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1964-05-26 第46回国会 参議院 建設委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月二十六日(火曜日)   午前十時四十八分開会    ———————————  出席者は左のとおり。    委員長     北村  暢君    理事            石井  桂君            稲浦 鹿藏君            増原 恵吉君            瀬谷 英行君    委員            小沢久太郎君            熊谷太三郎君            小山邦太郎君            村上 春藏君            田中  一君            中尾 辰義君            田上 松衞君            村上 義一君   国務大臣    建 設 大 臣 河野 一郎君   政府委員    建設大臣官房長 平井  學君    建設省河川局長 畑谷 正実君   事務局側    常任委員会専門    員       中島  博君    ———————————   本日の会議に付した案件 ○河川法案内閣提出衆議院送付) ○河川法施行法案内閣提出衆議院  送付)    ———————————
  2. 北村暢

    委員長北村暢君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  先ほどの委員長及び理事打ち合わせ会の結果を御報告いたします。  本日は、前回に引き続き河川法案、及び河川法施行法案に対する質疑を行ないます。    ———————————
  3. 北村暢

    委員長北村暢君) これより本日の議事に入ります。  河川法案及び河川法施行法案を議題といたします。  両案に対する質疑のある方は、順次御発言を願います。
  4. 田中一

    田中一君 これは建設大臣から伺いますが、前回委員会でも大臣は、しょせん、この河川法は、かっての旧河川法考え方を継承した治水法だと、こういうようなことを強く発言しておりますが、では、利水法といわれる盛り込み方は、どういう点を言うておるかという点を伺います。
  5. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御承知のように、現行河川行政は、いまお話しの点を、それぞれ各都道府県知事に委任をいたしております。そういう慣行になっておりまして、そのために一貫した河川行政、一貫した水の利用というものが行なわれておりません。これを今回の法律におきましては、基本は水系ごとに一貫した水の利用管理ということにしてまいろうということにいたしておるわけであります。
  6. 田中一

    田中一君 前回委員会でも大臣は、これは、しょせん、高度の利水ということが水というものに対する行政の問題として必要であろうけれども、今回の提案されたものは、いろいろな各種のセクトがあって、なかなかそれが思うようにならぬ、しょせん、現行河川法治水という域を脱しないものだということを、せんだって説明されておりました。しかし、それじゃ困るのであって、治水利水ということが高度の利用の面ではやられなければ河川法改正というものは考えられないわけなんです。ただ行政上の手続の問題だとか権限の問題とかじゃなくして、国民の、民族全部が河川の水の利用ということに門戸を開く形の新河川法でなくちゃならぬと思うのです。いまお話しの、建設大臣一級河川というものを掌握すればそれはできるのだという形のものは非常に抽象的にしか出ていないわけなんですが、どういうお考えを持っているかということです、利水の面については。
  7. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいま申し上げましたように、水系ごとに一貫して水を高度に利用するということが最終の目的でございます。しかし、前回も申し上げましたとおりに、行政はもちろん財政が伴って、そうして施策の完ぺきを期して初めて実施できることでございますが、何ぶんその過程におきまして、経過におきまして、まだ、申し上げましたように、全国の水系百何十のうち、これをわれわれが理想とするような体系にいたしますには、よほど前途多額の費用を要するものと考えます。そういうことにいたしますれば、もう利水完ぺきを期することができることになりますけれども、現行わが国河川行政は非常におくれておりまして、前回もお述べになりましたように、全体は暴風、台風のあと始末的なものがまだ各所に見られるというような行政の域を脱しない面もあるわけでございますから、それをいまここに飛躍して利水利水といっても、その利水に走ったところで、現実はこれに伴わぬということになりますから、まず、われわれとしては、利水理想に立って治水の面を片づけていくということで、両面作戦と申しますか、でやってまいる所存であります、でございますから、河川にしましても、一ぺんに、百幾つあるものを全部これを全面的に掌握してやるということはなかなかむずかしいと思います。過去におきましても、御承知のとおり、一つの川で直轄いたしておりまする部面は非常に小範囲であるというようなことに現実がなっておる。むろん今度は全面的にやってまいるというのでありますから、よほどそこに問題が違ってまいります。したがって、われわれといたしましては、なるべく争い機会にいま申し上げたような方向にいくことに努力いたさなければならぬと考えておりますけれども、現実はなかなかそうはまいりませんので、法の改正行政両面から日的を達成したいと、こう考えております。
  8. 田中一

    田中一君 たとえば、多目的ダム法律とか、あるいは水資源開発促進法とか、一応河川法によらない利水の面の立法はあります。しかしながら、この法には、やはりねらいが、河川行政効果というものは、水利権というものに集約された価値がかっての現行河川法にもあるわけなんですね、で、その中でいろいろございます水利権的なものは、それを許可された水利権慣行水利権と二つに大別されますけれども、慣行水利権ないし許可された水利権というものを、この中でそのままの形でもって取り入れているということにすぎないのであって、前進というものは見出しがたいわけなんです、明確には。で、河川法改正というものは、大体において明治二十九年から今日までうっちゃりぱなしになっておったということは、いろいろ前委員会でも大臣から説明がありました、そのとおりだと思うのです。しかし、踏み切った以上、やはり現行河川法の中における矛盾と、今日の社会とに調和しない点、それから治水利水という——かっての法律は、もう治水法ですから、利水という面で、水資源開発法なり、ダム法でもって、一応利水の面は別の面で出ておりますけれども、もう少し個々に、現行の古い慣習の、許可された水利権なり、あるいは慣行水利権というものに対する何らかの手が打たれなくちゃならぬと思うのです。農林省農業白書にも、これは勇気を持って書いております。現在の慣行水利権というものは、もはや、今日の段階においては、検討すべき段階じゃなかろうかということを言っております。これは農林省は率直に言っております。そこで、こういうものはやはり受けて立って、いわゆる慣行水利権として、農民がおれのものだという考え方が現存しておりますけれども、その農業白書にも、そのことが指摘されているという現状から見て、やはり河川法に何らかの措置を——芽ばえといいますか、を植えつけなければならぬと思うのです。それが非常に足りないと思うのです。まあこれも前回委員会でも言っているように、なかなかどうも各省の調整がむずかしいのです、ということを言われれば、それきりになりますけれども、あなたの力をもってあなたの熱意と行動力をもつてなおかつできないというようなことになると、この新河川法の内容というものは、明治二十九年から何十年という間、もう何といいままか、五、六十年近い間眠っておったものがひとつも前進しておらぬというふうになるわけですよ。せんだって、われわれは参考人を呼んで、参考人意見もいろいろ聞きました。しかし、これは口をきわめて言っているのは何かといいますと、治水利水調整ということが不十分なんである、そのために、利水の面が少しも顔を出しておらぬということなんです。慣行水利権に対する、かって二度もつとめられた農林大臣の経験と、今度は引き続き建設大臣を担当しておる大臣として、慣行水利権というものに対する考え方はどういう考え方を持っていらっしゃるか。
  9. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 農業用水関係について、だんだん御指摘でございますが、実は私も、お話しのように、農林大臣をいたして、農村構造改善、新農村計画というようなものをしきりに提唱、提案いたしました。ところが、これも進行の過程でございます。現に、農林省におきましても、いまのように水田と畑、水田陸田というようなものを分けて統計に出しておる国は、あまり世界にも少ない。日本でも、水田陸田を分けて統計をし、調査をするということは、どうだろうかという意見さえ今日では出ております。これらも構造改善で、農業経営が、たとえば、いま水田であったものは、そこにくだものを植えればすぐにそれが陸田に変わってくるというようなものも非常に多い。また、そういう方向農村経営がいこうとしておることも事実でございます。しかし、これを、水を取り上げてしまうから、それでやむを得ずくだものを植えるということは、なかなかこれは社会常識から困難なものでございますが、みずから進んで水の入る田に、水田経営くだものを栽培するということを農業構造改善の上でなされるならば、これは円滑に進んでまいります。したがって、私としましては、こういう問題は、農業経営改善構造改善の面で振興され、合理化されて、その中でそれらの所要の水利権が不用になる、不用になったものを工業用水とし、その他の用途に水を利用するということで進んでいくことが、円滑に進むゆえんでございまして、河島法の面から水の利用を合理化していこうということを、これを世論に問いましたところが、なかなか世論は、にわかにこれに共鳴することは困難だろう。いま、たまたま国をあげて水の利用に対する方向が、順次変わっていく方向に現に私はあると思います。また、これを十分に利用しようという一般常識も、そういう方向にあると思います。したがいまして、いまここに河川法改正いたしますには、私は、不十分なものであるかもしれませんが、一応この程度まで前進をしておきまして、社会の変化、一般産業情勢変更等と相関連いたしまして、近き将来に第二次の法律改正が行なわれることが適当であろうというふうに考えるのでございまして、いま一挙に飛躍してそこまでいくということは、なかなか社会通念も許さぬのじゃなかろうか、こう思いまして、実は、その利水の面を従にして、治水の面において、まず現状に合うようなものをここに立法し、そして順次利水方向に国の行政前進させていきまして、そして現在あります各種法律を、この法律と調和、調整等考え法律改正を期するということが、行政の手段として適当ではなかろうか、こう考えております。
  10. 田中一

