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1964-09-11 第46回国会 参議院 外務委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年九月十一日(金曜日)    午前十時三十八分開会   —————————————   委員異動  九月十日   辞任      補欠選任    野坂 参三君  岩間 正男君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     青柳 秀夫君    理事            井上 清一君    委員            黒川 武雄君            山本 利壽君            和田 鶴一君            岡田 宗司君            佐多 忠隆君            羽生 三七君            渋谷 邦彦君            曾祢  益君            岩間 正男君            佐藤 尚武君   国務大臣    外 務 大 臣 椎名悦三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       結城司郎次君   説明員    総理府総務長官 臼井 莊一君    総理府特別地域    連絡局長    三枝 三郎君    原子力委員会委    員       兼重寛九郎君    防衛庁防衛局長 海原  治君    防衛施設庁長官 小野  裕君    科学技術庁原子    力局長     村田  浩君    外務省アメリカ    局長      竹内 春海君    外務省条約局長 藤崎 萬里君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国際情勢等に関する調査  (国際情勢に関する件)   —————————————
  2. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  この際、委員異動について御報告いたします。  昨九月十日付をもちまして、委員野坂参三君が辞任され、補欠として岩間正男君が選任されました。   —————————————
  3. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 本日は、国際情勢等に関する調査を議題といたします。  まず、先般の大和市及び厚木市における米国軍用機墜落事故に関する件について、関係当局より説明を聴取いたします。ちょっと、速記をとめて。   〔速記中止
  4. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 速記を始めて。  防衛施設庁長官小野君。
  5. 小野裕

    説明員小野裕君) 本件につきましてはあるいは外務大臣から申し上げることかと存じますが、私から、かわりまして申し上げます。  去る八日午前、厚木及び大和地区におきまして、引き続いて発生した米軍用機——これは海軍空軍でございますが——二機の墜落事故の概要について御報告申し上げます。  すでに御承知のように、八日の午前十時八分、F105米空軍機一機が横田基地南方十九マイルの相模川の河原墜落し、操縦士死亡するという事故発生しました。幸いに、日本側には被害はありませんでしたが、操縦士は、最後まで飛行機を安全な個所に誘導するようつとめた模様でございます。  この事故に引き続いて、同日午前十時五十八分、米軍厚木基地海軍機FCジェット機一機が同基地を離陸直後、滑走路の北方約一キロの地点に墜落して、死者四名、負傷者五名を出しましたほか、家屋を焼失するという、まことに遺憾な事故発生いたしました。  この事故発生については、直ちに在日米軍より外務省に対して通報がございましたが、その直後、ライシャワー大使より、このような重大な事故発生したことについて陳謝の意を表明するとともに、犠牲者に対する米国政府の深甚なる哀悼の意の伝達方について依頼がございました。  また、ラスク国務長官からも八日に、さらに、九日にはジョンソンアメリカ大統領より池田総理大臣に対して、このたびの不幸な米軍機墜落事故を深く遺憾とする旨の陳謝と弔意を表明する電報を受け取りました。  政府といたしましては、このような惨事を引き起こした今回の事故をきわめて遺憾とするものであります。よって、政府は直ちにこれが対策として、まず、米軍当局に対して、至急、日米合同委員会事故分科委員会開催方を申し入れ、日米当局の間において、直ちに今回の事故発生原因等について究明するとともに、今後における事故防止対策検討を行なうよう申し入れました。その結果、この事故原因検討といたしまして、まず、一昨九日、第一回の事故分科委員会が開かれたのでありますが、本日午後さらに第二回の委員会を開催することになっております。  事故による犠牲者方々、負傷された方、さらに財産損害を受けられました方々には、まことにお気の毒の至りと存じます。これらの方々に対する補償問題等につきましては、政府といたしましては、防衛施設庁において十分の措置を講ずることとなっておる次第でございます。  簡単でございますが、状況の報告を終わります。
  6. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。岡田君。
  7. 岡田宗司

    岡田宗司君 本年の四月の五日に町田市にアメリカ軍飛行機墜落をいたしまして、多くの死者負傷者を出し、家屋を破壊し、非常な大きな損害を与えました。それから五カ月を経ました今日、またかような惨事が起こったのであります。あの町田事件が起こりました際に、私ども国会におきまして、こういうような事件が再び起こらないように、厳重にアメリカ軍に対して善処方を申し入れることを要求いたしました。そして、その事故発生原因たるべきものを十分追及する、それが事故の再発を紡ぐ大きな措置になるものと考えて、そういうふうに申し入れたわけでございますが、今日に至りますまで、はたして、どれだけのことがなされたのかわからないうちに、同じような惨事が起こり、またこれからも起こるかもしれないということが予想されておるのであります。と申しますのは、本年になりましてから、神奈川県においてアメリカ軍飛行機が落ちました事故がたしか五回以上あったかと聞いております。全国アメリカ軍空軍基地及びその周辺において、アメリカ軍飛行機がやはり何回か落ちておるというようなことからいたしまして、この事故発生防止についてアメリカが一体どれだけの誠意を持って当たっているのか、私どもには疑問に思われるのですが、そのアメリカ軍飛行機がかように落ちる原因はどこにあるのか、そうしてまた、それに対する対策はとられつつあるのかどうか、その点あなた方のほうではっきりしたことを突きとめておられるかどうか、まず、それをお伺いしたいのであります。
  8. 小野裕

    説明員小野裕君) 米軍といたしましても、事故の絶滅を期して各般の努力をしておることは、これはもとより当然のことでございまして、たとえば、いろいろと教育を徹底させる、あるいはその他のルールを守らせるというようなことはもちろんでございます。さらに、機体の点検についても万全を期するとか、あるいは万一を考えての飛行経路、あるいは離発着についての手順というようなものについても綿密な規定をいたしまして、これを励行さしておるというのが実情であると思います。が、事故が不幸にして続いて起こりましたのは、何とも残念の限りでございますが、米軍といたしましても、あらゆる努力をいたしておることを私どもは確信いたしております。
  9. 岡田宗司

    岡田宗司君 米軍といたしましてはあらゆる努力をしているものと信じておるのだけれども、こういう難件が頻発している、どういうところであなたはそう信じておるのですか。具体的なことは、アメリカ軍のほうから、こうこうしているということをアメリカ軍日本側に対して誠意を持って説明しておらぬのですか。もししておれば、あなたのほうではっきりと、アメリカ軍はこういう措置をしておるということはお答えできるはずなんです。どうですか、その点。
  10. 小野裕

    説明員小野裕君) この種の事故が起こらないようにと念願することはあらゆる関係者の共通の願いである、そのために最善の努力をしているということは、これは当然であると思います。もとより、地上に対する損害重大なことでございまするが、また、パイロットその他の関係者につきましても重要な問題でございまして、これについては努力をしていない者はないだろう、これは私そう思うのであります。それから、どういうふうな具体的なというお話でございますが、先般の町田事故あとにおきましては、事故分科委員会におきましていろいろ原因検討と今後の対策について協議をいたしまして、米軍側も十分その点は理解納得の上でいろいろな措置を講じまして申し合わせをしており、さらに、それをそのつど実行に移しつつある、そのことはそのとおりであると思います。たとえば、先般の町田事故あとにおきましては、事故防止のために、少なくとも飛行規則を完全に履行すること、あるいは、飛行経路について、なるべく市街地の上空を飛ばないようにする、あるいは、飛行場の周辺を飛ぶときにはある程度の高度を維持するというようなことにつきまして、取りきめをしておるわけであります。そういうような個々の問題について、それぞれ関係部隊に徹底を期しておるということは当然であろうと、こういうふうに思います。
  11. 岡田宗司

    岡田宗司君 どうもそれだけでは、われわれははたしてどれだけの事故防止をしたか、やっているかということはわかりません。ただ市街地をなるたけ通らないということ、あるいはパイロットにいろいろ注意を与えたということで事故防止できると思ったら大間違い。一体、今度落ちた飛行機はどういう飛行機ですか。
  12. 小野裕

    説明員小野裕君) 今回厚木基地におきまして落ちた飛行機は、第七艦隊に所属します空母搭載艦載機でございまして、F8Cという機種でございます。
  13. 岡田宗司

    岡田宗司君 前に町田に落ちた飛行機は何でございましたか。
  14. 小野裕

    説明員小野裕君) 町田に落ちましたのは岩国海兵航空隊に属するRF.8Aと申しましたか、これは偵察の飛行機でございました。
  15. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから、本年になりましてから神奈川県に落ちたアメリカ軍飛行機の数、それからその飛行機機種は何でございますか。
  16. 小野裕

    説明員小野裕君) 本年一月以降を申し上げますと、厚木基地に属するF8Uという飛行機が一月十六日に座間墜落しております。それから、横須賀で三月十八日にヘリコプターが一機落ちております。それから、六月の十九日に大磯の海岸沖合いにおいてF8Cが一機落ちております。それから九月八日の厚木相模川の河原に落ちましたのは、これは空軍機でございますが、F105でございます。それから、厚木大和に落ちましたのがF8C、こういうことでございます。
  17. 岡田宗司

    岡田宗司君 これいまお聞きしただけでも、まあ海軍機が多い。F105を除いてあと海軍機。それでF8という型——AからC、それがずいぶん落ちているのですね。これはF8型というものに欠陥があるんじゃないですか。海の上を飛ぶ飛行機でしょう。海上機ですから、海軍機ですから海の上でおっこってもしようがないのだけれども、陸の上で飛ばれて、それが海の上におっこちると同じように落ちられるのじゃたまったものじゃない。その点はあなたのほうで、合同委員会で、なぜF8がこんなに落ちるか、根本欠陥がそこにあるんじゃないかということをおつきになりましたか。
  18. 小野裕

    説明員小野裕君) いままでその点については深くついておりませんでしたが、お話のようなこともございまして、いまいろいろそうした集計が出てまいっておりますので、今後の委員会におきましては、その点をはっきりさしたいと思います。
  19. 岡田宗司

    岡田宗司君 それごらんなさい。さっきパイロットにいろいろ、市街地をよけて通れとかなんとかいうことで事故防止の万全を期せられるのだということをおっしゃいましたけれども、この根本をつかないで、どうして万全が期せられますか。その点はこれは外務省なりあるいは防衛庁なりで向こう側折衝する際に十分に考えていただかなきゃならぬことだと思います。どうでしょう。
  20. 小野裕

    説明員小野裕君) 私、専門家でございませんので、はっきりしたことを申し上げかねますけれども、従来ここ数年間にいろいろな機種墜落事故があったわけでございますが、大体、主として駐とんあるいは訓練に従事しております飛行機がある種の型に重点が置かれておるということから、そういうものが目についてまいったわけでありますから、特にいまのF8という型につきましては、最近そうしたようなものが累積しておるわけでございます。まあ、これは今後大きな問題として検討いたしたいと思っております。
  21. 岡田宗司

    岡田宗司君 最近数年の間に、一体日本全国アメリカ軍飛行機がどれくらい墜落しておるか、それによってどれくらいの人が殺傷されておるか。また、どれくらいの家屋その他の財産が破壊されておるか。それらはあなたのほうでおまとめになっているはずだと思うんですが、それをひとつここで明らかにしていただきたい。
  22. 小野裕

    説明員小野裕君) ごく最近の事例になりますが、昭和三十七年度、八年度、あるいは最近の九年度の半年のものについては一応まとめてございます。米軍機墜落事故といたしまして、昭和三十七年度は十一件でございまして、この事故については、幸いにして三十七年度人身事故はございません。まあ、山林あるいは農作物、あるいは鉄道の架線をいためたものがございますが、全体の損害額としては幸いに非常に僅少でございました。三十八年度でございますが、三十八年度におきましては、五月の十六日に埼玉県の入間郡毛呂山というところで病院に落ちまして、このときは死亡者一名、重傷者四名を出しております。それから、ことしの一月でございますが、座間におきまして家屋その他施設に大損害を与えた事故がございます。幸いにして人身事故はございませんでした。本年度四月以降におきまして、町田におきまして死亡四、重傷九という大事故を起こしました。昭和三十七年度、八年度、九年度とかけまして、今回の大和市の事故を合わせまして、人身事故に至りました事故は二件でございます。
  23. 岡田宗司

    岡田宗司君 私が聞いているのは、きのう実は防衛庁のほうから問い合わせがあったので、三十七年度、八年度及び本年度全国におけるアメリカ軍飛行機墜落件数、それからそれによる被害がどれくらいか、それから、特にそのうちで神奈川県なりあるいは東京周辺なりがどれくらいかということをお伺いしたい、いまのはそのお答えになっていないようです。
  24. 小野裕

    説明員小野裕君) 事故件数といたしましては、三十七年度で十一件、三十八年度で十三件、三十九年度——ただいままでのところで八件でございます。それから、被害関係でございますが、いま人身被害のことを出し上げましたが、物的損害等も合わせまして、私どものほうで補償措置を講じました総額を申し上げます。三十七年度は十一件でございましたが、総計百七十万円でございます。それから、三十八年度は十三件でございますが、これは先ほど申し上げました毛呂山病院の大事故がございまして、これは人的、物的の損害に対する賠償合計が四千六百七十万円——四千六百万円でございます。今年度事故につきましては、現在支払いの実施あるいは調査の途中でございまして、まだはっきりいたしませんが、町田市の事故及び大和市の事故合わせまして数千万円、それもあるいは一億に近い大きい数十万円になるのではないかと、こう見ております。
  25. 岡田宗司

    岡田宗司君 いまのお話ですがね、いま補償の額をあげられている町田なんて、まだ補償は済んでいないんでしょう。四月の五日に落ちて、それからちょうど国会中だったものだから、いままでの支払い方式ではきわめて額が少ないからということで、これは政府のほうでも、いわゆるホフマン方式をとるということにされて、支払い額を増すということを約束された。その方式で計算されて、もうすでに今日まで五カ月余を経ているのですから、当然払わるべきはずですけれども、ところがまだ、やれ調査中だとかなんとか言って、最初に払われた一部しか払われてないようです。一体その原因はどこにある。それはあなた方のほうで払う、政府が払うということで、そのように延びておる。そういうことが原因じゃなくして、アメリカ側との折衝でおくれてるんだと私は思うのですが、アメリカはこういう問題の補償についてだって、ちっとも誠意を持って当たっておらないじゃないですか。これ、どうですか。その支払いがおくれている原因はどこにある。私のいま指摘したように、アメリカ側がなかなか査定その他について渋っておるためにおくれてるんじゃないんですか。
  26. 小野裕

    説明員小野裕君) 町田事故補償賠償の問題につきまして、事務がおくれておるということにつきましては、たしかにそういう点がございまして、いま鋭意進めさしておりまするが、申しわけないことと存じております。これがおくれました理由は、いま御指摘のございましたように、新しい基準を適用してやりたいということから、その基準決定が六月の末になりましたために、それから政府でいろいろ調査のし面しというような問題もございましておくれたわけでございますが、すでにそのあらゆる種類の賠償につきまして、支払いを一部済ませております。なお残りましたものは、今月中にはぜひ片づけたい。なお継続治療中の方もございまして、こういう方については、治療費あるいは休業補償等は、先の分もあるわけでありますが、いままでの分については、今月中には大体御納得のいくように完了いたしたいと考えております。  米軍のほうの事情でおくれてるんではないかというお尋ねでございますが、この点はそういうことはございません。特に公務上の事故につきましては、私どものほうで調査決定をいたしまして、これを日本政府が払って、これを米軍に通知するわけであります。米軍がどうしても納得しないというときには、米軍が、その負担すべき七五%を持たないというようなことはあり得るかもしれないのでありますが、いままでのケースではそういうことはございません。米軍との折衝は非常に順調にいっておりまして、私どもの査定いたしました、あるいは被害者のお方とお話し合いのつきました一極の示談がございますが、その金額について米軍側はすべて了承しております。
  27. 羽生三七

    羽生三七君 関連して。数年前鉄道関係する米軍とのいろいろな損害関係では、公務中のものは支払わないということで、非常な紛争が長い間続いたことがあるのですが、いまでもまだそういうことを向こうは言っておるわけですか、飛行機の場合。
  28. 小野裕

    説明員小野裕君) ただいま御指摘の点については、問題はあり得ると思います。と申しますのは……
  29. 岡田宗司

    岡田宗司君 あり得るとはどういうことですか。
  30. 小野裕

    説明員小野裕君) 折衝を続けておる問題もございます。それから今後そういうこと——いま当面折衝しておるというわけでございませんが、そういうケースが起こりましたときには、なかなか折衝は困難になるであろうという見通しはございます。
  31. 岡田宗司

