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1964-06-05 第46回国会 参議院 オリンピック準備促進特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月五日(金曜日)    午後一時二十五分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     佐藤 尚武君    理事            河野 謙三君            西田 信一君            岡田 宗司君    委員            田中 茂穂君            安井  謙君            山本 利壽君            伊藤 顕道君            柴谷  要君            田中  一君   国務大臣    国 務 大 臣 佐藤 榮作君   政府委員    警察庁交通局長 高橋 幹夫君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    文部省体育局オ    リンピック課長 西田 泰介君   参考人    東京消防庁消防    総監      江藤 彦武君    オリンピック東    京大会組織委員    会事務次長   佐藤 朝生君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○オリンピック東京大会準備促進に関  する調査  (治安対策に関する件)  (消防対策に関する件)  (インドネシア参加問題に関する  件)  (入場券問題に関する件)   —————————————
  2. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) ただいまからオリンピック準備促進特別委員会開会いたします。  オリンピック東京大会準備促進に関する調査を議題といたします。  本日は、治安対策消防対策入場券等の諸問題について調査を進めます。  なお、委員長は、本件調査のため、参考人として、東京消防庁消防総監江藤彦武君、オリンピック東京大会組織委員会事務次長佐藤朝生君、以上の方々に御出席を願っております。  それでは、最初に、オリンピック東京大会時における警察活動概要について説明をお願いいたします。高橋警察庁交通局長
  3. 高橋幹夫

    政府委員高橋幹夫君) お手元にお配りいたしました「昭和三十九年六月、オリンピック東京大会時における警察活動概要警察庁」という資料に基づきまして、警察が行ないますところのオリンピック大会時におきますところの警察活動概要について、簡単に御説明を申し上げます。  目次に示してありますとおり、「警察活動体制基本方針」、これを二つに分けまして、「オリンピック行事に伴う警察活動」と、それからもう一つは、その行事全体をバック・アップいたしますところの「一般治安維持のための警察活動」、こういう二つ項目に分けまして、警察活動体制方針を、いろいろ私どもは練っておる次第でございます。  オリンピック行事に伴いますところの警察活動概要のおもなる項目を申し上げますと、競技場周辺交通規制の問題、開会式閉会式当日におきますところの警察活動——マラソン等の、 いわゆる路上競技当日の警察活動、その他のいろいろな各種競技が行なわれます。その当日におきますところの警察活動、それから聖火リレーの当日の警察活動、それからさらに、多数の選手役員等が宿泊されますところの選手村及びその周辺におけるところの警察活動、さらに、選手等の輸送に伴いますところの、これの誘導その他の警察活動各種競技場その他におきましての駐車対策、さらには、第九項といたしまして、交通情報センター警視庁にありますところの交通情報センターを活用いたしまして、都内全般におきますところの一元的な交通処理対策を行なう、さらに、いろいろ外国観光客外国人が多数来られますので、これらの方々に対する接遇の問題に関して起こりますところの通訳センター設置、それから外国選手役員、あるいは一般観光客が出入をする場合におきますところの羽田空港、それから横浜港等におきますところの出入国関係に伴いますところの警察活動、さらに、今回の道交法改正によりまして成立を見ましたところの国際運転免許証関係において問題の起きますところの外国運転者対策、第十三に、オリンピック国民運動推進機関、いわゆる交通道徳あるいは商業道徳その他一般のいわゆる国民運動推進機関との連携強化、第十四には、それぞれの行事に、自衛隊、消防等協力いたしまして、私どもの持ちます警察音楽隊をこれに派遣をするという問題でございます。  これが、オリンピック行事に伴う警察活動のおもなる項目でございますが、一般治安維持のための警察活動は、これらの行事が行なわれ、なおかつ諸外国方々が来られておりますときに、国内の治安犯罪防止、これらの関係が円滑にいくというために、後方の一般治安維持のために警察力をいかに運用するかという問題があるわけであります。特に、オリンピック行事に関連いたしまして、多くの警察官をこれらの行事にさく関係上、それの間隙に乗じて犯罪が起こる、あるいは警察力の手薄があってはならないということで、一般治安維持をいかにして確保して、安全な都民の生活あるいは外国人の滞日中におけるところの安全を確保するかということが、この一般治安維持のための警察活動でございます。  第一は、いろいろ問題になっておりますが、巡回連絡強化をいたしまして、各種行事あるいは犯罪その他一般的な問題について、巡回連絡を通して警察と民間との連絡強化していく。  第二は、警ら活動強化し、列車警乗及び移動警察等活動強化していく。  第三に、ホテル旅館等に対しまして、いろいろ、これらの施設、あるいはそこにおきますところの従業員等に対する防犯指導等を行なう。  第四は、環境浄化——いわゆる都内には、多くの盛り場、いろいろな風俗上から見て、また警察から見て、多くの問題のあるような場所があるわけでありますが、それらの環境浄化をはかるという意味におきまして、風俗営業に対する指導取り締まりをどうするか、あるいは売春等取り締まりをどうするか、浮浪者泥酔者精神錯乱者等に対する防犯対策をいかにするか、あるいは防犯モデル地区等をつくって、その地区におけるところの環境浄化をはかる活動推進をいかにするか、さらには、東京都内あるいはそういう要点を明かるくするという意味におきまして、防犯灯及び街路照明灯整備推進をいかにしてはかるか、たとえば選手周辺その他関係方面防犯灯及び街路照明灯整備促進をはかる。  その五は、犯罪取り締まり——いわゆる暴力犯罪等取り締まり強化する。第二は、特に問題になりますすり犯取り締まりということについて、いろいろすり係りの養成あるいはそれらの警察官活動状況、あるいはすり犯に対する取り締まりやり方というようなものについていかにやっていくか。あるいは、第三は、粗悪みやげもの商のいわゆる暴利行為等に対する対策。また、これらの観光客の中には必ずしも全部質のいい外国人でもございませんので、中には、好ましからざる外国人も入国してまいりますので、不良外国人によるところの犯罪防止とそれの取り締まりを行なう。  第六に、これらのオリンピック期間中、行事にも関連いたしますが、来日される外国人、これらは、民族、宗教、思想、いろいろ違うわけでございますので、それらのいわゆる違いから生ずる相互の考え方の相違というようなものに関連して起こる、外国人同士、あるいは外国人日本人との間の紛争の防止というようなことにつきましていろいろ問題があるかと思いますので、それらに対する対策を練っておるのでございます。  これらの項目に関しまして、いろいろこまかい点につきましては、お手元に差し上げてありますところのそれぞれの項目についての説明がございますので、これらを読んでいただきまして、私からの説明は一応この程度にとどめたいと思います。  また、後ほどいろいろ具体的な御質問に応じましてお答えをいたしたいと思います。
  4. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) では、次に、オリンピック東京大会時における消防対策概要について説明をお願いいたします。江藤東京消防庁消防総監
  5. 江藤彦武

    参考人江藤彦武君) オリンピック東京大会時におきます消防対策概要につきましては、お手元に差し上げました冊子をごらんいただきたいのでございますが、大体大要を申し上げますと、オリンピック東京大会消防対策といたしまして、現在までに東京消防庁がやってまいったこと、今後、オリンピック大会までの行事と、大会当時の行事対策、この三つに分けて御説明を申し上げたいと存じます。  大体、今回の大会におきまして、十月十日から二十四日にわたりまして、都内におきまして二十の会場がございます。これらに対しまして、当庁といたしましては、防災及び人命の安全確保ということを主眼にいたしまして、火災予防査察あるいは警戒、鎮圧あるいは救出救護並びに会場管理等を重点的にいたすと同時に、オリンピック組織委員会に対しまして、支援業務を実施することに相なっている次第でございます。  このことにつきまして、三十六年一月、すでにこれが審議機関といたしまして、東京消防庁に、オリンピック対策委員会を設けまして、関係機関との連携をはかり、またさきに行なわれました国際スポーツ大会におきまする状況等参考にしまして、順次これが対策を補充策定いたした次第でございます。去る四月十五日に、東京消防庁オリンピック対策本部設置いたしました。四月十三日に消防学校に管下全消防署長を集めまして、本年度におきまするオリンピック対策基本方針を示したわけでございます。  つきましては、その事前対策につきまして申し上げたいと存じます。  第一点は、火災予防条例に基づく使用検査の問題でございます。競技場施設及び宿泊施設は、目下建築中でございますもの、また今後建築されるもの等を考えまして、中間検査及び完成後の使用検査を綿密に行ないまして、使用前に不備欠陥を是正いたすということを現在庁においてやっている次第でございます。  第二点としては、防火管理制度確立でございます。先般の消防法改正によりまして、防火管理者制度の充実が決定いたしましたので、これらの管理者の講習を十分にいたしまして、質的向上をはかると同時に、いわゆる管理者中心にいたしまして、自衛消防隊訓練強化指導強化をいたしているところでございます。  次は、事前査察でございます。競技場ホテル旅館民泊施設あるいは選手村等、都内におきまして千八百三カ所の査察個所がございますので、それの一斉査察を八月末までに行ないまして、不良個所に対しましては、九月末までに確認査察を行ないたい、こう思っている次第でございます。これに要する消防職員延べ人員は六千百八十人になろうかと存じます。  次に、救急救護の問題でございますが、各競技場における警戒配置体制確立事故発生時におきます総合消防力効果的運用をはかるため、各競技場救急救護及び警防計画を策定いたしまして、九月末日までに各競技場ごと総合演習を実施いたしまして、万全を期したいと考えている次第でございます。  次に、教育訓練の問題でございます。査察員あるいは担架隊員警防隊員救急隊員支援隊員通訳要員に対しまして必要な訓練を施すべく五月一日からこれを強化している次第でございます。  次に、第三の大会時におきまするところの警戒体制につきまして御説明申し上げたいと存じます。  本部の構成といたしましては、総本部を置きまして、方面警戒本部を八カ所に設けまして、次に現場警戒本部を二十八カ所置きまして、これらの消防の任務の完遂を期したい、こういう命令系統をいま現在策定いたしておるところでございます。  これに対しまして、動員いたしますところの消防職員は、各競技場に対しまして、大会時を通じまして延べ三万六千余人に相なるかと思います。消防車両におきましては、ポンプはしご車救急車その他を含めまして四百九十五台、担架隊六百五十八隊、これだけの動員計画を持っておる次第でございます。  次に問題になりまするのは、選手村に対しまする消防上の特別警戒でございますが、人種、ことば、その他いろいろ風俗習慣の異なる方々が集まりますので、万一選手村等に火災が発生した場合等を考えまして、これが防火管理強化をいたすと同時に、査察を十分いたしてまいらなければならぬと存じておる次第でございます。それで、代々木村に九月の十五日から十一月五日まで特別消防署設置いたしまして、この期間におきまして、ポンプ車二台、はしご車一台、救急車一台、延べ六十四人の者を配置いたしまして、万全の警戒警備に当たりたいと存じます。  次は、閉会式でございますが、開会式には前段申し上げたような基本方針で臨みたいと存ずる次第でございます。  その他、聖火コースの問題、あるいはマラソン対策等、詳細に消防警備警戒計画を樹立しておる次第でございます。  はなはだ簡単でございますが、一応当庁でとっておる方針を御説明いたしました。
  6. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 以上で説明を終わりまして、これより質疑に入ります。  まず、治安対策に関する件について質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 河野謙三

