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1964-02-27 第46回国会 参議院 社会労働委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月二十七日(木曜日)    午前十時四十七分開会     —————————————   委員異動 二月二十六日   辞任      補欠選任    藤原 道子   鈴木  壽君     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     鈴木  強君    理事            高野 一夫君            徳永 正利君            藤田藤太郎君            柳岡 秋夫君    委員            加藤 武徳君            亀井  光君            紅露 みつ君            佐藤 芳男君            丸茂 重貞君            山下 春江君            山本  杉君            阿具根 登君            林   塩君   国務大臣    労 働 大 臣 大橋 武夫君   政府委員    内閣官房内閣審    議室長内閣総    理大臣官房審議    室長      松永  勇君    防衛施設庁長官 小野  裕君    防衛施設庁労務    部長      藤本  幹君    労働大臣官房長 和田 勝美君    労働省職業安定    局長      有馬 元治君    労働省職業訓練    局長      松永 正男君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君     —————————————   本日の会議に付した案件労働保険審査官及び労働保険審査会  法の一部を改正する法律案(内閣送  付、予備審査) ○労働問題に関する調査駐留軍労務  者問題に関する件)     —————————————
  2. 鈴木強

    委員長鈴木強君) ただいまより開会いたします。  まず、委員異動についてお知らせいたします。二月二十六日、藤原道子君が委員を辞任されまして、その補欠鈴木壽君が選任されました。     —————————————
  3. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 次に、労働保険審査官及び労働保険審査会法の一部を改正する法律案議題といたします。  政府より本案に対する提案理由説明を聴取いたします。大橋労働大臣
  4. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) ただいま議題となりました労働保険審査官及び労働保険審査会法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  御承知のとおり、労働保険審査会におきましては、労働者災害補償保険法失業保険法及び炭鉱離職者臨時措置法による再審査請求事件並びに中小企業退職金共済法による審査事務を取り扱うこととなっておりまして、過去三カ年の年間平均受理件数が二百六十件をこえ、なお、逐次増加の傾向を示しております。しかも、これらの案件の当事者は、業務上の災害を受けた労働者もしくはその遺族または失業者等でありまして、その生活の実情にかんがみ、これらの案件を、迅速かつ公正に処理することが強く要請されているところであります。このような事情にかんがみ、政府といたしましては労働保険審査会について、委員を増員するとともに、その運営に関する規定を整備し、案件の迅速かつ適正な処理をはかるため、労働保険審査官及び労働保険審査会法の一部を改正する法律案を提案いたした次第であります。  次に、この法律案概要を御説明申し上げます。  第一に、現在、委員三人をもって労働保険審査会を組織しておりますが、新たに委員三人を増員し、六人をもって組織することとしたことであります。  第二に、再審査請求事件及び審査事務につきまして、委員のうちから労働保険審査会が指名する三人の審査員で構成する合議体がこれに当たることとし、特に労働保険審査会が定める場合においては、委員全員審査員とする合議体がこれに当たることとしたことであります。  第三に、再審査請求事件及び審査事務以外の会務の処理は、委員全員会議の議決によって行なうこととしたことであります。  その他、改正に伴って必要な条文の整備等を行なっております。  以上が、本法律案を提案するに至った理由及びその概要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  5. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 本日は、本案に対する提案理由の聴取のみにとどめておきます。     —————————————
  6. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 次に、労働問題に関する調査議題といたします。本件に対して質疑のある方は、順次御発言をお願いいたします。
  7. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 私は、駐留軍に勤務をいたしております労働者の問題につきまして、関係の皆さんから御回答をお願いしたいと考えております。  で、この問題につきましては、しばしば委員会で論議をされておりますけれども、最近の新聞報道によりますると、アメリカのドル防衛戦略配備変更に伴いまして、大量に駐留軍労務者解雇される、こういうような報道がなされております。したがって、この内容につきまして、まず防衛庁の方から、今回の戦略配備変更によってどういう影響が労務者にあるのか、その点をお伺いをしたいと思います。
  8. 小野裕

    政府委員小野裕君) ただいまお尋ね駐留軍関係日本人従業員整理問題でございますが、すでに御承知のように、在日米軍の一部が撤退または移動をするという関係と、また、米軍経費節約という見地と、この両見地から労務者整理という問題が出たわけでございます。全貌といたしましては、まだ詳細な正確な情報通知等に接していないのでありますが、おおよその折衝におきましてつかんでおります数字は、本年のおおむね六月ころ、六月末くらいまでの間にMLC関係——基本労務契約でございますか、その系統でもって約六千名の整理が必要となるであろう。そのうち二千五百は空軍である、他の三千五百がおおむね陸海、まあ半々と申しまするか、の関係になるであろう、このような情報をいま入手している状況でございます。
  9. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 情報を入手していると、こういうことでございますが、少なくとも安保条約の中におきましても、こういう戦略配備変更等、これは重大なる変更とか、いろいろあろうと思いますけれども、しかし、事、労働者解雇の問題につながることでございます。しかも、その労働者政府雇用労働者である、こういう立場からすれば、当然政府としては、この問題について、事前米側協議をする、こういうことが積極的になされてしかるべきである、こういうふうに思うのですが、こういう戦略配備の問題について、また、それに伴う労働者整理の問題について米側協議をされたことがございますか。
  10. 小野裕

    政府委員小野裕君) 細目の点につきましていろいろといま打ち合わせ中でございますが、米側といたしましては、まだ具体的な実施計画が樹立していないということで、おおよその見当で話をしているわけでございます。協議をしているかというお尋ねに対しましては、これはかねてからも、できるだけひんぱんに連絡をとり、少しでも新しい情報はないかということで、常時連絡をとっております。
  11. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 過日の新聞紙上では、この整理の問題について日米共同発表というような形でなされているわけですけれども、しかし、政府としては、公式にこの問題については別に発表しておられない。いわゆる日米共同発表という形でやられているわけですね。そうしますと、当然この問題について何らかの協議がなされなければそういう形の発表はできない、こういうふうに思うのですけれども、その点はいかがですか。
  12. 小野裕

    政府委員小野裕君) 先般、日米両国政府共同発表になりましたのは、その中核になりますものは、在日米空軍配置調整という点に重点がございまして、それに関連して、先方から雇用計画変更と申しまするか、雇用削減計画ということもあるという申し入れがございました。その線でいろいろ協議をいたしましたところでは、先ほど申し上げましたような数字整理が必要となるであろうということについての申し入れがございました。御承知のように、米軍関係で働いておりまする方々整理という問題でございますが、この整理は必ずしも協議事項ではないわけでございまして、ただ、私どもとして、できるだけこの基地で働いている方々のためになるようにということを考えまするために、いろいろこまかい資料をとり、あるいはいろいろな打ち合わせをする、あるいは先方に対する考慮を求めるというような措置をとっているわけでございますが、いわゆる協議というような形でとことんまで詰めた合意であるとか、あるいは細目についての事前折衝であるとか、これは先般の段階においては必ずしも必要でなかったわけでございます。
  13. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そういう発表をするということは、そのことは、少なくとも駐留軍に働いておる労働者にとりましては、職場がどうなるかということが一番心配になるわけです。これは生活につながる問題です。したがって、当然この戦略配備の問題でそういう形の発表がなされる場合は、もっと真剣な立場で、この労働者の将来がどうなるのかということをやはりあわせて協議をされて、そうして労働者のほうによく説明をしていく、こういう立場が私は雇用主である政府——これは直接の雇用主防衛施設庁であろうと思いますけれども、そういう施設庁責任でなければならぬ、こういうふうに思うのですが、いまのお話ですと、そういう協議をしたのは戦略配備が中心であって、それに伴う労働者整理については、大体こういうことになるであろうというようなことしか話し合われておらないというようなことは、いささか雇用主としての責任がなさ過ぎるのではないか、こういうふうに思います。こういう点についてはどうお考えになっておりますか。
  14. 小野裕

