運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-02-19 第46回国会 衆議院 予算委員会第二分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月十九日(水曜日)     午前十時二分開議  出席分科員    主査 相川 勝六君       荒木萬壽夫君    小川 半次君       川崎 秀二君    石野 久男君       野田 卯一君    田口 誠治君       古川 丈吉君    帆足  計君       岡田 春夫君    山花 秀雄君       華山 親義君       堀  昌雄君    兼務 野原  覺君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 小林 武治君  出席政府委員         人事院事務官         (給与局長)  瀧本 忠男君         厚生事務官         (大臣官房長) 梅本 純正君         厚生事務官         (大臣官房会計         課長)     戸澤 政方君         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      若松 栄一君         厚 生 技 官         (環境衛生局         長)      舘林 宣夫君         厚 生 技 官         (医務局長)  尾崎 嘉篤君         厚生事務官         (社会局長)  牛丸 義留君         厚生事務官         (児童局長)  黒木 利克君         厚生事務官         (保険局長)  小山進次郎君         厚生事務官         (年金局長)  山本 正淑君         厚生事務官         (援護局長)  鈴村 信吾君  分科員外出席者         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      平井 迪郎君         大蔵事務官         (主計官)   船後 正道君         労働基準監督官         (労働基準局監         督課長)    東村金之助君     ――――――――――――― 二月十九日  分科員岡田春夫君及び河野密委員辞任につき、  その補欠として田口誠治君及び帆足計君が委員  長の指名分科員に選任された。 同日  分科員帆足計委員辞任につき、その補欠とし  て堀昌雄君が委員長指名分科員に選任され  た。 同日  分科員堀昌雄委員辞任につき、その補欠とし  て華山親義君が委員長指名分科員に選任さ  れた。 同日  分科員田口誠治君及び華山親義委員辞任につ  き、その補欠として岡田春夫君及び河野密君が  委員長指名分科員に選任された。 同日  第四分科員野原覺君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和三十九年度一般会計予算厚生省所管  昭和三十九年度特別会計予算厚生省所管      ――――◇―――――
  2. 相川勝六

    相川主査 これより会議を開きます。  昭和三十九年度一般会計予算及び昭和三十九年度特別会計予算中、厚生省所管を議題といたします。  この際、分科員各位に申し上げます。質疑の持ち時間は、本務員は一時間程度兼務員もしくは交代して分科員になられた方は三十分程度にとどめることとなっておりますので、御協力のほどお願い申し上げます。なお政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は的確に、要領よく、簡潔に行なわれますよう、特に御注意申し上げておきます。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。山花秀雄君。
  3. 山花秀雄

    山花分科員 私は病気のうちで一番底辺にあるといわれておりますハンセン病関係の問題に関して、若干厚生大臣並びにこの問題を取り扱っておる局長さんのほうに質問をしたいと思うのであります。  御承知のようにこの病気にかかられておられる方々は、一ヵ所に収容されて外出ができないというような、まあ悪い意味で申し上げますと、監禁同様の形で療養をしておることは御存じのとおりであります。かつては遺伝とかいわれておりましたが、今日では伝染病であるというふうに原因がはっきりいたしまして、薬もたいへんいい薬ができて、不治の病から最近は全快をして病舎から出られる、退院される方も相当数おるというふうに聞いておりますが、ここ二、三年の全治、退所された方々の数はどういうような動きになっておるか、お聞かせ願いたいのであります。
  4. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 国立らい療養所と私立のらい療養所がございますが、大部分が国立らい療養所でございますので、国立療養所について申し上げますと、在所患者が大体一が人ちょっと切れるくらいになっております。前は一万一千人くらいございましたが、一万人を切れております。三十九年二月十日の数字は、九千九百人くらいになっております。一年間の死亡者が最近は百四十人くらい軽症で感染のおそれなしとして退所を許されておりますものが、一昨年は百六十人くらいだったと思いますが、昨年は百四十人くらい、ちょっと減っておりますが、百四十人から百六十人くらいとお考え願ってよいと思います。その他の退所、これは申し上げにくいことでございますが、家族に会いに帰りまして、あと帰って来なくて、一定の時間が過ぎまして退所した、こういう手続をとっておりますものが九十人くらいおります。それに対しまして、新入所が百八十人くらい。それからいまのような事故等で退所いたしましたが再入所するものが四十人くらい、こういうような状態であります。
  5. 山花秀雄

    山花分科員 ただいま承っておりますと、全快して退所された方と、また新しく入所された方のバランスは、大体並行しておるということですね。
  6. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 死亡は別といたしまして、退所する方のほうが少し多いと思います。
  7. 山花秀雄

    山花分科員 病院は十一ヵ所と承っておりますが、これは間違いございませんか。
  8. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 十一ヵ所でございます。
  9. 山花秀雄

    山花分科員 医療改善その他で、本年度予算関係が若干ふえておりますが、どのくらいふえておりますか。
  10. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 療養所の経費が二億くらいふえておりまして、二十五億五千六百万くらいになっております。
  11. 山花秀雄

    山花分科員 私の手元には二億二千六百万円増額されたとありますが、これは大体間違いない増額ですね。
  12. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 大体総額としてそうです。
  13. 山花秀雄

    山花分科員 そこでお伺いしたい。ざっくばらんに申し上げますと、去年の分科会でも一昨年の分科会でもこの問題をお尋ねして、善処方を御約束願っておるのでありますが、実はいままで同僚の群馬県選出の山口鶴男君がなかなか熱心にこの問題に取っ組んでやっていたのでありますが、去年の選挙に残念ながら落選されまして、やる人がないのです。まことにお気の毒な環境にある方の問題でありますし、年々歳々問題でございますので、ぜひ厚生当局におきましても予算的措置を十分考えていただきたいことを前提にいたしまして、二、三質問をしたいと思います。  患者の間において、患者組織を持っておりますが、この患者組織のほうから厚生当局改善善処方要望書陳情書か、何かそういうものは出なかったでしょうか。
  14. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 たしか昨年末に出ておったように聞いております。
  15. 山花秀雄

    山花分科員 そこでお尋ねしたいのですが、その要望一つに、退所してこれから生活を営む場合に、退所支給金ですか、支度金ですか、これがある程度支給されておりますが、ただいまの支給額ではどうにもならないというような実情であります。せっかく長い間の療養生活を経て、めでたく退所された方々の今後の生計を営む出発点として、政府、国から出しておる費用は、いまどの程度予算を組まれておりますか。去年と同様ですか、あるいは去年より本年度予算はふえておるのですか、それをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  16. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 療養所のほうからは、退所される場合の被服、洋服代として、昨年八千六百五十円の費用が一万二千三百円に増額しております。それ以外のものは公衆衛生局のほうで、らい対策費の一環として考えております。なお藤楓会のほうからも多少の援助が行なわれているということでございまして、あと公衆衛生局のほうの問題でございます。
  17. 山花秀雄

    山花分科員 総額にしてどのくらい退所の際に渡すか、ちょっと概算できないでしょうか。
  18. 若松栄一

    若松政府委員 退所して、将来生業につこうという人のために、世帯更生貸し付け金を設けております。その総額が二百四十万、これは退所者療養所から給付されるただいまの洋服代と、全く別個の世帯更生のための資金です。
  19. 山花秀雄

    山花分科員 この二百四十万円というものは、具体的に一人当たりどのくらいになるでしょうか。甲なら甲が退所した場合に、いろいろ施設から出るお金と、そういう更生的な貸し金の金額というのは、一人当たりどのくらいになるでしょうか。
  20. 若松栄一

    若松政府委員 従来は世帯更生資金という貸し付け金があるわけです。そのために大体一人当たり十万円くらい限度としてやっておりました。ところが明年度はもう貸し付け金ということでなくて、渡し金にしてしまって回収をしないということで、できるだけ数多くの人にやりたいということで少し数多く、あるいは金額としては少な目に運用するという気持ちでおります。
  21. 山花秀雄

    山花分科員 貸し付け金がやり切りというような形で、ちょっと金額が少なくなるかわからぬというようなお話でしたが、大体標準はあるのでしょう、五万円とか八万円とか十万円とか。
  22. 若松栄一

    若松政府委員 はっきりした標準はいまつけかねますが、大体五万円程度めどにやっていきたいと思っております。
  23. 山花秀雄

    山花分科員 そこで問題になるのは、従来は十万円程度限度として一応貸し付け金であったが、これはたぶん貸し付けでなしに全部与えるという制度に変わったのは、おそらく回収不能というような点から、こうなったのではないかと私は想像しておるのですが、これはどういう理由でなったのでしょうか。どうせ貸したって回収不能なら、あっさり上げたほうがいい、こういう観点で制度が変更になったのでしょうか。
  24. 若松栄一

    若松政府委員 別に現在まで回収が困難だからという理由からではございません。たいした金額ではございませんし、回収事務その他でかえってやっかいでございますし、この程度ならば数も少ないことであり、金額も少ないことであるから、むしろ事務簡素化というような関係からも、そういたしたわけであります。
  25. 山花秀雄

    山花分科員 そこで問題になりますのは、仏つくって魂を入れずということで、従来十万円程度貸し付け金、これは貸し付けですから、当然義務としては払わなければならないし、貸すほうにしても回収しなければならないということで、今度はそういう事務的煩瑣を避けて、金額もあまりたいした金額でないからというお話でありましたが、そこで問題は貸し付け金程度の差し上げる金というように、予算的措置がとれないものかどうかという点でありますが、回収のほうはもう少しよけい要求して、役所のほうに陳情要請が出ておると思うのですが、厚生大臣いかがでしょうか。いま関係者と私との話のやりとりがいろいろございましたが、ひとつ大臣としての所見を承りたいと思います。
  26. 小林武治

    小林国務大臣 私もいま突然のお話でございますが、なるべく多いほうがよろしい。たとえ贈与にいたしましても、金額の減ることはあまり好ましくないというふうに私は考えます。
  27. 山花秀雄

    山花分科員 なるべく多いにこしたことはないという御答弁でありましたが、ただ厚生大臣として医療行政、特に底辺にある一番世間から忘れられておる完全治療関係のこの問題の処置について、あたたかい思いやりとして、ひとつ来年度貸し付け金程度予算措置を講ずるよう努力するとかなんとか、そういう一つの決意の御答弁を願いたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  28. 小林武治

    小林国務大臣 ただいま申し上げましたように、たとえ贈与にしても、あまり減ることは好ましくない、こういうことでありますから、したがってできるだけそういうことのないように努力したいということでございます。
  29. 山花秀雄

    山花分科員 ひとつその点は、厚生大臣として努力願いたいと思います。ただ残念なことには、いつの分科会でも厚生大臣善処方を約束されるのです。ところがその大臣が続かないのです。次の予算になりますと、もう大臣がかわってしまって、申し渡し、引き継ぎというのはたぶんないのだろうと思うのですが、いつも新規の問題になって論議されますので、こんなことを言うとはなはだ失礼でございますが、もしおかわりになるようなことがございましたならば、後任者にひとつこの点だけは気の毒な病人のために、引き継ぎをやっていただきたいということを御銘記願いたいと思います。
  30. 小林武治

    小林国務大臣 実は厚生大臣もそう長く続くという慣例もありませんし、私も今回は各局長にも、国会で私の答弁をしたことは各局長がみなこの席に出席しておって、責任を持ってそれに善処してもらいたい、こういうことを強く申し渡してあるのでありまして、問題によりまして、実は役所の中でも大臣が特に扱う、あるいはあまり扱わないというように、いろいろ問題がありますので、そういうことのないように、今度は特に私の答弁したことは、少なくとも局長は相当期間続くから、責任を持ってひとつ措置してもらいたい、こういうことをかねて申し渡してございます。
  31. 山花秀雄

    山花分科員 これは責任者の方よく御存じだと思いますが、不自由者患者看護のために、この職員を五カ年で二百五十人増員するということが決定されまして、今年はその最終年度でありますが、本年増員すべき五十人の計画予算の都合で三十人程度で、減っておるのでありますが、これはどういう理由でしょうか。
  32. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 五十人増員になっておると思っておりますが……。
  33. 山花秀雄

    山花分科員 本年度は五十人になっていますか。
  34. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 五十人になっておるはずでございますが……。
  35. 山花秀雄

    山花分科員 そうすると五ヵ年計画の二百五十人は大体本年度で充当した、こういうことになっておりますか。
  36. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 一応五ヵ年計画予定は、今年度をもちまして二百五十人の予算は終わったということになるわけであります。ただ実際やっておりますとこれでいいかどうか、問題は残っております。
  37. 山花秀雄

    山花分科員 私はもう少し調べて質問すればよかったのですが、患者のほうから本年度は三十人だから、ぜひ予定どおり五十人にしてもらうように努力してもらいたい、こういう要請がございましたので、いまちょっとお尋ねしたのでありますが、これは後ほどよく調べまして、ただいまの答弁に間違いなければ、患者のほうにこういうことになっておるということを伝えておきたいと思います。  そこで問題になりますのは、そういう看護人あるいは世話役のつく患者の実数は、約四千人といわれておりますが、この数字はいかがなものでしょうか。
  38. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 いま正確な数字を持っておりませんが、重、中というようなところを合わせますと、大体そのくらい数字になると思います。
  39. 山花秀雄

    山花分科員 そこで大体五ヵ年計画でこの看護の体制が完了するかどうかという点、先ほどの答弁でもちょっと懸念されるような御答弁がございましたが、これで不足数なくうまくいくように確信を持っておられるのか、それともこれでもまだどうかと思われるような疑念を、少し役所としては残しておられるのかどうか、承りたい。
  40. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 お話のとおり、初めに五ヵ年計画計画いたしましたときから現在までの間に、重症患者が少しふえてきたというような問題もございまして、この二百五十人の人数だけでは、全部の重症者のめんどうは見切れないというふうな問題が起こっております。したがいまして今年度患者のうちの軽症者につきましての看護というものを、予算に残しておるような状態でございまして、この点、いまから将来のやり方を検討していかなければならぬという問題になっております。
  41. 山花秀雄

    山花分科員 ここで問題になりますのは、不自由者重症患者看護のために、俗にあの中でからだだけは相当なおっていい、動けるという、一般的には軽症患者といわれておりますが、これらの方々職員にかわって、アルバイトといえば少し語弊がございますが、同じ病人同士でありますから、看護肩がわりしておるということが従来たびたび問題になります。いまその肩がわりをしておるような、そういう短期間看護と申しますか、こういう方々手当は幾らか支給しておると聞いておりますが、どの程度支給されておるでしょう。
  42. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 三十八年度予算におきましては四十円ないし八十円だったのを、三十九年度におきましては四十円ないし百三十四円というふうに予算単価を上げております。
  43. 山花秀雄

    山花分科員 これは大体何時間ぐらいの実労働でこの手当が規定されておりますか。
  44. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 仕事のいろいろの種類によりまして、また施設によりまして違いますが、大体平均いたしまして三時間程度の実働だというふうに考えております。
  45. 山花秀雄

    山花分科員 いまお話を承っておりますと、大体のめどが三時間程度で、四十円から八十円が改正されて四十円から百三十円になった、こういうふうに言われておりますが、正規の職員をかりに使用いたしますと、とてもこんな低額費用ではまかない切れないと思います。しかし患者同士だというので、若干安い手当で融通するということもあり得ると思いますが、それにしてもあまりに低額ではないかと思います。改正された場合に、最低の面の繰り上げができてない。四十円から八十円が四十円から百三十円、これも私は不合理ではないかと思います。患者の諸君が退所に備える点、あるいは日常園内にあっていろいろ生活を向上させるためにも、働いた賃金はある程度正当な労働報酬としてもらいたいという要求を持っております。これを改善する意思をお持ちになっておるかどうか、承りたいと思います。
  46. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 いま御指摘のように、外部から職員を雇いましての費用と、患者さんの協力によります賞与金金額は、だいぶ差がございますが、これは患者さんが、一緒に生活してもらっております方々が、自分たちでできることはなるべく自分でしてもらって、全部国のおんぶになるというようなことでなくてやってもらうということを考えて、自覚していただきたいという立場と、患者さんには御承知のとおりに住宅、食事すべて支給してありますし、外部の人を雇い上げたときとはだいぶ状況が違うというので、これは同じ賃金という立場での考え方をしていないかと思います。しかしそれかといいまして、この金額がいまのままでいいという立場ではございませんので、八十円を百三十四円に上げたということでもおわかりになりますように、賞与金にいたしましても単価の引き上げに努力していきたい、こういうふうに思っております。
  47. 山花秀雄

    山花分科員 ただいま答弁によりますと、八十円を百三十四円に上げた、しかしその最低が切り上がってない。この辺が感覚上少し矛盾しておるのじゃないかと私は思うのです。これはぜひ改めていただきたいと思いますが、大臣いかがでしょう。
  48. 小林武治

    小林国務大臣 上限を上げれば、下限も相当上がるのが常識的ではないかというふうに私も考えます。
  49. 山花秀雄

    山花分科員 ぜひこの点は予算措置考慮を願いたいと思います。これは当然のことではないかと思います。  次に、国立らい療養所看護婦定員が、今年度は多少の減少があるようですが、これは患者さんが幾らか減ったという点で減少されておるのかどうかという点、ところが実際運営面では、一つ病棟にたった一人の看護婦さんが昼夜通しで勤務しております。病気に対する認識の問題や病気の形態、そして深夜という条件が重なって、非常に恐怖心を持って勤務しております。こうした点を考えれば、女性だからせめて二人程度看護婦さんを配置してやらないといけないと思いますが、本年度は三百四十五人で前年度に比して七人の減少、これを改める意思をお持ちになっておるかどうか、お伺いしたいと思います。
  50. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 いまらい療養所定員につきまして、お話のとおりに患者数がだいぶ減ってきておりますので、それで定員も少し減少しておるわけでありますが、ただ実際に入っております人の減少予算上に予定しておりました人との差ほど、人員には手をつけていないわけです。ごく少し手をつけたわけでありますが、特に看護婦につきましてはいまお話しのような看護婦会その他の問題もございますので、できるだけ定員は減さないという配慮をしておるはずでございます。
  51. 山花秀雄

    山花分科員 いま言ったように深夜の一人勤務は、二人勤務にできないかどうかという点、そうなりますと当然定員増の問題が考えられると思いますが、いかがなものでしょうか。その女性一人で勤務するという点、二人ぐらいあてがうのがほんとうじゃないかと私どもは考えますけれども……。
  52. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 この問題は看護婦さん全体の問題として議論されている問題でございますが、現在日本全体で働いておられます看護婦さんの数等を考えまして、すべての病棟勤務を二人にするということは望ましいことではあるかもしれませんが、しかしいまの数字ではちょっとできないということでありまして、らい療養所においても、いま仕事が夜間においてどれくらい看護婦の必要があるというような点を考えながら、重点的に配置を行なって適正化するように努力はしておりますが、全部を二人勤務にすることはちょっとむずかしいように思います。
  53. 山花秀雄

    山花分科員 現実には国立療養所でありながら、私の費用薬品や包帯を購入するというようなことが行なわれております。完全な治療を受けられない。お医者さんも予算関係でこの薬を使いたいと思ってもなかなか使えない、こういうことでは医学の進歩というようなことは生かされないと思うのです。病気がなおったあとの問題で特に考慮していただきたいことは、職業の補導、住宅、幾多の問題がいまいろいろ心配されております。しかし当面は一日も早く病気をなおして社会へ送り出すために、完全なる治療療養ができるよう努力することが、当面緊急の厚生行政としてやらなければならぬことだと私は思うのであります。患者や医師、職員等要望に耳を傾けて、最善の考慮を払っていただきたいことをこの際政府にお願いしたいと思います。  そこで問題になりますのは、退所した方々を、職員が相当不足しておるので職員に採用すれば、私は事情も一番よくわかっていいと思うのでありますが、そういう希望者も相当おると思うのです。退所者職員に採用するという制度の道が開けないものかどうかということをお伺いしたいのです。
  54. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 まず薬品費でございますが、薬品費はそれほど不自由をさせておるというふうにはあまり感じてないのでございます。ことにらいに対しますプロミン、DDSというようなものは、中央調達といたしまして、必要な要求するものはみなこちらから送っておりますので、それほど薬品費には不自由をかけてないと思っておりますが、来年度も五百万くらい金額増額をしておりますが、なお御指摘の点をさらに調べてみたいと思っております。  それから退所患者職員にというような問題、これは職員欠員の問題もございます。また適性能力があるかないかという問題もございますが、その欠員に対しましてある温度仕事に使えるというふうな方であれば、らい療養所では職員に採用することにやぶさかではない、いや積極的にひとつ考えてみるべき問題である、われわれのほうでもそのつもりでおるわけでございます。そうかといって全部雇ってくれといいましても、定員関係もございますし、またいままでらい療養所でわりにゆっくりした生活をしておられますと、勤務につけないというような場合がありますので、その点は御了解願いたいと思うのです。
  55. 山花秀雄

