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1964-06-03 第46回国会 参議院 災害対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月三日(水曜日)    午後一時四十二分開会     —————————————   委員異動 五月二十五日   辞任      補欠選任    岩間 正男君  佐多 忠隆君 五月二十六日   辞任      補欠選任    寺尾  豊君  石原幹市郎君    江藤  智君  村山 道雄君 六月二日   辞任      補欠選任    田中 啓一君  北口 龍徳君 六月三日   辞任      補欠選任    森部 隆輔君  野田 俊作君     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     小平 芳平君    理事            稲浦 鹿藏君            藤野 繁雄君            矢山 有作君    委員            石原幹市郎君            北口 龍徳君            熊谷太三郎君            小柳 牧衞君            坪山 徳弥君            野田 俊作君            林田 正治君            村山 道雄君            森 八三一君            武内 五郎君            吉田忠三郎君            渡辺 勘吉君   政府委員    内閣官房内閣審    議室長内閣総    理大臣官房審議    室長      松永  勇君    総理府総務長官 野田 武夫君    大蔵政務次官  齋藤 邦吉君    厚生政務次官  砂原  格君    厚生省社会局長 牛丸 義留君    農林政務次官  松野 孝一君    農林大臣官房長 中西 一郎君    農林省農林経済    局長      松岡  亮君    農林省農政局長 昌谷  孝君    農林省蚕糸局長 久宗  高君    農林省園芸局長 酒折 武弘君    建設省住宅局長 前田 光嘉君    自治政務次官  金子 岩三君    消防庁次長   川合  武君   説明員    大蔵省主計局主    計官      宮崎  仁君    食糧庁業務第一    部長      田中  勉君    自治省財政局交    付税課長    山本  悟君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (凍霜害並びに長雨被害等に関する  件)  (北海道利尻朱鞠内等大火に関  する件)     —————————————
  2. 小平芳平

    委員長小平芳平君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  五月二十五日、岩間正男君が委員辞任され、その補欠として佐多忠隆君が選任されました。  五月二十六日、寺尾豊君、江藤智君が委員辞任され、その補欠として石原幹市郎君、村山道雄君が選任されました。  六月二日、田中啓一君が委員辞任され、その補欠として北口龍徳君が選任されました。  また本日、森部隆輔君委員辞任され、その補欠として野田俊作君が選任されました。     —————————————
  3. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、凍霜害並びに長雨被害等のその後の状況並びに措置について、農林省から御報告願います。松野政務次官
  4. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) 本年の凍霜害長雨被害実態並びに今日までの対策について御報告申し上げます。  まず、四月下旬の凍霜害でありますが、これは四月二十八日から三十日にかけて、日本海へ南下してきた大陸高気圧の中心が、三陸沖に移動したため、東北地方及び関東地方において、最低気温が極度に低下し、二十九日朝、各地に著しい降霜を見、ところによっては結氷が見られました。このため、果樹、桑、麦類野菜等に著しい被害が発生したのであります。この被害見込み総額は、農林省統計調査部調査によりますと、約八十二億円にのぼっております。被害の大きかった作物は、果樹類約四十四億円、桑約三十三億円、野菜約二億円、麦類約一億七千万円であります。被害の大きかった県について申し上げますと、福島県が約五十億円、山形県が約二十一億円、宮城県約七億円であります。  次に、五月中旬の凍霜害について申し上げます。五月十三日、十四日、十六日に、関東、東山、近畿、中国の一部に降霜があったのであります。この被害見込み総額は、統計調査部調査によりますと、約五億九千万円になっております。被害の多い作物は、桑が約三億円、茶が約一億円。被害の大きい県は長野県で、約四億円であるのであります。  次に、五月の下旬の凍霜害について申し上げます。五月二十七日早朝、長野県、群馬県、山梨県等に凍霜害が発生したのであります。この被害状況については、目下、農林省統計調査部において調査中でありますが、五月二十九日までに、長野県外大県からの報告及び統計調査部の事務所との電話連絡によれば、十億円をこえる見込みでございます。被害の大きいのは桑、野菜で、被害の大きい県は長野県となっております。  それから対策について概要を申し上げます。  四月末の凍霜害に対しましては、五月の八日に、天災融資法適用することについて閣議の了解を得たのであります。そこで農林省といたしましては、これに基づきまして所要の準備を進めるはか、激甚災害法適用する方向関係省折衝を進めておるところであります。  それから自作農維持資金については、天災融資法の発動と相まって、融資措置を講ずるつもりでございます。  それから各金融機関に対しては、五月八日付をもって、つなぎ融資に万全を期するよう要請しておる次第であります。  次に、農業災害補償法に基づく共済金支払いに関しましては、国の再保険金概算払い早期実施農業共済基金からの融資などの措置によって、農家早期に仮払いができるよう、五月十一日付をもって、関係知事共済連会長あて準備方を通達いたしました。各県においてはそれぞれ準備をしているが、各県よりの書類の提出があり次第、国の再保険金概算払いを実施する予定であります。また、蚕繭共済事業にかかる国の再保険金概算払い限度額の引き上げにつきましては、ここ数日中に農林省令を出す予定にしております。  その他果樹、桑に対する樹勢回復技術指導災害防止のための施設等に対する助成措置については、融資措置等を含め、災害対策全体として、罹災農家の経営安定をはかることを目途として、財政当局といま折衝中でございます。  なお、五月の中下旬の凍霜害についても、四月下旬の凍霜害に準じて措置をいたすつもりでございます。  次に、九州方面長雨等災害について申し上げます。  九州及び中国四国地方においては、四月に入り、高温多雨、寡照に経過し、県によっては、四月の降水日数が、平年の一・五倍から二倍、降水量は五〇ないし六〇%多かったのであります。したがって、これらの県においては、四月中旬の一時を除いては、全般に異常な曇天の多い日が続いたのであります。このような高温多雨の結果、稲については不時出穂、麦については不稔障害、湿害、赤カビ病、なたねについては、湿害、菌核病等が異常に多く発生したのであります。この被害の概況は、統計調査部の五月十五日の中間報告でありますが、約百五十億円に達しております。このうち、麦類は約百五億円、なたねは約二十億円、野菜果樹等は二十四億円であります。被害の大きい県は、長崎県、鹿児島県等で、二十億円をこえる模様でございます。  これが対策といたしましては、実は統計調査部の詳細な実態把握を待って、昨年の長雨災害対策措置例等参考として、天災融資法自作農維持資金などの融資措置、その他必要な助成措置を講じたいと考えております。  以上でございます。
  5. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 御苦労さまでした。  次に、北海道利尻町と朱鞠内大火について、消防庁から御説明願います。消防庁次長
  6. 川合武

    政府委員川合武君) 北海道大火につきまして御報告をいたします。  資料を提出いたしておりますが、利尻町の火災は、五月十五日の十八時四十五分に出火いたしまして、翌十六日の午前二時ごろに鎮火いたしております。  気象状況は、風速が三メートルから四メートルでございまして、この風速は、私ども火災におきます場合の条件といたしましては、そう必ずしも激しいものとは思われません。相対湿度、すなわち、その時点におきますところの湿度は五九%でございまして、これも火災の見地から見ました場合に、そう驚異的なものとは思われませんのでございますが、ただこの地帯におきましては、十三日から湿度につきまして、異常乾燥注意報が発令されておったわけでございます。  死傷者は五名でございます。死者一名、負傷者四名でございます。  焼失は、住家、非住家合わせまして二百二十六戸でございます。損害額推定八億三千万円でございます。おもなる燃失建物は、町役場等、ここにしたためましたとおりでございます。  消防活動状況は、同じくここにしたためましたとおりでございます。すなわち、消防ポンプ自動車四台、小型三十四台、消防団員六百二十五名でございます。  なお、この利尼町の消防力でございますが、消防ポンプ車につきましては、私どもの示します消防力基準に照らしまして、ほぼ八割のポンプ自動車を持っておりまして、他に比しますならば、そう悪いほうではございません。ただ、水利は遺憾ながら非常に不十分な実情でございます。  その次のページに、過去の離島火災を、御参考までに、長崎福江市等が書いてございます。ただお断わりと申しますか、おわびと申しますか、印刷物ていさいが不手ぎわでございまして、この離島火災の下の欄、すなわち、焼損面積損害額は、実は右のほうに続くわけのものが、紙面の関係で下へ移っておりますので、その焼損面積の六万四千六百九十八平方メートル、あるいは三十九億円云々という損害額福江市に、その次の段が長崎県の対馬に対応するわけでございます。なお、六段目に書いてございます建物林野関係は、これが二つが合わさりまして名瀬市に見合うわけでございます。  次に、朱鞠内火災でございますが、出火日時、五月十六日十二時五十分、鎮火日時同じく五月十六日十七時十分でございます。  気象状況は、湿度二三%、さき利尻と同じく、異常乾燥注意報の発令中でございました。  死傷者は、死者一名、負傷者五名、焼失住家九十二戸、非住家二十五戸でございます。そのほかに、林野焼失がございます。損害額推定五億円、おもなる焼失建物、国鉄の駅等でございます。  次のページにございます消防活動状況でございますが、出動いたしました消防ポンプ大型自動車十三台、小型動力ポンプ四台でございます。消防団員二百八十名でございます。  なお、この町の消防力は、基準から照らしまして、消防車におきましては五割六分、五六%程度の、消防力基準から見ましての充当率といいますか、その程度の力がこの町の力でございました。  水利におきましては、さき利尻と同じく、はなはだ不十分の状況でございました。なお、この印刷物に御報告はいたしておりませんでしたが、三月二十二日芽室町で火災がございまして、これは三月二十二日の零時四十分に出火いたしまして、鎮火は五時二十五分でございます。死傷者は、負傷者が三名でございます。焼失は八十六棟でございます。  次に、登別温泉火災状況でございますが、五月二日の三時三十分に出火いたしまして、同じく六時に鎮火いたしております。  登別温泉旅館でございまして、原因は、たばこでございまして、ダクトが延焼経路となったものというふうに思われております。  焼失状況は、焼失程度損害額は、印刷物にしたためましたとおりでございまして、死傷軒は、重傷三名、宿泊者でございます。  消防活動状況は、ここにしたためましたとおりでございますが、この町の消防力は、消防車三八・四%、約四割、水利は、はなはだ不十分であるというふうに私どもは見ております。  なお、この町は、本年の四月から消防本部署、すなわち、常設消防署を設置することを、消防組織法に基づきまして指定をいたしまして、来年の三月一ぱいで、すなわち、本年度消防本部署を設置すべきことになっておる町でございます。現在は消防本部だけがございまして、署はございません。そして、その本部といいましても、人員が二名しかおりませんので、当日の夜は、常備の消防団員が一名宿直といいますか、待機しておった、機関員といたしまして待機しておった状況でございました。  なお、この旅館の火事につきまして、ここに他の府県におきまするところの旅館火災も例示いたしました。離島火災、あるいは旅館火災というような、私どもといたしまして十分心せねばならぬ火災が起きまして、日ごろのわれわれの指導というものにつきまして、ことに離島、あるいは離島的な僻遠と申しますか、さような地におきますところの火災につきまして、今後の私どもの考え方につきまして、指導方法につきまして十分なる反省をし、検討いたさなければならないというふうに考えております。  以上簡単でございますが……。
  7. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 御苦労さまでございました。  それでは、凍霜害並びに長雨被害等について御質疑のおありのお方は、順次、御発言を願います。
  8. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 私は、凍霜害及び長雨についてお尋ねしたいと思うのであります。  この問題については、参議院としては緊急質問をやって、政府を督励し、善処方要望したのであります。また、五月の十三日には、本災害特別委員会を開いて、いろいろと政府説明を聞き、さらに質疑をして、今後進むべき道を明らかにしたのであります。それに対して政府は、ただいま説明をしていただいたのでありますが、その説明によって見まするというと、凍霜害に対しては、ある程度進行を見ているように見受けられるのでありますが、なお解決すべき問題が多々あるのでありますから、この問題については、すみやかに要望が達成せられるように御努力をお願いしたいと思うのであります。  長雨についてはどうであるかというと、政府被害報告によって見ますれば、凍霜害は、いま政務次官説明によれば、六月三日現在では約八十二億であるが、その後の被害があったから、これを加えるというと九十八億、約百億という数字が出ているのであります。九州四国中国長雨は、政府調査によって見まするという百五十億、さっき陳情者の話を聞いてみるというと二百二十億、こういうふうな金額になっているのであります。しこうして、長雨のほうはどうであるかと申しますというと、昨年に引き続いたところの被害であるのであります。でありますから、私は、五月の十三日の災害対策特別委員会におきましても、いろいろと意見を述べて、政府要望しておったのであります。この問題については、さっきも陳情があったのでありますが、まず第一に取り上げなくちゃできないのは、天災融資法適用の場合において、特別被害地域として指定するところの基準をどこに置くか、こういうふうなことであるのであります。昨年の長雨の場合においては、現在の法律においては救うことができないからということで、特例法を設けたのであります。今年は、被害程度からいえば、昨年同様ではないのでありますが、昨年に引き続いたところの被害であるのであります。しこうして、昨年よりもある程度被害が少ないのでありますから、昨年同様の特例法を設けたといたしましてでも、これは救うことができない。しかし、昨年、今年と二年続いて災害を受けたのがあるから、こういうふうな場合においては、特例特例をつくらなくてはできない、こういうふうなことで、私は、この前の委員会にも申し上げて、政府要望し、督励しておったのであります。いま九州各県、その他からの陳情を承っておってでも、私が十三日の日に政府要望したように、特例法をつくらなくちゃできない、つくってもらいたい、こういうふうなことであるのでありますが、この前の委員会で私が要求し、また、さっき陳情があったようなことを勘案されて、政府はいかなる程度まで特例法をつくる意思があるか、簡単に御答弁をお願いします。
  9. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 先ほど政務次官から御説明申し上げましたが、現在のところ、長雨被害は百五十億程度となっております。これは実は五月十五日現在の数字でございます。で、その後、六月一日の時点での最終的な調査をいたしておるわけでございます。それによって、百五十億円の内容に相当の変動があるものと考えております。  ただ、お話し特別被害地域を設定します場合の基準の問題としての特例法でございますけれども、百五十億円という被害だけについて特に考えますと、昨年の被害が約五百億円近かったと思います。で、それと比較しますと、被害はさほどでないということで、特例法は要らないのじゃないかという議論もなくはないと思います。ただ、お話がございましたように、昨年もあり今年もあるという連年の被害という点を特に考える必要があろうかと思います。さらに、地域によりましては、昨年より被害の多かった地域もあるのじゃないかと思います。あるいは同様の被害であるところもあろうかと思います。総計では、先ほど申し上げたような、昨年に比べて少ないという事実はございますけれども、具体的な市町村なり郡なり府県なりについて言いますと、必ずしもそうでない。その辺の実態を六月一日の調査で明らかにしたいと思っております。それが明らかになりました上で、必要がありますれば、特例法ということについて考えたいと思っております。特に、現地各方面で具体的な提案もあるように聞いております。そういうことを含めて検討いたしたいと思っております。
  10. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 いま官房長からお話しのとおり、昨年よりも被害が少ないところもあるが、ある地区によっては、昨年以上の被害があるのでありますから、昨年、今年を、二つ年度被害を勘案して、政府のほうにおいては、すみやかに特例法を作成するように進めてもらいたいという希望を申し上げておきます。  次に、農業共済金の仮払いの問題であるのでありますが、これも、この前の委員会で私は要望しておったのであります。現在の共済金支払いは、政府支払いが不足する場合においては、補正予算を組んでこれで支払う。連合会の金が足らない場合においては、融資方法がある。しかるに、最末端の共済組合の場合においては、これは私どもがつくった法律でありますから、いかんともすることができないのでありますが、削減払いをしてよろしいと、しかし、私などが法律をつくる場合においては、毎年毎年こういうふうな被害があろうとは毛頭考えていなかった予想外の問題。また、単位共済で積み立てておるところの金は、ある一定の限度に限られておるのでありますから、年々それがあるということであれば、どれだけ積んでおっても削減払いをしなければならないということは理の当然であります。そこで、私がこの前も申し上げたように、政府の負担は補正予算を組み、連合会のものは融資方法があるとしたならば、こういうふうな場合においては、単位共済の場合においても、融資方法か補助の方法を考えなくちゃできないじゃないか。しかし、これは現在の法律ではできないのでありますから、こういうふうな場合に限って、特例法をつくってそれを救済する策を講じなくちゃできない。これはこの前そういうふうに要望しておいたのでありますが、これらの点について政府研究をされたか、されなかったか、これをひとつ御答弁を願いたいと思うのであります。
  11. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) お話しの点、研究をいたしております。現在までのところでは、まさに、いま御指摘のとおり、特例法をつくるかというような壁にぶち当たるわけでございますが、といってお話の中にもありましたその必要資金の融通ということも手段として考えられるわけでございます。そこで、そういう道を開くことについて検討しておるのですけれども融資となりますと、返済の可能性なり、赤字を将来にわたってどう処理していくかという見通しの問題なり、そういうことがからむわけでございます。そこで、一つの仕組みとして、そういうことが成り立つかどうか、目下、検討を続けております。とりあえずの措置として、そちらの方向でうまくいけば、特例法というような根本的なことでなしに解決し得るのではないかという期待を持っております。
  12. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 池田総理大臣は、口を開けば、農村、漁村の振興をはからなくちゃできない、中小企業振興をはからなくちゃできない、こういうふうに言っておられるのであります。しかるに、二年も続いた、こういうふうな災害のあった場合に、これに対する対策を講じないということだったらば、総理大臣が言われるのと実行とは違っておるというふうになってくるのであります。でありますから、私は、ぜひ特別の措置によって、行き詰まっておるところの農村を救済することができるように、特別の配慮を要望いたしまして、この点は、これでとどめておきます。  次は、三十九年産の予約米が、まだ受け付けていないから、予約概算払いの金を出すことができないというようなことであるのでありますが、これも近く受け付けられるのでありますから、米価が決定前であっても、受け付けたところの数量に対しては、前年同様の措置を講ずるようにすべきであると、こう考えておるのでありますが、この点いかがです。
  13. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 予約申し込み開始をできるだけ早くしまして、概算払いをするということについてのお話でございます。この点については、昨年は、たしか六月二十五日からであっと思いますが、長雨被害のありました一部地域では、それをもっと早めろというような声も出ておると承っておるのですが、何らかの準備をしまして、もし、被害実態上、それが必要であるということになれば、できるだけ早い機会にそういう態勢をとり得るように、現在から準備は進めてまいりたいと思っております。
  14. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 その他、いろいろの問題があるのでありますが、この前の委員会におきましても、あらゆる方面から要望しておるのでありますから、また、今回も、各方面から要望書が出ておるのでありますから、これらの要望をよく玩味されて、すみやかに要望の点を達成することができるように、政府要望いたしまして、私の質問を終わります。
  15. 北口龍徳