    河野謙三君 ただいま概略御説明を伺いまして、非常にこまかいところまで御配慮いただいておることにつきましては、きわめて満足するのでありますが、ただ、これを実行に移す場合に、すべてこれは人の手でやることですから、その予算的の裏づけは一体あるのですか。
  8. 高橋幹夫

    政府委員高橋幹夫君) これらのオリンピック警備活動、その他の警察活動の場合におきますところの装備資材等につきましては、オリンピック組織委員会におきまして要求されました予算、それから東京都において私どもから、警視庁から要求いたしました予算、それから警察庁から大蔵省に対して要求いたしました予算、この三本立てになっておるわけでございます。組織委員会等におきます予算については、いろいろと組織委員会方々の御努力によりまして、ほぼ満足すべき状態の予算を獲得いたしております。それから大蔵省に対します予算も、警察装備全体につきまして、車両あるいは通信器材、その他雑踏整理器材等につきましても、本来の警察活動に必要な装備器材予算をある程度獲得いたしておりますが、さらに必要なものにつきましては、先般来いろいろ予備費支出等につきまして、大蔵当局と私どもと折衝をいたしておる次第でございます。東京都につきましては、警察官活動に伴いますところの超過勤務等につきます予算を請求いたしておりますが、これは、そのつどそのつど私ども予算に計上いたしまして、東京都から予算の配付を受けている、こういう実情でございます。
  9. 河野謙三

    河野謙三君 この際、参考に伺いたいのですがね。何ぶん長期間にわたって増員をするわけではないから、きめられた定員の中で超過勤務が長きにわたって続くわけですね。私は、超過勤務手当だけでも相当な金額になると思う。しかも、超過勤務相当だけで済む問題ではなくて、それに耐え得るか、耐え得ないかという、そこら辺に臨時の人員等配置もある程度考えておるでしょうが、たとえば、ある県から人を寄せるとか、そういうものを総体に見まして、一体人件費だけでどのくらいになります。
  10. 高橋幹夫

    政府委員高橋幹夫君) ちょっと予算超過勤務その他の人件費について、たいへん申しわけございませんが、私の手元にいま資料がございませんので、後刻資料を提出したいと思いますが、警察官応援につきましては、大会期間中、他府県警察から警察官応援を求めたいということで、現在警察庁警視庁中心になりまして、応援警察官の人数、規模、これについて検討いたしております。大体の考え方は、関東管区学校に入校いたしております警察官を毎日千名ずつ部隊編成をいたしまして、大会期間派遣をしてもらうと、こういうような計算をいたしております。
  11. 河野謙三

    河野謙三君 予算裏づけは大体できつつあるようでありますが、これは、この予算だけは完全に裏づけ——ここに組織委員会おられますが、特に総元締めの佐藤大臣がおられますが、これは、何としても、この予算だけは完全に裏づけをしてやらぬと、たいへんなことになります。そういう意味合いで、ひとつぜひお願いいたします。  私がこの機会に伺いたいのは、治安対策について、特に重点的の対象になるのは、外人ですね。その場合に、われわれの、しばしば外国に行きました経験からいきましても、行きますと、在外公館に行きまして、オリンピック開催時におきましての活動制限というのがどこでもあるわけです。それをやはり在外公館としていろいろ御説明を願って、どこに行っちゃいかぬとか、どこに行く場合にはどうしろとかいうのを教えてもらう。今回も、それぞれの国の在外公館と、外務省が主宰になりますか、あなたのほうが主宰になりますのか、一応オリンピック開催時におきましての治安対策はこういうワク内でやる、したがって、選手並びに役員活動において、きわめてフリーにするつもりであるけれども、必要やむを得ずこれだけの制限があるというようなことをあらかじめお打ち合わせをしておかれませんと、ただ外人が動くがままに、あなたのほうで治安対策で苦労されるということでは、万全の治安対策にならぬと思うのですね。そういうふうな、在外公館を通じてオリンピック開催時におけるところの外人活動、これに対する制約、こういうものをお打ち合わせをされるような手順はできておるかどうか、私はぜひ必要だと思うのですが。
  12. 高橋幹夫

    政府委員高橋幹夫君) この点につきましては、日本東京都内なり、あるいは各府県の観光地、あるいはその他の場所につきましても、必ずしも警察上から見て好ましいというところばかりではございません。それらの点については、やはり率直に、こういう地域についてはいろいろな問題があるということを、正しい情報を相手方に伝えるということはきわめて必要だというふうに私ども判断をいたしております。これらのやり方につきましては、ただいま御指摘在外公館を通ずる、あるいは選手役員等に対する組織委員会を通してのいろいろな働きかけというような、いろいろな方法で、警察上から見て、いま御指摘になったような点についての連絡は十分につけたいと、こういうように考えております。現に、私どもの係官を、先般イタリアのサレルノで開催されました欧州の自動車のいわゆるオーナー・ドライバーの集まる団体派遣をいたしまして、東京都におけるところの交通事情交通規制状況並びにオリンピックに対する警察並びに一般活動状況なり準備状況というようなものについて説明をする機会を得たというようなことをやっておりますが、今後ともに、十分関係機関協力をいたしまして、それらの情報連絡等について遺憾のないようにいたしたいと、こういうように考えております。
  13. 河野謙三

    河野謙三君 あまり危険だ、危険だと宣伝するのも、これは国の恥になりますから、そこのところは程度の問題があるでしょうが、やはりある程度在外公館を通じて、オリンピックに来る選手はもちろんのこと、観光客にはよく周知徹底さしておきませんと、取り締まり対象があまりに広くなって、実際上できないのじゃないか、こういうふうに私は思うのです。  そこで、いまもちょっとお触れになりましたが、東京でも、はなはだ遺憾ながら、いまは赤線地域とは言っていませんけれども、そういう地域制限区域外であるということをきめて指導されませんと、また、日本でもあまりいいところばかりではありませんから、また、われわれ外国に行きましても、そういうところがあると、そういうところにむやみに行きたいものでありますから、そこらのところは事前によく打ち合わせをされるのも、私は治安対策ではないかと、こういうふうに思います。  それからオリンピックが始まりますと、いままで日本オリンピックはやっておりませんけれども外国人を呼びましていろいろ競技会をやりますと、日本の御婦人が非常に国際的になったと言えばそれまでですけれども、むやみやたらと選手宿泊所あたりに行って、サインを求めるだけならいいけれども、それ以上のところまで発展して醜態を演ずる例が非常に多いのです。また、選手村等は、ここに組織委員会の方がおられますが、入場券等がなければ、だれでもむやみに入れませんでしょうけれども宿舎あたりは、なかなかそういうわけにいかぬと思うのですが、これらに対して、婦女子の——ここに売春行為というのがありますが、売春行為までいかないまでも、それ以前のもので、何かある程度一定の制限を加えるということは必要じゃないかと思うのですが、それらについては、何かお考えになっておりますか。
  14. 高橋幹夫

    政府委員高橋幹夫君) いまの御指摘の点は、従来、たとえばアジア・オリンピックの際にも私どもそういう苦い経験を持っておるわけでございます。そして、なかなかむずかしい、非常にデリケートな問題で、それらの点について、私ども警察のやります活動というものがおそらく非常にむずかしいと思います、率直に申し上げて。ただ、選手周辺におきますところのそれらの問題につきましては、私ども選手村を直結いたします特別の警察署というものをつくりまして、外周警察活動を担当するというふうにいたしておりますので、それらの問題と関連して、選手外周に集まるであろうと思われるいま御指摘のような関係は、いろいろと私ども苦心をして善処したい。ただしかし、その他の場所につきましては、これはなかなかいろいろ問題があるかと思いますので、十分総合的に考えまして善処したいと、こういうふうに思いますが、率直に申し上げて、非常にむずかしいというふうに考えております。
  15. 山本利壽

    山本利壽君 いまちょうど河野先生からお話がありましたが、サインの問題ですが、これは、いろんな混乱を防止する意味からも必要だと思って、私ちょっと発言したのですが、組織委員会あたりから、各学校あるいは各婦人会とか、いろんなほうに向かって、むやみにサインを求めないような運動を起こされたらどうかと思うのですが、そういう配慮があるかどうか。また、むやみやたらにサインサインと書いてもらって、あとは捨ててしまうかなんかなのが多いと思うのです。だから、日本の、ことに女の子とか、いろんなものが、ほんとうに名刺のはしくれか手帳のはしくれか、いろいろなものに、サインサインといって集まって、そのために混乱すると思うから、その点十分考えて、先ほど申しましたように、学校とか婦人会とか青年団とか、いろんな方面に向かって、それをやめるようにという運動をされたほうがいいんじゃないかと思いますが、その点どうでございますか。
  16. 佐藤朝生

    参考人佐藤朝生君) ただいまの御質問でございますが、私のほうだけの力では、なかなかうまくいきません。これは、各方面の御協力を得ませんと、できません。東京都でありますとか、あるいは国民運動団体でありますとか、各方面の御協力を得てやっていきたいと思っております。
  17. 山本利壽

