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1964-07-22 第46回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年七月二十二日(水曜日)    午前十時三十五分開会   ―――――――――――――   委員異動  六月二十六日   辞任      補欠選任    杉山善太郎君  佐多 忠隆君    瀬谷 英行君  久保  等君    村尾 重雄君  向井 長年君  七月二十日   辞任      補欠選任    森部 隆輔君  佐野  廣君  七月二十二日   辞任      補欠選任    村山 道雄君  川野 三暁君    久保 勘一君  野本 品吉君    林田 正治君  徳永 正利君    佐多 忠隆君  杉山善太郎君   ―――――――――――――  出席者は左のとおり。    委員長     小平 芳平君    理事            稲浦 鹿藏君            藤野 繁雄君    委員            川野 三暁君            北口 龍徳君            熊谷太三郎君            佐野  廣君            坪山 徳弥君            徳永 正利君            野本 品吉君            森 八三一君            杉山善太郎君            武内 五郎君   国務大臣    自 治 大 臣 吉武 恵市君   事務局側    常任委員会専門    員       中島  博君   説明員    内閣総理大臣官    房審議室長   松永  勇君    国税庁直税部所    得税課長    大島 隆夫君    厚生省社会局長 牛丸 義留君    農林省大臣官房    参事官     岡田 覚夫君    農林省農地局災    害復旧課長   梶木 又三君    林野庁指導部長 森田  進君    気象庁予報部予    報課長     斉藤 錬一君    建設省河川局長 上田  稔君    建設省住宅局住    宅計画課長   角田 正経君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○災害対策樹立に関する調査  (山陰地方等における豪雨災害に関  する件)   ―――――――――――――
  2. 小平芳平

    委員長小平芳平君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  六月二十六日、村尾重雄君、杉山善太郎君及び瀬谷秀行君が委員辞任され、その補欠として向井長年君、佐多忠隆君及び久保等君が選任されました。  また、七月二十日、森部隆輔君委員辞任され、その補欠として佐野廣君が選任されました。  また、本日、久保勘一君、村山道雄君、佐多忠隆君が委員辞任され、その補欠として野本品吉君、川野三暁君、杉山善太郎君が選任されました。   ―――――――――――――
  3. 小平芳平

    委員長小平芳平君) この際、おはかりいたします。  委員異動に伴い、理事が一名欠員となっております。つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。  互選は投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事向井長年君を指名いたします。   ―――――――――――――
  5. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 災害対策樹立に関する調査として、山陰北陸地方等豪雨災害に関する件を議題といたします。  まず、政府側から、現地調査団団長として現地視察から帰られました吉武自治大臣から御説明願いたいと思います。
  6. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) まず、私は皆さまにごあいさつを申し上げたいと思います。  先般の組閣に際しまして、はからずも自治大臣国家公安委員会委員長を仰せつかったのでございます。微力ではございますが、一生懸命勉強いたしまして努力するつもりでございますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。  さて、今回、山陰北陸地方に襲いました豪雨状況につきまして、現地調査に参りましたので概要を御報告申し上げます。  今回の豪雨は、日本海にありました梅雨前線が、十六日早朝から南下を始め、活動が活発となって、そのために、十六日には、島根東部沿岸部に最大約二百ミリメートルの降雨があったのであります。この梅雨前線は十七日北上したために、雨は一時やんだかの形をとったのでございますが、十八日朝から再び南下を始めまして活発化し、前線島根東部に停滞をし、約十時間集中的に大雨を降らせたのであります。特に十八日夜半から十九日未明をピークといたしまして、その直後に災害が発生したのでございます。なお、気象庁はこの豪雨を「昭和三十九年七月山陰北陸集中豪雨」と名づけております。  今回の異常気象の特性といたしましては、梅雨前線が停滞いたして活発化いたしたこと、短時間に集中的に降雨が続いたこと、雨量が島根東部沿岸に集中したことなどをあげることができるかと思います。政府は、二十日午前中に中火防災会議を開きまして、不肖私が団長として災害調査島根県、鳥取県に派遣されることになったのでございます。係官といたしましては、警察庁、大蔵省、文部省、厚生省農林省建設省消防庁等より責任者が参りまして、一緒に出かけたのでございます。  午後一時四十分、自衛隊が準備してくれました航空機によって羽田を出発いたしました。四時過ぎに被災地上空に到着をいたしましたので、この水害の状況では、おりて現地に行くのにもあるいは困難ではなかろうかと存じまして、飛行機の計らいを得まして、低空飛行をやっていただきまして、約四十分余り被害地を空よりまず調査をしたのでございます。  上から見ますると、平田市、出雲市、斐川村、加茂町、そして宍道町等は、いまなお水没の状況が空から見られたのであります。  午後四時四十五分美保基地に到着いたしまして、私は地元記者団と会見後、自動車にてまず松江市に向かいまする途中、鳥取県知事に、詳細、鳥取県の状況を聞き、米子付近災害状況を見まして、松江に入ったのでございます。まず、島根県の災害対策本部に六時に参りまして、ここで伊達副知事はじめ関係方々から、被害状況報告を承わりまするとともに、要望事項の数々を承ったのでございます。私は総理からの命もございましたので、衷心より、なくなられました方々の遺族及び罹災者に対しお見舞いを申し上げまするとともに、県当局並びに市町村方々の一日も早く復興されんことを要望いたしまして、引き続き七時県庁を出発いたしまして、斐川村及び出雲市の災害地視察に向かったのでございます。  斐川村は、同様、町村当局の方や地元方々から幾多の陳情を受けまして、それから後に出雲市に参りました。  出雲市に参りますると、ここでわかりましたことは、先ほど島根県当局から御報告がございましたように、今回死亡された数は、けさまでに判明いたしました数が百五人。島根県のみで百五人。行くえ不明が三人、重傷九十四人、軽傷二百六十九人という多くの犠牲者を出しておるのであります。この出雲市周辺が最もひどくございまして、出雲市だけで約四十名の死亡者を出しておったようでございます。この原因をいろいろつきとめてみまするとわかりましたことは、先ほど申しましたように、十五日、十六日に続いて梅雨前線豪雨が相当多量でございました上に、十七日やや静まり返りましたが、十八日の早朝より再び集中豪雨が激しく参りまして、特に夜半になりますると、それが約三百七ミリ程度まで達したようでございます。いずれも山間地の山のふもとにある農家でございます。あちらで二、三戸つぶされ、あるいは、こちらで二、三戸つぶされ、全員なくなられたところもあるのでございます。また、一部ははい出してようやく助かった方もあります。掘り出してやっと助け出したところもあるようでございますが、個所は数カ所に及んでおりまして、これを合わせますと、先ほど申しましたような百五人という数にのぼっておるのでございます。いま申しましたように、集中豪雨は、引き続きございまして、山の土質が花こう岩風化土と申しておりますが、赤土に砂のまじったような土質でございます。水を一ぱい含んだ上にどしゃ降りでございましたために、これが夜の十二時半ごろからくずれ落ちまして、方々農家が倒れて、その上に土砂が積んで一時に圧死されたのが原因のようでございます。出雲市だけでも四十人余りにのぼっております。そのほか、その付近町村から、あるいは六人、あるいは五人、あるいは四人といったような死亡者が出ておったのでございます。  二十一日はそのような調査で、宿に十時ごろ引き揚げまして、翌日、すなわち昨日は、午前八時半から加茂町に調査に出かけました。  被害町村は、あるいは皆さま御承知かと思いますが、いま言いました出雲市のほかに、加茂町、そうして大東町、木次町、三刀屋町、あるいは宍道町、斐川村、それと平田市、こういったところが非常に多くの災害を生じたところでございます。  この加茂町の災害は、斐伊川に流れ込む支流に赤川という川がございます。この赤川堤防決壊したのでございます。実地を見まするというと、赤川は、川底が相当上がっておりますのと、堤防が相当高い堤防がございまして、その下にすぐ四百数十戸、約二千数百名にのぼる町が加茂町でございます。川よりも低い地帯でございますので、三十六年の災害のときにも一時水が出たようなこともあり、町民はあげて警戒に当たっておったようでございます。ところが、だんだん水かさがふえまして、堤防を越えるようになりましたので、町長が、あぶないということで、夜中の一時ごろから避難命令を出しました。三時半ごろに決壊をしてどっと水がなだれ込んだようでございます。しかし、それまでに全部山の中腹の小学校に避難をさせましたので、一名も死傷者は出なかったのでございますが、これには、町長その他農協長等有線放送を利用いたしまして、あぶない、早く全員避難していただきたいということを必死に、最後には、農協長は水が首までつかるまで必死に有線放送を利用いたしまして避難させておったようでございます。したがいまして、この水がもし不時、夜中堤防決壊いたしましたならば、相当多数の死傷者を出したと思いますが、幸いにして一人の死傷者も出さなかったことは、不幸中の幸いだと思います。しかし、町の家は半分以上全壊あるいは半壊をして、水は二階の屋根を越える程度まで浸水をしていたようでございます。ある工場の工員宿舎等は、一階でございましたが、それは全部水の底につかったような状況でございますから、御想像いただけると思いますが、大体は、この町は商人と勤労者の住んでいるところでございますが、店の物なども全部どろまみれに埋まっているような状況でございます。  視察を終えまして、県庁に再び十一時に帰りまして、県当局あるいは市町村当局あるいは各省出先機関、私ども一緒に参りました各省係官等一党に会しまして、視察の結果を協議し、また、重ねて地元方々要望を聞き、打ち合わせを遂げまして、午後三時の飛行機で昨日帰ったような次第でございます。  一応災害状況は以上のとおりでございます。  地元の県、その他の当局要望事項も数々ございますが、これは御質問に応じましてお話を申し上げたいと思います。  以上でございます。
  7. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 御苦労さまでした。  次に、内閣審議室から総括的な御説明を願います。
  8. 松永勇