    政府委員小野裕君) お話のとおり、駐留軍関係従業員方々の今後の御心配なり身の振り方なりにつきましては、私どもも同様に気になることでございまして、その発表がありました前後から引き続き今日まで、できるだけ緊密な連絡をとってその資料を入手し、その全貌を明らかにし、さらにこれに対する対策というものを確立するというために努力はいたしておるのでございます。まことに残念でございますが、まだ米軍側における整理計画ということが確立していないということでございますので、ある程度のところでとどまっておるという状況でございまして、まことに残念でございまような事情を御了承いただきたいと思います。
  15. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そういうばく然たる形で——この間の発表によりましても、六月中には全部完了する、こういうことになっているわけですよ。そうしますと、もう二月も終わって三月に入り、あと二、三カ月の間には六千名から、あるいは七千名近くの労働者、少なくともこれは現在の駐留軍に働いておる労働者の一五%くらいになると、こう言われておるわけですけれども、そういう大量の解雇者を予想されるにあたって、まだ全然正確な数字がつかめない。しかも、それに対する対策労働省側にも説明できないということでは、私は非常に遺憾なことだと思うのです。で、これらの解雇される労働に対して、政府はどういう態度をもって臨もうとしておるのか、その点をお聞きしたいわけです。
  16. 小野裕

    政府委員小野裕君) この整理計画全貌がわかってまいりまするならば、また具体的な計画も確立できるわけでございますが、今日の段階におきましては、知り得た情報の範囲内におきまして、特に総理府に置かれております中央駐留軍関係離職者等対策協議会に御相談をいたしまして、まあ諸般の問題についていろいろお話し合いをすると同時に、また、労働省にお願いをいたしまして、これを再就職離職対策ということにつきましていろいろ御配慮をお願いしておる、こういう段階でございます。
  17. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 どうもいまの御答弁では、私は、ほんとうに真剣にそういう労働者の将来や生活を考えている雇用主としての立場が非常に欠けているような感じを受けます。労働省としては、こういう問題について総理府あるいは防衛庁から連絡をおそらく受けていると思うのですが、どういう態度をもってこれらの大量の解雇者に対する生活保障をしていこうとしておられますか。その点を労働大臣からお伺いします。
  18. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 先ほど来、防衛施設庁長官からお答えを申し上げておりますとおり、この解雇の全体の輪郭がまだ具体化いたしておりません。したがって、私どもも、おおよそのことについて連絡を得ておりまするので、それをもととして再就職につきまして万全を期する心がまえではおりますが、具体的な措置につきましては、いま少し詳細な具体的な計画を承って、それに応じて動くようにいたしたいと、かように存じておる段階でございます。
  19. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 先ほど施設庁長官は、この問題が具体的になってくれば中央離職者対策協議会ですか、正式な名前は何といいますか、こういうものを開いて、そして十分対策を立ててもらう、まあこう言われております。しからば、現在までもこういう駐留軍労務者解雇というものがこの数年来ずっと続いているわけでございますが、これらに対して中央離対協としてどういう審議をし、また、どういう解雇者に対しての生活保障の道を切り開いてきたか、そういう点について、ひとつ中央離対協の現状について総理府のほうから御答弁願います。
  20. 鈴木強

    委員長鈴木強君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  21. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 速記をつけてください。
  22. 藤本幹

    政府委員藤本幹君) ただいまお尋ね中央離対協におきましては、今回の整理に関連いたしまして、今日までに会合をいたしております。現在の段階におきましては、先ほど長官から申し上げましような内容につきまして、関係各省間におきまして、情報交換と申しますか、整理数見込み等につきましてお話を申し上げ、それぞれ関係各省において今後の具体的な動きに備えるという話し合いをいたしております。まだ具体的にどういうふうにするということにつきましては、今後の協議会でやることになっております。
  23. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 関連。私は、いま大臣が給与の担当責任者であり、それから施設庁長官が直接衝に当たっおられるわけですが、三月一ばいでいまのお話では六千人首を切られる、どうもそういう予想がされるようですが、もうあと一カ月しかないのですね。これは全部政府雇用ですから、自動的に政府関係機関にそのまま就職をさすという腹づもりがあるからゆっくりされておるのですか。そうでなければ、一カ月先に首を切られたらどうなるかという問題がいまじぶんになってきまっていないということで、いま探っているという状態で労働者はどうなる。いままでの質疑を聞いていると、私はそういう感じを受けるわけなんですが、どういうわけですか。前段か、後段か。
  24. 小野裕

    政府委員小野裕君) ただいま藤田先生お尋ねでございますが、ちょっと私の御説明が不徹底であったかもしれませんが、大体六千名見当整理の目標、時期は六月の末でございます。
  25. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いつ、どういうぐあいにして、どこでどう解雇があって、何日にどれだけのどんな解雇があるということはつかんでいるか。それをおっしゃっていただきたい。
  26. 小野裕

    政府委員小野裕君) 先ほどから申し上げておりますように、約六千名でございますが、実数はあるいは少し内回るかという見方もしているのでございますが、いずれにいたしましても、その数字でございますが、そのうち、本年の一月から来月三月まで、まあ今日の段階までに整理予告がございました者は、あるいは整理の済みました者は約八百ございます。これだけは三十八年度と申しますか、この三月までに一応六千のうちから先に減る数字ではないか、このように考えておるのでございます。  今日の状況におきまして、四月以降どういうふうな順序で解雇が行なわれるかということにつきましては、目下米軍に詳細を詰めているところでございますが、まだそれについての回答がございません。今日の段階におきまして、御承知のように、駐留軍関係従業員につきましては、解雇予告は四十五日でございます。今日の段階におきまして、四月以降に解雇が予定される数字はまだ得ておりません。したがいまして、いま盛んに米軍のほうでは検討している時期であると思うのでございますが、四月以降ということはわかりますけれども、四、五、六月にまたがるということはわかるわけでございますけれども、具体的な数字はまだつかんでおりません。
  27. 阿具根登

    ○阿具根登君 同じようなことだから伺いたくないのだけれども政府にいま聞いていると、六千名という数字はもうつかんでいるわけですね。そうして配備計画は相談しておられる。その六千名はどこからはじいた数字ですか。それが最後はわからぬなんておっしゃっても、そんなことは通りませんよ。六千名はどこがどのくらい出るから大体六千名になるということになっているわけです。六月末に六千名の整理をするとおっしゃるのだから。そうすると、どの地方からどれだけの失業者が出るのだということが一応計算されておるはずです。新聞等にもちょいちょい出たこともございます。私のつかんでおる数字が誤りであるかどうかということで私は質問しておるのです。どうぞはっきり言ってください。
  28. 小野裕

    政府委員小野裕君) 六千名の数字でございますが、最初に申し上げましたように、そのうち約二千五百名が空軍である、あとの三千五百名が陸軍海軍半々であるということは申し上げました。さらにその内訳でございますが、内訳最終数字は確認していないのでありまするが、いままでの折衝段階におきまして、一応承知しておる数字は全然ないわけではございません。ただ、これが米軍としても最終決定でございませんので、私どもとしては申し上げるのを御遠慮することもあり、また、決定ができていない部分もございますので、これは申し上げるわけにはまいらぬわけでございますが、いま少しこまかく申し上げますならば、空軍の二千五百という数字の中で、板付の場合に約二千名という見当がでております。これは御承知のように、板付からは実働部隊移動をいたします。その関係上大きく出るわけでございまして、やはり空軍関係二千五百といううちの約二千は板付である。他の五百はその他の米空軍基地関係である、こういうことはわかっておるのであります。そのほかの陸海軍関係につきましては、これはもう正確な数字はまだつかんでおりませんけれども、おおよそ現在の従業員の現在数というものから考えますと、大体大きく出るところと非常に小さいところ、これは現在数というところから、ある程度の推定はできるわけでございますが、これは最後数字はもう少し詰めてからまた御説明申し上げるときがあろうかと思うのでございます。いまそういう段階でございます。
  29. 阿具根登

