運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-04-21 第46回国会 参議院 外務委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二十一日(火曜日)    午前十時三十三分開会   —————————————   委員の異動  四月十四日   辞任      補欠選任    山本 利壽君  近藤 鶴代君  四月十五日   辞任      補欠選任    近藤 鶴代君  山本 利壽君  四月十六日   辞任      補欠選任    山本 利壽君  石原幹市郎君  四月二十日   辞任      補欠選任    石原幹市郎君  山本 利壽君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     黒川 武雄君    理事            草葉 隆圓君            長谷川 仁君            佐多 忠隆君    委員            青柳 秀夫君            杉原 荒太君            山本 利壽君            岡田 宗司君            羽生 三七君            森 元治郎君            二宮 文造君            佐藤 尚武君   政府委員    外務政務次官  毛利 松平君    外務省条約局長 藤崎 萬里君   事務局側    常任委員会専門    員       結城司郎次君   説明員    外務省経済局ラ    テン、アメリカ    課長      奈良 賀男君    外務省経済局ス    ターリング地域    課長      橘  正忠君    外務省条約局外    務参事官    兼松  武君   —————————————   本日の会議に付した案件通商に関する日本国とオーストラリ  ア連邦との間の協定を改正する議定  書の締結について承認を求めるの件  (内閣提出衆議院送付) ○通商に関する日本国エル・サル  ヴァドル共和国との間の協定締結  について承認を求めるの件(内閣提  出、衆議院送付)   —————————————
  2. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) それでは、外務委員会を開会いたします。  先ほどの理事会の申し合わせによりますと、きょうは条約案二件の審議を終わって採決し、そうしてOECDの問題は、二十三日の午前午後、二十四日の午後十分審議をいたしまして、二十七日に本会議に上程すると、こういうふうな申し合せになっておりますから、御了承願います。  速記をとめて。   〔速記中止
  3. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 速記を始めて。  次に、通商に関する日本国オーストラリア連邦との間の協定を改正する議定書締結について承認を求めるの件、通商に関する日本国エルサルヴァドル共和国との間の協定締結について承認を求めるの件、以上二件を一括して議題といたします。  両件につきましては、すでに提案理由説明及び補足説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  4. 岡田宗司

    岡田宗司君 最近のオーストラリアとの貿易傾向ですね、特に日本オーストラリアとの貿易のバランスを見ておるというと、日本のほうが非常に悪いわけですが、これらの点についての最近の傾向、これからの見通し、それについての御説明をお願いします。
  5. 橘正忠

    説明員橘正忠君) 外務省スターリング地域課長の橘でございます。  御質問の、日本オーストラリアとの最近の貿易状況を概略御説明申し上げます。  もとの通商協定両国間に結ばれました昭和三十二年、その当時に比べまして、昨年の日本輸出は五倍に伸びまして、昨年の数字が一億五千八百万ドルになっております。他方日本輸入は、昨年は五億一千四百万ドルでございます。これは通商協定のできました年に比べまして二倍になっております。したがいまして、御指摘のとおり、日本オーストラリアとの貿易は、五億一千万ドル対約一億六千万ドルというわけで、約三対一の割合で日本入超に現在はなっております。ただ、協定ができまして以来、日本輸出伸び率が五倍である、輸入伸び率は二倍ということで、拡大しておりますが、輸出伸びが非常に大きくなっております。今後、ただいま御審議いただいております議定書ができまして、ますます通商関係が安定いたしますれば、日本輸出がさらに伸びることが期待されております。特に機械類、重機械類輸出伸びるということが期待されております。
  6. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ日本伸び率が五倍であり、オーストラリア日本に対する輸出のほうが二倍になった、こういうお話ですけれども、差は依然として非常に大きいのです。これはどうも日本としても相当努力もしなければならぬし、オーストラリア側としても、やはり日本が非常にいいお得意なわけですから、したがって、日本品をもっと買い付ける義務——と言っちゃおかしいけれども、買い付けるべきだと思うのです。それらについて、最近一体どういうような方法、日本側オーストラリア側の差を縮めるための手段がとられているか、そして、どういうような種類のものがオーストラリア側においてもっと買い付けられるようになりそうだ、そういう点についてお聞きしたいと思っていたのです。ただ比率がどうのこうのというだけのことをお伺いしていたのじゃないのです。その点もう少し詳しくお答え願いたい。
  7. 橘正忠

    説明員橘正忠君) ただいま、日本の最近の輸出状況を見ますと、輸出の三%くらいが大体繊維品でございまして、最近は特に機械類輸出が非常に伸びております。ただいま御審議いただいております議定書締結に至ります間の交渉、それから今度の議定書附属文書の中にも、日本側豪州に対して輸出を伸ばしたい、特に、機械類重化学工業品について豪州側への輸出を伸ばしたいということに非常に重大な関心を持っているということを豪州側に申し入れております。それから豪州側も、向こう政府が買い付けるような場合、これは日本品に対して十分公正な競争機会を与えるということを約束しております。現在オーストラリアは従来から繊維品の重要なマーケットでございまして、たとえば綿織物では世界で一番大きなマーケットでございましたが、今後向こう経済開発の進むにつれて、重化学工業品市場日本チャンスがあるということを日本側も考え、豪州側も、日本に進出してもらうのはその分野が一番望ましいということで、今後日本オーストラリア両方ともに、向こう協力して、日本重化学工業品輸出伸びていくという方向日本輸出が向かっていくことを期待しております。現に、最近の機械類輸出伸びはそうした傾向が期待できるということを裏づけていると思います。
  8. 岡田宗司

    岡田宗司君 本年度の日本輸出、これはたしか六十二億ドルと想定されておりますが、オーストラリアは本年はどのくらい想定されているのですか。それで昨年と比べてどのくらいふえるという見通しですか。それから、それに対して輸入のほうはどういう状況ですか。それを御答弁願いたい。
  9. 橘正忠

    説明員橘正忠君) 昨年の輸出が約一億六千万ドルでございますが、今年は豪州景気もわりあいにいいので、大体一割から二割、日本輸出伸びるのではないかというふうに見込まれております。他方輸入のほうは、非常に国内の景気見通しがありますので、ただいま、はっきりと豪州からの輸入がどれくらいになるということはなかなか測定困難でございますが、最近の情勢が続くとすれば、ほとんど昨年と同様、ないし多少これを上回る程度水準にとどまるのではないかと見られております。
  10. 岡田宗司

    岡田宗司君 昨年は幾らでしたか。
  11. 橘正忠

    説明員橘正忠君) 昨年の日本輸入は五億一千万ドルでございます。
  12. 岡田宗司

    岡田宗司君 オーストラリアは、非常に日本としても重要な市場になる可能性のあるところです。特に輸入が非常に多いのですから、それだけ輸出を伸ばし得る現実性のあるところだと思うのです。私どもとしては、やはりオーストラリア輸出を伸ばすための努力ということが非常に必要である、今回の改定もいずれそこから出発しておると思うのですけれども、今回の改定ができることによりまして特に輸出が増進せられるという見込み、それからまた、それによってどういうような品物がよけい出るようになるか、それらの点はどういうふうになっておりますか。
  13. 橘正忠

    説明員橘正忠君) 今回の改定の、特に通商上実際の貿易を行なう上で重要だと思われます点は、一つは、両国間が完全なガット関係に入るということを明確にいたした点でございます。したがいまして、過去において、たとえばいわゆるセーフガード・クローズがございましたが、これもはずれまして、両国間完全に平等かつ無差別最恵国の原則が貫かれることになりました。これによりまして、両国間の貿易関係は最も安定した形になると考えられております。  それから、特に先ほど触れました点でございますが、日本側貿易入超になっておって、輸出を伸ばしたい、特に機械類重化学工業品を伸ばしたいということを先方も十分納得いたしましたので、向こう政府協力も期待できると思います。ただ、オーストラリアは、何ぶん輸入自由化を完全にやっておりまして、ほとんど一〇〇%輸入自由化になっております。したがいまして、向こう政府としてもやれる範囲というのはかなり限定されておりますので、こうした両国間の安定した通商関係、それから、自由な向こう輸入ということから、特に日本業界方売り込み努力ということが期待される次第でございます。
  14. 岡田宗司