    説明員松永勇君) ただいま自治大臣から山陰方面についての詳しい御報告がございましたので、私としましては、北陸及び全般的な概括説明をさせていただきたいと思います。  お手元に、「被害状況政府の講じた措置概要」という書面がお配りしてございますので、それを追いながら簡単に御説明申し上げます。  被害状況は、ただいまお話にありました山陰地方も含めまして、そこに掲上しております被害の概況は、二十日十三時現在の被害額でございます。その後、この被害額も若干ふえてまいりました。きょうの八時現在では、島根県下死者百五名、行くえ不明三名を加えまして、各地の全体を加えますと、死者百二十一名、行くえ不況六名、負傷者二百九十名にのぼっております。  建物被害も全体で全壊が三百五十にふえております。流失家屋八十二棟、床上浸水九千七百三十二棟、床下浸水約五万棟というような大きな被害にのぼっております。  公共土木施設災害については、目下調査中でございまして、現在までに判明しております被害額は、公共土木施設で約四十五億、公立学校施設で約四千万円、農地農業用施設で約二十五億円ということになっております。  交通関係被害につきましても、国鉄関係で、北陸山陰地方で五線区二十八カ所が不通となっておって、三十日ごろまでには全線復旧見込みでございます。  国道の不通個所島根新潟県下で三線九カ所でございます。復旧見込みがまだ精細にわからないというものもございますが、おおむね二十三日ごろまでに復旧できるであろうと思います。  それから電信電話被害につきましても、二十二日ごろまでに応急復旧を完了する目途で鋭意復旧に努力いたしております。  なお、北陸方面につきましては、建設大臣を長とし、総務長官も随行いたしまして、ただいま視察に行っておりまして、二十三日の夜こちらへ帰ってまいることになっております。関係各省もこれに随行いたしております。  次に、政府の講じました措置概要について簡単に申し上げます。  まず、最も緊急を要します山くずれの啓開作業及び堤防決壊個所応急締め切りにつきまして、陸上自衛隊災害派遣を行なっております。すなわち、島根鳥取両県に対しましては、出雲及び米子部隊から二百六十有余名富山県氷見市の地すべり現場では、金沢部隊から二百六十名。新潟県の刈谷田川仮締め切り工事には、新発田部隊から三百六十名を派遣いたしまして、所期の救援活動に当たっております。なお、山陰地区につきましては、山口と姫路の両部隊約千五百名が出動の待機中でございます。  先ほどの自治大臣お話にもございました島根県の赤川の破堤個所締め切りにつきましては、土俵不足分を広島県等から急送いたしまして、目下水防団及び自衛隊応急締め切り工事を実施中でございまして、近々のうちには完了する見込みでございます。石川県の浅野川、森下川等で破堤しました九カ所の堤防のうち、八カ所は十九日夕刻までに締め切りを完了しております。  次に、災害につきものの伝染病対策といたしましては、伝染病予防法におけるそ族こん虫駆除を実施する区域として、富山石川鳥取島根県を指定することにしております。そして近接府県に駐在する防疫委託職員待機命令を発し応援派遣に備えるなど、応援対策について万全を期しております。二十日には、非常緊急用としてガスエソ抗毒素血清破傷風抗議素血清等島根県に発送いたしました。それから日赤から毛布等物資を送付することとしております。  次に、食糧対策。幸いに被災地がいずれも米の生産地でございますので、その点は心配がなく、応急たき出し等の必要な食糧については、現地食糧事務所で手配いたしております。  なお、農作物の被害につきましては、特に冠水した水稲の出産回復のための病害虫の防除について、万全を期することとしております。  国鉄不通状況及び回復見込みにつきましては、さきに述べたとおりでございますが、北陸山陰向け旅客輸送のため、東海道線等迂回臨時列車を運転しておるほか、北陸地方への物資輸送には、海上保安庁の巡視船による海上輸送を行なっております。  電力関係被害復旧につきましては、山陰地方においては、浸水のため復旧工事の不能な部分を除きまして、現在ほぼ復旧を完了しております。  次に、郵政関係でございますが、鉄道不通区間における郵便輸送については、臨時自動車便による輸送を行なっているほか、電話疎通不能地域に対しては、臨時中継ルートの作成、通話時間の制限等を行なって疎通をはかっております。それから被災者に対しては、貯金及び保険の非常取り扱い、郵便はがき無償交付等を実施しております。  労災関係につきましては、災害地にある被災事業場に対しまして、救急薬品等を送付するとともに、労災保険料延納等措置を講じております。今後、災害の実情に応じまして、失業保険金等の特別取り扱い、失業対策事業計画変更などの措置を講ずることとしております。  次に、災害救助及び災害復旧等に必要な資金を確保するために、今後、被害の推移に応じて、予備費の支出、資金運用部資金融通等財政金融措置について万全を期することにいたしております。また、民間金融機関に対しましては、貸し出しの迅速簡易化、払い戻しの便宜の取り扱い等措置をするように指導いたしております。また、被災納税者に対しましては、法規の定めるところによりまして、被害程度に応じた租税の減免または猶予の措置を講ずることにいたしております。  以上が応急措置の大要でございますが、調査団報告によって、今後さらにこの対策を進めたいと思っております。  なお、災害救助法の発動を見た市町村は十八市町村となっております。  以上でございます。
  9. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 御苦労さまでした。  それでは、御質疑のおありの方は、順次、御発言願います。  なお、政府側からは、関係各省説明員が出席いたしております。
  10. 佐野廣

    佐野廣君 私は、主といたしまして島根県の災害をもとといたしまして質疑をいたしたいと存じますが、その前に、先ほど吉武自治大臣から御報告もございましたが、今回の異常なる災害に対しまして、政府側におかれましても、自治大臣をいち早く現地視察派遣いただきましたし、特にまた、自衛隊関係におきましては、御報告にもございましたように、非常に適切なる、また挺身的なる御活動によりまして、災害が急速に復興いたしますとともに、その前に、災害を防止していただくという点につきましても、非常に力を与えていただきましたことを、厚く地元関係者もまた感謝いたしておりましたが、私ども現地の選出の国会議員といたしましても、非常に感謝感激にたえない次第でございまして、また、さらには、当委員会を急速にお開きいただきまして、今後の措置に対しましての措置をしていただく、こういうお手配等も賜わりまして、また私ども感激にたえない次第でございます。  先ほど、自治大臣より懇切なる御報告がございまして、つけ加えることはございませんが、昨日も、米子鉄道管理局長と会いました際に、鉄道災害だけを見ましても、破損個所大小合わせまして百九十八カ所、七億円、これは山陰線始まって以来の災害であるということを申しておりました。いかに今回の災害が激甚であったかということの一つの裏づけに相なるのではないかと存ずる次第でございます。  そこで、私は、一般論と、また現地の特殊なる問題の二、三を御質問申し上げまして、今後の根本的なる対策お願いいたしたい、かように存ずる次第でございます。  こういう大きい災害に際しまして、常に問題に相なりまして、また地元要望いたしますところの問題は、激甚法適用をしていただけるかどうか、また、これを急速にやっていただきたいということでございます。御報告にもございましたように、公共事業あるいは農地農業用施設とか、あるいは中小企業でございますとか、公共施設各般にわたります被害がきわめて大きいのでございまして、こういうふうな点についての格段の御配慮をお願いをいたしたいのでございます。  前後いたすようにも存じますが、今回の、この出雲地区災害は、先ほど、自治大臣より御報告のございましたように、十九日以来の急速なる大雨でございましたが、その前に十日ごろからも、漸次雨が降っておりまして、地盤がやわらかくなっておったところへ、こういう急速なる豪雨、二百ないし三百ミリに及ぶ災害がございましたのでございまして地が離れておりまするので、わりあい情報等が急速に参らないというふうな点もございまして、報告は常におくれがちでございます。現に昨日、自治大臣一緒に参りました際には、帰りますときには百八億と申しておりましたが、今朝は百五十六億と、こういうふうに被害額漸次増高状況にございます。またさらには、今朝のテレビ、ラジオで現地状況を聞きますと、松江市のような市街地の――もっとも付近町村を含めておりますが、海岸線に沿った、日本海岸に沿った裏のほうの状況は、交通並びに通信が途絶しておりましたために、僻地のほうの災害状況がつまびらかでなかったために、松江市においてすら、昨日ようやくこの災害救助法適用するというふうなことに相なった、こういうふうな状況でございます。この被害がいかに激甚であったかということを物語るものでございますが、この現地状況を、各省それぞれすでに御報告も出たことと存じますが、最初に激甚法適用をしていただけるかどうか。現地の方の報告なりで、いろいろ話を聞きますと、こういうふうな点に適用していただけるかのごとくにも受け取ってはまいっておりますが、これにつきましてのひとつ御意見を承りまして、特別の財政措置の援助をお願いをいたしたい。これを第一段にひとつ承っておきたい、かように存じます。
  11. 松永勇

    説明員松永勇君) 激甚法の指定の問題につきましては、何ぶんにも、まだ災害直後でございまして、いわゆる被害額調査という――調査官の派遣もいたしておりますが、むしろ応急復旧ということを当面急いでいる関係上、調査金額というものがまだ正確につかめていない現状でございます。したがいまして、その調査金額が判明次第、政府としましては検討いたしたい、かように考えております。
  12. 佐野廣

    佐野廣君 これにつきましては、中央防災会議というのはどういうふうに、また、いつお開きいただけますか。その点を承りたい。
  13. 松永勇

    説明員松永勇君) 実は自治大臣がお帰りになりまして総理お話しになり、また、建設大臣がただいま富山石川のほうに視察に行かれております。したがいまして、建設大臣調査団が帰られましたらば、政府としまして、早急に、その調査報告に基づきまして、今後の対策というものを考えていただかなければならない。そのために、建設大臣調査団帰りましたら、早急に中央防災会議主事会議を開いて検討いたしたいというふうに考えております。
  14. 佐野廣

    佐野廣君 中央防災会議はそういうふうな次第で、建設大臣帰りの上でお開きになることと相なりますれば、それに期待を申し上げます。その際にまたひとつこまかいことをお尋ねする機会があるかと思いますが、事前にひとつこまかいことを申し上げておきたいと思いますのは、この本法の適用の際の激甚災害の定義というものがしばしば問題になるということを現地で聞いておりますので、お耳に入れておきまして、今後、善処をお願いしたい、かように存ずる次第でございます――もし、この機会にこまかいことで入らないとしますれば、お耳に入れておきまして、次に移ってもけっこうでございます。この点をひとつお含み願いたいと思います。  次に、やはり基本的な問題でございますが、先ほどの御報告にもあったようでございますが、天災融資法適用につきまして、できるだけ早く御処置を願いまして、被害市町村の全域をできるだけ指定していただいて、有利なる資金を使えるようお願いいたしたい、かように存じますが、御意見を承りたいと思います。
  15. 岡田覚夫

    説明員岡田覚夫君) 現在被害が起きたあとでございますが、至急に調査をいたしまして、被害額の確定を待ちまして検討いたしたいというふうに考えております。
  16. 佐野廣

