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1964-04-21 第46回国会 参議院 建設委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二十一日(火曜日)    午前十一時一分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     北村  暢君    理事            石井  桂君            稲浦 鹿藏君            増原 恵吉君            武内 五郎君    委員            岩沢 忠恭君            小沢久太郎君            熊谷太三郎君            村上 春藏君            小柳  勇君            瀬谷 英行君            田中  一君            中尾 辰義君            田上 松衞君   国務大臣    建 設 大 臣 河野 一郎君   政府委員    建設省住宅局長 前田 光嘉君   事務局側    常任委員会専門    員       中島  博君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○住宅地造成事業に関する法律案(内  閣提出)   —————————————
  2. 北村暢

    委員長北村暢君) ただいまから建設委員会を開会いたします。先ほどの委員長及び理事打ち合わせ会の結果を御報告いたします。  本日は、去る十三日本付託になりました住宅地造成事業に関する法律案に対する提案理由説明及び逐条説明を聴取した後、質疑を行ないます。
  3. 北村暢

    委員長北村暢君) それでは本日の議事に入ります。  住宅地造成事業に関する法律案議題といたします。  まず、提案理由説明をお願いいたします。河野建設大臣
  4. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいま議題となりました住宅地造成事業に関する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  御承知のとおり、近時、都市への人口集中に伴う住宅難は著しいものがありますが、地価の高騰と宅地取得難がこの住宅難を解消する上で重大な隘路となっております。他面、より安い宅地を求めて住宅が建設される結果、都市周辺部において無秩序な市街化が行なわれ、環境の悪い住宅地が形成されております。特に最近の民間宅地造成事業の現況を見まするに、公共施設整備等が不十分なため、災害防止上または通行の安全上障害を生じ、あるいは団地周辺溢水等被害を惹起せしめております。  このような事情にかんがみ、道路排水施設等公共施設整備された良好な住宅地造成を確保するため、必要な規制を行なうとともに、あわせて民間住宅地造成事業の健全な発展をはかり、民間による良好な住宅地の供給を促進するため、所要助成策を講ずることが緊要と考え、ここに住宅地造成事業に関する法律案を提出することといたした次第であります。  以上がこの法律案提案いたしました理由でありますが、次に、その要旨を御説明申し上げます。  まず第一に、建設大臣は、人口集中に伴う住宅用地需要の著しい都市及びその周辺都市計画区域内の土地区域を、関係都道府県申し出に基づき、住宅地造成事業規制区域として指定することができるものといたしております。  第二に、住宅造成事業規制区域内において、相当規模住宅地造成事業施行しようとする者は、事業計画定め都道府県知事認可を受けなければならないものといたしております。  第三に、事業計画においては、災害防止し及び環境整備をはかるため、必要な道路排水施設等公共施設整備に関する計画が適正に定められていなければならないものとし、工業地域災害危険区域等住宅地造成を行なうのに適当でない区域内の土地を含めてはならないものといたしております。  第四に、住宅地造成事業についての助成措置といたしましては、農林大臣または都道府県知事は、農地等をこの事業の用に供するため、農地法上の転用許可を求められたときは、この事業が促進されるよう配慮するものとするほか、国または地方公共団体は、技術上の助言または資金上その他の援助につとめるものといたしております。  なお、設置された公共施設は、原則として地元市町村管理するものといたしております。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願いいたします。
  5. 北村暢

