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1964-06-24 第46回国会 参議院 災害対策特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月二十四日(水曜日)    午後一時四十三分開会     —————————————   委員異動 六月二十三日   辞任      補欠選任    佐多 忠隆君  杉山善太郎君 六月二十四日   辞任      補欠選任    藤田藤太郎君  瀬谷 英行君     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     小平 芳平君    理事            稲浦 鹿藏君            藤野 繁雄君            矢山 有作君    委員            石原幹市郎君            北口 龍徳君            久保 勘一君            小柳 牧衞君            坪山 徳弥君            村山 道雄君            森部 隆輔君            杉山善太郎君            瀬谷 英行君            武内 五郎君            渡辺 勘吉君   政府委員    内閣官房内閣審    議室長内閣総    理大臣官房審議    室長      松永  勇君    大蔵政務次官  齋藤 邦吉君    大蔵省主計局次    長       澄田  智君    文部省管理局長 杉江  清君    厚生省公衆衛生    局長      若松 栄一君    厚生省環境衛生    局長      舘林 宣夫君    厚生省社会局長 牛丸 義留君    農林政務次官  松野 孝一君    農林大臣官房長 中西 一郎君    建設省都市局長 鶴海良一郎君    建設省河川局長 畑谷 正実君   建設省道路局長 尾之内由紀夫君    建設省住宅局長 前田 光嘉君    自治政務次官  金子 岩三君    自治省財政局長 柴田  護君    消防庁次長   川合  武君   事務局側    常任委員会専門    員       中島  博君   説明員    通商産業大臣官    房地方管理官  本多 俊夫君    工業技術院地質    調査所企画課長 井島信五郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (新潟地震に関する件)     —————————————
  2. 小平芳平

    委員長小平芳平君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。六月二十三日、佐多忠隆君が委員辞任され、その補欠として杉山善太郎君が選任されました。また本日、藤田藤太郎君が委員辞任され、その補欠として瀬谷英行君が選任されました。     —————————————
  3. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 災害対策樹立に関する調査として、新潟地震に関する件を議題といたします。  まず、被害の概況並びに対策等について御説明願います。
  4. 松永勇

    政府委員松永勇君) 去る六月十六日午後一時過ぎに、新潟架上市沿岸付近震源地としまして発生しました新潟地震は、裏日本一帯東北北陸、関東の各県にわたりおびただしい被害を及ぼしました。不測の事態であるとは申せ、はなはだ遺憾なことであり、政府といたしましては、現地被災民方々に対しまして心から御同情申し上げる次第であります。  地震発生の報に接するや、政府は直ちに災害対策基本法に基づきまして、河野一郎国務大臣本部長とします新潟地震非常災害対策本部を総理府に設置いたしまして、対策に着手いたしました。その後現地消防庁長官を長とする現地対策本部を派遣してまいっております。自後各大臣現地視察調査をなされたわけですが、まず、自治大臣を長とする調査団を派遣し、次に小林厚生大臣を長とする調査団を派遣しました。その後通産大臣防衛庁長官等々の派遣をみたわけですが、十九日には河町本部長現地に出向かれまして、直接指揮をとられたわけで、二十一日には総理大臣及び総務長官現地に参ったわけでございます。なお、天皇、皇后両陛下におかれましては、このたびの災害を深く憂慮されまして、勅使御差遣の上、おことばを賜り、救恤品を御下賜くださっております。  被害状況について申し上げます。人的被害といたしましては、現在までに死者二十六名、行方不明一名、負傷者四百十三名ということになっております。建物被害としましては、全壊が千七百八十二戸、半壊七千三百七十八棟、全焼三百二棟等になっております。それから農地の被害につきましては、現在までの報告では、水田の流埋もしくは冠水したものが約三千五百ヘクタール、畑が約三百ヘクタールということになっております。道路その他の公共施設につきましても、相当多くの被害を出しております。罹災者は、罹災世帯が二万九千余世帯となっております。罹災者の数は十万をこえている状況でございます。  次に、政府がとりました緊急対策について申し上げます。まず河野本部長現地視察して帰られまして、この災害応急対策を今週中、すなわち二十七日までに完了することを目途として、すみやかに措置をとるということを決定いたしました。各省に対しまして、本部としてこの線で措置を急いでいただくようにということをいたした次第でございます。具体的な措置としましては、まず現段階において最も緊急であり重要であるという措置は、欠壊しました信濃川の河口のかり締め切り工事を急ぐことだということで、このかり締め切りを行なうため、事故か起こりました当日の夜、赤澤調査団から第一報が入りまして、この措置に対する準備を直ちにとるということで、土のう十五万俵を近県から手配いたしました。一方自衛隊の動員をいたしまして、自衛隊員約六千四百名、土のう二十五万俵をもちまして、この締め切り工事にかかっております。信濃川左岸につきましては二十一日、右岸につきましては二十四日に締め切り工事を完了する予定になっております。締め切り工事が完了いたしますと、その地帯にたまっております排水作業を急ぐということで、一部を除きましておおむね二十五日には完了の見込みになっております。  次に、憂慮されました給水事情でございますが、各地から送られました給水車によりまして配水をいたしておりまして、現在当面は一応水の配水を行なっておりますが、これから先は市営上水道復旧を急ぐ必要があろうと思っております。それで水道管その他の資材緊急輸送中でございまして、浸水された地域につきましては、今後の給水施設もいろいろ困難があろうかと思いますが、その他の点につきましては、この水道復旧も早急に行なわれる見通しに立っております。  次に電灯でございますが、保安上危険な浸水地域を除きまして、全市に二十一日に点灯いたしました。浸水されております地区につきましては、その排水が完了し、危険がなくなり次第、すみやかに点灯ができる状態になっております。  また、ガスにつきましては、当初、しちりんその他のものを急送いたした次第でございますが、このガス復旧を急がなければなりませんが、ガスを送るもとの会社そのものがこの浸水地帯にございまして、この浸水排水作業を急いでやった上でないとガス復旧が困難であるという事情もございまして、目下この資材輸送その他の対策を急いでいる状況でございます。  次に、交通、通信関係でございますが、道路主要幹線の一、二級国道ともすでに全部開通しており、鉄道は越後線の一部、関屋−新潟間を除いて六月中には全線復旧見込みでございます。また、電話は六月末までには全面復旧ということにこぎつけ得るであろうと思っております。  食糧につきましては、当初心配されましたが、現地にも相当の食糧のストックがございましたし、あと自衛隊その他からも乾パンその他の急送をいたします。それから農林省のほうで群馬県からの急送をするというようなことで、主食その他については問題がなく、また生鮮食料につきましても、現在おおむね順調になっております。  住宅につきましては、目下応急仮設住宅建設中でございます。  それから最近だんだんこの復旧が進んでまいりまして、休校中の学校は二十二日から逐次開校するということにいたしております。  憂慮されました伝染病につきましては、当初は伝染病が発生していなかったのでございますが、二十二日になりまして真性赤痢一名、疑似若干名を発生し、その後若干の増加を来たしておるので、この伝染病対策防疫対策を今後一そう強化しなければならないというふうに考えております。  そのほか、新潟空港滑走路航空保安施設等被害を生じておりますが、B滑走路の一部が使用可能で、セスナ、ヘリコプター等が発着しておりまして、被害個所応急復旧工事中でございます。  それから民生安定物資あるいは復旧資材輸送につきましては、県からの要望に応じまして直ちに手配いたしておりますが、現在でもこの品目追加がときどきございまして、その品目につきましては、直ちに各省において手配を願っております。  それから海上保安対策としましては、巡視艇十六隻、航空機等をもって港内その他の海上の交通安全、警戒等に当たっております。  厚生省救護対策としましては、保存血液血清等新潟急送しております。また、国立病院に救護班を編成して待機させる等の措置をとっております。  被災家屋に対しまして、備蓄国有林材を三千八百立方米緊急輸送手配しております。また、住宅金融公庫によって災害貸し付け等事務を開始いたしました。なお住宅金融公庫災害貸し付け限度を引き上げる等の措置も講じました次第でございます。  農業被害につきましては、本年の稲作の障害を除くために緊急に排水土砂排除を行なう。それからでこぼこの地帯を是正する、水路揚水機農業用施設被害については、とりあえず緊急にポンプを配置する等、用水確保の手段を講じて今後の干ばつに対処しようとしております。  次に、金融上の措置といたしまして、日本銀行の現金準備確保現地金融機関への貸し出しの弾力化被災地における税の減免、納税の猶予、為替、貯金関係の非常即時払い、災害関係電報料免除NHK受信料免除簡易保険郵便年金積み立て金による災害融資措置、それからお年玉はがきによる寄付金配分、それから中小企業金融措置等措置を講じております。  地方公共団体に対する財政上の措置としましては、短期資金の手当て、普通交付税の繰り上げ交付特別交付税特別配分等について必要な措置を講ずるように検討されております。  それから、労災保険料及び失業保険料の延納、これらの補償費保険金の支給の促進、労災保険加入事業場における救急薬品配布等措置を講じております。  郵便輸送につきましては、災害後、一時新潟地区向けの小包の郵送を停止したこともございましたが、短時日の間にこれをもとに戻しまして、現在は郵便電報等においても滞貨がないという状況にまで復旧いたしております。  なお、民生の安定をはかるために、県警本部及び新潟市内の二警察署災害警備相談所というものを開設いたしまして、避難者名簿の作成、夜間における特別警戒、犯罪の予防等につとめている次第でございます。  ちょっと申し忘れましたが、災害を受けた児童、生徒及び学生に対しましては、教科書、学用品の確保授業料減免就学奨励費補助金及び医療費補助金等追加等措置も講じております。  現在までに講じましたおもな措置をかいつまんで申し上げましたが、現在も現時点における対処した対策を刻々と行なっている次第でございます。以上のような状況でございます。
  5. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 御苦労さまでした。  速記をとめて。   〔速記中止
  6. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 速記を起こして。  それでは、御質疑のおありの方は順次御発言願います。
  7. 武内五郎

    武内五郎君 ただいま新潟地震被害状況につきまして説明があったのでありまするが、いまの説明を承っておるだけでも災害の幅の広さ、その深さが想像できるのであります。そこで、実は本部長が来られたら御決意のほどを承りたいと考えたのでありまするが、いまの説明を聞いてまいりましても、災害対策本部の設置は見たのでありまするが、いわゆる緊急災害に対する措置が講ぜられておらぬのですが、その状態はどうなっておりますか。災害緊急措置法——あれは特別措置法ですな。
  8. 松永勇

    政府委員松永勇君) 災害救助法の適用された状況でございますか。
  9. 武内五郎

    武内五郎君 違う。激甚地災害に対する特別の財政援助等に関する法律の適用がどうなっているか。
  10. 松永勇

    政府委員松永勇君) 今回の地震災害というものは、先ほど御説明しましたように、相当大きな被害になっているわけでございます。で、いわゆる激甚法指定ということは、これは災害被害額というものを目下調査中でございます。したがいまして、その被害額が判明次第、激甚法指定を行なう予定でございます。昨日の閣議で、来週中に中央防災会議を開くということが了解されました。激甚法指定も、できるものから中央防災会議にかけて指定を行ないたい、かように考えております。
  11. 武内五郎

    武内五郎君 いま災害地において最も要求されておりまするのが住宅であります。すでに一週間を経て十日になんなんとする今日、まだ野宿をやっている被災者が数多くある。ことに、地震と同時に発火いたしました昭和石油タンクの爆発によって、十八日からその火が流れ出した重油を追うて伸びている。農業倉庫屋根を越えてその付近民家を三百余焼いたのであります。そこで、その罹災者の大部分というものは、昭石あるいは帝石等従業員下級従業員で、今日まで収容される場所もない。学校の廊下に寝ている者はいいほうであります。裏山の松の根にまくらを並べて今日まで雨露に打たれながら寝ているのであります。その数は全くおびただしいのであります。ようやく、きょうの新聞では、仮設住宅建設にかかったようでありまするが、まあ今日までその手配が実際おくれたと言わざるを得ない。私どもも十七日の早朝新潟に入ったのでありまするが、もう私どももその日から小さな握りめしを一つまたは二つで一日を過ごさなきゃならなかった。そういうことを考えますると、実際に罹災をした人人の苦痛というものは、これはもう言語に絶するものがあると言わざるを得ないのであります。今日ようやく仮設住宅として二百戸分の建設計画のようでありまするが、二百戸程度のものでは収容し切れるものではありません。しかも、仮設住宅は御承知のとおりバラックだ。鶏小屋程度住宅である。これからまあ新潟県や山形県、秋田県等のような、北陸東北寒冷豪雪地帯においては、とうてい冬を過ごせるものではありません。二百戸の住建設で間に合うはずはないのですが、これからどういうふうな計画を持っておられるか。住宅局長も見えておりますし、厚生省からどなたか来ておりませんか。
  12. 小平芳平

    委員長小平芳平君) おります。
  13. 武内五郎

    武内五郎君 ひとつ計画見通し説明していただきたい。
  14. 牛丸義留

    政府委員牛丸義留君) とりあえずの応急住宅仮設につきましては、私も先生と相前後して新潟に行きまして、実情をつぶさに拝見したわけでございますが、県当局と連絡しまして、現在応急仮設住宅では七百ないし九百戸ぐらいの予定をしております。当初は二百戸ぐらいで済むのじゃないかということでございましたが、その後被害の判明するにつれて、だんだんと需要が多くなりまして、現在七百ないし九百戸、そのうち計画ができておりますのは四百二十戸でございまして、ただいま御指摘になりました二百戸は、とりあえず西船見町に二百戸を、これは二十五日に完成目途工事に現在着手しておるわけでございまして、応急仮設住宅並びに応急修理についてはこの程度として、あとは本来の建築のほうにかかるという手はずにもなっております。その点は建設省から御答弁申し上げると思います。
  15. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 罹災者住宅対策につきましては、とりあえずの応急仮設住宅に続きまして、直ちに公営住宅法によりますところの罹災者のための災害公営住宅建設する手はずを進めております。目下のところ事業主体でありますところの県及び市町村と協議いたしておりますけれども、まだ詳細な計画は出ておりませんけれども新潟県におきましては、約二百五十戸、市町村等におきましてはほぼ同数の二百五十戸程度山形県におきましては三十戸程度の話が出ております。これらにつきましては、ただいま御指摘のとおり、この地方における季節を考えまして、できるだけ工事を急ぎまして、冬までには完成をいたしたいと思って手はずをいたしております。  なお、そのほかに、公営住宅に入居しない一般の方々に対しましては、先ほど話がございましたように、住宅金融公庫によりますところの災害貸し付けをいたしまして、災害復興住宅として直ちに融資の業務を始めております。  なお、その他の補修等につきましても、ただいまできる限り罹災者方々に便宜を計らいまして、できるだけ早く住宅ができますように、極力努力をいたしておるところでございます。
  16. 武内五郎

    武内五郎君 まず、それでは住宅局長にお伺いしますが、どのくらいの戸数を見込んでおりましょうか。その点と、それから住宅建設ワクというようなものがやはりはめられるのか、ワクをはずして需要者に応ずるという方針でありまするのか、その点を。
  17. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 公営住宅につきましては、目下建設戸数につきまして、現地市町村関係者を集めまして、本日打ち合わせ会を開いております。これによりまして、明確な計画が出てくると思いますが、現在のところ、われわれが地元の速報によりまして、とりあえず打ち合わせいたしましたところが、先ほど申し上げましたように県営分として二百五十戸その他の市町村分といたしまして二百五十戸でございまして、これらにつきましては国の補助を全部つける予定にいたしております。特にワクを設ける意思はございません。
  18. 武内五郎

    武内五郎君 社会局長に伺いますが、さしあたって二百戸の仮設住宅建設に取りかかったと言われているようですが、実は現地で聞いてまいりますと、そういう仮設住宅をつくる敷地すら今日容易じゃない。七百戸の仮設住宅建設をもくろむとするならば、もうすでに今日二百戸に対しても非常に敷地獲得の困難にぶつかっております。二百戸に対する敷地確保の事実はどういうふうになっておりますか。
  19. 牛丸義留

    政府委員牛丸義留君) 二百戸は、西船見町は決定して工事にかかっておりますが、あと二百戸入れまして四百二十戸の敷地は決定しておりますので、この点については敷地も大体の予定がついていると私どもは拝承しております。したがって、とりあえずはそういう合計四百二十戸の敷地を現在の段階では県当局で決定をしているという状況でございます。
  20. 武内五郎

    武内五郎君 住宅局長にお伺いしますが、御承知のとおり今度の震災のきわめて激しくあらわれたところは、信濃川の両沿岸に沿うて著しい現象が出ている。特にこれらの地域地盤沈下地帯、きわめて地盤の軟弱な地帯、たとえば今度の災害にあたって、新潟市の川岸町にあります四階建て県営アパートがひびも何も出ていないで何か箱を横倒しにするようにそのまま倒れた。そういうようなことがその川の両岸に沿うてずっとあらわれていったんです。御承知のとおり新潟はほとんど砂丘地帯であり、信濃川の泥土の集積された地帯であります。きわめて軟弱であります。今後公営住宅または公庫による融資住宅等建設に入る場合には、その地層の十分な調査の上で自信のある住宅建設に入っていかなければならぬと思うのですが、それらについてのお考えを承りたい。
  21. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 今度の地震におきまして、新潟の特に信濃川の流域におけるところの埋め立て地等におきまして、非常に地盤の軟弱さに基づきまして、ただいまお話にございましたように、公営住宅その他の建築物があるいは転倒し、あるいは傾斜をいたし、また陥没いたしております。これらにつきましては建築専門家におきましても、異常な現象でありまして、実は驚いているところでございます。いろいろ原因につきましては今後研究をしなければなりませんので、とりあえず、われわれのほうでも建築学会及び建築士連合会業界等に依頼をいたしまして、さっそくその地盤及び地層調査と、これの復旧方法につきまして権威ある調査をお願いいたしております。今後の住宅復旧につきましても、そういう軟弱地盤につきましては特別の配慮をする必要がございますし、土地の選択につきましても、御承知のように、新潟市内におきましても、地盤の堅固なところはほとんど被害を受けておりませんので、今後はこういう位置を選択するという方法によりまして、復旧した住宅につきましては、二度とかかる被害のないように万全の措置を講じたいと思っているわけでございます。
  22. 武内五郎