    佐野廣君 これもひとつ建設大臣帰りになって、その他全般の被害状況報告等なければきまらないかと思いますが、お願いをいたしておきます。  次に、出雲地方の特殊なる問題といたしまして、建設省の基本的な態度、お考えを承りたいと思いますが、先ほど自治大臣から、現地を御視察いただきまして、きわめて正確に事情を把握していただきましたことは、まことに感謝をいたしております。と申しますのは、赤川の問題をお取り上げいただきましたことでございますが、これは先ほどお話の中の加茂町の災害、この際にお触れいただいたのでございますが、この赤川と申しますのは、地図をごらんくださいますと、宍道湖に注いでおります斐伊川という川があるのでございますが、これの支流でございますが、この赤川というのが数十年前から常に災害を受ける川でございます。この斐伊川という川は、御承知のように、奥部が日本で有数なる砂鉄の産地でございます。流水方式によりますから川底がだんだん上がってまいりまして、赤川のほうへ洪水時には逆流するという現象を呈しておるのでございます。三十六年災害の際にも、こういう現象から、この加茂地帯――いま自治大臣御指摘の加茂町は、家屋の被害は比較的なかったのでございますが、田畑は全部冠水するという実情であったわけでございます。したがいまして、この赤川と申しまする川は、数十年来より根本的にこの改修をしなければならない運命を持っておるのでございまするが、これは今日に至りますまで、いまだに完成いたさない――まあ、これは堤防決壊等がございますれば、そこを原形復旧いたしますとか、あるいはまた、多少の改良復旧というふうなことでやってはおりまするが、これが年々歳々とは申しませんが、常に大洪水になりますと、被害を受ける川でございます。私ども小さいときからこの川は難物であったわけでございますが、これを今後は、常に考えられ、言われておりまする原形復旧というふうな面から大きな飛躍して、改良復旧のほうに、ほんとうに今回こそ、その工事をやっていただきたい、かように存ずる次第でございますが、これはこの赤川だけをとって対策を考えましても解決いたしかねますことは、先ほど申し上げましたように、斐伊川との関連の問題があるわけでございまして、この斐伊川改修というものと、この赤川改修というものとを、根本的に関連して考えなければならない、こういう状況にあるわけでございまして、この点は私、今後、政治的な運命とまでは申しませんが、大きな課題として私に課せられたる問題だと、かように存じてこの問題に取っ組みたい、かように存じている次第でございます。  斐伊川の問題につきましては、建設省のほうにも御意見があるでございましょう。あるいは県のほうにもいろいろ考えがございまして、川底が年々上がりまするし、あるいは洪水時に宍道湖の湖面の上昇、あるいは松江市の浸水の問題、こういうふうな一連の関連がございまして、なかなか大問題でございまして、これまで解決しておらなかった、そこで、この川のつけかえ等の問題が議論いたされている現状でございますが、そこまでの基本的な問題が、いま直ちに解決の発言ができるかどうか、これはまあ別問題といたしまして、この斐伊川と赤川の関連、そうして、この赤川の根本的改修、こういうふうな点についての私は真剣なる御意見が承りたいのでございまして、自治大臣加茂町の水害をごらんくださって、これはほんとうに根本的に解決しなければならないということを、町民に激励とあわせて御発言いただきましたことは、町民一同感激いたしておりましたが、この赤川に限らずでございますが、下のほうだけ改修いたしましても、上のほうとの関連がうまくいかなければ、下は強くなっても、上が弱ければ、これでは再び災害を起こすことは申すまでもございませんので、こういうふうな点につきまして、建設省の御意見を承りたい、かように存ずる次第でございます。近く河川改良五ヵ年計画も初年度を迎えるというふうな段階になっていることを考えますと、この問題は島根県におきましても非常に大きな問題でございまして、御意見を詳細にひとつ承っておきたい、かように存じます。
  17. 上田稔

    説明員(上田稔君) お答え申し上げます。  斐伊川の河床の問題につきましては、ただいま佐野先生がおっしゃったとおりでございまして、非常にいろいろ問題がございますのですが、今回の災害におきましては、斐伊川の水位は警戒水位の上四十センチばかりの水位でございます。そうして、まあ計画高水位から比べますと六十センチぐらい下がっているということでございまして、どちらかと申しますと、この赤川の切れましたのは、先ほど自治大臣の御説明にありましたとおり、今回の降雨というものが山岳部にむしろ降らずに、山岳部から海にかけての部分に非常に集中的に雨が降った、そういうことによりまして、例年この地方は梅雨前線による不連続線による連続的な、何と申しますか、集中的な豪雨というようなものにはなれておらないというか、なじんでおらないような河床になっており、また地質になっておったわけでございますが、その弱点をつかれたというような形にむしろなって、はんらんを起こしたのではなかろうか、こういうふうにいま思われます。  それで、実は、この赤川につきましては根本的な対策を立てなければいけないというので、県としては中小河川改良工事でひとつ何とかやりたいということをおっしゃっておりますし、建設省としても、それに一緒調査をさしてもらいますということで、ことしの調査費がついて調査をいたしておりましたところでございます。しかし、その考え方が、今度の集中豪雨で、よく調べてみなければわかりませんが、流量も、あるいはもう少し改訂をしなければいけないような状態になるかもしれない。それから、ただいま例の加茂町の国道五十四号線の上流側で大きく切れまして、応急復旧をしていたわけでございますが、まだ土木災害の、赤川全体の災害額もまだつかんでおらない。県もまだつかんでおらない。調査しておるという状態でございますので、この土木災害額がはっきりわかりますと、これに、私どもは、ぜひ、こういう川でございますから、災害関連費を入れて、そして改良復旧的な考え方でこの川を処理をいたしたい、それにあわせて、いままで調査をしておった中小河川の考え方を入れて、根本的にこの川をやっていきたい、こういうふうに考えております。
  18. 佐野廣

    佐野廣君 ちょっと斐伊川との関連についての建設省の御意見を聞いておきたいと思います。
  19. 上田稔

    説明員(上田稔君) お答え申し上げます。  先ほど、一番最初に申しましたように、斐伊川との関係赤川には十分にあると思うわけでございます。でございますが、今回のものは、そういうことで関係がない。根本的の改修をやる場合には、斐伊川との関係を、もちろん十分に考慮いたしまして改修をやりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  20. 佐野廣

    佐野廣君 それは赤川の問題を中心にすると、そういうふうなお答えにもなると思うのですが、これは斐伊川の改修ということを考えなければ、赤川だけを取り上げて、いまの雨量の問題とか、いろんなことを考えましても解決いたしません。そこで、いま県のほうでも大きな問題になっておりますが、斐伊川の問題というものと、もちろん今回の災害に斐伊川自体は、仰せのように、洪水になったというふうなわけのものじゃありません。これは承知しておりますが、そこで、この赤川というものを改修――改良復旧でも、もちろんそうしなくちゃいけませんが、その際に、斐伊川との関連について、建設省の基本的な御意見というものを、少しくこの際には承っておかないと、赤川の完全なる改良復旧というものは私はでき上がらぬと思う。そして、これは、斐伊川と赤川の接合点に鯰の尾という、おもしろい名前ですが、鯰の尾というところがありまして、あそこは御承知のとおり、しばしばこの接合点をどうするかという問題で論議されましたが解決しない。そうして私は、こういう川を災害常襲河川とでも言っていいと思うのですが、こういうふうなところには、新しい、まあ公共土木で道路をつけるとか、あるいは普通の河川改修をやるとかいうふうなこと、もちろん必要ですが、災害がこうして多発するところの常襲河川というものに対しては、根本的に考えられないと、年々歳々、出さなくてもいいところの何十億、こういうふうな予算を出さなくちゃいけないじゃないか。島根県、私も知っていますが、災害のあまり、というか、ほとんど起こらない川がある。しかし、こういうふうな川は年々歳々と言ってもいいほど、三十六年から、ことし九年、そして堤防はこわれる、田畑は埋まる、そして、それを取り除かなきゃならぬ。ことに、今回のような住宅にも、住民のまた生命にも及ぶと、こういうふうなこと、大体わかっておるのですよ。こういうふうなところが私は全国にも相当あると思うのです。こういう災害常襲河川、こういうふうな点についての考えを基本的に考えていただかないと、高度経済成長、福祉国家の建設といいましても、まず貧乏人を豊かにすること、それから、こういう恵まれない不幸な地域というものに対するあたたかい基本的な手が差し伸べられないと、全般のレベルが上がりましても、そういう一部の地方、一部の人にこういうことがあることが、私は基本的に改めねばならない問題だと思いまして、この赤川の問題を取り上げておりますが、この地方ではこれが一番大きな問題でございますので、この斐伊川との関連についての政府の見解をもう少し詳しく具体的に、おわかりになっていると思いますから、聞いておきたい。もし、ここでわからなければ、広島のほうに参りまして建設局長に承りますが、幸いにして自治大臣にあの惨状を見ていただきましたので、私はこういういい機会はないと思いますので、少ししつこいようでございますが、基本的に承っておきたい、かように存じます。
  21. 上田稔

    説明員(上田稔君) お答え申し上げます。  斐伊川の流砂の問題、河床の問題につきましては、これは建設省としまても非常にいろいろ苦慮いたしまして調査をいたしておるわけでございます。また、それの改良方法というものを考えておるわけでございますが、例の宍道湖に入る付近においては非常に緩流になっておりまして、これをどういうふうにしてやれば、河床というものが変化せずにおさまるであろうというようなことにつきましては、これは斐伊川の改修ということで、建設省としては、直轄河川としていろいろ考えておるわけでございます。それで赤川との関係ということになりますと、もちろん、建設省赤川調査費を出して調査をいたしておるということは、そういう河床の問題を考えての調査費でございまして、そういう点を赤川の根本的改修計画の中にそれを組み入れて、考えに入れて、そして赤川の改修をやりたい、こういう考えでございます。
  22. 佐野廣

    佐野廣君 少し私は、何だか隔靴掻痒と申しますか、具体性に欠けておりますので、満足いたしかねますけれども、しかし、この際に、いまだかつてないところの惨害を呈しましたこの赤川状況を契機としまして、この問題に根本的にひとつ取っ組んでいただきたいということをお願いを申し上げておきます。特に、これは常に問題になることでございますが、地元のほうで、災害関連工事の認定基準を緩和していただきまして、河川改修の完全を期せられたいというふうな要望等も常にあるのでございまして、陳情書にも書いてあると思いますが、こういうふうな点についても、建設省のほうで特に御配慮をいただきたい、かように存ずる次第でございます。  それから、これは要望事項にも属しますが、公共事業におきましての小災害、この点につきましても、財政の豊かでないところの県あるいは市町村におきましては、非常に大きな問題に相なっておりますので、この公共事業の小災害に対しましての財政措置を完全にしてもらいまして、県あるいは市町村、こういうふうなところの負担の軽減をはかっていただきたい、かように存じますが、御意見を承っておきます。
  23. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) ただいま佐野委員から御指摘になりました小災害に対する起債の件でございますが、御趣旨ごもっともでございまするので、私どもはできるだけ御希望に沿いたいと思っております。  なお、御質問に関連をいたしまして、自治省として今回のこの災害に対し考えておりまする事項をついでに申し上げたいと思います。  現地において県当局並びに市町村から要望のありました第一は、地方交付税を早く繰り上げ支給をしてくれろという点でございます。ちょうど県あるいは市町村が財政資金の枯渇している時期だそうでございます。よって、私ども帰りまして協議いたしました結果、この地方交付税の繰り上げ交付は早急に実施するつもりでございます。  第二に要望として掲げられましたことには、政府資金による短期財政資金の融資を至急にやってくれろということでございます。これは私どもの所管よりも大蔵大臣の所管に属する事項でございますが、私は今朝大蔵大臣と連絡協議をいたしまして、大蔵大臣から至急に融資をするという返事をいただいておりますることをあわせて申し上げておきます。
  24. 佐野廣

