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1964-02-18 第46回国会 参議院 社会労働委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月十八日(火曜日)    午前十時三十五分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     鈴木  強君    理事            高野 一夫君            徳永 正利君            藤田藤太郎君            柳岡 秋夫君    委員            加藤 武徳君            鹿島 俊雄君            亀井  光君            紅露 みつ君            佐藤 芳男君            丸茂 重貞君            山下 春江君            藤原 道子君            小平 芳平君            林   塩君            村尾 重雄君   国務大臣    厚 生 大 臣 小林 武治君   政府委員    人事院事務総局    給与局長    瀧本 忠男君    人事院事務総局    職員局長    大塚 基弘君    厚生大臣官房長 梅本 純正君    厚生大臣官房会    計課長     戸澤 政方君    厚生省公衆衛生    局長      若松 栄一君    厚生省環境衛生    局長      舘林 宣夫君    厚生省医務局長 尾崎 嘉篤君    厚生省医務局次    長       大崎  康君    厚生省薬務局長 熊崎 正夫君    厚生省社会局長 牛丸 義留君    厚生省年金局長 山本 正淑君    厚生省援護局長 鈴村 信吾君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    警察庁保安局防    犯少年課長   楢崎健次郎君    大蔵省主計局主    計官      船後 正道君    労働省労働基準    局監督課長   東村金之助君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○予防接種法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○社会保障制度に関する調査  (厚生行政基本方針に関する件)  (看護の諸問題並びに医療制度に関  する件)  (公衆浴場法興行場法及び風俗営  業等取締法に関連する問題)  (生活環境施設整備に関する件)   —————————————
  2. 鈴木強

    委員長鈴木強君) ただいまより開会いたします。  予防接種法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から提案理由説明を聴取いたします。小林厚生大臣
  3. 小林武治

    国務大臣小林武治君) ただいま議題なりました予防接種法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。  従来、予防接種法による急性灰白髄炎予防接種には、不活化ワクチンを用いていたのでありますが、経口生ポリオワクチンの効果及び普及性にかんがみ、不活化ワクチンにかえて経口生ポリオワクチンを用いることにいたしたのであります。  これに伴い、予防接種を実施するにあたっての定期に関する規定を改正することとした次第であります。  以下、簡単に法案の内容を御説明申し上げます。  従来、急性灰白髄炎予防接種定期は、不活化ワクチンにより、第一期を生後六月から生後二十一月に至る期間、第二期を第一期終了後十二月から十八月に至る期間と定めていたのでありますが、これを改めて、経口生ポリオワクチンにより、生後三月から生後十八月に至る期間と定めたのであります。  なお、改正法昭和三十九年四月一日から施行するものとし、施行時において、従来の不活化ワクチンによる予防接種を受けて完了するに至っていない者等については、別に定期を定めて経口生ポリオワクチンによる予防接種を受けることができるよう措置いたしております。  以上が、この法律案提案する理由及びその概要でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 本日は、本法律案に対する提案理由説明聴取のみにとどめます。   —————————————
  5. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 次に、社会保障制度に関する調査中、厚生行政基本方針に関する件及び昭和三十九年度厚生省関係予算に関する件を議題といたします。  質疑のある方は、逐次御発言願います。
  6. 藤原道子

    藤原道子君 私は、厚生大臣にお伺いしたいと思います。  過日、厚生大臣に陳情いたしました生活保護患者朝日茂さんは、いまの社会保障における医療保障の不備をついて、これは最低限度生活を保障するものではないというので、提訴いたしておりました。第一審におきましては、御案内のように、朝日さんの主張が認められた。わずか六百円では日用品費にも足りない、せめて、たまには卵も食べたい、牛乳も飲みたい、こういうことでいろいろと訴えてまいりましたが、これが厚生大臣に却下され、やむを得ず提訴いたしました。第一審におきましては、この朝日さんの血を吐きながらの訴えが取り上げられまして、現地を視察したり、あらゆる方面の証人を調べました。その結果、憲法に違反するものである、妥当な、いまの扱いではないということで、朝日さんの勝訴になりました。ところが、厚生省は、人の命を守るべき立場にある厚生省は、これをあえて上告なさいました。上告後におけるあらゆる圧力が現地にも及びましたところの事例は、枚挙にいとまございませんが、それはさておきまして、ついに最低生活を保障するには非常に足りない額ではあるけれども、これは法に触れるものとは断じがたい、こういうあいまいな判決理由によりまして、ついにこれが朝日さんの敗北になりました。厚生省は当時勝った、勝ったということを新聞に報道されていたのです。私は、この態度がまんのできないものを感じておりました。ところが、これが重症にあえぐ朝日さんに非常なショックとなりまして、自来坂道をころがるような状態で病状が悪化いたしまして、ついに朝日さんはなくなりました。なくなりますその日でございましたが、私は厚生大臣に陳情いたしました。厚生大臣は、さっそく処置をするというようなことでございましたが、朝日さんの入院しております岡山療養所、あれは食事はいいはずだ、こういうお答えにのみ終始されておりましたが、病室たるや零下で、そこに火のけも何もない。私が行ったときにも、酸素吸入しておりましたけれども、看護婦はそばについていない。そういうろくな看護も受けられずに、生保患者のために自分の命を犠牲にしても、ぜひ勝ちたい、そうして日本社会保障前進のために、自分の命をささげたい、こらして、さらに最高裁に上告いたしました。戦い半ばに、その自分の願いもむなしくついになくなったのです。  いまの池田内閣は、口を開けば高度福祉国家を建設するのだ、社会保障だ、こういうことを口にされておりますが、私はほんとうにそうかどうかを疑わざるを得ない。特に私ががまんのならないのは、第一審のとき、厚生大臣代理として法廷に立たれました人の証言に、朝日さんの主張の中に、たび一足で足りないということがあるけれども、はだしで飛んで歩いても健康で育っている子供がたくさんおるじゃないか、ちり紙が一枚半で、たんを取るにも足りないという訴えに対して、ちり紙が足りないというけれども、わらその他で用を足している健康で生きている国民がたくさんあるのだ、だから、いまのこの限度日用品費は十分である、こういうことを厚生大臣代理が証言していらっしゃいます。私はここに問題があると思う。いま国民生活水準向上した、やれ福祉国家の建設だというけれども、いまこのときに、血を吐きながら病床で悩んでいる人に、わらで用を足しても健康なのだから、ちり紙一枚半は不当ではない、はだしで飛んで歩いていても健康で育つ子供がいるのだから、だから費用は過小ではない、こういう考え方厚生行政をやられていたのでは、私は貧しい者、病む者は、いつの日がきたら救われるのだろうか、こういう気持がしてならないのです。こういう主張のもとに負けて死んでいった朝日さんを思うと、私はたまらない気持なんです。  私は社会保障に対する考え方——これは小林厚生大臣の前の大臣の当時でございましたから、あえてこの際、小林厚生大臣に私は社会保障に対する基本的なお考えを伺いたい。まず、その点からお伺いしたいと思います。
  7. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 福祉国家をつくりたいというのは、政治目標というか理想を申したのでありまして、いま現に十分な福祉国家である、こういうことはだれもいっておりません。したがって、これを福祉国家に向かって、あらゆる政策を結集していきたいということで、終戦後社会保障その他の福祉施設というものは非常に前進したことはよくおわかりのことと思うのでありまして、これは毎年前進をしておるのでありまして、むろんいま、まだ満足な段階に至っておらない、これをこれから続いて前進させよう、そうしていわゆる福祉国家を建設したいというのが政治目標だということは、もうおわかりでありまして、あらためて申し上げますれば、現にわれわれは満足すべき福祉国家ができておる、こういうことは言っておりません。福祉国家に向かって、あらゆる努力を集中していきたい、こういうことを申しておるのであります。非常に毎年々々、とにかく前進しておるということは一つの事実であります。そういうことで、われわれも今後、その理想に向かって、できるだけの前進をしなければならぬ、こういうふうに考えます。
  8. 藤原道子

    藤原道子君 私は、厚生省朝日訴訟に勝訴したとき、勝った勝ったと宣伝されたのは、どういう意味ですか、それがわからない。それから私が申し上げましたように、わらでも用を足しているのだとか、あるいははだしで飛んで歩いても子供が育っているのだから、貧乏人はその程度で十分だという考え方で、生活保護に取っ組んでいらっしゃるかどうか。
  9. 小林武治

    国務大臣小林武治君) ただいまのような発言があったかどうか私は知りませんが、そういう発言は適当でない、また、これからもそういう考え方でもって、この仕事に当たってはいけないと思います。それからもう一つ、勝った勝ったと申したとは、私は何も、そういうことは存じておりませんし、そういう気持でおったとも思いません。どこかで、そういうことをだれかが発言した、こういうことであれば、われわれは反省しなければなりませんが、私の関知する限りにおいては、さような言辞を弄した者はない、かように思います。
  10. 藤原道子

    藤原道子君 私は、そういう発言をした人があったかどうかは承知しないとおっしゃるけれども、ちゃんと記録に残っているじゃありませんか、法廷に……。あるいはまた、勝った勝ったと言われたのは、厚生省が勝訴したとき、新聞にはっきり報道されて、取り上げられているじゃありませんか。都合の悪いことは、私は承知しておりませんでは、私は相すまぬと思うのです。  そこで、こうした状態のもとで、朝日さんと同じような状態で、いま療養所療養を受けておる患者さんがたくさんあるのです。もっとあたたかい愛情のある政治、これを病む人のほうに、貧しい人のほうに、厚生大臣は率先して強力に、そうしたあたたかい医療が受けられるように、そういう人たちのために真心をもって今後対処していただきたい。私はきょうは、この問題に対しては多く触れませんけれども、非常に遺憾であった。朝日さんと同じ立場にいる人がたくさんいるのだ。朝日さんは言いました、自分はどうせ死ぬのだ、けれども同僚のために、よい制度をつくりたい、こういうことを死ぬ瞬間まで叫んでおられましたことをぜひ大臣にはお心にとめていただいて、そうして貧しく病む人のために、もっとあたたかい手を差し伸べていただきたいということを申し上げます。  そこで私がお伺いしたいのは、非常に低い生活保護療養している患者さんがたくさんある、その上に、その療養所に、病院医療従事者が、あまりにも不足しておる。過日、同僚林委員予算委員会看護問題を取り上げていらっしゃるので、私は、きょうはこれに触れるつもりはなかったのですが、私の知っている人が、つい一月くらい前でしたか、栃木県の日赤病院に、肝臓が悪くて入院するつむりで、入院の支度をして病院へ参りました。そうして部屋へ連れていかれたら、二人部屋だ、そこに酸素吸入がぶくぶくかけられていたけれども、その患者は、すでに死んでいた。患者は死んでいるのに酸素吸入が動いていた。これを見て、私の知っている人はびっくりして、急にこわくなって、こんな病院に私は入院できないと言って、とめるのを振り切って帰ってきてしまった。これは一体、どういうことでしょう。しかもこれは日赤病院です。ところが、これを聞いた私は、その後これはたいへんだと思って、この三、四日いろいろ病院状態を調べてまいりました。驚くべき状態なんです。一体、これがいわゆる大国であるとか、文化国家であるとかいうようなことを誇る日本における医療行政であろうか。全くりつ然といたしました。以下、こうした点の実情について、私は若干御質問をいたしたい。  いま、そうした例は随所に行なわれておりますが、あるいは酸素吸入をかけながら患者が死んでいる、点滴注射を無人でやっておいたために、空気が入って患者が死んだ、保育箱で赤ちゃんが焼け死んだ、喀血したけれども、ブザーを押しても看護婦さんが来てぐれない、そうして窒息して死んでいったというような事故死が相次いでいることは、まさか知らないとは言えないと思う。これに対して、どういう態度をとっておいでになったか、この点を私は、まず第一にお伺いしてみたいと思います。
  11. 尾崎嘉篤

    政府委員尾崎嘉篤君) 各地の医療機関におきまして事故が起こっておるという御指摘、まことにその点印しわけないと思います。まず、こういうふうな問題を防止いたしますために、病院診療完備、この体制をしっかりさすということが第一だと思いますが、同時に看護婦さんの数及び質の充実ということが大事だと思いますので、特に数の問題に関しましては、全般的に看護婦さんが最近足りないというので、急遽一昨年から看護婦さんの養成力拡充、また現在ございます養成施設の定員を一ぱいに入れてもらうというような運動、さらに看護婦生徒が十分勉強できますように経済的な援助として奨学資金をふやすとか、また、養成所拡充に対して国庫補助を出すというような施策を講じて、全体の看護婦増加につとめておるわけでございますが、この対策は、すぐに間に合うわけでもございませんので、現在います看護婦さんが、できるだけ能率的によく働いていただけますような体制をつくっていく、まあ機械化を進めるとか、さらに看護婦組織整備をしていくというような指導をしておるわけでございます。なお、現在資格を持っておられます看護婦さんで働いておられない方に対しましても、できるだけ仕事に従事していただきますようにお願いし、その機会をつくっていく、またハーフタイムの勤務体制というような問題も研究して進めるというような手を打っておるわけでございます。
  12. 藤原道子

    藤原道子君 私は当委員会同僚諸君も、またかと思われるであろうくらいに看護婦の問題をいままで取り上げてまいりました。たしかおととしだと思いますが、予算委員会でも取り上げました。ところが、いつも答弁は同じなんです。善処いたします、対策を講じつつございます、看護婦待遇が悪いから変えなければいけないと思います、答弁は同じなんですよ。ところが、一向にそれが改善されないからこそ、今日こういう事態が起こっているのです。事故死で死んだ人は、もう帰らないのですよ。私たちが入院しても、そういうことがないとは保証できないのですよ。  それで、いま看護婦養成のために、いろいろ努力しているとかおっしゃったけれども、奨学資金ですか、これなんかだって三十七年度には四・六%、全生徒数に対して。三十八年度は五彩でした。三十九年度は六・四%なんです。この程度で、しかも甲看は三千円です。それから准看に対してはわずか千五百円、そしていまほど、いまのように大量に看護婦が足りないときに、それで間に合うでしょうか。努力をしておりますと言うけれども、あなたがたが努力努力と言っているらちに、多数の患者犠牲を受けている。その一面に過重労働で、どんどん倒れていく看護婦さんが相次いで起こっている。どういう抜本的な対策を立てておいでになるか。それを伺いたい。考慮いたしますだの、努力中ですでは、もう追っつかない事態になっているということをお考えになって御答弁を願いたいと思います。
  13. 尾崎嘉篤

    政府委員尾崎嘉篤君) 看護婦さんの病院診療所に就業しておられます方は、昭和三十一年末におきまして十二万三千ぐらいだったのでございますが、三十七年末におきましては十八方三千くらいにふえております。この増加率は、ベット数増加に少し上回るくらいに増加しておる次第でございます。ただしかし、ベット数増加とともに労働時間が四八制から四四制に変わったとか、また基準看護の採用だとか、その他医療内容向上生活程度向上というふうなことで、看護婦に対する要求が、より強まっておりますので、現在いろいろ不足の声が強いという実態だと私は考えるのでありますが、それに対しまして、先ほど申しました需給対策を一昨年から手を打ち始めてやっておるわけでございます。昭和四十五年におきまして二十五万人くらいの看護婦さん、准看護婦さんで職場に従事している方を確保していきたいという目標で現在やっているわけでございますが、三十七年末には、その計画によりますと十八万人くらいの予定だったのが十八万三千人になって、少しオーバーしている状態でございますが、しかし、それでも現状では、なお不足がございます。なお、看護婦養成所生徒等につきましても、三十八年四月の入学者等は、ほぼ計画を上回っているというような状態でございますが、さらに一そう努力をしていきたい、こういうふうに思います。
  14. 藤原道子

    藤原道子君 これは林委員予算委員会で指摘されているのでございますが、看護婦さんの数は若干ふえている、養成所を出る人は若干ふえているけれども、看護婦が四千人ですか、准看が二万二千、ところがそれに七回って、病院は過去七年の間に三万以上ふえている。どんどん病院は建っている、いまの現状でも看護婦は足りない、それで、いまのあなたのような計画で、はたして間に合うのかどうか。  さらに伺いたいのは、看護婦の希望が若干ふえてきたというようなことを言っていらしゃいますけれども、だんだん中学卒が少なくなる。通学率がふえている。そしてまた、いまのような看護婦待遇で、魅力のある職場と思う人はだんだん少なくなってきている。それでも、あなたの計画のとおりにいくというお考えですか。
  15. 尾崎嘉篤

    政府委員尾崎嘉篤君) 予算委員会においての林先生お話は、たしか正看護婦入学者であったか卒業者だったか、四千四百くらいで、准看護婦が二万くらいである、しかるにベット数は三方ベットだと言われたと思いますが、——三万くらいの増加があるというお話だったと思いますが、三万のベットに二万四千になれば、かなり見合う数字ではないか、——ただ、三万ベット増加に対して二万四千の増加であれば。ただし、これはやめられる方があるので、二万四千と三万とを比較するわけにはいかないと思いますが、たとえば三万ベットでありますれば、四床に一人といたしますと、八千人くらいあればいいわけであります。四八、三万二千になりますから。今の二万四千なり五千なりの増があれば、それは十分見合うわけでございますが、しかし、やめられる方とか何とかも、また計算に入れなければならないわけでございますので、その二つを比較するわけには実はいかないと思っているわけでございます。  なお、いまお話のようなベッド増等を考慮に入れまして、四十五年度末には、大体百二万床になる予定で計算しておりまして、それで二十五万人という要員を予定したわけでございます。その間におきまして、確かに出生率の減少の影響が、中学卒業者に及んでまいりますし、また進学率向上してくるというので、そういうような点も考慮いたしまして、四十五年度末までの計画は立っておりますが、この点、進学率の上昇が予想以上に伸びておりますところから、この点は、准看関係の教育というような点につきまして、もう少しわれわれも検討を、さらに加えて補正していかなければならない、こういうように思っているわけでございます。
  16. 藤原道子

    藤原道子君 あなたは、ふえるとばかりおっしゃったって、ゆうべ私はびっくりしたのですけれども、立川共済病院で、今度、看護婦さんが、卒業者が一人も病院に残らない。やめていく人が多いと同時に、せっかくそこで養成いたしましても、一人もそこに残らないというのです。そういう事態であるということを御承知でしょうか、いかがでございますか。
  17. 尾崎嘉篤

    政府委員尾崎嘉篤君) 立川共済病院の例は私は存じませんが、施設によりますと、そこで養成した生徒が、その病院に全部残らないというような、大部分はいなくなるというような例は、まま聞いております。
  18. 藤原道子

