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1964-08-11 第46回国会 参議院 建設委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年八月十一日(火曜日)    午後一時四十四分開会     —————————————   委員異動 八月一日   辞任      補欠選任    高橋進太郎君  田中 清一君 八月十日   辞任      補欠選任    田中 清一君  沢田 一精君    岩沢 忠恭君  米田 正文君     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     安田 敏雄君    理事            石井  桂君            稲浦 鹿藏君            瀬谷 英行君    委員            熊谷太三郎君            小山邦太郎君            沢田 一精君            米田 正文君            小柳  勇君            田中  一君            武内 五郎君            田上 松衞君            村上 義一君   国務大臣    建 設 大 臣 小山 長規君   事務局側    常任委員会専門    員       中島  博君   説明員    内閣官房長官 齋藤 邦吉君    警察庁刑事局長 日原 正雄君    大蔵省国有財産    局長      江守堅太郎君    文化財保護委員    会事務局長   宮地  茂君    建設大臣官房長 前田 光嘉君    建設省都市局長 鶴海良一郎君    建設省住宅局長 尚   明君    建設省営繕局長 小場 晴夫君    建設省営繕局管    理課長     野崎 清敏君    自治省選挙局長 長野 士郎君   参考人    首都高速道路公    団理事長    神崎 丈二君    首都高速道路公    団理事     川村 満雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する  調査  (建設行政基本施策に関する件)  (首都高速道路建設状況に関する件)  (国立劇場建設用地に関する件)  (多摩川河川敷住宅団地建設計画  に関する件)     —————————————
  2. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る八月一日、高橋進太郎君が辞任せられ、その補欠として田中清一君が選任せられました。  また昨十日、田中清一君、岩沢忠恭君が辞任せられ、沢田一精君及び米田正文君がそれぞれ選任せられました。     —————————————
  3. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) まず、理事辞任についておはかりいたします。  増原恵吉君から理事辞任したい旨の申し出がございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 次に、建設事業並びに建設計画に関する調査を議題といたします。  小山建設大臣から、建設行政基本施策に関して発言を求められておりますので、この際これを許します。
  6. 小山長規

    国務大臣小山長規君) 私、池田第三次内閣の改造に際し、建設大臣就任いたしました小山長規でございます。本日当委員会におきまして、就任にあたっての建設行政に関する抱負一端を述べさせていただき、建設行政基本政策についての所信表明といたすとともにごあいさつにかえさせていただきたいと存じます。  まず最初に、先日発生いたしました当省の前官房長不祥事件に関しまして深く遺憾の意を表するものであります。綱紀粛正につきましては、就任当初から部下職員に対し注意を喚起してきたところでありますが、このような事件の発生を見ましたことはまことに心外でございまして、かかる事例の今後絶対生じないよう、職員全員国民奉仕者たる自覚に徹し、職務規律を順守することを指示するとともに、特に監督的立場にある者は率先範を示して職場の気風を清新にし、道義の高揚に努むべき旨を命じた次第でございます。  次に、建設行政全般について申し上げます。  御承知のとおり、わが国経済は開放的な経済体制に移りつつありまして、産業構造人口構成が著しい変貌を遂げつつあります。このような情勢下、立ちおくれた社会資本充実が緊急を要し、公共投資がなお一段と拡充を要することは論をまたないところでありますが、建設行政はいまや単にかかる経済成長隘路打開にとどまらず、国土を改造し、国土を豊かにしてゆく前向きの積極的施策が必要となってまいりました。  このための公共施設整備基本方針といたしましては、さきに河野前建設大臣が、今後ほぼ二十年間にわたり、建設行政の指針となる国土建設基本構想を設定され、これに基づいて長期的な見通しのもとに各種の長期計画策定をはかられ、施策の強力な実施に当たられました。基本的には私もこの方針を踏襲して各般の施策推進していきたいと考えます。  明年度におきましては、特に立ちおくれている住宅建設に最重点を置き、「一世帯一住宅」を目ざして、住宅及び宅地について量・質ともに飛躍的な充実をはかるとともに、道路河川下水道等整備重点を指向したいと考えますが、特に取り上げて推進をはかりたい施策について、以下概要を申し上げます。  第一に、住宅につきましては、中堅階層勤労者持ち家住宅を容易に入手し得る抜本的な施策を講じたいと考えております。そのためには、これらの階層が所得に応じた負担で文化的な生活を享受し得る規模住宅取得できるよう、職域または地域ごと住宅協同組合を設け、建設資金の一部を積み立てさせるとともに、住宅金融公庫からこれら組合に対し低利、長期の融資を行なう制度検討いたしております。  次に、住宅建設及び住宅造成促進するためには、公的資金の投入の拡大とともに、広に民間資金を活用する必要がございますので、そのため一般大衆投資者資金住宅建設及び宅地供給に振り向けるための方策として、不動産投資信託制度等の創設を検討いたしております。その制度推進にあたっては、地価の不当な値上がりの防止、健全な市街地形成助長等の見地から適切な指導を行なうことといたしたいと存じます。  第二に、宅地対策につきましては、人口産業の急激な都市集中に起因する地価高騰と無秩序な市街地形成宅地取得と健全な市街地建設の隘路となっている現状にかんがみ、新市街地開発を目的とする宅地開発事業を強力に推進するため、事業実施機構等整備を行なう方針であります。  第三に、道路につきましては、すでに閣議で了解を見ました総投資規模四兆一千億円のワクを基礎としてすみやかに新道路整備五カ年計画策定いたしたいと存じますが、同計画の第二年度にあたります明年度におきましては、高速自動車国道建設促進道路法改正に伴う国道直轄管理の強化、国道及び地方道整備特に舗装事業促進につとめたいと考えております。特に高速自動車国道については、東名高速道路等建設を引き続き促進するとともに、前国会において予定路線の御決定を見ました国土開発縦貫自動車道については、特に緊急を要する区間について建設に着手したいと考えております。また、用地費高騰に対処し、計画的に事業実施するためには、道路用地先行取得をはかる必要がありますので、このための制度的措置検討いたしたいと考えております。  第四に、河川につきましては、新河川法の施行に伴い、水系を一貫した基本計画に基づき治水事業計画的に推進するとともに、水資源開発利用を積極的に推進するため、現行の治水事業十カ年計画の後期五カ年計画にかえ、新たに昭和四十年度を初年度とする治水事業五カ年計画策定いたしたいと考えます。  最後に、下水道につきましては、特にその立ちおくれが目立っておりますが、生活環境整備緊急措置法に基づき、下水道整備五カ年計画を確立し、その強力な整備をはかる所存であります。同計画策定にあたりましては、二十年後に市街地の全域に下水道を普及することを目標とし、河川等水質汚濁のはなはだしい地域地盤沈下地帯その他の排水不良地域し尿処理不良地域等について大幅に改善するとともに、新市街地における先行的整備をはかりたいと存じます。  以上抱負一端を述べさせていただきましたが、これら施策推進するため、当委員会の絶大なる御協力と御支援をお願いする次第でございます。
  7. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) ただいまの建設大臣所信表明に対し、御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  8. 小柳勇

    小柳勇君 ただいま大臣から施政方針について承りましたが、建設行政全般につきましては、当委員会で今後また具体的にいろいろ検討してまいりたいと思います。この冒頭に述べておられる「先日発生いたしました当省の前官房長不祥事件云々ということでございますが、この事件につきまして具体的にはまだ司直の手にあるようでありますから、私どもも具体的な、十分な調査はできておりません。したがって、具体的な問題につきましては後日あらためて質問いたしたいと存じます。  全般的にいま大臣が触れられました部下職員綱紀粛正の問題、今後の建設行政に対してどのような決意を持っていかれるか、このことをあらためて私はお聞きしておきたいのであります。それは、単に建設委員個人としてということよりも、先般この事件が発生いたしました直後、日本社会党中央執行委員会が開かれまして、国民が非常に関心を持っておるこの問題について適当な機会に党を代表して質問すべきであるという結論が出ました。きょうのこの委員会が適当な機会であるかどうかについては問題でありまして、大臣就任早々でありますし、また、若干部内の異動もあったようでありますから、機会が適当であるかどうかについては問題でありますが、私は、いい機会でありますから、そういう意味で質問をいたします。したがいまして、まず大臣所信をお聞きいたしまして、あと一、二簡単に質問をいたしたいと思いますので、重ねて今後の建設行政、特に業者などとの関連が非常に深い建設省関係職員綱紀粛正の問題に対して、どういう決意で当たられるか、お聞きいたします。
  9. 小山長規

    国務大臣小山長規君) お答え申し上げます。  私は建設大臣を拝命しましたときから綱紀粛正について特に強調したものでございますが、元来各省綱紀は厳正であるのは当然のことであると考えております。したがって、私も拝命しました以上、みずからの姿勢を正す、これが第一点であります。  次には、職員に対しましては、まず公正でなきゃならぬということを言っております。また、親切でなきゃならぬということを言っておるわけでありますが、具体的には、その私情を差しはさむような余地のないような行政をやりたい。建設省としましては、民間その他との間に交渉なりいろいろなことがあるわけでありますから、その間に、一例を申し上げますと、たとえば入札指名などというものについては、委員会などつくりまして、そして厳正な基準のもとにやれるようなそういうふうなひとつ機構もつくり、また、現にそれは実施いたしておりますが、そのほか、まだ就任早々でよくわかりませんけれども、ともかく目標はまず公正でなきゃならぬ。すべての行政は公正でなきゃならぬ。同時に、国民に対して親切でなきゃならぬ。そして、いやしくもとかくの批判を受けるような行為は厳に慎むべきである、こういうことで、私自身も姿勢を正しますとともに、職員一同に対してこれにならうようしばしば通達も出しておるわけであります。
  10. 小柳勇

    小柳勇君 この問題に大きく二つの問題がひそんでおるようです。一つは、建設行政自体の問題でありますが、請負方式変更、たとえば橋梁の製作で、かって橋梁仕事は鉄鋼と土建と分かれてやっておったけれども、これが最近一つになった。したがって、その方式変更について業者が工作をやったということが新聞でうわさされておる。これはひとつ内部の問題、行政上の問題、もう一つ——これは私は、きょう質問するいま申し上げた問題は、建設行政の根本的な問題でありますから、心配の議員もありますから、これは深く検討しなきゃならぬ問題ですから本日は割愛していきますが、第二の問題は、建設省の官吏は好まないが、政治家圧力あるいは政党圧力、そういうものによってやむを得ずやらなきゃならぬというような事態、この問題がこの汚職——今回の摘発された者の一番大きな原因ではないかと思う。このことは建設大臣の力だけではいかんともしがたいのではないかという点もあります。したがって私は、今回不幸にも摘発された、あるいは逮捕されておられる人については同情しながらこの質問をするわけでありますが、政党あるいは政派圧力によって、衆参両院議員あるいは首長に出られる、そういう場合には選挙に金がかかるので、関連企業関連産業関連業者にその資金を求めるというようなことが、今回のこの不祥事の一番大きな原因ではないかと思うが、この点について、大臣はどういう御決意で今後仕事をやっていかれるか、まずその点をお聞きいたします。
  11. 小山長規

    国務大臣小山長規君) いやしくも仕事関連してそういうような金銭的な問題が起こる、これは厳に禁止していきます。
  12. 小柳勇

    小柳勇君 調査してみますというと、建設省関係のいわゆる高級公務員衆参両院議員並びに県知事に立候補された数が十三名—最近の統計ですね、非常に多いわけです。もちろんほかの省にもあります。高級公務員立候補の問題については、昭和二十七年以来、選挙制度調査会でも種々論議されております。また、近い将来そういうことが起こりかねない。そういう場合に、公務員といえども給料はちゃんと限界があります、生活でいっぱいでしょう。高級公務員といえども、いまの家庭の生活は決して楽ではない。それに選挙資金をどうして仰ぐかということは、政党はもちろん考えるでありましょうが、各省が特に各省のトップ・クラスの人で金づくりをしなければならぬ。私ども事情はよくわかります。わかりますが、それが直接の関連企業に財を求めて、そしてその高級公務員衆参両院議員に出るという、そのために、いやでもしなければならぬ。しなければ、自分の職責が怠慢のようにとられるであろう。これは大臣としても相当の決意がないと、その圧力というものははねのけることができないと思うが、あなたの在任期間中にそういうふうな具体的な例が出た場合どうされますか。
  13. 小山長規

    国務大臣小山長規君) 仮定のことでありますからなんでありますが、いずれにいたしましても、権力を利用してそういう選挙資金を集めること、そういうことは絶対にさせません。
  14. 小柳勇

    小柳勇君 まあ方々承りますというと、現職議員にも——そうですね、現職議員にもいろいろつながりがありますから、いろいろの関係のそれらしき運動などがあっておりまするが、新たに出られる方については、特別の配慮がないと当選しないということもよくわかりますね。わかりますけれども、それでは将来業者も困るでしょう。業者も決して喜んでやらないと思う。やはり自分仕事がかわいいからやらなければならぬのでありますから、それは一大臣自分行政だけではなくて、閣僚としての、しかも、あなたの所属する政党の有力なメンバーとして、将来十分留意をしていただきませんと、再びこういう不幸な職員が出られるのではないかと思うわけですが、優秀な——その道にあれば非常に優秀な人である、それがたまたまそういうふうな羽目になったために、運命といいましょうか、その職にあって、やらなければ職務怠慢といわれる、やれば自分の罪責になる、そういう点については、今後ひとつ大臣としては十分に考えてもらわなければなりません。  第一番の内部の問題についても私は発言いたしましたから、今後のそういうふうな請負方式などについて、大臣はどうされるか、一言聞いておきたいと思います。
  15. 小山長規

    国務大臣小山長規君) 具体的な請負方式でございますか。
  16. 小柳勇

    小柳勇君 そうです。
  17. 小山長規

    国務大臣小山長規君) その辺のところは私もまだ十分に承知しておりませんが、事務上の、あるいは工事上のことでやっているのかどうかよくわかりませんが——では、官房長からお答えいたします。
  18. 前田光嘉

