運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-04-02 第46回国会 参議院 社会労働委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二日(木曜日)    午前十一時三十八分開会   —————————————   委員異動  四月一日   辞任      補欠選任    谷村 貞治君  山下 春江君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     鈴木  強君    理事            亀井  光君            高野 一夫君            藤田藤太郎君            柳岡 秋夫君    委員            加藤 武徳君            紅露 みつ君            徳永 正利君            横山 フク君            阿具根 登君            藤原 道子君            林   塩君   国務大臣    労 働 大 臣 大橋 武夫君   政府委員    労働省労政局長 三治 重信君    労働省職業訓練    局長      松永 正男君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    労働省労政局労    働法規課長   青木勇之助君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○中小企業退職金共済法の一部を改正  する法律案内閣送付予備審査) ○労働問題に関する調査雇用促進事  業団秋田総合訓練所における不当労  働行為に関する件)   —————————————
  2. 鈴木強

    委員長鈴木強君) ただいまより開会いたします。  委員異動についてお知らせいたします。四月一日、谷村貞治君が委員を辞任されまして、その補欠山下春江君が選任されました。   —————————————
  3. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  4. 亀井光

    亀井光君 きょうは時間もございませんので、ごく簡単に労働大臣に御質問をいたしたいと思いますが、ここ数年来のわが国経済高度成長の中でいろいろなひずみが出てまいっておりますが、それが産業の間、あるいは地域の間、あるいは大企業中小企業との間にこういうふうないろいろなひずみがでてまいっておりまして、このひずみを調整をしていわゆる格差縮小してまいりますることが、今後の経済高度成長のためにも、また、福祉国家をつくり上げていく上におきましても大切でありまするが、特にその中で大企業中小企業の間の格差縮小という問題が私たちにとりまして大きな問題だと思うのでございます。特にわが国経済構造の中で中小企業の占めておりまする地位、位置というものが、今後の経済発展にも、あるいはそれらに従事しておりまする従業員のいろいろな問題につきましても、大きな影響があると思うのでございます。そこで、大企業中小企業格差の間で、資本力とか、あるいは設備とか、あるいは生産性というふうな格差の問題は別といたしまして、労働条件だけをとってみてまいりましても、いろいろな格差がその中から見出される。賃金は、中小企業人手不足から、初任給の引き上げに伴いまして、だんだん格差縮小が見られてまいっておりますことは、これは非常にいい傾向だと考えるわけでありますが、その中で福祉の問題、厚生あるいは福利、こういう面におきましては、まだ大企業中小企業の間の格差があるわけでございます。特にいま中小企業で一番大きな問題は、新鮮な労働力をいかにして導入するかということ、それと、導入されました労働力を、いかに雇用の安定をはかっていくかという問題にあろうと思うのでございますが、そういう意味で、その退職金の例を一つとってみましても、大企業中小企業に大きな格差があり、そのことが従業員の老後の生活の安定というふうな問題とからみまして、雇用の安定に大きな影響が従来あったわけであります。四年前に中小企業退職金共済組合制度を創設をいたしまして、全国中小企業者団結と、その共済の力によりまして、大企業に劣らないような退職金制度をつくって、これによって中小企業を魅力あるものとして、新鮮な労働力の導入及び雇用の安定をはかっていくという趣旨でこの法律が生まれたのでございます。その意味におきましては、この法律使命というものが非常に大きな力を、特に現在におきましては発揮してまいっておるのじゃないかと思います。ところが、四年の間にいろいろ経済情勢の変化、あるいは中小企業と大企業との間のいろいろな問題からいたしまして今回改正案が国会に提出されたと思うのでございますが、この四年間におきまする中小企業退職金制度の歩みと申しますか、その実績につきまして、たとえば適用事業主の数、あるいは適用を受けまする従業員の数、あるいはその間に積み立てられました余裕金の額、こういうものにつきましてまず御質問を申し上げたいと思います。
  5. 三治重信

    政府委員三治重信君) 年度別の加入の状況を申し上げますと、当初の三十四年におきましては、事業主の数が八千七百九十七人、労働者数が九万七千九百九十二人というふうに、わりあいに少なかったのでありますが、昨年度、三十八年度におきましては、現在、事業主の数で六万五千五百八十二人、労働者の数で、現在の被共済者——もうすでに退職されたのを差っ引いた現在の純被共済者数が八十四万六百二十人というふうになっております。しかし、まだまだ全体の中小企業に働いておられる労働者全体の数から見ると非常に少ない。今後とも一そう努力していきたいと思っております。現在積み立てられております余裕金金額は約九十三億、年度末で精算いたしますと、おそらく百億は確実にいくのじゃないかというふうに推測しておるところでございます。
  6. 亀井光

    亀井光君 いまの御説明によりまして、逐次この制度が普及して、これを利用する事業主、あるいはその恩恵を受けまする従業員の数がふえておりますること、並びに余裕金が百億に達しようとしている。こういうことは、非常にこの制度をつくりました意義がだんだん社会的に認識されるとともに、その使命の達成が着実に伸びているというふうに考えるわけでありますが、今回の改正の中で、いままで二百人以下の事業主適用事業主として限界を定めております。今回それを三百人に引き上げるというお話でございますが、これは言うまでもなく、中小企業法が制定されまして、中小企業というもののワクが拡大をされてまいりましたことによるのと思いますが、こういういわば中小企業者にとりましても、そこに働く従業員にとりましても非常にいい制度であるとすれば、できるだけこれを拡大をして、その恩恵なり、また、この制度のいろいろのいいところの適用を受けまするものを広げますることは、これは私非常に趣旨としてけっこうだと思うのでございますが、そこで、この二百人から三百人の間の事業主は一体どれぐらいのものがあり、あるいはこの制度恩恵を受ける従業員の数はどれくらいであるか、お教えを願いたいと思います。
  7. 三治重信

    政府委員三治重信君) 二百人をこえて三百人以下の新規の事業所事業主の数、これは現在の統計で見ますというと、企業ごと統計がなくて、事業所ごと統計でございますが、事業所の数で二千五百二十四、したがって、実質上の企業というふうになりますと若干少なくなるかと思います。労働者の数は約六十一万人、そういうふうに推定しております。
  8. 亀井光

