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1964-03-05 第46回国会 参議院 社会労働委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月五日(木曜日)    午前十時三十七分開会     —————————————   委員異動 三月四日  辞任       補欠選任   徳永 正利君   野村吉三郎君   藤原 道子君   鈴木  壽君 三月五日  辞任       補欠選任   野村吉三郎君   徳永 正利君   鈴木  壽君   藤原 道子君     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     鈴木  強君    理事            亀井  光君            藤田藤太郎君            柳岡 秋夫君    委員            加藤 武徳君            鹿島 俊雄君            紅露 みつ君            佐藤 芳男君            徳永 正利君            丸茂 重貞君            横山 フク君            杉山善太郎君            小平 芳平君            林   塩君   衆議院議員    発  議  者 河野  正君   国務大臣    労 働 大 臣 大橋 武夫君   政府委員    労働大臣官房長 和田 勝美君    労働省労働基準    局長      村上 茂利君    労働省職業安定    局長      有馬 元治君    労働省職業訓練    局長      松永 正男君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    運輸省港湾局参    事官      町田  直君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○中小企業退職金共済法の一部を改正  する法律案内閣送付予備審査) ○駐留軍労働者雇用安定に関する法  律案衆議院送付予備審査) ○労働問題に関する調査  (港湾労働に関する件)     —————————————
  2. 鈴木強

    委員長鈴木強君) ただいまより開会いたします。  委員異動についてお知らせいたします。三月四日、徳永正利君及び藤原道子君が委員辞任され、その補欠野村吉三郎君及び鈴木壽君が選任されました。  また、本日、野村吉三郎君が委員辞任され、その補欠徳永正利君が選任されました。     —————————————
  3. 鈴木強

    委員長鈴木強君) おはかりいたします。徳永正利君の委員辞任に伴い、理事が一名欠員になりましたので、直ちに理事補欠互選を行ないたいと存じます。互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 御異議ないと認めます。それでは理事亀井光君を指名いたします。(拍手)     —————————————
  5. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案議題といたします。  政府より本案に対する提案理由説明聴取いたします。大橋労働大臣
  6. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) ただいま議題となりました中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  中小企業退職金共済法は、その施行以来四年有余を経過したのでありますが、その普及状況を見ますと、昭和三十八年十一月末現在で制度加入事業主数六万五千余、従業員数八十四万人余を数え、中小企業従業員福祉の増進と中小企業の振興に貢献いたしてまいったのであります。  これらの推移から見まして、この制度は、中小企業労働福祉対策の柱の一つとして、今後さらに一そうの普及発展をはかるべきものでありますが、現行制度運用中小企業実情とを考え合わせますと幾つかの改善すべき点があるのであります。  すなわち、その一は、現行制度では、適用対象である中小企業者範囲は、製造業等につきましては常用従業員数二百人以下に限られているのでありますが、昨年制定されました中小企業基本法におきまして、中小企業者範囲は、製造業等について従業員数において、常用従業員数三百人以下としており、その企業実態を見ました場合、退職金制度のないところが相当数あるのが実情であります。  第二は、現行制度では、掛金月額最高額は、被共済者一人につき千円でありますが、最近における賃金水準上昇等により現行最高額制限は、実情に即さないものとなっているのであります。  第三は、この制度普及に伴い、その実施に当たっている中小企業退職金共済事業団業務上の余裕金は逐次増加しつつあり、昭和三十八年度末においては約百億円に達する見込みであります。この余裕金運用は、現行法上は、特定有価証券取得等に限られておりますが、制度加入者たる中小企業者からその福祉施設設置のための資金として融資する途を開いてほしい旨の要望が強く、かつ、中小企業実態から、かかる福祉施設を拡充することが特に緊要であります。  第四は、短期雇用者につきましては、現行制度においては退職金共済契約包括加入の原則の適用が除外されているのでありますが、事業特殊性から、相当数従業員が、個々の事業主との関係においては、短期雇用者として転々とすることが常態である建設業等においては、近年、技能労働者を中心とする労務確保対策一つとして、これら短期雇用従業員についても退職金共済制度適用要望する気運が急速に醸成されつつある実情にあるのであります。  政府は、このような実情にかんがみ、かねてから中小企業退職金共済審議会に本法の改正について諮問いたしておりましたが、その答申を得ましたので、答申趣旨に沿って、必要な改正を行ない、中小企業退職金共済制度の一そうの普及発展をはかるためにこの法律案を提出した次第であります。  次に、法律案内容につきまして概要を御説明申し上げます。  この法律案内容は、以上申し述べました趣旨に基づいたもので、その第一点は、本制度適用対象である中小企業者範囲を、製造業等について現行常用従業員数二百人以下から常用従業員数三百人以下にまで拡大することといたしたことであります。  第二点は、掛金月額最高額を、被共済者一人につき現行の千円から二千円に引き上げることといたしたことであります。  第三点は、中小企業退職金共済事業団は、制度加入者たる共済契約者またはその団体に対し、従業員福祉を増進するために必要な労働者住宅その他の施設設置整備に要する資金の貸し付けを行なうことができる道を開くことといたしたことであります。  第四点は、建設業その他の労働大臣が指定する特定業種中小企業者に期間を定めて雇用される労働者について退職金共済制度特例を設けることといたしたことであります。この特例内容は、この退職金共済制度実施主体といたしましては、特例を最も効果的に実施運営するために、業界の多数の事業主自主的責任体制のもとに特定業種退職金共済組合を、特定業種ごとに、全国を通じて一個設置することとし、この場合、積み立て金を長期にわたり安全に管理するとともに、労働者に対する確実な給付を保障するため、中小企業退職金共済事業団の場合に準じて、その業務財務等について必要な規定を設けているのであります。  