    ○阿具根登君 板付の二千名はわかりましたが、その他の五百というのは大体どこなんですか。それから陸海軍が三千五百ということが出ておって、その細分はまだはっきりしておらないから申し上げられない、こういうことなんですが、この数字発表されておられるが、新聞等にも出ておりますが、そうすると、この対象になってくるところは非常な不安があるわけです。非常な動揺を来たすと思うのです。それならば、一応これだけの数字が出るならば、推測としてでもこれだけのやつが出るならば、一体陸海軍のどこにどれだけ出るのだということがまずあるはずであります。そうして、それに対する雇用条件その他の考え方をまとめられなければならぬと思うのです。だから、そういう不安を一掃するためにも、三千五百名の内訳——板付以外の部分の五百は一体どこなのか、そういう点をはっきりしておかなければ、とても雇用対策なんか考えられるわけがない。そういう点も、ここまでおっしゃったのですから、ひとつはっきり言っていただきたいと思うのです。
  30. 小野裕

    政府委員小野裕君) 重ねて申し上げておりまするように、最終数字というものがまだ確認できませんので、いま過大の数字を申し上げても過小の数字を申し上げても差しさわりがございますので、慎重に扱っておるわけでございますが、ただ、私どもといたしましても、いま先生がおっしゃいましたように、できるだけ早く正確に近い数字を握りまして、それによって対策を立てなければならない、この点はそのとおりでございまして、せっかく努力をしておるところでございます。いまお尋ねの、具体的にもう少し基地別にでもこまかくわからぬかというお話でざごいますが、数字としてははっきりしたことは申し上げにくいのでございますが、空軍関係といたしましては、板付のほかに、当然横田、立川、三沢というようなところが主要基地でございますから、そういうところに及ぶであろうということは考えられるわけでございます。それから海軍でございますが、海軍も御承知のように、米海軍主要基地横須賀でございます。これはほとんど半分以上のまあ現在は力を持っておるのでありますが、この横須賀をまず筆頭にいたしまして、あと佐世保の港、厚木、岩国の飛行場、航空部隊、この四つが大きな拠点でございます。当然そういうところから大きく出るであろうことが考えられます。陸軍の場合も、陸軍が大きくいま残っておりますところは相模原と所沢であり、また、座間でございまして、このところに集中するであろうということはおよそつかんでおりますが、数字が何百何十名であるというようなことについては、ただいまの段階では申し上げるわけにまいらないと、こういうわけでございます。
  31. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 総理府の方が来られたようですから、先ほど中央離対協の現状についてお伺いしたわけですが、過去数年来、この駐留軍労務者は年々解雇者が出ております。これに対してどういう対策中央離対協としてとられておるか、まずその点をお聞きしておきたい。
  32. 松永勇

    政府委員松永勇君) 中央離対協は、特別措置法にございますように、要するに各省協議機関として設けられたものでございます。したがいまして、駐留軍離職者が出ました場合のいろんな各省における措置総合的調整と申しますか、協議を行なって統一ある措置をとるようにということで設けられたわけでございますが、従来、適時この会議を催しまして、駐留軍離職者が出ますたびに、各省のそれぞれの行なうべき所管の仕事を総合して、全体としてどうやっていくかということを協議してまいったのでございます。
  33. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 具体的に、その協議の中で、そういう整理をされた労働者生活保障されておるかどうか、こういう点の確認はございますか。
  34. 松永勇

    政府委員松永勇君) それぞれの措置というものは各省が主管の大臣としましてそれぞれの仕事をやっております。たとえて申しますれば、労働省関係仕事事後措置として多くなるかと思いますが、公共職業訓練とか、あるいはその就職あっせんということで措置してまいっておるわけでございます。したがいまして、そういうことの指導というものは、これは労働省がその責任権限によって実施しておる。全体として、この協議会は、そういう措置をいかにしたことが妥当であろうかということを協議し、それぞれの省の権限においてやっていただこうということを推進していくというやり方で進めておる次第であります。
  35. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 その中央離対協に出席をするメンバーはどういう方々出席をしておりますか。
  36. 松永勇

  37. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そういう各省次官クラスが集まって、そして対策協議していくということは、私は、少なくとも駐留軍労務者政府雇用労務者として、当然政府責任を持って、そういう不幸にしてと申しますか、離職を余儀なくされた方々生活雇用主としての立場からめんどうをみていく、こういう立場からそういう法律に基づく協議会がつくられたであろうと、こういうふうに私は思うのですが、そういう立場からいきますと、これらの離職者に対しては、当然政府が再雇用と申しますか、再就職責任を当然持たなければならぬと、こういうふうにも思うのですけれども、そういう点について、この駐留軍労務者の性格と申しますか、駐留軍労務者というのは一体どうい性格のものか、そういう点をひとつ施設庁長官からお聞きしておきたいと思います。
  38. 小野裕

    政府委員小野裕君) 駐留軍基地において働きます日本人の従業員の地位でございますが、これは安保条約に基づき、地位協定がございます。この地位協定によりまして米軍の必要とする労務者を提供する。これは日本政府責任になっておるわけでございます。その仕事は、中央官庁といたしましては防衛施設庁におきまして担当いたしてまして、さらに、実際の仕事は都道府県知事にお願いをいたし、委任を、いたしまして、まあ現場の機構としては、労管事務所等を中心にいたしましてお世話をしておるわけでございます。その身分といたしましては、今日では国で一応雇用しておる人でございますけれども、国家公務員という公務員法のワクからはずしておるという状況の地位にございます。
  39. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そういう国家公務員というワクからはずれておるけれども、しかし、政府雇用労働者であるということは、これははっきりしておるわけですね。したがって、そうすれば、これらの離職者に対する生活保障というものは、当然国の責任としてなされていなくちゃならぬ、こういうふうに思うのですが、先ほどからの御説明によりますと、あと二、三カ月で六千名以上の労働者整理をされるといいながら、何ら具体的な対策を持っておらない、これから検討していくんだ、こういう御説明でございます。しからば、具体的な検討はそうであっても、基本的にどういう方針で、この整理される労働者に臨もうとしておるのか、その辺のやはり考えがなくてはならぬと思うのですが、それは雇用主としての立場からも当然なくちゃならぬ、こういうふうに思うのですけれども、その点はどうですか。これはひとつ直接雇用主施設庁長官からお伺いいたします。
  40. 小野裕

    政府委員小野裕君) 駐留軍関係従業員方々がいろいろ御苦労をしてこられまして、いま自分の意に反して離職するということになりますことは、まことにお気の毒なことでございまして、今後も再就職、新しい職場において再出発されるということにつきましては、最善のお力添えをしなければならない、この点につきましては異存はございません。ただ、一般に労働行政の問題といたしまして、再就職というような問題につきましては労働省にお願いをいたしておる。こういうわけでございます。
  41. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 いまの労働力の需給関係から申しますと、若い労働力は非常に売り手市場といわれまして足りない。しかし、この中高年層の労働力の需給関係は非常に悪いということが、これは労働省からの発表でも出ておるわけです。で、この駐留軍労務者の平均年齢を見てみますと、これは昨年ですが、現在どうなっておりますか、あとでお聞きしたいと思いますけれども、昨年でも平均年齢は四十三歳、しかも、三十八歳以上が八五%もいると、こういわれておりますね。現在その平均年齢と申しますか、今度整理されるであろうというような方々の年齢構成ですね、そういうのはどういうふうになっておりますか。おわかりですか。
  42. 小野裕

    政府委員小野裕君) 私こまかい数字を申し上げるわけにまいりませんが、いまお話のように、大体全従業員につきまして、平均年齢は約四十三歳、これはお話のとおりでございます。まあ四二・八とか九とかいうところでございます。今回整理に該当いたしますものについては、全然わからないのでございますけれども先ほど申し上げましたように、板付のように大幅に整理がございますところでは、中高年の方も大量にそういうことに相なるかと思うのでございます。ただ、それ以外の基地につきましては、基地の閉鎖とか大縮小とかいうことでございません。まあたとえば一割前後の人が整理されるということになりますならば、これは従来の行き方といたしまして、勤務年限の少ない方、ことばをかえますならば、比較的若い方、こういう方が先に解雇をされるということになっておりまするので、全体の平均としては必ずしも高いわけではないかと思うのでありますが、ただ、その全体の平均がどうなるか、私ちょっと正確にはわからないのでございますが、大量に整理される地区では中高年の方がやはり相当に入る、あるいはたくさん入る、その他の基地におきましては若い方のほうが多いであろう、こういうふうに考えております。
  43. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 施設庁長官として、施設庁としては直接の雇用主でございますから、整理をされた方々のその後のそれぞれの実態と申しますか、どういうところに就職をして、どういう就職率であるかというような点、そういう点は把握しておられますか。
  44. 藤本幹

