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1964-06-12 第46回国会 参議院 決算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月十二日(金曜日)    午後一時三十分開会   —————————————   委員異動  六月十二日   辞任      補欠選任    鬼木 勝利君  渋谷 邦彦君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     柴谷  要君    理事            岡村文四郎君            佐藤 芳男君            野知 浩之君            山崎  斉君            相澤 重明君    委員            北口 龍徳君            鈴木 恭一君            仲原 善一君            二木 謙吾君            谷村 貞治君            大森 創造君            渋谷 邦彦君            二宮 文造君            天田 勝正君   国務大臣    国 務 大 臣 佐藤 榮作君   政府委員    北海道開発政務    次官      井川 伊平君    北海道開発庁総    務監理官    小島要太郎君    運輸省鉄道監督    局長      廣瀬 眞一君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    会計検査院事務    総局第三局長  小原  剛君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十七年度一般会計歳入歳出決  算、昭和三十七年度特別会計歳入歳  出決算昭和三十七年度国税収納金  整理資金受払計算書昭和三十七年  度政府関係機関決算書内閣提出) ○昭和三十七年度物品増減及び現在額  総計算書内閣提出) ○昭和三十七年度国有財産増減及び現  在額総計算書内閣提出) ○昭和三十七年度国有財産無償貸付状  況総計算書内閣提出)   —————————————
  2. 柴谷要

    委員長柴谷要君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。  本日、鬼木勝利君が委員を辞任され、その補欠として渋谷邦彦君が選任されました。以上でございます。   —————————————
  3. 柴谷要

    委員長柴谷要君) それでは昭和三十七年度決算外三件を議題とし、審査を進めます。  本日は、北海道開発庁決算につきまして審査を行ないます。まず、北海道開発庁決算について説明を求めます。佐藤国務大臣
  4. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 昭和三十七年度北海道開発庁経費概要について御説明いたします。  昭和三十七年度当初歳出予算額は五百六十二億三千四百二十四万二千円でありましたが、これに政府職員の給与を改善するための予算補正追加額二億四千百七十万五千円、予算移しかえ増加額として、原子力試験研究のため科学技術庁から移しかえを受けた額三百四十万三千円、庁舎等特別取得のため大蔵省所管大蔵本省から移しかえを受けた額二千二百六十六万円、また、予算移しかえ減少額として、厚生省所管厚生本省移しかえた額六千百万円、農林省所管農林本省移しかえた額百十七億三千七百六十五万五千円、農林省所管の林野庁へ移しかえた額八億九千六百万円、農林省所管の水産庁へ移しかえた額十五億五千三百二十万円、運輸省所管運輸本省移しかえた額二億二千二百六十万円、建設省所管建設本省移しかえた額十七億三千八百七万八千円、そのほか、前年度繰り越し額千二百九十五万三千円、予備費使用額二千六百二十二万八千円を増減しますと、歳出予算現額は四百三億四千二百六十五万八千円であります。  これに対して支出済み歳出額は四百二億六千五百三十一万七千円でありまして、これを歳出予算現額に比較いたしますと、七千七百三十四万一千円の差額を生じます。  右の差額のうち、翌年度へ繰り越した額は三千二百六十六万円、不用となった額は四千四百六十八万一千円であります。  支出済み歳出額の内訳について御説明しますと、開発事業費では、建設省所管治水特別会計繰り入れで五十五億九千二十六万円、建設省所管道路整備特別会計繰り入れで二百四十七億一千万円、農林省所管国有林野事業特別会計繰り入れで五億八千三百七十万円、運輸省所管港湾整備特別会計繰り入れで二十九億二百七十万円、工事事務費では、開発事業工事事務費で四十五億八千二百二十八万四千円、そのほか、一般行政費で十五億三千八百八十八万九千円、開発計画費で一億三千百七十一万円、開発事業付帯事務費で二億二千二百三十七万一千円、原子力試験研究費で三百四十万二千円となっております。  次に、翌年度繰り越し額は、庁舎等特別取得費で三千二百六十六万円、不用額のうち、おもな事項は、北海道開拓事業費で千五百三万六千円、開発事業工事事務費で千七百二十一万三千円、一般行政費で千百三十四万七千円であります。  最後に、会計検査院昭和三十七年度決算報告指摘を受けましたことはまことに遺憾であります。関係職員に対しては、それぞれ訓告または厳重注意の処分をいたしましたが、今後は十分な注意のもとに事務の処理に当たるよう、厳重に指導してまいる所存であります。  以上、昭和三十七年度北海道開発庁決算概要を御説明申し上げましたが、何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  5. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 次に、会計検査院当局から検査報告を聴取いたします。
  6. 小原剛

    説明員小原剛君) 御説明いたします。  北海道開発庁の三十七年度決算について検査いたしました結果、検査報告に掲記いたしましたものは、報告書の二十ページの番号の第一番に掲記してございますように、直轄工事施行が不良なもの一件でございます。  本件は、札幌開発建設部治水特別会計から支出し、請負施行いたしました千歳川筋河川改修工事にかかわるものでございまして、コンクリートブロック張り護岸の基礎の施行が不良で、護岸の強度が低下しているものと認めたものであります。なお、本件工事につきましては、その後当局において全面的に手直しをした旨の報告を受けております。  以上のほか、特に申し上げることはございません。
  7. 柴谷要

    委員長柴谷要君) それでは、これより直ちに質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  8. 相澤重明

    相澤重明君 ただいま長官と会計検査院からそれぞれ御報告をいたただいたわけでありますが、現在、北海道開発について第三次計画の中にあるわけでありますが、私は、最初からまずお尋ねをしていきたいと思うのです。  戦後、北海道開発が非常に大事だということで、国会においても議論をされまして、北海道開発法が誕生したわけであります。ところが、この北海道開発について、昭和二十七年以来十カ年計画というものが持たれて、その第一次、第二次五カ年計画が進行されたのでありますが、第一次計画は、なぜ当初の計画の半分ちょっとしか達成することができなかったか。こういう点について、北海道開発庁としてのひとつ反省なり、あるいは問題点というものを提供してほしいわけです。いかがですか。
  9. 小島要太郎

    政府委員小島要太郎君) 事務的な面につきまして、政府委員総務監理官でございますが、お答えを申し上げさしていただきたいと存じます。  第一次五カ年計画・それが昭和二十七年からのことでございますが、その第一次五カ年計画計画立案いたしましたその当時の状態を振り返ってみなければならないわけでございまするが、何ぶんにも、その当時といたしましては、まだ戦後幾ばくもたっていないない当時のことでございまして、わが国全体の経済がまだ安定する段階にはございませんで、国民経済全体の将来の見通しないし計画をまだ立て得ないような状態の時期であったのでございます。また、したがいまして、この開発の問題につきましても、総合的な、しかも全国的な開発計画というものを立て得ないような状態であったのでございます。そういう時期を背景といたしまして、この北海道につきましては、何はともあれ、北海道開発を急ぎたいという大きな熱意のもとに昭和二十五年に北海道開発庁が発足し、そのもとになる北海道開発法が制定され、そして北海道開発庁が発足し、北海道について、とにかく総合開発計画を立ててまいろうという非常な意欲を燃やしましたわけでございます。したがいまして、非常に意欲的に大きな計画を立てたわけでございますが、これを、先ほど申しましたような全国的な情勢、まだ全国的に計画を立て得ないような状態、その時期に非常に気ばって立てたというわけでございまするので、あとから振り返ってみまするならば、計画自体、若干、非常に背伸びをしておったのではないかというふうに見られるのでございます。それなりに開発庁といたしましては大いに努力をいたしまして、その達成に尽力したわけでございますけれども、十分な達成ができなかったことはまことに遺憾なことである、かように存ずる次第でございます。
  10. 相澤重明