    北口龍徳君 関連。私は、特にこの長雨関係につきまして、政府のほうに御質問申し上げたいと思います。  ただいま藤野先生から、いろいろ御質問がありまして、なるべく重複を避けたいと思いますが、しかし、何といたしましても、この被害額の問題につきましては、これは最も重要でございまして、政府のほうで、先ほど百五十億というようなことでございましたが、佐賀の農林部長は二百二十億、私どもの最近の調査におきましては、二百三十一億八百万というようなことでございまして、これはむろん、調査時点において相違がありますが、六月一日現在におきましては、相当被害額も増大するものと思うわけでございます。したがって、これはもう当然のこととは存じますが、凍霜害におきましては、すでに天災融資法適用閣議において認められておる。いま申しますように、額の点におきましてもさらに大きいこの長雨関係におきましては、当然のことではありますけれども天災融資法適用は、これは問題ないことと存じますが、その点につきまして、政府の確答をお願いしたいと存じます。  それと、ただいま長崎のほうからもお話がありましたとおり、何らかの特例法をもっていかなければ——昨年のように、麦作の八割以上の被害に対しまして、ああいうような特例法を講じていただきまして、非常に被害農民は喜んだわけでございますが、本年は、先ほどからのお話のとおり、二年累積の災害でございまして、私ども実情を見ておりますと、まことに農家の窮状というものはしのばれるのでございます。私は熊本でございますけれども、ほとんど絶滅にひとしい九五%の被害を受けていることは、御承知のとおりでございます。本年度におきましては、平均五〇%の被害を受けておるわけでございまして、これに対しましては、どういたしましても、何とか特例法を講ぜられまして、これは要望等にも出ておりますように、昨年の分と本年の分を合わせまして二百分の百三十、開拓地におきましては二百分の百十でございますか、こういうことでひとつ恩典に浴して、政府の親心を示していただきたいと思うわけでございます。これが大きな問題でございますので、特に私からもひとつ政府のお気持ちをお尋ねしておきたいと存じます。  それからなお、予約米の問題につきましてもお話がありましたが、これは昨年は、六月の二十五日に開始されまして、田植え資金といたしまして非常に恩典にあずかって農民が喜んだわけでございます。ことしも、私ども、ぜひそういうような措置を願いたい。それとともに、盆前に共済の概算金の払いをお願いしたいというのが、農民の切実な声でございます。  それから天災融資の資金の交付につきましては、いろいろ手続上の問題で手間も要りましょうが、これが大体十二月前に支払いができるようにしていただく措置をお願いしたい、こういうふうに思うわけでございますが、これに対して、お考えの一端をお示しいただければ幸いと存じます。
  16. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) 九州四国その他地方の長雨等被害が実に甚大なものでありまして、私のほうで調査したのは、五月十五日現在で百五十億、それから先ほどわれわれが承った陳情などによりますと二百何十億、われわれのほうも、これは実態統計調査部でまとまれば、あるいは大きくなると思っております。それに関連しまして、昨年も長雨がありましてその特例法を設けたのでございますが、今回も特例法の制定を加えて、天災融資法の発動をしてくれというお話でありますが、天災融資法はむろん適用されることと思うのであります。その特例法に関しましては、もう少し、先ほど官房長説明されたように、被害額とか被害の態様について取りまとめ中でありますので、その確定を待って関係当局と折衝して、できるだけ要望に応ずるように努力いたしたいと、こういうふうに考えております。  それから、これも官房長から先ほど話したようでありますが、三十九年産米における予約概算金支払いに関する特別措置に関しましても、御要望に沿うように検討していきたいと、こういうふうに考えております。  それから、そのほか共済金保険金概算払い、これも凍霜害と同じように、所要の準備を進めておるようなわけでございます。
  17. 北口龍徳

    北口龍徳君 それから、本年度の麦の被害状況から推しまして、特に今後考えてもらわなきやならぬことは、これは昨年はほとんど全滅でございまして、しかも、ほとんど換金にならぬというような事情でございましたが、ことしは被害点におきまして多少——むろん、これは南九州あたりでは昨年よりもかえってひどいという地帯もあるそうでございますが、一般から推しますと、昨年よりも被害は幾ぶん軽い、こういうようなことから等外の麦と申しますか、これの数量が相当多く出るというような公算が大でございまして、この点につきましては、むろん、これは等外上麦につきましては、政府の買い入れがあることは無知しておるわけでございますが、等外下につきましても、これはひとつ何とか換金のできるような御措置あるいはごあっせん等ができないものか、その点につきましても、一言御所信を伺いたい。
  18. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) お話しの、いわゆる等外麦のうち、上麦に関しましては、本年も政府買い入れの対象とするわけでありますが、下麦については、その品質からいって、食糧としてはちょっと困難がありますので、何かあっせんについて考えたいと思います。
  19. 北口龍徳

    北口龍徳君 それから、なお本年度の特殊な現象といたしまして、気温上昇による長雨というような関係か、先ほどお話がありましたように、水稲の早期地帯における不時出穂といいますか、いまちょうど植えつけましてから五十日くらいしかたっておらぬと思いますが、熊本県におきましても、天草、八代等で現に発見されておるのが六町歩ありまして、シナノモチ二号とかシンエイとかいう品種、これに関連した品種の作付たんぼが一千六百町歩くらい、熊本にあるわけでございます。これらにつきましても、相当今後影響があると私は思っておりますが、これはまことに困ったことで、農林省といたされまして、これら不時出穂田に対する処置、こういうようなことにつきまして、何かお考えがありますか。その辺のことにつきまして、ひとついいお知恵がありますならばお伺いしたい。
  20. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 何といいますか、予定時期よりもずうっと早く穂が出るというようなことで収穂に至らないおそれがある面積が、われわれ視察しましたときの結論としても、おおむね一割程度の面積にそういうものがあるんじゃないかというような結果の報告を得ております。しかし、その後六月に入り、六月の上旬中くらいまでに、どういうふうにそれが取り運んでいくものかということにも関心を払いまして、目下調査をいたしております。ただ、不時出穂しましたために、そのまま減収になったという場合には、当然共済事項として補てんされることになります。それを一たん抜きまして、さらに苗しろをつくって植えかえるというようなことをいたしますと、そのあと植えた分について、九月ごろに台風が来て共済金をもらうというような意味での保険の対象にはなるんですけれども、植えかえる前の抜いたものについては、保険の対象にならないのでございます。そこで、植えかえるのがいいか悪いか、これははなはだむずかしいのですが、植えかえたあとの分は、台風にあうおそれも出てくるというようなこともございます。そこで慎重に配慮する必要もありますけれども、あまり指導が行き過ぎても、これはなかなか農民の利害に関して微妙な点もございますので、その辺の事情を説明しながら、自発的に植えかえるか、植えかえないかの選択は、農民にしてもらう。ただ、その間の技術的な指導等については、役所のほうで責任を持って十分いたすという体制をとっているわけでございます。
  21. 北口龍徳

    北口龍徳君 まあ、こういうことはいままであまり例もないことでございまして、官房長のおことばも無理からぬこととは存じますが、これは非常に直面している問題でありまして、一体、このまま放置して、県では、六月の五日ごろまで手入れをして追肥をしてみろというようなことを言っておられるそうでありますが、そういうふうにしたほうがいいものか、あるいは、この際、晩稲に切りかえて植栽したほうがいいか、この点につきまして、晩稲ならば、やはり今後いろいろな技術的な問題も出てくると思いますが、農林省のほうで、一刀両断、かようにせいというような強力な権威ある指示がなされますと、非常に百姓は迷わず好都合に運びやせぬかと思うわけでありますが、これは今日の場合、いたし方ないと言いますが、これは熊本県だけでなく、早場地帯におきまして、相当な面積にも達すると私は存ずるのでございまして、いまのそのまま存置しておくのがいいか、あるいは、昨日をあまり遷延すると、その期日もありませんので、さっそく大英断をふるって晩稲に切りかえるというような措置がいいか、これはいま言いますように、麦作におきましても、二年続きの非常な不作で、農民の経済的窮状というものは、これはもう耐えられないというようなことになっております。その上に、稲作におきまして、また大減収を来たすというならば、これはもう非常に気の毒なことであります。その辺のひとつ御指導につきまして、よろしくお願いしておきたいと思います。  それと、最後にひとつお願い申し上げたいと存じますのは、これも本年度の特殊な現象でございますが、クリがキクイムシの大被害にかかっているのであります。これは九州の大分、宮崎、熊本の三県におきまして、三千八百町歩のクリ園のうち、二千五百二十四町歩という非常に大がかりな被害をこうむっているのでございまして、その被害額は六億五千二百万、しかも、減収見込みの一億九千三百万を加算いたしますと、実に八億四千五百万という被害額が目の前に見えているというようなことでございます。むろん、この問題につきましては、熊本、大分、宮崎三県連合のクリのキクイムシ対策協議会から要望書も出ていると存じますので、大体当局におかれても、詳細御承知と存じますが、御承知のとおり、このクリの生産地は、中山間地帯、あるいは山間地帯の非常に山地帯の農家所得の低級なところでございまして、かような地帯におきましては非常にクリが有望というところで、最近は非常な熱意を持ってこのクリの栽培につとめておったとき、突然かような大被害をこうむりまして、これはクリ栽培の農家にとりまして、精神的にも、むろん経済的にも非常な打撃をこうむっておるわけでございますが、これに対しまして、先ほど要望がございましたようですが、緊急防除に関する費用であるとか、クリの植えかえ、寄木の購入資金の助成措置であるとか、あるいは既成借入金の返還の延納とか利子の減免ということにつきましては、むろん初めての問題でございまして、なるべくそういう地帯の農家が気を落とさないように、あたたかい気持ちを持ってこの御援助を願いたいと存ずるわけでございますが、これに対しまして、政府の御意向をお伺いしておきたい。
  22. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) クリの栽培農家に非常な被害が起きたようでありますが、目下、農林省からも専門技術者を現地に派遣しまして調査中でありますので、クリの緊急防除費の国庫助成等につきましては、その調査の結果を待って対策を検討したい。  それからまた同時に、このクリの病害虫を植物防疫法の二十二条に規定する「指定有害動植物」として発生予察をやることに関しましても検討を加えていきたい、そういうふうに思っております。  それから、クリのいわゆる植えかえ、苗木の買い入れ資金等に関しましては、果樹園経営計画の樹立または変更の手続によって、果樹園経営改善資金の融資を行なうことについて検討しておる次第であります。また、そういう計画の樹立または変更が困難であるというような場合におきましては、制度資金の、災害復旧資金の融資を行なうことについても、目下検討を加えておる次第であります。  それから、現在、クリの栽培農家の現存ある借金の返済延期に関しましても、この法律上認められる限度までは延期について検討を加えたい、そういうふうに考えております。
  23. 矢山有作

    ○矢山有作君 じゃ、政務次官にお伺いしたいのですが、先ほど来、いろいろと今度の災害対策に対する質問が行なわれてまいりましたが、私は一番問題なのは、現在の災害対策立法のワクを前提にして、去年からことしに続いておるこの大きな災害に対処していこうということ自体に、非常に困難な点があるのではないか、こういうことを痛感するわけです。大体災害立法の内容を検討してみますと、施設災害に対する処置というのは比較的よくなされておる、まだ不十分な点はありますけれども。しかしながら、問題は農家の所得、つまり、農作物に対して災害を受けた場合のその災害対策というのが、現在の農業災害補償法ぐらいしかない、これはきわめて不十分だということはもうよく御承知だと思いますが、しかも、その共済の対象になってくる農作物というものも非常に限定をされておる。しかも、その共済の制度自体が不十分であるから、たとえば麦のごときものについては、加入の状況を調べてみると大体半分程度、こういうような状態。したがって、現行制度のワクの中で災害に対する対策を考えようとすれば、幾ら特別立法をやってみたところで、おのずから限界がある。これは十分なことはできないと思うのです。それが証拠に、本日、私のほうから要求をして、農家の負債実態を調べてもらいたいということで資料をいただきました。私は、少なくとも農林省が農業政策を立てられる上において、農家の負債実態をわれわれが知りたいというのですから、もう少し詳しい資料が出ると思っておった。ところが、たった紙一枚に出てまいりました。したがって、詳細な点はわかりません。しかしながら、この洋半紙刷り一枚を見ても、私は問題があると思う。三十五年、三十六年、三十七年の農家一戸当たりの借り入れ残高が出ております。これを見るというと、毎年農家の負債残高というものはふえていっている。そういう状態の中で災害があった、また従前どおりに、天災融資法その他の融資を中心にしてこれを救済していこうといっても、農家の負債の累増にはなっても、実際に農家の生活に対する救済、さらにまた、農家が再生産意欲をより強く持っていくという積極的な対策としては、きわめてもの足らぬものがあるんじゃないか。だから私は、もうこれだけ年じゅう災害が続くのであれば、この災害に対する基本的な立法を考えなければならぬということを、昨年来のあの大災害のときから主張し続けている。一体、このことについて、政府としても、あるいは、政務次官ですから与党としても、ひとつお答え願いたいのですが、真剣にお取り上げになってお考えになったととがあるのかどうか、これがまず第一点です。
  24. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) 御指摘の点、私はもっともな点が多いと思っていますが、われわれも、たとえばノリの被害の場合におきましても、あるいはまた、今度の凍霜害等におきましても、いわゆる天災融資法の発動はできるにしても、いわゆる激甚災害との関連について始終問題があるのであります。私はやはりいろいろあると思いますけれども、その限度額の引き上げに関しては、もう少し検討を加えたい。まあこれは、大蔵省方面その他との関係があるのでありますが、われわれのほうだけではありませんけれども関係当局とは検討を加えたい、こういうふうに考えております。  なお、根本対策といたしましては、まあ、いま矢山委員のおっしゃるように、農業災害も十分ではないというけれども、さらに、その種類におきましても、たとえば、なたねとか、あるいは果樹とか、蔬菜とか、そのほか、いろいろこの前問題になりました炭がまとか、そういう種類のものについても、あるものについては検討を加えておりますけれども、さらに、この共済制度についても、鋭意研究を加えて万全を期するようにいたしたい、こういうように考えております。
  25. 矢山有作

