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1964-06-11 第46回国会 参議院 運輸委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月十一日(木曜日)    午前十一時十二分開会     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     米田 正文君    理事            金丸 冨夫君            谷口 慶吉君            天坊 裕彦君            吉田忠三郎君    委員            江藤  智君            木暮武太夫君            野上  進君            平島 敏夫君            前田佳都男君            村松 久義君            相澤 重明君            大倉 精一君            浅井  亨君   国務大臣    運 輸 大 臣 綾部健太郎君   政府委員    運輸大臣官房長 佐藤 光夫君    運輸省鉄道監督    局長      廣瀬 眞一君   事務局側    常任委員会専門    員       吉田善次郎君   説明員    日本国有鉄道副    総裁      磯崎  叡君    日本国有鉄道常    務理事     石原 米彦君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○東海道新幹線鉄道における列車運行  の安全を妨げる行為処罰に関する  特例法案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 米田正文

    委員長米田正文君) ただいまから委員会を開会いたします。  前回に引き続き、東海道新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為処罰に関する特例法案を議題として質疑を行ないます。
  3. 相澤重明

    相澤重明君 前回私が資料要求したんですが、その資料要求について説明してもらいたい、内容を。   〔委員長退席理事谷口慶吉着席
  4. 石原米彦

    説明員石原米彦君) それでは、お配りしましたのは、「東海道新幹線開業運営要員計画」と、それから「東海道新幹線の一箇列車当り乗務員」、この二つについてお配りいたしております。  先に乗務員関係を申し上げますと、電車運転士は一人乗務ということに考えております。これは、前回委員会でも御質問がございましたように、高速度でございますので、疲労をするという問題もございますが、反面非常に完全な保安設備に守られているという点もございまして、特に踏切というものが一つもないといった点がありまして、機関車のように二人乗務を要しないと認められますので、種々検討の結果、これは一人で十分に作業ができるということで査定したのであります。それから列車乗務員は、車掌二人、それから乗客掛が二人ということで査定いたしております。これは、全員座席指定になっておりますので、定員超過するようなこともございませんので、こういう査定をいたしております。大体これで十分まかなえると思います。  それから、一方の総括表は、これは各系統別現場別総括定員が出ておりますが、これは前回申し上げましたように、当局のほうで考えておりますもので、大体これでよろしいと考えておるのでありますが、細部につきましては組合目下折衝中でございますので、若干の修正はすることはあるかと考えております。
  5. 相澤重明

    相澤重明君 いまの説明を聞きますというと、電車運転士は一人、それから車掌客扱専務が二人、乗客掛というのは、これはサービス・ボーイだと思うんですが、そういうのが二人ということで、いま少し聞いておきたいのは、車掌の場合、たとえば運転車掌というようなものはいないのですか、客扱い専門ですか。
  6. 石原米彦

    説明員石原米彦君) お答えいたします。一般の平常時におきましては、運転関係仕事車掌が扱うということはございません。しかし、たとえば非常の場合には、運転士が一人では間に合わなくなると考えられますので、そういう場合には共に働き得ますように、車掌教養の際に、そういう運転上の取り扱い等につきましても働き得るように、教養はいたしております。しかし、平常の運行状態におきましては、以前にありました運転車掌のような専務の仕事というのはございません。
  7. 相澤重明

    相澤重明君 私はこれは運輸大臣に聞いておきたいのだけれども運輸大臣はいま国鉄常務説明するようなことで大体考えているのですか、いまのこの電車運転に対する考え方というのは、こういう考え方でやろうということなんですか、ちょっと大臣意見を聞いておきたい。
  8. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 私が監督いたしております国鉄が最善を尽くしてやったことを、私はそれでいいと考えております。
  9. 相澤重明

    相澤重明君 これはもうとんでもない私は話だと思うのですね。世論のきびしい安全運転という問題について、一体どう責任をとるのですか。私は、もしいまの国鉄当局側の言う乗務員考えであれば、何も、運転十一人で、これはもう機械が近代的な保安設備がしてあるから、一人でも心配がないというなら、ロボットを乗せたらいいですよ。そんな問題じゃないでしょう。国鉄当局はこの前のことを承知していないのですか。一人乗務員運転士が途中でもって気分が悪くなって、非常に大きな事故になろうとしたのを、幸いにしてそれがその前に停車をすることができたということは、聞いていないのですか。一人乗務の弊害というものは、どんなに大きな問題を提供しているかということは、いま少し国鉄当局は真剣に考えないと、安全運転というのは名ばかりだ。国民人命、財産を守る安全ということに対しては、全く政府責任をとっていない。これは、いまのような説明なら、それは全くロボットですよ。ロボットを乗せておいたって何ら差しつかえない。それから車掌の場合でも、私はもう、客扱専務といい、乗客掛といえども、もちろん非常の場合にはあらゆる国鉄職員としての仕事をすることは、これは当然なんです。けれども、非常の場合こそ乗客に対する誘導とかあるいはそういう仕事をしなければならぬのが客扱いなんですよ。運転上の問題よりは、まずそういう非常の場合こそ乗客に対する人命を安全に確保しなければならぬということになってくるわけですよ。そういうところが、いやこれはもう機械がいいから、設備がいいから、これは運転車掌は要らぬということは、運転に対する考えというものが、私は運輸大臣は、国鉄がそういうふうに研究してやったことは、国鉄信頼しておるからそれていいと言うけれども、事安全ということに対してこれだけ世論のきびしい中に、それで一体いいのかしら。ぼくは、いま少し安全という問題について、国鉄に対する世論のきびしい中に、運輸大臣として鉄道基本問題等についてもいろいろ御検討されておるし、衆参両院運輸委員会の中に小委員会まで持って、安全の問題についてはいろいろな意見を出しておるところですよ。にもかかわらず、ちょっと私は、いくら何ぼ何でも、いまのような御説明では、運輸大臣は、「国鉄信頼しておるから、私はこれでけっこうでございます」——いつの時代総裁でも、運輸大臣でも、「私は信頼をしております」と言うんだ。信頼をしたって、事故が起きるじゃないですか。事故の起きた結果は、多くの人命を失っているじゃありませんか。こういうことからいって、これはもう常務が、もし組合側と最終的な人数等の問題について話を進めておるから最終的なものじゃない、こういうことで全般をお考えになっておるならともかく、基本的な方針がこうだということになると、私はやはりいま少し安全問題について議論をしないと、こんなものは役に立たぬ。こういうものを提案されても困る、国会は。ということは、これだけ世論がきびしい、国鉄に安全、設備の問題の要求をしておるのに、その安全についての万般の注意が欠くるところでありはしないか、こういう点を私は心配をするのですが、これはひとつ感情論でなくて、私は自分がむしろそういうことで飯を食ったもんですから、もう何とかしてよくしていきたいというのは、これはあたりまえなんですから、とにかく国鉄信頼性を高めて、それで速度が多く出る、新幹線がなるほどよかったということで国民信頼を得て利用してもらう。こういう安全問題について真剣に取り組んでもらわぬことには、私は賛成ができない。賛成できないし、国会権威の問題になるでしょう。衆参両院運輸委員会の中にこの安全問題をとらえて小委員会までつくって、そうしていま審議を進めようとしているときに、そういう提案であっては、いささか審議する基本がもうくずれてきている。大臣いかがですか、率直に大臣意見を聞きたい。
  10. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 私はあなたほど運転に詳しくありません。最も運転に熟練しておる国鉄がやっていけるという方法を支持する以外に、私は運転についてどうせいこうせいという知識がないから、したがって私の言うことに権威がない。そこで私は、国鉄がやれるという、国鉄方法といいますか、人数その他について、国鉄信頼して、国鉄の言うことを私は支持するという以外にお答えのしようがないと思います。
  11. 相澤重明

    相澤重明君 これは、大臣国鉄信頼してくれるのは、まことに私もありがたいと思う。大臣がそれだけ自分監督下にある国鉄信頼することは、これはもう非常にいいことです。また、それでなくちゃいかぬと思うのです。けれども信頼をすることと、現実の問題について事故をなくし安全を守るためにはどうすればいいかということと、違いますよ。だから、そういうことで、私はむしろ今度の、たとえば国鉄職員の給与の問題でも、石田国鉄総裁が勇敢に自分意見を吐露した、こういうことも非常に私は石田総裁信頼するわけですよ。ほんとう自分がやはりこうだと思ったことは言うべきだと思うのですよ。だから、あなたもおせじを抜きに、一体国鉄が安全を守るにはどうするんだ、こういうことについて、国民のきびしい批判の中に国鉄は爼上に乗っているんですから、あなたがそれを確保するように国鉄に話をするのは一向差しつかえないんですよ。信頼性現実仕事を進めて安全を守るということとは、これは立場が違うのですから、そういう意味で、大臣が別に国鉄経験があるからないからということでなくて、私は高い見地からのいまの国民負託にあなたがどうこたえてくれるか、こういうことの問題だと思うのです。私は従来から、国鉄首脳部国会においでになって、「私どもはこの予算の範囲内で必ずなし遂げます。責任をもってやります」、こういうことはもう何回も聞きました。しかし、何回聞いたって、結局はあまり結果がよくなっていない。そういうことで、むしろ今回ほど東海道新幹線に対する期待が大きいのと、反面、実はまだだいじょうぶだろうかという気があるんですよ、だいじょうぶだろうかという。そういうことを払拭して、だいじょうぶなんだ、国鉄は世界に誇る技術陣を持っているし、それから運転上においてもこれだけの細心の注意を払っているという考えがなかったらだめじゃないか。細心の注意を払っているとは私は言えない、いまの提案では。運転十一人でいいというなら、ロボットでいい、こう言っているのです。飛行機の時代だって、有人機ばかりでなくて、無人のものまであるでしょう。そういうことじゃ議論にならぬじゃないですか。だから、そういう点では、出身者の大ぜいの方々もおりますけれども、私は意見は違わないと思うのです。いくら機械が発達しても、しょせん機械を使うものは人であるということ、人を忘れちゃいかぬです。人を忘れて機械にすべてをたよったら、事故が起きたときにはえらい人命を失うことになるんです。その機械に全く国鉄はもう寄りかかってしまって、機械がいいから、設備がいいから間違いないという考えじゃないか。そんな説明を私は了承するわけにはいかない。もっと、たとえばこの間の説明では、あれは何本でしたか、三十往復でしたか、三十往復に一人ずつふやしたところで幾人になる。二百名も三百名も定員がふえるわけじゃないでしょう。そんなことで人を倹約して、事故が起きたときどうするんです。事故が起きないように、いまの最大の努力を、われわれ国会院内外を通じて、政府にも国鉄当局にも要請しておるところです。その事故が起きるか起きないか——起きないように皆さんもやるだろうし、私どもも希望するのですが、しかし、人間の能力、人間の労働の限界、あるいはそのときによる人間の身体の状況、これはあなた予測できないのです。その予測できないときに、これを食いとめるもの、少なくともそういうものを食いとめる方法考えておかなければならぬでしょう。私は少しこれは冒頭に私まだ内容について審議をしてないのだけれども、こういう人間さえ少なくすればそれがいいなんていう考え方は、絶対許せない。人命安全の上からいって、私は、国民負託にこたえるためにも、そういう提案はいま一回やり直してもらいたい。大臣いかがですか。あなたが、これだけきびしい国鉄に対する世論批判にこたえて、私は国民の安全を守るためにやります。国鉄にもやらせます——国鉄石田総裁もそれをやりますと言ったのに、一体何ですかこれは。これでは、いまの国鉄常務説明を聞いたことでは、私は全く遺憾千万です。これは与党皆さんも、事運転の問題についてはやはりみな経験者だと思うのです。一人だってこのことについて苦労してない人はなかったはずだ。みな苦労している。苦労しても、なおかつ事故が起きた。その事故が起きたときは、何が一番問題になるかといえば、一体国鉄職員はどう事故の処置をとったかということなんです。すべて国鉄職員事故責任を負わされているじゃないか。すべて国鉄職員事故責任を負わされていながら、人数を少なくすればいいなんていう考え方は、根本的な誤りです。私は納得できな、いま一回大臣総裁なり常務と相談して、考え方を新たにして、人事を守るという、安全輸送ということを考え提案してもらわなければ、審議できません、そんなものは。いくら与党の議員の諸君だって、幹部の諸君だって、人命安全ということこそいまの至上命令です。これは大臣だって変わりないと思うのです。私は、だれよりも国鉄を愛し、国を愛する。国民信頼にこたえたいと思う。それがあなた、こんなことで提案されて、それで「はいそうですか」といって専門委員会——私は少なくとも事国鉄運転に関する限り、国会の中でも運輸委員会専門委員会なり常任委員会だと思っている。その運輸委員会が、人命を軽視するようなことを提案されて、それでいいなんていうことは言えない。私は、そういう点では、もっと具体的な資料をあなたのほうで出して、こういうふうなことだから、これは絶対間違いありませんという説明をするなら納得しますが、そうでなかったら納得しませんよ、これは。こんなの審議できないですよ。これは私は、与党皆さんにも意見を大いに出してもらいたい。それから政府側でもひとつ意見を出してもらいたい。私は決して感情的になってない。なってないけれども、これではほんとう人命の安全を守れるかというと、何も三十人や五十人の人間を削るということだけできゅうきゅうする必要はないじゃないですか。ほんとうにこれじゃ審議できないですよ、みっともなくて。
  12. 江藤智

    江藤智君 関連。安全を守るということは、これはもうもちろん最も大切なことなんですが、もう少しこの問題について、専門のひとつ国鉄側から、一人乗務でもだいじょうぶだということを説明してもらうことがいいのじゃないかと思います。
  13. 石原米彦

    説明員石原米彦君) もう少し詳しく御説明申し上げます。  まず最初に申し上げますのは、これは、さいぜん申しましたように、組合折衝中の段階でございます。もちろん、当局といたしましても、人命の尊重をはじめとしまして、安全を守ることにつきましては絶対に最重点を置いております。また、組合としましても、この安全の問題につきましては、組合とか国鉄当局とかいう差別なしに、ともに最重点の問題だということを十分に考えておりますので、その観点に立ちまして折衝することになります。したがいまして、これは当局案でございますので、最終決定ではございませんわけでございます。  次に、一人乗務と二人乗務という問題になりますと、現在一人乗務と二人乗務と申しますのは、たとえば横須賀線電車あるいは通勤電車といったようなものは一人乗務ですでに長年——横須賀線電車などはどのくらいになりますか、二十数年やっております。特に一人乗務なるがゆえに、あるいは二人乗務なるがゆえに、事故が多い少ないという問題は、きわ立ってはおりません。要するに、作業的に一人でやれるか二人でやれるかということが主体になると思います。  それから、新幹線につきまして、現在の電車輸送との大きな差異について申し上げますと、従来乗務員の責めに帰します事故が生じますのに、やっぱり最大の問題は衝突事故が起こるということが、これが何といいましても一番心配の大きな問題でございますが、これは前々から御説明をいたしましたように、自動列車制御装置が全部のもとになっておりますので、この制動に関しましては、たてまえといたしまして、列車停止位置をきめるところ以外は乗務員ブレーキ・ハンドルを平常扱わなくてもよろしいたてまえになっております。そういうふうな点からいたしまして、作業上特に二人おりませんと仕事にならぬ、あるいは危険であるという問題は、これは全くございません。  それから、現在の列車運行最大の弱点になっておりますのは踏切でございます。また、信号地上信号になっておりますので、天候条件の悪いとき、たとえば霧がかかるとか、豪雨が降るとか、雪であるとかいうときに、信号が十分に見えない、あるいは見違えるというような問題がございます。しかし、それらがすべて地上信号車内信号になりまして、運転室内に表示されることになっておりますので、これも見違えることがございません。  もう一つ、従来の鉄道運転士機関士仕事で一番大きな問題は、完全に独立しておりまして、駅に着く以外には何らの打ち合わせができないという点が非常に問題だったわけでございますが、今度は各運転室内に中央指令所との直通電話がついておりまして、たとえば運転士の疑義であるとか、あるいは指示を仰ぐ問題とか、あるいは気分が悪いといったようなことももちろん入ると思いますが、これはスイッチ一つ押しますと直ちに運転室が呼び出されるわけでございます。そして、中央指令室には、運行上の専門家ばかりでなくて、たとえば車両についての専門家、そういうほうの指導官なんかもありまして、直ちにそれに対して、たとえば車両のこういう故障らしいものが起こったというときには、それはこういうふうにしてみろというようなことの指導ができるようになっております。そういう設備的な問題は、たとえて申しますれば、ちょうど隣の部屋に専門家がついているのと実は同じような形になっているのでございます。  さらに、これらの保安設備につきましても、これはまだ御説明しておりませんでしたか、従来の保安設備に対しまして、非常に高度の安全度を保つように、つまり保安設備自身故障を起こさないように、従来とはけたの違う考慮をしておるのでございます。たとえば、一つ一つ機器十分注意をいたしますとともに、特に重要な継電器——リレーなどにつきましては、これは事前に検査をすることが困難でございますので、重要な部分は全部二つ取りつけまして、一方が故障を起こしますと、   〔理事谷口慶吉退席委員長着席〕 自動的に切りかわるというようなことになっております。これは送るほうのリレーについてそういうことになっておりますが。今度は信号を受けるほうのリレーにつきましては、故障があって受けられないのか向こうから電波がこなくて受けられないのかわからないことになりますので、これは専門語で申しますとツー、アウト・オブ・スリーと申しますか、三つのうちの二つという方式を用いまして、リレー三つつけておりまして、受けました電波二つ同じものを受けたものを採択してこちらに取り入れるという方式をとっております。つまり、二つリレーが同時に同じ故障を起こす以外には間違いが起こらない。ふだんは三つ三つとも同じ動作をしておりますが、一つが間違った動作をしておりましても、他の二つが正しい動作をしておりますれば、それに合わさって二つのほうを選択するという、ツー・アウト・オブ・スリーという操作をいたしております。これは安全設備といたしましては最も厳格な設備にいたしております。  もう一つ信号保安の原則といたしまして、これは現在の信号でも同じでございますが、すべてフェイル・セーフという専門語を使っておりますが、「間違いは安全側」とでも申しますか、その間違いは安全側というのは全部の保安設備につきまして厳格に使っております。つまり、これは機器でございますから、間違いが絶対にないということは期し得られないのでありますが、間違いが起こった場合には必ず安全側のほうの間違いということでございまして、たとえば信号が青になるべきときに故障が起こって赤になることはあっても、赤になるべきときに間違いがあって青になることは絶対にないということでございます。これは場合によりましては一つ信号のお値段が五倍、十倍になるようなこともあるのでありますが、しかし安全にはかえられませんので、非常に厳格に、いま申しました二つリレーの切りかえ、あるいは三つのうちの二つとか、あるいはいまの「間違いは安全側」といったようなのを厳格に使った設備にしておるのでございます。  それで、それならばロボットを使えばいいじゃないかというお話でございますが、これはまだ少し極端になるのでございまして。人間機械とを比べてみますと、平常同じいつものことをやっておりますのには、率直に申しまして機械のほうが信頼性があるのでございます。これは、ただいま申しましたような安全的な配慮を講じましたもので、保安設備でございますと、平常の作業につきましては、これは率直に申しまして機械のほうが信頼性があるのでございまして、これは間違いというものがほとんど起こり得ないようにつくりまして、しかも間違いがあれば安全側が間違いである。ところが、人というのはその点、三百六十五日働いておりますときに、たとえば青のものを見ましても、ちょっと赤だと間違える、あるいはブレーキをかけてこのぐらいがよろしいと思ったけれどもそれはブレーキが違ったのだということがあり得るのでございますが、信号はさいぜん申しましたようなことで見違えるということは絶対ございませんし、もし間違いが起これば、それは青を赤と間違えることしか起こり得ないことになっております。それらの点から考えますと、それは率直に申しまして、人よりも、平常作業につきましては、機械のほうが信頼性が強いわけでございます。しかし、それじゃ人間は要らないのかということになりますと、これは実は極端なことでありまして、何か異常の事態があったというような場合には、これはやはり機械ではいけませんわけで、何らか異例の事象につきましては、これは人間判断が要りますし、また、たとえば故障が起こったとか、どうしようかというような場合に、機関士自身判断だけではなかなかむずかしいし、駅間距離が平均五十キロメートル以上ございますので、駅と打ち合わせることもできませんので、さいぜんも申しましたように、中央指令とは直ちにつながるということになります。これは、スイッチ一つ押せば直ちに運転指令が出てまいります。そうしてさらに、運転指令を通じまして必要なら駅であるとか保線係員とも連絡をとることができます。逆に申しまして、保線係員あるいは電力係員が線路上を警備いたしておりまして、問題がありますときには、五百メートルおきに電話ボックスを置いておりまして、それによって直ちにこれもスイッチ一つ中央指令が出ます。その中央指令を介しまして必要な運転士とも打ち合わせることができるのでございます。なお、車内につきましても、運転士車掌室とは電話で常に連絡がとれるような状態になっております。それで、ロボットでよろしいということでは決してないのでございますが、日常のきまった作業は極力機械にまかせて、人の判断ではやらないようにする。これは航空機の最近の趨勢なども、大体そういう方向に進んでおると思います。それから、人間人間でなければ判断のできない異常の状態その他につきまして考えるということでございまして、すでに、前回も申し上げたと存じますが、一昨年の六月からモデル線におきまして二百キロ運転をやっておりまして、乗務員をそのときから養成をして、養成した乗務員は一応現場に帰す。これは運転士車掌も保守要員も同様でございますが、そして開業になりますれば、開業間近になりまして車両がそろってまいりますと、また新幹線のほうに戻してくるという形にしておりまして、乗務員も十分にこの車両に対する経験も認識もできておるわけでございます。その認識の上におきまして、はたして一人乗務では、いろいろな場合を想定いたしまして、絶対安全を確保するという点について抜かりのあるものがあるかないかということは、これは当局側も、御指摘もございますように、何をおいても最重点を置いて考えなければならないものであると存じますし、これは労働組合においても全く同様だと存じます。その十分な認識の上におきまして、安全を最大の使命と考えまして、十分に折衝を重ねてこの乗務員問題並びに勤務条件というものはきめることになっておりますので、これがただいま折衝中の段階でございますので、御心配になりますような欠陥ということは絶対にないようにいたす所存であります。
  14. 相澤重明

