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1964-09-15 第46回国会 参議院 オリンピック準備促進特別委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年九月十五日(火曜日)    午後二時十五分開会   —————————————    委員の異動  九月三日   辞任      補欠選任    戸叶  武君  田中  一君  九月十五日   辞任      補欠選任    光村 甚助君  柴谷  要君    柏原 ヤス君  鬼木 勝利君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     佐藤 尚武君    理事            河野 謙三君            岡田 宗司君    委員            石井  桂君            小西 英雄君            小柳 牧衞君            鈴木 万平君            山本 利壽君            柴谷  要君            鬼木 勝利君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    文部省体育局長 前田 充明君   参考人    オリンピック東    京大会組織委員    会事務総長   与謝野 秀君    東京オリンピッ    ク資金財団理事    長       靱   勉君    東京オリンピッ    ク資金財団事務    局長      近藤 直人君    日本体育協会東    京オリンピック    選手強化対策本    部本部長    大島 鎌吉君    東京オリンピッ    ク映画協会会長 田口助太郎君    日本放送協会東    京オリンピック    放送実施総本部    統轄本部本部    長       岡本 正一君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○オリンピック東京大会準備促進に関  する調査  (東京オリンピック記録映画等に関  する件)   —————————————
  2. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それでは、ただいまからオリンピック準備促進特別委員会開会いたします。  まず、委員変更について御報告申し上げます。  本日、柏原ヤス君、光村甚助君が辞任され、その補欠として鬼木勝利君、柴谷要君が選任されました。
  3. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) オリンピック東京大会準備促進に関する調査を議題にいたします。  本日は、前回に引き続き、東京オリンピック記録映画に関する件等について調査を進めます。  なお、本件調査のため、委員長は、オリンピック東京大会組織委員会事務総長与謝野秀君、東京オリンピック資金財団理事長靱勉君、同事務局長近藤直人君、日本体育協会東京オリンピック選手強化対策本部本部長大島鎌吉君、東京オリンピック映画協会会長田口助太郎君、以上の方々に参考人として御出席を願っております。  それでは、これより質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 河野謙三

    河野謙三君 私は、前回委員会希望を申し上げた記録映画並びに技術映画、特に技術映画につきまして、その後、文部省組織委員会その他で具体的にどういうふうに話が進行しておるか、その状況の御報告を求めるわけですが、その前に、ひとつこの機会に、与謝野さんなり大島さんにちょっと伺いたいのですが、前回この委員会でこれまた問題になりましたガネホの問題ですが、その後、与謝野事務総長から、日本組織委員会としては国際陸連なり国際水連決定に待つ以外に方法はない、こういう意味談話の発表がございましたが、私は、当然のことであり、今後もそれで終始されるものと思いますが、ただ、与謝野事務総長がかような談話を発表されましたまでの経過につきまして、ひとつ伺いたいのです。  この談話が発表されるまでの経過におきまして、たとえば陸上関係で申しますと、世界陸連評議員は、たしか浅野均一さんがやっておられた。世界陸連から浅野評議員に対して意見の聴取を求めてこられた。それに対しまして、日本陸連といたしましては、当然組織委員会等を御相談の結果と思いますが、初めてアジアにおいてオリンピックが開催されるのであるから、願うことならば、できることならば、インドネシアなり北朝鮮、これもアジア一員として、規定規定として、ぜひ参加させるようにごあっせん願いたい、こういう意味回答をされたそうですが、それにもかかわらず、現段階では国際陸連または水連の厳粛なる決定変更するわけにはいかない、こういうことになったように伺っておりますが、それは事実と違いますか。と申しますのは、私は、国際陸連なり国際水連決定、これはまあきわめて厳粛なものでありますけれども日本で開かれる初めてのオリンピックに、アジアの一角に位置するところのインドネシアなり北朝鮮——願うことならば、主催国日本としては、民族感情からいきましても、何とか考え余地はないか、こういうことを一応は希望を申し出た。私は当然のことだと思うのですが、そういう経過がございましたか。
  5. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) 河野委員の御質問にお答え申し上げます。  ただいまおっしゃいましたとおりの経過と申してよろしいかと思うのであります。昨年ガネホ大会が開かれましたときに、国際陸連は、ガネホ大会参加した選手東京オリンピック大会参加できないぞという予告を、警告を発したわけでありますが、しかし、ガネホ競技大会は多数の参加選手をもって開催されたわけであります。これで、われわれとしては、この問題がオリンピック間近になって、予告どおり大会には出られないのだぞということになっては、なかなかうるさい問題である、先ほどおっしゃたようなアジアでの大会アジア人が何とか参加できるよう特に優秀な選手もその中に含まれているというようなことで、日本陸連のほうから打診が行なわれた。また、日本陸連代表外国に参りまして、国際陸連首脳部と話したときに、やはりこの問題が出て、日本側気持ちというものは向こうに伝わっているのであります。が、組織委員会としては、直接国際陸連と交渉する立場になく、これは日本陸連を通じてやるべきものでございますが、たびたびブランデージ会長が来られたときも、この問題について話し、またそればかりか、当時来ておりました北鮮代表ブランデージ会長が会うのをあっせんいたしましたこともあります。また、この七月には、特にこの問題について国際陸連意向を打診し、日本側気持ちを伝えるために組織委員会渉外部長ロンドンに派遣したということもあるのでありますが、国際陸連立場というものは、そういう考慮にはどうも動かされない、既定方針は堅持していくというふうに、ずっと進められてきたのであります。そこで先ほどお話しのような、国際陸連に肩書きを持っておる浅野陸連の副会長から、また何とか妥協案はないかというようなことで、国際陸連会長のほうに私案を出されたようでありますが、それはいけないのだというような、結局否定的の回答が参っておる。  結局、われわれが判断いたしまして、国際陸連態度は相当かたい、もう最終的の決定というものではないにしても、これに対して誤解している向きもあって、日本でやるのだから日本組織委員会が許せばどんな選手でも参加できるというような誤解があって、あとで紛糾の種になっては困る、非常にむずかしくなった状態で、しかも国際陸連決定にまつべきものである、せっかく参加したいというアジア選手人情論として迎えたいのでありますが、その人情論組織委員会はどうするわけにもいかないで、やはりルールを守っていかなければならないという立場を宣明するために、私は一応談話を発表したのでありますが、この談話を発表するのは、同時に国際水連というものも同じ立場ガネホ参加した選手資格を停止しているのでありますが、国際水連は案外甘いのじゃないかと、非常に寛大な措置をとるのじゃないか、国際水連がとったら、陸連一つになるから、国際水連でさえこういう寛大な措置をとったんだから、陸連のほうも考え面してくれと、こういうことになるという希望も多少持っていたのでありますが、国際水連会長のほうから、やはり国際水連理事をしている日本側委員に、これはやはりだめなんだという非常に強い意向が伝えられたのでありまして、両方の国際連盟がこう強い態度で出ては、ガネホ参加選手というものは、ほとんど不可能に近い状態になったんではないかと、こう認められましたので、誤解を避けるために事態を明らかにし、同時に——たとえば北朝鮮の場合は国際水連とは関係なく参加できるのであります。なぜかと申しますと、ガネホ参加したときには、北朝鮮はまだ国際水連参加してなかったんであります。参加前の問題をとやかく言うことはない。したがいまして、北朝鮮に対しては陸上競技だけが問題になる。また、インドネシアその他の国に関しては陸上及び水上でありますが、インドネシアはみずから水上連盟からさきに脱退していますから、自分のほうから先に出ないようにしていると、こういう状態にあります。しかしながら、オリンピックは二十種目ありまして、この一つないし二つ出られないにしても、他の競技では堂々と参加できる、こういうことでありますから、ぜひそういう種目に参加していただきたい、こういう意味談話を発表したわけであります。  また、北朝鮮選手オリンピック参加するのには、昨年来いろいろな問題がありまして、国交のない国の選手、その国の旗がどうなるというようなこともあったんでありますが、すべてを一つ一つ解決して、北鮮選手参加できるようにいたしてまいって、この点は北鮮側で非常に努力を買ってくれているのであります。きょう、代々木の選手村で開村式がございました。北鮮の国旗が堂々と上がったのは、きょうが始めてと、そのくらいの措置をとっているのでありますが、何ぶんにも、国際陸連決定には従わなくてはならない、こういうことでございまして、まあ、事態は非常に北鮮側にとって気の毒でありますが、こういうことになっているわけであります。また今日、新聞でも、さらに国際陸連の強い態度を再確認するような声明国際陸連会長が出されたという報道がございまして、おそらくこれも事実だろうと、こう思われている次第でございます。  以上が今日までの経過でございます。
  6. 河野謙三

    河野謙三君 浅野君の書簡に対して、これに対してノーという返事が出たんですか。
  7. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) これは、ノーというとり方をするのか——つまり、やはり陸連決定でいくのが、これが正しいので、これがまた将来のスポーツというものを守るゆえんだというような意味で、やはり意味を掘り下げれば、ノーということでございましょう。
  8. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、もうこれは万事結論に至ったものであって、北鮮なりインドネシアなり、また国内の一部の人が言われるように、もう一度世界陸連本部ロンドンですか、これに、事務総長なりまた陸連代表なりが、この問題について再考の余地はないかということで懇請に出かけてくれたらどうだという意見もあるやに聞きますが、いまの事務総長お話ですと、すべてもう結論に至ったので、そういうことをやる余地もないと、また、いまそういうことも考えていない、こういう段階でございますか。
  9. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) 仰せのとおり、確かに、もう一度努力して、ロンドンあたり会長その他に懇請してみることはないか、こういう御意見もあるのでございますが、国際陸連決定、特に会長の意思が、つまり、これをひるがえすことはスポーツルールをくずすことで、これが将来のためにいけないのだ、やはりスポーツというものはルールを尊重するということからいかなくてはならない、こういう御意見でありまして、それに対して、アジア人だから参加させてやってくれ、こういう理屈でどうも説得するという余地はもうすでになくなってきているのではないか、こういうふうに考えまして、ともかく、一〇〇%だめということを断言するわけにはいかないのでありますが、もう九九%はだめだ、ただ、国際陸連の幹部がオリンピックの前にこちらに集まりますが、そのときにまた何らか決定をくつがえす余地はないかと希望的観測を持っている人もあるのでありますが、国際陸連のほうからは、浅野さんあたりに、その場合に決定がひるがえったならば、もうガネホ参加選手は出さないといってあきらめている国があるのであって、そういう国が、非常にまた、ばかをみるという結果も起こるので、くつがえす余地はないというような意味のことを言ってきているということを仄聞しているわけでありまして、望みはほとんどないに近く薄くなっている、こう存じます。
  10. 河野謙三