    説明員前田光嘉君) ただいまお尋ねになりましたのは橋梁請負方式の点だと存じますが、橋梁上部下部につきまして別個に指名をいたしておりましたが、これを最近いろいろ研究いたしまして、一定の場合には、上部下部につきまして連合して工事を請け負うほうが適当であるということが考えられますので、そういう式の請負方式を一部実施をいたしておりますが、いろいろ研究テーマもございますので、今後この点につきましては、業界の実態及び工事の実際の進捗という面からさらに慎重に検討を加えるべきだと思います。
  19. 小柳勇

    小柳勇君 いまの問題の最後の問題、並びに事件の具体的な問題については、後刻触れます。  建設大臣就任方針に対しましては、以上で質問を終わりますが、その他この事件の問題で他の関係者もお呼びいたしておりますから、委員長において、適当な時期に質問を許していただくことにいたしまして、建設大臣施政方針に対する質問は以上で終わります。  それでは次に、官房長官に一般的に綱紀粛正の問題について——建設省関係については、ただいま大臣から御決意を聞きましたが、高級公務員立候補制限の問題は、昭和二十七年からも再々論議されまして、一昨年の三月に、わが党では代表者を立てて、高級公務員につきましては、少なくとも一年以内の立候補制限の法案を出しましたが、否決されました。今回の事件だけではございません。資料はたくさんございますけれども各省関係選挙違反などが摘発されております。内閣として、選挙法改正など具体的な問題について、こういう不祥事件が再び起こらぬように、どういう御決意で今後政務を担当されるか、お聞きいたします。
  20. 齋藤邦吉

    説明員齋藤邦吉君) 今回の事件はまことに遺憾な事件でございます。こうした事件を契機といたしまして、自今二度とこういう事態が起こらないようにということを考えまして、先般八月四日付をもちまして、内閣官房長官から、各省事務次官あて依命通達を出した次第でございます。各省事務次官依命通達を出しまするとともに、各省庁におかれましては、それぞれの関係職員にその旨を伝えますと同時に、政府関係機関職員等につきましても、この通達の趣旨を十分徹底するように示達いたした次第でございまして、この通達に基づきまして、各省庁におかれましては、それぞれ具体的な措置を講ずることに相なっておる次第でございまして、各省庁において立てまするそうした具体的な措置実施を十分に監視いたしまして、二度とかようなことのないようにいたしたい、かように考えておるような次第でございます。
  21. 小柳勇

    小柳勇君 各省綱紀粛正の問題はお聞きいたしましたが、もう一つは、選挙法改正など、高級公務員の、たとえば一年以内とかある一定期間をおいての立候補制限についての考え方、今後の取り組み、かまえはいかがですか。
  22. 齋藤邦吉

    説明員齋藤邦吉君) 高級公務員立候補制限等の問題につきましては、今日まで種々論議せられてまいりましたことは十分承知をいたしておりますが、憲法上のいろいろな問題等もありまして、十分なる結論を今日まで得なかったように承知いたしておりますが、私どもは、そうした問題につきましても慎重に検討してまいりたいと考えてはおりますけれども、要は、やはりこういうような違法行為、不当なる行為が起こらないということにすることが根本であろう、かように考えておりますので、そういう点に十分力をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  23. 小柳勇

    小柳勇君 自治大臣が見えていないようでありますから、内閣を代表して副長官からひとつお聞きしておきたいのですが、この事件の発端が、東京都政汚職を捜査する段階にあらわれたということを新聞は報じておるわけです。資料はここにたくさんございますが、東京都政に対する汚職など、担当都民としてもまゆをしかめておるような情勢でありますが、都政は都知事がやっておられますが、政府として、国民の中心であるこの東京都民の期待にこたえてアドバイスなり協力なりして、もっと信頼のできる都政をつくり上げるという方向には内閣としてはお考えございませんでしょうか。
  24. 齋藤邦吉

    説明員齋藤邦吉君) ただいま御指摘になりました都民信頼される都政を築き上げていくということにつきましては、政府もそういう方向で進まなければならぬ、そういうふうに考えております。  そこで、今回の官房長官依命通達におきましても、自治省大臣を通しまして、東京都その他の地方公務員についても、自今かようなことのないように厳重注意をしてもらいたいということをお願いすることにいたしておる次第でございます。
  25. 小柳勇

    小柳勇君 自治省選挙関係の担当官見えておるようでありますが、ただいまの質問もっと具体的にしなければなりませんが、こういうものは氷山一角でありましょう。氷山一角でありますが、そういうものを一つの問題として、選挙制度改正などについても相当慎重に、しかも、大胆に対策を考えなければならぬと思うのですが、自治省として、どうでしょうか、何かそういうふうな具体的な検討がございますか。お聞きいたしておきます。
  26. 長野士郎

    説明員長野士郎君) 高級公務員立候補制限につきましては、お話がございましたとおり、選挙制度審議会でもそういう意見がございました。ただ、先ほど官房長官がお答えになりましたように、立候補制限という問題になりますと、いろいろな点があるということで、現在のところでは、公務員地位利用についてきびしい制限を行なうというかっこうで法制化されておるわけであります。今後とも実態等につきましても、なお検討いたす機会を持ちたいと考えておりますが、現在のところはそのような状況になっております。
  27. 小柳勇

    小柳勇君 もう少し具体的にこの事件概要を聞いて、事件についても質問をしてその対策などお聞きしたかったのでありますが、まだ取り調べ中のようでありますし、私どもも少し慎重にこれを調査をした上で次の機会質問をしていきたいと思います。  警察庁刑事局長も見えておるようでありますが、ただいまわれわれが承知いたしております新聞情報程度であるならば、もう答弁を要しませんが、もし何かここで、委員会発言していただいて、私ども委員として今後の対策を立てるべきであると御判断されればお教え願いたい。ただこれは前提として申し上げますが、さっき申し上げましたように、個人としては非常に不幸なポストにつかれて、しかも、政党政派圧力によって動かれたその当事者に対しましては、心から同情を申し上げておるのでありますから、事件追及云々というようなことではなくて、いま問題にしておりますただそのために、国民信頼をなくするような政治であってはならないと、また、それを正していくことがこの委員会の任務であろうと思っておりますし、わが党としても、そういう立場質問しておりますから、重ねて刑事局長がせっかくお見えでございますから、新聞のそれだけならば必要はありませんが、私ども概要なり、あるいは今後の心がまえとして御意見があればお教え願いたい。
  28. 日原正雄

    説明員日原正雄君) この事件は、お話のようにまだ捜査中でございますので、特に私から申し上げることはございません。
  29. 熊谷太三郎

    熊谷太三郎君 私は質問ではございませんが、御答弁はすぐにはいただかなくてもよろしゅうございますが、資料の御提出をお願い申し上げたいと考える次第でございます。  どういう資料かといいますと、現在建設省におかれましても、大体公共工事指名入札という形で行なわれているわけでございます。ところで、この指名者を選考されます考え方でありますとか、あるいは考え方と申しますか、あるいは基準と申しますか、そういう点について、何らかの御方針があるわけでございますので、その指名選考の考え方というようなものをひとつまとめて書いて御提出願いたいと考えております。  そういう考え方にあわせまして実際にどういうような指名を行なってこられたか、過去二年くらいの間のおもな実例をつけ加えていただいて御報告を願いたいと考えるわけでございます。と申しますことは、決してそういう事実を取り上げましてかれこれ批判いたしましたり、そういうたぐいのいわゆるあと向きの議論をするつもりはありません。ただ私の考えておりますことは、今後、第一に発注者であります公共団体の利益を正しく擁護すること、それから第二には、建設業界の正しい意味における育成発展に寄与するために、それから第三におきましては、これはきわめて重要であると存じますが、中央、地方を通じまして、いわゆる政治姿勢がより正しくなる、国民のより深い信頼を得ましてわが国の民主主義政治が一そう発展するようにという三つの観点から、私は、現在の指名入札制度にはいろいろ一そう考えなければならない点があるのではないかと考えているわけでございます。たとえてみますと、アメリカあたりの指名入札におきましては、その工事に適確ないろいろの具体的条件をつくりまして、その条件に適合する業者が必ず入札する、応札する資格ができてくる、それから、その資格さえあれば、その応札を希望するものは全部競争に参加することができるというような状態でございまして、なかなかここで直ちに日本にそのまま移すということにつきましては、具体的にいろいろ困難な事情もあるかと思いますが、しかし、日本も、今後発展してまいりますためには、やはりそういうふうに近い、だんだんそれと似たような方法をとっていかねばならぬのではないかと考えておるわけでございます。幾らか問題が専門的になってまいるかと存じますので、そういう点を関係の皆さんに御理解いただきますために、そういう資料の御提出を願いたい。そしてそれに関して必要な点のいろいろ考え方を参考にしまして、いま申し上げたような方向に進んでいくことができますならば非常にしあわせであると考えておる次第でございます。  重ねて申し上げますが、いま問題になっておるような事件が起きましたが、そういう点とは私の話は別段直接関係があるわけではございませんので、どこまでも前向きに、日本のそういう建設事業に対する行政が漸進的によくなっていくということを目標としましてこういう発言をする次第でございますので、その点も御了承いただきまして、この次の委員会ぐらいまでに、いまお願いしましたような資料を一応ひとつお出しいただきたいと、このように考える次第であります。
  30. 小山長規

    国務大臣小山長規君) よろしゅうございます。
  31. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) ほかに……。
  32. 田中一

    田中一君 ほかにあるけれども、ここで言ったところでしようがない。小山さんに質問しても的確な答弁ができないと思うので、これは次の機会まで待ちます。
  33. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) ほかにございませんね。——それでは建設大臣所信表明に対する御質問はまた後刻に譲りまして、本日、本件につきましては、この程度にしたいと思います。     —————————————
  34. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 次に、首都高速道路建設状況に関する件を議題といたします。  まず、参考人出席要求についておはかりいたしますが、本件の審議に必要と考えますので、首都高速道路公団理事長神崎丈二君、同じく理事川村満雄君の出席を求めることにいたしました。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 御異議ないと認めます。  それではこれより本件について質疑を行ないます。質疑のおありの方は、御発言を願います。
  36. 石井桂

    ○石井桂君 首都高速道路建設状況に関しまして、私は千鳥ケ渕から半蔵門に至る美観保持について質問したいと思います。  首都高速道路工事のうち、一号線と四号線につきましては、先般の開通式に私は出席をいたしまして、短期間にもかかわらず、なかなかりっぱにできましたことについて、御苦労のほどを感謝いたしますが、そのうちで私がどうしても納得できない工事がございます。それは、英国大使館の前でお堀にはさまったいわゆる公園敷地、そこにこれは首都高速道路の付属施設だろうと思いますが、共同便所みたいなものが六個、あれよあれよという間にできてしまった。これを町行く人が見て、非常に日本一といいますか、東京一美しい場所になぜああいうみにくいものをつくるのか、あれは何だろうという質問が私のところへも続々参ります。そこで、これはちょうど建設大臣御新任でございますが、あの工事を一体ごらんになったことがあるかどうか、それからあの工事に対して、あの皇居のまわりの景色にぴったりしたふうにお考えになるかどうか、むしろ逆にああいうものはないほうがいいんじゃないかというものに属するかどうか、こういう御感想があってしかるべきだと思います。そこで、まずせっかくおいでになったから、建設大臣、ごらんになったかどうかということと、所感を聞きたい。続いて道路公団の理事長にお答え願いたい。
  37. 小山長規

    国務大臣小山長規君) ちょうどいま石井先生のお話に出たようなことが、きょう閣議で話が出まして——私も現場を見ておりませんが、閣議で出ました。そうして、それは文化財保護委員会から横やりが入って、どうしてもああいう工事にせざるを得なかったということで、文化財委員会のあり方などというものまで話題になったようなことですが、いずれにしましても、文化財委員会の要求でああいう設計にせざるを得なかった。そこで、一体あとどうするんだろうということでありますが、これはあれを取りこわすわけにいきませんので、美観を損しないようにあそこは何か木を植えて公園的に美化すると、別に目ざわりにならぬようになるじゃないかということを事務当局は言っておりますから、至急そういう手配をいたしたい、こう考えております。
  38. 神崎丈二

    参考人(神崎丈二君) どうも千鳥ケ渕公園の、私どものほうの施設については、大体石井委員の言われるとおり、私も決していいものとは考えておりません。そこで、私がいいものと考えていないああいう施設がついにつくられるに至りました経緯を簡単に申し上げます。  一番初めの四号線の線形は、道の半ばを半蔵堀へ出して、半分をのりの中へ入れる、そういう形で計画いたしたのであります。ところが、御承知のように、半蔵堀並びにのり面は文化財になっております。したがって、文化財保護委員会の御了解を得なければならない。いろいろ申し上げたのでありまするが、ついに御了解が得られなかったのであります。そこで次には、道を全部地下に入れる、のりの中に入れる。しかし、のりの面に大きな換気の窓をあけさしていただけまいかということをお話しいたしたのであります。というのは、いま申し上げたように、のりが文化財に相なっております。しかし、この点もついに御了解が得られなかった。実は御了解が得られなかったと申しますよりも、時間的に逆算して、オリンピックまでのあの道ができる時期までもんだのであります。しかし、ついに御了解が得られなかったということに相なったのであります。それでとうとう地下にもぐらざるを得なかった。そういたしますれば、当然地下道に相なりますると換気の問題が起こってくる。ところがこれは、ごらんになってもすぐおわかりですが、あの近所に膨大な換気所、三宅坂とかあの方面に二、三カ所できておりまするからすでにごらんと思いまするが、一カ所で換気をする換気所というものは相当大きなものに相なるのでございます。ビルディングよりも、というとおかしいですが、ビルディングといっていいぐらいな大きなものになる。そういたしますと、あの千鳥ケ渕近所にはその場所がないのであります。そこで、つまり換気を分散せざるを得なかった。そこで、六カ所に分割してこの換気をいたすことにいたしたのであります。ただ、私のほうで一つ誤算があったといたしますれば、その初めに考えました六つの換気所というものは、大体高さ一メートル半くらいでできるごく背の低いもので、それほど目立たない、これにツタでもからませれば、よほど美観の点では減殺できると確信いたしておったのであります。ところが、実際に換気のファンをつくり上げましたところが、今度はファンの騒音の問題が起こる、相当な音の出ることがわかったのであります。それが約一年ほど前でありまするか、そこで、どうしてもこれを、あの場所は御承知のように英国大使の寝所が約五十メートルでありまするが、それから、それよりも陛下の御寝所、つまり吹上御殿に二百八十メートルくらいなんであります。万々一のことがあっては相すまぬということに相なりまして、騒音を消すために、今日ごらんのような高さがどうしても必要であるということで、ああいう形に相なったわけであります。  そのほか、今後の方針、ちょっといま建設大臣からもお話がありましたが、あそこはどうせ元の公園に戻すのでありまするから、あれはあれなりにつとめて美観を損せざるようにいたしたいと思います。その点については、ちょうど計画のほうの川村理事が参っておりまするから、川村理事からお答えいたしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  39. 石井桂