    岡田宗司君 オーストラリアに対する日本の将来の輸出は、重化学工業品を伸ばすことにあるわけですけれども、その場合、オーストラリア市場において日本品と最も競争する立場にある国、これはおそらくイギリス、それからアメリカだと思うのですけれども、現在イギリス及びアメリカオーストラリアに対してどれくらいのものを輸出しておるのか。そして、それらの国と日本商品競争する場合に、どういう商品が一番激しい競争になるのか。それらの点について伺いたい。
  15. 橘正忠

    説明員橘正忠君) 現在あります統計で新しいのが一九六二年まででありますが、その当時の六二年の統計によりますと、オーストラリア輸入の三〇%、これはイギリス品でございます。イギリスからの輸入が約二億七千万ドルでございます。それから、二番目に大きな輸入先アメリカでございます。アメリカからの輸入が総輸入の約一九%で、これは約一億八千万ドルでございます。それから、その次に西独でございます。西独からの輸入が全体の約六%、それから、その次が日本で、四番目になっております。したがいまして、御指摘のとおり、イギリスアメリカ西独といった欧米の国からの機械類を中心とした輸入というものが、従来もそうでございましたし、今後も日本輸出を伸ばす上の競争相手ということになると思います。
  16. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 ちょっといまのあれは……。
  17. 橘正忠

    説明員橘正忠君) 失礼いたしました。ただいまドルと申し上げましたのは、ポンドでございます。
  18. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから、オーストラリア側から日本のほうで輸入するもの、羊毛が主ですけれども、この羊毛輸入が将来どういうふうになるか。そう先のことでなく、ここ数年間でもよろしいのですが、その見込み。それから、まだオーストラリアから他のもの、たとえば鉄鉱石あるいはその他の原料、こういうものの輸入がどういうふうな傾向になっておるか、そこらはどういうふうにごらんになっておりますか。
  19. 橘正忠

    説明員橘正忠君) たとえば昨年の輸入状況を見ますと、全体の輸入が五億一千万ドルでございますが、そのうち羊毛が二億九千万ドル、全体の五六%を占めております。それに続きまして大きいのは砂糖でございますが、約五千万ドルでございます。それから、その他は小麦、石炭、鉄鋼のスクラップ、そうしたものが主要な輸入品目でございます。ただいま特に羊毛について触れられましたが、羊毛輸入は、過去数年間ほぼ引き続いて、少しずつでございますが、増加の傾向をたどっております。化合繊発達羊毛消費が減るのじゃないかという見込みも一部ございましたが、むしろ化合繊その他の繊維混紡技術発達などによりまして、また、日本消費水準の向上によりまして、羊毛消費は最近横ばいないしむしろ少しずつ増加している傾向が続いておりますので、今後もそう大幅にふえることはないと思いますが、同様の傾向が続くものと推測されます。
  20. 岡田宗司

    岡田宗司君 砂糖が五千万ドルも入ってきているのですが、これは価格は、台湾だとかそれからその他中南米、キューバをも含めた、あっちのほうから見ると安いのですか。
  21. 橘正忠

    説明員橘正忠君) ただいま、正確な一トン当たり何ぼという数字を持ち合わせておりませんが、業界の方に聞くところによりますと、豪州砂糖はたいへん品質もよくて甘くて価格が安い、非常に競争力が強いという話でございます。
  22. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは、日本向こう鉄鉱石開発するとかいろいろな何がありますけれども、これは直接貿易関係はないわけですが、そういうふうな方向にいま進んでおりますか。
  23. 橘正忠

    説明員橘正忠君) 現在までのところ、鉄鉱石輸入は昨年までのところまだございませんが、ただいま豪州鉄鉱石輸入する商談が進んでおるということを聞いております。豪州鉄鉱石は何ぶん距離的にいってもほかに比べて近い、非常に品質もいい、それから価格も、ただいま各国からオファーしてきておる中で一番安いということを業界の方から聞いております。ただ、今後まだ開発されて輸入されてくる段階でございますので、量的にどの程度急速にふえるかということは、まだ業界のほうでもはっきりきめておられないようでございます。
  24. 岡田宗司

    岡田宗司君 小麦日本では非常に昨年不作で、昨年から小麦輸入がふえているわけですけれども、豪州小麦は、毎年日本輸入する小麦の普通どれくらいのパーセンテージを占めているのか。それから、今後さらにそっちのほうがふえる見込みがあるのでございましょうか。
  25. 橘正忠

    説明員橘正忠君) ただいま手元に全体の小麦輸入数量数字を持ち合わせておりませんので、たいへん恐縮でございますが、オーストラリアからの小麦輸入数字は、昨年が三十八万トンでございます。その前の一九六二年は四十四万トン、それから一九六一年が三十五万トンという数字になっております。今回の取りきめで新しい議定書の成立後も大体従来程度ということになっております。したがいまして、数量的には従来の実績の程度という観念を持っております。
  26. 岡田宗司

    岡田宗司君 オーストラリア日本品物輸出する場合、船は日本船がどれくらい使われるのか、それから、オーストラリアからいろいろなものを輸入する場合、日本船がどれくらい使われているのか、そのパーセンテージについて。
  27. 橘正忠

    説明員橘正忠君) オーストラリア日本との間には非常にしっかりしております海運同盟がございまして、日本の船も非常にたくさん入っております。実は、昨年までの日本船積み取り比率というのは、大体輸出入平均をいたしまして四〇%ぐらいでございました。戦後ほとんど、ゼロからようやく回復して四〇%まで参りまして、実は本年早々これをさらに引き上げてちょうど半分半分ぐらいというところに大体話し合いがついたと承知しております。
  28. 岡田宗司

    岡田宗司君 そのあとの五〇%は主としてイギリス船でしょうか。
  29. 橘正忠

    説明員橘正忠君) ほとんどイギリス船でございまして、ごくわずか北欧——北ヨーロッパの船が入っております。アメリカ船もわずか入っております。
  30. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうしますと、これは運賃の収支について言えば、日本に有利になっていますか。
  31. 橘正忠

    説明員橘正忠君) 大体積み取り比率五分五分——五〇%くらいずつになれば、ほぼとんとんという感じでございますが、今後さらに日本船積み取り比率を伸ばしていくという努力業界でも続けられておるようでございます。
  32. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 経済開発が積極的に進められているというお話でしたが、どういうふうな状況ですか、オーストラリアにおいて。
  33. 橘正忠

    説明員橘正忠君) オーストラリアは非常に自由経済をやっておりますので、政府投資による開発分野というものが限定されてはおりますが、大きな計画、特に政府資金をつぎ込んでやっておりますものに現在二つございまして、一つスノーウィ・マウンテン開発計画というのがございます。これはちょうどアメリカテネシー渓谷開発計画に匹敵する計画といわれておりますが、かんがい用とそれから発電用のダムを建設する工事、これは日本発電機械あるいは送電機械、そういうものも過去入札に加わりまして落札した例がございます。  それからもう一つは、オーストラリアの北部を開発する計画というものがございますが、これは現在ほんの着手しかけたところでございまして、全貌がまだはっきり詳しくはわかっておりません。  以上の二つが、大きな政府による開発計画でございます。その他民間の手による鉱産物開発とか、それから、工業化のための投資が相当活発に行なわれております。国民所得の約二五%程度投資に充てられております。
  34. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 開発計画の今後の進捗に関連して、日本からの輸出で希望の持てるような商品はどういうものですか。
  35. 橘正忠

    説明員橘正忠君) 特にようやく最近、先ほど申し上げましたようなスノーウィ・マウンテン開発計画日本発電機売り込みが成功いたしまして、それで日本の重電機輸出突破口ができたというふうに考えております。変圧器とか、発電機、あるいは水車といった重電機関係において特にこうした開発計画の中に割り込んでいくチャンスがあるのではないか。あるいは一部に鉱山資源開発の場合には、港湾施設の改修とか、それから、鉄道施設の拡充ということもございますので、そうした港湾鉄道関係輸出をそうした機会に伸ばしていくチャンスがあるのではないかと考えております。
  36. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そういう設備輸出に関連して延べ払い状況はどうなっているのかという問題と、さらに、一般的に言って、日本からの資本輸出、あるいは向こうからの資本輸入、そういう問題がどういうふうになっているか。
  37. 橘正忠