    藤原道子君 私は、こんなことで押し問答したってしようがないので、私は看護婦が、なぜそこに魅力がないのかという病院実態をほんの二、三申し上げてみたい。  これは全国的にも有名な慈恵病院外科病棟、四十八床、そこに看護婦さんが十三名で働いている。ところが、欠員が出てまいりました。いま現に二名欠員になっております。痔と椎間板ヘルニヤというのですか、このために看護婦さんが休んでおります。そうすると、日勤が主任を含めて三名から四名。ドアを手であけられない——ドアを手であけて回診車を足で押し込む。片方の手は、すでにピンセットを握りしめなければ介助に間に合わないというような状態でやっておる。一月二十九日には、整形外科が九例ございましたが、九時半に手術室へ入って、終わったのが夜中の十二時なんです。食事休憩もなく、ぶっとおしの勤務をしている。この慈恵病院では、時間外労働が九十時間から百時間が普通だというのです。しかも、手術場には休憩室がない。こういう状態看護婦さんが働かされておる。それでエレベーターがないから——このころ椎間板ヘルニヤというのが看護婦さんの職業病だと言われておる。しかも、これになったらなおらないというじゃないですか。なぜ——重い物を持つから。無理な勤務をするから。しかも、検査室から手術室へ担送が一日に数回ある。三階から上がったりおりたり、それを看護婦さんが、重いものを持ってやらなければ間に合わない。そういう状態でやっておるし、しかも患者さんは、夜はもう水を飲まない、夜におしっこが出たら困るから、ベッドがよごれても取りかえてもらえないから、夕方から水を飲まないようにしている。これが天下の慈恵病院実態なんです。一体、これで看護婦魅力を持って働けるとお考えでございましょうか。しかも夜勤は、二月一日から二月十七日までで日勤したのは二日、あとは全部が夜勤である。大体、一月平均して夜勤が十五日から二十日、若い女性に、これほど夜勤をぶっとおしにやられて、それでなおかつ、職場で聖職なりとしてとどまっていけるでしょうか、こういうところに問題がある。あるいは東京女子医大でもそうです。救急患者がきたときは、たいへんだということを、ここに私は例を調査してまいりました。  社会保険病院では、いま勝山病院ですか、ここで問い合わせましたら、ここでは赤字が四千万円あるといって、医薬品の購入もできずに古いものを再生する、そういうところにも看護婦の手が非常に使われておる。それから社会保険中央病院では、東京ですよ、看護婦不足のために新生児の授乳などは、ビンを口にくわえさせてラッパ飲みをさせている。そのために新生児が、ときどき窒息したりチアノーゼを起こす。まだ事故死が出ていないけれども、いつそれが出るかわからないというようないまの現状です。社会保険中央病院ですよ。  ところが東京都の衛生課で、夜の、夜勤を二人にするように指示した。病院はこの指示に従った。ところが、看護婦の増員をしないで、二人勤務にしたものですから、夜勤回数が倍になる。この一病棟で五名も看護婦さんが肝炎で倒れたという事故が起きている。過労のために看護婦が倒れている。あるいは社会保険の川崎中央病院でも、看護婦が三名妊娠したが、全部流産した。原因は、気のどくなほど勤務が過重である。最近看護婦の持病として椎間板ヘルニアが多くなっている。私は、これでも看護婦をしていかなければならないのでしょうか、こういうような状態なんです。  しかも、その反面社会保険病院では非常に最近差額徴収がふえている、虎の門の病院でも、四七%は差額徴収だ。共済組合の病院でありながら、差額なしに入院しようと思えば、半年も待たなければ入院ができない、こういう状態で、差額を徴収しながら、看護婦はこういう過重労働に追い込まれているというのが、今日の状態です。  私は、まだまだたくさん持っております。愛育病院実態はひどいもので、最近は足りないので、デパートのベビーセットを売っているところから、実習生として派遣されて、これが労働力に入れられているのですよ、これでいいのでしょうか。これでも人が足りません、何とか四十五年までには善処する方針ですと言って、すましていられる実態かどうか。愛育の病院でも、多いときは夜勤が二十日です。平均して十五日、これが今日の実態でございますが、こういう点は、調査して御承知でございましょうか。あなた方が病院勤務実態をもし御承知であるならば、ここで承りたいし、私がいま申し上げたようなことが間違いだと反駁する用意がございましたら反駁していただきたい。
  19. 尾崎嘉篤

    政府委員尾崎嘉篤君) まず、先ほどの立川共済病院の問題で、卒業生が残らぬじゃないかというお話でございますが、この点は、全国的に見ますと、三十四年から三十七年ころまでのデータで申し上げますれば、三年課程の正看護婦の関係は、卒業生の大体七八%が職場看護婦さんとして働いておる。これは保健婦とかその他のほうに進学する者があるからだと思います。それから二年課程の看護婦さんの、いわゆる進学コースでは九六・九%、准看護婦の方は九八・三%が職場についておりますので、その病院には残らなくても、ほかの病院で働いておるというのが大部分だというふうな数字をわれわれのほうは持っております。ただし、それが将来あまり転々とするというふうなこととか、脱落が途中でどれくらいあるかというふうな問題が、今からの問題だと思いますし、就業率も、あと長くできるだけ勤めてもらいますように、待遇とか労働条件をよくしていかねばならない、こういうふうな考え方でおるわけであります。  それから、病院のいろいろ実態お話しいただきましたが、私たちのほうも、この点、いまの看護関係が必ずしも十分だとは、われわれ思っておるわけではございませんで、看護力を増大させねばならない、こういうふうに思っております。ただ、御承知のとおりに、看護婦さん、准看護婦さんという資格の方々は、一挙にできるものでございませんので、やはり養成施設を拡大していって、そのしっかりした資格のある方を数をふやしていくというような努力をせねばならないというふうな意味で、いま努力しておるということをお話し申し上げたわけであります。  なお、資格を持っておられる方をできるだけ働いてもらいますように、再就業と申しますか、そういうふうな手を打っておる。それで、一年間千五百ないし二千人の方が、家庭その他から、また職場に帰ってもらっておるようにわれわれは推定しております。しかし、これをもう少しふやしたい。  それから、なお、現在あります看護婦さん方、准看護婦さん方を、できるだけ能率的に働いていただきますように、組織だとか、機械化、設備というふうなものをよくしていくということに努力をいたしたいし、またその助手——看護婦さんでなくてもいい仕事に対しましては、助手の数をふやしていくというふうなことを努力せねばならない、こういうふうに考えておりますので、いま看護要員と申しますか、看護婦さん、准看護婦さん、それから助手を加えましての数をできるだけふやすようにしていかねばならない、こういうふうな考え方は持っておるわけであります。
  20. 藤原道子

    藤原道子君 看護婦が一朝一夕にできないことは、私どもはよく承知しております。だからこそ、看護婦さんの問題を当委員会で取り上げ出したのは、もう十年以上前からです。私はきょう、あなたを責めているわけじゃない。この問題は、看護制度の改正のときに、すでに問題になった。四人に一人の割合では少ないじゃないか、どこを根拠に四人に対して一人の規定をするのかと御質問したことを私はよく覚えておる。そのとき、林さんは、ここに参考人としておいでになっていたと思うのです。ところが、その委員会が済んだとき、厚生省自体が、四人に一人じゃ足りないのですよ、だけれども、いまは看護婦が足りないからしかたがない、ほんとういえば、藤原さん、二・八人に一人くらいはほしいのです、こういうことを言われた。ということになれば、もう十何年か前のことです。その後、どれだけの努力ができてきたかということが私は聞きたいわけです。しかも、その当時、四対一というのは、有資格者が四対一だ。ところが、いまは四、四、二でしょう、それで足りなくって、いま申し上げましたような、デパートの実習生を看護力に入れなければ、病院の運営ができない。ここまで追い込んできたのは、だれの責任かということになる。私がきょう、あなたに言ったのが初めてなら、あなたのおことばをすなおに承る。私は十何年前から同じことを、ここで言っている。それで、また一昨年の私の予算委員会の質問、先日の林さんの質問——答えはほとんど同じなんです。これでは、さようでございますかというわけにはいかないということになる。私は、この点について、真剣に、その場逃れではだめなんです。医療を担当する、しかも人間の命を守る厚生省が、しかも、この間の林さんの質問に対して、池田総理大臣の御答弁は、ここにちゃんと書いてある。池田総理は林さんの質問に対して、治療よりも予防である、救貧よりも防貧だ、これが社会保障の理念だと言っていらっしゃる。ところが、救貧より防貧どころではない。いま、現に死にかけている患者さんに看護婦が足りない。その看護する看護婦さんが次々と病気で倒れて、しかも職業病とさえ言われるような椎間板ヘルニアなんという、おそろしい病気に倒れる人が相次いでいる。医療に従事する看護婦さんに流産や異常産などが多い、これで一体、相すみますかということを私はきょう申し上げているのです。看護婦が、いますぐできないことはわかりきっておりますが、いま、幾ら努力をいたしておりますと言っても、奨学費に対しましても、ことし千二百万ふえたと思うのですが、千六百万ですか、その対象は、どのくらいふえることになりますか。私はそんな姑息な手段ではだめだと思う。  私は、看護婦養成を診療費から養成することは間違いだということを、これまた十何年同じことを言ってきている。国の責任で、診療費から看護婦養成するのではなくて、それは国が奨学資金を十分に出して、そして勤務につけ、何年か勤務したら、その償還は免除する、こういうことも一つの方法だろうと思う。そういうことも幾たびか申し上げましたが、やっと取り入れられたのが一昨年、ところが、進むのはほんとうに遅々として、実効はふえないと私は思うのでございます。それで事足りるのでしょうか。だから、もっと国が看護婦養成に対しては、別途のお考えをお持ちになる用意があるかどうかを、この際、明らかにしていただきたい。
  21. 小林武治

    国務大臣小林武治君) いま、藤原さんの言われることは、もうそのとおりでありまして、たいへん対策が遅々としておるということは、私どもも認めざるを得ません。したがって、ことしも私ども看護婦養成については、ただ施設だけの負担にまかせておくのは適当でない、こういうことで運営費等についても、できるだけの補助をいたしたいと、こういうことを考えたが、ことしは実現しませんで、私は来年等におきましては、こういうことを実現させるような決意を持っておるのでありまするし、また、お話のように奨学金にしましても、全体の六%という、きわめて微々たるものであります。また、養成所施設に対する、あるいは教材に対する補助金等も一億数千万円、これも私は非常に僅小な額だと思うのでありまして、こういうことを、ひとつ相当大幅に進めなければならない、こういうふうに考えておるのでありまして、ことしはわれわれの努力等が足りなくて、成果をあげ得なかったことを非常に遺憾に存じまするが、ここに関係者もみなおりまするし、来年度は、こういうものを大幅にひとつ進めることによって改善をいたしたいと、かように考えております。
  22. 藤原道子

    藤原道子君 私は大臣に、今度こそがんばってもらいたいということを申し上げておきます。  それから看護婦夜勤勤務が、いまのような月の半分だの、多いところは二十日間、これは申し上げるまでもなく労働基準法では女子の深夜業は禁止しているわけです。ところが看護婦という職種が、いたし方なく夜勤を認めているわけだ。ところが、だからといって年若い女性が、一カ月のうちに十五日も二十日も夜勤をする、これが母体に影響しないはずはない、これは労働基準法の精神にも違反しておることは言うまでもございませんが、これでは、幾ら看護婦養成しても、喜んで働く職場にはならない。私は、この大橋労働大臣の御答弁にも看護婦の、病院とか施設とか、その他を中心として、まあ労働問題には十分監督していきたい、こういうことが述べられているのです。ところが、どういうふうに監督しておるか。——長時間労働及び休日労働の排除、割り増し賃金の適正な支払い、就業規則の作成、労働条件の改善につとめてまいったところでありまして、近年次第にその実効が上がりつつあると考えておりますと。こういう御答弁労働大臣から二度も繰り返してなされておる。——これらの関係従業員の労働条件の問題につきましては、労働省でやはり労働基準法に従って責任を持たねばならないという考えを持っておるのでございまして、今後ともこういう考えのもとに施策を進めてまいりたいと思いますと。労働大臣は、こう御答弁していらっしゃる。だから、これに対していま、以上申し上げたような看護婦実態でございますが、労働基準局といたしましては、どういうふうな監督をしておいでになるか、実効があがったとは、どういう実効があがったのか、それをお伺いしたいと思う。しかもおととしの私の質問に、労働省では、夜の、夜勤休憩時間がない、これは一体どうなんだと言ったら、それは基準法に違反しているというふうに答えていらっしゃる。ところが、いまも相変わらず同じ状態が続けられているにもかかわら大臣は、実効があがっている、こういうふうに答弁していらっしゃる、これを労働基準局は、どういうふうに監督し、どう実効があがったかをお伺いしたいと思う。
  23. 東村金之助

    説明員東村金之助君) お答えいたします。ただいま先生が御指摘ございましたように、看護婦の問題につきましては、いろいろ問題がございます。ただ、私ども労働基準監督行政の立場から申し上げますと、いま御指摘のように、看護婦についてはやむを得ない観点から、深夜業は許されております。しかしながら残業等をやる場合には、一定の制限がございまして、一日二時間、一週六時間、一年間百五十時間をこえてはならないという規定がございます。それから休日につきましても、休日労働はやってはならないということになっております。しかしながら、先ほど来、先生いろいろ御指摘のように残念ながら、この看護婦の問題につきましては、ほかの一般産業に比較いたしまして違反がかなり多うございます。  そこで私どもといたしましては、通常の場合には、工業的業種と申しますか、一般の製造業、工場等を重点に監督指導を実施しておるわけでございますが、特に看護婦等につきましては、そういう業種ではございませんが、いまのような問題がございますので、最重点の一つとして監督指導をしておるわけでございます。具体的な数字を若干申し上げますと、このいろいろ違反があります中で、労働時間の問題につきまして、つまりいま申し上げました残業時間の規制に違反するという問題につきまして監督いたしましたところ、昭和三十六年には監督を実施した事業場のうち約三割七分程度の違反がございました。事業場というのは病院等でございます。それから三十七年に至りますと約三割程度になっております。三十八年は、現在のところ集計がございませんが、ただいま申し上げましたように、監督の最重点の一つとしておりますので、この数字は、さらに改善されるものと期待しております。しかし何ぶんにも、いまいろいろ御指摘がございましたように、労働基準監督行政と申しましても、医療体制整備ということも関連いたしますので、さらに厚生省等と連絡の上、具体的にその実態に即した監督指導をしてまいりたい、こう考えております。
  24. 藤原道子

    藤原道子君 特殊な事業だから違反はあるけれども、しかたがないということになれば、労働基準法も何もないんですね。一年の何といいますか、超過労働ですか、これをいまおっしゃったんだと思うのですけれども、一カ月に百時間をこえるのはたくさんあるのですよ。ということになると、監督行政というのが、私はどういうふうなものか、ますますわからなくなる。これが特殊な医療業務だからしかたがないという程度で、手をゆるめて今後もいらっしゃるのか。
  25. 東村金之助

    説明員東村金之助君) 私いま申し上げましたのは、監督行政は、この看護婦の問題に限りませずほかの中小企業等におきましても、労働基準法を守らなければならないと、こういうふうに順法を迫るわけでございますが、たとえば中小企業等においても、中小企業全体の施策、そういうものと見合っていかなければならないという基本的な問題がございます。  そういう意味におきまして、この看護婦の問題につきましても、先ほどから問題が、いろいろ指摘されておりますような医療体制整備ということがあれば、より実効を期し得るという観点でございます。
  26. 藤原道子

    藤原道子君 私は、いま御答弁ございました三十六年度は三割七分ですか、三七%の違反であった、三十七年度は三割程度に落ちている、これがわからない。私たち調査ではふえる一方なんです。ですから、その点はさらに御検討いただきまして、次の委員会ででも私は伺いたいと思う。減っておりません。絶対に減っていないと思う。  それから次にお伺いしたいのは……。
  27. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 ちょっと関連して。いまの看護婦の基準法違反の実例と申しますか、それが三七%、あるいは三〇%、こういうことなんですが、どういうところを調査して、そういう数字が出たのか、具体的にちょっと調べてもらいたいと思う。それから全国的に、どのくらいの数の中で、そういう割合になっておるのか、それもちょっとお知らせ願いたい。
  28. 東村金之助

    説明員東村金之助君) ただいま申し上げました数字は、私ども監督行政をやっておりますと、いろいろ計画を立てながら、その監督を実施する事業場をきめてまいるわけでございます。いまの三十六年、三十七年の場合におきましても、監督を具体的に実施した事業場における少しでも違反があった事業場の割合と、こういうことになります。絶対数は、ちょっと手元にございませんが、そういう観点の資料でございます。
  29. 鈴木強

    委員長鈴木強君) だから、幾つ事業場があって、そのうちあなた方は、年度計画で幾つずつ監督をしていく、その監督をした結果が、三十七年度幾つやって、そのうち三七%あったという、そういう資料を出してもらわなければ困るんですね、それは、いまできますか。
  30. 東村金之助

    説明員東村金之助君) ただいま、ちょっと手元にございません。
  31. 鈴木強

    委員長鈴木強君) それでは、その資料を次の委員会までに出してください。
  32. 東村金之助

    説明員東村金之助君) わかりました。
  33. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 関連。いまの労働時間の問題は、これはいま、医療機関にとってたいへん深刻な問題です。基準法は確かに守られなければならない。ところが、先ほど来問題になってるように、看護人員が非常に不足しておる、不足しておる中で労働基準法を守ってやっていこうとすると、その人員がやりくりつかない。ほかの企業ならば、休んでも守る方法もあると思うが、とにかく生命に直結している職種でありますので、みすみすそういうことを承知しながらも、夜勤等、その他をやってもらわなければならないというつらい面が確かにあるんです。これは、確かに労働基準法を守らなくちゃいかぬ、労働三法を守らなくちゃいかぬというのは筋ですが、一方、看護人員が不足している、この不足につきましては、先ほど来やりとりがありましたように、遅々としてその対策が進まないから、一向にふえない。この二つの矛盾点が、どこへ集約されるかといいますと、医療機関の経営といいますか、実施の面に全部集約される。この監督は厚生省労働省の両方が、ことばが過ぎるかもしれませんが、それぞれ独立の立場、かってな立場から、それぞれの要求を出すということで、一番弱い医療機関が、その集約化を受ける。労働省からしかられる、進退谷まっておるというのが現実の実態なんです。  そこで、先ほどからの労働時間の問題も、労働基準法違反の問題も、医療機関におけるところの看護人員の増員対策に全部かかってくるわけです、結局するところは。もし、これが順調にふえてまいりまして、十分な看護人員を確保することができるならば、これはそういう問題も、全部解消するだろうと私は思われる。私も実際、病院を経営しておりまして、その嘆きは非常に痛切であります。  そこで、先ほど来の藤原議員の御質問まことにごもっともです。ところが、これに対しまする厚生省看護婦の増給対策は、私から言わしむるならば、きわめて隔靴掻痒の感がある。なぜかといいますならば、なぜ今日、看護婦に限らず看護人員が不足しているかという根本の原因の探求が非常にあいまいじゃないか、こういうふうに思われる。先ほど藤原議員の、原因の真因に触れる表現として、看護婦さんにとっていまの職場魅力がないから、なり手がなくなるんだということばがあった。私はこれがほんとうの真因だろうと思う。  それじゃ一体魅力がないということは、どういうところから出てくるか、先ほどお話がありましたように、待遇が悪いということ。それじゃ、待遇の悪いということはどういうことだ。この待遇が悪いということには、私は、物心両面があると思う。物的にいえば、もちろん、これはいわゆる経済的な報酬がきわめて低い、粗悪であるということでありますし、もう一つは、いまの看護体制をささえておりまするものは、いわゆる看護婦准看護婦がありますが、ほぼこの割合は大体七対三か六対四くらいに当たるだろうと思う。その最も大きな部分を占めておりまするところの准看護婦諸公の不平不満たるや、経済的な待遇に対する不平不満と身分上の不平不満が非常に横たわっておるということを私は痛切に知っておる。どういうことかといいますると、いまの准看護婦さんというのは、永久に准看護婦さんなんだ。もちろん、保健婦助産婦看護婦法には、准看護婦看護婦になる道が開いてありますが、これには少なくも二年間は職種を離れて自分の費用で勉強しなければならないというような、きわめて働く人たちに不利な条件が付せられておる。恵まれた方々であるならば、准看護婦になって一生懸命働いておられるという方々も非常に少ないだろう。そういう環境にないために、准看護婦さんになって一生懸命やっておるんだという人に対して、一生准看護婦で「准」がとれないのだという精神的なコンプレックスが、私は、今日の准看護婦さんが非常に少ない理由の大きなものだろう、こういうふうに考えるのです。  そこで、一つの物的な待遇と申しまするか、これの原因探求が、まだまだ浅いだろうと思う。どういうことか。私は、本来の雇用関係からすれば、看護婦さんが魅力があるならば、修学手当等を与えなくとも、どしどし希望者があると思う。逆に、いかに修学手当を与えて、とにかく仕上がるまでは何とかめんどうをみますよと言っても、仕上がったあとの職場待遇が不十分ならば、これは希望者がなくなるのはあたりまえのことですよ。だれだって、仕上げてもらいましたが、仕上げたあとで行く職場が、きわめて待遇が悪いということでは、二の足を踏むのは当然のことです。そこで、どうしても待遇の問題を根本的に考えるならば、看護婦さんが資格を取ってから働く場所の待遇をよくしてやるように考えなくちゃいかぬ。ところが、正常な雇用関係からすれば、この看護婦さんの経済的な待遇というのは、どこから出るか。当然、病院の人件費から出なくちゃならぬわけです。その病院の人件費の実態探求を、まあまあほっておいて、看護婦の増給対策はあり得ない。なぜなら、待遇の問題に直結するからです。私は、いまは正確な資料をちょっと覚えておりませんが、おそらく全国官公立の病院の平均の人件費は四六%ぐらいだろうと思う。間違っていたら、あとで訂正してもらいたい。もちろん、病院経営というのは企業じゃありませんが、通常の企業で人件費が四六%をこしたならば、これはどういう状態かといえば、これは破産です。ところが、病院については四六%が人件費だというふうな破産的な操業を続けさしておる。その中から、いかに看護婦さんをほしいからといって、看護婦さんが十分社会的に満足できるような経済的待遇が与えられるかどうかということは、火を見るよりも明らかです。この点に対して、従来十年間叫ばれておると藤原先生おっしゃった。おっしゃいましたが、その探求が、私をして言わしむるならば、真因に触れなかったために、いつまでたっても、同じような、焼け石に水的な、びほう的なことしかできなかった。それがために、今日のように、いつまでたっても、看護婦増給対策が満足なことができなかった、私は、これが第一番の原因だろうと思う。  そこで、まず第一番目には、何としても病院の経営費の中から十分な人件費が出せるような体制を医務局は全責任をもってやるべきだ、あるいは厚生大臣は、全責任をもってやるべきだろうと思う。ところが、いま、病院経営の実態を見ますると、国民皆保険なんだ。病院収入のほとんど九七%は保険収入であるべきだ、また、実態は当然そうある。そうすると、一体、この病院経営の一番の大黒柱の収入が、全部社会保険収入だということは、これはだれも曲げられない事実です。今日、病院経営が、さような自転車操業よりももっとひどいびっこ操業をやっておる真の原因は、収入と支出のバランスが少しもとれておらないからであるということに対しては、だれも反対者はないと思う。これが看護婦問題を今日の深刻さにおとしいれた第一の深刻な原因だろうと思う。  一体、これに対して厚生大臣は、どういうふうな認識を持っておられるか、あるいはこの問題を看護婦不足の問題と結びつけられるには、今後、どういうような対策を講ぜられようとしておられるか、この問題をまず、第一に私はお伺いいたしたい。続いて第二をお伺いします。
  34. 小林武治

