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1964-10-09 第46回国会 参議院 外務委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年十月九日(金曜日)    午前十時四十二分開会   ―――――――――――――   委員異動  九月十二日   辞任      補欠選任    岩間 正男君  野坂 参三君  九月三十日   辞任      補欠選任    戸叶  武君  加藤シヅエ君   ―――――――――――――  出席者は左のとおり。    委員長     青柳 秀夫君    理事            井上 清一君            草葉 隆圓君            長谷川 仁君            加藤シヅエ君    委員            鹿島守之助君            木内 四郎君            黒川 武雄君            杉原 荒太君            山本 利壽君            和田 鶴一君            岡田 宗司君            佐多 忠隆君            羽生 三七君            森 元治郎君            曾祢  益君            佐藤 尚武君   国務大臣    外 務 大 臣 椎名悦三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       結城司郎次君   説明員    原子力委員会委    員       兼重寛九郎君    科学技術庁原子    力局長     村田  浩君    外務大臣官房外    務参事官    安川  壯君    外務省アジア局    外務参事官   広瀬 達夫君    外務省アメリカ    局長      竹内 春海君    外務省条約局長 藤崎 萬里君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○国際情勢等に関する調査  (国際情勢に関する件)   ―――――――――――――
  2. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  この際、委員異動について御報告申し上げます。  去る九月十二日付をもちまして岩間正男君が委員辞任され、その補欠として野坂参三君が選任されました。また、九月二十日付をもちまして戸叶武君が委員辞任され、その補欠として加藤シヅエ君が選任されました。   ―――――――――――――
  3. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 次に、理事補欠互選についておはかりいたします。  理事加藤シヅエ君が一時委員辞任されましたため理事に欠員を生じております。つきましては、その補欠互選を行ないたいと存じます。互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 御異議ないと認めます。それでは、理事加藤シヅエ君を指名いたします。   ―――――――――――――
  5. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 国際情勢等に関する調査を議題といたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。佐藤委員
  6. 佐藤尚武

    佐藤尚武君 外務当局の方にそれではお伺いするのでございますけれども、昨年の荘だったと思いますが、この委員会で私は当時の外務大臣の主意を喚起したことがございました。それは国連軍縮問題でありまして、日本軍縮の十八カ国の中には入っていない関係からして、軍縮問題については国連発言の機会がない。全くないわけじゃありませんけれども、直接に責任のある委員会でもって発言をすることができないといううらみがあるのであります。しかしながら、日本みたいな国――つまり、武装を全部解除してしまった国であればこそ、軍縮などの会議に出て、そうして十分な意見を吐き、東西両陣営の間にいままだみなぎっておるところの不信感、それから生ずる軍縮の遅々たる進行というような場面において大きな意味を持つ発言をなすことができる、これを促進する方向に進めていくということができるのではないかと思うのであります。しかも、日本は戦前大きな軍備を持っておった国でありますがゆえに、その方面における経験もあるはずであります。したがって、日本としてはこの十八カ国委員会に入り込んでいくということを考えなければならない。以前はソビエトあたりが反対をしておったという事態もあったのでありますけれども、現在はすでにその辺の空気が変わってきておるように思われますので、外務省としてもそういう方面に力を入れていただきたいものであります。ただし、日本政府軍縮問題から戦後ずっと遠ざかっておった関係からして、いきなり軍縮委員会に入るということも困難であろうからして、まずもって外務省内研究機関を設けて、軍縮推移等について研究を臨めることにしてはいかがなものでありましょうかというような意味質問をいたことがございました。当時総理大臣も出席しておられたと記憶しますが、総理並びに外務大臣もそれに対して賛意を表せられて、何か聞くところによれば、外務省資料部ですか、資料局ですか――資料部でしたろう――というものができて、その資料部でもって軍縮問題の研究を始めたということもちらちら聞いております。また、資料部でこしらえ上げた、軍縮に関するいままでの経過調査という問題について、りっぱな刊行物が出たのも承知しております。私はただわからないのは、この軍縮のような大きな問題が外務省資料部という部で扱うという点にある。資料部といえば、官制の内容は、私は見ておりませんから、よく知りませんが、何かしらん、国際関係とか外交上の問題とかに関する資料を集めるというのが主たる任務であるかのように了解されるのであります。そういう部門でもって軍縮研究するということがはたしてどういうことになるのか、その辺の事情をひとつ御説明を願いたいと思うのであります。そしてまた、これから先、軍縮の問題についてどういう方針でやっていくつもりであるのか、また、行く行くは国連会議に割り込んでいくというようなそういう心がまえでもってやっていかれるのであるか、その辺の事情をひとつ御説明願いたいと思います。
  7. 安川壯

    説明員安川壯君) お尋ねの軍縮問題の研究は、前々から佐藤先生の御質問もございましたが、当時の大平大臣から御答弁申し上げましたとおり、この問題については十分外務省としても体制を整えて、行く行くは国際会議におきましても、日本としての立場から軍縮問題に寄与し得ることを目標にして、とりあえずは軍縮問題についてまず勉強を始めようということを御答弁したと記憶しておりますが、ただいま御指摘のように、とりあえずの、何と申しますか、出発点といたしまして、国際資料孫の中に軍縮関係担当官を置きまして、そこでまず勉強を始めるという段階にあるわけでございます。ただいま、国際資料部というものでこういう問題を取り扱うのは必ずしも適当ではないのではないかという御指摘でございますが、国際資料部と申しますとちょっと名前が熟さないかと思いますが、これは昨年の通常国会のときに、外務省機構改革の法案を提出いたしまして、国会でも御審議願ったわけでございますが、名前はちょっと熟さないかと思いますが、国際資料部任務と申しますか、仕事の内容は、ただ資料を集めるということではないのでございまして、目的は、国際情勢全般の、何と申しますか、情勢判断をするということを本来の目的としております。国際情勢判断に必要な情報資料を収集して、かつそれを調査しまして、これを分析して国際情勢判断に資するというのが本来の国際資料部任務であります。そこで、軍縮問題となりますと、ある地域であるとか、ある部分的な外交関係というものではなしに、やはり大きな国際情勢というものにつながるわけでございますので、現在の外務省機構の中で軍縮問題を全般的に検討するということになりますと、やはり現在の機構の中におきましては、国際資料部でこれを担当させるのが最も適当だという判断に立ちまして、現在、とりあえず国際資料部勉強を始めておるというわけであります。もちろん、この勉強の結果、日本として軍縮会議にどう対処すべきかという立場を打ち出せる段階になりました場合に、実際に国際会議に出まして日本が積極的にこれに参与するというような時期になりましたならば、その段階において、もちろん外務省機構という面からあらためて考え直さなければならぬ時期が来るかと思いますけれども、とりあえず現在におきましては、基礎的な研究と申しますか、勉強するという段階ということでございますので、国際資料部が最もそれに適した立場にあるという観点に立ちましてやっておるわけでございます。
  8. 佐藤尚武

    佐藤尚武君 いまの御説明でよく事情はわかりましたが、ただ、一つの部で扱うということになると、何だか外から見た場合に、その機構が小さなものになってしまうような気がするのであります。各官庁には局とか部とかいうものがありますが、局のほうが大きくて部のほうが小さいというのが普通で、現在に関する限りはそうなっておると思うのであります。こういうような大きな問題、軍縮問題だけの調査でもかなりのこれは人数を要する問題ではなかろうかと思うのであります。しかも、いま御説明のごとく、国際情勢に関する資料を集めるばかりでなくて、それに対処する政策考えていくのだ、研究していくのだというようなことになりますならば、部というような小さな仕組みではどうかと思うのであります。局にこれを改めて昇進させるといいますか、とにかくもっと大きな仕組みでやるというようなことはお考えになっていないのですか、外務省としては。
  9. 安川壯

    説明員安川壯君) これは軍縮問題にばかり限りませんで、これは外務省機構のあり方の問題になると思いますが、現在、御承知のように、各地域局というものがございまして、そのほかに、たとえば経済局あるいは国連局、あるいは情報文化局、こういう機能によって分かれているわけでございます。そこで、外交政策ということになりますと、現在のような国際情勢におきましては、一つ地域の問題が直ちに他の地域関係してまいります。あるいは経済問題と申しましても、これが直ちに政治問題に関連しておりますので、そういう現在の国際情勢において、外務省機構というものをそれに合わせるためにどういうふうに考えていくかということは、確かに大きな問題であると思いまして、いろいろ省内においても検討はしておりますけれども、いま御指摘のように、総合調整と申しますか、国際情勢判断につきましても、軍縮問題につきましても、確かに大きな総合的な見地から処理しなければならぬ問題でございますので、そういう総合調整と申しますか、あるいは企画と申しますか、そういう問題についてはもっと強力な機構をつくるべきではないかという御意見は確かにごもっともだと思いますけれども、これはまあ軍縮問題に限りませんで、全体的な問題になりますので、根本的に改めるということになりますと、いろいろ問題がございますので、目下研究段階にあるという事情でございます。
  10. 佐藤尚武

    佐藤尚武君 われわれが希望するところは、軍縮会議などに出て行って権威のある意見を吐いていただきたい。ただ軍備を持っている大きな国々主張に追従していくというようなことでなくて、軍備を持たない国、軍備を解除した国、そうして現在大きな軍備を持って困り抜いている、そういう国々を引っぱっていく。われわれ並みに全部まる腰にさしてしまうという意気込みを持って、そういう国連委員会その他の会議に臨んでいただきたいと思いまするがゆえに、日本においていま研究段階にあるとしても、そういう意気込みでもって日本主張考え、いただき、また、これを徹底させる手段研究していただくというようなふうに持っていっていただきたいと思うのでありますが、それはさておき、この十八カ国委員会がいま存在している。それに日本も参加を申し込むというような時期はまだ来ていないのでありましょうか。もしくは、外務省としてはまだまだそういう問題までは手がつかないというような考え方でありますか。その辺の御意向をお伺いしたいと思います。
  11. 安川壯