    説明員橘正忠君) オーストラリアは実は非常に自由主義経済でありますと同時に、わりあい国際収支も健全でございまして、現在外貨を十五、六億ドルくらい持っております。そういうわけでむしろそういった経済的な面からいいますと、先進国型の経済をしておりますので、金を貸してくれという話はあまりたくさんございませんで、したがいまして、延べ払いということによって輸出伸びるという要素はあまり現在までのところ見当たらないようでございます。現に、延べ払い案件というものは、ほとんどないと言ってよろしいと思います。むしろ日本側から、従来業界の方が鉱山資源開発であるとか、あるいはいろいろ製造工業部門で、日本の部品や半製品を輸出して向こうが組み立てる、あるいは漁業に協力するといった形で、投資と言いますか、技術協力と言いますか、それを含めましたこちら側からの企業進出、これが昨年末までに約七件ほどございます。向こう資源開発工業化、こういうことに今後日本業界の方も進出して、向こう企業と合弁で特に逸出する機会は大いにある、向こう側もこれを非常に歓迎するという意向を示しております。
  38. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 発電機輸出なんかに関連して、外国との競合する状況ですね、イギリスあるいはアメリカ、あるいは西ドイツ、それとの競合はどういうことになっていますか。
  39. 橘正忠

    説明員橘正忠君) 何ぶんオーストラリアは長いことイギリス植民地でありました関係もありまして、イギリス投資をし、会社を興し、技術を教えたという基礎がありますので、イギリス人の伝統というものは特に根強いものがございますので、日本がいままで機械類売り込みで苦労しておったのは、日本でもこういういいものができる、技術的に負けない、むしろまさっておるということを向こうに認識させるのにずいぶん時間がかかったわけでございます。ようやく日本機械類優秀性というものも認識され、突破口もできましたので、そうした認識不足による障害というものはようやくなくなってきたと思います。したがいまして、今度の、ただいま御審議いただいております議定書の中でも、向こう政府入札をやる場合に、もし日本が応札して失敗したならば、どうして失敗したのか、もし日本側が求めれば、向こう側はできるだけ詳しく説明しましょうということを一札入れております。そうした関係で、向こうの誤れる先入観念はぬぐい去られ、向こう政府日本の積極的な関心を十分認識しておりますので、自由経済の中で競争に勝つことが第一でございますが、輸出チャンスはこれから十分あり得ると考えております。
  40. 岡田宗司

    岡田宗司君 この「合意された議事録」、これのパートAの4の(a)、そこに、「日本国代表は、日本国において輸入制限を受けているオーストラリア産品に関し、日本国政府最恵国及び無差別待遇を保障することとする旨を確認し、また、日本国政府が次のオーストラリア産品日本国への輸入機会を拡大するためあらゆる努力を払う意図を有する旨を述べた。砂糖、肉のかん詰、皮革、自動車両、バター及びチーズ」、こういうふうになっておりますが、これは自由化の問題とも非常に関連のある問題で、この中には、まだ自由化されてないものも含まれておるわけでありますが、すでにこういうふうな「合意された議事録」から見ますというと、こういうような品物がさらに今後日本のほうにどんどん入ってくるわけになりますが、これらの中で、たとえばバター、 チーズ等は、相当日本にもし自由に入ってくるということになりますと、日本産のバター等影響を受けるわけですが、これらについての見解はどういうことになっておりますか。
  41. 橘正忠

    説明員橘正忠君) ここで書かれておりますことは、一つは、輸入する場合に無差別最恵国待遇にいたしましょう、いま一つは、輸入機会を拡大するように努力いたしましょうということでございまして、何ぼを入れるとかということは別に書いてございません。特にバターとかチーズというものにつきまして、日本側に非常に輸入することに困難な事情があるということは豪州側でもよく承知しております。他方、こうした品目豪州にとっての重要な輸出関心品目であることも事実でございます。したがいまして、政府としてこうした日本の産業に影響を与えない限度においてこうしたものの輸入機会をできるだけ拡大するよう努力しましょうという一般的な趣旨をここに書いたものでございます。したがいまして、具体的に何ぼ買う、あるいはどういたしましょうというところまでは何ら約束しておらぬし、豪州側も、これはそうした約束を固執したわけではございませんので、具体的に日本側に特に輸入によって重大な影響があるということはないものと考えております。
  42. 岡田宗司

    岡田宗司君 しかし、こういう議事録がちゃんと発表され、しかも、こういうふうにはっきり書かれてまいりますというと、これはやはり向こう側でも相当日本に対してそれらのものの売り込み努力もするでありましょうし、日本側としても特にこれと競争をしなければならない。しかも、弱い立場にあるものは、こういうことがはっきり取りきめられますというと脅威を受ける、こういうことになるのじゃないかと思うのですが、たとえば肉のかん詰め等は、一体いままでどのくらい入ってきておったか、そうして、自由化された後、これらが今後どれくらいふえていくか。それから、あるいはバターチーズ等もいま入ってきた。ことにチーズなんか最近ずいぶん入ってきておりますが、こういうものが一体日本商品影響を与えないということは、あなた方のほうでは確かだと思っておられるのか、こういうものを取りきめられる際に、たとえば農林省のこういう関係のほうと十分打ち合わせができているのか。それとも、あるいはこういうものの生産者あるいは農民のほうの団体、そういうものと十分打ち合わせの上、こういう「合意された議事録」にはっきり書かれるようになったのか。その点はどういうふうないきさつでこれが入れられたのかどうか。
  43. 兼松武

    説明員兼松武君) ただいまの御質問でございますが、この条項の趣旨は、ただいま御説明申しましたように、完全に無差別でございまして、自由化されたものにつきましても、自由化されていない割り当て品目につきましても、この点は全然変わりはございません。  それから、交渉のやり方でございますが、もちろん国内の関係各省と十分に連絡いたしておりますし、また、国内関係各省を通じまして関係業界の意向も十分に聴取しておるわけでございます。もちろん、この合意議事録のできました趣旨は十分おわかりと思いますが、ガット三十五条の援用撤回という年来の懸案を解決するというのがこの議定書でございまして、それに伴いまして、日豪間の懸案としていろいろある問題を、一応日本側の要求する事項もずいぶんたくさん入っております。また、豪州側が希望する事項も、日本貿易政策、国内産業の見地から考えまして、差しつかえないという程度のことは、先方の希望として、もちろんこちら側としても、この合意された議事録に、政府の方針としてその程度のことは差しつかえないという点をしたためておるわけでございます。
  44. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすれば、農林省及び生産者の代表といいますか、あるいは団体といいますか、そういうものとの間に十分了解がついた上でのことですね。
  45. 兼松武

    説明員兼松武君) さようでございます。
  46. 岡田宗司

    岡田宗司君 一応終わります。
  47. 羽生三七

    ○羽生三七君 この「合意された議事録」の中に、「日本国政府が、オーストラリア小麦と合衆国産小麦との間の日本国における価格差を世界市場における価格差に近づける」云々とあるのですが、これは具体的にはどういうことなのか。
  48. 兼松武

    説明員兼松武君) お答え申し上げます。  現在のわが国におきます小麦の国内価格の決定の方式は、御存じのように、米価との関係を考えまして、まず国内売り渡し価格につきまして、米の消費価格に見合う米麦比価を乗じた……米のいまの消費価格に米麦比価を乗じました麦の消費価格をきめるわけでございます。で、それから政府のほうでの販売に至ります経路までに要しまする中間経費を除きまして、それが想定輸入価格というふうになるわけでございます。現在のところ、豪州小麦アメリカ小麦とのトン当たりの国内消費価格の差は、豪州小麦のほうが約千三百円安くなっております。
  49. 羽生三七

    ○羽生三七君 それはトン当たり。
  50. 兼松武

    説明員兼松武君) はあ。約千三百円でございます。その理由は、国内における嗜好、それから品質の分析、それから消費——めん用であるとか菓子用であるとか、その他の小麦としての性質でございます。そういうものを全部勘案いたしまして、豪州小麦に対しましてはそういう輸入価格を食糧庁で決定しておるわけでございます。
  51. 羽生三七

    ○羽生三七君 そういう条件は、そのときの事情によって変化し得ることもあり得るのでしょうが、こういう具体的なことをこれは交換公文でうたうということは、普通、通例あるのですか。
  52. 兼松武

