○
国務大臣(
佐藤榮作君)
オリンピックを開催するにあたりまして一番大事なことは、
オリンピック精神、それを徹底さす、
国民各界の支持を得るように。また、これは
世界的な催しでもあると、そういう
意味で万人の協力を得る。こういうことが一番大事なんだと思います。それは何かと言えば、いわゆる政治とは
関係しない、これはもう全然別なことだと、このたてまえから、今日も、
オリンピックにどういう選手を呼ぶか、あるいはそれは国交のあるものに限るか、思想的に何か排除するか、あるいは
オリンピックに加入しておるものならば国交のいかんにかかわらずこれを招致すると、こういうことを実はやっておるわけであります。その
意味では、確かに「
世界は
一つ、
オリンピック東京大会」と、こういうことになるわけであります。私
どもも、政治的な見解は一切しない。
オリンピックを遂行するにあたりまして、いろいろ設備を整備したり、あるいは国家
予算を使ったり、関連する範囲において
オリンピックはいたしますけれ
ども、政治的な宣伝の場にすることは望ましくない、これが私
どものたてまえでございます。
したがいまして、ただいま
オリンピック大会で万全を期する、また成功さす、こういう
意味から、あらゆる知能をしぼっての警戒、警衛、さらにまた、それを成功さす、こういう
意味の
国民に対する協力、これを求めております。しかしながら、どこまでもやはり、警察
当局、これがその中心になるのでありまするので、最近の世情等から見まして、いろいろ選手自身が危険なような状態ではたいへんじゃないかと、こういうことも言われますし、あるいはまた、一般に
オリンピックを理解されてない、そういう
意味から、どんな犯罪が起こるやらもわからない、こういうことで、たいへん心配をしておるわけであります。最近、閣議でも、中共の見本市が行なわれるとか、あるいはまた思想的な問題等に関連いたしまして、それぞれの思想団体の動き等も注意を要する、こういう際でありますので、
オリンピックに対する警察の諸
準備はどの
程度できるか、こういうことが問題になりましたが、その閣議後において、
オリンピック関係閣僚の間で警察の諸
準備の状況を聞き取り、そうしてさらに私
どもが注意を促してみようと、こういう処置をただいま
計画いたしております。したがいまして、警察を中心にしての諸
準備は行なわれておるわけであります。もうすでに皆さま方も御承知のように、交通は一体どうなるかという交通取り締まりを基幹にして、さらにそれから後に治安、秩序維持、そういう方面にわたる万般の対策を立てる。昨日のマラソンのレースなどは、その
準備に基づいての実施と、かように私は見ておりますが、これなどは比較的うまくいったんだろうと思います。しかしながら、地方では、まだまだ部分的には問題を起こしているところがあるだろうと思います。が、さらに詳細な警察
当局の諸
準備を伺えば、私
どもは、また、しろうとはしろうとなりに注文するところのものもあろう。しかも、その範囲は、ただいま
河野さんが御指摘のように、まことに広範にわたるのでありますので、あるいはそこまで
考えなくってもと、こういうことがあろうかとも思いますが、それもこの際に
考えていかないと、相手方、犯罪を行なうほうから覆えば、これはもう無限大にいろいろの知恵を出すのでありますので、私
どものほうの取り締まりも、これはたいへんだと思います。そういう
意味から、ただいま政治には関与しないというたてまえではあるが、
臨時国会でも開いて、そこでさらに
日本国民の心組みをはっきりさしたらどうか、こういう御
提案ではないだろうかと思います。そういう点も、さらに私
どもこれから先の推移の状況では
考えなければならないかと思いますけれ
ども、冒頭に申し上げましたような気組みでこの
オリンピックを成功さす、そういう方向で進んでいきたい、かように
考えております。