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1964-04-21 第46回国会 参議院 運輸委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二十一日(火曜日)    午前十一時四分開会   —————————————   出席者は左のとおり。    委員長     米田 正文君    理事            谷口 慶吉君            天坊 裕彦君            吉田忠三郎君    委員            河野 謙三君            木暮武太夫君            野上  進君            平島 敏夫君            相澤 重明君            大倉 精一君            小酒井義男君            浅井  亨君            中村 正雄君   国務大臣    運 輸 大 臣 綾部健太郎君   政府委員    運輸政務次官  田邉 國男君    運輸大臣官房長 佐藤 光夫君    運輸省海運局長 若狭 得治君    運輸省船舶局長 藤野  淳君   事務局側    常任委員会専門    員       吉田善次郎君   説明員    運輸省海運局参    事官      高林 康一君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○臨時船舶建造調整法の一部を改正す  る法律案内閣提出) ○海上衝突予防法の一部を改正する法  律案内閣提出)   —————————————
  2. 米田正文

    委員長米田正文君) ただいまから委員会を開会いたします。  臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案及び海上衝突予防法の一部を改正する法律案、両案を便宜一括して議題といたします。  まず、各案について補足説明を聴取いたします。船舶局長
  3. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案につきまして補足説明をさせていただきます。  臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案提案理由につきましては、先般大臣から御説明申し上げたとおりでありますが、なお補足的に現行臨時船舶建造調整法制定理由とその内容、並びに今回その存続期間を延長することの必要性等につきまして説明させていただきます。  現行法は、昭和二十八年に制定されたものであります。すなわち、戦争によって崩壊したわが国商船隊再建のために戦後多額の財政資金及び市中資金が投下されてきたのでありますが、昭和二十八年に至り当時の海運市況の悪化の状況にかんがみまして、財政資金融資比率増大市中融資に対する利子補給制度確立等の強力な助成策が講じられることとなったのでありますが、これらの助成を真に効果的たらしめるため船舶建造及び改造許可にかからしめて、建造される船舶国民経済要請に適するよう調整することによって、わが国外航商船隊整備をはかることを目的として本法が制定されたのであります。  その後、本法は、昭和三十一年及び昭和三十五年において二回その有効期間を延長したのでありますが、これはわが国外航商船隊再建整備並びに国際競争にたえ得る企業基盤確立が十分達成されない状況にありましたので、本法調整機能を継続させる必要があったからであります。  次に、この法律内容について簡単に申し上げますと、まず、造船事業者外航船舶建造し、またはその重要な改造をいたします場合には、着工前に運輸大臣許可を受けなければならないこと。また、運輸大臣は右の許可をいたします場合には、この法律に定める基準に従ってこれをなすことを要すること等を規定しております。  ここに許可の対象となる船舶とは、総トン数五百トン以上または長さ五十メートル以上の船舶近海区域以遠に就航し得るもの、すなわち、外航従事し得るものであります。これを船の種類別に申しますと、旅客船、貨客船、貨物船油送船等一般商船のほか、貨物の運搬を主たる業務とすることができる構造を有するもの、たとえば漁獲物運搬船等も含められております。  法律の定める許可基準は、第一に、その船舶建造によってわが国国際海運の健全な発展支障を及ぼすおそれがないかどうか、第二に、その船舶建造する造船事業者がその船舶建造に必要な技術及び設備を有しているかどうかの二点であります。  以上が現行法制定理由とその内容の概略でありますが、この法律に基づく許可の実績は、昭和二十八年八月以降昨年十二月末までにおいて、建造一千九百四十三隻、二千二百五万総トン改造七百二十六隻、四百七十二万総トンとなっておりまして、本法により、国内向け船舶につきましては、それが真に国民経済要請に適合するよう、また輸出船につきましては、当該船舶建造わが国国際海運の健全な発達に支障を及ぼさないよう調整する機能を発揮してまいったのであります。  さて、ひるがえって、わが国海運を見まするに、外航船船腹量は昨年十二月末現在におきまして、七百二十八万総トンと目ざましい復興ぶりを示しておりますが、開放経済体制の移行にかんがみまして、一そうわが国経済自立発展をはかる必要があり、その一環として外航船腹計画的増強海運業再建整備が緊急の課題とされております。そのため、昨年海運業再建整備に関する臨時措置法が制定されまして、五年間に、集約等海運業側合理化努力日本開発銀行の融資に対する利子支払い猶予措置によりまして、わが国海運業自立体制整備をはかることになっているのであります。  しかしながら、最近わが国造船業に対する輸出船の注文は飛躍的に増大しておりますので、輸出船国内向け新造船との間に、建造船台等について競争関係を生ずるおそれが増大してきております。さらに、わが国貿易量増大に伴って、長期積み荷保証のもとにわが国貿易貨物を輸送しようとする輸出船わが国造船業に対して発注され、これらの船舶国内船との間に競合関係を生ずるおそれも増大してきております。  したがいまして、わが国海運業自立体制整備を主眼として外航船腹整備を促進いたしますためには、国内船輸出船との競合関係調整する機能を持つ本法有効期間を、海運業再建整備に要する期間に見合いまして、少なくとも四年間延長する必要があるのであります。  なお、現行法は、昭和四十年三月三十一日まで効力を有するものでありますが、その有効期間延長についてのこの法案今期通常国会に提出いたしますのは、造船の場合におきましては、着工の相当以前に契約が締結されるのが通例でありますので、昭和四十年四月以後に行なわれます般舶の建造につきまして、混乱を引き起させないためであります。  以上が、この法律案を提案する理由であります。
  4. 米田正文