    国務大臣小林武治君) いまのお話には、私は筋が通っておる、こういうふうに思うのでありまして、病院経営が相当困難をしておる、こういう事実はつとに私は認めておるのでありまして、したがいまして、私も、さような意味で、いまの医療費を直すには、中央社会保険医療協議会の議を通す、こういうことになっておりまするので、そのために私は諮問もいたしておるのであります。したがって、諮問に対する答申が出れば、昨年のうちにでも、ある程度何かができたんじゃないかと思うのでありますが、あのような状態で答申が出なかった。しかして、私どもは筋を通すためにはぜひ答申を待って処理したい、こういうことでありますので、いまでも答申を期待しておる、こういうことでありまして、私どもが、そういう事態をわきまえないで、漫然と日を過ごしておるのではない、こういうことは御了解いただけると思います。
  35. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 丸茂委員、関連ですから。
  36. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 第二番目は、いまの准看護婦さんの問題。いま言ったように、働きながら自分生活を守っている准看護婦さんが、やはり准という字を取って正看になりたいという希望は非常にあるだろう。これは実際にあります。それがないために非常に志望者が少ない。これも非常な大きな原因だろうと思う。これに対しまして、厚生省は、こういうふうな恵まれない方々に対しまして、実際働きながら自分の費用あるいは二年間というふうな時間をさいてやらないで働きながら看護婦たり得る措置を講ぜられるような御用意があるかどうか、これについてお答えいただきたい。それで終わります。
  37. 小林武治

    国務大臣小林武治君) この問題は、私どもも、准看護婦の身分の向上についての期待を持ってもらおう、こういうことのために打開策を講じたい。こういうことで関係の向きと、いま相談をしておるのでありまして、お話のように身分についても、希望を持ってもらうようにしたい。こういうことは当然でありまして、できるだけ早く、ひとつ結論を得るようにお話をいたしておるのであります。
  38. 尾崎嘉篤

    政府委員尾崎嘉篤君) いま大臣お話ししたとおり、いろいろ検討しております。
  39. 藤原道子

    藤原道子君 医務局長には悪いですけれども、検討ということばは、准看の場合はずいぶん長く続いているのですね。私たちも、もう言うのがいやになるくらい言ってもきている。ほんとうに准看の問題は重大でございますが、この問題はいずれ厚生省から看護婦法の改正が出るやに、提出予定法案となっておりますから、そこで十分論議したい。こう思っているのですが、確かにその点は、この次には検討でなしに、しっかりしたものを打ち出してほしい。  それで看護婦待遇の問題でございますが、夜勤が多い、労働が過重だというようなことは、医療費と関連することはもちろんです。政府の低医療政策が、こういう結果を来たしていると思います。これもいずれ、また取り上げたいと思っておりますが、いまは看護婦待遇一本にしぼって私は御質問したいと思います。給与の問題についても、私はここに資料を持ってお伺いしたいのですが、これじゃ働くのがいやになると思うのですが、大体、初任給が正看の場合一万六千円……一万五千五百円、公務員は。かりに二十四才で一万六千九百六十円というのが正看なんです。ところが、これが薬剤師の場合に一万七千六百四十四円です。これが二十四才ですね、二十才から二十四才の人。ところがこれが四十八才、四十四才ごろになりますと、看護婦さんは四十八才から五十二才までで二万二千七百四十四円。二十四才から四十八才、五十二才まできて二万二千七百四十四円。薬剤師のほうは四万九千八百六十七円で倍以上になっておる。非常に看護婦の賃金の上昇率というものは遅々としている。待遇が悪い。労働条件が悪い。その上給与がこれでは、ますます魅力がなくなるんじゃないでしょうか。これはどこから、看護婦さんの給与体系というものは出てくるのでしょう。女の職場だから、女だからということが大きく支配しているんじゃないかと私は勘ぐるわけです。エックス線の人も、あまり給与はよくないけれども、やはり一万六千二百五十二円であった人が、同じ年齢になりますと、これが四万四千八百九十三円、看護婦さんは二万二千七百四十四円、これは、どこから考えられた給与体系であるか、これをまず、お尋ねしたいと思います。
  40. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) ただいまの御質問は国家公務員でありまする看護婦について給与のお話である、こういうふうに理解いたしましてお答え申し上げます。国家公務員の給与は、御存じのように、ほとんど毎年人事院が民間の給与水準を調べまして、それで公務と民間と比較いたしまして、比較いたします場合には、大体職務の同等なものを比較する、職種も同等のものがあれば比較する、こういうことで比較いたしまして、その結果に基づいて民間の給与と比べまして、公務の給与水準の低い場合には上げていく、こういう勧告をいたすわけであります。  そこで御存じのように、公務員法におきましては、給与の決定につきましては、職務と責任ということが給与決定の非常に大きな原則となっております。しかしながら現実にわが国の給与体系というようなものを見ておりますると、やはり年功序列と申しますか、そういう形も非常に多いというようなこともございますので、職務と責任ということに割り切りませんで、その点も重点に置きますけれども、そういう考慮も入れまして、給与の改訂を行なっておるという次第でございます。  そこでこの公務と民間とを比較いたしました場合に、看護婦につきましては、これはどうも、私思うのでありますが、公務の位におきまして看護婦さんの職務の内容というものと、それからそのほかの部面に働いておられる女子職員の大部分の方々が従事しておられます仕事等を比較いたして見ますると、必ずしも看護婦さんの職務が軽いものとはいえないという感じを持っております。ところが、実際に民間の調査をやって見ますると、公務における看護婦さんの給与水準よりも民間のほうが低いというような現象が、ここ数年出ておるのであります。たとえて申しますと、昭和三十三年度には公務員の看護婦さんの給与水準に比べまして、民間は七八%、漸次民間のほうが上がってきておりますが、昨年の調査におきましては、公務員の給与を一〇〇いたしますと、民間の看護婦さんの給与水準は八四%、こういう結果になっておるのであります。そこで民間給与に重点を置いてやりますならば、看護婦さんの給与を上げるという理屈にはならないのでございますけれども、公務の位におけるいろいろな関係を見てみます場合に、そういうわけにも参らないというので、われわれはこの看護婦さん同士の給与水準の比較には重点を置きませんで、むしろ先ほどから、いろいろ出ております看護婦さんの職務と責任というようなことを非常に重視いたしまして、むしろ看護婦につきましては、一般の給与水準よりも、一般の国家公務員部内におきまする給与水準の位よりも、看護婦さんのところに力を入れておるというのが現在の状況でございます。  しかしながら、その状況をもっていたしましても、なおかつ、これが不十分なものであるというふうにお考えになられるのは、これはごもっともの点もあろうかというふうにわれわれも思っておりまして、今後におきましても、これは努力して直してまいりたい、このように考えております。なお看護婦さんになられまして、その後の昇給等につきましても、やはりわれわれは努力いたしまして、その昇給曲線を直すということをここ二、三年やっておるのであります。これは、ここ二、三年の勧告の結果を見ていただけばわかることでございまするが、やっております。  しかしながら現在、看護婦さんの場合におきまして、年をとられた、年をとったといっちゃ何ですが、比較的経験年数の長い方々が、いま御指摘のような例も、あるいは出てくる方もおりまするけれども、そういうものは、やはり給与体系自体におきまして、もと、どういう給与であったか、その後の昇給がどういうふうに行なわれたか、その昇給規定と昇給の関係等は、やはり民間の状況等を移してきたというようなことがあります。そこで民間におきまして、年功序列的傾向が強かった場合、その状況が出ておりまするし、また同一職務であるために、昇給があまりないというような状況がありますれば、そういう状況が出てきておるというようなことで、比較的経験年数の長い看護婦さんについては、御指摘のような点があろうかというふうにも思うのでありまするけれども、看護婦全体につきましては、ただいま申し上げたような状況に相なっております。今後とも努力してまいりたいと思っております。
  41. 藤原道子

    藤原道子君 そうすると、おかしいですよ。公務員がほとんど一般の基準になってくるのです、看護婦の場合。それよりも私が伺ったのは、初任給は薬剤師も看護婦もエックス線もあるいは栄養士も、あまり大差ない。ところがずっと昇給の過程があまりにも悪いじゃないかというのです、看護婦の場合。ほかの人のほとんど半分じゃないですか、ほかの職種の。ほかの方も、経験年数を積まれただろうけれども、看護婦さんは、その道一筋にきておるのです。ここに問題がある。  それから給与体系についても、民間民間とおっしゃいますが、このごろ民間は高等学校卒業した子供が、大体一万五千円から八千円くらいです、普通の職場に就職する場合。ところが看護婦さんは、高等学校を卒業して、さらに三年の教育課程を受けて、そして国家試験を受けるのですよ。それだけの教育を受けた人が、四十八才から五十二才の平均給与が二万二千七百四十四円というのでは、少しひどいじゃないか、その考え方を私は伺っているのです。准看だってそうですよ。中学卒業して、さらに二年教育課程を経ているのです。ところが、いま中学卒業して一万四千円くれというのが通り相場ですよ、いま。だから私が最初に申し上げましたように、女だから安くてもいいという考え方が、あなた方の根底にあるのじゃないかということを伺っている。
  42. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 先ほど申し上げましたように、われわれの人事院が勧告をいたします場合に、給与を考えます考え方は、これは職務と責任という点に重点をおいております。そのほかの考慮もいたすということは、先ほど申し上げたとおりでございまするが、その場合に、民間との比較においてやるということでありまして、女子だから、これを低くみるというような考えがあるわけではございません。で、まずその初任給のところについてみますると、ただいま御指摘がありましたのは、あるいは栄養士とか薬剤師というようなお話がございましたが、まず初任給で一般に高等学校卒業で公務に入ってまいります際の初任給、これは昨年の十月から改正になったのでございまするが、これがいわゆる初めのところでは一万二千四百円でございます。東京都におきましては、これにさらに千円ちょっとつきますから、一万三千四百円程度になるで、こざいましょう。それに比べまして、准看の場合には——、先ほど申しました一万二千四百円というのは高等学校卒でございます。で、准看の場合には中学卒で二年の修業年数でございまするので、高等学校卒の場合に比べまして、一年修学年数が低いわけでございます。にもかかわらず、准看の場合は、初めのところでは一万二千八百円ということになっておりまして、さらに東京都におきましては、約千円程度、いわゆる暫定手当というものがつきますから、一万三千八百円になる、これを高等学校卒同年齢と、かりに比べてみますると、准看のほうが約千円程度高くしてあるのでございます。また、同様のことが正看についても申すことができます。そういう状況でございまして、昨年の勧告におきまして、民間の初任給等を調査いたしまして、そしてこの行政(一)、普通の職員になります場合の初任給を学歴別あるいは採用試験の区別によってきめておるのであります。それに比較いたしまして、准看護婦あるいは看護婦の初任給は約千円程度よくなっておるという状況であります。それから栄養士あるいは薬剤師ということをおっしゃるのでありますが、薬剤師等の場合には、これは現在比較的女子の方が多いようでございますけれども、これは必ずしも女子だけに限っておりません。また、病院等におきまして、薬剤師等の場合におきましては、やはり職務と責任の段階によりまして、上位等級に推進するということがあるのでございます。看護婦の場合には、職務内容が大体同様でございますけれども、しかしながら、なおかつ婦長でありますとか、総婦長でありますとか、職務と責任の段階がございます。それに従いまして等級が上がるわけでございますが、看護婦の間は、職務と責任というものが大体同様であるということで等級が同じである。したがいまして、等級が上がるということは婦長になりあるいは総婦長になるということがない限りないわけであります。あたかも学校の先生が、校長にならない限りは教諭でおられるのによく似ております。いわゆる職務等級とわれわれは呼んでおりますが、そういう等級になっております。  そこで看護婦さんは婦長になられないで看護婦として終始されるという場合には、この医療職俸給表の三等級ということで、ずっとその中で昇給していくということに相なるのでありますが、その問題につきましては、先ほども申しましたように、去年並びに一昨年の勧告におきまして、いわゆる昇給率を改善してまいるという努力をいたしまして、漸次その効果は今後にあらわれるということに相なろうかと思います。
  43. 藤原道子

    藤原道子君 私は職務と責任とか何とかおっしゃったととろで、とにかく二十何年か働いてほかの職種は四万九千八百円なんて上っておるのに、ひとり看護婦さんだけ二万円台、二万二千円というのは納得がいかないのですよ。どういう理屈で看護婦は責任のない職種だとでもおっしゃるのですか。
  44. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) いま藤原委員の御提示になりました数字につきまして、私どもにちょっと心あたりがなかったのでございます。これはどういうことでおっしゃるのかよくわからぬので、その数字につきまして申し上げるかわりに、われわれのほうで言っておったのであります。ただいま、ちょっと気がついたことは、藤原委員の御指摘になりましたのは、われわれが民間で看護婦さんの給与調査をいたしてまいりましたら、そういう数字であった、その数字を御指摘になっておるようでございます。したがいまして、公務の場合におきましては、やはり昇給の制度がございますので、そういう実態にはなっていない、このようなことが申し上げられると思います。
  45. 藤原道子

    藤原道子君 それでは公務は四十八才から五十二才で幾らですか。
  46. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) ただいま手もとに、公務の看護婦さんの五十八才が幾らという数字を持っておりません。したがいまして、これはあとで資料としてお出ししてもいいと思います。
  47. 藤原道子

    藤原道子君 まことにあいまいで、私は納得できません。この次の委員会までに文書を出していただきたいと思います。  そこで、もう一つ人事院にお伺いしたい。これは三十七年の十一月の調査で、これは人事院に向けて国立病院総婦長会議で陳情した書類なんです、三十七年十一月。その中によりますと、私たちが、夜勤の回数が多いとか、一人夜勤では危険である、人命を守る立場からも是正すべきであるということを主張しておりましたが、それが、ここにいみじくもあらわれている。これは当委員会で一度申し上げたことがあると思う。これは日勤で死亡される  死亡者の時期です。それが昼間でなくなります方は二二・二%、準夜でなくなる人が三三・八%、深夜が五三%という死亡の状態になっておる。分べんにいたしましても、昼間お産します人は四三・八%、やはり夜分のほうが圧倒的に多いわけです。それから、救急患者の取り扱いにいたしましても、昼間は二五・四%、準夜が五〇・七%で深夜が二三・九%、こういうふうになっている。したがって、夜勤の寡少な人員ではやり切れない。何とかいい看護ができるためにも、われわれの労働力の立場からいっても、ぜひこれに対して人事院の御配慮が願いたいというので、こういう表入りの書類が出ているはずです、三十七年の十一月に。  それに対して人事院では、どういうお取り扱いをなさったか。小林厚生大臣にも、私たちが、夜勤の回数が多すぎるとか、一人夜勤では間に合わないから、何とか夜勤勤務は二人以上にしてもらいたい、あるいは看護単位は四十床ぐらいにしてほしい、それでなければ手が回り切らないということをしばしば申し上げますけれども、ちゃんとここに、これは東京の世田谷病院、それから東京第一、第二病院、これの資料で、数字は若干違いますけれども、似たり寄ったりのここに数字が出ている。こういう死亡率が多いということ、夜のほうが多い、救急患者も多い、お産も夜が多い、こういうときに、ところによりましては深夜を准看さん一人でやっているところもある。これでは国民として命をおまかせするわけにいかない不安にかられる。だからこそ私たちが要求をし、さらに総婦長会でも、こういうものを出して人事院へも訴えておる。厚生省へも頼んでいる。  これに対して人事院では、どういう手を打たれたか、あるいはどういうふうに御解釈になったか、この点をお伺いいたしたいと思う。
  48. 大塚基弘

    政府委員(大塚基弘君) ただいまお話のありました総婦長会の陳情書ですか、それは私ちょっと存じませんが、あるいはほかの局課で扱ったかと思います。しかし、全く同じような内容に関しましたものが、全医労から行政措置要求という形で、その前に出ております。たぶん四、五月ごろだったように記憶しておりますが、その行政措置要求と申しますのは、われわれの所管いたします公務員の勤務条件、あらゆる勤務条件の改善に関して要求をされまして、それを私どものほうで調査をいたしまして、その調査の結果、どこを改善すべきか、あるいは改善の必要がないという場合もございますが、そういう判定をいたしまして、関係官庁に一種の勧告のような形でお示しをする、こういう手続でございます。その全医労からお出しになりました行政措置要求、大体四項目ございますが、その四項目の一つに、一人夜勤は廃止するようにしてほしい、それ以外に、先ほど来お話がありました夜勤回数を減らしてくれ、あるいは休憩、休息というような問題もございますが、いまお話のありました一人夜勤の問題でございますが、こういう行政措置要求という形でもって人事院の公平局で処理をするということになりますと、かなり綿密な調査をいたします。  そこで、大体昨年の秋ごろから調査に取りかかりまして、調査計画は二次に分けておりますが、一次の調査で国立の療養所病院約三十カ所、それから二次の調査で、これは民間をも含めまして二十数カ所、この二次の調査のほうは、ただいま実施中でございます。大体、来月半ばぐらいまで、その実地調査がかかるかと思います。  で、一人夜勤の問題は、その調査の中でも、人事院の職員がそれぞれ一緒におりまして、徹夜をいたしまして、その勤務状況、あるいはそのときの職場の環境その他の問題を調査いたします。残念ながら結論として、そこから一人夜勤を何とか、どういうふうにしなければならないかという問題につきましては、ただいま申し上げました二回の調査が終わりまして、その上で、法令その他いろいろな面、あるいは改善すべき点を検討するという段階になりますので、結論が出ますのは、ただいま公平局として考えておるところでは、厚生省で予算要求というようなことをなさる前に、一応は結論を出したいというつもりでおりますが、これも調査結果を検討いたしませんと、確実な見通しは申し上げられない、大体、そういうことでございます。
  49. 尾崎嘉篤