    説明員兼松武君) 実は豪州におきましては、世界市場価格と申しますのは一応ロンドン市場を予定して豪州側は考えておるわけでございますが、ロンドン市場におきましては、日本と、むしろ言ってみますと、逆で、豪州小麦がわりあいに高く買われておる。ですから、日本でも同じように買われていいのじゃないか。ところが実際には、日本では、消費傾向とか、日本小麦を使う特殊の需要の関係から、安く確保しなければならない、こういう事情にあるために、豪州側の希望を念のためにここにとどめた、記載した、こういう次第でございます。
  53. 羽生三七

    ○羽生三七君 先ほど御答弁の中に、オーストラリアはまあいわば先進国型だというお話があったのですが、そのオーストラリアが、どうしてOECDに加盟していないのか。その辺は、事情はいかがですか。
  54. 橘正忠

    説明員橘正忠君) オーストラリアもOECDに入ることを研究しておったようでございます。現に、まだ検討はいたしているようでございます。ただ、まだ態度を決定しておらない、こういうふうに承知しております。その理由は、何ら向こうも言っておりませんので、わかりません。
  55. 佐藤尚武

    ○佐藤尚武君 ちょっと伺いますが、豪州小麦というのは、硬質なんですか、軟質なんですか。
  56. 橘正忠

    説明員橘正忠君) 豪州小麦はほとんどがいわゆるソフト小麦——やわらかい小麦でございます。ごく一部に、セミ・ハードと言いますか、やや蛋白の高いのをごく一部に産出しております。ほとんどはソフトでございます。軟質でございます。
  57. 佐藤尚武

    ○佐藤尚武君 私はあまり知識を持ちませんけれども、日本内地の小麦はいわゆる軟質で、したがって、軟質小麦輸入というのは、あんまり日本では歓迎されないのじゃないかと思うのですが、それにかかわらず、わりあいに多量の軟質小麦豪州から入ってくるわけはどういうことなんでしょうか。
  58. 橘正忠

    説明員橘正忠君) 現在も相当量の軟質小麦日本輸入しております。オーストラリアのほかに、アメリカからも入れております。先ほど手元に数字がなかったので申し上げませんでしたが、小麦の全体の輸入が、三十八年度においては三百二十七万トンございました。そのうち、実はこれは硬質、軟質の区別がございませんで、ちょっとここに数字は持ち合わせませんのでございますが、相当量の分が軟質の小麦でございます。アメリカから百六十九万トン入っておりますが、この中にも相当の軟質小麦が入っております。軟質の場合は、一つはうどんにつくられます。それから、相当の部分は、またこれをえさ用のふすまの部分に使うために、えさ用としても買われております。相当の軟質の需要があるという状態でございます。
  59. 佐藤尚武

    ○佐藤尚武君 サルヴァドルのことについて少し伺いたいのですがよろしゅうございますか。——サルヴァトルは日本に対して好感——いい感情を持っている国であるかのように説明では見られるのですが、満州事変当時まではあながちそうじゃなかったように思うのです。かなり日本の態度に対して手きびしい批判を加えた国でありましたが、その後、そうしますと、サルヴァドルのほうの態度、対日感情というものは漸次好転してきたと、こういうことなんでしょうか、ちょっと伺いたい。
  60. 兼松武

    説明員兼松武君) 御質問の点でございますが、御指摘のように、満州事変後から特に顕著だったということは、先生おっしゃるとおりでございます。ただ、何ゆえかという点が御質問の点だと思いますが、それは当時わがほうの公館におきまして、特にサルヴァドルだけというわけではございませんが、たまたまサルヴァドル駐在のわが国の公館長が非常に現地の政界、経済界、その他各界に働きかけまして、日本の、いまのことばで申しますと、PRにつとめたわけです。日本に対する貿易関係ももちろんその当時からございましたし、いろいろな点で対日友好機運をサルヴァドル国民の中に醸成したということが、今日、戦後の時代において、中米諸国との間で、こういう関係を結びます際に、非常に大きな素因をなしているということは確かでございます。
  61. 佐藤尚武

    ○佐藤尚武君 三年前から中米では共同市場の組織が協定されているということでありますが、中米でそういうような共同市場をお互いに協定してつくるようになったというわけは、理由はどういうことでありますか。それからまた、共同市場というと、とかく排他的になりはしないかという心配を私は持っておるのでありますが、そのサルヴァドルを中心とした中米の共同市場には、そういったような排他的の傾向はないのでしょうか、ちょっとその辺を御説明願います。
  62. 兼松武

    説明員兼松武君) 何ゆえこういう動きが出てきたかという第一点の御質問でございますが、その点に関しましては、ちょうどアジアでエカフェ——国連のアジア極東経済委員会というのがございます。それに対応いたしますものが、ラテン・アメリカで、国連のもとにラテン・アメリカ経済委員会という地域的な経済協力機関がございます。この地域的な経済協力機関のもとにおきまして、一九五一年ごろから、南米だけじゃなくて、中米にもそういう各国間の経済的な協力関係を促進するようなことをいろんな形で研究したらどうかというような示唆が行なわれまして、五二年、三年ごろから、漸次そういうふうに中米の比較的に面積も小さい、人口も小さい、産業も一つの国としては非常に弱い、そういう国の間で、生活水準を向上さすためには、やはりある程度地域的な協力関係をその地峡の諸国問で促進していったらどうかというふうな機運が各国の間に漸次出てまいりまして、ただいま申し上げましたような、ラテン・アメリカ経済委員会のほうの側面的な援助もございまして、これらの国の間で漸次そういう方向に動きが発展してまいりまして、その結果、現在では約十以上の——全部その同じ加盟国ではございませんが、あるものは、中米にパナマを合わせまして六カ国ございますが、そのうちの三カ国だけの問、あるいは四カ国だけの間、あるいはパナマと他の二カ国というようなかっこうでいろいろ地域的な協力の条約ができまして、それの基本をなすものは、一九六〇年に署名されまして六一年に発効いたしました中米経済統合に関する一般条約というものがございます。これが、いま先生が御指摘の、あるいは共同市場という名によって排他的な傾向を有するのではないかというような点に一番近い名称を有する条約でございますが、目的は、先ほど御説明申し上げましたとおり、こういう小さな国の間の経済をもとにしてその生活水準を向上さすという、本来何ら排他的という性質は持ってないわけでございますが、でき上がりましたいまの条約から見ますると、あたかもヨーロッパにおける共同市場に似たような共通の特徴を一つ持っております。それはもちろん、たとえばヨーロッパにおけるものは十二年間で共同市場を完成する。小さな中米地峡の場合にはそれが五カ年間で行なわれる。そうして、特定国におきまして非常に影響の大きい若干の品目を除いて相互間の関税を、対外的な関税を統一して、内部的には全部これを撤廃していく。その他それに関連いたしました経済統合の促進をして、それぞれの国の経済の内部的な発展をはかるという趣旨の規定がございまして、本来共同市場ということから当然に伴って出てくるいわば排他性と申しますか、その程度のことはやむを得ないと思いますが、これが排他的なことを第一の動機として設立されたという趣旨のものではございません。
  63. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 私、三つの点でごく簡単にお尋ねしますが、第一は、日本オーストラリアとの経済関係の将来を考えていく場合、このオーストラリアの農産物を一体日本はどれだけ買う可能性、その将来ということを問題にして尋ねるわけですが、それがすぐ日本の農業政策との関係が出てくる。きょうは農林省の方は見えていないんですか。むしろぼくは農林省に聞きたいぐらいの問題なんですが、オーストラリアの農産物でも羊毛はあまり問題がないとして、小麦の問題もありますけれども。特に酪農ですね、これが一体日本がどれだけ買い得るようなふうになるものか、そうして、それが日本の農業政策、特に日本の酪農というようなものとの関係、そういう点から見て、一体、将来性ですね、その辺のところを聞きたい。つまり、将来のその関係から見て、両国貿易の発展の可能性が、ばく然としておるようですけれども、実はそういう点が大事な点だと思うので聞くんですがね、その点が第一点です。
  64. 橘正忠

