運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-06-25 第46回国会 参議院 外務委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月二十五日(木曜日)    午後一時二十四分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    理事            井上 清一君            草葉 隆圓君            長谷川 仁君            加藤シヅエ君    委員            青柳 秀夫君            木内 四郎君            山本 利壽君            岡田 宗司君            佐多 忠隆君            羽生 三七君            森 元治郎君            二宮 文造君            野坂 参三君            佐藤 尚武君   国務大臣    外 務 大 臣 大平 正芳君   政府委員    外務省条約局長 藤崎 萬里君   事務局側    常任委員会専門    員       結城司郎次君   —————————————   本日の会議に付した案件国際情勢等に関する調査  (国際情勢に関する件) ○海外移住者に対する助成金増額に関  する請願(第四五七号) ○日韓会談反対等に関する請願(第八  八号)(第一〇七号)(第二〇一三  号)(第二四六〇号)(第二五〇七  号)(第二七八八号)(第二七八九  号)(第三〇四九号) ○日韓会談反対に関する請願(第二三  五五号)(第二五〇六号)(第二五  一六号) ○日韓会談即時打切りに関する請願  (第一三六号)(第二三五号)(第  二五二六号) ○日韓会談即時打切り等に関する請願  (第二〇〇九号)(第二〇一〇号)  (第二〇一一号)(第二〇一二号)  (第二一六八号)(第二三〇六号)  (第二三〇七号)(第二三〇八号)  (第二三〇九号)(第二三五七号)  (第二三五八号)(第二四六一号)  (第二四六二号)(第二四六三号)  (第二五〇八号)(第二五〇九号)  (第二五二七号)(第二五二八号)  (第二六三一号)(第二八九二号)  (第三〇五〇号)(第三一五一号) ○日韓政治会談即時中止に関する請願  (第一三四七号)(第一五七三号)  (第一五七四号)(第一五七五号)  (第一五七六号)(第一五七七号)  (第一五七八号)(第一五七九号)  (第一六二一号) ○日韓交渉即時中止に関する請願(第  二七九〇号) ○日韓会談即時中止等に関する請願  (第二四六四号) ○在日朝鮮人祖国往来実現に関する  請願(第七一八号)(第七四一号)  (第七五七号)(第九一九号)(第  二〇六八号) ○在日朝鮮人祖国自由往来実現に関  する請願(第三一五〇号) ○在日朝鮮公民祖国往来自由実現  に関する請願(第二三五九号)(第  二三六〇号)(第二三六一号)(第  二三六二号)(第二四六五号)(第  二四六六号)(第二四六七号)(第  二四六八号)(第二五〇二号)(第  二五〇三号)(第二五〇四号)(第  二五〇五号) ○日本と朝鮮民主主義人民共和国との  自由な往来実現に関する請願(第二  一六九号)(第二二一三号)(第二  二一四号) ○沖繩地域総合開発に対する技術、  財政援助促進に関する請願(第一二  七五号) ○沖繩即時日本復帰に関する請願  (第二三〇五号) ○沖繩・小笠原諸島及び日本固有北方  領土に関する請願(第二四三八号) ○日中国交回復促進に関する請願(第  一七七一号) ○日中国交回復実現等に関する請願  (第二一七〇号) ○アメリカ原子力潜水艦日本寄港反  対等に関する請願(第一四二七号)  (第一四二八号)(第二〇一四号)  (第二一七四号)(第二三五二号)  (第二三五三号)(第二三五四号)  (第二四六九号)(第二四七〇号)  (第二七六三号)(第三〇八三号) ○アメリカ原子力潜水艦日本寄港反  対に関する請願(第二一七一号)  (第二一七二号)(第二一七三号)  (第二三五一号)(第二七六四号)  (第二七九二号)(第二八二一号) ○アメリカ原子力潜水艦日本寄港拒  否等に関する請願(第二六六二号) ○アメリカ原子力潜水艦日本寄港拒  否に関する請願(第二七九一号) ○戦争政策政治反動反対に関する請  願(第二八二二号)   —————————————   〔理事井上清一委員長席に着く〕
  2. 井上清一

