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1964-04-13 第46回国会 参議院 オリンピック準備促進特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月十三日(月曜日)    午前十時二十九分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     佐藤 尚武君    理事            河野 謙三君            西田 信一君            岡田 宗司君    委員            石井  桂君            北畠 教真君            小柳 牧衞君            鈴木 万平君            津島 壽一君            天坊 裕彦君            山本 利壽君            柴谷  要君            田中  一君            柏原 ヤス君            中村 正雄君   国務大臣    国 務 大 臣 佐藤 榮作君   政府委員    警察庁保安局長 大津 英男君    大蔵政務次官  齋藤 邦吉君    大蔵省理財局長 吉岡 英一君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○オリンピック東京大会記念のための  千円の臨時補助貨幣発行に関する  法律案内閣提出衆議院送付) ○オリンピック東京大会準備促進に関  する調査保安防犯対策に関する  件)   —————————————
  2. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) ただいまから、オリンピック準備促進特別委員会を開会いたします。  オリンピック東京大会記念のための千円の臨時補助貨幣発行に関する法律案議題といたします。  まず、政府から提案理由説明を願います。齋藤大蔵政務次官
  3. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) ただいま議題となりましたオリンピック東京大会記念のための千円の臨時補助貨幣発行に関する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  本年十月、東京において開催されるオリンピック第十八回大会記念するため、政府は、新図案の百円臨時補助貨幣発行することといたしておりますが、オリンピック東京大会記念意義を一そう高めます見地から、今回さらに、諸外国におけるオリンピック記念貨幣発行の例をも考慮いたしまして、これらと比較いたしましても遜色のない、より高額の貨幣発行することとし、現在臨時通貨法によって発行を認められております百円以下の臨時補助貨幣のほかに、特別にオリンピック東京大会記念のための千円の臨時補助貨幣発行を行ない得ることとしようとするものであります。  なお、この千円の臨時補助貨幣は、他の臨時補助貨幣の例にならい、二万円を限度として法貨として通用することといたしております。  以上が、この法律案提案理由であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますよう、お願い申し上げます。
  4. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 速記をとめて。   〔速記中止
  5. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 速記をつけて。  それではこれより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願いたいと思います。
  6. 岡田宗司

    岡田宗司君 大蔵省当局のほうから、もう少しこまかい説明がなければならぬと思うのですが、たとえば幾ら発行するのかとか、どういう、いつからいつまで発行するのか、いろいろあると思うのです。それをたぶん用意してきておると思うので、もう少しその詳しい説明を聞いた上で質疑をしたいと思います。
  7. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) ただいま岡田委員より、追加的にもう少し詳細な報告がほしいということでございますが、どうぞ大蔵当局のほうで御説明を願います。
  8. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) ただいまお話のありました点に関連いたしまして、多少補足的に御説明申し上げます。  いま発行予定をいたしまして法律案の御審議をお願いいたしております千円につきましては、ただいま提案理由でも御説明申し上げましたように、諸外国オリンピック記念通貨に比べまして遜色のないものをつくりたいということで考えております。最終的に量目その他決定いたしたわけではございませんが、ただいま私どもとして一応考えておりますものは、フィンランドの五百マルッカの貨幣直径三十二ミリ、量目十二グラム、銀の純分が千分の五百というものでございます。それからオーストリアの五十シリングが直径三十四ミリ、量目二十グラム、銀の純分千分の九百というものでございました。これに対しまして、一応私ども考えております千円は、直径が三十五ミリ、オーストリアのものよりやや大きくして、量目が大体オーストリアと同じ二十グラム程度の、銀の純分千分の九百二十五、ほかのものに比べていいものをつくりたいと考えております。  それから数量につきましては、造幣局製造能力等考えまして、ただいまのところ、オリンピック開催までに約千五百万枚を製造する予定でおります。御承知のように、百円の記念デザインのものを約八千万枚出しますので、それと勘案いたしまして、大体千五百万枚でいいかと考えておりますが、もし需要が非常に強くて、そういうような事態になりましたならば、場合によっては千五百万枚に追加して製造することも考えております。  それから製造の時期につきましては、ただいまから法律の御審議を願って法律が成立いたします関係上、通常の補助貨幣の場合のように、これから図案公募をいたしますということになりますと、多少時間的に間に合わない関係もございます。それから、一般に流通いたします補助貨と違いまして、非常に特殊な記念通貨でございます点等考えまして、この千円につきましては、図案公募をいたさないで、その方面の専門家図案によって作成にかかろうかと考えております。そういたしますと、大体今月中に図案を決定いたしまして、試作にかかりまして、大体夏ごろに製造にかかりまして、九月には一応発行できるのではないかというふうに考えております。
  9. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 質疑のある方はどうぞ御質問を。
  10. 柴谷要

    柴谷要君 オリンピック東京大会記念して千円の臨時補助貨幣発行するということは、たいへん意義あることで、賛意を表する次第でありますが、一体この法律案が、読んでみまするというと、時限的なものであるか、それとも永続的なものであるか、表題から見れば時限であるように考えられるが、しかし通貨取り扱い上の問題を考えた場合には、時限ではないような意味を持っている、こういう点が考えられるのでありますが、この取り扱いはどう考えておられるのか、冒頭にお尋ねをしておきたいと思います。
  11. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) お答え申し上げます。  これは、補助貨発行いたしますのでありますが、普通考えられますことは、ただいま補助貨規定をいたしております臨時通貨法改正をいたしてということが一つの方法かと考えるのでありますが、私どもといたしましては、今回の千円は、オリンピック記念という非常に特殊なものを出すものだというふうに考えております。したがって、臨時通貨法改正という形じゃなしに、こういうオリンピック東京大会記念のためのという単行法をお願いしているわけです。そういう意味で、この法律は、今回のオリンピック記念のために貨幣発行する、そういう意味で、非常に時限的と申しますか、今回限りのものと考えております。   ただ、先ほど申し上げましたように、一応千五百万枚の製造予定いたしておりますが、非常に需要が多くて、場合によっては、もう少し追加しなければならないというような場合ができました際に、造幣局製造能力その他から申しまして、多少オリンピックの時期がずれても製造しなければならない事態が起こるかもしれないと考えております。そういう意味で、多少ずれるかもしれないという意味では、オリンピックまでという時限的なものではございませんけれども、しかし、今回のオリンピックに限るという意味では、非常に時限的なものだと考えております。
  12. 柴谷要

    柴谷要君 千五百万枚の発行ということがほぼきまっているようでありますが、需要によってはそれ以上も考えておる、こういう御答弁でございますが、やはりオリンピックと銘を打ったからには、その硬貨昭和三十九年の刻印が押されることは明らかである。これが昭和四十年になって発行したのでは、オリンピック記念になりませんから。三十九年の年号の入ったものが出される限りは、オリンピック記念硬貨、こういうことになるわけです。ですから、オリンピックが済んだあと発行するという考えであるのか、それ以前にすべて処理してしまう、こういう考えであるのか、その点をひとつ明確にお答えいただきたい。
  13. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) お話のとおりでございますので、私どもといたしましては、なるべくオリンピックまでにその千五百万枚で大体御満足がいくということを期待いたしておりますけれども、ただ、これは日本としては初めての記念貨幣のことでございますし、場合によって、非常に少ないために、不満と申しますか、問題が起こるというようなことであれば、あるいはオリンピック後、十月以降多少つくらざるを得ない、場合によっては、来年にわたってもつくらなければいけないかと考えております。ただ、もちろん、つくるといたしましても、同じ図案のものをつくる予定でおります。外国の例を見ましても、多少その年でない年に発行した例はあるようでございます。
  14. 柴谷要