    岡田宗司君 いや、いま羽生君に対するお答えから聞きますと、公務中のことだというとアメリカは払わないという場合もあるのですか。飛行機というのは、あれみんな公務中でしょう。遊んで乗ってるわけじゃないんでしょう。プライベートの用で乗ってるわけじゃないんでしょう。そうすると、向こうじゃ、これは公務中の事故だから払わぬということを言い出すことになるとも考えられるのですが、その点はどうなんですか。
  32. 小野裕

    説明員小野裕君) 米軍補償賠償でございますが、事故賠償でございますが、相手側日本の国というときには、これはないわけでございます。その国の場合の、そのケースがいろいろなことがあるわけでございます。そういうところで、貸借上のトラブルといいますか、まだ解決しない点があるわけでございます。
  33. 岡田宗司

    岡田宗司君 いま私は、公務執行のうちに起こった解放はアメリカのほうで負担するのか、しないのかという点を聞いている。
  34. 竹内春海

    説明員竹内春海君) 地位協定の十八条の五項に、公務執行中の場合のアメリカ軍、あるいはその構成員の作為または不作為から生じた法律上の責任、これは日本国が次の規定に従って処理するということで、先ほど長官から説明しました七五%、二五%の分担金が出てくるわけでございまして、公務執行中は払わないということにはなっておりません。
  35. 羽生三七

    羽生三七君 この前国鉄の場合は、いまちょっとお話がありましたが、国鉄純然たる国営かそれとも国有——国営には違いないけれども、一種の、その後の、あれは昭和三十年ですか、国有鉄道法ができてから、純然たる国営とは違うということからあの問題が起こったと思う。飛行機ではやはり国とか個人という差別はありますか、飛行機事故の場合。
  36. 小野裕

    説明員小野裕君) 米軍による事故でございましたならば、飛行機によるものでも、あるいは車両によるものでも同じことであると思います。  それから、いま問題になっております問題があると申し上げましたのは、国鉄がはたしてほんとうの国ということばに当たるのか、あるいは国に準ずるものかというところに、先方において納得しない点がございますので、同じ補償一般民間に対してはできる場合であっても、国鉄に対しては難色を示しておる、こういう実情でございます。
  37. 岡田宗司

    岡田宗司君 いまのお話ですと、日本側の七五%、それからアメリカ側が二五%払う……
  38. 小野裕

    説明員小野裕君) 逆です。
  39. 岡田宗司

    岡田宗司君 アメリカが七五%、日本が二五%、そうするとおかしいのですね。日本側には、たとえば飛行機がおっこって人が死んだり、それから家がこわれたりした場合に、日本側はだれもそれの原因をつくった責任はないのです。それだのに日本側が二五%支払う、アメリカは七五%支払う。一体これはおかしいじゃないですか。どうして、そういう明白な場合にアメリカは全額負担しないのですか。どういう根拠で、どういう理由日本側が、アメリカ側が全部の責任を負わなければならぬものまで払うのですか。これは少し国辱的じゃないですか。
  40. 藤崎萬里

    説明員藤崎萬里君) これは根本の考え方は、日米安保条約に基づきまして、日本防衛に寄与するために、米軍日本に駐とんしてもらっておる、そういうことから来ていると思いますが、同じような関係にあるNATOの地位協定でも、同様の比率になっております。
  41. 岡田宗司

    岡田宗司君 そんなことは理由として私ども納得させるに足るものではないです。全部がアメリカ——少なくとも、ことに個人の生命、個人財産をこわしている、この場合に、一体日本側がそれに対して、何もしないのに、責任を負って払うなんて、実にばかげているじゃないですか。そうでしょう。アメリカの兵隊がこの閥岩国日本人を射殺しましたね。あれでも何ですか、あなた方、日本のほうで払わなければならぬのですか。
  42. 藤崎萬里

    説明員藤崎萬里君) 具体的なケースについては知りませんが、公務執行中の場合に限られるわけでございまして、公務執行中ということは、ある米兵がかってに公務関係ないことをしたときまで日本責任を負うということじゃないわけでございますから、日本防衛とかいうことと関係があるわけで、その関係をつけることが適当かどうかということは、政治論になりますから差し控えますけれども、それを一たん認めた立場でこの地位協定ができておるわけでございます。
  43. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすれば、これからも飛行機がまだまだ落ちることも予想されるし、そのためにいろいろと損害も起こる。そのたんびに日本国民税金から、アメリカ軍がやったそういうことまでわれわれの税金から金を払わなければならぬなんていうことは、これは国民納得させられますか。どうですか。条約上しかたがございませんじゃあ、国民納得させられないでしょう。どうお考えになります、条約局長。これ非常に妥当な条約だと思いますか。まあ、あなたに聞いてもしようがないんだけれども外務大臣がいないからしようがない。あなたに聞くんだけれども、どうです。常識的に妥当だと思っておりますか、あなた自身。それから、それで国民納得させることができると思っていますか。
  44. 藤崎萬里

    説明員藤崎萬里君) 御指摘のとおり、私からこう申すのは非常に僭越でございますが、先ほど申し上げましたように、日本の安全のためには米軍の駐留が必要であるという、これを前提にすれば、それに立ったことの規定として、私はこれで平均がとれておると思います。
  45. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうしますと、アメリカ軍日本を守ってくれるために日本にいて、そのために日本国民にいろいろな損害を起こしても、まあそれはしかたがないんだ、そうして損害を起こした場合には、日本政府側ではそのアメリカ軍のやった損害までしりをぬぐわなければならぬのだ、それはしかたがないんだと、そういうお考え方かもしれませんけれども、私ども国民税金のうちから金を払うんですよ。アメリカ軍のやった悪いことのしりぬぐいまでわれわれがさせられるんじゃあ、かなわぬと思いますわ。その点どうお考えになります。これもしかたがない、当然であるとお考えですか。
  46. 藤崎萬里

    説明員藤崎萬里君) 全額をアメリカが負担すべきであるか、あるいは全額を日本が負担すべきであるか、半々にすべきであるか、いろいろありますでしょうけれども、二五%、七五%で、アメリカが七五%持っておると、それは別に理屈はないわけでございます。それで大体同様な関係にあるほかの国でもやっておるので、まあそのくらいが妥当だろうという目安でございまして、理屈ではございません。
  47. 岡田宗司

    岡田宗司君 条約を結ぶ際には、ずいぶんこまかく検討されるんです。いろんな理屈もくっつけるんです。それがこの問題に限っては理屈はございませんじゃあ、どうもあまり筋が通らぬと思うんですが、とにかく日本を守ってもらうんだから損害があってもしようがないんだ、これは日本も負担すべきだという考え方に立っておると、今後アメリカ軍の行動によって、たとえば飛行機事故なんかが起こることによって日本側で支障が生じても、あるいは財産損害をこうむっても、これもどうも日米安保条約でしかたがないんだと、そういうことの思想に通じているように思うんですがね、どうなんですか。
  48. 藤崎萬里

    説明員藤崎萬里君) ちょっとそれは私違うと思うのでございますが、つまり、アメリカ軍日本に来ているのは、ただアメリカ軍アメリカのために来ているのじゃなくて、日本防衛のためにもなるんだと、そういう見地からいいまして、その事故を起こした当のアメリカがより重い責任を持つべきであるけれども、それじゃあ、日本は何もそれに負担をしないでいいのか。それはやはりある程度は負担すべきじゃないか。そのある程度というのを二五%としたわけでございます。これは三〇%がいいか、二〇%がいいかということは、それはあるかもしれませんけれども、私どもの常識としましては、もし日本がいてもらいたくているのだったら、やはりある程度のものを負担するのが常識的じゃないか、かように考えているわけでございます。
  49. 岡田宗司

    岡田宗司君 その議論をしていきますと、金額ばかりじゃなくて、人命も二五%くらい負担してもいいのじゃないかという議論になるのですがね。どうでしょう。論理からいえばそうなりますね。
  50. 藤崎萬里

    説明員藤崎萬里君) ちょっと御議論の趣旨が私にはすっかりのみ込めませんですが、もう一度。
  51. 岡田宗司

    岡田宗司君 じゃ、もう一度説明しましょう。いま、アメリカ軍にいてもらうために、たとえば損害が起こったときでも何でも二五%負担するのだ。それが常識であり、また当然であるのだ、こういうことでありますならば、人命の損害も二五%くらいあったって、これまたアメリカ軍にいていただいて国を守ってもらうのだから、しかたがないのだ、こういう思想につながるのじゃないか、こういうことです。
  52. 藤崎萬里

    説明員藤崎萬里君) 私は、損害が起こるのはしかたがないのじゃないかという面の議論をしているわけじゃございませんで、補償責任をある程度日本が持つのはしかたがないのじゃないかということを申しているわけでございます。ただ、軍隊がいることからして、ある程度そういう事故が起こるというのはやむを得ないということはあるかもしれません。それはまた私は別個の問題だろうと思います。
  53. 岡田宗司

    岡田宗司君 まだ外務大臣お見えにならぬのですか。
  54. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) ちょっと理事会で初め申し上げましたように、この問題は他にも質問者がございますし、次に沖繩と原子力がございますので、まあ適当にひとつおやりを願いたいと思います。
  55. 岡田宗司

    岡田宗司君 いま、この予定でもっていきますと、十一時までこの問題をやって、あと別の問題に移るような時間割りになっているから、だからお聞きしたのです。まだお見えにならなければ、お見えになるまでこの問題を続けるわけですがね。まだお見えにならぬのですか。何時にお見えになるのですか。
  56. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) もう間もなくお見えになるそうです。曽祢君。
  57. 曾禰益

    ○曾祢益君 今度の大和市におけるアメリカ軍飛行機墜落事故が重大な人命に対する損害——死者四名、重軽傷者数名——こういう意味だけでも非常に重大でありまするが、第一、現地の人心に与えた影響というものは非常に私は重大である。その一つは、同日同じ基地厚木から立った飛行機が付近の河原に落ちている。この場合はアメリカ飛行士が事故死になっているわけであります。ところが、大和市の館野鉄工所におっこってきたアメリカパイロットは脱出しているわけです。そこに問題の非常に機微な問題がございまして、まあ、テレビに出ている娘さんの半狂乱の姿、あるいは写真に出ている一番小さなむすこさんがアメリカ軍の司令官に泣いて抗議している姿等を見て、非常に人心が動揺していることは事実です。これは何もおっこったから必ずパイロットが同じく責任をとって死ななければならないなんという、そういう復讐心からの心理ではこれはない。ないが、しかし、気持ちからいうと割り切れないものがあるわけですね。どこまでほんとうに、先ほど小野防衛施設庁長官が言ったように、どこまで最後の最後まで全力をあげて、自分の脱出だけでなくて、脱出したあと飛行機が人家、人心に損害を与えないための最善の努力をしたか、しないかということについて、非常に割り切れざる感情がある。まあ、少したとえとしては悪いかもしれないけれども、単にダンプカーが飛び込んできたばかりじゃなくて、ひき逃げされたというような、そういうせつない気持ちを持っているのは、私は人情としては無理からぬところがあるのじゃないか。そこで、この事故の頻発にかんがみて、岡田委員から質問された点ですけれども、実際厚木飛行場から発着する飛行機に対してどの程度の——これは地図で示してもらいたいのですが——完全な航路指定、町田市はこういう意味で除く、あるいは大和市の集団住宅付近は除くと、そういうようなはっきりした航路指定ですね、そういう意味の安全運転、そういうことが規則としてきめられたのかどうか。もう一つは、最後には、それがほんとうに励行されたのかどうかという問題が残ります。せめて町田市のときにあれだけ日本国民に約束したはずの安全運転がどこまで法規の形においてあらわれたのかどうか。これが私は一つの大きな問題じゃないか。今度の飛行機は、私も現場に行って見ましたが、承知する限りは、滑走路から飛び立って、そうして失速状態になり、そうして一ぺん着地し、接地して、それから約五十メートルか七十メートル先の工場に火の玉となった翼か何かが飛んで大惨害を起こした。ある人は、これは艦載機で、あそこで船の上でやるべき離着陸の練習をやってたんだという説もある。これは大和市の市のある吏員が、そうではないかと言ったんです。どういう関係であそこで失速状態になったのか。そういう場合に、大和市付近における、いま申し上げた、お聞きしている集団住宅等を、密集地域等を避けるということが、どの程度に規則になっているのか。ほんとうに、飛行機の着艦の練習を海の上でやらずに、非常に密集住宅の多い厚木飛行場付近でやっていたとすれば、これは実に非常に危険な訓練をやっていたことになるわけです。それらの点についてはどこまで、これは防衛施設庁ばかりじゃなくて、外務省が、町田事件以来、どれほど事故発生防止に対してアメリカに強く言ってこられたのか。また、今度の事故発生についてどこまで——さっそく十日には委員会を開いたそうですが、どこまでそれらの点を突きとめられておるのかをまず伺いたい。
  58. 小野裕

    説明員小野裕君) いろいろお尋ねがございましたが、委員会関係につきましては、実はまだ細部に入っておりません。以降細部に入る予定でございます。したがいまして、事故原因とか、あるいは当時の正確な状況というものについては、まだ責任ある御説明をいたしかねます。  なお、最初にお話がございましたパイロットの処置でございますが、ただいままで正式に米側から入手いたしました資料といたしましては、この事故を起こしました飛行機パイロット自身は、離陸直後機体から火が出まして燃え出しましたので、これを放棄せざるを得ないということで、自分では前方のあいている空地、しかも、その向こうには森があるというところで飛行機を落とすというつもりで操作をした。それが不幸にしてその森が低い森であって、その頭をこえて行ってしまった。しかも、その向こうに家があるのが気がつかなかった。何とも申しわけないということを簡単に申しておるということも連絡がございました。この辺のところはさらに調査検討の機会があるかと思うのでございます。  それから、事故防止のためにいままでどういう措置をとったか、具体的に厚木飛行場の進入、離脱、離着陸についてどうしているかというお話でございますが、これは各飛行場ごとにそれぞれの進入路あるいは離陸のコースがきめてございます。あるいはその周辺で待機する等の場合にトラフィック・パターンというものもきめてございます。これは大体その位置、高さ、方向、こうしたものがすべて軍のレギュレーションできまっております上に、さらに、そうした問題について私ども不安のある点は注意を喚起して直してもらうというようなことをいたしているわけであります。具体的には、たとえば先般の町田事故でございますが、従来は町田方面から厚木飛行場へ入ります際に、ややもすると町田の上空を通る、こういうコースになっておりまして、それを今後は計器進入する場合でも町田市の南一マイルというところから進入態勢に入るというように進入路を変えさしております。  なお、有視界飛行の場合には、町田市の西のほうから、これも町田市をはずれまして逆のほうから入るというように、ここの飛行場につきまして、そうした離着陸について、あるいはその周辺上空における旋回等の場合のコース、あるいは高度、こうしたものを具体的にきめておるわけでございます。こういうものをあらゆる経験によりまして一つずつそのつど改善をさせるという努力はいたしております。
  59. 曾禰益

    ○曾祢益君 今度のパイロットがどこまで人命尊重に対して最後まで努力したかどうか、これも重要なことだと思いますけれども、これはあと調査をすべきことなんであって、いまおっしゃったように、ここで一つこれだけは明らかにしておきたいのは、今度の事件があすこの厚木基地で艦上の離着陸、離着艦ですかの演習を厚木飛行場の滑走路でやっていたということかどうか、その点はどうなんです。それを伺っておきます。
  60. 小野裕

    説明員小野裕君) 今回の事故機がそういう訓練をしておったかどうかということについては、まだ確定的な報告あるいは情報はございません。
  61. 曾禰益

    ○曾祢益君 これははっきりさしてもらった上で、常識上そういう訓練はこれは広い海の上でやってもらいたいということをはっきりと貫徹してもらいたい。  それから、町田の集団住宅区域といいますか、商店街、密集地帯を避ける進入コースをとる、これはわかりました。励行されていると思います。ところが、大和市のほうはどうなんです。
  62. 小野裕

    説明員小野裕君) 大和市におきましても、住宅密集地域の上は飛ばないようにということについて、それぞれ規則ができ、あるいはそういう協定もできているのでございますが、今回不幸な事故のございましたところは、滑走路のまっすぐ延長上でございまして、そういうような方角におきましては、これは低空といいまするか、当然ある角度の進入、離脱があるわけでございまして、その真下については特別飛行方法を規制するというわけにはいかないわけでございます。むしろ下のほうの状態を改善するということに努力しなければならない、こう思います。
  63. 曾禰益

