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1964-08-03 第46回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年八月三日(月曜日)    午前十時十五分開会   委員の異動     ————————————— 七月二十三日   辞任      補欠選任    野本 品吉君  重政 庸徳君    徳永 正利君  林田 正治君    川野 三暁君  村山 道雄君 七月二十四日   辞任      補欠選任    杉山善太郎君  佐多 忠隆君 八月三日   辞任      補欠選任    村山 道雄君  山本 利壽君     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     小平 芳平君    理事            稲浦 鹿藏君            藤野 繁雄君            矢山 有作君    委員            北口 龍徳君            熊谷太三郎君            佐野  廣君            重政 庸徳君            森 八三一君            山本 利壽君            久保  等君            佐多 忠隆君   国務大臣    建 設 大 臣 小山 長規君   事務局側    常任委員会専門    員       鈴木  武君    常任委員会専門    員       中島  博君   説明員    内閣総理大臣官    房審議室長   松永  勇君    大蔵省主計局主    計官      長岡  実君    文部省管理局長 斎藤  正君    厚生省環境衛生    局長      舘林 宣夫君    厚生省社会局生    活課長     岸野 駿太君    厚生省保険局国    民健康保険課長 信沢  清君    農林大臣官房長 中西 一郎君    中小企業庁次長 影山 衛司君    郵政大臣官房電    気通信参事官  大河内正義君    建設省河川局長 上田  稔君    建設省住宅局長 前田 光嘉君    自治省財政局長 柴田  護君    消防庁総務課長 斎藤 正夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告     —————————————
  2. 小平芳平

    委員長小平芳平君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員変更について御報告いたします。  去る七月二十三日、野本品吉君、徳永正利君及び川野三暁君が辞任され、重政庸徳君、林田正治君及び村山道雄君が選任されました。  七月二十四日、杉山善太郎君が辞任され、佐多忠隆君が選任されました。
  3. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 先般、当委員会が行ないました委員派遣について、派遣委員から報告を願います。  まず、新潟東北班の御報告を願います。藤野君。
  4. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今回の新潟地震による被害状況調査について御報告申し上げます。  今回の調査班は、七月二十四日に出発し、同二十八日まで、新潟山形及び秋田県下被災地における被害状況及び復旧状況をでき得る限りつぶさに調査するとともに、罹災者に対してお見舞いと激励のことばを述べ、現地における切実な要望を聴取してまいりました。なお、新潟県におきましては、七月上旬から中旬にかけての豪雨による被害を受けました栃尾市及び見附市の被害状況をあわせて調査いたしました。  まず、今回の地震について申し上げます。  地震発生時刻は、六月十六日十三時ごろで、震源地新潟村上市の西方約五十キロメートルの粟島付近地震規模はマグニチュード七・七という大規模なもので、関東大地震に匹敵するものであります。また、地震に伴う津波は、新潟気象台報告によれば、第一波が十三時三十五分に、その後おおむね三十分ごとに第十二波まであり、震源地に近い岩船港検潮計によれば、最高三メートル六十四センチを記録しておるのであります。  特に被害の著しい新潟市におきましては、地震発生と同時に、家屋倒壊、沈下及び転倒、橋梁の落下、道路欠損地下水噴出に伴う土砂流出津波による浸水昭和石油新潟製油所タンク爆発及び火災等発生したのでありますが、人的被害死亡者二十六名、行くえ不明一名、負傷者四百十三名で、地震規模に比してきわめて僅少であったこと、並びに昭和石油タンク爆発に伴う類焼以外には火災発生が見られなかったことは、不幸中の幸いと存ずる次第であります。  震災後約四十日経過いたしました被災地状況はすでに一部を除き応急復旧はほとんど完了し、県市町村中心とする地元住民復興に対する力強い意欲をうかがいとることができましたが、今後の復旧並びに復興については、各種の問題が残されており、特に被害の大きい新潟市等に対しては、特別な援助措置を講ずる必要があると思われました。  各地被害状況について簡単に申し上げますと、新潟県では、全壊または全焼二千四百五十九棟、半壊または半焼、七千百九十棟、一部破損二万九千六百八十六棟、その他津波による浸水家屋を加えますと、罹災世帯合計は約二十六万世帯に及ぶものでありまして、被害総額は、国の施設関係を除きまして、二千五百二億円というばく大なものであります。この内訳は、一般被害が約千九百十七億円、市町村関係施設約百十億円、県施設関係約三百九億円、公社施設関係約百六十六億円となっております。  次に、山形県におきましては、住宅全壊四百九十三戸、半壊千百八十九戸、その他一部破損等による罹災世帯合計は約四万四千世帯となっており、被害総額は約二百四億円、そのうちおもなるものは、住宅関係百四十一億円、農林関係十六億円、商工鉱業関係十六億円、鉄道関係十二億円となっております。  秋田県におきましては、震源地から遠いだけあって、前に述べました両県の被害に比べますと軽微ではございますが、全壊十三戸、半壊百四十七戸、被害総額は十八億円、このうちおもなるものは、住宅等を含む厚生関係四億五千万円、商工鉱業関係三億円、鉄道関係六億円となっております。  なお、新潟県におきましては、地震後、七月上旬から中旬にかけて襲来いたしました豪雨によって、刈谷田川外河川がはんらんいたしましたが、このための被害額は約百八億円に達しております。このたびの洪水によって流失または損傷した橋梁百九カ所、欠損した道路三百九十四カ所に及び、特に栃尾栃堀部落付近では、河川の流域が変わって、大小の岩石が河川敷の中にごろごろころがっており、まことにむざんな光景でございまして、このたびの洪水がいかに激しかったかということを物語っておりました。栃尾市の地元の話では、地震による堤防の亀裂が堤防決壊原因ではないかと申しておりますが、この地区のみならず、地震並びに豪雨等による複合的の災害各地に見られ、これらに対する措置については、特に検討すべきものがあると存ずるのであります。  各県及び関係市町村は、災害後直ちに災害対策本部を設置し、自衛隊出動を要請するなど、災害応急復旧につとめたのでありますが、その復旧状況並びに地元からの要望などについて、項目別に申し上げますと、次のとおりであります。  まず第一に、住宅関係について申し上げます。  新潟駅前信濃川沿岸の傾斜したり沈下した鉄筋コンクリートづくり建物は、一部を除いてそのまま使用に供されており、今後のすみやかな専門的調査検討を待っている状況でありますが、木造民家は徐々に補修、改造にかかっておりました。罹災者のうち生活困窮者を収容する応急仮設住宅は、新潟市外カ市町村に四百五十三戸の建設完了し、さらに新潟市におきましては百五十戸の追加が見込まれております。  また、山形秋田県下では、被災家屋の取り片づけが終わり、すでに本建築に取りかかっておるものが目立ち、新潟県下に比して災害が小規模だっただけに、復旧の立ち上がりも早いように見受けられました。  住宅金融公庫の災害復興住宅建設及び補修資金融資に関しましては、すでに災害認定が終わりまして、借り入れ申し込み者はおおむね融資を受けられることになっておりましたが、融資金額限度が少な過ぎること、貸し付け利息が高いこと、償還能力の少ない低所得者に対する特別な措置を講ずる必要があるなど、地元各地で強い要望がございました。民生安定のためにも、罹災者が一日も早く立ち直って日常の市民生活に復することができるよう、すみやかに援助措置を講ずる必要があると存じます。  また、水道ガス被害の最も著しい新潟市におきましては、仮設水道を引き、共同水栓によって上水の供給をはかっておりますが、まだタンク車によって給水されている地区も残っており、市民の間では早急の復旧を望む声が聞かれました。また、ガスは、配管の被害予想外に大きく、復旧は遅延している次第であります。  第二に、農林関係について申し上げます。  新潟村上酒田などの各市及びその周辺の市町村では、農地陥没及び隆起、地下水噴出による土砂流出水路欠損等が見られました。水路等農業用施設応急復旧は一応完了はいたしておりますが、まだ水のかからない水田も一部残っておりますので、農作物被害は、収穫時期にならなければ明確に把握できないのではないかと思われます。農地及び農業用施設復旧に対する地元負担軽減のために、必要な財政措置を講ずるとともに、被害農家に対する自作農維持資金増額等についても、すみやかに必要な措置を講ずべきものと存じます。  第三に、文教関係について申し上げます。  今回の地震では、新潟市内はもちろん、鶴岡市西郷小学校、仁賀保町院内小学校等、比較的中小学校関係被害が多いように見受けられました。これらの復旧については、地盤調査を詳細に実施した上で、すみやかに復旧措置を講ずるとともだ、この機会に、学校建築費の単価、補助対象等について、十分検討を要するものと存じます。  第四に、地方財政に関して申し上げます。  今回被害を受けた県及び関係市町村は、公共施設復旧費その他ばく大な資金を要するので、地方債特別交付税の配分及び交付税の繰り上げ交付等財政措置に特段の配慮を願いたい旨、強い要望がありました。そのためには、激甚災害特別援助法に基づく激甚災害指定は、各市町村とも強く望むところでありますが、たとえば上下水道施設被害に対する援助など、当該法律適用になってないものについても、特別の措置を講ずる必要があると思います。  最後に、被災地各地調査いたしまして強く感じましたことは、今回の災害については、公共施設関係はもちろん、民間被害が著しく大きいことにかんがみ、特に民間に対しては、激甚災害特別援助法適用するワクを拡大するほか、特別の援助措置を講じて、一日も早く民生の安定をはかる必要があることを痛感いたしました。  また、今回の地震では、地盤のきわめて悪いところに被害が集中いたしております。山形酒田市においては、明治二十七年の酒田地震により被害を受けた地区が、今回も地盤陥没地割れ等によって、住宅等が大きな被害を受けております。このような震害を防除するためには、地盤調査なり建築規則等、何らかの措置がきわめて必要なことが痛感された次第であります。  以上、地元の涙ぐましい復旧活動に対しまして、政府の一そうの援助を希望いたしまして報告を終わります。
  5. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 御苦労さまでした。  次に、山陰班の御報告を願います。稲浦君。
  6. 稲浦鹿藏