    柴谷要君 一体、記念硬貨を出すのに、四十年なり、相当期間がたっても出さなければならぬという理由がどこから生まれてくるのですか。やはり記念硬貨であれば、オリンピック開催時までに出して、それであと需要が多いとか少ないとか——これは通貨ですからね。通貨ですから、政府がきめられたら、千五百万枚なら千五百万枚出して、それで打ち切り、こういうことにはならぬのですか。
  15. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) 大体そういうことにいたしたいと考えておりますが、ただ、私ども懸念いたしますのは、非常に需要が強くて、それではどうにもならぬというような事態がもし起こりましたら、多少の追加をしなくちゃいかぬかという程度考えておるわけでございます。
  16. 柴谷要

    柴谷要君 そこで、この千円の硬貨発行いたします千五百万枚、こうなりますというと、現行の千円札のほうに影響してくると思うのだが、その点はどうなんですか。その点をお聞かせ願いたい。
  17. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) 千円札に影響するという御趣旨がちょっとわかりかねますが、一応この千円は、ただいまの紙幣製造計画あるいはその他の補助貨製造計画のほかに、プラス・アルファーとして出す計画でおりますので、そのほかのものに影響という意味がちょっとわかりかねますが、あまり影響がないように考えておりますが……。
  18. 柴谷要

    柴谷要君 補助貨であるから、計画は、千円札のほうには影響を与えないで、これだけは特別に増産する——増産するといっては語弊がありますが、発行する、こういうことでございますね。  そこで、お尋ねをしたいことは、造幣局のほうに、昭和三十九年度の予算に、この臨時貨幣発行に対する予算というものをお取りになっておられるか。不幸にして、私は予算検討をしてみましたが、ないように思うのですが、この点はいかがでございましょうか。
  19. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) お話のように、ことしの予算は、こういう特別な千円の発行予定しない予算になっております。ただし、造幣局特別会計におきましては、弾力条項がございまして、特別の需要がありまして収入があります場合には、それに伴って経費の支出ができる規定がございます。したがって、これは千円を約千五百万枚と申しますと、百五十億になりますが、その百五十億の収入があるわけです。造幣岡特別会計といたしまして、それに伴う経費を支出するといういわゆる予算弾力条項で処理をいたしたいと考えております。
  20. 柴谷要

    柴谷要君 弾力条項でできる、こうおっしゃっておりますが、実際そのとおりになるのですか。造幣局その他を調べてみますると、やはり一定の予算が必要だ、こういうことを言っておられる。そうなるというと、大蔵省自体としてもこれは配慮してやらなければいかぬ、こう思うわけです。この点についてこまかいことは存じませんが、これだけ余分な仕事をやるということでありますから、予算が伴うのは当然だと思います。その予算的措置をされて、間違いのないように期日に発行してもらいたい、こういうことをつけ加えておきたいと思う。  この機会でありますからお尋ねしておきたいと思うのでありますが、貨幣法といい、臨時通貨法といい、どうも現実に即していない法律だと思うのです。現実に即していない。一体、その将来の問題として、青銅貨幣の一銭とか五厘、あるいはニッケルの十銭とか五銭とかいうものが、将来発行されるような情勢に立ち至るものであるかどうか、そういうことを予期してこの法律改正をしないでいるのかどうか、これをひとつ聞かしてもらいたい。ちっとも現実に即していないこんな法律がある。これをひとつ聞かしてもらいたい。通貨発行の時期が再度訪れるということを考えておるのか、明確にお答えいただきたい。さもなければ、こういう機会ですから、近く改正をしたいということぐらいはおっしゃったらいいと、こう思いますが、いかがでございますか。
  21. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) お話のように、ただいまの貨幣法並びに臨時通貨法等は、いろいろほかの法律で効力を停止いたしましたり、いわゆるおっしゃるような現実と即しないものがかなりございます。そういう意味で、私どもも、いつかの機会には全面的な改正をしなければならないと考えております。ただ、通貨全体のいろいろな問題、あるいは外国のこれに対する態度、その他を慎重に見きわめました上で全面的な改正をしなければならないと考えておりますので、ただいますぐにという気持ちはございません。おっしゃるとおり、非常にこれは問題のある法律でございます。将来は全面的な改正をすべきだと考えております。
  22. 柴谷要

    柴谷要君 将来でけっこうだと思いますが、早くこういう法律は変えたほうがよろしいかと、こう思います。  ついででございますけれども、この臨時通貨法の第四条に「臨時補助貨幣ノ素材、品位、量目及形式ハ勅令以テ之ヲ定ム」と、こうなっておる。それから同じく五条に「小額紙幣形式ハ勅令以テ之ヲ定ム」、こうなっているが、これはどういうふうに定まっておるのですか。その内容をひとつ聞かしていただきたい。「勅令以テ定ム」、これは一体どういうふうに定まっておるのか、その点をお聞かせ願いたい。
  23. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) ただいまの点は、形式量目その他は、現在のたてまえでは政令で定めることになっております。各通貨量目について、政令で、ただいまの百円なら百円の量目その他を定めておるわけであります。
  24. 柴谷要

    柴谷要君 臨時通貨法の第四条にちゃんと明記されておるでしょう。政令とはなっておりませんよ。勅令ですよ。そうでしょう。
  25. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) はい。
  26. 柴谷要

    柴谷要君 だから、政令で定めるというのはおかしいじゃないですか。だから、こういうところがあるから早く直しなさいと、こう言うんです。ないことは知っておるから。ないことが書いてある。だから、こういうことを早く面しなさいと言ったら、お直しになるということですから、もうこれ以上お尋ねいたしません。  そこで、東京大会記念と銘打って出されるわけでありますから、図案公募はいたさない、時間的に、専門家にと、こういうことですが、私はそのほうがいいと思う。専門家の念の入った図案でもって記念として早急にやっていただく、こういうことでございます。特にこういう機会意義あるものの発行でございますから、つまらない質問を申し上げたようでございますけれども、この機会に、貨幣法臨時通貨法改正もやって、やはり体制を整えていただきたいということを符に希望して、私は本案賛成の意思を表明して質問を終わりたいと思います。
  27. 河野謙三

