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1964-04-24 第46回国会 参議院 建設、農林水産委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二十四日(金曜日)    午後一時三十六分開会   —————————————  委員氏名   建設委員    委員長     北村  暢君    理事      石井  桂君    理事      稲浦 鹿藏君    理事      増原 恵吉君    理事      武内 五郎君            天埜 良吉君            岩沢 忠恭君            小沢久太郎君            熊谷太三郎君            小西 英雄君            小山邦太郎君            田中 清一君            高橋進太郎君            村上 春藏君            小柳  勇君            瀬谷 英行君            田中  一君            中尾 辰義君            田上 松衞君            村上 義一君   農林水産委員    委員長     青田源太郎君    理事      梶原 茂嘉君    理事      櫻井 志郎君    理事      森 八三一君    理事      渡辺 勘吉君    理事      北條 雋八君            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            木島 義夫君            北口 龍徳君            仲原 善一君            温水 三郎君            野知 浩之君            藤野 繁雄君            堀本 宜実君            森部 隆輔君            山崎  斉君            大河原一次君            大森 創造君            小宮市太郎君            戸叶  武君            矢山 有作君            安田 敏雄君            牛田  寛君            高山 恒雄君   —————————————  出席者は左のとおり。   建設委員    委員長     北村  暢君    理事            石井  桂君            稲浦 鹿藏君            増原 恵吉君    委員            熊谷太三郎君            高橋進太郎君            村上 春藏君            瀬谷 英行君            田中  一君            田上 松衞君   農林水産委員    委員長     青田源太郎君    理事            梶原 茂嘉君            櫻井 志郎君            森 八三一君            渡辺 勘吉君            北條 雋八君    委員            北口 龍徳君            仲原 善一君            温水 三郎君            野知 浩之君            藤野 繁雄君            堀本 宜実君            森部 隆輔君            山崎  斉君            大森 創造君            小宮市太郎君            矢山 有作君            安田 敏雄君   国務大臣    農 林 大 臣 赤城 宗徳君    建 設 大 臣 河野 一郎君   政府委員    農林政務次官  松野 孝一君    農林省農地局長 丹羽雅次郎君    建設大臣官房長 平井  學君    建設省住宅局長 前田 光嘉君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏夫君    常任委員会専門    員       中島  博君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○住宅地造成事業に関する法律案(内  閣提出)   —————————————   〔建設委員長北村暢委員長席に着く〕
  2. 北村暢

    委員長北村暢君) これより建設農林水産委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が連合審査会委員長の職をつとめます。  それでは、住宅地造成事業に関する法律案を議題といたします。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 矢山有作

    矢山有作君 この連合審査お願いしたのが非常に急なことでございましたのであるいは建設委員会においてはすでに審議をやられておるという問題があるおそれがありますけれども、ひとつごしんぼういただきまして、まず第一点、建設大臣にお伺いしたいと思いますのは、今後の住宅建設計画及びその住宅建設する場合に、全国的にどういうふうな配置をやっていくというような考え方で住宅建設をお進めになるのか、この点が将来の問題として基本的な問題の一つであろうと思いますので、その点をまず第一にお伺いしたいと思います。
  4. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御承知のように、全国に新たに都市を形成し、もしくは道路等を開設して、土地利用度を増すということは考え計画は立てておりますが、全国的な住宅建設計画はまだ立っておりません。
  5. 矢山有作

    矢山有作君 全国的な見地から、住宅をどういうふうに配置していくという基本的な計画が立っておらないで、はたして、宅地価格の安定だとか、あるいは宅地流通円滑化とか、あるいは宅地確保及び宅地利用合理化をはかるいうことが期待できるとお考えになっておられますか。
  6. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御承知のように、現下の国民諸君の国内の移動の状態、新たに住宅を持とうとされる意欲等は、わが国の国際経済に移行する経済構造改善等が大きく影響しておりますことは、御承知のとおりであります。したがいまして、この方向がまだ明確に実はなっていないと私は心得ます。どなたも想像されなかったような過度の集中都市に対する人口集中というようなものが、恒久的に起こってまいろうとは私は想像しなかったのじゃないかと思うのですが、もし言い過ぎでございましたら、いかようにも陳謝いたしますが、私はそう思うのです。そういうことのために、急激に地方から都心に人口が集まってきておるこの傾向が今後どういうふうな方向へ行くか、それに対して政府としては、新産都市建設とか、ないしはまた首都圏もしくは近畿圏整備というようなことを鋭意計画努力中でございます。それがいずれも、どの程度の数の人が、今後どういうふうに集まってくるか、どういうふうに意欲を持ってくるかということは、今後の傾向、趨勢によるものと私は思います。ただばく然といま一千万戸の住宅が足らないというのは、計数的な調査からそういうふうにそろばんをはじきまして、そうして従来の方向でやっておりますけれども、今後の傾向としては、たとえば関東地区全体にどのくらいの人が集まってくるかというようなこと等についても、いろいろ学者の意見も分かれております。したがって、政府としては、一応東京周辺に四つの都市をつくろう、ここに相当の数の人口集中度を求めて、そこに新しい産業基盤をつくっていこうとか、もしくは近畿圏においては目下検討中であるというふうに、せっかく検討は加えておりますけれども、これをどういうふうに、どの県にどうというようなことについてはまだ案はございません。
  7. 矢山有作

    矢山有作君 私がちょっと調べたところでは、住宅建設計画として建設省考えておるのは、三十九年度から七カ年計画で七百八十万戸の住宅建設する、それに対する所要宅地が二億一千六百万坪だ。そのうちの三分の一、大体六千八百万坪を民間に期待しておると、こういうふうなことまではお立てになっておるんじゃないかと、こういうふうに承知しておるんですが、しかし実際に、先ほど私が言いましたように、宅地価格の安定だとか、宅地流通円滑化宅地確保及び宅地利用合理化をはかるという立場から問題を考えていくとするならば、先ほどおっしゃったような産業構造の転換だとか、あるいは地域開発の今後の問題と非常に深いつながりを持ってくるわけですので、全国的にどういうふうに住宅配置していくのかという総合的な立場から問題が検討されてこぬと、先ほど言ったような宅地に対する目的達成が非常に困難になるんではないか、私はそういうふうに考えます。したがって、早急にそういった点の調査を進めて、宅地配置計画といいますか、そういったものの整備を急がれる必要があると、こういうことを一つだけ申し上げておきたいと思います。計画がないとおっしゃるのに、それを突き詰めて、ある、ないと言って議論してもしょうがありませんから、そういう全国的な配置計画がないのに、住宅建設を促進していくために敷地造成をやっても、ただいま言いましたような宅地価格の安定だとか、あるいは宅地流通円滑化とか、宅地確保及び宅地利用合理化ということにはならぬと、こういうことをひとつ指摘しておきたいと思います。
  8. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) いまお示しになりましたような総合的な数字は、総合的な宅地もしくは住宅の必要、これに対する政府計画はそのとおりでございます。ただ私は、お尋ねが、それをどういうふうに各府県に割り当てているか、どういうふうに各府県に割り当てて計画をしているかというお尋ねと承りましたので、そういうものは持っておりませんと、こう申し上げたのです。ただし、全然ないかといえば、たとえば道路にしても、無計画道路計画を立てておりません。二十年後の日本想定図は一体どうなるだろうというものにつきましては、むろん、これはコンクリートのものであり、このとおりという確信があるわけじゃございませんが、大かたの御意見を十分検討いたしまして、昨年度中に一応の想定図をつくっております。で、こういうふうに日本は発展していくだろう、こういうふうに都市づくりはなされるだろう、こういうふうに道路は必要だろうというものは持っております。したがって、そういうものについて発展していくだろうというものは、想定はしておりますけれども、そのとおり一体いくものかどうかということは、時に今後の産業のあり方、産業構造内容等について変わっていくだろう、こう思いますから、いま申し上げたようなお答えを申し上げたと、こういうことでございます。ただし、ここにわれわれがお願いいたしておりますものにつきましては、一応全国の六大都市といいますか、七大都市といいますか、主要な都市、その周辺というものについて、一応の住宅地造成についてこの法律を適用してやっていこうということが目標でございます。
  9. 矢山有作

    矢山有作君 私の申し上げたのも、将来の確たる見通しは立たぬだろうと思うが、しかしながら、全国的な住宅配置計画というものが今後検討されていかなければ、この宅地造成の真の目的達成が困難であるということを御指摘申し上げたので、今後そういう方向で御努力を願いたいということ。  それから第二点としてお伺いしたいと思いますのは、今度提案されました住宅地造成事業に関する法律案の第二十条の第二項です、それによりますと、「農林大臣又は都道府県知事は、施行地区内の農地又は採草放収地を第四条の認可を受けた住宅地造成事業の用に供するため農地法規定による許可を求められた場合においては、当該住宅地造成事業が促進されるよう配慮するものとする。」と、こういうふうな規定が出ております。私どもがこの規定を読みました場合に受ける感じといたしましては、これは農地転用統制緩和する趣旨があるのではないか。特にこの住宅地造成事業に関する法律案が提案されるまでのいきさつ等を漏れ聞くところによりますと、宅地造成を促進していくために農地転用統制を撤廃してしまうべきじゃないかという強い意見もあったやに聞いております。そういう中からこの第二十条の第二項という条文が生まれてきた。そうするならば、農地転用統制緩和をねらっておると、こういうふうに解釈して間違いないと思うのですが、そういう立場に立って考えますときに、宅地造成の面からして、この農地法による農地転用統制というものを、建設大臣はどういうふうに評価をしておいでになるか、この点を承りたいと思う。
  10. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいま申しますとおりに、この住宅地造成事業は、一応六大都市もしくは七大都市周辺ということを目途といたしております。ところが、これらの東京、大阪その他主要の大都市周辺農地というものについて、これを全国的にいわゆる農業基盤となるべき農地と同じように考えているかどうかということになりますと、私はそこに多少の変更があってもいいんじゃなかろうかと実は思うのです。そういう意味から、従来のようにきびしく農地住宅地に変更することは、大体において認めないという方向でおられたものを、多少の緩和を願って、そして住宅地価格の上昇の緩和ということに寄与していただくことが、国民全体の福利を増進するゆえんじゃなかろうかと、こういう意味において、十分御審議は願わなければなりませんけれども、従来の方向と多少緩和してお考え願いたい、これらの大都市周辺においては、緩和をしてお考え願いたいということを農林当局お願いを申し上げたと、こういうことでございます。
  11. 矢山有作

    矢山有作君 私はその点で建設大臣といささか意見を異にするのです。というのは、農地転用統制宅地造成の隘路であると、だからこれを緩和するほうがいいというお考えのように承りましたが、これは実際に農地転用の状況を見ておりますと、私が調べましたところでは、必要な農地需要に十分こたえてきておると思うのです。実際の許可申請をやったもののうち、九割五分以上のものが転用許可になっております。そうすると、これは農地転用統制宅地造成の陸路だというふうに単純に割り切るということには問題があるのじゃないか、こういうふうに考えますが、その点について、あまりにも大臣のほうで、気分的に転用統制の撤廃をやりさえすれば宅地造成は進むのだというふうに考え過ぎているのじゃないかと思うのです。この点については、御見解はどうですか。
  12. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいまも申し上げましたように、全国的な視野に立っての農地という場合には、農地の重要なこと、国家としてこれを重要に考えなければならぬことについては、決して私はゆるがせにするものではございません。しかし、いま申し上げますように、例外的に大都市周辺において、専業農業者という方がだんだん減ってくる。むしろ、農業よりも他のほうにウェートを置いてやっておられる方がだんだんふえてきておる。それから、農地としてよりも、これらの宅地として国家全体の見地から考えた場合に、いまの現状から見て考えていただいたほうがいいのではないかと思えるようなところにおいては、緩和していただくことが適当ではなかろうかと、こう思うのです。それといま御指摘のように、宅地として農地転用をやったものは八割五分も九割もいっているじゃないか——それはそのとおりでございます。そのとおりでございますが、いまここで申し上げますのは、住宅地造成しょう、そこに都市計画をつくって、道路下水等を完備して広範な地域にやっていこう、これらの周辺に、広範な地域住宅地造成をしていこうという場合に、こういうふうにひとつお考え願って、御協力いただくことが、国家的に考え目的達成するゆえんじゃないかという意味においてお願いを申し上げたい、こういうことでございます。
  13. 矢山有作

    矢山有作君 しかし、実際の問題として、市街地周辺において宅地転用することに転用統制許可制度を適用しても、問題は生じておらないとするならば、あえてここでその転用統制緩和し、はずすというよなう必要はない。事実上、十分に需要にこたえておれば、あえてそれをやらなければならぬ必要はないじゃないですか。
  14. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) これは、実情で御承知のように、そこまで至るまでに非常に時間がかかり、非常にこの事業を進行する上にいろいろな問題があるというようなことから、宅地造成がおくれるということのために、いま言うとおりに、宅地の急激な値上がりになっておる。これは御承知のとおり、農地か山林かということで値段が違うというようなこともあることは御承知のとおりでございます。
  15. 矢山有作

