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1964-06-26 第46回国会 参議院 社会労働委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月二十六日(金曜日)    午前十一時二十六分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     藤田藤太郎君    理事            亀井  光君            高野 一夫君            藤原 道子君            柳岡 秋夫君    委員            加藤 武徳君            紅露 みつ君            徳永 正利君            丸茂 重貞君            山本  杉君            阿具根 登君            杉山善太郎君            鈴木  強君            小平 芳平君            村尾 重雄君            林   塩君   国務大臣    厚 生 大 臣 小林 武治君    労 働 大 臣 大橋 武夫君   政府委員    厚生政務次官  砂原  格君    厚生大臣官房長 梅本 純正君    厚生省公衆衛生    局長      若松 栄一君    厚生省環境衛生    局長      舘林 宣夫君    厚生省医務局長 尾崎 嘉篤君    厚生省薬務局長 熊崎 正夫君    郵政省人事局長 曾山 克巳君    労働省職業安定    局長      有馬 元治君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    厚生省保険局保    険課長     穴山 徳夫君    農林省農政局植    物防疫課長   石倉 秀次君    林野庁職員部長 森   博君    日本専売公社副    総裁      大槻 義公君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○社会保障制度に関する調査  (輸血問題に関する調査)  (食品の残留農薬問題に関する件)  (原爆被爆者の援護問題に関する  件)  (石炭産業における健康保険問題に  関する件) ○労働問題に関する調査  (労働時間短縮、雇用問題に関する  件)  (公共企業体等労働委員会仲裁裁  定に関する件)  (林野庁における雇用問題に関する  件)  (郵政省における労働問題に関する  件) ○継続調査要求に関する件 ○継続審査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件   —————————————
  2. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) ただいまから開会をいたします。  参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  公共企業体等労働委員会仲裁裁定に関する件調査のため、公共企業体等労働委員会委員参考人として出席要求いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議ないものと認めます。なお、参考人人選等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議ないものと認め、さよう計らいたいと思います。   —————————————
  5. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 社会保障制度に関する調査を議題といたします。  輸血問題について質疑の通告がございますので、これを許します。藤原委員
  6. 藤原道子

    藤原道子君 私は、輸血の問題につきまして少し御質問したいと思います。  過日も御質問いたしたのでございますが、いまや非常に世論が高まって、この結果に対しましては、国民大衆はひとしくその結果を見詰めておるというのが現状だと思います。このとき、厚生省は、二十二日に薬事審議会諮問をお出しになり、オープン採血に踏み切るというようなことでございますが、この諮問に対しての答申はいつごろ出る予定であるか。  それから、いま一つは、これに対してどういう対策をもってお臨みになるお考えであるかということをまず伺わしていただきます。
  7. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 去る二十二日に薬事審議会血液製剤特別部会に、採血にあたりましての技術的な方法につきましての諮問をいたしたわけであります。諮問の結果、当日、部会先生方の御意見といたしまして、現在の買血に片寄っておる制度を根本的に変えていくためには、やはり預血献血を強力に推進することが緊要である。その方法として、いわゆるオープン採血方式、あるいはインドア方式についての可否及び技術的な基準については調査会で検討するように、ただし、野外オープン採血といいますか、青空採血については、各委員意見は、日本で認めるのは時期尚早である、こういうふうな答申をいただきまして、私どもといたしましては、調査会に至急この問題をおろしまして、インドアでのオープン採血につきましての技術的な問題を至急解明していただくことにいたしております。大体調査会のメンバーが十四、五人でございまして、その方々に技術的な基準を検討していただくように、すでに案をつくることを二、三の学者の方にお願いをいたしておりますが、いまのところ、いろいろ問題点もございますので、時期的な見通しがいつかということは必ずしもここで明言はできませんけれども、少なくとも七月、八月中には結論を出していきたいというようなつもりで、調査会結論を急ぐようにお願いをいたしております。  それから、対策につきましては、実は、目下私どものところで検討中でございまして、献血運動をどのような方法で推進していくか、また、預血をどのようにして認めていくか、その中間段階で、現在の市中銀行がやっております買血制度、これを直ちに一掃することは不可能であるにしても、漸滅していく方法はどういう方法が適当であるか、こういうことにつきまして検討いたしておりまして、まだ公にできませんのは非常に残念でございますが、いろいろ問題点もございますので、鋭意検討いたして、近々に対策をきめたい。しかし、大筋として言えますことは、現在の預血献血運動の推進を都道府県、市町村の行政機関も中に介入いたしまして、各協力団体の応援のもとに、行政機構をフルに活用して献血預血促進をはかるということを主体にして強力な運動展開をやりたい、こういうふうに考えております。
  8. 藤原道子

    藤原道子君 私は、局長の発表された新聞記事などを見まして、非常に消極的なように思うのです。局長の立場とすれば、いろいろ慎重にお考えなのはごもっともだと思いますけれども、私ども最近地方へ出ますと、献血をしたいと思って行っても、なかなか手続がやっかいだとか、あるいは非常に時間待ちが多い、そのうちに情熱がさめてしまう、こういうふうな声が非常に高まっておりますし、あるいは幼稚園のPTAのおかあさん方とか、そういう人まで献血をしよう、きれいな血を出そうという気運は高まっておると思うのです。これに対して、政府がいろんなことにこだわらないで、勇敢にPRをして、さらに採血車をふやし、オープン採血ができる、こういうふうに踏み切られましたならば、私は、献血もっともっと量を多く受けられるのではないかというふうに考えられると同時に、やる主体ですね、いまの日赤のみでは私はだめだと思うのです、いまの機構では。いろいろ方法があろうと思いますけれども、それらに対してはどういうお考えを持っておるかということが一つ。  いま一つは、いまの日赤採血車献血だけを扱って、預血の申し出があっても、預血にこれを使ってはいけないということになっておるということを伺いましたけれども、それが事実であるかどうか。献血預血は別々にやらなければならないというようなことで、非常に窮屈でございますというようなことを伺いました。時間が制限されておりますので、はなはだ急いで恐縮でございますが、それから、いま一つは、一般に与えている疑惑一つとして、献血の代価はどういうふうになっているかということをあわせて伺います。
  9. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 対策を進めるにあたりまして、日赤組織を活用することはもちろんでございます。ただ、日赤自体でこの問題が全部完全に機能を果たせるかということにつきましては、日赤組織その他を考えまして、必ずしも私は十分だとは思っておりません。やはり市中銀行技術陣営を活用する必要がありますし、また、一般医療機関協力を求めるというふうなことも考えなければならないと思思っております。  それから、日赤預血はやってはいけないというふうなことは私どもは申しておりません。
  10. 藤原道子

    藤原道子君 採血車です。
  11. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 採血車は、主として現在献血をやっておりますけれども、しかし、預血を受け付けてはいけないというふうなことを申しておりません。ただ、この際、明らかにしておかなければならない問題といたしまして、献血預血というものがどこに差があるかという技術的な問題もあるわけでございまして、献血の場合には、不特定多数の人に自分の血を提供する、預血の場合には、やはり自分なり自分家族縁者等に必要な場合の、将来をおもんぱかって、あらかじめ血を預けるというような形になるとは思いますが、ただ、預血献血定義自体も、現在のところ、巷間そのように解釈されているだけで、必ずしも明確ではございませんので、このたびの対策を立てるにあたりましても、その辺はひとつ明確にいたしたいという気持ちを持っております。  それから、代金というか、献血されました金額の問題でございますが、これは献血される際に、結局五百円分はは——東京都へまいりますと、千六百五十円が保険のほうから血液銀行のほうに支払われるわけでございます、医療機関を通じまして。そのうち、五百円分は、買血ではございませんので、まるまる浮いてまいります。この分は、日本赤十字社におきまして、献血の際に赤十字のマークを出したり、また、Rhの血液型の判定に使ったり、あるいは造血剤を使ったり、コーヒー、紅茶等も出すというふうなことで、大体三百二、三十円程度をその費用に使うように私ども指示をいたしまして、残りの百七、八十円程度日赤基金としてPRその他の費用に使う、このように指示をいたしております。
  12. 藤原道子

    藤原道子君 私は、非常にその金の使い道がきびしいということは聞いておりますが、お菓子を出したりバッジを出したりということは、必ずしも献血者の意思ではない。それよりも、むしろこれを不幸な人たちのために社会施設に寄付する、日赤のやっている社会福祉方面へ使うということを明らかにされたほうが、献血者にはすなおに受けとれるのじゃないかというようなことを日赤のほうでも漏らしている人がございましたが、そういうことについてはどうですか。一般でも、このお金の使途というものに若干疑惑を持っている人もあるし、また、逆宣伝している向もあるようでございますから、この際、あわせてこれをお伺いしたいわけでございます。
  13. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) そういう先生指摘のような御意見があることも、私ども重々承知いたしております。ただ、将来の問題といたしまして、献血運動が非常に普及するといった場合に、あくまで現在のようなやり方をするか、あるいは先生指摘のような考え方をとるか、あるいはまるまる五百円分なら五百円分をプールいたしまして、献血運動促進、あるいは移動採血車の、何といいますか、ふえる台数の獲得とか、いろいろな方面に使う方法は、将来はいろいろ考えられるわけでございます。したがいまして、いま直ちにこれまでとりました方法を変えるということは私ども考えておりませんけれども、将来は、先生のお考え方も含めまして、この基金が最も有効に社会的に使われるような方法で検討してまいりたいと思います。
  14. 藤原道子

    藤原道子君 私は、この際、献血運動世論が盛り上がっているときですから、こういう疑惑は一掃して、その使途を明確にするということが大切ではないか。それから、先ほどの預血献血の相違は私も承知しております。けれども採血車献血のためにできたものであるから、この採血車預血を受け付けてはならないという御指導だと承りました。私は、預血献血使途は違いますけれども、同じ採血車預血を扱っても、名前を明記してあり、その使途が明記されておるならば、これの区別はできるはずでございますから、そういう点を私はただしたわけでございます。  それから、献血、血をとるということは一般に陰惨な考え方を持つものでございますが、スイスあたりでは、採血車音楽入りで宣伝してまいります。採血している間にも、楽しい音楽を聞かせながら採血をしておる。それで一般市民献血をしなければ恥ずかしいような、国民献血の趣旨が徹底しておる。それにさらに音楽を聞きながら楽しく呼びかけておる、こういう方法をとっておるのです。イギリスあたりでは、はがきで、オープン採血に参りますときに、何月何日はその地区へ行くからというようなことを前もって周知徹底してから採血をやっておる。こういうことも私は書物で見たわけでございますが、日本の場合も、これからせっかく献血に踏み切っていこう、売血で非常な不幸な現象が起きているわけでございますから、そういうことも、この際、お考えを願いたい。  それから、この間も言ったのですけれども輸血に対して四千万円そこそこの金しか出していないというふうな政府考え方では、今後の献血運動も私は一時的なもので、しりつぼみになると思う。オーストリアあたりは、九五%くらい国が出しております。インドあたりでも、機械とか器具、お医者さんの給料看護婦さんの給料というのは全部国が負担しておる。インドネシアにおいても、やはりそうしたものを国が持ちますと同時に、最近ジャカルタに五階建ての血液銀行が堂々と国費で建設され、輸血に対して非常な熱の入れ方を示しているわけです。これらを考えますときに、高度経済成長を誇る日本におきまして、いまのようなみみっちいことでは恥ずかしいと思います。さらに輸血学会から指摘されておるというような点からいきまして、この際、すぐ私は買血を廃止しろということは申しません。将来にわたって、先ほどの局長お話だと、それと並行するように私はとったのでございますけれども、少なくとも、利潤追求の株式会社の形態のものを残すべきでない。あくまでもとうとい血液の問題でございますから、利潤追求のいまの、何といいますか、血液提供業者というのですか、こういうあり方は禁止すべきである。いますぐとは申しませんが、そういう方向へ持っていってほしいのであります。私も、血液銀行が果たしてきた役割り、若干の問題はございましても、いままで果たしてきた役割りに対しては、これを否定するものではないわけでございます。ですから、ここまできたわけでございますから、将来は法人組織にするとか、あるいはいろいろ方法があろうと思いますので、利潤追求のいまの組織だけは、やり方だけは禁止すべきである。と同時に、そこで熟練されました技術者、こういう人たちはやはり何らかの方法で吸収して、そして、そこに失業のうき目を出さないような配慮もあるのじゃないか。採血車技術者が非常に足りないわけでありますから、そういうものを生かして、そして組織形態を変えていくというようなことを私はやってほしいと思いますが、どういうふうに考えるのですか。
  15. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 予算措置につきましては、ちょうど来年度予算編成の時期にも差しかかっております。私どもとしましては、従来のような方法を一てきいたしまして、多額の予算要求をする心組みでいたしております。一般民間血銀あり方につきましては、先生の御意見、私はごもっともだと思います。しかし、いろいろと今後献血血液運動が推進するに伴いまして、事態の推移に応じて先生のような御方向も出ると思いますし、この点につきましてはいろいろ問題点を含んでおりますので、私どもも慎重に検討してまいりたいと思います。
  16. 藤原道子

    藤原道子君 私がこの問題を取り上げましてから、一部の業者が私のところへたずねてまいりました。ある人は、なかばやけっぱちのような、脅迫とは申しませんけれども、さんざいやみを言って帰る人もある。だから、献血がふえてくれば、結局血液銀行がだんだん量が減ってきますね、採算が合わなくなりますね、そういうふうになったときに私はこわいような気がするのです。だから、いまからそれが対策を十分お立てになりまして、少なくとも輸血に問題を残さないようにしていただきたい。私のところにさえいろいろな意見があるわけでありますから、私は、厚生当局に相当の陳情があり、また、一部の圧力があるのじゃないか、こういうことも心配いたしますので、この点を強く申し上げておくわけであります。  それから、私が過日、二十二日でございましたか、東京都の一番悪い血液銀行を見せてほしい、こういう考え方で、二十二日に、バスで運ぶところから、血液銀行に参りまして、そうして売血者のたまりを見て、それから比重検査健康診断、それから、さらにそれを通過した人の待合室、それから採血状況等をつぶさに視察してまいりました。私もさすがにこわいような気持ちで、勇気を出して行ってきたわけでございますが、あの比重検査などを見ても、なにやら安心ができない。それから、健康診断をするということをきびしく規定してある法規がありながら、聴診器を二、三回当てることは当てております。聴診器を当てただけで、はたして採血可能かどうかわかるのだろうか。それで十人ばかり見ておりました。そうしたら、案内している人がお医者さんに耳打ちをいたしました。そこで初めてまあ血圧の検査をしたような状態なんです。ほんとうに顔色の悪い売血者を、二、三回聴診器を当てただけでパスしているというこの状況は、ほんとうに申しわけ的なおざなりのものだと私は判断いたしました。それから、採血室に行って見ましたら、ほんとうに青白い顔をしている人から四〇〇CC取っているのであります。こっちがこわくなっちゃった。それで、あとで聞きましたら、その人は一カ月に四十六本取っている、確か規定では一カ月二〇〇CCというようなことがあるやに私は承知しておりますが、それが一カ月に四十六本も取っているということが許されていいかどうか、私は非常な怒りをもって帰ってまいりました。さらに交差試験をする所へ参りました。そこではお医者さんがやるのが妥当でございますが、便宜私たちがいたしておりますと言っておりました。いろいろ見せて、これが滅菌室だと、そこには器具はそのまま並べてある、これは殺菌灯ですと言われたので、私がスイッチを入れましたが、殺菌灯はこわれていて、ともらないのです。そういう状態でやられているということは、まことに私は許せない気持ちで一ぱいなんです。ですから、利潤追求であれば、結局そういう結果になるのじゃないか。したがいまして、利潤追求組織だけは一日も早く廃止してもらいたい。そこでもし優秀な技術者がいれば、これの就職等はほかの組織に吸収していってもいいのじゃないかというふうに私は考えておりますが、いかがですか。
  17. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 一般市中血液銀行の取り締まりにつきましては、前々から先生の御指摘もございますし、私どもとしましては、各都道府県監視を厳重に続けるように通知をいたしているのでございますが、御想像のように、監視員が出ておりますときには違反状況はきわめて少なくて、監視員がその場所を離れると違反をやっているというふうな事実も私どもは聞いておるわけでございます。しかし、監視員が行ったときの場合の監視は厳重に行なわれておるという報告を聞いておりまして、その点は、片一方の血液の需要といいますか、それに応じた供給を確保するというようないろいろな事情がございまして、会社のほうも、私ども監視強化につきまして積極的な協力の態度を示す気持ちはございましても、なかなか十分に法令の処置に従わないという点もあろうかと思います。私どもは断固たる処置を常にとるつもりでおるわけでございますけれども、しかし、御指摘のように、やはり血液対策全般的な問題を確立するまで、やはり監視強化をより以上に厳重にするということで、一日も早く献血預血の方針を確立したいということで、目下考えておるところでございまして、特に固定売血常習者の、何といいますか、今後漸減していく方向といたしましては、強力な登録制あたりを実施いたしまして、頻回採血を防止するというふうなことも考えてみたいと思っております。最近の状況といたしましては、非常に監視強化されましたために、一般市中銀行におきましての供血者の数は激減をいたしておりまして、大体三分の一ないしは半分程度血液銀行に来る供血者の数は減っておるということを御報告いたします。
  18. 紅露みつ