    佐野廣君 自治大臣から、私が後ほどお願いをし御意見を承りたいと思ったことを先んじて積極的に御発言いただきましたことは、まことに感謝にたえません。厚くお礼を申し上げます。地元は当然こういうふうな面について御配慮をいただいておるものと思いますけれども、やはり大臣から積極的なる御発言をいただきますることが力強く思うわけでございまして、厚くお礼を申し上げまして、この点は打ち切りにいたします。  次に、今回のこの島根地区におきましての災害が、最初に自治大臣報告のように、災害の額もさることながら、死者が非常に多かったということが特異性だと思うのでございます。この人畜の死傷というものは、これは金でもってはかえがたい、またこれではかることのできない大きな痛恨事でございまして、これは出雲地区山間地帯は花崗岩の風化によります特殊土壌地帯であるということが一つの原因であるようでございますが、それに、先ほど申し上げましたように、長い間の、一週間にわたる雨で地盤をゆるましたところへ集中的な豪雨が来たという関係のようでございます。そこで、地元で非常に要望いたしておりました問題に、治山、災害の早期復旧とその助成という問題が出ております。これは要望事項のうちにございますから、ごらんいただきたいと思いますが、これは御説明申し上げるまでもないのでございますが、この補助につきまして特に御配慮を願いますとともに、この緊急治山についての採択基準額が現在八十万円と相なっておると承知いたしておりますが、これをうんと引き下げていただきたい。何と申しましてもこの適用個所は非常に多いのでございますから、小さい災害が非常に多いのでございますから、こういうふうな点に金額八十万円といいますと相当な額のように思われます。これをうんと引き下げていただきまして、気の弱いのは五十万円ぐらいと申しておりますが、現地でいろいろ話してみますと、三十万円ぐらいにでも引き下げていただきたい、こういうのが、偽らざる、真剣なる要望であるわけでございます。小さい金額でございますが、こういうふうな点に御配慮をいただきますということが、とりもなおさずこの末端に対しまするあたたかい配慮ということに相なると思いますので、この局所的な山腹崩壊の復旧というふうな点につきまして、この金額を下げていただきまして、その緊急治山というふうなものに対しましての末端浸透と申しますか、採択のできますように、ぜひひとつお願いをいたしたい、こういうふうに存じまするが、この引き下げの問題につきまして、その慣例があるかどうか、またこれに対しましての基本的なお考え、これを承っておきたい、かように存じます。
  25. 岡田覚夫

    説明員岡田覚夫君) お答えいたします。緊急治山の採択基準額でございますが、一応八十万円ということになっております。従来からこの金額を引き下げているということはございませんので、したがいましてこの金額を引き下げるということははなはだ困難であろうかというふうに考えているわけでありますが、ただ個所を採択いたします場合に、関連のありますものはまとめまして一個所として採択をするというふうなことにいたしまして、できるだけこの治山がうまくいくようにというふうな計らいはいたしたいというふうに考えているわけでございます。
  26. 佐野廣

    佐野廣君 そうすると、災害個所をまとめて八十万円にしてということをやるが、採択基準の額は引き下げる考えはないということでございますか。
  27. 岡田覚夫

    説明員岡田覚夫君) さようでございます。その関連のありまするところは一まとめにして一カ所として採択するということになろうかと思います。
  28. 佐野廣

    佐野廣君 そのまとめ方というものが、しばしば末端では多少議論になるのではないでしょうか。
  29. 岡田覚夫

    説明員岡田覚夫君) その点は、それほど議論にならないのではないかというふうに考えているわけでございますが、従来もできるだけそういうふうな趣旨に沿いまして取り扱いをいたしてまいっているわけでございます。
  30. 佐野廣

    佐野廣君 御方針はそうかもしれませんが、この金額はできるだけ引き下げていただくということについて私は引き続き努力をしたいと思います。これは末端の切実なる声でございましたので、いまあまりあなたあっさり引き下げないというふうなことにきめていただかないで、これはお願いをいたしたいと思います。  それから、住宅対策につきまして御意見を承り、お願いをいたしたいと存じます。これは、被害地におきまして、いま申し上げましたように、今回の災害におきまして住宅を失った者が非常に多い。これはまあもっとも大洪水等のときもしばしばそういうことに相なるのでございますが、そこで公営住宅の起債充当率の引き上げでありますとか、あるいは被災住民の住宅移転に対しまして国の補助または融資をできるだけ出していただくようにお願いをしたい。これは私ちょっと専門でないのでつまびらかでございませんが、従来一市町村二百戸以上の場合に融資するとかいう制度があるというふうに聞いておりますが、そういうお話であるといたしますと、私はお願いがいたしたい。これは現に自治大臣も陳情を受けて実情を御聴取いただいたのでございますが、山くずれがいたしますと、もちろんその人がどこかへ移転しなくちゃならない。ところが、それはもちろん対策をしてやらなくちゃいけませんが、金の面で豊かな農民だけではございませんから、さらにはこの住宅の位置によりましては山くずれがいつするかわからないというふうな非常に危険を感ずる住民があるわけでございます。その際に、いまのような制度でありますと、かりに一戸、二戸、こういうふうなものが移転をしたいという場合に、まあこれは危険の未然防止と申しますか、こういうふうな問題に対しまして、これが救われる道があるのでございましょうか、ございませんでしょうか。何とか私はこういう危険の未然防止というふうなことについての配慮もしてやるべきものであると思うんですが、私少し実情のわかりかねる点がありますので、承りながら、御配慮を願いたい、こう思います。
  31. 角田正経

    説明員(角田正経君) お答えいたします。  お話しの点でございますが、災害復興住宅の融資につきましては、お話しのとおり、基準がございまして、被災地域全域につきまして滅失戸数が五百戸以上、または市町村につきましての、区域につきましての家屋の一割以上というふうな基準がございます。で、二百戸のほうの基準は、公営住宅の災害の、特別の公営住宅を建設いたします場合の融資の基準でございまして、これも被災地域全域が五百戸以上の滅失あります場合、あるいは一市町村二百戸以上というふうな基準になっております。で、融資のほうにつきましては、なおこの基準に準じますような場合につきましては、主務大臣が指定をいたしますれば融資ができることになっております。で、現在私どもといたしましては、一応この準じます場合というふうに判断をいたしまして融資をする予定でございます。  それからなお、災害防除のために移転をいたします場合に特に優先的な融資があるかというふうな御質問でございましたが、その点につきましては、現在特にございませんけれども、金融公庫の融資の中に農山村の特別融資のワクがございまして、現在五千五百戸程度のワクがございます。そのワクの中で特別にそういうふうな事情がございますれば優先貸し付けをいたしたいというふうに考えてございます。
  32. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 ちょっと関連して一つ。佐野委員の質問に対しまして関連をさしていただいて質問申し上げますが、日本は災害国でありまして、たとえば、かねての新潟地震であるとか、また今回の集中豪雨などによって大災害が起きる。そういったような場合に対しまして、たとえば地域住民の中で、住居を失ったり、それからまたいろいろな点が起きてくるわけでございますが、具体的には、たとえば今度北陸地方におきましても、新潟県の能生町であるとか、あるいは松之山、こういったようなところは、結局集中豪雨などが因になり果となって宿命的な地すべりを起こすわけです。それから地震についても、関連をいたしまして産業災害が起きる。たとえば新潟地域における昭和石油の周辺の地域住民は、もはやこんりんざいこの地域で居住することは、この焼けたのを機会にどこかに集団で移住したいという願望を多く持っているわけです。ところが、現行法規を見たり、慣行を見ると、なかなか帯に短したすきに長しで、その被害者の地下たびのゴムの上からかゆいところをかくように、はなはだ手が届いていない。でありまするから、私は先回のこの災害の特別対策委員会に出まして、とにかくあった現象に対して、今回抜本的な恒久対策の一環として、これらの集中豪雨なり地震なりが原因になって、結果して、地域住民が、もうこの地域では、背に腹はかえられない、先祖の住みなれた地域であるけれども、何とか集団で一つの法的な保護によって移住できるならばそこへ行きたい、行き先がないとするならばどうせ人間は一度死ねば二度死なぬというから、一戸建てに住もうという、悲壮な考えを持っているわけであります。したがいまして、私は、大地震にいたしましても、あるいは集中豪雨にいたしましても、したがって起こるところの地すべりなどによって地域住民がやはりどうしても集団で移住したいといったようなときには、現行法規がなければ、百尺竿頭一歩を進めてて、やはりこの移住に対する一つの法の保護を受けるような抜本的な対策を講ずべき段階であるのじゃないか。また、他のいろいろな政治的な情勢その他が情勢の推移の中に発展いたしましても、どうもこの地震だとかそれから集中豪雨被害というものは日本は免れない。そうだとすれば、恒久的な抜本的対策を国の責任においてやはり立法措置をする必要があるのじゃないかと、かように考えるわけでありますが、この辺に対する見解なり考えというものを現在全然考えておられないのか、考えられようとするのか、その辺のところをひとつお伺いをしてみたいとこう思うのです。
  33. 角田正経

    説明員(角田正経君) 御質問の点でございます地すべりにつきましては、地すべり関連事業計画に入りまして、移転をいたします場合は、優先的に地すべり関連聖業といたしましての住宅融資をいたすことにいたしております。先生の御質問は、それ以外に、なお一般の危険がありますような場合とか、そのような場合をも含めて移転をいたします場合に、優先貸し付けなり何なりをすべきじゃないかというふうな御質問だと思いますが、現在の公庫なりのたてまえといたしましては、現に住宅に困窮いたしております場合の融資ということになっておりますけれども、やはりいま御指摘のような場合におきましては、そのような必要性があるというふうに解釈をいたしますれば、具体的な個々のケースについて、農村の特別住宅の貸し付けとか、あるいは個人貸し付けの特ワクというふうなことである程度処理できるのじゃないかというふうに考えております。
  34. 佐野廣

    佐野廣君 いまの融資のお話は、集団の場合はわかりますが、いまの私が申し上げましたのは、後段に言ったのは、一軒でも、二軒でも、いまの未然危険防止という意味で、あるいは災害自体もあわせ含んでおりますが、一軒でも、二軒でも、たとえば町村長の認定のある場合というふうな場合に、やはり低利融資、こういうふうなことでやっていただけますか、こういうことでありまして、きめこまかい話であります。
  35. 角田正経