    田中一君 いや、その気持ちはよくわかるのです。よくわかるのですが、じゃはたして——農業関係慣行水利権というものに対する——現在の段階では無理だろうと思うのです。しかし、何らかの方向だけはひとつ出しておくことが必要だろうと思うのです。それが不十分だということを、まあこれは指摘するだけに、意見だけにしておきましょう。  そこで、前回委員会で、許可水利権等のリストを出せといって要求しておいたのですが、一覧表として出ております。しかし、こんなものでは不十分です。これは、私のかつての、昨年書いた著書にもあげてあるのですが、特定多目的ダム法が通るときに、一体明治二十九年以来、どういう水利権許可をしたか、それからその水利権が現在まで未開発のままになっているものはどのくらいあるかということの資料提出を要求したところが、ちょうど約二年かかりました。二年かかって、その当時は、また戦後の混乱時代で、各県庁等もばらばらにそういう書類がなって、無論建設省もそれだけのまとまった資料を持っておらなかったのですが、ようやく二年間ぐらいかかって提出されたのが、二十九年十二月一日現在で出てまいりました。これを見ても、たとえば明治二十九年に河川法ができ、明治二十九年に許可をした水利権——これは発電水利権です。それが昭和二十九年においてまだ未開発のままであるというふうなことも当時発見したものです。で、現行河川法では、大体一年以内に着工すればいいということになっておりますけれども、着工というものはどういう形のものか、あるいはボーリング一本すれば、これでもう着工だということになるのか。いわゆる水利権が投機的なものに使われても困るし、また、利潤追求のために、いわゆる一もうけ、一山当てるといったような形の投機的な面に使われては非常に困るわけなんですよ。それで、現在未開発水利権というものはどのくらいあって、それに対する——この現行法における、一年以内に着工すればいいのだということでなくしてですね——それで、一年更新のはずです。一年更新のはずが、いわゆる既得権とか、先願ということでもって、これを発電会社等、また電力会社等もたくさん持っております。これらの問題に対する対策等は、どういうお考えを持っておられるか。そしてまた、現在そうした未開発水利権というものに対する的確な把握というものが、建設省当局でもって行なわれておるかどうか、この点を伺います。
  11. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) わが国のような資源の乏しい国におきましては、お話しになりました水利権、水の利用というものは、非常に工業国として発展してまいります上におきまして、重大な、重要な問題であると心得ます。これが開発につきましては、十二分の努力を払わなきゃいかぬという意味合いから、すでに大きなものにつきましては、電発とか、それからまた水資源公団とかというようなものも一部には考えられておるのでございますが、他に、いまお話しのような未開発のものが相当に多いということは、まことに遺憾なことでありまして、そういうものにつきましても、ひとつ遅滞なく調査いたしまして、利用の方法を考えていくべきものと考えております。
  12. 田中一

    田中一君 ちょっとこれは河川局長から、法律のどこにどういう考えでもって織り込んであるかということを——いまの問題です。大臣が答弁した問題が、何条のどこに織り込んであるかということをひとつ説明してください。
  13. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) 未開発も含めまして、いわゆる水利権調整の問題でございますが、水利権調整事項に含まれております。それから慣行水利権については、それぞれ慣行水利権の届け出をいたしまして、それによって実態をつかんで、それを土台にして水利調整をするということは、第二款の水利調整の第三十八条以下に、水利使用の申請があった場合の通知、それから、それによりまする関係河川使用者意見の申し出、それから、四十条の許可要件と、それから四十一、四十二条、こういうような事項によりまして、一応水利調整をやるということで進めております。
  14. 田中一

    田中一君 時限的に、一ぺん先願したからといって、それがその人の権利のなるのだというような考え方ではなくしてですよ、それは無論ここにもいろいろ書いてあります。公益性がどうとかこうとかということは書いてありますけれども、許可要件には。私どもも、電力会社の出願するところの電力というか、発電水利権というやつは、むろん公益性のあるものです。しかし、だからといって未開発のままで先願権というもの、あるいは水利権というものが永久にそのものに帰属するということはいけないと思う。それにに対して、もっと高度の公益性なり何か出た場合には、それをどう調整するかということです、伺っているのは。
  15. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えいたします。ただいま御指摘になりました点、ごもっともでございまして、いわゆる遊休水利権につきましては、実態調査した上で、適当でないものにつきましては取り消しをいたします。
  16. 田中一

    田中一君 それから、まあいろいろ、いままで地方都道府県知事等が自分の権限で持っておったところの水利権許可権というものが、今度のこの法律で取られちゃうということなんかを言っておりますけれども、これはダム法のたしか三十四条だと思うのですが、その場合には、もう取り上げられていたのですね、多目的ダムという大きな面から、公共性という面から、指定した場合には。建設大臣が委任した、国が知事に委任した水利権というものは、もうダム法で取り上げられることになっているのです、三十四条で。だから、もうそこに都道知事等ががやがや言うのはおかしな話でもって、それも多目的ダムに限っているわけなんです。この場合には、この考え方河川法ではどういうぐあいに表現しておりますか。一ぺん現行河川法によって委任した水利権、国が県知事に委任した水利権というものを、ダム法では取り上げられることになっていますね。指定した場合には。その考え方は、ダム法だけで残っているものか、それが河川法にそういう考え方が出ておりますか。
  17. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) 河川法にははっきりと条文でどうということは出ておりませんけれども、いわゆる水利調整の条項におきまして、すべての全体的な調整をとって調整をする、こういうふうに考えております。
  18. 田中一