    説明員安川壯君) これは御承知のように、十八カ国委員会ができます段階におきまして、日本も入ったらどうかという非公式な意向の表明があったことは事実でございますが、それに対する日本政府態度をきめる前に、実は関係国の間でつぶされてしまったという事情がございます。そこで、現在は十八カ国というもので実際に運用されておりますので、これが、あるいは国連において将来これを改組するというようなふうになりますれば、あらためて日本が加入するかどうかという問題が再び取り上げられると思いますが、現在のところ、私の承知しております限りでは、この十八カ国委員会をさらに国連総会あたりで改組するというような機運は、現在のところはないものと承知しております。
  12. 佐藤尚武

    佐藤尚武君 大臣も来られたようでございますから、私の質問はこれで打ち切りますが、しかしながら、繰り返すようでありますけれども、十八カ国委員会なりその他の軍縮会議日本が堂々と参加していくという方向日本政府としての方針を向けていただきたい。そういうことを希望を申し上げまして、質問を終わります。
  13. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 岡田君。
  14. 岡田宗司

    岡田宗司君 外務大臣に、日韓関係の問題についてまず御質問申し上げます。過日、アメリカパンディ国務次官補日本に参りました。それからさらに韓国に参りまして、そしてバンディ国務次官補は、日韓会談を進めて日韓関係正常化ということをどちらにも勧告していったようであります。ところが、日韓関係を見ておりますというと、前に、韓国側事情、特に学生等の激しいデモがありましてそして韓国政府日韓会談を打ち切らざるを程なくなったような状況で、今日まで事実上会談進行を見せておりません。この間において、たとえば漁船拿捕がひんぴんとして起きておる。最近におきましては、韓国警備艇日本漁船に、夜、ぶつかって、そしてそれを連行する。その際に、その船が損傷のために沈んだというふうな事態も起こっております。こういうことはいままでになかったことであります。あるいはまた、日本商社向こう駐在員活動に対しまして、これに対する課税の問題も起こっております。あるいはまた、二千万ドルの借款の問題について、これまた韓国のほうからいろいろ文句をつけられて、日本側はそれに譲歩をしたような形で、韓国側意向をいれてこの借款が一応成立したようなかっこうになっております。おそらく外務大臣としては、その二千万ドルの借款を与えることによりまして、たとえば漁船拿捕の問題であるとか、あるいはまた、日本商社に対する課税の問題、そういう問題について韓国側が柔軟な態度をとるであろうということを期待されてそうされたようにも問いておるわけでございますけれども、しかし、事実は韓国側はいよいよ高姿勢になるばかりのようであります。どうも私ども新聞で見ておるばかりで詳しいことを直接お聞きしておるわけではございませんが、この際、まず、この春に日韓会談が事実上打ち切られてから今日に至るまでの日韓の間に起こりましたこういうようなトラブルについて御報告を願いたいと思います。
  15. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 事実の報告でございますから、事務当局から一応お答しえいたさせます。
  16. 広瀬達夫

    説明員広瀬達夫君) いま御指摘のありましたように、この春以来日韓交渉が一応中断しておる状態でありまして、その間非公式な会談は行なわれておりますが、正式な会談は中断しておるわけでございます。いま提起されました二千万ドルの援助の問題でございますが、これはまだ正式に先方より回答がございません。新聞紙上伝えられておるところでは、大体向こうもこれに乗ってくるように伝えられておりますが、まだ正式には回答ございません。それから、いまこういうような二千万ドルの借款をやるということは、韓国に駐在しておる日本商社に対する課税の問題とか、あるいはひんぴんと起こっている漁船拿捕の問題を解決する手だてになるということでやっておるのではないかというような御質問でありますが、この問題はそもそも、六月戒厳令下韓国経済がまことに不安定であり、民生が非常に苦しんでおるというときに問題が起こりまして、事務的に町君の間で話を諦めていき、ついにこちらの具体的な案が提出されるということになったわけでありまして、決してこの問題と、漁船拿捕の問題とか日本商社に対する課税の問題とかをからんで進めたものではございません。もちろん、こういうようなことが解決されました暁に、そのような問題がいい方向に向かっていくということは期待するところでございますが、この問題はそもそも経緯からいいまして、初めから、隣の国である日本が、韓国経済がまことに不安定であり人民が苦しんでいるので、何ほどかの助けをしてやって、彼らの経済的な安定、ひいては政治的な安定に資するために計画しておったのでありまして、これと漁船拿捕の問題とは別個の問題として考えてやってきたわけでございます。それから、漁船拿捕の問題については、ここで詳しく、もし御必要とあれば、経過を申し上げますが、これは大体新聞紙上に書かれておったような経緯でございまして、まことに公海上不当な、いままでかってないような事件でありましたので、特に外務大臣からペ大使厳重抗議もされたような次第で、先方も正式にその非を認めたというようなことはございませんが、幾ぶんなりとも遺憾の意を持っておったことと思われまして、即日その晩に洋上交換釈放されたというようなことでありまして、しかしながら、依然としていまだ船としては四隻向こう拿捕されており、船員は十八名向こうに抑留されておるというので、この問題についてはもちろん厳粛抗議し、この解放返還について外務省としては鋭意努力しておる次第であります。課税の問題については、先方は九月の初めに日本商社の八社に対して所轄の税務署から、日本から韓国政府向けに直接入札取引にかかわった法人税営業税を九月の十五日までに納付するようにという告知状が送られてきたわけでございます。ところが、日本商社は現在すべて向こうで登録は許可されておりません、営業行為を認められておりませんので、現地の駐在員は、本件の課税法的根拠とか計算基準、それから納税した場合にはその後の日本商社ステータスがどうなるかというようなことについてはっきりと――問い合わせをして回答があってからその態度をきめるということで臨んできたわけであり、かつ、日本政府を通じて韓国政府交渉してほしいというように、問題を政府のほうにまで持ち上げられてきたわけであります。で、わがほうとしても先方に対して、その課税根拠、それから今後の商活動についての保障とか、いろいろの問題について先方説明を求めましたところが、韓国側から一応の回答がございました。その回答につきまして関係各省で検討いたしましたところ、まだ十分なる解明がなされず、疑義が残っておりますので、韓国側にさらにその疑義の点を指摘しまして回答を求めているのが現状でございます。したがって、日本商社に対して、期限までに納めない場合には差し押えの処置をするというようなことを先方が申しておりましたが、そのように、問題がはっきりと解明していない段階において、そのような強硬な措置をとられる場合には、まことに両者間に好ましからぬ事態が起こるので、そのようなことは決してしないように、問題の解決するまで強硬措置をとらないようにということを申し入れており、現在までまだ日本商社は納めておりませんが、差し押えとか、そのような措置はとられておらない、まだ未解決のまま折衝中というのが現状でございます。
  17. 岡田宗司