    矢山有作君 それはどういう意味が、どういう問題があるのですか。現実に宅地需要にこたえておるのに、いろいろの問題があるというのは、どういう問題があるのですか。具体的に、私のほうから、端的に指摘しますと、とにかく宅地として早く、手っとり早くこれを買い取って、宅地造成をやるような方向に持っていきたい、こうおっしゃる趣旨なんですか。
  16. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 従来の例からまいりますと、ごく小規模な場合には許可がありますけれども、宅地造成をしようということで、それが坪数がまとまった場合には許可がないということに大体なっておりますから、そこで、まあその点を十分に考えてまいりたい、こういうことでございます。
  17. 矢山有作

    矢山有作君 それは転用許可をする場合に、住宅地として転用許可申請をやって、住宅地に実際に転用されないというような実例が多いところから、そういう見通しのはっきりしないものについては、これを統制してきたわけですよ、その点はあります。しかしながら、この法律をつくって住宅地造成をやったからといって、それなら、これによってその住宅地としてスムーズに活用されていくという保証が、この法律にありますか。大規模住宅造成はできるでしょう。しかし、造成した土地がスムーズに宅地として転用されていくんだという保証が、この法律に出ておりますか。
  18. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) ただいま大臣から申し上げましたように、現在の宅地のための農地転用につきましては、宅地造成として実施をする場合には、原則として許可を認めない方針でございます。しかしながら、都市の近郊の住宅地考えます場合には、大規模に、しかも、道路なりあるいは排水施設を完備した良好な宅地を供給する必要がございます。こうした良好な宅地を求める者が多うございますので、それについて、新たにこの法律によるところの許可を、認可をいたしまして、その事業が的確にできるようなものについてのみ認可をする。そうした場合にも、従来の方針によりまして、個々の建築する場合の敷地じゃなくとも、住宅地造成として一定規模がこの計画によって行なわれる場合には、その事業実施につきましても見通しがありますので、そういう場合には、従来の方針を変えて農地法転用許可お願いしたい、こういう趣旨でこの条文を書いたわけでございます。
  19. 矢山有作

    矢山有作君 なるほどおっしゃるように、大規模住宅造成というのはやれる可能性が出てくるでしょう。しかしながら、そんなら、その造成した住宅を処分することについては、何らの規制はこれにはない。さらに、その住宅地の分譲を受けて宅地造成事業をやることについても、また、譲り受けた人がそれを処分することについても、何らの規定がこの法律にはないのです。ただ住宅地造成するということは、なるほど大規模なのはこの法律でできるかもしれない。しかしながら、造成した宅地は、はたしてどういうふうに活用されていくのかということについては、何らの保証がこの法律にはないということを私は指摘をしておるのです。
  20. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) この事業が的確に当初見通しどおり行なわれますことは、最も望むべきことでございますので、事業計画の作成につきましても、その施行者の信用あるいは能力及び今後の事業計画につきまして詳細な計画をもとにして認可をしてまいります。ただいま御指摘法律上これに対する規制措置については、一方において、民間事業であり、財産権に対する規制という面との調整を考えまして、法文上は出ておりませんけれども、その認可する際の条件として、確実に事業実施できる者について認可をする方針としておりますので、そういう御懸念はないように運用してまいるつもりでございます。
  21. 矢山有作

    矢山有作君 民間事業だから法律できめられないとおっしゃる。しかしながら、われわれは造成された宅地がどういうふうにスムーズに実際に宅地として活用されていくかという保証がなければ、宅地造成をやることだけでは安心できぬのです。したがって、この法律できめられないなら、造成された宅地処分方法、譲り受け人が実際に造成宅地利用し、あるいは処分する場合の規制、そういったものを具体的にどう考えておられるのか、これは詳細にあとで御説明を願いたい。  それから、それより前に大臣にお伺いしたいのは、私が宅地としての転用が、事実上の問題として農地転用許可制度がたいした障害はないではないかということを指摘しましたときに、転用について、手続上からもなかなかいろいろな問題があって、うまく宅地造成が進まない場合がある、こういうような意味お答えがあったと思うのです。そのことが具体的にどういうことを意味しておられるのか、端的に私のほうからお聞きしたいと思います。私はそこまでおそらく大臣はお考えになっておらぬと思うのですがね。念のためにお聞きしますが、宅地造成をやりやすくするために、将来何らかの、いまの制度でいうならば収用制度があります。そういったようなことでもお考えになっておられるのですか、ただいまの御答弁から想像した場合には、そこまで、問題をお考えになっておるような気配があるような感じを私は受ける。
  22. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) そういうことは考えておりません。
  23. 矢山有作

    矢山有作君 それではもう一点この点で突っ込んでお伺いしますが、これは直接この法律には関係がありません。土地収用法等の一部を改正する法律で、今度公共用地特別措置法の一部改正考えられておるようです。その中で、対象事業は、いままで法定をされておった。ところが、今度は、公共的な重要度の強いものに対しては、これを政令で指定することができると、こういうふうになっておるようです。そうした場合に、この宅地造成が、たとえ民間でやられるにしても、建設大臣が指定した地域における宅地造成は、公共的な意味合いが強いというような拡張解釈をやられて、将来、収用制度を適用するというようなことはありませんか。
  24. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 先ほども本会議お答え申し上げたとおり、そういうことは考えておりません。
  25. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、私は、先ほど大臣が、宅地造成転用許可制度があることが障害になるかのごとき御発言をなさったのがわからなくなってくる。実際の問題として、農地転用について、転用許可制度が、いままでの実績から見ると、たいして障害になっておらぬ。それなのに、わざわざ転用許可制度が骨抜きになるような改正考えられておるということの意味合いが私には納得がいかない。この点はひとつ指摘をしておきたいと思います。  それから、その次にお伺いしたいのは、私は、農地転用許可制度があることが、かえって農地の投機的な売買、ブローカーの介入、こういうものを排除して、地価の対策上はかえって重要な役割りを果たしておる、私はそういうふうに理解しておるのです。大臣のほうは、どういうふうにお考えになっておりますか。
  26. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私は、先ほどからお答えいたしておりますように、大都市周辺宅地適地としての農地が、もう少しスムーズに宅地転用できるようになりますれば、一般の宅地はもう少し値段が下がるようになるだろう。これは御承知のとおり、現に農地林野では、宅地にする場合に、林野のほうならば、いろいろとめんどうな手続がありませんので、そのほうがむしろ値段が高く売れるくらいであることは、農地転用についていろいろな障害があることの証左だと私は思うのです。したがって、これが同様に考えられて、これが宅地利用できるようになるということであれば、それだけ私は、需給の関係が円滑になってくるというふうに思うのです。
  27. 矢山有作

    矢山有作君 どうも大臣のお声が小さいので、よく聞き取れぬのですがね、そういうようないまの大臣の御答弁では、私は逆だと思う。土地の値上がりの原因というのは、私は農地転用許可制度があることが、土地の値上がりの原因じゃないと思うのです。土地の値上がりの原因というのは、もっとほかのところにあるのじゃないか。転用許可制度土地の値上がりの原因になっておるなんてお考えになるのは、間違いなんじゃないですか。
  28. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) いまもお答えしましたとおりに、大都市周辺農地が、あえて私は自由にとは申しませんが、宅地としてこれが許可になるということになれば、あたかも林野と同じような意味において、これが宅地として利用できるようになれば、それだけ供給の面が増してくるのです。やはり需給の関係が、何といっても高騰している一つの大きな理由であることは、これはもういなめないと思う。そのほかに、一時的な仮需要とか、いろいろな派生的な問題もあるでしょうけれども、根本は私は需給の関係だと思うのです。そうしてみれば、もう少し大都市周辺農地が簡単に利用できるようになってくれば、それだけ私は下がってくるだろうと思うのです。
  29. 矢山有作

    矢山有作君 いまおっしゃるように、需給のバランスがくずれておるから土地が高いのだとおっしゃる。それだったら、私が前に指摘しましたように、造成した宅地の処分については、どうしてこれは野放しにしておるのですか。造成した宅地の処分について、野放しにしておいたのでは、これは不動産業者なりブローカーなりが、宅地造成がやりやすくなったということで、どんどん宅地造成する、その統制をどうしてするのですか。これを野放しにしておいたら、宅地価格を引き下げるという作用にはならぬのじゃないですか。
  30. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 先ほど事務当局からお答えしましたとおりに、不正——適正でない民間の業者には、これを認可いたしません。  第二には、いま申し上げましたとおりに、全体的な需給の関係からくるということでございますので、いまいったように、土地の供給が全体的に殖えてくれば、そういうような思惑が多くて値段が上がるという傾向は押えられるから、そういうことにならぬだろう。あえて申し上げますれば、もう少し、大都市周辺に交通網が完備しまして、周辺利用度が高くなってくれば、そのために供給は非常にふえますから、いまのようにいたずらな地価の高騰はなくなるだろうと私は思っております。
  31. 矢山有作

    矢山有作君 私は、地価の高騰の原因は、ただ単に需給問題であるだけではないと思います。もちろん需給問題も一つの大きな要因でしょうが、土地ブローカーの介在というものが、地価をつり上げておる面があるのじゃないか、こういうことを私は思うわけです。したがって、問題をもとに戻しまして、いま局長のほうから、実際に造成した宅地の処分等については、適正にこれがスムーズに行なわれるように考えておるとおっしゃいましたが、それは具体的に、どういうふうな基準でもって、お考えになっておるのか、もう成案はまとまっておるだろうと思いますので、まとまっておったらお知らせを願いたいと思うのです。
  32. 北村暢

    委員長北村暢君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  33. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記を起こして。
  34. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 事業計画の的確な実現を期するために、目下農林省当局と話し合っておりますが、われわれのいままでの研究の段階を申し上げますと、この工事は、認可後二年以内に完了する見込みが確実であること、及び、その上に、五年以内に市街地化して建築ができるように見込める場合に限るという方向で、認可の基準を作成するべく相談をしておる段階でございます。
  35. 矢山有作

    矢山有作君 それではこれをもう一つだけお尋ねして、今度は、農林大臣のほうにお伺いしたいと思うのですが、宅地制度審議会から出ておる答申が、一次、二次、三次とありますが、これで見ると、新住宅市街地開発法ですか、これの場合には、宅地制度審議会の第一次答申を受けて、造成宅地処分方法については、かなりの規制をしておるようです。というのは、真に、宅地に困窮をしておる者と、宅地を必要とする者に対しては、公正かつ適正な価格宅地を供給することができるように配慮がなされておる。さらに、その譲り受け人による造成宅地利用処分に関する規制も、これは定められておるようです。ところが、民間人のやる宅地造成事業については、一切それが規定してないようです。私は、そこに問題が将来起こってくるおそれがあるのではないか。たとえば一例をあげて申しまするならば、造成した宅地が非常に高い価格で売られる、こういうようなことが起こってきた場合に、その造成された宅地を活用することができないでその周辺の安い農地にさらに宅地として進出がなされていく、こういう現象が起こってくるおそれはありませんか。そういうところからして、私は造成した宅地流通の面、それを実際に活用する面における規制というものを、どういうふうにやっておられるかということを重ねてお伺いしたいのであります。
  36. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 前段にお話しになりましたいろいろの規制があるじゃないかというほうは、公団の場合でございます。公団が事業をする場合でございまして、民間事業ではないのでございます。後段の分の御指摘につきましては、民間事業でございますから、そこまで立ち入ることは現在法律的にちょっと行き過ぎになるということの違いがありますので、先ほど御説明申しましたように、認可の際に、厳重にこれら当該者との間に政府は行政指導をしていくつもりである、こういうふうに考えております。
  37. 矢山有作

    矢山有作君 私も大臣の御答弁はそうだろうと想像しておったのです。したがって私は、民間人がやる事業だから法律でそういった規制ができないとおっしゃるのなら、実際の宅地の適正な流通をはかっていくためには、認可をおろすときに、よほど厳正な規制をやっていきませんと、これは造成宅地は円滑な流通ができないということになりますよ。このことだけは私は強く指摘しておきたいと思います。その点について行政的にどういうものを具体的に考えておられるかということをあとからお伺いいたします。  それでその次に、実はこれは私は最後にお伺いをしたい、こういうふうに思っておったのですが、先ほど委員長から御注意で、農林大臣のほうの時間が切迫しておるようですからお伺いいたしますが、農地改革以降、将来宅地化する見込みの農地については、転用や買収地の処分にあたって特別な扱いがとられてきた。これはもう大臣も御承知だと思うのです。その経験から見ますと、市街地に予定された農地価格が上昇する反面で、将来とも農業地帯と予想された隣接農地の地価が総体的に割り安になるという現象が起こってきておる。一方では割り安の農地の所有者の不満がそこに生まれてくる。他方では割り安の農地に虫食いのようにばらばらで宅地が設置されるという弊害が起こってくる。これは御承知だと思います。本法案を見ても、規制区域内における宅地造成計画についての総合的なものがないのじゃないか。個々の業者の計画にゆだねられておって、その業者の計画が一定の宅地造成計画として法に定められておるところに合致すれば認可するということになっておるわけです。そうすると、虫食い的に農地を侵食して宅地があちらこちらにできるというような弊害をチェックすることが非常に困難じゃないかと思うのですが、この点は農林大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  38. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) そういう心配もあろうかと思いましていろいろ折衝いたしたのでございますが、御承知のように第三条でございますか、関係都道府県の申し出によって、都市計画地域内で住宅造成事業規制区域が指定されるわけでございます。そのためには、関係市町村長の意見を聞いたり、あるいは都市計画審議会の意見を聞く、こういうことによって、いまお話のように食い散らすというようなことのないような措置をとっておられるようでありますから、慎重にその点に対処してもらいたい、こう思っております。
  39. 矢山有作