    説明員(角田正経君) 私の御説明が足りなかった点おわびいたしますが、お答えいたしましたのは、集団の場合だけではございませんで、一戸でも二戸でも考えておりますということでございまして、その場合、御指摘の場合は農山漁村に該当する場合でございますと思いますので、先ほど来申し上げましたように、農山漁村住宅の特貸し制度がございまして、そこの認定の優先度合いの中にそういうふうな判断を入れてお貸ししたいというふうに考えておるわけであります。
  36. 佐野廣

    佐野廣君 それはよくわかりました。一軒でも、二軒でも、これは町村長の認定、そういうようなものはなしに、ただ個人が住宅金融公庫へ申し込めばよろしいのでございますか。
  37. 角田正経

    説明員(角田正経君) そうです。
  38. 佐野廣

    佐野廣君 では、そういうふうに承知いたします。そこで、農村向け住宅の融資基準についてのお話がございましたが、この二十坪というのをもう少し引き上げてもらいたいという地元要望がございましたが、そういうふうには運用面においてならないものですか。
  39. 角田正経

    説明員(角田正経君) 災害復興住宅につきましては、従来二十坪限度でございましたのを、新潟地震を契機にいたしまして、農村の住宅が非常に規模が大きいというふうなことがございまして、原形復旧又はこれに準じますような場合は、二十坪以上でございましても、従来の坪数まではお貸しするというふうに考えております。ただ、先ほど申し上げました農山漁村住宅の一般住宅につきましては、法律に規定がございまして、それ以上は現在の法律の中ではお貸しできないことになっておりますので、現在の段階では特別の措置をするということはいたしかねるわけであります。
  40. 佐野廣

    佐野廣君 そうすると、原形復旧だから、現在二十坪以上であればそれよりも坪数を増してもいいが、そうでないのはやはり二十坪で押えられる、こういうことですか。
  41. 角田正経

    説明員(角田正経君) 説明が足りませんでまことに申しわけありませんですが、災害復興住宅といいますのは、災害にあいまして全壊いたしました場合、あるいはこわれましたものを補修いたします場合でございます。二十坪の制限がございますのは、一般の住宅の貸し付けにつきましては三十坪、新設をいたします場合は三十坪の範囲内において二十坪までが融資限度であるということにきめられておりますので、そちらのほうは法律に書いてございますから、いまそのワクの中で取り扱いいたしておりますけれども、それをこえることはちょっとむずかしいんじゃないかというふうに考えております。そういうことでございます。
  42. 佐野廣

    佐野廣君 それから、これも専門でないからわかりかねますが、応急仮設住宅建設費の国庫負担金の確保を願いたいという陳情がございますが、これに対しての見解をお聞かせいただきたい。
  43. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 災害救助法によります応急仮設住宅は、これは全壊流失戸数によって設置のワクがございます。それまでは全部災害救助法で見ることになっております。それで、現在災害救助の予算は、新潟災害で、一応それでも足りませんでしたので、高根地区の豪雨による災害につきましては、早急に予備金の支出を考えたい、現在県当局とその所要戸数について連絡をしておる実情でございます。
  44. 佐野廣

    佐野廣君 よく地元要望をひとつ充足するように特別の御配慮をお願いいたしたいと存じます。  交付税その他は、自治大臣から先ほど御意見を承りまして、ありがとうございました。特別交付税についても、当然のことながら御配慮をお願いいたしたいと存じます。  それから、これは米のことにつきましての問題でございますが、三十九年産の米の予約金の増額支払いを要望いたしたい、こういうのでございますが、これは米価の問題等とからみますわけでございますが、ぜひこれをひとつ引き上げの増額をお願いをいたしたいと存じます。
  45. 岡田覚夫

    説明員岡田覚夫君) ただいまの点につきましては、十分検討させていただきたいというふうに考えております。
  46. 佐野廣

    佐野廣君 検討は、その引き上げが可能という意味において検討していただけることに了承してよろしゅうございますか。
  47. 岡田覚夫

    説明員岡田覚夫君) 直ちには申し上げかねますけれども、従来の例から見まして、関係各省との相談もございますし、従来の例から見まして、こういうふうな措置をとっておる場合も相当あるわけでございますが、そういうものと見合わせながら十分検討したい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  48. 佐野廣

    佐野廣君 大体大筋のところはこれで私一応打ち切りますが、何ぶんにも地方まれに見る災害でございますので、各般にわたりましてひとつ、地域格差是正の叫ばれます今日でございます、また福祉国家の建設という旗じるしの今日でございますので、島根県などはどうしてもおくれがちなところでございますので、こういうふうな点につきまして、特に地元住民の願望を充足するように、ひとつ格別の御配慮をお願いいたしたいと存じます。  以上をもちまして一応私の質問を終わらせていただきます。
  49. 武内五郎

    ○武内五郎君 私は、いま佐野委員から質問があって、その中で、激甚法適用、それから天災融資等の大幅な適用についての強い要望がありまして、同様に私も、それを広範に適用して災害に泣く地方の人々の救済をすみやかにやってくださるようにまず第一に要望しておきます。  次に、私はまず第一に、七月の七日以降降り続いた豪雨、長雨等によって各地に起きました災害の基本的な問題について少々お伺いしたいと思うのであります。その場合に、一応新潟県に起きました災害を中心としてお伺いしたいと思うのであります。  まず第一に、河川行政のあり方であります。私は、河川行政のあり方について、新潟県の栃尾市の奥にあります守門山――一千五百メートルの山でありますが、そこに集中豪雨がありまして、それがそこから流れております刈谷田川;この刈谷田川が、栃尾市を貫いて見附に入り、長岡を通じて南蒲原の栄村、中之島村を通って三条を通過して信濃川に入る非常に屈折の多いジグザグな急流であります。これが今回も非常に荒れました。いま私が指摘いたしました地方は、新潟県の穀倉地帯、古志郡から長岡、南蒲原という新潟県の中央部で、しかも穀倉地帯であります。ここを貫いて流れてまいります刈谷田川が今回も荒れました。この刈谷田川は、私の記憶にありまするだけでも、すでに数回災害を継続しておるのであります。近い例で申し上げましても、大正十五年に栃尾市だけでも死者が百三十余名を出した大災害昭和十九年にやはりそれに次ぐ大災害が起きておる。その間、さらに昭和二十六年、七年とまた続いておる。三十六年になって、かのいわゆる三十六年災という大災害がやはり刈谷田川を中心として起きておる。今回また大あばれにあばれたのであります。私はまず第一にお伺いしたいのは、こういうような年々災害を伴う、あばれる川に対する、建設省が今日まで災害を予想された防災等に関する工事をやっていたかどうかということが第一であります。今回私が現地へ行ってみますると、私は、南蒲原の中之島、栄村、さらに上流にさかのぼって見附、栃尾市、その守門の山腹まで登って災害のつめあとを見たのでありまするが、この刈谷田川はほとんど近代的な川という感じでは全然ありません。もう荒れほうだいの荒れようであります。護岸堤防すらまずないと言っても差しつかえないくらいです。川の中央には、二トン以上の大きな岩が上流から流れてきて、それが山のように詰まっておる。この大きな石が急流に押されて岸壁を打ち砕いて、その打ち砕かれた岸壁からあふれた水が人家を流し田畑を荒廃さす、こういうのが今日の刈谷田川の実態であります。  そこで第一に、栃尾市等の地域では、こういう荒れた川を治めるために、上流に、適当な場所に防災ダムや砂防等の施設を施していただきたいといってしばしば嘆願しておったそうでありまするが、しかもそれがかなり年月をたっているのにかかわらず、今日までその施設を見ない、ついに今回の大災害をもたらした。そういうような荒れた川を今日まで放置しておられることはまことにふしぎだと思うのであります。なお、私は地元の人々から聞きますると、上流に山腹砂防やあるいは防災堰堤をつくるように話したところが、あまり経済効果がないからそう急ぐ必要もないだろうというお話で今日までそのままになっております、こういう話も承ったわけです。これでは災害をもたらすのはやむを得ないではないか、こう考えられましたので、これらについての建設省並びに上流砂防、山腹砂防等を担当されまする農林省の考え方はどうなっておるかお伺いしたい、これが第一。  その次、私は特にこういう災害をもたらす原因になっておりまする各官庁のお互いのなわ張りがうまく調整されない点があるのではないかということを事実において発見してまいりましたので、その点について建設省農林省並びに自治大臣のお考えを伺っておきたいのでありますが、そのことは、刈谷田川がジグザグな流れを経てようやく中之島地内に入ってまいりますると、中之島に、その土地では五百刈という地点に大ぜきがあって、この大ぜきの運用が思うようにいかないところに今回の災害が起きたのだ、こう言われておる。そこで私は大ぜきを見た。大ぜきは固定ぜきと自在ぜきを一緒にした構造になっておる。その自在ぜきが、板一枚取りはずしたりはめたりすることによって、一枚の板で水かさが五十センチの上下がある。ところが、今回もその大ぜき――自在ぜきの板の取りはずしが満足にいかなかったらしい、取りおくれたらしい。こういうことが、今年度ばかりでなく、三十六年度も、十九年においても同じことが繰り返されている。その自在せきの、その大ぜきの上流約五百メーターのところが、今回堤防決壊して、堤防のわきに深さ七メーター以上の大きな池が――池になったのでありまするが、これは自衛隊地元民が土のうを積んで水をようやく防いだ。三万俵の土のうを積んでそこでようやく水を防いだ。ところが、今回こわれたその個所からさらに三百メーターぐらい上流が三十六年度に決壊した。さらに、やはりこれも、その三十六年度決壊したところからまだ少々上流の地点で、十九年度にまた決壊しておったんであります。で私は、こういうような同じような災害が繰り返されておることが、ここにあの急流をせく大ぜきの結果ではないか、こういうふうに見たのであります。この点について、建設省、その大ぜきの所管でありまする農林省、さらに、幸い自治大臣もおられまするので、こういう災害を誘発したと考えられる施設について今後どうしたらいいかということを、自治大臣のお考えを承っておきたいと思うのであります。  もう一つ、さらにこの個所から刈谷田川の下流に参りますると、今回堤防が大きく決壊いたしました猫興野という地点があります。これは右岸の堤防がこわれた。ここはどういう状態でこわれたかというと、このこわれた個所のさらに百メーターばかり下流に、いま棒ぐいを打った橋脚による仮橋がある。その上流の湾曲部がこわれておる。これは、この湾曲の部分にまず上流から強い勢いで激渡が突進してきた。その湾曲部に激突して、大きな反射で対岸にぶつかっている。その対岸にぶつかる前に、湾曲の部分にかなり広い土砂の堆積された州ができておる。その州にぶつかってなお激した水が、対岸にぶつかって対津堤防を破壊した、こういうふうに見られるのであります。そこで私は、さきに申し上げましたような大きな石を運んでまいりまするあの洪水で、川の中央部にそういう石が山のように積もって、堤防よりも、護岸地点よりもさらに高くなっている。それから、さらにその次の猫興野のごとき、土砂の堆積が途中にあって、そこにはカヤやヨシ等が繁茂して、永久的な河中に新しい土地ができている。こういうようなことが河川はんらんの大きな原因になったのではないか。そういうならば、河川行政としての河川の処理、整備というようなものについてどういうふうに考えられて、将来こういう荒れた川を治めるためにはどういうふうな今後対策をお持ちになっているかをお伺いしたい。まずそこからひとつお伺いしておきたい。
  50. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) ただいま武内委員から御質問のございました最初の地方交付税の繰り上げ交付につきましては、先ほど佐野委員にお答えいたしましたように、私といたしましては速急に被害程度に応じて実施をするつもりでございます。  なお、短期融資につきましても、先ほど申し上げましたとおり、けさほど大蔵大臣と協議をいたしまして、了解をしておるところでございます。  なお、ただいま御指摘になりました河川についての、せき及びその他についての各省との関係、これはどういう事情でありましたかは存じませんが、私といたしましても、この種の問題が官庁閥の意見の相違で放置されるということは、はなはだおもしろからざることでございますので、自治省といたしましても、どうせ地方庁の介在することでございましょうから、私といたしましても、でき得る限りその調整に当たりたいと思います。  なお、これは私の所管ではございませんけれども、先ほど来武内委員から御指摘にもなり、佐野委員からも御指摘になったところでございますが、今回高根県に参りまして見てみますると、先ほどの刈谷田川の決壊による災害も、赤川堤防のはんらんでございますが、この赤川も三十六年の災害のときにすでに決壊をしておったようでございます。改修中であったようでございますが、島根鳥取県知事に会いまして、鳥取県の事情を聞きました際も、特に要望をしておりましたことは、この種中小河川で特に災害の頻発する個所については格別のひとつ配慮をしてほしい、こういうことでございます。これは建設省の所管に属することでございまするけれども、私実地を見ましてやはり同様の感を深くいたしましたので、閣内におきましてもその旨十分私は意見を述べるつもりでございます。
  51. 上田稔