    ○矢山有作君 私の言ったのは、これだけ災害が年がら年じゅう続きますというと、ともすれば災害なれがしてしまって、真剣にその災害対策というものを考えぬのじゃないかという、そういう風が見られる。したがって、これだけ災害が続いていくのであれば、特に私は所得災害に対する補償の問題を言っているんですが、これについても、制度の拡充というものを真剣に取り上げなければだめだ、そのことを言っているわけです。なぜかと申しますと、幾ら融資をしても、あるいは救農土木事業をやっても、現在の農村実態というものは、これは歩かれたらよくわかると思う。いわゆる災害復旧事業をやっております。あるいは県によっては、救農土木事業をやっているところもある。ところが、一体そこでだれが働いているのかということです。ほとんどの働いておる人は女の人なんですね。たまに男がおったと思うというと、もう六十から六十過ぎたようなお年寄りの人、たまに若いのが一人か二人おるから、あらこれは妙だなと思って聞いてみるというと、その工事に従事しているブルドーザーの運輸手だ、あるいはその請負業者の使用人だったということなんです。それほど農村というのは、災害復旧事業をやりましても、救農土木事業をやりましても、あるいは融資という手段で農村に対する手を打たれておりましても、もうそんなことでやっておるようないまゆとりがない。だからそういうような仕事は女房にまかす、年寄りにまかして、自分は手っとり早いところ都会に出ていって建設事業その他に従事して他に金の入る道を考えよう、こういうことになっていっていると思うわけです。このことが、御承知のように、たとえば三十八年には裏作の作付面積が非常に減った。ことしはおそらく麦の作付面積が百万町歩を割るだろうと言われておる。そういう状態になって、不作地が多くなってくる、あるいは荒らしづくりが多くなってくる、こういう状態になっていっているわけです。したがって、この辺で災害に対する抜本的な方策というものを考えなければ、私はいままでの制度のワクの中で論議しておっても農家はどうにもならぬ時点にきておるということを申し上げたい。それが証拠には、負債がたまっていくだけなんです。天災融資法でなるほど融資をやる。三分五厘の安い分もあります。しかしながら、農民が所得に対する災害を受けて、収入がないのに利子をつけた金を貸してやろうという、利子をつけてまた元金を払えと、それでは農民が救われるわけがない。したがって、私どもは、天災融資法をもって足れりとするのではなしに、激甚災法をもって足れりとするのでなしに、抜本的な災害立法というものを強く要求し続けているわけなんです。そういう点から、私は、政府としてももちろんですが、現在の与党の立場として、政務次官に根本的な災害対策——農民の所得を補償するという立場に立っての災害対策というものを考えていただかぬというと、日本の農業はだめになる、このことを強く私は申し上げておきたいと思うのです。それで、大臣がおられたら一番いいのですが、まあ大臣がおられぬのですから、政務次官もやはり農業のことはよく御存じなんで、あるいは私以上に御存じなんですから、その辺であなたが今後党内においてどういうふうにされようとされるのか、政府に対してどういうふうに働きかけようとされるのか、私が言ったような線で真剣に災害対策というものを考えていただけるのか、ひとつ御決意のほどを承っておきたい。ただ国会における答弁のしっぱなしで、あとはまた文句が出たときに適当な答弁をしておけばいいというのでは、農民も困りますし、われわれ言っている者も何も好きこのんでしゃべっておるわけじゃないのですから、ひとつ十分の決意をもって災害対策制度の確立には臨んでいただきたいと思います。
  26. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) 御指摘の点は、この災害基本法の制定以来の問題点でありまして、この前災害基本法に基づく計画もできましたし、それに関連しまして、いま御指摘の点についてすみやかに検討を加えていくということにいたしておるわけであります。しかし、これはいまのお話を承っておりますと、単に農民の所得を増していくというような問題は、なるほどこれは連年災害で借金ばかりふえる、そういう問題もありますけれども、もっと根本的に、農業基本法あるいはその他のもろもろの基本法に基づいてもっと抜本的な積極的な対策を同時に立てていく必要があるというふうに考えております。今後大いにやっていくつもりであります。
  27. 矢山有作

    ○矢山有作君 私が申し上げたのよりまだ積極的なお話なんで、これはそのお話に大いに期待する以外にない。私は災害の面から話しておったら、あなたは災害よりももっともっと日本の農業を根本的に考えていかなければならぬのだとおっしゃるのですから、それがから手形にならぬように、ひとつ、現在までの農業基本法のもとにおける農政の欠陥というものも十分出て、すでに国民所得倍増計画の中間検討等でも十分指摘されている面もあるわけですから、そういう点を反省しながら、その中で災害対策に対する立法も拡充していく、こういうことでひとつ進んでいただきたいと思います。  次に移らしていただきますが、私のほうからは実は、最近非常に干害の問題が新聞紙上にやかましく報道されておりますので、その状況について御説明を願って、御質問をしたい、こういうふうに考えておったわけですが、たまたまそちらからの御説明がございません。まあ説明をまじえながらやっていただければいいと思うのですが、御承知のように、ここ数年来米の需給が逼迫してきたということはもう御存じのとおりなんです。特に去年ごろからその逼迫の度合いが強まってきた。そうなってくると、ことしの端境期を乗り切るのには、何としてもことしの米の作柄がどうかということが非常に大きなウエイトを持ってくるわけです。ところが、残念ながら気象条件というものは必ずしも米作に向いたような気象条件になっておらない。各地で干害が発生している。また、それについて病虫害の多発も予想されているという状態です。このままでいったならば、そうでなくても需給逼迫でわれわれのような生産県においてすらやみ米がどんどん値上がりしているのですから、これは私はたいへんなことになると思うのです。一体現在の干害の実態はどうなのか、さらにそれに対しての手はどういうふうに打たれているのか、そういう点をひとつ伺っておきたいと思います。
  28. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) 五月における東北・北陸を主とした約十八県にわたりました干ばつがあったわけでありまして、用水不足のために植えつけ不能または遅延の状態を呈したので、こちらとしては応急対策として、自動揚水ポンプの動員、上流ダムの放流等を実施し、被害の防止につとめていますが、五月の二十四日以降雨が降りまして、降雨と相まって最高十二万六千町歩に及んだ被害面積は五月三十日現在で五万一千町歩に減少しまして、応急措置の継続、気象庁予想の好転によりまして、見通しは漸次明るくなってきているのであります。また、利根川下流部にいろいろ冠水により発生のおそれのある塩害——塩の害は、上流の五十里ダムの放流及び二十八日の降雨による利根川の流量増加によって解消しているわけであります。なお、干ばつ対策として動員中の農林省の持っておった揚水機の台数は、現在百十台となっておるわけであります。
  29. 矢山有作

    ○矢山有作君 多少好転しているようですが、私が一番心配しますのは、気象庁の長期気象の見通しなんかによりますと、ことしは太陽活動の極小年に当たっているということで、気象の予報が非常に暗いのですね。そうすると、ここで無理をしてポンプで水を揚げる、あるいは一時的なダム放流をやる——田植えはやったが、しかしあと水の補給が続かないという心配があるわけです。そういう点を考えて、これは絶対に水不足ということになれば、それはいかんともしがたいでしょう。しかしながら、可能な限り、水の配分の問題だとか、あるいはあらゆる手を打って水を確保していくという対策をとると同時に、水だけでなしに、気象条件の悪化によってさっきも言ったように病虫害の問題もありますので、この病虫害予防についても十分な手を打ち、さらにそれに対する指導というものも考えていかぬというと、これはたいへんなことになると思います。ことに問題は、気象条件が悪いということになれば、それだけ注意して稲作もやらなければならぬということになるはずですね。技術もさらにより高度の技術が必要とされるでしょう。ところが、現在の農村実態というのは、そういう必要とは逆の方向に向いているということは、先ほど申し上げたとおりなんです。労働力が非常に流出しております。総理府の労働力調査によると、三十八年は六十三万人農林漁業就業者が減っておるといわれるのですね。ところが、そのほとんど大部分は優秀な労働力なんです。そういう傾向はここ数年続いているわけです。現在優秀な労働力がないということが、いま農村の悩みなんです。そうすると、気象条件が悪くて、農作業というものにより高度な知識と技術が必要とされるのにもかかわらず、そういうふうな優秀な労働力がない。そこに濃密な指導をやる、そして何とかして収穫を確保しなきゃならぬというのは、これは並みたいていの問題じゃありません。いままでのような行き当たりばったりのやり方でやっておると、これは大きな失敗が生ずるのじゃないかと思う。そこに、農作業の指導の問題にまで、その農作業のあり方の問題にまでよほど心して対策を立てられぬというと、私はことしの米の作柄というのは案外考えている以上に悪い状態になるのじゃないかと思います。そこで、そういう問題についていま具体的にいろいろともうお考えだろうと思うのです。お考えならば、これは政務次官のほうでわからなかったら、官房長のほうからひとつお答えをいただきたい。
  30. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 御指摘の点、何といいますか、農業をめぐる諸条件の大きな変化の中で、お話のような面が確かに農業をめぐって存在し、それがきわ立ってきつつあると思うのです。そういう点にも配慮をしまして、特に病虫害の発生予察等については、もうすでにことしの長期的な予察については通達を流したはずですが、念入りにそれを周知徹底せしめていく必要があるということを痛感いたしております。  さらに、ことしの気象条件の変化によって水不足というようなことが起こりかねないことも心配されます。そういう点については、下流の水の必要職を確保するということに重点を置きまして、上流のダムの放流の問題等について、関係各省とも連絡を密接にとりながら、それぞれ応急的な対策のとり得るように、いわばそういう配備をしながら臨んでいくということで対処したいと考えておる次第でございます。
  31. 矢山有作

    ○矢山有作君 それから、最近の新聞報道によりますと、三十九年産米の予備予約の状況が非常に悪いというふうな報道を私は見たのですがね。事実そういう状況なんですか。その原因としてあげられておるのは、やはりその異常天候でことしの稲作予想が立てにくいという理由が一つあげられている。それからもう一つは、米不足ムードでやみ米が非常に値上がりをしておる。こういうような状況から、ことしの米の予約、つまり六月から正式の予約は始まるわけですが、その事前の段階で予約を受け付けておる、それが例年よりも非常に減っておる、こういうことが問題になっておるようですが、この点はどうですか。食糧庁見えておるようですね。
  32. 田中勉

    説明員田中勉君) お答えいたします。  予約の正式の受け付けというのは、大体例年ならば米価決定前後にやっておるわけでございますが、それ以前におきまして、集荷団体におきまして、大体まあ三月から四月、大体その種もみをまくころから、ほぼ団体自身におきまして予備予約の取りまとめを実はやることになっております。ことしの状況につきまして、新聞等で——先ほどお話がございましたけれども、私ども現地の食糧事務所のいろいろ状況を取りまとめてまいりますると、大体ことしにおきましては、まず全国の集荷団体におきましては、予約制度実施の十周年にも当たるわけでございまして、相当全販連あるいは中央の集荷団体等におきましては、大きな予約目標を立てて、これをそれぞれ下部の団体のほうにすでに指示をしているようでございます。そこで、実際の下部の取りまとめ状況につきましては、先ほどお話がございました報道もあるわけでございますけれども、私ども現地の食糧事務所のいろいろな調査を取りまとめてみますと、現在までのところ、昨年等に比して特にこの予備予約の取りまとめがおくれておるというような事態はないようでございます。これは私どもも今後十分注意を払ってまいりたいと思っております。
  33. 矢山有作

    ○矢山有作君 この米の需給の問題は、きょうの委員会では見当違いでありますから、これ以上入りませんが、もうあなた専門家で、実際に扱っておられて、米の需給状態というのは、最近の状態はよく御存じだと思います。そこへ持ってきて、ことしの作柄が調子が悪いということになってくると、これは端境期を乗り切ることはたいへんなことになります。したがって、この点は十分ひとつ腹に入れられて、端境期において米が不足してどうとかというような問題にならぬように、これは十分ひとつやっていただきたいと思います。  で、最後に一つ私のほうから申し上げて、御意見を承っておきたいと思いますのは、先ほど触れました農家の現在の負債実態の問題なんですが、私は、このように、三十五年、三十六年、三十七年と、農家の負債が増額していっておる、こういうような状態の中で、しかも災害が多発していくということになりますと、今後いろいろな農業政策をやるにしてみたところで、その展開される政策というのはほとんどすべて農民が負担を持たないでできるものは一つもない。そうすれば、今後のやり方として、農民負担をかけないで、たとえば土地改良事業なら土地改良事業をやりましょうとか、あるいは構造改善事業をやっていきましょうとかいうのなら話は別ですけれども、そうでないのなら、もちろん、現在の農民に対する補助率を引き上げるとか、あるいは融資の利子を低くしていくとか、償還期限を長期にするとか、いろいろな問題もありますけれども、それよりももっと根本的に考えなきゃならぬのは、現在農民が持っておるこの負債を一時たな上げしちまう、そしてさらに利子もこれはたな上げした期間は国庫で負担する、こういう思い切った処置はとれないか。もしそこまでの処置がとれるとするなら、農民もこれはいささか安心ができるし、また、国がそこまで現在の農業の実態というものを知って、手厚い農業政策を展開してくれるのなら、これは農業をやってもだいじょうぶだということで、農業に精進する向きも出てくると思う。そこで、そういう今後お考えのもとにやられるお気持があるかどうか、それをひとつお伺いしておきたいと思うのです。
  34. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) その借金がずっとふえて、なかなかその救済の、何とかたな上げか何かしなければ容易じゃないというような面は、あなた御承知のとおり、開拓がそうであって、開拓ではそういう手段をとったのでありますが、これを一般の農家にまでそういうふうに考えるということは、まあこれは、そういう困っておる人もおりましょうし、また全部そういうわけでもないし、私はこれはやはりあらゆる面で、農業全体の面で解決していく必要があろう。この前も、御承知のとおり、お願いして、それは農業の資金面においても三分五厘のを四割以上も多くしましたし、その他においてもだいぶ農民の負担を軽くしている。それから、土地改良面においても、補助率をあるものについては上げておる。それから、そのほかの面においてもいろいろな農民のためのことをしておるのですから、それから価格面においてもいろいろな措置を講じておるし、技術面においても講じておる。全体として考えて、農民の負担を軽減し、そして農業所有を上げていくという積極面も加えて、あらゆる面からやっていきたい、いかなければいかぬのじゃないかというふうに考えております。
  35. 矢山有作