    岡田宗司君 いまきわめて簡単な御報告があったわけでありますが、私ども新聞記事を通じて見ても、あるいはまた、いまの説明をお聞きいたしましても、どうも納得ができない。公海上においてひんぴんと漁船拿捕される。しかも、かつてないような事件まで起こっておる。まあ、あの事件洋上交換で片づいたといたしましても、あの際に、もし一本側に韓国側警備艇乗り組み員が押えられておらなかったら、一体ああいうふうな交換が行なわれて日本漁民が釈放されたかどうかも疑問なんですね。たまたま向こうの乗り組み員が日本側に救助されて抑えられておったから交換が成立して釈放されたということだと思うんですけれども、沈められた漁船に対する賠償問題がどうなるかもわかりませんが、つかまっている者、それからその漁船釈放等もまだどうなるかわからない。あるいはまた、いま言った、突如として日本商社に対して、ステータスもきまっておらぬのに、どんどん課税をしている。これも聞くところによると、外務省は、まあ穏便に払ったほうがいいという意見商社側に伝えたということを聞いているわけです。あるいはまた、その二千万ドルの問題につきましても、韓国側からいろいろ言われて、そうして、ああでもないこうでもないという結果、だんだんに譲歩していく。まことに不手ぎわを示している。われわれから見ますというと、韓国側高姿勢でもって出てくると、何でも、こちら側としては譲歩してでも、何か日韓会談を成立さしたいというような心がまえで臨んでいるのじゃないかと思われるのであります。まあ、いわば、どうもなめられているような形ですね。一体、これに対して外務大臣はどうお考えになっているのです。あの韓国のやっておりますことは決して不当なことではないというふうにお考えになっているのか、そうして、ああいうことをやっているのをそのままにして、バンディ国務次官補のすすめによって、これから両国の会談をスムーズに開いていけると、そういうふうにお考えになっているのか、まず、そこからお伺いしたい。
  18. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 漁船拿捕の問題は、これはいわゆる李ラインというのを認めるか認めぬかという問題にかかるのでございますが、これは国際法上から申しましても、あるいは国際慣行から申しましても、まことに不法不出なものでございまして、ごうもこれを認めるという必要は、毛頭ないのであります。わが方はそういう方針のもとにやっているのでありますけれども向こうは、これは合法的だ、適法なものであるという前提のもとに、季ラインを侵犯する船は、これはもう当然見のがすわけにいかない、こういう考え方で、根本的にそこに食い違いがあるのであります。で、これをいかにして打開するかというのでございますが、日本といたしましては、御承知のとおり、国際紛争を力をもって解決するという一切の手段は、これは憲法上においても認められておりませんし、できない、あくまで話し合いでこれを打開する以外にはないと、かように考えて、それで漁業交渉を先般進めたのであります。すなわち、かような李ラインなんというものはもう認められない、韓国側からこれは撤廃すべきものである。これにかわって専管水域――領海ということまでは行かぬにしても――専管水域というものをだんだん考えられてまいっておりますから、領海プラス専管水域というものを、十二海里なら十二海里というものに認め、そうして、その認め方についてもいろいろ技術的に困難な問題がありますが、その専管水域外においては、魚族資源の保護のためにお互いに自制し合って、規制をする、そうして、さらに漁業関係については特別の援助を、漁業協力をひとつ考えようじゃないかというような、大体こういった三項目について話を進めてまいったのでありますが、不幸にして、韓国側の国内の事情のために交渉が中断されて現在に至っているような状況であります。でありますから、あくまでこの線を進める以外には私はないと考えております。最近非常にこの漁船拿捕あるいは巡視船活動がひんぱんになって、もう網をおろすひまもないほど活発で、したがって、拿捕の隻数は必ずしも昔と違って多くなったというのじゃありません、むしろ少なくなっているかもしれませんが、しかし巡視船活動が非常に活発になった。そこで、こっちは正当な漁業でありますけれども向こうはこれは不法だと、それで追い回されるというような関係で、操業率が非常に落ちて、ために倒産をするものすら出てきておる。であるからして、国内の漁業者は、政府がこれを補償すべきであるというような陳情もしばしば出ておるのでありますけれども、これは李ラインを前提にする拿捕行為というものを是認するというような思想につながるのでございまして、絶対にこれは筋違いであるということで、われわれはこれを受け付けるわけにはいかぬ。まことにお気の毒ではあるけれども受け付けるわけにはいかぬ。それでもう一つの道である漁業交渉を再開して、そうして、なるべく早くこの問題を妥結するという以外にはもはや方法はないということでやっておるような次第であります。  商品の援助は、いま事務当局からもお答え申し上げましたとおり、これはその問題とは関係なしに、少なくとも事実上の隣国関係であり、長い間いろいろな緊密な関係をとってきた韓国の実情がまことにどうも見るに忍びない、少しばかりの援助をすれば、韓国の雇用関係も、あるいはまた、国内あるいは対外的な外貨獲得の関係においても、目に見えて実績があがるということがわかっておる。つまり、原材料あるいは工場の機械部品等の補給いかんによっては、いまの非常に低い操業率が急に高まってまいりまして、雇用関係もよくなるし、経済関係も非常に強化されるということがみすみすわかっておるのでありますから、請求権問題を離れた一つ経済協力という意味において商品の援助をしようじゃないかということが、今年の春ごろに先方の希望もあり、こちらも、しからばというので、話が始まったのでございまして、これは全然こういう問題とひっかけて、そうして、これのかけ引きに使うという性質のものではないのでございまして、これはこれとして進める、こういう事情でただいま先方の確答を待っておるというような状況でございます。
  19. 岡田宗司

    岡田宗司君 この二千万ドルの経済援助といいますか、この問題と、それから漁船拿捕等の問題と、これ全然関係がないと、こう言われるのですけれども、とにかく日本韓国との関係を打開しようというときには、やはり政府としてある一つ方針を立てて臨んでおると思うのです。で、この二千万ドルの問題も、あるいは漁船拿捕についての政府の対策も、切り離してと言ったって、これは事務当局では切り離してやるかもしれないけれども外務大臣としてあるいは政府としてこれを切り離して考えるなんというのは私はおかしい。これはやはり韓国に対する一つ態度として、そこから、それに基づいて行なわれる問題でなければならぬわけなんです。それをただ、切り離してやりますと、これじゃ、片方で、どんどん韓国のほうの要求もあり、しかも韓国のほうからいろいろ条件の問題についても言われて、それに日本のほうも従うようなかっこうで二千万ドルの援助をしておいて、片方で、漁船の問題について、あるいは課税の問題その他の問題について、私は何ら向こうのほうで日本側に対して誠意ある態度を見せない。そういうときに、これは別の問題だからそのまま進めていっていいのだということにはならぬと思うし、それからまた、それでは国民を納得させることにはならない。だから、これらの問題について、閣議の中においてもだいぶいろいろ意見があったということを聞いております。それほどやはり意見のある問題なんですから、これらはやはり外務大臣としてはもっと深くお考えになるのがしかるべきじゃないかと思うのです。私どもは、第一、この日韓会談を進めていく形の上からいっても、どうも、はたしてこれが平等の立場で行なわれているかどうかということさえ疑わしいと思っておる。御承知のように、日本には韓国の代表部があります。これは大使が派遣され、そうして相当な陣容を整えておる。こちら側は向こう側に代表部を持っておりません。けさの読売新聞によりますというと、総領事館を置きたいというので向こう交渉するような話が出ておりましたけれども、とにかくきわめて控え目で、そうしてまた、日本側がいつも代表部の問題について向こうに要求されれば断わられるというようなことなんですが、今度の総領事館の設置問題だってどうなるかわかりませんが、一体そういうような両国の平等の立場による話し合いということもやれないようなことで、しかも、いま言ったように、借款の問題についてはこれは別でありますというようなことで、はたして韓国側に対して日本側が、こちら側の考えておるようなことを正当に理解さすこともできるかどうかおぼつかないと思うのです。向こう側では逆に、強気で出てくれば出てくるほど日本側では譲歩する。たとえば前の有償無償の援助といいますか、あの問題のときにもそうだった。切り離してやれば、向こう側は切り離してそれだけ成果を得る。あれはまだ実際に実行されていませんから、また、いま二千万ドルの問題もまだ実行されていませんからまだ余地があるのですけれども、しかし、私どもは、そういうような経済の問題を切り離してそれだけは先へ片づけるのだ、それから向こう側が何とか漁業の問題だのその他の問題で考え直すだろうというような甘い考え日韓会談に臨んでおるということが、私はどうも国民を納得させる道じゃないし、こういう会談のやり方なら、会談は進めないほうがいい、こう思っておる、その点はどうお考えですか。
  20. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 両国の関係は、なかなか政治、経済あるいは文化、いろいろな関係において複雑多岐なものがあるのでございまして、この課税問題にしても、ただいまはこちらの納得がいかぬ点がありますので、それをただしておるという段階であります。必ずしも支店設置を認められなくとも、もしもそこに正当性が幾分でも認められるならば、その限度においてあるいは課税に応ずるということがあるかもしれない。現にそういったような事例は他の国との間においてはあるのでございまして、何もかも感情的にいきり立ってこっちがやるというようなことになると、これはいつまでたってもシーソーゲームで、日韓会談というものは実を結ばない。これは必ずしも、こっちが犠牲を払って向こうが得をするというものじゃない。相互において大局的にこの会談の成立が有利なのでございますから、場合によっては、いわゆる寛容と忍耐の態度を持って臨むことも必要である。そうかといって、あまり人をなめたようなことをされて、それで唯々諾々として、右のほっぺたをなぐられたならば左をまた出してやるというようなことでも、これはもちろんいかぬのでございまして、やはり国民の感情というものを十分に考えながら、それを背後にしながら外交交渉を進めるのが適当であると思うのでございまして、その点につきましては、岡田さんの言われることもごもっともだと思いますが、しかし、あまり感情にとらわれても、両国の関係というものは前進しないのじゃないか、かように考えて、しんぼう強くやっておるような次第でございます。
  21. 岡田宗司

    岡田宗司君 いまのお話ですと、たいへんごもっとものように聞こえるんですけれども、どうも私どもの見ているところでは、左のほおをひっぱたかれてその次にもう一ぺん右のほおをわざわざひっぱたいてもらうようなことをやっているように思われるんです。これでは私はしょうがないと思うが、まあ、前々から日本側でも問題にして断わられてきました京城における代表部の設置の問題というのは、やはり私はこういう交渉の前提ともなるべき一つの条件じゃないかと思うんですが、これはまあいま要求されておらないようですが、けさの新聞に伝えられておりました総領事館を設置するということは、すでにこれを交渉を始めておるんですか。
  22. 広瀬達夫

    説明員広瀬達夫君) このようなことは新聞で報道されておりますが、別に正式に申し入れるというような交渉段階に入っておらないと承知しております。
  23. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういう意向はあるんですか。
  24. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 意向としては、代表部の設置を認めてほしいということは、もう申し入れてあるのであります。向こうとしては、日韓会談をまずやって、妥結した後に堂々と代表部をひとつ認めたい、こういうことで、その問題がいわば懸案になっているようでございます。でございますから、わが方として代表部、あるいは少なくとも総領事館の設置の意向は依然としてこれはあるわけであります。ただしかし、具体的にそれをあらためて提案したという事実がないというだけの話でございます。
  25. 岡田宗司

    岡田宗司君 どうも、なんですね、平等の立場で両国関係正常化しようというやり方ではなくて、どうも日本のほうが少しひけ目を感じながらやっているような感じを与えておるわけでございますが、それはそれといたしまして、一体、二千万ドルの問題ですが、今後、たとえば漁船の問題なりあるいは課税の問題なりについて、韓国側でいまの態度のまま続けておっても、それを韓国から返事があれば与えるつもりなんですか。
  26. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 一応、これはまあ両国の基本方針というものにいずれは帰一される問題ではございますけれども、事項はこれは一応分けて交渉すべきものであるというふうに考えておるのであります。しかし、先ほど申し上げましたとおり、やはりあまり無体なことを重ね重ねやってくるということになると、実際問題として、国民感情の上からいって、事項を異にする問題であっても、そこの推進のしかたに勢いある影響を受けることは、これはやむを得ないことでございますが、しかし、ただいまのところは、これはこれとしてひとつ完結をさしたいという気持ちでございます。
  27. 岡田宗司