    稲浦鹿藏君 御報告いたします。  小平委員長佐多委員ととも一に私は、去る七月二十六日から五日間にわたって、このたびの山陰地方における集中豪雨災害現地実情調査してまいりました。以下、その概要を御報告申し上げます。  まず、日程について申し上げます。二十六日の夜、東京を出発し、二十七日の正午に島根災害対策本部に入り、当局から県下被害概況を聴取した後、松江市、湖陵村、多伎村、大田市等の現地視察、二十八日は大社町、出雲市より斐伊川をさかのぼり、加茂町、三刀屋町、木次町、大東町の各地視察、二十九日には、斐伊川下流平田市、斐川村を経て鳥取県に入り、米子市役所において鳥取当局より県下被害概況を聴取、後、米子市郊外の現地視察、各所において被災住民より災害状況説明を聞き、あわせて、幾多の要望事項を承ったのであります。  今次の災害をもたらした原因は、日本海にあった梅雨前線が、台風第七号の影響もあって、七月十五日には島根東部鳥取県西部を中心に、二百ミリをこえる雨量を記録しており、さらに十八日に至って、低気圧が連続的に山陰沿岸を東進したために、前線活動が極度に活発となり、約十時間にわたって、松江市を中心として、日雨量三百九ミリという、松江気象台開設以来の集中的豪雨に襲われたことによるものであります。  このように再度にわたった、しかも当地方曽有といわれる豪雨は、山陰一帯予想外被害をもたらし、山くずれ等により百九名の死者を出しましたほか、被害総額は二百五十億に達しておるのでございます。  特に激甚であった島根県下における被害概況を、県集計の資料に基づき重点的に申し上げますと、まず、人的被害では、死者百七名、行くえ不明二名、重軽傷合わせて三百四十六名であります。死者の大部分は山くずれ、泥流のため、家屋もろとも埋没圧死したものであります。建物関係被害では、全壊七百三十九戸、流失四十九戸、半壊九百四戸、破損浸水は三万戸をこえ、罹災戸数県下総戸数の三割に近いのであります。公共土木関係被害では、総額六十六億円にのぼり、道路二十四億、河川三十五億、砂防一億六千万円等であります。農地農作物関係被害では、総額七十九億円にのぼり、農地十四億円、農業用施設三十億円、農作物三十五億円であります。そのほか、商工業関係公益事業関係文教関係等、全分野にわたり、県下の総被害額は二百二十七億三千万円に達しております。平田市をはじめ二十市町村において災害救助法適用を見たのであります。  また、鳥取県の集計によりますと、県下被害は、死者二名、浸水家屋一万五千戸、河川決壊、はんらんにより、公共土木関係四億三千万円、農林関係六億五千万円、その他、文教商工関係等被害総額は十四億五千万円にのぼり、米子市における災害救助法適用を見たのであります。  今回被災いたしました地区は、昭和三十六年にも集中豪雨に襲われ、甚大な被害を受けており、続いて三十七年の長雨、三十八年の豪雨、そのあと長雨等、打ち続く災害に見舞われ、今年度に入ってやっと復旧の見通しも一つき、新しい地域開発に着手した矢先に、今回また三十六年災をはるかに上回る集中豪雨被害を受けたのであります。地元民への打撃はきわめて深刻なものがありました。  今回の災害特徴といたしましては、次の点をあげることができると思うのであります。  第一に、山くずれ、泥流による局地的な被害が非常に多かったことであります。地質学的には、島根東部前面は第三紀層地帯と呼ばれ、また、山間地帯は花こう岩風化土による特殊な土壌地帯であり、いずれも一破砕しやすい土質であります。豪雨による多量の水の浸透で、風化した表層と下のかたい部分との間に水が流れ出し、瞬間的な小規模な山くずれ、泥流の現象が頻発したことであります。  第二に、決壊あるいは溢水した河川は、いずれも中小河川であることであります。平時は水量も少なく、部落の近くを流れ、田畑ではかんがい用水として住民に直結している河川なのであります。  第三は、数少ない穀倉地帯の冠水により、農業関係に多大な被害をもたらしたことであります。冠水した面積は二万ヘクタールに達し、県下耕地面積の四割弱に当たっております。水稲をはじめ、たばこ、果樹、桑、家畜に至るまで、大きな被害をもたらしたことであります。  これらの特徴を持つ今回の災害は、大型台風のときの災害と異なり、個人災害が非常に多いことに注目しなければなりません。低所得後進地区のゆえに、復旧対策にあたっては、この特殊性を十分に把握することが必要であります。  次に、現地におきまして直接受けた印象と要望並びに今後の対策の問題につきまして申し上げたいと思います。  減水したあと被災地は、山くずれ、がけくずれ、堤防決壊のため、至るところで赤い土はだをむき出しにしており、泥水の中にあった倒壊家屋むざんな姿をさらし、豪雨つめあとをまざまざと残しております。しかし、被災してから十日目、災害地におきましては、悪条件を克服しながら、官民一体となって復旧への努力が重ねられており、特に自衛隊の五日間にわたる救援出動が大きな力添えとなり、道路河川家屋等日ごと応急復旧への一途をたどっておりました。被災住民の再起の意思を一そう励ますのには、今後の行き届いた行政措置が必要であります。  被災市町村でこぞって要望しておりました事項は、おおむね次の諸点であります。  まず、今回の災害がきわめて激甚であった事実にかんがみ、激甚災害援助法に基づく激甚地指定並びに天災融資法に基づく特別被害地域指定をぜひともせられたいとの要望であります。  島根県の昭和三十九年度における当初予算は約二百四十億、標準税収入は約二十億円でありますが、前述ごとく、今回の被害総額は二百二十七億をこえております。財政の窮迫は被災市町村においても同様であります。地方債及び特別交付税等についても、あわせて考慮を願いたいとの要望があります。  第二は、山地災害早期復旧とその助成についてであります。現行緊急治山事業採択基準額は八十万円となっておりますが、出雲市をはじめとして各地に頻発した今回の山くずれは、いずれも局地的であり、小規模災害でありますので、採択基準の額を三十万円に引き下げ、なお、それ以下の県単独市町村単独山地災害復旧事業における負担金についても、起債対象としていただきたいとの要望がありました。  第三は、改良復旧等の推進についてであります。まず、災害調査査定を迅速に実施し、復旧事業にあたっては、原形復旧主義を改め、実情に応じた改良復旧主義を徹底し、また、効率的な復旧をはかるため、災害関連事業を拡大する等、査定基準を緩和して再災害防止要望するものであります。なお、査定の際、一部残存施設活用のために改良復旧が阻害されることのないようにしていただきたいとのことでありました。  第四は、災害復旧に要する資金についてであります。政府資金による短期財政資金融資はすでになされたとのことでありますが、補助災害復旧事業費地元負担部分に対する低利融資実施、その他小規模災害等各種復旧事業起債適用についての要望であります。  第五は、農林漁業資金特別措置についてであります。自作農維持資金天災資金は別ワク融資とし、現在融資を受けているものも対象とし、あわせて借り入れ中の資金返済延長等要望するものであります。  第六は、中小企業者に対する融資についてであります。中小企業者に対する政府関係金融機関による災害融資ワク及び中小企業信用保険公庫信用保証協会に対する融資ワクを拡大されたいとの要望であります。  その他、特殊緊急砂防の大幅な実施、林道の早期復旧とその助成農業近代化資金償還猶予措置医療費給付の充実と防疫費高率補助等についての要望でありました。  今後の対策問題点といたしましては、特に次の諸点をあげたいと思います。  第一は、治水についてであります。典型的な天井川である斐伊川本流は、支流赤川等決壊のために、かろうじて決壊を免れたのでありますが、宍道湖水位の一メートル六十四センチに及ぶ上昇と相まって、沿岸住民に与えた不安は大きく、沿岸市町村水防活動は、斐伊川本流に焦点を置き、他の中小河川まで手が回らなかったというのが事実であります。未改修部分の多い中小河川改修促進はもちろんでありますが、特にこの際、各河川計画水量の再検討とともに、宍道湖とさらに大橋川を隔てた中海との関連の上に、斐伊川水系を一貫とした抜本的な治水対策の確立が不可欠であると思うのであります。  第二は、治山についてであります。災害復旧としての緊急治山の徹底は、要望点にも触れましたところでありますが、災害予防的な観点より、破砕地帯に対する治山対策がいかになされてきたか、斐伊川天井河川となるのも鉄穴流しのためばかりではないことは明らかであり、保安林施設及び山腹における砂防対策地すべり防止対策等、思い切った治山対策が必要と思うのであります。  第三は、危険地帯からの家屋移転についてであります。今回の災害が山くずれ等により山間の多くの家屋を埋没せしめたことにかんがみ、今後もなお山くずれ等の危険性のある地帯に現存する家屋を安全な場所に移転せしめる必要があり、積極的な助成と指導を講ずるべきであると感じたのであります。現行法規にはこれらの場合の助成規定がありませんが、集団的な移転に際しては、宅地の確保住宅建設等についても、また、個人移転に際しては、災害復興住宅と同様な融資等について法律上の整備をはかる必要があると思うのであります。  第四は、住宅問題についてであります。まず、応急仮設住宅建設限度率について、現行市町村ごと全壊または流失した戸数の三割以内が原則でありますが、応急仮設住宅の趣旨に照らして、被災市町村の実態に適合するよう、この限度率を大幅に引き上げる必要があること。また、被災者の入居を容易にするために、災害公営住宅ワク確保並びに災害復興住宅融資について、一般住宅融資条件の特例を設けるごと等により、住宅問題について被災者負担軽減災害復興促進をはかる必要があると思うのであります。  第五は、災害復旧事業の進捗についてであります。現在、地方公共団体が施行するいわゆる補助災害は、緊要工事については発生年を含めて三カ年、その他の工事については四カ年で完了することとし、全体としては、発生年二五%、第二年度は六五%、第三年度は八五%、その残りを第四年度で完了することとなっておりますが、今回の災害過年度災害復旧個所に多発し、しかも、被害が甚大となっておることにかんがみ、すべての災害復旧について、少なくとも緊要工事並み早期完了をはかる必要があると思うのであります。  第六は、特殊土壌地帯調査についてであります。今回の災害特徴が山くずれ、泥流によって大きな被害をもたらした点にあることは、前述ごとくでありますが、山くずれ等が花こう岩風化上等特殊土壌地帯に頻発しておりますので、これらの地質地形災害との関連等について、防災科学の見地より調査を早急に実施する必要があると思うのであります。  以上、被災現地のおもなる要望並びに今後の対策の問題について申し述べたのでありますが、国並びに地方公共団体一体となっての総合的かつ計画的な防災行政整備こそ、焦眉の急であると痛感したのであります。政府におきましても、これら要望事項等を十分考慮され、必要行政措置を早急にとられることを強く要望し、あわせて被災地が一日も早く復興されんことを祈りつつ、報告を終わります。以上。
  7. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 御苦労さまでした。     —————————————
  8. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 委員変更について御報告いたします。  本日、村山道雄君が辞任され、山本利壽君が選任されました。     —————————————
  9. 小平芳平

    委員長小平芳平君) ただいまの御報告に対し、御質疑のおありの方は、順次、御発言願います。
  10. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 主として新潟地震関係についてお伺いしたいと思うのでありますが、各地要望事項の大要、被害状況はさっき報告したとおりであります。それに基づいてまずお伺いしたいのは、新潟地震激甚法適用というようなことでお尋ねしたいと思うのであります。この問題については、政府は特に中央防災会議を開いていろいろと検討をされたのでありますが、現在どの程度まで新潟地震に対して激甚法適用検討しておられるか、その検討の結果の御報告を願いたいと思うのであります。
  11. 松永勇

    説明員松永勇君) 激甚災指定につきましては、従来はすべての調査が終わってから激甚災指定を行なうということをいたしておりました関係上、災害があってから三カ月以上たって激甚災指定が行なわれたわけでございます。今回の新潟地震につきましては、調査の進むにつれて、激甚災指定できるものから逐次指定をしていくという方針を立てまして、それが民心の不安を去るという点で、よりよかろうということで行なってきたわけでございまして、先般の中央防災会議を開いた結果できました、その段階でできましたものを指定いたしました。その後約一週間——約十日間後に、その後の指定できるものを指定いたしましたということで、指定された個々の激甚災の条項については、後ほどちょっと調べて報告申し上げますが、大体八割方の指定はすでに終わったというふうに了承しております。
  12. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それでは、どういうふうな標準で指定されたということは、後刻書類で御報告をお願いします。  現在の激甚法で見てみまするというと、まだ、さっきも報告いたしましたように、現在の激甚法だけでは救われないところのものがあるのではないかと思っているのであります。たとえてみまするというと、上下水道被害状況の場合であったならば、これは激甚法適用を受けないじゃないかと思われます。これは一方からいえば、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法というような法律から考えてみましてでも、当然激甚法指定すべきものと考えられるのでありますが、こういうふうなものができていないように考えられます。これを、一体、私どもの生活に一日も欠くことができない上水道あるいは下水道のような問題を、激甚法が現在規定していないからといってそのままにしておいていいかどうか。これは当然援助措置を講ずべきであると思っておるのでありますが、政府調査の結果は、これはどういうふうにお考えになられたか、その調査の結果を御報告をお願いします。
  13. 松永勇

    説明員松永勇君) 御承知のように、いわゆる上下水道その他のいわゆる地下埋設物につきましては、現在の激甚法の中には、その制度はないわけでございます。で、これは従来から過去の大災害がございました際に、そういうその災害特殊性として、特別の被害を受けて特別の助成措置をする必要があるというものにつきましては、そのつどそういう措置をとってまいったわけでございます。今回の新潟地震によりまして、地下埋設物というものは、地震というその災害の根源の特殊性から、非常に大きな被害を受けているという実情であって、これに対して何らかの復旧助成措置を講ずる必要があるのではないかということが、先般の中央防災会議でも議論になりまして、その結果、国として特別の助成措置を行なう。これは御承知のように、法律がなければ特別の助成措置ができないというものではございません。予算措置で十分できるということであって、特に今回それを急いでやる必要があるということで、先般の中央防災会議におきましては、予算措置として、過去のこういう大災害の例に徴し、それとの均衡を考えて、できるだけの助成措置を講じようという基本方針を答申されたわけでございまして、それに基づきまして、いま関係各省において予算措置としてこの助成措置を行なうように、関係省間において協議をしている段階でございます。
  14. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうするというと、そのつどやるということももちろん必要であり、また、予算措置で善後策ができるならばそれでいいのでありますが、現在の激甚法の特例法をつくるというようなお考えはございませんか。
  15. 松永勇

    説明員松永勇君) これは御承知のように、激甚法、それから、そのもととなりました災害対策基本法というものができます際に、これは国会等で十分なる審議を遂げてでき上った法律でございまして、その際にも、いろんな問題を論議した結果、現在のような法律ができ上がったわけでございます。で、災害のすべてに、古今将来にわたってのすべてのものを規定するということは、なかなか法律としては困難でございます。で、そういう個々の災害実情に応じて、そのときに必要なものは必要な措置をとっていくということは、今後の災害についても必要な基本的な態度であろうと思います。したがいまして、今回の災害のような場合には、そういう災害にふさわしい特別の助成はそのつど行なうということで十分やっていける。また、今回それを加えたからすべて十分であるということでもございません。そういう意味で、基本的なものは現在の体系の中にすでに法制化されておりまして、災害が起きた際に、特別のものはそのときに措置をするという考え方で十分であろうと現段階では考えている次第でございます。
  16. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 いまの問題は、激甚災害法を改正せよという意味じゃないのです。今回のものに限って予算措置を講ぜられるということであったらば、特例法をつくられる意思はないのであるかどうか、一般的なことを私は申し上げたのです。今回に限り特例法をつくるかどうか、特例法をつくらずして予算措置だけでやられるのかどうか、こういうふうなことです。
  17. 松永勇

    説明員松永勇君) 今回は予算措置でやっていく考えでございます。
  18. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから次には、中小企業者に対する問題なんです。これも激甚法から見てみるというと、中小企業者要望にこたえることができないような状況じゃないかと思います。でありますから、中小企業者は、融資限度の引き上げであるとか、金利の引き下げであるとか、償還期限の延期というようなものを要望しておるのでありますが、現在、中小企業者に対する——中小企業者である被災者に対して、どういうふうな金融措置を講じておられるか、これをお伺いしたいと思うのであります。
  19. 影山衛司