    相澤重明君 これは、いまのは事務当局答弁ですから、事務当局としては、少し当初計画があまりにも北海道開発ということに重点を入れて背伸びし過ぎた予算の編成をした、こういう反省をされておると思うのです。しかし、国会において、この十カ年計画の中の第一次五カ年計画をつくるときには、とにかく産業基盤をつくる、産業基盤確保ということが一番重点であった、こういうところに、いわゆる電源開発であるとか、食糧の確保であるとかいう、この産業基盤の基礎的な問題に重点が置かれたにもかかわらず、実際には半分そこらしか、いわゆる五九・八%しか達成ができなかった。こういうことは、事務上のことから言えば、いまのような答弁でも、ああそうだったかと、こういうことは言えると思うのですが、私は、やはり政策上の議論としては、そういう答弁では済まされないと思うのです。しかし、それはいまの反省を率直に受け入れて、次に第二次五カ年計画で非常に努力されたあとがわかるわけです。それによると、一〇一%の、今度は逆に好成績を示しておるわけなんです。一〇一・一%ということになっております。当初計画よりははるかに実績をあげたことになるわけで、これは北海道開発庁を担当される大臣がよかったかもしれぬし、当局がよかったかもしれません。  そこで、それはそれとして、実際に第一次五カ年計画達成できなかった分と、第二次五カ年計画がそういうふうに一応比率の上ではよくなったということは言えるのでありますが、具体的に、農林水産なり、あるいは電源開発、鉱工業生産額、こういうような問題について、三十七年度実績というものは計画目標と合わしてどうなったのか、ひとつ御説明をいただきたいと思うのです。よくなったということはわかった。わかったが、実績は一体どうなのか。これをひとつ御説明を願いたい。
  11. 小島要太郎

    政府委員小島要太郎君) お答えいたします。  第二次五カ年計画でございますが、これは、産業の振興の基盤整備の強化をはかり、各種産業を積極的に開発振興することに重点を置いて推進してまいりましたことは御承知のとおりなんでございますが、その結果を計画目標に対して検討してみますると、多くの指標が計画を上回っておると存じます。したがいまして、この第二次計画につきましては、おおむね所期目標達成し得たものではないかと私どもは考えておる次第でございます。  そのやや具体的に申し上げたいと存じますが、各産業開発されました姿を、この計画基準年次昭和三十年でございますが、基準年次と、それから目標年次におきまする生産伸びによって比べてみますると、まず、農業は四〇%生産額伸びております。それから林業は四一%、水産業は八%、鉱業五一%、それからインダストリー工業が一五〇%、それから電力が一二八%の、それぞれ増となっております。  これを、その開発目標に比べてみまするならば、農業林業工業、それから電力、その四つは、それぞれ三%増、四〇%増、二六%増、三〇%増となっておるのでございます。ただ、水産業マイニング鉱業、これがそれぞれ一七%減、一〇%減となっておるのでございますが、そのうち、水産業につきましては、最近の水産資源変化、それから日ソ漁業交渉というような事態が推移してまいりましたそういう事情によりまして、サケとかマスとか、そういう値の高い魚の漁獲高計画目標を下回った。こういうわけでございまして、総水揚げ高ではおおむね目標達成しておりますにもかかわらず、全体の生産額としても見れば、計画を下回る結果になった次第でございまして、残念なことでございます。それからマイニング鉱業でございますが、これも、積極的にその開発計画いたしましたところの石炭でございまするが、これが、残念なことに、その後のエネルギー消費構造変化という事態に当面いたしまして、減産を余儀なくされた。その結果、鉱業生産伸びが鈍化をした。こういうわけなんでございます。  それから次に生産所得について見まするならば、基準年次が三千九百四十億であったのに対しまして、目標年次におきましては六四%増となりまして、これは、計画目標に対しましては二%増になっておるんでございます。その数字は六千四百六十億円、こういうふうに生産所得がふくらんでまいったわけでございます。これは、所得平均成長率を七・一%と見込んでおりましたそれをほぼ、まあそのとおりの成長達成しておる、こういう状態でございます。  次に、生産所得産業別構成比を、つまり、これは産業構造の点でございますが、これを見ますると、基準年次におきまする第一次、第二次、第三次産業構成比率は、二五%、二六%、四九%という割合であったのでございますが、目標年次になりますと、それが一九%・三二%・四九%というふうに変わったのであります。これは、産業構造がだんだんと高度化の方向に向かっておる姿を示しておるのでございまして、この計画におきまして意図しましたところが、おおむね達成されたことになると考えておる次第でございます。  それから就業人口の点を申しますならば、基準年次に対しまして、就業人口は一五%増、それから総人口は七%増になっております。目標に対しましては若干下回っておる。つまり、三%及び七%と下回ったわけでございますが、これは、第二次五カ年計画のその時期、この期間におきましては、これは日本全体として見まして、先進工業地域の発展に目ざましいものがあった時期でございまして、全国の人口がその先進工業地域に集中していくという姿をとった時代でございまして、北海道におきましてもこの影響を若干受けまして、計画で考えましたほどの就業人口、総人口増加をはかることができなかったものでありますが、しかしながら、計画を下回りましたとは申しましても、他の府県に見られますほどの急激な人口流出超過という現象は北海道においては見られなかったと、こう考えるのでございまして、まあ、これは第二次五カ年計画が強力に推進されたその効果によるものではないかというふうに私どもは考えておる次第でございます。
  12. 相澤重明

    相澤重明君 いま、成果と反省が率直に述べられたわけでありますが、いまお話を聞いておると、確かに平均して全体の中では一〇一・一%の達成率ということで、よかったわけですが、その中でも、水産業あるいは国土保全、あるいはまた文化厚生施設労働施設、そういうものについては非常に達成率が悪い。人口伸び計画どおりいかなかった、こういうことが率直に指摘をされると思うんです。そこで、確かに人口についても、流動人口という、いわゆる他に出ていったということはないかもしれぬけれども当初計画というものはあるわけですから、その計画からいけば、私はやはり成績は芳しくなかったと、こういうやはり反省点を持たなければいけないと思う。なぜかといえば、私ども北海道現地調査決算で参りますというと、やはり北海道はどうしても費用がかさむ。したがって、中央なり本土から北海道に行く人たちには、施設面なりあるいは住宅面なりというものを十分勘案をしてやらぬと、それはもう、北海道に長くおってもらうことはできないと、こういうことは、私ども現地調査に行ったときに、これは明らかになっておるわけです。そういう文化面といいますか、厚生面といいますか、いうような施設について、私は、不十分の点があったから、結局はそういう人口伸び、あるいは労働力の問題、こういうところに不足があったのではないかと、こう思うのですが、事務当局は、そういう点についてどう考えますか。
  13. 小島要太郎