    理事井上清一君) ただいまより外務委員会を開会いたします。  国際情勢等に関する調査を議題といたします。当面の国際情勢について外務大臣から発言を求められております。
  3. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) それでは、当面の外交懸案につきましてあらましを御説明申し上げまして、あとほどふえんして事務当局からお聞き取りをいただきたいと思います。  近いところから対韓経済交流の問題でございますが、日韓交渉が停滞いたしておりますことは御案内のとおりでございまして、したがいまして、この交渉の骨組みになっておりまする有償無償経済協力というものが動き得ないことは理の当然でございます。しかしながら、一九六三年で見ましても一億五千七百万ドル韓国に対してわが国輸出いたしておるわけでございまして、輸入は二千数百万ドルにすぎないという非常にアンバランス状態にあるわけでございまして、これは開放経済の趣意から申しますと、バイラテラルな形で日本一つ一つの国との貿易バランスをとることを考えることは必要ないのでございますが、非常に顕著なアンバランスがある場合におきまして、正当な理由があれば、これをバランス方向に多少なりとも努力してまいるのが正しいと思うわけでございます。そのことは、韓国経済にとりましても、輸出拡大ということを至上の目標といたしておる上から見ましても大事なことと思うわけでございまして、わが国の側に韓国からの輸入につきましてこれを拡大する余地があるかないか、そういった点をまず常に検討し改善すべきものは改善しなければならぬと考えておるわけでございまして、御承知のように、韓国からの輸入は海産物、鉱産物等が主でございまして、ノリにつきましてはすでに本年分一億枚は輸入いたしました。追加は一億五千万枚が輸入の許可があったと聞いております。若干の改善を見ておるわけでございますが、しかしながら、わが国国内関係産業との関連がございまして容易ならぬ問題でございまするが、関連産業との調整等も十分吟味した上で、可能なものは輸入拡大につきまして考慮をしてまいるということが、私ども外務省立場であろうかと考えて検討を進めておる次第でございます。  それから第二の点といたしまして、先方から要請がございまするプラント輸出の件でございますが、この件は、私どもといたしましては、韓国日本との経済交流を通じまして、韓国経済体質改善にいまの時点で役に立つようなことを考えるべきじゃないか。三年、四年あとに効果が出るというようなものよりも、もう少しじみち考え方がありはしないかというようにも考えて、なぜプラント輸出なるものがそんなに要求されるのか、それと韓国経済との関連におきまして十分検討してみなければならぬのじゃないかと考えておるわけでございまして、吟味いたしておるという段階でございます。  それから、原材料の問題でございますが、韓国工場設備操業度は、一九六二年に六二、三%程度でございましたが、六三年には約一〇%ぐらい操業度が落ちてきております。ことしはさらに若干落ちておると推定されるわけでございます。たくさんの失業者をかかえておる状況でもあるようで、雇用の増大から申しまして、また、インフレ対策から申しましても、操業度を高めてまいるということがじみち体質改善への道ではなかろうかと私ども考えるわけでございますが、しかしながら、一体原材料というものの在庫はどのような状態にあるのか、私ども他国のことでよくわかりませんし、また、操業度が低いということは、必ずしも原材料不足だけに基因するものかどうか、そういった点も原材料部品不足というところだけに基因するものかどうかという点もよく承知いたしませんので、そういった点もよく先方お話も聞いた上で、韓国経済体質改善にお役に立つというリーズナブルなものがございますれば、私どもとして前向きに考えていくベきじゃないか。しかしながら、こういった一連考え方は、冒頭に申しましたように、日韓交渉の根幹をなしております経済協力と全然無縁のものでございまして、民間レベルにおける経済交流でございまして、政府が特別に政策的に有利な条件考えるとかいうようなものではないので、現在与えられた四囲の情勢の中で消化し得るもの、そういった可能なもの、そういう方向考えてまいるべきではなかろうかと考えておる次第でございます。  それから、国府との関係でございますが、国会が明日終わりまするし、去年の暮れからことしにかけまして、アジア局長訪台をしたり、吉田元総理が行かれたりしたことを通じまして、日本政府要路の者が適当な時期に訪台考えておるということも先方にはお伝えがあったようでございまして、私も国府との友好親善関係で、機会ができればグットウイル・トゥアということでおたずねをしてみたいということで考えておるわけでございます。明日国会が終わりますと、政府部内で御相談をいただきまして、御決定があれば、そういうものとして考えておる段階でございます。  それから、クウェート問題でございますが、四月末に、ちょうど天長節の前の日に、クウェートサバ外相が、これは日本政府の招待じゃございませんで、先方から、ヨルダン河の分水問題。パレスチナの難民問題、この二つの問題についてアラブ諸国元首会議の意向を日本政府説明して、その理解を求めるという趣旨でおいでになったわけでございます。その後、サウジアラビア外務次官——サウジアラビアは副王が外務大臣をやっておられる関係で、外務次官が来られたわけでございます。アラブ連合、それからヨルダン、それぞれ要人が同じ目的日本政府理解を求めるためにおいでになりまして、外務省といたしましては、日本のただいままでの外国要人接遇のプラクティスによりまして、できる限りの接遇をいたしたのでございます。すべての方々に天皇陛下にお目にかかっていただく機会もお願いし、総理大臣との表敬時間もお願いし、私もサバ外相とは四十分お話を聞いたわけでございます。ただ、この問題は国連の問題に現になっておるわけでございまするし、日本といたしましては、日本の国是として、国際紛争は、武力による解決でなく、話し合いを通じて解決する。幸いに国連に持ち出されておることでありますし、国連憲章の精神によりまして平和的に解決することが望ましい。そうして、わが国といたしましては、国連のメンバーといたしまして、その妥結の線に応分の協力を惜しむものではないということを骨子といたしまして、日本政府立場を申し上げておいたわけでございます。ただ、共同声明を出すという問題があったのでございますけれども、この種の問題で共同声明を出した例は過去においてございませんし、そういうことでなくて、外務大臣がお見えになった、そうしてそういう要請があったということについてステートメントを出すということにいたしたわけでございます。これは四カ国とも全く公平にいたしたつもりでございますが、最近の報道によりますると、何か非常に冷遇を受けたということをカイロからの通信等によりまして聞きまして、実は私も全く戸惑いをいたしておるのが正直な私の心境でございます。しかし、クウェートわが国とはずっと友好関係を続けてまいりましたし、今後も続けてまいらなければならぬのでございますし、特にアラビア石油関係では特別の関係のある国でもあることを決して忘れておるわけじゃございませんので、したがって、なぜそういう誤解が生じたのか、一連接遇の節々をずっと検討いたしておるわけでございますが、私どもは、なぜこういう誤解が生じたのか、実は発見するのにただいままで苦しんでおる次第であります。したがいまして、クウェート駐在河野大使を通じまして、日本政府の意のあるところを十分説明をさせまして、その誤解の一掃に鋭意努力をお願いしてやっておりますし、一昨日の五時に、近く休暇で帰国をされるアル・サネ・クウェート日大使を招致いたしまして、きわめてフランクに私のあるがままの心境を申し上げて、サバ外相お伝えをいただくようにお願いをいたしておいたわけでございます。ただ、新聞等で、先方がいろいろ申し上げているのに私どもが何ら申し上げていない、こういうことは御了解をいただきたいのでございますが、この種の案件は、やりとりを始めますと際限がなくなるわけでございまして、私どもとしては外務省の見解、これは事実に反する、だから、一々それを挙証してあげつらうということは一切しないつもりでおりまして、必ずや御理解を得るものと思っておるようなわけでございます。  それから、最近行なわれました東京におけるマレーシア紛争をめぐる頂上会談でございます。これは日本政府が招いたことでも決してございません。三国が自発的に日本東京で会合をやらせてもらいたいという希望がございました。この問題に深甚な関心を持っておる私どもといたしましては、喜んでフォース・カントリーとしてのサービスはいたしましょうということで、会談場所等、便宜をできるだけ注意して差し上げたわけでございます。幸いに、若干の予定はおくれましたけれども外相会談が行なわれ、続いて首脳会談に入ったわけでございますが、共同声明でありましたような結末、すなわち解決に至りませんで、近く外相会議を持とうということ、それからフィリピンの提案にかかる四カ国委員会の構想につきましては、インドネシアは賛成いたしましたが、マレーシアのほうはイン・プリンシプルに賛成だが、敵対行為が実際やむというようなことを条件としてというようなことで、完全な意見の一致を見ることができずに、次の外相会議に問題が持ち越されたかっこうになっておるのでございます。いまフィリピン外相会議早期に開くというような呼びかけをいたしておるかのように聞いておるわけでございますが、インドネシアマレーシアも、東京会談から帰られたあとの模様を見ておりますと、必ずしも穏やかな状況ではないように思っておりますので、早期解決というようなことはなかなか至難でなかろうかと思うのでございます。がしかし、外交は決定的な解決、明快な解決というのはなかなか望みがたいものでございまして、会談をしんぼう強くやること自体に意味があると思うのでございまして、三国首脳がともかく集まったということは事実でございますし、その将来の方向おぼろげながら出ておるわけでございます。私どもとしては、この萌芽が実を結ぶように希望いたしまするし、将来も、日本においても求めがあれば協力を惜しむものでないというふうに考えておるわけでございます。  インドシナ半島のことでございますが、非常に目立ってわれわれの印象に映りますことは、アメリカの決意が非常にかたいということでございます。これは五月の末にニューデリーでラスク長官と私がお目にかかったときに、すでに非常な強い態度が映されておったわけでございまして、その後一連のそれが具体化されたものと思うのでございますが、ただ、アメリカ側措置につきましては、最近ようやく軍事領域におきましてきわ立った報道新聞等に出ておりますし、北京放送新華社電等はこれを伝えておりまするし、またアメリカ側も、アメリカ軍による反撃の事実も認めておるようでございまして、がしかし、ラスク長官もついこの間の記者会見にもありましたように、限定措置として、インドシナにおけるラオス中立協定、ベトナムにおける休戦協定というものが共産側によって守られるということであれば、自分のほうも介入する意図はないのだということ、それを保障する限りにおいて、そしてICCが機能し得るような状況になればいいんだということが目的であると言われておるわけでございまして、すでに先人によってつくり上げられました、関係国によってつくり上げられましたそういった中立協定休戦協定というものが、実のある順守を全うするような状況に早くなりまして、平和がよみがえるということを私どもとしても心からこいねがっておる次第でございます。
  4. 羽生三七