    説明員(上田稔君) お答え申し上げます。  刈谷田川の改修につきましては、これは大正八年から昭和十年でございますが、この間にわたりまして県において改修をおやりになったわけでございます。そのときの流量が、たしか六百二十立方メートル毎秒という流量で改修をおやりになっておったわけでございます。ところが、先生が先ほどおっしゃいましたように、昭和十九年に非常な洪水が出まして、それでまたこの改修問題が取り上げられまして、終戦後、昭和二十三年から現在に至るまで、中小河川改修改良工事といたしまして、県が国から補助を受けまして工事を行なっておるわけでございます。これが昭和十九年の非常な洪水にかんがみまして――そのときの流量が、たしか千立方メートル毎秒という流量でございました。それで、それに対しまして種々検討をして、千五十トンという流量をとっておりますが、それを計画高水量として改修をやっておったのでございますが、それがまた昭和二十六年、二十九年というふうに水が出たり、あるいは昭和三十六年のたしか五月二十日でございましたか、非常に大きな洪水が出まして、これはとても千五十では足らないということで、千五百五十トンという水をとりまして、現存改修工事を行なっておるわけでございます。刈谷田川という川は非常に狭く――非常にお米のよくできるところでございますが、川が非常に狭くなっておったわけでございます。それで、こういう中小河川というのは、いままで調査というものがあまり、たとえば雨量にいたしましても、流量計というようなものにいたしましても非常になかったわけでございまして、過去の水位の、古老に聞いた水位とか、そういうものから判定をして改修工事をやっておったわけでございますが、最近になってまいりますと、そういうものでは非常にたよりないといいますか、それよりも以上の水が出てくるということがはっきりとしておりますので、現在ではそういう流量計だとか雨量計というものをこういうような川につきましてはつけまして、そして計画を練っておるわけでございます。今回の流量は千四百トン――千四百立米、一秒間に千四百立方メートルの水が出ておるわけでございまして、計画の千五百五十よりは小さいわけでございます。しかし、以前に改修をされておりました六百二十立方メートルよりもこれは大きい、非常に大きい水であるということになっておるわけでございます。そして、この災害を生じたわけでございます。それで、改良方針としてはどうしておるかと申しますと、下流から――改修はやはり全面的にやるわけでございますが、下流の旧信濃川の合流点のところから改修を始めて、広げさしてもらっておるわけでございます。そういう改修方式をとっておるわけでございます。次に、上流のほうにダムを考えてやらなければならないということでございますが、この千五百五十という流量をきめておりますが、これに対して、刈谷田川は、先生ずっとお歩きになったのでおわかりだと思うのでございますが、非常に湾曲をしておりまして、特に栃尾市付近というものは非常に湾曲をしている、蛇行をいたしております河川でございまして、ダムサイトというものが下流のほうにはその地点がございません。したがいまして、防災ダムという考え方で考えましても、上流のほうになりますと、流量が非常に少ないという部分にしかダムサイトがないということになるわけでございます。したがいまして、一例をあげますと、栃尾市の布滝というところがございますが、そのところにはダムサイトらしきものが一応あるわけでございますが、ここの流量をとりましても、千五百五十の下流の流量に対して、二百二十トンばかりでございます。そういたしますと、全部その水をとめたということにいたしましても、その下流に大きな支川が入ってきております。たとえば塩谷川であるとか、西谷川であるとか、そのほかいろいろなこういう支川が入ってきておりまして、その川の洪水というものと、それから本川の洪水というものと一番流量の多いときに時間がぶつかってくるわけでございますが、その時間の関係で、本川のせっかくとめたところの流量が減りましても、ほかの支川の流量のためにあまり効果があがらないというような事態が生ずるわけでございまして、その点を十分考慮をいたさないと、防災ダムというものをつくりましても、あまり期待ができないということになりますので、この点を十分に考えて防災ダム計画を立てていかなければならない、こういうことでございます。したがいまして、防災ダムというのは、今度のこの災害にかんがみまして、もちろん上流のほうに非常に大きな災害復旧費がつくと思うのでございますが、その復旧に対しましても、関連復旧ということを十分に考えて、そうして栃尾市に至るまで改修の計画を立てたいと思うわけでございますが、その際にこの防災ダム計画も十分に考慮をいたしまして計画をいたしたい、こういうふうに考えております。しかし、あまり防災ダムに期待を寄せられますと、その辺は、いま申しましたようなことでございますので、あまり、防災ダムだけつくれば、あとは改修はしなくてもいいのだというようにお考えになっていただくと、非常にその辺がなんでございますので、十分その点は御理解をいただきたいというふうに考えます。なお、砂防ダムにつきましては、これは非常にそういうふうに荒れてまいりますところにつきましては、十分にいろいろ今後研究をしていきたいというふうに考えております。  それから次に、農林省との何かなわ張りの争いをしているようなお話でございますが、建設省といたしましては、決してそういうことはございませんので、農林省のほうとも非常に仲よく、仕事を共同してあれさしていただいております。最近は幹部の者の人事交流までいたしまして、そうして治山のほうと建設省の砂防のほうとは、いろいろ意見を統一するようにいたしております。また、県にも協議会というものをつくり、中央におきましても協議会をつくりまして、そうして意見の調整をはかっている。したがいまして、そういうことはないというふうに考えております。  次に、猫興野橋の上流の土砂の堆積でございますが、これはその地点が切れたために堆積をしたのか――というのは、流れの方向が変わっているために、そこにいままでたまらなかったところにたまった、そういうようなこともございますので、十分に調査をいたしまして、その原因というものはもちろん排除をいたしまして、改修計画というものをやっていく、こういうふうに考えて一おります。  それから大ぜきの点でございますが、これは、私どものほうは改修計画というものにおきまして、その高さが非常にいろいろ問題になるわけでございますが、ああいう古いせきでございまして、しかも、がんじょうにできておって、そして上流の河床というものが非常にそれによって安定をしておるという場合には、これをあまり変動するということは非常に疑問もございます。したがいまして、これをどの高さにするかということにつきましては、十分土木的な見地からこれを検討いたしますが、もし幾ぶんでも下げていただかなければならないということであれば、これは農林省のほうといつも工法の協議を行ないましてやっておりますので、その点はひとつ御了承をいただきたいと思います。終わります。
  52. 森田進

    説明員(森田進君) お話のございました建設省の行ないます砂防事業と農林省の行ないます治山事業との調整の問題でございますが、これは、ただいま建設省から御答弁がございましたような状態でございまして、農林省といたしましても、両事業は十分協調して実行しつつあるというふうに考えておるわけでございます。特にこれは建設省のほうからも御説明がございましたが、昨年、林野庁長官と建設省の河川局長の連名もちまして各都道府県に通達をいたしまして、その内容は、年次計画を立てます際には、あらかじめ砂防関係部課、それから治山関係部課、関係いたします国有林がございます場合には国有林の担当部課も加えまして、県の段階で十分事業の調整をいたす、県の段階で調整のできない問題につきましては、林野庁と建設省との間にさらに地方におきます協議会が設けられておりまして、その協議会で検討するというような組織もできておるわけでございまして、十分協調して実施し得るというように考えておるわけでございます。
  53. 武内五郎

    ○武内五郎君 私がいま指摘しました大ぜきの問題、すでに農林省においても建設省においても、こういうふうにわずか数年間をおいて連続的に災害が起きるということについての原因というものを考えられたことがあるか。それから、もし大ぜきが刈谷田川の水をせきとめているとするなら、もう少し有効な、たとえば用水池をそこに設置して、かんがい川の水を取るという施設が必要ではないかと思うのでありますが、そういうようなこと等の検討がこれまでされたかどうか。もっとも私は、そこへ用水池を据えつけると地元の負担が耐えられないので、いままで年々災害を見ながらがまんしているのだろうと考えるのでありますけれども、そういう点等の検討がされたことがあるか、ひとつ両方から……。
  54. 上田稔

    説明員(上田稔君) お答え申し上げます。先生のいま御質問の大ぜきの上流の、たしか五百刈のところでございますが、五百メートルばかり上流の切れた地点というのは、以前河川改修をやりました際に締め切りを行なった地点でございまして、これはずいぶん以前から樋管があるようでございまして、その樋管のところから水が少しずつ漏れておったというような点で、地元のほうでも非常に注意をしておったらしいのでございますが、そういうような地点のようでございます。原因はそういうようなものもあるいはあるのじゃなかろうか。必ずしも樋管ばかりではございませんけれども、その辺が一帯に少し地盤としてあまりよくなかったというふうにも考えられます。
  55. 梶木又三