    岡田宗司君 もう一度お伺いしますが、いまの外務大臣のお答えは、まあ一応分けて、そうして、これは二千万ドルの問題は二千万ドルの問題として解決をしたい、しかしながら、漁船拿捕の問題その他について依然として韓国が無法な態度をとってくるならば影響がある。つまり、この問題は紙の上では成立したけれども、実行されない場合もある、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  28. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) どうも言い方が非常にむずかしいのですが、実行上どうしてもブレーキにならざるを得ないような状態が起こってくるだろうと思います。これは自然の勢いでやむを得ない。そういう意図は別にございませんけれども、自然そういう影響をこうむることになると思います。
  29. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に、この間のアメリカバンディ国務次官補日本に参りましたのは、向こう政府から派遣されたものでもないし、また、外務省が呼んだものでもないわけでありますけれども、ある外務省の外郭団体といいますか、そこの招待で来られて講演をされた。そのあとで外務大臣がお会いになった。それから韓国に行って、韓国では朴大統領あるいは外務部長官等に会いまして、日韓会談を進めることを慫慂し、そうしてコミュニケのようなものも出たわけです。日本におきましては、バンディ国務次官補から、日韓会談を促進する問題についても、外務大臣に直接お話があったのか、その点をお伺いしたい。
  30. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) まだバンディ次官補と会っておりませんので、いわゆる表敬の意味においてライシャワー大使と同道で訪問を受けました。それで一応のあいさつを取りかわした際に、この韓国の問題等についても円滑な妥結を見ることを希望するというような、たしか趣旨のあいさつがあったと思うのでありますが、特別にこの問題をとらえて論議をかわすというようなことはございませんでした。ほんとうの、まあただあいさつにそのことばが入っておったというぐらいの程度でございます。
  31. 岡田宗司

    岡田宗司君 それを信じますと、日本側では、まあ、あいさつのときにそういう話があったということ、しかし、韓国側に行っては相当突っ込んだ話をしたように伝えられておりますし、また、そうであったろうと思います。これがどういう影響を日韓関係に及ぼすというふうにお考えですか。
  32. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 声明も発表されておるようでございますから、日本におけると違った感じがそこに出ておるように思われますが、日本といたしましては、かなりもう突っ込んで具体的に論議に論議を重ねた問題でございまして、何ら私は日本側としてはバンディの朝鮮における声明等に寸毫の影響力も受けておらないということをここで申し上げることができると思います。
  33. 岡田宗司

    岡田宗司君 しかし、バンディ次官補がこちらで行ないました講演といいますか、その講演を見ますというと、日米安保条約の問題について、あるいはまた日韓関係の問題について、かなり詳しくその方針を述べておるのであります。これは国務次官補という立場でやられたことでありますから、アメリカ政府意向と見ることもできるわけです。私どもそういうものから受け取りますところは、単に両国の関係をよくすることが望ましいというだけでなくて、この日韓関係正常化されるということは、アメリカにとって非常に有利である。同時に、それはアジアにおける反共体制の確立というものと密接な関係があるという政治的な目的まで明らかにされているように見たのであります。こういうような態度アメリカの国務次官補が日本において意見を発表された。あるいはその同じ態度韓国において日韓会談を慫慂された。しかも、いま韓国の首相は台湾を訪問されている。そして、その内容は反共体制の強化ということを大いに論議してきたようであります。それらを合わせてみますと、どうも私どもアメリカのいまの極東政策、これと非常に大きな関係を持って日韓会談の促進方をやりにきたのじゃないかという疑いを持ったわけです。外務大臣が、ごうも影響を受けるものでないと言われたことはたいへんけっこうなんです。これが影響を受けるようでありましたら、これは一つの内政干渉とも考えられますし、同時にまた、それは極東における緊張状態を一そう強めるという結果になるとも考えられるので、われわれははなはだ危険なことと思います。そういう点について、外務大臣日韓会課を今後進めるにあたりまして、その日韓会談というものが、単に日韓関係をよくするということでなくて、別な目的を持って他国に利用されるということのないように私はしてもらわなければならぬ、こういうふうに思っております。日韓会談につきまして、外務大臣の御所見として、これは一体いつごろから始められるのか、そうして、再開されるのか、そうしてまた、再開された場合に、日本側としてはいままでの日韓会談に臨む態度以外の別の態度をもって、大平外務大臣のときとは違った態度をもって臨まれるのかどうか、そこらの点をひとつお伺いしたい。
  34. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 私は、日韓関係正常化するということは、これは他国の大体介在をまつまでの要のない問題であって、日本それ自身の立場において日韓関係正常化されるべきものであるということを確信しておるのでございます。それが他の国のためにいいことか悪いことか、これはあまり考えないでいいのではないかと私は思うのであります。大平外務大臣のときの日韓会談に対する特別の私は見解を聞いておりませんが、やはり同様であったと信じております。
  35. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは、日韓会談の問題はそれだけにいたしまして、次に、一つ原子力潜水艦の寄港の問題についてお伺いしたいのですが、これは先月の二十二日でしたか、アメリカのハワイ州のパールハーバー軍港をアメリカの原子力潜水艦ソード・フィッシュ号が出発をしておる。その際に、潜水艦隊の司令官が、この潜水艦は演習の後日本に立ち寄る第一号の原子力潜水艦になるかもしれないということを言っておるのであります。このことは過日のNHKのテレビ放送でも原子力潜水艦についての特別の取材が行なわれまして、その際に伝えられておるのであります。すでにこの原子力潜水艦ソード・フィッシュ号が日本に入港するということはアメリカ側では予定しておるように見受けられるのですが、その潜水艦が日本に入るということの通報はございましたか。もちろん、二十四時間前に通報すればいいことになっておるのでありますが、アメリカではもうすでにそれを発表しておるのでありますが、その通報があったか、これをお伺いしたい。
  36. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 通報はございません。
  37. 岡田宗司

    岡田宗司君 その潜水艦が大体入港するであろうという推定はされておりますか。
  38. 竹内春海

    説明員(竹内春海君) 先ほど岡田委員が御指摘のソード・フィッシュ号が日本に入る第一号に艦になるかもしれないということは新聞報道で聞いておりますが、また、同じく新聞報道でもそれを否定するような報道もあったと思いますが、そういう、アメリカ側の政府意向としてあの船が第一船になるということは何ら聞いておりません。
  39. 岡田宗司

    岡田宗司君 次にお伺いしたいのは、すでにバックグラウンドのモニタリングをやっております、まだ結果は出ておりません。これらから推しますと、大体十一月中旬ごろにソード・フィッシュ号が日本に入ってもよろしいという準備はおやりになっておるものと思われるのですが、その点はどうでしょうか。
  40. 竹内春海

    説明員(竹内春海君) ただいま科学技術庁を中心といたしましてバックグラウンドの調査を行なっておられます。その結果、調査が終わり、かつまた、モニタリング――これは入港したときの準備ができますれば、いつ入るかはアメリカ側の都合できまることと思います。
  41. 岡田宗司

    岡田宗司君 日本側がその事前調査が終わって入ってもよろしいという状況になれば、日本側からアメリカ側に、もう準備はできましたという通報をされるのですか。
  42. 竹内春海

    説明員(竹内春海君) おそらくそうなると思います。
  43. 岡田宗司

    岡田宗司君 大体それはいつごろと予定されておるのですか。
  44. 竹内春海

    説明員(竹内春海君) これは科学技術庁における準備の都合でございますので、科学技術庁にお尋ね願いたいと思います。
  45. 岡田宗司

    岡田宗司君 科学技術庁の方来ておられましょう。ひとつ、その点についていつごろその通報の準備ができるのかお伺いしたいと思います。
  46. 村田浩

    説明員(村田浩君) この委員会でも前に事前調査について御説明申し上げたと思いますが、佐世保、横須賀両港における事前調査を二回行なう計画を進めておりまして、ただいまもお話がございましたように、両港とも第一回が終わり、第二回に取りかかるところでございます。これらの事前調査は、現在の予定のとおり進みますと、大体今月の下旬ごろに完了することになろうかと考えております。
  47. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、十一月に入れば寄港ができる状態になるわけですか。
  48. 村田浩

    説明員(村田浩君) 事前調査に関する限りは、そのとおりでございます。
  49. 岡田宗司

    岡田宗司君 外務省は事前調査ができれば直ちに通告をするのか。その事前調査ができた後においても、そこに他のいろいろ政治的あるいは外交的な配慮を加えられて、直ちにでなく、あるいは時期を延ばして通告をされるようなこともあり得るのか。その点の判断外務大臣どうお考えになりますか。
  50. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 年前調査並びにモニタリングの調査の準備ですね、それができますれば、外務省としては直ちに通告いたしまして、いつでも入り得るように向こうの決意を促すということになると思います。
  51. 岡田宗司