    ○石井桂君 川村理事のお答えをいただくことも必要ですが、その前に、私はぜひもう一ぺんお答えを願いたいことがあるのですが、大体ああいう換気塔、あれは換気塔でしょう、換気塔というのは公園敷地に必ず置かなければならぬものかどうかということが、まず設計当初問題になったかどうかということなんです。あそこの公園敷地の中であれば、敷地を入手するのに金がかからない一番近いところにあるというので、経済上あそこをねらわれるのはしようがないと思うのですが、しかし、今日見るようなああいう醜いものが、私は醜いという判断なんですが、あれ、一つ一つ取り出して町におつくりになれば醜いものじゃないと思うのです。しかし、あそこの景色のところへああいう形を六つも並べてしまうということは、よほど知恵がない。たとえば一番半蔵門に近い換気塔を、これは貸してもらえるかどうかわからないけれども、東条会館の駐車場の一部を借りて一つ移せば、一つ減るだろうと思います。それから、そういうことにしてあらゆるくふうをして、あそこへ何もああいうものを並べなくてもいいじゃないか、私は計画が未熟だと思うのですよ。それから、あれだけのものが実際必要なのかどうかというのも、あとで資料をいただきたいと思うのですが、私も技術屋ですから、よく調べてみます。それでああいうものをおつくりになるときに、都市美というものをちっとも御関心がないのじゃないか、公団でもそうだろうと思う。  それから建設大臣に申し上げるには非常に気の毒ですがね、建設省だってそういうことは考えていないのじゃないか。十数年前ですけれども、第一生命の前の日比谷のかどのお堀のかどをまるくするという問題が出たとき、十数年前ですけれども、都市計画家や、学界が大騒ぎして、そのまるみをつける、何といいますか、半径を非常に小さくしたことがあるのですよ。ですからお堀のうちで一カ所まるまっているのが日比谷のかどだけなんですが、そういうかね折りになっておるお堀をまるくすることすら、十数年前は大騒ぎをしたものです。ところが、一番景色のいい皇居のまわりで、春夏秋冬非常にいい景色ですよ。二、三日前の毎日新聞の「茶の間」欄に、海野晋吉先生という法曹界の長老の方が投書していましてね。あそこの近所は一番風景のいい所だけれども、その切り抜きを見ると、「ところが、最近高速道路工事のために、この史跡の多い区域がほとんど破壊されてしまうのは名残り惜しいかぎりである。」と結んでおりますけれども、私は、有識者ならば非常に関心を持って、どういうものができるかということ、またつくるならばあんな六つも七つも大きなものを並べて——ほんとうに私は初めは共同便所かと思ったのです、そういうような変なものですよ。これはツタをはやかすとかなんとかいいましても、冬になれば葉がなくなってしまいます。  それからあれは公園敷地ですけれども、公共団体が使うようなときにはどんなものをつくっても許すのか。私は公園の法律があると思うのですよ。だから、あるいは建築基準法があり、その中の都市計画法もあるだろう。あらゆる法規にみんなマッチしたことではないように思うのです。法律関係とか、実際にああいうものがよそでまかなえるようにくふうによってはできるんじゃないか、こういう疑問があるのです。ですから、先ほどの理事さんのお話しの前に、そういうことを考えられたかどうかということを、建設省でなくていいですから、公団の理事長さんにお答えを願いたい。
  40. 神崎丈二

    参考人(神崎丈二君) あの施設があまり見よいものではないという点では、全く私自身も石井さんと同感であることは冒頭にも申し上げたとおりであります。ただいま、石井さんのお話しの中で、経済的理由のために云々ということがございましたが、これは全然ありません。用地がただであるから公園の中につくったということは全然ありません。全く余儀なくあの公園にせざるを得なくなったわけであります。御承知のように、公園の前側は電車通り、それからそのさらに前は英国大使館である、決して公園がただであるからあそこにつくったということはございません。  それからどうしても、先ほども申し上げましたが、大きな換気所を一カ所つくるという場所がなかったということ、そこで、それを六個に分散した。しかも、それが当初はまことに背の低い目立たないものであったのでありまするが、ただ一つ公団として騒音の問題が計算されていなかった。その結果、これが背の高いものになって、醜いものがさらに目立つ結果に相なったことは、まことに遺憾千万なのであります。そういう技術面の点については、ちょうど川村理事が参っておりますから、川村理事から説明させていただきます。
  41. 川村満雄

    参考人(川村満雄君) ただいま理事長からお答え申し上げました技術の点につきまして、私からお答えいたしたいと思います。  換気所は、できましたときは、高さが一メートル五十程度の高さで六カ所つくることにきまって、それで進んでおったのでありますが、実際に換気の現物ができまして、それをモーターで動かしてみますと、騒音が大体百フォン程度工事現場で出てきたわけであります。これはたいへんな騒音だということで、あの地域が、御承知のように夜間、深夜四十五フォンと公安条例できまっております。昼間六十フォンということにきまっておるわけでございまして、公安条例に違反することは公団としてできないことでございますし、特に、英国大使館関係からいいますと、公安条例違反は、英国大使から訴訟が起きたときに、外交交渉で非常に日本政府が困るんじゃないかということから関しまして、騒音防止を至急やらなければいかぬということで、東大の高山教授にお願いしまして、騒音の委員会をつくりまして、そこで、建物をどういうふうにつくって消音をしてやるかという実験を二年間にわたってやっていただきまして、その結論が、ことしの三月の終わりに出たわけでございまして、それで急遽、この仕事が間に合うように早急にやった仕事でございます。現状としましては、一つの換気塔を——電車通りに沿いまして、十一メートル、奥行きが六メートル、高さが六メートル五十九の建物をつくりまして、その中へ消音装置をするという形をとらざるを得なくなりまして、その関係で、東京都の公園のほうへお話し申し上げたときに、やはりいろいろ公園の大家がおられますけれども、その大家も、目で見るよりは音のほうがひどいから、音のほうは公団で十分始末してもらいたい、目で見るほうはわれわれのほうとしてあと始末をするからという御意見が出まして、結局御意見としましては、電車通りの方向面に対しては、ツタを植えていくと、それからあと、裏の三方向につきましては、常緑樹を植えてその形を整えると、それからあとは、御承知のように、桜並木をつくろうじゃないかと、原形復旧しようというわけで、現在では、安行に桜の木を栽培しておるわけですが、この植えかえする時期が問題でございまして、ことしの四月の桜に間に合うように植え直してくれという地元の要望があったわけでございますが、時期が悪くてできませんので、この十一月以降になると桜の植えかえがきくわけでございまして、それと同時に、常緑樹も植えかえることができると思いますので、そういう措置で、周辺をきれいにして始末をしたいと、こういう考えでおります。  簡単でございますが、お答えいたします。
  42. 石井桂

    ○石井桂君 私どもは、図画を見ても大体どういう形になるかということはわかるのですが、いまの騒音のことは公団のほうで始末するから、目で見える醜いほうとか、そういうことは都のほうにまかすとかなんとかいうお話があったのですが、そんなような分担で、仕事の規定か何かでそういうふうになっているのですか、法律か何かで。
  43. 川村満雄

    参考人(川村満雄君) お答え申し上げます。公団のほうで原因を起こしたわけでございますから、全部公団の費用で、原因者負担で、あとを原形復旧し、なおよくしたいと、こういう趣旨でございます。法律も何もございません。原形復旧するのは、公団の役目でございます。
  44. 石井桂

    ○石井桂君 その騒音が問題になるように、委員会を開いたり、大学の先生なんか偉い人を連れてきて研究するなら、同時に、やはり美観のことについても、あれは日本に一つしかないのですよ、皇居というのは。だから、そういうそのまわりをきれいにしようというような熱意がなかったかどうか。
  45. 川村満雄

    参考人(川村満雄君) お答え申し上げます。公団の中に、そういう美観の委員会がございまして、東京都の井下先生とか折下先生とか、そういう公園の大家を委員にお願いしまして、その委員会を開きまして、景観とか、いろいろな点を十分審議して、いろいろ打ち合わせしてやっております。騒音のことも申し上げたらやむを得ないと、こういう先生方のお話で、自分でも善処すると、それでいろいろ先生方の御苦心をわずらわして研究しておるわけでございます。
  46. 石井桂

    ○石井桂君 いまお述べになった名前の方は、私も公園とか緑地の大家であることは知っております。知っておりますが、美観審査委員会のような程度のものだとか、もっとあらゆる業種の建設関係の人でも集めなければ、美観なんていうものはわからぬ。これは木を植えてどういうふうにしたほうが風景がいいとかなんとかいうことは専門ではない。折下先生も井下先生も知っておりますが、それは大家です。しかし、ああいうものを、いいか悪いかということを見る方じゃないと思う。だから、そういう点においても落ち度があることは、私は落ち度があったと思うのですよ。ちっとも研究はできていないといってさえ差しつかえないのじゃないか。それはどういう建設関係の人が入っておりましたか。
  47. 川村満雄

    参考人(川村満雄君) 騒音委員会のことでございますか。
  48. 石井桂

    ○石井桂君 いやそうじゃない。
  49. 川村満雄

    参考人(川村満雄君) 美観のほうでございますか。審美委員会のほうは、橋梁の先生、いわゆる橋の先生……。
  50. 石井桂

    ○石井桂君 ああいうものは橋ですか。
  51. 川村満雄

    参考人(川村満雄君) そういう先生とか、それから応用化学の先生とか——橋梁の塗装の色の関係で応用化学の先生とか、それから公園の先生とか建築の先生、そういった方々が入っております。
  52. 石井桂

    ○石井桂君 建築の先生といったらだれですか。
  53. 川村満雄

    参考人(川村満雄君) おそらく高山先生だと思います。
  54. 石井桂

    ○石井桂君 それではもう一つ、鶴海さんに聞いたほうがいい。この問題を工事が始まる前に、非常に不都合だと思ってとめようと思うと、どういうチャンスが法律的にあったか。もしお答えできたらお答え願いたい。これをとめようと、あまりりっぱなものじゃない、醜いものだと、だからとめようとするならば、法律的にどういう機会があるのか、こういうことを……。
  55. 鶴海良一郎

    説明員鶴海良一郎君) 御承知のように、問題の換気塔が建っております場所は公園でございます。都市公園法の適用を受けております都の公園でございまして、そこへつくります以上は、都の公園の担当の方と協議しなければならぬというふうに都市公園法でなっております。その場合に、都のほうで結果的に建ててよろしいという同意をされたわけでございますけれども、この同意がなければ建てなかったということに相なりますが、同時に、道路も通っていなかったということに相なろうかと思います。
  56. 石井桂

    ○石井桂君 まあ先ほどの公団の理事さんのお話しのように、目的によって、委員の選定ということが非常に重大な結果を招くことがあると思うのですよ。それは先ほど化学の先生だから色がわかるとかなんとかいいますけれども、どうも聞いていて、あれだけ述べられたうちでたった一人、こういうことがわかるかと思う先生がおられると思うのですね、私の判断では。まあ公園の先生とか橋梁の先生とか化学の先生、やっぱりそれは委員の選任のしかたが悪いのじゃないか。どっちにしろ理事長が、理事長も、あんまり思わしくないのだということをおっしゃるし、建設大臣も、閣議で問題が出たと言うのだから、非常にすばらしいからほめてやろうという問題じゃないので、あれは醜いじゃないかという趣旨の問題だと思う。そうすれば、オリンピックにこわしてしまって使えなくすることは、とうていできないと思いますけれどもね。ツタや何かをはやかして、植樹をして、一体あれがうまく、ごまかすといっちゃおかしいですが、隠蔽できるものかどうか。あれが何にもなくて、そのまま英国大使館のほうから皇居をながめる景色がいいと思う人もあると思うんです。また皇居の半蔵門のほうから逆に英国大使館のほうを見るのがいいと言う人もあると思う。ところが、そこに木を植えちゃって全然見えなくしてしまうということがいいかどうかということはずいぶん問題がある。  そこで、もう一つ最後にお聞きしたいのは、ああいうことをなさる場合には、やはり慎重に計画の時期において——これはつくり始めちゃったらだめですから、図面のうちにおいて十分検討していただきたい。これは希望です。  それからもう一つは、オリンピックが終わってからも残るものは永久に残るんですから、その場合にうまい知恵を働かして改造できれば、私は東京じゅうで一番りっぱな所だと思う。だからそういうように改造の意思があるかどうか、これを最後にお聞かせ願いたい。
  57. 神崎丈二

    参考人(神崎丈二君) オリンピック後にあの改造を行なうということは、ただいまのところでは考えのうちにないのでございます。しかし、再三申し上げておりますように、私自身も決して満足していない、全く余儀なくあすこに追い込まれた、しかも、この途中で騒音という点にいささか誤算があったことから、でき上がったものが、私が当初に予定しておったよりもはるかに目立つものになってしまったということは事実なんです。したがって、どうもあの改造がはたしてできるかどうか——私は技術屋ではございませんから、あまり確信を持ったことを申し上げかねるのでございまするが、しかし、気持ちは石井さんのおっしゃるとおり、何かいい方法があれば、オリンピック後に、可能な方法があれば考えてみたいと思います。
  58. 田中一

    田中一君 川村君ね、何か排気が出ても育つ木があるかね、ツタか何か。
  59. 川村満雄

    参考人(川村満雄君) その点で排気に非常に強い木があるかどうかということは、まだ研究が十分でないのでございます。植木のほうもまだ研究しておりませんので、非常に樹種を選ぶのに困っておるような状況でございます。
  60. 田中一