    河野謙三君 ちょっと、理財局長さんにお伺いしたいのですが、私は、千五百万枚ですか、これはとても需要に応じきれないと思う。いまの記念メダル、最近のオリンピック関係の切手の売れ行きその他の関係から見て、それで足らなかったら、あとからつくるということは、オリンピックが終わったあとオリンピック記念貨幣をつくってもたいして意味はないので、そこで、鋳造能力は一体どのくらいあるのですか、オリンピック開催時まで。
  28. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) お話のような懸念を私ども多少持っておりますが、ただいまお尋ね鋳造能力の点について申し上げますと、この前の本委員会で、私どもがこういう貨幣発行に踏み切るのにちゅうちょいたしております理由一つとして、製造能力を申し上げたわけであります。その後検討の結果、ただいま造幣局製造計画の中で、実は一円の製造が非常な大きな部分を占めておるわけであります。この一円を、できるだけ外に注文を、外注をいたしまして、それによって生じました圧延能力をフルに使ってこれにかかろうという予定をいたしております。ただいま一応想定をいたしております外注の余力、それによって生ずる造幣局製造能力から申しますと、オリンピックまで千五百万枚というのが、ある意味でぎりぎりだという感じを一応いたしております。なお、これは、昼夜作業を強める、あるいはもう少しくふうをいたしましたら、多少、もう少し能力が出るかもしれませんけれども、ただいまのところは、造幣局能力からいって、千五百万枚程度かと見ておるわけであります。
  29. 河野謙三

    河野謙三君 そういたしますと、この千五百万枚というのは、一応オリンピック開催時までの鋳造能力から割り出してきまったように受け取れるのですが、必ずしも需要量想定して千五百万枚ということではないと思うのですが、いま、外国のこれに類するものを見せていただきましたが、おそらく日本ではこれ以上りっぱなものができると、そうしますと、これは非常に需要が多くて、あなたのほうで一番きらうところの退蔵というものが、より一そう、千五百万枚程度であったら、退蔵というのを奨励することに私はなると思うので、昼夜兼行、その他いろいろくふうされまして、私はあらかじめ、これを二千万枚とか二千五百万枚にしておかれたほうがいいんじゃないかと、こう思いますが、これは希望でございますけれども鋳造能力がないものはしかたがありませんけれども、一応千五百万枚ということで、あまり結論を出さずに、より一そう馬力をかけて、より一そう通貨発行枚数をふやすということに私は御尽力をいただきたい、こういうことを希望いたしまして、私も、柴谷さんと同様に、本案には賛成でございますから、その点のお答えがいただけましたら……。
  30. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) お話のように、何千万枚出しますと大体需要にマッチするか。実は、非常にむずかしい。初めてのことを行なうのですから、私ども、正直申しますと、なかなか見当がつかないのでございますが、ただ、フィンランドの例が六十万枚、オーストリアの例が二百五十万枚でございます。けた違いに少ないわけでございます。それで、そうたいした問題なしにいっておりますが、まあ日本外国とは事情が違いますけれども、千五百万という数字は、かなり大きな数字ではないとか考えてはおります。ただ、これははっきりはわかりません。
  31. 岡田宗司

    岡田宗司君 今度の千円でございますが、この千円銀貨の原価は、どのくらいになるのですか。
  32. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) 大体、一応想定をいたしております量目、銀の純分量から申しますと、正確な計算はいたしておりませんが、大体の見当としては、四百円以内でおさまるかと考えております。
  33. 岡田宗司

    岡田宗司君 四百円以内でおさまっていくということで、実際、政府のほうと申しますか、もうけというのはおかしいですが、相当大きなもうけがあるのですか。ことに、これが外国に持ち帰られるということになりますというと、いわば外貨にかえられるわけで、外貨獲得という意味からも、どうも望ましいと言うのもおかしいけれども、とにかく、よけいの外貨が入ることになるので、先ほどから退蔵云々というお話がございましたけれども記念貨幣等というのは、出ますと、どうしても退蔵の傾向はやむを得ないことだと思うので、しかも外国へ持ち帰られることもやむを得ざることと思うのでりあますが、これはやはり外国へ持ち帰られる場合に何ら制限は受けないと、こういうことでございますか。
  34. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) 私どもも、もう前にちゅうちょしたときに、いろいろなことを申し上げましたけれども、こういうことに踏み切りました以上は、ある程度退蔵になるということは考えております。いまの、外国への持ち帰りのお話でございますが、為替局の問題でございまして、私の所管でございませんけれども、私の聞いておるところでは、現在、通貨の持ち出しは二万円まで自由になっておるそうでございますから、支障はないと考えております。
  35. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それでは、ほかに御質疑がないようでありますので、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでありますので、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。オリンピック東京大会記念のための千円の塩町補助貨幣発行に関する法律案を問題に供します。本案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  38. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって、原案どおり決すべきもあと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。   —————————————
  40. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 次に、オリンピック東京大会準備促進に関する調査議題といたします。  防犯対策等に関する件について質疑の通告があります。これを許します。河野君。
  41. 河野謙三