    河野謙三君 私は、少なくとも外国役員選手がこちらに来るまでに問題は一〇〇%解決しておくべきだ。まあ大体私も、これはインドネシアなり北鮮選手参加することは不可能だと思いますが、その場合に、たとえ一%でも可能の余地があるという段階オリンピックを迎えますと、そこにまた非常に私はめんどうな問題が起こるのじゃないか、かように思います。私はこの機会に、与謝野さんなり大島さんに御答弁願うことが適当かどうかわかりませんけれども、事情がよくおわかりだと思いますから伺いますが、いよいよ十日の開会を間近にして二十数日、外国選手オリンピック村に向かってやってまいりますね。その場合には、手続上は、登録簿と申しますか、これは先に各国から届いて、そしてこれを、陸上の場合は国際陸連役員チェックをして、そしてイエスということになって許可をもらった人が、日本の国に飛行機なりその他の機関を通じてやってくる、こういうことじゃないでしょう。これは、いきなり羽田に向かって飛んでくる。その晩選手村に入る。早くても翌朝あたり、それぞれの国際陸連機関名簿チェックするということになるのが私は実情だと思う。そうなった場合に、いま問題の北鮮なりインドネシア選手が、一応認めるとか認めないとか言いましても、選手村に入ると思うのです。現実に。入って、そこでその後において名簿を見てチェックして、おまえはいかぬというような場合に、その選手選手村から退去を命ずるわけですね。そういう問題が起こると思う。これは単なる想像じゃないと思う。そういう具体的な問題にぶつかると思う。そうなったときに、一体問題が紛糾しないとだれが予想できますか。私は、でありますから、願うことならば、非常にめんどうな問題でありますけれども、一〇〇%問題を解決しておかぬと、一るの望みを持って向こうは来る。その場合に、日本アジア一員として、あまりそっけない返事もできぬでしょう。そうすると、自然日本がその渦中に巻き込まれるという心配がある。  で、私が伺いたいのは、大島さんね。あなたはたびたび経験があるけれども選手村へ入る場合には、一々チェックしてもらって、証明書をもらって、それで入ってくるのじゃないのでしょう。選手村へ一応入って、入るときに名簿を出す。その名簿チェックするのは、国際陸連なり、国際水連役員チェックするのでしょう。だから一応は、向こうが、これがわれわれの選手である、これが役員であるということで来れば、一応選手村へ入る、これを入っちゃいかぬと言えないのじゃないかと思うのですが、そうじゃないのですか。そうなってくると、私は問題が起こると思うのですが、どうなんでしょう。
  11. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) 仰せのとおりでございまして、向こう側選手IDカードというものを発行いたしまして、それが。パスポートのかわりになって入ってきまして、入ってきてから、選手登録をいたすときに、これは参加できない選手リストに入っているというようなことで、国際陸連からチェックされるということになるわけであります。で、こういう事態をできるだけ避けたいとわれわれも思いまして、かねて国際陸連IOC人たち意見も聞いているのであります。IOCが直接北朝鮮陸連に指示するとか、その他の国の競技連盟に指示するということはできないので、そういうリスト国際陸連からIOCに提出された場合に、こういう選手は連れて行ってはだめなんだぞという警告が、IOCのほうから各国オリンピック委員会のほうには出ている、こういう形になっているのでありまして、そのルールも破って連れてくるということになれば、ともかく入ってくることはできる、こういうことになるわけでございます。
  12. 河野謙三

    河野謙三君 まあ、それは厳密にはルール違反ですけれどもね。こういう紛争の過程におきましては、向こうじゃルール違反ということじゃなく入ってくるわけですね。そこで、具体的に、まあ一つの例が、「辛」何がしなら何がしという選手は、これはもう認めないといった場合に、しかし、それがもう現にオリンピック村に入った。このオリンピック村から退去を命ずるのは、だれが命ずるのですか。だれがどういう責任において退去を命ずることができるのですか。
  13. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) 参加資格のない者がオリンピック村に入りました場合に、これに退去を命ずるというのは、やはり組織委員会が命ずるということになろうかと思います。また、場合によって、無害であるならば、住んでいるだけならかまわぬという決定が出ないとは限らないのでありますし、また先方も、資格がないのならマッサージにするとかなんとかという、資格変更を命ずるというようなこともありますが、すべてこれは架空の、仮定のもとでのことでございまして、先ほどおっしゃいましたように、資格がないのに入ってくるという可能性はあるということでございます。
  14. 河野謙三

    河野謙三君 私は、非常に紛糾が予想されますから、そこでやはり現実問題として、そういう場合にぶつかったときの理論的な措置を、理論を背景とした措置をきちっときめておかないといけないのじゃないかと思うのですよ。  じゃ、こういうことはどうです。この「辛」何がしが、選手としてはいけない、しかし、それが北朝鮮役員としておれは選手村にいるのだといった場合には差しつかえがあるとかないとか、こういう問題も起こってくるでしょう。しかもそれが、組織委員会の名において今度は退去を命令するのだということになりますと、組織委員会の問題ではないと言いましても、これば、その場合には組織委員会責任においてやるのだから——私はこういうことをこまかく申し上げるのは、せっかくここまで準備万端整えまして、いよいよオリンピック村もきょうは開村になって、いよいよこれでオリンピックの歴史にないようなりっぱなオリンピックができるのだという際に、ただ一つ胸につかえるのはその問題だけだと思う。与謝野さんもおそらくそれだと思う。でありますから、これは少しいろいろなケースでものをお考えになって、その場にいって、平和なオリンピック村で、出ていけの出ていかないの、また、そこに群衆が大挙してデモが起こった——悪く考えればいろいろな問題が予想される。それで念のために伺ったのですが、私が心配する以上に、与謝野さんも、大島さんも、また体育局長も、それぞれ心配されておると思うのですが、体育局長としても、この問題は真剣にお考えになっていると思いますが、私がいまいろいろお尋ねしましたが、それにつきまして、体育局長の見解、もし御発表できれば御発表願いたい。たいへんな、これ、ことですよ。
  15. 前田充明

    説明員前田充明君) 私ども政府側といたしましては、この問題については、もちろん私どもよりも上のほうにおきましても論議をしていただいておりますが、これは組織委員会の傘下の問題でございますので、組織委員会の問題として現状においては解決をしていただく、で、政府に対して御要望があった場合にはそれから考える、そういうことで一応結論現状では考えておる状況でございます。
  16. 河野謙三

    河野謙三君 まあ、まだ時日も多少ありますから、それに対しては慎重にあらゆる場合を考慮して万全の措置をひとつとっていただきたいという希望を申し上げる以外にこの機会ではないと思う。  もし、関連がありましたら……。
  17. 山本利壽

    山本利壽君 いまの問題に関連して。  私は、いま河野委員からの御発言を聞いて、確かにこれは非常におもしろくないことが起こるような気持ちがするのです。それは、われわれとしては、北朝鮮にしても、インドネシアにしても、ぜひ気持ちよく参加してもらいたいという希望を強く持っておったのだけれでも、それが不可能となれば、不可能だから来られてもだめだということを私ははっきり通知しておくほうが親切だと思うのです。するすると来て選手村に入って、入ったからには、ひとつ何とか出してくれ、出してくれという問題が起こったりした場合に、係の方としては、非常に精神的にもこれはトラブルだと思うから、IOCからその通知がいっておるはずだというだけにとどめずに、この日本オリンピック組織委員会として、あなたの国のだれとだれとは今度のこういうことによってお出になっても出場ができないから念のために、ということを通知しておかれるほうが私は親切でもあるし、いろいろなことがないと思うのですが、そういうことはできないものか、できるものか、与謝野さんのお考えを聞きたい。私はそうすべきだと思うのです。
  18. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) そういう御趣旨でわれわれがやり縛ることはやろうということで、まず第一回のこの間の私の談話で、そういうことになるよということを警告したわけでございます。何ぶんにも、先ほどお話がありましたように、選手参加資格の最後の決定というものは国際陸連役員チェックするわけでございまして、そのチェックが済まないうちに、こちらから先ばしって、もうだめだと言えない。そういう関係に立っている。こちらは、IOC及びオリンピック委員会という関係、また国際競技連盟国内競技連盟関係ということがいろいろござまして、ですから、いまおっしゃいました御趣旨は、何とか、ほかの形でもいいから、それを実現しようと思って、いろいろ苦心を重ねているわけでございまして、今後もそれをいたすことが親切だと思いますし、私しておりますが、いろいろ説明してやっております。
  19. 柴谷要

    柴谷要君 関連。  私も、河野先生が御指摘になりましたように、たいへんな問題だと心配をしている一人でございますけれども、どうも私、国民感情として割り切れないものがある。二十数種目ある中で、陸上水上だけがほかの大会参加した人たちを締め出す、どうも感情的に割り切れない。特に陸連水連がそういうかたい決定をしたというのですが、他の競技は、そういうことをきめないで自由に参加ができる。こういう足並みのそろわない国際競技団体というのは、一体どういう考え方で陸連水連はいるのか。この世界のその要職にある人の心境を実は聞きたいくらいなんです。  そこで、かつて衆議院のやはり委員会で、事務総長さんは極力努力をするということをお述べになったのを私は議事録で見ておるわけです。それを見ておったところが、数日を出ずして、あたかもどうもさじを投げたような声明をされた。一体これは、努力された期間は何日くらいあったのかというふうに実は私は疑問を持った。  というのは、まあ、きょうは委員の差しかえで出席をさしていただいたわけでありますけれども、従来ずっとオリンピック委員をさしていただいておりましたので、たいへん関心を持っておった。そういう関係で、このアジア日本大会を開くについて、アジア諸国が非常に、隣接国でもあるし、この機会に出て大いにやりたいという熱意を持ってこたえているようです。それを、陸連水連が締め出しをすると  いうことは、何かオリンピック精神——これは新興国だけ集まって大会をやったというので、確かにある示威行為であったかもしれぬけれども、その後オリンピック精神に徹して参加したいというのだから、これは大きな気持ちで認めてやるのが至当ではないかというように私は感情的に思った。しかし、百数カ国の参加があって開かれるオリンピックでありますから——九十八カ国か、この大会参加するのは九十八カ国といわれておるのですが、その中で水連陸連だけが参加をした選手を締め出すというのは、どうも感情的に割り切れない。どうも日本オリンピックに何か暗い影をさすような気がするわけでありまして、これを、日本組織委員会としては、最後の最後まで、衆議院でお述べになったような御心境でおられて努力をされるのか。それとも、すでに御声明になったようなことで、もはや努力をしてみてもかいがない、こういうふうにお考えになっておるのか。たいへんどうも重ね重ねの質問で恐縮でございますけれども参加をしたいという、インドネシアなり朝鮮諸国間にはあると思いますので、ひとつぜひお聞かせをいただきたい、こう思うわけであります。
  20. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) 組織委員会ができます努力には限界がある。その限界の範囲内で、できるだけこれらの国々の参加を期待して、あの手この手、また直接働きかけられなければ間接に働きかけるような努力をしてきたのでありますが、われわれの予想以上に国際水連態度などというものが強く、これではとうてい国際陸連決定をくつがえすことはないだろう。そうなってきますと、いろいろな紛糾が予想されるのでありまして、われわれとしては、北鮮の場合など非常な無理をして、ともかく選手団が来られるようになっておる。万一——万一ではありませんが、いま伝えられるような状況陸上参加できない場合も、他の種目でも参加してもらいたい、そうでなければ北鮮選手は一人も来られない、こういうことになるわけでありまして、そういう点でこの間の談話をいたしたわけでございます。もし努力余地があれば努力をいたすのでありますが、先ほどから申し上げましたように、組織委員会というものの努力の限界というものがございますために、これが有効に働き得る方法、有効な方法がなかなかないということでございます。
  21. 柴谷要

