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1964-09-29 第46回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年九月二十九日(火曜日)    午前十時四十七分開会   ―――――――――――――    委員の異動  八月十五日   辞任      補欠選任    山本 利壽君  村山 道雄君  九月十九日   辞任      補欠選任    重政 庸徳君  小林 篤一君  九月二十九日   辞任      補欠選任    佐野  廣君  森部 隆輔君    坪山 徳弥君  久保 勘一君   ―――――――――――――  出席者は左のとおり。    委員長     小平 芳平君    理事            稲浦 鹿藏君            藤野 繁雄君            矢山 有作君    委員            北口 龍徳君            久保 勘一君            小林 篤一君            小柳 牧衞君            林田 正治君            森 八三一君            森部 隆輔君            久保  等君            吉田忠三郎君            渡辺 勘吉君   事務局側    常任委員会専門    員       鈴木  武君   説明員    内閣官房内閣審    議室長     松永  勇君    警察庁警備局警    備第二課長   後藤 信義君    大蔵政務次官  鍋島 直紹君    農林政務次官  舘林三喜男君    農林大臣官房長 中西 一郎君    運輸大臣官房審    議官      中野  大君    気象庁予報部長 日下部文雄君    建設省都市局区    画整理課長   葛生 新一君    建設省河川局長 上田  稔君    建設省住宅局住    宅総務課長   石川 邦夫君    自治大臣官房長 松島 五郎君    自治省財政局長 柴田  護君    消防庁予防課長 伊規須徳博君    日本国有鉄道運    転局長     林  武次君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査台風二  十号による被害状況に関する件)  (北海道における異常低温九州・  四国における干害に関する件)  (昭和三十九年七月山陰・北陸地方  の豪雨による災害対策に関する件)  (新潟地震による災害対策に関する  件)   ―――――――――――――
  2. 小平芳平

    委員長小平芳平君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員の変更について御報告いたします。  去る八月十五日、山本利壽君が辞任され、その補欠として村山道雄君が選任されました。  九月十九日、重政庸徳君が辞任され、小林篤一君が選任されました。   ―――――――――――――
  3. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 災害対策樹立に関する件を議題といたします。  まず、台風二十号による被害状況について説明を願います。警察庁から初めにお願いいたします。
  4. 後藤信義

    説明員後藤信義君) 九月二十一日南方洋上に発生いたしました台風二十号は、北上を続けまして、九月二十四日午後五時ごろ、中心気圧九百三十ミリバール、中心付近最大風速四十五メートル、半径百三十キロ以内では風速二十五メートル、六百キロ以内では風速十五メートルという規模で鹿児島県の大隅半島に上陸いたしましたが、その後、日向灘を経まして、二十五日午前一時ごろには愛媛県宇和島に上陸、瀬戸内海を進みまして、姫路市北方から本州を横断して、午前九時ごろ金沢の西方約三十キロの日本海に出まして、逐次勢力を弱めながら北陸沿岸沿いに北東に進み、さらに東北地方を横断しまして、午後二時ごろに岩手県大船渡市付近三陸沖に去ったものであります。この台風通過に伴いまして、九州をはじめといたしまして、四国本州のほぼ全域が暴風雨に見舞われまして、そのために各地に甚大な被害を引き起こしておるのであります。  被害状況につきましては、お手元資料が差し上げてございますが、死者全国で四十七名でございます。行くえ不明が四名、負傷者が四百八十名でございました。  それから建物被害では、全壊いたしましたものが二千百八十六棟、半壊いたしましたものが四千九百五十棟でございます。なお流失いたしましたもの、これが八十二棟でございます。それから浸水関係では、床上まで浸水いたしましたものが八千八百一棟、床下浸水が三万四千八百九十三棟、なお、一部破損、これは四万一千六十六棟となっております。それから、なおそのほか、住家以外の納屋等被害も一万三千五百九棟出しております。  田畑の冠水、流失埋没等かなり出ております。  道路損壊橋梁流失、あるいは堤防の決壊、山くずれ、がけくずれ等もかなり出ております。  それから、これらによります罹災世帯数は二万二千七百五十三世帯罹災者は、これはお手元に差し上げました刷りものの数字がミスプリントがございますので、御訂正をお願いいたしますが、罹災者数合計が四万四千十九とありますが、これは八万四千十九の間違いでございます。  なお、私どものほうでこの罹災者として掲上いたしましたのは、建物で申しますと半壊以上のものを掲上いたしておりますので、一部損壊等部分につきましては掲上してございませんので、他の省庁との統計のとり方で若干の食い違いがあるかと思います。  死者が四十七名出ておるわけでございますが、これは二十五日に兵庫県洲本市におきまして、建物倒壊いたしまして三名死亡いたしましたのをはじめ、兵庫県において七名、鹿児島において六名、徳島におきまして五名というのを主といたしまして、各地死者が出ました。合計四十七名に及んだのでございますが、その原因はいずれも、強風によりまして建物倒壊いたしましたその下敷きになりましたり、あるいは強風によりまして川に転落して溺死した者が大部分でございます。  それから全半壊のほうは、これまた強風によるものがほとんどでございまして、鹿児島を第一といたしまして、以下高知宮崎の順になっております。  それから浸水は、兵庫県及び大阪府においてかなり多く出ましたほか、大分宮崎愛媛高知等かなり被害が出ておるようでございますが、これらはいずれも高潮によるものがその大部分でございます。  なお、特異な災害といたしましては、神奈川県の横須賀市におきまして、二十五日の午前十一時過ぎに、常葉台中学校の校舎の屋根がわら二十坪、窓ガラス約二十枚が風のため破損いたしまして、授業中の生徒約二十名が負傷するという事故が起こっております。それからなお、やはり同じ日九月二十五日に、兵庫県の神戸市東灘区御影町の沖合いに停泊中のインドネシアの船が転覆いたしまして、乗組員を警察のほうで救助をいたしておるという事案がございました。  以上のような被害状況でございます。
  5. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 次に、農林省から御説明願います。
  6. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 台風二十号によります農林水産関係被害の概況を御説明申し上げます。  マリアナ諸島の西側にあった低気圧がだんだん発達いたしまして、初めのうちは、その速度がわりにゆるやかであったわけですが、小笠原辺から急にスピードを増すというような経路をとりまして、九州、中国、四国近畿北陸東北府県に、それぞれ相当被害を与えております。  九月二十八日までに各府県から報告がありましたところによりますと、全部合計しますと、施設関係で約四十三億円、農林水産物関係で約二百九十億円、合計いたしますと三百三十数億円というふうになっております。地域別に見ますと、九州四国近畿東海等の各府県被害が大きくございます。  また、種類にて申しますと、ちょうど収穫期にありましたといいますか、出穂後二十日前後のものが多かったという関係で、水陸稲の倒伏――倒れたもの、悦粒――粒が落ちたものなど、農作物の被害相当甚大でございます。全体の被害額の八五%というふうに、この県からの報告では相なるわけでございます。  さっそく統計調査部の機構を動員いたしまして、現存、被害の実態を鋭意調査いたしております。諸対策準備もあわせて考えておりますが、天災融資法等一連対策をできるだけ早く講じたいということで調査も急いで結論を出したい、かように思っておる次第でございます。  以上でございます。
  7. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 次に、建設省からお願いいたします。
  8. 上田稔

    説明員上田稔君) 台風二十号による被害状況を御報告いたします。  ここにパンフレットが配ってございますが、今回の台風は、先ほど警察庁が御説明になりましたが、その特徴といたしましては、非常に全国的に被害が及んだということでございます。そうして上陸後も勢力が衰えず、被害が非常に中部まで及んでまいりましたということが一つの特徴でございます。それから風が非常に強かったということ。それから、雨のほうはそれほど多くはなかったのでございますけれども、短時間に局部的に降って、それによる影響がやはり全国的に及んでおるということでございます。  建設省関係の総被害額は、そこのお手元にございますように約百九億でございます。  それで、出水状況を申し上げますと、直轄河川が、警戒水位を突破いたしましたものが二十四河川ございます。そのうちで相当多く出ましたのが木曽川九州大分県の大野川、その他も警戒水位をいずれも突破いたしておるのが二十四河川ございます。  それで、直轄河川のほうでは、木曽川がやはり大きくやられまして、これは護岸災害でございますが、護岸とか水制とか根固め、これが三億五千万円被害が出ております。  それから岡山県の吉井川、これがやはり護岸、根固め、堤防が少し決壊いたしておりますが、合わせまして二億五千万円。  それから直轄海岸では東播海岸、これは兵庫県でございますが、これが明石の少し束のところでございますが、この付近が非常に波で洗われまして、そうして護岸がこわれて家屋のほうに影響を及ぼしております。それであとで申し上げますが、緊急復旧費を支出しております。  それから砂防でございますが、砂防は三河川。  道路のほうは八路線に及んでおります。一番大きかったのは、大分県の別府――大分間の別大道路でございますが、これは歩道がこわれて一時交通不通に相なりました。  それから補助関係では、一番大きく被害を受けましたのが長野県で十五億でございます。これは天龍川の支川の大田切とか与田切、ああいったような急流で相当水量の多い川、こういうものが相当被害を受けております。それから第二番目は、やはり鹿児島でございまして、これが十一億でございます。これは海岸相当やられております。第三番目は宮崎、これは大淀川、清武川、それから日南海岸、そういったようなところがやられております。四番目は岡山県で約五億五下万、これはやはり吉井川、旭川、そういったようなところでございます。三番目のところで抜かしましたが、高知県がございます。これが五億五千万、やはり仁淀川とか渡川。それから、その次に大きいのが山梨県で、 これが四億六千万、富士川、芦川等でございます。それから次が大分県でございまして、やはり四億六千万、これが先ほど言いました大分川、大野川であります。そういったところが被害を受けております。  それから都市災害といたしましては、愛媛県の公園であるとか、それから大阪の岸和田市の公共下水道、そういったものがやられております。  こういうふうな被害を受けましたので、直轄災害といたしましては、先ほど申し上げましたように、東播海岸護岸復旧、ほっておくわけにいきませんので、すぐに応急復旧を実施するように緊急復旧費を支出いたしました。  それから、その他のところにつきましては、現地準備完了次第に、すみやかに査定を行ないまして、早急に予備費を支出いたすように考えております。  それから補助につきましては、補助災害は各県ございますが、県に対しましては、最も激甚であった長野県に対して災害査定官を出しまして、鹿児島県及び宮崎県に対しては調査官を差し向けました。そうして災害状況調査並びに応急復旧の指導に当たらせております。  それから、そのほかの県に対しましては、準備完了次第、本査定を行なっていきたいと思っております。もしどうしても本査定が待てないほど急ぐ場合には、工法協議を行ないまして、そうしてすぐに復旧工事にかかっていただいて、工事の施行に支障のないようにいたしたい、こういうふうに考えております。  都市災害につきましては、現地準備完了次第に査定を行ないまして、早急に予備費の支出をお願いをしたい、こういうふうに考えております。  住宅災害につきましては、これは住宅金融公庫より災害復興住宅貸し付け資金及び個人住宅災害特別貸し付けを行なう予定でございます。また、事業主体の希望により、災害公営住宅建設を行なわせる予定でございます。  以上で建設省関係の御報告を終わります。
  9. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 最後に、国鉄関係被害について、運輸省並び国鉄から御説明願います。
  10. 中野大

    説明員中野大君) 運輸省所管事項の中で台風二十号によります被害状況並びに復旧措置をとりまとめましたのを御報告申し上げます。  その前に、運輸省の外局としまして気象庁がございまして、気象庁で、台風概要並びに特徴につきまして、この青刷りで横書きで二十枚ばかり刷ったのがございますが、概要につきましては、各省庁からもすでにお話ございましたので、特に三枚目にございますような、特徴について簡単に申し上げます。  今度のこの気象は、九百ミリバール以下の台風でございますが、いままで九百ミリバール以下となるような強烈な台風は、三十個に一個ぐらいしか発生いたしてございません。今度の台風も、昭和二十五平以来九百ミリバール以下となったものの第十五番目でございまして、既往では狩野川、伊勢湾、第二室戸台風といったようなものがございます。それから九月下旬のものとしましては、西に寄り過ぎておりましたし、風が強うございましたので、神戸大阪では高潮がございました。また、雨はわりあい少のうございました。速度は、内地通過中の進行が非常に早うございまして、神戸大阪あたりでは七十キロぐらいの速さでございましたが、その通過後は八十キロというような特急並み速度でございました。  その他いろいろこまかい数字がございますが、これはお手元資料にございますので、御拝見願いたいと思います。  そこで、運輸省所管関係で、二十号の被害状況並びに復旧措置概要でございますが、運輸省関係としましては、鉄道関係港湾関係船舶関係航空関係ございまして、大体全部で現在被害額としてとりまとめましたのが、約三十七億から三十億程度でございますが、なお調査中でございますので、まだふえるかもわからないと思っております。  そこで、まず鉄道関係国鉄私鉄関係でございますが、国鉄関係はお手元資料にございますように、約十二億ぐらい、九州の日豊、鹿児島線から山陽線東海道線裏縦貫線中央線常磐東北線並び東京付近の各列車はいずれも運転休止または遅延しましたが、その被害は二十九線区、五十四カ所に及んでおります。大半は二十五日に復旧いたしまして、最後は二十六日中には全部開通いたしてございます。なお、これの詳細につきましては、後ほど国鉄から詳しく説明する予定でございます。  次に、私鉄でございますが、私鉄被害額は三千二百四十五万円ということでございまして、九州四国近畿中部関東並び東北各地方の私鉄各社列車運転状況かなり乱れまして、大体全国で五十社の各線区道床流失建物破損通信線断線等被害を受けましたが、二十五日にはほとんど復旧開通しておりまして、現在、福島交通橋梁流失のために不通でございまして、目下開通見込み調査中でございます。これは軌道線でございますので、県道の関係もございまして、そちらのほうとの打ち合わせをいたしておる次第でございます。  それから港湾関係は十四億ばかりの被害でございまして、現在までに判明しました被害は、鹿児島県等一府十八県百四十八港の三百三十三カ所に及んでおりまして、防波堤、護岸物揚げ場桟橋等港湾施設被害を生じてございます。これの復旧につきましては、緊急に災害査定を行ないまして、必要に応じましては、応急措置を講じる等、災害復旧につとめる予定でございます。  次に、船舶関係といたしましては、南九州、阪神、その他の地区におきまして、汽船三十八隻、機帆船六十一隻、漁船二百四十隻、その他八十五隻、全部で四百二十四隻が沈没、乗り揚げ、破損流失、行くえ不明、その他の被害を受けてございます。特に神戸港、大阪港並びに鹿児島港におきましては、停泊中の、先ほども報告ございましたように、インドネシア船等外国汽船乗り揚げ等による被害が目立ってございます。また、灯台、導灯灯浮標等航路標識が三十一件被害ございました。海上保安庁としましては、台風の接近に伴いまして、さっそく各管区本部は逐次非常配備を発令いたしまして、巡視船艇、航空機により船舶遭難の防止につとめ、英国汽船オリエンタル号をはじめ、六隻、八十九名の救助を行ないました。  次に、航空関係でございますが、被害は約三百六十万ぐらいございまして、台風によりまして、二十四日、二十五日にかけまして、九州四国大阪名古屋方面向けはいずれも運航休止となったわけでございます。また、大阪宮崎鹿児島高知、高松、大分名古屋、八尾、屋久島、種子島等の各空港の施設に若干の被害がございましたほか、九州奄美大島方面通信回線が途絶した状況でございます。  以上、運輸省関係の御報告を終わります。
  11. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 御苦労さまでした。  次に、国鉄からお願いいたします。
  12. 林武次

    説明員林武次君) ただいま運輸省から御説明がございました国鉄被害状況につきまして、やや詳しく申し上げたいと思います。お手元に「台風二十号による国鉄被害状況について」という資料がございますので、これについて簡単に御説明いたしたいと思います。  先ほど来お話がございましたように、今回の台風が非常に風が強かった関係もございまして、列車運転安全のために、かなり列車運転休止をいたしております。一ページ、二ページ、三ページを省略しまして、四ページから六ページにかけまして、各線区被害発生日時開通状況が書いてございますが、大部分線路土砂崩壊あるいは道床流失電柱倒壊傾斜等のためでございますが、古江線中央線を除きまして他は全部二十五日中に開通いたしております。なお、古江線中央線も二十六日には開通いたしました。  それから六ページに建物関係がございますが、全国で七千百件の件数の被害がございます。  それから七ページに電気関係被害状況がございますが、主たるものは電柱倒壊傾斜、電線の断線その他でございます。  で、列車運転状況でございますが、まず、東海道山陽線関係でございますが、朝の四時ごろから非常に風が強うなりまして、岡山――名古屋間にわたりまして列車運転休止いたしましたが、十三時過ぎには開通いたしております。また、藤枝――東京間も強風のために、十時過ぎから十三時ごろまで列車運転を見合わせております。九州につきましても、日豊線、鹿児島線等で、かなり列車運転休止をいたしました。  それから裏縦貫線につきましては、二十五日の十時ごろから、福井付近強風のため約三十分、それから名立から長岡の間は十二時半から一時間、いずれも列車はやめております。それで裏縦貫線では、特急の「白鳥」が途中までで運転を取りやめました。  中央線は、朝の七時から十時半ごろまで、また、新宿――甲府間が十一時から約五十分間、強風のため運転を見合わせております。  東北常磐線は、二十五日の十一時二十分から十三時過ぎまで宇都宮――白河間、引き続きまして十三時十五分から十五時ごろまで白河――郡山間、また、常磐の藤代――水戸間が十三時三十分ごろまで運転をやめました。  それから東京付近は、通勤列車を一部十一時からやめておりましたが、十二時前後には開通をいたしております。総武線は、送電故障のために復旧がおくれまして、十五時四十分ごろに開通をいたしております。  以上で、全国にわたりまして旅客列車六百三十三本、貨物四百四十本、合計約千本を運転休止をいたしておりますが、このほかに、東京大阪付近一般電車で約千本の運転をやめております。  一番最後の折り込みの表に、台風の進路と、バッテンじるしがしてございますのが、線路不通区間でございます。  先ほど来運輸省からお話もございましたように、国鉄関係被害総額は約十二億でございます。  以上でございます。
  13. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 御苦労さまでした。  それでは、ただいまの御報告につきまして、御質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。
  14. 矢山有作

    矢山有作君 私は実は岡山のほうでいまいろいろ問題がありますので、ちょっと帰っておりました関係で、詳しく個々の問題について立ち入っては、あらためてまた十分こちらのほうも調査をした上でお聞かせを願いたいと思いますが、きょう一つ申し上げておきたいと思いますのは、いつの災害対策委員会のときにも、大臣に対する出席要求というのは常に繰り返してきておるはずです。ところが、どういう忙しい用事があるのか知りませんが、こうして見るというと、各省、大臣は一人も出てきておらぬ。しかも、傍聴者陳情者はこんなにたくさん見えておる。このことは、一般の国民にとって災害がどれだけ大きな生活上の脅威になっておるか、生命財産に大きな被害を与えておるかということを如実に反映しておるにもかかわらず、それに取り組む政府の態度はなっておらぬ、このことを私は証明しておると思う。どういう理由大臣がきょう出席できないのか、各関係省から、それぞれ、大臣の出席できぬ理由説明してもらいたい。なお、大臣が出席しておらないで、しかも政務次官すら出席しておらないところがある。その理由もあわせて聞いておきたい。そうしないと、災害は毎年何べんか繰り返してくるんだ、災害なんかというものは毎年の年中行肝だからというぐらいに、気安く考えるかもしれぬと思う。これでは、災害に対する抜本的な対策というものは、私は、現在の政府なり与党では立たぬと思う。したがって、私が最初申し上げた、大臣が出席できぬ理由、さらに、それが公務のため万やむを得ないとするならば、政務次官の出席できぬ理由、それを明確にしてもらいたい。
  15. 鍋島直紹

    説明員鍋島直紹君) 私の大蔵省関係から申し上げます。  御承知のとおり、ただいま補正予算関係その他非常に重要な問題を控えておりまして、大臣がそのほうに没頭をいたしております。そういう次第もございまして、私、政務次官でございますが、かわりに出ていくようにという命令をもってまいりましたので、何とか御了承を得たいと思います。
  16. 舘林三喜男

    説明員舘林三喜男君) 農林省といたしましては、ただいままで、休会中の委員会には、大臣あるいは私が交代で、あるいは、そのときの都合によりまして、いずれか必ず出るということで今日までまいっておることを御了承願いたいと思います。  なお、大田は今日、日韓問題の重要ないろいろの陳情等を受けておりまして、私、きょうはかわりましてやってきた次第でございます。
  17. 上田稔

    説明員上田稔君) 建設大臣徳島のほうへ出張をいたしておりまして、きょうはお帰りになって、閣議にはお出になっておると思うのでございますが、そういう関係で、私にかわって出てまいれ、御説明に上がれということでございましたので、さよう御了承を願います。
  18. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 次官はどうした、次官は。
  19. 上田稔

    説明員上田稔君) 政務次官はきょうは……。
  20. 矢山有作

    矢山有作君 閣議に出ておるのに、どうして出てこれない、委員会に。
  21. 上田稔

    説明員上田稔君) 政務次官は、ちょっといま調べておりますが……。
  22. 矢山有作

    矢山有作君 委員長のほうからちゃんと要求をしてあるはずだぞ。
  23. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 だから、災害というのは人災だといわれるんだよ、そういうたるんだ態度だから。
  24. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 自治省は。
  25. 矢山有作

    矢山有作君 自治省はどうした。自治省はおらぬのか。自治省は、災害に対して直接的な非常に重大な関係があるじゃろ。それが課長補佐しか来ておらぬとは何事だ。大臣政務次官呼んでこいよ。
  26. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 総理府は。
  27. 矢山有作

    矢山有作君 いま、与党の議員の皆さんにも明白になったと思う。われわれはいつも、災害対策のときには大臣に出てもらいたい、大臣が公務でやむを得ぬのならば、政務次官に出てもらいたいと、そのことをいつも言っておる。われわれがここで幾ら災害が起こるたんびに、口角あわを飛ばして議論をしてみたところで、こんなで大臣が一つも出席をしない、課長補佐しか出席しておらぬような省もある。そういうような態勢の中で、はたして、われわれが審議する災害委員会のその審議が率直に受け入れられる態勢があるんですか、政府側に。大体、災害を年中行事の一つだと考えてもらったんじゃ困る。今度だって、台風災害、干害の災害、冷害の災害、これだけの災害が重なって、日本の農民なり国民がどれだけ苦しんでおるんですか。そういうことを、委員会に出てきて、野党の委員なり与党の委員なり、文句の言いたいやつに言わせておけばいいんだというふうに考えておるから、こういうことになる。これで審議ができますか。少なくとも災害対策に対して、これこれこうしなきゃならぬという責任を持った答弁ができるのは大臣じゃないですか。あるいは、大臣が出られぬ場合は、大臣と十分の打ち合わせをした政務次官じゃないか。いつの災害委員会もこうだ。おれはあえて、こういうことをきょう言いたくない。しかしながら、毎回これを繰り返しておる。災害対策委員会をなめるのもほどほどにしてもらいたい。災害対策委員会をなめるということは、災害農民をなめるということであり、災害を受けた国民をなめるということになる。これに対して政府側から言いたいことがあったら言ってもらいたい。
  28. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 せっかくの、会議前に、冒頭、被害地の各県のそれぞれの話があって、また、そういう説明をいただいたんですが、いま矢山理事から申されたことは、実際基本の問題だと思うのです。ですから、委員長として再度、各省庁にそういう強い要請をすることにして、その間は、ただいままで報告されました台風二十号について質疑応答をやるか、あるいは、当初、理事会できめたように、その被害報告を終わったあと、北海道の冷湿害についての御報告をする、そのあと、山陰等々ございますね、そういう関係報告をしている間に、また矢山理事の申された趣旨を十分委員長のほうで責任上措置をとっていただく、こういうことで議事を進めるということで、私はそういうことでいいんじゃないか、こういうふうに思うのですがね。
  29. 鍋島直紹

    説明員鍋島直紹君) ただいま政務次官として、農林関係の舘林政務次官と私が出ております。いまお話をしましたのでありますが、ただいまの御発言につきまして、私たち、政府に対しまして、ただいまの御趣旨をできるだけ早くお伝えするとともに、本災害委員会に対しまして、出席――大臣の都合の悪い場合には政務次官が出席をするように、政務次官会議その他にも申し伝えたいと思いますし、なお、大臣にも、それぞれ政府に伝えておきたいと思います。以上のようなことでございますので、御審議は御審議としてひとつお願いを申し上げたい。まあ舘林政務次官と打ち合わせの上、私より御発言申し上げました。
  30. 矢山有作

