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参考人(
田口助太郎君) 私のほうとしては、
技術映画という、別に
——現在契約している範囲内でやればできる、それ以上のものをつくるというためには予算が不足する、映画というものの性格はそういうものです。建物でも同じだと思います。建築をするのでも、あの大きさでもっと安くできると思いますが、特に映画というものは、いいものをつくろうとすれば非常に金がかかる。そこで、一番現在困っているのは何か。よりいいものをつくるのには、より人間を鍛えたい。たとえば半月や一月は勉強させたい。しかし、予算がないために、半分は十月一日、それから半分は本番になってからというような、じゃなければやっていけないというような点が非常に苦しい。しかし、それでも映画は写りますし、できます。しかし、できるだけ、
選手強化が四年もかかってやっているように、われわれも何日かの準備期間というものはぜひほしいということを申し上げて、これについて、この時点では半月ぐらいしか実際物理的にできないから、半月ぐらい総員集合できる予算がほしいという金額も申し出ました。わずか五百万円程度であります。
それからフィルムも、各
競技をもっとより克明にとって、とにかくぶっつけ本番でございまして、結局どんな名監督、キャメラマンでも、瞬間のものをとらえる、一台でとるより二台で、二台でとるより三台でとったほうが、これはシャッターチャンスが正しい。したがって、ローマ
大会よりもやはりはるかに機械が多くて、九十八台の機械を動員する計画を立てまして、やっています。したがって、フィルムの絶対量はものすごく不足である。できれば五万メートルぐらいまわしてほしい。これが大体千五百万。また、現在空中撮影も、自衛隊のヘリコプターの支援で無料でやるというのでありますけれ
ども、ほんとうにやりたいのは、もっと空撮をやりたい。しかし私は、ただそれだけではどうもわれわれの期待どおりにできないから、チャーター機も使いたいというようなことで、これも四百万ぐらいぜひほしいという話し合いをし、文書で数字を出しまして、検討してもらって、現在まだ
返事の来ておらない
段階であります。
その際、いわゆる
技術映画の問題にも
関係しますが、
組織委員会の総長が先ほど申しましたように、
技術映画をこの団体がフィルムをよけいまわしてもらってとったら、機材と人間はただだから、フィルム代だけで済むのではないか、とれないか、そういうような問題から、われわれはわれわれなりで検討いたしました。それで、後世に残るものができるかどうか、われわれとしてもある程度の自信はつきました。
文部省でも
大島さんやその他と一緒に話し合ったのでありますが、その当時、
陸連関係、強化
本部ではNHKと、確答はないけれ
ども、その方向で進むであろうということ。それから
文部省は、資金財団の金を
選手強化
本部の金に使うのはおかしいのじゃないか、むしろOOCを通じてやるほうが資金財団の目的に沿うのじゃないかという西田課長からの
発言もあって、この問題も法律的にどうするかということが
結論が出ない。
どこでやったほうがいいか
——現実に物理的に
考えて、中へはいれるのは、現在NHKだけではございません。NHKと民放とを含んだニュース映画協会と、私が別にやっている劇場にかけますニュース映画協会というのがございます。それから
記録映画、この三つが現在中に入ってとれる団体でございます。そのうちで一番やはり安くてよくできるのは、これはNHKさんだろうと思います。ただ、いろいろ報道という
立場で大部分とっていて、非常に人も少ない。これが、いま岡本さんから聞いて、
世界的に負けないようなりっぱなものをつくるという確言を得たので、非常に安心をしたのですが、われわれは、それに
参加している民放、いろいろの点から
考えて、どうもむずかしい……。
それから、先ほど
大島さんから別な
発言を聞きました。練習中に日映が重点的にとる。それならば本番は人があいている。本番のときには人がかかるというふうに聞いておったのですが、ここではさかさまに聞きまして、これはニュースからとるということになると、民放も一応からんでおりますので、この点もNHKだけで別版をつくれば文句はないのですが、そうでないと、ちょっと問題があるのじゃないか。リハーサルをとるというならば、これはぼくは、NHKが人間も機材もあるし、できるのじゃないかなというふうに
考えます。しかし、どのくらいの人間を出すかということになると、私たちはカメラマンだけでも九十八名用意しておる。これが活躍したほうがいいものができるのか、それとも少人数のがいいのか、という問題がある。この点は、やはり
文部省でももっとはっきり、どっちがいいかということをきめるべきだ。しかも、われわれを呼んでおきながら、何にもちっとも話がなしにNHKにきまりましたというような感じの出し方は、ぼくはちょっと意外だったというふうに
考えます。したがって、もっと検討して、どっちがよりいいものができるかということを、しかも、どっちがまたよくて安くできるかということを、もっと、三つの団体きりなのですから、それと協議すべきであったというふうに
考えられます。
しかし、いずれにしても、
河野委員の言われるとおり、りっぱな
技術映画を後世に残すという方向は、これはだれも異存がないことだと思いますが、それにこたえるようなりっぱな映画が、どこが、だれがやったら一番いいのだというふうに
考えますと、私は、体協がIFに撮影権を委任してくれというような手紙を五日付で出したというような話をこの間も
文部省で聞きましたが、 しかしこれは、 IFでやる映画というものは、一
競技団体に
陸上でも二名、この程度でどうしてりっぱな映画ができるのだろう、各
競技団体ごとに二名ずつにしたって四十名になりますが、これでできるだろうか、というふうにわれわれは
心配しているわけです。フィールドとトラックを一緒にやっているような場合に、しかも
向こうから来ているのは、一人はディレクター、カメラマン一人であるというようなことで、非常に
心配している。
結局、いま
河野委員なんかの
考えておる
技術映画と、それから
陸連さんの
考えておる映画というものを、見る対象について、何かいままで話し合った結果が食い違っておるのじゃないか。ただコーチが将来見ればいいのか、それとも、まあ小学校は別として、中学、高校、大学のクラブ活動その他で、あるいは各団体で見るというような映画をつくるのか、どっちか、ということが、どうも割り切れていないような感じを私は受けます。私自身は、
河野委員の
考えておるのは、中学、高校生、大学生なんかにも見せられるような映画であって、コーチ団とか、その他の特殊な人が見るという映画だけではないのではないかというふうに、私は私なりで解釈しておりまして、その点についても、まだポイントが合っていないというのが、いままでの、私が立ち会っていきまして、
文部省と話し合った
段階では、そういうふうに私は感じられましたので、一応、見る対象はどうするのだというようなことも
考えていかなければならないというふうに思います。
したがって、われわれとしては、フィルムさえよけいあれば、まあどこにも負けないものをつくり得るというふうに
考えて、人間もだいじょうぶだ、機材もだいじょうぶだというふうに
考えておりましたけれ
ども、それについて何ら
文部省からも、賛成みたいな
意見はあったのだが、その後何も応答がないというのが現実であります。