    田中一君 そんな木はないよ。生きているのだからね、木はね。人間だって死んじゃうじゃないか。そこでね、今後首都高速道路公団は、ああした高速道路をつくればいいというのじゃなくて、建築物も相当あるから、その場合には建築家を中心として十分に相談して今後きめていくというように、ひとつ答弁をなさい。そうすればこれ以上追及できないと思います。建築物をつくる場合には建築家を中心とした委員会をつくって、その方々に相談をして方向をきめてまいりたい、こういう答弁をなさい。そういう答弁をしてくれれば、もう次の質問しませんから。
  61. 石井桂

    ○石井桂君 委員長、もう一つ。  これは建設省の鶴海さんでけっこうですがね、こういう事態に対しては、建設省は何にも責任ないのですか。建設省として責任ありませんか。都市が見ている間にうまくなくなってしまった、それを少なくともよくせよという役目は建設省にあっていいと思うんですね。だんだんだんだん変なものになってしまうというようなこと——これは規定に書いてないから責任はないのだといって涼しい顔をして見ておられる立場なのかどうか。やっぱり指導的役割りは持っていらっしゃるだろうと思うんですがね。
  62. 鶴海良一郎

    説明員鶴海良一郎君) 建設省といたしましても、あの吸排気塔が美観上好ましくないものであるという点につきましては、全く同感でございまして、やむを得ずああいうものをつくらざるを得なかったことを遺憾といたしておりますが、しかし、吸排気ということは、事人命に関することでありますので、まあやむを得ざる結果になった次第でございます。先ほどオリンピック後、何らかの改修はできないかというお話がありましたが、それにつきましては、建設省といたしましても十分検討してみたいと思います。
  63. 石井桂

    ○石井桂君 公団のほうも建設省も、将来検討するということを約束しておりますから、田中先生からも非常にいい御忠言もありましたが、ここら辺で私の質問をやめます。
  64. 田中一

    田中一君 答弁しなさい、神崎さん。
  65. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 石井君の確認でよろしゅうございますか。
  66. 神崎丈二

    参考人(神崎丈二君) けっこうです。そのとおりです。
  67. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 他に御発言ございますか。他に御質疑はございませんようでございますから、本件についてはこの程度にいたします。どうも御苦労さまでございました。     —————————————
  68. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 次に、国立劇場建設用地に関する件を議題といたします。  本件について質疑のある方は、順次御発言を願います。
  69. 田中一

    田中一君 出席しているのは、文化財保護委員会の事務局長と、大蔵省国有財産局長、来ておりますか。——国会のすぐそばにあります参議院会館の新築中の横の通りをいま拡張しております。あの拡幅している道路はいまだに完成しませんが、この完成しないという理由は、これは東京都の消防署が最後までがんばっておったために、とうとう道路がいまだにできないのです。それからいま帰りました首都高速道路公団の仕事も、おおむねは官庁施設が用地の立ちのきをしないためにおくれることはたくさんあるわけです。そこで最初に、これは大臣に伺っておくのですが、大臣はいまの所信表明の中で「用地費高騰に対処し、計画的に事業実施するためには、道路用地先行取得をはかる必要があります」ということを言っております。これから建設大臣も何年間か建設行政を行なうわけですが、この考え方が一番正しいのですね。水没のダムにいたしましても、あらゆる面におきましては、用地の先行取得ということは一番大事なことなんです。仕事が進みますと土地も値上がりします。国は全体の土地の値上がりを、計画的に値上がりさしておりますから当然そうなるのです。先行取得をするということの考えは、建設大臣、間違いありませんか。そういう方針で進むことに間違いありませんか。
  70. 小山長規

    国務大臣小山長規君) 特に道路用地について、これは開発に伴って用地が非常に上がるという場合が多いものですから、そこで、開発による利益は国がまず第一に受けるべきであろうということで、前もって買うという制度は、今後ぜひ御協力を得てつくり上げたいと、こう思っております。
  71. 田中一

    田中一君 ところが、過ぐる八日の日に愛知文部大臣が出席して——「朝日新聞」の夕刊を見ますと、演劇人の長い夢が実って国立劇場の起工式を行なったことが書いてあります。この敷地は相当広いものでありまして、この計画は、非常に長い、片山内閣時代からの懸案のものだということを言っておりますが、それだけに期待する国民の気持ちは強かったものと思いますが、あの敷地に、直接今回の国立劇場をつくる敷地内じゃありませんけれども、これに付属して民有地が四、五カ所あるという事実は、おそらくお調べになったと思うのです。営繕局長もそこにおりますから、営繕局長知っていると思うのですが、民有地がいまだに放置をされておるという事実は、当然この仕事は営繕局長が担当して——建設大臣が担当してこの建設を行なっているわけでありますから、その中にそういう民有地がある、それが全然放置されてある。いわゆる私権をじゅうりんして、おそらくこの民有地の上を今回の起工式には歩いたり走ったりしたでしょう。そういうことをしている敷地がある。これは長い間これらの民有地の諸君が、何とか指定解除してくれという要求をしているのにかかわらず、いまだに放置されている。これは官庁営繕法による官庁指定地としてきめる場合には、これは制限を受けるわけであります。あれは現在、建設大臣は官庁施設として指定しておられます。したがって、この制限は受けている。それにかかわらず、起工式を行なってまでいまだにその土地が、民有地がそのまま放置されているという事実は、とうてい許すことができない。これは建設大臣、どうお考えになります。  そこで、宮地茂という事務局長はどの人ですか。
  72. 宮地茂

    説明員(宮地茂君) 私です。
  73. 田中一

    田中一君 あなたですか。あなたは七月の二十九日に、営繕局長あてに、こういう通知を出しておりますね。いま私が説明しました国立劇場の民有地について、  文委無第二十八号、昭和三十九年七月二十九日、建設省営繕局長殿、文化財保護委員会事務局長宮地茂、国立劇場用地の隣接民有地について(通知)、別紙の部分の地域(略図)はかねてより将来の国立劇場用地として希望しているものであります。ただし、現段階においては、予算措置等の関係から当該地域内の民有地に関して官衙地域の指定解除をされることはやむを得ないものと考えますので、念のため申し添えます。 こういう通知が来ているのです。この通知を、これは大臣には言いません、まだ御存じないと思うから。営繕局長はどういう受け取り方をしているのです。土地を使おうという者が、解除してもいいと言っている。また一面、これは将来国立劇場をつくる用地としたいんだという二つの思想がこれに流れているわけです。これはどういう受け取り方をしておりますか。
  74. 小場晴夫

    説明員(小場晴夫君) お答え申し上げます。官公庁施設の指定地におきます民有地の場合におきまして、非常に私権を侵害するということで慎重に扱っております。この部分につきましては、実は今年の一月の告示によりまして、都市計画変更しております。今日国立劇場といたしまして不用であろうという話し合いがついております部分につきましては、解除をいたしております。したがいまして、残りの民有地については、将来とも一団地の官公庁施設の境域の中にあることがふさわしいという判断のもとに、本年一月に都市計画を決定されている、こういう状況でございます。したがいまして、実は文部省からこの公文をちょうだいいたしまして——ほしいんだけれども、解除していただくことについてはやむを得ない、こういう公文に接しまして、非常にわれわれとしては、含みのあると申しますか、二つの反する方向がございますので、また先ほど申し上げましたように、この一月に計画変更しておりますので、これらかみ合わせまして、十分検討いたしたい、こういうぐあいに考えた次第でございます。
  75. 田中一

    田中一君 おかしいじゃないですか。いま建設大臣は、道路用地取得には先行取得をしようということも早急に考えておる。現に、おそらく工事上民有地を荒らしているものと——荒らさざるを得ないと思う、隣接しておりますから。それが起工式を行なって、まだそれをどうしようか、これから考えるということはあり得ないです。
  76. 小場晴夫

    説明員(小場晴夫君) お答え申し上げます。現在工事をやっておりますその工事に荒らされるという事態はございません。ただ隣接しております境域でございますので、民有地であるということから、そこに大きい建物を建てるということが制限される、こういうことだと承知しております。
  77. 田中一

    田中一君 これは大臣に伺います。いまの答弁よくお聞きになったですか。将来この土地は国立劇場の関連施設としてほしいのだ、しかし、解除してよろしいと言うんだから解除しなさい。解除すればいいでしょう。どうあなた営繕局長に指図しますか。問題の発生というものは、国立劇場をつくるところに問題がある。だからこれは官衙建築かどうかしらぬけれども、団地計画になっているかしらぬけれども、この国立劇場というものは。しかし、仕事をするほうの側でもって、解除してよろしいと言うたら解除したらいいです。なぜしないのですか。
  78. 小場晴夫

    説明員(小場晴夫君) 公文に接しましたので、これからいろいろ検討いたしたい、こういうことでございます。それで実は解除ということを待っておりますが、その前に、取得するかどうかという問題があるのです。前段のほうは、取得については希望を表明しておられるのです。先ほど申し上げましたように、そこらのことを整理いたしまして、この一月に境域の変更をいたしております。われわれといたしましては、この一月の時点において、この部分は国立劇場の境域内にあるのがふさわしいということで、都市計画決定がされているものと考えておりまして、まだわずか半年くらいしかたっておりません。  そこで、取得の問題についてちょっと御説明申し上げますと、われわれこの国立劇場の工事をやっておりますのは、予算的には文部省の支出責任を受けてやっております。この部分につきまして、取得するということで文部省で早急におやりいただくことが適当かと考えまして、そういう申し入れをいたしたわけでございますが、それにもかかわらず、こういう回答に接したわけでございます。
  79. 田中一

    田中一君 だからどうするというのですか。営繕局長はおそらくこれに対して的確な答弁はできないです。現在自分は、国立劇場を建てる敷地内にないのだから別に支障もない、何も使いもしない、お返しもしないと答弁しているのです。宮地事務局長はどういう考えを持っておりますか。私はこういう問題はこういうところですべきではないと思っている。しかし、あなたは、国会でおやりになるならおやりなさいという態度ですから、あなたはこういう公文書を出している。この心境には変わりはございませんね。
  80. 宮地茂

    説明員(宮地茂君) ただいま問題になっておる土地でございますが、実は、私が営繕局長あてに出しました通知をお読み上げいただきましたが、ちょっと経緯がございますので、ごく簡単に御説明さしていただきたいと思います。  この国立劇場の区道を差しはさみまして、隣接した約七百坪余りの民有地がございます。その民有地の一部、百二十坪余りを所有しておられます王さんとおっしゃる、中国人の方と思いますが、この方が私のところに七月二十九日においでになられました。その前に、自分建設省のほうに行ったり、文部省の文化財のほうに行ったり、あっちこっち行かなければならぬので困る、窓口を一つにしてもらいたいというようなお話がございました。それから自分の所有している土地は官衙指定地域になっている。したがって、自分の土地だけれども自分で五、六階のビルを建てたいと思っても、これは指定地域で建てられないのだといったようなお話から、結局は、国立劇場の用地としてほしいといっているあなたのほうで、はっきりした態度をとってもらいたいというお話がございました。それで私は、そういう経過がございましたので、営繕局長あてに通知を出して、窓口を統一したつもりでございますが、この王さんが申されますのは、ともかく早急に、その場のお話では、きょうにでもすぐ解決してほしいといったようなお話がございました。それは将来ほしいのだというようなことでは銀行融資等の関係で、その程度ではうまくないのだから、来年度予算要求をするということを証明してもらいたい。それからその場合に、予算要求して落ちてもいいけれども、通ったときは六十万円以上の時価で買うという証明書をほしいというお話でございました。それで私のほうといたしましては、王さんの土地百二十坪だけを買うというわけにまいりません。それで買うのであれば、七百五十坪ばかりのこの民有地全体を予算要求する必要がございますし、その民有地の中に歯医者さんその他民家が三、四軒ございます。これらの方々の移転補償等もあろうかと思います。したがいまして、これらを計算いたしますと約五億近くの金が要る。ところで私のほうは、先ほどおっしゃいました八月八日に起工式をいたしました国立劇場の建築のために、来年度どういうことがあっても三十億の予算を必要といたします。ところで、私のほうの文化財保護委員会の年間予算は、三十三億でございます。それでそういう前提であるのに、国立劇場の建物に三十億も要求しなければいかぬ。それに付属してこういう民有地を買収するのに五億の予算要求もする。もちろんそれだけでいいならまあいいのですが、私のほうの文化財行政をするために、いろいろの予算要求を必要といたしております。しかも、大蔵省に概算要求を出さなければならないまぎわに、来年度予算要求をするということを証明せよと言われましても、私のほうとしては買いたいのだけれども、すぐ来年度要求はできませんということを申しました。そうしたら指定解除してくれというお話がございました。でございますので、私のほうとしてはほしいけれども、予算措置等の関係から、これ以上私のほうでほしいといっておったのでは私権の侵害になりましょうから、ほしいのだけれども予算等の関係で買えそうもないから、指定解除なさるなら、私のほうとしては文句は申しません、やむを得ません、ということを建設省に意思表示したわけでございます。したがいまして、王さんは、これでわかりました。同時に、営繕局長にそのことを電話ででも言ってくれとおっしゃいますので、目の前でこのとおりのことを申しました。それで御当人は、これであとは建設者だけが窓口になるから、文化財としてはけっこうですというようなお話がございました。ただ、いまの経過でございますが、私のほうは予算要求ができないから解除してもやむを得ないと一足飛びに言ったのではございませんで、王さんのお話では、かえ地でもよいのだというお話でございましたのでございますので、大蔵省の国有財産局のほうに、その話も建設省の方に行ってもらって御連絡をいたしました。大蔵省のほうでは、好意を持って検討はしてくださる。しかしながら、具体的にどこの土地をこの王さんの土地とかえ地をするといった具体的な段階は、きょう、あすにはできないということでございます。でございますので、王さんの要望されますように、私のほうは営繕局長あて、こういう通知を出した次第でございます。で、これ以上は一応建設省のほうでお考えいただくのが筋ではないかというふうに考えております。
  81. 田中一