    矢山有作君 ところが農林大臣、いまその建設大臣のほうからは、当面法の適用は六大都市等についてやると考えておるのだというふうな御答弁があったのです。ところが、問題は私は今後に非常に強く出てくると思う。それはこの宅地制度審議会の第三次答申を読んでみると、将来は新産都市、こういうものもこの法の適用を受けるようなことになってくるのじゃないか、そうすれば、低開発地の工業開発地域、そういったこともやがて適用を受けるという事態がくるのじゃないか、このことを一つ私は考えるわけです。具体的な例を一つ申し上げますと、私の岡山の場合を例にとって申し上げますと、御承知のように、三十三カ市町村の大合併によって新産業都市の指定を受けて都市建設をやっていくという問題が出ている、そういう場合に、三十三ヵ市町村全体を都市計画の中に入れて、そうしてこの地域指定でぱっと網をかけられてやった場合に、宅地造成に対して、この法律でいくと、あそこに五千坪、ここに一万坪、ここに三千坪と、ばらばらに宅地造成が私企業者によって、一定の資格を備えておれば、適格要件を備えておればやれるということになり、そうすると、その住宅団地の間の農地は、残滓的に虫食い的に残ってくる、しかも、造成された宅地価格がもし高かった場合には、それを買わないで、その近辺の安い農地を買収して宅地をつくっていく、こういうことも起こってくる。そういうことに対して、規制なり何なりは全然これはできないと思う、法律では。そうなってくると、私は、農林大臣という立場から、そういった農地の壊廃状態が起こることにどう対処されるのか伺いたい。
  40. 北村暢

    委員長北村暢君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  41. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記を起こして。
  42. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 私はいまのお話しと逆だと思うのです。規制区域を設けて、そうして建設業者といいますか、造成業者に対して認可を与えるから、かえってその点では規制されるのじゃないか、逆に捨てておけば、たとえばいまの岡山の水島の場合でもどこでも、あちらでもこちらでも、むしろ食いかけるといいますか、あっちでもこっちでもかってに業者が宅地造成をしていくということになって、これはまたそのときに農地の転換の問題がございますけれども、そのほうがかえって弊害が多いのじゃないか。建設業者なり、宅地造成業者なりに対しまして、たとえば水島の何十ヵ村が造成区域になり、その中で造成業者が認可を申請した場合に、これは不適当だ、ただ金をもうけるためにのみやるのだということになれば、私は、許可しない方針だろうと思います。そういうことのほうがかえって私は制度的にはっきりしてきていいのじゃないか、こういう感じを持っています。
  43. 矢山有作

    矢山有作君 それは、この法律がない場合と、あった場合と、農地が蚕食されるという強度の差の問題はあると思うのです。強くそれが出てくるかこないかという問題はあるかもしれぬ。しかしながら、この法律大臣がおっしゃるように、私は、農地の蚕食状態というものが規制をできるとお考えになるのは、あまりに期待を持ち過ぎるのじゃないか。ここの第五条の事業計画や、それから第六条、その他ずっと読んでみて、実際に、たとえば広い地域の中で、私企業者がこの地点がいいといって、そこに宅地造成しようといって事業計画を立てて認可申請をしてきた場合に、この法の定めている要件を備えておれば、これは許可せざるを得ないでしよう。そういう形のものが農業地帯として残しておくほうがいいようなところに、あちらにもこちらにも出てくるというようなことをこれで強く規制するということは私はできぬと思う。そういう気がするわけです。  それとあわせてもう一つ、いま申しましたような造成宅地に対する適正な価格というようなものが、いまのところ何もないわけですから、そうすると、案外、造成された宅地が高いという場合には、そういう場合には、近辺のより安い農地を買って宅地をつくっていく、こういう傾向もあわせて起こってくる。したがって、この法律農地の蚕食を防いでいくという効果を期待することは無理なんじゃないか。もしそれを期待しようというなら、これは、この宅地造成をやる前段において、土地利用区分といいますか、こういう地域はなるほど住宅地としてつくったほうがいい、しかし、こういう地域は優良な農地であるから、農地として残したほうがいい、こういったものが大まかにでもきめられている必要があるし、また、そういうことをきめておくためには、農林大臣という立場から、農林大臣が積極的に、その地域指定の段階において、そうした相談にあずかって、優良な農地の保全という立場からの意見を出して、そして調整をとっていくということが必要なんじゃないか、私はそう考えるんです。それに対する御所見を伺いたい。
  44. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 御意見のとおりであります。土地利用区分をつくって、優良な農地、あるいは集団化等をはかっているところの農地が転換されることは、私どもとしては、拒否していくといいますか、そういうことをされては困るわけでございます。ただ、この法律そのものは、お話のように、農地の転換を押えるというものじゃなくて、むしろこれは緩和しているわけです。一定の区域内におきましては、この法律そのものは緩和していく、こういうたてまえでございまするから、この法律によって農地を保全していくと、こういうことはこれはちょっと無理だと思います、たてまえが違いますから。しかし、一般の農地につきましては、いまお話のように、私は一新産都市の近くにおきましては、調査費を計上いたしておりますが、土地利用区分というものをはっきりさせて、優良な農地あるいは集団化を必要とする農地、こういうものは、いまの農地法によって転換を行なわせないような方針を進めていきたいと思います。ただ、この法律のねらいは、やはり緩和する方針でございまして、その緩和する場合におきまして、やはり事業の指定区域、あるいはまた、業者の認可等につきましては、私ども重大な関心を持って、農地がいたずらに荒廃されるような、あるいは転換されるようなことがないように、私はつとめていかなければならない、こう思います。
  45. 矢山有作

    矢山有作君 農林大臣のその御意思は、私もそうあってほしいと思う。ところが、農林大臣がその意思を反映する機会というものが、これでは与えられておらぬのじゃないですか。なるほど第二十条の第二項で、農林大臣は、「当該住宅地造成事業が促進されるよう配慮する」、こうなっているので、要するに地域として網をかぶせて指定されたら、農林大臣はむしろ宅地造成がスムーズにいくように配慮しなければならぬので、いままでの転用許可基準にあまりこだわらないで、それを進めるようにしろ、こういう規定になっておるわけです。しかも、その地域指定をやる段階においては、何らの相談にあずからない、建設大臣が単独でおやりになる、それからまた事業許画等についても、あなたは何も御存じない、こういうことになるわけですね。そこで、どうして一体そういう、あなたがいまおっしゃったような規制をやっていこうとされるのですか、やる場がないじゃないですか。
  46. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) これは、その規制という方針でいけばそうなんです。しかし、宅地造成という面からいけば、規制緩和しよう、こういうことですから、一定地域内におけるあるいは業者の認可に対しましては、これは配慮するという意味におきまして緩和していくわけであります、これは宅地造成面から。しかし、その中でも、農地として必要がある場合には、無条件で農地転換を認可していくというわけじゃございません。「配慮」というのには、これはまずいときには認可しないこともある。いままでよりは緩和されていますが、認可しない場合も「配慮」の中に入っておるわけであります。無条件で当然転換をゆるめていくというわけじゃございません。しかし、この目的が、一定の地域内においては宅地造成するということに対しまして、農地としてこれを宅地に転換してもよかろうというような場合のほうが多いものですから、ですから、これは緩和していこうと、こういう方針でございますから、認可の権利をまだ保留してはあるわけです。緩和しておりますけれども……。
  47. 矢山有作

    矢山有作君 住宅地造成規制区域内において緩和をしていくのだ、緩和をしていくのだが、その許可するかせぬかは保留しておる、こうおっしゃるのですがね。しかし、実際問題として、その転用許可制度というのは、御承知のように、農地転用許可基準というやつで運用されていっておるわけですね、次官通達で。ところが、この法律の第二十条の二項では、要するに事業規制区域として指定されたら、その中に農地等があった場合には、もうそれが転用許可になるように促進せいと、促進するように配慮せいという趣旨なんですね。そうなると、もう一歩突っ込んでお伺いしたいのですが、この許可基準とこの二十条の二項との基本的な関係というのはどうなってくるのですか、具体的に。
  48. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 転用許可基準が現在ございまして、この法律が出ますれば、その限りにおいて転用許可基準を修正いたす考えでございます。ただ、一言申し上げさせていただきたい問題は、先ほどもお話がございましたが、宅地をつくります事業は、いままで特定の者しか許可いたしておりませんでした。このケースに関しては、宅地をつくる——宅地を建て売りでなくつくる形を認めようという意味において、農地法規定による許可を求められた場合においては、宅地造成事業が促進されるよう配慮するということでございまして、農地法許可が、本来持っております農用地との調整の問題は、この許可面において慎重に考える所存でございます。
  49. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  50. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記を起こして。
  51. 矢山有作