    ○曾祢益君 これはあとでけっこうですから、町田市の密集地域のどこからどこまでどの角度で飛行を禁止しているのかということの資料をこの次出してください。  それから、今度の事件につきまして、こういうふうに安全運転についてはほんとうにこれとまじめに取り組んで、そして事故防止について一そう御努力を願いたい。確かにまだ足らざる点があるのではないか。どんどん大和市のごときは密集地域以外にも工場ができ住宅ができ住宅ができている事態をどう考えるかという問題にも関連しますから、いま密集地域をのけてあるというだけじゃ、地図でも示してもらわなければ、どのくらいの安心感が持てるかわかりません。これは地図で示してもらいたい。  それから、アメリカにぜひそういう点で励行していただくとともに、もう一つの問題は、確かに今度の事件が、不幸なことには、市や県当局が、滑走路から約千メートルくらいのところまでは危険である、ことに直線コースの場合なんか。なるべく移転していただきたいという勧告をしてきたわけです。行って見ますと、勧告に従って移転された方もある。今度の住宅は、今度の立ちのきというものは一千メートル、ちょうどその外ぐらいの一千五百メートルのところにある。しかも、新たに入ってこられたのですね。ここで、もう一つの問題は、大和市あたりでも強く要求しているように、根本問題の日米安保条約の問題には触れないで、しかもこの事故の再発防止をやるならば、安全運転の問題に関連して、ほんとうはもっと海の上にでも孤立したところで飛行機の研究をしてもらいたいというのが本音ですよ、実際。そういう意味で、もっと安全なところに移転してもらいたいという要求がある。これもしかし、むげに実際不可能だということでなく、まっとうにやっぱりお考えになるべき大きな問題ではないか。事故を起こして人心を不安におとしいれ、日米関係にひびを与えながらやっていくよりも、もう少し大きな見地から、やはり海上の飛行場のことについても考えるべき時期が来ているのではないか。そういう意味で、飛行場の移転のことも考えられる。  第二には、いままでの一千メートルでは、これはもう足りないことは常識上わかっている。しかも、中央政府が本腰を入れておすすめしていない。補償金も中央政府が本腰で出さない。だから、まだこれは強制力を持たすことは私は反対ですけれども、少なくとも、一キロなり、それじゃ足りないなら一キロ半なり二キロくらいのところについては強力なおすすめをする態勢をとる。少なくとも新たに入ってくる人に対して、これは建築許可等を与えないということはできるはずです。そのためには政府としての十分な補償を考えなければならない。そういう意味で集団的になるべく疎開がはかれるような、そういう財政的な強力な措置をまじめに考えるべきではないか、当面の火急の対策として。それをやっておかないというのは、私は国として非常な手落ちではないか。だから、アメリカに対する安全飛行の要求、それから基地の移転、これは必然です。同時に、しかし当面の人心を安定させるための、いわゆる基地周辺の民生安定という見地から、強力な財政的バックによる集団移転が少なくとも——新たに、どんどん無制限、無統制に、まったく危険地区に入っていくことは、少なくとも、これから事実上おさまるような方法をとるべきじゃないか。当然とるべきだと思うのですが、これに対する政府の見解を伺いたい。
  64. 小野裕

    説明員小野裕君) ただいまのお説はまことにごもっともでございまして、どの範囲までが適当であるかということは問題があると思いますが、少なくとも滑走路の延長上、進入方面下にある部分の区域については、そこに人が住むとか働くとかということがないような状態にすることが大事なことであろうと私どもは考えます。ただ、何と申しましても、広大な面積についての措置でありまして、簡単に片づかないために、今日まで根本的な対策は立たないでまいったのでありますが、御承知のように、関係者に、特に御希望の方に対して移転のごあっせんをするというようなことで、いま事故の起こりました厚木飛行場の北方滑走路の北側の部分につきましても、過去数年間に約七十戸の世帯に移っていただいておるわけでありますが、まだ残っておる方と、それから新しく入ってこられる方がおるわけでございまして、こういう方に対する措置をどうするかということについては、御指摘のとおりでありまして、私どもさらに慎重に、真剣にその対策を考えてまいりたいと、こう考えておるところでございます。
  65. 曾禰益

    ○曾祢益君 最後に外務大臣に要望いたします。  この問題はさすがにアメリカにおいても大統領が直ちに、少なくともお見舞いといいますか、弔慰といいますか、電報を打ってくるくらいな問題なんです。もちろん主管当同としては防衛施設庁長官でしょうけれども、これはやはり日米国交上非常に大きな問題だ。したがってこういう問題について、やはり外務大臣は腰を入れて、アメリカに対して安全の問題については万遺憾なきを期すように、それから、できるならば飛行場をもっと安全なところに移転する。それから、いま言ったような当面の基地周辺のいわゆる強力な財政的なバックによる安全措置、集団移転等、外務大臣ひとつ本気になってこういうことをやるべきじゃないかと思うのですが、御所見を伺いたい。
  66. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) 今回の事件につきましては、いろいろ考えなければならぬ問題がたくさん出てきたように思われます。ことに、御指摘の直線コースの一体千メートルがはたして適当であるかという点、これを幾らにするか、そうしてその移転を強力に勧説して、そうしてこれを飛行場の一部にするというくらいの財政的な措置を講ずる必要があるのじゃないかということを痛感させられる次第でございます。それ以上に、また人口稠密の場所を避けて、絶対にそのような惨害が起こらないというようなもし土地があれば、そういうものももちろんさがすべきだと思うのであります。とにかく、とりあえず相当強力な勧説の方法なり、あるいはまたこれに伴う財政の準備をしてこれらの事故の再発を防止するという当面の問題につきましては、これは直剣にいま関係方面と十分に連絡をいたしまして、事故防止措置を進めたいという考えを持っております。
  67. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) ちょっと申し上げます。  理事会の申し合わせがございまして、次に沖繩問題、それから原子力がございますので、これらの問題に………。岩間君。
  68. 岩間正男

    岩間正男君 ちょっと関連して。簡単にやります。資料要求なんです。  私は時間がありませんから簡単に申し上げますが、この前の町田事故のときの日米合同委員会事故分科委員会で取りきめた事項というのがあると思うのです。これは一部分さっき話されました。しかし、これは文書にして当委員会に提出してもらいたい。この前、再びこの事故を繰り返されないためにもう厳重にこの問題は抗議をする、取りきめをやる、そうしてまた再びこのような不幸な事態を起こさないようにというジョンソン大統領の当時の見舞い電話を今度と同じように出された。しかし、ところが、それにもかかわらず、半年後にこのような事態が起こっておるのですが、そうすると、この前の取りきめというものは非常に不十分なものだということははっきり確認せざるを得ないのです。したがって、あす第二回の事故分科委員会が行なわれる。それにあたって、実はきょうこの委員会が開かれたわけでありますから、相当これは検討することが実は私は必要だと思っておる。こういう点で、非常にいままでの分科委員会の様相を見ますと、米軍の言いなりになってきた。あるいは取りきめそのものが完全に履行されたかどうかということは、当委員会はやはりこれは国民をもう代表して真剣に取り組んで判断しなければならぬ問題です。そうしてまた、当委員会のこれは要求をあすの交渉に伝えなければならぬ。そうして、再びこれを繰り返さないという完全な保証を確立するということが絶対必要だ。このことを要求したのですから、そういう点でいまの町田の取りきめ、これを文書にして出してもらいたい。  それから、この取りきめがどの程度不十分だからこのような事故が再生産(笑声)されたのか、その点について反省があると思うのです。反省がないとすれば、あなたたちは非常に怠慢だということになりますから、反省している文書を出してもらいたい。  それから、外務大臣についでに要求したいのですが、この日米合同委員会の分科会というものがこれは数次開かれています。しかし、いままでわれわれがいろいろな場合に検討してきたところが、アメリカの言いなりになっていることが非常に多いのです。これは地位協定、安保条約の性格からも来ることでありますが、この運用の面で、日本の自主性というものは決して安保改定のときに言った対等の立場に立ってというのが対等になっていないということは、これははっきりしておる。そういうことから考えますと、外務大臣は、外交交渉でこの合同委員会の権利を確立するという、そういう点であすの第二回の事故分科委員会に臨む必要がある。その腹がなければ、事故は繰り返しませんとここで何ぼあなたがそのように答弁をされ、それからジョンソン大統領がそのために見舞い電報をよこしても話になりません。私はそのことを要求したいと思うのですが、ぜひ委員長からも委員会にはかってそのことを扱っていただきたい。いかがですか、その点は。
  69. 小野裕

    説明員小野裕君) 先般の町田事故あと開かれました分科委員会の結果については、書類にして提出いたします。  ただ、今回の事故と比べて反省するところがあったらそれも出せというお話でありますが、これは共通の点もないではございませんけれども町田事故は、一般に上空を航行中の事故でございました。それから、今回は飛行場からの離発着に関する事故でございまして、必ずしも全部が共通というわけでございませんので、いまここで比較をしてどうこうという資料は差し上げかねるのでございます。  それから、私が明日と申し上げましたら、私が先ほど申し違えたら恐縮でございますが、本日の午後開かれることになっております。
  70. 岩間正男

    岩間正男君 外務大臣、答弁してください、いまの問題。
  71. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) きょう開かれるのでありますが、この事故分科委員会におきましては、今回の原因を十分に探求して、そしてこれを未然に防止するという方策を考えるわけでございますが、十分に研究してもらいまして、その結論に基づいて善処したいと、かように考えます。
  72. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 時間の都合がございますので簡単に願います。
  73. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは防衛施設庁長官に念を押したいのです。町田事故が起きましてから五カ月、まだ補償金が払われていない。とにかく残っておる。それが最近この委員会が、衆議院の委員会でいろいろ言われて今月中にお払いになるようになったらしいのですけれども、今度の事故でもまたいまのようなやり方だというと、いつまでかかるかわかりません。これは非常に損害を受けた方々に対してお気の毒でもあるし、また、そういうことが人心に与える影響ということも大きい。大体、調査をしたって二カ月もあればはじき出せないはずはないと思うのです。どうでしょう。今度のことについて、少なくとも二カ月以内くらいに全額支払えるということが言明できますか。
  74. 小野裕

    説明員小野裕君) 今回の事故補償賠償につきましては、いまお話のように、二カ月以内に片づけられると確信をいたます。
  75. 岡田宗司

    岡田宗司君 もう一つ外務大臣に念を押したい。それはですね、いま曽祢君の質問に対する外務大臣お答えを聞いてますというと、滑走路の問題だとか、あるいは補償の問題だとか、こういうことについてのお答え、それに努力をするというお話、これはどうも外務大臣の所管事項と違って、これは防衛庁長官の所管事項のお答えだったように思います。曽祢君の質問は、この問題について事故が起こらないようにアメリカにもっと十分な反省を求めるために、アメリカ政府なり何なりに対して外務大臣は話をするつもりはないか、こういうことだったのです。そういうお答えがないのですが、私は、たとえばこの合同委員会とか、事故防止分科委員会とかいうものはこれは専門的なことで、いわば下級の会談ですね。そういうことでなくて、こういうふうに頻発して国民に不安を与えるという事態について、外務大臣アメリカ側に対して何か申し入れをするつもりはないかどうか。その点私は念を押したいのですが、どうですか。
  76. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) 事故分科委員会においていろいろ検討した結果、アメリカ側において十分今後の訓練その他について反省すべき点も出てくる可能性は私はあると思います。そういったような問題につきましては、その問題をとらえて今後さようなあやまちを再び起こさないような訓練方法、あるいはその他の方法を講ずるように言うべきことが出てまいるように考えておりますが、さような場合には遠慮なく申し出るつもりであります。
  77. 岡田宗司

    岡田宗司君 それよりも、先にあらかじめはっきり申し入れたほうが、分科委員会なり何なりで向こう誠意を持ってこういう処置をとりますということは明らかにするようになるので、まずアメリカ側に対して外務大臣から厳重に申し入れることが必要じゃないですか。私はそう思うのですが、いかがですか。あまり遠慮することはないのじゃないか。
  78. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) 具体的な問題をやはりつかまえて厳粛に申し入れたほうが迫力があると思うのです。ただ何となく厳重に、こういうことは困るということでは、どうも私はあまり効果がないように思いますので、十分に委員会、分科会において調べた事実に基づいて申し入れたいと、かように考えます。
  79. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 佐多君。
  80. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 私は沖繩の問題について外務大臣、総務長官にお尋ねしたい。  まず総務長官にお尋ねしますが、総務長官、ついせんだって沖繩の現地に行かれまして、向こうで現地調査、懇談その他で詳しい最近の事情をおつかみになっていると思いますので、まず、その結果のあらましを御報告願いたい。
  81. 臼井莊一

    説明員(臼井莊一君) 私は八月二十四日に沖繩に参りまして、六日間沖繩の本島とそれから宮古、八重山のほうにも査察に参りました。なお、参りましてから最初の日と帰りしなに、ワトソン高等弁務官にお会いいたしまして、そうして日本と沖繩に関する諸問題、特に経済援助等の問題について懇談をいたしたわけでございます。  沖繩の住民は、私ども参りましたのを非常に喜んで歓迎してくださるとともに、また、いろいろ沖繩の事情とかあるいは今後の希望等についてお話がございましたので、私はでき得る限り各方面の方々に数多くお会いいたしまして、そうして、それらの希望、御意見等も承ってまいりました。その結果、アメリカ側政府要人ともお会いいたしましたりいたしましたので、まあ、きわめて日米友好のうちに話し合いを進めることができました。また、沖繩住民との間にも、いま申し上げましたように、いろいろの問題について話し合いをいたしました。今後の私ども日本政府としてやるべき方向についてのいろいろな貴重な意見等も伺いまして、結果において非常な収穫があったと、かように確信いたしております。きわめて簡単でございますが、何かまた各項目について御質問でもあればお答えいたしたいと思います。簡単に御報告申し上げました。
  82. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 沖繩の大田主席の辞任の問題をめぐって、向こうの政局はかなり混乱をしておるように思うのですが、これらの状態はどうなっているのか、今後どうなると見通してこられたのか、この点についても伺いたい。
  83. 臼井莊一

    説明員(臼井莊一君) この大田主席が辞表を提出いたしましたいきさつでございますが、この点につきましては、前の高等弁務官のキャラウェーさんの時代にいろいろの布令、布告、それが立法院側から見ますと、まあ少し非常に行き過ぎていると、こういうような布令、布告等が出まして、そして、それに対して大田主席があまりにアメリカ追随的であり過ぎるというようなことから、沖繩自民党との立法院の中にこれに対して強い意見等が出まして、それがために沖繩自民党の立法院十八名のうち十一名がついに脱党いたしまして別の民政クラブというものを組織いたしたわけです。そこで、その十一名の民政クラブはもちろん保守党の立場に立つものではありまするけれども、いま申し上げたような、大田主席に対して批判的な立場をとっておりますために、そこで、大田主席といたしましても、政局が混乱したという責任を感じてでございましょう、アメリカの民政府のほうに対して辞表を提出した、こういういきさつでございます。
  84. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 辞表を提出して、それから副主席は辞表を受理され、主席のほうは辞表を受理されないで、そのまま非常な混乱状態におちいっているというのですが、混乱状態はどういう状態だったか、それから、今後の見通しをどういうふうに見通されているか、この点。
  85. 臼井莊一

    説明員(臼井莊一君) この点につきましては、主席の公選というようなことにつきましても、立法院で本年の六月の十日に決議を行ないまして、そうして、これの実現の要望を、野党側のほうと申しますか、強くいたしておるわけでありますが、ただそういう一応の自治権の拡大ということについてはみな一致しておりまするが、特にいまの主席の公選というような問題は、アメリカの大統領の行政命令の改定を要するという非常に大きな問題でございますので、なかなかその実現はむずかしいのであります。現在は立法院が主席を指名をいたしまして、そうして、この推選を受けてアメリカ側の高等弁務官が主席に任命するという、こういう形を御承知のようにとっておるわけであります。ところが、そういう自治権の強い拡大ということの一つに主席の公選というようなものを旗じるしに掲げておりまして、そこで、したがって、これはキャラウェー高等弁務官の時代でございましたけれども、これが実現しなければ、あと辞表は受理されても後任を立法院において指名しないというような、そういう態度を沖繩自民党においても、また民政クラブにおいても、当時とっておったわけです。それがために、まあせっかく辞表は出されましても、アメリカ側においてもこれを簡単に辞表を受理するというわけにもいかぬ。もとより、受理いたしまして、副主席とか、あるいはまた指名権がありますから、アメリカ側で指名するということもできないではないのでありますが、そういうことはひとつ避けたい、こういうことでございましょう。それがために、いまだに受理は保留されている、こういうわけであります。
  86. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 沖繩の主席の高等弁務官による任命という問題は、お話のとおりに大統領布令の規定でありましょうが、大統領布令は、戦争あるいは戦争直後の戦時的な占領時代の遺物であると思うのです。その後ケネディ新政策が出されて、ケネディ新政策では、自治権の拡大を逐次はかることにやぶさかでないというようなことが述べられてあるのですから、たとえこれが大統領布令であろうとも、この古い軍事占領政策の遺物はすべからく改められるべき問題ではないかと思うのです。また、いまお話のとおりに、立法院も公選を強く主張しておることでありますので、日本政府としてはこれを支援をして、公選制をすみやかに実施すべきだという要求、主張をすることが当然であると思うのですが、これらの点について、現地において現地の高等弁務官とお会いになったときに、総務長官はそれに対してどういう意見を述べられ、主張をされたのか。新聞の伝えるところによりますると、何か施政権の返還の問題と軍事基地の問題とを切り離して、施政権の返還については強く主張をするのだというようなことを言われたとか言われなかったとかいうようなまちまちな新聞の報道もございますので、これらの点をもう少し詳しく御報告願いたい。
  87. 臼井莊一

