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1964-03-10 第46回国会 参議院 運輸委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月十日(火曜日)    午前十時三十五分開会     —————————————    委員の移動  三月六日   辞任      補欠選任    古池 信三君  野上  進君     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     米田 正文君    理事            金丸 冨夫君            谷口 慶吉君            天坊 裕彦君            吉田忠三郎君    委員            江藤  智君            加賀山之雄君            木暮武太夫君            河野 謙三君            野上  進君            平島 敏夫君            相澤 重明君            小酒井義男君            浅井  亨君   政府委員    運輸政務次官  田邉 國男君    運輸省観光局長 梶本 保邦君   事務局側    常任委員会専門    員       吉田善次郎君   参考人    日本ホテル協会    常務理事    河西 静夫君    国際観光旅館連    盟副会長    石村 幸作君    株式会社日本交    通公社副社長  津田 弘孝君    全日本ホテル労    働組合連合会委    員長      篠田 成夫君    東急観光株式会    社労働組合中央    執行委員長   寺門  克君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○旅行あっ旋業法の一部を改正する法  律案内閣提出) ○国際観光ホテル整備法の一部を改正  する法律案内閣提出)     —————————————
  2. 米田正文

    委員長米田正文君) ただいまから委員会を開会いたします。  旅行あっ旋業法の一部を改正する法律案及び国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案、以上両案を議題といたします。  本日は、両案について、ただいま御出席参考人方々から御意見を伺うことになっております。  参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日御出席参考人各位におかれましては、公務たいへんお忙しい中を特に本委員会のために貴重な時間をおさきくださいまして、ありがとうございます。各位におかれましてはそれぞれの分野において深い学識と経験をお持ちと存じますので、この際両案について忌憚のない御意見を拝聴いたしたいと存じます。  それでは、これより参考人方々に順次御意見をお述べ願うのでありますが、議事の進行上お一人大体十分程度でお述べ願います。参考人方々の御意見開陳が全部終わりました後に、委員の質疑を行なうことといたします。御了承をお願いいたします。
  3. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いまの委員長の審議の進め方、たいへんけっこうだと思うのですが、ただ十分程度——程度ですから若干延びるかと思いますけれども、そういう点はあまりこだわらないで、十分参考人の御意見をわれわれがこの法律を審議するにあたって拝聴する、こういうことにしていただきたい、そういう理解でよろしゅうございますか。
  4. 米田正文

    委員長米田正文君) その点については、御意見開陳状況に応じまして適宜斟酌をいたします。  それでは、まず、日本ホテル協会常務理事河西静夫君にお願いをいたします。
  5. 河西静夫

    参考人河西静夫君) 最近のホテルの諸問題についてお話し申し上げたいと思いますが、最近観光という言葉が非常に方々で見受けられるようになりまして、一種の観光ブームと申しましょうか、そんなような雰囲気が盛り上がってまいりました。それはとりもなおさず、オリンピックという問題が背景にありましてこういうような結果になったのではないかと思います。  昭和二十一年の十二月現在、日本ホテル協会の会員のメンバーは七十七軒でございました。部屋数が四千六百——約五千室、それにベッド数が九千——一万足らずのベッド数でございますが、今年の一月によりますと、この七十七軒が百五十五軒になり、部屋教が三倍強の一万四千九百三十四室、ベッド数にしましてやはりこれも三倍の二万八千五百六十一というような数字躍進したのでございます。このふえる率は、おそらく最近のどこの国にも見られない躍進ぶりを示したのではなかろうかと思うのでございます。このように躍進をいたしましたのは、諸先生をはじめ当局の御庇護のたまものと深く感謝しているのでございますが、その反面ホテルは高い高いと、こういうような評判を受けておるのでございます。ホテル料金は高いじゃないか、こういうような評判を受けております。この問題について、私は一応御説明申し上げまして、今後の御参考に供していただきたいと思うのでございます。  われわれのホテル外客を泊めることが主のようになっておりますようなことから、部屋代をきめるにあたりまして原価計算のみだけではいかない、こういうような一つの宿命を持っております。と申しますのは、これは外国との競争場裏に置かれますので、勢い料金外国料金考えざるを得なくなっております。ヨーロッパにおかれましても、いま競争は、ドルをかせごうということでございます。したがって、お客さまのアメリカ人を呼ぶということでございます。日本でも、現在外客のうち大体六〇%はアメリカ人でございます。したがいまして、その競争は、やはりヨーロッパホテル皆さま競争するようなことに相なっておるのでございます。その料金が、どうもヨーロッパよりも日本は高いというような評判を受けておるのであります。御説ごもっともで、われわれも何とかしてこれを下げようというようなことも考えておるのでございますけれども、なかなか意にまかせないのでございます。これも簡単に比較してみますと、まず金利におきまして、ヨーロッパの諸外国金利日本金利とではだいぶ隔たりがございます。大体三分五厘から四分くらいの金利を払っておるのに、日本の場合は、政府の金を借りても九分弱の利息を払わなければならない、こういうような状態でございます。  なお、建築にあたりまして、日本は地震国だというようなことから、建築費も一割程度はどうしても高くなるんだそうでございます。  なおまた、税金の面におきましても、不動産取得税というのがございまして、われわれはホテルを建てますと、そのうちの三%くらいは不動産取得税として取られるのでございます。約三十億くらいのホテルを建てますと、七、八千万円くらいの不動産取得税を取られるのが例になっております。なおまた、その三十億くらいのホテルを建てますと、そのうちの三分の一くらいが動産になっております。これは物品税がかかりまして、それが二割ないし五割くらいの税金対象になっておるのでございます。これが現状でございます。  また、最近、これは皆さま、諸先生方の非常な御援加によりまして、よい方向に向かっておるように、われわれは感謝しておるのでございますが、料飲税が現在一割かかっております。  こういうぐあいにいたしまして、諸外国に比較しまして、金利の面、あるいは建築費の面、税制の面におきまして、われわれはとうてい諸外国競争には、同じ基盤に立って競争できない一つのハンディキャップを持っておるのでございます。  このような結果、ではホテル経済状態はどうであろうかと、こう申しますと、高い高いと言われながら、一割以上の配当をしているホテルは二、三軒にとどまっておるのであります。それが現状でございます。三十七年度の減価償却率を見ますと四・九%、全産業にこれの比較を見ますと、その二分の一にも達しないというのが、実情でございます。つまり、償却もろくろくできない、こういうのがただいまの実情でございます。  このようにして、もうからないホテルを一生懸命建てたのでございますが、私どが一番心配しているのは、このオリンピックが過ぎましたならばどうなるだろうか、こういうようなことを私どもホテル協会という立場からぜひ考えてくれ、こういうお願いもしておりますが、このオリンピックの過ぎた後にはたして、どうなるであろうかというようなことを心配するのであります。そこで私は大所高所から、ホテルをたくさん建てたのだから外客をもう少し呼んでいただきたい、こういうこともお願いいたしたいのでございます。それには、海外宣伝もかなり終戦直後から見ますと、だいぶ躍進しておるのでございますが、聞くところによりますと、その海外宣伝費等につきましても、ヨーロッパの諸外国に比較しますと、だいぶ見劣りがするやに承っております。  なお、私どもが切実にお願いしたい点は、コンベンションビューロー、こういうようなものをひとつ設置していただけないだろうか、こういうことでございます。それは、かなり太平洋上におきましていま日本が中心になっておりますので、この際コンベンションビューローというようなものをおつくりくださいまして、積極的に国際会議を呼んでもらいたい、誘致してもらいたい、こういう希望でございます。それで、その機関は、誘致と、なお会場等のめんどうをみる、そういうようなこともしたらいいのじゃないか、こういうようなこともお願いいたしたいのでございます。  その他いろいろな問題がございますが、時間もまいりますので、いま申し上げましたように、私どもホテルはこのように躍進を続けてまいりました。今回ホテル整備法改正等もございまして、まことにけっこうなこととは存じますが、ここでお願いいたしたいことは、整備法助成法である、こういうような見地から基準を上げますならば、その反面やはり助成の面も考えていただきたい、かように考えて、この際ぜひとも、先ほど申し上げました税制、あるいは金利の問題、あるいはコンベンションビューローをつくるとか、いろいろな面につきまして一そうの御支援をお願いいたしたいと存じます。時間がまいりましたので、この辺で打ち切りたいと存じます。
  6. 米田正文