    田中一君 私はそう考えておらないのですよ。王か陳か知らぬけれども、少なくとも自分のほうで大体団地として制限することすら問題があるわけです。制限するなら当然それを使わなければならぬ。それならばお買いなさいということです。買うべきである。予算措置をすべきである。一体国民の私権が国立劇場のために侵されることがあっちゃならないのです。予算を三十億要求するのに、それ以上できないからなんていうことはあり得ません。三十億でも、六十億でも国立劇場をつくるときまったならば、必要なだけの経費を出すのは当然であります。それが、事務局長の権限としてそういうことを憶測されておるかどうか。これはおかしな話です。そんなことはあり得ない。百億のものなら百億出す、五十億のものなら五十億出すのがあたりまえのことです。私が言っておるのは、まだまだ民有地があります、これをどうするかという問題を言っておるのであって、事務局長はなぜこういう文書を出しておるのか、経緯ではない、内容の問題、本質の問題です。あなたはこれを出したということは、どういう意図で出したかということです。いま事務局長が言っておるとおり、ほしい、しかし解除するのもやむを得ませんということは、いたずらに混乱をするものです。あなたはそれでもって正しい判断ができるという考えを持っておりますか。
  82. 宮地茂

    説明員(宮地茂君) この通知は民間の方に出した通知ではございません。役所同士の文書でございます。また、文書だけではなくて、営繕局長とその後口頭でもお話ししております。この意味は、十分建設省のほうでわかっております。これが民間の方でございますれば、これは役人一流の文章で意味がわからないというふうにおとりになるかもしれませんが、私のほうは意味はわかっていただいております。  それからこの通知をどういう意味で出したか。先ほども申しましたように、官衙指定地域ということで私権の制限をしております、しかしながら、いたずらに私権の制限はすべきでないというふうにも考えております。その調整をうまくとるためには、そこの土地を買収するということも調整でございます。しかしながら、買収ということがそう容易に、所有者が要求されるような解決をいま直ちにせよと言われてもそれは無理だ。そうなりますれば、それ以上私権を制限するようなことは、これはすべきでない、そう考えましたので、指定を解除してやるのも、私のほうはやむを得ません、文句は申しませんということを申したわけであります。ですから、私のほうとしましては、将来この土地を——現にいま直ちに来年度予算要求を八月末に大蔵省に出し、概算要求にいま出しますということを言えとおっしゃるのでなければ、将来買いたいのですということは考えとしてはあるわけです。ところが、いますぐ買うか買わないかを返事をせよ、そういう証明をくれとおっしゃるのですから、いたしかたございませんので、それは私のほうはできないのだと、そういうことを申したので、これは官庁同士の文書のやり取りでございますし、ねらいは、これ以上私権を制限すべきでないというふうに判断したからでございます。  それから、つけ加えますが、私独自の考えではございません。文化財保護委員会の委員長とも相談いたしました。文部省のほうの会計課長、次官等とも相談いたしました。
  83. 田中一

    田中一君 これはどう解釈をするの。そうすると、そういう申請があったからそれをごまかすために、責任のがれのために、あなたのほうに問題を移した、こういうことなんですか。営繕局長はそういう受け取り方をしているのですか。予算要求の権限はどっちが持っておるのですか。
  84. 小場晴夫

    説明員(小場晴夫君) お答え申し上げます。予算要求の権限は、もちろん文部省でございます。この部分については、国立劇場以外にこの土地を使うであろうということを全然予想しておりませんし、かねがね自分のところでこれを使いたいのだというような希望のあった部分でございます。したがいまして、予算そのものは、国立劇場については、先ほど申し上げましたように、文部省所管予算でございます。その所要の敷地を国有財産として文部省がおやりになるのが当然だと、こう承知しております。  それから二点目の、こういう文書をちょうだいいたしましてどうかということでございましたが、先ほど申し上げましたように、一応の整理というようなことを一月にわれわれとしてはいたしたわけでございます。それで、半年たちました今日においてこういう申し出がございましたので、慎重に検討いたしたい。私権の制限を当然この区域内、こういう民有地においてやっておるわけでございます。都市計画といたしましてこれが要るのか、あるいはやむを得ないか、この二つの考え方に立ちますことについて、非常にまだすっきりした考え方を持ち得ないわけでございまして、都市計画というものが当然重大な私権制限があるんだという厳粛な意味を持っておるものと承知しておりますが、取り扱いについて十分これから検討いたしたいと思います。
  85. 田中一

    田中一君 その制限の範囲はどの辺までできるんですか。
  86. 小場晴夫

    説明員(小場晴夫君) 私権の制限の範囲につまして、建物につきましては二階以上の建物、それから堅固な建物をつくる場合について制限がある……。
  87. 田中一

    田中一君 があるだけですね。
  88. 小場晴夫

    説明員(小場晴夫君) はい。
  89. 田中一

    田中一君 そうすると、これは一方において文部省は——文部省というか文化財保護委員会としては、これを将来劇場用地に使いたいんだという意思表示は撤回したらどうなんです、こういうことは。単にすっきりと団地を——何団地ですか……。
  90. 小場晴夫

    説明員(小場晴夫君) 一団地の官公庁団地です。
  91. 田中一

    田中一君 これを文部省が使わないといえば、文部省は問題ないわけです。そうすると、あとは指定の問題なんです。上が使わないという判断をして、何というか、通知で解除してもかまいませんというなら、これはすっきりととれるんでしょう、問題はそこなんじゃないですか。
  92. 小場晴夫

    説明員(小場晴夫君) いま先生がおっしゃいました、売らないといったらすぐ解除するかという問題については、売らないという申し出に基づきまして都市計画的な検討をいたしまして審議会にはかり、その手続をとるということに承知いたしております。
  93. 田中一

    田中一君 しかし、これは当然含まれるんだという判断から、この一月に指定したんでしょう。同じ政府の中でどっちをどうとろうというんですか。本来なら指定しないはずなんです、これが必要でないならば。必要ですから指定したんでしょう、そういう判断をしたんでしょう。私はこういうケースの問題はまだ知っているんです、まだあるんです。いま事務局長の言っておるように、買うか、あるいは官庁用地にするならするし、補償要求するならするし、当然早急にこれは解決すべきものです。ことに、いま大臣所信表明では、公共用地というものは先行取得するような方針でいくというならば、当然のことです。同じ閣内において、片一方はぎりぎりまで持っていこう、予算措置はいたしません、こう言っておる。片一方はそういうものは積極的に取得をしていこう、こう言っておる。そうして、いま聞いてみると、文化財保護委員会では窓口を営繕局長のところに移したがごとき答弁をしておりますけれども、これは建設大臣どう思います。そういう考えに対して、国務大臣としてあなたに伺っておる。
  94. 小山長規

    国務大臣小山長規君) いまずいぶんやりとりを伺っておりますけれども、まだ十分のみ込めないんです。
  95. 田中一

    田中一君 私もはっきりのみ込めないんです、こういうやりとりは。これはひとつ直接担当しておる管理課長、これはひとつ詳しい説明がほしいものです、どういうことでこうなったか。
  96. 野崎清敏

    説明員(野崎清敏君) 経緯につきまして御説明申し上げます。  先ほど営繕局長あるいは文化財保護委員会の事務局長から大体の御説明があったわけでございますが、先ほど話にございましたように、東京都市計画の一団地の官公庁施設といたしまして、霞ケ関団地が設定されておるわけでございます。それが都市計画決定に相なっておるわけでございます。その都市計画境域内に民有地があるわけでございます。たまたまいまお話の出ております王さんの持っておられる土地が百二十数坪、国立劇場として予定されております地域内に民有地として存在をいたしておるわけでございます。この土地につきまして、王さんのほうでこれを活用したいというお気持ちのもとに、いろいろこれを売ってほしい、また、必ず来年度予算に要求してほしいということをはっきりしてほしい、それがはっきりした文書を銀行に提出することによっていろいろな金繰りがつくから、これを何とか証明してくれというお話があったわけでございます。  私どもといたしましては、先ほど営繕局長から御説明申し上げておりますように、この国立劇場につきましては、文部省所管予算に相なっておりまして、文部省から支出委任を受けて現在建設を催促しておるわけでございます。したがいまして、この用地の取得につきましても、文部省所管予算として計上されまして、そして、この後に建設省に支出委任されるという筋合いのものに相なっておるわけでございます。したがいまして、この土地に対する予算要求につきましても、建設省から予算要求をすることができませんので、文部省のほうで予算要求をしてもらうように文部省のほうにお話しいただきたいということを王さんに申し上げたわけであります。そういった趣旨で、先ほど事務局長からお話がありましたように、王さんが事務局長のところに行かれたわけであります。その後また王さんが、文化財のほうの文書の写しを持ってこられたわけであります。  その文面を見ますと、先ほどお話がございましたように、前文において、将来国立劇場用地としての使用を希望いたしておりますというようなのが本文に相なっておりまして、ただし、ということを申し添えてあるわけであります。やむを得ないという文言が申し添えてあるわけであります。したがいまして、私どものほうにおきましては、この都市計画を決定いたします際は、国立劇場用地として必要であるという前提に立ちまして都市計画の決定をいたしたわけでございますので、必要であるという前提が変わらない限り、これに対する計画決定の変更はなかなか困難ではなかろうかというふうな感じがいたしておるわけであります。しかしながら、後段のただし書きが出ておりますので、それらの点について今後どう考えていくべきかという点につきましては、われわれといたしましてさらに検討を加えたい、かようには考えておりますが、現段階におきましては、そのままの文書だけではなかなか解決は困難じゃないか。特に、先ほども営繕局長から申し上げましたように、本年一月計画変更いたしたばかりでございます。この一月に変更いたします際も、文部省がやはり必要だという前提で計画決定を残したわけであります。したがって、その前提が何ら変更になっておりません現在におきましては、なかなか計画変更は困難ではなかろうか。しかしながら、もちろん、私たちは事務的にこれを計画変更するとかしないとかいう筋合いのものではございません。都市計画審議会なり官公庁施設審議会なりに御相談申し上げた上で決定することでありますが、そういった手続に付するかどうかということをさらに検討いたしたいということであります。そういったことでございまして、私どもといたしましては、この計画変更はなかなか困難なのではないかというふうに考えておるわけであります。  しかしながら、文部省のほうでどうしてもほしいということになりますれば、これはやはり民有地を買収するなり、また、別のところでもやっておりますが、他の国有地と交換するなり、二つしかないわけであります。したがいまして、まず第一の買収の方法につきましては、文部省のほうで予算要求をするかしないかの腹をきめていただくより方法がないわけであります。私どものほうでは、いかんともしがたいのであります。さらに、交換の問題につきましては、できるだけ私どものほうでも推進をいたしていきたい、かように考えておったわけであります。したがいまして、私どものほうの担当課長と、それから文化財の無形文化課長とともども国有財産局のほうにお願いいたしまして、交換の促進方をお願いしたわけであります。しかしながら、これの換地のいい換地先があるかどうかにつきましては、私どもわかりませんしするので、国有財産局のほうで十分検討していただきまして、できるならばこういった方向にも——買収の方向と交換の方向と、両方相進めつつ解決をしてまいりたい、かように考えて、いろいろ王さんともお話を進めてまいったわけでございます。そういった経過で今日にまいったわけでございます。  できるならば、国立劇場として全くこの計画を放棄してしまうということに相なりますならば、また情勢は変わってくるかと思います。現在の現段階におきまして、国立劇場用地として相変わらず使いたいというふうにお考えいただいております関係上、なかなか私どもとしての解決策が困難であるということが実情であるわけであります。
  97. 田中一

    田中一君 これは宮地君、いまの説明聞いて大体わかってきました。都市計画決定をするには、一応文部省のほうの意向としてこれを使いたいのだ、使うのだというところから、その意思から発動されて指定をしたという説明をしておりますが、それはほんとうでしょうね、宮地さん、そうでしょうね。
  98. 宮地茂

    説明員(宮地茂君) どうもたびたびやりとりしておりますとあれですが、いま管理課長が申されましたような経緯でございます。それから続きを述べさしていただきますと、これは一所有者の問題をこういうところで申し上げますのはいかがかと思いますが……。
  99. 田中一

    田中一君 一所有者の問題じゃない。
  100. 宮地茂

    説明員(宮地茂君) 問題になっております土地は、その所有者が言いますのに、建設省へ行けば、文化財がぐずぐずいうと言うし、文化財へ行けば、建設省が指定をしておるから建設省に行けと言うし、これでは民間人に対してあまりひどいではございませんか、だから窓口をはっきりしてくださいというその最後お話があるわけなんです。それは具体的な問題としましては、証明書ということなんです。しかも、すぐ予算要求をするという証明を書きなさいということなんです。それは私のほうは、先ほどからるる申し上げておりますように、ほしいけれども、来年度すぐ要求するということはなかなかむずかしいのです、そう申しました。そうしたら、御本人は、ともかく窓口を一つにしてもらいたいということで、私は建設省あての通知を書きまして、電話でも、その場でも申し上げ、御本人にもこれを見せたのです。それで、写しをくれとおっしゃいますから、写しを差し上げました。そうしたら、御当人は、これで文化財のほうへは来なくてもよくなりました、わかりましたということでお帰りになられたわけです。  ただ、建設省のほうとしましては、その先ほどの管理課長お話で、私の文書の前段と後段とで意味がわからぬといったようなことをおっしゃいますが、まあ、これは官庁同士のいろいろな点をここで申し上げるのもいかがかと思いますが、官庁同士では、文書だけでなくて、ことばでの話もございますし、私のほうにイエスかノーか、もう何もあと前後のことばを言うな、ただあの土地は要らないと言えということで、ともかく前後の文章抜きであの土地は要らないのだということを言えと言われても、それは無理だと思います。それは御了承いただきたいと思います。なぜならば、金があればほしいのです。しかし、そういうようなことを言って、将来買いたいのだと言っておれば、御当人は困られるわけなんです。私権を侵害することになるわけなんです。ですから、どうぞ建設省で、やむを得ませんから御処理ください、私は文句を申しませんということを言っているわけなんです。それでまだ意味がわからないとおっしゃるのは、私はふに落ちないのです。
  101. 田中一