    山花分科員 あすこで十年、二十年、長い人は三十年も療養して、そうしてようやくお前はなおったから退所しなさい。ところが支度金はただいま申し上げましたように幾らも出ない。まず第一に困るのは住宅の問題だと思うのです。そこで、こんなに支度金も出ないし、これから変わった仕事をやるのもなかなかむずかしいので、できれば内部にとどまって職員として採用されて、俗になれた仕事、事情もよくわかっておるわけであります。希望者が相当多いと思うのでありますが、ただいまの御答弁によりましても、適性者と思われる人は採用してやぶさかでないという御答弁がございましたが、これはひとつ一段と研究していただいて、欠員はそういう中から適性者を補充するというように踏み切っていただきたいと思います。  なおお尋ねしたい点は、外国人はどのくらいおるでしょうか。
  56. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 六百名になっております。
  57. 山花秀雄

    山花分科員 これは従来日本国籍のあった俗にいう朝鮮人だけですか。それともほかの国の方々も若干いますか。
  58. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 大部分が朝鮮の方でありましたが、そのほかに白糸ロシアの方とか何かも一、二あるようです。
  59. 山花秀雄

    山花分科員 そうすると、全部朝鮮人ということで差しつかえないわけですね。あといても二、三というところですね。
  60. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 いま申しました白系ロシアとか台湾の方とか、ごく少数でありますが、大部分は朝鮮の人です。
  61. 山花秀雄

    山花分科員 そこで問題になりますのは、外国人ということで日本人との間に、相当処遇上の差別が行なわれておるのでありますが、これは何とかやめる方法がないのだろうか、またやめてもらったほうがいいのじゃないか。人数にして六百人と承りましたが、いかがなものでしょうか。
  62. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 日本の方でアメリカ等でらいになられる方は、たいてい日本へ送還を受けておるのでありますが、ある意味でいえば外国の方もそちらのほうへお帰り願うという考え方もございますが、いろいろ終戦時の状況その他もありましたので、できるだけ同じように扱うという立場でやっておるわけであります。お話はおそらく年金の問題だろうと思いますが、これは私のほうよりも年金局のほうで御答弁いたすべき筋だと思いますが、いまの年金の制度では、朝鮮の方には年金が払わられないという状態になっておりますので、われわれのほうでは、できるだけ実行上におきまして、差をなくするように近づけたいというふうに努力いたしておりますが、一般の方ならば不自由者慰安金が二百五十円ですが、外国の方には特別不自由者慰安金という形で三十八年度には六百五十円を、三十九年度には百円増額して七百五十円と、余分に出すというふうにいたしまして、その朝鮮の方々にできるだけそういうふうな差をなくするように努力をいたしておるわけであります。
  63. 山花秀雄

    山花分科員 年金、慰安金その他相当大きな差別がある。これらの患者役所のほうにいろいろ要求いたしましたときに、三十九年度からの予算は差別しないという答弁があった。ところが今度の予算でも相当大きな差別がある。今度の増額、日本人と外国人との間の増額は、どういう差別であらわれておるでしょうか。
  64. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 いま申し上げましたところでございまして、日本人では慰安金一人当たりにつき八百五十円、これは朝鮮の方も同じであります。外国の方も同じであります。それから不自由者慰安金の二百五十円、これには日本の年金のある方なら年金がついておる。ところが外国の方には二百五十円ではちょっと少ないだろうというので、いままで六百五十円出しておりましたのを七百五十円に増額した、こういうわけであります。だから、日本人の不自由者慰安金は増額しておりませんが、外国の方の特別不自由者慰安金は、百円増額してございます。ただこの問題は、日本の方でも、戸籍その他をあそこではっきりさせないという意味で、年令を辞退しておられる方、これには同じように扱っております。だからそういうような特別な不自由者慰安金は、百円増額を来たすというわけでございます。
  65. 山花秀雄

    山花分科員 患者諸君がこちらへ訴えてきておりますのは、今度の増額は日本人に三百円、朝鮮人に百円、こう訴えてきておるのですが、これは訴え間違いないでしょうか、どうでしょうか。
  66. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 日本人に三百円増額というのはちょっとわからないのでございますが、朝鮮の方とか、日本の方でも年金を辞退しておられる方に、百円増額があったということだけでございます。
  67. 山花秀雄

    山花分科員 あるいはこれはほかのいろいろな点をも総合して、こういうように言ってきておるかどうかわかりませんが、これは私のほうから、厚生当局はこういうふうに答弁しておる、差別はしていない、百円増額した、こういうふうに知らせてよろしゅうございますか。
  68. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 よろしいと思います。
  69. 山花秀雄

    山花分科員 向こうは、今度の予算措置は日本人に三百円で、われわれ朝鮮人には百円、出られる見込みはないのだし、いずれここで人生を終末するかわからぬ、こういうわびしい生活をしておるから、せめてこの程度金額は差別されないようにというのが、大体希望しておるところです。こういう点は、外国人であっても、もとは同じ日本国籍の人だし、当時一億同胞の一員に数えられていた人だし、戦争の結果今日外国人となられた方、不幸日本の国においてまたこういうような病気にかかられておる方々、わずか六百人でありますから、この程度予算措置は何とか平等にやっていただきたいと私考えますけれども、厚生大臣、いかがでしょうか。
  70. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 いまのお話は、年金の関係の変動があったかどうか、これは私ちょっとつまびらかにしておりませんので、その点はわかりませんが、私の記憶では、三十八年度十月に老齢年金の関係が千円が千百円になって百円上がっておる、それから障害年金が千五百円が千八百円に上がっておる、三十八年度予算で。三百円というのはそこではないかと思いますが……。
  71. 山花秀雄

    山花分科員 千五百円が三百円上がって千八百円、こう言っておるのです。
  72. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 それでは去年上がったもののことではないかと思いますが、三十九年度予算では、いまの私のほうの予算関係では、外国の方のほうだけ百円上げるようにしよう、こういうことでございます。
  73. 山花秀雄

    山花分科員 いまの御答弁で大体明らかになったと思いますが、千五百円が三百円、片一方は本年度予算で百円、これを彼らは言っておるのじゃないかと私は思うのですが、これは同様な取り扱いはできないものだろうかどうか。いろいろ法律がありましてなんでしょうが、そうなりますとまた別途の考慮で、何とかこれが平均化できないものだろうか。差別されますとどうしてもそこから僻見が生まれてまいりますし、園内におきましても何かちぐはぐな点が生まれてきて、感情の上からしても病気療養するのには、それが大きな障害になるのじゃないかというふうにも考えられますので、金額が三百円と百円、その差額といってきわめてわずかでありますが、これは何とか善処できないものかどうかという点、大臣、いかがでしょうか。
  74. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 いまのお話は、日本人の方でも障害年金のほうは三百円上がっておりますが、老齢年金のほうは百円でございますので、この点もやはりお考え願わないといかぬと思います。老齢年金につきましてはパーになる、こういうわけでございます。
  75. 山花秀雄

    山花分科員 大臣、いかがです。
  76. 小林武治

    小林国務大臣 年金のことは法律に書いてありまして、自由にならない。これは直さなければ、すぐ結論的に私がどうこうというふうになかなか申し上げかねますが、できるだけお話のような趣旨にするのが私はほんとうであろうと思っております。
  77. 山花秀雄

    山花分科員 まだ食費の問題その他いろいろ問題か――小さいといえば小さいですけれども、山積しておるほど、いろいろの問題をかかえておるのが、らい療養所の実態じゃないかと思うのです。私は前年度分科会でもいろいろ厚生当局にお願いいたしまして、そのつど先ほどお話しいたしましたように善処を約束されるが、次の年にはもう大臣がかわってしまっている。いま小林厚生大臣は、局長も全部ここに出席してこれをよく聞いておるのだから、おれがかわっても必ずやってくれると思う、こういうように言われましたが、これは関係局長さんにも十分ひとつ留意をしていただきまして、全国で一万足らずのお気の毒な病人のために、特別の御配慮をお願いしたいと思います。時間の関係もございますので、この問題はこれで打ち切ります。  次に、家族計画の普及事業に関する補助金の問題について、若干お伺いしたいと思います。最近日本は出生率がだんだん減ってきたといわれておりますが、最近どの程度出生をしておるのでしょうか、お伺いしたいのです。
  78. 黒木利克

    ○黒木政府委員 出生率は、昭和二十二年が人口千に対して三四・三でありましたのが、二十五年二八・一になり、ずっと減ってまいりまして、三十六年が一六・五となって最低になっております。三十七年が少し上がりまして一七・〇、三十八年の推定は一七・四でございます。
  79. 山花秀雄

    山花分科員 終戦直後から見ると、大体半分ぐらいになったということですか。
  80. 黒木利克

    ○黒木政府委員 さようでございます。
  81. 山花秀雄

    山花分科員 御存じのように従来子供を産むときには、一般的にお産婆さんにごやっかいになる、これが日本の常識でありましたが、最近は圧倒的、全部といっていいほど、病院施設のあるところは病院で子供を産むというのが、一つの常識化されておる。従来の産婆さん、一般的には助産婦と言っておりますが、これらの方々が事実上子供を取り上げるという仕事は、もう都会地においてはなくなってきておると思うのです。その反面、家族計画の普及指導によって若干収入を得て何とかやっておるというのが、今日の産婆さんの実情ではないかと思うのですが、いま助産婦と称する職業に従事しておられる方は、何人くらいおありになるのでしょうか。
  82. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 最近の助産婦におきまして四万六千名くらいだったと思っておりますが……。
  83. 山花秀雄

    山花分科員 これらの方々の――僻村に行きますとこれは別でありますけれども、都会地の産婆さんの生計は、大体家族計画の普及指導によって得ておると承っておるのでありますが、これに対する奨励金といいますか、指導金と申しましょうか、手当と申しましょうか、これは従来の予算でどのくらい支給されたか、本年度予算はふえておるかどうかという点、お伺いしておきます。
  84. 黒木利克

    ○黒木政府委員 助産婦さんの指導手当という名目で国費を三分の一出しまして、あと地元の都道府県が三分の二を負担しておりますが、これには三種類ございます。家族計画特別普及事業の補助金として助産婦さんに指導員手当を出しておりますのが一つ、それから妊娠中灘のおそれのある、あるいは妊娠中旬の妊婦に対する訪問指導の手当、それと新生児の訪問指導の手当、この三種類ございまして、一件当たり従来は七十円でございましたが、三十九年度は一件当たり八十五円に増額をいたしました。
  85. 山花秀雄

    山花分科員 七十円が八十五円に俗にいうベースアップを本年度予算はした、こういうことですね。これはうかつなことを聞くようですが、たとえば東京なら東京を中心に一人の助産婦で、どのくらいの件数を扱っておられるか。ちょっとわからないでしょうね。
  86. 黒木利克

    ○黒木政府委員 いま手元に資料がございませんので、資料をそろえましてあとで差し出したいと思います。
  87. 山花秀雄

    山花分科員 本年度の家族計画普及補助費は、三十八年度に比べて三百七十五万円ほど増額されたといわれておりますが、この予算関係は間違いないでしょうか。
  88. 黒木利克

    ○黒木政府委員 さようでございます。
  89. 山花秀雄

    山花分科員 生活保護家庭及び一般的にいうボーダーライン属を含めて、この対象になる人質はどのくらいなんでしょうか。本年度予算関係にあらわれたところは生活保護五万人、ボーダーライン七万人ということになっておりますが、前年度生活保護六万人、ボーダーラインが十万人ということであって、本年度予算はぐっと縮小されておるのですが、これはどういうことでこういうことになっておるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  90. 黒木利克

    ○黒木政府委員 実はいろいろ実績をもとにしまして、三十九年度予算がきまったのでありますが、従来家族計画の特別普及事業費が予定したよりも対象人員を越すことができませんで、残念ながら過去の実績に基づいて、実情に合うように対象人員をきめたのであります。
  91. 山花秀雄

    山花分科員 本年度予算の要求にあたり、当然の問題として指導員の報告による実績を参考にしたと思いますが、指導員が報告した対象人員の実績数は、どのくらいの報告が役所のほうにきておるでしょうか。
  92. 黒木利克

    ○黒木政府委員 いま下元に数字がございませんが、実はこの問題につきましては行政管理庁等の行政監察の結果、特別普及事業の対象人員等につきまして、過去におきましては予算だけ消化していないではないかというようなことで、私のほうでもいろいろ督励をいたしたのでありますが、重点的な、集約的な施策をいま進めておりますから、対象の人員をふやすよりも、むしろ必要な対象に対して重点的に、集約的に指導してまいりたいというような行政方針に基づきまして、かような数字にいたしたのでございます。
  93. 山花秀雄

    山花分科員 指導員の掌握した実績人員というのは、生活保護四万人、ボーダーラインが三十四万人と一応いわれておりますが、本年度予算は対象人員として両方合計で十二万人程度で、大体実績報告の半分くらいに押えておるのでありますが、これは半分に押えたというのはただいまの説明による、こういうことになっておるのですか。
  94. 黒木利克

    ○黒木政府委員 生活保護の世帯は、御承知のように数はもっとたくさんあるわけでございますが、行政対象として、この程度の人員が現在の陣容なり能力では、いわゆる限界ではないかというふうに考えまして、数の多きよりも、むしろ効果をあげるということを主にいたしまして、こういうような集約をしたわけでございます。
  95. 山花秀雄

    山花分科員 私は人つくりの問題は、最初の出発点としておぎゃあと赤ちゃんを産むところから始めなければならぬと思うのでありまして、池田内閣の一枚看板の人つくりというのも、りっぱな人をつくり上げるのには、最初の出発点からやらなければならぬと思うのでありますが、三百七十万程度予算増額では、この家族計画の大きな仕事をやるには少し不足しておると思うのです。さらに新しく結婚する人たちに対する指導などを考えますと、全くこの程度予算では話にならないと思うのです。また指導員の手当にいたしましても、最近諸物価が高騰しておる段階において、十五円程度のアップでは少ないと思うのです。対象人員を減らしたのだから、せめて効果のある指導のできるよう、指導員に対してあたたかい配慮をひとつお願いしたいと思いますが、厚生大臣、 いかがでしょうか。
  96. 小林武治

    小林国務大臣 これはお話のとおりでありまして、私もいまの一件当たりをもう少し増額したい、こういうふうな希望を持っておりましたが、結果的にはいまの程度でありますから、これはまた当然是正されなければならぬ、こういうふうに思っております。
  97. 山花秀雄

    山花分科員 厚生大臣もこれは少し安過ぎるのではないかという御意見でありますが、私はぜひこの問題について改善されますよう、閣内においても努力していただきたいと思います。本年度予算がもし間に合わないような点がありましたならば、来年度予算には十分ひとつ配慮をしていただきたいと思います。いろいろ申し上げたい点がたくさんありますが、特に助産婦の生計の問題にもからみまして、指導の万全を期すという意味におきましても、ただいまの問題の善処方をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  98. 相川勝六

  99. 帆足計

    帆足分科員 私は平素外務委員をいたしておりますが、しかし厚生省の御所管の諸問題には議員として日ごろ深い関心を持っております。また議員というものは、別に制服の生徒ではございませんから、質問して政府の意見を聞くだけではなくて、私どもの国民を代表する要望を申し上げまして、そうして問いただし、政府の理あるところは一そうこれに協力し、督励し、激励し、また私どもの主張で理あるところは、大臣並びに各位は、よく心にとめてそれを実行に移すように協力していただきたい、こういう心持ちでおる次第であります。  厚生省のお仕事は、国民のいわゆる社会福祉を担当しておるわけでございまして、今日の時代では一番大事な、宮中席次第第一位に当たるほどの仕事であるのに、大蔵省は来ているかどうか知りませんが、大蔵省の諸君は、どうもこの厚生福祉の問題に対しては理解が薄いと私は思っております。大蔵省というものは、もとは徴税吏、それから質屋のせがれから出発したものでありますけれども、いまはそういう伝統を断ち切って、よい国をつくるための日本の動脈、静脈の役割り、必要なところに血液を供給する役割りを演じねばなりません。昔はただ戦争をするほうにだけ金を出しまして、そうして得意になっておった時代がありますが、そのなれの果てはインフレーションになりまして、昔は、インフレーションと戦うためには銀行家は命を捨てたものです。私がちょうど大学を出まして男爵郷誠之助氏の秘書になりましたときは、井上準之助氏は通貨の安定を守るために倒れ、浜口さんは倒れ、団琢磨も倒れ、最も尊敬していた高橋是清翁もまた凶刃に倒れました。命を賭して通貨の安定を守ったものです。いまはどうでしょう。漫然とインフレーションに乗って、そうして安易な生活をいたしております。最近のインフレーションは、ケインズが主張いたしております景気調整政策としてのリレーションと違います。安易にして堕落した方向です。国民にブドウ糖のかわりにぬるま湯か何かを注射して、その結果正直者はばかをみる。すべて誠実な勤労者が、税金を引かれてみると、口をすすぐに足らぬ。それがめぐりめぐって財閥が恩恵に浴した。そうしてボーダーラインが発生する。したがって、厚生省の諸君は、その時代の犠牲者を救うために、将来は救う必要がなくて、憲法に保障された当然の権利として国民が日本に生まれたことを喜び、感謝できるような世の中をつくるために、何よりも厚生省の役人諸君はヒューマニストでなくてはならず、正義、勇気、義侠心、そういうものにあふれた官庁でなければならぬと思うのですが、昔のけちな内務省の伝統があるのか、警視庁衛生局ぐらいの教養の水準なのか、私は諸施設を見、そして胸を痛め、厚生省諸君の努力は多としますけれども、何と哀れな厚生行政であるか。   〔主査退席、古川主査代理着席〕 一体、いま健康保険の問題などを中心にして、お医者さんも患者も苦労しておりますが、担当の局長さんは一体どういうお顔の方か、お顔を実は拝見してこれも参考にしたいと思って参ったような次第です。  厚生大臣は、「にっぽん昆虫記」をごらんになりましたか、ちょっとそれをお尋ねしておきたいと思います。
  100. 小林武治