    説明員(臼井莊一君) 講和条約が締結されましてから相当久しく年月のたつことではございますが、しかし、ケネディさんの新政策にも盛られておりますように、これがいずれは返還されるということについてはお考えのようで、その中に織り込んでありましたが、ただ、それを許す世界の情勢、ことに極東の情勢に早くなることを望むということで、したがって、施政権が返還でき得るような世界の情勢、極東の情勢にならなければなかなかむずかしいという、裏から返せば、そういうふうにも解せられるのでありますが、で、私あちらへ参りましていろいろの問題で懇談いたしましたが、そういう問題につきましては、きわめて高度の政治的な問題でございまするので、したがって、沖繩に対する日本政府の窓口の責任者では私ございまするけれども、そういう大きな根本的な問題に対しましては、私からワトソンさんに直接交渉するのもいかがかと思いまして、そのことにつきましては特にこちらから申し入ればいたしませんでした。  ただ後段の、沖繩の基地と施政権の返還というものを切り離せることもできるではないかということは、これは私が個人的な見解といたしまして、立法院において立法院の議員の方々と懇談をいたしました際に、私から申し上げたわけでございます。とにかく自由諸国の防衛というそういうアメリカ側が使命観に立っている、われわれといたしましても、その自由というものの防衛ということは必要と考えておりまするたてまえからいたしまして、したがって、基地の、少なくとも現在の世界、極東の情勢においては、基地というものは当分これはやむを得ぬであろう。そう考えますると、施政権の返還というものも、別に私個人の見解としては、切り離してやり得る方法もあるではないかという意味を申したのであります。で、これになお付言いたしまして、しかし、これは私の考えで、アメリ側のほうでは、基地と施政権というものは一体であるという考えが非常に強いので、この点についてはアメリカ側ではなかなか賛成しないであろう、こういうことを申し述べたわけであります。
  88. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 極東の緊張がどういう状態であり、どういう原因によるか。したがって、アメリカが沖繩をああいう形で保有することが必要かどうかというような問題については、私たちは長官と異なる意見を持っておりますが、その点についてはここではいましばらく議論を避けておきたいと思います。  ただ、長官の言われた、公選制の問題は非常に高度な問題であるから自分の関知する以上の問題であるというようなお話がありましたが、それでは外務大臣にお尋ねをしますが、先ほど申しましたような状態になっておるのですが、沖繩の主席公選の問題については、この際このときに、日本がやはり強く取り上げて主張をし、沖繩住民の主張をバック・アップしてやるべき時期だと思うのですが、どういうふうにお考えですか。
  89. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) 大統領布令によって定められておる高等弁務官の任命の問題でございますが、これは解釈のしようによっては施政権の問題にも触れており、また、立法院の公選ということになれば、それがまた自治権の拡大にも関連する問題と私は一応考えるわけでございますが、施政権の返還につきましては、しばしば、総理大臣なりあるいは歴代の外務大臣が、アメリカの大統領あるいは国務長官等に会見の際にもしばしばこの問題に触れた日本の要請をしておることは、御案内のとおりでございます。いわば最も高次の政治問題でございます。現地においてこの問題を論議することは適当でないというような意味で総務長官からお話があったかと思うのであります。もちろん、これらの問題につきましては、日本といたしましては要請を捨ててはおらないのでありまして、あくまで施政権の返還という目標のもとに進んでいかなければならぬと思うのであります。しかし、さしあたりといたしましては、ケネディ声明に見られるような、できるだけ自治権の拡大をして、そうして情勢の推移いかんによってこの大目的に向かって努力をするということになると思うのであります。まず、さしあたり自治権の拡大の問題、しかも、それが直接沖繩の住民の福祉、安定に結びつく現実の問題に取り組んで、逐次進めていきたい、かような考え方をしております。
  90. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 施政権の返還、自治権の拡大の問題に対しては、これまでしばしば日本政府が主張をしてきたと、これまでも言われましたし、ただいまも外務大臣がそう言われた。そこで、しかも、その問題について一般的にそういう目標を掲げて主張をし、要求をするのみならず、それをもっと具体的に現実的な問題として解決をしていきたいというお話ですが、それならば、施政権の返還、それから自治権の拡大、それをもっとしぼって、具体的に当面的に問題になっておるのが、ほかならぬ主席公選の問題だと思うのです。そこで、主席公選の問題としてアメリカに対して直接に要求をされるおつもりがあるかどうか。むしろこの時期にやるべきだと思いますが、その点をどういうふうにお考えになっておるのか。
  91. 臼井莊一

    説明員(臼井莊一君) この自治権の拡大につきましては、先ほどいろいろ申し上げましたのは、前高等弁務官のキャラウェーさんの時代でありまして、今度、新高等弁務官のワトソンさんになりましてからは、こちらに赴任の際、お立ち寄りになりました際にも、また、あちらに行ってからのいろいろの実績から申しましても、一般の沖繩住民の意向に十分耳を傾けようということで、すでにあちらの立法院におきましても、そういう趣旨の発言もせられまして、そうして、自治権のできるだけ拡大の方向について努力したいという御意向で、そして、その点につきましては、いまお話の故ケネディ大統領によるいわゆる沖繩新政策の線に沿って逐次その面に関する検討をしていきたい、こういうことでございます。従来も、最初は主席の任命だけでありましたのが、その後まあ間接選挙と申しましょうか、いま申し上げましたように、御承知のとおりの立法院において指名をして、これを任命するというところまでは進んできたわけであります。ただ、私ども先ほど来申し上げておりますように、沖繩の政局がきわめて現在の段階においては不安定で、まあ、いわば混乱していると、こういう際でございますので、したがって、まあ、なかなかこれが安定し、日米間お互いに理解し、そして協力して、あちらのほうでも信頼ができる、これならば主席を公選してもだいじょうぶだというところまでの態勢が、やはり沖繩の琉球政府、立法院、これらを含んでの政局が安定しないというと、なかなか困難な問題ではないか、こう実は考えております。
  92. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 政局が不安定であり、混乱をしている原因は、むしろ現地における高等弁務官の直接統治方式、そして自治権が何ら認められないで、非常に制約をされているというような点にむしろ原因があるので、これらの不安、混乱を除く道の一つが公選制の問題だと思うのです。だから、結果ではなくてむしろ原因なんだから、その原因を除去する。ことに、しかも沖繩住民をあげての主張なんですから、これを主張すべき時期にあると思うし、私はこれを強く要求をして、特に外務大臣が高い見地からこの問題を強力に主張されることを要望しまして、この問題はあまり時間がありませんので打ち切って、次の問題に移ります。  次に、外務大臣にお尋ねをしたいと思うのですが、アメリカの六三会計年度、六四年度、六五年度と、この最近の二、三年間におけるアメリカ側の沖繩援助の方針、それから、これは軍事援助、経済援助を含めて援助に対する基本的な方針、それから、その援助が具体的にどうなっているか、それらの点についての御報告を願いたい。
  93. 臼井莊一

    説明員(臼井莊一君) この問題につきましては、具体的には、いままでの決定いたした部面につきましては私のほうの窓口になっておりますので、私から簡単に申し上げたいと存じます。  この援助につきましても逐次増額されてきておりまして、実は三十八年度の予算におきましては、援助でございますが、沖繩に対する援助は、こちらの予算は十四億二千一百万ばかりであります。
  94. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ちょっとお話の途中ですけれども、私がお尋ねしているのは、日本の援助の前に、アメリカからの援助がどうなっているか。アメリカの軍事援助、経済援助、そちらから。
  95. 臼井莊一

    説明員(臼井莊一君) それでは、沖繩に対する米援助費でございますが、昭和三十五年度アメリカで言うと一九六一年度でございますが、これは千四百四十一万六千ドル、邦貨に直しますと五十一億九千万円、これが昭和三十五年度でございます。昭和三十六年度におきましては千四百二万一千ドル、邦貨に直しまして五十億四千八百万円、三十七年度におきましては千七百六万ドル、日本の金にいたしまして六十一億四千二百万円、三十八年度におきましては千七百八十六万五千ドル、邦貨に直しまして六十四億三千一百万円、三十九年度におきましては、これはアメリカの会計年度で一九六五年度になりますので、未定になっております。
  96. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 六五年度ですか、六五年度の沖繩援助費は、この間アメリカの下院できまったのがありますね。それは。
  97. 臼井莊一

    説明員(臼井莊一君) これは下院を通過いたしまして、プライス法一ぱいの千二百万ドルとして、アメリカのほうの下院は通過いたしたそうであります。
  98. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 私の持っている資料では、六五年度は千四百四十四万一千ドル、こういうことになって、アメリカの下院で決定したのが六四年度に比較して四百四十四万一千ドル増加になっている。こういうことになっているんですが、先ほどのお話からしますと、むしろ減っているんですが、ここいら。そこで私が援助の方針を聞いているんですが、どういうふうに一両年内変わってきているか。
  99. 臼井莊一

    説明員(臼井莊一君) それでは詳細につきまして事務当局からお答えさせます。
  100. 三枝三郎

    説明員(三枝三郎君) ただいま長官からお答えしました金額でございますが、これは米議会による割当額のほかに、高等弁務官の支出金、両方を含めております。いま先生のお尋ねになっておりますのは、多分米議会で審議されておりますいわゆるプライス法による援助の金額だろうと思いますが、私どもに入っております資料によりますと、まだその点つまびらかになっておりません。  それでアメリカの琉球列島に対する援助の方針でございますが、いわゆるプライス法と称せられます、琉球列島における経済的、社会的発展の促進に関する法律というのが一九六〇年に議決されておりますが、その第一条にこのようにうたっております。「大統領が対日講和条約第三条によって米国に与えられた琉球列島に関する権限を行使するにあたっては、米国が琉球列島に関する権限を留保する期間中琉球列島住民の福祉安寧を増進し、その経済的、文化的発展の促進のため、あらゆる努力をしなければならない」、こういうぐあいに書いておりますので、こういう方針で援助しているものと思われます。
  101. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、この一両年は増額の方向にあるんですか、減額の方向にあるんですか。
  102. 三枝三郎

    説明員(三枝三郎君) 先ほど長官からお答えしましたように、逐次増額しておるものと思われます。
  103. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それに対応して日本側からの援助計画、まず三十八年度日本政府の援助の実施状況がどうなっているのか。
  104. 臼井莊一

    説明員(臼井莊一君) 実施状況でございますが、これは三十八年度は十九億八千三百万円、これが日本の援助額でございますが、これは昭和三十八年度の援助に関する覚え書きが昭和三十九年の一月三日に、非常におくれて発効したわけです。この事業計画は、全体で二十七項目でございますけれども、本年六月十日には全項目が承認済みであります。その金額が十四億二千百万円余であります。支出済みの項目は八項目で、その金額は三億九千百九十二万千九十二円、これは事業計画承認済み金額の二七・六%であります。  なお、去る七月十五、十六日の両日にわたりまして、那覇市において日米琉技術委員会におきまして、主要な議題としてこの三十八年度援助事業が討議されまして、本年の十二月末までにはおおむね六割が実施されるであろう、そして年度末までには三十八年度の分が全額実施されるだろう、こういうわけで三十八年度の実施につきましてはたいへんおくれているわけでございます。
  105. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 三十八年度が非常におくれた原因は何にあるのか、それから三十九年度の援助計画はどうなっているのか、それから四十年度の予算要求として、特に方針的なものでいいのですが、そういうものがどういうふうになっているのか、それらのことについて。
  106. 臼井莊一

    説明員(臼井莊一君) 三十八年度の実施が非常におくれておりまして繰り越しておりまする一つの原因は、ただいま申し上げましたように、覚え書きの発効いたしましたのが本年の一月三日、こういうことが一番大きな原因かと思うのでありますが、そのほかにも、あるいは琉球政府の行政的な問題にもあるいは多少の原因があるかもしれませんが、あるいは建設事業については、これを急速に消化し得るだけの、それの準備といいますか、沖繩におきましてそれだけの事業をこなすだけの準備がないといいますか、そういうことにあるのではないかと思うのであります。  昭和三十九年度の執行計画でありますが、これは三十九年の援助事業は二十八項目で、予算額が十四億五千二十七万九千円でありますが、これは援助に関する覚え書きは本年の七月十日に発効いたしました。三十八年度から見ると半年ばかり前に発効したわけであります。事業計画は二項目、農林漁業資金援助金、それから育英奨学資金援助金、これは三億三千二百四十三万二千円ばかりでありますが、これを九月八日に承認いたしました。現在支出の手続中でございまして、近日中に琉球政府に交付される予定になっております。その他の項目についての事業計画は、逐次米民政府を通じまして琉球政府から提出されておりますので、おおむね十二月末までには約四割が、さらにまた、年度末までには大半がことしは実施される。こういう見込みであります。  それから来年度、四十年度でございますが、これにつきましては、私どもといたしましては、できるだけ日本の援助額についても増大を希望はいたしております。しかし、具体的な問題につきましては、本月十六日に日米琉協議委員会が開催されまして、その際にアメリカ側から提案される内容を決定いたしました後にわがほうの態度を決定いたしたい、かように考えている次第であります。
  107. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その予算の実施について、現地で商業高等学校と中学の建設計画について、沖繩側とアメリカ側と教育方針に関する見解の相違から、いろいろもめているようでありますが、この実情はどうなっているのですか。
  108. 臼井莊一

    説明員(臼井莊一君) そういう問題につきましては、私、現地に参りましても特に陳情等を受けておりませんので、私は承知いたしておりません。
  109. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 現地では非常に大きな問題になっているようですが、事務当局はどういうふうにお考えですか。
  110. 三枝三郎

    説明員(三枝三郎君) いまの商業高等学校の問題でございますが、新聞その他の情報等によりますと、米側は、新設の商業高等学校につきましてはアメリカ的な学校の運営をしたいというようなことで、従来の本土における商業学校の運営とは多少違っているようでございます。その点の意見の食い違いがございまして、ただいま調整中のように伺っております。また、中学校につきましては、これも相当理想的な、アメリカ式な中学校をつくるようにという要望に対して、地元といたしましては、与えられた予算内で従来の学校を修理するという方向に持っていきたいということで、意見の食い違いがあるように聞いておりますが、特にこの問題について、本土政府側にいろいろ要望してきているという事実はいまのところございません。以上でございます。
  111. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 私が聞いたところによりますと、アメリカの民政府は、アメリカの軍事基地を維持するための特殊教育、したがって、軍関係の労務者をつくる教育方針でやろう、こう言っている。それに対して行政府は、生徒の急増対策や教育の機会均等の現地における特殊な事情を重視して、しかも、御承知のとおり、沖繩では、教育基本法は日本の教育基本法にのっとって日本国民として教育をする、こういうことに基本方針はなっていると思うのです。ところが、いま伝えられる民政府の考え方はこれに背反するものであって、そこに意見の相違があると思うのですが、日本国民として教育をするという点においては、日本政府として特に重大な関心事であると思いますので、向こうの行政府の考え方を支援をしながらその問題を解決するように、こちらから努力をする必要があると思いますが、この点、外務大臣どういうふうにお考えですか。
  112. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) 現地における米軍の施設に合うような教育といいましても、これは教育の根本の方針じゃなくて、そういったような特別の技能を身につけるかどうかという問題でございますから、教育の根本方針としては両者はそう大きく矛盾するものではないと思うのでございます。でございますから、政府側の意向も十分に通し、しかも、一方においては米側の意向も適当に取り入れるということがやはりこれは可能であり、また、実際問題としてそういう配慮が必要ではないか、かように考えております。
  113. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 いや、その意見が合うはずであるとおっしゃるんですが、意見が合わなくて長い間もんで、懸案になっていて、施設に着工することができない状態になっておりますので、その点をさらによくお調べの上に、向こうの教育基本法にある日本国民として教育をするという方針はあくまでも貫かれるように向こうの行政府を支援されること、その方向で支援されることこそが日本政府の任務であると思いますので、それを強く努力をされることを希望しておきたいと思います。  それからもう一つ、渡航制限の問題ですが、非常に制限がやかましくて、しかも、時日を非常に要して、長い間手間どってしまうというような状況かしばしばあります。それから、こちらから行く場合も、現地視察の場合においても、たとえば国会議員その他が行く場合には、向こうの招待によって行くことだけが許されて、しかも、向こうの招待で行く場合には、向こうのキャンプか何かに泊まらされて、半分軟禁状態で、十分な現地視察ができないし、それから、現地民との接触が十分にできないというような状態に置かれているようですが、われわれ外務委員会としましても、近く沖繩に行きたいという意向も持っておりますが、その場合にはそういう半軟禁状態の向こうの招待という形でなくて、もっと独自な調査なり何なりができるようにしたいという希望も強く持っておりますが、これらの点に関連して渡航制限がどうなっているのか。これをさらに緩和し、あるいは撤廃をするというような要求をされたかどうか、その辺の事情をひとつ。
  114. 臼井莊一