    紅露みつ君 ちょっと関連してお伺いしたいのですが、当委員会でこの問題を月初めに取り上げましてから、たいへん世論が盛り上がってきて、献血のほうが進んだと思うのでございますが、なお、かつ、その売血のほうは、いま藤原委員指摘されておるのでございますが、二〇〇CCというものが一カ月のこれが基準だということになっているわけですね。ところが、四十六回もというようなお話がいま出たのでございますが、そういうふうなむちゃな採血をいたしました場合に、それは本人の健康状態を確かめるということが採血に先立っての重要なことだと思いますけれども、その血液自体が、こんなにむちゃな採血をいたしましたときに、その血液は、これはとても輸血に使うべきものではないということがわからないものですか、そして、また、それは調べずに使うものでございますか、まず、それをちょっと伺っておきたいと思います。
  19. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 私どものほうで調査をいたしております統計によりますと、各市中銀行で、合格率といいますか、合格したのは大体五〇%前後、ずっとここ三、四年五〇%前後になっております。最近は合格率が若干高くなって、一%ぐらい高くなっておりますが、つまりその数字は、半分ぐらいが採血者に不合格者がおるということでございますので、これは明らかに検査はやっておる。まあ藤原先生の御指摘のように、あるいは十分な検査じゃないかもしれませんけれども、いずれにしても、半分程度がふるいにかけられておる、あと合格したものが、市中銀行を通じまして、保存血として流れておるわけでございます。四十数回というふうなお話は、私は新聞紙上その他でも承知はいたしておるわけでございますが、この事実を確かめることはなかなか不可能でございまして、供血者名前を変え、あるいは場所を変えて頻回採血をやるということは、これは現在のところ、非常に残念ながら、防止できない状態にあるわけでございますので、そういう点は人道上の問題でもございますから、今後登録制を実施するなりなんなりすることによりまして、厳重に取り締まってまいりたい、こういうように考えております。
  20. 紅露みつ

    紅露みつ君 一応検査した中で、半分は不合格というお話でございますから、まあやや安心はしたようなものの、これが厳重にやはり取った血を検査してもらわなければならないと思いますですね。それから、これにはやはり期限もあるのでございましょうから、古くなったものを使うということがあってはならないと思います。それから、だいぶ献血気運が盛り上がってきまして、私がいま申し上げようと思うことは、これはたいへんにうれしい面のことでございますけれども献血が非常にふえる、日赤採血車はまだ現状のままのようでございますけれども、それにいたしましても、たいへん献血がふえるというような場合に、これに期限があるとすれば、いっときにむやみにこれが採血をして血液をためてしまうということは、これはまたあぶないことが伴うことであろうと思うのですが、現状がどのように需給が変わってきたか、直接採血には当たられないけれども厚生省ではわかっておるはずだと思いますので、それを伺いたいということと、それから、あらゆる面で献血運動が起こっておりますが、一番大きな面と思いますのは自衛隊の問題でございます。市ケ谷の一下士官が呼びかけたことによって、八百人かの市ケ谷の陸上自衛隊が参加するであろうということが報じられておりましたが、それについて、そんなに自発的に盛り上がってくるならば、自衛隊として機関紙を通じてPRをしよう、こういうことになったら、あるいは陸上自衛隊の二十七万人が全部参加するようなことも考えられるというようなことが伝えられておりますが、その後、それはどんなふうになっているか、一番大きな面だと思いますが、それから、早稲田大学の献血運動、あるいは品川の高等学校の献血運動、続いては、幼稚園などのおかあさんたちも、私たちもというので立ち上がっておるやに聞くのでございますけれども現状はそういうものを一々把握していらっしゃるかどうか、把握していらっしゃる程度でひとつお聞かせいただきたいと思います。  それから、急に切りかえられないということは、これはいたし方がないと思いますが、方針がしっかりきまりまして、あのときには大臣御出席ではなかったのですが、砂原政務次官が出席されて、すみやかにこれは切りかえる方向にいきましょうと、献血預血でまいるようにいたしましょうということでございましたので、私どもも、その線に沿って厚生省は動いておられると思うのですが、採血車等については、これは早急にふやさなければならないと思うので、日赤を中心にしてやられるという方針には変わりはないでございましょうね。ちょうど大臣お出ましでございますから、局長の御答弁のあと、大臣にも、この献血の問題について一応御意見を拝聴しておきたいと思います。
  21. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 実は献血預血運動を推進してまいりましたのはここ五、六年前からでございまして、一時は献血は〇・〇三ないし〇・〇%くらいでございましたが、それがその後移動採血車も、国庫扶助その他をやることによりまして、現在おくればせながら、三%近くまで伸びておるわけでございます。献血の実績その他につきましては、そのつど私どものほうは報告を受けておるわけでございませんので、大体月報程度でまとめて日赤のほうからまいりますので、まだ正確に六月中にどれだけ献血が集まったかということについては報告は入手いたしておりません。いずれにしましても、献血運動促進につきましては、私ども受け入れ態勢を十分考えなければならないということが第一でございますので、どこでも献血運動はやるけれども、しかし、車がいつ来てくれるのか、あるいは血液確行に行った場合に長い間待たされるという不便がございましたならば、これは献血運動に水を注ぐことになるので、その辺も、医療機関その他の協力を得まして、いつでも随時即応して採血できるような態勢を十分考えていきたい、このように考えておるのでございます。
  22. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  23. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 速記起こして。
  24. 藤原道子

    藤原道子君 私は、厚生大臣に敬意を表します。この間の問題でさっそく諮問され、そして献血に踏み切る、オープン採血に踏み切るというような諮問をされて、着々準備に入られたということに対しては、私は敬意を表します。ただ、これを十分実効をあげるような諸般の対策を急いでお立ていただきたいということを、まず大臣に最初に申し上げておきます。  それから、先ほど来不合格血液、これが問題なんです。私は、Sぴんとやらいうものがあって、これが化粧品に回っているということを聞きまして、まさかと思ったところが、この間参りました血液銀行で、比重不足の血液はどうしているか、それから、三週間を経過して古くなった廃棄処分にする血液にはどういう方針をとっておいでになるかということを質問いたしました。これは捨てております、こうおっしゃる。ほんとうに捨てておるのですか、血漿その他で薬ができるやに私も聞いておるけれども、捨てているかと言いましたら、捨てておる、こういうことだ。私は、裏庭までずっと全部施設を見て歩いたものでございますから、たまたま裏へ参りましたら、ある化粧品会社のライトバンがちゃんとそこに置いてある。聞きますと、その化粧品会社の話を聞くと、これは非常に若返りになる、小じわをとる、こういうことが宣伝されておる。けれども、女性がどんなに美しくなるか知りませんけれども、事、とうとい人の血が化粧品に回されておる。これはゆゆしき問題だと思う。と同時に、私がおそれますことは、これから献血がふえて、血液銀行をそのままにおきまするならば、普通ではだんだん足りなくなり、お客さんが少なくなる。そこで、比重が少なかろうと何であろうと、もうかりさえすればやっていくというようなことでやられたのでは、私はたまらないと思う。ことに比重の不足なものがとられて、不合格になる率のものがいまは多いですね。それがもしも化粧品に回されておるというようなことでございましたなら、重大な社会問題だと私は考えますが、そういうことをきょうまで御承知であられたか。知りながらこれを見過ごしておられたのかどうか、これを一点伺います。と同時に、これは大阪の血液銀行の方が私のところへ来てのお話でございますが、そこでは廃棄処分にする血液、それから、比重の不足な血液、これらをもって、まあ血漿蛋白の分画というのですか、これによって出血のときの止血剤、フィブリノーゲンとかいうのですが、あるいはガンマグロブリン、アルブミン、プロトロシリン、こういう薬をつくっておる。一つは腎蔵の薬であり、一つは血管外に出た血液の凝固を促進するもの、一つは出産等の出血の場合に多く使われる止血剤である、こういうようなことを説明された。私はしろうとでございますからわからないのです。私は、もし廃棄処分にする血液からこうしたとうとい薬ができるならばまだけっこうでございます。けれども、そのために比重の薄い血液が化粧品に回されておるということに対しては、私は心から怒りをもって帰りました。そこで、この問題についてのお考えをお聞きしたいと同時に、こうした化粧品に回されるような血を売るために、一方では廃人になっている。食えないから血を売るのです。血を売るから働けなくなる。そうして悪循環しているうちに廃人になっていく。この間、山谷の福祉センターに参りましたけれども、ここ当分の間、冬凍死する人は少なくなりました。ところが、最近また去年の冬というか、ことしの冬というか、凍死する人がだいぶ出た。ところが、凍死者のふところから売血の証書が出てきた。ほとんどが凍死した者は売血常習者であった、こういうことを伺いましたのですが、食えないから血を売りながら倒れていく人がある。ところが、一方では、その血をしぼり取ったもので化粧品をつくって、しかも、ばく大なもうけをしておる。私はこれは許せないと思う。と同時に、この点についての対策を聞きたい。  それから、いま一つ、これは担当の方が来ておりませんので、大臣にお伺いいたしますけれども、山谷の福祉センターでは、何とかして売血者を救いたい、こういうことでずいぶん努力しております。ところが、山谷、山谷というけれども、山谷で常習売血者というものはそう多くはないようであります。そういう状態で、その人たちをも何とか救いたいと思っているけれども、結局これの更生問題に対しては生活保護が適用にならない。肺病になった者は、これはまた肺病のほうで、医療保護のほうでみてもらえるけれども、そこまでいかない。しかも、命にもかかわるのじゃないかというような弱り切った者の更生に対しては、政府は生活保護の適用をしていただけないために、ふらふらしながら倒れていくのを見詰めているような気持ちでいるわけです。これは何とかならないのでしょうか、こういうような訴えがありまして、私は胸を打たれて帰りました。この際、血清肝炎を通じまして、ここまで輸血問題に対する世論が盛り上がりまして、オープン採血に踏み切る決意をされたことは非常にけっこうだと思います。だが、その反面においてこういうふらちなことが行なわれておる。もし献血がふえてくれば、もうけを維持するために、そういう方向にさらに拍車をかけないとは断定できない。と同時に、いい、悪いは別といたしまして、この売血者があったから、きょうまで、政府対策がなかったために、売血者によって医療が維持されてきたということはいなむことのできない事実でございます。そのために働けなくなった、廃人になった、こういう人がいるということ自体が、福祉国家を主張される現内閣のもとにおいて、これは悲しい現実の姿でございます。こういう人に対して何かあたたかい手を伸して、一日も早く更生できるような対策について大臣のお考えを伺いたい。私は、ほんとうにふらふらしている人、しかも、四〇〇CCもいっときに採血する姿を見て、りつ然として帰って参りました。せっかくオープン採血に踏み切ろう、血清肝炎をなくするためにも努力をしよう、ここまで立ち上がられました厚生当局が、どうかその一面における犠牲者、これに対しての対策もぜひあたたかくお考えを願いたいということを強く要求いたしまして、時間の制限もございますので、この程度で質問を終わりたいと思います。どうかこの点について、大臣並びに局長の御決意を伺わせていただきたいと思います。
  25. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) 輸血の問題が社会問題、政治問題として非常な注視を浴びることになったことを私はしあわせであると思います。私は、二十三日の閣議で、この問題の対策がおくれておることを厚生省としては反省をしております、そういうことを申したのでございまして、できるだけ早くいまの出張採血等の対策を講じたい、そういう方針に踏み切っていきたいということについて閣議の了解を得たのでございまして、早い機会にそういうことの実現できるようにしたい。それで、この問題につきましては、まだいろいろ細部の検討を要するのでありまして、厚生省も、また、関係の識者との相談を進めておりまするし、また、この出張採血をするということにつきましての組織につきましてもいろいろ考えてまいらなければなりません。それから、献血をする方の国民運動の問題も、ひとつこれを組織体として地方に普及をさせなければならぬと、この両方をやっていかなければならぬと思うのでございます。幸いにしまして、方々に献血をしようという気運が盛り上がってきておりますから、この気運一つの継続性のある組織に変えていくということを考えなきゃならぬのでございます。そういうことにいたしまして、最近におきまして、厚生省におきましてこれの推進の要綱というようなものも最近の機会に定めて、これを公表して、そして協力お願いしたいと、かように考えております。地方におきましては、いまだに二十何県か、採血と申しまするか、その施設のない、血液銀行のない場所もあるのでありまするし、また、急に出張採血するといたしましても、いままでの移動採血車はまだ十七台しかなく、今年度もようやく五台追加すると、こういうことで、これは予算的にも相当な設備をしなければならぬと思うのであります。  また、いまの供血者の健康管理の問題も不十分でありますし、血液銀行監査、あるいは監督等もきわめて不十分であります。現在これらは地方庁に委託しておるということでありますが、予算などを見ましても、やっと三十九年度二百万円しかないと、こういうことでは十分な監査はできるわけじゃありません。したがって、こういう問題も一緒に解決をしなければならぬということで、おくればせながら、あらゆる方面につきましてこれを整備していきたいと、かように考えておるものでございます。この点は、私ども、率直に血液銀行の監督等も不十分であったということは認めざるを得ないのでございまして、一カ月に一度や二度行ったのでは、そのときだけはいろいろの施設と整備して欠陥のないようにしてありますが、そのほかのときは保証できないと、こういうことで、厚生省自体も十分な監督をしておるという自信はないのでございまして、この方面にも注意をしなければならぬと思います。  それから、いまの、とにかく、常識的に考えて、人の血でえらい高率の配当をするなんということは私は適当でないというふうに考えるのでありますし、したがいまして、預血献血を進めていく際の採血をする機構につきましても、これは営利事業じゃありませんから、いわゆる公益法人としての組織も、私はつくらなければならぬ。一応日赤を中心としましても、とにかくこれは公益事業としてやるべきものじゃないかというふうに考えるわけでございます。また、ひいては、現在、ことばが悪いのでありますが、血液が商品として扱われるという部面がありますが、この事態もまた私は考えなければならぬ。これが健康保険の対象になっておって、何がしかが支払われる。預血献血と健康保険の対象なんということにつきましても、これは今度の問題として検討しなければなりません。あるいは場合によったら、新聞等では、これを健康保険からはずせというような議論もすでに出ておりますが、しかし、はずした場合に、無制限に預血をすると、こういうことも困難な問題でありますし、この調整等もこれからひとつ根本的に検討しなければないぬというふうに考えておるのでございます。  また、いまお話のように、血が化粧品等に使われるのはけしからぬと、これは一応私どもの知っておるところでは、保存期間の過ぎた、要するに捨てなきゃならぬものを利用しておるというふうに一部聞いておりますが、初めから承知で比重の低いのをとって、そしてそっちのほうに回すということは私どもは聞いておりません。一応はとにかく廃棄をしなければならぬものがそういうふうに活用されておるということも聞いておりますが、お話のようなことは、これは十分注意しなければならぬ、こういうふうに私は思っております。これは現実に私どもも実際に当たって調査してみたい、かように考えております。  それから、売血等によって健康をそこなって、生活保護の問題もいろいろありますが、これは現実の問題として、県の福祉事務所、あるいは都の福祉事務所に扱ってもらわなければなりませんから、お話のようなことをわれわれのほうから注意を申し上げて、そうして適正なひとつ運用のできるようにさせたい、具体的にはこれは福祉事務所が直接扱う問題でありますから、私も御意見は同感でありまするし、指示をいたしたい、かように考えております。
  26. 山本杉

    ○山本杉君 私は、ちょっと藤原さんの御質問の中で、一、二点伺いたいと思いますが、さっき二十二日の日に視察をなすってごらんになった現実の問題の中で、四〇〇CCとか、そうして月に四十六回もとっているとおっしゃったのですけれども、月に四十六回、医学的に考えて、私はとてもそれはとれないことだと思うのです。とってみなくちゃわかりませんけれどもね。とってみても、そういう人は血が出ないのです。だから、それは私はあり得ないことだと思いますが、さっき熊崎局長のお答えの中で、名前をかえてきたりいろいろして、なかなか監督したいけれどもできない面があるとおっしゃった。そういったことに対して、もう少し今後はっきりした、どうやっていくかということを伺いたいと思うのです。それで、常習供血者は三分の一に減ったとおっしゃるけれども、せっかく献血運動がここまで来に以上は、そういう人がないようにしていただきたいと思うのです。  それから、もう一点は、お話が出ませんでしたが、ビールスによる肝炎の問題でございますが、これに対してどうお考えでございますか、これをひとつお聞かせ願いたい。
  27. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 売血常習者を減らしていく、しかも、頻回採血を防止するという方法は、私は、都道府県なら都道府県に完全な登録制をしきまして、一般市中銀行全部に、必ず採血したつど、年月日をはっきり記帳して、その手帳を持っていない限りは絶対に受け付けないというふうな態勢を固めていく以外にないと思います。先ほど大臣が申し上げました対策の中にも、そういう点を織り込みまして考えてまいりたいと思います。  それから、肝炎の問題につきましては、これは血清肝炎自体の、あらかじめ血清肝炎になることも、肝炎になる可能性のある血液を採取する場合のインスペクトの方法、これにつきましては、現在、学者の方々にも研究を委託いたしておりますが、きめ手になるものは世界的にもまだないというふうな状況でございまして、しかし、とにかくできるものから始めたいということで、スクリーンの方法につきましては、至急結論を得るようにお願いをいたしております。
  28. 林塩