    ○矢山有作君 これで終わりますが、先ほど藤野先生自身が御指摘になったように、池田さんは、高度経済成長を遂げたのは一つには農業のおかげだと、今度はこの高度に成長した経済の力をもって農政に革命的な施策を展開するのだとおっしゃった。これはそのとおりなんです。もしそうだとするならば、私は、負債を持たない農家にまで負債をたな上げをする必要もなければ利子補給をしてやる必要もないのですから、負債を持って因っておる農家に対してはこのたな上げなりあるいはたな上げとあわせて利子の補給を国庫で見てやるというぐらいな思い切った政策が展開されないと、現在の状況から見ておる場合には、いま政府が中心の柱として進められておる農業構造改善事業の進度等を見ても、これはなかなか容易じゃないと思うのです。大体農業構造改善事業を進めていく中で、はたして将来の価格の安定ができるのか、販路について心配がないのか、こういうことは構造改善事業を進めておられる農林省自体が私はつかんでおらぬと思うのです。ましていわんや、負債をかかえ込んでおる農民が、そういう不安定な農林省指導に従って事業をやればさらに負債がふえることがわかっておるのに、その事業を積極的に進めていこうという姿勢は、私はなかなか出てこないと思う。それが証拠に、構造改善事業がなかなかはかばかしく進まない。かなり無理をして説得をして、何とかやってくださいと言って、市町村長から県庁の役人が頭を下げてかけずり回って歩いてやっとこすっとこ構造改善事業ができておる、そういう実態です。だから、そういう点は、頭からどうもいま農家の負債のたな上げや利子を国庫で持つことがむずかしいとおっしゃって言い切ってしまうのじゃなしに、少なくとも池田総理の言った公約というものを、政府が尊重し、ましていわんや与党が尊重しようとするのなら、私の言ってることぐらいは耳を傾けて、前向きで検討する熱意はあってもいいと思う。その前向きで検討する熱意すらないということになっては、池田総理の言った革命的農政というのは選挙のときに選挙民をつる一つの公約であったにしかすぎないということになるのですから、その辺はあなた方のほうでも真剣な御検討を願いたいと思います。
  36. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) お話の点は、われわれも同じ考えでありまして、農政全体として、個々の一つをどうしてということでなしに、全体として前向きに考えていきたいと思います。
  37. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 時間の制約がありますので、一問だけいたしておきたいと思います。  四月末から五月にかけての東北中心の凍霜害について、私去る十五日の本会議で緊急質問もしておるのでありますけれども政府もだんだんいろいろ手を打ってくださってはおりまするが、一つの問題は、例の果樹に対する農薬、桑に対する肥料の助成の問題でありますが、これは市町村あるいは県においても、臨時県会を開いたりして、ある程度助成措置を講じたり、いろいろやっておるわけです。農林省においても、今度はこの果樹には農薬を中心に、桑には肥料を中心に、助成措置を考えるという前向きの話をずっとされておったのでありまするが、何か最近衆議院においての災害対策委員会での農林当局その他の答弁によると、何だかこれを特別交付税のほうでまかなうのだと、乗りかえるような話をされておるという話を聞くのでありますが、昨年の九州長雨対策についても、たしか農薬か肥料の助成が出たように聞いております。今度は県によっては未曾有の凍霜害とまで言われておるのでありますから、これはひとつ前向きで検討をぜひしていただきたい。こういうふうに方針を決定したというようなことなら、私はそういう答弁では聞きたくないのでありますが、どういうことですか。
  38. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 果樹、桑等の凍霜害防止についての前向き対策といいますか、被害についての応急対策といいますか——について考えておるわけですが、稚蚕共同桑園等の共同施設を中心にしまして、散水施設とか重油燃焼器を取りつけるということが緊要であろうということで、予備費の要求をいたしております。補助の率あるいは補助の面積等についてなお話し合いを進めるべき点が残っておりますけれども、本筋としてはそういう方向で将来の対策も講じたいということでおります。また、果樹についても同様の考え方でやっておるのでありますが、稚蚕共同桑園の場合のように、きわ立った共同施設というようなものをどう組織し、補助の対象として取り組んでいくかということについて若干検討を要する点も残っております。いずれにしても、桑についても、果樹にしても、できれば助成措置を講じてまいりたい。  なお、農薬と肥料との点につきましては、地方公共団体等ですでに相当支出をした形跡もございます。農民の側としては、国から補助金がくる場合、あるいは特交で穴埋めされた地方公共団体から援助を受ける場合、これはいずれも同じだと思いますが、補助金として非常に実は取り扱いにくい措置であるということはすでに御承知のとおりなんであります。零細だからやらないというような趣旨じゃなしに、肥料とか農薬の補助金というのは行政ベースになかなか乗りにくいという意味で、われわれも、もし大方の御了承を得るならば、特別交付税のほうでめんどうを見るという形のほうが端的、かつ、何といいますか、混乱を将来来たさないという意味でベターではないかというふうに考えまして、目下検討いたしております。
  39. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 いまお答えがあったのですが、三十四年は農薬や肥料に補助を出しておったということを聞いておりますが、それはこれからやはりやり方についていろいろ検討をすればいいのであって、会計検査院から指摘されたとかいう話を聞いておりますが、それはやり方について検討したらいいのであって、いま地方で一番問題として要望されているのはこの面なんですが、それから昨年は何かこういう措置をしたというふうに私は聞いておるのですが、こういうことはあったのですか、なかったのですか。昨年やったなら、ことしはどうしてやらないかということです。
  40. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 昨年のお尋ねでございますが、長雨等についてはそういう措置はとっておりません。前向きといいますか、将来に対してスピード・スプレヤーをやったというようなことでございます。それと同様の趣旨のことは、まだ台数は確定いたしておりませんが、十八台程度関係府県にスピード・スプレヤーを入れるということで予備費の折衝をいたしております。
  41. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 これで終わりますが、官房長を責めるわけではないですが、三十四年にやめたけれども、今度は実情を見てこれはぜひひとつやりたい、やるのだということをしばしばいろいろな会合で言っておられるので、私ども非常に感激して、被害農民に、今度非常に農林省も前向きだ、三十四年にやめているけれども、今度から始めるのだということまでわれわれは言うておるわけですが、これは官房長は考え方を変えられたのか、どこかの省からいろいろ話してもらってそういうふうになされたのか。これはやはりもう少しやり方その他については検討をして、さらに大蔵省なりとも折衝するというような形でお答えを僕は願いたいのです。
  42. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) いまお話の中に出ましたような、そのとおりのことを私申し上げたつもりはないのですけれども、何と申しますか、技術的に道が開かれるならば開いてみたいという趣旨で検討をしたわけです。その結果、いろいろな議論を見るのですけれども、やはり物に即した、肥料が幾ら、農薬が幾らというようなことを言いますと、あるいは一戸当たりとか反当ということになるわけです。そういうふうな形の補助金というものの本質から、やはり何といいますか、災害対策としてそういうものは有効ではあるけれども、補助の手段として、はたして行政ベースとして適当であるかどうかという点には大いに疑問が残っております。そういう行政上の混乱を乗り越えてやり得るシステムというものがあればいいのですけれども、それは補助の線ではなかなか出てこない。たまたま特別交付税の線でいけば、反当幾らあるいは一戸当たり幾らというようなことでなしに、太い線での算定方式も許容されますし、それでいった援助というものについて会計検査上とやかくということもないわけでございます。そういう意味で、かえってそのほうが円滑にいくのではないかと一応現在のところ考えておるわけです。
  43. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 これ以上は蒸し返しですから、これでやめます。
  44. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 農林省に関連して一つだけ質問をいたしたいと思います。  今日までたびたび災害が起きて、本委員会でそのつど問題になりますものは、かなり果樹災害の率が高まってきている。その実態は、いま申されたように、そのつど関係委員から指摘をされたとおりであります。  そこで、その後農林省としては、私どもの仄聞するところによれば、果樹共済を試験的にいま実行している、こう聞いているのですけれども、今日的な段階でどの程度までこの事務が作業として進んでいるかという問題が一つです。  それから、その結果、いつごろから具体的にこの果樹共済というものを実行していくものであろうかどうか。この二つにとりあえずしぼって質問をいたしたいというふうに思います。
  45. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) この果樹共済の制度化については、これは多年の問題でありまして、いま御指摘のとおり、ごもっともだと考えています。農林省といたしましては、したがいまして、昭和三十五年以降、その基礎的資料の整備等調査研究を進めてきているわけであります。また、昭和三十八年度からは、三カ年計画をもちまして実施可能性の検討のために調査を行なっておるわけであります。今後専門家に調査結果について意見を徴して、その結果によって、もし可能であればこの果樹共済を実行していきたい、こういうふうに考えておる次第です。
  46. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 現在三十五年度以降並びに三十八年度以降実施可能な地域のみ調査をしている、その結果を待ってその可能性があるものについて実施すると、こういうことですから、きわめて政務次官答弁は、聞いていると、非常に体系づけられてうまい答弁を言っておるけれども、抽象的で、具体的なものは何もないわけです。こういうことになりますね。で、私どもは、先ほども申し上げたように、この問題が毎度の災害のたびにかなり問題になる。そのつど指摘をしてきて、いま政務次官答弁したような答弁をこれまたそのつど農林省から答弁をしてきたことについては、間違いないと思う。今日的な段階になってなおかつそういう抽象的な僕は答弁では、この災害をこうむっておる人々はこれは納得いかぬと思う。われわれ当面扱っておる委員としても理解できないわけですから、こういう点で私は非常に遺憾だと思う。少なくとも農林省は、それだけ調査をしておるとするならば、いままで国会で審議してきたその段階等々も考慮されて、一応のめどを、いつくらいから実施をしたいのだとか何とかくらいの答弁がなければ、全く私は血の通った政治でもなければ行政でもない、こう言わざるを得ない。この点政務次官どう思いますか。
  47. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) 果樹共済については、いま申し上げたように検討を加えてきておるわけでありますが、できるだけ早く実施するように、まあ四十一年度くらいをめどにしてやっていきたい、こういうふうに考えております。
  48. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 まあ政務次官は、できるだけすみやかに、一応のめどは四十一年度くらい、こういうことですから、これ以上政務次官答弁しろと言ってもできないというふうに思いますので、あえて申し上げませんけれども、釈迦に説法のようですけれども、少なくともこの共済制度というものは、ある意味においては救済の措置にもなるであろうし、ある意味においては予防の措置的なものに私はなろうと思う。それだけに、非常にこの果樹災害にあっておる人々にとりましては重要な問題、重大である、こういうふうに考えますので、できるだけいま政務次官答弁されたような方向で、四十一年度はめどであるけれども、それ以上に早くたって何も問題があるわけじゃないですから、そのような方向で、施策として今後強いものを進めるというこの方向づけを具体的に農林省で検討していただくことを要望いたしまして、関連質問ですから、終わりたいと思います。     —————————————
  49. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 次に、北海道利尻朱鞠内等大火について御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  50. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いま委員長から、北海道利尻、それからこれは朱鞠内と書いてありますが、幌加内というのが正しいわけですから、これは消防庁の資料ではそうなっておりますけれども朱鞠内というところはございませんから、訂正しておいていただきたいというふうに思います。この二つだけの災害についてつまり質疑のある方はと、こういうことでございますけれども北海道火災はこの二カ町と、それから登別町でございますか、この面だけより消防庁のこの資料には載っておりません。ですけれども、実際は北海道では、町村におきまして、大火という、かなりの火災規模になったものが、これ以外に、滝川市、それから芽室町、いまここに記載されております利尻町、幌加内町、この四町がこういう火災あるいは災害で代表的になるべきものではないけれども、異常乾燥、気象現象として通報を受けておった時期に起きた代表的なこれは火災だと誓っても私はいいんじゃないかと思うのです。で、芽室と滝川については具体的な資料はございませんけれども、資料のあるなしにかかわらず、私ども調査した事柄では、芽室の場合には、三月の二十二日に火災が発生をして、八十七世帯焼失をいたしておるはずでございます。被害総額が二億九千万、滝川のごときも、五月一日でございますけれども焼失をした世帯数が六十七、七百万損害、こういうことになっております。以下利尻と幌加内町については、この資料にありますから、あえて申し上げませんが、このようにして相次いで大火なんというありがたくない災害が発生したわけでございますが、この資料を見てまいりますと、いずれも何かその原因はまだ調査中と書いてありますが、ただ調査中だけでも私ども理解できませんから、調査中であるならあるように、かなりの口数が経過しておりますから、どの程度まで調査して、不明なら不明でけっこうですけれども、どういうふうになっているかということをもう少し明らかにしてもらわないと、私はこれから審議していく場合にも参考にしたいというように思いますので、こういう点欠けておりはせぬか、こう思います。消防庁どう思いますか。
  51. 川合武

    政府委員川合武君) 御指摘のとおり、利尻町、幌加内町の調査中ということでございまして、私どもの正式の報告では、まだ目下調査中ということになっております。蛇足でございますが、消防の見地からの——警察でも同じと思いますが、原因につきましては、なるべく早くやるということがベターであることは当然でございますけれども、実は相当日数を要するのが通例でございまして、おくれておる次第であります。お答え不適当かと思いますが、ありのまま申し上げまして以上でございます。
  52. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 この委員会ではまだ報告をするようなことになっておりませんから、ここでまたその報告をさらに求めるということはいたしません、私は時間の関係で。  そこで、自治省の政務次官に自治省の関係でお伺いしますが、今日四町の財政事情というのはどうなっておるのか。おそらく自治省では、調査機関がございますから、調査をして持っておられると思いますので、概略でけっこうですから、この席上で明らかにしていただきたいと思います。
  53. 金子岩三

    政府委員(金子岩三君) まことに申しわけないのですが、いま言われました個別の町村の財政を詳細に御答弁できるような資料を持ってまいっていないそうでございますので、ひとつ取り寄せて御説明申し上げるか、この次の機会にしていただくか、どちらかにしていただきたい、御了承願いたいと思います。
  54. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いま資料がないのでこの次にいろいろと資料を提示をして説明をしたい、こういう政務次官のお答えで、私はまことに遺憾にたえないと思う。この委員会を大体十日くらい以前から、開催をして、しかも私が質問する通告をいたしている。北海道火災について質問する、しかも冒頭に問題になりましたように、関係大臣の私は出席を求めて、十日間もたって、いまのような、あなたのようなそういうお答えをいただくということになると、まことに私は遺憾だと、こう言わざるを得ない、率直に言って。そこで、そのことを言ってみても、いまここでないものを出せと言ってもしようがありませんけれども、すみやかに私どもにいま申し上げた四町の町財政等々の調査をした資料を私は要求をいたしたいというように思う。
  55. 金子岩三

    政府委員(金子岩三君) それはきょうじゅうでしょうか。
  56. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 きょうじゅうということじゃないです。きょうじゅうといっても時間がないから出せっこない。そういうやぼなことはぼくは言いません。
  57. 金子岩三

    政府委員(金子岩三君) できるだけひとつ早く御要望のとおりの資料をそろえるようにいたして提出いたすようにいたします。
  58. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 私は、委員長を通して意見を申し上げておきますが、自今かようなことのないように、委員長のほうとしても、ただ単に委員会を開催してだれが質問するというだけじゃなくして、少なからず、質問するということになりますと、これは当然、その後における、われわれがこれから質問しようとする交付税の関係であるとか、あるいは特別交付税の関係であるとか、補助金の関係等々出てきますから、その町の財政規模を明らかにせずして簡単にここで議論するということはなかなかできないことですから、そういう意味で、いま申し上げたように、これからもこれはあまり災害があってけっこうなことじゃないですから、ないほうがいいんです。かりにあったとするならば、きょうのようなこういう結果にならぬように、私は委員長を通して強く要望をしておきたいというふうに思う。こういう事柄から見ても、いかに政府災害に対して不熱意であるかということが言えると私は思う。これは何かしら、災害というのが起きたからしようがないことだ、災害が起きて委員会が始まったら、その結果だけ報告をすればいいのだ、こういうやはり私は物の考え方がそこにひそんでいるのじゃないかと、言いたくないが、言わざるを得ません。これはぜひひとつ委員長、そういうことは、今後あなたは災害対策委員長として、強い方針で、会議が開かれる場合に、その内容をそれぞれやはり精査をして、いま申し上げたことのないようにひとつ私はしていただきたいというふうに思う。  あえて私はいまここに資料がないものに求めようとしませんけれども政府のように調査機関のない一委員たる私どもでも、この関係について熱意を持って努力をして調査をしようと思えば、かなりのものが調査できるわけなんです。一例を私は申し上げますけれども利尻町の場合は——よく政務次官聞いておいてくださいよ、これはつまりあなた方が指定しておりますところの赤字財政整備団体に指定されております。ですから、必然的に町の財政規模はもとより、きわめて地方財政というものが逼迫をしておるということだけは認識として受けとめることができるのじゃないかと、こう思うのです。具体的な私は実例を申し上げますけれども、三十九年度の当初予算でございますが、わずかに——ラウンド・ナンバーで、切り捨てますけれども、一億程度、町の予算総額が。その予算総額一億の中で、一体歳入として見込まれるものはどんなものかというと、町村税一四%というだけです。交付税が五九・八%、国庫支出金が四・一%、地方債が四・一%、手数料等は三・九%、基本財政収入が〇・五%、雑収入が九・五%、こういう歳入の内容になっているわけです。この数字的な面から見ても、冒頭に申し上げたように、いかに地方財政が、つまり自主財源じゃなくして、国あるいは都道府県の依存財源になっているかということがおわかりになろうと思う。そこで私はこの際ひとつ伺っておきますけれども、こうした事情のつまり町村が、災害が発生した場合に、それで先ほど来から問題になりましたように、災害救助法が適用され、それに基づきましてつまり激甚地の財政援助に関する法律適用されると、天災融資法等々が適用されていると思うけれども、自治省がつまりいま申し上げたような内容の事柄をどう今日まで具体的にこの四カ町に対して措置をしたか、この席上で私は明らかにしてもらいたいというふうに思うのです。これは私はかなりの日数をかけて、現地を見ておりますだけに、間違いのない、私は数字的にとられた措置を明らかにしてもらいたい、こう思うのです。
  59. 金子岩三