    柴谷要君 ただいま伺っておりますと、たいへんお立場上いろいろ御苦心をなさっておられることもよくわかるのでありますが、どうも、ガネホ大会参加した選手はどの種目を問わず参加をさせない、いわゆる国際競技連盟から見ると背信行為をしたのだから参加をさせない、というのなら私は筋が通ると思うのだが、ほかの競技はいいけれども陸上水上はいけない、しかも北朝鮮の問題は水連加盟以前の問題だからこれはいいんだというようなのは、どうも私ども感情的に受け取れないのです。そういう感情が、これを実際国民全体が知ってきますと、それは、その国際陸連決定があやまちではないかというような感情を持たれるのではないか。これは私、日本国民が知ったときには、そういう感情を持つのじゃないか。そのこと自体が、私は国際陸連決定に対する批判というものが出てきて、かえってまずいのじゃないか。だから、国際陸連は、このガネホ大会参加した国々に、ほんとうに腹を割って話して、もうこれからはオリンピック精神にのっとって競技をやるのだ、これに今後とも同調してくれるならひとつ快く参加してくれというような、おおらかな気持ちで話されたことがありましょうか。どうも私ども考えておりますのに、あまりそういうことではなくて、何かどうも十分な手を尽くしてないような感じがするわけです。  そういう感じを持っているだけに、主催国である日本の担当されました組織委員会としては、私は、参加させない選手は入国を許可しない、こういう態度でいかれるのかと思ったから、そうじゃなくて、選手として正式に登録するまでは、朝鮮であれば朝鮮、インドネシアであればインドネシアとして連れてくる、来てから問題が発生する、こういうことでは、たいへん心待ちにして、りっぱにやり遂げようとした皆さん方の期待に反すると思うので、何とか打開の道はないか。国民感情からいうならば、そういうことも言わず全員参加して、日本オリンピックを盛大にやってもらいたいという気持ち国民感情ではないかと、こう思いますので、再度、日本選手が来ておるのでありますから、その際には、国際陸連水連の幹部の方々も日本においでになるわけでありますから、その場を通じて、参加をさせるかさせないかというような問題を話し合って、感情としてはこうなんだから、何とか今回のオリンピックについては、ひとつ国際的な取りきめはあっても、何とかなりませんかという相談をして、競技参加させるという最後の努力事務総長さんおやりになる決意がおありになるかどうか、これをひとつお聞かせをいただきたい。
  22. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) 国際競技連盟は、御承知のように、各競技によってそれぞれ別個のものでありまして、それぞれの規約もみな異なっておるわけであります。そこで、ガネホ大会に対する態度も各競技連盟によって違い、参加は自由とした国もあれば、参加資格の停止を半年で切り上げるということをやってオリンピックに間に合う競技もあるわけであります。陸上は一年間という停止で、これが十一月まで延びるわけでありますが、陸上の場合は、ともかく規約違反であるから参加してはいけないぞという警告を無視して参加した。それに対して一種の制裁措置として資格の停止をした。この規約の順守ということがやはりスポーツ世界では必要なことなんでありまして、もう少しゆるめてもらえないかということを、人情の立場あるいは主催国の国民感情その他から主張することはできるのでありますが、最後にスポーツルールを守るということが根本だということになりますと、これはやはり、スポーツの社会で起こっていることはスポーツルールを守るということでいかざるを得ない、こういうふうに考えているわけでございます。
  23. 河野謙三

    河野謙三君 次の質問に移る前に、前の質問でもう一つつけ加えておきたいと思います。  北鮮なりインドネシアの問題になっておる選手は、国を出る前から、このまま東京に行っても参加資格は停止されるのだということはわかっておるわけですね。わかっておって、なお東京に来て選手村に入るということは、まだそこに一るの望みを持っておるから来るわけです。行ってまた交渉をすれば、まだ多少交渉の余地があるんじゃないか。悪く言えば、少しごねれば、何かまたそこにおのずと打開の道があるんじゃないかという希望が多少つながっておるから私は来るのだと思う。だから、私はるる申し上げますように、こっちに来て選手村に入った以上は、ただじゃ済まないような気がする。しかし、いま与謝野さんが、日本陸連なり水連として、組織委員会として、世界陸連なり水連決定に従わなければならない——これはそのとおり明瞭なことです。しかし一面、日本水連なり陸連もしくは組織委員会としては、もっと大きく言えば日本国民として、インドネシアなり北鮮に、日本の国としてはあらゆる機関を通じてあなたたちの国の参加につきまして、これこれこういうふうに長い時間をかけてたび重ねて努力をしたのだ、しかしどうしてもそれが許されなかったという誠意を向こうに買わすだけのことは、買ってもらうだけのことはしておかぬといかぬ。  そこで問題は、見解の相違がそこに起こってくるわけですが、与謝野さんのほうでは、もう日本陸連としては、また水連としては、できるだけのことをやったのだ、しかしついにもうこの段階に来ては、世界陸連なり世界水連決定に従わざるを得ない、できるだけのことをやったのだ——やったでしょう。しかし、それが北鮮なりインドネシアにわれわれの努力が認められておるかどうかということが非常に大きな問題だ。認められておれば、私は日本の誠意を買って無理にここに来ないのじゃないかと思う。そこに何か意思の疎通を欠いて、向こう日本の誠意というものをまだくみ取っていないという、何かそこに少し残っているものがあるんじゃないか。  そこで、先ほど申し上げましたように、この段階結論は出ておるからむだだとは思うけれども北鮮なりインドネシアに、日本の国としての尽くすべき手は最終の最後まで尽くしたという誠意を買ってもらう意味で、もう一度事務総長が、いま開会を控えて、たとえ三日でも一週間でも留守をすることはできぬでしょう、だれか適当な人を通じて、もう一度ロンドンに飛んで、この問題について折衝をするということは、これは私は、考えようによると、相手国を納得させる意味において考えられる一つの手段じゃないかと思うのですが、それも、すべて事は終わったと言われればそれまでですが、私はそういう気持ちがあるのです。それについてはどうでしょう。
  24. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) ただいま河野委員のおっしゃったような考え方は、われわれの中にも持っている人があるのでありまして、この問題も検討いたしておるのでありますが、非常に強い声明がさらに繰り返されたので、もうこれはただかっこうをつけるためにやったとしか思われないんじゃないかという意見も出ておりまして、そういう方向にあるいはいかないんじゃないか。私も、何とかもう一ぺんやる必要があるんじゃないかということを考えておったのであります。また、先ほど河野さんがおっしゃいました、出られないことはわかって来るということでありますが、やはり出られないぞという警告が行っておりますものですから、出られないならもう全部行かない、こういうことを声明したわけでございます。われわれとしては、選手の入国の問題が、船のチャーターの問題、その他査証の問題等、いろいろむずかしい問題を一つ一つ解決してまいったのであります。やはり時期を失すると朝鮮の全選手参加できないということになるので、そういう場合でも他の種目の選手がなるべく来て快く参加してくれ、こういう呼びかけをいたしたわけでございます。
  25. 河野謙三

    河野謙三君 まあこの問題は、あげて今後の臨機の措置は、事務総長なり日本陸連水連にまかせるよりしかたがないと私は思います。この善処を期待する以外にないのですが、ただ最後に申し上げれば、これは、いま柴谷さんも触れられましたが、やはりアジア大会のときでも、筋を通す通すと言いましても、アジア大会の善後措置なんていうものは、何も筋が通ってないですよ。世界陸連なり水連でも、これは大島さん御存じのとおり、何も筋が通ってないですよ。そこに私たちはどうかと思うほど政治的な解決のような解決もあったわけです。でありますから、今度だけは筋を通すと言いましても、そこに私は問題が残っていると思います。これはやはり、最近の五年、十年のオリンピックの歴史が、筋の通らぬことがたび重なっているので、今度だけ筋を通すといっても、そこにいろいろ問題が起こっておる。これはここで論じても問題が大きいから、ここでこれ以上申しませんけれども、だから私は筋は筋として、感情論というものも——民族感情というか、アジア一員としてのやはり民族の感情というものも、ある程度私は訴える余地があってしかるべきだと思うのです。しかし、これは私の単なる個人としての希望であって、これは先ほどから与謝野さんが申されるように、最後の決定は、やはり組織の命ずるところ、規定の命ずるところに従っていくよりしかたがない、かように思います。私は、これはあえて御答弁を求めようと思いません。  次に私は本論に入りますが、この前、いよいよ一兆何百億の金をかけて、そして国力以上な準備万端を整えてオリンピックを開催する、しかし、直接オリンピックの施設に触れて、オリンピックをなまの目で見られる人は国民の二%前後だと、そうであれば、九八%の人に、また外国に対しましても、世界日本オリンピックを宣伝する、同時に日本の国を紹介するといいましても、これまた世界の人口から見れば一%にも当たらぬ、コンマの何%にも当たらぬというほどのことであって、これはあげてフィルムを通じて大多数の国民に知らす、見てもらう、世界によく理解してもらう以外に方法がないので、そういう意味合いから、私は、記録映画というものは、思い切って——むだな金を使ってはいけませんけれども、必要な金は思い切って出して、そして、りっぱな記録映画をつくるべきである、こういうことを希望した。それに対しまして、そのときに、私の受け取り方が違ったかもしれませんが、きょう御出席記録映画責任者の田口さんは、与えられた予算の範囲内において一応の準備はしたけれども、もし、より以上の予算的措置がとられれば、もっともっとりっぱなものをつくる用意がある、こういうことで、それでは組織委員会のほうでも、もう少し記録映画責任者の希望するように必要な金は出して、もっとりっぱな記録映画をつくるように準備を進めていただきたいという希望を申し上げ、同時に、私は技術映画希望を申し上げたのです。したがいまして、この席で、その後十日以上たっておりますが、それぞれ当事者におきまして、記録映画につきましてはどういう予算上の変更が行なわれようとしているか、また技術映画につきましては、どういう組織においてどういう準備がなされつつあるか、これをこの機会にお漏らしいただきたい、こう思います。これは与謝野さんでも前田局長でも、また関係の資金財団のほうでも、どなたからでも、私がいま申し上げたことについて一応の御説明をいただきたい、こう思います。
  26. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) まず、組織委員会関係しているフィルムを申し上げます。  先般の田口さんのお話、また河野さんからのお話がございまして、主としてこの問題は、もう少しフィルムをたくさん使って、その間に、映画もりっぱなものがさらにできると同時に、技術に参考になる映画も技術的にとれるというお話でしたから、文部省の了解を得て予算の増額という手続をとることに内部的にも固めつつあったのであります。ところが、文部省のほうで、技術映画ということにつきましては選手強化本部のほうが主体となって、そちらでとるということがございましたので、また記録映画だけが切り離されるということになりますと、田口さんと打ち合わせて、その後の田口さんのほうの御要望があれば、できるだけこれを実現さしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  27. 前田充明