    ○林塩君 私は、こういうことでちょっと伺いたいと思いますのは、供血の人たちの健康管理をだれがしていただくかということでございます。そこまで劣悪な状態にまで追い込められた原因はどこにあるかというふうに思うわけです。医師が必ずそれには健康の診断をされるはずだと思います。ところが医師がそういう場合に発言をしても取り入れられないのだということを医師から聞きました。で、そういう状態はどういうことかと思います。これは医師がどういう人でありましょうとも、国民の健康を守るための責任であろうと思うのでございます。そのために医師の健康診断が必要だと書いてあるのに、社会問題になるくらいまでに供血者を追い込めて、命が危ういまでになっているのを、どうし医師が知らん顔をしていたかという問題に私はちょっと疑問がございますので、聞いてみました。調てべみましたら、医師の意見など全然取り入れられないということでございました。良心的な医師は非常に腹を立てておられるようですが、そういう業者人たちのところではそういう意見が聞かれないで、医師のそういう職業上の権限を遂行しようと思うと、そういう人たちは雇われなくなるということでございますが、こういうことについて、医師は、それじゃそれに対して何も言われなかったかということでございます。それについていままでそういうことがありましたかどうか、今回社会問題になってまいりまして、ようやく一般の人が騒ぎ出した、私どもが騒ぎ出した。そうするとようやく問題になりましたが、その前に、国民の健康を守る責任のある医師からその話が出てきたならば、私もそうかと思いますが、そういうことがいろいろ言い出してから、なかなかそういうところでは意見がいれられなかった。お金の問題に屈服したのだというようなことを聞きましたので、今後それについて、医師の発言がもっともっと強力に国民の健康を守る上に、そういう守られるべき人はもっと医学的に守られるような立場で、医師の意見が取り入れられるように私はぜひしていただきませんと、ただそこのお金の問題でなくて、やはり人道上の問題でもございますし、医師の責任でもあろうかと思いますので、大臣の御意見を伺っておきたいと思います。
  29. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) これはおそらくお話のようなこともあるかもしれません。しかし、この点も、当然医師というものはその健康について責任を持たなければならぬ。したがって、その方から買血することがどういう結果を生ずるかというようなことは当然おわかりになると思いますが、会社との関係で、必ずしもその意見が通らなかった、こういうこともあり得ると思うのでございまして、これらの点につきましても、私は、その医師の立場を強化すると申しまするか、その経営者に対する立場をよくするために、われわれのほうからそういうことのもう絶対ないようにというふうな指示もいたしいたと、また、いまでしなかったかというと、その点も私ども反省をしなければなりませんが、医師はそういうことについて責任を持って強い態度をとるべしということを、会社にも医師にもひとつ指示をいたしたいと、かように考えます。
  30. 藤原道子

    藤原道子君 いま山本委員から四十六本もということはあり得ないということを言われた。私もそう思ったのでで、きょうここに資料を持っておりませんが、大阪の日赤献血学生連盟というのがございますが、そこの報告によりますと、最高が八十一本だと出ている。私は、それはどうもどうかと思いますけれども、私は、学生同盟の方たちが、献血を推進している方の報告書でございますから、ああこわいことだと思っております。ところが、私、この間行きましたら、明らかにそう言っておりました。そういうことは医者としてあり得ないのだとおっしゃるのだけれども、Aに行ってBに行ってCに行くというようなことは平気でやっております。登録制をとるといっても、登録なんというものはできないんですよ、ほとんど。  それから、血液銀行では、何といいますか、五百円でございますが、食券と、それから造血剤というのとあわせて、さらに百円を提供しておる。それで、全然もうこれだけ取れば食べる勇気はございません。しかたがないから塩コンブをなめております、こういうことを言っております。そこで、この間も採血が済んだら、動くなよ、動くとぶっ倒れるぞというような注意はいたしておりますが、これが血液銀行の実態でございますから、どうぞ行って見てもらいたいし、それから、さっき局長は、しかたがないとおっしゃいましたけれども、行けば調べられる、売血者に接触はできるのです。売血者に会えるのは、新聞記者とか私などに限ったことじゃございません。やはり身分を隠して、そうして私どももバッジをはずしてまいりました。そういうふうにして行けば実態はかつめると思う。私は、そういう点で、こういう問題はお医者さんのほうのもっと立ち上がりがほしいくらいに思っているわけです。  それから、医者が病人を出せば、不合格を出せば首になると林さんがおっしゃいましたが、まさにそのとおりなんです。ですから、売春問題でも、吉原病院では、梅毒を出してしまうと業者から首になる。結局厚生省なり保健所から医者が行って採血に立ち合って診断するならほんとうのことができる。けれども利潤追求の営利会社が雇っておる医者でございますから、そこで医者の良心に応じての発言が軽んぜられ、それをさらに強行すれば首になる、これがいまの実態だろうと思うのです。ぜひお調べを願いたい。
  31. 林塩

    ○林塩君 その点で、厚生省のほうでもう少しお調べになる方法はないかと思っているのですから……。
  32. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 十分事態を究明しまして、徹底的に取り締まりたいと思います。
  33. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 本件に関する調査は、本日のところはこの程度でとどめておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) それでは、さよういたします。
  35. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) それでは、続きまして、食品の残留農薬問題を議題にいたしたいと思います。質疑のある方は御発言願います。
  36. 高野一夫

    ○高野一夫君 農薬に関する問題は、当委員会でしばしば議題にして審議を進めておりますけれども、私は、特に食品における残留農薬という問題について、厚生大臣はじめ、厚生省、農林省の関係者にただしてみたいと思います。  近年、米の増収、畑作の増収、あるいはナシ、リンゴ、かんきつ類等のすべての反当収穫量が非常に激増している。これはいろんな育成栽培の方法が研究されまして、そういうことも原因でありましょうけれども、最大の効果ある原因は農薬の使用にあるのだろうと思います。したがって、その農薬の使用につきましては、これはどうしても現在世界各国とも、農薬は使わなければならない時代にあると思いますけれども日本状態、特にこの社労委員会でいろいろいつも問題にする毒性等の問題からすると、日本で誤った農薬による事故死、自殺、他殺合わせて一カ年千人に達している。ところが、欧米各国を調べるというと、そういう自殺、他殺に悪用されたり、事故によって死に至るということはきわめて少なくて、そこで問題になっているのは、使われた農薬がその食品の中に残留して、それを朝昼晩全国民が食べている。きょうもあしたも食べる。そこに慢性的中毒、毒性が体内において発生する。この問題が欧米各国で最近非常に大きく取り上げられているということを聞いております。昨年も、九月三十日から一週間にわたって、ジュネーブで、その食品の残留農薬の問題について国際会議まで開かれた。ところが、いまだかつて私どもは、日本の国内において特殊の学者からは聞きますけれども、行政当局から残留農薬を持っている食品を日々食べていることの問題について説明を聞いたことがほとんどないのであります。でありますから、私は、この問題をもう少し掘り下げて、皆さんと一緒に協議をいたしたいのでありますけれども、現在、まず、厚生省、あるいは農林省において、この食品の残留農薬という問題をどういうふうに考えておられるか。そして、ある程度のいろんな措置、研究、あるいは行政措置がなされているかどうかという点について、一応厚生省と農林省から概略を伺っておきたいと思う。
  37. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) これはもう技術的なことはまた局長からお答えをしますが、私、所用で中座しますので、概括的なことだけ申し上げておきますが、農薬が食品に残留して中毒の原因になっておることは、われわれも心配をしておるのでありまして、必要な規制はしなければならぬと、こういうふうに思っております。ことしはちょうどその手初めに実態調査をやろう、こういうことで、約百万円の予算をもちまして残留農薬の実態調査をいたすことにしております。その上で、ひとつできるだけ早く残留農薬の許容限度をきめなければならぬ、こういうふうなことを考えておるのでありまして、農薬の種類とか使用方法等についての指導もせなければならぬ。概括論としまして、お話のようなことは、もう政府としても本腰を入れて調査をし、対策を立てなければならぬ、こういうふうに考えております。  あといろいろまたお尋ねがあると思いますが、局長からひとつお答えさせていただきますので、よろしく。
  38. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) ただいま高野先生からお話のございましたように、農薬の事故例は相当多数にのぼっておりまして、昭和三十八年の実例で、誤用した者十三名、散布中死亡した者十八名、自殺、他殺で、既遂が七百三十八名、未遂六十七名、そのほか中毒を起こした者が相当ございますことは御指摘のとおりでございまして、すでに世界各国、これに対しては相当強い規制を行なっておるのでありまして、ことに文明国アメリカ、カナダ、あるいはソ連等におきましては、きわめて広範の厳重な規制を行なっておるわけでございます。わが国ではこの点非常におくれておりまして、私ども、何とか一日も早く行政的に手を打たなければならないということを痛感いたしておる次第でございますが、今日の段階においては、基礎的な現状がまだはっきりしてないという状況でございますので、ただいま大臣から申し上げましたように、本年度初めて残留農薬調査ということをすることにいたしまして、九十五万九千円の予算で、目下国立衛生試験所で検査中でございます。この行政の一番のきめ手は、残留農薬の許容量を早くきめることでございますが、できるだけ早く努力をいたしてきめるようにいたしたいと思っております。
  39. 石倉秀次

    説明員(石倉秀次君) 農林省といたしましては、御承知かと思いますが、農薬を販売いたします際に、農林大臣の許可をとらせるようにいたしております。これは農薬取締法の第二条によって実施しておるわけでございます。その際に、残留の問題になるような農薬につきましては、この農薬を登録いたしまするところの検査機関であります農薬検査所において残留の実態を調査いたしております。この仕事は昭和三十四年から引き続き実施いたしております。なお、特に毒性が高く、人体に対して危険の多い農薬につきましては、これは指導でございますが、昭和三十六年の四月に、特定毒物に指定された農薬につきましては、収穫物の収穫前、使用禁止期間を設けまして、農林省振興局長、現在の農政局長でございます、並びに厚生省薬務局長の共同通達で各府県を指導いたしております。  なお、ただいま厚生省からも発言のありましたように、この農薬の残留毒性の問題は、一つには、農薬の微量分析方法の確立、それから、第二には、農薬を散布いたしますと、大部分のものはいろいろ変性分解するわけでございます。その点詳しく、研究がございません。試験研究機関の強化をはかって、現在四十年度の予算要求の中で計画がございます。
  40. 高野一夫

    ○高野一夫君 農薬そのものが、外部にあるものは、いろいろ専門家の話を聞くと、翌日は五〇%減り、三、四日すると九〇%なくなると言われている。ところが、いまもお話があったとおりに、いろいろそのまま農薬の毒性、劇性を持った農薬の主成分がそのまま残留する場合と、分解して毒性が減退して残る場合と、さらに、もう一つは、毒性がかえって増強された形になって残る場合と、こういうふうにある。そこで、国際会議の報告を見ましても、許容量を人間の人体一キロあたりに何ミリグラム、零コンマ何ミリグラムまではいいというような許容量をきめられる農薬もあれば、きめられずに、これはいけないといって、許容量をきめてはいけないというものが区別されて、合計四十五品目ぐらいのものについて報告が去年なされております。そこで、問題は、分解して、いわゆる毒性が減退した形で残る場合と、かえって毒性が増強された形で残る場合とある。これが、その分解はどういうふうに分解されるかということは、もともと化学的成分ですから、化学構造から考えれば、大体およそ学者のほうではわかるわけであります。しかし、それが植物、果物の中、あるいは蔬菜の中、そういうところでどういうふうに分解されるかということは、机上の、実験室のとおりにはいっておらないかもしれない。そこで、そこを早くひとつ突きとめて、毎日毎日私どもは野菜を食っており、エンドウを食べている、ナシを食べている、リンゴを食べている、トマトも食っている。その中に残留した農薬があり、そして、その毒性が減退していようが、かえって増強していようがともかくとして、それをずっと朝昼晩、あしたの朝でも食べなければならぬ。九千五百万の国民が全部そうなんです。それで、その最初使われた農薬のいわゆる急性的の中毒症状というものはないでしょうけれども、それが慢性的にそういう中毒症状が起こると、こういわれておる、学者の中で。そうすると、これはもう農薬そのもので事故死するとか、あるいは自殺の材料に使われるというような問題でなくして、たいへんな私は問題があると思います。毎日毎日食べている、農薬を食っている、農薬の分解物をわれわれの体内に入れておる。きわめて微量であっても、それが連日集積されればえらいことになる。そこで、欧米各国で真剣になってこれをとり上げる、日本においては、最近ようやく、いま農林省の話を聞くと、三十四年ごろから研究にかかっている、厚生省の国立衛生試験所で研究にかかっているというのだけれども、百万円足らずの厚生省の予算でそういうような、そして、わずかの研究員でもって成果があげられますか。五年、十年たたなければ、あなた結果が出ませんよ。これはあらゆるものについて調べなければならぬ。リンゴを調べる——リンゴは規制があるそうなんで、ナシもそうです、エンドウもそうです、トマトも大根も米もそうです。特にわれわれは米を主食としている。その米の中に残っている農薬のあり方というものが日本においてつかまれていない。これは私はとんでもないことだと思います。私は、いままではそういうことを知らなかった。ただ、農薬そのものの危険性だけを考えておった。こういうようなことは、これを私は、一般の市民、国民がそういう事態にあることを知ったならば、私は、非常な戦慄を感ずるだろうと思います。だから、こういうことが私は非常に大事なことだから、研究が完成をする、完成をしなければこういう事態にあるということを発表しないというのでなくして、日本の食品というものは、まだそういう意味において農薬と食品の関係は研究がまだ足りておらない。しかし、そういうような危険性を強調すれば、みんなびくびくして、物を食べられなくなってしまうから困るだろうけれども、そういうような大事な事態があって政府は一生懸命に研究を進めている、このくらいは国民に私は知らせる必要がある、それが私はこの問題をここでとり上げた一つの理由なんです。それと、百万円やそこらでわずか数名の技術者がおって、農薬検査所か国立衛生試験所か知らぬけれども、そんな所で研究して、われわれは日常食べている蔬菜からくだもの、あるいは主食の米に至るまで、そういうものの実態が五年たつか十年たつかしなければ一向わからぬような現在の研究状況では、これはまことに心細い事態だと私は思う。ですから、この点は、ひとつせっかく国際会議も開かれ、日本からも一名行っておる、どなたか知らぬけれども、出ておられる。そういう人たちの報告もわれわれはかつて見たこともなければ、聞いたこともない。もっとも、国会は、議題がなければ政府のほうから報告されないでしょうから黙っておられるのかもしれないけれども、そういうような大事な国際会議がある。しかも、主食そのほか副食に関する問題が起こったならば、国際会議の結果は、直ちにこういうような関係の国会あたりでは発表され、資料も提供して、いま政府としてはこういう研究を進めつつあるというようなことを私は堂々と発表されるべきである。われわれは特殊の学者から聞かなければ、こんな問題は私自身何も知らない。たいへんな問題だと私は考えるのであります。そこで、農薬の問題は農林省であり、厚生省である。これがまたいろいろ所管争いになるかもしらぬけれども、そんなことはかまわずに、両省が協調してこの問題の早急の解決策を講じなければ私はいけない。私はこういうようないまの遅々たる研究の状況、そして、危険性がほんとうにあるのかないのか、あると言ってもどの程度危険性があるのか、これさえわかったら、私はパンフレットを配って全国民に発表しますよ、おそるべき事態にあるということを。外国はそういうことを発表している。だから、外国の国民は、ドイツでもフランスでもオーストラリアに至るまで全部、ソビエトにおいてもそういうことをよく周知させられて、したがって、政府、学者の研究を促進することを国民協力をする、そういう事態にある。日本では、われわれももちろんそうだけれども一般の人は、特殊の学者以外は、そういう問題があることを知らない。だから、そういう研究が、かりに予算を取るとしても、われわれかつて予算獲得でいつも奔走しますけれども、食品の残留農薬の研究に百万円ほしい、何百万円ほしい、何千万円ほしいというようなことで、予算獲得に政府から頼まれたことは一ぺんもない。それは農林省が三十四年から始めていると言われたけれども、なおかつ三十四年から今日まで丸四年間ある。四年間たってエンドウの中の残留農薬率はどうなっているか、ナシはどうなっているか、そのほか大根がどうなっているか、菜っぱがどうなっているか、トマトがどうなっているか、研究ができておりますか。それは二、三のものはできているでしょう。私は報告を調べてみたが、ナシの中に、たとえば有機燐の殺虫剤、あるいは塩素、あるいは水銀剤、そういうおそるべき農薬がどういう変化を来たして、どういう毒性を呈するということのある程度の研究が進んでいるにすぎない。これはたまったものじゃないですよ。先ほど来、藤原先生はじめ、輸血の問題を非常に大事に取り上げられましたけれども、これも大事で、私も全く同感です。しかし、われわれ全国九千五百万の人間が朝昼晩毎日毎日食べる食品に農薬の分解残物、あるいはそのままのものが浸透しておって、そして残留して毒性を呈している、そして慢性中毒を呈するであろうということの、この大きな問題を政府も国会も取り上げないわけにはまいらぬと思う。だから、予算が要るならどんどんそういう事態を発表されて予算を獲得されたらいいんじゃありませんか。この問題、大蔵省の役人に言ってごらんなさい。君たちが食べているものは毎日こうなのだ、金よこせと言えば、彼らは喜んで協力しますよ。われわれも協力します。百万や五百万でどんな研究ができますか。こんな大きな問題を、研究者も養成し、厚生省の研究所、農林省の研究所において十分の技術者を置いて、そして相当の金をかけて研究しなければならない。百万円ぐらいでできますか。これは私は、きょうはもう時間がないからやめますけれども、もう少し続くかもしれませんが、どういうふうにされますか。百万——九十九万九千円とおっしゃった。あと千円で百万、これで、たとえば国立の衛生試験所の毒性部ですか、そこでいま研究を進めつつある。その金はどういうふうに使われますか。材料なり、いろいろなものを使う、月給も要るでしょう、それでどの程度本年度の研究が進められると考えますか。これをまず一つ当たってみようじゃありませんか。どうですか、お考えは。
  41. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 御指摘のとおり、非常に不十分の予算でございまして、したがいまして、本年度の計画におきましては、全国の中の十二府県の市場調査並びに農薬散布の場合の散布状況、取り扱い状況等、これは農林省のほうの御協力をいただきまして調査をしているわけでございますが、予算が少ない関係もありまして、農薬の種類も十三種類ぐらいしかできないということでございます。したがって、私どもも、この予算の不足は十分に感じておりまして、明年度はもっと大幅にこれを増加いたしまして、広範にしかも、早急に調査を完了して規制をするべきものである、かように考えております。
  42. 高野一夫