    武内五郎君 濃尾地震の際に、その後でありますが、濃尾地震の体験から震災予防調査会というのが政府機関としてできた。さらにこれが関東大震災にあたって地震研究所ができたりなんかして、いろんな角度から地質やあるいは地震の方向、性格等についての研究をやって、それらの成果がかなり東京や大阪等では取り入れられてまいったようでありまするが、その他の地方都市においては全然そういう問題は考慮に入れない無計画な部市の建設に入っていったわけなんです。分回新潟市において、まず大部分民家はほとんど建て直さにゃいかぬ。また、ビルはまず満足なのはありません。きわめて少ない傾斜で五度、大きいところが七階のビルが隣の二階建て民家屋根へおぶさったようにささえられている。ほとんどその状態地層なんというものについての調査、ボーリングなんかというものはおそらくやらなかったに違いない。全然考慮に入れてない都市建設をやっていたようだと私は考えております。  そこで、都市局長に伺いまするが、そういうような地帯における都市の再興をはかる場合に、いままでのような単に民間にだけ自由にまかせておくようなことのないように、一定の方針と科学的な調査に基づいた建設に入っていただかなきゃならぬと思うんです。私は、この都市の再建には、いたずらに家を建て面したり、道路の修復をやったりするだけでは意味がない。また災害を招くおそれがある。今日まで北陸地方地震の歴史を調べてみましても、数回にわたって北陸地方に大きな地震が来ています。新潟、あるいはいわゆる三条地震とか、長岡地震とか、再三今日まで苦い経験を経てきておるのであります。いたずらに苦い経験を苦い経験として葬ることなく、その中から教訓をとって建て直さにゃいかぬと思うんだ。都市局長のお考えを承りたい。
  23. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) ただいまのお話の点でございますが、民間建築物が破壊され、あるいは傾斜し、転倒しておるという問題からお話があったわけでございますが、この問題につきましては、ただいま住宅局長からお話がございましたように、今次の災害原因目下調査中でございます。その上で必要な規制というものを考えまして、今後善処をしていきたいと思います。  それから、それ以外の町づくりの問題でございます。今度の新潟災害に際しまして、いろいろな問題が起こったわけでございますけれども、特に、用途地域問題等につきましては、なお再検討を要する点があろうと存じまして、目下検討しておる次第でございます。
  24. 矢山有作

    矢山有作君 いまの住宅局長なり都市局長の話を聞いておると、すこぶるこれはのんびりした答弁なんだけれども、大体公団住宅建てる際、あるいは鉄筋建築をやる場合に、少なくとも耐震基準というものが考慮されてやられておるはずでしょう。それを全然考慮されないでやっておったのですか。
  25. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 現在の建築計画及び建築法規によりまして、建築物に対する地震関係につきましては、関東大震災程度地震には耐え得る程度の設計にいたしております。ただ、今回の新潟における地震特殊性考えますと、従来の想定しておったことの予想を越えまして、実は地震によりまして地盤そのものが非常な変化を起こしました。地盤そのものがゆれ動きましても、地盤そのもの自体があるいは変形をするとか陥没するということは実は算定できなかったわけでございます。これによりまして、地盤が震動によりまして、いわゆる学者が砂層の流動化と申しておりますが、流砂と申しまして、地盤の土なりあるいは砂が流動化いたしまして、外部に噴出をする、あるいは他に動くということから、それが普通の状態でありましたならば、十分な耐力がありましたものが、今回の特殊な地盤と特殊な地震の力によりまして、全然従来の学問では想定し得なかったような変動を起こしました。これによりまして、従来の建築法規において十分であったところの建築物もあるいは倒壊をする、倒壊と申しますか、地盤がなくなったために傾く、同時にまた、地盤がなくなったために陥没する、こういう現象を起こしました。これらにつきましては、残念ながら、当時の建築技術等におきましては、十分に手当てができておりませんでしたので、このような被害を受けたわけでございます。  今後、この軟弱地盤状況と耐震構造等につきましては、新しい観点から至急に検討いたしまして、こういう場合においても耐え得るような建築方法、基準というものをさっそくきめていく必要がございます。このために、われわれも学界の協力を得まして、現在現地において状況をつぶさに調査をいたしておるわけでございます。
  26. 矢山有作

    矢山有作君 いまの答弁を聞いておりますと、なるほどもっともらしく聞こえるのですが、それは建物自体の構造については、それは関東大震災のときの経験をもとにして一応の基準というものをつくられて建設されておるのだろうと思います。ところが、建物それ自体の一つの構造上の基準等がきめられておって、それを全国一律に、その地域々々の地盤というものの特殊性考慮しないでやったということが一つの問題なんじゃないですか。だから新潟のアパートのように、しりを見せてあおむけにひっくり返るというような、ぶざまな状態が起こったんじゃないですか。そういう点については地盤な全然考慮しないで公団住宅、その他をやってきたところに住宅局としては大きな責任があるのじゃありませんか。
  27. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 先ほど申しましたように、それらの地域におきまして、その地盤の耐力と申しますか、支持する力はボーリングあるいは調査等によりましてやっております。ただ今回の現象は、先ほど申し上げましたように、地盤の流動という現象が起こりまして、この現象につきましては、残念ながら従来の土質学あるいは地盤の学問、建築学の学問におきまして十分な研究ができておりませんでしたので、それに対する措置が十分でなかったということが言えると思います。この点につきましては、今後至急研究をし、必要な規制をすべきと考えております。
  28. 矢山有作

    矢山有作君 それじゃ、きょうはあなたの御答弁を信頼しておきますが、あなたのいまの答弁によると、公団住宅の例をとって言えば、公団住宅建設する場合、地盤については十分な調査をやった上で、これならだいじょうぶというところで建てたのだが、特殊な地盤の流動その他があったからひっくり返ったのだ、こういうことになれば、私は専門家でありませんし、現地を見ておりませんから、きょうの答弁はそれはそれとして聞いておきます。しかしながら、今後の調査として、もし地盤調査が不十分であったというところにおきましては、それは建設省において、特に住宅局長としては重大な責任があるということになりますよ。
  29. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) ただいまお話のとおり、従来の基準法規の中におきまして十分な措置をいたしまして建築いたしております。
  30. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 ただいまの矢山議員の質問に関連して、私からもお聞きしたいのですが、いま新潟地震でひっくり返った県営アパートの話が出ましたが、橋にいたしましても、落っこったのと落っこっていないのとある。落っこったところだけよけいゆさぶられて、落っこっていないところはゆさぶられなかったということはなかろうと思います。そうすると、橋にいたしましても、アパートにしても、ああいうふうにころりひっくり返ったアパートもあるし、ひっくり返っていないのもあるわけです。そうすると、一体ひっくり返ったほう、あるいは落ちたほうの橋等はいかなる業者がこれを担当し、どういいうふうな人が設計をしたか、設計者とかあるいは業者等については、やはり調べてみる必要があるんじゃないかと思うのでありますが、そういう点の調査は行なわれておるのかどうか。  それから設計上の手落ち、あるいは施工上の手抜き、こういったようなことがはたしてなかったかどうか、まだそれらの調べが行なわれていないのかどうか、以上の点についてお伺いしたいと思います。
  31. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 川岸町の団地を申し上げますと、八むねございます。これらは同じ設計によりまして業者も同じだろうと存じますが、それぞれ異った現象を起こしまして、一棟は転倒した、他のものはあるいは前に傾き、あるいは後に傾き、あるいは陥没したというように各種の形において被害が起きております。これらはこれからの詳細な調査に待たねばなりませんけれども、ただいまお話の業者の工事の粗漏とか、手抜かりということじゃなくて、やはり地盤の模様が違っておった、地盤地震によってあるいは流動し、あるいは変化を起こした、その起こし方が違っておったために、同じような地域でありながら、あるいは前に傾き、後に傾いたというようなことだと思います。しかしながら、詳細につきましては十分な調査をひとついたしますので、今後科学的な調査を経ました上で、あらためてその原因等につきましては十分な検討をしようと思っております。
  32. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 橋梁について申し上げます。御指摘のように、落橋いたしました橋のほかに、近辺に落ちないで残っている橋もございます。ただいま、そういった関係のものすべてにつきまして、施工の業者、また橋を製作した会社、それから設計上の計算過程、あるいは地質調査、すべて詳細に調べております。すでにわかっておるものもございますが、先ほど住宅局長から申し上げましたように、地質関係につきましての問題が残っております。落橋いたしましたものにつきましては、まだ、くいの上に落ちました橋げたが乗っかっておりまして、潜水夫を入れておりますが、まだ状況を十分に把握できておりません。近いうちにわかると思いますが、そういうことを詳細に調べまして、研究をしてはっきりさせたい、かように考えております。
  33. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 関連をして。いま確認を求める意味で再度お尋ね申し上げておきますが、具体的な問題として、たとえば万代橋、これは昭和二年か三年にかかったと思いますが、一番古い橋でありまして、それからあの八千代橋、それから昭和大橋、この昭和大橋はついこの間済みました新潟国体を目途として完成されまして、なかなか目で見た上ではりっぱな、雄大な橋であったわけでありますけれども、ともかくも今日的には、いますでに百聞は一見にしかずで、あえなくも赤腹を出して落ちておるというようなわけであります。したがいまして、問題はその設計上の誤まりであったか、それとも工事施行上の手落ちであったかというようなことについては徹底的に究明する、また、究明の方向の中の一つの過程的、過渡期的な段階だというように受け取っておりまするが、確かにそう確認して間違いありませんか。そうであるといたしまするならば、今後きびしくいろいろと調査が行なわれると思いまするが、したがって、会計法上の問題からいって、大蔵省の予算執行監査権を発動する考えが、やはり当然関連して次の段階として起きてくると思うのでありますが、これらの建築物という問題については、現実はそうでありますけれども、やはりきょうの新聞によりますというと、どうせ関屋分水ができれば、あの地点を埋めてしまうのだからというような、閣議でそういう浮いたような話が新聞に書いてあるわけでありまするが、それはともかくも、当分関屋分水などがいつできて、あすこが埋め立てになるかということは、遠い一つのイメージであり、夢であると思うのです。非常に重要なことであると思いますので、いまの問題について、すべて施工上の問題とかいうことでは済まされない問題があると思いますので、その辺については厳重にあらゆる視角をとらまえて、大体通念上考えまして、私は新潟市のあの周辺に居住しておるわけでありまするが、だれが考えてみても、なるほど今度の新潟地震の特徴は、同じ新潟市街地域においても震度五のところと震度七のところとあるというふうに承っておりまするが、また、実際の調査の結果がそうらしいので、新聞にもそう伝えられておるわけでありまするが、万代橋周辺などは非常に陥没の状態、亀裂の状態ですね、地殻の変動というものは非常に激しいのです。昭和大橋の周辺から比べてみて。しかも年輪からいって、工法からいって、昭和三年と今日的な時代からいえば、技術的にもいろいろな面から進歩がなければならぬのだといったような点についても、いま道路局長ですか、言われた方のひとつことばのとおりに、これは厳重にやっていただくということを確認しながら、さらに若干の私のお尋ねに対するお考えなり、所信なりをお聞かせいただきたいと、こう思います。
  34. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 先ほど申し上げましたとおりでございますが、昭和大橋に対する、将来関屋分水の埋め立て問題、こういう事実がございました。しかし、それが設計そのものに根本的に影響を与えるという問題ではございません。しかし、そういう問題も含めまして、そういう橋梁の型式が選ばれました経緯等もあわせて十分調査いたしたい、かように考えます。
  35. 武内五郎

    武内五郎君 新潟の復興につきまして、地質の問題が取り上げられておりまするから、ただいま工業技術院地質調査所の方々がようやく間に合ったようでありますので、そのほうからひとつ話を伺っていきたいと思います。  これは、どなたでもよろしゅうございまするが、お答え願いたいと思うのですが、御承知のとおり、今回の新潟を中心といたしました地震災害を拡大させたものは、何と言っても軟弱な土質の関係であった。そこで、そういう地域においてこれから震災地の復興をはかり、都市の再建をはかり、住民の生活を安定させようという場合、そういう地域でどういうような土の固め方をやって安定した都市建設ができるか、安定した建造物ができるのかというようなことを実は伺っていきたかったのであります。そこで、おそらく新潟の土質等についての御調査もあろうと思うのですが、その調査の実態と、それから都市建設等に入っていく場合における必要な措置等について御説明願いたいと思います。
  36. 松永勇

    政府委員松永勇君) 先ほど来建設省から地盤のことにつきましていろいろ説明がございました。ただいま政府といたしましては、この新潟地盤というものが今回の地震の非常に大きな特徴をなしておりますので、学術的な総合調査を行なうという必要を認めております。そこで、十七日にすでに現地調査を行なっておりますが、十九日には関係各省の連絡会議を開きまして、災害対策及び恒久対策に資するために地震の害を防止する総合研究を行なうという方針をきめまして、科学技術庁が中心になりまして、これからそういう対策を練るという段階になっております。御承知のように、新潟地区でも地盤がよかったところと非常に悪かったところと両様ございます。その地盤の悪かったところに非常に被害が集中しておるわけであります。こういう問題について総合的な検討を早急にやる必要があるということで、諸般の体制を進めておる状況でございます。
  37. 武内五郎

    武内五郎君 工業技術院の方からお伺いしたいのです。実は、そういうふうな地盤で幾らりっぱな建物を建てても砂上の楼閣だと言われている、そういうような地域に対する専門家の御意見をひとつお話し願いたいと思います。
  38. 井島信五郎

    説明員井島信五郎君) 地質のことにつきまして、所長がお答えすべきところでございますが、間に合いませんので、私がまとめた結果のようなもの、今後の方向などをお話ししたいと思います。  新潟における災害現地地質の変動状況を観察の結果から、新潟における被害の発生状況には、地質学的に見まして大きく三つの分類がなされるようでございます。それはいずれも今後の科学技術庁の企画しておられます総合調査研究研究を積み上げていくべきものでございますが、いずれもこのような地域で復興をはかろうとする場合、あるいはこのような新潟のようなところ、あるいは沿岸の平野地帯というようなところは、いずれもこのようなことを予測して、それぞれの構築部その他を企画すべきであると思うのでございますが、その一つは、大きく三つに分けられます。それは地盤の強弱というような問題で現在表現されておりますが、地質的に見ますというと、現在の地質構造の状態というものが、被害の強弱に大きく反映しておるということでございます。その一つの型は、砂丘地帯のうしろ側におきますジョイント地帯、平坦地の結び合わさる地帯、ここに被害が集中しております。まず形で申しますと、その次は埋め立て地に被害の集中が見られます。三番目には昔の河川、旧河川、河道の上及びそのへりに被害が集中しております。これは地震の震動そのものが地表を動かす場合に、一の場合の砂丘ですと、砂丘という一つのまとまったものが大きなかたまりになって乗っかっておるところでは、その下にある軟弱層、これがその重さによって、流動を起こす、これはよく海岸あたりで見られるのですが、ゆすぶりますと、固いような砂でも続々と落ちてくるという現象でございますが、その震動によって流動を起こして、それがちょうど出てくるところ、その力のはけ口が砂丘のすぐうしろの平坦地とのつぎ合わさり目になっている、そういうところに立っている家、道路その他はいろいろに変形をさせられておるわけでございます。さらにその砂丘の傾斜というものが、地震動によって亀裂を生じ、砂丘そのものがあたかも波立って進むがごとくに若干ずつの移動を力強く前面に打ち出して、これによる被害も相当なものがございます。  二番目の埋め立てによるものでございますが、これもやわらかな埋め立て地の上に重い建造物が乗っておる場合に、ちょうど重箱の中に砂を入れて、その上にまず重い鉄片を乗せ、乗っかったときには、そのまま乗っかって、このゆさぶりに従ってそれが沈下していくというような現象で、それも先ほどから話が出ております流動するどろは、比較的有機質の非常に多い植物のくさったものの多いどろでございますが、そういったどろの割れ目からの吹き上げによって、あるいは重量物の沈降という形で、その沈降が一様でないものですから被害を生じております。このような被害もまた旧河道の形、あるいは埋め立て地の形によって、ある方向性を持っており、必ずしもその近接した地域においても被害を起こさないというような場合も見られるのでございます。  三番目の旧河川上におけるものは、黒崎近辺で顕著に、うちの調査員が観察してきておりますが、これもあたかも砂丘のかわりに現在の陸域の旧河川の両岸が砂丘のような彼割りをして、同じく旧河道と現在埋められた、前にも陸であった場所との境界面付近被害が強いようでございます。これら三つの傾向を現在の目に見える状況から判断したものでございまして、被害直結のものだけでございますが、やはりそう深くないところにおける「へどろ」と言っておりますが、それの流動というものが震動によって発生したという状況であり、その発生の場所がこのような場所に集中的に起きておる。したがいまして、このようなことを考慮して、この「へどろ」層に対する対策、まあ建造物などつくる場合ですが、さらにその他の地域というようなものとのこういうような大地震の方向性というものがもちろんありましょうが、それらも考慮して計画されるほうがいいというようなことに、今後またこれは詳細な調査によらなくてはなりませんが、現在までの観察結果でございます。
  39. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 いまの報告を聞きますと、砂丘地帯と平坦地との結合点、あるいは埋め立て地、旧河川上並びにそのへりに被害が集中しているという報告がありましたが、私山形県のほうにまいりました結果によりましても、砂丘地帯と市内との境目のようなところが特にひどいわけです。それから山形県でいえば最上川の河口付近でやはり相当被害が出ております。これらの点から考えていくと、今度の地震新潟地震と言いましても、新潟県どこもかしこも同じように被害が出たわけじゃないし、山形県どこもかしこも同じように被害が出たわけじゃない。ただ、特に被害のひどかった個所をピックアップしてみると、一つの危険地域というものが私出てくるのじゃないかと思う。その帯に該当しているところは、山形県で言えば、鶴岡でも市内はみんな被害を受けたわけじゃないが、その地域、酒田でもその地域といったようなところだけが極端に被害を受けているわけです。だからこういう地域というものは、調べてみれば地質学的に危険な個所であるということは私ははっきりと断定できるのじゃないか、こういう気がいたします。つまり地震に対する危険地域といいますか、大きな建築物の構築には不適確な地域といったようなことが調査をすればあらわれてくるのじゃないかと、こういう気がいたします。それは秋田県あるいは山形県、新潟県等を通じて、その行政区域に関係なしに結果をあらわすことができるのじゃないかという気がいたしますけれども、そういう地域を明らかにした上で、行政指導等でもってそういう個所にはもう家をつくらせない、つまりこわれたところじゃまた地ならしをして、そこへまた家を建てようというような機運がほうっておけば私は出てくるのじゃないかと思う。だからそういうような点は、ここはあぶないのだからやめたほうがよろしいといったようなことは指導しないと、同じことを繰り返すことになると思う。特に学校等の公共建築物等については考えないとならないのじゃないか、こう思うのでありますけれども、済んだことはともかくとして、今後の対策としてそのような指導等が準備されておるのかどうか、用意されておるのかどうかという点についてお伺いしたいのですが……。
  40. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) われわれの調査対策の検討も、ただいま御指摘のような点も含めまして、建築の構造の規制と、同時にその規制をしてもなおかつ危険なような場所につきましては、建築を押えるという方向におきますところの措置を含めて検討いたしております。
  41. 矢山有作