    小林国務大臣 最近は見ておりません。
  101. 帆足計

    帆足分科員 以前にはごらんになりましたか。
  102. 小林武治

    小林国務大臣 以前にはよく見ましたが、大臣になったら、なかなか忙しくて見られません。
  103. 帆足計

    帆足分科員 ファーブルの「こん虫記」という生物学の本がありますが、「にっぽん昆虫記」は以前になくて、この二ヵ月ばかり前にできた。技術上はそう優秀ではありません。しかし、心持ちは優秀な映画で、今度は国内の文化賞みたいなものをもらった名画です。映画技術としては、そうすぐれてはおりません。しかし、厚生大臣は、やはりああいうものを見ておく必要がある。というのは、三千万を過ぐるボーダーラインの層がおるんです。その人たちの論理と倫理は、われわれとの間に断層があるのです。普通の倫理と論理の通用しない世界に住んでおる。その同胞たちのためにあたたかい手を差し伸ばすのは、文部大臣がへ理屈を言うてみたところで、予算の裏づけもなく、家に帰れば住宅難、交通事故、すし詰め教室、愚劣きわまる試験地獄、そういう状況のもとで人つくりなどと言っても、私はほんとうにへそが茶をわかしはしないかと思って心配するくらいです。その一番つらいところをいま引き受けているのが厚生省です。ですから、最初皆さんのお気にさわることを言いましたけれども、皆さんの今後の御努力と勇気を大いに期待するわけです。また、小林厚生大臣が、医療問題の解決のために誠意を持ってお骨折りをしておるその御苦労のほども、新聞等で察知しております。戦い敗れた当時に、日本を復興させるために、どこかの層が犠牲にならなければならない。最初は、かつてわが世の春であった地主が犠牲になりました。貴族は没落し、そして農民には、ほとんど無償に近い値段で土地が与えられました。また、工場は一部しか動きませんから、当然株の配当もありません。株は暴落しました。当時、三菱重工の株は十一円になりました。あのとき買っておけばよかったと思うくらいであります。同時に、健康保険制度は、かつては筋肉労働者だけに与えられておりましたのが、やがて広範な層を包含するようになり、そうしてそのまま民衆の生活の安定にこれが寄与しますために、何千というお医者さんが犠牲となって今日に至りました。終戦直後は地主、株主が犠牲になり、そしてお医者さんです。健康保険のおかげで、われわれもまたどうにかしのぐことができました。昔は、ホワイトカラーは健康保険に手がつかなかったものです。健康保険証をもらっても、出すのが恥ずかしかった。いまは、三等重役になってもやはり健康保険の恩恵を受けております。私は議員でありますけれども、奇妙なことに、議員は歳費値上げにはやや趣味をお持ちのようですけれども、健康保険制度はありません。ここに医局というのがあって、名医と名医でないのとまじっておりますけれども、しかし、大事な病気のときにはその次局に行くわけにはいきません。わが家でする。そうしますと、健康保険制度がありませんから、議員は病気をしたときに非常に苦労します。友だちによっては、しかたがありませんから会社の嘱託になりまして、五、六千円の月給をもらって健康保険についでに入れていただいておる、または国民健康保険のお世話になる、そういう事情です。健康保険というものが国風にとってどれほどとうといものであるか、大切なものであるか、もうこれを旧に戻すわけにもいきません。したがいまして、問題は健康保険をもっと合理的、実際的なものにし、お医者さまはその天職に励み、科学を進歩させ、患者もまたその恩恵に喜び、そしてすべてが円滑に、合理的に行なわれる、こういうふうに持っていく以外に道はないと思います。終戦後、いまや資本は戦前の四倍、満州、朝鮮、台湾をなくしたのに生産は戦前の四倍をこえようとしております。驚くべきことです。そのために地価は暴騰し過ぎて、都会の地主はその富を満喫しました。株はどんどん高くなりまして、よく未亡人諸君の中でも、株でもうけたのもおります、損したのもおりますが。株でもうけたといいますが、これは株でもうけたのではありません。これは評価がえでもうけた。あの株式取引所というのは凶悪な組織であって、大衆が損をするようになっておる。ときどき鯨が出てきてぱくっと愚かなイワシを食らうのが株式市場ですが、いままでは評価がえでもうかったのです。こうして株主は救われ、地主は救われた。しかるに、お医者さんの生活はどうか、医者だけが取り残されておる。なぜ取り残されたか。下ではインフレーションがあって、国民は総体的に非常に貧乏です。驚くべきことには、役所のすみでは、都会の労働者は戦前の水準を多少上回った生活などと言いますけれども、何という愚かな数字であるか。池田さんが数字に強いとよく言いますが、社会党の同士諸君が、やはり経済学にうとい証拠であるのかもしれません。池田さんは税の問題には強いけれども、税務署の仕事と経済学というのは、これはあまり深い関係はない。アダム・スミスの諸国民の富では、諸国民の国富をふやすというように古典的経済学者は全力を注いでおりまして、かつてボールベアリングの社長で有名なスウェーデンのSKFの社長が戦争の最中に来たときに、ナチスによって失業者は救われたではないか、ナチスは社会保障を充実しておるではないか、案外いいではないかという質問が出たのに対して、彼はこう言いました。それは軍事費によってまかなわれておることです、軍事費のおこぼれによってフルエンプロイメントになっておる、したがって、究極の果ては戦争にいく、人の心を豊かにし、人の生活を豊かにするための経済ではなくして、軍事費の間接的恩恵によってフルエンプロイメントになっておる、問題は、人間の経済学の目的は、平和に人の生活を豊かにし、心を豊かにするのが正統な経済学者の志したことです。資本家の代表のSKFの社長さんのことばでありましたけれども、当時、自画の全学連から出たばかりのマルクスボーイの私でありました。マルクスボーイとしてはおとなしいほうのマルクスボーイでありましたが、私はその資本主義的古典的自由主義者のことばに非常な感激をしました。経済学の目的は、平和と人の生活を豊かにし、心を豊かにすることである。涙が出るほどの感激を私は覚えました。厚生省の哲学も、私はこのようでなくてはならぬと思っております。ところが、今日の医療制度においては、患者の側は生活が苦しいものですから払うべきものが払えないし、また、多少の利己心もあってなかなか払おうとしない。ベースアップされても、健康保険の料金が上がることはあまり好まない。もちろん、貧しい人たちにとっては一そう切実なことでしょう。しかし労働者といえども、時にはバーに行って一ばい飲む。一ぱい飲めば二はい飲む。二はい飲めば四はいぐらい飲む。すると五百円も千円もかかる。しかし、お医者さんには払おうとしない。まことに心がけの悪い点もわれわれ勤労者にあるわけです。   〔古川主査代理退席、主査着席〕 中間には厚生省というものがおりますが、内務省の残党の集まりのせいか、まことに――失礼だったらお許しください。それとも心がけを入れかえて、いまでは新憲法のもとに護民官として人民の福祉を考えている皆さまでしょうか、きょうは外務委員会からのこのこ出て、皆さまのお顔色を判断して御答弁を伺って、場合によっては体温計でひとつ皆さんの体温をはかって、人類の体温であるか、または八月十五日前の爬虫類の体温であるか、それを伺いたいと思って参りました。  第三には、大臣の御努力にもかかわらず、厚生省当局の皆さんが大蔵省に押えられて、そして予算が取れない。大体、大蔵省というのは質屋のなれの果てだと最初申しましたけれども、一面そういう伝統がある。いまはそうでないでしょう。しかし、それが全然ないとは私は言い切れないと思うのです。したがって大蔵省の諸君はよく聞いておいてください。その上、通産省は産業を大事にし、農林省は農民をひいきする。ちょっとひいきし過ぎるぐらいひいきする。しかるに厚生省だけは、どういうものか、患者や医者や身体障害者をほんとうにひいきしているかどうか、私は疑問だと思われる節がある。われわれに疑問だと思われるのは、皆さんひいきしているのでしょうけれども、ひいきのしかたが足らぬのじゃないか。時としては、医者と患者を敵として、上から監督行政を検察官のごとき態度で臨んでおるのではないか。われわれ外務委員、平凡な市民の心にはそう映る節がある。その辺をよく考えてもらいたい。皆さんが貧しい人の友であり、護民官でなければならぬ。保守党の中では、諸君は急進派でなければならぬ。もし与党、保守政党の自民党が社会福祉に対してほんとうに熱意を注がれたならば、われわれも非常に安心です。社会党が政権を取るまでにはまだ相当の日数がかかります。社会党はまだ成長の過程にある党です。武士階級が平将門、蜂須賀小六の時代から織田信長、豊臣秀吉の時代になるのには、百年の歴史がかかっております。武士階級の勃興においてすらしかり、働く労働者が政権を取って回天の偉業をなし遂げるまでには、精神内容が不足なために、時には大きな声を出したり、二人か三人代表が会えばいいところを五十人ぐらいわっと押しかけてみたり、いろいろなことがあると思うのです。しかしそれは、すべて成長するものの過程だと私は思っています。  そこで、当分の間は保守政党がまだ政権を担当するならば、われらの子供たちは、富める者の子も貧しき者の子も、自民党の諸君のよきお子さんも、われらのやんちゃ坊主どもも同じ小学校で一緒に肩を並べて勉強しているわけですから、ひとついい政治をしてもらいたいと思います。子供たちを安心しておまかせできるような政治を、お互いに責任を担当したときはやらねばならない。それに対して私どもは厚生省の現状に不満です。どうか、小林厚生大臣は縁あって、また志あって厚生大臣になられたのでしょうから、大いに蛮勇をふるって主張すべきところを主張して、そして国民のしあわせのために一番大事な省であるという自覚を持って御奮闘願いたい。  厚生委員方々は、それぞれ志ある有能な方々がなっておられますから、もう日ごろ質疑応答を尽くしておられると思いますけれども、森におる者は木を見て森を見ずとよくいいますから、かえってわれわれのように外務委員をしておる者が、世界を旅行し、外に世界の情勢を展望していますが、卒然として内に国内の実情を見、日本の厚生行政の状況を見るときの印象は、おのずから切実な感があります。われわれは眼下の日本にこん虫物語、多くの残酷物語の惨たんたる実情を見ております。私は一人の社会党員であり、社会主義者であるのですけれども、自分が貧乏で社会党に入ったのではありません。私は、自分が裕福でそして豊かに育てられて、そして貧しい者の生活を見て見るに耐えず、人は能力によって多少の相違があることはやむを得ないと思いますが、このような残酷物語だけはごめんこうむりたい、また、きょうわれは有能であり、健康であると誇っても、孫に病気の子供が出ないとも限らない、娘が未亡人になって生活保護法に助けを求めないとはだれも保証できません。それらのことを思うても、厚生省は非常に重要な省である。  さっそくですが、時間が限られておりますからお尋ねしたいことは、こういうことで、とにかく健康保険制度は取り残されておる、患者も困り――お医者さんが困っておって、患者が究極的にしあわせであるわけはありません。したがいまして、健康保険の制度に対してはこの際徹底的な再検討が必要であると思います。いま医師会も意見が分裂して、そして従来激しく迫った武見さんに対して、もう少し話し合いでもっていこうではないかというような意見のニュアンスの相違があると思いますが、厚生省当局が、医師会の中に意見の相違があるからといって、その間隙に乗じてうまくやろうなんという、そういうさもしいことをお考えになったら、それは認識不足であって、それは小さな問題です。とにかく健康保険制度に根本的な矛盾と欠陥があって、これをひとつ総合的にともに直そうではないかということが、今日の共通の課題だと思うのでございます。  日本の厚生行政は、もと救貧法から始まっておりますので、その伝統がどうしてもついておる。おそらく厚生省のお役人も給料が安いのではないかと思いますが、救貧法に手が触れますと、どういうものか給料が安くなってしまう。社会福祉の美名のもとに、実は日本の社会福祉は全部救貧法にすぎない、これが根本だと思うのです。徳川家康の生かさず殺さずというさもしい思想、へぼ哲学は、いまでも厚生省の中に残っておるのではないでしょうか。ですから、朝日裁判などという痛ましい裁判が行なわれておる。諸君はあの裁判をどうお考えになっておられるか。人が極端な不幸な状態になる、たとえば病気になる、身体障害者になる等々は、それは必ずしもすべてがその人の責任ではありません。重要な部分は、その人の責任である部分もあります。しかし、すべてがその人の責任ではありません。したがいまして、救貧法というものを、単に見るに見かねるから適当に処理しておけということではないでしょう。同じく同胞としての愛情と基本的人権の尊厳の上に立って、憲法はできておるわけです。ですから、私はこれは、第一はやはり心がけの問題でないかと思うのです。厚生省に迫力が出ず、大蔵省あたりから予算を取ることができない。その道徳的迫力がないのは、厚生省の伝統に、哲学的に何ものか欠けているものがあるのでないかと思います。したがいまして、どうか皆さんにおいては、人類の歴史の最もすぐれた歴史である愛情の歴史――愛情はこれは大脳の作用からきている。ヒューマニズムの歴史、理性と科学の歴史、その伝統を背負う厚生省であってもらいたいとわれわれは希望する次第です。  さっそくですが、まず第一に、健康保険法は総合的見地から再検討されつつあると思いますが、それについての基本的考え方を厚生大臣から承りたい。  時間がありませんから、第二に、私は支払い基金事務所へ行って驚きました。とにかくもう五十、六十の老先生たちが、一週間もあの試験の伝票のようなものを繰っているんです。しかも冷房装置もない場所でした。八月の末に行って私は驚きました。これはその伝票を引き受ける先生も実に忍耐力過剰だと思いますが、一日の日当七百円か七百五十円で、一週間もこういうつまらぬことに一流の医者が時間を費やしている。その書き込みをするために、また家族総動員でお医者さんは書き込みをし、最後の月末には、二、三日は奥さんも手伝って、夜の九時から夜中の三時ごろまで手伝ってやっておる。私はこの伝票をあらかた見まして、統計学者としてもっと合理化の余地があると思います。これは専門家とお医者さんと相談してもっと簡素化して、そして審査ももっと簡単にできるような方程式に改むべきだ、また一定の金額以下のものは、記入の必要のない事項などは相談して省いて、もっと簡素なものにし得ると思います。すなわち審査伝票及び審査方法を簡素化するための委員会を設けて、その委員会は、役人式考え、また警察式考えでなくて、良識ある考えでやっていただきたい。中には文化人を入れるのもいいし、委員の中にジャーナリストを入れるのも案外いいかもしれません。  第二には、インターンの問題です。実は私のむすこもいま医者を志しておりますが、帆足さんのところのお嬢さんはみな東大に入っているのに、坊ちゃんが医者に入ったとなると坊ちゃんは少し成績が悪いのじゃないか、こう言われます。医者になるのは少しばかな子がなる、気のきいた子はもう医者にならないというようなことすら一部の俗物が言うような世相は、まことに私は残念なことだと思うのです。杉田玄白だけでなくて、昔から最高の秀才が医者を志したものです。日本にはそういう伝統があって、日本の医学の伝統というものはすぐれております。私は質問もいたしますけれども、議員の任務は質問をする下やっこでなくて、自分の意見を国民にかわって述べて、国民に訴え、皆さんの参考にしていただくのが議員の見識である、こう思っております。したがって、意見も述べ、そしてお答えも聞きたい。それで学校を出てインターンという制度があることは、私はやはり臨床が必要な以上必要、だと思います。しかしインターンがはたして教育なのか、それとも無償奴隷労働であるのか、その哲学も明確にしてもらいたい。そして教育の一環であるとするならば、今日の心しい状況、学生の非常に多くの部分が奨学金をもらわねば学校へ通えない状況のもとで、インターンが教育の一端であるならば、これは実習教育に属している部分と、それから労働をしている部分と両方あると思うんです。また経済生活においても、奨学金、それから住宅、食糧、栄養、体位、余暇、それらのことを勘案して厚生省が方程式をつくって、病院に示す必要があると思うのです。従来そういう指導が明確を欠いておる。今度新しい方程式を私も一通り読みました。しかし非常に不十分なものです。住宅についての配慮、食事、余暇、それから実習教育についての指導要綱の配慮、いずれもまだ不十分です。それから一万円貸与すると言っておりますが、いま博士課程、修士課程の大学院の学生にすら一万円、一万五千円出しておりますが、これは実際の労働、診療しているわけですから、一万円では私は少ないと思います。しかも医者の修学年限は長いわけでありますから、再検討なさる意思があるかどうか。インターンに引き続いて無給局員の問題が起こっております。無給局員の問題は、これは数年にわたります。この問題も、また同じような問題をはらんでおることは御承知のとおりであります。私は、医学の名のもとにおいて中世さながらの徒弟教育、奴隷労働が行なわれておることを驚きます。そういう状況を十数年もほっておいた厚生省当局の局長さんたちの顔色というものは、どういう顔色であろうかと、きょうは拝見に参った次第です。  それから健康保険制度をしろうととして見ますると、やっぱり医療技術というものに対する評価と投薬というものについての、つまり経営を維持するための一環としての投薬、二つがまだこんがらかっておるのはやむを得ませんけれども、医療技術に対する認識というものがやはり不十分である。だれが見てもそう思います。それからもっと重要なことは、今日、こういう問題を解決するのは一つの方法だけではだめです。総合的方法が必要だと思うのです。たとえば学生ならば、教育の指導と同時に住宅とか余暇を与え、奨学金を与え、それから医療機関であるならば、単に単価だけでなくて、技術、そのほかに医師が病院をつくる場合、病院は別心ではありません。しかも今後は不燃建築にせねばならぬでしょう。
  104. 相川勝六

    相川主査 帆足分科員に申し上げますが、時間が経過しましたから結論をひとつ急いでください。
  105. 帆足計

    帆足分科員 自宅と違って冷暖房も必要でしょう。自宅よりも病院のほうがよくなったというのでなくちゃならぬ。それは現在の健康保険の費用で払えば減価償却はとてもできませんし、結局看護婦さんやお医者さんの給料が犠牲になる。病院ができた日は、従業員が犠牲になる日である。こういうことをなくすためには、これは長期の不動産金融、減価償却設備に対する金融、そういう総合的措置が必要であると思いますが、この点を御研究なさる気かどうか。大蔵省と相談して、至急研究していただきたい。予防医学の問題も軽視されております。多角診療の問題も残っております。無医村問題も取り上げられつつありますが、不十分です。  まだ聞きたいことはたくさんありますが、それから最近妊娠中絶の数がどのくらいになっておるか。私は、リング式避妊法が太田博士によって発見されておりますが、最近ビニール工業の発達によって、これは取り上げていい段階になっていると思います。多少の弊害があることを知っておりますが、妊娠中絶の弊害及び経費から見るならば、リング式の避妊についてはもう少し注目を払うべきである。特に最近の塩化ビニールの発達によって、弊害が少なくなってきました。  それから、明日文部委員会がありますからそのときに質問しますが、研究だけきょうはしておいてください。オリンピックになりますと、厚生当局関係の御生環境及び食料品環境ですか、価格を表示しないバーがたくさんありまして、めちゃめちゃな料金を取っておる。すし屋の中にもそういう悪いやつがたくさんおります。私は、十円すし屋などの優秀なものは文化勲章をやってもいいと思っておりますけれども、そういう制度。それから旅館、温泉マーク等について、また売春婦がそのときに何十万と東京に集まるおそれがある。それから性病予防、それは明日文部省関係のオリンピックについての委員会がありますから、そのときに御答弁を求めますから、研究だけしておいてください。  ただいま御質問した要点について、大臣及び担当官から明確な御返答をいただいて、もう時間が超過しております、したがいまして私は、それに対する黄門はあと三分だけしてやめます。どうか以上について御返答願いたい。
  106. 小林武治