    委員長米田正文君) ありがとうございました。  次に、国際観光旅館連盟会長石村幸作君にお願いいたします。
  7. 石村幸作

    参考人石村幸作君) 今日お呼び出しをいただいた御通知には、旅行あっ旋業法の一部を改正する法律案及び国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案、この二つについて意見を述べろ、こういうことと存じます。  わが国の観光事業、特に国際観光事業が非常に躍進をしており、これはまことに喜ばしいことでございまして、それについて政府並び国会等におきましても非常に関心を持たれて、これの振興をはかっていただいておるし、感謝にたえないのであります。  そこで、時間がございませんので、この本問題について意見を申し述べたいと思います。  まず第一番に、旅行あっ旋業法改正でございますが、これは御承知のとおり昭和二十七年に制定されました。その趣旨としましては、当時このあっせん業、つまり旅行業というのは、大手筋としては日本通公社その他数社があって、りっぱな営業を続けておられたのでありますが、その他のたくさんの全国に散らばっている旅行あっせん業者というのはさっぱりつかめなかった。しかも、これらの業者営業状態を見ますと、非常に秩序が乱れまして、早く言いますと悪徳業者が非常に多かった。何とかしてこれを取り締まらなければならぬ。しかし、対象となる業者の数もわからないし、どこにどういう業者がいるのかもわからない。しかも、その営業のよろしくない運営によって被害を受けるのは、旅館とか交通業者だけでなく、一番大きいのは、たとえば学校の生徒、修学旅行、こういうのが非常な被害を受けた。そこで、何とか取り締まりの方途を講じてもらわなければならぬというのが全国的の声でありまして、そこでまず第一番に、登録をさして実態をつかむというのが先決問題だ、つまり把握をする、これでできたのでありまして、これは議員立法によって制定されたのでありますが、その後その育成助成の道を講じて、そして取り締まりをしつつ業績を上げさす、こういうことであったと存じます。  ところが、このあっせん業者が、自粛し、それからおのおの組合とか団体をつくって、非常にりっぱにだんだんとなってきた。しかし、いまだに、登録をしておる業者でありながら、営業のあり方が悪徳な面も非常に多いのです。ちょっと調べてみますと、ちょうど過去六カ月間にあらわれた被害、こういうのが百二十件もございます。特に、日本観光旅館連盟というのがございますが、そこへ業界から訴えてきたのが六十七件もある。これを連盟がいろいろ勧告をし、あっせんをし、取り調べをし、そして決済させようとしたのでありますが、宿泊料金の回収をしたのがわずか十二件、それから告発したのが二十八件、送検されたのが二業者、こんな調べもできておる。ところが、その後も非常にいろいろの悪徳な行為が続々として届けられておる。きようちょっと新聞を見たのですが、もうすでに旅館が認めていないクーポンですか、つまりからクーポンお客に売って、そうして数万円の被害旅行者に与えた、こんなふうなことも、これはごく数日前のことでございます。まあそんなことで、質のいい業者は非常に自粛をして、またお互いに戒め合ってりっぱな運営ができておりますけれども、まだまだたくさんの悪徳業者がいるということは、これは事実でありまして、このあっ旋業法改正なさるについては、どうかひとつこういう面を十分考えていただきたいと思います。  今回の改正内容を見ますと、第一の邦人あっせん業者日本人の国内のみの旅行を扱わせる、こういう改正、これはけっこうでございましょう。  それから第二の保証金ですね、これをやや上げてあります。この保証金の問題ですが、これで押える以外にはいま方法がないように思われるのでありますが、これは制定の当時も、相当多額の保証金を積ませると、こういう意見も相当多かったようであります。しかし、保証金をたくさん積ませる、そうすると登録をしなくなるというような関係上、登録料保証金が非常に微々たるものであったのでしょう。それが今回また五〇%程度引き上げられているようであります。しかし、この程度の引き上げでは現在のままあるのと比べてたいしたこれは効果がどうかと思うのであります。  そこで第三の、債務の不履行または不当な遅延等があってはならない、これを一つ禁止事項としてうたってございますが、これも、先ほど申し上げましたとおり、非常に乱れておりますので、こういう措置を講じられた、まことにけっこうでございます。しかし、この程度ではまだ、悪徳業者を取り締まるというよりも、被害を続出ささないとするのにはどうかと思うのであります。たとえば、この保証金を積ましておいても、わずか五万円を七万円にしても、これの被害を受けるような場合には、もう数十万円の被害旅行業者またはお客が受けるわけであります。それで、これを摘発してみても、とても損害補償程度にはならない。しかも、業者がやめて逃げてしまう、行くえ不明になる、そうしてこの金をおろすことはできないというので、いままでかってその保証金によって損害を補てんしたというような例はないと思います。何かこういう点をひとつ円滑にお考えをいただければけっこうじゃないかと、こう存じております。  そこで私は、この旅行あっせん業を取り締まるだけでなく、やはり助成育成の道を講ずることが必要じゃないか。たとえば、大手筋あっせん業においては、いろいろの収入がある。大きな収入とすると、国鉄の運賃その他これに類するもののリベートが入る、大きく入ってくる。ところが、小物に至っては、そういう道がないので、ひたすらに宿泊あっせん、これのみにたよっておるようであります。そこで、だんだんおもしろくないことも出てくる。だから、やはり御当局は、あっせん業者育成助成と、こういう道を講じていただく必要があるのではないかと考えております。そこで、こういう法律があるのでありますが、業者の、旅館業界の一部におきましては、直接、たとえば日本観光旅館連盟のごときは、連盟あっせん業者をよく調べて、そうして質のいい業者をピックアップして、連盟あっせん業者との提携をしようと、こういうふうな、それ以外にもう道はないだろうというようなところまでいっておるようであります。どうかひとつ、取り締まりとともに、育成強化の道を講じて、円滑な旅行あっせんができますようにお願いする次第であります。  次に、国際観光ホテル整備法改正の問題でありますが、私は立場日本旅館を主にしてこれからお話を申し上げたい。日本旅館と申しましても、全国で約六万の旅館業者、その中で相当整備されたものが約七千軒ですか、これが日本観光旅館連盟というのをつくっております。そうして、それの中でまたずっと整備されているのが国際観光旅館連盟を結成しております。この数が約千五十ぐらいあります。その中でホテル整備法によって登録されているのが四百三、四十あるのですが、数字が違うかもわかりませんが、そういう程度であります。そこで、日本旅館国際観光に大いに寄与しようと、これはいまホテル協会河西さんもホテル立場をよく御説明になりました。わが日本旅館におきましては、ホテルだけでは足らない、それを日本旅館によって完全に補うだけでなく、特に観光地等におきましては、外客に何らの不便も与えないで、そうして日本趣味日本情緒を十分満喫さして、日本風俗習慣等もよく味わってもらう、こういう意味で、日本旅館整備をして、そうして外客を受け入れる、こういうことで一生懸命努力しておるわけであります。したがって、この国際観光ホテル整備法をますます強化されて、そうして設備接遇等の向上をはかる、これはまことにけっこうなことであると存じます。  そこで、この改正内容について二、三意見を申したいのでございますが、まず、この条文の順序から申し上げますと、第六条に料金及び宿泊約款を定める、これは、料金についてはすでにこういう条文がございますが、今度新たに宿泊約款を定める、こういうことでございますが、ただ、われわれから見ますと、これもいわゆる旅館旅行者との取引契約を明らかにする、こういうことで、一応けっこうでございます。これは省令や政令で定めるものではなくて、業者自由意思によってこれを当局に届け出をすればよい、こんなふうに解釈をいたしまして、けっこうなことと申し上げたのであります。  それから「(遵守事項)」でありますが、第六条の二に一ホテル旅館業者設備の管理または接遇等についていろいろ順守しなければならぬ事項省令で定めるということになっております。この省令内容でございますが、とかく法律から省令に譲っちまうと、肝心のところを法律からのけて、そうして省令で定める、これが一つの手でありますが、ここでは着令の内容等をお定めになるときには、ひとつ業者の納得するような内容を示していただかなければならない、こんなふうに存じます。  それから次は、第十六条へ行きまして、これは「(報告及び検査)」の問題でありますが、報告はこれはいままででも十分やっております。それから次の「立入検査」の問題でありますが、十六条の2から3にかけまして、これがどうも私ども業界から見ますと、ただ「立入検査」、 こういうことが非常にぎこちなく、感情的といいますか、ぎこちなく感じられるので、同時に、旅館業界とまたホテルというものはここで制圧を受けるのか、こういうふうな考えも自然に起きてくるわけでありまして、こいねがわくは「立入検査」という言葉をなるべくなくなしていただければけっこうでありますが、やわらかくしていただきたい。これはいままでもこういう点は、事実において自由に御検査、御調査もされているし、それから報告もいたしておりまして、何ら支障がないように思っておるわけであります。どうかひとつ、ただ「立入検査」というこの文字がどうも時代錯誤のように考えられるわけでございます。  それから、ちょっと時間が過ぎて恐縮ですが、重要な問題ですのでお許しをいただきたいと思います。この別表の第三の改正でありますが、この基準シャワー室座便式便所、そういうようなものの付属した部屋が総客室の十分の一以上あること、これもけっこうであります。かくして外客に対して不便が何もないというふうにまで施設を向上させる、これは非常にけっこうなことと存じます。しかも、附則におきまして三年の猶予期間もありますので、非常にこれはけっこうだと思うのでありますが、ただ四の三、いわゆる四階の場合にエレベーターをつけなければならない、これも、四階の建物についてエレベーターをつける、これは常識からいっても当然なことと思うのでありますが、現在の状況からすれば。しかし、既存のものはちょっと困るのです。というのは、構造または敷地の関係上、なかなか簡単にはできないので、猶予期間が三年あっても六年あってもこれはできない。そういうのが、特にコンクリート建ての都市における旅館ホテルとしてはちょっと不可能なんです。これを無理にやるとするならば、一階から四階までの客室をつぶさなきゃならぬ。そうすると、基準部屋数が足らなくなる。そういうのが、調査をしてみますと、相当あるわけであります。それからもう一つ、地方の観光地等におきましては、また非常にこれにひっかかる被害者が出てくるわけでありまして、これは相当の数にのぼるわけであります。これは、いまの登録されておるホテル旅館は、国家の法律に基づいて運輸省当局の厳重な行政指導によって登録基準施設を完備したというところであります。それが、この法律改正によって全部やり直さなきゃならぬというのは、少し痛過ぎる、こんなふうに考えるわけであります。そこでこの附則に、ほかのものは全部三年の猶予期間でありますが、このエレベーターに関しましては、「建物について増築又は改築工事が行なわれるまでの間は、適用しない。」、こういうことであります。これもすなおに読んでみますと非常に温情あふるる条文と思うのでありますが、さっき申し上げましたふろまたは便所その他は、基準客室の十分の一以上つけなければならない、こういうことで、これはどうしても増築改築が出てくる。すぐにもせざるを得ない。そうすると、このエレベーターの問題は、「増築又は改築工事が行なわれるまでの間」というのだから、この便所ふろをつけなきゃならない、このような法律に基づいてつけようとすると、エレベーターもこれにひっかかってしまう。こういう非常に矛盾が読み出されるわけでありまして、エレベーターの問題は、既存のものに限ってはよろしいと、こういうことにしていただかないと、どうも事実上の解決がつかないように思います。増改築まではいいと書いてあっても、裏を返せば、どうしても、特に木造のごときは、増改築は五年、三年のうちに始終やらなければならない。それからまた部屋状況によってふやすという場合に、一坪増築してももうすぐにエレベーター猶予期間がなくなる、こういうことになります。さっき申し上げましたが、設備増改築しなければならないような条文は、いま申し上げたとおり、浴室、便所等の問題があるのですが、これをからめますと、非常にこれが苛酷にすぎる、こういうことになるのであります。  もう一つ申し述べたいことは、この法律助成法でありまして、臨時立法による助成法である。ところが、助成の道が開かれずに、取り締まりの面がだんだん強化されてくる、こういうふうにも考えられる。それで、われわれ業界からすでに陳情を前にもいたしておりますので、当局は御存じでございましょうが、ホテル業界の方もいらして恐縮ですが、ホテル旅館との差別待遇が非常に多いのです。一例を言うならば、この第二十八条ですが、ホテル旅館と読みかえる問題がここに出ております。その中に、第七条の不均一課税が適用されていないのでありまして、特に不均一課税固定資産税ですね、この問題はこれは抜けている。これは前からそうだったので、これを一つ入れていただかなければならぬということをお願いしておったのですが、このせっかくの改正の機会にこれが落ちている。特に落ちているわけです。ホテルはいいのですけれども旅館はいけない、同じ登録の中でも。そういう問題。  それからもう一つの大きな問題は、ホテルは全館登録であります。すなわち、従業員の宿舎だとか、食堂、車庫、前には馬小屋まで入っておったそうですが、ところが旅館の場合の登録では従業員の宿舎とかいうものは除外されている。食堂、いわゆる会食をする大広間、これものけておりまして、非常に不合理である、こう考える次第でありまして、これは風俗営業とか、いろいろな問題があったでございましょうが、この法の制定の当時はそうであっても、いまはそういうふうな売春等も禁じられまして一そういうことはなくなってきた。これはホテルの食堂と日本旅館の広間というものは何ら使用の上において差別は絶対にございません。そういうふうな点から見ましても、ひとつホテル旅館を均衡を保つように平等に扱っていただかなければならぬ、こういうふうに存ずるわけであります。  その他まだいろいろございますが、時間も盛んに催促がございますので、これで失礼いたします。また御質問の点がございましたら、答弁をいたしたいと思います。
  8. 米田正文