    説明員橘正忠君) ただいま農林省のほうを呼んでおるところでございますので、参りましたならば、また農林省のほうから御答弁があるかと思いますが、確かに先生御指摘のとおり、日本オーストラリアとの将来の経済関係貿易関係を考えます際に、こちらから向こう輸出していくのが機械類を中心とするならば、オーストラリア日本に対して、従来からも農畜産物の売り込みということに非常に関心を持っておったのでございます。特に日本経済が非常に目ざましく発展してまいりまして、日本オーストラリアからの輸入も過去数年間伸び続けてきた。それでオーストラリアとしては、特に伝統的なマーケットでありましたイギリスが、必ずしも今後大きなマーケットとして成長し続けるということが期待できないということから、日本市場に対する期待というものは、非常に大きなものがございます。これは日本としてもオーストラリアマーケットに対する期待が非常に大きい。相互に大きな期待を持ち合っている現状でございます。ただ、先生御指摘のとおり、羊毛は別として、特に畜産物につきましては、日本の国内事情、農業政策との関連で、わがほうとしてもこれを輸入し得る力には、現在は非常に限られたものがあるということは、御審議いただいておりますこの議定書をつくります交渉の際にも、十分相互に意見を交換し、わが国の実情も説明した次第でございます。それで、ただ向こうとしては、日本の農業、産業構造等の変革に応じ、あるいは生活水準の向上に応じ、こうしたものの日本輸入の力がふえていくということを期待しておることは変わらないということは言えると思います。他方、わが国も現在のところ、先ほど御質問がございましたように、たとえばここにバターチーズが載っておるというようなことで、向こう関心というものもこうして記録にはとどめてありますが、他方わが国としても、これについてどれだけ入れる、今後どういうふうになるということは、何らはっきりと約束できる状態にはないのであるということを十分説明いたしまして、こうした一般的な、抽象的といいますか、そうしたことばを記録にとどめるということに終わった次第でございます。
  65. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 けっこうです。私、その点についてはいま問題として存在するのは明らかだけれども、いまそれをどうのこうの言ってもいかぬでしょうから、ですから、農林省のほうはそれでいいです。  では、次の問題に移りますが、オーストラリアとの経済関係貿易関係というのは、これは長い目で見ても、非常に日本としては重視していかなければならぬことだと思うのです。それだから、こういう協定もけっこうだが、同時に、これを実際に進めていくにあたって、政府、民間ともにそれに対応する特別のことを考えていく必要がある。その特別のことというのは、一つは、政府側ではオーストラリアとの間に、何といいますか、政府間のレベルで、たとえば定期的に年に一回なら一回でも、定期的の意見交換のラウンド・テーブル・コンファレンスのようなものを持つ。そういうふうな必要性は非常にあると思うのですが、しかし、そのことをすでに日本側から向こう側の意見をサウンドするなりあるいは申し入れをされた事実があるかどうか、その点をお聞きしておきたい。
  66. 兼松武

    説明員兼松武君) ただいまの御質問の点でございますが、現在の協定、したがいまして、今度の議定書で改正される部分も含んでおりますが、その中の改正されない部分に、現在の第六条にございますが、「協定の運用に関する協議は、いかなる場合にも、毎年行わなければならない。」ということが明記されておりまして、これは日豪間に従来、現在この協定ができましてから、特に日本側といたしましては三十五条の撤回ということが中心でございましたが、豪州側としましては、日本豪州とはいろいろな意味で相補う関係にある。農産品につきましては、先生御指摘のようないろいろ問題もあろうかと思いますが、全般的に見まして、日本豪州との貿易というものは将来非常な発展性があると同時に、農産品に関連しましては特に問題が多いということもお互いに十分承知しておりまして、そのために現在第六条の協議の規定が特に設けられておるわけでございます。
  67. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 先ほど、これでもう終わるのですが、佐藤先生がサルヴァドルのことに触れられたのでちょっと思い出したのですけれども、私の聞きたいのは、サルヴァドルとアメリカとの特殊の関係なんですが、なぜ聞くかというと、サンフランシスコ条約のとき、あの会議議事録を見ますと、アメリカが言えないようなことを、アメリカの意を受けて、十分サルヴァドル代表がそのかわりになって発言していると私は見ているのですが、たとえば台湾の帰属に関する問題などについても、サルヴァドルは非常にはっきりと、あすこの帰属の問題の処理の場合には、台湾の住民の意思というものを尊重しないで帰属をきめてはならぬということを自分は留保してこれに賛成するんだというようなことを言っている。それで、私の聞きたいのは、当時のことだけじゃなくて、現在にも引き続いてアメリカとの特殊の関係にあるかどうかという点、どういうふうに見ているかを聞きたい。
  68. 兼松武

    説明員兼松武君) お答えいたします。サルヴァドルと米国とは従来から親近関係にある。特に経済関係においても、それから政治関係におきましても同様でございますが、非常に近い関係にあったわけでございます。御存じのように、一昨年でございましたか、サルヴァドルに国内的な政変がございましたが、その後も、従来と同様に米国との緊密な関係を維持しております。したがいまして、特殊なということばが当たるかどうか、それは存じませんが、伝統的にそういう関係を持っております。ただ一つ、現在アメリカとサルヴァドルとの間に問題になっておりますのは、従来あまりに対米依存が大き過ぎやしないかということがございまして、そこで、アメリカとサルヴァドル間の通商関係の条約の有効期限が、一昨年一応有効期限が切れました際に、それをそのまま延長しないで、多少手直しをした上で、また友好関係を維持していこうじゃないかということで目下交渉しておる点は確かでございます。しかし、これはサルヴァドルと米国との基本的な政治的な友好関係というもの、伝統的な友好関係というものに何ら影響を与えるものではない、そういうふうに了解しております。
  69. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 サルヴァドルの六三年のサルヴァドル対日本輸入実績はどうなっていますか。
  70. 兼松武

    説明員兼松武君) わが国からの輸出は、通関統計でございますが、九百二十三万八千ドル、それからわが国の輸入は、三千八百五十二万二千ドルになっております。
  71. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それは暦年ですね、年度ですね。
  72. 兼松武

    説明員兼松武君) さようでございます。通関の暦年でございます。
  73. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 輸出入両方とも昨年に比べて若干ふえているのですが、特に輸入のほうが、六十二年には二千五百万ドルだったのが三千八百万ドルと非常にふえているのですが、これはどういうものがどういうことでこういうふうに激増しているのですか。
  74. 兼松武

    説明員兼松武君) 統計によりますと、日本の総輸入三千八百万ドルのうち、繰り綿の輸入が三千七百万ドルを占めております。したがいまして、繰り綿の輸入が非常に多かったということだろうと思います。
  75. 岡田宗司

    岡田宗司君 このサルヴァドルとの協定説明書の第一、経緯というところがあって、そこで「エルサルヴァドル共和国は、千九百六十一年以来中米地峡諸国間に成立している中米共同市場の中心であって、同国との通商関係を強化拡大することは、わが国の中米地峡諸国との間の貿易の振興及び経済協力の促進上、きわめて重要である」、こういうふうに説明されているのですが、これはどういう事実関係に基づくのか、まず御説明を願いたい。
  76. 兼松武

    説明員兼松武君) 中米共同市場は、先ほど簡単に御説明申し上げましたとおり、やはり共同市場となる、そういう意味で基本的なそういう性格を備えることは当然でございますが、共同市場ができました。いますでにできて、発足して第三年目にあるわけでございますが、その段階におきましても、従来わが国がサルヴァドルの企業と合弁で、特に綿紡関係でございますが、合弁で企業を営んでおるものがございまして、この合弁企業の生産高のうちの相当の部分は域内の諸国に輸出されておるわけであります。サルヴァドルという国は、御存じのように人口も面積も小さいのでございますが、地域全体を含めますと、人口も一千万程度消費市場になるわけでございます。そういう地域に結局合弁という形式を通じて日本企業伸びていくという関係が、共同市場ができた後におきましても一番大きくこの条約の意味として働くのじゃないか、そういうふうに理解しております。
  77. 岡田宗司