特定業種退職金共済契約につきましても、中小企業退職金共済事業団を当事者とする退職金共済契約に準じて取り扱うことといたしておりますが、建設業等実態にかんがみ、元請負人の事務処理に関する所要規定を設けることといたし、また、退職金につきましては、本特例を設けることとした趣旨にかんがみ、一企業を退職するごとに退職金を支給することとせず、従業員の死亡、廃疾、転業その他支給事由を決定し、他方、掛金納付があった日数はすべてこれを合算することとし、その額につきましては、現行中小企業退職金共済事業団退職金の額の算定方法を参酌して政令で定めることといたしております。  また、掛金につきましては、単一の日額制によることとし、十円以上百円以下の範囲内において特定業種退職金共済組合の定款で定め、その納付方法につきましては、失業保険日雇労働保険者に関する特例の例にならって、退職金共済証紙制度をとり入れることといたしております。  その他、法律改正に伴い、所要経過措置等を定めるとともに、関係法律条文について所要整備をすることといたしております。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  7. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 本日は、本案に対する提案理由説明聴取にとどめておきます。     —————————————
  8. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 次に、駐留軍労働者雇用安定に関する法律案議題といたします。  右議案提出者衆議院議員河野正君より本案に対する提案理由説明聴取いたします。
  9. 河野正

    衆議院議員河野正君) 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました駐留軍労働者雇用安定に関する法律案提案理由説明をいたしたいと思います。  御承知のように、現在、特殊な労働者として軍事基地に働く労働者がおりますが、これは駐留軍労働者と呼ばれております。いま、これらの労働者の身辺に大きな問題の起こっていることはすでに周知のところであります。ごく大まかに述べてみますれば、これらの労働者は、米軍の戦術の都合で、いつでも離職の不安にさらされていること、また、軍事基地で働くという事情のもとで、常にその権利を制限されているということであります。離職の不安ということについてみれば、戦後二十数万人もいた労働者が、いま六万人前後しかないことをもってしても明らかなところであります。この不安定な立場にある労働者雇用を安定させることは急務であると考えます。この目的をもって、日本社会党は、内閣委員会社会労働委員会において政府の善処を要望してまいりました。しかし、御承知のように、政府はいまだに強力な安定の措置をとっておりません。  この明らかに不安定な雇用状態に置かれた労働者につきましては、雇用主たる日本政府雇用安定の措置を講ずることは当然であります。これらの労働者が、米軍戦略変更によって、一方的な通告解雇されることは許されないことであります。ここに日本社会党が、こういう不安定な状態に置かれました労働者に対しては、それにふさわしい雇用安定措置を講じなければならないと考えるものであります。しかし、こういう立場にある労働者雇用の安定とは、現在の職場にいつまでもいるという意味のものではなく、むしろ、他の安定した平和産業の中の職場に移ることが、この種の労働者雇用の安定となると考えられます。そういう意味では他の一般産業労働者雇用問題とは違った性格を持っているのであります。これは、日本社会党基地撤廃を要求しその実現を考えている現状からいっても、正しい雇用政策のあり方であると私は考えるものでありまして、こういう見地に立って日本社会党は、「駐留軍労働者雇用安定に関する法律案」を提案した次第であります。  次に、法案内容について御説明いたしますと、第一条(目的)は、この法案の基本的な立法目的を示したものであります。それは、米軍撤退等に伴って解雇される場合に、安定した職場への再就職を容易にするための必要な措置を講じ、これらの労働者雇用の安定をはかろうというものであります。具体的に申しますと、米軍撤退とか部隊の縮小とかいう理由で、形は政府雇用者でありながら、その雇用は常に不安定であり、再就職の保障もなく、いつ解雇されるかわからない状態に置かれている駐留軍労働者雇用の安定をはかることがその目的であります。  第二条は、本法案によって保護される駐留軍労働者範囲を定めたものでありまして、もっぱら政府雇用労務者だけを対象としております。  第三条について見ますと、第一項では、防衛施設庁長官は、アメリカ軍撤退等の場合には、余剰となった労働者解雇しようとするときは、労働大臣同意を得なければならないこと。第二項では、右の労働大臣同意は、解雇されようとする労働者が安定した職業に再就職することが確実であると認めた場合にだけ許され、第三項では、かつ、その同意は、あらかじめ駐留軍労働者雇用安定審議会意見を聞かなければならないこととし、第四項では、右同意を得ないでなされた解雇は無効であることを確認的に規定したものであります。  第四条は、雇用計画について規定したものでありまして、アメリカ軍撤退等による余剰労働者を転職させる計画作成義務労働大臣に負わせたものでありまして、第三条による解雇制限を受けた労働者についてだけでなく、将来予想される余剰労働者の分も含めた計画雇用計画であります。  第五条と第六条は、転職促進措置実施規定したものであります。  第五条は職業指導職業紹介公共職業訓練その他の措置が効果的に関連して実施されるような義務労働大臣に課したものであります。  第七条と第九条は、第三条の労働大臣の不同意にかかわる労働者に対する措置規定したものであります。  これは、第四条、第六条と異なって、第三条によって解雇制限を受けた労働者についての特別措置を明らかにしております。その特別の措置とは、第三条によって解雇をストップされた全労働者に対し、第五条の転職促進措置を必ず受けさせる義務を課したことであります。  第十一条は、駐留軍労働者雇用安定審議会規定したものであります。審議会の役割は、駐留軍労働者雇用安定に関する事項関係行政機関に建議することのほか、第三条による労働大臣同意、不同意をするとき及び第九条による不同意の取り消しのとき、意見を述べることであります。  以上が本法案提案理由内容であります。何とぞ慎重審議の上、本法案の御採決をお願いするものであります。
  10. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 本日は、本案に対する提案理由説明聴取のみにとどめておきます。     —————————————
  11. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 次に、労働問題に関する調査議題といたします。質疑の通告がございますので、これを許します。杉山善太郎委員
