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1964-05-19 第46回国会 参議院 建設委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月十九日(火曜日)    午前十時四十五分開会    ———————————  委員異動  五月十九日   辞任      補欠選任    田中 清一君  山本  杉君    ———————————  出席者は左のとおり。    委員長     北村  暢君    理事            稲浦 鹿藏君            増原 恵吉君            瀬谷 英行君    委員            熊谷太三郎君            高橋進太郎君            山本  杉君            田中  一君            武内 五郎君            中尾 辰義君            村上 義一君   国務大臣    農 林 大 臣 赤城 宗徳君    建 設 大 臣 河野 一郎君    近畿圏整備本部    次長      八巻淳之輔君    首都圏整備委員    会事務局長   谷藤 正三君    農林省農地局長 丹羽雅次郎君    建設大臣官房長 平井  學君    建設省住宅局長 前田 光嘉君   事務局側    常任委員会専門    員       中島  博君   説明員    農林省農地局管    理部長     小林 誠一君    ———————————  本日の会議に付した案件 ○首都圏既成市街地における工業等  の制限に関する法律の一部を改正す  る法律案内閣送付予備審査) ○近畿圏既成都市区域における工場  等の制限に関する法律案(内閣送  付、予備審査) ○近畿圏近郊整備区域及び都市開発  区域整備及び開発に関する法律案  (内閣送付予備審査) ○住宅地造成事業に関する法律案(内  閣提出)    ———————————
  2. 北村暢

    委員長北村暢君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、先ほどの委員長及び理事打ち合わせ会の結果を御報告いたします。  本日は、今月一日予備付託になりました首都圏既成市街地における工業等制限に関する法律案及び近畿圏既成都市区域における工業等制限に関する法律案、同月七日予備付託になりました近畿圏近郊整備区域及び都市開発区域整備及び開発に関する法律案提案理由説明を聴取した後、前回に引き続き、住宅地造成事業に関する法律案に対する質疑の後、討論採決を行なう予定であります。    ———————————
  3. 北村暢

    委員長北村暢君) それでは本日の議事に入ります。  この際、委員異動について御報告いたします。  本日、田中清一君が辞任せられ、山本杉君が選任せられました。    ———————————
  4. 北村暢

    委員長北村暢君) 初めに、今月一日予備付託になりました首都圏既成市街地における工業等制限に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  提案理由説明を願います。河野国務大臣
  5. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいま議題となりました首都圏既成市街地における工業等制限に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  首都圏既成市街地における工業等制限に関する法律は、既成市街地への産業及び人口過度集中防止するため、既成市街地のうち、東京都区部、武蔵野市及び三鷹市を工業等制限区域とし、この区域内においては、一定規模以上の工場学校制限施設として、許可を受けなければ新設できないこととして、昭和三十四年四月施行されたものであります。  その後、昭和三十七年十月には、同法を一部改正しまして、制限施設規模を引き下げるとともに、新設のみならず増設をも制限することとして、制限の強化をはかり、今日に至っております。  政府は、この法律施行とともにその他の人口過度集中防止対策を実施してまいったのでありますが、首都を中心とした既成市街地の現状を見ますと、依然として人口集中はやまない状況であり、交通難の異常な深刻化をはじめとして、生活環境の悪化、公共施設不備等都市過大化による弊害はとみに深刻の度を加えておるのみならず、これらの弊害は、現行制限区域周辺地域にも及びつつある実情にあります。  これが対策といたしましては、市街地開発区域整備によって、首都に対する産業人口の流入の防止首都人口の分散をはかる一方、工業等制限区域現行制限区域周辺地域に拡大し、既成市街地への産業人口集中を直接抑制することがきわめて緊要と考えられるのであります。  以上がこの法律案提案する理由でありますが、次に、その要旨について申し上げます。  まず第一に、工業等制限区域につきまして、従来、既成市街地のうち東京都の区域のみに限られておったわけでありますが、すでに述べましたような理由により、東京都の区域外既成市街地、すなわち横浜市、川崎市及び川口市の区域についても、制限区域指定をすることができるようにするため規定を改めようとするものであります。  第二に、制限施設許可権者についてでありますが、従来は東京都知事としておりましたが、制限区域東京都の区域外に拡大された場合の許可権者は、制限施設の所在する都県の知事または地方自治法で定める政令指定都市市長とすることとし、指定都市市長が、許可、不許可処分をする際には、知事意見を付して、首都圏整備委員長に進達することにしようとするものであります。  第三に、首都圏整備審議会委員の構成についてでありますが、政令指定都市市長及び議会の議長を審議会委員に加える必要があるので所要改正を行なうものであります。  以上が改正案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願いいたします。    ———————————
  6. 北村暢

    委員長北村暢君) 次に、近畿圏既成都市区域における工場等制限に関する法律案議題といたします。  提案理由説明を願います。河野国務大臣
  7. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 近畿圏既成都市区域における工場等制限に関する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明いたします。  この法律案は、近畿圏整備法第十五条の規定に基づく付属法律でありまして、同法第二条の既成都市区域のうち、一定区域工場等制限区域として定め、この制限区域内においては、人口増大原因となる大規模工場学校新設及び増設制限し、これらの区域への産業及び人口過度集中防止することを目的としたものであります。  その内容の第一点は、制限対象となる施設についてでありまして、首都圏における工業等制限法と同様、人口増大原因とされております工場、大学、高等専門学校及び各種学校を取り上げております。  第二点は、制限区域についてでありまして、これは既成都市区域のうち政令で定める区域といたしておりますが、これは京都市大阪市、堺市、布施市、守口市、神戸市、尼崎市、西宮市の区域のうち、人口密度の高い市街地部分対象として定めることを予定いたしております。  第三点は、制限施設の新増設許可に関することでありまして、制限区域内においては、府県知事許可がなければ制限施設新設または増設することができないものといたしております。  ただ、地方自治法で定める指定都市にあっては、この許可の権限は市長が行使することにいたしております。  その他、許可基準経過措置許可申請手続、違反に対する措置等規定いたしておりますが、いずれも首都圏工業等制限法の例に準じ所要規定を設けております。  以上が近畿圏既成都市区域における工場等制限に関する法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。    ———————————
  8. 北村暢

    委員長北村暢君) 次に、近畿圏近郊整備区域及び都市開発区域整備及び開発に関する法律案議題といたします。  提案理由説明を願います。河野国務大臣
  9. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 近畿圏近郊整備区域及び都市開発区域整備及び開発に関する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  この法律案は、近畿圏整備法第十三条の規定に基づく付属法律でありまして、近郊整備区域計画的に市街地として整備し、また、都市開発区域工業都市その他の都市として発展させるため必要な事項について規定し、これにより、近畿圏建設とその秩序ある発展に寄与しようとするものであります。  その内容の第一点は、近郊整備区域または都市開発区域建設計画の樹立に関することでありまして、その作成の主体は、関係府県知事がこれに当たり、内閣総理大臣の承認を得て設定せられることといたしております。  第二点は、近郊整備区域における工業市街地整備及び都市開発区域における工業都市としての開発をはかるため、工業団地造成事業施行することができるようにいたしておりまして、この工業団地造成事業についての都市計画決定、その施行主体施行を確保するための措置並びに団地造成事業によって造成せられた敷地等管理処分方法等につきまして所要規定を設けております。  第三点は、近郊整備区域または都市開発区域建設計画を達成するための優遇措置等についてであります。すなわち、国及び地方公共団体は、これらの建設計画を達成するため必要な施設整備の促進につとめること、国有財産の売り払い代金等の延納を認めること、鉄軌道を敷設する者等に対し国は資金のあっせんにつとめること等のほか、都市開発区域への工業の立地を促進するため、地方税の不均一課税に伴う地方財源補てん措置を講ずることといたしております。  以上がこの法律案提案理由及び要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  10. 北村暢