    相澤重明君 常務がるる説明をされたのは、計器に対する、あるいは機械に対する信頼というよりは、国鉄の技術の進歩をこれは言っていることなんです。私も、国鉄の技術は決しておくれていない。諸外国を回ってみて、いつも言うのだけれども、決して日本の国鉄の技術はおくていない。自信を持っていますよ。私も。それはそういうふうに高く評価をしておっても、今度の新幹線といういわゆる世紀の事業と言われるものに対して、なるほどよかったという結論を出すにはかなり日がかかることは事実なんだ。これはだれが何と言おうと、しかも国鉄が創業をして以来今日まで何十年たっても、事故というものはかなりまだまだお互いに研究しても研究し切れないものが出てくるわけです。いかに常務理事が何と言おうと、現実事故は起きているのです。私自身、桜木町事件をはじめとして、何回かそういう痛い目にあっているわけですよ。そういうときに、いくら総裁が涙を流したところで、大臣が遺族の前でひざまずいたところで、命は返ってこない。だから、そういう事故を少なくとも押えていこうというのが、いま運輸大臣なり国鉄当局の最高首脳部責任でしょう。また、私どももそういうことを、国民信頼される国鉄になってもらいたいということを言うわけですよ。私は何も国鉄の技術が悪いから信頼しないというのじゃなくて、私は国鉄の技術を高く評価をしている。評価をしておって、なおかつ、機械を扱う者は人間だと、こう言っているのです。平常の場合にはなるほど機械が正確に動くのはあたりまえです。そんなことを言っておるんじゃないですよ。これだけの国鉄に対する世論のきびしい、人命安全ということを言われているのに、この世紀の事業と言われておる東海道新幹線を開業するにあたって、どうやって国民信頼を私どもは戻すことができるか、喜んで利用してもらえるか、こういうところに頭があるのですよ。この点について、私は、当局も、私どもも、これは国会といえども違わないと思うのです。みんな一致していると思うのです。ただ要は、先ほど常務が言うように、たとえば横須賀線やいまの東北線のことを言った。確かに私どもが初めやったときには、ドアの開閉はラッチであるし、連結器もいまのような連結器ではない。それは時代の進歩に伴って、技術の進歩に伴って、今日の時代を築いてきておる。その長い間の研究が今日の国鉄をつくってきておる。だから、既往線について、二人乗務を一人乗務にしたのは、それは私は悪いとは言っていない。そこまで私は言っていない。けれども東海道新幹線というのはほんとうに初めてでしょう。そのために、試験もやり、試作車もつくって、万全の備えをとって開業に間に合わせたいというのが、みんなあなた方の苦労なんでしょう。その苦労が、もし国民の若干でもそういう問題について疑惑を持たれたり心配されたりしたら、どうなります。それじゃあいけないじゃないですか。その心配をさせないように、私どもは万全の措置をとらなければいけない。それが、たった三十人や五十人の人間のことで、国鉄ともあろうものが、そういうようなことをやらぬことは、私は情けないと言うのだ。そんなことでどうして安全を確保するということが言えるかと言っているんだ。私は、常務の言うことも、国鉄の正副総裁が言うことも、そして運輸大臣国鉄信頼されてお話しされていることも、喜んでおります。喜んでおりますけれども、なおかつその上に安全を確保してくれないか、そのために一人乗務でいいかということになりますと、やはり若干私自身なかなかそれを理解するところまでいっていない。私自身いっていない。ましてや、国鉄に対して門外漢と言っては失礼だけれども、一般の人だったら、なお危惧の念を持つでしょう。私は、そういう問題については、いまの機械がいいから、こういうふうだから信頼してもらいたいというだけでは、あまりにも機械万能主義におちいっている。こういう人間を無視された計画というものについて、私は良心的にいまの御説明では納得できない。  いま一つ常務に聞いておきたいのだけれども、三十往復というのは一体どのくらいの瞬間間隔になるのですか。
  15. 石原米彦

    説明員石原米彦君) お答えいたします。  時間につきましてお答えいたします前に、一つ言い落としましたので、申し上げます。開業当初に心配ではないかという御指摘がございましたが、これは私どももまさにそう考えております。それで、実は乗務員よりも車両保守要員のほうがはるかに数が多いのでございまして、しかも開業当初は列車回数が少ないために若干の余裕を持っております。それで、実は開業当初は、車両その他につきましても、万々一のことにつきまして懸念がございますので、開業当初にはなるべく余裕のある検査要員を乗務いたさせまして、ちょうど運転士機関士といった形の乗務を極力させるつもりでおります。
  16. 相澤重明

    相澤重明君 そういうことをなぜ早く言わぬのだよ。
  17. 石原米彦

    説明員石原米彦君) 一番肝心のことを言い落としまして、恐縮でございます。したがいまして、前申しましたのは一般的な勤務、乗務の数の問題でございます。  それから、運行時間帯の問題につきましては、ダイヤは最終的にまだきまっておりませんが、大体朝の六時か六時半ころから運行を開始いたしまして、終着が十二時前ということにいたしております。四時間前後というような運転時間でございますので、夜行というのは成り立ちませんので、夜中は運転しないということになっております。  それからなお、運転を開始します。諸列車を動かします前には、各区間別に、上下別に露払い列車運転することに逆転規程で定めます。したがいまして、線路上に支障のないということを露払い列車で確かめましてから一番列車が毎朝発車するということに規程をきめております。
  18. 相澤重明

    相澤重明君 だから、そういうことを早く言うんだよ、全く。ただこういうことでもって一人乗務だと言うから、これは文句を言いたくなるし、これでほんとうに安全確保ができるかということを心配するわけだよ。だから、そういうふうに、とにかくこれが五年、十年たてば、いろいろな経験の上に、また速度等についてももっと向上するかもしれぬし、出せると思うのですよ。それからまた、いまの五百キロでなくて、もっと長距離にもなるかもしれぬ。そういうことはこれからの問題なんだよ。だけれども、いま私どもは、ここに策定して出されるものは、これでやりたいと言うから、これでやる説明を受けているわけです。それでは心配だというのが私どもの言うことなんだ。それで、さか立ちした説明をやるから、長時間文句を言われるんだよ。よけいな心配をかけることになるんだよ。  そこでも私は、「夢の超特急」ということで、三時間で運転をするといったのは、それはいわゆる一般的によくなってからの話であって、当初というものは、この前も説明をさせたように、四時間前後になるかもしれぬ、それでも私はいいと思うのですよ。まず、絶対に安全なんだ、こういう信頼があり、事実そういうふうになっていくまでは、私はあくまでも安全性のある特急運転をしなければいかぬと思うのですよ。だから、何も三時間で走れといっても、それは四時間かかっても四時間半かかってもいいと思うのです。それから、将来の方向としては一人乗務でやるのだけれども、しかしそれまでは、いま言った安全性を確保するためには、たとえば予備員を乗せるとか、あるいは検修員を多くするとか、あるいは助手を置くとか言ってもいいじゃないか。ただ一人乗務だということを真正面から言うから、何を言うのだということになる。だから、こういうところの配慮があれば、私はやはり国鉄人命安全についてこれだけの努力をしておるということを世間に知ってもらえるのだよ。もし、いまの常務が言ったようなことを、私が質問する前の説明国民にやってごらんなさい。だいじょうぶだろうかときっと言いますよ、国民は。私はおそらく十人のうち八人は言うと思うぞ、ほんとうに。そういうことを言わせるようなことでは、新幹線の意味がないのだ。だから、国鉄は絶対安全輸送ができます。人命の安全を守りますということを内外に宣明をする。そのためには、当初計画といえども、こういうふうに安全のために方針を確保しておりますということを私は言ってもらいたいわけだ。どうだ運輸大臣、あなた国鉄信頼しているから一人乗務でいいと言ったじゃないか。運輸大臣、いま一回言いなさい。
  19. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 私は何も一人乗務がいいとは言いません。国鉄がそういういろいろな説明を、ただいま最終的にしたような説明を聞きまして、信頼する国鉄がやっているのだから、私はこれで安全が保てる。安全を保つということにつきましては、あなたの憂えるごとく、私は責任者として多大の憂いを持って、そういうことをなからしめるよう常平生努力いたしております。それから、私が前から申しますように、いかに文明が進んでも、その文明の機械を動かすのは人である、ゆえに人の問題については最善の注意を払うよう常々国鉄に指示しております。それで、賢明なる相澤委員もすぐおわかりになると思いますが、どうぞひとつそういう点で御了承願いたいと思います。
  20. 相澤重明

    相澤重明君 それで、いま常務や、また運輸大臣が率直な御意見を出されたので、まあ少しそれで理解します。理解しますが、そういう国鉄当局が運輸省に対して話をするにしても、そういう理解をできるような話としてもらわぬことには、これはいくら何でもわれわれとしては理解するわけにいかない。まあしかし、いまお話しのようなことで十分理解します。  そこで、理解をするには、当初計画というものはこうやるという計画を出してもらわなきゃいけない。さっき常務は、検修員というような話を出されましたが、たとえば運転の場合の運転士は一人乗務制であるけれども、やはり最初のうちは予備員を置くとか、助手を置くとか、こういう計画の上に、半年とか、一年とか、いわゆるこれが平常に、だれが考えてもよろしいというときまでは、そういう安全確保の方針を出してもらわなきゃ、これはもういいというわけには私はまいりません。そういうことで、ひとつ方針を私はつくって御説明をいただきたい。で、いまここですぐと言ったって、それは無理でしょうから、お帰りになったら——総裁もおるし、鉄監局長もおるのだから、正副総裁運輸大臣を呼んで、お互いにひとつ首脳部が、そういうことで、安全についてはこれだけ努力をいたしておりますからして心配ございませんから、ひとつ御利用くださいということを、ラジオでも、テレビでもやったらいいじゃないですか。そういうことを私は条件にしておきますよ。どうですか。その点、常務いかがですか、あなた。まあ副総裁もおるけれども、ひとつ御答弁いただきたい。どうなんだ。
  21. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 先ほどから相澤先生、この新幹線の安全問題、ひいては国鉄全体の安全問題について、非常に深い御配慮を賜わっておることを承りまして、私どもといたしましても肝に銘じて拝聴いたしておりました。私どもといたしましてももう安全の問題は骨身にしみて考えておりますので、私自身、一年前に戻ってまいりまして、新幹線仕事のいろいろ話を聞きました際にも、いつでもやはり念頭から離れないのは安全問題でございます。その中でも、いろいろ新しい機械等を使いまして、もちろん技術者の意見も聞きまして、技術的には絶対だいじょぶだというふうな、これはもう相当の保証を得ておりますものの、やはり人間が扱うものでございますので、万が一のことがないということは言えないわけでございます。したがいまして、いま石原務理事が申しましたとおり、まず乗務員、ことに運転関係の、直接運転に携わる人間は、これはもう一人でいいということは大体はっきりしております。しかしながら、そのほかに、車両そのものが非常に新しい車両である。機械的にも、非常に新しい機械を積んでいる。どうしても車両の検修関係と、運転関係と、両方わかることが——私は、従来で申しますならば、機関区におります検修要員というものをある程度乗せて、その人間が、運転士の万が一のときに、機械故障等のときに、運転士連絡して補修をするとか、あるいは万が一のときに運転士の補助ができるような資格を持っている人間でございますので、そういったことをするという意味で、あくまでも車両の検修関係人間、これは乗せるところは結局最前部になると思います。したがいまして、そういう意味で、運転士と協力して運転の安全、保安を確保するということを考えておる次第でございます。ただ、それを何カ月やったらいいか、あるいは何年やるかということについては、もうしばらく時間をかしていただきまして、もちろん開業当初は運転士と検修要員ということでもって運転の安全を期してまいりたいと、こういうふうに思っておるわけでございます。
  22. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 いま安全の関係については詳しく伺いましたし、また、われわれもほんとうに、すぐ開業の際における当分の間というか、まあそれは半年になるか、一年になるか知りませんが、その間における運転士が一人というようなことに伺ったので、非常に心配しておったわけで、機械の配置またはその設備等をよく承ると、心配はないように思いまするけれども、やはり初め国民全体のいまの新幹線に対する考えは、乗って安全だろうかということが、スピードの問題と両方非常に心配いたしておるのでありますが、利用を大いにしてもらうというような意味において、やはり当分の間そういう繰り合わせができればそういうふうにしていただくということがよかろうと思います。  それから、私のお伺いしたいもう一つの点は、これは全体の問題になるかとも思いまするが、この機関士ですね。特にこの新幹線のような場合においての運転——先ほどもちょっと触れておりましたが、途中で気分が悪うなる。気分が悪うなるぐらいは、これは自分でわかるからいいと思うのだが、最近非常に一般的にはやっておるのが、精神分裂とか、ああいうものがこの戦後非常にふえておるわけですね。だから、これに対するいわゆる身体検査というか、医学的の検査というようなものは、いままでの運転士さんには定期的に行なうようなことになっておるか、なっていないか。それから、なっていないとしても、一般はまだおいて、この新幹線に乗る、しかも機関士とかという方面の安全に最も関係のあるような方々、あるいはその信号を直接操作するような方々は、やはり定期的な医学的のそういう検査というようなものをやっていただけるほうがいいと思うのですが、この点のお考えはなされておるかおらないか、その点を伺いたいと思います。
  23. 石原米彦

    説明員石原米彦君) お答えいたします。乗務員の適性の検査といたしましては、身体上の検査と、それから心理学的な検査とを採用時にいたしまして、同時に採用後も定期的に検査を現在いたしております。実は過去しばらくの間、労働問題その他によりまして、十分な検査が行なえなかった時期があったのでございますが、最近話し合いがつきまして、再び定期検査を開始するようになってきております。  それから、新幹線乗務員は、いずれも現在線におきまして相当の経験を積みまして、しかも成績のよろしい者を選ぶようにしておりまして、もちろんあらためて採用の試験も、身体並びに心理上の検査をいたしております。それから、新して加わってまいりました検査のし方といたしましては、たとえば、最も突然的に起こります一時的なてんかんといったようなものが、最近脳波検査でよくわかるようになりました。これは一つの医学の進歩だと思いますが、それで最近は脳波の検査も加えまして、てんかんが起こる——これは一時的なてんかんというようなものもありまして、わりあい気づかれずにおったものもあるのでございますが、それが一番こわいわけでございますが、それらも予防的に摘発できるようになりましたのでございます。
  24. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 このいまの定期検査というのは、これはどういう期間にやることになっているか、その点を伺いたいのですが。初め採用の際に、てんかんだとか、それから少し心身病弱だとか、そういう者はもう採用のときにわかりますけれども、これはそれをやっておるから安全だというわけにいかない。最近は非常に精神分裂とか、それからこれは非常に心配等がふえた場合には妙な精神状態になる。それが常時的に転換していくというようなことが非常に全体に多いのですね。特に運転なんかについては、定期というのか、何年目に一ぺんというようなことじゃ私いけないのじゃないか。これは、組合問題があっても、しいて、やはり新幹線については両方面からそういう点を、受けるほうも苦にしないように、またやるほうもがっちりひとつ相当の期間、六カ月なら六カ月というか、そういうところでやはり見ていただかぬといかぬのじゃないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  25. 石原米彦

    説明員石原米彦君) これは、運転関係従事員を二段階に分けまして、運転士を特に厳格な、つまり短い期間に厳格な試験をすることになっておりまして、操車掛とか、第二番目の者と期間を分けております。たしか、私ちょっといま記憶しておりませんが、二年に一ぺんということにしておったと思います。二年に一度いたしまして、若干でも危険のと申しますか、注意を要するという問題ある者については細密検査をいたしまして、さらに翌年、毎年といったような、期間をきめまして細密検査をするというような方法をとった。なお、新幹線につきましては、御指摘のございましたように、保安関係全体につきまして、従来の鉄道と一けた、二けた上の注意を払っておりますので、こういう要員、人的な安全管理という問題につきましても、従来の規定以上に厳格に行なわなければならないかと考えますので、この点はなお研究いたしまして、人数も少ないことでございますし、実施するように研究いたしたいと思います。
  26. 相澤重明

    相澤重明君 この前の委員会で、当面は旅客列車だけ、東海道新幹線はね。貨物列車については、その旅客列車運行して、その後にまた考え——東海道新幹線の当初画計の中には、旅客貨物を輸送すると言ったが、いま十月の開業を目前にして、貨物は直ちに運転はしない、こういう話だったと思うのですが、そうですか。
  27. 石原米彦

    説明員石原米彦君) そのとおりでございます。
  28. 相澤重明

    相澤重明君 貨物運転するとすれば、いつごろからやる計画なんですか。
  29. 石原米彦

    説明員石原米彦君) 貨物につきましては、根本の方針としては前から運転することにきめておりますが、安全の問題一つにつきましても、非常に研究、さらに検討すべき問題がたくさんございます。たとえば現在線につきましても、大きな事故の原因、第一原因になりますのは、大体貨物列車でございますが、貨物列車並びに貨車というものに対しまして現在一般的な再検討を加えておる実は段階でございます。大いに反省をいたしております時期でございます。これは他の機会でもお聞きいただいたと思いますが。したがいまして、新幹線につきましては、在来鉄道よりもけた違いに安全を考えなければなりませんので、一応考えておりました貨物輸送方式あるいは車両形態というようなものもはたしていいかどうかというようなところから根本的に考えてみる必要があると思います。そうなりますと、今度はひるがえりまして、それが経営的に従来考えていたような採算とどうなるのかというようなこともまた再検討してみなければなりませんが、いろいろ根本的に検討しなければならぬ問題がたくさんございますので、これからこの問題を解明していかなければなりませんので、現在いつならば大体貨物輸送を始めるということはちょっとお答えできない段階でございます。
  30. 相澤重明

    相澤重明君 それはそれでけっこうです。そういうことで、当面国鉄は、新幹線については、上等列車というか、特急、急行というか、そういう旅客列車でどういう計画でやるかというようなことを、これはもうなるべく早く私は出す必要があるだろう。そのダイヤ改正が十月だから、十月開業だから、九月にそれを発表すればいいということであっては、これはいけないと思う。それが従来の国鉄の営業のやり方ですね。私はむしろ早目に、こういうふうにお客さんが東京から大阪に行って、大阪で仕事をして東京に帰ってくるというようなときにはこうなるということまでつけ加えて私はPRをすべきではないか、営業マンになり切ってもらいたいという気持ちがあるわけですね、安全性を確保さえすれば。そういうことで、計画というものは、非常に慎重を要すると同時に、この十月開業ということでいくならば、私はなるべく早くそういう点をつくってほしいし、またお示しいただきたいと思うのです。  それからいま一つ常務に伺っておきたいのですが、この間のお話では、東海道新幹線については、鉄監局長、支社をつくると言っておりましたね。これはどういうことですか、本社の中に新幹線総局というようなものなのか、あるいはいまの鉄道管理局をまとめているところの支社という単位の支社をつくるのか、新幹線だけの支社をつくるのか、そういう点いま一度御説明していただきたい。
  31. 石原米彦