    矢山有作君 鍋島次官のおっしゃったように、われわれは何も審議を進めまいとしておるんじゃないのです。ただ、これまで災害委員会ではいろいろ審議をやってきた。ところが、何べん審議をやっても、こういうような状態が災害委員会の実態なんだ。しかも、われわれがそこでいかに口角あわを飛ばして議論をしても、出てくる対策というのは毎回同じなんだ。天災融資法とか、自作農維持資金のワクを少しぐらい広げるか、まあそれくらいのものしか出てこない。これでは、日本の災害対策の抜本策というものは立たぬはずだと思う。毎年やっているのですからね。台風も干害も毎年やっておる。冷害――冷害は最近ちょっと少なくなった。台風のごときは毎年だ。そこへ持ってきて新潟のような大地震までくっついてくる。自然災害はそれでいいけれども、さらに産業災害に問題を広げた場合には、災害というものはたいへんなものなんですよ、いま。だから、災害に対する、私どもとしては、総合的な根本的な対策を立てる必要がありはしないか。そういうことになると、そういう問題についての見解は――やはりそれを総括しているのはおそらく総理府だと思う。そういうところからはっきりしたことも聞きたいわけです。そうしたら、そういう責任者が出てきて、毎年毎年同じ答弁の繰り返しと、同じ質問の繰り返しではなしに、もうこの辺でそろそろ人間の知恵を働かして、いかにすれば災害対策の抜本策が立つのかということを考えないと、役人のマンネリズムに振り回されて、政治家という名が恥ずかしくなる。だから私は申し上げておるのです。審議は続けてください。しかし、私の言うことは、私が災害の理事をやっている限り絶対続けますから、きょうだけの発言だと思って済ましてもらいたくないのです。
  31. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ですから、先ほど私が議事進行を兼ねて私の意見を申し上げて、政務次官から政府側を代表しての意見も出されて、矢山理事から、それの見解を述べられて、審議は進めてもらいたい、こういうことですから、ぜひこの際は、当初申し上げたように、理事会できめた方針に従って議事進行していく。その間は、鍋島次官からも申されたように、政府のほうとしても、きょうの委員会の模様を重視して、できれば関係大臣にも出ていただく、さらには、出れないものは次官に出ていただく、ないしは、次官も出席ができない場合は、政府を代行いたす行政機関の省庁の最高責任者に出ていただく。これだけ災害については毎回問題になりますけれども、総理府が所管しておりますものですから、したがって、われわれも長官の出席を前々から要請しておりますが、そういう方々が全部来ないと、当面の応急対策とか、あるいは、その再生産の対策であるとか、あるいは生活の対策であるとか、あるいは、ある程度のこれに関連した諸対策はできたとしても、恒久対策あるいは予防対策をどうするかという問題になると、これはここで議論できなくなってしまう。その意味も兼ねて、ぜひ関係の責任ある総理府長官に出ていただきたい、こういうことの要請を委員長からぜひしてもらう、こういうことを確認して、この委員会は進行させる、こうしていただきたいと思います。
  32. 小平芳平

    委員長小平芳平君) ただいまの御趣旨を、各省庁とも係官がこの会場へ出ておられますので、至急お伝え願いたいと思います。で、いますぐ連絡して、朝のうちは都合の悪かった大臣次官も、もうすでにいまの時間ならば出られるという方もおられると思いますので、至急出席されるようにお取り計らい願いたいと思います。
  33. 小平芳平

    委員長小平芳平君) それでは、台風二十号関係の質疑はあと回しにいたしまして、次に、北海道における異常低温九州四国における干害による被害状況及びその対策について御説明を求めます。
  34. 中西一郎

    説明員中西一郎君) お話のございました北海道の異常低温、それから干ばつについての状況を申し上げます。  まず異常低温でございますが、本年の稲作の期間に入りまして、六月ごろまでは気象は比較的順調に経過しておりました。ところが、七月の上旬、特に八日以降、北極方面からの冷たい高気圧が南下いたしまして、さらに、それが停滞するということで気温が急激に低下して、上旬の気温は、平均で申しまして、平年より三、四度も低いということでございました。さらに、その間、日照時間も少ない。その後、七月の下旬以降八月の中旬ころまで、気温は高かったのでございますが、天気は引き続き悪く日照が少なかったというような状況でございます。さらに、八月の下旬になりまして、それ以降も気温が低下する、日照が不足であるということで、異常天候が引き続いております。本日の情報によりますと、夜間から早朝にかけまして、一部の地域では零度程度の気温を記録しておるようで、異常天候は現在なお続いておるというふうに考えております。  で、これらを総合しまして調査をいたしておるので、ございますけれども、特に申し上げておきたい点は、三十一年の冷害等に比較しまして、八月の下旬から九月の上旬あるいは中旬にかけても、なお低温が続いておるという点でございます。三十一年ではそういう時期の低湿はなかったのでございますけれども、本年は特にあとのほうにおくれて低温が続いておるということになっております。で、耐冷品種等の普及も相当行き届いてはおるのでございますけれども、いま申し上げたような状況のために、水稲では二百億円近い、百五十億円をこえるような被害があるのではないかということを現在予測いたしております。九月十五日現在で最終的な調査を固めたいと思っておる次第です。水稲の被害のほかに、アズキ、大豆、インゲン等につきましても、数十億円に及ぶ被害が予想されております。合わせますと、二百億円をこえるのではないかという心配をいたしておる次第でございます。  それから干ばつの概況でございますが、被害額の総計はまだ出ておりませんけれども、作物の被害のありました面積として、現在、水陸稲について集計いたしたところによりますと、二十三万町歩に及ぶ。したがって、水陸稲被害合計で百億円をこえるのではないかという心配をいたしております。そのほか、畑作物、カンショ、雑穀、豆類、野菜、果樹、工芸作物、あるいは飼肥料作物、桑、茶等にも相当被害があるのではないかということで、調査の集計を急いでおります。九月十五日現在で応急調査を実施いたしておる次第でございます。  それらの作物被害と別に、干ばつの対策としまして、揚水機その他各種の事業のための支出がございます。それらの面積は五十五万町歩をこえておるのではないかと思います。それらのうちで特に従来考えてやっておりました干ばつの補助事業の対象面積は、やはり相当数に及びまして、三十三年度よりも大きく、三十五万町歩をこえるのではないかという予測を現段階でいたしておる次第でございます。それらに対しまして予算上の措置等も、大蔵省と折衝を続けております。できるだけ早い機会に結論を出したいと思っておりますが、従来の補助をいたしてまいりました経過等を参酌して、さらにことしは被害が非常に大きいという実態にも即しまして、早急に結論を出したい、かように考えておる次第でございます。
  35. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 本日の委員辞任について御報告いたします。  本日、佐野廣君、坪山徳弥君が辞任され、その補欠として森部隆輔君久保勘一君が選任されました。
  36. 小平芳平

    委員長小平芳平君) それでは次に、昭和三十九年七月山陰・北陸地方の豪雨による災害対策について御説明を願います。
  37. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 農林省関係の七月の集中豪雨の被害の概況並びにその後講じました施策の重点について御説明申し上げます。  山陰・北陸の豪雨の実態は、われわれのいままで経験しました被害状況と非常に違いまして、特に大きな特徴としまして、山間部で一万数千カ所に及ぶ大きな山くずれ、あるいは小さな山くずれが頻発いたしたことでございます。それらに伴い、農地、農業用施設等にも被害がございましたし、農作物にも同様被害がございました。農作物の関係では全部とりまとめて合計で申し上げますと、五十億円程度の被害があったと考えております。  そこで、その後いろいろな対策をとり進めてまいりまして、天災融資法の発動、あるいは激甚災害法の適用ということをとり進めまして、激甚法の適用は八月の二十八日にいたしております。  先ほど申し上げました危険地帯といいますか、山くずれに伴いまして、家屋の倒壊があり、あるいは、その移転を要するというような要望なり必要が起こりまして、それらについては、特に建設省のほうの住宅資金と私どものほうの自創資金あるいは系統の融資等の総合的な融資対策を講じまして、それぞれ対処いたしておるわけでございます。  自創資金については、まだ結論を得ておりませんけれども、通常の災害の場合よりも手厚く資金量も定めてまいりたい、できれば北陸地震の際の倒壊家屋に対しました程度に手厚く措置いたしたい、こういうことで配慮いたしております。  それから施設関係なり農地の関係あるいは林道、それから共同利用施設なり湛水排除等に関係しましては、八月の十四日に閣議決定をいたしまして、激甚法の適用をいたす、これは八月の十七日に政令公布をいたしておるわけでございます。  それから、さきに申し上げました山くずれ等の個所数が非常に多いということに伴いまして、治山関係の採択基準をもっと緩和できないか、一カ所八十万円というような基準になっているのでございますけれども、その点についての配慮について要望が強くございました。その点につきましては、採択基準自身がすでに古いといいますか、三十五年にきめられたものでございまして、その後の労務費等の高騰などを考えますと、八十万円というのは緊急治山という観点から見ますと、そう大きな工事でなしに、小さなものも包含し得る基準であると考えまして、それは変更はいたしませんでした。ただ、それを変更しないこととあわせまして、山くずれが各所に起こっておりますので、できるだけ関連工事ということで横に包含していく、範囲を広く拾っていくということで、小災害もその中に取り入れていくという配慮をいたしたわけでございます。なお、それでも小災害で独立して補助の対象にならないというような地点も予想されますので、その点につきましては、農林省関係の体系ではございませんが、自治省に申し入れをいたしまして、起債その他の救済措置をしてもらうように、なお継続して折衝いたしておるわけでございます。  なお、災害後の病害虫の発生等についても心配がございます。これらについては、なお県当局といろいろ打ち合わせをしているわけでございますけれども、応急的にはヘリコプター等を出動させまして、病害虫の防除を適期に行なわせたわけでございます。  被害の概況と対策の重点は、以上のとおりでございます。
  38. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 次に、建設省所管についてお願いいたします。
  39. 上田稔

    説明員上田稔君) 建設省関係について御報告申し上げます。  梅雨前線による被害の総額が三百五十四億九千四百万円でございましたが、その及んだ府県は二十七府県でございますが、そのうち九県につきまして緊急査定を実施いたしました。すなわち、新潟県、富山県、石川県、福井県、島根県、鳥取県、宮崎県、鹿児島県、それに福島県でございます。大体府県によっていろいろ緊急査定の総額は違っておりますが、三〇%以上、大体九〇%ぐらいなものを緊急査定を終わっております。そして予備費を要求中でございます。それから本査定は、本年度の災害として北海道と、それから東北北陸、こういうふうに雪で非常に工事に困るところを先に本査定に入っております。  それから砂防関係で、ございますが、石川県と島根県に対しましては、緊急砂防を考えまして、そうして現在、石川県に二千四百万円、島根県に五千七百万円配賦いたしまして工事を実施いたしてもらっております。それから、やはりその両県からの御要望の特殊緊急砂防関係でございますが、これは農林省との関係がございますが、現在のところは、大体その御要望に応じられるものじゃなかろうかというふうに考えております。  それから住宅関係でございますが、住宅局のほうから御説明申しあげます。
  40. 石川邦夫

    説明員(石川邦夫君) 七月の梅雨前線豪雨によります住宅の被害状況対策について御説明申し上げます。  被害の全体の戸数は、全壊、流失半壊合わせまして二千二、三百戸にのぼっておるわけでございますが、これに対する対策といたしましては、厚生省によります応急仮設住宅の建設と、住宅金融公庫の災害復興住宅貸し付け、それから災害公営住宅建設というふうに分かれておるわけでございます。災害公営住宅につきましては、三十九年度に島根県、富山県におきまして約三百戸を建設するということにいたしまして、現在の準備を進めております。四十年度におきましては、約二百戸を建設するということにいたしまして、現在計画を進めております。それから住宅金融公庫の災害復興住宅貸し付けでございますが、現在まで約七千万円ほどの借り入れ申し込みがございまして、すでに貸し付け承認が二千万円程度でございます。これは現在さらにその手続を進めております。  それから激甚災の適用でございますが、特に被害のはなはだしい松江市の旧大野村の区域、出雲市及び加茂町につきましては、激甚災の補助の特例を適用いたしまして、補助率を、災害公営住宅補助率四分の三にするというふうな指定をやっておるわけでございます。
  41. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 最後に、自治省の所管についてお願いいたします。
  42. 柴田護

    説明員(柴田護君) 自治省といたしましては、災害復旧工事その他災害に伴います財政の処理は、事の性質上これからになるわけでございまして、七月災害につきましては、とりあえず地方団体の財政状況を見まして、地方交付税の繰り上げ交付をいたしまして、七月二十七日に富山、石川、島根の三県に対しまして十二億七千万円、新潟、富山、石川、福井、島根の六県の市町村に対しまして十億五千万円、合計二十三億二千万円の地方交付税の繰り上げ交付をいたしております。
  43. 小平芳平

    委員長小平芳平君) それでは、御質疑のおありのお方は、順次、御発言願います。
  44. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ただいままでに台風二十号の災害の概況、さらには、北海道の異常冷湿害についての概況等々の、それぞれの政府側から御説明がございました。私は、この際、それぞれ若干の質問を行ないたいと考えます。  ただ、冒頭に、わが党の矢山理事から申されましたように、本日ただいまのところ、関係大臣の出席が一人もございません。次官も二名程度よりおりませんし、さらには、災害の最高の衝に当たる総理府の関係の責任者がお見えになっていませんので、私の質問に対して、政府が責任を持って、ないしは、政治的に取り扱わなければならぬ点が多々あると思いますが、こういう点について一体、的確に、しかも、災害を受けた人々の胸にこたえられるような答弁ができるかどうか、私はきわめてこの点疑問だと思いますけれども、そういう関係の部面につきましては、あとあと私は本委員会において、責任ある関係大臣あるいは次官、総理府の長官に出席を求めて答弁をしていただきたいことを申し添えまして、質問に入りたいと思います。  二十号台風災害につきましても、冒頭、関係の県の方々が陳情をいたしました。その陳情にもございましたように、「台風銀座」というような表現が使われましたが、まさに私どもは、今度の二十号台風災害地帯というのは、つまり、常襲地帯と称されるところだと思うのであります。したがいまして、毎年毎年この災害をこうむっておるのであります。このことが毎度かく本委員会におきましても論じられているところでありますが、連年災害をこうむっておるのでおります。したがって、これが対策として、従前からは第一に応急対策をとってまいったはずであります。今日の政府のやり方というのは、この応急対策より私はしていない、こう言っても過言じゃないと思いますけれども、応急対策に力点を置いてきたと思うのであります。この応急対策につきましては、御承知のように、一昨々年の本委員会で成立を見、国会で法律として成立をいたしました、第一に、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律を適用していただきたい、こういう願いは、それぞれ被害を受けた地域の関係の方々は持っていると思うのであります。したがって、こういう問題について、政府がそれぞれ政令をもって基準をきめていますけれども、こういう基準についても、ただ今日的には問題があろう、とりわけ、今日的に考えてみれば、各災害が続発をしておる、こういう事柄と、一昨々年それぞれ法律ができましたけれども、この法律が現状に適合するかどうかということになりますというと、かなり問題があろうと思うのであります。したがいまして、臨時国会は目先にきておりますから、この際、私は抜本的に災害の基本法をつくる必要があろうと思う。そこで、私はこの際、担当の関係省庁に伺っておきますけれども、臨時国会に、それぞれ法律に示す基準、その基準による適用が、不合理、不均衡になっておりますから、こういう面もあわせて法改正をする意図があるかないか、まずこれが一つであります。  それから次に、これまた災害のつど出てくる問題でございますが、天災法を適用していただきたい、あるいは、自創資金の災害ワクをふやしていただきたい等々の問題が出てまいります。いずれも私は災害時における応急措置としての金融対策だと思うのであります。さらには、再生産の対策をどうするか、この問題については、毎度のことながら、種子をどうするのか、あるいは家畜飼料をどうするのか、肥料をどうするのか等々の事柄だと思うのであります。これらは、今日のそれぞれの関係法律の中において、しかも、政府は、毎度われわれこの委員会で問題にしていますが、政令を出す際、それぞれの基準を示していますけれども、この基準の示し方にも問題がございますが、私は今日の段階ではやむを得ないとしても、問題は、毎回それぞれ議論いたし、委員会としても強い要請をいたしております恒久対策に私は問題が残されていると思うのであります。一体、政府が今日的な段階で具体的にどのような災害を防ぐための恒久対策を打っておるか、これを明らかにしていただきたい。とりわけ、恒久対策の中の一環である予防対策をどう考えておるのか、この際、私は責任ある答弁をしていただきたいことを申し上げまして、第一回目の質問を終わります。
  45. 舘林三喜男

    説明員舘林三喜男君) 農林省関係対策につきまして、お答え申し上げます。  災害基本法というような内容のものを……。
  46. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 農林省というような局部的でなくて、基本の問題を聞いておるのですから、総理府にひとつ答弁していただきたい。私は農林省とか自治省とか、あるいは大蔵省ということを聞いているわけじゃないのです。基本の問題を聞いているわけですからね。
  47. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 総理府から答弁願います。
  48. 松永勇

    説明員(松永勇君) 御承知のように、災害に対しまして、恒久的な措置を講じなければならないということが、ずいぶん久しい前から国会において論議され、その結実として、災害対策基本法というものが制定されております。で、災害対策基本法に基づきまして、政府災害対策基本計画をつくるようにということが示され、その基本計画は、昨年の六月だったと思いますが、政府として決定し、それを国会にも報告した次第でございます。現在、各省におかれましては、その基本計画の線に沿って、恒久対策あるいは応急対策、予防措置等を講じていっているという状況にございます。
  49. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 基本法なるものは、私がいま申し上げておるように、十分承知をしている。そこで、この基本法から出発をいたしたそれぞれの関係の法律、あるいは政府が都合のいいように、役人が都合のいいように出す政令から出てくる基準についても承知をしておる。そういう事柄が毎回の災害のたびに矛盾が出てきている、間違いもある。具体的には災害を救済をしたり、あるいは、いま申し上げたように、将来の災害を防ぐためのプラスになっていない、こういう欠陥が幾多出ていますから、こういう問題を毎回委員会で指摘されていたはずなんです。私はここにも会議録を持ってきておりますけれども、昨年の本委員会で、当時の総理府長官、野田長官にこのことの具体的な質疑のやりとりをいたしてみました。そのときの答弁としては、確かに指摘されたとおりである、したがって直近のそれぞれの委員会、あるいは直近の開かれるであろう国会には、そういう関係について抜本的に改正すべきものは改正をして、そのような弊害のないように努力をしてまいりたい、こういう答弁をしているのです。いまのあなたの答弁を聞いていますと、何ら努力をされたあとは一つも見えない。しかも、あなたも、基本的な計画を樹立をして、各省庁と何か相談をしておる模様なんです。もしその基本計画の、具体的にこれから恒久対策として出されておる計画、省庁が相談をしておるということであれば、その資料をこの委員会に提示をしていただきたい。しかも、あなたの記憶にある範囲内でけっこうですから、私は具体的なものをここで答弁をしていただきたい。
  50. 松永勇

    説明員(松永勇君) 御承知のように、災害対策基本法においては、基本計画をつくるということ、その基本計画に基づきまして、各省庁――指定行政機関と申しておりますが、各省庁では、それに基づくところの業務計画をつくる。この業務計画は非常に事こまかな計画になっております。それは業務計画をつくられた各省庁が、それに沿って実施をするということになっておりますが、御承知のように、災害を予防するということにつきましては、一つは治山治水その他の災害に耐え得る施設その他の計画をつくっていくという措置、これは年々予算を通じて、国が治水関係その他の防災関係の措置に予算を計上し、場合によっては、五カ年計画その他の計画をつくって進めていっておるところであります。このほかに、防災技術、防災科学の刷新と申しますか、そういう研究も進めなければならないということで、これも業務計画に従ってそれぞれの省庁において研究を進め、また、これに伴う必要とする予算は年々の予算に計上いたして進めておるということでございます。この災害を防止するための措置というのは、ただここで具体的に基本計画その他から始まった計画、業務計画その他がつくられておりますが、これには肉づけをして、実際に生きた、血の通ったような計画にしていかなければならない。それは一つには、予算を通じて行ない、一つには、各省の防災研究であり、それから、これを運営する運営のしかたということになってくるようであります。業務計画にはそういう指針となる計画はもちろん定めてございますが、これを肉づけしていくことが各省、政府の責務であるということで進んでいる状況でございます。
  51. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 おおむね考え方の概要もわかりましたので、これ以上新たに私どもの聞こうとする基本の問題を聞いても答弁が出てこないと思う。そこで、私は直ちに総理府の長官をこの委員会に、さいぜんから問題になっておるように、出席方を要請をいたします。したがって、その関係の質問は、ただいまのところさしおいて、そこで、いまあなたが答弁された範囲の問題だけで私はこの際、資料を要求します。  治水治山、あるいは予防対策とすれば、気象庁の機構拡充等々の問題もあろうと思う。農業気象の、つまり充実をはかるという面もあるであろう。ですから、そういう関係で、たまたま、いま臨時国会前の委員会ですから、各省庁等打ち合わせをしたり、いまあなたが答弁をしたような指針の関係、指導の関係等々について、資料を私は提示してもらいたいと思う。  それから予算の要求がすでに終わっておるはずですから、あなた方の、つまり恒久対策、抜本的な対策を考えているとするならば、それぞれの省庁が大蔵省に対して、どの程度、昭和四十年度予算でこれらの問題を抜本的に解決するために予算的な要求をしているか、これもひとつ明らかにして、各省庁別に私は資料として提示してもらいたい、このことを要求をいたしておきます。それはいいですか。
  52. 松永勇

    説明員(松永勇君) 資料につきましては、四十年度の予算の要求の状況につきましては、関係各省から資料を徴しまして提出いたします。  それから各省やっております業務計画につきましては、基本計画は国会に昨年の六月提出いたしておりますが、業務計画につきましては、各省がつくっておりますので、各省から提出さしていただきたいと思っております。私のほうでつくってないので、各省のほうでつくっております。それを提出さしていただきたいと思います。
  53. 小平芳平

    委員長小平芳平君) そういうのをまとめるのを審議室でやるのじゃないですか。
  54. 松永勇

    説明員(松永勇君) 私のほうは基本計画を取りまとめいたしまして、業務計画は各省がそれぞれつくっております。
  55. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 確かに基本計画はあなたのところでつくったとしても、いまの委員会で基本の問題を私は聞いて、今日の応急対策、生活対策、再生市対策は、いまこれから具体的にあなたに聞くんですよ。聞くんだけれども、問題になりまするのは、毎度のことだけれども、恒久対策のかまえが政府にないではないかということを指摘をされて、毎々の委員会で、そういうことについては昭和四十年度をめどとして、それぞれの抜本的な対策を樹立をしたい、かくかくしかじか、こういうことになっているのです。それに対してあなたは、基本法、それに基づく本本計画を樹立をして、各省庁といま連絡、打ち合わせをしているような意味の答弁があったが、間違いないでしょう。しかも、そういう事柄であれば、今度の二十号台風のみならず、先ほど来説明をしたそれぞれの災害というものは、とりあえずは臨時国会で始末をしなければならぬものでしょう。あとあと、この基本計画にかかわるものは、昭和四十年度予算で全体として見なければならぬわけでしょう。だとすれば、八月下旬で予算要求を省庁はすでに終わって、それぞれ査定の段階に入っているわけでしょう。ですから、各省庁から、あなたの言うような、この基本計画に示されるような、しかも災害関係をいたす恒久対策として、どう予算要求をしているかということをわれわれは知らなければならぬ。これは国民の代表として当然なことなんです。いままでの委員会の経緯からいったって、そういうことになる。だから、そういう関係資料というものを、前もって提示を私は求めたわけです。  けれども、さて、どこで出すのかということになると、普通の、たとえば建設関係の公共土木なら土木ということについては、これは建設省なり開発庁から聞けばいい。開発庁からとればいい――審議室長、きょうは災害委員会ですよ、災害についての恒久対策のことを聞いているわけですから、当然その窓口というのは、これは君のところじゃないのか。ですから、そういう関係の予算的な措置を必要とするような要求の資料なんですから、そういうものを君のところでまとめて委員会に提示するというのは、これは筋じゃないか。それは君のほうの話を聞いているというと、各省庁からばらばらに出せということだ。こういう事柄が、毎度のことだけれども、各省庁のなわ張り争いになって、満足な結果の対策などということは樹立できない。これなどについても毎々問題にされ、指摘をされているところでしょう。ですから、きょうのところ、私はあなたに資料要求したものは、総理府が責任を持ってそういう関係資料を集めて提示をしなさい――直ちに出せということを言っているわけじゃない。臨時国会前に、各委員にそういう点を明らかにしてもらいたい、こういう意味を含めて私はこう言っている。
  56. 松永勇