    ○高野一夫君 農林省はこういう研究に、いま農薬検査所で盛んにやっているというお話でしたが、一カ年にどのくらいの予算を使ってこの問題について——農薬全般についてのことは必要ない。私の言うのは、残留農薬に関するいろいろな研究にどのくらい一カ年に予算を使っておられるか。
  43. 石倉秀次

    説明員(石倉秀次君) 予算の立て方が、毒性という項目がございませんので、はっきり申し上げられないのでございますが、調査研究事務費というものが農薬検査の中に三十九年度で百五十一万二千円ございます。この範囲内で人体に対する慢性毒性の問題、あるいは一昨年九州地方でございましたが、水田に使いました除草剤が流れ出て貝が死んだというような問題がございます。そのような関係の調査等を実施しているわけでございます。毒性に関する面として百五十一万二千円を使っているということでございます。
  44. 高野一夫

    ○高野一夫君 それは農薬検査所における農薬全般に関する調査研究費用、それが一カ年百五十一万円、したがって、そのうちの何分の一かしかこの毒性、いわゆる残留農薬の毒性の研究はできないでしょう。それでもって三十四年から四年かかって研究が完成するはずがないじゃありませんか。農政局でおやりになるのでしょう、農林省は農政局でしょう。厚生省は各局、特に環境衛生局でしょう、食品衛生課があるのですから。そういうところの責任者の農政局長なり環境衛生局長、そういう方がわずかのそんな金でもってこんな大事な研究が、予算が不足で不十分だ不十分だとおっしゃるけれども、できるとはお考えになっていないでしょう。いままでもあまり関心を持たなかったせいでしょう。どうですか、できるわけはないじゃありませんか。率直に言って、おろそかにしておりましたということなんでしょう。私はそう思う。どうなんです。
  45. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) この問題の重要性は、わが国の農業生産が進歩し、農薬の広範な使用によって発達してきた過程において、厚生省においても非常に注目し、中毒事例がたくさん出ておりましたので、心配いたしてきておることでございまして、先ほど先生指摘がございましたリンゴに関する許容量の通達は、昭和三十一年にすでに出しておったわけであります。ところが、それ以来、私どもも努力が足りませんで、この種の予算の要求を毎年出してきているわけでございますが、どうもとれなくて今日まできて、ようやく昨年初めて、ほんのわずかでございますが、通ったという現状でございます。今後はさらに努力をいたしまして、もっと大幅にこの予算をふやしてまいりたい、かように思う次第でございます。
  46. 高野一夫

    ○高野一夫君 それで、ある点については、その許容量、これはもう毒性が激しいからこういうのは全然いけない、多少なりとも、わずかの量であっても残留してはいけないということが、国際会議なんかでは、ある種目については発表された。そうすると、あるものについては、人体一キロ当たりについて零コンマ何ミリ残っていてもまあいいだろうということがある。それではそういうことがきめられる厚生省は、三十一年にある品目についてそういう許容量をきめた。どういうふうにしてそれを検査しますか。あなたいろんな日々青物市場やら米屋やら、いろんな所で売られる品物でしょう、それの検査を一々やるわけにはもちろんいかないけれども、どこか大もとでも押えて検査をする方法でもとらなければ、許容量をきめたって意味をなさない。それはどういう方法をとっておられますか。
  47. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) その問題の解決方法は二つの方法がございまして、今回のように、実際に市場に出ております農産物を調べてみて、特に問題が残っておるものにつきましては、散布のときにそれ相応の注意をしていただく、あるいは必要があれば規制の何か措置をとる、法的措置なり何なりをとるということで農林省のほうでお考えいただく。で、厚生省の面におきましては、その商品を収去をいたしまして、県の衛生試験所において検査をして、規制の法的な措置をとった上で、それらのものの販売停止をいたしてまいる、これが筋道かと思うわけでありまして、その際には、食品衛生法の第四条の第二号で規制いたしたいと、かように考えておりますが、問題は、分析方法がまだ確立してないわけでございます。食品の中から微量の農薬を検出する方法がまだ不十分でございますので、これらの面も早急に検討いたしてまいりたいと、かように思うわけでございます。
  48. 高野一夫

    ○高野一夫君 農林省で散布のときに抽出する、それは農薬そのものの使い方にすぎないじゃありませんか。散布してすぐそのほとんど全部がなくなってしまったのでは殺虫の効力がなくなってしまう。やはり二日後九〇%なくなって、一〇%でも三日ないし五日、ほとんど十日しか残らない。ことに果樹園系の、あの特に抵抗力の強い害虫なんか殺すのに、すぐ散布したあと洗われてなくなったのでは、これは効果がない、だから、それは自然にほうっておくのでしょう。今度は使う場合は洗うでしょうけれども、その間に植物自体の中にいろんな、あるいは日光とか、あるいはいろんな変化を受けて分解して中に入っちゃう。だから、散布のとき注意したって何にもならぬですよ。それはその人が事故を起こさないように注意するというだけの話。たんぼの中の川に流れないように散布してくれというだけのことでしょう。散布して効力が発生するまでの間にそのままあるいは分解して、そして食品の内部に残留をする、こういうことになるわけです。だから、いろいろリンゴの中にそれじゃ何々は幾らまで、零コンマ何ミリぐらいまではいいと許容量をきめて、そのリンゴはどうしますか、一々検査することもできないでしょう。だから、それを私は幾ら許容量をきめても、その許容量を逸脱しているか、その範囲内であるかということの検査ができる、そういう措置が講じられなければ意味をなさない。ただ許容量がきまった、学者が許容量をきめた、発表した、それだけにすぎない。農林省でもそうでしょう。その許容量を越えているかどうかということはわからぬ。ナシを一つ割ってみて、それを一々分析しなくちゃならぬ。サヤエンドウを一々割ってみて分析しなければならない。そういうことは実際問題でなかなかできっこないですよ。予算で幾ら金を取っても、そういうことを一体どういうふうにやるか。それを外国は一体そういうことをどういうふうにして検査をしているかということですね。これはきょうは時間もないから、詳しい話は聞くひまもないけれども、そういう点をもう少し具体的にあなた検査してくださいよ、調査してくださいよ。許容量をきめたって意味をなさないのだ、きめっぱなしじゃ何にもならない。毎日私どもが食べている味噌汁、お新香その他になって食べている、くだものを食べている。こういうことを学者の研究報告書を見るとぞっとする。急激にはこないでしょう、長い間時間かかって、慢性的に。そこで、私は、医務局長に一点伺いたいのですが、こういうような食品の中に残留された農薬そのものは、あるいは産物を通して慢性的に身体にくる毒性、そういうものを医務行政関係ですか、そういう方面で何か調べておられるような事実はございますか。あるいは農林省ででもけっこうです。
  49. 尾崎嘉篤

    政府委員(尾崎嘉篤君) 医務局といたしましては、特に農薬関係の中毒につきまして研究をやっておるという問題はございませんでして、おもにこれは環境衛生局のほうでやっていただいておる、こういうふうな状態でございます、われわれといたしまして考えますのは、急性中毒の場合は比較的症状も明らかでございます。医者のほうも注意が行き届くと思いますが、それにいたしましても、新しい製剤が続々出てまいりますし、それに対しましても、診断とか治療の方法等につきまして、必ずしも医師がよく知らないのではないかというふうな点、外国では、これの対策といたしまして、農薬の中毒等、その他の食中毒もございましょうが、そういうようなことが起こった場合に、相談をすれば、その診断とか治療方法を教えるというようなセンターと申しますか、というようなのができておるようでございますので、日本におきましても、いまから急救医療体系を考えます場合、この一部としてこういうようなものを考えていく必要があるのじゃないかというふうな検討をしておるところでございます。慢性中毒の問題は、はなはだむずかしい問題が多いと思いますので、環境衛生局といまから連絡をいたしまして、われわれのほうも、新しい問題として、これから勉強をしていかねばならないというぐらいないま状態でございまして、はなはだお恥ずかしい状態というのが実態でございます。
  50. 高野一夫

    ○高野一夫君 薬務局長に伺っておきたいのですが、国立衛生試験所で研究を進めつつあり、今後また進めるのだという環境衛生局長お話で、国立衛生試験所として、主として薬務局長が所管されていると思うのですが、この一番有効というよりも、よけい使われておる有力な農薬というのはみんな燐製剤、水銀製剤、クロール製剤、もっともおそるべき毒性を持ったものでしょう。こういうことを私は率直に言うのですが、農薬は農林省の所管だからというような考え方がいままで薬務局なり公衆衆生局、環境衛生局関係にあったのじゃないですかね。それで、そうすると、国立衛生試験所において今後の研究を公衆衛生局と協力して進めていくというのに、何か薬務局長として構想をお持ちですか。この点についてどうしたらばいいか。たとえば九十万や百万や二百万くらいでどうにもならぬのだから、どのくらいの金があったらばできると、どれくらいの技術者をそろえれば相当研究が促進でき、結論が半年でも一年でも早く見出される、そうして試験所なら試験所の組織をどうするか、今度できる毒性部で十分間に合うのか、あるいは食品化学のほうでやっておる、そういうところで間に合うのか。農林省と協同してどこかのほうでつくったほうがいいのか、何かひとつ構想がありそうなものだと思うのですが、これは私は別にただ文句を言うのじゃなくて、やっぱりいままで政府も怠慢だったと思うのです。われわれも怠慢だったかもしれぬが、協力して早くこの結論を出したいわけなんです。だから真剣にひとつ考えてもらわなければならぬが、熊崎薬務局長、これについて何かこの問題について新しい構想、考え方をお持ちですか。
  51. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 私どものほうとしましては、農薬の問題につきましては、農林省と相談をしながら、特に農薬の中の毒物、劇物の問題については真剣に仕事を進め、研究を続けさせておるわけでございます。すでに昨年来、農薬の毒物、劇物のひどいものにつきまして、農薬衛生試験法を確立いたしまして、各地方衛生研究所で、試験法に基づくその分析をやれるような体制を固めたのでございますが、先生指摘のように、残留毒性の問題につきましては、これは真剣に今後とも考えなければならない問題ということで、来年度予算構想としましては、衛生試験所の食品部の中に、特に農薬の試験関係の職員を増員して、何とか許容限度までつくれるような体制に持っていきたいということで、現在私の手元で、その増員要求の中身、予算要求の中身等につきまして検討いたしておるところでございます。ぜひ案が確立されましたら、先生方の御尽力によりまして、実現をしたいと思っております。
  52. 高野一夫

    ○高野一夫君 これでやめますが、私はこういうことをお願いしておきたい。いままで欧米各国でできた研究の内容、あるいは検査方法といいますか、そういうものを、われわれしろうとがわかりいいような資料にまとめて、それから、また、日本で研究された結果も合わせて当委員会に提出してもらいたい。それで、相当の時間がかかると思いますから、せめてあと一カ月か二カ月ぐらいの間に、農林省と厚生省の双方に要求しておきますから、まとめられて、そして農林省が研究し、厚生省が研究した経過はこのとおり、各国における状態はこのとおり、そういう資料を提出して、そして社会労働委員会、それから、農林水産委員会も合同で、これはもうひとつわれわれ討議を進めていきたい。そして農林省も厚生省も、真剣にこれに取り組んでいかなきゃならぬとおっしゃるならば、予算獲得その他については、われわれ全員協力して予算獲得してあげますよ。大きな問題ですよ、これは。どうかひとつ、農薬そのものの試験法とか、農薬そのものの扱い方というのは、もういままで十分研究され尽している。だから、いま言った残留した農薬の毒性がどういうものか、残留してどういう毒性を呈する、これについて、ひとつしっかりした研究を進めなきゃならぬ。これはそういう医学的研究は、また医務局長に頼んでおきます。それで、医学者がこういう方面にあまり関心がなかったというのは、おそらく私もそうだろうと思います。そしたら医学界なんかにしても檄を飛ばして、この問題について農林省、厚生省協力して研究を進めてくれと、ひとつやってください。これだけは私はたのんでおきます。そして資料をひとつ、一カ月ないし二カ月の間につくっていただきたい。いよいよ八月末ごろからまたいろんな各省の重要政策の決定、あるいは予算の原案作成、いろいろかからなければならぬので、役所もこうすればわれわれも協力しなければならぬ。だから、これはちょっぴりした、いま農薬検査所の調査費百五十一万の中で何がしか使われているというんでなくて、全く新しい、項目として私はおあげになるべきだと思う。きょうは農林大臣が見えておりませんが、私は、農林大臣にもよく話しておきます。そして、しっかりひとつみんな協力してやってください。学界にも檄を飛ばしてください。それだけ私は要請しておきます。また、その資料ができましたら、その資料に基づいて、さらに突っ込んだ質疑をその次の委員会でやっていただきたいと思います。
  53. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 資料はよろしゅうございますね。
  54. 紅露みつ

