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1964-03-24 第46回国会 参議院 運輸委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十四日(火曜日)    午前十一時五分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     米田 正文君    理事            谷口 慶吉君            吉田忠三郎君    委員            江藤  智君            河野 謙三君            木暮武太夫君            野上  進君            平島 敏夫君            村松 久義君            相澤 重明君            大倉 精一君            小酒井義男君            浅井  亨君   政府委員    運輸政務次官  田邉 國男君    運輸大臣官房長 佐藤 光夫君    運輸省海運局長 若狭 得治君    運輸省船舶局長 藤野  淳君    運輸省港湾局長 比田  正君    運輸省航空局長 栃内 一彦君    運輸省観光局長 梶本 保邦君   事務局側    常任委員会専門    員       吉田善次郎君   説明員    運輸省海運局参    事官      高林 康一君    運輸省航空局技    術部長     大沢 信一君    海上保安庁警備    救難部長    猪口 猛夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本観光協会法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○運輸事情等に関する調査  (航空に関する件)  (海運に関する件)  (海上保安に関する件) ○特定船舶整備公団法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 米田正文

    委員長米田正文君) ただいまから委員会を開会いたします。  日本観光協会法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑のある方は、順次御発言願います。
  3. 相澤重明

    相澤重明君 日本観光協会法を提案されたのは、いわゆる今度は国際観光振興会というものをつくるというように提案の趣旨はなっているようでありますが、一体この日本観光協会というものは、一本になっておったものを、政府がどういう理由国際観光というふうにしなければいけないのか。ただ単に名称を変えるだけならば、屋上屋を架するようなものになると私は思うのですが、基本的な態度というものをいま一度御説明いただきたいと思うのです。
  4. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) いまを去る五年前に財団法人国際観光協会社団法人全日本観光連盟二つ一緒になりまして、特殊法人としての日本観光協会が生れ出たわけでございます。その当時の情勢と、満五年を経過いたしました今日の情勢とでは、国際情勢も、国内関係でも、情勢が非常に変わっております。したがいまして、国際関係におきましても、国際観光振興観光宣伝誘致というふうな点におきまして、それを推進する政府機関を設立することが望ましい、こういう考え方でございます。それから、国内関係におきましても、昨年観光基本法の制定以来、国内観光の面につきましてもやっていかなければならないもろもろの施策というものがたくさんございます。そういうふうな観点からいたしまして、国内観光国内観光としての、それに専心する一つ社団法人組織をつくっていったらどうか、このような考え方のもとに、今度の日本観光協会改組ということを考えた次第でございます。  以上が、非常に簡単ではございますけれども、今度の体質改善と申しますか、改組の根本的な理由でございます。
  5. 相澤重明

    相澤重明君 いまの御説明だけですと、どうも私どもはぴんとこないのは、国際観光を主にするように思われて、国内観光というものはなおざりにされるような気がするわけであります。それがいわゆる観光基本法にいうところの、私どもが、すべてのものについて観光事業の本来の趣旨に沿うようにしていくには、やはり政府といえども、あるいは民間といえども、相協力をすることが必要ではないかという点を考えてまいりますと、一体政府は、国を代表してそういう事業を行なわせる国際観光、それにはどのくらいの一体政府としての力を入れるのか——力を入れるというのは、単にことばだけでなくして、財政面においても、あるいは機構的にもそういうふうなものが考えられるのかどうか。一面政府がそういうふうに国際観光について力を入れるということになる反面に、今度はせっかく一本化しておったものをいわゆる国内観光については民間にさせるということになると、民間についてはもう力を入れないのかと、こういう反論が出てきはしないか。こういう面で、過日いわゆる観光ホテル整備法の問題と旅行あっせん業の際にも、特に民間ホテル、旅館というものについても財政面あるいは資産の償却面についても力を入れてくれということが多くのことばをもって出されたのでありますけれども、いま申し上げましたように、政府が掌握するところの国際観光、また民間に行なわせようとする国内観光、こういう面の力の入れぐあいについて政府はどう考えているのか、率直にひとつお答えをいただきたいと思います。
  6. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) お手元にお届けいたしております資料の二二ページをごらんいただきたいと思いますが、この一二ページをごらんいただきますと、従来の、昭和の初めから今日に至るまでの観光関係機構を簡単に図示いたしております。一番上の欄は、役所関係機構の変遷でございます。昭和五年国際観光局として発足して、昭和十七年に局がなくなりまして、終戦昭和二十一年に観光課として復活しまして、それが昭和二十四年に観光部になり、三十年観光局になって今日に至っております。それからまん中の欄は、昭和六年に財団法人国際観光協会ができまして、これが昭和十八年まで続いております。十八年には東亜交通公社が生まれ出まして、これが終戦まで続きまして、終戦とともに財団法人日本交通公社となったわけでございまして、その交通公社の中にございました海外宣伝部だけが飛び出まして、財団法人国際観光協会となったのが昭和三十年でございます。それから一番下の欄には、戦前まで日本観光連盟という任意団体、これは主として国内観光関係の中心にある任意団体であったわけでございますが、それが昭和二十一年に社団法人全日本観光連盟になりまして、それが三十四年まで続きまして、そして先ほど申し上げました財団法人社団法人二つ一緒になって日本観光協会になったわけでございます。それで日本観光協会となりました当時、たとえばその次の一四ページをごらんいただきますと、「わが国海外観光宣伝事務所推移」という表がございます。一緒になりましたときには、ニューヨーク、サンフランシスコ、ホノルル、トロントとわずか四つ事務所しか開かれておりませんでした。それが今日では十三の事務所が開設されておりますし、来年度にはジュネーブに開設と、このような予定になっております。四つ事務所が来年度には十四になるというふうなわけで、わが国海外観光宣伝事務所という数も非常に多くなってきたわけでございます。それから一面OECDへの加盟あるいはIMF八条国への移行というふうなことに伴いまして、今後の国際交流というものがだんだん盛んになっていく。また、諸外国観光に対する力の入れようというふうなものを考えてみましても、ものすごく国際観光各国が力を入れております。そのように、国際観光の市場における競争というものが非常に激化した情勢になっております。そのような激化しておる情勢の中において、日本としてとにもかくにも海外渡航が自由化されるというたてまえになるわけでございますから、海外渡航が自由化されれば、国際収支をよくするためにそれに上回ってお客さんを日本に迎えなければならない、こういうことになるわけでございまして、そのような意味から、いわば寝てもさめても四六時中国際観光のことだけを考え政府機関がほしい、こういう考え方でございます。それが、諸外国の例を見ましても、もうみんな政府が直接やるか、あるいはいま申し上げたような政府機関がやるかというふうな状況でございまして、世界各国ひとしくそのような傾向をたどっておる次第でございます。  それから、その同じく一四ページの右のほうの表をごらんいただきましても、国庫補助金推移が、昭和二十四年国際観光事業の助成に関する法律というのができておりますが、その法律ができてから今日に至るまでの国庫補助金推移というものがここに書いてございます。昭和二十四年一千万円でありましたものが、今年度が四億八千八百万円、来年度が五億九千二百万円というふうにふえております。そのほかに、今年度は五千万円、昨年度は一億の政府出資がなされておる、こういう状況でございまして、ここ三年間の平均を見ますと、補助金が一年に一億余り、政府出資平均五千万円ずつふえてきた、このような状況でございまして、日本政府としても国際観光についてまことにおくればせながらではございますけれども非常に力を入れてきたということがこれによって示されておるのではないかと考える次第でございます。一方国内関係でございますけれども、これは昨年御制定いただきました観光基本法の第十七条に「観光関係団体整備」という条文が一カ条設けられております。それは観光行政多岐にわたるということから、いろいろ観光関係団体があるが、それを整備して強力なものにしろという条文が十七条にあるわけでございます。この基本法十七条を受けまして、観光関係団体整備という考え方から今度の観光協会体質改善ということを考えた次第でございます。つまり、財団法人社団法人とが一緒になったわけでございますから、俗に言えば二兎を追う者一兎をも得ずというふうな状況にもなりかねまじきわけでございまして、むしろそれぞれの目的に従って前進する体制を整えたほうがより日本観光が発展するのではなかろうかと、このような考え方のもとに今度の改組考えた次第でございます。
  7. 相澤重明

    相澤重明君 いまの御説明でほぼわかってまいりましたが、要は、先ほど私前段に申し上げましたのは、政府が今度の国際観光を主体にいわゆる強力な措置を講ずるということについては、私も賛成なわけです。だが反面、前回のホテル整備法の問題やあっせん業の問題の際にもいろいろと御意見がありましように、社団法人——民間のそういう国内観光についての場合に、政府の力の入れ方が違ってきはしないか、手が抜かれてきはしないかという心配がある。局長はいま基本法の十七条の問題を御説明をいただいたのでありますが、せっかく一本化したものを二つにすれば、力の入れぐあいは、政府関係のほうに力が入って、民間はともするとなおざりになりはしないかという憂いが出てくるのではないか、そういう心配民間業者がしはしないか。そういうところを、いや民間のそういう社団法人のものについても十分力を入れてやるのだというお力添えのおことばがないと、やはりせっかく新しい組織に改変移行しても充実したものになりはしないというおそれを持つのではないかという点を実は私は質問をしておるわけです。その後段のほうの問題について局長のいまひとつ御答弁をいただきたい。
  8. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) まことに失礼でございますが、わかりやすく申し上げますと、補助金というものが年を追うてふえてきた、最近三年間毎年一億ずつふえてきたということで、この補助金というものがいわゆる九割補助のたてまえをとっております。つまり、九割は国際観光事業について国が補助をするのだ、あとの一割というものはいわゆる会費なり賛助金なりからまかないなさい、こういうたてまえでございます。全額国がやりますと、これは観光局が直接やることになりますから、やはり補助金というのが、おそらく九割の補助というのが最高のところだとは思いますけれども、九割補助というたてまえになっております。そうしますと、補助金がふえればふえるほど、残りの一割のものもふえていかなければ、財政のバランスがとれないわけでございます。ところが、補助金がふえるわりには会費というものがふえていかない、むしろ漸減の傾向にあるわけなんです。なぜ漸減したかと申しますと、補助金がふえれば、その九割でございますから、残りの一割に会費賛助金を充当する。また補助金がふえると、また会費賛助金を充当するということで、会員皆さま方が納められました会費だとか賛助金というものが、全部と言っていいほど国際関係に行ってしまって、ほとんど国内関係には潤ってこないという状況でございます。三十八年度を見ますと、そのようにして集められました会費賛助金国内関係に回りました額は一千万円に満たないのでございます。そうしますと、会員立場になりますと、せっかく納めた会費がちっとも自分たち事業には潤ってこないで、自分たちにあまり直接関係のない国際事業のほうの穴埋めに使われるのはいやだということで、今度は出し渋る。出し渋ると、また少なくなる。少なくなれば、逆に国内事業に潤ってこないという悪循環が繰り返されたわけでございまして、補助金を取れば取るほど日本観光協会財政事情は窮乏を告げるという、まことにふかしぎな現象に際会いたしたわけでございます。そのようなわけでありまして、ここでひとつ何らかの打開策をとらなければ、このままでは国内問題というのがじり貧になっていく、こう考えた次第でございます。そこで今度は、年間大体一億二千万円の会費賛助金がございますので、それを半分に割りまして、そうして六千万というものは国内関係に最初から充てる。そうすれば、会員皆さま方は、自分の出した会費がそのままそっくり自分たち国内関係事業に返ってくるということになりますので、今度はまた会費をもう少し出そうかという気持にもなっていただけるんじゃないだろうか、こういう考え方でございます。そうして、それじゃ会費だけでまかなって、政府としては知らぬ顔をしているかと申しますと、そうではございませんで、今度例のモーターボート競走の、いわゆる何と申しますか、益金から出るところの補助金、あれを二年前の国会で観光についても補助をちょうだいできるように法律改正をしていただきましたので、そして来年度は千六百万円をモーターボート競走益金の中から観光関係にちょうだいするように話だけついております。そうして、その千六百万円を今度設立せんとする社団法人日本観光協会にあげて全額投入する、こういう考え方で来年度の国内関係事業はやっていきたい、このように考えておる次第でございます。
  9. 相澤重明

    相澤重明君 いまの御説明ですと、いままでの国際観光協会から日本観光協会という一本化したものについては、いわゆる補助金貧乏ということがはしなくも言われたのでありますが、そういう過去のいきさつを、とにかく国内国際に分けて積極的に取り組んでいこうという趣旨でありますから、私も賛成をするものであります。  そこで一つその次にお尋ねをしておきたいのは、在外のいわゆる駐在員といいますか、各国日本観光宣伝事務所を持っておる。今年度も含めて十四になるという先ほど局長から御説明をいただいたのでありますが、いまこれらの十四カ所に対して何人ぐらいの在外駐在員をお考えになっておるのか、御説明をいただきたいわけです。
  10. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) これもお手元資料の一五ページに、宣伝事務所及び宣伝嘱託員配置図がございます。事務所のほうは先ほど申し上げたとおりでありますが、そのほかに事務所は設置しておりませんけれども現地親日家だとかあるいは長くその土地に住みついておられる二世の方とかいうふうな方を宣伝嘱託員に委嘱しております場所が十五カ所ございます。つまり、事務所の開設しておるのが十三、来年度一つ、合わせて十四、宣伝嘱託員が十五というので、合わせて二十九ということになるわけでございます。それで、事務所のほうは全部で二十九名でございますが……。
  11. 相澤重明

    相澤重明君 資料はどこに書いてあるか。
  12. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) 人数はございません。二十九名、来年度二名増員でございますので、三十一名という予定でございます。  それからなお、御参考に資料の一六ページをごらんいただきますと、世界のおもな国々がどの地域宣伝事務所を置いて観光誘致宣伝をやっておるかという一覧表がございます。一番多いのは、イタリアの四十五カ所、フランスの四十一カ所というのが一番上のランクでございまして、日本は大体まん中辺に書いてございますが、日本と同じところはトルコ、それくらいのところが同じ数の十三ということになっておる。それからイギリスも十三ございますが、その辺と同じ、どっこいどっこいのところにいま位しておるわけでございます。それから、事務所の数はまあその程度の中くらいでございますが、事宣伝費につきましては、残念ながらまだ諸外国にはとても及ばない状況でございまして、観光先進国はもとよりでございますけれども費用——宣伝費だけで申しますと、ずっと日本のほうは下位に位するわけでございまして、私どもも今後この方面について力を入れていきたい、かように考えておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、補助金はほしいし、補助金を取れば財政が破綻するというふうな妙な因果関係もございまして、実は非常に弱ったようなこともあった次第でございますが、今後はこういった問題が解決されて、飛躍的に発展をさしていきたい、かように考えておる次第でございます。
  13. 相澤重明

    相澤重明君 いまの御説明ですと、海外観光宣伝事務所は大体十四カ所になるし、そして人数としては、現在までが二十九人で、今年度二人入れて三十一人、大体一カ所二人ということですな。その二人の分担というものはどういう内容なんですか、観光事業分担はどういうことになっていますか。
  14. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) 事務所によりまして、多いところは——ニューヨークが一番多うございますが、これは所長以下七人でございます。それからカナダのトロントなんかは、日本から一名しか職員が行っておりませんで、あとはいわゆる現地採用の雇員を使っておる次第でございます。日本から行っておる人数だけで申しましたのがいまの人数でございまして、あとは、現地でタイピストを雇ったり、あるいは運転手を雇ったりというふうなことでまかなっておる次第でございます。それで、少なくとも一名というのは、あまりにもこれはひど過ぎるわけでございまして、休暇もとれないじゃないかというふうな気がするわけでございまして、最低——とにかく日本から行く場合には、二名をもって最小の定員とするということでやっておる次第でございまして、おいおい大蔵省もその線に沿ってわれわれに協力をしてくれた次第でございます。二名おりますところは、もちろん一名が所長で、それから一名がその下の事務員ということでやっておる次第でございまして、現地旅行あっせん業者、あるいはまた相手国政府、それから観光関係機関というところと平素から接触を保ちつつ、日本から送りました映画だとか、パンフレットだとか、ポスターだとかいうふうなものを持って巡回をして回ったりするような仕事をいたしておる次第でございます。
  15. 相澤重明

    相澤重明君 政務次官お尋ねしたいわけですが、在外公館世界各国わが国も設置をしておるわけでありますが、この中で、実は私ども海外に参りました場合に、主として在外公館の場合は外務省の駐在員が多いわけです。私ども運輸省関係の者を見ると、きわめて例が少ないわけです。私は帰ってまいりましてから、いつも運輸省に、これではいかぬじゃないか、こういうことで在外公館駐在員をふやせということを常に主張しておったわけであります。で、いまたまたま国際観光の問題について、観光宣伝に対する在外事務所というものは全貌が明らかになった。しかし、私は、運輸省仕事というものはきわめて多岐にわたるし、また非常に重要性を持っておると思う。そういう方面在外公館における運輸省駐在員というものは現在何人いるのか、何カ所に派遣をしておるのか、政務次官、おわかりになったらお答えいただきたい。
  16. 田邉國男

    政府委員田邉國男君) 現在、その詳細につきまして、私手元資料を持っておりませんので、後ほど御報告さしていただきたいと思います。
  17. 相澤重明

    相澤重明君 だれか事務当局おらぬか。
  18. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) あとから詳細の資料関係のほうからお出しすると思いますけれども、私の記憶では、ハンブルグ、それからロンドン、それからブエノスアイレス、ワシントン、それからインドのようなところだったと思います。それが在外公館運輸省職員が派遣されておる場所でございまして、なお近くこの秋ごろまでにOECDの担当としてパリのほうへ一名運輸省の者が在外公館勤務となって行く予定になっておるように聞いております。
  19. 相澤重明