    羽生三七君 もう一つ日米航空協定の見通し、これは。
  5. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) それから日米航空協定は、この前の日米交渉が不調に終わりまして、今度東京で開くかアメリカでやるかいろいろ協議いたしておりましたが、結局、アメリカ実務者レベルでやってみようということに踏み切ったわけでございます。問題は、いま日本の飛行機は、御案内のように、西海岸にまでしか行っておりませんので、アメリカ大陸を横断してビヨンド・ニューヨークのコースを持っていないばかりか、大陸も飛べないという状況にある。で、日本の旅客機による世界一周ができる状況にしたいという願望でもございまするし、また、日航当局からいたしましても、そうしないと採算上、また東海岸に行くだけではとてもペイしませんので、ビヨンド・ニューヨークも含めての交渉に入っておるわけでございます。しかし問題は、アメリカ大陸横断飛行というのは、ごく限られた国しか認められていない現状でもございますし、また、これに対する代償が、日本でどこまでどういう姿においてあるかというと、日本は狭いわけでございますので、大阪にいたしましても、鹿児島にいたしましても、ごく至近距離にございますし、なかなかこの交渉は容易ならぬ交渉であると思っております。しかし、全力をあげて、われわれが喝望いたしております東海岸、そしてビヨンド・ニューヨーク、こういったことについて、とにかく腰を落ちつけてやって、岩盤を切り開いてみるべく努力してみようということでございまして、その成否につきましては、いまの段階は私は決して楽観的に見ているわけではございません。
  6. 井上清一

