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1964-02-20 第46回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月二十日(木曜日)    午前十時五分開議  出席分科員    主査 稻葉  修君       井村 重雄君    今松 治郎君       重政 誠之君    西村 直己君       保科善四郎君    松澤 雄藏君       山本 勝市君    岡本 隆一君       勝澤 芳雄君    栗原 俊夫君       五島 虎雄君    堂森 芳夫君       中井徳次郎君    肥田 次郎君       堀  昌雄君    横山 利秋君    兼務 川俣 清音君 兼務 内海  清君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 綾部健太郎君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長) 佐藤 光夫君         厚生技官         (環境衛生局         長)      舘林 宣夫君         運輸政務次官  田邉 國男君         運輸事務官         (海運局長)  若狭 得治君         運輸技官         (港湾局長)  比田  正君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  向井 重郷君         運輸事務官         (自動車局長) 木村 睦男君         運輸事務官         (航空局長)  栃内 一彦君         気象庁長官   畠山 久尚君         建設技官         (河川局長)  畑谷 正実君  分科員外出席者         警  視  長         (警察庁交通局         交通指導課長) 片岡  誠君         警  視  長         (警察庁交通局         運転免許課長) 藤森 俊郎君         大蔵事務官         (主計官)   熊田淳一郎君         大蔵事務官         (主税局税制第         三課長)    宇佐美 勝君         大蔵事務官         (理財局資金課         長)      海堀 洋平君         農 林 技 官         (農地局参事         官)      永田 正董君         運輸事務官         (鉄道監督局民         営鉄道部長)  岡田 良一君         自治事務官         (財政局公営企         業課長)    近藤 隆之君         日本国有鉄道総         裁       石田 礼助君         日本国有鉄道副         総裁      磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     宮地健太郎君         日本国有鉄道常         務理事     柴田 元良君         日本国有鉄道常         務理事     河村  勝君         日本国有鉄道常         務理事     遠藤 鉄二君     ————————————— 二月二十日  分科員江崎真澄君及び五島虎雄委員辞任につ  き、その補欠として西村直己君及び岡本隆一君  が委員長指名分科員選任された。 同日  分科員西村直己君及び岡本隆一委員辞任につ  き、その補欠として江崎真澄君及び栗原俊夫君  が委員長指名分科員選任された。 同日  分科員栗原俊夫委員辞任につき、その補欠と  して肥田次郎君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員肥田次郎委員辞任につき、その補欠と  して勝澤芳雄君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員勝澤芳雄委員辞任につき、その補欠と  して横山利秋君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員横山利秋委員辞任につき、その補欠と  して堀昌雄君が委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  分科員堀昌雄委員辞任につき、その補欠とし  て五島虎雄君が委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  第二分科員内海清君及び第三分科員川俣清音君  が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十九年度一般会計予算運輸省所管  昭和三十九年度特別会計予算運輸省所管  昭和三十九年度政府関係機関予算運輸省所管      ————◇—————
  2. 稻葉修

    稻葉主査 これより会議を開きます。  これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  昭和三十九年度一般会計予算及び同特別会計予算運輸省所管並びに同政府関係機関予算中日本国有鉄道関係議題といたします。  昨日の川俣分科員質疑に関しまして、大蔵省当局より発言の申し出がありますので、この際これを許します。熊田主計官
  3. 熊田淳一郎