    岡田宗司君 いまたいへんなおことばを聞いたのですが、入る準備ができたら向こうの決意を促す――じゃあ、まるで、なんですね、入っていらっしゃいとお迎えする。たいへんどうも積極的なおことばで、これはどうも私どもいただけないので、そういうおつもりなんですか、ほんとうに。
  52. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 決意なんと言ったから少しどぎつい感じを与えたかもしれません。とにかく、入ることをきめて子、して入ってくるのでありますから、意思決定があるわけであります。もう準備はよろしいからどうぞいつでもと、こういうわけであります。
  53. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは同じことで、しかも向こうの決意を促すということは、これはたいへんなことだと思うのです。まあ、前には、どうも日米安全保障条約できめてあるからしかたがないというような御発言もあったように思うのです。特に大平外務大臣のときには、そういう、決意を促するとかあるいはぜひおいでくださいというような積極的な発言はあまりなかったのですが、どうも椎名外務大臣になりましてからたいへん御熱意をお持ちになっているようで、私どもは非常にどうもこの点について遺憾にたえないのですけれども、そういう積極的な意図をお持ちになっておると考えて差しつかえないですか。
  54. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) どうも言い回しの問題でまことに失礼をいたしましたが、とにかく向こうが入りたいと、こう言ってきておるのですから、それを待たしておる、調査が済むまで待ってくれ、こういうことでございますから、準備ができましたならばそのことを通告する。それが、来たければいらっしゃい、こういうことになると思います。
  55. 羽生三七

    ○羽生三七君 ちょっと関連して。いまの問題ですが、日本にこれだけの反対運動があって、科学者からもいろんな意見も出ており、それからわれわれも反対をしておる。そういう情勢の中で、どうして休養だけのことで無理に寄港しなければならないのか。そのことは決してアメリカの戦略上からもそれほど重要なこととは思われぬし、それから、日米という両国間の関係から見てもプラス要因にはならない。ですから、その点をプラス、マイナス考えてみて、私はむしろ、アメリカの大局的な意味から、日本政府がそれはしばらく見合わしたほうが日米関係のためにいいんじゃないか、そういう態度があってこそ、私はいまの現時点における外交になると思う。ですから、プラス、マイナスしてみて、何もプラス要因はない。アメリカだってそれほどのたいした条件にはならぬと思うのです。何ら問題のないというような潜水艦だけを、ちょっと兵員の休養だけに寄らしてもらうというようなことが、それほど重要な問題であるとは思わない。それに、国内のこういう反対運動があるのですから、それを無理に押して寄港するなんということが日米関係のプラス要因には少しもならないとわれわれは判断しておるので、外務省として、むしろ、積極的にいらっしゃいではなしに、見合わせるほうが今後のためにもよろしいのではないかというくらいのことをアメリカに言ったほうがいいのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  56. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 休養並びに兵たん補給ということになっております。軍事上の都合が一体どういうことになっておりますか、特にこちらのほうでやめてくれという積極的な理由はない限り、これは認めるのが適当である、かように考えるわけでございます。
  57. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 曽祢君。
  58. 曾禰益

    ○曾祢益君 原子力潜水艦の問題で、条約があるから必ず入れなければいかぬというのを、また実力で阻止するということも私は少しどうかと思うのです。問題の中心はやはり日本の安全保障の問題だと思うので、時間はありませんが、一言外務大臣に伺いたいのは、実は御承知のように、先般フォーリン・アフェアーズにジョージ・ケナンの「日本の安全保障とアメリカ政策」、こういう論文が出て、私は非常に示唆に富んだ論文だと思うのですが、お読みになりましたですか。
  59. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ざっと読みました。
  60. 曾禰益

    ○曾祢益君 どうも日米両当局はこのことに触れることをおきらいのようですけれども、私は、この間バンディ氏に会ったときにも、少し皮肉なようですけれども、バンディ氏のりっぱな演説と比べてみたけれども、私は、率直に言って、ケナンの論文に肩を持たざるを得ない。バンディ氏は非常にこの点を意識して、日本のある集会における演説でも、非常にケナンの論文を意識して、それの反駁みたいなことを言っておったようですし、また、一応、当局の立場からいえば、無条件に賛成したらえらいことになるということもわからぬでもありませんが、しかし、さらっと読んだというのは、むろん外務大臣の議会用の答弁であって、ほんとうはやはり外務省もこういう問題は深刻にお考えになってしかるべきであるし、お考えになっておると思うわけです。私からこういうことを言うのもどうかと思いますけれども、やはり共産主義の国に対するものの見方、特に態度というようなものは、やはりむろん一貫性がなければいかぬけれども、かといって、それが非常に生硬な、かたくななものであってはならない。世界の情勢に即応した柔軟性というか、あるいは弾力性というか、これが当然必要なんで、かつてはソ連に対するいわゆる封じ込め政策の主唱者であったケナンが、非常に弾力的な見方をしている。ことにロシアに対する見方としては、私は、大体において当たっているのではないかと思うわけです。したがって、日本の安全保障についても特にソ連とアメリカとのいわゆる和解的な方向、それから同時にまた、逆に、中共とソ連との非常に大きな仲たがい等から見て、これからの日本の安全保障について、必ずしもいままでのようなかたくなな態度だけでなくて、一九七〇年の安全保障条約の期限到来を待つまでもなく、これは自分の政府に対する勧告ではあるけれども、やはりこういう体制が日本と大陸の諸国――ソ連あるいは中共との関係を未来永却に阻害する方向だけでなくて、特にソ連のごときは、これは多少ケナンの見方にまだちょっと甘っちょろいところがあると思いますが、たとえばアメリカが沖繩問題等で若干譲れば、ソ連のほうが北方領土で譲って、そのことによって日本とソ連との間に平和条約ができそうだ、またそれに関連して、ソ連等も加えた、アメリカとソ連と日本とで日本の安全保障を考えるというような余地がありそうだというような点については、ぼくら考えても、まだ多少甘いなというような点もありますけれども、しかし、方向として、示唆としてなかなかこれは重大な、また建設的なものを含んでいるのではないか。また、事、中国政策にしても、いわゆる「一つの中国」というばかりにとらわれないで、「一つの中国、一つの台湾」というようなことを、ことにアメリカに対してそういうことを考えていく必要があるのじゃないかと言っていることも、これも非常に示唆的であると思うのですが、どうですか。そういう点に対して、さらっと読んだだけでなくて、やはり深く胸を打たれるものがあって、いますぐにはイエスとも申せませんけれども、十分に情勢の進展に応じて、日本の安全保障がこれでいいのかどうか、日ソ関係のこと、あるいは日中関係のことについても十分にこれを研究していく、こういうようなところがあってしかるべきであると思うのですが、これは少し誘導尋問になりましたが、どうですか。
  61. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 仰せのごとく、まことに示唆に富んだ議論でございまして、そのままとる、とらぬは別問題といたしまして、玩味すべき議論であると考えております。
  62. 曾禰益

    ○曾祢益君 中共の問題については、これは一々申し上げるまでもないと思いますけれども、特にこれは希望したいのは、一方においては中共のこの核兵器爆発実験のようなことはぜひひとつやめさせたいということと、同時に、それがあったら、直ちにそれが中共の核兵器保有そのものだというような考えから、日本の安全保障についてまたとんでもないようなことを考えることのないように、ひとつ冷静に、しかしこういうことはいけないのだということを中共にはっきりと、社会党の人も聞いているようですから言うのですけれども、言ってもらいたいと思うのですが、どうですか、あなたのお考えは。
  63. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 部分的核実験停止条約ができまして、由来、世界のこのムードが非常に変わってきたのでございまして、非常に大きなこれは事件であったと思うわけであります。それをまた、これをひっくり返すような事柄は、これは絶対に、世界の世論を糾合してこれを未然に防止することが望ましいと考えます。
  64. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 杉原君。
  65. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 外務省事務当局の答弁でけっこうですが、事実問題を一つお尋ねしておきたいと思う。  それは、この韓国日本漁船拿捕の問題に関連するのですが、その拿捕された地点を具体的に確認する措置というもの、これをその拿捕されたその船の申し立て以外に、何らかそれを客観的にそれを確認する措置、これはどういうふうにしているわけですか。それをお尋ねしておきたい。それがすべての根拠になるのだからね。
  66. 安川壯

    説明員安川壯君) 直接の担当者でございませんので、正確にお答えすることはできませんが、私の承知しておる限りでは、そのつど海上保安庁のほうで、そのとき収集できる範囲の情報で位置の確認をやっておると私は承知しておりますけれども、現在担当官がおりませんので、後ほど調べて御答弁申し上げたいと思います。
  67. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 そうしてください。つまり、海上保安庁などの船で、それを客観的に確認できるようなふうに、あそこの巡視船の配置などがなっておるのかどうか。そうして、さらに行政指導の面で、たとえば、ここ、ここ以上に行っちゃいかぬという指示をしておるのかどうか。ぼくの言うのは、李ライン問題とかなんとかいうことは一応別に考えてみて、具体的の地点、そこをどういうふうにしておられるかということを、ぼくはかねてから知りたいと思っておった。それをこの次はっきりしてください。
  68. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 井上君。
  69. 井上清一

    ○井上清一君 この前の委員会のときに、原子力潜水艦の寄港問題に関連して、一体原子力潜水艦が日本に入ってくるときに、浮上して入ってくるのか、潜航して入ってくるのかという話が出たわけです。そのときに、兼重さんでしたか、これは国際慣例によると、領海内に入ってくるときは浮上して入ってくるというのが大体国際慣例であるというような御答弁があったわけなんです。まあ、それだけで済んだわけなんですが、潜水艦と領海の問題は、これは私いろいろ研究してみたんですが、非常にむつかしい問題がある。それは隠密兵器という関係から非常にむつかしい問題があると思いますが、戦時国際法なり、国際法なり、一体国際法の原則でどういうことになっておるのか、もう少し明確に御説明を願いたいと思う。
  70. 藤崎萬里