    亀井光君 いまのお話のように、六十一万人に適用拡大されてまいるということは、この制度の今後の運営に私大きなささえになっているという意味で、この問題は私も非常に同感を感ずるところでございます。  次に、 現在のように賃金が毎年上がっていく情勢の中で、現行法のように千円までの掛け金で打ち切られている。三十年間の積み立てによりまして百二十万円程度退職金を支給されるのでございますが、大企業はこの四年間に退職金の額が相当増加してきたという現在の趨勢等を見ますると、今回この掛け金最高額を千円から二千円に引き上げるということも、私は非常に意義のあることだと思いますし、私自身としては賛成をするものでございます。現在全国退職金制度を持っておりまする事業所退職金の平均といいますか、そういうものの調査がありましたならば、その額をお教えいただきたいと思います。
  9. 三治重信

    政府委員三治重信君) これの全般的な全国調査は最近のはございませんわけでございますが、これは中労委のわりあいに大きなところの退職金調査を見ますと、十年で十二万円、十五年で三十万円、二十年で六十七万円、二十五年で百十七万、これは三十八年一月の状況でございます。  それから、東京都の中小企業退職金事情調査、これは工員自己都合退職というのの退職金金額を調べたのを見ますと、三十七年の三月で、五年で二万三千六百円、十年で十万九千三百円、二十年で四十七万六千九百円、大阪府の同じような調査、また、同じような労務者、すなわち、工員自己都合退職というのの調査を見ますと、五年で二万四千八百七十円、十年で九万八千七百二十三円、二十年で四十七万一千八十五円というふうになっておりまして、上昇率が、東京の場合におきまして、五年の場合には三・五%ほどでございますが、十年の場合につきましては三二%、二十年の場合には三一%。大阪府の場合におきましては、五年の場合で二二%、十年の場合で三四・六%、二十年の場合に五二%というふうに、三十三年ないし四年に対して上がっているというふうになっておりまして、長期勤続者退職金は、いずれも三割ないし五割の退職金の増加になっております。
  10. 亀井光

    亀井光君 そこで、月額掛け金二千円とした場合に、二十年で一体どれくらいの、国庫の補助金を含めまして、退職金が支給されるのか、あるいは三十年でどのくらいになるか、お教えいただきたいと思います。
  11. 三治重信

    政府委員三治重信君) 今度の改正をもし実現さしていただきますと、最高の二千円の場合には、二十年で百六万九千円、三十年で、これは実際上非常に少ないと思いますが、二百二十九万九千円になります。
  12. 亀井光

    亀井光君 三十年で二百二十九万という額は、これは大企業に比べて決して遜色のない退職金の額でございまして、そういう意味では、私は先ほど申し上げましたように、千円を最高二千円に引き上げたことについて非常に同意を示すのでございます。  次に、還元融資の問題でございます。百億の余裕金積み立てられてまいります。この制度をつくりますときから、ある限度まで余裕金積み立てができましたならば、中小企業者にぜひ還元融資としてその恩沢に浴してもらいたいという、非常に強い要望があったわけでございまして、四年目にしてやっとその中小企業君の要望が実現できたということを私自身も喜ぶのでございますが、この予算を見ますると、十億円が一応融資原資として計上されておるようですが、この原資はどういう用途に還元融資をされるのか、その種類と、それから、これの希望者がいろいろおそらく殺到してまいるだろうと思いまするが、そういう場合に、一体どういう方針でこの融資を具体的に認めていくのか、そういう基本的な方針をお示しいただきたい。
  13. 三治重信

    政府委員三治重信君) この改正法によって還元融資制度が実現した場合には、われわれのほうは、おもに中小企業団体福利厚生施設融資に向けたいと思います。その中小企業者団体共同でやる福利施設、たとえば給食施設、または宿舎の施設というふうなのを重点にしてまいりたいというふうに考えております。
  14. 亀井光

    亀井光君 共同施設貸し付けをする、これは私は当然だと思います。個々中小企業者ではなかなかそういう施設ができませんから、中小企業というものが個々でできないものを、団結、あるいは共同の力でそういう施設を実現していくという方途にこたえるわけであります。そこで、どれくらいの利率で、あるいはどれくらいの償還期限でこれを貸し付けていく考え方ですか。その点をお示し願いたいと思います。
  15. 三治重信

    政府委員三治重信君) これはまだ最終的にと申しますか、具体的にまだ事業団のほうで意見が出てまいっておりません。ただ、ここで私たちがその政府のいわゆる財投を使うようにはちょっとまいらぬではないか、これは非常にむしろこの還元融資につきましては、何と申しますか、生命保険とか信託のように、予想利回りを下回らないで、しかも、何ももうける必要はございませんけれども、ある程度の損失の場合の予備というものも考慮して利子をきめたいというのを事業団側は強く主張しているわけでございます。しかしながら、長期のいわゆる住宅のような施設につきましては、われわれはこの還元融資については都道府県に入っていただいて、都道府県公募債事業団が買うことによって、そうして住宅を建てるべきである、そうするほうが長期的には完全ではないかというふうに考えております。それから、共同施設のうちでも、給食だとか、何と申しますか、娯楽教養施設というようなものにつきましては、できる限り政府の現在厚年なんかでやっております還元融資制度に準じて、償還年限とかというものは準じて考えておりますが、ただ、いま決定しかねておりますのは、その利率の問題で事業団のほうがもうける必要はないけれども、最大限損をしない程度利率またはやり方はどうかということで、いま実施を担当する事業団のほうで案をつくっていただいておりますが、いずれにしても、そういうふうな政府のやっている現在の厚生年金なんかの還元融資制度を参考にしてやっていきたいというふうに考えております。
  16. 亀井光