    説明員石原米彦君) 新幹線を運営いたします組織に関しまして、現在は本社内に新幹線局というのがございまして、その下に四つの新幹線工事局がございまして、これは工事を担当しております。それから、いよいよ運営を始めますときには、新幹線支社がこれを担当いたしまして、その下に各業務別に運転所、電気所、保線所、それから経理資材所、車掌所というような組織を置くことになっております。この支社の性格は、現在国鉄には九支社ございますが、その中の六支社は下に管理局を持った支社でございます。三つの支社は、支社兼管理局といいますか、支社だけになっておりますが、今度できます支社の機能は、大体この支社兼管理局といったような性格のものになりまして、じかに現場機関——非常に規模の大きな現場機関になります。各所を下に、命令をするというかっこうになります。現在は、すでに支社は幹部を全部任命しておりまして、本社組織である、工事組織である新幹線局と、それから支社とが、過半の者が兼務でやっているといったような段階でございます。
  32. 相澤重明

    相澤重明君 そうすると、結局は東海道新幹線というのは、まあ国鉄の一部門であるから、人数も四百人前後の少ないものであるから、地方のいわゆる支社、日鉄法できめられた役員を持つ支社というものではなくて、兼務をされるものだと、つまりまあ俗に言えば、部長クラスを格上げした局長クラスと、こういうことですか。そんなことですよね、これは。兼務ということなんだから。そんなことですかな。
  33. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私から御答弁申し上げます。いま石原務理事が申し上げましたことを補足いたしますが、現在、現時点では、本社の中に新幹線局と、それから新幹線支社と、二つ置いてございます。で、十月一日以降は、新幹線局を廃止いたしまして、そして新幹線支社が、たとえば関東支社と並びまして、東海道新幹線だけ受け持つということになります。その支社長は、いまの予定では、実は新幹線をつくります際に国会で御承認をいただきまして、工事担当の、新幹線工事をやる担当の理事を一人増員さしていただいて、法律改正やっていただきして、その際に、新幹線ができたら、その理事は運営のほうの理事に回していただくということで、その当時御説明で大体御了承を得ておりましたので、そのときのお話のとおり、十月一日以後におきまして、新幹線のいままで工事担当をしておりました理事定員を近い将来新幹線の支社のほうの理事定員に回すというふうにいたしまして、そして新幹線は支社長は理事でもって運営してまいります。そのときには新幹線局はすでに廃止されておると、こういう形に持ってまいりたいと思っております。
  34. 相澤重明

    相澤重明君 そうすると、日鉄法の改正を必要としないわけだ。いまの理事を今度支社長に発令をすればいいわけですからね。そうですか、それならいいけれども、さっきの兼務というようなことになると、いわゆる地方の管理局長権限ぐらいだというと、私は新幹線というものに対してのまた認識の問題にもなってくるから、国鉄が比較的力を、四千億にもなろうとする膨大な投資をしながら、案外に簡単に考えてるんじゃないかという気がしたわけです。それはわかりました。  それで、当初の営業係数なんかも、この前御説明いただいたかどうか、私もはっきりしないのですが、たとえば、旅客専門でありますが、十二両編成でどのくらいの旅客が輸送できるのか。一等の場合は幾人、二等の場合は幾人ということになると思うのですよ。そういうような営業係数的なものも、この前こまかい説明が私まだなかったと思うのですがね。そういう試算はあるのですか、どういうことですか、常務ひとつ。
  35. 石原米彦

    説明員石原米彦君) 一応の試算をいたしております。大体定員は、一個列車定員千人ちょっと欠ける程度でございます。それで最初の試算では、大体九〇%程度の乗車効率を考えまして、それで計算をいたしておるわけであります。ただ運賃は、現在の運賃と同じでございます。現在線の線増でありますから、運賃は東海道線と同じでありますが、料金を、従来の特急よりも速くなりますので、どのくらいにきめるかというのは、まだ本ぎまりしておりませんので、厳密な試算にはなりませんが、一応の見当をつけた試算をしておるという段階でございます。
  36. 相澤重明

    相澤重明君 まあきょうの答弁では、それ以上ここでしろと言っても無理だと私は思うのですが、私は、東海道新幹線にこれだけの投資をしたということは、やっぱり出すべきであるし、それからそのためには、この程度の運賃、料金というものは必要であるということも、やはり私は出すべきではないかと思うのですよ。で、いわゆる適正な運賃、料金というようなものが出ていないと、やはり国鉄は、国民の立場からいけば、政府関係機関であるから、こういうものも安くすることについては変わりはないと思う、国民が望むのは。けれども、やはり新幹線に対する投資額というものは、従来のことから考えれば、私は非常に大きなものだと思う。そういう面で、単に、この間石田総裁は、予算委員会関係委員会における質問に対して、来年度の運賃値上げということをほのめかしておりますけれども、私は、そういうことより、国鉄経営というものについての正しいあり方というものを早く認識してもらう、また新幹線のようなこういう世紀の事業については、そういうことが私はやはり理解をされるように出してもらいたい、こう思うのです。そういう面について、いまの試算表があり、またそういう御計画があるならば、そういうものを資料として提出願いたい。それも十月にならなければできないというばかなことはないと思う。運輸大臣、そうでしょう。十月開業を予定しているから、その前にできるはずだと思うのです。運輸大臣だって、そのくらい国鉄に催促したっていいと思う。そういうことで、国鉄首脳部のほうで早急につくったら、それを運輸大臣の了解を得て、当委員会資料として私は提出してもらいたいのですが、これは鉄監局長のほうの作業状況はどうですか、そういう面。
  37. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) 新幹線の運営をいかにするかということで、もちろん運賃、料金を含めまして、なるべく国民に早く御理解を願うという立場から、作業を鋭意国鉄において進めておるわけです。したがいまして、関係方面の了解が得次第、なるべく早く国民に御理解いただくと同時に、当委員会にも作業が終了すれば資料として提出いたしたいと考えております。
  38. 相澤重明

    相澤重明君 全線試運転ができるというのは、これは七月ですか、八月ですか。
  39. 石原米彦

    説明員石原米彦君) 八月初めには必ずできるのでございますが、工事が予想以上にうまくいっておりますので、七月一ぱいで全部つくって、電気を通して、八月一日から運転を始めて、二カ月間全線試運転するという予定でおったのですが、工事がいまのところうまくいっておりますので、七月下旬中に全線試運転を開始できると思います。幾日になりますか、これからの工事の進みぐあいできまります。
  40. 相澤重明

    相澤重明君 私は、委員長に希望しておくのですが、できれば、やはり運輸委員会としては、全線試運転ができる当初、その試運転ができるというときには、やはり試乗してみたいと思うのです。国会がそういう点についても十分認識をして、国民皆さんに安心して利用してもらえるということを、なるべく早いほうがいい。いまの御説明ですと、八月早々にはおそくもできるということなんだから、いまの工事の進捗状態では、七月一ぱいでできるかもしれぬという。だから、八月の委員会をここで集まったら——集まってけっこうですから、集まったら、それで試運転に乗るということで、これは委員長、いまから国鉄や運輸省に言って、委員長からそのスケジュールをつくって委員会の開催をきめてもらいたいと思う。八月はどうせ一回は来なければならぬ。そういう意味で、八月早々にやると、これは委員長に私は意見を出して要望しておきたいと思う。そこで、できるならば、そのときに運賃、料金というものはこうなるというくらいの作業はできないものか、これは副総裁どうですか。
  41. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) その点につきましては、そのころまでにはぜひ間に合わせなければならないと思ってやっております。たぶん間に合うと思います。もちろん、大臣の認可その他ございますので、私ども現在検討しておりまして、大体ことしの予算の過般御承認願った中にも、すでに収入二百五十六億概数をあげてございますので、大体めどはつけております。運賃は現在のままで、料金は運賃を含めまして大体現在よりは三割ないし五割増程度という目安をつくって、ただ各場所によりまして少し違いますが、全体としてそのくらいの運賃収入の計算をしておりますので、それらを基礎として、もう間もなく詳細な運賃表をつくりまして、運輸大臣の認可をいただく段取りにいたしておりますので、八月ごろには間に合わせるつもりでおります。
  42. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 関連して。いま運賃料金の問題決定がまだということですけれども、世銀の借款に対する条件というか、責任というか、そういう意味において、新幹線は別の支社でもやるというふうにも伺うし、だかな結局独立採算制みたいな形か、あるいは国鉄予算内においてどういう程度の収入をあげなければならぬ——それはもちろん貨物と両方を運転するようになってからのこともありましょうが、とりあえずということで、旅客だけの場合にはそのとおりできないかもしれないが、そういういわゆる責任額というようなことが一応拘束されておるんですか、ただフリーですか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  43. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) その点については、世銀との間には一切交渉はございません。しかしながら、やはり国鉄といたしましては、先ほどからのお話のとおり、約四千億近い膨大な投資をしておりますので、十分部内的に収支計算だけは明白にいたしたいと考えております。世銀に対しては何の義務も持っておりません。ただ利子を払うことと、そういう既定の償還の年限内に返せばよろしい、それ以外に全然拘束を受けておりません。
  44. 相澤重明

    相澤重明君 先ほど副総裁が、私の希望する運輸委員会が試運転に試乗するという時期ごろまでには運賃、料金の問題もできるではないか、こういうことですが、これは運輸大臣もうちうちのことですから、ですから、あなたが認可するといっても、それはあくまでもそういう内容を検討されていけばいいわけですから、ひとつ十分御連絡をとっていただいて、少なくとも運輸委員会が試乗するときには、アピールができる、こういうものだということでひとつ御提示をいただきたい、こう思うのです。これは運輸大臣やっていただけますか。
  45. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) 先ほど御質問がございましたが、国民一般もこれについては非常に関心を持っているわけでございまして、新幹線が開業した場合にどういうかっこうになるか、運転の安全の面、あるいは運賃の問題、料金、非常に関心を持っているわけでございますから、運輸省といたしましても、なるたけ早い時期に、いまおっしゃいましたように、八月の上旬というふうなことをめどにいたしまして、なるたけ早い時期に部内の作業を完了して、一般に公表したいというふうに考えております。
  46. 米田正文

    委員長米田正文君) 相澤君の先ほどの試乗するという申し入れがありましたが、その点については、理事会において相談をして、皆さんに結果を御報告いたします。
  47. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、いまの私の委員長に対する要望については、委員長理事打合会でおきめいただいて、御通知いただきたい。  それから、先ほど申し上げた当初の運転計画については、先ほどの運賃、料金の営業計画についてももちろんですが、国鉄職員の計画については、ひとつできるだけ早く計画を御提示いただきたい。そのことを資料として私は要求をして、午後また小委員会があるようですから、私はきょうはこれで終わりたいと思うのです。資料はいいですか。
  48. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) なるたけ早い時期に提出をいたします。
  49. 米田正文

    委員長米田正文君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  50. 米田正文

    委員長米田正文君) 速記を起こして。  暫時休憩をいたしまして、午後再開をいたします。    午後零時三十八分休憩      —————・—————    午後二時十六分開会
  51. 米田正文