  5. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) 海上衝突予防法の一部を改正する法律案につきまして補足的に御説明申し上げます。  現在の海上衝突予防法は一九四八年の海上人命安全会議におきまして採択されました予防規則に基づきまして作成されたものでありますけれども、一九六〇年にやはり海上人命安全会議がロンドンにおいて開かれまして、そこで新しい最近の情勢に適応する衝突予防規則が採択されたわけであります。この規則発効要件は、世界各国船舶、百総トン以上の船舶につきまして、受諾国船舶数の合計が世界船舶数の八五%に達しましたときにはこれが発効するという国際的な衝突予防規則でございます。  現在の各国受諾状況は、すでに二十四ヶ国が受諾いたしております。それからアメリカは現在受諾手続中でございまして、国内措置もすでに完了しておる。それから西独は、本年二、三月中に国内措置を完了し、完了後直ちに受諾手続をとる見込みでございます。したがいまして、日本がこの法律改正することによりまして受諾手続をいたしました場合には、世界船数に対する受諾国船舶数は七五%になるわけでございます。他の国々におきましても、なお現在受諾手続中のものが相当あると思われますので、おそらく明年中にはこの八五%の数に到達するというふうにわれわれは見込んでおるわけでございます。そういう意味からいたしまして、一九六〇年の国際海上人命安全会議において採択されました改正衝突予防規則を国際的な規則とするための、日本船舶数としては非常に多く持っております現状でございますので、日本が加盟することによってこの衝突予防規則が国際的な規則になるというようにわれわれは考えておるわけでございます。  以下法律案内容について簡単に御説明を申し上げます。  現在の海上衝突予防法は、船のトン数によりましていろいろな制限あるいは規則をつくっておるわけでございますが、この船のトン数というものは、最近世界的に減トン措置というものが盛んに行なわれておりまして、船舶の大きさとトン数というものは比例しない場合が多いわけでございます。したがいまして、この衝突予防規則におきましては、従来のトン数による基準というものを改めまして、船舶の長さを基準にする。この長さによりまして、いろいろな灯火なりあるいはいろいろな規則の適用をきめていこうという考え方でございます。  引き船が他の船を長く引いている場合には、引き船と引かれ船との関係が不明確になったり、あるいは引き綱というものが水の中に隠れておりまして、他の船に中間を横切られるというような危険な状態が生ずる場合もございますので、引いている長さが百八十三メートル——六百フィートでございますが、こういうような場合においては、昼間においても引き船、引かれ船の双方に黒色のひし形の形象物を掲げることにいたしました。  それから、測量船航路標識敷設船海底電線敷設船水中作業船は、その特殊の作業従事中は他船進路を避けることが困難でございますので、その旨を示す特殊な標識を掲げることといたしておりますけれども、航空機の発着に従事する船舶並びに洋上において燃料油を補給するいわゆる給油船等につきましては、その作業従事している間におきましても一定の速力及び進路を保つ必要がございますので、これらを特殊作業船と同様に規制を加える、また機雷掃海従事する掃海作業船につきましても、特殊作業船と同じような規制を加えるということにいたしましたけれども、なお機雷掃海作業船につきましては、機雷の爆発のおそれがございますので、緑灯二個あるいは三個の独特の灯火使用させるということにいたしました。  それから、漁労従事しております船舶は、従来はその従事している漁労方法の種別、動力船帆船との区別航行中と停泊中の区別等によりまして、いろいろ分類された灯火を表示することといたしておりましたために、その標識があまりにも多岐にわたりまして識別が困難であったので、これを他船運航妨害度の少ないトロール船については緑・白灯妨害度の大きいトロール船以外の船舶につきましては赤・白灯識別灯といたしまして、かつ対水速力を有する場合に限りまして、いずれも舷灯船尾灯等を掲げるよう簡明な方法に改めたわけでございます。  それから、長さ十九・八〇メートル未満の小型船舶引き船または押し船従事する場合は、これが単独航行中の場合に準じまして、引き船灯及び舷灯性能等を緩和することといたしました。  それから、漁労従事船霧中信号は、従来一回の吹鳴と号鐘信号または高低交互に変調するサイレン信号でありましたけれども、漁労従事船運航の形態が特殊作業従事船の場合に類似いたしておりますので、これを特殊作業従事船と同様の「長、短、短」のサイレン信号に改めたわけであります。  それから、横切り、行き会い等の場合におきます航法規定につきましては、船舶が互いに相手を認めた場合に適用されることになっておりますけれども、最近レーダー使用が普及いたしましたために、霧中等視界制限時におきましても、レーダー映像によって他船の存在を知り、直ちに一方的な動作をとる傾向がございまして、このような一方的な動作に起因する衝突事故世界的に非常に多く発生いたしておるわけでございます。したがいまして、レーダー使用する場合につきましては、使用上の注意事項を勧告することといたしましたほか、レーダー映像によって他船を認めた場合の航法を定めたわけでございます。  それから、帆船相互間の航法につきましては、国際ヨットレース規則と同様の内容のものに簡素にいたしました。  また、ヨット小型遊覧船等増加に対応いたしまして、大型船舶航行可能な水域が限定されているような狭い水道におきましては、これらの小型船に対しまして、大型船安全航行阻害を禁止することといたしました。  最後に、遭難信号といたしまして、新たに一九四八年の海上人命安全条約で採択された腕の上下運動及び大量発煙による信号を加えました。  以上が改正法律の要旨でございます。
  6. 米田正文

    委員長米田正文君) 両案について御質疑の方は順次御発言願います。
  7. 小酒井義男

    小酒井義男君 臨時船舶建造調整法の一部改正法案について二、三お尋ねをしたいのですが、この法律ができてから今日まで第三条の許可基準に適合しないというような例がどのくらいあったのか、どういう場合がそうであったかということを御説明願いたいと思います。
  8. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 許可基準に合致しないために不許可処分にした例はございません。しかしながら、申請書を提出する前の段階におきまして、事前の審査あるいは指導によりまして、許可基準に適合しないために、適合させるような指導をいたしました結果、すべて許可ということになっておるわけでございます。申請書が出まして、これが不適合であるから許可しないというようなことになります以前において、指導を適正に行なっておる次第でございます。
  9. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうしますと、最近造船界のほうが輸出抑制策に対しては反対であるという強い考え方を持っておるようなんですが、それとこの法案との関係はどうなりますか。
  10. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 造船業者輸出船建造をいたしますにあたりまして、これれが国内船建造現実に競合することがあるかないかという問題がございます。これにつきましては、国内船建造量の拡大ということが最近政策として大きく取り上げられまして、現実日本造船業界国内船建造船規模を拡大するにあたってどの程度支障を来たしているかということを十分調査いたしました結果、現実状況支障はないということに相なっております。しかしながら、今後建造規模をさらに拡大し、あるいは今後輸出船の受注の趨勢がどのように変わっていくかということが予測できない面がございますので、同じ目的建造される国内船輸出船造船所船台を取り合うといったような場合は十分考えられるわけでございまして、その際は、この法律を適用いたしまして調整をいたす所存でおるわけでございます。
  11. 小酒井義男

    小酒井義男君 それからもう一点。最近外航船舶建造について、政府関係の各省間で少し、意見の食い違いといいますか、考え方の違いがあるように思うのですが、大蔵省などの中には、海運収入赤字というものの考え方について、戦前と戦後の計算方法にいろいろ問題があるから、戦前でも運賃収入というものは赤字であったのじゃないかというような意見を発表しておる向きもあるのですが、こういう点について、運輸省考え方と、何か、調整ではないですけれども、どちらが正確なのかというようなことで検討されたようなことはあるのですか。
  12. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) もちろん、われわれの手元におきましても、戦前資料をいろいろ検討いたしておるわけでございます。われわれのところでは、戦前は、赤字ということではなしに、大体海運収支としては、港湾経費も含めまして、収支とんとん程度というように考えておるわけでございます。港湾経費の見方あるいは戦前運賃計算方法というようなものは現在と相当違っておりまして、現在われわれがやっておりますのは、いわゆるIMF方式によってやっているわけでございます。これは、外船による輸入の物資の支払いというものを払いに立てまして、輸出に対する日本船収入というものを受けに立てているわけでございます。そうして、その結果、運賃収支赤字であるか黒字であるかというような結論を出しております。戦前はとにかく、そういうIMF方式じゃございませんで、実質的な収支に近い考え方計算しておったようでございます。現在のIMF方式に改めて計算し直しますと、大体におきまして収支とんとん、幾らか黒字であるという程度になっておるとわれわれは思っております。
  13. 小酒井義男

    小酒井義男君 これはこの法律の直接の問題じゃないのですけれども、この機会ですから少し質問を続けたいと思うのですが、ここ数年間外航船舶増強してきまして、その船舶増強してきた過程における積み取り比率状態と、それから運賃収入傾向ですね、こういうものとの関係運輸省として何か資料でお出しになったことがありますか。
  14. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) 資料はいろいろつくっておりまして、たとえば海運白書というものを出しておりますけれども、その中には運賃収支関係あるいは積み取り比率関係の毎年の状況を詳細に書いて出しておるような状態でございます。ただ、船舶保有量というものと、積み取り比率というものの推移というものは、必ずしも一致しない。と申しますのは、輸入物量が非常に増加してまいる年におきましては、船舶は相当建造しておるにもかかわらず、積み取り比率が低下するというような状態があらわれるわけでございます。端的に申しまして、三十七年度の積み取り比率は、輸出が五二%、それから輸入が四七%程度でございます。それから三十八年度——昨年度におきましては、輸出入とも四六・七%というような状態になっております。それから三十六年度の日本経済が非常に伸びた年におきましては、輸入の積み取り比率は四二・三%程度というように減っておるわけでございます。しかし、この間におきまして、船腹量といたしましては、毎年大体百万トン近くのトン数増加してまいっております。それから運賃収入国際収支の面におきましては、輸入物量が非常にふえました年におきましては、国際収支赤字も非常に多くなっておる。それから比較的経済下降期に入りました年には、船腹量にかかわらず、輸入物量の減少によりまして国際収支赤字は比較的少なくなっておるというような状況を繰り返しておるわけであります。
  15. 小酒井義男