    相澤重明君 なぜ私がいまの点を質問したかというと、私実は東南アジアなり欧州を回って、そしてやはりいろいろ海外のいわゆる宣伝機構というものを見て回ったわけです。その際に、運輸省宣伝機構というものはきわめて貧弱である、こういう点を痛感しておるわけです、それから、早くからもっと在外公館の中におけるそういう観光日本というものも私どもは力を入れなければいけないという中で、運輸省在外駐在員というものは少ないのじゃないか。もちろん、観光ばかりでなくて、一般の先ほどから出ましたいろいろの各国との査証の問題あるいは協定等の問題についてもあるわけです。運輸省仕事は、そういう問題でどうしてももっと専門的な立場の人がおらなければいけないということを思って、私は帰ってくるなり、そういうことを強く主張しておったのですが、今日まであまり進んでおらない。で、たまたま運輸省系統として観光協会がいわゆる観光日本という事務を担当するということになれば、これもやはり日本政府の息のかかったものなんですね。これは、そういう面で運輸省の足りない点は、そういうところでバック・アップする必要があると私は思うんです。ですから、いまお尋ねをしておいた。そういう在外公館に対する運輸省の貧弱な駐在員という面から考えて、むしろそこまで政府が、観光協会がお考えになるなら、ひとつ運輸省の一環として大きな力を入れる必要があるのではないか、こういうふうにも考えられる。したがって、いま局長から御説明をいただいた、今年度のジュネーブですか、一カ所お考えになっておるようでありますが、むしろ私は、後進国といわれるような地域まで含んで、いま一度再検討する用意があるかないか、そういうものをふやしていく運輸省として、もっと全体の地域に力を入れる考えがあるかどうか、これはひとつ局長と、また政務次官にもあわせてひとつ御答弁いただきたい。
  20. 田邉國男

    政府委員田邉國男君) 私は、相澤先生の御質問のごとく、私自身も、そういうようなやっぱり海外宣伝に備えまして、在外公館駐在員をもっとふやすということは非常に必要なことだということを痛感いたしております。特に今回日本観光協会法改正に伴いまして、やはり海外宣伝ということは日本国際収支の上に重大な関係がございますので、この宣伝事務所と並行に、これは再検討をして、なるべく人員をふやして、そうして海外宣伝につとめるという役割を十分果たしてまいりたいと、かように考えております。
  21. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) 昭和三十四年に、内閣にございました観光事業審議会が、在外事務所の将来のいわば構想を描いた答申を、時の内閣総理大臣にいたしております。それによりますると、オリンピック開催の前までに十五の在外事務所を設置するように、こういう答申が出ております。したがいまして、その十五という答申を目標に運輸省といてしましては、今日まで進んでまいったわけでございまして、残念ながらオリンピック開催の前までに十五カ所全部が開設し得なかったわけでございまして、この点非常に残念なんでございますけれども、十四まできた、残る一つをどこに開くかということが一つの私どものいまポイントになっております。まことに先生のおっしゃるとおりでございまして、ちょっとまた資料になって恐縮でございますけれども資料の二ページをお開きいただきたいのでございますが、わが国への観光外客の国籍別の数が出ております。これによりますと、アメリカが一番多いということで、一番少ないのがソ連ということになっております。それからフランスなんかも少ない、インドも少ないタイも少ない、こういうふうになっているわけであります。それで、この表から見まして、日本へ来るお客さんの半分以上がアメリカ人だから、もう少しここに重点を置いてアリメカに開いたほうがいいのか、あるいはヨーロッパにもう少し重点を置いて、そちらに残る最後の当面の目標でございます十五番目の事務所を開いたほうがいいのか、あるいはまた日本を中心とする東洋における国際観光ルートというふうなものに観光圏というものを形成しようという考え方から、東南アジア地域にもう一つの十五番目の事務所を開いたほうがいいのかどうかという問題につきましては、これはなかなかむずかしい問題でございまして、問題の所在はいま申し上げましたような点にあろうかと思うのでございまして、この実績と、それから事務所を開いた場合はどれだけ将来効果があるかというふうな問題、そういった問題をあわせて、十五番目の事務所を開設いたしたいと考えております。なお、余談になって恐縮ですけれども、この秋までにインドが日本事務所を開き、メキシコが日本事務所を開くということで、日本がいわゆる海外渡航の自由化に踏み切ると同時に、日本というものが国際観光市場において目をつけられて、日本事務所を置こうという動きが各国の間で出てまいりましたような状況でございまして、われわれもできるだけ効率のいいところに事務所を開設をしたい、このように考えて、ただいま申しましたような点を総合的に検討いたしておる次第でございます。
  22. 相澤重明

    相澤重明君 私は三十九年度開設しようとするジュネーブが悪いとは申しません、けっこうだと思うのです。しかし、私はこの観光問題のときにも局長に御質問申し上げましたように、これからの観光というものは単にフジヤマ・サクラ・ゲイシャガールというものを見にくるばかりじゃないと思うのです。産業観光ということが重要な任務を持つと思う。しかもそうした場合に、どこが一体、日本のいわゆる海外投融資の問題、あるいは合弁会社の問題、あるいはそういう技術指導の問題ということを考える場合に、私は一つの例を申し上げると、インドに参りまして日本の大使といろいろ話をしたのでありますけれども、たとえば農業センターを日本の機械を持っていって開いておる。しかし、これはまことにお粗末で、これは私が当院から代表で行ったのは昭和三十四年です。三十四年の当時インドに参りましたけれども、インドのその農業センターというのはまことにお粗末。機械などは、もう日本の古い機械が行っているわけです。しかし、インドでは、やっぱり日本のものはいい、こう言っておる。それほどおくれているわけですね。ですから、もっと現実に即応した体制で、技術を導入するなり、指導するなり、そういう面でいくならば、私はかなり国際的には日本の信頼というものはあると思う。ところが、残念ながら、在外公館に行った場合に、いわゆる公社というようなものよりは、民間のいわゆるジェトロの人たちが多くを牛耳っておる——牛耳っておるというとおかしいのであるが、日本在外公館が少ないために、そういう人たちの意見というものが多い。そういうことのために明らかに私は問題が違ってくると思う。そういうような、いろいろと現地を私どもがつぶさに調べれば調べるほど問題点が出てくる。これはインドの例を、これは一つの農業機械のセンターの問題を話したわけですが、これから日本がいわゆる協力をしていこうという問題について、たくさんのそういう東南アジアなり各国に対しては問題が出てくると思う。なるほど外国のお客さんで一番来るのはアメリカ人だと思う、現在では。しかし、産業観光という面からくると、そうばかりではないだろう、こう私は考えられるわけです。  そこで、先ほど、再検討される、あるいはまた今後御検討されて増加をする中に、十分そういう意向も取り入れる用意があるかどうかということをお尋ねしたわけでありますが、私は、こういう点については、いま少し、過去の実績だけでものを判断するばかりでなくて、これから新しい時代に対するわれわれがやっぱり勇気ある判断というものを持たなければいけないと、こう思うんです。何といっても終戦後における実績というものは、いわゆる占領下、それからアメリカとお協力関係、こういう中における支配というものは、あらゆる面でアメリカが最大のものになることは、これはもう間違いない。けれども、アメリカだけが世界の国を支配するわけじゃないわけです。むしろわれわれとしては、世界のあらゆる国と提携をしていく、しかもその中で日本国際収支を改善する、日本の貿易を振興するということが重要な私どもの眼目なんでありますから、そういう面からまいりますと、私どもの力の入れるところというのはこれからもっとあってしかるべきじゃないか、こう考える。いま局長から御説明をいただいた二ページの資料の中でも、確かにアメリカは全体の中から見ましても約十二万三千に及ぶ数ですね。これは三十七年度は十三万九千——約十四万ですね、非常に多いわけです。こういうようなことからずうっと平均をしてみても、私は、インドとかソ連が少ないということを先ほど御答弁いただきましたが、そのとおりだと思うんですが、しかしアジア関係については、東南アジアも含んでいけば、これはまだまだ開拓の余地は十分ある、こう見ておるわけです。現在、合弁等についても、政府が積極的に手をつけておるのはこの地域じゃないかと思うんですね。こういうことからいって、在外公館並びにそういう国際観光事務所海外に認めるとすれば、私どもは、いままでの対アメリカとの従来の観光からいって、それを力を入れるのもけっこうであるけれども、さらにその上にプラスするものがあってしかるべきであるという点をお考えになっているかどうかをひとついま一度聞いておきたい。  それからいま一つは、この国際観光についてやはり輸送をする場合から考えますというと、海上と空ということになるわけです。つまり、船で観光者がおいでになる、あるいは観光に行く、あるいは飛行機を使う。で、こういう場合に、シップ・アメリカンではないけれども、一体JALをどう使うのか。つまり、日本のいわゆる通貨をできるだけ維持せしめて効率的に運用するということは、これはドル防衛というものからいっても、私は重要な役割りをすると思う。したがって、国際観光を、政府の出資のもとにこの国際観光振興会というものができて、しかもそういうお客さんを取り扱う場合に、わが国の方針としては、どういう考えを持っておるか、旅客輸送についての基本的な態度というものもひとつお答えをいただきたい。
  23. 田邉國男

    政府委員田邉國男君) ただいま相澤先生の御質問でございます特に産業観光の問題でございますが、私もその御意見に同感でございまして、これからのやはり日本の東南アジア、また中近東に対する将来の産業、経済等の問題を考えましても、こういう地域を大いに重要視していくということは非常に重要なことでございまして、そういう意味から考えましても、やはりただ欧米のみに事務所を持つというような考え方をさらに広めまして、日本の置かれている地位から考えて、やはり産業観光というものを大いに重要視して私はやりたい、かように考えるわけでございます。  なお、運輸の——観光に対する輸送の問題がございましたけれども日本海外に対する輸送、特に航空につきましては、日本の日航を中心といたしまして、海外に新しい航空路を新設をしていく。そして、これは相手国との相互乗り入れを当然やることになるわけでございますが、これもやはり積極的に実は進めておるわけでございます。こういう面におきまして、日本の船、それから日本の飛行機で旅行をしてもらう、そういうことにやはり重点を置いてまいりたい、かように考えます。
  24. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) また資料で恐縮でございますけれども、六ページをごらんいただきます。六ページに、「日本及び香港における来訪外客数の比較表」というのがございます。そして、昭和三十一年には、香港は日本に来る来訪外客の半分以下でございます。日本も伸びましたが、香港もものすごく伸びております。そして、この七年間に日本と香港との差はわずか数千人ということになっております。つまり、半分以下であったものが、それだけ香港は躍進したというので、香港におそまきながら三十八年度の予算で事務所を設置したわけでございますけれども、それは香港に来る外客を日本誘致宣伝するというねらいから、世界観光客が、まあいわば草木もなびくように香港へ、香港へと押し寄せるのを、それを上前をはねて日本へ連れてこようということで、香港に事務所を設置したわけでございます。  先ほど先生が御指摘になりましたジュネーブでございますけれども、これはILOの本部がジュネーブにございます。それと同じように、国際観光機関の本部——IUOTOと申しますが、これは三四ページをお開きいただけば、IUOTOのことが出ております。資料の三四ページ、これの本部がジュネーブにございます。そのIUOTOの本部のあるジュネーブ事務所を設置しまして、世界観光についての先進国が一体どのような政策をとっておるかということを、そこで十分に情報をキャッチして、日本へ情報を送って、そしていいところは日本がどんどん取り入れたいという気持でジュネーブに置いたわけでございまして、スイスだけを目標にいたしますならば、スイスの全人口はわずか五百万未満でございまして、東京都の半分以下でございます、国全体でも。そういうところになぜ事務所を置いたかと申しますと、いま申し上げましたような理由でIUOTOの本部であるジュネーブ事務所を置くということでございまして、ただ単に一つだけの目的、一つだけの考え方事務所を設置すべきものではないというのが事務所設置の根本的な考え方でございます。特に先生の御指摘になりました新しい観光のイデオロギーは、やはり産業観光という方向に当然向かっていくべきだと考えております。そのような観点から今後の事務所につきましても十分に考えていきたい、かように考えておる次第でございます。
  25. 相澤重明

    相澤重明君 たいへんにけっこうな御答弁をいただいて、私も満足です。ぜひそういうふうに将来進めていただきたいと思うんですが、そこで、国際観光について非常に政府が力を入れるという点についてはわかりました。そこで、国際観光と同時に、国内観光については、先ほど御説明いただきましたように、社団法人ですか、そういうことになるようでありますが、それについても、先ほどの御説明ですと、いままでの会員制による会費あるいはモーターボート競走法の中から出してもらう経費というものでまかなうということになったわけでありますが、そこで政府が提案の中で説明されておる中で言われておる第三の項ですね、「国の業務を代行する政府出資法人としての性格を明確にするため、会員制を廃止し、これに伴い運営審議会を改組するとともに、理事を運輸大臣の任命制とすることといたしております。」こう言っていますね。そこで、いま御説明をいただきましたので内容的にはわかりましたが、今度はこの運営審議会というものは、そうすると、かなりのやはり大事なポイントに私はなってくると思う。そこで、この運営審議会の理事、これは何人にということになると、この中には委員三十人以内で組織するとなっておるのでありますけれども、この三十人の内容はどういう人なのか、単に学識経験者ということなのか、あるいは業界別に、あるいは産業別に、そういうようなものも学識経験者というものの中に含まれておるのかどうか、委員を委嘱する場合の考え方をひとつ明らかにしてもらいたいと思う。
  26. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) 財団法人社団法人とが一緒になりましたために、当初の日本観光協会発足当時は、いわゆる会員制というものが厳として存在しておったわけです。それが社団法人全日本観光連盟を引き継いだ日本観光協会としては当然であり、またやむを得なかった措置とも思えるわけでございます。当初は運営委員会というものがございました。運営委員会は重要な事項についての議決機関になっております。これはすべての社団法人会員権、社員権というふうなものを基調にいたしましての何らかの議決機関を持っておるのと同じことでございます。運営委員会が議決機関としてきておりましたのが、いまから二年前の法律改正で、今度は名前を運営審議会と改めまして、議決機関から諮問機関たる性格にしたわけでございます。これは政府の出資が観光協会に初めて行なわれたわけでございます。現在政府から出資をしたり補助金を出しておりますところの特殊法人が九十二ございます。その九十二の特殊法人を検討いたしますと、会員制だとか、そういったものがないのが原則でございます。つまり、そのような会員制があって、社員権だとか会員櫓だとかいうものがあって、議決機関を持たなければならないようなものには、原則として政府が出資をしないという、いわばたてまえのもとに行なわれて、そのようになっておるものだと考えております。それで、昭和三十七年の改正で、議決機関から諮問機関にし、名前も運営審議会と改めて今日にきたわけですけれども、今度の改組に伴いまして会員制をなくいたしますので、今度は、いわゆる会員の中から審議会の委員を選ぶというたてまえが、国際観光についての学識経験者の中から選ぶというふうに変わってきたわけでございます。諮問機関たる性格におきましては、諮問機関としての性格を存続していくというふうなことで運営が行なわれていくものだと考えております。したがいまして、現在の法律によりますと、新旧対照条文のお手元にお届けいたしておりますものの一八ページをごらんいただきますと、現在の運営委員は「会長が会員のうちから任命する。」——会員の中から任命するんだというたてまえでございます。したがって、現在の運営委員というものは、会員じゃない人はなれないというたてまえ、そこにまあいわば政府出資が行なわれましたけれども会員制が存置されているために残された一つの方法であったわけです。今度は完全なる政府機関にするということで、会員制がなくなりますが、しかし何らかの意味において運営審議会というものが必要である、会長の諮問機関として必要であるというので、今度は会員制がないから、会員の中からではなくして、国際観光について学識経験者のある方の中から会長が任命をする、このような方法をとることになるわけでございます。したがいまして、この法律が施行されましてから、あらためて国際観光振興会の会長が任命されるということでございます。おそらく現在の委員さんが残られる方もおありかもしれませんし、また一部入れかえになるかもしれないというのが、ただいまの率直に申し上げました段階でございまして、まだ人選等の問題につきましては、法案御審議中のことでもございますので、全然まだその段階にまで立ち至っていない次第でございます。
  27. 相澤重明

    相澤重明君 いや、私は、やはり政府法律を提案をする際には、骨格というものはあるんですね。そこで、その、バック・ボーンがどういうふうにきまっておるかということは、重要な私は問題だと思うのです。なるほど、法律が通らぬうちにだれとだれを任命します、そんなことはできるはずはない。これは当然の話。ただ、先ほどから私が御質問申し上げたように、富士山、芸者ガールだけの観光ではない、今日の観光は。したがって、そういう面から考えれば、単にいままでの日本観光協会の人たちがそのまま今度は入れかわるということでは少し話が違うんではなかろうか。つまり、会員制をなくしていわゆる審議会というものを設ける、理事という名前にして運輸大臣の任命制とするんだということになると、おのずから性格も変わってくる。しかも、先ほどからお答えをいただいたように、これからますます日本の産業発展のために、国際収支改善のためにも力を入れていくんだということになると、おのずから委員の任命のしかたについてもやはりお考えがあるのではないか、こういう点を考えたので、実は第三の項について御質問をしたわけです。局長がまだ法律が審議の途中であるからということでお答えがなかったわけでありますが、私はやはり、これからの国際観光という面から考えれば、そういう諸般の事情というものを十分参酌をした中で、この委員というもの、いわゆる理事ですね、新しい審議会の理事というものは、私は任命をすべきではないか、こういうふうに考えるんだが、そういう点、もし間違っておったらひとつ御指摘をいただきたい。
  28. 田邉國男