    説明員(影山衛司君) 中小企業の商工災害につきましての被害融資につきましては、激甚災害法の指定地域につきましては、法律の定むるところによりまして特別の措置をしております。  貸し付け限度について御説明申し上げますと、中小企業金融公庫におきましては、通常の貸し付け限度を越えて、一般の中小企業者に対しまして三百万円まで、それから組合については九百万円まで、国民金融公庫につきましては、通常の限度を越えまして百万円までこれを引き上げております。それから商工中金につきましても、これも右に準じて弾力的な措置をとっております。  それから貸し付け期間につきましても、運転資金——原則は運転資金につきましては、中小企業金融公庫は三年、設備資金が五年でございますけれども、運転資金については五年、設備資金についても七年、おのおの二年の延長を認めております。国民金融公庫につきましても、二年の延長。それから商工中金につきましても、原則五年でございますけれども、これを十年まで延長いたしております。  それから担保につきましては、中小企業金融公庫につきましては、原則としてはとることになっておりますけれども、この激甚災につきましては、三百万円まで無担保ということになっております。それから国民金融公庫につきましては、百万円をこえる分につきましては——百万円までは無担保でございますが、それをこえる分につきましては、大体五〇%程度の担保でいいというふうなことにしております。商工中金も右に準じまして弾力的な取り扱いをいたしております。  それから貸し付け利率につきましては、おのおの三公庫とも百万円まで、六分五厘の特別利率を認めております。それに従いまして、すでに融資の受け付け及び貸し付けの実行をどんどんやっておるような実情でございます。
  20. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 ぼくの質問は、さらにそれは、現在のところは、各地からの要求に応じて貸し付けておられるか、それが要求どおりであるか、あるいは、その一部であるか、需要を満たしておるのであるかどうか、その点もひとつお尋ねしたいと思います。
  21. 影山衛司

    説明員(影山衛司君) ただいま三公庫につきまして、新潟震災関係の融資の実行の実情を見てまいりますと、大体ただいまのところ、三公庫合計で千三百三十件ほど七月三十日現在で実行いたしております。その金額は十三億一千四百万円ということで、一件当たり約百万円の融資の実行というふうなことになっておりまして、その実行について問題があるということは、まだ報告は受けておりません。スムーズにいっているというように考えております。
  22. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は、この災害地は、常に一つの災害があれば、その上に次次と災害が起こっておる。重複災害、こういうふうに重複災害が起こる。たとえて言うと、新潟県について見まするというと、地震があった、その前に凍霜害があった、雨が降った。それで、災害が同一地域に繰り返えされている。こういうことであったならば、激甚災害法を適用する場合においても、激甚災害の一つ一つについて指定するのであるけれども、累積災害であった場合においては、激甚災害適用をある程度考慮する必要があるじゃないか。たとえば、今年の九州、四国方面における麦に対する特例をつくったと同じように、災害も累積した場合においては、現行激甚災害法を何とか緩和して、被災者援助に当たるべきであると思うのでありますが、この点についてどういうふうにお考えになっておりますか。
  23. 上田稔

    説明員(上田稔君) お答え申し上げます。  現行法によりますと、七割につきましては緊急でございまして、これを三カ年でやっております。そのあとの三割につきましては、四カ年でやっているわけでございます。ただいま御質問のとおり、災害はなるべく早く直していただいたほうが、増破防止その他に対して非常によろしゅうございますので、ぜひともどれを三カ年にしていただきたいということで、いま関係当局と折衝をいたしております。
  24. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 私の尋ねるのは、そういうことじゃないのです。とにかく……。
  25. 松永勇

    説明員松永勇君) 確かに、わが国のような、災害が毎年やってくるというような国におきまして、そういう災害復旧する費用、財政負担というものをいかに考えていくかということは重要な問題だと思います。で、従来、したがって、災害復旧財政負担の方法といたしましては、公共土木に対する国庫負担の関係法律農業関係の暫定法律、その他災害関係の法律というもので国、地方その他の負担というものをきめておりますが、こういう一般の原則をもってしては、非常に大きな災害の場合、公共団体が財政負担上非常に困る。特に連年災害を受けるという場合には、そういう傾向が特に強かろう、こういうような関係で、従来はそのつど、大災害があったつど、特別立法を国会においてなさっているという事態でございましたが、そういう特別立法を毎回行なうということでなしに、これを体系的に、系統的に考えていく方法として、いわゆる激甚災害法というものがつくられた。したがいまして、確かに、災害そのものを受けられた公共団体としての財政負担は非常にたいへんであるということはよくわかりますが、災害の制度としては、そういう特別の大被害を受けた災害というものに対しては特別に措置を講ずるということが、この激甚災法律としてなっているわけでございます。激甚災法律の中にも、その災害の程度に応じて負担が特に多かったところには、その負担の援助を厚くするというような制度はとり入れられております。基本的には、この災害に対する負担のしかたとしては、この激甚災法律ということで、従来よりはさらに進んだ公平な負担というか、負担を持ち合うという方向に進んでまいったと思います。で、これではたして十分かと申しますと、個々の具体的な実例の場合には、なおそれでもお気の毒であるという事態のものが出てくることがあろうかと思っておりますが、全体の制度として、国と公共団体との負担を考える制度としては、一応この程度の制度で考えていってよかろうか、個々の場合に、さらにそういう事例があれば、国としてまた考えなければならないというような関係にあろうかと考えております。
  26. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 いや、ぼくは個々の場合を言っているのじゃない。たとえば、同じところに一年の間に重なって来た場合においては、それは特別に考えなくちゃできないのじゃないか。しかし、個々の場合は考えるとあなたがお話しであるから、それで考えてもらうことに了承しておきます。
  27. 松永勇

    説明員松永勇君) 同じ場所に災害が来たという、それだけでもって考えるということも一つの考えだろうと思います。しかし、結局は、災害というものは、災害規模、その財政の金額、それが公共団体の標準税収入その他から見てどの程度のものであるかということで判断すべきであろうと思います。したがいまして、形式的にただ、同じところに二回来たということだけでなしに、全体としての公共団体の負担率というものとの関係で考えるべきであろうと思います。
  28. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 その点はぼくの言っているのも同じことなんです。ただ、同じところに繰り返して来た場合においては、その考え方をある程度緩和すべきじゃないかということを言っているのです。  次に移ります。今度の災害視察してまいるというと、緊急査定を行なっている。しかるに、緊急査定の場合においては、農林省から見えている、建設省から見えている。しかるに、大蔵省から見えていないから緊急査定がおくれて困る。普通の場合は、緊急査定には、農林、建設、大蔵というものが一緒に行っておったのが普通のように考えられておるのでありますが、今回のように非常に緊急であるようなものに、別々に行って査定がおくれるというようなことは、おもしろくないことではないかと考えられるのでありますが、この点いかがですか。
  29. 松永勇

    説明員松永勇君) 御承知のように、緊急査定は、農林関係は農林、建設関係は建設省ということで、それに大蔵省が立ち会うという制度で運営されておりますから、大蔵省の査定官が立ち会ったはずだと思いますが、なお、そういう事態がございますれば、調査いたしまして報告いたしたいと思います。
  30. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 審議室長に申し上げますが、大蔵省から来ていないということを私も聞きましたから、その点よく確かめてください。
  31. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それは今度切実な要求なんです。建設省も査定が済んだ。農林省の査定も済んだ。しかしながら、大蔵省が立ち会っていないから、ほんとうの決定にはなっていない、こういうふうな手ぬるいような査定の方法じゃ困る、こういうふうなことなんです。それだから、そういうふうな特殊の事情があったらば、特殊な事情があるにしてでも、すみやかに、農林、建設査定する場合においては、従来どおり大蔵省も立ち会って緊急査定をやってもらいたいという希望を述べておきます。
  32. 上田稔

    説明員(上田稔君) 建設省の査定につきましては、大蔵省のほうから立ち会い官が出ていただきまして常に査定をともにやっております。いまのお話の点は、直轄河川でございましたら、直轄につきましては査定ということをやっておりませんので、建設省の者が、本省から打ち合わせに行きまして、そうして、それを打ち合わせたものを持って帰りまして、すぐに大蔵省と話をしてやっておりますが、県の補助災害につきましては、常に立ち会い官と一緒に行動をいたしております。いまのお話は、災害が起こった直後に参りました指導官のお話じゃないかと思うわけでございますが、建設省といたしましては、非常に大きな災害が起こりました場合には、非常に緊急を要するような、特にもう超緊急を要するような事態があるいは発生しているかもしれない、こういう場合には、その場所で工法を指導いたしまして、そうしてこういう工法でやってください、緊急査定がなくても、それまでに着工していただいてけっこうです、こういうふうにやってくださいということは打ち合わせしてやっておりますが、これは緊急査定ではございませんで、一応工法の指導ということでやっているわけでございます。
  33. 松永勇

    説明員松永勇君) いま農林省のほうから聞きましても、いまの建設省と同様に、必ず大蔵省と立ち会いでやっているそうでございます。さように聞いております。
  34. 長岡実

    説明員(長岡実君) ただいま審議室長及び河川局長からお答え申し上げましたように、私どもも、緊急査定には大蔵省の係官が立ち会っているような報告を受けております。もし具体的に、藤野先生のおっしゃるような、御指摘のような事例がございますれば、早急に調査をいたして善処いたしたいと思います。
  35. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 いま御答弁願ったようだったら幸いだと思います。しかし、現地ではそうじゃないということを私に強く要望したのでありますから。  それからいま一つ、今度は大臣が見えているから大臣にお伺いしたいのですが、いまお話しのとおり、現地では建設省なり農林省なりと大蔵省が査定をやる。しかるに、その実施の前に、会計検査院が事前に検査をやるということで、事前検査をやる。そのために実行がおくれる。今回のような場合においても、事前検査をして実行をおくらせられる考えであるかどうか、お伺いしたいと思うのであります。大臣いかがでしょう。
  36. 小山長規

    ○国務大臣(小山長規君) お答えいたします前にごあいさつを申し上げます。  今度建設大臣を拝命いたしましたので、何かとごやっかいになるかと思いますが、よろしく御指導、御協力をお願いしたいと思います。  ただいまの藤野先生からの御質問でありますが、事務当局から私が聞いたところによりますと、会計検査院が事前検査をするのは、大体十二月ごろから普通にやっているそうであります。で、今度のような場合に、会計検査院が事前検査をするということはまずあり得ないということでありまして、また、一般的に申しましても、事前検査のために施行がおくれたり、あるいは査定がおくれたり、そういうことは絶対させないつもりでおりますから、御了承願いたいと思います。
  37. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 いま大臣のお話のとおりであれば幸いだけれども、事実そうじゃない事実があるんですから、ひとつ今後、閣議なんかにおいて、そういうふうな問題が出た場合においては、御検討お願いいたしたいと思います。  次に、災害を繰り返さないようにするためには、原形復旧、じゃなくて改良復旧もしなくちゃいけない。ことに関連事業に対して力を入れなくちゃできないと思っているのであります。二、三年前に、関連事業は従来八%であったのが一〇%まで切り上げられたのでありますが、今回、農林省及び建設省は、関連事業としてどのくらいの事業を見ておられるか、関連事業の採択の状況を承りたいと思うのであります。
  38. 小山長規

    ○国務大臣(小山長規君) まだ査定額がきまりませんので、何%ということはここで申し上げかねますが、一般的な方針としましては、災害復旧関連事業というものは、できるだけ改良復旧を原則にしておりますので、できるだけ関連事業も一緒にやるという方針でやりたいと思うのでありますが、まだ査定額がきまっておりませんので、パーセンテージについてはちょっと申し上げかねます。たとえば中小河川のような場合に、すでに改修の計画はできておるというような場合には、この災害復旧関連事業としてできるだけ採択させるように、こういうつもりで指導をいたしております。
  39. 佐野廣

    ○佐野廣君 私も、大臣にわざわざお出かけいただきました趣旨は、第一点に、いま藤野先生がおっしゃった関連工事の採択拡大等の問題でございますが、基本的な災害対策に対する政府としての御所見を承りたいと、かように存ずる次第でございます。個々のことは、またそれぞれ担当の皆さんにお聞きいたしますが、私は郷里が島根県で、今回の集中豪雨の一番激甚なところであるわけでございますが、今回のこの豪雨災害が北陸とか山陰というふうな後進地域に襲ったということは、全く貧乏の上塗りの感があるのでございまして、天のいたずらも全く恨めしくなるわけでございます。  そこで、この間も参りましたら、加茂町という町がございますが、流失家屋四十尺全半壊五百戸という町でございますが、そこの一主婦が——女の主婦でございます——泣いて訴えましたことは、先生、夢の超特急もけっこうですが、これはごく恵まれた、限られた方々がお乗りになるのじゃございませんか。この赤川という災害常襲河川が年々災害を受けて、この前は田に水が浸水して米が一つもとれなかった。今回は堤防がくずれて家は流されてしまいました。こういう河川という、川というものが何十年来未解決のままで残されておるということが、先生、あるでございましょうか。涙ながらにこれを訴えられまして、私も、郷里でございますから、よく事情を知っておるわけでございますので、いや今回はぜひ直しますということで、まあかたく握手をかわしてまいったわけでございますが、これが、いま藤野先生がおっしゃいましたように、幾たびも幾たびもこの愚かさを繰り返すということじゃなしに、今日ではすでにこの河川にいたしましても、道路、公共土木施設あるいは農地農業用施設、いずれにいたしましても、もうこの原形復旧——それは必要なこともございましょうが、原形復旧などということばは過去のものとして返上いたしまして、改良復旧、もっとも、この改良復旧の中にこの災害関連工事も含まれておるということには相なっておりますけれども、これを大幅にひとつ取り上げるということでなければ、災害は年女歳々繰り返されるじゃないか。しかも、大臣は今日のこの政府を背負っておられますが、この抜本的対策を立てますのに、高度経済成長というものが世界に誇るべきものであるというふうなことに相なっております今日、しかもまた、格差の是正ということが大きな命題となっておる今日におきましては、こういう僻地の後進性の強い地方に対しまして、特にこの力強い、あたたかい施策というものが施されなければ、政治に対する信頼、政府に対しまする期待、こういうふうなものは漸次失われていくのではないか。そこで、いまの災害関連工事というものを大幅に、財政的にも許される今日でございますから、大幅に取り上げて、いま藤野先生が具体的に御指摘になりましたが、これの採択基準をうんと拡大していただく、抜本的に拡大していただくという方向に、私は大臣の決意を表明していただきたい。そして、末端市町村財政は今日豊かではございません、逼迫しておりまするから、これを災害起債として認めて、国が元利補給をするような、そういう施策というものを行ないまして、この市町村財政の負担の軽減、こういうふうな面に向かって補助金、助成金等も、きめこまかにひとつ思い切ってやっていただきたい。こういうことを私は建設大臣からお聞きしたいために、お出ましを願ったような次第でございますから、この際、こういう災害を再び繰り返さない、こういう意味においての御発言を期待をいたしておる次第でございます。
  40. 小山長規