    委員長米田正文君) 休憩前に引き続き委員会を開会いたします。  質疑を続行いたします。
  52. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 午前中にも、安全輸送確保について、同僚の相澤議員並びに金丸議員等々の方々の質問がございまして、いかに新幹線が開業するにあたって安全が大事であるかということを、ただ単に乗務員の問題だけ取り上げてみても大事であるかということを如実に示したものだと私は思うのです。  そこで、私は多少角度を変えて、この問題を政府並びに国鉄のほうに質問をいたしたいと思います。本来運輸大臣がおいでにならなければならない関係もございますけれども、衆議院の本会議が開会さておる模様でございますので、私はあとでその関係については運輸大臣がおいでになってから伺いたい、こう考えておりますから、関係の方々もそのようなつもりでお答え願いたい、こう考えます。  提案理由を見てまいりますと、大体六項目に分かれて、しかも鉄道営業法に規制していないものを今回特別立法として規制をしていく、こういうことになっているように伺います。しかも、こういう措置をとることによって列車運行の安全の確保をするのである、万全が期せられる、こう書かれてありますから、この法律の中に流れております一貫の思想というのは、私はこのあとあと具体的に書かれてあります。第一に東海道新幹線の用に供する自動列車制御設備等の運行保安設備を損壊し、その他機能をそこなう行為、あるいは第二に、これらの運行保安設備をみだりに操作する行為、第三にこれらの運行保安設備を損傷し、その他機能をそこなうおそれのある行為、四つ目には列車運行の妨害となるような方法で、みだりに物件を線路に置き、またはこれに類する行為、五番目には線路にみだりに立ち入る行為、六番目には走行中の列車に向かって物件を投げ、または発射する行為、こういうものを処罰をしていく。ですから、言いかえますと、処罰法がこの法律の私は中心になっているんじゃないかと考えるわけです。そこで、これは基本的な考え方になるわけですけれども一体国鉄の今日の安全確保というものは、罰則をしたり、いまこの特別立法としてここに制定せんとしておりまするこの提案にかかる六項目だけで、一体安全というものが確保されるものかどうかということなんです。そのよってきた考え方を私は明らかにしていただきたい、こう思います。で、私はもとより、処罰をしたり、あるいは刑罰を過重にして取り締まっていくということも必要であろうけれども国鉄の安全というものは基本的には、そのことのみではなくして、本質的に別なものがあるのではないか。特に今度の場合は、東海道の新幹線というものは非常に高速度で走行するために、重大な何か結果が発生するおそれがあるのでと、こう申されておりまして、ただいま申し上げましたような営業法に規制していない六つの問題を処罰をしていく、これで万全だと、こう書かれてあります。ですから、私はこのことだけで万全であるかどうかというと、残念ながら私はそうではないと言わざるを得ない。ということは、先ほど申し上げましたように、基本の問題としては、本質的にこういうところに私は本質があるとは思っていない。一つ意見を申し上げますれば、午前中にも石原務理事から、それぞれの設備なり、施設なり、あるいは機械についての保安度の説明がございましたが、私どもとしては、やはり基本となる考え方というものは、高速運転に適応した諸施設をまず第一に完備をしていかなければならぬのではないか、そのことがより重要ではないか、こう思うので、どうもこの提案理由の説明を見ますと、ただ単にこれは営業法に規制していない関係の部面を規制をして処罰をしていくというようなことになっておりますから、重ねて申し上げますけれども処罰法に変わってきているんではないか、こう思うので、つまりこの法律を制定せんとした考え方をひとつお聞かせを願いたい、こう考えます。
  53. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) この法律を提出いたしました基本的な考え方ということでございますが、東海道新幹線は時速二百キロメートルという世界的に非常に高い速度で運転されまして、在来の鉄道と比較いたしまして非常に違った特殊性を持っていることは御承知のとおりでございます。第一に、非常に高速であるために、運転方式が在来線とは全く異っておりまして、たとえて申しますれば、現在東海道を走っております「こだま」クラスの最高時速は百十キロでございますが、これに対しまして約二倍の時速二百キロメートルという高速で、したがいまして、たとえば例を非常ブレーキにとりましても、「こだま」の約五倍の二キロメートルが必要であるということになっております。まあ運転方式を申しましても、在来線は運転士信号機と進路の状態を肉眼で確認をして運行させるという運転方式でございますが、この間ごらんいただきましたように、新幹線におきましては、自動列車制御設備等、この一連の運行保安設備によりまして列車運行させる新方式を採用しております。それから特殊性の第二は、万が一事故が起きました場合を想定いたしますと、被害がきわめて大きくなるということが考えられるのであります。そういったことから、この特殊性にかんがみまして、列車運行の安全を確保するために、保安設備といたしましては、自動列車制御設備——ATC、それから列車集中制御設備——CTC等のすぐれた技術的な設備を採用しておりまして、また運転士の教育等の面におきましても、モデル線区におきまして、音速運転に適応いたしました医学的あるいは先ほどの心理学的なテストを経ました最も適応した乗務員に対しまして最高の訓練を施しております。また、施設面におきましては、全線にわたりまして道路と鉄道との立体交差をすることによりまして踏切事故は絶無である。また、線路内への立ち入り、物件の落下等を防止するために、必要な個所には厳重な防護さく等を設置しております。なお、風水害等の天災の防止の面につきましても、在来線におきます各種の災害の経験からかんがみまして、路盤、橋梁等を風水害に対しまして十分な設備をするとともに、沿線の必要な個所には風速計を設け、あるいは風速が一定限度を越えましたら運転停止等の措置等を考えておりまして、要するに、以上いろいろ具体的に申し上げましたように、人の面あるいは設備の面で考えられるあらゆる施策を施しておるわけでございますが、このようなあらゆる措置を講じましてもあえて行なわれます列車運行の安全を妨げる行為につきましては、先ほど申し上げました新幹線の特殊性にかんがみまして、万一そういうことが行なわれますと重大な結果を発生するというふうに予測されますので、万全を期するために、ただいま御審議を願っておりますこの法案を提出をしておるわけでございます。要するに、人の面あるいは施設の面で考えられますあらゆる方策を講じておるわけでございますが、あえて万一いろいろ運行の安全を妨げる行為に対しましては、この特例法による罰則によりまして、そういった事柄が起きないように、予防的措置を講じたいというふうに考えておるわけでございます。
  54. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 鉄監局長の答弁で、あらゆる設備関係あるいは人の関係考えられる点は最高度に考えているということで、そうした御心配はないという意味の答弁なんで、私はそれを否定しているわけではないです。たとえば路盤にしても、あるいは信号にしても、あるいは線路の保守体制にしても、全く国鉄が在来線と違って新しい方式なり新しい諸設備をしたということは、私どももそれぞれの現場を見てある程度承知しておりますから、そういうことを私は否定していない。ですから、そういう具体的な問題についてはあとあと質問することにいたしますけれども、そういうことではなくて、そういうことをあなたは完ぺきにしたから、あとより万全を期するために、営業法にない関係のものを罰則規定を設けて——しかも明治三十三年にできた法律ですから、科料が十円などというものは、これはまさにいまの貨幣価値から見て話にも何もならないものですから、そういうものを、たとえば罰金五万円であるとか、あるいは刑量をさらに過重にしてやる、こういうことで万全を期する、こういうような意味のことだと思うのですね。ですけれども、私は、そういうことのみしても、国鉄の今度の場合を含め、在来線の場合も含めて、安全輸送確保という見地に立つと、多少的もはずれていやせぬかと気になって聞いているのです。もう少し具体的に申し上げますれば、新幹線ができたからといって、これだけについて特別な法律を制定するというようなことは、たびたびこの委員会でも関連質問されたようだけれども、現在ございます鉄道営業法であるとか、あるいは刑事訴訟法であるとか、あるいはもっと範囲を広げてまいりますと、破防法という法律もございますから、こういう法律がございまするので、その体系上からも、私は多少問題があるのじゃないか。ある意味においては誤りがあるのではないか。つまり、安全というものは、その安全の度合いによって、危険率であるとかあるいは危険の度合いによってそれぞれ個個の法律を制定しなければならないという結果論になりやせぬか、こういう法律をつくることによってですね。ですから、そういう立論的な根拠に立ってまいりますれば、これはとっぴもない話を私はしますけれども、危険度とかあるいは危険率から見ますれば、確かに東海道の新幹線を起る列車は時速二百キロの高速度で走りますから、これはまあその現場を見ようと見まいと、人間の常識としてかなり危険度の悔いということは了解できると思う。できると思うが、ではしからば、今日一分間ないしあるいは三分見当ぐらいで運転している国電のごときは一体どうなるのか。あるいは、だんだん文明が進みつつある段階ですから、それぞれの乗りものはすべてスピード・アップされていくという傾向は、これは何人も否定できないと思う。そういう場合に、今度のような新幹線ができたからといって特別立法をつくるということになりますれば、一つの例だけれども、国電関係の特別の法律を制定しなければならぬとか、あるいは山陽線なら山陽線の特別の法律をつくらなければならぬとか、あるいはまた東北本線の特別の法律をつくらなければならぬ、こういうことになっていくと私は思うのですね。ですから、そういう法律を分類していくということは、法律論からいって、法律の体系からいって、現在ある法律とは非常に矛盾してくるではないか。この法律のよしあしは別ですよ。新幹線ができたからといってこういう法律を特別につくるというものの考え方ですよ。こういうことになりはせぬかという気がするのです。私はむしろ、国鉄の安全を確保するということであるならば、総合的に、在来線を含めて全般的に問題を検討して、営業法にないとするならば、営業法を改正をする。しかも明治三十三年に制定された法律ですから、前の委員会でもいろいろこれは各委員から質問されたように、科料にしても、あるいはそれ以外の条文にしても、今日的な国鉄の段階から見ますれば、多々問題があるわけですし、しかも加えてILO条約が、批准されるされないという問題はさることながら、今国会にそういう問題がすでに提案をされて、国内法の改正とともに、将来国鉄は営業法を改正しなければならぬという方向にあることは間違いないと思う。先般の委員会でもあなたが答弁したように、その関係の調査会なりあるいは審議会等とでも申し上げましょうか、そういうところでいま種々検討を加え、あるいは議論していると思うのですよ。ですから、いま申し上げたような考え方に立てば、当然鉄道営業法というものを改正して、新幹線だけでなくして、総合的に、前に一つの例を申し上げたように、全般の国鉄というものの輸送の安全確保をするような法律体系にするのが至当ではないか、私はこう思うがゆえに、最初の第一回でその考え方を聞いたのです。こういう点で、鉄監局長なり、あるいは国鉄の副総裁、あるいは石原務理事でもけっこうですが、ひとつその基本考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  55. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) ただいまのお尋ね、まことにごもっともな御質問だと考えております。私どももいろいろ考えたのでございますが、いま先生も御指摘になりましたように、刑法との関係、あるいは鉄道営業法との関係をどうするかというお尋ねかと存じます。さらにはまた、現在の鉄道の保安の確保が十分であるかどうかというようなことかと存じます。刑法には、妨害行為に関連いたしまして、往来危険罪あるいは器物損壊罪というものがございます。また鉄道営業法にも各種の規定がございますが、私どもがどうして鉄道営業法と別個の法体系としてその特例法を提出しておるかというお尋ねかと存じます。まさに仰せのとおりに、ここが非常に問題でございます。この理由といたしましては、新幹線は、先ほど述べましたように、在来鉄道に比べまして非常に高速であるということによりまして、いわばやや質的に異なっておるのではないかというとらえ方をしております。それにまた開業を本年の十月一日というふうに目前に控えておりますので、特に非常に高速であって、在来鉄道と比べましてやや質的に異なる、それから営業の開始を十月一日に控えておって非常に緊急を要するということから、この特例法を御提案をしておるわけでございます。しからば在来鉄道については鉄道営業法で十分であるかどうかということでございますが、この点は私は非常に問題があると考えております。と申しますのは、御承知のように、鉄道営業法の制定というものは非常に古いわけでございまして、現在の非常に発達した鉄道輸送という点から申しましても不備な点がたくさんございます。したがいまして、鉄道営業法というものは、時代に即応いたしまして改正する要があるというふうに考えておりまして、これは、罰則のみならず、全般的でございます。それで、現在、政府におきましては、鉄道営業法の全面改正を目下検討中でございまして、臨時鉄道法制調査会という運輸省の付属機関を設けまして、ここで、有力な学識経験者にお集まり願いまして、慎重にただいま検討中でございまして、この結論は、現在の作業では、本年度一ぱいはかかるというふうに考えております。発足いたしましてから大体まる二年でこの結論を出そうとしておるわけでございまして、この十月一日にはちょっと間に合いかねるということでございます。鉄道営業法とは一応別個に、新幹線に限りまして、先ほど先生も御指摘になりましたような、大体六項目につきまして特別な罰則を設けたいというふうに考えておるわけでございます。まあ法体系という点からもあるいはさらに再検討する必要が生じてまいるかもしれませんが、現在の段階では、新幹線の特異性にかんがみまして、緊急に必要な最小限度の罰則を整備したいというふうに考えておるわけでございます。なお、このような考え方は、たとえば道路交通にいたしましても、道路法に罰則規定がございますが、高速自動車国道法にもまた高速自動車国道の特殊性にかんがみまして罰則を規定しておるというような立法例もございますので、一応鉄道営業法とは別個に、新幹線運行の安全を確保するために、罰則規定をぜひ御制定願いたいというふうに考えておるわけでございます。
  56. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 鉄監局長の答弁だが、後段に申された、営業法改正については、考えておるけれども、時期的に十月の開業に間に合わない、であるから、法律を分類して、今度提案をしていると、こういう趣旨でございますれば、ある程度私は、やむを得ない事由ですから、理解できるわけです。ですけれども、どうも答弁している間にそれがちょっと変わってですね、つまり質的に在来線から見て全く異なっている、こうお答えですが、全く異なっているというのはどこをさして言っているのかようわかりませんがね。とにかく、二百キロの高速度で走るということだけだと思うのです。ですから、それに対応するような諸設備国鉄があらゆる技術研究所で研究をして施したというもので、それほど在来線とそれ以外に質的に異なっているという点は私はないと思うのです。ですから、いま道路の関係の一例をあげて、たとえば高速度道路についてもこういう法律が特殊性を認めてもらようために制定されておる、こう言っておりますけれども、これは道路は、例にあげましたけれども鉄道の場合と違うと思うのですよ。これは公団とか何とかで別に一つの企業を起こして新幹線を運営させるということであれば、私はある程度理屈としては肯定せざるを得ないと思うけれども、本来の国鉄の業務の中で、その一環として営業をされていくものでしょう。ですから、そういうものだとすれば、私は鉄道業務の中で安全確保というものは新幹線だけではないと思う。いま鉄監局長が申されたように、質的に多少変わろうと、あるいは機能、条件の相違はあっても、全線区に安全確保という問題は必要である。これは何人も言を待たない私は理論ではないかと思う。ところが、これは新幹線だけ法律を分類をするということになれば、先ほどもちょっと例に申し上げたけれども、やがてたとえばそういうことに僕は将来なり得ることと思うけれども、福岡から長崎なら長崎までやはり二百キロぐらいで走る列車を通すかもわかりませんよ。その場合にもやっぱりこれと類似した法律を分類してつくらなければならぬということになりますよ。それから、国民の要望としていま盛んに唱えられて、それに運輸省並びに国鉄当局がこたえるような施策として、青函のトンネルならトンネルをいま建設しようとしているわけです。いまパイロット素掘りしているわけですから、これが完成した場合にどうなるか。従来は海の上を船で貨車航送で連絡をしておった。あるいはお客を青森と函館間輸送しておった。こういうものは、今度は全く質的に——深さ百メートルにならぬか知らぬけれども、質的に変わった輸送方法をとって業務を行なわなければならぬ、こういうことになりますね。これも特殊性のあるものだと思う、あなたの答弁からすれば。そういう場合も、やっぱり法律を分類して制定しなければならぬということになるのじゃないですか、その理論からいくと。だから私は、そうではなくて、鉄道全般の安全確保の法律としては完ぺきではない。明治三十三年制定ですから、むしろ私はいまの時点では欠ける面がたくさんあると思うのです。思うが一応、安全確保の見地から鉄道営業法というものが制定されていることは間違いないわけですから、とりあえず新幹線の問題が、十月から営業開始しますから、当面の問題として出てくるのであるが、もしそれが必要であるとするならば、この法律の中で新幹線というものの特殊性を確立するように法改正することが私はたてまえではないかと言うのです。そうしてまた、先ほど例に申し上げたような福岡−長崎間でそういうものが将来できた、あるいは青函隧道ができたとすれば、そういう場合も一貫した鉄道営業法という法律の改正でぼくはこと足りるし、その性格を強めていくことが筋道ではないか、法律論として、法律の体系としてそういうものではないか、こう僕は聞いているのです。どうですか。
  57. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) ただいま吉田先生の御指摘になりましたのは、確かにそういう考え方も非常にごもっともな点が多いかと存じます。私ども鉄道営業法の改正でいいのではないかという考え方をしておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、鉄道営業法はただいま臨時鉄道法制調査会で検討中でございますので、まず十月の改正には間に合わないという技術的な問題があります。それから、立法論といたしまして、鉄道運転の安全を確保する、在来線も新幹線も含めまして全部一本にするという考え方もございますし、それから、先ほど申し上げましたように、在来線とは質的にかなり異なっておるということから、新幹線だけを一応把握いたしまして特別法をつくるという考え方もございました、その辺は、どちらが適切であるかという議論はございますが、先ほど申し上げましたように、とりあえず十月の開業に間に合わせるということ。それから、鉄道営業法の改正が目下進行中であって、急に間に合わせるわけにいかぬということでございまして、東海道新幹線だけを把握いたしまして罰則を規定いたしたいと現在考えております。  なお、これは先の話になりますが、鉄道営業法の改正が結論を得ます時期になりました場合には、臨時鉄道法制調査会の学識経験者の方々にも十分おはかりいたしまして、この新幹線の特例法と常業法の関係をいかに調整するかということはもちろんおはかりをするつもりでおります。
  58. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 かなり突っ込んだ答弁になってきましたから、ここで私は重ねてお伺いしますけれども、ざっくばらんに言って、今度の十月の営業開始までに、鉄道営業法を全面改正の方向をとっていま諮問機関でやっておるわけですね。臨時鉄道法制調査会というところでやっているのだけれども、それは法制化までには間に合わない。このウエートが僕はかえって大きいのじゃないかと思うのですよ。だから、いわば暫定的な、暫定制度とでも申し上げましょうか、そういう考え方に立って、とにかく十月の開業に、いまの鉄道営業法ではまだまだ不完備であるし、しかも、もう一つは、あなたが答弁されたように、一朝事ある場合に、重大な、国の財産あるいはとうとい国民の生命を奪っていくというような問題があるわけだから、したがって、それの対応措置として、とりあえずは、営業法に欠ける部面の、私ども私が読み上げました六項目にわたる罰則だけを設けておきたい、こういう気持ちのほうが先行しているのじゃないかと僕は思うのですがね。それならそれで、すなおにそういうものの言い方をして提案されれば、私どもは、間に合わぬものを間に合わせろったってこれはできっこないのですから、その段階ではやむを得ぬものとして、中身を、できるだけ安全輸送を確保するということは、一つには鉄道を扱っていく鉄道側の使命でもあると同時に、国民全体の問題ですから、そう変な、私のほうはこの法律を扱う場合にいやがらせを言ってみたり、あるいはこじつけて物事を聞こうなどということにはならない。ですから、むしろそういう、いま多少触れたけれども、そういうやはりすなおな私は答弁をしてもらわないと、どうもやはりこの法律の立論からしても、これはぴたっとこない。あわせて、現在の法律の体系からいったってそういうことに矛盾が出てくるのではないかということになると思うのですね。ですから、こういう点でひとつぜひ、いま言ったような事柄が重きになってこの法律を制定せんとするならば、明らかに暫定的な性格が非常に強い、暫定的なにおいが強い、こういうことになろうと思うので、ただいま進行中の臨時鉄道法制調査会の中で、先ほど若干例に申し上げたようなもろもろのこと等を勘案されて、この問題も、含めて、今度の新幹線をも含めて、鉄道業務全般にわたっての安全確保についての見地から一つの方向を出す、できるものであればですね。鉄道営業法のおそらくは全面改正ということになるでしょう、明治三十三年くらいの法律ですから。そういう方向でひとつ検討してみる必要があろうから、私は端的に言って、前向きに検討していただきたい、こう思うのです。
  59. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) 私の気持ちも大体先生と同じようなことを考えておりまして、きわめてすなおに申しますと、まあ立法論としてですね、なるべく一つの法体系にまとめるという考え方、それからあるいは新幹線が特殊であるということで特例法でとらえるという考え方、両方ございますが、この辺の利害得失というものは、立法技術的にも十分検討しなくちゃいかぬというふうに考えております。  それで、先ほど来申し上げておりますように、まあ時期を別といたしますれば、鉄道営業法の全面改正、これは罰則だけではございませんで、罰則の中にも安全確保的なものとそうでないものとございますが、そういったものを全面的にいま御審議を願っておるわけでございますが、ここで十分御検討願うということはもちろん必要でございますが、さっき申し上げましたように時期の問題がございますし、それからあえて申せば、先ほど申し上げましたように、在来線と一応スピードの関係あるいは運転方式その他で非常に異なっておるというとらえ方もできますので、特例法的な考え方というものをとりまして、現在御審議を願っております。ただいま先生の御指摘になりました点は、これは十分今後検討しなくちゃいかぬ。臨時鉄道法制調査会におきましても、私ども新幹線につきましては特例法を提出いたしました。しかし、この問題はあらためて臨時鉄道法制調査会で鉄道営業法全体の検討の中に含めてさらに御審議を願うということを申しておりますので、まあ大体私ども同じような考え方、同じような問題点を持っておるわけでございます。
  60. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 私の考えておる方向で鉄監局長努力すると思いますから、これ以上、この立法論ですね、申し上げようとしません。  ただ、午前中にも多少——多少というより、かなり同僚の相澤委員から質問されて問題になりました人の関係でございますね。副総裁にお伺いをいたします。で、午前中も、災害の場合、まあこの場合は非常時の場合ですね、それから異常時の場合等を考えて、いろいろ人の配置についても処置をしておる、こういうまあお答えがあったわけです。で、前の委員会で、私はこの要員関係の配置についてもどうなっているかということで資料を求めたところが、まことに簡単な資料が出て、支社全体として四千四百四十名、こういう資料が出てきました。このトータルの数についてどうこう私言おうとしませんけれども、どうも午前中副総裁の答弁では、機関士の一人乗務についても、当分は何か電気関係の保守関係あるいは車両全体の保守関係だと思いますけれども、そういうものをあわせて運転にお手伝いのできるような形で乗務させる、おそらくや最前部に乗るであろう、こういうお答えがございましたね。どうも私はそこらあたりが心配になってくるのです。で、確かに新幹線の今度の車両というのは、技術的に、あるいは工学的にも世界最高の水準をいくものだと思いますけれども、今日このより以上高性能を持つ飛行機などにしても、機長のほかに副操縦士を置いて、一朝いま申し上げたような場合には、機長をアドバイスをして安全運航を確保すると同時に、乗客の安全感及び信頼感を得るようになっていますね。それから、きのうの小委員会でもいろいろ議論いたしましたけれども、船舶の関係においても、今日百トン以上くらいの、これは小型船ですよ、こんなものは。そんなものにしても、船長のほかに一等航海士を置かなくちゃならないということは法律でもすでに規制されておりますが、あるいは機関長のほかにそれ以下副機関長も置くとかいうことも規制されております。ところが、国鉄の今度やらんとする、こういう初めてのことはさることながら、いくらりっぱな機械を備えつけたにしても、あるいは学問上あるいは工学上どうこうというりっぱな答えができたとしても、異常時あるいは非常時という、人間の能力で予測のできない災害というものは、私は断じてないということは言い切れないと思う。あると思うのですね。そういう場合に、一人でも運行できるのであるという学問上結論に達したからといって、そのことによって直ちに一人乗務さしていいかどうかというと、必ずしも国民感情からいって、そのことによって国鉄信頼するかどうかというと、私はそれほど国鉄にはまだまだ、最近の事故が非常に起こっておる関係上であろうと思いますけれども信頼感はないと思う。ですから、こういう点どうお考えになっているかということなんです。特に、長年の長い経験でございますけれども、午前の委員会でも金丸委員から、いろいろ人間の能力といいますか、身体といいますか、そういう事柄をとらえてお尋ねがあったようだけれども、てんかんとか何とかという副総裁が答弁した限りのものは、採用時であるとか何かの場合には直ちに発見されますから、それは解消できたとしても、どっかの線区でございますが、私はちょっとど忘れしまして記憶ございませんけれども、レギュレーターを握って運転士が心臓麻痺でばったり倒れた、こういうことはあり得るし、あったですね。こういうことだってあるのです。それは、前もって身体の定期検査をやるとか何とかやってみても、予測のつかないことですよ。しかも、人間の心理作用といいますか、神経の度合いといいますか、脳髄を割って見るわけじゃないのですから、これはできっこない。そういう問題だって、かなりやっぱり国鉄はある。しかも、今度二百キロという高スピードで走っているときに、ここには「人間工学的検討の結果一人乗務とする」という断定語を使っておりますが、「人間工学的検討」というのはどういう検討かようわかりませんけれどもね。たとえば、私は、そういうかりに事件が起きたとすれば、この提案理由にもございまするように、大問題になると思うのですよ。なってから、相澤委員も申したように、副総裁が、その事態が起きてから国民に向かって、テレビで、「まことに国鉄の経営者として遺憾にたえません」などと言ってみても、これは始まらぬことですわね。ですから、これは確かに、企業性を追求するとすれば、要員の問題はかなり企業性の中で占めるウエートというものは大きいのですから、十分経営者としてはそこのところは頭に描きつつそろばんをはじくべきだと思うが、こういう新しい仕事、しかも歴史的な仕事をする場合に、企業性のみを追求をするということがはたしていいかどうかということを非常に私は心配する一人なんです。特に、先般の青函の新造船の問題のときにも、こういう問題がございまして、私どもは晴海の埠頭で新造船を見学さしていただきました。それぞれの説明を聞きますと、今日この新幹線のこの法律を審議していると同じように、まことに心配のない、しかもリモートコントロールで全部、機関部と運転部、操船するほうの側と、何こと欠かなく連絡がとれるようになっている、無線設備においてもしかりです。そういう説明をわれわれは受けました。受けて、さてその説明どおり、あるいは額面どおり、あるいは国鉄がいろいろ試験をやった結果に基づく資料等々によってしからば運航されているかどうかというと、そうじゃないです。副総裁も知っているように、かなりすでにこの青函の津軽丸にしても、もう問題があるわけですね。問題が出てきておりますね。そのようにして、必ずや私は、この新幹線車両についても、学問上、あるいは統計土、あるいは試験的な結果からいって、万々間違いないと言っても、機械ですから、そういう問題が起きてくると思うのです。午前中も、石原務理事説明を聞いておりますと、たとえば電波関係にしても、三つのうち二つが必ず作用をするということになっておりますから、間違いございません、心配ありません、こう言っておりますけれども、たとえば災害時の、あの線路上に落雷一つあったとしてみますと、全部そういう問題は破壊されるわけですからね。電波はどこで発信されて、受けるほうは故障ないとしても、そういう点については一瞬にして、計画なり、考え方なり、あるいは資料なりというものは、これはもう物の用に立たないと思うんですよ。そういう場合だってあり得るわけですね。ですから、そういうときに、一人の運転上だけではなくて、必ずや関係の者に連絡をするとか、あるいは臨機応変の措置をとるとか、あるいはさきに言ったように、一人の運転士が健康上、あるいは身体の異常を来たすというようなときには、直ちにかわってやるというような、つまり予防の意味を含めて、   〔委員長退席理事谷口慶吉着席〕 私は、絶対二人は必要ではないか、こう思うのです。こういう点どうお考えになっておるか。午前中話したように、ただ保守要員のために置くということでは、私は釈然としないので、重ねてお伺いしておきたいと思うのです。
  61. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの御質問、午前中に相澤先生の御質問にお答えいたしましたが、重ねてお答え申し上げます。  確かに世界で初めての高スピードの鉄道でございますし、これを私どものあらゆる技術で、安全の角度から見て絶対に間違いのないようにするべく、いろいろ研究もして、今日まで至っておるわけであります。やはり、先ほど大臣も申されましたとおり、機械を動かすのは人間でございます。あるいは、その他天災的な自然現象でもって、いろいろ機械に障害がないとは限らない。しかし、それらについては、あらゆる角度から検討して、一〇〇%事故のないような研究をいたしておりますが、ただ、船、飛行機等と違いまして、鉄道の場合には、いわゆるオペレーターと申しますか、純粋に運転だけに従事する人間で現在やっておるわけでございます。ということは、飛行機は機長というものが絶対の権限を持っております。船は船長が持っておりますが、鉄道では機関士車掌が多少職務を分担してやるかっこうになっております。機長なり船長なりの制度をしいてないという形になっております。現在の機関士というのは、とにかく運転士は、動かす仕事——オペレーターの立場に立っておるわけでございます。したがって、現在の新幹線車両でございますれば、オペレーターの見地から見れば、これは一人で十分だと、作業量としましても、それから前方注視の関係からしましても、踏切等の関係からしましても、この点は、石原理事から申し上げましたように、オペレーターとしては、作業的には一人で十分だということが言えると思います。しかしながら、いま申しましたとおり、いままで国鉄には乗せておりませんでした。いわゆる船で申しますると、機関士の系統と申しますか、機関長の系統と申しますか、エンジニア、そちらのほうの系統の人間は、いままで鉄道ではそれ専門には乗せていなかったわけです。ということは、わりあいに機械が単純であるし、地上どこでもとまってすぐ整備ができるということで、いままでの——これは世界各国そうでございますが、鉄道の歴史を見ましても、機関関係専門乗務員というのはなかったわけでございます。したがって、この新幹線には、オペレーターとしては一人でいいが、そのほかに、機関関係と申しますか、エンジン関係——エンジンというのは、広い意味のエンジンでございますが、はたしてその関係人間を乗せる必要があるかどうかについては、ずいぶん検討いたしたわけであります。それにつきましては、さっき申しましたが、とにかく初めての機械であるし、いろいろ新しいアイデアでできた点もありますので、当分の間、そういった機械に全面的な信頼がおけるまで、機関関係人間を乗せて、常時機関の見守りをするし、かといって、始終どこかをいじっていなければならぬというような仕事ではないと思いますので、万が一の事故の際、あるいは機械の操作不良等の際の手当てをさせる。しかし、どうせ仕事はそれほどございませんので、それを乗せて、そうして万が一のときのお役にも立てるというようにしていったらどうかというのが、現在の考え方でございます。したがって、たとえば、現在でも、御承知かと思いますけれども、山陽線を走っております「あさかぜ」級の特急列車には、エンジンが一つ別についております。それには、一人専門人間を乗せて一これは運転士系統でなくて、機関系統の人間として一人乗せているような例が実はございます。そういったことと同じような考え方で、当分の間広い意味のエンジンのわかる人間を乗せて模様を見よう、こういうような考え方でございます。その後それをしばらくやってみた結果はどうなるか。これはやった上のことで、もう絶対に一〇〇%間違いないという結果が出るか、あるいはやはりときどきは機械の操作不良があるかというような状況によりまして判断してまいりたい、こういうふうに考えておりますが、先ほど申し上げましたのは、オペレーターとしては、仕事の量としては、けさ相澤先生が、ほとんどロボットじゃないかとおっしゃいましたが、実は仕事の量としては、オペレーターとしての仕事はあまりないわけでございます。しかし、機械全体としての問題がございますので、当分、その辺の安心がいくまでは、そういった考えから人を乗せることにしよう、こういう意味の答弁を申し上げたわけでございます。重ねて同じ趣旨でお答えを申し上げたわけであります。
  62. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 副総裁の答弁も、仕事量としては、オペレーター的な仕事、いわゆる単純労務だというようなことだったですね。実際にこの間ぼくたちは運転台に試乗してみましたが、運転台における各計器の監視とか、あるいはハンドルを操作するということも、在来のタービン機関車あるいは電気機関車とは、確かにその面では仕事の量は減っているように、単純かもしれませんが、直感的に感じましたけれども、いま何か事があったら重大な結果が発生するものと予想されますので、こういう法律が出てきているんですよ。これは、投石をしたり、あるいは、先ほど来石原務理事説明したように、何か事あるときに、スイッチ一つで、無線かなんかで乗務員等が連絡ができるような、そういう装置を損壊したり、あるいはその機能をそこなうような行為をした者に対しては、こういう処罰をするというようなことです。ですから、今度これを逆にひっくり返してみますと、そういう危険があるということ、危険があるからこれで防ごうとしているわけでしょう。だから、運転台に乗っております運転士は従来と違って前方信号の確認は必要でないとか、何かいろんなことを言っておりましたがね。信号関係についても、全部車内に装備してありますから、そういう心配ありませんと、こう言っておりましたですね。だからといって、運転台に乗って前方を確認しないでいいということには私はならぬと思う。もしそういう理屈が成り立つとするなら、何もあの前方に全視界が見えるような設備にしている必要はないわけです。やはり前方、側面全部監視して運転士運転するということに私はたてまえとしてなっていると思う。ですから、いろいろ個々には、人間工学的に検討をした結果そういう心配ないと、こう言っておるのですが、私は、そういう学問上のことは別として、かなり神経を使っていくことだけは間違いないと思うのです。現実に私ども試乗してみて、トンネルの中で二百十キロぐらい出したときに、一ぱいお客さんが乗っております車両ならそれほど風圧がないという説明を受けましたが、たまたまそのとき私は機関室におりましたから、その体験はございませんけれども、やはりかなり風圧を私は——他の人はどうか知りませんが、感じました。ですから、そういう感じ方についても、個々の、その人々の肉体的な問題からして若干の差異はあるとしても、かなりぼくは風圧を感じたし、それから二百十キロぐらい走ったときに、かなり振動、ショックといいますか、こういうものも受けたし、それからトンネルの中をそれくらいのスピードで走りますから、ものすごいスピード感が感じられます。ある意味においては、恐怖感といいますか、そういうものだって、これは他の人はどうか知らぬけれども、私は率直にいって、自分ではそういうものを感じましたよ。ですから、そういう面からくる神経の消耗度といいますか、疲労度というものは、ただここに書いている人間工学的検討の結果   〔理事谷口慶吉退席委員長着席〕 そういうものがないとだけは言い切れないのじゃないかというように私は思うのですね。副総裁は、そういう問題等について、いま一応、対応機関である労働組合諸君とも交渉中であろうし、そういう問題で検討すると、こういうことですから、あえて私は言いませんけれども、しかも、私は運転士経験でございませんから、あまり専門的なことを申し上げませんが、私はやはりそういう心配というものは、私どものみならず、国民全体として持っているんじゃないか。とりわけ、最近鶴見の事故とか、ああいう大きな事故があっただけに、国民の脳裏からまだ国鉄事故というものは払拭されていないのではないかと思うのですよ。そこで今度は、もとよりこの法律が制定された暁には、懸命になって国鉄はその安全性について、国民全体に宣伝といいますか、PRするのだろうと思うけれども、いまの段階では、やっぱりそう宣伝してみても、実際そういう心配は直ちに解消されるとは思わないのです。いつかの委員会でも私が蛇足でありますけれども申し上げました事柄でございますが、運輸調査でたしか鹿児島へ行ったときでしたか、ある宿屋の女中さんは、「どうも鉄道というのは事故が多くて心配で乗れない。」で、私は統計的に、「おねえさん、そんなことを言うけれども、飛行機の事故率というものと鉄道事故率というものがこんなに差がある、鉄道というのはより安全なんだ」と言うと、「いやそんなことない、飛行機のほうが安全だ」、こう盛んに主張しているところから見ても、そのことによって律するわけにもまいりませんよ。まいりませんけれども、いつも国民の頭の中にある鉄道事故というものの概念というものは、かなり従前から見て、昔は鉄道事故がないと思っていたけれども、最近は事故が多い、危険だ、こういうところにあるのではないかと思うのですね。ですから、確かに人一人雇うということになりますと、企業性から見て、かなり経営面に及ぼす影響は多いわけでして、当然これは、そういう点をそろばんにはじかなくちゃならぬとは思うけれども、私は、この段階まできましたならば、当分の間は、そういうものは度外視して、とにかくもう、ここにも書いてありますように、ありとあらゆる人間の能力をしぼって策を施して、安全というものの万全をとってやらなければならぬじゃないか、こう思うがゆえに、多少午前中にも相澤委員から話されましたが、重ねてお尋ねしたわけです。ぜひそういう方向へ努力願いたいと思います。
  63. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの吉田先生のお話は、全く私も同感でございまして、現在国鉄、私ども自身でも、やはり友だちあたりから、はたして安全かと聞かれるぐらいのことはよく耳にいたしまして、これじゃ非常に困るという気持になっております。しかし、何といっても、こういう国鉄が少しあぶないというような国民的な不安があることも事実でございまして、この点も新幹線の問題でさらに心配を深めることは絶対に避けなければならぬと思いますので、十分ただいまの御注意の点は肝に銘じてやってまいりたいと思います。  それから、先ほどちょっと私のことばが足りなかったところで、運転士仕事が単純だというふうに申し上げたとすれば、これは間違いでありまして、作業量としては非常に少ないと申したのでありまして、仕事内容は相当な高度なものだというふうに私は考えております。
  64. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 その点は了解いたしました。ただ、オペレーター的存在というのは、単純作業になるのじゃないかと思います。ことばそのものに意味があるわけではないのですから、ことばのやりとりは私は誤解しませんから、了承してください。  次に、大体先般来基本的なことを聞いてきましたから、法文そのものの中身で若干具体的にお尋ねしておきたいと思います。法案そのものはわずか四カ条ですから、まことに簡単なものでございます。それだけに、立法のほうは私どもようわかりませんけれども、かなり抽象的な文章になっているように思いますので、そういう点を含めてお尋ねをいたしたいと考えます。  第一は、法律の第二条でございます。第二条の一項に「安全を確保するための設備を損壊し、」あるいは「機能をそこなう行為をした者」などの条文が掲げられてございます。で、これらは、この罰条の相違はあっても、私は先ほども若干触れましたが、今日の営業法の範囲で処理ができないことはないのじゃないか、こう思うのです。特別の法律を制定しなくても、これもまた先ほど鉄監局長が申されたように、刑法上明らかなものは刑法で明文化しておりますから、そういう点で、その刑法の条項を適用、活用すればことが足りるのじゃないか。で、具体的に、運行保安設備を損壊したりした者についてはかくかくしかじかという条文になっておりますから、もしそういう運行保安設備を損壊したというような者は、刑法の中に明らかに損壊罪というものが明文化されております。ですから、そういう点で始末がつくのじゃないか。  それからもう一つは、——あとあと聞こうと思いましたが、立ったついでですから伺っておきますけれども、「線路内にみだりに立ち入った者」と——みだりというのは、書いて字のごとくにみだりというのかしらんが、何回くらいで「みだり」というのか、こういう点でも抽象的であるし、それがおそらくやはり集団であるとか何とかということ等も想定されたり想像されてそういう「みだり」ということばになっておるとすれば、威力業務妨害罪という法律がすでに成立されておりますので、そういう点でできるのじゃないか。しかも、今日鉄道には公安官の職制ができて、それぞれの諸規定がございますけれども、約百年に近い間鉄道が敷設せられて、自来鉄道関係の犯罪というものは、ほとんど一般刑法を適用してきた。それから、それ以外は鉄道営業法を適用していったわけですから、この程度ならば、先ほど言ったように、罰条の若干の相違はある——相違はあるけれども、こういう中で運用ができるのじゃないかと具体的に思うので、ここらあたりはどう考えているのか。
  65. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) ただいまの御質問、大点三点だと思います。まず第一が刑法の条文との関係、それから鉄道営業法——主として三十六条等がございます——との関係、それから「みだり」とはいかなることか第三点だと思います。  まず第一に、第二条の罪と刑法との関係でございます。刑法には器物損壊罪と往来危険罪とございますが、運行保安設備の損壊は、構成要件といたしましては、本項の罪と——本項と申しますのは、二条第一項でございますが、二条第一項の罪と刑法の器物損壊罪に該当いたしますが、この場合の両者の関係は、法上競合という関係になりまして、器物損壊罪の規定の適用は排除されまして、第二条第一項の本項の規定が適用になるわけでございます。この第二条第一項は、運行保安設備の損壊は、設備の財産的な価値のほかに、列車運行の危険と密接な関係があるということから、これを処罰対象とするものでございまして、往来危険罪のごとく——往来危険罪の場合には具体的な危険に関する認識を必要としておりますが、この第二条第一項の罪は具体的な危険の認識を必要としていないという点が異なっております。なお、運行保安設備の損壊にあたりまして、後者に具体的な危険の発生に関しまする認識があります場合には、両者の関係は法上競合の関係でございまして、本項の罪は往来危険罪に吸収されて、往来危険罪のみが成立するわけでございます。後者が具体的な危険ということを予想して行なった場合には、第二条第一項は往来危険罪に吸収されてしまう。したがって、往来危険罪が成立するということでございます。  それから第二条第一項と鉄道営業法三十六条との関係でございますが、これは新幹線には自動列車制御整備等の運行保安設備が設けられておりますが、鉄道営業法では——これは古い法律でございますので、信号機の改ざん、あるいは損壊とか、撤去ということのみを罰則の処罰の対象としております。信号機だけを対象にしております。したがいまして、第二条第一項のような、新しい列車自動制御設備であるとか、列車集中制御設備、その他高度な保安施設というものは、営業法の三十六条では予想していないわけでございます。  それから第三点の、「みだりに操作」の「みだり」とはいかなることかということでございますが、運行保安設備を操作する資格及び権限のない者が操作をする場合にはもちろん、資格権限がある場合でございましても、所定の運転指示によらず、あるいはその設備の使用目的に従った方法によらないで操作することは、「みだりに操作」ということになるわけでございます。
  66. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大体鉄監局長の一項の解釈については、ややわかってまいりました。  そこで、二条の三項のほうにこれまた移ってお伺いしますけれども、二条の三項はどうも漠然とした規定だと私は思う。「そこなうおそれのある行為」と、こう二条ではあるのですね。私は立法論からいっても、一つのいい例は、参照条文の中で鉄道営業法ということで出てきておりますが、第三章の「旅客及公衆」というところに「鉄道係員ノ許諾ヲ受ケスシテ左ノ所為ヲ為シタル者ハ五十円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス」ということで、ずっと具体例が出ている。具体的な罰則規定が出ている。これがほんとうの法律というものだと思うんですね。ところが、この二条の三項、「そこなうおそれのある行為」、これは一体どういう行為かという疑問ですよ。そのものが漠然としておりますから、ですから私どもは、これもそう心配がないとお答えになればそれまでのことかもしれませんが、特に犯罪の予防に名をかりて乱用する危険なしとしないと思うんです。こういう条文だけでは。そこのところでぜひお聞かせをいただきたいし、明快な私は答弁を求めたいと思いますけれども、たとえば、かつて鉄道の公安職員の職務を規定した法律ができましたね。この法律の制定するときの質疑でも、いろいろなその法文の内容心配されて質疑がかわされて、政府も答弁され、なおかつ心配であるからといって附帯決議などもつけられていることは、御承知のとおりだと思う。ところが、今日この法律が施行されて実施の段階になってきますと、そういう国会論議、あるいは、国会の附帯決議、あるいは当時それぞれの省庁の答弁された幹部の方々等の考え方がややともすると無視されて、労働組合運動を弾圧したり、あるいは労働運動に介入してきたり、先般の運輸委員会で問題にしたように、青函鉄道局で行なわれた連絡船の労使紛争のいさかいの場合においても、何ら問題ないにもかかわらず、道内からとほうもない公安官を動員して有形無形の威圧を加えるような行為をやっている。こういう事柄が実績としていまあるわけですから、しかも、その場合の本文を見てみますと、いま言ったような、まことに漠然とした抽象的な文章になっているところを乱用をしているというきらいが明らかになっているんです。ですから、一つに、私は法律の立法論として、一体こういう漠然たる抽象的な法文でいいかどうかということにまず疑問があるし、第二には、こういう漠然たる法律を認めたとすれば、いま申し上げた例になりかねないので、そういう関係について立案者はどうお考えになったかということを第二に聞かせていただきたいと思います。
  67. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) 第三項の問題でございますが、ここには「損傷」、あるいは「損壊」、それから「機能をそこなうおそれのある行為」というようなことばが使ってございますが、まだ「損壊」とはどういうことかと申しますと、これは物を有形的に変更することによりまして物の本来の用を失なわせることを申します。「損傷」とは、その程度の低いものでございまして、損壊には至りませんが、やや程度の低いもの、例をあげれば、電線のケーブルを切断するというのは、これは損壊でございますが、雨水等が浸入する程度に穴をあけ、あるいはその被覆を取り除くというのは、損傷でございます。これは程度の差でございます。それからその次の、「機能をそこなうおそれのある行為」ということでございますが、これは物の用を直ちに失わせる行為ではございませんが、そのおそれのある行為ということでございまして、まあ例を申せば、この前の試乗でごらんいただきました、線路上にございます車両から電磁波を受ける地上子、アンテナがございますが、この上に小さな金属片を置く等の行為、これは「損傷」、「損壊」ではございませんが、これによりまして地上子は走行中の列車の発する電磁波を正しく受けられなくなるおそれがございますので、こういったものは「機能をそこなうおそれのある行為」というふうに解釈をいたしております。こういった用語例はほかにもございまして、航空法の五十三条で「機能をそこなうおそれのある」というのがございます。それから道路法の四十三条にも「道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のある行為」というふうに、他にも立法例がございますので、ここで損壊、損傷等を行なうおそれのある行為ということを一応明確に書き分けておるわけでございます。  それから、これらの法律は、あくまでも、東海道の新幹線列車の高速性にかんがみまして、その列車運行の安全を妨げる行為として規定しておるものでございまして、特に労働運動等とは関係は全く私ども考えておらないわけでございます。
  68. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうも法律の講義みたいになりましたけれども、これはそういう条文ですから、あえて聞いて、また答えてもらうということにならざるを得ない。そこで鉄監局長、いまのあなたの答弁で、損壊する行為であるとか、器物棄損の行為であるとか何とかという解釈論はわかりますが、ただ問題は、この法律の中で「おそれのある行為」なんですね。実行行為として、たとえばスイッチにさわったということであれば、これは実行行為ですから、直ちに条項を、解釈は成り立つけれども、その辺にうろうろしている者についても、おそれがあるということの解釈をすれば、そういうことになるのです。この法律を制定するにあたり、立案者の精神をくみ取れば、なるのですよ。だから、ばく然としているので、乱用のおそれが——これは、ここにもありまするように、乱用のおそれのある行為的なこれは法律なんです。こういう点をどう見るのか。もとよりそのあとに、線路内にみだりに立ち入ることは禁じられておる法律がありますから、あまり一般的な人はないと思いますけれども、私なら私が運輸事情の調査ということで構内に入っていって、どこに何があるかわからぬけれども、その辺をうろうろしておっても、「おそれのある行為」だと、公安官が来て「君ちょっとこい」というような、そういうことになる、そういう危険性を持っておる、そういう解釈ができるような法文になっておる。これはどうですか。ですから、もう少し具体的に申し上げます。ないならない、そういう意図があるならあると、はっきり言ってもらえばいいのですがね。新幹線の改良をしていく場合に、四千五百人近い人々が在来線からそれぞれ適材適所によって求められて、それぞれの配置につくと思うのですよ。その場合に、法律に基づいて現在もあるのでございますけれども、労働組合団体というものがございますね。聞くところによりますと、何かそういうものを独特なものとしてつくるとか、あるいはそうでないというようなことが、いろいろ流布されておりますけれども、そういうことは別問題として、そういう関係諸君は、やはりその目的追求のためにいろいろオルグをしたり、構内を歩いて作業中の者と話し合ったりする場合が多々あるのですよ。そういう場合に、石原理事説明したように、電柱に警報用のスイッチが備えつけられている。そういうところにうろうろしておっても、これはひっかけようと思えば、その公安官なら公安官の判断考え方によってひっかけることができるのです。実行行為を行なわなくたって、やるのじゃなかろうか。おそれがある、こういうことでやられるのです。この法律は。こういう点、非常に、従来えてしてこの国鉄の公安官の諸君がやってきた行為なんです。そういうことを私ども体験、経験してきているだけに、こういう抽象的なばく然たる法律では、私は非常に心配が多いものだから、聞いているのですよ。現実問題として、これ以上明らかになっておるものでさえ、ひっかけてくるわけですから、これはどちらにもとられる法文なんです。こういう点、鉄監局長どうお考えになりますか。
  69. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) ただいまのお尋ね、第二条の関係でございますが、第二条の第一項の「損壊」という行為、それから第三項の「損傷」、それから「おそれのある行為」、これはそれぞれ関連した概念でございます。「損壊」、「損傷」、「おそれのある行為」というふうに一貫して把握する必要があるのであります。それで、「おそれのある行為」ということは、結局「損壊」、「損傷」という有形的なことではなくて、無形的に、さっき例をあげて申し上げましたが、直ちに物の用を失なわせる行為ではございませんが、「おそれのある行為」ということで、先ほど例をあげました地上子に金属片を置く等の行為ということを考えておるわけでございまして、「おそれのある行為」というのは、やはりこれは意思が必要でございます。犯意と申しますか、意思が必要でございますので、ただうろうろしているというのは意思がないということになりますので、この本法の適用にはならない。なお、この法律が全部、ちょっと先走るかもしれませんが、過失犯は処罰しないことになっております。
  70. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 過失犯は処罰しないということですが、そこの点は明確になりましたがね。あまり私はこういうことで長い時間とって申し上げたくないのだけれども、どうもどの条項もばく然としているのですよ。たとえば、三条の一項を見ても、そういうことが言えると思いますがね。三条は、「次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。」、一「列車運行の妨害となるような方法で、みだりに、物件を東海道新幹線鉄道の線路」——カッコして何々と書いてある。これはやや具体的に。そうして今度は「又はこれに類する行為をした者」、こうなっているのですね。本来法律というものは、「類する行為」というものは一体どういうことなのか、こういうことを法律である限り内容を明確に私は記載しなければならないと思うんですが、たとえば刑法を見てもそうだし、あるいは民法を見てもそういうことが列記されておりますし、鉄道営業法だって、何をやればこういう罰則がありますよ、それが発展してこうなればこうなりますよ、こう明記されているのです。ですから、この場合だって第一号のほうで、これもばく然としておりますけれども、「(軌道及びこれに附属する保線用通路その他の施設であって、軌道の中心線の両側について幅三メートル以内の場所にあるものをいう。次号において同じ。)上に置き、又はこれに類する行為をした者」、何が何だかさっぱり、「類する」といったって、前のほうの第一号の条文そのものも、やや明確になっておりますけれども、従来の法律の考え方からすれば、これでも明確ではない。「これに類する行為」というのは一体何かということなんです。当然ここでは、やはり少なくとも法律として規定する限りには、明確にその類似する行為というものを明らかにしなければならぬのじゃないか。それをもししないとすれば、それもどうも吉田というやつは小心で心配ばかりしているやつだと、こう思うかもしらぬけれども、やはりそこの中でこの法律そのものを乱用していくような気がしてならない。乱用されるようなむしろ危険性が法文内にひそんでいる、こう言わざるを得ないのですね。三条の一号にしても、あるいは——これは立ったついでですから、大倉先生も若干質問があるようですから、前に進めますけれども、三条の二号にしても、「線路内にみだりに立ち入った者」、こう書かれておりますよ。しからば、この「みだりに」の点については先ほど触れたから言いませんけれども、「線路内」というものの規定というのはどういう規定を定義としているか。レールとレールの間を線路内というのか、これは鉄道の用語にもよく出てきますね、こういうことばは。あるいは、営業法に規定されておるのは「鉄道地内」ということになっておりますね。ところが、これは「線路内」ということになっておりますから、「線路内」という解釈定義は、線路と線路の閥、あるいはレールとレールの間を言うのか——これは一つの例ですよ、そういう点もこれは明確にされておりません。ですから、そのときどきに、このたとえば三条二号だって、この法を扱っていく扱い者の考え方、法律の解釈によってどうにもこれはなるものです。特に立ち入りの関係ですから、先ほどもちょっと触れましたけれども、ひっかけようと思えば、これをさらに発展さして刑事上の責任を追及されていくという点も、悪意に解釈すれば多分にこれは出てくる法の条文に私はなっていると思うわけです。こういう点をひとつわかりやすく、これはこうだ、この点についてはそういうことがないんだと、こういう点は、こういう事象があったとしても刑事的な責任を追及しないのであると、こういう点をここで明らかにしなければ、ただ、この法文の第三条の二号なら二号がこうだ、はいそうですかと、こういうことに私はならぬと思うんです。   〔委員長退席理事金丸冨夫君着席
  71. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) 第三条の関係でございますが、まず第一号の「又はこれに類する行為」ということでございますが、これは「列車運行の妨害となるような方法で、みだりに、物件を東海道新幹線鉄道の線路の上に置き」と、この「上に置き、」というのに——この物を置くという行為に類する行為でございまして、もちろん、先生のおっしゃいますように、なるべく、特に刑罰法規は具体的に明確に書くのが望ましいわけでございますが、予想されます行為を一々こまかく書き上げるということも立法技術上非常に困難でございますので、「類する行為」というふうに書いてございます。これはどういうものを予想しておるかと申しますと、物を置くのではないが置くと同じような効果のあるもの、たとえば鉄道線路のしの跨線橋から物件をひもか何かでつり下げるというような行為考えられます。あるいは、物を置くのではございませんが、何かさおの先に物をつけて突き出す行為ということも効果的には物を置くと同じような効果を持ちますので、そういった行為を予想いたしまして「類する行為」というふうに表現したわけでございます。なお、こういった立法例はほかにもございまして、道路交通法の七十六条にも「類する行為」という表現を使っております。大体私ども予想しております行為内容は、いま申し上げましたように、物を置くと同じような効果を予想して行なわれる行為ということでございまして、内容的には明確になっておると考えております。  それから、第三条の第二号の「線路内」、この「線路内」が明確ではないではないか、あるいは鉄道営業法の「鉄道地内」、この関係でございますが、「線路内」と申しますのは、第一号にございますように「幅三メートル以内の場所」というふうに限定をしております。これはかなり重い刑罰法規を科するわけでございまするから、やはりばく然とした概念ではいかぬ、なるべく明確にしたいということから、「幅三メートル」というふうに非常にはっきりした書き方をしておるわけでございまして、これは列車運行の安全に関係のある場所といたしましては、御承知のように、この間見ていただきましたように、車両限界が一・七メートルございます。これは軌道の中心から車両限界が片側に一・七メートルございます。そのさらに外側に、風圧限界というものが〇・八メートルございます。これを合わせますと二・五メートルになりますが、さらに若干の安全性を考えまして〇・五メートルを加えますると、ちょうど軌道の中心から片側三メートルということになります。なお、一番外側〇・五メートルというのは、線路の構造でおわかりかと思いますが、保線用通路と申しますか、犬走りの砂利のない部分が大体〇・五メートルということで、要するに軌道の中心から合計いたしまして片側三メートルというものはこの「線路内」というふうにお考えいただければ明確かと存じます。  なお、鉄道営業法の「鉄道地内」、これとの関係でございますが、これはもう少し広い観念でございまして、鉄道用地内ということでございまして、このように三メートルというふうに明確には考えておりませんので、停車場の構内とか、あるいはプラットホームとか、こういったものも「鉄道地内」に入るわけでございまして、鉄道営業法の規定のし方と異なりまして、本法におきましては軌道の中心から片側三メートルというふうに、きわめて限定的に明確に規定をしておるわけでございます。
  72. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いわゆるこの三条の二号のところの「線路内」という限界がかなり明確になってきました。そこでおおむねわかりましたけれども、実際にこの法律を制定した場合に、鉄道公安官がその取り締まりの任に当たられる、これはどうですか、常識的にはそういうことですね。それと、駅構内の関係におきましては、いわゆる駅業務の管理者、駅長とか、助役とか、こういう人たちが当たるということになりますか。
  73. 石原米彦