    委員長北村暢君) ただいま聴取いたしました三法案に対する質疑は、後日に譲ります。    ———————————
  11. 北村暢

    委員長北村暢君) 次に、住宅地造成事業に関する法律案議題といたします。  本案の質疑を続けます。  政府側出席は、河野建設大臣赤城農林大臣前田住宅局長出席されております。  質疑の通告がございますので、順次御発言を願います。武内君。
  12. 武内五郎

    武内五郎君 本委員会において住宅地造成に関する法律案審議にあたって、私どもは、農地造成との関係においてきわめて重大なものを感じております。そこで、宅地造成農地造成との調整につきまして、特に農林大臣の御所見を伺っておきたいと考えるものであります。  御存じのとおり、最近における住宅地造成工場敷地造成等に伴いまして、農地転用が非常な勢いでのぼってまいりました。これは宅地並びに敷地造成は、何といっても、農地転用に依存しなければならない部分が非常に多い。ところが、最近の農地転用に関する経過等を見てまいりますと、無秩序な状態で行なわれているところが非常に多いのであります。昭和三十四年に農地転用に関する規制の通達が出ておりまして、従来転用が行なわれておりましたものに対する一応の規制をしたわけなんでありますが、依然としてその規制が場合によっては無視され、場合によっては既成事実をつくっておいて、やむを得ずこれを許可するというような事態が、たまたまではなく、しばしば見られるのであります。これは民間住宅宅地造成等に関してだけではなく、中には、法を最も誠実に順法しなければならない責任者でありまする地方行政団体においてさへも往々にしてある。したがって、こういう事態が切りなく進められていくとすれば、日本農業はどこへいくか、農地がなくては農業はできないのでありますので、日本農業はどこへいくかという大きな心配に突き当たらざるを得ないのであります。そこで今度、私ども宅地行政審議にあたりまして、その点について、特に農地宅地との二つの面における行政調整をどうやっていくべきか、一つは、食糧生産のための農地を保全し、農業を育成していかなければならない農業の立場、同時に、人口増加に対する宅地要請産業発達についての工場敷地要請等と、両方相反した二つの問題がここに出てきたわけであります。そこでまず私は、最近における農地造成の動向から、この二つの問題をどう調整していくか、農林大臣の御所見を伺っておきたいと存じます。
  13. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 問題は、いま御指摘となったような状況であると私も認めております。私どもといたしましては、優良な農地あるいは集団農地等につきましては、農地としてその目的を十分に発揮させるように配慮しなければならないと思います。これは既定どおり方針でございます。ところで、住宅問題の解決等から住宅地造成等も必要があると思います。でありますが、その住宅造成等につきましても、農地転用許可基準等につきまして、ただいまお話がありましたように、宅地分譲目的とする宅地造成事業等につきまして、日本住宅公団とか、政府もしくは政府関係機関の出資によって設立されている地域開発目的とする法人並びに地方公共団体のいまのような場合、こういう場合を除きましては転用することができないし、したがって、許可をしないという方針でございます。しかし、この住宅地造成事業に関する法律を見ますと、民間のものでも認可を受けたものについては、私どもといたしましても、宅地転用について配慮する、こういうことで両者の調整をすることにいたしております。  そこで、この住宅地造成事業に関する法律が成立いたしました場合に、どういう調整方法を具体的にとるかということだと思います。そこで、この法律運用につきましては、農林建設両省の間でおおむね次の諸点につきまして了解しておりますので、両省覚え書きをかわしたい、法律の成立を待ちまして覚え書き交換をいたしたいと考えております。その内容一つは、現在の農地転用許可基準、いま申し上げました許可基準がありますが、その許可基準におきまして、民間宅地分譲事業につきましては許可しないこととしておりますが、この条項を改正いたしまして、この法律案、すなわち住宅地造成事業に関する法律案第四条の認可を受けた住宅地造成事業に限りまして特に許可対象とする——許可をするかしないかということをもう捨ててしまうことじゃございませんで、許可対象とする。第二に、集団農地優良農地等農地として保全すべきものにつきましては許認可をしないこと。集団農地とか優良農地、あるいは農地として保全すべきものについては許認可をしない。第三に、この法律案及び農地法にいう許認可手続迅速化をはかるとともに、両省手続調整をはかる、こういうことで覚え書きをかわしたい、こういう話し合いに相なっておるわけでございます。こういうことによって、いま御質問の御趣旨に極力沿うようにいたしたい、こう考えております。
  14. 武内五郎

    武内五郎君 そういたしますると、これは農林省建設省との農地転用許可基準運用についての話し合いのこの点を了承するということでございますね。そこで、これはそんな心配はないと仰せられるかもしれませんが、農林大臣建設大臣も、そんなことは杞憂だと仰せられるかもしれませんが、かりにこの法律によって地域指定されてまいりますると、その指定地域内に農地を持っておる農民が、この指定そのもの農民に対する一種の脅威的なワクをはめることになるのではないかということを実は私おそれるのであります。もうこのワク内においてはどうにもならないのだというような状態と、心理が農民の間に起こるのではないかと考えるのでありますが、その点について、農林大臣のお考えが伺いたいのであります。
  15. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) この区域指定につきましては、さいぜん申し上げてありますように、第三条によりまして町村長意見を聞いたり、あるいは「あらかじめ、都市計画審議会意見をきかなければならない。」ということになっておりますが、そういう手続を経まして指定された場合に、その地域内における農地を持っておる農民が、もうこれで農地の転換を当然されるのではないか、こういう心配がわいてくるだろう、こういうお尋ねだと思います。確かに一応そういうことに心配する向きはあろうかと思います。しかし、再々申し上げておりますように、転用許可を捨てておるわけでございません。配慮はいたす。これは全然捨てて、当然転用を認めるということには、この法律のたてまえからなっておりません。そこで、農地転用許可基準がございますが、優良農地集団農地に該当するいわゆる第一種農地転用は、原則として許可しないようになっております。あるいはまた、農地転用によって、用排水その他の面で周辺農地に悪影響を及ぼさないよう措置しなければなりませんし、離農または経営縮小する農民には適切な生活再建措置がとられるよう配慮することといたしております。でありますので、指定につきましても、こういう優良農地が相当含まれておるということにつきましては、指定する建設当局におきましても、優良農地等が相当含まれておるということであれば、あるいは転用許可にならないかもしらぬという見通しが持てると思います。あるいは町村長意見を聞いた場合に、町村長といたしましても、その予定された地区農民がどうしても農業に精進するのだ、転用されることは、宅地にされることは困るというような意見等も述べるということによりまして、あらかじめ、転用してはならぬというような地区につきましては、地区の認定を下げるというような態度建設当局でもこれはいたすということは考えられます。しかし、それの配慮がなくってやった場合におきましても、決して転用許可無条件でするというたてまえにはなっておりません。十分その点につきましては、私どもといたしまして、いわゆる配慮をする。配慮をしながら、無条件ではやれませんから、優良農地等は保存する、維持するというような態度に出でざるるを得ないと思います。そういうことによりまして、優良農地とか集団農地等の保全に一そうつとめていきたい、こう考えております。
  16. 北村暢

    委員長北村暢君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  17. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記起こして。
  18. 武内五郎