    小林国務大臣 私ども厚生省は、お話のような人道主義的な立場で、この仕事の使命感を持って当たっておる。もともと厚生事業は、お話のようにあるいは養老院とか孤児院とか、こういうふうなものから発達したのでありますが、戦後は、いわゆる近代的社会保障としてその考え方は一変しておるのでありまして、お話のような態度でこれに当たっておる。しこうして、大蔵省等におきましてもこれに対しては非常な御理解を示しておりまして、以前とは全く変わっておって、ことに私ども政府も福祉国家をつくるのだということを表看板にしておる以上は、現在厚生省の仕事政府の表看板の仕事であってしかるべきである、こういうような使命感を持って当たっておることをまず初めに申し上げておきます。  その他の事項につきましては、御質問でありますが、御意見は大体私どもも共鳴できる御意見が多いのでありまして、もう答弁を申し上げる必要もないくらい、私ども同感の意を表する次第でございます。  簡単に申し上げますれば、健康保険あるいは国民健康保険、すべての国民が同一の医療給付あるいは医療保障を受けるべき問題でありまして、これらの将来の総合調整というものも当然課題となってくるのでありまして、これらについてはお話のような検討が行なわれておる。  なお、支払い基金の問題につきましては、もうだいぶ前から御同様な意見がありまして、これの改善をはかりたい。要するに、これはある程度相互信頼の考え方によって処理しなければならぬということで、まだこれについては十分な効果をあげておらぬことは非常に残念なことでありますが、ぜひひとつ合理化、簡素化、こういうことで無用な努力、苦労を医療担当者に与えないようにということは、いま大きな課題として扱っておる、こういうことを申し上げておきたいと思います。  次のインターンの問題、これもお話のとおりでありまして、インターンは何かということで予算委員会その他社会労働委員会においてもいろいろの論議があり、私どもも全くいままでの制度がきわめて不完全であるということで、お話のような改善の方向に向かって、ぜひ最近の機会においてこれを解決しなければならぬということで、これまた御意見の多くが私は妥当なものである、こういうふうに思っております。  それから医者の技術の評価をしなければならぬということも、これは従前からいわれておるのでありますが、私はこれからも、医療費をできるだけ早い機会に適正化したい、この機会にこれらの考えも十分反映せしめたい、こういうふうに思っておるのでございます。  それから、妊娠中絶の問題は、最近減ってきた、しかしそれでもなお百万近くの正規の届け出がある、こういうことでありまして、これはまだ届け出にならぬやみがその五割も、もっとあるのではないかと推察されるのでございますが、これらは漸次減少しつつある。したがって私どもの家族計画等も、要するに中絶でなくて避妊をする、こういうふうなお話のような方向に向かってぜひ家族計画の推進ということをいたしたいと思っておるのでございます。  一応私のお答えは以上申し上げますが、大体において帆足委員の意見に私どもは同感するものが多い。したがって私がお答えするということは、あなたの御意見がわれわれにとっても非常に有益だったということを申し上げておきたいと思います。
  107. 帆足計

    帆足分科員 時間がありませんから……。それでは第一に、私が大臣のおことばを額面どおり受け取りますとすれば、私は大臣のお心持ちには大かた満足です。すなわち過去の救貧法的観念、こん虫物語から絶縁して人間的、人権的福祉国家という観念で、誇りを持ってひとつ表看板として、宮中席次第一の覚悟を持って進んでいく。保守党の方は宮中席次が好きなんです、勲章と同じように敬意を表します。  第二に、支払い基金制度簡素化については、至急研究なさるというふうに了解しました。  第三のインターンについては、欠陥があることを認められて、さらに研究をしていただく。だとすれば、住宅、それから不当というのは――今度手当をいただくそうですが、あとで返済するのかどうか伺いたい。  それから修士、学士、博士過程に比べてこれは増額すべきである。というのは、勤労奉仕と両方しているのですから、一般の大学の修士よりも多くすべきである。その点について研究していただきたいし、手当という意味は返済するのかどうか、あとで一言伺いたい。あと質問はいたしません。  医局員のことも、インターンと累次引き継ぐ問題として、再検討くださるかどうかということを明確にお答え願いたい。  第五は、健康保険制度の根本的再検討をいまなされつつある。それの技術の評価について心を注ぐということは了承しましたから、それはお約束として守っていただきたい。  妊娠中絶については、非常な弊害があるのです。せめて二、三日あればいい病院で休めばいいのですけれども、行ってすぐ帰ってしまいますから――男性の犠牲とも言えませんけれども、われわれは不幸にして妊娠する機会がありません。妊娠する機会のあるかよわき女性に対して配慮するのは、やはり男性の義務だと思います。リングの問題をもうぼつぼつ研究していただきたい。私は幾たびかこれは政府に助言したこともありますが、薬屋が幅をきかせて、この問題についての研究が足りません。薬事審議会もまだ通過しておりません。したがって大臣の心にとめていただきたい。でないと、これは外国で採用されます。中国でもすでにこの問題を研究しております。予防医学を取り入れる問題、これはいまお答えにならなかったから答えていただきたい。  それから、これは大蔵省の主計宮殿に言うたところでしかたのないことですけれども、現場を担当しておりますから……。防衛庁などよりも厚生省をもっと大事にしてもらいたい。厚生省を粗末にするようだったら、これからいつでも呼び出して、こっぱみじんにやっつけますからね。しかし、厚生省を大事にする大蔵省の役人は大事にします。われわれが内閣を取りましても、そういう人は特に抜てきするようにします。大蔵省の主計宮殿の心持ちを承りたい。
  108. 相川勝六

    相川主査 簡潔に願います。
  109. 帆足計

    帆足分科員 それから、こん虫物語をごらんにならなかったということは、お忙しいからやむを得ません、了解します。しかし、このくらいなものはごらんになったほうが、厚生省としてはいいです。というのは、この国は戦争前には体温の低い国で、まだ鬼畜の国でした。八月十五日をもってわれわれは人間らしい国をつくろう、よき伝統の上によき人間性を加えよう、こういう決心をしたわけです。しかるに現実は、戦前より以上に貧しい人がインフレーションのためにふえているわけです。したがいまして、厚生大臣は庶民がいかに厚生省に期待しておるかということを深く認識されて、きょう約束されましたことをひとつ実行に移していただきたい、こういうことです。
  110. 小林武治

    小林国務大臣 ごく簡単にお答え申し上げますが、インターンの手当の問題は、いまのところは文部省の育英資金の一環としてやっておりますが、手当の問題が出てきておりますので、これは受け入れる施設が負担するか、あるいは国で多少補助するか、いろいろの問題がありますが、私は、貸与などで返さない方法で何かの方法がありはせぬか、こういう意味で検討したい、こういうように思っております。すなわち手当を出すというようなことがどうかということを検討する、こういうことを申し上げておきます。
  111. 帆足計

    帆足分科員 医局員及び予防医学のことも……。
  112. 小林武治

    小林国務大臣 医局員のことは、これは文部省の所管でありますが、文部省でもこの問題は検討しておりまして、いずれインターンの待遇、身分等について、いま審議会をつくって検討してもらっておりますので、その中でこれもあわせて検討される、こういうことを申し上げておきます。  それから中絶関係のことは、御意見のとおり私もぜひ研究させたい。予防医学をやるのは当然でございます。  また、こん虫映画をぜひひとつ見たい、こういうふうに考えております。
  113. 帆足計

    帆足分科員 大体の御答弁は満足ですが、要は実行ですから、ひとつ実行においてそれを示していただきたい、こういうことで終わります。
  114. 相川勝六

    相川主査 加島雄君。  堀昌雄君に申し上げます。時間は三十分程度にお願いいたします。
  115. 堀昌雄

    ○堀分科員 私のほうから政府側に要望いたします。時間が三十分ですから、答弁は簡潔、率直にひとつお願いをいたしたいと思います。  本日お伺いいたしますのは、すでに本年度の参議院の予算委員会においても林塩委員からお尋ねもありましたし、昨年の予算委員会の分科会においても、参議院で林さんからお尋ねがあった看護婦の深夜作業に関する手当の問題でございます。  そこで、まず最初に厚生大臣にお伺いをいたしますが、これまで厚生君側の答弁は、ひとつできるだけ看護婦の深夜勤務については手当増額するように努力したいという答弁がしょっちゅうされておりますが、私ちっとも成果があがっていないと思う。そこで一体厚生大臣は、今度はいつまでにこれが処理されるように考えておられるのか、期限を切ってひとつ御回答いただきたい。
  116. 小林武治

    小林国務大臣 これはいま、いつまでということを私も申し上げかねまするが、前々からの問題であり、至急また――実は中のことを申し上げてはなはだ恐縮ですが、いろいろな仕事がたくさんありまして、私も一々全部にわたりてこれに関与しておる、こういうことでもありませんで、中にはここに来て初めて知って、なるほどそうしなければならぬ、そういう問題が間々あることをひとつ御了承願っておきたいのでございますが、いまの看護婦のいろいろなことも、ことしの予算に出して、そしてまだ結果的にはきわめて不十分な結果しか得られなかった、こういうことでありまして、深夜手当の問題も同様の問題でありまして、私どもも至急相談をいたしまして、これは大蔵省等相手のあることでありまするから、いま私がいつまでにということを申し上げることはひとつ差し控えまして、また至急相談してわれわれの態度をこの機会にお答え申し上げたい、こういうように考えております。
  117. 堀昌雄

    ○堀分科員 実は看護婦が非常に足らなくなってきておる点については、いろんな事情があります。ですが、きょうは三十分ですから、その中で、私は一番いま重要なのはこの看護婦の夜勤手当の問題だと思いますから、きょうは実は、ここであらかじめめどを明らかにする決心で私はここに参りました。私は本来大蔵委員でありますから、本日ここで結末がつかなければ、この国会において大蔵委員会で何回かこれを取り上げて、この国会中に必ずめどをつけて、来年度予算に何とか実現をする決心です。ですから、そういう決心で私がこれから伺いますから、ひとつ答弁のほうもそのような心がまえでお聞き取りをいただきたい。  労働省にお伺いいたします。労働基準法第六十二条で、女子の深夜勤務というものは禁止をされておりますね、原則として。これはなぜ禁止をしているのですか。
  118. 東村金之助

    ○東村説明員 労働基準法におきましては、労働者保護の観点から趣旨を書いたわけでございますが、女子につきましては、一般的に母性保護ないしは女性の肉体的、精神的な観点から、やはり一般男子とは異なる特別の保護規定を設ける必要があるという観点から設けられておるのでございます。
  119. 堀昌雄

    ○堀分科員 要するに、六十二条で女子の深夜業を原則として禁止しておるのは、女性の健康上の問題、精神的な問題が第一点。要するに男子と女子は違うんだということが、思想として明らかだということを一つ確認をいたします。  そこで、特例として二、三のものがここへ残されております。その特例は、「土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業」、この六番というのが入っているわけですが、これは女子にあまり関係しないように思うのですが、これが一つ。その次は、「動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他の畜産、養蚕又は水産の事業」、これが一つ。その次は、「病者又は虚弱者の治療看護その他保健衛生の事業」、その地「旅館、料理店、飲食店、接客業又は娯楽場の事業」、これだけが実は特例で認められておりますね。その中の一つだと思うのですけれども。そこでこの場合に重要な問題は、仕事の性格のほうが優先をするのか女子の勤務、女子の健康、精神のほうが優先をするのかという点で、私はこの規定自体はやや不十分だと思うのです、率直に言って。  そこでもう一点だけ労働省にお伺いをしておきたいことは、仕事の性質上やむを得ないということでここに出してあると思いますね。これはやむを得ない例外的な規定ということをやはり確認をしなければいかぬですね。やむを得ないという例外であるならば、例外というものは、一般的な原則で問題を処理されてはならぬということを労働省は確認できますか。
  120. 東村金之助

    ○東村説明員 ただいま先生から御指摘のございましたとおり、原則は、先ほど申し上げましたとおり、女子については深夜業は原則的に禁止をされておる。しかしながら、女子においても特殊な作業、勤務につく人においては、その作業が要求する範囲において例外規定を設けておる、こういうかっこうになっております。
  121. 堀昌雄

    ○堀分科員 そこで今度は人事院にお伺いをいたしますが、一般職の職員の給与に関する法律の第十八条に、夜勤手当として「正規の勤務時間として午後十時から翌日の午前五時までの間に勤務することを命ぜられた職員には、その間に勤務した全時間に対して、勤務一時間につき、第十九条に規定する勤務一時間当りの給与額の百分の二十五を夜勤手当として支給する。」とありますね。これは私は一般的な原則だと思いますけれども、どうですか。
  122. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院規則で規定しております夜間勤務の割り増し賃金の率というものは、正規の勤務時間を越えました際に、そういう作業をやむを得ずせざるを得ぬという場合に対しまして、命ぜられた勤務に服しますときにそういう賃金を支給する、そういう規定でございます。
  123. 堀昌雄

    ○堀分科員 ちょっといまの答弁はおかしいじゃないですか。正規の勤務時間を越えてですか。あなたのほうの十六条の超過勤務手出ならばそうだろうと思うけれども、いまの答弁は違うんじゃないですか。
  124. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 残業手出と間違いました。はなはだ失礼いたしました。夜間の勤務をいたします際は、昼間に勤務するのが常態でありますが、夜間という特殊の事情のもとに勤務いたします労苦に対して、そういう割り増しをするという制度であります。
  125. 堀昌雄

    ○堀分科員 私が開いているのは、この十八条は一般的な法律だと思うのですが、一般的かどうか、ちょっとお聞きしておきます。
  126. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 現在規定しておりますことは、一般の国家公務員が夜間勤務に服しましたときに支給される規定でございます。
  127. 堀昌雄

    ○堀分科員 そうすると、ここにすでに非常に法律上の矛盾があると思いますのは、私がいま労働省で確認をしたところによると、労働基準法第六十二条で、女子の勤務を深夜にさせるということは例外規定ですね。ところが、前段の禁止のほうは一般規定ですよ。いまの十八条は、主として男子に対して一般規定ですね。そうすると、この法律は例外規定でない、一般規定のほうに規定があるのだから、どうしても男子の深夜業に関する給与規則だと私は理解しますが、どうですか。
  128. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 私は先ほど一般職国家公務員と申し上げたので、一般的と言ったのではありません。それで現在きめてあります規定は、男女にかかわりませず、国家公務員が夜間勤務に服しましたときにその給与が支給される、こういう原則であります。
  129. 堀昌雄

    ○堀分科員 書いてあることはそうですよ。私は法律論の分析をしているわけです。いいですか。  そこで、これは一般職とかなんとかいうことでなくて、男子、女子を含めて、一般的にこの規定は働くのでしょう。この点、間違いありませんですね。その点で労働者に対して、六十二条は一般的には女子の深夜業を禁止しておるわけです。例外規定だけが横に出ておるわけです。そうすれば、一般的なものが一般的なものと並ぶならば、例外は例外として並ぶのが、法律のたてまえとしては当然ではないかということを伺っておるのです。
  130. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 御指摘のように、そういう考え方もあることはあると思います。ただ国家公務員の場合には、労働基準法が直接適用されていないという状況下にございまして、現在はそういう規定によりまして、男女を問わず処理しておるということでございます。
  131. 堀昌雄

    ○堀分科員 国の法律が民間のものを拘束するものが、政府職員に対しては、法律的に拘束をするしないは別として、政府職員はそれ以外のあり方でどうあってもいいということは、ちょっといまの答弁は適当でないと思します。
  132. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 御趣旨のように、そういうことが労働基準法の原則的考え方でございまするので、したがいまして、この国家公務員の勤務につきましても、そういうことが頭の中に十分考えられまして規定されるのが適当であるというふうには考えます。しかしながら、現在はやはり女子、男子を区別いたしませんで、これはちょっとことばを申し上げて恐縮でございまするが、民間の実情におきましては、たとえば初任給で男女が区別されておるという実情がございますけれども、国家公務員の場合には、初任給で男女の差別をしていないというような、民間と多少違った実情があることも事実でございます。そういう現状の中におきまして、公務員の場合におきましては、現在男女の区別をいたしませんでそういう規定を適用していく、こういうことになっておる次第であります。
  133. 堀昌雄

    ○堀分科員 あなたのおっしゃるように、一般的に男女の区別をしないというのは、現在憲法がわれわれに約束している原別なんです。その点、公務員については、実情はそうであることは私は適当だと思う。ただしかし、それは積極面のものであって、消極面についても同じことを憲法はわれわれに約束しているとは思えない。  そこで今度は厚生省の側にお伺いをしますが、一体看護婦勤務時間は準夜として五時から十二時、それから深夜として十二時から八時。最初の準夜のほうは、これは夜ふかしの人間なら起きている時間ですからいいですけれども、夜の十二時から八時までという時間は、まさに普通の人間なら寝ている時間なんです。私は医者ですから、人間は一体どういう生活をするのが適当であるかということはよく知っている。議員の中には、往々夜ふかしをして主客転倒している人もあるかもしれませんけれども、一般的には夜十二時から八時というのは寝る時間だと思う。その寝る時間に起きて作業するということは、私は男子であっても相当たいへんなことだと思う。ましてや女子の勤務は、精神的及び肉体的に非常に影響するところが大きいと思いますが、厚生省はどうですか。
  134. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 お説のとおり、人間のからだの調子は、夜寝るのが普通になっておりますので、その時間に働くということは不自然なことであり、それがたび重なるということは、かなり影響を及ぼす問題だと思います。
  135. 堀昌雄

    ○堀分科員 そこで、あなたのほうは国立病院の資料が多いと思いますが、総括的に言って、一人の看護婦は一ヵ月に何回深夜勤務につきますか、それから準夜は何回、日勤はどのくらいですか。
  136. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 病院により、また月によりまして変動がございますが、平均的に申し上げますれば、深夜、準夜大体八・五回くらい。これは深夜、準夜の合計で、それぞれ半々になっております。
  137. 堀昌雄

    ○堀分科員 そうすると、大体二十四日労働という考え方をすれば、一ヵ月のうちで三分の一は夜中か、夜に起きているということになるわけですね。これが長期に続いて、看護婦は何年も勤務しているわけですから、私はたいへん大きな影響が心身ともにあるというふうに感じます。  そして深夜、準夜等の状況を私調べてみると、大体入院患者死亡のしかたは、所によって多少違いますが、私の調べた範囲では、準夜三五%、深夜四〇%くらいあとの二〇%ないし一五%が日勤時間中に死亡するように、大体われわれ医者として治療しておりましても、これまでの経験でわかりますのは、患者というものは案外夜死ぬのが多く、昼間に死ぬ率は少ない。これが一般的です。そうすると、患者が一人死ぬというときに、そこの看護婦ば、その夜一体何人の患者を持っているかということになると、これは厚生省からお答えいただいたほうがいいのですが、いまの情勢なら、一番条件のいい一類看護でも二十人くらい持っているのではないかと思う。夜二十人の患者を持っていて、一人死んだら、それにかかりつきにいってしまう。あとの十九人はほったらかしで、何が起きても手が出ないということになりますが、医務局長、どうですか。
  138. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 死亡が時間的に見まして、八時間ずつ三つに分けますと、三分の二は深夜、準夜になるのかわかりませんが、特に手術等が夕方行なわれる。そうしますと、夜死亡が起こるというようなこともありまして、深夜、準夜のほうが少し死亡数が多いということは事実でございます。  それで、そうした場合に、そうした事故の起こることの多いところには重点的に看護婦を配置する、また事故の起こりそうな、また起こったときには、すぐ宿直婦長のほうへ連絡して応援を出すというような方法について、できるだけ適正な診療、看護をするような組織をつくるように努力いたしておるのであります。
  139. 堀昌雄

    ○堀分科員 努力すると言われても、実は実態はなかなかたいへんなんです。  そこで厚生大臣、いまずっとお話を聞いていただいて、私が何を言わんとしているかということは大体おわかりだと思うのですが、要するに、女子の深夜業というものはあまり適当でない。むしろ深夜時間に仕事が非常に過重になっておる。昼間なら、一類看護は大体四人の患者に対して一人ということになっておる。ところが夜になると、人数がさっと減って、大体二十人くらいを一人で持つということになる。そしていまのようなことで事故がよく起きますから、夜の看護というものは非常にたいへんなんです。  そこであなた方は、大臣はあまり具体的な事実を御存じないでしょうから、医務局長として人事院とこれまでどこまで話を詰めているか。これは御承知のように、人事院が勧告をして、給与法が改正されなければ予算ができない。そこで厚生省事務当局は人事院とどこまで話を詰めているか、ちょっと御報告をいただきたい。
  140. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 深夜手当につきましては、いま二五%増加いたしたいということで人事院、大蔵省といろいろ折衝しておりますが、庁内では役所内のいろいろな連絡がございまして、この点こまかく何%というふうなことは御容赦願いたいと思います。
  141. 堀昌雄

    ○堀分科員 何%をどうしろと言うのじゃないのです。私が言っているのは、あなた方としてはすでに昨年国会で議論がされておるわけです。そこで当然人事院のほうにも話をして、人来院もそれに基づいて調査もしておるだろうと思うのです。そこで厚生省側として、あなた方が働きかける責任があると私は思うのです。主管省だから、そこであなた方のほうで働きかけをした結果のめど、そこに給与局長がいるからあと給与局長のほうからまた聞きますよ。時間がないけれども、要するに私は、はっきりした結論をきょうは出したいということなんですから、どこまで、要するに何%と言わないでもいいのです。当然現状の段階では百分の五十にしてくれということで、それじゃ一体どのくらいめどのときに勧告が出るかという話のところまできていると私は思っているのですが、そこまであなた方のほうでは確認してないですか。厚生省どうですか。
  142. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 増額を人事院のほうにもお願いいたしたのでございますが、まだそのめどがついておりません。
  143. 堀昌雄