    政府委員小島要太郎君) 御指摘ございましたように、私どもといたしましても、先ほど、おおむねその所期目標達成しておると信じておりますと申し上げたとおりでございまするが、そうは申しましても、反省すべき点は十分に反省しなければならないと考えておるのでございます。それで、その第二次計画の終わりました状態におきまして、反省を織り込みまして、そのあとの、つまり現行の第二期計画でございますが、その第二期計画のほうへ努力を注入してまいったというようないきさつになっておるのでございまするが、それにいたしましても、この第二次計画の中におきまして、まあ、ものによっては非常にうまくいっているが、ものによっては及ばない点がわりあいに大きいというような、そういうでこぼこは確かに生じております。その最たるものが、先ほども申しました水産業とか、それからマイニングなどでございまするが、しかしながら、その他の面、たとえば道路事業のほうは非常に伸びております。これに対しまして、治山治水のほうが見劣りがするわけでございます。これなどの点を見ますると、この第二次五カ年計画をつくりましたその当時でも、全国的な計画というものが、各種事業についての全国的な長期計画というものが、まだできていない時代であったのでございます。まあ、道路だけは、大体相前後して全国的な長期的な事業計画というものができておりますけれども、その他のものにつきましては、この事業別の全国的な長期計画というものがまだできていない時代であったのでございます。それが、その後に、この計画年次進行過程におきまして、他の事業の全国的な長期計画というものが逐次できる態勢に進んでまいったと、こういう関係で、そちらのほうとの調整過程におきまして、まあ何しろこちらのほうが先行しておったのでございまするが、その時期におきましては十分な調整ができなかったという面は、私ども反省しなければならないと存じております。まあ、そういうようなわけで、各種事業を比べてみると、あるものは非常にできがいいが、他のものは見劣りがする、こういうでこぼこが生じたのでございまして、こういうような点につきましては、その反省現行の第二期計画に織り込んでおるわけでございまして、この第二期計画の強力な推進という面で極力カバーしてまいりたいと、このように考えております。
  14. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 大体事務当局説明で実情はよくおわかりだと思います。しかし、ただいま御指摘になりましたように、北海道開発計画で特に私どもが見なければならぬものは、総合的な開発計画、こういうことでございます。各部門調整、同時にまたその総合的な効果を発揮する、こういう点にあると思います。しかして、ただいま御指摘になりましたような各部門必ずしも全部がうまくいっておるわけではございません。そういう点については、御指摘もございましたので、私どももさらに反省し、そうして総合的の調整効果を十分発揮するようにいたしたいと、かように考えております。
  15. 相澤重明

    相澤重明君 大臣の御答弁をいただいて私も非常に喜ぶわけですが、そこで、この第二期北海道総合開発計画ですね。これに基づいていろいろ施策が述べられておるわけですが、その中で、一つ私は、特に北海道といえば、日本国内では、石炭問題というものは、これは無視するわけにはまいらないと思う。九州並びに常磐と並んで、とにかく北海道はやはり石炭問題を重点に置くべきだ。その中に、やはり石炭問題については、政府としても力を入れるということが出ておるわけですが、ひとつここで大臣に私はお聞きしたいのは、いわゆる電源の問題に関連をして、いわゆるスラリー輸送の問題が本年当初から実は非常に議論をされたわけです。一体、この二カ年もかかった、委員会で答申が出されたのに、通産省やあるいはこの炭砿技術会諸君意見と、電発とそれから電力会社等、当事者からは、やはり経費の問題であまり安くならぬと、こういうことで意見が分かれたようでありますが、私は、やはり北海道総合開発というものからいえば、この点はきわめて重要な問題ではないかと思うのです。あとの点で、やはりこの中に出されておりまする問題の中から、一つ運輸交通の問題について私は触れたいと思うのですが、最初北海道鉱業の問題として、炭坑技術近代化であるとか、あるいは調査探鉱事業推進とか、鉱産物道内需要の拡大であるとか、こういうようなことをいろいろ言われておりますが、この石炭鉱業について具体的にどうするのか。つまり、今日ではもう中小炭鉱というものはあまり投資の価値がないとまで経営者諸君は言っておるけれども、現実には、エネルギー革命があっても、私はやはり石炭というものは十分利用価値のあるものだと思う。特に北海道産業の中で持つこの石炭役割り、こういうことを考えると、もっと積極的に取り組んでいいんじゃないかと、こう私は思うのですが、このスラリー輸送の問題について、北海道開発庁として、これらの問題についてどう考えるのか。これはひとつ、単に電発総裁通産大臣とのけんかということでは私はおさまらないと思う国全体の施策としてどうするか、特に私ども京浜間におる者から見ると、やはり電力のできるだけコスト・ダウンということを考えていかなければならないということになると、当初のいわゆる計画からいけば、相当、半額以下になるということを言われておったのが、今日では、電発なり電力経営者自体からはあまり歓迎をされない。こういうことは、一体どこにその欠点があり、どういうところに、そういういままで二カ年もかかって審議したものがなおざりにされるのか。こういう点については、あなたが、少なくともいまの、あまり仕事をやれば、かえってよけいなことをやったということで、総裁選挙に損をするということであれば、これは別だけれども、私はむしろ、積極的に仕事はやって、そして国民の期待にこたえるのが、総裁になり総理になる道だと、こういうふうに——、あまり仕事をしない八方美人的な池田さんよりは、そのほうがいいんじゃないかと思うのだけれども、それは別にして、いわゆる北海道のこの石炭問題について、鉱業問題についてどうするのか、こういう点については、北海道開発庁を担当する大臣として、ひとつ率直に意見を聞いておきたい。
  16. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま、石炭問題、それからスラリー輸送を中心にして、石炭についての御高見を拝承いたしたわけですが、ただいままでのところ、この石炭必ずしもいわゆる斜陽産業ではない、こういう考え方が国際的な意見にも実はなりつつあります。ことに、外国においてそういう意見が出ている。石炭はもう斜陽産業だから、これは一顧だに値しない、そういう考え方は清算すべきだと思います。  そこで、石炭産業そのものが、技術的にもっと新しいものを取り入れる、そうしてコスト・ダウンしていく、こういうことはくふうされておるようであります。北海道そのものでは、今日までのところ、未開発炭田も多いことでありますので、実はわが国鉱物資源として、北海道が持つ石炭鉱業、そういうところには私どもも非常に力を入れておるつもりであります。新しい技術革新をするならば、さらにこれは開発可能性が十分ある。また採算もとれる。また、その中の一つの問題として、いわゆるスラリー輸送が出てくるわけであります。これは新しいものでありますだけに、なかなか各界の理解を得るのに今日まで悩んでおります。しかしながら、各産業界も、こういう新しいものについての理解を持たないと、将来太刀打ちができなくなるときもあるだろうと思いますので、それぞれの産業部門においても熱心に取り組んでおられる。また、政府自体も、スラリー輸送については、科学技術庁においてもさらに真剣に検討を続けていくつもりであります。  こういう事柄はございますが、わが国の特殊性といたしまして、わが国では石油が特別に安い、こういう問題がある。重油が安い。あるいは原油が安い。これは、わが国において国産原油がないにかかわらず、マーケットとしての日本、これは、他の国に比べてみて重油が安いのではないか、こういうことが指摘されると思います。そこで、先ほど来の発電事業等におきましても、あるいは製鉄等におきましても、わが国の特殊な条件のもとに、重油の使用がだんだんふえておる。しかしながら、本来国内に原油を持たないこの国の姿として、この状態は必ずしもいいとは言えない。たえず注意を要する問題があるのであります。したがいまして、冒頭に申されましたように、国内資源を十二分に活用していく、そういう意味におきましても、新しい技術を取り入れることによってコスト・ダウンをする、こういうことでなければならない、かように思うもので、私は、北海道石炭そのものは必ずしも非常に先行き不安とか、あるいは不振とか、同時にこれに望みをかけるわけにいかないとか、かようには思いません。所要の技術革新、それが輸送の面においてもくふうされる、そういうことによりまして、また、そのたき方においてもくふうされることによって、また、その消費地を産地の近くに設けるということによりましても、この需要は確保するように努力したいものであると、かように考えております。
  17. 相澤重明