    田中一君 宮地君は失礼なことを言っているね。これはだれが見ても、どういう真意かということを理解することはできませんよ。いいですか。君が一人でわかっているんでしょう。君が自分で、追及されるのは困るから、建設省に渡せば建設省が適当に扱ってくれるだろうということを考えておるか知らぬけれども、この内容というものは、必要でございます、必要によって建設省のほうでは都市計画の指定をしたのだと言っているのです。必要ならば、いま管理課長が言っているように、これを買うか、あるいは交換かすることの道しかない、こう言っているのです。そうしたものの予算の要求なり何なりをするのは文部省が窓口でございますと営繕局長も言っているし、管理課長も言っているのです。あなたのほうでは、当然しなければならないことを建設省に渡して、窓口は建設省でございますという態度はいけないのです。あなた、おやめなさい、事務局長なんというのは。あなたが自分で、あなたのほうで予算要求をすべき義務があるにかかわらず、そうしたトラブルというものを全部建設省にまかせれば建設省が適当に処理してくれるだろうというようなことは、公務員としての資格はございません。先ほどはっきり建設大臣も言っているでしょう。公正に正しくやるのだと言っている。あなたの場合には、当然予算要求するのはあなたの義務じゃありませんか。予算要求ができませんとか、できるとかいう問題は、あなた自身の問題じゃないのです。省議なり内閣の責任においてきめるべきものなんです。当然これは必要で買わなければならないというなら要求しなさい。そうして大きな政治的判断で国会が承認しない場合には、これが削除されるのは当然です。いま営繕局長、管理課長その他の答弁を聞くと、あなたのと全然違うじゃありませんか。予算要求するのはあなたの義務じゃありませんか。
  102. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) ちょっと待ってください。この問題について大蔵省から国有財産局長の江守さんが来ておるので、多少この点について知っておられる点があるだろうと思いますから、一応論議を進める前に、江守国有財産局長発言を求めて、その上で進めていただきたいと思います。
  103. 田中一

    田中一君 委員長、ちょっと待ってください。これはあなたがもしこの通知を出した意味をすっきりとして、そうして議論するなら議論し、あなたが答弁するなら受け取ってよろしい。しかし、あなたの場合には、営繕局長が言ったとおり、用地の取得その他については、文部省が予算要求をするのは義務だと言っている。それを営繕局長のところへ回した。ところが、営繕局長は、何もできません、何も方法はございませんと答弁している。その道としては、野崎君が言うには、二つの道がある。買い取りか、あるいは交換という道があると言っておられる。あなたの場合には、私の言っているのはあなたの文書です、この通知をどういう意図で出したか、ほしいけれども解除してよろしい、解除してよろしいということは、もう用地として使わないということです。そうでなければ解除はできませんと言っている。現にそう言っているじゃないですか、できませんと。あなたは、自分の窓口を建設省に移したからいいという考えでいるのですか。
  104. 宮地茂

    説明員(宮地茂君) 先ほど管理課長が申されましたように、この問題の解決は土地の買収か、あるいはかえ地か、そのいずれか、第三番目としましては指定解除、その三つの方法があろうかと思います。そういう気持ちで、私のほうは買収するか、かえ地をするかという気持ちはあるわけです。しかしながら、いますぐそれをはっきりと証明をしてくれというお話でございますので、これ以上私のほうで、将来買いたいとか、あるいは、かえ地も大蔵省にお願いをして検討はしていただいていますが、いますぐ候補地があって所有者に納得のいくようなかえ地の折衝ができる段階でないわけなんです。そうしますれば、予算要求するのは、おっしゃいますように、私のほうでございます。かえ地のほうは、これは大蔵省に考えていただくことですが、予算要求はおっしゃるように、私のほうの責任でございます、要求することは。しかしながら、要求するかしないか、指定地域はいま、ことし直ちに要求をしなければならないという義務はないと思うのです。それはベターではございましょう。しかしながら、いろいろな事情があって、ことしすぐ要求することは、私のほうではいろいろな事情がございましてできませんということを先ほどから申しておるわけです。そういう前提でいま、すぐどちらかにはっきりしてくれとおっしゃる、そういうことばがなければ、こういう通知も営繕局長には出していないのです。御当人は自分に証明書をくれとおっしゃいますから、あなたに差し上げる証明書というのはちょっと出しにくいから、一応建設省のほうにこういうように出しましょう、ということを言ったわけです。ですから、いま先生のおっしゃいます、予算を要求する責任なり義務は文化財にあるのに、こういう一片の通知でおまえは建設省に責任転嫁しようとしておるのかという御質問は、ちょっと私は、私のほうのいま置かれておる所有者との関係において証明書を出せと言われるその前提においては、そこまでおっしゃるのは御理解が足りないのではないかというふうに考えます。ですから、一般論といたしましては、かえ地も努力したいし、予算要求もしたいという気持ちはあるわけです。しかし、いますぐ返事をせよ、どっちかをはっきりせよと言われたんでは、こういうふうに言う以外に手はないと、そう考えたわけでございます。ですから、そのこと自身に対してのいろいろの私のとった態度を責められるのであれば、いろいろ問題もございましょうが、この通知だけを客観的にごらんになって、いろいろおっしゃいますと、いろいろいま申しましたように特殊なケースがあり、いますぐ証明書を発行せよという前提がございますので、一般論とこの具体的な問題とでは考え方が違ってくるのじゃないかと思います。ですから、私のほうは、これでは意味がわからないとおっしゃる、まあ、その後も言われました。ですが、口頭では十分に私の意も伝え、建設省のほうでも大体おわかりいただけておると思います。この通知だけの段階と、それからの折衝もございますことをつけ加えさせていただきます。
  105. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) ちょっと議事進行上、この際、江守国有財産局長来ておりますから、本件について御発言を求めておりますし、御発言をお願いいたします。
  106. 江守堅太郎

    説明員江守堅太郎君) いま私も横でいろいろお話を承っておりまして、一つ根本的に誤解の種になります点があると思いましたのは、国立劇場が必要だということの意味でございます。国立劇場として必要だという意味は、国立劇場の敷地として必要なのか、あるいは敷地としては必要でないけれどもそのまわりには非常に大きな建物なんか建ったりしては困る、そういう意味で必要だという意味なのかという点でございます。その点は全然きまっておりません。文化財保護委員会のほうでは、あすこに何か建てたいというお気持ちがありますれば、これはお建てになる予算要求をなさるわけでございます。先ほどいろいろお話もありましたように、とうてい現在まだ予算要求をする段階でない。したがって、あすこに現実に国立劇場の建物を建てるか建てないかということは、全然きまっていないのでございます。あすこに国立劇場の建物を建てるということになりましたならば、民有地は買収しなければ建てられません。したがいまして、当然民有地を買収しなければならぬわけでございます。ですが、そうではなくて、先ほども千鳥ケ渕のいろいろお話がございましたが、あの辺一帯のああいった構想で進めております仕事の上において、美観を損する、あるいは適当でない建物が建っては困るという意味で、ある坪数のもの以上を建ててはいかぬということになっております。それからまた、将来あるいは必要になって買わなければならないかもしれぬ。その場合に、非常に堅固な建物が建っておっては買いにくくなる、そういう意味で堅固な建物をつくることを禁じておる、こういうことなんです。したがって、ああいった制限の中に民有地を持っておられます人の立場で申しますと、たとえば、あすこに私が二十坪のうちを持って、二十坪の庭を持って住まっておると仮定いたしますと、私はそういう制限を受けましてもちっとも困りません。ただ、そうでなしに、現実にあすこに、それじゃおれは高いビルを建てたい、こういう気持ちの所有者がおありになったとする場合には、明らかにそれはいつまでもそういった御希望に沿えないような仕打ちのままにほっておけない。したがって、そこで初めて国としては、土地を買う予算をつけるか、あるいは、その制限そのものを解除してしまうか、あるいは土地を交換するかということになるだろうと思うのでございます。  それで本件の問題は、最初申しましたとおり、国立劇場として必要であると申しましても、現実に国立劇場はそれを買わなければならない必要があるのかどうかという点については、国全体としての判断は全然されていないわけです。しかも、本年度の予算要求も、いろいろ先ほど御説明ありましたように、しにくいような状況でございますので、来年度の予算でもそういう点はきまらないというような状況でございます。  一方、お話しの王さんは、相当前からあすこについて、もっと自分の所有権どおりの使用をしたいという御希望があって、いろいろお話をされておったわけでございます。で、本件につきましては——でございますが、国でそれを買うという予算も早急につけるわけにいかぬ、それから権利の制限を解除するということについても、それは国立劇場として必要だ、あるいは中央官側全体の問題として必要だという点は、ことしの一月にはっきりきめた問題でありますから、制限の解除もしかねる。しかし、本件については、何とかしてそういった民有地の所有者の意向に沿うような交換地をということでやっておるわけでございます。幸いにそれもどうやら……。  ところが、交換地の問題でございますから、国でどうだと申しても、相手方のほうで、どうも困ると言われては困ると思うのです。できないわけです。しかも、非常にあの辺はいい土地でございます。ほかにもああいう民有地を持っておられる方が相当ございますが、その方々の御希望は、一様に、あれと同じような条件のいい国有地を世話しろということになります。そうなりますと、現実にはほとんどないわけでございますが、本件につきましては、何とか御満足のいくような土地もあるという段階でございます。本件については、そういった意味で解決がつくわけでございます。  文化財保護委員会と建設省の間の、いろいろなやり方について御疑問を持たれることは、私はそばから聞いておりましても当然と思われるわけでございますが、もっぱら、それは国立劇場の敷地として必要だという意味がどうだという点が、全然きまっておらないためにそういう誤解が起こるということでございますので、国有財産局でも極力協力いたしまして、ほかのこのような問題についても解決を促進いたすつもりでございますので、どうか、あまり強く押されますと、お互いに困る問題でございますので、この点はちょっと……。
  107. 田中一

    田中一君 それじゃ、宮地君、こういう公文書を出すことは間違いですよ。解除といっても、解除はしませんということが強い意思であるらしい、大蔵省のほうにしても、建設省にしても。それを、できない相談のことを、解除することもやむを得ないなんていう通知を出すのはおかしいんですよ。やっぱりこういうものを出さなければいいんです。どういう要請があろうとも、公文書は公文書ですからね、出さなくてもいいんですよ。この文書を読むと、どうもどっちがほんとうか、聞いてみると、確かに、それは関連する相手のあるものだから、これは何というか、制限をしなければならないと言っている。こういう文書を出すから——これも次官なり何なりが見たと言うが、きょうも官房長は急に熱が出て来れない。だれも来ない、かれも来ない、来ないから君ばかりを追及することになるんだけれども、こういう出し方の公文書はいけないんですよ。いたずらに窓口を、あなたがさつき言ったように、窓口を一つにしてくれと言うので、一つにしました、営繕局に回しました、こう言う。この公文書が——これはおそらく正しく理解することはできませんよ。  それで、江守君、いまの、ほかの人はどうなっているの。
  108. 江守堅太郎

    説明員江守堅太郎君) 国立劇場の裏の土地につきましては、四、五軒ございますが、現実に直ちに買収をしてくれ、あるいは交換先をさがしてくれというようなお話はございません。先ほど申しましたように、権利の制限を受けておっても、別に生活に困らないというような方もあるわけです。私の申しましたのは、それじゃ困るという方に対しては、国は直ちに予算をつけるなり、交換をするなり、あるいは、もう場所によっては制限を解除するということをしなければいかぬのじゃないか、こういうことを申しているわけです。
  109. 田中一

    田中一君 それじゃ、小場君、ひとつ態度を明らかにしてほしいのだ。この通知は通知として、この通知を受けたあなたの見解は先ほど伺った。こういうケースがたくさんあるんです。ほんとうにたくさんあるんです。おそらく、それらがわあわあ言ったら、大蔵省国有財産局も困ると思う。この指定をした地域が、どうしても実際にその土地を使わなければならぬという場合には、早急にどうするということの方針は、これは営繕局が仕事をするのだから、営繕局が仕事をするということを前提としてどうするかということは、最初にはっきりとしておいてください。この文書、この通知は、非常に難解な文書で、どういう解釈をしたらいいかわからない。
  110. 小場晴夫

    説明員(小場晴夫君) 文書のことにつきましては、先生いまおっしゃられるとおりでございまして、非常にむずかしい文書でございますが、これはさておきまして、第一点の、どうこれから処置していくか、こういう問題かと思うのですが、この境域内におきます民有地の取得促進したい。で、特に、予算につきまして、先ほど申しましたように、建物を、われわれの所管予算としないものがございます。たとえば国会図書館の問題にいたしますと、その周辺の敷地については、国会図書館が予算を計上して取得する、こういうことになるかと思うのですが、要するに、国会図書館の近傍の分については国会図書館側、要するに、それぞれの関係のある所管庁に、早急に取得について申し入れをすでに行なっております。継続して今後も努力いたしたい。  それから、一般官庁営繕、合同庁舎等を建てます部分につきましては、国有財産局とも打ち合わせをしまして、われわれの官庁営繕局の一部において予算要求いたしたい。昨年度もいたした次第でございますが、そういう努力を続けたい、こう申し上げます。
  111. 田中一

    田中一君 それじゃ国有財産局のほうではそういうことが進行し、かつまた、そういう要請があれば、金等の問題も交渉に応ずるという態度ですね。
  112. 江守堅太郎

    説明員江守堅太郎君) 私は、原則としては予算をもって買い取るべき問題だと思います。でございますが、現実具体的の問題として、どうにもならぬ。しかも、私権の制限が非常に強いという場合には、交換ということで考えざるを得ないでしょう。ただし、交換でございますので、相手の御納得を得なければ、幾ら私どもがそういう気持ちで進んでも実現できないこともあるでしょうということでございますが、原則として予算で買う、最悪の場合には交換でいくという方針については、そういうつもりでいきたいと思っております。
  113. 田上松衞