    委員長北村暢君) 次に、逐条説明を願います。前田住宅局長
  6. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) ただいま議題となりました住宅地造成事業に関する法律案につきまして、逐条的に御説明申し上げます。  第一条は、この法律目的定めたものであります。この法律は、人口集中に伴う住宅用地需要の著しい都市及びその周辺地域において、相当規模以上の住宅地造成に関する事業が行なわれます場合に、その事業について、災害防止及び環境整備観点から、道路排水施設等施設整備されるよう規制いたしますとともに、その事業施行について所要促進策を講じまして、良好な住宅地造成を確保し、もって公共の福祉に寄与することを目的といたしております。  第二条は、この法律において使用しております特別の用語定義をいたしております。「住宅地造成」とは、主として住宅建設の用に供する目的一団のまとまった土地について区画形質変更することをいうものとし、「住宅造成事業」とは、相当規模以上の一団土地について行なう住宅地造成に関する事業をいうものとしております。  そのほか事業主工事施行者施行地区及び公共施設につきまして定義定めております。  第三条は、住宅地造成事業規制区域について定めたものでありまして、第一条の目的を達成するため、建設大臣は、関係都道府県または指定都市申し出に基づき、人口集中に伴う住宅用地需要の著しい都市及びその周辺都市計画区域内の土地区域住宅地造成事業規制区域として指定することができるものといたしております。この場合、申し出をしようとする都道府県は、あらかじめ、地元市町村長意見を聞くものとし、建設大臣区域を指定いたします場合には、あらかじめ、都市計画審議会意見を聞かなければならないものといたしております。  第四条は、住宅地造成事業規制区域内において、住宅地造成事業を行なおうとする者は、その工事に着手する前に、事業計画及び工事施行者定めて、都道府県知事または指定都市の長の認可を受けなければならないことを規定したものであります。  第五条は、事業計画において定めるべき事項及び設計基準について規定したものであります。設計基準といたしましては、第一に、都市計画に適合していること、第二に、道路、広場その他の公共の用に供する空地が、災害防止上及び通行の安全上支障がないような規模及び構造で適当に配置されていること、第三に、排水路その他の排水施設施行地区内の下水を排出するとともに、その排出によって施行地区周辺溢水等被害が生じないような構造及び能力で適当に配置されていること、第四に施行地区内の土地が軟弱な地盤であるような場合には、安全上支障がないよう必要な措置が講ぜられていること、第五に、宅地造成等規制法によりまして、すでに、宅地造成工事規制区域が指定されております場合には、同法の基準に適合すべきことを定めておりますが、事業計画の設定に関する細部の技術的基準は、建設省令定めることといたしております。  第六条は、住宅地造成事業に関する工事のうち、専門的技術を必要とするような工事は、一定の資格を有する者の設計によるべき旨を定めたものであります。  第七条は、事業主住宅地造成事業施行認可申請するに際しては、事業計画関係のある公共施設管理者及び施行地区内の関係権利者の同意を得るとともに、新たに設置される公共施設管理することとなる者に協議すべきことを規定したものであります。  第八条は、住宅地造成事業施行認可基準等規定したものであります。  第一項におきましては、事業計画の内容が法令に違反するとき、施行地区内に災害危険区域工業地域等住宅地造成を行なうのに適当でない区域内の土地が含まれているとき、事業主にその事業を遂行するために必要な資力及び信用がないとき、及び工事施行者にその事業に関する工事を完成するために必要な能力がないときには認可をしてはならないものといたしました。  第二項におきましては、住宅地造成事業認可いたします際、その事業の適正な施行の確保及びその事業を廃止する場合の善後措置について必要な条件を付することができることといたしました。  第九条は、都道府県知事は、申請のあった住宅地造成事業について、認可するかいなかの処分を遅滞なく行なうべきことを定めたものであります。  