかと、こういうふうに思うのですが、一体その点はどうですか。
  91. 福田一

    国務大臣福田一君) その問題は、御心配の面、われわれも実は十分注意をいたしまして、そのようなことのないように、これも実際の実施にあたって、そういうことのないようにひとつ努力をしたい、かように考えているところでございます。
  92. 近藤信一

    近藤信一君 それからもう一つ。この下請法を強化するということは、先ほど来藤田委員も言っているように、大企業に対して制肘を加えるものじゃないかというふうなことで、通産省は大企業に気がねしているというふうな感じもするようにも思うのですが、その点はどうですか。
  93. 福田一

    国務大臣福田一君) 私の知っている限りにおいて、だれも遠慮しているとは思っておりません。私も決して遠慮はいたしません。
  94. 近藤信一

    近藤信一君 それから、この下請法の改正の問題につきましては、大蔵大臣も衆議院の予算委員会で答弁しておられますし、また、経済企画庁長官も、この下請法の問題については、いろいろと言っておられる。そうすると、いま経済担当の大臣である、あなたを含めて、すべてが、この下請法に対するところの大きな関心を持たれていると私は思うのですが、そういう観点からいきましても、これは改正をしなければ、現行法ではだめじゃないかと、こういうふうに私は感ずるのですが、大臣の御所見はどうですか。
  95. 福田一

    国務大臣福田一君) 先ほども申し上げたように、これは恐縮でありますが、いま一応それを調べろと言って、事務に私が命令している段階で、私の意見をここで申し上げることは、せっかく調べている者の気持ちをあれすることにもなりますので、どういう調査が出てきますか、二、三日のうちには何らかの結論を出してくると思いますが、その上で私の態度をきめたい、また、その上で大蔵省とか公正取引委員会その他とも、よく連絡をとって措置してまいりたいと思いますので、これはもうしばらくお許しを願いたいと思います。
  96. 近藤信一

    近藤信一君 それから、先日も、これは予算委員会での御答弁の中にあったと思うのですが、悪質な業者、いわゆる融通手形によって握り分散といいますかな、そういうようなことに計画的に持っていくという業者もあるというふうなものに対するところの厳重な取り締まり、こういうことがいわれておったのですが、これは現実にそういうのが私もあると思うのですが、そういうのは、一体数字的に見て、今日はふえているのじゃないかと私は思うのですが、どうですか。
  97. 福田一

    国務大臣福田一君) 実際に調べておりますというか——報告も受けておりませんので、感じを申し上げるのですが、確かにそういう傾向はあると存じております。
  98. 近藤信一

    近藤信一君 そういう傾向があるといま大臣が言われましたが、そういうものに対するところの取り締まり方法といいますか、これはどこでやれますか。
  99. 福田一

    国務大臣福田一君) これはやはり各省でやれると思いますが、やはりこれは、商法あるいは小切手法等に関係があることになりますから、やはり主管は、法律改正する場合、法務になると思います。それからもし、そういう悪質な、最初からそういう意図でやっておるということになれば、犯意が明瞭であれば、これはもちろん詐欺とかそういう刑罰法規で取り締まれるかと思います。なかなかそこいら辺が巧妙にやっておるようであります。大蔵大臣あたりも、うんと罰金をかけたらどうかとか、いろいろなことを言っておられますが、実際上は、法律改正するということになると、なかなかそれがむつかしい面があるようで、研究はしておるようであります、その点は。
  100. 近藤信一

    近藤信一君 公取では、そういう話、聞いておりませんか。
  101. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) いまのお話は、私のほうは、御承知のように、公正取引というやつは、正常な競争を起こすように措置するということが中心になっておりますので、いまお話の、いわゆる取り込み詐欺あるいはそれに類似するような問題ですと、われわれのほうの事案としてはあまり出てこないのじゃないか、かように思っております。
  102. 赤間文三

    理事赤間文三君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  103. 赤間文三

    理事赤間文三君) 速記を始めて。   —————————————
  104. 赤間文三

    理事赤間文三君) 質疑の途中でございますが、この際、先般、電気事業及び繊維工業の実情調査の目的をもって派遣をせられました各班から、その調査の御報告を願うことにいたします。  まず、第一班からお願いをいたします。近藤委員
  105. 近藤信一