    矢山有作君 丹羽さんね、現在都市周辺に残っておるという農地は、ほとんどの部分は非常に優良農地ですね。いま残されている農地は優良農地が集団的に存在しておると思うのですが、宅地造成という立場からしたら、そういうような優良な農地が一番にねらわれてくるわけですね、私はねらわれてくると思うのです。そういうときに、どういうふうな形で転用許可基準というものを、あなたは緩和するとおっしゃるのですが緩和してそうして優良農地宅地造成による蚕食を防いでいこうとせられるのか、具体的にこの許可基準をどういうふうに改めるのか、それがわかっておればひとつお聞きしたい。
  52. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 先生の、いま都市周辺農地は優良農地でまずあろうかという問題、優良農地というものを確係するという基本方針をとっておりますが、優良農地というものの考え方、あるいは現在におきます転用基準の根拠になっております三種農地——一種、二種、三種の問題。三種は、土地としての生産力があるという問題のほかに、たとえは区画整理が——これは都市区画整理でありますが、済んでおる地域の中とか、上下水道、ガス等が非常に引かれた地域の中であるとか、そういう外側の条件から三種農地、つまり農業としてどうしても維持したいという立場からは、ややランクを下げて考えておる意味の三種農地であります。で都市周辺におきまして、都市が発達いたしますと、この意味におきます三種農地というものがどうしてもふえてまいろうかと思います。  それから転用基準をどう変えるかという問題の一番大きな変え方は、先ほど来先生御指摘のございました建て売りは、現在地方自治体、建て売りでない宅地造成のための農地転用は、市町村及び県が出資する法人等、住宅公団等厳重に押え込んでおりますが、その部分は、この認可を受けました事業者は、宅地分譲のために農地転用の申請が出れば一受け付けて審査の対象にするという意味改正を行なう予定であります。  あとの問題といたしましては、配慮するという問題の意味におきましては、以上申し上げました、いままで認めなかったものを、このケースにおいて認めるということのほかに、審査を——無条件で私ども許可するわけではございませんので、耕地等につきまして、県の農林、建設担当部局との相談を事前に行なわせまして、問題点を調整いたしまして、正式に許可がおりましたら、できるだけ早く許可をするという手続面での配慮を非常に重点を置いて考えておる次第でございます。
  53. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 大臣がいない間に、ちょっと事務的に伺いますが、この法案の第一条の目的の「人口集中に伴う住宅用地の需要の著しい都市及びその周辺地域」、これはいずれ政令等が出るでしょうが、政令案はどういう内容でしょうか。
  54. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 先ほど大臣から申し上げましたように、大都市地域及びその周辺地域でございまして、周辺につきましては、大都市に対する通勤の可能な限度における地域を取り上げるというように考えております。
  55. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 大都市というのはどういうことですか。
  56. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 当面、この措置によって規制をするのが適当であろうとわれわれ考えておりますのは一京浜地区、中京地区、阪神地区、北九州地区でございますが、そのほかにも、あるいは広島、仙台、あるいは札幌という程度の都市になりますと、最近特に人口集中が激しいので、この適用をする必要も起ころうと存じますが、この法律によりまして、地元の市町村等とも、都道府県とも十分協議をした上で決定したいと考えております。
  57. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いまの具体的なその地域あるいは都市名は、当面という前提の説明ですが、当面ということは、将来はさらに拡大をするという意図を持っての当面であるか、将来は当面の具体的にいまあげた都市地域をさらに狭めるという方向の当面か、その具体的なもう少し内容に触れて、一般国民がわかるように答弁してください。
  58. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 法律によりまして、「人口集中に伴う住宅用地の需要の」非常に「著しい都市」と、こういうふうに書いてございますので、現にそういう状況になっておることがまず必要でございますが、同時にまた、この周辺地域につきましても、今後の交通系統の発達等に伴いまして変更をされることは当然でございます。私が申し上げましたのは、当面、いま申し上げましたような地域が適当だろうと存じますけれども、日本の将来の人口の構成、産業の発達等におきましては、変化が起こることは当然であろうと思います。
  59. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 ややはっきりしかけてきたのですが、したがって、私がさらに伺うのは、この法律が提案されるに至った最も要因とでも申しますか、問題を詰めたものとしては、第三次答申があると思う。この第三次答申は、もっと具体的に、「及び新産業都市、」ということをうたっておる、「首都圏市街地開発区域等新たに計画的に市街地を開発すべきこととされている土地」とうたっておる。もっと具体的に、「当面」云々ということではなしに、この答申にうたっておる新産都市は一体当面の対象になるのかならぬのか。あるいは新産都市十三ブロック以外にこれに準ずる四地区等がまた準ずる措置を受けようとしておる、そういうものが一体当面の中に入るのか入らぬのか。あるいは低開発地域工業開発促進法の指定を受ける都市か、そういうものは一体対象になるのかならぬのか、もっと具体的に御答弁を願いたい。
  60. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 現在の新産都市地域は、現にこの一条の目的に書いてございますように、「人口集中に伴う住宅用地の需要」に必要な都市であるというふうに考えられない、まだ今後発展の可能性のある地域として考えられる都市でございます。そういう意味におきまして、将来そちらに人口集中し、住宅用地が逼迫し、ここに書いてございますような「災害の防止及び環境の整備」の必要のある時期に至りましたならば、この法律による規制区域を設定しようと存じますけれども、現在ある指定された新産業都市の中には、そこに属していない地域もございますので、当面はその対象につきましては、直ちにこの地域が指定されるというふうには考えておりません。
  61. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 そうすると、もっと具体的に御答弁を願いたいが、当面は新産都市のうちのどの都市を指定する予定ですか。抽象的じゃわからぬ。
  62. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) まだ明確に各都市の実態につきまして——指定するかどうかにつきましては具体的な決定はいたしておりませんけれども、現在ある新産都市につきましては、直ちには指定すべき状況にはないように考えております。
  63. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 当面の間は新産都市は指定にはならない、こういうことをはっきり言い切れますか。
  64. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 新産都市のうちで特に人口の著しい地域としては、あるいは岡山付近の地区等が考えられますが、これらにつきましては、今後その必要性等を十分検討いたしまして研究をすべきだと考えておりますので、直ちにここの席におきまして−指定をする、あるいは指定をしないということにつきまして、まだ十分な検討をいたすわけであります。
  65. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 この法律が国会に提案されて審議をしている段階でまだ検討もしていないなどという、そういうあやふやな内容を踏えた法律ですか、どうですか。
  66. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 新産都市の全部につきまして具体的にこの法律の適用をするかどうかにつきましては、先ほど申しましたように、実態がまだ熟していないときには指定をすべきでないと考えておりますが、一面、現に住宅のために宅地の取得難があり、しかも、この法に書いてございますような災害防止及び環境の整備をする必要があるかどうかという点につきましては、民間宅地造成の実態というものをさらに詳細に調査した上で具体的に決定をする必要がございます。同時にまた、都道府県の申し出によりまして、これを決定する必要がございますので、関係者と十分な協議をした上でないと指定をするということの決定ができませんので、今後この趣旨に従いまして指定をすべく関係当局と話を進めたいという考えでございます。
  67. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 どうもあなたは大臣以上に政治的な答弁で逃げようとしているが、局長はもっと事務的に答弁をすればいいんですよ、もっとまじめにぼくの質問に対して。そうでなかったならば、あと休憩して、大臣に出てもらうよりしかたがない。あなたの答弁は大臣以上の答弁だ。この第三次答申には、われわれの相当尊敬する委員が加わり、十三人ですか、そのほかに専門委員が二十名近くも寄って検討して、新産都市も入れろということを明らかに答申にうたっておる。いいですか、これはあなた方が諮問した委員会ですよ。それらのうちで当面一体どの新産都市を指定するかしないかは関係者の意見を聞くとかなんとかということじゃ、この法律案の説明にはならぬですよ。河野大臣の答弁ならまだしも、専門にやっているあなたがそういうあやふやなことで法律案は一体審議できますか。もっと具体的な答弁がない限りはこの審議は進みせんよ。ないならばない、あるならば、新産都市十三のうちのどこだ、これを言ってください。あるかないか、あるならばここだというふうに……。
  68. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 答申におきましては、将来のことも考えられてそういう御意見だと思いますが、われわれが、先ほど申しましたように、現在の宅地事情及び民間宅地造成の状況を考えまして、この法律の適用区域に入れてはどうかと考えられますものは、先ほど申しましたように、新産都市の中では、北海道の札幌地区がこのうちに含まれていいじゃないかということを現在考えております。
  69. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 そうすると、新産都市のうち当面というのは、六大都市のほかは札幌市、これだけに限定するということと理解していいのですか。
  70. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 繰り返して申し上げますように、確定をするということはこの席上では申し上げられませんが、検討をいたしまして、適用をする必要がある可能性として考えられましたのは、いままでのところでは、北海道の道央地区と、それからちょっと触れました水島地区、仙台地区等が候補にのってくるわけでございます。これらの点につきましては、具体的に決定するかどうかにつきましては、さらに実態調査の上、関係の都道府県と協議をしてきめたいというふうに考えております。
  71. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私は繰り返すようですけれども、当面の間というそのことがまた問題であるので具体的に伺っているのですが、この法律案を出して説明をしている段階で、なお検討して、などということが、この法律のいう具体的な内容であるとすれば、不見識もはなはだしいものであると思う。これは法律を出す前に検討すべきことで、法律を出すからには、これの現実の対象はここである、当面はここであるというくらいのはっきりした政府の責任ある内容を持ってこれは法律審議に臨むべきものなんだ。いまやっと仙台という名前が出、水島という名前が出た。さっきはなかったでしょう。一体どれがほんとうなんですか。もし少し国会の審議というものを尊重してやらぬといかぬですよ。いずれきょうは適当に答弁して、法律が上がればあとは行政庁としてかってにやるなんということじゃいかぬ。あくまでもこの法案の審議の中で問題を明らかにする必要がある。当面とは、一体期間的にはどのくらいを見ていますか。その当面の間は、いま言った都市に限るという責任を持つわけですから、当面とは、一体期間的にどのくらいを局長は考えていますか。
  72. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 当面と申しましたのは、この法律が成立いたしました暁に、あまり遠くない期間において指定すべき時期と申し上げましたが、人口集中の程度と申しますのは、あるいは短期にある場合もございましょうけれども、かなり時期がおくれるとも考えられますので、現に人口集中しておる地域として指定をされるのは、ただいま申し上げました新産都市におきましては、道央地区、水島地区及び仙台地区等が、法律意味に該当するのであろうということでございまして、それ以外の地域につきましては、人口集中、あるいは住宅地の逼迫の状況のいかんにかかります。
  73. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 さっきのあなたの話ですがね、この答申の「新産都市」、あるいは「新たに計画的に市街地を開発すべきこととされている土地の区域」、これは将来にわたっての問題を出しておるとあなたは言うたけれども、答申はそういうことじゃないのですよ。答申は、ここにもうたっているように、こうしたようなことは、都市計画区域について、「現に問題とされるのは、住宅難の発生している都市及びその周辺に限られているので、このような規制を行なうべき都市計画区域」については云々として、新産都市も「新たに計画的に市街地を開発すべきこととされている土地の区域」もみんなあげておる。現実にこれがこの法律の対象地域であることが必要だという現実認識に立っておる。これが審議会の答申なんです。だから、政府は答申をそのまま尊重しない。これをさらにきびしく整理をして、新産都市については、道央地区、仙台地区、水島地区等と言ったが、その「等」がぼくには気に食わない。その三つの「地区等」というの何ですか。三つを総称して「等」と言ったんですか。あるいは、その他を含めて「等」と言ったんですか。どうもあなたの答弁は政治的過ぎる。もう少し事務的に答弁してください。
  74. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 現在の住宅用地の需要の著しい都市のとり方でございまして、私が申し上げました三地区につきまして、あるいは大分周辺というところも問題になると思いますけれども、それにつきましては、まだそれほど熟度がいっておりませんので、目下のところ、私の手元の研究では指定をする考えになっておりませんけれども、この法律の運用につきまして、今後の研究課題になると、こう考えて申し上げましたので、とりあえず指定をする可能性の強いものは、いま申しました三地区と考えております。
  75. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私は、これ以上このことではちょっとあんたにもう質問する意欲をなくしたんです。まあ大分等も一応検討にのっておるということで、だんだん伺うほどに拡大してくるということなんですね。人口密度の集中によると、将来の方向としては当分の間、さらにその傾向によって新たに地域指定が行なわれるということですが、このことは、従来の傾向から、将来が科学的に類推されるデータがあるわけだ。したがって、それらの拡大する指定地域というものは、当分はいま言ったような六大都市と三地区、それにしぼる。あとは人口密度の集中住宅需要の増大ということは、従来の人口集中の経過を踏まえて当然出てくる傾向値があるわけですね。もっと科学的にそれを分析して、一体いつの年次になったら、どの地域が指定される予定ですか。それをひとつ伺っておきたい。もっと科学的に言ってくださいよ、ムードじゃなく。
  76. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 新産業都市の育成が実現していく見込みによりますが、われわれが、聞いておる範囲内におきましては、新産業都市も十年先のことを考え計画を進めておるように聞いておりますので、その地区に人口集中する、この法の適用を受ける時期になるのも、そういう年次の範囲において適用の問題が起こってくるんじゃないかというふうに考えます。
  77. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 とりあえずいま具体的にはっきりした新産都市においても、非常に好景気ですね。純農村地帯も全部包含している。それが全部対象になった場合の優等農地宅地化というものは、きわめて基本的な国の政策としては問題があるわけです。それだけでも大問題であるということで、これは大臣が来てから私質問します。  それから、その前に丹羽局長に伺いますが、農林大臣は、この二十条の解釈について、何かもっともらしい説明をしたんですけれども、この第三次答申の趣旨は、農地転用許可は、この計画が承認されることによって転用許可があったものとみなすという思想が答申の中にある。もうこの事業計画認可を受ける事業計画そのものが、主管大臣たる建設大臣認可を受ければ、農地転用許可になったものとみなす、こういうことが、この答申の精神を貫いている。こういうことがはっきりしているのに、農林大臣が一応促進されるように配慮するということの中にも、農地転用基準を活用するというがごときは、まさに木に竹をついだような説明で、これはできもしないことを言うている、この趣旨であるとすれば。あなたはこの答申の趣旨というものをいかに解釈しているか、これを伺いたい。
  78. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 建設大臣が、宅地行政に関連いたしまして審議会におはかりして答申を得て、建設省がその答申に従いまして法案を作成されたという経緯をたどっております。建設省といたしましては、この答申を尊重いたしまして、この宅地造成業者の計画認可をもって、農地転用があったものとみなすようにしたいという御希望を持っておられます。私どもは、先ほど矢山先生がお触れになりましたような諸種の問題がございまして、農林省といたしましては、せっかくの御答申であっても、転用許可をはずすわけにはまいらない、この法制の程度では。ということで、結論的には、この時期においては、農地転用許可制は残す、したがって、先ほど大臣が、転用許可の権限を農林大臣が保留しているとおっしゃったのは、転用許可制ははずさないということで、両省で話し合いをつけてこの法案になったわけでございます。そこで問題は、転用許可制を運用するにあたりまして、どういう姿勢で臨むかという問題に関連いたしまして、先ほど来るる申し上げておりますが、建て売り用でなく、宅地宅地としてつくる事業は、公共性の著しく高いものしか認めておらなかったわけでございますが、本法によって各般の規制を受けて、かつ、建設大臣が信用その他まで審査して認可される事業にかかるものについては、さら地の宅地造成事業許可をする、これは質の問題でございます。  それからこの許可にあたりまして、どういう態度で許可をするか、これは農地許可制を置きました以上、農地法許可の思想の上に立ちまして、農民への影響、農地への影響等の立場に立ってこの許可にあたる、こういうことでございます。  なお、地域の指定に関連いたしまして、この中に、先ほど来ございます都市計画審議会の意見を聞くことになっております。これにつきましては、御承知のように、地方農政局あるいは県の農林部が、この審議会の委員になっております。この段階におきましても、農業立場からの十分なる発言をいたし、対処する、こういう考え方でございます。
  79. 堀本宜実