    説明員(藤崎萬里君) 国際法上はっきり申し上げられますことは、無害航行の場合、つまりある国の潜水艦がほかの国の領海を、その国とは何も事前に打ち合わせも何にもなしにただ普通に航海するという場合には、浮上して通らなくちゃいけない。つまり、浮上しないでこそこそ領海を走っておると、それは無害とは認められなくなる、それだけでございます。その原則は、先ほどもちょっと申し上げましたように、何ら別に断わりなしに通るときの話でございます。一般国際法上の原則としてきまっておるのは、それだけのことでございます。その原則が、こういうぐあいに、あらかじめちゃんと断わりまして日本の港に入ってくる潜水艦にそのまま当てはまるかどうか、これはまた別の問題だろうと思います。ただ、一般国際法しそういう無害航行についての原則もあることだし、また、相当の了解もあることでございますので、ほかの船の安全とか、そういうことでございますから、大体そういうようなやり方にのっとって日本の港湾に入るときも航行するであろう、これは一応期待できることではあろうかと思うのであります。ただ、それが国際法上義務づけられているかというと、私はそこまでは断定できないと思います。
  71. 竹内春海

    説明員(竹内春海君) 今回のアメリカの原子力潜水艦が日本に寄港する際に浮上してくるかどうか、そういう点をアメリカに確認いたしましたところ、浮上して参ります、こういう回答でございます。
  72. 井上清一

    ○井上清一君 領海に入ってからですか、領海に入るまでは……。
  73. 竹内春海

    説明員(竹内春海君) 私どもが確認いたしましたのは、わが国の公益の及ぶ領海に関することだけでございます。
  74. 井上清一

    ○井上清一君 それはアメリカとは限らないで、いずこの国の潜水艦であっても、たとえば領海内に潜航して入ってきたというような場合には、それは国際法上どういうことになりますか。軍艦が、たとえば寄港するとかいう明確な目的なしに日本領海内をかってに潜航するということは認められるんですか、認められないんですか。
  75. 藤崎萬里

    説明員(藤崎萬里君) それは認められておりません。したがいまして、もしそういうものが発見されましたら、警告して直ちに領海外に退去するように要求する、そういうことになるだろうと思います。ちょっと念のためにお断わりしておきますが、さっき私が申し上げたのは、一般国際法上の問題で、アメリカ局長が御答弁申し上げましたのは、日米間の今度の場合についての特別の合意であるわけでございますから、そういうものがあれば、それによることに当然なるわけでございます。
  76. 岡田宗司

    岡田宗司君 兼重さんにお伺いしたいのですが、原子力委員会のほうで、政府の諮問といいますか、何といいますか、それに答えて答申をされておる。それが今度の原子力潜水艦の寄港を許すもとになった。その問題についてはいろいろ論議されましたが、私一つふに落ちないことがまだあるのでお伺いしたいのでございます。それは原子力委員会の際にこの問題について討議をされ、ああいう決定をされた場合に、人口稠密な港へ原子力潜水艦を入港させることの可否について御議論になったことがあるかどうか、それをお伺いしたいのです。
  77. 兼重寛九郎

    説明員兼重寛九郎君) 人口稠密な港に原子力船あるいは原子力潜水艦が入港することは注意しなければいけないということは、いろいろな資料に公表されておることでございます。特に、アメリカの原子力委員会の原子炉安全審査諮問委員会、その委員長から原子力委員長にあてた書簡にもその旨は述べてございます。したがって、同様なことは原子力委員会としても考えたことでございます。ところが、その問題を判定いたしますのにはいろいろな技術的な資料が必要でございますけれども、その資料は軍事上の機密に属しておることでございますから、それを日本側で入手して検討することはできません。そこで、それにかわる方法といたしまして、そういうようなこともすべて含めてアメリカの港においてとられるであろう手続またそのときに適用される安全基準も、アメリカにおけるものと日本の港におけるものと同じようにして扱う。そのためには日本政府がそういう審査に必要と思う資料を提供してくれるものと了解するということをエード・メモアールにも書いてございますが、そういう方法をとったわけでございます。それでニューヨークの港と東京に近い横須賀の港とがどういう関係になるか、これはそういう資料をすべてアメリカ側に提供いたしました上で、ニューヨークに入ったと同じように入れるものであるか、そうでないのか、それは先方判断をするということになっておるわけでございます。
  78. 岡田宗司

    岡田宗司君 デンマークがさきにアメリカの原子力潜水艦の入港を断わりました際に、デンマークの原子力委員会のほうはコペンハーゲンの港についていろいろ調査をしてこれは狭い、非常に危険がある、そういうことで、それが断わる一つの理由になっていたと思う。おそらくそのときは、アメリカ側のほうからデンマーク側に対しても、軍機の機密に属することでありますから、詳しい情報を提供しているとは思えません。しかしながら、デンマークの原子力委員会は、そういう立場から断わっております。日本の原子力委員会はすべて、アメリカ側で安全と言っているから、そのとおりにやってくれれば安全なんだということで、アメリカでさえ人口稠密な港に入れるのを好ましいとしていないのに、この問題について論議はされたでしょうけれども、何ら回答の中に触れることなしに答申をされたということは、私ども非常にふに落ちないのです。あなたはデンマーク原子力委員会がコペンハーゲンの港に原子力潜水艦を入れることについてとった態度についても御検討になりましたか。それに対してどういう御意見をお持ちですか。デンマークの原子力委員会のとった態度についてどういう御意見をお持ちですか。
  79. 兼重寛九郎

    説明員兼重寛九郎君) デンマークのコペンハーゲンに、スケート号だったと思いますが、そういうことがあったことは承知しております。それで、私どもが了解しておりますことは、デンマークの原子力委員会は、原子力潜水艦のことについて技術的な資料をもって、これは危険であるという判定をした上でとは了解いたしておりません。たとえばことしの八月の末から九月の初めにかけましてサバンナ号が入港しております。これはサバンナ号から安全説明書をデンマーク政府のほうに提出いたしまして、それで検討した結果、よろしいということになったのだと思うのでございます。そこで、原子力潜水艦の入港がサバンナ号の入港より危険であるかより安全であるかということの判定は、技術的資料なしにはできないと思うのでございます。したがって、デンマークの原子力委員会のとった態度は、そういうことを自分で審査することができないからそこに入れることは適当でないと判断したと、こういうことであろうと思うのでございます。それに対しまして日本の原子力委員会は、その態度はとらなかったということでございます。
  80. 岡田宗司

    岡田宗司君 私どもに言わせれば、どうもデンマークの原子力委員会がとった態度のほうが国民に対して忠実であったと、こういうふうに考えるわけたんです。その点はどうお考えですか。
  81. 兼重寛九郎

    説明員兼重寛九郎君) そういう御意見も私どもたびたび伺っております。しかし、ほかに十幾つの国でございますか、十幾つの国はそういうのとは違った態度をとっております。私ども承知しております範囲では、今度日本政府アメリカ側とあれだけ交渉いたしまして、あれだけの保証なり説明なりを求めた上できめたというのでございますが、それだけのことがされたということは私は承知しておりません。ですから、その辺は私ども意見の違いであると返事をしてよろしいのかどうか知りませんけれども、そういうお考えは伺っておりながら原子力委員会ではそういう態度ではなかったというふうに申し上げればよろしいかと思います。
  82. 岡田宗司

    岡田宗司君 どうも日本の原子力委員会はデンマークの原子力委員会に比べまして科学的な態度に忠実でなかったと、こう言わざるを得ないので、私どもとしてははなはだ遺憾だと申し上げるほかないと思います。  それはそれといたしまして、今度原子力局長にお伺いするんですが、昨日の参議院の科学技術特別委員会で、愛知長官のほうから、イオン交換樹脂の廃棄等についてはちゃんとそれを放棄する場所の明示をするというようなことの答弁があったように新聞で拝見したんですが、それはすでにその場所を指定して、そしてアメリカ側に通告済みなんですか。
  83. 村田浩

    説明員(村田浩君) 昨日、愛知長官から参議院の科学技術特別委員会で御答弁のありましたのは、原子力潜水艦で使用しておりますイオン交換樹脂等を捨てる場合、十二マイル以内では捨てないということと、十二マイルの外であっても、いわゆる既知の漁区では捨てない、既知の漁区の近傍では捨てないということを申し上げまして、そのことはアメリカ側のエード・メモワールにも書いてあるとおりでございます。その際に、しからば既知の漁区とはどういうことをいうのかという御質問ございましたので、それに対しましては、わが国のほうからアメリカ側に通報する。これこれは日本側の漁区でございますというのが既知の漁区である。その通報は、所管の水産庁のほうで資料を求められまして、そして外務省を通じて先方へお渡しすることになっておる、こういうことを申し上げたわけでございます。御質問では、イオン交換樹脂等を捨てる場所をどうどうというように、ちょっと私承りましたが、これは捨てる場所をどうどうということを申し伝えるわけではございませんで、捨てては困る、捨ててもらいたくない場所を通報いたすわけでございます。
  84. 岡田宗司

    岡田宗司君 それについては、もうすでにちゃんと発表できる段階になっておるんですか。
  85. 村田浩

    説明員(村田浩君) ただいま申し上げましたとおり、漁区の問題でございますので、水産庁が所管しております。私ども、水産庁のほうでこの資料をとりますることは聞いておりまするが、現実に手続上どのような現段階になっておりますかは、外務省のほうからまだ承っておりません。
  86. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは日本の周辺のどのくらいのところになるんですか。
  87. 村田浩