    政府委員尾崎嘉篤君) いまお話の、死亡者または分べんが、深夜、準夜に多い。これは時間的にも三分の二の時間でございますので数が多いのは当然でございますが、その三分の二以上にあるという問題であろうと思います。で、そのときに、一人だけにやらしておくのは確かに問題がございますけれども、いろいろな点、いま丸茂先生のお話にもございましたような点も考え、現在の看護婦さん全体の数というようなことを考えますと、ちょっと四十ベッド以下にして、また、絶えず深夜、準夜を二人にするということ、一週間に六日でやっていくということは、現在の看護婦さん全体の数から見て困難ではないかと考えるのでありますが、しかし、できるだけ必要なところに重点的に看護婦さんを配置していくというふうな立場で、また、危険な患者、重篤な患者とかがありました場合には、そこに特に人をふやすというふうな点で、できるだけ患者さんに対して安全でありますように、適切な医療看護が行なわれますように体制を組むことを、病院の総婦長さん方にお願いしておるわけであります。  なお、この問題につきまして、さらに一そうの検討を加えますよう、この昨年の暮でしたかにございました公立病院の総婦長さん方の会議におきましても、特に、その体制の組み方について研究してもらうようにというふうなことをお願いしておる次第でございますが、何ぶんにも絶対数の問題、看護要員全体の数の問題というふうなところが、われわれといたしましても、大きな隘路になっておると思うことは事実でございまして、まず看護婦さんの数全体をふやしていくことに努力を集中していきたい、こういうふうなことが根本問題だと思っております。
  50. 藤原道子

    藤原道子君 お役所というところは、ずいぶん手間がかかるものですね。三十七年に提案して、去年の夏ごろからかかったのか、秋ごろからかかったのか、それでいま調査中だ——気のきいたお化けは引っ込んでしまう。それもよろしい。今度は、地方調査をなさるときに、ある病院——これは方々であると思うのですが、私の手元には、二カ所ばかり入っているのですが、人事院の人が、みんなが訴えていくと、看護婦不足は、どこの病院だって同じだというような暴言を吐いていらっしゃる。そういう頭で調査されたのじゃ、幾ら調査されたってもしかたがない。ほんとうに病人の医療を完全に行なうにはどうするか、看護婦待遇が、はたしてこれでいいかどうかというようなことをまず、基本にして調査していただくのでなければ、看護婦不足は、どこの病院でも同じだ、こういうことで、むしろ、労働組合の人たちのやることを押えようとしている。圧力をかけるような言辞を弄していられるところが若干ある。私は、それでは困ります。公平に調査してもらいたい。  それで、今、あなたは総婦長会から出たかどうか、私は知らないとおっしゃる。だけれども、全医労から出ているとおっしゃる。全医労も総婦長さんのほうも同じ調査が出る。いま総婦長を通じて、いろいろ配慮するように指示しているとおっしゃったけれども、いま総婦長さん、とても苦しいんですよ。ちょうどサンドイッチみたいに上から圧力がかかって、現場の状態は見るにしのびない。だから、総婦長さんの会議で、こういうものを持って人事院へ申し出たんだと思うわけです。事ほど深刻なんでございますから、もっと真剣に対策考えていただかなければ困ると思う。事は一看護婦の問題ではない。全国民の命に関する問題ですということをひとつ繰り返し申し上げます。  そこで、私一人で時間をとってしまいましたが、とにかく今の現状でいいのかどうか。悪いことはわかっている。だから、努力している。だが、私は十何年同じことを叫び続けてきている。この間も、東大ですかの大学病院で、看護婦さんたち夜勤から帰る道で、延べで十六人くらい痴漢に襲われている。こういう例もある。一人で夜勤でいるときに首を締められたという例もある。ブザーが鳴って、片一方が死にかけているというので介助しているうちに、片一方は看護婦も医者も間に合わないで死んだという例もある。二人のお産婦さんが一度に、何というか、お産が始まって、結局一人の産婦さんは助産婦さんの手もわずらわさないで一人で生んじゃった。私は赤ちゃんが生きていたから黙って帰りますけれども、もし死んでいたら、ただじゃおかないと、とてもくやしがっている。こういう事例が、私の耳に入るのには、よほど社会的にはたくさんあるということをお考えになっていただきたい。私は、労働省におかれましても、特殊な事業だからというような手心でなく、もっと真剣に見ていただきたい。  厚生省はもとより医療を中心にお考えになる。看護婦がいまのように、勤務状態は悪いし、賃金は悪いし、それからお医者さんによっては、小間使的な扱いをする。そういう中で、きりきり舞いしているのをごらんなさい。結局、若い娘さんたちが、普通の職種へつけば、あるいはもっとはなやかな職種はたくさんある。そこのほうが賃金はいい。青白い顔をして、むずかしい患者さんに、あたたかい看護をと思えば、それはよほどでなければ、できるものではないのです。これを考えると、今の待遇では、私は承知ができないように思います。十分御検討をいただきまして、私たち国民が安心して医療が受けられるように、結局椎間板ヘルニヤなんという、そうした病気にかかって、これは職業病じゃないかといって看護婦さんたちは非常におそれているのです。  こういうことがあっていいのかどうか。いいか悪いか。当然、これは厚生省の責任だと思いますので、この問題につきましては、十分な対策を速急にお立ていただきますことを強く要望いたしまして、これに対する大臣の御所信を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  51. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 私は、藤原さんのおっしゃったことが非常にごもっともだというふうに存じますし、また、先ほどの給与の問題もおっしゃるとおりだと思います。相当な改善をぜひしなければならぬと思うのでありまして、非常にわれわれのほうの対策がおそくて、御不満はごもっともと存じますが、ひとつ私も督励をし、できるだけひとつ、お話のようなことが実現できるようにいたしたい、かように考えております。
  52. 鈴木強

    委員長鈴木強君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  53. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 速記を始めて。
  54. 林塩

    ○林塩君 人事院の方に伺いたいと思うのですが、先ほど看護婦医療職日表のそれと民間とを比べてみますと、七八%くらいしか民間はもらっていないから、それで、そういう民間との関連においてなされているのだという御答弁でございます。これは私も、たびたび伺っておりますので、よく存じております。しかし民間というところが、どこをとられたかという問題、どこの統計をおとりになれば、それが出てくるということについて伺ってみたいと思います。
  55. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 民間と申しますのは、これは民間給与調査で、製造業そのほか、いろいろ調べておりますが、これは常用従業員五十人以上の規模の事業場で国家公務員と同じような職務内容を持っているところを調べたわけであります。看護婦等についても同様でございます。  なお先ほどちょっとお話がございましたが、実は私も申し上げたのでありますが、民間と比べますと、民間のほうが低いということを申した、それにもかかわらず、われわれのほうではほおっているわけでございませんので、国家公務員全体の給与改善よりも、看護婦さんの給与改善に、ここ一、二年力を入れてまいっておる、こういうことを……。
  56. 林塩

    ○林塩君 私は力を入れておらないと思います。といいますのは、たびたびそういうことについては、要求を出しましたけれども、いつも他の職種については、ベ−ス・アップなんかも相当出ておりますが、看護婦関係については、医療職日表のベース・アップは、いつも低率です。ですから、それを調べていただいて資料を出していただきたいと思います。私は力を入れていらっしゃらないということをはっきり知っておりますので、どういうわけで、そうなっているか証拠を出していただきたいと思います。
  57. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) ただいまおそらく俸給表別の改善率というような数字に基づきましてのお話であると思うのでありますが、これは俸給表には、いろいろございまして、行政(一)のように次官、局長というような職務も入っておるものもありますし、また看護婦のところは、ご存じのように准看それから正看護婦、婦長、総婦長、この四等級構成になっている。こういうところで、ただいま御指摘のような数字だけで御判断願いますと、これはそういうことも、一つの判断材料になると思うのでありますけれども、やはり具体的にわれわれがやっておりますことで御承知願いたい。  そのことを申し上げてみまするならば、たとえば去年の勧告、これは昨年の十月から改正になっているのでありますが、看護婦さんが中央号俸以上の部分につきましては、昇給カーブを改善するというような措置をいたしておるのでございまして、この改善額は、たとえば三等級付近におきましては、これは看護婦さんのところでございますが、行(一)の改善率に比べまして、百円ないし千円高くつくってある。これは明らかに改善であるのであります。また、一昨年の勧告におきましても、これは看護婦さんのところを中心に昇給金額の増額をはかる、これは看護婦さんだけやったわけじゃございませんけれども、看護婦さんにおきましては、特に、そういうことを留意いたしまして、一等級におきましては、ほかの俸給表に比べて三百円ないし四百円有利に改定するというような措置もし、さらに号俸が二号俸前進するというような措置もとるというようなことで、看護婦さんの改善につきましては、われわれといたしましては、特別に配慮をいたしており、ただ、御批判の立場として、その程度のことで、一体改善といえるかという御批判はあろうかと思いますが、われわれ国家公務員全体の給与問題を処理いたします場合には、一つところだけやるわけにもまいりません、全体の関連でやるわけであります。その中におきましても、ただいま申し上げましたように、特別に配慮を加えたということは御了承願いたい、このように思います。
  58. 林塩

    ○林塩君 次に、一点お伺いしたいと思うのでございますが、厚生大臣に伺いたいと思います。
  59. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 林先生、すみませんけれども、午後引き続き五時ごろまでやりますので……。  それでは瀧本さん、あなたの御説明でわかりますけれども、もう少し藤原委員の質問に関連をして、初任給はよくわかりました、他に比較した場合に。ただし、昇給傾向というものが、一体どうなっておるのか。四十才でだいぶ差があるという、その資料は別として、そういう意見もありましたから、せっかく出していただくわけですから、昇給が一体、どうなっているかという、そこを、等級別になるかと思いますけれども、ひとつごめんどうでも、資料を出していただけませんか、そうすれば、あなたの言われたことも含めて、よくわかると思うのです。その点、お願いいたします。  それでは午前中の質疑は、この程度にとどめまして、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時二十二分休憩    ————————    午後一時五十九分開会
  60. 鈴木強

    委員長鈴木強君) ただいまより再開いたします。  午前中に引き続き、質疑を行ないます。
  61. 林塩

    ○林塩君 厚生大臣にお伺いしたいのでございますが、午前中いろいろ出ました看護問題に関連することでございますが、やはり看護婦待遇が悪いとか、あるいは数が少ないとかいうようなことは、すべて私は医療費に関連する問題が多いと思うのです。それにつきまして、たとえば病院でなぜ看護婦の数が少なくなり、また、午前中、丸茂委員が言われましたように、経営上に非常にしわ寄せがくるので、どうしても看護婦のところにいかざるを得ない、こういう御発言がありましたが、私もそういうふうに思うわけでございます。で、医療費の算定基準といいますか、そういうものの中に看護に関するものが非常に少ないわけでございまするが、医療費の改定なんかが出ておりますが、その場合にそういうことも考慮されて、それで改定をされるような御意見があるかどうか、それについて御方針を伺っておきたいと思います。   〔委員長退席、理事高野一夫君着   席〕
  62. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 医療費というのは、医療にかかるいろいろの経費を全体として考える。したがって、これをいろいろな事項に配分するということになりますから、お話看護関係なども当然ひとつの要素として考慮される、こういうふうに考えております。
  63. 林塩

    ○林塩君 そうしますと、予算委員会でも私、大臣に質問したと思いますが、基準看護の問題でございます。医療法の十九条によりますと、四人に対して一人というのが看護関係者の割り当てでございますが、それ自体がすでに非常に無理であるというので、それについて将来改正をされますかどうかといいましたら、考慮しようということでございましたが、医療法の十九条と関係いたしまして、基準看護の問題が出てまいります。基準看護によりますると、一類、工数、三類とございます。一類については、患者四人に対して看護者一人の割合というようになっております。加算の点数が十二点、患者基準看護の承認を得ましたものは一日百二十円の加算になります。そういうようなことからいたしまして、はたして百二十円でいいかどうかという問題でございますが、それを調べてみますと、百二十円の加算ではとても看護婦は雇えないということでございます。そういう点が将来改正されなければ、どうしても看護状態はよくならないと思うわけでございますが、基準看護につきましては、そういう制度がありますために、看護関係者を非常に苦境におとしいれているという状態でございますし、病院経営が非常につらいということ、なぜかといいますと、その基準診療が三十六点でございますために、一日入院しても三百六十円にしかなりません。病院といたしましては、それを基準看護の点数で補っているというような状態でございます。しかも、基準看護をとっております場合には付き添いは許されない。そうして患者さんのほうからは、ここでは基準看護、昔でいいますと完全看護だから、何で毛かんでもしてもらえるのではないかというようなことで、ただでさえ少ない人員に、非常に愚者さんの要求が多い。しかも、付き添いなしでは愚者さんは不自由だ、そういうことやら、一切を関連いたしまして、基準看護をこういうふうに苦境におとしいれるならばやめてほしいというような訴えが非常にありますという事実を医務局長さんは御存じでいらっしゃるかどうか。それから、また、基準看護をとるためには、監督局が行きまして基準看護の承認をしますときに、そういうものの看護婦は四人でなければいけないといわれますものですから、やはり基準看護のそういう点数の加算がほしいために、病院の経営が非常に苦しくなっておりますから、どうしても准看護婦看護婦の名前にしたいというようなことからいろいろの問題が起こっておりますが、そういうことの状態を御存じでいらっしゃるかどうか、伺っておきたいと思います。将来その問題について何らかの対策をしていかれる御方針かどうかということ、まず医務局長さんはその状態を御存じかどうか。それから、大臣には、その基準看護に関連いたしまして、看護点数を医療報酬の中にぜひとも入れて医療報酬を改正するのでなければ、私は、看護問題というのは解決をしないように思いますので、御所見を承りたいと思います。
  64. 尾崎嘉篤

    政府委員尾崎嘉篤君) まず、医療法の四人に一人というスタンダードは、これはひとつの目標と申しますか、基準というので、これに絶対にしばられるわけではなくて、それよりももちろん看護婦さんの数が多くてもよろしいし、病院の実情によって少ない場合もあるが、大体の目標はこの辺だというようなくらいの意味で法律がつくってあったのでありますが、こういうふうに機械的に規制するのがいいかどうかというふうな問題もありまして、大臣お話のように、検討は加えていきたいというふうに思っております。  なお、基準看護の問題でございますが、これは保険局のほうで医療費を支払いますのに、お話のように、四人に一人の看護婦の場合には一類看護婦、四人に一人の看護婦でやります場合は二類看護婦というふうにして払っているわけでございまして、この関係で、さらに三人に一人ぐらいの看護婦が要るというような場合もございましょうし、問題がいろいろ保険局のほうでも考えてもらわねばならない問題があると思います。また、看護婦関係がついているというと、原則として、それに付き添いをどんどんつけるというのはおかしいという立場で見ておられますが、病院患者の状況によりまして、いろいろその辺には医者の判断というような問題もからみ合わせなければいかぬところがあると思いますので、保険局とよく話し合いをすべきものだと思っておりますし、一部すでに話し合いも進めている状態でございます。
  65. 小林武治

    国務大臣小林武治君) どうせこの問題は、また改定するときがくると思うのでありますから、御意見のほどはひとつ申し出をいただいて、一緒にひとつ検討していただくというふうにしたいと思います。
  66. 藤原道子

    藤原道子君 私は、けさほどいろいろ御質問申し上げたのでございますが、これについて、大蔵省の主計当局にひとつ御質問したいと思います。お聞き及びのとおりに、いまや日本医療は破壊寸前にあると思うのであります。決して誇大なことばではないと思う。入院していながら看護婦看護も受けられない、医者も間に合わないで死んでいくという患者さん、その家族の身になったらどういう気持ちがするでございましょうか。私は、これはもう多くを申し上げません。ところが、私たちは、看護婦養成そのものにまず第一に問題があると思います。これに対しては、診療報酬の中で看護婦養成するというところに問題がある。そこで、これに対しては、国の責任で奨学金制度を出して、そうして診療報酬ではなく看護婦養成に当たるというのでなければ、いまの看護婦不足は解消できないと思います。ところが、大蔵省のほうではなかなか予算が出ないやに聞いております。やはり看護婦の低賃金等も大きくそういうことに影響しているのじゃないか、こういうふうに考えるのですが、将来、看護婦を充足して、安心して医療が受けられるような体制にするために、ひとつ大蔵省でも相当思い切った対策をとってほしいと思いますが、どういうお考えでしょうか。何しろきんちゃくのひもが開かなければ、医療に対する国の負担をもっと増大して、看護婦養成に対してはそういう方法をとっていくということ以外にはないのじゃないかと思うのですが、これに対してのお考えを伺いたいのです。
  67. 船後正道

    説明員(船後正道君) 看護婦養成につきましては、従来からその設置主体が経費を負担するというたてまえでまいってきておったのでございますが、最近におきます看護要員の重要性にかんがみまして、国におきましても、御承知のとおり、三十一年度から就学資金の国庫補助も設けましたし、また、三十八年度予算におきましても、整備費の補助金、これは施設整備と教材等の備品の補助でございますが、三十七年度で四百万程度でございましたが、一億円ばかりふやした、こういう施策をとってまいったのでございまして、三十九年度もこの線でもって予算をお願いしておるという次第でございます。この看護婦養成所の運営費を国が補助したらどうかという御意見ではございますが、医療関係のみならず、一般的な問題といたしまして、教育機関、あるいは養成機関に対します運営費の国庫補助というものをどう考えるかという一般論もあるわけでございまして、看護婦養成所につきまして運営費をみるということにつきましては、なかなか困難な事情があると思うのでございます。看護婦養成所は、現在設置主体がその運営に当たっておるわけでありまして、一般論といたしまして、ある施設の必要とする要員をその施設の経費負担で養成していくということ自体が私間違っておると、かようには思わないのでございますが、問題は、しばしば指摘されておりますように、現在の医療費体系のもとにおいて、しからば病院の収支がどうかという問題にも問題があろうかと思います。これらの点につきましては、ただいま中医協等におきましても種々御審議中のことでございますので、そういったことが解決しなければ、国全体として本件は解決するわけにはいかない、こういうように思うわけでございます。  なお、看護婦養成問題につきましては、その制度のあり方といったようなこともかなり問題になるというふうにわれわれ承知しておるわけでございますが、いずれにいたしましても、事の重要性にかんがみまして、国といたしましては、できる限りの財政措置というものはいたしておるつもりでございます。
  68. 藤原道子

    藤原道子君 その必要とする施設でこれを養成するのが当然だというようなお考えのようですが、いま日本看護婦状態を見ますと、必ずしもそうなっていないんですよ。結局そこの病院養成いたしましても、そこにとどまらない。だからといったってこれはしかたがない、ほとんどよそへ行く場合もあり得る。それで非常な看護婦の減少を来たしておることは御案内のとおりなんです。一体どうしてこれをやっていくかというところに厚生当局としても非常に苦労しておると思いますが、私は、昨年度は五%で、ことしは奨学資金がわずかにふえておりますが、これも六・何%、こういう状態では、とても看護婦の充足には役立たないし、看護婦志望者にも魅力はないと思う。私は、少なくとも全員に奨学金制度を設けたらいいと思いますが、全員どころか、六%くらいが常態でございますので、厚生当局としてもっと真剣にこれに取っ組まれると同時に、大蔵省におきましても、いま危殆に瀕しております医療行政、これに対しての思いを新たにいたされまして、十分な資金的な配慮を願いたいということを強く要望いたします。このままでいいというわけにいかないと思う。私は、この前の予算委員会でも、大蔵大臣は、十分考えて御意思に沿うように努力いたしますと言われたけれども、一向に努力があらわれておりませんので、さらに重ねて要望する次第でございます。  そこで、厚生大臣にお伺いしたいのでございますが、ことしの奨学金の要求は、この決定になっただけを要求されたのですか、もっと要求されて削られたのですか、どっちですか。
  69. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これは内部の交渉のいきさつでありますので、あまりどうこうということをここで申し上げたくないのでありますが、いずれにしましても、非常に少なかったと、こういうことを私はよく認識をいたしましたので、次の機会にはひとつもっと大幅にふやしてもらいたいと、こういうことで強く政府部内でも話し合いをいたしたいと、かように考えております。
  70. 藤原道子

    藤原道子君 まあ私も聞きあきるぐらいにいままで同じ答弁を聞いているのですが、小林さんを御信頼申し上げまして、ほんとうに真剣に日本医療行政をどう立て直すかという点で、強い姿勢で前向きにこの問題の解決に当たってほしい。  そこで、最後にお伺いしたいのは、今度の定員増減の表を見ますと、国立関係で、まあ増員はすべてで二人になるのですね。ところが、これを見ますと、監督官とか課長だとか事務部長だとか課長補佐、係長というのがずっとふえているのですね。ところが、この肝心の働く看護婦さんたちはふえていない、全体を通じて二名。ところが、入院患者とか外来患者増加という点になりますと、結局見込みは二二・三%の増加になっている。そうすると、実際に働く人が減員になって、さらに入院だとか外来がふえるというようなことになっておりますが、それではいまの重労働がさらに超過重労働になると思いますが、これはどういう計算でございましょうか。
  71. 尾崎嘉篤