    政府委員(金子岩三君) いま四カ町と申されております中で、利尻と幌加内、この両町は災害も非常に大きいので、交付税の繰り上げ交付を行ないまして、大体千三百万追加いたしまして、六月に入って千七百万、合計三千万の交付税を交付するようにいたしております。これが利尻でございます。幌加内のほうは、一千七百万出るのが普通でございますけれども、これを繰り上げ交付して八百万、これで幌加内のほうが二千五百万、両町で二千百万円繰り上げ交付をいたしておるのでございます。その他の町村の二つは、災害規模がただいま申しました二つの町ほど大きくなかったので、そういう措置をとっていないのでございます。
  60. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 幌加内と利尻については、自治省は、それぞれ法の示すところによって、しかもその基準に照らして措置をした、他の滝川と芽室についてはそれほどの火災でないのでしておりません、こういうことですから、それほどの火災であったかどうか、町財政とにらみ合わさなければなりませんから、先ほど申したように、資料を提示されておりませんから、私は議論しませんが、この次の委員会では、その資料に照らし合わせて私ども実態把握した中で、さらに質問いたし、所要の政府として処置をとってもらう、こういうことにいたしたいというふうに思いますから、あえてこのことはこれ以上申し上げません。——上げませんで、総務長官何か三時四十分までに所用があるということの連絡を受けておりますから、総務長官に私はこの際きょうの問題だけ聞いておきたいというふうに思うのです。  長官は、災害が起きるたびに、総理府長官ですから、その最高の責任を政府にかわってとられておりますことは、私ども存じ上げておりますが、毎度毎度の委員会で長官の答弁を私ども会議録でずっと調べてみますと、政府が法の解釈、基準等を、つまりこういう非常災害時の場合は、拡大解釈をして、いささかも罹災者の民生安定の上からも心配のないようにという答えがなされるわけです。そこで、今度の四町の場合においても、そういう基本の考え方で措置をされていくのかどうかという、このことについて伺っておきたいと思います。
  61. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) いま吉田さんのお話しのとおり、災害対策というものは、これは何と言ったって罹災地というものは非常にお気の毒なことでございまして、できるだけ政府としても手厚くこれらの問題の処置をするというのは当然だと思っております。しかし、御承知のとおり、各調査機関というのは各省で——たとえば農村問題は農林省にあります。あるいは建設省、消防庁、その基本の調査については、各関係省庁と連絡をとりまして、総理府で扱います場合は、各省の御調査を得て、その資料に基づいて扱うことでございます。同時に、それまでには大蔵省ともいろいろ査定その他について御相談もしまして、その結果実は私どものほうが受ける。しかし、その間に、何と申しましても災害でございますから、いまお話しのとおり、政府のいろいろな法律その他を無視しては、これはなかなかできません。それは率直に申します。しかし、現実においてこういう災害というものがいかに住民の皆さまにお気の毒な状態であるかということは、何もここで意見をお互いに交換しなくても、これはもう事実でございます。そこで、私の考えでは、いわゆる、ただ規模がこれだけだからこれに当てはめるというようなしゃくし定木だけでなくて、できるだけの解釈をそれに広げまして、そして災害救済その他に当たることがほんとうの政治じゃないかというような心がまえは持っておるのでございます。しかし、いま申しますとおり、法規を無視してやることはできませんのでございまして、基本の調査その他はもう各役所おやりになります。それを一応こちらにいろいろの申し出があった場合に取り扱うわけでございます。しかし、基本的には、いま吉田さんのお話しのとおり、事いやしくも災害というものは、お互い助け合うということは、これは人間としても基本のことでございます。同時に政府といたしましては、できるだけひとつ手厚くやるほうに考えをするというのがほんとうのいわゆる行政であり、ほんとうの政治であるのではないか、こう心がまえを持っております。
  62. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 長官から答弁がございましたが、私は、長官、法規を無視してやれとは申し上げていたい。法治国家ですから、法律はもとよりその精神を十分生かして順法しなければいかぬ。ですから、法律を無視したりなんかしてやれということじゃないので、長官御承知のように、今日まで各種災害をこの委員会で扱ってきておりますけれども、言ってみれば、災害対策等々ではなくして、災害の塩後処理対策のようなことばかり政府がやっているのですね、あなた方は。池田さんも常にそういうことを本会議などで言いますけれども、前向きにという言葉をよく使います——政策でも施策でもですよ。それが今日、たとえば激甚法ができて後でもかなり日数がたっているにもかかわらず、具体的に災害に対する、たとえば豪雪にしても、あるいは集中豪雨にしても、あるいは長雨にしても、このような火災にしても、地震にしても、何ら私は、言い方はちょっとどうかと思いますけれども、前向きの姿勢で政府が取り組んでいるというような具体的なものが出ていないような気がするのですよ。ですから、将来政府が、これは災害というのは突発的に起きますから、なかなか予測はできないにしても、少なからず、今日までの災害等々を照らし合わして調査をしてまいりますれば、かなりの資料なり統計なり、データというものが出ていると思う。そういうものを参考にして、政府はやはりいつも答弁するような前向きの姿勢に、具体的な政策なり施策というものに取り組まなければならないのではないか、こう思うのであります。これが一つです。  それから、あなたの答えに対して決して反論するとかなんとかということではなくて、いろいろの法律ができておりますけれども、完全だとは言い切れないと思うのです。これは先ほど藤野委員からも指摘されたように、激甚法をつくる場合にも、そういう質疑応答の中にあったと思う。具体的な実際問題に直面したときに、この法律の面で、悪い面がたくさんあると思うのです。あるいはその法律に基づいて政令を出したり、あるいはその諸法規というものが、各省庁でつくられるものだと私は思うけれども、そういうものについてもかなり問題がいま出ているのではないかと私は思う。ですから、そういう場合には、すみやかに政府はよりよいものにするという方向で改正をする、こういうことにならなければ前向きの施策とは言えないのではないかと、こう思うのですが、この点どうお考えになりますか。  私は具体的な例をひとつ申し上げます。たとえば今度の利尻島の火災などは——御承知のように、利尻島は離島なんです。しかも、小さい離島でございますことと、海面からも絶壁な山岳地帯になっている地形から、きわめて立地条件がよくないところです。火災になりますれば、必ずや大火になるというところなんです。過去においてこの離島はかなり大火をたび重ねているところの場所です。これは、もう消防庁の統計に載っていると思う。ところが、それだけに行政をあずかる理事者は必死になって、わずか一億足らずの財政規模の中でかなりの消防力をつけるために施策を施しております。全国的に見まして、その消防力充当率というものは五五%くらい、ぼくの調べている資料では。北海道だけ全体で見ますればどうなるかというと、北海道全体では四九%くらい。ところが、この離島はどうなっているかというと、前に申し上げた事精から八〇%をこえているのです。充当率は。ところが今度の場合、八〇%の充当率があるからといって、政府の補助基準の対象にならないからといって、たとえば消防ポンプの補助金を打ち切っておる実情がある。五月の四日にそれが決定をされているのであります。その翌日がこの大火なんですね。ですから、こういう事柄が、いま離島全体として、政府に対するいきどおりから、きわめて私は不信感を持っているのではないか。あまりにも基準であるとか法規であるとかというものにとらわれて、機械的に一般的な常識の域を出ない扱い方をしたところに問題があるのではないか、こう思うのです。私は北海道新聞社に行きまして、いろいろ調査をしたところによりますと、この資料にもございますけれども風速が三メートルないし四メートルと書いてある。これは事実なんです。しかも、火災の出火発見というものは、きわめて早い時期に発見している。ポンプ車があればこれほどの大火にならなくて済んだと、先ほどここで陳情を受けました町長以下、理事者、関係者、島民全部がいま言っているわけですね。これがいま社会問題になって新聞に載っているのですよ。しかも、このポンプが購入されたのは昭和二十五年で、消防庁のこの資料では、タンク車が一両ございまして、あるいは小型の動力用ポンプが十五台ございます。消防力充当率というものは八割をこえているから、他の町村から見ますれば、非常に高い率であるのだという、のめのめとここで答弁をしておりますけれども、このポンプは使えないのです。廃車になってナンバー・プレートがはずされている、私は実体を見ましたけれども。ところが、このポンプ車が、消防力の中において次の段階の予備段階の一つの役割りを示すことは、これは長官も御承知のとおりだと思う。それで今日働いていなかった。人間の手で、水の便が悪いのです。水利が非常によくない、離島ですから、消火に使う水というものは、海水をくみ上げなければならぬ。それを当初発見した当時に、人手で海岸まで持ち運んで、つまり小型のポンプに中継をしていく、これがためにかなりの時間が消耗されて大火になった、こう一般的に言われている。出火原因はわかりませんけれども大火になった原因はこうだ。しかも、補助金をきめるときに、どういう理由でこれがつまりこの補助決定から除外されたかというと、常設の消防士が基準として六名ないし七名いなければならぬ、こうなっている。われわれも承知をいたしております。しかし、いま申し上げたような赤字再建整備団体に指定されて、町財政が、先ほど読み上げた事情の中で、六名ないし七名と規則にあるから、基準にあるからといって、常設の、常備の消防士を置けるような実態であるかどうか。さなきだに、これは離島でございますから、漁村でございますから、これはここのみならず、日本全国的に沿岸農業というものがどうなっているかということなんです。魚族が枯渇してきちゃっている。そうしてそれに対する対応策として政府は何をしているかというと、今日なおかつ漁業基本法さえ制定されていない。言いたくはないけれども、池田内閣に漁業政策があるかと言うたら、ないと言わざるを得ない。そういう実態から当然漁民一人一人の粗収入も少ないであろうし、それのもとになる村の財政というものは、言を待たないと私ども思うのですね。そういうときに基準があるから、この基準に当てはまるのでだめだ、これが除外された第一の条件である。  第二の条件は、先ほども申し上げましたような消防力充当率が八二%であるから、消防庁の七〇%以上の補助については再検討しなければならぬが、それはできません、こういう現地の立地条件も、何ら状況を知っているわけでもない。机上でただ単に基準をたてにとって、理論的に町長ないし関係の諸君が陳情に来た場合に、こういうかっこうに説明をしておいて、そうして補助決定では除外をする、こういう事柄などは、私は血の通った思いやりのある政治でもなければ、行政でもないと思うのです。あるとするならば、一ぺんの官僚的な行政以外に私はないと思う。こういう点非常に私は遺憾に思う。しかも、最近になってから、離島というものは特殊事情であるから考慮してやらなければならぬというふうに、私は、お気づきになったのじゃないか——気がつかないよりは、私はましだと思うけれども——あらためてこのポンプ車については、再申請してくれぬか、こういう指示があったやに私は伺っておるのであります。まことにあほうのような話ではありませんか。長官、こういう点、先ほど基本の問題として二つ聞きましたけれども、具体的な事例を私はあげたのですが、長官、どうお考えになりますか。
  63. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) 先ほど基準というおことばをお使いになりましたが、あなたが法規を無視してやれとか、基準を無視してやれとかという御意思でないことはわかりますし、私の申し上げることも、誤りなく御理解願ったと思うのですけれども政府といたしましては、御承知のとおり、災害対策基本法に雄づきまして、基本計画を作成して、これに基づいて各省が業務計画をやったのでございますが、要するに私は、いまの事例を拝聴いたしましても、また、その他の事例を見ましても、政府としての災害対策というものは、まあ何と申しますか、必ずしも十分でないことは私も認められると思います。いまの消防庁の問題は、これはいろいろ事情がございましたろうし、かれこれ私申し上げる筋合いではございませんが、たとえば、しかし、この前のいろいろの災害の場合に、激甚法のお話がございましたが、実は、私の関係しました激甚地指定の問題も、できるだけ、さきにお答えいたしました気持ちで取り扱ってきたのでございます。そこで、一々この場合こうこうだというお答えはできませんのは、これは各役所の御関係もあることでございますが、総合的に申しますと、お話のように、いまの政府でやっております災害対策は十分でない、さらに検討をして、今後そういういろいろな事例にかんがみ、また基本的な問題におきましても、まだまだ十分検討の必要があると、こう考えております。そこで、これらにつきましては、やはり災害対策は、罹災者の方、また、その地域というものが非常にお気の毒であるし、ときによってはその地域全体の復興が困難であるという、非常ないろいろな、私ども、これはひとり政府とか、あるいは政府外とかいうことでなくして、国民といたしましても、そういうことにつきましては、やはり積極的なひとつ対策を考えるということは当然だと思っております。従来の災害対策は、政府が不熱心であったかということは、私は、やはりおのおのの各役所の業務計画に基づいておやりになったのでございますから、その業務計画に基づいて、災害対策は、まあみな積極的な考えでおやりになったのでございましょうが、しかし、その間にいろいろの規制、いろいろの基準というものに、やはり制圧といいますか、まあその上に規制されて、やりたいこともできなかったことも非常に多いと思っております。これらは総合的に考えますと、いまお示しのとおり、やはり今後の災害対策というものにつきましては、さらにひとつ政府全体としても検討を要する段階ではないか、これは、きょうの委員会に私出席しましたからそう申し上げるのでなくして、災害対策委員会に出ますと、私はいつもそういう感じを深くいたしております。これは、いま消防庁がどうだとか、あるいは建設省、農林省がどうだというような事務的な段階ではありませんし、これらの方々は、やはり行政府としての基準に基づいていろいろおやりになったことでございまして、これは根本は政府全体が考えなければならない、こう思っております。  私は、いまの御意見はきわめて尊重すべき御意見と思うのであります。また私どもも、今後の施策におきましても、いわゆる基本的な再検討を要するのじゃないかということは、深く考えねばならぬと思っております。いろいろとまた、今後災害対策委員会その他でもって御意見が出ます場合には、これはもう十分政府参考にいたしまして、そして、これはなかなか最善の方法はつきますまいけれども、やはりできるだけの対策を練るという真剣な気持ちでかからなくっちゃ、罹災地の方方の犠牲はもとより、国家全体にとって、災害というものは非常に大きな損害でございます。不幸でございます。これは決してどこの町がどうなったからというだけの考えじゃなくして、国全体から考えましても、当然私は、もしそこに欠陥があれば、これは是正することにちゅうちょする必要はないと、こういう考え方を持っております。
  64. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 長官が答弁されたように、国家の資源を、つまりこの市なりの財産を焼失したり、あるいは被害をこうむったがゆえに損失となることは、疑いない事実だと思っております。あわせて、とうとい人命が失われておるわけですから、たいへんなことだと思うのですよ。ですから、いま長官がお答えになったように、今後の対策というようなものは、ただ単に事後措置対策ではなくして、つまりそういう災害を未然に防止をする、こういうところに私は政治の、行政の中心を置かなくっちゃならないものだと考えるのですね。ですから、いま私が質問しておるのは火災でございますが、火災といえども言を待たないと思う。問題はやはり予防をどうするか、火災予防をどうするかという問題だと思うのですね。今度たまたま私は一つこのタンク車の例をあげましたけれども、これなども、ただ単に気象庁が異常乾燥の気象通報を出すのではないと思うのです。もとよりこれはそれぞれの住民が、一人一人がその予報を受けて、火災発生の原因になるようなものを除外してもらわなければならぬことは当然ですけれども、ただ単に一人一人の気持ちや、感情や、涙では私は予防はできないと思うのですね、長官。ですから具体的に、こういう基準——これはまあ何かものごとをきめる場合、基準がなくてはきまるものではありませんけれども、画一的に基準がきまった、一つの線が引かれた、さて、それに該当しないからといって、十分そういうそれぞれの市町村の実態等々を把握、認識せずして、この補助の対象からはずしていくなどというのは、私はどうもいただけないやり方ではないかと、こう思うのですね。あえて長官からこのことについて答弁をいただこうとは思いませんけれども、ぜひ、この災害全体の総合的な前向きの予防的な施策を私は施していただきたい、こういうことをこの機会に要望しておきたいというように思うのです。  さて、消防庁のほうに移りますが、このタンク車の問題については、再申請をしなさいと……。
  65. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) ちょっと委員長、私発言してよろしゅうございますね。あなたの御意見にちょっとお答えして帰ります。よろしいですね。  ただいま吉田委員から災害の基本的な問題は防災だというおことばがございました。私全く同感です。これは災害基本法の基本計画も、防災というものを第一に目標として計画することになっております。しかし、今日の、いまお話しのとおり、防災を第一にしてやっておりまするが、先ほどからも私が申し上げましたとおり、決して十分ではない。そこで、これは私どもとして考えますには、もう少し防災計画を科学的にひとつ研究といいますか、検討する必要がある。たとえば、いまの離島の問題も、やはり科学的に検討いたしますと、いろいろな措置ができやせぬか。これは、いま消防庁お話を決して横取りするわけじゃありませんが、やはりいままでの基準でおやりになると、消防庁もそういうお返事になると思いますが、これが欠けているのは、どうしても防災計画を立てる場合に、科学的な検討といいますか、実際の問題を、その地域の情勢、それから環境とか、いろいろなものをもう少し組織的に科学的に研究する必要があると思いまして、これをやるにつきまして、いま私どものほうでは、その方法をとりたいと思います。せっかく各省とも打ち合わせをいたしておる段階でございます。御意見いただきまして、私、御意見のあるところを尊重いたしまして、今後の施策の参考にいたしたいと、こう思っております。
  66. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 総務長官から誠意ある答弁をいただきましたから、総務長官お帰りになってもけっこうです。  消防庁関係で、このポンブ車のことについて、再申請するように指示した、こういうことを聞いておりますが、さて、いまも長官答弁されたとおり、離島関係というのは特殊な事情にありますことは、もう皆さん御承知おきだと思う。ただ単に、これはとりあえず火災が起きたからポンプ車の問題が起きたけれども、産業経済にしても、あるいは交通問題にしても、文化の問題にしても、社会の問題にしても、これはやっぱり政府としては一貫した総合的な離島対策というものを樹立しなければならぬ、こういう考え方に立つわけなんです。これはまあさておいて、具体的なこの問題ですけれども、新聞、これ見ますると、災害が発生して、こんな大惨事を起こした結果、やはり町がいろいろポンプ車購入について議会などで取りきめを行なったようでございますけれども、何といたしましてもやはり金の問題がひっかかってくる。地方財政で一体捻出できるかどうかというと、それもできない、こういう実情ですが、消防庁で再申請しなさいという措置を、これはまあ死んだ子の年を数えるようなものですね。だけれども、ないよりはましであろうから、再申請される場合に、どういうような扱い方をしていくのか、この際聞かしていただきたいと思う。
  67. 川合武