    小酒井義男君 政府の四十五年度の目標とする船舶建造ですね、あの高度成長に見合うところの海運増強という方針は再検討を加える必要があるのじゃないかと思うのですが、政府においてそういう点についての検討はやられておりますか。
  16. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) 所得倍増計画に伴います船舶拡充計画といたしましては、昭和四十五年度に千三百三十五万総トン外航船舶を保有するという計画でまいったわけでございますけれども、最近におきまして積み取り比率が非常に減ってきております。端的に、輸入物量が非常にふえてまいっております。現に石油等輸入につきましては、すでに昭和四十二年度におきまして所得倍増計画におきまして考えられました昭和四十五年度の数字を突破するというような状況でございますので、われわれといたしましては、現在、その計画を解体するということで、いろいろ検討を加えておるわけでございます。
  17. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうしますと、従来の計画よりさらに建造量をふやしていく方向で検討されておるということですか。
  18. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) さようでございます。端的に申しますと、昭和四十二年度において海上運賃収支だけをとんとんにする、バランスさせるというにはどの程度船腹量が必要であるのかということをわれわれ試算いたしまして、その結果、三十九、四十、四十一年、この三ヵ年間に大体五百三十万トン程度船舶建造が必要であるという試算をいたしたわけでございます。これは大体前の千三百三十五万総トン昭和四十五年度において保有するという計画から見ますと、建造量としては三倍近くなるわけでございます。しかし、昭和四十二年度において運賃収支とんとんにするということが、なかなかそう簡単に——現在の海運実情あるいは産業界実情から見まして、簡単にできるとは思いませんけれども、一応できるだけそれに近づけてみようということで、現在計画を策定いたしておるわけでございます。
  19. 小酒井義男

    小酒井義男君 経済企画庁のほうでは、船腹増強しても国際収支の改善がどれだけできるかということについていろいろ議論があるようなんですが、そういう点について運輸省との間で何か意見交換か何かやられますか。
  20. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) その点については、十分経済企画庁と連絡をとりながらわれわれの作業を進めておるわけでございます。ただ、戦前と異なりまして、貿易構造が根本的に変わってしまっておるという現状におきまして、単に船腹増強だけでこの海運国際収支均衡させるということは非常に困難でございます。と申しますのは、輸出輸入物量の差というものが、具体的に申しますと、三十八年度の輸出物量は千九百万トン程度、それから輸入物量は一億九千万トン程度、一対十程度比率でございます。したがいまして、IMF計算方式によりまして、輸出運賃邦船運賃収入によりまして輸入運賃外船に支払う外貨の運賃の見合いにするということは、とうてい困難な状況でございます。しかし、IMF計算方式はともかくといたしまして、海運国際収支均衡をできるだけ達成するようにいたしますためには、やはり船腹拡充よりほかにいたし方がございませんので、収支均衡ということはとうてい望み得ないにいたしましても、できるだけ船腹量増加することによって貿易外収支赤字を改善するという方策をとるべきであるという点につきましては、経済企画庁もわれわれも全く同様な意見を持っているわけでございます。
  21. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから、この造船合理化審議会部会長をおやりになっている植村さんの——やはりこれも経済団体関係の会合では、船腹建造運輸省案ほど建造する必要がないのではないかというような意見が出ているようですが、そういう問題はまだ運輸省のほうでは御検討になっておりませんか。
  22. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) 実は、どれだけの船腹が必要であるかというのは、結局現在の船腹建造というものは、産業界需要に基づきまして長期契約をいたしまして——積み荷及び運賃保証のある契約をいたしまして船腹建造するものが大部分でございます。今後最も増加を予想されておりますところの石油あるいは鉄鉱石等につきましては、すべてそういう形式によりまして船舶建造を行なっているわけでございます。この点につきましては、産業界の実際の需要がどれだけあるかということを的確に把握する必要がございますので、経済団体連合会におきまして特別な委員会をつくりまして、先月来いろいろ検討を加えておったわけでございますが、昨日ようやくその結論が出まして、大体専用船のみにおきましても年間八十九万トン程度船腹が必要であるという結論が出ているわけでございます。それ以外に、定期船あるいは不定期船というようなものが相当ございます。それからもう一つは、現在日本船がほとんど活動しておりませんところのいわゆるスポット輸送、つまり長期契約のないものでございまして、ときどきの必要に応じて用船するというようなものが、具体的に昭和四十二年度におきましては、石油については約二千万トン、それから鉄鉱石につきましては約一千万トン程度需要があるわけでございます。これに日本船をいかにして入り込ませていくかということが今後の課題でございます。そういうものにつきましてもやはり日本船の積み取り比率を五〇%程度にするというような規定で考えてまいりますと、大体におきまして運輸省におきまして試算いたしておりました船腹量程度のものは産業界としてもぜひつくってもらいたいという結論になってくるわけでございます。
  23. 小酒井義男

    小酒井義男君 まあ船舶建造その他国際収支見通し等の問題は、私は一度経済企画庁の長官なり係官の人に委員会に出てもらっていろいろ尋ねたいと思っておりまますから、きょうは直接は、この法律案はまあ期間を延長するというだけの内容のものですから、この程度で質問を終わります。
  24. 大倉精一

    ○大倉精一君 この補足説明の中の終わりのほうにあるのですけれども、こういうのがあります。「わが国貿易量増大に伴って、長期積み荷保証のもとにわが国貿易貨物を輸送しようとする輸出船わが国造船業に対して発注され、これら船舶国内船との間に競合関係を生ずるおそれも増大してきております。」 というのがあるのですが、おそれじゃなくて、いまそういう現象が出てきていると思うのですけれども、大体の概要について、数字でもってその概要を御報告願いたい。
  25. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) まず、現在建造されております輸出船日本輸入物資を長期の積み荷保証のもとに輸送するという予定で建造されておりますのがどのくらいあるかという問題が御質問の一番中心じゃないかと思います。これにつきましては、私どもといたしましては非常に関心の強い問題でございますので、現行法におきまして建造許可いたしますにあたりまして、十分その点を調査いたしております。従来それでわかりましたのは、外国船主が日本石油会社あるいはその他と用船契約をいたしまして、その用船契約書を担保に差し入れておるということがわかりました場合には、これはきわめて明確にわかるわけでございます。しかしながら、最近の傾向といたしましては、明確に使用目的がきまっていない、特定な荷主と長期契約を結んでいないという段階において日本船舶を発注しておるというものが大部分でございます。その理由は、船舶は非常に値段が下がっておるということと、それから日本造船の能率が非常にいいものですから、わりに早く希望の船が入手できるということ、それから、これは法律を正しく明確に調べませんと自信持ってはお答えできませんが、巷間言うところによりますと彼らは早く船舶に投資をしないと税金を払わなければならぬということで、投資を急いでおるということを、北欧船主等につきましては聞いておるわけでございます。それぞれの事情によりまして、長期の積み荷保証がないままに大量の船舶日本に発注してきておるものが大部分でございます。したがいまして、これを突きとめることができない段階でございます。しかしながら、過去におきましては、最初に申し上げましたように、用船契約を担保の一部に差し入れておるものがございまして、これが邦船と競合するということでありまするならば、これは現段階におきましては当然チェックすることができると思います。しかしながら、それにつきましても、競合関係がない場合には、ただいま申し上げましたような調整の対象とすることは適当でない、かように考えております。
  26. 大倉精一

    ○大倉精一君 私のお尋ねをしておるのは、現在そういう競合関係が出ておると思うのですね。そういう状態についてお尋ねしておるのですが、それはどうなんでしょうかね。数字でもってお答えできませんか。
  27. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 現在受注いたしております外国の輸出船が約四百万総トンをこえております。これはもちろん私どものほうで建造許可いたしております。しかしながら、ただいま申し上げましたような競合関係が明確になったものは一隻もございません。先般そのような疑わしい事例が一隻ございまして、十分時間をかけまして広くこれを調査いたしましたけれども、的確にこれがそのものであるという、日本の荷主と長期の積み荷証書で運航することが決定しておるという事実がなかったものでございますから、該当しないということになったわけでございます。
  28. 大倉精一