    武内五郎君 何と申しましても、宅地造成に関しては、簡易に、そうして低廉にできるということがこれが本旨です。したがって、それには最もいいのが農地なんであります。もう一番やりやすい、使いやすいのが農地なんであります。そこで私は、将来の農業行政というものについての大きな心配が起きることは、いま大臣優良農地転用を許さぬように努力をすると申されまするけれども、第三種の間に優良農地もはさまって侵食されていく状態になるのではないかということがおそれられるわけで、御承知のとおり、最近における農地行政で、年間農地造成する面積が約二万ヘクタールから三万ヘクタールあります。ところが、これを転用するのは一万五千ヘクタールをこえる状態になってまいっております。そうなってまいりますると、新しく造成される農地よりも、熟田熟畑がだんだん手近の市街地に接して侵食されるということになっていかざるを得ない。その点について、農林大臣の今後における農地行政農業政策についての確固たる御所見を伺っておきたいと思います。
  19. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 農地の壊滅といいますか、そういうものが農地造成よりもよけいになって、年々農地——まあ五万町歩ぐらいですか、減ってくるような情勢にあります。でありますので、私どもは、農地として造成すべきことが適当であるというところにおきましては農地造成をさらに進めていきたいと思います。また私は、できるだけ農地生産性を上げるといいますか、そういう意味におきまして、本年度等におきましても、従来よりずっと土地改良等につきまして力を入れているのでございますけれども、現在の農地生産性を上げていく施策をなお一そう強く進めて、全体といたしまして農地が幾ぶん減ったといたしましても、生産性が上がるような方途をさらに進めていきたい、こう考えております。
  20. 武内五郎

    武内五郎君 特に今後遂行されてまいりまする新産業都市建設あるいは工業整備地区建設というような建設政策が遂行されてまいりますと、おそらく農地がたいへんな面積にわたって転用されることになると考えます。すでに、あるいは大阪府においてさえも農地部農地転用係を設置しなければ応接にいとまがないほど繁忙をきわめておるそうであります。いかに転用事務が非常に多くなっているかということが察せられるわけであります。ところが、私はもう時間の関係もございますので、最後に、きわめて重要な点をお伺いしておきたいと思いますが、民間転用する場合は、当然転用基準の取り扱いによって行なわれるのであります。ところが、国の行なう公共事業地方自治団体の行なう事業等に利用される農地は、これは許可を必要としないはずであります。ところがそれに便乗いたしまして、農地を大量に転用している事実がだんだん多くなってまいりました。はなはだしいのは、私はここで特にお伺いしておきたいことは、新潟県において、競馬場造成するために、農地転用するにあたって、宅地造成だといって許可申請を出して、そうしていま現に名目は宅地造成で進められたものを、明らかに今年の二月に競馬場として転用しようとする計画が進められておるようでありますが、農地法第四条に基づく農地転用許可基準によっても、競輪場競馬場ゴルフ場等娯楽施設並びに不急不要の施設のために農地転用してはならぬ、という基準を……、地方行政責任をもって農地を守り、法を守って行政を推し進めていかなければならない地方自治体でそういうようなことをやっておるのですが、農林大臣、それを御存じですか。
  21. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 新潟県の競馬場の問題は聞いておりますけれども、私詳しくは承知しておりません。しかし、いまお話がありましたように、民間ゴルフ場等を無許可のままでやっておるというような話などは、ちらっと私耳にしまして、そういう問題につきましては、成規手続をとらせるか、あるいはそこへ立ち入りを禁止しながら原状回復を命じておるところなどもございます。新潟の問題などは、事情はいろいろあるようでございますので、事務当局からちょっう御説明申し上げます。
  22. 小林誠一

    説明員小林誠一君) 武内さんの御質問の件でございますが、この件につきましては、新潟の、ちょっと場所はいま記憶ございませんけれども、河川の改修を行なう、したがいまして、ショートカットをやらなければならないということになって、そのショートカットをやります敷地の中に相当の民家があるわけでございます。そういう意味におきまして、これをどこかに移転させなければならぬということから、その近郊に県で宅地造成をやりまして、まあいろいろその立ちのきされる方々と、県も中に入りましてお話し合いをされたようでございますけれども、どうもその住宅地造成された、県営住宅敷地に移ることは好ましくない、近くに競馬会で持っております競馬場があるのでそこへ移りたいという地元民の御要望等もございまして、それでまあその土地と、現在の地方競馬で持っております土地交換話し合いが進められつつあると聞いております。
  23. 武内五郎

    武内五郎君 私は、この問題をなぜここへ出したかというと、いま管理部長が言うように、確かに現在競馬場のありまする地域は、信濃川をショートカットする地域になってまいります。そこへその地域における住民が約六百戸、その住宅がなくなって、水没してしまうおそれがある。そこで、その住宅六百戸の造成が必要になってくる。そこで、私はなぜこの問題を出してお考えを承らなければならぬかというと、その六百戸の住民宅地造成いたしますということで新たに造成事業要請され、起債を自治省に要請して、宅地造成するのだということで出ておるはずなんであります。ところが、その新たに造成しようとする宅地のほうに競馬場を持ってくることが最近明らかになってまいりました。私は先ほど来、地方自治体において、しかも法に対して忠誠でなければならない行政の府が、法を歪曲して、宅地造成するのだからといって、農地転用をはかっておるところに、私は問題を考えます。この点について、そういうことがどういうふうに農林省で取り扱われるか。いまおそらく大臣は、この問題についての明らかな事実は御存じないだろうと思うのですが、よく御調査の上、法の歪曲のないよう、私は強く要請しておきたいと思います。特に今後この宅地造成に関する法律施行されるときにおいて、農地転用基準についての運営は厳正をきわめてもらいたいことを農林大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  24. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 信濃川のショートカットの分を取りかえるというような形のように、いまいろいろお話を聞いているうちに、私もそういうふうにお聞きしておりましたが、目的が相当変更されたんじゃないかと思います。よく調べてみます。  なお、この法の適用につきましては、私は、もちろん申し上げるまでもなく、厳正に行なわれなければならぬと、こういうふうに考えています。法の執行については慎重に運用していきたい、こういう考えであります。
  25. 北村暢

    委員長北村暢君) 田中君。
  26. 田中一

    田中一君 農林水産委員会との連合審査で、農林委員の諸君からいろいろ修正案の要求が出ておりました。これは当委員会と打ち合わせの結果、政府間のいわゆる無軌道な農地転用許可しちゃ困るということ、それから農林大臣転用許可権が失われるんじゃないかというような心配からの修正要求があったわけです。これはまあ話し合いの結果、両者の間で申し合わせ事項を出してもらいまして、そして一応その修正案の提出はやめた経緯があるんです。これはむろん農林大臣御存じですね。
  27. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 承知しております。覚え書き、先ほど申し上げた内容でございます。
  28. 田中一