    矢山有作君 それじゃ局長前の答弁と食い違ってくるのですよ。あなたは、十分地質については調査をし、そういう地質のところにはそれ相応の処置を施して、公営住宅なり公団住宅建てたのだと、こういうふうに解釈できる答弁をしておる。いまの答弁だとはっきり食い違ってくるわけです。それだけの地質的な調査をやり、その地質調査の結果に基づいて耐震性というものを考慮した建築をやっておらぬということになるじゃないですか。そういういいかげんな答弁したらだめですよ。やっておらぬものはやっておらぬと、今後やるならやりますと、はっきりしなさい。
  42. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 私さいぜん申しましたのは、従来は従来の法規の施肥内におきまして、あるいは学問の水準のもとにおきまして十分な構造の建築をいたしましたが、今後の対策といたしまして、ただいまお話のように、非常に危険な地帯が明らかな場合におきましては、そこにおける構造物について現在の法規以上に厳重な耐震的な構造を要求し、同時にまたそれでもなおかつ不安な場合におきましては、そこに建築の制限をするという措置を今後検討する必要があるという意味でございます。
  43. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 さっき説明されましたけれども、いまたとえば地質構造について説明がありましたが、今回の地震で明らかになったことなのか、従来からこれらの危険等についてはわかっておったことなのか、その点についてお聞かせ願いたいと思うのです。
  44. 井島信五郎

    説明員井島信五郎君) これは従来もこの地域につきましては、地下構造調査地盤沈下対策調査というものが行なわれておりまして、そのときには一応の平均的な調査というものは、まずこのようにすれば全般的にはよいという方向が出ておる、さらにその上に今回の観察の結果が出てきておるものでございます。したがいまして、砂丘の存在というもの、そういったようなものを考慮しての対策を立てるべき根拠は従来は明確でなかったということだと思います。
  45. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 関連してお尋ねいたしますが、いまいみじくも地盤沈下の問題が出ましたが、地質学的な見地からのいろいろなそれなりのお話を承って、専門家の御見解でありますので傾聴しておりますが、問題は、新潟地域は御承知のように、先ほど松永内閣審議室長ですか、災害の現状に対するいろいろな状況報告がございましたが、私はなはだ遺憾に思いましたのは、たとえば港湾の施設であるとか、それから防潮堤ですね、そういう点についての報告がございませんでしたが、まあ商業新聞その他も大体海抜ゼロ地帯といっておりますけれども、実質的には新潟地域は海抜マイナス地帯であって、その主要な原因はおそらく——そこが究明されているか、徹底的になされているかどうかは別といたしまして、水溶性ガスの採取というものが因になり果になり、それが非常に過般新潟では大きな政治課題になった過去の過程があるわけでありまするが、私どもの観察するところでは、今度の新潟地震被害が、たとえば新潟市街地域を中心として非常に甚大であったということは、極論すれば水溶性ガスの採取によって、そこからきた地盤沈下というものが因になり果になり非常に大きな被害を招来したのだと、そういうふうに観察をしておるわけであります。したがって、地質学的にも、これは当面は何はさておいても応急対策でありますけれども、むしろこれを契機として抜本的な対策を構ずる必要がある。しかし、いま当面応急対策の過程でありますけれども、ときたま武内委員地質に関する質問があり、それに対する若干の答弁がありました中で、ちょっとはなはだ、はしょって極論的な質問でありまするけれども、水溶性ガスの採取によって、地盤はなるほど海抜ゼロ地帯でありますけれども、港や防潮堤の地域においては別に津波もたいしたことはない、また高潮も——若干は当然あれだけの地震が起きたのでありまするけれども、実際は海抜ゼロ地帯もありまするが、海抜マイナス地帯が多い。つまり海面よりも新潟市は低いということ、結局そこにもってきて防潮堤が亀裂を生じたから潮が逆流してきた。問題はやはり水溶性ガスの採取によって地盤沈下が起こっておるのだ。だからなるほどある程度水溶性ガスの採取は局部的にはとめられておりますけれども、まだこれが全然阻止されておるということではないのでありまするが、その辺のところは政治的にもデリケートなところでありまするから、今日はひとつ議会の中で皆さんの真実を吐露して、真実のあり力というものを克明に——それは時間ははしょってお答えいただければけっこうだと思います。
  46. 井島信五郎

    説明員井島信五郎君) 地盤沈下の問題が発生しまして、現地には大幅な規制が加えられた結果、現状では地盤沈下、あるいは地盤沈下の原因となっておる水位の著しい低下というものは、もとに復しておる形でありまして、いわば限度内に入っておるわけでございます。それ以前に行なわれた古きずといいますか、そういうものがもし現在もあって起ったかどうかという問題は、これは今後のそういうところに目的を集中しての研究を待つことになると思います。今回の被害そのものとは別に、総体的に新潟地域における沈下というものは、数メートルあるいは数十メートルの下に「へどろ」というような層があること、これは永久に「へどろ」の状態ではなくて、経年的に、年を経るに従って逐次、いわば圧縮といいますか圧縮を受けまして、縮むべき運命にあるものでありますので、そういったもののたくさんにある場所、それがああいう海岸、平野地帯には一帯的に多いのでございまして、全体の沈下というものは新潟のみならず各海岸平野地帯では起きておる現象でございます。それとのまあ関連性そのものは今後の調査によることと思います。
  47. 武内五郎

    武内五郎君 いま地質に関していろいろな角度からお話があった。また矢山君等から質問がありまして、それにあらわれておるように、とにかく新潟震災を想像以上に多大ならしめたものは、地質に関する認識を無視した全く無計画建設が行なわれておったことだと言わざるを得ないのであります。いまさら私がその点をここで時間をつぶして追及してもしようがありません。この程度で——ぜひひとつそういう地域でありますので、今後の建設については十分その点を注意してやっていくように希望して、この点は打ち切っておきます。  それでついでですが、まあおそらく昭和大橋の陥落、それから八千代橋の亀裂等は、その橋脚の不安定な状態から起きたのではないかと考えるのですが、そこで特に橋等の構造物の建設にあたっては特に注意していただかなくてはならないと思うのであります。ついででありますが、道路局長に。御承知のとおりこれは新潟市内ばかりではありません。国道、県道、広くいろいろな方角に向かって大きな亀裂がたくさん入っておる。ことに新潟市においては、路上の亀裂から、地下水が非常に浅い新潟は、地下水が土中の土砂を含んで吹き上げる。たまたま路上に駐車しておる自動車も埋めてしまうような状態で吹き上げたのであります。こういうような自動車の埋まった事例がたくさんあります。そういうような地域でありますので、特に道路の構築等については特段の注意をしてもらわなくてはならないと思うのであります。いま杉山君からも指摘がありましたように、あの地方は水溶性ガスの過度な採取の結果、軟弱な地帯の上に著しく最近地盤沈下がふえた。わずかに最近はガス採取の規制をやって沈下が鈍化しておるようであります。非常に危険な地域になっておるわけなんであります。そういう地域における都市計画建築物の建造、道路、橋梁等の建造等については特段に注意してもらわなければいかぬと思います。新潟市内においても大きな橋が三つ倒れている。八千代橋、昭和大橋、それに松浜橋、松浜橋のごときは、中央からまっ二つに割れて、水中に没してしまったというような、まことに建設史上類のない事態が起きた、こういうような地帯ですから、特に注意していただかなければならぬし、そこで、これらの道路復旧、橋梁の復旧についての見通しはどうなっているか。道路局長にお伺いしたいと思います。
  48. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 万代橋につきましては、これは連続アーチ橋でございますが、両岸のアバットがやはりアーチ構造になっております。それが両側とも一メートル五十から、あるいは八十ぐらい沈下しております。なお、安定した状態にございませんので、交通をある程度通しながら今後の応急的な復旧措置をやっておるわけでございますが、根本的には、この両側のアバットをやりかえる必要が生ずるかと思います。それらにつきましては、目下現地建設局におきまして検討中でございます。  それから八千代橋につきましては、橋は落橋いたしませんけれども、かなりけたがずれて、いたんでおります。しかし、万代橋にかわります主要な交通路でございますので、ただいま復旧にかかっておりまして、七月四日には一応通れるようになろうと思います。  昭和大橋につきましては、これは御承知のように、かなりたくさんのけたが落ちておりますので、まだ原因そのものにつきましても、先ほど申しましたように、徹底的に究明する、こういうところにありますので、いつ対策が立ち、復旧できるか、いまのところまた申し上げる段階ではありません。  それから新潟駅東の跨線橋につきましては、すでに電車の上に落下いたしましたけたを取りはずしまして、ただいまべーリー橋をかけまして、すでに歩行者の通行を許しておるという状況であろうかと思います。本橋の復旧につきましては、今後の問題で、これにつきましても、設計を立てまして工事にかかるわけでありますが、応急的にはそういう措置をいたしております。  なおそのほか、地方におきまして木橋その他の橋が崩落し、あるいは落下して通れないものもございます。応急的には、付近に回り道がございます場合には、もちろんそういった回り道を使っておりますが、それがない場合にはとりあえず渡船ででも渡すということで、今週中にはそういう手はずがすべてなされるようにされております。本格的な復旧に対しましては、各そういった橋ごとにあらためて復旧計画を立てまして、できるだけ早く通れるようにする、こういう方針でおります。いずれにいたしましても、今週中には何らかの方法で通れるような措置を講ずる、こういうことで目下復旧を急いでおります。
  49. 武内五郎

    武内五郎君 阿賀野川にかかっております松浜橋が落ちて、それが渡船でやっていくという考え方のようでありまするが、実はこれは非常に危険なんです。阿賀野川が、かつて長い間橋が落ちておって渡船で連絡をとっておった。ところが、しばしばここで船が引っくり返る。しかも、これから夏のうちはいいのですが、秋口から来春にかけまして非常に風の強いところで、波の高いそういうようなところで渡船での連絡というものは私は非常に危険だと思う。この前数回にわたって船が転覆した事件があったわけであります。よほど注意してもらわぬとこれはいかぬ。それで、そういうようなゆうちょうな考え方でなく、もう少し復旧にスピードを上げていただかなければならぬじゃないかと思うのですが、どうなんですか。
  50. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 松浜橋のことを申し上げるのを落しましたが、松浜橋は御承知のように木橋でございますが、非常に阿賀野川の河口の長大橋でございまして、すでに永久橋を架設中のところでございます。たまたま、まだこの架設の途中の段階におきまして地震がまいりまして、この途中のものが一部落橋した、こういうことになっております。したがいまして、この松浜橋にかわるものといたしましては、どうしてもこの付近に橋がございませんので上流の橋まで回り道しなければなりませんが、先ほど申しましたように、とりあえず、ここにつきましても渡船という方法で交通をはかる以外にないかと思いますが、ちょうどすでに永久橋を架設中でございまして、むしろこれをできるだけ早くかける、こういうことでこの橋に対する対策は急ぐべきであろう、こういうふうに考えております。
  51. 武内五郎

    武内五郎君 河川局長に伺います。信濃川、阿賀野川、おそらくほかの大中小河川においてもそうだろうと思うのでありまするか、堤防はものすごく亀裂が入っておる。もしこれから大雨でも降って大水が出てまいりますると、水を亀裂の中に含んで堤防は非常な危険な状態にさらされてくるかと思うのでありますが、私は信濃川の長岡付近から三条方面まで堤防の上を歩いてみて、全く気味の悪い状態にまで亀裂が入っておる、こういうような状態では今後全く安心した生活ができないじゃないかと思うのであります。一体、調査はされたと思うんでありますが、今日まで実は新潟の市内にだけ震災を見る目が注いでおって、新潟市を離れますると全く十分な調査の手も回っていないような状態なんでありまするが、もう少し馬力をかけてやってもらわなければ、一日一日が延びて、いつ復旧されるのかわからぬ状態になっておるのじゃないか、地方の人々は非常に心配している。堤防等の復旧について、河川局長考え方をひとつ伺っておきたい。
  52. 畑谷正実

    政府委員(畑谷正実君) いま先生のお話しのとおりに、私どもも、今後出水期を迎えまして堤防の被災の状態というものが、実は目に見えてすでに亀裂が入っている、沈下しているということは非常にはっきりしておりますが、そればかりでなく目に見えないで、中はクラックが入っているのが現実には実感で見えない、こういういろんな問題がございます。それからもう一つは、海岸堤防のような場合に、かっこうは同じであるけれども、実際には全体として地盤が下がっておる、こういうような調査が相当また残っておるわけでございます。したがいまして、これらに対する、当面外見的明瞭なものにつきましては大至急査定、実地調査をいたしまして、それに対応する動作をすると同時に、さらに時間をかけましてそれらの問題、そういう目に見えない問題についても調査を続行し、なおかつ、これからの出水期を迎えるにあたって水防に対するそういう点を十分に注意しようというので、すでに指示もし、現地においてもそういう実施にかかるように努力しているわけでございます。  それから査定の問題でございまするが、これは当初、各県とも打ち合わせしまして、応急対策には努力されまするが、さらにそれと同時に、応急対策に引き続き復旧工事、これらの査定が至急実施されなければならないというのでいろいろ打ち合わしておりまするが、県との打ち合わせの結果、山形県については、二十五日から現地調査に入ります。それから新潟県においては、現在次官以下が行っていろいろの調査をやっておりますが、引き続き県全体につきましては、七月一日から現地の踏査をいたしまして応急的な措置をし、同時に、その後の調査についても引き続きこまかい配慮をしていきたい、こういうふうに思っています。
  53. 武内五郎

    武内五郎君 それで河川、道路等を通じまして、災害復旧についての考え方でありまするが、公共土木施設の復旧に関する法律あるいはその他の関係においても、原形に復旧するということはもちろんでありまするが、さらにこれを強化するために改良等も付随して行なわなきゃならぬと思うんですが、やはりやるおつもりですか。
  54. 畑谷正実

    政府委員(畑谷正実君) これは御承知のとおりに、災害復旧事業として原形復旧という表現はございまするが、私ども、すでに実際の運用にあたりましては、再度災害を防止する、それに耐え得るような施設をつくるということでございまして、当然そういう必要のためには改良復旧という面が入っておるわけでございます。いままでいろいろ基礎の問題についても、あるいは工法の問題についても御議論がございましたが、そういう調査結果を勘案し、それに必要な限度において工法をきめて、それによる復旧工事をやる、こういうふうに考えています。
  55. 武内五郎

    武内五郎君 いま堤防の決壊したとかいう事態にはなっていない。亀裂が入ってこれから大水が出た場合にその危険が出てくるという心配があるんでありますが、そこで、かつて伊勢湾台風等においてとられた措置が、やはり私は今回の震災においても進んでとって、これから起きる災害を未然に防ぐ必要があると思うのですが、その点について、前向きに進んでいけるような考え方を持つようにひとつ答弁をお願いしたいと思います。
  56. 畑谷正実