    堀本宜実君 農地局長に伺いますが、いま建設省の局長からお話があったが、その方向は、今後なおかかる事業計画が新産都市、その他の市街地にも及ぶであろうという想定が内意にあるように私は思う。いまの札幌、水島、仙台あるいは大分等も入るかもしれぬが、当分の間、今後なお広がるであろうということは、人口が稠密をして、そして宅地造成が必要になるというときにはこれが認められるというので、その基準がきまってないわけですね。そういうふうに私は理解するのですが、建設省の言われるいまの答弁の範囲内で、農林省の局長はどういうふうにこれを理解してお立ちになっておるのか、それを伺いたい。
  80. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 先ほど転用許可の扱いにつきましては、答申は答申で、私ども、法律法律として、その答申を受けまして立案されました法律案につきまして、協議をし意見を述べているわけです。そこで、この法律案そのものは、私どもは次のように理解いたしておるわけでございます。第一条の「人口集中に伴う住宅用地の需要の著しい都市及びその周辺」でともかく宅地をつくる事業が行なわれるという事実関係考えておるわけであります。目的はさようである。新産であるとかなんとかいうことを越えまして、その事実が本法の目的。ところが、第三条で都市計画の区域内で指定する、そこで問題は、都市計画が、ある理由と、ある必要性から指定されると、指定されればその範囲内で考える、こういう考え方でございます。そこで新産都市等の事業は、いろいろの御計画を見ておりますが、相当、四十年五十年でここに膨大な市街地域をつくるとか、あるいは工場地域をつくるとかいう御計画がございますが、それは五年十年先の計画でございまして、私どもは法律立場から申しまして、いま申しました一条の実態を備えるかいなか、それから一条の実態を備えた結果、三条におきます都市計画そのものを定めなければならない実態に立ち至っておるかどうか。至っておれば、当然一条、三条の関係でこの問題が働く。その際に具体的に指定する場合に、都市計画審議会における農林内部の見解の表明の問題、それから具体的な計画が出た場合に、農地法許可をするかしないか、これは先ほど来申し上げました考え方に立ちまして処理をしたいということで、将来十年二十年先にできるような市街化地域の、かりに新産都市等の御計画があっても、本法は法律上働かないもの、こういう理解の上に立ちまして、御相談に応じている次第でございます。
  81. 堀本宜実

    堀本宜実君 いまの農地局長の理解の仕方も、私は、基本的にはきまっておらぬ、非常に弾力性があるようなふうにうかがえるのですが、そういうところにこの連合審査が行なわれなければならないという一つの根拠があったと私は思う。そこで都市計画云々と言うが、都市計画というものは、相当のいわゆる都市都市計画というものはみな持っておる。ですから、いま住宅が不足をしておるという現実のものをとらえるなら、非常に広い範囲にこの法律が適用されるであろうと見ることのほうが、私は常識的だと思う。いま建設省のほうでお述べになったような地域が限定されずに広い地域に適用されるであろうということを前提にして開発することのほうがすなおなんじゃないか。ここであれこれ言うのじゃなしに、もっとそういう必要性が、いま言う住宅の必要性というものの起こってくる地域、そこではどこでも都市計画案というものを持つわけですから、私は、そういうふうに理解をすることのほうが、これのいい悪いは別ですよ、これはめんどいから、どの程度ならば、なるべく少なくということを言うて、当分の間というようなことを言うて糊塗していことすること自体が、私は法案というものを軽視するのではないかと思うのですが、そういうことの考え方については、どういうふうに農林省は考えておられますか。
  82. 北村暢

    委員長北村暢君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  83. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記を起こし  て。
  84. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 私どもは、この法律はこの法律のとおり考えて理解して全国的に相当広がる場合もあり得るという判断に立っております。この法律は、御承知のとおり、ただつくるだけでなく、乱立いたしまして非常に妙な形でできる部分を、土木的にも取り締まろうという面が非常に強く入っております。そこで、建設御当局がそういうことの意味から、あまり心配せぬでもいい地域まで、この法律を使う必要がないという御判断でしぼられることについては、私どもは大いに賛成をいたす考えでございますが、法律としては、このとおり理解していろいろな判断をいたした次第でございます。
  85. 堀本宜実

    堀本宜実君 その答弁で、私もそういうふうに理解をしておるので、先ほど建設省の言われるのとは少し感じ方が違うのであります。農林省がそういうことでございますれば、続いて、この配慮というような問題と、それからいわゆる基準を決定しておる問題と、いずれが優先するのかという問題についてお伺いをしたいと思いますが、大臣が時間が制約されておられるようでございますから、大臣に御質問のある方から御質問を願って、あとでお伺いをすることにいたします。
  86. 矢山有作

    矢山有作君 大臣、いままでの答弁をずっと聞いておりますと、この法律の適用の地域というのは、将来新産業都市あるいは低開発工業地域等とだいぶ広がっていくという見通しが出てきたわけです。そうなると、私はこの住宅地造成するということと、優良農地の保全をいかに確保していくかということを調整することが非常に重大な課題になってきたと感ずるのです。そこで、私は最初申し上げましたように、大臣は、この法律によって、ある程度の規制を受けて建設大臣が審査をしてやるのだからだいじょうぶだとおっしゃっておったし、また、先ほどの答弁では、都市計画審議会にかけてやるのだから、その際農地等についても配慮がなされるだろう、こういうお考え方のようですが、なるほど法律を読めば、これは都市計画審議会にもかける、市町村長の意見も聞くということになっております。しかしながら、最近の宅地造成に対する動向あるいは工業用地に対する動向等から見て、建設省のほうでそういうふうに農地に十分な配慮をしながら、工事が進められていくというふうには私どもには考えられない。たとえば工業用地確保対策に対する答申等を見ましても、これは明らかに農業政策的な観点からだけでなしに、農地転用許可制度に対して根本的に再検討をせいというはっきりとした答申が出ている。それから住宅に対する問題でも、大体似たり寄ったりの思想が貫かれている。そうすれば、優良農地の保全という立場、そして住宅地との調整をとるという立場から、農林大臣が積極的にこの地域指定をやる、あるいは事業の施行認可をやっていく、そういう場合に、農林大臣としての意見を反映をする方途というものを考えないと、ただ単に第二十条の第二項によって、まあ転用許可基準というものは死んではいないのだ、死んではいないから、それをあわせて配慮するということだけでは問題が片づかぬのじゃないかというふうに私は考えるわけです。そこでですね、農林大臣としてのほんとうの考え方というものを私は出していただきたい。
  87. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 先ほども申し上げましたように、根本的な問題は、矢山さんがおっしゃられた土地利用の区分にあるといます。根本的には、新産都市におきましても、あるいは工業都市等におきましても、私どもそういうねらいをつけて調査会を設けておるのでありますが、そういう調査が完全にできておれば、私は工業地帯とか、あるいは住宅地帯等によりましては、なまのままでも農地転換などにあまり拘泥しなくともいいのではないかと思いますが、そういうまだ農地利用区分ができておりません、土地利用区分ができておりませんところにこういう法律が出るわけでございます。でございますから、いきさつからいきますと、実は答申にありますように、農地転換無条件でやるような答申であったのでございます。そういうことでありまするならば、私どもも指定をする場合、新産都市などにも各省大臣が関与しておりますから、住宅地造成の指定の場合、あるいは業者の指定にはちょっとどうかと思いますが、そういう場合に、協議とか参加しなければまずいと思いました。しかし、いろいろ折衝の結果、打ち明けて申しますならば、配慮するということで、まだ転用に対する認可権を無条件でなくしてしまうというようなことがなくおさまりましたものですから、そういう意味におきましても、十分これを活用していけばいいじゃないか。  なお、その他、先ほど申しましたように、各県知事の意見を聞く場合におきましても、私どもは、知事と地方庁との接触等におきまして、土地改良とか、いろいろ事業をしておりまするから、当局にも農林省の意向を伝えることもあると思います。法的には根拠ありません。そういうような事情があったものですから、実はこの程度で私どもはよかろう、こういうことにいたしたわけでございます。
  88. 矢山有作

    矢山有作君 それで農林大臣のお気持ちははっきりしたと思う。だから、第三条の住宅地造成事業規制区域の指定をやる場合、あるいは事業認可の場合にですね、私は農林大臣計画に参加していくということが正しい筋だと思う。それがどういう事情でおやめになったか知りませんが、これは私は、将来拡大されて適用していくであろうということが、いま答弁で出てきたわけですね、そうしたなら、これに参加していくという基本線に戻していただきたい。そうしなければ二十条二項でいう、ただ単なる配慮だけでは、優良農地確保をはかっていくということは非常に困難になります。  それともう一つは、この配慮するという場合の配慮、それから転用許可の基準の関連をいま具体的に農地局長からお伺いしたのですが、こちらでちょっとざわざわしておったので、十分私のほうは理解できなかったわけです。で、もし配慮するという規定でこれを押し切っていこうというのであれば、その転用許可基準というものが、いずれこれは何らか手を加えられるに相違ない、農地局長もそういう意味のことをおっしゃっておる。手を加えるのは、具体的にどういう手を加えていって、そうしてその事業認可や、あるいは地域指定に参加しなくとも十分に規制ができるような手段を講ずるのかということが、具体的に私どもは知りたいわけです。
  89. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) この規定は、冒頭申し上げましたように、農地の転換を緩和する面での規定でございます。でございますので、そういう面から考えまするならば、やはり私どもは、この指定区域の指定、事業規制区域の指定等につきましては、私は建設当局を信頼するよりほかないと思います。ただ三千坪以上でございますですから、私はただ、たいへん一々協議をやっていく煩にたえない面が多いと思います。でございますので、いまの配慮するという面を相当考えまして、配慮の面で十分従来の基準との調整をとっていきたい。しかし、配慮ということは、先ほど申し上げましたように、緩和方向でやることは事実でございます。しかし、全然これを無条件にするというようなことではございませんから、この調整については、十分慎重に事務当局にも検討させたい、こう思います。
  90. 北村暢

    委員長北村暢君) ただいまの答弁の中で、具体的な転用基準の改正の内容について質問があったのですが、その答弁は、農地局長から具体的にしていただきたい。
  91. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) この二十条の運用につきましては、先ほども申し上げましたとおり、基本的には建設省からもお話があり、私どもも基本的な考え方を申し上げましたが、具体的にこの取りきめ方は、今後検討して慎重にきめる段取りに相なっております。現在まで確定しておりません。
  92. 矢山有作

    矢山有作君 それは、私どもが一番心配しておるのは、農林大臣が関与しないで地域指定がなされ、事業認可がなされていく、その中で農地が侵食されていくということを心配しておるわけです。それで、あなた方のほうでは、それを防ぐために、その転用許可基準だけは生かしていくと、こうおっしゃっておる。これによって調整していくとおっしゃっておる。ところが、この転用許可基準を具体的にどうするか、具体的にきまっておらぬのに、この法律をそのまま通すということはわれわれはできない。その点が明白にならなければいけない。  それからもう一つは、農林大臣にもっと具体的にお聞きしたい。私は先ほども申し上げたと思うのですがね、たとえば、私は一番わかりやすく言います。私どものところで、もし三十三ヵ町村の大合併が水島を中心にして実現したと仮定します。その場合に、それが都市計画地域に入ってくる、人口集中密度が高くなってくるだろうということで、おそらく近い将来にはその地区がこの法の適用を受けるようになるだろうという住宅局長のお話があった。そうした場合に、個々の業者が、その地域内において一定の資格要件を備えて、そして宅地造成をやらせろという形で認可の申請をしてくる。その認可の申請をしてきた場合に、この地域に三千坪できた、この地域に五千坪できた、この地域に六千坪できたという形が出てくる、これは予想されるところです。そうしたら、そういう優良農地をつぶしてできた住宅敷地の間に農地が点々として残っていくという形が出てくる、こういう形を一体どうして規制するかということです。だから私は、先ほど言いましたように、なるほど国としては土地利用区分というものの、全体的なものはできておらぬかもしれぬが、そういう点を調整するための方策というものを具体的に持たなければならぬということを言っておるのです。農林大臣として、そういうように農地が断ち切られるような形になってくるのをどうして防ごうとするのか、具体的には。私はお答えを願いたいと思います。
  93. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 私は、土地の指定区域ですか、事業規制区域というものを設ければ、そういうところはまあ農地が大体宅地になってもよろしいという区域に大体設けられるだろうと思います。法律趣旨からいえば、農地として保存していかなければならないような場合に、それを宅地にしていくというのは、これは無理です。しかし、それは別といたしましても、いまの水島のような、これは捨てておけば——こういう規制区域だってもし捨てておけば幾らでもそういうものをやるものが出てくる。片方で三千坪、片方で五千坪、もっと、二百坪だ、三百坪だと、どんどんやっていくということがあり得ると思います。むしろ地域を指定して、それで宅地業者が土地の値上がりというものをねらいとしているんじゃないんだと、宅地造成目的からいって、宅地の供給を多くしていって地価を下げていくという結果がもたらされるということであれば、これは宅地としたほうがよかろうというようなことで認可すると私は考えております。しかし、そういう意味認可をしても、いまの例のように片方で三千坪できた、片方で五千坪できた、そして中に優良農地がある。こういうようなことになるとするならば、これは配慮を強度に使うよりほかありません。強度に使ってそういうところの農地の転換は許可しない、こういうチェックをするよりかないと思います。
  94. 矢山有作