    田中一君 そうなると、これはもう大臣、どうしても多目的ダムには、御承知のように、貯水という大きな要素がございます。したがって、利水の面が非常に大きく評価されておるわけです。発電ばかりじゃございません。発電は、ダムによって一応小規模な発電ができますけれども、発電をやる場合には、やっぱり何といいますか、水管で、次から次へと持っていったほうがいいわけなんですけれども、そうじゃなく、利水という面が明らかになっているならば、ただそういう程度だけで多目的ダムだからこうだということじゃなくて、やっぱり河川行政の中に、一番利水効果が高い河川なんですから、そういうところにまでも織り込めなかったかという点について、私は残念に思うのです。これも建設大臣が、まあ前段の説明どおりならば、これやむを得ませんけれども、その点はどう考えていますか。もう少し織り込んでもいいのじゃないかと思うのです。−
  19. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) これはお話しのことでございますが、いま局長からお答えいたしましたように、各般のものを届け出、もしくは調査をして水利台帳ができます。水利台帳に基づきまして、建設大臣運用で事後の処理は加味いたしておりますから、運用でやってまいる、それですべていけると、こう考えております。
  20. 田中一

    田中一君 そのとおりできると思います。思いますが、多目的ダム法に、現行法の中でも、建設大臣が指定すれば、それが水利権というものをお返し戸願うことになっているわけです。ところが、今度の法律で、そういう点は、一級河川というものは、これは建設大臣がもう握るのだということになりますから、多目的ダム法の三十四条に書いているものがまるきりなくなってしまうわけですね、いろいろ河川法で指定する場合に。そういうことになると、二級河川だからダムをつくらぬということはないわけなんです。二級河川でも、いい地域には、おそらくだんだん減ってきておりますけれども、必要なところには、いわゆる多目的ダムを建設しなければならぬという地点もあると思うんですよ。その場合はどうなりますか。
  21. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 多目的ダムをつくる場合には、直轄河川施行だけいたすわけでございます。
  22. 田中一

    田中一君 そうですが、多目的ダムは、二級河川にはつくらないというのですか。
  23. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) はい。今度の河川法によりますと、一級河川建設大臣が管理する、二級河川県知事が管理する、こういうはっきりした明文になりまして、いわゆる多目的ダムというのは、建設大臣が直接やるということになります。したがって、一級河川に該当するということになります。
  24. 田中一

    田中一君 集中豪雨というやつは、かつての中小河川一級河川と同じような現象に変革させることが多々あるのです。したがって、その場合には、災害復旧という形で施行はしましょうけれども、それが、一級河川に編入しようという意思があった場合には編入する、編入して、多目的ダムはすべて一級河川に編入してから事業を始めるということなんですか。
  25. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) そのとおりでございます。一級河川に指定する必要がありますれば、この法律によりまして、一級河川としての指定の準備、いわゆる河川審議会にかける、あるいは県知事意見を聞きまして一級河川にし、なおかつ、そういうことをやるわけでございます。
  26. 田中一

    田中一君 多目的ダムでない防災ダム、あるいは農業かんがい用ダム等は、名前は違いましても、規模は同じようなものがあるのです。相当大きなものがあります。防災ダム、そういうものはどうです。それが災害復旧費で行なう場合もありますし、いろいろあるわけですよ。そういう場合にはどうなります。そういう場合には、直轄はしない。県にまかすということですか。
  27. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) そのとおりでございます。
  28. 田中一

    田中一君 そうすると、多目的ダムをつくる場合には、全部一級河川に直して、昇格かどうか知らぬけれども、一級河川にして施行する、こういうわけですか。
  29. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) はい。
  30. 田中一

    田中一君 今度ひとつ面が違うのですが、これは河川法ができて以来、災害等によって流域が変更された場合、あるいは災害を守るための河川のつけかえ工事が着々行なわれてきております。その場合の新しくつくられた流域新しい川ですね、これに対する土地所有権というものは、どういう形でそれを確認しつつあったか、私は現在でも、この河川法ができて、相当大きな民有地河川敷の中に取り残されて、かつまた税金を取られているということをたくさん知っているのです。これは当然買収しなければならぬと思うのですけれども、それはたいへんですよ。災害ごとにたいへんな金で買収しなければならぬから、そういう点はもう新しい河川法では解明しなければならぬと思うのですよ。なるほど、この法文の中にも、交換とかなんとかということがあります、廃川の、ありますけれども、民有地河川の中に編入された場合、その所有権というものをどう扱うかということは、これに明記してないのです。それはどういう扱い方をするつもりですか、大臣は。
  31. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) 今度の新しいこの河川法によりますと、旧法によりましては、河川敷というものは私権の対象にならないという非常にはっきりした明文があったのでございますが、今度の新しい法律では、河川敷内、川敷内において私有地を認める、これも、そういう土地があっても私有地としてそのまま残す、こういう法体系にしております。
  32. 田中一

    田中一君 これは、建設大臣としての河野さんがどうお考えになりますか。最近は集中豪雨等の不可抗力的な災害もありますけれども、私は多くは、金がないといえばそれまでですけれども、河川行政が、今度あの山に集中豪雨があればあの辺が破壊するだろうということがわかっていながら仕事をしないということになると、人災なんですよ。多くの災害というものは人災要素が多分に入っているのです。そういう農林大臣時代の、河野さん、気持ちを呼び起こしてください。それで農民はいままで満足——といったって、やむを得ずそれに従っているんですが、強権で。どう考えますか、それは。
  33. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御承知のように、ケース・バイ・ケースで処理していくことが一番本来は妥当だと思います。また、政府としては、なるべく買い上げて民有地をなくすことが適当だと思います。しかし、これを、いま申しましたように、全部買い上げるんだということになりますと、御承知のように、現行河川敷におきまして、実は台帳もはっきりしていなければ、どこがどうかわからぬものがたくさんあるわけであります。そういうものを、長年放てきされておりましたものを一挙にやりますことは、なかなかこれはいろんなむずかしい問題が起こってきて、かえって困難な点が多いと思うんです。したがって私は、年限をかけて台帳も明確にして、そして順次これを解決していく。方向としてはいま申し上げましたように、年々幾つとかある数を予算を計上して処理していくことが一番適当であると、こう考えます。
  34. 田中一