    政府委員(畑谷正実君) 伊勢湾のときにおきましても、伊勢湾の台風に耐えるような状態ということで、そういうような動作をとっておるわけでございます。今回の動作におきましても、この地震に対応するということを考えまして復旧考えていきたい、こういうふうに考えております。
  57. 武内五郎

    武内五郎君 また新潟市内に戻りますが、地震が襲うと同時に昭和石油のタンクが火をふいた。いま消防庁の調査によっても、その火が民家をなめ尽くして、三百余の家屋を灰じんに帰してしまった。ところが、十六日のその地震が襲うと同時に火をふいたタンクが次々と燃え移って、五十何基——七十基あるところへ五十何基も火をふいておるわけなんであります。そこで、これは全然消火のもう力がなくなって、十九日ごろになると、もはやこれは自然に鎮火することを持つよりほかはないというような話を現地で承ったのでありますが、まあその間ヘリコプターから化学消火剤を投入したということでありまするけれども、とうてい猛火の前にはその程度のものでは間に合わなかった。今後こういうような事態に対する消防上の措置、消防の施設、そういうようなものについて、いままでのものと、これからどうやっていったらいいかということをひとつ伺っておきたい。
  58. 川合武

    政府委員(川合武君) お答えをいたします。タイプ印刷物で御報告書をしたためました四ページ目の終わりのほうでございますが、昭和石油の火災、タンクにつきましては八十基でございます。これは数え方はいろいろございますが、私どもの数え方は、会社と十分打ち合わせました結果、八十基という数をとっております。で、焼失したタンクは五十九基でございまして、したがって、二十一基を食いとめましたが、おおむねを焼失したわけであります。なお、民家につきましては、お話しのように、住家三百二棟を焼きまして、まことにこの点につきましては申しわけないと思っております。ただいまお話しございました点でございますが、ちょっと、恐縮でございますが、説明を補足させていただきますのは、確かに十七日中はほとんど、まあ正直率直に申しまして、手がつかないというような状況でございまして、十八日、東京消防庁から化学車が五台まいりまして、自来、むろん東京消防庁だけでございませんで、それを送水しますポンプ送水は、現地消防機関、さらには自衛隊等の協力も得ましてやりました。最前線に立ちましたのは、東京消防庁の化学車でございます。化学車は、二十一台のタンクの焼失は食いとめておるわけでございます。で、御承知のように、あのような勢いになりましてからは、上にかけましてとめられないわけでございますので、ただ、タンクの下のほうから油がにじみ出てくるわけでございます。したがいまして、私どもの受けました報告によりますと、約三尺のあわの壁をつくりまして、これを押していきました。ただ、地面でございますが、火の勢いが強いと押し返される。それを一日半、東京消防庁の化学車はフル運転をいたしたという報告を受けております。したがって、燃えしきっておりますタンクは、手もつかずほとんど焼け切りました。ただいま申しましたように、二十一基につきましては、隣から流れて出てくる油をタンクの上からはかけられませんが、下から出てくるやつをそこに壁をつくりまして、これを二十一基食いとめたわけでございます。私の御報告いたしましたように、消火薬剤を約十一万リットル緊急輸送いたしました。これには、ことに自衛隊の飛行機の御協力をいただきました。また、陸送につきましては、警察のパトカーに先導していただきまして百トン送りました。これが着きましたのは十七日でございます。ところが、十七日に着きましたときは、まことに申しわけございませんが、新潟市の消防署には化学車がございませんで、ノズルを取りかえて、普通のポンプ車でやろうとしましたが、薬はありましたが、ほとんどそれでただ警戒というような状況でございました。なお、会社には化学車がございましたが、これも十分な活動はできませんでございました。  以上が概況でございます。  なお、つけ加えますが、米軍が空中からというようなお話がありましたわけでございますが、これはこの報告書にもしたためましたように、一万リットルのあわ消火剤を輸送してくれたわけでございまして、決して火の上に落としたわけでございませんで、やはり自衛隊が送ってくれましたと同じような緊急輸送をしてくれたわけでございます。それで、火の上から消火をしたわけじゃございません。なお、この薬の質は、私どものといいますか、日本のものと同質のものでございます。  で、振り返りまして、私どもは率直に反省をいたしております。ことに、あれだけの火になりまして、東京消防庁の化学車が行くまでは、ほとんど警戒体制というようなことでおり、ことに民家を焼いてしまったというような、いわゆる初期消火というものをできませんでございました点が根本でございます。さらに具体的に申しますと、化学車が現在、新潟市には一台もございませんし、全国でわずかに七十台でございます。うち東京が二十一台でございます。相当の石油タンク群のある都市でも、ないところはたくさんあるようなことでございまして、そのために初期消火ができなかった。また、私どもの予防法規があるわけでございます。防油堤の規制に対しましても、あるいはまた、泡沫消火剤の規定がございましたが、その保有分量の義務というようなものについて、不十分でございました等々、これらの高度の化学工場に対しますところの予防規制というものがやはりおくれておった、そういう処置の体系はございましても、内容的におくれておったというのが一点。  第二点は、先ほど申しまして繰り返しますが、私ども自体の消防力であります。ことに化学車について、今後充実していかなければならぬ。その他、科学消防の充実につきまして多々反省をし、今後努力していくつもりで決意をいたしておる次第でございます。
  59. 武内五郎

    武内五郎君 化学消防車が七十台、東京が二十一台、あと四十九台は、一体どういうふうに配分されておりますか。
  60. 川合武

    政府委員(川合武君) お尋ねの点にぴったりいたしませんが、いま石油タンク群のございますところを、御参考というと恐縮でございますが、御報告を率直にいたしますと、北海道室蘭市には一台ございます。函館市にはございません。秋田県秋田市にはございません。牡鹿市にございません。新潟市には、ただいま申しましたようにございません。千葉県の市原市にはございません。神奈川県の川崎市に五台ございます。横浜市に三台ございます。静岡県清水市にございません。三重県四日市市に一台ございます。和歌山県有田市にございません。和歌山県撞木町に一台ございます。岡山県倉敷市、山口県和木村、同じく山口市、徳山市、下松市、愛媛県松山市、大分県大分市等々にはいずれもございません。七十台のうち四十九台の全部についての資料を持って参りませんでしたが、化学工場のあります石油コンビナートと申しますか、そういうところの所在につきましては、ただいま申し上げましたようなことで、もとより大阪、名古屋、神戸という六大都市等にはいずれも持っております。
  61. 武内五郎

    武内五郎君 いま消防庁から説明があったように、石油コンビナート、近代化学工業の先端をいく産業施設の地域にまだ不十分な配置のようでございまするが、この昭和石油が火をふいたときは、いろいろな人のうわさを聞くと、薄い鉄板の胴体の上に鉄板のふたをかぶせて、ボルトで簡単に締めたタンクのように聞いてまいりました。それが地震でゆれると、そのふたの接着面が摩擦して火をふき、熱を持って発火したといわれております。こういうような危険物、可燃性の物質を取り扱っている事業に対して、通産省では、常に危険防止のために、どれだけの努力を払って監視しているか、それを伺っておきたいと思うのですが、前に川崎のやはりこれも石油精製工場であったようでありまするが、昭和電工の川崎工場で爆発した、これは窒素吸入器の故障の個所から火をふいたといわれておるようでありますが、きょうの日経によると、川崎市の浮島十、東燃石油化学工業川崎工場でやはり爆発事件がありました。たまたまその作業員が一一九番に電話して川崎の臨港消防署が化学消化器を持って現場に飛んで行った、ところが、工場の正門で守衛、警備員が工場に入ることを断わった、その理由は、工場の機密が漏れるから入っては困る、こう言って立ち入りを拒否した、こういう事件が起きたようであります。私はこういう危険物を取り扱う工場、可燃性の物質を取り扱う工場について、保安上の施設がどうなっているだろうか、いろいろ見たんでありまするが、たとえば石油業法という法律の中にもほとんどない。どういうふうな規定で、どういうふうな組織でそういう危険な工場の保安上の監督をどういうふうな形でやっているか、伺っておきたい。
  62. 本多俊夫

    説明員(本多俊夫君) お答え申し上げます。御指摘のように通産省関係では、石油あるいは石油化学工業、きわめて危険なものを取り扱う工場が非常に多くなりました。その中でも特に高圧ガスというような可燃のものを生産をいたしあるいは貯蔵する施設、それにつきましては、現在、保安上の見地から、高圧ガス取締法というような法律をもちまして厳重な規制を加えているのでございます。しかしながら、それ以外の、今回問題になりましたような昭和石油——ただいま申し上げた昭和電工の場合を含めまして今回の昭和石油等につきましては、たまたま高圧ガス関係のものではございませんで、大部分がいわゆる可燃性の性質のものでございまして、それにつきましては、現在のところ、ただいま申し上げましたような高圧ガス取締法に類似いたしますような取り締まりというような実は法律的な根拠はございません。しかし、昭和電工の例あるいは今回の例にかんがみまして、現在それぞれのたくさん工場がございますが、現在そういうふうなものについて、これは当然ほかのものも含まれますけれども、危険なものにつきまして工場の保安状況がどうであるかというふうなことを、現在調査を開始いたしておりまして、それに基づきまして特にそういうふうな可燃性のガスにつきましては、しかるべくこれを規制する必要があるんじゃなかろうかということで慎重にこれを検討したいというふうな方向で進んでおるような次第でございます。  なお、これに関連をいたすと思いますけれども、今後新潟のみならず、御承知のように新産業都市とかあるいは工業整備特別区域というように新しい工業地帯が形成されることがきまっておりますけれども、その際に、石油あるいは石油化学を中心といたしますコンビナートというものが次第に形成されていくわけでございまして、その際にはそういうタンク類を含め、あるいはそれ以外の立地条件を十分勘案をいたしまして、こういうような地震災害等に十分対処し得るような措置を行政指導で、たとえば石油に例をとりますと 石油業法に基づきますところの石油精製設備の新造設ということがございますけれども、その際に十分そういうことにつきましても配慮を払って、慎重に措置をしていきたいと、こういうふうに考えております。
  63. 武内五郎

    武内五郎君 全く、私もまあ通産関係はしろうとなのでわからぬけれども、いろいろ調べて見たって、保安上の規定というものはありません。いまごろになって——川崎で爆発した、あるいは新潟の石油が火をふいたということで、やらないよりいいかもしらぬけれども、いまごろになってそういうようなことでは間に合わぬと思う。しかも私は、きょうの新聞に出ている、消火に飛んで行った公設の消防隊を、工場の中に入ることを拒否したというような事態は、これはゆゆしい問題だと思う。しかも消防法によると、三章の第十六条の四に、常に消防においても、これを調査する権利がある、しかも、消化のために飛んで行った消防隊を、工場に入ることを拒否したということについては、これはもう許すことのできない、公害をみずからやっているものだと思う。消防庁のお考えをひとつ伺いたい。
  64. 川合武

    政府委員(川合武君) ただいまの点でございますが、私どもの受けました報告では、御指摘のとおりでございまして、川崎の消防士が門のところへ行かれましたが、工場側では、火が消えたからということで、門前で待ってくれということでございましたが、それならば、消防隊は火災の鎮火を確認しなければならないからと申し出まして、暫時押し問答をしております。この間に工場の自衛消防隊から伝令が門のところに来まして、現在注水中であるということを門の警備係に報告し、これを聞いたので、警備係が門をあけ、川崎消防署の消防隊が中に入ったというふうに報告を受けております。かような点につきまして、遺憾の点があるというふうに思い、今後十分な措置をするなり、工場側との関係につきまして、はっきりしたことにいたさなければならないと思っております。  なお、先ほど御質問にございましたことを、通産省のほうへお尋ねでございましたので、私から申し上げるのもいかがかと思いますが、この際でございますので率直にお答えをさしていただきますが、高圧ガスは通産省で所管でございますが、液体、固体等、すなわち石油等の危険物に対しましては、使用所、取り扱い所等につきまして、私どもの消防法の規制の対象になっておりまして、それにつきまして、いろいろの規制をしているわけでございます。ただ現行の法規につきまして、この際の昭和電工あるいは昭和石油の火災におきまして、その予防法規が十分でなかったことを反省して、今後検討をいたして改善して、適当な実情に合うようにいたさなければならないというふうに、いま思っております。
  65. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 いまの問題に関連して質問したいのですが、消防が入門を阻止されたというようなことは、ちょっと常識では考えられないことです。で、私は、詳しいことよくわかりませんが、そういう場合の刑法上の罰則規定といったようなものがないものかどうか、一体それらの事態に対処しての、もし消火がおくれた場合の責任は一体どういうことになっておるのか、以上の点についてお聞きしたいと思います。
  66. 川合武

    政府委員(川合武君) 刑法上でも、消火に対しまして、これを妨害というようなことになりましたときには、相当強い取り締まりの条章があるわけでございまして、今回の問題が、もとより消防法におきましても、近隣の者はこれに協力しなければならないという義務規定さえもあるわけでございます。ただ今回の問題につきまして、いわば押し問答しておった間のその実情、実際は、いかなる法律的に、いわゆる取り締まり法的に、そういう点につきましてどういう抵触をするかどうかにつきましては、さらに詳細なる検討、調査をいたさなければならぬと思いますが、私どもといたしましては、その実情の詳細なる調査を見るまでもなく、現在受けております報告におきまして、くどくなりますが、刑罰をどうということはともかくとしましても、はなはだ遺憾に思っておる次第でございます。
  67. 武内五郎

    武内五郎君 いま消防庁からの話のとおり、それで、はなはだどうも、この企業の経営者というものは、どこに良心があるか、私は疑わざるを得ない。たとえば今度の昭和石油の新聞に出した「謹告」という記事がある。これによると、まことに申しわけありませんでしたという一言も書いてない。昭和石油株式会社取締役社長早山洪二郎の名で出ておる。どこに良心があるか、私は疑わざるを得ない。こういうようなことは、通産省としても、監督の上から、人工公害をこれから調査いたしますというようななまぬるいことでは、一体どうなるのか。もう少し締まった態度でいってもらわなければ、日本じゅう、これは火の海になってしまっても、責任はないという……、通産大臣がおらぬでまことに残念だと思う。この昭和石油の社長の「謹告」という新聞の広告を見て、全く私は憤慨せざるを得ない。こういう考え方で、川崎のこれは東燃の場合においても、もう少し締まった考え方で対処してもらわなきゃいかぬ。われわれ国民が安心して生活できぬじゃないか。締まった返事があったら承りたい。
  68. 本多俊夫

    説明員(本多俊夫君) 御指摘のように、問題は関連いたしますが、今回の災害等も含めまして、それ以外の、現在は非常に産業公害と申しますか、煤煙とか、あるいはその他非常に一般の人生に与える影響の多い事態を生じておる。そういう工場がたくさんございまして、通産省といたしましても、そういうふうな事例等につきましては、十分一般社会に与える影響を考慮いたしまして、単純な生産の立場だけではなくして、そういう社会に与える不安を除去するという立場で、十分に対処をしていく覚悟でございまして、また、そういう意味で各企業も指導していきたいというふうに考えております。
  69. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 それは行政指導くらいではだめでありまして、現実の問題として、いま武内委員がいみじくも新聞の広告を見て、これは実に心がまえの問題で、下世話に生命尊重、保安という、そういう関係の腹がまえという問題について、非常に問題があると思うのでございまして、要するに、きょうの災害対策特別委員会は、主として新潟地震災害について、ほとんど浮きぼりにして議論されておるということでありますが、したがって、もし昭和石油のガス・タンクがあのような形で爆発をし火災を起こさなければ、率直に言って、これはまれに見るあの種の大災害で火災が起きなかったということは事実であったのです。ただ、昭和石油のガス・タンクが爆発したことによって、近隣周辺——近隣周辺は非常に勤労者の密集地帯なんです。社宅その他で。特徴的には、商店街などは焼けてない。ほんとうにその日に働き、その日に生活している人の家が、ほとんどあの近隣周辺が焼けておるといった点です。したがって、これは一片の行政措導ではなくて、つまり、率直に言いますと、私の調査しておる範囲では、昭和石油も日本石油も化学車は持っておりません。あなたたちのほうの調査では、持っておるかもしれませんが……。いわんや、いま十三のいわゆる新産都市指定されておって、例外なく石油のコンビナートを、一つの寵児として受け入れておる、したがって、公害の問題だとか、こういうような問題についても、これを義務づけて、それでこれを法律で、そしてしかも、このようなみずからのつまり欠陥によって生じました場合は、補償義務を与えるような決意で、行政指導でなくて、法的措置を講ずるという形でいかなければだめだ、そういうふうに私は強く意見を申し上げておるわけですが、その点について、ただ単に、行政指導とか気をつけるということでは全然問題になりませんよ、実際問題は。ことに、新産都市を申請するその地域の自治体にしても、新潟は一つもない。これは新潟だけではなくて、全体にいま化学車の配置というものをお聞きして、非常にはだにアワ粒を浮かせる実態でありますから、これはあった事象をとらまえてどろ縄式に行政指導云々ではだめですから、ひとつ抜本的な法的措置を裏づけにびしびしやる、そういうことがやはり産業を前向きに前進させる一つの基調でなければならぬと、こういうふうに考えております。その辺の御見解はどうですか。
  70. 本多俊夫