    政府委員田邉國男君) この審議会の委員の問題につきましては、各審議会の委員の問題でいろいろと意見のあるところでございますが、特にこの観光の問題につきましては、ただいま皆さんに御審議をしていただいておるように、非常に重要な問題でございますから、できるだけ御趣旨に沿ってやってまいりたい、かように考えるわけでございます。
  29. 相澤重明

    相澤重明君 それから、これはあまりそういうことを立ち入って言うのもどうかと思うのですが、この運営審議会の理事に任命をされた場合の待遇といいますか、あるいは処置といいますか、そういう点についてお考えがあったらひとつお答えをいただきたい。全然白紙の状態であるのか、あるいはたとえば他の審議会と——関係の幾つかのものがありますね、そういうようなものにならって、いわゆる報酬、待遇というようなものもお考えになっておるのかどうか、こういう点おわかりの点を御説明いただきたい。
  30. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) 先生のお話は二つございまして、理事のほうの問題でございますけれども、理事のほうの来年度計上いたしております予算は、月額十七万五千円、これは普通のこういった種類の政府機関と同額の十七万五千円でございます。  それから、運営審議会の委員のほうは、これは、いわば名誉職と申しますか、別に給与のほうは考えておりません。別に予算にも計上をいたしていない次第でございまして、ほんの、何と申しますか、一年間に一人について車代のようなかっこうで一万円程度という程度しかただいま予算は計上いたしていない次第でございます。
  31. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ただいままで先輩の相澤先生から各般にわたって質問がございましたから、私は、できるだけはしょって、ダブらないように二、三の点をお伺いをいたしたいと考えます。  提案の際、さらにはただいままでにもかなり質疑応答で明らかになりましたけれども国際観光協会の私はあり方の問題、あるいは国際観光そのものにもかなりいまだ問題が内包しているんじゃないか、こう考えます。しかも、その問題は、政治的に見て一体那辺にその問題が存在しているのか等々も考えてみますと、ここでかなりの時間を費やして、ある意味におきましてはお伺いし、ある意味におきましては意見を申し上げまして、局長あるいは政務次官の御高見を拝聴したい、こう考えますけれども、そろそろ、委員長が当初はかったように、かなり時間が進行しておりますから、こういう点はいつかの機会にまたあらためて私なりの意見を申し述べたい、こう思っておるところであります。  ともあれ、最近日本を訪れます外国人のお客さんは年々歳々ふえてまいりましたことは、各位御承知置きのとおりであるが、去年だけでも三十万人にものぼる方々が日本においでになりまして日本観光をいたした、こう資料には出ております。しかも、この人々が日本での消費をいたしました金額などは、私どもの想像をはるかにこえるものでございまして、たいへんなものだということは、先般本委員会であっ旋業法あるいはホテル整備法等を審議した際にお願いをいたしました参考人の日本交通公社の津田参考人の言葉の中にもございました。具体的に参考人はこの委員会で申し述べて、外貨の消費額は為替ベースにして六千五百万ドル、消費額のベースで一億五千万ドルもある、こういう非常に私どもとしては参考になりまする意見を拝聴をいたしたわけであります。しかも、つけ加えまして、本年は東京オリンピックの年でございまして、こういう関係を控えて、今日各関係の人々は、大体日本に参りまする外国のお客さんというものは五十万をこえるのではないかと、そういう想定でそれぞれの分野で準備したりあるいは計画を立てておる、こう言われたわけなんです。さらに、ただいまの御答弁にもございましたように、香港の例などをあげましたが、日本の場合もかなり、さいぜんから申し上げておりますように、外人客がふえてまいっておる。その傾向は、非常にりっぱな私は資料だと思いますけれども、この資料を見ましても、一目瞭然に私どもは認識することができるわけであります。おおむね昭和四十五年くらいまでには百二十五万人という、私どもはこれまた想像もつかないほどの人が来るであろうという目標に向かって計画を進めているのである、こう先般の委員会で津田参考人が申されました。  さて、そういう客観的な事情の中で、しからば日本国際観光というもののあり方は一体どうあらねばならないかと、こういうことがやはり非常に国民全体の問題として私は問題になってくると、こう思うのです。そこで、私は、その国際観光というものは一体何かというふうに考えてみますると、一つには国際親善の発展に私は寄与するものだと、こう思います。それから二つには、先ほども政務次官が申されましたように、わが国国際収支の改善に大きく貢献いたしておりますことは、すでにもう先輩の各位でございますから、これもまた申し上げる必要もないことだと思うのです。さて、この二つの大きな目的といいますか、眼目といいますか、これらの問題を達成するにあたっては、私は必ずしもそう楽観したものの見方で対処していくのでは達成できない。現に、相澤先生もいま指摘いたしましたように、たとえば在外事務所関係にいたしましても、出先の運輸省職員の数にしても、あるいは予算の関係におきましても、しかもいまこの法律改正をして——私はジュネーブ在外事務所を一カ所設けることについては心から賛成するものであります。このことは別に、つまり観光協会なる機関に対する補助関係にいたしましても、資料を見てもおわかりになりますように、一四ページに掲載されておりますが、わずか六億に満たない、まことに少ない金額になっておるように掲載されております——五億九千二百万円ちょっとぐらいですね。こういう程度ですから、こういう面から見ても容易ではないと思うのです。しかも、私は参考人の例をたびたびあげまして恐縮ですが、先般の津田参考人のお話にもございましたように、この人々が日本においで願う場合にどういう経緯で参るかというと、結果的にはあっせん業の手を経て日本観光におもむく率というものは、去年のかりに三十万人といたしましても、八割があっせん業の手を経て来る。こういうことになりますと、私は必ずしも、運輸省観光局長を中心にいたしまして今日まで懸命な努力をされておったことは認めますけれども、こういう明らかな数字から見ましても、その目的が達成されたものだというふうには考えないのであります。したがいまして、将来かなり私はいま申し上げましたことを含めまして問題があると、こう言わざるを得ません。  たとえば、一つには、在外事務所関係の問題がございます。これなどは現在十三カ所、今度この法律が制定されまして一カ所ジュネーブに設置されたとしても十四カ所だけでございますから、事務所の数によって私はその事業の内容というものは即判断をすべきものではないと思いますけれども、アメリカであるとか、あるいはスイスであるとか、イギリスであるとか、あるいはドイツ等々のことなどを比較いたして見ましても、問題にならない数だと思うのです。国際観光重要性については。相澤先生から申されましたから、あえて申し上げませんが、かく重要な日本観光産業の一つになってきました事柄だけに、私はこの事務所の問題を、やはりいやおうなしに取り上げてみなければならぬ一つの問題ではないか、こう考えるわけです。  それからもう一つの問題は、やはりあっせん業関係が問題になってくると思うのです。具体的な数字等については、先ほど申し上げましたから、申し上げませんけれども、とにかくこの人々をどうあっせんするかという問題は、やはり一つの問題点になることだけは間違いないのではないか。過去の実積等を見ましても、そういうことが言い得るのではないか、こう思うのです。  それから第三番目には、宣伝活動の問題、これまた申し上げる必要なかろうと思いますが、つまりPRの問題ですが、幸い運輸省当局としては、何かこの海外のPR活動の強化、こういうことで、国際観光振興策を政府としてまとめた一こういうことを、過般の二十四日に、そういう関係の人々がお集まり願って会議をいたしまして、具体的なつまりこの国際観光振興に対する施策をきめた、こうまあ新聞に出ております。たいへんけっこうなことでございますが、私どもはこの新聞の内容だけではなかなか判断がつきかねる面もございます。そこで、この問題について——観光局長もこれを見ますると出席をいたしておるようでございますから、できるだけ本委員会に、この活字だけではなくして、もう少しこの点については御説明を願い、あるいはある意味におきましては報告を私はしていただきたいというふうに思うのです。とりわけ外国人の観光客の誘致ということを一つの問題として提起いたしておりますが、「海外観光宣伝活動の充実強化=日本紹介事業など広報活動の強化、日本観光協会法改正し、」——ただいまここに提案されておる、この意味だと思いますけれども、「改正し、組織を強化するとともに、三十九年度にジュネーブ日本観光協会海外宣伝事務所を新設、このほか外国放送の利用による日本の紹介などを検討する。」こうまあ新聞で明らかにされておりますから、この際はこの面だけ私は取り上げますけれどもジュネーブに一カ所海外事務所を新設して、一体この新聞のタイトルに出ておりますような「海外のPR活動強化」などという強化に当てはまるのかどうかということがまだ一つと、それからもう一つには、「外国放送の利用による日本の紹介などを検討する。」こういう、ことですから、具体的にこの検討がその後どうなされて、しかもその計画がどのようになっておるのかということをここで明らかにいたしていただきたいと思うのであります。  それから第四番目の問題点というのは、やはり国際観光だけに、出入国に関する査証の相互免除等々の——これは外務省に関係することでございますけれども、かなり私は問題があろうと思うのです。この表を見ますると、たとえば二ページで、確かにアメリカの観光客が多い。それからイギリスもかなり多い。あるいはまたドイツもかなり多い。しかし、カナダがまたかなり下がった数字になっております。ですけれども、私ども外国に行ってみまして、カナダもかなりヨーロッパにおきましては観光客の多い国でございます。これなどを考えてみても、やはり日本とカナダとの査証関係についての協定などというものはまだ未協定だと、私の調査の範囲では知っておるのですが、こういう事柄がやはり災いをして、具体的にカナダからの観光客などというものは少なくなっておるのじゃないか、こう思うのです。こういう点も含めて、とにかくこの査証など相互免除していく、こういう問題等がかなり私はあろうと思うのです。ですから、こういう関係、それから時間がありませんから一括質問いたしますけれども補助関係の問題で先ほども触れましたように、観光協会に対するつまりこの補助関係につきまして、まことにわずか五億か六億何がしかの金では、問題に私はならないと思うのです。やはり日本の国は、私のほうの考え方ではございませんけれども、とにもかくにも開放経済体制の中にいやおうなしに進みつつあるし、入らなければならない。こうした国際貿易の自由化に伴いまして、やはりこの観光事業といえどもその余波をかなり私は受けるものだと思うのであります。そういうときに、いまのような政府の姿勢、いまのようなつまり運輸省観光施策では、私は太刀打ちできないと思う。ですから、こういう関係、みずから国の財政規模、財政事情等を考えて、その限界があろうと思うけれども、さいぜん相澤先生がおっしゃったように、一つ観光産業である——これについては政務次官からもかなり積極的な答弁がございましたから、心から喜んでおりますけれども、そういうことであるとするならば、もっともっとこういう補助政策につきましても積極的に前向きの姿勢がなければならないのではないか、こう思うのであります。  それから在外公館、あるいは機関在外事務所等の関連でございますけれども運輸省もたしか、在外事務所はここにございまするように十三、あるいは今度のジュネーブを含めまして十四、こういうことになりますが、その他に民間機関として在外事務所を置いておりまするたとえば交通公社関係、こういうところの関係は、先ほど言ったように、外国のお客さんを八〇%もその人々の手によって扱ってきておるが、さて在外事務所はどうかというと、この資料にもございますように、まことに少ない——わずか四カ所あるいは五カ所程度のものよりない。しかも、そういう悪条件を克服をしながら、いま申し上げたように、ほとんど八割程度日本においで願うお客さんのお世話をする。そういうことの、直接間接的に政府の施策に協力を私はしておりまする機関だと思いますが、さて補助関係になりますと、私のこれは認識不足かもわかりませんが、しかし、この一四ページの資料を見てまいりますと、昭和二十九年までは、交通公社に対しても、どういうことになりますか、四千二百万ですね。それで、全日本観光連盟、当時あったんでしょうが、これには九百万そこそこ。こういうことになって、その後は、国際観光振興会といいますか、国際観光協会といいますか、こういうところにのみ集中して、政府の国庫補助関係というものは、その推移を見ましても、ないような気がするのです。で、これはまあ、いろいろな先ほども言ったような国の財政事情等々がつまりこういう面にも反映してできなかったのではないかというように善意に解釈してみても、何か私は不自然なような気がするのであります。  そこで、私は一つ意見を申し上げるわけでございますが、運輸省の出先機関が、つまりこの現在既設のものが十三、それから外務省の関係になりまするけれども在外公館がかなりのものが外国にございます。こういう関係ども直接財政事情によって補助ができないとするならば、先ほど来の宣伝活動と相関連して、つまりこういう資力、信用のおける日本交通公社などというものが、かなりその在外事務所をつくるためには資金その他で非常に問題がやはりこういう事業を行なっておる企業といえどもあろうと思うので、そういう面を考えまして、無形の補助をしていくという、いわゆる助成をしていくというような立場で、在外事務所であるとか、あるいは在外の公館等々を、この間の鉄道公団法じゃないけれども、無償で貸しつけていくというようなやり方、あるいはまた有形無形の、運輸省の出先の人々、あるいは在外におります公館の外務省の関係の諸君が協力するというような態勢をとってまいらなければ、かなり強大な、たとえばアメリカのような観光のやり方、スイスのようなやり方、あるいは北欧三国のやり方、英国においてしかりです、等々の向こうの観光施策には私はとうてい太刀打ちできない、こういう考え方から、いま申し上げたような一つ考えを持っているので、これに対する観光局長の考え方をこの際御答弁願いたいと思う。  それからもう一つ、この法律条文そのものに入りますけれども、十九条の関係でございます。相澤先輩が、これについての具体的な構成員であるとか、あるいは学識経験者についても触れましたが、私はそれはそれとして、もっと政務次官が答弁をいたしたように、お説ごもっともである、できるだけそのようにしたいと、こういう答弁なんで、できるだけという、そういう抽象的なことでは、これはいつの場合でも国会答弁としてその範疇より政務次官が出ないのかしれませんが、もっと私はこれは具体的にこの関係については出していいのではないか。これまた一つの私は例を取り上げますけれども、ただ単に日本観光の、とりわけPRの活動も含めて諸外国における観光宣伝などというものは、日本のこれに関連いたします各種産業といいますか、企業といいますか、そういうものを助成しつつ国際収支に貢献させるという目的だけで私はないと思う。やはりこの面を通して日本を広く紹介をする中から、日本というものを十分に認識してもらいたいというものもあると思うのです。で、私は一九六〇年にアメリカの教育の都でございますクリーブランドというところに参りました。そこの教育委員会に参りまして、いろいろ教育についての勉強をさしていただきましたが、日本でいえば大体性格的に文部省のようなところではないでしょうか一そういうことは別にして、驚いたことには、向こうの各教育関係者が集まって私に幻灯を見せてくれた、その幻灯が、日本の子供たちはまだかすりの着物を着たり、あるいは貧乏で——確かにアメリカから見ますと日本は貧乏なことは間違いありませんが、貧乏で楽器などを買い求めることができなくて、なべのふたをはたいてタンバリンのかわりをして音楽を習っているのだなどという幻灯を見せられたわけです、私は。いいですか。そこで私は、これは違うと、もはや日本はその生活様式、生活態度というのは欧米と何ら変わりませんと、子供のころからみんな洋服を着て学校に行っているのであると、だから日本の着物などというものは、古典的な日本の文化の保有のためであるとか、あるいは特定の人々は和服などという高級なものを買い求めて一つの趣味で持っておる程度で、大多数というものは、もう日常の生活、それからいま言ったようなある一つの作業をする場合においても洋服を着用しつつやっているのであるし、たとえば学校教育の一つの音楽をとらえてみても、楽器などはああいうなべぶたをたたいたりしているのは、これは戦後の混乱期にいなかでそういうことはあったかどうかは別として、これをすべて見て、日本の生活状態、日本の文化の状態はこうであるとするなら、たいへんなあなた方は、外交上も、あるいはすべてのアメリカのつまり日本に対する政策のあやまちを来たすと、こう私が言いましたら、きょとんとしておりました。こういうことですから、こういう事柄だってやはり、国際観光の面を通じて、私はいわゆる宣伝活動の強化などというものを取り上げたというゆえんのものは、こういうものも含まれているんじゃないかというふうに考えまして、さいぜんから実は一つの具体的な交通公社——特定のところを申し上げてたいへん恐縮でしたが、交通公社という一つの名前をあげて申し上げたようなわけなんです。ですから、ぜひこういう関係の面は、皆さんの特段の御努力を願うと同時に、それのやはり基本となるものは政府運輸省運輸省観光局が具体的な施策を樹立しますけれども、それに諮問いたすといいますか、そういう関係のものがこの十九条に載っているんで、そこでそのメンバーの関係になるわけですが、観光局長の答弁では、会員であらねばそのメンバーになれない、こういうことで、これはお説ごもっともだと私は思うので、だれでもかれでもというわけにはまいらないと思います。しかし、いま申し上げたような事柄が非常に重要でありますことと、それから、アメリカあたりは、これは局長、あるいは次官も、皆さんおいでになったと思いますけれども、向こうでは、あまりこういう点では、第何条にこう書いておって、附則にはこうなっておる、省令にはなどなどというようなことを、確かにアメリカという国は、これはデモクラシーの国であって、それだけにやはり法律というもの、あるいは州の条例といいますか、そういうものもきびしいけれども、事の運営、運用ということについては、かなりこれがつまりその、国の得策であるということになりますと、積極的に法なりあるいは規則なりの解釈を善意に解釈して活用している面が多々あるのです。ですから、私は、このメンバーは、アメリカでも、英国でも、あるいは観光の国だといわれるスイスなどでも、明らかにその関係者を運営の委員に入れております。ですから、この際、先般のあっ旋業法あるいはホテル整備法等々を審議したときにも、ややそういう面の質疑応答がございましたけれども、端的に具体的なものが出てきませんでしたから、私はここであえて申し上げますけれども、こういうメンバーには、日本国内の審議委員等々の制度がたくさんございますが、いずれもそういうところには関係者の代表を入れております。私も地方でそういう委員をやった経験がございますが、代表者を入れている。ただし、その場合、たとえばこれから審議してまいらなければならない道路運送法に基づきまする自動車の協議委員会などというものがございます。前は、われわれが任命されたときには審議委員といっておりましたが、そういうものにもやはり業界代表が、たとえばトラックの関係、ハイヤーの関係、そうして私が出ておりましたから、私は何も学識がないのだけれども、学識経験者などという名前をどっかで運用してくっつけたと思いますけれども、明らかに私はつまり利用者代表、労働者代表で入っていった経験等もございます。ですから、私は、この運営審議会ですから、運営をする審議会ですから、ぜひこういうところにはあっせん業代表あるいはホテルの代表あるいはそこで働く人々の労働者の代表等々を入れて、名実ともにそういう関係者を網羅をして、この運営、運用のあやまちを犯さないようにしていくことがより賢明なやり方ではないのか、こう思いまするので、私は先ほどの政務次官の答弁では満足しないのです。もう少し具体的にこの点については明らかにしていただきたいと申し上げまして、とりあえずの質問を終わりたいと思います。
  32. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) いろいろ多岐にわたりまして御高見を拝聴いたした次第でございます。  まず、PRの問題と外国放送の関係、これが一番最初の重点かと存じます。現在も映画を作成いたしておりますが、これは二十七分で区切っております。と申しますのは、大体テレビ放送いたします場合に三十分が一区切りになっておりますが、二十七分で映画をやりまして、残りの三分で日本へいらっしゃいというふうなコマーシャル的な文句を入れるというふうなことで、合わせて三十分という計画でやっておる次第でございますけれども、こういった面をもう少し強化をしていきたいということでございます。映画を一本作成いたしますのに大体九百万円かかります。プリントにとりますのが、大体多いので二百本とっております。それは、わが事務所はもちろんでございますけれども在外公館、つまり外務省の大使館、公使館のような在外公館へ全部それを送っております。したがいまして、観光協会事務所のないところで在外公館のあるところは、その組織網を通じて全世界宣伝をする、こういうシステムをとっております。したがいまして、二百本程度のプリントをとるということになっておる次第でございます。そういったことを今後さらに強化をしていきたいというのが、先ほど先生御指摘になりました会合において一つの話題になった点でございます。  それから、その次に御指摘をいただきました問題は、査証の問題でございまして、この点は、先生と全く同じ考え方、同じ立場で、運輸省としましてはここ両三年来外務省と戦っておる——戦っておるというとあれでございますけれども、やっておる次第でございます。それでございますので、実は資料の二一ページ、二二ページにもその関係のことを私書いた次第でございます。それで、特にこの二二ページをごらんいただきますと、とにかく世界においてアメリカというものが国際観光市場における送り出し国になっております。したがって、アメリカに対する各国誘致宣伝というのはものすごく激甚をきわめております。特にOECD加盟の諸国のアメリカに対する働きかけというものは、ほんとうに薬にせんじて飲んでいただきたいというくらいの気持を持っておるわけでございます。ところが、アメリカとしましては、カナダに対する以外は、査証の免除を現在いたしておりません。どんな理由か存じませんけれども、いたしておりません。それで、ヨーロッパの諸国は、特にOECDを中心にしまして、アメリカが自分の国に査証を免除しなくても一向かまいません、自分の国から一方的に免除いたしますということで誘致宣伝をやっておるわけなんです。それで、われわれも、外務省に対しまして、ぜひ日本としてもそのような方法をとってくれないかということを言っているわけです。これは決して私ども観光だけのことを言うわけじゃございませんで、アメリカ本土からハワイへ一年間に来る観光客というものは三十万人を突破しておるわけです。三十万人のアメリカ人がハワイへ一年間にやってくる。そのうちの一部分でもいい、日本に足を伸ばしてもらえば、うんと日本国際観光というのは伸びるんじゃないか、こう思うのです。ところが、ハワイまでやってまいりまして、そしてビザを申請すると、すべったりころんだり、なかなかビザはおろしてくれない。いやになって、そうして日本へ来ないということになる。そこで、一週間くらいの観光旅行なら、ノー・ビザでどうぞいらっしゃいというふうなことをやったほうがいいんじゃないかという考え方、またそのような苦情が非常に多うございますので、われわれとしてはそれを頼んでおるわけでございますけれども、わが外務省は相互主義を堅持して譲らずということで、相手がしなければ絶対に日本はしないのだということで、今日まで外務省とわれわれが立場が違って折衝をしておるわけでございます。それで、ここに表にございますように、査証の一方的免除、あるいは査証料金の免除というふうなことで、かなり各国がやっておるわけで、今後この方向にどうしても進んでいくべきではないだろうかというふうに考えております。現に、昨年の十二月五日に観光政策、審議会足立会長から出されました意見の具申の中に、ただいま御指摘になりました出入国に対する措置の改善の中に、これは資料の二五ページにございますが、「わが国において観光による外貨消費額の多い国の国民に対する査証の一方的免除を図ること。」という意見の具申が出ております。このようなことでございますが、なかなか外務省が聞かないというので、今後とも運輸省としては国際観光振興立場から折衝をさらに続けていきたい、かように考えております。  それから、その次は補助金の問題で、交通公社補助金が出ておったことがあるんじゃないかというお話でございます。これはこの図にありますように、御指摘のとおり出ております。そのときの交通公社はいわゆる財団法人でございます。それたら、先ほど資料の一二ページの図で申し上げましたように、交通公社の全部の事業に対して補助金が出たのじゃございませんで、交通公社の中の、すなわち海外宣伝部に対して国から補助金が出たと、こういうたてまえになっているのです。つまり国際観光について政府補助金を出したのであって、財団法人交通公社の全事業に対して補助金を出したんじゃない。したがいまして、海外宣伝部交通公社の中から出て財団法人国際観光協会になりましたときには、国際観光協会のほうへ補助金一緒について移ったわけでございます。それが昭和三十年から補助金がそちらのほうへついたということになっております。この図表でごらんいただきますように、三十年からは日本交通公社も公観連もなくなって国際観光協会一本にしぼられます。五千二百四十九万一千円ということになっておる次第でございます。  それから、それじゃ今後交通公社のようなところに対する補助金はどうなんだという御質問が次にあったのでございますけれども、われわれとしましては、株式会社になりました交通公社に対して、まあ一番広く信用がたといございましても、どのような方法で補助金を出すかということはやはり相当研究をしなきゃならぬ問題だと思います。むしろ将来の方向としましては、あっせん業全体、特に今度の法律改正による一般旅行あっせん業者が外貨を獲得するというか、考え方立場から、何らかのそういう助成策が考えられないかという立場から、少しこの問題を前向きに検討してもらいたい、かように考えておりまして、特別に個々の会社について、いくら大きい広い信用がございましても、それに対する補助金というものは、ちょっと運輸省としては、ただいまの段階では考えられないのではないかというふうに考えておる次第でございます。  それから最後に、一番大きな問題でございます十九条の運営審議会の問題でございますが、先ほど私申し上げました点を、失礼ですが先生誤解をしていらっしゃると思いますのですけれども、現行法では会員の中から選ばなければならないことになっておりますけれども、今度の法律改正では、会員制がなくなるので、それとは無関係に、会員であるとか、賛助金を出してくださるとかいうこととは全然関係なしに、国際観光についての学識経験者の中から任命をするというたてまえになるわけでございまして、いわば門戸を広く開放したのだ、さように考えております。そのような立場から、先生が何をおっしゃろうとしているのかよく私にはわかっております。したがいまして、十分この点につきましては前向きに検討させていただきます。
  33. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 私が何を言わんとするかということがわかっておるということですから、これにこした答弁はありませんから、あえて申し上げません。ただ、若干局長さんも誤解している、こう思いますが、先ほどから申し上げたように、交通公社を、特に特定の名前を申し上げてと、こういった意味は、決して交通公社だけじゃなくて、いまあなたが答弁されたように、つまりあっせん業全体として考えつつ申し上げたわけです。だからといって、この国際観光についてのあっせんということになりますと限られてまいりますね。ひとつそういう例をとったのでありますから、ぜひ誤解のないようにしていただきたいというふうに願います。  それからもう一つは、補助関係で、確かに二十九年まで、これに記載されておりますように、補助されていた。そこでつまり、財団法人から株式会社交通公社になったのは去年からです。厳密に言いますとことしからでしょう、発走したのは。なお、御承知のように、株式会社と、それから財団そのものも残っているわけですから、そういう関係等も考えながら申し上げたつもりで、先ほど来申し上げておるように、国の財政事情等々考えて、直ちにストレートに、金で、たとえば補助などを私はできないとしても、助成ということばを私は先ほど使ったつもりであります。ですから、助成ということになりますと、いろいろなこれはやり方があろうと思うので、その一つの例として、この在外事務所の活用の問題であるとか、あるいは外務省の関係であろうけれども、大使館であるとか公使館とか各国にございますから、そういう関係、有形無形の私は助成をするという立場で、具体的にはその運用をうまくやっていかなければならぬじゃないかと、こういうことを申し七げたわけですから、この点で、さらに私は積極的に、これは特に外務省関係でございますと、いま局長も申されたように、何かかなりいろいろ複雑な問題があるようですから、より運輸省観光局長のほうで、そういう点を連携を密にして、助成をするという立場で私は取り扱っていっていただければけっこうだと考えまして申し上げたわけです。こういう点、ぜひひとつ誤解のないようにしていただきたい、こういうふうに思います。そういう意味も、なぜ私は言っているかというと、これはまあ釈迦に説法でございますから長々と申し上げませんけれども日本国際収支を見ても、完全にこうした事業で取得するもの、貿易外収入としてかなり国際収支に貢献しているようなものは、そういう意味で前段に申し上げたように、それが一年々歳々いい傾向になってきて、四十五年くらいになると、私どもが想像もつかないような外人客が参る。こういうことを想定して、先般のホテル整備法なり、あるいはあつ旋業法というものも、その意味で私は一部改正したものだと心得ていますので、ぜひ、いま言ったような面も、一面においては、平易な言葉で用し上げますと、めんどうを見るというかまえがやはりなければならないんじゃないかという気持ちで申し七げたわけですから、その点は、賢明な局長さんですから、私が申し上げる前に、あなたの考えていることはよくわかるくらいの局長さんですから、さらにその面も含めて御努力をこの機会に願って、私の質問を終わりたいと思います。
  34. 米田正文