第十条は、事業計画または工事施行者変更認可を受けなければならないことを定めたものであります。  第十一条は、認可を受けた住宅地造成事業事業主について、相続または合併があった場合の地位の承継について定めたものであります。  第十二条は、認可を受けた住宅地造成事業に関する工事完了検査等について規定したものであります。  事業主工事を完了した場合には、その旨を都道府県知事届け出なければならないものとし、この届け出を受けた都道府県知事は、検査の結果その工事事業計画に適合していると認めたときは、事業主に対して検査済証を交付するとともに工事完了公告をしなければならないことといたしました。  第十三条は、認可を受けた住宅地造成事業施行地区内においては、工事完了公告があるまでの間は、仮設建築物を建築するとか、都道府県知事支障なしと認めた場合等を除き、建築物を建築してはならないことを定めております。  第十四条は、認可を受けた住宅地造成事業施行により設置された公共施設は、事業計画等で特別の定めがされている場合を除き、工事完了公告の日の翌日において、原則として、その公共施設の存する市町村管理に属することとしております。  第十五条は、公共施設の用に供する土地の帰属について規定しております。  認可を受けた住宅地造成事業により従前の公共施設にかえて新たな公共施設が設置される場合には、新旧の公共施設用地は、工事完了公告の日の翌日において相互に交換されることとし、認可を受けた住宅地造成事業により設置された公共施設用地は、事業計画で特別の定めをした場合等を除いて、工事完了公告の日の翌日において、その公共施設管理者に帰属することとしております。  第十六条は、認可を受けた住宅地造成事業を廃止した場合の届け出義務について規定しております。第十七条は、住宅地造成事業に関する都道府県知事監督処分権限について規定したものであります。  都道府県知事は、この法律規定等に違反した事業主建築主工事請負人または現場管理者に対して、あらかじめ聴聞を行なった上、工事の停止、違反是正措置を命ずることができることといたしました。  第十八条は、都道府県知事立ち入り検査権限について規定しております。  第十九条は、都道府県知事が、この法律施行のため必要な報告の徴収、資料の提出請求または勧告することができることを規定したものであります。  第二十条は、認可を受けた住宅地造成事業の適正な施行を促進するための必要な措置規定したものでありまして、国または地方公共団体が、良好な住宅地造成を促進するため、必要な技術上の助言または資金上その他の援助につとめるべきこと及び農林大臣または都道府県知事が、住宅地造成事業の用に供するため農地等について農地法上の許可を求められたときは、その事業が促進されるよう配慮すべきことを定めたものであります。  第二十一条は、認可申請する際に納付すべき手数料について規定したものであります。  第二十二条は、国または都道府県の行なう住宅地造成事業一団地住宅経営に関する都市計画事業等については、この法律の適用がないことを規定したものであります。  第二十三条から第二十七条までは、この法律の実効を確保するための必要な罰則を定めております。  附則第一項は、この法律施行の日について規定しております。  附則第二項は、建設省設置法の一部を改正して、住宅造成事業施行に関する事務建設本省所掌事務に加えようとするものであります。  附則第三項は、建築基準法の一部を改正して、この法律に基づいて設置された道路建築基準法上の道路として取り扱うことを定めたものであります。  附則第四項は、宅地造成等規制法の一部を改正して、同法の許可及び工事完了検査は、この法律による認可または工事完了検査があれば不要とし、その調整をはかったものであります。  以上をもちまして、この法律案逐条説明を終わります。
  7. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記をとめて   〔速記中止
  8. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記を起こして。  本件に対し質疑のある方は、順次御発言を願います。
  9. 田中一