  12. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 労働大臣にお尋ねいたすわけでございますが、各委員のお手元に、実は港湾労働等対策審議会委員長名で、内閣総理大臣に対して三月三日付できておりますが、前回のこの委員会で、私、近い将来にこの答申が出るであろうということを想定に置いて、あらかじめ予備質問という形で大橋労働大臣にお伺いした過去の経緯もあるわけでありますが、すでに大臣も、この答申につきましてはお目通しになったことと理解をいたしまするが、申し上げるまでもないことでありますが、この答申案には、やはりわが国の港湾労働ないしは港湾運送事業現状が、諸外国のいずれの国と比べて見ても、著しく立ちおくれているということがやはり指摘されておるわけでありまして、申し上げるまでもないことでありますが、港湾労働の複雑な組織、かてて加えて港湾の貧弱な施設、したがって、労働災害が非常に多発的にあすこにもここにも起こっておるという現状です。しかも、非常に港湾労働者労働条件は劣悪でありますのみならず、開放経済体制の中で、やはり港湾労務需給関係及びその調整というものについては、きわめて雇用の諸関係は不安定であって、これが板についていない。こういったような現状を私どもはよく実際を通して知っておるわけでありまして、したがって、この答申は、そのことをゆくりなく指摘し、大づかみではありまするけれども前段申し上げたとおり、非常にその立ちおくれを浮き彫りにして、十分それに留意をして今後善処してほしいということが主要な要望になっておるかと思います。そこで、私は、この答申の大きな柱としては、やはり港湾労働について、あるいは港湾運送事業について、ないしは港湾管理運営改善についてということが大体項目の大きな柱だと思いまするけれども、本委員会では、主として港湾労働について大体お尋ねするわけでありまするが、先回のこの委員会で、この答申が出ることを想定に置いて私が大臣に伺い、また、本日知りたいという一つのポイントは、この答申が出た暁においては、やはり政府機関は、ことに港湾労働行政という面からいって、労働省は、あるいは労働大臣は、ごく最近、具体的に言うならば、この国会港湾労働法といったようなものを提案される意思があるかどうかといったような点、また、そういうための準備作業を進められようとしておるかどうか、そういった点についてひとつ差しつかえない範囲でお答えいただきたい、こう思うわけであります。
  13. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 港湾労働につきましては、かねてからこれが対策を立てなければならないということを感じておったのでございます。ことに最近の労働力全般需給関係等から見まして、なるべくすみやかな機会に港湾労働改善をはかりませんと、将来港湾労働の不足を見るようになりゃしないか、かように考えまして、何とかすみやかに対策を立てるべきであると考えておったのでございますが、幸いに、このたび港湾労働等対策審議会におきまして、これについての見解を答申せられたわけでございます。この答申は、一昨日内閣総理大臣に対して行なわれ、昨日私は審議会会長から答申の写しとともに、その内容説明聴取いたしたわけでございます。かねてから港湾労働につきましていろいろいわれておりました対策が系統的に盛り込まれておるようでございます。労働省といたしましては、この問題については、急速に正面から取り組むべきものであるというふうに痛感をいたしておる次第でございます。ただ、何ぶん昨日説明を伺ったばかりでございまして、労働省といたしましては、今後これを実行いたすにあたりましては、内容のしさいな検討及び日本における各港湾実情調査並びに海外における重要港湾労働事情調査等、相当準備をいたさなければなりませんし、また、関係各省ともいろいろ協議すべきことなどもあるのでございます。労働省は、このために、今月中に係官をヨーロッパ等に派遣いたしまして、かの地におきまする港湾実情港湾労働者の様子、また、港湾労働に関する制度、こういった研究をいたしますために官吏を派遣いたすつもりでございますが、かような諸般の立法準備等を考えますと、今国会法案を提出いたすことは時期的に無理があるように考えます。
  14. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 いまの大臣のおことばでは、どうもぴんときませんのでありまして、そういうことが予感があったものですから、私は、前段に何か予備的な質問をあえてする必要があるんじゃないかと思って——しかし、私は、また、これに関連する港湾労働者、あるいは運送業者でも、やはり心ある、目を開いた展望のきく海運輸送業者というものは、この答申が出、それが出たなら、やはり少なくとも最短距離で、言うならば今国会はまだ前段の部にありまするので、まだ若干今期もありますので、今会期中にこれが日の目を見るだろう、もちろん私ども主観もありまして、港湾労働法などと言っておりまするけれども、その法案の名前はどうあっても、問題は、答申内容前段申し上げましたように、港湾労働についてとか、あるいは港湾運送事業についてとか、港湾管理運営改善事案についてといっておるのでありまして、その内容を、仏つくって魂はいらずというような形ではなくて、それは拙速的に、やはりこの答申が出てから、それからこれをひな形として調査をし、あるいはというような、そういう形ではなくて、もうすぐ出してほしい、まあそういうような立法的な措置技術面のやはり準備作業が、ある程度この答申方向の中で推進されておるものだと、私ども主観もありますけれども、そういうふうに理解して待望しておったわけであります。私は率直に申し上げまするけれども、この法案は、たとえばここの答申にも明らかにありまするように、三十七年の八月九日付で、ここにうたわれてありますように、近年の港湾労働及び港湾運営、利用の状況にかんがみ、これが改善のためとるべき対策について貴会意見を問うと、こういうことで、二年前でありまするので、しかも、ちょうどこの審議会が、臨時措置的な方法で総理府の設置法の一部改正をされて、二年間の寿命でこれができて答申が出たわけであります。したがいまして、一九六二年四月十日の衆議院労働委員会の私は議事録もきょう見てきたわけでありまするが、これは自民党齋藤さんであると思いますが、齋藤邦吉さんの質問に対して、当時政府は、本常任委員をしていらっしゃる加藤政務次官だと思います。それから、職業安定局長は三治さんであると思います。そういう方々が、この港湾労働審議会が発足するならば、少なくとも答申が出次第、これはすぐにも予算的な措置で、その時点の議会でこれの立法措置をするといったようなことがなされております。さらに、私は率直に申し上げますけれども、一九四九年でありますが、ILO内陸運輸委員会決議、十三項目内容にわたっておりまするけれども、この十三項目決議というものを並べて、日本流に大体当てはめてみるならば、この答申というものは、やはりいまから十五年前にILO内陸委員会決議されたもろもろの事項が、ようやく日本的に活字になって出てきておる、こういうような関係にあると思います。しかも、当時この齋藤邦吉委員衆議院における意見については、自民党さんのほうでも、この問題については早くやれといったような、そういう方向に記録では二年前に明確になっております。タイミングを同じうして、社会党のほうにおいても、やはり社会党政策委員会、あるいは党議を得まして、港湾労働立法というようなものがやはり議員立法の形で出ている。しかも、競合の形で。これは自民党さんがお出しになっても社会党が出しても、やはり客観的には十数年立ちおくれがある。ことに正式な答申の面から見ても、やはり諸外国から比べて見て、手ひどい立ちおくれがある、早くおやりなさい、こう言っておるのであります。たとえば労働省所管に限りましても、労働時間の問題にいたしましても、最低賃金の問題にいたしましても、たとえばやはりILOの諸関係条項、あるいは条文に照らして、非常におくれて出てきておる。労働省に限らず、運輸省その他の関係でも、いろいろな審議会というものを通して、いろいろな答申をみな持っていらっしゃる。問題は、何も先走る必要はありませんけれども、非常な立ちおくれがあって、しかも、開放経済体制方向に移行をして、ことに国際収支関係で、海運収入なり港湾収入なりというものを整備強化する必要があるのだということになれば、やはり人の要素と物的な要素資金要素を勘案整備して、そうして政府機関は、なるほどお説のとおり、労働省運輸省、通産省、大蔵省、自治省、厚生省と、非常に港湾は多岐にわたっておりまするけれども、こういう答申がやはり石井会長から内閣総理大臣に出された限りは、答申を受けとめて、早く政府機関はこれを行政系列に流して、実際に取り組んでいただきたいと思います。きょう運輸委員会では、同僚の大倉委員が、運輸省に対して、やはりこの港湾運送事業、この非常に立ちおくれた港湾施設、こうしたものについてどうしてやっていくのだというような質問をやっておるというふうに考えておりまするが、そういうような点で、いま大臣は、非常に心にとめて急いでおるけれども、この議会には間に合わないといったようなことを言っておられるわけでありますけれども、それはそれといたしましても、いまの大臣答弁だけでは、やはり事案の性質上、納得いきませんので、もう一度お答えいただきたいと思います。