    説明員(臼井莊一君) この点につきましては、従来手続がおくれていた向きがだいぶございます。しかし、大局におきましては、大体入域許可証の申請の約七〇%は一週間以内、また八〇%は二週間以内に、九〇%は三週間以内というふうに従来おりておりましたし、それから、不許可になるというようなものにつきましても、これはだんだん年々少なくなってきておりまして、許される向きが非常に多くなってきております。しかし、これを一そうひとつ——なかなか自由にというわけには、アメリカ側の考え、また基地との関係、いろいろ考えもあるようでむずかしいといたしましても、これをできるだけ迅速に、また許可の範囲もできるだけ広げてほしいという要望も私のほうで申しました。それで、たとえば従来不許可になっておりましたというか、保留になっておりましたある教授も、九月一日付で琉大の招聘に応じての教授も許可になりましたし、それから、昨日琉球列島民政府が正式に発表いたしましたのは、高等弁務官が、特に渡航申請の迅速な手続をするようにという、まあこういう方針でそういう発表がございました。ただ、米軍軍事基地の安全性を弱めない範囲内で迅速にこの手続が完了するように、また、許可等についてもできるだけそういう趣旨でやりたいという発表があったようでありますが、今後は一そうこの手続が迅速に、また許可の範囲も広がるものと期待してよかろうと思います。  で、いまお話の招待の問題でございますが、これはやはりああいう軍事的な大きな基地があるところでは、よけいあちら側の考えによっての招待と、そういう基地もひとつ認識してもらおうということで招待というようなことも従来はあったようでございますが、私が参りました際には、特にその点をあちらに申請いたしまして、こちらのプログラムに従ってということで申し入れをいたしまして、大体そういう線で自由に日程を組むことができました。まあ、今後それがどうかということはわかりませんけれども、方針としては大体そういう方針ではなかろうか、こう考えるのであります。  なお、従来も、別に外へ出てほかの人と会おうとしてそれを阻止するということではなかったのでありますが、やはり招待でありますので、向こうの指定した米軍基地内の宿舎でございますね、私も一晩これに招待を受けて泊まってみましたが、なかなか設備の完備したあれでございまして、夜分等でも出ようと思えば出られるのだけれども、まあ疲れるから出ないのか、従前においてはそのままであったので、そこで何かあまり強い制限を受けて、極端に言うと拉致されたのではないかというような、そういう表現もあったようですが、そういうことでもなかったようですが、その点はさらに一そうできるだけ便宜は得られるものと、こう考えております。
  115. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 渡航制限の件数が最近になって少なくなっているというお話ですが、沖繩の人権協会が調査したのによりますと、一九六三年は渡航の不許可、留保が合わせて四十件、それに対して一九六四年は四月までの間に不許可が六十二件、留保が四十八件、計百十件、四月までにすでに昨年の一年じゅうの倍以上になっている、三倍近くになっている。私の調査によると、こういうことになっておりますが、この実情はどうなんですか。
  116. 臼井莊一

    説明員(臼井莊一君) 私のほうの資料によりますと、昭和三十三年におきましては、不許可の件数が、パーセンテージにいたしまして〇・七六八、それから三十四年が〇・六六一、こういうふうで、三十六年には〇・二二六、その前年は——三十五年は、ちょっと多かったのですが、これは〇・八、それから三十七年が〇・一八、三十八年が〇・一九五、大体の傾向としては下っておりましたが、本年度のあれはまだ資料が私の手元にございませんが、あるいは事務局にあれば、それを事務局からお伝え申し上げますが、ただ、例のキャラウェーさんの時代には、布令、布告等、いろいろそういうことで問題点が出た。キャラウェーさんの末期にはそういうあれがありましたので、お説のようなことが統計上はあるいはなかったとは言えないのですが、この点、もし資料が事務局にあれば、事務局から発表いたさせます。
  117. 三枝三郎

    説明員(三枝三郎君) いまの先生の御質問は、沖繩から本土へ渡航する場合の数字だろうと思いますが、これは私どもの手元にはその資料はございません。いま長官が申し上げましたのは、本土から沖繩への渡航の件数についてのパーセンテージでございます。  なお、先ほど長官からお話がありましたが、昨日の発表でございますが、これは沖繩へ日本から渡航する場合の申請の手続を迅速にしようということで、発表文によりますと、ある種の規則を改正する。それから東京にあります向こうの旅行班の権限を多少拡大するような方向に持っていっておるようでありますし、また沖繩と東京の旅行班との間に電気通信施設を設置して手続を早めるというようなことで、これは相当期待していいのではないかと思っております。
  118. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 向こうからこっちに来る入航——こっちから言えば入航ですか、それの数字かどうか知りませんけれども、いま申し上げたようにふえておる実情がございます。これらの点はなおよくお調べくださって、ちょうどこれを緩和しようという空気のところでありますから、さらに積極的にこの緩和に努力をしていただくと同時に、これは早い機会にむしろ撤廃をすることを目ざしてひとつ努力をされることを要望をしまして、質問を終わります。
  119. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 渋谷君。
  120. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 ちょっと関連。  いまの旅券の問題なんですが、沖繩から日本へ来るときにキャンセルされて来れないという人が何人か今日までの年数の間にあったわけですけれども、おもな理由はどういう理由でこちらに発券できなかったかということについてまず第一にお伺いしたい。
  121. 三枝三郎

    説明員(三枝三郎君) おもな理由をはっきり向こうは出しておりませんが、こちらから向こうへ行く場合に留保されたり不許可になった理由は、一つは、身元引き受け人がはっきりしない、適当でないという場合、それから、先ほど長官お話しましたが、沖繩の基地の安全性の点から留保されるというケースがあるようでございますけれども、いずれにしても、はっきりした理由を明示しておりません。以上でございます。
  122. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 はっきりした理由が明示されてない、政府としてはその点については調査されておりませんか。
  123. 三枝三郎

    説明員(三枝三郎君) こちらからの渡航についての不許可なりあるいは留保については、どうも納得しないといいますか、これはもっとプッシュしていいというものについては努力をしましてその留保が許可になるという場合もございますが、向こうからこちらに渡航する件につきましては、こちらは特にどうこうということは現在までいたしておりません。
  124. 臼井莊一

    説明員(臼井莊一君) なお、あちら側からこちらへ来たいというので留保あるいは不許可になった問題であちらで陳情を受けた。たとえば結核療養に来たいというのでこの前一人落ちていた、今度も一人留保されておる、こういう問題につきましては、わかっておるケースにつきましては、私のほうも特にそういうことをあちらに申し入れをいたしまして、これができるだけ許可になるようにということで申しましたり、それから、長積教授につきましても、九月一日に、さっき申し上げたように、許可になったのでありますが、あれらについても一時保留されておったんですが、いろいろ話して、そういうあれかというようなことで許可になったようなことで、だんだんいい方向に向いていくと、こう考えております。
  125. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 もう一点だけ。現在パスポートの点については民政府で扱っていると思うのですが、この点について、いままでもそうですが、これからも含めて現地のいわゆる政府もしくは日本政府の出先機関においてこれを取り扱わして、もっともっと円滑に旅券の問題については障害を除却する意味において進めていかれる政府としての方針がないかどうか、その点をお伺いしたい。
  126. 臼井莊一

    説明員(臼井莊一君) その点につきましてもお説の御意見のようにひとつ私のほうでもできる限り検討いたしまして、できるだけそういう方向で進めたいと、こう考えております。
  127. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止
  128. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 速記を始めて。曽祢君。
  129. 曾禰益

    ○曾祢益君 私、原子力潜水艦の安全性の問題々主として伺うつもりでありますけれども、ちょっとその前に、この前の外務委員会で問題になりましたサブロックをスレッシャ一型が装備する問題について、どうもまだはっきりしない点が残っているように思うのであります。  第一には、防衛局長説明によると、アメリカの軍備の中で四六時中核弾頭を装備しているのはB52という戦略爆撃機が空に飛び立っているのがこれが一つ。いま一つは、アメリカ本土内にあるいわゆる大陸間弾道弾基地にある大陸間弾道弾、以上の二つは常時不断に核爆弾を装備しているものである。それからいま一つは、逆に、たとえば第七艦隊の飛行機あるいはミサイル発射装置等は、これに反してごく必要な緊急な場合しか核爆弾頭を持たない、こういうことであります。もう一つは、サブロックを積むことになるスレッシャー型の潜水艦の目的そのものは、これは主としてソ連のミサイル発射潜水艦である、こういろことを言われた。そういたしますると、外務大臣はその点は非常に答弁をあいまいにされておりましたが、むろん私もこのスレッシャ一型潜水艦が四六時中必ずサブロックを積んでいると断定する知識はない。逆に、積まないのだよという外務大臣の答弁が必ずしも説得力がないんじゃないか。言うまでもなく、ソ連のミサイル発射潜水艦というものは、アメリカから見ても相当脅威すべき、恐るべき攻撃武器なんですから、それに対処するのが主たる目的で開発され、そうして、スレッシャー型に近く装備されるサブロックなるものは、まあ普通だったら、通常の場合においても装備している可能性が非常に多いわけです。あなた方がお出しになった国防省の発表文々見ても、サブロックの一番特色として書いているところに、魚雷発射管の中に長期間おさめたまま運搬し得ると書いてある。長期間おさめたまま——そういうことになると、これは一体どうなるか。先般、杉原委員からも、兵器の性質上必ずしも常時不断にサブロックを装備しない可能性もあるのじゃないかというサゼスチョンもあったんですけれども、一向それらについての解明がされないまま、一体どうなる。大体においてサブロックを常時装備するほうが、すなおに考えて大体そういう方向ではないかと思うのですけれども、あるいはソ連のミサイル発射潜水艦というものは性能が悪くて、アメリカのごく海岸付近からでなければ発射できないから、サブロックを装備したスレッシャー型潜水艦というのは、海洋なんかに出ないで、主として大体アメリカの沿岸だけにあるのだという説もあるやに聞いておる。一体何が真相かわかりもしないで安心だというのでは私は困るのです。外務大臣にも申し上げたいことは、あなたのこの間の参議院外務委員会におけるこの発言の中を見ても、たとえばポラリス潜水艦が来ないというのは、日米安保条約の事前協議があるからだいじょうぶだと言っているだけではなく、あなたはやはり「昨年わが国を訪れたギルパトリック国防次官はわが国に対しポラリス潜水艦の寄港を求める意図はない旨を明らかにしているのであります。」。もし、事前協議だけで拒否できるというならば、何もギルパトリックの言明を引っぱってくるまでもない。だから、サブロック問題をそういうあいまいにせずに、近く装備されるにきまっているから、装備された場合には、官房長官が「置いて来ます」と言うだけでは済まされないことであって、やはりアメリカとはっきりそういうものを交渉され、「装備している場合には来ませんよ」くらいの言明がなぜとれないか、私はふしぎでならない。まず、前提として防衛局長から、サブロックというものは、あなたの説明によっても、ソ連のミサイル潜水艦に対する対抗用なんだから——私の推定ではしょっちゅうサブロックを積んでいるのが本来の性質だと思いますが、その点はどうなんですか、それをお伺いしたい。
  130. 海原治

    説明員(海原治君) お答え申します前に、ただいま先生から、私が先般、常時核弾頭をつけているのはB52とICBM、この二種類、こういうふうにお答え申し上げたようなおことばがございましたが、もう一つ、ポラリス潜水艦がございます。この三つでございます。  それから、その次はサブロックのことでございますが、これは一部の新聞にも出ておりましたように、米海軍といたしましては、現在特定の軍艦がどういう装備を持っているかというようなことは、いまだかつてこれは明らかにいたしておりませんし、また、これは明らかにすべきものではないと思います。そこで、あとはそれぞれの考え方に立ちましての推論ということになるわけでございます。こうなりますというと、先般申し上げましたように、サブロックというものの武器、兵器体系の開発が、発表にもございますように、「敵のミサイルを発射する原子力潜水艦の脅威に対抗する」ということが、六年、七年をかけて開発してまいりました目的でございます。そうしますと、これも先般申しましたように、そういう目的のために特定の艦がどのように行動するであろうかという判断が前提になるわけでございます。これにつきましては、もちろん軍事的な行動の判断でございますから、いろいろな推測があり得るわけでございます。したがいまして、先生が先ほどおっしゃいましたことが間違っているとか、あるいはそれが正しいのだということを申し上げる資格は私にはございません。ただ、私どもといたしましては、一般的に私ども防衛問題を検討しております。その考え方と申しますか、いろいろ検討しております経験から申しますと、これも先般申し上げたことでございますが、少なくとも、米ソの間に核の撃ち合いによる戦争というものはまず考えられない。これは先般も外務委員会で御説明いたしましたけれども、現在のアメリカの核弾頭の保有量につきましての一つの推測によりますと、アメリカは約九百億トン相当の核兵器を持っておる。弾頭の数は四万とか五万とかいうけれども、ソ連はその半分とか三分の一である。こういうものを使われた戦争というものは、まさに人類の破滅になるので、これはあり得ないであろう、こういうことがまず第一の前提でございます。したがいまして、これは日本に立ち寄ってまいります原子力潜水艦の行動ということになりますと、これは有事に備えての状態ではございません。平時における行動でございます。そこで、アメリカとソ連との間に戦争が始まるという危険性が迫った場合ならともかくといたしまして、そういうことは、私どもの判断といたしまして、ないと思います。そういう場合に、平時の行動には潜水艦が常に核爆雷というものを持って歩くかどうか、そういうことの判断にかかるわけでございます。この点につきましては、先般も申しましたように、核兵器というものの管理使用というものは厳重に統制されておりますので、それらの点を考えますと、私どもは、先ほど先生のおことばにありましたように、かりにソ連のミサイル発射潜水艦に対抗するためには、むしろアメリカは、サブロックを装備した原子力潜水艦はアメリカの沿岸近くに配備するであろうということは、まずソ連の原子力潜水艦を見つけますためには、飛行機と艦艇、海底における調査と潜水艦、各種の兵器体系が組み合わされて初めて潜水艦の行動が察知され、これをつかむことができるわけでございますから、先ほど説があるとおっしゃいましたけれども、私どもとしましては、むしろサブロックを装備した潜水艦というものは、遠く日本近海に出てくるというよりは、むしろアメリカの沿岸海域において行動することのほうがもっとあり得ることであるというような実は想定を立てております。こういうことを前提にいたしますというと、少し長くなりましたが、平時の状態において、第七艦隊あるいは太平洋艦隊におきまして演習のために随伴してくる原子力潜水艦は、スレッシャー・タイプのものでありましても、常に必ずサブロックを装備しているかどうかということにつきましては、私どもはむしろ否定的に解釈したい、こういうことでございます。
  131. 曾禰益

    ○曾祢益君 そういたしますと、あなたは、とにかく常時不断に平時から核兵器を装備しているのはさっき言われた三つ——B52、ICBM、ポラリス潜水艦だけで、サブロックが開発されてスレッシャー型に装備される場合においても、これは四六時中積むほうには入らないと大体推定する、しこうして、大体行動半径は主としてアメリカの近海であるという推定で、常時不断には、スレッシャー型であってもサブロックは積まない、こういうことになるわけですね。そういたしますと、一体そういうスレッシャー型潜水艦を第七艦隊に、あるいは極東艦隊に配属して日本を訪れるということが、そんな必要があるのかどうか、行動半径からして少しおかしいじゃないかという推定が来るわけです。したがって、そうなってくると、日本に来るのは、それこそノーテラスなんで、スレッシャーみたいなものは原則として来ないのだというふうに解釈していいのかどうか。
  132. 海原治

