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1964-09-03 第46回国会 参議院 外務委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年九月三日(木曜日)    午前十時二十二分開会   ―――――――――――――   委員異動  九月二日   辞任      補欠選任    二宮 文造君  渋谷 邦彦君  九月三日   辞任      補欠選任    加藤シヅエ君  戸叶  武君   ―――――――――――――  出席者は左のとおり。    委員長     青柳 秀夫君    委員            木内 四郎君            黒川 武雄君            杉原 荒太君            和田 鶴一君            岡田 宗司君            佐多 忠隆君            戸叶  武君            羽生 三七君            渋谷 邦彦君            曾祢  益君            野坂 参三君            佐藤 尚武君   国務大臣    外 務 大 臣 椎名悦三郎君    国 務 大 臣 愛知 揆一君    国 務 大 臣 小泉 純也君   事務局側    常任委員会専門    員       結城司郎次君   説明員    内閣官房長官  鈴木 善幸君    原子力委員会委    員       兼重寛九郎君    防衛庁防衛局長 海原  治君    外務省アメリカ    局長      竹内 春海君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国際情勢等に関する調査  (国際情勢に関する件)   ―――――――――――――
  2. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) それでは、ただいまから外務委員会を開会いたします。  椎名外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣
  3. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 原子力潜水艦日本寄港問題につきましては、従来国会において再三にわたり政府見解を明らかにしてまいりましたが、今回寄港を正式に決定いたしました機会に、本問題に関する政府考え方をあらためて表明いたしたいと存じます。  まず第一に、原子力潜水艦安全性の問題について申し上げます。科学が進歩すればするほど、われわれはそのことが人間生活の安全に及ぼす影響について一そう慎重を期さなければならないことは当然のことであります。そのためには科学的、理論的な見地から安全の確保がはかられなければならないことは申すまでもないことでありますが、さらに重要なことは、その安全性実用の面においても確保されておるということであります。原子力潜水艦は、政府が何回も繰り返して言明してまいりましたとおり、すでに実用に供されて以来約十年の歳月を経過いたし、その間、米本国はもちろん諸外国の港に随時出入し、原子炉に関する事故はもちろん、放射能被害を生じたことも一回もないという事実を強調いたしたいのであります。このことは、原子力潜水艦安全性考える場合に、何よりも重要視しなければならない点であると考えます。  しかしながら、わが国におきましては、原子力に対する特殊の国民感情にかんがみまして、国民に無用の不安を与えることを避けるため、過去一年八カ月の期間にわたって、政府原子力潜水艦安全性について慎重な検討を続けてきた次第であります。もっとも、原子力潜水艦軍艦である以上、原子力商船の場合とは異なり、相手国に対し、安全性に関する資料につき軍事機密に属するものの提供を要求することはできないのであります。このことは、「海上における人命の安全のための条約」においても、原子力船に関する規則は軍艦には適用しないこととしている次第であります。しかしながら、政府といたしましては、米国政府と累次の話し合いを続け、最大限可能な資料情報の入手につとめ、これを基として慎重な検討を重ねたのであります。その結果、今回原子力委員会において、原子力潜水艦寄港は、米側の保証と日米両国が行なうべき措置がそのとおり確保されるならば、国民の安全に支障を来たすものでないことが確認されたのであります。特に原子力潜水艦が出港の際排出する冷却水に含まれる放射能許容基準につきましては、米国原子力潜水艦基準も、わが国の法令に定められた基準に完全に適合することが確認されておるのであります。このことは、実際に原子力潜水艦寄港した米国や諸外国港湾において、人体に害を及ぼすような放射能被害は全く起こっていないという事実と相まって、原子力潜水艦安全性を強く裏づけていると信ずるものであります。政府といたしましては、放射能に関する安全性についてはさらに万全を期することとし、原子力潜水艦入港が予定されている港につきましては、入港事前と事後において放射能の検査を実施することとし、目下せっかくその準備を進めている次第であります。  なお、昨年米国の東海岸の大西洋海上において生起しましたスレッシャ一号の沈没事故につきましては、すでに調査の結果、事故原子炉の故障によるものでないこと、さらに、放射能の異常は検出されなかったことが明らかにされております。いずれにしましても、スレッシャー号事故は特殊の深海潜航の試験中に起きたものでありますから、通常の運航に従事しつつ寄港するわが国港湾あるいは近海においては起こり得ない性質の事故であることは申すまでもありません。  次に、原子力潜水艦核兵器との関連について申し上げます。米国原子力潜水艦には、大別して、いわゆるノーチラス型潜水艦と、中距離核誘導弾装備したポラリス潜水艦の二種類があることは周知のとおりであります。今回の日本寄港決定したのは前者に属するものであることは、過日発表した日米両国政府間の交換文書に明らかにされているところであります。今回の決定が将来におけるポラリス潜水艦入港を約束するものでないことは当然のことでありまして、現に日米間にポラリス潜水艦入港に関し話し合いが行なわれた事実はなく、昨年わが国を訪れたギルパトリック国防次官は、わが国に対し、ポラリス潜水艦寄港を求める意図はない旨を明らかにしているのであります。なお、米国は将来ノーテラス型潜水艦核魚雷を発射し得るサブロック装備する計画を持っていることは事実であると承知しております。しかし、このサブロックは現在なお開発実験中の段階にありまして、原子力潜水艦にはいまだ現実装備されていないものであります。いずれにせよ、核兵器日本への持ち込み事前協議対象となるわけでありまして、しかも、米国政府事前協議事項について、日本政府意図に反して行動しない旨を、岸・アイゼンハワー共同声明によって明確にしております。さらに、このことは今回米国政府が提出した文書においても再確認されているのであります。したがいまして、ポラリス潜水艦についてと同様、今回の決定が当然サブロックを搭載した原子力潜水艦寄港を承認したというのは、明らかに事実に反するのであります。まして、日本政府の知らない間に、核武装をした原子力潜水艦日本寄港するというような事態は絶対に起こり得ないことであります。  原子力潜水艦は、その安全性さえ確認されれば、日米安保条約のもとにおいて他の米国艦船と同様当然に日本への寄港を認めるべきであることは、政府が一貫してとってきた方針であります。日米安保条約のもとにおける防衛上の日米協力が、十数年の長きにわたって日本の安全と平和に寄与してきたことは厳然たる事実であります。この意味におきまして、原子力潜水艦日本寄港も、日本の安全に貢献こそすれ、決して害を及ぼすものでないことを確信するものであります。   ―――――――――――――
  4. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 委員異動について御報告を申し上げます。  昨九月二日付をもちまして二宮文造君が委員辞任され、補欠として渋谷邦彦君が選任されました。  また、本日付をもちまして加藤シヅエ君が委員辞任され、戸叶武君が選任されました。   ―――――――――――――
  5. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) それでは、本日は国際情勢等に関する調査を議題とし、米国原子力潜水艦日本寄港問題に関する件について質疑を行ないます。岡田委員
  6. 岡田宗司

    岡田宗司君 昨日サブロックの問題につきまして政府統一見解なるものが発表され、その際に、鈴木官房長官がこの問題に関連をして重要な発言をされておりますので、どうか鈴木官房長官にこの委員会に御出席を願いたい、その手続をとっていただきたいと存じます。
  7. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 承知いたしました。ただいま手配中でございます。
  8. 岡田宗司

    岡田宗司君 先月の二十八日に閣議をもちましてアメリカ原子力潜水艦日本への寄港を認め、それをアメリカに通告されましたことは、私どもこの問題についていろいろ憂慮してまいりました者としてまことに遺憾なことと存ずるのであります。しかも、その後一日に、衆議院内閣委員会におきましてサブロックの問題が出ました際に防衛局長は、サブロック核爆雷であるということをはっきり言われました。従来の政府が申してまいりました、サブロックはこれは核弾頭もつけられるが、通常弾頭もつけられるのだというような見解を明らかにくつがえし、そうして昨日の統一見解になり、いままた椎名外務大臣からの御発表になったわけであります。これはきわめて重大な事実でございまして、まず私は、この最近に起こりました政府のいろいろな見解についての質問から始めてまいりたいと思うのであります。  私たちは、このサブロックにつきましては早くから大略を承知しておった。と申しますのは、アメリカ側におきましては、このサブロック開発が行なわれておりますことについては、これを隠しておりません。公表しております。そうして、昨年の十二月四日にはアメリカ国防総省は、サブロックにつきまして詳細なる発表を行ない、また写真あるいはフィルム等もそれによってできておるのであります。私どもはこのサブロックの問題につきまして、椎名外務大臣の前に大平外務大臣の際にもいろいろお伺いしたのでありますが、政府はこのサブロックの問題について、先に私が述べましたように、いや、それは核弾頭もつけられるが通常爆雷もつけられるのだ、あるいはまた開発中であるということで答弁をごまかしてきたのであります。しかしながら、いまに至りまして防衛局長からはっきりと、これは核爆雷である、それだけの専用の発射器である、こういうことが明らかにされたのであります。昨年の十二月四日に明らかにされて、今日まですでに九カ月――十カ月たっておるのであります。その間に一体政府はこの事実を知らなかったのでありましょうか。防衛庁は知っておったが、この問題について取り扱う外務省がこの問題について知らなかったというのは、私はおかしいと思う。はたして知らなかったのか。それとも、知っておりながら、原子力潜水艦の野港を寄易ならしめるため、これを国民の目から遮蔽しようとしておったのか、いずれかであると私は思うのでありますが、外務大臣はこの点についてどうお考えになりますか。
  9. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) サブロックはただいま開発段階中でございまして、まだ現実にこれを使用していないのでございます。当初は、核弾頭通常弾頭両方装備するという意図のもとに開発研究がなされておったのでありますが、その開発研究の道程において、核弾頭のみを装備するということに変わってきた模様でございます。そこで、その開発研究のかような経過をとっておりまするので、政府がこの点について、両方装備し得るものであって、通常弾頭装備した場合においては核兵器でないという解釈が当然生まれてまいりますので、さような説明をしたのでありますが、現実の問題としては、もはや通常弾頭装備はしないという方針に変わっておりますので、この点はもはや現実の問題としては論議の必要はない、かようになった次第でございます。
  10. 岡田宗司

    岡田宗司君 またたいへん苦しい御答弁ですが、去年の十二月四日にアメリカ政府発表しておるのです。その後もいろいろ情報は、はっきりと核爆雷であるというふうに言っておるのです。それを防衛局長が一昨日これを発表するまで一体知らなかったのか、あるいは前のままのように、これもほんとうだとは思いませんが、前のままのように、核弾頭と普通の弾頭とがつけられるのだというふうに信じていたとすれば、一体外務省は何をしていたのか。アメリカ局は何をしていたということになる。これはアメリカ局長はその情報をいつ持ったのかお伺いしたい。アメリカ局長、そのことについて御説明願いたい。
  11. 竹内春海

    説明員竹内春海君) サブロックの問題につきましては、ただいま大臣から御答弁のとおりでございます。
  12. 岡田宗司

    岡田宗司君 答弁になってないから聞いている。いっその核弾頭だけだということをあなたのほうで知ったのか、それをお伺いしたい。
  13. 竹内春海

    説明員竹内春海君) ただいまその点について大臣から御答弁があったとおりであります。
  14. 岡田宗司

    岡田宗司君 何もありませんよ。いつという時期を聞いている。
  15. 竹内春海

    説明員竹内春海君) 問題の本質は……
  16. 岡田宗司

    岡田宗司君 本質じゃない。いつあなたがその情報を知ったのかということを聞いているのだ。明確に答えなさい。
  17. 竹内春海

    説明員竹内春海君) 先ほどから大臣からその点については御答弁……
  18. 岡田宗司

    岡田宗司君 答えてない。時期を聞いている。それじゃ大臣、その情報はいつ得られたか。おとといですか。おとといの席上で得られたのでしょう。はっきりしなさい。
  19. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) いずれにしても……
  20. 岡田宗司

    岡田宗司君 いずれにしてもじゃない。その時期を聞いているのです。
  21. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) まだ開発段階にある兵器の問題でありまして、それを、手に取るように外国のほうで知るということは、これは実際問題としてきわめて……
  22. 岡田宗司

    岡田宗司君 きわめてはっきりしているじゃないですか。(「いままで国会でも何べんも論議したのだよ」と呼ぶ者あり)
  23. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) もはや今日におきましては、まだ実際に用いられておりませんけれども核弾頭のみを装備するという方向がはっきりいたしましたので、そのことを申し上げたのであります。
  24. 岡田宗司

    岡田宗司君 それをいつあなたが知ったかということをお聞きしておる。それをまず時期お伺いしたい。お答えできないのですか。つまり、あなたがそのサブロック核弾頭だけのものだということをいつお知りになったか。それは一昨日の衆議院内閣委員会の席上で防衛局長からお聞きになった、そういうことじゃないですか、その点はっきりしてください。
  25. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 実際問題としては、そういう普通弾頭をつけることを……
  26. 岡田宗司

    岡田宗司君 いつだということだけをお聞きすればいいのです。
  27. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 最近です。
  28. 岡田宗司

    岡田宗司君 最近というのは、おとといでしょう。
  29. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) おとといでしょうなあ。
  30. 岡田宗司

    岡田宗司君 衆議院内閣委員会で初めてお聞きになったのじゃないですか。この問題ではとぼけることを許しませんよ。
  31. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) いずれにしても最近。(「本文をやってから、いずれにしてもと言うのですよ」と呼ぶ者あり)
  32. 岡田宗司

    岡田宗司君 アメリカ局長はいっそれを知ったのです。
  33. 竹内春海

    説明員竹内春海君) 私は本年の二月、衆議院分科委員会だと思いますが、サブロックは主として核弾頭を装着するものであるというふうにお答えしております。これはほとんど実用としては核弾頭だけをつけるものであるということは最近承知しました。
  34. 岡田宗司

    岡田宗司君 最近というのはいつだか、はっきりしてください。
  35. 竹内春海

    説明員竹内春海君) 最近でございます。
  36. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、それはどこから得られた情報ですか。防衛局長から得られた情報ですか。
  37. 竹内春海