    河野謙三君 佐藤国務大臣、御多忙のところ御出席願いましたので、まず私は国務大臣に、ひとつ防犯対策につきましてお伺いすると同時に、希望を申し上げたいのですが、新聞で拝見いたしますと、オリンピック準備の中で、特にオリンピック開催時におけるところの防犯対策についていろいろ御論議があったようでございますが、私は前の委員会でも、警察庁の方においでを願って、いろいろお尋ねもし、希望も申し上げたのですが、どうも、このごろの社会の情勢を見ますと、オリンピック開催時に、すべての準備が整いましても、治安対策が一体これでいいのかという心配がますます深まるばかりであります。  そこで、私は国務大臣にお伺いしたいのは、やはり警察力またはそれに防衛庁の援助等を求めまして治安対策をやるのもけっこうでありますけれども、何と申しましても、オリンピック開催時までにまだ相当日時がございますから、いわゆる毎日新聞の標語ではございませんけれども、「世界一つ東京オリンピック」、このオリンピックと平和、これをより一そう国民全体に徹底させるように、一つの手段としては、オリンピック開催の直前と申しますか、九月か十月の初めに臨時国会でも開催して、国民オリンピック開催意義、「世界一つ東京オリンピック」、ひとつこれをより徹底させるように、国会を通じて宣言をするような機会をつくる、また同時に、これと相前後して、地方議会、市町村の議会、それぞれ一斉にさような会合を開いて、国民オリンピック意義を徹底させるための、私は一つ国会がムードをつくるべきじゃないか、こういうふうに思いますが、さようなことをお考えになっておることがありますかどうか。これは、オリンピック担当相として、必ずしも私は総理の見解でなくて、積極的に佐藤国務大臣が、それらのことについて働きかけることによって、これは可能である。私は、何と申しましても、くどいようでありますけれども、犯罪のあとを追いかけていても、これはとても追いつくものじゃない。大きく言えば、いろいろ国内に思想の対立はあるでしょう。また、世界を平和、日本を平和に持っていくためのいろいろな手段方法について意見の対立もあるでありましょう、ありましょうけれども、少なくとも、本年の秋、オリンピックの開催前におきまして、すべてのこれらの思想対立、その他一切の見解の相違等は、一応「世界一つ」という目標に立って休戦状態に入って、そうしてオリンピックをほんとうに国民が立場のいかんにかかわらず、平和のうちに迎えるということに何か徹底させる方法が他にあれば、それをやるべきだ。さもなくて、警察官を幾らふやしてみたところで、防衛庁をいかに増員いたしましたところで、それぞれの選手の身辺の保護さえも困難じゃないかと、私はかように思います。私は、一つの見解、意見として、臨時国会その他の一つの具体案を提示したんですが、何か、これにつきまして、国務大臣、お考えになっていることがありましたら、この機会にお知らせいただきたいと思います。
  42. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) オリンピックを開催するにあたりまして一番大事なことは、オリンピック精神、それを徹底さす、国民各界の支持を得るように。また、これは世界的な催しでもあると、そういう意味で万人の協力を得る。こういうことが一番大事なんだと思います。それは何かと言えば、いわゆる政治とは関係しない、これはもう全然別なことだと、このたてまえから、今日も、オリンピックにどういう選手を呼ぶか、あるいはそれは国交のあるものに限るか、思想的に何か排除するか、あるいはオリンピックに加入しておるものならば国交のいかんにかかわらずこれを招致すると、こういうことを実はやっておるわけであります。その意味では、確かに「世界一つオリンピック東京大会」と、こういうことになるわけであります。私どもも、政治的な見解は一切しない。オリンピックを遂行するにあたりまして、いろいろ設備を整備したり、あるいは国家予算を使ったり、関連する範囲においてオリンピックはいたしますけれども、政治的な宣伝の場にすることは望ましくない、これが私どものたてまえでございます。  したがいまして、ただいまオリンピック大会で万全を期する、また成功さす、こういう意味から、あらゆる知能をしぼっての警戒、警衛、さらにまた、それを成功さす、こういう意味国民に対する協力、これを求めております。しかしながら、どこまでもやはり、警察当局、これがその中心になるのでありまするので、最近の世情等から見まして、いろいろ選手自身が危険なような状態ではたいへんじゃないかと、こういうことも言われますし、あるいはまた、一般にオリンピックを理解されてない、そういう意味から、どんな犯罪が起こるやらもわからない、こういうことで、たいへん心配をしておるわけであります。最近、閣議でも、中共の見本市が行なわれるとか、あるいはまた思想的な問題等に関連いたしまして、それぞれの思想団体の動き等も注意を要する、こういう際でありますので、オリンピックに対する警察の諸準備はどの程度できるか、こういうことが問題になりましたが、その閣議後において、オリンピック関係閣僚の間で警察の諸準備の状況を聞き取り、そうしてさらに私どもが注意を促してみようと、こういう処置をただいま計画いたしております。したがいまして、警察を中心にしての諸準備は行なわれておるわけであります。もうすでに皆さま方も御承知のように、交通は一体どうなるかという交通取り締まりを基幹にして、さらにそれから後に治安、秩序維持、そういう方面にわたる万般の対策を立てる。昨日のマラソンのレースなどは、その準備に基づいての実施と、かように私は見ておりますが、これなどは比較的うまくいったんだろうと思います。しかしながら、地方では、まだまだ部分的には問題を起こしているところがあるだろうと思います。が、さらに詳細な警察当局の諸準備を伺えば、私どもは、また、しろうとはしろうとなりに注文するところのものもあろう。しかも、その範囲は、ただいま河野さんが御指摘のように、まことに広範にわたるのでありますので、あるいはそこまで考えなくってもと、こういうことがあろうかとも思いますが、それもこの際に考えていかないと、相手方、犯罪を行なうほうから覆えば、これはもう無限大にいろいろの知恵を出すのでありますので、私どものほうの取り締まりも、これはたいへんだと思います。そういう意味から、ただいま政治には関与しないというたてまえではあるが、臨時国会でも開いて、そこでさらに日本国民の心組みをはっきりさしたらどうか、こういう御提案ではないだろうかと思います。そういう点も、さらに私どもこれから先の推移の状況では考えなければならないかと思いますけれども、冒頭に申し上げましたような気組みでこのオリンピックを成功さす、そういう方向で進んでいきたい、かように考えております。
  43. 河野謙三

    河野謙三君 私が先ほど申し上げましたように、施設の準備、選手の強化対策はきわめて順調にいっておって、いまの段階で、それらの面に関しては、オリンピック準備はもう完了しているというぐあいに私は考えております。ただ問題は、また重複しますけれども、最近の、外国の要人が羽田に参りましたときのいろいろな事態等を考えますと、左右の思想の対立はありますけれども、事オリンピックに関しましては全然別である。たとえば、オリンピックの特別委員会で、衆参両院を通じまして、事オリンピックのことで一回も対立した例はございません。本日の千円貨幣の問題にしても、きわめて積極的に政府を支持鞭撻しているというのが今日までの事態でございまして、一般の国民に、事オリンピックに関しましては、国会におきまして何らの対立もなく一丸となって政府を鞭撻激励しているこの姿が、まだ十分反映していないのじゃないか。そういう意味合いからも、私は、まず国会が先頭に立って、先ほど申し上げましたように、府県議会、町村議会一斉に、一つの、オリンピックと平和、オリンピック世界一つ、この宣言をする機会を何かある時期に置いたら非常に効果があるのではないか、こういうふうに思うのです。  私は、これをこの機会に、ここで佐藤国務大臣から御即答をお願いしようとは思いませんけれども、十分お考えいただける問題じゃないかと、かように思います。さもなくして、いまのような事態オリンピックを迎えましても、私は、警察力のなんというのは限度があると思う。数万、数千の外国人を集めて、右の人が左をねらい、左の人が右をねらうというようなことをやっておったのでは、私はオリンピックは開催できないと思う。現段階において、これらに対する私は何らの自信を持てる人は一人もいないと思う。そういう意味合いで、すべての準備は完了したのでありますから、これに対しましての準備に私は一切の精力を注いでやっていただきたい。こういうふうに思いますが、重ねてひとつ積極的な御意見を伺いたいのであります。
  44. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまのお説のように、私もたいへん心配いたしております。国内の治安状況は、ただいま必ずしも万全だとは言えない。外国の要人ばかりでございません。私どもいわゆる要人でない者につきましても(笑声)護衛がついている。しかもその状態は、社会党の方も、また共産党の方も、同じようにそういうものを必要としていることをお認めだろうと思う。そういう状態のもとにおいてオリンピックを迎えるわけで、そこでたいへんな覚悟というか、周到なる用意が要るわけであります。ただいま開催されております中共の見本市、あそこに展示されております写真に対してあの暴力行為、これなどはたいへん私ども恥ずかしいことであります。そういうことを考えますと、オリンピックを迎えて、そして日本の国の近代的なものを各国に知っていただこうと、こういう際に、はたしてそれがうまくいくだろうか。ただいまのような事態が次々に起こってくると——しかもその場合に、左右向陣営から日本に来るわけであります。もしも競技を通じて左右町陣営の対立でもここに出てきたらどうしたらいいだろう、そういうところから、応援団に対しましてもいろいろの注文が出ている。これなどもどもの苦心の存するところであります。  ただいま、オリンピックに関する限り左右の対立はないと言われるけれども、必ずしもこの委員会のようにはなかなかいかない。さらに、これが取り締まりの問題になる、あるいは入国の問題になる、各方面でそれぞれの立場からのそれぞれの御意見が出てくる、ことに一番私どもが注意しなければならないことは、警察の取り締まりということになれば、どうしても人権、尊重さるべき人権、それに対する拘束が至るところで出てくるのであります。それをしも国民自体が納得をしてそういうような拘束をされることを受けるであろうか。たとえば、交通整理一つにつきましても、思い切ったことをしないと必ず混乱を招くだろう。ここにも非常な問題があるわけであります。さらに、それがもっと日常生活にまで立ち入って、成功さす、協力を求める、こういうことになると、日常生活にも立ち入らざるを得なくなる。これなどは大いに議論の存するところであります。そういうことを考えてまいりますと、しごく平穏無事に、いわゆるオリンピックのために国民考え方は結集されておる、かように見ることはまだ早い、早計のように私ども思います。  しかしながら、私どもに課せられたる責務から申せば、何としてもオリンピックを成功させなければならない、そういう立場に立ちまして、 いろいろ、ない知恵もしぼっておりますし、また、関係方面の警察当局におきましても、そういう意味合いから各界の御了解を得る、理解ある協力を得る、こういう方向でなければならないだろうと思いまして、警察当局もいろいろ苦心をいたしておるのであります。良識の府、また立法の府である衆参両院におかれましても、そういう意味の御協力を切にお願いしてやみません。そうして、先ほど申しますように、とにかく、政治にこれを利用する、あるいは政治的な見方をする、こういうことはつとめて避ける、そしてどこまでも白色において、そうしてオリンピックを成功さす、こういうところへ総力を結集したい。これは、私のオリンピック担当大臣としての気持ちでございます。幸いにいたしまして、そういう点も御理解を得ますならばたいへんしあわせでございますので、十分警察当局の取り締まり等につきましても、あるいは場合によったら行き過ぎという御批判が出るかもわかりません。それを私は非常におそれますので、行き過ぎのないような、理解のあるひとつ御協力のほどお願いしてやみません。  先ほどの臨時国会云々も、そういう意味から、私はなかなか決しかねておる。他の問題で幸いにして臨時国会を開かれる、そういう場合であれば、こういう問題もあわせてPRすることが非常に楽だと思いますけれども、ただこれだけを理由に出してくることはいかがかと、かように私考えております。
  45. 河野謙三