    説明員石原米彦君) お答えいたします。  新幹線の要員といたしましては、特に公安職員を予定しておりません。したがいまして、公安業務並びに公安の要員に対しましては、在来の線と一緒に扱って考えることになります。したがいまして、在来の線路につきまして公安官が行動しましたようなことは、新幹線におきましても将来はやることになると思いますが、特に新幹線において新しい公安要員を持ち、それに特殊の警戒なり業務なりを与えるということは考えておりません。いわゆる在来のとおりというふうに考えていただけばよろしいと思います。
  74. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 在来のとおりだということはわかりましたがね。いままでの鉄監局長の答弁では、つまり三条の二号の関係については、軌道の中心線の両側についている幅三メートル以内の場所にあると、こういうふうに言っているわけですが、この場所以外に、たとえば私なら私が入って、何か用務でうろうろしておっても、この法律にはひっかからないね、そういう規定からいけば。しかし、かりにここで規定された三メートル以内に入ったという場合に、だれが取り締まるのですか、この法律を適用するのですか。新幹線の職員がやるのですか。具体的に……。
  75. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) これは、先ほどの第二号の新幹線の線路内と、それから一般の鉄道の用地と、鉄道営業法からくる概念でございますが、まあ平たく申せば、線路の軌道の中心から片側三メートルというのは、この三条の第二号が適用になります。さらにその外側にも鉄道用地があるわけでございますから、そちらのほうは、そのさらに三メートルの外側で鉄道用地内であれば、これは鉄道営業法の適用が受けられるということになるのでございます。  それから、取り締まりの関係でございますが、これは一般の刑罰法規の執行ということになりますので、鉄道公安職員あるいは一般の警察官——鉄道公安職員であれば鉄道用地内で権限を持っておりますし、それから一般の警察官は用地内外すべて権限を持っておりますので、かりにこの法律違反ということになりますれば、用地内であれば鉄道公安職員あるいは一般の警察官、それからさらに現場の職員が発見した場合には、一般の警察に連絡する、あるいは鉄道公安職員に連絡するというようなかっこうになるかと存じます。
  76. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうも、そうしますと、この法律を制定したからといって、直ちに法の執行にあたってあまり期待できないような感じがするんですよね。ということは、従前と同じような扱い方をするということになると、前々から話されたように、たとえば投石であるとかあるいは何かやろうとするような者は、精神薄弱者であるとか、あるいは気違いのたぐいだとぼくは思うんだが、そういう人がどこで何をやるか、予測はつきませんよ。その場合に、この法律は明らかに罰則法でありまして、特に懲役にも科せられるようになっております。三条で、罰金のみならず。こうなってまいりますれば、いまお答えになったようなことですと、司法権を持った者でなければこれを取り締まるということができないというようなことになりませんか。一般の国鉄新幹線の職員が、その者を発見したって、逮捕したりなんかするということはできない。これは公安官に連絡したり、あるいはもよりの警察に連絡をして、その権限のある者が来てこれを逮捕するというようなかっこうになるんでしょう、いまの答弁では。こういう点では、どうも何か起きるんじゃないかという予測のもとに、さらに重大な問題が起きるということで、この法律を制定してその安全確保のために万全を期するという大目標とは、若干具体的な執行の段階になってそぐわないようなものが出てきたような感じがするんですが、こういう点どうなんですか。
  77. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) これは、私も先ほどのことばが若干足らなかったわけでございますが、司法警察職員が取り締まりに当るということはもちろんでございますが、一般の刑法と同じように、現行犯の場合には現行犯逮捕ということが、鉄道職員であろうと、一般の民間人であろうと、確立されておりますので、具体的に現行犯逮捕、ここの各条に掲げられておりますような行為を犯した者がある場合には、鉄道公安職員、一般警察官のほかに、一般人あるいは鉄道職員が現行犯として逮捕することもできるわけでございます。  なお、特に新幹線につきまして、警察官なりあるいは公安職員を特にはりつけるということは、先ほどの国鉄の答弁でもございましたように、考えておるわけではございませんが、刑法の一般的な効用といたしまして、予防的な効果も十分あるわけでございますので、このような法律が制定されたということになりますれば、十分部外に対しまして、PRと申しますか、周知徹底方を極力いたしまして、予防的効果も十分にあげ得る。なお、現実に犯罪が起きた場合には、ただいま申し上げましたような、その司法警察職員のほかに、一般人の現行犯逮捕ということもあるわけでございます。これは、一般の刑法、一般の他の刑罰法規と同様であるというふうに考えております。
  78. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 私は大体そのことはわかってきました。そこで、そこらあたりはわかってきましたが、四条のほうの関係ですね、「物件を投げ、又は発射した者は」と書いてありますが、発射というのはあれでしょう、大砲撃つやつじゃないと思うんですが、空気銃を撃ったり、あるいは鉄砲、ピストルぐらいのものじゃないかと思うんだが、この辺の範囲がちょっと、ただ発射といったって、何を発射するのかさっぱりわかりませんがね。とにかく、こうした者は五万円以下の罰金に処すと、こうなっております。そこで、現行の刑法の概念からは、その行為の具体的な発生がなければ犯罪構成の要件にならないと、こういう判例がずいぶん出ておりますね。そこで、この四条は、「列車に向かって物件を投げ、又は発射した者は、五万円以下の罰金に処する。」と、こうなっておりますので、この事実認定をどうやるのか。たとえば、私なら私がトンネルの上にすわっておって、石も何も投げないけれども、石ころか何かすわった瞬間に落っこってきた。下におって見ていたやつが、あいつ石を投げたのではないか、こう認定されるかどうかとか、いま言ったように、現行の刑法の概念では、具体的な発生がなければ犯罪構成要件にならないのですね。ところが、ここに掲げられているこの二つの事実認定というものをどのようにしてやるのか、この点ひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
  79. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) この第四条の関係ですが、「列車に向かって物件を投げ、」あるいは「発射」、これは銃砲等の発射でございますが、物件を投げ、発射しただけで、第四条は適用になるわけでございまして、具体的な結果の発生は問わない。具体的に結果が発生した場合には、これはまた第二条に帰ってまいるわけでございます。  なお、後段のお尋ねでございますが、物を投げるつもりでなくて、トンネルの上か何かにすわって、そのはずみでたとえば石が落ちたというようなことは、これは先ほど申し上げましたが、過失犯は処罰しない。刑法の原則で、過失犯を処罰する場合には、特に過失犯を処罰するという規定がなければ処罰されないことになっておりますので、あやまって物が落ちたり、あるいは、あやまって発射したという場合には、これは第四条の適用はございません。
  80. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 あやまって、つまり、そういうやや投石に類似したような行為が起きた場合には、第四条は適用しない、こう言っているのですけれどもね、それはもう当然だと思うがね。あやまちがなくして自然発生的な現象によって起こり得る場合があるんです。そういう場合、しかも、その場合、三条の二号に該当しない、いわゆる鉄道の線路内、先ほど解釈された用地内といいますか、そういうところにみだりに立ち入っていなくても、そういう場合があり得ると思うのですよ。現実に、この間の試運転区間などは、ほとんどトンネル区間ですからね。   〔理事金丸冨夫君退席委員長着席〕 トンネルの高いところに、もの好きに上がっているやつはいないと思うけれども、何をやるかわからぬわけですから、この法律をつくる場合に、特に投石、あるいは神経異常者などが、というようなことばをたびたび使われましたから、そういう神経の異常者なんというのは、何をやるかわからぬですからね。そういうところに上がった、上がった瞬間に落下して投石のような状態が起きた、こういう場合は、本人の意思によってあやまちを起こしたというものではないと思うのですね。そういう場合だってあり得るですね、そういう場合だってあり得る。だから、現行法の刑法の概念では、先ほども言ったように、行為そのものの具体的な発生がなければ犯罪構成要件としないという判例がずっとある。ここのところが、この四条ではまことに不明確だと思うのです。こういう点をひとつ明確にしてもらいたいと思う。  それからもう一つは、現在までに鉄道は、年々歳々交通事故の件数が、非常に遺憾であるけれども、統計的には上昇カーブを描いていることは間違いないと思うのです。これは鉄道の安全白書を見ても、その数字が明らかに出ております。一番多いのはやはり投石であるとか、あるいは置き石であるとか、こういう関係。それから二番目には、私の記憶して、おるところでは、職員の過失によるようなもの。それから三番目ぐらいに、国鉄の保安施設の不備、機械器具の不良等々から起きた件数が多い、こうなっております。ですから、そこで、投石とか、あるいは置き石をした件数をいまここで何件あるかなどということを私は聞くのではなくて、一体、投石をしたり、あるいは置き石をするような犯罪行為を犯した人々のうちで最も件数の多い人々の年齢の度合いですね、それがどのくらいになっているのか、つまり、何歳から何歳ぐらいまでの者が大体そういう置き石をしたり投石をした者か、こういうことをひとつ教えていただきたいと思うのです。おそらく私の想像では、小学生以下か、あるいは小学生、ないしは、ちょうどややあばれん坊の時期になってきた中学生ぐらいが一番多いのじゃないかと思うのだが、こういう点どうですかね。国鉄にそれぞれのそういう資料があると思うのですが、お答え願いたいと思います。
  81. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) 前段の第四条の関係をもう一回御説明いたしますが、この第四条は、「走行中の列車に向かって物件を投げ、又は発射した者」ということで、列車に向かって物件を投げるという意思と申しますか、犯意があるということが必要でございますので、あやまってというのは、先ほども申し上げましたように、特に過失犯を処罰する規定がございませんので、あやまってやった場合には、第四条の罪は成立をいたしません。  また、これは投げたか投げないか、あるいは、あやまってか、あやまってでないかということは、これは起訴をする場合に、検察側が十分立証をして事を処理するわけでございまして、これは一般の犯罪と同様でございます。なお、投げたか投げないか、あるいは意思があったかなかったかということは、最終的には裁判所が認定をする問題でございます。  それから自然発生的にと申しますか、おあげになりました例のように、精神異常者がもうろうとしてと申しますか、何か物を投げたとか、投げないで落としたかというような場合は、これまた、一般の刑法理論に戻りますが、犯罪が成立するためには、主観的要件ということが必要でございますので、正常な精神状態にあった者、したがいまして、いま例をおあげになりましたように、精神異常者が物を投げたとか、あるいは何かドラムかんを落としたというような場合には、主観的要件が欠けますので、犯罪は成立いたしません。
  82. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの御質問、ちょっといま数字を持ち合わせておりませんので、至急いま電話で問い合わせておりますけれども、大体先生の御推測のとおり、置き石とか、物を投げる件数は、わりあい予想以上に多いわけであります。ただ、年齢層は大体小学校の下級生か、就学前の子供が非常に多いように思います。しかしながら、過般、新幹線でトンネルの上から大きなコンクリートの板を落としたようなことは、これは相当な成年でなければああいう物を持てないということが推測されますので、必ずしも子供だけではございませんが、全体の割合から申しますと、小学校の下級生ないし未就学の児童、ことにやはり秋の農繁期がいまのところ統計的に多いというふうに記憶しておりますが、いまちょっとその数字を持ち合わせておりませんので、問い合わせておりますから、後ほどすぐにお答えいたします。
  83. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 その統計の数字はいいですよ。白書に出ておりますし、知っておりますからいいんですがね。いま答えられたように、若年層の諸君が多いのです。そこで問題になるのは、これは四条ですけれども、いまお答えになったように、かなりの重量物を投下したりしている者もあるから、おおむね、そういう者は成年に達した者ではないかと推察される、こういうことですから、四条はないよりはましだと思いますけれども、具体的な例として、かりに子供が投石をした、そこで、その子供を押えつけてみたって、これは少年ですから、現在の刑法でも明らかなように、それをもって直ちにこの四条を適用されて五万円の罰金などということにはならないと思うのです。それから多少精神異常者といいますか、薄弱者といいますか、そういう者にしたって、大体そうではないかと私は理解しますがね。そうなってまいりますと、この四条というのはあまり、こう麗々しく書いているけれども、法を施行して実行する場合に、たいして当てはまるものが少ないんじゃないかということが一つと、それから、この法ができたとしても、適用されない若年層、青少年ですね、成年の場合は当てはまりますけれども、少年のような者に対して、こういう問題が起こらないように未然に防ぐということがなければ意味がないと思うので、こういう点どうでございましょうか。
  84. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) その点は全く先生のおっしゃるとおりでございまして、子供で全然判断力のない子供、あるいは精神異常者、これはどうにもなりませんが、ただいま手元に参りました数字を見ますと、やはり置き石でも、十四歳以上の者が一八%くらいあるような数字になっております。まあ最近、この間もどこかの高校生が空気銃で子供を撃ったなんていう話もございますし、やはりいたずらで空気銃あるいは猟銃等で撃ってみようなんていうのがやはりないとは限りませんし、子供の置き石は、大体この間ごらんいただきましたさくでもって防げる、網の相当目がこまこうございますから、あの網で防げると思いますが、やはり網の間から鉄砲を撃ったりすることはなかなか防げませんし、ある程度子供たちに、いま先生のおっしゃったとおり、そういうことをしちゃいかぬということを学校あるいは町村会等を通じて父兄の方にお願いして、子供たちにそういうことをさせないようにするという意味の間接的な効果と、両方考えられると思います。実態としては、お説のとおり、やはり子供だとか精神異常者がだいぶ多いと思いますから、最近の事象でございますので、必ずしもそうでない者もおると思いますし、また、そういった子供たちに対しましては、できるだけ学校にお願いし、また、いまも申しましたとおり、町会等にもお願いして、沿線で、とにかく新幹線を無事に通すという一つのムードをつくっていくようにこれから努力してもらいたい、こういうふうに考えております。
  85. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大体副総裁の答弁で了解しましたが、ただ、先般も見てまいりましたけれども、かなりの防護さくが整えられているから、子供の投石は防がれるんじゃないか、こういうことですから、ここのところはその考え方、見方によって違うと思いますけれども、私は、それほど防げるものではないんじゃないか。ただ、構内に立ち入ってくる場合は、かなりの鉄さくになりますから、あれを乗り越えて来たり、あるいは土砂を削って持ってくるというようなことは、ある程度防げますけれども、投石になってきますと、最近の子供さんはみな野球を盛んにやっておりますから、投てき力というのは非常に強いから、あんなさくぐらい平気で投げますよ、投げようと思えば。ですから、そういう関係については、さくをつけたからといって、ぼくは、その点で急激にその害が少なくなる、こういうことはあまり期待できないと思う。これは見方ですから、副総裁の言うように、その弊害が減少されればそれにこしたことはありませんから、きょうここで議論しませんが、ただ、あの防護さくでひとつ私考えてみたのですが、十四億からという膨大な経費をかけて、それぞれの危険であろうという個所に防護さくをつくっておりますから、これはたいへん私はけっこうだと思いますけれども、たまたま駅構内に入ってきた場合に、これからやるのかどうか存じ上げませんが、ないですね、そのさくが。ところが、駅の構内というのは、つまり、新幹線の駅と、たとえば熱海のように場合、旧駅との関係業務は駅長が兼務でやるということですから、経理のたてまえは独算制をとったとしても、駅の管理、あるいはその他の駅業務、営業は、一人の駅長が責任を持って監督なさると私は思うわけです。その場合に、御承知のように、駅構内というものは、非常に乗降客が集中しているところだけに、出入りというものは、ややもすると、一般線路上などと違いまして、なかなか監視しにくい、こういう点があろうと思う。そういう場合に、ああいったさくがないわけですから、そういうときに、いまこの法律で書かれておりますような心配事がないのかどうか、あるとするならば、どうこれに対して予防措置をして対処するのか、こういう点ひとつ明らかにしていただきたいと思います。  これで終わりますけれども、最後にもう一つは、新幹線は副総裁もお答えになったように、約四千億に近い膨大な資本投下をしております。当然独算制で経営をなされると思いますけれども、その投下資本の回収を当然考えなくちゃならぬと思うのですね。ですから、そういう意味で、先般私はこの輸送量の推移というものをお尋ねして資料をいただきましたけれども、この資料では、どうもこれまた、国会に出す資料というものはこういうものでもいいのかどうか存じ上げませんが、ばく然としたものです。したがって、ここにございます旅客の関係の推移であるとか、あるいは貨物輸送量の推移などを指数でちゃんと書かれておりますけれども、おそらくこれはいまの段階では推定ですから、どうこう私は申そうとは思いませんけれども、たとえば旅客の三十一年度を一〇〇として、五十年に二九二、こういう計数を出しているので、はたして、こんなに旅客の輸送にというものは、五十年に達した場合に約三倍に近いものに伸びるかどうか、こういう問題が具体的にされておりませんから、あえてお尋ねするわけです。それから貨物関係においても二一八になっておりますから二倍強です。これなども、池田内閣の所得倍増計画の交通部会で出した資料等見ますれば、鉄道の貨物輸送に対する依存度というものは、こんなに高く見ておりませんよ、ありません。しかも、最近年々歳々道路が整備されてきておりますから、つまり、貨物輸送の分野というものは、トラックに移りつつあります。これも計数的に明らかに出ている。こういう見方なども、はたして、このままうのみに私どもは理解して、新幹線開業と同時に皆さんがやれるかどうか、しかも、先ほど触れました投資に対する回収を、おそらくは、こういう事柄が基礎になって計画されているのだと思うが、ここらあたりを具体的にこの委員会で明らかにしていただきたい。  それから先ほど、副総裁かどなたさんか知りませんが、答弁した中で、旅客の利用度合いを九〇%と、こうお答えになりましたね。この九〇%にも私は問題があるような気がするのです。なぜかならば、ヨーロッパなどは大体六〇%くらいです。それでもかなり乗車券を求めるに困難を来たしている。おそらく今日の日本の場合はそんなものではないと思う。ですから、そういうことが問題になって、輸送量増強から東海道新幹線を新しく設けなきゃならぬと、こういうことになったと思うけれども、九〇という数字を使ったが、それだけの利用度合いがあるとするならば、これはたいへんなことだと思うのですよ。やはりかなり前の日から長蛇の列をつくって切符を求めなければならぬということになると思うのですがね。こういう点の見方についても、一体どうしているのか、非常に私も関心の深いところでありますから、これもあわせてお答え願いたいと存じます。   〔委員長退席理事谷口慶吉着席
  86. 石原米彦