    委員長米田正文君) 他に御発言がなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 米田正文

    委員長米田正文君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 米田正文

    委員長米田正文君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  日本観光協会法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  37. 米田正文

    委員長米田正文君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 米田正文

    委員長米田正文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  暫時休憩をいたします。    午後零時五十一分休憩    ————・————    午後二時二十分開会
  39. 米田正文

    委員長米田正文君) ただいまより休憩前に引き続き委員会を開会いたします。  運輸事情等に関する調査を議題といたします。
  40. 相澤重明

    相澤重明君 政務次官お尋ねをするわけでありますが、私ども社会党は、日韓会談反対の立場を堅持しておるのでありますが、先ほどのニュースで、アメリカのライシャワー大使が暴漢に襲われたということを聞きまして、たいへん私どもも遺憾に思うわけです。こういうことのないようにぜひ池田内閣の善処方をわれわれ希望するわけであります。たいした傷ではないように思うけれども、直ちに大平外務大臣がおわびに行ったそうでありますが、右翼にしろ、左翼にしろ、どんなんかわからぬけれども、いずれにしろ、そういう暴力行為が、少なくとも外国の代表に、アメリカの大統領の代表ですよ、そういう大使が傷つけられるなんということは、まことに遺憾千万だと思う。そういうことは、これはいずれきょうの予算委員会なりそれぞれで、私のほうの党としてもその問題について質問することになっておる。私は、それはそれとして、そういう日本のような国で前時代的なそういうものが行なわれるということは、まことに遺憾である、こういうように思うのです。  次の問題は、先月ですか、韓国と日本との航空機の乗り入れ問題がきまったと私聞いておるのです。これは航空局長なり関係者のほうから答弁を補足してもらいたいのですが、大阪−ソウル間、そうして四月からは東京−ソウル間というように聞き及んでいるのでありますが、これは日韓会談の中できめられたことなのか、あるいは運輸省がいわゆる日本航空との相談の中でこの航空機相互乗り入れ問題をおきめになったのか、この点の経緯について若干ひとつ御説明を田邊政務次官からお答えをいただいて、関係の担当者から補足説明を願います。
  41. 田邉國男

    政府委員田邉國男君) 韓国と日本との航空機相互乗り入れの問題でありますが、これはいまの日韓会談とは別でございまして、大韓航空会社——民間会社から申し入れがございまして、日本では日航が韓国に乗り入れる。これは先生のほうから御指摘のように、大韓航空のほうは、ソウルから大阪、それから日航のほうは東京からソウル、こういうことで近く相互乗り入れをやるということに話が進んでおります。こまかい内容につきましては、事務当局から御説明させます。
  42. 大沢信一

    説明員(大沢信一君) 本日、局長が予算委員会、監理部長が衆議院の運輸委員会に参りまして、私こちらへ参りましたのですが、専門的なことは私は承知いたしておりません。ただ、ただいま政務次官のお話がありましたように、日韓会談、あるいはよその外国の場合と同じような航空協定に基づく運航の開始でございませんで、純民間ベースで一応お話し合いが始まったものを、政府が認めるというか、こういうことになっております。
  43. 相澤重明

    相澤重明君 いまの返答は、専門的な立場でないだけに、また最高の責任者でないだけに、やっぱり、はっきりした答弁というものはできないと思うのです。それはよくわかりました。  そこで、政務次官にはやはりはっきりしておかなければいけないと思うのですが、運輸省は相手の国の申し入れに基づいて相互乗り入れ協定をつくったということであると、相手の国の申し入れがあれば、これはやはりそういう協定を行なうということに解釈されるわけですね。それで、前段のお話では、日韓会談とは関係がない、こういうお話ですが、そうすると、端的にお聞きしますが、いま私が申し上げたのは韓国の場合ですが、政府は、相手の国から申し入れがあれば、そういう相談ができるというものであれば、それでは隣の同じ朝鮮の北朝鮮からそういう申し入れがあった場合には、そういう協定ができますか。その点について、運輸省は独自でできるということならば、私はやったらいいと思う。どういうことなのですか。
  44. 田邉國男

    政府委員田邉國男君) 韓国につきましては、すでに国際的にもりっぱに国連で認められた国でございますと同時に、わが国においても韓国を承認をいたしておりまして、これから国交の正常化をやっていこうということは、すでに国会においてもいろいろと議論をされ、政府においては目下交渉中ということでございます。ですから、これから国交を回復をしていこうという際でもございますし、現在暫定的な措置といたしまして民間ベースでやっていくということでございまして、それでは中国との問題はどうかということでございますが、まだこの問題につきましては、基本的な考え方というものは固まっておりません。
  45. 相澤重明

    相澤重明君 私のお尋ねしたのは、中国でなくて、隣の北朝鮮から相互乗り入れの話があったらどうするか、こういうことなのです。
  46. 田邉國男

    政府委員田邉國男君) いまのところ考えておりません。
  47. 相澤重明

    相澤重明君 おかしいじゃないですか。相手の国から申し入れがあれば、運輸省の独自の見解でやれるというものを、もしそういう話があっても考えていないというのでは、少し政治性が強過ぎるんじゃないですか。私は、日韓会談問題の地ならしの一つとして、民間ベースの相互乗り入れというものをきめたのだと思うのですよ。そう思いたくなるんだが、それはそうではないというもし御意見が政府の部内で固まっておれば、それを明らかにしてもらわなければならない。本来こういう問題については、外務委員会なりあるいは総括的な予算問題等の委員会でやることなのですが、事は運輸省の監督下にある航空関係の問題ですから、実はお尋ねをしたわけです。協定関係等の問題に入るには、きょうは時間があまりにもありません。ですから、いずれこの問題は、私は運輸大臣にお尋ねをしたいと思う。だから、条約とか協定の立場に立って、日本が韓国と相互乗入れをきめたいきさつ、そういうものをひとつ明らかにしてもらいたい、こういうことを私はきょうは希望して、この問題は終わりたいと思うのです。私は単に運輸省だけで独自にきめられるということではないと思う。もっと高度な政治性があると私は判断している。そこで、社会党が日韓会談に反対しているのに、自民党さんだけでいいというわけにも私はまいらぬだろう、こういう点で、単なる運輸省の問題ではなかろうということから、私どもはいま御質問したわけでありますが、ただいまの時間とかあるいは出席の政府委員立場では、根本的な問題を掘り下げてここで議論するということはむずかしいと私は思います。そういう点をひとつ、あと資料としてお出しをいただきたい、こう思います。  その次にひとつ、もしこの相互の乗り入れ協定による乗り入れが、すでに三月十七日、四月十五日ということになっているわけですね。三月十七日からは大阪−ソウル、四月十五日からは東京−ソウル、こういうことになっているわけでありますが、御承知のように、本委員会で何回も九州の飛行機事故の問題を話をしたわけであります。
  48. 米田正文