    説明員(松永勇君) こういう席で申し上げるのもいかがかと思いますが、従来私のほうとしましては、災害対策本部がつくられたような場合、こういう場合には、関係各省のいろいろな措置を取りまとめまして、まとめて総括して国会の委員会に御報告するというような措置はやっておりましたが、災害につきまして全部の措置を取りまとめるということは、従来実はやっておりませんのでございます。それは総理府というものの性格が、災害というものに対して連絡をする、行政各般につきまして連絡をするということの任務の外に出ない関係上、そういうことでございます。しかし、先ほど先生からお話がございましたように、来年度要求した予算の総額を取りまとめて委員会に出すほうが、委員会としてはわかりやすいしということで取りまとめろということでございますれば、私のほうで各省から取りまとめて御報告いたしたいと思います。
  57. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 資料の提示は、そういうことで取りまとめするということですからけっこうですけれども、どうも、いまの話を聞いてみても、しからば、災害についての総合対策を樹立する場所がないということに聞こえるのですね。そうではないでしょうか、審議室長。これは中央には、災害が起きた場合には防災会議を開いて、各省庁がその中に入ってきて、総合的に総理府が世話役活動といいますか、センター的な役割りを果たしているわけですね。そういうものでしょう。ですから、そういう限り、できるだけスムーズに、そういう、かりに資料の取りまとめにしろ、調査にしろ、どこかでやはり線はあるはずですよ。そういうことを気軽に扱ってやって、できるだけ被害地の人々なり、あるいは被災者の方々を救済したり、あるいは恒久的に、抜本的に、先ほどから話をしているようなものを取りまとめて、政府は予算国会に、あるいは臨時国会に、そういう措置をとってしかるべきですね。それぞれの具体的な手当てをするということになるのじゃないかとわれわれは思うのですが、あなたと議論してもしようがないから、あとあと、こういう問題は、長官がいますれば、きょうの問題は、われわれは、いままで国会で論議をしてきたものがあるから、したがって、その答弁してきたことと、今日やられていることとあわせて私は質問しようと思っていますから、それはいまのところ省略します。  そこで、長官の出席はどうだ――君でやれと言ったってできるということじゃないのだから、こういう問題を答弁しろと言ったってできるわけはない。だから長官の出席方を要求します。
  58. 松永勇

    説明員(松永勇君) 長官は、いまよんどころない仕事がございまして、ちょっとこの席に出られないので、御了承を得たいと思います。
  59. 矢山有作

    矢山有作君 これは重要な災害対策委員会によんどころないというような理由じゃ通らぬ。どういう理由なのかはっきりしてもらいたい。こっちも先ほど発言したままでこまかい点まで入っておらぬのだから、総理府総務長官が少なくとも総括している責任者として出てきて答弁しなければいかぬ。はっきりした理由を言いなさい。いつもいつもいいかげんなことで逃がしておくから、君らふまじめになるのだ。
  60. 松永勇

    説明員(松永勇君) ただいま今度の公務員のべース・アップの問題でちょっとよんどころない会談に入っているのでございます。
  61. 矢山有作

    矢山有作君 副長官はどうだ。
  62. 松永勇

    説明員(松永勇君) 副長官も同席していると思います。
  63. 矢山有作

    矢山有作君 べース・アップの問題はもちろん重要です。重要ですが、災害対策の問題も重要なんです。いささかの時間が省けぬことはない。これは国民のために重要です。われわれのほうとしては、総務長官の出席を要求する。――交渉してきなさい。
  64. 松永勇

    説明員(松永勇君) 後ほど長官のほうへよく連絡いたします。
  65. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 総務長官の出席がないですから、それまで保留しておきまして、ただいまの審議室長の答弁から、さらに具体的にお尋ねをしていきますが、気象庁来ておりますか。――ちょっと前のほうに二人並んでください。審議室長、あなたも前のほうに並んでけっこうだ。  基本計画を総理府が示して、各省庁と予算国会前に、予算と関係あるから、いろいろ話し合いをしたり連絡をしている、こういう事柄ですから、これはいまのところは私はとやかく言いません。言いませんが、具体的に気象庁関係ですね、これはやはり予防対策の一つですから、恒久対策に入りますね、大きな意味の。そこで、気象庁として昭和四十年度の予算要求を気象観測の充実という意味でどの程度しているか。あとあと資料がきますから、ここでまた私はどうこう言いません。ただ、ただいま皆さんのほうは農業気象観測というものを実施いたしておりますね。そこで、この一つの例ですよ、その連絡網をどうするかということで、種々気象庁側は苦慮されていると思うんです。せっかく科学的に、工学的に、技術的にあなた方のほうはそれぞれの気象現象というものを把握をして、キャッチをして、それを予報としてそれぞれの関係の国民に周知徹底させなければならぬ、こういう仕事が一つの行政としてあると思うんです。したがって、それからどういうふうにして連絡するかといえば、全町村にあるわけじゃないから、委託行政というようなかっこうで私は町村自治体にその連絡網を必然的に求めなければならない現況になっているんじゃないか、こう思うんです。したがって、いまの審議室長お話を聞いていますと、そういう事柄が非常に従前は問題が多かった。せっかく気象庁が苦労されましてつくり上げたデータが、末端のそれぞれ受益する人々にはこの問題がさっぱり活用されていなかった、こういう実情が全国的に至るところにあるわけですから、そういう事柄が指摘されて、この面についてできるだけ自前で気象庁の仕事として予算化をすべきだということを再三言っていた。これらは一体この恒久対策の一面として予防対策で、どうなっているのかということを私ども聞かしていただきたいというふうに思うんです。現実にこれは北海道にも、今度の冷害にはそういうことが起きている。あなたのほうにはあとで全般に私は質問しますけれども、先ほど自治省かどこかで申し上げておった、六月の下旬以降の気象予報について、かなり長期的に予報を出して、北海道の場合は異常冷害になるおそれがあるというようなことが言われておって、具体的にそれぞれ農業気象というものを把握をしておったが、その連絡網がさっぱり拡充されていない――いないというのは、市町村自治体の財政がさなきだに逼迫されている中で、気象庁との連絡をだれが担当してやるのか知らぬけれども、やり得ない、政府がさっぱりこれに対して援助がない、こういう問題がイタチごっこになっちゃって、せっかくあなた方の貴重なデータというものの利用が、農村の方々、あるいは市町村自治体でもって受け持っております河川の管理等々の問題についても、連絡がついていない、こういう事柄が実態として出てきたわけです。それですから、これは再三申し上げているように、臨時国会もございます。それからもう四十年度の予算編成をする国会もやがて始まってきますが、その前の段階として予算要求、その査定の段階にいま入ってきているわけです。こういうことについて、あなた方気象庁としてどう考えるか、それから審議室の室長さんはこういう事柄などどう考えるか、それから自治省としてどう考えているか。市町村自治体の委託業務の関係で、これなどは何ら通達とかなんとかということがなくて、気象庁と市町村自治体でやられているのだと思う。こういう関係、一体あなた方、その応急対策よりも、恒久対策をどう考えているか。毎度こういう席になると、前向きでこの問題に対処するために努力するということばを使われますが、こういうことばで一体前向きになっているのかどうか。私どもしろうとで考えると、こういう事柄こそうしろ向きになっていやせぬかという気がするのですよ。この点どうですか。
  66. 日下部文雄

    説明員日下部文雄君) 申し上げます。この農業気象の問題につきましては、これを防災という面から考えまして大きく分けますと、かなり違った二つの面があると考えております。  一つは、いま御指摘のありましたような、長期にわたる慢性的災害、言いかえますと、冷害であるとか、あるいは干害というような現象でございます。  もう一つは、たとえば急に霜がおりる霜の害のようなもの、あるいはこのたびの二十号台風のように、急に強い風が吹いて倒伏が起こるというような種類の現象でございます。  そういうのを、私どもといたしましては、初めに申し上げました第一項につきましては、結局これは内容的には長期予報の問題でございまして、これにつきましては、伝達その他に関しましては、道庁あるいは農林省関係と密接な連絡をとって、その伝達の経路を通って広げていただきたいというような考え方を持っており、実際そのように行なわれてまいっていると思っております。  それから急激な災害のほうにつきましては、これも非常に実は悩んでいるわけでございますが、一般の注意報あるいは警報というものを、やはりこれは気象庁が一軒一軒の農家にまで手を伸ばして連絡をとる方法は非常にむずかしいので、やはりこれは自治体あるいは農林省関係の組織を通じて持ってまいるというような方向に進まなければ、適切には伝達できないのではないか。特に冷害あるいは干害というような種類の問題でございますと、これは私どもが行ない得ます範囲は、気象条件に対します判断は可能でございますが、それと被害その他起こり得る作物との関係等につきましては、やはり一度農林省関係通過し、あるいは共同で御相談をいたすという手続がぜひ必要なものだと考えております。ことにこの長期的なこういう冷害のようなものにつきましては、時間的には、そういう経路を通りましても、伝達のこれは時間を争うというほどではございませんので、効果を求めることは可能である。気象庁としては、一番本質的なところは、その気象の条件に対する長期予報である。あるいは、その被害を起こすもとになる風、雨というものの本質的な予報を、的確に精度を上げるというところに十分重点を置いてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  67. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 気象庁の予報官の立場からそういうおことばだと思うんです。  そこで、農林政務次官、あなたにお伺いしますが、ただいま予報課長の答弁を聞いていたと思います。そこで、こういう関係の業務は全国至るところにあるわけです。で、ほとんど市町村自治体の中では産業課長くらいが連絡部門の部面を担当している、こういう実態が多うございます。そこで、そういう関係の予算が、今年度予算を分析してみまして、農林省にあるのかというと、全然ないんです、御承知のとおり。したがって、市町村自治体は、委託業務ですから、測候所からそういう通報を受ける、データを受ける。そういうものを、さらに市町村自治体が――こまかい例を取り上げますけれども、部分的には増し刷りするとか、あるいは市町村の農協、それぞれの団体に連絡をするとか等々のことをやっております。そういう委託行政にかかるような経費も、本来的に私は国が持つべきものだと思う。こういう関係のものを、一体、先ほど来の審議室長の答弁のように、前向きに解決をして、しかもこれは恒久対策ですから、考えていくとすれば、予算編成時期を前にして農林省はどういう考えを持っているのかということが一つ。  二つは、自治省来ておりますか。――自治省は、いま申し上げたような実態に置かれている市町村自治体の財政を、こういう面で農林省が予算的に措置ができないとするならば、特交金かなんかのかっこうで補てんする考えを、恒久対策の一部面だけれども、一体こういうものを持っているのかどうかということをあわせて答弁をしていただきたいと思います。
  68. 舘林三喜男

    説明員舘林三喜男君) 農村の有線放送が、農業の改良と申しますか、農村における国民生活の民主化という意味で非常に役に立っていることは、もう皆さん方御承知のとおりでありまして、さような意味で、市町村の経営するもの、あるいは農協の経営するものにつきましては、農協関係農林省、また市町村関係は市町村の起債ということで、特別に便宜をはかって奨励しているのでございます。ただ、お話のような、いかなる内容を放送するかということにつきましての全国的な奨励措置というものは、お話のとおり欠けていると思います。ただ、実際いろいろいなかに帰りまして有線放送を聴取いたしましても、有線放送の管理者は、農協にいたしましても、市町村にいたしましても、非常に努力しておりまして、またいろいろの団体がありまして、長期の気象の見通しとか、あるいは農作物の今後の見通しとか、あるいは病虫害の問題、そんなことにつきまして実はこまかに有線放送していることは、吉田先生御承知のとおりだと思うのです。さような問題について、いわば災害の恒久的な対策の一環として補助を出したらどうかというお考えでございますが、いま官房長から承りますと、病虫害につきましては、病虫害の防除につきましての放送をやる場合は、若干の補助があるようでございます。しかし、その他の点につきましての補助がないのでございまして、御趣旨の点十分わかりましたから、農林省として研究さしていただきたいと思います。非常に必要だということば、私も全く同感でございます。
  69. 柴田護

    説明員(柴田護君) お話の問題は、市町村の産業行政費をどうするかという問題ではないかと実は私は思います。私どもも、毎回災害に直面しまして、特に農業災害みたいなものは、毎年どこかにあるのでございます。何とか予防措置ということがもっと発達した杉においてとれないものかということを常に感じるわけでございますが、ただいまお話のございました農業気象伝達の関係につきましては、市町村の産業行政費というものの中においてどのような形でこれを見ていくか、こういうことだと思います。私どもは通常市町村の産業行政費というものの財源保証をしてまいりますには、普通交付税の単位費用を通じて基準財政需要額を計算してみているのでございます。その中にそういうものも含めておるのでございますけれども、それが十分であるかどうかという問題は、あるいは問題があるかもしれません。私どもといたしましては、市町村の産業行政費、特に農業行政費等につきましては、その充実に努力をしてまいりましたけれども、まだ問題があることは意識しておりますし、なお十分検討いたしまして、不足でございますれば措置いたしたい。ただ、考えますと、経費といたしますならば、有線放送その他のことを除きますれば、そう大きな額ではなかろう、問題は伝達体制がどうなっているかということではないかと存じます。  有線放送その他のことにつきましては、これはただいま農林政務次官からお話がございましたように、今回の災害におきましても非常に役に立ったというような話も聞いておりますし、だんだん市町村有線放送事業というものが償却が終わって、建てかえていかなければならぬ時期にまいっておりますので、地方債その他につきまして充実してまいりたい、かように考えております。
  70. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうも自治省のほうは責任ある答弁をのがれていると思うのです。農林省関係は、これは次官が申されたとおりで私はいいと思います。自治省の場合は、有線放送にかかわる財政援助等は農林省でしているから、その点は非常に金額的にも膨大なものになるから、それはそれでいいが、それ以外はさして地方行政費はかさまないのではないかという意味の答弁ですが、これはやり方によるけれども、そういう諸君が地方におって机上で考えているようなものではないです。実際具体的に町村をわれわれは歩いて実態を調べてみると、そんなものじゃない。しかも、業務のほうを受け持っている範囲は、本来的には気象庁がやるべき仕事だけれども、そうなっていない。人員の配置もそうなっていない。ですから、気象庁は、それぞれの調査、研究、検討をこらした結果のデータというものを、それぞれ利用される側に早く知ってもらう。特に災害の予報などは、その必要があるわけです。したがって、いままで系統的に見ると、地方で申しますれば、測候所から町村の役場にそれが伝達される。大体窓口は産業課長くらいがやっていますよ。それから今度は農協なら農協に行って有線放送に変わるとか、あるいは関係のそれぞれの市町村の、所在している気象庁の出先機関に連絡をする、こういうことになっている。かなりの私は仕事量になっていることはこの目で見てきているし、もう一つには、ちょっとさっきも触れましたけれども、冷害等々についてはかなり長期的な予報を出しているわけです。そういう予報についても、個々当たりの農家に対して、やはりそれぞれの市町村の受け持つ連絡を担当しています者は、気象の状況などというものを、これは一つの例でございますけれども、こういうものをつくって、農家に周知徹底するようにやっている町村もあるわけですよ。これなくして、いかに、かりに農林省が、たとえば北海道のような寒冷地帯における水稲の場合、農林三号がいいとか、あるいは農林五号がいいなどといってみても、個々の耕作する農家がこういうものを十分理解をしたり熟知していなければならぬわけです。そこに、今度の場合に、ある意味においては、農林省の指導のとおりやったら稲はさっぱりとれなかったなどという、人災にひとしいものさえ出てきている。そういう話は別にして、少なからずこういうやはり指導体制までしかなければ、何ら意味のないことになると思うのです。ですから、こういう面の費用というのは自治体が全部負担しているのです。本来的には、これは自治体が負担すべきものでは私はないと思う。当然こういうものについても、農林省なり、あるいは自治省なり――総括的には自治省がこういうものをやはり市町村自治体の財政を援助をしてやる、こういう立場に立たなければ、災害が起きてから激甚地の財政援助に関する法律を適用してくるなんて、これはうしろ向きなんです。あと始末の問題なんです。事前にやるとすれば、こういうことが必要ではないか。それがいまの答弁では、たいした金額にもならないだろうからなどというのんびりしたような事柄が、毎度災害が起きてからあわてふためいてやっている。まさに日本の災害対策などというのはどろなわ式ですよ。そういうことはいけないことだから、恒久的にどうするこうするということで、政府並びに国会もいろいろ議論をして、先ほど来言っているように、ようやく曲がりなりにも基本法ができて、基本計画がいまごろ、これは各省庁と相談をして検討している、こういう実態でしょう。ですから、私はほんの一部の一貫した恒久対策のようなものだけれども、こういう事柄が実態としてあること等々も頭に置いてやらないと、名実ともに災害に対する私は対策にならない、こう思うがゆえにいま聞いているのです。答弁は必要ありませんけれども、こういう実態を十分自治省も考慮してもらって、予算前に検討してもらう、こういうことにしていただきたい。  なお、あとあと関係の問題についてたくさん私はこれから質問いたしますけれども、時間ももう一時近い、人間ですからおなかがすいてきます。さらに、さいぜんから言っておるように、関係大臣も来ていなければ、あるいは総理府の長官の問題についても答えがない。こういうことでは、私の質問をしていくことについては無意味でありますから、ここで委員長、昼食をとりまして、午後から十分時間をかけて、臨時国会前でどうせこれは始末をしなければならぬのでありますから、臨時国会に向けての政府の考え方を私はただしたいというように思いますので、さよう取り計らっていただきたいというように思います。
  71. 小林篤一

    小林篤一君 私本日質問をいたしたいと思っておりましたけれども、質問を取りやめることにいたします。それは、北海道の冷害による農作物の被害というものは非常に大きいのでありまして、道のほうでは九月の二十日ころの現在でもって若干の資料ができていると思いますが、まあわれわれとしては九月の気候に非常に期待をかけておりましたけれども、九月の天候というものが回復いたしませんで、何とか霜が一日もおそいことを念願しておりましたが、きのうの朝は非常に大きな霜がおりました。北海道の農村全域にわたって霜害予防のための薫煙をきのうの朝はやりましたが、そのために全く暗くなって、汽車なども運行が乱れまして、三時間くらいおくれる汽車もできた。それから飛行機などはついに千歳の飛行場に着陸することができなくて引き返したというくらい薫煙をやりました。けれども、何しろ非常に強い霜で、はなはだしいところは零下三、四度くらいの気温になりまして、霜というよりも、むしろ凍ったわけです。きのうも道のほうと打ち合わせをしましたが、まだ調査中であって、きのうの朝の霜の害というものはまだわかっておりません。二十日ごろのでも二百億くらいの損害であろうと道のほうでは推定をいたしておりますけれども、きのうの朝の霜でもってもっとずっとこれはふえておると実は思うんです。それで、いまのところ質問をいたしましても中途はんぱでありますから、質問をいたしませんが、実は衆議院のほうではこの間現地調査をいたしまして、もう終わったわけであります。ところが、これは霜の降る前でありますから、ほんとうのところはわかっておらぬと思う。  それで、ひとつこれから御審議を願う上におきまして、この委員会としては現地調査をしていただきまして、そうしてひとつ、衆議院でさらにもう一度というわけにいきますまいから、参議院のほうの委員会でもって調査をお願いをして、ほんとうのところを見ていただいて、道のほうでもそのうちに最後被害調査ができるだろうと思っておりますが、きのうあたりの道のほうの考え方は、どうも激甚災害法を適用してもらわなければならぬのではないか、ここまでいっておるわけでございますから、ひとつ、委員の方々たいへんお忙しいことと思いますけれども、委員長さんのほうで理事と御相談の上、どうぞ今月――今月というか、来月の十月下旬になると雪が降るのでございます、時期を失してはいけませんから、雪の降る前に適当な時期をひとつお考えになって、調査をしていただくようなことをお願いいたしたい、こういうことでございます。
  72. 小平芳平

    委員長小平芳平君) さっそく御相談いたしたいと思います。  午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時五十分休憩    ――――・――――    午後一時五十分開会
  73. 小平芳平