    政府委員尾崎嘉篤君) いまのお話は国立病院のことでございましょうか、国立療養所の……。
  72. 藤原道子

    藤原道子君 国立病院療養所を含めて。
  73. 尾崎嘉篤

    政府委員尾崎嘉篤君) 含めますと、だいぶ数が入り組んでおりますが、かなりの増員になっておりまして、看護力等にも相当数——私いま手元に数字を持っておりませんが、看護力も国立病院におきまして相当数ふえておると、こういうふうに承知しておるわけですが。
  74. 藤原道子

    藤原道子君 相当数というのはどのぐらいですか。
  75. 尾崎嘉篤

    政府委員尾崎嘉篤君) ちょっと手元にいま数字を持っておりませんので……。   〔理事高野一夫君退席、委員長着   席〕
  76. 藤原道子

    藤原道子君 それでは、今度私の持っている資料が間違いございましたら訂正しなければなりませんので、この次の委員会に、療養所でどのくらい、病院でどのくらいというようなことを詳しく資料をいただいて御説明を願いたいと思います。いずれにいたしましても、この問題は聞けば聞くだけきりもないことでございますが、それほど事は重大でございますので、真剣なお取り組みを願いまして、さらに看護婦法の改正等もいずれ予定になっておるようでございますから、そこで十分論議をしていきたいと思います。  では、看護婦問題についてはこの程度にいたします。
  77. 徳永正利

    ○徳永正利君 いまだいぶご婦人の立場から看護婦問題がずっと審議されてきました。私は、男の看護夫の方も含めてお聞きし、御要望申し上げたいと思うのでございますが、看護婦のことは微に入り細に入り、よくわかったのですが、たとえば看護婦の中でも男の看護夫、あるいはレントゲン技師とか、衛生検査技師、あるいは栄養士、薬剤師、医師、助産婦、保健婦、こういうものが病院の一連の中にあるわけです。こういう人の状態は、一般論として、大ざっぱに言ってどういうふうなぐあいに——きょう午前からここまで審議されたそういうもろもろのことを含めて、どういうふうに医務局長は受け取っておられるか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  78. 尾崎嘉篤

    政府委員尾崎嘉篤君) いまのお話は国立病院でしょうか、日本全体でございましょうか。
  79. 徳永正利

    ○徳永正利君 ちょっと私の質問がわかりにくかったかと思うけれども、たとえば人間が足らぬとか、勤務状態が悪いとか、あるいはまた月給が安いとかいうようなことがおもなきょうの一口に言えば結論だろうと思うんです。だから、もう少し給与をよくしろ、勤務内容をよくしろ、それから希望の持てるような職種になるような育て方をしろとか、いろんなことだろうと思うのですが、ほかの職種についてはそういう希望があるのかないのか、そういう問題がいままで出てきておるのかどうなのか、看護婦だけの問題なのか、医療行政の上においてかどうかということをお聞きしたい。
  80. 尾崎嘉篤

    政府委員尾崎嘉篤君) まず、医師について申し上げますと、医師は、御承知のとおりに、日本全体で人口九百数十名に対しまして一人というようなぐあいの数になっておりますが、都市に比較的集中しておりまして、地域的に無医村といいますか、医者のいないところがある。また、公衆衛生だとか結核というふうな部門、また、基礎的な研究部門というふうなところに対しまして医者が手に入りにくいというふうな問題が起こっております。この関係につきまして、文部省のほうで定員を少し三十八年の四月から三百名ぐらいたしかふやしたように存じておりますが、なお、病院勤務の医師、これの待遇が昔に比べてだいぶ悪くなっておる。特に国立関係では、民間に比べまして四〇%ぐらいの格差がある、こういうような関係で、病院運営上はなはだ問題になっており、療養所におきまして特にその傾向が強くあらわれておるようであります。また、レントゲン技師とか検査関係の方々も、必ずしも数が十分でございませんが、この需要関係で一体どれぐらいいま要るかという状態をいま測定するのに多少困難を感じておりますが、それも十分だとは思われませんし、また、待遇等につきましてもいろいろ問題があると思っております。
  81. 徳永正利

    ○徳永正利君 私は、いま助産婦、保健婦——女の、ここで働いている人は助産婦もあろうし、保健婦もあろうと思いますし、栄養士もあろうと思いますし、もちろん看護婦がある。そういうような一連のものがいま実際問題として私は行き詰まっていることは、これはもう事実だろうと思うんです。いろんなところに行ってみましても、いろんなところからいろんな御意見を聞き、御希望を聞くわけなんですが、そこで、先ほど丸茂委員の説もございましたけれども、一体どういうふうにしたらこれが完ぺきにいくか、日本社会保障制度というものが、どれもこれもいささか中途はんぱな面がみんなあるわけでございますが、一応やはりこういう医療関係の将来の姿というものをよほど想定してかかっていかなければ、みんな継ぎはぎになっちゃうだろうと思うのです。それをするには金が要るということなんだろうと思うのですが、金が要るというならどういうふうな金のくめんをすべきであるかということを明確に出されて、その上でやはり処理していかれませんと、先ほどのような議論を藤原先生はもう十年繰り返しておられるそうでございますが、これはまた十年ぐらい繰り返していかなきゃならぬだろう。ですから、ひとつもう少し抜本的なあるべき姿というものを立てて、現実にいますぐできぬということもよくわかっているし、一ぺんに右から左にやれといっても、こんなことは言うべくしてできぬということはよく承知しておりますので、青写真を一ぺんお引きになって、そうしてそれに対するいろんな対策をお立てにならなければ、繰り返し繰り返し同じことを議論せざるを得ぬだろうと思います。その点につきまして、私は特にひとつ御要望申し上げておく次第でございます。
  82. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これは徳永先生、何でもかんでも抜本的解決なんというものはありません。これは物価の問題、あるいは賃金の問題、みんな同じ問題でありまして、やっぱり毎年客観情勢、その他いろいろなものによって適当に補正し、適正化していく、こういうことで、これでもう解決しました、ここ十年はこれで済みますなんという解決はあり得るはずがありません。したがって、そのときからまた近い将来において何が適正であるか、こういうふうな考え方でいくべきで、長い将来にわたって、これで解決しました、こういうふうなことは、なかなか言うべくして行なわれない。だからして、そのときの要求に大体合うようにしていく、これはあらゆる賃金問題、あるいは消費者物価のいろいろなものに共通した問題でありまして、始終これは何とかそのときに合うように適正化していく、こういう考え方は持たなければならぬ、固定することはできないと、こういうふうに私は一般的に考えて、そのために始終努力が要るんだというふうに考えております。
  83. 徳永正利

    ○徳永正利君 私は、決して先輩小林厚生大臣と議論するつもりじゃございませんけれども、やはりそれはこれで満足だ、将来これで満足だというようなことは、それはなかなかたいへんなことで、私も一朝一夕にできるとは考えておりません。社会保障の長期計画というものを社会保障制度審議会に御諮問なさっておるようでございますけれども、どういうことをお考えの上でやっていらっしゃるか知りませんが、やはり将来のビジョンといいますか、青写真というものを何とか頭に描いて、そうしてそれに近づけるような方向で努力されておるだろうと思う。毎年毎年出たとこ勝負で、こう薬ばりでやる性質のものじゃないだろうと私は思う。ですから、できるものも私はあると思う。全部が全部長期計画とかいうようなものでやらなければならぬものでもございませんし、また立てにくいものもございましょうが、少なくとも見当のつく一応の私はやはり目鼻というものは、一応そこに描かれるものがこの中においても多々あると思う。で、まあここで私は大臣と議論をする時間がございませんからやめますけれども、どうかひとつ、先ほどの看護婦の問題にしましても、もう少し私はそのものの考え方、どこに一体ネックがあるか、ネックはみんなわかっておるんです。みんなわかっておるけれども、それによう手をつけないで、そのヘリを十年間ぐるぐる回っていたんだと思いますけれども、これを一挙に解決しようたってできるものじゃありません。これは私もよく承知しておりますが、それはそれなりに、やはりもう少し核心に触れた前進の方向をたどっていかなければならぬ、こういうふうに思うのでございます。これ以上大臣の御答弁は要りませんけれども、やはり一応は、そう出たとこ勝負で、その年その年という意味で御答弁なすったんじゃないだろうと思いますけれども、やはり何か社会保障制度の長期的な一つの青写真というものが私はなければならぬというふうに考える次第でございます。
  84. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 先ほど大臣の御答弁の中に、もちろん恒久的でこれでいいという問題はどこの世界にもない。これは私は定義の意味、限界の意味でわからないんじゃないんですが、午前中私が申し上げた、要するにいま看護婦不足、あるいは医療従業員の不足というものは、もう社会的にどうにもならぬところまできておる。これは大臣もお認めなんでございますね。そうすると、これはいままで藤原委員が言われたように、十年間叫ばれ続けながらも、その効果が一向に出ない。出ないどころじゃなくて、かえってひどくなるということになれば、当然大臣が言われるような当面の処置も必要でございましょうが、当面の処置をやっておったんでは、ますますこの情勢を激化させるだけだという意味から、やはりこの際は、大勇断をもって根本のところにメスを触れざるを得ないんじゃないかというところで、私は二つの根本問題を申し上げたんですが、多分に抽象的だったものですから、問題の把握のしかたで多少私どもも十分でないところがあったので、一つの具体的な例を申し上げてみますと、昭和三十六年に岩手県の県庁が発表しました資料があります。あそこには県立病院が三十あります。この三十の県立病院の中で、十九は絶対的な赤字でどうにもならない。十一がまあどっこいどっこいの黒字である。したがって、県当局とするならば、との県立病院一体このまま続けていくことがいいのか、一般財政から相当な補てんをしておりますので、続けていくことがいいのか、この際思い切って整理することがいいのかというところで、いま一番困ったところにいっているというのが三十六年の資料に出ておったようでございます。その内容を見ますると、やはり収入と支出のアンバランスだということをあすこの医療局長ですかが地方議会で答弁しておるようでございます。そうすると、支出というものは、いま申し上げましたように、物件費、人件費、あるいは経済成長に見合いまして、当然に病院診療所というものがそれなりの活動をしようとするならば、これも相当伸びなくちゃならぬ。こういう条件の中で支出は当然伸びていかなくちゃならない。ところが、収入面が、皆保険のために、保険経済である単価、点数によって医療費が押えられておるためにどうにもならないのだ、こういう説明があったようでございます。私は、きょうは医療費の問題は他日に譲りますから、まあここでとめますが、この中で私を最も引きつけたのは、病院の収支バランスの中で、何といっても人件費である。人件費の問題で、とにかく収支のバランスの中では、思い切って人件費を出しておるつもりでありますが、従業員にとってきわめて不足の額なのだ。したがって、今後の病院診療所というものは、おそらく人件費の問題をめぐって、当然行き詰まらざるを得ないだろう。その一つの例は、こまかい数一字をちょっと私失念いたしましたが、昭和三十五年に百三十幾つあった国保の直営診療所の中で、三十六年度まで持ちこしたのが八十六だったと記憶しています。間違ったらあとで訂正いたしますが、それだけの数の直営診療所がつぶれてしまったのだ。その原因は、やはり人件費が十分でないので職員が来ないのが一番の原因だ、こういう意味の説明がなされたと記憶しております。こういうことを考えますならば、もはや医療従業員を確保するということは、やはり病院診療所の経営を今後どういうふうに持っていかなければならないかという青写真、まあ百年も二百年もとは私は言いませんが、少なくとも今後十年くらいの青写真が描かれて、それから逆算した施策が、この際いろいろな障害がありましても、やはり勇断を持って実行に移されなければ、どうもことばが少し行き過ぎかもしれませんが、医療というものが崩壊するのじゃなかろうかという心配を非常に持っております。したがって、私は、百年、二百年安泰だというような長期計画を決して大臣に求めるものではございません。しかしながら、少なくも十年くらいはこれを目標にしていくのだ。そうすると本年度においてはこの目標に三割近づいた、来年度は二割近づいたという一応の目安がつくだろうと思う。この目安が、現在の待遇、地位には十分甘んじてはおらないけれども、一応その目安どおりにいっているのだという安堵感にはね返って、医療従業員の問題等にも非常にいい影響を与えるのじゃないか、こういうふうにまあ考えついた次第なんです。こういう点についてもいろいろ日ごろ御尽力下すっている大臣のことですから、御念には及ばないと思いますが、一応この方面にひとつ抜本的なメスを振っていただくことが看護婦対策の一番の根本問題だというふうに考えまして、お願い申し上げる次第でございます。
  85. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 私は念のために申し上げておきますが、実は医療費というものが非常に各項目の中でバランスが失われている。したがって、こういうものを適正化しなければならぬという声は前からあるのでありますが、しかし、医療費を全体として適正化するためには、医療実態というものをまず調べて、そして客観的資料を得て、なるほどこのままではいけないという世間の納得、あるいは世論の支持を得なければならぬと思います。こういうことで前から実態調査厚生省はしたいということを言ってきたのでありますが、今日まで行なわれない。そのために私は医療費の根本的な適正化ということをこの際したい。しかし、実態調査がなければ、これが世間の支持を得るととはできない。やむなく私はいまのような緊急是正などということばを発明したというのはどうかと思いますが、とにかく三十六年に医療費が一応直って、それからすでに三年たっておる。ところが、その後経済の成長で物件費も人件費も非常に上がっておる。これで医療費をこのまま置いていいのかということについて私は疑問を持ち、また、私の腹の中では、これは是正をする必要がある、こういう考え方をもってこれは中央医療協議会に諮問したことはよく御承知のとおりでありまして、いま申すように、人件費は非常に上がっている、あるいは物件費も上がっている、こういう客観的の情勢に合うような是正をとりあえずして、そうして、しかる後に実態調査等に関係者の協力を得て、実は年内にでも根本的な適正化をしたいというのが厚生当局の考え方でございまして、いまお願いしておるのは、ほんのこの三年間の客観情勢に対応するだけのことをして、そうして続いて適正化の問題を取り上げていきたいと、こういうふうに考えておるのでございまして、私どもは、もう答申があれば昨年に何がし九の手当てができたと思うのでございますが、しかし、いまでもまだこれを期待し、善処したい、こういうふうに思っている。この二段階に考えているのでございまして、適正化の問題をこのままで放置するということはありません。ぜひその点続いてやりたいと、こういうことで、実態調査というものに関係者の御協力を得たいということでいまいろいろお願いを申し上げておる、こういうことでございます。
  86. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 大臣のお気持ちはわかりました。いま三年間というふうな具体的な数字まで飛び出しまして、そこで医療費の問題についても、いまのお話ですと、実態調査を先行させるというお話ですが、私が聞いていまして非常に奇異の感に打たれますのは、どうも実態調査をいままでしなかったということは厚生省の怠慢じゃないかと思うのですね、いろいろ新聞等が無責任な報道等をいたしまして、たとえば関係団体の協力を得ないから実態調査はできない、したがって、医療機関実態というものは数字が出ない、こういうふうな、たいへん飛び越えがたい飛躍的論法をもって報道するようでございますが、よもや大臣はそのようなことは御信じになっておらないように信じておりました。いまのおことばを聞きますと、大臣もまた御信じになっているということを聞きまして、実は私、非常に残念に思う。といいますのは、厚生省直轄の病院診療所をたくさんお持ちになるわけです。国立病院にいたしましても、あるいは都道府県立の病院にいたしましても、あるいは健保連の病院にいたしましても、たくさんの病院診療所をいつでも厚生省はやろうと思えばやれる態勢にある病院診療所をお持ちのわけです。これらの病院診療所は、国民皆保険のもと、当然収入というものは健康保険の収入なんです。したがって、一般の民間の病院診療所と収入の面においていささかも変わらないわけです。したがって、もしたとえば民間団体の協力を得られないとするならば、真に医療実態調査を行なわんとするならば、民間団体の協力を得られないままに、一応厚生省の直轄病院実態調査をおやりになったらどうだろうというのが、それはあながち無理な私の考え方じゃないと思うが、こういう点についていままで厚生省はどういうふうなお考えと、どういうふうな実績を持っておられるのですか、これをひとつお伺いしたいと思う。
  87. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これは過去をいろいろ言ってもしかたがありません。怠慢もよろしゅうございます。われわれは怠慢として非常に遺憾に存じますが、ひとつこれからやりたい、それで、お話のように、国立病院、公立病院調査ができますから、ある程度こちらも資料を持っています。しかし、現在の日本医療というものは病院だけでやっておるわけではございません。私設診療所というものが半数近くやっているわけです。これらは全体を把握する必要がある。また、医療費全体から見れば、そういうことを考えるのは当然だと思う。だからしてわれわれの力の及ばない病院はむろんいたすのでありますが、それから私設の医療機関もこれに協力していただくことが私は適当であろう、こういうふうに考えております。われわれは、過去のことは怠慢として遺憾の意を表しますが、これからひとつもっと建設的にものを考えていきたいということで、私は、私設の医療機関も、この際、実態調査に協力してほしい、こういうことを申し上げているのであります。
  88. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 ただいまのでだいぶお考えがわかってまいりました。しかし、この実態調査という問題は、すでに厚生省におきまして、三十四年ごろからしきりにおっしゃっていることなんです。したがって、まあ私が怠慢と言って、ことばがいささか過ぎたかもしれませんが、過ぎましたらおわびいたしますが、少なくも三十四年ごろからそういうことをおっしゃった、民間団体の協力を得られなかった。そうするならば、民間団体の協力は得られなかったから民間団体の実態というものは調査できなかったが、少なくも厚生省の直轄病院診療所の分については、これこれかようしかじかの数字が出ましたということは、私は厚生省であるならば、しかも、医療の経営実態調査というものを真に必要だということをお考えになるならば、これは当然おやりになってしかるべき問題ではなかったかというふうに私はいま考えます。過去は云々とおっしゃいますので、私も、しいてその点に固執するわけではございませんが、ただ、いままでの民間の病院診療所がなぜ協力を拒んだかという点に対しまするところの理由等については、いま大臣はどういうふうにお考えでございましょうか、ちょっとお話をいただけないでしょうか。
  89. 小林武治

    国務大臣小林武治君) いまのようなことをもうあまりせんさくしても、これは将来の建設的な意見にならないから、もうできるだけ過去にこだわらずに、これから前向きでもってひとつ建設的にお話を進めていただきたい、こういうふうに私は考えます。
  90. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 いまの大臣お話でだいぶわかりました。しかしながら、いままで民間団体が協力をしなかった理由については、大臣はおそらくまあ御存じのことじゃないかと思いますが、その理由を、もしそれ大臣がなるほどということがありましたならば、協力しやすいような態勢に持っていっていただいて、協力させるような態勢に持っていく御努力はぜひお願いしたいと思います。いまのおことばですから、私もこれ以上しつこく申し上げるのじゃございませんが、協力しないにはそれだけの一つ理由もあったかというふうに考える次第なんでありまして、せっかくいまの御好意が、またまた理由が十分探求されない、その理由に対処するいい方法が十分でなかったためにまたまた不調に終わるというようなことがありますると、せっかくの大臣の御意思が十分生かされないということも私非常に心配しますので、念のために、この点はぜひともお願いしておく次第でございます。
  91. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 了承いたしました。
  92. 佐藤芳男