    ○大倉精一君 たとえば、そういう事実が明白でないままに建造許可した、建造した後においてその船でもって邦船との競合関係が出てきたり、そういう事例はいままでありますか。
  29. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 従来の例から申しますと、あとで長期の積み荷保証を取りつけたという例は従来ございません。これは、最初からそういうもので、長期の積み荷保証で建造許可した船が、予定どおり就航した船がございます。これにつきまして、なお、御質問ではないかもしれませんが、私どもといたしまして、石油につきましては石油会社が長期契約する、それから鉄鉱石や石炭を輸送するものにつきましてはどういうところが長期用船をしているかということを調べましたところが、タンカーにつきましてはもちろん日本石油会社が長期用船をいたしております。しかしながら、鉄鉱石や石炭につきましては、これは全部外国の荷主がCIFで売ってまいりまして、外国の荷主が船舶の指定をいたしておりまして、これがC&F建によりまして日本輸出船がそこに配船されているというものがございます。数字で申し上げますと、鉄鉱石長期用船で運んでおります。C&F建によります日本輸出船が六隻ございます。重量トンで申しまして三十六万トンでございます。これはC&Fで運んでおります。それから石炭につきましては十隻でございます。これが四十二万重量トン、やはりC&Fでございます。それから原油につきましては九隻でございまするが、これは日本の油会社が長期用船をいたしておりまして、四十六万重量トンでございます。なお、原油輸送の九隻のうち、日本輸出入銀行の融資を受けた造船所がつくりましたのは、いわゆるその船に関して輸銀の融資を受けてつくりましたのは、たしか五隻であったように記憶しております。
  30. 大倉精一

    ○大倉精一君 この鉄鉱石の六隻と石炭の十隻ですね、これは大体どこの船ですか。
  31. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) これは、いわゆる船の登録国は、大部分はリベリアとかパナマとかいう便宜国船でございます。資本はアメリカとかギリシアとかいうものが多いと考えております。
  32. 大倉精一

    ○大倉精一君 先ほどの説明によりまするというと、四百万総トンはいま許可しているのですね。そうして、日本貿易貨物を積み取るときにそういう競合関係があるかないかということがどうもはっきりつかめぬままに許可をしているという説明のように聞いたのですが、許可する場合にそういう条件ははっきりつかめるかどうか、これをつくらしたならば日本輸出との競合関係が出ると、そういうことがはっきりつかめるかどうか、その点はどうですか。
  33. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 造船所は注文船主からそのような情報をとることを必要といたしておりませんので、責任を持って受注造船所について調査をすることは困難でございます。しかしながら、輸銀融資の審査の段階におきまして、輸銀が一応事前にあらましの審査をいたします。ごくざっとした審査をいたします。輸出入銀行が実際に金を貸します場合には詳細な審査をいたします。その前に、またわれわれが建造許可をいたします場合に、船主から必要な資料をとることはある程度できるわけでございますけれども、しかしながら、公式の文書として積み荷保証の有無を要求いたしましても、現実にできていないというものがほとんど大部分であるようでございます。その積み荷保証をいたします荷主が日本石油会社その他であります場合は、荷主について別のほうから調査をすることがある程度可能ではないかと考えます。これにつきましては、運輸省としましては、海運局がそのような努力をいたしているわけでございます。現実には、冒頭に申し上げましたように、現在非常に投機的な発注をしているものが相当多いわけでございまして、長期の積み荷保証を取りつけなくても、現在発注することが彼らにとっては非常に有利であるという判断から、低船価をねらって、また大型化をねらって、船台がなくなるということを憂えて、早く発注している船が相当多いというふうに聞いているわけでございます。
  34. 大倉精一

    ○大倉精一君 何かどうもしろうとでよくわからぬけれども、競合関係が出るか出ないかということについてある程度調査をすることができる、こういうお話なんですけれども、そうしますというと、大臣がこれを許可するかどうかという場合に、そういう可能性があるという、そういうことで許可するかしないかを決定されるわけですか。的確に、これは競合関係が出るという、そういう調査は非常に困難なような口ぶりなんですが。
  35. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 競合と申しますると、競合の相手方でありまする日本外航船建造計画が明確になっていなければならないわけでございます。将来その輸出船建造する段階になりまして初めてその競合関係というものがあらわれたということでは、実はタイミングとしてはおそいわけでございまして、かりに来年進水する輸出船を現在許可しようといたしておりまする場合に、その船がどこに使われるかということをできるだけ調査いたします。なおその際、タンカーで申しますと、日本の油会社がそのころどのような船を、日本船を使おうとしておるか、その日本船日本の船主がつくるものであるか、日本の油会社がみずから建造しようとしているものであるか、いずれにいたしましても日本の油を運ぶために建造する新しい計画が明確になっておりまする場合には、競合関係の調査が焦点が合ってくるわけでございます。それが全く話の程度で、まだ何にもきまってないが、そのうちつくるかもしらぬという程度でございますると、競合関係を審査することができないというわけでございます。したがいまして、御質問にはございませんでしたが、長期邦船建造予約制度というものが成立することが非常に必要なことであるというふうに考えております。
  36. 大倉精一

    ○大倉精一君 この船の建造は、ここにも書いてあるように、進水以前に、相当期間前に発注するということになるのですけれども、そうなるというと、やっぱりいまの答弁からいきましても、将来ここに書いてあるところの「わが国貿易貨物を輸送しようとする輸出船わが国造船業に対して発注され、これら船舶国内船との間に競合関係を生ずるおそれ」がある、こういうものに対して許可を与える時点においては、的確に把握できないままに許可する場合がある、こういうことですね。
  37. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 現在国内船建造規模を拡大するという政策が検討されておりまして、これを有効に実行いたします一つの条件といたしまして、輸出船のように来年あるいは再来年の船まで現在建造許可ができるような体制をつくりたいということが非常に大きなねらいでございます。したがいまして、国内船も来年あるいは再来年の計画を的確に定めて、これの融資もはっきりめどをつけて、そうして輸出船と同様に建造許可をするということが必要じゃないかというふうにわれわれは考えておるわけでございます。この線に沿って目下検討をされておりまして、将来建造計画は、現時点において相当長期計画が近く明確にされるものとわれわれは期待いたしておる次第でございます。
  38. 大倉精一

    ○大倉精一君 何だかちょっとわからぬな。端的にお伺いしますがね。外国から日本造船業に船舶の発注があった場合に、この船舶日本の船会社との競合関係が出るのか出ないのかということは、その発注し許可をする時点において的確につかむことができるのか、できないのか、非常に困難なのか、どうなんでしょうか。
  39. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 現在、国内の建造計画は、第二十次船が実施の段階に入っております。その中に、たとえて申しますと、国内の油会社が二十次で計画しているタンカー、そのタンカーは明確にはどこの油をどういうふうに運ぶかということがきまっておるわけであります。ところが、そのときに、全く同じ目的輸出船日本の油会社と契約をしかかっておるというようなことがわかります場合には、これは競合関係があるということで、十分規制なり審査なりの対象になり得るわけでございます。要はこの国内船建造計画長期に明確になるということが肝要でございまして、輸出船許可をいたしまして後にぼつぼつ国内計画が固まってきて競合関係が出てきたということでは、これは審査にならないわけでございます。
  40. 大倉精一

    ○大倉精一君 まあいまの場合は、これはよく明確にわかる一つの事例だと思うのですね。思うのですけれども、後段に言われたように、外国からそういう船の注文が出た場合に、明確に競合関係が出るかどうかわからないという、そういうものをつかめない場合には許可をしないわけですか。
  41. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) その場合にも、最初に申し上げましたように、建造をしようとする外国の船主が日本のシッパーと長期契約を結び、その用船契約が担保に入っているという場合は、非常に明確でございますので、これは十分審査して競合関係を具体的に示すことば可能であると考えるわけでございます。しかしながら、投機的な船舶の発注の場合には、それが非常に困難である。彼ら自身もそういうことを知らないという場合が多いわけでございますので、審査のしようがないという状態でございます。
  42. 大倉精一