    説明員石原米彦君) 二つ御質問がございました初めのほうの御質問の、駅を通過の際の安全確保のことにつきましての御質問にお答えいたします。  標準の配線は、すべて今度の新幹線におきましては、通過列車は、普通の在来の配線でございますと、島ホームがありまして、その前に、片側に通過列車が着くと、うしろのほうに停車列車が荒くというような配線になっておるのが通常でございますが、今度の新幹線におきましては、通過線は、通過列車の、つまり超特急のとまりません駅におきましては、通過線をまん中に置きまして、それから待避線を置きまして、その外側に相対式のホームを置いております。言いかえますと、ホームに立っている人に対しましては、通過列車の間に一線を置いて、そこを通過列車が通っておるという形になっております。したがって、ホームに立っておりましても、その点の危険が若干防げるという形になっております。  それからホームから線路内に立ち入ることの取り締まりは、これは駅員が取り締まるかっこうになりますが、相当高いプラットホームになっておりますし、従来の例から見ましても、公衆の面前で列車に危害を加えるということが行なわれるということは、まずございませんので、これは駅員の目もあり、乗客の日もあるというところで、少なくとも、本法律案の目的になっておりますように、高速で運転いたします新幹線列車運行を妨げる行為を公衆の面前でやるということは、まずないと思います。熱海の場合は、これは例外になっておりまして、場所がありませんので、ホームの前を列車が通っている場合でありますが、これはホームの下、二メートルぐらい下がったところにさくを用いておりまして、そのさくから中に入ってはいけないという指導をいたしますし、それから初めのうちは列車の数が少ないので、通過列車が通るときには、乗客をホームに上げないという指導をいたします。将来列車がふえてまいりますれば、白い線を引くということじゃなくて、そのホームの上にさくを置き、そのさくから線路のほうに近寄ってはいけない、線路には超特急列車が通りますということで、駅員が指導、監視することにしております。
  87. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの吉田先生の御質問のあとのほうでございますが、非常に新幹線自体の根本問題に触れる大問題でございまして、私どもも実は当初新幹線計画に着手しますときから、いろいろな角度から輸送量の想定をしてまいり、また、御承知のとおり世銀に金を借りますときにも、ずいぶんいろいろな角度から検討してまいったのであります。過般ごく内々御説明申し上げました輸送量の見通しにつきましても、必ずしも確定的なものではございません。いろいろな希望的な要素が入ったり、あるいはそうでない悲観的な要素が入りましたり、いろいろなことがございますが、一応まず全体の考え方といたしまして、日本の今後のいわゆる陸上交通量がどのくらいにふえるだろうかということ、これは私どもでなくて、やはり専門家の経済企画庁なり何なりが出した数字でございますので、その全体の日本の国内における輸送量の伸びの中で、それじゃその中で国鉄が自動車と船と飛行機との関係上どれだけの分担をすべきかという一つの推定がなされておる。御承知のとおり所得倍増計画等の関係でございますが、それのアフターケアの作業をいたしておりますが、それの中で国鉄は昭和四十五年度、あるいは昭和五十年度時点にこれだけのものを分担するようになるだろうという数字がございます。それを今度は私どもといたしましてはその主要幹線別に、しからば東海道はこうなる、北陸はこうなるというような推定をいたしておりますが、そういった推定のもとに一応現在やっております計算によりまして、昭和四十五年度あるいは五十年度までのきわめてラフな計算をいたしておるわけでございます。今後につきましても、先ほど午前中にお話がございました運賃の問題等もいままだ確定はいたしておりませんが、将来の問題といたしまして、新幹線の開通前後には一応もう少しコンクリートな数字を出しまして、将来の輸送量の見通しを的確に立て、あるいは利子の支払い、あるいは借金の返済等の具体的な計画を立ててまいりたい、ただ過般御説明申し上げましたものの中で貨物のほうにつきましては、まさにお説のとおり非常に鉄道の将来の問題とからみましていろいろ問題がございます。はたしてこれだけの貨物輸送量が鉄道にくるかどうかというような問題もございますし、また同じ貨物でも現在のようにだんだんやはり高級品が減りまして、生活必需的なものだけが国鉄に残っていくというような現在の貨物輸送の形が、将来五年、十年、道路の発達、トラックの増加と見合った上でどういうふうに変わってくるかということは、やはり貨物運賃の問題とも関連しまして、非常にむずかしい問題だと思います。これにつきましても、いまたまたまやっております国鉄基本問題懇談会等におきまして、十分各御専門意見も聞きました上で、決して国鉄の独善でない輸送量の推定を立てた上で、的確な、はたして貨物輸送を今後新幹線でやるべきかどうかという問題につきましても、十分検討してまいらなければならないというふうに考えております。
  88. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 投資の回収の問題は……。
  89. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) その点につきましては、現在の計算におきましては、貨物輸送の問題は一応別といたしまして、旅客輸送だけで予定どおりの償還期限に十分利子を払った上で返せる、借金の返還はできるという見通しを立てております。こまかい数字は省略いたしますが、現在線のほうは多少輸送が減りますので、現在線のほうの利益率は下がりますが、新幹線の利益率が上がってまいりますので、東海道の現在線並びに新幹線を総合いたしますと、現在より相当程度の利益が上がってくる。また営業係数も相当よくなってくる、こういう計算は間違いないだろうというふうに考えております。したがいまして、当初世銀とも約束いたしました約二百八十八億の借金は予定どおり二十年のたいへん長期でございますので、償還期限で十分返せるだけの見通しを持っているわけでございます。
  90. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 まだたくさんそのほかにこまかな問題ございますが、先ほど来の理事会の話し合いの結果もございますので、私はここで質問を終わりまして、大倉先生が質問しますので取り計らっていただきたいと思います。その質問が終わりますれば、この法律案についての質疑は終わったものだ、こういう理解で私はけっこうだと思います。このことを申し添えて私の質問を終わります。
  91. 大倉精一