    紅露みつ君 ちょっと関連して。いま高野委員が世界会議の報告を引用されたので、私どももがく然としたところでございます。私は、当委員会のほかの委員会でこの問題を取り上げたことがあるのでございますけれども、医務局長が、正直に新らしい問題として言われたのでございますが、環境衛生局長あたりは、どうも新らしい問題というよりも、まだそこは確立していない、その毒物の残留については、というようなお話でございますけれども、私どもは、くだものについても野菜についても、あとに残ってくっついているものが、これが災いをするのであるということに承知しておったわけでございますが、いま伺うと、毒性が分解されて、そうしてあらゆる植物にこれが吸収されるということになりますと、お話のように、ほんとうにこれは国民が食べない人がないと思われる主食にさえもそれが浸透していくということになりますと、これはゆゆしい問題ですけれども、いままで正直に申し上げて、そういうことの研究がなされていなかったと私は承知するのですよ、もし世界会議等においてそういう報告がなされておって、しかも、なお表面に付着したものをというような程度で処理されておったり、国会にも報告を怠っておられたとしたら、これはたいへんな厚生省の、あるいは農林省の怠慢だと思うのでございます。農林省と厚生省にまたがる問題が、えてしてどうもはっきりした対策が確立しないのですけれども、きょうは強力な御意見が出ましたのですから、予算面等でも思い切った予算を取って、そうして新しい問題としてこれは研究さるべきだと思う。厚生省には何のために化学食品課ですか食品化学課ですか、ややこしい名前でございますが、化学食品と私どもは言っているのですが、新しい課を設けられたのは、やはりこういうことの研究をされようという意図で新設されたと思うのです。それならば、もっとはっきりと実態を報告されて、そして委員会協力等を得られるべきものだと思うのですが、実に驚き入ったことで、私どもほんとうにがく然として、繰り返して申しますが、これは主食にまでこれが分解し、毒性が吸収されるということになりますと、農薬そのものも、これはこのままでいいかどうかは今後の大きな課題だと思います。それは一植物防疫課の問題ではないと思いますから、農林大臣にも御報告なさるべきですしもまた、委員会としてもこれは反映させなければならないと思いますが、ほんとうにこれは新しい問題としてでございましょう。還境衛生局長、まだその対策が確立しておりませんなんかおっしゃるのはちょっとどうかと思う。私は全然手がついてないと思うのですが、いかがですか。
  55. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 厚生省としては、もう数年来この問題を注目し、各県も指導し、各県は各県自体で、すでに食品の中の残留量等の調査を相当多数の県で行なっております、必要に応じて。すでに昭和三十一年には、リンゴの中の残留量は幾ら以上ではいけないという通達も出しておるわけでございます。ただ、先ほど高野先生から御指摘がございましたように、それでは具体的な残留量が幾ら以上あってはいけないといっても、残留量がそれ以上あるものが市場にあった場合に、具体的に市民の口に入らぬようにするにはどうしたらいいか、こういう行政の線に乗っかってくる手を打たなければならぬわけです。そうするには、監視員が絶えず市場を歩き、疑わしい、すなわち農薬のいろいろついたようなものを収去し、一日のうちに検査が完了して、すぐその店のものが押えられる、こういうふうな具体的な手を打ってもらわなければならないわけです。そういう意味で私どももあせっておったのでごごいます。おくれておったことは認めますが、従来は非常に心配してきておったのでございます。
  56. 紅露みつ

    紅露みつ君 農林省は、農薬そのものについてどう考えますか。
  57. 石倉秀次

    説明員(石倉秀次君) 実は私も、この農薬の残留の問題に関しましては、国連の中に食糧農業機構というものがございます。FAO、そこで農薬の残留の問題の作業部会をつくっておりまして、私も実は世界の十人の中の一人の委員になっております。それで、昨年十二月ローマに参りまして、大国の日本としては、まことにこの面におくれていることは痛感しているのです。ただ、この残留問題につきまして一番進歩しておるといいますか、手広くやっておるのはアメリカでございます。アメリカ合衆国でやっている方法につきましても、それが最善のものであるかどうかということにつきましてアメリカの科学者の中から批判があり、したがいまして、なくなりましたケネディ大統領のもとに委員会をつくって、この残留問題をどう扱おうか再検討するというような状況にございます。それから、ヨーロッパの各国でも法制をつくりまして、一応残留量をきめておるところも多々ございます。この残留量のきめ方にも、実は科学的に見ますといろいろと問題が出てまいりまして、かなりの混乱があるわけでございます。したがって、この残留作業部会におきましては、先ほど厚生省の環境衛生局長お話にもありましたように、やはり分析方法とか、あるいは農薬を散布してからどういうふうに変わっていくかという基礎問題をやらなければならないだろうということが一つと、それから、もう一つは、この残留問題につきまして、アメリカではFDA、フード・ドラッグ・アドミニストレーション、食品薬品局とでも申しましょうか、そこで百七十名ほどの科学分析者を使いまして市場の検査をやっておるわけでございます。その資料がございますが、そのほかの国では資料が非常に少ないのでございます。実はFAOでも、これを実は国際的にといいますか、世界的にやるのであれば、この資料を全部一度まとめようということになっておりまして、第一次の締め切りが、五月、第二次が六月ということで、作業部会が資料をいま集めているところでございます。ですから、先ほど高野先生お話の資料につきましても、私たちもかなり国内及び国外の資料は持っておりますけれども、それが全部であるというにはちょっと申し上げられないような状況でございます。非常に資料が分散しておる、いままで日本でもそうでございますが、実は日本でもかなり資料はあるわけでございます。ただ、それが公表されていないということで、それを取り集めるということはなかなかたいへんなわけでございます。先生の御指示のように、一カ月以内のうちにできるものは取り集めたいと思っております。  それから、農薬が農業生産を維持していることは事実だと思います。ただ、確かに御指摘のような問題がございます。したがいまして、今後農薬としては、そういうような危険のない農薬、それが必要だろうと思います。たとえば日本で従来使っておりました除虫菊というようなものであれば、これはほとんどそういう問題がなく使えるものである。不幸にしてDDTとか、そのほかの合成農薬を使ってまいりましたためこういうような問題が出ております。ただ、合成農薬の中でも、毒性の少ないものもございますし、それから、比較的短期間に分解してしまいまして、毒性の全く残らないものもございます。先ほどお話がございました有機燐剤にしましても、たとえば分解の非常に短いものでございますと、散布して二日もたちますと全くなくなってしまうものもあるわけです。農林省としましては、そういうような安全な農薬の使用をすすめるということが、これが一番重要だろう。ただ、安全な農薬を使用するということになりますと、開発もやらなければならないわけですが、それで、実はこの農薬の問題につきましては、日本学術会議の中でも前から御心配いただきまして、一応政府に対して勧告も出たことがあるわけであります。私は、実は学術会議のほうの幹事をやっておりますので、おかしな立場でございますが、つくりましても、なかなか厚生省関係におきましても農林省関係におきましても、また、先ほど御指摘のように、世論といいますか、一般の方々の認識がないために、毎年予算は出しますけれども、端的に申しまして通らない、こういう状況です。それで、先ほどの安全な農薬という点から申しますと、五年前の昭和三十三年に、特定毒物に当たる農薬が全農薬の一九%でございまして……。
  58. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) こまかいのはいいです。
  59. 石倉秀次

    説明員(石倉秀次君) それでは、また資料として出します。
  60. 紅露みつ

    紅露みつ君 それじゃ要望しておきます、しっかりこの問題に取り組んでもらうように。
  61. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) それじゃ、本案件に対する本日の調査はこの程度にいたしたいと思います。よろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議ないと認め、それでは休憩いたします。    午後一時十五分休憩   —————————————    午後一時五十五分開会
  63. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) ただいまから開会をいたします。  午前に引き続き、社会保障制度に関する調査を議題といたします。
  64. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 さきに戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部改正等もございまして、軍人軍属等につきましては、いろいろの点が改善をされているわけでございますが、原爆被爆者の援護について、現在のところ、医療を目的とした法律があるわけでございますけれども、これでは非常に不十分な点が多多あるわけです。そこで、厚生大臣も、先般の広島におきましての一日内閣の中で、この被爆者の援護について考えていきたいと、こういう御発言があったと思うのでございますが、大臣のこれに対するひつと御見解をまず承っておきたいというふうに思います。
  65. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) お話のことは、従来、原爆の身体に対する影響の特質、こういうことを土台といたしましてその対策が講じられており、しかし、それだけでは済まない、経済的にも心理的にもいろいろの特殊な影響がある、こういうことで、先般、衆議院でも参議院でも決議がありまして、正直に申しまして、あの決議には私ども非常にちゅうちょをいたしたのでありますが、とにかく決議ができた、こういうことで、私どもも、いまの身体的障害に対する対策から一歩踏み出さなきゃならぬ、こういうふうな決意をいたしまして、これに対する対策を講ずる、すなわち、あの法律をひとつ次の通常国会においては改正案を出したい、こういうことで、厚生省におきまして、この内容についてはいろいろないま項目が出ておるのでありまして、一々これも数え上げませんが、すでに出尽くしておる。いろいろの対策内容については、その個々について厚生当局で検討をいまいたしておるところでありまして、その内容がどうなるかは別として、いまの対策のワクからはみ出た方策をぜひとりたい、こういうことで具体的な検討を進めておるのでございまして、これらの問題につきましては、政府部内におきましても、私も大蔵大臣にも話をしておりまするし、その他の関係の向きにも話をしておりますから、必ず法律改正をする、こういうふうないまは抽象的なお答えしかいたしませんが、具体的内容は八月末の予算の要求までにはきまる、こういうふうに思いますが、そういうつもりで進めておることをはっきり申し上げておきます。
  66. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 大臣のいまのおことばに期待をいたしまして、ぜひ私どもも、すでにこの医療等に関する法律の一部改正案を提案をしておるところでございますし、単に医療のみでなくて、実質的な被爆者の援護というところにも重点を置いた改正をぜひお願いをしたいというふうに思います。そこで、大臣の時間の都合もございますので、もう一つお聞きしたいのですが、最近と申しますよりも、ここ数年来、石炭産業が非常に合理化をされまして、石炭産業の中における健康保険組合が財政的に非常に危機に陥っておるわけでございます。これに対しましては、政府としても保険給付費の臨時補給金等の中で考慮されておるようでございますが、しかし、このまま放置いたしますと、石炭産業における保険組合というものはもう成り立っていかない、こういうところまできております。これのやはり根本的な原因は、何と申しましても、有沢調査団の答申以来、この石炭商業の中に起きてまいりました合理化、また、それに伴って石炭産業の中に起きてまいりました合理化、また、それに伴う石炭産業に対する労働者の不安、こういう面から非常に組合の数が少なくなってきたと、こういうことが大きな原因になっておるわけでございますが、この保険組合の財政の危機を、何とか大きな国の立場から、救済と申しますか、補償をしていただく以外にいまないのではないか、また、それが当然ではないかというふうに私ども考えておりますけれども、これについての大臣の御見解を承っておきたいと思います。
  67. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) この問題は、前々私もお話を承っておりまするが、石炭の合理化に伴う当然の結果でありまして、あの合理化対策を立てる際に、この問題も一項目として当然加えるべきものであったと私は思うのでありますが、これはまあどこで気がつかなかったか、そのままになって、そうして昨年来非常に問題にされておるのでありまして、通産省におきましても、この問題は相当関心を持ってわれわれにも御注意くださっても適当ではないか、こういうふうに思っておるのでございますが、まださようなお話し合いがいまのところない。この点、私は非常に残念に思っております。しかし、困ることは一つの事実でありまして、三十八年度でも、御案内のように、七千万円これらの組合に交付をいたしておるのでありまして、ことしの三十九年度の問題といたしましては、やはり前年度同様、この予算は二億円しか計上してない。他の全国的にもいろいろこの金を交付する必要がありますので、石炭関係の組合の援助のためには、私は、これは足りないというふうに考えておりますが、予算的には、これを補正するということはなかなか困難のようでありますが、しかし、何らかの方法において、これは救済と申してはなんですが、援助をしなければならないということで、事務当局におきましてもこの方法をいま検討をいたしております。私も、やはりこの金のほかに、適当な手段を今年度においても講じなければならぬというふうに考えておるものでございまして、その方法をいま保険局でもっていろいろ検討をしておるので、何らかの対策が立てられるであろうと、こういうふうにいま考えております。
  68. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 非常に保険組合の赤字が大きく、二十億といわれておるわけでございまして、先ほど申しました臨時補助金ですか、これではわずか二億の予算でございまして、とうていこれに対する穴埋めというものはできないと思いますので、これはやはり通歴省、あるいは労働省、厚生省、三者一体となったやはり対策というものを考えてもらわなければ、なかなか予算的な面の隘路が出てくるのではないかと思いますので、そういう点をひとつ十分各省と連絡をとって、早急な対策をとっていただきたい、こういうふうにお願いをしておきたいと思います。
  69. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) ただいまのことは、私も何らかの措置をとるようにということを事務当局にも指示をいたしておきましたので、検討されて、しかるべき結論が出ると、かように考えております。
  70. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 それでは、大臣の都合で、ちょっと逆にまた戻りたいと思いますが、この原爆被爆者の問題でお聞きをしておきたいのですが、原子爆弾被爆者医療審議会というものがございますが、この運営状況と、それから、この中でどのような最近意見の具申があったか、お伺いしておきたいと思います。
  71. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 原爆審議会は、最近におきましては法律改正その他の事項がございませんでしたので、この一年以上の間におきましては、認定医療の認定だけを現実の仕事としてやっております。それと、原爆医療の研究に関する成果等の検討が行なわれております。したがって、最近は、東京並びに広島等であの審議会を開きましたが、認定医療の審査がほとんど主になっております。認定医療の申請件数も最近非常に減っておりますので、この回数も逐次最近は減らしております。したがって、いまはっきりした記録を持ち合わせませんが、昨年度は大体三回程度でございます。
  72. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 私は、この法律の目的が、やはり健康診断と治療を行なって健康の保持向上をはかっていく、こういうふうになっておりますので、審議会の運営またはその意見等も、勢いそういうところに重点が置かれてくるということはやむを得ないというふうに思いますけれども、しかし、現在私ども考えてみまするに、やはりそういう医療面のみにでなくて、一般の戦争犠牲者よりも特殊な立場にあるこの原爆の被爆者に対しては、医療というよりは、さらに一歩進めて、援護の立場に立った施策というものが、私は、この際、ぜひやられてしかるべきではないか、こういうふうに思います。また、先般、私どもの提出いたしました法案の提案説明の中でも申し上げておりますけれども東京地方裁判所の判決の中でもこういうことがすでに言われておるわけでございまして、現在の法律が非常に貧弱な面が多々ある、したがって、この際、立法府である国会及び行政府である内閣において十分その職責を果たすような立場でこの被爆者に対する救済、救援というものをなさらなくちゃならないと、そういうふうに言われているわけでありますから、こういう点で、ひとつ単に医療面ということだけでなくて、積極的に生活を保障するとか、あるいは所得保障とかいうような面までいかなくとも、もっと一歩進めた援護の手を差し伸べる必要があると私は思うのですが、そういう点について厚生省としてどういうふうに現在考え、さらに、大臣が、先ほど次の国会には改正案を出したい、こういうことも言われているわけでありますが、どういう考え方でこの改正案をつくろうとするのか、その辺もし御見解をいただければ、ひとつ聞いておきたいと思います。
  73. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 原爆裁判の判決の模様と、それに対する政府考え方というものにつきまして、今国会におきましても法務大臣、外務大臣等の関係並びに当面の責任者としての厚生大臣の見解が申し述べられております。いずれにしろ、史上例を見ないこの原爆の被害に対して、国民としてお互いに非常に強い同情の念を感ずることは当然でございますけれども、同時に、戦争被害者というものが、原爆被害者だけでなしに、各方面多種多様にわたっておるという実情から、それらの点も考え合わせて比較考量しないと国民全体に対する公平の扱いに欠けるという観点から、きわめて慎重に検討を加えておるわけでございます。ただし、先ほども大臣からお話がありましたように、今国会で両院において原爆被爆者の生活の安定等がはかられるような措置を講じろという御趣旨の御決議がなされておりますので、大臣もその御趣旨に沿って、次の国会を目途といたしまして、できるだけ措置をしたいということを申し述べられておられます。そして、事務的にどういうような内容を考えておるかという問題につきましては、大臣も申されましたように、まだ検討を始めている段階でございまして、特に自民党の小委員会等におきまして原爆小委員会が設けられまして、そこで意思表示もされ、それが大きく政府の方針に響いてまいることでございますので、それらの意思表示もいただきまして、その上で、さらに事務当局の事務的な操作を加えまして、新しい法律案の作成に入ってまいりたいと存じております。そういう意味で、先ほど大臣も申し上げましたように、何らか旧来の措置の域を脱したいというお気持ちを十分持っておられますけれども、具体的な面については、いまとやかく言うことができないという大臣の御趣旨でございまして、私どもも、その点大臣の御指示によって検討するという手はずになっておりますので、現在のところ、まことに恐縮でございますが、個々の具体的な面につきましては、まだ私ども発言のできないような段階でございますので、御了承いただきたいと思います。
  74. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 自民党のほうの意見もと言うけれども、社会党もこれはやはり改正案を出しておりまして、きのうの理事会で継続をきめておりますから、まあ社会党のやはり主張も十分厚生省は取り入れて検討してもらわないとならぬと思うのです。それから、一般国民との均衡というようなことを言っておりますけれども、しかし、きのう私はその点で、いわゆる軍人軍族の援護法の改正の問題のときも触れたんですけれども、やはりああいう問題でもいま言われたようなことも問題になると思うのですね。しかし、私どもとしては、それはそれなりに理解をして一応賛成をしておるわけでございますが、この原爆被爆者も、私は、やはり特殊な犠牲者だというふうに思いますから、そういう点じゃ軍人軍属、戦没者遺族等の援護法と同じような立場に立って、この際、考えていただかなければ片手落ちになるんじゃないか、こういうふうに思いますので、そういう点をひとつ十分考慮していただきたいと思います。それだけ一つ……。
  75. 藤原道子