    ○田上松衞君 田中君が、あっさりそれでよかろうということになってしまったのだが、なまじっか聞かなければよかったけれども、われわれ聞いてしまったのでは、国会でこういうことが問題になったがどうなるかと言われても、説明のしようがないのです。実際にいま聞いていると、禅問答なんですね。さすがに国立劇場に関する問題だけに、非常な高級な芝居をやるのかしらぬけれども、芝居が多過ぎる。一体、結果はどうなんだということです。私は、きょう大臣所信表明の中にある、これも全然関連がないとは考えられない点が一つあるわけです。それは住宅用地に関する問題であるが、不当な地価の値上がり、これを一番国民が心配しているわけです。これについて、この防止をしたいということをまずあらわした。さきに、時間があるならば、これについての根本的な大臣考え方を聞きたかったけれども、一応きょうはそれはよして次の機会にということだったからよしたわけです。たまたまこの問題は、一つの百二十坪だか、七百坪だか、それらに関する国立劇場だけのことであろうけれども、へたすると、これは波及するところはおそろしい問題があるのではないかという憂慮をせざるを得ないと考えるわけです。そこで、いまのように、ただ経過だけを聞いて、ああだこうだ、そうして両方が何か聞きようによっては、責任のなすりつけみたいな、あるいは迷惑なものを押しつけられたような、そうしたことを聞いているわけですが、われわれの立場としては、実はこれは迷惑千万だ。  そこで、国有財産局長の御発言の中で強く感じたんですが、大体文化財保護委員会としては、国立劇場が必要とする土地の意味が全然明確になっていないんだと言われたんだが、そのとおりなんですか。私、実際におかしいと思うんだ。いま考えてみると、私も八月八日に実は呼ばれて、これはりっぱなことだ、私どもが片山内閣時代からいろいろ要望しておったような問題が初めてここで芽を出したと思って心から喜んで、飲みたくないビールを暑い中で飲んで、心から実際お祝いを申し上げたんです。ところが、やってみると、何だかしらぬ、そこには妙なものがわだかまってしまっている。劇場だからといって、度の過ぎた芝居をこの中で前にやられちゃ困ると思う。これは必要の意味は、建物をつくることに必要であったのか、あるいは、そうでない、外部に建っているものがじゃまになるから、そこで必要だというのか、その点をまず明らかにしてもらいたい。
  114. 宮地茂

    説明員(宮地茂君) これは、いま問題になっております百二十坪余りの土地を含めました民有地、官衙地域に指定されている七百坪ばかり、これを除きまして、現在決定いたしております敷地の用地の面積は約九千坪余りでございます。そこへ床面積三千二百坪ばかりの地上三階建ての劇場ができるわけでございます。その劇場のためには、その九千坪余りで一応いいわけでございます。ただ、駐車場等も、二百台余りの駐車場を予定しているわけですが、そこに高速道路のための換気塔等もできましたり、そういったようなことで、できればもう少し広いほうがよりベターでもありますし、また、一面、あのあたりに、高速道路と劇場の用地の間に、わずかの坪数のところにいろいろな建物がないほうが環境上よろしいであろうというような考え方もございます。それからまた、国立劇場そのものがそういう芝居を見せるだけではなくて、国立の劇場だから、いろいろ演劇に関する調査研究等もすれば、将来、用地の中に建物を増築する場合もあるであろうといったような点で、もう少し広いほうがベターであろうといったようなことで、その内容はいま言いましたように具体的にあすこへ何をつくる、建物を民有地のところへ建てるのだという計画はできておりません。ですから、はっきりしていないと言いましても、いまの劇場そのものについては、きまっております九千余坪で一応いいわけであります。それ以上は、いろいろ将来の計画としてああもこうも考えられる、そういうためには、わずか七百坪ばかりの一団地は、一緒のできれば用地にしたほうがいいのではないかといったようなことで、その辺が具体的にまだきまっていないということでございます。
  115. 田上松衞

    ○田上松衞君 いろいろどうにか何か気持ちがわかりかけてはくるんですけれども、いまだちょっとわからぬ点がある。だけれども、くどいことは申し上げません。結論だけについて申し上げますが、こういうようなへたをすればやっかいな問題を引き起こすかもしれない状態の中にあって、そうだったらば、もうあなたのほうではあきらめてもいいという感じのほうが強いか、あきらめたくない、あくまで取得したいという、そのどっちがウエートが強いか。
  116. 宮地茂

    説明員(宮地茂君) まあ私のほうは、指定解除されてもやむを得ませんということは、その土地が解除されて、民間の建物が建ち、七百坪余りがそういう国立劇場の用地にならなくてもしようがございません。ですから、まああきらめていると——それ以上追及されれば、あきらめているというふうにお答えせざるを得ないと思います。
  117. 田上松衞

    ○田上松衞君 いよいよおかしくなってくるのだが、せっかく国有財産局長のお心づかいは、私は実際はさっき聞いておって、頭の下がるほどりっぱだと思ったのです。それでどうも初めは、発言の当初では、何か、わきで聞いていますと、初めて聞かれたような話だったけれども、だんだんやっている間に、言わず語らずの間に、素手で受けて立っていくようなところまで決意されているようなこと、これはりっぱだと思ったんですよ。ところが、いま聞いてみますと、こっちの事務局長の話を聞いてみますと、どっちかというと、あきらめているということなんですね。これは一体、どう受け取ればいいかということなんだな。
  118. 宮地茂

    説明員(宮地茂君) いまのような御質問になりますと、誤解を生じますので、私の答弁を、恐縮ですが訂正させていただきます。  先ほどの先生の御質問に対しましては、先ほど来申しておりますように、買うか、かえ地かということで、私のほうは買いたいけれども、予算要求やいろいろなことでできない、しかしながら、かえ地をお考えいただけるなら非常にありがたいことだから、そのように進めていただきたいというふうに考えているわけであります。
  119. 田上松衞

    ○田上松衞君 どうもさっきからいろいろ聞いていると、この問題をどう考えるかということには三つの方法があるのだと言っておられた。あるいは二つだという人もおられた。買収か、他の土地との交換か、あるいは取り消しか、こういうような問題だが、私は、そうじゃなしに、とにかく、あきらめるかあきらめぬかということが一番大きな問題じゃないかと考えるんです。この点のあれについては、まだどっちをとるか、私ども協力申し上げることがいいのかということについては、非常にまだ判断つかないわけですけれども、かりに、やはり将来の問題を考えてみると、せっかくつくったものが、あればかりじゃなくて、九千坪だけじゃなくて、この七百坪を加えることによって、より思い残しのないようなことになるのであるならば、やはりそれは確保したほうがいいのじゃないかという感じを強く持つのです。そこで、その上に立って、よけいなことですが、一体、坪どのくらいというあれですか。さっきのお話では、六十万とか幾らとかというようなことを言われたのだが、それは高いと見られているという感じ等があったのか。そういうような問題は全然現在度外視しておられるのか。かく申し上げることは、このようにやっていくならば、非常に多くの金が必要になってくるというようなことを言われたわけなんだが、そうすると、おおよその見当——坪六十万とか幾らとかという金額はおおよそ妥当であるのか、現在の時点において。その点の考え方は幾らか検討されているはずだと思う。これはどっちも——建設省のほうでも、文部省のほうでも検討されているはずだと思うが、おおよそ、これはどうなんですか。
  120. 宮地茂

    説明員(宮地茂君) 土地の問題でございますので、具体的に相手方の所有者のお気持ちもあろうかと思いますが、一応予算要求するとすればという前提で私のほうで考えましたのは、あの辺に高速道路ができます場合に取引がされているような値段、それにその際、移転補償のようなものが出されたものを、しいて坪単価に割ってみるといったような操作をいたしてみますと、六十二万円くらいな坪単価になるような計算でございます。したがいまして、私のほうでは、それが妥当であるかどうか、この点は十分な考え方は持ちませんが、一応あのあたりで、従来からの計算実績によれば、六十二万円くらいになるということを聞きましたので、予算要求するとすれば、坪単価六十二万円くらいの七百数十坪というふうに考えたわけでございます。
  121. 田上松衞

    ○田上松衞君 大体趣旨がわかってくると思うのですが、どうもこれはよけいなおせっかいかもしれませんけれども、そういうことであれば、さっき田中委員がずいぶん話しておられたように、国立劇場を建てる、しかも、この前の起工式のときの説明によるならば、世界に恥じないようなものということで説明されておるわけですね。やっぱりそういうものをつくるべきだろうと思うのです。そこで、いま予算要求をするかしないか、いろいろな時期的な、あっちこっちそれぞれの問題もあって困難だとかなんとか言われるのだけれども、それはおよそ政治のない行き方じゃないか。そうするならば、とんでもないということで、ただ役人が考えるような、それは私権の侵害がどうだとかこうだとか、そんなことよりも、そんなことに触れる前に、よかろうと思うならば、たいして不当でなければ、いまのあれだったらば売ってもいいということならば、お買いになってやってみたらどうです、これを。そうすることが——まあ、この点については国有財産局長も、たてまえとすれば現金で買うのがほんとうだろう、私も同感だと思うが、どうしてもそれができない、ああだこうだということになれば、しかたがないから、それにまあひどく劣らないような、匹敵するようなところをかえ地しようかというような腹まで持っておられるようだが、私は、そういうややこしいことを言わないで、腹をきめて出してみる、そうばかばかしい値段でないならば。こうしたいろいろなことを考えてみると、私の心配するのは、こんなことによって、あなた方が思いも寄らないような不当な値上がりの要素を知らず知らずの間に、王という人がどういう人か知りませんけれども、あるいは、それだけじゃなくて、ほかの人はまだ買うてくれともどうしてくれとも言わないというその五、六百坪の人々があるわけですね、七百坪の中の官営住宅を除いた中の。いずれそれも解決しなければならない問題でしょう。こういう中に、いまのような文部省と建設省との間にも何かしら妙な、一致しないような態勢を、いわゆる俗にいう足元を見られるようなふうになると、東京の連中、何を考えておるかわからぬような人々がおるのだから、これはおもちゃにされちゃって、結局は不祥なことが起こってはこれは相すまぬのであって、急速にその買うというあれをやってみたらどうでしょうか。そして、これはやはりやり方は幾らでもあるでしょうから、建設大臣もこうしてお聞きになっておられるわけだから、閣議等でもこれをどんどん出して、そして災いが来ないように、これは積極政策ですから私いいんじゃないかと思うのですがね。これについて御感想はどうですか、お聞かせ願いたいと思います。
  122. 宮地茂

    説明員(宮地茂君) これは、いま当面問題になっておりますのは、王さんの所有されておる百数十坪でございまして、七百坪の中に、その他は現在三、四軒の民家がございますが、そのほうの方々は、数年前にそこへ移っておられるような関係もございますし、いますぐ売りたいというようなお気持ちもないようでございますので、まあ先生の御意見はまことにごもっともと思うのでございますが、いま当面の問題といたしましては、せっかく国有財産局のほうでかえ地をお考えいただけるのであれば、当面の問題としてはそのようにして解決していただくのがよいのではなかろうかというふうに考えております。先生のおっしゃる意味は十分わかりますし、将来の問題としては一応ごもっともと存じますが、当面の問題といたしましては、いま申し上げましたように考えます。
  123. 田上松衞

    ○田上松衞君 要望だけ申し上げておきます。  当面の問題ということを王さんに限っておられるようにお考えになっておるのじゃないかと思うのですが、私はそうじゃなくて、王さんを含めた七百坪のほうの問題をいま実は考えておるのです。それで、いまそれらの人々が、売らなければどうこうという立場の人々でもないというお話の中から感じることは、ちょっとのんびりしたようなかっこうのように受け取れるわけですけれども建設省がいろいろいままで苦心されておるはずですが、いざというときになると、こんな用地の取得くらい困難な問題はないと思うのですよ。そういうことをあわしてすると、何といいますか、かえって福を転じて凶になすということなのか、まだはっきり何のためにそこを使うか、用途がどうだということがきまらぬような、そういう中にこそ、ひとつ政治力を動かしてやってみたらどうだろう。絶対絶命を続けなければならぬとつけ込まれた場合にはどうなる。そこで、よけいなことですが、先ほど申し上げました不当な地価のつり上げに知らず知らずの間におとしいれてしまうことがないとだれが保証できるか。そういうことを考えてみると、これはやはり、急速にこれをされることを私どもは要望したいのですが、どうせ国立劇場が実ってやろうということになって発足した限りにおいては、やはり悔いのないものを指導してできるだけ順調に運びたいものだ。だから、気持ちはおわかり願っただろうと思うのですけれども、そういう御努力をひとつ希望しておきます。答弁は要りません。
  124. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 国立劇場建設用地に関する件は、この程度に本日はしておきますが、委員長より要望しておきますが、先ほど国有財産局長の御答弁によりますというと、まだ具体的の建設計画が進んでおらぬようでありますので、これらの問題をもう少し確かめるために、建設省、大蔵省、文部省において、この問題につきましては、田中委員質問もあり、田上委員質問もありますので、なお積極的に三者で協議をしていただいて、具体的な解決方法をお願いするよう、特に御要望申し上げて、本件は、本日はこの程度で打ち切りたいと思います。     —————————————
  125. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 次に、多摩川河川敷住宅団地建設計画に関する件を議題といたします。
  126. 田中一

    田中一君 これはあなたがこの間留守なんで、白浜政務次官が来て参考人等の意見も十分聞いたわけであります。多摩川の河川敷を廃川敷として住宅団地何千戸をつくるという案は、参考人の小川榮一君が発議したような週刊雑誌の記事があったものですから、呼んだわけなんです。ところが、本人は、私は住宅団地をつくるのは反対でございますという意思を冒頭に開陳しておりました。それで、いろいろ質問をしてきたのでありますけれども結論はきょうに持ち越すということになってきたわけであります。私どもは、これは委員会を終えてからも個々にいろいろ話し合いをしたものでありますけれども、あの風致地区であり、かつまた、東京都民のいこいの場所であり、かつまた、河川堤防を廃堤として、そうしてそれに住宅をつくるなんということになりますと、なるほど、一級河川は直接国が担当しておるから、それで自由になりますが、二級河川並びに地方河川等に与える影響というものはおそろしいものがある。これは管理権をそれぞれが持っております。住宅の用地難というものは深刻であります。したがって、これらの問題についても、河川行政上の問題がたくさん起きるという点を考慮されると、私は、新しい建設大臣がこれらの問題について十分検討して、そうして、これはむろん、単なる大臣が独断できめべきものじゃなくて、都市計画審議会の議を経てということになっておりますから、それぞれの地域の都市計画審議会にかけるものと思います。  そこで、いままでの経緯については、おそらく耳に入ったと思いますが、私どもは、これに対しては慎重に、できるならばそういう計画は、いま計画されている二子、丸子の両橋の間というものは不適当であるというような判断をしなければならない。しかし、多摩川一つ河川を見ましても、上流には相当大きな、もうとうてい河川としての用をなさないような河川敷もございます。これらを引き堤なり寄せ堤なりしてつくる場合は考えられますけれども、前回の委員会で問題になったような点については、建設大臣はどういう考えを持っておるか、そしてまた、どう対処しようとするか。これは三十九年度の予算でやるそうでありますけれども、現在の堤防を無理やりに廃川敷にして法律的なつじつまを合わせようという考え方は、これはもう法の悪用であります。したがって、建設大臣の所見を伺って、決意を伺って結論したいと、こう考えますので、お伺いする次第であります。
  127. 小山長規