    ○堀分科員 人事院のほうでは、それじゃどうですか。いまあなたも、これは一片の法律で出すというのは、法律のたてまえとしては適当じゃない。ですから、やはり労働基準法の考え方のように給与法十八条は一般的な原則を書いて、「ただし」として例外規定についての分だけについてはこうだ、こういうただし書きがつくようなのが私は適当だと思うのです。そこで厚生省はいま事務的な措置を進めていると思うのですが、あなた方のほうも作業は進めておると思うのです。その作業が終わって勧告が出る段階というのは、めどとしてはいつごろになりますか。
  144. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 堀先生のおっしゃる、厚生省から看護婦の夜間勤務手当について増額してほしいという要求は、しばしばございます。医務局長も何べんかおいでになっておる。ただ私のほうでは、必ずしも厚生省がおっしゃることが適当であるかどうかという点につきまして、もう十二分の御同意を申し上げておるという段階ではございません。と申しますのは、これはやはり夜間勤務ということだけに限って問題にいたしますならば、先生のおっしゃったような理解に相なろうかと思うのでありますけれども、これはむしろ看護婦さんの勤務自体、看護婦さんに昼の勤務もありますし、夜間の勤務もある。われわれのほうから言えば、問題の根源は、看護婦さんが週正に配置されておるかどうかというようなところにむしろ問題があるのじゃなかろうかというふうに思うのであります。しかしながら、そういうことを幾ら言ってみても、現在の状況を直ちに改憲するということもできません。したがいまして、そういう意味において現在看護婦さんの労苦の程度というものに目を注ぎまして、それに処遇するのにはどうしたらいいか、こういうふうに考えざるを得ない、このように思っておるわけであります。そこでわれわれのほうといたしましては、ここのところ引き続き毎年給与ベース改定の勧告をいたしておりますが、その際に、民間におきます看護婦さんの給与の状況を調べてみますと、これは国家公務員より低いのであります。四、五年前までは七〇%くらいまでしかございませんでしたが、最近は――最近というのは去年の四月現在の話でございますが、国家公務員を一〇〇といたしました際に、民間は八〇くらいの状況になっておるのであります。しかしながら、そういう状況であるから看護婦さんの給与を改善しないでいいということは、われわれは考えておりません。と申しますのは、国家公務員の部内におきますいろいろな職種の勤務の状況等を見ておりますと、看護婦さんの職務が必ずしも軽いとは思っておりません。看護婦さんの給与の改善につきましても、一般的な給与改善よりも私どもとしてはより努力いたしまして、ここ二、三年改善に努力してまいっておるのでございます。したがいまして看護婦さんの勤務全体につきましては、これは見る方のお立場によりましょうが、非常に不十分ではないかというふうなお考えもあろうかと思いますけれども、われわれの立場としましてはできるだけのことをやっておる、こういう感じでおります。したがいましてこの深夜勤務等につきましては、問題は二の次の問題として考えるべき問題ではなかろうか、その場合に、国家公務員で深夜勤務をいたします者は看護婦さんだけではございません。ほかにもございます。現在深夜勤務状態に対して適正な処置がとられておるかどうかというと、必ずしもそうも言えない部分もございます。したがいまして、われわれは昨年から、これは厚生省からお話があった前からでございますけれども、国家公務員の深夜勤務の実態はどういうふうになっておるか、どういう職種があるかというようなことにつきまして、現在調査を続行中であります。この結論を見まして、場合によりましては深夜勤務の時間だけにつきまして特殊の措置をするという結論に相なるかもしれませんし、またあるいはそうでないかもしれません……。
  145. 堀昌雄

    ○堀分科員 それでいいです、時間がないから。わかりました。そうすると国家公務員で、看護婦以外で深夜業となっているのは電話交換手ですか、あと何かありますか、言ってください。
  146. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 たとえば税関の勤務とか……。
  147. 堀昌雄

    ○堀分科員 女子の深夜勤務ですよ。男子のことは、私はここで触れてないんだから。
  148. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 われわれの立場といたしましての職務と責任という観点から、女子、男子を問わず関心を持っております。
  149. 堀昌雄

    ○堀分科員 私がいまここで四十分論議しているのは、大体順序を追ってものを言っているつもりなんですよ。だからいまは、私は例外部分だけの話をしている。一般論なんてここでやる時間はないですよ。だから例外だけの話をしているというときに、あなたは一般論を持ってきては困る。女子の深夜業というものは労働基準法で禁止をしておる。禁止をしておる理由はどういう理由か。こういう理由があるんだ。では十八条はどうなんだ。一般原則だ。それは例外規定を考えろ。あなたも適当だと思うと言う。それがここにきてまたもとに戻しては、主査から御要望が幾らあったって、時間が幾らあったって足りない。そこで私が言っているのは、全般の深夜業の調査なんか私は要望いたしません。女子の深夜業というのは、国家公務員の場合に一体看護婦以外にどれだけあるか、それだけお答えください。
  150. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 女子につきまして、そのほかに刑務官というようなものもございます。
  151. 堀昌雄

    ○堀分科員 けっこうです。だからその数は一体どのくらいありますか。看護婦はわかっておりますから、その他は……。
  152. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 大体四百ぐらいだと思っております。
  153. 堀昌雄

    ○堀分科員 大蔵省主計局の給与課長にちょっと伺いますが、看護婦の夜間勤務手当がいま百分の二十五ということになっているんですがね。これを百分の五十にして、そしていまの刑務関係というのは四百人、看護婦はたしか七千だったかな。
  154. 平井迪郎

    ○平井説明員 国立病院、療養所で一万八千くらいであります。
  155. 堀昌雄

    ○堀分科員 一万八千だそうですが、その他が四百。そこで大蔵省としては、百分の二十五が百分の五十になった場合、財政負担はどのくらいですか。
  156. 平井迪郎

    ○平井説明員 主計官からお答えいたします。
  157. 船後正道

    ○船後説明員 ただいまの御質問の数は、厚生省所管であります。その他に、文部省も相当たくさんあります。その他の省庁にもございますので、ちょっと見当がつきかねるのでございます。
  158. 堀昌雄

    ○堀分科員 それではひとつ大蔵省のほうで、国家公務員の、要するに各省にまたがってあると思いますが、百分の二十五から百分の五十にするための財政の負担はどうなるのか、これはひとつ資料として御提出をいただきたいと思います。
  159. 船後正道

    ○船後説明員 予算編成の方法で技術上の問題でありますが、夜勤手当は超過勤務手当と含めまして、超過勤務手当という目に計上いたしております。その目の実行といたしまして、ある場合には超過勤務として支給し、ある場合には夜勤手当として支給するということになっておりますので、予算のほうからどうなるかということは、ちょっとなかなかむずかしい実行上の問題が出てまいります。
  160. 堀昌雄

    ○堀分科員 理論的でいいです。それじゃ理論的に考えて一体どうなるのか、これは分析してみればわかると思います。さっきの、一人の看護婦が一カ月に八日しか深夜業務に入らない。そうすると、国家公務員の看護婦は何人いて、それが大体一カ月に八日なんだから、それを百分の二十五とっているが、それが百分の五十になったのだ、こういう理解で、試算でけっこうですし、理論計算でけっこうですから、一ぺんひとつ割り出してもらいたいと思う。私は、これは単に人事院だけを責めようということではなくて、大蔵省、厚生省、その他総ぐるみでこれからの国会の議題として、来年度予算に必ずこれが計上されるところまでやるという決心なんです。私は一たん決心したら、これまでたいていやってきたのです。これはやります。  そこで、人事院にお尋ねをしたいのは、あなたもここで公式に、例外の規定を設けることは適当だという御答弁があったわけです。そこで一つお願いをしたいことば、もう全般の深夜業のことはいいですから、とりあえず看護婦に限ってひとつ早急に調査を進めていただきたい。この調査を進めていただいたとして、調査の終わるのは一体いつなのかをお伺いしたい。
  161. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 先ほども申しましたように、現存調査を続行いたしております。それで、私がただいますぐ局の所管が違いますので申し上げかねますが、それほど長くかかる問題ではなかろうと思います。ただし、先ほど申し上げてはなはだ失礼をいたしたのでありますけれども、やはり看護婦の給与改善という全体の問題としてわれわれは考えており、さらに特に必要があります場合には、そういうことを考える必要が起きる場合もあろうかと思います。ここのところを御了承願いたいと思います。
  162. 堀昌雄

    ○堀分科員 私もわかります。看護婦のいろいろな問題は総合的な問題でありまして、私、単にこれだけだと思っていないのです。いいですか。しかし、いま勤務しておる看護綿が最も強く要求しておることを解決せずして、その次の問題に入ったって無意味ですよ。できないことなのだから。いま医療費の問題が非常に困難な状況にありまして、その医療費の問題が解決しなければ、民間の病院では給与体系を上げようにも上げられないのです。これも国の責任がある。そんなことをいまここで言っていたのでは、この非常に困難な条件に置かれている看護婦を救済することはできない。もしあなたが病気になったとして、どうなりますか。看護婦一人もいないところで、医者がぽんと見て夜中に一人でほったらかされておるということを考えてごらんなさい。あなた自身の問題として一ぺん考えてごらんなさい。私は、そのとき初めて看護婦のありがたみを理解していただけると思う。健康な者には病人の感情はわからないのです。あなた方、一人一人病気になったときのことを考えてみても、真夜中についている看護婦のこの労働に対する対価はこれでいいのかどうか。これは非常に真剣に考えてみなければならぬ問題だと思うのです。だから私は、たくさんある問題の中で、この一つを取り上げてまずこれから始めようと決心したわけです。厚生大臣、私はこういう決心ですから、あなたの在任中にめどをつけてもらいたいと思うのですが、ひとつめどをつけてもらえますか。
  163. 小林武治

    小林国務大臣 実は私も数年前、実験という意味じゃありませんが、病院に六ヵ月入った。私の入った病院はわりあいよくて、設備もいいし、夜の宿直看護婦も二人おる。夜に事故の多いこともわかっております、深夜の看護婦を私もしばしば慰問したことがありまして、お話のようなこと、私は非常に共鳴できます。したがいまして、私いまこの問題をいつやれるとめどを申し上げるわけにいきませんが、真剣にひとつ各関係者と相談をしまして、この国会の中でまた適宜お返事を申し上げる、こういうことにいたします。
  164. 堀昌雄

    ○堀分科員 終わります。
  165. 相川勝六

    相川主査 午前の会議はこの程度にとどめ、午後一時十分より再開して、厚生省所管に対する質疑を続行することにいたします。  これにて休憩いたします。  午後零時十四分休憩      ――――◇―――――  午後一時十四分開議
  166. 相川勝六

    相川主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  厚生省所管に対する質疑を続行いたします。古川丈吉君。
  167. 古川丈吉

    ○古川分科員 社会保障の問題は、政府与党が政治の大きな柱として最も重点的に考えてきたということは私は非常にいいことと思っておりまするが、ただ私は長い間厚生省関係をやってまいりましたが、予算も私が代議士になった当時から四倍くらいにふえてきているわけでありますが、私は資本主義、自由主義のもとにおいて社会保障というものはどうあるべきか、あるいはことばを言いかえますれば、一つの基準と申しますか目安と申しますか、国民所得から割り出してこのくらい程度社会保障に使うのだというような点もひとつ考えるべきじゃないか、またおのおのの社会保障の部面におきましても、その個々のもとでできるだけ金網を多くふやそうというような考え方で継ぎ足しのような社会保障がいま進んできておるわけでございますが、これらに一定の目標というのをつけて、計画性をもってやるべきじゃないか、こういう感じを私は強く持っているわけであります。私は、あと質問者がたくさんおりますので、答弁を求めようとはいたしておりませんが、そういうぐあいに考えております。  それからもう一つは、文部省の関係では私立学校があり、厚生省の関係でも社会福祉施設が民間のもので相当ある。これらのものに対して将来どういうぐあいに対処すべきかという問題があろうかと思います。昔社会福祉施設ができました当時には、一定の財産があって施設をした。その後において建物、施設が非常に古くなった。また当時は人件費はたいしたことはなかったけれども、人件費が上がってたいへんかさばってきた、こういうことで民間の社会福祉施設というものは非常に困っておる。こういう民間の社会福祉に対する施設の改築という面につきましてはだんだん考慮されてきておりますけれども、さらにこういう点を一そう推進していただきたい、こういう希望を私は申し上げたいのであります。  もう一つは、これは私は政治がよくなった証拠だと言ったのですが、いろいろの医療をはじめとして一般の政治全体がよくなったためだと私は思っているのですが、御承知のごとく国民の平均寿命が非常に長くなった。したがって国民全体の中に占める老人の比率というものは非常に多くなったわけであります。したがって国の予算も老人に対して使う予算の額を相当考えなくてはならぬ。家族制度が現在のような状態であります現在においては、そういう点からも特に考えなくてはならぬ。だんだんと予算がふえてきておりますけれども、まだその方の金額が非常に少ない、こういう点を将来に向かって厚生省も大蔵省もお考えを願いたい、こういうぐあいに私は希望をするわけでございます。  次にお願いしたいことは、国立病院が御承知のように財政投融資から融資を受けて施設をよくすることになりましたが、私はこれは非常にいいことだ、公立の病院は厚生年金の還元融資でよくなり、私の病院は医療金融公庫から金を借りる方法があったけれども、従来は二、三十億円の施設整備費だけで八十五、六の国立病院をまかなっておられたが、今回そういうような方法で整備されることになったことは非常にいいけれども、まだ緒についたばかりである。これをさらに推進してもらいたいということ。  もう一つは結核療養所国立療養所の問題、一般の国立病院のほうは私申し上げているとおりに方向としては円安がついた、けれども、療養所のほうは、まだそこまでいっていないと思う。結核の問題は、今度の予算の面でも非常にふえておりまするし、結核対策は今日まで非常にうまくいっておる。結核が、われわれ子供の時代から非常におそれていた病気が、もう今日は心配が要らなくなった。だんだんと減ってきたわけであります。ここで速度をゆるめますと、またぶり返す危険性がある。したがって、いま衰えかけているときでありますから、いまひとつ追い打ちをかけて、これをやってもらいたいというのが私の一つのお願いでございます。  それから今度はいよいよ質問でございまするが、いま問題になっておりますのは、ガンの問題と循環器の問題、この問題がとにかく大きな問題だと思います。この間からもガンの問題につきましては、いろいろ質疑応答がありましたが、ガンの問題に関する限り、これをなおす研究の問題はなかなかむずかしいが、これと現在早期発見によって手術すれば、胃ガンのごときはなおる率が非常に多いようでありますが、それに対する対策が十分でないじゃないか。研究の問題は、これはなかなか見通しはわれわれにもつきませんし、むずかしいことであるが、しかしこれは推し進めてもらわなくちゃならぬ一番大事な問題でありますけれども、わかり切っておる、発見されたものに対する処置の問題が十分じゃない。率直に申し上げますれば、ガンのベッドがなかなか少ない。これは一般の民間の病院ではむずかしいので、公的な病院において、その施設が特に必要じゃないか。さしあたりは、ひとつガンのベッドをふやしてもらいたい。政府がガンに対して将来どういうような考え方を持っておられるか、この点について一言お伺いいたしたいと思います。
  168. 小林武治

    小林国務大臣 ごく簡単に申し上げますが、この社会福祉施設が民間でいいのか、国立でいいのか、こういうことはまだ非常に問題が分かれております。ただ従来のいわゆる社会保障というものが、いわゆる慈善というような関係で民間から発達した、こういうことでほとんど戦前の施設は民間でやられておった。ところがいまのような近代的な社会保障施設が従前のような体系でいいかどうかということについては、まだ検討しなければならぬと思っておりまして、もう民間にまかせてやれるような程度社会保障じゃない、こういうことで実際的には、建物とか土地とかいうものは民間のものであっても、ほとんど運営費、措置費は国から出ておる、こういうふうなことでありまして、国の直接の財政による運営がこれからの非常に大きな方向になることは当然で、それでなければやっていけないほど近代化されてきた、こういうことが言えるのであります。  それから老人の問題は、最近非常に老人がふえて、ここ二、三年のうちに全人口の一割くらいが老人になる、こういうことで、老人のための社会保障あるいはその関係の経費が当然増額されなければならぬ。昨年やっと老人福祉法が成立したばかりでありまして、あの内容を充実するということが、これからの大きな課題で、十分これは進めていかなければならぬということで、ことしもまたこれは相当前進をいたしております。当然人口構造の変化に応じて予算的な措置も行なわるべきであるということは、お話のとおりであります。  病院の問題は、いまのように国立病院は一応その緒についております。療養所は、これは天下に有名なほどボロ療養所がそろっておりまして、まことにお気の毒のような状態であって、このほうをひとつ私どももやろう、しかしそのままでやっていいかどうか、これはいろいろ配置転換等の問題もあるので、重点的にやはり療養所改善もしていかなければならぬ、こういうふうに思っております。  それから成人病は、お話のとおり、これからの問題でありまして、出発が非常におくれたために、まだ遺憾な点が非常に多い。ガンなども、ようやく国のがんセンターができて、地方にも数ヵ所がんセンターができたということで、これらの病床についてもなお相当増加しなければならぬ、こういうふうに考えております。  結核は、お話のように手をゆるめてはいけない。最近は前に比べて百万人も患者が減った。平易にいえば、もうあと一息だ、こういうことで、ここでもって手をゆるめないように続いて大いに努力しなければならぬ、こういうふうに考えております。
  169. 古川丈吉

    ○古川分科員 考え方としては、大臣の御答弁で満足いたしますが、もう少し具体的に――先ほど申し上げましたとおりに、国立病院あたりはガンのベッドが足りない、もう少しガンのベッドをふやしてもらえぬかということが一つ、それからいまがんセンターが国立で東京にありますけれども、地方によっては、地方の県の病院に対して、成人病センターに対して補助金を出すような方法をとっていただいているわけでありますが、そこらの面をもう少しつつ込んで、どういう方針で将来やりたいというようなことについて、もしお考えがあればお答え願いたい。
  170. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 ガンの診断、治療の問題でございますが、これは一般の病院、診療所でやっていただきますと同時に、高度のガンに対します専門的な治療設備という立場で、国立で東京に中央のがんセンターをつくりました。それから地方にもがんセンターをつくる、それからたとえば愛知県であの地区の中心になりますようながんセンター、三百五十床くらいが近日完成するわけであります。また大阪でも拡充してもらうことにしておりますけれども、さらにブロック、ブロックを中心にして、県とかなんとかでできない場合には、国の病院にそういうような機能を与えていくという意味で、これは呉病院などでガンの診断能力を強くさせるというようなことにしているわけでございます。  それで来年度予算といたしましては、地方のブロックが中心になりますようながんセンターの助成を二ヵ所、金額は少のうございますが、千六百万円、それから地方がんセンター、これは府県よりもちょっと強い二、三府県にまたがるというようなところのがんセンター、たとえば新潟などがやっておられますが、そういうセンターを三ヵ所、千五百万円、さらに都道府県の中心になりますところを三ヵ所、七百六十八万円、こういうような予算を組んでおりますが、なおそれ以外の経費、一般の病院の整備費、または貸し付け金あるいは融資というような点につきましても、いまお話ししましたような線でできるだけ助成するつもりであります。
  171. 古川丈吉