    説明員前田充明君) 関連いたしまして、技術映画スポーツの技術の映画をとるという問題について、その後のことについて申し上げますが、前回のこの委員会のあとで、選手強化本部と、それから組織委員会と私のほうで一回会合をいたしました。ちょうど私は沖繩へ参りましたので、その留守中でございましたが、開かれまして、そのときには最終的な結論はございませんでした。その後またこの選手強化本部並びに組織委員会とも御連絡してまいっておるのでございますが、技術映画はとるという方向へ持っていこうということについては、一応意見が皆さん一致しておりますので、私どももそういう考え方でおります。ただ、方法の問題でございますが、方法は、映画をとるのは、これは国際競技連盟のほうの許可を得てなくちゃならないので、その点については、強化本部のほうでもすでに各国際連盟に申し入れはしておるそうでございます。ここに大島さんがおられますので、その点はあとでお話しいただければわかりますが、ところが、まだ全体について返事が来ておりませんので、どの種目とどの種目をやるか、あるいは全部やるかということについては、これはこれからはっきりいたすと思います。やり方としては、強化本部のほうの報告と申しますか、最終的とりまとめという意味で十六ミリ映画をとる、そしてそれは、強化本部お話によりますと、NHKの関係において、NHKは競技場の中へ入れますので、NHKにとっていただく、NHKでは大体そういう陣容並びに機材等は大体出し得るような見通しもあるそうでございますので、話がまとまればそれにやっていただく。そういたしました場合に、最後に経費の問題でございますが、経費の問題はいま最終的な詰めまでまいっておりませんが、いままで申し上げましたような点が全部まとまりますれば、経費も自然にはっきりしてまいるわけでありますので、それによって私どもとしては資金財団に——政府の補助金のほうでは、今年度はすでにいますぐどうこうということも困難でございますので、資金財団のほうの費用から、予備の費用から出していただいて、そして結末をつけよう、こういうような考え方で現在進行をいたしているような状況でございます。
  28. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) ちょっと御報告申し上げます。  ただいま日本放送協会の岡本正一君がお見えになりましたのでお知らせ申し上げます。
  29. 河野謙三

    河野謙三君 技術映画はこの機会に記録として残そうという方向はきまった。そこで、これは大島さんのほうだと思いますが、オリンピックはたしか二十種目ありますね。大島さんのほうでは、希望としては二十種目全部、それぞれ技術映画を一応の手続をとって、許可を待て残そう、こういうことでございますか。
  30. 大島鎌吉

    参考人大島鎌吉君) お答えいたします。  記録映画をこの機会にとって、あとのために資したいということは、かねがね皆さんのお考えのとおり、私たちもぜひ残したいということで、実は今日までいろいろと努力をしてまいったのでございますけれども、従来ですと、こちらから参りまして向こうの各地の選手をとるということで非常に煩瑣な仕事であったわけでございますが、たまたま今度は世界じゅうのいいのが全部やってまいります。その機会にどうしてもとらなければならぬということでございます。したがいまして、二十競技ございますが、この二十競技を全部とるというのが私たちの念願でございます。ただ、練習場でとります部分につきましては、これはわれわれが持っておりますコーチ団の中の技術映画班のほうである程度の処理ができると思うのでありますが、さて本番の競技場の中の撮影ということになりますと、御承知のように、IFのほうの規定があるわけでございまして、それぞれの競技につきましてIFの認可を必要とし、許可をとったところの二人だけが入れるということになっておるわけでございます。で、私のほうでは、二十競技団体のそれぞれのIFの認可を私のほうでとるべく、競技団体等とも協議をしつつ、問題を片づけておるのでございますが、現在の段階では、陸上競技と馬術とボクシングと体操、この競技はIFのほうでとるというふうになっております。IF自体でとるということになっております。同時に、陸上競技のほうでは、IFのほうから二人の撮影技師を派遣するというようなことになっておるのであります。そういうような関係から、競技場でとりますところの撮影につきましては、陸上競技の部分がかなり困難であろう、ほとんど不可能であろうというふうな見通しをつけております。その他の団体につきましては、日本のそれぞれの競技団体と話し合いをいたしました結果、一人は何とかなるだろう。これはひとつ自分のほうから働きかけて、一人くらいはIFの腕章をつけて入れる撮影の人の権利を確保しようということで、目下努力中でございます。大体いまの見通しでは、陸上を除いては、日本のコーチ、あるいはただいまお話のありましたNHKから非常な御援助を賜わることになっておるのでございますが、NHKから派遣されてまいりますところの専門の技術者にコーチをつけまして、それぞれとることができるのではなかろうかと思うのでございます。  ただ、心配になりますのは陸上でございますが、陸上につきましては、NHKの方々ともいろいろ話し合いの結果、例のニュースでとりますところの写真、これは非常にふんだんにとられるそうでございますが、それを編集する形の中で、まとまったひとつの技術の映画をつくったらどうかということで、目下この点は話し合いを進めている程度でございます。
  31. 河野謙三

    河野謙三君 陸上の場合だけ連盟でやる。連盟でやって、とれましたフィルムは、一体所有権はどこにいくのですか。
  32. 大島鎌吉

    参考人大島鎌吉君) この所有権は当然IFにあるわけでございます。ただ、IFのほうでは、日本には無償で、とったものを全部、一巻まとめて提供するということを言ってきております。  それから、それに関連してでございますが、私のほうからIFのほうへ申し入れてございます申し入れの条項の中には、とったものについては一巻あてそれぞれIFに寄贈するからということを申し入れてございます。この所有権の点でございますが、この点につきましては、目下NHKの非常な御援助をいただくというような点もございますので、NHKといま折衝を続けておる次第でありますが、しかし、いずれにしても、体育協会としては、この所有権は体育協会のほうにあるのが当然であろうと思います。また一方、NHKさんのほうとも話し合いをいたしまして、これだけ大きな犠牲を払ってもらいますので、共同の所有権と申しますか、著作権と申しますか、というようなこともいま話の上には乗っておるわけでございます。いずれにいたしましても、それを複写をして、地方の学校あるいはスポーツ団体に送り込むということにつきましては、これはNHKさんとも話し合いができまして、それはどれだけでもできるということになっているわけでございます。
  33. 河野謙三

    河野謙三君 ほかの委員の方からもいろいろ御質問があると思いますので、はしょって申し上げますが、そうすると、一応いま技術映画をとるべく各種目団体の連盟に交渉中である。二十種目が交渉の結果まとまったとしますね。そうすると、相当膨大なものになる。その場合に、靱さん、あなたのほうでは、私は何億とは言いませんけれども、少なくとも、これが二十種目全部まとまって貴重な資料として残すのだということになりました場合に、まさか、あなたのほうで金の出し惜しみはないと思うが、かりに三千万円かかろうが五千万円かかろうが、ほかのものと違うからこれは出す、それだけの用意があるわけですね。
  34. 靱勉

    参考人(靱勉君) お答え申し上げます。  本日たぶん資料としてお手元に出してあると思いますが、私どものほうの財団の三十九年度の予算におきましては、二億円余りをさらに配分予備金というようなことで計上してあります。それは必ずしも記録映画あるいはいま問題の技術映画と申しますか、そういうだけのものを目標にしているわけじゃないのでありますが、その他、要するに大会の準備、実施、選手強化に必要なるいま想像し得る金というものは、各方面のほんとうの御協力によりまして問題なくまかなえる。もちろん資金財団として出し惜しみとかなんとかできるものじゃありませんし、これは、全くオフィシャルの金というものは、大会のそういう目的にあるのでありますから……。ただ、量があるかどうかということになりますれば、その点は十分まかなうことができる、こういうふうに申し上げておきます。
  35. 河野謙三

    河野謙三君 私は、田口さんのほうの関係を、適当かどうか、記録映画、それからいま問題になっているのは技術映画ということですが、記録映画のことでちょっと伺いますが、技術映画のほうは、一応便宜NHKのスタッフに応援を願う、これならば、先ほど大島さんのおっしゃったように、一応機材はすでに持っておる、それから技術者も持っておる、ということで、これは大体応援を求めようという方向のようでありますが、そうなった場合でも、やはり技術映画班というものを別に組織上はつくりまして、NHKのスタッフに、やはりそれぞれ強化本部に所属しておられるところの各種目のいわゆる競技に経験のある人、これがそれぞれ技術映画責任者になって、NHKのスタッフを指導し、またはある場合には協力していかなければできないのじゃないかと思うのですが、そういうような強化本部の、それぞれの種目の、競技関係でいう技術者ですね、それとNHKの写真関係の技術者、これが一組になって二十組ができて、この技術映画をつくる、こういうようにお考えになっておると思いますが、そうでございますか。
  36. 大島鎌吉