  15. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) この内容を実行いたしますということになりますると、労働者賃金、また、いろいろな訓練費等も必要でありまするし、また、訓練のためのいろいろな施設等も必要に相なりまするし、これらを考えますると、現行港湾荷役公示料金そのものにも当然影響いたしてまいるのでございます。かような計数的な検討も必要でございます。また、この新しい制度港湾に導入いたしますについて、関係者の協力を得るような空気を盛り上げていくことも必要でございまして、さような点を考えますると、直ちに今国会法案提出ということは、まず困難かと存じます。
  16. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 まあこれ以上強く追及するのもどうかと思いますが、職安局長お見えになりますね。あの答申はもちろんお目通しだと思いますけれども、この港湾労働についての答申の二項、三項、たとえば二項は、港湾労働の需給を調整し、必要な労働力の確保をはかること、三項は、「港湾労働者の登録制度を確立する。」ということに相なっておりまするが、現在、たとえば日本は島国でありまするので、むろんそのいろいろな重要港、その他それに準ずる港湾がありますけれども、現に、船がある限りにおいては、いろいろと港湾労働作業が行なわれておるわけでありまするが、したがって、港湾を持つ都市の職安関係で、日雇い関係がそういったような需給関係については一体円滑にいっているのか、スムーズにいっているのか。現在はむろん非常に立ちおくれておる、非常に不備であるからというかっこうで、この答申の線に沿って、いろいろとやはり法的な措置が今後——現状は一体どうなっておるといったような問題について、ひとつ若干職安局長からお答えいただきたいと思います。
  17. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 港湾労働の確保につきましては、三十五年五月から、六大港につきましては、港湾労働専門の労働公共職業安定所というのを設置いたしまして、手帳制度も採用いたしまして、港湾労働力の確保につとめておるわけでありますが、御承知のように、三十六年当時には非常な船込みがございまして、あの当時の事態から考えますと、非常に港湾労働力は不足をしておったわけでございます。しかしながら、まあ港湾運営管理もその後改善されまして、船込みの状態も波動性ができるだけ少ない状態に今日はなっておりまするので、一時ほど一時に労働力が不足するというふうな事態は今日避られておりまするが、今後の貿易の伸び方その他を考えますと、現在の港湾労働力は全国で七万数千人ございますが、これでは労働力としても足りない。そういう意味で、今後港湾作業の量がふえますと同時に、労働力の絶対数の確保をまず職安としては考えなければならない。そういう意味でも、今度の石井答申に従いまして、労働力をまず確保する積極的な対策をこの線に沿って講じてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  18. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 まことにこれは職安局長なり関係の係の政府委員にいやな思いをさせるかと思いますけれども、私どもとしてみれば、これは身にちなんで、背に腹はかえられないのでこういうような質問をするわけでありますけれども、ひとつその点は御理解いただきたいと思いますが、たとえば職安局長は、一九四九年の五月の時点で、ILO内陸運輸委員会の十三項目にわたる決議は、その第一点は、雇用の向上性の促進のための措置ということと、第二点は、収入の安定化に関する措置という大きな柱で十三項目がうたわれておるわけでありますが、こういったような問題については、一応この一九四九年の五月二十七日、この内陸運輸委員会の総会が開かれているわけでありますが、これらの問題を根っこに置きながら、しかも、十四、五年前のことでありますから、むろん職業安定局長になられてからこれはまだ幾ばくもあるかないか、少なくとも私はよく存じておりませんけれども、そういうような点についてこれをよくわきまえた上で、いろいろと現状答申などを消化すべく、目下勉強しておられると思いますが、その辺についてはいかがでございましょうか。
  19. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 港湾労働の問題は多年の懸案でございまして、私ども、従前から、先生御指摘のような内陸運輸委員会の十三項目にわたる勧告についても、十分検討してまいっております。また、総理府に置かれました港湾労働対策審議会におきましても、一年有半にわたって、事務的には十分審議会意見も申し上げ、また、審議会の考え方等についても、いろいろと実施準備のための労働省における準備作業はできるだけ進めておるのでございますが、何せ、先ほど大臣からお答えがありましたように、予算措置も伴いますし、また、業界その他の空気づくり等にも相当時間がかかりますので、最終的な法案の提出ということは、まあこの国会には間に合わない、こういう状態でございますが、準備の作業は着々進めておるわけでございます。
  20. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 もう一度大臣からお答えをいただきたいのでありますが、大臣は、先ほど私のお尋ねする中で、この法案を具現する方向の中で念には念を入れるし、予算のからみ合いもあるし、いろいろな家庭事情もあるが、外国へひとつ視察云々ということを私聞いたように思いますが、これはまあいずれにいたしましても、この答申を具現実施する方向の中で、それはいまどことどこ、そういったようなことについてはこれからまだ検討されるのですか。大体いまここでお答えいただけますか。
  21. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) この画期的な答申を実現するために、海外の港湾状況を、主として労働の面から視察するということで係官を海外出張させる予定にしておりまするが、視察する港は、大体ヨーロッパを中心に、ロンドン、ハンブルグ等を中心に視察研究をさせたいと思っております。具体的な港湾の視察個所は、最終的にはまだきまっておりませんが、在外公館等とも連絡をとりまして、できるだけ重点的に視察をさせたいと思っております。
  22. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 大臣、お昼まではいいのですか。それでは、港湾関係のほうからどなたか来ておられますか、運輸省関係からどなたか来ておられますか。私、委員部のほうへは、港湾局長に来ていただければ都合がいいということを言っておりましたけれども、町田参事官が来ておられるわけですか。  それじゃあお尋ねいたしますが、この答申は、もちろん運輸省でも関心事であろうかと思いますし、しかも、重要な柱として、この港湾運送事業等に関しての問題がやはり大きな重要な柱でありますので、この答申趣旨及びその指摘事項に基づいて、現に行なわれている港湾運送事業法を大幅に、しかも、抜本的にやはりこれを改訂をする、それに必要なしかるべき準備作業をやっておられるかどうか、そういったような点について、ひとつ関知しておられる範囲において、参事官でけっこうでありますが、その辺のところをひとつお聞かせいただきたいと、こう思うのです。