    ○佐藤芳男君 看護婦の問題が結局医療費の問題に関係を持つ、私はそのとおりだと思うのでございますが、先刻の徳永委員大臣との応答を拝聴いたしておりまして、特に私は小林厚生大臣にお願いをいたしておかなければならぬ気持ちがわいて出てきたのでございます。確かに看護婦の問題その他の問題は医療費に大きな関連を持つのでありますが、かつて医薬分業の問題が国会で論議をされましたときに、私は、当時衆議院の予算委員会におきまして、医療費の問題はきわめて重要な問題であるが、それに先行すべき問題は医療制度の問題でなければならないということを指摘をいたしたことをただいま思い出すのでございますが、厚生省におかれましては、すでに総合調整の名のもとにおきまして、社会保障制度審議会に対して、ある程度長期的な構想のもとに現在の社会保障施策というものをひとつどう考えていくべきかということの御諮問がありまして、昨年の八月にこれが答申をみておるのであります。厚生省におかれましては、この総理に対する答申に基づかれまして、いろいろと施策を講じて、徐々に歩を進めておられますることは、まことに敬意を表するに足るものがあると、かように思うのでございますが、したがいまして、ただ狭義的な考えでなしに、その日その日の状況によって手直しをしていくという先ほどの御答弁に対しましては、非常な私は不安と不満を持つのでございまして、これは何といたしましても、やはり徳永委員のおっしゃるように、ある程度長期的な青写真の作成を厚生省とされましてもおつくりになって、そうして、その青写真をかがみとして、逐次そのときの情勢に従って、行なうべきものから順次ささやかながらでも手をつけていくというような、こうした確固たる考えのもとに進めていただかなければならない。それには、まず調査をするということがきわめてめんどうなことで、それで厚生省でもやはり私はそういう考え方からだと思うのでありますが、社会保障研究所というような新たな独立した機関を設けられて、ひとつそれに専念をしてもらおうというような意味で、社会保障制度審議会の勧告にも基づかれて、このたびすでに御発案に相なっておるのであります。なお、私ども社会保障制度審議会に関係をいたしております者は、やはりこれは基金的な制度にしてもらいたい。そして、その利息でこの運営ができるようにということが、この重要なる研究所の使命を果たすために必要だと考えたのでありますが、いろいろ大蔵省との折衝等がむずかしかったと思いますが、やはり毎年毎年この予算を要求するという姿に相なりまして、たしか新年度は千六百万程度、これを基金をつくったとして考えますると、換算しますというと、わずか五億の基金というような、まあ六分五厘くらいにして計算しますとそういうようなちっぽけなもので、私どもは少なくとも二十億ぐらいの基金でやるべきだ、それが換算すると千六百万ですから五億程度、そんなような考えのブアなものになったのでございます。これとても、しかし、非常に貴重な御発案でありまして、これらも活用されて、そして徳永君の御発言のように、やはり各般にわたるある程度長期的な青写真をおつくりになって、それに一歩一歩近づいていくということでありますならば、これは国民的な魅力もそこからわいてまいりまするし、また、そこに一つ社会保障制度の橋頭堡をつくったとでもいって私はしかるべきだと思うのでありますが、したがいまして、ただそのときの現象に即応して、ただ思いつきでこれをおやりになるという考え方は、ぜひひとつさらりと捨てていただきまして、ぜひそうしたような意味合いで日本社会保障制度を進めていただきたいと、特に私は心からお願いを申し上げるところでございます。御同感でございましたら別に答弁は必要でございませんが、これだけお願いしておきます。
  93. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 社会保障制度は、むろんお話のような一つの長期的な展望、あるいは昭和四十五年を目標とするものでつくって、制度としては当然そうあるべきで、先ほどは医療費の問題であるから、これは非常にむずかしい問題であってこういうことを申し上げたのです。その日その日というと、いかにも言い方がどうかと思うのですが、場合によると、その年々ぐらいのこともある程度直さなきゃならぬ。たとえば医療技術もどんどん上がる、あるいは薬にも上げ下げがある、あるいは人件費も毎年人事院の勧告が出るように、人件費も違ってくると、こういうことで、医療費に関する限りは、私は固定した問題はできない、これはやっぱり毎年ある程度考え方が加わらなければ、かえって私は適正でない、こういうふうに考えて、先ほどは医療費のお話だから私はああいうことを申し上げたんですが、社会保障計画につきましては、むろんお話のように、たとえばわれわれも、いま国民健康保険も四カ年計画でこのことをやる、あるいは厚生年金も、いっこうやる、あるいは児童手当も何年からやると、こういうふうにみんな一応の計画を持っておることはもう当然であります。それで、いまのところは、社会保障制度を、ある程度とにかく国民皆保険なれば、だれでも同じ医療の給付を受けられるようにするのがこの理想でありますが、いまのところは、各制度の出発のときと事情が違っておるから、給付の内容が非常に格差が多い、この格差を縮めることによって保障制度を調整する、あるいは総合すると、こういう問題が起きてくるのでありまして、われわれは、いまの社会保障制度につきましては、長期計画をもって毎年毎年それによってその年のプログラムを進める、こういうことをいたしておるのでありまして、さしむきの問題としては、保障制度の格差を直すことによって、そして、やがて総合調整の時期を待つと、こういうことでやっておるのでありまして、お話のようなことはもう当然でありまして、私どももそうでなければならぬと、こういうふうに考えております。
  94. 佐藤芳男

    ○佐藤芳男君 誤解があると因りますから、なお一言つげ加えておきたいと思いますが、医療費を除いた社会保障制度、便宜上そう申し上げますが、医療費を除いた社会保障制度の半ば長期計画、この青写真と、これも必ずしもそれはもうくぎを打ったように抜き差しのならぬものと私は考えていないのでありまして、やはりそのときの事象、そのときの情勢というものによって、その計画というもの、そのプリンシプルというものも多少変わることは、これは当然であるのであります。したがいまして、あくまでもその半ば長期計画に背反してはならぬというようなかた苦しいものではないのだということを御了承を賜りたいとともに、一面、医療費のほうにおきましても、これは当面の問題だけでいいとはやっぱり考えませんので、やはりその根本は医療制度の問題である、医療制度というものが先行しなきゃならぬものであるという認識と御研究のもとにおいて当面の医療費というものをお考えになってしかるべきものであるということをつけ加えて、答弁は要りませんから、どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。
  95. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 厚生大臣、私、委員長として、いまの質疑をお伺いしておりましたけれども、あなたの発言は、これは重大発言だと思うのですよ、先ほど徳永委員に対する御回答は。ですから、私は念のために伺っておきたいのですが、あなたの所信表明の中に、当面、診療報酬についての問題については、中央医療協でいま諮問されておるわけですから、その答申を待ってひとつやりたい。たまたま丸茂委員の質問から関連をして、そういう問題のすべての基本は診療報酬の問題にからんでいるんだと、こういう質問もあったものですから、大臣は、ちょっとあなたは誤解されて徳永委員の質問に答えられているのじゃないかと思うのですが、いま佐藤委員が言われたのはまことにもっともな意見だと思うのです。ですから、診療制度医療制度、その抜本的なやはり青写真ができないということは私はないと思うのです。あなたは、そういうものはできないのだと、要するに、そんなことを言われてみたって抜本的な改正なんかできないのだと、こういう御答弁ですから、それじゃ私たちはちょっと委員会としてもその理由はどうなんだ、なぜできないのかということをやっぱりせんじ詰めなければいかぬと思うのです。その一つに診療報酬の問題があると思います。これはたいへんにむずかしい問題ですから、あなたの諮問機関を経てやったほうがよろしいということでそういう制度を持っておられるわけですから、その点は大臣の意見はわかります。その診療報酬を医療協というものの答申を待ってやられることはよくわかります。ですから、これに対して、医師会に対してもできるだけ協力をしてもらいたいと、こういうことはわかります。ですから、医療制度医療行政というものに対して、もう少し厚生省が、これは国のものもあるでしょうし、民間のものもあるでしょうし、千差万別ですから、給付のアンバランスもあるし、そういうものも含めて、一体日本医療制度というものはどうあるべきかという、そういう根本問題に触れた検討をやはり厚生省としておやりいただいて、その上に立っての長期の計画として、当面三年間どうするという方法をやっぱり御苦心なさってお立てになるのが私は大臣の責務であり、厚生省の責務であると思うのです。その辺ちょっと診療報酬の問題とからんであなたがいま質問されて佐藤さんのような御意見が出てくると思いますので、念のために私ははっきりしておいたほうがいいと思いますので、お聞きしておきたい。
  96. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 医療制度というものには、むろん一応の長期計画、たとえば人口何人について医者が何人、あるいはベッドが幾つなければならぬ、あるいは看護婦が幾人なければならぬと、こういうようなことがみな一つ医療制度として一応の長期的の展望を持たなければならぬ、これはもう当然でありまして、私は、さっきはただ診療報酬についてだけのお話を申し上げたのであります。制度自体について、そういうふうな長期的の国民的な医療がどうあるべきかということは、当然長期計画として持たなければならぬということでありますが、診療報酬というものは相当に流動的なものである。したがって、長期的に幾らで、もうこれで満足するということは、報酬についてはないと、こういうことであります。
  97. 鈴木強

    委員長鈴木強君) わかりました。ほかに——よろしゅうございますか。
  98. 藤原道子

    藤原道子君 私は、大臣にお伺いしたいのでございますが、いま非常に社会的に問題になっておりますトルコぶろでございますが、トルコぶろがいま公衆浴場法で取り締まられているのです。いまの現状に即しまして、公衆浴場法で取り締まってそれが妥当であるとお考えかどうか、また、どういう取り締まり方法をもって臨んでおられるか、これについてお伺いしたいと思います。
  99. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 公衆浴場法というものは、主として衛生施設と設備、こういうことが主眼となってできている法律でありますので、私は、トルコぶろなるものを衛生設備、施設の適否ということで厚生省がまあ関係をしておりますが、いまいろいろ問題になっているようなことは、これはもうむしろ風俗営業として何か取り締まりの対象にしなければなるまいかと、こういうふうに私は考えておるのであります。幸い、いま風俗営業取締法の改正案も出ておりますので、こちらの方面で警察取り締まりとして、あるいは風俗取り締まりとしてこれを見なければならぬかと、こういうふうに考えております。すなわち、私ども公衆浴場法としての取り締まりには限界がある、こういうふうに考えております。
  100. 藤原道子

    藤原道子君 現に公衆浴場法で取り締まっておるということをしばしばとの委員会で言明していらっしゃる。ところが、それが妥当でないというならば、風俗営業法に移すべく警察当局と協議されたことがあるか、その見通しはどういうふうになっているか。
  101. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) トルコぶろの風俗営業面の取り締まりに対しまして警察庁のほうといろいろと話し合いをいたしたことはございます。また、今日いろいろ問題になっております諸点を改善する点についてもいろいろ話し合っておるわけでございます。これを法的にどのような扱いをいたしますかにつきましては、現在、御承知のように、公衆浴場法の第三条には施設側は「風紀に必要な措置を講じなければならない。」という、一応条文には「風紀」ということばがあらわれております。したがいまして、本来この法律は公衆衛生の目的を主として設けられたものではございますけれども、この法律の第三条にありますように、風紀の措置も実際上はある程度行なわれておるわけでございます。この法律に基づきます風紀の措置が、ただいま問題となっておりますトルコぶろの風紀上の問題をこれで解決できるかどうかという問題が問題になるわけでございまして、その解決には、おのずからこの法律の性格として限界があるかもしれない。しからば、それ以上に何か風俗営業法のほうで処置をする余地があるかどうか、かような問題についていろいろ話し合ってきておるわけでございます。
  102. 藤原道子

    藤原道子君 いま大臣は、幸い風俗営業法の改正が出ているから、そのほうで云々とおっしゃった。いま大臣がちょっと席をはずされましたので残念でございますが、ところが、あなたのほうではその問題についての話し合いはした、その話し合いをした結果がどうなりました。もし結果が出ておるならば、風俗営業法でやるならば今度の改正案に入るべきだと思う。ところが、今度の改正案には深夜喫茶だけが入っておる。風俗もヌード・スタジオも、また、青少年問題として非常に重大なボーリングの問題も全然入っていない。入っているのは深夜喫茶だけなのです。だから私どもは心配してお伺いするのでございますが、お話の結果、どう処理するかということの結論を伺いたい。
  103. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) ただいま大臣から仰せられました点は、風俗営業的にトルコぶろの風俗問題を徹底的な処理をしていくというようなことでございますと、方向としては風俗常業のほうが妥当であるかもしれないという点を申し上げたわけでございます。今日のトルコぶろの実態から申しますと、健全なものもあるわけでございまして、これらのすべてを風俗営業として取り締まるかどうかはいろいろ問題もあることでございまして、したがって、いま直ちにどのような扱いで法律的規制をしていくかということの検討の段階でございまして、せっかく風俗営業取締法の改正の機会でございましたので、いろいろ検討いたし、話し合いはいたしたのでございますが、現在ではその結論が得られない状況にあるわけでございます。そうかといって、私どもは今日の事態がそのままでいいと思っておるわけではございませんので、何とか改善の措置は講じたい、かように思っておるわけでございます。
  104. 藤原道子

    藤原道子君 これは看護婦の問題ほどではないのですけれども、トルコぶろができてからしばしば委員会で問題になっている。で、風紀の問題という第三条の問題は男女混浴をさしている、いままでしばしばそういう御答弁だった。公衆浴場法でいけば保健衛生の取り締まりだ。その立場から、風紀というのは男女混浴を禁じているというもので、さてそのほかには手が出ませんという御答弁だった。ところが、このごろはそれが実に目に余るものがある。あなたのほうでは、いまいいものもあるが、悪いものもある、だから、さて法的な規制をするということはなかなかむずかしい、こういう御答弁でございましたが、それならば、トルコぶろは現在幾つあって、いいものと思われるものが幾つか、悪いものと思われるものが幾つあるか。
  105. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 昭和三十八年の三月末の調査によりますと、全国でトルコぶろは二百四十一ございます。今日ではややふえておる傾向にあるかと思います。ただ、これは私どもの調査にあらわれた結果でございまして、あるいは警察庁のほうの御調査では、もう少し大きな数字をつかんでおられるかもしれませんが、私ども都道府県から報告を受けました数字は二百四十一カ所でございます。このうち、約半数が東京にございます。ごく最近では、約百五十三カ所という数字でございます。で、愛知が二十八、神奈川が二十五、千葉十一、静岡十というような順序でございまして、圧倒的に東京都に多いわけでございます。これに対しまして、ただいま藤原先生がおっしゃいましたように、従来のあの法律に基づきます第三条の風紀上の措置という条文はございますけれども、構造設備の第二条のほうには、公衆衛生上の目的のための構造設備のようにあの法律には書かれておるわけでございますので、したがいまして、あの法律にはおのずから限界があると申し上げるわけでございます。しかしながら、公衆衛生上の目的でございましても、その結果が、その構造を改善することによって風紀上にもよい影響がある構造もあるわけでございます。たとえば今日東京都がきめております都の構造設備の基準によりますと、必ずしもこれで十分とは申しませんけれども、まあのぞき窓といいますか、透明なガラスをもってつくられた二十センチ四方の窓がなければならないとか、とびらにはかぎをかけてはならない、あるいは個々の個室に通ずる廊下は共通の廊下でなければならない。そのような構造が、ある程度風紀によい影響があるような基準もあるわけでございまして、したがって、現在の範囲でも、公衆衛生という目的ではあるけれども、結果的には風紀上によい結果が得られる構造も考えられるわけでございますし、また、その運営に努力をいたしますれば、これまた好結果が得られるという点が一応あるわけでございます。ただ、その程度では徹底しないという考えはあると思いますから、それらが問題の検討する部分でございます。
  106. 藤原道子

    藤原道子君 あなた方は実態を知らないのじゃないかと思う。トルコぶろは、東京都のこの条例には、そのガラスを入れなければならん、これは確かにある。ところが、行って見ますと、ガラスを入れる場所の規定がない。したがって、ごく下のほうに入っている。だから、それをのぞいて見ようとすれば、からだを横にして廊下に寝っころがらなければ中が見られない、あるいは中央にあるところには、中から背広なら背広をかければ、これも全然中は見えない、あるいはガラスが入っておるけれども、これにはふたがあるのです。何といいますか、ドアと同じ木のふたがあって、そのふたをあければ中がのぞける、こういうふうにして抜け道を一生懸命に考える。中を見るには廊下へ寝そべらなければ見られないというようなことで、これで効果が上がっているか。中から背広をかけておいて外から見えるかどうか、これで事足りるという考え方はおかしい、あるいは公衆浴場ならば個室が必要でしょうか、ここにも問題がある。私どもこの間見ましたのは、新宿のトルコ御苑というのだったと思うが、ここには大衆ぶろは何もない、全部個室なんです。それで六畳ぐらいの部屋だと思うが、そこに、奥に蒸気ぶろと普通のふろと二つございます。それから、入り口のこっち側にベッドが置いてある、それで、こっち側には洗面所がある、そこを中から密閉してはならんと言ったって密閉していますよ。それで、全部遮断された中で入っているわけですね、お客さんが。それで、若い娘、ミス・トルコと称する者が、とにかくブラジャーの小っちゃいの一つ、それから、何というのですか、ビキニ・スタイルというのですか、パンティーなというものもほんとうに申しわけ的な、そういうかっこうで密閉した部屋でマッサージをしている。しかも、何といいますか、これはもう一つほかのトルコぶろでございますが、普通の一般入場料は千円ですか、それからスペシャル・サービスというのが千五百円、それからムード・サービスとやらいうのが三千円なんです。そこでは中がミス・トルコの個室になっているらしいのです。その部屋にはセーターが二、三枚かかっている。これでは明らかに売春の復活だと思う。公衆浴場法でこういうことがはたしてできるのかどうか、これを東京都の条例があるから、何とかその手でやっておるのだろう。私は、公衆浴場というのは、申し上げるまでもなく、みなが行って入るところだ、それが一つもなくて個室だけというのはどういうわけですか。それで三年ばかりきょうだいでミス・トルコをやって、月の収入が一人二十万円ぐらいある、アパートを建てている。こういうのはどこから金が入るのか。これが健全な公衆浴場法のもとにおいて妥当かどうかという点についてお考えを聞きたい。
  107. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 先ほど来申し上げておりますのは、公衆浴場法の範囲にて風紀上できるだけ改善をはかるような努力をはかるということを申し上げたわけでございまして、−私どもとしては、それがこの対策のすべてで、解決するとかしておるとかいうことではなくて、確かにお尋ねのように、今日トルコぶろの実態は非常に寒心にたえない状況にあることは痛切に感じております。しかも、この業態は非常に地域的に偏しておるということも特徴があるわけでございまして、したがって、この実態は、かなりそういう現実の実態考えて措置する必要がある。しかも、私どもの気持ちとしては、これが売春の場になることは決して好ましいどころか、何とかしてそのようなことには絶対にないようにすべきであると私どもも感じておる次第でございまして、公衆浴場が売春の場になるというようなことはまことに困ったことである、かように考えておる次第でございます。したがって、私どもの措置で徹底を期しがたいものは、さらにこれは警察庁と十分話し合いをいたしまして、何らか思い切った措置も考えなければならぬと、かように考えております。
  108. 藤原道子

    藤原道子君 そこでお伺いしたいのでございますが、何とか処置しなければならないと考えているだけでは因るんですね。私は今度の風営法の改正が絶好のチャンスだったと思うのです。  それから、もう一つ伺っておきたいのは、トルコ協会というのがありますね。トルコぶろの協会、御存じないですか。そこの会長が志野幸八というのですが、志野幸八というのは、何やらその人の前歴を私はきょう聞きたかったのですが、それで、そこの名誉会長に今度大野伴睦さんが御就任になった。顧問に大分一区から御当選になっております元建設大臣の村上さん。それから石川県の稻村左近四郎というこの人も代議士、この人が今度就任された。顧問に推薦され、名誉会長に推戴されて、ここに会長と名誉会長大野先生との握手している写真がこんなに大きく出ている。その大野さんを迎えるに至った動機ですね、ここにいろいろあるのですよ。ことしはオリンピックの年だ、都市の浄化をはからなければならないし、もう一つは、「観光日本の新しい花形であるトルコ浴場を、名実ともに?゛価値ある存在゛に仕上げること」が目的だ、ところが、世評いろいろのうわさが高まってきている。「その一方、業界に対するきびしい世評は、取締り強化のための立法措置の要請となって現れており、この面では協会は高い政治力が必要になってきたのである。この時に生っ粋の政党人であり、人情にもろく道義に徹し、実力者として大きな抱擁力と逞ましい政治力を持った自由民主党副総裁大野伴睦先生が東京都トルコ浴場協会の名誉会長に就任されたことは、きわめて意義深いものがある。」、こういうことが協会の新聞に出ているのです。私は非常に遺憾だと思う。大野先生には、まさかそういうお気持ちはないと思う。ところが、業者が迎える意義をここに書いてある。大野先生を迎えるのは、世上にいろいろなうわさがあるから、政治的実力者を迎えるのだとはっきり書いてある。こういうことがあっていいのか。しかも、トルコ協会のあることも御存じない。しかも、現行法のもとでは公衆浴場法で取り締まっているのだから、トルコぶろがこうした堂々とした機関誌を出している、そういうことも御存じない、会長も御存じない、それで取り締まりに当たっていられるというのでは、私どもは納得できません。一体ほんとうにトルコ協会とやらいうものがあるのを御存じないのですか。まさか私は御存じないとは言えないと思いますが、それに対してまず御意見を伺っておきます。
  109. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) おそらくお尋ねのトルコ協会といいますのは任意団体ではないかと思います。私どもとしては承知いたしておりません。
  110. 藤原道子