    説明員竹内春海君) 防衛庁の判断として伺いました。
  38. 岡田宗司

    岡田宗司君 防衛局長は、すでにアメリカから公表されました資料によって、それは核弾頭であるということを知っているわけです。秘密文書によって知ったのでなければ、あるいはまた、特殊な方法で探知して知ったのでもない。そうすれば、外務省でこの問題について取り扱っておるアメリカ局は、そういうことを最近になって防衛庁から知った、あるいは一昨日の内閣委員会の席上で知ったというがごときは、これは怠慢もはなはだしい。もし怠慢でなくて、あなたの言うように、二月にこれを知っておったとするならば、それこそ国民をごまかすためにあなた方はいままでこれは核弾頭通常弾頭とをつけられるのだ、そう言ってごまかしてこの場を通り抜けよう、こうされたとしか思えない。こういうようなことで、この、国民にとって重大な関係のある問題をかってなことをやられちゃ困りますよ。この点は外務大臣外務省当局も十分にこれから考えていただきたい。外務大臣、その点どうお考えになりますか。もしあなた方に対してアメリカ局なり像かの局がこういうことについて真実を伝えてなかった、あるいは情報提供がおそいとしたら怠慢だから、あなた方はこの連中を変えるなり何なりすればいい。もしそうでないとしたならば、ごまかしなんです。どうですか、その点は。
  39. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) いずれにいたしましても、核兵器持ち込みというような問題に関連しておる問題ではございません。
  40. 岡田宗司

    岡田宗司君 問題は関連しているですよ。関連しているから聞いている。
  41. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 今日のノーチラス原子力潜水艦寄港の問題には直接関連のない問題であります。ただ、かような兵器開発段階の途中におきましては、相当これは秘密を守らなければならぬ事項でございまして……
  42. 岡田宗司

    岡田宗司君 発表しているじゃないですか、十二月四日に。
  43. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) どうしてもこういうことを段階途中において的確な情報を得なければならぬという必要を、私はそう感じておらないのであります。
  44. 岡田宗司

    岡田宗司君 あなた方が好きなアメリカ発表しているのです。
  45. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 委員各位に申し上げます。御発言は、委員長の許可を得てからお願いを申し上げます。
  46. 岡田宗司

    岡田宗司君 いま、このサブロックの問題についてはあまり関係ないと言われたが、関係ないなら、なぜいまあなたはこの場で統一見解発表されたのですか。統一見解について、核爆雷を発射する機関であるサブロックを積んでいるものはこれは入れないのだということを言われているじゃないですか。そうすれば、あなたは、関係ないと言われるけれども、重大な関係があるから、そう言われているのでしょう。どうです。これは関係ないと言い切れますか。
  47. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) サブロック核弾頭通常弾頭と両用に装備されるということ、研究の結果、だんだん核弾頭のみに限定するという方針に変わった、こういう問題を知るということが非常に的確迅速でなかったという点は、これは認めざるを得ないと思います。思いますが、核兵器を積んでおる限りにおいては、これは事前協議対象になるのでありまして、その場合においては、日本意図を無視して寄港するということは起こり得ないということを私は特にこの際強調したいと思います。
  48. 岡田宗司

    岡田宗司君 まことにだらしない話ですが、時間もございませんから次に進みます。  サブロック研究の途上であると言われておる。しかし、研究開発段階はすでに過ぎて、アメリカ国防総省は昨年の十二月四日にその詳細を発表し、そしてすでにアメリカのある会社と契約をいたしまして、このサブロック大量生産に入っておるわけであります。そしてまた、アメリカ海軍方針といたしまして、スレッシャー型以降の攻撃用潜水艦にはこれを装備するということを決定しておるのであります。もうすでに、単なる研究段階開発段階を過ぎて、実刑の段階に入る。そうしてこれを各潜水艦に続々装備をする。その装備も本年じゅうに始まり、来年じゅうにこれを大量に装備するということが決定されると聞いておるのであります。その点についての情報をお持ちにならぬのですか。その点はどうお考えになりますか。
  49. 竹内春海

    説明員竹内春海君) これは専門家防衛局長から正確に御答弁になったほうがいいかと思いますが、昨年の十二月四日のアメリカ発表にもありますとおり、まだ開発中であるということでありまして、これを装備に移したということではございません。  それから、私ども現在持っております情報では、まだ装備しておらない。まだ若干の期間を要するようでございます。
  50. 岡田宗司

    岡田宗司君 いま防衛局、長の御出席を願いたいと思うんですが、防衛局長はいつころお見えになりますか。
  51. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) もう間もなく着くと……
  52. 岡田宗司

    岡田宗司君 じゃ、その問題は防衛局長が来てからあらためてお伺いすることにいたしますが、いまのアメリカ局長も、まあ椎名外務大臣発言を受けて、まだ実用段階に入ってないんだ、まだつけてないんだとその点を非常に強調されておる。しかしながら、すでにアメリカ国防総省発表して、これを装備するという方針はきまっておる。そうして、アメリカのこの会社に対しまして発注をして、それを生産しておることも事実であります。今年じゅうにその装備が始められるということも決定しておるのであります。それにもかかわらず、なお言を左右にしてそれを認めないということは、まことに奇怪至極と言わなければなりません。これはあとで防衛局長が参りましたらお伺いしたいと思うのであります。  それから次にお伺いしたいのは、アメリカ日本に対して寄港を求めておる潜水艦ノーチラス型であるということを書っております。この政府の出しましたものにつきましても、「日本寄港することとなった米国原子力潜水艦は、いわゆるノーチラス型の通常原子力潜水艦であって、」云々と書いてあるのであります。で、ノーチラス型の潜水艦というのは、御承知のように、攻撃用潜水艦の一種であります。しかも、初期にできたものであります。これに改良が加えられまして、新たなる発展がありまして、いわゆるスレッシャー型になったわけであります。そうして、最初のノーチラス型はサブロックを積むに適当でない、適してない。そうして、スレッシャー型以降のものについては、アメリカサブロックを搭載する方針をきめておる。この点、政府は、ちゃんと英文で出してあるほうにつきましてはSSNということをはっきりうたい、こちら側については、攻撃用潜水艦ということばも省き、さらにまたノーテラス型号ということを強調して、このSSNの中にスレッシャー型が含まれていることをひた隠しにしておるような発表をしておる。一体、こんなようなことでわれわれをごまかせると思いますか。このSSNといううちに一体どういうものが含まれているのか。ノーチラス型だけなのか、それともスレッシャ一型が含まれているのか。その点はっきりしていただきたい。  まず、アメリカ局長の御答弁を願います。
  53. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 防衛局長が参りましたから……。
  54. 岡田宗司

    岡田宗司君 いや、まず、いまの点は、アメリカ局長の御答弁を願います。
  55. 竹内春海

    説明員竹内春海君) 故意に事実を曲げて発表するつもりはございませんので、従来SSNは「通常原子力潜水艦」と私ども呼んでまいりましたので、このように申したのでございます。スレッシャー型は、御指摘のとおり、通常原子力潜水艦あるいは攻撃用潜水艦、それに入るものでございます。
  56. 岡田宗司

    岡田宗司君 日本文のほうには、「いわゆるノーテラス型の通常原子力潜水艦」、そうして英文のほうには、「ソーコールド・ノーテラス・タイプ・サブマリン(SSN)」、こう書いてある。「通常の」ということばは入れていない。これはどういうミスなんですか。これは「通常」ということばを入れて国民をごまかそうとしているのじゃないですか。アメリカ局長、この訳文の違いはどうお答えになりますか。
  57. 竹内春海

    説明員竹内春海君) アメリカ側の覚え書きのほうにも、「推進系統の相違を除き通常潜水艦と変わりがない」と、こう言っておりますので、それを受けまして「通常原子力潜水艦」、このようになったのであります。
  58. 岡田宗司

    岡田宗司君 英文英文どおりどういうことになっているのですか、オーディナリーなんということばないのです。じゃ、それはよろしい。  次に防衛局長にお伺いいたします。一日の衆議院内閣委員会におきまして防衛局長は、サブロック核爆雷を発射するものであるという意味のことを明らかにされたわけであります。このことは非常に大きな波紋を呼びまして、そうして、昨日政府側の統一見解発表され、いままたここにおいて外務大臣からもいわゆる統一見解発表されたわけであります。政府は、あるいは外務省は、いままでサブロック通常弾頭あるいはまた核弾頭両用のものであると言ってきたわけでございますけれども、あなたの発言によりましてこれははっきりしたわけであります。あなたは、おそらくこのことについては、アメリカ側の公表されたものからそういうふうにお知りになっていると思うのでありますが、アメリカ側サブロックにつきまして詳細を公表したのは、たしか昨年の十二月四日だと思います。その後においてもいろいろサブロックについても情報があるだろうと思います。それに基づいてその点が明らかにされたと思うのですが、このサブロックについての概要についてひとつお話しを願いたいと思うのであります。
  59. 海原治

    説明員(海原治君) サブロックにつきましてあるいは外務省のほうからも御説明があったかと思いますが、従来サブロック核弾頭及び通常の高性能の爆薬によりますところの爆雷、こういういわゆる両用のものであるということにつきまして、一般にそのように考えられておった次第であります。これは昨年の外務委員会と科学特別委員会でございましたか、この連合の審査会におきましても、その当時私からも、その当時においてはサブロックは核・非核両用のものとして研究開発中のものである、こういうふうにいろいろな権威ある雑誌その他に報道されておる、こういうことを申し上げた次第であります。たとえば昨年アメリカ原子力潜水艦につきまして非常に権威のある解説書が出ておりますが、この中にも、「発射潜水艦は、遠距離ソーナーによって敵潜水艦を探知し、おおよその方角に向けてこれを打ち出す。サブロックは空中飛行を終わって再び水中に入ると、聴音自動追尾魚雷として働き、敵の潜水艦を追うのである。またはミサイルが水中に入った直後に爆発する核兵器を装着しておくこともできる。このときは、その近くにいる潜水艦に対し潰滅的効果があろう。」、こういうようなことを言っております。これも昨年の九月にアメリカで出ております「原子力潜水艦」と題する書物でございます。これの日本語の翻訳も出ております。こういうことでもおわかりになりますとおり、当時におきましては、米海軍は明らかに核、非核両用のものとしての開発を行なっておったのは事実でございます。したがいまして、その当時におきましては私どもは、資料によりますとそういうことでございますという御説明をしております。昨年の十二月四日に、御存じのようなアメリカの国防省の発表がございまして、これには弾頭は核ということは書いてございます。そこで私どものほうとしましても、従来私どもが聞いておりましたことと違っておりますので、いろいろと調査検討を行なったわけでございますが、その結果、一日の内閣委員会で私が石橋委員にお答えいたしましたのは、現在におきましては核の爆雷のものを開発しておる、こういうことを申し上げたわけでございます。したがいまして、今後あるいは高性能の通常の爆薬のものが持てれば、当然、理論的に申しましても、装着できるわけであります。しかし、先のことはわかりませんし、過去のことは過去といたしまして、現在におきましてアメリカ海軍が最終的な開発段階に持っていっているものは、核爆雷を装着するものと、こういうふうに判断をして、そういう趣旨のことをお答えしたわけであります。そこで、従来からの政府答弁と違うじゃないかという御趣旨の御質問かと思うのでございますが、私どもが従来、核、非核両用のものであるということを御説明したあとにおきまして、このサブロック弾頭につきましての御質問は実はございません。ことしのやはり当委員会におきまして、岡田先生から、現在すでにサブロック装備した原子力潜水艦が第七艦隊に配属されているではないか、こういう意味の御質問がございました。そのときには私は、まだ現在開発段階のものである、その開発はおそらくことしじゅうに終わるであろう、こういう趣旨のことを御答弁申し上げておるのでありますが、その際に、弾頭につきましての御質問はございません。その後ずっと国会の審議におきましても、サブロック弾頭につきましての御質疑がないままに、先般の一日の内閣委員会になったわけであります。その際には、石橋委員から明瞭に弾頭についての御質問がございましたので、私どもが現在判断しておりますところのことを申し上げた次第でございます。そういう実情でございますので、従来政府答弁しておったことと違うということではないと私どもは信じておる次第でございまして、ひとつそのように御了解願いたいと思います。
  60. 岡田宗司

    岡田宗司君 昨年の九月にですね、防衛局長アメリカ側資料によって、両用のものであるという判断を持って、そうしてそれに基づいて国会答弁をした。しかしながら、昨年の十二月四日には、すでにこの問題については、はっきりアメリカ側核弾頭のものを開発しているということを明らかにしておる。これはすでにそれから十カ月たっておる。それにもかかわりませず、政府はなおかつ両用のものであるということを言い続けた。これはもし意識的にそうやってきたとするならば、国民をごまかそうとするものである。はなはだけしからんことと言わなければならぬと思うのであります。先ほどからいろいろ外務大臣、あるいはアメリカ局長の話を聞いておりますというと、どうもその情報についての入手ははっきりしないような、いつだかわからない、ごく最近だというお話もあったわけであります。まことに怠慢だと言わなければならぬわけでありますが、それはさておいて、私は、あなたがそういうような判断をされた、これは重大な問題でございますので、アメリカ側が昨年の十二月四日に発表いたしましたサブロックについてのいろいろな資料というものが、すでに翻訳ができておりますれば、それを至急に配付していただきたいと思います。これはおそらく公表のものですから、できるだろう。外務省を通じて配付を願いたいと思います。いかがですか。
  61. 海原治

    説明員(海原治君) ただいまおっしゃっておられます、昨年の十二月四日の国防省発表のもの、これは公表のものでございまして、私どものほうでも翻訳はいたしております。もしよろしければ、この場で朗読してもよろしいのでありこすが、あるいは外務省の手を通じて資料として御配付申し上げてもよろしいかと思いますが、これは委員長の御指示によって……。
  62. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは外務省、持っていましたか。
  63. 竹内春海

    説明員竹内春海君) 持っておりました。
  64. 岡田宗司

    岡田宗司君 持っておりません。――まことに怠慢だと言わなければならぬですな。原子力潜水艦について大事な折衝をして、サブロックの問題は往々にして国会で問題になっておる。それにかかわらず、それを持っていなかったというのは怠慢と言わなければならぬじゃないですか。外務大臣どう思いますか。とにかく、いずれにせよ、資料を出していただきたい。
  65. 竹内春海