    山本利壽君 いまの点は、やはり組織委員会あたりから、そういうふうな要請を、協力を求められるということが必要だと思うのです。  もう一点は、先ほどの御説明の中に、通訳センター設置ということがありますので、それに関連して言いますが、ここにあるのは、主として警察官のための通訳関係だと思うのですが、全体的な、外国人がたくさん来るための通訳ということをどういうぐあいにしておられるかということを聞きたいのと、この間新聞投書が出ておって、私非常にいいことだと思ったから、この際申し上げておきますが、これも各方面協力を求めて、語学のできる人にはバッジをつけてもらっておく。町行く人にでも何にでも。その新聞に出ておった人の投書の案では、英語のできる人はE、フランス語はFとかいうように、わかりやすいバッジをこしらえてつけておれば、外国人が町を歩いていても非常に便利じゃないかと思うのです。いろいろ競技場その他でも、通訳ということは十分準備はあるでしょうけれども、これからなかなか通訳というものは数をそろえるということもたいへんだし、それからそういうところに登録して、自分がその間にお金をもらって通訳の仕事をしたいという人もありますけれども、そんな金も何も要らぬけれども、快く語学ができる人がこの際協力するということは、私は国民運動としても非常にいいと思うのです。そういう点の配慮もあるのかどうか。あればけっこうですが、なければ、私新聞を見て、いいアイデアだと思ったから、ちょっと申し上げたのです。
  18. 西田泰介

    説明員西田泰介君) オリンピック国民運動連絡会議の中にございます国際理解部会におきまして、全員通訳運動というのを起こしまして、それがただいまのお話の新聞に出たのだと思いますが、お話のとおり、バッジをつくりまして、これを申し出ていただいた方にお配りをして、自発的な通訳をしていただくということをただいま進めております。
  19. 河野謙三

    河野謙三君 高橋さんにもう一つ伺いたいのですが、この前私は、限られた警察官で、なかなか現状の治安状況から勘案しまして、外人の身辺の保護、これはなかなか期せられないと思うのです。そこで、たとえば、料理屋とかバーに行く場合に、指定のバーとか、指定の料理屋とか、指定の区域とかというものをきめて、その土俵の範囲内の治安の確保はできる、それを、無制限に、どこまでも歩くというなら、それはとても追いかけきれない、こういうふうなことでございまして、そういう何か一つの土俵をきめたらいいのじゃないか。たとえば、銀座なら銀座とか、銀座でもどことどこだとか、あまりこまかく制限はできませんけれども、ある程度の土俵をきめたらいいじゃないか、こういうふうに思ったのですが、そういう配慮はございますか。
  20. 高橋幹夫

    政府委員高橋幹夫君) いまの問題につきましては、警視庁の防犯部でその後いろいろ業界等と話をいたしまして、地域的な問題についてはある程度情報は取れるわけですが、たとえば新宿の妙なところに行かれては困るというような地域的な問題については、いろいろな形で関係の向きへ情報を出す。それからいま言ったような非常に悪い店、いい店、これはなかなかむずかしい問題でございますが、業界の協力を得まして、やはり優良な店であるというような、何か研究をした成果に基づく表示をしたらどうだというようなことで、いま御指摘のような方向でいろいろと警視庁の防犯部に案を練らしております。そういうような方向で善処をいたしたいと、こう考えておる次第であります。
  21. 河野謙三

    河野謙三君 他の方の御質問もあるかと思いますから、私は最後に、警察活動というのは、原則は、個人の自由を守り、生活を保護するということですけれども、この場合には、オリンピック開催時におきましての非常な混雑を考えますと、逆に警察が身辺の保護なりその他いろいろな問題が起こることを防ぐためには、こういう一つの制限がなければ守れないという一つの制限をして、この制限の範囲ならば、われわれは絶対に警察の使命を果たすことができる、こういうことにしなければ、平常時のように、お互いの生活は自由である、個人の活動は自由である、それを保護するのは警察である、というような原則論では、オリンピック開催時においては、私はいかにこういうふうなこまかい配慮を払われましても、とてもできないと思う。そこで、ひっくりかえして、いま申し上げますように、たとえば、ホテルはどことどこ、たとえばホテルの場合は、場所は私言いませんけれども、いわゆるわれわれが通俗的に使うところの温泉マークあたりでも、部屋がないからといってむやみにとまられて、一方において売春なんとかかんとかいうところはだめですね。そういうのは当然制限があると思う。同様に、すべての東京滞在中における活動におきましても、外人に一つの制限を、警察方面から見た制限というものをつくって、そしてそのかわりには、絶対に自信をもって身辺の保護はするという行き方でなければ、私は、あなたのほうで自信が持てないのじゃないかと思うのですが、そういう意味合いで、たびたび同じことを言うのですが、いまその方角で御検討中と言われますけれども、それはそういうふうな方向でやることになったけれども、具体的にまだ検討中ということですか。やることになったのですか。
  22. 高橋幹夫

    政府委員高橋幹夫君) 確かに、御指摘のとおり、野放しですべてのものについて万全の施策を講ずるということは、 おそらく不可能かと思います。そこで、いま申し上げたことは、そういう方向で具体的に決定をしていく。ある地域とある店というものをなるべく具体的にきめて、そういうところでなるべくいろいろと情緒を味わってもらうというような方向で進めておるというのが現状でございまして、検討しておるのでなくて、そういう方向で具体的にきめておる。したがいまして、交通の規制等につきましても、相当一般交通をやはり制限しなければならない。ただし、これらの問題につきましては、それ相当なやはり大義名分というものがございますので、それらの大義名分に基づきます警察上の諸制限をできるだけよく各階層に納得をしてもらう。正しい情報と正しい私どもやり方を啓蒙するということによって、一般の理解と協力を得るということで、私どもの担当いたしております交通についても、相当思い切った。一般交通の削限というようなことについても考慮いたしておりますので、すべての点について、いま申し上げたような方針と方向で検討しておる、こういうことでございます。
  23. 柴谷要

    ○柴谷要君 治安対策の問題を一、二点お伺いいたしたいと思うのであります。それは、13の「オリンピック国民運動推進機関等との連携強化」という項がございますが、これは、警察庁としては、中央の国民推進運動機関との連携強化であろうか、こういうふうに思うわけです。その関連を持って、実は私ども地域住民の一人として、この国民運動推進がどのように進展をしておるかということを、関心を持っておるわけでありますが、遺憾ながら、まだ東京都民のものになっていないという思いを強くするわけです。  その中で、特に私は強く推し進めていかなければならぬと考えまして、過日町会を単位に、国土美化推進委員会の設置を、これは目黒区でありますけれども、要望をしたわけです。各町会がこれをとり上げてどうしたらいいのだ一体、こういうことになりましたので、委員設置の大綱を実はつくってお見せをしたわけです。その際に、どうしても美化を推進するためには、小範囲な地域を負担をしてもらう推進委員の人をつくろうではないか、こういう話になったのであります。そこで、区の行政機関にいろいろ相談をしたのでありますが、区の行政機関推進委員の指名をいたします際に、人数の制限がございます。一町会一名ないし二名の推進委員をいま委嘱しているわけであります。そんなことでは徹底した美化運動推進にならぬと考えましたので、町会自体で推進委員をつくって委嘱をしたらどうか、こういう提案をして、いまその人選を急ぎつつあるわけでありますが、地域に住まっておりまする住民の皆さんの協力はかなり盛り上がってきた。ところが、地域に散在しております大工場なり中小企業工場、こういうところは容易に協力が得られない状態であります。そこで、こういう工場に対しても、工場の責任者並びに現場の責任者に推進委員を委嘱して、そして工場の内外の整備清掃をひとつ担当してもらおうじゃないかということになりましたが、町会長の委嘱状ではこれは効果がない。そこで、警察署長と町会長の連名で委嘱状を出そうではないかということになったのでありますが、そういうような場合に、警察署長が町会長と連名で委嘱状を出してよろしいものであるかどうか。これは、国民運動推進の過程で協力するという態勢でございますから、国土美化推進委員会の委員を委嘱いたしますと、こういう点に対して、警察署長並びに町会長連名の委嘱が出せるかどうか、これをひとつ警察庁御検討になったことがあるかどうか、お聞かせいただきたいと同時に、もしできるならば、警察署長と町会長連名で委嘱状が出せるように配慮願いたい、こういう私見解を持っておるのですが、それは対して、ひとつ御意見をお聞かせ願いたい。
  24. 高橋幹夫

    政府委員高橋幹夫君) いまの国民運動推進の問題でございますが、私ども警察庁として、警察の面から国民運動に関与する面は、交通安全あるいは防犯等の問題だと思います。ただいまの御指摘の国土美化の問題につきましては、私ども警視庁の防犯部で側面的にいろいろと関係をしている面がございますが、むしろ国土美化の推進ということになりますと、東京都庁、あるいは東京都庁の系統の役所の委嘱状のほうが私は適当ではないであろうか。警察署長の場合におきましては、国土美化運動の内容にもよりますが、私どもの参画します範囲から見ますれば、必ずしも適当ではないのではないか。むしろ区役所であるとか、そういうような区の委嘱状のほうが適当であろう、私はいまお伺いいたしまして、そういうふうに思う次第でございます。
  25. 柴谷要

    ○柴谷要君 そこで、実は防犯活動の面に付しては、「防犯連絡所」というのを最近つくりまして、特に、単価一枚七十円だと聞きましたが、「防犯連絡所」というものをつくり配付をして、それを委嘱をする。防犯協会長と警察署長名で委嘱をしているわけですね。  それから、確かに東京都知事なりあるいは区長名で委嘱をすればいいのですけれども、ところが、それには限界がありまして、私の近くの町会は三百六十戸ばかりで町会を組織しておるわけであります。これに対して、区のほうでは二名しか、町会長と婦人部長、二名に対して委嘱したが、またこれをもっとたくさん委嘱をしたらどうか、こういうことを区のほうに、行政機関にはかったところが、つまりその裏づけがないのでできないのだ、こういうことなんです。そういうことであるならば、町会自体で委嘱状の印刷くらいできるから、町会自体でやろうじゃないか、その際に、地域住民に対してはそれでけっこうだけれども、大工場なり中小工場がたくさんあって、そこが今日、周囲を自由に使って、しかもよごしておる。こういうところについて、ひとつ美化推進をさせるためには、町会長の委嘱状ではどうも言うことを聞いてくれそうもない。だから、監督しておる警察署長の名前を借りたほうがより効果的ではないかという多数の意見が一致したわけです。そういうものがはたして警察署長としてできるかどうかということを考えますと、国民運動推進のたてまえから言えば、国土美化推進委員会ができ、協議会もでき、自主的につくれと、こういうような政府当局の指導によって行なわれているのですから、そういう面にも警察署長の名前が連記できるということになりますれば、地域住民が考えているような方向に美化されていく、こういうように思いますので、行政機関としては、まあ何といいますか、委嘱をしておきますというと、オリンピックが済んだあと何らかの裏づけをしなければならぬ。しかし、その予算もないからということの含みもあるようでありますが、そういうようなことを考えないで、ほんとうに目的を達するために警察庁協力しているんだという一環として、連名で出せるものならば、そういう要請にこたえてもらいたい、こういうのが私の意見なんです。決してそれが警察庁の威信にもかかわるわけでもないし、予算にもかかわるわけでもない、最も適切な方法じゃないかと思うのですが、検討をしていただくという用意があるかどうか、ひとつお考えをいただきたいと思います。
  26. 高橋幹夫