    委員長米田正文君) ありがとうございました。  次に、全日本ホテル労組合連合会の委員長篠田成夫君。
  9. 篠田成夫

    参考人(篠田成夫君) 本日は、委員会審議の貴重な時間を割愛していただきまして、ホテルに働く私たちのために発言の機会を与えてくださいました諸先生の御配慮に対して、厚くお礼を申し上げます。  観光産業におけるホテル労働者の立場として、若干の意見を述べさせていただきます。国際観光の振興という政策の中で、ホテル等サービス業が近年新聞雑誌等によって非常にはなやかに報道されて、社会の注目する産業となってきて、クローズアップされてきたわけであります。その中に働く私ども労働者としては、賃金、労働条件等において一般産業における水準と比較して決して恵まれておらず、事実はそれ以下にある状態であります。このような時期に、国の政策として観光基本法の制定を見たわけであります。オリンピックを控え、まことに時期的にも適切な施策で、その前文にもうたわれているように、憲法第二十五条の精神がこの法律を通し私ども一つの具体的な形としてあらわれてくるものとして受けとめ、期待するところが大きいのであります。しかし、現実に見るとき、私たちが属する国際観光ホテルに例をとってみましても、国際収支の改善、外貨獲得のために果たす役割も大きく、原料のかからぬ輸出産業と言われているにもかかわらず、国の具体的な助成策は基幹産業に関連する海運、船舶等と異なりますように考えます。たとえば、長期低利融資と比較してみるというと、格段の違いがあります。貿易外収支の赤字が叫ばれている現在、観光基本法第四条の施策をより前進され、十分なる御配慮をお願いするものであります。  なぜならば、ホテルは投下資本に対する売り上げ高の割合が一定しておりまして、いくらお客さまを取り入れたくても、収容力の関係でだめであり、他方においては料金の規制などが強く、多くのホテル従業員は、その属する企業の借り入れ金の利子を払うために働いているという実感を抱かされているとともに、そのしわ寄せの一端として低賃金を余儀なくされているわけであります。どこの業態でも働く者の賃金は低いというように言われておりますが、ホテル業の場合にはその熟練度を盛り込んだるところの賃金設定が困難で、その点が問題になるわけでありまして、たとえば接客上がりの男子で、勤続七年、年令二十五才で月給が一万七千円から八千円、勤続十年、年令二十八才で二万一千円前後、同じく接客上がりの女子で、動続三年、年令二十一才で一万五千円、動続五年、二十三才、一万七千円前後というような次第でございます。ホテル労連傘下の都市部においてもこのような状態で、リゾート・ホテルあるいは未組織ホテルにおいてはこれ以下の条件にあるものと思われます。昨年のホテル労連の目標として、二十五才二万円を到達する目標として定められたような現状にあるわけです。  また、国際観光ホテル整備法は、外客の接遇水準を向上させることを目的としておりますが、設備の充実と同時に、サービスという無形の価値を提供する従業員の育成について深く触れておらないように考えます。このことは、非常に重要な要素を持つものと思われます。ホテル従業員は、非常に高度なサービスを行なうことを要求され、外国人等の慣習による食事方法、宿泊に対する知識も理解し、たとえば回教徒に対しては牛肉等の料理を出してはいけないとか、あるいは野菜料理しか食べない宗教関係外国人等、このような複雑な民族慣習を理解し、客に接するためには、少なくとも三年ないし五年を必要といたすわけであります。そうして十年を経てやっと一般的に通ずるようになれると言われております。こうした反面、労働条件については、その業態によって早朝から深夜に至るまで客に接しなければならないために、労基法の規制からはずされ、断続的な勤務として、朝食を午前七時から十時までやる、昼食は十二時から二時までやる、そうして夕食を六時から九時ないし十時までやるという、こういう断続勤務の中にあるような人もおられまして、現在のような観光シーズンになりますと、こういう人の中で病欠者等が出ますと、残されている人たちに非常なるしわ寄せがくるという状態にあるわけです。また、女子の深夜作業等も一部には行なわれておりまして、このような勤務条件の中にあって、福利厚生面における施設というものについて申し上げますと、これは営業スペースに食われてしまいまして、ロッカー、休憩室及び従業員食堂のごときは、おおむね地下室の一隅に押しやられ、休憩室に冷暖房の設備のないところもあり、娯楽室という名のものは、ホテル労連傘下においても皆無にひとしい状態であります。ホテル産業の振興にあたりまして、ここに働く従業員の実態を無視することはできないものと思われます。ホテル従業員についても、社会一般の水準が維持され、労働条件と職場環境が改善される中で、一段とホテル産業の振興が促進されるものと思われます。ホテルに働く者といたしましては、国際観光ホテル従業員としての誇りとサービス水準を高めるために努力することはもちろんでございますが、国家的な施策をより強く展開され、外人観光客のシーズン・オフ対策や、低利資金の貸し付けなど、抜本的な問題を含め、私たちが働きやすい職場にできますように十分な御配慮を切望するものであります。  以上をもちまして、ホテル労働者の立場から意見を述べさしていただきました。ありがとうございました。
  10. 米田正文