    田中一君 これは、まあ大臣に全体を聞いて、あとは手続の問題だからいいと思うのですが、農林省との間には、何というか、必ずしも農地というか、都市計画指定地内に存在する農地に対しての配慮をしなければならぬということの了解は実際はどうなんですか。
  10. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 農林省は現在農地法運用につきまして一定基準を設けて、許可をすべきものと許可を押えるものとを区別して運用しておりますが、その中におきまして、特にこの法律によって認可を受けた住宅地造成事業につきましては、従来の原則として許可をしないという方針を、許可するように持っていこうということで話を進めております。具体的にどういう許可基準を明確にするかは、特に農林省と折衝いたしておりまして、文章としてはまだまとまっておりませんけれども、前向きの形で善処したい、こういうことでございますので、近くその成案を得て、関係都道府県知事なり、あるいは農林本省基準として取り入れるようにしてもらうつもりで折衝しております。
  11. 田中一

    田中一君 たとえ農地であっても、都市計画法の網がかかれば当然これは都市計画区域内にあるものということになって、農地としての存在理由というものは薄れてくるように扱われてきたのがいままでだと思うのですよ。たとえば食糧問題が大きく政治的に扱われた場合には、わりに強い抵抗があったけれども、ただ、都市計画区域に指定すると、それは全部都市計画区域内の市街地区域になるのだから、農地という性格はもう最初に消えてしまうのだというように、われわれは理解しようとしているのですが、法律の中に、明らかに、「配慮する」と、「配慮」なんということばは、これは法律語じゃないですよ。この「配慮する」ということばは、どういうぐあいにわれわれは理解したらいいか、ひとつ説明してほしいな。ほかの例文もあれば、例文も見せていただきたい。
  12. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 先ほど申し上げましたように、現在、農地法運用におきましては、転用許可が要らない場合を法律に明定しておる場合と、それと、許可を要しますけれども、いま御質問ございましたように、やはり法律に「配慮する」というような文句を入れまして、それによって、特別の支障のない限り許可をしていくという運用をしておる例がございます。そのほかに、許可基準におきまして、たとえば、都市区画整理事業であるとか、あるいはガス、水道、下水道の整備地域であるとか、こういうところにつきましては、運用許可をしております。ただいまお尋ねの「配慮」ということばにつきましては、低開発地域工業開発促進法八条及び新産業都市建設促進法の十八条等に例がございまして、これによりまして、農地転用許可を不要とすることはしませんけれども許可をする場合には、農地法上の観点から、もちろん審査するでしょうけれども、その宅地として、工業用地なり、あるいは住宅用地としての必要性から考えて、許可をするべく、前向きで考えるという意味文章が入りまして、それによって、従来、簡単にとれなかった許可が、できやすくなるというような法の運用をしておるわけでございます。
  13. 田中一

    田中一君 そういう「配慮」というようなことば法律の中に出てきたということになると、ちょっとおかしいのですがね。それは、行政権の中のワク内であなた方が動くものであって、権限ということが明らかになっておるのですよ。「配慮」ということばは、非常に弾力性があるのです。そういうことば法律用語として持ってくるという、そうしなければならぬということは——、何ですって、前にあった何の法律だって……。
  14. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 低開発地域工業開発促進法の八条でございます。それと、新産業都市建設促進法の十八条、それだけでございます。
  15. 田中一

    田中一君 これは何もしないということなんだ。低開発地域新産都市も、何もしないということを表明しているのだね。何にもしないということなんですよ。何にもできないことなんだ。そうすると、これは、前田君は法律屋だから、この二つ法律がつい最近でき上がったわけですけれども、これ以前にはそういうような法律語はありましたか。
  16. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 法律の中で「配慮」という文章を使った例につきましては、明確な記憶はございませんけれども、私の記憶ではやはりこの二つが最近出ております。
  17. 田中一

    田中一君 それぞれ、いまの法律は、御承知のように、これから審議して成立するわけですけれども、低開発地域新産都市ね、私はこの二つのそうした「配慮」ということを規定している問題については、どういう受け取り方をしているか、法律ができたのですから、これひとつ聞いてみたいのだがね。これは前田君に聞いてどうかと思うけれども、新産都市と低開発、これは政府提案でしたか、議員提案でしたか。
  18. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 政府提案でございます。  もう一例でございまして、産炭地域振興法にも同様の趣旨の規定がございます。
  19. 田中一

    田中一君 これは議員提案ですか、政府提案ですか。その成立したのは……。
  20. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 産炭地域振興臨時措置法は、昭和三十六年の十一月に公布されております。政府提案でございます。
  21. 田中一

    田中一君 ほかは……。
  22. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 新産業都市建設促進法は、昭和三十七年の五月に成立いたしております。低開発地域促進法は、三十六年の十一月に成立いたしております。
  23. 田中一

    田中一君 こういうどれもこれもこの法律は「配慮」というあいまいなことば規定したほうがいい事業ばかりにあるけれども、これはまああとにしましょう。この問題はあとに譲ります。  農地法規定というものと、都市計画法の網というものはどちらが優先するのですか。私たちの理解では、都市計画法、いわゆる市街地として指定されれば、この農地はむろん農地としての効果を失って、市街地としての立場に立つのだ、いわゆる市街地法の中の農地ということになるのか、その点はどういうことになるのですか。どういうように働くのですか、法律効果は。
  24. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 都市計画ということばは非常に広い意味がございますが、地域が広いとされておりましても、この中において、あるいは農地がありますし、あるいはそれ以外の宅地もございます。で、農地法規定は現在農地であれば、それがどこにあった場合でも、転用については、許可が要るわけでございまして、その際に、先ほど申し上げましたように、法律上たとえば土地収用法にかかる事業であるとか、そういうものにつきましては、これはそれに使うためには許可が不要ということに法律上明確に書いてございます。それ以外のものにつきましては、区画整理であるとか、あるいは市町村役場等公共施設に非常に至近の距離であるとか、あるいは市街地内に介在をしておる農地だとか、いわゆる第三種農地許可をするという方針許可基準にきめております。こういう運用でございます。
  25. 田中一