    政府委員高橋幹夫君) たとえば、国土美化の中で、道路環境とか、あるいは交通環境をきれいにするという意味での問題でありますと、警察関係をいたしますけれども一般的な国土美化という場合におきましては、すべてが警察の問題ではございませんので、そのあたりの問題はあろうかと思います。ただしかし、私どもがそういう点についてお役に立つということであれば、防犯協会なり、あるいは交通安全協会の場合におきましても、警察署長から委嘱状を出しておるわけでありますので、それぞれの仕事の内容を具体的に検討いたしまして、それが適当であるということでありますれば、十分善処いたしたい。これらの問題につきましては、警視庁が所管をいたしておりますので、私から警視庁の防犯部長に命じまして、よく検討させたい、こういうように思います。
  27. 柴谷要

    ○柴谷要君 最も警察関係があるのです。この美化推進運動をやっております内容にですね。たとえば、河川にごみを放棄しない、この取り締まりをしなければならない、それから道路に、つまり不当に物を置いたり何かするものを処理しなければならぬ、こういうようなことが推進運動項目の中にきちっとうたわれているので、ほとんどが警察協力をいただかないと容易にできない問題がございますので、かく私は申し上げるわけです。特に、国民運動機関から出されております印刷物を当委員会で配付されまして、これをこまかく検討した結果、これはまあお願いをしても、要求をしても筋が通るのじゃないか、こう思いましたので、ただいま御質問を申し上げたわけです。ぜひ警視庁にその旨お伝えいただきまして、協力をいただきたい、こう思うわけです。  委員長、ついでに次の問題について質問してよろしいですか。
  28. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 治安維持の問題ですか。
  29. 柴谷要

    ○柴谷要君 消防の問題で……。
  30. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 治安維持の問題について、ほかに御質問ございませんか。  それではその次の消防対策に関する件について質疑を行ないます。柴谷委員どうぞ。
  31. 柴谷要

    ○柴谷要君 本日は、消防総監じきじきに御出席いただいて、オリンピックに備えての態勢を御報告いただいて、私どもとしても容易ならぬ大事業遂行にあたっては万全の準備が必要だ、その準備を着々積まれているということについて心から敬意を表したいと思います。  消防機関というものは、平時は陰の力持ちといわれて、あまりはなばなしいことはございませんが、一朝火災が起き、あるいは交通事故によって人身障害等が起きますというと敏速な活動を必要とするわけで、職員の訓練等についてもたいへんな御努力を払っておると思うのであります。特に、オリンピック開催にあたりましては、平常の本来の業務を遂行するかたわら、東京大会に対して支障のない、万全の対策が必要になってくると、いわば平常の業務にプラス大会関係というような問題が上に積み重なってくると思うのです。そのような結果、警察庁同様たいへんな御苦労が生まれてくると思うのでありますが、消防職員全体の意気は一体どうなっておるのか。それから現状の要員事情で態勢を十分守っていくことができるかどうか。あるいは機械設備等においても、十分に備えられておるのかどうか。こういう点について総監から忌憚なくひとつこの機会に御発表いただきたい。まず第一にお伺いをいたします。
  32. 江藤彦武

    参考人江藤彦武君) 第一点の士気の問題でございますが、一万人職員きわめて士気旺盛でございまして、来たるべき世紀のオリンピック東京大会を完全に消防の範囲内において任務を遂行いたしたいということで、士気きわめて盛んであると存ずる次第でございます。  それから第二の、要員の問題でございますが、要員は約一万六百人ございまして、これをもって決して満足はいたしておりません。しかし幸いに十一署に三部制をしいておりますので、これを二部制に切りかえると同時に、その非番員を動員いたす考えでございます。もし、場合により欠陥が生じましたときは、都下消防団員をある程度まで動員することにより警防力を確保する考えでおりますが、現在の情勢では、運用の方法によって、それを行なわずしていけるような見込みを立ててある次第であります。  第三点の機械装備の問題でございますが、いわゆる都市の近代化に伴いまして、超高層その他の建物が出現しつつある現状におきましては、決して十分な機械装備とは申されないのであります。それは、先般の西武、松屋火災等の経験に徴しましても、個人装備の重点、あるいははしご車の増強という問題があるわけでありますが、しかし、われわれは、現在におきまして与えられたる機械装備に対しまして、十分な職員の訓練によりまして、これらの欠を補って万全を期したいというのが現状の方針でございます。
  33. 柴谷要

    ○柴谷要君 消防職員諸君が士気ますます旺盛であるということを聞きまして、心から喜びにたえません。総監、これから非常に重大な段階に進んでまいりますし、時期的にも気候が悪いのでございますから、職員諸君に一そうの自重をされますようにお伝えをいただきたいと思います。  そこで、まず、一番消防署として把握しておかなければならぬことは、施設の実態を十分把握をしておきませんと、適切な指導が行なわれない。先ほどの御説明では、立ち入り検査といいますか、千八百三家所を八月末までに行なうと、その要員が六千百八十人だとお話しになりましたが、この六千百八十人というのは、全職員一万六百人の半数以上でございますけれども、この人たちが平常な勤務でそれができるのかどうか。それとも非番者をかり出したり、あるいは休日を動員さしてやらなければならぬというような態勢にあるように私は思うのでありますが、そういう御無理をなさらずに完全にできるという態勢であるかどうか、この点をまずお伺いをしておきたいと思います。
  34. 江藤彦武

    参考人江藤彦武君) その点につきましては、延べの数でございますので、大体平常の消防及び救急業務には差しつかえないと思います。ただ、職員の非番動員につきましては、いわゆる超過勤務手当の支給というような問題がございますが、これは東京都費により、相当額の費用を組みまして、先般の都議会で議決になっておる次第でございます。万一オリンピックのために、なお超勤等が不足でありますならば、これらの追加予算等も上程いたしまして、提出いたしたいという決意を持っている次第であります。
  35. 柴谷要

    ○柴谷要君 私どもはしろうとでいるものですから、あるいは愚問になるかと思うのでありますが、オリンピック開催をいたしますというと、いろいろの行事が行なわれると思うのです。たとえば花火が上がるとか、アドバルーンを上げるとか、あるいはこれは聖火のリレー等が行なわれますので、比較的火気といいますか、火の気を使うわけであります。そういうような状態が随所に見られるわけでありますが、これに対しては、消防署としては特別なお考えをもって処置される、あるいは対策を樹立されているというふうに考えますが、そういう点についての総監方針をひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  36. 江藤彦武

    参考人江藤彦武君) 大会に際しまして、花火その他の問題が起こるわけでありますが、これらの問題は、すべて都条例の火災予防条例にいろいろと規制がございますので、それに基づいて署の第一線の予防職員が一々それを事前査察する、あるいは指導する、こういうような形態になっておる次第であります。ことに聖火コースの問題につきましては、私どもといたしましても、火を扱う関係で非常な関心を持っておりまして、それらの沿道におきまする給油所の、いわゆるガソリンスタンドの予防関係、あるいは集まる観衆に対する火災その他の災害の防除、こういうことにつきましては、順次こまかくコースごとに検討いたす次第でございます。
  37. 柴谷要

    ○柴谷要君 これも、実は前回の毎日マラソンのときにテレビを見ながら痛感したことですけれども、マラソン競技なり、あるいは競歩の大会、こういうことで甲州街道等が使われているわけです。幸いに、毎日マラソンの際には、あの沿道に一カ所も火災が起きなかったから、消防車の出動もなかったし、たいへん成功したと思うのでありますが、かりにオリンピックのマラソン競技が開催されて、あの辺の沿道がかなり長い距離でありますから、不幸にして火災が発生したということになりますと、競技等にも支障を来たすような場面も起きるわけです。そういうような状態を心配することは杞憂だとおっしゃればけっこうでございますけれども、なかなかもって皆無ということは言えないと思います。そういうような発生に対して、消防庁としてはどのような対策をおとりになるか。競技のためにえんえんと類焼してしまったというような結果になってもいけませんし、また、そういう不祥事を起こしたくないと国民全体思っていても、不幸起きたような場合は一体どうするのか。こういう心配が実は起きたものですから、これに対する消防庁としての対策がおありでございましたら、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  38. 江藤彦武

    参考人江藤彦武君) 先般の毎日マラソンにいたしましても、いわゆる東京国際スポーツ大会にいたしましても、今般のいわゆるオリンピック大会におきましても、沿道に対しましては、各消防署が、その沿道を横断しないで消防車が集中するというように、火災警防計画の一部を臨時的に変更し、対策をしているわけでございます。でございますから、一般の場合におきましては、西から北に横断していく車がございますが、あの場合におきましては、西は西、北は北というように、東は東というように、消防車の出動計画を変更いたしまして、万一の場合に備えるような計画を樹立いたすわけでございます。
  39. 柴谷要

    ○柴谷要君 消防庁としては、緊急の場合の処置は完全にとられているようでありますが、私は特にあの沿道の住民の皆さんが、競技の際には、外国選手の走る状態、日本選手の勝利を願って、相当家庭をあげて沿道に出て来るのじゃないか。ですから、あの地域の住民の方々には、特に火災に注意をして、起こさぬような協力方を要請する、こういうようなことも特段と必要ではないかと思うのですが、これらに対してどのように処置されようとしているか。特に消防庁だけの問題ではなくて、国民全体の問題ですから、行政機関を通じて、もちろんそれをしなければなりませんが、特にその方面の元締めである総監の見解をひとつお聞かせ願いたい。
  40. 江藤彦武

    参考人江藤彦武君) この点につきまして、沿道にあるガソリンスタンドその他危険物関係施設につきまして、査察員を置いてまいります。ことに、ガソリン・スタンド等危険物のあるところにつきましては、いわゆる配置をいたしまして警戒に当たると同時に、私どものほうといたしましては、消防協力団体である防火協会、町内会等の団体がございますので、それらを通じまして、よく火災予防上の問題を注意いたしたい、こういうふうに考えております。御意見もございますので、なお一そうその点慎重に考えております。
  41. 柴谷要