    ○国務大臣(小山長規君) お答え申し上げます。  今度の島根鳥取豪雨に限りませんが、災害復旧は、これは民生の安定の上からいいましても、一日も早くやらなければならぬことでありますので、これが早期完成できるように、大蔵当局とも相談をしながら、ぜひこれを進めていきたい。これがまず第一であります。  それから災害復旧にあたっては、原形復旧にこだわらぬ。これはむしろ改良復旧を原則とするという考え方で進めていきたいと考えます。  また、特に今度の災害状況を見ましても、中小河川のはんらん、それによる損害、これは非常に多いんであります。具体的な場所につきましては、県と地建とが打ち合わせをしまして、治水計画の再検討をいたしたりしておりますが、いまの佐野先生から言われました赤川のごときも、その一つであります。そういうふうに、いままでの計画でよかったかどうかというようなことを検討させ、そうして治水計画の一環としてこれを取り上げていきたいというふうに進めております。  また、全般的には、新しくこの新治水事業の五カ年計画というものをただいま建設省として策定中でありまして、いずれ、予算の際には、これをひっさげて将来の災害防止のために、できるだけ短期間に全中小河川が防備されるように、ひとつ全力をあげてこれが実現に努力をいたしたいと思いますので、その際はひとつ御協力のほどを願います。
  41. 佐野廣

    ○佐野廣君 そこで、先ほど申し上げましたことの繰り返しでございますが、この災害関連工事採択基準をできるだけ、まあ金のないときなら、これは私どもも了承いたしますが、今日ではそういうふうな状況ではないと思うのです。自然増収にいたしましても、経済の伸びからいたしましても。ですから、これを、ほんとうにこの災害を繰り返さないというたてまえで、もちろんそうでございましょうが、ほんとうに現実にこれをやって地元民を安心させ満足させていただくような御決意を示していただきたい。  そこで、大体本日は、大蔵、農林、自治と各大臣の皆さんに御出席いただいて、これから後ほど質問いたす数々の問題もございますので、いまのような問題も含めまして、運用の面あるいは制度、法の改正等の問題につきましても、地元の者はなかなか研究をいたしております。こういうふうな点もきょう御披露申し上げて、関係当局にただしまして、これを実現するようにいたしたいと思いますが、そこで、こういうふうな基本的問題は私が申し上げるまでもなく、各大臣の閣議了解事項といいますか、閣議事項としてお取り上げ願って、今度こそ、ほんとうに抜本的な対策を立てようじゃないかというところに持ち込んでいただかねば、また単なる従来のやり方の少し進歩した程度のものしかできないという状況になって、災害は繰り返される、こういうことに相なると思いますので、こういうふうな点につきましても、ひとつ大臣の御配慮を特にお願いをいたしたい、かように存じます。  それからいま一つは、激甚法指定とか、天災融資法の発動、こういうようなものも先ほど来藤野先生の御指摘にもありましたが、一日も早くやってやらぬと——なるだろうという期待は持っております。数字を詰めてみましても、大体そういうふうに思えまするから、期待はいたしておりますが、現実にこれはやはり激甚法指定とか、天災融資法の発動、こういうふうなものをやってやらないと、やっぱり、つかんでみないと、安心できないものでございますので、これはできるだけ早くやるようにお進めをいただきたい、かように思います。御意見を承りたいと思います。
  42. 小山長規

    ○国務大臣(小山長規君) お答えいたします。  私、新潟地震関係対策本部長もいたしているわけでありますが、ここでも、今度の島根鳥取に関する問題も一緒に含めまして対策本部としてはつくっておりませんけれども、含めましていろいろな新しい問題あるいは今後検討を要する問題というふうなものを至急に作成するように、この間命じておきましたが、そんなに長くかからないと思います。また対策ができましたら、仰せのように、閣議にはかりまして、今後進めるべき方向というものを進めていきたい、こう考えております。
  43. 佐野廣

    ○佐野廣君 一応見通しを大臣の口から承りたい。
  44. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  45. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 速記を始めて。
  46. 松永勇

    説明員松永勇君) 先ほどちょっと説明を省略いたしました、いままでに新潟についていかなる激甚災指定をしたかということについて、説明を申し上げます。  中央防災会議を開きまして、いわゆる激甚災法律の第二章関係、プール方式と申しておりますが、いわゆる公共土木施設、その他のプールで計算をいたします三蔵関係全体の指定、それから、いわゆる五条関係の農業用施設、林道等についての激甚災指定をいたしております。大体その後、七月の十五日をもって次の措置を追加いたしております。それは、開拓者の住宅等施設災害復旧に対する補助、土地改良区等の行なう湛水排除事業に対する補助、中小企業近代化資金助成法の特例、私立学校振興会の業務の特例、市町村が施行する伝染病予防事業に関する負担の特例、母子福祉資金に関する国の貸し付けの特例、産業労働者住宅建設資金融通の特例、失業保険法の特例、以上八つの措置を追加いたしております。これで大体の新潟関係につきましての暫定措置をいたしておりまして、あとは若干のものについてなお検討いたしておりますけれど、おおむね激甚法指定というものは新潟関係は終わっておる。以後、御承知のように、第二章関係につきましては、政令でもって各市町村ごと指定を行なうということの仕事が残っております。これは御承知のように、個々の査定というものがもっと進んだ段階にならないと、個々の市町村ごと指定というものにはまいりません。おそらくは、ことしの末まで、もしくは来年の初めごろまでには、建設省のほうで進むことになろうかと考えております。  それから島根鳥取の問題につきましては、現在まだ激甚災指定はいたしておりませんが、先般、中央防災会議の主事会議を開きまして、その指定の事務を急いでおります。で、個々の災害被害額集計がいま進んでおりまして、八月の十日ごろまでには、その一部については指定措置ができるのではないかということで急いで実施をいたしておる次第でございます。
  47. 佐野廣

    ○佐野廣君 一部というのは、二章、五条、六条あたりのことですね。大体そういうことと了承していいですか。
  48. 松永勇

    説明員松永勇君) 二章関係——公共土木関係でございます。これにつきましては、従来懸案になっておりましたいわゆる一つの災害——今回の災害の期間をどこからとるかという問題につきましては、山陰地区に降った雨は十七、十八ということでございますが、実はその前から一つの気象現象がある。七月の二日ごろから本土に梅雨前線が停滞していた。それも気象の関係で一連の災害として見るべきではないかという考え方がございまして、担当者間で十分検討いたしておりましたが、一応この問題については、一つの災害と見得るのではないかという検討が大体まとまってまいっております。したがいまして、七月の二日以降の各地被害額集計いたしております。その集計状況によって二章関係の指定ができるかどうかということでいま検討している最中でございます。
  49. 佐野廣

    ○佐野廣君 じゃ大臣、それで大体十日ごろまでということで了承いたします。
  50. 小平芳平

    委員長小平芳平君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  51. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 速記を起こして。  厚生省環境衛生局長、先ほど藤野委員から、新潟水道復旧についての質問があったんですが、答弁してください。
  52. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) 今回の新潟地震に伴います新潟県における上水道被害額は、ただいままでに判明いたしましたところによりますと、十七億四千万円余でございます。これはなお詳細な調査をいたしませんと、こまかい点は判明いたしませんが、一応今日までに、この程度判明いたしております。このうち大部分は地下埋蔵物でございまして、地上の事務所等は二千万円ほどでございます。したがって、ほとんど全部が地下埋蔵物であるわけでございます。  簡易水道は、新潟県におきましては被害総額が八百十七万八千円でございまして、これも地上と地下と分けますと、地上部分はわずかに七十九万五千円と、こういう程度でございます  これに対しまして、今回どの程度の補助率で補助をいたすかということで、従来、上水道災害の際の補助率は二分の一でございましたので、それを基礎に検討いたしておったわけでございますが、今回は特に大幅な補助率の引き上げをやりまして、八割補助をすることに決定を見ております。ただ、地上部分はごくわずか、一%強程度地上部分がございますが、この部分は従来の補助率でいくことといたしておりますが、ほとんど全部、九五%以上の部分の地下埋蔵部分につきましては、八割の補助をいたす、かようにいたしております。
  53. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 時間がないから、私の質問も簡明にするから、答弁もひとつ簡明にお願いします。  次は、教育問題です。今回の新潟地震の特色は、中小学校の被害が甚大であったということなんです。人つくりがやかましい今日、こういうふうな中小学校が被害を受けて教育ができないということは、まことに遺憾にたえないのであります。  そこで、お尋ねしたいことは、公立学校の施設災害復旧の場合の国庫補助と起債との割合はどういうふうになっているか。それで、これが激甚法適用を受けたらばどういうふうになるか。簡明に御答弁をお願いします。
  54. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 激甚法指定を受けました場合に、公立学校に関しまして災害復旧のために出されます補助金は、通常の場合の補助率の三分の二の上に、さらにそれぞれの実態に応じてスライドしてかさ上げされるわけでございます。なお、国庫負担によりますところの災害復旧に見合う起債につきましては、これを認めていただくことになっております。
  55. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから今度災害を受けた学校ですね、大部分が木造なんです。しかし、木造ではまた災害を受けるかわからない。また、雪が降るんだから木造では困る。こういうふうなことで、鉄筋コンクリートの建物を希望しているのでありますが、この鉄筋コンクリートの建物をつくる場合において、従来の坪数をぜひ保有していきたいと、こういうふうな希望があるのでありますが、木造を鉄筋にする場合においてでも、現在の坪数を保有することができるかどうか、希望どおりにやることができるかどうか。また、鉄筋をつくるような場合においては、現在の被害を受けた学校の状態を見てみましたときに、地盤が非常に悪いから被害を受けたというようなこともあるわけでありますから、この地盤の関係と坪数の関係について、簡明に御答弁をお願いします。
  56. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 公立学校の鉄筋コンクリート造でないものを鉄筋コンクリート造に改良復旧することは認められるわけでございますが、そのために坪数を減ずるということはございませんで、別に鉄筋の補正額が認められることになるわけでございます。ただ、鉄筋コンクリートに改造するといなとにかかわらず、基準坪数と現状の関係は起きてまいりますが、基準の必要坪数の範囲内でも教育を行なうのに著しく不適当と文部省において認めた場合には、実情に応じてこれを越えて補助を行なうことができることとなっておりますし、また、特に、本年度から、基準の必要坪数の計算の基準が、学級当たりということに改正されたために、従来よりは十分に見ることができると思うのであります。  なお、新潟の特殊な状況といたしまして、地盤の関係でございますが、これは実地の査定におきまして、必要なくい打ち等を見るようにいま調査している段階でございます。
  57. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 いまのもそうですが、先年、佐賀県で地すべりがあった場合において、学校がやられた。その際もいろいろ問題があって、学校の復旧は思うようにいかなかったと思っているのでありますが、基準必要坪数というのはあるけれども、現在の学校が保有しているところの坪数というものは、必要に応じて保有しているのだから、基準必要坪数を越えてでも、現在の坪数を保有させるように、特に文部大臣の配慮が願いたいという希望が多かった。これに対するお考えはいかがですか。
  58. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 本年度から一般的に基準必要坪数の算定の基準が違ってまいりまして、必要な学級数でありますとか特別教室については、認めることとなっておりまするので、従来よりはその点は、必要坪数の算定にあたって無理のないように、一般的に行なわれるわけでございますし、さらに特殊な状況によりまして教育上必要であるということでありますれば、基準を越える部分についても見るようにつとめてまいりたいと存じます。
  59. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから地震のところに行って見ますというと、学校がやられている。こういうふうなことは、本省建築費の単価が安かったので粗雑な建築ができたために、被害を受けているんじゃないか、こういうふうに考えられるのであります。そこで、今回の災害実情にかんがみまして、補助率の単価を引き上げる、また、補助単価というようなものは、地域差を設ける必要があるのじゃないか。たとえてみれば、積雪寒冷地帯であるとか、あるいは災害常襲地帯であるとかいうようなものは、一般のものよりもプラス・アルファをつくるべきものじゃないかと、こう考えておるのでありますが、その点いかがでしょう。
  60. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 地域差の問題につきましては、本年度から、昨年に比較いたしまして一般的に平均の単価を上げますとともに、実際の執行にあたりまして、積雪地でありますとか、あるいは実際の建築費の実情というものをにらみ合わして、本年度から差等をつけまして配分するようにいたしております。なお、今回の災害復旧にあたりましては、先ほど申し上げましたように、地盤の関係の特殊な経費でありますとか、あるいは必要な応急措置、あるいは取りこわしというような点につきましても、十分に実態をいま調査をしておりますので、それに基づいて善処いたしたいと存じております。
  61. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は、私立学校関係のことについてお尋ねいたします。これに対しては、どういうふうな対策を考えておられるのか。激甚法指定を受けた場合はどうか、激甚法指定を受けなかった場合はどうかということについて、簡単に御説明をお願いします。
  62. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 学校法人並びに学校法人以外の、たとえば私立の幼稚園等でございますが、これにつきましては、激甚法指定を受けました場合には、復旧費の二分の一の国庫補助と、それと同額の私学振興会の融資が受けられることとなっております。激甚の指定がない場合におきましては、私学振興会から復旧費の七五%までの融資が受けられると、こうなっております。
  63. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 最後に、公立の社会教育施設に関する対策は、たとえば公民館であるとか、図書館であるとか、博物館であるとか、青年の家であるとか、こういうふうなものに対する対策、すなわち、激甚法によればどうなるか、その他の場合においてはどうなるか。それで、この点については、自治省とも関係があるのでありますが、自治省に対してどういうふうな交渉をしておられるのであるか、それをお伺いしたいのであります。
  64. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 激甚法指定をされました場合には、激甚法の第十六条によりまして、災害復旧事業費の三分の二の国庫補助が許されるわけでございます。なお、これにつきましては、打ち切り額として二十万円という限度がございますので、この規定の適用を受けるに至らないものにつきましては、私どもとしては、起債対象としてお順いいたしたいと思うのであります。  なお、公立社会教育施設につきましては、激甚法指定のない場合につきましては、公立学校と違いまして、国庫補助の根拠の規定がないわけでございますので、これについては、災害の一般の起債の問題として御処理願うようにいたしたいと思います。
  65. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 いまの激甚法指定せられない場合においては、国庫補助の根拠の法律がないと。根拠の法律がなかったら、根拠の法律をつくったらどうですか。
  66. 斎藤正