    説明員(本多俊夫君) お答え申し上げます。先ほど申し上げましたように、非常にこういう貴重な体験でございますので、現在、詳細についてはなお完全に調査が済んでおりませんので、済み次第早急に法的措置をとるか、行政措置をとるかきめまして、対策を講じたいと、こういうふうにお答え申し上げます。
  71. 武内五郎

    武内五郎君 いままでの話のとおり、それでこういうような可燃性物や危険物の工場では、化学消火車、あるいはそれに付随した薬剤というようなものを持っているよう義務づけなければならぬ。法には何もない。それから、少なくともこういうような工場には完全な防火壁を設けると、たとえば昭和石油のタンクのようなものには、その周辺にコンクリートの同じ高さのへいを設けてそれを囲んでしまうとか、あるいはもっと安全にするならば、陸上にそういう危険な工場を設けてはならぬ、海中に人工島を何ぼでもつくれる、そういうような配慮や、もっと前向きの工場施設についての規定がなければならぬ。もう少し締まった考え方でやってやらなければ、産業がどんどん進んでいく、国民の生活がいつ火をふくかわからぬような状態では、安心して生活できないじゃないか。ひとつ締まってもらいたいと思う。  その次に、私は農林関係に移ります。今度の災害の中心は、なるほど新潟市あるいは鶴岡というような都市にみな集中されております。しかし、一たびそういう地域を離れては、目が全然いってない。ほとんど調査官も入ってないんです。今日まだ。ところが、農地災害については、これはもうお話しにならぬ、おそるべき状態なんです。全くこれは、一つのたとえでありまするが、土地をふるいにかけた状態なんです。土砂が片っ方に寄って、山脈のような状態に隆起している。片っ方は陥没している。こういうようなことで、私は今年度における農業収穫というのは全く憂うべき状態になったと思う。農業用水、排水路、農業のいろいろな施設というものはがたがたにこわれている。まっすぐつくった用水路もジグザグになってしまった。そして底が隆起してしまって、水が一滴も通らぬ。井戸を掘ってポンプで水田にかん水をやっても、ざるのように吸い取って、どこへ流れていくかわからぬ。私は、農業災害、農地災害は、今度の災害中で最もこれは大きなものになってあらわれてくるんじゃないか。その点についてどれくらいのいままでの調査見通しを持っているか、ひとつ……。
  72. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) ただいま武内委員のおっしゃったとおりと思っておりまして、この新潟地震都市が中心であったと思いますけれども、しかし農林関係災害は実に大きいのでありまして、きょう六月二十四日朝の現在におきまして、百二十八億七千八百万円という巨額に上っております。そのうち百八億七千六百万円という圧倒的な金額になっているのが新潟県に属しておるのであります。新潟のこの農林関係——漁業もありますが、その関係被害が実に大きいのであります。それで先ほど武内委員からお話がありましたけれども、農林省といたしましては、現地に職員を派遣して調査をいたしておりますし、また、北陸農政局からも、六月の二十三日に、新潟県下の災害復旧計画書の作成その他、必要な技術職員四十名という要請がございまするので、うち十五名は宮山、石川、北陸の各県に対して応援するよう手配済みであり、残余の人員については、東北、関東、東海、近畿の各農政局の管内から派遣することができるように手配いたしてございます。そういうふうにこちらで手配いたしているような次第でありますから御了承いただきたいと思います。  なお、地盤の軟弱な農地におきまして非常に陥没、隆起が多く、はなはだしい。いまお話しのとおりでございまして、これが緊急に排水をやったり、土砂の排除、並びにでこぼこの是正をはかるというようなことを早急にやって、本年の稲作に幾らかでも障害を除けるようなことを、目下手配いたしているような次第でございます。また、水路でも揚水機等にも相当の被害がございまして、まあ緊急にポンプを手配する等用水確保の手段をとって、今後の陥没をできるだけ防げるように努力いたしているわけであります。  また、将来やがて査定官をやるわけでありますけれども、とりあえず応急工事の実施については、被害写真その他被害を確認できるような資料を整備して、農林、大蔵省と、各省の査定を待たなくても緊急に取りかかり、本年の稲作に幾らかでも支障を少なくするように、農林省から各県知事に通達をいたしているような次第でございます。
  73. 武内五郎

    武内五郎君 これから土砂の排除、まあ圃面の整備、転圧等をやっては、せっかく苗を植えている——もっとも半分くらいはだめだ——新潟県の現地を見て歩いての推定ですが、新潟県の水田が約二十万町歩、十九万ヘクタール、そのうちのまず二割くらい、一 ○−二〇%くらいはそういう状態になっていると推定している。そうなってまいりますると、約四万町歩という水田が今年はもうだめです。これは水害や、あるいは何かの災害よりも、私は深度というものがまことに深いと考えます。私は地割れしたり陥没したりした農地の復旧というものは容易じゃないと思う。そこで、この復旧について、過年度、いろいろな災害における農林水産関係の法律があります。それらを適用する考えでいるかどうか。とにかく金がない。農民でありまするので金がない。ほうっておけば自力でやるだろうというようなことでやっておっては、私は今年の——今年はかりじゃない、来年も再来年も農業の荒廃はもうこれでどうにもならぬ状態になってくるのじゃないか。過年度、いろいろな災害において適用された諸法律を今度も適用するかどうか、ひとつ伺っておきたい。
  74. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) この新潟地震における農林漁業関係災害が実に大きいのでありまして、これはいま申し上げたとおりであります。それにつきまして、いわゆる施設、農地その他の公共聖業あるいは治山施設とか、あるいは漁港なども入りますが、そういう種類のものに関しましては、これはだんだん——いまの時点でこれくらいの災害ですが、さらにまたふえると私は考えておりますが、そういうものについては、とりあえずの措置はいま申し上げたとおり、つなぎ資金を出しておりまして、それによって応急措置をとってもらい、そして直ちにこの査定に入ってもらって復旧をやるということは従来の規定によってやるつもりでございます。  それからまた、それによって、いまお話しのように、たくさんの水稲の被害があり、そういうようなもの、農作物あるいは漁船、漁具等の被害が相当あると思う。これらについては、その実態調査をよくいまやっておりますので、実態が出まして、今後の経営資金の融資のためには天災融資法の発動、これも従来の規定によってやりたい。ただ天災融資法の発動と相まって、やはり農家に対しての自作農維持資金、この維持融資考えております。こういうふうに考えております。また、開拓者につきましては、開拓者の資金特別会計から災害対策資金の融資考えていきたい。それから従来の貸し付け制度資金の既貸し付け分については、この償還条件の緩和について、従来の例によって考えていきたい、こういうふうに考えております。それから農業災害に関しては、国の災害保険の概算払いをやっていきたい。そういう諸般の措置をとって、できるだけ控除をしていきたいというふうに考えておるわけであります。  なお、特殊の立法措置とか、あるいは特殊の何かを考えなきゃいかぬということは、今後も引き続いて検討してまいりたい、こういうふうに思っております。
  75. 武内五郎

    武内五郎君 厚生省に。だいぶ最近赤痢が出ております。ところが、医療施設が——少なくとも大きな医療施設で、逓信病院、済生会病院をはじめ、その他の病院等、医療施設がこわれたり、土砂をかぶったりして、完全に機能を停止しておるわけです。御承知のとおり、私ども飲んで、かなり長い間気持ちが悪かった。水道がばらばらにこわれておる。上水道がこわれたのできれいな水を飲むことができなくて、信濃川からくみ上げた濁った水を震災の最中に飲んで気持ちが悪い。なるほど、いつかこれは病気が出るぞと言っておったら最近赤痢がぼつぼつ出てきた。医療施設の復旧について、施策をひとつ話してください。
  76. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 私、公衆衛生局長でございまして、医療施設の復旧に関しては直接の責任者でございませんが、復旧それ自体の具体的な方法は、いま御指摘がありましたような病院は、済生会の病院がかなり大きな被災を受けておりますし、あと個人の病院が二、三かなりの大きな被害を受けております。これらについては、それぞれの融資等の方法復旧をはかることになろうと思っております。
  77. 武内五郎

    武内五郎君 はなはだ簡単な内容だが、要するに手が回らぬ。野宿したり、がたがたになった学校の廊下にごろ寝したりしている罹災者に病気が出るのはあたりまえです。そういうような状態のところに大きな施設や、私立の病院、また医者等が自分のところだけでもう一ぱいで病人のところなんか回れぬ。見ると全く病気の予防施策というものは何にも実は行なわれていない。富山から応援隊がトラックで走ってきて、腹痛の頓服やかぜ薬の頓服を配給をしておったのです。そういう状態になっておる。一体どういうふうな——これは、そういう私は係ではないというようなことではない、重大な問題だ。もう少しはっきりした施策をもって対処してもらわんければ、もう押えることのできない状態になるのじゃないかと思う。早く何とか手を打つように講じてもらわなければならぬ。  それから、いろいろな施設、社会福祉事業の施設がほとんどみんなこわれちゃった。児童に対する施設、婦人に対する施設、そういうようなものが全部まずこわれた。それらの復旧について、方針を持って財政上の——また、その他のいろいろな施設についての復旧について、もう少し熱意ある——いやしくも人間の命を取り扱う社会局のことだから、もう少し熱意を持って、災害復旧、救済などをしてもらわなければならぬ。もう少しはっきりしたことを言ってください。
  78. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) ただいま疾病予防の問題が出ましたが、疾病予防につきましては、現地に早急に救急班を編成いたしまして市内を巡回させ、あるいは避難個所には駐在させまして救急措置を行なっております。  なお、伝染病が出るということを極端に警戒いたしまして、そのためには特別の対策を講じております。特に十八カ所に集団的な避難個所がございますので、そこには伝染病を担当する専門職員が巡回いたしまして、そうしてからだの状況を見て、下痢その他の特定の障害があるかないかを毎日毎日調査に回わらしております。そうして怪しい者をできるだけ早く発見して蔓延を防止するという方策をとっております。このために、新潟以外の近県十一県から伝染病予防の専門職員を増強派遣いたしまして援助をさしております。県内の保健所から約七、八十名の者が応援に出ております。また、被災地の清潔作業、消毒作業等のために、それらの職員並びに自衛隊の応援を得まして現在着々実施をいたしております。現在のところ、伝染病の発生は一名だけが決定いたしまして、あと臨床的に疑わしい者が数名出ております。大体この時期でありますと、一週数名程度平生の発生がある時期でございますので、いまのところ、特別に多い発生であるとは考えられない状態でございますが、なお、きわめて慎重に今後当分の間同じような警戒体制をしいていくつもりでございます。
  79. 牛丸義留

    政府委員牛丸義留君) 社会福祉関係並びに児童福祉の関係の施設の復旧計画でございますが、これは、とりあえず信濃川沿岸のところにございました身体障害者の更生指導所なり、あるいは保育所その他は、その日に別のところに移して施設収容者の安全をはかったわけでございますが、しかし、それは別といたしまして、災害復旧につきましては、市並びに県当局で至急実情を調査いたしまして、これは私も直接行きまして、その資料も持って帰ったわけでございますが、それぞれ復旧計画を樹立いたしまして、予算措置をするなり、あるいは融資の道、医療公庫なり、その他の年金の融資、そういう補助並びに融資措置によって具体的な復旧計画を現在樹立中でございます。
  80. 武内五郎

    武内五郎君 だいぶ時間も食っておるようだからこの辺で結論にしようと思います。実は大臣が来たらよくお話し申し上げたいと思ったが、大蔵政務次官が来ておられますが、たいへんな災害であります。おわかりだと思います。そこで、この復旧について、大蔵省は金を出し渋るようなことのないように——いつもほかのいろいろな問題が起きると大蔵省は出し渋る。幸い総理大臣もだいぶ鼻息の荒い談話を出したし、大蔵大臣現地へ行ってやっておるので、ひとつ激甚災害法をまっ先に適用すると同時に、復旧に関する諸経費を出し渋ることのないように対策を立てていただきたいと思うんですが、次官ひとつ……。
  81. 齋藤邦吉

    政府委員(齋藤邦吉君) 今回の地震被害はまことに甚大なるものがあります。大蔵省におきましても、大臣みずから直ちに現地に視察にお出かけになったような状況でございます。この地震災害復旧につきましては、先ほどもお話のありましたように、金の面で出し惜しみをするというようなことは、絶対に大蔵省としては考えない方針で臨んでおるわけでございます。金が足りないから復旧が不十分であるとか、復旧がおくれるということをいたさない覚悟で、ひとつ全力を尽くして復旧に予算をできるだけ投入いたしまして人心の安定をはかってまいりたい、かように考えておるような次第でございます。  激甚法指定の問題につきましては、目下関係各省といろいろ御相談を願っておりますが、できるだけ来週中にでも、早い機会に中央防災会議を開きまして、そうした方向の結論を出すようにいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  82. 武内五郎

    武内五郎君 ひとつ念を押しておきますが、だいじょうぶでしょうか。
  83. 齋藤邦吉

    政府委員(齋藤邦吉君) これは、私が申し上げておるばかりじゃなしに、総理大臣も大蔵大臣も申し上げておりますが、金の面で復旧がおくれるというような国民の批判を絶対に受けないようにしよう、かような考えでございます。
  84. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 時間もだいぶたっておりますので、はしょって質問を申し上げますので、きょうただいま現在ここでお答えがなければ、私のお尋ねに対して、書類で御回答をいただけばと、こういう形で速度出しますが、新潟地震災害につきましては、新潟県、山形県、秋田県の三県に及んでおると思いますが、したがって私は、意見も含め、要望も含めて柱は当面の応急対策と、それから今後における恒久的な抜本的な対策と二つに分けてお尋ね申し上げたいと思いますが、はしょってお尋ね申し上げます。  まず第一点は、すでに応急仮設住宅建設は、すでに手を打っておられる、今後の見通しについても一応自信を持っておられるようでありますから、この点については、質問を、前段の政府委員のお答えによって、かりそめに一応この時点においては、今後を見守りながら、十分ひとつ拙速をかねて応急対策の名にふさわしい措置を最大限講じていただきたいということを強く要望申し上げておきます。  第二点といたしまして、この際、被害地域における公営住宅の増設及び繰り上げ建設をすることは、目下の急務だと思います。ことにこの三県は、ことに新潟のような地域におきましては、夏が来ればすぐ冬がやってくるというような状態でありますので、公営住宅の繰り上げ建設をすることは、非常に急務だと思いますので、そういう手を臨機応変の措置として政治的な配慮をしながら打つことが必要じゃないか、こういうふうに考えますので、この点についても十分御配慮いただきたいというふうに考えるわけであります。  第三点といたしましては、住宅金融についてでありますが、公営住宅ワク外で県、市町村等の保障によるワク措置というものが応急措置として講ぜられないものかどうか。そういうことをやはり応急な——すでに激甚災害法が適用される地域と適用されない好むと好まざるとにかかわらず、適用されない地域とか出てくると思うのであります。しかし、住宅という問題については、適用されるとされまいと、必要なものは必要でありますので、やはりその市町村なりの保障によって、応急的な一つの時宜に即した政治的な配慮ができないかどうか、そういうような問題であります。  第四点といたしましては、地盤沈下もしくは地盤の軟弱なところにおける住宅の再建設については、なかなか家を建てる——技術的に建てられても、もうこりてしまって、再び家が建ってもここへ来るのはあぶないというような状態の意見が非常に多いのです。そういうような者の移転希望者をまとめて集団的にこれを移転、移住せしめるというようなことが非常に必要だと思います。地盤が軟弱であるから、もうこうなっては住宅建てるということは、大家さんにしても、自分が自己住宅建てるにいたしましても、災いや危険を再び繰り返してはならないのだ、こういうふうに考えますので、いま申し上げましたように、ことに新潟地域、今度の被害が甚大な地域のやはり住宅の再建については、地盤沈下もしくは地盤の軟弱なところにおける住宅を、ここへ元どおりに復元するということはもうこりごりだ、だからよそへ行きたいのだ、しかし土地がない、家がないというようなことでありますから、これらの希望者をまとめて、集団的に移住して安住の地に行けるような法的措置が、いまそういう法律的な行政措置がないというならば、新しくそういうものをつくる考えがあるかないか。私どもはただ漫然として技術的な答弁を要求するのでなくて、つくるべきじゃないか、こういう前向きのお尋ねをしながら、意見を含めて要望するというふうに受けとめていただきたいと思う。  その次に、中小企業等を救う金融措置について、現にどのような手を打っておられ、なお今後、どのような対策を持っておられるか。こういうことを申し上げるのは、たとえば今度の地震による昭和石油の大爆発、大火災については、いろいろな論議がありましたけれども、これは新潟地域においては重要な企業です。産業であります。しかし、一応これはやはり工場としては、企業としては大災害であります。さらに、これだけではなくて、少なくとも新潟地域の海抜ゼロ地帯ないしは海抜マイナス地帯には、やはり機械金属工業としてかなり世の中に響いた新潟鉄工所というものがありますが、ごらんになっておると思いまするけれども、ほとんど精密機械その他の点については、車両工場を除いては浸水してしまって、機械もほとんど使用に耐えない。それだけじゃなくて、この下請、系列工場というものは、例外なく中小企業でありまするけれども、受けた災害から再び立ち上がることはできないだろうというような考えを持つので、この点につきましては、いま皆さんの政治的な感覚で、私は、どなたにどういう質問ということについては、どなたかが要約して——大臣はおられませんが、政務次官がおられますから、該当政府委員は、いまの点については、大体ひとつそれぞれの感覚でお答えをいただきたい。  次は恒久的抜本対策でありまするが、大蔵大臣にお伺いしたい点は、次官がおられますからお伺いしまして、あとの二点は書類でもけっこうだと思いますが、はしょって恒久的対策について三点持っております。これは速記に載りますと思いまするから、あとで書類でお答えをいただいてけっこうだと思いまするが、この三番目のお尋ねは、大蔵大臣所管事項として、次官がおられますので、大体それでこの場で御回答いただけばいいと思うのでありまするが、恒久的抜本的な対策としては、第一点として、地盤沈下対策を至急に推し進めるため、たとえば地質調査地盤沈下の原因の徹底的な究明、地盤沈下被災補償等を内容とする特別立法を立案し処置する考えがあるかどうか。考えがなければ、考える方向で前向きで処置すべきだ、そういう一つの問題であります。  それから二番目は、大地震及び地すべり等における地域住民の集団移住についての立法措置考えておるかどうか、そういう点であります。これは特に新潟は、今度の大地震だけではなくて、常時やはり山間僻地の地帯には大きな地すべりがあるのでありまして、これらに対しては、しかたがないのだ、金がかかるのだからしかたがないのだというような形で、びほう的な対策しか講じられておりませんから、そういう点については、ひとつこの大地震及び地すべり等における地域住民の集団移住について立法措置考えるかどうか、こういう問題であります。  第三点は、このたびの地震を機会に、現行の損害保険制度を再検討し、地震や地すべり等の被害を内容とする地震保険——名称はどうでもいいのでありますが、内容を、そういう地震や地すべり等に結果して家が倒れ住まいがなくなったというような問題について、現在の損害保険を手直しをして新しい立法で処置をする意図があるかどうか、こういう点については、これはこの席でなまでひとつ大蔵大臣を代理して政務次官でお答えいただけるんじゃないかと思いますので、以上、はしょった質問でありまするけれども、ほんとうは一問一答式でやりたいのでありますけれども、まだ瀬谷さんもあり、自民党さんのほうもあると思いまするから、しゃべるほうよりも聞き手じょうずで……。ひとつ解明をしていただきたい、こう思います。
  85. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) お尋ねの中の公営住宅の繰り上げ建設につきましては、御趣旨に沿いまして、現在すでに割り当てしてあるもの及び今後罹災者の方の公営住宅につきましても、極力急ぎまして、なるべく早く完成するように手配したいと思います。  それから住宅金融についてのお尋ねがございましたが、みずから住宅建てたい人には住宅金融公庫融資をする準備をいたしております。すでに受け付けを開始しておりますが、これにつきまして、さらに市町村等において特別の御要望のある分につきましては、自治省等とも相談いたしまして、その措置につきまして検討したいと思います。ただ、個人が建てる場合におきましては、住宅金融公庫で十分足るのではないか、また、公営住宅建設につきましては、国の補助金と合わせまして起債が当然いくはずでございますので、その措置で十分まかなえるものと考えております。  それから地盤の軟弱地帯における集団の移転でございますが、これらの地域における住宅復興につきましては、その現地において目下相談所を開設いたしまして、土地の問題につきましても相談にあずかり、他に土地を求めて建築をする者につきましても、適当な場所等につきましても相談をしております。ただ集団移住をする必要があるかどうか、あるいは御希望等につきましては、今後調査をしたいと思いますが、こういう場合におきましても、住宅金融公庫住宅建築をする場合に融資をしておりますので、その融資によりまして適当な個所に住宅建てていただくように、できるだけのお手伝いをしたいと考えております。
  86. 齋藤邦吉