    田中一君 そうすると、指定されれば、当然いま言った許可されなければならぬという条件を備えておるということだから、当然許可されて地目変更というか、宅地化されるということをいっているのですか。そういうわけですか。そこで、こういうことはどういうぐあいに考えておりますか。これから民間宅地造成事業者が一つの計画をもって申請をする場合、当然農地を中心に考えるほうが仕事の造成費が安くなりますから、それをねらうわけですね。どうしてもねらう。ところが、東京周辺等丘陵地区を見ると、その丘陵丘陵との間に小さなネコの額ほどの農地がはさまっているのが相当ありますね。千葉県等は、そればかりです、丘陵地帯に。そういうものは、何ですか、当然都市計画区域として指定すれば、いまのような解釈で宅地化されるということでいいのですね。民間であろうと何であろうと、都市計画指定地となればいいのですね。公共事業ではどうの、営利事業ではどうの、非営利事業だからどうのというような条件はないわけですね。
  26. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) この法律によりまして、都市計画区域内の土地について、この法律によるところの宅地規制区域が指定されます。その中で、民間宅地造成業者が一応計画定めて、その場合には、もちろん区域をきめますが、認可を受けにまいります。で、認可をした土地については、特に優良な保存すべき農地であるというものを除いては許可をしてもらいたいということで折衝をしておる段階でございます。
  27. 田中一

    田中一君 そこで、この二十条の「当該住宅地造成事業が促進されるよう配慮」しなければならないということばも、当然そうなるのだけれども、立場をおもんぱかって、ごきげんをとって書いてあることになるのかな。どうもぼくは、これにこだわるようだけれども、こういうものでいいのかしらという気がするのです。そうすると、当然今回の法律提案によって、あらゆる宅地造成事業住宅地造成事業というものは、大体において都市計画指定区域の予定地的なものに許可されるというように見ていいのですか。
  28. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 法律の構成上は、こういう民間宅地造成事業規制するには、やはりその前提として、都市計画が決定しておるべきはずであるからということで、都市計画区域だけに限定しております。それ以外の地域につきましては、宅地造成をしてはいけないというふうに禁止をしておりませんので、法律上は、その地域は実は放任の区域になります。しかし、そういう規制を必要とする場合には、当然都市計画区域として含まれていくものでございますので、現在の都市計画においては、一応そうなっておりますけれども、将来の都市発展あるいは人口都市集中傾向というようなことから考えまして、さらに広く全体のマスター・プランをつくった上でこういう問題も起きていくという考えでこういうことを考えておるわけでございます。
  29. 田中一

    田中一君 政令の案はできておりますね。大体、各種政令の案はできておりますね。
  30. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) まだ案には至っておりませんけれども、考え方はまとめてございます。
  31. 田中一

    田中一君 それをこの次までに出してくれぬかな。なるべく早いうちがいいかな……。
  32. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 要旨でございますけれども、この次までに準備いたします。
  33. 田中一