    説明員斎藤正君) この点につきましては、現行激甚法の制定の際に、いろいろ論議にもなったのでございますが、当時といたしましては、この激甚法に三分の二の補助を入れること自体が、非常に問題となりまして、最後にこれが加わったような経緯がございまして、私自身も当時、社会教育を担当しておりましたので、その経緯をよく承知しておるのでありますが、一般的な災害の補助法としてはまだできておらないのでございまして、文部省としては、この点について今後検討してまいりたいと存じます。
  67. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 いま答弁されたので大体わかったのでありますが、公立の社会教育施設に関して、いろいろと激甚法から見て思わしくない点があるのでありますから、これはさらにひとつ御検討を願いたいと思うのであります。  自治省にお尋ねしますが、いまお話のあったとおりの補助金の対象にならないようなものに対しては、どうしたって起債対象にしていただかなくちゃいけないと思ったのでありますが、この点について、自治省のお考えをお伺いしたいと思います。
  68. 柴田護

    説明員(柴田護君) 災害復旧につきましては、公共関係の災害復旧につきましては、国庫補助負担金のあるものにつきましては、その負担金を差し引いた残額につきまして、そうでないものにつきましても復旧する必要があるものにつきましては、手段を尽くして復旧をしてまいらなければなりません。地方債、いわゆる補助事業にかかります復旧事業債以外のものにつきましては、単独事業債のワク措置いたしてまいるつもりであります。従来まで、そういう方法でやってまいっておりますし、今回につきましても、同じような措置をとってまいるつもりであります。  なお、公共災害復旧事業債並びに単独の復旧事業債につきましては、それぞれその事業の性質上、将来の交付税の計算におきましては、その一定部分を基準財政需要額に算定をして財源措置をいたしております。この措置も従来同様、今回の災害につきましてもとってまいるつもりであります。
  69. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 教育関係はこれで終わります。  次は住宅関係住宅金融公庫の災害復興住宅に対する融資の点について、視察をしておる間に希望があったから、それを申し上げて、政府の考え方をお伺いしたいと思うのであります。住宅金融公庫については、融資限度を引き上げてもらいたい、すなわち、少なくとも原形復旧まではお願いしたい、貸し付け金の利子を引き下げてもらいたい、低所得者に対しては、償還ができるように特別の措置を講じてもらいたい、こういうふうな希望があったのであります。ただ、政府においては、この点については、木造新築の場合には、従来の四十二万円を五十八万円まで、補修の場合においては、二十一万円を二十九万円まで考えておられるのでありますが、実際はこれでも足らない。少なくとも百万円までくらいの融資ができるように、何とか名案がないかという質問を受けたのでありますが、その名案を、どこからどういうふうに資金繰りをやったらばできるということを教えていただいたならば幸いだと思っております。
  70. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) ただいまお話しのとおり、先般の新潟災害の際に、従来の災害復興往宅融資融資限度額を改定いたしまして、五十八万円及び二十九万円に引き上げました。この貸し付けは、災害に際し応急に貸し付けをする貸し付けでございまして、一般の住宅融資と取り扱いを異にし、罹災者の便をはかって貸し付けをするものでございまして、われわれの従来の経験と罹災者要望から考えまして、資金限度等も考慮いたしまして、五十八万円程度の額が適当であろうと考えまして上げたわけでございます。もちろん、この金額で十分達成できることもございますし、中にはまたかなり規模のいい住宅をつくりたいという方もございますけれども、災害に際します応急貸し付けとしては、この程度の額で御了承を願いたい、こう思っておるわけでございます。
  71. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから罹災家屋に対する復旧費の問題、これは生活困窮者であるところの応急仮設住宅は着々進行しておる。しかし、その他の一般の罹災者に対する住宅復旧について、何とか助成の方法を講じてもらいたい、こういうふうな要求があっておるのであります。それで、こういうふうな人には、火災を受けたところの人にも、地震に対する災害は保険の対象にならないとかいうようなことで非常に困っているのでありますが、政府においても地震保険というようなものを検討いただいておられるようでありますが、それは今後の問題であって、現在はそれは間に合わないのでありますから、応急策として、何か罹災を受けたところの者の住宅復旧について対策を考えておられるとしたならば、その考えをお伺いしたいと思うのであります。
  72. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) 災害の際における住宅対策といたしましては、とりあえず厚生省が応急住宅を建てておりますが、引き続きまして、建設省の所管といたしまして、賃貸住宅を希望する方には、公営住宅法によりますところの罹災者のための公営住宅建設がございます。これは市町村が建てる場合に三分の二の補助をいたしまして、罹災者の方に入っていただく住宅でございまして、目下、罹災地におきましては、市及び県でその必要の状況等を調査いたしております。これにつきましては、国は当然三分の二を補助いたす予定になっておりますので、公共団体の計画が確定し次第、適当な補助を至急にやる準備をいたしております。  それから個人住宅を持ちたいという方には、先ほど申し上げましたように、応急のための災害復興住宅融資を、すでにこれは地元におきまして、住宅金融公庫の出先機関が相談に応じて指導いたしておりますが、なお、さらに、この応急復興住宅以外の、一般的な住宅金融公庫を利用したいという方にも、災害特別貸し付けといたしまして、特に普通の住宅金融公庫の貸し付けにつきましては、特別に優先的に扱うことにいたしまして、罹災者住宅復旧にできる限りの援助をやるつもりでございます。  なお、さらに、住宅金融公庫におきましては、新築以外に既存の住宅破損の場合の修繕につきましても、先ほど申し上げましたような補修融資をいたしまして、こわれた家の補修という面におきまして、住宅復興についての援助をいたすことにいたしております。
  73. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 私の質問はこれで終わります。
  74. 佐野廣

    ○佐野廣君 建設省のほうにお願いいたします。  先ほど建設大臣にも意見を伺ったのでございますが、この災害関連工事は、できるだけ大幅に見ていただきたいという原則に立って御質問いたしたいと思います。  そこで、従来、このA地点、B地点というふうに災害がありました際に、その災害関連工事というのは、その合計額の範囲内というふうなことになっておるというふうに聞きましたが、そういうふうでございますか。たとえば五百万と五百万の災害があって、その間の地点は一千万までは見る、こういうふうな何か運用になっておるというふうに聞いたが、そうでございますか。
  75. 上田稔

    説明員(上田稔君) お答え申し上げます。  大体そういうに考えております。
  76. 佐野廣

    ○佐野廣君 ところが、それで今後もおやりになるとすると、私の言いました災害関連工事採択基準の画期的な拡大というふうな、建設大臣をお呼びしてまでの質問と、だいぶ隔たりが出てくるわけでございまして、これは後ほどたくさん私申し上げますうちに、法改正なり制度の問題等についても研究課題がたくさん出てきますので、これは根本的にもやりたいと思いますが、その方針というのは、これからも変えるということに踏み切り得ないですか。そうならないと、これはいつまでたっても災害は続くものということに思われるわけですが。
  77. 上田稔

    説明員(上田稔君) お答え申し上げます。  ただいま申しましたのは災害関連費のほうでございますが、これは大体災害額が、いま先生がおっしゃったような五百万でございますか、そういうふうに、わりあいに小さな額の災害額でございまして、その中間とか、あるいは、それに関連したところを少し改良すれば非常にそこのところがよくなるという場合に、それを使わしてもらうということにしておりますものでございます。それで、その災害関連に、よく聞いておりますが、やはり改良復旧を一緒に入れてやるという工事で、災害助成、たとえば今度の新潟県の刈谷田川のごとく、非常に大きくめちゃくちゃにやられておるというようなところにつきましては、全体につきまして災害助成工事というものを行なっておりますが、これでございますと、一対一ということを原則にしておりますと、ちょっとできかねるようなことが起こってくるわけでございます。こういう場合には、その一対一をさらに伸ばさしていただいて、ケース・バイ・ケースで伸ばさしていただいて、そうして、その改良復旧をまとめるという方法をとっております。普通の災害関連のほうは原則として一対一でございますが、少々はそれは変化が大きくなったりすることもございますけれども、それをもって大体原則にいたしております。
  78. 佐野廣

    ○佐野廣君 おおむね原則では、ただいまのところ、くずせないということもありましょうが、めちゃめちゃはさることながら、その地点のとり方によっては、これはかなり年々災害の地域なんかには、いまぼくが申し上げましたような配慮をしなくちゃいけないところが私は必ずあると思う。で申し上げておるのでございますから、今回の災害復旧については、私どももきめこまかに拝見もいたしますが、ひとつ御配慮を特にお願いをいたしたいと思います。その際に、自治省のほうへお尋ねいたしますが、その意味の、ぼくがいま申し上げましたような部分に対しての起債関係は、どういうふうになっているのですか
  79. 柴田護

    説明員(柴田護君) 災害関連地方債につきましては、一般の公共事業費と同じ扱いにいたしております。
  80. 佐野廣

    ○佐野廣君 いわゆる一般単独起債と称せられるものですか。
  81. 柴田護

    説明員(柴田護君) 一般会計の中で公共事業に関連する地方債でございますが、これと同じ扱いにしております。
  82. 佐野廣

    ○佐野廣君 そこで、地元で聞きますと、市町村財政は、御承知のように、非常に貧弱で逼迫しておるということで、これを災害起債としてもらいたいという要望が強いのですが、いかがですか。そして償還に際しての元利補給をしてもらいたい、こういう要望はきわめて強いのでございますが、いかがでしょう。
  83. 柴田護

    説明員(柴田護君) 現在の災害関係の制度上の一つの問題点だと私も思います。現在では、関連工事というものの扱いが復旧工事という形でもって割り切れるか割り切れぬかという問題点があるわけであります。現在は、改良工事部分は、何と申しますか、一般のいわゆる復旧工事と別扱い、つまり、改良復旧という意味合いを込めておるのだけれども、本来の復旧事業とは違うもの、こういう扱いにしておるわけでございます。したがって、その部分については一般公共事業と同じではないかという扱いでございますので、今日まで、その部分について災害復旧債とは一線を画しておるわけでございます。しかし、そういう扱いがいいのか悪いのかという問題は、現在の災害復旧制度全体の一つの問題点ではないかというふうに思うのでございます。将来の問題といたしまして検討させていただきたいと思います。
  84. 佐野廣

    ○佐野廣君 したがって、私もこれは問題点だと思うのですよ。ですから、今回の災害に対しては、いま元利補給という起債、これはできない、こういうことなんですね。やっていただけますか。
  85. 柴田護

    説明員(柴田護君) 地方債の扱いといたしましては、将来の検討問題でございますけれども、今回につきましては、やはり従来どおりの扱いにさしていただいて、それによって財政的に非常な圧迫をこうむるような事態が起こりますれば、それはそれで法制の運用等を通じて別途措置をいたしたいと思います。
  86. 佐野廣

    ○佐野廣君 これはひとつ特にお考えを願いたいと思います。  それから建設省にお尋ねいたしますが、災害復旧工事は、従来三、五、二という原則がございましたですね。いまでもそういうふうになっておるのか私よく知らないが、実情は、これが四年、五年にわたるというふうなことなんですが、これはできるだけ早期復旧の原則を貫かなくちゃいけませんわけですから、三年は二年にでも短縮するというふうな方法でもっていかないと、災害はこれまた年々続くものということに相なりますが、どうですか。
  87. 上田稔

    説明員(上田稔君) その問題につきましては、緊急を要する事業につきましては、先生がいまおっしゃいました三・五・二の比率で工事を行なっておりますが、その他につきましては、四カ年をかけて実施をいたしております。これもなるべく繰り上げて施工するように考えて実施をお願いをしております。
  88. 佐野廣