    矢山有作君 ところが、地域指定をなされる場合に、そういうように住宅地へならざるを得ないところに限って地域指定がなされるというふうにお考えになるのは私は少し甘いんじゃないかと思う。なぜかというならば、新住宅市街地開発法の場合は、いわゆる第三条によって、これはかなりその地域指定の範囲というものが限られてくるような感じがいたします。ところが、これと比較して今後の住宅地造成事業に関する法律案の場合には、それよりかなり地域が拡大されてくることが考えられる。そうすれば——そうすればですよ、たとえばいま例にあげた水島なら水島地区で市街地に当然なるだろうと思うところを地域指定をされるならいいですけれども、三十三ヵ市町村合併で、そしてそれが都市計画区域の中へ入って、こういうことを、都市計画をやるんだということで、それが全部地域指定を受けた場合には、これはたいへんなことになるということを申し上げているわけです。その場合のいまの野放しの状態と、それからこの法律ができた場合と多少の相違はあっても、農地の蚕食されるということをこの法律で防いでいくことはできない、そういうふうに私は申し上げたんです。したがって私は、こういう地域指定をやる場合にどういうふうに住宅地をつくっていくか、優良農地をどういうふうに残していくかということについて、やはり建設大臣農林大臣がいろいろな機会に慎重に検討される、そして、その上に立ってやはり土地利用区分といいますか、そういったものも考えておく必要があるんじゃないか。そして現実に新産業都市の区域及び建設基本方針等を見ますと、なるほど県段階においては、住宅地はこういうところにやるんだという、ひとつの目安は示しておるわけです。目安は示しておる。ところが、そういう目安を示したことが実際にこれが守られて農地の蚕食にならないように保証していく方法というものが必要になってくるんじゃないか。ところが、その方法はなしにやっておったんでは、せっかくその新産業都市なら新産業都市の段階では一応の計画はしてみたけれども、その地域指定を受けた場合には、その計画がくずれて住宅地が優良農地建設されていく、点々と。こういう現象が起こり得る、可能性がある。だから、私は繰り返して言いますが、農林大臣地域指定をやるときに積極的に参加して、住宅地造成農地の保全と、この面の調整を考えながら地域指定をやるということがまず私は必要じゃないか、そうやってこそ二十条の二項の転用許可基準を適用して、その造成事業が促進されるように配慮するという規定が生きて、活用されてくると思うんです。ところが、その地域指定の場合、事業認可の場合に、農林大臣が何ら関与することなしにすっぱらかしにされておいて、第二十条の二項の、この規定だけでそれを規制していこうというのは非常に困難が伴う、こういうふうに私はしつこく申し上げているわけです。
  95. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) お話の趣旨はわかるんでございますけれども、新住宅市街地開発法でございますか、これは施行者住宅公団とかあるいは地方公共団体でございます。そういうのでございますので、農地の転換も無条件にやっておるわけでございます。今度の場合は、この無条件でやるほかに一民間宅地造成業者が入ってくるわけです。で、これは法律にはきめてありませんが、政令できめるんでございましょうか、三千坪以上、こういうことに相なるわけであります。これをいまお話のように、正面から一々許可するような場合、指定する場合に、農林大臣が協議に入るかという問題、これは一つの問題だろうと思いますけれども、第二十条で、配慮するということになって、先ほどの新住宅市街地開発法と少し違っておりますので一配慮するということがありますので、その配慮の面でこっちは権利を持っておりますから、これはいかに建設省といえども、かってにやるわけにまいりませんが、やはり相談を受けざるを得ない。こういうところでチェックする役割りがあるわけでございますから、他の法律の関連においても、私は指定されたところにおいては、まあこの程度はいたし方ないじゃないか。一般的には、私は農地の保全といいますか、それは十分なお一そうこういう事態で農地がだんだんなくなってきつつある時代であります、耕地が減ってきておる時代でありますから考えなければならない、こう考えます。
  96. 矢山有作

    矢山有作君 新住宅市街地開発法の場合は、これは公共団体だからこれはまだいいのです。今度の場合は私企業者がやる。それだけに私がいま申し上げたような心配が強くなってくるということを私は指摘した。しかも、三千坪以上の宅地造成については、不十分ながらこの法で規制されるわけですよ。ところが、その規制対象になる以下の規模のものについては、これは何も規制をする方法は規定されていない。そうすると、両々相まって農地の蚕食状態というのが激しくなってくる、こういう点も私は考えなければいかぬと、だから、農林大臣としては、遠慮することはないのですから、農地の保全と住宅地の調整を考えるということから、積極的に地域指定なり事業認可ということに参加すべきですよ。それをやらないでおるというところに、農林省の腰の弱さがはっきり言うとある。建設省の一方的な考え方に引きずり込まれている。要するに、農地転用許可制度を将来は骨抜きにして、そうして宅地造成をやったらいいのだと、工場用地をやったらいいのだという考え方に持っていかれてしまう。第一答申すら、これがはたしてまあ有効に働くか働かぬかは知りませんが、行政庁が事業認可をする場合には、農業会議意見を聞くとうたってあるところは、それすら抜いてしまってある。だから、建設省の意図というものは、なるべく農地転用許可基準というのを適用してもらいたくないという腹がある。だからそこのところを考えてもらいたいということなんだ。
  97. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 一言申し上げたいのですが、実は許可制を護持するというところに最大の農林省の決意を持った次第でございます。
  98. 矢山有作

    矢山有作君 そんなら、許可制を護持するんなら、配慮するということと、この転用許可基準というものを具体的にどうやっていくのか、この具体案がもうあるはずなんだから、いま農林省と建設省と折衝中ですなんてでたらめな話はない。この法律を通すまいかというときに、一番肝心な二十条の二項の配慮することと、この転用許可基準との関連が明白にならぬことには審議は進まぬですよ。
  99. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 関連。この許可基準に改定を加えるということに私もかなり期待を持ってこの法律をまあ理解しようとつとめておる。ところが、そのことを事務当局者に聞いても、政治的な答弁に終始しておる。そういうことではこれは非常に法案に対する理解というものが、この問題で行き詰まっておるわけですよ。だから、少なくともこの法案が出される前に、農林省としては建設省と相談するなりして、一体従来のこの農用地の許可基準はどういうふうに改定をするという内容を備えて、法案審議に懇切な具体的な説明をして、われわれの納得のいくような経過を経なければこれは進みませんよ。  大臣に伺いますが、ことし出した農業白書にも、最近一カ年で農用地の転用が四万町歩に達しておる、ところが、新規に造成あるいは干拓等によって二万町歩しか新しい農用地が造成されていない、しかも、最近一年間の動きを見ても、四万町歩の農用地を他の用途にこれを転用し、新たなる農用地の造成はその半ばの二万町歩にしかすぎない、これでは一体わが国の農業政策として、重要な農産物を国内で自給度を高めるといっても、さらに農用適地は少なくとも可能地は六百万ヘクタールくらいあるんだけれども、国内自給度を高めていくためには三百万ヘクタールぐらいを農用地にしなければならぬことも、これは高度成長政策の中では、既存の六百十万ヘクタールで定着をしておる、そういう中で現実は農用地の転用が一年間に四万ヘクタールもこれが転用され、新たに造成しておるものが二万ヘクタールにすぎない、そういう事態の中に今度そういう住宅地造成するという場合に、建設省から聞けば、非常にはっきりした地域というものが出てこない、いろいろ聞いてくると、かなりの新産都市もこの対象になっておる、そういう中で法律の二十条というものは、少なくとも審議会の答申は答申としてというけれども、この審議会にはかって農林事務次官をした者が入っているじゃないですか。そういう者が少なくともこの答申の中では、この農用地の転用というものの許可は、この事業計画を承認することによってその転用認可というものは吹っ飛んでしまうという思想をここにはっきりと出しておる。そういうときにわれわれの救いとして期待するのは、農用地の転用許可基準を改定するということ、その具体的な内容が明らかにされない限りは、この問題についての審議は進まぬのです。これは大臣から伺うよりほかない。大臣は農用地の転用許可基準をどの点をどう改めるという腹案であるか。そのとおりいくかいかないかは別として、主管大臣はこの許可基準に対してどういう一体手を加えて、優等農地を特に保存し、農業の生産力の発展にブレーキをかけないような措置を講じようとするのか、その考え方の骨格をまず明らかにしていただきたい。
  100. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 話は簡単にこうなんですよ。新住宅市街地開発法みたいに無条件で農地転換をするということにするならば、何といいますか、住宅地造成事業規制区域を指定する際に、農林大臣も参加して厳重にやる、また、この指定を協議しなければ、やっぱり配慮という意味農地の転換をチェックしていく、これはどっちかなんです。許可制を残しておくと、これを両方にやっても悪いことはありません。悪いことはありませんけれども、いま私法律を見ますというと、先ほども申しましたように、都道府県関係市町村の長の意見も聞かなければならぬし、都市計画審議会の意見も聞かなければならぬと、こういうふうな段階がありますので、私は特に農林大臣建設大臣が協議して指定することは必要じゃないかと思っていますけれども、これは建設大臣ともなお相談してみますけれども、私はその必要がなく、農地転換の配慮の面でのチェック、その面で十分効果を持てる。また、配慮ということと、いままでの基準と、どういうふうに調整するかという問題でございます。配慮というものは、これはいままでのとおりだと思います。ただ考え方として、なるたけ市街地造成に協力するという考え方を持つよりほかはありませんが、農地の保全という面から見れば、いままでの基準が原則的なもので、そういう原則を持ちながら宅地造成に協力するという考え方のもとに、認可するということに相なろうかと思います。
  101. 矢山有作

    矢山有作君 大臣、新住宅市街地開発法の場合には、四十四条で開発事業農地等の関係の調整というのがあるんですね、それでちゃんと農林大臣建設大臣が協議することになっているわけです。だから、そこで一つチェックされているわけです。それで協議して、いわゆる農林行政の立場というものが十分反映されたその上に立って転用許可がなされるという経路をたどっているんですから、何もないんじゃないんです。そういうふうに公共団体がやる新住宅市街地開発法についても配慮がなされておるのに、今度の私企業を対象にした住宅地造成法が、地域指定や事業認可をやる場合に、農林大臣が全然無関与で、そうして転用許可基準については、その事業が促進されるように配慮するというだけでは、これはとんでもない話じゃないかというのが、こっちの言い分なんです。それでしかもあなたがいま、いままでどおりの許可基準でいけばいいんだとおっしゃったけれども、いままでどおりの許可基準ではいけない、許可基準を改める必要があるということを事務当局で言われておる。それじゃ、どういうふうに具体的に改めるんですかと申し上げたら、事務当局のほうでは、建設省と農林省の話し合いがまだついておりません、ということなんです。そうなると、この二十条の二項を適用する上において、これがもうチェックする方法としては唯一なんですからね。その適用する上において話し合いのついておらぬという状態では、この法律審議が進まないということになる、こういう段階にきておるわけです。
  102. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 転用基準の問題が重点になっておりますので、一言申し上げさせていただきます。転用基準の改定については、先ほども申しましたとおり、宅地分譲はいま押えております、基準で。そこで、この法律による宅地分譲は許可をする対象にするという部分を直す、あとは原則的に直さないという姿勢でございます。
  103. 矢山有作

    矢山有作君 そうなってくるだろうと思う。そうなってくるから、われわれは、当初の地域指定をやるとき、あるいはまた事業認可をやる段階において、住宅地とそれから農地の調整をはかるために、農林大臣が積極的に協議に参加する必要があるということを主張しているわけです。その点をあらためて建設大臣によく相談されて、ひとつ農地というものもゆるがせにならぬということで、建設大臣は前農林大臣なんですから、よく御承知のはずなんです。そこら辺ひとつ調整をとってもらいたい。
  104. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 先ほどからよく承っておりますと、非常に広く地域を解釈していらっしゃるようですが、ここに「都市計画区域内の土地」ということになっているんですよ。都市計画を立てておる地域内ですからね、新産都市の三十何ヵ村が合併するんじゃないか、とんでもないところまで入るんじゃないかとおっしゃるけれども、それは全部都市計画の対象になっておりません。その中で必要なところの都市計画を立てるわけだと私は思う。都市計画を立てたその都市計画の区域内の土地を区域として指定するということですから、一ぺん都市計画というワクがはまっているわけですよ、その中でするということです。
  105. 矢山有作