    政府委員藤本幹君) 離職された労務者の方の帰趨の状況につきましては、毎年一回ずつ定期的に調査いたしております。その調査の報告書によりまして申し上げますと、一番最近の三十八年の七月現在におきますところの就職状況でございますが、軍の再雇用というものが三四・一%、自衛隊要員一・一%、官公庁三・三%、民間の会社、これが五百人以上の会社に就職された方々が一六・五%、五百人未満の会社に二五・八%、個人商店六・一%、その他九・三%、就職先の不明なものが多少ございますし、大体の帰趨の状況は以上のとおりでございます。ただ、この報告は各府県の渉外労務管理機関にお願いいたしまして、それぞれの機関が各人にあてて調査を依頼し、その回答を得たものの中から出た数字でございますので、念のために申し上げておきます。
  45. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そういう数字が、はたして過去の整理をされた全員を対象にしてその調査をされたかどうかということは、それははっきりしていないわけですね。
  46. 藤本幹

    政府委員藤本幹君) はい。ただいま申し上げましたように、全部の数字ではないと思います。
  47. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 いま御説明のありましたこの数字から見ると、非常に就職率がいいような数字になっておるようにも思いますけれども、しかし、それはやはりはっきりしたものだけの数字になろうかと思いますので、当然であろうと思います。しかし、先ほど申し上げましたように、現在の労働力需給関係からいくと、非常に今後の再就職、再雇用というものはむずかしいんじゃないか。特に中高年齢層が多いという段階では、よほどの対策を考えない限り、この生活保障はできないというふうに思います。そこで、先ほどから施設庁長官も十分な対策を立てたいと、こういうことでございますが、私は、やはり国が雇用者として、国が雇っておる労働者ということでございますから、それは整理をされても、やはり国の雇用する労働者として、それらを引き続き雇用していくということがあってこそ、初めてほんとうにいままでの国の労働者としての立場が守られるというか、それが本筋ではないか。その仕事がなくなったから、今度は民間のほうへするんだということでなしに、いままでも国で雇っておるんですから、その職場がなくなれば、当然別な国がやっておる仕事のほうへ回していく、こういうことが基本でなけりゃならぬと思うんですが、そういう点についてのお考えはどうですか。
  48. 小野裕

    政府委員小野裕君) 国で雇用しておった、政府で雇用しておった労務者であるから、米軍のほうが御用が済んでも、別な国の部署で働かしたらどうか、こういうお話だと思うのであります。その点につきましては、私どももできるだけそういうような方向で片づくならば、これはけっこうなことであるということは考えております。ただ、実際の問題といたしまして、すぐその場所でその人に合う欠員のある部署があってそこへお回しするということは、そう簡単にはまいらないのであります。こういう点につきましては、先ほどお話しの離対協を通じまして、今後各省庁にも御協力はお願いいたしたいと、そのことは考えております。
  49. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 今年度の予算案の中でも、各省は、それぞれ設置法の改正をいたしまして、定員の増加をはかっておるわけですね。したがって、やはりそういう一つの機会をとらえて、これらの整理者に対する対策を考えていくということが私は大事だと思うんです。しかも、いま申されたように、中央離対協というのが各省から全部集まってやっておるわけですから、これは積極的に防衛庁としては各省に働きかけて、全員が、いままでどおり国の雇用する労働者として職場を確保できると、こういうふうにしなけりゃならぬと思います。そういう点について、労働省としてはどういうふうに考えていますか。労働大臣から。
  50. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) こちらの要求する適当な資格に当てはまる人物があれば、むろん採用するにやぶさかでございません。ただ、労働省といたしましては、ただいままでのところ、主として、炭鉱離職者をかかえておりまするので、これにつきまして、いろいろでき得るだけ労働省部内の適当なポストに採用したいという考えをもって進んでおります。しかし、駐留軍関係労務者につきましても、適当な人物があれば、もとより採用いたしたいと思っております。
  51. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 炭鉱労働者も、もちろん現在の情勢下で非常に気の毒な方々ですから、優先的な再雇用の機会を与えるということは、当然であると思いますが、この駐留軍労務者も、私は、炭鉱労働者に劣らず、非常に気の毒な方々であろうと思うのです。これはとにかく軍縮をし、平和へ進めば進むほど職場がなくなるというような立場の人ですから、これこそやっぱりわれわれの願っておる平和への道の犠牲者と言っても私は過言じゃないと思うのですよ。したがって、それだけに、政府としては、ほんとうに真剣になって再就職、再雇用の対策を考えていく、そのためには、やはり、いま申し上げましたように、政府全員をかかえ込む、これくらいのやはり積極的な態度と申しますか、そういう対策が必要ではないか、こういうふうに思いますから、ひとつそういう点については、防衛庁としても、あるいは労働省としても、当然これは労働者の保護行政を担当する省として、ひとつ各省庁に、こういう駐留軍労務者に積極的な再雇用の機会を与えるような働きかけをぜひお願いしたいと思うのです。確認しておきたいのですが、これらの方々に対する優先的な採用ということをやりたいということの御答弁というふうに確認してよろしゅうございますか。
  52. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) ただいま私の申し上げましたのは労働省としての立場で、政府部内全体ということに相なりますると、やはり関係のそれぞれの機関から協議会に参画しておられますから、この協議会におきまして十分御協議いただいた上でないと、私からここでまだお答えを申し上げるわけにはまいりません。
  53. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そこで、具体的な対策がまだ出ておらないということで、非常に遺憾に思っておるのですけれども就職が完全に見通しがつくかどうかもいまのところわからないということで、労働者は非常に不安にかられているわけですけれども、これら労働者生活保障のための措置についてひとつお伺いしたいわけですが、いま退職金等を見ましても、それぞれ非常に少ない。したがって、労働者も退職金の増額の要求をしておるというように思うのですけれども、その退職金の増額について、特別にこの際考えていく方針があるのかどうか、その点についてお伺いします。
  54. 小野裕

    政府委員小野裕君) 退職手当の問題でございますが、実はかねてから懸案でございまして、米軍との間におきましても、一昨年以来、非常にしつこい交渉を重ねて、改善の道がないかということで折衝してまいったのでございますが、なかなか思うように打開できません。そういう状況で推移いたしましたところ、昨年の暮れには——ただ、先ほどからお話の、在日米軍配置調整という問題で米国側と正式の話し合いをする機会がございましたので、その機会に、かねて懸案である退職手当制度の改善ということにつきましていろいろと申し入れをし、相談をしたわけでございます。しかしながら、まことに残念でございますけれども、その交渉は、米国政府におきまして退職手当の制度を改正する考えはないということで、先方ではけってまいりました。こちらとしてはまことに残念でございますが、今日の段階では、すぐその場で片をつけるというわけにはいかないということから、しかし、米国側の改正する意思はないという回答に対して、こちらとしは、それは承服いたしかねる、われわれとしては、引き続きこの改正について強力に申し入れをするから、先方でも十分検討してくれるようにということで、昨年の末に話し合いが一応切れている、こういう状況でございます。この退職手当の増額と申しまするか、改正も、実を申しますると、まあいろいろ御意見もございまして、全面的な改正を要望されている向きもあるわけでございますが、私どもの別断といたしましては、十年以上長期御勤続になった方に対する退職金の支給率を改善をするということで、当時しぼりまして米国と折衝をしているわけでございます。この見通しといたしましては、なかなかきついように感じております。
  55. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 一般に官公庁で、いわゆる強制的に退職をさせられることか、あるいはやむをえず退職をさせられるというような方は、大体八割増し前後の退職金はもらっていると思うのです。しかし、いま施設庁長官お話ですと、十年以上の者だけは八割から九割増しの退職金値上げの考えで米側折衝した、こう言われますけれども、この点は一般公務員との比較からいっても、ちょっと片手落ちだと思うのです。やはり全員について、そういう一般の公務員と同じような、あるいは三公社の労働者と同じような退職金の増額をはかることが私は必要ではないかと思うし、また、当然ではないかと思います。そうしていまの、米側が金を出さないからできないのだと、こういうことも私には納得できないのです。雇っているのは政府でしょう。しかも、直接雇用しているのは施設庁ですからね。そうすれば、アメリカさんのほうで金がないから出せないといっても、政府には幾らでも金があるのじゃないですか。ですから、政府がそれを出すくらいの、あと足りないものは政府で持つというくらいの積極性がなければ、アメリカさんとの折衝においても強力な交渉は私はできない、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  56. 小野裕