    説明員竹内春海君) 資料は持っておりましたと御答弁したつもりでございます。
  66. 岡田宗司

    岡田宗司君 持っていたなら出してください。  それじゃ次に、先ほどノーチラス型がまあ入港を認められるのだという話でございますけれども、明らかにSSN型の中にもスレッシャー型と核爆雷を搭載できるものが含まれておる。しかも現在アメリカでは核爆雷搭載用のものを主として開発をしておる。いわゆるノーチラス型の、核爆雷を積むのには、サブロックを積むのには不適当なものはだんだんに生産しない、新しい型のものを生産しておる、こういうことでありますが、その割合ですね、割合はどうなっておるか。それから単に現在だけじゃなくて、将来その割合はどうなるか。これはアメリカ側でも公表しておることだからお答えできることと思うのですが、それを明らかにしていただきたい。
  67. 海原治

    説明員(海原治君) サブロックを搭載する予定の潜水艦についてのお尋ねでございますが、先ほどございました、いわゆる「通常原子力潜水艦」と申しておりますノーチラス型の原子力潜水艦は、私ども資料によりますと、現在就役しておるものも含めまして、総計で四十四隻つくる予定のようになっております。この四十四隻の中で、これのいわゆるスレッシャータイプと申しておりますが、沈没しましたスレッシャーを除きまして、この型の船は約三十隻ということが現在の計画でございます。  そこで、サブロックという水中発射のミサイルでございますが、これは実はスレッシャー型の潜水艦装備されるであろうと、これはもう一般に観測されております。このスレッシャー型以外のものにつきましては、実はこれは先生も御存じと思いますが、このスレッシャー型以外の原子力潜水艦の発射管は全部前かうしろにございます。ところが、スレッシャー型及びこの改良型につきましては、この発射管は中部にございます。片側に二つずつ、しかも、これは斜めについております。なぜ、ほかのものが前にあるのにかかわらずこのスレッシャー型のものは中にあるのかと申しますと、これも御説明したかと思いますが、とにかく一たん水中から空中に出まして、また水中に入って敵の潜水艦を破壊するというものでございますので、遠距離において敵の潜水艦を探知するソーナー関係の設備及びこれを誘導しますところの管制の設備、これはほんとうに複雑かつ膨大なものでございます。したがいまして、そういうソーナー関係のものを全部前に集めてあるということでございます。したがって、魚雷発射管は中央部に持ってこざるを符ないのでございます。ことばをかえて申しますと、このスレッシャー型以外の原子力潜水艦には、ソーナー関係の装置がいま申しましたとおりでございますから、これは積めないわけでございます。積んでも意味がない。したがいまして、四十四隻計画されておりますところのいわゆる「通常原子力潜水艦」の中で、このサブロックを搭載するであろうと見られますものは、多くとも先ほど申しましたこのスレッシャー・タイプの三十隻以内ということになるわけでございます。しかも、このスレッシャー・タイプでいままで進水しておるものにつきましては、先ほど申しました管制装置、誘導装置等の関係がございますので、これを積むとすればまた大幅に改良しなければならない。したがって、おそらくスレッシャー・タイプの原子力潜水艦の中でも、まず二十五隻程度のものはサブロック装備されるのではないか。これは先般の外務委員会で、私からも岡田先生に御説明してございます。そこでいま申しましたように、このスレッシャー型以外の原子力潜水艦はそれで用途廃棄になるかというと決してそうではございません。いろいろ船というものはそれぞれの用途がございますので、当然にその任務に即応して使うわけでございます。もう一度申しますというと、スレッシャー・タイプのうちの一部――一部と言うか大部分と申しますか、サブロックが搭載されますが、これがいかなる形において搭載されるかどうかまだきまっておりません。ただ一般には魚雷との関係で搭載されるだろうということになっております。しかし、スレッシャー・タイプの原子力潜水艦が常にサブロックを全部持つ必要のないことは、通常の魚雷の性能とサブロックの性能というものを考えますというと、おのずから用途が違ってまいります。これはあとでお届けいたしますが、当時の国防省の発表にございますように、このサブロックは敵のミサイル搭載原子力潜水艦の脅威、これに遭遇した場合に非常にすぐれた効果を生ずるものであるという説明がございます。すなわち、敵のミサイルを搭載した原子力潜水艦に対抗するという目的で開発されたものでございますから、それ以外の潜水艦あるいは通常軍艦等に対してはこのサブロックを用いることはあまり意味がないのでございます。通常の魚雷で十分役に立つのでございます。したがいまして、スレッシャー・タイプの原子力潜水艦でも、その任務、用法等によりましては、何もサブロックを積むことは必要はございません。しかも、一般的に核兵器につきましては厳重な管理統制のこともございますので、平時におきましてこのスレッシャー・タイプの船が常にサブロックを持っているということは、われわれ考えておりません。平時におきましては、むしろ通常の魚雷を搭載しておるもの、これが何らかのときにその目的にしたがってこの新しいサブロックというものを搭載するだろう、こういうのが私どもの判断でございます。
  68. 岡田宗司

    岡田宗司君 このサブロックは、研究中とか開発中とか言われておるけれども、もうすでに、実用段階に入る。そしてアメリカ海軍はこれを大量に生産するように会社に発注をしておるということを聞いております。おそらく本年中から装備が始まっていくだろう、まあ、こういうことでありますが、もうすでにそういう段階に入っているということをお認めですか。
  69. 海原治

    説明員(海原治君) ただいまの点でございますが、この点も一日の内閣委員会で私が石橋委員にお答えしましたことは、従来も申しておりました私ども情報に基づく判断を変更するような情報は持っておりませんということを申し上げております。すなわち、研究開発のテンポというものは、やはりことし千九百六十四年度じゅうに終わるであろうということが私どもの聞いておりますところでございまして、すでに現に実用しておるということの情報は、全然入手いたしておりません。
  70. 岡田宗司

    岡田宗司君 いや、実用化の段階に入って発注しておるのではないか。そして装備を始める準備をしつつあるのではないか。
  71. 海原治

    説明員(海原治君) これも先般御説明したことでございますが、ことしじゅうには約三十発のオペレーション・タイプのミサイルが、何と申しますか、実用に供する一段階前のオペレー・ション・タイプのミサイルということの検討をやるだろう。しかしこの開発実用試験の結果を待たずして約二百発程度のものの生産の契約、これは会社とやっておることは事実のようでございます。しかし、その契約に基づいてどの程度のことが進行しているか、これは私どもその詳細は承知いたしておりません。
  72. 岡田宗司

    岡田宗司君 次にお伺いをしたいのは、第七艦隊に現在原子力潜水艦が、攻撃用潜水艦は何そう配属されておるか。また、そのうちサブロックを積めないノーチラス型が何隻、あるいはまた、サブロックを積み得るスレッシャー型は何隻あるか。その点お答えを願いたい。
  73. 海原治

    説明員(海原治君) 具体的な編成の細部につきましては、これは私ども情報を入手いたしておりません。ただ、一般に言われておりますことは、太平洋艦隊には通常七隻ないし八隻程度の原子力潜水艦が配属されており、このうちの一隻または二隻が第七艦隊に編入されるものではないか、こういう推測がございますけれども、具体的な編成の細部には、先方といたしましても軍事機密でございますので、私ども承知いたしておりません。
  74. 岡田宗司

    岡田宗司君 横須賀並びに佐世保に寄港を求められております原子力潜水艦は、第七艦隊に配属されているものだけに限られるものか、あるいは太平洋艦隊全体に配属されておるものも入港し得るように向こうが寄港を求めてきておるのか、その点は外務大臣、どういうふうに……。
  75. 竹内春海

    説明員竹内春海君) その点は、第七艦隊に配属されておるものに限るという限定はございません。
  76. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、これから攻撃用潜水艦アメリカが計画に従ってどんどんふやしていく。いずれ太平洋に配属されるものもふえてくる。このうちでサブロックを積むものがふえてくる。そういう型のものがふえてくる。そういたしますと、それがどんどん日本寄港を求めてこられる。こういうことになりますというと、これは政府が最初われわれに説明しておったノーチラス型のもの、これはもう核兵器を積まない普通の潜水艦だと言ったのと、ずいぶん違うことになるじゃないですか。少なくともアメリカ側でそういう計画を持っており、そしてまたアメリカ側が絶えず、第七艦隊に所属するものだけでなくて、他の編成に所属するものまでも日本寄港を求めてくるということになれば、ずいぶんひんぱんに入港を求められる可能性も出てくるのじゃないですか。その点はどうお考えになりますか。
  77. 竹内春海

    説明員竹内春海君) 現在の段階では、アメリカ側の文言にありますように、兵器持ち込みについては日米間の事前協議を要する、こういうことになっておりますので、現実日本寄港する潜水艦は、核装備を持っておらないアメリカ原子力潜水艦に限られるわけであります。
  78. 羽生三七

    ○羽生三七君 その点関連して。  先ほど来のお話の、サブロック実用段階であるかないかというような問題は、これは時間の問題です。どうせここ半年か来年中には現実の問題になるのですから、御答弁が、まだ開発中とか実用段階でないというようなことは、全然問題にならぬ。わずかの期間中に自己満足しておるだけで、それは全然問題にならない。これが一つと、それからもう一つは、核弾頭をつけたものは事前協議対象になるから日本には入れないと言いますが、それでは、一々日本寄港する潜水艦が、あるいはハワイとかグアムとかへ行ってはずしてくるのですか。そうして日本寄港するのですか。あるいは、核弾頭を他の潜水艦あるいは他の軍艦に預けてそうして、からにして日本寄港する。そんなことまでしてレクリエーションのために日本寄港する必要がどこにあるのでしょうか。全然意味がないと思う。だから、先ほど来お話しにあるように、それは将来時間的に半年、一年先にずれようとも、現実に核装備できるそういう潜水艦がだんだん日本の港に寄港してくる、こういう趨勢になることは、これはもう確実です。だから、そういう立場で政府はものを考えなければいけない。ですから、そういう取りはずしてわざわざ日本にレクリェーションのために立ち寄るなんというばかげたことがあり得るのかどうか、もう少し具体的にひとつお答え願いたい。
  79. 海原治

    説明員(海原治君) サブロックと一般の魚雷との関係でのお尋ねと承知するわけでございますが、この点につきましては、従来いろいろな機会にも御説明申し上げておりますように、たとえば飛行機でございますが、第七艦隊の航空母艦に搭載されております飛行機というものは、まずほとんど全部が、有事の場合には水爆、原爆を装着できるものでございます。さらた、私ども持っておりますF104と同じタイプのものは、これはヨーロッパにカナダのものが行っておりますが、これも原爆も装着されている、こう申されております。したがいまして、これも前から論議のあるところでございますが、一般的に、ほかでは核装備ができますものも日本に参りますもの、あるいは平時におきましてはそういうものを常に装備しておるかどうかという、そこの判断にかかると思うのであります。私どもは先ほどもちょっと御説明いたしましたが、現在、常時アメリカ核弾頭、水爆、原爆弾頭を持っておりますものは、絶えず上空に待機しておりますところのB52戦略爆撃隊のごく少数のものと、それからアメリカ海軍に配置されておるICBM、これはアトラス、タイタン、ミニットマン、この三つでありますが、これは常時核を持っておる。それからさらに、ミサイルを持っておりますところのポラリス潜水艦、これは核を持って行動しておるものでございますが、これだけでありまして、それ以外のものは、私どもの見る限り知る限りにおきまして、核装備可能なものも核装備いたしておりません。これと同じ範疇で、この原子力潜水艦サブロックについてもものごとは考えられてしかるべきではないか、このように私ども考える次第でございます。
  80. 岡田宗司

    岡田宗司君 その点は非常におかしいと思う。というのは、アメリカ側はともかく攻撃用潜水艦というものをつくって、そうして相手方の原子力潜水艦を攻撃するのが任務である。といたしますならば、やはりこれは常時持っておると考えられるのが普通であります。特に太平洋におきましては、最近ベトナムにおけるああいう事態が起こり、日本からアメリカの艦隊並びに空軍が出動しておるのです。単なる平時ではないのであります。そういうような状況において、平時の装備だけでもってこと足りるとアメリカ考えているとは私どもには思われない。そうすると、まだ全部には装備されておらぬが、しかし、いま羽生君の言われましたように、近くこれにサブロック装備され、核弾頭も同時に持って行くということになる。そういうような際に、一々どっかに置いて日本入港し、そして、一朝事があって第七艦隊が日本から出動するときに、それと一緒によそにこの核弾頭を取りに行って、そうしてまた出かけて行くなんということは考えられません。常識的に考えられない。そういうことから見ますというと、今後この原子力潜水艦というものはおおむねサブロックを持つようになる。そうしてまた同時に、核弾頭を持って行動するものというふうに考えざるを得ないと思う。その点について外務大臣、どうお考えですか。
  81. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 私はたとえサブロック実用段階に入りましても、日本入港を求めてくる、寄港を求めてくる原子力潜水艦が、すべてその装備をし、そして寄港の場合にはこれをどっかに赴いてくるというようなことは、どうも実際問題としてはあり得ない、考えられないことではないかと思うのでありますが、なおよくそのほうの専門家であり、詳細そういう軍艦の行動というものに精通しておる防衛庁のほうから、大体の状況をひとつ説明を申し上げたいと思います。
  82. 海原治