    参考人大島鎌吉君) お答えいたします。  御承知のように、村に入りますところのコーチが、わずか四十四名という、きわめて少数でございます。で、私のほうでは、従来ともに、いわゆるマン・ツー・マンの形でコーチが選手のめんどうを見てまいりましたもので、別にJOCコーチ団本部を設けまして、約二百名のコーチを一堂に合宿させまして、そこで、村の中におりますところの選手と緊密なる連絡をとりながら力を発揮させるようにしようという仕組みをつくっておるわけでございます。JOCコーチ団本部の中には、作戦コーチ団と調査研究コーチ団と、それぞれ職務を二つに分けますが、作戦コーチ団は、もちろん選手に直接関係をする。調査研究コーチ団は、調査とそれから技術映画撮影班と二つに分けるつもりでございまして、調査につきましては、各国スポーツ、体育の事情、あるいは選手強化の事情などをたんねんに調査すべく、それは人を配置いたしますが、一方技術映画班につきましては、これは約三十名ばかりになると思うのでございますが、この三十名ばかりの技術映画班は、NHKから供出をしていただきますところの十三人の撮影者、並びに機械を持ってこられるのでございますが、十三人の撮影者という一つのグループをつくりまして、そういう組織と方法をもって、できるだけ十分に撮影をしようと、かように考えておる次第でございます。  なお、現在の考え方の中では、かなりふんだんにフィルムなどを使いますが、これを編集する編集のスタッフというものが、これはやはり技術の関係ですので、選手強化対策本部のほうで考えなければならないというようなこともございます。編集につきましては、私のほうで適当なる人にお願いをいたしまして編集をやり、大きなことを申し上げるようでなんでございますが、 いままでのオリンピックにないりっぱな技術映画ができるだろうと、かように考えております。
  37. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、まず、NHKの技術者十三人という、この場にきて、なかなかだれでもいいというわけにはいかぬ、もっとほしいけれども十三人しかいないということだと思いますが、そうすると、NHKのほうでは、とりあえず技術者は提供する、機材も提供をする、しかし、フィルム代そのものは——NHK本来の目的以外のものですね、技術映画は。それは、組織委員会といいますか、資金財団のほうからその資金は出す、こういう前提になっておるのですか。
  38. 前田充明

    説明員前田充明君) それはNHKの御協力をいただくわけでございまして、まだ全部資金財団に出していただくということをきめておるわけではございませんで、NHKとよくお話し合いの上できめたい、かように思っております。
  39. 河野謙三

    河野謙三君 それはやはり、先ほど与謝野さんだか大島さんが言われましたが、このフィルム代をNHKに全部負担させるとかさせないとかいうことは、この技術映画ができた場合の所有権の問題に非常にかかってくると思う。NHKに初めから全部負担をかけるということになれば、これは当然共有という問題が起こってくると思う。そうでなく、資金的には全部組織委員会のほうで持つたのだ、強化本部で持つたのだ、ただこの場合に、善意な協力をNHKに求めたということになれば、それははっきりと体育協会の所有になると思う。これはまあ私はどちらでもいいと思う。要するに、でかしてもらわなければいかぬと思います。  そこで、それじゃその次に、技術映画ができたと、それは体育協会なり、NHK等の共有でもいいでしょうが、その場合に、今度は、それをもとにしてネガをつくるとか、いろいろな問題がありますね。できた、それ以後においての費用というものは、これは当然NHKの負担じゃないと思うのだ。これは、文部省の年々取るところの体育振興費からも出さなければいかぬだろうと思うのだが、それ以後の負担というものは、これもまだNHKが持つかどうかわからぬということなのか、それはもうそれ以上先のことはNHKに負担させないと——そこのところはどうなっておるのです。
  40. 前田充明

    説明員前田充明君) 編集できて、あとどういうふうに取り扱うかということについては、これはまあお話のように、常識的に考えましても体協の費用で出すべきだと思います。しかし、この費用は技術映画でございまして、いわゆる劇的なと申しますか、同じ記録をとった映画にいたしましても、これはもう専門の人たちが見る映画でございますから、いわゆる編集費というものも、組織委員会でつくります記録映画ほど費用はおそらく私はかからないと思っております。しかし、まあこれは実際にやってみなければ詳しいことはわからないわけでございますから、その点については、もう少し体協のほう、並びにNHKのほうともよく相談いたしまして金額を詰めたいと思っております。
  41. 河野謙三

    河野謙三君 NHKにちょっと伺います。  いままで体育局長なり大島さんからいろいろ私のお尋ねに対してお答えがありましたが、これに対しまして、NHKのほうですね、費用の分担については、NHKとしてはこうしてもらわなければ困るとか、大体いままで御開陳のあった程度で、対策本部なり文部省のほうの決定に従ってNHKは協力しますと、こういうことなのか。それから、技術映画というものは非常に期待しておるのですが、あなたのほうのスタッフで、大島さんなり体育局長が期待しておるような、期待に沿うだけの機材と技術者というものに自信をもってこたえられると言われるのか。その辺のところをひとつ伺っておきたいと思います。
  42. 岡本正一

    参考人(岡本正一君) NHKがこの技術指導映画の制作について強化本部から御依頼を受けましたことは、いまの皆さん方の御発言で御承知のとおりだと思いますが、つい数日前に御依頼を受けておりまして、詳細については目下検討中でございます。前田体育局長が言われました費用の分担の件などについても、いまようやく詳細な打ち合わせが始まったところでございまして、われわれがどこからどこまでを分担し、どこから先は体協のほうでお持ちになるかというようなこまかいところまで、まだ詰まっておりません。いずれにいたしましても、原則的に、機材並びに人員をもってこの技術指導映画の制作に積極的に御協力するという方針でございます。いま河野先生の御質問のありました、自信のほどというふうに伺いましたけれども、もちろん、こういう大切な映画のことでございますから、われわれとしては、一般オリンピック放送のためにすでに相当の人員をさいておるわけでございますが、一番優秀なスタッフをさらにこれに加えて、十分御期待にこたえ得るように協力いたしたいと考えております。  なお、いままでの前田体育局長並びに大島さんの御発言の中に触れて二、三補足いたしたいと思いますが、NHKはこの競技場の中へ放送のためにはいれるからというふうな御発言もありましたけれども、このお話はそれとは別個でございまして、それぞれのIFの許可を受けて入るということになろうかと思います。それから組織委員会から依頼を受けておりますニュースフィルム・サンマリーの制作のものがもちろん入っておるのでありますが、これらのフィルムをさらに加えて使用するという件につきましては、当然組織委員会の承諾がなければできないことでございまして、これは強化本部のほうから組織委員会のほうに御連絡くださるように現在お願い申し上げております。
  43. 河野謙三

    河野謙三君 大島さんにひとつ立ち入って伺いますが、技術映画をつくる場合に、一つのネックは、競技場にはいれる権利というか、このバッジをもらうことが非常に大きなネックですね。そこで、一人でもよけい入れたいけれども、はいれないという場合に、ある場合には、いままではいれることになっている人を整理される必要を考えてもいいのだと思う。そこで、質問がちょっと、これはあなたのほうのくろうと筋から見れば的がはずれているかもしれないけれども、この間ちょっと問題になりました日本選手だけを対象にしているところの記録映画というか、技術映画というか——私はいま聞いているところでは技術映画じゃないと思う。いままでの強化合宿のいろいろな記録なんかやっているのだが、役員会まで写しているのは技術映画じゃないと思う。これが今度オリンピックが開催されると、日映新社なら日映新社だけというのか、何だか知らぬけれども、そういうあれが、やはりちゃんと一つの権利を持ってそこに入るでしょう。しかし、技術映画が、国際的な技術映画をつくろうということになったら、ただに狭い国内日本選手だけを対象にしたところの——私はつまらぬとは言わぬけれども、より高度の技術映画をつくろうということが決定した以上は、こういう狭い日本選手だけを対象にしたところの、そういう映画というものは必要ないじゃないか。やってもいいけれども、片っ方のほうじゃ、そういう高度の技術映画をつくろうという場合に、一番ネックになっているのは人の問題で、人の入場許可をもらう問題だ。これを少し整理したらいいじゃないか。それをこっちと置きかえたらいいじゃないかというように考えられるのだが、これは的はずれですか。私は、極端に言えば、そんなことはやめてしまえばいいと思うのです。この際どうなんです。
  44. 大島鎌吉

    参考人大島鎌吉君) ただいま私のほうで、この四年間の選手強化の事情を記録しようという記録映画を撮影しております。御指摘のように、それは日映新社のほうに依頼しております。しかし、日映新社との話し合いでは、選手強化が終わりますところの九月三十日までの撮影を依頼してあるわけであります。私どもよくは存じませんが、その件につきましては日映新社と私のほうは関係はございません。したがいまして、日映新社がバッジをつけて競技場の本番にはいれるのかどうか、私どもは関知しておりませんので、その事情はよくわかりません。
  45. 河野謙三

    河野謙三君 大島さんにわからないじゃ、だれが一体わかるのですか。与謝野さん、組織委員会でわかりますか。大島さんの言うように、九月三十日でおしまいだ、十月十日から開催のオリンピックの本番については、そういうものは入る権利はないのだというならわかりますよ。それは、大島さんの九月三十日以降は私は知らないというのは、だれがわかるのです、与謝野さん、それは。
  46. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) 競技場内に入って、ニュース映画を、あるいは記録映画技術映画をとるという人数は限定されておりまして、日映新社が、過去の日本選手の記録をとっておった方々が、その連続として競技場に入るということはございません。
  47. 河野謙三

    河野謙三君 ないですか。
  48. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) はい。
  49. 河野謙三

    河野謙三君 それでは、技術映画につきましては大体話が煮詰まってきたようでありますが、せっかく、時日もないことでありますから、ひとつ、どなたが先頭に立というと——おそらく大島さんと前田さんが先頭に立ってやられると思いますが、これは私は、七十年のオリンピックの歴史に、日本の東京大会で、いまだオリンピックの歴史になかったような、数々の新しい、歴史に残るようなことがあろうと思いますが、その中でも、これは自画自賛になりますけれども、今度の技術映画というものを各種目にわたってつくりまして、これを世界各国にそれぞれ配布する、国内にはまた、後代の青少年のために、技術指導のために記録を残すということは、私は輝かしいオリンピックの歴史に残ることだと思います。単に私は日本だけではなくて、おそらくこれを契機にして、これから四年ごとに行なわれるオリンピックのたびに、私はこういうものがやられると思う。そういう意味合いで、この技術映画の第一歩として、重ねて申しますが、思い切ってひとつ、許される範囲をこえてはいけませんけれども、許される範囲におきまして、りっぱなものをつくっていただきたい、これを希望いたします。  それから最後に記録映画の担当者に伺いますが、私の聞き違いか、与謝野さんなり靱さんの話では、記録映画についてはりっぱなものをつくるために、予算的には十分協力するつもりだというふうに私は受けとめたと思うのですが、その後何か変化はございましたか。
  50. 田口助太郎