    政府委員小野裕君) ただいまのお尋ねのうちで、十年以上の者に八割、九割というような御発言でございましたが、その点は、内容といたしましては、そういうような形ではございませんので、まあ従来の七年、八年という方と十年をこえた方との間に差がつくという意味の改正をいま提言しているわけでございまして、その点をひとつ御了解を願いたいと思います。そういうような交渉をするにあたって、日本政府が自前ででもめんどうをみるのだ、それくらいの気がまえで当たらなければだめだとおっしゃられるのでございますが、今日までの駐留軍関係従業員に対する給与というものは、一切米軍負担というたてまえで今日まできております関係上、私どもとしては、できるだけ米軍に納得をきせて、米軍から出させるという方向で努力をしているわけでございまして、ただいまの段階では、日本政府側でその給与のうちの一部を持つというような体制については、ただいまのところでは考えておらない次第でございます。
  57. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 私も以前電電公社に勤務しておりましたが、その当時、米軍基地の中に特別電話局というのがございまして、その中で働いておる労働者の賃金は米側が負担をしておるということがございました。そこで、いろいろ要員問題等について、あるいは賃金の問題について話をしますと、米側は十分やっておるのだということをよく口にしているわけですね。どうしてたくさんくれておるのに、労働者に対してはそれだけいっていないのかということをいろいろ調べてみますと、いっておる金から多分にほかの方面に使われているということがあるわけです。おそらく施設庁でもそういうところが私はあるのじゃないかと思うのですが、今年度の予算の中で、調達労務管理事務費というものが計上されております。これは八億三千四百八十一万四千円になっておりますけれども、この内容についてお聞きしたいわけですが。
  58. 小野裕

    政府委員小野裕君) ただいまのお尋ねにつきましても、実はもう少し御説明を申し上げなければならない点があろうかと思うのでありますが、出ている金がそのとおり出ていないのじゃないかというお尋ねでございますが、この点につきましては、労務者に対する給与は、米軍と私のほうで協定をいたしました一つの基準によって労務管理事務所が立てかえ払いをいたします。払いまして、その金額そっくりを米軍が調達資金という私どものほうの金庫へ返納をするわけでございます。ですから、それが途中でどうにかなるということは絶対にあり得ないわけでございます。実績払い、実績を米軍は弁償するわけでございます。ですから、その意味においては、それが途中でおかしくなるというようなことは絶対あり得ません。  それから、八億ということをおっしゃいました。これは労務の管理の経費でございまして、これは日本人の職員——日本側の職員でございます。私ども防衛施設庁の中におります労務部の職員、それから、府県におります労務関係の労務を取り扱う職員、こういうような人々の人件費を中心とした予算でございまして、これも同じように、一応これは日本政府の予算に載りましてそれぞれ支出されますが、それの実績を、米軍側は大体その基準がございますが、その基準によりまして日本政府へ返納をするということでございまして、途中でおかしくなるというふうなことは絶対ございません。ただ、八億円の内訳につきましては、労務部長から説明いたさせます。
  59. 藤本幹

    政府委員藤本幹君) ただいま御質問の労務管理事務費の内容でございますが、長官から御説明のありましたように、これはすべて都道府県におきまして駐留軍関係の業務に携わっておられる方々の職員の給料、諸手当、そういうもの、あるいは管理事務費の経費、そういったものでございます。
  60. 阿具根登

    ○阿具根登君 施設庁説明を聞いておりますと、ここで説明しておられるのをそのまま私どもが了解していけば、もう何もできぬということになるのですね。いわゆる防衛庁関係政府関係からの支出は一切考えておらない、そうして米軍に対して十年以上の特別退職金とでも申しますか、その支出を迫っておるけれども、見通しはありません、きわめて渋いですということでは何もできぬということじゃありませんか。自分のところで全然金を出す気はありません、アメリカさんからとってやろうと思って交渉しましたが、アメリカに出す気は全然ございません——それじゃ何もないということじゃないですか。どうなりますか、そういう場合。それがどうにもならないのだ、言われたとおり首を切るのだ、退職金はいままでどおりだと、それ以外に結論は出てこないじゃないですか。それじゃどうなるか。
  61. 小野裕

    政府委員小野裕君) ただいまのお話でございますが、実情はそのような状況にあるのでございまして、これをいかに打開するかということで、私どもいまいろいろ検討をしておる状況でございます。
  62. 阿具根登

    ○阿具根登君 いかに打開するかという問題は、その二つに何がありますか。どうにもできぬなら政府から金を出すのだという打開の方法もあるでしょう。しかし、アメリカの労務者の給与体系等を考えるならば、実に安い賃金で日本人は働いておる。そういう観点に立っても、いかなることがあっても米軍に出させるだけの努力をしたい、出させるのだという、この二つのどれか一つしかないわけなんです。それを二つとも否定されておる。そのほかにどういう金の出どころがありますか、御説明願います。
  63. 小野裕

    政府委員小野裕君) ただいまのところは、まだ成案と申しますか、解決案というものはまだ持っておりません。
  64. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そういう何といいますかね、非常に無責任態度あと二、三カ月で六千名も首を切ろうというのは、非常に政府——これは少なくとも政府というのは、国というのは、一般の民間の経営者に範をたれなくちゃならぬと思うのですけれども、そういう立場にある雇用主がそういうことでは、私は非常にいかぬと思う。だから、私は、先ほど来何らか手を見つけてやろうと思っていろいろお伺いしているわけですが、いま施設庁長官が申された労務管理ですね、その施設庁には、大体労務部長以下百五十名くらいおるでしょう。それから、各県にもそれぞれおるわけですよ。それで、その人の人件費とか何かはこの中から出しているというのですけれども、そういう方々は国家公務員でしょう。地方公員務員でしょう。国家公務員、地方公務なら、アメリカさんからもらった金でなくて、国の予算の中から当然支払うべき方々じゃないですか。この点はどうなんですか。
  65. 小野裕

    政府委員小野裕君) これはまあ米軍との相談の問題でございますが、今日までの取りきめでは、米軍労務者従業員を提供するためにそうした管理職員が必要であるということから、労務者一人当たりどれくらいの管理費が要るであろうかというような数をはじきまして、その分だけは米軍が弁償をすると、こういう形で米軍から回収するわけでございます。ただ、この分は、お話のように、国家公務員または地方公務員でございますが、一応政府予算も通しまして処理をしておる、こういうわけでございます。
  66. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ぼくもちょっとわからぬようになったんだけれども、その八億幾らという額はまあともかくとして、防衛庁施設庁——防衛庁の中の施設庁ですね、その給与は国家公務員として保障されているわけでしょう。そうすると、八億円というのはいまお話に出たんですけれども、どういう人をどういうところに使っているのですかね、それを聞かしていただきたいのです。
  67. 小野裕

    政府委員小野裕君) いま八億円全部じゃございませんが、その大部分は人件費でございますが、これは防衛施設庁におきましては、いまの駐留軍従業員方々仕事を担当しておる労務部という部がございます。その部の職員は百二十名でございます。その百二十名の関係、それから、各府県にその第一線の仕事をお願いしております千二、三百と思いましたが、この府県の職員、この合わせて千三、四百の方の経費でございます。
  68. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 だんだんなおわからなくなってくるわけですけれども、その人の身分は国家公務員じゃないですか。国家公務員は給料を予算でとって払って——アメリカからもらうのですか、その給料額を。
  69. 小野裕