    田中一君 これは、自治省に来てもらって今度審議しますが、税金取られておるのです。ましてや、大さな私権の制限なんです。河川敷内のものに対しては、今度自分の所有権を認めている。認めているったって、それは従来持っているところの所有権というものをうんと侵されるわけなんですよ。うんと侵されるわけですね。河川敷という河川法の適用を受けて、その工作物その他については、もうあらゆる制約、制限を受ける。かりにそれが力関係で制約し得ない状態になった場合に、また、災害というものを考えた場合に、そのために大きな災害が起きるということはあり得るのです。だからそれは、河野さん、あなたは閣僚ですから、野党ならばもっと追及するはずですよ。そうしてあらゆる面において、やらずぶった切りの考え方で今日まできた。河川法ができた以上、何とかそこのところはほんとうの姿に、一挙にできないならば、前進するという姿というものをここに出してほしい。ただ河川敷にある民有地所有権を認めるというだけでは、改正したというほんとうのもにはならぬと思うのです。
  35. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいまの問題も、先ほど来お答えいたしましたものと同じで、長年にわたりまして不合理の点、不十分な点が非常にいろいろあるわけであります。これを河川法改正にあたって、一挙にすべてを解決するということで、実は今日までだんだんおくれたのじゃないかと思うのであります。私はこれを全部、いまお話しような点を解決するということは理想でございますけれども、なかなかそれは、いま申しましたとおりに、予算を組むにいたしてもどの程度あるかということも、ほんとうに実は調べ上げていないと思います。そういうものも、河川敷であるか、堤内であるか、民有地かというようなことを明確にこの法律によって調査をいたしまして、そうして順次、いまお話しのような河川整にある民有地については、これを順次買い上げていくというようなことをしていくことが適当であって、一挙に解決するといいましても、なかなか——逆にどの程度あるのだといいましても、調査も実はないというようなことでございますから、そういうことはまあやらなければならぬことでございますけれども、理論は確かにそのとおりでございますけれども、実際やるものとしますれば、私の申すように、順次解決していくことが、一歩前進じゃなかろうかと、こう思うのであります。
  36. 田中一

    田中一君 それに関連する廃川敷が、この法律では交換になっておりましたね——何条だったかな。
  37. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) 九十二条にございます。
  38. 田中一

    田中一君 これは、交換ということになっているんですよ、交換するという。これは納得すればいい、一応納得する形の政令をつくると思うのですが。従来の廃川敷というものはどういうぐあいになっておりましたか。みんなこれは取るものは取って、これはどういうぐあいに地目を変えて、処分をどうしたか、聞いておきます。
  39. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) 工事の実施が終了、あるいは河川のつけかえ等によりまして、廃川敷になったものは、これを国の所有から移しまして、それぞれ廃川敷の処分として処分するわけでございますが、原則的には、従来その土地を、河川敷に編入するときに持っておった人がいれば、優先的にその人に移します。こういう処置をとっております。
  40. 田中一

    田中一君 ない場合には、それが発見できない場合には。
  41. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) 国のものとして処理しております。
  42. 田中一

    田中一君 国のものとして処理した。ところが、そういうじゃまなものがあっちゃ困るから、早く埋めるなら埋めて何かに利用したいというものもあったと思うのですよ。その場合どうしていますか、じゃまで困るのです、そういうものはね。
  43. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) この廃川敷というのは、一応河川敷として所有の前歴がないものでございます。それがあるためにいろいろな害があったという場合には、当然それを処理をして残す、こういうことになっております。
  44. 田中一

    田中一君 私の言うのは、言わしたいのは——じゃ別の面で聞こう。払い下げしたことがありますか。
  45. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) あります。
  46. 田中一

    田中一君 その財産の帰属は。
  47. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) 国の所有地でございますから、それぞれ個人なり、あるいは県に移管なり、そういう払い下げをいたします。
  48. 田中一

    田中一君 大臣、そういうことが今日のこの新しい憲法の中でもって行なわれっつあるということは、これはどうしても河川法改正でもっと国民の利益を考えなければならぬのですよ、主権者ですからね、国民は。わからぬからといって、片方では自分の所有地が河川敷になって亙れきの中に入り込んでしまう。生産をしない土地の税金を取られる。一方では、それにしいていえば見合う、見合うということがあり得るから、この九十二条でもって廃川敷との交換云々となっていると思うのですよ。それがわからぬからといって、国の所有になって払い下げて国庫に入るなんていう、そうした矛盾があるということは、これはたいへんなことなんですよ。そういうことをこの河川法改正でもって全部なくしてしまって、少なくとも国民という主権者が納得する形、損をしない形でもって処理されなければならぬと思うのですよ。そういうところが出てこない。これは現行河川法の一番の悪いところなんです。天皇制の時代の一番悪いところなんです。おまえの土地を提供すれば、堤防がここにできて、そうすれば今度は災害がないじゃないか、こういうおためごかしの行政がいままで行なわれてきたのです。なるほど、堤防の土地だけは買収しています。現在でも買収しています。しかし取り残された河川敷、取り残された土地に対しては、所有権を残そうという考え方にこの法律は立っている。九十二条の交換というのはどこをさしているのです、どこと交換するのです、河川敷となった人と交換するというのですか、何と交換するのですか。
  49. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) 廃川敷と新たに河川敷となる人との交換でございます。
  50. 田中一

    田中一君 これは災害によって新しい河川が生まれる場合、それからつけかえによる場合でも、旧河川の、相当大きな幅員を持たなければ河川災害は守れないわけです。それをどういうぐあいに交換するのです。どういう順位で、どういう率で交換するのです。
  51. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 災害によって荒廃したもの、そこに現に河川がでてきおる場合、そこに新しく堤防をつくる場合、これはいまの災害地に対して、ある程度の国家としての手は差し伸べられますけれども、結論は、河川敷になったものについては、その河川敷と旧河川敷との間に交換する、荒れ地と荒れ地の交換だと私は思うのです。いまお話しのように、新たに河川をつくるという場合に、河川敷であるからそれはかまわない、堤防だけ買って河川敷を買わないということはない。当然河川敷といえども買収して、そして堤防も同時に買収して、新たに堤防をつくるということは当然のことじゃないでしょうか。でございますから、災害によってそこが新しい河川になり、河川敷になったというその一連の、猛威によってそういう災害を受けた、そこに新しく河川が、旧河川と変わってしまったという場合に、旧河川敷に対して開墾その他の助成も行なって、そこに新しい畑をつくるということになってくるのじゃないでしょうか。
  52. 田中一

    田中一君 そうだと思うのですよ、結局。新しいつけかえの河川をつくる場合には、改築する部分の土地は買収する、そして廃川敷と交換をするということだと思うのですが、しかし、災害の場合には、そうじゃありませんね。大体はもう治水ということになると、相当な流量を持つ大幅な幅員になると思うのです。その場合は残しておく、そうすると、この九十二条の規定というのは、つけかえのための交換ですか。
  53. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) ちょっとお聞きの趣意がわからないのですけれども、九十一条、九十二条というのは、ここにも書いてございますとおりに、原則的にそういう交換をするというのじゃなく、いま先生からお話しのございましたとおりに、つけかえをするにしても、あるいは災害が起こってそれで河川の堤防の法線を変えるとかいう場合でも、私ども、原則的には当然の土地代を払いまして、その買収をする、そういうことで全部処理するわけでございます。ただし、たまたまそれを、土地がつぶれるために廃川となるべき土地と交換をしてもいい、そういう話が成り立てばやりますが、それに対しましては、廃川敷になる土地と新たに買収をする土地の価格もそれぞれ違うわけでございます。しかし、同じ面積、同じ価格ということであれば、当然同等で交換できますけれども、なかなかそういうわけじゃございませんので、そこで、ここに書いてありますとおりに、そういう要望があり、そういうことができればそういうことをする、こういうことでございまして、原則的には、そういう場合には補償をもって買収することになります。
  54. 田中一