    説明員(海原治君) ただいまの、核弾頭を常に装備して行動するのではないか、そのように判断するのだということは、これは御意見でございますので、これについて私とやかく申し上げることはできないかと存じますが、私どもは、先ほど来申しておりますように、核装備ができるからといって常に核装備をしておるものではない。現にそうでございます。そういう判断をしておるわけです。それで先ほど来申しておりますことをさらに繰り返して恐縮でございますが、たとえばサブロックと申しますのは、先ほど申しましたように、敵のミサイル搭載原子力潜水艦の脅威というものに対抗する、主としてこういうことでございます。ところで、ロンドンの戦略研究所、これの一般に非常に権威を持っていると言われております数字を利用いたしますと、現在一九六四年の六月ごろの見積もりとしまして、自由圏は原子力潜水艦を三十三隻、共産圏は二十三隻、こういう見積もりをしております。この共産圏の二十三隻の原子力潜水艦というのはおそらく全部ソ連と思いますが、この中でミサイルを発射する潜水艦の数が幾つかということになると、これはいろいろ説が分かれております。したがいまして、こういうような状況を前提に考えますというと、かりにサブロック実用段階になりましても、先ほど申しましたように、一体平時において常時これが装備をして行動する必要があるかどうか、ここに一つの問題がございます。御存じのように、核兵器の扱いは慎重でなければならない。一たん核兵器が使用されると、それが連鎖反応的におそるべき結果になるということは一般に認められておりますが、特に核兵器の管理、保管については慎重でございますから、これにつきまして私どもは先ほど申しましたような判断をしておるわけでございます。核装備し縛るものは常に核装備をしていなければ意味がないのだということになりますと、これは私ども考え方が違うわけでございますが、この点は意見になりますので、私ども考えを申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
  83. 岡田宗司

    岡田宗司君 鈴木官房長官がおいでにならないので、この問題、鈴木官房長官発言問題についてあとで御質問することにいたしまして、鈴木官房長官は、とにかくきのうの発表におきましては、「サブロックを積載した原子力潜水艦寄港しようとする場合は、日本の領域外でサブロックを他の艦船に積替え、はいってくることになろう。」と言っておる。これはいまの外務大臣の御意見とだいぶ違うのですよ。しかし、これは一体鈴木官房長官アメリカ側に確かめてこういうことを言われたのか、単なる想像なのか、ごまかしなのか、これはあとでお伺いしたいと思います。  それから、同じく鈴木官房長官が、「日本側に立ち入り検査して確認する権限はなく、米側を信頼するほかはない。」こう言っておる。そうしてまた、ただこれまで米国の新しい艦船や飛行機がはいってくるときは、防衛庁の専門係官が見せてもらう慣例になっており、原子力潜水艦についても、第一回の寄港の際は見せてくれるのではないかと思う。――これもおそらく推測だろうと思うのですが、私どもはこの点重大だと思うのであります。というのは、はたしてアメリカが信頼するに足るかどうか、あなた方は信頼するに足ると言っておりますけれども、他の外交交渉の問題を見るというと、このことだけ信頼するに足るというのはおかしいと思う。日本側において確認する方法をもっと確かめる必要があると思う。  それから私どもは、もし外務大臣が、このサブロックを搭載して核爆雷を搭載した原子力潜水艦は入れない、事前協議対象になり、それはその際に拒否するのだ、こういうことを言われておるならば、これはアメリカ側にこの点を日本政府としてはっきりと通告をする。口上書きでも何でもよろしい。通告をする。そうしてアメリカ側に、スレッシャー型のサブロックを積んだ潜水艦は入れないということを確認させる手段をとるべきじゃないかと思う。私どもは、全体として原子力潜水艦寄港は反対であります。しかしながら、この核兵器の問題でもって心配をしておる国民に、とにかく安心を与えるためにも、政府はこの点についてはっきりとアメリカ側に申し入れをして、そうしてアメリカ側の確認を文君として取ったらどうでしょうか。その点、どうお考えになりますか。
  84. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) その点はすでに日米安保条約及びその附属文書並びに岸・アイゼンハワー共同声明等において協議の対象になり、協議して日本がこれに対して、反対を唱えた場合には絶対に日本の意思にさからって実行しない、こういう最上級の保証がすでにあるのでございまして、ことあらためて、今回の、原子力潜水艦寄港の問題に関連してさような文書を取りかわす必要はもはやないと私は考えております。
  85. 岡田宗司

    岡田宗司君 ただいまの御意見は、これは核兵器一般についての話、ところが現実にこの問題が起こりつつあるわけであります。もしスレッシャー型の艦船が入ってくる、その際にサブロックを積んでおる、これを日本側でもって確認する方法もないわけであります。そこに非常な不安がある。これはあとでまたいろいろ問題になるでありましょうが、とにかく私は、そういうような事態であるならば、国民を安心させるためにも、アメリカ側に口上書きを送って、そしてアメリカ側からはっきりした確約を取るということは、何ら、前に一般的に話し合いをし、あるいは文得を交換されておっても、矛盾するものでもない。そしてまた、これの具体的な適用に対して日本政府がそれをやることは、国民をむしろ安心させることにもなるでありまししょう。政府の立場をさらにアメリカ側にはっきりさせることになるでありましょう。必要だと思うのですが、重ねてお伺いします。そして、もしそれをやりたくないというのならば、やっぱり何かどこかで、サブロックはあれは両用だ、また積んでないのだ、あるいはまた、入ってきたときに確認ができないとか、何んとかかんとか言ってごまかしてそれを入れる、そうして日本核兵器を持ち込む道を開くというふうに受け取られてもしかたがないのです。まさか私はあなたがそういうふうな意図でもってこれをやろうとお考えじゃないと思うのであります。そういう点であなたはもう一度はっきりアメリカ側に対して、文書、口上書きでも何でもよろしいが、そういう文書の形で、アメリカ核兵器を積んだ原子力潜水艦日本側としては入れることはできない、で、アメリカ側はその旨を了承して、そして日本側に入れない、そういう確約を取る私は義務が国民の前にあなたはあると思うのです。どうお考えですか。
  86. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 国民のこの安全性に対する不安の除去ということは、これはまあ重大な問題でございまして、それであればこそ、向こうの申し入れ以後一年八カ月を費やして、慎重の上にも慎重に、たびたび権威ある原子力委員会の意見に基づいてアメリカのほうに質問を提出いたしました。そして、そのつど向こうの回答を得まして、十分にもうこれは安全性については確信が持てるような段階になったので、今回の寄港承認ということに踏み切ったわけでありまして、これから事前調査とともに、十分にその不安のないことを国民に周知徹底させるような方法は十分にとりたいと考えておるわけでございます。それもこれもみな、いわゆる日米安全保障条約の一連の文書あるいは声明等に基づいて行なわれるのでありまして、この際、それをまた同じことを、しかもこの段階でうたい文句のように取りかわす必要はもはやないのでありまして、私は不安解消はもちろん重大視してその問題には努力いたしますが、文書の交換というのは必要ないと考えております。
  87. 羽生三七

    ○羽生三七君 関連して。それはおかしいのでしてね、大臣。こういうことですよ。つまり、事前協議の問題は、それは安保条約の行政協定にもそんなことは――核武装の場合には事前協議するなんて書いてありません。これは一般論として事前協議ということがあるだけです。核兵器問題は日本のしばしばの声明にあらわれておるだけで、具体的には何らそれは協定の中には出ていないのです。そこで、核武装した潜水艦が入ってくる場合には事前協議日本が求めると言っても、それはわからないでしょう。それは事前協議の必要も何もないわけです。日本では全然入れないと言っているのですから、アメリカがそんなこと事前協議を求めてくるはずがありません。アメリカ自身だって日本の態度というものはわかっておるのですから、事前協議という事態は起こり得ざることです。それ以前の問題なんです。ですから、それはもうはっきりしておるのですから、問題は、入ってくる潜水艦がはたして核弾頭を積んでおるかどうかということを日本が立ち入りして検査することができない以上、いま岡田君の提案したような問題が具体的に必要になってくるのではないか、こういうことを岡田君は言っているのですから、これは一般論ではないのです。非常に具体的になっていると思います。いかがでしょう。
  88. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) そういうことをやることが非常に害があるということは申し上げておりません。全然無用である、こう思うのであります。
  89. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  90. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 速記を始めて。佐多委員
  91. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 一体この原潜の寄港の問題をアメリカと折衝される場合には、原子炉安全性の問題はいろいろやられたかと思いますが、ノーチラス型で、しかもそれにはサブロック装備するのかどうか。ノーチラス型に関連してサブロックの問題を取り上げてアメリカ側と論議、交渉をされたことがあるのかどうか。その点をお尋ねいたします。
  92. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) サブロックはまだ開発段階でございまして、まだ実用化しておらないことはすでに明瞭であります。ただそう便々としておれぬ。いずれはこれは実用化するであろうということももちろん御同感でございますが、とにかくサブロック実用化がまだない段階でございまして、また、核武装は絶対に入れない、国内に入れないということを日本政府がたびたび国会においても声明しておりますし、そういうことは十分にアメリカ側も承知しておるのでありまして、これはもう言うをまたざるところでございますから、この問題について論議を重ねたということはないと私は考えております。
  93. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 どうも、それは論議しなかったとおっしゃるのですが、御承知のとおり、国会では去年からしばしばこの問題が論議をされているのですよ。そして中心問題になり、単に原子炉安全性の問題だけでなく、核戦略に関連するものだとしてわが党はしばしば追及をしたのです。それにかかわらず、それを全然無視してその問題は取り上げないで、アメリカとの折衝にはそれは一言も触れなかったというのは、まことにわれわれ国民として怠慢の至りだと言わざるを得ません。しかもだんだんそれがはっきりなってくるに及んで、現実はもはや隠せないということになって、ようやく昨今において統一見解なるものを発表される。しかもその統一見解が、きのう官房長官が発表した統一見解とあなたがいまお述べになっている統一見解とを比べると、あなたのほうは非常に後退をしている。この相違の問題は後ほどお尋ねをしますが、そういう点、われわれは、非常に政府のやり方が何をやっているのか、国民を愚弄するものはなはだしいと思うのです。なお原子兵器持ち込みをやらないということについては、しばしばこれは政府が声明され、それからまた政府は、アメリカにそれは了承をとっておるということをしばしば言明をされておる。そうであるならば、かりにサブロック装備したノーチラスが入ってくる、 スレッシャーが入ってくるときに、事前協議をあらためてするのだという問題はおかしいのであって、もはや事前協議の必要のないものとして、これは事前協議前の問題として拒否できる問題であり、アメリカもそれを承知しているとしばしば言っておられるじゃないですか。それをいまさら、それは事前協議の問題でありますというようなことを言われるのは、まことに了解に苦しむ。その点をどうお考えになりますか。
  94. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 今回の潜水艦寄港に関するアメリカ側の覚え書きにも、岸・アイゼンハワー声明の事前協議についての趣旨を述べておるのでございまして、これ以上文書を要求するということは、もはや必要のない問題である、むしろ日米間の信頼関係にとってもあまり好ましくないことではないか。すでに覚え書きに書いてあるんですから、同じことを何べんも何べんも要求するということは、私は全然その必要がない、こういうふうに考えております。
  95. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それは、事前協議の場合には、日本の意思に反したことはいたしませんということを言っているだけなんです。ところが、さっき私が御質問をしたのは、これは事前協議に付するまでもない問題じゃないか、いままでのあなた方の声明、発表によれば、そう言っているんです。それをどうお考えになりますかと言っている。
  96. 羽生三七

    ○羽生三七君 関連。それは大臣、これは前の大平外務大臣に私申し上げましたが、本来起こり得ざることなんです、事前協議ということは。この問題については、日本政府がしばしば声明して、そんなものは絶対入れないということを言っておるんですから、それをもしアメリカが認めるならば、事前協議を求めて、今度は核武装した潜水艦が入りますが日本としては賛成してくれるか、しないか、そんなことはあり得ざることなんですよ。そこが問題だと思う。合わせてお答え願います。
  97. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) もう核武装した潜水艦に限らず、核武装は全然もう寄せつけないと、こういうことを言っており、アメリカもこれを承知しておるんですから、そのたんびにそういうことを特に断わる必要もなければ、それから、こっちからそういうことを言明させる必要もない。お互いにこれはもう信頼関係で、ほとんど両国の間の基本的な問題でありますから、これをわざわざやる必要はない、こういうことを申し上げておるんです。
  98. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 事前協議の必要もないというのは次の問題として、その点はどうなんだと……。
  99. 岡田宗司

  100. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 岡田君、簡単に願います。
  101. 岡田宗司

    岡田宗司君 それならば、なぜ一年八カ月か何カ月かかってこういうものをお求めになったんです。そんなに信頼できるならば、こんなものをお求めになる必要もないし、確認を取る必要もなかった。どうですか。
  102. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) まあ、原子力ということになりますと、とやかく法律上の問題はさておき、特別の唯一の被爆国としての日本国民にとっては非常に不安なこれは関心事でございますので、その点の解明を十分にしなければならぬ。国会の御討議の模様にもかんがみまして、その点に努力をしてとうとう一年八カ月を経過したような次第でございます。
  103. 岡田宗司

    岡田宗司君 そんなに国民の意向をおくみになって国民の意向についてお考えになっているなら、原子炉安全性の問題と同時に、もっとあるいは直接国民に不安を与える核兵器持ち込みの問題に対してアメリカから確約を取ってなぜ悪いんです。話さえしないのはどういうわけですか。やっぱりいつかお入れになる下心があるからなんじゃないですか。
  104. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これはもう絶対に、国会においてもしばしば総理から言明しておるとおりでございまして、いかなる場合でも核兵器持ち込みは認めない、こういう大方針は確立しておるんです。さような下心を持っているようなことは全然問題にならないことだと思います。
  105. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  106. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 速記を始めてください。曽祢委員
  107. 曾禰益