    田中一君 そこで、そうなった以上、もう少し農林行政というか、第三種農地転用許可基準による許可だけをすればいいんだというんじゃなくて、もう少し積極的な協力がほしいと思うんです。その意味は、これはまあめんどうなことはやめますけれども法律の第二十条に、農林大臣がこういうぐあいに配慮するんだという規定がございますが、これはまあ許可するための配慮であって、その許可されたものがどういう形になろうとも、どういう状況になろうとも、これには関知しないということを農地局長も当委員会で答弁しているんです。参議院の農林水産委員会の諸君の心配もそこにあるわけなんです。新しく建設大臣許可をした、かりにここに一万坪の団地がある、この団地は当然宅地化されます。むろんこれは農林大臣転用許可をもらって仕事にかかるわけですけれども、そういたしますと、その団地の先——先というとおかしなものですけれども、その区域の接続する未指定土地、そういうところは当然市街地化される、その完成した暁には市街地化されると予想される土地なわけです。それに向かって食いついていくわけです。いまこの許可基準では六十日間——二カ月以内に着工するならば、自分の家をつくるならば、これは転用許可をしております、この基準によって。そこに五十坪とか三十坪とかいう過小宅地造成される危険が多分にある。この法律は一応一ヘクタールになっておりますけれども、これはまあ民間でも、最近はそんなちっぽけな三千坪、五千坪じゃなくて、一万、二万という広さを持った計画の方向に向かってきておりますけれども農地が虫食いになる。あっちに五十坪、こっちに三十坪となってくると、これを抑制する基準はないわけなんです。これはむろん行政指導でこれをやらなければならぬと思うんです。しかし、法律的にこの基準によって許可をし得る三種農地であるならば、この基準によって、地方の農地局長も反対できない形にならざるを得ないと思うのですが、それでは結局、その土地がスラム化し、市街地として、住宅地としての機能は発揮できないわけなんです。ましてや、そこに側溝をつくり、道路をつくった場合には、何らの費用の負担もせずして、それを流用する。ことにこの法律によっては、公共施設というものは全部公共団体に属することになっておりますから、それを使っていくということになります。そういたしますと、現在持っている過小宅地、小さな宅地許可というものに対しては、相当慎重にしなければならぬと思うのです。御存じのように、その先へその先へと飛んでいるわけです。これは何とかならぬかという気持ちが私はするわけなんですけれども農地局長は、どうもそこまではいかれないということを言っておりますが、なるべくそういうことは、ここにこういう新しい宅地ができるから、そっちへいらっしゃい、こうはいいますけれども、どうしてもここがいいのだという場合においては、それを不許可にするということはできないということを言っておりましたけれども農林大臣、どうお考えになりますか、実際の問題としては。
  29. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 許認可につきましては、いまお話しのように、地方農政局あるいは地方公共団体と、地域指定につきましては、十分その中に含まれる農地とか、宅地として適当であるかというようなことについての検討はするつもりでございます。でございますが、お話のように、そのまわりに、また、区域外にどんどん小さい宅地ができてくる、こういう傾向は私もあると思います。でございますが、極力、まあ農地局長が答弁しましたように、そういう地区内に宅地を設けるように行政的に指導せざるを得ませんし、そのまわりに延びる場合におきましては、これは一般の基準に従って、まあ間にはさまれないような、そうし耕地としては不適な、むしろ宅地にてしても差しつかえないのだというような具体的な問題を判定してきめていくよりほかないと思います。原則としては、優良農地集団農地について許可できません。しかし、だんだん外郭に延びてきて、場所によっては宅地転用したほうがいいという場合には、そういうふうなことの取り許らいをするよりほかないと思いますが、どうも具体的に当たってみるよりほかないかと思います。極力まあこの宅地認可区域内に宅地集団化する、そういうふうな方針で臨みたいと思いますけれども、現実においては、いろいろお話しのようなことが出てくると思います。
  30. 田中一

    田中一君 たとえばね、行政区域が違うと——いま町村合併したものですからだいぶ農村は変わってきているのですよ。たとえば、どこにしようかな、河野さんがいらっしゃるから、大磯や二宮にしてもいいし、あの辺のうしろの山地ですね、畑にいいところがあります。そうすると、行政区域が違うものだから、たとえば大磯を囲むようにして平塚が抱いているというようなところがある。そこは高い所、そこに造成指定がきまると、汚水は必ず他の行政担当の中へ流れ込んでいくわけです。しかし、そこには水田がある、たんぼや畑がある、こういう場合に、これはもう完全に、たとえ一種、二種の農地であろうとも三種化されなければならぬということになるわけですね。これは行政区域が違うから考えません、隣の町、市のことなどは。そういうことが現実にたくさんあるんです。水は低く流れますから、また、すべて流水溝——自然の流水溝があればそこに流れていきます、汚水は。ですから建設省はこの法律によって、民間がかって気ままに宅地造成するということによってスラム化し、また、りっぱな町ができない。ことに住宅地としての環境がそこなわれるという点から、この法律提案してもらって私ども賛成です。私ども社会党も、これはもう数年前から、三種農地等は当然これは宅地化しなければならぬという主張をしてきた——私はしてきたわけなんですが、なかなか党内でもってまとまらぬで、今度政府提案になって、私は非常にいいと思うのですが、ただそういう場合に、あのほしいところを他の市町村から攻めていっていつの間にかそれが三種農地になっちゃって、優良な農地がつぶされていくという傾向がある。これはよくあるんですよ、そういうことは。だんだん攻めていくわけです、じわじわと蚕食していって、とうとういい農地がだめな農地になっちゃう。町村合併による区域が広がったことに非常に大きな問題がありますけれども、こういう点の行政指導というものは非常に大事なことなんです。いま武内委員質問していることは、競馬場の問題を言っておりますが、事実、地方等におきましても、熟田がいつか三種農地におちいってしまうということになるんではなかろうかという心配が多分にあるわけです。農村中心の政治家諸君の心配はですね。こいつをもっと積極的に建設大臣と協議を——この法律には建設大臣と協議なんて書いてありませんけれども、協議をするなんといったって、建設大臣は、おれの権限を侵すなと言ってむくれるからできないと思いますし、ことに役所間のセクトがありますから、これはできないでしよう。しかし、この仕事だけは、どうしても農地を守るという意味からいっても、それから宅地造成するという面からいっても、もう少し緊密な連絡がなくちゃならぬと思うんです。二十条にある、ただ「当該住宅地造成事業が促進されるよう配慮する」なんというものではなくて、私は、農林大臣の積極的な参加というものがほしいと思うんですが、その点はひとつ、法律的にはどうにもなりませんけれども農林大臣のいまの答弁のようにならざるを得ないと思うんですが、何かそういうことはできませんか。これは公共団体ならばいいんですが、何といっても私企業で行なおうというんですからね。しかも、それを農業委員会でなくて、今度は農地審議会意見を聞いて知事許可する。だから、前と違って非常に楽になってきているわけですからね。この点はどういう方法で、そういう問題を指導によってとどめ、熟田をそのまま残す、同時にまた、市街地造成を促進させるというようにお考えできませんか。
  31. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お話しになりますこと、ごもっともな点が非常に多いと思いますが、現にそういうことが非常に多いと私思うんです。そういう意味におきまして、この法律は、お話しのとおり、運用をとにかく十分にしなければならないという一点にかかっていると思います。そこで、私のこの法案を提案しました根本は、現に各地に非常にたくさんありまする民間のいろいろな宅地造成、これらについて積極的に監督をし、これを指導するというものがありませんけれども、今度は積極的に監督し、指導する。そして許可認可にあたりましては、特にそういう点を注意するということだと思うんです。で、この点は許可認可にあたりまして、相当にこれらの業者に対してそういうことが言えると思う。いまお話しのような心配のありました点につきましては、役所のほうもそういう点について考えて、汚水、下水道についても考えつつ、一体化してやらなければならぬと思います。私が考えますのに、これまで非常に宅地行政がおくれておりました。それで、同時にまた一方、先ほどお話しもありましたが、農村から都市に転入される人が非常に多いということも私は考えなければならぬと思うんです。そういうことのために、今回、宅地がこんなに足りない、非常に宅地が暴騰しているということは、需給の関係が非常にアンバランスだ、それからまた一方、農地がこれまで非常に困難であるというような点にありましたけれども、一方において緩和すると同時に、これが行政指導において万全を期するということで私は改善していくことができるのじゃないか、こう思うのです。先ほどもお話しがありましたけれども、私は何とこの法律に書きましても、農家自身が売るのをいやなら売らにゃいいのですから、田を守ろう、畑を守ろうという人は、自分が耕作をして。現在の実情からいけば、私も百姓の一人ですが、売りたいという者はあっても、売りたくないというお百姓さんはいない。それを政府のほうで、そういうふうに売らしちゃ困るから押えてておく、そのために、農地のほうが安くて、農地でない雑地のほうが高いという——現実はそうだと思うのです。これらを法律運用によってどういふうに調整をして、そういう変な現象をなくしていくかということが第一。第二は、かねて私が申しておりますとおりに、すみやかに都市行政を活発にいたしまして、そうして道路等を先行いたしまして、それでその周辺の適当なところに市街地をつくっていく、工業団地をつくっていくといって公共投資が先行するという段階が一番肝心だと、それをひとつ明年あたりはどうしてもやらなければいかぬということによって、ただいたずらに都市の周辺の農地が無計画につぶされていくというようなことでなしに、もう少し、同じ農地でも、いまお話しのように、三種であるとか雑であるとかいうようなところに新しい団地をつくっていく、計画的につくる。しかも、小規模のものはなるべくこれを押えて、大規模のものにするということにしてまいることによって相当改善されるのじゃないか。で、お話しのような点を十分注意いたしまして、そうして行政指導をやりますと同時に、今後にもそういう慣行は私はつくっていきたい。農林省との間に、従来とかくお話しにありますように、この点は建設省、この点は農林省というような点がありましたけれども、そういう点、なるべく話し合いをしていっていいことなんですから、十分話し合いをさして、そして両省が完全に——ここに覚え書きにいたした点につきましても、なるべく相談をしてやっていくように、私は少なくともそう考え行政指導をいたしたい、こういうふうに考えております。
  32. 田中一