    説明員(海原治君) これも米海軍の艦艇の行動の予測になりますので、私どもの判断が正しいということを申し上げるのではございません。私どもが判断するのはこうだということでひとつお聞き取り願いたいのでございますが、これも先般申し上げましたように、一般の潜水艦あるいは軍艦に対抗しますためには、通常の魚雷というものが十分その効果を発揮するわけでございます。これは最近いわゆるホーミングと申しまして、相手を追尾して爆破するという行動も非常にすぐれておりますので、あえてサブロックを持たずとも、通常の潜水艦あるいは軍艦というものに対抗するためには、在来からございます魚雷、これによって十分まかない得るという判断がございます。サブロックの生産の数も制限されておりますし、かつ、高価でございますから、アメリカ海軍も言っておりますように、経費との関係におきまして、かりに優秀なものであっても、全部に装備するとは限りません。一般には通常の魚雷を装備した潜水艦というものが、第七艦隊あるいは太平洋潜水艦隊等において訓練を受ける、こういうふうに考えるわけでございます。そうしますと、スレッシャー・タイプの——今後は全部スレッシャー・タイプになりますので、スレッシャー・タイプの潜水艦は、日本近海において演習します場合には、通常の魚雷のみを装備したケースのほうが多いのじゃないかというふうに私どもは判断いたします。ただ、先般も申しましたように、昨年十二月四日の国防省発表が出ました際に、アメリカの権威ある筋の推測といたしましては、通常の魚雷とサブロックとが混載されるであろう、こういうことは専門家の推測では言っております。しかし、これも結局先ほど申しましたような、当該艦の任務というものに従って決定されるものである、こういうふうに私どもは考えております。
  133. 曾禰益

    ○曾祢益君 そうしますと、結局ノーテラス型は大体古くなるから、これからできるやつは大体スレッシャーになる。スレッシャーの使い方が、サブロックを積んで常時か何かしらぬけれども、主としてソ連の原子力潜水艦、ミサイル発射潜水艦向けのやっと、発射管のほうは両方使えるのですから、持っておるけれども、普通の魚雷を積んだスレッシャー型でサブロックを積まないやっと両方に使うとあなたは想定され、しこうして日本に来るほうは、そのスレッシャーのほうはサブロックを積まないで普通の魚雷を積んでいると、こういうように想定されるわけですか。
  134. 海原治

    説明員(海原治君) 先ほど来申しておりますように、平時におきましての米海軍の行動でございますから、これほど問題になっておりますことは米海軍もよく知っておりますし、かねがね日米両国間の問題点として十分知っておりますので、   〔委員長退席、理事井上清一君着席〕 平時におきまして、日本近海での演習に随伴して、かりにスレッシャー・タイプの潜水艦が入って来ます場合に、それがサブロックを装備していなければならない理由は一つもないわけでありまして、先生がおっしゃいましたようなスレッシャー・タイプの船であっても、常にサブロックを携行しておるものとは考えられない、こういうふうに考えます。
  135. 曾禰益

    ○曾祢益君 それならば外務大臣に伺いますが、それならば、スレッシャー型が日本に来ることはあり得る、しかし、その場合にアメリカのほうからサブロックを積んで参りませんでしょう。ポラリスについてはギルパトリックの言明は、あなた方の核兵器装備の理由の中に加えられておるわけです。もし防衛局長の言われる中に、第七艦隊が日本に来るような場合のあれは、スレッシャー・タイプもあろうけれども、それもふえてくるであろうけれども、それはサブロックを積んでおりません——それ以上は、アメリカの言うことを信用するかしないかという議論になるとややこしくなりますから、私は一応それを信用するとして——それくらいの言質を取ってくるのはあたりまえじゃないですか。そうでなければ、サブロックを積んでいるかもしれないからちょっと危険であるということになるのはあたりまえじゃないですか、外務大臣どうですか。
  136. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) すでに両国の最高責任者の間において明確な取りかわしがあるのでありますが、それを一つ一つ言質的な——何と申しますか——責任者からものを言わせなければならぬというようなことは、私はかえって両国の信頼関係を軽からしめる、かように考えますので、その必要はないだろうということを申し上げております。
  137. 曾禰益

    ○曾祢益君 あなたのこの本委員会に対する発言の中に、「ポラリス潜水艦の入港に関し話し合いが行なわれた事実はなく、昨年わが国を訪ずれたギルパトリック国防次官はわが国に対しポラリス潜水艦の寄港を求める意図はない旨を明らかにしているのであります。」、やはり最高の責任者である国防次官の言明を引っぱっておるじゃないですか。私は何もそんなことをしても安保条約の事前協議を傷つけるとは思えない。国民を安心させるためにアメリカ当局者から言質を取って何が悪いのです。あたりまえじゃないですか。
  138. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) それは国防次官でございますか、新聞記者との会見においてそういうことを話をしたということがあります。
  139. 岡田宗司

    岡田宗司君 ちょっといまのに関連して。  これは防衛局長にお伺いしたいのですが、先ほどからのお話によりますというと、まあ、スレッシャー型がサブロックを積んで行動するということは、つまりソ連の核ミサイル発射潜水艦に備えるためである、こういうことを言っている。アメリカのほうのポラリスは、常時核ミサイルを積んで行動をしておる。おそらくソ連のほうの核ミサイル発射潜水艦も常時核ミサイルを積んで行動をしておるものと、こう推定して間違いはないと思う。たとえそれは核戦争がないというあなたの判断にいたしましても、相手方が常時核ミサイルを積んで行動をしておるとすれば、アメリカ側としてもそれに備えてサブロックを積んで行動をしていると思わなければならない。その点が第一。  それから第二に、太平洋におけるアメリカの核潜水艦の行動でありますけれども、一方ソ連のほうの核潜水艦の基地も、あるいは他の潜水艦の基地も、大体ウラジオと推定されます。そうすると、決してアメリカの沿岸だけでなくて、もっと日本に近いところでもって、太平洋の西側のほうでもって、これを迎え撃つということもこれは考えられるものと思われます。そうすると、太平洋艦隊なり、第七艦隊に所属されるスレッシャー型の潜水艦の行動というものは、これは決してアメリカ本土に限られるものではない、こう推定されるのですが、その点はどうでしょう。
  140. 海原治

    説明員(海原治君) 先ほどもお断わり申しましたように、軍隊の行動でございますから、いろいろな考え方があり得るわけでございます。したがいまして、まあ敵味方の行動がはっきりわかれば、これは戦争にならぬわけです。そのわからぬところに意味があるとも言えるわけでございまして、私どもの申し上げますのは、私どもの判断するのはこうだ、いま先生のおっしゃられましたことが間違っていると言う資格は私はございません。ただ一般的に申し上げ得ますことは、原子力潜水艦を攻撃する前にこれをまず見つけなければならない。見つけるということが、もぐっている潜水艦だけではたいへんむずかしうございます。したがいまして、アメリカとしましては、アメリカの都市が太平洋にも大西洋にも沿岸にございますので、常時空と船、それ以外の手段もございますけれども、そういうことでまず潜水艦を見つけるということに全力を注ぐ。その見つけたところで見つけられたときに、その瞬間的につかまえませんと、これは何もならぬわけであります。しかも、それが攻撃をするということの敵性がわかってからでないとできないわけであります。こういうことをいろいろ考え合わせますと、私どもは、先ほど申しましたように、まずその敵性を持ったと思われる潜水艦を見つけるためのあらゆる態勢が整っておる。アメリカの沿岸近くにおいて、またこれを攻撃し縛るものを配置するというのが、当然に常識的な判断だと思っているわけです。簡単に申しますというと、そういう考え方をとりまして先ほど申し上げた次第であります。
  141. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういうお話ですけれどもアメリカ海軍は潜水艦発見の特別の哨戒機を持っています。日本にも配置しておるし、日本の自衛隊もそれに協力して持っているわけでしょう。そうすると、アメリカの敵とする国のミサイル発射潜水艦というものが、やはりこちら側に、つまり太平洋の西のほうにある場合も発見すると、こういうことをちゃんと予想してやっているものだと私は思う。そうすれば、第七艦隊がそれについて行動しないというのはおかしな話で、私は、第七艦隊に所属する潜水艦はやはり太平洋の西の方面においても行動するものと推定して間違いじゃないと思うのですが、どうでしょう。
  142. 海原治

    説明員(海原治君) 先生がおっしゃいましたように、現在日本、あるいは極東におりますアメリカの対潜哨戒機、確かに潜水艦の発見のための機械を持っているわけです。このP2Vを主体としました対潜機と、アメリカの大陸沿岸を警戒しますP3V、その搭載している機器においては、はるかに能力の相違がございます。したがいまして、潜水艦発見のための能力と申しますか、効率におきましては、格段の差を持ったものがアメリカ大陸沿岸においては常時哨戒します。日本におります海上自衛隊のP2Vも同様でございます。これは原子力潜水艦というよりか、むしろ在来型の、先ほど出ておりましたウラジオにおりますソ連の潜水艦というものは、一応その数は九十とか百とか申しておりますが、原子力潜水艦は九隻ということでございます。したがいまして、そういう目的に沿って違った能力を持ったものが配備されております。先ほど申しましたように、ソ連のミサイルが発射できる原子力潜水艦というものに対しましては、現在アメリカ沿岸を哨戒しておりますオリオンというP3Vタイプのものではない、まあ有効ではない、こういうことが一般に判断されております。したがいまして、先ほど申しましたように、私どもはあくまでも私が申しましたような判断を持っておりますが、しかし、いま先生が申されましたことが間違っておる、それは正しくないんだというようなことを申し上げる資格とか能力はございません。ただ私どもの判断は、先生のおっしゃいましたこととは違うということを御了解願いたいと思います。
  143. 羽生三七

    羽生三七君 関連。サブロックつけておるとかおらぬとかいう議論は全部別にして、昨年の一月アメリカ政府から日本に申し入れました原子力潜水艦の寄港の問題は、ノーチラス型と言っておる。ですから、それはノーチラス型だけが寄港するのか、今後はほかのスレッシャー型その他のいろいろな種類が寄港するのか、そういうように変わったのかどうか。
  144. 竹内春海

    説明員竹内春海君) 昨年アメリカ側から申し入れがありましたのは、いわゆるノーチラス型というものでございまして、アメリカの原子力潜水艦を大別してポラリス型といわゆるノーチラス型潜水艦、この二つに大別されます。そのいわゆるスレッシャーも含めたSSNというのがわが国に寄港できる、こういうことになっております。
  145. 羽生三七

    羽生三七君 それは、国会で何回もの質問で、ポラリスは拒否しますが、明白にノーテラスだけという限定をして答弁されておるのです、ずっと。ですから、それを「通常」というようなことで包括的に説明されると、その間一年数カ月の間に日本政府の考え方が非常な幅広いものになった、こういうことが考えられます。  もう一つは、ノーチラス型というものは非常に少なくなったのじゃないですか。何隻ありますか、いままで言われた純粋なノーチラス型。
  146. 海原治

    説明員(海原治君) この点は、実はノーチラスという名前を持ちます潜水艦は、最初につくられました原子力潜水艦だけでございます。ところが、先ほどアメリカ局長からも御説明がございましたように、アメリカの原子力潜水艦はポラリス・ミサイルを発射できますところの、いわゆるSSBN、それからレギュラス発射のSSGNとSSN、この三つに分かれておるわけでございます。そこでこのSSNにつきましては、型によりますと七種類の型がございます。これにはノーチラス型が第一艦でございまして、一番新しいのがスレッシャータイプであります。そこでこのSSNを表示します際に、当初、いわゆるノーチラス型ということばが用いられましたが、このアメリカにおきましてのSSNと申しますものを表現するのに、いわゆるノーチラス型原子力潜水艦ということに、一年半の間いつとなしに慣行になっておるわけでございます。したがいまして、それを今回外務省のほうでは、ミサイルを発射するような特別の潜水艦とは違う「いわゆる通常の潜水艦」だということで、「通常の原子力潜水艦」ということばをおつかいになったものと私どもは考えておるわけでございます。ノーチラスという客前の潜水艦は一隻しかございません。それから、先ほど私が申しましたような七種類のSSNに属する原子力潜水艦、これが混合されますけれども、私どもとしましては、いわゆるノーチラス型原子力潜水艦と申します場合には、一番新しいタイプのスレッシャーも含めました、いわゆるSSNを全部総称しておるわけでございます。
  147. 羽生三七

    羽生三七君 これは一番最初の外務省外務大臣の答弁から見るとたいへんな変更ですが、それと関連してもう一つ、最初の、去年の一月の申し入れ、いま申し上げたとおりノーチラス型、これはレクリェーションまたは水の補給ですね、こういうことだった。そういうことで議論してきたのです、一年何カ月。ところが、今度アメリカの文書は明らかに兵たん補給となっている。そうすると、ずっと外務省の考え方が、ノーチラス型の問題もそうだし、単なるレクリェーションというのが兵たん補給にまで発展しているでしょう。私はこれは重大な問題だと思う。そうなると、完全な原子力潜水艦の基地化するわけでしょう。単なるレクリェーションではなく、完全な基地化する。兵たん補給ですから、非常に大きな性格変更を示しておるにもかかわらず、依然として前の時点で議論をされておるということを私は遺憾だと思う。これはたいへんな大きな変更ではないか。これは重大な問題だと思う。そういうふうに純然たるレクリェーションということで私たちの納得を求めようとしたわけでしょう。それがもう文書で公然と兵たん補給になってきたのですから、これは重大な性格変更だろうと思う。基地化しつつある。単なるレクリェーションではない。どうお考えになりますか。
  148. 竹内春海

    説明員竹内春海君) 昨年六月国会に提出いたしました中間報告におきましても、寄港の目的は乗り組み員の休養と補給のためであるとはっきり書いてございまして、その間に目的の変更はないと思います。
  149. 羽生三七

    羽生三七君 いままでは水ですよ、兵たん補給ということは。去年の中間報告だって兵たん補給と言っていない。単に補給と言っている。これは重大な性格変更でしょう。外務大臣はどうですか。
  150. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) 休養補給でありまして、読んで字のごとしと申しますか、補給——一切の補給を含むものと考えます。
  151. 岡田宗司

    岡田宗司君 兵たんの補給というものを説明してください。兵たん補給というのは何ですか、説明してください。
  152. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) それは専門家がおられますから、防衛庁のほうからひとつ。
  153. 海原治

    説明員(海原治君) 一般に兵たん補給ということばで申し上げますと、私のほうで御説明してよろしゅうございますが、これは条約関係のことでございますので、やはり外務省当局のほうから御答弁するのが適当かと存じます。
  154. 岡田宗司

    岡田宗司君 どちらでもいいです。ここに書いてある兵たん補給というのは、外務省が文書を受け取ったのですから、外務省でひとつ。
  155. 竹内春海

    説明員竹内春海君) これは条約ではございません、外交上の文書でございますけれどもアメリカ側説明によりますると、生鮮食料とか、水とか、あるいは酸素とか、そういうものである、こういうことでございます。
  156. 曾禰益

    ○曾祢益君 この間安全性の問題について兼重委員から伺おうと思ったが、あまり時間がないので、きょうも時間が切迫しておってあれですが、二、三伺いたい。  やはり一番問題なのは、原子炉の安全性その他の、つまり構造上の安全性ですね。これについては最終的にはアメリカを信頼するほかにないということになるのでしょうけれども、一体そういう言い方やこれこれの条件が満たされるからということではなくて、大体アメリカの原子力委員会及び原子炉安全審査諾問委員会、そういうようなところにおける審査というものが、科学的に見て、原子炉としての安全性について相当な信頼を置けるものであるかどうか、そういうことについてのずばりというような回答はないのですか。これはいろいろ安全性の問題で運航の問題、訓練の問題、操作の問題、いろいろございますけれども、炉としての安全性と申しますか、潜水艦に装置した炉の安全性というものについてどの程度のアローアンスを持って、単にアメリカを信頼するというだけでなくて、脅えるのか脅えないのかということをまず伺いたい。
  157. 兼重寛九郎