    参考人田口助太郎君) 私のほうとしては、技術映画という、別に——現在契約している範囲内でやればできる、それ以上のものをつくるというためには予算が不足する、映画というものの性格はそういうものです。建物でも同じだと思います。建築をするのでも、あの大きさでもっと安くできると思いますが、特に映画というものは、いいものをつくろうとすれば非常に金がかかる。そこで、一番現在困っているのは何か。よりいいものをつくるのには、より人間を鍛えたい。たとえば半月や一月は勉強させたい。しかし、予算がないために、半分は十月一日、それから半分は本番になってからというような、じゃなければやっていけないというような点が非常に苦しい。しかし、それでも映画は写りますし、できます。しかし、できるだけ、選手強化が四年もかかってやっているように、われわれも何日かの準備期間というものはぜひほしいということを申し上げて、これについて、この時点では半月ぐらいしか実際物理的にできないから、半月ぐらい総員集合できる予算がほしいという金額も申し出ました。わずか五百万円程度であります。  それからフィルムも、各競技をもっとより克明にとって、とにかくぶっつけ本番でございまして、結局どんな名監督、キャメラマンでも、瞬間のものをとらえる、一台でとるより二台で、二台でとるより三台でとったほうが、これはシャッターチャンスが正しい。したがって、ローマ大会よりもやはりはるかに機械が多くて、九十八台の機械を動員する計画を立てまして、やっています。したがって、フィルムの絶対量はものすごく不足である。できれば五万メートルぐらいまわしてほしい。これが大体千五百万。また、現在空中撮影も、自衛隊のヘリコプターの支援で無料でやるというのでありますけれども、ほんとうにやりたいのは、もっと空撮をやりたい。しかし私は、ただそれだけではどうもわれわれの期待どおりにできないから、チャーター機も使いたいというようなことで、これも四百万ぐらいぜひほしいという話し合いをし、文書で数字を出しまして、検討してもらって、現在まだ返事の来ておらない段階であります。  その際、いわゆる技術映画の問題にも関係しますが、組織委員会の総長が先ほど申しましたように、技術映画をこの団体がフィルムをよけいまわしてもらってとったら、機材と人間はただだから、フィルム代だけで済むのではないか、とれないか、そういうような問題から、われわれはわれわれなりで検討いたしました。それで、後世に残るものができるかどうか、われわれとしてもある程度の自信はつきました。文部省でも大島さんやその他と一緒に話し合ったのでありますが、その当時、陸連関係、強化本部ではNHKと、確答はないけれども、その方向で進むであろうということ。それから文部省は、資金財団の金を選手強化本部の金に使うのはおかしいのじゃないか、むしろOOCを通じてやるほうが資金財団の目的に沿うのじゃないかという西田課長からの発言もあって、この問題も法律的にどうするかということが結論が出ない。  どこでやったほうがいいか——現実に物理的に考えて、中へはいれるのは、現在NHKだけではございません。NHKと民放とを含んだニュース映画協会と、私が別にやっている劇場にかけますニュース映画協会というのがございます。それから記録映画、この三つが現在中に入ってとれる団体でございます。そのうちで一番やはり安くてよくできるのは、これはNHKさんだろうと思います。ただ、いろいろ報道という立場で大部分とっていて、非常に人も少ない。これが、いま岡本さんから聞いて、世界的に負けないようなりっぱなものをつくるという確言を得たので、非常に安心をしたのですが、われわれは、それに参加している民放、いろいろの点から考えて、どうもむずかしい……。  それから、先ほど大島さんから別な発言を聞きました。練習中に日映が重点的にとる。それならば本番は人があいている。本番のときには人がかかるというふうに聞いておったのですが、ここではさかさまに聞きまして、これはニュースからとるということになると、民放も一応からんでおりますので、この点もNHKだけで別版をつくれば文句はないのですが、そうでないと、ちょっと問題があるのじゃないか。リハーサルをとるというならば、これはぼくは、NHKが人間も機材もあるし、できるのじゃないかなというふうに考えます。しかし、どのくらいの人間を出すかということになると、私たちはカメラマンだけでも九十八名用意しておる。これが活躍したほうがいいものができるのか、それとも少人数のがいいのか、という問題がある。この点は、やはり文部省でももっとはっきり、どっちがいいかということをきめるべきだ。しかも、われわれを呼んでおきながら、何にもちっとも話がなしにNHKにきまりましたというような感じの出し方は、ぼくはちょっと意外だったというふうに考えます。したがって、もっと検討して、どっちがよりいいものができるかということを、しかも、どっちがまたよくて安くできるかということを、もっと、三つの団体きりなのですから、それと協議すべきであったというふうに考えられます。  しかし、いずれにしても、河野委員の言われるとおり、りっぱな技術映画を後世に残すという方向は、これはだれも異存がないことだと思いますが、それにこたえるようなりっぱな映画が、どこが、だれがやったら一番いいのだというふうに考えますと、私は、体協がIFに撮影権を委任してくれというような手紙を五日付で出したというような話をこの間も文部省で聞きましたが、 しかしこれは、 IFでやる映画というものは、一競技団体に陸上でも二名、この程度でどうしてりっぱな映画ができるのだろう、各競技団体ごとに二名ずつにしたって四十名になりますが、これでできるだろうか、というふうにわれわれは心配しているわけです。フィールドとトラックを一緒にやっているような場合に、しかも向こうから来ているのは、一人はディレクター、カメラマン一人であるというようなことで、非常に心配している。  結局、いま河野委員なんかの考えておる技術映画と、それから陸連さんの考えておる映画というものを、見る対象について、何かいままで話し合った結果が食い違っておるのじゃないか。ただコーチが将来見ればいいのか、それとも、まあ小学校は別として、中学、高校、大学のクラブ活動その他で、あるいは各団体で見るというような映画をつくるのか、どっちか、ということが、どうも割り切れていないような感じを私は受けます。私自身は、河野委員考えておるのは、中学、高校生、大学生なんかにも見せられるような映画であって、コーチ団とか、その他の特殊な人が見るという映画だけではないのではないかというふうに、私は私なりで解釈しておりまして、その点についても、まだポイントが合っていないというのが、いままでの、私が立ち会っていきまして、文部省と話し合った段階では、そういうふうに私は感じられましたので、一応、見る対象はどうするのだというようなことも考えていかなければならないというふうに思います。  したがって、われわれとしては、フィルムさえよけいあれば、まあどこにも負けないものをつくり得るというふうに考えて、人間もだいじょうぶだ、機材もだいじょうぶだというふうに考えておりましたけれども、それについて何ら文部省からも、賛成みたいな意見はあったのだが、その後何も応答がないというのが現実であります。
  51. 河野謙三

    河野謙三君 私は、この技術映画をつくってもらいたいということを強く主張するのであって、技術映画をつくるための手段につきましては、NHKがいいか、民放がいいか、田口さんのほうがいいか、これは実は私はしろうとでわからないのです。だから、手段はどの手段を選ぶかということについて、いろいろ御意見もあるようでありますから、十分ひとつ当事者において、時日もないことでありますから、早急に御検討願いたいと思います。これ以外にないと思う。  そこで私は、田口さん、記録映画につきまして、いま航空写真の問題その他、わずかな予算ですが、四百万円とか五百万円とか、二口三口予算要求をしておられますね。これに対して返事がない。これは一体、与謝野さんなり、靱さんなり、どういう関係ですか。もう時日がないのですから、極端に言えば、十日の日になって金をくれたって使いようがないのですから、これは私が言うまでもなく、ほとんど即決でやるべきだと思うのですが、この予算要求に対しては、この機会に、大体その予算を認めて出してやるという方向なのか、それとも、大体いままでので事足りておるのじゃないか、よほどのことがなければあとは追加しないのだということなのか。田口さん、金さえあれば、建築と同じで、幾らでもりっぱなものができると言うが、それは限度がないでしょうが、一応の目標は、あのヒットラーのつくった「民族の祭典」、少なくともあれ以上のものをつくろうというのが目標でしょう。いまの与えられた予算でも、少なくともあれ以上のものができるという自信はあるのですか。いまの予算では、あの程度のものでもできないというのか。一応の目標はあれだと思う。あれ以下のものであってはならぬと思う。その目標は、いまの予算において到達できるのですか。
  52. 田口助太郎

    参考人田口助太郎君) お答えします。  私たちも、与えられた予算で、あれを突破するようなものをつくりたいという熱意はあります。しかも、技術はもう進んでおりまして、音についても、色彩についても、あの当時はない時代で、現在はできておりますから、そういう点からは負けない。もちろん、これは映画自体が進んだので。ところが、やはりフィルムが不足する。おそらく、当時の記録はよくわからないのですが、フィルムというものは、もっとふんだんに使ったと思います。施設も、中にレールを敷いたりして、自由自在にキャメラが移動できた。今度は、無理を言って一人がインフィールドに制限つきでしかはいれない。こういうような非常に悪い撮影条件でやらなければならない。したがって、熱意はありますけれども、技術的に、天然色とか、あるいはステレオとかいうようなものは、まずあれ以上のものには間違いないのですが、フィルムが少ないために、非常におもしろい、いい感激の場面をとりこぼすという危険があるということだけは言えると思います。
  53. 河野謙三

    河野謙三君 どうです、予算要求に対して。
  54. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) お答えいたします。  記録映画の予算、その予算の範囲内で田口さんの協会にお引き受けを願ったのでありますが、その後、さらによいものをつくりたいということで、いろいろ音響効果であるとか、あるいは新式の現像であるとか、あるいは照明装置を直すとか、いろいろなことから、約一億近い予算が当初よりもふえてきたんでありますが、田口さんのほうとしても、やはりできるだけ当初の予算で初めやるというスタートであったために、非常に倹約されて、特に人件費等は非常にお苦しいことをやっていただいているわけでございますが、最近出されました予算というものは、いま事務当局で検討しておる最中でありまして、私がこれは出そうとすぐ言える仕組みになっておりませんで、検討の上文部省へ持ち出して、文部省の許可をとって資金財団からいただけると、こういうことになっております。できるだけ早くこの検討を終えたいと思っております。
  55. 前田充明

    説明員前田充明君) いまお話がございましたですが、私ども、先ほど与謝野総長からお話がございましたが、当初記録映画にプラスアルファということで技術映画はいくという、こういうような話は一時ございましたですが、その後、体育協会のほうのお考えで、先ほど来のお話のようなふうになってまいりましたものですから、いま、いわゆる技術映画は体育協会の御希望のとおりで進むつもりで私どもとしては考えております。  それからなお、私ども技術映画と申しましても、全然いままで考えられなかったものをつくるということを表向き考えているということじゃなしに、選手強化の締めくくりと、かような意味考えたいと思っております。したがって、これはあくまでも、先ほど来お話のございましたように、体育協会の考えで、体育協会のものとしてつくる、それに文部省としては賛成をしていく、そういう立場考えておりますので、この際私ども立場を一応申し上げておきます。
  56. 靱勉