    ○柴谷要君 私は、最後の質問になろうと思いますが、これは大臣に一言お伺いしたいと思っているわけですが、その前に総監からお答えいただきたいと思うのですが、過日新聞に出た問題ですけれども、駒沢大学のあと、現在使用しておらないところ、あそこで、オリンピック開催直前に国際行事が行なわれる。これに対して消防庁が危険注意を与えて、何とかひとつ処置をしなければいけないということで注意を与えたのですけれども予算がないからそのままだ、こういうことで、危険状態のままでこの国際行事が行なわれようとしている。こういうことが新聞に出た。特に予算がないために、消防庁の警告を無視したような談話がその記事のあたりに載っておった。これは、私は国民に与えた感情というものは非常に悪いと思う。消防庁が危険を察して、その国際行事を行なうについては施設を十分にして使ってもらいたいという要望に対して、主催者側から、金がないからだめだ、簡単にどうも何か一蹴されたように新聞の印象では受けたわけです。これはまことに国民の一人として遺憾だと思う。そこで、責任ある人が新聞発表をするような場合でも、これはまあ、最善を尽くしてそのような危険を守るためにできるだけの施設は考えます、そう言って努力されるならばいいのですけれども、金がないからそんなことはできないと、こういうふうに言われたように出ている。これは全くもってけしからぬと私は思うので、総監としては、御指摘になったように、危険のない処置をとられてそこを使用せしめる、こういうふうなお考えを持っておられる。それから使用者側は、予算がないからだめだ、こういうことを言っておられますけれども、少なくとも、国際行事をやるについては、しかもそこに参加した諸君をオリンピック競技を何かやはり視察をさせる、競技を見させる、こういうようなこともつながっているようでありますから、かような大事な国際行事を行なう場合には、オリンピックにつながるものとして、担当の佐藤大臣、この見解をどうお持ちになっておられますか、ひとつお聞かせをいただきたい、こう思うわけであります。
  42. 江藤彦武

    参考人江藤彦武君) 先般、世界青少年キャンプの問題でございますが、視察した結果、私どものほうの見解を申し上げたのでございますが、私どもの見解というものは非常に強い見解であります。しかし、現実の問題といたしまして、それのとおりできない場合もございますが、次善の策として、お互いに話し合って何とかいたさなければならぬ、こういうわけで、現在は、次善の策といたしまして、理想案ではございませんが、これならばまあまあいけるのではないだろうかというような程度で話し合いが進みつつあるわけでございます。この点、御了承を願います。
  43. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 これは、警察消防と両方にまたがる問題だと思うのですが、過日ペルーのサッカーの競技の際に起こりました惨事、もちろん、ああいうようなことが日本で起こるとは私は思っておりません。しかし、あの競技のあとで、どこでおやりになったんだか、電子計算機でいろいろ計算をしたところが、メーンスタジアムに人を入れるのには出入口が少ないから非常にむずかしいようなことが新聞に出ておりました。で、ああいう事件がやはり起こったと仮定いたしまして、検討をして用意だけはしておかなきゃならぬ問題ですが、あの事件にかんがみて、どういうような措置をおとりになるのか。つまり、措置というか、準備ですね。準備の上において、どういうふうにあれを参考にせられたか、その点ひとつお伺いしたい。
  44. 高橋幹夫

    政府委員高橋幹夫君) いわゆる群衆が集まります、大衆が集まりますところの雑踏警備の問題につきましては、かねてから、群衆のいわゆる群衆心理というものが非常に問題であります。そこで、警察といたしましても、過去においていろいろなそういう雑踏警備の苦い経験もありますし、また成功した実例もございます。そこで、私ども、今回のオリンピックの場合におきましては、特に開会式当日におきますところの群衆の整理をいかにしてやるかというのを一つの大きな課題にしておったわけでございます。もう一つは、マラソンの沿道に集まりますところの、百万と私ども一応予想いたしておりますが、百万の群衆をいかにさばくか、あるいはトーチラインの沿道に並びますところの十万以上の人間をどうさばくか、いわゆる群衆整理の方法というものについては、過去のいろいろな経験に徴しまして、相当研究をいたしております。  そこで、あの国立競技場を出まして、そうして千駄ケ谷、あるいは信濃町というような駅、あるいは国電、バス、こういうようなものを使って群衆が行く場合におきますところの群衆の流れというようなものについて、私どもは、心理学あるいは数理学の先生方の御意見を伺いまして、そうして私どもとして、いかなる雑踏警備やり方をやるか、群衆の流れはいかなるものであるか、群衆心理はどうかということについては相当研究をいたしました。そこで、いろいろ新聞にも報道されたように、しばらく間合いをおくという意味において、アトラクションをやったらどうだろうかというような一つの提案をいたしたのも、そういう趣旨でございましたが、いろいろな関係で、私どもはそのアトラクションにつきましては一応提案を下げましたけれども、かようにいろいろ配慮をいたしております。したがいまして、この間のような事件が起こるということについては、あの種の警備やり方というものについてはいろいろ私ども意見を持っておりますが、ここでそれらのものについて批判がましいことを申し上げませんが、あれを他山の石にいたしまして、いろいろあの種の群衆の整理に伴う事故の防止ということについては、警察が最も全力をあげて対処しなければならない問題である。しかも、今度は人種的に、あるいは思想的にもいろいろ多種多様の外国人が来られるわけでありますので、それらの外国の風習というものもいろいろあるようでありますので、それらの外国人の風習等も考えた雑踏警備やり方というものをやらなければならないということで、場内の整理を担当されております組織委員会なり消防との連絡、場外を担当します私ども関係、これらについては、きわめて密接な連絡のもとに、事故の絶無を期したい、こういうふうに考えております。
  45. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 一般的にはそういうことなんでしょうけれども新聞に出たところによると、あの競技場はどうもエントランスが収容人員に比して少な過ぎるということなんですが、あれはやはり計算上そうなんですか。いまから直せといったって直せない問題なんですが、そうなんですか。
  46. 高橋幹夫

    政府委員高橋幹夫君) イタリア等の競技場に比べて、私どもは確かに少ないという意見を申し上げました。いろいろそれらについて施設的に検討いたしましたが、御承知のとおり、ああいう施設の拡張の際における一定の限度がございまして、初めから構造上の問題がありましたので、もう少しいわゆるゲートが多いほうが、確かに群衆をさばく場合にはいいと思います。そういう意味においては、国立競技場は必ずしもゲートが多いとは申し上げられない。こういう状況でございます。
  47. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そうすると、ゲートの数と収容人員の数との間にアンバランスがありますね。それについて、特殊な方法でもってさばくということが必要になってくるわけだと思います。それは研究済みなんですか。特に、この間のペルーの事件があって、ああいうふうにあとで新聞に出たんですけれども、私どもは、あんな事件は起こるとは思いませんけれども、やはり大ぜいの人をさばくということになると、そのアンバランスはだいぶ気になると思うのです。その点はちゃんと準備はされておると思うのですが、どういうことなんですか。
  48. 高橋幹夫

    政府委員高橋幹夫君) この種のゲートが少ないということについては、この間の事件が起きたからどうこうということではございませんので、前々から、あのゲートについてはいろいろ議論があったのでございます。しかし、そのゲートの少ないところをいかにして群衆整理の技術と方法によって補うかという問題があるわけでございます。そこで、私どもといたしましては、ゲートから出ていく、あるいはゲートにたまる人数のさばき方、それからゲートを出まして、それぞれの駅に行きますところの群衆のさばき方という相関関係をいろいろ計算をして、そしてそれを、警察官の誘導とか、あるいは自主的な観衆の協力というものを求めるわけでございます。この間の警備やり方を見ておりますと、ゲートを全部締めて催涙ガスを使ったというところに致命的な問題がございまして、あれは、私どもから申し上げれば、まことに群衆の整理の初歩を誤っているというふうにしか思われませんので、私どもも、たとえば後楽園の野球場におけるいろいろな騒乱とか、いろいろな問題を経験しております。そういう点についてのさばき方については、もちろん十全とは申し上げませんが、雑踏警備については、警視庁当局は過去の経験を相当持っておりますので、ああいうようなまずいやり方には到達しない、こういうふうに考えております。
  49. 江藤彦武

    参考人江藤彦武君) この問題につきまして、会場管理を担当いたします消防庁といたしましても、オリンピック組織委員会の中に私どもの制服職員を、NOCの職員として、支援隊員といたしまして延べ九千四百三十八人入れまして、万一の場合におきましては、それが指導してエントランスに持っていくというようなことにいたしておりまして、支援隊員につきましては、観衆をさばく訓練を現在もやっておる次第でございますから、ペルーのようなことは、私どもとしては、現在の段階では考えられないと思っております。
  50. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 競技場のゲートが少ないという構造上の欠陥があるようですが、これは競技場というものは、すでにできたものを改造しただけだから、初めから新しいのをつくるのと違うから、すぐ直すということもできなかったんでしょうけれども、それは、警察関係のほうも消防関係のほうも、少ないということは初めから気がついていたんですか。
  51. 高橋幹夫

    政府委員高橋幹夫君) これは、オリンピック組織委員会の中に、施設整備特別委員会というのがございまして、警察消防も私は当時警視庁警備部長でございましたので、その施設特別委員会の一員でございます。したがって、各種競技場につきまして、いわゆる警備警察上の見地から見て、施設構造についてのいろいろな問題点は十分提起してございます。  そこで、ただいま御指摘のような国立競技場につきましても、いろいろその点についてのゲートの少なさ、あるいはゲートの広さというようなものについては、当時からいろいろ問題があったわけであります。施設特別委員会といたしましても、いろいろ技術的に考えていただいたわけでございますが、御承知のとおり、ああいうような構造に、ああいうようなかっこうで、つまり付属的につくったというような関係で、そこまでは十分に手が回らないということで、私どもは十分意見を申し上げた結果、ああいうことになっておりますので、すでにそれらの点については計算をいたしました上での警備対策というものを立てている次第でございます。
  52. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 他の競技場ですね。たとえば駒沢とか、その他新しいところは、その点はあなた方のほうから計算してみて、大体もう万全だと、アンバランスはない、こういうふうに御認定ですか。
  53. 高橋幹夫

    政府委員高橋幹夫君) その施設のやはり収容する規模によるかと思いますが、新しくつくりましたそれらの施設につきましては、私どもの要望あるいは消防からの要望というものも十分検討をして一応の構造をつくっております。ただしかし、大体の考え方は、やはりどうもゲートの広さとか、ゲートの数というものについては、それほど深刻でない、私どもほど深刻でないという点は、これは率直に言って否定することができないと思いますが、いまの段階におきましては、施設的にはそれほど問題はない、こういうふうに考えております。
  54. 河野謙三