    ○大倉精一君 何か休憩をされるそうですけれども、休憩をして……。
  43. 米田正文

    委員長米田正文君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  44. 米田正文

    委員長米田正文君) 速記をつけて。暫時休憩をいたし、午後一時再開をいたします。   午前十一時五十八分休憩    ————————   午後一時四十分開会
  45. 米田正文

    委員長米田正文君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  午前中審議いたしました両案の質疑を続行いたします。
  46. 大倉精一

    ○大倉精一君 午前中に引き続いて大臣にお伺いしますけれども、この法律案のねらいとする、いわゆる外国の造船注文に対しまして建造船台を統合することについては、これは明確に判断ができる。しかしながら、第二番目の、外国の船をつくることによって、その船が日本輸出貨物を積み取って持っていってしまうということになると、日本船舶との競合関係が起こる。そういう場合は許可しないのだ、調整するのだと、こういうことになっているのですけれども、問題は後段の外国の注文船によってはたして競合関係ができるかどうかということです。いわゆる注文を受けた時点において判断をするということが非常に困難であるということを午前中いろいろお伺いをしたのですけれども、まあ必ずしも的確に把握することはできぬと、こういう答弁でありました。かつて、私はこれは別に反対法案ではありませんけれども、行政面においてこういう非常にあいまいもこたる面が残りはせぬかということを心配するわけです。さらにまた、かりにそういうことが把握されても、これを拒否した場合に、逆に外国船がよそでつくった船を持ってきて日本の荷物を積み取っていけば、やはり競合関係ができるのではないか、こういうことも言えるわけですね。その場合に、もっと端的に言うならば、どうせ日本の荷物を持っていってもらうなら、日本でつくった船で持っていってもらったほうが、日本の外貨等の問題からいっても、あるいはまたその他の条件からいっても、得ではないか。変な言い方ですけれども、そういうことも考えられる。したがって、船台の競合を防ぐということは、これはもう明瞭にわかるのですけれども、いま申し上げた点がどうも行政上あいまいになりはせぬか、こういう心配があるのです。こういう点について大臣はどういうぐあいにお考えになっているか、あるいはどういうような見解を持っておられるか、一応お伺いしておきたいと思うのです。
  47. 綾部健太郎

    ○国務大臣綾部健太郎君) その問題は、非常にむずかしい問題でごごいまして、昨日も実は、日本の船の積み取り比率をよけいにするのにはどうしたらよいか、これはどうしたって荷主であるすなわち財界の人の協力を得なければとうてい困難な問題でございますので、その積み取り比率の問題と関連いたしまして、ただいま大倉さんのおっしゃったようなことについて、いま検討いたしておるのですが、実際困難な問題で、私ども非常に心痛いたしておるわけでございます。日ならずして、自家船、それから積み取り比率その他について、経団連から海運の審議会に何らかの答申がありますからして、それの結果を待ちまして善処いたしたいと考えております。
  48. 大倉精一

    ○大倉精一君 まあ、言われるように、非常にむずかしい、ややこしい問題だと思うんですね。それで、邦船と外国船との競合関係については、より高いところから対策を立てないというとこの法律では、ないよりましだという程度かもしれませんが、かえって逆に困る場合が出てくると思うんですね。たとえば事例として出光興産とかいろいろありますけれども、日本での注文を拒否するといった場合にどういう現象が起こるかということを考えてみますというと、いわゆる競合船でないからというかっこうでもって、ほかの船へ積み取る、これは自由ですからね。そういう問題が起こってくると思うので、そういう点についてはひとつ根本的にお考え願って、そうして外国船との競合等の対策については、もう少し、抜本的なお考えもあると思うんですけれども、こればかりではないと思うんですが、そういう点について特に遺憾のないようにしてもらいたいということを要望しておきます。一応質問を終わります。
  49. 浅井亨

    ○浅井亨君 私一つだけお伺いしたいと思います。この調整法は、いわゆるここに書かれてあるとおり、「建造される船舶国民経済要請に適するように調整する」、 こういうわけでできたわけですが、何にしましても、これは財政の資金の融資とか、またこういう利子補給があってなされたものであると思うんですけれども、これはそのときの情勢はそうだったんですけれども、いまこうあと読んでまいりますと、外国からの注文に対する一つの規制というように私は思うんですけれども、そこでせり合いが起こるのではないか、こういうお話のように思うんです。そこで、初めのほうの「国民経済要請に適するように調整する」、 このありかたがちょっと私にはわからないんですがね。この点ひとつ御説明願いたいと思います。
  50. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) この点につきましては、補足説明等にも従来の趣旨をあまり、強調していないきらいがございまして、輸出の点に重点を置いて補足説明をいたしたわけでありまして、ただいま先生の御疑問が出るわけでありますけれども、今後この延長の法律を適用するにあたりましても、国内船に対しまして、それが最も国民経済に適した船であるということを確認いたしまして適用するわけでございます。この点につきましては従来と少しも変わらないわけでございます。書きようが、非常に力点が輸出船に置かれておりますので、御疑問が出ると思いますが、全く同じ趣旨でございます。
  51. 浅井亨

    ○浅井亨君 あとのところを見ますと、ただ、何か外国船の建造のたくさん注文が来ておる。それが多くなってしまって、日本海運業に対して支障を来たすおそれがある、こういうふうに思うわけですが、先ほど質問が出たように、せり合いの問題ですが、こういう問題から考えまして、いわゆる外国から注文したものを規制していく、こういうことなんですか。
  52. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 外国の注文も規制いたしまするが、国内船といたしましても、その船型、性能その他が、ことに財政資金使用してつくります船につきましては、最適なものであるということを確認いたしますと同時に、なお、建造の施設も別途造船法で規制されておりますが、その技術的な点も十分審査いたしまして、国内船につきましても規制いたしますことは、従来と少しも変わらないわけでございます。
  53. 浅井亨

    ○浅井亨君 わかりました。
  54. 相澤重明

    ○相澤重明君 この法律は、昨年海運企業の合理化問題のときに、その関係でだいぶ意見もかわされたので、私は延長することに賛成するのですが、先ほどから関係委員の方から御質問があったように、この臨時船舶建造調整法という法律が実際必要であるかということですね。何か必要でないのじゃないかという気がするようにだんだんなってきたのです。というのはなぜかというとお話にありましたように、外国の船舶建造について一体どうするのか。わが国船舶建造についての調整ということであれば、これはわかるけども、外国からの発注については、これはあまりそういうことはないように思うわけです。しかし、開発銀行の資金というのはその建造に投資され、時間がたてば、これはもう外国は自由でありますから、国内は規制されても、外国は規制されない、こういうことになると、一体海運業国際競争力というものを強化する、わが国の国内の業者に対する保護立法ということが本来の趣旨であるのに、どうも少し違うような気がするということを前回も少し御質問したことがあると思うのですが、こういう点については大臣なり船舶局長さんたちはどう考えているのか、この点をいま一度聞かしておいてもらわないと、少し混乱するような気がするわけですから、それを先にお答えいただきたい。
  55. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) この建造調整法で許可いたしますことによって、日本経済として最も適当な船の建造が確保されるようになる。そして、性能の劣った船でありますとか、あるいはその他航海に不適性な船でありますとか、金があればかってにつくるということば、国民経済的に非常に資金もむだでございますので、最も適当な船がつくられることを確保することが一つのねらいでございます。  なお、輸出船につきましては、これは、何と申しますか、フリーではないかというような御質問であったと思います。これは補足説明でも申し上げましたように、国内船建造規模の拡大という——現在輸出船の受注を野放しにいたしました場合には、国内船舶の建造の遂行が困難になるという事態が、限られた数の船台の競合という点にあらわれる、当然予想されるわけでございまして、船台の競合をこの点で調整するということが必要になってまいるわけでございます。  なお、もう一つ、建造許可基準に二つ基準がございまして、一つは海運政策的な見地でございます。第二といたしましては、その造船所がその船を建造するに必要な技術と設備を持っていることという、当然な物理的な事情がございます。この点につきましては、当然なことのようでございますが、別途造船法で造船船台その他の施設の過剰を抑制する法律がございまして、それはかってにいたしますと、実は契約をしたということで船台の新設とか拡張とかいうものを当然伴ってくるような計画をすら打ち出してくるということもございますので、この法律をもって、技術及び施設があると、その船は資金的にも物理的にも確実に工事の遂行ができるということを確認する必要があると思います。だんだん船の型が大きくなりまして、一件二十億円をこえる船も相当ございますので、私企業がかってに生産することを抑制することはいかにも妙な感じもいたしますが、多数の労働力も使いまするし、ある面では非常に社会的な生産という面もございますので、国がこのような工事の遂行ができるという自信を確認いたしました上で建造許可するということは、非常に意義があるというふうに私どもは考えている次第でございます。
  56. 相澤重明