    岡田宗司君 この条約ができますと、他の中米諸国との間にも、これをモデルとして同じような条約が結ばれる可能性があるかどうか。
  78. 兼松武

    説明員兼松武君) 現在までのところ、先方から申し入れのございますのは、グァテマラが一つあるわけでございますが、このグァテマラにつきましては、なおグァテマラの制度その他いろいろ今後わがほうとしても研究また調査して、その上で交渉に入るというような関係もございますので、まだ実際に入っておりませんが、その他の国については、現在のところ、先方からの申し出というものはございません。わが国のほうといたしましては、まずサルヴァドルと結びまして、サルヴァドルと日本との協力関係というものが共同市場の中でどれだけの成果をあげるか、また、他の市場加盟国にどういうふうな影響を与えるか、そういうような点も十分見た上で、わが方として今後他の加盟国にどういうふうに働きかけていくかという点を検討していくということになろうと思います。
  79. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、いま綿製品の工場が答弁でできているだけですが、さらにそういうものができる可能性があるかどうか。この協定の前文にも、投資及び経済協力の助長をはかるということがうたわれているわけでありますが、この投資及び経済協力というものの具体的な可能性ですね、これはどういうふうになっておるか。
  80. 兼松武

    説明員兼松武君) これは最近新聞等でかなり報道されておりますが、最初にサルヴァドルから——昨年でございましたか、百数十人の経済使節団が日本に参りまして、日本の産業各界と接触いたしまして、日本とサルヴァドルとの提携をどういうふうに増進するかという点を検討してまいったのであります。その後本年に入りまして、さらに中米六カ国の経済界の代表を集めまして、また百数十人の代表団が参りまして、これももともと日本にサルヴァドルを通じて非常に親近関係があるからでございましょうが、日本業界とできるだけ提携していきたい。一つには米国との関係を改善ししていくという問題がございますので、その一助にもあるいはなるかとも思いますが、日本との技術提携の可能性ということを先方側が——わがほうももちろんでありますが——非常に熱心に検討しております。わがほうといたしましても、昨年中米経済使節団というものを派遣いたしまして、これは主として貿易が中心でございますが、もちろん経済協力関係の先方との接触、将来の可能性の検討、こういうことも含めて調査しておるわけでございまして、今後いろいろな面で、サルヴァドルは国は小さいのでございますけれども、小さい国であっても、いろいろそこを通してそういう協力関係の発展の可能性を今後広げていくことになるだろうと了解しております。
  81. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、いま向こうのほうから日本経済貿易の使節団が来たというだけで、新しい具体的な投資あるいは合弁専業をつくるというような具体的なことはまだないわけですか。
  82. 奈良賀男

    説明員(奈良賀男君) 具体的な企業進出協力関係の話は、なかなか商社あるいはメーカーのほうも極秘にやっておられまして、私どものところまでなかなか初歩の段階でございますと情報が入りにくいのでございますが、一応その引き合いがあったという段階で、ジェトロが発表したところによりますと、先般の百五十名の中米六カ国からのミッションの来日に伴いまして、四百件程度のプラント輸出、あるいは協力関係の話があったということでございます。その引き合いの段階でございまして、今後どういうふうに実を結んでいくかわかりませんけれども、たとえばコスタリカで化繊関係企業が進出をするとか、あるいはグァテマラに亜鉛引き鉄板の工場を建てるとか、そういったような話はぼつぼつ聞いております。
  83. 岡田宗司

    岡田宗司君 日本がサルヴァドルと関係が非常によい、これを足がかりにして中米共同市場のほうに進出しようというわけですが、中米諸国というと、どうも政治的に安定していない国が多い。よくクーデターが起こったりいろいろいたしますが、サルヴァドルは政情が安定しておるのかどうか。それから、サルヴァドルの現在の経済状態ですね、特に中米諸国はアメリカから非常に企業が進出してどんどんいろいろなものを吸い上げられている。そうしてまた、アメリカ資本による支配というものがかなり強く行なわれておって、そこからいろいろ政治的な問題、社会的な問題も起こっておるんですが、サルヴァドルはそういう点では安定をしておるのかどうか。そうしてまた、アメリカとの経済関係、政治関係という点で、他の非常な不安定な状況にあるところと違うのかどうか。その点はどういうふうになっておるか。
  84. 奈良賀男

    説明員(奈良賀男君) サルヴァドルは一九六一年一月にクーデターがございまして、一時臨時軍事政権が政局を担当しておりましたけれども、六二年の四月に民主的な大統領選挙が行なわれまして、リベラ大佐が大統領に指名選出されました。六二年七月からその職に携わっておりますけれども、一般の期待に沿いまして非常に安定した政治を行ないつつ現在に至っております。  経済状況経済事情でございますけれども、サルヴァドルの主要廃品は綿花とかコーヒー——一次廃品に依存をしておりまして、国際価格の変動をまともにかぶる典型的な後遊園の一つでございますけれども、そういう経済の弱さを脱却するという意味で、国内の工業化、国内では狭いので、共同市場というものの産業多角化、共同市場をつくってほかの国との協力のもとに産業を多角化していく、そういう強力な政策を打ち出してきた結果が共同市場というようなものをつくったわけでございますけれども、そういうバック・グラウンドのもとに経済の立て直し、体質改善をはかっております。サルヴァドル自体の経済も、貿易面におきましては、ここ二、三年は出超の状態でございますし、また、最近のコーヒー、綿花の国際価格の堅調さということもございまして——昨年は若干堅調だったのでございますが、そういうことから外貨収入も、国際収支の面もかなり改善されております。現在、六二年末の数字でございますけれども、、二千三百万ドルほどの外貨を保有しております。  対米関係でございますが、中米の中で、パナマ運河を持っておる関係から対米関係が云々されるのはパナマでございまして、あとの諸国、特にエル・サルヴァドルの場合は、一般的に大きくアメリカに依存する、し過ぎるという点を、ヨーロッパ諸国あるいは日本に少しずつ転換していくという政策はございますけれども、基本的に対米関係が悪いという要素はないと申して差しつかえないと思います。
  85. 岡田宗司

    岡田宗司君 この協定の第四条ですがね。「いずれの一方の締約国の国民及び会社の財産も、他方の締約国の領域内において、公共のためにされ、かつ、当該他方の締約国の憲法及び法律の競走に従って正当に補償される場合を除くほか、収用し、又は使用してはならない。」、こういうことがあるのですね。これはおそらく中南米の諸国においては、昔から、政府が外国の企業を無償で収用する、あるいはあとで金を払っておる場合もありますけれども、そういうようなことが行なわれる。で、そういうような場合を予想して、日本側から求めてこういう条項を入れたのかどうか。それをお伺いしたい。
  86. 兼松武

    説明員兼松武君) この条項は、サルヴァドルの憲法自体がちょうどこの条項と同じようなことを規定しておるわけでございまして、もともと、外国の企業を特に接収する、ナショナライズするというような問題から、こちらから求めたのではございませんので、他の諸外国との一般のこういう種類の通商条約におきまして、相手国内に相互に企業を設立して経営をするというような関係を取り結ぶ場合には、この第四条、この条約の第四条に見合う、収用に対する補償に関しまして、内国民と、最恵国待遇を保障する、こういうことをやっておりまして、いま御指摘のような動機ないし、そういう事情はございません。
  87. 岡田宗司

    岡田宗司君 サルヴァドルでは、他の中南米諸国のように、外国の企業を収用したという例はないのですか。
  88. 奈良賀男

    説明員(奈良賀男君) いままでのところ、聞いておりません。
  89. 岡田宗司

    岡田宗司君 たとえば、メキシコにいたしましても他の国にいたしましても、よしんば条約でもってこういうようなことがいわれておりましても、接収する場合が非常に例があるわけですけれども、それらの点について、日本企業としては、中南米においてそういうふうに収用された例はありませんか。
  90. 奈良賀男

    説明員(奈良賀男君) 日本の進出企業が収用されたということは、いままで聞いておりません。
  91. 岡田宗司

    岡田宗司君 たとえば、今後こういうような事態が起こらないとも限らないわけです。で、中南米への日本企業の進出の際について、これは日本企業家たちは、そういう点をどう考え、また、そういうような場合に、政府に対して、たとえば何とかしてくれというようなことの約束というふうな、政府に、そういう場合には助けてくれるようにというようなことを求められたことがあるかどうか。こういうような点、中南米への企業進出の場合のやはり一つの大きな問題だと思うのですけれども、外務省は、そういう事例にぶつかったのかどうか。また、そういうふうな場合に、外務省は、どういうふうにするということを日本企業者に対して約束しておるかどうか。それらの点。
  92. 兼松武