    田中一君 赤城さんはどうです。それはもらうほうですからいいですけれども、やるほうとしては、積極的に協力しないという形じゃ困るのですよ、どっちみち法律ができてきても。そしてまた、いま言うとおり、過小宅地がどんどんできても困るのです。  もう一つ伺っておきたいのは、これは介在農地ですね。これは千葉県によく例があります。丘と丘と続いておる。そこが当然どんどん宅地化されてきておる。そうすると、丘と丘の間にある介在農地、小さいものです。小さいものだけれども、これもかつてのおそらく河川敷なんかであって、それが変貌したわけなんですけれども、これがどうも両側に宅地ができる、まん中に少しの介在農地があった場合、この場合、これはやっぱり一種でございますから、二種でございますから、これはだめでございますということで済まされるかどうか。また、農地そのものがその機能を発揮するかどうか。低いところへきたない汚水がみんな流れていきます。そうすれば、今までの熟田が、人間が二百戸でも三百戸でも住むことによって、むろん下水もそう完備したものはできないと思います。その場合には、三種農地に転落するわけなのですけれども、そういう場合にどうです、介在農地の点についは。
  33. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) その前に、建設大臣から答弁ありましたが、私も全面的に建設大臣と同じ気持ちでおります。というのは、この法律ができるということは、一つ行政指導が強化されるという面もあろうと思います。でありますので、むやみやたらに宅地ができることも考えなくちゃなりませんし、むやみやたらに優良農地が壊滅するというようなこともこれは避けなくちゃならぬと思います。そういう意味におきまして、法律に書いてある以外におきましての行政指導面が非常に強まるというふうな意味におきまして、私はこの法律を歓迎するわけでございます。そこで、建設あるいは農林関係でとかくなわ張り争いということもありましたが、これは極力避けなくちゃいかぬ。今度の法律につきましても、覚え書き等かわすという意味は、なお両者これを足がかりでもないが一つのあれといたしまして、よく協調しなければならない、法律目的あるいは住宅政策の面におきましても、あるいは農林政策の面におきましても協調しながら進んでいく、こういう面で覚え書き等もできておるわけでございますから、覚え書き以外の点につきましても、いま建設大臣お話しのように、両省緊密な連絡をとっていきたい、こう考えております。  それから介在農地ですが、これは第一種でも介在農地の場合には適用をするというような、第三種でなくても一つ方針がございます。でございますが、具点的にこれは見ていきますので、これは許可しないということじゃございません。
  34. 田中一

    田中一君 第一、第二であっても介在農地の場合には、場合によっては許可する、こういうことですか。
  35. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) さようでございます。
  36. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記とめて。   〔速記中止
  37. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記起こして。
  38. 田中一

    田中一君 少し法律の条文によって大体質疑します。この本法の中にある施行令については、案が各委員に配付されておりますか。
  39. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) おります。
  40. 田中一

    田中一君 省令が相当たくさん出てくるのですが、この省令は手続の省令ですか、全部、大体において。これは住宅局長。
  41. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 手続のほかに技術基準が若干入っております。
  42. 田中一

    田中一君 原則として、すべての道路並びに放水路等は、放水路というか、全部接続する地点まで持っていかなければならぬということが原則になっておりますね、これは固く守ってくれますか。
  43. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 守らせる方針でございます。
  44. 田中一

    田中一君 そこで、五条二項三号の「排水路その他の排水施設」云々と、ただし書きは、「ただし、放流先の状況等により、やむを得ない場合」にはため池がいいと書いてありますが、これは全然問題になりません。河野さん、建設省住宅地というものは、蚊の発生するため池を置いてもいいという考え方で、これは憲法で保障する住宅地域環境だということが言えるんですか。これは私賛成できないんで、この点は削除していただこうという修正案を、各会派と了解を得て共同提案で出したいと思うんです。
  45. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) それでけっこうでございます。
  46. 田中一

    田中一君 第六条に「設計者の資格」という項目があるんです。この設計者の資格というのは省令で定めることになっておりますけれども、これはどういう人、どういう資格を対象にしているのか、何か法律的な裏づけるものがあるのかどうか、ちょっと伺っておきたいんです。
  47. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 現在宅地造成規制法におきまして、同様の資格がありますので、それと同様の資格を定めて、同程度の学歴、経験年数を得た者にこの資格を与えるように指導するつもりでございます。
  48. 田中一

    田中一君 第八条の「認可基準等」で、三号の資力、信用、それから四号の必要な能力、この認定のしかたはどうしますか。
  49. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 具体的な認定でございますので、いろいろむずかしい点がございますが、この事業が確実に実施されることがやはり必要でございますので、それに必要な資料によりまして判断することになっております。
  50. 田中一

    田中一君 これは都道府県知事に認定させるんでしょう、どっちみち。だから何かやっぱり基準がなくては、省令できめるとか、政令できめるとかというものがないと、ばらばらになってしまうんですよ。それは宅造業者というものは相当目的に向かっては激しいものですからばらばらになってしまう、何か基準をつくらなければしょうがないと思うんですがね。  いま一つの場合は、この施行区域、その二ですが、「支障がないと認められる場合を除く。」、これはいけませんよ、と書いて、ただし、支障がないと認める、というようなあいまいなことは、これが宅造業者の食いつくところなんです。それで地方行政を担当する窓口のやっぱり汚職とかうるさいことが起きてくる、こういうものをあいまいにしておくから。だから何か基準を設けなければ困るんじゃないかと思うんですが、どうですか。
  51. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 仰せのとおりでございますので、具体的事例につきまして差異があると存じますので、公正を期するために、できる限り基準を設けまして、各事業主体の間におきましてそごのないように指導するつもりでございます。
  52. 田中一

    田中一君 各府県同じ条件の基準を守るということですね、認定のしかたの。  それから、同じく八条の二項ですね、工事が終わったら、むろん環境に対する——原状に復帰することは当然でありますけれども、不当な義務を課しちゃいけないということはどういうことをいっているのですか。八条の二項ですね。「工事によって生ずる災害を防止するため必要な条件を附することができる。」、これはいいです。「その条件は、当該認可を受けた者に不当な義務を課するものであってはならない。」、この不当、当という認定ですね、不当とは何か、当とは何かということになるのですが、この点は……。
  53. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 事業の完全な施行を期するために条件を付しますが、その場合に行政庁におきましては、あるいは他の目的に資するためにこの事業を利用する、許可を利用するという場合等を考えまして、場合によっては、この法律に書いた事項の範囲を越えた条件をつけることもままあるような一般的な場合も想定されますので、そういうことのないように、この場合には、やはりこの法律に従って書いてございますところの公共施設の機能の回復とか、あるいは工事によって生ずる災害の防止とか、こういうようなことに限定した条件を課すとするのが、法律上当然ではないかということから、こういう規定をつけたのでございます。
  54. 田中一