    説明員(村田浩君) 詳しい内容につきましては、当庁の所管でございませんので、私どものほうから申し上げる筋ではないと思いますが、私どもで聞いておりますところでは、日本近海の漁場、大体黒潮の及ぶ範囲におきます漁場を既知の漁区として考えておるというふうに水産庁のほうで言っておられるように承知しております。
  88. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから、今度のアメリカとの交換文書を見ますというと、万一の災害の場合についての補償等の問題についてしるされておる。そうすると、万一の災害ということもあり得るということも予想されるわけです。そうすると、災害に対して、それも補償をどうするかとかいう問題の前に、災害が万一起こるというようなときに、一体どういうふうにして佐世保なり横須賀の市民の生命、財産を保護するかという問題、いわゆる防護措置というような問題もとられなければならぬと思う。前に原子力局のほうで何かそういう要綱のようなものをおつくりになっておったようでございますが、社会党のほうで過日、質問した際に、これは一般的なものであると言われて答弁されたようです。何かやはり佐世保とか横須賀についてそういう予防措置とか防護措置、そういうものをお考えになってそれの計画を立てておられるのですか。
  89. 村田浩

    説明員(村田浩君) 国内におきます原子炉施設の設置の場合には、設置する人あるいは事業者が設置の許可を求めます際に、原子炉の構造、設計、運転操作等に対しての技術資料とともに、万々一原子炉の事故が生じましたときにどのようなことが考えられるかということを解析いたしまして、その資料を提出し、設計図、運転操作資料等とともに、原子力委員会に申し出ることになっております。それらを原子力委員会としましては審査しまして、設置の許可の有無をきめていくわけであります。ところが、原子力潜水艦の場合には、前々からいろいろの機会に申し上げておりますように、軍艦であるという特殊の地位を持っておりますために、設計図その他技術的な資料の入手はできません。したがいまして、ただいま国内の原子炉について行ないますような災害解析といいましょうか、そういった技術的な資料も得られないわけでございます。岡田先生のただいま御指摘の、いわゆる緊急時における災害対策といいましょうか、そういうものはただいま申し上げました災害解析、そういうものをもとにして考えられるべきものでございます。わが国の法律によりますと、災害対策基本法によりまして、防災基本計画をそれぞれの関係省庁がつくることになっておりますが、国内にございます原子炉の施設等に万々一の何か事故があった場合にどうするかというようなことは、この防災基本計画の中でこの要綱をきめていくということになっております。先ほどお話しございましたことは、おそらくそれに関連してのお話かと思います。しかしながら、アメリカの原子力潜水艦の場合につきましては、そういうような具体的な計画を立てます基礎的な資料がないわけでございます。それはおそらくは潜水艦のいろいろな性能に関連するような数字になってくるからだと思いますが、そういう数字がございませんと、具体的にそれにどういうふうに対応するかということは立てられないわけでございます。そこで、まあ実際に災害が起こるとは思いませんけれども、しかしながら、今度のアメリカ側の声明書及び覚書にございますように、万々一事故がありましたときには日本側の所管の当局へ通報してまいることになっております。そのことはそれに書いてあると思いますが、私どもとしましては、その通報ということは、ただ事故が起こったという通報だけではございませんで、事故の内容、それに伴ってとらるべき措置等を含めた通報というぐあいに考えております。その線に沿って措置をいたすように考えております。
  90. 岡田宗司

    岡田宗司君 アメリカ局長に伺いますが、万一災害が起こったときというと、補償の問題なんかあるんでしょう。そうすれば、起こることがやはり万々一であっても、前提とされていることでしょう。そうじゃないですか。
  91. 竹内春海

    説明員(竹内春海君) アメリカ側の説明によりますれば、まずまずそういう場合はあり得ない。しかし、日本側で補償の問題を討議されたいと、そういうことであるので、それについてはそういう万々一起こったような場合を考えてみればこういう補償の方法があると、こういうことでございます。
  92. 岡田宗司

    岡田宗司君 それじゃ、万々一のことが起こるときに、それに対する防護措置を講じるということもこれまた当然やらなければならぬことでしょう。事故が起こってから、通報があってから対策を立てるとは一体何事ですか。そんなことでいいんですか。これは原子力局長に伺います。
  93. 村田浩

    説明員(村田浩君) 先ほど申し上げましたように、わが国はまだ原子力を推進力とします船を持っておりません。地上の固定された原子炉だけでございますが、陸上の固定されました炉に船と潜水艦を比べまして、船舶に原子炉を搭載してございます場合は、ただいまのような点につきまして若干違う要素がございます。それはどういうことかと申しますと、アメリカのサバンナ号につきましてのいろいろ資料からも推察されますとおり、船の場合には陸上の炉と違いまして、もし何らかの事故等が起こりまして人口からなるべく離すという場合には、これをタグボート等で引き船しまして遠隔の地に持っていくことができます、という事情がございまして、そういうことを前提としまして、それぞれのいわゆる災害緊急対策を講じるようになっております。一般にこういう原子力施設につきましては、ただいまのようなことも考えまして、原子力施設からある一定の範囲の管理区域あるいは非居住区域ということにしまして、その周辺に低人口区域というのを置きます。そうして大人口のあります中心地との距離の確保をはかることになっております。したがいまして、万々一の事故、まあ、これはどのように予想されるか、いろいろございましょうが、大体私どもの了解しておりますのは、これはサバンナ号等における解析からでありますが、管理区域  いわゆる非居住区域といわれる中の措置がとられる、そういうことが緊急時として必要な措置であろう、こういうふうに考えております。
  94. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは、陸上に設置された原子炉と違うことは私どもわかりますけれども、しかし、事故が起こってからタグボートで引き出すその間に災害が起こるのですね。そうすると、補償のほうは万々一の場合のことをちゃんときめておいて、そうして予想されている事故のほうに対しては、内容がよくわからないからそれはほうっておいていいのだと、あと事故が起こってから補償さえすればいいのだという考え方のようにとれるのですよ。どうでしょう。もし、ほんとうに万々一の場合であってもこういうような危険なものが入ってくるのは、日本国民の生命の安全を保護しなければならぬ、こういう国民に対して親切な立場に立つならば、万々一の場合だって、あなた、ちゃんとそれだけの準備はしなければならぬじゃないですか。アメリカのほうで、原子力潜水艦の寄港について、やはり人口の秘密なところへ入れることは好ましくないという見解を持っているということは、それはアメリカ側だって万々一のことをやはり考えての上でしょう。日本側だって万々一の場合のことも考えてしかるべきじゃないのですか。これは兼重さん、その点どうお考えになりますか。
  95. 兼重寛九郎

    説明員兼重寛九郎君) そのことは考えておくべきことでございますので、私は考えているつもりでございますが、いま原子力局長が御説明しましたことは、あまりに技術的に現にやっていることにとらわれ過ぎましたために、何も準備をしていないかのような印象を与えたかと思います。あのタグボートの用意などの必要のことは、サバンナ号の例でも書いてございます。そういうようなことは、今度の場合は日本側の責任ではございませんで、こはれアメリカ側の責任でございます。そのアメリカ側の責任のことは、やるということが、ステートメント及びエード・メモアールに書いてございます。そこで日本側措置すべきことがどういうことであるかというと、サバンナを例にとりますとこれはわかるのでありますが、先ほどから申しますように、サバンナと今度の原子力潜水艦とにおきまして、その最大想定事故の場合にどういうことを予想すべきかということが技術的に正確に明らかにされておらぬわけでございます。そこで原子力局長の答弁といたしましては、それを自分のほうでどこまでときめて対策が立てられないということを申したつもりでございますが、そういうふうなことは、多少の前後はあると思いますけれども、そういうことについて全然見当がつかぬわけではございませんから、そういういろいろなことを予想して、連絡があればそれに対応することのできるような準備は可能であるという見通しの上でやっているのでございます。一番大事なことは、アメリカ側から通報を日本の窓口が受けまして、あとどういうところに関係があるか、そういうことで、その間の連絡の問題、そういうことが、ふだん用意がしてありませんと非常に困るわけであります。そういうふうな問題につきましては、まだすっかり終わっているかどうか知りませんけれども、もちろん何らそういうこともしていないというわけではございません。
  96. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ、原子力潜水艦の入港が、とにかく十一月以降予想されるのですね。で、それまでに、やはり万々一の場合に対する日本側のちゃんとした防護措置というものが講ぜられるということを、佐世保なりあるいは横須賀の市民に明らかにしておく必要があるのじゃないでしょうか。アメリカのほうが、これはもう絶対だいじょうぶなんだと太鼓判を押したから、もうそういう必要はないのだ、第一、軍機機密であって、炉がどうなっているかわからないのだから対策の立てようがありませんじゃ、これは私は済まないと思うのです。だから、サバンナ号についてそういうふうな予想が立つならば、その防護措置についての一定の標準があるならば、サバンナ号のそれに準じてでも、何らかそういう防護措置の基準というものが明らかにされてしかるべきじゃないですか。どうもそういうことを明らかにしない、そうして災害の万々一でも起こった場合に補償の問題はどうするなんということだけ論じていると、これは起こったって政府のほうは知らぬ顔して、あと金さえ払えばいいのだ、こういうふうにしか私ども考えられないのですね。ですから、一体この問題を、入港をされるまでに明らかにされる。つまり、十月一ぱいにそういう防護措置といいますか、それについての日本側の具体的な方針なり基準なりというものを明らかにされるつもりがあるのかどうか、重ねてお伺いしたい。
  97. 兼重寛九郎