    河野謙三君 ちょっと先ほどお尋ねするのを落としましたがね。この治安対策の中に、開催時におけるところの入場券を取り巻くやみ取り引きと申しますか、私はダフヤが相当横行するんじゃないかと思う。入場券。これに対しては、何か、開催時以前、並びに開催時におけるところの、そういうダフヤ対策というもので特別のあれがありますか。
  55. 高橋幹夫

    政府委員高橋幹夫君) まあ、この点につきましては、かねて、オリンピックのときにダフヤが横行するようであっては困るということが一般的な世論でもあります。そこで、私どもといたしましては、ダフヤ対策というものを考えて、いわゆる東京都においてもぐれん隊条例というものをつくっていただいて、あの中でダフや対策というものの条項があるわけでございます。それから今回の切符、入場券を売りさばく場合におきましても、できるだけダフヤを排除するという意味におきまして、組織委員会連絡をしていろいろな対策を講じてまいったわけでございます。必ずしもすべてダフヤの手に切符が渡らなかったというわけではないようでございます。そこで、私どもといたしましては、入場券に件うダフヤの取り締まりというものについては、警察活動の一つの重点と考えまして、できるだけ当日あるいはその前からねらいをつけて、いわゆるダフヤ退治をするというふうなことを警視庁は十分考えておりますので、その点については十分対処できるというふうに考えております。
  56. 河野謙三

    河野謙三君 ここに佐藤さんもおられますけれども、ああいう——いまさらよしあしを論じてもしかたありませんけれども、一見公平に見えるけれども、あの抽せんによるところの入場券の販売をやりましたために、結果的には非常に入場券が偏在していることは事実ですよ。初めからオリンピックを見に行くという意思のない人のところへ五枚も六枚も行ってしまったり、その他いろいろ偏在している。この偏在は、いつか、どういう手かを通じて横流れになるわけですね。この件数は、私非常に多いと思う。現に行なわれつつあるわけです、まだ切符が渡らぬ前から。そういう場合に、一体取り締まりをされまして、あれは、罰則はどういうあれがあるのですか。私はあまり詳しく知らないのだが、まさか徴役じゃないでしょうけれども、罰金ですか。何ですか、それは。
  57. 高橋幹夫

    政府委員高橋幹夫君) 私も、ちょっとぐれん隊条例の関係、明確に記憶いたしておりませんが、あのときに、ぐれん隊条例では体刑をつけたと思います。したがって、罰金だけではないというふうに記憶いたしております。  それから、確かに一部そういうものが流れておるという風評もあり、それらに対するいろいろな問題はあるかと思いますので、私どもの一つのねらいは、当日、たとえば外国人にまつわりついて売りさばくということがないということが一つ大事だと思います。それから、あるいは外国人だけでなく、日本人にまつわりついて、いわゆるダフヤが競技場周辺をうろうろするというような表顕的なことを一掃するというのも一つの方法であり、さらには、抜本的にやるというのも方法であるというふうに考えております。
  58. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) では次に、インドネシアのオリンピック東京大会に対する諸問題について質疑の通告があります。  御発言を願います。河野委員
  59. 河野謙三

    河野謙三君 佐藤国務大臣、これはインドネシアの問題は、はたして私はオリンピック担当相の扱うべき義務づけられた問題であるとは思わないのですけれども、前に川島さんがインドネシアの参加の問題について、非常に熱心にごあっせんをいただいたことは事実でございまして、これを受けて、現佐藤国務大臣も、これについては非常に関心を持っておられると同時に、何か積極的に、今後どうすべきかというようなお考えがあるかないか、これを私は伺いたいと思うのです。
  60. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 開かれる東京大会、もちろんこれを成功さしたい。それには、やはり参加国が一国でも二国でも多いこと、これを心から希望いたします。ことにまた、インドネシアが、東南アジアにある国として、ただいまのような状況になっていることについては、まことに残念に思います。したがいまして、私、いわゆるあっせんという、そういう立場ではございませんが、それぞれの方々が、それぞれにいろいろアプローチしていらっしゃる。たいへんけっこうなことだと、かように思います。過日、ブランデージさんが見えた際にも、実は私の担当ではないが、ただいま申し上げたような意味合いから多分に関心を持っておりますので、ぜひ、在来のいきさつはあるであろうが、新しい観点に立ってくふうしてくれませんか、こういう話を、ブランデージさんと会見をいたしました際に申し入れてみたのでございます。その際のブランデージさんのお話は、たいへん皆さんがさようにお考えのようで、私どももできるだけそういう線に沿いたいと思うが、いわゆるルールがある、そのルールはどこまでも尊重されなければ困る、その尊重という立場においてこの問題を解決する、そういう方向で進みたい、かような非常に打ち解けた実際的な話をしておられた。  そういうことを考えますと、さらに感情上の問題だと、かようには考えませんので、よく実情等を話をして、そうして誤解に基づくものならば、それは解いてほしいし、また、改むべきものは改めるということで、ぜひオリンピック委員会そのものが正常に運営されるように、これを私は心から希望いたしております。  ただいままで私が申し上げ得ることは、過日ブランデージさんに会ったその際の私の発言、またブランデージさんの言われたこと、それを御披露するだけでございますが、なおこの問題につきましては、組織委員会なり、またオリンピック委員なり、いろいろその立場において接触していらっしゃるようでございますし、私は担当大臣として、これらの運動についても協力できることは協力したい、こういうように考えております。
  61. 河野謙三

    河野謙三君 よくわかりました。実は、スポーツと政治というものは、これは画然と区別されて現在までまいりましたが、最近の世界の情勢からいきまして、そう原則ばかり主張いたしましても、日に日に、スポーツと政治、世界情勢というものがからんできて、私は非常に遺憾なことだと思う。私は、そういうわけですから、現に、いま問題になっておりますインドネシアの問題にいたしましても、これにアラブ連合の問題もからんで、非常にオリンピックと政治というものがだんだん近づいて、めんどうになってきているように思う。そういう際でありますから、いま国務大臣がおっしゃいましたように、あくまでもこれは関心を持っておるという程度であって、このもの自体は、やはりIOCなりJOCの問題であって、私は、他から、日本政府なり日本の政治のあり方というものを誤解を受けないように、画然とこの際すべきではないかと、こういうふうに思います。  参考になるかどうですか、私は実は、佐藤国務大臣もお会いになったかもしれませんが、いまアメリカから、ローマのボートで金メダルを取ったジョーン・セイヤーという男が来ているんです。この男にいろいろ話を聞きましたが、その中で、日本の国内にも一部そういう主張をする人がありますが、いわゆるオリンピック精神に基づくところのオリンピックというものは東京大会が最後であるであろう、もうオリンピック精神によって東京大会後もまた四年先にオリンピックを開催することは、世界の情勢からいって、もう困難である、こういう結論さえも——しかもそれがオリンピックの金メダルを取ったアメリカの青年であります。そういうふうな、非常にオリンピックと政治、これが非常にデリケートにからんで——私は、日本でインドネシアその他の問題をだれも軽々に扱っている人はないでしょうけれども、よほど慎重にやりませんと、これが契機になりまして、ジョーン・セイヤーが言うように、長年、七十年も続いたオリンピックというものが、東京大会を最後にしてこれが終わりだという、その導火線は日本がつくったというようなことにならぬとも限らぬと思う。そういう意味合いで、われわれは、オリンピックに、インドネシアのみならず、世界のすべての国々が参加してもらいたいことは希望するところでありますけれども、さればといって、これが政治とからんでくるというようなことにつきましては、私はこの際よほど、いま佐藤さんがおっしゃったように、慎重に扱うべきである、かように思うと同時に、私は、組織委員会——きょうは与謝野さんは来ておりませんけれども、一体インドネシアの問題は、組織委員会のほうではどういう経過になって今日きて、今後どういうふうに扱うつもりであるか、もし御説明をいただければ私は御説明をいただきたいと思います。
  62. 佐藤朝生

    参考人佐藤朝生君) インドネシアの問題につきまして、本日はお話がありましたように、事務局長ちょっと所用がありまして、参っておりませんが、私、かわって申し上げます。  ただいま佐藤大臣からもお話がございましたが、これはIOCの問題でございまして、私どもが直接対処する問題ではないと思いますが、しかしながら、われわれといたしましては、やはり世界各国の一つでもたくさん参加することを衷心から願っておる次第でございまして、経過と申しますか、経過につきましては皆さん御承知のとおりでございます。
  63. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま河野さんの御意見、さらに慎重に扱うべきだという御発言でございます。私もまことに同感だと、かように思います。政府自身といたしましては、そういう立場でこの問題も取り組んでおります。たいへんけっこうな皆さまの御了承を得て、いまの態度で進みたいと、かように考えております。ありがとうございました。
  64. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 いまのインドネシアの問題について、これはまあどういう情報をお持ちになっておるかということをお伺いしたいんですけれども、アラブ連盟で、インドネシアが参加しなければ、アラブ連盟の参加国も参加しないというような決議をしたというふうにいわれているんですね。それで、個々の国はそれぞれ参加したいという希望を持っているということなんですが、これはアラブ連盟に参加しているアラブ連合だとか、アルジェリアとか、イラクとか、ああいう国々がインドネシアの立場を擁護するためにああいう決議をしたと思うんですけれども、実際には、その後アラブ連盟に参加しておるそれらの国々の東京オリンピックヘの態度というものはどういうものか、そのことについてひとつ……。
  65. 佐藤朝生

    参考人佐藤朝生君) アラブ連盟の問題が出ましたのですが、これは、私どものほうで本年初めから、世界各国に予備エントリーといたしまして、今度の大会にどういうふうに参加するかというふうなことを問い合わせましたときに、アラブ連盟のうち数カ国は参加するという情報が参っております。それの選手合わせて約四百人という大体の数字が参っております。この前のアラブ連盟の決議に入っております十三カ国のうち、三カ国はNOCがございません。十カ国だけがNOCがある状況でございまして、その十カ国のうち数カ国からそういう私ども情報が参っております。それだけ申し上げておきます。
  66. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それは、アラブ連盟の決議のあとに来ているのですか。あの決議が行なわれたあと、それらのエントリーを送った国々から取り消しとか、そういうふうなことはないのですか。
  67. 佐藤朝生

    参考人佐藤朝生君) その通知が参りましたのは、その決議の前でございます。そのあとの情報はまだ何も来ておりません。私の承知している限りでは来ておりません。
  68. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 これはやはり確かめておく必要があるのじゃないですか。というのは、もう開催まで間がないというのに、それを確かめておくことがおくれるというと、打つ手もおそくなるのです。したがって、あの決議のあと、一体、アラブ連盟に参加して、しかも東京大会に参加するための措置を講じている国々がどのくらい参加する態勢を進めていっているものか、あるいはあの決議にあるようにやめるものか、そこらを少しはっきりさせておいたらどうです。
  69. 佐藤朝生