    政府委員川合武君) 先ほどの先生のお話でございますが、率直にお答えいたしますが、私どものポンプの補助の決定の基準が、常備の問題が第一点、それから第二点が、七割充当しているものは——まあ七割以上のものは遠慮といいますか、あと回しというような考え方をしているという御指摘でございましたが、前者のほうは、さような事実は——さような事実と申しますか、そういう考え方はございません。常備のものがどうのこうのということは、この際この問題に関します消防車の補助の問題と何にも関係ございません。  第二の七〇%の問題は、これは事実でございますが、ただ、御指摘のように、一般的には七〇%というめどをつくっておりますが、離島につきましては、特別に考えております。したがいまして、いまの利尻のような場合には、七〇%というような考え方を持っておりません。したがいまして、再申請云々ということでございますが、私、ちょっとその新聞記事を拝見していないのでよくわかりませんのでございますが、この利尻の現在補助の配分中でございまして、もっとも大部分のものは終わっておりますが、こういう離島関係とか、あるいは特別のものとか、そういうものの分がおそくなっておりますので、そこで何かの行き違いのだれか説明をいたした波及かとも存じますのでございますが、再申請云々ということではございませんで、検討いたしまして、しかも、利尻の場合には、お話しのようなことでございますので、補助につきまして、まだ決定はいたしておりませんが、私ども事務当局としては、十分考慮をすべきであろうというように考えております。  ただ、つけ加えまして大型ポンプが老朽、すでにプレートをはずしておるということにつきまして、私どもそういう点につきましての十分な、きめのこまかい実態までを知らないでおるという事実につきまして、反省をいたしております。
  68. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 基準そのものについては七〇%にこだわらない、それでけっこうですから、そういう立場で検討してもらいたいと思いますが、私は、ただ新聞だけの切り抜きを見てものを言っているのではない。この北海道の四町の火災実情については、全部それぞれ関係の各所に行って、できるだけ狂いのない調査をして、計数的にも誤りのないものをつくり上げて皆さんに質問をしようといたしておるわけです。この新聞の切り抜きを見ているだけではない。あなた現地を見ていないでしょう、私は全部現地を見ているのだから。しかも、いまあなたは、何かの行き違いじゃないか、こうおっしゃっておりますけれども、これは北海道庁の役人さんだってうそは言っていないと思います。私は調べてきたのは、この再申請するということについての調査を、北海道庁の災害調査課で調べてきたんですよ。調査課はこう言っている、再申請するように——火災発生後に、おそらくこの問題について、道庁が災害対策本部をつくりまして、だれが本部長か知りませんが、急遽やはり中央に陳情、請願においでになったと思う。各省庁をお回りになったと思うのだな。そういうときに、そういう話になって、この再申請するようにという指示をされております。当事者たる町長と打ち合わせて近くそういうことをやりたいと思います。こう言っている。その理由がある。これは他府県の市町村の中で辞退団体があるので、その分を回したいということを言っている、こう言って、これは道庁の災害調査課で言っているのだからな。ですから、ぼくは、いまここで新聞の切り抜きをただ単にこう見て言っているのではないのですからね。そうあなたのような、何かの行き違いがあったであろうというようなことじゃないですよ。この点ひとつ誤解のないようにして答弁してもらわないと、えてして役人の答弁というものは、そういう答弁になりますが、そういう答弁ではこの問題の解決にはならないのですからね。この点はどうですか。
  69. 川合武

    政府委員川合武君) ポンプの補助につきましてと、起債の問題と二つあると思いますが、ポンプの補助は、先ほど申し上げましたように、大部分のものは終わっておりますが、一部特別のものにつきましては、現在まだ進行中でございまして、たまたまこの利尻のあれと災害とぶつかりまして、道庁からも私のほうに、特にこの分につきまして考慮するようにという強い要請がございました。したがいまして、現在検討中でございます。  起債につきましては、まだ全部これからでございますので、どこの分につきましてもやっておりませんので、あわせて利尻の場合につきまして十分な考慮をいたさなければならぬ、かように思っております。私の言い方が非常に不適当だったかもしれませんですが、私のいま申し上げましたとおりでございます。
  70. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 一カ町村だけ限定して特別にものごとを見れということは、これは不可能だと思うんですよ。ただ問題は、全国的な問題だけれども、特に離島であるという——これは利尻だけじゃないんですよ、九州のほうに参りますればずいぶん離島はございますけれども離島全体の問題としては、少なからず基準というものである程度ものごとをきめなければならぬか知らぬが、それを運用する場合には、少なくとも血の通ったものでものごとの処理に当たっていただかなければならぬのじゃないかということを言っているわけであうから、ぜひ——たまたま離島であるという特殊事情の利尻が、あなたのところの資料にもありますように、町の行政機関であるとか、あるいは金融機関であるとか、そしてまた公共団体の機関が全部焼失しているので、一町の機能が全く停止しているような状態なんですから、こういう事情をよく考えて、いまたまたま消防ポンプの話になりましたけれども、それ以外の——これはあなたの関係じゃありませんけれども、追って質問しますけれども、金融関係であるとか、あるいは税の関係であるとか、あるいは住宅の関係等々ございますから、すべてそういうものではないかと私は思う、実際調査にあたってみて。そういうことですから、ぜひ、せっかくの消防庁のほうとしても、再申請しなさい、こういうことであるようですから、十分いま申し上げた点を考慮されて扱っていただきたいというふうに思います。新聞がここにありますから、ちょっと読んでごらんなさい。三月で廃車になっておる。購入したもので廃車になっておる。この新聞では、まだよたよた歩いておる、エンジンなんかはかからないです。人間が押しておる、そういう事情のものだから、町長はじめ町の理事者あるいは議会がいろいろ心配されて、特に年々歳々、これは離島火災どもかなりあるし、それから三月、四月、五月というのは異常乾燥の時期になるので、そういう処置をとっていた。直ちに三月議会か何かできめて、消防庁に申請したところが、五月の四日に、これが却下されて対象にならなかった、幸か不幸か、その数日後に大火があった、こういうことですから、ぜひひとつその点を考慮されまして万遺憾のないように措置をしていただきたい。こういうことを申し上げまして、消防関係について質問を終わりたいと思います。  それから、いつの場合でも災害が発生しますと、農業災害においてでも同じことが言えますが、金融の問題がかなり問題になってきます。いま申し上げたように、町の中心街がほとんど焼失して、産業のみならず金融あるいは行政の面まで麻痺しておるような事情でございますだけに、この金融の措置というのは、さらに大きな問題に発展している、こういうことだと思う。現に、商工業関係についても、やはりどうしても早急に復旧しなければならぬということで、金融については、どちらの関係になりますか、お答え願いたいけれども中小企業金融公庫の申し出が十七件ある、約五千万ぐらい。それから国民金融公庫関係が三十八件、二千六百万円ぐらい。それから市中の金融機関については十一件申し出があって二千万くらい。住宅金融公庫の関係については約一千万、こういう要請が直ちにある。あるけれども、さて、具体的にこれが政府関係の諸法律に基づいて、基準であるとか、担保の関係であるとかという条件がつけられてきますると、これは当然制約されることはやむを得ぬのかしれませんけれども、なかなかこの希望が完全に満たされないために、つまり商工関係業務の復旧がおくれている。これはひとり利尻だけではないと思う。これは全部、今度大火にあいました四町共通の問題、災害全体の私は共通的問題であるというふうに思っているのです。とりわけ北海道の場合は、たとえば住宅の場合などが耐火建築になってまいりますから、ブロック建設というのが基準になっていると思う。ところが、現実に芽室の場合は、申請者はかなりございますけれども、その限度というのは四十万円の限度ですから、四十万円でいまごろ人間が住める一体ブロックの家が建つかどうかというような問題がやはり起きてくる。ですから、勢い結果的には、モルタルの建設というようなかっこうにいかざるを得ない。そうしますれば、今度は逆に融資の対象にならない、こういう問題が具体的に出てくるので、こういう関係について一体関係省庁はどう考えているかということをこの際ひとつ聞いておきたいというふうに思います。
  71. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 住宅の災害に対しましては、公営住宅の補助及び住宅金融公庫によりますところの融資を行なっております。北海道につきましては、御承知のとおり、防寒住宅につきましての融資をいたしておりますが、簡易耐火構造の単価は、貸し付けの額を七十六万四千円と一応しておりますので、その範囲内におきましては十分できる予定の貸し付けをすることにいたしております。
  72. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 さらにお尋ねしますけれども、住宅金融公庫のかりに融資を受ける場合、担保物件が必要になってきますね。普通住家の場合は、住家そのものを担保に入れてもさして問題ないと思うのですが、店舗の場合、一体どうなるかというと、店舗部分まで担保の対象にするわけですよ。これは御承知のとおりです。そうなってまいりますれば、今度はこれはただ単に店舗がかりにできたとしても、商売をする場合に、今度はさらに自己資金がなければいけないわけですから、こういう大火とか災害にあった人は、よほどの事前に蓄積がない限りはできないわけですね。できないでしょう。そこで、勢い中小企業金庫にまた融資を依存しなければならぬ、こうなりますれば、今度担保物件がないということで融資の対象にならない、こういう結果が生じてくるのですね。ですから、私は、こういう災害時における特殊な事情ですから、住宅金融公庫というものと中小企業金庫というものの担保物件についての調整が必要ではないか、こう実際実態を見て感ずるのですけれども、こういう関係はどうお考えになっておりますか。文字に書いてあっても具体的に実にならないわけです。
  73. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 住宅金融公庫の場合には、貸し付けました住宅ないしは店舗併用住宅の場合には、その部分につきまして担保にとっております。それ以上の分につきましては損保にとっておりませんので、その他の営業資金と担保の競合ということは起こらないと考えております。また、特に災害復興住宅につきましては、市町村の保証ということを担保にいたして運用上なるべく簡易に借り受けができるような手配をいたしておりますので、十分担保の点につきましても罹災者の便を計らうように措置をしているわけでございます。
  74. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いまの答弁は、私は釈然としないのですけれども、こういう実態があることだけは、あなた方これからもいろいろ法律改正なり基準をきめたりなんかする場合に十分参考にして私はやっていただきたいと思うのです。  それからもう一つの問題は、激甚法の中にもこれは問題があるので、商工業者の場合の金融の融資は、この法律の指定を受けた場合は、御承知のように六分五厘の金利で融資は受けられることになっていますけれども、現在は、豪雪とかあるいは集中豪雨であるとか台風であるとか長雨等々のものについては適用しているようだけれども、それ以外のものはほとんど対象にしていない。この法律施行以前は、しからばこういうものについてどういう扱い方をしていたかというと、そのつど閣議で問題をきめまして、中小企業金融公庫であるとか国民金融公庫であるとか等々を通して、やはりこの六分五厘の利率で融資をしているのです。したがって、法律ができたら今度は逆に対象外にされているという実情もあるので、こういう関係については、私どもとしては、やはり法律改正するか、あるいはこの商工中金あたりの法律改正をするとか、あるいは特別立法をつくるかなんかしてやらなければならぬし、原則的には、私は、この災害の場合等々は、もうけのために何かやったのじゃないのですから、事業でみずからの能力がなくして倒産したとかなんとかというものじゃないですから、先ほど別な問題で矢山委員も言ったように、もっともっと政府が積極的にこういう問題と取り組むということになれば、利子補給ぐらいは国庫でめんどうを見ていくと、こういうことにならなければならぬじゃないかと、こういう気がしますけれども、第一の問題は、つまり激甚法を適用されて、いま申し上げた豪雪あるいは集中豪雨、台風、長雨等以外の災害に対しては対象外になっているのですけれども、対象外にされたものの一体金融の道をどうとるかということを、この際、具体的にあなた方は行政指導をいろいろ金融機関にしているのじゃないかというふうに思いますので、聞かしていただきたいと思います。
  75. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) 担当者がおりませんので便宜お答えを申し上げて恐縮でございますが、ただいまの中小企業金融の関係でございまするが、これは御承知のとおり、融資を行なう機関といたしましては、政府関係では国民、中小の両公庫、それから商工中金とございます。御指摘の激甚法の適用で利子補給いたしますのは商工中金の場合でございます。これにつきましては、激甚法のいわゆる基準というものがございまして、これでやっておるわけであります。  この基準でございますが、これは当然にこの災害対策基本法の精神にのっとりまして、全国的な規模ということを重視しまして、つまり全体として大きな災害でなければ該当しない、こういうことになっておるのは、先ほど天災融資法の議論があったと同様であります。ただ離島などのように非常に経済圏の小さい場合につきましては、そういうことを特別に考慮するということも、これは中央防災会議の決定いかんによってはできるようになっております。一昨年福江火災においては、そういう特例を講じた事例もございます。  なお、国民、中小両公庫の融資でございますが、これは今回の災害程度でございますと、既定の貸し付けワクの中で十分処理できると思いますが、それについて六分五厘の低利融資をするかどうかということは、これはまた災害実態によりまして閣議決定をいたしまして、そういったことをすることになっておりますので、大体の考え方は、こういった激甚法の発動ということとほぼ同じような考え方でやるというふうに運用上処理しておると、こういうふうに聞いております。  大体現在の制度はそういうことになっております。
  76. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 答弁されたとおりなんです。で、中小企業信用保険法の特例法で実際問題として適用さしたのは、長崎福江ですがね、これは私承知しているんですよ。承知しているんですけれども、いま言ったように、激甚災害法ができた今日では、先ほど言った矛盾があるのですよ。矛盾があるので、これは火災だけじゃなくて各種災害に共通の問題だが、少なくとも府県知事が災害救助法を発動した場合には、原則的には、やはりいま申し上げたような特例法も可能な範囲で適用するというような方向をとらなければ、なかなかいまの利尻のような一町全体が焼けてしまったようなところは、なかなか、ことばじゃ、先ほども町長も、決してひるんでおりませんと、みんな町民はがんばって復興に努力していると言っておりますがね、これはやっぱり金がかかる問題ですから、その裏づけなくしては復興など絶対できないのですから、私は、そういう点を考慮したほうがいいのじゃないか。原則的に、災害救助法が発動された場合には、全部とはまいりませんでしょうけれども先ほど申しましたような、少なくともその運用にあたっては、心あたたまる血の通った取り扱い方をすべきじゃないかと思うのですよ。こういう点どうですか。
  77. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) この激甚災特別援助法のたてまえは、従来各種の災害特例法がありましたものを、災害のつどに行なうことは、非常にいろいろぐあいの悪い点もあるというので、いわば既往の実績を積み上げてそれを統一した基準法律にまとめた、こういう形になっておりますので、中小企業特例につきましても、大体従来の災害特例法の実績というものを基準にしてできておるわけでございます。したがいまして、御指摘のように、災害救助法が発動になったら自動的にということには、ひんぱんに適用できない、相当何といいますか、激甚災害というものは大災害でないとできない、こういうことになっておるわけであります。ただ、この中小企業などにつきましては、何ぶんにも特別に措置を受ける対象というものが、非常に大きな地域といいますか、たとえば東京付近であるとか、あるいは関西のような非常な経済圏の大きいところとそれから小さいところでは、やはり若干の違いがあろうかと思います。そういう点を考えまして、ただいま御指摘のような福江特例どもあったわけでございます。御指摘の点は、先ほど総務長官などもお聞きになっておられたと思いますので、これは私担当でございませんので、十分御意見の点は担当のほうに伝えて、検討するようにいたします。
  78. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ぜひこの関係の機関にきょうの委員会でこういう質疑のあった点を申し上げて、検討を加えていただきたいというように思うのです。そういう積み重ねが、今日の法律の矛盾点を解決するやはり要素になると私は思う。現実に、あなたおっしゃっておるように、法律にないために、やっておらないために、さなきだに赤字財政をにないつつやっておる市町村自治体のほうも負担せざるを得なくなってくるのですね。ですから、どういうあれで措置しておるかということになれば、結果的には、損失補償の特別ワクを設けて、保証協会などと契約して、地方自治団体が代弁しているんですね。代弁している、こういう例は、あなた方十分承知しておると思うのですよ。私は全国的にはいろいろ存じ上げておりませんけれども、たとえば北海道で起きた十勝沖の地震であるとか、台風十五号の場合もそうであったし、あるいは一昨々年の台風九号、十号、昨年の奥尻島の大火、森町の大火の場合においても、いまの保証協会というものと損失補償について特別ワクで契約をして、市町村自治体が肩がわりして代弁の措置をとってかなりの金額を融資をしていただいて復興している、こういう実情なんです。本来的にいえば、こういうものを地方自治団体に代弁させてやるなんというのは、ぼくは筋が通らないと思うのです。もしかりに代弁措置をとるとするならば、国がやはりそういう措置をとって全体の産業経済の復興とあわせた災害復旧あるいは復興をせしめていくというのが筋道じゃないかと、こう思うので、まああなたから、せっかくの関係の担当のほうと相談をして再検討するということですから、あえて私は答弁を求めませんけれども、こういう実例等が全国的にもぼくはかなりあると思うので、ぜひこの再検討をしていただいて、それらをもとにして、今日的な法律の欠陥があるとするならば、やはりすみやかに改正していくということが正しいことであろうから、そういう方向で努力していただきたいことを要望いたしておきたいと思います。  それから、いま理事のほうからメモが来まして、厚生政務次官と自治省の政務次官が帰るから早く質問しろというようなことなんですが、早くしろといったって、問題があれば、これは委員会たびたび開かれるわけじゃないのですから、そうもまいりませんけれども、しかし、お互いに所用あるので、無理にそれをどうこうしようと私は思いません。できるだけ簡潔に要領よく質問しますから、胸にすとんと落ちるような答弁をしていただきたいというふうに思うのです。  厚生省のほうからわが党の理事がやれということですが、これは四町共通する問題でございますけれども、こういうときに限って、厚生省の関係では保健衛生等々の問題が出てきますね。災害のときには必ず伝染病が付帯的に発生するとかなんとかという問題が出てきますね。たまたま今度の火災の場合、幌加内は農林省関係ですね。開拓診療所が焼けておりますことは、この資料にも出ておりますね。これはあなた、開拓部落ですから、一体立地条件はどんなところにあるかということは、これは次官も申し上げなくても脳裏に描かれると思うのですよ。ですから、すみやかにこれは再建をしなければ、この部落の住民の保健衛生等々が保たれないということになろうかと思うのです。こういうことについて、具体的に厚生省がどういう措置をとっているのか、この際お聞かせを願いたいと思います。
  79. 砂原格