    委員長米田正文君) ありがとうございました。  次に、株式会社日本交通公社の副社長津田弘孝君にお願いいたします。
  11. 津田弘孝

    参考人(津田弘孝君) 私、日本通公社の副社長をしております津田でございます。本日、旅行あっ旋業法改正法案と、国際観光ホテル整備法改正法案、この二つの法案につきまして参考人といたしまして所見を述べる機会をいただきまして、まことに光栄に存ずる次第でございます。私に、私の勤務しております会社の性質上、主として旅行あっ旋業法改正の点につきまして申し上げたいと思うのでございます。  今回の法律改正によりまして、われわれ旅行あっせん業者の資格要件につきまして、さらに水準の引き上げが行なわれるというように拝承いたしておるのでございます。これは、旅行あっせん業の公共的な性格から申しましても、またわれわれ業界内部の規律化あるいは秩序化というような点から申しましても、まことに時宜を得た改正案であるというふうに考える次第でございます。現在の法律では、邦人旅行あっせん業者としての資格で、日本人の海外旅行をもあっせんしておるというたてまえになっておるのでございます。ところが、来月−四月一日から渡航の自由化を控えまして、この種の業務、つまり日本人の海外旅行関係の業務が激増するというふうに予想されるのでございますが、海外旅行あっせんに関連いたしまして、外国の相手業者と取引をする場合には、十分に国際的な慣例をも熟知していなければ取引上あるいはあっせん上そごを来たすというおそれが十分にあるわけでございます。その結果予想されますことは、旅行先におきまして旅客がいろいろと経済的なあるいは精神的な損失をこうむられるわけでありまして、その損失の程度は国内旅行の場合と比べものにならないというふうに考えるのでございます。また、相手国の業者との取引に際しましても、本邦の業者の資格とか能力とか経験、こういうような面におきまして不備の点がありますときには、一方におきましては国際的な信用の失墜となりますし、また他方におきましては貴重な外貨の損失になるというふうに、国家的に見てもまことに好ましくない結果を招来するというおそれがあるわけでございます。以上の諸点を考慮いたしまするならば、一般旅行業者の資格として定められておりますところの法令を、日本人の海外旅行あっせんにも適用するということは、まことに適切な措置であると考えられる次第でございます。旅行あっせん業は、俗にいわれますように、電話一本、机一つだけでもできる面がございますが、こういうことでは、いたずらに業者の乱立を招くと同時に、お取引を願っております運輸関係の機関あるいは宿泊関係の機関に対しましても十分な責任を負いかねるような状態を現出するというようなこともおそれられるわけでございまして、旅客あるいは運輸宿泊関係業者方々の保護という見地から申しまするならば、現行の登録制度ではややゆるきに失する感があるのでありまして、われわれといたしましては、むしろ将来は旅行あっせん業というものを許可制にすべきであるというような意見も持っておるのでございます。今回の改正案におきましては、そこまでは踏み切らない。保証金額を引き上げるというわれわれの主張の方向に沿って一歩前進をされた次第でございまして、その点はわれわれから見まして喜ばしい方向であるというふうに考えられるのでございます。  また、今回の法律の中で、運輸機関あるいは宿泊機関との取引の面におきまして、支払い遅延、いわゆる運輸宿泊業者泣かせというような取引をやってはいけないというような、不正事項の禁止という項目が新たに加わっておるのでありますが、これも観光業界全般の健全な発展からいたしまして好ましい方向であろうと考えられる次第でございます。今後なお激増を予想されます旅行需要とそれに対応する新規業者の増加を考えまするときに、将来にわたる業界の指導理念として一定の順守事項が制定されました意義を高く評価いたしまして、今回の旅行あっ旋業法改正につきましては全面的に御賛成を申し上げたいと考える次第でございます。  なお、若干時間をちょうだいいたしまして、この際に観光事業全般につきまして若干所見を申し上げたいと思うのでございますが、時間の関係もありますので、主として国際観光関係の問題につきまして二、三の問題を取り上げさせていただきたいと思うのであります。  昨年一年間の日本に参りました外人の数は三十万人を突破いたしまして、消費額は一億五千万ドルというふうにも推定されるのであります。これは五年前を考えてみますると、それぞれ、人数におきましても、あるいは消費額におきましても、倍増の実績が出ているのでありまして、ことに、先ほど来お話がありまするように、本年は東京オリンピックを控えまして外人の来訪は五十万名を突破するというふうにもいわれておりますし、さうに昭和四十五年までには毎年百二十五万人というような驚異的な外客誘致の目標のもとに計画が進められておるのであります。すでに御承知のとおり、外客誘致事業は国際収支の改善あるいは国際親善の発展に大きく寄与するものでありまして、政府はじめ諸関係機関の御協力によりまして前述のような実績を達成し得ましたことを、業界の一員といたしまして心から喜ぶ次第でございます。しかしながら、このような実績は、必ずしも安易な方法で達成せられたものではないのであります。また、将来の計画達成のためにも、種々解決を要する問題が多いと考えられるのであります。このような点につきましては、旅行あっせん業者立場から若干意見を申し上げさせていただきたいと思うのでございます。  まず、こういう国際観光外客誘致の面におきまして、われわれ旅行あっせん業者というものがどういう役割を演じておるかという実際の模様につきまして申し上げたいと思うのであります。昨年一年間の来訪外客数は先ほど三十万名と申し上げたのでありますが、その半分が観光客でございます。そうしてその観光客の、つまり十五万人の観光客のうち、われわれ旅行あっせん業者が扱ったものがその八割に及んでおるというふうに考えられるのでございます。一体外国人はどうして日本に、どういう手続で来るのかと申し上げますと、外国人が日本観光を思い立ちましてこれを実行に移すまでには、観光協会の宣伝活動等を通じまして、何と申しますか、旅行をしようという潜在の需要が促進され、誘発されて、そこで外国旅行業者の活動によってこういった旅行需要が顕在化するというような過程を通ってまいるのが普通でございます。このようにいたしまして、外国旅行あっせん業者が訪日客送り出しの面におきまして果たす役割というものは非常に大きいのであります。しかしながら、これに呼応いたしまして、日本の国内の旅行あっせんに関して取引するところの日本旅行あっせん業者立場も、同じように、あるいはそれ以上に重要なわけでございます。ちょうどたまをほうるときのピッチャーとキャッチャーの関係が、外国旅行業者日本旅行業者関係にたとえられると思うのであります。ところで、これらの外国旅行あっせん業者にとりましては、日本は送客先のきわめて一部分である。たとえばアメリカの旅行業者は、アメリカ人を欧州にあるいは中南米方面に送客する。また欧州の業者は、南欧州あるいはアフリカあるいは中近東方面に向かっての送客にその営業活動の大部分を振り向けているという実情であります。一つには、これらの地域相互間には、歴史的に見ましても、あるいは宗教的に見ましても、文化的に見ましても、非常なつながりが、東洋の一隅にある日本よりも非常に密接な関係がある、また地理的にも近い、あるいは受け入れ国の宣伝活動が日本よりも非常に活発である、あるいは旅行費のうちの非常に大きな部分を占めるところの運賃の問題というようなものも大きな要素をなして、外国業者というものは日本よりもその他の地域に一そう力を入れているというような状態であります。そこで、われわれ日本旅行あっせん業者といたしましても、単に受け身で、向こうの業者日本お客さんを送ってくる、それをただ漫然として座して待っているというだけではないのでありまして、とかく、先ほど申しましたように、アメリカの業者は欧州、中南米、それから欧州の業者は南欧とかアフリカとか、こういう方面に向いている目を、積極的に訪日客の誘致活動を展開するようなふうに向けていかなければならない。私の属しております交通公社の例をとりましても、私のところはもっともっと盛大に現地に営業事務所を設けたいのでございますが、現在は北米に四カ所、欧州と豪州に一カ所の在外事務所を持っております。それから、年に少なくとも十数回以上にわたりまして社員を外国に派遣いたしまして、外国業者との業務連絡、渉外というふうな方面に社員を派遣いたしております。なお、昨年一年だけでも、私どもの社員で海外にこういったような用件、その他の用件を兼ねまして参りました者も入れますると、百人にも及ぶというような状況でございます。  そこで、外人の観光客が日本の国内の旅行をするにあたりまして、言語の問題、あるいは予約手配の問題等がございまして、これをお客様にかわって解決するのが私ども旅行あっせん業者の使命でございます。この旅行あっせんの方法を通常請負旅行というふうに私どもは申しておるのでございますが、その請負旅行の中には、観光客の宿泊、乗物の実費のほかに、駅や空港や、港で送り迎えする関係、あるいは見物案内人のための人件費、あるいは取引先との連絡に要する通信費、その他すべての費用を含めまして、これを一本の料金に取りきめまして、いわゆるお客さんが出発されてからお帰りになるまで、出発のときの安心感、お帰りのときの満足感、私どもの社のこれをひとつ社員に徹底させる標語にいたしておるのであります。御出発の安心感、お帰りの満足感、そういったようなお感じを十分に味わっていただけるような完全なかっこうで提供するというのがこの請負旅行の形式でございまして、外人観光客にとってはきわめて利用度の高い利用形態であります。それでは幾らでも請負旅行の値段をきめられるかというと、先ほどホテル協会常務理事からお話がありましたように、結局欧州諸国その他の地域との比較で、できるだけこれを低額に押えなければならないというようなおのずから制限はあるわけでございます。先ほど申し上げましたようないろいろの集客活動、あるいは旅行あっせんの万全を期するためのいろいろな経費その他、われわれ社員一同が日夜努力しているというのが実際の姿でございます。言ってみれば、旅行あっせんに業というのは、国際観光、外人あっせんにという例をとりましても、ほんとうに収益性の少ない仕事であるということをこの際に申し上げたいと思うのであります。旅行費用の問題につきまして一、二だけ申し上げたいと思うのでございますが、旅行費用の中で非常に大きな要素をなしております航空運賃の格差の例を、アメリカから欧州に参りますのと、アメリカから日本に参ります場合をとってみますと、ニューヨーク—ロンドン間の一等運賃は五百ドル、サンフランシスコ−東京間は七百ドル、その間に二百ドルの差がございますので、二百ドルを旅行に使ったならばどれだけの旅行をさらに楽しむことができるかというようなふうに、なかなか観光客も勘定高いのでありまして、そういった運賃の差額につきまして何らかの手が国際的に講ぜられるように、日本政府としても、関係の航空会社としても、御努力を願うということが、将来の方向として望ましいと思う次第でございます。  それからもう一つだけ。従来の日本観光のきまりきった形式でなしに、私どもが現在考えております一つの新しい形態の旅行といたしまして、産業観光といいますか、こういったようなものを最近打ち出しているのであります。すなわち、単なる物見遊山ではなく、普通の一般の景色を見る観光だけではなしに、日本の産業経済の面に接し、広く日本の固有の伝統、文化を知ってもらう、こういうために、最近におきましては、日本の代表的な産業会社の工場等を観光客に開放していただくような働きかけを行なっているのでございます。従来・このような計画につきましては、自分の会社の機密漏洩の問題、あるいは部外者が立ち入ることによって作業能率が低下するというような点から、会社の御理解を得るに若干時間を要したのでごいざますが、わが国の産業界も開放経済に即応した体制をとるという段階に至りまして、最近は自信を持って自分の会社の施設を外人に見てもらいたい、公開しようという機運が強まってきたことは、まことにけっこうなことであるのでございまして、こういった産業観光も大きく取り上げてまいりたいと考えております。先ほどホテル協会常務理事からコンベンションの誘致のお話がありましたが、この点につきましては、私ども旅行あっせん業者といたしましても、オフ・シーズンを埋める、ピークを切りくずすというような意味におきましても、非常に望ましい方向であると思います。が、詳しいことは、時間もございませんので、省きたいというふうに考えております。  国際観光の点を主として申し上げましたが、国内観光につきましては、最近の経済が非常な伸長を見ている、それに伴いまして、いわゆる商用の旅行というものも非常に盛んになっておりますし、また数年来、文部省の教科にとり入れられておりまする修学旅行の問題、あるいは勤労者の厚生旅行の問題、その他最近の労務関係から見まして、集団就職の旅行のごあっせんあるいは帰還輸送というような問題等々、いろいろな旅行の形態に対しまして、十分なごあっせんを申し上げるような努力をわれわれ旅行あっせん業者はいたしておるのであります。なお、国内関係をあずかる大手業者をもちまして、日本旅行業者協会、また国際旅行を扱う業者の集まりといたしまして、これは社団法人になっておりますが、社団法人国際旅行業者協会というような一つ業界のまとまりもつくっておるのであります。今回のように、いろいろと旅行あっせん業の問題が、国の政治の場で取り上げられ、いろいろと国家的な施策が次々に講ぜられるということは、われわれ旅行あっせん業に従事するものといたしまして、まことに喜ばしい次第でありまして、今後とも国会はじめ関係方面のより以上の御指導を仰ぎたいというふうに考える次第でございます。どうもありがとうございました。
  12. 米田正文