    近藤信一君 第一班について御報告を申し上げます。  派遣委員は、八木委員と私で期間は二月六日から十日までの五日間でございました。  視察個所を日程順に申し上げますと、トヨタ自動車工業本社工場及び元町工場、尾張一宮市の野村毛織、尾西市の渡玉毛織、東海製鉄、中部電力尾鷲火力と東邦石油の建設現場、最後に、電源開発会社の熊野川の支流十津川水系の発電所とダムでございました。  なお、尾西毛織工業協同組合及び中部電力本社において、それぞれ関係者と懇談いたしました。  視察いたしました事業所では、それぞれの業態に応じ、特振法案、繊維新法、電気関係法案、中小企業関係法案等について意見を交換し、要望を承ってまいりましたが、その詳細は検討の上、いずれ法案審査の段階で申し上げることにいたしまして、ただいまは、視察中に受けました印象の概略を申し上げることにとどめたいと存じます。  トヨタ自動車工業は、わが国第一の自動車生産規模を持つものでありますが、ここでは、開放経済体制に即応し、国際競争力を強めるために、どのようにしてコストを下げ、良質低廉な製品をつくるかということに腐心しておりました。これは、あげて企業合理化に待たねばならないのでありますが、問題は、その合理化方法でありまして、これには下請中小企業の関係もあって、微妙な問題をかかえているようで、ございます。しかし、とにかく、販売会社や下請協力工場等が一丸となって厳しい試練にたえていこうとしており、そのためには、設備投資に対する金融とか、自動車輸出に対し、政府の強力な措置を期待するとともに、道路の開発整備等についても、国の積極的な推進を望んでおりました。  なお、合併問題を中心とする業界の新しいあり方には慎重な態度で臨もうとしているようであります。  東海製鉄は、富士製鉄及び地元財界並びに県と市の共同出資により設立されたもので、私どもの参りましたときは、熱延、冷延、亜鉛メッキの設備が稼働しているだけでございましたが、現在建設中の二千五百トン高炉が近く完成すれば、すでに設置されております製鋼用の吹き上げ転炉とともに、世界的レベルの合理化された銑鋼一貫の製鉄所になるとのことでありました。  この製品の主力である薄板は、トヨタでも自動車用として使用され、喜ばれておりますが、県、市、地元財界、さらには下請中小企業の期待は、それぞれの立場からきわめて大きいのであります。こういう点から見ても、このような企業設備投資を繰り延べたり、中止したりすることがあると、いろいろな問題が発生し、その影響するところが大きいのではないかと思いました。  次に、一宮・尾西地区の毛織物工業でありますが、この地区の毛織物工業の流通段階が複雑な構造を持っているだけに、金融引き締めや紡績、商社等の大企業しわ寄せの影響がはなはだしく、特に織布専業の業者は、暖冬異変も加わって、経営困難、倒産が多いとのことでありました。このような状況を打開するために、まず、政府と日銀とが景気の見通し金融対策について思想統一し、その政策の基調を一本にしぼって、業者に金融政策上の不安感を払拭させるようにしてもらいたい。また、手形サイトの長期化を防止する対策や、中小企業金融の量的質的拡大、税負担の軽減等、一連の中小企業対策を強力に実施してもらいたいとの要望がありました。  