    政府委員(砂原格君) ただいまお尋ねをいただきました利尻の病院は、国保のほうで直営になっております。幌加内のほうの療養所は、お説のとおり農林省関係でございましたが、これは現在は、国保と同じような立場で厚生省のほうがこのめんどうを見ておるのでありまして、火災焼失いたしましたものに対しては、直ちに復興をさすように、しかも、本年度の予算の中で処理ができるように手順をいたしておりますので、いまだ両町から火災復旧、災害復旧に対する申請が参っておりませんけれども、申請が提出されると同時に、善処するような手順をいたしておる次第であります。
  80. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そういう手順をしておるということですから、それはさらにすみやかにやっていただきたいと思います。あとあと、これは災害が一回起きますれば、必ずや救助費等々が、かなり地方自治団体でも経費がかさみますね。この問題に対して特別措置をしていただきたいというのは、火災のみならず各種災害に共通する問題ですね。そこで今度の場合、火災ですから住宅関係ですが、これは建設省にも関係が多少あるのだと思いますが、離島で非常に立地条件がよくありませんし、のみならず水利がよくございませんから、ただ単なるバラックのような住宅では、これはまた今度の二の舞いを踏むということになります。ですから、やはり最近建築の資材もかなりよくなってパイプ住宅などというのが普及されてまいりましたから、こういう関係のものについて、どう厚生省あたりは考えているか。一応厚生省あたりの住宅配分については、従前も行なっておりますが、少なくとも地元の北海道災害対策本部あたりでも、五十戸ぐらいはそのワクを確保してもらえないかというような考え方なんですよ。そういう考え方です。ですからこういう関係はどうかということ。  それから政務次官お忙しいようですから、一括してお尋ねしておきますが、利尻の場合は、国民健康保険病院が焼けましたね。ですから、いま言った開拓診療所と同じように、たった一つしかない病院ですから、この病院なくして町民一万何がしかの保健衛生、健康保持なんというものは保たれませんから、これの再建が急務中の急務だと思うのです。一体この復旧に要する費用ですね、国庫補助をどう考えて、いつごろ交付するつもりであるか。これは法律の対象になりますから交付することは間違いないと思いますけれども、どのように考えておって、いつごろそれが交付されるかということを具体的にお示し願いたいというふうに思うのです。  それから、あわせて病院関係でございますけれども、伝染病の隔離病舎の建設もまた必要である、これも全島民あげての強い要望でありますから、こういう関係に対する国庫補助というものは、まだきまっていないと思いますから、いつごろきめるのか、きめたらいつごろ具体的に補助をしてそれの災害復旧をするのか、こういうこと、これが大体厚生省に対する私の端的な質問の内容です。
  81. 牛丸義留

    政府委員(牛丸義留君) 第一の応急仮設住宅の件でございますが、大体各町村希望の戸数は、滝川町が十四戸、利尻が四十八戸、幌加内が二十七一尺これはすべて各地元町村の要望どおりこちらで支給をする計画になっております。  第二の利尻町の直営診療所の件でございますが、これは昨日道の民生部長直接参りまして、そして担当の国民健康保険課のほうにも連絡をしておりまして、私もその話を承知しておりますが、書類の整備次第、いつでも補助金を、これは大体三分の一の補助でございますが、復旧の工事を急ぐように指示していると思います。  伝染病の隔離病棟についても同様の措置をとるはずでございますので、今月中には見通しがつくと思います。
  82. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 先ほどの開拓診療所の関係、これは本来的には農林省の所管ということでしょう。農林省はどうしてこれは財政援助をするような措置をとらないんですか。これは厚生省の補助率のほうが高いから厚生省でやるということですか。
  83. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) お答え申し上げます。幌加内の開拓診療所ですね。これは農林省の補助金でつくったものでありますが、その後の状況を見ておりますと、開拓のためにできたのでありますけれども、離農者が相当出ておりまして、現在四十九戸になって、開拓農家はむろんでありますけれども、その近辺の一般農家の共同利用になっておる状況であるそうでございます。で、今般これは火災で焼けたのであります。そこで、そういう現況からいたしまして、むしろこの診療所の復旧についてはその利用状況等から考えて、国民健康保険直営診療施設として復旧させたほうが適当じゃないかというので厚生省事務当局と協議中であるわけでありますが、先ほど厚生政務次官からお答えがあったとおりなるものと思っております。
  84. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いまの次官の答弁を聞いていると、どうも農林省は全くわがままな都合のいい役所だとぼくは思うんだな。つくるときには開拓農民の問題だから農林省だということでつくって、本日まで所掌事項は農林省所管になっていることは間違いないんです。さて何か問題が起きますと、今度は利用率がたまたま離農者が多いために一般の人々もかなりいるようだから、本来的には厚生省の仕事であろうから、こういう場合には厚生省にめんどうを見てもらうという意味のことだよ、あなたの言っていることは、端的に言って。だから私はそういう便宜的なものの考え方じゃいけないと思うんですよ。ここに今日的な各省庁のなわ張り争い的な事実が一つ出ているんだけれども、そのくらいのものであったら、ぼくはやっぱり厚生省に移管すべきだと思う、名実ともに全部、所掌事項もね。本来的にはそうあるべきだと思うのですよ。そうでなければ、同じ国が援助したり、補助する率に、厚生省の率とあるいは農林省の率と変わるなんというナンセンスな話はないはずなんだから。ですから、ぼくの言わんとするのは、とにかく復旧してもらうことにはいずれでもけっこうですけれども、本来的にはあなたのおっしゃったような、あなたが答弁したようなものになっているというんなら、これはもう厚生省に名実ともに移管したらどうかということなんですがね。
  85. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) それはお話のとおり当然移管されるものである……。
  86. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 しかし、現実はあなたのほうでやっているんじゃないですか。
  87. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) いや、それはいま申し上げたように、国民健康保険直営診療所として復旧されることになれば移管されることになると思います。元来、開拓は御承知のとおりわれわれのほうでは道路もつくり、それから学校もつくり、あるいはまた診療所もつくり、漸次既農村と同じように移管されていくわけで、いつまでもわれわれがんばっているわけじゃございません。
  88. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 その趣旨はよくわかりましたが、こういう理解でいいのですか、次官。今度これが再建された暁には、すべての所掌事項が厚生省に移管していくんだと、こういう理解でいたしますか。
  89. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) けっこうです。
  90. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 じゃ、わかりました。そういうことでひとつすみやかに復旧をしていただきたい、こう思います。  それから建設省の関係でございますが、火災でございますから住家屋全部焼失したわけです。そこで、どこでもそうですけれども、必ずや災害公営住宅の問題が非常に問題になります。で、このことについて、これは役所ですから、全部市町村自治体が申し出てくることをうのみにして、やることにはいかぬから、査定という一つの機関があるわけなんですね、やむを得ないと思いますけれども、こういう場合にはその査定をやはりすみやかにしなければならないと思うのです。ですから、査定官を派遣して査定をしたかどうかということ。それからもう一つは、災害をすでに考慮して、ある一定の住宅のワクを確保、保留しておる面がございますね。北海道の場合は私が調べた範疇では五十戸です。これを建設省では保留解除していただかない限りは、道が割り当てを受けておっても、道として具体的にこれを施すすべがないというのですね。ですから、こういう点、一体今度の場合保留を解除する気があるのかどうか、この点ひとつ聞かせていただきたいと思います。
  91. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 御指摘のように、災害公営住宅につきましては、市町村の申し出に基づきまして査定いたしますが、現在査定をいたしておりますので、その結果を待って決定をいたします。それから災害住宅につきましては、七十戸北海道に保留してございまして、これも査定の結果によりまして、なるべく近い機会に解除する予定でございます。
  92. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いままでの配分は仮配分でしょう。だからその仮配分された七十戸いま保留されておるわけですから、これをあなたはなるべく早くと、こう言っているのだけれども、これはすでに住家を建ててまいらなければならぬという実態はこれはどこの火災の場合でもあり得ることなんですね。なるべくなんというのんびりなことを言わずに、直ちに解除をしなければ、それにしても事務手続としては都道府県がやるわけですから、あなたのほうは直ちに解除すると、こういう方針をすみやかにきめて通達を私は出してもらいたいと思うのです。
  93. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 査定が終わり次第直ちに解除いたします。
  94. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 次に自治省ですが、自治省の場合は地方交付税の関係であるとか、主として税の関係でございますけれども、こういう場合に交付税を特別に従前繰り上げて交付しましたね、今度の場合どうお考えになっておりますか。
  95. 山本悟

    説明員(山本悟君) 交付税の繰り上げ交付の関係でございますが、先ほど政務次官からお答えを申し上げましたように、六月に交付を、概算交付でございますが、これを昨日いたしたわけでございますが、その際に九月分の交付分を利尻町、幌加内町につきまして繰り上げ措置ということにいたしたわけでございます。金額は利尻町が千三百万円、幌加内町が八百万円、合計二千百万円の繰り上げ交付をすでに昨日実施をいたしております。
  96. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 これはすでに昨日交付したそうですから、たいへんけっこうなことでございます。特別交付税の配分についてどう考えておりますか。
  97. 山本悟

    説明員(山本悟君) 特別交付税は御承知のとおり交付税法によりまして、年度末の二月に決定をいたすことに相なっております。そうして、まあ年間を通じましての各種の災害、あるいは伝染病の多発というような特殊な事情を考慮して決定すると、こういうことになっておりまして、従来の例から申し上げますと、大火の際にはそれぞれ罹災戸数等を基礎にいたしまして、一定の単価を乗じて基準額を算定をいたしておるわけでございます。また二月でございますから、年度末に近い時期になっておりまして、年度間の財政状況全体の姿がほぼ明瞭になっておりますので、市町村のそのときにおきます財政状況全般を見まして、こういった大火といったような特殊な事情はさらに考慮を加える、かような取り扱いをいたしておるわけでございます。本年度の分につきましては、そういう事情でございますので、ただいまの段階でそういう取り扱いになるということは明確に申し上げがたいのであります。過去の例から申し上げまして、いま申し上げましたように、十分大火の場合には考慮を払ってまいりたい、かように存じておるわけでございます。
  98. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 これまた役人の機械的な答弁で、まことに答弁としては、これはいいのかもしらぬが、実感としては、そんなものでそれぞれの被災地の住民が了解、納得するかというと、これはしませんよ。だから、あなた方役人の答弁というのは、どうも国会ではいいかげんに答弁しておけばいいというふうな、ありきたりの答弁で気に食わぬのだけれども政務次官あなたはどう思いますか。たとえばこういうふうに何回も申し上げておるように、全町がほとんど機能を麻痺するような災害を受けた場合に、先ほど申し上げたように、それぞれの住民というのは漁民ですから、さなきだに魚がとれないわけですから、それぞれの生活の実態というのは収入も少ないし、少ないから担税能力がないということですよ。具体的に数字を入れて私は申し上げたいが、そういう瞬間がもったいないから言いませんけれども、したがって、その町の税の収入に大きな影響のあることだけは間違いないと思う。さらにまた具体的に、町は町の行政として免税措置をしなければならぬ部面もできてくると思う。そういうことが積もり積もり重なって、財政の収入計画にとんでもない欠陥が生ずる。だからこそ特交税を交付してもらいたい、こういうことになってくるわけですね。法律にこうなっておって、基準はこうなって、年度末にどうこうきめるというのは、これは一般的なことです。これは特別な事情なんですから、そういう場合ですから、ここで金額を幾ら幾らの率でどうしてきめて、こうするという答弁はこれは不可能ですよ。不可能ですけれども、少なくともこういう事情というものは、十分配分するときに考慮するくらいのあたたかみのある答弁はできないのかね、役人というものは。
  99. 金子岩三