    政府委員(齋藤邦吉君) ただいまのお尋ね、大蔵省所管の分についてお答えを申し上げたいと思いますが、中小企業金融の問題につきましては、先ほど来あるいは御質問があったかとも存ずるのでございますが、中小企業金融公庫等の政府関係機関におきましては、今回の地震の発生に対処いたしまして、とりあえず過去の貸し付け金につきましては、元利の返済を猶予するとか、あるいは今後の貸し付けにつきまして手続の簡素化をはかるとか、あるいは貸し付けの迅速化をはかる等の応急措置を講じて遺憾なきように目下努力をいたしておる次第でございます。  なおそのほかに、新潟周辺にありまするいろいろな企業体が非常に大きな損害を受けたわけでございまして、この企業体の施設の復旧等につきましては、やはり相当ばく大な金融が必要になってくるだろうと考えておるのでございまして、この点につきましては、北海道東北開発公庫並びに開発銀行等におきまして、施設の災害復旧融資措置も講ずるということにいたしまして、目下それぞれ準備をいたしておるような次第でございます。  なおそのほか、こうした地震その他の災害に対する根本対策としてお述べになりました第一点の問題は、地盤沈下の防止の対策といたしまして、地盤調査を行ない、また、必要があればそういう立法をしたらどうだろうか、こういうふうなお尋ねであったかと思うのでございますが、まさしく御意見のとおりでございまして、やはりこういう対策をいたしまするためには、地盤の実態を調査するということはもちろん当然必要でございましょう。したがいまして、当然建設省その他においても十分おやりになってくださると思いますが、そういうことの必要な予算につきましては、できるだけ協力を申し上げたいと、かように考えておる次第でございます。  なお、恒久対策としての最後にお話しになりましたのが地震保険の問題でございます。これは、私が申し上げるまでもなく、現在の火災保険は、地震による災害並びにこれに関連する火災につきましては免責条項になっておるのでございます。しかし、まあ考えてみますれば、こういう災害があったからというばかりじゃなしに、何と申しましても日本は非常に地震が多い国でありまして、何とかやはり地震保険のようなものを検討する必要があるんじゃないかということは、私ども十分その必要を認めております。大蔵省にございます保険審議会におきましても、先般地震保険を考える必要があるんじゃないか、こういうような御意見の出たこともあります。したがいまして、私どもは——しかし、この保険をどういう形でやるかということになりますと、地震がどの地域にどういう頻度でどうなるだろうかというようなことで、いよいよやるとなりますと、技術的に非常にむずかしい問題があります。むずかしい問題はありますけれども、やはりこの際真剣にこれが実現に向かって考える必要があるのではないだろうかというふうに考えまして、検討の時期に達しておるということをはっきり申し上げることができると思うのでございます。
  87. 矢山有作

    矢山有作君 ちょっと関連して——というとおかしいのですが、大蔵政務次官が見えておりますのでお伺いしてみたいと思うのですけれども、一度地震が来れば、今度の新潟地震でも、その被害は千億を突破するといわれておるわけですが、非常に大きな被害があるわけです。で、この前の災害対策委員会で、一体、地震の予知というものは現在の学術の水準をもってしてできるのかできないのかということを聞いてみましたら、実際の地震予知というのは現在は非常にむずかしいということでした。ところが、やはり地震学者等の言が、いろいろ今度の新潟地震をきっかけにして表明されておりますが、それらを通じて見ると、やはり調査を徹底し、データをそろえていけば、今後十年ぐらいすれば地震予知も可能であるというようなことを言っておるようです。そこで、いままで、地震予知といいますか、そうしたことの研究のために、はたしてどの程度の予算支出というものをやっておられるのか。それからさらに、今度の新潟地震というものから考えて、地震予知というものを可能なように一日も早くしていくための研究を充実さしていくということを、真剣に考えるべきじゃないかと思うのですが、何にいたしましても、さいふは大蔵省が握っておられるのだから、そういう点で、あなたのお考えがあったら、ひとつ聞かしておいていただきたいと思います。
  88. 齋藤邦吉

    政府委員(齋藤邦吉君) 現在、予知のための予算をどの程度出しておるか、私承知しておりませんが、澄田次長、数字わかりますれば——あとから主計官なり次長からお答え申し上げますが、私の気持ちとしては、学問的に地震予知ができるかどうかは、私もしろうとでありますからわかりませんけれども、そういう合理的な、科学的なことができるということでございますれば、大蔵省としては当然出すべきものは出すということは、私は当然だと思います。さようにお答え申し上げます。
  89. 澄田智

    政府委員(澄田智君) ただいままでの予算措置につきまして、いまちょっと調べておりますので、ちょっと時間を拝借いたせばお答えできると思います。
  90. 矢山有作

    矢山有作君 私がちょっと調べたのでは、文部省に測地学審議会というものができておるようですね。文部省にね、測地学審議会というのができておる。そこに地震予知部会というのが設置されておるようです。ところが、地震予知計画用の予算はないというように私は承知しておるのですがね。で、その地震予知計画用の予算をつけなかった理由としていわれておるのは、国際地球内部開発計画——いわゆるUMPといわれておるものですね、これに参加すると、そこで研究をやるのでその必要はないのだ、こういうことで予算がついてないというように聞いております。ところが、そのUMPのほうも、三カ年計画でこれはやるのだそうですが、この予算は十億五千万ぐらいだといわれておるわけですね。ところが、初年度予算で二億六千万円要求をした。ところが、これも大部分削られてしまったと、こういうことらしい。そうすると、地震予知のための研究というのには、ほとんど金を出しておらぬのじゃないかと私は思っておるわけです。  それから、さらに去年の秋、東大の地震研究所、それから京大の防災研究所、それから東大、京大、東北大の理学部の共同で極微小地震観測をやった。ところが、このときの総経費がわずか二百万だったといわれている。観測器具もそろわぬので、あちらから借りたりこちらから借りたりしてやったという状態で、実際問題として、地震予知に対しては経費が足らぬところがあるのじゃないか。まして、地震予知の研究のための経費というのは、ほとんど出ていないのじゃないか、こういうふうに考えられているわけです。  ところが、日本が地震国だというのは、いま始まったことじゃないので、これは十年に一ぺんくらい大きなものにやられて、そのたびに大きな被害を出しているのですから、これはやはり地震学者等の意見というものも相当尊重すべきじゃないか。そうして地震予知が学者の言うがごとく、これから徹底してデータを集めて研究すれば、十年ぐらいで可能なんだと言って、盛んに主張しているようですが、そうすれば、その主張に耳を傾けて、やはりこれを積極的に取り上げていく姿勢がいいんじゃないか。それで学者なんかの意見を聞くと、大体百億くらいかかると言うんですね。研究のための経費が百億ということになると、これは今度の新潟地震に比べても、十分の一。これは実際に地震を予知して災害を防ごうと思えば、それほどたいしたものではないということが言えるのじゃないかと思います。そういう点から、やはり大蔵省においては、今度の災害というものから、深くひとつ、こういった学術研究の面を反省されて、地震予知が一日も早く可能になるような、そういう研究体制を整えるということのために、ひとつ財政的な措置をとっていただきたい、こういうふうに考えます。  で、現在、じゃあ、地震予知に関する経費がどのくらい出ているのかということについては、ここで、すぐわからなければ、あとでまた私どものほうへ何らかの形で知らしていただいてもけっこうですから、したがって、私のきょう言いたいのは、私の知る限りでは、地震予知あるいは地震に対する研究費というのは、非常に少ない。したがって、今後これを充実さして十分な対策をとってほしいと、こういうことなんです。
  91. 齋藤邦吉

    政府委員(齋藤邦吉君) 数字等につきましては、次長からお答え申し上げますが、お話、まことに私ももっともだと、かように拝聴いたしているわけでございます。学問的に地震の予知ができれば、ほんとうにこれは災害を未然に防止することができる、ほんとうにこれはけっこうなことでございまして、まあこの地震を契機としてというわけでもございませんが、今後文部省とも十分相談いたしまして、必要な予算的な措置については、遺憾なきようにつとめたいと思います。
  92. 澄田智

    政府委員(澄田智君) ただいま御質問の地震の予知に関する予算の内容につきましては、これは文部省、それから気——地震の予知と申すよりも、地震そのものに対しまして関係がありますところは、文部省関係、科学技術庁、それから気象庁関係、それから建設省の各研究所、こういうふうに分かれておりますので、仰せのごとく、金額的にはそう大きなものがない、こういうことではないかと思いますが、いま、その予算金額を調べております。しかし、あまり時間をとりましても、あまり長い時間お待ち願いましてもあれでございますので、数字の点は後ほど書類でもってお答え申し上げます。
  93. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 大蔵省関係に質問したいのですが、いま杉山さんから地震保険の問題が出ましたけれども、御答弁によると、地震の場合、火災保険等と違って、頻度その他、技術的に非常に困難があるというお話でしたが、これは被災者にとっては、火災で焼けたものであろうと、地震でつぶれたものであろうと、津波、高潮あるいは集中豪雨、台風等で流されたものであろうと、同じことだろうと思うのです。その場合に、日本は社会保障制度というのが発達してないわけです。こういう保険が、全く私企業の利益追求のためにだけ存在をしている。したがって、その保障的な準備のしようがないわけです。そうすると、私は、地震保険といったようなことじゃなくて、たまたま今回、新潟地震で大きな被害が出たから、地震保険という名目も思いつくのでありますけれども災害保険といったような形でもって、地震であれ、津波であれ、台風であれ、何であれ、要するに、住まいが流された、こわされた、なくなったという場合には、ともかく掛け金を掛けておけば、まとまった金がもらえる、こういうシステムを考えることが——これでもう万全だとは言いませんけれども、今日の状況では、実情にかなっているのじゃないか、こういう気がするのです。その意味での災害保険といったようなものを考えてみる気はないのかどうかということをひとつお伺いしたい。  それから、いま一つは、今度の地震でかなりの家屋がこわれた。この場合に、いままでの御答弁によれば、住宅金融公庫融資であるとか、あるいは応急住宅等の建設であるとか、いろいろ話がありましたけれども、それらの金の面で大蔵省がいろいろ配慮をしたとしても、現地における資材の不足あるいは労務者の不足等のために建築費が暴騰をするということになれば、百万の金も五十万の値打ちしかなくなってしまう。だから、そうなった場合には、いかに金の面で準備だけしてみても、実際の復旧に事を欠くということになりはせぬかという気がします。それらの値上がり防止の対策建築費暴騰を抑制をするという対策等があるのかどうか。また、新潟なり山形なり等において、食料品であるとか、衣料品であるとか、建築資材とか、それらのものの不足による値上がりといった現象があるのかどうか。あるとすれば、その対策はどうやっておるのかという点についてもお伺いしたいと思います。
  94. 齋藤邦吉