    ○相澤重明君 どうですか、先ほども大倉委員からも質問があったと思いますが、自家船との関係、それから営業船といいますか、そういう業者、それから外国の発注というようなものを考えた場合に、戦後の混乱期における法律としては私は非常によかったと思うのです。ですから、私どももこれを賛成してきたし、また、今回の延長することについても私は賛成しているわけですが、この前大臣に私はお尋ねをしたことがあるのですが、いまの国内で休船、つまりいま就航していない船はどのくらいあるのか。これは英国等のすでに就航していない船は、世界の中で英国はナンバーワンですが、そういう各国の例を私ども見た場合に、日本は一体どのくらいあるのかということばかなり問題になるのです。それからいま一つは、船齢がすでにもう時期が来ているのではないか——いわゆる代替建造というものを促進しなければならぬ時期にきている。国際競争力というものは、古いもので航行速度ののろいものや、設備の悪いものは、どうしてももう国際競争力に勝てない。こういうことからいって、日本の場合に一体どうなのか、こういうことを運輸省からある程度具体的な案を出してもらわぬと、この法律そのものについては、私は先ほども申し上げたように、そうたいしたことではないからどうでもいい。いいけれども、そういう基本的な問題を少しやはり、運輸委員会だから、お示しをいただくということがいいのではないか。今後それらの船舶法律等も出てくると思うのですが、そういうことで前回も御質問をしたのでありますが、そういう点の把握、資料は提出いただけますか、どうですか。
  57. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) ただいま御質問の資料を整えて直ちに御提出申し上げます。私いま手元に資料ございませんけれども、私の記憶では、世界的に係船量というものは、現在は二百万トン程度でございます。昭和三十四、五年ごろ約四百万トン程度まで上がっておりましたけれども、最近海運市況が回復してまいりましたので、係船量は漸次減少いたしております。なお、この係船量の中には、たとえばアメリカのリバティー、戦争中につくりましたリバティーの係船が約一千万トン以上ございます。そういうものも入っておりますけれども、経済的に稼働のできる船舶で係船しているものは現在は二百万トン程度に減少いたしております。それから、日本におきましては、現在係船というものはほとんどございません。ただ戦時標準船で、今後スクラップにいたしまして新しく代替建造を行なうというものが多少係船しているものはあるという状況でございます。  それから第二点の船齢の問題でございますけれども、現在日本外航船舶のうちでは約三十数万トンが、税法上の耐用年数を超過いたしまして、いわゆる老朽船と申しますけれども、現在ございます。それから、外航船舶はこの程度でございますけれども、内航船舶につきましては、現在約百万トン余りございますけれども、そのうちの三〇%程度は税法上の耐用年数を超過しております。それから機帆船につきましては、現在ある船の約六〇数%が耐用年数を超過しておりますというような状況になっております。いずれ資料を整えまして御提出を申し上げます。
  58. 相澤重明

    ○相澤重明君 資料を御提出いただいて、今後の内航船の問題等についてもいろいろ意見も申し上げたいと思いますが、私どもは、いま申し上げたような自家船の問題と、それから外国の船主の発注の問題、それから国内の業者との関係、この三つはどうしてもやはり基本的な問題に私は将来なってくると思うのです。そういうことを考えていかないといわゆる国際競争に勝つことができないというふうにどうしても私は思いまして前回も御質問申し上げたのですがそういうことであれば、きょうは賛成でありますから質問をそれ以上しなくてもいいでしょう。私の質問は以上で終わります。
  59. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 議事進行について。私は、この場合、これからの議事進行並びに法案の取り扱いについて提案申し上げたいと思います。  臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案について、ただいままでかなり長時間にわたり審議を継続してまいったところでございますけれども、おおむね質疑は終了いたしたものと私は判断いたします。したがいまして、これからのこの法案の取り扱いの問題でございますけれども、まず臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案をこの場合採決をしていただいて、その後に海上衝突予防法の一部を改正する法律案の審議に入る。こういうことがいいのではないか、こう考えまして提案をするわけでございます。もとより、再議にあたりましても、時間が限られますから、おおむね三時ごろまでをめどとしてその後の審議をいたす、こういうことにしてきょうの委員会を進めたらいいのではないか、こう思いますので、皆さんにおはかり願います。
  60. 米田正文

    委員長米田正文君) ただいま吉田君からお聞きのとおり提案がございましたが、まず御提案の要旨を整理すると、第一点は、臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案の直ちに採決に入り、その自後海上衝突予防法に入り、そうしてその質疑をして、当初きょう採決をする予定だということを申し上げましたが、その採決するかしないかは質疑の状況を見て、ひとつもう一度理事の間で御相談を願って最終的に決定をする、こういうことでいかがでございましょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 米田正文

    委員長米田正文君) それならば、吉田君提案の動議は、さように決定をいたします。  臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案の質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 米田正文

    委員長米田正文君) 御異議ないと認め、これより討論に入ります。御意見のある力は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見かなければ、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 米田正文

    委員長米田正文君) 御異議ないと認め、臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案について採決を行ないます。臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  64. 米田正文

    委員長米田正文君) 全会一致でございます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、先例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 米田正文

    委員長米田正文君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。   —————————————
  66. 米田正文

    委員長米田正文君) 次に、海上衝突予防法の一部を改正する法律案の審議に入ります。   〔委員長退席、理事谷口慶吉君着席〕
  67. 小酒井義男

    小酒井義男君 この提案説明の中に、いろいろな表示をつけることになっておるのですが、この表示の形式というのは、たとえば引き船と引かれ船との場合に掲げる黒色のひし形の形象物であるとか、あるいは特殊船と同様のそのほかの灯火をもって表示する方法なんかあるのですが、こういうものはどこの船が入ってきても見分けることができるような性質のものか、まあ独特のものをというようなことが言われておるのですが、日本独自のものか、どうなんですか。
  68. 高林康一

    説明委員(高林康一君) 世界各国共通でございます。
  69. 小酒井義男

    小酒井義男君 私はそれだけお尋ねすればいいのです。
  70. 相澤重明

    ○相澤重明君 この海上衝突予防法をいま提案されておるわけですが、国際社会の中では、現在のところ八五%に——実質的な一致というのは、受諾国船舶隻数がそういうふうになればということでありますが、これについて、見通しというものは一体いつごろに大体なることなのか、おわかりになったら御説明いただきたい。
  71. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) 先ほど御説明申し上げましたけれども、現在のところ日本が加盟いたしますれば七五%に——これは受諾する国の所属船舶数がなるわけでございます。八五%になりますには、あと三ヵ国程度の主要海運国が加入すればよろしいのでございますが、大体本年度一ぱいにはこの受諾手続がとられるのではないかというようにわれわれ見ておるわけでございます。
  72. 相澤重明