    委員長米田正文君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  49. 米田正文

    委員長米田正文君) 速記を始めて。
  50. 相澤重明

    相澤重明君 海上保安庁には、いま韓国との間に専管水域や漁獲の問題で政府が韓国の農業相と交渉を行なっていますね。日韓会談を行なっているわけであります。私は、いまその問題についてとやかく深く追及する時間はないと思うし、問題の焦点も違うと思うのです。私は、それよりは、海上におけるところの海難事故というものをいかに救済をするかというのが、あるいは海上衝突をした場合の応急措置というものが、海上保安庁としての大きな任務だと思う。そこで、二つほどの問題点を私はひとつきょうあなたに御質問をして、御説明を願いたいと思う。  当委員会なり、また私が参議院の決算委員会で、海上保安庁に常に申し上げておったのは、少なくとも外国領海に、あるいは公海に出漁する場合に、非常に日本の漁船あるいはその他の船が遭難をするわけですね。その場合に、早く救難をする措置というものは非常に大事なことでありますが、ともすると外国の港湾に避難をする。こういう問題について、前回も私は参議院の決算委員会で四国を調査した際に、四国の各県から外国に避難する場合の措置を外務省、運輸省は早く講じてもらいたいという要求があったわけです。そのことを決算委員会でも私報告の中でも申し上げたわけでありますが、先日も新聞に出ておりましたけれども、ソ連海域にこの日本漁船が操業しておって、しけか何かあったときに避難をしたそうでありますが、そのときに拒否をされたという話がある。これはどういう経緯かよく存じませんけれども、少なくとも公海における操業については、この操業の安全ということを私は第一にしなければならぬと思う。そういうためには、この漁船を操縦する人たち、あるいは漁船員そのもの自体も、航海の安全、航行の安全には努力をされるでありましょうし、運輸省は船舶の検査基準等においても十分配慮をするでありましょうけれども、不幸にしてそういう事故が起きた場合には、どうしてもこれは避難をしなければならぬ。そこで、外国におけるところのそういう協定あるいは了解事項等をつけておかなければならぬと思う。そういう点について、海上保安庁としては出先機関として一番苦労するわけでありますから、そういう点についてまず第一にどういうふうにお考えになっているかという、またそういう外国の避難港等についてのいま現在各国に、どういうふうに日本は措置がとられておるのかというのが一つであります。  それから、いま一つは、領海の漁業権保護という問題で、ニュージーランドの総理大臣が、日本のいわゆる漁船が領海を侵犯するのは許されない、こういうことで、いわゆるホリオークニュージーランド首相は国内漁民の専管漁業水域を保護するための必要というような声明を出して、日本漁船に対するところの強制措置をとろうとしておるといわれる。そうしますというと、この南方におけるところの漁業を行なっておる日本漁民にとっては非常にたいへんなことだと思う。もちろんこれは、漁業問題になれば農林省の関係も出てまいります。出てまいりますが、少なくとも、農林省、水産庁の関係だからといって、日本の漁船が拿捕されるとか、あるいは不当に圧迫されるということは、これは許されないわけです。そこで、そういう問題について海上保安庁としてはどういう処置を講じようとしておるのか、これもひとつ伺っておきたい。  いま一つの問題は、アメリカにおいて、アメリカ下院の水産漁業委員会は、わが国の漁民に対してバートレット法案というのを——アメリカは上院をすでに通過をさした。これは、アメリカの領海漁業取り締まりに関する法律でありまして、日本の漁民が操業をする場合のやはり一つの規制の措置なんであります。これは、大日本水産会をはじめとして、日本関係の業界の人たちは猛烈にこれに反対をしておるわけであります。しかしながら、そういう中におきながら、すでに日本漁船に対してやはり規制措置がとられつつある。こういうことは、私はやはり、公海の自由、公海の操業の自由の原則に基づいて、あまりにも専管水域という、いま日韓会談で赤城農林大臣が韓国の農林大臣とそういういろいろな話をしておるようでありますけれども、そういう問題が、日本の場合は、南方においても、アメリカにおいても、いまやつくられつつある。こういう点については、特にそういう漁船を保護するのは、とても外務省の出先機関ではないわけで、外務省はそれは拿捕されたときに文句は言っていかれるかもしれないけれども、海上におけるそういう遭難であるとか、領海を侵したとか何とか引っぱっていかれるのは、これは日本海上保安庁がめんどう見てやるよりしようがないだろうと私は思うのです。とにかく外に出ていった場合に、あるいは日本の近海におけるいろいろなそういう海上における問題点は、やっぱり運輸省海上保安庁が最高のものであろう、そうしてほしいと私は思う。こういうような問題で、一体海上保安庁の現有勢力からいって、私は非常に足りないと思うのです。ことしどのくらい海上保安庁としては警備力を強化をするかという問題も含めて、そういう万全の措置をとってもらえるかどうか。  前段のいわゆるニュージーランドの総理大臣の言明や、あるいはアメリカのこのバートレット法律に対する日本立場、こういうようなものも海上保安庁は警備を万全を期すという立場においてどうお考えになっておるか、ひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  51. 猪口猛夫

    説明員(猪口猛夫君) なかなかたいへんな御質問でございますが、最初の緊急避難に関する問題についてお答え申し上げます。  御承知のように、緊急避難につきましては、国際慣行あるいは当面いたします日ソ海難救助協定等に基づきまして、現在のところではあまり問題がなくスムーズに行なわれております。それに対しましては、日ソ海難救助協定の定めるところによりましてそれぞれ手続を行なっておりますし、米領、あるいはフィリピン等におきましても、それぞれ外交機関を通じ、またはそれぞれの代理店を通じまして、緊急避難をスムーズに行なっております。ただし、先ほど先生がおっしゃいました、先般千島の沿岸に避難いたしまして、その避難を拒否されたといって漁船から報告がございましたが、それは外務省を通じてソ連にたびたびその理由を問い合わせておりますが、何ら返事が来ておりませんので、その問の理由等につきましては不明でございます。  それから、その次のニュージーランドあるいは米国の日本漁船に対しまする規制措置に関連いたす問題につきましては、その政策上の問題は、海上保安庁の関与と申しますか、所掌でもございませんので、お答え申し上げることもできぬと思いますが、後段に先生が申されました、それらの緊急避難あるいは海難を起こしたとき、あるいは不法拿捕の際における保護はどうするのかということでございますが、不法拿捕でございますれば、それぞれ外交機関を通じてこれは厳重抗議すべきものであると感じます。また、その海難救助にあたりましては、それぞれ国際通念により、国際慣習により、あるいは国際安全条約によりまして、それぞれの最も近い国で少なくとも人命救助には当たることになっておりますので、私のほうからニュージーランドあるいは米国の沿岸まで遠く出かけまして海難救助するということは、現在の能力、勢力ではとうていできませんし、また将来ともそういうことはとうてい不可能なことではないかと存じておる次第でございます。
  52. 相澤重明

    相澤重明君 まあこういう政治性の問題については、確かに運輸省の担当部長、局長に答弁させるというのは、少し無理があると思うんです。無理があると思うが、少し知ってもらわなければ困ると私は思う。そういう意味で質問しておるわけですよ。というのは、やはりそのことは、問題が出れば非常に大きいということなんです。現にアメリカで、バートレット法が上院を通過して、下院の水産漁業委員会において審議をされた。それによりますと、アラスカ沖の大陸だな水域の公海——アメリカ領じゃない、領海じゃないんですよ。公海に少なくとも六百マイル以上も向こうは出てくるというんですよ。だから、公海で操業しておる者が、今度は日本の船は、もうおまえたちはいけないんだと、こういうことを言われるというわけです。だからこそ、大日本水産会は、現地の弁護人のH・ウィリアム・田中氏を代理人としてアメリカに抗議をしておるわけですよ。だから、日本もそういうことはやはり知らなければ、いやそれはもう警備します、それは日本の身のまわりだけですなんていうことじゃあ、向こうの警備艇が出てくるんですから、アメリカの警備艇が出てくるのに、公海であるか、領海であるか、専管水域であるかという問題は、これはやはり国際条約なんですからね、そういう点を、警備を担当する運輸省海上保安庁を持つものとしては、私は無関心であっちゃあいかぬと思う。  それでいま一つ、さっき申し上げたカナダの話と同じように、ニュージーランドのホリオーク総理大臣は、日本漁船が領海を侵犯すると、こう言っている。侵犯するかしないかということは、いまの専管水域の問題にもなってくるわけです。あるいは領海の問題にもなってくるわけです。公海はどこなのか、こういうことからいって、私ども日本の漁船が、もう漁民の操業の問題については、これは農林省、水産庁にまかしておけばいいんだというわけにはいかぬと思う。やはり船舶の問題やあるいは航行安全の問題に対しては、私ども運輸省の監督下にあるそういうもろもろの条件というものは、やはりよくしていくという立場でなければいけない、こう思うので、いま私の申し上げたようなことを、お帰りになったら、ひとつよく首脳部でもって相談をして、そういう対策を講じてもらいたい、これが一つです。  それから、日韓会談に反対という社会党の立場からいけば、いま政府がやっていることは、こういう韓国との会談についてすぐやめてもらいたいという立場は変わっておりませんけれども、それはそれとして、この対馬沖あるいは韓国との領海の問題について、先ほども雑談の際に出ましたけれども、楢橋運輸大臣は日本の漁船が拿捕されるときに、海上保安庁の船に乗っていって、マイクで向こうの船に呼びかけて、私は日本の運輸大臣の楢橋渡であるといって、そういう不当なことをしないでほしい、こういうようなことまでやったわけですね、当時楢橋運輸大臣は。それほど問題のある地域なのでありますから、海上保安庁としては、吉備あるいはその他のそういう対策については、私はやはり具体的にきめておかなければいけないのじゃないか。それをただ、日韓会談というもので早く、いま池田総理の言う、韓国と仲がいいからとか、あるいはしなければいけないとか、いろいろ理屈は言っておるようでありますが、そういうことだけで問題はなかなか解決しないのじゃないか。こういうことで全般的な問題を申し上げる機会はないけれども、いま言ったように、私は、海上保安庁の業務の中で、いまのような問題についてはどういう対策をお立てになっておるか、これはひとつお伺いしておかなければいけない、こう思うので御出席をいただいたわけですから、ひとつお答えをいただいて、海上保安庁の問題は終わりたいと思います。
  53. 猪口猛夫

    説明員(猪口猛夫君) 李ラインの漁船保護の問題について御質問がございましたが、私のほうは、楢橋元運輸大臣のその精神のとおりでございまして、現在でも、武器こそ使いませんが、漁船の保護のためにできるだけのことをやっておる次第でございます。御承知のように、きょう現在は、ほとんど韓国の警備艇は出動しておりませんが、おおむね三隻ないし四隻の警備艇があの海域に出動いたしておりまして、出漁日本漁船の不法拿捕あるいは操業妨害に出ておるわけでございますが、私のほうも、持っております巡視船八十八隻のうち、約十六隻ばかりは、常にそのほうに向けておりまして、漁船の操業保護に従事している次第でございます。
  54. 相澤重明

    相澤重明君 それから、三月初めですか、海上保安庁は各管区の長を集めて会議を開きましたね。三月の早々じゃなかったですかね。それはどういうことを……、そういう問題を含まれておりましたか。海上警備について、とにかく最近、ソ連領なり、カナダ領なり、あるいは朝鮮付近なり、そういうような問題が、あなたはあまり起きておらぬと言うけれども、私の知る範囲では、かなりそういう事故が起きておる。ですから、海上警備については、私は非常に関心を払って——むしろ予算が少な過ぎる、もっとそれは機動力も大きくしなければいけないというふうに私は考えておったのだが、この管区長会議においては、そういう問題は討論されませんでしたか。どんなことを一体海上保安庁の管区長会議はやりましたか。あなたは運輸省の本部におられるのだから、そういう管区長会議のときには、海上警備の問題が出たのだから、知っておりますか、どんなことでしょう。
  55. 猪口猛夫

    説明員(猪口猛夫君) 仰せのとおり、三月の上旬に管区本部長会議が開催されましたが、これは新長官にかわりましたので、その長官の抱負を各管区本部長に伝えるとともに、当面いたします警備関係あるいは海難救助等の問題につきまして意見を交換した次第でございます。したがいまして、先生が御心配なさっております点につきましては、十分相互に意見をかわしました次第でございます。ことに、三十九年度の成立するであろう予算の執行計画等の一部につきましても相談した次第でございます。
  56. 相澤重明

    相澤重明君 じゃ、先ほど申し上げたことを二度繰り返しませんから、時間の関係で。よくお帰りになったらひとつ海上警備の問題について相談をして、どういうふうにきめたかということはあとでひとつ資料をもって提出してもらいたい。  それから、海運局長一つお尋ねをしたいわけです。それは、先ほど申し上げた漁船の問題についていろいろ問題が出ておりますが、航行安全については、漁船ばかりではございません、旅客船についても、これはもうたいへんなことだと私は思う。そういうことで、船舶局長から海運局長あてに、旅客船の検査強化についての通達が出されておりますね。漁船等の問題について、単に旅客船でなくて、貨物船、漁船も含んで、この船舶の航行安全ということについてどうやるかということは、やっぱり運輸省のあなたのほうの大事な仕事ではないかと思うのです。海運局長のほうはどういうふうにいま作業を進められておるのか、そのことをひとつ御説明いただいて、私はこの質問を終わります、時間がないから。本来ならばもっとこれはやらなければいかぬのでありますが、大綱をひとつ御説明いただきたい。
  57. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) いま先生の御指摘のように、老朽の旅客船につきまして、その検査を強化いたしまして交通の安全をはかるということを現在実施いたしておるわけでございます。これは人命尊重という面から見まして非常に重要なことでございますので、われわれも全面的にこの方向に従っていろいろな施策を総合的に進めておるという状況でございます。  また、漁船その他の海難防止につきましては、運輸省内に交通事故防止対策委員会というものを現在つくっておりまして、交通事故の原因の調査、それから対策というものにつきまして、各局長委員といたしまして、事務次官を委員長といたしまして、交通事故の詳細な検討を現在やっておることでございます。交通事故の防止というのは、これは運輸省もともとの本来のわれわれの仕事でございますので、当然継続的にやってきておるわけでございますけれども、最近の事故が頻発するというような状況にかんがみまして、交通事故全体につきましてもっと根本的にこれを取り上げてこれを減少させる方向で考えようということで、現在いろいろな作業が進んでおるわけでございます。御指摘のように、漁船の海難は船舶の海難の約半数程度を占めておるわけでございます。われわれとしても、農林省とも協力いたしまして、この防止について十分今後措置をとっていかなければならぬというふうに考えておるわけでございます。ただ、現在の海難事故の非常に多くのものは、乗り組み員の不注意というものから出るものが非常に多いのじゃないかというように考えられますので、その点から、その面から、今後の交通事故防止、海難事故の防止という対策は、新しい角度でもう一度考えなければならないというように考えております。  また最近の統計を見ますと、海難事故の件数は非常にふえてきておるわけでありますけれども、救助を要する件数というものは減少してきておるような状況でございます。これは船舶の安全性の向上というような面もあるかと思いますが、同時に、海難事故がふえているということは、たとえば港湾施設等が整備がおくれておりまして、その関係で、船舶の数はふえてまいりますし、港湾設備は従来どおりの設備を使っておるということで、船舶のふくそうによる事故の増加という面が考えられるわけでございます。したがいまして、そういう施設の面というものも同時に解決していかなければならぬということで、現在検討をいたしておるわけでございます。
  58. 相澤重明

    相澤重明君 最後に資料要求ですが、いまの御答弁もわかりました。わかりましたけれども、私どもあとでいろいろ質問をする必要もありますから、いま私は、毎回当委員会で、そういう海上における事故をいかにしてなくすか、こういうことについて各委員からも意見も出されておりますから、運輸省が、新年度に向かって、こうして人命尊重、海難事故をなくすという方向についてのひとつ基本方針というものを策定をしたならば、それを資料として出してもらいたい。それでないと、ただ国会において答弁だけすればそれでもうあとはいいのだというのでは困る。そういうことですから、いま御答弁いただきましたが、そういうことも含んで、船舶局長から海運局長にあてた検査強化の問題は資料として出してもらっておりますが、私は、旅客船ばかりでなくて、先ほど申し上げたように、貨物船も漁船も日本立場にとっては非常に大きな問題であるから、そういう点も含んでぜひひとつ根本的な対策を確立をしてほしいということを申し上げているのでありますから、おきめになったならば、これは四月でもけっこうだと思います、そう一日や二日で全部できるとは思っておりませんから、ひとつ資料を御提出いただくことを要望して、私はこの問題を終わります。——いいですか。
  59. 米田正文

    委員長米田正文君) 資料よろしいですね。
  60. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) はい。
  61. 米田正文

    委員長米田正文君) 資料を用意さした上提出させます。   —————————————
  62. 米田正文

    委員長米田正文君) 次に、特定船舶整備公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、衆議院における修正点について、便宜政府側から説明を聴取いたします。若狭海運局長。   〔委員長退席、理事谷口慶吉君着席〕
  63. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) 公団の運営におきます監事の職能というものにつきましては、従来議論があったわけでございまして、今日までの法律案条文におきましては、理事長に対して、あるいはまた理事長を通じて公団の監査の結果を運輸大臣に意見を提出するという条文になっておるわけでございます。この条文は第十条第四項でございますが、第三項の次に一項を加えるわけでございます。第四項には「監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長又は理事長を通じて運輸大臣に意見を提出することができる。」、こういう条文がございますが、この条文のうち「理事長を通じて」と、この字句を削るわけでございます。で、これを削る理由は、監事が公団の事業につきまして監査を行ないました場合に、それを理事長に対して、あるいは直接運輸大臣に対して意見を提出することができるということにいたしまして、公団の監督について監督責任を持つ運輸大臣に対して、監事が、監査の結果を、執行機関である理事長を通じないで、直接その公正な意見を提出するということによって公団の運営の公正を期そうという趣旨による改正でございます。
  64. 谷口慶吉