    ○曽祢益君 このアメリカ潜水艦の立ち入り問題は、大きく分けて二つの問題があると思うのです。  第一は、ノーチラス型、あるいはその改良型のスレッシャー型であれ、要するに、原子炉を推進力にしているその原子炉装置のアメリカ潜水艦安全性を、ほんとうに自主的に、科学的に、どこまで確保できるのか、また、万一事故の場合の補償は十分であるか、これが一連の大きな問題、私は本質的にはそっちの問題ではないかと思う。しかし、それに関連して国民の不安は、第一こういうものを持ってこられるのは迷惑だという気持ちであると思います。不安はやはり現在の安保条約そのものの核兵器に関する相談、あるいは拒否の仕組みですね。いわゆる事前協議の条項、それから岸・アイク共同声明等の、アメリカがはたして今回の場合に十分に信頼できるかどうかという核兵器持ち込みの不安の問題もある。そこで、その問題について、あらためて――日米安保条約そのままではなくて、もっと核兵器持ち込みの余地がないような何らかの政治的な手を打つ必要がありはせんか、この問題が一つあるのではないか。であるから、安保条約絶対拒否とか、この問題を特に政治的に騒ぎ立てるという意図でやることは別として、やはり二つの問題がからんで、非常に問題が紛糾しているように考えられるわけです。また、政府の態度を見ても、なるほど、一年八カ月の冷却期間かどうか知りませんが、交渉期間を置いたにしても、なぜこの段階において発表したのか。それには、たとえば悪く言う人からいえば、インドシナ問題が紛糾しているときにやったのはアメリカの圧力ではないか。つまり、この時点をなぜ選んだのか。存外、アメリカから、日本原子力委員会において大体満足できる回答が来たというそれだけの理由で、一切の政治的考慮なしにこの時点を選んで回答したのか。そこら辺のバックグラウンドもはっきりしないし、決定する以上は、その前に国民に十分にPRして、少なくとも安全性の問題、あるいは安保条約関連する核兵器の問題について、もう少し国民の安心する手を打ってからにすべきで、一年八カ月待ったにしては、最後の仕上げがずいぶん粗末だ、こういう気がするのです。一体、なぜこの時点に決定をされ、事前国会なり国民にPRしなかったか。その点について外務大臣のまず御意見を伺っておきたいと思います。
  108. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 先ほど冒頭において申し上げたように、原子力潜水艦寄港問題は、すでに国外においては十年近くも行なわれておりまして、一回も不安の種になるような事実が起こらなかった、こういうことが最も重大な問題であろうと思うのであります。そのことにつきましては、適当な機会に、適当な方法においてPRもやったと考えておりますが、問題は、慎重の上にも慎重を期して、とにかく国外において起こらなかったとはいいながら、もしも万一のことがあったならばたいへんだというので、十分検討をこらしてまいったのでございまして、もうすべての疑問についても、なし得る限度においてはなした、こういう段階に参りましたので、寄港承認に踏み切ったわけでございます。それで、それと同時に、この環境の調査、あるいは寄港後の調査検分は、これは十分にやりますが、それとともに、十分に、不安解消のためにあらゆる努力を尽くしたい、かように考えております。
  109. 曾禰益

    ○曾祢益君 一年八カ月前から、いま外務大臣が言われたように、百回ぐらいは外国寄港地に行ったけれども事故はなかったということは大体わかっていたことじゃないですか。だから、この時点においていわゆる断を下した直接のきっかけは何なのか。少なくともその場合、インドシナ問題等の政府的考慮はむしろ払わずに断を下したには、まあアメリカ側から、たとえば第一次冷却水のいわゆる放射能の許容量等についておおむね日本側のスタンダードに合致する回答が得られたとかなんとかいう何らかの一つのモメントがあったのか。原子力委員長はどうなんですか、その点について。
  110. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 原子力委員会の立場から申しますと、この法律的な職責とか性格とかいうことはともかくといたしまして、放射能の害から国民の生活の安全を守りたいという立場からいたしまして、できるだけこの問題に関しましても誠意を尽くし、かつ、できるだけ科学的な検討をいたしたいという念願で、過去一年八カ月にわたって調査を続けてまいったわけであります。  そして結論として、この調査研究には与えられた条件がございますから、そのやり方、方法等についてはいろいろの御議論もあろうと思いますけれども、これを要するに、アメリカ側との外交文書等にあらわれた保証ということがアメリカ側からそのまま実行される場合におきましては、国民生活の安全に支障はない、こういう総合判断を、先月の二十六日に原子力委員会としては全会一致で総合判定をいたしたわけであります。これを政府に通報いたした、こういうかっこうになっておるわけです。  なお、念のために申し上げますが、それにはいろいろの問題がありますけれども、常識的におもな点を申し上げれば、まず第一が安全性の審査の問題、その中には原子炉自体の安全性の問題もありますし、それから乗り組み員の訓練や操作の手続等もございます。それから第二は、安全運航の問題でございます。実際上の運航に関連して安全基準が守り得るかどうかという問題をはじめ、安全運航の問題、それから第三番目には、ただいまも御指摘がございましたが、いわゆる一次冷却水の放出に関連して、日本の規定と合致するような国際基準に合致するかどうかというような点、それから第四は、いわゆるイオン交換樹脂の放出の問題、並びにそれのやはり安全基準と申しますか、基準の問題、それから第五が、いわば放射能の監視の問題――モニタリングと通常いわれておりますが、大きく分けるとこの五つの項目になると思いますが、原子力潜水艦という、軍艦という国際法上の特殊の地位を持っている軍艦のことでございますから、実際に日本の国内の原子炉の安全審査をする場合と違いまして、たとえば原子炉安全審査委員会というようなところで実際に実地について検討するということはできませんでしたけれども、外交交渉を通じてわれわれの念を押したいところについては十分に念を押し、そしてその結果が先ほど申し上げましたような文書の形の上において保証を与えられておる、この保証が守られるならば、国民生活の安全に支障はない、こういう結論になったわけでございます。
  111. 曾禰益

    ○曾祢益君 外務大臣から、なぜこの時期に回答に決意したか、あるいはなぜPRを前にしなかったか等についての政治的な回答がありませんが、私は、安全性の問題についても、この前も参議院の当委員会専門家を呼んでこの意見を聞きましたけれども、さらに、実はこの問題こそもっともっと十分に国民の前に明らかにしなければならない問題でありますが、きょうの段階では非常に大きな政治論が主になっておりまして、時間がでとても足りませんから私はこれはあとで理事会におはかり願いたいのでありますが、別の機会に、さらにこの運航並びにその他の安全性の問題について別の委員会をぜひ開催をお願いいたしまして、きょうは、原子力委員長のお話ですけれども原子力委員会寄港問題に対する意見というものは、肝心なところをいわば逃げたような形です。一番大切なことは、初めにアメリカ側のいわゆる保証的なことを並べて、第二項に「以上を総合的に検討した結果、当委員会としては、前記一に掲げた諸点の内容がそのとおり確保されるならば、合衆国原子力潜水艦寄港は、わが国民、特に寄港地周辺の住民の安全上支障はないものと判断する。」。なお、三において実施ししの注意みたいなことを書いておるのであります。これでは、ぼくは何も全部が全部、軍艦の場合でありますから、自分で確認しなければ何も信用できないということは非科学的だと思うから、あらゆるデータを見て、これならば最終的に、科学的に、自主的な判定から、判断から、一定度のアローアンスを入れて、安全なら安全ということをはっきり言い切っておらぬと思う。こういう意味で、安全性の問題については別の機会にさらにお尋ねいたしたいということを申し上げておきます。  そこでいま一つの問題は、何といいましても核兵器持ち込み関連する問題でありまして、岡田委員その他佐多委員、羽生委員からの御質問にも関連しているのですが、私は政府に対して安全性確保のほかに、もう一つこれに対してぜひともやってもらいたいことは、この際ノーチラスあるいはスレッシャーの、つまりほんとうの飛び道具である核兵器、核ミサイル、核爆雷を持たない潜水艦が来る問題であるにもかかわらず、何らかの形で、あるいはサブロックがあるのではないか等々の疑惑がなぜつきまとっているのだろうか。無責任な発言なら別です。国民の不安を一掃するために考えたとき、やはりいまの安保条約のもとにおいては、先ほど来お話がありましたように、結局事前協議というもので断わるという、いわば三段論法と言いますか、アメリカは「重要な装備の変更――」核兵器持ち込みは在日米軍の「重要な装備の変更」だから、事前日本に相談します。これを頭から信用しない場合は別ですが、相談します。その場合、日本政府の意向は、核兵器国民が反対しているからお断わりする。第三は、岸・アイク共同声明によって日本の意向をアメリカ側は尊重します。だから核兵器は、サブロックであろうがポラリスであろうが、来ないのだから安心しろ。なぜそんな回りくどいことを言う必要があるか。私は、これは前任者の大平外務大臣のときからも、おそらく社会党の諸君も含めて同じ意見に賛成だったと思うのは、この際ノーチラス型受け入れの問題に関連して、それ自身は核兵器を持ち込まないかもしれないけれども、ちょうどその境界線に位するスレッシャー型がサブロックを積むようになる。その場合おろしてくるのだとか、相談があったら断わるのだ。いや、それは信用できないという問題を起こす前に、やはりこの安保条約事前協議という、そのつど協議しますよというシステムはまずいのではないか。そのことが自然、極端に悪く言えば、政府の気持ち一つでは持ち込みを許すかもしれないじゃないかということにもなろうし、一体相手国が信用できなければ、日本側が行って審査しなければだめじゃないかという議論にもなるし、また、日本防衛の実際についてアメリカの大きな核戦略のもとに依存していることは事実です。かといって、日本のような狭い地域に核兵器を特に持ち込まなければならないほどアメリカが困っているはずはない。条理的に考えても、また政治的に考えても大きなマイナスです、日本国民にとってサブロックを持ち込むということは。したがって、この際そういう不安を一掃し、無責任な宣伝をなくする意味からいっても、先ほど来岡田君の言っていることはもっともな点があると思う。なぜもう少し大きな手を打って、この際一般的に、これを機会に、一切の核兵器は持ち込む意向がございません、了承いたします――なぜそのくらいのことを、政治的なお約束なり、あらためて池田・ジョンソン共同コミュニケでも政治協定でも何でもけっこうですが、そのくらいの手をなぜ打たないのか。それを打たずに、それで最後にいくと、アメリカを信用しろ――信用しない人たちはいつまでたっても納得しないことは当然であります。国民の不安と日米関係に対する非常に大きなマイナスじゃないかと私は考える。そのくらいのことをアメリカと相談できないようじゃ、これはほんとうのパートナーシップはどこにあるんだと言わざるを得ない。ですから、そういう手をなぜお打ちにならないのか。小さいようでありますけれども、そういう外交上の手を打って、いわば安保条約の抜け穴と言っては語弊があるかもしれませんけれども、まずい協議システムを、これをいま本質的に変えるということはできないだろうけれども核兵器に関しては、別の政治協定ででも、一切の持ち込みをやらないということをきめて、そして安全性の問題についても十分にPRして、せっかく一年八カ月待ったのに、何を好んでこの際、しかも国会の閉会中に抜き打ちにやったのではないかと言われるようなまずい形で発表なさったか。私どもはどうも国民の良識からいってそういう点が納得できない。したがって、外務大臣に伺いたい点は、いまいろいろ、その必要ないとかなんとか言っておられますけれども、常識的に考えて、そのほうが望ましいということは、日本人としてならば言えるんではないでしょうか。これはこういうところで申し上げるのがいいか悪いかしれませんが、大平外務大臣も、公の席上以外では、それが望ましいんだけれども、なかなかアメリカの国防当局が頭がかたいんでということを漏らしておったようにも記憶しておるのであります。私はそれはほんとうだと思う。真に日米関係考えるならば、そのくらいの手を打つように、ぜひひとつ新外務大臣はもう一ぺんお考え直しになったらいい。サブロックの問題しかり。しかし、サブロックに限らず、もっと本格的に、核兵器一切を持ち込まないという協定をこの際協定して発表すれば、このくらい明るい朗報はないじゃないですか。ひとつこの際、ぜひこの点に関する外務大臣の再考を促したい。御意見があったら伺いたい。
  112. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) あまりに明瞭な問題でございまして、かえってそういうことを言うことが、日米関係の信頼関係というものに対してマイナスになるんじゃないかというような考え方をいたしまして、その必要は私はないと、こういうことをさいぜんから申し上げておるような次第でございます。
  113. 曾禰益

    ○曾祢益君 非常に残念だと思う。そういう、何といいますか、事務的なというか、官僚的なといいますか、そういう考えでなく、ほんとうにもっと政治的にお考えになることを期待しますが、これは論争ですから、一応やめて、委員長にお願いして、次の機会に安全問題の委員会をぜひ開催していただきたい。
  114. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 杉原委員
  115. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 一問だけ外務大臣にお尋ねいたします。先ほどからの質疑応答の中にも問題として出ておったんですが、外務大臣に特にお尋ねしたいのは、アメリカ核兵器、これの管理に関することなんです。一がいに核兵器といっても、その使用の目的とか、あるいは核兵器全体に対するアメリカの大統領の統制権というような関係からして、全部が全部、一様の取り扱いになっていないかもしれません。しかし、いずれにしても核兵器については、その使用はもちろん管理について、アメリカ内部としては確たる方式があるに違いないと思う。そこで、それについて政府アメリカ側に照会せられたことがあるかどうか。尋ねてみられたことがあるのかどうか。尋ねてはみたけれども、事柄の性質が軍機で外には言えないというようなことになっておるのかどうか。もう少し外務大臣、これは外務大臣が、事務当局でなく、よくひとつ考えていただきたいから私はお尋ねしておるのですが、アメリカ核兵器の管理全般について、日本がいろいろ尋ねるなんということは少し穏当ではないかもしらん。しかし、それを限定して、日本に直接関係のある――もっと具体的に言えば、かねてから日本の施設、区域を使用しておる航空機なり艦船なりに搭載するものに限って、あるいはまたそうでなくても、今度のような寄港をするものに限って、つまり、日本が直接利害関係といいますか、日本が直接関心を持つ範囲について、どういうふうな仕組みになっておるのか、防衛局長から先ほどその点についての防衛庁としての判断がありました。防衛庁はその判断を、いま言ったいろいろアメリカ側と照会した結果、いろんな事情を考慮して、そういうふうな形で信ずべき根拠を持ちながら言ったのかどうか、これはむしろこの国会で、また国会だけでなく、国民一般が、その点をはっきりしないために、あるいは不必要な不安を持っておるかもしれない、必要以上に持っているかもしらん。一応考えられることは、防衛局長が言ったようなことはぼくは普通の常識じゃないかと思うが、しかし、それならそれにしても、それは信ずべき根拠があって言っているということなりとも言い得るのじゃないか。非常にこの問題も必要以上に紛糾せしめる根源にメスを入れることになる。そこで外務省は、いままでその点について、アメリカ側に、私がいま申したような点について聞いてみられたことがあるのかどうか。聞いてみたけれども、しかしこれは軍機で外には明らかにできないというようなことになっておるのかどうか。これは先ほども言うように、核兵器の軍事上の全般の目的からして一緒くたには言えないと思うけれども、普通のいわゆる戦術核兵器のこと――戦術を戦略と分けるのも少し無理であると思うけれども、たとえば、いま日本に基地を置いておる艦船、航空機、平常からこれは明らかに核兵器を搭載し得る、装備し得るものであったことは一点の疑いもない。しかし、平常からぶらぶらほんとうの核弾頭のついたものを持って歩いておるのかどうか。私は非常にその点はだれしも疑問に思っておると思うのです。いずれにしても、その辺をただ単にとう思うとかこう想像するとかいうのじゃなくして、もう少し確たる根拠を持って判断しておられるかどうか、その点をお尋ねいたします。
  116. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 核兵器の管理方式につきましてアメリカ側に質問したことがあるかというお尋ねでございますが、私はさようなことがあったということを承知しておりません。
  117. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 いままでの事実はないとして、今後その点、どういうふうに考えられるか。今後の処置ぶりとしてどういうふうにお考えになるか。
  118. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 管理方式はきわめて重要な問題でございまして、ひいては日本国民感情の上からいってもぜひ知っておきたいことであるということにつきましては全く御同感でございまして、おく研究をしてみたいと思います。
  119. 青柳秀夫