    田中一君 宅地造成規制法には、おのずから宅地はかくかくかくかく、何はかくかくと書いてあるのですね。これは当の正しいほうですね、こういうものは法律できめているのですが、こういう条項は要らないんじゃないかと思うのですがね、どういうものですかね。
  55. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 条件を付する場合に、その条件が過当あるいは当を得ないことを付することが、法律制度として必要でございますので、条件を付する場合には、よくこういう条文を入れまして、その条件が適正なものの範囲にとどまるように配慮をいたしております。
  56. 田中一

    田中一君 「工事によって生ずる災害を防止するため必要な条件」、これは現場現場で違うと思うのです、これは当然のことじゃないかと思うのです。「不当な義務」というのは、どういう程度のことをいっているのですかね。ただこれは一つの条文として義務づける、しかし大きな義務じゃいかぬ、不当な義務じゃいかぬといって義務づけるということがある以上、不当な義務ということはないはずだが、すると、いままではそういう不当な義務ばかり押しつけているからこう書いているのですか。ほかの例はないのですか、例示は、ほかの法律の。
  57. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) これは、法律におきまして条件を付する場合における例文となっております。本件の場合におきましても、この宅地造成法律目的内の条件でなければなりませんので、そういうふうなことに限定をする、あるいはまた、その中におきましても非常に重い負担を課することになりましてはいけませんので、例文によりましてこの規定を置いたわけであります。
  58. 田中一

    田中一君 これはあとに残しておきます。  次に、九条の認可、不認可の通知は、「遅滞なく」と書いてありますが、「遅滞なく」というのは何日ぐらいですか。建築基準法では二週間になっておりますが、現場を見るのですから、建案基準法のように図面でいいというのではないのですから、現場に行って実際に図面を照らし合わせてみて、それこそその宅地造成をする者以上の能力を持つ者が行ってそしてしなきゃならないわけですね。そんな人間がありますか。また、そういうことを義務づけておかなければならぬと思うのですが、それはどうですか。必ず実地に行って立ち会って図面を見てやるのでしょうから、何日ぐらいかかりますか。
  59. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 住宅地造成事業計画規模によりまして違いますので、ここで何日と申せませんけれども民間宅地造成事業を規制する以上は、役所の側におきましても、なるべく早く認可をすべきであるという趣旨におきまして書きましたが、具体的には、実際の審査の現場審査その他の例を研究いたしまして、なるべく早く処理するように指導いたします。
  60. 田中一

    田中一君 十条の三行目の「軽微な変更」、これは軽微をどの程度と見るわけですか。
  61. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) たとえば道路の変更を伴わない区画を変更するとか、あるいは工事の仕様を変更する設計の変更等を考えております。
  62. 田中一

    田中一君 まあこれもあとにします。  第十四条の「住宅地造成事業施行により設置された公共施設の管理」、これは一番この法律の大きな問題のところでありまして、道路、放水路、排水路その他を全部公共団体に帰属するということになるわけなんですが、これはむろん無償でしょうね。
  63. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) これは法律上の管理者の点でございまして、その土地の所有に関する有償無償について書いてございませんが、実際問題といたしましては、無償で処理をすることにしたいと考えております。
  64. 田中一

    田中一君 それで大体たんぼ——たんぼというか、宅地じゃないところに、山林、農地等にできるのですから、道路は何メートルぐらい考えておりますか、幹線道路というか、周辺道路というか。
  65. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) これも規模によりまして違いますが、少なくとも最小限度四メートルはもちろんのこと、かなり付近の道路交通に影響する場合につきましては、六メートル以上にする、あるいは接続する道路につきましては、さらに地区状況によりまして変更しますが、なるべくできる限りの広い道路にしたいと考えております。
  66. 田中一

    田中一君 それはおかしいな。規模によって道路が変わるなんていうことはないはずですよ。それを、初めにもありましたように、必ず既成市街地に接続するところに新しく都市計画法による地域設定がされるのであって、それがかりに六メートル道路があれば六メートル道路をつける、十メートル道路があったら十メートル道路をつけるということになると思うのです。幹線道路が来ていれば当然そうなんです。そこで急に十メートルで来たやつをぼこっとここは一ヘクタールだから四メートルにしろということはできないでしょう、そんなことは。その点の扱い方をはっきりせぬと困るのですよ。前のほうにはちゃんとありますよ、そういうことが。何条でしたか、事業計画の中にちゃんとある。だからその点もう少し、まあ政令は出ているし、これから行政指導でやるのだということでは困るので、やはり法律に明らかにしてほしいのですよ。相手がいま相当よいことも悪いこともしている宅造業者なんです。よいこともしているし、悪いこともしているという人もおります。だからあいまいなことは困るのです。はっきりしてください。
  67. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 道路等の規模につきましては、基準につきましては、建設省令で定める予定で研究いたしております。いま考えている点を申し上げますと、もちろん、先ほど申し上げましたように、施行地区規模に応じて基準にも段階を持たなければならないのですけれども、たとえば主要道路は六メーター以上でなければなりませんし、あるいはまた、街区につきましては、一辺を少なくとも六メーター以上の道路にしなければならず、また街区の大きさも千平方メートル程度にする、施行地区内の主要な道路は施行地区外の原則として六メーター以上の道路と接続する、道路は砂利敷その他ぬかるみとならない構造とするというような規定を置きまして、でき得る限り、民間事業でございましょうけれども、良好な宅地になるような基準を設けることにいたしております。
  68. 田中一

    田中一君 それは、こういう宅地ができた、そこに指定した道路をつくった場合に、その道路利用の問題ですよ。自分の土地を提供して、私道なら私道に編入してもらうわけですね。それから配置のほうの関係で、いま大体、君のところでこれを区道にしてくれとか、あるいは私道にしてくれといっても、受けてくれないですよ。大体これは受けてくれないですよ、それで維持管理という義務が生ずるものですから。そうすると、この法律では強制しているわけですね、はっきりと。
  69. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 公共施設につきましては、事前にその管理者を定めまして認可を受けます。公共団体によりましては、ただいま先生おっしゃったように、直ちに受けないで、あるいは私道として残るものもあるかもしれませんし、場合によりましては条件を付しまして、あるいは舗装をするとかいうことによりまして、公共団体が管理を引き受けてもいいという状態に持っていったものについては、引き受ける場合もあります。事前にその点につきまして十分協議した上で、その協議の結果によりまして、管理者がはっきりきまっていないものにつきましては公共団体が引き受けるということでございます。そういうことでございます。
  70. 田中一

    田中一君 そうすると、自分の土地を道路にした、ところが自分が管理者になるのはいやだといった場合には、捨てるわけですね。おれはいやだと、そうすると、それは自然に地方公共団体がそれを受けて、地方公共団体の管理に入るのですか。話がつけば問題はございません。話がつかぬ場合はどうしますか。そうすると、宅地造成をしたものは当然道路の管理者となる義務を負わされることになるのですか。その点非常にあいまいですがね。協議が整うという前提で考えているのか。事実市町村は、そんな土地なんかの、道路なんかの維持管理の金はないですよ。そうすると、義務ということはどうです、その点。
  71. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) この法律は、従来ありましたそういうような問題を解決するために、あらかじめ管理者について協議をさせまして、管理者のきまったものについて許可していく、許可をしていくという方針でございますので、公共道路等の公共施設につきましては、ただいまお話しのように、あるいは施行者が管理するか、あるいは公共団体が管理するか、いずれはっきりいたしましたその上で認可いたしたいというふうに考えております。
  72. 田中一