    ○理事(谷口慶吉君) 御質疑のある方は御発言をお願い申し上げます。
  65. 相澤重明

    相澤重明君 まず第一に、この特定船舶整備公団の問題でありますが、今回の改正をする主たる目的をいま一度はっきりとお示しをいただきたい。
  66. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) 今回の特定船舶整備公団法改正の内容といたしましては、従来貨物船の事業を行なっておりましたが、これは戦時標準型貨物船だけを対象といたしまして代替建造を行なってきたわけでございます。しかし、戦時標準船の代替建造が本年度でもって一応終わりますので、この業務を公団の新しい新規事業の内容から削ることが一つの内容となっておるわけでございます。ただ、戦標船の代替建造による使用料の徴収等の業務等はなお今後も続いてまいりますので、新規建造だけはできなくなるということでありますが、このかわりと申しますか、今回法律改正いたします一番大きな内容となっておりますものは、内航貨物船の整備のために公団が共有による建造方式を実施できるということでございます。  それからもう一つは、港湾運送用の荷役機械の警備を公団が行なうことができるということでございます。従来公団は、はしけ、引き船年の荷役関係の施設につきましては、共有による整備を行なってきたわけでございますが、今回荷役機械を新たにこの方式に加えていただきまして、荷役機械の整備仕事も同時に行なうということにしたわけでございます。
  67. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、第一の戦標船の代替建造が終わる、こういうことになっておるわけでありますが、現在までに解撤をしたものと、それから代替建造したものと、この隻数、トン数をひとつあげてください。
  68. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) 戦時標準船の代替建造は昭和三十六年度から始まったわけでございますが、三十六年度、三十七年度、三十八年度、この二カ年間の事業といたしまして公団によりまして代替建造を行ないました隻数は五十四隻、トン数は十一万九千五百八十九トン、なおこの代替建造方式によりまして解撤いたしました戦時標準船は百十三隻、十六万二千百五十四総トンということになっております。
  69. 相澤重明

    相澤重明君 それで、この代替建造をするには、政府としても融資あるいは資金的にも相当力を入れて進んできたわけでありますが、私は一番問題なのは、こういうふうに国が積極的に船舶を整備をすることを進め、いわゆる収支を改善をしていくという法律をつくってもらい、私ども賛成してきたわけでありますが、今回改正の中に荷役機械の整備を公団が行なうことができることが最大の眼目だということに、御説明をいただいておると、なるように思う。そこで、はしけとか引き船等の問題について、前回も岡三郎委員から当委員会において質問をしたことがあるわけです。それは、先日私どもは横浜港を現地視察に参ったわけです。その際に、港の管理者というものは地方自治体の長がしておるわけであります。あるいは港長というものも任命をすることができるわけでありますが、実際に船をつくるということは、これは運輸省が届け出したものあるいは勧告したものによって行なわれておるわけですね。だから、船というものはどのくらい一体あるのかということは港の管理者にはわからない。こういうことで、しかも、船がたくさん出てくれば、はしけ、だまりをつくってほしいとか、あるいは沿岸の荷役作業場の改善をしなければいかぬ、荷役機械を近代化してほしいとか、こういういろいろな話が出るけれども、肝心な港の管理者というものは何も権限はない。いわば船のことは運輸省でお聞きなさい、あるいは、たとえば小麦やお米の話なら、これは農林省のほうに、サイロにひとつどのくらいあるかお聞きなさいというような、関係各省庁だけがたくさん権限を持っておるけれども、この港を管理する者については何にもわからないのだという話があったわけです。それを聞くと、現在港に船が出入港し、あるいは停泊をしておって、いろいろよごされたものについても、そのごみは港の管理者が清掃しなければならぬ。ですから、この前私が当委員会でも申し上げたことがあると思うのですが、たとえばタンカー船が通ったあとは、港が油によって海をよごされてしまう。だから、たとえば共同便所をつくったらどうかということを私が先回申し上げたことがある。それは、たとえば大きいタンカー船から小型に移しかえて、そうして上流のほうにこのタンカー船によって搬出をするわけです。ところが、たとえば港から川に上がってくるというと、橋の下を通る場合に、荷物を一ぱい積んであれば、これは橋の下は通れるわけです。ところが、今度は荷物を陸揚げしてしまうと、軽くなると船が浮いてしまいますから、結局橋を通ることができない。したがって、水を入れるわけです。水を入れて、そうしてある程度船が沈むようにして橋の下をまたくぐって港に出てくる。ところが、港に出てくればその水は必要がないから、その水はあけてしまう、港に水を流してしまう。このために、港はよごれて、実にひどい。だから、沿岸におけるところのノリ業者であるとか、あるいは養殖業者であるとかいうものは、非常に被害が多くて困る、こういうことをずいぶん言われるわけです。特に水産業者あるいは沿岸漁民にとっては大事な問題になっておるわけです。ところが、そういう点をなかなか規制をするところがない。どこでそれを規制するか。船をつくるのは、運輸省がこれは船をつくってようございます。あるいは中には、小さい機帆船なんかでは全く届け出していないのじゃないかというようなものまである。つまり、やみ通船なんというようなものもよくいわれておりますね。そういうことからいいますというと、私は、港の管理をしておる責任者に一体港の実態というものを把握させるかどうか、だれがどういうことによってそれを使わせることができるのか、あるいは、運輸省はどこどこの港に何隻どういう船が停泊をしておる、出入をしておる、こういう実態の把握ができるのか、こういう点について私ども実はちょっと心配をしたわけです。で、この前も、最近の特にタンカー船や専用船等については、大型化の方向にあって、これは港域法の関係にもなるのだけれども、ともかく小さい船がたくさんあればなかなか航行もできない、あるいはまた大きな船のためには衝突等の問題もやっぱり起きてくるという、因果関係といいますか、たくさんの問題点をはらんだものが実は今日の港の中の問題点としてある。こういうことで、非常に多岐にわたる行政上の問題からして、非常に地方自治体は苦労をしているわけです。ですから、運輸省としても、バースをつくるにも、積極的に港湾整備等も力を入れてやっておるわけでありますが、まず、その根本になる船をつくるとについて、運輸省は一体、いま特定船舶整備公団法改正を提案しておりますけれども、私は、そういう港の実態について、一体だれがどうしたならばこれをよくするここができるのだろうか、こういう点について政府がお考えになったことがあるかどうか、この点は大事なことでありますから、先にひとつ御説明をいただきたいと思う。
  70. 比田正

    政府委員比田正君) たいへん広範ないま御質問といいますか、御疑義がありましたのですけれども、かいつまんで申し上げますと、港湾管理者と船の関係とか、あるいは港内の清掃とかという関係等が大部分であったように思いますので、その点をお答えいたします。  港湾管理者は、もちろん、港湾を管理するわけでございますから、あらゆることを知っていないとできないわけでございます。ただし、御指摘のとおり、いろいろ国の所掌する事務と管理者の所掌いたす事務との区別はございます。そこで、港湾を少なくとも管理いたしております港湾管理者というものは、事務局といたしまして、ただいま横浜の例を引かれましたが、横浜市の例をとれば、横、浜市長が管理者でございますが、港湾局というのを設けて、それにそれぞれの部署がございまして、御質疑がありましたような、きょうこの港に何ばい入ってくるかということについて、港湾局は現地事務局を持っておりまして、また港湾局自身も毎日把握しております。外国船が何ばい入ってくるか把握できるし、バースの施設も市当局でやっておりまして、わかっております。それから港外に停泊するものの指定は、一部海上保安庁や港長の指定にかかるものがございますけれども、それも即日速報を受けまして、普通は大きな地図がかかっておりまして、そこに船がどこにきょう入っていると書いてある。そういう日々の状況を把握しております。  それから、小さい船でございますけれども、いまここではしけの問題が出ておりますが、はしけとか、それに機械がついたような動力つきのはしけという程度のものにつきましては、大部分が横浜ならば横浜港に船籍を置いているものでございますから、これは海運局のほうに届け出がございますけれども、その数は、毎月変わったものを海運局と連絡いたしまして、港湾管理者としては承知しているはずでございます。また、いろいろと運営上の問題もございますので、港湾管理者としては、現地限りの港湾審議会というような性質のものをつくりまして、運営上の問題、あるいは港湾開発というような問題もあわせて、組織を持っておるわけであります。  それから、ただいまお話しになりました港湾の汚染の問題でございます。御指摘のとおりの状態でございます。そこで、これは横浜と申しましても、連続いたします川崎、東京とも関係がございます。そこで、特に川崎、横浜はつながった港でございますので、両管理者がいろいろ相談いたしまして、運輸省もこれに対してはいろいろ指導しております。まず、そういったたまり場も必要だろう、そのたまり場の附近には、廃油等を処理する施設も必要だろうということで、運輸省の部内でも各局相談いたしまして、港湾局といたしましては、油はしけの船だまりを早急に整備しようということを決定しております。その場所につきましては、いろいろ港湾の計画上の都合がございまして、従来の計画にも支障なく、船舶の運航のため安全な場所を選びたいというので、大体内定しておりますのは、川崎側では、一番東京寄りに近い、入口の外側のところに船だまりをつくる、この場所は大師河原と申しております。それから横浜市のほうでは、大黒町の地先のところに同じものをつくって処理したいというふうに考えているわけでございます。最近聞くところによりますと、川崎のほうは、これを一括したらどうかという新たな提案をごく最近出して検討いたしているようでございます。川崎においては、廃油の入った水を小型のタンク船にとりまして、それを持っていって横浜で共同処理をしたらいいだろうというような提案を持ちかけて、もう一ぺん検討しようという段階のようでございますが、いずれにいたしましても、きたないものを片づけるのはいやだ、新しい外国船の埠頭だけはつくろう、あるいは国でつくってくれというのでは、私は管理者としては困るのであります。したがいまして、御迷惑でしょうが、国が補助できる部分——いまの廃油処理の施設などには補助いたしますから、ひとつ清掃のほうも管理者は責任を持って大いに乗り出してもらいたいというようなお話をしまして、その趣旨は管理者のほうもただいま了承いたしている次第でございます。いろいろ広範でございますので、漏れたところもあるかもわかりませんが、ありましたら、また、補足いたします。
  71. 相澤重明

    相澤重明君 私の質問の中心は、船をつくることは、運輸省がこれを認めればできるわけですよ。ところが、先ほど申し上げたように、港を管理するのは、管理者というのは、自治体の首一長がなっている。ところが、どういう船がいるかということについては、いま御説明局長がいたしましたけれども、これは海運局に問い合わせなければわからないでしょう。港長に一々それを知せてありますか。こういうことの問題も私はあると思うのですよ。これはどういうシステムになっているか、私はよくわからない。ですから、管理者いわゆる港長に政府から連絡がとれるようになっておれば、いま言ったように、港にどのくらい船が入り、どのくらい作業ができているということもわかると思う。外国船の出入については、いま局長のおっしゃったように、わかると思う。ところが、一番困るのは、はしけであるとか、機帆船であるとか、あるいは引き船であるとか、いろいろこまかい船があるわけですよ。それを代表的に言えば、やみ通船と、こういわれております。こういうような船というものは、別に運輸省に届け出てない。これはやみ通船なんでしょう、やみというからには。そういうところからいって、そういうものが港に横行したならば、やはり事故が起こるもとではないか。一番問題なのは、四年ほど前に船込みのときに、私どもいろいろお話しましたが、とにかく外国船が入ってくると、やみ通船が行って品物を売りつける、ドルを交換するというような不都合なことも起こる。また、大きな船の航行を誤る原因にもなってくる。こういうことで、港の管理については、常に頭を痛めているのは、これは運輸省も港の管理者も同じだと思うのですよ、そういう点で。どうしたならばそういうものを直すことができるだろうかというのが、私の第一の実は質問だったわけです。ですから、船のそういうこまかいものまで全部運輸省の監督下にある、そしてあなたのほうで把握されたものは港の管理者に通報するという責任をつくってあるのか、責任体制というものはそういうふうになっておるのか、こういう点についておわかりになったらひとつお答えをいただきたい。
  72. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) ただいま御質問の、非常に小さい船がどのように動いておるかという問題につきまして、港湾管理者と運輸省の間にどういう連絡があるかということでございますけれども、大体におきまして、港湾運送事業法なりあるいは海上運送法なりによって把握できるものにつきましては、当然運輸省におきましても、それから地方の港湾管理者におきましても、把握しておられるはずでございますし、相互間の連絡も十分とられておるはずでございます。それ以外の、非常に小さい、海上運送法の適用対象にもならない、あるいは港湾運送事業法からも漏れるというものが、たとえばいま御指摘のやみ通船というおことばでございましたが、そういうものがありましても、これはやはり港湾の現場においてそういうものを毎日のように監督をしておいでになる方が、港湾管理者が把握していただかなければ、われわれとしてはこれを何とも処理することができない。実際問題として、そういうものがもしありといたしますれば、これは何らかの関係で港湾の既成の法律にも関係することで、たとえば港則法というものがございますし、そういう面から航行の障害にならないような措置がとり得ると思いますので、現実的にはこれに対処し得る措置もとり得るかと思います。具体的にそういうものが出てまいりましたら、ケース・バイ・ケースによりまして港湾管理者とわれわれのほうと連絡をとりながら措置をするということを考えていくよりほかにないのではないかと思います。
  73. 相澤重明

    相澤重明君 これは、いまの政府委員説明を聞いておると、大体港の管理者というものは把握しておることになっておるようです。どうも私どもが港に行って現地を調べてみると、港の管理者にはなかなかそういう権限もないし、やらされるのは港の掃除ぐらいだ、その金がよけいかかるのだ、権限は全部政府のものだと、こういうことを聞いておるわけです。少し食い違うようだ。しかし、せっかくの御答弁ですから、政府も御努力されることだと思いますから、港の管理者あたりにやはりざっくばらんに政府の方針というものをいま少しよく相談をされて、そういう規制ができるように私はしてもらいたいと思う。どこの船がどうなっているかわからないというようなことは、私はなくする方向をとってもらいたい。特にオリンピックを控えていろいろ出入船も多くなってくると私は思うので、そういう点をひとつ政府に要望をしておきたいと思う。  それからいま一つの問題は、先ほど港湾局長から前向きな姿勢でお答えいただいたのですが、港の中、いわゆる港湾におけるところの共同便所をつくるということについて、私も賛成です。これだけよくやってくれたと思う。ぜひこれは実現をして、沿岸の人たちあるいは港のよごれをなくするように、被害が少なくなるように、ひとつ積極的に進んでもらいたいし、その資料あとで御提出いただきたいと思います。  それから、その次には、公団が新規の業務をやろうということが、先ほどの荷役機械の整備ということで行なわれたのでありますが、内航船舶は現在総体で何隻で、それで何トンになっておるのか、三十九年度からはどれだけそれをふやそうとするのか、港の荷役機械の整備をはかるというが、具体的にどういう機械を導入しようとするのか、それは予算的にどのくらいかかるのか、ひとつあわせて御説明をいただきたい。
  74. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) 現在の内航船舶がどの程度あるかという御質問でございますが、三十八年度の数字を見ますと、大型の鋼船が七百二十五隻の九十七万七千トン、それから小型の鋼船が千九百五十隻の五十六万トン、鋼船の合計——大型、小型合わせまして二千六百七十五隻、総トン数百五十三万トンでございます。それから機帆船がほかにございまして、これは合計二万六千三百二十五隻、百十三万総トン、貨物船、鋼船及び機帆船合計いたしまして二百六十七万トンということに相なっております。来年度の今度の法律改正によりまして建造いたしますものは鋼船だけでございまして、鋼船の石炭専用船が二万一千トン、それから鋼材専用船等が約二万二千トン、合計四万三千トン程度でございます。で、このほか、小型油送船の改装がございます。代替建造がございます。小型の油送船の改装も含めまして四万三千総トンの建造を行なうわけでございますが、これは老朽船を解撤いたしまして、、そうしてその見返りに新造船を行なうわけでございます。で、解撤すべき船舶のトン数は、一トンの新造に対して一・五トンの解撤を義務づけようというような考え方でございます。したがいまして、船腹量といたしましては、代替建造を行なうことによって減少するわけでございます。そういうような考え方で、現在予算を組んで、法律改正をお願いしょうというわけでございます。  それから荷役機械のほうは、港湾局長から御説明をお願いしたいと思います。
  75. 比田正

    政府委員比田正君) 荷役機械について御説明申し上げます。  港湾の荷役機械は、御承知のとおり、いろいろ種類がございますが、まず所有者別の区別を最初に申し上げますと、公共埠頭がございます。公共埠頭に設置するものはたいてい大型のものでございますが、この大型の公共埠頭用のものは港湾管理者がつくっております。このためには、港湾整備促進法に基づきまして、国からは起債のワクを与えております。それから専用岸壁、専用埠頭に設置いたしますものにつきましては、その岸壁を持っております荷主、つまり工場、そういうところになりますが、荷主のほうで自費を持って取りつけるものでございます。大部分は、これは大型のものが多うございます。それから港湾運送事業者が整備いたしますものは中型ないしは小型の機械というようなものでございまして、これは港運業者が自費でやってまいったわけでございまして、従来は一部金融機関からの融資がございましたけれども、ただいま問題になっておりますような機械類は、相当金もかかりますし、中小の業者にはなかなか負担にたえないというので、今度は公団でもぜひつくってもらいたいということにしたわけでございます。  そこで、現況をちょっと申し上げますと、最近の数字では、六大港におきますところのいま申し上げました所有者別に数字を申し上げますと、   〔理事谷口慶吉君退席、委員長着席〕 港湾管理者が持っておりますのは約百三十基でございます。それから荷主が持っておりますのが約二百七十、それから港運業者が持っておりますものは、大型のものが百三十基、それから移動式のものが五百七十基、その他小さなものが二千台くらいございます。合わせまして二千七百台ございます。先ほどの管理者の分、荷主の分、それから港湾運送事業者の持っているもの全部合わせますと、三千百台くらいあるということになっておるわけでございます。そのほかに、沿岸用のフォークリフトとか、小型のコンベヤーは、別に四千台くらいございます。これらでかなりたくさんあるように見えますが、なかなか足りないのでございます。最近はしからばこれをつくることを怠っているのかというと、そうでもありませんで、非常に一生懸命につくっているわけでございまして、最近三年間の例を見ますと、大型の荷役機械と移動式のクレーンでは、二倍半に数がふえております。また、フォークリフトとかコンベヤー等の横持ち用の小さな機械は、この期間に二・二倍くらいに増加いたしておりますが、これでもなお足りないわけでございます。特に、最近いろいろ労務者の不足もございます。また、合理的に荷物を運びますためには、やはり機械力が必要でございますので、今後もこの機械を整備していくことを続けていきたいというふうに考えておるわけでございます。そこで、ただめくらめっぽうに来年は幾らというふうに要求いたしたのではございませんで、これからさらに五年間の大体の見通しを立てまして、これは貨物の量の増加いたしますのがわかっておりますので、全国でもわかります、各港でも予想がつきますから、港別に積み上げまして、五年後の予想を立てまして、それではしけ、引き船とともに荷役機械がどのくらい要るだろうかということを予定いたしまして来年度の予算を組んだわけでございます。来年度は大体、船内用の荷役機械が四台、沿岸用十四台、合わせまして十八台を予定いたしまして、金額は初めてこの予算がつきましたので一億でございます。今後これは大いに増加していただきまして、所期の目的を達したいというふうに考えているわけでございます。
  76. 相澤重明