    参考人佐藤朝生君) 私どものほうで第一回の予備エントリーの調査をやりましたのは昨年の暮れくらいでございますが、さらにわれわれの諸種の準備を進めていきます上に必要でございますので、最近の機会に、世界各国に対しまして、またどういうふうに参加するかということを問い合わせを出したわけでございまして、その回答によりまして、いろいろな情報がわかると思います。
  70. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 もし、アラブ連盟の参加が、あの決議に従ってあるいは参加をしないというような一応の意向を示したという場合に、これはどういうふうに対処されますか。
  71. 佐藤朝生

    参考人佐藤朝生君) 私どもといたしましては、先ほど大臣からもお話がございましたとおり、一国でもたくさんの参加を望むわけでございまして、その際の不参加を表明した場合のわれわれの措置については、まだ何も考えておりません。十分考慮したいと思います。
  72. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 次に、入場券に関する件について質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  73. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 入場券問題ですがね。ここに海外への割り当てと、その売れた実績についての報告が出ておりますけれども、国内の売りさばきについて、前に委員会でもっていろいろ論議したことがございます。その際に、サッカーをはじめとして、だいぶ売れなかった切符の処置について特別な措置を講ずるようにということがこの委員会の多くの方々の希望でした。それらはうまく処置をされて、国内におけるこの売れ行きは順調にいっているものなのか。その点のひとつまず御報告を願いたいと思うのです。
  74. 佐藤朝生

    参考人佐藤朝生君) この前の、二回くらい前の委員会でございましたか、そういうお話がございまして、あるいは地域の調整でありますとか、その他切符が売れますようないろいろな調整、また、ほかの県にこれを回すとかいうような問題につきましては、その後措置をとっておりますが、その後の販売状況につきましては、ちょっと私ここに資料を持っておりませんが……。
  75. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 これは外国のだけでなくて、やはりこの前ああいうふうにいろいろ論議になったんですから、そのあとどうなったかということの説明のできる資料くらい配ってくれたらよかったと思うのですが、それもないというのは、どうもきょうこの問題を、入場券問題を取り上げるということは通告してあったはずなんで、いささか怠慢じゃないかと思うのですがね。ないものをいま聞いたって、そらで覚えておられないでしょうからお聞きいたしませんが、外国のほうを見ますというと、依然としてはかばかしくないのです。これは四月三十日現在ですから、それから三十五日たっておりますから、多少は需要が増しておりましょうが、七割以上売れたというのがボリビア、ウェスト・インディーズ、ハンガリア、朝鮮、ノルウェー、それから南ローデシア、ソ連、ワールド・ユース・キャンプ、こんなものなんですね。それで、あとはそれほどいっておらぬ。ひどいところになるというとゼロというところもある。また私は、割り当てる場合に、一体どうしてこういうふうなことになっておるのかと疑いを持つ面もあるのです。たとえば、南アフリカというのがあります。これは南アフリカ連邦のことだろうと思うのですが、千八百五枚割り当てになって四百三枚。南アフリカ連邦だとすると、あれは今度オリンピックに来ないところなんでしょう。それに千八百何枚割り当てたなんていうことは、少しどうも最初からおかしいのじゃないかと思うのですがね。こういう点から見ましても、この海外の切符の売り上げというものにはいろいろ疑問があるのです。もう少し説明をしていただきたい。それからその後、たとえば売れないところをもっと要求のあるほうへ回すとか、そういう措置をすでに講じられたのかどうか、その二点をお伺いしたいと思います。
  76. 佐藤朝生

    参考人佐藤朝生君) お手元に差し出しました資料は四月三十日現在の資料でございます。その後の数が少し出ておりますので申し上げながら御説明いたします。  海外におきまして、第一次に十二万枚を割り当てて以来、逐次割り当てまして、この表のとおり四月末日現在では二十万六千枚割り当てておるわけでございまして、その消化数が十一万二千枚、五一%、金にしまして一億九千七百万円という数字になっておるわけでございます。その後、五月以降の割り当て数を加えますと、二十三万枚割り当てておりまして、消化数が大体十二万二千枚でございます。五三%。金額にいたしまして二億二千五百万円でございます。海外向けの販売が比較的低率を示しておりますのは、御承知のとおり、ホテルその他宿泊施設の予約がとれないということやら、また、希望競技の入場券、向こうの希望いたしますものと、こちらの割り当てておりますものとの違いというようなものもございますし、また、販売しておりますが、こちらに代金の送付のないものもございます。また、ニュージーランド、オーストラリアその他の二、三の国からは、券種を指定して割り当ての申し込みもございますが、これは海外向けのワクの残券がないために希望に応じられない状況のところもございます。そのために、ここにございますように五一%というような売れ行き状態でありますので、早急にその海外の残券の見通しをつけまして希望先に差し向けますとともに、この残りを国内用に転用するという必要がございますので、ただいまその作業をやっておるわけでございまして、最近、われわれの事務局の職員を海外に派遣いたしまして、その残券の処理を早急にいたしたいと思っておる次第でございます。
  77. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 これで、なお十枚とか十六枚とかいうところは別として、千枚以上のようなところでたいへん売れ行きの悪いところがありますね。こういうところはまだふえるのですか。たとえば、インドが一千七十三枚で四十九枚しか売れていないですよ。こういうのは一体ふえるのかどうか。あるいはイギリスは、これは報告が来ていないのでゼロになっておりますが、これは九千十一枚のうち、どれくらい売れる見込みなんですか。さらに、フィリピンが五千八百十八枚割り当てになって、千百八十七枚しか売れていないというのは、これは近いにもかかわらず、こういうような売れ行きなのは、どこに問題があるのか、これはどういうふうにお考えですか。
  78. 佐藤朝生

    参考人佐藤朝生君) 先ほど申し上げましたとおり、いろいろと向こうの希望いたしますのと、こちらが出しておるものとちぐはぐもございますし、またわれわれのほうでエイジェンシーを指定しておりまして、それによって発売しておるわけでございますが、エイジェンシーとの連絡が不十分なところもありますし、こちらから連絡いたしましてもなかなか返事が来なかったりするところもございますし、そのために、早急にこの発売状況を調整いたしますために、先ほど申し上げましたような措置をとった次第でございまして、この中にいろいろまだ連絡が不十分で非常に数字のおかしなところもございますが、これからよくこれを調整いたしたいと存じております。
  79. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 たとえば、香港なんというのは三千六百二十八枚で、まだ回答が来ていないのでゼロになっているのですけれども、ここなんか一番近いのだし、かなり日本へ来るという希望者も多いのだけれども、やはりこれはなんですか、近いにもかかわらず、連絡が不十分と、こういうことなんですか。
  80. 佐藤朝生

    参考人佐藤朝生君) 香港につきましては、最近千三百枚だけ売れたというのがございまして、あとまた入金がある予定になっております。
  81. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 もうあと全く開催までわずかしかないのですが、その開催までわずかしかないのに、海外における入場券の売れ行きがこういうふうな状況であっては、外国から観客が日本にどれだけ来るかということの予想も狂ってしまうことになるわけですが、もう大体つかめてなければならぬのに、こういう状況ではいささか心もとないように思うのですけれども、至急に海外における入場券の問題というものは対策を立てて処理しなければならぬ。その準備はできているのですか。
  82. 佐藤朝生

    参考人佐藤朝生君) 海外におけるエイジェンシーの契約が六月一ぱいになっておるのでございますが、それを待たずに、ただいま各方面に人を派遣いたしまして、また問い合わせをいたしまして、六月末までの契約でありますと、いろいろ向こうからの通知等がありまして、おそくなるので、なるべく早くこれを調整いたしまして、この海外の発売状況が十分に把握でき、また国内に回すものがあれば回すようにいたしたいと思っております。
  83. 河野謙三

    河野謙三君 これは、遺憾ながら、私がこの委員会でたびたび、あなたじゃない、村井君に私は注意しましたとおり、外国の切符は売れませんわね。売る方法も悪いかもしれませんけれども、なかなかこう、欧州なりその他ね、この遠隔な日本に、あなたたちが期待しているほど来る希望者は少ないですよ。で、まあそれはできちゃったことで、しかたないが、一日も早くこの善後処置をしなければいけませんがね。いま、六月末だけれども、その前に処理するとおっしゃいましたが、その処理するのに、組織委員会から向こうに、切符の処理に人が行くのですか。  私は、ちょっと脱線するけれども、ちょっと別の話をしますけれども、この間新聞を見ますと、組織委員会で海外へまた人を出すということで、それが何か、まだ行かない人があったら何かの名目をつけて一回り回らせようというようなことで、田畑君かだれかが問題にしたように聞いたのですが、ぼくは、いままでの組織委員会やり方は、そのとおりだと思う。国民がオリンピック協力して、全国民が、あげて組織委員会に、乏しい中からいろいろな寄付金を出して、そうして組織委員会の基金をつくっておる。ところが、組織委員会が、選手強化に名をかりたり、その他いろいろなことに名をかりて——いままで組織委員会外国に行かない人は何人あります。あんたぐらいのものでしょう。大体一回り行っちゃったでしょう。その上に持ってきて、切符の処理で外国へまた行く。私は、行くことはけしからぬ。余ったら余ったときでいいじゃないですか。私は組織委員会の一員じゃないけれども、そういうことで佐藤さん、こうむやみに海外へ旅行して切符の売れないのを取りに行くのだ、また、できるだけ切符を買ってもらいたい——どういう人が行くかしれませんけれども、そういうことに間に合う人がそんなにいるわけはありません。一事務員がそんなことはできません。在外公館かなにか頼んでやったらいい。私は、こういうことでは非常に不明朗だと思う。いまそういう意見を言ってもしかたありませんが、私はここで具体的に聞きたいのは、どうせ外国から切符を引き揚げなければならぬ、たくさんね。それを今度は国内に分ける。どういう分け方の基準があるのです。どこへ分けるのです。これはまた千枚や二千枚の問題じゃありません。万という問題です。これをめぐって、また不明朗な切符の分け方をされちゃ困る。何か基準がありますか。
  84. 佐藤朝生