  120. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 ただいままでの外務大臣の御説明によれば、この安全性の問題がいま幾人かの委員によって論議されてまいりましたが、今日までの放射能被害は一回もないと、あるいは安全性については慎重を期さねばならないことは当然だ、また、原子力に対する国民感情の上から、国民の不安を除くということは全く同感であるといまも御回答ありましたが、しかし、先ほども曽祢委員が言われたように、昨年の六月上旬に政府が、ただすべきことをただして、そうして説明をきちんと求めるというような趣旨のことが表明されているはずなんです。しかるに、今日まで国民に対しても何らの表明が行なわれなかった。当然そこに抱かれる疑惑というものは、どうしてもその不安はぬぐい切れない。しかも、まことに唐突としてこの寄港問題が承諾されたということは、これはもう私も全くいままで言われた話と同感でありまして、いままでの御説明によればまことに確信のない、また、国民に対してもどういう理解を与えて、そして了解を求めようとするのか一向にわからない。それで、国民感情としての不安を取り除く、これから研究するなんということは、言語道断な行き方でないかと思うんですよ。もうすでに今日までの過程においては相当の検討がなされて、おそらく政府としても何らかの結論があったがゆえにこの承諾があったんではないかと、このように考えざるを得ないわけなんです。しかし、いままでの御答弁を聞いておりますと、もう何らその不安を取り除くようなはっきりした明確な内容ではございませんので、やはりこの問題は非常に重要な問題でありますから、機会をあらためて時間をかけて慎重にやはり審議をすべき問題じゃないかと、まず最初にそのことを申し上げておきたいと思うんです。  で、まあ時間がありませんから、断片的な質問になると思いますが、先ほど原子力委員長安全性という問題についての御回答の中に、いろいろございましたが、イオンの交換法でございますか、これはおそらく海中に投棄されるような、そういう仕組みになっているんだろうと思います。その海中もおそらく遠洋と、まあこんなふうになっておりますが、潮流の関係や何かでもって近海にそうしたものが流れ着いてくるということは考えられます。こうした問題。また、先般スレッシャーがまあ相当深いところに沈んだ。今度佐世保や横須賀に寄港した場合に、客観条件はおのずから違うんじゃないかと思うんですね。そういう問題点について――まあ、スレッシャーは遠洋の相当遠く離れたところで、しかも相当深いところに沈んだ。また、佐世保や横須賀、そういうところでもしかりに沈没したということがあった場合に、その影響が全くないと言えるかどうか。そうした面についてどのようにいままで学理的に検討されてきているかどうかですね。いままで学術会議等の意向等を見ましても、決してこれに賛成しておらない。しかるにあえてこれを強行しようというからには、政府としても相当の立証されるべきそういう問題がはっきりしたがゆえに踏み切ったということが言えると思うんですが、その点についてまず最初に原子力委員長から御説明いただきたいと思います。
  121. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) まずこのイオン交換樹脂の問題については、覚え書きの第五項、第七項にあるかと思いますけれども、港内あるいは領海内ではこれを廃棄しない。それから十二海里以上の領海外――公海におきましても、日本の漁区の中、その近傍においては捨てないということが明確に保証されているわけでございます。それからまた一次冷却水の問題については、先ほどもちょっと触れましたけれども日本側の法律あるいは原子力委員会の告示がございますが、それで許容しておりました基準に、アメリカ海軍基準というものが完全に合致するようになった。で、この点は昨年の中間報告のときのインフォーメーションとして外務省から発表されましたときと、先方の基準のとり方が違いましたから、わがほうとしてこの保証が実行されるならば満足すべき状態である、こういうふうに判定をいたしたわけでございます。  それから、学術会議の点の御質問でございましたが、学術会議でいろいろの御意見が公に発表されておりますが、そこに発表されておりますような疑点、調べなければならないと考えられましたような点につきましては、なし得る限りの調査をし、そうして国民生活に支障がないという判定をいたしたようなわけでございます。  なお、こまかい専門的な問題に対しましては、私もわからぬところがございますが、ここに、斯界の権威者であり原子力委員であられる兼重博士もおいでになっておりますから、必要があれば、兼重博士から御説明なりお答えをしていただくようにいたしたいと思います。
  122. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 お願いします。
  123. 兼重寛九郎

    説明員兼重寛九郎君) 先ほど曽祢先生から、安全性の問題についてはまた次の機会にということでございますから、そのときに詳しく申し上げる機会を得たいと思いますけれども、いま愛知委員長からお話しになりましたようなことでございますが、手短に申しますと、もし十分な資料が得られるものならば、日本の手でやることが、要な点が、私、三つあると思うのでございます。  その三つの点は、原子炉の構造でありますとか、それと、先ほど申された取り扱いの人の訓練であります。そういう点がどうかという点。それからあと、潜水艦の運航の問題と言われましたが、これはたとえばサバンナ号のときに見ますと、ポート・アナリシスといって、ある港に原子力船が入るときにはいろいろな条件がございますが、この場所なら着いてもよろしいとか、その場所が人口稠密な区域と近ければ、何時間前から炉の出力をどの程度に落として入れとか、まあ、そういうようなことがある、わけであります。それを一般にポート・アナリシスと申しておりますが、そういう点。それからあとは、ふだん放射性の廃棄物を出すならば、それが安全な範囲になっているかどうか、こういう点でございます。  そこで六月の中間報告のころは、全体的に安全であるということを保証するという言い方でございますから、相手を信用するというだけのことなら、それでもいいわけなんでございます。しかし、それだけではいかにも非科学的ではないかという学術会議などの御意見、私はしごくもっともと思いますので、それでいまのような三つの点に分けたのでございますけれども、たびたび言われますように、軍艦であるために、技術的な資料はすべて軍事機密で出せないということになっております。それでもうそういう限度を考えてみますと、結局は相手の言うことがそのとおりに実行されるということを信用するということになりますけれども、やれるだろうかということになりますと、安全性についてアメリカのAHC、それについております原子炉安全諮問委員会、その人たちが、アメリカでも人口稠密な港に入ることは用心しなければならないと言っていることを気をつけろということは、学術会議からの参考資料にも強調してございます。そういうところの審査を受けるものであるということを明らかにし、これは六月のときもそのことは言っておりました。  それから、いまのポート・アナリシスに当たりますことは、アメリカのステートメントの初めのところに言っておりますことでありますが、「合衆国の港における運航に関連してとられる安全上のすべての予防措置及び手続が、外国の港においても厳格に遵守されること」がある。そのことがエード・メモワールにはもう少し詳しく書いてございます。  それからあと、放射性の廃棄物につきましては、日本基準を先方に知らしてございます。その基準に合うということを向こうが言えば、信頼ということであればそれでもよろしいのでございますが、それにもかかわらず、たとえば放射性の廃棄物の投棄の手続が、公表されておりますスキップジャック報告にありますようなふうでありますと、そうはいっても、これでは実際にできないじゃないかというふうな感じを持つものでございますから、それが日本のとっておりますのとどう合っているかということを確かめたのでございますが、その基準が合っているというだけでは日本のあれにはまいりません。というのは、日本考え方と向こうの考え方とは、何もかも一対一でそれが合ってはおりません。それじゃ基準に合っているということと同時に、向こうの手続がそういう新しい勧告を反映して改訂されたということと、あとは、日本基準に適合するということを言っております。それで適合するということを信用するわけで、それは前の改訂されたことというのはそれの一つの裏づけでございます。  あと、先ほどのイオン交換樹脂の問題なども、実際に捨てるときに一番多い放射能の量は一二・五キュリー、六カ月に一ぺんくらい取りかえられる、そういうふうにいたしますと、一隻の原子力潜水艦が一年に大洋に捨てるのが二五キュリーというような勘定になるわけでございます。そういう船が十隻あれば二五〇になるわけでございますが、一九六一、二年くらいでそういう大洋に捨てた量が二〇キュリー前後、それから捨てた場所も千二百フィートよりも深い海に捨てているというようなことも知ったものでございますから、それで向こうで日本基準に合うことを完全に……。
  124. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 時間がありませんから、簡単でけっこうです。
  125. 兼重寛九郎

    説明員兼重寛九郎君) 適合するものであるといったことが大体そのとおり技術的にできるであろうというような裏づけととったわけでございます。  あと、愛知委員長がもう二つほど申し上げました。それも同様でございますが、申し上げます。  そういう手続をとって、それをここではっきり言わせるのにずいぶん時間がかかったという御説明でございました。
  126. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 結局、いまの御説明を伺いましても、軍事機密関係、そうしたような問題が関連しますと、やはり相互の信頼において認めなければならないという、そういう結論に到達すると思うのです。この信頼性の問題についても先ほどから論議されたとおりでございまして、どの程度のものであるかは非常に議論があると思うのです。  論点を少しかえまして、外務大臣にお伺いしたいのですがね。非常に端的な質問なんですが、今回の原子力潜水艦寄港日本に与える直接の利益は何ですか。
  127. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 日米安全保障条約の締結以来、国家の安全の問題につきましては何ら懸念することなく、一路戦後の経済復興にわれわれは努力して相当の成績をおさめてまいったわけであります。したがいまして、原子力潜水艦寄港がこの日米安全保障条約の実行の上において円滑な効果をあげるという点に留意いたしまして、これは日本国民生活全体の上において有利なことである、かように考えておるわけであります。
  128. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 ちょっと待ってくださいよ。国民生活に有利な何とかというその話と、円滑な効果を与えるというのはどういうことですか。
  129. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 包括的な効果を申し上げる以外に、どこでどういうような効果があるのだという、目方にはかってみたり、尺で説明するということは、できないのでございまして、結局、日本の全般の安全性というものに寄与するものであるというふうに考えております。
  130. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 少なくともそれは安保条約の問題はあるかもしれませんけれども、今日においての日本の立場というものを考えてみた場合、何か安全を阻害するような、脅威を感ずるような危険性はあるのですか。それは具体的におっしゃっていただかないとわかりませんね。
  131. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 具体的にどういう危険があるかということは一々申し上げられませんが、とにかくこの日米安全保障条約によって確保されておる国の安全性というものは、これは疑いのない事実であると、かように考えております。
  132. 羽生三七

    ○羽生三七君 一点だけ、いまの問題に関連して簡単に大臣に。日米安保条約があって、当然にこの寄港を認める、安全性さえ確かめられれば寄港を認めるということが、安全保障の立場で、いま渋谷君が言われたように、日本に当面する何らかの危険性があるのかどうか。外国から直接の侵略攻撃を受けるような、そういう国際情勢なり客観的な条件が、日本を取り巻く周防の情勢の中にあるかというと、私はないと思います。もしあるとすれば、日本がアジアのどこかに――アメリカ日本を基地として発進する場合に、関連して起こる危険性なんです。だから、純粋に、何らいわれなく、外国日本が侵略や攻撃を加えられる危険性は当面ない。見通し得る近い将来に私はないと思う。あれば、もう申し上げたアジアにおける諸国に対するアメリカの攻撃が日本を当地として行なわれる場合、その関連性で起こる危険なんです。そういうことを考えた場合に、これだけ国民の中に多くの不安があり反対があるのに、これを押し切って寄港を認める一体どれだけの利益があるのか。むしろマイナス要因のほうが多いのじゃないか。また、これも先ほど曽祢君が言われたような、ほんとうの意味の日米親善に、はたしてこういうことが役立つのか。何にもない、プラス要因は。ですから、私はお考え直しになったほうがいいと思う。当面も危険性は私は存在するとは思わない。原子力潜水艦寄港したから日本安全性が増す、そんなことはない。むしろ、することが危険性をはらんでおるほうが多いと思う。永久論を言っているのじゃない。いかがお考えですか。
  133. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 具体的な危険が起こっていないということは、結局その大きな原因は何かといったら、やはりこの日米安全保障条約の効果である、こういうふうに考えております。
  134. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 大臣、もう一つ最後に、時間がないようですから、お尋ねします。もし拒否した場合、日本はどういう損害を受けるとお考えになっていらっしゃるのですか。
  135. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これは原子力を推進力に用いておるだけの違いであって、他の一般の艦船と何ら違いはございません。そして、日米安全保障条約というものが締結されておりまして、その範囲内において行動するのでございますから、むしろ条約違反を日本が犯すということになるのであります。
  136. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 ちょっとそれじゃ納得できませんね。アメリカという国は非常に国民を尊ぶという国だそうです。わが国においてもそういう世論を尊重するというたてまえならば、拒否しても何らの損害を受けることは考えられないと私思うのですがね。損害を受けないとするならば、当然拒否してかまわないじゃないですか、こう思うのです。それについて大臣見解を伺いたいと思います。
  137. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 安全保障条約の範囲内においての行動でございまして、ただ国民原子力というものに対する特殊の感情、感覚を持っております。その不安感を解消すれば、これはもう寄港を認めるのが当然でございまして、もしこれを拒否するということになると、条約全体に対してひびを入れるということになりまして、日米の間の国交関係に非常な不利益をもたらすことになるのでございますから、われわれはこれを承認すべきである、かように考えた次第でございます。
  138. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 野坂委員
  139. 野坂參三