    ○佐野廣君 それで、私はたった一言二言だったけれども、建設大臣に来てもらったわけなんです。もうそんなことを言っておるうちに、いまの赤川一つとってみても、三年のうちに二回災害があって、田地はつぶれたが、今年は家が全部つかってしまうという堤防決壊ということになるわけですね。  そこで、私はさっき大臣にも育ったが、そういう愚かしさをやるということは、なるほど財政の逼迫した時代、あるいは国の事情が許さないというときなんだから、こういう際には、建設省のほうも非常にこの公共土木事業というものには力を入れておる、柱にしておる今日ですから、あなたも担当責任者として、こういうふうな点はほんとうに力を入れて、おざなりの役所仕事としないでやっていただかなきゃ、国民は絶対に安心しないのですよ。いま、ぼくは、夢の超特急の話なんか、くだらぬような話をしたのですけれども、こういう点、四年なんてことは、もう現地では考えれらないと思うのですね。三年、これもぎりぎり一ぱいじゃないでしょうか。それは川によってですよ。  そこで、ぼくはこの前の委員会のときにも申し上げましたように、災害常襲河川というものがあるわけですね。一ぺん直しておけば、そうめったにこわれないのだという川もあるが、川の姿によっては、もう少々の修繕ではきかないようになっておるところが、これは地殻の変動からいってもあるでしょう。ですから、こういうふうな災害常襲河川というものに対して、徹底的な、重点な工事をやるというたてまえをとっていただきたい。そうでなかったならば、不幸な住民はいつも不幸な立場に置かれて、地域格差是正もヘチマもあったものじゃないことになっちゃう。そういう点については、ひとつこの災害を機会に、徹底的にひとつメスを入れて、原則は原則だが、特例というものもまたあるわけですから、御配慮をお願いをいたしまして、三年は二年、こういうふうにして短縮していくということ、そして災害を未然に防止すると、こういうあなた方の使命感を末端に徹底させてもらいたい。いわゆる悪い意味の役所仕事でないように、私はしていただきたい、これを強くお願いをいたしておく次第でございまして、御配慮を願いたいが、御決意はどうでしょう。
  89. 上田稔

    説明員(上田稔君) ただいま申し上げました比率は、災害のその年度の金額のものについて申し上げておりますので、個々の場所につきましては、いま申し上げましたような比率で実施していくのではございませんのでございますが、したがいまして、建設省といたしましては、非常に放置いたしますれば被害の大きくなるような個所を早急に手をつけて直していく、直してもらう、そういう方針をとっております。したがいまして、人家に影響をするような、非常な災害のひどい場所につきましては、単年度または二年ぐらいで完成をしていただくように考えております。全体といたしましても、なるべくまあ四年というような長くかからないように、三年ぐらいで終えていただくように、関係当局と折衝をいたしております。
  90. 佐野廣

    ○佐野廣君 この間現地を見ましても、いまの赤川にいたしましても、あるいは稗原川とか、常薬寺川とか、久野川とか、私どもの接する川でも、もういつもこの川はやられる。  最後に、私お聞きしますけれども、これは斐伊川の改修の問題ともからむわけですけれども、こういうところは徹底的にひとつ改修をやって、被害の起こらないように御配慮願いたいと思います。  農林省の方、お見えになっておりますか。——いまの私が申し上げましたことは、公共土木についての例をとったわけでございますけれども、農地とか農業用施設とか、こういうふうな農林省関係の面におきましても同様でございますので、その点は、農林省当局においても御賛成を願って実行していただきたい、かように存じます。いま申し上げました加茂の農地にいたしましても、それから先ほどあげましたもろもろの川の流域にしても、常に農民は脅かされております。この間も、もう農業はやめてどっかへ出よう。後ほど住宅関係で御質問しますが、もう農業はやめてどっかに行きたい。じゃ仕事があるのか。仕事があってもなくても、ここにおっても年々災害を受けてやられるならば、それよりも悪いところはないだろうというのが、農民の切実なる声でありますので、農地農業用施設、その他農林省関係の問題につきましても、いま申し上げましたように、復旧につきましては、早期に徹底的にやっていただきたい。  それから、その際に、小河川堤防なんかについて、農林省と建設省との関係等がありまして、私詳しくよくわかりませんが、改修の補助率とかいうふうなものも、農林省と建設省の関係で多少違う面があるそうでございますね。そういうふうな面で、何か建設省の河川関係でやると高くて、農業用のほうが少し低いというふうにも聞いたのですが、こういうふうなことは、末端に知恵のある者がおりますと、うまく指導しておるのです。  それから事情のわからない地域では、あれだったら河川関係でやってもらったらよかったのにという声もほのかに聞いたのですが、そういうようなことがあるものか、ないものか。末端の指導は、同じ政府の役所ですから、こういうふうな点も、農民が損をせないような方法でもって救済策をやっていただきたいというふうなことも考えますので、どなたか御答弁をお願いいたします。
  91. 中西一郎

    説明員(中西一郎君) 先ほどの災害復旧の進度率の問題でございますが、急いでやるものと一般のものと大きくは分けられます。特にその急いでやるものの中でも特に急を要するものというものも、先ほど来の建設省からのお答えの中に、あるいは御質問の中に出ておりました。そういうものに対処して予算を使用し得る態勢はできております。三年ということにとらわれないで、必要があれば二年でやるということも当然考えたいと思っております。  それから、末端におきます他省との関係の指導の点について触れておられますが、そういう点については、従来末端とも協議を各省間でやっていく態勢をとっております。なお十分指導いたしまして、農民のほうで迷惑がかからないようにいたしたい、かように考えます。
  92. 佐野廣

    ○佐野廣君 そこで、いま申し上げましたように、建設省のほうで、河川改修のほうでやったほうが農民に利益であるならば、そういうふうな、もちろん県のほうでも気をつけなければいけないと思いますが、そういうふうな点で、よくひとつ農民が損をしない、こういうふうな方法でひとつお願いをいたしたいと思います。  それから、これは農林省関係でございましょうが、今回の島根県の災害集中豪雨、これが大きな特徴でございまして、山くずれによりましての家屋倒壊、これによって住民の百数名という死者を出したという惨害になったわけでございますが、そこで、この山腹崩壊の緊急治山についての採択基準については、この前、八十万円にはこだわらなくても、採択の一地域の拡大ということによって、運用面で十分便宜をはかろう、地元の要請にこたえよう、こういうことでございましたから、これに信頼をいたします。が、この八十万円以下の中小災害についてお願いしたいのは、これは公共土木事業等の災害と同じようにこれを認めていただいて、県及び市町村工事とすることによって、これも自治省の関係になるかと思いますが、災害起債対象として国が元利補給をしてもらいたい、こういう地元要望がございましたが、御見解をお聞きいたしたいと思います。これは自治省のほうですか、どちらですか。
  93. 柴田護

    説明員(柴田護君) 従来の扱いから申し上げますと、お尋ねのような場合につきましてもなかなかむずかしい問題が多いようでございます。しかし、いずれにいたしましても、それが将来の住民生活に非常に危害を与えるおそれがあるというものにつきましては、これは必要な措置を講じてまいらなければなりません。従来そういうものにつきましては、お話しのようなものにつきましては、単独災害復旧という形では実は認めていません。で、これはまあ、どういう理屈かということでございますが、まあ私、実は、きのうもきょうも、そのことで部内で相談をしておったんですけれども、どうも聞いてみますると、何も施設がなかったと、施設がなかったところにそういう新たな事態が発生したのであるから、それは復旧という概念には当てはまらぬというような理屈のようでございます。どうもその理屈が、私個人も、それでいいのかどうかということを言われますと、非常に疑問を持たざるを得ないのでございますけれども、そういう扱いになっておる。そこが議論のしどころでございまして、農林省とも相談をしていかなければならないところでございますけれども、しかし、かりに、そういうことで災害復旧ということになりませんということでありますれば、これはまた単独事業というような形でもって必要なものはそこで見なければならぬという考え方を現在、私は持っております。で、県市町村という形になってまいりますと、やはりそういう山くずれといったような事態は、やはり資力の大きい団体ということによって極力措置していただくのがいいのではないか。府県と市町村の場合を考えますならば、やはり極力府県で措置すべきものじゃなかろうか。どうしても府県においてできませんものは市町村においてということになるわけでございますけれども、極力私は、そういったものの措置は、治山という責任からいいますならば、府県で措置すべきもの、じゃないか、府県で措置するような方向で必要な措置を講じていくというふうな方向で考えてまいりたい、こういう気持ちを現在持っておるわけでございます。
  94. 佐野廣

    ○佐野廣君 私の考え方が少し飛躍しておるとおっしゃればそれまでですが、その災害というものは、これはだれが責任があるとかというふうなものじゃないですわね。そうすれば、いまあなたが言われるのだけれども、やっぱり国のほうで、ほんとうをいうと全部見るというたてまえのほうが、私はほんとう、じゃないかと思うのですよ。それで、それにはいまの制度があるから、要するに、結論は——どこの工事にするかということは別として、結論は、国が元利補給を見てやるというたてまえに、この災害というものに対する思いやりのあるやり方をしないと、末端ではなかなか背負い切れない問題が出てくるんじゃないか、これは少し飛躍したものの考えといえばそれまでですが、災害というものに対しては、私は、根本的にそういう考え方を国がすべきじゃないかという意見ですが、いかがですか。
  95. 柴田護

    説明員(柴田護君) 何もかも国にということがいいか悪いか、一つ問題があるかと思いますけれども、やはり治山治水というのは、国も最終的に持っておりますけれども、府県というものもやはり第一次的な責任を持っておると私は思うのでございます。そうしますと、その県の財政力というものを考えてまいりますと、やはり国が相当大きく片棒かつぐと申しますが、負担をするというたてまえは、おっしゃるとおりだと思いますけれども、何もかも国だという原則をいきなりそこへ持ち出すことはいかがであろうかという気がいたします。いずれにいたしましても、それによって府県が非常に大きな財政的な痛手を負うということでありますならば、それに対する現在、措置を考えてまいらなければならぬ。当面それを災害復旧と考えるのか、あるいは、そうじゃないものと考えるかということにつきましては、私個人は異論を持っておりますけれども、しかし、いままでの扱いは、災害復旧という形で扱っていない。その場合、政令がどうなるかということについて議論をし、関係省と話し合いをいたしますけれども、どうにもそこの疑念が解消しないという場合におきましては、単独事業として措置せざるを得ない。いずれにいたしましても、措置はいたさねばならぬ。いたさねばならぬ措置につきましては、財政的な措置も十分あわせて考えてまいりたい、かように考えておるわけでございます。はなはだ現在の段階では御納得のいくような答弁がいたしかねるのでございますけれども、いずれにいたしましても、そういう方向で関係各省と相談し、必要な措置をとってまいりたい、かように考えております。
  96. 佐野廣

    ○佐野廣君 あとでもう少し自治省にお尋ねすることがございますが、住宅対策についてこの前もお尋ねをいたしましたが、もう少しお尋ねをしておきたいと思いますが、前回の委員会で、一戸でも二戸でも住宅金融公庫のほうで資金面の御配慮が願えるということでございましたが、この間も郷里に帰りましていろいろ聞いてみますると、危険性のある地域で、この危険予防上集団的の移転をいたします際に、炭鉱離職者の臨時措置法の特例等もあるので、土地の確保、それから住宅建築、就労に至るまでの生活費の支給、こういうような面について特に制度改正を必要とするならば、そういうところまでやってもらいたい。それから、そういうふうな点について特に要望がありましたが、住宅局のほう、いかがですか。
  97. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) 罹災者住宅対策につきましては、島根県におきましては、地元市町村長さんたちがお集まりになりまして明日地元で研究をし、さらに六日に、県を中心に具体的問題について詰めてみようという話を伺っております。われわれがいままでの調査等によりまして得ておる問題点は、住宅金融公庫の貸し付けについて先ほど御質問がありましたように、さらに条件の緩和と申しますか、従来以上に優遇措置がとれるかどうかという点の御要望がございました。  もう一つは、公営住宅の建て方につきまして、これは貸し家住宅であるたてまえ及び公営住宅というたてまえから、個々にばらばらに建設しないで、これをできるだけまとめて団地として建設するという方針をとっておりましたが、罹災者の場合にはそうではなくて、罹災者の持っている土地、そこに貸し家を与えるという方法はどうだろうということの御要望を聞いております。  さらにもう一つの問題点は、今回の災害の実況を見ますと、山くずれ等で非常に危険な場所に建っておる建物でございますが、これは法律でいう滅失あるいは損傷ということに至っておりません。ただ将来、危険であるというような心配があるという状況でございますので、これらに対してどういうような貸し付けをするかという問題でございます。これが滅失をし、あるいは損傷を受けられた場合におきましては、先ほど申し上げましたような災害復興住宅貸し付けという特別貸し付けをいたしまして、御要望に沿いたいと思いますけれども、いまだ損傷も受けていない、また滅失もしていないという場合におきましては、一体、どういう場合にこれに住宅移転もしくは住宅等に貸し付けをしていいかどうかという点につきまして、現在の制度では十分まかない切れない点もございますので、あるいは現行法の運用においてどの程度できるかという点等につきまして検討いたしておる次第でございます。
  98. 佐野廣

    ○佐野廣君 そうすると、罹災者移転団地の造成、それから罹災者の宅地、土地の取得、これは法の上でだいじょうぶであるが、危険防止の上においての問題は検討を要するということですか。
  99. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) さようでございます。
  100. 佐野廣

    ○佐野廣君 そこで、この危険防止の上からの問題は、先ほど申し上げました土地の確保とか、住宅建設とか、いろいろ申し述べましたが、今度、現地に行ってごらんになるとわかりますが、崩壊寸前なんです。住宅の下まで来ており、がけの上からもうすぐ落ちそうな状況にある。私は、これは法の上で、また制度の上でどうなっているか知りませんが、これは市町村長の認定の上において移転さすのが当然じゃないかと思うところが数多くあるのです。何といっても、今回あれだけの出雲の、しかも西日本を中心としたところで二万個所もがけくずれがあった。こういうようなことを考えると、ほんとうに家の中に入っていられないというのは当然です。だから、これは危険防止の上からいっても、ひとつぜひ今回は、特別の配慮をお願いいたさなければならない問題だと思いますから、十分にひとつ考えておいていただきたいと思います。
  101. 山本利壽