    ○大倉精一君 それではたいへん時間もおそくなりましたが、私の質問が大体最後になるようでありますから若干質問させてもらいます。  この法律については、私としてはどうも納得ができませんが、疑問点につきましては、すでに同僚議員からいろいろ御質問が済んでおると思いますので、この際運輸大臣にひとつお伺いしたいと思います。  この法律は非常に簡単な法律でありまして、いろいろむずかしいことばが書いてありますけれども列車運行を妨害したり、そのおそれがあったり、そういうようなことをした者は処罰をするぞと、こういう法律案。非常に簡単なものですがね、簡単なものでありますが、同時に非常におそろしい法律です。これは先ほども吉田委員の質問の答弁を聞いておりまするというと、かりに、うろうろしておっても意思がなければ処罰しないというのだが、一体意思があるかないかどうやったらわかるか。したがって、一般国民東海道新幹線におそろしくて寄りつけないという形になるわけです。そこで私がお尋ねしたいのは、東海道新幹線に限ってこういうおそろしい法律をつくらなければ走れないというふうになったのはどういうわけか。こういうおそろしい法律をつくってまでも一体東海道新幹線というものを走らせなければならぬのか、こういう疑問が当然わくわけだが、こういう基本的な考え方についてひとつお尋ねをしておきたいと思います。
  92. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 御承知のように東海道新幹線は従来の鉄道と違いまして、あるいは機械あるいは装置におきまして違っておりますからして、従来の鉄道営業法その他刑法上の取り締まり得ない点もございますので、こういう法律をこしらえたのでございまして、申さば運転の安全、保安ということにつきまして意を用いた結果であると思って私は了承いたしておる次第であります。
  93. 大倉精一

    ○大倉精一君 従来の国鉄でも、こういうここに書いてあるような危険は同じようにあるのです。どうして東海道新幹線に限って法律をつくらなければならぬか、これをお伺いしておきたい。
  94. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 従来の鉄道と違った装置、違った設備、違った速度等を持っておるからして、それに見合うように従来の営業法ではでき得ないというような考え方をし、これによってやる、こういうことでございます。
  95. 大倉精一

    ○大倉精一君 そこのところがわからぬのです。私は。でき得ないということはどうしてですか。東海道新幹線が従来の国鉄車両よりも精巧な機械を使っておるということは、これはわかります。であるがゆえにこの法律が必要だということはちょっとわからぬです。私は。たとえば石を投げたり、あるいはレールに石を置いたり、こういうことをやればいまの「こだま」だろうが何だろうが、いまの特急でもやはり同じですよ。どういうわけで新幹線に限って法律をつくらなければならぬか、どうも納得いかぬ。もう一ぺん答弁を願いたい。
  96. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 従来の鉄道と違いまして被害も甚大、したがって国民に迷惑をかける程度等が違いますので、こういう法律をつくられたと私は了解しております。
  97. 大倉精一

    ○大倉精一君 東海道新幹線でどのくらいの人間と荷物を運ぶか知りませんけれども、この列車を通すためにこういうおそろしい法律をつくらなければならぬということは、私はどうも本末転倒しているんじゃないか。この法律をつくることは、裏を返してみるというと、東海道新幹線というのは非常に危険なものだ、こういうことを証明しているのです。これは非常に危険であるからこういう人を処罰する法律をつくらなければならぬというわけですね。そういう危険なものを危険でないようにするのが先決じゃないか。たとえば二百キロ以上で走るのでこういう法律が必要なんだと、こういうことなんですけれども、しからば何キロまでだったらこういう法律は要らぬのですか、何キロまでだったら。それをひとつ御答弁願いたい。
  98. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 非常にむずかしい問題でございますから、事務当局からひとつお答えいたします。
  99. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) どうしてこの特例法が要るかということでございますが、まず新幹線の特色というものから申し上げますと、新幹線は時速二百キロメートルというような非常に早い速度で運転されておりますので、在来の鉄道から比べますと、非常に特殊性を持っているということでございます。第一が現在の鉄道でも、たとえば東海道線の「こだま」クラスになりますと、時速百十キロメートル、かなり高速で走っておりますが、新幹線は約二倍の二百キロメートルということで、例を非常ブーレキにとりましても、現在の「こだま」クラスは五、六百メートルで非常制御がかかりますが、大体五倍の二キロ以上ということになります。また運転方式におきましても、従来の鉄道、「こだま」等におきましては、運転士信号機なり進路を肉眼で確認しながら列車運行させるという運転方式をとっておりますが、新幹線におきましては、ATC、 CTCといったような非常に高度の保安技術を取り入れまして運行をさせるということになっております。  それから特殊性の第二といたしましては、万一事故が発生した場合を想定いたしますと、被害がきわめて大きいということは予想されるわけでございます。まあそういったことは万々ないと確信いたしておりますが、事故が起きますれば航空機並みということになるわけでございます。そういった特殊性がございますので、国鉄側におきましては、あらゆる安全対策というものを考えまして、先ほど申し上げました列車運行保安設備といたしましても特殊な高度の技術を採用しておりますし、また運転士等の乗務員の教育におきましても、モデル線区におきまして高速運転に適応した最高の教育訓練を行なっているわけでございます。  また施設面におきましても、全線にわたりまして鉄道と道路の立体交差にするということで、踏み切り事故は皆無にいたしております。また線路内の立ち入り、物件の落下の防止ということにつきましても、十分に防護さくその他を設置いたしまして、厳重な施設を設けているわけでございます。なお、災害等の発生に対しましても、従来の経験から考えまして十分な設備をしているわけでございます。  国鉄側といたしましては、以上申し上げましたような施策で新幹線運転の確保ということは十分な自信を持ってやっているわけでございますが、万一列車に対しまして運行の安全を妨げるような行為が発生した場合には、先ほど申し上げましたように非常に大きな被害が生ずるということになりますので、万全を期しまして、刑法あるいは鉄道営業法等に規定がございますが、刑法あるいは鉄道営業法の考えておりますのは、かなり古い時代のものでございまして、最近の非常に高度な運転技術というものにはマッチしない点もございますので、十月一日の営業を目前に控えまして、刑法あるいは鉄道営業法の特例的な法律、罰則というものを最小限度制定をいたしたいというのがねらいでございます。
  100. 大倉精一

    ○大倉精一君 時間がありませんから、ひとつ答弁も要約してお願いしたいと思うのだが、もし万が一事故が起こった場合には、その被害が及ぼすところが非常に甚天である、であるからこういう法律をつくらなければならぬと、こういうことだと思うんですよ。私が聞いているのは、いまでも特急は百十キロから百二十キロを走っております。それから何か世界の大体列車の最高速度というのは百六十キロぐらいという常識があるようであります。そこで、こういう法律をつくらなければならぬという限界は、速度でとって何キロぐらいですか。被害甚大被害甚大と言いますけれども、百十キロの被害の程度と二百キロの被害の程度と、百四十キロの被害の程度といろいろあると思うんですがね。ですから、一体何キロぐらいで走ったらこの法律は要らぬのか、何キロ以上だったらこの法律が要るんだと、こういうことですね、それはどうですかね。
  101. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) これは非常にむずかしい御質問で、的確な御答弁ができるかどうかわかりませんが、現在線につきましては一応鉄道営業法……
  102. 大倉精一

    ○大倉精一君 そういうのじゃない。
  103. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) 罰則がございまして、これも私ども決して十分だとは考えておりません。
  104. 大倉精一

    ○大倉精一君 それは違うよ。わからないならわからないでいい。
  105. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) まあ何キロからこの程度の罰則が必要かということになりますと、非常にむずかしい問題でございますが、先ほど申し上げましたように、やや航空機に近いというようなかっこうになりますので、たとえば航空法とか、そういったものも一応参考にいたしまして、このような特例法を制定したわけでございます。なお、これは非常に算術的なことを申し上げますが、速度が二倍になりますと、何といいますか、被害はその自乗ということで四倍になりますので、「こだま」クラスが起こした事故に比べますと、二百キロとなりますと大体四倍の被害が生ずるというようなことになります。
  106. 大倉精一

    ○大倉精一君 そこで、かりに百四十キロで走ったら、こういう罰則の法律は特別に設ける必要はないでしょうと思う。そこでしろうと考えで、そうしますと、東京−大阪五百キロといたしますと、二百キロでまっすぐに走れば二時間半、これは算術計算でいきますと、百四十キロで三時間半、百四十キロで走って一時間延びるだけですよ、むしろ、ぼくはこんな法律をつくるよりも、こんな速度で走らなくてもいいものをつくるのがあたりまえじゃないかと思う。こういう速度で走るものをつくって、飛行機と競走する必要がどこにあるか、こういう疑問を持つわけです。網を張った張ったと言われますけれども、これもこの前の委員会でもいろいろそういう問題で質問したことがありますけれども、本来ならば、土手をつくらないように、まっすぐな、人が上がれないようにすればいいんです。上がれるようにしておいて、上がったら処罰するというのは私はおかしいと思う。要するにこういう法律をつくる前に、こういうおそろしろ法律をつくらぬでもいいぎりぎり一ぱいの速度で走る、こういう計画が必要じゃないですか。しかも東京−大阪を一時間くらい縮めようと思えばできるわけです。ですから一時間くらい早く走らなければならぬ理由は一体どこにあるのか。しかも、なぜこういう法律をつくらなければならぬのか、その根本が私はわからぬ。一体大臣専門家じゃありませんけれども、政治家として、一体こういうおそろしい法律をなぜつくらなければならぬかという私は疑問がある。したがって、こういう法律をつくらなければならぬ必要がどこにあるか。ぎりぎり一ぱいに走る施策をしなければならぬと思うのですが、大臣そういう点どうですか。
  107. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) 先ほど……。
  108. 大倉精一

    ○大倉精一君 大臣に聞いておる、そういう施策をすべきじゃないかと。
  109. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) 先ほど申し上げましたように、大体東京−大阪間の速度の設定というものは、施設の面、車両の面で安全の限度、ゆとりを十分とりまして速度を設定したのでございまして、二百キロというのは最高時速でございまして、平均速度にいたしますと百七十キロでございますが、最高速度は二百キロ。そこで先ほど申し上げましたように人的な面、物的な面で十分安全を確保し得るという確信の上でこの計画をつくっておるわけでございますが、まあ大体この列車運行の安全を妨げるような行為もないと思いますが、万が一そういったものが出ました場合は、非常に危険であるということでこの法律の制定をお願いしておるわけでございます。平均百四十と百七十、その辺の差はどうなるかということは、きわめてむずかしい問題でございますが、いずれにいたしましても、現在の東海道線に比べれば倍の速度になるということで、この辺で輸送の質が変わってきているというふうに考えるわけでございます。
  110. 大倉精一

    ○大倉精一君 大臣どうですか。大臣にお伺いしておるのでありますけれども、逆に、それでは及ぼす被害非常に甚大であるということ、さらにもう国鉄としては絶対それが起こらぬと確信しておるがということでありますが、確信をしておるのなら、そういうものをつくらぬでもいいけれども、万が一に備えてこれをつくるとおっしゃる。しからば、万が一がこれで防げるか、精神状態のおかしい子供がやった場合、防げるか、そういった場合にも被害甚大でしょう。それならば、そんな危険な走り方をしなくていいということになりませんか。大臣どうですか。
  111. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) あなたの議論を広げていきますというと、スーパーソニックのような飛行機が必要じゃないかという議論になってくるのですが、私はやはり汽車でも、一時間で玉一秒でも速く安全につくことを世人は、文明人は希望しておると思いますから、その希望に従って、現在の技術において可能な最高の速度でつくようにやったと、その結果こういう法律が必要になったと、かように考えております。
  112. 大倉精一