    田中一君 そうすると、幅員を延ばすために引き堤する場合、その場合は、中に残ったのはこれは対象にならないでしょう。結局買収の対象にならぬということでしょう、残すでしょう。
  55. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) 買収の対象になります。
  56. 田中一

    田中一君 雄もう一ぺん聞こう。引き堤をする場合、その場合に、河川敷の中に残された田畑は買収を全部しますか。
  57. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) これは、先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおりに、河川の堤防の中を全部買収をするというのは、本来河川管理上は一番好ましい姿でございます。なかなか一ぺんにはとてもできないということで、その中に私有地もあり得る、現状においてはそういうことでございます。
  58. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 問題は、田中委員、二つあると思うのです。ただ堤防を下げるために河川敷になるという分については、むろん買収した上で堤防を下げます。しかし、従来河川敷の中に民有地があった、その分までも堤防を動かすことによって全部買うかというと、これは一般河川敷のように扱います、というようにお答え申し上げたほうがはっきりすると思います。
  59. 田中一

    田中一君 これは河野さんね、たいへんでしょうけれども、たいへんだと思うのです、これは新しい農民運動が起きると思うのです、これはほんとうに微妙なところですから、私ども野党としては、うんとアジったほうがいいんです。農民立ち上がりますよ、これは。阿野さんよく知っているはずだ。そこでこれはひとつ調べてください。河川法ができて以来でいいです。河川法ができて以来今日まで、引き堤あるいは災害等によって河川が変わった場合、その場合を一つの例として、それは何ヘクタールくらいあるか、これはわかるはずですから。それから、つけかえ等によって廃川敷が生まれたもの、その廃川敷をどう処分したかということ、これは四、五十年、六、七十年の問題ですから、ずいぶん骨折れるかもしれないけれども、これを調べてください。全部調べてください。そうして、ただ表なんかじゃだめです、そんなものじゃ。元のほんとの川が、どの川がどうで、どの川がどうで、それから現在治水十カ年計画でやろうとしている川はわかっているから、この場合にはこうなる、ああなる。これは農民運動やるのにとてもいい題目なんだがな。これを調べてください。委員長からよく言ってください。
  60. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) いまの用地を買収した数字はまたよく調べて御報告いたしますが……。
  61. 田中一

    田中一君 ちょっと、用地買収したところは当然ですよ、築堤すれば当然その用地買収をしなければならないですから。そうでなくて、河川法ができて以来、河川敷に取り残された民有地というものを含めて……。
  62. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) ここでちょっと御披露申し上げますと、現在直轄工事区域内——私のほうで約百河川直轄工事をやっておりますが、この中にあります私有地の面積を出しますと、工事用地として今後買わなければならないというもの、いわゆる堤防敷になる、あるいは水路になる、当然工事を必要とするのが約二万二千四百三十町歩ございます。それからそうでなく、さらにその中に、何でもかんでも私有地がどれくらいあるかということになりますと、そのほかに約五万五千九百五十町歩、これだけの民有地がございます。合計、現在の直轄工事区域内におきます民地は七万八千三百八十町歩、こういう数字を持っております。
  63. 田中一

    田中一君 いまの資料もひとつ出していただきたいと思います。  それから、先ほどお願いした、それぞれの河川におけるいまの内訳も出していただきたいと思います。
  64. 北村暢

    委員長北村暢君) ただいまの田中委員資料要求は、個々の事例についての集計したもの、こういうふうに受け取れるのですが、そういうものが近い機会に資料として提出できるかどうか、河川局長からひとつ御答弁願いたいと思います、いま要求されておりますから。
  65. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) 個々の集計したものは、さらに確かめなければならない点がございますから、今週中御猶予願いたいと思います。
  66. 田中一

    田中一君 私は、今週中でなんかできる資料をほしいんじゃないのです。そんなものじゃないです。あなたはいつ河川局長に就任したか知らぬけれども、そんなに完備した資料は、国はむろんのこと、県にもないのです。私が要求しているのは、明治二十九年河川法が制定以来と言っているのです血そんなものはありっこないです。だからあと一年かかっても、二年かかってもかまいません。せめて完備したものを、河川行政をつかさどるところの、管掌するところの建設省がそういうものを知らないで河川法改正なんかするのはおこがましいですよ。すべて主権者の犠牲の上においてやっているところに問題があるのです。それを解決する一つの芽が出ているならともかく、何にも出ていないじゃないですか、この中に。
  67. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私が先ほどからお答えいたしておりますように、そういったような旧河川法の盲点があります。また、調査をする対象もございません。したがって、新河川法におきまして、そういうものの調査をする基準も実はないと思います。そういうものによって慣行水利権の届け出制度を採用、し河川敷になります民有地については、どういたしますというような台帳の作成をしようということを最初に申し上げたとおりでございまして、すみやかにそういう台帳によりましてそうして、来たるべき将来の河川行政、永利行政を完備していくという所存でございます。しかし、それらに関連して、具体的に当面しております民有地をどうしなければいかぬという問題が起こっておるものがたくさんございます。そういうものにつきましては、順次買収していこうという所存でございまして、それは基本になりますものをつくることが第一でございますが、それを待たずにやらなければならぬことについては、順次やっていこうこういう方向で、田中委員がただいま御指摘になりましたことにつきましては、なるべく早い機会に、諸般の問題を取りそろえて解決の方向に踏み出したいという基礎になるものをこの河川法には実は書いてある。こういうことでございまして、当然、お話があったとおり、やらなければいかぬことはわがっておりますけれども、現行法においては、そういうものが現にないということで、それではいかぬということで今度ひとつやっていこうというので、しばらく御猶予いただきたいと思います。
  68. 田中一

    田中一君 待っていいのです。しかしその方向が、なるほど、堤防となった敷地を買収しておりますけれども、何かこの法律でもって方向が、大臣そう言っておるけれども、できておりますか。これはたいへんなことなんです。おそらく地主補償どころじゃないと思うのです。そういう程度のものじゃないと思うのです。厳密に言うと、六十年、七十年の間の問題ですから。それで、まあ土地台帳というものが生まれたのは、明治初年のはずです。明治初年のはずですから、そのまま調べれば残っておると思いますけれども、それを的確に握るのはたいへんなことだと思うのです。しかし、これもこの際、あなたの命令でもってそうさしてください。そうしてせめてそういうものの解決の方向がやはり新河川法に芽ばえていなくちやならぬと思うのですが、それは残念ながら発見できないのですが、その種を植えたところがあるならひとつ説明してください。
  69. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) それは、ただいま申し上げました台帳の作成をしていく、まず第一に台帳を作成いたしまして、河川実態をきわめる。きわめました上で、実は基本的な問題に取り組む。台帳がまずございませんので、その作成をこの河川法では規定しておるということでございまして、御了承いたださたいと思います。
  70. 北村暢

    委員長北村暢君) それでは、ただいまの田中君の資料要求については、いまの質疑で大体田中委員了承したと思うのですが、要求せられておることは、この法案審議に今回直ちに役立つ資料要求のようでございませんので、いま大臣の御答弁のように、台帳の整備によって将来長い期間かけてやっていく、こういうことのようでございますから、資料要求というふうに言われましたけれども、これはひとつ直ちに出せる資料でないということ、田中委員においてひとつ了承しておいていただきたい、このように思います。
  71. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) なお、ここに手元にありますものを、多少御参考になると思いますから、至急ひとつ差し上げたいと思います。
  72. 北村暢