    理事井上清一君) 大臣からの最近の国際情勢について御説明がございましたが、時間がちょっとございますので、この際何か御質問ございましたら。
  7. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 台湾にいらっしゃるというお話ですが、台湾にいらっしゃる場合に、いま中心的な問題はやはり必ず出ると思うのですが、例のニチボーの中共に対するビニロン・プラント輸出の問題、これに対してはどういう態度をもって向こうと対応されるつもりか。  もう一つは、これは池田内閣がさらに再出発するにしろ、あるいはまただれかほかの方にかわられるにしろ、今度新しく出発される内閣においては、必ずもう日本中国との間の大使間の直接の交渉というような問題はやらなければならない段階に来ていると思うのですが、そういう点についてはどういう心がまえで向こうお話をなさるおつもりか、その辺を。
  8. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 先ほども申し上げましたように、国府のほうに対しまして、岸総理が行かれまして以来、政府要路の者がおたずねしてないので、適当な機会を見てまいるべきじゃないか、それはあくまでも、グッドウイル・トゥアであるというものでございますから、いまあなたが御指摘のような個々の案件について交渉するというような考えは私にはありません。  それから、したがって、後段の問題につきましても、そういったことを国府当局との間で話し合うというようなことはいたさないつもりでございます。
  9. 岡田宗司