    相澤重明君 まあ、政府のこの北海道総合開発計画の第二期計画の中にも、目標年次における鉱業生産額は、基準年次の二〇%増、約千六十億円を見込み、石炭は精炭として二六%増の約二千四百万トン、こういういわゆる計画性を持っておれば、これは当然半面に消費を考えなければならぬわけです。ところが、私は、やはりこの阪神なり京浜なりの重工業地帯における電力の問題は、単に石油だけ、あるいは原子力だけというわけにはまいらぬと思う。まだまだそういう段階ではないと思う。大臣のお話のように、国際的に見ても、石炭というものはそんなにもう足げにしなきゃならぬというものじゃ私はないと思う。そういう面からいけば、この北海道炭砿技術会諸君が二カ年もかかっていろいろ研究をして、そしてトン千八百六十円もする現在の石炭を、スラリー輸送にすれば、八百六十円かそこそこの、つまり半分以下になるんだと、こういうことを具体的に計画されたものを、単に、まあ勢力争いかなわ張り争いか、そういうことまで私言いませんけれども、そういうことで一片のほごにするようなことは、私はとるべきじゃない。いま大臣のお話のように、関係省庁、また機関ともよく相談をして、真剣にこの問題に取り組んでいかなければ、私は、この総会開発計画というようなものは役に立たないと思うんですよ。しかも、決算報告の中で出されました港湾整備の問題にしても、たとえば苫小牧港を整備をして、じゃ一体何にするんだ、こういうことから考えてくれば、この石炭関係は、苫小牧におけるところのやはり重要なそういう産業の部分をなすものだ。こういうふうに、全体の総合開発計画の中で港の整備をし、そしてまた山のいわゆる出炭率を上げる、そして多くの勤労者のいわゆる生活費が上がってくれば、それだけやはりお互いによくなるわけだ。こういう総合開発計画というものがとられていないところに、私が冒頭申し上げた、でこぼこがはなはだしい。  ですから、事務当局の話は話としても、私どもは、政策的に見た場合には、いまのようなことであってはいけないし、大臣答弁のようにしていかなけりゃいけないんじゃないか。北海道開発を積極的に進めて、そして本土なり四国なり九州と一緒にこれが当初計画ができるなら、私は、日本の国内経済というものは非常によくなると思う。こういうふうに、北海道開発が十分でき得る政治力、政策、そういうものこそ、私は今日は必要じゃないかと、こう思う。こういう意味で、スラリー輸送については、いま少し電発電力会社の諸君意見も私は否定はしません。まるきりいけないとは言わぬけれども、もっと前向きの姿勢で取り組ませる、そういうふうにひとつ関係各省庁と相談をしてもらいたい。大臣の御答弁を私は期待をするわけです。ぜひそういうふうに前向きにやってもらいたいと思う。  その次に、この産業の振興に、やはり基盤として必要なことは、道路、交通の問題であります。道路はたいへんに、先ほどもお話のありましたように、北海道開発庁ができてから、よくなりました。一五〇%もこの計画を上回るということは、たいへんいいことだと思う。しかし、残念ながら、道路だけでは、いまの北海道と本土との交通というものは十分ではありません。いま、本土と北海道を結ぶものは青函連絡船というようなことで、人の輸送、物の輸送というものを現在考えている。ごく一部が飛行機にたよらざるを得ない、私はこういう状況だと思う。  そこで、道——本州間の交通輸送という問題について、北海道開発庁としては、青函トンネルについてどう考えておるか。これはもちろん、日本鉄道建設公団が発足をいたしまして、その重要な一つ目標になっておることは、私どもも十分承知をしております。けれども、それが十五年二十年かかるのであっては、北海道開発庁が誕生しておる意味がない。私はやっぱり、本土——北海道間が早急にいわゆる道民の期待にこたえるように、しかもそういう産業開発が行なわれるようにするには、積極的にいまこそ青函トンネルの問題と取り組んでいくのが北海開発庁としても必要ではないか、こういうふうに思うのであります。もちろん、これには関係の運輸省なり、あるいは鉄道建設公団なり、いろいろ関係者があるでしょう。あるでしょうが、私はやっぱりこの総合開発の面からいけば、単にそれは鉄道にまかしておけばいいのだということではないと思う。そういう意味で、本土といわゆる北海道間の交通輸送の問題についての重点施策として、青函隧道について政府としてはどう考えるか。あるいは北海道開発を担当しておる大臣としてどういうお考えを持っておるか、これはぜひ聞かしてほしい問題です。
  18. 小島要太郎

    政府委員小島要太郎君) 事務当局といたしましては、この第二期総合開発計画の中のまことに重要な柱として、この北海道と本州との間の連絡の確保をはかることを計画の中に立てておるわけでございまして、それのための重要な手段としての青函トンネルの建設、これを、北海道開発庁がその推進の母体になってまいりたい、こういう考え方で、一昨年来、努力努力を重ねて各方面と御相談申し上げておったわけでございます。ちょうどその時期に、運輸省——もちろん運輸省と格段の御相談をしておったわけでございまするが、この鉄道建設公団の構想がその当時から出てまいっておったわけでございまして、これはやはり今後鉄道建設公団の設立を開発庁といたしましても促進する、側面援助をいたしまして、そうしてこの公団の大きな事業としてトンネルの建設に邁進してまいりたい、このように考えまして、私ども大いにその推進努力をしてまいったわけでございます。このトンネルが、すでにその調査段階を踏み出して、その試掘をもう始めておるわけでございまして、一日も早くその調べるべきことを調べ上げまして、一日も早く着工にかかるということを期待いたしまして、今後一そう運輸省及び鉄道建設公団との連絡を密にしてまいりたい、このように事務当局といたしまして考えております。
  19. 相澤重明

    相澤重明君 事務当局として考えるのはいいが、へたな考え休むに似たりということがあるから、結局は何の役にも立たないということになる。考えるだけではいけない。やはり、具体的にそういう事業に手をつけなければ私はいけないと思う。  そこで、いま一つ聞いておきたいのは、事務当局としては、第二期計画のいわゆる昭和四十五年には、一体旅客輸送について、旅客はどのくらいの人数、あるいは貨物についてはどのくらいのトン数が本土と北海道間に必要であるか、そういう目標というものをどう策定をしておるのか、ひとつ御説明いただきたい。
  20. 小島要太郎

    政府委員小島要太郎君) 青函輸送につきましては、昭和四十五年度、第二期計画の最終年度でございますが、四十五年度の青函輸送量、上り下り合わせまして、旅客では約四百万人、それから貨物では約七百三十万トンというものを見込んでおるわけでございます。
  21. 相澤重明

    相澤重明君 いまのそういう、たとえば旅客で四百万人、あるいは貨物で七百三十万トンという輸送を必要とするということをお考えになって、現在の青函連絡船あるいはまた航空機の利用等をお考えになって、これでやっていかれますか。そういう策定をして、いまのような状態でやっていかれますか。
  22. 小島要太郎

    政府委員小島要太郎君) その点につきましては、私どもは運輸省と連絡をとって、先ほど申しました想定を立てたわけでございまして、それをさばいてまいりますための十分な対策というものを運輸省にお立ていただいておるわけでございます。まあ、これをさばいてまいりますためには、青函の連絡につきまして、この計画期間中に老朽船を代替いたしまして、大型船、新性能を有する連絡船、そういうものを建造いたしましてこの輸送量をさばいてまいる計画でございます。
  23. 相澤重明