    説明員(梶木又三君) ただいまの大ぜきの問題でございますが、刈谷田川の決壊が、大ぜきが直接影響あったという報告を受けておりませんので、具体的にどういうことか、現在の段階では御答弁いたしかねるわけでございます。ただ、大ぜきが御指摘のように非常に古いせきでございまして、現在の新しいせきのように機械的にゲートを操作するとか、あるいは自動的に倒れるとか、そういう方式になっておりませんので、今回の水の出が非常に早くて、先ほど御指摘のように板を取りはずす間がなかったという点があるいは若干影響があったかとも思いますが、直接そのために五百メートル上流が決壊したという報告は、いまのところ農林省は受けておりません。  なお、今後復旧なり、あるいは改修工事をやるにあたりましては、当然建設省とも十分協議いたしまして、新しいタイプを取り入れまして、洪水対策なり、あるいは動力の設備等をはかって実施いたしたい、こういうふうに考えております。丸武内五郎君 なるほど、この大ぜきは明治四十年ごろつくられたそうです。だから古いが、非常にがんじょうにできている。このために、この大ぜきのために災害が起きたという報告がないそうでありますが、あるいはそうかもしれません。そうかもしらぬが、そういうふうな見方もあるので、十分検討していただきたいと考えるわけです。  そこで、この守門山の東側――これは西側に落ちるのが刈谷田川、東側に落ちるのが西川、これは北魚沼郡の守門村という村を流れて破間川に合流する川、この西川が荒れて、破間川がさらに大きく荒れ出した、こういう形が東側のほうに出ておるのであります。この西川には、上流部に大きな砂防堰堤がある。もし、この砂防堰堤がなかったら、おそらくその沿岸の人家はもう総なめになったのじゃないかと考えられる。幸い一つの砂防堰堤があって多量の水と、二トン、三トン以上の大きな岩石が上流から押し流されて堆積しておりまするが、あの砂防堰堤がなかったならば、水の流れを自然に調節することができなかったのじゃないか。そうしたならば、あの沿岸の人家は総なめになって、おそるべきことになったのではないかと考えられる。そこで、この刈谷田川等についても、こういうふうな荒れる性格を持った――性格というか、天性の川でありまするが、経済効果云々という前に、私は災害を防止するという考え方から、防災上の必要な施設が要るのではないかと考えます。この点を十分検討していただきたい。直接そろばんの上に乗ってくる経済効果だけを考えず、人命を損傷し、上流部における農民のしがみついている小さな田畑を荒らして、それこそが大きな経済上の損害を与えるのじゃないかと考えますので、その点を十分検討して対策をお立てくださるようにお願いしたい。  そこで、今度の豪雨による災害がやはり大きくあらわれておりますのが農村です。田畑が流失したり、土砂が入ったり、岩石がたんぼを埋めておりまするので、その災害のあとというものは、まことに痛ましいものがある。そこで、まずお耳に入れておきたいことは、先ほど申し上げた守門山の東側、西川の沿岸に二分という部落――ここは三十六戸ばかりの小さな部落です。もう今日まで、災害がなくても実はもう耐えられない状態になっておったのでありますけれども、今度災害を受けて、まず耕地がほとんど全部いっちゃった。わずかに高いところにあった家だけが床上浸水程度で流されずにこれは済んだ。田畑は、これはもう全部いっちゃった。たんぼや畑の上に大きな岩石がもう山のように積もっている。これは私は、もうほとんど復旧ができないのではないか。先ほど杉山委員からも、そういう災害地の人々を集団的に移住させる等の考慮が必要ではないかという御意見があったのでありますが、まずそこで私は営農は困難だと思います。実際において困難だ。今年の生活がすでにできないのじゃないか。そういうようなところに対してどういう施策を講じたらいいのかということを、私自身も、いま実際行ってみて判断に苦しむのであります。いろいろな災害を救済する農林関係の法律がございまするが、どの法律を考えてこれに適用しようと思っても国や県の助成等だけではとうてい私は困難だと思うのであります。どうしたらいいか、私自身全く迷っておるわけなんでありますが、しかし、その中でも、農林水産施設災害の国庫補助の暫定措置法とか、天災融資法、あるいは自作農維持資金融通法と、いろいろなものをできるだけ広範に適用して救済の道をつけてやらなければならぬと思うのでありますが、私自身自信が持てないほど災害は大きい。そういうところについてひとつ万全の御検討と努力をお願いしたいと思うのですが、なお、お考えを伺っておきたい。
  56. 梶木又三

    説明員(梶木又三君) 仰せのとおり、暫定法ではちょっと救いがたい問題だと思います。暫定法によりますれば、もう御承知のことと思いますが、原形復旧あるいは復旧困難な場合は、他に代替地を設けまして、耕地を設けると、こういう点まではできるわけでございますが、集団移住ということになりますれば、暫定法の範囲の外でございます。ただ三十六災の長野県の伊那谷におきまして、ただいま仰せのような状態で、非常に復旧してもそこに住めないというような事態がございまして、災害復旧費に見合う金を自治省のほうに移しかえをいたしまして、移住を促進したという例はございます。それで今回の場合も、あるいは現地調査の結果をまちまして、または地元民の要望なり県からもいろいろ要望がございますれば、関係各省とも十分打ち合わせいたしまして対策を講じたい、こういうふうに考えます。   ―――――――――――――
  57. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 委員異動について報告いたします。  本日、林田正治君が委員辞任され、その補欠として徳永正利君が選任されました。   ―――――――――――――
  58. 武内五郎

    ○武内五郎君 その次にお伺いしたいことは、一般に中小企業等に対する融資の道は直ちに講ぜられるかのごとくに見えます。先ほど自治大大臣からも、大蔵大臣との打ち合わせの結果も話があって、中小企業等の救済の融資が考えられたようであります。ところが、農林関係になってまいりますると、きわめてこれが都合が悪い。特にまず第一に、そういう災害を受けてまいりますると、今年度の作柄というものは、これはもう期待できません。したがって、収穫皆無または何十%かの減収ということはもう当然避けられない状態になっております。特に私は、ほとんど法規上の救済の道もないと考えられます。たとえば刈谷田川の沿岸、先ほどの西川の沿岸等の災害地においては、林産物、養魚――コイとニジマス等を養っておる地域でありますが、これらに対する救済の道はほとんどない。かまは流れてしまって焼いた炭が流れてしまう、こういうようなものに対する救済の道は全くいまのところ考えられない。御承知のとおり、これで向こうは生活している。新潟県は東京、大阪等にニシキゴイを送るのでありまするが、その産地、それがほとんど全部その池が土砂に埋まって魚はみんな流れてしまった。これらに対する救済というものはほとんどないのでありまするが、私も実ははなはだ研究が足らぬかもしれぬが、その救済の道を考えつかなかったのでありまするが、何かひとつ災害復旧課長なり農林省関係で御教示願いたい。
  59. 岡田覚夫

    説明員岡田覚夫君) お答えいたします。農林関係被害者に対しては、御承知のように天災融資法がございまして、国民経済的に大きな被害を受けました場合には、天災融資法を発動いたしまして資金の貸し付けを行なうことになっておりますと同時に、また自作農維持資金を貸し付けるということにいたしておるわけでございます。現在その発動につきまして検討いたしておるわけでございます。  そのほか、御承知のように米麦につきましては保険制度がございまして、被害がありましたときには保険金の支払いをいたすということにいたしております。また施設被害につきましては、農林漁業金融公庫から融資をいたすということにいたしておるわけでございます。  大体以上のような措置が行なわれます。
  60. 武内五郎

    ○武内五郎君 そういう融資は農協等を経てやるんですか。
  61. 岡田覚夫

    説明員岡田覚夫君) 天災融資法につきましては、農協から貸し付けまして、それに対して利子補給等に対しまして国が補助するという形になっておるわけでございます。
  62. 武内五郎

    ○武内五郎君 ひとつできるだけ大幅に考えていただきたいと思っております。  その次に、内閣官房から出ました報告書によりますると、災害に関して災害減免法をはじめ国税通則法や所得税法、法人税法等の規定に基づいて、税の減免等救済の道が立てられるように報告されておりますが、農林関係においてはどういう減税等の対策が考えられておるか。  先ほど申しますように、皆無作から、よくて五〇%以下の今年度における収穫が考えられる。そういうようなことでありますると、税金の負担がことさら強く感ぜられるのでありまするが、農民に対する減税の措置はどういうふうに考えられるか、ひとつ大蔵省にお伺いしたい。
  63. 大島隆夫

    説明員(大島隆夫君) ただいま御指摘いただきましたとおり、国税通則法と、それから災害被害者ニ対スル租税ノ減免、徴収猶予等ニ関スル法律と、二つの法律によりまして租税の減免、徴収猶予等の措置が講ぜられることになっております。ただいまお話がございました農業関係被害につきましても、これらの法律の規定によりまして、たとえば予定の税額の減額あるいは徴収の猶予等の措置が講ぜられることになっておりまして、そして、これらの規定に基づきまして各種の恩典が受けられることを十分納税者の方々にもお知らせいたしまして、これらの恩典が受けられるように、各役場その他と御連絡をいたしまして周知徹底させるように指図してございます。おそらく新潟あるいは北陸方面方々は、単作地帯の方々が多いと思いますけれども、これらの方々は、第一回が十一月に予定納税の時期が参ります。十一月の予定納税をいたしますときに、まず被害状況によりまして減額その他の措置が講ぜられるわけでございます。
  64. 武内五郎

    ○武内五郎君 なかなかこれはやかましい法律でやっているのだからそう簡単にはいかぬと思うのですが、できるだけひとつ大きな気持ちで、幅広く、法は活用なんだから、国民のためにひとつ考えていただきたい。  次に、これはまた建設省のほうの河川関係のほうに戻りますが、私はおそらくこの前の災害委員会においても申し上げたと思うのでありまするが、地震で堤防はほとんど満足なものはなかったのであります。信濃川においても阿賀野川におきましても、大きな亀裂があるいは縦に入り、横に入って、これでもし雨が降ったら大災害が併発するぞと考えて非常に心配しておったのであります。おそらくこの前も申し上げたと思うのでありまするが、これは全くおそるべき状態なんであります。堤防を縦に割ったように入っている所があります。新潟県の北蒲原郡の豊栄町沿岸の阿賀野川の堤防、また三条から長岡にかけまする信濃川の提防、これはもう亀の甲らを見るように亀裂が入っております。こういうようなところに雨が降って水をそこに吸収し出すと、川の水の圧力とともに堤防決壊することは避けられない大きな災害が考えられるのであります。これは早急に補強の工事が必要なんですが、また、全面的な改修等の関係もありましょうが、ひとつ建設省はどういうふうに現在措置をとっているか。
  65. 上田稔