    説明員兼松武君) 一般的に申しますと、投資保証という制度、投資国側から見れば、特に企業投資する国の企業の側から見れば、これは官費ですることが一番理想的な形でございますが、ただラテン・アメリカ諸国の中でも、ある国は、いわゆる常識的な意味の民主的な制度に加えまして、いわゆる社会的なものと申される、そういう一般の民主的な憲法を若干修正したというような憲法を持っている国もございます。それから、国によりまして、従来はいわゆるわが国でいわれておりますそういう普通の形の憲法を持っておりましたものが、その後いまの政変その他の関係で、若干政策的に、外国の企業に対して進出を自由に認めることはまずいんじゃないかという、そういう政策的考慮から、そういう保障を相手国との条約で置くことは望ましくないというような見解を持っている国も若干あるわけでございます。そういう関係でございます。一般的にはその国の憲法で保障されている限り、こういう通商条約を結びます際には、ナショナライゼーションというようなことがかりにあったといたしましても、完全に内国民、最恵国の補償を求めるわけでございますが、国によっては得られないという場合もある。  それから具体的にそういう業界からの申し出があったかどうかという御質問でございますが、これは目下中南米のほかの国との交渉も進めておりますが、業界からそういう希望が政府に出ていることは確かでございます。それに従いまして、政府もそういう業界の意向を尊重いたしまして、相手国側で多少難点があるような場合にも、何とか投資する国の側の企業、すなわち経済協力を促進する場合には、まず投資する側にイニシアチブがあっていいので、そのイニシアチブをとる投資企業立場を保護するために、また、その投資企業の利益保護の見地から、当然にある程度の、かりにこういうきちっとした規定ができなくても、ある程度の補償が当然行なわれてしかるべきじゃないか、こういう見地でいろいろと交渉、苦心を重ねている次第でございます。
  93. 岡田宗司

    岡田宗司君 それらの点について、まだ具体的にはっきりした方針というものはなくて、ケース・バイ・ケースでやっていく、こういうことでございますか。
  94. 兼松武

    説明員兼松武君) 先ほども触れましたように、相手国の心情がございまして、できますれば、もちろんすべてこのエル・サルヴァドルの型のようにしたいわけでございますが、そういうふうに応ずることを政策としてちゅうちょする相手国政府もあるわけでございまして、まあ一律にいくというわけにまいらないと思います。
  95. 岡田宗司

    岡田宗司君 それでは第七条ですね、「第一条並びに第二条3及び4の規定は、いずれか一方の締約国が与えており又は将来与えることがある次の特別の利益には適用しない。(a)内国漁業の産品に与える利益(b)当該一方の締約国が構成国であり又は構成国となる関税同盟又は自由貿易地域の存在に基づいて与える利益」、こういうことですが、(a)の「内国漁業の産品に与える利益」ということは、日本の漁業のエル・サルヴァドルヘの進出、あるいはまた日本との合弁で向こうに会社をつくるというようなこと、あるいはその製品の企業をつくるというようなことがこれでもって禁止をされている、こういうことでしょうか。
  96. 兼松武

    説明員兼松武君) その点は、御懸念の点と若干違いまして、(a)項で申しましているのは、日本の関税定率法の第十四条にはっきり書いてあるわけでございまして、日本の漁船が日本を基地として外国に行って操業してまいりまして、それで外国でとった魚を航海中に製品にしたり、あるいはとったものを冷凍にしたまま日本の港に入ってくる。そういう場合には、外国から来る物資であるけれども、それは出国の内国産と同様に取り扱って関税を課さないという関税定率法の規定をそのままここで考えたわけでございます。
  97. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから、(b)のほうはどういう意味ですか。
  98. 兼松武

    説明員兼松武君) (b)の規定は、これは御存じのように、現在のガットの規定を見ましても、第二十四条でこういう一般的ないわゆる関税同盟または自由貿易地域に関する規定がございまして、こういうものはその認められる範囲におきまして、ガットの場合でございますと、ガットの第三条、それからこの条約でございますと第一条と第二条でそういう一般的な輸出入の制度の面での最恵国待遇と、それから数量制限をする場合の数量制限の取り扱いについての最恵国待遇、そういうものの例外を置きますという趣旨でございます。
  99. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうしますと、この(b)によって日本のほうがどういう面でもって不利益をこうむるのか、この点はどうですか。
  100. 兼松武

    説明員兼松武君) これは先ほど申しました中米共同市場関係で、中米共同市場の域内の国に対しては無税になる。日本は他の域外諸国と同じに、すなわちヨーロッパないしアメリカ合衆国と同じような待遇を受けるわけでございますが、域内の他の四カ国ないし五カ国、中米の他の小さな国でありますそういう国との関係で、それらの他の加盟国である小さな国には関税は課さないけれども、日本から入るのには関税がかかる、こういうような趣旨でございます。
  101. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、重要な障害にはならない、こう解釈してよろしゅうございますか。
  102. 兼松武

    説明員兼松武君) それは貿易量次第だと思いますが、今後中米共同市場向けの貿易が非常に伸びてまいります場合には、これらの国は全体として約一千万程度の人口の地域でございますが、その範囲では若干サルヴァドルとの関係で、まずそういう域内と域外の関係では差別を受ける。それから、中米共同市場という範囲に限られておりますから、全体としてそれはアメリカ合衆国及びヨーロッパと同一に取り扱われるというふうに考えます。
  103. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから中米共同市場ですが、いま中米共同市場はそれによって相当それに参加している国々にとって利益があるか、それからまた、中米共同市場ができたために中米の諸国が全体として経済的に強まっているのか、その点はどういうふうにごらんになっておりますか。
  104. 兼松武

    説明員兼松武君) これは統一条約の場合、発足しましてまだ二年目でございますが、これから徐々にそういう単に貿易の面での関税の統一であるとかというような面だけでなくて、域内の建設企業の内国民待遇あるいは統合銀行の設立であるとか、あるいは域内の物資の自由通過であるとか、いろいろな点を徐々に進めておるわけでございまして、たとえばヨーロッパの場合でもいろいろな各国の利害が錯綜していると同じように、この共同市場加盟国の間でも、必ずしも産業の発達程度それから影響をこうむる特定産業というものが一致してない面がございますので、そういう見地から、これらの国が受ける利益というものも、やはりもう少し時間をかけてみませんと、五年間でございますから、あと三年くらいでございますが、もう少し時間をかけたらはっきり判断できると思います。
  105. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、まだこの中米共同市場というものは、実際のところは海のものとも山のものともわからぬ、こういうことですか。
  106. 兼松武

    説明員兼松武君) いや、もちろんはっきり動いておるわけでございます。ただ、実際に動き出した共同市場の、経済的と申しますか、そういう効果が全体として見えるのは多少時間を要する。たとえば域内の投資銀行の場合でも、銀行が設立されましても、その銀行から受けた融資の投資効果が発生するには、やはり実際上時間がかかるんじゃないか、そういう趣旨で申し上げておるわけでございます。
  107. 岡田宗司

    岡田宗司君 同じ中米でもメキシコは外に立っているわけですが、メキシコとの関係はどうですか。
  108. 兼松武

    説明員兼松武君) お尋ねは、メキシコと中米共同市場との関係という点でございますが、その点は経済局のほうから。
  109. 奈良賀男

    説明員(奈良賀男君) メキシコは中南米の南のほうでできておりますラテン・アメリカ自由貿易連合、いわゆるLAFTAの加盟国になっております。ですから、中米諸国を飛び越えて南の諸国と自由貿易連合をつくっておる。しかし、地理的に中米諸国とメキシコとは近うございますし、メキシコは経済も安定し、工業化も一段と進んでおりますので、中米諸国はメキシコを常に見習うといいますか、模範的に一般の人が見ている傾向はございます。
  110. 岡田宗司

    岡田宗司君 たとえば日本企業が最近メキシコへ進出していますね。そのメキシコでもって生産された日本企業の製品が中米共同市場に入る場合には、これはエル・サルヴァドルにできた日本企業の製品が中米市場に入る場合と非常な大きな開きがありますか。
  111. 奈良賀男