    藤原道子君 ものすごいもうけがあるし、最近は東京のオリンピックを目ざしまして、地方からどんどん女を東京へ募集している。しかも、これの中心人物は元赤線の人だと私どもは聞いている。それで、このごろ売春が半ば公然と行なわれておりますことは御案内のとおりなんです。このごろどこに行っても、このくらいのカードで、お電話を下さいというのが各所に置いてございます。いわゆる何というのですか、売春婦が客を誘う行為ですね。一面においてはトルコぶろがある、一面においてはヌード・スタジオがある、これじゃもうほんとうにむちゃくちゃだと思うのです。ヌード・スタジオは一体どこで取り締まっておるのか。
  111. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) ヌード・スタジオは、これがもし公衆といいますか、多衆に見せる興行的な場でありますれば興行場法の適用を受けるわけでございます。実際に興行場法の適用を受けておりますのは、昭和三十八年四月の調査によりますと、ヌード・スタジオは百七十六カ所全国にございますが、このうち三十四カ所が興行場法の適用を受けております。
  112. 藤原道子

    藤原道子君 一体このヌード・スタジオというのが興行でしょうか。
  113. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) ある程度の広さの部屋におきまして多数の人が集まりましてものを見、あるいは聞くというものを衛生上取り締まる必要がある場合には興行場法の対象となるわけでございます。したがいまして、ヌード・スタジオの中にも、衛生上取り締まる必要が、ある程度の広さを持ち、多衆集まるものもあるわけでございますので、ただいまそのような扱いになっておるわけでございますが、中には非常に狭い部屋のものもあるように聞いているわけでございます。そのような部屋にごく少人数が集まりましてヌードを見るという状況は、別に普通の家庭の部屋とあまり変わりがございませんので、必ずしも衛生的に取り締まる必要がないということから、興行場法の適用は必要がないと考えております。
  114. 藤原道子

    藤原道子君 ちょっと私は納得できませんね。ある程度の広さを持って、確かに明らかに興行場法の適用に入るのが三十七カ所ですか。これはどことどこか、あとで聞かしてください。私たちが見たところによると、大体部屋は六畳、狭いのは四畳半、そこにカーテンだけが壁のところに張ってあって、それでお客との間は、はかったら一メートルくらいしかない。私たちが見たのは一メートルもございませんでした。そこで出てきて、あれをしてほしいと要求をしましたら、はじらいもなくそこで裸になりました。ところが、全く狭い。お客がすぐ手が届くのですから、そういうところで全裸ですね。ここでは何といいますか、お乳もまる出し、ビキニ・スタイルも、わざと下げて、それで、そこで姿態をつくるわけなんです。お客さんの要求によってどんな姿態でもするわけです。これが興行でしょうか。そこも、しかも、新宿にありますのは、全部といっていいくらい赤線のあとにある。ところが、その中で、これが興行場法の適用になるとは私たちは思えない。同時に、あなたの最後の御答弁に、小さなものは興行法として取り締まる必要もないというのでそのままにしている。そのままにしていていいんでしょうか。あれこそは明らかに問題だと思う。あなたのお考えを聞かしてください。
  115. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 本来、興行場法は公衆衛生の目的のために設けられた法律でございまして、公衆衛生上困る事態を規制することを目的としているわけであります。したがいまして、ただいま藤原委員からお話のございましたような、非常に狭い部屋で少人数集まるようなものは、少なくとも厚生省が公衆衛生上の目的から取り締まっている対象ではないと思います。
  116. 藤原道子

    藤原道子君 売春が行なわれていても厚生省はかまわないわけですか。
  117. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 売春の取り締まりは、風俗営業、あるいは売春防止法の扱うところでございます。
  118. 藤原道子

    藤原道子君 青少年の善導、児童福祉なんていうことはあなた方の役割だと思う。そういう観点からいっても、野放しにしていいんですか。
  119. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) その場合には興行場の取り締まりという意味合いではなくて、青少年の補導といいますか、保護といいますか、そういう意味合いの観点から、そのような特定の施設に限らず、全般的な問題としては考え得ると思います。
  120. 藤原道子

    藤原道子君 それならば、なぜ警察と話し合って今回の風営法の改正にこれを入れようとはなさらなかったのか。これは興行場法の適用以外だからうっちゃらかしていいという問題じゃないと思う。  それから、それに対して警察では厚生省とどの程度お話し合いがあり、ヌード・スタジオなりトルコぶろに対してどういうお考えをもって今日までやっておいでになったか。今日ここまではびこるまで放置していたということは重大問題でしょう。
  121. 楢崎健次郎

    説明員楢崎健次郎君) ただいまのお話のありましたトルコぶろ、あるいはヌード・スタジオの問題につきましては、これが風俗上いろいろ問題がある、御指摘のとおりでありまして、これにつきましては、それぞれ厚生省の関係御当局と相談いたしまして、まずトルコぶろにつきましては、公衆浴場法の規制の強化という点を検討していただく、あるいはヌード・スタジオにつきましては、興行場法による規制の強化という点を検討していただく、その強化と相まちまして、警察のほうとしてはそれぞれの実態を把握しまして、関係の法規と申しますのは、売春防止法であるとか、あるいは関係の刑法、公然わいせつ罪、あるいは職業安定法、労働基準法、そういった法規を活用して現地の法規違反を極力取り締まっていく、こういったことで現在まで至っておるのであります。現にトルコぶろ、あるいはヌード・スタジオにつきましても、相当の検挙を現在までも行なっておる、こういう状況であります。最近の風俗営業法の改正につきましても、そういった問題も検討いたしたのであります。先ほど申し上げましたように、それぞれの法規があり、それぞれの監督の方法があるわけでありますけれども、それを強化する、警察はそれに対応してそれぞれの法規の違反を検挙していくということを当面の対策といたしまして、今回の風俗営業法の改正につきましては、さしあたり最も緊急な青少年問題の一番対象になっております深夜喫茶の廃止ということだけを取り上げた次第でございます。
  122. 藤原道子

    藤原道子君 深夜喫茶が廃止になれば、やっぱり逃げていく先を次から次へ彼らは考えるわけです。ところが、取り締まりというか、後手から後手へなってくる、大きくなってから大騒ぎするから、そこに人手が足りないとか、いろいろな問題が起きてくる。いま御答弁のございました相当数検挙したということがございましたが、どのくらいあらわれておりますか。
  123. 楢崎健次郎

    説明員楢崎健次郎君) トルコぶろにつきましては、昨年度四十四件、二十七名を検挙しております。それからヌード・スタジオにつきましては、昨年度の検挙件数は二百三件、二百十名になっております。
  124. 藤原道子

    藤原道子君 このごろトルコぶろに対しても、公衆浴場法では——ほんとうにやるとならば、構造の面も、まずいまのまま野放しにしておくという手はない、あるいは時間の問題、これもある。それから、若いミス・トルコがマッサージしているのですね、あれ労働基準法の立場からいってもいろいろ問題があるだろうし、あんま、はり、きゅうのほうにも関係してくると思う。それらの点に対して厚生省がこれを指導し、あるいはこれの改革を要請していく、命令していくというようなことで、ある程度はやれるのじゃないかと私たちも期待していた。ところが、全然やってないじゃないですか、それを。構造を改めるようにと指導された件数がどのくらいありますか、やってないでしょう、やっていたら御答弁を伺いたい。
  125. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 東京都は、目下構造設備の改正を検討中でございます。また、全国のまず状況を把握する必要がございますので、昨年中に二回全国調査をいたしました。強い指導をいたしたいと考えております。
  126. 藤原道子

    藤原道子君 強い指導をしたいといったって、もうやってないのでしょう、やつてっこないでしょう。やれないならば、この際、ましてこんな大野先生などが名誉会長だなんということになれば、ますます尋常のさたではいかないだろうと思うのです。どうしてもいまの法規のまま問題の時点が違っているでしょう、公衆浴場法というのから。ということになれば、警察と十分に相談をして、やはり風俗営業のほうへ入れるべきだと思うけれども、一体どうなんですか。
  127. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) お話のように、私どもの公衆浴場法で措置し得る範囲はおのずから限界があるわけでございます。したがいまして、との問題の解決を私どもの観点からだけで処理できるというつもりは全然ございません。少なくとも、私どもの範囲では最大の努力をするという気持ちでございまして、その措置の範囲をこえたものにつきましては、もちろん警察庁のほうにお願いしなければならない、かように考えております。
  128. 藤原道子

    藤原道子君 聞くところによると、あれは保健所の管轄なんですね。保健所は次から次へ仕事が拡大されていくし、保健所では弱いのですよ。とても太刀打ちできないのです。営業停止くらいくれるくらいな覚悟がなければできないのです。ところが、あなたのお話のように、いいのもあれば悪いのもある、だからむずかしいと言っていたんじゃ、悪いののほうが、悪貨が良貨を駆逐して、いまに悪貨ばかりになるのですよ。これはもう全国的にわかっています。初めは大衆浴場もあった。このごろは個室個室ということになって、花盛りですよ。これはどうしても私このままでは看過するわけにいかない。そこで、警察庁に伺いたいのですが、一体これをあなたのほうで引き受けて処置するというお考えはないのですか。
  129. 楢崎健次郎

    説明員楢崎健次郎君) まず、いろいろ問題があると思いますが、たとえば現在のヌード・スタジオの中で、明らかに関係法令の違反をやっておる、こういうようなものは、すでに許可とかいう問題でございませんで、検挙取り締まり一本でいくべきだ。それ以前の段階で、公衆浴場、あるいは興行場法に入らないもので風俗営業として許可するというようなものがあるかどうかということについては、いろいろむずかしい問題もございまして、検討を要すると思います。原則としましては、私どもは法令違反の状態が現実にあれば、これは検挙取り締まりの対衆とする。それから、それ以前の段階で、風俗的に非常に問題があるというようなものをどう規制すかるということについては、原則としまして、関係の法令があれば関係の法令の規制を強化する。それでもどうしてもいけないというものは、やはり風俗営業といいますか、何らかの形で警察の視野の中に入れていく、こういうことがあるいは必要であろうかと思います。ただ、いまのいろいろお話ありましたトルコとかヌードとか、あるいはボーリングとか、そういったものをいま直ちに風俗営業に全部入れるかどうかということはなかなかむずかしい問題でございまして、これは興行場法、あるいは公衆浴場法、あるいはその他の法律全般との関連、どの程度までどういう方法でやるか、警察の許可の対象にするならば、警察の立ち入りその他の問題も出てきますので、非常に慎重な検討を要するのではないか。そういう意味で、いま直ちに全部を風俗営業法の中に入れるということについては、もう少し厚生省、その他関係官庁と十分に相談いたしまして、検討する必要があると思っております。
  130. 藤原道子

    藤原道子君 これはトルコぶろにしても、時間の制限ぐらいできそうなものだと思う、それもできていないでしょう。それから、あとヌード・スタジオの問題は、私も興行場法の適用というのはおかしいと思うのですね。それから、あれを風俗営業として認めるかどうかということになれば、あんな営業はなくたっていいのではないでしょうか。あれがあって益ありとお考えですか。必要な職種とお考えなりますか、どうですか。
  131. 楢崎健次郎

    説明員楢崎健次郎君) ヌード・スタジオの中には、芸術的に真にその絵を描く、あるいは写真をとるためのスタジオもありましょうし、いろいろあると思いますが、ただ、明らかに風俗を撹乱しており、法令に違反している、こういうものは、これはむしろ許可の対象にはなり得ないものだと思っております。
  132. 藤原道子

    藤原道子君 取り締まり法規の対象外のものが次から次に出てきているのですね。あのボーリングというのがいま非常に問題になっておりますが、あれは何で取り締まるのですか。
  133. 楢崎健次郎

    説明員楢崎健次郎君) ボーリングにつきましては、現在、これを営業として取り締まる法律はないようであります。現在、われわれといたしましては、一方ではボーリング場内の各種の法令違反を取り締まると同時に、ボーリング場に対して、いまの深夜、場合によって朝までやっている、こういうようなものに対しましては、指導と申しますか、自粛を求めまして、できるだけ青少年の健全なスポーツとおっしゃるなら、そういうふうに深夜までやらない、そういうことで自主規制を行なってまいるということで、いろいろ指導もしております。現在問題になっております深夜の営業をやっておりますのは、ボーリング場のごくわずか一部であります。大半のものは十二時にはやめているようであります。そういうことで、ボーリング場につきましては、とりあえず事柄はスポーツの問題でもありますし、できるだけ業者の自主規制にまつ、こういう方向でやっております。
  134. 藤原道子

    藤原道子君 私は、ボーリングは健全なスポーツだと、私も確かにボーリングそのものは悪いとは言わない。ところが、アメリカあたりでは、ボーリングをやるといったって簡単にできるんですね。それほど高くない。ところが、日本では景品を出したり、かけをしたり、こういうことで非常に金がかかる、そのために非行少年の大きな原因になる。私は、健全なスポーツならば、やはり十時ごろまでが原則であろうと思う、もしこれをスポーツとして規定していくならば。ところが、この間私どもが見たところでは、営業時間が午前三時と書いてある。私聞いたら、三時までは入れるのだそうです。だから、済んで帰るのは朝の六時、七時になる。これじゃあ健全なスポーツとは逃げられないと思う。で、まあ確かにスポーツであるということになれば、時間は、少なくともナイターだって十時ごろまででしょう。私は十時ごろまでで打ち切るべきである。金がかかり過ぎる。いまの子供の小づかいではやり切れないと思う。この間行ったのはおそうございましたから、もう学生さんも若干残ってはおりましたが、いかがわしいヨタモノが来ているんですね。その中に、善良であったとしても、学生たちが引きずられていくのですね、非常に危険だと思いました。この間の高校生の三名の強盗事件だって、あれもボーリングの金が足りなくなった、結局こういうことで、親から金がせびれなくなると、どこかに金を求めていく。これが悪の道に落ちる大きな原因だとしますれば、やはり少々の抵抗がございましても、抜本的な対策を立てて、子供をひとつ守り、社会的な犯罪をなくし、いまや復活ムード一色になっております売春の問題に対しましても、ボーリング場でも、必ず健全なスポーツのみではなくて、夜おそくまで時間を一時間も二時間も待っておるようですね。そこに喫茶店がある、そこで何やら成立して出て行く、入って来るのは二人連れ、こういうのがけっこうある。私は、男の人の中には、どうお考えになるかわかりませんけれども、やはり子供を持つ親といたしましては、この際、姿勢を正しましてこれに取っ組んでいただきたい。特に小林厚生大臣にお伺いしたいのでございますが、いまのトルコぶろの問題、ヌード・スタジオの問題、健全なスポーツといわれておるボーリング、これらが一貫してやはり売春につながっているのです。こういう点から、ひとつ福祉国家をつくろうとするときに、こういう悪質な腫瘍を取り去るように強い姿勢で取り組んでいただきたい。トルコぶろにつきましても悪いほうが多いのだから、公衆浴場ならば個室は要らないというのが私の主張なんです。それから構造改築の問題もあるでしょう。そういう点で小林厚生大臣はどうお考えなりますか、どういう御覚悟を持って今後臨んでいただけるか、これについてお伺いしたいと思います。
  135. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 実は、私は善良な老年でございまして、そういう場所を一切知らなかった、また、行ってみたこともないので、お話を聞きましてなるほどと、私もこれから実地を見まして、その上で国家公安委員長ともぜひひとつ慎重に懇談をいたして何か善後策を講じたいと、かように存じております。
  136. 藤原道子

    藤原道子君 私は、大臣のお耳にまだ十分入っていなかったということは残念だと思うのです。やはりこれだけ世間が騒いでおります問題は、ぜひ大臣にもお耳に入れてもらって、ぜひおしのびで視察をしてもらいたい、そうしてひとつ職責を全うしていただきたい。よほど強い姿勢でなければこれは取り締まれないと思うのです。非常に全国組織で、非常に金がもうかるそうです、トルコぶろにしても、あるいはボーリングにしても。ところが、金をもうける人はいいけれども、その犠牲になる子供たち、あるいは善良な市民、そして、それに泣く女性の立場から考えますとき、私たちはこれを黙視するわけにいきませんので、大臣の御奮起をお願いしたい、こう考えます。
  137. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 承知しました。
  138. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 関連。私は、きのうちょっと京都から来るときに、いま出ている週刊雑誌を買うたのです、週刊新潮でしたか。六ページにわたって非常にこまかしく書いてある。ああいうように雑誌にこまかく書いてあるのに、厚生省といまの藤原さんの質疑を聞いていると、厚生省の方はよくご存じないような感じなんですね。私も案外知らぬもんだから、あれを読んでわかったんだが、その中で多少おもしろおかしくというのでもないでしょうけれども、いまの法規では取り締まりのしようがないんだというようなことを関係者がそこで述べていることも入っているのですね。だから、私は、そこらあたりがいろいろ実態が世間にわかることはいいと思うけれども、関係者が個人の見解として述べているというのは、少しやっぱり厚生省、警察庁がありながらどうかと思うんです、そういう点は。関係者がそう述べておられる。そうすると、結局国民の印象としたら、それはもう処置ないんだという印象で受け取られてそのままになってしまうということになるので、私は、やはりああいうものはなかなかそれは取り締まりはむずかしい問題だと、いま藤原さんのお話を聞いていてもよくわかるのですけれども、しかし、何かものの話題にのぼって、それが何か間違いを起こす苗しろになるようなことになればやっぱり問題だと思うので、そういう点は、私はいまこれ以上質問したりなんかしませんけれども、ああいう雑誌に出て、そして、そういう結論づけられたものが社会に流れて、そして、同じかっこうで存続しておるというのは、少し行政上黙っておられない問題じゃないか、私はそういう感じがします。ですから、どう取り締まったらいいのか悪いのか、私はよくわかりませんけれども、やはりそういうものが助長されるようなかっこうで結末がつくのじゃなくて、行き過ぎた面はやっぱり自粛するようなかっこうで結末がつくような形にしておいてもらわないとやっぱり私は困るのじゃないか、こういう感じがしますので、一言。
  139. 小林武治

    国務大臣小林武治君) ただいまの御趣旨はよくわかりましたので、私も自分でひとつ乗り出して検討したい、こういうふうに思っております。
  140. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 私は、時間が限られておるようでございますので、生活環境の一般の問題につきましてはまた後の機会に譲るとしまして、当面問題になっております問題について、先般の国会で成立した生活環境施設整備緊急措置法との関連で厚生省当局のお考えをお聞きすると同時に、ひとつ適切なる御指導をお願いしたいと思うわけでございます。  それは、現在東京都におきましてごみの埋め立て施設の建設を予定しておりまして、この二月から三月にかけての都の議会に提案をされて、おそらく実施をされるであろう、こういうような話を聞いておるわけでございます。先般成立をした生活環境施設整備緊急措置法の中では、ごみの処理については衛生的な処理をするのだということを厚生大臣も言われ、また、計画の中におきましても、この五カ年間で九四%からの焼却施設をつくっていくのだ、こういうことが言われておるわけです。そういう国の方針でありながら、一部地方自治体におきまして、それに相反するいわゆる埋め立てのごみ処理をやっておる。一体このことを厚生大臣としてどういうふうにお考えになっておられますか。まず、それをお聞きしたいわけです。
  141. 小林武治