    相澤重明君 いまの港湾局長のほうの荷役機械の点について、わかりました。先ほどの内航船の近代化についての代替建造も含んで四万三千トンというお話がありましたね。それで、その資金は幾らですか。
  77. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) 内航船のための来年度の建造資金、公団に予定いたしております建造資金といたしましては、資金運用部資金等から十八億四千二百万円、それから石炭専用船の建造資金の一部として、石炭鉱業合理化事業団資金を七億六百万円、合計二十五億四千八百万円の財政資金を公団を通じて出していこうということを考えておるわけでございます。
  78. 相澤重明

    相澤重明君 それぞれの局長から御答弁いただきまして、資金についてはいまわかりましたが、この返済は何カ年で、利子は幾らですか。
  79. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) 現在の船舶の関係につきまして申し上げますと、貨物船につきましては、十八年の償還でございます。それから油送船については、十六年の償還でございます。金利は八分七厘でございます。なお、石炭鉱業合理化事業団の資金につきましては、十四年の償還ということに相なっております。
  80. 相澤重明

    相澤重明君 金利は幾ら——同じですか。
  81. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) 金利は手数料だけでございまして、この分につきましては一分二厘でございます。
  82. 相澤重明

    相澤重明君 だから、幾らになるのか、一分二厘……。
  83. 比田正

    政府委員比田正君) 金利等は同じでございますから省略いたしますが、償却の期限が違いましては、荷役機械につきましては、一応ただいまは五年間ということでやっておりますけれども、さらに一部のも一のにつきましては、九年間くらいにいたしたいということを大蔵省当局とも相談いたしておりまして、そういうことになるのじゃないかと思っております。
  84. 相澤重明

    相澤重明君 これは、いま御説明をいただいたのですが、大体この船腹の場合については、二十年以内ならばいいと思うのですが、この荷役機械等の問題についても、五年から九年ということですね、いまの説明を聞くと。私は、やはり一番心配されるのは、何といっても、起債を認められても、短くて利子が比較的高いというのは、どこでも一番困ることだと思うのです。ですから、起債はなるべく長くしてやるというのが、一番私は親切なことではないか、またそれを要望されておると思うのです。こういう面について、できれば、この五年というのは、やはり私は十年近く、九年なり十年に持っていくという努力をひとつしていただきたいと思うのです。それから、利子も八分七厘ということですが、これはやはり少し利子は高過ぎると私は思うのです。で、政府が少なくとも財政援助まで含んでやるというものに責任を持たせるわけですから、責任を持たせる反面には、やはり内容をよりよくしていくということが必要じゃないか。そうすると、おそらく中には、社会党はどうも何でも政府の金さえ使えばいいということが出るかもしれぬが、私はやはり政府の金は出すべきだと、こういう思想を持っているわけです。ですから、たとえば税金が困るというのですが、私はいまの防衛力なんというものは必要がないという考えなんですから、幾らでも金はある。  それで、いま一つは、防衛力の問題はさておいて、港の問題について金をかけることについての大事なことでありますから、この際運輸省にただしたいのは、とん税、特別とん税がありますね。これは従来から私の主張でありますし、また大蔵委員会でも、一時この問題については、地方自治体に還元をしてやろうじゃないかということで討議がされたことがあるわけですが、何といっても政府収入が減る、こういうことで、なかなか全部地方自治体にやるということはでき一ないというのが、今日までの私はいきさつだと思う。ところが、港湾の施設なり、あるいはまたいまの荷役機械なり、上屋、倉庫等の問題を含んで、政府のいまの財政投融資の状況からくると、必ずしもこれでは十分ではないわけです。一つ横浜港の例を申し上げてみても、今日まで自治体が投資した額というものはどのくらいあるだろうか。これは全く八百億以上にもなるだろうと、こう言っておるのですよ。そうすると、二億や三億の資金を流されたからといって、ああありがたやと涙を流すほど地域住民はありがたくないわけです。ですから、少なくとも、そういう収入を得る道は政府にあげてしまって、還元はごく一部ですね。法律改正を昨年やって、地方に返すというのは、これは幾らでもないわけですよ。だから、むしろ通行税といいますか——通行税というものが陸にはあるわけです。飛行機のほうにもあるでしょう。そうすると、船が通るのですから、船の通る通行税は地方に取らしたらどうですか、港の管理者に。そうすれば、とん税、特別とん税なんてややこしいことをいわないで、それを一本化して、そうして港を整備する、あるいはよくするということに使えないものだろうか、こう私は思うのです。これは私の意見ですがね。そこで、政府も、大蔵省に予算を折衝しても、なかなか運輸省の予算を全面的に受け入れるという態勢は少ないので、むしろそのレジスタンスじゃないけれども、この際思い切ってとん税、特別とん税を廃止しちゃって、そうして港の出入船舶については通行税でも取って、管理者がそれを使うことができるというようなことまでひとつ大なたをふるったらどうかと思うのだが、運輸省はそのくらいの大英断を考えたことがあるかどうか、ひとつこれは政務次官からお考えを聞いておきたいと思うのです。
  85. 河野謙三

    ○河野謙三君 関連して。  いま相澤さんの質問の中の荷役機械の償却年数、これはあなたのほうで認可しておられる荷役料との関連があるわけです。現行の荷役料をもってしていまお話しになったような五年とか八年とか九年とかいう計算をしておられるのか、それとも荷役料を改正するという前提でその償却年数をきめておられるのか、因果関係がありますね、これをひとつ一緒説明してください。
  86. 比田正

    政府委員比田正君) ただいま御説明申し上げましたのは、減価償却を一応考えまして法定耐用年数として、移動式クレーンは五年、バケット・アンローダーにつきましては、これは船体荷役でございますが、これは初め五年でございましたけれども、ただいま交渉しまして九年になる予定でございます。したがって、減価償却費のほうから立てました年数でございます。荷役料金のほうとは別途にまた照合いたさなければならないわけでございますが、荷役料金もいろいろ動きつつありますし、また先般いただきました港湾労働対策委員会の御趣旨もございますので、これから後につきましては、いろいろ料金改正も検討を加えていきたいと思いますので、これらの問題がもし非常にこれでますければ、またさらに大蔵省とも交渉をしなければならないと思いますが、とにかくただいまのところでは、これでやっていくというのが両省間の話し合いでございます。今後十分いろいろ検討してまいりたいと思います。
  87. 河野謙三

    ○河野謙三君 荷役料については、申すまでもなく、あなたのほうで荷役料、荷役賃の原価計算をされて認可をしている。その荷役料のファクターの中には、いま問題になっている減価償却にしろ何にしろ入るわけですね。入りますよ。そうであれば、これをやはり現行の荷役料というものを妥当なものという前提でおやりになっているのか、これは追ってほかのいろいろな問題をあわせて検討するということになっているのか、そこのところは。別々の議論はいけませんよ、一つの議論でなくては。
  88. 比田正

    政府委員比田正君) ただいまの荷役機械につきましては、これは個々の勘定で、当然現在の時点においては、ただいまの料金の原価計算に、減価償却、賃金の原価計算を考えていることになります。ただ将来は——将来と申しますか、これからは料金のほうも動くやも知れずということがございますのでというふうに申し上げたわけでございます。御了承願います。
  89. 田邉國男

    政府委員田邉國男君) 相澤先生の御質問の、とん税を廃止して新しい税法を考え、そして地方公共団体の大いに港湾改修に力を注いだらどうかという御意見でございますが、現在とん税は約二十億程度のものでございまして、これを廃止しまして新しい税制ということでございますが、世界各国にそれにかわるべき税法というのは現在のところございません。ですから、日本だけがこれをつくってやっていくということは、やはり自由化された現在、日本の現状におきまして、これは非常に国際的な事柄でございますので、非常に検討を要する事柄でございます。そこで、現在港湾における公共事業費というものは三十九年度約六百億ぐらいでございます。それによりまして港湾整備をやっていくことが目下必要ではないか、かように考えております。
  90. 相澤重明

    相澤重明君 私はこれは大蔵委員会でも審議をしたし、それから当委員会でもとん税の問題を私は審議の過程で申し上げたわけです。外国と比較してみますと、日本の現在の特別とん税の問題について決して高いとは思っておりません。日本のはそう高くないんです。ただ、いまの税金の取り方、水揚げのしかたで、すね、こういうものについて、あなたが、そういう新らしい考え方のものは各国の慣例からいってどうかという話なんですが、私はちっともおかしくはないと思う。これは法改正に改めてもちっともおかしくない、こう思っている。これは出せばいいんですよ。そういう問題を国際的に提案すればできるんですよ。だけれども日本はともすると、やはりそういう新らしい起案というものは、国際連合の中に出すのは、なかなかむずかしいもので、やめちまうんですよ。むしろ、ざっくばらんに一本化すると一番楽なんです。出入船舶について一隻幾らというものをトン数に応じて国際的にぴしゃっとやれば、これは出てきます。とん税なんですからね、出てきちゃう。ただ、理屈のつけ方の問題だけで。私はむしろ、いまのような港の繁雑をきわめるものについては、そういうほうが簡単明瞭ではないかという意見を実は先ほど申し上げた。これはしかし、いまここで新らしく法律改正しろとかどうだとかいうことをきめるという考えじゃないんですが将来の検討として重要な問題ではないか。それは地方自治体というものが港のためにはもちろん多くの財政資金をつぎ込んでいるから、そういう意味で私は、国の財政投融資もかなり御努力をいただいているけれども、なかなか満足すべき状況にいかないから、そういう点の一つ考え方としてどうかという点を申し上げたわけであります。その点についてはひとつ御検討をいただくことにして、そこで、先ほど河野委員からも関連の質問でお話がございましたが、私は先ほど申し上げましたように、これは荷役機械の場合は、なるべくやはり期間を長くしてもらう、こういうことが親切でもあるし、その地方を発達させることにもなろう、また事業者にも計画を持ってこの採算がとれるようにつくってもらえるものだと私は思うんです。そういう意味でお願いをしたのであります。  その次に一つお尋ねをしておきたいのは、先ほども説明をいただきましたが、公共埠頭の場合と専用船の場一合、あるいは港湾運送事業者がやる場合ですね。この形態がありますが、今日一番問題点は、せっかく政府がこういう特定船舶整備公団をおつくりになって、そうして関係業者を育成をする、あるいは荷役の近代化をはかる、こういうことで御努力をされているわけでありますが、それと最も相反するものは専用船の問題ではないかと私は思うんです。専用船の大企業の人たちが自由におつくりになっている現状について、先ほど私は船舶の管理監督の問題でどうかという点で一つのやみ通船という話をしましたが、これは運輸省が、鋼船、石炭船であるとか、鉄鉱石船の問題については、これは建造を認めるわけですね。ところが、これはほんとうにその会社自体が船をつくって、その会社の社員自体が運転をするのかどうか。これはかって当委員会で、あの九州の沖での貨物事故の際に、河野委員からも指摘をされました、日通が荷物を扱うのか、あるいは荷物を搬出するところの会社が社員を実際に雇ってそういうものをやっているのかという問題にも匹敵をするわけでありますけれども、今日の場合、多くの独占企業といわれるような大会社は、自己保有船を増強しておるわけですよ。ところが、自己保有船を増強しておっても、埠頭の問題とか荷役機械の問題になれば、やはりこれは政府としてもそれだけ力を入れるわけでしょう。自費といっても、実際にはそこだけに限らぬでしょう。私はこういう問題について、何か大企業の場合にはたくさんの金も準備もできるだろうし、そうしてまた自分で思うような船もつくれるということもあるけれども、どうも公共用というものを使うものは比較的中小企業が多い。そういうところには、いまお話のあったように、たとえば起債をしても短期起債であると、利子も安くはないと、こういうことで、使用料というものもそう安くはできない、なかなか。そういうことで、だんだんだんだん格差が激しくなる。そういう中に、いまのままで運輸省は自己保有船というようなものをこのままどんどんお認めになっていくのか、建造を奨励していくのか、こういうことになると、公団というものを持たしたことと、自己保有船を増加をさせるということとは、少し私は違ってきやしないか。私どもはむしろ、公団を育成強化をするというのが建前であるなら、いわゆる自己保有船というものをある程度規制をする、そうでない限りこの共有方式というものはなかなか思うようにいかないのではないか、こういう点を考えられるわけです。あとでひとつ御説明をあわしていただきたいのですが、公団の資本金は現在幾らで、償却はどうで、そうして職員はどのぐらいでこの公団というものをやっていかれるか。現状はあります。現状はあるけれども、これから公団というものを、少なくとも整備公団をつくって、その整備公団が成り立つようにするには、やはりできるだけそこに参加をさせるということが必要じゃないですか。その公団にひとつ国は力を入れるのですから、そこに船舶共有方式という形をとっていくというのか、あるいは、そのための港の接岸の問題であるとか荷役の問題を近代化していくというのがたてまえではない、だろうか。ところがそういうことにはおかまいなく、かってに自分の会社の都合のいいように鋼船というものをつくられているという面は、どうも私は納得ができないような気がするのだが、ひとつ御説明をいただきたいのが一つ。  それから、前回の当運輸委員会で、私の質問が皆さんに若干誤解されたようでありますが、賠償船舶の問題もお聞きをしました。しかし、その賠償船舶の問題はかりでなくて、私の聞きたかったのは、いわゆる船をつくるのに——船をつくることは、国際収支改善、貿易収入を上げるということで、われわれも喜んで賛成をしておるわけでありますが、たとえば日本の金で、日本の金を利用して船をたくさんつくる——リベリア等の問題を考えた場合に、一体いまの日本の船主、あるいは公団、こういうような立場から考えて、外国船主が日本に発注するものに日本の金を使われるということについて、単にたくさんの船舶の建造を持てばいいんだという形だけでは、これは少し能がなさ過ぎるのではないか、一体その仕組みはどうなっているんだと、こういう点を私は少し政府考えていかなければならぬ段階ではないか。ですから、船を日本に発注をいたしますと、船をつくるのに、日本の造船業界に顧みますと、それは何年で返還をいたしますと、造船業者はこれはやるでしょう。そのときに相手の国から、じゃこの船についてはどういう荷物を運んでもらうかというようなことの仕組みはどうなっておるか。私は、いまや日本の業界の中ではこの問題は非常に関心を持たれておるのではないかと、こう思うのですよ。だから、そういうリベリアの問題は、一番大きく発注をしておりますから、一つの例を私は出したのですが、国内の問題では、その船舶公団が持つものといわゆる自己保有船の問題との関係国内国際とに分ければ、日本国と国際とに分ければ、船舶建造についての外国の船主が発注することに対する日本のいわゆる金の使い方ですよ、こういうものについてこのままでいいかどうかということを私はひとつ政府説明をしてもらいたいと思う。  最後に、そういう説明の中から、いまの船舶整備公団は、現在の資本金というものは幾らで、そうして定員は何人で、これからどういうふうにこの事業というものは発展をさしていくのか、幾ら必要となるのか、こういう見通しについてお考えがあったならば、あわせてお答えをいただきたい、こう思うわけです。
  91. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) ただいま御質問の第一点の、専用船の問題でございますが、これは公団でつくります場合には、海運業者でない者は公団との共有の相手方として選ばないという行政指導を行なっておりますので、今日までのところ、海運業者、専業者以外に公団と共有の船舶を建造したというところはないわけでございます。今後ともそういう方針を堅持していきたいと考えております。したがいまして、石炭業者なりあるいは鉄鋼業者自体が公団と共有して財政資金を使って船舶をつくるというようなことは、今後とも出てこないというふうにわれわれは考えておるわけでございます。  それから第二の、公団の資本金の問題でございますが、これは現在資本金はわずか五億でございます。この五億というものは、旅客船の代替建造を現在公団が行なっております。この資本金の金利をもってその事務費をまかなうという考え方で、旅客船につきましては金利は現在六分五厘を徴収いたしておるわけでございます。そのほかに貸し倒れ準備金五厘を取りまして、合計七分の金利を徴収いたしておるわけでございます。それから、戦時標準船の代替建造あるいは今後この法律改正によってやりますところの内航船建造につきましては、先ほど申し上げましたように八分七厘の金利を徴収いたしておるわけでございます。これは資本金の負担といいますか、資本の負担といいますか、国の助成というものは単なる財政融資の面だけでございまして、金利の面については全然国の補助というものは、特別な措置というものはない。そういう点におきまして、旅客船の建造の場合と非常な相違があるわけでございます。この趣旨は、旅客船は人命の安全というものに直結をいたしますし、また実際の建造を希望する船主も地方の非常に零細な事業者が多うございますので、できるだけ金利負担をかけないという考え方でこういう制度になっておるわけでございます。  それから、戦時標準船の代替建造の問題は、内航貨物船の代替建造の問題は、金利が安ければ安いほどベターではございますけれども、およそ一つ事業を始める以上は、当然償却費というものを考え事業の経営を行なうべきものであって、老朽したから新しい船をつくる資金を国からめんどう見てもらいたいというようなことは、考えるべきじゃないというような従来の考え方から出発いたしておるわけでございます。ただ現実問題といたしまして、内航の輸送というものは非常に逼迫はいたしておりますし、なかなか近代化もできない。これを放置するということは、結果的には国民経済に大きな支障を及ぼすことになるというところで、やはり政府が資金的なめんどうだけは見て、新造船の建造に協力しようということで、こういうような金利になっておるわけでございます。ただ、これがもし低下するということになれば、直ちにやはり物価にも影響してくることでございますので、われわれとしてはできるだけこれを軽減するという方向で進みたいと思っております。したがいまして、今後公団の事業量が、明年度以降、あるいは明後年度以降も増加すると思いますけれども、現在の八分七厘の金利をとっている以上は、資本の面から見ますと、資本金的にはこの程度でやっていけるということでございます。ただ、それを幾らかでも軽減していこうというような政策をとる場合には、この資本金をさらに増加しなければならない。われわれとしても、なるべくそういう方向で考えていきたい。現在の海上運賃の状況から見まして、八分七厘の金利というものは、やはり何と言われましても、高利ではないであろうか。たとえば具体的に申しますと、開発銀行の金利は外航船については六分五厘でございますから、その辺の均衡というものをやはりわれわれとしては考えていきたいということでございまして、できることならば、明年度以降も引き続いて金利の低下については努力してまいりたいと考えておるわけであります。いま、最後の御質問の、外航船の仕組み船の問題でございますけれども、これは臨時船舶建造調整法の改正というものも遠からずまた御審議いただくことと思いますけれども、われわれといたしましては、あの法律の運用によりまして、明確に日本の荷主と長期の契約を持っておって、それを基礎にして船舶を建造するというものにつきましては、日本の輸出入銀行の財政融資を利用することをやめてもらうという方針であの法律を運用してまいりたいと考えておるわけであります。ただ、実際問題といたしまして、そういう長期契約が明確に把握できるかどうかという点について、やはり今後も相当問題があるだろうと思います。  それから、一たん建造いたしまして外国に出てまいりますと、それを規制するということはなかなかむずかしい。初めの間は日本関係のない第三国をやっておりましても、そのうちまた日本に入ってくるかもしれないという問題もございまして、国内法律措置のみをもってこれを規制するということはなかなかむずかしいのではないだろうか。問題は、やはり造船業者あるいは日本の各産業界というものが全面的に日本船を活用するという方向で協力していただくということが先決問題ではないかというように、われわれとしては考えております。また同時に、そういうような仕組み船というような事態ができないように、日本船自体の運航コストを外国船並みに、あるいは外国船よりも少しでも安くするということが、経済の自然の流れに従って日本の産業界が日本船舶を活用するという方向へ誘導してまいることになりますので、そういう方向で問題を考えていきたいと思います。
  92. 相澤重明