    説明員(奈良賀男君) 中米共同市場のどこかの国に進出しておる日本企業がつくった品物は、五年間の時期が過ぎたあとは完全に無税、あるいはほかの貿易制限は撤廃されて自由に売り込めるわけでございますが、メキシコに出た日本企業のつくる産品は、中米に対しては日本本国から出たものと同じに取り扱われる筋合いでございます。
  112. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、いま日本がメキシコでもって自動車の組み立て工場ができた、それは中米は入らない、やはり入りにくい、こういうことですね。
  113. 奈良賀男

    説明員(奈良賀男君) 関税及び貿易面の規則は、日本から出す自動車と同じに取り扱います。ただし、地理的に見ると、距離と運賃が非常に有利だということはもちろんございます。メキシコも、その日本企業のつくる自動車は、南のほうの諸国にはそれぞれにそのときにきめられる条件に従って有利な形で出せることになるということであります。
  114. 岡田宗司

    岡田宗司君 日本の自動車は中米諸国に入っておりますか。
  115. 奈良賀男

    説明員(奈良賀男君) 中米諸国には、いすゞ自動車の、いろいろな乗用車を含めまして各種のバスあるいはトラック、それから日産、かなり入っております。六二年の日本からの輸出品の中で自動車類というものが五十四万ドル程度の実績を占めております。六二年の日本の全部の——これは対サルヴァドルだけでございますが、対サルヴァドルの輸出が八百万ドル程度でございましたので、そのうち五十四万ドルは自動車になっております。
  116. 二宮文造

    ○二宮文造君 オーストラリア連邦との協定についてお尋ねしたいのですが、手元にある資料を見ますと、オーストラリアに対する輸出実績で、輸出額は一九六〇年に七千八百万ドル、六三年に一億五千八百万ドルで、倍増しております。ですが、その繊維品の中で綿織物の項目を見ますと、一九六〇年に三千六百万ドルで、でこぼこがありますが、六三年には三千五百万ドルに減っておりますが、これには何か考えられる理由がありますかどうか、まずその点をお伺いしたいと思います。
  117. 橘正忠

    説明員橘正忠君) 御指摘のとおり、オーストラリアに対する綿織物は、日本輸出の一番の大きなアイテムでございますが、年によりましてでこぼこはありますが、やや頭打ちの状況がここ数年続いております。年によりまして、たとえば一九六〇年あるいは六二年はかなり輸出伸びております。これは、一つ向こう景気状況によりまして、これは非常に向こう景気のいい年であったので、綿織物の輸出伸びたわけでございます。それから、そのほかの年は、大体三千万ドルから三千五、六百万ドルを前後しております。これは、大体オーストラリアの綿織物の全体の動きもほぼ同様の動きをしておりますが、特に日本品が特定の年にふえ、減ったということよりも、全体の景気の動向によって左右されておると思います。ただし、一つは、向こうも綿織物の国内産業がございますので、日本の進出状態も、そういう意味ではやや頭打ちの状況が続いておるというのが実情でございます。
  118. 二宮文造

    ○二宮文造君 この綿織物がオーストラリア輸入全体の中で占める割合は、どれくらいのパーセントになっておりますか。
  119. 橘正忠

    説明員橘正忠君) これは一九六一年、二年の向こうの会計年度の数字でございますが、全体の綿織物の輸入のうち、二一・六%が日本からの輸入でございます。
  120. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっと無理かもわかりませんが、豪州市場全体の需要額のどれくらいになりますか、パーセントは。
  121. 橘正忠

    説明員橘正忠君) 現在、国内における全体の需要の中で輸入の占めております部分が、大体八五%でございます。国内生産が一五%でございます。
  122. 二宮文造

    ○二宮文造君 日本アメリカに対する綿織物の輸出は、いわゆる自主規制という形で進められておりますが、州に対する輸出の方法は、そういう自主規制を加えられておりますか。そういう形をとっておりませんか。
  123. 橘正忠

    説明員橘正忠君) 綿織物の輸出の中で、実は豪州マーケット日本にとって世界最大のマーケットになっておりますが、現在の日本の綿織物の輸出は、わがほうの業界の完全に自主的なイニシアチブで、内々、ある一定の数量、向こうマーケット状況を見て輸出の量を規制するというやり方をやっております。ただし、これは先方からしいられるとか、先方と交渉してやるという形ではなく、完全に自主的な形になっております。
  124. 二宮文造

    ○二宮文造君 その場合のめどというのは、どういうところに置いて自主規制をされておりますか。
  125. 橘正忠

    説明員橘正忠君) これは実は政府は介入しておりませんで、もっぱら業界の方々が向こう景気状況、それから向こうの国内生産の状況、それから市場の嗜好の動き、それから他国からの輸出状況、こういったものをにらみ合わせまして、賢明に判断をされて数量を大体めどをつけてやってこられておると了解しております。
  126. 二宮文造

    ○二宮文造君 綿製品に関する国際協定があったと思いますが、豪州はそれに加盟しておりますか。
  127. 橘正忠

    説明員橘正忠君) 加入しております。
  128. 二宮文造

    ○二宮文造君 ところで、オーストラリアでは、いま日本繊維製品についての関税引き上げということが問題になっておりまして、日本業界でもたいへん心配しておりますが、その見通しについて伺いたいと思うのですが。
  129. 橘正忠

    説明員橘正忠君) 御指摘のとおり、綿織物に関しまして豪州における関税委員会の公聴会が昨年末から本年にかけて行なわれておりまして、去る三月初めに終結したところでございます。向こうの関税委員会は政府から一応独立の機関、公正な判断とする機関ということになっておりますので、向こうの関税委員会におきまして、現在自国の産業あるいは日本側業界から提出された資料、その他の国からの資料に基づいて現在検討を続けておるという状態でございます。過去におきまして実例を見ますと、関税委員会の審査の結果政府に対して報告書が出ますのに、大体短いもので半年、長いものは一年半ぐらいかかっております。したがいまして、去る三月公聴会が終わりましたが、これからあと報告書が出ますまでには、なお若干の時日を要するのではないかと考えております。
  130. 二宮文造

    ○二宮文造君 こういう協定が、そういう繊維品、特に綿織物の日本の今後の輸出についてどういう方向を示唆することになりますか。
  131. 橘正忠

    説明員橘正忠君) この議定書によりまして、特に綿織物について、はっきりしたそのための規定は特に設けておりません。ただし、今回の議定番によりまして、従来の貿易協定におきましてはいわゆるセーフガードの条項がございましたが、この議定書が発効いたしますれば、そのセーフガードの条項、もとの五条でございますが、これが落ちることになります。したがいまして、セーフガードを発動されるというような事態はなくなるわけでございます。
  132. 二宮文造

    ○二宮文造君 では、最後にお尋ねしますが、豪州におけるこういう綿織物の輸入市場の需要の八五%を占めている。その中で大体日本が二〇%占めている。そうすると、日本からの豪州に対する綿織物の輸出というのは、この金額を限度と、こういうふうにお考えですか。それとも、このワクがだんだん広がっていく見通しであるかどうか、それを伺っておきたいと思うのですが。
  133. 橘正忠

    説明員橘正忠君) 綿織物の輸出の過去の動きから見ますと、大体やはりある程度日本側の発展が一つのふちに来ている、ある程度横ばい状態が続いているというのが現状でございまして、ただ、向こう景気がよくなればまた伸びる。したがいまして、わが国として綿織物はいわばイギリスのランカシャーの綿業を駆逐してあそこに地歩を確保したわけでございますが、今後もこの地歩を確保し、さらに向こう状況も見ましてこれを拡大していきたい。ただし、拡大にはそれほど急速な大幅の伸びというものは必ずしも期待できないかもしれない。すでに非常に大きなシェアを日本がとっておるというのが、大体業界の方々の見方と了解しております。
  134. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 御異議ないと認めます。  通商に関する日本国オーストラリア連邦との間の協定を改正する議定書締結について承認を求めるの件についてこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。本件全部を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  137. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 全会一致でございます。よって本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、通商に関する日本国エルサルヴァドル共和国との間の協定締結について承認を求めるの件について、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。本件全部を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  139. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 全会一致でございます。よって本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 御提議ないと認め、さよう決定いたします。  速記をとめて。   〔速記中止
  141. 黒川武雄

    委員長黒川武雄君) 速記を始めて。  ほかに御発言もなければ、本日はこの程度で散会いたします。    午後零時二十五分散会    ————・————