    河野謙三君 オリンピックの直前に臨時国会を開催いたしまして、国民とともに平和宣言をするというようなことは、おそらく例はないでありましょう。私はまた、そういうことを提案すること。体が、ある意味においては日本の恥かもしれませんけれども、恥であっても、治安当局が自信を持ってオリンピックに当たれないというのが私は本音じゃないかと思う。そういう形のままでオリンピックに突入するということは、何と申しましても準備不足でございますから、私は、臨時国会等必ずしもとらわれませんけれども、何らかの形で治安当局——あとで伺いますけれども、これなら私のほうで自信が持てるというところまでは、治安当局の手の届かないところはやはり国会において私はすべての手段を尽くしてやらなければいけないのじゃないか、こういうふうに思うのです。先ほど、事オリンピックに対して必ずしも二つになれない、オリンピック特別委員会は別であるとおっしゃいましたが、私は、それは話せば、必ずしも、事オリンピックに関する限りは、特別委員会のみならず、各党一致して結論が出ると思います。でありますから、この交通整理をどうするとか、オリンピック開催時において多少人権に触れるような問題があるけれどもこうするとかということを具体的に提示されることによって、一つ一つ私は問題を解決しなければいかぬと、こういうふうに思うのです。私は、何と申しましても、治安対策につきましては準備不足だと思うので、何かいろいろ治安対策で御提案がございましたら、この国会中にひとつ自由にお出しいただきたい。こういうふうに思いますが、まだ会期もだいぶございますから、そういう点で、もしたとえば具体的にどういうことをお考えになっているというようなことがあれば、これはひとつこの機会にお漏らしをいただきたいと思います。
  46. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) たいへん御配慮いただいて、その点では感謝にたえません。私、オリンピック担当大臣を拝命いたしますと同時に、この諸準備がどういうふうに進行しておるか、これをチェックいたしてまいりました。先ほどお話しになりましたように、あるいは道路関係等のものは大体計画よりも早目に進行するようで、これはたいへん喜んでおります。また、選挙強化につきましても、これは格別にお骨折りでございまして、これもそれぞれのものがよほど意気込んできている、その意気盛んなところに期待ができる、かように思います。しかして、いままで申し上げておりますのは、国民の各界におけるオリンピックを迎えるに際しての心組みがはたしてできているだろうか。ことに、オリンピックにおいては、いわゆるビジネスとオリンピックと、こういう関係において間違いがないだろうか。あるいは、そういう機会にお祭り的な気持ちでビジネスをやるというようなことがあっては、これはたいへんだ、かように考えておりますが、これまた民間財界人におきましても、オリンピックの接客、そういう態度についてのいろいろのくふうをいたしております。また、警察当局に対しましても、そういう意味からいろいろ御注文をし、先ほど来申し上げておるように、交通の整理、さらにまた町の暴力行為、あるいはいかがわしい風紀を乱すような行為、そういうものに対してはいかに処理するかとか、これなども、すでに就任当初に実は注意をいたしたのであります。その後準備ができておりますが、まだオリンピック担当閣僚会議を開いておらないものですから、近くそれを開催するということになっておりまして、その席におきましてその結果が必ず出る。これまた、赤沢公安委員長のほうにおきましても、もうすでに準備が一通りできましたから、いつでもその会議を開催してください、かような実は申し入れをされておりますので、これなどはできるように思っております。  しかし、まだまだいろいろ考えれば際限のないことであります。ことに、あるいは入場者の問題、これは組織委員会の問題でございましょうが、切符も全部が全部割り当て終了だ、こういうようなところにはまだ至っておりません。しかし、これなども、この問題をめぐって、やはりいろいろ御希望があるやに伺っておりますので、これも限りある枚数から申しまして、なかなか簡単にいかないのじゃないだろうか。これも一つの心配でございます。それにまた、衛生方面、あるいは水道、あるいは公衆電話、その他の施設等につきましても、そういうこまかなものにまだまだ落ちているものがありやしないか、こういうことで私どもはいろいろくふうをしておる。とにかく、各界にまたがることでありますし、また関連を持つことであります。各界の十二分の御協力を得ないと、オリンピックを成功さすということは非常に困難だと、かように思いますので、あらゆる方面についての御協力を願っておるというのが今日の実情であります。ただいま問題になっております治安、警察の取り締まり、そういう事柄につきましては、ただいままだ当局考えた具体案の説明を得ておりませんので、近くこれを聞くことになっておりますから、どうかその結果を待っていただきたいと、かように思います。
  47. 河野謙三

    河野謙三君 警察の御当局にちょっと伺いますが、私の経験でいきますと、オリンピックが開催されますと、どこの選手も、ブレザーコートを着ますと、優越感を持ちまして、何か普通の人のできないこともおれにはできるのだというような気持ちになりがちでございます。その一番いい例が、交通制限に対しまして、とかく制限を飛び越えて何かやるというようなことがありがちでございます。まあ、そういうことは、それぞれ事前に手が打てましょうが、一番私の心配になるのは、いま国務大臣もちょっと触れられましたが、たとえばソ連の選手とか、北鮮の選手とか監督とか、そういうものが大勢来ますね。その場合に、これらの方が東京におきまして、どこは行ってもいいけれども、どこは行ってはいけないというような制限は加えられますか。たとえば、銀座は行ってもいい、新宿は行ってもいい、しかし浅草に行ってはいけない——何かそういう制限を加える準備をしておるでしょうか、私はできないと思いますが、どうするのでしょうか。
  48. 大津英男