    亀井光君 大体の基本的な考え方はわかりましたが、まあ要望としましては、できるだけ中小企業者ですから、運用の上でマイナスにならない、まあぎりぎりの線で安い利息でお貸しを願うように、ひとつ御検討を十分いただきたい。そうして、また、貸し付ける共同施設につきましても、十分その施設中小企業従業員にとって、実質的に福利厚生の面の増進に役立つような施設に、ぜひひとつしぼってお貸しをいただきたい。特に十億円という限られた原資でありますから、その点をお願いしたいと思います。  時間もありませんから、もう一点最後に御質問したいのは、今度の改正で特異的なものといいまするか、特色のありまするものは、特定業種において期間を限られて雇用されるものにこの制度適用していこう。その中で、いま労働省の考えておりまするのは土木建築業のように聞いておりまするが、こういういわば職場を転々とする従業員につきましてこの制度適用しますることは、非常に技術的にむずかしい問題がたくさんあると思うのでございます。しかしながら、一方において土木建築業の中におけるいま労働力不足という問題を考えますると、そういう技術的な非常にむずかしさを克服してこういう新しい制度をつくられたということに対して敬意を表するのでございますが、問題は、そういう特殊な業態でありまするだけに、この運用につきましては、非常にむずかしい面を今後も引き続き考えていき、また、それに対する対策を講じていかなくてはならぬと思うのでございます。ことに大企業中小企業の間に従業員が流れていく、そういう場合どうするか、あるいは特定契約を結んでおりまする業種と結ばない業種との間に移動する場合にどうするかというような、いろいろな問題が実はあるのでございますが、一応この制度運用について労働省はどう考えておるか、ごく概要だけをお教えをいただきたいと思います。
  17. 三治重信

    政府委員三治重信君) この規定によりまして、建設業の、主として町場で働く労務者について適用をしていく考えでございます。したがって、現場にはその事務員事務所があるわけじゃございませんので、きわめて簡素な事務で、しかも、正確に事務が取り計らわれるようなことを考えております。すなわち、その納付につきましては、収入印紙に類似したような印紙制度でやっていく。しかも、それが張られて消し印されることによって、ずっと、長年各本人別記録されることによって退職金が一目りょう然にわかるようにしていきたい。それから、なお、この点は、各企業とも現場転々と変わりますので、書類または台帳というものを各企業に持たすわけにはまいらんと思います。したがって、本部でそういうものの記録をやる。その中間に各県に支部を設けまして、支部で第一線の事務をあらかじめこなすというようなやり方をやっていきたい。さらに、この組合は、したがって、業者団結力を高揚するために組合制度をやる。ただ、退職金制度だけだったらいまやっております事業団方式でいいわけでございますが、ただ、これは一部の業者が入って、一部の業者が抜けるということになりますというと、先生お話のように、転々事業主を変える労務者にとっては十分な適用になりませんので、まあ半ば業界全体としてやるという、団結といいますか、意思統合ができるような制度にしておるわけでございます。また、退職金共済契約そのものも、いまの一般共済契約だと、事業主が雇う各個人について退職金事業団事業主が契約してやるという方式になっておりますが、これは一たん加入したならば、将来も各現場で雇う労務者について、全部包括して将来にわたっても共済契約を必ずするという契約方式をとっているわけでございます。そこが非常に特徴なところでございます。いずれにいたしましても、この種の退職金制度が成功するかしないかは、一に各業界がこぞってこれをやろうという意思と、また、労務者側が、この制度恩恵を受けるにあたって、途中でくじけないで、自分のほんとうの退職時に退職金をもらうというような気持ちを起こさせるPRが必要ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  18. 亀井光

    亀井光君 お説のとおりに、特殊な業種に従事する従業員でございますから、組合で運営していくという新しい方式をとられたと思うのでありますが、それだけに、いまお話のありましたように、この組合に参加する組合員団結というものの強さが、この制度が今後発展するかどうかということにかかってまいると思うのでありまするから、せっかく土木関係従業員土建関係従業員に新しい制度としてその恩恵に浴さぜることにした今回の改正法でございまするから、労働省といたしましても、どうか組合員団結、そして組合の今後の事業発展につきまして、十分な監督と指導をきめこまかにおやりいただくことを御要望しまして私の質問を終わりたいと思います。
  19. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 他に御発言もないようでございますから、本案に対する質疑は、本日のところ、この程度にとどめておきます。   —————————————
  20. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 労働問題に関する調査議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。柳岡秋夫委員
  21. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 雇用促進事業団の中で起きております事件につきまして御質問してまいりたいと思いますが、事業団秋田総合訓練所の中で、組合執行委員である青柳さんが、最近脅迫罪ということで起訴をされているようでございます。これについての概況と申しますか、どういう経過であるのか、そういう点をまずお伺いしたい。
  22. 松永正男

    政府委員松永正男君) 事件概要は、指導員青柳三喜夫三十一歳という人につきまして、臨時職員として宿直をしておりました工藤竹蔵五十一歳という者に対しまして脅迫をした疑いという嫌疑によりまして警察捜査を受けまして、二月二十四日から警察捜査をいたしまして、二月二十八日午後四時半に検事勾留になったのでございます。その結果、三月の——ちょっと日付の記録を持っておりませんが、に入りまして起訴になりまして、現在裁判に係属中でございます。
  23. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 その脅迫疑いということでございますが、当時労働組合は年末手当の問題で争議をやっておりまして、たしか宿日直拒否の戦いと申しますか、いわゆる労働者としての当然の権利の行使をしておったわけでございます。そういう中で、いま申しましたように、事業団宿日直のための臨時雇いを入れておるわけでございます。そこで、全国的にあの当時宿日直拒否をやっている中で、雇用促進事業団としてどの程度臨時雇いを入れ、しかも、どの程度賃金を払っておったのか。その点をお伺いします。
  24. 松永正男

    政府委員松永正男君) 具体的な数字は、いま調べておりますので、後刻申し上げたいと存じますが、私の聞いておりますところでは、一部の訓練所におきましては、管理職人たち宿日直をやって、アルバイトを雇っていない。それから、一部においてはアルバイトを雇ったというような状況でございまして、全体がアルバイトを、雇ったという事実はございません。また、全部が管理職要員であったというほどでもないというふうに聞いております。具体的数字はこれから調べまして御報告いたします。
  25. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そこで、いわゆる、宿日直という仕事は一体どういう仕事なのか、私どもが通常常識的に把握をしておりますことは、大体宿日直というのは、本来、守衛という職種の方がおれば宿日直ということはやる必要はないと思います。守衛という職種の人がいないので、そこで一般職員なり管理者が交代で泊まって、そうして建物の保全、あるいは安全を保つとか、あるいは、また、盗難を予防するとか、そういうふうな非常に重要な仕事を私はしていると思うんですが、そういう仕事に対して臨時に、職員でもない臨時の何も知らない人を雇うということがはたして適切なのかどうか、そういう点についてお伺いします。
  26. 松永正男