    ○野坂参三君 ここで論議されておる問題は、原子力潜水艦寄港による安全性の問題も一つでありますけれども、先ほど冒頭で外務大臣がお述べになりましたことばの中にも、「日本の安全と平和」、こういうことばがあります。私たちの問題にしたいのは、危険性の問題と同時に、あるいはそれ以上日本の安全と平和にとって重大な脅威を与えるものだと、こういうふうにわれわれは考えますし、こういう問題について、私は時間があれば十分政府の意見をただしたいと思いますが、時間が非常に限られているので、まず本論に入る前に、前回のこの委員会での、私と外務大臣及びアメリカ局長との問答の問題についてもう一度お伺いしたいという点が出てきたと思います。  で、十九日のあの委員会では、ここに速記録がありますが、私が、政府側としては、原子力潜水艦の受け入れ許諾を、たとえば八月二十日、二十五日、これは多少時間がずれるかもしれないが発表されるということを聞いたが、それが事実であるかどうか、こういうことを聞いたんです。これは皆さんよく御記憶の点だと思います。そのときに椎名外務大臣は、こう答えておられます。「御説のように、近く重大なるこれに関する発表があって、」――これは政府側の発表ですね。――「十月に現実寄港するようなことに相なるというようなことにつきましては、私はまだ関知しておりません。」、外務大臣は、関知していないと、こういうことを明言されました。それからアメリカ局長も、同じ質問に対して、「時期につきましては、先ほど大臣から御答弁がありましたとおりでございます。」と、こうお答えになったと思うのです。ところが、その後の事態はどういうふうに発展しておるかと申しますと、私が十九日に質問した。しかし、政府が私たちに渡されました資料を見ますと、アメリカ政府側からの口上書及び声明書は二十四日付で政府に届いているはずです。それから、二十六日には甘木の原子力委員会の報告があった。それから、二十八日には御存じのように閣議があり、また日本政府の口上書、こういうものが発表されております。そうしますと、私が十九日に質問して、こういう事実があるではないかと言った事実のとおりに事態は運んでいる。わずか十九日と、政府の最後に発表された二十八日との間に九日の違いしかありません。ところが、九日前の十九日には、政府ははっきりと私の言ったことを否定されております。一体こういう事実を、本日のこの委員会出席されるにあたって、外務大臣としてはどういう感想を持って御出席なさったか、まずこれを聞きたいと思います。
  140. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 二十五、二十六、二十八と問題が非常に急速に進展をいたしました。それであの結論に到達したのであります。実はこういうことを私は予見することはもちろんできなかったのであります。
  141. 野坂參三

    ○野坂参三君 この問題は、事は私と外務大臣との問答の問題ではありません。これは外務委員会自体の問題であり、また、国会自体の問題だと思うのです。  もう一つお聞きしますけれども、われわれに提供された材料によりますと、アメリカのエード・メモワールというのは十八日の日付になって政府に届いております。私の聞いたのは十九日、すでに二日前にはこういう文書政府に届いているはずなんです。それでも政府としては、まだ、あの事態については私たちはよくわからなかった、急速に事態が発展したとはよく言えたものです。こういうふうなうそは、あなたはこの委員会で二重、三市のうそになるでしょう。もし、ほんとうにまじめに日本の安全と平和を望まれ、また日本人民の深刻な不安を除きたいという善意が少しでもあるならば、まず第一に十九日にこういうことは言えないはずです。しかも、きょうはまたもう一つうその上塗りをやっているでしょう。一体十七日に政府はエード・メモワールを受け取っておる。私は十九日に質問をしている。ところが、二十八日には政府はちゃんと受諾の公式の声明を発表している。これはいま言われたように、急速に事態が発展したと言われますか、これがお聞きしたい。
  142. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) いま申し上げたとおりでございます。
  143. 野坂參三

    ○野坂参三君 一体どういうことですか。つまり、そのときには、ほんとうに関知しなかったか。その後の事態で急速に、たった一週間かそこらの間に事態が発展した。これじゃあまり人をばかにすることばじゃありませんか。一年八カ月の間交渉を続けておったと言われております。いよいよ結論を出す、こういう場合には、もしほんとうに外務委員会に対して、国会に対して忠実であるならば、こういうことがもうきまりそうになってきているということをまず報告すべきで、そういうことを全然やらずに、突然二十八日にああいうことをおやりになった。しかも、十九日に私の言ったとおりのことを、事態がそうなっているにもかかわらず、それを公然ここで否定されていた。明らかにこれはわれわれを欺瞞したことになり、国会を欺瞞したことになり、国民を欺瞞したことにほかなりません、何とおっしゃっても。これでは私はここで問答をやって何の意味がある。  また、冒頭に社会党の諸君のいろいろな質問に対しましては、何か知らぬけれども、逃げよう逃げようとされている。真実を伝えるという誠意が認められない。ただ逃げさえすればいいという態度。これで一体国会の正当な運営ができますか。この委員会の運営が正当にできますか。きょうに至ってまだまだうそを言っている。これでは私は今後問答を続けていって意義があるかないか、こういう疑いを持たざるを得ないと思う。政府はいろいろな問題があるでしょう。しかし、ほんとうのことは――もしうそを言ったならば、ここであのときは実は間違っておった、こういう誠意の一片ぐらい出してもいいじゃないでしょうか。もう一度、外務大臣、お答え願いたいと思います。
  144. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 先ほど申し上げたとおりでございます。
  145. 野坂參三

    ○野坂参三君 それじゃ、私はこれでこの問題を打ち切りたいと思いますけれども、明白になったことは、まだ結論……
  146. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ちょっと関連。  繰り返し、先に答弁したとおりですと言われておりますが、十七日のメモが出たあとにもそれを関知しなかったのかどうか。関知しなかったとすれば、怠慢はなはだしいものだと思うのです。先ほど外務大臣が、外務省が折衝においていろいろ手落ちがあったことは遺憾であったということを一応釈明をされましたが、それ以上に重大な問題であると思うので、事実それを関知しておらなかったのならば、釈明を願いたいと思います。
  147. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 二十四日の口上書は、アメリカ側から発せられたものであります。(「十七日ですよ」と呼ぶ者あり)いや、口上書であります。メモワールは、もちろん十七日だったと思いますが、これは従来の経過を主として述べたものでございまして、いよいよその寄港問題の核心に触れる文書は二十四日に受け取っております。二十六日は原子力委員会の例会でございます。そこで最終的にアメリカの保証していることがほんとうに行なわれるならば安全性は保てるという御結論をちょうだいしたのであります。そういったようなことを私が、たとえ十九日であろうと、そういったような外部の重大なる決定を私が関知するわけがない、そのことを申し上げた次第であります。
  148. 岡田宗司

    岡田宗司君 関連。このアメリカ側から渡されたエード・メモワールは八月の十七日付になっておる。外務省はこれをいつお受け取りになりましたか、アメリカ局長
  149. 竹内春海

    説明員竹内春海君) 日付のとおりでございます。
  150. 岡田宗司

    岡田宗司君 外務大臣、これをいつお読みになりましたか。
  151. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 日記をつけているわけでもございませんので、全然記憶をたよるしかありませんが、何日かということをいま急に仰せられましても、申し上げかねます。
  152. 岡田宗司

    岡田宗司君 じゃ、アメリカ局長、これをいつ外務大臣に見せましたか。
  153. 竹内春海

    説明員竹内春海君) 私もはっきり記憶しておりません。その後、一両日後だと思います。
  154. 岡田宗司

    岡田宗司君 十九日以後ですか。
  155. 竹内春海

    説明員竹内春海君) 十九日前だと思います。
  156. 岡田宗司

    岡田宗司君 前ならば、十九日にああいう「関知しない」なんという答えが出るはずがないじゃないですか。国会をばかにしているじゃありませんか。どうですか。局長は十九日前にあなたに渡していると言っている。これだけ重大な問題がアメリカ側からこれが来ていて、十九日前に渡しているのに見ていなかったのですか。それでも関知しなかったのですか。
  157. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 問題が最終段階に差しかかっているということは、もちろんわかっておりました、このメモワールを見る見ないにかかわらず。ただいま申し上げたように、二十四日のアメリカ政府から寄港をいよいよ承認してくれという口上書が到達いたしました。二十六日は、申し上げたように、原子力委員会の最終の決定がございました。でありますから、私がそういうような重大なる口上書の立案に参加する資格も何もない。それから原子力委員会のメンバーでもありません。そういう決定が次々ときまっていたということを私は関知するわけがないということを申し上げたわけであります。
  158. 野坂參三

    ○野坂参三君 その問題は、私はこのままで済ますことはできないと思います。これは外務委員会の今後のあり方だし、あるいは原子力潜水艦問題についても今後も政府に質問し、また答弁を受けますけれども、いまのように不誠意で、こういうことを知らなかった。二重三重のうそをおっしゃる。こういう外務大臣を相手にしてほんとうにわれわれは真実をとらえることができるかどうか。これは大きな重大な問題になってきたと思います。  しかし、もう一言具体的にお伺いしたいのは、実はこういうことまでお聞きするつもりはなかったのですけれども大臣がああ申されますから、どうしても質問しておきたいと考えるのは、私が十九日にああいう質問をした。私の質問どおりに事態が運んでおりますので、決して頭の中で考え出して質問したわけじゃないのです。新聞によりますと、ああしたことはもうすでに十九日前に外務省側ではさまっておって、日取りも一応きまっておった。こういうことは、外務省の中でも、あるいは防衛庁の中でもうわさしていた者も相当おったそうです。知らない者は大臣局長かもしれない。(笑声)実際その後の発展見ましても、私はこういうことを知らなかったということはどうして言えますか、外務大臣として。ちゃんとプログラムを初めから組んであるのです。十九日前にそのとおり政府はやり、外務大臣はおやりになったにすぎないのです。これはしかも、かりに二十四日に突然アメリカから口上書が来たとするならば、どうしてこういう重要な問題を二十六日、二十八日、四、五日のうちにきめる必要がありますか。あとでもっと慎重審議やられないのですか。こういう点もう一度だけお伺いをします。
  159. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) この問題はもうすでに長い間各角度から慎重に研究された問題でございまして、最終段階にもはや来ているということは大体わかっておりましたけれども、こう手っとり早く進むとも実は予知ができなかったのでございまして、だから、それで二十八日の踏み切るということになった次第でございます。さよう御了承願います。
  160. 野坂參三

    ○野坂参三君 時間が来ましたので、原子力潜水艦の問題をいろいろ質問したいと思いますけれども、いまの問題をもう少しけりをつけたいと思います。  それじゃ、外務大臣にお聞きしますけれども、今後この委員会あるいは国会において、十九日に言われたようなああいううそはもうつかない、こういう保証ができますか。もし保証ができなければ、われわれはここで委員会の問答続けても意味がない。どうですか。
  161. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 今後とも誠実にお答え申し上げたいと思います。
  162. 野坂參三

    ○野坂参三君 それじゃ、十九日は誠実じゃなかったのですか。
  163. 青柳秀夫

  164. 戸叶武

    戸叶武君 いままで政府答弁を聞いていると、時間の空費だけで、何らわれわれの質問に対して明晰な答弁がなかったと思います。政府の統一的見解発表された鈴木官房長官が来られましたから、お聞きいたしますが、あなたは、アメリカ原子力潜水艦装備するための開発中のサブロックはすべて核兵器であり、これをつけた軍艦寄港事前協議対象となるという統一見解発表しております。その事前協議対象の意味がいかなるものであるか、外務大臣説明においては先ほどからきわめて不明瞭でありますが、鈴木さんからその点を、統一見解発表者として、もう少し明確にしてもらいたいと思うのです。どういうところを明確にしてもらいたいかと申しまするならば、核兵器持ち込みというものは、一九六〇年の岸・アイク共同声明で確認されているとおり、日本政府としては日本政府の意思に反して核兵器持ち込みをしないということが確認されてあり、このエード・メモワールにもそのことは書いてあります。サブロックはすべて核兵器である。これを積んだ軍艦寄港事前協議対象となる。核兵器持ち込み日本政府の意思に反しているのだから、これはできないととに確認されてあるものを事前協議対象とするというのはどういうのですか。この論理は一番私たちには不明確でありますから、まず、それから解いてもらいたい。
  165. 鈴木善幸

    説明員鈴木善幸君) サブロックの問題につきましては、さきに政府におきましては、核弾頭をつけた爆雷とそうでない高性能の爆薬による爆雷と二つ発射できるのだ、こういうような報告を受けておりまして、そのように答弁をいたしておったのでございます。しかるところ、その後の調査によりまして、通常の高性能の爆薬を装てんした爆雷は敵の潜水艦の攻撃に対して決定的な威力を持たない、そこで、もっぱら核爆雷を使うように開発が進められてきた、こういうことが明らかになってまいったのでございます。そういうようないきさつがございまして、衆議院内閣委員会におきまして海原防衛局長から専門的な立場からそれを明らかにいたしました。そこで、従来の政府がとってまいりました見解とその後の調査によって違った点が出てまいりましたために、サブロックに対する統一見解をまとめた、こういうような経緯でございます。したがって、サブロック核爆雷装備するということであれば、これは核兵器と見なされるわけでございますから、これは日本としては、サブロックを搭載した原子力潜水艦が入ろうとする場合には、当然事前協議対象になる、その場合にはわがほうとしては既定方針に従ってこれを拒否する、こういう方針に変わりございません。
  166. 戸叶武