    ○古川分科員 順序が、総折的なものがちょっとあとになりましたが、厚生省関係で補助金とか交付金という形で地方公共団体あるいは個人に交付される命が極数がたくさんあるわけであります。生活保護費、児童措置費など、そういうものがたくさんありますが、そういうものの中に地域的に差のあるのが非常に多い。御承知のように国家公務員の給与に関しましても五段階の差がありましたのを、これは統一すべきだということで、現在は三段階にまでなっている。厚生省関係でも医療費の問題が甲地、乙地が撤廃されたわけです。そのほかにいま申しました相当の数があると思いますが、これをいまでなくてけっこうですが、ひとつ大臣もあらためて見直してもらいたい。これも今日においては、そう差をつけるべきものでないものが相当あるように思いますので、そういう点、ぜひともひとつ是正していただきたい、こういうふうに考えております。ですから、いま申し上げましたいろいろの種類のものがあって、どういう段階でどういうふうになっているというようなものを、急ぎませんが、ひとつ予算委員会の終わるまでに資料を出していただいて、大臣も目を通していただきたい、かように希望いたします。  それから生活保護費の問題を、ちょっとこれに関連して触れておきたいと思います。今度生活扶助が一三%上げられたわけでございまするが、生活保護費としては生活扶助のほかに住宅扶助があり、教育扶助、医療扶助等があるわけでありまするが、一般にいわゆる生活扶助の金額は四段階に分かれておって、四人家族で一万六千何々ということは大体心得ておるのでありますが、そのほかの住宅扶助、教育扶助、医療扶助というような関係はあまり詳しいことは知っておらない人が多いのであります。そこらの運用ないしその内容というものを、関係課長でけっこうでございますが、ひとつこの席でお知らせを願いたいと思います。――それではそれはあとでけっこうです。  時間がありませんから、順序を逆にしまして、この委員会でもまた参議院でも看護婦の問題が非常に大きな問題になりました。第一、看護婦が足りない。それには待遇の問題と養成の問題、全国で四十万近い資格者があるようですが、その半数ぐらいしか実際に看護婦として働いておられないということであります。私は、まず第一にやはり待遇の問題を根本的に考えてやらなくちゃならぬ。けさ堀君からも話がありましたけれども、一般的な待遇と、深夜勤務の話も出ましたけれども、看護婦という特殊な職種でありまするから、これはやはり特別に考えるべきじゃないか。大蔵省の方もおられまするが、看護婦の待遇問題が今回は非常な問題になっておりますが、これはぜひともひとつ関係者で御相談を願いまして解決していただきたい。けさから人事院のお話を聞いておりましたけれども、一般の人の夜間勤務だけしか考えておらぬようでありますので、これはやはり特別に考えるべきだ、こういうように私も聞いて感じたわけでございまするが、それがまず一つ。  それからもう一つは、現在養成所が非常に不足をいたしておる。地方の医師会で準看護婦学院をつくってやっておるところもあります。私は総合的なある程度のスケールの病院には養成所をつけさすということが一つの方法かとも思います。また準看護婦学院というようなものを、地方の医師会でやっておりましても、急速に修練する、病院というのはなかなか受け入れてくれないということで、なかなかむずかしい。そういう意味で看護婦の待遇の問題と養成の問題二つあるのですが、待遇の問題は皆さんからも議論されましたけれども、希望として申し上げておきまするが、養成の問題につきまして厚生省として、どういうお考えがあるか。私はいま総合的なある程度のスケールの病院はこれを付置するような方法があるかどうかということを申し上げたんですが、何か具体的なことを考えておられるか、もし具体的なことを考えておられますればひとつ御意見を聞かしていただきたい。
  172. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 看護婦さんの養成の問題でございますが、現在看護婦、準看護婦として働いております人が十八万ぐらいございますが、これを昭和四十五年には二十五万ぐらいまで持っていきたい。このために養成施設を毎年ふやしていく。またその養成施設の中で定員一ぱいできるだけ入学をさすように配慮願う、こういうふうな方法で養成の拡大としては考えているわけでございます。その養成施設の新設に対しましては、いま建築費と教材費、整備費を一億八百万くらい補助予算を持っておりまして、これを使いまして、各府県から希望いたしてまいります養成施設におこたえしている、こういう次第でございます。  お話しの総合病院というようなところで持ってもらうという考え方は一つの考え方だと思います。さらに公的医療機関として持ってもらうという考え方もやっていきたいと思いますが、同時にやはりただ養成施設だけでいいのか、将来学校教育とからみ合わせて考えていくことも必要ではないか、職業高校の教育問題とかをいろいろ検討いたしておるわけであります。さらに病院といたしましても二十名、三十名くらいの小規模のものがいいか、前大臣のときに御趣旨がございまして、やはり教育施設をよくし教育訓練をよくするためには、大規模にやる、二クラス、三クラスというような養成施設をつくっていくより、集中的にやったほうがいいというので、これも実験的に一、二やっておりますが、こういうようなやり方を検討してはおります。
  173. 古川丈吉

    ○古川分科員 ぜひともひとつ待遇問題と養成問題の二つの点をお考え願いたいと思います。  それからこの間自民党の藤井君と田川君とが中共に遺骨を取りに行かれたようでありますが、遺族の中には肉身が戦死した戦地をたずねて慰めたいという希望が非常にありますが、この問題は厚生省だけの問題では解決がつかないと思うのでありますけれども、私はやはりこの遺族の気持ちを満足させてやることが非常にいいことだと思いますので、これは外務省と相談して、相手の国もあることでありますから、そう簡単に解決はつかないと思いますけれども、ひとつぜひともそういう御心配を願いたいと思う。大臣はそれに対してはどんな気持ちを持っておられますか、もし大臣のお気持ちを言っていただければありがたいと思います。
  174. 小林武治

    小林国務大臣 これはもう古川さんのおっしゃるようなお気持ちでございます。
  175. 古川丈吉

    ○古川分科員 ぜひともひとつ具体的に話を進めていただくようにお願いいたします。  それからこれは地方的な問題でございまするけれども、厚生年金会館を関西地区に建設しようという計画があるわけでございます。御承知のように東京に一つあるわけでございます。そして二つ目の厚生年金会館ができようとしておるのでございますが、これは年金加入者の一番多いところ、またそういう加入者の最も利用するところという点から考えますれば、東京に次いではやはり大阪じゃないかと私は思いますので、私がいま申し上げましたような点を十分考慮されまして、この会館を設置する場所を御決定願いたい。これを自動車で乗りつけなければならぬような遠くの場所に建てられますると、厚生年金に加入しておる者が利用できなくて、ほかの者が利用するようになる。そういう点からいきまして、私は、いま申し上げましたとおりに加入者の一番多いところに設けるべきである、こういうぐあいに考えておるわけでございます。小林厚生大臣が日本で二つ目の会館を建てられるわけですが、後世に悔いが残らぬように十分慎重に考えて御決定を願いたい。もし大臣の御所見を伺うことができますればありがたいと思います。
  176. 小林武治

    小林国務大臣 ただいまの御意見もしんしゃくして慎重にきめたい、かように考えます。
  177. 古川丈吉

    ○古川分科員 私の質問はこれで終わります。
  178. 相川勝六

    相川主査 野原覺君。野原君にお願いします。時間は三十分でございます。そのおつもりでどうぞ。
  179. 野原覺

    野原(覺)分科員 できるだけ時間を守りたいと思います。  同僚議員が看護婦の問題を取り上げておりましたから触れる必要はないですけれども、これは非常に大事な問題で、しかも厚生大臣、あなたが大臣になる以前からの大問題なんです。予算分科会がこの問題で――これは速記をごらんいただけばわかるように、数年前からの懸案なんです。それを怠慢で今日までほってきておる。私はこれは小林さんの怠慢というよりも、残念ながら厚生省の怠慢だと思うのです。私どもも数年前から指摘してきておる。何もやっていない。そしてまた同じ議論をこの委員会でも繰り返さなければならぬので、はなはだ遺徳にたえないのですがね。大臣に、私はこまかいことは、ほかにもたくさん質問したいことがあるので、もうくどくどは言いませんが、待遇はよくする。ひとつ約束したらどうですか。勤務条件については、あなたはお考えになるということを御答弁されておるようですが、どういうお考えで、どう一体変えていこうとしておるのか、この二点を承っておきたいのです。
  180. 小林武治

    小林国務大臣 これは怠慢と言われてもやむを得ない。私もそう思います。しかして本国会におきましては、もう御議論身にしみておりますので、十分ひとつ相談をして解決に持っていきたい。この問題は前から申すように、要するに養成施設に対する問題、あるいは看護婦の待遇の問題、あるいは身分の問題、こういうふうな問題が大体当委員会等においても出尽くされておりますので、これらのこともみなよく了承いたしまして検討することにいたします。
  181. 野原覺

    野原(覺)分科員 来年は、この種の問題をひとつ繰り返さないように、あなたが来年のいまごろ厚生大臣であることを私も希望しますけれども、また、いやあれは小林君が言ったのであって、ということで逃げることがないように、どうかひとつしっかりくぎをはめて、あなたの在任中にこのことだけでもひとつりっぱな成果を上げるようにお願いしておきたい。  そこで教育制度の問題ですが、これは学校にしたらどうですか。学校にしますと、大学卒業の資格が取れますし、入っていく者は非常な希望を持つのです。看護学院じゃ、三年間も高等学校を出ていって、そして短大の卒業にもならない。この点は御検討されていますか。
  182. 小林武治

    小林国務大臣 これは私午前中申しましたが、私いつまで在任するかわかりませんが、しかし大臣責任を持って答弁したことは、役所の者もひとつ責任を持ってやってもらいたい。こういうことで関係局長にすべてここに出てもらって、私の答えたことをよく覚えておいて、そしてやってもらう。こういうことを特に強く指示してありまするし、またこの問題は国会中においても、私ども省内あるいはその他とひとつ十分協議をいたしたいと思います。  なお学校の問題につきましては、これは文部省のほうの問題でありまして、文部省といまこのことも相談し、最近文部大臣もひとつこの問題は十分協議しよう。こういうことを申しておりますので、お話のようなことも十分ひとつ両名の間で話し合いをしたい、かように考えております。
  183. 野原覺

    野原(覺)分科員 古井さんも灘尾さんもあなたと同じようなことを言ってきた。しかし私は小林さんは、比較してはなはだ恐縮でございますが、その人格に敬意を払って、ただいまの御発言を私も銘記しておきたいと思います。どうかひとつ。なお教育制度の問題は、文部省と慎重に御検討いただいてもらいたい。私いろいろ聞いてみますと、やはり若い人はそういう一つの資格を持つということにあこがれるわけです。三年間もいって看護学院で何かわからぬような養成で、それじゃ引きつけるところの魅力がございませんから、この問題もあわせてひとつ御検討願いたいと思います。  次に本格的な質問に入りたいと思います。私がこれからお尋ねしたいことは、厚生大国御承知だと思いますが、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第百七十九号というのが昭和三十年にできておるわけです。これは補助金に関する案件が、会計検査院から非常に不正な使用等があると指摘されましてつくった法律です。最近の厚生行政で、この適正化に関する法律の点からながめていきますと、きわめて遺憾な事件が起こっておるのであります。これは厚生大臣承知かどうか知りませんが、事件のいきさつを申し上げていく前に、お尋ねしながらその中身に触れていくべきではなかろうかと思いますので、これから質問をしたいと思います。  まず第一にお伺いしたいことは、昭和三十四年度におきまして、群馬県安中市の児童遊園地の建設に対して補助金を交付しております。その補助金を幾ら交付したか。これは事実だろうと思いますから、その額及びその補助金を交付するに至ったいきさつと、補助金額の交付の決定時期、それから交付の時期等について、まず事務当局からでけっこうですから、簡潔にひとつ御説明願いたい。
  184. 黒木利克

    ○黒木政府委員 児童遊園に対する補助金は、昭和三十三年度から初めて実施いたしておるのでありますが、群馬県はじめ各県の申請に基づきまして、厚生省で選定をいたしまして、県に対して三分の一補助金を出しておるのであります。三十四年度の児童遊園の国の補助額は十六万六千円でございます。この申請及び交付の決定の時期等は、いま資料がございませんから、後刻取り寄せてお答えを申し上げます。
  185. 野原覺

    野原(覺)分科員 十六万六千円の補助金を国が出し、県が十六万六千円、安中市が十六万八千円負担いたしまして、五十万円の予算でこの遊園地ができ上がったのです。ところがこのでき上がった遊園地について、たいへんな問題が起こってきた。それは、昭和三十五年の二月に前橋地方裁判所から譲渡、売買、質権、抵当権、賃借権の設定、その他一切の処分禁止の仮処分命令がこの土地については出されておるのです。このことも御承知であるかどうか承りたい。
  186. 黒木利克

    ○黒木政府委員 安中の児童遊園地の問題につきましては、当時は申請の書類に、敷地の問題については要求をしていなかったのでございます。当然こういうふうに市の当局が設置するものということで、補助金を出したのでありますが、その後土地の所有者と市の当局の間にトラブルがありまして、今日に至っておることは承知いたしております。
  187. 野原覺

    野原(覺)分科員 そうなりますと、遊山地ということは、その遊園地の道具だけにあなたのほうがお金を出したにしても、土地があって遊園地が成立するわけですから、その土地が係争の土地であるかどうかということについての調査をしないで、十六万六千円の令を出すということは、いかがなものかと私は思いますが、大臣いかがですか。
  188. 小林武治

    小林国務大臣 それは当然土地の問題、敷地の問題というものは、精査した上で出すべきで、おそらく当時――私事情存じませんが、申請者が、公有地か何か、要するに敷地がある、したがって施設だけ、こういうようなことで出されたんじゃないかと私は想像いたしますが、だからその敷地については当然役所としても確かむべきであると思います。
  189. 野原覺

    野原(覺)分科員 確かむべきであったにかかわらず確かめないで、あなたは金を出したわけですか。
  190. 黒木利克

    ○黒木政府委員 当時の申請の要領を見ますと、敷地の問題につきましては、これは公共団体に対する補助でございますから、当然公共団体の所有の地に建てるものという前提で補助をいたしておったのであります。しかし御指摘のような安中の問題が起こりましたから、昭和三十五年以後は、申請をする場合に、この書類に敷地の所有がだれのものか、あるいは私人の所有である場合は、賃貸借の契約書の写しを要求するようにいたしております。
  191. 野原覺

    野原(覺)分科員 厚生大臣にお尋ねしたいことは、これは予算の執行適正化に関する法律に違反してないかと私は率直に思うのです。予算の執行適正化法によりますと、こう書いてある。補助金は国民の血税でまかなわれるので、各省各庁の長は、法令及び予算の定めるところに従い、公正かつ効率的に使用されるようにつとめなければならないとなっておる。これはこの法律の趣旨です。したがって、各省各庁の長は、補助金等の交付の申請があったときは、当該申請にかかる書類等を審査し、必要に応じ、現地調査等を行ない、要するに慎重にして十分な調査を行なった上、補助金交付の決定をしなければならない、こうなっておるのです。第六条です。ところがその十六万六千円の金をやった安中の児童遊園の土地は、係争の土地だったんです。それは非常にもめてきておった土地なんです。しかも市が敗訴したのです、前橋地方裁判所の第一審で。それでいま市は控訴いたしております。控訴いたしておりますけれども、勝てる見込みはどうもないんですね。そういう土地に十六万六千円の金、幾ら少額といえどもこれは国民の血税だ。これに厚生省が金をやるということば、執行適正化法の違反だと私は思うのです。大臣は、どう考えますか。
  192. 小林武治

    小林国務大臣 これはもう少なくとも非常に粗漏であった、こう言わざるを得ないと思います。
  193. 野原覺

    野原(覺)分科員 粗漏であったとすれば、これの救済を今後どうされますか。粗漏であったということをあなたはここでお認めになったんだが、どうしてその粗漏の救済を、対策を今後立てていきますか。
  194. 小林武治

    小林国務大臣 私は実ばうかつでいまその話を初めてお聞きするので、そういうことがあれば私どもで相談をいたして、またお答えをいたします。
  195. 野原覺

    野原(覺)分科員 相談されて善処されるということですが、これは適正化法を大臣もよく見ていただきたいのです。第十七条にこうあるのです。「各省各庁の長は、補助事業者等が、補助金等の他の用途への使用をし、その他補助事業等に関して補助金等の交付の決定の内容又はこれに附した条件その他法令又はこれに基く各省各庁の長の処分に違反したときは、補助金等の交付の決定の全部又は一部を取り消すことができる。」この十七条によって、この十六万六千円の補助金は、これは当然取り消されなければならない。こう思いますが、どうでしょう。
  196. 小林武治

    小林国務大臣 いま申すように、私はいまこの事実を知ったのでありますから、至急実情を調査して、そしてまたしかるべきときにひとつお答えを申します。
  197. 野原覺

    野原(覺)分科員 実情を調査されてしかるべきときにお答えということであれば、その時期まで私も行たなければならぬかと思うのですが、これはひとつ、ぜひ調査してもらいたい。  なお、第十九条にはこうある。返還金には、補助金等の受領の日から納付の日までの日数に応ずる加算金日歩三銭を、また納期日を過ぎたときは、納期日の翌日から納付までの日数に応ずる延滞金日歩三銭を原則としてつけて納付することになっている。これは安中市が利子をつけて政府に払わなければならぬです。これはぜひ取り返してもらわないと困ります。私はきょうはおそらく小林大臣が調査しなければならぬということだろうと思いましたから、大蔵省の出席はあえて私は要求しなかったのです。大蔵省がこの責任省でございますから、当然大蔵省としては取り返すことを要求をする。会計検査院もそうだろうと思います。なお、罰則がありまして、その罰則の規定もここで出てくるわけです。だから、こういうこともひとつお考えになられて、予算分科会の終わった最も近い機会に、早急に厚生委員会に出席をしまして、これに対して、粗漏であったことのしりぬぐいを厚生省は一体どうなさるかということについてお伺いをしなければならぬかと思うのです。  そこで最後に、同僚の古川委員から御質問のあった厚生年金会館の問題です。引く手あまたで、この種の会館はあちらこちらから引っぱり合いが厚生省にきておるということですが、これはいま大臣はできるだけ古川委員質問の趣旨に沿うという御答弁でございましたから、あえてお伺いする必要はなかろうと思いますけれども、二十数億円の予算を立ててこの年金会舘ができる。国がこの年金会館を建てる趣旨というものは、やはり厚生年金会館としての利用度が高くなければならぬ。利用度の問題。それから、これはおそらく独立会計でやられましょうから、今後の年金会館の運営の採算上の問題。こういう点についての見通しを立てて、この年金会館はどこかに設定されなければならぬものだろうと私は思うのです。この基本方針が明確に堅持されておるかどうか、これをお伺いしておきたい。
  198. 小林武治

    小林国務大臣 これは、いまの採算の問題、あるいは立地条件の問題、いろいろの要素がありますので、そういう諸要素を総合的に考えてきめたいということで、いま検討をしておる、こういう最中であります。
  199. 野原覺

    野原(覺)分科員 事務当局は非常にまじめに考えておられるように私は仄聞しておる。ところが、大臣が御承知のように、こういう会館はいわゆる政治家と称する者が中に介在しまして、自分の選挙区に引っぱっていこうじゃないか、こういう動きをやるわけですね。これはもう事実なんです。そして某議員の背後にはだれがついておるということで、胸をたたいておれにまかしておけといったようなデマ、これはデマであろうと思うけれども、流れるわけです。そういうことになると、この厚生年金の会館の趣旨からいって、いかがわしいところに、利用度もあまり高くない、それから採算の点についても十分とれない、そういうようなところに年金会館が建てられるという事態がもしあるとするならば、私どもは断じて承服できない。このことをどうか大臣は十分お考えの上にすみやかに決定してもらいたい。この年金会館の結論はいつおきめになるのですか。
  200. 小林武治