    政府委員(大津英男君) ただいま御質問がございましたが、まあ、外国の選挙あるいは監督の旅行、あるいは行き先の制限、こういうような問題につきましては、外交上の問題でございますので、警察としては別に制限をするとかというようなことは全然考えてもおりませんが、外交上どうか——しかし、それもまあ相互主義の問題もございましょうけれどもオリンピックという立場からは、そういう点についてどうされるかは私は存じませんけれども、警察としては、少なくも、そういうことについて何ら制限をするということはないと考えております。
  49. 河野謙三

    河野謙三君 それは私はできないと思うのですよ。また、すべきではございません。そうしますと、それらの特定の国ですね、その国の選手には少し身辺を特別警備してやらなければならぬというものがございますね。これらの選手には、佐藤国務大臣に護衛をつけるほど厳重でなくてもいいかもしれませんけれども、何かやらなければ、現在の段階の社会情勢からいえば、私は非常に不安だと思う。だから、私は社会情勢全体がもっと平和ムードで包まれることにならなければ、何千人警察官を増員してもだめだと思うのですが、しかし、そういうことは、いまのあれで期待はできませんね。そうすると、それぞれの選手にみんな何か警察官をおつけになるような準備をしておられるのですか。
  50. 大津英男

    政府委員(大津英男君) オリンピックの選手は、大体オリンピック大会に参加をして、そのついでに日本の国内の旅行をするとか、あるいは日本の国内のいろいろなところを見学するというようなことがあると思いますが、大体において、それは団体行動をされるということも多いと思いまするし、個人的に全然わからないようなところへ行かれるというようなことはあまりないんじゃないか、そういうふうにも考えておる次第でございまして、警察が個々の選手に一人一人みな警護をつけなければならないというような事態があるという、こういう最悪の状態のことは私ども予想もしておらない、こういうことでございます。
  51. 河野謙三

    河野謙三君 まあ、それは非常に甘いのであって、必ずしも団体行動をしませんよ。それは十五日間ありましても、初めの三日か四日で試合が終わってしまって、予選に落っこってしまったと。それからあとは用がないですから、それぞれ、はるばる日本まで来たんですから、東京を出て旅行をする人もあるでしょうし、東京の周辺であちこち見物する人もあるでしょうし、これは団体行動をやりませんよ。それは、十五日間の最後の日まで、決勝まで残って、そして自分は毎日早く寝て節制これつとめる、そしてよく練習しなければいかぬ、というのは別ですよ。そうでない限りは、大半の選手は、もう自由行動に入るわけですよ。これは、オリンピックが開催されれば、どこでも同じですよ。そういう場合に、私は取り越し苦労が多いかもしれませんけれども、もしオリンピックを開催したときにおいて、国際的の外交の問題にまで波及するということがありますと、これは百日の説法へ一つですよ。「オリンピック世界一つ」どころじゃないですよ。オリンピック世界は二つになっちゃうのですよ。だから私は、その点については、御出席のあなたにいろいろそういうことをここですぐ明快に回答しろということは無理かもしれませんけれども、ちょっと私は先ほど申し上げたように、いまの御答弁を伺いましても、国務大臣、警備に対しては、治安対策に対しては準備まだ不足どころじゃない、準備ゼロですよ。これからやらなければいかぬと思う、あらゆる具体的な問題に対して。そういうことをいろいろ申し上げてもしかたありませんが、現在の段階で、大ざっぱに、どういうふうな警備をされることになっているのですか。これをごく大略でいいから御説明願いたい。
  52. 大津英男

    政府委員(大津英男君) まだ、オリンピック閣僚懇談会のほうにも御説明を申し上げておりませんのでございますが、概略だけを申し上げますと、私どもは、東京大会の開催にあたりましては各種の犯罪事故を未然に防止する、来日の外国人を被害から守ると、こういうことを念頭に置きまして、その安全、平穏をはかるというために努力をしてまいりたい。そのための防犯対策といたしましては、まず、競技場あるいは選手村の警備の問題がございます。さらにまた、ホテルあるいは旅館、その他いろいろ外国人が宿泊をいたしまするところの施設についての防犯の問題がございます。それから先ほど大臣からもお話がございましたが、いろいろ環境上の問題がございまして、そういう環境上の問題といたしまして、ぐれん隊、暴力的な行為、こういうものの取り締まりを強化をしてまいりたい。さらにまた、風俗的な問題におきましていろいろ予想されますることは、外国人がそういう盛り場に参りまして、いろいろな飲食店あるいはバー、その他風俗営業関係者の営業所に立ち入ったという場合におきまするところの料金その他の問題についてのトラブルの問題、こういうことも予想されまするし、あるいはまた、外人につきまとったりいたしましてのいろいろな客引き行為の問題も出てまいると思います。それから外国人を日当てといたしましてのいろいろな窃盗その他すり等の対策、こういうものにつきましてもこれを取り締まっていく、検挙をしていくと、こういうための対策の強化を考えております。それから浮浪者あるいは泥酔者その他の異常者の防犯対策、これはまあ非常に困難な問題が伴うのでございますが、そういう点についての問題あるいは町を明るくしていく、こういうための防犯灯の増設、整備と、こういうことをこの際また積極的に進めていく。それから先ほど申し上げましたように、一人一人の選手に——それはもちろん、ぜひとも警備をつけてもらいたい、保護をしてもらいたい、こういう申し出がありますれば、私どもは、その状況からやむを得ない場合には一々警備をつけなければならないということも考えられると思いまするが、初めから一人一人の選手その他外国人に警備をつけたりなにかしていかなければならない、こういうことは、いまの段階では予想しておらないのでございます。もし御要求があれば、そういうこともやむを得ないと思っておりまするが、いずれにいたしましても、一人一人のそういう人たちが行きそうな盛り場とか、あるいは視察に行きそうな場所とか、歩きそうな場所とか、あるいは泊られるところとか、そういうところについての警戒、警護、あるいはそういう場所についての重点的なパトロールの活動、こういうようなことをやりまして、事故が起こらないようにしてまいりたい、かように考えております。  まあ、その他いろいろございまするが、私どもは、やはり警察の警備力の問題といたしましては、先ほどお話がございましたように、やはりその根本には、オリンピックを成功させていくというために国民運動的にいろいろな面で盛り上げてくる、その上に立って、すべての運営が円滑に行なわれる、その上に立って治安の維持もうまくいく。こういうことになるのが最も正しい姿であるとも考えておりまするが、そういう意味で、治安警備の両については万全を期してまいりたいと思っておりまするが、先ほど大臣が申されましたように、オリンピック精神の徹底と申しまするか、そういう面から、交通道徳あるいは商業道徳の問題とか、いろいろな面を盛り上げていただく、そうして泊安対策もそういう国民運動に即応しながら進めてまいりたい、こういう考えを根本として持っておる次第でございます。
  53. 河野謙三