    政府委員(齋藤邦吉君) ただいまの御質問、地震保険ばかりではなしに、一般の水害等も引っくるめての災害保険といったものを考える必要があるのではないだろうか、こういうふうなお尋ねでございますが、風水害のほうは、御承知のように、いろいろな水害に対する災害対策というものが一応できておるわけでございまして、一番のブランクになっておりますのが地震の問題、こういうことでございますので、地震保険というものを中心として考えてみたいと考えております。しかし、その場合に、地震だけでなしに、そのほかの災害を引っくるめての保険というものが成り立つかどうか、そういうことももちろんあわせ考えてみたいと思っておりますが、当面の問題としては、地震の保険を中心とした災再保険を考えてみる、こういうふうな考え方で進んでみたいと考えているような次第でございます。しかし、この地震保険は、私が申し上げるまでもなく、非常にむずかしい問題でございまして、国の財政的な援助もやはりこれは相当なさなければできない問題だと思っております。しかし、こうした地震災害が十年に一回ずっといったふうに、非常に大きく浮かび上がってまいっておりますので、何とかできるだけすみやかに結論を出すようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。  建設費の問題等につきましては、建設省のほうからお答えを申し上げると思います。
  95. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 御指摘のとおり、住宅復旧につきまして、建築費あるいは労務費の値上がりが一番問題でございますが、まだ本格的復旧にも入っておりませんし、現在のところ、値上がりということは聞いておりません。しかし、われわれも直ちに手を打ちまして、新潟県下における建築関係方々、業者も含めまして、復旧につきましての格別の協力をお願いいたしておりまして、皆さん方もこちらの趣旨をよく了解して協力しておられます。同時に、新潟県にとどまらず、東京その他の資材なり、あるいは技術を持っているところからも応援をお願いいたしまして、そういう場合には、建築費が普通の安定した状態において建てることができますように、極力お願いをいたしまして、協力を得ておるのでございます。
  96. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 いままでの質問は、今回の地震による損害と、罹災者に対する対策ということが中心にいろいろと質疑が行なわれましたが、最後に私は、今後起こり得る地震に対してどう処置するかということについてお伺いしたいと思います。  この間、十六日に新潟方面の地震がありましたが、その後、二十二日だったかと思いますが、茨城県地方に震度三の地震があった。これは国会の中でも感じた地震ですが、それから、きょうの新聞によると、北海道で釧路方面を中心として震度四程度地震があったということなのです。最近、非常に地震がはやっている、というとなんですが、俗なことばで言えば、はやってきたわけですね。それで、いまのお話にもありましたけれども地震の予知ができない。いつ何どき、あしたにでも新潟地震並みの地震が関東を襲わないという保証はないわけです。その場合に、人口なり産業の集中をしております京浜地区であるとか、あるいは阪神地区であるとか、こういう地域にかりに新潟地震並みの地震が襲ったということになれば、どんなことになるかということを考えないわけにはまいらないと思います。私ども現地へ行って見てまいりましたところでは、たとえば酒田等では、いまだに自衛隊給水車にたよっている。それから場所によっては、水道のないところでも、井戸が潤ってしまって使いものにならない、こういうところがあるわけです。とすると、もし東京でもってああいう大きな地震があったとすると、交通網、通信網、水道ガス、電気、こういうものがばったりとまってしまう。一千万の過密人口を擁している東京でもって、水道がとまった、ガスがとまった、電気もとまった、こうなれば、山の中にキャンプに行ったよりも、はるかに始末の悪いことになりはせぬかという気がいたします。地方へ逃げ出したくとも、交通網が途絶してしまう、歩いて行こうと思っても、道路はこのとおり混雑をしている。都内で——この近辺でもそうですが、水道がとまった場合に、水を飲もうという場合には井戸なんかさがしたってないわけです。とすると、飲み水に困る。卑近な話が、水洗便所なんというようなものは、これはもう鼻もちならないことになるだろうと思う。それより困るのは、食いものに困る、食事に困る。防疫の面からいっても、衛生の面からいっても、まず東京都のような場合には大混乱になってくるということを考えないわけにはまいらぬわけであります。そういうことを考えてみたならば、これはまあ首都圏あるいは近畿圏といったような整備法はありますけれども、あまりその機能を発揮しておりません。すみやかに、私は、この過密都市の問題に対して手を打たないと、何事もなければいいですけれども、あすにでも襲うかもしれないこの災害が襲ってきた場合にだいじょうぶかどうかという心配かあります。そういう場合に——これは局長の答弁の範囲をこえるかもしれませんけれども、ちょっと大きな問題になってどうにもならぬかもしれませんが、ゼロメートル地帯のような、洪水の可能性のある地域に対する津波、高潮といったような現象が、どの程度災害を及ぼすのか、あるいはまた、東京における下町方面の火災、火災に対する対策というものは立てられているのか、それらの研究が行なわれているのかどうか。それから一体、どのくらいの被災者が出て、かりに新潟地震に匹敵するものがあった場合には、水道なり、ガスなり、電気なりというものの回復能力というものは、どのくらいのものであるのか、そういったようなことの研究が一体行なわれているかどうか、その場合の対策はどういうふうにされているのか、対策は全部されているのかどうか、こういう点についてお伺いをしたいと思います。
  97. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 都市計画の分野からお答え申し上げます。  かりに東京に関東大震災程度地震か襲ったらどうなるか——いろいろな被害が出るわけでございますけれども、まず考えられますのは、家屋の倒壊、それに引き続きます火災の発生でございます。これが一番大きな災害になろうかと思います。この過程の倒壊がどの程度になり、火災がどの程度発生するだろうかというのは、いろいろな調査もございますが、たとえば東京消防庁で推定したものがございます。それによりますと、家屋の倒壊約一万六千戸、火災の発生は、これは季節によって違いますし、地震の発生した時刻によっても違いますけれども、たとえば冬の飲食時に発生したといたしましたならば、東京都内で約六百五十件程度の火災が発生するだろうという推定が行なわれております。そのうち、延焼火災になる件数、これが約二百六十件というふうな推定が行なわれております。  都市計画といたしましては、こういう倒壊なり、火災の発生なりがないような都市にすることが最も重要なことでありますけれども、これは長年月を要する話でございまして、さしあたり、いま起こったという場合に何が重要かといいますと、この火災に対します対策をどうするかということだろうと思うのでございます。  それで、現在の東京の都市計画、これは、その基本は終戦間もないころに立てられております。したがいまして、空襲の苦い経験の上に立てられておりまして、火災というものにつきましては、十分な配慮を払って都市計画が立てられたのでございますけれども、その後、情勢も変化いたしております。また、情勢の変化に伴いまして、都市計画そのものも改定されてきております。そういう状況でございますが、さらに今次の災害を契機といたしまして、もう一度再検討しよう、チェックしてみようということでいまやっております。火災時の避難路の確保、あるいは避難場所としてどういうところが利用できるかというようなことにつきまして、もう一度チェックし直してみる作業を行なっているわけでございます。
  98. 川合武

    政府委員(川合武君) かりに関東大震災と同じような条件のもとに、現在の東京に震度六の地震が襲ったらという、ただいま建設省からの御説明のありました——これは昭和三十六年でございますが、内田祥三という先生が委員長で推定いたしました数字で、学者的な数字といいますか、でございますが、先ほど御説明のあったような数字でございますが、それでお察しのように、私どもの今度、火災防御の対策でございますか、当時——大正十二年関東大震災のときは自動車四千台、現在は七十万台くらいで、交通麻痺その他の条件が加わりますので、現在の消防体制では消火ということがまず不可能であるというふうに思わざるを得ませんので、私どものほうの消防研究所で、私ども従来熱望しておりましたが、本年度から予算がつきましたので、その消火方法につきまして特殊の研究をやっております。  これは、先ほどちょっと、私、新潟地震で申し上げました米軍の、上からまいたというあれは、緊急輸送方法として、パラシュートにつけまして薬剤を運ぶ、現場の近隣の市に運んだわけでございまして、火を消す方法でございませんが、現在、私どもの消防研究所でやりだしました研究は、特殊容器に入れまして、特殊薬剤をもちましてやはり上から落下せしめるという方法でございます。  それから、水利が問題でございまして、この水利につきまして、従来私どもも学者や何かの意見を聞きまして水槽の、大体地震に耐える水槽を研究しておりますんでございますが、しかし、もっと要するに、内張りみたいのものを、耐震性を研究をいたしまして、特殊な内張りの研究をいたしております。額は、申し上げるのもどうもあれでございますが、予算としまして二千万円程度で、私どもとしては画期的なものを研究を始めております。  なお、これは研究でございますが、いまの地下貯水槽につきましては、もしその成果があがりましたならば、ちょっとよけいなあれでございますが、厚生省のほうともよく御相談しまして、飲料水のほうのろ過器や何かの設備というものを付置しまして、厚生省のほうの関係の飲料水との兼用というような意味もあわせて地下貯水槽の考え方をすべきではないかという考え方でございます。そんなような状況でございます。
  99. 村山道雄

    ○村山道雄君 私は、院の現地視察団の山形班に属しまして、ただいま御質問になりました瀬谷英行君、また文教委員の北竜教真君、三人で現地視察をしてまいったのでございます。で、三人で相談をいたしまして、私があすの午前、議院運営委員会において報告をすることになっておりますが、これは報告のしっぱなしになりまするので、特に重点的にわれわれ三人でぜひ政府に要望したいと考えておりまする事柄につきまして、私から御質問を申し上げたいと思います。  第一点は、激甚災害指定の問題でございまするが、御承知のように、今回の地震は、新潟から地続きでございまする温海町、また鶴岡市、三川村、酒田市、遊佐町というふうに、庄内地方を中心にいたしまして非常に激甚な被害を受けたのでございます。先ほどからのお話に出ておりまするように、最も地震に対して危険な地域でありまする砂丘地と平野部との交わりまする地点におきまして、非常に大きな亀裂や、あるいは土地の断層等を生じておりまして、その結果、死者九名を出し、非常に激甚な災害になっております。被害の総額は百十億をこえるというふうにいわれておるのでございます。したがいまして、激甚災害援助法の適用の地域につきましては、ただいま御検討中で、来週ぐらいにきまるというような、先ほど御答弁があったのでございまするが、名前が新潟地震というふうにいわれておりまするので、地続きの山形県の——秋田県の本庄地区も同じであると思いまするが、こういう地方につきまして、激甚地の指定に漏れるというようなことがございますると、地域住民のこうむりまする迷惑は非常に大きいと存じまするので、この点十分御検討中のことであると思いまするが、なお御意見をお伺いしたいと思います。
  100. 齋藤邦吉

    政府委員(齋藤邦吉君) 激甚法適用の地域の問題につきましては、目下被害状況と見合いまして検討をいたしておるところでございまするが、ご希望の点につきましては、できるだけ御希望の線に沿うように十分検討をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  101. 村山道雄

    ○村山道雄君 次に、文教施設の復旧の問題についてお尋ねをしたいと思います。  山形県の被災地におきまする小学校、中学校等の施設の被災は、非常にはなはだしいものがあるのでございまして、公立の小中学校の全壊、半壊が十一校、補修を要する学校が百九十八校というふうになっております。半壊というふうに掲上されておりまする学校に行ってみましても、その大半は使用不可能の状態にあるのでございまして、現在は危険のために休校または二部制によりまして、あるいは他の学校の教室を借りるというようなことによりまして、何とか授業を継続しておるかっこうというような状態でございます。これらの復旧工事の促進のために、国庫補助地方債の許可について特別の措置をしていただかなければならないと考えております。  なお、その際に特にお考えいただきたいと思いますことは、これは先般、河野災害対策本部長にも質疑をいたし、十分検討するという御回答を得ておるのでございまするが、先ほど住宅につきましていろいろと御意見が出ておりましたように、当地は非常に地盤の軟弱な地域でございます。その上に、冬に積雪量が非常に多い地域でございます。しかるに、公共の中小学校の設立の場合におきまする補助等につきましては、これは全国一律に行なわれております。多少雪をささえるために柱を太くしなければならないというので、面積を少しふやしていただいたということがございまするが、しかしながら、地盤脆弱あるいは積雪等のために基礎工事を十分にやっていかなければならないというような点については、いままで考慮をされなかったのでございます。現地に行ってみますると、やはり小中学校を部落と部落とのちょうどまん中に建てるというような事情がございまして、畑地を埋め立てたところが多いのでございます。こういうところは、特に地盤が軟弱になっておりまして、そのために亀裂を生じて、その中に子供が入りまして、わき出した地下水におぼれ死んだような例も、酒田の西平田小学校というところに現実に今回起こったのでございます。さような意味合いにおきまして、今後の小中学校建設補助される場合におきまして、やはり積雪地帯、また特に地震に対して軟弱な地帯における基礎工事の費用等につきましても、特別の配慮をしていただきたいと考えるのでございます。この点は、本部長政府として十分検討するという御返事があったのでございまするが、特に文部当局から、この点についてのお考えを伺いたいと思います。
  102. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 一般的には、いわゆる建築単価の問題として、できるだけ実情に即するように努力したいと考えております。  なお、新潟市におきます学校復旧については、特に基礎工事について特別な配慮をしなければならないかと考えておりますが、この点も、実情調査の上、できるだけの努力をいたしたいと考えております。
  103. 村山道雄

    ○村山道雄君 先ほどもお話がございましたように、新潟から酒田、それから秋田県の本荘にかけまして砂丘地が続いて、非常に地盤の弱い地域であるという事情が一貫をいたしておりまするので、それらの点をお考えいただきまして、新潟市についてお考えいただくことにつきまして、同じような事情にある地域につきましては、同様の御配慮をお願いしたいと思います。  次に、建設省住宅局長さんに第三の質問をいたします。それは住宅復旧対策の資金のワクと貸し付け限度の問題でございます。災害復興の住宅建設補修資金、一般個人の住宅災害特別資金のワクの拡大をお願いいたしたいと同時に、貸し付け限度の引き上げを願いたいのでございます。  なお、農林省に対しましては、国有林の建築資材を格安に払い下げていただくことができれば、非常にけっこうだと存ずるのであります。被災家屋のうちでも特に農家の集団的な倒壊が非常に多いのでございまして、現在ビニール・ハウスの中に避難をして住んでおる人もたくさん見かけたような次第でございます。母家だけではなしに、作業部屋、納屋等の復旧も欠くことのできない事情にありまするので、農家の復旧につきましては、特に低利の融資をお願いをいたしたいのでございます。  ところで、先ほど申しましたような、現在、災害復興のために認められておりまする資金は、一戸当たり貸し付け限度が四十二万円になっております。この四十二万円の金額では、現在の住んでおりまする建物を復旧するということが事実不可能でございます。したがいまして、この限度を少なくとも百万円くらいまでに上げてほしいということが、これはもう現地視察をいたしまして、至るところで聞きました、みんなの共通の意見でございます。そうして償還年限のほうも二十五年以上くらいにするような融資の道を開くために特別の措置を講ずる必要があると私どもは痛感をしてきたのでございまするが、この点につきまして、建設省当局、また国有林材の格安払い下げの問題につきましては、農林当局からお答えをいただきたいと思います。
  104. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 住宅復旧の貸し付けにつきましては、ただいま御指摘のとおり、現在までは四十二万円で非常に低うございましたので、昨日の閣議におきまして、これを五十八万円、補修の場合には二十九万円というふうに、大幅に引き上げました。御要望には、あるいは沿えないかもしれませんけれども、現状におきましては、この程度で、ある程度災害復旧はできるというふうに考えまして、従来のものに比べまして大幅に引き上げを行なって、これによって復旧をしようと思っております。  なお、農家等の復旧につきましては、住宅金融公庫災害復旧住宅の貸し付けは、従来の例によりますと低いので、今回は特に二十坪まで貸し付けすることができる、こういう措置を講じまして、できる限り要望に沿うように努力をいたしております。
  105. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) 木材についてのお話がございましたが、被災後、新潟を中心としまして木材業者でいろいろ打ち合わせもございまして、木材業者自身も自粛をするということにとりきめられております。震災前の価格で供給をするということを実施しております。  それから国有林材につきましては、被災直後、近辺の営林局の貯蔵しておりました木材を緊急に輸送する体制を整えまして、その後、連日相当数量の林野庁の手持ちの木材を輸送をしております。木材の値上がり等については、そういう心配は全然ないというふうに考えておる次第でございます。  それから特価売却についてのお話でございましたが、これは災害救助法に基づきます災害救助用として都道府県に対しまして売り渡します場合、さらに市町村等で管理しております公共施設の応急復旧というような場合には、特価売却をいたしております。
  106. 村山道雄

    ○村山道雄君 いろいろと御配慮いただいておる点は、非常にけっこうであると思います。いまの住宅局長お話で、四十二万円が五十八万円まで上がったというふうに言わておりまするが、現地の希望では、これでは足りないようでございます。したがいまして、そういうことでありますると、自分の金を出さなければなりませんが、それが出ないために家が復興しないということが十分に予想されるのでございます。そこで、現地の人たちは、自作農維持資金を出していただきたい。この不足分について、自作農維持資金の災害の特別ワクを設定をしていただいてお出し願いますれば 家は復興できるということを考えておりまするので、農林当局にも御要望があっておることとは思いますが、お考えを聞きたいと思います。この点についての御意見をお聞きいたしたいと思います。
  107. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) お話しの点、住宅復旧のために自創資金ということは、なかなか理屈の上で出てきにくい点がございますけれども、いずれ、被害調査をいたしまして、天災融資法を発動するというような態勢になりますと、従前の例に従うわけですが、自創資金のワクも相当額各府県に割り当てることになると思います。そういう融資体制全般の中で、それぞれの個々の農家の適宜、最もいい用途に割り当てていただくということで、あるいは、ある程度御要望に沿い得るのではないか、こういうふうに思います。
  108. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 私は、新潟震災がきわめて悲しむべき事象であると痛感しているものでありますが、このためにとうとき命を失なった人に対し、冥福を祈ると同時に、また、多数の罹災者に対して、心からお見舞いを申し上げるのでございます。また、この救済等にあたりまして、関係当局が非常に不眠不休の大活動をされておった現状を目撃いたしまして、心から感謝の意を表する次第でございます。特に私が感じましたことは、鉄道が非常な打撃を受けているにもかかわらず、災害が起きたときは、ちょうど急行が発車するまぎわであったのでありますが、その乗客に対する避難の措置等、きわめて適切で、非常なりっぱな成績をあげて避難せしめたということは、最も私は痛感して感謝しておる次第でございます。鉄道はおかげをもちまして非常に早く復旧して、新津——上野間のごときは、もう少しも支障なく急行も運転したというようなことでありまするが、しかし、その損害は非常に大きいものであったろうと思います。応急の施設につきましては、それぞれやっておりますが、今後、この震災を一つの例といたしまして、一そう輸送力を増加する等、いろいろ計画をしなければなりません。ことに新潟県は地すべりであるとか、あるいは海岸決壊とかいうようなことで有名な県でありますが、これらの地方に対しまして、鉄道におきまして将来の計画、すなわち、路線を変更するとか、あるいは改良するとかいうようなことについても、いろいろお考えがあると思いますが、要するに、震災の善後措置として、さらに将来の改善をすることについて、御計画がありましたら、簡単でけっこうですが、承りたいと思います。
  109. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 速記をとめて。   〔速記中止
  110. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 速記を起こして。
  111. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 ただいまのことは、いずれ、適当な機会においてあらためてお尋ねすることといたします。  次に、私が非常に感じましたことは、自衛隊の活動でございます。これにつきましては、もう定評がありまするから、例をあげて申しませんが、実によくやってくれていると思います。しかし、自衛隊にはそれぞれまた任務もありましょうし、多数の人が一地方にたくさん救援に来るということも不可能であると思いますが、聞くところによると、近く引き揚げなければならない。したがって、その後の措置をどうするかというようなことで、地元ではだいぶ苦心をしているというようなことも聞いております。要するに、この自衛隊がこういう非常災害に活動するということは、将来ますます望ましいことであります。したがって、これらの機動力を発揮するために、あるいはまた、編成の上におきまして相当考慮してもらわなければならぬと思うのですが、防衛庁におきまして、今後さらに大きな災害等もあるというようなことも予想して、その隊員の充実等について相当考えなければならぬのじゃないかと思うのでありますが、将来、この震災を機会として、体験として、何か計画があったらお聞きしたいと思うのでありますが……。  それでは、いまの防衛庁に対しての質問も、運輸省と同じように、適当な機会に伺いたいと思っておりますから、さようにお願いいたしたいと思います。  次に、いろいろ詳細に災害について御報告がありましたが、漁業についてはあまり報告がなかったように承りました。あるいは聞き漏らしであったかと思いますが、震源地が海津近いところにあり、しかも、津波も幸いにたいしたこともなかったようでありますけれども、あったのでありますが、要するに、震災によって漁村なり、あるいは漁港その他の施設なり、あるいはまた、将来の漁港等についてのお考えを承りたいと思うのですが、日本海は近年きわめて不漁なんでありまして、震災のあるたびごとに海流の変化等の関係でしょうか、不漁を来たすということが、かつて関東大震災において、相模湾に起こった影響を考えましても想像できるのでありますが、要するに、今度の地震について、漁村、あるいは漁業、あるいは漁業的施設等についての損害並びにこれの復旧なり、あるいはまた、将来起こるかもしれぬという漁業の不振等についてのお考えがあったら承りたいと思います。
  112. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) まず、漁業関係被害でございますが、先ほど私どもの政務次官から申し上げました合計百二十八億円に及ぶ農林水産関係被害の中に、当然含まれているのでございますが、漁港の関係で現在までにわかっておりますのは、二十六港、約二億四千五百万円の被害、共同利用施設と非共同利用施設の関係合わせまして三億六千四百万円程度、漁船の関係で二億六千三百万円程度、漁具は件数が非常に多うございますが、金額は三千五十万円程度、そのほか養殖施設——カキ等でございますが、千五百万円ばかり、そのほか水産物にも被害が若干ございますが、わずかでございます。それだけ全部合計しますと、九億二千五百万円ほどの被害に及ぶようでございます。もちろん、新潟山形、秋田、宮城等、広範な地域にわたった被害でございますが、大部分新潟でございます。  これに対する対策としまして現在考えられますことは、天災融資法の発動はもちろん、公庫融資によります災害復旧関係金融措置等を準備しておるわけでございます。なお、被害調査は続けておりますので、それに応じて体制を整えてまいりたいと思っております。一番最後にお話のございました漁獲その他の大変動というようなことについてでございますが、これは先般、ノリの被害等の場合に、いろいろ苦心をした例もございますが、自然現象によりまして、そういうことも万一の場合にはあろうかと思います。その場合には、先例に準じまして措置してまいりたい、かように思っております。
  113. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 先ほど、どなたか御質問があったように思うのですが、応急のいろいろの施設はもちろん早く、やらなければなりませんが、不幸にして新潟県、山形県、秋田県地方は、もう十一月ごろから天候がきわめて不順なのであります。たとえば住宅計画のごときは、できるだけ早くやらなければなりません。土木にしましてもそうでありますが、大体そういうような天候についての見通しで、住宅はいつごろまでに全部仕上げる予定でございますか。
  114. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 御指摘のような心配はわれわれもいたしまして、冬にならないうちに、年内に完成をしたいと思いまして、関係の者を集めまして本日も打ち合わせ会をやっております。
  115. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 消防庁の方に少しお伺いしたいのですが、二、三年前であったと思いますが、私はどこかの委員会で、近代の火災についての施設をしなければならぬということを申し上げておったはずであります。最近、火災が近代の社会生活に伴いまして、だいぶ様相が変わっております。ことに工業の発達によりまして、またその消防方法も違ってくると思うのであります。今度の災害におきまして、これを如実にわれわれは見たのであります。将来、いわゆる工場の分散等によりまして、地方にそれがだんだん普及いたしますれば、これに対する消防も、従来の消防以外に、これらの科学的の措置をしなければならぬと思うのですが、それにつきまして、将来の消防計画、これらについて考えられておりますならば承りたいと思います。
  116. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 消防庁の方には、ついでにちょっとお伺いしたいのでありますが、科学消防と先ほど盛んに申されましたわけでありますが、実際に昭和石油の場合に、化学薬品を水にまぜてやっておられましたが、やはりあれが効果があって鎮火した、あるいは火勢を弱めたというようなことが確認されたわけですか。
  117. 川合武