    藤原道子君 私は、いまの柳岡さんの御意見をさらに強く主張したいのです。私どもは、いまの局長の答弁では納得いかない。他の面と均衡してというようなことをおっしゃいますけれども、それは原爆の被爆者だけが戦争の犠牲者じゃないなんていうことは、言われなくたってわかっている。けれども、原爆の場合は特殊なんじゃないでしょうか。社会党としては、軍人恩給の復活のときに強く主張いたしております。軍隊がなくなって軍人恩給の復活はおかしいので、この際、広島、長崎の原爆の犠牲者も含めて、戦争犠牲者補償法というようなものをつくっていくべきではないかということで主張して、委員会で戦ったことがございます。とにかく原爆は世界に比類のない、日本人だけが受けた悲しい被害なんです。犠牲者なんです。それを他の面と均衡を失しては困るというような考えだから、終戦後二十年近くたって、しかも、これが今日生活にも困り、医療にも恵まれない、こういうことが起こっておること自身が私は片手落ちだと思うのです。そういう点をしっかりお考えになりまして、いつどういうことになるかという不安にかられながら生活にあえいでおり、苦労しておる人たちに、もっとあたたかくお考えになって対策を講じてほしい。これを強く私は局長に申し上げておきたいと思います。そういう点についてはどうお考えなんでしょうか。他との均衡という面について、私はもう少し伺わせていただきたい。
  76. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) ただいま原爆の犠牲者と他の戦災者との均衡の問題ということを申し上げましたけれども、同じような種類の被害については、当然他の戦災者との間に権衡がなければならぬということを申し上げたわけでございまして、原爆の特殊性に基づく特殊な被害というものについては、それ相応の手当てをしてしかるべきだということは当然でございまして、したがって、大臣も特に強調されておりますことは、原爆被爆者が他の戦争被害者と異なる点があるはずだ、異なる点については厚く手当てをせよということをおっしゃっておるわけでございます。そういう意味で、私どもも、原爆被爆者が他の戦災者と異なる点についてはできるだけ注目をして、それについての手当てを深めていきたい。現在の原爆医療法それ自体もその趣旨に出ておるわけでございまして、実際の戦災者の中でも病気になっておる方がございますけれども、それはそのときで終ったことであり、原爆の場合は、健康上の問題が被爆のとき以来、一生つきまとうという特殊な状態にかんがみまして、健康の問題、疾病の問題には特に手厚くやっている。もし健康、疾病の問題以上に、さらに原爆被爆者としての特殊性があって、それに対して何らかの保護を加えるべきものがあれば、当然その点を重点的に目標を置いて、法の手を厚くしなければならない、あるいは福祉の措置を講じなければならないということは当然考えておるわけでございますので、何もかもすべての点ですべての戦災被害者と同等とか、権衡上というふうに申したわけではございませんので、御了承いただきたいと思います。
  77. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) それでは、本件に関する調査は、きょうはこの程度にして、次に移りたいと思いますが、よろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  78. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) それでは柳岡委員
  79. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 健康保険の問題について少しお伺いいたします。  先ほど申し上げましたように、石炭産業における健康保険組合の財政の危機について、これは単に石炭産業だけではないと思います。国民健康保険にしても、非常に大都市を中心に、赤字が増大しておるようでございます。したがって、こういうものに対する政府対策というものは一体基本的にどう考えておられるか、その辺をお聞きしたい。
  80. 穴山徳夫

    説明員(穴山徳夫君) 健康保険組合が最近非常に財政状態が窮迫してまいりましたのは先生が先ほどからおっしゃっているとおりでございまして、特に石炭の組合、まあその中でも、特に九州関係の石炭の組合が非常に窮迫状態に陥っている。これは三十九年度の組合の予算編成の際にも、ほかの組合とは違った実情がございますし、いわば企業で申しますと破産状態のような、破産寸前のような状態にあるわけでございます。しかし、被保険者なり、あるいは事業主なりが、とにかくあらゆる不便をしのんでも組合を存続していきたいというような強い御要望がございまして、したがって、私どもも、三十九年度予算編成の際には、そういったような組合については編成の基準を緩和いたしましたり、あるいは法定準備金の取り消しの特例を認めまして、まあそういったようなことをいたしまして、三十九年度の予算の編成をまあまあどうにか帳じりを合わすようにしたわけでございます。しかし、本質的に財政状態というのほそれだけではよくならないわけでございまして、先ほど大臣も申しましたように、昨年二億のこういった足の弱い組合に対する補助金があったわけでございますが、大体健康保険組合の足の弱い組合に回した分が、一億の中で約一億二千万ございまして、その中で七千万を石炭の組合に配賦したわけでございます。そういったようなことで、私どもも、できるだけ石炭関係の健保組合の存続に対して努力しようという心がまえは持っておるわけでありますが、三十八年度は二億というワクがございましたので、いま申しましたような額以上は出せなかったという状態でございます。それから、それじゃ本年度も補助金が二億入っておりますが、その一億の補助金を補正できないかという問題もあります。しかし、予算技術上、こういった予算補助的な補助金というものを補正するというのはちょっとむずかしい問題であります。したがって、何かの方法でてこ入れをするような方法考えられないだろうかということで現在考えているわけであります。したがって、現在本年度はこうするというような、はっきりした具体的な方法はまだつかんでいないわけでありますが、できるだけ何とかして石炭の組合については、特にいろいろな事情がございますので、てこ入れの具体的な方法考えていきたい、こういうように思っておるわけであります。
  81. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 石炭産業保険財政の危機がどういう形で出てきておるかということは、いまさら私が申し上げなくても、もうすでに御承知かと思いますので、時間の関係もありますから申し上げませんが、しかし、きのうの本会議で総合エネルギー政策に関する決議がなされております。日本のエネルギーの安定的な供給をはかるという意味からも、石炭産業が全部なくなってもいいんだというわけに私はまいらぬと思うのですが、やはり五千五百万トンを確保するということはむずかしいかもしれませんけれども、しかし、少なくともそれに近い石炭をやはり常時確保しておくということが今後の安定的なエネルギーの供給にはぜひ必要でありますから、そういう意味では、石炭産業を国として十分守っていく必要があるわけですね。そういうことで、この石炭産業の安定した経営を維持させるためには、それに応じた労働力も必要でございますし、労働力を確保していくためには、どうしても、一つには、健康保険の問題も、これは当然国として責任を持っていかなければならぬ、こういうことになるわけですから、こういう点はひとつ十分に考えられて、そして早急に手を打たれる必要があると思うのです。補助金が三十八年度二億円、三十九年度も同じですが、こういう二億円という額では、先ほど申しましたように、二十億の赤字に対応する補償というものはなかなかできないと思うのです。したがって、単に石炭産業だけでなくて、国民健康保険の問題もありますし、石炭産業だけに二億円回すというわけにもまいらぬでしょうし、私は、やはりこの際、合理化に伴う一つの起きてきた現象でございますから、離職者対策の中の一環として予算的措置が考えられないものかどうかということを考えておるのですが、これは労働大臣があとで来られると思いますので、労働大臣のほうからも御意見を伺っておきたいと思いますけれども厚生省だけの問題ではなかなか予算的な措置はむずかしいと思います。したがって、離職者対策の一環として予算的な措置がとられるという道もあるのではないか、こういうふうに思うのですけれども、そういう点は、ひとつ厚生省としてはどういうふうに考えておられるか。
  82. 穴山徳夫

    説明員(穴山徳夫君) 石炭の健康保険組合が非常に財政が悪くなりました一つの理由は、非常に多数の離職者が一時に出まして、そのために、いわゆる健康保険法で申しますと、五十五条の適用と申しますか、離職者で、なお引き続いて医療を必要とするという人に対する給付が非常に多いわけで、一方、その人たちからの保険料は入りませんから、したがって、そこで保険財政上のアンバランスが起きるということでございます。したがって、私どもも、昨年度の二億の配分を考えますときに、弱小組合としての石炭の健保組合の面と、それから、いま申しました五十五条関係でこう非常にたくさんかかえているという面と、二つに分けて補助金を交付したわけでございます。したがって、そういう意味では、広い意味の一つの離職者対策と申しますか、というような面も補助金の性格上は入っているわけでございます。したがって、私どもとしても、補助金の問題を考える場合には、本質的に足が弱いという問題のほかに、そういったような特殊性を持っているんだということを十分考え対策考えていきたいというように考えております。
  83. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 本件に関する調査は、本日のところこの程度にしておきたいと思いますがよろしゅうございますか。——それでは、他に御発言もございませんので、さよう決定いたします。   —————————————
  84. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 次に、労働行政に関する調査に入りたいと思います。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  85. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) それじゃ速記を始めて。
  86. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 労働大臣に基本的な問題でお伺いしておきたいのですが、労働時間短縮の問題につきましては、これはもう世界的な趨勢でございまして、ILOの中でもすでにそういう動きが出てまいっておるわけでございます。また、日本の大企業の中でも、幾つか四十時間、週休二日ということも最近ちらほら出てまいっております。しかし、私は、やはりこの労働時間短縮は、単に労働時間を短縮するということだけで済まされる問題じゃなくして、その一体として、いわゆる完全雇用政策との関連でこの時間短縮は考えられていかなくちゃならぬじゃないか、こういうふうに思うんです。しかし、最近の各企業の時間短縮の方向をみてまいりますと、技術革新、あるいはオートメーション化という形の中で、労働力が非常に余ってくる、そういうことで時間短縮をするという面もありますけれども、時間短縮をしても、それと同じ程度のいわゆる労働密度というものが非常に高くなっていく、こういうような傾向があるのではないかというふうに私は思うんですけれども、これはほんとうの時間短縮の意味にはならない。やはり、より失業者を吸収して、そして多くの労働者をかかえる中での時間短縮ということが本来の時間短縮の意義のあるところではないかと、こういうふうに私は思っておるんですけれども、そういう点について労働大臣としてはどういうふうにお考えになっていますか。
  87. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 時短につきまして、雇用対策との関連においてこれを考えていくかどうかという点が問題点だと思うのでございます。時間短縮を推進いたしてまいる上から申しまして、雇用対策的な見地というものが現実には働かされておることは確かであろうかと思います。しかしながら、私は、時間短縮というのは、単にそれが人間の労働の力というものの時間の限界をきめておるというようなことでなく、むしろ労働時間を短縮することによって、人としての生活を受け得る時間をつくり出すという面にやはり一つの意義があるんじゃなかろうか。そういう点から申しまして、単に雇用対策との関連においてこれをつかむばかりでなくて、時短問題それ自体として、やはり独立してわれわれは真剣に取り組んでいく必要のある問題だと、こういうふうに考える次第でございます。
  88. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 大臣の言われるとおり、私も、単に雇用対策だけじゃなくって、生活面からの時短ということも一つの大きな理由でございますことは同感でございますが、しかし、先ほど申し上げましたように、最近の大企業における四十時間、週休二日というようなことが、どうも生活のほうに重点を置いて、いわゆる雇用対策の面が非常におろそかになっているんじゃないか。いわゆる時間を短縮したけれども、しかし、その限られた時間の中で、もういままでとれていた休暇も休憩も、あるいは特別休暇、たとえば生理休暇等におきましても、これが制約され、規制されて、なかなかとりにくいという、いわゆる労働密度の高まった中で時短というものが行なわれているのではないかというような気持ちがするわけです。それで、ただ単に、おれのところは四十時間、週休二日だという宣伝の具にするだけであって、労働者にとってみれば、何ら生活のためにもならないし、労働者全体のためにもならないじゃないか、こういう私は気がするのです。したがって、今後労働行政の中で時間短縮を各企業に奨励していく場合に、やはり雇用対策の面をもっと強く打ち出して、そして完全雇用の政策に近づけていく一つの力になるような形の時短を考えていく必要があるんじゃないか、こういうふうに申し上げたわけですが、そういう点はどうですか。
  89. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 雇用対策という面の関連から見ますると、現在は、一部の廃業におきましては、技術革新に伴う合理化という点から、労働力がかなりゆとりを持ってきている。しかし、現在のような労働情勢のもとにおきましては、余剰人員を直ちにカットするということは現実に困難でございます。したがって、その結果、時間短縮のほうへそのゆとりを向けていくということも一部にはあると思います。特に化学工業等におきましては、相当そういった傾向があるように見られるように思っているのでございますが、しかし、全般的に見まするというと、労働力の不足を感じている企業が相当に多いようでありまして、ことに新規の若年労働力については、ずいぶん不足しているようでございます。こうした事情は、時間短縮を雇用対策と関連させて進めていくという点から考えますると、必ずしも有利な条件でない、むしろ逆な条件と言い得る場合もあろうかと思うのでございますが、しかし、労働省といたしましては、そうした点も考慮に入れまするが、しかし、それにもかかわらず、日本の従来の労働時間の実績というものは、今後、開放経済体制というものを考えました場合には、どうしてもこれは思い切った時短の推進が必要だ、こういうふうな考えをもちまして、極力時間短縮について指導力を発揮してまいりたいと思っておる次第でございます。
  90. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 低賃金、長時間労働というようなことは、日本の世界各国から見ておられる一つの見方にもいままでなっておったと思うのでありますが、日本の現在の全産業の平均労働時間、これが大体百九十七時間ですか、大体二百時間に近いところまでいっているのですね、基準法では四十八時間と、こういうふうになっておりますが、四十八時間すら守れない、こういう実態が非常に出ておるわけです。しかし、現在の国際的な時間短縮の方向から見ますると、早晩四十八時間ということも、これは改正をしていく必要がある、こういうふうに思うのですけれども、一体、政府として、基準法の労働時間に対する改正に対してどういうふうにお考えになっておられるか。
  91. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 労働時間の短縮につきましては、私、就任当初におきまして、この問題は従来からあまり問題に大きく取り上げられておらなかったけれども、これはしかし、早晩日本労働面において大きな問題となっていく事項だと思いましたので、この点について、特に中央労働基準審議会に諮問中でございます。諮問の要点といたしましては、四十八時間の制限が現実に守られるようにするにはどうすればいいか、このためには現行の基準法で相当改正を要する面がありはしないかと思うのですが、それらの点について目下諮問中でございまして、基準審議会の答申を待って必要なる行政指導、法的措置等に進みたいと思っております。
  92. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 いずれにしても、週四十九時間以上働いている労働者が、毎勤統計などによりましても、二千五百万近くの労働者がおるということですね。これはやはり賃金の面にも大きく関係があると思うのです。結局残業しなければ生活できない、こういうところに長時間労働一つの原因もあろうかと思いますので、こういう賃金面からの配慮というものも考えていかないと、なかなかこの四十八時間にするにはどうしたらいいかということも、私は、非常にむずかしいのではないかというふうに思います。賃金問題につきましては、先般もちょっと申し上げましたが、いずれまた議論する機会もあろうと思いますけれども、そこで、雇用問題についてちょっとお聞きしておきたいのです。  先ほど新規労働力について、特に学卒者については非常に逼迫をしておる。しかし、中高年齢者は非常に就職の機会に恵まれないということがいままで何回か言われてきておるところです。これについて、この中高年齢者の対策をどうするかということで、労働省としてもいろいろ考えられておりますけれども、たとえば一つの企業が百人なら百人労働者を必要とするという場合に、五十人は学卒者、あとの五十人はいわゆる中高年齢者でなければいかぬ、こういうような一つの法的な規制まではいかないにしても、相当強力な指導をしていく必要があるのではないか、そうしなければなかなか中高年齢者の就職ということはむずかしいのではないかと私は思うのですけれども、そういう点についてちょっと。
  93. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) この点は、労働省といたしましても全く同感に思っております。すでに本年当初から、各職安に対しましては、新規学卒者の採用の申し入れに対しては、必ず中高年齢者を抱き合わせて紹介するという行政指導によってやっておるわけでございます。最近かなり中高年齢層の問題の解決に役立ってきておるように思っております。
  94. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 それから、時間がございませんので、ちょっと労働問題に入りますけれども、先ほどもちょっと厚生大臣のほうに要望しておいたわけですが、石炭産業が合理化されて、非常に離職者が多数出て、それに付随して健康保険組合が財政的な危機に見舞われているわけです。これは本来厚生省の所管でございますけれども、しかし、その根本原因が石炭産業の合理化というところにある以上、やはり離職者対策と申しますか、通産省の所管かもしれませんけれども、やはり労働省としても、こういう失業者なり、あるいは離職者に対する問題は労働省としても考えていかなくちゃならぬ問題ですから、厚生省等とひとつ協力をして、この石炭産業における保険組合のいわゆる解散寸前にある危機を何とかこの際救済する道を、そういう予算的な措置を考えていただかなければならぬ、こういうふうに思うのですけれども労働大臣としてひとつお考えを……。
  95. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) この話は、先般、関係者がそろって陳情にお見えになりまして、詳細な事情を承りました。これは離職者の生活にとりましてゆゆしい問題でございますので、労働省といたしましても、厚生省保険局当局と協力いたしまして、これが打開の道を講じたいと考えております。
  96. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 林野庁の方はお忙しいところを見えられたのですけれども、実は、国有林に働く労働者の問題でちょっとお聞きしておきたいと思います。  国有林の事業に従事している労働者は、非常に雇用区分がややっこしいように見受けられるのですが、一体どういう雇用区分になっておりますか、まずお伺いいたします。
  97. 森博