    岡田宗司君 韓国の問題ですが、その韓国国内政情から、向こうさんが自分の都合で、いまのところ日韓交渉が中断された形になっております。私どもは、いま政府がお入りになってやっておられるその向こうとの経済関係について、いろいろな交渉といいますか、これはどういう性格のものかはっきりしないのですよ。あれは日韓会談の一部としておやりになっておるのか。それとも、全然別個の問題としておやりになっておるのか、その点はどういう性格のものでありますか。
  10. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 先ほど岡田さんが言われたように、いままだ漁船拿捕があったりしておるし、日韓交渉はまとまっていない。そういう現状であることは私も重々承知いたしておるわけでございます。ただ、去年の九月ごろから非常に先方も御自重いただきまして、拿捕件数はぐんぐん減ってまいりまして、一応朝鮮関係は比較的平穏であったのでございますが、ときたま、忘れたようにたまに拿捕があるわけでございます。これはその際に私どもとして機を移さず警告をいたしますし、抗議をいたしまして片づけておるわけでございますが、非常に逆説的に申しまして恐縮ですが、この日韓交渉というものがまとまってからいろいろな経済交流が行なわれるものであり、行なわれるべきである。それから、漁船拿捕なんかがある間は何かできないのじゃないかとか、そういう、何と言いますか、日韓交渉というものがむしろ普通の民間ベース経済交流制約なく進めていく上におきまして、何かつかえるのですね、つかえている感じが、ことばは正確じゃございませんけれども、私はそういう印象を受けるのです。むしろ私どもとしては、この経済交流というのは普通のいわゆる経済交流であって、日韓交渉関係がないものである。つまり、これは日韓交渉で言う経済協力とも関係がないものである。ただ、輸出国であり輸入国であり、お互い経済交流お互いの利益のために何らの制約なくやるべき性質のものじゃないか。日韓交渉との関連においてものを考えるから、むしろそれがつまずきになっておるという面が私には考えられるわけでございまして、むしろそういったものを取り除いて差し上げるほうが、それは交渉交渉として、それから経済交流経済交流として分けて、すなおに考えていく、先ほども申しましたように、貿易関係はそのように世界で三番目のやはり輸出国なんですから、非常な得意先なんで、こんな大きなアンバランスがある状態において何かもう少し輸入についてくふうするというのはきわめて当然なことじゃないかと、私はそう思うわけでございます。しかし、それが各省段階でいろいろ相談してみますと、そこへ出てくるものは、いや、まだ交渉ができていないからと、こうくる。交渉関係ないじゃないか、そういう観念をできるだけリムーヴしまして、そして経済交流を進めていってちっとも差しつかえないじゃないかというのが私の考え方でございます。
  11. 岡田宗司