    政府委員(川合武君) 何といいますか、現実的に申し上げますと、今度の場合は、普通でございますと、火が燃えましてタンクに燃えますときに、あわ消火剤というものを早くかけますとこれが消えるということで、これは研究もいたしておりますし、またすでに実験済みでございます。世界じゅう全部ほとんど同じ内容、水準のあわ消火剤を使っておるわけでございます。ところが、お察しのように、火は生きものと申しますか、勢いがつきますと、私どもが一応机の上で、あるいは単に実験しました程度の勢いでは終わらないわけでございます。そうして、今回の昭和石油のような——町の中にあります程度の石油でございますと簡単でございますが、あれだけの大きなものになりますと、消火剤を使いましても、現地に行きました者の報告によりますと、極端にリアルに申しますと、火の勢いで消火剤はすっ飛んでしまう。あれは石けんのあわのようなものを上におおいかぶせていくわけでございますが、それが火の勢いですっ飛んでしまうという状況であったわけでございます。そこで、早くやれば先ほど言ったようによかったのでございますが、一番最初の消火の点につきましては、私どものほうの署には化学単がございませんので、またあそこの工場には化学車が実はあったのでございますが、その後続いてすぐ活動をしませんでした。それからまた、消火剤のあわそのものでございます。薬剤そのものが、これも工場に相当量あったというのでございますが、まあそれが、混乱と申しますか、不十分でございまして、私のほうは、先ほどから御報告いたしましたように、その夕方から消火剤を集めまして、初めはトラックで、それからあとは主として自衛隊、一部分は米軍の飛行機に載せてもらいまして、合計約十一万リットルの消火剤を送ったわけでございます。それで、実は、化学車がなくても、普通のポンプ車の先のノズルというものを取りかえまして、そうしてそれでやりますとできるわけなんでございます。で、われわれの世界は、まあ貧乏世帯と申しましてはあれでございますが、全体のポンプ車も数が足りないものでございますので、化学車まで手が回りませんで、新潟の場合もそうでございますが、全国の市町村の消防で、まあいざというときにはノズルを取りかえて普通ポンプ車でやるという練習はやっておったのでございます。で、あわの消火剤が届きまして、そのときノズルも一緒に送りましたのでございます。それを使ってやりましたのでございますが、先ほどから繰り返して申しますように、そのときはもう火の勢いが強うございまして、かけましても薬剤が吹っ飛ばされる、こういうような状態でございまして、そこで東京消防庁の化学車、これは行きました指揮者はパレンバンの油田を守ったといわれている戦争中の非常な経験者でございまして、これが指揮者で参りました。で、行きましてからは、要しまするに、燃えておりますその事態は、四十時間たっております。十八日の払暁からやっております。四十時間たっておりますので、燃えておりますタンクにつきましては、これを消すということは事実上できなかったわけでございます。そこで、次の燃えていないタンクとの間に、先ほど申しましたような大体やり方は、あわの壁をつくるわけであります。タンクがいたんでまいりまして、下のほうから油が流れてきて、火が次のタンクに移るわけでございます。大体タンクの直径分だけ空間をとっておりますのが普通でございますから、そうしますと数十メートルあるわけでございます。その間に消火剤のあわの層をつくって、それを大体一日半絶えずやりまして、火とその間競争して、隣のタンクに移らない間に片っ方が大体燃え切っちゃう。一部分は少し残っておりますが、燃えかかっているタンクは大体、わかりやすく申しますと、燃え切って、そして隣のタンクに移るのを守り切るところまでやったのが大体科学消防で、あの現地の消防もよくやりまして、それに水もやっぱり必要でございますので、大体三に対して九十七ぐらいの水を入れるのでございますから、水を送りますのに、現地の消防機関がポンプ車を並べまして、ずっと水を送りまして、それで、最前線に行きますと、東京消防庁の化学車でございますが、あの東京消防庁の化学車はよくやったというふうに、成功したというふうに思っております。それで、大体昭和石油の場合は、二十一基ほどのタンクを残して、それで終わったと、こういう形になったわけでございます。ごたごた申しましてあれでございますが、そんな状況でございます。  それから、小柳先生のお話の、将来の対策でございますが、私ども消防機関が、まあ人さまのことを言わないでやらなければならない関係といたしましては、先ほども申しましたように、何といいましてもやはり化学車を持って、ことにコンビナート群のありますところには化学単を持っていなければならない。いま申しましたように、普通ポンプ車でノズルをかえてという方法では、町中にありますガソリン・スタンド程度はやれましても、あれだけのものには耐えられないということでございます。あるいは市町村の共同でありましても、何らかの方法で化学車を持っていなきやならないというふうに考えております。  それからまた、これは私ども自体のことではございませんが、あれだけの大きなコンビナート群の会社を持っておりまするところでは、やはり会社自体も化学車を持っていてもらわなければならない。あるいは、各会社だけでなく、共同で、やはり一台だけでなく、数台持っておって共同で防衛する体制というものを持っていてもらうべきじゃないか。  それから、これは私どもの法規の不十分でございますが、あわ消火剤というものを保有しろという保有義務はございますけれども、その分量というものについて規定がございません。これは学者の意見も聞きまして科学的に算定して、この程度の力を持った化学工場に対してはこの程度の消火剤というものを、やはり科学的に算定した量を持っていてもらわなければいかぬじゃないか。それから防油堤でございますが、これも、いままでの規定がございますが、非常に不十分でございまして、あれだけの大きな高度の化学工場が今後ふえてまいります場合には、これにつきましての一つのもっと高い、強い、あるいは個々のタンクだけでなく、工場全体をおおって少なくとも民家には及ばない一つの防油堤を持つ、この程度の経済負担といいますか、設備はどうしてもやってもらわなくちゃいかぬじゃないかという考えでおります。  その他多々ございますのですが、お尋ねのときに申し上げてあれでございますが、私どもはやっぱり現在の程度の化学工場というものに対しては、われわれは何としても守るだけの責任と、それから勉強と練摩をしなきゃならぬと思っております。ところが、現実にいいまして、化学消防というものがなかなか追いつかないという現実でございます。東京などは相当進んでやっておりますのでございますが、それでもなかなか追いつかない。少しくどくなりますが、現状においては、どうしても追いつかないなんて言っていちゃいかぬ。ところが、御承知のように、石油タンクの高さ、それからそのタンクの直径でございますが、これがいまの規定では無制限でございます。日本は狭いせいでございますか、外国のクェートとか、オランダに、私ども聞きますのがあるくらいで、ほかの外国にはないような大きいタンクが日本には続々とできかかっておるわけでございます。これは今後、考えてみますると、場所がないということで無制限になるおそれがあるのではないか。そうしますと、私ども科学消防は一生懸命追いつきましても、こういう点では無制限ではやはりだめで、経済の発達を阻害してはならないけれども、外国にもあまり例のないような大きいものまでつくってもらってはいかがか。しかし、現状のものを低くしろというような、私どもそんな考え方は持ちませんが、ある程度のところでとめていただくことが、やはり防災とのバランスではないか、かようなことを、なまいきでございますが、思っておるのでございます。
  118. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 もう一つ消防の関係についてお伺いしたいのですが、いまお話しのように、われわれの近代の生活に対応する消防の施設をすることはもちろん大切ですが、もう一つ、消防団ですが、消防団は単に火を消すということだけでなく、水害であろうと何でも出動しなければならぬというふうな実情に迫られているわけです。今度の震災につきましても、消防団は非常に活動したのです。場合によりましては消防団は少数精鋭主義ということもいわれますが、ああいう何かいろいろ雑多な消防的の仕事に関係するような場合には、いわゆる人海戦術によらざるを得ないというようなことも考えられますので、消防団につきましては、どうしても相当な人員の動員のできるようにしておかなければならない。ことに漁村あたりでは、時刻によりまして、ほとんど人がいないというようなことも考えられますので、これらの点については、ぜひ御考慮をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  119. 川合武

    政府委員(川合武君) ごもっともでお話しのとおりでございまして、消防団が、風水害等の場合でございますと、わりあいと予警報というものがございますものですから、待機の体制がとれるわけでありますが、何ぶんにも非常勤でございますのと、ことに最近は外に勤めておる者が多いわけでございますので、数は一応あるけれども、昼間はいないという者もあるわけでございます。したがいまして、突発の事故、ことにこういう今回の場合のようなときには、動員というものにつきまして非常におそくなる。また、そこら辺のところにつきまして、この動員体制につきましてはさらに検討しなければならない。今回も近隣の応援を得まして、しておるわけでございますが、さらにそれらの点につきまして相互応援の体制——もっとも広域にわたりますと相互応援ということもむずかしいのでございまして、そのときそのときの状況によりますが、お話しの点について十分検討を今後も続けていかなければならないと思います。
  120. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 最後に、財政についてお伺いいたしたいと思うのですが、政務次官もお帰りになりましたから、ごく簡単に申し上げて、そのことを大臣なり政務次官にお伝えを願いたいと思うのですが、先般池田首相が現地に来られ、田中蔵相も来られまして、そうして記者会見の際に、臨時国会は召集しない、しかし、財政については事欠かないというような意味のお話があったので、罹災民をはじめ地元の人は非常に意を強うして期待しておるわけです。この点につきましては、先ほど武内君からも質問がありましたが、これはきわめて根本的な問題でありまして、重要なことでありまするから、私も、この点を要望すると同時に確認しておきたいと思うのであります。お答えいただければなおけっこうですが、お答えができなければ、その趣旨をお伝えを願いたいと思います。
  121. 澄田智

    政府委員(澄田智君) 私も実は田中大蔵大臣現地に参りましたときに同行してまいりました。現地大臣がそういうふうに言明しておるのを私もそばで拝聴いたしました。現在補正予算というようなことは、いまの段階においては考えておりませんが、予備費はすでに最も応急的な分につきましては支出の手続を進めております。なお、今後逐次必要に応じまして、現在予算に盛られております予備費の範囲内での支出は、要求次第遅滞なく支出するようにいたすことで、われわれもそういうふうに努力することにいたしております。なお、今後本格的な復旧につとめまして、財政需要の全貌というものがはっきりしてまいると思います。その場合の措置は、そのおりにするということでございますが、現在のところは予備費でもって対処していけるのではないか、こういうふうに考えております。
  122. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 今度の震災は、いろいろな面において一つの特徴を持っているのですが、私の見たところでは、今度の震災は、その復旧、復興にばく大の経費を要することだと思います。この点は、どなたか視察された大臣の方も言っておられたようですが、私は実は関東大震災のとき罹災者でもあり、また、その救護の職にあたっておった関係上、体験を通して申し上げることができるのですが、関東大震災等に比べて比較にならぬ——貨幣の価値は別問題として、比較にならぬ大きな災害を金の面にあらわすだろうと思うのです。と申しますることは、建物にしましても、関東大震災のときとはけたが違うのです。それからまた公共の施設等においても、その当時は舗装道路はなかった、あってもごくわずかであったという程度のものであった。また農業におきましても、今日は土地改良等によってばく大の施設をしている。したがって、これを復旧し、さらに将来のために復興するというようなことは、ばく大な経費を要すると思う。不幸にしてまた今度の震災は、いわゆる新潟山形、秋田、いずれもこれは後進県といわれている。しかし後進県であるが、差別もなくしてそれをますます助長しようというのが現在の政治だと思っているのですが、そういう点から見ますというと、ばく大な経費が要るほかに、また、ばく大ないろいろな施設をしなければならないということになるので、さきに私が申し上げたことは、ただ通り一ぺんの質問としてお聞き取りにならぬようにしていただきたいと思うのであります。  それで私はそういうような立場でありますが、さしあたりこの補助金であるとか、助成であるとか、そういうような点については、法の許す限り、あるいはまた場合によっては、特別の立法をしてもそれに応ずるようにしていただきたいと思うのです。かようにその金額が大きくなりますというと、従来の金利なんというものは非常に弱いものだと思うのですから、その金利等についてもずいぶん考えていただかなければいけないんじゃないか。要するにばく大な金がかかるのであって、これについて総理大臣、大蔵大臣も太鼓判を押しておられますから、これをほごにしないように、極力救済なり復興に当たっていただきたいと思うのであります。この点についてあらためて強く要望する次第であります。  それからもう一つ、これは総理府の人にも、見えておったらお尋ねしたいと思うのですが、たとえば今度激甚の指定をするとか、あるいは天災融資とか、その他補助金、いろいろのことをする場合には、どうしてもこの書類で申請しなければならない。ところが災害のときは、多くは地方においてはそういうような手続がふなれな町村吏員であり、しかも、そういう例があまりありませんから、書類の作成等に非常におくれるのです。今度激甚災のことについては、来週からぼつぼつ書類が出ましたら、審査する、こういうようなお話でありますが、これは一日も早く出して、そうして一日も早くいろいろの手続を打たなきゃならぬですが、こういうように書類ということが非常に重大な場合になっておるのでありまするから、これらのことを助成する意味において、適当な方途を講じて、たとえば吏員を出張せしめ、そうしていろいろのことを指導するなり適当な方法をやることが、私は急務じゃないかと思うのです。その点について、そういうふうに私は思っておりまするから……。しかし、総理府はまとめるときの立場にあるので、やはり各省関係ありますから、そういう趣旨において進める方法がないか。もう少し具体的に言うというと、調査調査と言っては行きますが、調査は慰問も兼ねておりまするから……、ありがたいのですが、町村吏員からいうと、同じような調書を出せ出せと言われるので、それでなくても忙がしい際に全く悲鳴を上げておるようなわけです。それはしかたがありません。それはあえて悪いとは申しませんが、新しく書類を出せというようなことについて、災害ということを対象として、何か政府としてもそれに協力すると申しますか、助成するという方途を講ずるのが必要かと思いますので、自分の希望を述べて私の質問を終えるわけであります。
  123. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 速記をとめて。   〔速記中止
  124. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 速記をつけて。  ほかに御質疑もございませんようですから、本件につきましては、この程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時一分散会      —————・—————