    説明員(森博君) これは、まず大別いたしましては定員——ホワイト・カラーと申しますが、定員内の職員と、それから定員外の職員ということになる。これは定員外の職員は約四万おりますが、月給制の職員でございます。それから、それ以外におられます方々は、普通われわれが作業員と言っておりますが、これの区分といたしましては、年間通じまして雇用いたしております作業員の方、これは約一万一千名ほどおります。それから、御承知のように、非常に国有林におきましては事業に繁閑がございます。植物の育成に伴って事業をいたす関係、それから、冬期は作業ができません関係等々の理由から期間雇用をいたしておる方があるわけでございます。この方々の区分は、常用作業員、これに次いで通年雇用のほかに定期作業員、これは通年雇用にはなっておらない方々であります。それから月雇いの作業員、日雇いの作業員、こういうように分かれておるわけでございます。
  98. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 こういう事業に従事しておられるいわゆる期間労働者と申しますか、それには一体どういう方が当たるのですか。
  99. 森博

    説明員(森博君) これは歴史的に申しますれば、農閑期の労働なりを利用して、昔は日々雇用という形で雇ってまいったわけでございますが、それがいろいろ制度化されまして、現在では常用のほかに、これは季節的、生物的な関係から、作業が季節の繁閑が非常に大きなものでございますので、定期作業員、これは六カ月以上でございますが、一ぺんは退職していただいて、できるだけまた来ていただくというような方、これが定期作業員でございます。それから、月ぎめで何カ月という形で雇っておりますのが月雇いでございます。それから、一カ月以下の期間で雇っておりますのが日雇い、こういうふうになっております。
  100. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そこで、問題になりますのは、やはり定期作業員ではないかと思うのです。定期作業員の通算勤務年数別の人員を私は資料としていただいたわけでございますが、これで見ますと、一年未満というのはわずか一三・二%で、あとは二年以上——十年以上が五%もいるということで、三年から四年なりが大体中心のようでございますが、こういう期間労働者が、しかも、こういうふうに三年、四年、五年、あるいは十年というふうに継続して働いている人たちが、いわゆる正規の労働者と申しますか、雇用区分の上で常雇作業員と違った定員外として置かれておるということは、私は、雇用形態として非常にふかしぎなことではないかと思うのですね。しかも、その使用者がいわゆる政府であるという立場からしますと、民間企業に範をたれなければならない政府自身がこういう変則的な雇用をしておるということは、非常に遺憾なことではないかと思うのでありますけれども、なぜ林野庁として、こういう定期作業員を、本雇いと申しますか、常用化の方向に持っていかないのか、その辺の理由が私わかりませんので、ひとつお伺いしておきたいと思います。
  101. 森博

    説明員(森博君) 林野庁といたしましては、できるだけ通年雇用という安定した形が望ましい。これは職員の方々から見ましても、また、労務確保の面から見ましても、これが望ましいということは一般的に考えているわけでございますけれども、先ほど来申し上げましたように、たとえば造林の作業を申しますれば、これはやはり春の末から秋にかけて仕事をしなければならないということになるわけでございます。また、その他代表的な業種といたしまして伐木の関係をとりましても、これは冬場の積雪の期間は全然仕事ができないという地方が非常に多いわけでございますので、われわれといたしましては、造林関係といたしましても、できるだけ、たとえば造林の場合の下刈りをする作業、それから地ごしらえをする作業と、いろいろあるわけでございますが、これはできるだけ年間の仕事が平均いたしますようにいろいろ努力をいたしまして、長い期間日雇いの方は月雇いに、月雇いの方は定期に、定期の方は常用にというような雇用の安定の方法を過去三カ年にわたって計画的にも実施してまいりましたし、いろいろくふうをいたしまして、できるだけ長く雇用できるようにという積極的な努力はいたしているわけでございます。しかし、千七百万人くらい年間使っているわけでございますけれども、造林関係が約六百万くらいあります。それに育苗関係も入れますと、約半分近いものがそういう造林関係になるというようなこともございまして、通年雇用というのは、先ほど申しましたように、植物の育成、植物の生理現象、それから天候等によりまして、通年雇用ということはなかなかできないわけでございまして、そういう関係からこういう定期の方というような雇用のしかたがあるわけでございます。これにつきましては、われわれとしてはできるだけの努力を今後続けまして、機械化、あるいは作業の仕組みを変えるというようなことで、できるだけこの雇用安定ということをはかりたい、こういうふうに考えておりますけれども、これは、しかし、天候という自然現象に支配されるものでございますので、なかなか思うようにはいかないということでございます。
  102. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 季節的な関係もあろうかと思いますけれども、要は、林町の事業をもっと国有化して、いわゆる直営、直用の形にしてやっていくという方向をとる限りは、こういう方たちも十分通年にできる、その要素が出てくると思うのですね。それがいまの林野庁の方式を見てみますと、大体請負ですか、そういう形にどんどん切りかえていくような傾向もあるわけでございまして、しかも、現在のように労働力が逼迫をしておる段階でこういうような雇用形態、さらに、また、そういう身分差による待遇の違い、こういうことになりますると、これから定期作業員という形で雇うにしても、なかなか困難な事態が出てくるのじゃないかというふうに私は思うのです。ですから、ますます林野庁としては直営というものをやめて、どんどん請負に出すというようなことにもつながっていくわけでございまして、したがって、こういう重要な事業を所掌する林野庁としては、少なくとも一年のうち八カ月、あるいは九カ月という期間を働いているわけでございますから、これらの者の雇用の安定というものをもっと積極的に考えていっていただきたい、こういうふうに思うのですけれども、一体、こういう労働力の逼迫した中で、林野庁として今後どういう形でこの労働力を確保し、そうしてこれらの者の安定した生活を保障していこうとするのか、時間がございませんので、基本的な問題をひとつお聞きしたいと思います。
  103. 森博

    説明員(森博君) 先ほど来申し上げましておりますように、もちろん雇用安定ということにつきましては、作業の機械化、それから、作業仕組みの改善というようなことで、できる限り雇用が継続するように努力をいたしまして、安定をはかっていくという努力を続けるつもりでございますが、さらに機械化によります労働の軽減、それから、作業における環境におきましても、十分これは改善をはかってまいりたい、また、厚生施設関係においても、これはできるだけのことをして改善をはかっていく、そういうことで労働の確保に遺憾なきを期していきたいという考えでおります。
  104. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 それから、もう一つお聞きしておきたいのですが、非常に定期作業員の方の各種社会保険の加入が少ないのですが、たとえば健康保険にしても六八%、厚生年金は四五%ですか、こういう形で、非常にそのほかの人たちは、一体それじゃ国民健康保険に入っているのかどうかわかりませんけれども、非常にこういう面では不安定な生活がしいられておるのではないかというふうに思うのです。これらが、そういうふうな八カ月、九カ月というふうな形でやられておるにかかわらず、どうしてこういう加入がなされないのか。林野庁として積極的にこれらの者を加入せしめる努力がなされておるのかどうか、そういう点をひとつお聞きします。
  105. 森博

    説明員(森博君) この社会保険関係の加入状況でございますが、先生もちろん御存じのとおりに、大部分が国民健康保険にいたしましても厚生年金にいたしましても、任意包括加入の形で、二分の一の同意を得るということで厚生省の認可を得て加入するという形に法律上なっておりまするので、これ全部入るというようなことはなかなかむずかしいかとも思うわけでございますが、先般来、いろいろ先生方から御指摘がございますので、任意包括加入が、できる限り加入者が多くなりますように、従来は健康保険に入りますか、厚生年金に入りますかというようなことを、一々原則として署におきまして聞かせたり、それからPRもいたしているわけでございますけれども、今後はわれわれといたしましては、大いにそのPRのほうに力を入れまして、できるだけ職員にそういう面の御理解をいただきまして、この加入率を急速に上げたい、こういうふうなことでせっかく努力を始めているところでございますので、御了承を願いたいと思います。
  106. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 それから、失業保険関係で、定期作業員の場合、六カ月でやめれば失業保険が出ると思いますが、八カ月、九カ月の場合に今度は退職金のほうに切りかえられる、こういうことで、失業保険金を掛けたものが掛け捨てになる、こういうことになるわけでございますが、この点が失業保険の会計のほうにそれが入ってしまって、そして退職金の場合には林野庁としての予算の中からこれは出ているわけですね。その場合、失業保険会計のほうから林野庁のほうに還元されるわけですか。
  107. 森博

    説明員(森博君) 退職手当のほうは、これは支給資格が二十二日以上であったと記憶いたしておりますが、六カ月引き続くということを先生御存じだと思いますが、それから、失業保険のほうは、これは十一日で、一年の間に雇用の期間が通算ではなく六カ月必要であるというように、その受給資格の成立要件が違っているわけでございますが、そういう関係から退職手当の支給資格を得られないで退職するという方があるわけでございまして、そういう方は退職手当をもらわないで、失業保険のほうをもらうということになるわけでございますので、退職手当の支給資格ができたときから失業保険のほうは保険料を払わないという仕組みにいたしているわけでございますので、先ほど申しましたように、退職手当の支給資格ができませんでやめられる方も、これは何割かあるわけでございます。その方はやはり失業保険のほうをもらわれている、こういうことになりまして、これはむだになっているわけではございませんので、たしか三万五千人定期の方がおりますが、推算では、約九千人くらいの方が失業保険のほうを受けられている、こういうふうに推算をいたしているわけでございます。
  108. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 この九千人が失業保険で、あとは退職金に入るわけですね。そうしますと、六カ月問掛けた保険料というのは一体どういう形になっているわけですか。
  109. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 大体いま農林省のほうから御答弁がありましたように、三十七年度の実績で見ますと、退職手当の支給資格を満たさないけれども、失業保険の支給資格を備えているという者が、三万五千人の中の約四分の一、九千なにがしございます。支給の実額を見てみますと、大体十一億ほど支給しておりますが、四分の一の該当者が出るということは、全員の掛け金を全部つぎ込んでも、なおかつ足りませんので、掛け金がどこかで余っているはずだという計算には絶対ならないわけです。
  110. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 問題は、六カ月で失業保険だけしか受けられないという人は、これは掛けてもらうのですからいいのですが、退職金のほうの資格要件になった人が今度支給される場合は林野庁のほうのこれは予算的な措置の問題ですが、林野庁の特別会計から出るわけですね。そうしますと、六カ月掛けた保険料というのは、失業保険会計のほうにいってしまって、それは退職金のほうとは全然関係なくなっているということになりますと、これは失業保険のほうとしては、その分だけ余分に入っているというようなことになるのではないかと私は思うのですが、そういう点はどうなんですか。
  111. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) この失業保険制度の仕組みとしまして、被保険者全員から、被用者負担の分と、それから雇用主負担の分と折半で千分の七ずついただいておりますが、それを原資として、先ほどいいましたように、四分の一の該当者に保険金を支給しているわけでございます。六カ月働いて九十日の保険になるわけですが、九十日の保険をいただくためには、労使で十一年半ばかり掛けていただかないと九十日分の保険料に見合う計算にならないわけですから、これはとても収支計算をいたしますと、保険のほうが非常に損をしておるという計算になりますので、何といいますか、先生の御指摘のように、それが納めるのがおかしいという理屈にはならないんじゃないかと思います。
  112. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そういう非常にややこしい問題が出てくるんですよ。結局これも定期作業員という雇用形態が非常におかしい雇用形態になっておるからそういう問題も私は出てくると思うのですね。ですから、私は、この定期作業員というのは、もう実質的に八カ月、九カ月というような、六カ月以上毎年雇用されている方々ですから、しかも、それは実際に林野事業の期間要員として働いておる、こういう立場からすれば、林野としては当然定員内にこの人たちを入れて、そして身分差を撤廃すると同時に、待遇の面でも、これは十分な一般の職員と同じ待遇をしていくということを今後ぜひ考えていただかないと、これは日本の国有林事業にとって非常に将来大きな問題になってくるんではないかと、こういうふうに思うわけでございます。しかも、健康保険なり厚生年金なりに半分も加入しておらないというようなことは、これは非常に遺憾なことであり、先ほど申しましたように、民間企業ならいざ知らず、使用者である政府自身がこういうことをしておるということは、これはもう重大な私は問題だと思うんです。ですから、そういう点はひとつ林野庁としては十分考えていただきたいと思います。特に政府がこの国会に林業基本法というものを出しておるわけですね。この中では、労働者の福祉の向上なり、いろいろうたっておるわけでございますが、単にそういう法律にうたっただけでは労働者の何ら生活の保障にもならないわけでございまして、要は、その当局である林野庁が積極的にその直接の使用者としての責めを果たすということが必要でございますから、そういう点を一つ強く要望しておきたいと思います。何か決意のほどがあったらお聞きいたしておきたいと思います。
  113. 森博

    説明員(森博君) 先ほど来申し上げておりますように、われわれといたしましては、従来とも、通年雇用にいたしますための努力をいたしてきておるわけでございますが、先ほど申しましたように、天候、植物の生理現象等のために、これを通年雇用に直すということにはなかなか困難を感じているわけでございますが、引き続き、一そうの努力を続けまして、雇用の安定ということに効果をあげたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  114. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 私も一言申し上げておきたいと思うんですけれども、これは林野庁の定期作業員の関係は、そのもの自体についても不安定雇用の状態にあるわけです。国が林野の事業をおやりになるのですから、計画的にいまは機械化もしていますし、ただ、季節でどうにもならぬというのはほんの一部だと思うのです。やっぱり常用作業職員化の問題にもっと努力されないと、いまの失業保険の問題にしましても、十一年何ぼしなきゃいかぬというので、九千人だけ失業保険の会計から払っているなんというようなことは、当然失業保険の会計からいっても問題になってくるところですから、これをもっと真剣に——この前の国会にもこの委員会で取り上げたが、いま柳岡さんがおっしゃったとおり、これは定員化の問題をもっと真剣に林野庁考えていただきたい。われわれ社労委員会としても、民間の事業についてはいろいろなかなか制約がありますけれども政府の事業ですから、政府の事業、林野伐採事業、植林伐採ですけれども、国が計画されている事業にそういう不安定な事業を——民間でもそういう不安定な雇用形態というのはだんだんいま少なくなっている、人権尊重の面から少なくなってきているのですから、範をひとつ国の事業が示すように、一段とひとつ努力していただきたいということを私からもお願いしておきたいと思います。本件については、本日のところ、この程度にいたします。   —————————————
  115. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 次に、公労委の仲裁裁定の問題について質疑を行ないます。柳岡委員
  116. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 公労委の会長に来ていただきたいという考えでおったのですが、都合で来られないことは非常に遺憾でございます。そこで、専売公社の方おられましたら……。  先般全専売労働組合と専売公社との間の賃金紛争に対しまして仲裁がされたのでございますが、これに対して全専売労働組合のほうでは不満であるので受けられない、こういう態度をとっておられるようです。専売公社としてどういうふうにこれをお考えになっていますか。
  117. 大槻義公

    説明員(大槻義公君) ただいまの柳岡委員の御質問でございますが、先般仲裁裁定が出まして、専売公社につきましては、基準内給与で六・五%という裁定が出たわけでございます。労働組合におきましては、特に公共企業体間の格差の問題につきましていろいろ意見がございまして、他公社との関連におきまして不満の意を持っておりまして、私ども公社側といたしましては、昨年暮れ以来、賃金についての交渉の経緯、調停、仲裁という経緯において出た裁定でございますので、これを実施してまいりたいということで配分の交渉を提案いたしているわけでございますが、現段階におきましては、ただいま申しましたような組合の見解によりまして、現実の交渉には入っていないという実情でございます。今後配分の折衝を進めたい、このように考えております。
  118. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 団体交渉の中で、専売公社としては、民間給与との比較において五百人以上が適当である、こういうことを申したようでございますが、しかし、仲裁裁定では百人以上ということになっておるわけでございまして、この点、専売公社としては、この裁定に対しては若干の不満があるのではないか、私はそういう点からも不満があると思うのですよ。これは仲裁裁定ですから、当然受けなくちゃならぬ、こういう立場でおられるかもしれませんが、率直なところ、専売公社としてこういう裁定は妥当なものとは考えられないと、こういうふうに私は思うのですが、そういうところはどうですか。
  119. 大槻義公