その他、若年労務者の確保のため職業安定所と中学校当局との連絡調整をうまくやってもらいたいとか、労務者宿舎や教育施設等労働環境の整備について政府の援助を望んでおりました。  なお、繊維の法律については、たとえば無登録機の取り締まりの徹底や、中小企業団体法との調整等、運用面の適正化を要望しておりました。  次に、中部電力の尾鷲火力は、最大出力三十七万五千キロワットの重油専焼火力二基をG・E社から技術導入し、第一期工事として建設中で、将来は同じ出力のものを二基国産でつくる予定であります。  東邦石油は、この火力に隣接して建設中でありまして、火力で使用する重油を一手に供給するために建設されるもので、いわゆる重油コンビナートを形成するわけでございます。したがって、東邦石油は重油をおもに生産するようでございますが、これは、ほかの石油精製のように、各種石油製品や石油化学原料のナフサの生産まで行なうのと、当面その方向を異にするわけでございます。この点、今後に問題が残されるわけであります。会社側といたしましては、出資者である中部電力、出光興産、三菱商事の三社と検討の上、将来のあり方を定めるようでありますが、コンビナートの方式として一つの課題を提起していると言えましょう。  なお、尾鷲火力、東邦石油とも、石油使用に伴う硫黄分による公害について神経を使い、東邦石油では、硫黄分の少ない原油を使用するとともに、脱硫装置を研究し、火力のほうではわが国初めての四脚型集合煙突をつくり、煙の拡散的効果を高めようとしております。  この尾鷲地区は、電源開発会社の尾鷲第一、第二の水力発電所、中部電力の火力、さらには同社の原子力発電の予定地点にもあげられ、今後の中地域の広域運営一つの拠点になるようでございます。  広域運営につきましては、新電気事業法案にも規定されているようであります、中部電力では、すでに予備供給力が確保され、広域運営が合理的に行なえると言っております。  なお、同社では、需要の増大による電源開発のための建設費、特に資本費の高騰が会社経理を逼迫させ、二十九年に定められた料金との関係で苦慮しているようでございます。  電源開発会社の十津川水系の各発電所及びダムはすでに竣工し、営業運転に入っておりますが、この水系は、いわゆる熊野川開発全体計画の一環として行なわれたものであります。この水系の発電所は、全部を合計いたしましても、奥只見、田子倉、御母衣の各発電所はもちろん、同じ熊野川の支流の北山川水系でただいま工事中の地原発電所よりもその出力が少ないのでありますが、十津川に限らず、熊野川の水は、年間を通じてみますと豊富にもかかわらず、季節的に片寄っているため、これを利用するためにはいろいろと困難があり、特に経済的な開発ということになりますと、いまくらいの水の利用が限度だったようであります。  しかし、それまでほとんど利用されなかった水を電気エネルギーに変え、さらには、付帯工事でありましたが、新宮——五条間の道路を新設することによって、地域開発に大きな貢献をしている点はきわめて印象が深かったのであります。  以上でございますが、今度の派遣にあたって、名古屋通産局及び視察先の各会社、業界団体が寄せられた御協力に対し、この席をかりて感謝の意を表し、報告を終わります。以上。
  106. 赤間文三