    委員長米田正文君) ありがとうございました。  最後に、東急観光株式会社労働組合中央執行委員長の寺門克君にお願いします。
  13. 寺門克

    参考人(寺門克君) 寺門であります。  このたび、国会の参考人としてお招きを受けまして、旅行あっせん業に働く者の立場を表明させていただく機会をいただきましたこと、さらにこの機会に諸先生方を通してこの業種への理解を深め、そして広めていただけるものと、心から喜んでおります。私どもは、昨年のこの観光基本法の成立をもろ手をあげて喜び、これによって観光立国への道筋が引かれたものではないかと、大いに期待をしている次第でございます。今日この機会を得まして、旅行あっせん業という業種に働く者の立場で、自分たちの仕事について日ごろ感じているところ、また世間にはよく知られていない実態の一端をお話して、これが旅行あっ旋業法改正というような審議の上に少しでも参考になりますならば、非常に幸いと存じております。  まず、日本で一体何人ぐらい旅行あっせん業というものに従事しているかということ、この点を申し上げたいと思います。実は、これは推定はされましても、実数はつかめないという実情です。そして、その組織形態もさまざまで、全国的な組織を持つものは、ただいまの交通公社を筆頭に、私ども東急観光など、六ないし十社程度である。その他は家族ぐるみでやるような形態のものが多く、先ほどおっしゃいましたように、机に電話一本、一人でやっているという業者まであるといった複雑な事情なんでございます。また、ここでの勤労者数も、推定約三万人ということでございますが、このうち約半数の一万五千人が先ほど申し上げました全国的な販売組織を持ったところで働いていると推定される一これも推定される状況なんでございます。そのような次第ですから、労働条件は全くあいまいで、つかめない。その上、御承知のとおり、サービス業というものは人が中心で展開されておりますだけに、企業の合理化というものにも限度があり、合理化も通信施設や事務処理程度にとどまりまして、直接利益を生み出すのは人が中心にならざるを得ないということでございます。一例をあげますれば、カウンターでお客様と応対しているだけでなく、外にセールスに出かけ、旅行の契約をとり、その間に、旅行の日程はもちろん、旅館、バス、輸送などの手配を行ない、旅行実施とともに団体などの場合には添乗というものをいたし、旅行後は確実な旅行費精算事務というものを行わなければならないのであります。これが一人の人間の手によって処理されております。このような業種は、あまりほかの企業にはないのではないかと考えられるのでございます。さて、このように人が中心の企業でありますために、いくら規模を広げましても、分業による合理化、機械化によるオートメ化といったものになじまない。つまり、事業を拡大するには、人をふやすか、一人の人間の働く量をふやすしかない、こういうのが実情であります。利用客と交通機関、旅館などとの中間に立って両者を取り持ち、旅行を安全に、快的にさせていくのが、私どもあっせん業でありますが、中間的な立場というものは、とかくその両者からあたたかい目で見られていない面が少なからずあるようでございます。あっせん業者の得る収入というものは、あっせん業者としての登録をいたします際に届けられた手数料でまかなわれます。それによれば、利用者側からも——お客様ですね、関係業者旅館、バスその他交通運輸機関というところからも、取り扱い手数料というものを取ることになっております。ところが、日本の国民性から、手数料を払うという習慣はほとんどなく、手数料はサービスだという通念が利用者側にもあるだけに、そしてサービスというものは無料奉仕のことだといった考え方も一般化しておりまして、健全な経営をとり、よりよいあっせん体制を敷くには非常な努力を必要とされておる、このあっせん業というものであるにもかかわらず、あっせん業というものの企業基盤は非常に弱い立場となっておる。一例をあげますと、最近になってやっと、旅館の予約の変更、取り消しに要する電話代をお客さまからもらうという、ことが−先ほど公社の方からお話がありましたが、日本旅行業者協会というところで決議されるに至った実情です。このような状態でありますだけに、マスコミなどに取り上げられますと、手数料をリベートというふうに表現され、そのことばの持つイメージが贈収賄であるかのごとき悪い印象を与えまして、手数料として理解していただくのに時間がかかるということが言い得るのであります。またそれだけに、あっせん業者の社会的地位というものは寄生虫のようなものとして受け取られたり、また根なし草のように見られがちであります。受け入れ業者側にも、その点理解されないこともございます。ここにも旅館の方がいらっしゃるので言いにくいのでございますが、旅館などでも、宿泊クーポンを持っていったお客に、「今度いらっしゃるときにはあっせん業者を通さず直接いらっしてください、サービスいたしますから」と言われたということをお客さま自身から聞くのでありますから、非常に残念なのであります。これではいつまでたってもあっせん業者は、先ほど申し上げましたとおり根なし草ということでございます。たばこ屋がたばこを売って得る手数料と、私ども旅館の宿泊券を売って得る手数料とは、全く同じ性質のものだというわけにはほんのちょっといかない面がある。たばこ屋は仕入れ値と売り値の差額を取っておりますのに、私どもは掛け値なしの仕入れ値を売り値とし、売価の一定料率のものを両方のものから収受するという形式をとっております。実質的には何ら変わりないというふうに考えるのでございます。  それはさておきまして、全国的な組織を持つ企業の労働者約一万五千人と申し上げましたが、その中で、労働基準法に基づく時間外労働の協定を組合と正式に結んでいるのは交通公社のみである。自分たちの労働条件を明確にしようといたしまして組合というものを組織しているのは、それも交通公社と私ども東急観光労働組合、この二つだけでございます。私のところでも、まだ労働協約締結ということすら行なわれていない状態でございます。時間外労働の協定がないということは現実にはほほ野放しで時間外労働が行なわれているということで、悩みの一つとなっております。  さて、この三月から旅行シーズンに入るわけですが、ことしは秋にオリンピックを控えまして、とりわけ春のシーズンに旅行が集中しております。そこで忙しいのが、先ほど申しました添乗業務であります。添乗員というのは、昔はよほど大きな団体旅行にしかつかなかったのですが、最近は、お客のほうから注文が殺到いたしまして、団体旅行の幹事役、進行係みたいなものを要望されております。これが昼夜兼行の重労働のわけなんですが、シーズン中は、月のうち二十日も、あるいはまるまる一月家に帰れない。旅行から帰ると、すぐその日に出発する、添乗するという繰り返しが続くわけでございます。シーズンに過重労働になる。こういうのは、企業自身の収益性の低さ、それからシーズンとシーズン・オフとの格差があるためであると考えられるのでございます。それだからといいまして、シーズン・オフには寝ているのかといいますと、そうでなく、一年から二年先の旅行を獲得するためにセールス活動というものに励んでいる。そのようなわけで、やはり各業者ともシーズン中の労働力不足を人員増でカバーすることができず、したがって、稼動する期間はフルに回転させなければならない。そのしわ寄せは労働時間延長という姿になるわけです。これが、人が中心であって、利益の薄い企業であるということから生まれる労働の実態ということになっております。  これに加えまするに、同業者間の競争があります。たとえば修学旅行のような、すでに旅行資源の固定した一定量のものを、各業者がそれぞれ取りつ取られつやっておるわけであります。労働時間の何のといっている間によその業者に取られてはたいへんだということで、現場では殺気立って仕事に励んでいるということでございます。  このような実態の中から、悪徳業者、不良業者というものが生まれまして、その所業が、行なったことが、一たん表ざたに取り上げられますと、あっせん業者のすべてを評価させるものとなってしまい、あっせん業に働く者の誇りというものを奪っていくのでございます。よく友人などに、「何といってもただで旅行ができるんだろう」というようなことを言われますが、いくら添乗員だといいましても、旅館にただで泊ったのでは、お客さまを連れていって、お客さまの利益を代表して旅館にかけ合うというようなことができなくなるじゃないかということでございまして、ちゃんときちんと支払うという制度が 各業者ともできておるといいますが、ほとんどの業者ができているということでございます。で、添乗いたしますと、日当というものが出ます。この日当も業者によりまちまちでして、一日につき九百円のところもあれば、四百円のところもある。この日当の性格というものもはっきりしておりません。しかしながら、これが添乗という労働をした者に与えられる唯一のものでございます。  旅行あっせん業に働く者の特殊な労働の一端として添乗というものを取り上げてみましたが、まだあいまいな労働条件の問題は、あっせん業自体の性格があいまいであるということとともに残されているように思えるのであります。  時間も少なくなりましたので、結論づけるのがほんとうだと思い、いろいろ考えてみたのでございますが、はっきりこうであると結論づけることが私自身にできない壁があるというふうに感づいたわけなんですが、と申しますのは、他の産業ならば、企業そのものはもちろん、国家的な機関がその規模の大小はあれ、いろいろな角度から長期的な調査、研究、検討というものがなされ、政策が樹立され、それと結びつく経営がなされていくというふうに思うのでございます。ここにお見えのホテル業界にいたしましても、一つの指向するものは政策づけられ、その線に沿って経営活動が自由になされていると思います。おくれているといわれているホテル業界それよりもまだ、それ以上の後進性を持つのが旅行あっせん業界であると言えるのじゃないかと思います。この点については、政府機関はもちろん、業界も、企業単位で見ても、目先の収支バランスを維持するのにきゅうきゅうとしておりまして、長期的なものは何も持たずに、 春、夏、秋、冬とそれぞれのシーズンに追い回され、現在に至ったというのが実情ではないかと思われます。旅行ブームにささえられまして、目先の収支だけで商売ができ、玉石混淆の多くの業者の乱立となって問題を投げかけているのがいまの時点の問題ではないかと思います。検討されずにこの旅行あっせん業というものが放置されてあったということは、私どもとしては非常に残念でありまして、まあしかし、そうはいいながら、現実には、旅行者の便利な機関として、また国際的にはドル獲得の大きな役割を果たしている事実というものがあります。私としましては、旅行あっせん業が国民大衆のものとして、公共的、社会的に大きな役割を果たし、その立場を維持して社会に貢献しているというふうに自覚して毎日仕事をしているのでございます。しかしながら、悪環境の職場、長時間労働、行き過ぎた過当競争、そういった私どもを取り巻く問題を見ますと、考え込んでしまうことがあります。私、まあ個人のことに触れて申しわけございませんが、昭和三十六年に大学を出まして、旅行あっせん業を志した。これは、旅を愛し、それを通じてまあ社会に貢献しよう、余暇利用のあり方をよりよい方向に結びつけるべきだ、こう考えて職場を選んだわけです。これは、私だけでなく、ほかのあっせん業に働らく者の共通した理念である、こう考えるのでございますが、理念だけでは生活は満たしてくれない。先ほどの問題といったようなものにぶつかり、皆とそれぞれ話し合って解決の道を探っているのでございます。いら立ったこういった感情を相殺してくれるのは、旅を終えてたいへんよかったという感謝の気持で接してくれるお客さま、それなんです。お客さまとの結びつきが心の平常というものを保ってくれ、連日の疲れを吹っ飛ばしてくれるのでございます。しかし、このような感情だけでは、若いときはともかく、将来まで持続するということは不可能であると考えられるのでございます。まは最低の基準だといわれております労働基準法、これすらなかなか守れないこのあっせん業界に対し、どうかこの機会に絶大なる関心を社会的な位置ずけができますよう特段の御配慮をお願いいたしたいと思います。  ここで五つばかり要望を申し上げまして終わりにしたいと思います。  第一に政府機関であっせん業PRというものを社会に向かい実施していたできたいということでございます。それは、一つの悪い事例が先ほど言いましたようにマスコミなどに取り上げられますと、すべてが悪いような印象を受けます。受け過ぎるのでございます。手数料というものが当然の対価であるということに対してやや社会的認識に欠けている面、こういった面などを、正しい企業育成のPRを御配慮していただきたい、こう思うのでございます。  第二は、あっせん業に働く者の質的向上と共通の理念というものを育成していただくために教育機関というものを設置していただきたい、こういうことでございます。方法は委託して教育するというようなものでもけっこうでございますが、とにかくこういった点で御配慮を願いたい、こう思うわけでございます。その研修の内容を言いますと、語学とか、案内的な知識とか、一定期間職場を離れて研修できれば非常にありがたいと、こう考えるのであります。これにあわせまして、あっせん業界自体のそういった共通のものをつくるということに加えまして、旅館、バス業界、交通業界ですね、そういったものに対しても、あっせん業という立場の理解とあっせん業界との協調発展ムードというものをはかる集会を政府が主催してやっていただければ幸いと思うのでございます。同時にこのような機会に、不正あっせん業者、先ほど問題になりましたが、こういったものに対する情報交換も行なって、業界の秩序をつくっていくことが、観光基本法とそれから旅行あっせん業法というものの趣旨に沿っていくものじゃないかと考えるのでございます。  第三に、国際観光に関することでございますが、国際観光ホテル整備法国際観光協会など政府施設は強められているということはたいへん喜こばしいことと思いますが、直接外国人または外国のエージェントに働きかけてお客さんを呼んでおりますのは私どもあっせん業者なのでございます。私どもが獲得した観光客が、ホテル、みやげもの店その他のところへドルを落としていくわけでございます。ですから、輸出玩具業者−おもちゃ業者などとはその方法こそ異なりますけれども、国際収支をよくしていくということに寄与する面は同種類のものではないかと見ております。このような業種その業者などには政府の補助もあるやに聞いておりますし、旅行あっせん業者に対しても国家的な配慮もあってしかるべきだと、こう考えるのでございます。  第四に、国内の旅行、先ほどあがりました修学旅行でございますが、これに対する取り扱いも、列車輸送、それからあっせん、宿泊などに一貫したあたたかい施策があってもいいのではないかと思います。政府の人づくりと申しますのも、具体的にこのような面で実らせていただけばいいのではないかと思うのでございます。  第五に、社会の消費構造というものの変化が旅行の大衆化となってあらわれたことは、御承知のとおりでございますが、消費者金融などの流行のきざしは旅行あっせん業界にもあらわれ、またお客の中には旅費を一時立てかえてほしいというような問題とか、最近の金融引き締めなどの関係から旅費の未払い——旅行を行なっても旅費を払わないという現象が少なからず起こっております。そして、そのため資金繰りもむずかしいというふうに考えられるのでございます。労働者側からこのような発言をするのはいかがかと思いますが、健全な旅行あっせん業界の確立のためには、よい業者には低利資金の融資の特別の措置などを御考慮いただければありがたいことだと思っております。  最後に、観光といえば非常にはでに見える企業であり、クローズアップされがちでありますが、その中には前近代的な労働条件と環境で多くの者が働いているということをいま一度申し上げまして、皆さんの御認識と指導を心からお願いして、私の参考意見といたします。
  14. 米田正文