    委員長小平芳平君) ただいまから委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を続行いたします。
  74. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 午前に続きまして質問を続行いたします。主として北海道の冷湿害について私は質問をいたしますが、ただいまも北海道庁の東京事務所長の陳情がございましたように、北海道の場合は、今年の六月ごろから、気象庁で長期予報で示されましたように、異常な気象現象が存在いたしまして、今日では全く、ひとり農村の諸君のみならず、地方自治団体としても手の施しようのない冷害に見舞われている、こういう実態であります。ただいまも道庁のこれが対策について陳情がございましたけれども、北海道では、道庁はもとより、冷害対策本部を設けております。政党には、自由民主党としてもその対策本部が設けられたやに聞いております。私どもの社会党も、いち早くこの対策本部を設けまして、それぞれ関係の諸君が実態調査をいたしてまいりました。私も微力でありますけれどもその一人として、七月の上旬から九月の二十日ごろまで約三カ月間、私は全道各地を実は調査をいたしてきたものであります。したがいまして、その結果に基づきまして、それぞれ具体的に関係省庁の方々に御質問をいたすつもりでおりますから、この点、多少こまかくなろう点もあろうと思いますが、御了承いただきまして、明快な答弁を賜わりたい、こう思う次第であります。  ただいままでわが党が調査をいたしてまいりました冷害にかかわる損害が約三百九十億となっています。先ほど同僚の小林さんが、二百億こえるのではないか、こう言われましたけれども、そういう甘いものではございません。さらに、北海道の場合は、御承知のように、積雪寒冷地でございますだけに、すでに霜ないしは雪の段階になってきております。私は昨夜こちらのほうに参りまして、わが党の災害対策本部とけさ連絡をとってみましたところが、きのうの気温が、札幌におきましてマイナス八度、旭川地方におきましてマイナス三度、帯広マイナス五度、上川がマイナス七度、狩勝がマイナス十度、平均して大体マイナス七度からマイナス八度程度になっている。こういう実情から、その後の天候回復が早まって、多少なりともその歩どまりがよくなるのではないかという望みもございましたけれども、もはや全道的な霜害に見舞われまして、ほとんど上川、道東地方におきましては全く農産物の場合は皆無の状態を免れないと思うのであります。したがって、こういう問題について、政府は、前々から気象庁がそういう、つまり長期予報をいたしておったわけですから、一体国の各省庁地方の行政機関である道庁に対してこれが対策として事前にいかなる行政指導をしていたか、まずこの一つであります。  それからもう一つは、午前の質問にも多少関連をいたしますけれども、気象庁が精一ぱい今日努力をされておりますけれども、その努力がただいま申し上げた結果に相なりまして、まことに遺憾にたえないと思いますが、将来の問題として、特に昭和四十年の予算編成期にいまございますから、この点を明らかにしていただきたい、こう思うがゆえに質問いたしますが、北海道の場合は、気象庁の設置、つまりその沿革等を見ますれば、当初は世界の三大漁場の一つといわれましただけに、漁業気象観測に重点が置かれております。その後、戦後、日本の国策として、北海道の場合は、日本の食糧確保のために、北海道農業に国が重点的な施策を施さざるを得ない、そういう事情から、とみに北海道の農業開発にそれぞれ重点が置かれたと思うのであります。しかし、これにマッチするようなことができないつまり気象庁の体制に今日あると思う。北海道のこれからの農業気象観測についてどう一体政府は取り組む考えを持っているのか、この点をとりあえずお聞かせ願いたい、こう思うのであります。
  75. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 第一の冷害につきましての長期予報、確かに今年度はいただいておりました。それに基づいて農林省内部の指導方針の検討等もいたしておったわけでございますが、同時に道庁自身におかれても長期予報が出ております。そういう意味でいろいろな検討が行なわれたわけでございますけれども、特に本年度の問題としましては、冷害等のありました場合に、硫安等の窒素質肥料を使っておりますと、あとで弊害がかえって出るというような過去の経験等もございます。そういう点についての注意は当然いたしておったわけでございます。ただ、作付後の気象の変化がございました。そういう関係で、水稲のみならず、畑作全般につきましても、どういう作物が特にいいかというようなことについて十分な指導はことしはなかったかと思います。ただ冷害現象は、二十八、九、三十一年というふうに、ときどき北海道の地域その他を襲っております。冷害の場合には、バレイショあるいはビート等の畑作のほうが被害が少ない、相対的に有利であるというのも通説になっております。その辺は、農民自身も十分了解しておられるところであります。そういうふうな大きな筋合いの中で、ことし耐寒作物関係の作付面積は若干ふえてきておったわけでありますけれども、現状で顧みてみますと、水稲の害がやはり相当大きいというので、はなはだ遺憾に存じております。冷害対策に限りませず、そういうふうな大きな災害がありましたときに、制度としては、すでに御存じのように、農業災害補償法あるいは天災融資法でこれを受けているわけでございますが、気象の長期予報の、何といいますか、事前の連絡を受けて、できるだけのことはいたすわけですけれども、特にことしの場合は、先ほど御説明の中でも申し上げましたように、例年の冷害と違って、九月以降になってもまだ気温の非帯な低下があったということで、特にことしの冷害は大きな特色を持っていると思っております。したがいまして、従来、冷害に強い稲の品種等においても開発を進めてきて、それ相当に普及はしてきたということで、たとえば三十一年程度の冷害ならばことしは乗り切れるのではないかというふうに、六月、七月ごろはわれわれも考えておったわけでございます。で、その後の状況、特に最近の事情になりまして三十一年の場合より条件も悪いということで、そういう意味では、品種の開発という点におきましては、従来より以上に重点を置いてさらに前進させなければいけないという点を深く考えているわけでございます。  以上でございます。
  76. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いま官房長からそれぞれ答弁がございましたけれども、私の聞いているのは、そういう事柄だけではなくして、地方行政機関の最高機関たる北海道庁に対して、そういう気象現象と相まって、具体的にどういう指導をしていたのかということが一つ。簡単でけっこうですから。  それからつけ加えて、私どもの社会党が調査した今日的な段階では、約四百億くらいの損害がございます。さらに、きのう、きょうにかけての全道一円の霜害、プラスしてもう氷が張ったところさえあるわけですね。氷点下平均して七度くらいになりますと、そういうことになるわけですね。こういう実情から、さらに被害額は増大をいたしておると見なければなりません。そこで、今日、政府がこれらの被害状況というものをどう把握しているのか。いまあなたの答えでは、前々から気象庁の長期予報は出ておった、かくかくしかじかやっておった、ところが、その後気象の状況が思うようにならなくて、こういう異常なほどの冷害になってきた、こういうことだけれども、具体的にどう把握しているかということなんです、具体的にですね。で、いま北海道庁を代表してのつまりこの陳情なるものについても、そういう点が明確になっていない。ですから、政府としてどの程度把握をしているのか。その把握のしかたいかんによって、事後の応急対策なり、あるいは金融の対策なり、あるいは生活の対策なり、恒久対策なり、予防対策というものが樹立されるものだとぼくは思う。そういう点をひとつ明らかにしてもらいたい。北海道庁からそういう連絡がないとか、まだそこまでいってないというなら、そこまでいってないでよろしい。
  77. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 二つの御指摘がございました。  第一の長期予報を受けてどういう指導をしたかというお話でございますが、先ほど少し抽象的に申し上げたつもりですけれども、窒素質肥料をやり過ぎてはいけないというような意味での農業上の普及員を通じます活動で注意を与えるべき点等については、これは同時に話し合いを始めまして、農民にも十分普及徹底させるようにしておったわけでございます。で、さらに欲を言えば、その前の段階で、ことしは冷害が来るから作付については地下作物のほうに重点を置いたらどうかということまでできればよかったのですけれども、その点は十分にはできておりません。ただ、北海道の農民自身、冷害に強い作物というものは十分知っておられますので、若干そういう作物の作付の増加があったということを申し上げたわけでございます。  第二の被害額でございますが、これは北海道庁も目下鋭意調査中でおられます。といいますのは、期間が長く続いておりますし、御指摘のように、昨日、本日というふうにさらに霜あるいは低温が出ております。それらの被害を全体として把握するということで、道庁自身も努力しておられますし、農林省としましては、九月十五日現在で調査を進める態勢で今日まできておりますが、その後の気象条件も非常に悪うございますので、その後の分も含めまして集計をいたしたいということで、目下統計調査部を督励いたしまして、昼夜兼行でやっておるわけでございます。で、現在までにわかっておりますところでは、二百四十億あるいはそれを上回るというふうに出ておるのですけれども、先ほど来申し上げましたように、その後の変化もございますので、特に霜などの害がありますと、関連した被害もあわせて出てくるということでございますので、継続しておる事態を十分見定めまして措置いたしたいと思います。  ただ、申し添えたいのですが、それらの調査完了するまで何もしない、対策を立てられないというふうにお聞き取り願うとあれなんですが、大きな被害であるということはもうおよそ見当がついておりますので、保険金の概算払いとか、あるいは天災融資法の発動の手だて、あるいはつなぎ融資の実行というようなことについては、現段階からでも取りかかれると思っております。そういう意味で、対策は急いでやりたい、かように考えております。
  78. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 後段の天災融資法の発動であるとか、あるいは償還金の延納等のことは、これはあとで応急対策として私は聞こうと思っていますからね。そういう話をぼくは聞いておるのじゃなくて、再度申し上げるように、いままでのあなた方がとってこられた長期予報に対する北海道農業に対する的確な指導の問題を聞いていたわけです。それについての答えは、おおむねそれにマッチするような指導をしておったけれども、今日の冷害を受けてみると欠けていた面もあると、こういうことですから、それはそれで私はそのあと追及しようなんという気はありませんから、それでいいですがね。一体農林省は北海道農業というものについて、どう見ているのかということが一つぼくは聞きたいのですよ。しかも、農民自体が非常に冷害に、三十一年災もあったわけですから、そういう具体的経験を持たれているから、それにみずからが合わせた作物をつくるであろう、こういう意味のことをいまあなたは言われましたがね。それは農民みずからも自分の生活を守らなければならぬから当然のことだと思うのですが、北海道農業というものは一体何であるかと、こういうことの把握を農林省は一体どうしているのか、そのことを聞きたいわけですよ、私はね。あなたのほうは全国的なものを見ているから、そういうものはあるけれども、あまりいまここで、どうこう言ってもこの問題を解決する直接のものじゃない、こういうふうにお思いになるか、どうかわかりませんが、やはりこういう北海道農業なるものの概念といいますか、概況といいますかね、こういうものをやっぱり私はつかまないと、これからの問題に対処するにあたってやはりいけないのではないか、こう思いますから聞いておるようなわけです。あなたのほうで資料がなければ、私ちょっと調査したやつがありますから、読み上げてみますか。――ちょっと読み上げてみますけれどもね。  北海道の農家戸数というは二十二万戸ございます。これはそのうちで専業農家をやっているものが十一万戸で、全国の平均で見ますれば七%くらい占めている、こういうことになります。それから、御承知のように、北海道の場合は、畑作農業が非常に多いわけでございまして、全国的に見ても、畑作農業は耕作面積を見ても二七%ぐらいでありますから、こめ二十二万戸というもののほとんどが畑作農業に従事をしている、こう見ていいと思うわけです。しかも、主要な農作物の生産高等々から見まして、南部のほうにおきましては米が生です。それから、いま申し上げたように、寒冷地帯ではお米はとれませんから、バレイショであるとか、あるいは燕麦、十勝、道東におきましては大豆、小豆、つまり豆類を耕作をしている。大別すればこういうことだと思うのです。そこで、あなた方専門家ですから、こういう作物をつくっているときに、ことしのようなこういう低温気象条件が長い間続いた場合に、どこが一番災害をこうむるかということは、三十一年の大冷害の経験がありますから、承知をしていると思うのです。これに対する対策というものは、今日まで何らなされていなかったのじゃないか。午前中の二十号台風と同じように、災害が起きて初めて天災融資法を発動するとか、あるいは自創資金のワクをふやすとか、償還金を延期するなんて、こんなものは対策ではないと思うのです。少なからずそれは確かに品種改良なんかもやっているであろうけれども、北海道というのはきのう、きょう始まったわけではないわけでしょう。大体北海道を開拓されて以来、すでに本州と違いまして、まだ日は浅いけれども、それにしても百年以上過ぎていると私ども理解しているのです。ですから、そういう中における北海道農業の位置づけというものをどう農林省がしているのか。しかも、いま申し上げたような事情の中から、これから冷害というものは、これは寒いところですから、必ずあるにきまっているのですから、そういうものに対する恒久的にどう対処しようとするのかということをこの際聞かしていただきたいと思うのです。
  79. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 何年かに一度起こります冷害でございますが、食糧増産の時代を経まして、三十年ころから御承知のとおり水田がずいぶん北海道の道内でも北のほうへ伸びていくというようなことで、開田がずいぶん進みまして、いまでは北陸の新潟あたりよりも道の生産のほうが大きいというふうな状況になっているわけですけれども、そこへいきます過程で、稲作は特に冷害について十分の自信がないというようなことで、農林省としてはあまり実は指導はいたさなかった。むしろ北海道における開田は抑制するというような態度をとった時期がございます。そのころの農民自身の意識としましては、冷害はよくわかっている。冷害のときに被害はあっても、四年のうち三年、あるいは五年のうち四年米がとれて、被害のあったときに共済制度なり何かで救ってもらえるということで、総合的に考えれば米のほうがいいじゃないか、そういうふうな考え方が一部にありまして、それが一つの勢いとなって、だんだん水田の面積がふえていく、生産量もふえてきたという経過がございます。その間に、北海道の道の試験場を中心としまして、品種改良にもつとめてまいりました。そういう意味合いで、先ほど申し上げた過去の冷害程度――最近の過去の冷害程度は克服できる品種までにはできているということを申し上げたわけでございます。抜本的にどうだということでございますけれども、作物にとって冷害というような特殊な気象条件に必ず勝てるという体制は、これは非常に困難だと思います。干ばつにしましても、冷害にしましても、北半球、ヨーロッパからずっとシベリアに通ずるまで、そういうような被害がありますと、大被害が起こっているわけですが、といって、その被害は当然そのままでいいのだとも考えておりません。できるだけそういうことを予防もし、克服もしなければならないと思うのですが、どうしてもできないという場合には、やはり受けて立つといいますか、自創資金がどうだとか、天災融資法がどうだ、保険金がどうだということで措置せざるを得ない。そちらのほうにも十分力を入れていく必要があろうかと思います。そこで、技術的な面につきましては、さらに農林省の総力をあげまして、品種の改良等についても努力をいたす。問題としましては、豆類とたとえばバレイショ、豆類とビートというような関係をどういうふうに指導していくかという問題がございます。水稲以外の問題として、相当大きな問題であるわけですが、価格政策もそれには影響するかと思いますが、やはり冷害に強いという意味でのバレイショあるいはビートに対する農民の指向といいますか、そちらのほうへ向かっていく力、豆類の投機性といいますか、年によっては非常に値が上がる、そういうふうな利益をねらっての商品作物としての指向というものとがやはり農業指導上も非常に大きな摩擦を起こす点になっております。農民自身の、北海道農業自身の気がまえの中でも、大きな摩擦を生ずる面だと思うのです。その辺、一がいに国としてどちらでなければならないということもむずかしいと思います。そういう意味で、それぞれの作物の特性、あるいは商品化された場合の価格安定制度の有無、あるいは投機性の有無というようなことを全体として農民自身が判断されて、それで何をつくるかというようなことが現状でありますし、それをこえてさらにどう持っていくかというのは、非常な大問題だと思います。現在のところでは、そこまで農林省としては手を伸ばしていないというのが実情でございます。
  80. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 災害が発生するたびに、人為的な救済措置については、法に基づいて融資法なりあるいは自創資金等々の措置でまかなうのだとか、それは私はあとあと再三申し上げるように、具体的にあなた方の考え方をお尋ねする。ただ、いま前段で申された恒久的な冷害対策となれば、その対策がちょっとないのじゃないか、そういう意味のあなたは答え方をしているのですよ。私は、そうではなくして、あると思うのです。たとえば農林省でいまやっております土地改良にしても、あるいは総理府直轄の開発庁でやっています草地開発にしても、一つには、私は北海道の大きな目で見ると、積雪寒冷地における農業構造のあり方として、やはり冷害の対策も兼ねてやっていると思うのです。こういうやり方はどうなんですか、その対策の一つじゃないのですか、その対策の一環ではないのでしょうか。私はそうだと見ているのです。そのあり方について、いろいろ今日的には問題がかもし出されております。ただ単に、いまあなたが申されたように、農民自体が畑作農業をやるよりも水稲をやったほうがいいからということで造田、土地改良をやるということだけではないと思うのです。北海道の積雪寒冷地に合うには一体どう農業構造を改善していくかという国の大きな政策なり施策があっていいと思う。その一環としてやっているのじゃないでしょうか、草地改良などというのは。ここらあたりの構想を一つの恒久対策の一環として聞かしていただきたいという意味で聞いているわけです。政務次官どうですか。
  81. 舘林三喜男

    説明員舘林三喜男君) 先ほどから、長期予報に順応する行政の指導をやったかというお話から、いろいろ大事な問題が展開されているわけでございますが、いろいろ意味があるだろうと思います。たとえばことしの六月、七月、八月くらいは、あるいは九月、十月くらいは、北海道をめぐる潮流の関係から非常に冷害のおそれがあるというかりに長期見通しが出たといたします。その場合に、農林省として行政指導的に直ちにこうしろああしろといったことは私はあまりないだろうと思います。この点悪かったと思います。やはりこれもやるべきだったでしょう。しかし、長期見通しというものをもう少し広く見まして、いま吉田先生お話しのように、北海道の農業の構造を改善するにはどうしたらいいかというような意味から見ますれば、当然私は農林省やっておると思います。たとえて申しますと、農林水産技術会議がたくさんの農林、水産、漁業、林業、すべての技術の指導をやっておりまして、寒冷地においてはどんな米が向くかというようなこと、あるいはどんなバレイショがいいか。てん菜糖がいいからこそあれだけの甘味資源の指導をやっておるわけです。バレイショ等も、とにかく日本一のバレイショができる。すべてやはり農林省が技術的に指導し、また北海道の農事試験場のほうで指導されているのが、さようなほんとうの冷害地に対する農業構造改善だと思います。そのほか、ダムをつくるにいたしましても、土地改良を行なうにいたしましても、やはり北海道という特殊性を離れてやっておるはずがないと思います。それがただ、いろいろ当たりはずれがある。私先ほどからいろいろ北海道の方と一時間ほど会ってまいりましたが、これが真実かどうか知りませんけれども、どうも今度の米作の指導が、もっとわせをとるべきだったのに、ちょっと安心ぎみでおくてに近い品種の奨励をやった、これがやはり今度の失敗だったということをある人が言っておった。あるいはそんなことがあったかもしれない。そんないろいろ長期予報の関連において当面の技術指導は欠点がありましたでしょうし、また長期の構造改善についても欠点があったでありましょうけれども、とにかく吉田委員の指摘されたことは、北海道においては当然やるべきだと思います。その意味で、吉田委員お話などは全く同感でございます。
  82. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 やや恒久的な点について、しかも北海道の積雪寒冷地における農業改善等については政務次官も同感だということですから、さような観点から、私は臨時国会なりあるいは来たるべき通常国会に農林君として具体的なそういう方向の政策、施策を施していただきたいことをこの場合要望しておきます。  そこで、あとあと人為的に応急対策として施さなければならぬ問題がたくさんあると思います。被害金額のとり方の問題で、私どもの党が具体的に道会議員の諸君、国会議員の諸君をまぜて地域別調査をいたしてみますと、私の場合は満三カ月にわたって道内を調査してきたのですけれども、先ほども言ったように、私がこちらに来るときまでの被害の実態調査では三百九十億をこえる。きのう、きょうの異常なほどの低温にかかる霜害がまた発生している。こういう実態では、私は概算でおそらく、北海市庁あたりは調査中だと言われておりますが、五百億をこえるのじゃないか、こう見ております。官房長は、いまのところ二百四十億程度ということなんであります。そこで、あなた方がそういう調査をして具体的に出してくる金額の答えというものの資料というものは何で一体求めているかということなんです。私はいろいろ実態調査した中で非常に矛盾を感ずるのは、統計事務所の統計と、それから市町村自治体での作況統計というものとは、かなり差があるような気がするのです。おそらくや私は、国、農林省で使っています資料というのは、統計事務所がそれぞれまとめた作況報告書によってそれぞれ概算をして答えを出すのじゃないか、こう思うのですが、こういう点一体、どうなんですか。そうして、なぜ、毎年のことながら、農林統計とそれから市町村自治体の統計と差異が出てくるのか、どちらのほうが正しいのかということで非常に私ども疑問を持つのですが、こういう点どうお考えになっておりますか、これが一つ。  それからもう一つは、これは資料要求をしておきますが、北海道の場合には九月の十日で各農林省統計事務所が今度の冷害についての作況報告をいたしております。で、これはすでに農林省としては、地方段階でもまとめていると思うが、この際どういう報告書になっているか、資料でけっこうですから提示をしてもらいたい、これが一つ。
  83. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 卸承知のように、統計調査部は、被害調査だけを任務とするのじゃなしに、農林統計、作物統計等いろいろやっております。その仕事の中で、災害のたびに、統計の出張所を中心にいたしまして、現地に即してそれこそ文字どおり昼夜兼行でやるわけですが、圃場に入り、あるいは果樹園に入りまして、サンプルにつきまして被害の程度を確認しまして、それを統計手法に基づく集計に乗せまして全体を推計いたしているのであります。そういう意味で、これはもう十数年やっていることでありまして、だんだん精度を加えてきているということで、非常な自信を実は持っております。それが市町村あるいは府県なりの御計算と非常に離れているのが例年である――確かにそうなんですが、しかしその中の例をとりまして申し上げますと、被害が非常に大きい市町村についての突き合わせは、案外これは数字が近いのです。被害が中くらい、あるいは被害が軽微というところは、統計調査部のやったものとの数字がかけ離れるというのが一般的な傾向であります。ともかく、地元といたしましては、被害があってすぐに調査をし、中央にも働きかける必要がある。その場合に、農林省の組織でやっておりますようなやり方をやっておりますと、これはまだるっこしいということで、いろいろ突き上げもあろうと思います。そういう意味で、最短距離で、最短の時間で、できるだけ納得性のあるものを集計するという意味で、非常な御苦心が多いと思うのでありますが、そういうことの結果として、やはり精密にやった場合とそこに誤差が出てくる。これも一つの現象としてやむを得ないのじゃないかというふうに思いますが、まあ農林省以外の数字をとやかく申し上げるよりも、農林省として十数年来の経験、訓練といいますか――によりまして、現状の数字についてはそれ相当の自信を持ってやっておる、組織自体も農林省も十分持っておるということを申し添えたいと思います。
  84. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 統計上のことですから、しかも数字のことですから、ちょっとしたポイントのはじき方で変わりますから、ここでとやかく議論をしようとは思いません。ただ、いまの官房長の答弁では、かなり農林統計については自信を持たれているようでございますので、私はまあそういう言い方は当然だと思う。ただ、実態としてこれはどうなんですか、私もそう思いたいのだけれども、それぞれの統計事務所が、今日的なあの人員、スタッフで、いま官房長が私に答弁したような自信が持てますか。これは、私は今度道内数十カ町村にわたって調査をいたし、さらに数字的なものは統計事務所で調べる以外にはありませんから、ここに調べてきておりますが、現場の所長以下職員は、実際問題として的確な調査できない、こう言っていますよ。なぜかならば、人手がないということ、こういうことについてどうお考えになっていますか。一面市町村自治体は、それぞれのこの税の収納率であるとか等々、非常に市町村財政に影響を及ぼしてきますこういう問題は、それだけに組長以下かなりのスタッフを使って、農協の諸君と連携して、こういう問題についてはかなり広範囲に調査をしている。その結果がある一つのデータになっておる。そのものと、いま言ったように、農林統計関係統計が、調査の結果としてかなり差がある。いまの答弁では、災害が大きくなればなるほど、ややそれぞれの統計というのは相似通ったものが出てくるけれども、災害が少ない場合には非常に差が拡大するんだというような言い方をちょっとしましたが、そういう話は一体どこから出てくるのかということなんです。われわれ実態調査した者とすれば、確かに農林省統計は私は的確であって正しいものだと信じ切りたいけれども、実態を調査をしてみると、あなた方がこの委員会なり国会で答弁するような実態になっていないのではないか。その最たる原因は人手がない。これは現実各統計事務所の諸君が言っておりますから、これは間違いないところだと思います。われわれがこの目で見てもそう思う。被害地域が膨大なところにわずか五人か三人で、一体あなたが私に、農林統計統計はまことにりっぱで正しい、自信があるのである、こういう答弁をし切れる私は実情にない、実態にないと思う。こういう点は一体どうですか。しかも、この点は将来に向けてどう考えておるか、人員の問題について。
  85. 中西一郎

    説明員中西一郎君) お話しの点でございますが、これはここ数年間の業務の配分の検討に基づきまして、現段階では、出張所の機動力をふやしていくということで、スクーターその他の機動性を増すための施設もふやし、人間も集中的に置きまして、全体の業務の中でそれぞれの仕事がうまく按配されていく、いまの陣容で十分仕事ができておると思うのですけれども、さらにそれを貫徹するために、出張所のいわば合併とか併置とかというようなことを進めてまいっておる次第です。それは今後もさらに進めていきまして、いやしくも一つの出張所の中で、中央で計画しております仕事が中途はんぱになるというようなことは避けてまいりたいというのがねらいでございます。さらに、新しい地域経済開発といいますか、農業経済の広域化等にも伴いまして、新しい調査もふえてきつつございます。そういう意味で、従来の仕事にそれが負担になっては悪いわけでございますから、それらの点も勘案しながら、機動性もふやし、能率も上げるという形で、統計調査の末端組織の再調整をやっておる最中でございますが、今後もなお続けてまいるということにいたしております。
  86. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 今後もなお努力すると言いますから、あとでほかの委員の質問もあろうから、私はこの辺でこの質問を終わっておきたいと思いますけれども、どうも実態を調査すると、官房長、そうなっておりませんし、これは次官もできるだけ在任中に私はそういう現場の実態を視察をしてもらいたい。私の言っているのははったりでも何でもない、実態がそうですから。したがって、非常にこの統計は将来の恒久対策を樹立するという意味においても貴重なものだと思う。それだけに、より適正な、的確な調査ができるようなやはり人員、スタッフというものを把握をいたす。事務所もまことに至るところお粗末な事務所がたくさんございますけれども、少なくとも国の出先の機関たるにふさわしい事務所等々をも整備拡充をしていく中から、さらにいま言った人員等も十分昭和四十年度の予算を編成するにあたって考慮されて、私は最終的には、いま官房長も答弁したように、いかなる場所でも自信あふれる私は答弁ができるような体制にしていただきたいことを強くここで要望しておきたいというように思います。  さらに、北海道の農家の、何と言いますかな、農家経済の実態とでも申しましょうか、そういうこと等についてもこの際は聞いておきたいというふうに思いますけれども、これなどは、あとあとの私は、臨時国会前にさらに委員会もありますし、そういう機会もありますから、大きな問題だけにきょうのところは省略をいたしておきたい、こう思います。ただ、北海道のこれは農家のみならず、最近全国的にそういう傾向を大にしておりまするから、池田内閣としても高長政策のひずみというものは日本農業に非常に大きくあらわれている。ですから、そのひずみを初めの間は革命的に解消をしなければならぬ――ちょっと珍しいことばを使いましたから、私は前にちょっとあやかっておきましたが、画期的ということばを使わざるを得なくなってきた。こういう実情の中から、一体、北海道だけでけっこうですから、どこにそういうひずみが端的に出てきて、しかも北海道の農家の負債の状態というのはどう一体農林省が把握をしておるのか、把握をした現状でけっこうですから、この委員会でちょっと明らかにしておいていただきたいと思います。こういう内容からそのあとあと、これからの応急対策をどう進めるのかということを私はお聞きしたい。その参考にしたいのでこの現況をとりあえず聞かしていただきたいと思うのであります。
  87. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 北海道の農家経済につきましては、北海道のみならずでございますけれども、それぞれ経済調査で明らかになっております。手元資料ございませんが、お話ございました趣旨で、資料は別途調製いたしまして、早急に当委員会に御提出いたします。負債が相当あるというのも実態であるというふうに記憶いたしておりますし、特に開拓地等に相当大きな問題が残されておるというふうに考えます。それだけでなしに、やはりテンポはゆるうございますけれども、経済の高度成長の影響というものは、北海道にも当然あらわれてきております。またそれは東北地方にもあらわれてきておるというようなことは御承知のとおりであります。そういうような大きな経済成長の流れの中で、農業の位置づけ等についても十分配患いたしまして、特に北海道では内地よりも耕作面積が一戸当たり多くなければならないという問題もございますし、またあの地域の酪農を今後どうしていくかという大問題もございます。それぞれ重点を置きまして、農林省としては善処してまいりたい、かように存じます。
  88. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 農家負債の状況については、あとあと資料で提出する、こういうことですが、資料は必要といたしません。あなた方いかにこういう場合に災害対策を軽く見ているかということを端的に示した一例だと思うのです。私は農林省から出た、しかもその下部機構である北海道農務部出てきた資料をここに持ってきました。参考までにあなた方に逆に沈み上げて教えてあげます。  北海道の農協利用の組合員は大体十六万人でございます。これに対する負債総額が今日九百六十五億、こうなっている。一戸当たり平均してみると六十万円になっています。この九百六十五億円のうち、本年度中に償還を必要とする負債は約四十億円ございます。それ以外に俗にこの制度資金といわれておりまするものは二百三十六億円ありますから、金利だけでざっと二十億円になります。それ以外に短期貸し付けの、つまり農協で扱っておりますものは四百六十七億円、長期貸し付けが百六十三億円ですから、これをざっと目の子勘定でトータルすると、北海道の農業に従事しておる人々が今年中に返済しなければならない金が約六百億円ということになる、というのがこのあなた方がそれぞれ出した統計に出ておりますから、十分ひとつ頭に置いて、これから応急対策をどうするかということを私は考えてもらいたい。したがって、こういう事柄が一人一人の農家にたいへんな重荷となってきていることだけはおわかりと思う。現実にこういう事柄を苦にして先般九月十六日でございますけれども、北海道の糠平というところで冷害を苦にして、しかもいま申し上げた政府からのそれぞれのこういう借金を苦にして、不幸にして一家四人心中をしているのです。こういう関係のものが随所にいま続発してくるおそれ私はなしとしないと思う。特に政務次官おいでですから聞いていただきたいのは、昭和三十一年に、これはまた大冷害がございました。このときに起きた北海道の現況はどうであったか、これも社会党の吉田議員が言うのではないので、北海道庁の調べによりますと、三十一年の冷害の傾向として、人身売買があった。非常に人身ブローカーが道内に暗躍をして、一人三十四万円ないし四十四万円程度で熱海などの芸者に売られていったという具体的な資料等あげているのであります。今度の冷害も、これまた三十一年の冷害とそう変わるものでは私どもはないと思うのです。こういう事柄を一体政府はどう把握をして、これから、どう対処しようとしているのか、この際若干お聞かせ願いたいと思うのです。
  89. 舘林三喜男