    参考人(靱勉君) ちょっと誤解があるといけませんので発言をさしていただきますが、河野委員からの御質問でございますが、資金財団は、組織委員会並びに日本体育協会に配分いたしますので、直接、たとえばどこの団体とかなんとかとは取引はないわけです。したがいまして、資金財団が出し惜しみとかなんとかということは毛頭ないんで、この点ぜひ誤解を解いておいていただかぬと困りますので、よろしく願います。
  57. 河野謙三

    河野謙三君 誤解はしていませんけれども、あなたの目つき、顔色というのは、やっぱり影響力があるんですよ。それはいいです。  そこで、与謝野さん、記録映画の予算の組み方は一体どうなっているか、一ぺん聞かせていただきたい。記録映画というのは、この間も申し上げたように、金を出しますね。それで田口さんのほうでつくりますね。つくったものは売るんでしょう。だから一番簡単な算術で言えば、三億かけて三億で売ればツー・ペイですね。これは支出のしっぱなしじゃありませんわね。予算上は一体どういうような措置になっているんです。これは支出と収入とペイするという形で予算を組んでいるのか、それとも、三億かけたものを二億で売って、一億のこれは負担になるというのか、たてまえはどうなっているんです。でき上がった品物によって、高くも売れるでしょうし、思うように高くも売れないと思うんです、商品ですからね。これは一体、予算上はどういうふうにやっているんですか。
  58. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) 当初、組織委員会の予算は大蔵省が査定し、文部省その他と相談の上、最終的決定が国会で可決されてきまっていたのでありますが、その出資額は、政府が三分の一、都が三分の一、資金財団から三分の一というような配分で一昨年まできていたのでありますが、昨年来、多少その配分がくずれまして、資金財団からの出資が非常に多くなったわけでございます。ところで、記録映画の予算は大体二億五千万円ということにきめられましたときには、二億五千万円ぐらいなら回収できるという、イタリアの例その他を参考とした東宝その他の関係者の計算があったようでございます。ところが、今日となりますと、この二億五千万円のうちに政府のお金が一体幾ら含まれているかということになりますと、その比率は非常に少ないのでありまして、初め、それは全部回収しろといっていた政府の御意向も、全部回収しなくてもいいのか、あるいは二億五千万以上になった場合はどうなるかという点があいまいなのでありますが、現在五大会社が相談して、ともかくかけたお金にできるだけ近い金額で最低保証するところをさがしているわけでありまして、高い金を出して、それが全額返ってくるということが、やはりテレビその他の発達した今日、なかなかむずかしいということを、まあ専門家の各社長連中もそう言っている次第でございます。したがって、われわれとしても、全額回収できるのが、イタリアのように四年も五年もかかってからやっと元になったというような例もありますが、ともかく元はすぐはとれなくても、最小限の保証をとって、それからさらにできるだけ早く販路を広げていきたい、こう思っているのでありまして、やはり金をかけて、それが必ずしもすぐ返ってくるということにはなっていないわけでございます。ただ、当初非常に切り詰めた予算で出発しておりますから、田口さんのほうの協会のほうでも、いろいろと予算の新しい請求をされるときは、自分のほうで非常に心苦しく思われまして、やむを得ないものを出してきて、われわれとしても、ほとんどそれを認める方向で今日まできていたのであります。最近のこまかい点につきましては、いま検討中、こういうことでございます。
  59. 河野謙三

    河野謙三君 最後に、私は少し意見もまじえまして申し上げますが、私たちしろうとですがね、二億五千万円かけて二億五千万円回収するなんということは、何にも私は苦心は要らぬと思うんですね。これは一つの、記録映画というのは権利でしょう。ほかに何もないでしょう。唯我独尊ですよ、これは。したがいまして、これを、かりに二億五千万が三億といっても、私は当然要求があると思う。ただいたずらに負担させちゃいかぬというだけであって、私は、この二億五千万円が二億五千万円で回収できないというばかなことはないと思う。しかも、それの回収がおくれるということが納得がいかない。しろうとですから、しろうととして聞いてください。しかも、映画がテレビの影響で非常に衰微しているというときに、このオリンピックの映画を上映することによって、映画館は非常に一時的には繁盛すると思うんですよ。ある意味においては、映画館のてこ入れになると思う、しろうととして考えるのに。そういうときに、憶病にもほどがあって、二億五千万円かけて二億五千万円回収ができるかできないか危ぶまれるということは私はおかしいと思う。さらに、私が言うように、一億五千万なり三億なり三億五千万なり、建築と同じように金をかければ金をかけるほど、りっぱなものができるとすれば、りっぱなものほど高く売れると思う。それをここでちびって、後世に残る記録映画を、わずか一千万や二千万の金をちびってやることにどうしても私は納得がいかない。どういう常識だか、われわれしろうとの常識では判断ができない。どうして回収が危ぶまれるのか。それは、売る場合に入札かなんかでやるのですか。それとも、向こうの言い値で売るんですか。向こうの言い値でふんだくられるんですか。私はそんなことはないと思う。それはそれとしての独占権を持ったところの記録映画、これには独占権がついているだけに、非常に私は価値が高いと思う。単に原価だけではないと思う。原価のほかに、商品的な価値プラスアルファだと思う。それが二億五千万円なら二億五千万円に売れるかどうかというのは、どうしても納得ができない。他の方々に御意見があったら御開陳願いたいと思う。  そこで、私はもっと大胆に金をかけて、よりりっぱなものをつくって、これは売れるのだ、回収ができるのだという前提で、いろいろこの間から意見を申し上げているのです。これはだいぶ意見が多く入りましたから、あえて御答弁を私は必要としないけれども、もし、私が申し上げたしろうとの意見につきまして、それはおまえのしろうとの意見であって、そうではないのだ、こうだ、という一つの私を納得させるような、与謝野さんなり田口さんなり、御意見があったら聞かせていただきたいと私は思う。
  60. 田口助太郎

    参考人田口助太郎君) 配給のほうは、私のほうの直接の所管ではございませんが、十数年間映画界に首を突っ込んでおりますので、大体の見当はつくと思うのですが、配給収入を時間的に早く回収するという考え方に立ちますと、非常に現在の映画界では、何億という金を、みずてんで、見ないうちに契約するということは困難だろうというふうに推測します。しかし、あがったら幾らというような形、あるいは最低保証はこのくらい、歩合ではこのくらいというような形で、ある程度長期の回収をねらうならば、私は相当あがると思います。ただ、早く回収しよう、すぐ金にしたいという考えでは、なかなか配給会社も、現在まだ回収しないうちから金を払う、その金融というような点で、なかなか困難性があるというふうに見ております。したがって、売る場合に、支払い条件というようなものが一番金額にも左右される問題だと私は考えます。
  61. 河野謙三

    河野謙三君 これは、こういうことまで立ち入っちゃどうかと思うけれども、一体その記録映画ができた場合に、映画協会かなにか知らぬけれども、それへ売る場合には、入札ですか、それとも原価主義で、これだけかかったからこれだけで買ってくれというのですか。どういうことを考えていられますか。私は田口さん、先輩にことばを返すようですけれども、いかに映画界が衰微したって、二億五千万や三億の金を、いまの映画会社、一社じゃありませんよ、これは、このフィルムは損はないのだということになれば、私は、ほかの、やってみなければわからぬという映画と違って、オリンピックの映画なら、みんな、はせ参じますよ。私は、その点はどうも納得いかないのだが、それはいいとして、一体これは初めからきまっているのですか。販売方法はどうなっているのですか、これは。
  62. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) いま、映画連盟の会長が日活の堀さんでございまして、堀さんに一番よい配給方法を、昨年来田口さんと一緒にお願いしているわけでございます。先ほど田口さんのお話のありましたように、長期回収、ただし最低の保証をまず取って、ある程度はまず回収する、あとは長期、そういう方針でいっているのでありますが、いまの映画界の現状で、その最低の保証もすぐ払い切るところはなかなかないという現状で、実は、先ほど来の河野さんの御意見を私の意見として、その映画の連中といろいろ折衝しているというような状況でございまして、これが売れないはずはない、また田口さんのところでみんなが奉仕的に一生懸命つくっている映画を、そんなたたいて、いかにももうけでもあるような形でもっていってもらっては困るというようなことで、いろいろ折衝を重ねているのが、いまの現状でございます。
  63. 小西英雄

    ○小西英雄君 この間いろいろこの映画の問題で河野委員から質問され、田口さんもお見えで、田口さんのほうでは、いろいろ技術映画をとるということについても苦慮している。フィルム代と、そして人件費と、いろいろな点から体協が組織委員会のほうへ出されたそうでありますが、それに対して、いままで何の回答もないということでございますが、その点ちょっとその当時は、文部省体育局長もあまり技術映画とか、そういうものに関心もなかったように、われわれ委員として聞こえたのでありますが、きょうになると非常に勉強されて、それは体協の大島さんのほうで、強化本部のほうで技術映画的なものをとるようになったように答弁が聞こえたのですが、そうすると、結局、田口さんのほうの返事がいろいろはっきりしないうちに、こちらのほうでは体協と相談して、靱さんのほうから金を直接田口さんのほうへ渡さないで、体協なりあるいはその監督している文部省の所管のほうへ金を出されたやつを、田口さんのほうへ何の返事もなしに、こちらのほうでは技術映画をとる準備が万端整ったというふうに聞こえるのです。その点どうですか。与謝野さんに聞きたいのですが、いま検討中なのに、こちらのほうでは準備ができている、田口さんのほうの記録映画は現在までの予算範囲でやる、技術映画についての考え方は別途のほうで考えられた、ということなんですか。その点ちょっとはっきりしないのですが。
  64. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) 実は私も、選手強化のほうで技術映画をとられるという話は、承知したばかりでございます。私が先般の委員会の後に文部当局と話しましたことは、ひとつフィルム代の予算その他を獲得して田口さんにお願いする、また、田口さんのほうでかりに必要とする予算がございましたときには予算が組みやすい、こういう考えで御了承を得ていた。それが、話がやっぱり選強のほうが適当ということに変わったのでありまして、この際その費用として、資金財団から文部省を通じてその資金が体協に渡る場合に、私どもとしては何もこれに関係ないのでございます。先ほど田口さんの言われました、いま出しておられる予算というのは、また少し足らないものが出てきたから、これをひとつ検討してくれということで、実は金額その他も、まだあがってきてなかったものでございます。至急これを検討して、できるだけ御希望に沿いたいと考えております。
  65. 小西英雄