  23. 町田直

    説明員(町田直君) お答え申し上げます。  先ほど労働大臣から御答弁がありましたとおり、この答申は非常に画期的な、しかも、広範な内容を含んでおりまして、また、答申の別紙にも書いてございますように、全体が総合的に実施されるということを期待しておるということでございます。私どももそういう方向でいくことが最も適切であると存じておりますので、関係各省と十分協議いたしまして、適切な実施が早急にできるように努力いたしたいと思っております。
  24. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 まあ出先にたとえば海運局などがありまして、そしていろいろ港湾運送事業法の認可事項などに基づきまして、大体私の承知する範囲におきましては、まあ私は実は以前船員であり、また、既存の港湾労働組合の種まき権兵衛をやった過去の経歴もありまして、非常にこの問題について関心を持ったわけでありますが、御承知のように、戦後、港湾運送事業は、非常に小さな資本が集約されたような形で、しかも、作業関係においては一種から四種、その他の認可事項につきまして、非常に複雑にわたっております。最近、例外なく、いわゆる同じ運送事業に関連をしておるところの日通関係が——私は新潟県でありますが、新潟県に限らず、北海道、九州等、いろいろと日通独占資本が海上に進出してまいりまして、そういったような関係で、かなりこの港湾運送事業は混乱をしておるという実情だと思います。そういう関係から、日通のそれなりの労務管理が、海上の、従来ある既存の小さいこま切れ的な港湾労働関係とふくそういたしまして、かなり随所に混乱をしておる。したがって、出先の海運局におきましてもいろいろと問題が多くあることを私はそれなりに掌握しております。それだけに、この機会に、早くすっきりとした答申というものの線に沿って立法的な措置がされないというと、非常に問題があるのじゃないかと、かように考えておるわけでありまするが、現在、いま私が申し上げたようなことに匹敵する何かこんがらかっておるようなところは、実際問題としてありませんか。
  25. 町田直

    説明員(町田直君) 港湾運送事業法は昭和三十四年に改正いたしまして、それまで登録制でございましたのを免許制に切りかえたわけでございます。そういたしまして三年間の猶予期間を置きまして、三十七年の九月末をもって申請を締め切りました。それに対しまして免許の作業を進めておる最中でございます。ただいま御指摘になりましたような個々の問題が数港で起こっていることもございますが、免許の切りかえに際しましては、できるだけ新規業者は抑制していく、過当競争をなくしていこうという方針でやっておりますので、そういうような面で免許に際して措置してまいりたい。したがいまして、個々の問題はいろいろ出てまいりますけれども、大体解決をいたしておるような次第でございます。
  26. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 これは参事官ではお答えいただけないかと思いますけれども、あとで文書でもけっこうですから。私は、港湾局長に、また、将来いろいろな経緯につきまして運輸大臣にお伺いする必要があると思いますけれども、今日的には、あとで文書でもけっこうだと思いまするけれども、たとえば港湾のチャージ及び港湾料金が各国よりもわが国は低廉なんです。日本は貿易外収支において大きな損失をこうむっておる。これはシップ・アメリカン等の関係もありまして、外国船と日本船との積み取り比率が逆転して一そうの損失が大きくなっておると、こういうふうに私は理解しておるわけであります。そこで、米英仏その他の海運国とわが国のそれとの開きというものが数字で出てくるかどうか。また、現在の積み取り比率をひとつお示しをいただいて、それに損失の金額というようなものが出てくれば、これは私はこの前の委員会でも言っておったわけでございまするけれども、好むと好まざるとにかかわらず、日本開放経済体制の中で、とにかく現実はどういうふうに日本丸のかじをとっても国際収支は赤字になってきておる。ですから、どうしても貿易外収支でプラスをかせがなければならない。それには海運港湾だ、この点はどの政府がやっても解決しなければならぬ問題だ、そういうような点も非常に重要な問題だと、こう思いますので、私は、一応この委員会では場違いであるかないかにかかわらず、港湾労働情勢は複雑多岐に及んでおりまして、各省に及んでおりますから、ですから、そういう事態の中で港湾労働等対策審議会ができたという、そういう経緯からいきましても、答申が出た今日的の問題からいきましても、念には念を入れてやりませんと、今期以後にすべてが整備され、立法措置が講ぜられて法案になることが望ましいのでありますけれども、やはり急がば回ってもこれがいまできないなら、拙速を必要といたしますのでこういうことをひとつお尋ねするわけでありまするが、いま参事官でお答え願える範囲はとにかく、数字にわたる面については文書でもけっこうでありますが……。
  27. 町田直

    説明員(町田直君) 港湾国際収支関係につきましては、一応私がいま頭で覚えておる数字で申し上げますと、昭和三十七年度で約四千万ドルの赤字ということになると思います。で、港湾経費の日本外国との比較は、これは比較が非常にむずかしゅうございますが、大体昭和三十六年並びに三十七年の間の邦船の六社が実際に支払いました資料に基づきまして推算いたしますと、港湾施設使用料等の諸経費で、外国の主要港の平均が日本の約三倍でございます。それから、港湾荷役料の同じく主要港の平均が日本の三・五倍というような数字になっております。そこで、ただいま御指摘のございました国際収支関係につきましては、現在、運輸省といたしましても、海運国際収支のバランスをとること並びに港湾経費の国際収支のバランスをとるという両面で検討いたしておる最中でございます。港湾経費につきましては、御承知のように、昨年度並びに本年度におきまして、岸壁とブイの使用料は二倍、二倍半に値上げするという措置をいたしております。また、港湾荷役の料金につきましては、昨年の三月に船内荷役料が約六形の値上げをいたしました。また、現在、沿岸荷役料並びにはしけ荷役料の値上げの申請が出ております。しかしながら、一方におきまして、政府の方針といたしまして、公共料金並びに政府の関与し得る料金の抑制という措置がございますので、こういう面とにらみ合わせまして、しかも、国際収支の点も勘案いたしまして、できるだけ妥当な線で決定いたしたいというふうに考えております。