    政府委員松永正男君) 宿日直任務につきましては、規定に詳細に書いてあると思うのでございますが、これもいま規定を手元に持っておりませんので、具体的には申し上げかねますが、考え方といたしましては、先生がいま御指摘になりましたように、庁舎管理盗難予防等業務もございますし、また、役所等の例で見ましても、夜間における業務連絡の応接というようなものが不時の場合にあり得る、そういうものにつきまして、昼間に引き続きまして、夜間におきましても、庁舎管理等とあわせまして、業務連絡、あるいは連絡記録といったようなことが任務ではなかろうかというふうに考えます。宿日直につきましては、雇用促進事業団昭和三十六年十一月二日、施設長あて理事長通達におきまして、任務を詳細明記してございます。
  27. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 任務は直接私の質問の焦点ではございませんで、そういう仕事をやるのに、たとえば植木屋さんだとか学生だとかいうような、いわゆるアルバイトを雇ってやらせることがはたして妥当なのかどうか、こういうことをお聞きしてるわけです。
  28. 松永正男

    政府委員松永正男君) やはり通常の状態におきまして考えました場合には、先生指摘のごとく、訓練所の内容につきましてよく知っておる者が宿日直をやるということが望ましいと存じます。したがいまして、争議行為等の際に、やむを得ざる処置としてアルバイトを雇うということもあり得ることとは思うのでございますが、それが宿日直として望ましいということにはもちろんならないかと存じます。通常の正常な職員が勤務をするということに比べまして、何割かの歩どまり減というものがあるであろうということは当然予測はされることと存じます。
  29. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 普通の場合、どこの官公庁におきましても、宿日直は大体係長クラス以上の人がやっておるのが通例でございます。これは特に労働争議の場合等におきましては、組合宿日直拒否をするというような場合は、これはいわゆる管理者がその責任を負ってかわってやるという措置がとられておるところでございます。それを事業団は、いわゆる臨時の雇い入れによって行なっておるということは、これは明らかに労働争議に対するスキャッブ行為だと、こういうふうに私は考えるんですが、その点はいかがですか。
  30. 松永正男

    政府委員松永正男君) いまお答えいたします前に、先ほどの数字がわかりましたので申し上げます。  大体、総合訓練所全国で五十五カ所ございますが、そのうち、二十五カ所前後におきましてアルバイトを雇ったという実情のようでございます。で、賃金といたしましては、一日五百円という賃金を払っておるということでございます。  それから、ただいまの御質問でございますが、おっしゃるように、労使関係の面から考えまして、そのような事態が生ずるということは望ましくないということは、私もそうであるというふうに考えます。しかし、その個々争議の態様に応じまして、一方において庁舎管理の責任というものがあります以上、その争議行為が、ある程度長期にわたるというような場合に、管理者側の宿日直の能力というような面、その他の個々の具体的な事情から、あるいは宿日直アルバイトを雇うということもやむを得ない場合があるのではないかというふうに考えます。
  31. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 通常の場合においては、いま局長の言われたようなことも理解できないわけではございませんけれども、少なくとも、労働組合との間に争議をし、そうして労働組合宿日直拒否といういわゆる権利行使をしている場合、それに対して臨時の者を雇って、そのかわりに仕事をさせるということは、これは明らかに労働争議に対する挑戦行為——いわゆるスキャッブ行為と言っても私は差しつかえないと思うのです。これについて労政局長はどういうふうにお考えですか。
  32. 三治重信

    政府委員三治重信君) この宿日直は、普通の民間でいきますれば、宿日直の大部分は当然守衛なり、その本来の職務を持った人が担当している。しかも、その普通の場合において、大体守衛、その他警備員というようなものは争議行為の対象者から抜けているのが民間では普通だと思います。ただ、官庁並びに学校とか病院その他の普通の施設では、従来のしきたりで宿日直制度が行なわれている。これを争議手段としてやったという場合におきましても、やはり経営者側、管理者側は、当然やはり庁舎管理という部面は最低限度行なわなければならない。同じスキャッブと申しましても、そういうふうに最低限の防衛手段というものは、別にそう争いになるべき問題ではないというふうに考えております。
  33. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 いまのお答えは、労働省として、労働組合法あるいは労調法なりの、いわゆる法の解釈の統一した見解というふうに受け取っていいのですか。
  34. 青木勇之助

    説明員青木勇之助君) 法律問題でございますので、私からお答え申し上げたいと思いますが、ただいま先生が申されましたとおりに、組合側の争議行為というものは、憲法二十八条に基づく権利の行使として行なわれるものでありますが、最高裁判所の判例等におきましても、そのように労働者側がストライキに入っております際に、それに対抗する行為として、使用者側がみずからの手、あるいはスキャッブ禁止協定がない場合に、スキャッブを入れまして業務を継続するということは、これまた許される行為であるというのが最高裁の判例等においても明らかになっているところであります。
  35. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そこで、それではそういうスキャッブ行為に対して、労働組合がその人に対して説得行動をするということは、これは違法ではございませんね。
  36. 青木勇之助

    説明員青木勇之助君) お答え申し上げます。そういう使用者側の代替要員による業務遂行につきまして、平和的な説得を行なうということは、これまた団体行動権の一環として認められているところでございます。
  37. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 次に、就業規則と労働協約との関係でございますが、私は、就業規則というのは、いわばその企業に働く職員個人個人との間の契約事項、あるいはその職員を律するものであって、労働協約というのは、いわゆる労働組合という団体との契約、あるいは団体を律するような契約の内容を持ったものだ、こういうふうに理解をしております。したがって、今回の場合、労働組合の組織的な運動を行なった者に対して就業規則を適用するということは、私は明らかにこれは妥当でない、不当なものであるというふうに思うのですが、この点はいかがですか。
  38. 青木勇之助