    説明員(大槻義公君) 裁定が、特に民間企業との比較において、企業の規模を百人以上の規模において比較しているという点について、公社は、仲裁あるいは調停段階において、五百人以上の規模において論議をしたいというお話でございまして、私ども、いろいろ賃金比較、民間企業との比較は資料の制約もございまして、必ずしも適切な資料というものが多くない、こまかい比較がしにくい、そういう実情の中で、私どもは、例の毎勤統計、これは常に援用するわけでありまするが、については五百人以上の事業所の比較、さらに賃金実態総合調査の資料は、これまた資料の関係から十人以上という資料しかとりにくいものですから、それから、さらに千人以上という二つの段階の資料を検討の資料として用いておりますし、さらに東洋経済の統計月報というものについては企業規模五百人以上だ、人数の比較においては、私ども四万人の職員を擁しておるわけでありまするから、五百人以上を一応とるというたてまえを中心にして考えておるわけでありますが、資料の関係で、そのようにいろいろの資料を検討資料に採用しておる、こういうのが実情でございます。さらに、比較すべき対象につきまして、専売はたばこ専売でございますので、民間企業に直接運輸事業におけるがごとく、そのまま比較する企業がございませんので、そういう意味においてはいろいろ問題もあろうかと思います。今後それらの点についても、いろいろな資料の整備と相まって検討すべき余地が多いんじゃないか、このように考えております。
  120. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 組合がそういう形で非常に不満を持って受けておらない、公社としても必ずしもこの仲裁裁定を妥当と考えておらないと思いますので、そういうことからいいますと、専売公社の今後の事業運営をしていく上に、非常にこの問題がからんで、円満な事業の遂行はできないのではないか、こういうふうに私は思うのですけれども、特に専売公社としては、最近りっぱと申しますか、世界でも第一流の機械を入れまして、増産態勢をしかれるようでございますが、この増産態勢に対して組合としては協力をするということに相なっておりますけれども、この賃金紛争が解決をしなければ、そういう問題も非常にむずかしくなってくるのではないか、こういうふうに思うのですが、今後の専売公社の運営にどういうような影響があるとお考えですか。
  121. 大槻義公

    説明員(大槻義公君) 仲裁の裁定があったあとのそれぞれのこの裁定を受けた気持ちにつきましては、いろいろな感情なり批判があると思います。特に公社の場合、問題となりました格差の問題、民間企業との格差、あるいは公共企業との関連における格差の問題等につきましては、何ぶん資料が十分でないというような点から、取り扱いにくい要素を含んでおります。賃金の比較は、単に男女の性別、あるいは年齢、階層別という単純な比較でできるものではなくて、さらにもっとそのところは職種の分析比較というようなことにまで及ばなければ正確な比較がしにくいのじゃないかとわれわれ考えるわけであります。そのような意味におきましては、比較論、格差論というものの解決は、明確にその結論を出すということは、今後時間も要しましょうし、検討すべき点が多いように思っておりますので、この段階におきましては、私どもは、仲裁の裁定が出たこの段階におきましては、これを実施するよりほかないし、組合側の理解も得て、現実の配分の問題にすみやかに入っていきたい、そういう努力をいたしたいと、このように考えております。
  122. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そういうことは非常にけっこうだと思うのですが、いま申し上げましたように、この賃金紛争にあたって組合が行なった行為に対して処分を出しておるということがあるわけですね。しかも、この裁定に対しては、やむを得ず受けなくちゃならぬというような立場からすれば、今後の公社の事業を遂行していく上に、非常に組合の協力を得るということが困難になるのではないか、こういうふうに思うのですが、そういう点で公社としてどういう——いま努力をしてまいりたいと、こういうお答えでございますけれども、しかし、もっと積極的な何かの態度を明確にしない限り、なかなか公社の増産態勢に組合が喜んで協力をするということにはならないのではないかと、こういうふうに思いますので、専売公社として、ひとつ十分そういう点を配慮してやっていただきたいというように思うわけです。  それから、予算措置について、専売公社としては別に補正予算を組まなくてもやっていけるわけですか。
  123. 大槻義公

    説明員(大槻義公君) 裁定実施に要します原資は十五億八千万円程度でございます。その財源措置といたしましては、予備費の使用、あるいは既定経費の流用等で十分まかなえる、このように考えておりますので、予算の補正という必要は考えてないし、申しましたようなやり方で実施いたしたいというふうに考えております。
  124. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 予備費なり、あるいは既定経費、あるいはまた企業努力による収益によってこういうものをまかなえるということになりますれば、これは仲裁を待たなくても、団体交渉の中で積極的に賃金を引き上げるということも可能でございますので、ひとつ次のこういう賃金紛争にあたっては、単に六百円くらいの賃上げという回答ではなしに、やはり自主的に専売公社の事業を円滑に遂行していくためにも、自主的な、可能な限りのやはり賃金の引き上げについての努力を示していただきたいということを最後に要望して、非常にきょうはお忙しいところを来ていただきまして恐縮でございましたが、またいずれこの問題については、公労委の方々の御意見等もお伺いして、専売公社の方々に対しても御要望することがあろうかと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  125. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 私一つ聞きたいのですが、いまのお話を聞いていますと、公労法の十六条によって、いまのような企業努力や予備費でまかなえる、賃金が最低まかなえるということですと、自主的に解決せないというのはどこがさわっているんですか、それは公労法の十六条で、そこらあたりは独立採算制とは言い切れない面が専売公社にはありますけれども、しかし、そういう要素で賃金がまかなえるというのなら、何も調停や仲裁に持っていく必要はないのじゃないですか。自主的に解決できるとするならばどういう希望があるか、ここでいい機会ですから述べておいていただきたい。
  126. 大槻義公

    説明員(大槻義公君) ただいま申しました数字は裁定の結果でございまして、賃金に関する交渉過程におきましては、御承知のように、私どもは初任給の引き上げ六百円、それに関連する多少の調整という必要を認めるという回答、意見は出しておりますが、その段階においてはそれ以上の賃金引き上げの必要はない、こういう見解で調停段階に至ったわけでございます。で、その後、民間企業における三月、四月における賃金引き上げという情勢の変化と申しますか、もございまして、仲裁におきましては、それらを含んで、ただいま申しましたような、公社につきましては六・五%の引き上げという結論が出されたものと承知しております。したがって、もし最初からわれわれの予算の範囲で処理できる程度の賃金引き上げということでありますれば、お話のように、私どもはそういう議論が自主的にできる、このように考えておりまするが、ただ、予備費の使用ということにつきましては、まあこれはこまかい手続の点で恐縮でありまするが、私どもだけでは処理できなくて、やはり大蔵大臣の承認が要るというようなことにもなろうかと思います。そういうことで、せっかく当事者能力の問題といたしましては、御承知のような経緯で、私ども政府部内でいろいろ意見を交換して検討しているという段階でもございますので、私どもは私どもの見解もございますけれども、いま少し結論をお待ちいただきたい、このように思っております。
  127. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 本件に関する調査は、本日はこの程度にしておきたいと思います。
  128. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 次に、郵政省における不当労働行為の問題について。柳岡委員
  129. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 先般の石川地区、あるいは富山地区における特定局長の全逓労働組合に対する不当介入について調査をしていただきまして、その結果をこの国会中にひとつ御報告をいただきたい、こういうことでお願いをしておきましたので、郵政省としてその結果ができておりましたら、ひとつお伺いしたいと思います。
  130. 曾山克巳

    政府委員(曾山克巳君) ただいまの御質問にお答えいたします。  先般の本委員会におきます柳岡先生の御注文によりまして、その後付加すべき、あるいは間違っておるような調査の結果がないかどうか慎重に調べるべく、私のほうの担当の課長を派遣いたしまして十分に調査いたしました。その結果、大要を申し上げますと次のとおりでございます。  まず、いろいろ先生の御質問がございました中で、当該地区の郵政局長であります石丸局長が組合と会見をいたしまして、いわゆる不当労働行為の事実を認めたということをおっしゃいましたが、郵政局長に会っていろいろとただしましたところ、本人は次のように申しております。と申しますのは、本人自身当該地区の出身でございまして、まあ組合の人たちとも非常に顔見知り、親しい関係にございますので、いろんなことを申したそうでございます。したがって、おそらくその申した中から何か誤解をした向きがあるのではないかというふうに思われる節があるそうでございます。と申しますのは、不当労働行為ということは非常に悪いことであるので、自分としてはそういうことをやらせるつもりはないが、もちろん組合の内部におきましてもいろんな意見があるということは承知しておるというようなことを申しましたことを、若干事実そうしたというぐあいにとったのではなかろうかという向きがあるわけでございます。なお、さらに、いままでの問題についてとかく言うよりも、今後の問題について、ひとつ労使の間においてはっきりとした関係を打ち立て、また、明かるい関係をもってやっていこうじゃないかということを言いましたのを、さらに誤解いたしまして、いままで不当労働行為をやったが、今後はやらぬというぐあいにとったのではなかろうか、したがって、いままでのことを認めたというぐあいにとられたのではなかろうかということを申しております。もちろん本人は、不当労働行為につきましては、省の方針もございまして、これが不当なことは十分承知しておりますし、したがって、やらせるつもりもございませんし、また、そういう事実はなかったということを明言しておった次第でございます。  なお、第二の問題といたしまして、地方郵政局長会議がございましたが、その会議の席上で、昨年末の長野郵政局の態度に見習って、今後はいわゆる不当労働行為らしきものをやろうというようなことを申したという話でございますが、これは先般も申し上げましたように、本人はもちろん絶対にそういう事実はないと申しておりますし、また、私自身、先般も申し上げましたとおり、その場におりましたので、さような事実はなかったということを確信を持って申し上げたいと存じます。  それから、第三に、その郵政局長会議から帰りましたあと、能登地方の局長会長でございますところの某局長といわゆる謀議をしまして局長会議を動かして、第二組合の育成、いわゆる不当労働行為について積極的な努力をしたというお話がございましたが、この点につきましても、さような事実は全然ないということを申しておるようでございます。  さらに、第四の点といたしまして、郵政局長と人事部長が一緒になりまして脱退者の数の割り当てをしたり、また、さらには、具体的な脱退方法等につきまして局長会議の方々と協議をしたというお話がございましたが、この点につきましても、さような事実はございません。また、そういうことをするはずがないということを申しております。  それから、第五の点といたしまして、二月一日、あるいは二日に能登地方の局長会議をやったその席上で、先ほど第四点で申し上げましたようなことをいろいろと謀議したということでございますが、その会議には郵政局の側からは出ておりません。貯蓄推進について局長たちが自発的に会議を持ちまして、貯蓄成績の向上をいろいろと協議したということでございます。したがって、その会議の席上において、いわゆる不当労働行為につきましての謀議をしたことも、また、具体的な数の割り当てをしたというようなこともございません。  さらに、個々の事実でございますが、先般、押水局の局長夫人が第二組合の人を案内いたしまして各局を訪問したということについての事実の有無についてのお尋ねがございましたが、先般報告申し上げましたとおり、本人は全くのただ案内でございまして、中に介入して、いわゆる不当労働行為らしきことをしたことはございません。  さらに、栴檀野の局長の夫人が、各局を同じく第二組合の人を案内して、これは積極的な介入をはかった、いわゆる不当労働行為を行なったということでございますが、ただ、たまたま四月の末に、電話工事の人夫の雇用の必要がございまして、その必要のために、つまり人夫集めの依頼のために職員の宅を二、三軒訪問しておるようでございます。そうして用談をいたしました。その際、当時全逓の富山地区がとっておりましたところの、いわゆる福岡郵便局に対する集団行動、これに対していろいろと世間話程度の話をしたということでございます。これがしたがって不当労働行為を慫慂したという事実はこの際なかったのでございます。  また、最後に、脱退工作費、先般一万円云々のお話がございましたが、かような事実は全くございません。もし誤解されたとすれば、御承知のように、貯蓄、あるいは保険の奨励募集のための施設費とか、あるいは奨励費というものが郵政局から流れますので、それをあるいは誤解したのではなかろうかというようなことでございます。  大要以上のとおりでございました。
  131. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 郵政省本省なり、あるいは、また、郵政局自体がそういうことを表面に立ってやらせるということは私も考えられないと思いますが、ただ、いわゆるこれは郵政省側に立つ特定局長会が、やはり自主的にしろ、そういう行為をするということは、これはいわゆる全逓対郵政省という立場からすれば、特定局長会もいわゆる郵政省側に立つわけでございまして、したがって、組合側から見れば、郵政省組織切りくずしということになるわけでございまして、いまの報告を聞きましても、何か郵政省なり郵政局としてはそういう事実はないということであって、特定局長なり特定局長会なりがそういう切りくずしの行為をしていないということについては明確に私はなっていないのじゃないかと思うのです。しかも、現実に国会でこの問題が取り上げられましてから、石川地区におきましては、さらに特定局長会が先鋭化と申しますか、強固な態度をとってきたようでございまして、だいぶ全逓を脱退している組合員が出てきているということを私どもは聞いておるわけでございます。したがって、いまの報告は、どうもまだまだ事実と異なるような報告のようにしか受け取れないので、まことに残念でございますが、ひとつ今後の対策として、郵政局長会、あるいは特定局長に対する労務管理の指導と申しますか、こういう点についてどういうふうに考えておられるか、ひとつお伺いをして、さらに郵政省としての本問題に対する決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
  132. 曾山克巳

    政府委員(曾山克巳君) 先般も申し上げましたが、かねて特定局長につきましてはいろいろ訓練を施しております。その訓練のやり方は、研修所においての訓練、あるいは講習会、打ち合わせ会等を通じての訓練、いろいろあるわけでございます。その中におきまして、私どもの省のように、人を主体といたしまして仕事をやります郵政の仕事におきまして、労使の、つまり組合との関係を明朗なものに、かつ、健全なものにすることが非常に大切であるということを絶えず説きまして、ただいまいろいろと御指摘のありますような不当労働行為等についての慫慂などは厳に戒めております。また、この問題につきましても、たまたま当省の課長が参りましてから、問題の地区におきましては特定局長会議を開催いたしまして、その会議の席上、郵政局長、あるいは人事部長、所管の向きからいま申しましたようなことをとくと話をするということでございまして、さらに一般的に申しまして、省といたしましては、これは議論の分かれるところかと思いますけれども、いわゆる行き過ぎた政治的な、ないしは意図的な行動等にはもちろん、従業員の組織しておりますところの組合におきましてもさようなことのないよう、私どもは絶えず指導しているわけでございますので、そういった形におきましての職員に対する訓練も必要かと思いまして、その訓練の必要性を局長等に申しております。その際も、絶対にいわゆる組合に介入して、組合に対しまして不当労働行為にわたるようなことのないようにということを言明いたしておりますので、今後におきましても、先生御心配の点は、問題の地域においてもなくなろうかというように考える次第でございます。
  133. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 特定局長という立場が、地方の実力者なり、あるいは非常に特殊な方がなっておられるだけに、そういう傾向が非常に強いわけです。最近自由任用と申しますか、だいぶ部内者から局長になられる方もあるわけでございますが、しかし、依然として世襲的な特定局長も多分にあろうかと思います。そういうことで郵政省なり郵政局の指導監督というものも、そういう方々には、何かあまり強くと申しますか、手心を加えるような形のものが私は実際にはあるのじゃないかと思うのです。したがって、郵政局長なり、あるいは関係の方が局長会議に行かれてそういうことを言われても、それがほんとうにどこまで特定局長に受け入れられるかということが私としては非常に疑問になるわけです。したがって、もう少しこれは任命権を当然持っているわけですから、ですから、そういう立場でひとつ強く特定局長に対する指導をぜひお願いしたいと思います。この問題につきましては、いずれ私たちも十分組合のほうとも御連絡を願って、そうして、できるならば現地にも参っていろいろ調べてきたいというふうに考えておりますけれども、ひとつ再度この委員会でこういう問題が取り上げられるということのないように、郵政省のひとつ積極的な下部に対する指導をお願いをして、きょうはこの辺で終わりたいと思います。
  134. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 本件に対する本日の調査はこの程度にしておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  136. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 速記を起こして。  それでは休憩いたします。    午後三時四十九分休憩    ————・————    午後四時開会
  137. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) それでは、ただいまから再開いたします。  継続調査要求についておはかりいたします。  社会保障制度に関する調査及び労働問題に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。   —————————————
  140. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 継続審査要求についておはかりいたします。  国有林労働者の雇用の安定に関する法律案、  原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、本院規則第五十三条により、継続審査要求書を議長に提出したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。   —————————————
  143. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 次に、清掃法の一部を改正する法律案、  厚生年金保険法の一部を改正する法律案、  船員保険法の一部を改正する法律案につきましては、今後もし衆議院におきまして、これらの法案を閉会中継続審査に付する場合においては、本委員会といたしましても継続審査を行なうということといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議ないと認めます。  なお、その場合、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。   —————————————
  146. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。  厚生及び労働行政の実施状況調査し、もって社会保障制度に関する調査及び労働問題に関する調査に資するため、閉会中委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員の人選、派遣地、派遣期間等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、本院規則第百八十条の二により、議長に提出する委員派遣承認要求書の作成等も、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。これにて散会いたします。   午後四時四分散会