    ○相澤重明君 米国がまだ受諾をしておらぬようですが、米国はなぜ率先して——国際社会の中ではいつでも主導権を握っておるのでありますが、この場合はどういうことなんですかね。
  73. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) アメリカは、すでに受諾のための国内法の手続を全部完了いたしまして、目下受諾手続中であるというように聞いております。
  74. 相澤重明

    ○相澤重明君 ですから、アメリカが、本来なら、国際社会の中においては、すべての問題について、主導権といいますか、一番先にそういう問題について提案をしておるのが本来です。この問題については少しおくれているわけです。いまのお話では、すでに受諾手続をとっておる、こう言うのだけれども、なぜいままでそういうようなことがあったのだろうか、こういう点についてはおわかりになりませんか。
  75. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) 御承知のように、この衝突予防規則というものは一九六〇年の国際人命安全会議におきまして採択されたものでございます。その後、一九六一年以降各国においてそれぞれ受諾手続が行なわれてきたわけでございまして、イギリスのような最も大きな海運国が昨年の八月にようやく受諾手続を済ませておるというような関係でございまして、アメリカが必ずしもそうおくれておるというようなことはないかと思いますけれども、実際問題といたしましては、国際規則受諾に至るまで国内的ないろいろな手続が要るわけでございます。また、国内の各種の団体に対する検討といいますが、そういう問題もございますし、国内的な検討の時間というものがそれぞれ国によって違うわけでございます。したがいまして、イギリスが昨年の八月ようやく受諾手続をいたしました関係もございますので、アメリカが特にそうおくれているというような関係ではないのではないかというふうに考えております。   〔理事谷口慶吉君退席、 委員長着   席〕
  76. 相澤重明

    ○相澤重明君 私はいまの御説明を聞いておったのだけれども、これは国際社会の中で、実は積み取り比率の問題も、あるいは料率の問題も、いつもこれは大きな課題になっておるわけですが、そういうことで欧州系と米州系との問題が実はまるきりないとは言えないと思っているわけです。特にOECDの問題についても、やはり英国なりフランスなりアメリカの立場というものが、実は特に海運関係についてはアメリカは非常に執念を持っておる。執念といいますか、きわめて自国船というものに対して強い意思を表示されておる。そういう関係で、海上衝突予防法のような、こういう国際規則ができることについても、米州と欧州との違いというものが何らか残されておったのではないかという気がしておったわけです。しかし、いまのお話では、すでに国内的な手続も終了されて、日本とアメリカが加入されれば、大体これが自主的に受諾すれば成立するというようなことは、まことにおめでたいことだと思うのですが、そういう根本的な問題を私はやはり少しわれわれも検討する必要があるのではないかという考えがしたのでお尋ねをしたわけであります。  それから、その次には、海上におけるところの船舶が衝突をした場合に、一体これに対する損害補償、こういうものはどういうことになっておりますか。
  77. 高林康一

    説明員(高林康一君) 衝突いたしました場合に、損失補償の問題といたしましては、一般的に民事事件といたしまして処理されておるわけでございます。特に、これにつきましては、現在のところはやはり民、商法の規定によって実際上処理されておるというかっこうでございまして、これについての特別の問題は、国内法その他の問題は規定はございません。ただ国際海上物品運送法等によりまして、損害の責任限度というようなものはそれぞれその法律でやはりきまっておるわけでございますが、それについての原因がどちらにあるかというようなことは、やはり海難審判法によりましてそれぞれやっていきまして、そのあとで民事責任というような処理になっております。
  78. 相澤重明

    ○相澤重明君 それから、いま海難審判の問題が出ましたが、今度は、衝突はしなかったかもしれないが、船舶がいわゆる漂流をしたとか、あるいは沈没をしたとか、あるいは損害を受けた場合に、不幸にして乗員が海上にほうり出される、そういう場合に、これを救済する、いわゆる海上における他国の者がこれを援助する、海上に流れている人を救ってやる、こういうような場合は、国際的にはそういうものに対して一体どういうお礼をもらうことができるのか、あるいはそのかかった費用を取ることができるのか、あるいはそれは国際的にはみんなそういう海上等において行なわれることであるからお互いのことだということで奉仕なのか、こういうことについてはどういうふうになっておりますか。
  79. 高林康一

    説明員(高林康一君) 救助の問題につきましては、「海難ニ於ケル救援救助ニ付テノ規定ノ統一二関スル条約」というのが、一九一三年に発効しておるわけでございます。これによりました場合の報酬求権については、この条約の規定によりますれば、救援救助の行為が有益な結果を生じた場合、相当の報酬請求権がある。被援助船からの拒絶にかかわらず援助の仕事に協力した者には、報酬請求権はない。あるいは、生命の救助を受けた者は、報酬支払い義務というものは特別にはない。ただし、国内法にそれぞれ、たとえば本邦の水難救護法で、十三条、十七条にいろいろな規定はございますが、そういうようなときには、また、国内法の規定によっていくというふうなことで、海難救助の規定の統一条約というようなものはございます。
  80. 相澤重明

    ○相澤重明君 わが国ではどういうことになっておりますか、いま一度御説明願います。
  81. 高林康一

    説明員(高林康一君) 水難救護法の規定によりまして、大体いまのこの海難の統一条約の趣旨にのっとったようなことを規定しておる次第でございます。
  82. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうしますと、今日までその国際規定に従いましてわが国の海難救助に伴うそういう実際の効果をあげたという、そういう、つまり必要な報酬を払ったとか、あるいは損害補償をしたとか、こういうものはどのくらいの件数がありますか、どういう事例がありますか。
  83. 高林康一

    説明員(高林康一君) いまの実際の件数は、いま手元に持っておりません。
  84. 相澤重明

    ○相澤重明君 事例はないのですか。
  85. 高林康一

    説明員(高林康一君) いろいろ現在までに海難が生じました場合におきまして、そのような救助活動に対しますところのものは、たとえば町村なんかにおきましてやっております。あるいは海上保安庁等におきましてもそれぞれやっているわけでございます。それの実例はございます。ただ、件数につきましては、ちょっといま手元に持ち合しておりません。
  86. 相澤重明

    ○相澤重明君 私は、いまの海難救助の問題については、実は、その衝突を予防するというような法律をつくるからこれで安全であるということにはならぬわけですね。衝突だけが実際に予防——それは実際に予防にこしたことばないので、人命、財産を守ることですから、いいことです。けれども、海上を航行する船舶については、いかなる場合でもそういう事故の起きないようにやるんだけれども、不幸にして海上において事故が起き得る。風の場合においてもそうだろうし、しけの場合においてもそうだろうし、あるいは不幸にして暗礁に乗り上げる場合もある、また沈没船等にかかる場合もあるだろう、いろいろなことが予想されるわけですね。そういう場合に、相手があれば衝突ということになるが、相手がなければ衝突にはならぬということになれば、海上におけるところのこういう救済というものは、海難救助というものは大きな国際的な問題だと私は思う、そういうことで、今日まで、戦後だけでもかなりの件数があるのではないかというふうに思うのです。それを把握しておるのは運輸省であると私は考えておるから、運輸省に実体件数はどのぐらい、実例はどういうものがあったかとお尋ねをしておるわけなんです。件数等はお帰りになって調べればわかりますね、海上保安庁が実際にそういうことも調べておるだろうし、運輸省船舶局もあるいは海運局もそういう問題の報告は私は受けておると思うんですね。韓国の問題だとか、あるいはイギリスの問題だとか、そういうようなことは聞いておらないですかな、大臣どうです。
  87. 綾部健太郎