    政府委員(金子岩三君) 先ほどから説明の中にありましたとおり、一昨年長崎福江市でこういう大火がありまして、やはり特別交付税の問題で、ずいぶん私もその交渉の中に入りました。私の郷里、選挙区でございますが、やはり罹災戸数とか、そのときの団体の行政状況によってということは、これは説明員ですから、山本交付税課長がそういう答弁をするのは当然じゃないかと思いますが、一つの基準がありますけれども、いま承りますと、利尻はたいへん貧しい離島でございます。したがって、今度の災害が、どれほど団体に大きな歳入欠陥で、今後数年はこれが原因でどれほど財政が逼迫するかということは想像がつきますから、これは政治的にわれわれが考えて、ひとつ応分の措置をしていくべきだと考えます。私は、政務次官は近くやめるでしょうけれども、私は地方行政委員にずっとおりますから、ひとつ吉田さんが、もし少ない場合は、私を通じてでもお話をしてもらえば、私は御期待に沿うような特交がもらえると、かようにここで約束をしてもけっこうでございます。
  100. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 政務次官から、やめるであろうけれどもという非常に熱意のある答弁をいただきましたから、政務次官を信頼して、あえて申し上げません。この税の交付の問題とあわせて起債の問題が出てきますよ。起債の問題とあわせて充当率の引き上げの問題が出てきますから、これも、いま次官が答弁したような精神で、十分配慮してもらいたいと私は思うのです。こういう点を申し上げて、あとあとは、消防のポンプについては、先ほど申し上げましたから、あまり長くやっておりますと、自民党の委員はみな帰って、だらしのない委員会になりますので、時間でありますから、この辺で私の質問を終わりたいと思います。
  101. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 時間がありませんから、簡明に質問いたしたいと思いますから、答弁もできるだけ簡明にお願いいたします。  最近各地に大火があった、その結果非常に損害が大きいということは、いままで吉田委員から詳細に話があったとおりであります。そこで、この大火と直接関係があるのが消防組織であります。消防組織を強化して、初めてその効果を発揮することができるのであります。そこで端的にお尋ねしますが、消防庁では最近消防の教養基準を示されたということでありますから、一体どういうふうな基準消防を強化される見込みであるのか。また、全国的には消防大学がある。都道府県には都道府県消防学校がある。この消防大学は一つであろうけれども、都道府県消防学校は現在どのくらいできているのか。それで一体どんな訓練方法をしているのであるか。またこれは、吉田さんからいろいろ質問があって、消防の機械化が十分でなかったことが、大火の原因であるとしたならば、消防力強化のための機械化の現状はどうであるか、これをまずお尋ねします。
  102. 川合武

    政府委員川合武君) 御指摘のとおり、消防力基準を示しまして、ことに機械化の、しかも各地域ごとに実情に合うような消防力基準を、実は前もございましたが、昨今改定して連絡をいたした次第でございます。また、教養基準と関連いたしますが、私どもの付属機関であります消防大学校に、団長を地方といいますか、全国から随次集めまして教養をいたしております。また都道府県消防学校におきましては、消防団員を集めますと同時に、巡回の講習もいたしておる次第でございます。現在のところ、都道府県におきまして三十の消防学校がございますので、まだ相当数の未設置がございますが、未設置のところは全然やってないというわけでございませんので、たとえば自治研修所、普通の一般公務員の中に併置しておるという形でやっておるのでありますが、独立いたしました都道府県の学校といたしましては三十でございます。残りの分につきまして、国庫補助をいたして漸次整備したいと考えております。教養につきましても、十分努力していきたいと考えております。
  103. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 いまのお話によると、都道府県には消防学校が現在三十であるということでありますから、すみやかに全都道府県消防学校ができて、消防機能を発揮することができるようにお願いしておきます。  次は、消防団員をいかに待遇改善するかということが大きい問題であるのであります。私の聞くところによれば、現在の消防団員に対する待遇は、まだ他の者と比較して不十分であるのではないかという気がするのであります。また、長い間消防に従事したところの功労者に対しては、それ相当の報償の措置を講じなくちゃいけないと思っておるのでありますが、これも一昨年の本委員会で私はこれの強化を強調しておいて、その後だいぶん改善されたということでありますが、どういうふうに改善されておるのであるか。また、いかに物質的の待遇をやってでも、消防団員がいざという場合においては、命を投げ捨てても消火に当たらなければいけない、こういうふうな崇高なる精神を持って消防に当たるとしたならば、その崇高なる精神に対しては、国としても感謝の誠を捧げなくちゃいけない、そういう意味からいえば、最近、勲章の制度も設けられたのでありますから、消防団員として特に功労があったところの者は、生存者に対しても叙勲のことを考えておられるかどうか。また、消防に従事したためになくなった英霊に対しては、軍人同様に靖国神社に祭るべきであると私は考えておりますが、こういうふうな点についてはどうであるか。また、福江大火の際に、私は実際に状況を見たのでありますが、その状況は、電信電話に大火がおおいかかって、そのままではできないから、ぬれずきんをかぶりながら電信電話の交換に当たった、まことに感激すべきものであるのでありますから、私は郵政省に行って、こういうふうなものは表彰すべきではないか、また表彰すべきだ、過去においても表彰したところの実績があるのじゃないか、こういうふうな話をしたところが、郵政省では、そういうふうな一たん緩急あった場合には、死に徹して通信事務に当たるのが、これが郵政精神である、今後、私などは、郵政精神によって、火災があった場合においては死を賭して働きたい、こういうふうなことであったのでありますが、これらの点について、消防当局はどういうふうに考えておられるか、伺いたいと思うのであります。
  104. 川合武

    政府委員川合武君) 現在、消防団の処遇の問題といたしましては、一つは出動手当、報酬の問題がございます。これは御承知のように、報酬は団員年千円、出動手当は一回三百円という交付税の内容でございます。で、これでは洗たく代としてもちょっと不十分なんじゃないかということで、私ども、さらに今後ともレベルアップをいたしたい、努力をいたすつもりでございます。ほかに公務災害の補償の問題がございます。これは現在は、立て方が少し、階級が警察官と必ずしも一致しませんが、大体警察官並みにしていただいたわけでございます。しかし、これとても十分と申せませんので、警察あるいは海上保安系統と十分連絡しながらレベルアップをいたしたいと思っております。  また、先生のお話の退職報償制度でございますが、私どもも、この委員会でいろいろ御指摘のありましたことを十分記憶いたしております。その結果とまして、まだ不十分ではございますが、本年四月から、永年勤続いたしました消防団員に、三万円ないし七万円の退職報償金を支給することに、国の制度として確立いたしておるのでございますが、進行中でございます。  お話の出ました生存者叙勲でございますが、ごく少数は生存者叙勲の対象になりましたが、私ども消防団員が生存者叙勲の対象としては最もなじむのではないかというふうにも考えておりまして、今後、この叙勲の申請、実現というものについて、もっと努力いたさなければならないと思っております。  殉職いたしました祭祀の靖国神社のお話につきましては、今後、真剣に検討さしていただきます。  御指摘のように、消防団員はいろいろな面におきまして、物的な処遇の改善もいたさなければならないことはもちろんでございまして、私どもの仕事でございますが、しかし、基本は、郷土を守るという自治消防の精神であるわけでございまして、その点につきまして、さらに消防の真の精神というものを高揚するといいますか、士気の高揚にわれわれともに努力しなければならない。御承知でございますが、年間平均四十人の殉職者を出しております。こういう団体は絶対数が多いからといえばそれまででございますが、ともかく、他に類のない団体だというふうに、私どもはプライドを持っております。したがって、その気持ちは、郷土を守るという気持らを生かし——なお言い落としましたが、殉職者に対する賞じゅつ金制度もできておりますので、さような点につきましても、十分レベルアップをはかっていきたい、かように考えております。
  105. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 いま消防庁の次長のお話によれば、福江大火の際に私がいろいろと要望しておったところのものが法律化して、現在、ある程度まで進行しつつあるということは、まことに喜びにたえません。どうか将来一そうこの方面について、予算的その他の方面について力を入れて、そうして郷土は消防団員の力によって安泰に守り抜くのだと、こういうような精神を涵養していただくようにお願いしたいと思うのであります。  次は、消防団員災害補償の問題がどういうふうになっているかということであるのであります。消防団員災害補償であると同時に、消防作業に従事したところの者、また救助業務に協力したところの者に対しても、相当の損害補償をやるべきだと私は主張しておいたのであります。この点についても、着々と政府は改善の歩を進めておられるということを承ったのでありますが、具体的にはどういうふうな程度まで現在進んでいるのであるか、その現況を承りたいと思うのであります。
  106. 川合武

    政府委員川合武君) 消防団員災害補償につきましては、公務災害補償の基準法律によりまして、先ほどちょっこ触れましたのでございますが、大体現在の基準は、警察官のレベルと似た、ほとんど並行するような姿で災害補償を行なっております。これももっとも、二、三年前までは非常に不十分でございまして、自動車の損害保険のほうが、死んだ場合多いのでございまして、火事場ではりが落っこって死んだ場合よりも、かえって、帰りに引き揚げる途中で自動車が倒れて死んだほうが多いというような冗談みたいな話でございますが、事実そういうことでございまして、非常に申しわけなかったのでございますが、これは直りまして、ただいまのところへまいりました。ところが、自動車損害保険のほうがまた最近上げてまいっておりますので、これはやはり先ほど申しましたように、警察あるいは海上保安と連絡を十分密にしまして、レベルアップをいたしたいと思っております。  額を申しますと、補償につきましては、療養補償、休業補償、障害補償、遺族補償、葬祭補償等ございますが、基準額は、最低七百円から最高千二百十円でございまして、一例を、死んだ場合を基準額で換算いたしますと、最低七十万から最高百二十一万という数字でございます。  なお、お話に出ました消防、あるいは水防その他災害に協力した一般の民間人の問題でございますが、これも法律を改正いたしまして、便宜消防団とともに公務災害——私ども関係の公務災害補償責任共済基金法の中でやるのが一番便宜的であろうということから、一般の民間の災害に協力された方の場合の補償もこの体系に入れまして、一例を申し上げますと、協力者がなくなった場合は、最低七十万から最高百万まででございますが、その範囲内でお報いするという制度にいたしておるわけでございます。今後もこれにつきましては、改善をはかっていきたいと思っております。
  107. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 この前の委員会では、消防団員であって、この共済基金に町村財政上の関係から加入していないから恩典に浴することができない者があるというようなことを聞いたのでありますが、現在そういうようなことがあるかどうか。またさっきお話があった自動車損害賠償補償金が、五十万円が百万円になった以上は、消防関係のほうもこれにつり合うだけに、百万円まで増加すべきであると思うのでありますが、この点については、さっきお話があったけれども、さらに重ねてお尋ねいたします。
  108. 川合武

    政府委員川合武君) 消防団員の公務災害補償が町村財政の関係から行き届かない町村があるのではないかという御質問でございますが、現在私どもも十分調べまして、そのために不十分であるという、十分なことをやってないという町村はございません。全部私ども法律、政令にきめられました基準どおりの公務災害補償を現在ではやっております。ただ国で一本にいたしました基金に加入してない町村が若干ございます。かような町村は、これはまあなるべくといいますか、極力といいますか、もっと強く私どもの基金へ加入しまして、全国歩調をそろえるべきだということで指導いたしております。と申しますのは、お察しのように災害が突発しまして、大災害が起きましたときに、基金プールの形をとっておりませんと、心ならずも不十分な補償しかできないとか、あるいは時期がおくれるというおそれがございますので、さようなことのないような措置を今後いたしたいと思っております。漸次基金に加入してそろってきつつございます。さような状況でございます。  なお自動車損害補償との関係は、先ほども申し上げましたですが、自動車の損害補償のほうは額を上げましたので、まあこれを上げなくても私どももレベル・アップしなければならないのですが、上げましたので、早急に内容の改善向上をしなければならないと思っております。
  109. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は、消防の常備化の問題であります。消防は常設消防にすべきであるのでありますが、それができない場合においては、適当な処置を講じなくちゃいけない。また北海道大火も、吉田委員お話しになったように、設備の器械が悪かったからであるのであります。これも強化していかなければならない。しかるに、政府部内においては補助金等合理化審議会というものがあって、これで補助金の整理を、どのくらいに整理をやるかまだわからないのでありますが、おそらくそういうような場合においては、消防器具の補助金があるいは対象になるかもしれないというようなことで心配しておるのであります。しかしながら、さっきから申し上げるように、消防団員は身命を賭して人命及び財産の保護に当たっておる、そのためには器械が必要であるということであれば、この器械というものは、町村の現在の財政状態では整備を完全にすることができないのであるから、ある程度の補助金はせなくちゃできない、こういうふうな考えを持っておるのであります。また山火事であるとか、大きなところの火事があったならば、現在の消防の器械では消火ができないのであります。でありますから、現在害虫駆除その他においてもヘリコプターが利用されておるのでありますから、今後大火が起こった場合においては、現在の器械ではなくして、そういうようなヘリコプターその他で消火して拡大しないようにしむけていくべきであると考えておるのでありますが、政府ではヘリコプターその他の消火というようなことも検討しておられるかどうか、お尋ねをしたいと思うのであります。
  110. 川合武

    政府委員川合武君) 消防の常設化、消防本部署、要しますに役所の消防の機関でございますが、これは従来は本部署を置きましても、あるいは消防団を置きましても、どちらでもその市町村の任意であるという法律のたてまえになっておりましたが、消防組織法の改正を昨年の通常国会でしていただきまして、本年の四月から四百八十六の市町村、大体集中人口といいますか、連檐地域といいますか、町中が一万以上の人口を持った町、そのうちから漸次——これは財源措置の問題も実はございますし、漸次やっていくという考え方で、とりあえずただいま申しました四百八十六の市町村を指定いたしまして、いま言いました集中人口一万と、大体人口三万五千、そのほかは特別な町でございます。特殊なややこしい構造を持った町というものを今後この政令で指定する、消防本部署の設置を義務づけるといいますか、設置をせねばならぬという町の指定をふやしていきまして、これは交付税措置に主としてなりますが、財源措置を十分していくようにいたしております。本年も相当指定になります。さようにいたしてまいりまして、消防の常設化、消防団の充実と並行いたしましてと申しますか、常設化について十分やっていくつもりでございます。しかし、その場合にお話しのように施設の補助、施設のそれを力づけますために、発展させますために、施設の補助が必要でございますが、補助金合理化審議会の答申によりますと、まあ交付税だけでやっていけばいいという考え方の仲間に消防は入っております。  私どものいまの消防施設のポンプの現状ですが、全国を見まして、消防力基準から見ますと、私どもが勧告しました一つのめどからいたしますと、まだ全国を平均しますと、五〇%ちょっと上回った程度であります。したがって、こういうときに国の補助というものにつきまして、消極的な考えをされますことは因りますし、困るといいますか、絶対反対でございます。また先ほどお話が出ました中でいろいろ御指摘ございますように、今度の北海道大火のような問題もございますし、またいろいろ町の産業構造といいますか、町の構造が変わってまいりますし、複雑化してきまして、そういうものに対するいろいろな補助というようなことも考えねばならないということで、これはひとつがんばって、その補助金合理化審議会の答申の補助の廃止なんということははねつけていくつもりでおりまして、またひとつ半委員会でもよろしくお願いしたいと思っております。  それから山火事でありますが、山火事もこれは案外多い損害でございまして、国の財産としましても相当な損害のあるものでございまして、わりあいにどうも申しわけないのですが、この点実はおくれておりまして、非常な原始的な方法でいま消しております。われわれもそれ以外に方法がないんだなんというふうに実は安易な考え方でおりましたが、最近はアメリカなんかの例を見ましても、またヨーロッパなんかでも、お話のようにヘリコプターで薬剤で消火しておるということを聞きまして、これはなまけていてはいけないということで、いまお話しのように、空中から散布する方法を私ども消防研究所で研究しております。これは山火事というよりも、実は関東大震災級の地震が来た場合に、現在の状況では消防はお手あげということになっております。お手あげといっているだけじゃいけませんので、一つの特別な消火薬剤によりまして、相当な金がかかりますけれども、いざというときにはこれを横合いから、あるいは上から落としまして、一つの爆薬といいますか、爆薬というとおかしいですが、爆発します特殊の容器に入れた消火薬剤ですが、それをぶち込んで消す方法というものを消防研究所で、ことしから予算がつきましてやり出しました。おそまきですが、やり出しました。これは山火事にも使えるわけでございますので、あわせて研究のピッチをあげていきたいと思っております。
  111. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 いま消防庁次長の話を聞いてみるというと、本委員会で決議し、その結果に基づいて消防法の改正をやり、その他の事項についても着々整備させられつつあるということは幸いと思っております。何といっても私どもの財産を消滅させるのは火災その他であります。これをなくなすためには消防団員の活動によらなくちゃできないのでありますから、いま私が質問し、また次長が答弁せられた趣旨に基づいて、今後一そう明年度の予算化、法律の改正化に向かって邁進せられるように私は要望いたしまして、私の質問を終わります。
  112. 小平芳平

    委員長小平芳平君) ほかに御質疑もございませんようですから、本件につきましては本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十五分散会      —————・—————