    委員長北村暢君) 暫時休憩をいたします。   午前十一時四十七分休憩    ————————   午後三時十二分開会
  73. 北村暢

    委員長北村暢君) これより休憩に引き続き、委員会を再開いたします。  河川法案並びに河川法施行法案を議題といたします。  御質疑のある方は、順次御発言願います。
  74. 田中一

    田中一君 昨年の秋、建設省河川法改正を意図せられ、アドバルーンを上げたところ、全国の知事会は、あげて建設省原案に対する反対ののろしを上げたわけです。ところが、その後、閣内においていろいろ論議の結果、一応政府案として提案されてきておりますけれども、以後、知事会は鳴りをひそめているわけなんです。ただ、どうもあいまいで、なかなかそれが何を言っているのかわかないような法の修正案を提案されておりますが、これは建設大臣もよく御存じと思います。そこで、知事会が主として反対している理由としては、いわゆる管理権、すなわち、水利権の決定権が政府に移ったという点であるのですが、建設大臣、この知事会の意向というものをどういうぐあいに受け取っておられるか。それから、こまかい問題もいろいろありますが、それは別として、大臣に受け取り方をひとつ伺いたいのです。そうして、その受け取り方に対してどういうお考え方を持っているか。
  75. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私は、知事会が、各府県知事の立場において、その各府県それぞれの県の立場を固執して、水利権その他管理権についていろいろ御主張になることも、わからないことはございませんけれども、御承知のように、行政の面におきましても、すべてわが国がなるべくこの狭い国土を有効に、また、乏しい資源を有効に活用する意味におきましては、可能な限りにおいて、広域に行政を、また経済が広域の経済に発展しつつある今日でございますから、活用していくということが必要である。そういう意味におきまして、各府県の知事の言われますことを十分念頭に置きつつ、広域的な立場に立って、これらの水利権を活用するという管理のしかたを建設大臣において心がけることが必要であろう。そうすることによって、知事諸君の意向も生かすことができるし、また、国家目的を達成することができるというふうに考えております。
  76. 田中一

    田中一君 水系には、いわゆる水源県と放流する、何と言いますか、利用あるいは捨てる、放流、二つの行政地域にわたっているのが常態でありますけれども、いわゆる臨海地とそれから水源地と、そこで従来からありますところの災害というものは、どちらの側に——しいて言うならば、上流、中流、下流と分けて、どちらの側に、いままでの統計的に災害が多かったか。それで、これは事務当局から答えてもかまいません、その点は。  そこで、負担、いわゆる河川を守るということのための財政的負担というものは、どちらに重いかという点をひとつ数字、まあパーセンテージでもかまいませんが、そういうものでお示し願いたいと思います。
  77. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 前段の上流、中流、下流、どこに一番被害が多いかという点につきましては、いずれとも言いがたいのじゃないか。過去の統計によりましても、川により、地方の地理的条件によって、ことに最近は、集中豪雨のごときは必ずしも山岳地帯に降るわけでもありませんし、平野部においても集中豪雨があるというような点からいきまして、必ずしもこれはそれによって決定づけることはできない、こう思います。  さらにまた、その被害の及ぶところ、これが負担はどうかということになりますれば、いま申し上げましたように、上流、中流、下流と、どこに被害があるかということがきまりませんように、その負担がいずれと決定的にきめることは困難だろうと思いますけれども、比較的下流のほうに多くの金がかかる。これはやっぱり川もだんだん大きくなりますし、水かさも増しますししますから多いのではないか、こ思ういますが、しかし、やっぱり下流になりますると、それぞれの負担力も増してまいりますし、利用度も増してまいりますしいたしますから、これが、いずれがいずれというわけにはいかないだろうと思います。
  78. 田中一

    田中一君 これは建設大臣、あなた、しろうとなんだから、実際に建設省が持っている数字でひとつ示してほしいのです。そういう、いま建設大臣がおっしゃっているような感じを受ける河川もあれば、あるいは、そうでないところもあると思うのですよ。私、それが水源から河口まで平均しているとは思っておらないのです。やはりむろん、集中豪雨の姿が、平地に集中豪雨があるという場合よりも、山岳地に集中豪雨があることのほうが多いのではないかと思うのです。これは私、気象学的に専門家でないのでよくわかりませんけれども、多いのではないかと思うのです。そうすると、水源地における集中豪雨による土砂の流出等によって下流に災害を及ぼすということもあり得るし、また、それが、集中豪雨というものがそう長期に降るものでございませんから——その点はもう三日も四日も続けて降った水が、たとえば天竜川にしても、水源地から降った水が太平洋に流れるまで、その間じゅうずっと降ったということもあるでしょうし、そうでない場合もある。大体の災害というものの、統計的に見た災害復旧の財政的な負担というものはどこにかかってくるかということを、統計の上でもってひとつ示してほしいのです。ということは、むろん、国土保全の重責は建設大臣が持っているはずであります。したがって、管理を担当するのは、従来、河川におきましては、直轄河川を除く河川については、これは当然それぞれの地方行政団体が持っておりましたけれども、今回、おそらく百本程度になろうと思いますが、その程度のものが一級河川になった場合、国が持つということを勘案しながら伺ってみたいと思うのですが、実際の数字としてはどうなっております、河川局長。モデルとして一つの河川について言ってくれてもけっこうです。
  79. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) 数字として提示するという数字は、現在持っておりません。いま大臣からお話しのとおりに各河川河川によって、みなその実態、それから、そこに起こる気象条件によってすべて違いますので、必ずしも上流、中流、下流、これがどうだというわけにはいかないと思いますが、特殊な川、特定の川についていままでどうだったか、こういう資料なら、またそれによってまとめてみたいと思います。
  80. 田中一

    田中一君 それでは、一つの天竜川でもよろしい。天竜川として、いままで、河川法ができて以来どういう状況であったかという、むろん、上流といっても諏訪湖だけじゃございませんよ、本流に流れ込む水源地はたくさんありますから、そういうものを考えながら数字をひとつ示していただきたいのです。その数字がいまできなければ、次回までに、その数字を持ち寄ってくれてけっこうですから、出していただきたいと思います、資料として。
  81. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) ただいま資料ないですから、次回までにそろえます。
  82. 田中一