    田中一君 まあ大臣に質問するのと局長に質問するのと同じことになると、こっちも疲れてしまうから、ぼくの分は大臣に質問することにしますが、あなたの答弁にお困りにならぬようにしますから、それは心配しないでください。いろいろまだまだ基本的に、条件として、政令等がないと何とも言えないものがある。で、私どもが求めるのは、いままでの住宅地造成というものが、民間企業において行なわれたもの、それは大資本をもって行なわれたものにしても、公共事業で行なわれたものに比較いたしますと劣っている。それはやはり営利目的としている事業団体でもあるから、どうしてもそうならざるを得ない。価格を大体つり合わせようと思うと、公共事業で行なっている価格が一坪六千円であれば、それに合わせようとするとどうしても無理がある。非常に強い規制をしないと、これはとんでもないことになると思う。だから私はその意味で、住宅地造成に関する法律が出ることはおそかったけれども、しあわせなことであると思う。政令にまかせることがたくさんあるから、政令をもらってよく検討します。委員長、私の質問としてはこれだけにしておきます。次回に譲ります。
  34. 石井桂

    ○石井桂君 この宅地造成事業に関する法律というのは、規制が主か助成が主か、どういう精神で立法されましたか。
  35. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) この法律は、両者の目的を兼ねて果たす形をとっております。一方におきましては、災害防止あるいは環境整備という観点から、認可にひっかけて良好な宅地をつくらせるという意味におきましては、これは自由に民間事業を行なうという面の規制になりますが、あわせてそうして認可を受けた宅地造成事業については、あるいは公共施設管理について地元の市町村において促進する、あるいはまた、技術上、資金上のお世話を国、公共団体がする、あるいはまた、農地転用等につきまして、従来になかった許可方針について、農林省措置をするとかということによりまして促進をするというわけでございます。
  36. 石井桂

    ○石井桂君 助成方面でわずかに顔を出しているのが、ここに国とか地方公共団体の融資か何かの点だろうと思うのですが、それはどんな程度に具体的に御説明ができるのでしょうか。たとえば国が補助するとか、あるいは都道府県、そういうものが融資を手伝うとか、具体的にはどういう程度なんですか。
  37. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 国あるいは公共団体がこの民間宅地造成事業者に直接融資をすることは、本年度においては準備はいたして、おりません。今後この趣旨によりまして財政措置を講ずるように財政当局とも協議をしようと思っておりますが、それ以外に、あるいは民間の金融機関の資金が、この宅地造成業者のほうに振り向けることができるように、特に最近信託銀行の資金がかなりふえておりますので、その一部を宅地造成事業に回すようにということをかねてから話を進めておりますが、信託銀行のほうにおきましても、その趣旨を了としておりますので、もちろん全部の事業者に御希望どおりにはまいりませんと思いますが、一定のワクの資金は、従来になくこの法律の趣旨に従って流れると思うのでありますが、かたがたまた検討いたしまして、国あるいは公共団体が直接融資をする必要等につきましても、できる限り、この宅地事業についても資金上のお世話をしていきたいと考えております。
  38. 石井桂

    ○石井桂君 ことし融資の措置がとれなかったというのは、どういうわけですか。
  39. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 国が宅地造成事業に関する融資といたしましては、住宅金融公庫があげられますが、現在地方公共団体あるいはこれの出資を受けたいわゆる公社、協会等におきましても、非常に活発に仕事をしております。こういうところがやはり資金を多量に必要といたしまして、現在の資金のワクではとうてい民間事業者にも回すだけのゆとりがございませんでしたので、本年度はとりあえず最も緊急に必要とし、しかも、公共的色彩の強いこれらのものに貸し付けをする考えでございまして、来年度以降につきましては、さらに資金を豊富に準備をいたしまして、その際にこういう民間事業者にも資金の貸し付けを考えたいというふうな考えでございます。
  40. 石井桂

    ○石井桂君 たとえば、そういう予算措置があれば非常に住宅地造成事業に関する法律というのは生きてくると思うのですが、どうも受けた感じは、規制区域をつくって、そして排水のこととか、その他をやかましくいうのに堕するんじゃないかというような心配があるんですが、もしそうであれば、予算措置ができるだろう来年度一緒に出したほうがよかったんじゃないかとも考えられる。どうも受けた感じが、助成法よりも規制法に重点を置いているんじゃないかというふうにわれわれは感じ取れるんですが、その点は立案者のほうでいかがですか。
  41. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) ただいま御指摘のように、国みずから民間事業者に対する融資の措置は十分でございません。この点は、御意見に沿いましてさらに努力いたします。しかし、それ以外にも、先ほど申しましたように、農地転用については、考えようによっては、従来になかった根本的な改正でございます。農地転用の問題とかあるいは問題のでき上がった道路あるいは排水施設等公共施設の移管につきまして、従来は放任されておりまして、非常に宅地造成業者も、あるいはその宅地を買った人も困っておったのを、原則として市町村管理に移すというような、非常にこれも抜本的な規定を設けております。これらの点によりまして、資金の面につきましては、多少御指摘のとおり不十分かもしれませんけれども、全体といたしましては、相当な民間宅地造成事業に対する助成的措置が入っておるというふうにわれわれは考えておるわけであります。
  42. 石井桂

