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説明員(
兼松武君) 何ゆえこういう動きが出てきたかという第一点の御質問でございますが、その点に関しましては、ちょうどアジアでエカフェ——国連のアジア極東
経済委員会というのがございます。それに対応いたしますものが、ラテン・
アメリカで、国連のもとにラテン・
アメリカ経済委員会という地域的な
経済協力機関がございます。この地域的な
経済協力機関のもとにおきまして、一九五一年ごろから、南米だけじゃなくて、中米にもそういう各国間の
経済的な
協力関係を促進するようなことをいろんな形で研究したらどうかというような示唆が行なわれまして、五二年、三年ごろから、漸次そういうふうに中米の比較的に面積も小さい、人口も小さい、産業も
一つの国としては非常に弱い、そういう国の間で、生活
水準を向上さすためには、やはりある
程度地域的な
協力関係をその地峡の諸国問で促進していったらどうかというふうな機運が各国の間に漸次出てまいりまして、ただいま申し上げましたような、ラテン・
アメリカ経済委員会のほうの側面的な援助もございまして、これらの国の間で漸次そういう
方向に動きが発展してまいりまして、その結果、現在では約十以上の——全部その同じ加盟国ではございませんが、あるものは、中米にパナマを合わせまして六カ国ございますが、そのうちの三カ国だけの問、あるいは四カ国だけの間、あるいはパナマと他の二カ国というようなかっこうでいろいろ地域的な
協力の条約ができまして、それの基本をなすものは、一九六〇年に署名されまして六一年に発効いたしました中米
経済統合に関する一般条約というものがございます。これが、いま先生が御
指摘の、あるいは共同
市場という名によって排他的な
傾向を有するのではないかというような点に一番近い名称を有する条約でございますが、目的は、先ほど御
説明申し上げましたとおり、こういう小さな国の間の
経済をもとにしてその生活
水準を向上さすという、本来何ら排他的という性質は持ってないわけでございますが、でき上がりましたいまの条約から見ますると、あたかもヨーロッパにおける共同
市場に似たような共通の特徴を
一つ持っております。それはもちろん、たとえばヨーロッパにおけるものは十二年間で共同
市場を完成する。小さな中米地峡の場合にはそれが五カ年間で行なわれる。そうして、特定国におきまして非常に
影響の大きい若干の
品目を除いて相互間の関税を、対外的な関税を統一して、内部的には全部これを撤廃していく。その他それに関連いたしました
経済統合の促進をして、それぞれの国の
経済の内部的な発展をはかるという趣旨の規定がございまして、本来共同
市場ということから当然に伴って出てくるいわば排他性と申しますか、その
程度のことはやむを得ないと思いますが、これが排他的なことを第一の動機として設立されたという趣旨のものではございません。