    山本利壽君 関連。いま佐野委員から御要望がありましたが、もう一つ確かめておかなければならぬと思うのは、先ほどの御答弁で、現在あるいろいろな法律、規定を研究して、何とかできればそれはもちろんしていただけると思うのですが、実際の危険が迫っておっても、それが何か方法がなければしかたがないと、こう言うのですが、それはどうしても救わなければならないというところまでに認識をいただいておるのか、それは認識はしておるけれども、規定がないからしかたがない——われわれとしては、もしいまの規定でしかたがなければ、別に急いで法律案を提出するとか、あるいは何かその他の法令によるとかしてでも救わなければ、非常に危険な状態にあるのです。私も行って見てきたのですが、もう一雨降ったらこの家はくずれるというようなものが、くずれてからなら救ってやるけれども、くずれぬうちはしかたがない、くずれるまで待っていなさいという手は、私はどうしてもないように思うのです。ですから、御研究願って、方法があればする、なければすぐに新しい方法を考えるということを、そこらのところの御認識をひとつ承りたいと思います。
  102. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) ただいまのお話のとおりでございまして、できる限り、現行法の運用によって御希望に沿うようにいたしたい、こう思っているわけでございます。もし、どうしても現行法の中で措置できない場合には、さっそく新しい法律改正なり、必要な措置をお願いしたいと思って、できる限り罹災の実態に合うような措置をはかるようにいたしたいと思っております。
  103. 稲浦鹿藏

    稲浦鹿藏君 関連して。あれは地すべり地帯としての指定を受けたら、それに対して融資する方法はあるんじゃないですか。過去において、そういうことをやった例があるように思うのですが、これはどうですか。
  104. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) 地すべり地帯として指定を受けまして、これに関連した事業計画として、住宅移転もしくは建設する場合には融資いたしますが、この地区の山くずれの状況を見てみますと、地すべりとまではいかないような実は状況でございまして、ただ山くずれ、土砂の崩壊があるということで、いわゆる、この法律にいう、地すべり法にいう地すべりというようなところまでいっていないように考えます。これらの法律によりまして、必ずしもこの法律にいう関連事業計画でなくても、市町村長の認定を受けまして、同様な危険を持っておる場合には同じく貸し付けいたしておりますので、そういう方法によって運用をしよう。ただ、その際に、農村地帯でございますので、住宅規模等がかなり大きな家の移転がございます。こういう場合に、現在の住宅金融公庫法におきましては、法律上、最高限度が三十坪というふうに限度がございますので、こういう点をどうするかということが、この際における罹災者の方々における御要望と現在の法の運用との間の問題点でございまして、できる限り実態に合うようにやりたいと思って検討しているわけでございます。
  105. 稲浦鹿藏

    稲浦鹿藏君 地すべりでないという一つの認定のしかたですが、ぼくは現地に行ってみると、ある程度、考え方によっては地すべりとして考え得られると思いますが、その辺もう少し検討してみたらどうですか。
  106. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 住宅局長検討してみるようにということと、それからもう一つ私からお尋ねしたいことは、長野県の天竜川沿いに何十戸か、相当移転されましたけれども、これはどういう事業でおやりになったのですか。
  107. 柴田護

    説明員(柴田護君) 長野県の移転の場合でございますが、これは私どもの行政局で、たしか予算の折衝その他をやったと思います。これは農地災害復旧をいたします金額の範囲内で移転の経費を支出する。移転の事業そのものは県の事業といたしまして、それに対して農地災害復旧の金額を補助金みたいな形でたしか県で出したと思います。これは集団移住でございまして、もう全然もとに帰らない。祖先の土地を放棄して新たな永住の地を求めた、こういう措置でございます。
  108. 佐野廣

    ○佐野廣君 いまのお話は、三十六年度災の災害の問題ですか。
  109. 小平芳平

    委員長小平芳平君) そうです。
  110. 佐野廣

    ○佐野廣君 ですから、いまのお話のように、私は、財政法の上で、いまの金額がこのほうが有利だから云々というふうなものの見方ができるのかできないのかということは、いささか私はわからないと思うのです、事案が違うんだから。だから、私は、そういうふうなことがほんとうの政治だと思うのです。そういう運用をしていくのが、私は政治だと思う。したがって、いまの崩壊寸前にある家屋なんというものは、町村長さんの責任で移転をせしめて、しかる後に、その措置をあなた方と相談してやればいいというふうに考えざるを得ぬような急迫した事態なんです。もう庭先までくずれて、それが三メートルや五メートルじゃない、七、八十メートル下まで、がけがくずれているのを見たら、とてもおれるものじゃない。ですから、後ほど急速に相談いたしまして、それはほんとうの特例中の特例でおやり願うべき緊急事態だと、かような考えを持っておりますので、特にお願いをしておきます。  それから時間がありませんから、私は要望事項を簡単に言いますから、御答弁も一ひとつ簡単におっしゃっていただきたいと思います。  公営住宅の問題につきまして、これはやはり柴田さんのほうにお願いすることになるわけですが、住宅流失倒壊破損のおびただしい今回の災害を受けました団体の行ないます公営住宅建設事業につきまして、当該団体の財政状況を考慮して、起債の充当率をその地方負担額のおおむね一〇〇%まで引き上げることができるものとするようにお願いしたい、こういう要望です。いままでは負担額のおおむね四五%であるというふうに聞いておりますが、これは柴田さん、いかがでしょう。
  111. 柴田護

    説明員(柴田護君) 私も全く同様に思うのでございますけれども、毎年折衝を重ねておりますが、なかなか目標までいかない。本年度も従来の割合を一般に若干高めたわけでございます。なお御要望の線に沿いまして大蔵当局とも話を進めてまいりたい、かように存じます。
  112. 佐野廣

    ○佐野廣君 幾らに高められたわけですか。
  113. 柴田護

    説明員(柴田護君) たしか三割であったものを四割にいたしましたか、たしか五%ないし一〇%財政計画では高めております。しかし、それではもちろん私ども満足しておりませんので、本来こういうものは一〇〇%を充当すべきではないかというように考えておりますが、なかなかそこまでいきません。しかし、災害の場合においては、さらにそれに特殊事情がありますので、それを勘案いたしまして御要望の線に沿って折衝いたしたいと思います。
  114. 佐野廣

    ○佐野廣君 次に、住宅金融公庫法を改正して、災害復興住宅融資について、融資条件の特例、利率の三分程度の引き下げ及び償還期限の三年程度の延長、こういうふうにしていただきたいという要望がありますが、従来は特例はなかったというのですが、住宅局長さん、いかがでしょうか。
  115. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) 災害復興住宅につきましては、先ほど申し上げましたが、応急貸し付けをいたしておりますが、これに対する条件といたしましては、従来は現在の五分五厘の利子及び償還期間木造十八年で特に問題はございませんでした。今回さらにそれを緩和するようにという御要望でございますが、大蔵省当局とも相談いたしますけれども、現在のところ、この程度の条件で十分じゃないかというふうに考えております。
  116. 佐野廣

    ○佐野廣君 これはいまの改正を要望している点でございますから将来に残しますが、十分御配慮いただきたいと思います。  それから農家住宅のことについてお尋ねいたしますが、御承知の農家住宅というものは、普通の一般住宅と構造上違うわけでございます。居住用にもなりますが、稲作物の収納の場所でもあったり、農作業場を兼ねたり、畜舎も含んでいる、こういうふうなのが農家住宅であるわけでございますので、この構造上の特殊性から見て、一般の住宅とは観点を異にして復旧についての助成措置あるいは長期低利の融資制度、こういうふうなものを設けてもらいたいという要望が農民の間に非常に強いのですが、いかがでしょう。
  117. 中西一郎

    説明員(中西一郎君) 地震に伴います山形新潟等に採用いたしました融資措置と同様の措置をとりたいということで目下とり進めておりますが、内容を申し上げますと、一つは当然のことでございますが、住宅金融公庫の五十八万円まで額をふやしていただいた、その資金が使えるということがございます。  それから、それにさらにつけ加えまして、農業金融の系統機関の中で、災害対策としまして、住宅資金を末端の金利おおむね七分五厘というようなところで、一戸当たり五十万円、山形県等は六十万円と聞いておりますが、を基準にしまして融資をしていこうと考えております。  そのほか、すでに御承知のように、自作農維持資金のほうで、災害があります場合には、従来三十万円までしか一戸当たりについて貸さなかったのを、五十万円まで拡大いたしております。その三本立てで大体百万円以上借りようと思えば借りられる態勢はできておると考えております。  ただ、お話しのように、畜舎があり、あるいは農舎が必要であるというような関連もございますので、そちらのほうは一般の——と申しますのは、災害金融ということを離れまして、一般の農林漁業金融公庫の主務大臣指定施設というワクがございますが、金利は六分五厘でございます。それで、ところによりましては、二百万円まで貸すというふうなこともやっているわけですから、そういう資金、さらに公庫資金の中で、施設についての災害ワクが二十万円程度ございます。それやこれや合わせまして、末端の要望にはこたえられるのではないか。  ちょっと長くなりますが、山形地震等に際しまして、そういう資金がうまく疎通しないのではないか、金融のワクがあっても、信用力の関係で限度があって、金がうまく末端に流れていかないのではないかという心配もございまして、いろいろな措置を講じておりますが、山形等でも三百件以上の貸し出しを完了するというふうに、逐次住宅資金が流れております。  島根についても同様、資金の疎通が円滑にいきますようにつとめてまいりたいと、かように考えております。
  118. 佐野廣

    ○佐野廣君 住宅関係でもう一つ要望ですが、おかげで最近、山陰地方各種の金融公庫等は整備されましたが、住宅金融公庫というものが一つないのですよ。そこで、これを今回の災害等に顧みましても、急速にひとつ支店を設置してもらいたい、かような要望が強いのでございまして、これはあらためて参りますが、特段の御配慮をお願いいたしたい。局長さん、いかがでしょう。
  119. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) 山陰、北陸地方住宅金融公庫の支店の設置の御要望も聞いておりますが、従来から山陰地方では広島支店で処理いたしておりまして、事件があればすぐ現地に出張所あるいは臨時の出先を設けまして、仕事に事なきを期するようにいたしております。ただし、ただいまの御要望につきましては、十分検討させていただきます。
  120. 佐野廣

    ○佐野廣君 中小企業金融公庫の際も、去年つくりましたが、同じような状況ですぐ広島へ行かなくっちゃいけないというような状況なんで、山陰開発のためにも、ぜひ至急お願いしたいと思います。  それから自治省のほうへもう一つ。要点を申し上げますから御答弁願いたいのですが、災害対策基本法または激甚災害特別援助法に、元利補給金を交付する条文の新設を行なうとともに、地方交付税法第十二条の測定単位及び測定単位の利子の算定の基礎に追加し全額補てんすること、こういう要望が県のほうから出ておりますが、局長さん、いかがですか。これは歳入欠陥補てん債の補給を百%にお願いする、こういうことです。
  121. 柴田護

    説明員(柴田護君) 歳入欠陥の補てん債につきましては、その一定部分を基準財政需要願に算入しておりますのを高めろという御意見だと思います。この問題は、一般の単独事業債の基準財政需要額の算入とも関連があるわけでございます。しかし、事は歳入欠陥補てん債でございますので、若干その度合いを高めてもいいじゃないかといったような意見も従来からあるわけなんでございます。現在までそういう制度をとってまいりませんのは、ほかとの関連がどのような形で影響してくるかといったような観点から、そういったことをとってまいっておりません。しかし、問題点であることは確かでございます。十分検討してまいりたいと思います。
  122. 佐野廣

    ○佐野廣君 次に、農地課の関係なんですが、この災害のたびごとに農林漁業者及び組合に対しまして、天災融資法による融資あるいは自作農維持資金による貸し付けがそれぞれ行なわれるわけでございますが、これではとかくおくれがちになります。そこで、これを農林漁業資金の中に災害資金というものをつくって、別ワク資金をつくって、貸し付け限度の緩和とか、金利の大幅引き下げ、こういうふうな点を考慮していただきたい、こういう要望がございます。いまお話がありましたように、限度額五十万円をさらに引き上げていくこととか、あるいはもう一つ、旧債金額を差し引きして貸し出していくと、こういうふうな点についても、差し引かないというふうな業務方法書の改正、こういうふうな点の要望がありますが、いかがでしょう。
  123. 中西一郎

    説明員(中西一郎君) 十分検討に値するそれぞれの問題であるというふうに考えておりますが、ただ、天災融資法につきましては、災害がありまして、その場合も、肥料を買う、あるいは農薬を買う、苗を買うというような、いわば流動資金の手当ての資金でございます。そういう意味で、農林漁業金融公庫がもっぱら施設的なものに重点を置いた金融機関であるというのとなじみにくい点が一つございます。さらに、天災融資法の体系で利子補給をする、あるいは損失を補償するという場合に、地方公共団体にもそれぞれの負担をしてもらう体系になっておるわけでございまして、そういう意味合いで、いまここですぐに農林漁業金融公庫の中でそれを一括して取り扱うということを申し上げかねるのでございますが、お話しの限度額をどうするかというような問題にも関連しまして、かねて天災融資法には何らかの手入れが必要であるというふうには考えております。そういう意味合いで、お話しの点も含めまして、十分検討いたしたいと思います。  さらに、旧債の差し引きの問、題がございましたが、これは指導としましては、旧債差し引きを実は役所としては条件といたしておるわけじゃございません。まあ実行上、その年度の返済部分は差し引くというようなこともあるようでございますけれども、そういう点については、運用が厳重に流れ過ぎないように、十分配慮してまいりたいと思います。
  124. 佐野廣