    ○国務大臣綾部健太郎君) 私が就任いたしましてからは聞いておりません。
  88. 相澤重明

    ○相澤重明君 いや、衝突ではないけれども海難によるいわゆる人員を救助されたものについて、その正当な報酬、いわゆる人件費、船舶のそれだけの滞留費、こういうものを請求された事例はなかったかな、それから、戦後の問題としては韓国に対するそういうことはなかったかね。どうです。大臣説明員(高林康一君) 韓国の問題につきましてははっきりしておりませんが、国内におきましはかなりそういうような事例が多いかと思います。大体船舶衝突件数のうちで、約六割が船舶衝突で、その他はいわゆる岸壁とか、岩とか、そういうような衝突によりまして、そういうようなところで水難の発生がありますので、それについては、それぞれ沿岸市町村におきまして救助の活動、あるいは海上保安庁において救助活動をやっております。あるいはその他それぞれ航行中の付近の船舶における救助活動、こういうようなことはかなり件数があるというふうに一応考えなれます。
  89. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでは、運輸省はそれをひとつお調べになって資料を次回に御提出をいただきたい。あるはずです。なければ、私から具体例を申し上げますが、これは運輸省がそういうことを把握しておるはずだから、また把握しないというのは監督官庁としてまことにけしからんということになるわけですから資料を御提出いただきたい。  その次に、最初の衝突の問題に移るわけでありますが、先ほどの御説明を聞きますというと、取れる場合もあるし、取らない場合もあるということなんですか、いま一度ひとつお答えをいただきたい。
  90. 高林康一

    説明員(高林康一君) 結局、取れない場合といいますのは、その場合におけるところの衝突の原因といいますか、過失を持ったところのものがどちらにあるかによりまして取れない場合が出てまいる。そういう意味で、国際条約におきましては、過失による衝突の場合については当該船に賠償責任がありますが、その片一方のほうの原因になりましたところにおきましては取れないというふうになっておるわけでございます。
  91. 相澤重明

    ○相澤重明君 その判定はどこで行ないますか。
  92. 高林康一

    説明員(高林康一君) 通常、海難審判所の審判によりまして決定いたす次第でございます。
  93. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうしますと、海難審判所の審判の判決が出た場合に、いわゆる被害を受けたほうは請求をすることができる、こういうことになりますね。そういうことですか。
  94. 高林康一

    説明員(高林康一君) そのとおりでございます。
  95. 相澤重明

    ○相澤重明君 運輸大臣日本の船と外国の船とが衝突をしたという例はありますね。海難審判所の結論はどうなったか存じませんか。たとえば横須賀の浦賀水道沖における衝突事故がございましたが、その場合どのくらいの損害賠償を取っているのですか。
  96. 綾部健太郎

    ○国務大臣綾部健太郎君) 非常にむずかしい問題で、私よく存ざませんから、事務当局から答えさせます。
  97. 高林康一

    説明員(高林康一君) 海難審判にかかりまして、そこで、具体的な原因がはっきりいたしました場合に、そこで民事裁判といたしまして、今度はどういうふうな金額でというような争いがまた出てくるわけです。したがいまして、いま先生の御指摘になりました横須賀の浦賀水道沖の件につきましては、具体的な額が決定したかどうかはまだ聞いておりませんけれども、普通確定までには相当の時間を要するように考えられます。
  98. 相澤重明

    ○相澤重明君 これはすでに海難審判所の判決は私は出ていると思うのですよ。いわゆる「てるづき」の問題について、外国の船舶なり潜水艦なんかが、これはあるのですね。そういうことが、もし法律わが国が請求権があるならば——あると、もし判決が出ておれば、すぐ請求しなければ、しかも国際的なものだから、相手の国と日本の国だから、そうすると、これは運輸大臣がやはりこういうことをしてやるということも必要じゃないか。民事訴訟ということになれば、運輸大臣は内閣の国務大臣であるから、それはいけないかもしれませんが。当然関係の船主は、そういう国内法に基づいて、外国の船舶に対して請求権を持つ。特にそれが軍のものであれば、よけい取れるかな。とにかくいずれにしても、そういうことなのですよ。いまの話を聞くと、ちょっと調べて、海難審判所の判決がどうなったか。ことに相手と衝突したのでありますから、相手の衝突したものに対して幾らの損害賠償を取るのか、どういう手続になってるのか、そういうことを横須賀の浦賀水道沖における衝突関係についてひとつ資料を御提出いただきたい。こう思うのですが、いかがですか。
  99. 高林康一

    説明員(高林康一君) 資料は提出いたします。まだ、いま御指摘の浦賀水道沖の件につきましては、まだ第一審が終わっただけでございますと記憶しております。まだ上級審までいっておりません。最終の決定になっていないように記憶しておりまするが、なお調べます。
  100. 相澤重明

    ○相澤重明君 そういういわゆる海上衝突に対する国際的なせっかくの規則ができているわけですし、それをまた日本でも受けているわけでありますから、私はやはり、こういうものについては、的確に運輸省は把握されて、そして必要な措置を講じてやるというのが、国内のそういう業者に対しても親切であるし、また外国に日本船が行ってそういう事故を起こした場合のやはり日本の立場というものも明らかになると思う。これは日本の国籍の船が外国に行って衝突事故を起こせば、やはり外国からそれをやられる。ですから、そういう面でやはりそういうせっかくの法律というものを持っている。それをまた近代的に改正をされるというのでありますから、けっこうな趣旨だと思う。けっこうな趣旨であるが、それが一体、こういうものがつくられておっても、何にも適用したこともなければ、そういうものは該当の区分もよくわからぬというようなことであっては、私はやはりこの法律を生かすことにならぬと思う。こういう意味で私はいま御質問をいたしたのでありますが、幸いに資料を出していただくそうでありますから、次回にその資料をひとつ十分見せていただきたい、こう思うのです。  それから、改正法案の中で、船の灯火とか形象物に対する改正、あるいはレーダー使用の普及化というようなことをうたっておるわけでありますが、実際に設備ですね、船舶に対する設備をよくするということがやはり何といっても事故を防ぐ条件になると私は思うのです。そういうことで、船舶建造の際にそういう安全性というものについての基準というものが非常にむずかしくなる。それを強化をしなければむしろやはり事故は起きやすい、こういうことになるのでありますが、いま政府が考えておるところの——これは今回の提案については、もうごくわずかのところで、はっきりしておるのでありますが、基本的に、船はもう海の中へ出て行ってしまえば、そこが一つの国であります。船が一つの国である、こういうことも大きく表現すれば言えるわけです。ですから、昔は軍艦であれば、国旗を掲げて外国へ行く場合には、それが日本の国の代表だ、商船隊にしても、商船がいればこれは日本の国を代表するものと、こういうふうに言われておったのでありますから、その船舶がやはり航行安全というものを無視してはできない。そこで、いまの船舶のそういう安全性についての設備については、現状でいいのですか。それとも、何かこれはどういうところまで国際的にきめられておるか。たとえばこの前の通信員の問題についても、何トン以上のものについては通信士を一名とか二名とかという議論をされておったかと思うのです。そういうようなことについて、海上衝突予防ということからいけば、何といっても船舶の安全性、設備、そういう安全の基準というものはどこにあるのか、この点についていま一度ひとつ御説明をいただきたいと思う。
  101. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) 船舶の安全の基準につきましては、海上における人命の安全に関する条約というのがございまして、これに基づきまして、国内法といたしましては船舶安全法というものがあるわけでございます。昨年これを改正いたしまして、一九六〇年に新しくできました国際条約を批准するということになっておるわけでございまして、船舶の安全性、その設備の基準というものは、すべて船舶安全法によって現在運営されているわけでございます。海上衝突予防規則船舶が海上を運航する場合の相互間の関係を規律するものでございまして、設備の基準は安全法による、それから実際上の海上の運航衝突予防規則によって規制するわけでございます。
  102. 米田正文

    委員長米田正文君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  103. 米田正文

    委員長米田正文君) それでは速記を始めて。  本日はこの程度とし、次回は明後日午前十時から開会の予定といたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十六分散会    ————————