    ○小西英雄君 そういう点で、これはいろいろここへ来てから多少意見が、総長のおっしゃるようなことで進んだということで、われわれやはり中心は、この前の委員会から、記録映画世界に恥じないような、われわれの東京でやった大会記録映画が、時代もドイツでやったときより非常に変わっておりますが、それ以上のものをとってもらうように、力を入れて、われわれも出てまいりましていろいろ聞いたわけでありますが、そういう点で、田口さんのほうの重点でやったものが非常におくれて、これはまた総長から言うと、田口さんのほうもやはり考えられておる、フィルムの少ないこととか、あるいは人員の養成等についても考えられておるとすると、非常に急がれる問題でありまして、もう二十何日かの間に何ぼ金を、先ほど河野委員も指摘されたように、まぎわに持ってきたってしょうがない。選挙費用と同じで、投票日の四、五日前に金を持ってきたってどうにもしようがない問題でありますから、そういう点を十分御配慮願って、記録映画記録映画としてりっぱに、予算等で縛られてこういうものしかできなかったというようなことを言わさぬように、ひとつそちらのほうはやっていただき、また大島さんのほうも、やはり自分たちは選手のほんとうの体験者として、こういう技術映画をとるということを文部省やNHK等に話して、これは別途の予算でやられることについては、われわれはけっこうだと思うので、そういう点、やるにしても、もっと敏捷にやってもらわぬと、とにもかくにも、ちょいちょい委員会も開かれませんので、ひとつ特にその点を私は要望しておきます。
  66. 前田充明

    説明員前田充明君) 先ほど申し上げたつもりでおりますが、念のために申し上げるのでございますが、いま与謝野総長がおっしゃったわけですが、きのうからの話でございまして、体協の態度は、技術——従来の記録映画にプラスアルファではどうかということで、別途お考えになってきた。したがって、文部省としては、それに従っているというのが現状でございます。したがいまして、先般会議をやりましたときあたりは、これは記録映画にプラスアルファで技術映画をやるというような話があったのでありますが、それが最近そういうふうに変わってきて、いま申し上げたように変わってきておるわけでございます。それがきのうからの話で、まだ組織委員会には、けさほど私、総長にも申し上げ、また広報部長にも申し上げた程度でございまして、最終的に会議をしてぴちっといっておらないものですから、田口さんのほうに十分通じていないというのが現状でございます。そこでいまお話しのような、幾分誤解のような点がございましたのですが、きのうからきょうへかかっての話でございますので、ひとつお含みおき願います。
  67. 柴谷要

    柴谷要君 与謝野総長さんにひとつお願いしておきたいと思うことがあるのでございますが、それは、本月二日の平壌発で、朝鮮中央通信でございますが、実は、朝鮮民主主義人民共和国オリンピック委員会から国際陸連に対して、五月十八日と八月二十五日、二回にわたって、制裁処置を取り消すように申し入れを行なっておる、ところが、ただの一度も回答がない、こういうことが伝えられております。このままでいきますならば、北鮮は全種目にわたって選手を送らない、こういうことを言っておるわけです。そうなりますというと、隣国日本でやられるので、特に関心を持ち、誠意を持ってこれに参加したいという熱望を持ってきたけれども残念ながら参加できないと、こういう態度が明らかになっておるわけですが、まことにこれは不幸な事態であると思う。こういう事態をひとつ十分お考えいただきまして、関係方面に向かって最後までひとつ御努力を願いたい。先ほどの御意見をいろいろ拝聴しておりますけれども、どうか、そういう事態の起こらないように御努力をいただきたいということをお願いをしておきたいと思う。よろしくどうぞひとつお願いいたします。  それから次は、二、三質問でございますが、これは大島さんにちょっとお伺いしたい。  実は先日テレビで、大島さんがいろいろ選手強化の御苦心を言われておったのを私拝聴したわけです。たいへん御苦労であったという気持ちを持ったのですが、その中で、一つどうしても気にかかることがある。それはどういうことかといいますと、非常に選手強化のために予算を使ったので、これがたいへん選手の重荷になっておる、こういう御発言があった。私は関心を持っておりましたものですから、テレビの前で記録をしておった。金額まで言われました。しかし、その金額があまりにも膨大だったものですから、これはと思いまして、私、実はいま決算委員長をやっておりますので、調べてみましたら、選手強化に使った費用というのは、それほど膨大なものではないと思う。それが選手個々に責任があるように選手自体が思っておるということでは、コンディションをつくり上げる上においてどうもまずいんじゃないかという感じを強く持ったわけです。それほど選手強化策について金を使ったということで選手心配させておるのかどうか。そういうことであるならば、これはどうもたいへんまずい強化策じゃないかと、こう思ったのですが、その心境をひとつお聞かせ願って、あまり金をかけたことが選手心配をかけるんじゃなしに、これは国民なり東京都民が、大いにやってくれということで出した金なんですから、あえて心配しなくてもいいんじゃないか、まして、させてはならないと、こう思うんですが、その点は、本部長としていかようにお考えになっておられますか、心境をひとつお聞かせ願いたいと思う。
  68. 大島鎌吉

    参考人大島鎌吉君) お答えいたします。  実は、いささか、マスコミ攻勢と申しますか、新聞のほうなどで、きわめてすなおにものを語る方もあるわけでございますが、中には、例外とでも申しますか、あまりすなおでない聞き方を選手自身にされる方もあるわけでございます。で、スポーツ関係スポーツのことがよくわかっている方ですと、そういうことはないのでございますが、あまりわかっておられない雑誌関係の方々などが、直接選手にそういうことを言われる。金メダル一つ一億じゃないかと言われる方もあるということで、実は監督のほうから、ああいうことを言わさぬようにしてほしいということが私のほうに来ておったわけでございます。しかし、私自身は、選手を強化するには、いままでの日本状態などから考えますと、これくらい使うのはあたりまえじゃないかぐらいには思っておるのでございまして、監督の諸君だとか選手に、面接には私の口からそういうことを申し上げたことはないのでございますが、たまたまそういう話が——おそらく、そういうような話が監督のほうからあった二、三日後だと思いますが、また雑誌社の方々が二、三来られましてそういう話をされたあとに、おそらくそのテレビに出たんじゃないかというふうに考えております。したがいまして、私の口からそういうことをコーチ並びに選手に言ったことはないのでございまして、あそこで申し上げたのは一つの危惧を申し上げたというふうに御了解願えればけっこうかと思います。
  69. 柴谷要

    柴谷要君 ずっと関心を持っていたのですから、大島さんの御発言を全部メモしたわけです。その中で、ただ一つだけたいへん気になりましたので……。これは、国会でも、一度も、強化策に対する費用がかさんでおるとか、多過ぎるというようなことが問題になったことはない。大いにつぎ込んで選手養成に当たってくれということはあったかと思うんですが、そういう気持ちが逆に選手に重荷になってはいかぬと、こう考えましたので、御発言いただいたわけです。  次は、文部省に尋ねたいんですが、最近テレビで、これは無責任時代というか、まことに無責任なことが多く言われている。私は、オリンピックに水をさすんじゃないかと思うんですがね。そのことは何かといいますと、時局対談とか時局放談だとかの中に、まだオリンピックが済まないのに、たとえば施設があとどうなるんだとか、都民がえらい迷惑するとか、国民がえらい負担をしなきゃならぬとか、先のことをたいへん論ずるわけです。しかも、地位のある人たちが、たとえば武徳殿なんかは、維持するのにたいへんな金が要る。一体あれはどうするのだろう、国がはたしてめんどう見てくれるだろうか、あるいは駒沢競技場はどうするのだ、というようなことで、たいへん先の先まで心配されるのはけっこうな話だけれども、ああいうふうなテレビ、ラジオを通じて言われることは、まさに歴史的な大会をやられる前には、あまりにも常識がないものだと、こう私は判断する。そういうことを文部省はどういうふうにお考えになっているか。それが一介の市井の市民であって、路傍でマイクでも突きつけられての話でもあったというなら、これはやむを得ないと思う。しかもその、識者で評論家と称するような人、あるいは学者と称せられるような人、こういう人が、世紀の祭典を前にああいうことを言うのは、まことにべらぼうなことだと思う。そういうものに対して、文部省はどういうふうな見解をお持ちになっているか。関心を持ってテレビを見ていれば、必ず、おかしなことを言やがるという感じが起きると思う。それ、わかりますか。それに対する文部省としての態度はどういう態度ですか。ひとつお聞かせ願いたい。きょうは河野さんが来ないから、河野さんしかるわけにいかぬが、あなたかわって答弁してください。それによっては、まだ相当質問するけれども、いい答弁なら私はやめます。
  70. 前田充明

    説明員前田充明君) たいへんむずかしい御質問を私にあれでございますが、ちょうどオリンピックをいまやろうというときに、いろいろな水をさすようなお話があることは、私どももときおり伺いまして、実際困ったことだと思いますが、ただ、口を封ずるわけにもまいりませんものですから、聞いておるわけでございますが、あとをどうするかという問題でございますが、それはもう、むしろ私ども考えなくちゃならぬ問題だろうと思っております。したがいまして、私どもとしては、あれだけの大きなものをどうやって将来維持していくかということについては、これは十分検討しつつございます。したがいまして、その点については、いまここで、まだオリンピックを直前にして、ああします、こうしますというようなことを申し上げる段階ではございませんけれども、とにかく、将来については十分検討はいたしておる次第でございます。
  71. 柴谷要

    柴谷要君 最後の一言。  私はどうもオリンピックを、皆さんの努力によって、また国民の関心を高めることによって、りっぱにやりたい、そういう気持ちで協力をしてきた。ところが、識者の中で、そういう水をさすようなことを言うものですから、つい私は投書しました、実名で。私の名前で投書した。大いに反省してくれということで投書してありますから、いずれその回答があると思いますけれども、私はやはり、公器を使って国民に知らしめるような人たち責任としても、そういうことは厳に慎んでもらいたい、特に文部省との関係のある人ですから、機会あるごとに文部省に出入りする人には啓蒙する必要がある、こういうことを申し上げて、私の質問を終わります。
  72. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) ほかに御質問ございませんか。ほかに御質疑がないようでありますので、本件についての質疑は、本日はこの程度にいたします。  参考人の方々にごあいさつ申し上げます。本日は、御多用中のところ、わざわざ御出席いただきまして、まことにありがとうございました。本委員会代表いたしまして深く御礼申し上げます。今後とも本委員会の審議のため御協力をお願い申し上げます。  それでは、本日は、これにて散会いたします。    午後四時二十分散会