    小林国務大臣 これは三十八年度予算でございますので、できるだけ三十八年度内にきめたいとこういうふうに考えております。
  201. 野原覺

    野原(覺)分科員 以上で終わります。
  202. 相川勝六

    相川主査 田口誠治君。  田口君に申し上げます。時間は三十分程度にお願いいたします。
  203. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それでは時間もございませんので、単刀直入にお聞きして、またお答えのほうもそのようにお願いをいたしたいと思います。  厚生年金が昭和十六年に法律化されて、十七年から実施されて、今日まで何回か改正がされてまいりましたが、現在の状態では給付率というものが、各種年金に比較してきわめて低い。この点は昨年、一昨年、これは社会労働委員会においても、また予算委員会においても指摘をして、厚生省に善処方をお願いしてあったところでございますが、幸い今年が五年目ごとにたなおろしをするという年金制度でございますこの当たり年になっておりまするので、今年は改正案が出るはずでございます。したがって大体厚生省の考えておられる改正案の内容を仄聞してみまするに、確かに給付率は現在よりもどれだけかは高くなっておりまするけれども、改悪される面があるわけです。したがってあくまでも改善の方向に向かって改正案を出してもらいたいという考え方で、ひとつ質問をいたしたいと思います。  現在保険の総掛け金は、基金のほうにどれくらいたまっておりますか。
  204. 山本正淑

    ○山本(正)政府委員 厚生年金の積み立て金の現在高の御質問だと思います。三十八年度の集計はまだ先でございますが、三十七年度末で約七千百億でございます。三十八年年末では約八千億くらい、かように存じております。
  205. 田口誠治

    田口(誠)分科員 一兆円くらいあるのじゃないですか。
  206. 山本正淑

    ○山本(正)政府委員 まだ一兆円に達しておりませんが、おそらく四十年になると一兆円になるかと存じます。
  207. 田口誠治

    田口(誠)分科員 私も勘でございますけれども、一昨年の質問で聞きただした積み立て金の額と、それから自然増収の分と、それから三十四年の改正で等級のワクを広げたいということから、掛け金の自然増収がありまして、そういうことから比較をすると、昭和三十九年一ぱいいけば、一兆円というような予想でおるのですが、大体そんなものでしょう。
  208. 山本正淑

    ○山本(正)政府委員 大体昭和三十九年度末にはそのくらいになると思います。
  209. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そうなりますると、今度厚生省のほうで準備されておられる案を仄聞いたしますと、現在の一級最低三千円、二十等級最高三万六千円を、最低を七千円に引き上げて、最高を二十三等級にして六万円というように改正されるようでありますし、なお掛け金が第一種の一般男子の場合には、これは千分の三十というのが六十と倍になるわけです。それで給付金はどれだけか上がりますけれども、こういう改悪になるということになりますと――掛け金が高くなるということは、結局改悪という解釈から申し上げるのですが、被保険者としては非常に困るわけです。私はこの厚生年金の関係は、昭和二十九年のあの大改正のときに、社会福祉関係の協議会の中で一案をつくった一人でございますが、それでこれからずっとこの厚生年金の関係は年々私なりにやってきておりますけれども、三十九年一ぱいで一兆円という積み立て金になる。そして今度給付金を厚生省のお考え方では、いまの月二千円というのを五千円というように引き上げられて、そしてその他扶養家族に対する分も若干上がっておりますが、そういうような点をずっと私なりに計算をしてみますに、一兆円持っておって、そして今度最低を七千円に上げて、最高の三万六千円を六万円に引き上げるということになりますれば、掛け金をこのように引き上げなくとも、私は保険の財政はまかなえるというように判断をするわけですが、そういう点についてはもうこれは動かないものかどうか、この点をひとつ伺いたい。
  210. 山本正淑

    ○山本(正)政府委員 今回考えております厚生年金の改正につきましては、現在労使、公益委員、それぞれで構成されております審議会で御相談を願っておる段階でございます。まだしばらくいろいろと御意見を伺って、意見の調整をはかっていきたい、かように考えております。そしてその結果によりまして、最終的な法律改正案として、国会の御審議をお願いするという段取りになろうと思います。いま保険料率の問題が出ましたが、御承知のように現在千分の三十五というのが一般男子の保険料率でございまして、この点も御承知のように、現在厚生年金につきましては、制度ができました当初におきましては、所要の保険料率を完全に一〇〇%を取ったわけでございますが、戦後のインフレ時期の対処といたしまして、暫定料率として所要の保険料率を全部一〇〇%取らないということで、暫定的措置を講じてまいりまして、昭和二十九年度の改正及び三十四年度の改正におきましても、同じように暫定料率というたてまえをとってまいったわけでございます。今回、少なくとも従来の年金の倍以上になるように改正をいたしたいという基本的な線を持っておりまして、そういたしますと保険料率としては相当上がるわけでございます。現に、御承知のように各種共済制度等におきましては、千分の九十前後の保険料率をかけておるわけでございまして、厚生年金も給付の内容を各種共済制度に近づけてまいりますと、保険料率もおのずからたくさん取らなければならないという結果に相なるわけでございますが、いまお話がございましたような暫定料率という考え方、完全積み立てを最初からとらないということで考えておりますので、今回の改正におきましても、相当給付が上がるのだから、相当程度上げてもらわなければならない、しかし一気に所要の保険料率を全部取るということにはいかない、こういうような方針で処理いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  211. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それでまだ審議会で検討する段階であるから、固定したものではないということでございまするので、いまの私どもの聞いておりまする内容は、これは若干変えていただけるものと信じまするが、率直に申し上げまして最低の三千円というのは、まあどんな小さな中小企業でも三千円という一ヵ月の収入というものはないのですから、これを七千円が妥当か云々ということについては疑問がございますけれども、そこまでは若干やってもよろしゅうございますし、それから多く取る人から取るということについては、これはあまり労働者としては反対はしないと思うのです。ただ掛け金の料率を引き上げるということについては、これは労働者も経営者もともに、この点には相当抵抗があるわけであります。したがって私は、いまの二十等級を二十三等級にされて、底上げを若干され、最高を引き上げられるという面については、まだまだ了解できる面がありまするけれども、掛け金の料率を上げるということについては、これは全く反対をしたいと思うのです。御承知のとおり昭和三十四年でしたか、改正のときには、料率を結局上げましたね。料率を上げて、今度は計算するところの率を若干上げたけれども、あるいは計算をしてみますると、一年に二千円かそこら給付金が高くなるだけで、結局掛け金が高くなっただけ改悪になったということで、私どもは三十四年の改正というものは改悪というように判断をしておるのであって、そういうことであってはならないと思いますので、私強くここで、時間もございませんが、要望をしておきたいと思いますることは、まあ掛け金の引き上げということは考えないでおいていただきたいということです。  それから老齢年金の給付年限を六十五歳にするということ、これは現在の六十歳を五十五歳にしてもらいたいという要求が強くあるところへもってきて、六十五歳にするというような――六十五歳、違いますか。違えば回答してもらえばよろしい。その点回答してください。
  212. 山本正淑

    ○山本(正)政府委員 御承知のように、支給開始年齢は、法律上六十歳になっておりまして、現在それは二十九年から二十ヵ年間にそれを六十歳に達するということで、現在暫定的に、ことしは五十七歳という支給開始年齢になっております。この点は今回は変えるところではございません。
  213. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そうすると今度の改正では、給付開始年齢は変えないということですね。  それからスライドの関係で、ございますが、スライドの関係は、昭和三十八年度の消費者物価が基準になるということでございまするが、これは物価の下がった場合にはどういうことになりますか。
  214. 山本正淑

    ○山本(正)政府委員 スライド制につきましては、非常に扱いのむずかしい問題でございまして、理論的にはいろいろの説があるわけでございますが、厚生年金の年金額についてスライドということを考えろということは、制度審議会の勧告、そういったものにも出ておりますが、この扱いはここでくどくど申し上げませんけれども、非常にむずかしい問題を含んでおりまして、どういった扱いをするかということにつきましては、なお審議会の意見等も聞いておりますので、今日ここでこうしたいというきまった考え方は持っておりませんので、御了承願いたいと思います。
  215. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そこで、これは私のほうから若干希望的な意見で質問になるわけでございまするが、今度改正をされたものは、今年改正になれば来年の五月一日実施ということですが、今度は四月一日ですか、一月一日ですか、どういうことになりますか、来年の場合。
  216. 山本正淑

    ○山本(正)政府委員 現在の段階といたしましては、改正法は各般の項目にわたると思いまして、あるいは項目によりましては早い時期に実施できるものもあると思いますが、基本的な事項につきましては、四十年の五月一日から実施というふうに考えております。
  217. 田口誠治

    田口(誠)分科員 まだあと質問する項がございますので、まあ要望だけ申し上げておきます。私のほうは、基本金額を月に一万円にしてほしいということです。あなたのほうは今度は、あの構想されておるのは五千円になるのですね。二千円が五千円になるのですね。それを一万円にしてほしいということです。それというのは、大体最低生活のできる保障ということも含めて、いまの生活保護の基準というようなものも勘案して考えてみますると、基本金額は一万円、そうしてあと、これは平均がございますが、含めたもので一万円未満、こういうことが要望でございまするし、それから掛け金を上げてもらっては困るということ、ただワクは、底上げば七千円が妥当かどうかということは私は言いませんけれども、若干上げてもらってもこれはやむを得ないし、それから最高の三万六千円、二十等級を二十三等級に上げてもらうことも、この点もそう異論はないと思いますが、いずれにいたしましてもこの点については、労使ともに相当に抵抗のあるものでありますから、審議会のほうも十分にそういう点も勘案して検討していただいて、私どもの、また労働者の要望にこたえるように、ひとつ厚生省のほうで善処方をお願いしたい。この点をお願いして、局長は何か御用があるようでございますので、これでこの項に対して質問は打ち切りたいと思います。  それから次は、精薄児の対策の関係で御質問したいと思いますが、回答者はお見えになっておりますね。――ことしの予算を見ますると、厚生省の予算の中に、重度精神薄弱児扶養手当として一億六千五百十四万九千円というのが、新規予算の中に予算化されておるわけなんです。それで重度精薄児というのは、これはどういう程度の人なんですか。
  218. 黒木利克

    ○黒木政府委員 実はまだ具体的に判定の基準が確定いたしておりませんが、十名の専門の先生方にお集まりを願いまして検討していただきました判定基準というのがございますが、現在のところは、知能指数二五以下の白痴と知能指数三五以下の重症痴愚、しかしただ知能指数だけでも判定がむずかしいものですから――知能指数というのは御承知のように、何らかの能力がある、プラス面の能力をはかる指標でございますが、今度は逆にマイナス面の、日常生活その他においてマイナス面のいろいろな指標から、社会生活の観点からいっていろいろなハンディがある。そのハンディをいろいろな指標で一つのプロフィールというものをつくりまして、このワクの中で、これは五十くらいワクがあるのですが、五十のワクの中で二十のワクに該当するような症状であれば、重度と見たらよかろうというようなことで、現在詳細なものを策定中でございます。
  219. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そうするとこれは三十九年の九月からということで、二十歳未満の重度精薄児を対象にして、低所得者の児童一人について千円の扶養手当、こういうことになっておりまするが、この低所得者というのは所得幾ら以下ですか。
  220. 黒木利克

    ○黒木政府委員 実はこの重度精神薄弱児の手当関係は、御承知のように国民年金法の今回の改善で、重度の精神病あるいは重度の肢体不自由児がこの年金の対象になりましたが、精薄児なり精薄者につきましては今回は保険事故にそぐわないというので、国民年金の今度の関係からは除外されたのであります。それで除外されましたそういうような精神薄弱児を、新しいこういう立法によって該当しておる人に対して費用を出そうということになったものですから、従来の国民年金なり児童扶養手当の所得制限の例にならったのであります。これによりますと純収入が年間十八万以下ということになります。これは税法に基づきましての純収入でありますから、必要経費等を加えますと大体年間二十三万から四万くらいの所得以下の人を対象にするということに相なります。
  221. 田口誠治

    田口(誠)分科員 その対象者が三万七千ということですが、私この数字はちょっと少な過ぎると思うが、どうなんですか。年間二十三万以下の所得者で、そうしてただいまお話のありました基準を重度精神薄弱児として出した場合に、三万七千ではちょっと少な過ぎるのですが、この予算書に書いてある数字は、ちょっとミスプリントにはなっておりませんか。
  222. 黒木利克

    ○黒木政府委員 予算では三万七百人でございますが、この基礎は実は重度の精薄児が五万二千人くらいいるという推定であります。今回の制度によりますと、収容施設に入っておる者及び公的年金をもらっておる者は差し引きますから、四万七千人くらいになる。そこで所得制限をいたしました場合に、農業世帯におきましてはただいま申しました大体年間の総収入が二十三万四千円以下の者が、しかも精薄児を持っておる世帯というものが、私たちの推計では八三・二%でございます。事業世帯では四七・六%、こういうことでまいりまして、しかも実施率と申しますか、申請漏れその他いろいろ赤ん坊等でまだ判定がはっきりしないというような場合に、そういう面で実施率を考慮いたしまして三万七百人ぐらいを対象にいたしておるのでございます。
  223. 田口誠治

    田口(誠)分科員 結局今年扶養手当をつけるという予算を組んだことは、国民年金その他からはみ出た人があるから、それで厚生省のほうで重度精薄児扶養手当という名前で予算化をした、こういうことなんですね。
  224. 黒木利克

    ○黒木政府委員 直接の動機がそういうことからスタートいたしておるのでありますが、こういうような子供たちを施設で保護するか、あるいは在宅で指導して保護するか、いろいろなやり方があるわけでありますが、世界各国を見ましてもまちまちなやり方で統一したやり方をやっておりません。しかし収容保護にも限度がございますし、かつ収容保護されておる児童と在宅による児童とのいろいろな均衡の問題等もございまして、とりあえずこういうような試みをしてみようというわけでございます。
  225. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それでは昨年この精薄児対策について予算委員会で質問をし、強い要請をし、政府のほうでも考慮をすると約されて、そうしてその後官房長官の談話でこの精薄児対策というものが出されたりして、精薄児を持った父兄は大きな期待をしておるわけです。それで予算書を見たときに、まずこれだけは厚生省のほうでも今年は思い切って予算を取ってくれた、こういうように私は思ったのですけれども、ただいまの質問から聞きますと、いままで国民年金その他の面で手当をしておったものが除外をされたので、しかたがないから厚生省の精薄児扶養手当という形で予算を組んだのだ、こういうことですから、あまりこれは実際はありがたいことがない。そこで大臣、意見があったらひとつ。
  226. 小林武治

    小林国務大臣 これはいま精薄者に対する国の施策というものが非常に薄かった、こういうことでこれを持っておられる家庭のことを考えて、私は精薄者が従来年金ももらえない、こういう状態はこのままではおけないということで、特にこの案を出したわけでありまして、ことしの案はわれわれにとっては非常に不満足な案であります。しかし何分にも初めての施策としてこれが出発したということで、これが誕生するかせぬかということは、非常な大きな問題に政府部内でもなったのでありまして、何とかしてとにかく誕生させたい、こういうことでいろいろの話し合いの結果、この程度にとどめた。しかしこれも年間に直せば来年はすぐに五億円にもなる。しかしていまのような年齢制限というものも撤廃すべき問題である、こういうことを今後の問題として私は考えておるのでありまして、これはまず第一歩を踏み出した。しかしてこれから十分この問題は補完をして、拡充をしていかなければならぬ問題である。こういうことで初めてのこととしてきわめて不満足な状態であるが、これを誕生せしめた、こういうふうにひとつ御了解願いたいと思います。
  227. 田口誠治

    田口(誠)分科員 その点はわかりましたが、所得制限をしたということについては賛否両論があるわけなんですが、この点についてはどういうように大臣、お考えですか。
  228. 小林武治

    小林国務大臣 これは他のいろいろの年金あるいは手当てとの関連上、やむを得ずこういうことをいたしたのであるが、この点も私はきわめて遺憾に存じておりまして、何かの機会にこういうことを直したいと厚生省としては考えております、こういうことでございます。
  229. 田口誠治

    田口(誠)分科員 お考え方としては、将来はワクをはずしたいということなんですね。
  230. 小林武治

    小林国務大臣 そうです。
  231. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そこで現在、現在というても三十八年度末になるか、七年度数字になるかわかりませんけれども、一番近い年度数字で、いわゆる精薄児の員数というのはどのくらいおりますか。これは精薄児だから何歳までということも……。
  232. 黒木利克

    ○黒木政府委員 実はいろいろな調査もやっておりますけれども、全国的な調査はまだやっておりませんから、残念ながら推定の域を出ませんが、昭和三十八年現在で約九十八万人ぐらいと推定をされております。
  233. 田口誠治

    田口(誠)分科員 これはいわゆるいまの満歳でいくと零歳になるか一歳になるか、一歳から何歳までですか。
  234. 黒木利克

    ○黒木政府委員 十八歳までです。
  235. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そこで九十八万人精薄児のある中で、義務教育の該当年齢の数はどんなものでございますか。
  236. 黒木利克

    ○黒木政府委員 ちょっと数字を持っておりませんから、あとで計算をして差し上げることにいたしたいと思います。
  237. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そこで厚生大臣にお伺いいたしたいと思いますのは、これは憲法でも明確に保障されておりまするように、また日本の義務教育という面からいきましても、満六歳になれば新制中学の年齢までは義務教育として教育を受けられる権利があり、また受けさせる義務がある、こういうことなんですが、たまたま精薄児というのは能力の関係から、教育をしようと思ってもできない重度な人はあります。ありますが、軽度な人に対しては養護教育なり特殊教育なりを行なっておるのですが、この養護教育なり特殊教育を行なっておる員数というのが、きわめて少ないわけなんです。これは全国で三が人くらいでしょう。たぶん三万人くらいだと思います。したがって私は国民の権利義務という面からいって、いままでは精薄児というものをあまりにも置きざりにし過ぎておったのではないか、冷やめし扱いをして中ったのではないか、こういうように考えますので、公平の原則に立ってやれば、精薄児は精薄児としての施設をつくり、能力に応じた教育を行ない、能力に応じた職業訓練を行なって、そうしてできるなれば社会人としてどれだけでも作業の上において、日本の経済発展にも寄与できるような、こういう政治を行なわなければならない性格のものであるというように考えておるのですが、こういう点についての大胆のお考え方を承りたいと思います。
  238. 小林武治