    田中一君 そこで、これは伏線なんですがね、次に伺いたいのは、こういう考え方がございます。国が総合的な民族の河川として、局部的な河川行政でなくして、全国的な視野の面からその利用考えるならば、もう地元負担なんというものはやめて、一切国が負担をする方向に、私はおそらく、河野さんは主張したろうと思うのです。それが不可能になったということ。それから一つの例を申しますと、たとえば信濃川の上流の例をとってみても、長野県下における集中豪雨または大雨による災害は、おもに砂防災害が上流地に多いわけなんです。ところが、それが結局、これは非常に広範にわたるものですから、長野県なら長野県の負担というものは非常に大きいのです。また、危険視されておる——長野県はああいう山毎地帯ですから、危険視されておる個所がたくさんありながら、補助工事あるいは地元負担という形でもって、それら治水の面の財政負担が非常に大きい。利益が出るのはどこかというと、富山県なり、あるいは新潟県なりが利益というか、そのために、その長野県の防災施設のために災害を受けないで済むという場合があるのです。これは多いと思うのです。そういう場合に、それらの地方財政の負担力という問題をどういうぐあいに調整するかということは、地方行政の貧困からくる各知事の持つ切実な賛否の問題であろうと思うのです。知事会のいろいろな意見も、集約した結論は出ておりますけれども、おそらく、それらが全部一致した意見ではなかろうと思うのですが、いま申し上げたその面だけの一つの問題として、それをどういうぐあいに調整しょうとすをのか。いわゆる九州における宮崎、鹿児島のように、台風常襲地帯、災害が周期的にくるという宿命づけられた地域もありますし、また、東北のように、比較的台風の来襲のない地域もありますし、それらの財政負担の問題について、全体の河川行政としてどういう考え方を持っておるか、伺っておきたいと思います。
  83. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私も初めは、いま田中さんのおっしゃるような理論に立って、全額国庫負担を主張した時代もあります。しかし、ひるがえって、大蔵当局の意見を聞いてみましてまた考えさせられます点は、河川といわず、道路といわず、地方財政が総合的に受益する面一つ一つについて申しますと、そういういまのお話のような面が出てこないわけでもありません。しかし、また一面において、受益者がそのことによって利益を受ける面もあるということで、こまかい分析をすると、いろいろなケースが出てくる。これを総合して、すべて国としては、四分の三を国家の負担とし、四分の一を地元の受益者の負担にして、総合してバランスをとっていくという考え方政府は立っておる、うこいう大蔵当局の説明を聞きまして、なるほど、長年の慣行から結論が出ておるならということで、私はそれに同意をいたしました。河川におきまして四分の三ということが大体妥当な線だろうということで同意をいたしたのでございまして、いまのように、ケースケースによりますと、そういうふうな場合もある。たとえば道路なんかでも、もっとひどいものもあるのです。ただ通行するだけで、ほとんど利用度が非常に少ない道路等におきましても、やっぱり四分の一の負担をしておるというような場合も実はあると思うんです。したがいまして、私は、特異な例を一つ一つとりますと、地元ではほとんど利益がないんじゃないか、ほとんど全体の国家目的から発足しているものがあるんじゃないかということもありまして、また一方におきましては、他の面で非常に地元が受益している面が多いというようなことから総合して、公共投資、公共施設については、こういった河川といい、道路といい、四分の三まで政府が負担したらよかろうという結論に落ちついているということに同意をいたしておるわけであります。
  84. 田中一

    田中一君 明治二十九年から河川行政一つつかまえて、いまのような大臣の答弁が、いわゆるひとしい、公平であるという考えならば、各地域の格差というものはとっくに解消されているはずなんです。たとえば何々都市とか、新産都市とか、また今度はたくさんございます総合開発の面におきましても、各地方にいろいろの計画を持っております。格差のひどい都道府県というものは、これはもう明らかになっております。格差がひどいということが、そういうことが明治二十九年以来河川行政の面において、いま大臣説明は、大臣の意思じゃなかったと、ただ単に、官僚諸君が、これも主として大蔵官僚が主張する財政的理由による詭弁にすぎないと思うんです。もうそういう行政がほんとうに過去六十年行なわれてきたならば、このようなひどい格差がないと思うんです。私は、年々歳々の台風常襲地帯または集中豪雨に見舞われた府県と  それは単に災害復旧という形でもって、特別立法で御承知のように百分の百、百分の九十五、百分の八十五という高率補助もございますが、少なくとも常襲地帯、ことに平時の河川行政というものが、治水行政というものが、ただ災害を受けないという前提で施行を均てんしてきたならば、これほどひどい地域格差というものはできないはずなんです。なかったはずです。歴史があるんですから。それがないところに、水源地に行政区域を持っている府県、それから臨海地域に行政区域を持っている府県の貧富の差が、格差が激しくなってきているものではないかと、こう考えるんです。いろんな意味でもってその格差を縮めようという考え方は、高度成長政策その他で言っておりますけれども、ますます格差が広がっております。確かに格差は広がっております。決していま大蔵官僚なり建設官僚が大臣説明したというような姿になっておらないんですよ。私はその意味で、一体、国土保全という重責と、それから災害を復旧するという負担と、災害を防止するという負担、これらのものが、予算の配分、補助金の配分等から見ても、政治的配慮でもっていままで行なわれておったということは事実です。だから、格差がますます激しくなっておるわけです。そこで、少なくとも、今度の新しい河川法ができた以上、災害の面を含めて、災害復旧という面も含め、むろん、それに先行する災害防備といいますか、これらをどうこの法律でもってつかんでいこうかという点がこれにない。やはり従来の、ただ単に、先ほど午前中、利水の問題を申し上げましたが、今度は防災という面、国土保全という面から、まだ従来の陋習といいますか、従来の姿とちっとも変わっておらぬという気がするんです。大臣どうお考えになりますか。
  85. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 田中さん御承知のように、従来は三分の二だったのです、補助率は。一方は二分の一です、準用河川は。それを少なくとも今度は、直轄河川は四分の三にしたわけです。いまのお話、私わからぬことはありませんけれども、それは災害が多くて、災害によって貧乏になったということはある。いま私が申し上げる、つまり、地元に負担をさせて、税金が高いから貧乏になったということは、私はないと思うのです。それが貧富の格差の原因になっておるということは、私は少ないのじゃないかと思うのです。したがって、こういうふうに法律を直すことによって、直轄して、そして河川全体をすみやかに国の力のおもなる力によって、ひとつそういう災害を防除していこうということでございますから、いまお話しのような点については、十分配慮しておると私は思うのです。まあ、もう一ぺん申し上げれば、補助率からいっても、三分の二、二分の一であったものを、今度四分の三に引き上げておる、それで四分の三というものは、まず平時においてはマキシマムであろうということで、その最高の四分の三まで引き上げた。そして、それによって災害をすみやかに防除して、そうして災害を未然に防ぐことにひとつ大幅に拡張していこう。少なくとも、従来の河川行政十カ年計画なり五カ年計画をさらに大幅にこれを繰り上げて、そして河川改修についても、ひとつ積極性を持っていこうということを考えておるわけであります。
  86. 田中一