    ○石井桂君 私はまだこまかくこれを読んでないものだからわからないんですが、これは海を埋め立てるような場合も適用があるんですか、宅地造成の場合。
  43. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) そういう場合も、もちろんこの一定規模以上の住宅地造成されることであるならば入ります。しかし、その場合には、別途、埋め立てに関する許可手続が要ることは当然でございます。
  44. 石井桂

    ○石井桂君 これを読むと、海に関することがほとんどどこにも出ていないように思うんですよ、そこで質問したんですが、それはどこに書いてありますか。宅地造成事業の対象になるのはどこに書いてございますか。何条に書いてあるわけですか。
  45. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 法律の二条の定義に、「住宅地造成」とか、あるいは「住宅地造成事業」ということばを入れまして、広く入るようになっております。特に、海とか水に関する事項は入っておりませんけれども、当然この中に含まれるものと解釈いたしております。
  46. 石井桂

    ○石井桂君 この住宅地造成事業に関する法律の適用をする対象は、一条に書いてある「住宅用地需要の著しい都市及びその周辺地域において」と書いてありますね、だから、そういうところを考えると、たいがい海に接している土地ばかりだと思うのですよ。だから、必然的に宅地造成しようとすれば、広いところは、家も建っていないような広い遊休の土地というのはあまり少ない。結局海を埋め立てるという方向の仕事がふえてくると思う。そうすると、何かそういうものに対してよけいはっきりこう規定があるべきだと思うのです。この第二条を見ると、「住宅建設の用に供する目的一団土地について行なう」という、水が上にかぶっておるような土地、そういうところは土地じゃなくて、海とか川とかというので、やっぱり広く土地とはいうのかな。その辺どうですか。
  47. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 海を干しましても、でき上がるものにつきましては、土地でありますし、そういう場合も土地という法律上の用語で把握をして、現状が池であり、川であり、あるいは海であっても、この事業を対象といたしまして必要な排水施設あるいは道路施設をつくるということは必要であり、当然解釈上入るものと考えております。
  48. 石井桂

    ○石井桂君 どうもこの「一団土地について行なう土地区画形質変更をいう。」などと第一項に書いてありますね。第二項に「住宅地造成事業」とは、政令定め規模以上の一団土地について行なう住宅地造成に関する事業をいう。」というふうに書いてあって、まあ対象となるところは、大体はこどろが表に出ておるところのように一般的には考えると思うのですよ。船を出して魚をつっているところは、一団土地とは言わないのじゃないですかね。だから、そういうものを海までも含めるとなれば、やっぱりどこか何かこうそれらのことが想像できるようなことが書いてあるべきだと思うのですが、差しつかえないものでしょうかね。
  49. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 埋め立てをします場合には、埋め立ての認可の要ることは当然でありまして、公営住宅地域の面を見た場合に、海ということば、あるいはそれを指示するようなことばが、明確になっておりませんけれども、私の感じといたしましては、住宅地造成事業であり、その場所が現状で海であろうが山であろうが、農地であろうが、その他の場所であろうが、それは別に関係ないというふうに解釈いたしまして、御指摘のような場合には当然一方において、また、埋め立て免許につきましては、埋立て法による免許手続を要し、それを住宅地として事業をする場合におきましては、この規定によりまして、手続を経て適正な住宅地にしていただくということが必要であろうと思います。
  50. 石井桂