    説明員青木勇之助君) お答え申し上げます。事案によって一がいにはちょっとお答えしかねると思いますが、一般的に申し上げまして、就業規則で規定されておる事項ではございましても、労働協約で労使間において協定ができまして、明確な規定がございますならば、協約のほうが優先いたします。しかしながら、就業規則には規定がございますが、労働協約はまだ労使間において協定がなされておらないというような事項がございます場合は、やはり就業規則の適用はある、こういうことになると思います。
  39. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そこで、就業規則があって労働協約がなければ、就業規則の適用はあるというような御見解でありますが、しかし、原則的にいけば、労働協約が優先をして、組織的な運動に対するものについては、労働協約によってすべてなされていくというふうに私は理解しております。そこで、雇用促進事業団の就業規則を見ますると、この休職をする場合の条項が幾つか書かれております。で、その場合に、今回の事件に該当するものとして、いわゆる三項に「刑事事件に関し起訴されたとき。」 その場合でも、いわゆる「休職を命ずることができる。」と、こういうことになっているのですね。したがって、必ず休職を命ずるということではなくて、そういうこともできるということになっているわけです。ですから、当然先ほど申し上げました就業規則と労働協約の関係から考えても、今度の刑事事件の発端が、労働運動の一環として、いわゆる労働組合団結権の行使としてこれを行なったという点を考えれば、私は、起訴されたから直ちに休職だというのは、あまりにも過去の事情を勘案しない、いわゆる形式的なしゃくし定木な措置ではないか、こういうふうに思うのですが、こういう点はいかがですか。
  40. 三治重信

    政府委員三治重信君) 結論から申し上げれば、それはまあ運用の問題であると思います。役所関係におきましては、大体起訴されたという場合には休職にするというのが普通でございまして、この場合にも、おそらく事業団のほうでは、そういう特別な意図とか何とかいうことまで就業規則によって——これはおそらく事業団として今回初めてだろうと思いますが、役所の慣例からいくと、それが常識であるということからやったと思います。
  41. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 運用の問題だからということなり、あるいは役所としてそういう立場でやられたんじゃないかというようなお話でございますが、そういうことでなしに、こういう労働運動から出てきた問題について、しゃくし定木にこの就業規則をそのまま適用する、しかも、就業規則の中では「休職を命ずることができる。」 ということでありますから、こういう場合やらなくていいような内容の条文になっていると思うのです。したがって、そういう場合には、当然組織的な運動というものをやはり十分配慮をしてこの就業規則の適用をするのが私は妥当ではないかと、こういうふうにお伺いしているわけですから、その点について、そういう役所の事情とか何とかいうことではなしに、労働省としては一体どういう御見解でおられるかということをお聞きしたい。
  42. 松永正男

    政府委員松永正男君) ただいま御指摘の就業規則は、「職員が次の各号の一に該当するときは、休職を命ずることができる。」 ということになっております。この条文は、国家公務員法の規定と全く同じ条文でございます。「命ずることができる。」という表現におきましては同じでございます。国家公務員につきましては、この公務員法の規定を受けまして休職の発令ということをいたしておるのでございまして、事業団といたしましても、それに準じて同じ扱いをしたというふうに判断をしております。
  43. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 国家公務員に準じてということを言いますが、国家公務員はストライキ権も、あるいは団体交渉権も完全に保障されておらないわけです。しかし、この全総訓という労働組合は、労働組合法が適用された団結権も団体行動権も団体交渉権も持った、もう一人前の組合なんですよ。そこがやはり私は国家公務員と違う。したがって、国家公務員に準じてということは当たらないし、そういう団結権、団体行動権いわゆる労働組合としての本来の権利をすべて備えた組合である、その組合の行なった行動の一環としてそういうふうなものが出てきたということは、私はやはり十分考えた上でそういう就業規則なりの適用はしなくちゃならぬと、こういうふうに思うのですが。
  44. 松永正男

    政府委員松永正男君) ただいま先生がおっしゃいましたように、この事件そのものが、労使関係の紛争から事実問題として関連を持って生じてきたということは事実でございます。したがいまして、そのような面からの配慮もやるべきであるという御意見もございますが、しかし、刑事事件として起訴されたという事柄自体を取り上げますというと、それがどのような事情がありましても、刑事事件といたしましては一つの別個の問題ということになるのではなかろうかと思うのでございます。おっしゃいましたような御意見もございますけれども、事業団が今回とりました措置につきまして、非常に不当であるというようなふうに解釈はできないというふうに思っております。
  45. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 関連して。これは総訓は雇用促進事業団ですね、雇用促進事業団は独立しての権限で業務をやっているわけでございましょう。だから、労働省は、そういういまお話があったような、あなたの見解で不当であったかなかったかというようなことまで干渉したりしているのですか。労働行政で、雇用促進事業団の独立した業務に対して、そこまで労働省は干渉をしているのですか。雇用促進事業団は、みずから労働三法に従って労働者が守られて、そうして業が成り立っているということなんでありますけれども、何か聞いていると、一から十まで労働行政の中で、どうも業の端まで監督し、干渉しているような印象を私は横から聞いていて受けるのですが、事実問題はどうなっているのでしょう。
  46. 松永正男