    説明員舘林三喜男君) 先ほどから吉田委員から、今度の冷害の被害の額を中心といたしまして、いろいろ御教示いただきましてありがとうございました。農林省といたしましては、本年の被害を一応さしあたりとして二百四十億円、吉田委員は三百九十億と言われていた。そこに相当の開きがあるようでございますが、これはまだ被害は発生いたしましてから時が浅いわけでございまして、いろいろ農林省といたしましては、統計調査部で調べている。また吉田委員のほうでは、たぶん道庁の、あるいはその末端の農協の系統からお集めになったと思います。しかし数のことでございまして、政治上の問題ではありませんので、真実はただ一つであること申すまでもない。さような意味で、農林省といたしましては、とにかく長い間訓練されております統計調査部の役人がおりますし、いま中西官房長から言いましたように、これの配置転換等のよろしきを得ましたならば、私はそうたいした違いは出てこないと思う。もちろん先般の米価審議会の問題にいたしましても、全中の資料統計調査部資料は、相当食い違ったことは事実であります。しかしいずれが正しいかということは、いろいろ議論があるでしょう。農林省といたしましては、少なくとも統計調査部資料には相当の確実性がある。もちろんそれも最高な的確性を主張するわけではありませんで、いわゆるスライド・アンド・エラーと申しますか、やっぱりいろいろ欠点はためながらいろいろ調整をしていく。末端におきましても、統計調査部の役人は、農協の人々の意見も聞いている、坪刈りには農協の人々も立ち会ったと思います。しかしこれだけ開きがあるということは、決していいことではありませんので、あした農林省では北海道の幹部の方々に来ていただきまして、被害対策はもちろんでありますけれども、被害額統計調査につきまして、とにかく第一回の打ち合わせを開こうと思っておりますし、とにかく先生の意見と農林省の意見とは、とにかく最終段階におきましては決して大きな食い違いはないように、それが何といいましても災害対策の中心でございますから、その点につきましても十分に骨折ってみたいと思います。  それから北海道の営農形態の問題につきましては、決して官房長は北海道に負債があるということを否定しているわけではないので、もちろん農林省としては、北海道の営農形態の根本は負債の整理であるということはもちろん知っております。したがって個々の農家につきましては、負債の償還の延期につきましては、たえず問題になっておりまして、また北海道開発審議会におきましても、この問題を中心に論ぜられていることは御承知のとおりであります。一日も早くこの負債をなくするようにする。こんなことにつきましても、皆さん方の御支援を得まして解決したいと思っております。努力したいと思っております。
  90. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 負債の関係について今後努力する、こういうことですが、毎回これは政務次官ね、こういう席上では必ずや政府は、努力するとか、あるいは検討すると、こういうまあ言い方で答えていますけれどもね、今日まで努力のあとというのはあまり見られないのですな。たとえ、いま開拓の関係にも触れられましたが、すでに北海道の、しかもかつて、これはあなた方のほうの代議士までやっておった町村さんという、いま知事がおりますが、この知事といえどもこういう問題について具体的にあなた方に要望書を提示していますよ。こういうことについて、これはもうかなり古いものでございますが、しかも委員会で毎回努力するとか、検討をしてみると言いますけれども、そういうことが、次官、あなた方ほんとうに努力したり、検討されているとすれば、三十九年度の予算にも組まれているであろうし、まだ資料をちょうだいしていませんけれども、先ほど資料要求しておきましたが、四十年度の予算編成前により積極的にそういうものが生かされて初めて私は努力とか検討とかいうことばをすなおに、正直に受けとめたいと思う。しかしいまの段階ではまだそういう受け取り方はできない。なぜかなら、たとえば開拓農家について一つ例にとってみても、一戸当たりの負債額が今日どのくらいになっているかというと、北海道の場合は平均して百七十八万円になっている、一戸当たりですよ。延滞金も今日すでに北海道全体として開拓だけで二十六億くらい持っています。こういうものが北海道知事から具体的に始末をしていただきたいということで、系統資金及びその他の資金については、具体的に一から、内容を読み上げませんけれども、十項目ぐらいに分けられてあなた方に、たとえば据え賢き期間を五年くらいさらに延ばしていただきたいとか、あるいは償還期間を二十年のものは二十五年にしたいとか、利率というものを十年いま五分ですね、それを三分にしていただきたいとか、何か具体的に地方の都道府県の、これは全国的にいえば知事から要請があったはずなんです。私はいま北海道の問題だけとらえていますけれども、こういう事柄について何ら法律的にも、あるいは省令基準等についても改善されていないところに、私はいまあなたの答弁をすなおに受けとめたいと思ったけれども、受けとめられない。  そこで、具体的にこれから、時間がありませんから一つ一つわかりやすく一問一答の形で人為的にどう救済するか、こういう問題について質問しますから的確に答弁をしていただきたい、こう思います。で、台風二十号の場合は明らかに激甚地災害財政援助に関する法律が適用されると思うのです。この点は間違いないでしょう、これはどうですか。
  91. 舘林三喜男

    説明員舘林三喜男君) 台風二十号につきましては、先ほど官房長からも大体の経過を、実情を御報告いたしましたが、まだ被害額につきましては、正確な数が手元に集まっておりません。天災融資法にいたしましても、激甚地災害法にいたしましても、台風被害の実情に即しましてやらなくちゃいけませんので、直ちにこれを適用するということは申し上げかねますけれども、しかし、いままでの災害の実情から考えまして、当然にもうむしろ第一順位的にこの台風二十号は、天災融資法並びに激甚地災害法を適用されるということは間違いないということを御了承願いたいと思います。
  92. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 次官、私が聞いておるのも、しろうとじゃないんだから、災害対策やっている委員ですから、そういうつまらぬことで私は聞いておるわけじゃないのですよ。これは当然いままでに災害の結果がそれぞれの省庁から報告がございましたが、最終的に災害額というものは、それは確かにきまっていません。だけれども、あなた方のうしろにおりまする宮崎県あるいは鹿児島県の方々といいますか、たくさんの方々がきょう陳情をしたわけでしょう、代表して。そういう趣旨からしても、私が聞いているのは、従前もこういうことがたびたびあるわけですから、恒久的な問題は別として、それぞれこの委員会で扱ってきた。だから原則的には当然その法律を適用するというのが本筋じゃないですか。これは、どうなんですか。
  93. 舘林三喜男

    説明員舘林三喜男君) 私の意見と吉田委員の意見とちっとも違わないと思っておりますが、私としてはただ手続の立場を踏みながらこうなるということを申し上げただけなんであります。手続といたしましては、被害を総計いたしまして中央防災会議へかけて、そこで決定するわけであります。しかし吉田委員のお気持ちのとおりに、この二十号台風であるならば、当然しかも第一義的に適用されるということを申し上げたわけでありまして、ちっとも吉田委員の意見と私は違わないと思う。また、私がいいかげんに返事しているということも、何もないと思います。
  94. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そういうことでございますれば、その点については了解します。  そこで、今度は北海道異常低温にかかわる冷害について申し上げますけれども、この場合政務次官、私、しろうとですから、この場合どの法律を適用しようとしていますか。
  95. 舘林三喜男

    説明員舘林三喜男君) 台風二十号につきましてお答えいたしましたとおりであります。
  96. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、二十号と同じに激甚地災害財政援助に関する法律を原則的には適用する、こういうことでございますね、よろしいですね。――ではそれを適用することが前提となりましたから、具体的に金額の問題は先ほど言ったように二百四十億、私の調査では三百九十億、これはずっとこえますけれども、やがて最終的にはあなた方は北海道庁を中心としてやりましても、その後霜害等、さらに極端な低温に見舞われておりますから、被害額は大きくなると思いますから、額の点は触れませんが、当然この法律に基づきまして天災法も適用されますね、されることになりますね。その場合でも今日で言えば、そう言ってみても限られた私は財源だろうと思います。私の調査では大体百八十九億くらいしか財源がないじゃないかと考えるけれども、そういう範囲の中でどう一体融資を、財政措置をとるかということをこの際明らかにしてください。
  97. 舘林三喜男

    説明員舘林三喜男君) 官房長からお答えいたします。
  98. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 今後の予算措置についての何といいますか総ワクと申しますか、補正予算の規模等とも関連する御質問のように承ったのでございますが、現段階では、いままでのことでありますと、二十号関係あるいは冷害等を入れないで、われわれ考えておりました段階では補正の必要はないというふうな感触を持っておりました。二十号でここで大きな被害があり冷害が起こってきた、干害もあるということになりますと、いろいろ計算をしてみないといけないけれども、感触としましては、補正も場合によっては必要ではないかという感じを持っております。ただこれは被害の総額だけからは実は出てきかねます。被害の総額に関連しまして、それぞれの地方公共団体と打ち合わせをやり、また共済の連合会等とも打ち合わせをしました上でないと、的確なことは申し上げかねると思うのですけれども、現在の感じとしましては、何らかの予算措置が必要になるのではないかということだけは申し上げられるわけであります。
  99. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 臨時国会前での委員会ですから、あえて私はそういう点を聞いたわけです。いまの官房長の話でも補正が必要ではないか、ただいまのところの被害額では既定予算で何とか消化できるのではないかという意味にも聞こえたわけです。  そこでひとつ官房長に、あなたはそのほうの事務屋さんですから端的に聞きますけれども、そうしますと、自創資金の、これは毎度のことですけれども、災害ワクをふやすとか、あるいは負債整理のワクをふやしていくとか、こういう関係がございますね。立ったついでですからずっと読み上げますよ、こういう関係。それから三十九年度の米の予約の概算金を――これは北海道の場合ですよ、冷害ですからね。三十一年に災害が起きたときにそれぞれ措置をいたしましたね。臨時の措置をしたわけですよ、加算金を免除するとかなんとかね。そういう関係の措置はやはり今回とれますか。これが一つ。それから制度金融の本年度償還金の、先ほどちょっと若干の数字を申し上げましたが、こういう関係の償還延期をしていくというような措置はどう考えておりますか。それからもう一つは、農協を通しまして、農協を通したそれぞれの融資額がございますね。そういう関係の償還期に当たっているものについて、こういう災害時ですから毎度問題にしますけれども、定期的に、しかも低利の資金に借りかえをするような措置を政府が一体考えているかどうか、まずこれを一つ聞いておきます。それらを聞いた後に、一体再生産ができるかできないかということについて、若干あなた方に聞いておきたいと考えます。これはこの関係では四つですね。
  100. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 自創資金についてのお尋ねでございますが、これは災害のワクがまだ相当程度ございます。そういう意味でわれわれとしては心配ないのではないかというふうに思っております。
  101. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ないのではないかというような抽象的にじゃなくて、ないならないとはっきり言ってもらえないか。
  102. 中西一郎

    説明員中西一郎君) これは府県当局ともよく詰めませんと的確なことを申し上げかねるので、現段階としては感触としてお開き願いたいと思います。それから予約概算金の延納の措置等につきましても、これは道庁等ともよく打ち合わせまして善処をしてまいるつもりでございます。それから制度金融の償還期限の延期でございますが、これは個々の農家につきまして従来からもやっておりますし、新潟地震あるいは山陰の豪雨、九州の長雨等でも措置いたしましたが、お気の毒な場合には、延期が当然受けられるという指導をいたしておりますし、それで十分的確に措置されるのではないかと思っております。それから農協の系統資金についての借りかえを、制度金融のほうで引き受けられないかというお話だったと思うんですが、この点につきましては、制度金融で運転資金のめんどうを見るというのは困難でございます。ただ、自創資金が災害の場合には一農家当たり累積で五十万円というようにことしからワクがふえております。そういうのを利用していただければ農家の経営を困難にしないで切り抜け得る道は開かれていると考える次第でございます。
  103. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうもこの期に及んで、今度は人為的に現行法規の中で救済しなければならぬという答弁では、だいぶあいまいもこのような答弁になっているわけですね。だから自創資金の場合は、たとえばワクについて心配ないであろうということで、これはまあある程度ないというふうにことさらに見たって差しつかえない答えだと思うんですけれども、その場合に負債資金についてはどうかということについてもこれも答えがない。それから産米概算金の関係になってくると、これは十分通例と打ち合わせて善処なんて言っておりますが、こんなものは、もとより打ち合わせは、私は必要ではないとは言いませんが、三十一年にこれと同じ災害が発生して実績としてやっているんですよ。これはやっているんですね。延納措置、加算金を免除するということをやっております。いいですか、官房長、三十一年に。だから当然今度の場合もあなたの数字を使っても三百四十億という金額は一昨々年の九号台風、十号台風と連続北海道を襲った台風被害だけでも百七十数億ですよ。それを二倍も三倍もこえる被害があるわけです。たいへんな問題なんですよ。ですからそういう体験を経てきておるわけですから、なぜこういう席上で具体的なこういうあと始末の問題について善処などというきれいなことばでなく、それは三十一年の実績によってやりますならやりますということを言えないんですか。こういう点で私は遺憾にたえない。再答弁を求めたいと思う。  それから制度金融の償還延期についても従前はやってきているわけでしょう。あなたが言うこの規模の金額であったとしてもこれは大災害ですよ。しかも次官が原則的には激甚災害財政援助に関する法律を適用すると、こう言っている。二十号台風災害と同等に扱いたいと思いますと答弁している。あなたはなぜそういう前向きの答弁ができないんですか。もう一度答弁してください。私は納得するまでしますから。
  104. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 予約概算金の問題につきましては、農林省という立場できめ得る問題ではございません。特別会計運用の問題もあって、財務当局とも十分打ち合わせする必要がございます。目下進行中でございますので、現段階で農林省から明確にそういたしますと答えたいのは山々でございますけれども、そこまでまだいってないので、善処すると申し上げたのでございます。  それから制度金融についての償還の問題でございますが、これは償還期限を個々の農家については延期すると、その困窮の度合い等によりまして、公庫の業務報告書に書いてあるとおりいままでの災害でも実行してきましたし、今度はそういう趣旨で措置する、かように申し上げたわけでございます。
  105. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 あなたとどうもこういう話をしていますと、毎回の委員会でそうだが、どうもあなた方は国会議員に聞かれるとぬらりくらりやって、なるべく国会議員に足をつかまれないような答弁をしている。それが国会答弁では満点だということをどこかの本で読んだ。そういうことでこの災害の解決ができると思うか。まことにぼくは遺憾にたえないと思うんだ。そういう根性だから大臣が出てきなかったり、あるいは責任ある長官が出てきない。午前中にもそのことを強く委員長から要請したにもかかわらず、まだ全然がん首がそろっていないじゃないか。私はそのことも大事だけれども、より大事なのは被害をこうむった人が大事だからあえてこういう質問を続けている。まことに私はこういう点では、毎度のことながら政府においてはそういうかまえがない。他の委員会ではそれぞれ出てきますよ。この委員会だけなんです。非常に私はそういう点で残念に思うが、それを言っておっても、これは限られた時間でわれわれもそれぞれ災害を受けた人々の気持を体し、あるいは実態を調査する中で、何とか政治的に行政的にしなければならないという気持ちから、私は再度質問を展開していきますけれども、ぜひそういう気持ちになって答えをしてもらわなければいけないと思う。  最後に一つ残しました農協の金融についても、何ら答弁がないのです。時間を節約するために私は立ったついでにお聞きするつもりで羅列してあなた方に質問している。一体農協の金融の要償還金を一体長期かつ低利資金に借りかえできる措置などについてどう考えているのですか。これは大蔵省との関係もありますが、鍋島さんどうですか、大蔵政務次官
  106. 鍋島直紹

    説明員鍋島直紹君) この件につきましては、従来の例によって措置するわけでありますが、まだ農林省とよく話がついておりません。したがって、被害状況がまとまるとともに、直ちに農林省お話し合いを詰めてまいりたいと思います。
  107. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 農林省のほうはどうですか、農林政務次官、まゆ毛さわっても金が出てくるわけじゃないんだ。
  108. 舘林三喜男

    説明員舘林三喜男君) 先ほど官房長からいまのお尋ねの問題につきましては、御答弁したとおりでございます。すなわち農協の貸し付けた資金というものは運転資金であって、制度金融のほうはあくまで設備資金等を中心としておりますから、借りかえは、なかなか困難だということを官房長が先ほど説明したとおりでございます。
  109. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこでおおむねまだたくさん解明されない点がありますけれども、大体いま申し上げた四つ程度の応急対策の中での金融対策として考えられていると私は善意に判断しますが、さて、大蔵政務次官あるいは農林政務次官おいでですから、ここで今日までの問題点を一つ申し上げて、私は臨時国会あるいは通常国会でけっこうですから善処方を要望しておきたいというふうに思います。  まずいま申し上げたように、天災法に基づく天災融資あるいは自創資金等等たくさんございます。政府の融資という中にはございます。ございますけれども、いずれも金額が少な過ぎるという問題が、個々の農家経営者と話をしてみますると出てくる問題です。これは全国的な問題です。  それから二つには、償還期限が非常に短い、こういう問題が出てきます。しかもこの償還期限については大蔵省の一貫としたものの見方、考え方、つまり思想です、一貫した思想は農家経営者を補償対象として償還期限をきめているような気が私どもします。ですからその結果、償還期限が短い、こういう弊害が出ると思う。したがって、私はこの際、日本農業を抜本的に変えるのであるという大前提に立つならば、この償還期限についても北欧三国のように、土地というものはその農家経営者が次々に変わったとしても土地は残るわけですから、子供の代、孫の代になっても土地というのは残るわけですから、土地に対するつまり補償という見方に変えさえすれば、私はこの問題はみずから償還期限が延期されていくと、こういうことになるのではないかというふうに思います。できるだけ、そろそろ正しい農業改善事業を画期的に池田さんはやると言っておるのですから、画期的にやるとするならば、スウェーデンのように五十年間の償還期限などというのは、私は一挙に望むことはできないとしても、少なくとも二十五年とか三十年の償還期限を付した法律改正、省令、基準等々を私は改正すべきじゃないか、この時期にきておるのじゃないか、こう思いますので、まずこの問題点の二つに、これはそれぞれの農家経営者が償還期間が短か過ぎる、こう言っておるので、この点をどう一体あなた方は考えておるのかということなのであります。  それから第三は、連年災害をこうむったものに対しては、若干の特別の法の措置はございますけれども、抜本的なものはございません。ですから融資でありますから、振り返って見ますると、個々の農家の借金に積み重なっていくわけです。そこで、次の再生産に奮起しなさいと言ったってできるものではない。こういう事柄は、ここ十数年間続けられてきていますから、その結果として先ほどもちょっと新聞で皆さんに紹介したように、一家心中をしなければならないものが出てきたり、あるいは三十一年の冷害のときの道庁の統計を見ても、農家の娘を三十四万か四十四万程度で熱海あたりに売り渡さなければならない、まことにいかがわしい人身売買的な問題がある、こういうことに発展せざるを得ない。ですからこういう関係を一体あなた方はどう見て、連年災害に対して政府は抜本的にどうこれを考えて具体的な施策としてどう施そうとするのか、この際私は聞かしていただきたい。  それからその次に、非常に日本の場合は金利が高い、こういう問題がございます。これは他の産業とたまたま関係があるからだとあなた方はお答えになるかもしれませんけれども、災害というのは、これは他の重工業であるとか、重化学工業のような一つの企業を進めていくというものとは、災害をこうむった場合はおおむね質的に私は異なっておると思うのです。そういったものを応急対策として金融対策を考える場合、第一義的に災害をこうむった人々を救済するというのが、前面に出なければならない。これが精神だと思うのです。だとすれば、そのときに一体政府は金を貸した、利子だけは普通に取るのである、こういうやり方は結果的に個々の農家が金利が高過ぎるから、なかなか借り得ないのである、こういう答えになってきておると思うのです。  それから地方自治団体であるとか農協等々を通して金融の措置をとっています。その場合、主として農協にそういう現象がございますけれども、金融機関の代行のようなものをしていますね、そのためにかなりの損失をこうむる場合がある。つまり償還能力のないものが多々出てきた場合に、こういう現象がこれは全国的に出ておると思いますが、北海道の場合は開拓農民がかなりおりますから、そういうところでは、ずいぶん出ております。そういう場合に政府がこれら機関に対して損失補償をするというような措置は、全然いまの制度上の問題としてはないのです。これをどう一体将来の問題を含めて政府が考えておるか、こういうことです。  それからもう一つは、こういう傾向が最近とみに出てまいりましたけれども、非常に離農者が多くなってまいりました。この離農者に対する対策は、一体政府がどう考えているのかということ、これは生活対策とも関連しますけれども、なぜ離農せねばならないのか。この離農には質的にはいろんな形がありますけれども、主として連年災害を受けて離農せねばならないものが何であるのか、こういう場合の生活保護の適用をする場合においても、現状の政府のやり方には問題がないかどうか、問題がたくさんあるんです。たとえば農村ですから、耕作用の馬とか、あるいは若干先ほども問題になりましたように、北海道の場合は寒冷地帯ですから、畑作農業をやって反収を見て生計が維持できないから、国の方策もあって酪農業に漸次転換するような指導をしているために、一、二頭の乳牛を養っているものもある、あるいは農業の近代化、機械化というキャッチフレーズから、かなり農村も最近若干なりとも電化なり機械化というものができつつある、そういうものを今度は対象として生活保護の適用にならない。こういうことでつまりそれに耐えられずして離農するものがある、さらには先ほど言ったように、一家心中を思い詰めてするようなものがある、こういう問題点たくさんあります。これなどは、一体政府はどう離農の問題について考えているのか、それから離農しないようにするためには、どうするのか、こういうことについて、ひとつこの際お剛かせを願いたいと思います。あまり長くなるとあなた方また答弁ごまかすから、この辺でとりあえずこの五つ、六つ聞いておきたいと思います。
  110. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 事務的な点先にお答えいたします。第一の融資のワク並びに償還期限の問題でございますが、これは天災融資法につきましては、融資のワクは通常の場合十万円ということになっており、償還期限は五年ということになっておりますが、それもワクが少ない、あるいは期限が短いではないかという御批判はかねがね承っております。ただ公庫融資の関係につきましては、前の通常国会で貸し出しのワク、期限あるいは金利も含めまして大幅な改正をいたしております。そういう意味合いで一昨年に比べれば、本年度は金融制度では相当前進をしておるというふうに考えております。天災融資法あるいは自創資金の関係は従来どおりに変わっておりませんが、一つの検討問題であることは御指摘のとおりであります。  それから日本の農業を抜本的に変えていくためには、うんと期限を延ばし金利も下げるというんですか、そういう御指摘がございました。西欧諸国でやっておる例もございますが、構造改善政策全体とのからみ合いで、そういう位置づけが初めてできるんだと思います。われわれ来年度予算でそういうようなことが実現できればということで、一つの重点を置いて検討しておるところでございます。  それから第二の連年災につきましては、天災融資法につきまして五万円の追加のワクがあるというようなことは御承知だと思いますけれども、そんなことでは不十分ではないか、毎年負債がかさみ、金利もかさんでくる、一体どうするのかという御指摘だと思いますが、これらは総合的に見まして、先ほど触れましたように、特に必要がある場合には、償還期限を延ばすというようなことで対処をしておるわけでございます。  それから第三の金利が高い。これはおそらく天災融資法の一般金利の六分五厘、あるいは特別被害地域あるいは特別被害農家の三分五厘等のほか、自創資金の五分等も含めてのお話かと思いますけれども、公庫関係の金融について前通常国会でいろいろ手直しをしております。そういう意味で現段階、残されておる天災融資法の金利等については、一つの検討問題としてわれわれも十分善処していきたいと考えておることでございます。  それから第四の単協の転貸関係の御指摘でございます。で、おそらく単協の役員の保証、個人保証がうまくとれない、あるいは農地担保が満度まできておるというようなお話かと思うのですけれども、新潟地震以来逐次実施しておりますことで御紹介いたしますと、信連からの直貸方式といいますか、単協を通らないで信連から貸すというような道を開くことによって、少しでも金融の疎通をはかりたいということでやっておることを申し添えます。  それから第五の離農者の問題ですが、これは開拓地等につきまして、離農する場合に一戸当たり四十五万円、あるいは海外に移住する場合は五十万円という奨励金が出ておりますけれども、一般的に御指摘がございました社会保障制度とか、あるいは生活保護の問題あるいは就業対策といいますか、労働省関係の職業紹介、職業訓練あるいは中高年齢層の雇用促進といったような問題と関連をいたします。で、現在の五百八十数万戸の農家を、そのまま引きとめるということも、この経済の成長過程では困難であろうと思いますが、農林省としましても、離農は引きとめることができないにしても、農業の外で、農業をやっておった場合よりもよくなる、少なくとも同等の生活は営めるということで、本人の意思に基づいて喜んで都市労働のほうへ移っていける、そういうふうな意味合いの農村からの流出を本筋として考えたいと思うのです。そういう意味で農業を離れて、いままでの農業よりみじめなことになるというような離農はできるだけ少なくなるように、そういうものは絶無にしたいという気持ちを十分持っておるわけでございます。  以上五点だったと思いますが、事務的にお答えできる範囲でお答えいたしました。
  111. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 官房長から事務的に答弁してもらいましたが、この問題点は、事務的では解消のできない問題です。事務的には先ほど四つ、五つほど聞いたそれぞれの金融対策の中に、法律があって法律から政令を出すという基準があるから、基準の中で始末しているわけでしょう。その中でこういう問題点がある、こういう欠陥が出ていやせぬか、これはしたがって償還期限を延期するとか、金利の関係が高過ぎるとか、あるいは貸し付け金額が少な過ぎる、再生産ができない、こういう事柄について、それぞれの政務次官が来ておりますから、金利の関係、それから償還期限を西欧並みに延ばしていく、これは一つの法制度上の問題になりますから、そういう関係をひとつ大蔵政務次官。それから損失補償についても、たとえば北海道庁だけで昨年は一億十四万円ほど損失していますからね。こういう関係についての補償制度というものはいまないわけでしょう。ために市町村自治体が全部その損失をみずからの財政で始末をしなきゃならぬ、こういう実態になっていますから、こういう事柄は本来的には国が、悪いことをして償還能力がないというものは別として、まじめに一生懸命日本農業に従事をして何とかかんとかやっていきたいと思うけれども、今度のように年々災害のために償還していくという能力がそのために失われたというようなものについては、当然この融資を国の責任において打ち切る、あるいは長期低利に借りかえをさせる等々の措置をとるべきだと思うのですよ。それがなされてないから、全く想像もできないような悲劇が発生してくる、こういうことになるんですね。だからそういう損失補償についても個々人にするということは、たいへんめんどうだと思う。技術的にも無理があろう。だから農協団体とかあるいは市町村自治団体にその関係で代行しているわけですから、そういうものについて損失補償を政府がとるような制度をやったらどうかとぼくは言っているわけだ。だからあなた方、それに対してどう考えるか、こういう問題点はたくさんあるわけなんです、現状の法規の中で、法律の適用の中で。これがまた再生産にえらいこの問題がネックになっていることは、あなた方御承知おきのとおりだと思う。これをどうするかということをいろいろ私は私なりに考えてきた。見てきた実態あるいは西欧の実情等に合わせて、こうやったらどうかということを言っているわけだ。大蔵次官、どうですか。
  112. 鍋島直紹