    熊田説明員 昨日の川俣清音先生の御質問の中に、東北開発会社に対する国鉄利用債の問題がございまして、これは二重投資であるという、大蔵省から出ておる企画庁の局長が言っておるというお話でございまして、これはどういうことかという御質問があったわけでございますが、私その事情を聞いておりませんので、昨日は即答をいたしかねたわけでございます。それで、きょうこれについて調べましたところを御説明させていただくと同時に、それに対する大蔵省——私は東北開発のほうをいたしておりませんので、担当の係と協議をいたしましたことを明らかにさせていただきたいと思います。  二重投資意味はやはりはっきりいたしませんが、東北開発株式会社政府から財政投融資をしておる特殊会社であるわけでございます。この政府から財政投融資をやっております特殊会社に対して財政投融資をした金が国鉄利用債の引き受けという形で回るということは、財政投融資が二重になるんじゃないか、こういう意味であろうと解するわけでございます。その意味での二重投資の是非ということ、これは確かに問題があろうかと思います。  それから昨日私は、一般論としましては地方債必ずしも悪くないということを申し上げたのでありますが、この東北開発国鉄との間の利用債という問題だけに限定をして考えますと、東北開発の現在の実情というようなものを考えた場合に、これは必ずしも、東北開発に対しても、また国鉄に対しても、両方に決してよい措置ではない。と申しますのは、まず国鉄に対して申しますと、むしろそういった持って回った投資をするよりは、直接に財政投融資をしたほうが金利が安くなる、国鉄はそれのほうが有利であるということ、一方東北開発の面から見ましても、現在の東北開発実情から申しますと、相当内容は困難な面がございまして、したがいましてこれを利用債に回すといたしましても、東北開発としてはたして採算がとれるかどうかという点には非常に問題がございます。そういうような点が、この東北開発国鉄との間の利用債という問題に限定をいたしますと、いろいろ問題がある。したがって、私ども事務当局としてはどうもこの問題は適当でない、こういうふうに考えるわけでございます。昨日は私一般論として申し上げましたが、こういうことでございますので、御了承いただきたいと思います。
  4. 中井徳次郎

    中井分科員 いま大蔵省の係員から、きのうの同僚委員質問に対する回答があったわけでありますが、肝心の川俣委員がきょう来ておりませんが、いまちょっと聞いたところによりますと、きのうの説明とだいぶ変わりまして、事務的な見解としてそれは不適当である——私も伺っておって、一応筋としては、両方とも、東北開発といい、国鉄当局といい、何らかの形において国の出先機関的な性格を多かれ少なかれ持っているわけです。そういう意味におきまして一応わからないわけではありませんけれども、そういうことを越えてなおかつ東北地方が非常に開発がおくれておるから、東北開発会社なんという毛のができておりますので、東京開発会社とか大阪開発会社なんというのはないのでありますから、私は、そういう地域的な特殊性というのを、いま事務当局の返事によっただけでも非常に強く感じます。したがいまして、ここで答弁を言いっぱなしにされましては同僚川俣委員も非常に困るだろうと思いますので、本日の午後にでも、あるいはこの分科会は二十六日まである予定でございますから、その途中におきましても、私、川俣委員によく連絡をいたしまして、あらためて大蔵当局のその問題に対する回答、また一問一答の形で行なっていただきたい、ぜひそうしてもらいたいと思います。非常に問題は小さいような問題で、きのうも伺っておりますと、何か敷地の借り賃が一万五千とかなんとかいうふうなものに関連しまして、地域的な問題であろうと思いますけれども、しかし根はながなか深い。全部そういうことを大蔵省関係のものまで集約して地方的なそういう小さな問題をやる、いいとか悪いとかいうようなことをやる、そのことに私はむしろ問題を何か感じるのでありまして、一応東北開発会社ですか、国鉄ですか、そういう業者の話し合いが進んでおれば、できるだけそれを重んじていくというのが政治のやり方の基本の問題ではなかろうかと思います。あまりこまかく入り過ぎるというふうなことはどんなものか、ちょっと私いま答弁を伺っただけで感じましたので、どうぞ主査におかれましてはそういう扱いをしていただきたい。  以上の点だけお願いをいたしておきます。
  5. 稻葉修

    稻葉主査 ただいまの中井徳次郎君の御要望に対しましては、その取り扱いを主査、副主査に御一任願います。適当な時期にけじめをつけたいと存じます。  前会に引き続き質疑を続行いたします。保科善四郎君。
  6. 保科善四郎

    保科分科員 まず国鉄当局に御質問いたしたいと思いますが、東北格差解消のために最も重要なる施策として交通機関の整備をやるということをわれわれは努力して、国鉄当局にも大いに勉強してもらってまいったわけでありますが、この東北開発の大動脈である東北本線の最も重要視しておる電化複線化電車化というようなものが、所定のごとくはなかなか遅々として進んでないわけです。これは御承知のとおりであります。一体どういうプランでこれを進められるか。われわれ東北民は、すみやかにこういうものが促進をされて、そして東北開発が着々促進されることを期待しておるわけでありますが、そういう見地において、国鉄事務当局からでけっこうでございますから、そのプランなり考え方なり、もくろみなりをひとつ承りたいと思います。
  7. 柴田元良