  28. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 では、労働大臣も非常にお忙しい立場でおられますので、おられるうちに言って、私もどうしても腹に据えかねる点はあるのでありまするけれども、どうもこの国会では出そうもありませんので、このことを強く要望いたしまして、さらに意のあるところのお答えをいただきたいと思いますが、どうもこの問題につきましては、港湾問題は非常に多岐にわたりますので、関係当局、言うなれば労働省運輸省、通産省、大蔵省、自治省、厚生省、特に厚生省の関係におきましては、たとえば水ぎわでありまして、いろいろとコレラの問題だとか、それから人体に危害を及ぼすところのいろいろな荷物といったようなもの、港湾には問題がたくさんあるわけでありますが、要約いたしまして、政府関係当局がもっと連絡を強化されて、たとえば関係閣僚会議といったようなものを開いていただいて、そうしてこの答申を、仏つくって魂が入らないというような形ではなくて、ひとつ政府も態度をきめていただきたい。どういう企業であっても、私は、これは資本主義経済体制であろうと社会主義経済体制であろうと、結局入的な要素と物的の要素と財力というものの中で、一番必要なものは人的な要素だと思う。それを意欲を持ってやはり業種業態に組むとか、必要な人員が必要な品位を高め、技術を持ってというような、やはり港湾労働関係というものの整備は必要と思います。多岐にわたっておりまするけれども、まあ閣議の構成員として、労働大臣は、一日も早く総理大臣に、答申が出たのであるから、関係閣僚会議、せめて次官会議というものを開いて、一日も早くひとつこのスピードを出してもらいたい、答申を煮詰めていただきたい、そういった要望を申し上げまするが、具体的には最短距離で、最近の閣議で、この政府答申を煮詰めるために、いろいろ申し上げましたが、関係閣僚会議、そういったレベルで、あるいは次官会議を開いて、この問題をひとつ急速にお進めいただくべく努力をしていただきたい。労働大臣に御注文申し上げるわけですが、この点についても、のれんに腕押しという結果になってはいけませんので、ひとつ労働大臣の意のある御答弁をいただきたい、こう思うわけであります。
  29. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 御要望のありますところは閣議にもよくお伝えしまして、御趣旨に沿うように努力いたします。
  30. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 いまの問題につきまして、若干関連してお伺いしたいわけですが、この港湾労働の問題につきまして、政府も、おそらくその重要性を認識をして、三十七年八月九日ですか、この審議会に問題を提議した、こういうように思うのですけれども、先ほどからの大臣等のお話を聞いておりますと、答申が出たばかりではあるし、これから検討をして、そうしてやっていくので、今国会の提出は間に合わない。さらにまた、これから諸外国実情調査をして、そうして対策を立てていきたい、こういうようなお話でございます。私は少なくとも審議会に、この問題を提案をする際には、政府として何らかの基本的な方針を持って、そうして提案をされたと思います。そういう点はどうなっておるのか、全然基本的な方針もなしに、ただ審議会意見を聞いてから考えていこうと、こういうようなことなのか、その辺をひとつ……。
  31. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 答申内容につきましては、政府といたしましては、審議会の責任で一応答申を出していただいたことに相なっておるのでございますが、しかし、もとより行政部内における審議会としての答申でございまするから、政府といたしましては、何らいままで関知しないものが急に出てきたというようなものではございません。おのずから以心伝心的な連絡があって、その結果が答申としてあらわれたものであるというように考えております。
  32. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 三十七年八月九日付で諮問をしたわけですね、したがって、その後いま大臣も申されましたように、審議会と十分連絡をとりながらやってまいったと、こういうことなんですが、すでに三十七年といいますと、一昨年ですか、したがって、その間にですね、私は労働省が、ほんとうに港湾労働者の問題を真剣に、誠意を持って扱っていこうというならば、これから外国に行って調査をするのだと、また具体的には日程もきまっておらないというようなことは、ちょっとおかしいのじゃないかと思いますですね。当然諮問したと同時に、積極的にこの問題に取り組むべく、そういう実情調査も早急に実施をして、そうして答申を出されれば、いま大臣申されたように、連絡もとっておるわけでありますから、この国会に間に合うように法案準備をして、そうして早急に提出をしていくということがなければ、ほんとうの港湾労働者対策として十分関心を持ってやっているというふうに私には考えられないわけですが、そういう点、どうなんでしょう。
  33. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 港湾労働につきましては、十分に関心を持ってやっておったわけでございます。外国調査に行くというのは、むろん文献、その他では前から在外公館を通じまして聞いておりますが、しかし、現実に法案をつくるということに相なりますると、いままで担当いたしておりました係官を直接外国にやって、そうして実情をしっかり見て、そうして自信をつけさしておくということも必要であると考えてやるわけでございます。これも別に、この節のことでございますから長い間行くわけではございません、せいぜい一カ月以内に帰ってくるだろうと思います。  そして私どもが、一番これの実施について、さらに詰めていかなければならぬと思っておりますのは、現実の訓練手当の額をどうするか、また、そういうものの財源は、当然その大部分を荷役料金に含ませなければなりませんので、公示料金をいかに引き上げるか、こういった問題が検討される必要があるわけでございます。その結果は、国の予算にも関係してまいります。そういう意味で、すでに予算案が衆議院を通過しておりまする現在の段階で、この国会に提案するということは非常に困難でございます。  したがって、次の国会までに十分検討をしてまいるとともに、最もこの法案を御審議いただくについて大切なことは、関係の労使において、この制度を十分にそしゃくしてもらうということでございまするから、これらの事前の準備等もございまするので、やはり相当期間の準備期間は必要である、こう考えております。
  34. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 まあ予算との関係で、今国会は無理だということも了解はできますけれども、しからば今年度の予算の中に、この全港湾労働の問題についてのいわゆる調査費とか、そういうような法案をつくるための準備費というようなものは計上されてあるわけですか。
  35. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) それは現在計上してありまする予算の中でやるのでございまして、特に港湾労働法準備のためにという予算はつけてございません。しかし平生の事務費の中で、それらをまかなっていくつもりでございます。
  36. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 厚生省は、たとえば児童手当の制度を今後つくるために調査費を計上するとか、あるいは公害対策の問題と取り組んでいくために調査費をとりあえずつけているとか、こういう積極面があるのですが、労働省は、そういう面がないとすれば、そういう点ひとつ、私はちょっと各省の意気込みが非常に、まあ問題が全然本質が違うといえばそれまででございますけれども、そういう、やはり予算面でも積極性があってしかるべきじゃないかと、こういうふうに思いますが、それではこの法案は、今国会に間に合わぬとすれば、次の国会には提出をするということは考えておられるわけですか。
  37. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) まだ次の国会に提案すべき法案につきましては、政府として何々があるということを申し上げる段階ではございません。しかし私、労働省立場といたしましては、この答申をいただきましたのでございまするから、これを十分に検討し、各省とも協議して、諸般の準備を整えまして、できるだけ早い機会に実施に移すように努力いたしたいと思います。