    ○石井桂君 何か土地造成事業をやる方が、もうこんなめんどうな手続をすればまことにめんどうだからいやだというので、せいぜい道をつけるくらいで、一団土地に家を建てていくという場合には、やっぱり規制をされますか。
  51. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 一定規模住宅地造成する場合には、規制の対象になります。
  52. 石井桂

    ○石井桂君 そうすると、もう一ぺん聞かしてください。造成というのはどういうことなんですか。たとえば市外に小高い山がある、そこへ家をぽつぽつ建てたいという場合に、あまりだらしなく建てちゃ困るから、少なくともなわ張りぐらいして、そうして甲、乙、丙、丁がうまく並ぶようにやっていく、地形はそんなにいじらないというのも造成でしようかね。造成ということばが非常に通俗的に使われているけれども、実際はどういうことが造成ですか。
  53. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 二条にも一項に書いてございますが、「土地区画形質変更」といっておりますが、ある程度の物理的な形を変えるという操作を行ないまして区画を変える、あるいは形質——高い所を削り、低い所を埋めるというふうなこと、それから区画割りをするというような行為が入ります。ただ現在ある場所を権利の調整だけで登記薄面で区画割りをするということは、造成に入らないと思いますけれども、ある程度の工事を含んで、それによって住宅地にするように敷地割りをし、必要な排水施設等を設ける場合には、造成というふうに解釈すべきだと思います。
  54. 石井桂

    ○石井桂君 この規定によると、政令定める大きさ以上のものを規制するというふうになっておりますが、政令定め一定規模以上の大きさというのは、団地というものはどのくらいの大きさのものを想像なすっておりますか。
  55. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 現在のところ、原則として三千坪を規制の最低基準にしようと思っておりますが、しかし、地区によりましては、さらにもう少し小さい造成事業におきましても規制をする必要が考えられますので、地域によっては、これをさらに低くきめることができるような政令をつくろうと思っております。
  56. 石井桂

    ○石井桂君 それじゃ、最後ですけれども、大体その規制をするときに条件となるような、たとえば排水がなければいけないとか、あるいは給水施設がなければいけないとか、あるいはがけくずれをとめる擁壁がなければいけない、あるいは道路を舗装しなければいけない、そういうこまかい基準というものはどこに規定がございますか。
  57. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 法律の五条に、事業計画基準を二項以下に書いてございます。さらに、これにつきましての詳細な点については、建設省令で、省令によりまして技術的な事項の追加す。規定をしていく予定にしておりま
  58. 石井桂

    ○石井桂君 私はいまの御説明で大体わかりましたが、住宅地造成事業に関するいま提案されている法律案は、前田さんの御説明では、助成のウェートが非常に多いということを言われたのですが、どうも私の受ける感じでは、規制のほうが非常に多く感じられるわけです。ですから、あってもなくてもいいような法律でないように、法律が出たら効果を発揮して、国民が非常にいい法律だと思われるようなひとつ行政の進め方をしていっていただきたいと思うのです。法律を読んで、主観的な考えですが、非常に規制の点が強いように感じられる。ですから、もっと国や都道府県のほうに助成させるような点にウェートを置いてやっていくように指導されたい、こう思うのですが、お考えどうですか。
  59. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 法律でございますので、規制面が表面に出てきますが、助成措置につきましては、これは行政措置によりましてやるべき事項が相当多いのでございます。また、現状におきましては、御指摘のとおり、十分とは申しませんけれども、ここに掲げました技術的事項あるいは資金的事項その他につきましても、御意見に基づきまして、さらに積極的な施策を講ずるつもりであります。なおしかし、今回の法案にありますように、あるいは農地法の問題とか、あるいは公共施設の問題という長年にわたりまして、民間宅地造成事業者等の問題といたしておった問題が今回解決できましたので、この面から考えましてもかなりの放果があるように考えております。特に資金の面につきましては、今後財政措置を講ずる点が多うございますので、十分御意見に従いまして努力するつもりでございます。
  60. 石井桂

    ○石井桂君 きょうはこのくらいでやめます。
  61. 北村暢

    委員長北村暢君) 別に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十六分散会    ————・————