    柴田説明員 ただいまの御質問に対してお答えをいたします。  御承知のとおり、三十九年度の改良費——国会予算の御審議の中でも、複線工事につきましては最優先な措置をとるという方針で進められております。したがいまして、私どもといたしましても、全国的な主要幹線線増工事は極力進めてまいるように準備をいたしております。  特に東北線につきましては、全体計画を、多少数字が入りますが、御説明いたしますと、上野青森間は七百四十キロございます。そのうち三十六年度から始まりました第二次五カ年計画の以前におきましてすでに二百六十三キロというものが複線になっております。したがいましてその差の四百七十六キロを複線にするという計画で第二次五カ年計画がスタートいたしたわけであります。ただし、第二次五カ年計画におきましては、このうち特に線路容量の詰まっております区間三百四十キロを複線にする、こういうことでございます。四十一年三月一応完成いたします目標としては、三百四十キロということに相なっております。ただいまのところ、三十八年度末までにおきまして、うち百六十三キロが完成をしております。したがいまして、今後その差の百七十七キロが複線化される予定でございます。  多少区間的に申し上げますと、宇都宮と福島の間におきましては百六十三キロございますが、これはただいまの予定では四十年の三月に全線完成する。福島岩沼の間は六十二キロございますが、これが四十二年の三月に全線複線完成する。それから岩沼盛岡の間、二百キロございますが、これも四十年三月に一区間を除きまして全線複線にする予定でございます。それから盛岡から青森の間は二百五キロございますが、このうち四十一年三月までには三十二キロが複線になるわけでございます。なお、当初から青森盛岡間につきましては、特に詰まっております区間部分線増をするという計画でございます。ただいまはそういうことであります。しかし、全線複線にする必要は非常にございますので、なるべく新しい計画の中で完成する必要があろうと私どもは考えておる次第でございます。複線状況につきましては、そのようなことでございます。  それから電化の問題でございますが、仙台までの電化につきましては三十六年に完成をいたしておりますが、ただいま仙台から盛岡間の電化が進められております。電化につきましては、ただいま御審議をいただいております予算の中におきましては、残念ながら圧縮させざるを得ない状態になっておりますために、かなり工程としてはおくれるおそれがございます。仙台盛岡間で約五十五億程度を要しますが、三十八年度までにおきまして、約三割程度が進んでおるのが現状でございます。ただ、債務負担行為その他のワクをどのように使って、なるべく工程がおくれないようにするにはどのようにしたらできるか、実は技術的に検討をしておるのがただいまの現状でございます。
  8. 保科善四郎

    保科分科員 常磐線が平まで電化ができておるわけでありますが、平から岩沼まではあと三年かかるというように伺っておるのであります。どうしてそんなに長くかかるのか、ちょっと状況を伺いたい。
  9. 磯崎叡

    磯崎説明員 常磐線の平−岩沼間につきましては、上野−平間は現在御承知のとおり旅客列車だけ電化しております。貨物のほうは本年度中には電化いたす予定でございます。来年度以降平−岩沼間はぜひ着工したいと思っておりますが、やはり相当な予算の圧縮のために、現在福島県その他でもっていわゆる利用債をもって協力してやろうというお話がございます。その金額その他につきましても現在地元と折衝中でございますが、その状況によりましては三十九年度から一部着工いたしたいということでございまして、実は一番問題になりますトンネルその他につきましては相当手をつけております。しかしやはり根本的な電化予算の問題がございまして、むしろこれは技術の問題よりも予算のために四十二年度まで延びるということでございまして、しかし何とか三十九年度には一部でも着工いたしたいというふうに考えております。
  10. 保科善四郎

    保科分科員 もう一つお伺いいたしたいのでありますが、東北開発のために、やはり新線が相当建設線予定されて、着手されているものもあることは御承知のとおりであります。特に丸森線の問題でありますが、新産業都市仙台方面が指定されて、これが非常に要望されておるわけであります。すでに五カ年計画でも着手されておるわけでありますけれども、その後遅々として進んでいない。地元では最大限の協力をしようという態勢をとっているわけでありますが、これは計画どおり進行される予定であるかどうか、それをちょっとお尋ねいたします。
  11. 柴田元良