  38. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 じゃ私は、この答申案についての質疑はあったと思うのですけれども港湾労働者の環境が、だんだん一方においては機械化をしていっている。それから一方においては、経済の変動や、それから輸出入の関係で周期的に変動がある。ですから、特にまあ一番下のほうの手配師の支配といいますか、手配師によって振り回されているというところがあるわけでありますから、そこらあたりの動態は最近どうなっているかということを、ひとつこの際、私聞いておきたいと思うのですが、各主要港の常雇い、それから日雇いその他の動向がどうなっているか。それから港湾荷役もだんだん機械化していっているわけですから、機械化の関係によって、港湾労務者の動向がどうなっているか。特にいままで問題になりましたように、東京、大阪等では、大阪の有名な釜ケ崎ですけれども、いま職安ができたのでありますけれども、何かトラックを……、東京でもよく新聞に載ったのですが、トラックを持ってきて、港湾につれていく。こういうことがよく新聞の話題、問題になっておるわけですが、そういうことを含めて、ひとつ港湾労務者の現状がどうなっているかということをお聞かせをいただきたいと思うのです。
  39. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 手配師の問題は、数年前に非常に神戸等で問題が出たわけですが、その後六大港につきましては、労働公共職業安定所を設置いたしまして、手帳制を採用して労働力の確保をはかっておりますので、表向きには、手配師の積極的な活動はないはずでございますが、実際におきましては、技能の格づけ、あるいは労務者の編成、こういった点で、昔の手配師といわれた方々の特殊技術をいろいろな面で活用しておるというふうなところは実態としてございます。  しかしながら、今度この答申を実現いたしますると、そういった手配師的な仕事というものは成り立たなくなるわけでございまして、そういう点では、今度の答申を実行することによって、名実ともに、手配師的な実態がなくなってくる。もちろん手配師であった方々の港湾作業に対して寄与する職場というものは、また、別にできてくると思いまするが、手配師的な技能は、この答申によって、今後名実ともになくなってくる、こういうふうに考えておりまするが、現状においては、われわれも数字的にはつかんでおりませんが、まあやはり旧来の手配師的な活躍が裏面にあるというふうに私は理解をしております。  その他港湾作業の機械化に伴う労働力の能率あるいは節約の問題、これはちょっと私、いま手元に資料がございませんので、もしできましたら、運輸省のほうからお答えを願えたらと思います。
  40. 町田直

    説明員(町田直君) 御承知のように、港湾運送事業の中には、船内荷役業、はしけ運送業、沿岸荷役業というのがございまして、そしてそれぞれの業種によりまして、機械化の非常に困難なものと、比較的たやすいものがございます。たとえて申しますと、船内荷役業などは、本船のハッチの中で仕事をいたしますので、何と申しましても機械化が非常に困難でございます。それに比べまして、沿岸の荷役業は、陸上で荷物を積みおろし、または運搬をいたしますので、機械化が比較的容易でございます。で、港湾運送事業者も、私どもも、港湾運送事業の近代化のため、ここ数年来、荷役の機械化につとめてまいりました。特に沿岸につきましては、たとえばトラック・クレーンとか、フォークリフトとか、そういうような機械化は非常に進みまして、ちょっとここに宙に数字を覚えておりませんけれども、数年前に比べますと、二倍くらいの数になっていると思います。また、先ほどもお話が出ましたように、港湾運送事業は、中小企業が多うございまして、したがいまして、金融の面などでも、機械化をするのに非常に困難な事情等もございますので、来年度の予算で、特定船舶整備公団という公団に、船内並びに沿岸の荷役機械の港湾運送事業者と共有方式というものをやることにいたしました。とりあえず、三十九年度は、このための資金として一億円の予算を計上いたしております。そのようなことで機械化が進むに従いまして、徐々に労務の近代化、それから労働力の節約という方向に向かっておると思いますけれども、何と申しましても、事業の性質並びに事業実態から、なお、機械化をするべき余地は非常に多いのではないかというふうに考えております。
  41. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 労働省で、港湾荷役労働者の常雇い、それから日雇いとか、ここ数年間の実態が資料としてありますか。
  42. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 常用と日雇いの比率の問題ですが、これは資料としてもございますが、三十七年だけの比率を申し上げますと、全国平均では六九.一%が常用労働者で、残りの三〇・九%が日雇い労働者でございます。ただ六大港だけをとってみますと、少し比率が変わりまして、六六・九%が常用労働者で、日雇いが三三・一%ということで、六大港の場合には、平均的にいいまして日雇いの比率が高くなっております。
  43. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 大体、六六とか六九というのは、コンスタントで荷役がつく、あとは日雇いという産業予備軍的な要素で、こういう仕組みになっているのですか。
  44. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) これは、御承知のような港湾作業の波動性から、こういった雇用形態が従前とられてきたと思います。また、この比率自体は、過去の実績をずっと比較してみないとわかりませんが、傾向としては、常雇い方式を私ども運送業者に勧奨しておりますし、比率は、だんだん常雇いのほうが高まってきつつあると思いますが、今度の答申では、御承知のように、常雇い対日雇いの関係は、四分の一という比率を暫定的にといいますか、完全に常雇い方式に持っていくということを理想としながら、当面四分の一の比率で認めていこうという考え方でございますので、現在の三分の一の比率から四分の一に改善をしていくと、これは非常に大きな画期的なやり方ではないかと思います。そういう点でも、いろいろと実施の面で私ども準備をしなければ、急にはできない問題が、いろいろと含まれておるわけでございます。
  45. 鈴木強

    委員長鈴木強君) それでちょっと私から、二、三お尋ねしたいのですけれども、この答申を見ますと、大体三つに分かれておりまして、港湾労働問題、それから港湾運送事業に関してですね、それから港湾管理運営改善についてと、三つのパートになっておりますね。運輸省の町田さん、これはこの答申を受けて、あなたのほうで所要法律改正なり、抜本的な対策を立てなければならぬものも、この中にはあるのでしょう。この点どうですか。
  46. 町田直

    説明員(町田直君) 先ほど申しましたように、運輸省だけでやれる分ももちろんごさいますけれども、たとえば港湾労働との関係とか、そういう相互関連した面が非常に多うございますので、各省と十分協議をいたしていかなければならないと思っております。
  47. 鈴木強