    相澤重明君 これは、すでに新しい船は、就航してるんですよ。就航しておっても、いまの運輸省の計画でいっても、昭和四十五年の北海道開発庁の第二期計画がもし達成されるとすれば、私はもうそのときには破綻に瀕する、やっていかれないだろうと、こう言うんです。そうすると、何らかの救済策をとらざるを得ないだろうと。ところが、建設工事というものはそんな簡単なものじゃないわけです。したがって、単に運輸省に計画を立ててもらっておりますという答弁では、これは私どもは納得できないわけです。運輸省にやらしておったら、いや金がありません、資金的になかなか問題があります、技術的にも時間がかなりかかります、と言われたら終わりになっちゃう。それじゃ北海道開発という総合計画は私は立たないと言ってるんですよ。  そこで、この青函トンネルをつくるとしたならば、どのくらいの年月を普通必要とするのか、まず、それから聞いていきましょう。事務当局では、どういうふうにいままで相談をされたなり、聞いておったんですか。
  24. 小島要太郎

    政府委員小島要太郎君) これは、トンネルをつくる技術に関する問題でございまするが、いろいろその方面の専門家に検討をしていただきまして、おおむね昭和五十年ごろを完成の目途といたしておる次第でございます。
  25. 相澤重明

    相澤重明君 その、あなたが簡単に昭和五十年ごろと言うが、まあことしは三十九年だね。昭和五十年になったら、いまの北海道開発庁総合開発計画によっても、四十五年というと、五十年だったら五年のズレがある。五年間という空白を一体どうするのか。これだけやはり北海道経済開発というものは実はストップされるということですよ。足踏みをするいうこととですね。たとえば、生産性が拡大をしても、いわゆる実際の交通輸送がマッチしなかったら、実際それだけの不経済になってくるわけです、これは。そういうことからいって、事務的に、まあ昭和五十年ぐらいにできるだろうというようなことでは、これはもう話にならぬ。  そこで、運輸省の鉄監局長も来たようですから、運輸省にひとつこれは答弁してもらいたい。運輸省は、北海道開発について、青函トンネルというものは、建設公団ができたから建設公団に担当させるとしても、一体どういうふうな具体的な計画を持って、そしていつごろまでに、北海道開発——いわゆる本土と北海道との連絡をさせることができるのか、こういう点について、ひとつ運輸省から御答弁いただきたい。
  26. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) ただいまお尋ねの青函トンネルにつきまして、簡単に御説明をいたします。  青函トンネルの建設につきましては、主として技術的な調査を現在行なっております。わが国におきまして、いまだ例を見ない非常に規模の大きいものでございます。また巨額の資金と高度の技術を要するものでございまして、従来、国鉄におきまして、昭和二十一年度から現在まで、地形の測量、地質の調査、海象、気象の調査を実施しておりますが、地表からの間接的な調査を完了いたしましたので、昭和三十八年からさらに一歩進めまして、現地におきまして試掘立て坑を掘さくし、これによりまして、具体的な施工方法等の検討を進めることといたしております。昭和三十九年度には北海道側の斜坑の掘さくを行ないまして、あわせまして海底及び地上のボーリングによりまして、地質調査も行なう予定にしております。なお、御承知のように、懸案でございました日本鉄道建設公団が三十九年の三月に設立されましたので、青函トンネルの建設もこの公団が今後実施することになりまして、調査規模も飛躍的に増大するものと考えております。  なお、三十九年度の海峡連絡鉄道の調査費等は、青函だけでなくて本州——四国の関係もございますが、公団になりましてかなり大幅に増額いたしまして、大体八億程度をこれにかけてまいりたいというふうに考えております。  なお、現在まで専門的な検討をいたしまして得ました結論について申し上げますと、この海峡の海底連絡隧道は、掘さくが可能であるというふうに大まかに考えております。なお、工期につきましては十年以内、全工費は、当初は約六百億と考えておりましたが、最近は物価の値上がり等いろいろな関係がございまして、これも非常に大ざっぱな話で恐縮でございますが、まあ、大体一千億程度というふうに考えております。非常に大ざっぱな見通しでございますが、現在まで技術的に得ました結論は大体そんなところでございます。  非常に大ざっぱな答弁でございますが、また何かこまかい御質問があれば、お答えをいたします。
  27. 相澤重明

    相澤重明君 大臣ね。いま運輸省の鉄監局長から御答弁いただいたのは、昭和二十一年から国鉄自体はすでに調査を始め、ボーリングもして、今日の段階では、すでに隧道は掘さく可能であるという結論に達していると、こういうのでありますから、もちろん工事をしていく中にも重要な調査段階もあるでしょう。あるでしょうが、私は、今日の北海道開発という面からいけば、やはりもう明年度あたりは着手をするという、そういう基本原則を確立しなければ私はいけないと思うのですよ。そこで、たとえば明年度着工をして、いまのお話でいくと、工期は十カ年間ぐらい、予算は一千億ぐらいと、こう言う。私は、予算の一千億というものは、東海道新幹線の四千億になんなんとする額からいえば、何もそれが適正であるかないかは別として、もう必要経費というものは出していいのじゃないか、何も、六百億、七百億で必ずしも押えなければいけないということじゃないと思う。そういう意味で、これはひとつ、大臣北海道開発庁の責任者として、ひとつこの青函隧道を早急に着手するように私はひとつ閣内で御努力いただきたいと思う。  そこで、資金的な問題でありますが、これは当然政府が、いわゆる工事を担当するものが鉄道建設公団とすれば建設公団に資金を出さなければならぬ、あるいはいわゆる金をつくらなければいけないということになってくると思う。ところが、鉄道建設公団は十カ年計画で五千億です。そうでしたね。平均年間五百億、十カ年で五千億という、たしか仕事だったと思う。そこで、そういうことでいけば、他の工事というものが少しストップするということにもなる、青函隧道をやれば。そこで私はこの面では特別な配慮をしないと、北海道開発というものが地方の工事と同じようなことになってしまう。  そこで、ひとつ御答弁を、これは鉄監局長にもしてもらいたいし、大臣にもしてもらいたいのですが、工期をもっと短縮する。たとえば、新丹那隧道を抜くのに、両側からも、まん中からもやったわけですね。こういうような、北海道側からの工事だけでなくて、本土側からの工事もあるだろう、あるいは中央に設定をしたところの工事方法もあるのではないか。いろいろ現在の技術の進歩の中から考えれば、私は、工事のしかたとしては検討を要する必要があるのではないか。工期を短縮することが可能ではないか、こう思うのだが、そういう技術的な問題については、省内として、運輸省としては、まだ意見が出されておらないのかどうか。それからまた、大臣には、十カ年といえば、先ほどの総合開発計画が四十五年度一つ目標としておるのですが、五年間というズレをどうするか、こういう大きな問題にぶつかるわけですから、この壁を破るには、やはり青函トンネルを抜く以外にない、こう思いますので、そういう工期を短縮する考え方北海道開発庁としては持たれるかどうか、御両所からひとつお答えを願いたい。
  28. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) もちろん、その工期を短縮することについて、これは大賛成でございます。先ほど来お話を伺っておりますが、最近の国鉄の技術、その水準が世界的にも第一位だと、かように私どもも自負しております。相澤さんも、やはり国鉄についてはそういう自信がおありだろうと思います。しかし、いずれにいたしましても、今度は、これはたいへん世界にも例を見ないような初めてのトンネルの計画であります。したがって、技術の粋をもっていたしましても、そう簡単に結論は出てこないだろう。さらにまた、その資金も一千億といわれれば、たいしたことはございませんような感じもいたしますが、成績のあがらない国鉄自身としての営業、採算制の問題もあるだろうと思います。こういうことで、もしもこの計画がはばまれては困りますから、必要な交通路の確保、こういう意味で特別な考慮を払わなければならぬのは、これは当然だと思いますので、いろいろの障害にはぶつかることだろうとは思いますが、当初の決心を貫徹していく、こういう意味で私どもも最善を尽くしてまいるつもりでございます。幸いに、衆議院、参議院、両院におかれましても、特にこの問題は超党派的に御推進を願っているやに伺いました。私は、たいへんしあわせに思いますから、どうかそういう意味でも、御指導を相変わらずお願いしたい、かように思います。
  29. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、資金の問題ですが、鉄監局長にまたあとでさっきの問題は御答弁をいただくことにして、大臣にまあ——、一千億近い資金が鉄道建設公団の資金の中からということになると、私は苦しくなるだろうということをちょっと申し上げたわけです。そこで、考え方によっては、一千億というのは、そうたいしたこともないし、ふやせばいいんですから、そういうことで政府としてのお考えが、意思統一ができれば、私はその問題でないと思う。ただ、電源開発道路の問題について、外債を発行することをすでに政府は行なっておるわけですね。いわゆるスイスなり、ことし六月には西独でそういう公債、いわゆる外債を発行しておる。あるいはまた国鉄の東海道新幹線については世銀の借款を行なっておる。こういう事例から考えて、大臣としては、外債をそういうふうなものに充てるということも一つの方法であるかもしれぬし、あるいは世銀の借款ということもあるかもしれぬし、そういうことをお考えになっておるかどうか。これはひとつ、今後の日本経済の方向について大事なところなので、もし総理大臣にでもなると、なお大事だと思うから、ひとつ聞いておきたい。
  30. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) もちろん、その必要な経費をあみ出すために、外債も考慮のうちに入れていいでしょうが、ただいま十年——今後の十年間にすばらしい発展を遂げるであろう、こういうことが国内的にも予想される際であります。したがって、ただいまこの資金の確保のために外債云々というのは非常に先ばしった議論ではないか、かように思いますので、いずれにいたしましても、十分検討いたしまして、そして所要な財源をあみ出す、こういうことをいたしたい、かように思います。
  31. 相澤重明