    委員長米田正文君) ありがとうございました。  以上で参考人各位の御意見開陳を終わりました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  ただし、河西参考人は御都合によって退席をされましたので、残りの四参考人に対して御質疑を願います。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  15. 相澤重明

    ○相澤重明君 石村参考人にお尋ねしたいのですが、あなたは先輩でもありますが、いまいろいろお述べをいただいたのでありますが、悪徳業者の追放ということが強調されまして、私も非常にいいことだと思うのですが、同時に、いま組合側の寺門参考人からもお話がございましたが、従業員の労働条件といいますか、そういうもろもろの条件について、あなたのような業者関係方々が、たとえば一つの問題点として最低賃金制の問題、あるいはこの労働時間の問題だとか、こういうような点について業界としてはどういうふうに指導されておるか、ひとつお尋ねしたいと思うのですが。
  16. 石村幸作

    参考人石村幸作君) お尋ねですが、宿泊受け入れ側としては、あっせん業者の労働者を指導というような立場でございませんが、あっせん業者のいまのこれに携わる方たちの労苦、これもいま承ったとおり、事実これは相当われわれも同情します。いまの添乗の問題のごときも。ですから、私は先ほどこの法改正に対して、一応取り締まり的な問題が取りあげられていることはけっこうだけれども、これはあっせん業者育成してやる、そしてこれを保護というとおかしいが、助成をしてやる道を講じなければいけない、こういうことをはっきり申し上げたのです。そうしてあっせん業者の質を向上させる。それをするのには、やはり業者が十分に独立して営業に携わることができる、そういうふうな道を講じてやる必要がある、こう存じます。
  17. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 関係の五名の方々、それぞれ参人考として意見を述べられました。その中には、本法が審議をされる段階で私どもとしては政府にかなり質疑をしてみなければならぬ問題がございますから、これはあとに譲りたいと思います。  そこで、簡単にこの関係参考人にきょうこの場で一応聞いておきたいという点に限って質問してみたいと思います。  その一つは、寺門さんでございましたか、御意見の中に、添乗という言葉が出てきたのですけれども、私どもどうも添乗というのは、若干説明をされましたけれども、その程度ではちょっとなかなか認識できない、こういうふうに思いますので、もうちょっと具体的に添乗なるものの内容を御説明願いたいと、こうまあ一つ思うわけです。  それともう一つは、最低のものであるけれども基準法さえ守られない、こういう実情を訴えられましたが、私どもとしても、その面では、その実態が事実とすれば、たいへん残念なことでありますし、法律を審議する場合に非常に参考になりますから、この点に関係いたしましてひとつ聞いておきたいと思います。具体的にそれぞれ労働基準法にはかなりのものが示されておりますことを私ども承知いたしております。そこで、その基準法に示されておりまする労働条件といいますか、その働く職場の環境といいますか、一つの例を申し上げますと、休養施設などどうなっているか、あるとすればそのスペースがどうなっているか、こういう点をひとつお聞かせを願いたい、こう思うわけです。
  18. 寺門克

    参考人(寺門克君) 私、不用意に「てんじょう」というふうな言葉を出しまして、皆さん御不審の点が非常にあったと思います。「てんじょう」というのは私どもあっせん業界独特の言葉でございまして、「てん」というのは添えるという字でございます。「じょう」が乗る。添え乗る、こう書きます。どういう業務かといいますと、原則的には旅行中の手配の確認並びに——東京のように交通事情が麻痺しておりますと、バスなどの輸送は、お客さんが乗っておりましても時間が狂ってしまいます。そういった場合の変更したときの臨機応変の措置、お客さんに快適な旅行をさせるための安全の確保といったようなことが主たる業務、原則的な業務といわれておりますが、実態、その内容といいますと、団体旅行というものが組織されますと、それの説明に始まりまして、駅へ集合、並んでいただく。その間に、列車の場合ですと、列車の車両の割り当てというものを駅のほうでいただいて、それを見て回る。そうして、お客さんを誘導します前に、夜行列車の場合ですと、座席と座席の間にベニヤ板を渡します。そうして寝やすいようにするわけですが、こういった板を何車両にも運びまして、車両に大体八十八人入ることになっておるというところですと、四人に一つのボックスに板を渡さなければならない。その板を全部かついでいく、毛布を配るということをやります。そうしてお客さんを誘導して突っ込む。(笑声)突っ込むと言うとおかしいですが、入れ込みまして、そうしてそこには、団体旅行になりますと、お茶を運び入れる、牛乳かんみたいなところへお茶を入れましてお茶を運び入れる、弁当を積み込む、それを配ります、そうして夜行、夜寝るわけでございますが、その寝るところというのは、私どお座席がございませんので、デッキなどでごろっとやっております。そうしますと、添乗さんちょっと起きてくれ、何だと思いますと、便所が詰まっておる。列車の便所でも、掃除をするのでございます。そういった状態で、旅行で宿へ泊まります。着きますと、きちんと手配ができておるかどうかまず確認しなければなりませんし、お客さまに部屋割りをする。きちんと部屋に行かれたか、行ったところがゆかたが足らぬ、丹前が足らぬ、ひもがないというようなことがないか、すっかり確認します。そうしておいて、夕食——たいがい団体旅行ですと会食、宴会ということになりますが、その際おぜんが一つ足りないということであっても困るし、お酒が何本出ているか、そうしてこれから何本出そうとしているか、芸者がまだ来ないけれどもどうしたらいいかというようなことを見るわけです。こうして、そういった仕事が終わりましてから、今度は翌日の旅館の手配がきちんとできているか、部屋はどれとどれをもらうということになっているがちゃんととってあるかと確認の電話をかける、あしたのバスがちゃんと時間どおり玄関の前に来ないと、五分でもおくれればお客さんからたいへんなおかんむりを受けますので、きちんと確認をしておく、こういう業務で夜中十二時を回るということがごくあたりまえなことになっております。そして、朝は一足早く起きまして、さっさと朝食をとりまして、そうして同じように、朝食がきちんと配られているかどうか、お客さんの中にぐあいの悪い人がないかどうかということを確認いたしました上で、今度は出発ということになるわけですが、お客さんがバスへ乗り込んだあとは、今度部屋を回りまして忘れ物がないか——行ってしまいますともとへ戻るわけにはいきませんから見て回る、大体こういった調子で添乗というものがあるわけです。  それから、時間外労働というものにつきましては、いまの添乗という例をはっきり見ていただけばわかるとおり、深夜勤務ということが常識化されております。そして、それは時間外労働とみなされないという事実があるわけです。みなされないというのは、会社でもそう思っていないんじゃないか。つまり添乗日当、あるいは交通公社では添乗旅費という言い方をしておりますが、そういうものを四百円ないし九百円、そういったものを支払うだけで、一切行なっていない、こういうことでございます。  それから、労働環境といたしましては、三人から四人の営業所ということになりますと、もちろん、手洗いもなければ、水道設備もない、通風も悪いようなところにおるというようなことは、いまさらあげましても、ほんとうに百聞は一見にしかず、御視察あれば非常にありがたいことだと思います。  以上でございます。
  19. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 たいへんどうもありがとうございました。  先ほどのあなたの御意見の中に、ユニオンの結成が代表的なものは、大体六社から十社ございますけれども、その中に二社程度よりない、非常に私ども何かさみしく感ずるんですね。あっせん業に携わっておる人、大小合わせまして二千幾つかあると思うんですよ、私ども資料で調査したところによると。それがわずか二社くらいの代表的なものよりない、こう言われたんですが、なぜそういうユニオンの結成にならないのか、一体どういう事情があるのか。  それから石村さんのほうにお伺いいたすのですが、あなたのほうはそういう関係で、ホテル関係でございますけれども、かなりのユニオンの結成があるということで、そのことを私は企業として非常にプラスになるものだと思うがゆえにお尋ねをするわけでございますけれども、それにいたしましてもまだまだそういうものがつくられていく数は少ないように思うのですが、経営者側としてこれからどうこういう事柄について御指導していくのか、この点ひとつ聞かしていただきたいと思う。  それから津田さんのほうには、おたくさんも、交通公社ではございますけれどもあっせん業のほうの代表ということでおいでになっておりますから、あっせん業のほうの経営者側としてユニオンの結成についてどう将来展望を持って考えているか、その点ひとつ伺っておきたいと思います。  それから具体的に、ただいま三十六条協定という問題が出てまいりましたけれども、私はここではそれが法律に違反しておるかしないかという解釈の論議はいたすつもりはございません。ですから気軽にお答えしていただきたいと思うのですが、交通公社の例でけっこうでございますから、三六協定を結んでおられると思うのだが、実際それが具体的にただいまのところ聞いておりますとなかなか守られていないのじゃないか、とりわけオーバー労働の関係は実態はどうなっているのか、お聞かせ願えれば、たいへん幸いだと思います。  以上です。
  20. 津田弘孝