    小林国務大臣 これはお話のとおりでありまして、全国に特殊学級あるいは養護学級というものを設けて相当やっておりますが、しかし全体の数からいたしますればきわめて微々たるものだ、能力に応じて教育を授くべきものだ、こういうことは当然御意見のとおりであると思いまして、そういう方向に向かってこれから前進していかなければならぬ。これは教育そのものが、学校そのものになれば文部省の所管になりますが、文部大臣にもそのことを強く申し入れて、養護学級の増加ということをお願いをいたしておるのでございます。それでこれらの方々にも職業教育あるいはリハビリテーションの教育を施して、少しでも社会活動の中に入ってもらう、そういうことは非常に六軒なことでありますが、ただ私どもは日本人として身体障害者に対しましても、あるいは精薄者に対しても、その関係の観たちの考え方、また世間の考え方を相当に変えなければ、住みよい社会ができない。こういうことで私は外国のこれらに関する人たちの気持ちの待ち方と日本の持ち方が、非常に変わっておる、日本はこの点は非常に反省をして直さなければならぬ、こういうふうに思って、いろいろの機会にもそういうことを私は申しておるのでありまして、精薄等に関してもややともすればまだ世間でこれを隠したがる、こういうふうな傾向があるわけであります。実は先年身体障害者の年金を支給することになりましたが、その際にもほとんど調査がなかったわけで、あの年金の制度ができたら、山の中からもみんな障害者を連れて出てきて、そして登録を受けて年金を受けた、こういうふうな事例があるのでありまして、今度の制度ができますれば、精薄者関係についてもある程度的確な、また結果的に調査ができるであろう、こういうふうに考えておりまして、こういう実態をつかんで初めていい施策ができると思うのでございますが、今度の制度自体はそれらの実態調査の上にも役立つ、そしてその結果としてそれに適応した対策がとれるのではないか、こういうふうに思っております。なお私どもこの問題は、ことしようやく取り上げてここまで持ってまいったのでありますが、これらの対策も非常に不均衡があるのでありまして、たとえば身体障害者につきましても二十歳になれば年金はもらえるが、身体障害児というものはいまだに年金も手当てももらっていない。また一方精薄者もせっかく今度制度を設けたが、これは未成年者だけにしかやれない、二十歳を過ぎれば精薄者は年金ももらえないし、またこの手当てももらえない。この二つの非常に不均衡な問題があるので、私どもは非常に残念に思って、できるだけ早い機会にこういうような目に見えた、だれが見ても不適当な扱いというものは、廃止をしなければならないと考えておるのであります。
  239. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そこでただいま局長のほうから数字で御答弁のありました内容とは、文部省の集計はやや違っておりますが、昭和三十八年の五月の集計だと思いますが、全国の特殊児童生徒数が小中学校の全児童数の六%強に当たって、百六万八千余人という数字が出ております。これには身体の不自由な者もあれば、病弱児のような者、病弱児の中には盲ろうというような人たちも入っておりますので、いわゆる脳に故障のある精薄児は、この文部省の調査では七十三万九千人の児童生徒数という計算になっております。  そこでこれは昨年私が質問で聞いた範囲では、特殊学級なり、あるいは養護学級なり、その他の施設に入っておる人が、約三万人ということでびっくりしたわけです。したがって実際に地元へ行ってそうした子供さんを持っておる親御さんにいろいろ聞いてみますれば、子供を特殊学級なり養護学級で勉強させたいと思っても、ずいぶん遠いところまで連れていかなければ勉強させられない。送り迎えもたいへんだというようなことであるわけです。したがってそれはどういうことかといえば、一つの市に四十も四十五も学校があっても、そういう教べんをとっている学校はわずか数校、こういうことになりますから、相当広い範囲からそこへ子供さんを寄せなければならないことになるわけです。したがってやはり各小学校には特殊教育を受けさせる程度の教室は必ず設けて、特殊教育を受ける意思のある人は、全部入校させるような施設を早くつくってもらわなければならないのではないかと考えておりますし、昨年の質問に対しましては、昭和四十五年には三万以上の市町村には義務的に施設をつくる計画を立てておるから、年次計画としてそういうものをやっていきたい、こういう答弁なんです。そうすると一年たちましたからどれだけかふえている道理ですが、この計画に基づいて実際にどういうような施設をなされたか、その点もひとつ承っておきたいし、今後の計画をも含めて御答弁があればけっこうだと思います。
  240. 黒木利克

    ○黒木政府委員 教育可能な者を学校等で教育をしますのは文部省の所管になっておりますが、お説のように文部省のほうでは昭和四十五年までには少なくとも義務教育の対象になる精薄児に対しては手を打ちたいということで、着々実施をされているようであります。私のほうはこういうような文部省の対象になる児童以外の者を対象にするわけでありますが、特に最近では軽い精薄児につきましては、むしろ在宅のまま、両親のもとでめんどうを見るのが一番いいのだということになっておりますから、私のほうでは在宅指導を強化してまいりたいということで、精薄児の親の会に対して明年度は、四百六十四万円の補助金を出しまして、短波放送を通じまして在宅指導を強化してまいりたい、あるいは相談、助言のサービスを強化してまいりたいと考えております。  なおその他の厚生省、特に児童局の関係の精薄児対策の施策につきましては、三十八年度総額が十三億二千万円であったのですが、来年度は二十三億九千万円、約十億円程度の大幅な増額を見ておるのでございます。先生の昨年の御質問のような処遇の内容の改善あるいは職員の増員、職員の待遇改善、あるいは施設を新しくつくってまいる、それも先生のお説のように訓練可能な者は訓練をする、職業指導をするというようなこと、それから先ほど大臣が申されました重度の者に対して手当を出す。それからこの職員の確保が何よりも大切でございますから、国立の精薄施設に精薄の指導員の養成機関を設けまして、これも来年度より発足する予定になっております。
  241. 田口誠治

    田口(誠)分科員 ただいまの御答弁どおり今年は予算化をしていただいて保母の定員増、また保母の待遇改善ということを見てもらっておりまして、その点については非常に敬意を表するわけでありまするが、何分にも実際に精薄児の施設へ行ってみますると、園児の場合は七名に一名を六名に一名の割りにしていただいたり、通園の場合は三十名に一名の先生に対して三十名に二名にしていただいたりして、改善をしていただいておりまするけれども、これはまだまだ満足な数字ではございません。実際に向こうへ行ってみますると、きたない話でございまするけれども、小便をすることまで先生が連れていって、そうして先生みずから小便をして子供さんに教える、そういうことから手をとって教えていっておりまするが、これが一年、二年とたちますると、見違えるようになるわけなんです。だから、私はこの定員増また保母さんの待遇改善等をやっていただいたことについては敬意は表しますけれども、まだまだこの点は十分とは言えませんので、今後とも公務員のベースアップ等を考慮に入れていただきまして、こういう点に対してもお力添えをいただきたい、かようにお願いをしておくわけでございます。  それから実際に学園へ行ってみますると、看護婦さんと栄養士、こういう者が必要なんです。ところがこれがおりませんのですが、こういうものについて将来を含めてどういうようなお考えなんですか。
  242. 黒木利克

    ○黒木政府委員 実はこういう職員の必要な数あるいは職種につきましては、中央児童福祉審議会で各施設ごとの答申をいただいておるのであります。最低基準と申しておりますが……。それを年次計画で改正をしたいというので、今年はその初年度として認められたわけでございまして、この答申の線に沿いまして努力をいたしたいと思っております。
  243. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そこで、先ほどのような経過をたどって、強度な精薄児に対しては扶養手当というものを予算化していただいたのですが、ある時期になりますると、職業指導をやらなくちゃならないのですね。この職業指導に対するところの予算というものは、まだ三十九年度予算の中には入っておらないのですが、これはどういうものですか。
  244. 黒木利克

    ○黒木政府委員 職業指導をする施設につきましては、二ヵ年計画で職業指導員を増員するという予算が入っております。なお児童福祉施設の整備費の補助金が、今度は社会局と一本にして二十数億いただいておるわけでございますが、その中で精神薄弱児の収容施設の職業訓練なりあるいは指導の設備費あるいは訓練、授産の設備費につきましては、優先的に補助金を交付する考えでおります。
  245. 田口誠治

    田口(誠)分科員 私、ちょっと予算書の内容を見落としたかもわかりませんが、職業指導関係についての予算はないように思いましたので、いまのような御質問をしたのですが、二ヵ年計画で一名ずつ、この経費というものはどの程度の国の補助率になっておりますか。一般の職員と同じでありますか。
  246. 黒木利克

    ○黒木政府委員 補助率はこれは措置費の中で見ますから、国が八割負担するわけでございます。
  247. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そこで職業指導の面についてもお考えをいただいておりまするが、二ヵ年計画で一名増ということでございますが、これは施設の規模によっても相違があろうと思いますけれども、大体の基準を設けていただいて職業指導員を配置してもらいたいし、それからこの一名ということはどの程度の基準かということはわかりませんけれども、私は岐阜でございますから、岐阜にある指導をしておるところへ行ってみまして、一人で何名の指導をできるかということになると、これはむずかしいわけなんです。もちろん厚生省としてはこういう点については、それぞれ現地の施設へ行って見ていただいたり、あるいはいろいろと意見を先生方から聞いたり、父兄から聞かれて、組まれると思いますけれども、この点が非常に重要だと思いますので、まだ一気にはいかないといたしましても、規模と年次計画で職業指導員のワクをふやしてもらって、こういう方面への御配慮もいただきたいと思います。  それから栄養士、看護婦という面については、これは先ほど答弁があまりはっきりしておらなかったのですが、設けるということなんですか。
  248. 黒木利克

    ○黒木政府委員 実は先生の御郷里の多治見の陶技学園が、精薄施設として職業指導あるいは庇護授産的な仕事を先べんをつけてやって、非常に成績を上げておられるのでありまして、こういう先例によりましてこういう職業指導員の予算要求をしたのでありますが、これは実情に応じまして職員の配分等を講じてまいりたいと思います。それから精神薄弱児の施設につきましては、今後重症あるいは重度の精神薄弱児もだんだん収容するようにしてまいりたい。したがいましてだんだん医療機関的な色彩を持ってまいりますから、当然看護婦を配置するように今後とも努力してまいりたいと思います。栄養士につきましては一応要求したのでございますが、わずか三十名程度の児童しか収容していないような小さな規模の施設にまで、栄養士を一人置くということはどうかというような意見がありまして、たとえば何カ所かその施設が集まって一人の栄養士ということならば、財務当局も認めてくれるというところまで話が煮詰まったのでございますが、なかなかこういうように共同で一人の職員を雇うということにつきましては、おいそれと準備ができませんために、一年児送ることにしたのでありますが、明年度以降についてば必ず置くように努力してまいりたいと思っております。
  249. 田口誠治

    田口(誠)分科員 その点はよくわかりました。  それから建築費の補助基準単価でございますが、これは木造の場合の坪当たり五万三千万円という見積もりで、補助単価が出されておると思うのです。現在の場合実際につくってみますと、ちょっとほど遠い面がございますが、これに対してのお考えを承りたいのであります。
  250. 黒木利克

    ○黒木政府委員 実は建物の償却費等の問題にからみ、特に建築費につきましては民間施設が非常に赤字の原因になって困っておるということにかんがみまして、明年度は坪単価を五万五千円にするということで、単価のアップを予算に計上しておる次第でございます。
  251. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そろそろ催促がございますので終わりたいと思いますが、いずれにいたしましてもいまの職員の補助率の引き上げということは、現在より増すということは相当むずかしいのです。これはなぜかと申しますと、いま主婦連の人たちが各市町村へ行きましていろいろと要求なんかをしておりますけれども、地方財政の関係もあったりいろいろして、思うような施設がつくってもらえぬというのが実態でございます。それから先ほど厚生大臣のほうからお話のありましたように、従来精薄児なんかをかかえておる親御さんが、さばけておらずに隠しておる、それを表へ出すことをいやがっておる、こういう時代はもう去年あたりからそろそろ過ぎてきまして、堂々と私の子供は精薄児だ、精薄児であるがために義務教育の年齢になっても、国のほうの恩恵は何らこうむっておらないのだというように、逆にこのごろはなってきておるわけです。そういうことですから、これは文部省が言っておる昭和四十五年に三万人以上の市町村に対しては義務的に施設を設ける云々については、これは三万人以上でなくともこういう施設は各市町村に設けまして、実際的に年齢がくれば、日本の田代は義務教育を受ける権利と受けさせる義務があるわけですから、たまたま精博児ということから、いままで置き去りになっておるという点について今後十分御配慮いただきまして、この方面の予算を、これは地方自治体との関係もございましょうし、もちろん文部省との関係がございますから、そういう関係省との連係をとっていただきまして、精薄児対策にもう少し力を入れていただきたいと思うのです。今年初めてのことだからと厚生大臣のほうはお話しになりましたけれども、率直に言ってこれは政府といえどもなかなか――厚生大臣は今度重度の精薄児に対しては扶養手当を千円ずつつけるのだという予算をこれだけ組んでおってもらえるし、今後こういう方面に相当力を入れてもらえるというので、予算書を見て期待いたしたのですが、先ほどお話のあったような経過があってつけたのではございますけれども、私が最後に希望申し上げておきたいことは、何度も繰り返すようでございますけれども、子供は精薄児であろうとあるまいと、満六歳になった場合には義務教育を受ける権利と義務のある年限に達するのだから、精薄児は精薄児としてそれ相当の対策を講じてもらう必要があると思いますので、その点も強く要望しておきたいと思います。  それではあと質問者もおいでになりましたので、これで質問を終わりたいと思いますが、くどく申し上げておきますけれども、来年もこの問題について政府としてどういうように関心を持って予算化され、どう対策されておるかということに関心を持って、御質問を申し上げるかもしれませんので、ひとつ最大の力を入れていただきたいと思います。これで質問を終わらせていただきます。
  252. 相川勝六

    相川主査 華山親義君。  兼山君に申し上げます。質問時間は二十分以内にとどめていただきたいと思います。
  253. 華山親義

    華山分科員 厚生省の所管事項について大臣にお伺いいたしますが、質問の内容は上水道のことでございます。大臣御存じかどうかわかりませんが、われわれの飲む水、水道の水には税金がかかっております。イギリスではゆりかごから墓場までという社会保障のことばがありますが、日本ではうぶ湯から墓にかける水まで税金がかかっている。そういうことを御存じですかどうかわかりませんが、そういう事例がわれわれのこまかな日常生活の至るところに広がっております。きょうは上水道のことについて伺うわけでございますが、なぜかかっているかと申しますと、電気ガス税というものがございます。この電気ガス税の電気税が上水道の圧力をかける電気にかかっているわけです。それだけであるならばまだ考えようがございますけれども、一面いろいろな大企業につきましては電気税の減税をしている。われわれ庶民の飲む水について税金がかかって、大企業のやるところのいろいろなことについて電気税がかかっていない。池田内閣は生産のためには一生懸命になるけれども、消費者を守る、そういう感じが薄いために、そういう問題が起こるのではないか。私はこの点につきまして、地方行政委員会でお聞きしたところが、局長は、そういう点は非常に矛盾があるので、今後そういうことのないように努力したい、こういうふうに言っておりますが、厚生大臣は消費者を保護する立場にある、そういう意味で、将来電気税というものについてこれを免除する、こういうお考えで努力していただけるかどうか、お聞きいたしたいと思います。
  254. 小林武治

    小林国務大臣 これは実は私も長いこと地方行政をやっておるのでありますが、いろいろの生産工業等につきましては、例外的の免税あるいは減税を行なってきたのでありますが、実はうかつな話でありますが、あまりこういう方面は強い要望がなかったために、見過ごされておったと思うのであります。お話のように、水に電気税をかけるということばあまり適当ではない、こういうふうに考えますので、これは自治省等にもお話し合いをしてみたい、かように私は考えております。どうも私もいま伺ってなるほどと思いましたが、前からそういう強い要望をわれわれ関係者はあまり聞かなかったものですから、そのまま見過ごされておるあやまちがあったと思います。
  255. 華山親義

    華山分科員 いまそちらのほうから、どうせ市町村税だから同じではないかというお話がありましたが、水道というものは水道としての別個の特別会計で、独立採算制をとっておるわけです。そういう意味で、どうせ市町村に入るのだから同じじゃないかという考え方はやめていただきたい。とにかく消防の水にまで税金がかかっているというふうなものの考え方をわれわれに抱かせないように、ひとつ御努力を願いたいと思います。  その次にもう一つ伺います。上水道のことでございますけれども、非常に水道の料金が違う。いなかに行けば行くほど導水管も長いし、それから水を分けるいろいろな管も長い、また水源地も遠いという方面で、非常に高くなっている。私の国等で申しますと、ある地域を一歩出まして農村に入ると、大体市の地域の七倍になっている、そういう事例があるのでございます。一体水程度のものは、国民が大体同じように飲んでいいのじゃないか。どういうわけでそういうふうになるかと申しますと、御承知のようにほかのものには大体公共料金としての一定の限度がある。工業用水につきましても一定の限度を持っている。電気につきましても、ガスにつきましても一定の限度があるけれども、水道というものには限度がない。市町村議会がきめれば、極端にいえば幾らでも上げられるということになるわけであります。こまかな問題ではありますけれども、きめこまかにするならば私はそういうふうなことは言えないのじゃないか、こういうふうに考えるのでございますけれども、厚生大臣は水道料金につきまして、全国一律にというわけにはいかなくとも、ある一定の限度を設定される御意思はございませんか。
  256. 小林武治

    小林国務大臣 御案内のように簡易水道は、政府が大幅な補助金を出してやっておる。したがってごく僻地においては、水は非常に安くなっております。普通の水道はいま補助金がありませんで、全部起債でまかなっておる、しかも水道が公営企業として独立採算を維持している、こういうことのために、最近おそくできればできるほど高い。古くから水道を引いておるところは非常に安い。最近になって布設されたものは非常に高いということでいろいろ問題が出てきておりますが、たてまえが独立採算で、しかも起債でやる、また工事費が非常に高くなった、こういうことでありまして、いまのように全国的に非常な不権衡を来たしておる。また大都市の増設等でありますれば古い施設と平均化される、こういうこともありますが、新規に布設されるものには古いものに均てんするという便宜もないということで、非常な不権衡を来たしておりまして、せっかくの水が全国的にばかに高い水と安い水があるということは適当でない、こういうふうに私は考えますが、これは制度自体をこの際検討をしなければ、お話のようなことはできないと思います。ただそういうふうな不合理を私どももいま感じております。独立採算制がそのままでいいのか、あるいは多少一般会計から補給すべきものであるか、いろいろな検討すべき問題があるので、お話のような妥当でない点は私どもも十分ひとつ相談をしてみたい、こういうふうに思います。
  257. 華山親義

    華山分科員 それは私は独立採算制ということにつきまして、無理があるのじゃないかと思うのです。先ほど申しましたとおり電気税のようなものをかけている点が一つ。それからまた大体償却資産と申しますと、水道の償却資産は六十年ないし五十年のものでございます。それに対しまして償還期間が十何年というような無理な償還をさせているが、そういう点に欠点もあるのじゃないかという点を私は考えるのでございますけれども、そういう点もありますし、それから補助金の問題もありますし、いろいろな問題がございますけれども、大体のレベルを考えて、市町村から出てきたところの水道料について、そのレベルに合わせるような金の貸し方をすべきじゃないか、私はそういうふうに考えますけれども、そういう方向で御検討願いたいと思いますが、いかがでございますか。
  258. 小林武治

    小林国務大臣 お話のような水道起債の償還期限を延期しろ、こういう非常に強い要望がありますが、ただ起債につきましては他との権衡がありまして、なかなか思うようにまいりませんが、私はいまの水道の償還期限は短か過ぎる、また利率等についても考慮の余地がある、こういうふうに考えておるのでありまして、他との権衡もありますが、水道などについては再考を要するのではないか、こういうふうに私は考えております。
  259. 華山親義

    華山分科員 他との権衡と申しますけれども、工業用水等については補助金等も非常に違っておりますよ。なぜ工業用水を重要視して、上水道を重要視しないのか。工業用水につきましては一定以上の水は売りません。それに合わせるような起債を許し、また補助金なりを出しておる。工業用水に補助金を出して、上水道に補助金が出ないというのは、どういうわけでございますか。
  260. 小林武治

    小林国務大臣 もとはおそらく水道にも補助金があったのではないか、こういうふうに私は思っておりますが、水道料金でもって大体まかなえる、こういうことで起債に全部かわってしまった、こういうふうに思っております。工業用水はまた生産上のいろいろな問題があって、そういうふうな制度ができておると思うのでありますが、いまの問題につきましても、たとえば簡易水道などはほとんど補助金でやっておる、またその他の環境衛生設備も相当な補助金が出ておる、こういうことでありまして、水道そのものがいつのときにいまのように全部が起債によることになったか、いま私はわきまえておりませんが、そういう前のこともひとつ考え合わせてみたい、かように考えております。
  261. 華山親義

    華山分科員 水道にどういうわけで補助金がつかないのか。簡易水道とおっしゃいますけれども、そのほうについていることは私は知っております。しかし上水道にはつかない。その結果一歩市を出ると七倍の水道料金になって、水道料が高いからなかなか普及しない、町村でも計画をしない、こういう結果になっておりますが、私は基本問題としまして、いわゆる文化国家といいますか、それであるならば、やはり水等はできるだけ早く普及しなければいけないと思います。ある程度の金で水が飲めるように、国民が平等の状態で水が飲めるようにする。水道料の高いところは貧乏人が多い。貧乏人は高い水を飲めという理論は私はどこにもないと思う。貧乏人も安い水が飲めるように、ひとつ今後徹底的に御努力を願いたいと思います。ほかにもありますが、きょうは水道だけで終わります。
  262. 相川勝六

    相川主査 以上をもちまして、昭和三十九年度一般会計予算及び昭和三十九年度特別会計予算中、厚生省所管に対する質疑は終了いたしました。  明二十日は午前十時より開会し、文部省所管に関する質疑に入ります。  本日はこれにて散会いたします。  午後三時十分散会