    相澤重明君 なかなか慎重な答弁で、私もその点は、よく相談をされることですから、それはそれとして、先ほど言った、北海道開発庁総合開発計画の四十五年をいま一つ目標として進めておって、しかもそれにあわしていっても、なおかつ隘路が出てきたということは、政府自体がおわかりだと思う。そこで、来年度この北海道開発の総合計画の中における運輸交通関係として青函隧道の工事に着手をさせる、こういう御努力をいただけるかどうかだけは、ひとつこの際あまり慎重でなくとも、はっきりお答えが出るんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  32. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは急ぎたいと思いますが、ただいま技術的になお検討を要しておる部分があるように思います。したがいまして、技術的に調査が終了すれば直ちにかかる、こういうことで御了承を願いたいと思います。もちろん、本土と北海道との間の交通量は、この隧道ができるにかかわらず、どんどんふえていく、かように思いますので、この隧道工事中は、その交通需要にこたえるような輸送施設をもちろん進めていかなければならないと思います。先ほどお話しになりましたように、新しい船など、たいへんりっぱなものができておりますし、その時間も短縮しております。一ぺんに輸送の量もふえておるようでございますが、こういう船がさらに第二隻、第三隻ができるようになれば、あの状況は現在よりよほど改善を見るだろう、かように期待をしております。しかし、おそらく需要のほうが絶えず先ばしりするだろうと思いますので、運輸当局においても特別に御考慮を願わないと、これに追いついていけないだろう、かように心配をしております。
  33. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、いま大臣は退席をいたしましたが、運輸当局はいかがですかね、いまの場合。調査がかなりもう進んでおるし、青函隧道を抜くのにも可能であるということがすでに技術的にも科学的にも調査が進められておると思う。そこで、でき得れば、やはり四十年度にはこの工事に着手をするという方向で作業を進めておるのか。いまの調査の段階を、具体的にひとつお考えをこの際述べてもらいたいのです。
  34. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) 大要につきまして、方針につきましては、ただいま佐藤大臣から御答弁があったとおりでございますが、さらに若干事務的、技術的な面を申し上げますと、先ほど申し上げましたように、現在試掘立て坑を掘っておるということを申し上げましたが、試掘立て坑と申しますのは、着工を前提といたしました立て坑でございまして、いわば着工に一歩近づいたということでございます。従来のいろいろ技術的な調査を、海底の調査、あるいは海上からの調査ということをいたしまして、一応技術的には可能であるという大まかな結論を得まして、その上で着工を前提とした立て坑を現在着手しておるわけでございます。この立て坑は、本土側と北海道側、両方に掘りまして、大体二、三年かかって掘ります。これによりまして、今度は、従来得ました調査のデータをさらに詳細にチェックをいたしまして、この立て坑を掘りますことによりまして、具体的な地質の状態その他がわかってまいります。その上で、本隧道の着工にかかわるわけでありまして、試掘立て坑で二、三年の調査のあとで、本隧道の着工にかかりますが、本隧道の工期は大体六年ぐらいだろうというふうに考えております。私どもとしましては、つとめて工期を短縮するということでございまして、先ほど佐藤大臣からもお答えがありましたが、最近の国鉄関係の土木技術は非常に進歩しておりまして、最近の例で申しますと、北陸トンネルが十四キロでございます。これは五年かかっております。それから青函トンネルは、ごく概略の規模を申し上げますと、海底部の延長が二十二キロでございます。それから両端に陸上の取りつけ部がございまして、これを合わせますと、総延長三十六・四キロになります。それで、水深は、一番深いところで百四十メートルでございます。その百四十メートルの下に土かぶりが百メートルであります。それで、本トンネルの内径は六・二メートルの円型断面を持っておりまして、上下線は大体四十メートル離して掘ろうということでございます。以上申し上げましたように、非常に大規模なトンネルでございまして、しかも非常に水深の深い海底を掘るということでございますので、先ほど私が申し上げました着工を前提といたします試掘立て坑に二、三年の基本的な精細な調査をしたその上で、本工事も六年というのは、現在では最短の工事期間というふうに考えております。  なお、青函トンネルと対比されますものとしましては、現在世界でこれに似た計画は、英国とフランスのドーバー海峡を結ぶという計画が具体化しておりますが、これも、最近の情報によりますと、大体一九七〇年に着工いたしまして、七五年に完成をするという大まかな計画であるように聞いております。これは総延長五十二キロでございまして、海底部はこううち三十六キロ、ただし、青函と違いまして、水深はドーバーのほうがかなり浅い。なお、地質はドーバーのほうが非常に良好であるというふうに聞いておりますので、ただいま申し上げましたような最近の北陸トンネルの関係、あるいはドーバーの関係から申しましても、現在鉄道建設公団で考えております調査——調査と申しますか、試掘立て坑に約二、三年、本工事が六年というのは、現在考えられます技術としましては、一番、何といいますか、短い工期である。なお、今後技術の発達がございますれば、若干の短縮は可能かと考えております。  いささかこまかい点を申し上げました。
  35. 相澤重明