    岡田宗司君 いまお考えを伺っていますと、いわゆるいま中断されておる日韓交渉とは別のものだ、つまりつなぎじゃないのだということだそうですけれども、われわれの受ける印象は、とにかく一昨年ですか、金鍾泌氏が来られまして、そして有償無償経済協力ということの約束といいますか、とにかく成立したわけです。そういうことがあって、しかも、日韓交渉がこういう段階になって行なわれていることになると、どうもあのときにきめた有償無償の五億ドルですか、あのうち先払いみたいな形で何かやれるのじゃないかという気がするのですね、そうすると、日韓交渉とは別だと言いながらも、われわれの受ける印象は、何かあのときにきめたことで先払いをこちらでもってすると、たいへん御親切だけれども向こうさんはその御親切を感じないで、一方において国内の事情からでもありましょうが、どんどんと漁船拿捕する。その拿捕のしかたも、今度のやり方を見ていますというと、日本海上保安庁の船が行って、そして、こちら側の船の人を海上保安庁巡視船のほうへ乗り移らせて引っ張っていく。それを追っかけてきて、そして持っていってしまう。いろいろ前から見ると、手口が相当、何といいますか、海賊的になってきている。ああいうのは帰されるものやらどうやら疑問だと思うんですけれども、それを考えてみますと、何かああいうようなわざわざこちら側から韓国のほうにしてやる必要がないのじゃないか、もう少し冷静に時を置いたほうがいいのじゃないか、冷却期間を置いたほうがいいのじゃないかという感じもしますし、それからまた、人を悪く考えるなら、何か弱いしっぽを握られているために、向こうでああいう仕打ちに出てくるのに、こっち側では一生懸命、経済協力をいたしましょう、消費財を出しましょう、あなたの国ではいまインフレでたいへんなときですからお助けしましょうと申し出ているのに、向こうでは、そんなものは要らないのだ、お前のほうからはプラントをよこせ、こう言われるとまた、ああそうでございますか、じゃ、それも考えましょう、ノリをもっと買え、それも考えましょう——何かどうも弱いしっぽをつかまれているような感じを受けるのですが、まさかそんなことはないと思うんですけれども、どうも割り切れないものを感ずるので、その点もう少し御解明願いたいと思うんです。
  12. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) そのような精神を持たないようにしていただきたいと言うてお願いをしておるところでございます。私のほうで、消費財を差し上げたらどうかとか、プラント輸出はひとつやってやるがどうか、そんなことを申し上げたことは一つもないのでございまして、先ほども申しましたように、非常に分厚い経済交流関係にある相手国とこういうへんぱな関係になっているので、そして、輸出の拡大という点が韓国のほうにとりましてもその体質改善上至上命令であるという事情を考えると、対日輸出に対する韓国からの輸出の拡大、それから韓国の、先ほど申しました、経済体質改善に役立つようなことで、日本がそういう深い交流関係にある国に対してリーズナブルな協力関係ができるものは何かということを検討をしておる段階なんでございます。いままでとられた措置としては、ノリを若干、戦前は十億枚を入れておったわけですけれども、ことしは若干ふやして一億万枚というような割り当てになっておるようでございます。若干ふやした程度のものでございまして、去年の食糧不足あと食糧の援助をしただけでございまして、やったことというのはほんとうに乏しいものなんでございます。で、もう少しごく合理的な経済交流関係というようなものの方式があり得ないか、民間レベルにおいてあり得るかどうかというような点を検討しておるわけでございます。こっちが弱みがあって、これはどうだ、あれはどうだと言って申し上げているわけじゃ決してないので、私どももそんなに余裕があるわけじゃない、また、そういう立場でもないわけでございます。その点はどうぞ、誤解と申しますか、そういう御懸念といいますか、それはこの際に一掃願いたいと思います。
  13. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 ちょっと沖繩の問題についてお尋ねしたいのですが、御承知のとおり、最近大田主席が辞表を出し、副主席も出し、非常に政治的な混乱状態におちいっているように思うのです。原因はケネディの新政策が前にあって、さらに、つい一、二カ月前に沖繩に関する日米協議会が発足したにもかかわらず、自治権の拡大なり施政権の返還という方法が逆行してしまって、キャラウエーの直接統治が非常に激しくなってきて、それに対する現地民の非常な不満——これは与野党を問わず一致しての不満の表明だと思うのですが、この混乱状態を見ていて、われわれ同胞として座視するに忍びないというふうに感ずるのですが、これに対して、この間ちょっと要請メモみたいなものをお出しになったようなことも伝えられておりますが、これらの状態はどういうふうになっているのか。それからさらに、申し上げるまでもなく、沖繩の立法院では施政の返還に関する要請決議なるものを出し、その数日前には那覇市臨時議会が祖国復帰に関する要請決議なるものを出しております。これはお読みすれば非常にいいと思いますが、時間がありませんから読みませんで、記録にだけとどめておいていただきたいと思いますが、非常に悲壮なもの、しかも、与野党一致して満場一致しての要請決議であるようであります。これらの状態考えると、日本としても、むしろこの外交ルートを通じてでも、もっと直接にいろいろな折衝をしていただく必要があるのじゃないかと思うのですが、この辺の事情はどうなっておりますか。
  14. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 最近生起いたしました主席の辞表提出、与党の分裂、あるいは副主席の更迭、それから相次ぐ布令の公布、一連の題題につきましては、私どもも非常に心配いたしましてこれを見守っているのでございますが、実はこれが一体どういうことでこうなったのかということにつきまして、ただいままでのところ、われわれも究明につとめておりますけれども、日米間で高度の日米外交立場からこれを取り上げるというまでにまだ材料が整っておりません。ただ、異常な関心を日本政府が持って心配しているということ、それから、施政権者たるアメリカに善処方を強く要望するというほうはいたる声があるということにつきましては、これは国会の内外におきましても、この問題がいろいろ取り上げられておりまするし、新聞その他におきましても取り上げられているわけでございまして、日本の国民がこの問題についてどのように憂慮しているかということにつきましては、アメリカ政府にこれを伝えて、とりあえず善処を求めておかなければならぬということで、この間総理府総務長官をわずらわしてその旨を伝えたわけでございます。ただ、冒頭に申しましたように、この事態の原因、過程を十分究明した上でないと、私どもとしてどのように取り上げていいかに——準備が十分でありませんので、いままあその究明を続けているという段階でございます。で、私どもといたしましては、沖繩政策というものは、たびたび本院におきましても申し上げておるところでございまして、その点につきましては、佐多先生も御承知おき願っておると思うのでございますが、最近のできごとにつきましての私どものとりました措置、また、とろうとしておる措置はいま申し上げたように考えております。
  15. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その調査の準備なり何なりはいつくらいまでに整って、さらに高級な交渉になるのですか。問題は日米協議会の問題でなくて、正式の外交ルートを通じて外務大臣自身が直接にお話になるべき筋合いの問題じゃないでしょうか、問題としては。
  16. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 仰せのとおり考えております。協議委員会、技術委員会の問題であると思っておりません。日米外交の問題であると承知いたしております。それだけに、私どもといたしましては、単なる情報ではなくして、よく事態を究明した上で措置いたしたいと考えております。
  17. 羽生三七