    政府委員松永正男君) 雇用促進事業団法に基づきまして、労働大臣事業団に対して監督を行なうことができることにいたしております。しかし、実際の問題といたしましては、行政管理庁等の監察結果が当委員会におきましても御質問の中で取り上げられたのでございますが、できるだけ自主的な活動ができるようにすべきであるという基本方針につきましては、当委員会におきまして、労働省といたしましてもそのような方針に沿うべく、従来たとえばこまかな通牒を出しまして、事前に協議をせいというようなことを規定いたしておりましたのは廃止をするというような措置をとっております。したがいまして、労働大臣の監督権の発動ということは、実際問題といたしまして、形式的にこの法律の根拠に基づいてこう監督するというようなことは、従来とも、あまりやっておりません。できるだけ自主的な活動でやっていただくという方針をとっておるのでございます。ただ、職業訓練の面におきましては、たとえば中高年層対策というような面からいきまして、雇用促進事業団総合訓練所と県立の一般訓練所と両方あわせまして、その県内における中高年対策の職業訓練を行なう有機的な連携が必要であるというような状況がございます場合には、この一般訓練所総合訓練所を集めまして業務上の連絡をいたすというようなことは業務上いたしております。それから、また、予算編成、あるいは業務方法書の認可といったような、法律規定がございますものについての毎年のきまった認可、許可といったようなものは法律規定に基づいてやっておるのでございます。その他につきましては、できるだけ自主的な活動ということを方針にいたしております。ただ、最近の争議につきまして、当委員会、あるいは衆議院の社労委員会等々におきましてもいろいろ御質問がございまして、御意見の開陳もあったわけでございます。私は、政府委員として国会に出席をいたしました以上、国会におきましてこういう御意見があった、こういう御論議があったということは詳細に伝えまして、事業団の運営の参考にしてもらう、重要な参考にすべであるという観点から、こまかい連絡をいたしておるのでございます。
  47. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いや、それはわかりました。労働大臣の監督、訓練をやるという労働行政の方針の中に業務をやっていただく。しかし、業自身はそういう大筋なものを委託されたことをやって、労働三法の適用を受けて、そこで働いている人の独立した業務をやっているという、いわゆる労使関係というものはそういう立場にぼくはあるものだと思う。具体的にこれは、全体的な監督行政の大きな範囲内の問題はここで論議できても、実際は事業団のやっぱり責任者が来て、ここで答えなければわからないというのが現実の姿じゃないか。私は、どうも着物の上からからだに触れているような感じがいたしているわけでございます。ですから私は、そこらあたりのけじめが非常に大事じゃないか。労働三法の適用されている労働組合労働者——公務員のように、団体交渉すら認められていないその労働者との関係の取り扱いを公務員法の概念でここで議論をするというのは、少し無理があるような気がするですね。だから、いま局長が言われたように、独立して業務がやれるように、大きい監督行政とかを委託するものについての連絡調整はあっても、その他の問題については干渉してないと、こういうぐあいに理解してよろしいですね。
  48. 松永正男

    政府委員松永正男君) 基本的にはそのように御理解を願いましてけっこうでございます。
  49. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 まあ指導員と申しますか、秋田の総合訓練所職員を見ますと、二十三名でやっております。このうち、青柳さんという方が休職だ。そのほか、もう一人は嘱託の方、もう一人は病気で十分な指導ができない、こういう状態になりますと、いわゆる四月から新しい訓練生が入ってくるわけでございますが、仕事に差しつかえないと判断されているのか、仕事にどういう影響があるのか、したがって、どういう対策を労働省として考えておるのか、その点を伺います。
  50. 松永正男

    政府委員松永正男君) ただいま申し上げましたように、各訓練所の人員の異動、配置等につきましては、事業団がみずからの方針に基づいてやっておりますので、個々具体的には指図はいたしておりませんが、そのような状況は当然事業団として考慮して考えておることと存じます。この秋田につきまして、こうするという報告はまだ受けておりません。
  51. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 事業団内の問題かもしれませんが、しかし、労働省として、先ほど申されましたような中高年齢層、これに対する職業訓練をこれから十分やっていかなければならないと、こういう方針を立てているわけですね。したがって、それに対応するいわゆる総合訓練所の態勢も労働省としては考えていかなければならぬと思う。そういう中で、秋田の総合訓練所がそういう職員不足を来たしたということでは、私は十分な仕事の遂行というものはできない。したがって、労働省としても、これは何とか考えなければならぬ問題ではないか、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
  52. 松永正男

    政府委員松永正男君) 総合職業訓練所の中には定員がありましても、いまの件とは別の理由で、たとえば欠員かあるというようなところもございます。で、そのような各訓練所ごとの事情につきましては、いまおっしゃいましたように、訓練の成果があがらないというようなことのないように、また、反面、職員数が減りまして過重負担にならないようにという配慮は当然事業団において行なうべきことでありますし、われわれのほうも、そういう配慮がない場合には、またそれについて意見を述べるというつもりでおります。
  53. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 まだ事業団のほうから、そういう労働省に対する意見とか事業団としての考え方というものはきておらない、こういうことでございますか。
  54. 松永正男

    政府委員松永正男君) 三十九年度が昨日から始まったわけでございますが、三十九年度におきましては、総合訓練所一般訓練所それぞれ定員の増加をいたしておりますので、事業団におきましても、この増加された定員につきまして補充をいたしていく、これから採用をいたしていく。そこで、事業計画に応じまして定員の充足ということをやっていくわけでございますので、新年度の計画として、当然これは考えていることと思うのであります。ただ、具体的に秋田をどうするということにつきましては、まだ報告は受けておりません。
  55. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 どうも先ほど藤田委員のほうからの質問に関連して、あまり労働省として、実際的な業務の近世についてのこまかいところまでの監督というものをやっておらない。自主的なやはり雇用促進事業団としての方針のもとに事業を遂行するということが、これが原則でございます。そういう点から申しますと、私のきょうの質問も、どうも核心になかなか触れ得ないというのは非常に残念に思うのです。この点については、委員長にひとつ要求したいのですが、次の機会には、雇用促進事業団理事長万仲さんをぜひ参考人として招致いたしていただくようにお願いをしておきたいと思います。  そこで、先ほどの日直、宿直に関連をして、本来ならば守衛がやるべきことなんですが、この全国総合訓練所すべてがそういう守衛というものを置かないということになっておるわけですか。予算上当然これは盛るべきではないかと思うのですが、そういう点はどうなっておりますか。
  56. 松永正男

    政府委員松永正男君) ただいま予算上の定員といたしましては、各訓練所とも、守衛というものを置いておりません。
  57. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 関連。その守衛を置かないなら、だれが総合訓練所夜間とか休日の管理をするのですか。守衛というものを置かないと、その予算は取っていないとなれば、だれが管理するのですか、その建物やそういうものは。それをちょっと聞かしてください。
  58. 松永正男