    田中一君 私道の場合には、たとえ隣地の未指定のところに、区域外のところにですよ、さっき農林大臣質問しているように、向こうで点々と三十坪、五十坪を認可される場合、それを使用させないでいいんですね。通行禁止してもいいんですね、これは。たとえばこういう区画のところへ、ここへ道路ができたと、こっちは未指定ですね、その事業主がやってない、これができると、六メーターの道路は、これは事業主が管理すると協議がきまったとする。その場合、こちらへ十五坪、三十坪と、三種農地として農林省許可する。家ができます。かってに自分で道路つくりなさいよ、こっちは通しませんよということもできるわけですね、その場合に。
  73. 前田光嘉

    ○政委員前田光嘉君) その場合に、そのあとでできる宅地、建築ができるためには、その前面の道路を私道として認定を受けなければならぬと存じますので、その場合にはもちろん、公共道路であれ、私道だあれ、道路としての認定が必要でございますから、ですから当然、この建築をする場合におきましては、その道路を使うということにつきまして事業主体とあとの建築主とが話し合いがついておることと思います。
  74. 田中一

    田中一君 かってに使っていいというのですか。市町村道になればかってに使っていいでしょうが、これの場合にもいいのですか。
  75. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) その道路を建築敷地のための道路として使うということにつきまして、建築の確認申請をする以前に、道路の管理者と宅地の建築主の話し合いが済まなければ、建築の確認はしないことになっているのです。
  76. 田中一

    田中一君 そうすると、隣へ新しく接続して一ヘクタールの宅地造成を始めた、その場合に甲と乙があって、甲が一ヘクタールの面積で、この場合に外郭に六メーター道路をつける、排水溝もつけて、それに接続して新しく乙が一ヘクタールの宅地造成申請してやる場合には、向こうもやはり六メーター道路をつけて十二メーターになるのですか。
  77. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) その新しくあとでできる宅地が六メーター以上の何らかの道路に接続することが至当でございます。でございますから、その道路を、すでにできた私道でございましても、それを利用することが協議上明らかになっておりますならば、その六メーターの道路に接続して新しい宅地の道路をつくることもできると存じます。
  78. 田中一

    田中一君 そうすると、そのAはBに対して受益者負担的な費用の分担を要求できますか。
  79. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) あとでできた宅地が、そのすでにできました宅地でつくった道路を利用するにつきましては、法律上の規定はございませんけれども、お互いに事業主間におきまして、道路の利用につきまして話し合いが行なわれるものと思います。しかし、法律上受益者負担という制度につきましては、いろいろ検討する点もございますので、この法律には書いてございません。
  80. 田中一

    田中一君 それはね、やはりはっきりとしておいてほしいと思うがな。それは双方の協議と、私は民間宅地会社というものは、そんななまやさしいものじゃないと思う。公共用地になれば自由に通ります。その場合にはやはり受益者ですからね、それは道路を負担するとか、あるいはその場合にはどうするとかいうようなことをこまかくしないと、やはり問題が起きますよ。それは非常に問題があるのですよ。その点は、双方で協議してきめたらいいじゃありませんかということだけじゃ済まないと思うのですが、どうです。
  81. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 受益者負担の制度は、公共施設に対して特に利益を受けるものについて、行政上その範囲において負担を取る制度でございまして、現在ある道路法等による運用につきましても実際上なかなかむずかしい問題であります。本件の場合は、民間宅地造成会社がお互いに自分の私有地につきましての利用の調整関係でございますので、契約によりましてきめていくという方針が現在におきましては最もよかろう。こういうような利用につきましては相当困難がございまいますが、この法律には規定をしなかったのでございます。
  82. 田中一

    田中一君 自分の造成する宅地の中に五メーター、あるいは十メーターなら十メーターの幹線道路をつくる。その奥のほうへまたBが行ってつくった場合、これは都市計画上道路はきまっておるのですから、道路はつくらなければならない。工事をするには、でき上がったAの十メーター道路をどろを運んだりしてどんどんやっていく、よごす。しかし、これは市道なら市道、市に移管されておりますから、市になれば自由だということになります。やはりA並びにAの住宅地域に住んでいる人は、非常に関係が深いから、損害を受けるわけです。ですから、本来Aの造成地がなかったとすれば、自分で道路をつくって、Bの地点まで道路がなかったら仕事できませんね一ということで、AとBの間でもって、この道路はおれがつくって市に提供したんだ、市の管理になったんだから、その費用を持てということの交渉は、いまあなたの話を聞くと、自由だというのですね、払おうが払うまいが自由だ。払えと言われたほうは、とんでもない、市の道路だ、市の道路にどろを運んだり通行するのがどうして悪いかということになる。その場合に、どういう指導をするのですか。
  83. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 市のほうに管理を引き継ぎまして市道となったものにつきましては、あとでその道路を使う宅地ができましても、それは市道でございますので、もとの提供者に特別に費用を負担する必要はないと思います。そうでなくて、現在私道としてあったものに、また新しい私道をくっつける場合につきましては、その私道の利用につきましては、相互の協議で、場合によっては費用の分担をしていくということもあり得ると思います。
  84. 田中一

    田中一君 それがどうもはっきり……何か基準をつけますか。あいまいに都道府県にまかしたんでは問題が起きるということを言っているのです。円満にいかないと言っているのです。権利義務の問題が。まあ中央に縦貫をする都市計画街路ができた場合は比較的いいですが、自分の敷地の外側に道路をつくった場合には、その外側の向こう側にある未開発地の人たちは——市町村道になった場合は自由に使えますよ、そうでしょう、いまあなたのお話しのとおりです。それを市の管理に移さないで自分で持っている場合は、当然負担させることはできますが、その道路を通行することについての負担は。外郭の道路を使用する場合、Bがわきにくっついて宅地造成を始めた場合、それを私道として残しておけば、通さないよ、君は別に道路をつくりなさいということになることも考えられますね。けれども、六メーター道路がある、使えば使ったらいい、六メーター道路でいいから。人の土地だって、宅地造成業者は惜しんで売ろうとするのですから。その場合に、その道路を使うと負担をさせるかどうか、外郭面にある道路ですよ。あるいは、六メーターという基準をきめるなら、六メーターを三メーターにしておいて、向こうが三メーター分持て、こういうことにするのか。これは行政指導の問題なんです。そういう点はどう考えているかということを聞いているのであって、しゃくし定木の答弁をしても、実際上はそうではないのです。そういう場合があり得るのですよ。それは一坪の土地だって何万円としているのですから、そんな妥協なんかしません、自分の利益のためには。その場合に、何か基準をきめて、何か適当なことをしないとまずいと思うのです。
  85. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私は、いまのような場合の起こらぬように、いやしくも団地をつくる、その団地が一応完成いたしましたら、なるべく早い機会に地方公共団体に移管させる、移管するということを行政指導すべきだと思います。たとえば、当該地区から適当な税を地方公共団体は徴収するわけですから、それをいつまでも特定の私道にしていくということ自体が正しくない。そして、公共団体の一般道路と同様な道路に、市道に移管しまして、そして市が適当に管理していくという義務を市に持たしめるということに行政指導していくことが正しいと思います。
  86. 田中一