    説明員(上田稔君) お答え申し上げます。  先般の新潟地震によりまして、いま先生の御指摘になりました堤防の亀裂が非常に大きく入っておりますが、阿賀野川、信濃川また最上川でございますが、雄物川は一部直轄河川としてはございます。それから、中小河川といたしましては、旧信濃川その他でございますが、こういう亀裂の状態に応じて復旧工法というものをきめまして、直轄のほうは、建設省から地建のほうに対しまして工法の打ち合わせをやりまして、そうしてその工法をきめております、また、県に対しましては、災害の査定官を出しまして、その工法をきめまして復旧をやってもらっております。県のほうは、緊急を要するものにつきましては、緊急査定ということを実施いたしておりますが、新潟地震に対しましては、非常に危険な個所に対しての緊急否定はもうすでに終わりまして、県のほうでそれに基づきまして工事を、作業をやりつつあるわけでございます。建設省のほうは、さっそく地建のほうの手で打ち合わせは終わっておりますので、工事を実施いたしております。工法で申しますと、亀裂の入りましたところは、亀裂の個所に応じて、そこまでは全部打ちかえしをいたしまして、耐えるようにしている。ただし、全部一ぺんにできませんので、非常に危険なところは応急的な措置をのり表のほうに施して、洪水期をしのぐというようなところもあろうかと思います。
  66. 武内五郎

    ○武内五郎君 大体私も質問を終わりたいと思いますが、今回の災害を大きくさせたのは、私はやはり地震がかなり影響していると考えます。先ほども申し上げましたように、堤防の亀裂、その他いろいろな公共施設がこわれたりなんかしているところに大水がきて災害を大きくさせたと考えるのでありますが、まず、新潟の地震に激甚法天災融資法等の法規法令を適用するがごとくに、今回の災害につきましても、十分考えて措置をするように、自治大臣から御努力願いたいと思う。  なお私は、いまやはり大きな災害をもって恐怖のどん底に入っております能生町の地すべりであります。これも長雨と同時に、前に地震によって軟弱な地盤がさらに動揺しておったところへ、雨によって地すべりが激発したと考えられますので、それらについても十分考えて、特に能生町は、全くもうこれも再々の地すべり、全町が地すべり地帯、役場へ行っても冬でもストーブもたけないような貧弱な財政状態になっております。早急に交付税の繰り上げ交付、また特別交付税等の配付等も考えていただきたいことを自治大臣お願いして私の質問を終わります。
  67. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) ただいま武内委員から最後に御要望のございました点は、ごもっともでございまして、私どもといたしましても、これらの事項につきましては、早急に十分考慮いたしまして、再びこういう災害の起こらないように、そして人命のとうとさを考えまして善処いたしたいと思います。  なお、自治省に関しまする交付税の早期交付並びに特別交付税の点につきましては、その点を十分考慮いたしまして善処するつもりでございます。
  68. 野本品吉

    野本品吉君 時間がたいへんおそくなりましたので、私は一点だけきわめて簡潔に御質問申し上げたいと思います。私の質問は主として気象庁のほうにお願いいたします。  今度の災害で失われた家屋、道路、橋梁等々、物的な諸問題は、これは政府の施策がよろしきを得、関係者の努力によって復旧あるいは復興の望みがないとはいえない。ところが、失われた百二十一名の生命というものは、いかなる方法をもってし、いかなる巨額の金をかけてもこれを取り戻すわけにはいかない。そこで、人命の損害をいかにして食いとめるかということになりますというと、これは予報、警報等が刻々に正確に発せられて、それが末端の関係者に迅速に伝わって、適当な対策が立てられるということに待つよりほかないと思うのであります。先ほど自治大臣報告にもありましたように、一組合長が首まで水に浸りながら有線放送で全村に通じたことによって、その村から一人の死者も出さなかったというこのことが最も雄弁に語っておると思う。そこで、気象庁の方にお聞きするわけですが、今度の災害の場合に、気象庁からそれぞれ刻々にいろいろな警報が発せられていると思う。何時にどういうこと、何時にどういうこと、時間的経過に従って概要の御説明をいただきたい。
  69. 斉藤錬一

    説明員(斉藤錬一君) 斉藤予報課長でございます。いま先生の御質問にありました刻々に出しました注意報、警報の状況を御説明申し上げます。  松江の地方気象台におきましては、七月十七日の午後十一時二十分に、強風注意報がまず出まして、翌十八日の午前九時五十分に、大雨注意報が発せられております。それからさらにそれに引き続きまして十八日の午後一時三十分に、大雨洪水注意報が発せられております。その後、注意報を出しましたが、気象庁関係では、注意報、警報の間に、その雨の状況、それから今後の見通し等を、なお詳細に説明するために情報というのを出しておりますが、その情報といたしまして、十八日午後七時十分に、大雨情報の一号を出しております。なおそれに追いかけまして、十八日の午後十時五十分に、大雨情報の第二号が出ております。それから越して翌日の十九日の午前零時三十分に、大雨警報が出ております。それから十九日の午前四時ちょうどに、大雨情報の第三号が出ております。それから十九日の午前七時に、洪水注意報が出ておりまして、同日の午後十時三十分に、全部を解除しております。以上でございます。
  70. 野本品吉

    野本品吉君 地元の気象観測をされておる方が相当御苦労になっておる様子はいまのことでわかりますが、私は、昨晩テレビを見ておりまして感じたのですが、多少地元の予報、警報、注意報等において、満足のできない点があったというようなことを言っておりましたし、それから気象庁としては、大体これ以上のことはできないというようなことで、地元措置は、大体において満足せざるを得ない、こういうようなことが昨晩のテレビで報道されておったのですが、あなた方がごらんになって、地元の気象観測をしておる者の措置には、遺憾がなかったということになりますか。
  71. 斉藤錬一

    説明員(斉藤錬一君) 梅雨の豪雨について多少御説明申し上げたいと思いますが、私ども予報を担当しております者は、どんなことでも非常にむずかしいのでございますが、その中でも特に梅雨末期の豪雨は、起こる場所、この強さの可能性は、ある広い範囲、ある時間の幅を持っては可能性がかなり考えられますけれども、どの部分に何時に起きるかといった場所と時間を指定して予報するということは非常に困難でございます。私たち非常に努力はいたしておりますけれども、まあ的確な予報方法が見つかっていない状況でございます。それでそれを救う方法としましては、雨が現在どのくらいどこに降っているかという状況をまず的確に把握するのが第一でございますけれども、現在の気象の観測綱といいますのは、あるいは松江に、あるいは浜田にといったぐあいで、かなり間隔が開いておりますので、それを埋めるものといたしましては、まず第一にレーダーが考えられるわけでございます。レーダーでもって雨がどの範囲にどのくらいの強さで降っているかということが把握できるわけでございますが、現在のところ、福井には東尋坊に現在レーダーを設置中でございまして、今年の冬までには設置できる予定でございます。そうしますと、北陸のほうは、その東尋坊のレーダーからレーダーの映像を同時に富山と金沢と福井の三地方気象台に送って見られるような措置を講ずるように、大体今年の冬ごろまでにはできると思います。山陰地方には、不幸にしてまだレーダーの設備がございませんので、四十年度に松江にレーダーを設置するように予算要求をしたい、そう考えております。しかし、レーダーがあったから、レーダーがついたらばそういうような予報ができるかというと、レーダーといいますのは、現在降っている雨の状況を把握することでございまして、将来の予測ということになりますと、また問題が残ると思いますけれども、私たちといたしましては、予報技術のない現在といたしましては、それだけでも非常に助けになると思いまして、レーダーの設置等に努力したいと思っております。  それで現在の梅雨末期の豪雨の予報の技術の問題でございますが、現在は観測地点の雨の情報を電報その他によって把握いたしまして、そうしてそれによって今後の見通しをやっていくわけでございまして、非常にその地点と時刻をしぼるのが先ほど申しましたとおり困難でございます。それで松江のこの注意報、情報、警報その他の出し方を検討いたしました結果、現在の技術、施設では、もうこれがおそらく精一ぱいではないか、まあこれを御利用になる方にはいろいろ御不満とか御批判があると思いますけれども、もう現在の技術、施設では、これが精一ぱいでよくやったというふうに私たちは考えております。
  72. 野本品吉

    野本品吉君 そこで、レーダーの基地というものが、全国的に見ると、あるところとないところとあって、日本全体から見て、そういうものがどの程度に充足されているか。
  73. 斉藤錬一

    説明員(斉藤錬一君) レーダーは、現在全国的に十数カ所配置されておりまして、重要都市にはもうございますが、まだ日本として十分カバーできないような地点が数地点ございます。先ほど申しました山陰がその一つでございます。それからまた、瀬戸内海をおおうようなレーダーの地点がございません。それで瀬戸内の状況は全然わからないわけであります。それからまた、東北地方の日本海側、秋田の付近にもこれもございません。それから北海道は、西側のほうは函館と札幌にレーダーがございますが、北海道の東側にはまだ全然レーダー基地がございません。現在日本全体としまして、日本本土としましては、穴のあいている場所は、そういったような数地点でございますが、なお、日本には前線とか低気圧が、あるいは東シナ海のほうから、あるいは日本海側のほうから、あるいは太平洋側のほうから、しょっちゅうやってきますので、その外に対するレーダーの目も張りたいところでございますが、ことし建設中でございます富士山レーダーは、太平洋側のほうはかなり強力に働いてくれると思いますが、東シナ海の方面のレーダーはまだございませんので、そこも一つの盲点になっていると思います。
  74. 野本品吉

    野本品吉君 そのレーダー一基をつくるのに、予算的にはどれくらい入り用なんですか。
  75. 斉藤錬一

    説明員(斉藤錬一君) これは私正確には、予報のほうでございまして、測器のほうはあまりよく存じませんので、申し上げられませんが、数千万円のオーダーと思います。しかし、それには機械そのものもございますけれども、大体が山に設置しますので、そのレーダーを運び上げる道路とか、あるいは機材の補給のための道路が山にないと困るという問題、それから電気設備でございますので、電源がそこまで行っているかどうかというような問題がございまして、ちょうど適当なその地点がございましても、そういったような道路とか、電気の施設を考えますと、相当ばく大なものになると思います。
  76. 野本品吉

    野本品吉君 レーダーが完全に全土をおおい尽くすということになっても、災害は絶滅するわけにはいかぬと思うのですが、私は、そういう気象観測の設備をできるだけ完全にするということが、何十億、何百億の金を必要とする災害の防止と、それから取り返しのつかない人命の損害を防止することができるとすれば、この問題は大いに研究する必要があろうと思いますので、これは委員長、将来災害対策委員会において、災害の防止対策としての気象観測の設備の完ぺきを期するというような方向に向かって、将来御検討をいただきたい。  私はそれだけで質問を終わります。
  77. 小平芳平

    委員長小平芳平君) ほかに御発言もございませんようですから、本件につきましては、本日はこの程度にとどめます。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時二十二分散会