    羽生三七君 ベトナムの問題です。が、先ほど外務大臣から一応のお話がありましたけれどもアメリカが軍人を大使に任命するというようなことは、デモンストレーションとは一応思いますけれども、しかし、なかなかの決意も見られるので、万が一その問題が拡大したような場合に、日本としては、前に日本が自発的に、アメリカ要請というのではなしに、自発的にということで、医療関係とか若干の資材等についての援助云々ということがありましたけれども、そういう問題は別にして、戦争が拡大した場合に、日本を基地としてアメリカの軍事介入を許すということは私は問題であろうと思います。だから、いまそれほど早計に予断することは、もちろんいまの情勢でどうかと思うけれども、しかし、あれだけの態勢をアメリカが示しておるので、万一拡大した場合のことを一応考えておいていいし、外務委員会は当分の間、しばらく開かれないので、この機会にわれわれとしても一応の御注文を申し上げておきたいと思うので、外務大臣のお考えを承わりたい。
  18. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 先ほど申しましたように、アメリカのいまとっておる限定的措置の目標は、あの地帯における中立協定なり休戦協定なりが守られる状況を保障しようということに尽きるということでございまして、そのことにつきましては、非常に強い決意を持って当たっておるとわれわれも承知いたしておるところでございます。これがどのように相手側の反応を見ますか、ラオスにおける事態も、ベトナムにおける事態も、その現地における事態は、ベトコン活動によって象徴される活動というのは、以前よりアクチブでないという状態のように承知いたしておるわけでございます。いまこれが非常な大きな戦火に拡大するということは私ども予想しておりませんし、また、それに備えて日本としてどういうことで臨むかということを申し上げる段階でもない。私どもといたしましては、実質的には関係国が苦心してつくられたああいった協定が守られて、早く平和に返ってもらいたいということをこいねがっておるだけであります。
  19. 羽生三七

    羽生三七君 先ほどお話しの台湾おいでになるということは、総裁選挙の前ですか、あとですか。
  20. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) あした国会が閉幕するわけでございます。それが済んでから相談しようと思います。
  21. 井上清一

    理事井上清一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  22. 井上清一

    理事井上清一君) 速記を始めて。それでは、御質疑は大体尽きたように思いますので、次に請願の審査をいたしたいと存じます。   —————————————
  23. 井上清一

    理事井上清一君) 本委員会に付託されました第八十八号日韓会談反対等に関する請願外九十四件を一括して議題にいたしたいと存じます。  まず、専門員から各請願の趣旨について説明を聴取いたします。
  24. 結城司郎次