    説明員兼重寛九郎君) お答え申し上げます。実は昨年の六月に外務省から発表されました中間報告につきましては、国会でも、あるいは学術会議でも、非常な御批判を受けました。それで、昨年の八月半ばに学術会議から、前に出した勧告に対する参考資料として詳しい資料をちょうだいしたのでありますが、そのときその資料につけられておりますことは、海軍であるから、それが軍事の機密に属する資料が得られないということはある程度やむを得ないにしても、公表された資料の中からでもいろいろ参考になることはあるではないか、それについて、外務省の中間報告は、自分に都合のいいところだけをよって、むしろ結論は反対のことを言っておるというのが学術会議の参考資料の中の基本的な考え方であります。そこで、学術会議でもその公表資料をもとにして、科学的立場から安全性についての検討報告書をつくって、それが参考資料となって私どもの手もとにも参ったわけでありますが、その中では、アメリカのAEC、特に安全諮問委員会——ACRSと言っておりますが、原子炉の危険性について指摘しておる。その点を要約すればということのあれを見ますと、「原子力潜水艦の安全確保の第一は、事前の適正な潜在的危険の評価にある。その危険評価の作業は、それぞれのケースごとにこの問題に知識と経験を有する人々によって行なおれるべきものである。原子力潜水艦の人口の多い港への入港については危険がないとは習えない」というようなふうに、ACRSは原子力潜水艦の問題について非常に慎重な態度をとっておるのに、それを日本政府は、アメリカ海軍がかってにやるかもしれないものを——現にアメリカ海軍がかってなことをやったとリコーバー中将が言ったとかという、そういう資料もあるのでありますが、それもございまして、そういうことを全部言わないでどうとかということばかり言っているという、これが基本でございます。そこで、当時もこの原子力委員会や安全諮問委員会の意見を聞いておることは中間報告にも出ておるのでございますけれども、それを特にこういうものが審査をしておるのであって、海軍がかってにやっておるのではない。それから、アメリカのAECやACRSがそういう見解を持っておるということは学術会議からも指摘されておりますし、それから、もともと原子力の安全利用についてのアメリカの原子力委員会の基本的な考え方は、安全性に非常に重点を置いておってたとえばイギリスで事故がありましたときにも、アメリカはその点で非常に注意深く、都会から離れたところに炉を置くようなことをやって、その事故もない。——その後一回ございましたけれども、そういうふうに、これは日本の科学者もその辺は十分了解しておったことでございますので、今度はそういう設計に関することなどをそこまで審査するということを特にはっきりうたうようになっておるわけでございます。
  158. 曾禰益

    ○曾祢益君 まあそこで結局、原子炉の構造上の安全について、たとえばアメリカのエード・メモワールなんかを見ると、緊急の場合には原子炉の停止装置がついている、したがってスレッシャー号事件等も見て、潜水艦の炉と陸上の炉との堅牢性についてはこういうことを言っている。「少なくとも陸上原子炉と同等に信頼することができる安全性を有するもの」と。この点はどう見られますか。見方によっては、兵器だから安全性を無視したのだと、こういう、まあ、しろうと論ですけれども。逆に、潜水艦というものは、潜水艦自身が非常な水圧に耐えなければならないという構造上の堅牢性があるのだ。両方にプラスの面があるように思うのですけれどもアメリカがこう言っていることをどういうふうにお考えになるのか。大体陸上の原子炉と同じ程度の安全性ということについての意見はどうですか。
  159. 兼重寛九郎

    説明員兼重寛九郎君) この点につきましては、技術的な資料がないのでございますから、全く推測でございまして、この点は二通りの考え方があると思います。いま言われましたように、軍事用というのであるから戦争をするということに最重点がある、安全は二の次であり得る、あるいはあるのだ、こういう見方もあり得ると思います。しかし、また逆に申しますと、普通の商船は採算を非常に重視しなければなりませんけれども、軍用のものはそういう点で問題はない。したがって、非常に高価なものであるばかりでなく、いざというときに何か事があっては非常に大きなことになるから、その点については普通の商業用のもの以上に注意深くできているという見方もあるわけでございます。その辺はアメリカ海軍がどちらの方針をとっておるかわかりませんけれども、少なくともその影響が一般市民に及ぶということにつきましては、アメリカの原子力委員会あるいはそれの安全諮問委員会の審査を受けているということは、向こうがはっきりさせておるわけでございます。
  160. 曾禰益

    ○曾祢益君 われわれ心配するほうからいえば、しろうとでありますからよくわかりませんが、かりにぶつかって沈んだような場合、これはスレッシャシャー号の場合一番よくわかりますと思います。たとえば、原子炉というものは外から海水が浸入してこようが、原子炉というものは自然に停止することになる。停止する以上は、絶対に、かりに海水が入ってこようが何しようが危険はないんです、放射能等の。そういうふうに言っておるわけですね、簡単に言えば。その程度しかわからないんです。そこで事故のために衝突、沈没、座礁というような場合に、いわゆる原子炉が停止するんだから、原子炉が停止してしまえば、かりにそれがぶちこわれても、いわゆる海水汚染なり放射能の危険は起こらないものか。何か危険なものが流れ出してくるような気がするんですが、その点はどうですか。
  161. 兼重寛九郎

    説明員兼重寛九郎君) その辺も、技術的な資料を持って日本専門家に審査してもらった上でなければ、私がここでこう思いますと申しましても、それが何らの権威を持つものでございませんと思いますので、ここであまり私の考えておることを申しましても意味がないと思いますけれども、衝突とか座礁、沈没ということは、船では必ず考えておかなければならないことでございます。したがって、そういうようなことについて考慮をされないものを船に積んでおるとは常識的には考えられないわけでございます。もちろん、そういうものが沈んだ、あるいはその前に、たとえば燃料要素が溶けるとかいうようなことがありますと、これはその溶けたものからだんだん漏れ出ることもあり得ることでございますが、アメリカ側の言っておりますのは、そういうふうに沈んで海の水につかるというようなことは、溶ける機会は陸上についてよりも少なくするんだということを言っております。
  162. 曾禰益

    ○曾祢益君 最後に、ぼくらもわからないんですが、もう一つの安全性の問題は、操作上の安全だと思いますね。それについて執務要覧というようなものが出ておりますが、操作上の安全や訓練について、どういう程度まで執務要覧なんというものは、原子力委員会なり外務省なりがそういうものは検討しておるのかどうか。アメリカのそういうような執務要覧は軍事機密として見せなかったのか、この点はどうですか。
  163. 兼重寛九郎

    説明員兼重寛九郎君) 執務要覧というようなものも提供をしてくれませんでした。したがって、そういうようなことはステートメントにありますように、乗り組み員の訓練及び操作知識が原子力委員会の安全諮問委員会で審査されるということを向こうが保証しているということであります。この点につきましては、学術会議の参考資料にも、ただ設計が安全であるということだけでは安全は確保されないのではないか、人的な要素も非常に大事なものであるということもありますので、私もそういうようなことがここにはっきり書かれることは必要であると考えたわけでございます。
  164. 曾禰益

    ○曾祢益君 しかし結局、向こうの虎の巻ですね、それは見せていないわけですね、どのくらいの程度ということは。  今度は運航の問題なんですが、一体アメリカの港における運航に関連してとられる安全性の予防措置、それと同じ水準で日本でやるということだと思うのですが、それはどういう程度に日本で確かめたでしょうか。これもまあ執務規則か何か知りませけんれども、運航上の安全について普通の船舶以上に相当きびしい規則を付しているのか、いないのか。あるいはアメリカの港に人を派遣して見たことがあるのか。それらの点はどうなんですか。
  165. 兼重寛九郎

    説明員兼重寛九郎君) この点はこの表現だけからは出てこないのでございますが、エード・メモワールのほうのそこの文に書いてありますことと合わせて読んでいただくとよろしいと思いますが、エード・メモワールには、「外国の港への寄港については、合衆国の港に寄港する場合に適用される安全基準と同一の安全基準」、これはセーフティー・クライテリアと元がなっております。そのことは、サバンナのような原子力商船でございますと、その原子炉の一番ぐあいの悪い大事故が起こったときにどういうことが起こるだろうかということを想定いたしまして、その場合に停泊しておるその付近にたまたまおる人あるいは住んでおる人、それがどの範囲のものはあるいは一時間以内にどうとか、どの範囲は二十四時間以内というようなことがございます。それをまだ日本語ではっきりしていないと思います。ポート・アナリシスということばをつかっておりますが、陸上のたとえば発電用の炉でございますと、それを距離でそのことを確保するために、どういう大きさのものはどの程度人家から離すとか、あるいはその範囲の、ある距離まではまた低人口地域にする、そういうことがございます。ところが船のほうは、そういうまずいときには船自体が動いてそのところから離れることができるという前提をいたしまして、それでもっとずっと近いところまで入っていくということになりますが、その入っていい距離なども、たとえばサバンナなどはどういうものであるか公表された資料がございます。しかし、それを軍艦について日本側できめるには、その資料がなければできません。その資料が軍事機密であることは、これは常識的に見てもそうなんでございますが、そういうことができませんから、そういうことなどをすべて含めまして、それがアメリカの港においてとられるのと同じ手続、基準日本の港についてもとる。そういうことでございますから、たとえば佐世保や横須賀の港に入りまして、潜水艦がどこに着くことになるのかということをまだ聞いておりませんけれども、それはそういう手続をとった上で場所がきめられる、そういうふうに了解しております。
  166. 曾禰益

    ○曾祢益君 向こうのそういう安全に関するいろいろな規則を、サバンナの場合と違って軍事関係だからという理由で、内容的には知らしていない。これはいい悪いは別として、その点はわかりますが、そうだとするならば、向こうのエード・メモワールかどちらかにありました、停泊なり投錨なりについて向こうからいわば通告してくるというような調子ですね、書き方は。そういうことではいけないと思うのですね。アメリカの水準、規則は見せないにしろ、両方で停泊なり入港なり、どのくらいの安全係数をとって、どのくらいの沖合いに置けとかいうことは、そういうことは日本側から自主的に——かりに受け入れる場合にきめて、そういう場合に、アメリカの経験からいうとこのくらいまで来てもいいかと思っております、アメリカのほうは。そのくらいの話し合いがあってしかるべきじゃないか。ただ単に、アメリカのほうの規則を日本でも同じように援用してやります、信じてくださいでなくて、これはやはり停泊や安全について日本側に大きな実際上責任がかかってくるとするならば、かりに責任は第一次的でないということの議論も立つかもしれないけれども日本側としては、日本側がやはり停泊あるいは入港、出港の運航上の注意、規制は、アメリカのスタンダードを聞きながら、日本側で自主的にきめるのは当然じゃありませんか。そういうふうにお考えになりませんか。
  167. 兼重寛九郎

    説明員兼重寛九郎君) 残念なことでございますけれども日本では、やっと原子力船の建造がきまりまして、いまその準備を進めておる程度でございますので、アメリカ側にこういう基準でやってもらいたいと示す基準がまだできていないのでございます。したがって、アメリカでも、決してアメリカの一般市民はどういうふうになっていいというものでもございません。たとえば学術会議の中でも、海軍はそういう考慮をしないでどうとかするというふうに書いてありますけれども、私は、学術会議の専門家が、どういう資料から、しないでということを知っておられるか、私はわからないのでございますが、そういう資料があれば見たいと思いますけれども、おそらく資料はないと思います。したがって、アメリカも一般市民は軍艦の中のことは関係ないことでございますけれども、それが入港したりして市民に影響を与えるということについては、決してどうでもいいというものではないと了解しております。したがって、アメリカの市民がそういう点で安全が保証されるのと同じように、日本あるいは諸外国  これはステートメントでございますから、一般と書いてございますが、一般の市民も保証される、そういうこと以上に出るわけにいかなかったわけでございます。  あとの放射性の廃棄物のほうにつきましては、日本にすでに一つございますから、それでそれとは違ったやり方をすることができたのでございます。これについてはあれに当たるものが残念ながらまだ日本にはできておりません。
  168. 曾禰益

    ○曾祢益君 しかし、それにしても、外務大臣に伺いたいのですけれども、運航——停泊、出入港の運航等について日本側が何もわからないから基準が示せないからアメリカさんにおまかせしますでは、これは幾ら何でも少しこれは親交的過ぎて、友好関係はけっこうですけれども、少しどうかと思うのです。そこで、たとえば入ってくる場合、なるべく昼間を選ぶということを書いてあるのですけれども、必ずこれは浮上して入ってくるにきまっているのですけれども、文書にははっきり書いてないのですが、外務大臣、その点はどうなんですか。出入港の場合に潜水して来るのですか、浮上して来るのですか。前外務大臣は、浮上して来るということを、ある公の討論会のときに言われましたけれども、どうなんですか。
  169. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) もちろん浮上して入って来るものとわれわれ常識的に考えております。
  170. 曾禰益

    ○曾祢益君 それでは、実際、少したよりなさ過ぎはしないですか。そういう問題について学者的良心から兼重先生がああいうふうに言われて、日本側でここまで来ていいとか、ここから来ちゃいけないとか、残念ながら経験もないからわかりませんということはわかります。しかし、われわれが覚えるに従って、停泊や運航、投錨、こういうことに日本側が規制し条件つけるくらいあたりまえじゃないですか、そんなことは。どうなんですか。それもできないのですか。外務大臣、どうなんですか。
  171. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) 一般の港にとにかく入って来るのでございますから、こちらから、いよいよ入港の際には、十分に研究して注文をつけたいと思います。
  172. 曾禰益

    ○曾祢益君 これはほんとうに向こうまかせでなく、日本側の自主的な規制に従わせるということで、勉強して、少なくとも限られた範囲内でも安全性確保のために日本側が要求するのはあたりまえじゃないですか。
  173. 兼重寛九郎

    説明員兼重寛九郎君) 私に関係のないことでございますけれども、私どもそれを問題にいたしましたときに、委員の中には元外務省条約局長をされた委員があります。それで、そういうときに、潜水艦というのは外国の領海に入ったらもぐって入ってはいかぬ、何かその国の旗を立てて入らなければいかぬのだということを聞きまして、当然浮かんで来るものだと、こう思ったんでございますが、いま外務大臣は、そうでないかどうですか、私の聞いたところが違っておりますか、よく打ち合わせてみます。
  174. 曾禰益

    ○曾祢益君 運航上単に浮上して入って来るとか、単に浮上するというだけではなくて、やはり港の安全、港付近の人命尊重、安全から見て、やっぱり日本が経験を積むに従って日本側の安全規則もいわゆる第一次冷却水の希釈程度の安全性だけじゃなくて、運航上の安全をまず日本側から条件をつけるのは当然じゃないか。だから、これをぜひやっていただきたい、こういうことを言っているわけでございます。
  175. 井上清一

    ○理事(井上清一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  176. 井上清一

    ○理事(井上清一君) 速記を始めて。渋谷委員
  177. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 いままでの兼重先生のお話を伺っても、私が先般御質問申し上げた場合でもそうでありましたが、原子炉の安全性については、自主的な審査ができないために安心が持てないというような、そういう口吻でございましたが、一つその点について伺いたいことは、たしか原子炉の安全審査会というものがあると思うんですが、その審査会は専門的な組織であって、その専門的な組織にはかって原子力潜水艦の寄港を認めたのかどうか、まずそれから外務大臣にお伺いしたいと思います。
  178. 兼重寛九郎

    説明員兼重寛九郎君) これは愛知国務大臣からお答え申し上げるべきことと思いますけれども、きょう見えておりませんから、私申し上げますが、原子力委員会では、原子炉安全専門審査会というのがございます。それには聞いておりません。と申しますのは、それにかけますのしは、技術的な資料をもちまして技術的にこれがどうであるかということの判断を聞くためのものでございます。ところが、技術的資料もないのに、どう思うかということは聞きようもございません。それに、あの審査会に必ずはからなければならないという義務を負っておるわけでもございません。両方で審査会にはかったことはございません。
  179. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 おっしゃるとおりであれば、技術的な資料がなかった、また義務を負うものではない、こういうお話でありますが、国内の世論というものが今日のように沸騰してきておる実情にかんがみて、当然そうした専門家筋の専門的な意見を聴取しながらきめていかなければならない要素がずいぶん含まれているんじゃないかと、こう思うわけなんです。で、そうした専門的な、あるいは学術的な結論を得ないままに、多分の疑問を残しながら承認まで踏み切らなければならないというその問題は、どうしても納得がいかないために、もう一度外務大臣からその辺の問題について御回答いただきたい、こう思うわけです。
  180. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) 昨年の一月、原子力潜水艦の寄港の申し入れがございまして、自来一年と八カ月になるのでございますが、これは日米安保条約の取りきめの範囲内において行動する限りにおいては、すべての軍艦は自由にわが国の港に寄港し得るのでございますけれども、特に原子力に関しては、御承知のような国民感情にもかんがみまして、その安全性について十分に研究調査いたしまして、確信を得たところでこの寄港を認めるということになって今日に至ったのでございまして、われわれは、すでにこの間においてあらゆる手を尽くして安全性の問題について確信を得たので、寄港承認ということに踏み切った次第でございます。
  181. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 確信を得たとおっしゃいますが、ことばじりをつかまえるわけではございませんが、そのためには論理的な一つの裏づけ、あるいは技術的な裏づけというものがなければそれを立証することは不可能ではないか、こう思うわけでありますが、その辺の点についてはいかがでしょう。
  182. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) たびたび申し上げたとおり、すでに原子力潜水艦が世界の十三カ国の三十の港に、約十年間にわたって百回の寄港をしておって、一ぺんも安全性の問題について問題が起こったこともない。こういう事実をまずわれわれは想起する必要があると思うのでありますが、しかし、これだけではもちろん不十分でございますので、軍艦という制約がございますけれども、とにかく原子力に関する日本の最高権威の人々をもって構成する原子力委員会において十分に検討した結果、実際にこの軍艦の構造等について、軍の機密を侵してまで見ることのできない部分がありますけれども、しかし、向こうの提供し得る資料によって判断しました結果、そういう点をアメリカ側が保証するならば安全性については間違いなかろう、こういう判断に到着されましたので、それで最終決定をいたした、こういう次第でございます。
  183. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 もう一点ですが、回答はいつも同じ回答であって、これ以上進展しないと思うのですが、陸上炉ですか一よりも非常に安全性が悪い。その証拠には、原子力潜水艦がアメリカにおいてしょっちゅう修理されている、こういう事実があるわけです、実際に。ですから、万が一ということを考慮しても、将来において何らかの形における事故発生しないとは絶対に断言できないと思うのです。そうした場合に、横須賀であるとかあるいは佐世保のような非常に入り組んだ、人口の密集したところで、もし万が一事故があった場合に起こるであろうと予想される障害についての対策はどのように立てられているのか。たとえば人命を尊重するという原則的なたてまえから避難対策をどうするとか、そうい具体的な問題が必然的に起こってくると思うのです。少なくとも陸上炉においては、その設立に関連してそういう問題が必ず焦点になってくるはずです。しからば、今回の原潜問題についてはどういう障害対策が具体的にとられているのか、これについてお伺いしたいと思います。
  184. 兼重寛九郎