    国務大臣小林武治君) ただいまのところ、いまお話しのような措置がなお行なわれる、これはまことに残念でありますが、東京都も現在は六カ所か七カ所の焼却場しかない。これを近く倍近くまで伸ばそう。その伸ばすための過渡期においてはごみの処理の方法がない、やむなくいまのような方法をとらざるを得ない、こういうことで、これはやがてやめられなければならぬものである、こういうふうに考えて、さしむきの過渡的な措置として、万やむを得ずああいう措置に出ておる、こういうふうに考えております。
  142. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そうしますと、この五カ年計画の中では、地方自治体も国の計画に沿ってそういう計画を立てて、そうして、さらに東京都に対しては、国としての補助金とか、そういうものは全然予定しておらないわけですか。
  143. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 清掃関係につきましては、私どもは、おもに大きな都市がやるのだというわけで、大部分国の措置としては起債でやるのだということで、来年度は一億円足らずしか補助金は取れない、三十数億円の起債を認められた、この地方債によって措置したい。むろん東京都も地方債の対象になる、こういうふうに思っております。
  144. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 地方債であろうと補助金であろうと、それはやはり国として出す以上、当然その地方自治体のそういう計画に対しては、やはり国が方針を立てて、五カ年計画をもってやることはこういう形で措置していくのだということになれば、もちろん地方自治体の計画に対しては、何らかの指導なり、あるいはサゼッションと申しますか、助言を与えなくちゃいかぬと思うのです。そういう点について東京都と厚生当局の間で話し合われたことがありますか。
  145. 小林武治

    国務大臣小林武治君) むろん厚生省が予算を取り、起債を認めてやるのでありまして、各地方自治団体と折衝をし、われわれが指導的立場でこれをやっておる、こういうことになります。
  146. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 現在、東京都が考えております第一次工事としての五万坪、さらに完成した暁には五十万坪のごみ埋め立て地を、事もあろうに、千葉県の浦安埋め立て地から七百メートル離れたところにつくる、こういうことが計画をされておるわけです。しかも、それは内容を見てみますと、五メートルの高さの土手をずっと築いただけで、その中へどんどんごみを捨てていく、こういうことで、たとえば満潮時と申しますか、潮が高くなればそのごみが浮いて流れ出す、あるいは風が吹けば飛んでしまう、こういうふうな非常に不衛生な面も出てきますし、また、わずか七百メートルのところということになりますれば、当然その付近の住民には悪臭の影響が出てきますし、非常に地域の発展なり、あるいは生活の面に重大な影響があろうというふうに私は考えるわけですが、こういう面について、先般の、あれはたしか四十四国会だと思ったんですが、私は、公衆衛生局長、当時五十嵐さんだったと思うんですが、この問題についてお伺いしましたところが、五十嵐さんは、そのときの答弁では、そういう話はまだ聞いておらない、もしそういうことであれば、当然地元の反対を押し切って強行するというようなことは好ましくないので、十分東京都と連結をしてまいりたいと、こういうような御答弁があったわけですが、そういう点について、厚生当局はこの埋め立て建設について承知をしておるわけですか。
  147. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 現在、東京都では昭和三十八年度としまして、ごみの処理は、埋め立ては七四・八%、焼却は二四・八%にすぎないわけでございます。いま大馬力で焼却場の建設をやっておりますが、それでも三十九年度末に三四%にしか達しないということで、焼却炉の設置がおくれておるわけです。したがって、当分過半数が埋め立てに用いざるを得ない。ところが、現在埋め立てております夢の島はほとんど飽和状態に近くなってまいりました。捨てる場所がない、こういうことで、ただいまお話のございましたように、数年来、葛西地区に新たに埋め立て地をつくる計画を持ったわけでございます。その埋め立てが千葉県に非常に近いことから、千葉県のノリの産業その他に悪影響がありはしないかということを厚生省としても心配をいたしておるわけでございまして、絶対にそのようなことのないような構造にしなければ困る、こういうことを申し入れてあるわけでございます。東京都もその点は十分考えて構造はつくると、こういうことを言明しております。一応外側は高野板で囲んだ土塊でせきをつくりまして、汚水処分場も中へ特別につくって、きたない水は十分処理されて外へ出るようにいたしたい。しかも、この計画につきましては、十分千葉県側にも納得してもらうような構造にしてつくりたい、こういうことをいっておりました。また、事実そのような納得が得られなければ、非常に千葉県境の海に近い地帯でございますので、設置もむずかしかろうと私どもも思っておる次第でございまして、このような場所に設置すること自体そのものは、今日の段階はやむを得ないことでございますし、今回の五カ年計画昭和四十二年度末にはおおむね終了することになるわけでございますが、そうなりますれば、東京都で出しますごみはほとんど全部焼却できる、こういうことになるわけでございまして、それまでどうしても埋め立て地を探さざるを得ないということで、とりあえずその間は十五万坪程度の埋め立て地をここへっくりたい、さらに将来はその多数の焼却場から出てまいりました焼けかすをこの地にやはり捨てて埋め立て地に改造してまいりたい、そのために、ただいま先生おっしゃいましたような数十万坪というようなことを埋め立て地に改造していきたい、こういう計画を持っておるわけでございます。
  148. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そうすると、厚生省としてもそれは承知をして、そして十分地元との折衝に当たって、遺憾のないような処理場をつくると、こういうことでございますね。しかし、非常に私は、東京都の建設予定地というものが、東京湾の中は、地図で見ましても、相当多くつくられるスペースと申しますか、あるような気がするわけです。前に汚水の問題で、本州製紙の汚水が流れ出して漁民が非常に抗議をして問題を起こしたことがあります。そういう地区でございまして、これはよほど慎重に、また、東京都のみならず、厚生省としても十分拡張してもらわないと、また同じような事件が起こらないかと、私は非常に懸念をしておるわけであります。したがって、何とかこの点については、建設予算の面で東京都議会がきめるということは、地方自治体の一つの権限としてこれは干渉できないと思いますけれども、しかし、そういう場所につきましては、ひとつ厚生省として十分あっせんなり、あるいは千葉県との間の話し合いの中に立っていただいて御指導を願いたいものだというふうに思います。さらに根本的な問題として、少なくとも東京都のように冨裕な地方自治体がこういう非衛生的な処理施設をいま新しくつくっていくということは問題があろうと思うのです。少なくとも、そういう富裕な地方自治体であればあるだけに、もっと衛生的ないわゆる焼却施設をどんどんつくっていくということがほんとうでなければならないし、それがまたほんとうの五カ年計画の目ざすところであろうと思いますし、厚生省としてはそういう指導を地方自治体に十分やってもらいたいし、起債なり補助金を流す場合でも認める場合でも、ひとつそういう立場の地方自治体に対する計画というものを推進させるような指導をぜひやっていただきたい、こういうふうに思うのでございます。ひとつこの問題につきましては、いずれまた問題が問題だけに、あとでまたいろいろと御論議をお願いしなければならぬときがあろうと思いますが、きょうはこの程度にとどめておきたいと思います。
  149. 小林武治

    国務大臣小林武治君) ただいまの柳岡さんの御意見ごもっともで、これは相当問題のあることですから、私もひとつ現場を見まして、見れば東京都もまた相当な注意をいたしますので、実は、先般水道など、現場をいろいろ見たために工事が進捗した、こういう事例もありますし、千葉県とのいろいろな紛争もありますから、自分で現場を見ましてそれぞれの注意を与えていきたい、当然焼却がおくれておることは非常に残念でありますが、四十二年度までには大体いまの倍近くの焼却場をつくることによって解決しよう、こういうことで指導をいたしております。
  150. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで、し尿の処理は東京都はどういうぐあいになっておりますか。
  151. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これも大体を申し上げますれば、現在まことにお恥ずかしい話でありますが、し尿の六割、七割はまだ海洋投棄をしておると、こういう始末でありますが、私どもの五カ年計画が成立するじぶんには、いわゆる海洋投棄はやめる、そして下水に入れるなり、あるいは、し尿処理で片づけよう、こういうふうな計画で進んでおります。現在でも七割をも海洋投棄をしておることはまことに恥辱ものでありまして、早くに解消させなければならないというふうに考えております。
  152. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで、まあ私はこの間徳永委員と関西を少し歩いてみましたけれども、非常に地方自身が一生懸命努力しておるのですね、ごみ処理、し尿処理については。終末処理については、なかなか建設省との関係があるので困っておるようですけれども、しかし、やろうという努力気持ちというのは、市町村は、むしろ地方自治体の行政で住民の要求の一番ウエートの大きいのがこのし尿、ごみ、それから終末処理、これをやらなければ、極端な言い方をすれば、選挙のときにもこれが一番大きな課題になっているというような状態だと思うんです。それで、一千万の東京都がこういう状態じゃ私は少しお粗末だと思うんです。そこで、先日は東京都の知事と自治大臣とが何か話し合いをされたということで、新聞を見ますと、マンモス東京都に民間人の知恵を拝借して云々ということが書いてあったんです。で、特にいま近代社会建設のためには、環境衛生というもの——東京都のごとき、建設はどんどん始まっていくわけですから、環境衛生の整備ですね、これがやはり東京都の福祉行政の柱だと私は思うので、あのように自治大臣東京都知事との間に話が進むなら、厚生大臣は大きなウエートであれに御意見を出されてしかるべきではないかと、私はそういうぐあいに感じておったわけなんであります。ごみ焼却場が六カ所しかないので、めんどうくさいから国にその清掃関係の事項を移管するというような話も、私は少し怠慢のような——まあよそを批判してはいけませんけれども、そういう意見が出てくるのじゃないか。まあ厚生大臣は、き然たる態度でおられるから喜んでおりますけれども、まあしかし、その問題だけをつくのではなくて、私は、やはりああいうぐあいに自治大臣との間に具体的にもっと進行するためにお話があったようですから、大きなウエートをもって厚生大臣も意見を出してもらいたいという希望を持っているわけでございます。  それから、もう一つお願いしておきたいのは、東京都ばかりじゃなしに、関西に行きましてもどこへ行きましても、大都会の上のスモッグですか、これはたいへんなことだと思うんです。私はこの間も大阪に行きましたら、もうずうっと朝から夕やみのような状態ですね。あれは風の方向やら気流の関係でああなっているのでしょうけれども、非常に陰うつといいますかね、何となく人生を暗くしているような感じで、最近急速に大阪では飛行機を飛ばしたり、中学生が総動員してその子どもが勉強のために研究に乗り出しているとい3ようなのが新聞に出ておりました、七十校と。それぐらい私は大阪の市民生活に深刻な問題を与えている感じがいたしておる。ですから、きょうはもうやりませんから、この次の委員会にスモッグの現状対策、それでどういうぐあいにスモッグの害が大都市にあらわれているかという資料をひとつお出し願って、私も少し意見がありますし、厚生省考え方をお聞かせ願いたい。私はきょうはこの二の問題を提起しておきたいと思うんです。前段の問題で御意見がありましたら大臣から……。
  153. 小林武治

    国務大臣小林武治君) いまのごみとか、し尿処理の問題は、やはり怠慢といえば怠慢、政府もようやくふるい立ちまして、来年度から徹底的にこの問題を進めようと、こういうことで、総理大臣の施政演説にまで入れてもらった、こういうことで相当進捗を来たし、また、お話のように、地方団体とわれわれが非常に大きな宣伝をしたり、また、現実に地方団体が非常に困っておるということで、三十九年度は地方もふるい立ってこれらの仕事をしようと、こういう機運が盛り上がってきましたので、相当進捗すると、こういうふうに思っております。われわれはまあ二カ年程度でもって大体八分以上の仕事をしてしまいたい、こういう考え方を持っておりまして、これにつきましても先般法律を通していただきましたし、ちょうどこれが機運が盛り上がってきておるところでありますので、続いて努力をいたします。  なお、東京都につきましては、お話のように、地方の自治行政というものは、ごみとか、し尿とか下水とか、こういうところにいま最大の重点を置かなければならない、こういうふうに思っております。東京都とこれらの点につきましては厚生省と十分打ち合わせの上、これらの推進計画も立っておりますし、この計画も遂行すれば、四十二年ぐらいまでに大体の問題の処理ができる、こういうふうに思っております。  それから、スモッグの問題でありますが、これは私前々から申し上げているが、これほどおくれている行政はない、こういうことで、まあ非常に日本がこの問題に立ちおくれている、こういうことで、ようやく来年度厚生省に公害課という専門の課もつくることになってこの問題も進める。しかして、大気の状態等においても、私は、日本人が少し無神経であり過ぎたくらいこの問題がいままでなおざりにされておった、したがって、スモッグと人体との関係等についても、まだ十分な資料を持っておりません。ことしわれわれは本格的に三十九年度取りかかることにいたしまして、来年度は四日市、あるいは大阪に、この人体に対する影響調査のための専門の調査自動車等もつくって、これを運用して、また、年内には四日市にも二千数百万円かけて、スモッグとか大気汚染度を調査する自動装置をしかけましてこれらの調査をするということで、まあはなはだ申しにくいことであるが、ようやくこの問題が世間の注目を引いて、そうして調査に本格的に取りかかった、こういう段階でいまあるのであります。いまのところ、まだたいしたデータもなくて、はなはだお恥ずかしい状態である。これもいま申すようにおくれているからして、非常にピッチを上げて取り組まなければならぬ、こういうふうに考えております。
  154. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで、イギリスのロンドンは非常に大きな、五千人も一度に死んだという昔の歴史があるわけで、私は、外国は非常にこの問題については、真剣に取り組んでいるのではないか、だから日本は、いま大臣がおっしゃったように、十分にこれからひとつやろうということでしょうけれども、これはやはり外国がどういう手当てをしてきたか、いま何をやっているかというような資料は、私、集まると思うのです。厚生省にもあると思うのです。なければ、ひとつ科学技術庁なりああいうところからも出てくるでしょうから、だから、一週間先の委員会にどうしても間に合わなければ、もう一週間延ばしてもよろしいですけれども、ぜひひとつ出していただきたい。そうしてみんな住民は、だれにこれを尋ねていいのか、どうすることがいいのかということを、いま大臣がおっしゃったように、国の行政というものはまだ動いていないのだけれども、これはたいへんな問題だと思いますので、ぜひひとつそういう資料も添えてこの次に出していただきたい。
  155. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これはもう一つ申し上げておきますが、これは被害者と加害者があるわけです。加害者というのは工業、被害者はわれわれが代表する人命あるいは健康、こういう問題でありまして、どうしてもある程度生命尊重というたてまえから、これから空気の汚染度というものをきめて、そうしてその汚染度にならないように煙あるいはガスの排出を規制する、こういう問題であります。排出を規制するためには非常に経費はかかる。要するに生産と生命との調和、こういうむずかしい問題があるのでありますが、とにかく生命が大事だ、こういうことで、まず身体に対する調査というものをよくして、その上で、ひとつこの程度の煙、ガスなら出してもよろしい、こういうふうなできるだけきびしい基準をつくらなければならぬということで、結局はまあ政府としても、その施設の改善をするためには相当な金がかかる。したがって、採算にも影響してくるので、政府の補助とか融資とか、こういう問題も当然起きてくる問題で、こういうふうないろいろなめんどうな問題がありまして、しかも、所管が、そういう関係で建設省とか経済企画庁とか、あるいは通産省とか厚生省とか農林省とか、いろいろなところに分属しているのでありまして、私も、昨日も行政管理庁に、どうしてもこれは公害問題の閣僚懇談会というものでもつくって統一的な施策をしてもらいたい、こういうふうな話し合いをいたしております。なお、外国等の例もまた追ってお話申し上げますが、なかなかどこの国でもこれは解決がむずかしい問題で、資料等は外国にもありまするが、じゃ対策が行き届いているかというと、なかなかそこまでいっておらぬ、こういうふうに非常に困難な問題であることだけをひとつ申し上げておきます。
  156. 高野一夫

    ○高野一夫君 いまの公害のお話で私はお考え願いたいことは、四日市の調査を始める、四日市にはすでに詳細なる科学的データが出ている。ですから、そういうものをどんどん生かしてもらう、それから尼崎も十分のデー々がとっくに出ている。だから、これから厚生省が保健所を使ってやるというのでなくて、せっかくそういう学問的データが出ているのですから、それをそれなりに信用して、信用すべき人たちがやったのだから信用して、結局データといっても、直ちにどうするかいう対策を講ずるか講じないか、一昨年私は国会で報告いたしましたが、朝日新聞の飛行機に乗って東京都から千葉近郊を空から大気汚染の状況を視察した。これは厚生省にも話し、国会でも報告したんですけれども、結局これもそのままになってしまった、何らこのデータが生かされないんですよ。去年でき上がった四日市の公害問題の調査というのは、これは非常に貴重なものだ、長い間かかった。これは私のところに資料がありますから、お持ちでなければ厚生省に差し上げるが、こういうものをどんどん生かしていただきたい。尼崎なんか、私、社労から行きました。非常に尼崎市は市で研究している、尼崎がまたひどいですから。ですから、そういうのは私も尼崎からもらってきたけれども、なくしちゃった。それから宇部とか八幡、そういうところもすでにある。あるところは民間会社でやったものであろうと、地方の市町村でやったものであろうと学会でやったものであろうとを問わず、専門家がやったんですから、これはひとつ信用して、それをもとにして、いま大臣がおっしゃった汚染度をどういうふうにきめるとか何とかいう一定のワクをそれをもとにしておきめになれば、相当私は早くいろいろなことができ上がっていくのではないか、これからいろいろなことを調査したらたいへんですよ。公害なんか、ことにいま大臣おっしゃった通産関係との問題はなかなかたいへん。ですから、そういう従来の資料はできるだけ集めていたがいて、それが集まればわれわれもひとつちょうだいいたしたい。四日市のところは私のところにあるはずですから、これは皆さんに御披露します。そういうふうにあちこちすでにでき上がったものはできるだけ生かしていただきたい、これを私から特に厚生省にお願いしておきたい。
  157. 小林武治

    国務大臣小林武治君) よく了承いたしまして、そういうふうにいたしたい、とりあえず四日市は年度内に指定をしたい、こういうことで準備をいたしております。
  158. 鈴木強

    委員長鈴木強君) それから、さっきの柳岡委員の御質問に対するお答えで、大臣舘林環境衛生局長との間にちょっと将来の問題について食い違いがあると思いますから、これはひとつ明らかにしてもらいたい。緊急整備法もできまして、おたくのほうで五カ年計画を立てているわけです。舘林さんのお話ですと、四十二年になればほとんど東京都のごみが焼却できる。ですが、その間どうにもならないから、また第二の埋め立てをするというお話でございましたが、大臣のほうは、現在の大体倍くらいは焼却できる、こうおっしゃるわけですね、四十二年になると。そうすると、あなたのおっしゃっておるのは、二四・八%はいま焼却しておる、大臣お話の倍にしても四九・六%、半分です。これははっきりしておかなければならない。要するに将来の五カ年計画を立てる場合に、東京都はじめ、全国の、し尿、環境整備に関するごみの問題も含めて、計画を新たにお立てになって、それに対する国の補助のあれを出していくわけですから、これをはっきりしておかぬと、これはまた今度五年たって第三の埋め立てをするということになる危険性が出てくるので、これはやはり厚生省考え方を明確にしておいてもらいたいと思うんです。そらしませんと、これはまたそのときに問題が起きますからね。これは質疑の中で委員長が感じましたから……。
  159. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 大臣が仰せられたのは個所数のことかと思います。現在だんだん新しいものができてまいりますのは、大規模なものができてまいります。最近つくりました二カ所、板橋並びに多摩川の処理場が日量二百トンの処理能力を持つわけでございます。今後は東京都はさらに五百トンないし千トンというようなものをつくろうという計画がございまして、大臣はおそらく今後の焼却場の場所の数のことを仰せられたと思います。
  160. 鈴木強

    委員長鈴木強君) そうしますと、四十二年になると東京都の人口が当然ふえていくでしょうし、ごみもふえるが、それはすべて焼却によって処理できる、したがって、その間第二のああいう埋め立てをしてくれという東京都の考え方であるし、厚生省としてもやむを得ないということで、さっき言った問題点も何とか克服できるならばそういう方向でやらさせるという、そういう考え方だというふうに理解していいわけですか。
  161. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) そのとおりでございます。
  162. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時十五分散会    ————————