    参考人佐藤朝生君) 先ほど申し上げましたとおり、海外の方面からこちらに、国内向けに返ってくるものがございますれば、この入場券の配付につきましては、昨年来組織委員会で入場券小委員会をつくっておりまして、そこで審議してやっていただいておりますので、またその入場券小委員会等で御審議の上、これを国内け向をどういうふうに分けるかということを御審議願うようになるかと考えております。
  85. 河野謙三

    河野謙三君 これはひとつ、よけいなことですがね。いままで私たちは、納得のいくように入場券の処理がちゃんとできておればいいけれども、できておりませんからね。外国から回収した切符はどういう基準でどういうふうに分けるかということは、一ぺんにどうしろとは言いません。どういう基準でどういうように分けるかという説明を別の機会にいただきたい、こういうふうに思います。  それから、こういうわけで、切符の売れ行きが悪いということは、要するにオリンピック外国から来る人が少ないということですよ。いままで三万人三万人と一口に言っておられましたが、いまのこの切符の売れ行き状況から見て、外国からオリンピックに来る人は何人くらい想定されております。三万人はまずありませんわね。何万人ぐらいありますか。切符の売れ行きでわかるでしょう。切符のない人は来たってしょうがないのだから。
  86. 佐藤朝生

    参考人佐藤朝生君) 初めに予定いたしましたのが二十二、三万枚でございますが、ただいま売れておりますのは、先ほど申し上げましたとおり十一万ないし十二万ぐらいでございまして、あとどのくらい売れるかその点は見当つきませんが、それによりまして——また、ただいま河野先生のおっしゃったとおり、三万人と申しますか、三万人と申しますのは最大ピーク時でございます。延べは十万人ぐらいになると存じます。それがどのくらい減りますか、まだちょっと見当がつきませんので、この席でお答えできませんと思います。
  87. 河野謙三

    河野謙三君 これは非常にむずかしい数字ですけれども、しかし、ぼくはもうこの段階までさましたら、外国から来る人が、大体ラウンドで一万人とか、一万五千人とか、一万八千人とかというものを、私はもう押えられると思うんです。それを私は、早くあなたのほうで見当つけてもらいたいと思うのは、ホテル対策なんですよ。そこに高橋さんまだおられますけれども、この程度の切符の売れ行きからいえば、オリンピック開催時までには、いまつくっているホテルの部屋なんか、相当に部屋が余りますよ。ところが、どこへ行きましても、ホテルは予約済みで何にもありません、あいてない——ところが、いろいろ探ってみると、外国の、フランスの何のたれがし、イギリスの何のたれがしという予約じゃない。ただ予約があったというだけで、「どこかのだれかがお金をホテルへ払い込んでいる人がありますか」と言うと、対象は何のたれがしじゃない。「オリンピックのときのもう予約は済みました」と言うだけです。要するに、つばつけているだけなんです。こういうのは私は非常にいかぬと思うのです。まあ、きょう運輸省も来ておりませんけれどもホテル取り締まりというのは、私は、そろそろ外国から来る人の人数もだんだんわかってくるのだから、これと関連して、こういうホテルのやはりやみ行為をやっているものの取り締まりというものをある程度しなければ、せっかくオリンピックを開催して、善良なる外国人が来て、部屋がなかったということになっちゃいけません。といって、余るものなら、国内の人に使わせてもいい。それらにつきましても、外人の数字というものをそろそろ押えて、それと同時に、ホテル対策というものをもっと具体化しなければいかぬ段階じゃないかと思うのですが、一体あなたのほうには、ホテルについてはどういう情報が入っておりますか。
  88. 佐藤朝生

    参考人佐藤朝生君) この海外向けの切符が幾ら売れますかということにつきましては、河野先生のおっしゃるとおり、なるべく早く見通しをつけまして、これは各方面に影響のあることでありますから、私どものほうといたしましても、なるべく早く見通しをつける必要があるだろうということは御同感でございます。まあ、そのホテルのことにつきましては、私、寡聞にいたしまして、あんまり、いわゆる詳しい情報を持っておりません。私からお答えいたすことを差し控えたいと思います。
  89. 河野謙三

    河野謙三君 これは、ちょっと見当が違うかもしれぬけれども警察のほうには、何かホテルについての情報は入っておりませんか。私が知っている範囲ではね、全部満員ですよ。ところが、しかもそれは外人からの予約で満員だと、こう言うんです。日本人から予約があったとは言わない。外人のあれでホテルは実際満員だと。ところが、この切符の売れ行きから見まして、現在のところこれから二割、三割外人がふえましても、一ぱいになるはずはない。何か、警察のほうじゃ、そういう情報は入りませんか。
  90. 高橋幹夫

    政府委員高橋幹夫君) 私どもの聞いている範囲では、一応ホテルオリンピック当時は予約済みというふうな情報になっておりますが、確かに、その予約している個々具体的な、どういうものがどういうふうにしているかということについては、私どももそれだけを綿密に調査したわけではございませんので、確たる情報は持っておりませんが、確かに不確定な予約であるというふうにはいろいろ聞いております。
  91. 河野謙三

    河野謙三君 時間もだいぶ経過いたしましたから、私はいずれこれは運輸省に来てもらって、よく伺いますがね。ただ、その警察のほうでも、さっきの入場券のダフヤの問題と同じように、これはやはり警察の一つの取り締まり対象に、しかも大きな対象になるものだと思います。というのは、私はかねて、この席で申しましたが、この前ローマの大会に行きまして、在外公館日本の大使館からちゃんと予約をして、半年も前にあるホテルに一室を取っておいて行きました。料金もきまっておった。ところが、いよいよ最後に勘定を払う段になったら、何と四倍請求しましたよ。私は、あんまりことばもうまく通じないから、泣き泣きその朝払って、そうしてその後において、大使館に、これだけ払いましたという報告をしましたら、大使館から、それはけしからぬ言うて、ホテルヘまた文句言ってくれたらしいんです。そうしたら、それだけ、ちゃんと予約どおりに計算してくるかと思ったところが、ほんのわずかだけ戻してくれまして、結局はやはり四倍ほどのホテル料金を払って帰ってきた。日本はローマのようなことはしないでしょうけれども、そういう事例がありますし、日本でもいまのように外人から具体的に予約がないにもかかわらず、予約があったように、満員だ満員だといっているようないまのような経過から見ますと、これに対しましても十分な——これは何もかも、オリンピック取り締まり取り締まりと言うのはあまり歓迎したことじゃありませんけれども、やはり何かひとつ、ここに運輸省と十分連絡をとって、また組織委員会でもこれには十分な関心を持って、ほんとうに外人に、そういう私の経験したようなことの、たとえ一つでも事件が起こらぬようにしていただきたい、こういうことを切に私は希望いたしますが、あまり時間が長くなりますので、その他のことはまた別の機会にいたしまして、私はこれで質問を終わります。
  92. 柴谷要

    ○柴谷要君 一つだけ、これは組織委員会佐藤さんにお願いをかねて意見を申し上げておきたいと思うのですけれども、この外国切符の割り当ての枚数の把握は早くしないと、従来国内に配付する切符の取り扱いは交通公社にやらせましたけれども、非常に手数がかかりまして、六月一ぱいで大体の見当がつき、七月の半ばごろまでに交通公社に指示をしていただきませんと、えらい人はともかくとして、実際に業務をやる者は、オリンピックに間に合わぬというのが担当者の見解でございます。ですから、そういうことをひとつ御考慮を願って処置をされませんというと、国内配付の切符の状態と同じ扱いはできない、こういうふうに御見解を持っておられたほうがいいと思う。  それから当選をして公社のほうから通知をしたけれども、本人のところに通知がいかなかったのか、それとも、受け取ったのだけれども、不必要だというのでけったのか、相当枚数の人が受け取りにきておらない。実は、最初は一月末日でそれが効力が失効したわけですが、それでもまだ相当数取りにこないので、三月末までに延長したわけですね。延長したけれども、まだ相当な残があるわけです。こういうものと一緒にして外国割り当ての枚数をやらせようとするならば、おそくも七月の半ばごろに公社に指令をしないと、オリンピックに間に合わぬと、こういう担当者の意見のあることをひとつお考えをいただきたいと思う。  それから、どうもいやな話を聞いたのですけれども、公社のほうから出した通知がどこかで消された、はがきが本人に、当選者のところにいかないで消されてしまったというのが相当数あるようです。そういうことですから、この、何といいますか、千載一遇の機会で、期待をもって応募したところが当選をした。当選をしたけれども、本人にその通知を出したのにかかわらず届かなかったというのが一、二の例として出ておる。こういう点についても、ひとつ特段と関係方面協力をいただいて、そういう事態の起きないように、公正な切符の配付をひとつぜひお願いをしたいと思います。  それから、印刷はやはり政府関係機関の印刷局で印刷されると思うのですね、切符は。民間でおやりになるのですか、この点をひとつお聞かせを願いたいと思います。
  93. 佐藤朝生

    参考人佐藤朝生君) お答えいたします。大日本印刷と凸版印刷でございます。
  94. 柴谷要

    ○柴谷要君 そこで、私はやっぱり警戒しなければならぬのは、人を疑うわけじゃありませんけれども、これほどほしがっております切符が、かりに民間工場で印刷をされるということになりますと、これはまあ紙幣などと違って、そうむずかしい印刷物じゃありませんから、幾らでも偽造ができるのじゃないか。これがほんとうに本物とそっくりなものを印刷されて会場に持ち込まれた場合には、正規なルートで入手した人がたいへん迷惑をするわけですから、これはひとつ絶対に間違いのないように十分に御注意をいただきたい、こういうふうに思うわけです。  また、たとえば政府の印刷局あたりでどうしてやらせなかったのですか。相当優秀な技術を持っている小田原印刷工場なり、その他のところでやらすべきだ。私は、やはり紙幣と同じような非常に厳重な扱いをしたほうがいいと思ったのですが、これは大日本印刷なり、凸版印刷にやらせるということになりますと、これは民間だから疑うわけじゃありませんけれども、特段な注意をする必要があるのじゃないか、こういうふうに思いますが、その点をひとつ要望をかねて申し上げておきたいと思います。
  95. 佐藤朝生

    参考人佐藤朝生君) ただいまのいろいろの御要望承りましたが、われわれといたしましても、この入場券の印刷、保管等につきまして十分気をつけておりますが、今後も十分気をつけて公正を期したいと思っております。
  96. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) ほかに質疑はないようでありまするから、本日はこの程度にいたします。  参考人方々にごあいさつ申し上げます。本日は、御多用中のところを御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。本委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。今後とも、本委員会の審議のために御協力をお願い申し上げます。  それでは、本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十五分散会