    政府委員小野裕君) 大体そのとおりでございます。国家公務員として、あるいは地方公務員として、それぞれ正規の職員でございまして、国なり府県なりの予算で人件費は支弁しております。それのいわばその仕事が特に米軍の労務関係仕事を中心にやる仕事であるから、その分の経費を米軍が弁償しようということで、その金額の大部分を日本政府へ返してくるわけでございます。
  70. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それは日米会議の取りきめで、返すという取りきめがあるから、この問題はこの問題にしておきましょう。  そこで、柳岡委員の言っている点、もうちょっとはっきりしてもらいたい。阿具根委員も言っていますが、それは、アメリカ軍というのは、駐留軍の軍事的計画変更によって、時期をかまわず、すぱすぱ首を切る。私は思い出すわけでありますけれども初めは駐留軍は三十何万労務者がおった。それがぼちぼち順次数が減ってきたけれども、私は、その離職対策というものについて、ほんとうに真剣に取り組んでこられなかったのではないかという気がします。私は、政府が雇用をして、責任を持って提供して、アメリカの都合で、日米間の協議で駐留——いまは駐留軍ですが、減ったなら首を切られる、そういうかっこうになれば、政府責任を持って雇用して、そうしてアメリカの都合でかってに次から次に首を切られてしまうというかっこうであれば、政府責任として、その離職対策——そのあと就職の世話や何か一切するということが、私は、労使間の契約上、必ずそういう状態になっている面からも、責任があると思うのです。そういう慣習が、いま目前に六千名も解雇されるという中でこの同じ議論を繰り返しているわけですが、何か聞いていたって、全くもってつかみどころがないという前段の議論がございました。これには、やはり労働省が引き受けるなら引き受けるというかっこうで、労働省がもっと雇用計画や再就職責任を持つという労働行政があってしかるべきだ。私は、労働行政でなしに、直接の雇い主である施設庁長官責任を持ってやるべきだ。その具体的な処置は労働省がやるということになるのではないかと私は思う。それが前段で、後段に入ってきて、それじゃ首を切る、この前きまったように、最高一万円の特別手当、特別金でお茶を濁してしまう、これが現状じゃございませんか。だから、いまのように、その特別の退職金の問題が議論になってくるわけです。何か八億幾らの給与の問題も、それはそれなりに政府との間に契約があったとして、これはあとから補てんしてもらうのだというかっこうであるなら、労働者の、他の官庁でやっている並みに、駐留軍も、国家の責任上、雇っている公務員という資格と立場というものは、同じ皆さん方、公務員の権限でと申しましょうか、国の施策の執行者の一員として、政府責任者の一員としておやりになっているなら、駐留軍に働いている方々にも同じような方法をとっていいのではないかという議論が出てくるのは当然だと思う。だから、他の官庁と同じようにやって、それだけアメリカに要求をして取る。それでなければ日本の労働者は困るのじゃないか、こういう立場で交渉すればいいじゃありませんか。だけれども、そういう前段の問題があいまいにされて、それが慣習のようなかっこうで、無責任にほっぽり出しているというかっこうだから、給与の問題も、とかく相手さんの言うとおり、はいはいということで、ただ労務者に伝えるという、事務的なこの伝える機関くらいにしかなっていないような感じになるわけです。阿具根委員がさっき申しましたように、アメリカと交渉しましたけれども、これは見込みありません、政府でも考えておりませんというなれば、結局そういうことになるじゃありませんか。そういうことでは、政府がこれに労務を責任を持って提供して、政府と雇用関係にあった駐留軍労働者の身分というものはどうなるのですか。まず前段の処理をしなければなりませんよ。完全に就職をさす。だから、私も先ほど申し上げたとおり、前段の問題として、あとは全部それじゃ政府機関の公務員に自動的にお雇いになるのですか、これが一つ。そうでなければ、どういうところに就職して、その人の生活上、今後の身分上の保障をするのですか、どちらですかと私は尋ねる、そこが前段ですよ。  その前段の処置を講じて、同じ身分と、公務員と同じような資格で、年限もずっと通算されて、政府機関、公務員の職場のようにされるなら、身分の問題で、ここであまり議論をしなくて、議論は少なくて済む、しかしその前段が一つも確約されないでほったらかされておるならば、身分の問題が出てくるじゃないか、就職生活手段、家族をかかえた労働者生活手段というものが出てくる、そうなってきたときに政府機関、公務員と同じような処置が退職金等講じられて、前段の処置が講じられ、そこに全精力を集中されて、施設庁としては雇い主、具体的に人を使っているのはアメリカなんですから、アメリカの今日の給与体系から見て、平均時間給が三ドルと言われている。幾らになるのですか。それだけの給料と、いま駐留軍労務者の給料とあわして見て、日本は社会保障が老後の所得保障としての年金その他の保障がされてないなら、退職金というものは生まれてくるのは当然です。だから、私はそこに要求を正々堂々として、労働者を雇っている皆さん方が労働者を守るという立場から、この問題に取り組まなければ、相手方があかんと言えば、それまでです。政府保障しませんというようなかっこうで、ここで幾ら議論してみたって、どうにもならぬじゃないですか。私たちはだから、これは政府責任でこちらに再就職の見込みが立たないなら、アメリカ軍の戦略的な問題は戦略的な問題でありましょうけれども、雇用契約の要求をする、あわせて日本で雇用計画を立てて、完全に就職の場が立つまでは国が保障する、国の責任処理をする、こういうけじめというものを駐留軍六万の労働者につけてあげなければ、これほど不安定な、不安な労使関係生活関係、身分の関係というものは私はないと思う。そこらを明確に政府機関の各省において、駐留軍離職対策特別委員会があるわけですから、総務長官を中心として、その重要なメンバー施設庁長官だと私は思うのです。だから、それくらいの親心という、雑な言葉で言うたら、そうでありますけれども仕事をしてもらって、義務を負わして、こっちは労働者だけが義務を負うて、雇っている方は、義務を負わないなんていうのは、そんな関係はありませんよ。  きょうも午後、ILOの議論をするのですけれども、ILOを中心に世界の労働関係が、労使関係が主権者国民としての関係が、どういうふうに向いているかということも、ひとつ深く掘り下げて施設庁は考えていただかなければ問題は処理できないのじゃないか。ここらの関係について、どうお考えになっているか、ひとつ御意見を聞かしていただきたい。
  71. 鈴木強

    委員長鈴木強君) いま、三人の御質問があるのですが、問題は、いま藤田委員の言われました、足りなければ、ひとつ要求して米軍からとったらどうか、こういう御意見ですね。それに対して、あなたはむずかしいという見通しを言われたわけです。しからば何もないじゃないかというのが阿具根委員の重ねての質問だと思います。  そこで安保条約なり行政協定によって、日本の政府が米の駐留軍に対して、労務者なり施設なりを提供するということになっているわけです、一応。したがって、そういうことは条約上あると思いますけれども、しかし裏づけになる人件費なり施設費というものの全額をまかなっているわけじゃありません。ですから、八億何ぼかという金のうち、どのくらい人件費かわかりませんが、柳岡委員のおっしゃったのは、要するに国家公務員、地方公務員であるならば、当然、その予算内においてまかなわれないならば、国の予算において、あるいは県の予算において支払ったらいいじゃないか、そうしてできるだけ人件費というものをうまく使って、退職手当の増額なりなんなりしたらどうか、こういう話をあなたに聞いているわけですね。そこのところ、幾らか政府の気持としてあるかどうかということであると私は思うのです、柳岡さんの質問の要旨は。委員長は、そういうふうに、いま理解しておったものですから、整理をしてみたのですがね。
  72. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 先ほど調達労務管理費ですか、これの問題について国家公務員、地方公務員という身分の方に、そういう方式ができるならば、当然同じようなケースで働いておる駐留軍労務者にも、そういう形のものができるのじゃないかと思うのですよ。政府が一応労働者に対して、身分を、国家公務員なり地方公務員としての身分を与え、そうして、政府が支払いをして、それをもらっているわけでしょう、管理費は。それと同じようなことが、一般駐留軍労務者にも私は当てはめても、何らおかしいことはないじゃないか。しかも、そうすることによって、初めてこの政府としてやりたいことも、あるいは、米側がどうしても出さない場合は、政府の金が出せる道が私はそこからも開けてくるのじゃないか。こういうふうに私は思うのですよ。そういう点が、なぜできないのかというふうに思うのですがね。
  73. 小野裕