    戸叶武君 いまの御答弁は論理として落第です。メモワールの中でアメリカ側では、「一九六〇年一月十九日付けの日米共同コミュニケに述べられているとおり、日本政府の意思に反して行動する意図を有しない」。このことは岸・アイク共同声明で確認されているとおり、核兵器を持ち込まないという意味だと思うのです。しかし、サブロックを-今度の統一見解の声明ですよ、あなたの発表した-これを積んだ軍艦寄港事前協議対象になると言うけれどもサブロックはすべて核兵器であるということを断定しているじゃないですか。核兵器は持ち込まないということをアメリカ側で確認して、これにはっきりうたっているのに、何がそれが事前協議対象になるのですか。論理が合っていないじゃないですか。すう少しわかるように解明してもらいたい。
  167. 鈴木善幸

    説明員鈴木善幸君) サブロックというような目下開発をされつつありますもの、持来おそらく一年-今年じゅうは装備されないと思いますが、そういうものが将来装備されるようになりますれば、これは「重要な装備の変更」でございます。したがいまして、これは事前協議対象になる。根本の、あなたがおっしゃっておる、核兵器日本としては絶対に持ち込ませないという方針には変わりはございません。
  168. 戸叶武

    戸叶武君 そうじゃないのだ。あなたの統一見解が論理としてなっていないと言うのだ。アメリカ原子力潜水艦装備するため開発中のサブロックはすべて核兵器である。核兵器でしょう。これを積んだ軍艦寄港事前協議対象となる。事前協議対象にならぬじゃないですか。もう初めからきまっているので、アメリカのほうでも、核兵器は持ち込まないということを了承しているのじゃないですか。核兵器を載せた、このサブロックを積んだ軍艦寄港事前協議対象になる。ならないですよ。向こうは持ち込まないと言っているじゃないですか。持ち込んだ場合は事前協議対象となるというのは、持ち込まないやつを持ち込んだ場合は事前協議対象となるという論理はどういう論理ですか。これは小学校でもこういう論理は使いません。明快にしてください。日本始まって以来、こういう論理はないですよ。
  169. 鈴木善幸

    説明員鈴木善幸君) 持ち込んだ場合は事前協議対象になるということを申し上げているのではない。持ち込もうと――そういうものを装備するようなスレッシャー型の潜水艦が入るような場合には、これは事前協議対象になる、こういうことを申し上げておるのであります。
  170. 戸叶武

    戸叶武君 これはやはり鈴木官房長官の頭なり、政府側の統一見解が混乱しているのじゃないかと思うのです。やはり国民の不安感、これは安全かどうかということをどうやって確かめるかという方法に政府も苦慮しているのだと思いますが、そこの一番問題は、軍艦が入ってきた。これは安保条約によって入るのだとアメリカでも断わっている。そのときに軍艦サブロック装備されているかどうかということを確かめることができない。軍艦の中に立ち入って確認できない。そこでもって事前協議という形で、アメリカ側では、入るときには核兵器装備されていないということを言ってくるがが、国民の不安は、装備されていないと言っても、装備されているのじゃないか、だれだってそう思うです。それを確かめなくちゃならない。政府は大体いままでアメリカさんの言うことは信用していけばいいのであると言うが、国民は、アメリカよりも日本政府椎名外務大臣の言っているような答弁ぶりだと不安感がつのるから信用しない。信用されない政府がどうやって信用を裏づけるかというために、事前協議という手で、軍艦の中へ立ち入っていないけれどもアメリカ様がとにかくサブロックは載せていないと言うのだから、アメリカを信用してこれで了承してもらいたいという演出効果をねらっての表現ではないかと国民はだれでも憶測すると思うのです。そういうところに問題点がしぼられてきますよ。安保条約において軍艦は一般の軍艦と同じように寄港することができるのだというので寄港するのです。寄港したときに、その軍艦サブロックが、核兵器が積んであるかどうかということを確める場合に、向こう側はありませんと言うが、国民は、積んであるかわからない、大体積んであるのだ、そんな手品みたいなことはできないはずだと言ってだれも信用しない。大体アメリカよりも日本政府が信用されていない。そのときにどういう処置をとろうかというこの悩みをしぼった結果のこのへたな考えがこういう表現になったのじゃないかと思いますが、その辺はどうなんですか。そこらへ落ちるのじゃないですか。そんな形で、事前協議という形でお茶を濁そうというのではこの問題は片づきませんよ。そんな甘いものじゃないと思いますが、鈴木さん、ひとつもっとよい知恵を出してください。
  171. 鈴木善幸

    説明員鈴木善幸君) 先ほど申し上げましたように、サブロックにつきまして私どもが軍事的に表明してまいりましたのが、開発段階におきまして、普通の爆雷核爆雷と二つを併用するという方法で開発が進められておった。それが中途におきまして変わってきた。そこでわがほうのサブロックに対する考え方というものも変わってまいりましたので、この際国民の前に明らかにすべきであるという立場でこの統一見解をつくったということでございまして、政府としては、御指摘のように、私どもこれをごまかすためだとか、さような意図は全然ございません。
  172. 岡田宗司

    岡田宗司君 鈴木官房長官発表されました統一見解というのは、これは政府の権威のある見解であろうと私は思うのですが、これは権威があるものかないものか、まずその点を確めたいと思うのでお聞きいたします。権威のあるものでございますか。
  173. 鈴木善幸

    説明員鈴木善幸君) これは防衛庁外務省政府各機関で十分検討した結果でございます。
  174. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、まず権威のあるもの、こう解釈するよりしかたがないので、私はまず権威のあるものだということを前提としてお伺いをいたします。鈴木官房長官のこの問題に対する見解発表は三点になっております。一つは、朝日新聞によりますというと、「サブロックの持込みについて米側から事前協議があった場合これを断る。米側もさきの覚書で日本政府の意思に反して核兵器は持込まないことを確認している。」、この点についてはいま戸叶君からの御質問がございましたので、私はこれには触れません。第二の点は、「従ってサブロックを積載した原子力潜水艦寄港しようとする場合は、」、これは「日本の領域外でサブロックを他の艦船に積替え、はいってくることになろう。」と、こう書いてある。これはどうしてこういうふうになろうということが確認されたのか。これはアメリカ側から情報を得られたのか。あるいは外務者から得られたのか。防衛庁から得られたのかその点をまずお伺いしたい。
  175. 鈴木善幸

    説明員鈴木善幸君) 新聞記者会見におけることでございまして、表現等において若干十分な意思の疎通を欠いた点があろうかとは思います。御承知のように、アメリカ原子力潜水艦、また通常潜水艦等の基地はグアム島あるいはハワイというものを当地にいたしておるのでありますが、これがそれぞれの付与された任務に従って行動いたします場合に、サブロックを搭載することもあれば、それを搭載しない場合もあり得るわけであります。これはその潜水艦に与えられた任務によって違うわけでありまして、魚雷発射管は御承知のように二十一インチの標準型ということになっておりまして、普通の爆雷核爆雷両方発射できる性質のものでありまして、任務に従ってサブロックを搭載することもあり、また搭載しておったものが基地に置いてはずしてくる場合もある。そういうことを申し上げておるのであります。
  176. 岡田宗司

    岡田宗司君 サブロックで私は質問している。サブロックを取りはずしてくれば、つまり日本の領域外でサブロックを他の艦船に積みかえれば入ってくることになろう。こういうことなんだ。そういたしますと、一々グアムかあるいはマニラかあるいはパールハーバーかどこかで積みかえる。レクリエーションのために一々サブロックを積みかえて日本に入ってくる。こういうことが常識で考えられますか。  先ほどその点で私、外務大臣に、積みかえて入ってくるということ、あり縛ることかどうかと聞いたら、どうも外務大臣もそういうことはないだろうと思うと、こういう御返事なんだ。政府統一見解といたしましては、外務大臣とあなたとどうも食い違っておる。だから私は、権威があるものかということをまず確かめた。どっちなんです。あなたは、積みかえてくるとおっしゃったんでしょう。
  177. 鈴木善幸

    説明員鈴木善幸君) それは先ほど私申し上げましたように、任務によって違う。そこで、サブロックを積む必要のない任務に従事する場合には、これを取りはずして、これは艦船という記事が新聞にあったから、あなた方はそうおっしゃるんでありますが、私がいま申し上げておるのは、基地において任務に従って搭載する必要がない場合には取りはずして任務に当たって、それが休養、補給のために日本に入る。そういう場合には問題がない。こういうことを申し上げておるのであります。
  178. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、取りはずしたならば入ってきてよろしいというあなたの統一見解発表というものは、アメリカ側から確かめたものでもなければ、あるいは他の防衛庁なり外務省なりから確かめたものでもない。それで、外務大臣の先ほどの御答弁と全く食い違っておるというところから見ると、どうもあなたの統一見解というものは私には権威などないもので、間に合わせに、ただつじつま合わせかあるいは弁解のためにこういうことを言ったものとしか思えない。  まあ、それはそれといたしまして、次の点は、これは朝日新聞によりますと、こう書いてある。「その場合、日本側に立入り検査して確認する権限はなく、米側を信頼するほかはない。ただこれまで米国の新しい艦船や飛行機がはいってくるときは、防衛庁の専門係官が見せてもらう慣例になっており、原子力潜水艦についても、第一回の寄港の際は見せてくれるのではないかと思う。」、こういう記者発表をやっておられる。  ところが、アメリカ側が出しました「外国の港における合衆国原子力軍艦の運航に関する合衆国政府の声明」という訳文をいまいただいております。これの第三ページのeのところに、「合衆国政府は、寄港関連し、受入国政府に対し、原子力軍艦の設計又は運航に関する技術上の情報提供しない。したがって、合衆国政府は、原子力軍艦原子力推進装置又は運航方法に関する技術上の情報を入手する目的で原子力軍艦に乗船することを許可することはできない。」と書いてある。これはどうなんですか。このメモ、この声明をお読みになった上でこれを発表されたんですか。あるいは読まなかったんでしょうか。
  179. 鈴木善幸

    説明員鈴木善幸君) 前段のほうの、いままで第七艦隊でありますとか、その他の新しい飛行機等が日本に初めて参ります場合には、御説明申し上げましたとおり、日本防衛庁の係官等が向こうから招かれて見学をいたしておるのは申し上げたとおりでございます。で、原子力潜水艦につきまして、いま岡田さんが読み上げられたような部分について、こちらが立ち入り検査をするとか、そういうようなことを私は申し上げておるのではございません。それはいまお述べになったとおりでございましょう。しかし、原子力潜水艦を見学をすると、こういうようなことは私ども希望をいたしておる次第であります。
  180. 岡田宗司

    岡田宗司君 この同じ声明のg項に、「合衆国政府は、もちろん、受入国政府の代表者による原子力軍艦への慣行的な儀礼訪問を歓迎する。」と書いてある。これに当たることなんですね。そういたしますと、こんなことを統一見解の際に官房長官がわざわざ何のためにお語りになるんですか。つまり、これはいかにも原子力潜水艦に対して日本政府側が立ち入って何か見ることができるような印象を国民に与えて、そうして何とか表面を糊塗したいということにすぎないんじゃございませんか。私どもは、こういうようなインチキな発表をおやりになるものは権威あるものとは絶対に認められません。どうですか、その点は。
  181. 鈴木善幸

    説明員鈴木善幸君) 私の統一見解は、念のために読み上げてみたいと思いますが、いま御指摘になりました点は、記者団の諸君からのいろいろな御し上げた点でございます。
  182. 岡田宗司

    岡田宗司君 とにかく、記者団の質問に対してお答えになったにせよ何にせよ、こういうようなことを発表されておるということはやはり誤解を与えることになりましょう。特に私どもは、何のためにこういうことを言われるのか、これで、原子力潜水艦に対して政府が何かサブロックを積んでいるか積んでいないか確認できるような印象を与えるとすれば、これは国民を誤るごとはなはだしいと思う。私どもはごまかされませんよ、こんなことで。ですから、ここで御質問申し上げるのですが、こういう態度でもってこの問題に臨んでおられるということは、まことに私どもは遺憾だと思うのであります。先ほどから、外務大臣にいたしましても、あるいはアメリカ局長にいたしましても、また官房長官にいたしましても、この問題に関する限り、誠実ということは全然認められない。ただろうばいして、その場のがれでもって糊塗しようとしておるとしか思えないのであります。事は重大であります。国民一体こういうような国会の審議をどう考えるでしょう。おそらく、政府に一片の誠意も認められない、国民がもっとこの問題について知りたいと思うことを知らそうとしていない。そうとしか考えられないじゃありませんか。  最後に、外務大臣にお伺いしますが、あなたは、率直にお答え願いたいのは、あなた原子力潜水艦入港を歓迎しておられるかどうか。
  183. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 歓迎ということはいろいろにとられますが、少し入れを受諾いたしました。
  184. 岡田宗司

    岡田宗司君 歓迎しておると解してよろしゅうございますか。
  185. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 感じを込めた表現だと思いますが、私は感じを抜きにして受諾いたしましたということだけを申し上げたいと思います。
  186. 岡田宗司

    岡田宗司君 とにかく、これが受諾され、国民の間に一そうの不安を起こす。特にスレッシャー型が入ってサブロックが持ち込まれるかどうかということについて、まだまだ政府側は国民を納得させるだけの答弁、あるいは外交的措置も講じておられない。私どもは、アメリカに対して入れないということの確約をさせるようなそういう申し入れをし、文書を取るべきであるというふうに主張しておりましたが、それもおいれにならない。そういたしますと、もし今後、いつ原子力潜水艦日本に入ってくるかわかりませんけれども政府が受諾した以上、そう遠くない時期に原子力潜水艦は甘木に入港を求めてくるだろうと思うのであります。そのときに、率直に申し上げて、反対運動が大きく起こるであろう。たとえあなた方がオリンピックの最中に入港を認めたといたしましても、決してこの問題は、そうだからといって国民が見のがすことではない、こういうふうに考えられますが、とにかく私どもは、政府がこういうような国民を納得させることのできないような態度で臨んでおりますならば、国民の力でもって原子力潜水艦入港はごめんこうむるというような態度を表明する以外にないと思います。私どもは――これはあなたに対する質問じゃないのです――私どもは、そういう立場を明らかにしてこの質問を終えたいと思います。
  187. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 本日は、これにて散会いたします。    午後一時十七分散会