    説明員鍋島直紹君) ただいま吉田委員の農業災害あるいは農業の根本問題につきましての金融関係についての御質問があったわけでありますが、私個人としましては、ただいま吉田委員の言われた点、やはり今日の農業を立ち直らせるための金融措置の一つの大きな問題として、根本問題であるし、御趣旨には私は個人としては賛成をいたします。問題として償還期限の延長であるとか、あるいは金利の問題あるいは損失補償等も天災融資法にはこういった点もあるかと思いますが、いろいろ手続の点で十分活用されてない点も今日まであったろうかと思います。ただこれは法律改正を要する問題もありましょうし、あるいは今日まで他との振り合い上、いろいろな面でこれのみを取り上げて直ちにこれを実行するというような点、担当省であられる農林省との関連もございます。したがいまして、そういう意味からこの償還期限の問題なり、金利の問題一つ取り上げてみましても、今日の農協の制度の金融上から言うと、現実の姿として非常に金利が高いことは事実であり、外国に比べてまたこれも高いことも事実でございます。そういう点からやはり大蔵省としての立場は、農林省とよくお打ち合わせをし、しかもこの根本問題を除去していくために検討、努力をいたすことがその仕事であろうかと思っております。はなはだ私個人の考えをまじえましたが、そのような方向で前向きに検討いたしたいと考えております。
  113. 舘林三喜男

    説明員舘林三喜男君) ただいま吉田委員から農民の再生産意欲を高めるための金融の問題につきましてお話がございました。天災融資法の規定によりますると、お話のとおり十分、償還期限が据え置き合わせまして五年であります。また自創資金は五十万円、激甚災害の場合でも二十万円ということになっておりまして、天災融資法並びに激甚災害法につきましては、さような意味でこれを改正いたしまして、まずその額を高むべしという意見はもちろんございます。また金利の問題につきましても三分五厘、特別被害地域以外は六分五厘というように、いま鍋島次官が言いましたように高いということも当然でございまして、最近の国会の農業問題の論議を拝見いたしましても、とにかく長低利の長償還期限ということが一つの方向になっておるわけでございます。先般の、ことしの五月までの通常国会におきましても、農業に関する金利体系が相当制限されたことは、御承知のとおりでございます。したがいまして、農林省といたしましてはもちろん長金利の長低利の資金、また償還期限としても長期なものがいい。ただ、天災融資法が自創資金の場合には、農機具を買うとか、あるいは家族的な運転資金に使うというようなことが多いのでございまして、土地の場合吉田委員御承知のとおり、土地の取得資金は三分五厘でございますから、三分五厘、三十年でございますから、土地については特別の考えを持っておりますし、また、これは一つの案でございますけれども、農林省としては、農地管理事業団のごときは二分、四十年という意見さえもあるような状況でございまして、とにかく土地等につきましては、今後ますますいま申しましたような方向に進みましょうし、また、運転資金に近いような性格のものにつきましても、私はその額をふやすような、あるいは償還期限を若干延ばすとか、あるいは金利にいたしましても三分五厘に近づけるというようなことの方向にこれから先もぜひ努力いたしたいと思っております。どうぞその点御了承願いたいと思います。
  114. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 両政務次官からそれぞれ誠意ある答弁がありましたから、そのように最善を尽くしていただきたい、こう存じます。  そこで最後になりますが、離農者の問題ですね、どうもみずから離農したいという者はとめるわけにいかないという意味の官房長がお答えをしましたが、それでは、私はその抜本的あるいは革新的な農業事業改善何とかという、池田さんが国会で言うことにはならないと思うのであります。ですから、できるだけ日本の食糧対策と関連さして見た場合に、離農をさせないようにするのが政府の私はとるべき政策でもあり、またそれに基づいて施策を施さなければならぬと思うのであります。したがって、この段階では、やむを得ず離農した者、これからまた離農を希望しているかなりの層がございます。こういうものについては、ちょうど石炭政策と同じように、そろそろ法律的にそれぞれの措置を政府がとる段階にきているようだ、私どもはこう見ますが、現状、来たるべき通常国会にそういう措置をとる考えを持っているか、どうか、離農者に対して、これをお聞かせ願いたいと思います。
  115. 舘林三喜男

    説明員舘林三喜男君) 離農者の問題は、いま吉田委員おっしゃいましたとおりに農政の根本的な方向をきめる一番大きな問題だと思うのであります。ただ、いままでの例から考えましても、炭鉱の問題は別といたしましても、農業に関しましては開拓者の何とかという法律ですね、あれには、開拓審議会の意見によりまして開拓農民を一類、二類、三類に分けて、第三類については、むしろ離農を奨励するというような方向をとって、離農に対しましてはたぶん五十万円かの離農奨励金をやっている。これは吉田委員御承知のとおりだと思います。
  116. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 五十万円じゃない、四十万円だ。政務次官しっかり勉強してくれよ。
  117. 舘林三喜男

    説明員舘林三喜男君) 四十五万円ですか――海外移住のときが五十万円でございました。とにかくさようなひとつの考え方もあるのでございますが、決してそれを踏襲するのではありませんが、問題は日本の九千万の国民を国民経済的にどう配置するかということが一番問題だと思う。さような意味から、農業も大事だ、商工業も大事だという意味から、ここ数年、あるいは昭和三十年からの日本の人口の流れというものを冷静に考えましてどうするかということが、これから先の政策の重点であり、またその点についていろいろ意見が分かれているわけであります。しかし、農林省といたしましては、少なくとも現段階におきましては各階各層の意見も承りまして、まだコンクリートの案ではありませんけれども、新聞に発表されておりますとおりの農地金融の農地管理事業団というふうな形で、ひとつ日本の農業の再編成をやりたい。そして自立農家の育成と、それからまた兼業農家の協業化の育成推進という二つの大きなワクの中にこれからの農業を推し進めたいというのが、今日の農林省の一つの考え方であります。
  118. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 この問題はその辺にして、できるだけ応急対策として、今度の二十号台風を含めてきょう説明されました全般の災害については、できるだけ原則的に画一的に私は応急対策の一環として――これは決して前向きの政策ではありませんけれども、当面とりあえず何とかしなければならぬ問題の一つですから、金融対策を施していただきたいというふうに思います。なお私がいま指摘したように、三、四の問題点がありますから、この点については法改正するものはする、あるいは政令を改正するものはする、基準を、今日の矛盾解消のために、それに合わした方向に直すものは直す、こういう態度を、両政務次序が答弁したように、この臨時国会、通常国会に向けて前向きのかまえとしてぜひとっていただきたいことを私は政府に強く要望をいたしておきます。  さらに、一応応急対策の金融の関係はそれはそれとして、災害をこうむった人々のこれからの再生産をどうするかという問題があろうと思う。  その第一は、やはりこれは台風災害を受けた人々もそうであるし、あるいは冷害を受けた方々もそうであるが、各種の種子を一体どうするか。従前はそれぞれ水稲の種子については国が幾ら幾ら援助するとか、あるいはその他の種子についてもそれぞれ幾ら幾らする、こういうことになっていますけれども、まだまだこのような大災害、大冷害を受けた段階で、しかも先ほどから申し上げておるように、もう背負い切ることのできない、年々災害をこうむったために、借金をしています。だから、従前のような、何パーセント、何十パーセントを国が補助するなどという手ぬるいことでは、これは再生産にならないと思う。そういうかまえになってきないと思う。農家個々人もそういう意欲になれないと思う。ですからこの種子の確保と援助について、一体農林省はどう考えているかこれが一つ。それから家畜を飼っているものについての粗飼料の確保を、いまからどう政府は考えているか、これが二つ。  肥料についてもかなり強い助成の措置をとらなければならぬと思う。それぞれの諸規定にはございますけれども、これも従前の諸規定を満足に活用するということだけでは相済まされない客観的な事情が私は出ていると思う。したがいまして、これに対して一体、どう考えるのか。  それから国なり都道府県もそういう制度をとっていますけれども、貸し付けの農機具に対して貸し付け料の減免、こういう措置もとらなければならないと思います。こういう関係について一体政府はどう考えているか。  それから最も最低線にあります生活困窮者に対しては、もとより生活保護法の適用を受けるようにそれぞれの手を打つであろうと思うけれども、先ほども若干問題にいたしたように、従前のようなやり方で多少農機具があるとか、あるいは乳牛を持っているとか、耕作用の馬を持っているなどなどというようなことを理由にしてこの法律が適用されないというようなことでは、今度の場合は救済しがたいと思うのです。こういう関係についてどう考えているか。  それから毎度のことでありますけれども、災害が発生するたびに、救農土木事業を大幅に実施する、こう政府はこの委員会で言い切っています。しかし実態は、大幅に実施したためしはございません。しかもそのやり方については、救農事業にこれがはたして当てはまっているかどうか、時期的な問題も含めてですが、非常に私どもは疑問を持っているものであります。したがって、今度の場合に、一体政府は救農土木事業についてどう考えているのであるか。たとえば道路を構築する場合においても、酪農道路をどうするのか、あるいは部落の再生産につながる道路をどうするのか、こういった事業もありますけれども、こういうものについて一体どう考えているのか。それから道路関係になりますと、土木事業ですから、国有林の林道もございます。こういう関係を救農事業とどう結びつけて実施していくのか。  それから次に、これらの事業に携わった者の賃金の問題が毎度問題になります。政府の考え方としては公共土木の賃金、あるいは失対法に基づく賃金等々と比較をして救農土木の賃金を作定しているようにわれわれには見受けられるのであります。これでは救農土木事業、救農という事業に当てはまらないというきらいさえ出ている。なぜかというと、個々の農家が農業経営をする場合に、全国的にこういう傾向が出ていますけれども、いま人手がございませんから、ほとんど農業経営というものはおじいちゃんとか、おばあちゃんとか、おかあちゃんでやっている。だから、三ちゃん農業などと皮肉をいわれて落語のネタになっている。こういう話は別といたしましても、農繁忙期になると、農業に従事するとそれぞれの労務者を雇い入れます。その賃金は、北海道の場合は一日千五百円、全国平均しても一千円をこえるとそれぞれの資料統計に出ています。そういうときに、救農土木事業であるからといって、先ほども言ったように、公共土木事業であるとか、あるいは失対土木興業のようにそれを基準として救済する意味で賃金をきめるということは、もはや当てはまらないのではないか、こう思いますが、こういう関係について一体どう考えているか。  それからもう一つは、被災農家の土地改良の問題がかなり問題になっています。したがってこういう場合は、思い切って救農土木事業の一環として全額国庫負担で私はやるべきものではないか、災害をこうむったものについてはこういう考えを持っていますが、これに対する政府の考え方、それからあわせて災害をこうむった人々の学童の給食の問題、これは全国的に出ております。こういう関係についても、少なくとも私は全額国が見てやる、ないしは補助というかっこうで都道府県に交付をして都道府県、国両面で見るというような施策こそ今日的な段階にきているのじゃないか、これがまず一つ。  それから最後に市町村自治体に対する税の問題。もとより市町村民税、所得税あるいは固定資産税、あるいは国保の税等々の減免措置がとられますけれども、このような大災害をこうむり、特に台風の常襲地帯に定住しておる人々というのは、われわれが想像するより以上に生活がたいへんだと思う。しかも北海道の冷害の場合は、これから冬に向けて寒さと戦わなければならない。あなた方が想像することのできない零下二十度ないしは零下三十度の寒さと戦わなければならぬ、こういう時期に直面をしています。したがって、そういう関係についても従前の基準、やり方ではなくして、全面的に税の減免の措置をとる、とった暁は、当然地方財政はそれだけ欠陥を生じますから、特別交付金その他等々で、政府がそれにかわるべき財源確保の措置をとる。こういうことが必要だと私は思うのですが、こういう点について一体皆さんのほうはどうお考えになっているか、これが一つ。大体五つほど申し上げましたが、それぞれお答え願いたい、こう思います。
  119. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 再生産用の種子の確保、あるいは動物の飼料の確保、さらにそれに対する補助関係、いずれも御指摘がございました。これは明日北海道庁と具体的な数字等については詰め合わせをいたします。その結果できるだけ善処いたしたい、かように考えます。  それから農機具の賃貸料の減免のお話ですが、国有の機械を貸し付けする、あるいは道有の機械を貸し付けするということの関係での貸し付け料のお話だと思います。具体的に検討を進めたいと思います。  それから生活保護が、馬を持つ場合、あるいは乳牛を持っている場合いかないという御指摘でございますが、これは厚生省で一定の基準に基づいております結果、そうなるのじゃないかと思いますけれども、災害の実情に応じて弾力的な措置も場合によってはできるのではないかと思います。厚生省とよく相談をいたしたいと思います。  それから救農土木事業につきましては、農林省関係の事業もございますし、お話しのように牧道農道、林通などもございます。さらに建設省関係の仕事も相当量北海道ではウエートを持っております。道庁とよく相談いたして善処いたしたいと思います。ただ事業がございましても、地元で労働についての需要がないというような例が一部地域ではございました。その場合の一日当たりの賃金を引き上げたらどうかという御指摘でもございましたけれども、これらはこういうような、公共事業というものの考え方、一般の基準がございますので、特別の配慮はむずかしいかと思いますけれども、十分に検討いたしたいと思います。  それから土地改良につきましても、これは一般の基準で措置しておりまして、特別に災害があるからその地域について負担を国が持つというような特別の措置は従来いたしておりません。御指摘でございますが、非常に困難であろうかと思います。  それから学校給食の問題についての父兄負担の減免のお話がございましたが、これも減免制度ということでなしに、一般的に負担を軽くするという意味合いで国が補助いたしておりますけれども、特定の場合に安くするという制度を織り込むといたしますと、非常に複雑な体系になるんじゃないかという気がいたします。困難ではないかと思います。  なお、 市町村の税等につきましては、自治省の官房長が見えておりますからお願いいたします。
  120. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 税の点についてお答えを申し上げます。災害によって被災されました方々に対します地方税の減免につきましては、昭和二十八年に災害があった場合の地方税の減免についての取り扱いについての一般的、基本的通達を出して、それに従って自治団体において考慮していただくようにお願いをしてきているところでございます。今回の問題につきましても、この線に従って処理をしていただくことになろうと思います。なお、減免をいたしますと、そこに歳入の欠陥が起こるわけでございますが、それにつきましては、従来も特別交付税の交付にあたりまして十分考慮いたしてまいっておりますので、今回も同様の取り扱いをいたしたいと考えております。
  121. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうも官房長のいまの答弁を聞いてみますと、いずれも基準その他ございましてなかなか困難である、こうお答えになったと思うのです。そこでしからば一体応急対策、生活対策として政府がいま私が申し上げた程度のものだというと当然やらねばならない最小限度のものだと思う。それでは基準その他でできないとするならば、どういう一体生活対策などをお考えになっているのか、ですからこれは私は総理府の長官にけさほど来来ていただきたいということを言ったんです。前の委員会の記録があるのですよ、前も指摘しているのですから。こういうことについては、善処などというものではなくて当然予測のできない人間としての悲劇を生まないためには、この生活対策に万全を期したいという答弁をしている。あなたのきょうの答弁は万全と言えますか、まことにこういう点優柔不断だと思う。ですから、少なくとも当然これはやり得ることだと、やるべきことなんです。  そこでこれは建設省のほうも、これは救農土木事業などというものは主として建設省農林省もありますが、これは農林省関係だけでも政務次官どうですか、  それから給食その他国庫負担の問題などは、大蔵省のほうの関係になりますから、欠官どうですか。  それからもう一つつけ加えて申し上げますけれども、たとえば百歩譲って基準によって救農土木事業を実施した、そういたしましても時期的なものがある。従前は年内にその事業を実施したためしがない。ずっと私が調べてみましたならば、昭和二十九年それから三十一年災、この二つだけは年内に救農土木事業を実施して、非常にそれぞれ被災者に喜ばれたことがあるのです。それ以降ない。そこで私はことしの場合は、今回は北海道の場合は間もなくもう雪が降ってまいりますから、そういう段階で救農土木事業を一月以降にやったって、これはやれたものではない。ですから、できるだけこういうものは昭和二十九年、昭和三十一年にも例がございますから、年内にそういう事業を実施をしてもらわなきゃならぬ。この程度のことは当然できると私は思うのです。こういう関係、一体どうお考えになっているか、ひとつお答え願いたいと思う。  さらに、あまり長くなると、あなた方は答弁しにくいと思って二つに区切って言いましたけれども、農家それぞれが河川堤防敷地などを借用をしていろいろ農業事業をやっておるところもございます。こういう関係のところなどについても、当然減免措置をとるとか、あるいは借地料を免除してやるとか、何かの措置をやはりやらなけりゃならぬじゃないか、こう思いますが、こういう点ひとつどうですか。  それから米の配給量の問題ですが、こういう問題のワクの問題、ふやしてやるとか、あるいはその代金を延納をしてやる、こういう関係だって、生活保護法の適用すれすれ、受けなきゃならぬというような人々については出てくる問題なんです。いままでも出ておったのです。こういう関係一体どう考えるか。  それから薪炭材についても、手持ちの自己資金では買えないのですから、こういう関係については格安のものを払い下げをして、しかもそのものについてできるだけ代金を延ばしてやる、延納の措置をとる、そういうような事柄。  それから先ほど若干政務次官は開拓離農者については五十万円現にやっているようなお話ですが、これは五十万円じゃない、四十万よりやっていないのだ。四十万円で一体離農して何ができるかということですよ。当然土地そのものについては、それぞれの先ほど来申し上げているような問題点のある融資を受けていますから、借金ですから、全部これはもう借金の担保として農手にかわるとか、あるいは政府の償還財源として取られればないのです。そこでわずかお前はやめる場合に四十万円だけ離農奨励金というものを補助のかっこうで政府がめんどうを見る、こういうことになっているのです。今度の場合かなり開拓農民にはそういう離農者というものは出てくると思うのです。私は九月の十二日に当別というところに視察に行きました。私の目の前でもうすでに四戸程度離農する、こういうことを言っておる開拓農民がおりますから、北海道全体としてかなりのものになるとわれわれは見ています。こういう関係の、一体現在の貨幣価値、経済価値から見て四十万が妥当であるかどうか、やはり再検討する段階にきているのではないか、当然引き上げてやらねばならぬのではないか、こういう事柄は良識ある政治家、良識ある政府の高級官僚ならば、私は思い当たる点があろうと思うのです。こういう点一体どう考えているか。  それからあとあとの問題になるけれども、事後処理の問題として離農者の職業補導をどうするのか、あるいは職業あっせんをどうするのか、こういうことを考えたから、前段に私はそろそろこの段階では、いわゆる石炭政策のようなものと同じように法律的にひとつ立法化をし、それに基づく政令ないし基準もけっこうでしょう、そういうものを施して離職者に対するあたたかい私は補導なり、あるいは離農者に対する職業あっせんというものを、政府の責任で今日的段階ではやるべきではないか、こういうふうに思うのです。  そのほか若干まだいろいろありますけれども、個々の段階で区切っていますから前の質問に対する、年内に土木事業をやったらどうか、こういうことと、それから何でもかんでも基準に縛られてこれはどうもできないでしょうなどと言っている。問題はここに二つ、三つあります。給食の関係であるとか、あるいは開拓農民に対する土地改良の関係の問題、こういう問題、ひとつぜひそのために政治家が、政務次官がおりますから、大蔵政務次官と、それから農林政務次官から、ほのぼのとした血のあるあたたかい農民に受けこたえのできるような答弁を私はこの際希望してやまないものであります。
  122. 鍋島直紹

    説明員鍋島直紹君) 大蔵省関係としまして、学童給食の問題であったと思います。学童給食の問題につきましては、中西官房長が言われましたように、大きいいわゆる災害とかどうとかいうことじゃなくて、学童給食に対する助成が出ておるわけでございます。ただ災害地に対して、これを全額国庫でするかどうかという問題がございますが、非常にこの点は国直接にやる場合に非常に複雑になるのではないかということも与えますし、現実は検討しておりませんので、私自身の気持として申し上げますれば、あるいは市町村なり、あるいは府県なりにおいて、そういう必要があればそういうことをおやりになり、地方財政の面から、あるいは特別交付税なり、その他で国としてこれを見ていくというような杉であれば、現段階であるいはできるのではないか、現在補助率を上げてどうこうということは、ちょっといま検討をいたしておりません。したがって、そういう事態も、激甚災害地においてはあるかと思いますので、そういうことの必要な場合においては、そういう方法も考えられるということを申し上げる次第でございます。  なお救農土木事業の問題で、やはりこの点も財政措置の問題がやはり大きな要素になるかと思います。農林省当局におかれては、明日か明後日から道庁当局と折衝に入られるわけでありますが、被害額の実態が明らかになるとともに、おそらくこの救農土木事業そのものをやっていくべき段階がくるかと思います。また、それぞれの種類もあるかと思います。救農土木事業をやる場合において、現実にその作業上どういう業種を選ぶか、あるいはその準備をどうするかというような点で、なかなか大きな問題があるかと存ずるわけでございますが、財政措置としては現存予備金も百億以上残っておりますし、あるいは補正予算等に、足らぬ場合は考えられますので、でき得る限りそういうことを財政当局としては推進するように努力をいたしたいと考えております。
  123. 舘林三喜男