    相澤重明君 それで大体の構想はわかりました。  それで、資金的には、先ほどもちょっと、外債なり世銀借款なりというものを大臣にはお尋ねをしたわけですが、それは政治的な問題でありますから、鉄監局長にとやかく言うのではなくて、従来の、日本鉄道建設公団がこの十カ年間にやりたいという仕事の中に入っておったと思うのです。資金的には、しかし、いまのたとえば一千億このうちにかかるということになると、他の調査線や工事を行なおうとするいわゆる新線建設に支障を来たすのではないか、こう考えられますので、これは別な資金という点をお考えになるのかどうか。つまり、従来の鉄道建設公団の予算の上にプラスしてお考えになっておる、こういうふうにお考えになっておるのかどうか、この点を少しお聞かせをいただきたいと思う。
  36. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) 先ほど相澤先生から、建設公団が現在行なっております着工線、調査線に大体どのくらい金がかかるかというふうなお話がございましたが、私ども、しばらく前までは、海峡連絡鉄道を除きまして、現在の着工線、調査線を全部完成させるためには、総額約三千億要るというふうに計算をいたしておりましたが、最近、公団で、工事費の値上がりその他こまかい点を精査いたしまして、ごく最近得ました数字では、建設線、調査線、これを全部完成させるためには約四千二百億円要するというふうに数字が変わってまいりました。したがいまして、このほかに海峡連絡鉄道としまして、青函のトンネル、それからさらには本州——四国間の架橋の問題もございますので、これを考えますと、さらにプラス二千億必要であるというふうに考える。非常にばく大な資金量を要するわけでございますが、この資金をいかに調達するかということは非常に問題が多いわけでございまして、陸上の鉄道建設にいたしましても、海峡連絡鉄道にいたしましても、日本経済の伸展に即応するために、また特に建設公団の目的でございます地域格差の是正というようなことを考えますと、非常に重要な仕事でございますので、今後どのように資金を調達していくか。現在建設公団法で定められております資金の調達方法といたしましては、国鉄並びに政府の出資と、このほかに、主として運用部引き受けによります建設債券の発行が予定されておりますが、はたしてこれだけでこのばく大な資金量がまかなえるかどうか、非常に問題がございます。私ども、今後建設線の重要性にかんがみまして、政府部内におきまして、特に財政当局と十分相談をいたしまして、どの程度の資金をどのように確保していくかということを検討してまいりたいというふうに考えております。
  37. 相澤重明

    相澤重明君 それから北海道開発について、もちろん、いまの青函隧道は最重点の問題でありますが、北海道内における鉄道網という問題について、もし御計画があるならば、この際お聞かせをいただきたいし、こまかい点について、もしなければ、あとで資料としてひとつ御提出をいただきたいのですが、いかがですか。
  38. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) 現在、建設公団で手がけております北海道関係の新線建設を申し上げますと、北海道の道央で東西に連絡いたします十勝線の一部である紅葉山線、それから追分線、芦別線、それからいまの紅葉山線と一連の関係の狩勝線、辺富内線、名羽線、美幸線、興浜線、白糖線、根北線、以上十線現実に手をかけております。全国の建設規模から考えますと当然のことでございますが、北海道は非常に重点を置いて建設線の仕事をやっておるわけでございます。
  39. 相澤重明

    相澤重明君 次に、いま一つ鉄監局長にお尋ねしておきたいのは、北海道東北開発公庫ですね。いわゆる銀行です。この銀行の中の苫小牧港の開発事業費が十一億円余になっておるわけでありますが、具体的に、北海道開発庁と運輸省がどういう計画を持っておるのか。せっかくこの北海道東北開発公庫の資金的な計画も出されておるわけでありますが、おわかりになったら御説明いただきたい。
  40. 小島要太郎

    政府委員小島要太郎君) ただいまお尋ねの北海道東北開発公庫の融資対象が、これはあそこの苫小牧の石炭の積み出しのための荷役設備、それと、あそこの背後の地域と工業地帯として造成をする、それの造成事業を対象とした融資でございます。すでに、この荷役設備のほうは、去年の四月からもう石炭の積み出しを開始しておるわけでございまして、すでに稼働いたしております。それから、その工業地帯の土地の造成でございますが、それのほうは目下進行中の事業でございます。
  41. 相澤重明

    相澤重明君 次にお尋ねしたいのは、北海道といえば、やはり農業関係では、何といっても砂糖の問題、てん菜の問題であります。このてん菜事業について、相当政府も、農林畜水産物の加工度の高い工業として、北海道開発庁としては力を入れておると思うのでありますが、砂糖の値段の引き下げという問題と、てん菜の生産という問題との関連において、今後どういうふうに、これらのてん菜に対するところの育成をしていくのかということについては、この第二期計画の中でどうおやりになろうとするのか。これは非常に大事なことでありますので、北海道農民の多くの人がこの問題については非常な関心を持っておるわけですから、ひとつ御説明をいただきたいのであります。
  42. 小島要太郎

    政府委員小島要太郎君) もとより、この北海道におきまするてん菜の重要なることは言を待たないのでございまして、これの振興のためには、まずこの開発事業の中におきます畑地改良でございます。この畑地改良を開発事業の中におきまして力を入れてまいりまするとともに、いろいろと、このコスト・ダウンをはかってまいりますことがきわめて大切なことでございまして、自由化問題が出てきておりまするこの時代におきまして、このような重要農産物に対しましては自由化を極力避けてまいるということもとよりでございまするが、何しろ競争力を強くするということがきわめて必要なことでございまするので、これの生産費を極力安くしていくためのあらゆる面の努力をやってまいるわけでございまして、それは、反収をふやしますために品種の改善もいたしまするし、また、これの耕作のための機械化の努力もいたしまするし、それにあわせまして土地改良を推進するわけでございまして、これらによりまして反収を上げてまいる。土地改良、機械化等によりまして作付の増加もはかりまするとともに、品種の改良等によりまして、あるいは耕作方法の改善等によりまして反収を上げてまいる。このような努力をやってまいるわけでございまして、これらのためには、北海道庁と十分に連絡をとりまして、これのための所要資金を確保していくということをやっておる次第でございます。
  43. 相澤重明

    相澤重明君 説明がだいぶ苦しいようですから、まあ、たとえばてん菜糖工業資金に十一億五千万円の使い方をどうやるかということについても、これは開発庁の計画がありますから、私も棒読みすればわかるのですが、ただ、具体的に、少なくともあなたのほうでこういう計画をされ、公庫の資金を確保されるという以上は、どうやったらいいのかというようなことを、いま少し説明のできるように今後はしてもらいたいと思います。せっかくこれを出されて、資金もこういうふうに確保されておっても、いまのような説明だけでは、これはなかなか私どもにわからないわけです。こういう点をひとつ、次官もおりますから、今後気をつけてもらいたいと思います。  そこで、一つもっと端的にお尋ねをしたいのは、北海道におけるところの公庫ですね。いま公庫の人は出席をしておらないけれども北海道開発庁としてはきわめて重要な問題でありますから、この公庫の貨し付け金の中で「弁債期限を六箇月以上経過した元金延滞額は三億三千三百三十七万余円(うち一年以上延滞のもの一億五千八百九十六万余円)である。」と付記してある。これは、いかに北海道の農民が苦労をしておるかという反対のことばになると思うのです。そこで、その一つの問題のてん菜の問題を実は取り上げたわけです。ですから、そういう銀行面から洗ってみれば、北海道の農民がいかに苦労をしておるかということが考えられるから、政府ももっと積極的に力を入れてやらなければいけないじゃないかということになるのではないか、こう思うのです。  そういう意味で、もし事務当局で、こういう公庫から借りている金の返済がなぜこういうふうにおそくなったかという一つの条件を、たとえば雪が例年よりは多過ぎたとか、あるいはこのごろてん菜が思うように生産が上がらなかったとか、あるいは米等がうまくなかったとかいうような具体的なもし事例がおありでしたら、ひとつおあげをいただきたいと思いますが、いかがですか。
  44. 小島要太郎

    政府委員小島要太郎君) この北海道東北開発公庫のただいまの御指摘の分につきましては、これは実は農業そのものとは関係はございませんでして、この公庫の融資対象は、農業との関連性を見まするならば、その農産物の加工段階、つまりインダストリーに公庫は融資をしておるのでございまして、第一次産業としましての農業に直接にこの北海道東北開発公庫が融資をしておる事例はございません。農業に対しましては、別途に、まあ御承知の農林漁業金融公庫等がございますし、その他のいろいろな資金面の世話が行なわれておるわけでございまして、ただいまの御質問の点に関します限りにおきましては、この北海道東北開発公庫の面はございません。
  45. 相澤重明