    参考人(津田弘孝君) ただいまお話のございました労働組合結成のことでございますけれども、交通公社におきましては、現在は株式会社になっておるのでございますが、財団法人時代——私はっきりした年を記憶しておりませんが、戦後比較的早い時期に職員組合というようなかっこうでできまして、間もなくそれが正規の労働組合になりまして、今日までずっと、企業内の組合とでもいうのでございましょうか、労使相協調して、またお互いにそれぞれ立場がございますから、立場は十分に守りながら社業の繁栄にお互いに協力し合っているというようなことでございます。  その他の旅行あっせん業組合の結成の状況につきましては、私確聞いたしておりませんが、先ほど寺門さんからお話がございましたように、わりあいに最近に東急観光におかれまして組合ができたのでございます。その他の旅行あっせん業も、大手に関しましては一やはりこういった時代の趨勢から申しましても、漸次組合が結成されるのではないかと考えております。先ほど吉田先生からお話のございました、二千以上の業者というものは、非常に少人数——二人から十人くらいの従業員程度しか持っていないというようなのが多いのでございますので、なかなかそれ自体では、そういった小さい業者におきましては労働組合というようなものはできにくいのではないかというふうに私は考えるのであります。  次に、労働基準法、三六協定の問題でございますが、交通公社におきましては、労働協約もございますし、また最近に会社になりました場合に、さらに実情に合いますように、労働組合と相談をいたしまして協約の改正を行ないまして、したがいまして、それによりまして三六協定というものは平常時はあるわけでございます。  オーバー労働云々の問題でありますが、これは三六協定は社といたしましては厳格にこの協定の定むるところに従いまして守っていっているわけでございます。ただ、先ほど寺門参考人からもお話がありましたように、われわれの業態の性質上から申しましても相当ピークとピークでないときがある、ピークのときは非常に労務はいわゆるオーバー労働になる。かといって、オフ・シーズン——ピークでないときも、遊んでいるわけではないのでありまして、来たるべきピークに備えて万端の準備を、社のあらゆるフロント、全員にやってもらっているというような状態でございまして、オーバー労働云々という問題につきましては、これは若干抽象的な用語でございますし、またそれぞれの立場によってどういうふうに考えるかという問題もあると思うのでございます。少なくともわれわれは、私の社といたしましては、労働基準法、それによって結ばれている三六協定等々は、相互十分に尊重いたしておると私は考えております。
  21. 石村幸作

    参考人石村幸作君) 旅館等におきましての労働条件、これはなかなかむずかしいことでして、とかく過去におきましてはすこぶるルーズというように見受けられました。そこで、時代の進展に伴って、サービス業であってもどうしても労働基準法をもとにした労働条件を確立しなければならぬということは業者もだんだん目ざめてきまして、同時に連盟におきましても、特に労働問題の研究部会等も持って、そうして絶えず研究をし、そうしてまた業者に認識させる、こういうように持っていきました。つまり就業規則というものも労働基準法に沿ったものをつくり、したがって賃金制度、それから退職金制度とか、またその他の社会保険、こういうようなものを全部取り上げて、そうして近代的な労働条件を確立して、そうして従業員が安心して労働意欲を発揮する、そういうところまで持っていくべく、いませっかくお互いに研究もし、そうしてまた業界に指導をしているわけでありまして、だんだんとその線に沿って向上しつつあるということは事実でございまして、なおこれを強化するそれ自体が、いまの労力不足、人手不足、これをまた解決する一つの道でありまして、それで働いている従業員が喜んで労働意欲を発揮する、こういうふうなことを業界の連中がだんだんに認識してきておりまして、これをなお一そう強化するように指導、またみずからも研究していく、こういう態度でいまおります。
  22. 江藤智

    ○江藤智君 津田さんちょっとお伺いします。  法案に直接関係があるわけじゃありませんが、先ほど航空運賃の差が日本に対する外客誘致に相当なハンディキャップになっているというお話で、これはもうわれわれも非常にその点を感じているのでございますけれども、たとえば、ハワイにあれだけたくさんアメリカ人が来ているので、もう一足飛ばして日本にこれを持ってこれないだろうか、そのときに一番問題は、やはり航空料金が高いという問題なんですね。ところが、一方、現在の航空料金というものは国際協定で非常に厳格に縛っておりますね。しかし、このごろジェット時代になって相当輸送力もついてきておりますし、まあエコノミーのまた下くらいの何か協定ができれば、日本に来るお客さんは少ししんぼうして安いクラスで入ってくる、こういうような道もなくはないじゃないかという気持を私内々持っていたんですが、旅行あっせん業のほうで、そういう料金を低めるというようなことについて、IATAのほうにでも申し入れをされるとか何とかというような具体的な動きをなさっているわけでございますか。
  23. 津田弘孝

    参考人(津田弘孝君) 私も、ちょっといつでございましたか忘れましたけれども、最近——この一両年、毎年太平洋観光会議−パシフィック・エリア・トラベル・アソシエーションですか一というような会合がございまして、そこには旅行関係−太平洋に岸を接しておりまする諸国、諸地域の旅行業者あるいは航空関係者等々が集まる会合がございます。ことしは、最近にシドニーであったのでございます。そういう際に、やはり毎回、日本だけでなしに、太平洋諸地域にアメリカ人あるいは欧州人を誘致するのには、その航空運賃がやはり非常な障害になっているというようなことにつきまして、公式、非公式に非常な議論をされたというふうに承っておりますし、また、これは私あるいは間違いならば取り消しをさしていただかなければならぬと思っておりますが、やはり太平洋を飛んでおられます日本航空あたりは、あまりこれには御賛成でないというふうに聞いておるのでありますが、これはむしろそういうことでなしに、やはりそういう太平洋運賃が下がるということによってたくさんのアメリカ人——外人が日本航空に乗られるという将来を見越して、やはり太平洋運賃の値下げについては日本の航空関係機関も大いに賛成のほうに向かっていただきたいというふうに考えております。
  24. 江藤智

    ○江藤智君 まあこれはぜひ、日本国際観光を発展させる意味では、航空料金を引き下げるほうに進まなければいかぬと思いますが、ちょうどいま日本航空の話が出たのですが、貿易外収支の関係では海運とか航空のやはり赤字というのが非常な大きな問題になって、非常にわれわれが関心を持っておるわけなんです。それについてまだまで、日本旅行者実情を見ますというと、日本航空が使えるところでも日本航空を使わないで外国の航空会社を使っている率が、ほかの外国に比べまして非常に高いですね。そこで、政府関係旅行をする人については、閣議決定で、できるだけ日本航空を使えということは、これは指令が出ておりますけれども、これはやはり旅行あっせん業方々にもそういう頭で見ていただかなければ、なかなか、日本の飛行機を使うといっても、これは強制できるわけじゃございませんから、実績があがらないと考えておるのですが、そういう面については、やはり旅行あっせん業方々のほうでも、できるだけ外貨を節約するという意味で日航を使うというような考えでやっておられるわけでございますか。
  25. 津田弘孝

    参考人(津田弘孝君) ただいま江藤先生からお話しのございましたような、方針といたしましては、そういう方針でやっておるのでございます。ただ、いろいろ旅行者が実際に経過せられまする旅行地あるいは地域の関係等々から申しまして、お客さまから特に何々航空会社というような御指定のあります場合は、これはまた別でございます。そうでない限りは、できるだけ日本の航空会社に乗っていただくというようなふうにおすすめをいたしておりますし、また、先般私どもの社が株式会社になりました際に、国鉄等に御出資願ったのでありますが、その際に、やはり日本航空にも御試乗を願い、またそこの社長が私どもの取締役をしておられるというような密接な関係から申しましても、できるだけ日本航空をおすすめする、こういうような方向にいたしたいと思っております。また、その他の国際関係旅行を扱われる旅行業者におかれましても、おそらく国策的な見地からそういうふうにやっておられるであろうというふうに考える次第でございます。
  26. 江藤智