    説明員兼重寛九郎君) そういうようなことを公表することが適当であるかどうかということには、問題が残っているのでございます。私が承知しております範囲では、たとえばサバンナ号がニューヨークの波止場に入りますときに、その周囲の人たちが、何かそういう意味で通告を受けているということはないようでございます。ということは、あらかじめ通告を受けておりませんでも対処できるような、そういう対策で十分保護できると、こういうことであると了解しておりますので、いま日本側でそのときまでに対策を立てて、それをたとえば関係――おそらくしないと思いますけれども、万々一関係するような人というのに通告するということは、いまの、厳密に申しますと範囲がきまりませんから、あらかじめ通告することはできないと思いますし、それをしておかなければ対策が立たぬというものではないと、こう了解しているのでございます。
  98. 岡田宗司

    岡田宗司君 もう少し具体的に申し上げますとね、火事というやつは突発的に起こる。そうして、やはりそれに対していつでも対処できるように消防組織というものができているでしょう。これだって相当頻度は高いけれども、まあ、普通の状態でないとき起こる。だから、頻度は低いけれども、万々一の場合であるけれども、火災と同じように、そういうことが起こった場合にすぐ消防が出動できるような措置というものを講じておかなければならぬ。こんなものはまた秘密であってはならぬ。それからまた、たとえば何か事故が起こって放射能が漏れて、そうして、それが住民に危険を起こすという場合に、住民がどっちのほうに逃げたらいいかというようなことを陸上の原子炉の場合には指示してありますね。海上の場合だってそういうことはあり得るわけで、タグボートで引き出せばそれで済むというものじゃない。とすれば、やはり付近の住民のほうにそれだけの心がまえもさせなければならぬ。場合によってはそういう待避訓練のようなものもさせなければならぬこともあるでしょう。とにかく消防組織のようなものをふだんつくっておくと同じような意味で、あるいはまた、国民に火事の場合にどうするのかということを一応消防署のほうからいつも通達してあるようなぐあいに、災害が起こったときの心がまえというものをつくらしておかなければならぬでしょう。それはどうお考えになっています。
  99. 兼重寛九郎

    説明員兼重寛九郎君) そういうようなことが原理的には言えると思いますけれども、船の場合には、そういうようなことをあらかじめ指定しておかなければならないという必要はないようでございまして、私の承知しております範囲では、サバンナ号の場合あるいは原子力潜水艦の場合、その停泊地域付近の人があらかじめ指示を受けたことはないようでございます。したがって、日本の場合にもそういうふうな指示を受ける必要はないと考えておるわけでございます。
  100. 岡田宗司

    岡田宗司君 アメリカのほうでそういうことをやらないから、日本で、ここでやる必要はない、こういうふうなお考えのように思われるのですが、これは私たいへんなことだと思うのです。日本のほうでは陸上に原子炉を設ける場合にたいへん厳重な基準によってこれを許可し、そうしてまた、万一の災害が起こった場合にそこの付近に住む住民はどうするかということをちゃんとお考えになって一定の方針を立っておる。だから、軍艦だから陸上の原子炉よりももっと危険が少ないのだ、あるいは全然ないのだというわけには私いかないと思うのです。そうすると、やはり人口稠密なところにおける原子力潜水艦の寄港という問題、アメリカでも問題にしているように、そこにやはり問題があるから、私はそういうふうに人口稠密のところへは入れないほうが望ましいということになっているんじゃないか。たとえば、陸上で火事が起こる場合にちゃんと消防の組織ができているようですけれども、港へ入ってきた船が火事になる場合のこともありましょう。それに対してもちゃんと水上から消防する。その船の火事を消す用意がちゃんとしてある。原子力潜水艦の入港に限っては何にもそういうことをする必要はないというのは、これは国民を納得させるゆえんじゃないと思うのです。どうでしょう。どこか私の議論に違いがありますか。
  101. 兼重寛九郎

    説明員兼重寛九郎君) もう御承知のことであるはずでありますが、サバンナの場合はそういう消防組織のことなんか詳しく響いてございます。したがって、これは原子力災害ではなくて、ほんとうの火災に対することでございますが、軍艦の場合でございますから、そういうような対策はすべてアメリカ側がとることになると了解しております。ですから、そういうことがとってないわけではございませんで、それはとられておりますが、問題は、甘木の市民、日本側でやらなければならぬことになると思います。そこでアメリカの港の例で申しますと、たとえば市当局とかなんとかいうようなものがとるべき対策になると思います。そういうようなことは、私の承知しております範囲では、そういう通信連絡の道、それは非常に注意深く、たとえばサバンナのあれは船橋と申しますか、のところに専用の電話が設けてありまして、港に入っているときはその電話から直通でつながるような仕組みをとってございます。それからあとの対策についてどういうふうなことをし、また万一の場合に関係するかもしれない市民にどういうことがしてあるかというようなことは、私の聞いております範囲では、特別なことがございませんで、ましてや待避訓練というようなことをやられたことは聞いておりません。ということは、そういうことが必要であるような状態で人口稠密な港に入ってくるというたてまえでないということであろうかと考えておるわけでございます。
  102. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、今度、何ですか、アメリカ側の原子力潜水艦が日本に入る場合には、佐世保や横須賀のうちでも人口棚密でない場所をさがしてそこへ入ってくるということになるのですか。それはアメリカ局長どういうことになるのですか。いま横須賀でも佐世保でも私ども行って見ますと、アメリカの軍艦は、特に横須賀なんか人家に近いところに泊まっているでしょう。そういうところじゃないところへ泊まるのですか、人家のないところへ泊まるのですか。
  103. 兼重寛九郎

    説明員兼重寛九郎君) それは、アメリカ側で日本の人口分布その他も考慮しまして、アメリカの港に適用するのと同じ安全基準を適用して、どこへ入れるか入れないか、またどこへ泊まるかというようなことを先方が検討するわけでございます。そこでアメリカの港に入るたとえばサバンナ号などですと、ニューヨークの港、波止場に入っております。その波止揚に入れるということは、そういう安全基準を適用した上でそれをやっておるわけでございますが、それと同じことをいたしますから、日本の港の場合に、そこヘアメリカだったらそこまで行くことはできないというところであれば、日本でも来ないはずであります。アメリカ側でニューヨークの波止場に入るのと同じようなふうになりまするならば、日本でも相当人口稠密なところに近接して入るかもしれません。その辺は、実際にどこに入るかということに決定されるかは、日本側はそれを自分で判定するもとになる資料がございませんから、いま人口棚密だったところのそばには入らないかという御質問に対して、ちょっとアメリカ局長からは御返事ができないのではないかと思います。
  104. 岡田宗司

    岡田宗司君 たいへんいい助け船を出されたのですけれどもアメリカ局長にお伺いしたいのはそこの点じゃなくて、アメリカ側が入港を求められてきた、そうして横須賀も佐世保もアメリカの軍港として専用されておる。アメリカ側がどこでもかってに着けてもいいのか、あるいはアメリカ側はアメリカの使っておる軍港の中のどの地点に原子力潜水艦が入ったときにつなぐのだ、停泊させるのだということを向こう側でもってすでにあなたのほうへ通報してきているのかどうか。
  105. 竹内春海

    説明員(竹内春海君) 具体的にどの場所に停泊するかは、アメリカ側からの文書にもありますように、アメリカ側でポート・アナリシスという、安全性の問題を検討してアメリカ側できめる、こういうことになっておりまして、そのきめ方については、港のいろいろな条件、人口の点その他をアメリカの基準と同じように横須賀、佐世保について考慮してきめます、こういうことを約束しておるわけでございます。その点は科学技術庁なり、あるいは原子力委員会なりでそれでよいとした、こういうふうに私ども承知しております。
  106. 岡田宗司

    岡田宗司君 何ですか、横須賀なり佐世保の港の中のどこの地点に停泊させるということは、これはアメリカ側は全然通報しないでいいのですか。向こうさんのかってなんですか。
  107. 竹内春海

    説明員(竹内春海君) アメリカ側がどこに泊めるかをきめましたら、日本側に連絡があることになっております。
  108. 岡田宗司

    岡田宗司君 その連絡のあったときに、そこの地点が適当であるかどうかということは、日本側でもってそれに対して検討をして、ここはどうも日本側として好ましくないという場合には変えてもらうとか拒否するとかということはできるのですか。
  109. 竹内春海

    説明員(竹内春海君) そういうことは私ども考えておりません。と申しますのは、アメリカ側がその場所をきめる前に、日本側から必要な環境についての資料を提供して、それに基づいてアメリカ側がきめるということになっておりますので、アメリカ側がきめた場所について、こちらからこれは適当でないと言う科学的な材料はないと思います。
  110. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、何でもみんなあなたまかせのようで、しかも補償のときだけは相談に応じましょう、あとの防護の措置日本のほうでも一向にやらぬ、向こうまかせだと、実際どうも日本の国民に対しては非常に不親切で、そうしてアメリカに対してはたいへん御親切なようなすべてがきめ方になっているように思うのですが、これは原子力委員会でも、外務省でも、私はもっと十分に検討してもらわなければならぬ問題だと思うのです。きょうは科学技術庁長官もおいでにならぬからこの程度にいたしておきますけれども、今度いずれ科学技術庁長官もこの委員会に御出席願いまして、それらの点についてもっと私は根本的な問題についてお伺いしたいと思っております。きょうはこれで打ち切ります。
  111. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 本日は、これにて散会いたします。    午後零時五十二分散会