    河野謙三君 他の委員の方が御質問があると思いますから、私は最後に……。  警備当局が条件を一つつけたらいいのじゃないかと私は思う。ただ条件なしに一切の警備に当たり、警備の責任を持つといっても、責任は持ち切れるものじゃないと思う。そこで、たとえば、先ほどちょっとお触れになりましたように、組織委員会から選手村を通じまして、絶対条件ではございませんけれども、出かける場合には、できるだけ団体でひとつ出てもらいたい、こういう条件も私はいいと思うのですよ。それから、えてして問題が起こるのは、めしを食いに行った、一ぱい飲んだときに、そこで問題が起こるわけですから、私は、積極的に指導されまして、料飲店等には外国の選手並びに役員等の行かれる場所はここでなくちゃいかぬといってはいけませんけれども、こういう場所が一番適当であって願わしいという、特定の指定旅館と申しますか、指定料理店、こういうものを積極的にやられることによって警備の範囲を非常に縮めるということが私は必要じゃないかと思うのですね。そういうことによりまして、あなたのほうも、数少ない人で万全の警備ができるということに私はなると思う。そういうことをお考えになっておるかどうか。もしお考えになっていなかったら、まあここに国務大臣もおられますが、いまからひとつあなたのほうで万全の警備の責任を持つ以上は、これこれこういうふうな一つ条件をとくと考えてもらいたいというものをお出しにならぬと、不特定多数の人を広範囲にわたって警備するということはできませんよ。私はできないと思う。そういうことは具体的に何かお考えになったことがありますか。私はそうすべきであると思う。同時に、いままでの例で見まして、まあ日本人はそれほど質の悪いものではございませんけれども、どうもオリンピック開催時には、どこでも外国人というと非常にぼるのですよ。その例が多いのです。特に、具体的に申しますと、ローマあたりは非常にその例が多かった。これも一つ日本人の信用を失墜することですから、そういう意味合いからいっても、ホテルを指定すると同時に、特定の料理店、特定のバー、こういうものを私はある程度指定するぐらいの気持ちでいかれたらいいと思うのですが、どうですか、その点は。
  54. 大津英男

    政府委員(大津英男君) ただいま、たいへん有益な御意見を賜わったのでございますが、私どもも大体そういうような気持ちを持っておりまして、大体警視庁におきましても、料理飲食店あるいはその他のいろいろな業者に対しまして、そういう呼びかけをしてまいりたい、かように考えております。特に料金の問題等になりますると、これを正確に、何百何十円という点まで外国人の場合は明細を要求するというようなことが、特に料理屋なんかの場合においては多いのじゃないだろうか。日本のお客さんの場合は、わりあいに大まかなお支払いをなさるというようなことでありましても、外国人の場合は、その明細を要求するというようなことが、習慣的な違いからもあるのじゃないか。そういう意味から申しまして、いろいろ料金のトラブルというようなことは、ほかの外国の場合も聞いておりまするが、とかく警察が呼ばれるというようなこともあるようでございます。そういう意味で、料金の問題はもちろんのこと、ただいまお話がございましたような点も含めまして、私どもいろいろ検討をいたしてまいりたいと考えております。  さらにまた、ことばが、警察官がそういう場合に呼ばれて通じないということも困りまするので、こういう点につきましては、特に警視庁では通訳センターというものを設けまして、ここに多数の通訳官を置く。そしてまた、パトロールカーに通訳のできる者を乗せまして、いざという場合にはそこへ回っていくというようなことまで講じまして、いろいろなトラブルをなくすようにしていきたい、かようなこともあわせて考えておる、こんな状況でございます。
  55. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま河野さん、たいへん微に入り細をうがっての御質問でありますので、私から申し上げるよりも、あるいは担当の公安委員長から申し上げるほうが、説明するほうがいいように思いますが、ライシャワー大使の事件があり、それから後、ソ連その他の大使に対しましても身辺護衛を申し出ている。これなぞも、最初はやや、そういう護衛をつけて、それがまた特定の場所にというようなことは、あまりいい気持ちのものじゃないですから、賛成されなかったようでありますが、ライシャワー大使がああいうように負傷した。そういう事件が起こってからは、やむを得ず、他の大使諸公に対しても、これはあぶないと思えるものについては尾行その他をつけておるようであります。  また、ただいま開催中の中共のあの見本市につきましても、事前に、中に相当多数の私服を入れること、これも交渉の結果、私服を入れるということに賛成してもらったわけであります。また、外部の警衛ももちろんであります。さらにまた、写真等に対して卵を投げるとか、こういうようなことも予想されましたの外、前もってビニールを張るようにと、こういうことも注意をいたしたようであります。不幸にして、相当の警官がいたにかかわらず、私服がいたにかかわらず、ああいう事態が起きて、非常に困っております。また、陳列品等につきましても、特別にさくを設ける等、警察当局から注文をつけたようであります。これらの問題は解決をいたして、向こうも快くそれらの申し出を引き受けてくれた。しかし、御承知のように、新聞に報ずるような不幸な事態が起きたのであります。まあ、これなぞも、警察当局が注意をしておる、その一つ、二つの実例でございます。  したがいまして、次に開催されるオリンピック、これに対しまして最も問題になるのは、思想的な問題から、東側の陳営に対しては特に警戒せざるを得ないのじゃないか。また、そういう意味においての行動等も御協力願うように、つとめて団体で見るとか、あるいはまた特定の場所を避けていただくとか、こういうような事柄も、もちろん選手、監督等に対しては希望を述べるはずであります。そういう点も、ただいま御指摘がございましたので、さらに警察当局説明を聞きます場合に、私どももそういうような点はどういうふうにしているか、さらに確かめるつもりではございますが、大体いま言われております点は、最近の事例等から見まして、自慢になることじゃない、まことに恥ずかしいことでございますが、これはやむを得ない仕儀ではないだろうか、かように思うのであります。警察当局に対しても、これは十二分、あるいは一二〇%以上の注意をするようにしてもらいたいものだ、だからこそ、そういう意味では、特別な理解ある協力を求めなければならない、その点にもし欠くるようなことがあれば、せっかくの警備計画も効をあげないで終わってしまう。たいへん私どもそれを心配しておりますので、理解ある御協力を願いたい、かように思います。
  56. 河野謙三