    説明員舘林三喜男君) 救農土木事業につきましては、いま鍋島次官から御説明のとおりでありますが、農林省といたしましても、北海道の冷害に伴う窮状を打開するためには、やはり救農土木事業を実施することが必要だと思います。お話しのように、まだ昭和三十九年の予算の中でも、国といたしましても、また北海道庁といたしましても、あるいは市町村、あるいは団体等の予算をすでに計上してありまして、まだ実施しない問題がたくさんあるだろうと思います。さような繰り上げ工事につきまして、なるべく早期に着工したい、さような気持で実は明日も会合を開くわけでございまして、ぜひひとつ御期待に沿うように、とにかく激しい雪の降らない前に、少しでも救農土木事業として役に立ちたい気持で推進させたいと思いますので御了承を願います。それから開拓営農者の離農につきまして四十万円が非常に安いじゃないかというお話でございます。全く十年、あるいは二十年開拓をやっている人が、自分の二十年来の、あるいは十年来のなつかしい土地を離れるその離作料と申しますか、離農料として四十万円が決して私は高いとは申せません。ほんとうに私は微細な金だと思います。しかし、これは初めて、炭鉱失業者以外には初めて開拓審議会の答申に基づきまして実施した案でありまして、今日の物価高等の点から申しましても、これはもっと増額しなければならぬことは申し上げるまでもないと思います。と同時に、承るところによりますと、あちらこちら非常に希望者がある、しかも県に対する割り当ての人数が非常に少ないという実情でございますから、単価をふやすとともに、総額のワクもふやさなければいかぬと私は考えております。ぜひこの点につきまして、御期待に沿うように努力いたしたいと思います。  なお、離農者の職業あっせん等の問題につきましては、先ほど官房長から御説明いたしたとおりでございまして、とにかく離農対策といたしましては、農林省といたしましては、本格的な政策に取り組みたいということでございまして、また先ほど申し上げましたような農地管理事業団のごときもそのあらわれでございますし、また、それに必然的に随伴して起こりますところの離農者の対策の教育、訓練あるいは職業あっせんの問題、この問題につきましては、現在農林省は労働省と密接な連絡をとりまして、画期的な離農対策、就職対策をとるということで準備しておりますので、この問題につきましては、通常国会に入ります段階におきましては、相当詳細に御説明できると思っております。その点、お含みおきを願いたいと思います。
  124. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 離農者の補助金の関係等についても、非常にあたたかい思いやりの御答弁がありまして、私も自分の考えていることは、そういう考えを持っていますから同意しますが、これは政務次官、せっかくあなたのそういう考え方、私はどうこう言うわけじゃないのですがね、四十万円から今度昭和三十九年度、今年度ですね、予算をふやしまして四十五万円にしたわけですよ。ですから、その後また物価がどんどん騰貴していく傾向ですし、大蔵大臣は公共料金年間ストップの期限も切れるが、政府は一方に料金改訂をやらないなどということを言ったって、現実にあなたのところで、消費者米価の問題についてもいろいろ審議会なんかで議論されていますが、まだ明らかに幾ら上げるなどといっておりませんけれども、新聞では一月ごろからやはり上げねばならぬような意味のことが出ていますな。それからこの委員会とは関係がありませんが、運輸委員会関係になりますが、鉄道料金についても何か三二%上げねばならぬというようなことを、現実に鉄道基本問題懇談会でそういう要請をいたし、関係者がそれぞれ談話などを発表していますが、それにバス料金しかり、あるいは市町村自治体が持っています公営企業においてもしかりでしょう。ハイヤー料金もそのとおりだ。ですから非常に地田内閣というのは、物価政策などというのは、ぼくたちの目から見ると持っていないというふうに言わざるを得ませんが、そのこととは別として、傾向として、物価高の傾向にあることは間違いないと思う。で、そこでいろいろ四十万円から今年の場合もあれやこれや勘案して五万円を増額しているのであるから、できるだけいま答弁した精神にのっとりまして、昭和四十年度の予算の編成にあたっても、ぜひこのいまあなたのお答えしたように、この金額では、なかなか離農したあとあとの職業の転換ということもむずかしいのでありますから、その人々の生活をみてやるというような立場に立って、増額方をこの際さらに要望しておきたいというふうに思います。答弁は必要ございません。  それからまだまだ私はいままでの答弁では納得しない面がたくさんありますよ。ありますけれども、ここでいま議論してみても、役人と議論してみても始まらないですよ。こういう問題は役人と議論しても、法律があって、基準があって、政令があってやっておることですから、役人も知っておるし、われわれも知っていますので、そういうことでは済まされない問題もたくさんありますので、関係大臣にこの委員会に御出席を願うとか、あるいは責任者である総理府長官に御出席を願うということになっておりますので、きょうはそういう方がおりませんので、ここでそういう方々の出席を強く要請をすると同時に、出たときに、こういう問題をさらに議論してみたいと、こう思いますから、きょうのところはいままで申し上げたことについては一応終わっておきます。  ただ、これらいま申し上げたような応急対策の中での金融問題、生活の問題、そのほかに、当然のことでありますけれども、農業共済制度が今日水稲関係を中心に若干ございます。こういう関係の共済金のやはり年内支払いをするように、農林省としてこれは当然でございますけれども、関係機関に最善の私は指導をしてもらいたい、こういう問題が一つあります。それから三十九年度の早場米の出荷期日の問題がございます。これも基準なんです。農林省の、こういう冷害や災害時に、基準であるとか、きめであるとかいうことだけでは済まされないと私は思うのですね。ですからそういう期日を延期するようにしなければならないし、北海道の場合は、そろそろ霜害の時期にきておりますけれども、これは気象庁等との関係もございますが、やはり耕作をした農民から見れば、一日でも二日間でも十日間でも、さらに秋の天候を見守りつつ、少しでも多く収穫したいという私は願いとか望みはあると思う。ですからそういう事柄を考えまして、この期間をそれぞれやはり延期しなければならない。とりあえず第一期、第二期、この程度、十日間くらい延長し、第三期くらいになりますと、二十日間くらい延長しなければ、北海道の場合は実情に合わないのではないか、こう思いますが、こういう点は政務次官どう考えているかということなのであります。  それから産米のこれまた水分の規格がございます。この規格は全国の場合は、水分一五%になっております。北海道の場合は、たしか私の記憶では、昭和三十五年までは一六・五%になっていたと思います。ところが、その後どういうふうに改正したのか知りませんが、現状では一六%になっております。さて、今日のような冷害に見舞われた場合、水分一六%ということになりますと、それぞれきめたこの規格米というのは、全くこれはできないと思うのです。さなきだに災害をこうむってたいへん農家経済が逼迫しておる中で、かろうじてささやかなりとも二分作になるのか、あるいは三分作になるのかよく知りませんが、収穫したものは全く等外種になってしまうということはしのびがたいと思う。そこで私はことしの場合は、少なくとも昭和三十五年度と私は記憶しておりますが、その当時の一六・五%から一七%くらいに緩和をしてやらなければいけないのではないか、こう思うので、この点についてどうお考えになっておるか、これがまあ水稲関係。  それから畑作関係についても、冷害でございますからたいへんな損害を受けております。バレイショにしても同じことが言えます。大小豆にしてもそういうことが言えます。したがって、この畑作農産物のつまり検査規格というものも、同じように緩和をしてまいらなければならないのではないか、こう思います。  それから前段で、この農業共済に触れましたけれども、政務次官御承知のように、今日の日本の農産物全体に共済制度があるわけではないですね。水稲を中心として燕麦、それから麦類、こういう関係だけです。そこで、この際、将来の恒久的な対策も含めて、私は畑作農献物に対しても共済制度というものを制度化していくようにしなければならぬ時期がきたと思う。三十七年災のときにも私はこういう話をしました。時の農林大臣は、ただいまときめくオリンピック担当相の河野さんでございました。河野さん答えていわく、畑作農業についても吉田君の言うとおり、われわれは考えねばならぬ、検討をいたしますと、こういう答弁になっていますが、どのように検討をされて、その結果、いつごろからこういう問題をあなたが実施をしようとしているのか、構想程度でもけっこうですから、この際お聞かせを願いたい、こう存じます。  さらに、二十七年災のときに、先輩の藤野委員もここにおりまするけれども、かりに、農業共済制度がいま言ったように水稲関係、それからただいま申し上げたような畑作農業に対する問題も考えられたとしても、災害の場合、農業災害のみならず、一般的な災害も同じことでありますけれども、個人の災害については、何ら補償される法律というものは、ただいまのところ、私不勉強かどうかわかりませんが、一つもないように思うのです。そこで二十七年のときに、いろいろこの委員会でも議論をしたりディスカッションをしたり、相談をして、個人災害についての若干の立法化を議員立法でしたことがあります。もとより否決されました。ですから、いま何もないということなんです。したがって、私は思うに、災害ですから、みずから進んでこういう害をこうむったあほうはいない。こういうもの等についてはやはり国家的な見地から、個人の災害といえども補償していくような制度が必要ではないか。一つの例は、どこかのダムで働いておった方です。災害のときに、みずから進んでそのダムを守るために行った。ところが、ダムが決壊してなくなった方がいる。それは、消防のほうから指令があったわけでもないし、国が命令したわけでもないですから、公でないということで、全くこの個人はびた一文、あるいは線香代も補償されない、こういう実例があるのです。災害の場合に、こういう事柄についてはそろそろ議員立法などということじゃなくて、そのつど議員間で毎回こういう議論がされるわけですから、政府は今後本腰を入れて、個人災害についても法制化していくような考え方を持つ私は時期だと思うが、検討されているかどうか、この際お聞かせを願いたいと思います。  それから最後に、市町村自治体に対する考え方でありますけれども、のことでありますが、災害をこうむるために市町村自治体の財政にかなり影響を及ぼすことは御承知のとおりであります。したがってこういう場合に政府はそれぞれ特交金交付をいたしまして措置をとっているようですけれども、今度の災害、すべての災害を含めて、ぜひ私は万全を期していただきたい。それから市町村自治体みずからが救農土木事業を行ないます。これに対する財源措置も、政府ができる可能な範囲内で責任を持ってこの措置をとってもらいたい、こういう考え方を持っておりますが、これに対するお答えもお願いをしておきたいと思うのであります。  以上が大体応急対策、その中における生活の対策等でございます。あとあと、午前中にも申し上げましたように、恒久対策についても、若干当面起きた台風二十号の災害、北海道の冷害等々について私は考えを持っておりますから、このあとさらに質問ないし意見を申し上げたい、こう思います。
  125. 舘林三喜男

    説明員舘林三喜男君) 災害地、ことに北海道における米の時期別格差の問題に関連をいたしまして、その時期を繰り下げていただきたいという御意見でありますが、これについては大体御意見に沿えると思います。  それから第二の、米の規格外の水分、規格外の玄米につきましては、農林省といたしましては、これを買い上げの対象とするというふうに一昨日決定いたしましたから、さよう御了承願いたい。  それから農業共済制度の問題につきまして、いわば政策論的にいろいろ御教示をいただきましたが、私はまだ就任早々で、農業共済の問題は、十分勉強しておりませんし、いわんやこれから政策論的にどう改正するかということにつきましては、いま御意見にこたえるだけの能力がありませんので、しばらく勉強さしていただきたいと思います。
  126. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 年内支払いの関係はどうですか。
  127. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 今後の被害状況にもよりますけれども、できるだけ早期に払うという目標で仕事をいたします。なお、概算払い等で当面迅速に措置をいたしたいと考えております。  それからいまお話ありました畑作の共済の関係に若干触れますと、北海道中心でかねて御要望がありまして、三十三年から三十五年まで三カ年間に大豆について実態調査を行なってまいりました。それからまた三十六年から、三十八年まで、この間、てん菜、ハッカ、除虫菊等においても調査を進めてきております。現在では検討委員会というものを設置しまして、過去の資料をとりまとめておるわけです。現在問題となっております事項は、対象作物をどの程度にとるかということが一つであります。それから基準収量のきめ方が第二であります。第三は、損害評価のやり方、以上のような保険技術上の諸問題が残されております。なお、言い落としましたが、被害率をどのように定めるかというようなことも含めまして現在進行中でございます。
  128. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) お尋ねのございました市町村自治体に対します財政上の問題でございますが、従来も災害を受けました市町村につきましては、特別交付税の交付にあたって災害を第一順位に考えまして配慮をしてきたところでございまして、今回の災害につきましてもできるだけ実情に即するよう努力をいたしてまいりたいと考えております。  なお、市町村等が行ないます救農土木事業についての財源措置の問題でございますが、これも従来その例がございます。起債でもって必要な財源措置をいたしてまいっております。今回も御要望がございますならば、実情に即するよう善処いたしたいと考えております。
  129. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 委員長、関連。一つだけお伺いしますが、いま農林政務次官は時期別格差の時期について吉田委員の質問に、おおむねただいまの質問の問題を解決したような答弁がありましたが、再確認の意味でお尋ねします。これは、北海道はもとよりでありますが、御承知のように、北陸においても、新潟においても、東北全体においてもこの収穫時の天候不順のために、かなりその脱穀調製、供米がおくれておる。したがって北海道で端的にあなたが答弁したように、具体的に十日、第一期の九月末をずらしておおむね了承する。なお、第二期の十月十日、第三期の十月二十日についてもより大幅にこれは時期をずらす要請に対して総括してそれを了承した答弁をなされておるんですが、いま言ったように、北海道に限らず、こういう異常天候によって出てくる現象は全体の早場米地帯の切なる要請があることも御承知のとおりでありますが、全体に共通してそういう大幅な、その取り扱いの時期を延長するものと理解していいのですか、念を押してお尋ねします。官房長に聞いているのじゃなくて、政務次官の答弁に対し政務次官に再確認で質問しているのですから、政務次官答えてください。
  130. 舘林三喜男

    説明員舘林三喜男君) まず第一に具体的に官房長から答えさせます。
  131. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 具体的にそれぞれの地域の気象条件、それから出荷時期の気象条件、と申しますのは、北海道等につきましては遅延型といいますか、障害型といいますか、作そのものが相当おくれておるということが一つございます。それからその他の地域では出荷時期になって天候が悪くって出荷できないというようなことも、いままでの例ではございます。それらの先例にかんがみて必要があれば時期別格差の基準の改定をせざるを得まいということを事務的には考えておるわけです。で、北海道につきまして目前に迫っております三十日を、どうするかというふうなことについては、通常の北海道の作柄からいって、三十日までの出荷というのはほとんどございません。そういう意味で十月の十日をどうするか、あるいは二十日をどうするかというふうな、二期、三期について十分な配慮をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  132. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 九月末は北海道は該当しないことは私も承知をして質問しているんですが、九月を十日もずらすということはさらに第二期の十月十日をさらに大幅にずらす前提になるわけですね。で、このことは、北海道とはまた事情は多少異になりますけれども、いわゆる早場米地帯がいまこの問題で非常に頭を悩ましておる。新潟一県で予定したものの半分も出ていない。そういうものに対して時期をずらすということは、かなり共通のこれは問題だと思うんですね。だから、それはおそらく農林省としては大蔵省と折衝しているでしょう。そういう問題は共通した問題として、二期、三期をずらすということだけじゃなくて、第一期も当然該当するものについてはずらさなければならない、そういう点を再確認で私は政務次官に伺ったのですから、これは記録に残っておるから、私が再確認をしなければそれで済むけれども、現に九月三十日があすに迫っている時点で、私は念を押してお伺いしているわけです。
  133. 舘林三喜男

    説明員舘林三喜男君) 各時期別にどれぐらい延ばすかということにつきましては、先ほど官房長から詳しく申し上げましたとおり、これは大蔵省と交渉中でございまして、具体的にはあと数日かかるだろうと思います。
  134. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうも政務次官、それではいかぬので、ぼくは渡辺委員から申されたように、第一期は九月三十日、二期は十月の十日、三期は御承知のように十月の二十日なんです。それを現状の北海道の冷害をこうむった事情、その後の気象条件等々を考えて見れば、具体的にぼくは先ほど申し上げた前段の一期、二期は十日間ぐらい延期しなければならない、第三期は二十日間ぐらい延期しなければこの問題はたいへんな問題になりますよ。したがって第三期を二十日間延ばすということになると、十一月の十日ということになるということを申し上げたので、それを今後大蔵省ととやかく相談して見なければようわかりませんなんということでは、それはいかぬのですよ。農林省として当然これは、かりに大蔵省と相談して見なければならないと言った意味は、奨励金の関係でそう言っているのだろうとぼくは思うんですよ。思うのだけれども、それは時期をずらして見たって、現実に明日第一期の締めきりをやったって、米を出荷する人はだれもおりません。私が来るときに初めて一俵だけ、つまりあすまでありますけれども、一期にどこか空知の昔から第一期だけには必ず自分で耕作した米を納めるという習慣を持っておった人がおって納めましたなんという新聞に出た程度ですから、明日になって、これが第一期の早場米の供出ですなんということにはなりっこないのです。何も私はここであなた方をごまかして、農民を救うなんという気持ちで言っているのじゃない、現状がそうなんだから、大蔵省との関係で奨励金の関係があるけれども、そのくらいの措置をしたって財源措置には何ら変わりはない。だから現状の気象現象等々を考えて見て、そうしなければならぬのではないかと言ったら、あなたはたまたまそういう関係については触れないで、つまり農林省買い上げにするというようなことを言ったから、渡辺委員から再確認しただけのことなんです。これはぜひ、私が具体的に言っているわけですから、具体的に言ったことをあなた方が了承する、されるようなことにしなければたいへんなことになるわけですから、ぜひそういうふうにしていただきたい、こう思います。これが一つ。  それから加えて、先ほど答弁になっておりませんが、畑作農産物に対する検査規格というものも緩和しなければならないのじゃないか、そうしますと、現状等級、規格がございます。時間がありませんから、そういう点を省略をしたのです。現状の等級、つまり規格にあてはまるようなものがないのですよ。ないのですから、それを救済するには、具体的にあなた方はくろうと――専門家ですから、そのことによってめしを食っているのですから、だからこういうことを言えば、緩和ということを言えばわかると思うから、具体的に言わぬのだけれども、現状の等級、規格のその下に下位規格、下位等級を設けなければ、畑作農民を最小限度に救うということはできないですよ、今度の場合ですね。かりに冷害で、ただ収穫だけが、小豆等が一分作とか、大豆が二分作ないし三分作と言っているのじゃない。収穫だけじゃないです。必ずそれぞれの収穫されたものの質的なものが含まれてきます。そういうことも含まれて減収されるわけですから、したがって、いわゆる農作農産物に対する検査等級についても緩和したらどうかと、こういったわけですからね。その意味は最終的には下位等級を一つ設定しなければならぬじゃないか、こういうことなんです。この答弁はございませんでしたからあわせて答弁して下さい。
  135. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 畑作物についての検査の規格あるいは等級についてのお話は、これは過去におきます被害の実情によりまして、食糧庁の検査官が立ち会いまして規格をつくるという観点よりも、何には使えるといったような判断をしまして、流通のあっせんをするということで従来やっております。おそらく北海道の畑作農産物についてもそれで十分であろうと思うのですけれども、なおお話のさらに一つ下の等級をつくるということの実益等も勘案しまして、十分検討いたします。
  136. 舘林三喜男

    説明員舘林三喜男君) 時期別格差につきまして再度御質問がありましたが、先ほど申し上げましたように、これを北海道だけの特殊な事情にかんがみまして、あとにずらすということでいま交渉中でございますこと、先ほど申し上げたとおりでございまして、今明日中、明日くらいにはたぶんきまるだろうと思いますから、いましばらくお待ちを願います。
  137. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大体時期別の問題であるとかなんとかは、そういうことになりましたから了解しておきます。ただ農林政務次官、あなたが答えているように、若干畑作農業に対する共済制度、あるいは個人災害についてのどうこう、こういう関係は農業政策全般として考えなければならぬことですから、ただいませっかく勉強中のようでございますので、ぜひあなたが在任期間中精力的に勉強されまして、ただいままで衆参の災害対策委員会で論議された経緯もございますので、そういう事柄等々も勘案をいたしまして、できるだけ、臨時国会とは言いませんから、通常国会までにあなたの勉強されたものがこの委員会に出されるように私はこの際強い希望をいたしておきたいと思います。  そこで最後に、午前中も多少の議論はしましたけれども、恒久的な対策というのはやはり何としても必要だと思うのです。したがって、とりあえず全般的な災害については、あとあと私は私なりに皆さんと意見交換をしたいと思いますが、きょうのところは北海道の冷害について私が先ほどから申し上げておりますように、三ヵ月間各町村別にみずからその実態を調査した体験、経験に基づいて感じた点を申し上げますれば、何といたしましても、やはり農家のとりあえずこの所得保障をするという意味から、特に北海道の場合は酪農業にかなり転換をしています。国がそういう政策を打ち立てて、それぞれ施策を施しておりますから、そういう面からも申し上げますけれども、農畜産物の価格支持を安定するやはり制度というものをこの際ひとつ確立をしなければ、ただ単に災害時のみならず問題になる点だと思うのです。とりわけ、こういうふうに災害時になればなるほどこのことが必要だと感じますので、ぜひこういう価格支持安定政策というものを将来の問題として、幸い政務次官はいま各般にわたり政策の勉強をしておる、こういう模様でありますから、この面をぜひ入れていただきたい。先ほどの畑作農業についての共済制度、あるいは個人災害に対する補償制度、こういうものを含めて私はしていただきたい。  その次に、土地基盤の整備というものをやはりこの際完全に実施する必要があるのではないか、特に小規模の土地改良事業などというものを都道府県はそれぞれ行なっておりますが、こういう関係補助率というものをこの際抜本的にやはり改正をして、できるだけこういった事業がすみやかに完成されるように、政府がひとつやはり政策的に施策を加えるべきではないか、こう考えるわけであります。  それからその次に、だんだん日本農業も、政府の言っているほどではありませんけれども、近代化とか機械化というような方向がややとられつつあると見なければならないと思います。そうした場合に、当然問題になりますのは、大型の農機具の問題、こういう場合従前は貸し付け制度をとっております。その場合に問題になりますのは、そのワクの問題であります。あるいはこの償還の問題、先ほどの金融の問題と同じようにございます。したがいまして、現状ありますこの制度というものは、機械の種類であるとか、あるいは台数等々、貸し付け年度も含めて拡充をする、そしてまたワクの拡大をはかっていくということが将来のいわゆる寒地農業に対する私は恒久的な対策の一つではないか、こう考えます。  もう一つには、土地改良の問題がございますけれども、その中でも、北海道の場合は草地造成が急務中の急務ではないか、気候的にも大体北欧三国の国に似たようなところであります。面積も日本の総面積の四分の一を占める、日本は小さいながらも、日本では最大の面積を有しているのは北海道だと思いますから、そういう立地条件等等にかんがみましても、私は北海道の寒地農業というものは、何だかんだいってもやはり酪農業に転換せざるを得ないものを持っているのではないか。でありますから、酪農業をやる場合においても、この際は草地造成をやはり土地改良の一環としてやらなきゃならぬ。こういうことがまず恒久対策として政府の真剣に取り組む問題の一つではないか、こう考えます。  それからその次に、いま申し上げたように、酪農に転換してまいりますると、酪農経営規模の問題が問題になります。御承知のように、おおむね北海道の場合は五頭ないし六頭の乳牛を導入して、耕作面積が大体十町歩さえあれば、何とかかんとか粗収入あるいは実収入等々で営農ができる、こういうことが各階層からいわれています。さて振り返ってみますと、そういう規模になっているかどうかというと、必ずしもそうなっていない。これはもとより個々の営農をいたしておる人々の資金の関係等々が大きく左右しています。したがって、この際は国がやはり国策として酪農業の営業規模というものを拡大していくような政策をとるべきではないか。あわせて乳牛の導入等についても、具体的な施策として施す必要があるではないか。こういう問題が一つ恒久対策として考えていいのではないか、こう思います。それとあわせて酪農施設かなり問題になってまいりますから、従前のようなこれに対する補助、助成の制度はございますが、これでは先ほど言ったように問題になりませんから、この際は高率助成をするようにして、前段で申し上げた酪農経営規模というものを、その道を通して拡大をするようにこの際考えていかなければならないのではないか。これも恒久対策の一つではないか、こう思うわけです。  それからどんな災害でもこれは問題になりますけれども、まだまだ無灯地帯、無水地帯がございます。ですから、こういう面についても各種災害で問題になりますのはこの問題です。したがいまして、こういう無水地帯、無灯地帯を解消していかなければならないという問題も恒久対策の一つではないか、こう思います。  さらに、先ほど来多角農業について若干触れましたけれども、水稲関係その他については、若干の品種改良については、かなり私はある意味においては進んだと思うのです。しかし、寒地畑作農業に対しての品種改良というものについては、まだまだその点では立ちおくれをしています。特に最近のバレイショの品種関係につきましては、皆さんはソビエトなどの関係等々も比較して研究されていると思いますけれども、問題になりません。したがいまして、こういう関係の畑作農業について品種改良を促進する、こういう事柄だってやはり恒久対策の私は一つになるのじゃないか。  それから冒頭先ほど恒久対策関係で官房長がお答えしたように、治山治水というものは一体どうあるべきか。特に全国的に見てそうですけれども、とりわけ北海道の場合は中小河川が非常に多うございます。しかもこれらいずれも原始河川です。何ら手が施されていません。つまり中小河川の管理の問題等々と、政治的にやかましい問題があることも承知しております。おりまするけれども、だからといって、こういう問題を今日なお放置することが、一体災害を防ぐ意味からはたしてよいのであるか悪いのであるか、おのずから答えが私は出てくると思います。したがいまして、中小河川の完全改修を早急に実施をする。こういう事柄だって私は恒久対策の一つではないか、こういうふうに思うのです。  そのほかに、先ほども若干気象庁関係と関連して出ましたけれども、恒久対策、予報対策の一つにもなるでありましょうが、農業の場合は農業気象観測の充実、こういう事柄だってやはり一つの恒久対策ではないか、特にここで触れておきまするけれども、農業気象観測の充実のみならず、機械の設備とか何とか、これはまた当然でありますけれども、それ以上にこれらを運用する人の問題が私は問題になると思う。各それぞれの出先の気象庁を私は視察してみましたけれども、その中である意味においては私は迫害という言葉を使いたいけれども、生産職場、産業職場でないだけに、気象庁の職員が苦労に苦労を重ねておりますけれども、さて人の面はどうかということになると、今申し上げたように全く私の能力では表現でき得ないほど少ない人員が配置されているところにも問題があります。私は災害の場合の最も大事な点は気象予報にあると思います。そういう意味合いからもこれからの問題として、特に私は四十年度の予算国会を前にしての委員会だけに、その関係当事者はできるだけこれが万全を尽くすために、人の配置などについてはただ一片の閣議の決定、ただ一片の閣議の相談等々に拘束されずして、災害を未然に防ぐ、こういう立場で私は要員、人員等の算定を行ない、具体的に大蔵政務次官がおりますから、大蔵官僚がこういう点でみみっちいなたをふるわぬように私は強い要望をいたしておきたいというふうに思います。  おおむね十項目ほど読み上げましたけれども、もとよりこれ以外に政府は恒久対策を考えておると思いますけれども、私はわずか三カ月間の実態調査でありましたけれども、こういう点を痛切に感じてまいりましたので、ぜひひとつ予算前の委員会だけに、この点については最善の努力を私は払っていただきたいことを要望いたし、さらにもしこの十項目に対してそれぞれ措置をされたり、あるいは政府側として考えているものがございますれば、この際私は具体的にお聞かせをお願いしたいと思います。
  138. 舘林三喜男