    国務大臣小山長規君) ただいまの問題は、この間、政務次官からも伺いましたし、それからまた、引き継ぎ事項として聞いておりますので、私の考え方としては、そう無理をすることはないというのが、私の考え方なんですが、ただ、事務当局からいろいろ説明を聞いてみますと、計画としてそう無理な計画でないような面もあるわけです。そこで、いろいろな面から考えていかなければならぬが、いま都市計画のほうで考えている案を率直に、いろいろな審議会や、あるいは反対陳情をされている方がありますから、そういう人たちにも説明をして、それで、それはそれとして、やっぱりほかの理由からもいかぬのだというようなことであってくるなら、これは考え直さなければならぬということで、慎重に事を運ぶつもりでやっております。それで、近くそういう懇談会を、メンバーをそろえて、あらためて賛成反対の意見をもう一度私自身も出て聞いてみようと、こう思っておるわけです。その上で判断をしようと、こう考えております。
  128. 田中一

    田中一君 どうもあなたはいままでの経緯を御存じないから、いま、率直に事務当局の意見を聞く——なるほど事務当局は、これを実現するように計画せよと命令すれば、つじつまの合うようなものを計画するのが事務当局なんです。やはりこれは政治の意思なんですよ。政治の意思が、可能か不可能なのかきめるのであって、不可能はございません。しかし、河川そのものをどうもつか。河川法の中には、河川敷の中にうちを建ってよろしいと書いてない。建てちゃいけないと書いてある。ことさらに河川敷を狭めて建てるということになると、法の悪用なんです、これは。私どもは、もしそういう意思が建設大臣にあるなら、あんな河川法を通しません。河川の重要性、河川の持つ使命というものを没却して、河川敷を狭めてまでも建てるというなら、ああいう河川法は通さないはずであります。おそらく、強い命令があって、その命令に合わすために技術的な面を検討しているものと思いますが、これは何でもできます。それは、事務当局は政治家じゃないんですから。職人なんです。政治家がそれを最後の判断をするのであって、事務当局の意見を聞いて云々ということでは、これはここで結論を出すわけにはいきません。私どもが考えておりますものを、あらためてここで、まだ時間があるようでありますから、もう少し建設大臣に納得するような質問をしたいと思います。
  129. 小山長規

    国務大臣小山長規君) 事務当局の意見という意味じゃないのです、私が意見を聞くと言っているのは。
  130. 田中一

    田中一君 いやいや、事務当局の意見を聞くのは、可能、不可能……。
  131. 小山長規

    国務大臣小山長規君) その可能、不可能ということは、私もいろいろな法律関係は知りませんが、無理な計画ではない面もある、こういうことです。ただ、反対されておるのは、やはりいろいろな方がいろいろな角度で反対されておるわけですから、そこで一体いま私が引き継いだときにできておる計画そのものを全部承知の上で反対をされておるのか、私は実は確信がないわけであります。ですから、それをただあそこに緑がなくなるとかいうふうな、新聞などで見ますが、そういう意味で反対されておるのか、それとも堤防が脆弱になるという意味で反対をされておるのか、いろいろな反対理由があると思いますが、いま私が申し上げたことは、そういう点を相当考慮してあるようだから、そういう点を十分に御承知の上の反対意見であるかどうかを確かめて、それを承知の上でこういう理由からいかぬのだということであれば、また考え直さなければいかぬ、こういう立場なんです、私の立場は。そういうふうに御了承願います。
  132. 田中一

    田中一君 それじゃ、建設大臣がこの問題についての懇談会を持つ場合には、当参議院の委員会委員の中からも懇談会のメンバーとしてお加え願うことを約束してください。
  133. 小山長規

    国務大臣小山長規君) いずれにいたしましても、衆参両院議員は考えておりませんが、民間にいろいろな団体がありますね、こういうことに非常に関心を持っておられる。それから審議会のメンバーもおります。そういう人たちに寄っていただいて、そして私も政治家的な判断をしたいから、自分でもその席におって、そしてその御意見を聞いた上で自分の判断をする、こういうことです。
  134. 田中一

    田中一君 そうすると、新しくそういうメンバーをつくろうということですか。
  135. 小山長規

    国務大臣小山長規君) そうです。
  136. 田中一

    田中一君 これは非常に危険なんです。私は十五年こうやって当委員会におりますけれども自分の都合のいいメンバーだけ集めれば、これは政府の言うことは通るわけです。少なくとも、そういう懇談会には衆参両議員をお加えなさい。
  137. 小山長規

    国務大臣小山長規君) 私が選ぼうと思うのは、反対論者ばかり選ぼうと思います。
  138. 田中一

    田中一君 それなら了承いたしました。そこで、どうかひとつ慎重に事を運んでいただきたいと思うのです。そして、反対の者ばかりというメンバーがきまったならば、ひとつ当委員会にもお漏らし願いたいと思います。えてしていままでは、一つ計画を実行するには、賛成者だけを選ぶ傾向があるのです。今度の官房長はそういう点は相当正しい運営をするものと考えますから、安心しておりますけれども、長年の住宅行政——前田官房長くらい建設省の各局を歩き回った男はないわけです。それだけに自分の正しい判断ができると思いますから、これはひとつ安心しますから……。
  139. 田上松衞

    ○田上松衞君 時間がないので、私はそこまでは論議をしたくはなかったのですけれども、どうもいまのお話の程度では不安がますます大きくなるだけなので、一つだけ伺いたいと思うのです。実際は、大臣にお聞きしたいのですが、日本住宅公団にまかして、三十九年度からすでに計画を立てて、もう着手しておるわけですよ。あるいは着手していないとするならば、その計画変更できることになるかどうか、その考えはどうです、それからまず聞いておきたい。
  140. 小山長規

    国務大臣小山長規君) いまそれは測量調査をやっておるそうです。ただ、そこがいけないとなれば、ほかを早く着手しなければなりません。ですから、私の考えは、あきらめるものならば早くあきらめたほうがいい。あきらめるについては手順も要るから、自分としての判断もいりますから、そういう意味で、いままでの経過と、それから特に、いけないと言っていらっしゃる方々が、ほんとうに納得できないのかどうか、いま事務当局が考えている案を示して納得できないのかどうか、その点を確めてみたい、こういうことであります。
  141. 田上松衞

    ○田上松衞君 非常に言い過ぎになるかもしれませんが、これは露骨に言わないとわからないからあえて申し上げるわけでありますが、大体この考えはだれが出したのか——一番初めは、河野一郎さんなんです。もう天下周知の、まるっきり行きあたりばったりの、強引に何でもやってしまおう、こういう行き方なんです。これはもうだれ一人として知らない者はないわけです。私は何をさして言うかといえば、たとえば水の点でも、東京都民がこういう水に苦しめられている、いいかげんなことをやって。河川法のときでも、これは委員会の速記は抜けた場所だったけれども、私は大臣に、あなたなんだかんだ言うけれども、一体東京の水をどうするつもりかと言ったら、いや利根川の水を引っぱってくるのだ、冗談言うな、神奈川の水を——私は神奈川でありますから、いままで神奈川からやってかろうじてやっているのじゃないか、とんでもない、いままで神奈川から借りたのは返してやる、こう言っていた。ざまあみろと言うのです。いまになって、これは全く神奈川に水がなければ、東京都民はみんな死んでしまうじゃないか。こういうようなことを行き当たりばったりにやって、確かにそのときどきのセンスがいいものだから——センスがいいのか悪いのかわからぬが、何かしらん手品師みたいなことを言うけれども、そういうことは少なくとも自然にはかないませんよ、天には。いまその問題が現実にきてじたばたしている。池田さん何を考えているか知らないが、あまり不必要に河野派のあれを受けちゃまずい点があるのかもしれませんが、煮え湯のつもりで留任さしているのかどうか、いろいろな見方がありますが、これはよけいな話ですが、水の問題大事なんです。東京都民一千万人の命の問題ですから、非常に大事に考えている。この問題についても、一体堤防なんというものは、これは道楽につくったのじゃないのです。さっき問題になったような国立劇場をつくるようなこととは違います。これは自然の災害をよけるためにやったものを、これを何か、いま住宅用地に困っているから、国有地だから、とにかくそこにあるから二千戸を建ててしまえというような、何かぱっと国民が希望するところにこの手があるのだということをぶっつけた程度にしか私は感じないのであります。いろいろな意見、せんだっての六人の参考人意見というものも、一人として、住宅を建てるということについて賛成の意見一つもなかったわけであります。これは皆さんもお聞きになっているから、はっきりしていると思います。いま大臣が無理しちゃいけないと思うと言われたのだが、これこそ私は法律とか何とかという問題を超越した自然に抵抗するところの非常に無理な問題なんだと結論的には考えているわけです。したがって、ただ、事務当局が提案したものをすみずみまでわかりきってなおかつ反対しているのかどうか、それを確めてみたいというお感じであるならば、これは出発点が、私は観点が違うと思う。それは事務当局は弱いですよ、大臣がこうしろと言ったならば、その方向に従って一応の行き方をしなければならないい、これはきわめて忠実にやっていかなければならない立場にありますから。だけれども、それが一体自然に抵抗するものかどうかということを十分頭に入れて置いていただいて、こんなことは、メンツだなんだということにこだわらず、ひとつ大事な国民の問題ですから、命の問題ですから、そこをもとにして十分悔いない方法をひとつ考え出していただきたいと思うのです。私は、そのことのためにあんたがかりに、とんでもないやつだと、河野みずから称する副総理ににらまれたって、そんなことは国民の支持さえ受けておればへでもないのですから、十分ひとつ腹をきめて間違いないようにやってもらいたい、こう考えております。御決意と御所信を特にこの場合御表明願いたいと思います。
  142. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 関連して。時間も時間ですから、いまこの問題と関連して、私のほうからもその前にお伺いしたいのですが、きょう大臣所信表明がありました。きょう行なわれました大臣所信表明と、先ほど来問題になっております多摩川団地の問題とは、食い違う点があるというふうに感じたのです。前回の委員会参考人のそれぞれの供述は、まあ結論的に申し上げるならば、反対という意見が強かった。きょうの大臣所信表明一つ、二つピックアップしてみますと、「地価の不当な値上がりを防止しなければならない」、それから宅地対策等についても「人口産業の急激な都市集中に起因する地価高騰と無秩序な市街地形成宅地取得と健全な市街地建設の隘路となっている」、こういうことを指摘をされております。それから河川行政についても、「治水事業計画的な推進をはかりたい」ということを述べられております。下水道の立ちおくれ等についても、「生活環境整備緊急措置法に基づいて整備をはかる所存である」、こういうふうに述べておられるわけです。こまかく申し上げればたくさんありますけれども、それらの問題とこの多摩川団地の問題と比較対照いたしますと、まず、人口産業の急激な都市集中をやはり多摩川団地の場合はある程度助長するということにもなりますし、それから下水道整備なり治水事業計画的な推進とはたしてあの計画が合うかどうかということも疑問に思われます。そうなってまいりますと、この計画は、私なりに考えるならば、苦しまぎれに行なわれたものとしか考えられません。ですから、大臣方針としては、きょう述べられましたところの所信表明に基づきまして、そうしてその計画というものを再検討して、慎重を期していただく、こういうことでなければなるまいと思います。だから、あくまでもいままでの河野大臣方針方針でありますが、本日述べられた大臣所信表明に基づくものである、そうして慎重を期するものであるというふうに私としては理解をしたい、またそのような決意大臣から述べられてしかるべきであるというふうに考えますので、その点あえてつけ加えまして、最後大臣の考えのほどをお伺いしたいと思います。
  143. 田中一

    田中一君 関連して。これは尚君、二千戸公団の敷地の手当てはできていないのですか、三十九年度は。
  144. 尚明

    説明員(尚明君) 本年度の建設する用地は、ただいま着手している以外にも相当程度持っておりますが、二千戸程度のものは結論さえ得られますれば他の土地で建設することは可能でございます。
  145. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 田上君と瀬谷君の、あわせて御答弁願います。
  146. 小山長規

    国務大臣小山長規君) 一緒にお答えいたしますが、多摩川の堤防に住宅を建てようということは、まあ建設費からいえば、宅地そのものからいえば安いものにつくだろうという考え方があったのじゃないかと思います。一方、それじゃそれを建てたために、道路は一体どうするのだ、下水は一体どうするのだという問題も、一体どっちが高いのか安いのかという問題は十分検討を要します。したがって、そういう意味、それからまた今度は、あそこに建てたために治水上一体どういうことになるのかという問題がある。あるいは、緑地帯としてはたしていいかどうかという問題もあります。だから、そういう問題は、まず前大臣から引き継いだときには、一応それは当然に考えてあったという前提で私はものを見たわけですが、その上でなおかついかぬのだとおっしゃるのか、それとも一つ一つのことは十分な計画はまだ御承知なくていかぬのだとおっしゃるのかという点を、懇談会、まあ主として一番反対論の強い方々の意見を実は私聞いてみたいわけですが、その点をひとつ確かめておきたい。それで、その結論に従って私は判断いたします。同時に、その判断はあくまで私が判断するのでありますから、したがって、私が無理だと思えばやめてほかのところに行きますし、そうしてまた、手続上から考えてもいろいろな障害があるわけなんですよ。反対する人がいろいろな審議会その他におられるわけですから。ですから、そういうところの、もう通りそうもないというところの判断であれば、住宅は非常に急がれているわけですから、むしろ早く建設したほうが国民のためになるのですから、そういうものをいろいろひっくるめて、ともかく前大臣からの引き継ぎ事項でもありますから、早く結論を出すために、いま申し上げたような手続を早くとっておきたい、こういう考え方であります。
  147. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) それでは、本件につきましては、大臣からは慎重にというようなことを前提にしての答弁がありましたので、他に発言もないようでございますから、本日はこの程度にしておきます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十七分散会