    説明員兼重寛九郎君) その問題につきましては、たとえば東海村などにつきましても現実に非常に整った形ではございませんけれども、準備は進めておるわけでございます。そして、とにかく研究所——これから発電所ができるならばその発電所自体においてもその対策を立てて、今度の場合、いまどれだけの準備ができておるかということを私自身承知しておりませんけれども、そういういままでの経験を生かして対策はとれるのでございますし、とる準備を進めておると思います。
  185. 井上清一

    ○理事(井上清一君) 岩間委員
  186. 岩間正男

    岩間正男君 私は時間がありませんから、簡単に次のことをお聞きしたいと思うのです。それは、今度の国民の世論を無視した承認に対して安全性をあくまでもアメリカの言うとおりわれわれは信頼する、そしてまた、必要によって放射能の検査をやる、この放射能の検査をやることによってこれは危険を回避することができるんだ、これを非常に大きな宣伝の道具にしていると思うのです。それでそのための調査をこれは政府は近くやる。それで、そのためのいろいろな機構なんか、それから組織づくりをやっていると思うのですが、さらに、これがいつ行なわれるのか、その時期、それからいままで決定されましたそういうことについて、これは外務大臣からお伺いしたいと思うのです。
  187. 村田浩

    説明員(村田浩君) ただいまお尋ねの放射能調査につきましては、科学技術庁のほうが中心になりまして、関係各省と協議しましてその計画を進めておりますので、私のほうから御答弁申し上げます。  原子力潜水艦のわが国への寄港に伴いましての放射能調査は、ただいま申し上げましたとおり、政府の機構、それが決定後直ちに関係省庁と御相談しまして計画を立て、予備費の支出手続をとり、ただいま着々その準備が進められておるところでございますが、その内容をかいつまんで申し上げますと、港湾におきます放射能調査としましては、事前調査、事後調査、大きく分けてこの二つに分けて行なうことにいたしております。事前調査は、第一回の潜水艦の寄港までの期間、つまりまだ入っておりませんときの港湾における状況を調査するわけでございます。それから事後調査は、これをさらに二つに分けまして、定期調査と臨時調査ということで進めたい、このように考えております。このうち定期調査と申しますのは、潜水艦が第一回に寄港いたしましてから、その後どういうふうに出港しあるいは次のものがまた入港する、そこら辺はよくわかりませんけれども、そういった実際の潜水艦の入出港のいかんにかかわらず、定期的に港湾内の放射能のレベルを資料を採取して調査をいたす。これを定期調査と申しております。もちろん現実に潜水艦が入る、あるいは出ていきます、そういう際の放射能もこれは調査する必要がございますので、これを臨時調査と呼んで行なうようにいたしております。この臨時調査は、したがいまして、さらに実際にはまた内容は分かれるわけであります。潜水艦が入りますときには、覚え書きにございますように、二十四時間前の通報を受けます。そこで予定されました停泊区域につきまして入ります前にその海水の状況等を調べる。それから停泊中に——これはどのくらい停泊しているかわかりませんけれども、随時その近辺の放射能を調べ、最後に、これが出ていきましたときに、そのあとの海水の放射能状況を調査するというように、一隻入りますあるいは出ますたびに、そのような調査を臨時調査として進めてまいりたい、こういう計画でございます。  さらに、近海における放射能調査もこれと並行して行なうことにいたしております。それは事前調査とそれから事後調査、やはりこの二つに分けて、それぞれ必要な資料をとりまして、放射線のレベルを確認してまいる、こういう計画でございます。
  188. 岩間正男

    岩間正男君 関係各省というのはどことどこですか。
  189. 村田浩

    説明員(村田浩君) 農林省——これは水産庁になりますが、それから運輸省の気象庁と海上保安庁、それから厚生省並びに科学技術庁でございます。
  190. 岩間正男

    岩間正男君 これは原子力研究所の協力を当然求めるべきだと思うのですが、これはどうなっているのですか。
  191. 村田浩

    説明員(村田浩君) 放射能、特に海水あるいは空気中のいわゆる環境の放射能調査につきましては、すでにこれまで、いわゆる核爆発によって生じました放射性降下物、これがわが国にも降下してまいっておりますために、この状況を調査する必要があるということから、数年前からただいま申し上げましたような関係各省庁及びそれに属します機関において、実際の放射能調査の業務が行なわれてきておりますので、すでにそういう関係専門家が、ただいま申し上げましたところにおるわけでございます。そういう方々に今回の調査もやっていただく、こういうことでございます。
  192. 岩間正男

    岩間正男君 じゃ、研究所には別に求めていないのですね。  それから次に、あれはどうなんですか。いつから大体始まる予定ですか。
  193. 村田浩

    説明員(村田浩君) この放射能調査は、従来から行なっております放射性降下物に対します放射能調査とはまた違いまして、別途行なうものでございますので、政府におきましては、特に予備費を支出いたしまして調査を実施いたしおてり、その予備費支出の交渉等もございまして、たしか本日の閣議で予備費支出を決定することに相なったと承知いたしておりますが、これに伴い、かねて相談いたしました線に従って関係省庁の分担の範囲の仕事をさっそくに進めたい、こう考えております。
  194. 岩間正男

    岩間正男君 いま閣議決定のことがありましたが、外務大臣そのとおりですか。
  195. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) 具体的にこの調査が完了しました分から予備費を次々と計上するということになっておりまして、きょうだしか四千数百万の予備費の支出が閣議決定になりました。
  196. 岩間正男

    岩間正男君 それでは、もう間近に開始されるんだと、そういうことに伺っていいんですが、しかも、これはそんなに急いでいられるのは、アメリカ潜水艦が入ってくるのが近いんだ、間近だ、こういうことで急いでおられると思うのですが、そこで調査のやり方ですね、これに二通りあると思うのですね。核種調査とグロス・カウント。これはどういう方法をとるのです、今度のやり方は。
  197. 村田浩

    説明員(村田浩君) 港湾におきます放射能調査につきましては、海水、海底どろ及び海産生物、大きく分けまして、この三つの資料をとりまして調査いたします。この調査の科学的方法としましては、海水並びに特に資料と申し上げませんけれども、その海中の放射線の汚染につきましては全ベータ線量を直ちに測定いたしております。これは機器で測定するわけであります。とりました資料の内容がどういうふうな核種があるかということにつきましては、それを所定の研究機関に持ち帰りまして、機器分析並びに化学分析をいたします。
  198. 岩間正男

    岩間正男君 しかし化学分析をやるには、とてもいま政府が考えておられるようなそういうやり方では時間が短いのでやれないのではないですか。これは放射能の半減期もいろいろ核種によって違うわけでしょう。そして、そういうものをずっと見ていくには、少なくとも最低三カ月から一カ年必要だ、こういうふうにいわれておるのですけれどもですね。こういう点からやむを得ずこれは総合的なグロス・カウントの方法でやってしまうのではないですか。そうなると、ほんとうに漠然としたもので、実際これに対する対策を立てるということは非常に困難だ、こういうふうに考えておるのですが、この点はいかがですか。
  199. 村田浩

    説明員(村田浩君) ただいまのような放射能調査をやります前提としまして、アメリカ側の声明並びに覚え書きにもございますように、米国側は日本側の法令並びに基準及び国際基準に完全に適合するように廃棄物を出すということをはっきり約束いたしておりますが、それに関連しまして、乗り組み員は厳重なる放射能モニタリングを行なうということをこれまで約束いたしております。それの確認をいたしますために、日本側がモニタリング調査、放射能調査に協力する、こういうことでございます。したがいまして、ただいまの調査も、特に化学分析につきましては若干の日数の必要なことは御指摘のとおりでございますが、まず最初にグロスの、全ベーター測定をいたしまして、それを大体にらんでおきましたならば、その線で直ちにおよその見当はつくわけでございます。したがいまして、大体が確認のため行なうわけでございまして、最初から大きな何か変化があるということは私どもは予想いたしておらないわけでございます。
  200. 岩間正男

    岩間正男君 非常に私は、いまのような答弁では、やはり安全性を確かめるという科学的に最も完備した方法ではない。一応これは検査をやったのだと、そういうことを国民に知らして、いわばPRには役立つかもしらぬですけれども、実際はさっきもお話したように、季節的にいろいろ放射能の変化もあるわけでしょう。それから半減期も違ってくる。そうすれば、港湾の中の海水を調査するにしましても、それに対して具体的な対策を立てる。そういう点からこれをやるには非常に不十分な調査になるのではないか。そういう点でどうも……。期間について聞きたいのですが、これは大体一週間程度の調査を最初まずやるというのではないですか。そんなことではどうも……。
  201. 村田浩

    説明員(村田浩君) 資料の採取に要します期間が大体一回の調査で数日かかると思います。その後の機器分析及び化単分析はそれのあとで行なうわけでございます。
  202. 井上清一

    ○理事(井上清一君) 速記をとめて。   〔速記中止
  203. 井上清一

    ○理事(井上清一君) 速記を始めて。
  204. 岩間正男

    岩間正男君 それで、次にお聞きしたいのですが、まあ、核種調査を徹底的にやるということがあなたたちの言う安全性からいってもこれは必要だと思うのですが、どうもそういう組織と機構になってない。さっきも言いましたように、これは一応の調査をやるのだ、だから安全だ、そういうことで、それからまた、アメリカが安全と言うものを確認するための裏づけをするのだ、そういうような形でのこれは調査の域を出ないのではないか。こういう点で、非常にこの調査に対しまして、われわれは関心を持っているわけです。陸上の原子炉でも最低一カ年間の調査を行なっているのが現状ではないでしょうか。そうすると、安全だと言って、さて一カ月後には原子力潜水艦が入ってくる。わずか一カ月の海水をとったくらいの調査をやって、それで調査をやったのだから安全だということになると、ここに非常に大きな狂いが出てくる。  もう一つ聞きたいのです。佐世保の場合ですが、佐世保ではもう海流調査、潮流調査というものは最近はほとんどやっていない。戦前は日本軍がここを使っていたが、戦後は米軍が占領した。そうして、引き続き米軍が使用して、港内の一一%を完全に現在使っている。そのために潮流調査というものは行なわない。そうすると、潮流調査なしに海水の汚染問題を具体的に調査することは非常に困難だというふうに考えます。この点はどういうふうになりますか、いまのこういう点についての御意見。
  205. 兼重寛九郎

    説明員兼重寛九郎君) ただいま測定いたしておりますものは海水の放射能でございますが、半減期の短いものが問題になりますのは潜水艦が入ってからあとのことでございますと、また、半減期の短いものについては障害の上でそれほど問題にはならない。したがって、いま事前調査をしておりますのは、海水の自然放射能と、現在では大部分がフォール・アウトによる放射能の汚染の量であります。これは佐世保の港、あるいは横須賀の港で測定したことはこれまでないと思いますけれども日本の近海では何年も観測、測定をしております。で、これが港によって非常に違う性質のものではないのでございます。あと海産生物というようなものは、これは季節によりまして違うのでございますが、現におるものの現在の放射能レベルはいまのような方法で測定できます。したがって、あとでそのときにいなかったもので季節の違うときに出てくる生物というものについてどうするかというのが問題でございますが、その点はほかの地域その他でこれまでやってきました資料などもありますので、そういうものとの比較ということから、一年たたなければどうしてもそれは完成しない、対策が立たないというものではないと考えておるわけでございます。
  206. 井上清一

    ○理事(井上清一君) この辺でいかがでしょうか。
  207. 岩間正男

    岩間正男君 もう少し。いまのような御説明があったのですが、日本人は、この安全の問題について、そうしてしかも、このような検査によって安全が保証されるのだというような宣伝というものについては、非常に重要視しているのですからね。それで、われわれがこれに対して万全の態勢を一体とってやっているのかというと、そういうことになっていないのじゃないか。そういうことで、まあ、とりあえずそういうことが行なわれている。  次に海底の問題ですが、海底はどうしてもどろの問題、そこに住んでいる魚介の問題、海藻の問題、それからプランクトンの問題、こういうような問題まで十分に調査しておかなければ、五十キロ近辺まで日本の沿岸漁業は出航しているのですから、この問題は当然非常に今後大きな問題になると思う。ところが、こういう問題についての態勢も十分にとられていないのが現状じゃないのですか。これを現在管理して調査しているのは水産庁でございますね。ところが、水産庁の関係者は今度の調査には参加するようなことになっておりますか、いかがでございますか。
  208. 村田浩

    説明員(村田浩君) 仕事の分担につきましては、海水、それからただいまお話の海底上の採取、これは海上保安庁の水路部が担当いたして行なうことになっております。それから、海産生物の採取につきましては、農林省の水産庁、実際には、佐世保の場合は西海水研、横須賀の場合は東海水研が当たることにいたしております。この資料の採取はこのようでございますが、さらに実際の分析はまたそれぞれの研究所に行なわせるようであります。
  209. 岩間正男

    岩間正男君 外務大臣に、非常に不十分な時間で詳細を尽くすことができないのは残念ですが、とにかく、いまお話しましたように、調査するのだということが非常にPRに使われようとしている。しかも、それが結果がまだ出ない。それについての研究も十分行なわれないうちに、これはもう原子力潜水艦がもうへたをしたら一カ月後に入ってくるか、二カ月後に入ってくるかわからない。こういうことになりますと、全く安全性が保証されてしかる後にやるということではない。だから、政府の言っているこのPRとは、まるでこれは違ってくる。だから、この調査そのものを見ましても、それを合理化する  あなたたちのこの方針を承認したということを合理化するそういう方法のPRに使われている点が非常に多いと思う。こういう点について、われわれはこのような調査そのものの不十分な点、こういう点から考えましても、このような事前の一体承認というものは早計であったし、非常にこれは近視眼的であったんじゃないか。こういう点について再検討する必要があるんじゃないか。安全だ、安全だと言いながら、実際はそれに即応するような態勢になっていない。そうして全くアメリカの言うことだけ信頼する。こういうことはまずいと思う。こういう点について外相は再考慮に踏み切る考えがあるのかどうか伺いたいと思います。
  210. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) 安全度の問題につきましては、十分の確信を持ち得る段階に達しましたので、再考慮の要を私どもは認めておりません。
  211. 岡田宗司

    岡田宗司君 モニタリングがいつ終わるか、それが終わったときにアメリカ側に対してもう入ってもよろしゅうございますという通告をするのかどうか。その一点だけ。
  212. 村田浩

    説明員(村田浩君) ただいまの御質問のモニタリングというのは、事前調査のことと存じますが。
  213. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうです。
  214. 村田浩

    説明員(村田浩君) 事前調査につきましては、先ほど来御説明しているような計画に沿って進めております。早急に着手することに相なると思いますが、それに必要な期間はこれからの実施状況を見ないとよくわかりませんけれども、二週間ないし三週間程度かかるかと思うのであります。
  215. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうしたら外務省から通告するのですか、アメリカヘ。いつでも入ってよろしゅうございますと通告するのですか。
  216. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) 通告することになっております。
  217. 井上清一

    ○理事(井上清一君) 本日は、この程度で散会をいたします。    午後二時十五分散会