    ○江藤智君 これは交通公社さんそういうふうにやっていらっしゃるとしまして、違っておったら御訂正願いたいのですが、どうもいろいろ、あるエージェントの方がそれぞれのやっぱり外国の航空会社と特殊な関係があって、ここへ来たらパンを利用するとか、ここへ来たらノースウエストだとか、何かそういうふうな特殊のコネクションがあるのじゃないかと思うのがございますが、そういうことはあるのでございますか。もし御存じならば、これは全体のあれですから。
  27. 津田弘孝

    参考人(津田弘孝君) 私ども方針といたしまして、お客さまが希望されましたらば、その航空会社を原則として乗っていただくということになるわけでございます。そうでないような場合には、やはり、先ほど申し上げましたように、できるだけ日本の国の航空機関を利用されるというのが、国家的、日本国民としては当然のことでございます。ただ、なかなか外国の航空会社も商売熱心でございまして、私ども海外旅行関係を取り扱っておりまする営業者、あるいは取り扱いをやっておりまする社員、担当の者等々に対しまして、その外国の航空会社は、自分の会社のいろいろな意味における優位性というものを非常に鼓吹されるということは、これは商売の関係で当然のことだろうと思うのであります。そのような関係から、やはりこれは日本の国内の旅館の場合あるいはバスを選択する場合等々にも間々あることでございます。これも方針はしっかりいたしまして、適当にその間における、まあ、ある営業者あるいは社員による若干の取り扱い方の違いというものがニュアンス的に出てくるのも、これも全然そういうことはない、あるいは禁じているという次第ではございません。方針といたしましては、先ほど申し上げましたような社の方針といたしております。
  28. 小酒井義男

    小酒井義男君 石村参考人にお尋ねしますが、現在旅行者ですね、宿泊するのは、あっせん業者の手を通じて来るのとそうでないものとではどのくらいの比率になるのでございましょう。
  29. 石村幸作

    参考人石村幸作君) これは旅館側の、受け入れ側の業者によって違いますが、よくこれは統計的にとっている店もありますが、ちょっと総括的にはわかりませんが、概して言うならば、外人の場合だとほとんどあっせん業者を通じたのが多い。それから日本人の客とすると、あっせん業者を通じたほうが少ないのじゃないか。たとえば、お客さんの旅行者がいろいろな団体で、たとえば商業関係、農業協同組合、そういうふうなものが来る、その数が非常に多いものですから、比較すると、数字の点においてはあっせん業者を通じたのは少ない、こんなふうに思っております。
  30. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから、申し込みがあった場合に、それが登録されておるあっせん業者であるかどうかというようなことはすぐわかるのでしょうか。
  31. 石村幸作

    参考人石村幸作君) これは旅館とそれからあっせん業者とは契約しております、ほとんど。それで、その旅館のほうからはタリフというやつを送って、それからまた詳細な契約ができておりますから、その契約に基づいて紹介がりまた申し込みがあった場合は受け入れる、こういうことであります。ですから、さっきちょっと私申し上げましたが、旅館のほうで認めていないあっせん業者ですね、それがそういうことを百も承知していて、旅館——クーポン券を切ってお客さんから金を取る。そうすると、そのクーポンをもらったお客さんは旅館に行くと、旅館のほうでは契約がない。これはもう不都合な業者だという見当もつきますし、受けない。そうすると、旅行者が全然損をする、こういう実例が相当ある。
  32. 小酒井義男

    小酒井義男君 そういう場合でも、旅館としてはお客さんを泊めなければならぬ、金が入らぬとわかっておっても、契約しておるところのなには守ることになるのですか。
  33. 石村幸作

    参考人石村幸作君) その場合は、クーポンというものを受けません。しかし、宿泊を申し込まれたら、それはお断わりすることはできない。それで宿泊は受け入れる。しかし、代金の支払いは、クーポンはもうお断わりする、こういうことであります。
  34. 小酒井義男

    小酒井義男君 篠田参考人にお尋ねするのですが、いまホテルがどんどんできていきますけれどもホテルの従事員というのを募集するのに相当志望者はいまでもあるのですか。
  35. 篠田成夫

    参考人(篠田成夫君) 最近の動向としまして、都市部においては志望者が非常に少なくなってきているわけです。どうしてもやはり他府県に出ていくという傾向が多く、関西あたりでは九州方面、あるいは東京においても長崎方面にまで出向いているわけです。そういったようなわけで、志望者はありますけれども、いわゆる都市部における在住者のホテル志望者というのは毎年減ってきておる状態であります。
  36. 小酒井義男

    小酒井義男君 先ほど勤続何年でどのくらいの収入というお話があったのですが、ホテルの勤務者というのは、大体食事はホテル側で出しておるということだと思うのですが、そうかということと、それから外国の場合ですと相当チップがもらえるわけですが、日本の場合はほとんどそういうものはいまないのでしょうね。
  37. 篠田成夫

    参考人(篠田成夫君) 食事の点につきましては、飲食業的なものでありますから、これは大体組織されているといないにかかわらず、大体給食されていると思います。私たちの組織されている傘下のところでは、二食が完全給食という形をとられているわけで、最近やはり原料費の値上がりで、一食当たり多いところで五十円内外です。四十円から五十円というのが一食当たりの給食費になっているわけです。それから、これも実際に扱っているものから比べれば非常にお粗末なものになるわけでありまして、募集の場合、一例をあげれば、帝国ホテルで食事つき何万円あるいは何千円という募集のあれを出しますと、これは給食の中にそれ以外のものが含まれている、こういったふうな、給食に対しては外見のほうがよくて実質的にはまだまだ私たちのカロリー補給源にならないような状態だと思うわけであります。それから、外国等におけるサービス料と日本におけるサービス料、これはまあ国の政策としてのサービス料の指導方法によって違っておりますが戦前におけるチップマン制度というものは、戦後においてはこれは廃止されまして、実際に各ホテル、ことに外国人の観光客を迎えるホテルにおいても、これは絶対に受け取ってはならないというような指導の中でされております関係上、サービス料、いわゆるチップという形での収入というものは従業員の中には皆無にひとしいわけです。
  38. 小酒井義男

    小酒井義男君 ありがとうございました。
  39. 相澤重明

    ○相澤重明君 篠田参考人にお尋ねいたしますが、あなたのいまの結成されておる全国ホテル労働組合連合会ですね、どのくらいの軒数、人数が参加されておるのですか。
  40. 篠田成夫

    参考人(篠田成夫君) 大体東京地区で十一、それから神静——箱根を境としまして川奈が入っておりますから神静と申し上げておりますが、これが八カ所、それから中部に三カ所、京都——これを関西地区と申しますが、関西地区が四カ所、以上が大体各単組の状況でございますが、その組織人員は、届け出られて私どものつかんでいるのは大体六千人という状態でございます。
  41. 相澤重明

    ○相澤重明君 石村参考人にお尋ねいたしますが、だいぶ全国ではたくさんのホテルがあるように思うのですが、また先ほどのお話では、ホテル旅館の差別もできるだけなくすようにという御趣旨もあったと思うのです。そういう中で、いまの篠田参考人のお話を聞いておりますと、ホテル経営者の中には組合関係というものはあまり好まれないものもあるのではないかという気がするわけです。わずか二十五軒かそこらで、六千人ぐらいのものしか参加しておらないということになると、いろいろ経営上のお話し合い等についても不便な点が多いのじゃないかと思うのですが、ホテル関係としては、従業員の問題について、特に従業員組合とか、労働組合とか、そういうものの結成等について、それを拒むというような方向はないのですか。また、現状については、全国で幾らですか、ホテル整備をされておるものだけでも六万軒ですか、あるという、だいぶ大きな数字——これは小さいものも含んでいるようですが、言われておるのですが、そういう中でも、いまの篠田参考人のお話を聞いておると、あまりにもさびしい気がするのです。そういう点、業界としては一体どういう御趣旨なのか、現状についてどうお話しになっておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  42. 石村幸作

    参考人石村幸作君) ホテルの場合はいま説明があったようですが、日本旅館としては、組合をつくっておるところもあるでしょうけれども、わりあいに少ないのです。これは働いている人たちの数も相当少ないので、したがってまた営業のあり方等もホテルとだいぶ行き方が違っておる。こんなふうで、組合がわりあいに発達していないというとおかしいですけれども、ないところが多いようです。しかし、さっき申し上げました、経営者が自主的に労働基準法を根幹にしたいろいろの労働制度、これをやはり、現代的というか、樹立して、そして働く人たちの労働意欲を盛り上げてもらうとともに、福祉を増進してやらなければならぬ、これは確かに目ざめてきております。特に私ども連盟では、この就業規則というもの、モデル的なものをつくって、そいつを各業者にひな型にして渡して、人に言わせると、こんなりっぱなものをつくってこれが実行できますか、旅館でここまでやるのは行き過ぎじゃないですか、実行できないでしようなんてひやかされますが、しかしそこまでいかなければおくれますから、そんなふうに指導してやっております。したがって、いま労働組合云々は、まだそうみな大きな関心を持っておりませんけれども、そういう状態でございます。
  43. 米田正文

    委員長米田正文君) 以上、参考人に対する質疑は終わりましたので、参考人に対しまして委員会を代表して一言お礼を申し上げます。  参考人各位におかれましては、御多用にもかかわらず、長時間にわたりまして本委員会の審議に御協力を賜わり、それぞれ有益な御意見及び御答弁をいただきまして、まことにありがとうございました。本委員会におきましては、本日の御意見を今後参考として審議を進めてまいりたいと存じます。たいへんありがとうございました。  速記をとめて。  〔速記中止〕
  44. 米田正文

    委員長米田正文君) 速記を始めて。  本日はこの程度とし、次回は十二日午後一時開会の予定といたします。  これで散会いたします。   午後一時一分散会      —————・—————