    政府委員小野裕君) ただいまのお尋ねにつきましては、一応軍の要員についての人件費というものは全部米軍側がみるというたてまえで、いままで話がついてきておるわけでございます。八億という数字がございましたが、これは先ほどから申し上げておりますように、労務管理に関する費用でございますが、労務者の給与そのものになりますると、諸給与、手当の一切を含めまして年間に約三百億円——三百にはなりませんが、二百七、八十億円は米軍側の負担で労務の費用として、直接の費用として米軍が最終的に負担しておるわけであります。八億は、それを管理するための費用でございます。結局どういうふうに出すかということは、最終的には労務提供に関する費用は、全部米軍が持つと、こういう約束になるわけでございます。たまたまそれを日本の政府なり、あるいは府県の方々仕事をやっていただくという場合には、そのお役所の方にして、まあ公務員としてやっていただくということで、日本の政府の予算には組まれ、法律、設置法にもあるわけです。ただ、その分については、米軍側が弁償をする。これはこまかくなりますけれども、特別調達資金という制度がございまして、ここへ米軍側は返納するわけでございます。  そういうようなわけで、すべての給与というものが米軍の負担であるというたてまえがございますので、これを全部やり直しをして、日本側も持つのだというような形が出てまいりますならば、米軍側としては、当然持つものも、また、こちらへ押しつけてくるということもございます。また、こちらが出しましても、その金額そのとおりに米軍が補てんをする、返済をするということも、実はいろいろ問題が出てくるだろうと思うのでございまして現実には給与、手当というものについては、米軍と私どものほうで契約をいたしまして、協定をいたしまして、その範囲内で実行しておるわけであります。その契約、協定を変更させるということが私ども仕事でございます。  退職手当にいたしましても別途退職手当金というような制度をつくって、こちらで払って、向うに払わせりゃいいじゃないかというお話のようにも伺うのでありますが、実際には、そういうようなことはいまの退職手当そういう交渉をするということは、現在の退職手当の制度を改善させるということを交渉することと同じことになるわけでございます。その点は御了承いただきたいと思います。
  74. 阿具根登

    ○阿具根登君 そこなんですが、労務管理費は、国家公務員なりあるいは地方公務員で認められて、そうして、政府が支弁をすると、それは米軍が弁償する。こうなっているわけですね。そうすると、政府側からいえば、労務管理と労務者を分けておるのを、そのまま肯定されておる、同じ政府の雇用者なんだ、しかし、これは国家公務員、地方公務員のワクには入っておらない。しかし、その労務管理者に対する手当ては厚くて、労務者に対する手当てが低い。その労務者に対する手当てを上げろという交渉をやっておるけれども、なかなかむずかしいんだというならば、労務管理者に接しておる態度で、政府労務者に接しなければならぬ。もしもあなた方の交渉で、それが取れなかった場合は、労務管理者に対する待遇と同じ待遇を労務者にするのが妥当じゃないか。その考えがなくて交渉しても取れっこないじゃないか。取れなかった場合に、政府が出す考えがないじゃないかということが、私の一等最初から質問しておるところなんです。考え方の相違なんです。その考え方がなくて、労務管理者は国家公務員だから、国家公務員に準じて首切りの場合には、それだけのプラスアルファをするのだという、こういうことをいままでやっておる。労務者は、米軍が支払うのだというかもしれないけれども労務者を直接雇用しているのはあなた方でしょう。なぜ国家公務員と労務者を、そんなに差別つけなければならないのか。米軍との交渉できなかった場合は、なぜ、政府責任を持つのだ、こう言えないのか。なぜ違うか。
  75. 小野裕

    政府委員小野裕君) 実は、私はっきり申し上げかねておりますために、いろいろ誤解もお持ちであろうと思うのでございますが、これは米軍との折衝の際に、いろいろな問題がございます。こちらの言い分もございますが、先方の言い分もございます。実は、現在の駐留軍従業員の給与関係というものは、一昨年から、大体公務員給与の待遇に準ずる待遇に改まったわけでございます。それから退職手当の制度にいたしましても、日本の公務員の整理等の場合に支給されます退職手当と比べまして、ある均衡を持った一つの現在の制度になっておるのであります。これが有別であるか不別であるかということは、実は私的な席ではよくお話し申し上げることもできるのでございますが、ちょっと申し上げにくいような実はデータもあるわけでございます。私ども、その辺は非常にデリケートな問題でございますので、まあはっきりしたことも申し上げかねて、私どもは、いま一番苦しんでおる点は、どこにあるかということがちょっと申し上げにくい点がございまして、これは別な機会に申し上げられればけっこうだと思うのでございますが、そんなような事情もございまして、全体としては、そうひどい扱いをしているわけではないのであります。ただ、もっとよくしたいということで私ども努力しておる。  ただ、こういうことをあまりはっきり申しますと、またいろいろ、まあこれは大きな声では申しにくいのでございますが、各方面との折衝の際に支障のあるようなこともないわけではない。この点をお察しいただきたい、こう思うのです。
  76. 阿具根登

    ○阿具根登君 通常の場合を長官言っておられると私は思うのです。こういうように自己都合でなくて、相手の都合で首を切る場合、やめてもらう場合、これは国家公務員の場合でも、相当な加算金がある。民間でもそれをやっておるわけなんです。それをなぜ認めないのかというのが、今度の退職金の制度でしょう。それを通常の自己都合でやめる場合と同じような考え方じゃないか。それならば、あなたのおっしゃるのもわかりますよ。
  77. 小野裕

    政府委員小野裕君) それじゃ、恐縮でございますが、ちょっと速記はいかがでございましょうか。ちょっと一言でございますが……。
  78. 鈴木強

    委員長鈴木強君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  79. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 速記を始めて下さい。
  80. 阿具根登

    ○阿具根登君 事情は、もう少し詳しく聞きたいと思うのですけれども、その考え方の先に立っておるあなたの最初の発言が、米軍と交渉しても見込みはありませんと、きわめてきびしいのですということであるから、あなた方が交渉されても出っこないんじゃないかということから発展しているわけなんです。私も資料を、いまずっと見せてもらっているわけですがね。だから、そういう微妙な点もありますけれどもあとで詳しく御説明を聞きますけれども、その考え方なんです。交渉はしても、相手は出す気持はありません、政府はこれに対して出す気持はありません——交渉をするということは、こういう時期に六千名からの人が出ていく、中高年齢者ばかりだ。非常に就職も困難である、少しでも退職したあと生活がよくなるために、退職金をなるべくたくさん取ってやろうという親心から交渉されておる。それがまた当然だと思うのです。  それが見込みがないというならば、自分のほうでどうするのかということが、なかなか出ぬというのが、この質問の発端でしょう。だから、あなたの気持の中に、これは国家公務員と同じようにしておりますよというのが最初からあるとするならば、そういう交渉をされるのがおかしい。そうじゃないでしょう。六千人からの人がいまおん出される、それじゃこのくらいの退職金じゃいかぬ、当然上げるべきだという気持が施設庁の中にもあるのでしょう。われわれの中にもある。やめていく人は、特にそれは強いはずです。だから、その言われることと行動されておることが矛盾しておりはしないかということを言っておるわけなんです。それで、その点はひとつあとで、こういう場所でないところで、ゆっくり承りますが、そういう気持ちで私は質問しておりますし、ひとつ交渉の場合も、そういう気持ちで交渉していかねば、雇うときは勝手に政府に命令して雇って、そうして、やめるときは、政府の要求も聞かぬと、そういうことを一方的にきめられておる今日の協定が間違っておりますが、それをいま、ここで言ってもしょうがないので、その心づもりを私はここで申し上げておるわけです。あとでお伺いいたします。
  81. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 退職金の問題について、いま阿具根委員も言われましたように、その協定が一応そうなっておるからやむを得ないのだという立場でなくて、ひとつ労働者立場に立っていただいて、積極的に米側折衝するなり、あるいはやむを得ない場合には退職金にかわると申します。か、語弊がありますけれども、一応臨時措置法の中でも特別給付金という制度があるわけですよ。これは米軍とは関係ないわけでしょう。関係ないとすれば、これは政府自身の立場で幾らでも出せるわけですよ、出してやろうと思えば。この特別給付金というのが、現在のところでは五年以上つとめないともらえない。しかも、その額はわずか五千円、多い人でも、十五年以上つとめた者は一万五千円、こういう非常に少ない額になっているのですが、これについて、一つとしては、五年未満の者には出さないということではなしに、全員に出す意思はないかどうか、あるいはこの特別給付金について、もっと増額をする、こういうお考えがあるかどうかですね、その点をお聞きしたい。
  82. 小野裕