    ○専門員(結城司郎次君) 本会期中本委員会付託の請願は合計九十五件ございますが、内容により分類いたしますと、大体九つのグループに分かれます。要旨はお手元に配付してございますが、各グループごとに簡単に御説明申し上げます。  まず第一は、お手元の表第四五七号、海外移住者に対する助成金増額に関する請願であります。願意は、一般支度金のワクを八千円ないし二万五千円まで増額すること。昭和三十七年に廃止された加算支度金制度を復活して、一戸当たり十万円に増額支給すること。また、国内入植者が海外移住する際の例にならって、一般農家が移住する場合にも、一戸当たり三十万円の離農奨励金を支給されたいという趣旨であります。  なお、念のために申し添えますと、過去三回の国会において、一般的に移住振興、移住者援護の請願が採択されております。  第二のグループは、お手元の表の第八八号など、日韓会談反対、あるいは即時打ち切り、あるいは中止等に関する請願四十七件であります。いずれも日韓会談打ち切りの要望でありますが、その理由については、若干表現上の差異が見られますほか、米国原子力潜水艦の寄港反対等をつけ加えているものもあります。  なお、念のため申し添えますと、過去三回の国会におきまして、同趣旨の請願が保留あるいは審査未了となっております。  次に第三のグループは、お手元の表第七一八号などの在日朝鮮人祖国往来実現に関する請願十八件であります。願意は、人道上の見地ないし日朝友好の見地から、在日朝鮮人を祖国と自由に往来させてもらいたいというものであります。  なお、現行の制度について簡単に御説明申し上げますと、日本に在住する外国人が一時帰国し再入国するためには、出入国管理令及び同施行規則により、出国前に入国管理局から再入国の許可を取りつけなければならぬたてまえになっております。しかるに、許可申請には、わが国の承認した国家の権限ある機関が発給した旅券またはそれにかわる証明書の呈示が必要とされているのであります。したがいまして、祖国が北鮮の場合は、申請手続自体ができないたてまえになっているのであります。  なお、最近は在日北鮮人各個人からこの種の要望の申し出ある場合は、一応これは預かって検討することになったということであります。  なお、念のために申し添えますと、同趣旨の請願は第四十三回国会において保留になっております。  次に第四のグループは、お手元の表、第二一八九号、「日本と朝鮮民主主義人民協和国との自由な往来実現に関する請願」三件であります。願意は、北鮮への旅行希望者に旅券を交付してもらいたいこと、北鮮からの入国を認めてもらいたいこと、在日朝鮮人の北鮮との往来を認めてもらいたいことの三点であります。  現行制度について若干御説明申し上げますと、政府は、原則として北鮮への渡航申請を受け付けないたてまえをとっております。ただ、日赤代表、日本社会党議員団に対しまして、過去において、あて先「平壌」として旅券を発給した例がございましたことは御承知のとおりであります。また、北鮮からの入国も原則として認めておりませんが、ただ、スポーツ選手、オリンピック関係者等の入国を認めた若干の例がございましたことも御承知のとおりであります。  次に第五のグループとしては、お手元の表、第一二七五号の「沖繩地域総合開発に対する技術、財政援助促進に関する請願」でございます。趣旨は、沖繩経済あるいは生活水準を本土並みに高めるには、総合開発事業を促進しなければならない、したがって、日米協議委員会、日米琉技術委員会におきましては、大幅の技術及び財政援助をなすよう決定していただきたいというものであります。  なお、御承知のように、この二つの委員会は、本年四月二十五日正式に発足し、日米委員会はすでに第一回の会合を開いており、また、日米琉技術委員会も近く初会合を持つものと承知いたしております。  次に第六のグループは、お手元の表の第二三〇五号などの日本の固有領土回復の請願でございます。このうち第二三〇五号は、沖繩の施設権返還交渉の即時開始を要望したものでありますが、その理由として、米国の沖繩占領が国連憲章及び世界人権宣言の趣旨に反することをあげておることが従来のこの種の請願と異なる特色でございます。次に第二四三八号は、沖繩、小笠原の施政権返還及び北方領土の回復に努力されたいという趣旨であります。  なお、念のために申し添えますと、この種の請願は、過去四回の国会において採択されております。  次に第七のグループは、お手元の表で、第一七七一号など、日中国交回復促進あるいは実現等に関する請願二件であります。このうち促進に関するものは、日中の国交を正常化してもらいたいというものでありますが、日中国交回復実現に関するものは、そのほか日華条約と日米安保条約の破棄などをあわせて要請しているものであります。  なお、念のために申し添えますと、従来日中国交回復に関する請願は、いずれも保留、不採択、あるいは審査未了となっております。  次に第八のグループは、お手元の表で第一四二七号などの、アメリカ原子力潜水艦日本寄港反対等に関する請願二十件であります。このうち八件は、潜水艦寄港を拒否してもらいたいというものでありますが、そのほかに憲法改悪反対や、日韓会談即時打ち切りなどをあわせて要求しているものであります。  なお、念のために申し添えますと、同趣旨の請願が第四十三回国会で保留となっております。  最後に第九のグループに属するものといたしまして、お手元の表の第二八二二号、戦争政策政治反動反対等に関する請願がございます。これは核兵器禁止を含む全面完全軍縮協定の締結、日米安保条約の廃棄、日本本土の米軍基地の撤去、日韓会談即時打ち切りなどの広範囲の内容を含むものでございます。  以上簡単に御説明いたしましたが、御質問に応じ補足いたします。
  25. 井上清一

    理事井上清一君) ちょっと速記を中止してください。   〔速記中止〕
  26. 井上清一

    理事井上清一君) 速記を始めて。  それでは、請願第四五七号、第一二七五号、第二四三八号、以上三件の請願は、議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものと決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 井上清一

    理事井上清一君) 御異議ないものと認めます。よって、さよう決定いたします。  なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 井上清一

    理事井上清一君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。  本日は、この程度で散会いたします。    午後二時三十六分散会      —————・—————