    説明員舘林三喜男君) 北海道の冷害の応急対策に関連いたしまして、ただいま十項目にわたりまして、恒久対策につきましての御意見をお聞かせいただきましたが、いずれも私は北海道の問題あるいは一本全体の災害対策といたしまして、恒久的対策として最も適切な問題であったと思うのです。ことに第一の酪農の振興、北海道はもう私が申すまでもなく酪農あっての北海道、今後の北海道といたしましては、何と申しましても水田、米麦中心からやはり酪農に転換していかなければならないことは申すまでもないことでございまして、したがって農林省といたしましても、来年度におきましては、まず第一に全般的なことでございますけれども、酪農振興法の根本的な改正を行なうつもりでございます。また北海道につきましては、国営の一千町歩にわたる草地の造成をやりたいということも一つでございますし、また機械開発公団によりまする育成牧場の設置、あるいはまた建て売り牧場の新設というような新しい構想を持っているわけでございますし、ことに北海道においては加工乳から市乳の販路の拡大ということが一番大きな問題でございまするので、この問題につきましても、全国にわたって来年は学校給食法の率をことしの四十万石から来年は八十万石にふやす。また、何と申しましても、北海道の生産された牛乳を内地に持ってくるということが今後非常に必要でございますが、この問題につきましては、来年直ちに実施することは困難でございますので、岩手県との間にはタンクローリーのひとつ新しいシステムを設けまして、ぜひひとつ東北地方の加工乳を市乳化したい、かような考えを持っておりまして、いずれにいたしましても、農林省といたしましては果樹園芸と相応じまして、選択的拡大の立場から酪農につきましては、御趣旨のとおり、全力をあげたいのがわれわれの気持でございますから、この点に御了承をいただきたいと思います。  第二に、土地基盤の整備につきましてお話がございましたが、全く同感でありまして、何といっても水田の発展と申しますのは土地基盤の整備以外にはないわけでございます。その意味で、土地改良とか、あるいは土地整備等につきましては、御趣旨のとおり、来年度におきましては補助金をアップするために、いま大蔵省に要求中でございます。  それから酪農の経営規模の増大につきましては、農林省といたしましては今後国内本土におきましては、大体五頭ないし六頭というようなものをひとつ理想的な――理想というか、一応のめどといたしたい。北海道におきましては、今後先ほど申し上げましたように、草地の造成あるいは飼料の自給度の拡大というようなことを通じまして、十頭から十二、三頭程度まで持っていくというのがわれわれの考え方でございます。  それから無水地帯並びに無灯火地帯の開拓地の開発の問題でございますが、無水地帯につきましては、これは厚生省の関係の簡易水道等、問題もありましょうが、無灯火地帯におきます電気導入につきましては、吉田さん御承知のとおりに、開拓法の法律に基づきまして奨励をしておりまして、今後もぜひひとつ北海道におきましては無灯火地帯のないように努力いたしたいと思います。  その他の問題につきましては、治山治水等は建設省の問題でございますので、一応農林省としての関係だけは、いまお答えさしていただいたとおりであります。
  139. 鍋島直紹

    説明員鍋島直紹君) ただいま古田委員から全般にわたりましての御意見を承りました。まことにごもっともだと思います。大蔵当局はこれに対する財政的裏づけを主体とするわけでございまして、あるいは厚生、あるいは建設、ただいま農林政務次官がお答え申しましたとおり、そういった御趣旨を体しながら、また要求も合っている面もございますので、具体的な折衝に入りたいと考えております。  なお、気象庁職員等の問題につきましては、相当担当としてはみみっちいことというようなお叱りを受けましたが、行政管理庁の所管にもなっておりますので、そちらのほうともお話をいたしたいと思います。
  140. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 農林政務次官から非常に農業改善事業と相まって、主として寒地農業、その中でも酪農についての積極的な御答弁がございましたから、私は了承いたします。ただ、無水、無灯火地帯の場合は、確かにいまお答えになりましたように、高率の補助がございます。ですけれども、若干なりともそれぞれの開拓農民の諸君か負担せなければならないものがございますね。これについて、やはり無水、無灯火、その負担に応じ切れないために、依然として残っている地帯がかなりあるわけであります。それはなぜそうなるかというと、あとあと触れようと思いましたけれども、先ほど若干申し上げたように、北海道の開拓農民というものが、全国的に見ましてそういう傾向にあるけれども、それより以上に今日的に借金を背負っております。したがいまして、本来的に営農そのものにもかなり問題になっておるときに、プラスして無灯、無水の設備なり、それの改造の設備まで自己資金が回らない。こういう事情ですから、私はこういうものについては、ただ単にその個人が受ける利益ということじゃなくて、大きな大局的な見地からこの無灯、無水という地域というものを災害の場からながめてみても、恒久的に私は必要だと思う。ですからこういう関係はできるだけ高率補助ということでなくて、全額やはり国が公共事業のように国庫で見ると、こういうやはり姿勢が必要ではないかと痛切に感ずるんです。ぜひこういう関係についてももう一度検討してみていただきたいと思うんです。  それから酪農業についても、大体この五頭ないし六頭乳牛を飼育するならば営農ができる、こういうものが一応統計に出ていますけれども、政務次官も申されたように、北海道の場合は面積が広いわけですから、十頭ないし十二頭にすると、こういうことですから、そのことは私はたいへんいいことだと思うんです。その場合に、ただ単に牛を飼ってそれで営農ができるというものじゃない。当然付帯的に酪農の設備、施設が必要になってきます。これにもそれぞれ助成の制度がありますけれども、いまだ完全にそれを遂行できるような制度になっていません。だから若干あなたのお答えが漏れましたけれども、高率助成をこの際しなければ、せっかくの政府のそういういわゆる農業改善事業を画期的に進めていくというような方向が示されたとしても、具体的にこれが実行に移されない、こういう弊害が出ると思うので、あわせてこういう高率補助という事柄についても考えてみる必要があるんじゃないかと、こう思いまして、せっかくの積極的な答弁ですから、その程度のことは考えているのであろうと思いますから、あえてここでは答弁を求めません。ただ原則的には無水、無灯地帯については私は抜本的にそういう考えかに立っていいじゃないかと、こう思います。  それから今度の冷害にプラス・アルファされまして、ひょうの害が加えられたところがございます。地域的には江別市とそれから当別町でありますけれども、それぞれかなりの戸数、かなりの耕作面積が被害をこうむっております。時間がかなりたっておりますから逐一私はここで答弁を求めようとしませんけれども、とにもかくにもこの未曽有の冷害にあい、さらにひょう害をこうむったわけですから、全くこの地帯の被害をこうむった人々は皆無の状態になっていますので、昨年の九月に東北で大ひょう害がございました。そのときにそれぞれの応急対策ないしは生活の対策等々を施して特別の措置をとった例がございます。したがってこの江別市と当別町の被官をこうむりました諸君については、前例がございますから、ただ天災法あるいはその他の法律にしても、さいぜんから言っておりまするように、被害面積であるとか等々のことで基準で制約を加えることは承知しています、私ども。しかし承知はしておりますけれども、冷害にさらにひょう害のダブル・プレーになったこういう実態というものは、あまり他に例がないと思いますので、こういう事柄を勘案をして、ただ単に基準などにこだわることなく、こういう点についてはそれぞれ私は善処をしていただきたい、こう思います。  それからもう一つ開拓農家に対する対策であります。一つには負債の整理の問題がございます。もう一つには離農の問題がございます。それからもう一つはその負債に対する償還期間の延長の問題、あるいは債務負担能力のないものに対しての打ち切りの問題等々がございます。したがいまして、これは基本的な問題だけに、冷害と直接結びつく問題もありますけれども、主として政策上の問題になりますので、私は追って委員会でこの問題について具体的に質問をいたしたいと思いますから、必ずやこの場合、大臣政務次官ないしは関係の責任者を出席をさしていただきたい。このことを要望いたしまして、この件についてはきょうは省略をいたします。  ただ一つだけ、土地改良の問題として開拓農民にただいま問題になっておりまするのはこういう点が一つございます。政府の開拓政策によって開拓者が入植をいたします。当初畑作農業を行なうよう指導を受けておりましたけれども、その後もとより農民の希望もあったであろう。あったであろうが、畑作農業を営農するよりも、やはり反収としては水稲がある程度米価など法律的にやや保証されておりますから、その面の安定性を選んだせいだと思いますが、漸次土地改良事業が増田計画にかわっている面が当別、新篠津等に顕著に出ております。そこでこれは御承知のように、それぞれの増田改良する場合に、国の補助率、道の補助率等々がございまするけれども、やはり農民それぞれも負担をせねばならぬものもございます。これがつまりそれぞれの開拓資金であるとか営農資金であるとか等々によって政府がそれぞれ融資をして今日に至っていると思うのです。しかもそのやり方として泥土を客土したところがあります。つまり泥炭地でありますから泥土がたくさんあります。それを汲み上げて客土したところがある。これならば増田をした場合に、反収率というか、いわゆる既存の水田並みに収穫が上がる。こういうような角度でそうした面積が開拓部落として一部落ございます。しかし年々の災害をこうむったり、あるいは水田でありますから御承知のようにかんがい溝から水を流す、そういう事柄が三、四年経過してみたところが、いわゆる泥土はみんな流されてしまった。したがって今度水稲は育たない、こういう現象が出てまいりました。これについて一体そのあとの客土をどうするのか、土地改良をどうするのか。泥土の土地改良というのは、御承知のように暗渠の設備のしかたもかなり技術的に変わってくると思う。ですから根本的にやり直さなければならないという問題がある。ところがですよ、政務次官、一回国が助成したものであるから、そのあとあとの技術指導であるとか国の指導にどんな欠陥があろうと、そのあとは一切開拓農民が、自己資金といったって自己資金がありません結果、いわゆる農手を切るとか、あるいは再度開拓資金を借り受けるについてもその道はないと思いますから、どうなるかということなんです。こういう問題がこの当別の開拓部落に一つございますことを私はこの目で見て、実際開拓農協の組合長とも話し合いをしてきましたが、まことに私はこういう点は政治の矛盾だと思ってきたけれども、こういう面を農林省はどういうところから指導しようとしているかという点だけこの際ひとつ聞いておいて、あと次回の委員会にこの開拓農民全体の問題と含めて私は根本的な議論をしてみたい、こう思うわけであります。
  141. 舘林三喜男

    説明員舘林三喜男君) 江別を中心とする降ひょう害の問題につきましてお話がございましたが、実は先ほどの委員会におきまして小林篤委員から、この委員会としても近く北海道の冷害につきましての視察団が派遣されるらしゅうございますし、また午前中の町村知事から農林大臣に対して、また私に対しまして、ぜひ農林省の幹部が至急に冷害等を視察するようにというようなお申し出がありましたので、近日中に委員会の出発と相応じまして、農林省としては幹部を派遣して詳細に調査するつもりでありますし、その際降ひょうにつきましても調査いたしたいと思います。  それから開拓営農対策につきまして詳細な御意見がありましたが、開拓営農につきましては、もうすでに開拓営農の改善の計画ができておりまして、第二類はこれをあくまで存置させるというような方針によりまして各種各般の施策をとっておることは御存じのとおりであります。第三類につきましても、まことに離農資金は少ないのでございますけれども、離農資金も給与する、あるいはまた債務の整理につきましても具体的な方針があることは御存じのとおりでありまして、あの方針を推し進めながら、なお欠点等がありましたら十分これから検討いたしたいと思っております。  それから土地改良の面につきまして、客土の問題等具体的なお話がありましたけれども、これは全く技術的なことでよく存じませんので、農地局長ともよく御相談いたしまして、後刻御答弁申し上げたいと思います。
  142. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 ただいままで吉田委員から各般にわたって詳細に御質問になり、また政府当局よりそれぞれ御答弁があったのでありますから、私は重複を避けて、まず第一に九州四国における干害に関する件についてお尋ねしたいと思うのであります。  九州四国地方は昨年長雨があり、本年も長雨があり、そのために政府においてもいろいろと施策を講じていただいたのでありますが、長雨があったと思ったら次には干害があって、この干害なるものは有史以来の大干害であったのであります。でありますから各地方とも長雨の被害、重ね重ねの被害のために非常に困難な状態に陥っているということは、私観察が少ないのでありますが、長崎県下は全部回って見たのであります。それでこの重ね重ねの災害に対し応急対策としてやらなければならなかったところの問題は、また応急対策としてやったところの問題は、干害であるのでありますから、いかにして水を確保するかというふうなことであるのであります。水を確保するところの問題としては、さく井であるとか、水路であるとか、仮締め切りであるとか、送水管であるとか、あらゆる施策を講じて水の確保に努めたのであります。また一方のほうにおきましては、揚水機等のようなものを購入し、あるいはこれを借り入れて水の確保につとめてまいったのであります。またこういうふうな機械を運転するためには、これにやはり燃料費が要るのであります。また電力の費用が要るのであります。こういうふうなものを農家が現在においてたくさんの費用を負担しているのであります。費用はたくさん負担しておるが、さっき申し上げるように長雨、干害ということで全く収入がないのでありますから、これに対してはそれ相当の助成方法を講じなければいけない、こう考えておるのでありますが、政府はこれらの問題について、いかなる対策を現在考究しておられるのであるか、農林省と大蔵省とはまたこの問題についてどういうふうな話し合いが進んでおるのであるか、その状況を承りたいと思うのであります。
  143. 舘林三喜男

    説明員舘林三喜男君) ことしの夏の九州地方四国地方等を襲いました干ばつにつきましての対策でございますが、いま藤野委員からお話しのように、干ばつの被害を最小限度にとどめるために、用水の確保のために用水路を掘るとか、あるいはまた揚水機を購入するとか、あるいはボーリング機械を購入されるとか、あるいはその燃料等を購入されたいろいろな費用が要っておるわけでございまして、農林省が集めました統計によりますると、大体事業費が三十七億前後要っております。まあこの努力によりまして、もしも今度の二十号の台風がなかりしとするならばと申しますか、なかったならば史上最大の豊作になっていただろうと思う。そんな意味で、干害対策というものは非常に私は大きな意義があったと思う。したがいまして、さような状況に対しましては、政府といたしましても助成の処置を講じますことは当然のことでございまして、さような意味から、いま農林省といたしまして基準を設けまして大蔵省と交渉中でございます。ちょうど干ばつの例を申しますと、昭和三十三年が最近で一番の大きな干ばつでございまして、そのときのいろいろな補助率は大体最高が六五%、六割五分というような率になっておりますが、その後三十五年、三十六年と干ばつの被害が非常に少なかったために、三十七年でございますか、補助率も大体平均いたしまして四〇%程度に下がっているわけでございます。しかし、今度の干ばつは昭和三十三年度に次ぐ干ばつでございますので、ぜひひとつ三十六年、三十七年度よりもなお補助率はアップしていただきたいということで目下大蔵省と折衝中でございまして、あとしばらくたちますと、大体補助率はきまるだろうと思いますから、それまでお待ち願いたいと思うのであります。
  144. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 ただいまの政務次官お話によって大体の状況はわかったのでありますが、さっきも申し上げましたように、昨年も本年も長雨でもって農家の収入は皆無である、それに加えて干害であるのでありますから、私は現在どういうふうな基準で補助のことを大蔵省と交渉しておられますか存じませんが、こういうふうな重ね重ねの災害である以上は、いまお話があった三十三年の六五%以上には必ず達成するというような決心で交渉をしていただきたいという希望を申し上げておきます。  次には代作の問題であるのであります。代作としてはどうしても種苗の購入が必要であるのでありますが、この種苗の購入費に対する助成の方法をどの程度にいま進めておられるか承りたいと思うのであります。
  145. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 種苗の手当てにつきましては、現在私どものほうの農政局を中心にしまして、各県当局と数字の突き合わせの最中でございます。まだそれぞれ作業中でございまして、結論は出ておりませんが、早急に結論を出したいと考えております。
  146. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次は吉田委員からも救農土木事業のお話があったのでありますが、さっきも申し上げるように、収入がないとしたならば、収入がないところの農家に対しては収入がある手段方法を講じてやらなければいけないのであります。そのためにはどういうような方法があるかというと、いろいろありますが、干害のためにため池の水は全くなくなっておるのであります。水がなくて底が干上がって亀裂を生じておるというような状況であるのでありますから、この際このため池のしゅんせつをやる、また、ため池の堤防のかさ上げをやる、こういうふうなことであれば、一方のほうにおいては救農土木事業になり、一方のほうにおいては次の年の水の確保の手段ともなるのでありますが、こういうふうなことを急に実行していただきたいと思うのであります。また一方のほうにおいては、干害にあうような土地というものは、たいがい小さい区域においてため池ができている。そうしてそのため池なるものは老朽に達して水漏れがあるとか何とかいうような状況にもなっておるのであります。でありますから、この際はさっきも申し上げましたように救農土木事業とし、あるいは次におけるところの用水確保の手段、方法としてため池のしゅんせつ、かさ上げ、老朽ため池の改修をする、こういうふうなことにしていけば、さっきから申し上げますように一挙両得の策であるのでありますから、これらの点については積極的に取り上げて、また現在の補助基準であるとか、あるいは補助率であるとかというようなものは、あまりにも小さいところのため池その他に対しては適用ができないような基準であるのでありますから、補助基準は引き下げて、補助率は引き上げるというような対策を講ぜなくては、本年干害にあったようなところは、再び干害におかされるというようなことにならぬとも限らないのであります。またなるのであります。でありますから、こういうふうなことが再び繰り返されぬように、災いを転じて稿となすところの対策を講じてもらいたいと思うのでありますが、これらの点についての御意見を承りたいと思うのであります。
  147. 舘林三喜男

    説明員舘林三喜男君) 干ばつに対する救農土木事業の問題でございますが、先ほど北海道の吉田委員にもお答えいたしましたとおりでございまして、ぜひひとつ農道とか林道というようなものにつきまして、なるべく着工期を早めたいという気持でいま進めておりますが、何ぶん御承知のとおりに非常に技術者が不足でございまして、簡単にすぐお引き受けいたしましたというようなわけにいきませんでしょうが、とにかく工事繰り上げというようなかっこうでいきたい。同時に老朽ため池につきまして、しゅんせつなりあるいはかさ上げ等の御意見もありましたが、ごもっともでございまして、すでに団体営等の老朽ため池につきましては、県等からの申請がありましたならば、なるべくひとつすみやかにしゅんせつしたいという考えで進めたいと考えております。
  148. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 団体営の老朽ため池についての採択基準の緩和とか、補助率のアップについては、現在来年度予算で実現いたしたいということで大蔵省に折衝中でございます。
  149. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次は消防対策と区画整理対策であります。私はこの災害対策特例委員会でしばしば消防の強化をはかられなくてはいけないという意見を述べ、政府においても法律の改正その他で善処していただいていることは、まことに喜びにたえません。しかし、現在各地方における火災の状況を見てみますというと、一例を長崎県の最近火災にあった有川町の太田郷の状況を考えてみますると、私先般実際に見てまいったのであります。有川町はいまをときめく大関佐田山の郷里であって、佐田山の郷里であると育ったほうが皆さんのたいへんわかりやすいところであります。この太田郷という部落が全部落火災にあったのであります。しかるに、消防車を持っていこうとしても消防車の通る道がない。今度は全く水がない。海水をもって消火しようとするとホースが足らない。全く火災は自然にまかされて燃やされたというのが現在の状況なんであります。こういうふうなことがあってはいけないということで、先ほど申し上げたように、部会の消防と同時に地方の密集部落に対する消防施薬は改めなくちゃいけないといって繰り返し繰り返しやって、政府においてもそういたしますと言っておりながら、今回はそういうふうな実情なのであります。日本全国の密集部落で消防車が通らないような道、水がなくて海水を利用しようとしてもホースが足らない、こういうふうな状態であっては、将来において火災を起こしたならば、自然にまかせて燃やしてしまわなければいけないというようなことになるのでございますが、これについて消防庁は将来いかなる対策を講じようとお考えになるか承りたいと思うのであります。
  150. 伊規須徳博

    説明員伊規須徳博君) ただいま御質問の消防力の強化、なかんずくその中での道路の問題、それから特に消防に直接関係のございます水利と装備、装備の中でホースという具体的な例をとって御指摘をいただきましたが、確かに現在消防の有しておりますそういう水利、ホースというようなものを含めました消防力というものは、必ずしも十分なものがないと私どもかねがね考えておるところでございます。消防庁といたしましては、かねてから消防力の強化ということにつきまして、十カ年計画を立てて、その十カ年計画に向かって、現在たしか五年目だと思いますが、進めているわけでございますが、来年度につきましても、さらにこれを計画どおり進めるべく、現在予算を組みまして、来年度の予算として大蔵省に折衝を始めているような状況でございます。ぜひこの水利並びに装備、なかんずく御指摘のホースあるいは消防自動車というものにつきまして、さらに充実をさせていきたいと考えている次第でございます。
  151. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次は、さっきの太田郷の例をとってみますと、さきには福江市が大火災にあい、政府の指導によって大都市計画ができ上がり、いまやまさに完成に近づき、西海国立公園の門戸としてふさわしい市街地が建設せられつつある状況であるのであります。この実況を有川町は視察して、ぜひ自分のところも福江にならって区画整理をやろうということで道路計画その他ができ上がっているのであります。そうして道路をつくるためにはおのおのが無償で土地は提供し、完全無欠の道路計画がいまでき上がっているのであります。しかし悲しいかな、市街地でないのでありますから、現在の法律によってはこの区画整理の事業を達成するのに助成の方法がないのであります。焼け出されたところであるのでありますから、資金の負担能力はない。理想的な都市計画はやりたい。しかしいま申し上げたような金がないのでありますから、何とか政府はこういうふうなものが将来出たならば、その地方も同時に恩典に浴するように何とか施策を立ててもらいたい。そうしてそれによって助成して、将来火災が起こらないように、起こったならば直ちに消火ができるようにしてもらいたいという希望があるのでありますが、これらの点について政府は、建設省はいかなる対策を講じておられるか。あるいは現在の法律でできないとしたならば、いかなる法律を修正して、あるいは改正して、そうしてこれらの地方が火災から救われるような対策を練ろうとしておられるのであるか、お伺いしたいと思うのであります。
  152. 葛生新一

    説明員(葛生新一君) 災害復興、都市区画整理事業につきましては、御案内のように都市計画区域内であると、被災面積とか被災戸数とかそういう制約がございますが、私まだ就任早々でございまして、土地勘と申しますか、地理勘と申しますか、そういう点がございませんので、よく書類を拝見いたし検討さしていただきたいと、こういうふうに思っております。
  153. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 現在の法律ではあるいは助成の方法はないかと考えられる、私の知った範囲においては。しかし、助成の方法がないならば、そのないところを改めて、将来における大災害を起こさないようにすべく政府においても考究せなくちゃいけないのでありますから、この一例を機会に、地方における密集部落の火災の予防、あるいは火災があったならば、これを消防するために区画整理をやる場合においては特別に措置ができるように政府において考慮せられるような希望を申し上げまして、私の質問を終わります。
  154. 小平芳平

    委員長小平芳平君) ほかに御質疑はございませんか。――ほかに御質疑もないようでありますので、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十分散会