    理事赤間文三君) 次に、第二班の御報告をお願いします。椿委員
  107. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 第二班の近畿、中国班について申し上げます。  派遣委員は、前田委員長、岸田委員、阿部委員と、私椿委員で、期間は去る二月六日から十一日までございました。  視察個所及び訪問先を申し上げますと、大阪通産局、敷島紡績城北工場、日本紡績協会、関西電力本社、岡山県庁、協同組合岡山鉄工センター、水島臨海工業地帯、福山臨海工業地帯、帝人三原工場、大竹・岩国地区臨海工業地帯、東洋工業、呉市のやすり工場、中国電力本社等でございます。  視察の概略だけを簡単に御報告申し上げます。  まず、繊維関係について申し上げます。  敷島紡績城北工場は、精紡機五万一千錘のうち、五〇%以上の約二万八千錘も格納されており、格納の実情を見ることができたのであります。  今期国会に提案を予定されておりますいわゆる繊維新法について、日本紡績協会と懇談する機会を持ちましたが、今度の新法が、過剰精紡機の廃棄を促進し、企業の体質を改善して合理化を推進することを目的としているのであるから、設備の増加によって無用の混乱を招かぬよう、新法の期間中設備設置は規制すべきで、現行法が使用制限法であるため、現在のようにやみ紡機を生じ、業界混乱のもととなった事実にかんがみて、この点を改め、ぜひ設備設置の規制を行なってほしい、また、過剰精紡機の廃棄や合理化によって体質を改善し、将来円滑に自由競争体制へ移行できるようにするためには、金融上の措置がとられることが望ましく、この点に関しては、先般中小紡績対策として、繊維産業に対する初年度財政資金ワクとして開銀十億円、中小企業金融公庫五億円が組まれることとなりましたが、この資金ワクで建業界中小紡績の合理化計画からいって、なお不十分でありますから、将来において資金の増ワクが望まれるとの要望がございました。  次に、中小企業関係について申し上げます。  私たちの視察いたしました中小企業団地は、岡山市にあります協同組合岡山鉄工センターであります。ここは、岡山市内並びにその周辺の中小機械工業の三十企業が集まっており、ベアリング、車両部品、農機具等を生産しております。ここは、中小企業工場団地に対する助成制度が施行された去る三十六年度助成対象となった十団地のうちの一つで、すでに当初計画は完了し、組合員全員が操業しておりました。現在、共同作業場、福祉会館等の共同施設を設けており、また、共同受注、共同加工等の共同事業を行なっており、将来逐次拡大するとのことであります。集団化後の効果として、設備近代化促進され、共同受注、単独受注とも逐次増加しており、また、金融面についても、集団化により、組合の信用にもちろん、所属企業の信用も高まり、多くの利益がもたらされているとのことでありました。  なお、ここでは、共同受電ができるようにしてほしいとの要望がありましたが、電力会社の供給規程の関係もあると思いますが、中小企業の集団化に対しては、国も県も助成策を講じていることでありますから、供給規程の範囲内で共同受電ができるよう検討することが望ましいと思うのであります。  広島県の特産物の一つであるやすりは、呉市の仁方町で生産され、日本全国のやすり生産量の八〇%以上を生産しており、町ぐるみ、やすり生産町を形成しております。ここで生産されるやすりは、国内はもちろん、広く海外へも輸出され、その数量は年々増加の一途をたどっております。生産量が多いといっても、やすり製造業者は、中小企業、特に零細業者が多く、製造設備の性能が低く、現在使用されているやすりの目立て機械は大正時代に考案されたもので、ほとんど改良されていないし、その他の機械設備についても近代化がおくれている現状であります。今後のやすり製造業の発展のためには、何といっても、製造設備近代化をはからなければならないところでありますが、零細業者が多いため、業界自身では困難であると思われますので、県はもちろん、国においても、中小企業近代化の線に沿って大いに助成策を講ずる必要がると思うのであります。  次に、中国地方の臨海工業地帯について申し上げます。  新産業都市の指定を受けた岡山県水島地域は、高梁川の河口の三角州と、その付近一帯の海面を埋め立てた地域でありまして、すでに約七百万坪の土地造成を終わり、なお、約五百万坪の造成計画を持っております。  工業用水も、高梁、吉井、旭の三大河川を中心として、日量十二万トンが確保され、第二期工事として日量五十四万トンを準備中であり、この地帯は、石油、鉄鋼、機械を中心に一大臨海工業地帯に成長中であります。現在、鉄鋼関係では、川崎製鉄が完成時には年間粗鋼六百万トンの大製鉄所にする計画で用地造成を行なっておりました。  福山臨海工業地帯は、海面を埋め立てて約二百万坪の土地を造成中で、ここには日本鋼管の新製鉄所の建設が決定しております。工業用水は、水源を芦田川に求め、第一期工事として日量十二万トンを確保すべく計画のようであるが、今後の工業立地条件としては、なお多くの工業用水の確保が望まれると思うのであります。瀬戸内海沿岸の臨海工業地帯の工業立地上の長所は、内海が天然の運河であり、至るところによい港湾があり、大型船の運航に達しており、比較的背後地にも恵まれ、工業地帯となるべき資格は十分備えており、今後の発展は期待されると思うのであります。  以上が視察の概要でありますが、今回の視察にあたり、大阪及び広島通産局並びに関係会社から種々の御配慮を賜わり、非常に便宜を得ましたことを申し添えまして、この簡単な報告を終わります。
  108. 藤田進

    ○藤田進君 いまの報告に関連して、政府並びに関係者に質疑がございますので、しかるべきときに理事会で相談していただきたい。
  109. 赤間文三

    理事赤間文三君) 以上で、派遣委員報告は終了をいたしました。——別に御発言もなければ、本件はこの程度にとどめたいと存じます。  本日は、これをもって散会したいと思います。    午後四時四分散会    ————・————