    ○佐野廣君 仰せのとおり、必要差し迫ってお借りするのですから、前の借金まで差し引かないというたてまえだけはおとりいただきたいと思います。  もう二、三点ですからどうぞお願いします。  有線放送が今度の災害の際に非常に役立ちましたが、そこで、この市町村の設置いたしました有線放送電話の災害復旧について、国の助成制度をお願いしたいということでありますが、もう自治省の方、お帰りになったですか。郵政省ですか。
  125. 大河内正義

    説明員大河内正義君) お答えいたします。  有線放送の技術的な指導は郵政省で行なっておりますが、財政措置は農林省と、それから自治省のほうで行なっておりますので、そちらのほうの問題でしたら、関係省のほうにおはかり願いたい、このように思います。
  126. 中西一郎

    説明員(中西一郎君) 農林省のことはお尋ねもなかったので当然御承知だと思いますが、共同利用施設ということで必要がありますれば、激甚法適用もあり得るというふうに考えております。で、また、そういう方向で今回の災害にも対処してまいりたい、かように思っております。自治省の関係のお話もございましたが、自治省としても十分バランスをとって検討してまいるということを言っておられます。われわれとしても、そういう方向で必要な協力体制、あるいは末端における協調はとってまいりたいと、かようにまあ考えております。
  127. 佐野廣

    ○佐野廣君 ぜひひとつ、これは有線放送の効果が大きかったということにかんがみて御配慮願いたいのです。  そこで、これは郵政省の関係になるかと思いますが、連檐地に有線放送というものは設置しないことになっておりますように思いますが、そうですか。農村関係、いなかのほうにやっておりまして、連檐地で、いわゆる公衆電話のたくさんあるところにはやらないということになっておるのじゃないですかね。
  128. 大河内正義

    説明員大河内正義君) お答えいたします。  有線放送電話というものは、電電公社がやっております普通の公衆電話ですね、いわゆる普通の電話局の電話の普及率がよいところには許可をしておらない。公衆電話が普及していない地方に対して、補完的役割りをさせるために許可をしているというようなものがたてまえになっております。この影響じゃないかと考えております。
  129. 佐野廣

    ○佐野廣君 そのとおり了承しておりますが、この災害対策という上からいいますと——いまの公衆電話の普及しているところへこれをつけるということに弊害もわからないことはありませんが、非常災害の場合に有線放送というもので、あの組織をごらんになるとおわかりになるように、これは非常に私は有効なものだと思うのです。何かその間に弊害は弊害として除去することも考えながら、この有線放送のような設備が非常に非常災害の際に有効なものだということに認識をしていただいて、私は、これは将来ぜひ配慮していただきたい。今度もこれが完備しておったところは全部人畜生命に別条がなかったという実績があるわけです。ひとつ、これは即答はできないかもしれませんが、急速に配慮していただきますと、人命を尊重する上で非常にいいのではないか、こう考えておりますのでお願いをいたします。  それから消防団のことですが、これは今日では民間団体で組織的に訓練されておるものは、消防団以外にはございません。そこで、水害とか、あるいは火災の際に非常に挺身奉仕される姿というものは、みんな国民が感謝しております。今回も同様でございましたが、この消防団員というものに対しての物心両面にわたる現制度の上での優遇措置というものを私、ぜひお願いしたい、かように考えます。特に非常災害出動に対しましての手当、こういうふうなものは最近二百円ということにきめられておるとも聞いておりますが、それではいささか私は、身を挺して活躍していただきますのには、あまりにも少な過ぎるじゃないかというふうに考えますので、消防庁のほうの御意見を伺います。
  130. 斎藤正夫

    説明員斎藤正夫君) 現行消防団員の出動手当につきましては、交付税でこれを措置するたてまえをとっております。二百円といいますのは、その交付税算定上一人当たりの一回の出動の基準単価を二百としておるわけでございます。現行市町村で実際にそういうふうな二百というような数字を出しておりますが、実際の支払いはまちまちのように聞いております。昨年の日本消防協会等の決議等を見ましても、二百を一挙に四百に増額しろというふうな決議もございますので、私のほうも明年度予算等を通じまして、前向きの姿勢で増額の方向に向かっていきたい、かように考えております。
  131. 佐野廣

    ○佐野廣君 ぜひこれは急速に、実現できる予算措置ですから、お願いをいたしたいと思います。  それから厚生省のほうへ、これも簡単なことですが、お願いをいたします。  災害援護資金の貸し付けの据え置き期間、これは現行一年以内だそうですが、これを五年以内にしていただきたいということ。それから母子福祉課の関係で、同じ母子福祉資金の貸し付けの据え置き期間を、二年以内となっておるけれども五年以内にしていただきたい、こういう声がございましたが、これは返済能力等の問題からいたしまして無理からぬこともあるじゃないか、こう思いますので、御意見を伺います。
  132. 岸野駿太

    説明員(岸野駿太君) 世帯更生資金災害援護資金並びに母子福祉資金につきましては、先般の新潟地震に際しまして激甚災指定を受けました地方について、直ちに関係方面と協議をいたしまして、現行一年を二年に延長していただきました。災害援護資金のみならず住宅補修資金あるいは生業資金につきましても、一括して二年に延長をはかりましたので、二年でもって、大体いままでの伊勢湾及び第二室に台風の経験に徴しまして、一応それでだいじょうぶであろうと思いますけれども、なお個々に問題がありました場合には、現行制度にも支払い猶予の制度がございますので、その制度を活用して万遺憾なきを期するようにというように、新潟市に対しましては指示いたしました。今度の山陰の豪雨に際しましても、そのように取り扱いたいというぐあいに考えております。
  133. 佐野廣

    ○佐野廣君 いまの母子福祉資金の五年はどうですか。
  134. 岸野駿太

    説明員(岸野駿太君) 母子福祉資金も同じでございます。
  135. 佐野廣

    ○佐野廣君 延ばさなかった……。
  136. 岸野駿太

    説明員(岸野駿太君) 延ばしました、二年に。いままでは、これは個々に指定をいたしましたので、二年以内の限度一ぱいにいたしたというふうに聞いております。
  137. 佐野廣

    ○佐野廣君 それから国民健康保険の関係者、おられますか。——災害により国民健康保険料、これは税もともですが、並びに一部負担金等を減免した場合、調整交付金の交付対象基準を引き下げるとともに、減免額を全額交付するよう改正されたい。これは市町村の保険財政事情等からいたしまして、ぜひ省令を改正し、運用に妙味を出していただきたい、こういう陳情ですが…。
  138. 信沢清

    説明員(信沢清君) まず、いまお話のございました特別調整交付金の交付条件の緩和の問題でございますが、おそらく、詳しいお話はございませんが、現在、私どものほうで災害等がございました場合に、保険料あるいは保険税または一部負担金の減免額が全体の、五%をこえた場合に対象とする、この点についてのことだと思いますが、これは国民健康保険につきましては、御承知のように、たいへん低所得階層が多うございまして、通常でもかなりのそういった減免の措置を講じておるわけでございます。したがって、災害に際しては、非常にこれが多額となる。いわば非常に多額であるということの目安として、五%という基準を設けておるわけでございます。したがって、五%を控除した残りについて、これを対象とするという考え方ではございませんで、あくまで目安でございますので、五%を含めた全体の減免額を調整交付の対象にいたす、かようにやっておりますので、従来からこの点あまり問題になったことがございませんので、これでいけるのではなかろうかと、かように考えております。  それから、なお、全額をというお話でございますが、これは現在、御承知のように、減免額の百分の八十につきまして調整交付をいたすというたてまえをとっておるわけでございますが、この点、従来、災害等ございました場合に、あるいは特別立法措置を講じ、あるいは現行の特別調整交付金の活用によりまして、財政措置を講じてまいったわけでございますが、さような従来の経緯等もございますので、いま直ちにこれを引き上げるということは困難であろうと、かような考え方でございます。  なお、災害がございました場合の国民健康保険に対する財政措置といたしましては、いまお話に出ておりまする保険料、保険税あるいは一部負担金の減免のほか、たとえば災害に際して非常にけがされた人が多いとか、あるいは流行病が発生して医療費が非常にかさむ、かような事態が往々にして起こりがちでございますが、さような異常に災害によって医療費がふえるという場合につきましても、保険料、保険税の場合と同じような措置を講じておりますので、さような点と相まちまして、おおむね、先生おっしゃるような御趣旨の方向に措置できるのではなかろうか、かように考えております。
  139. 佐野廣

    ○佐野廣君 それから、これは政府機関の金融機関ですが、これは公庫関係の人おられますか。
  140. 影山衛司

    説明員(影山衛司君) 中小企業庁でございます。
  141. 佐野廣

    ○佐野廣君 あなたのほうで、中小企業者に対する資金の融通の関係でございますが、現在の融資額の制限を引き上げられたいというのです。そこで、現在は幾らになっておるのですか、制限額は。
  142. 影山衛司

    説明員(影山衛司君) お答え申し上げます。  中小企業の金融公庫につきましては、通常の貸し付け限度は、代理貸しの場合が一千万円、それから直接貸しの場合が三千万円でございます。それから国民金融公庫につきましては、通常の限度が二百万円でございます。それから商工中金につきましては、組合関係が三億円、それから、その構成員につきまして三千万円という融資限度になっております。
  143. 佐野廣

    ○佐野廣君 引き上げてくれという意見ですが、それはわかりました。もう少し私、説明します。  激甚災害法の適用が、こういう場合に、商工中金は個人が百万円、それから団体が三百万円の貸し付けということになって、それで金利もその際には九分が六分五厘に引き下げられるというふうなことに聞いておりますが、さようでございますか。
  144. 影山衛司

    説明員(影山衛司君) さようでございます。
  145. 佐野廣

    ○佐野廣君 そこで、いまの中小企業者に対して百万円を三百万円に、それから団体の場合を三百万円を一千万円にしてもらいたい、こういう陳情なんです。いかがですか。
  146. 影山衛司

    説明員(影山衛司君) 激甚災害指定がありました場合に、特利の限度は、先ほどお話ございましたように、商工中金につきまして一人百万円、組合が三百万円ということでございます。大体従来の実績にかんがみまして、特利の限度が、実際の実績は大体百万円程度というところが平均でございますので、大体この程度の限度の引き上げ額あるいは特利の適用額でけっこうではないかというふうに考えておるわけでございます。
  147. 佐野廣

    ○佐野廣君 これは増額してもらいたいという希望があることを了承しておいていただきたいと思います。  それから、いまの利率も六分五厘にはなっておりますが、特別の被害を受けた中小企業者に、これを三分五厘に引き下げてもらいたいという要望もありますから、これもひとつお含みを願いたいと思います。  それから、この中小企業金融公庫と国民金融公庫は、激甚災害法の適用の際には、業務方法書で九分の利率を六分五厘にするということが定められておるだけでございますが……。
  148. 影山衛司

    説明員(影山衛司君) さようでございます。
  149. 佐野廣

    ○佐野廣君 特に資金ワクなどについてのなには、商工中金とは幾らか違うんですか。
  150. 影山衛司

    説明員(影山衛司君) 特利のワクと特利を適用するということにつきましては、商工中金は民間的な色彩がございますので、激甚法の規定を必要とするわけでございますが、中小企業金融公庫、国民金融公庫につきましては、全額政府出資の金融機関でございますので、その点、弾力的に取り扱っておるわけでございます。
  151. 佐野廣

    ○佐野廣君 末端では、なるほど発生的に見ればそういうふうな意見も出ましょうが、末端にいきますと、これはやっぱり少額資金要望しておる階層なんですから、私は、制度上、こういうふうな点については御配慮いただきたいと思うわけです。
  152. 影山衛司

    説明員(影山衛司君) 少額の融資につきましても、国民金融公庫等を活用いたしまして、できるだけ御要望に沿えるように金融公庫等を指導しておりますので、大体いままでのところの経験では、円滑にいっているものというふうに考えておるわけでございます。
  153. 佐野廣

    ○佐野廣君 要望が強いということをひとつ御記憶願いたいと思います。  それから社会教育局の関係ですが、一つ二つですが、激甚災害の場合に、公立社会教育施設——公民館とか体育館、こういうふうなところの復旧に要します工事費、付帯工事費、設備費、事務費、こういうふうなものを補助対象として、一施設復旧費二十万円以上のものに限って、復旧費の三分の二を補助する、こういうふうになっておりますね。これを社会教育の振興のたてまえからして、これをぜひ四分の三に改正してもらいたいという要望、並びに史跡名勝、天然記念物の管理、修理につきまして、修理者、管理団体に対して、補助率を二分の一を四分の三にしてもらいたい、こういう要望がございますので、御配慮願いたい。
  154. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 後段の文化財の点につきましては、これは法律の規定ではなくて予算の問題でございますが、この点につきましては、文化財のほうにお伝えをいたしまして検討していただくことにいたします。  それから前段のほうは、激甚法の十六条の規定そのものの問題でございます。三分の二の補助の問題は社会教育施設でございますが、これはちょっといま私、即答いたしかねますので、先ほど藤野先生にもお答えいたしましたように、一般の災害についての問題、それから激甚災の問題について、だんだん重要性を増しますところの社会教育施設につきまして、今後検討すべき問題があろうと思いますので、十分検討してまいりたいと存じます。
  155. 佐野廣

    ○佐野廣君 最後に二点、地元の問題につきまして、運輸省にお願いいたしますが、気象観測施設整備していただきたい。どなたかおられますか、気象庁の方。——それでは、科学技術庁はおられますか。——それでは、速記のほうにとどめておきます。  島根県内ないしは山陰でもいいのですが、気象観測施設整備をしてもらいたい。  それからいま一つ、防災的見地から、特殊土壌地帯調査を急速にしていただきたい。  この二点を要望いたします。
  156. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 他に御質疑はございませんか。——他に御質疑もないようでありますので、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十三分散会