    政府委員松永正男君) したがいまして、宿日直に関する規定によりまして、宿日直職員がこれを行なうということになるわけでございます。
  59. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それはちょっとおかしくないかな。総合訓練所といったら、大体県単位に一つ、大きいところで二つ。少なくとも五百人くらいの職業訓練をやる。訓練をする機械設備その他の相当な器物、財産と申しましょうか、そういうものがあるはずなんです。それに守衛とか財産管理とかの責任を持たした人を置かないというのは、これはどうですかね。職員の中から日直とか宿直をやるとかいうようなことは、国家財政管理の面からいっても、これは少しおかしいじゃないですかね、どうですか。
  60. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 政府の経営する施設にはそういうのが多うございまして、学校などでも中学校、高等学校くらいまでほとんど宿直制度一般的に行なわれておりまして、特に守衛を置いておるというようなところは少ないようです。特に中学校、小学校などでは、宿直は一般にどこでもやっておるようです。また、かりに守衛を置きましても、小さな施設でございますから、一人や二人置いても、昼間の仕事のほかに宿日直をするということに結局ならざるを得ない。それで、また、宿日直仕事というのも、単に建物または設備を監視するというだけでなく、いろいろ公文書の受付とか、そういった仕事もございまするので、職員がやはり交代でやるという制度が多いようでございます。中央官庁の中にもまだ宿日直制度をやっているところがあるいはあるのじゃないかと思いますね。そういういまの日本の実情でございます。それに応じて促進事業団でもやっておるのじゃないかと思います。
  61. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 学校の日直とか宿直という問題は、やっている業務連絡事項とかいまの件数受付とか、そういうものであって、作業員といいますか、小使さんというか、財産管理を受けた人はきちっとおるのですが、総合訓練所はどうなっておりますか。
  62. 松永正男

    政府委員松永正男君) 用人の制度がございまして、雑役、掃除というような、あるいは自動車運転というような職務に従事している方々はおります。ただし、御指摘宿日直につきましては、職員がこれを行なうというたてまえです。
  63. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私の言っているのは、小学校や中学校なんかですと、作業員とか——作業員といま名前が変わっていますが、小使さんといいますか、用務員というのですか、財産管理をする人がちゃんとおって、そうして業務上の連絡とか何とかいうのは宿直という制度があるわけですね。それは守衛とは申しませんけれども、守衛の役割りをする人がちゃんとおる、そう思うのですが、そういうものはおらないということなんですかということを聞いておるのです。
  64. 松永正男