    政府委員小野裕君) ただいまのお尋ねは二点だと思いますが、五年未満で退職する人にも差し上げるということは考えられないかというのが一点だと思います。その点につきましては、私どもいろいろ研究はしておるのでございますが、まだ結論は出ておりません。  第二点は、額を引き上げるという考えはないかということだと思います。この点につきましては、わずかでございますけれども、三十九年度からは、従来の額に、それぞれ五千円ずつアップをいたしました額を差し上げるようにいたしたいということで、予算はお願いしておるわけでございます。これは決して大きな額ではございませんけれども政府側のお見舞い金というような形におきまして、気持ちのあるところはおくみ取りいただけると思います。
  83. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 炭鉱離職者のほうは、これは、こういう退職金の補助というような名目で、一応最高三十万まで出しているわけですね。したがって、同じような立場にあるこれらの労働者に対しても、私は、たった五千円の増額ということでなしに、もっと大幅な金額を支給するということがあってしかるべきだと思うし、また、当然、現在の生活から見て、就職準備のための、あるいは立ち上がり資金として、わずか一万円ぐらいの金では、どうにもならないわけでございますから、五千円といわずに、もっともっと大幅な増額をすべきではないか、こういうふうに思います。  また、五年未満の者に対してまだきまっておらないと、こういうような話でございますけれども、私は、そういう点にも非常に施設庁の積極さが欠けておるということを感ぜざるを得ないわけでございまして、こういう点について、もっと積極的な姿勢で、ひとつ特別給付金の引き上げを考えていただきたい、こういうふうに思います。  で、私どもは、駐留軍労務者のことにつきまして、完全に就職を保証する、再雇用を保証するという立場に立って、いま国会に雇用安定法というものを出しております。この雇用安定法の内容につきましては御承知かと思いますし、また、私どもがいままでいろいろ申し上げましたことが、大体中心になっておるわけでございますけれども、この雇用安定法に対して、施設庁として、長官として、どういうふうにお考えになっておりますか。また、労働省としては、これについて、どういうお考えをお持ちでございますか。その点をお聞きしておきたいと思います。
  84. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 労働省といたしましては、国会で御審議中の法案のことでございますので、御審議の結果を待っておる次第でございます。
  85. 小野裕

    政府委員小野裕君) 雇用安定法の関係につきましては、離職を余儀なくされた者が、円滑に新しい職場につけるようにという趣旨でお世話をするという御趣旨については、もとより異存はないのでございますが、ただ、私ども非常に研究を要すると思う点は、いわゆる解雇制限の条項でございますが、この問題は、非常に大きな問題であろうと考えまして、十分検討をさしていただかなければならないと、このように考えております。
  86. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで、私はいま問題になりました後段の問題の解雇される場合の退職金のことが言われましたので、これはあとから資料を見せていただいて説明をしていただきます。それから特別給付金の問題については、私はやっぱり実行していただかなきゃならぬ問題だと……。きょうは、これを繰り返しませんが、私は、問題は前段の問題なんです。労働省お尋ねしますが、いままでの駐留軍労務者解雇されたときに、どういう対策をとってこられたか。労働省の所管行政として、この離職された駐留軍労務者が、どういうところで生計の道を立てておられるか。これのまず、前段の御報告をお願いいたします。
  87. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 解雇された後の就職対策は私ども責任でございますが、過去の実績を申しますと、三十二年以来の職安を通じました就職人員は、四万六千人に達しております。これは、御承知のように、三十三年におきまするネット減四万人の大量解雇の際にも、職安としては駐留軍離職対策に万全を期してきたわけでございますが、今回の六千名の解雇予想につきましては、大体先ほどから施設庁の側で説明をしておりまするような内訳に基づきまして、各基地別に、関係の府県と寄り寄り協議をいたしまして、具体的に解雇者が出てまいりました場合には、就職についての万全な対策を講ずる、こういうふうな態度で現在準備を進めております。  で、いままでの離職対策と異なりまする点は、昨年できました職安法によりまして、いままでの離職者の臨時措置法にプラスをいたしまして、われわれとしては、中高年の就職促進対策をこれに加えまして、駐留軍離職対策に万全を期していきたい。  具体的に申しますと、失業保険金がまず、離職した場合にございますが、その失業保険金の受給期間が、半年ないし九カ月たちまして、なおかつ就職ができないときには、中高年措置でもって、就職指導手当を支給しながら就職の世話をする。また住宅につきましても、一万戸の建設計画がございますし、ことしも建設中のものがございます。これらを優先的に離職者の住宅に振り向けていく。それから雇用の場合に、職場適応訓練制度がございますが、これを活用いたしまして、雇用主と、それから労働者側に、それぞれの手当を支給しながら、再雇用がスムーズにいくようにはからってまいりたい。かれこれ就職促進の措置につきましては、昨年の改正法によりまして、非常に積極的な施策が講じ得るようになっております。これを全面的に活用いたしまして、予算上、実行上のいろいろな諸制約はございますが、駐留軍離職対策は、優先的に集中的に施策を行ないまして、万全を期してまいりたい、かような考え方で、現在準備を進めております。
  88. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、この前の議論を繰り返しませんけれども、どうも直接は、施設庁長官でありながら離職した場合の責任体制というものをどうもお持ちでないようなかっこうで、すらっと交渉をして、そして本来アメリカ軍と施設庁が頂点になって、俗にいう団体交渉で、駐留軍労務者方々離職後の問題、それから給与の問題、退職時の問題その他を総合的にお考えになっておらないような気がするから、どうもはだにぴったり合わぬので、こういう議論が繰り返されておるわけです。いま労働省から御報告ありましたけれども、ほとんど離職される人は中高年、この中高年の方々就職対策というのは、労働省は非常に努力をされていますけれども、非常に重大な段階にあるわけです。フレッシュな学卒の採り手は幾らでもあるけれども、中高層の就職のほうは非常に率が悪い、就職の機会というのは非常に少ないわけです。ですから、結局路頭にほうり出されるという答えしか出てこないわけです、普通の状態では。特別の措置を講じない限りは出てこない。政府責任をとって雇って、そして整理をして、そしてその人が路頭に迷う、給与の問題も自後の生活の問題も、十分に突き詰めていない、この状態で、今度は生活の道を断たれたら、たいへんなことになるというのが私たちの感じであります。私たちがそういうことを過去に体験しておるわけでありますから、私はこういうことを申し上げておるわけであります。  私はきょうは、午後の会議に差しつかえるから、これ以上申し上げませんけれども、この問題は、いずれまた出ていただいて、そうしていろいろと聞かしていただきたいと思うのですが、いま最後のような問題は十分に労働省と、それから駐留軍離職者対策協議会ですか、離対協の中で詰めて、そしてここで、どうするのだ、六月までに六千人、今年中に一万人首切られることになっておる政府雇用で雇用した駐留軍労働者は、将来の身分として、どうするのだということを各省と詰めて、そしてアメリカ軍とも交渉をして、そしてできるだけの突き詰めて努力された結果をひとつ、今後御報告をこの委員会にしていただきたい。そうでなければ前段のような議論が出てくるわけでありますから、これはもう、第一の前段のことになるのでありますから、ぜひそのことを労働省施設庁にお願いをしておきたいと思います。
  89. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 本件に対する御質疑は本日は時間の関係もありますので、この程度にとどめたいと思います。  午後一時まで休憩いたします。    午後零時三十二分休憩      —————・—————    午後一時三十一分開会
  90. 鈴木強

    委員長鈴木強君) では、ただいまから開会いたします。  都合により、本日はこれにて散会いたします。   午後一時三十二分散会      —————・—————