    ○大倉精一君 それは飛行機と汽車とは違うですよ。汽車というのは地球の上を走るんですよ。飛行機は空中を走るんですよ。飛行機までは人間は届きませんよ。人間も同じく通行できるところを汽車は通るのですから、そこに問題がある。たとえばあれは路面交通でも違いますよ。たとえば、自動車だって最高速度百何十キロ出る。出るけれども、あるいはここは六十キロでなければいけない、四十キロでなければいけないというような、あれも通行のときの規制があります。むろん路面交通とこれとは違いますから、同一の論理はいたしませんけれども、私はこういう罰則のおそろしい法律をつくらなければ、東海道新幹線に限って走ることができぬといったようなことはどうも納得できぬ。こういったものをつくって、さらにさっき言ったように、完全に安全が保たれる、いわゆる完璧なる安全施設を補完をする役割りをして、絶対おこらぬというならこれは別なんですけれども、そういう保証はありませんよ。ですから、まず考えられることば、スピードはけっこうでしょう。けっこうでしょうが、安全を無視したスピードは、これはどうかと思いますね。もっと極端にいうならば、しからば五百キロの汽車を通すか、こうなってくるというと、これはまた問題が刑になってくるでしょう。ですから、こういうものをつくらなければならぬということが、すでに安全の限界をこえた運行である、こういうぐあいに考えても差しつかえないと思うのです。そして、東京−大阪のような近距離を、全く近距離です。東京−大阪のような近距離をこういうスピードでどうして走らなければならぬのか、どうしてもわからぬ。どうでしょうか、こういう法律は撤回をして、さらに安全運行のスピードについて検討させると、こういう御意志思はありませんか。
  113. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 私はそういう意思は持っておりません。
  114. 大倉精一

    ○大倉精一君 そうだんだんやってきますと、さっき吉田君の言ったように、何かこれは意図がありはせぬかというようなことを勘ぐりたくなってくるわけです。ですから、私は一歩護っても、先ほど来いずれ営業法を改正するのだと、こうおっしゃるですから、常業法を改正されるまでの間においてでも安全運転をすべきでしょう。こういう特別立法、処罰立法をつくるなんて、人間処罰するなんというようなことは容易なことじゃない。これをつくらなければ東海道新幹線は走れないというのは、どうやっても納得できない。むろんこの条文の中でも納得できませんよ。納得できませんけれども、出してきた意図が、国鉄のそういう運営なりというものが、どうしても私はふに落ちないのです。先ほど大臣は、文明人の要求に従ってなるべく速い適度で走るのはけっこうだと、こうおっしゃるが、そうかもしれませんけれども、これはやはり限度がありますよ。何といったって飛行機と競走しようというのですからね。何でレールの上を走って飛行機と競走しなければならぬか。それに従ってなぜこういうおそろしい法律をつくらなければならないか。こわいですよ。これは東海道新幹線のかりに土手に上ったときに、ちょっと来いと、裁判所まで行かなけれればならないことがあるでしょう、しいて言えば。しかし、大臣どうですかね、こういう法律をつくってまで東海道新幹線のスピードを二百キロまで出さなければいけませんか。どうしてもいけませんか。その理由、その必要について御説明願いたい。
  115. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) やはり私どもは文明人、したがいまして、速力はおそいよりは速いほうがいい。その趣旨に従いまして、現在の百十キロで走る特急より技術的に可能な、はなはだしく不可能でない可能な速度でなるべく速く走れるような鉄道国民は私は要求しておると考えておりまして、それがまた日本の経済の発展その他に必要なりと考えまして、そして御承知のように、東海道新幹線はただいま申しましたような企画でされまして、そして、今日まで国民の要望にこたえて鋭意国鉄が完成いたしておるのでございますから、私はいまこれをその速度が早過ぎる、困るじゃないかという議論には私は承服できません。
  116. 大倉精一

    ○大倉精一君 どうも大臣議論の焦点が違うのですが、私は速度が早過ぎて困るじゃないかとは言ってないのです。こういう危険な法律をつくらなければならんという速度は、これは一考を要するじゃないか、こういうことを申し上げておるのです。ですから、専門家に聞きますけれども、百四十キロなり百三十キロぐらいにスピードを落したならば、それでもこういう法律は要りますか、どうですか。
  117. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) まあ二百キロの最高速度を選定した理由でございますが、先ほど来大臣からも申し上げておりますが、まあ結局企業体としての国鉄の経済性と、それから旅客に対するサービスと安全性ということ、三つの要素を十分考慮に入れまして、二百キロ十分自信が持てるということで選定しておるわけでございます。  それから、なお先ほど来申し上げておりますように、国鉄側としましては、人的な面あるいは物的な面で十分安全対策というものは講じておりますか、なお防護さく等を無理にと申しますか、列車妨害をしようという意思をもちまして、乗り越えてくるというものに対しましては、やはりこういった刑罰法規を設けて、何と申しますか、無形の防護さくというような措置をしたい、これは一般的な刑法の予防的な考え方でございます。なお、百四十と二百ということになりますと、その辺はなかなか厳密に申しかねますが、先ほど来申し上げておりますように、百十キロの現在の「こだま」と二百キロということを比べてみますと、やはり被害は大きくなるということは事実であると考えております。
  118. 大倉精一

    ○大倉精一君 どうも私の質問にお答えになっておらんようですけれども、かりに百三十キロないし百四十キロで走っても、なお、かつこの法律が要るかということをお伺いしておるのです。ですから、そういう点は、私は従来から疑問を持っておるわけです。二百キロを走らなければならん理由というものは、経済性なり国民諸君の要望なりというものがありましたが、これはきわめて、ばく然たるものです。国民諸君の要望は、賛成投票なんかででもということになるのですけれども、それはまあいいとして、逆に言って、百三十、百四十キロぐらいだったらこの法律は要らんのだ、しかし、この法律をつくらずに走る限界のスピードはどのくらいのものですかと聞いておるのです。
  119. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) これもまたまっすぐ的を射たお答えになるかどうかわかりませんが、現在の鉄道営業法の罰則関係も、「こだま」が百十キロで走るというようなことを予想して制定されたものではございませんで、これは明治三十三年でございますので、この法律自体がきわめて不備であるということも事実でございます。したがいまして、百十キロに対しましても、営業法全体でやはりどういう規制のしかたをしたらいいかということを現在検討中でございますので、特に新しい形態の二百キロの列車に対しましては、営業法とは別に強い規制が必要であるというように考えております。
  120. 大倉精一

    ○大倉精一君 私の聞いておるのは、こういう法律をつくらすに走ることができるスピードの限界は百何十キロぐらいですかと、こう聞いておるのです。東海道新幹線だから何でもかんでもこれを使わなければならんということはないのでしよう、運行計画によっては、こういうものは必要ないのでしょう、どうですか。
  121. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) 現在の鉄道営業法、これは不備な点もございますが、これは百十キロの鉄道には適用してあるわけでございます。これも将来検討する必要がございますが、百十キロ程度であれば、とりあえず現在の営業法で十分とは申しませんが、まあまあやっていける。これが二倍の速度ということになりますと、こういった法律が要るということでございます。百十キロにつきましてはどのようなかっこうになりますか、まだ検討してございません。
  122. 大倉精一

    ○大倉精一君 百十キロであれば大体これは要らぬということになるのですね。そうすれば百三十キロ、百四十キロでもそう大した変わりはないと思われるのです。しかも五百キロを二百キロで割れば二時間半、百四十キロで割れば三時間半、わずか一時間です。この一時間を節約するために、ともすれば人権を侵害するようなこういう重大な法律、みだりに云々、何々のおそれがある、何々をするようなことはいけない、こういう重大な法律をつくらなければならぬということは、わずか一時間の節約をするためにこれをつくらなければならぬ、こういう点は大臣どうですか、何とかお考えになりませんか。
  123. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) あなたと私と議論みたいになりますが、私はやはりこういう鉄道ができて、そうして安全を保って列車運行をやっていくのには、この法律が必要であると考えていまやっております。しからば百四十キロにしたら要らぬじゃないか、百五十キロはどうかという問題につきましては、現在二百キロを目標にして走る鉄道ができんとしておるのでありますから、そういう議論はこの鉄道をやるかやらぬかというときの議論でございまして、これができた以上、安全を期するためにこういうような法律が必要であると存じておるわけでございます。
  124. 大倉精一

    ○大倉精一君 これはいたずらに議論をするのではありませんけれども、できるときにそういう考え方を云々というお話がありましたけれども、二百キロなんという計画はつくってみるというと、あっちにもこっちにも、向こうにも欠陥がある、三千メートル先の障害をどうして見分けるかということも出てくるのです。あるいは路線をつくってみたら、さくもつくらなければならぬということも出てくるのです。そうすると、つくってみたら、こういう法律をつくらなければならぬということになった、初めからこういうことを考えていなかったと思うのです。ですからこれは私は根本的にどうしても納得できない。できないからこういう問題について御答弁もはっきりできないと思うのですが、私はここで参考のために聞きたいが、常時二百キロなりそれ以上で列車運行している国の例を言ってください。
  125. 石原米彦

    説明員石原米彦君) 世界で現在高速度で運転しておりますのはフランス、ドイツ、アメリカでございます。これは大体時速百六十キロ、もちろんほとんどが広軌でございます。百六十キロでやっております。
  126. 大倉精一

    ○大倉精一君 大体百六十キロというのが現在までの世界における列車の最高キロの常識となっているようであります。日本だけ二百キロだと二百キロで走るといばってみても、反面において人権を侵害するような法律をつくらなければならぬ、どうでしょう、これは百六十キロで走っているところはどういう罰則がありますか。
  127. 石原米彦

    説明員石原米彦君) 率直にお答えいたしますと、外国におきまして、これは自由主義国でも共産主義国でも、またいわゆる後進国でございましても、実は自国の鉄道に石をやたらに置くというような習慣はどうもないようでございます。数字的に申し上げますと、現在国鉄のほうにおきまして、過去十年間の統計をとってみましても、一日平均三件ずつ物を線路の上に置くという統計があります。それによりまして、列車が脱線するという事例が一月に一件強の割合で起こっております。これはもちろん、東海道新幹線は一般の鉄道よりも丈夫に、あらゆる点で安全につくってございますけれども、そのかわり万一の場合は従来の鉄道と比較にならぬような大きな被害になるので、外国におきましては、おそらく網を張っている鉄道はないと思いますが、遺憾ながら日本の国だけは網を張らなければならぬ。それからたとえば新幹線のモデル線も一昨年の六月から運転を開始いたしましたのですが、現在まで二十三件の物を置く事故が起こっております。これは大部分は石でございますが、中にはコンクリートのさくを打ちこわしまして、こんな大きな石と一緒に線路の上に落としたという非常に危険な事故がございますし、物を運びますトラックも、千メートル運んできて線路の上に置いたという事例もございます。これは子供のいたずら、大人、両方ともできないような程度のことが行なわれております。それらに引き比べまして、これは少なくとも日本の現状におきまして、お客様に乗っていただいて高速度で運転するには、これは万々一の場合を考えましても、さくも張らなければならぬ。しかし、それのさくを侵してまで入ってくるという者は、これは不届き者ということで処罰もしていただくことにしなければならぬ。またこういう法律をつくっても、子供なんかとうていわからぬじゃないかというお話でございますが、確かに子供とか、白痴とか、酔っぱらいとかという者にはわからないと存じますが、そのかわり、白痴や、子供や、酔っぱらいではあのさくは絶対に越せません。これは高さ二メートルございまして、しかも、後に忍び返しをつけまして、有刺鉄線を張ってございます。したがって、これは普通の子供や大人の思いつきでは通れないようにできております。したがいまして、それを侵して入ってくる者は、相当計画的に、しかもある程度の知能のある者と考えなければなりませんので、そういう知能のある者はこの法律で押さえていただくということで、いわば知能指数の低い者には物理的なさくで、知能指数の高い者は、御審議いただきます法律の精神的なさくで、両方あわせまして知能指数のゼロから百までの者をできるだけ防ぎとめようという次第でございます。
  128. 大倉精一

    ○大倉精一君 まああなたのおっしゃること聞いておると、どうもやはり納得できないのです。そういうような者はちゃんと刑法なり、ほかの法律で処罰できるようになっております。そういう不届き者は、東海道新幹線に限ってそれをやらなければならぬということは、ひたすらに二百キロで走るということだけでしょう。しかも、列車に対して危険であるから、こういう法律をつくらなければならぬということになれば、さくこそあれ、百十キロで走るいまの特急もこれは被害甚大なわけです。ですから、そういうのを差別するのは大体おかしい。そういう危険があるのは全部日本の鉄道に適用すればいいわけで、そういう点から吉田君から御指摘があったと思うんですが、これはどうもふに落ちない。ですから、日本には残念ながら置き石をするような習慣がある、習慣じゃなくて、そういういたずらをするという者があるわけですけれども、それがこわければ、置き石ができないように入ってこないようにしなければならない、これが先決です。子供や大人がしかも網を破って塀を乗り越えるという者は、これは普通のことじゃない。そういう者は十年目に一ぺんか二十年目に一ぺんあるか知りませんけれども、そういう普通じゃないという者のために、こういう一般にも適用される法律をつくるということは非常に問題じゃありませんか。しかも、先ほど吉田君が言っておりますように、何々するおそれがある、みだりにどうやらこうやら、線路の中にも入っていけないということ、あるいは近寄れないということ、こういうふうなことでありまして、私はどうも納得ができない。いまの答弁を聞いても私は納得ができない。外国で百六十キロで走っておりますものは大体どのくらいの距離で走っておりますか、大体五百キロですか、もっとたくさんありますか。
  129. 石原米彦

    説明員石原米彦君) これは諸外国によりましておのおの違いますけれども、大体千五百キロメートルか、二千キロメートルくらいの運行距離の列車が多いようでございます。
  130. 大倉精一

    ○大倉精一君 そういう長距離の運行列車でもって百六十キロで走る、こういうことなら、おそらくどうも何べん言っても同じことでありますけれども、わずかに五百キロの間に人権侵害のおそれのあるようなこういう法律をつくってまで走らなければならぬという一体必要はどこにありますか。東海道新幹線をつくれば、百四十キロで走って一体どんな不便がありますか、あるいは百三十キロで走ってどんな不便がありますか、これはひとつ当局から聞かしてください。
  131. 石原米彦

    説明員石原米彦君) 非常におそろしい法律とおっしゃいますのでございますが、実は、これがいままでの問答にもございましたように、現在の航空法、たとえば航空法によりまして、飛行場に出入りするもの、たとえば飛行機の着発する滑走路であるとか、あるいは格納庫であるとかいうもの、あるいは高速自動車国道法によりまして、高速道路に立ち入るものといったようなものに対しましても、相当厳重な取り締まり規定ができておりますし、それによりまして、危険を及ぼすような場合には、相当の罰則は当然入っております。これらに比べまして、東海道新幹線は、およそ人の出入りできるところには全部網を張ることにいたしましたので、おっしゃいますように、網を張りましたのは、法律なんかのわからない、善悪のわからない知能指数の低い者を防ぐと同時に、知能指数の高い者には、これから中へ入っちゃいけないのだということがはっきりわかるわけなんでございまして、それをしも侵して入ります……。
  132. 大倉精一

    ○大倉精一君 私の聞いておるのは、かりに——私はわかりませんから、かりにと言いますけれども、百三十キロ、百四十キロであれば、こういう法律をつくらぬでもいいということを仮定するならば、百三十キロ、百四十キロで走って、一体どういうところがぐあいが悪いかということを聞いておるのです。
  133. 石原米彦

    説明員石原米彦君) これは鉄道監督局長からも御答弁がございましたように、大体列車は、交通機関はすべて速度が倍になりますと、その二乗に比例いたしまして、連動エネルギーを持っております。したがいまして、少なくともその被害は、速度が倍になれば四倍になりますし、おそらく被害は三乗ぐらいに比例するのじゃないかと思います。もし……。
  134. 大倉精一

    ○大倉精一君 発言中ですけれども、それは何回も聞きましたからわかりましたけれども、百三十キロ、百四十キロで走ってどういうところがぐあいが悪いか、どうしても二百キロで走らなければならぬということはどういうわけかと、こういうことを聞いておるのですね。
  135. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 私は、早ければ早いほどいいと思っております。その早ければ早いほどいい、現在の限度におきましては、二百キロ内外が適当であって、そういう観点のもとに、本鉄道線路を計画いたしまして、この法律を必要とするので、提出して御審議を願っておるような次第でございます。
  136. 大倉精一

    ○大倉精一君 どうもぴんとこないのですが、しからば百三十キロ、百四十キロであれば、お客さんは乗らないのですか、あるいは貨物輸送に支障がありますか、これを聞いておる。二百キロならばお客さんが乗るが、百三十キロ、百四十キロであったならば、お客さんは乗りませんか、どういうところに支障があるか。さっき経済的にも云云とおっしゃいましたけれども、それはどうでしょう。
  137. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) 先ほどの御答弁を繰り返すことになりますが、要するに、鉄道の経済的な面、それからサービス面、安全の面、三者を考慮いたしまして、二百キロが適当であるというふうに考えておるわけでございます。
  138. 大倉精一

    ○大倉精一君 まあ作文的にはそういうことになるのですね。三者を勘案して二百キロが適当であるという結論を得た。どういうわけでそういう結論を得たかということになると、また、いろいろあるだろうと思いますけれども、まあこれ以上繰り返しても答弁が得られないようですけれども、私の言わんとするところのものは、こういうようないろいろな疑いのある、あるいはいろいろな弊害も予想されるような、あるいは一般国民心配するような法律をつくらなくても済む最小限度ぎりぎりのスピードで走るような運行計画を立てたらどうか、こういうことを言っておるのですよ。しかも百三十キロ、百四十キロであっても、この法律をつくらなきゃならぬということになれば、これは特急の走ったところ、全部この法律をつくらなきゃならぬということになるわけなんです。ですから、私は根本的に納得のいかないのは、そういう点ですよ。外国では一千キロ、二千キロというところを走るスピードを要求される、そういうところでなおかつ百六十キロでしょう。しかも東海道新幹線は二百五十六キロの世界新記録をつくった、けっこうな話ですよ。けっこうな話だが、反面こういうものをつくらなくてはならないということは、きわめて危険なしろものである。こういうことです。しかも、この法律をつくったからといって置き石がなくなるという保証はどこにもない。あるいはその他いたずらをするというような、これがなくなるということの保証はどこに毛ない。人殺しをしたら死刑に処するという法律をつくりましても、人殺しはやっぱり絶えません。それと同じように、あなたはこういう権力を使って処罰をするぞということでもってそういう危険がなくなるとは考えておいでにはならぬでしょう。少なくとも、これが牽制はできる、セーブはできるというふうにお考えになっておるならば、これは私は本末転倒ではないか。つまり二百キロのスピードを出して走るために国民の権利侵害をしなければならぬという、これは大問題であると思うのですよ。ですから、私はまずもってこういうような法律をつくらぬでもいい、そういうスピードに調節をすべきである、運行計画を立てるべきである、こう思うのですね。しかも、一歩を譲って、どうしてもということになれば、営業法も改正しなければならぬから、営業法の改正をされて、法体系をきちんと整備されるまで、少なくとも安全運転をする。こういうことでなければ、何でもかんでもしゃにむに十月からやるんだ、そのために非常に危険だからこういう法律をつくるんだ、これは私は政治家として納得できないですね。運輸大臣どうでしょう。営業法の改正ができるまでこれは待てませんか。
  139. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 私はどうしても早急に改良しなければいかぬと思っております。営業法の改正は、もちろんいま目下各界の権威者が集まってやっておりますから、それができるまで待つということは、現時点においては不可能と考えてこの法律を提案した次第でございます。
  140. 大倉精一

    ○大倉精一君 それじゃ、これでやめますが、私はこの質問において、どうしても東海道新幹線は二百キロで走らなければならぬ理由がこれこれにあるというこういう理由を明確に言われて、なるほどと思えば、この法律をOKと言おうと思ったけれども、何回聞いても、いろいろな角度から聞いても、二百キロで走らなければならぬという必要性については何ら説明がありません。あるいはまた百三十キロ、百四十キロでどこがいけないかという説明もないから、どうしてもこの法律については納得できないわけです。これはひとつ大臣多数決で通るかもわかりませんけれども、この運用については、大臣責任を持って、あなたの運輸大臣の当時にできるのですから、これはよほど考えてもらわなければならぬと思う。これできょうは答弁は求めません。どうしてもふに落ちないということだけを申し上げて、私の質問を終わります。
  141. 谷口慶吉

    理事谷口慶吉君) 本案の質疑は、終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 谷口慶吉

    理事谷口慶吉君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。  次回は十六日とし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十三分散会