    相澤重明君 あたりまえの話だ。だれが農業にそんなものを貸してくれと言ったか。だから、先ほども言ったように、てん菜糖工業に十一億五千万とか、あるいは苫小牧港の開発事業に十一億とかというような、具体的に資金を公庫としては確保しておる。そして、いままでの実績としても、たくさんの貸し付けをしているが、そういう弁済期限を六カ月以上も経過したこの元金延滞額が三億幾らもあるということは、ひるがえって言えば、当然そういう工業にそういう問題が出ているのだから、農業関係にもそういうことが出てくるのはあたりまえではないかと。ひるがえって言えば、私はそういうことが言えると思う。だから、そういう点について、北海道開発庁においては、農業だけではなくて、全体の総合開発について力を入れていくわけでありますから、具体的にそういう問題について、どういうところがあったからこういうふうな問題が出されたのかということを調べたかと、こういって聞いているのです。
  46. 小島要太郎

    政府委員小島要太郎君) 私の答弁、至りませんで、申しわけございません。  この公庫の融資のその面につきましては、まあ、私ども、この公庫の貸し付けは、これが一面におきましては金融機関でありますとともに、一面におきましては、開発政策の、北海道開発政策の推進のために国策的に協力すべき機関と、このように考えておるわけでございまして、それの貸し出しにつきましては、可能なる限り積極性をもってその活動を行なうように指導いたしておるわけでございまして、北海道のような開発のおくれておる地域に工業を振興してまいりまするためには、通常の銀行のように全く石橋をたたいて渡るような活動をするのみではその目的を達成し得ないと、このような方針のもとにやっておりまするので、この融資いたしておりますものの中には、いろいろとむずかしいが、普通の金融機関であれば融資はしないであろうと思われるようなものにつきましても——もとより全然見込みのないものには貸さないにしましても、まああぶないけれども、しかしそれの成功を期待したい、北海道開発推進のためにはあえて貸したいと、こういうものにも貸してまいっておるわけでございまするので、中には、若干、貸したものが、当初考えておったようにうまくいかない、あるいはうまくいかないのではないけれども、しかしながら多少時間がかかりましても、もう少し待ってやらなければならぬ、こういうものが出てまいるわけでございます。そのようなものが、ただいま御指摘されたような数字となって出てまいっておるのでございますが、これは大いに努力いたしておりまして、逐次改善されてまいると思っております。
  47. 相澤重明

    相澤重明君 次に、決算の面ですから、ひとつ簡単にお答えいただきたいのですが、大蔵本省から移しかえを受けた三千二百六十六万円の庁費、これはそのまますっかり翌年度に繰り越したわけですね。これはどういうことだったのですか。
  48. 小島要太郎

    政府委員小島要太郎君) お答えいたします。  この費目は、実は北海道開発局の職員宿舎を建設するための費用でございまして、これは、札幌の中の南九条の場所でございますが、その場所に職員宿舎を建設する予算でございまするが、そこの土地を交換取得しまして建設する、こういうわけでございまして、その土地の交換につきまして若干のおくれがあったわけでございます。そのために繰り越しになったものでございます。
  49. 相澤重明

    相澤重明君 そういうことが、いわゆる厚生、労働、文化関係等、またいわゆる住宅費等が十分使われなかったために、他が、道路等がよくても、道路は一二五%いっても、そういう施設は六六%しかいかなかったと、こういうことになる。これはやはり計画が明らかに不手ぎわだと私は思うのです。ですから、せっかく移しかえをしたものをそっくり使えなかったというような、こういう決算報告があるというのは私は芳しくないと思う。今後、そういう点は十分つつしんでもらいたい。  その次に、不用額については、おもなものは、北海道開拓事業費で千五百三万六千円、開発事業工事事務費で千七百二十一万三千円、一般行政費で千百三十四万七千円と、こうなっている。この不用額になったという理由は何ですか。
  50. 小島要太郎

    政府委員小島要太郎君) これは北海道開拓事業費でございまして、事業計画の一部変更に伴いまして、開墾事業に対する補助を要することが、まあこの額だけ少なかったという結果生じたものでございます。入植が予定したものより下回ったというために、やむを得ず生じたものでございます。
  51. 相澤重明

    相澤重明君 次に、これで大体最後にしたいと思うのですが、先ほどの会計検査院から指摘をされた建設省のいわゆる工事が不当であったということでありますが、こういう点も、直接の問題ということではないかもしれぬけれども、私はやはり、北海道開発庁が国の直轄工事をさせる場合に、どういうふうに関係官庁と連絡をしたのか、あるいはまた、そういう工事についての指示をし、監督をしているのかということが、所管大臣北海道開発庁長官、こういうところのいわゆる具体的な打ち合わせ、連絡等が緻密に行なわれておらないと、問題がやっぱり出てくると思う。私は、この会計検査院指摘が「直轄工事施行が不良なもの」ということで指摘されているわけでありますが、これに対して、これから具体的にどういう対策をお持ちになっているのか、この点についてひとつ御説明をいただきたいと思う。
  52. 小島要太郎

    政府委員小島要太郎君) 何ぶんにも、この現行制度におきまして、事業施行につきましては、それぞれ、建設大臣あるいは運輸大臣、あるいは農林大臣の指揮でやっておりますこの体制の中におきまして、やはり最善の方法といたしましては、関係省の事務当局同士が連絡を十分密接にとりまして、そういたしまして、開発庁の開発計画の意図するところが正しく実行されるように、その実行を確保してまいりたい、まいるべきであると、このように考えておりまして、この三十七年度会計検査院の御指摘を受けましたような事態が発生いたしましたこと、まことに遺憾でございまして、このようなことの再発を避けるために、開発庁といたしましては、開発庁が開発局を、人事権等の面でこれを指揮監督いたしておりまするので、この職員の気持ちを引き締めまして、十分に注意させるために、その関係者に対する行政処分も開発庁といたしまして行なったわけでございまするし、今後一そう職員を引き締めてまいるように開発局に指示いたしました次第でございます。
  53. 相澤重明

    相澤重明君 処分をしたとかなんとかいうのは、こういうところに出ているから、それはそれでいい。ただ、今後具体的にどういう対策を持つかということを聞いている。ですから、部内に相互監査制度を持つとか、あるいはそういうこの不当事項のないように対策委員会局長クラスで持ったのか、あるいは監理官がそういうことをやったのか、そういう具体的な指示をしたことや、対策を立てたことがどういうことがあるのか、こういうことを私はいま聞いているわけであります。もちろん、関係官庁との連絡を十分にしてやらなければ、こういう批難される事項が起きるわけです。ですから、それはもう現実に処理をされたことですから、私はこれについてとやかく言いません。ただ、あとそういう事故が起きないようにするには一体どうすればいいのか、その具体策を示せ、こう言っているのでありまして、いまの、十分そういうふうにいたしますというだけでは、国会答弁で終わってしまうのだ。私は、きょうは時間の関係もありますから、一つ資料を要求しておきたい。そういう不正不当事項を排除するために、防止するために、一体北海道開発庁としてはどういう事故対策を持っているのか、それを文書で当決算委員会報告してもらいたい。  以上で、きょうの質問終わります。
  54. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 資料の提出はすみやかにできますか。
  55. 小島要太郎

    政府委員小島要太郎君) 承知いたしました。そのように努力いたします。
  56. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 他に御質疑のある方はございませんか。——他に御質疑もなければ、北海道開発庁に関する審査は、本日のところ、この程度にとどめます。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時十四分散会