    矢山有作君 それでは、こう解釈していいですか。たとえば、町村合併が相当広範囲に行なわれる、行なった暁は、それは新産都市に指定された、その結果合併するという、こういう順序になると、合併したら、その広域の中で都市計画が私は考えられてくると思う、広域全体を対象にして。当然そうなりますよ。それは、現に都市計画としてはそういう広域の、たとえば一つの市に合併された場合には、その市全体を対象として都市計画は立てられる、そのときに。大臣の御答弁、こういうように解釈していいですか。
  106. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 合併町村の全部が都市計画の対象になるとはきまっていないと私は思います。合併は合併で行なわれると思います。
  107. 矢山有作

    矢山有作君 それは違います。合併をして、たとえば新産都市の指定を受けて、そうして大合併をやったというときには、当然、私の知っている範囲では、その新産都市として新しく合併をしたその市なら市は、その市全体を対象として都市計画を樹立しておりますよ。それが、そうしないで、たとえば合併前の一つの市だけの都市計画というようなことだったら、合併の意味はない。合併をした以上は、その合併をした一つの市を全体としての都市計画が立案されるわけです。
  108. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 都市計画からはずれている地域が、その同じ行政地域にもあると私は思います。
  109. 矢山有作

    矢山有作君 いや、部分的にはそういうことはあるでしょう、例としてはね。たとえば大分なら大分は、新産都市の指定を受けた、周辺の五、六ヵ町村を合併した、ところが、新しい都市計画を立てないで、大分市だけを対象にした都市計画だけを立てているという場合もあるかもしれない。しかし、もう一つの例としては、岡山を中心として三十三ヵ市町村を合併した。その三十三市町村全体を適正に開発していくために、全体を対象にしての都市計画を立てる場合があるかもしれない。これは、その場所場所によって違うと思う。ですから、私は、大臣がおっしゃったように、そういうふうに広域に計画が立てられて都市計画の対象になったときでも、その地域の指定というのは、その都市計画区域内の土地で、特に住宅地造成事業として必要なところに限って地域指定をやるというなら、まだ話がわかる。というのは、規制というところに重点を置いて考えている考え方です。
  110. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 都市計画の希望が地元から非常に強く要請されて、政府都市計画の指定をするというときには、そこに市街地を期待する、そういうふうなことでなければならないのじゃないでしょうか。いまの新産都市のように、新産都市の指定——合併もしくは指定は、非常に広範な地域に行なわれています。これを全部私は市街地、都市計画の対象の地域にするというようなことは、とうてい不可能だと思います。したがって、都市計画は、その中を順次都市計画を進めてやっていくということであって、たとえばその中に非常に山がある場合もあります。これは各地で見受けられるように、一つ都市としては非常に大きな、広範なものになって、それが、全体が都市計画の対象になるというようなものじゃないというふうに私は思います。
  111. 矢山有作

    矢山有作君 大臣はそう思われるということは——思われても、現地においては、合併をして一つの市ができた、そうしたら、それを全体として整備していこうということで、都市計画というものを考え直してくるということは、これはあり得ることです。その場合に、大臣がそれを許さないと、たとえば従来の大分市だけの都市計画で、周辺を合併して、その上に立っての都市計画というものを立てることを許さぬとおっしゃるなら別ですよ、しかし私はそういうことはできぬと思うんです。
  112. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私は、いまの全国の新産都市十三指定されているものは、一応区域として見ておりますものを、それを全部都市計画を立てて、これを市街地として開発していくというようなことは、考えておりません。
  113. 矢山有作

    矢山有作君 それは合併をした市が市街地として開発するというのじゃないんですよ。市街地として開発するというのじゃないんだが、合併をした市が市の都市整備方向として、こういうふうに道路をつけます、ここにはこういうふうなもの、施設をつくりたいという都市計画を立てて、あなたのところへ持ってきても、それはだめだとおっしゃるわけですか。何も市街地を開発……。
  114. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) それは、当然いま申し上げたように、そういうふうにその都市が発展していく可能性のあるところであるなら、それは市街地として指定しなければいかぬ。しかしそれが、いまお話のように、そんなところへ農地をむやみに転用して、そうしてそれが思惑屋の対象になるようなところが入っているというようなところだったらば、私は都市計画の対象にはならない、こう思います。
  115. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  116. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記を起こして。
  117. 矢山有作

    矢山有作君 あのね建設大臣先ほど住宅局長は、新産業都市が、この地域指定の対象になるという御答弁なさったのです。そうすると、われわれは、当然将来の新産都市、たとえば大分、水島、ああいうふうに新産都市として指定されたところがね、この法律の適用の地域対象ということで、ばんと指定されてくるというふうに解釈をしているわけです。そうなると、そこには優等農地がたくさんあるのだから、この住宅地造成法を適用していった場合には、農地の蚕食状態が起こる。いわゆる住宅団地があそこにできる、ここにできる、その場合に、農地が間にはさまれて残る、こういう事情が起きるということを、いま議論の対象にしております。だからあなたのおっしゃったのと、住宅局長のおっしゃったのと、ちょっとわれわれの受け取り方が違うわけです。
  118. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私から明瞭にお答えいたします。私はこの法律を、むやみに地域を広げて指定する意思はありません。また、そうすべきものではないと思います。先ほどお答え申し上げましたように、過熱しておりまする六大都市、これらの周辺の地区、ことに宅地造成が一部業者によってみだりに行なわれておるというようなものを、積極的に私は合理的に宅地造成を行なわせるというところに妙があるというふうに考えておりまして、これによってにわかに新産都市の指定を受けた、そこのところを指定してやるというような必要性はいま今日まだないというふうに考えております。そういうところにこれを拡張していく意思はございません。また、私やめましても、将来建設省としてもそういうことをやるべきものじゃないということをこの機会に明瞭に申し上げておきたいと思います。
  119. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 関連。非常にはっきりした御答弁でありますから、私が先ほど質問したこととはだいぶん違うので、念を入れて再確認をするわけです。先ほど住宅局長は、当分の間は六大都市及び新産都市のうちの北海道の道央地区、仙台、水島等と言ったが、その等をさらに尋ねたら、大分も対象になるか検討をしておる、こういうことであったので、私は事の想像以上の拡大運用ということで、当分とはどうか、また、人口密度の集中等が従来の経過からいって、傾向値として出てくるのは、それはどうかということを繰り返し伺ったのです。そうすると、大臣は、六大都市に限る、自分が建設大臣をやめても、建設省の今後変わらざる基本方針としては、この法律の運用は六大都市に限ると、こういう明らかな御答弁ですから安心をしましたが、住宅局長の先ほどの失言を取り消してもらいます。
  120. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 住宅局長から多少拡大した御答弁を申し上げたそうでありますけれども、これは私の答弁で御了承いただきたいと思います。ただし、六大都市に限るとは申し上げません。限るとは申し上げませんが、必要の最小限度にとどめるべきものであって、たとえば北九州のごとき非常に過熱して宅地造成が、裏が山で宅地造成が行なわれておるのです。こういう地区で、地元から非常に強く必要を要請されるところについては、これをやる場合がある。いま私全国の新産都市の指定地を歩いてみましても、まだそういう地域はあまり不幸にして見ません。したがって、そういうところに必要以上にこういうものを適用して、そうしてやるということは適当でないと思いますから、この点は私の申し上げたとおりに、ただし、それは新産都市であり、工業都市であり、いろいろなものがあるでしょう。しかし、そういう必要性の起こってくるところが、先ほど私がお答えしましたように、どの地域にどういうふうに人口の非常に過度の集中が起こり、宅地の非常に要請が起こってくるかということは、将来予測できぬものがあるかもしれぬと思います。そういう場合には、必要があってやる場合があるかもしれませんが、私は、さしあたりは六大都市、北九州というもので十分だと、こう考えております。
  121. 矢山有作

    矢山有作君 それでは、将来新産都市の中で人口集中度が激しくてこの指定をしなければならないというようなところができたと仮定します、できてきた場合に、その新産都市が大合併をやっておったと、そういうときに、その大合併をやった新産都市全体を地域指定をするという方向をとるのか。その場合には優等農地がたくさんあります、現在の状態では。そういう方法をとるのか。それとも、その都市計画のう区域内で特に住宅地造成するとい必要があるその地帯に限って、区域内においてワクをはめて地域指定をやるのか、その辺を明確にしていただきたい。
  122. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) それは、いまお話のありましたような地域が起こってきた場合には、指定すると考えます。その場合には、先ほど来申し上げますように、新産都市全体ではない、これは法律に示してありますとおりに、ここに第三条にありますとおりに、その新産都市の中で、都市計画の指定になって都市計画をしておりまする地域内であることは明瞭でございます。ただし、私はこの都市計画建設大臣が指定する場合には、いずれも都市として将来発展をする予定地でなければ都市計画の指定はいたさぬということと考えますから、それはいまあなたのおっしゃった点と一致すると思います。
  123. 矢山有作

    矢山有作君 そういうふうに都市計画として、たとえば合併村が全体として都市計画の指定を申請してきたという場合においても、そういう場合にはある程度の規制をやって都市計画をやるかやらぬかを考えると、こういうことですね。
  124. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 当然、従来とてもそういうことになっておるし、これからもそういうふうにしてやらなければ、御承知のとおり、都市計画の予算というものはあまりたくさんあるものじゃございませんから、むやみに図面だけ書いたところでしょうがないのですから、これはそういうことはしていないのであります。
  125. 矢山有作

    矢山有作君 それで大体第三条のお考えになっておる範囲はわかりました。  そこで、私どもがもう一つお伺いしたいのは、住宅市街地の開発法においても、これは公共団体がやるんですが、その場合にも、これは農林大臣と協議をしてやられることになっておる。で、われわれの希望とすれば、それはあるいは杞憂に過ぎるかもしれませんが、農林の保全とそれから宅地との調整をとるために、これを協議するという形にやっていくというおつもりはありませんか。二十条の二項だけでやっていくということは、私どもは非常に弱い感じがするわけです。
  126. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) これは、先ほどお答えいたしておりますように、出発も違いますし、結果も違いますので、これを両方一緒に考えるというわけにはいかないと思います。
  127. 矢山有作

    矢山有作君 その点については、大臣は協議ということをお考えになれないということですが、私どもとしては、協議をやっていく態勢にしてもらったほうがいい。これはもう意見の相違です。  それからもう一つお伺いしたいのは、造成宅地の分譲面における規制ですね。私が初めのほうで御指摘を申し上げたと思うのですが、この第三次答申を見ると、やはり造成宅地の分譲面における規制考えるべきだということがうたわれております。ところが、先ほど来の御説明で、これは私企業がやるのであるから、したがって、法律ではこれを規制するわけにはいかない、こういうお答えであったわけです。ところが、やはりこれは分譲面における規制をやっておかないというと、いろいろな問題が起こってくる。価格の問題、あるいはまた譲り受け人がその賃貸借に回したり、転売をしたりというようないろいろの問題も起こってくるかと思いますので、そういう分譲面の規制を、法律でやれないとすれば、行政的に具体的にどうやるのか。それがあれば、この際住宅局長のほうからでもよろしいから、具体的に御説明が願いたい。
  128. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 先ほどお答えいたしましたが、民間の企業に対しては、厳重な条件をつけて認可する。そうして御指摘になりましたような点については、十分そういうことがないように注意をしてやっていくつもりであります。
  129. 矢山有作

    矢山有作君 具体的にどういうふうにやられますか。たとえば造成された宅地を売る場合に、どういう価格で売っていくとか、あるいは譲り受けた人間が賃貸借やあるいは転売をしないいように、どういうふうに規制していくとか、そういう具体的の構想というものがおありですか。
  130. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 宅地建物取引業法におきまして、その営業が公正にかつ適正に行なわれますような規定が若干ございますが、今後この宅地造成事業につきまして、新しい事業としてできてきましたので、事業の面につきましては、この法案のとおりに規制していきますが、引き続きまして営業面におきましては、取引業法の規定の内容におきまして、ただいまお話のような線に沿って検討を続けておるわけでございます。
  131. 矢山有作

    矢山有作君 じゃ、まだその面については検討中であって、具体的なものは固まっておらぬというのですか。
  132. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 法律事項といたしましては、まだ決定いたしておりません。
  133. 矢山有作

    矢山有作君 いや、法律事項でなくて……。
  134. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 行政措置といたしましては、事業計画の際に厳重な条件を付しまして、その条件の中におきまして適正に運用されていくように指導をするつもりでございますが、先ほど説明いたしましたように、民間の企業である関係上、その内容につきましては、慎重に検討すべき事項が多いと存じております。
  135. 矢山有作

    矢山有作君 だから、その条件を付するのですが、その条件を付する際に、宅地造成した者が不当な利得をしたりすることのないようにするということも必要であろうかと思うのです。そういう具体的な面について、事業認可のときに条件を付されるのですか。
  136. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 譲渡価格につきましては、抽象的な表現でしかできないと存じますが、いま考えておりますのは、適正に施行すること、それ上から事業を廃止をした場合に、その廃止をしたことによって弊害が起こらないようにすること、あるいは工事中の災害の防止につきまして厳重な条件をつけることがまず必要であると考えております。
  137. 矢山有作