    相澤重明君 仕組み船の問題については、いずれあとで臨時船舶建造調整法の中でやりますが、これはやはり大きな問題を残しておると思うのです。それはそれとして、きょうは、そういう問題を討議するよりは、この公団の整備法の一部改正ですから、この範囲内にとどめておきますが、先ほどの私の質問に対してお答えになった中で、専用船の問題については別に資金を貸しませんなんというのは、これはあたりまえの話だ。それは、いわゆる専用埠頭というものを持っておるものには何も政府がやらないということは、もうわかり切っておる。僕の聞いておるのは、そんなことを聞いておるのではない。専用埠頭を持つといったって、港湾の中にあるのですよ。やはり専用埠頭はどこにするとか、公共埠頭はどこにするということはやっているのです。もちろん全体の中でやっているのです。  それからいま一つは、いわゆる鋼船というものを、自己保有船というものをどんどん政府は認めておるけれども、いまのこの船舶整備公団をつくって、こういう公団を伸ばしていくには、できるだけそこにやはりまとめてやることが必要ではないか、こういうのです、私の言っているのは。だから、それがつまり、大企業なり、独占企業といわれる人たちが、自分のことは自分でやりますと言ったならば、こういうところを利用するものはだんだん少なくなってくるのではないか、そういうことを言っているのです、私の言うのは。だから、船舶建造についても、せっかく政府が公団をつくって共有船方式でやられる、そうしていわゆる中小企業の人たちを育成しようというのに、他面においては自己保有船というものがどんどんつくられていくということについては、少し問題がないか、こういうことを私は聞いているのですよ。何も、自己保有船について政府が金をどんどん出していくとか、あるいは自己保有のいわゆる専用埠頭に同じように公団から金を出せなんて、そんなばかげたことを言っているのではない。そんなことはわかり切っている。そうじゃなくて、日本のそういう港湾問題とか船舶の問題を考えると、そういう点が私は問題になってきはしないか。それは現実にあるでしょう。現在すでに船舶公団自身も、そういうことは、いまのように大手がどんどんつくって自分のものを持っていかれたら、一体おれたちこれからどうするのだということを心配しているでしょう。そういうことから、やはり私どもとしては検討する必要があるのではないか。そういうことも運輸省どうなんでしょうということを聞いているわけですよ。だから、少しあなたの答弁がとんちんかんなんですよ、私の質問に対して。私の趣旨というものは、そういうことをお考えになっておるかどうかということをひとつお答えを願って、私も終わりたいと思います。
  93. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) 専用船の問題につきましては、いま相澤先生のおっしゃるとおりのことをわれわれとしては考えておるわけでございます。われわれとしては、法律的にこれをどうするという措置をなかなかとれないわけでありまして、ただ、国家の施策としては、公団というものをつくっておりますけれども、それはそういう産業界で自分で持つというものについては実際はタッチさせないというような考え方でおるわけであります。また行政の方法としても、いま先生のおっしゃるとおりのようなことを考えておるわけであります。
  94. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は根本問題で一つ聞きたいのですよ。それは、先ほどの鋼船、木造船合わせて二百六十数万——約二百七十万トン、これは一体多いのか少ないのかということです。これは現在の輸送物資と対比して多いのか少ないのか。これは一つの船舶業者の救済法案でしょう。そこで、二百七十万トンというのは多いのか少ないのか、これは過当競争になっているのかどうか、この現状を伺いたい。
  95. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) 先ほど二百七十数万トンということを申し上げたわけでございます。問題は、一般的に申しまして、現在の内航船舶が非常な過剰傾向であるということは、御指摘のとおりでおります。ただ、適船が非常に不足しているということもまた事実でございます。これは、最近の内航は非常に大きなまとまった荷物が動いてまいりましたし、また港湾のほうもいろいろ合理化されまして、だんだん専用船的なものの需要が多くなってきたわけでございます。ところが、そういうものをどんどんつくっていくというような能力、資力というものは現在の内航海運業界にはないわけでございまして、二百七十万トンというものの相当部分というものは非常な老朽性能船でございます。そういう意味におきまして、船腹自体としても非常な過剰傾向でございますけれども、新しい適船と申しますか、経済的な能率船というものは、まず不足いたしておるというのが実情でございます。
  96. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうすると、業界の体質を改善するためには、量は現状において過剰であるから、質を改善していきたい、これが重点ですね。そうすると、結論はもう量的にはふやさないという原則が一方において立っているわけですね。それを、二百六十何万トン——二百七十万トンの中には、いま相澤さんが問題にした専用船は入っているのですか。
  97. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) この船腹の中には、当然専用船も含んでおります。御指摘のように、今後建造するものは、原則的にはスクラップを条件として船舶を建造するというような方向で運用してまいりたいというように考えております。で、この問題は、すでに本委員会に付託になっておると思いますけれども、内航海運業法というものによりまして、船腹の調整、あるいは輸送の規制というような、運賃の規制というようなものを行なうわけでございまして、それとにらみ合いまして、新しい建造のほうはこの公団法によって運営していこうという考え方でやっておるわけでございます。
  98. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は、従来の経過から見まして、二百七十万トンが妥当であるか、二百六十万トンが妥当であるか、二百五十万トンが妥当であるか、まず、この限度をはっきり押えておきませんと、いつの間にかまたふえてしまう。この二百七十万トンだって、業者が勝手につくったわけじゃありません。それぞれあなたのほうに手続して、あなたのほうが許可したわけでしょう、そうじゃありませんか。ですから、企業者自分のリスクでやることはやるものの、そのリスクの反面において、その責任の一半は運輸省にあるのです。でありますから、私どもはこのこと自体には異論はありませんけれども、やはり需要量と供給量が見合わなければいけませんから、そこで、やはり、二百六十万トンとか、七十万トンとか、五十万トンというのははっきり押えて、専用船がどんどんふえていったら、片方は減っていくのです。どんどん減っていくのですから、専用船とその一般のやつとはどこで押えていくか、絶対量はどこで押えるということが私はないと、やはりいまの陸上を走っているトラックみたいな、ハイヤーみたいな、いつの間にかふえちゃってどうにもならなくなる、そういうことになると思うのですが、そこで私はこの機会に前向きに伺いたいのは、一つの例が東京湾というものは、一体いまのままでいいですか。政府の五カ年計画その他、貿易量の考の見通しをいろいろと聞きますと、今後輸出入とも、輸入だけで百億ドルになるとか何とか、いろいろ言ってますね。これはとりもなおさず物資がよけいに動くということですよ。ところが、将来のことは別として、現状において、いま陸上では毎日、トラックがぶつかった、やれけが人が出たと一言っているが、港も同じことなんです。幸いここちょっと衝突事故がありませんけれども、港と陸上と何にも私は変わりはないと思う。そういう場合に、港湾が、一体東京湾なら東京湾、これが一体将来五年、七年先にいって、これでいいのですか、どうですか。どこか別に、たとえば伺いますと、鹿島灘のほうに港をつくるとか、どこか横浜の先のほうの三浦半島のほうに港をつくるとかいう構想もあるやに聞いておりますが、そういうものが並行してありませんと、ただ混雑した東京湾の中で、目先のことだけやったって、根本解決にならないと思う。そういう港湾についての御計画はおありですか。それとも、まだ東京湾なり横浜で、現状のままにおいて、貿易量がいまの二倍になり、二倍半になっても、五年なり十年はだいじょうぶと、こういうお見通しなのか、ここのところをひとつ伺っておきたい。
  99. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) ただいま東京湾の内部で、港湾の貨物は一億トンございます。大体これは全国の二〇%強だと記憶しておりますが、御指摘のとおり、今後も、これはたとえ各種の開発計画ができまして、あるいは新産都市等ができまして、分散いたしましても、やはり東京湾内は相当な勢いでふえると思います。したがいまして、港湾施設につきましては、ただいま横浜の本牧のほうに増築しております。これは一万トン以上のものが二十ぱいつける計画でございます。それから、川崎の市の行政区画になるのですが、京浜運河の外側に相当大きな貿易港をつくりたいという計画は、青写真は持っております。  それから、東京港のほうの整備がかなりおくれておりますけれども、これは漁業補償等で相当手こずりましたのと、東京都自体のほうが、去年、ことしはオリンピック関係の工事が非常に多うございまして、来年からは急速にピッチを上げて東京の港も、外航貿易のほうも将来はつくりますが、さしあたって内航用の埠頭をつくるという計画を持っております。これらができますと、大体七、八年ないし十カ年ぐらいはいいと思います。ただ川崎のほうは、いろいろまだ最終決定になっておりません。そして、さらにその後のことも考えますと、千葉も外側のほうは木更津方面、それから横浜より外側のほうは横須賀になります。この地点にも、ある程度の規模の港湾施設がやがては要るときがくるだろうと思います。  なお、加えまして、湾内だけではいけませんので、ただいま御指摘がありましたように、工業港的なものは鹿島のほうに分散しますけれども、神奈川県の外側のほうでございますね、東京湾に面しないほうに、どこか適地がないかということを昨年来調査いたしまして、県のほうとも密接な連絡をとりまして、何かあちらのほうに将来は港湾施設が要るんじゃないか。しかし、いろいろ地理的条件等もむずかしいものがありますので、ただいま調査中でございますが、構想としては、そちらのほうにも増設をしたほうがよいという考えでございます。
  100. 河野謙三

    ○河野謙三君 もう少し海陸一体で構想を進めてもらわぬと、たとえば関東平野でいうと、どんどんどんどん人間が集まってくる。東京を中心にして、関東平野にいま二千万人いるそうですね、ある学者の言うところ。これがより近い将来、日本の人口の四割の四千万人が関東平野に集まる。とりもなおさずこれは工業中心地になるわけですね。そうなってまいりますと、いまお話しのように、ここ七年、八年は東京湾の中で何とかごそごそごまかしていけるというようなことは、ちょっと私は甘いんじゃないかと思う。  それはさておきまして、最後に伺いたいのは、結局、いま非常に混雑している東京湾なら東京湾を混雑を避けるためには、荷役能率を上げることですよ。荷役能率を上げれば、船はどんどんあいて、船はどんどん回転する。この荷役能率の非常な不円滑は何かというと、荷役機械が不足していることと、荷役人夫が足らないわけです。いかにして人夫をもっと獲得するか、いかにして荷役力を増強するために荷役機械を増強するか。それには、御親切はいいけれども、一億ぐらいの金を出して、荷役機械を——何を買うか知らないけれども、いまごろ一億で何が買えますか。言うことはでかいけれども、やることは小さい。私は、これは冗談でなく、東京湾というものは何としても、いまにおいても行き詰まっておるのだから、早く船の回転をやらなければいけない。それをやるためには、何としても、どうしたって、私はいま申し上げるような人夫の獲得と荷役機械の問題だと思う。で、これに対して、こんなことで一体幾ら荷役が増強すると思いますか。一体いまの荷役人夫というのは間に合っておりますか——間に合っていなければ、何がゆえに間に合わないか、これを私は伺いたい。
  101. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) 全く御指摘のとおりでございまして、わずか一億でございまして、これは初年度でございますので、先ほど御説明したように、少ないのですが、これからはたくさん取りたいと思います。  それから、この公団だけでなくて、公共団体のほうの起債で荷役機械をつくらせます。  それから、荷役労務者の問題につきましては、ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、先日来、港湾労働等対策審議会の答申もいただいておりますので、ただいま省内でいろいろ——労働省ともこれは共管でございますけれども、打ち合わせまして、何とかして将来、港湾労務者の確保をいたしたいというふうに考えております。で、幸いただいまのところは、あまり船込みはないので、どうやら間に合っておりますが、将来を考えると、全く御指摘のとおりでありますので、一生懸命対策を具体的に進めていきたいというふうに考えております。
  102. 河野謙三

    ○河野謙三君 それでは最後に政務次官に伺いますが、一体いまの荷役人夫は、いまのところ幸い船込みがないから間に合っているというだけで、これは常に不安定な形にある。そこで、荷役人夫を獲得するためには、結局私は賃金の問題だと思う。そこで、荷役料金というものは、一体公共料金なのか、公共料金でないのか。これはひとつ政務次官でもよろしゅうございます、局長でもよろしゅうございます、一体企画庁はどういう見解を持っていますか。
  103. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) 先般の政府の御決定によりますと、港湾料金というのは公共料金の範疇に入っております。ただし、あのときの御決定の中で、除外例的なものが三、四あげれらております。たとえば、中小企業で経営がすこぶる困難なもの、あるいは賃金を上げましたことによりまして大衆に直接はなはだしい影響はないもの、こういうような点をあげております。これらにつきましては、港湾の荷役料金は該当するやに思われますので、ただいまいろいろ料金につきまして検討いたしております。先般の御答申を厳密にやりますと、どうしても荷役というのはさらに上げなくちゃならぬということは事実でございます。当面の問題といたしましては、いろいろ実情を調査いたしまして考えております。
  104. 小酒井義男

    小酒井義男君 簡単ですからひとつ、監事の意見提出権ですね、これが衆議院で修正になったのですが、自治庁を通じて所管大臣に意見を出すというのは、ほかの公団法にもそういう例があるのですか、この公団法だけそういう形式をとられたのですか、どうなんですか。
  105. 高林康一

    説明員(高林康一君) 現在まで、各公団におきまして、監事は特にいろいろな権能については非常に不明確でございます。今国会あたり、先国会あたりから出ておりますところの法律案におきましては、理事長、または公団によりましては総裁または理事長を通じまして意見を提出するというふうに、政府原案としては出しております。ただ、あれ以前にありますところの公団におきましては、特にそういう規定を設けていない場合もございます。必ずしもまだみんな完全には統一していないという状況であります。
  106. 小酒井義男

    小酒井義男君 大臣に直接意見を提出するという例もあるのですね。
  107. 高林康一

    説明員(高林康一君) 今国会におきましては、たしか首都高速道路公団でございましたかが提案になりましたのでございますけれども、その他建設省関係の公団におきましては、直接意見具申というようなかっこうで、これは修正の上で採決されたように記憶しております。
  108. 小酒井義男

    小酒井義男君 他にそういう例があればと思うのですが、これだけ直接ということになると、その理由がなければならぬと思ったものですから、ちょっとお尋ねしたのです。けっこうです。
  109. 米田正文

    委員長米田正文君) 他に御発言がなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 米田正文

    委員長米田正文君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 米田正文

    委員長米田正文君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  特定船舶整備公団法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  112. 米田正文

    委員長米田正文君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって衆議院送付案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 米田正文

    委員長米田正文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次回は二十六日午前十時開会の予定とし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十五分散会    ————・————