    政府委員松永正男君) ただいまおっしゃいましたようなことで守衛というものを特に置かずに、昼間におきましてはそれぞれの管理責任者がおりましてこれを管理する、それから、夜間におきましては宿直要員がこの役目をやるというようなやり方をいたしております。
  65. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 宿直要員というのは、職員が交替で宿日直をやって、一切の財産管理から一切のものをも引き受ける。それと日常業務のことについて、その延長において日直、宿直というのは学校その他にあることですけれども、その財産管理から一切の守衛任務までその職員の交代した人がやる、そういうものの予算はとらない、これはちょっとひどいと思う。これは委託された政府の直接事業でありませんけれども、しかし、政府の財産を委託しているということです。事業そのものは独立してやっているのだけれども、そういうちょっと任務が重過ぎやせんかな、それは。
  66. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 実は、安定所とか、地方の基準局とか、監督署とか、そういうところもほとんどその守衛というものはおりませんで、宿日直で休みの日、あるいは夜分の警備をやっておるような状況でございます。
  67. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それは私は、あらためてそれじゃ大臣に申し上げたいと思うのです。それは、労働省は少し遠慮し過ぎていやしませんか。事故が起きたときに、それじゃ責任体制はどうなりますかね。私は、守衛という名前、守衛ということばにこだわっているわけではない。しかし、そういうものを管理する作業員でも用務員でも、そういうものがきちっとおって、業務上の延長があるならば、それだけの宿直、それだけの時間の日直という問題は出てくるでしょう。その人が全部そういう財産管理からみんなやっている、やらされて責任を負わされている。何かそこで事故が起きたら、その人に全部かぶってくるという、そういうかっこうは少しこう労働省は予算を取るのに遠慮し過ぎて、また、下に対してはそれは少しきびし過ぎやしませんか。いま大臣のおっしゃったことが事実とすれば、それは私は少し大蔵省には遠慮し過ぎるし、その下に対しては少しきびし過ぎやしませんかね。そこはちょっと問題ですよ。
  68. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 私の申し上げましたことは事実なんでございますが、これは労働省だけでなく、厚生省にしましても、それから大蔵省自身にしましても、地方の税務署などに守衛というものはおそらくいないのじゃないかと思います。ほとんど各地方の小さな役所にはそういうものがないのが普通でございます。
  69. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 労働大臣、これは確かに傾向として大臣のおっしゃったような傾向があると思うのですね。私ども、戦前の役所機構なんかの場合に、相当小さいところでも監視員というのが配置されていた。ところが、だんだん最近そういう監視員制度というものがなくなっちゃって、職員によって夜、宿日直制度をやらしている。ところが、これは一日働いて夜やるわけですから、結局ただ在るようなかっこうになっちゃうのです。そうすると、ただ形式的な宿日直制度であって、実際に財産の保全、管理なんてできないようなかっこうになっている。だから、私は、こういう傾向は、幾ら官庁組織を簡素化するとか、職員が多過ぎるという論があるけれども、それは私は間違いだと思う。そういう夜間において責任を持っていく体制というものが確立していくことがぼくは大事だと思うんですね。だから、これはただ単に労働省だけのことじゃないと思うんです。ですから、閣議あたりでそういう傾向はおかしいんじゃないかということで、私はやはり労働省あたりから、全般の労働者の保護という立場に立ってそういう意見を出してもしかるべきじゃないかという気がするんですよ。ですから、そういう点は検討するぼくは値打ちがあると思うんですがね。そんならば、そういうだんだん宿日直で監視員制度というものを廃止する理由というものをぼくは聞かしてもらいたいと思うんです。そうして、その実態がどうなっているのか、そういうことまではっきりせぬと、いまのこの論議は適切な質問者に対する答弁にならぬと思うんですね。非常に後退しているのです。そういう夜間における国有財産の保護、あるいは盗難予防、あるいは非常事態における連絡、こういう使命を帯びた夜間は一体どうなるかということですね、その点どうでございますかね。
  70. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) まあ中央官衙におきましても、もとは宿日直制度夜間職員を交替して夜間の建物の管理をするというのが一般でございましたが、そのうちにだんだん夜間専門の職員を置くようになってきたというような状況であります。地方の小さい機関ではそれだけ余分の定員がございませんので、そのために宿日直制度をもってやっておるというのが実情でございます。特にそのために監視員を置いておるということはないと思います。労働省におきましても、特に監視員というものを置いておるわけではございません。職員の数が多うございますから、特に昼間学校へ行くとかいうようなことのために、夜間勤務をむしろ希望をするという者がございまして、その者の専属で夜間勤務をさせる。で、いままで宿日宿でやっておった事務をその者に命じておるというような実情でございます。
  71. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 だから、大臣のおっしゃるのは、その施設管理その他の人がおって、守衛という名前であろうと用務員という名前であろうと、おって、そのほかに業務上の連絡事項とか、そういうもののために日直、宿直制度というものが生まれてきたんだと、私はそう思う。ですから、たとえば総合訓練所あたりは、私も一つ二つ見に行きましたけれども、その相当な機械設備なんかがあって、もしもそれに触れられたりしたら、もうあくる日間に合わぬわけですわね。これは相当の財産ですよ。それは職安の出張所も私はたいがい歩きますけれども、職安の出張所にはあまり器材なり、そういう財産的なものはありません。しかし、帳簿その他があるわけですね。だから、これも財産の問題にすればそれはそれまでですけれども、しかし、総合訓練所なんというものは何億、場合によっては何十億という財産があるんじゃないですかな。そういうところを予算を削減して、事故があったら雇用促進事業団の責任だ、日直、宿直の責任だというかっこうは少しひどいんじゃないかな。これは研究をしてもらわなければやはり問題を起こしますよ。これはいまここで議論している間に少しは気がついて、少しお尋ねしておるのだけれども、これは委員長の言われるとおり、少しこれはやはり検討する必要が私はある、また、しなければならぬと、こう思うのです。これは大臣、ひとつそういう面からの御所見があったら聞いておきたいと思うのですがね。
  72. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 私は、まあ長らく役所におったのですが、宿日直制度は別にふしぎと思っていずにやってきました。むろん本省でございますから、守衛というものはありますけれども、守衛だけに全部なにするというわけにはいきません。守衛は、やはり指揮者の指揮に従って業務をとるわけでございまして、それは会計課長その他、守衛に職務上の上司はありまするが、何ぞ災害が発生した場合、あるいはだれか不法に侵入者があったという場合の臨機の処置は、一々会計課長に指揮を仰ぐというわけにはいきませんので、職員のうちの宿日直という者がおりまして、それで、それが守衛を指図して所要の行動に出ると、こういう仕組みでございますので、守衛を置きましても、やはり宿直というものは性質上必要じゃないかと、こう思います。
  73. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いえ、それと少し違うのですよ、私の言っているのは。その宿日直の問題ですが、いまのそういう立場から議論をしているわけじゃないのです。宿日直は、業務上の延長としての宿日直が必要なら、業務によって置かれることはあるけれども、しかし、財産の管理その他までその宿日直職員の疲れた人に全部責任を負わしていくというようなことは、少しどうも私は納得ができないと思うのです。だから、守衛ということでなければ、学校の関係によってやっておる用務員という管理責任者をきちっと置いた上で、業務上の処理だけの宿直、日直というものがその業務で必要なら置くということになりはしませんか。その問題は、これは委託業務ですから、委託予算が要るわけで、その予算一切を取ってしまうと、いまのように、職員の疲れた人に宿日直をさして、それに全責任をおっかぶせていくということになるのじゃないですかと、こう言っているのです。
  74. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 責任の問題はまたおのずから別でございまして、宿直が夜間全責任を負うわけではございません。やはりその者が臨機の処置はいたしまするが、やはり監督者というもの、たとえば労働省ならば、建物の警備、設備の維持、管理等につきましては会計課長が責任者でございまするので、会計課長の指図を受けてその建物の監視をいたすわけでございます。したがって、宿直に過失があって何か不都合の結果を生じたという場合においては、会計課長の責任であり、官房長の責任である、ひいては大臣の責任である、こういう仕組みになっております。この総訓におきましても、やはり宿直も責任がありまするが、しかし、最高の責任ということになると、所長はもとより、理事長にまで及ぶという性質のものでございます。
  75. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ちょっとどうも私あまりここで議論をしたくないから言っているわけですね。それじゃ会計課長が責任者だからといっても、夜おるわけじゃないわけです。日々起こってくる事故に対しては、細心の注意を払って宿直員が応急の措置を講じなければならない。不可抗力的な責任までその人に負わすことは無理でございましょう。しかし、夜の宿直なら、夜熟睡どころか、起きて守っているというのが任務なんです。たまたま事故がない、慣例で仮眠時間をとっておるというのは、本来なら起きているというのが私は本来の宿直のたてまえだと、こう思うのです。そうでしょう。それがそれの責任はなんでいいというなら、おらぬでいいという理屈にこれはなってくるわけです。ですから、そういう単なる起きたときの責任体制の問題を言っているのじゃなしに、やはりちゃんと直接その現場におって管理、監督、保持をする人の要員を置くぐらいのことは労働省の出先はしないと、それをたまたま宿直に当たった人があくる日も出勤もするわけですから、しかも、何億という財産をかかえているわけです。それの用務員の予算も取らないというのは少し酷じゃないかという議論なんで、まあこれ以上私は議論いたしませんけれども、問題は、今度の不当労働行為、裁判事件になっている問題も、やっぱりそこらの問題が非常に大きな遠因をなしていると私は思うわけであります。責任だけは重大な責任を負わされる、そして、そのことがやっぱり今度の問題の遠因になっているんじゃないか。そこでこの問題をしつこく聞いたわけですけれども、そういう意味で、ひとつ大臣、研究をしてください。
  76. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) これはひとり促進事業団ばかりでなく、宿日直の問題は各層各官庁に非常に関係のある問題でございます。私どもといたしましては、行政管理庁とも十分に相談して研究をいたしてみたいと思います。
  77. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日のところはこの程度にとどめておきます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二分散会    ————————