    矢山有作君 それはこの法律に出ているのですよ、そういうことは。それはわかっている。わかっておるのだが、私の指摘しておるのは、造成された宅地が不当な利得の対象にならぬように、適正な価格で譲渡されるような方策というものを具体的に考えておいでになりますか、ということなんです。法律事項にきめられないとすれば、行政指導の面でそれを考えておいでにならぬと、これに対する規制がない。たとえば坪五千円で買った、造成費が二千円ついた。三万円に売っても、五万円に売ってもかまわぬということでは、これは宅地造成をしても困る。そういうことで流通の円滑をはかるために、適正な価格で売るようなそういう行政措置というふうなものを考えておいでになるかということを言っておるのです。また、譲り受け人のほうの側からいえば、譲り受けたほうが実際に家を建てないで転売した、賃貸借に出した、そういうようなことにならぬような規制ということを具体的に考えておいでになるか、こういうことを言っておるのです。
  138. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 不当な利得を得ることにつきましては、取り締まりの法規は別途ございますので、その適用を受けますが、民間の利潤等につきまして規制をすることは、現在の法の建前上困難と考えております。
  139. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、造成されれた宅地が、適正な価格で真に宅地を必要としておる者に譲り渡されるという点をどうしてやっていくのですか。野放しですか。野放しになりますと、土地ブローカーの暗躍というものが出てきますよ。
  140. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 土地価格につきましては、全体として自由価格になっておりまして、この場合に規制することはできないと存じます。一面、宅地造成事業を行なう業者につきましては、先ほど申しました取引業法におきまして、登録をして業者の監督をいたしておりますので、その面において取り締まりを強化していく所存でございます。
  141. 北村暢

    委員長北村暢君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  142. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記を起こして。
  143. 堀本宜実

    堀本宜実君 それじゃ、一、二お伺いいたしますが、先ほど建設大臣からこの法律を適用する地域の範囲内についてお話がございましたので、もう質問をしようといたしておりましたものはおおむね解消したのでありますが、ただ先ほどからの質疑の間で、住宅新市街地というものと、それから都市計画というものが混同されたようなふうにうかがい得るのですが、この第三条の説明を見ますと、「人口集中に伴う住宅用地の需要の著しい都市」、これが一応先ほどのお話がございましたものだろうと思いますが、及び、その周辺の「都市計画区域内の土地の区域」、こういうふうに指定がしてございますので、私はまず建設省お尋ねをいたしたいのは、都市計異地域というのは、相当数あると常識的に思うのでございますが、一体どのくらい指定地域がございますか。
  144. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 全国的に都市計画区域を決定しております数は、全部で千三百十二市町村でございます。市が五百五十九、町が七百三十二、村は二十一でございます。
  145. 堀本宜実

    堀本宜実君 いま申し上げましたように、村にも町にも、市はおおむね全部に都市計画地域というものが企画されており、指定をされておると思うのであります。そういうようなところからこの問題が拡大していかないかということの心配があったのでございますので、私は、ここの法文の中に「都市計画区域内の土地の区域」というふうに、そこであれば、住宅地造成事業規制区域として指定することができるという不可分の問題がおっかぶさっておりますので心配いたしておると思うのであります。そこで大臣は、その範囲について御決意がございまして、それを了承いたしておりましたが、そこが混同しないようにお願い申し上げておきます。これは要望をいたしておきます。  それから農林省に、もう時間もだいぶ過ぎておりますので、一言伺いたいと思いますが、私もこれはお話をだいぶ聞いて了解してわかってきたのでございますが、昭和三十年に土地の、いわゆる農地転用基準を通達をいたしておるわけでございますが、これの緩和なりあるいは取り消しなり修正なりをしないままこの法律を受けてきておるわけです。そこで、配慮をするということになってきたわけですが、これは法律ですから、通達とは全然力関係も違いますしいたしますが、すでにこの通達は、長年地方においてはこれを基準として農地行政をやってきたわけなんです。そこで、これをどういうように解釈されるのですか。緩和をするというふうにもおっしゃったし、改正をするというのか、その点もう少し明瞭にお話をお聞かせいただけませんか。
  146. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 先ほど来申し上げておりますとおり、現行転用基準では、地方公共団体あるいは公益法人以外は、宅地をつくって売るという目的農地転用を申請してきても認めないと書いてあります。そこで、本件のこの法律によって規制を受ける民間宅地造成業者は、いろいろ規制があるので、それを転用の対象にするという部分は、改正を要する点。それから、先ほど来いろいろお話が出ておりますが、それならば、この申請者が出てきたら、みんな許可するのかという問題につきましては、転用の基本方針がこの本文には全部書いてあるわけでありまして、優良な農地はつぶさない、つぶすものならば三種からなるべくつぶしていく、土地の有効利用あるいは農民への影響を配慮して転用許可していく、この面の原則は維持するということを申し上げておるわけであります。
  147. 堀本宜実

    堀本宜実君 そうしますと、これは私も一種、二種、三種があることは知っているのですが、一種というのは、優良なる農地として活用するところを一種としておると思うのです。そこで局長は、そういうことをおっしゃるならば、もう少し聞かなければならないことになりますが、この法の適用を受ける土地は、第三種が多いとお思いになりますか。
  148. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 第三種農地は、先ほど申し上げましたが、既成市街地、たとえば土地区画整理済みの土地であるとか、上下水道が発達しておるとか、そういう意味で要するに市街地の様相を呈しておる地区内の農地、すなわち第三種農地、この法律先ほど来、法律の一条にも書いてございましたように、市街地必至の地域住宅造成しようじゃないか、そのために宅地造成をされる民間業者というものを取り上げていこうじゃないかという、住宅政策の立場からの立法でありますから、地域的には、原則的に私どもは第三種にまいる土地であろう、かように考えております。もちろん例外もあると思います。転用上の姿勢といたしましては、優良農地を維持する、したがって、そういう転用農地でございますれば、御相談して場所を変えていたただくということを、転用の運用の問題としては考えております。
  149. 堀本宜実

    堀本宜実君 もうこれで申し上げませんが、いまお話しになりましたように、われわれがおそれるのは、第一種農地にこの申請が出てこないかということを一番おそれるのです。いわゆる通達されて、そうしていままでいろいろな申請があったものをしりぞけて、そうして優良な農地確保のために今日まで精励してきましたものが、ところが、これが出てまいりますと配慮をせいということで、第一種ないしは第二種の相当広範囲のところに、これが建設されるということになりますと、その周辺がやはり虫食いに荒されてまいりますので、そういうことのないようにということを考えておる、——それはいまの御答弁を信頼をいたしたいと思いますが、その点ははっきりと……、しかし、そういうことのないようにと言いましても、そういう通達を出さなければ、一種の優良な農地には、いかにこの法案といえども、許可をしてはならないということを再確認する考え方があって——いわゆるこれは市町村ですからね。先ほど三千坪と言いましたが、五千坪以上が大臣許可でございますから、三千坪ということになりますと、市町村、あるいは県の歯にかかって、一応それを通過しなければならないことになるわけです。そうでありますから、これは国や県だけで許可をする範囲内ではないと思います。だから、そういう意味でその点を十分に配慮して、通達を重ねて出され、注意を促しておかなければならぬと思いますが、そうお思いになりませんか。
  150. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 農地転用行政にいろいろ目的ございますが、最も根幹とする目的は、一種農地の維持でございます。したがって、私どもが本法で転用許可の権限をどうしてもはずさない、転用許可をはずさないという立場をとりましたことは、とりもなおさず、転用面で一種農地の温存をはかるという立場において、本法におきましても転用許可は残した次第であります。  それから五千坪未満の問題でございますが、五千坪未満は、なるほど県知事でございますが、この許可は、県では農地担当部局がやっております。市町村ではございません。それで、この五千坪未満のものも県知事のところに、おいて、同様の指導のもとに許可を受けるわけです。御要望に反するような運用にはならぬようには重々注意をいたす所存でございます。
  151. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いまの第三種農地だけを対象にする、しかし例外もある。まあ例外もあるでしょう。それでは、私、具体的に伺いますが、先ほども引用した農業年次報告に、三十七年の八月から三十八年の七月の一年間の農用地転用が四万町歩と報告してある。この四万町歩の農業年次報告の第一種、第二種、第三種の内訳をまず伺いたい、実績について。
  152. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) まことに申しわけございませんが、その集計ございませんで、御了承願いたいと思います。
  153. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私でさえそういうラウンド・ナンバーを知っているのに、それの第一種、第二種、第三種の内訳がわからぬと、いいですか、あなた方が出した年次報告ですよ。昭和三十七年八月から昭和三十八年の七月に至る一年間に、農用地の転用約四万町歩と書いてある。その四万町歩の第一種、第二種、第三種の内訳を大ざっぱでもいいから、即答できないようなことの、一体現状把握の上に、こういう問題を出せるのですか。
  154. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 数万件に及びます農用地転用許可でございますので、面積につきまして、先生御指摘のとおりの集計をいたしておるわけでございます。その面積につきまして、一種、二種、三種別の統計はとっておらない次第でございます。
  155. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 統計がとっていないとすればなお問題だと思うのですよ。実際いままで毎年毎年農用地の転用の大半は第一種農地ですよ。いいですか、私がそう言って、それを反駁する根拠があるなら具体的な数字お答え願いたい。もしもそれを反駁できなかったら、あなたはそれを肯定なさい。第一種に重点が置かれている。しかるに、今日のこの宅地造成については、第三種だけに限る、例外は多少ある、——そういう急激なる行政の措置というものができるかどうか。従来の経過からいって疑わしいから、私は実績の解明を求めている。
  156. 矢山有作

    矢山有作君 それでしかも、あなたのほうの先ほどの答弁では、この農地転用許可基準を変える場合に、宅地分譲を目的とする宅地造成事業というものを、この本法案の適用についてははずすとおっしゃった。そうしたら、そういうことをやっておいて、第三種農地に限ってやるのだということができますか、それは。
  157. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 前段の一種農地転用が指向しておるのではないかというお話でございますが、私ども計数をもって反論できませんので……。でございますが、具体的な転用の事例につきまして、個別に審査いたします際に、その地区が三種であるか二種であるかにつきましては、厳重に見て処理をいたしておるわけでございます。集計はいたしておらない、この点はなお今後検討させていただきたいと存じます。  それから、ちょっと宅地分譲について、転用基準をはずすというのは、ちょっと不正確な私の申し上げ方でございまして、そもそも対象にするかしないか、いままでは農地転用許可の対象にしなかったという意味でございます。その宅地の分譲のために民間業者が転用申請してきても、受けつけてはならぬという基準でございます。今度のは、受けつけるのは受けつけますが、一般の転用処理の原則に従って、極力優良農地はつぶさないで、そうして三種農地、これに指向させるという方法を転用行政の面でとりたい、この基準は働かせたい、こういう趣旨でございます。
  158. 矢山有作

    矢山有作君 だから、こちらの言っておるのに間違いはないでしょう。あなたは、この法案は、いままで私人が、私企業がやる宅地造成についてはとれは許さなかった、しかしながら、本法案の適用については許すことにしたとおっしゃる。ところが、先ほど渡辺さんが指摘したように、転用されているのは第一種農地が多いといわれている。そうすれば、宅地造成業者としては第一種農地が一番造成するのに便利なんです。山をくずしたりなんかするより、良田をつぶすのが一番便利だ。だから、そういうところにいくのではないか。従来の実績から考えてもそのおそれがあるということを言っておるんですよ。
  159. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 御注意のありました点は、運用上十分考えてまいりたいと思います。ただ、その転用許可の全くの指導原理といたしまして、一種、二種、三種、いずれも農地でございまして、田畑の問題でございまして、同じ田畑をつぶすならば、なるべくその三種、つまり区画整理済みとか市街地地域をなるべく使う、この本案のやつは、市街地につくる事業でございますから、三種というものを転用いたしますれば、そういう地域にどうしても寄ってまいるだろう、かように考えております。
  160. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  161. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記始めて。
  162. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それでは政務次官に伺いますが、この法律に基づく農業用地転用は第三種に限ると局長が答弁をしましたが、それを政務次官から確約を得ておきたい。第三種農地に限るということと理解してけっこうですか、政務次官。
  163. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) 農地局長が答弁しましたように、いままで通達を出しておる農地転用基準におきまして、第三種農地、いわゆる市街地になる地域というような地域に限るというまでは申しかねると思いますが、それを中心としてわれわれはこの事業には配慮をしなければいかぬので、それに限るというものでなく中心として考えていきたい。しかしながら、いわゆる第一種の、ほんとうに土地改良をやってりっぱな優良な農地は、これは避けなければいけない、こういうふうに考えております。
  164. 北村暢

    委員長北村暢君) 他に御発言もなければ、本連合審査会はこれをもって終了することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  165. 北村暢

    委員長北村暢君) 御異議ないと認めます。よって連合審査会は終了することと決定いたしました。  これにて散会いたします。    午後四時二十四分散会