    田中一君 大体どこにだれが集団として宅地造成されても、少なくとも公共施設だけは公共団体が自分の費用でつくるのが正しい行き方なんです。そして道路の場合も、地元負担というものがありますから、地元が若干の負担をして、公共道路、下水道というものは当然国がつくるべきです。ところが、民間につくらして、それをもらっちまいますということ、それも認可の条件としてそれをしようとするなら、明らかに全部何メーター以上の道路は、これは公共用道路であると、市道であるということをずばりしてくれるならいいですよ、法律の上でもって。いま行政指導でそういうふうにすると建設大臣は言っているけれども法律でずばりと書いてしまえばいいのです。それならそれでいい。許認可の事業計画を検討する場合そうなったらよろしいけれども、そこのところが、市町村はなかなか受けないですよ。そういう道路、普通道路をつくっても、自分のほうはよろしゅうございますと、しない。また、外郭につくった道路等は、あとから造成しようというBの人が非常に大きな利益を受けるものですから、自分が損しないでも満足しないで、人がもうけるとやきもちをやくのが、それは国民の通弊です。一番先にAの地区をつくって造成した、そこの外郭に六メーターの道路をつくった、Bがそれにくっついてまた新しい許可を受けてつくる場合、市町村道になっていると、そういう六メーターをつくった外郭の道路は自由に使えます。それでBの人たちが利益を受ける。これはAはたまるものではないです。感情として。おれのつくった道路を利用しやがって、それだけもうけた、こうなるのです。自分は損しないでも、人のもうけることをやきもちやくのがいまの通弊ですよ。こういう点はやはり明らかにしなければいかぬというのです。許認可の場合にずばり示せばいいのです。お前さん、Aの外郭道路を利用しなさい、そのかわりかくかくの条件で費用の負担をしなさいよ、こういうことを認可する場合に言えばいい。当然人がつくった道路——自分がつくるより、その人のつくった道路を使ったほうが仕事がスムーズにいくし、全部に対して非常に利益があるのです。そういう点もひとつ何か明らかにしないと、実際の仕事になって、各都道府県ばら、ばらでもって、自分の腹一つでもってものをやるようになったんじゃ、いいものはできないです。その点を言っているのです。これはひとつ何か行政指導、通牒でも何でもいいです。そういう基準を示して、全国一律な許認可の条件をつくってほしいと思うのです。いまここでもって言ってもしょうがないから、そういうことをお願いしておきます。はっきりと十五条に「帰属する」と書いてある。帰属するなら、帰属するときめればいい。  それから、二十条の「国及び地方公共団体の援助」、これは何ですね、味の素なんです——味の素ではない、法律のつまなんです。これは建設大臣どういう……。ここに書いてあるのは、「必要な技術上の助言又は資金上その他の援助に努めるものとする。」——「資金上その他の援助」、「資金上」、一体これ何を考えているのですか、取っつくのはすぐに資金の援助と、こういうふうに受けます。技術なんか、都道府県の技術なんかよりも自分の技術のほうが自分に都合のいい、もうけられる技術だということですから。これはどうなんですか。
  87. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 宅地造成が非常に緊急な事業でございますので、大いにこれを奨励をいたさなければなりませんと同時に、一方におきましては、過小、群小の業者につきましてはきびしくこれを規制するという方針でございますので、ときにはこれらを統合する場合もありますし、指導いたしまして、一方においてはこれらに必要な資金を助力してあげるということも考えて、大いに宅地造成事業を盛んにするという意味から、こういう方針でいきたいということを示しておるのでございます。
  88. 田中一

    田中一君 具体的に「必要な技術上の助言」、これはいいです。「資金上その他の援助に努める」と、そうすると、これは資金上ということは、あっせんということですか、銀行等の。
  89. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 住宅金融公庫等をしてこういう資金をひとつ扱わしてみたいとも考えておりますし、その他民間の金融機関等につきましてもひとつ大いにあっぜんをして差し上げたい。実はこういう話が民間のほうにも内々あるものでございますから、そこでこういうことを書いた、こういうわけでございます。
  90. 田中一

    田中一君 最後に一つ伺いたいのは、そうしてでき上った宅地に対する価格、これはまあ当然、民間の事業、私企業でありますから、きめられると思いますが、住宅金融公庫の資金を投入してやった場合に、これは押えられます。民間資金の導入のあっせんをした場合に、これは価格は押えられますか。
  91. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) いろいろ御議論もございますが、これらの業者に対して過当な、不当な利益を得せしめない、適正な利益で分配するということを許可条件に付するというようなことも私は考えられるのではないか、こう思っております。
  92. 田中一

    田中一君 そういう方向に、いま建設大臣が答弁なさったような方向に行ってほしいと思うわけです。いろいろな意味でもって民間宅地造成業者は国民に不利益を与えている点もあります。また、大企業、大資本をもってやる人たちは、比較的安い土地を、安い造成事業をやっているところもありますけれども、一応この法律が、現在行なっている野方図もなく自由に行なっている宅地造成に対する規制として歓迎すべきものだと思いますが、価格の問題で同じようなごまかしが起きてまいりますし、ことに最後に伺いたいのは、建設大臣、これらの業者がやたらなうその宣伝、たとえば何々駅をおりて五分、行ってみたらば、なるほど五十キロぐらい飛ばすと五分で自動車で行くところにあったと、自動車で必ず五十キロ飛ばさなければ五分で行かないというようなところもあったり、それから手金を置いたために——もう契約を見ないで置いた、そのために、何十万という金を恐喝で取られたというようなこともたくさんある。そうした誇大なる広告等も、これは公正取引委員会等で勧告をしておりますけれども、こうしたものも行政指導の面ではっきりと、しないならしないという約束を認可を与える場合に条件として付すということなどもひとつ心得ていただきたいと思うんです。そうして、なおかつ無許可でやる向きがたくさんございます。これもつかまりません。この法律をつくって、法律の実施に当たっている国が地方公共団体に何か予算上の措置でもしてやらなければつかまらないんです。こんなものを追っかけていったところが、だれが責任者だかわからぬようなことがたくさんあるんです。そういう点も認可の場合に的確につかむということにしてほしいと思うんです。誇大な広告あるいは誇大な宣伝等はさせないということを、ひとつ建設大臣、約束してほしいと思うんです。
  93. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいまお話しになりましたような点は、最初申し上げたとおり これによって宅地造成の事業を促進、実行して成果をはかるということを趣旨にしておりますので、それらの点十分注意いたしまして、行政指導において考えていきたいと考える次第でございます。
  94. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記をとめて。   〔速記中止
  95. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記を始めて。  他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 北村暢

    委員長北村暢君) 御異議ないと認めます。  この際おはかりいたします、各派共同提案の修正案が委員長の手元に提出されておりまするので、本修正案を議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 北村暢

    委員長北村暢君) 御異議ないと認めます。これより修正案の趣旨説明を求めます。田中君。
  98. 田中一

    田中一君 ただいままで数回にわたる審議を続けてまいりましたが、この法律の第五条二項の三号のただし書きの分でございます。趣旨説明の点につきましては、先ほど建設大臣にこの点をただしまして、少なくとも第一条の目的にあるように、「良好な住宅地造成を確保し、」ということになっております。これらやむを得ない場合とはいえ、雨水の貯留等の施設を設けるということは、決して良好な住宅地造成じゃございません。したがって、この修正案を読み上げます。   住宅地造成事業に関する法律案に   対する修正案  住宅地造成事業に関する法律案の一  部を次のように修正する。  第五条第二項第三号ただし書を削  る。  以上でございます。
  99. 北村暢

    委員長北村暢君) ただいまの説明に対し、御質疑のある方は順次御発言を願います。——別に御発言もなければ、これより原案並びに修正案の討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし「と呼ぶ者あり〕
  100. 北村暢

    委員長北村暢君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。住宅地造成事業に関する法律案を問題に供します。  まず、各派共同提案の修正案を問題に供します。修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  101. 北村暢

    委員長北村暢君) 全会一致と認めます。よって、各派共同提案の修正案は可決せられました。  次に、ただいま可決せられました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  102. 北村暢

    委員長北村暢君) 全会一致と認めます。よって、修正部分を除いた原案は全会一致をもって可決されました。  以上の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 北村暢

    委員長北村暢君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十一分散会    ————————