    委員長鈴木強君) それで、この答申を見ますと、石井先生以下慎重に審議していただいて、内外の労働事情も検討しというふうに、かなり専門的に研究されて出された答申ですから、これは相当に権威のあるものと理解しなければならぬと思います。  そこで労働大臣がさっきお話のように、労働省としては、特に調査を海外に向けてやりたいと、こういう考え方なんですけれども、いままで、そういうことについて必要があれば、行政上できたことでもあったと思うのですが、そのことは一応おくとしても、杉山委員が言われたように、非常に複雑多岐になっておりますから、各省とも関連があるのですから、それは私は、杉山委員が言われたように、関係閣僚のあるいは懇談会的なものか何かわかりませんが、そういった連絡等もされ、この答申に対して、どう政府は対処するか、それに基づいて外国を、この答申でも、まだいろいろ調査しなければわからぬということになれば、各省とも連絡をして、そういう共同的な各般にわたる答申を受けた海外調査が必要であれば、私はするのが筋じゃないかと思うのですね。そういう点は労働大臣、あれですか。各省とも御相談なすって、ほかのところでは、そういう必要はない、しかし労働省はやるのだ、こういうことになったのか。そういう連絡はとらずに、労働大臣として、労働省ではやる必要がある、こういうふうに判断されるのか、私はその点を伺いたい。  それから、もしあなたが、労働省だけでお考えになったとするならば、杉山委員の御質問にもありましたように、非常に、各省ですね、運輸省とか通産省とか、いろいろあるようですから、そういう省とも連絡をとって、全体の責任ではないでしょうけれども、そういう連係をもって施策をするような方法をお考えになる必要があると思うのですけれども、その点については、いかがでございますか。
  48. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 各省でこの答申に基づいて相談をできるだけ早くしなければならぬということは、これは私も、さように考えております。これについては先ほど杉山委員に申し上げたとおりでございます。調査のために海外出張を命じておりますのは、これは労働省としても必要を認めてやったことでございまして、特に労働省といたしましては、外国における港湾労働者労働者としての社会的地位なり、あるいはまた港湾労働者というものの生活状態なり、そういうことは、また、将来の労働力の吸収の上に非常な参考になるべきことだと、そうしてまた、実際の労働者の生活状態、また労働状態賃金状態、またそれと荷役料金との関係というような労働省的な立場で、これを実施するとせざるにかかわらず、今後の労働行政として必要な勉強を係官にさしておきたい、こういう意味でやったことでございます。
  49. 鈴木強

    委員長鈴木強君) そうしますと、一般的な労働行政も兼ねるような格好にも聞こえるのですけれども、それもいいと思います。私は、だから必要な視察をして、よりよい方法を見出すということは賛成ですから、それが必要であれば、一カ月でも二カ月でも、これはいいと思うのです。大いに先進国の、そういう情勢を調べてもらってけっこうですけれども、問題は、この答申を受けての立場の中で出ております労働大臣の考え方はわかりましたから、なお全体に、この答申を受けて実施する場合に、必要な各省との連絡が必要だといっているわけですから、そういうものも十分していただいて、必要があれば、各省とも一緒に歩調を合わせて、この港湾の問題を中心にして視察もされる、こういうふうな方法にしたら、なお効果があると私は思うのですが、そういうふうなことは当然やってもらえるのでございましょうね。
  50. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 私どものほうは、係官の勉強をさせるという意味でございまして、各省がまた、実施についていろいろ協議の上、一緒に視察する必要があれば、その問題はまた別途に各省と、そのときには相談をしたらよかろうと、こう思っております。各省と一緒に、ぜひ視察させなくちゃいかぬとはいま思ってはおりません。しかし必要があれば、そういうことも考えていいと思っております。
  51. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 次に、私は、昨年、失対関係法案改正をされて、十月一日から実施をされたわけですが、その改正後のそれら関係法案に関する実施状況について、それぞれの所管からお伺いをしておきたい。
  52. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 私から概略申し上げたいと思います。  失業対策事業に就労しておりまする就労者の実態概要を申し上げますと、三十七年の資料が一番新しいわけですが、男女の構成比率は男が五六・二%、女が四三・八%でございます。年齢も三十七年度をとって申し上げますと、平均年齢は四十九・五歳になっております。男女の別からいいますと、男が五一・五歳、女が四六・三歳でございます。  それから前職との関係を申し上げますと、これも三十七年現在でございますが、前職についていた者が七三・五%その他が二六・五%、それから失対事業に就労した期間をとって考えますと、三十七年現在で平均いたしまして七八・四カ月、六年ちょっとの在職期間になっております。  それから、転職の希望の状況を申し上げますと、転職の希望が男女合計で二九・五%、男子の場合は三四%で女子は二二・二%であります。  それから、世帯員の構成の状況を申し上げますと、大体二人世帯と三人世帯のところが一番高い山になっておりまして、パーセンテージからいいますと、二人世帯が二二・五%、三人世帯が二一・六%、この辺が平均的な世帯構成になっております。  また、失対関係の予算の概要は御説明申し上げたかと思いますが、三十九年度の対象人員といたしましては、就職の促進関係、これは失対事業前段的な関連を持つ問題でございますが、これが月々一万人で、年間合計いたしまして十二万人を対象雇用促進措置を講ずる予定にしております。その金額が四十八億六百万円でございます。  それから、失対事業につきましては、規模が十九万四千人でございまして、その所要予算額が国費の分だけで三百九億四千万円でございます。  それから、失対就労者の転職対策関係の経費でございますが、これは七億四千六百万円を予定しております。これらは転職の促進に必要な訓練費と、それから家事サービスの訓練雇用奨励制度等の諸経費が合計いたしまして七億四千六百万円でございます。こういった予算規模で失対事業を行なうわけでございますが、昨年の法改正に伴いまして、就職の促進措置が講ぜられておりますが、これの最近の状況を申し上げますと、二月十日現在におきまして、認定件数が二千三百六十三件、そのうち、指示件数が千四百五十六件でございます。その指示件数の内訳は、長期の訓練が二百七十七、短期の訓練が四百七十五、職場適用訓練が二百十、就職指導が三百五十六、職業講習が百三十八、こういった状況になっております。
  53. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 法改正後、各自治体でいろいろ問題もあったかと思いますが、そういう点につきましては、時間がまいりましたので次回に譲りたいと思います。いま所管局長から御説明をいただきました内容につきまして、あるいは訓練関係のほうもあるかと思いますけれども、ひとつ次回までに、法改正後の、いまいろいろ指示件数とかと言われておりますけれども、資料をいただけたら、ひとつお願いしたいと思います。  以上で、次回に譲りたいと思います。
  54. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 他に御発言もなければ、本日のところ、本件に関する質疑はこの程度にとどめておきます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三分散会