    田中一君 率を、一律に引き上げをしたから少しは楽になるだろう。これは楽になるはずです。少ないより多いほうがいいですから。しかし、格差是正の問題はやはり残るのじゃないかという気がするわけなんです。格差是正の問題は、やはり政治はもうひとしく国民がしあせにならなければならぬことは当然なことでありまして、いままでのようなものでは、これは格差が激しくなる。今回、全国的に河川行政の公共事業の補助率が高まった、あるいは地元負担率が低くなったということだけでは、それらの格差の問題は解決されないと思うのです。  そこで、いま前段伺っておるように、あす資料を出していただけばわかりますけれども、それらについては、まあまあ災害の場合には、特別立法その他でもって地域差というものを、負担というものをなくそうと努力はしておりますけれども、やはり新しい河川法が新しい体系のもとにできる以上は、これに対しては、それが盛り込んであってよかろうと思うのです。それはなぜかといいますと、防災という点であります。何も一つの河川を、災害待ちのような河川行政をされたんでは困るわけなんです。私は、これはかって、建設省の高官、次官をしておったわれわれの先輩からよく聞いておることでありますけれども、河川局では、今度どの地方に集中豪雨がある、あの川のあの辺にあれば、あの川のどこそこのここの個所が破堤する、これはわかっておるのです。わかっておると言っております。それだけのデータは、みんな河川局持っておる。これは実際、河川行政をやった人たちが、先輩がそう言うんだから間違いなかろうと思います。もっとも、そのくらいな技術的な見識がなければ、一たん災害があった場合には、直ちにそれに対する査定なんかできっこありません。もうこれくらいの雨量があれば、これくらいの破堤になって、このくらいに災害いくだろうということは、予想されているそうですよ。これは、ここにも前建設次官がいるらしいから、その人に聞けばわかりますけれども、しかし、これはやはりそういうものこそ、今度の河川法改正によってなくするような方向に向かう意欲がほしいと私は思うんですが、建設大臣一ぺん…。
  87. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私は意欲を非常に持っておるのです。いままでの河川法でありますと、河川を部分的に直轄部分をきめておる。あぶないところだけ直轄しておる。そこを直轄して直せば、そうすると、今度は直轄外のところが切れるということになりますから、そこで今度は、川全体を直轄していく、上から下まで全部直轄して防備しようというのですから、いまお話しの点については、強い意欲を持ってこの河川法改正に当たっておるということに御了承いただきたいのです。
  88. 田中一

    田中一君 そこで、できるならば一できるならばというのは、政党政治であり、かつまた議会政治ですから、やっぱりどの国民の代表も自分の選挙区が一番かわいいわけですから、どうも感情が先ばしってくるところがあるので。私は十四年間ここにおりますけれども、かつての建設大臣は、ささやかな災害に対して、ある一つの部落に対して数億の金を持っていって、いまだにその金が使い切れずに隠して残っておる、会計検査院も、どうもこれはとてもできないからと言って、それをそのまま認めているという事実もあるのです。まあ河野さんはそういうことはしい人だと思いますから安心しております。——二人知っております、そういうかつての建設大臣を。そういうことが、これはまあ大臣がそれをやるわけですから、これはだまっちゃおりません。また、会計検査院もなかなかそこまで手が届かぬらしいですよ。これはもし、なんならば、はっきり村の名前まで申し上げます。これはここに小山さんなんかも——小山さんの選挙区、長野県なんかにもないとは決して言えません。まあ山口県あたりにもないとは言えません。だから、こういうことはやはり、あなたのような強い大臣が出ると、官僚諸君がそれに巻き込まれることがありますから、今度は強くそういうことはないというようなことを、あなたの命令というか、指導によって、万々間違いないと思いますけれども、そういういわゆる災害待ち——災害を待っておって、しめたと言って、国会開会中でも本会議から飛び出して、郵便局の窓口に行って、必ず補助金はうんと取ってやると言って電報を打って、選挙に有利に持っていくというようなこともあるのですよ。これはひとつ、今回の法の改正によって、そういうところがなくなるような指導力がどこかに芽ばえていてくれればと思うんですが、そういうことはありません。何かそういうことに対しての考え、ございませんか。
  89. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私が想像もしないような御発言がありましたので、いままでそういうことを考えたこともありませんでしたが、もしそうとすれば、非常に不行き届きでございまして、そういう点に十分配慮いたしますし、私自身のわずか二カ年足らずの経験でございますから、あまり大きなあれは言えませんけれども、どうもそういうことは、河川行政についてそんなに重点的に予算を持っていってというようなことは、想像がちょっといたしかねますが、今後は絶対にそういうことはないようにいたします。
  90. 田中一

    田中一君 じゃ、ほかの人から総括質問があるようでありますから、もう一つでやめますが、河川法改正を提案するにあたって、建設大臣は、砂防工事を重点に治水を完全にやるんだという発言をしておる。これは非常にわが意を得たりなんですよ。この一点でもこれは通してもいい。通してもいいということは、賛成するという意味じゃございませんよ。よりいいという気持ちを持っているのです。砂防、ことに砂防施設の面につきましては、問題がたくさん残っております。昨年の砂防法改正にあたって、一応多少の手直しをしましが、まだ河川局は、河川行政というものと砂防施設というものとあいまいに考えているのです。たとえば河川には、河川を守るための砂防指定区域というのがございます。この砂防指定区域の災害ぐらいは、これは砂防事業で行なうべきなんです。河川改修では不十分なところが多いわけなんですよ。それで負担の問題にいたしましても、地元の負担と違うわけなんです。私は、砂防指定区域は、土砂の流出その他があっちゃならないのですから、その場合には、全部砂防施設としてその仕事をするようにすべきだと、こう考えているのです。砂防施設にしても、それは、砂防施設にある河岸は——河岸といったって岸なんかないですよ。ただ漏水する低い堤防もあれば、高いがけ地もあるんですよ。そこを切り離すと、水が流れてきているのですから、それは自然河川と称して、河川という定義に入れようとしているのです。いま現に入れているのです。砂防重点におやりになるという気持ちであるならば、これは大賛成です。砂防指定区域をうんと広げてけっこうですよ。その場合には、全部砂防という観点から、砂防事業として仕事をするということは当然だと思うのです。それも河川だ、自然河川だ、岸があるものは河川だと、こう言うのですから——自然河川だ、自然河岸だ、こういう定義つけをしているのです。何も、予算が砂防事業費として出ようが、あるいは河川改修費として出ようが、同じ河川を守るという国土保全の、特に河川行政の一番のものとなんです。これは、この法案を出すにあたってあなたの声明というものが、それを強く打ち出してありますから、おそらく、私がこういう質問いたしますと、河野さんは賛成してくれるものであろうと、こう考えておりますが、その点はどうでございます。
  91. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 全く同感であります。だんだん御説明申し上げておりますとおりに、可能な範囲において上流にダムを建設して、なるべく上流で水を十分にたくえて、そうして一定量の放流をして川を利用していくということか、最終の目的であり、最終の理想でなければならぬことであります。ところが、そういうふうにしてダムをつくるにいたしましても、特に意を用いなければならぬものは、ダムの周辺の砂防であります。ダムに土砂の流入があるということが、一番ダムをいためるもとであって、特に砂防の完ぺきが前提でなければならぬと考えております。自分のことを申し上げて恐縮ですが、私自身も砂防協会の会長を数年いたしております。こういうような意味合いからも、建設大臣に就任いたしましてからも、特に砂防には重点を置いて、予算その他も十分考えているところであります。今後の砂防問題については、いま申し上げたような意味合いにおいて、徹底的にひとつ強化していく、こういう所存であります。
  92. 田中一

    田中一君 砂防指定地として決定している区域の事業は、砂防事業としてみなすことが正しいと思うのですが、建設大臣、それをひとつ答弁してください、そのとおりでございますと。
  93. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) いまのお話の点、私ごもっともに考えます。しかし、まあケース・バイ・ケースでいろいろな例外もあるかもしれませんが、原則としては、お話のとおり、けっこうだと思います。
  94. 田中一

    田中一君 まだ一、二ありますけれども、これはまあ最後の質問に譲ります。きょうはこの辺でとめておきます。きょうはこの辺でとめておきますということは、まだあるということです。
  95. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  96. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記起こして。  他に御発言もなければ、本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時五十二分散会    ————————