    河野謙三君 最後に、私は、国務大臣もたぶんそうだと思いますが、最近の一年なり半年間の日本の治安の乱れというものを考えますと、いまの時点に立てば、オリンピック東京に招致する勇気が出なかったと思うのですよ、こういうことでは。しかし、もうオリンピック東京大会は目前に控えて、既定の事実ですから、もう開催するだけでありますが、そこで、今日でも、ある特定の国では、オリンピックに行くのはいいけれども日本に行ってどうもあぶないなというようなことを何か感じている国もありはしないかと思う。さらに、これが日本からのいろいろなニュースで、今後大きな治安についての不祥事件が起こりますと、外国から日本へ来る選手並びに役員が、日本に行ってもいいけれどもあぶないぞ、というような気分を持たすようなことになっちゃたいへんだと思うのです。でありますから、私は、先ほどから申しますように、すべての準備は終わったけれども治安対策というものは準備がまだ緒についていない、少なくとも安心して外国の選手が日本で楽しく旅行して、楽しくプレーをして、そして楽しく帰るということにしなければ、オリンピック意味がないわけですね。われわれがヘルシンキに行きましても、メルボルンへ行きましても、ローマへ行きましても、あぶないと考えて行ったことはありません。また、事実行ってあぶないことはなかった。まあ、ジャカルタのときには、ああいうような事件があって、日本人として少しあぶないなということを感じましたけれども東京大会の場合は、いまの場合では、私はほんとうに国務大臣も心配しておられると思うのですよ。だけれども、心配であるけれども、具体的にこうするああするというようなことで、もし交通規制その他、治安対策の規制が行き過ぎて、また問題が起こっちゃいかん、こういうことも御考慮のようでありますが、まあ政治家として当然でありますが、少なくとも私は、この次の特別委員会までに委員長にお願いしますが、もう一ぺん特別委員会を開いていただいて、それまでに治安対策についてより具体的な御提案をお願いして、われわれは少し行き過ぎであるけれどもオリンピック開催時においてはこれもやむを得ないだろうということであれば、私は、この委員会においては少なくとも積極的に御賛成願えると思う。御提示がなければ検討しようがありませんから、次の機会までに、ひとつオリンピック開催時におけるところの治安対策、またオリンピック開催までのいろいろな問題点、これを御提示いただきたいのでありますが、いかがでございましょう。
  57. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) たいへん御好意ある、また御親切な、またもっともな御注意でございます。次のオリンピック特別委員会の開催の際には具体案をお示しできるようにいたしたいものだと、かように考えております。ただ、私申し上げておきたいのは、私どもも、どこまでも東京大会を成功さしたい、こういうことでございますので、御心配のあまりだと思いますが、非常にあぶないということは、こういうことは外部に申されないようにお願いいたします。
  58. 津島壽一

    ○津島壽一君 ただいまの河野委員の御意見、御要望の点、適切だと思うのです。ひとつ、警備治安の関係での対策を次の委員会が開かれる時期にお取り上げ願いたいと思うのです。その機会に、警備治安とともに、交通の問題もあわせて十分具体的な準備計画を御審議願いたいと思います。交通の問題は、これは非常にむずかしいと思うのです。というのは、新しい道ができて、東京が変貌しております。そういういろいろな混雑が、また道が大きくなっても、交通は非常に困難で、そういった問題をここでいろいろ計画を承って、委員各位のこれに対する意見を盛り込んで、先ほど佐藤大臣が言われたように、閣議で決定するのだ、決定したものを御報告になるような、逆にならぬようにしていただくことを委員長につけ加えてお願いしておきます。
  59. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 別に閣議で決定するわけではございません。オリンピック関係担当閣僚会議で警察当局の原案の説明を聞く、こういうことでございます。したがいまして、先ほど来ここでお話しになりました事柄が骨子になっておると思います。十分検討いたしまして、さらにまた、その原案並びに交通等たいへん変わっておるものがございますから、この次のオリンピック特別委員会においては、そういう問題を審議、御協議願えればたいへん私どもはしあわせだと思います。ただ問題は、各界、各方面からのお知恵を拝借しないと、十分東京大会を成功さす自信も出てまいりません。たいへんけっこうだと、かように思います。
  60. 岡田宗司

    岡田宗司君 ただいまの河野さんの質問、私どもも全く賛成なんでございますが、特にこれはこの次に国家公安委員長においでを願いまして、治安対策の全般的なお話を伺いたいと思うのでありますけれども、国表公安委員長のほうから閣議に対して治安対策のいろいろ案をお示しになられます際に、これはひとつオリンピック担当大臣のほうからもぜひ強調していただきたいのは、今度の中国の経済貿易展覧会で起こりましたような事件、これは右翼、いわゆる右翼団体に所属する者がなした事件でございますが、従来から、ともすれば東側に対しましてそういうようないやがらせ等が行なわれております。これの右翼団体の査察とか、あるいはこれに対する、そういう行動の起こるのを未然にどう取り締まるかという問題について、特にひとつ精密な、詳細な対策をお立て願いたい。  それからもう一つは、中国のほうから今度は参加されませんから、台湾系の動きはあるいは問題にならぬかもしれませんが、北鮮のほうから参加されますというと、韓国系団体が、とかくまたいろいろと動くということも予想されます。逆の場合もあるかと思うのでありますが、そういうような点につきまして、やはりこれまたオリンピック開催について非常な心配の問題でございますので、それらの点について特段の御配慮を対策の上で行なわれますように期待をするわけです。
  61. 柴谷要

    柴谷要君 先ほど河野先生からおっしゃいましたように、たいへんな問題だと思うので、関係当局の御努力はなみならぬものがあると思います。河野先生の御心配になっております点は、左右両派の問題でございますから、これは国民的な運動を展開していきますというと、世紀の祭典を成功させることができる。ところが、オリンピック精神をいかに高揚しても通じない層があるわけですね。それが何かというと、精神異常者。不幸にしてライシャワー大使のあのような事件になって世界を震駭させた大きな問題でございますが、それに対する今日の対策というものが政府として明確に打ち出されていない。つい昨日の新聞を見ますると、ライシャワー大使が入院しております病院に、昨日も精神異常者が行って保護されておる。そういうようなものが前後合わせて六名になったということが新聞に載っておる。みんな保護されておりますからよろしいようなものですけれども、精神異常者に対する対策というものがもっと打ち出されていかないといけないのではないか、こういうふうに思うわけです。で、日本に行くと精神異常者がいるから危険だという感じを持たせるだけでもオリンピック精神に反しますので、この点、ライシャワーさんがああいうふうな不幸なことになったということで、一体精神異常者の問題を政府はどう考えておるかという疑念があるわけです。  そこで、特にオリンピック精神を高揚する中において、これは一人の精神異常者を出しますと、家庭は非常にお気の毒だと思いますけれども、家庭におっては野放しにされておるのが現状ではないか。でありますから、こういう機会に、ぜひ綿密な調査をして、危険性のある異常的な者をつまびらかにして、そうしてこれに対するやはり一つの対策を立てていかないと、たいへんなことが起きるのじゃないか。特に最終まで残る優秀な選手、日本の特に強い選手とせり合うというような選手に向かって危害が加えられるというようなことがあってはたいへんなことだと思いますので、この点もぜひひとつ国民に安心させるような手を最初に打っていただいて、そのことが、ひいては世界が安心して日本オリンピックに向かって来られる、こういうことになると思いますので、ぜひこの点もあわせて対策の樹立を要望して、河野さんの御心配のないように、われわれも全力をあげてオリンピックを盛大に行なうように努力したいと思いますから、そういう点をぜひひとつ政府としてもやっていただくようにお願いしたいと思います。
  62. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それでは、本日の委員会におきまして、いろいろ治安対策の問題について委員側から意見が出、また政府当局から御説明がございましたが、政府側において治安対策に関する案を立てて、そうしてこの次の委員会において提出していただくということになったように伺いました。つきましては、その政府側の準備がおできになり次第にこの委員会を再び開いて、そうして十分にこの案についてまた委員側からの意見を開陳することにいたす、そういうふうにいたしたいと思います。どうぞ、本日のこの委員会におきましての各委員からの意見は、政府側におきましても十分それをおくみ受りくだすって案を立てていただくように委員長としてもお願い申し上げたいと思います。  それでは、本日は、この問題につきましての質疑はこの程度でとどめたいと思います。次回は、また決定次第御通知申し上げると、こういうことにいたしたいと存じます。  それでは本日は、これにて散会いたします。   午前十一時五十五分散会    ————————