    柴田説明員 丸森線につきましては、三十六年の五月の十二日の建設審議会におきまして着工線に相なったわけでございますが、福島−槻木間約五十五キロであります。約七十億の工事費を要するとただいま考えております。多少こまかくなりますけれども一応御説明いたしますと、現在のところこの全線五十五キロを約三区間に分けまして、福島、それから富野というところがございます。約二十二キロでございますが、ここのところは設計、測量その他完了いたしまして、書類上の手続というものを今後いたす段階でございます。富野丸森の間、これが約十四キロ五百でございますが、用地買収がほとんど完了をいたしております。それから丸森槻木の間約十九キロでございますが、この間もただいま用地買収をいたしておる段階でございます。以上のようでございまして、本格的な工事を始めます準備という面におきましては大体整っております。要は、本格的に工事を始めますと工事費として相当額を要しますために、踏み切る決心をどのようにしてするかということが問題であろうかと思いますが、着工いたしますれば約三年程度完成をいたします。毎年二十億程度工事費が要ろうかと思いますが、今後の問題につきましては、運輸省あるいは鉄道建設審議会その他のおはかりをしたその御決定に基づいて、国鉄でやりますか建設公団において実施いたしますか、どちらかになるのではないか、かように存じております。
  12. 保科善四郎

    保科分科員 大体私の質問に対する適切なる御答弁を得たわけでありますが、これは東北開発見地から非常に強く促進方要望しているわけであります。そういう東北要望にこたえまして、格差解消ということはわが党並びに政府重大政策でもございますので、その線に沿うてひとつ促進方を特にお願いをいたしておきたいと思います。  次に、航空局長運輸大臣がおいでになりますから、若干運輸大臣に御質問いたします。それは、現在の東京空港は、これは御案内のとおり、出入する航空機の数が激増をし、それからさらにまた近く超音速ジェット旅客機があそこに出入をするということも予想されておるわけであります。したがって、現在の東京空港では狭いので、その要請に応じ得ないので、第二東京空港をつくるということが、議題に載っておることは御承知のとおりでございます。私は、運輸省が適切なる時期に審議会に諮問をされて、そして案もできて、われわれ航空小委員会においてもこれを検討して、たいへんにいい案ができたと思うたのでありますが、いつの間にか消えて、調査費が計上されておる、こういう状況で、こういうような事態に一体間に合うのかどうか、あるいは東京がすっぽかされるというような事態ができないかというようなことをわれわれは憂えておるわけであります。こういう点について、運輸当局の御意見なりあるいは御確信をひとつ承りたいと思う。
  13. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 航空行政をつかさどります運輸省といたしましては、現在の羽田東京空港が、もはやこれ以上の錯綜を許すということは事実不可能になるということを考えまして、しからばどういう方法をやるかと言えば、あの羽田を拡張することは、今日の場合どうしても地理的に不可能であります。しからば、ほかに第二空港候補地を求めまして、そうして超音速機日本に参ります時期と予定されておる昭和四十六年までに完成いたしたい、こういう考えのもとに鋭意、各地方東京中心にいたしまして、第二東京空港でありますから、九州に持っていったり北海道に持っていったりするわけにいきませんので、東京近郊をさがしまして、そうして調査、研究いたしまして、一つ成案を得ましたので、各方面の了解と、各方面の理解を深めるために御説明申し上げまして、ほぼ成案を得たのであります。そこで、これは一応工事に着手いたしますと相当なる金と年月を要しますので、一応閣議報告をいたしまして、閣僚諸公意見を聞いたのであります。そこで大体了承を得たと思うのでございますが、一方東京が、もう何でもかんでも東京東京というので、さなきだに東京というものに諸施設が中央集結化の情勢にありますからして、各種の政治問題が起こっておるのは御承知のとおりであります。たとえば、陸上交通問題について、いろいろな人間の過度集中等につきまして分散せなければいかぬという議論国政全般の上からあるのであります。そこで私どもは、一応そういう意見が出ましたから、四十六年度までに完成するのには、今日の土木技術では十分間に合うものでありますからして、本格的に準備するために御審議を願っておる三十九年度の予算に一億円という予算を計上いたしまして、そしてその本格的の準備に入る。そのときに一部の議論のされましたるには、航空審議会でよかろうと言ったその場所につきましては別といたしまして、そのときに過度集中を排除する意味において、幾らか遠い、たとえば中京方面とか、このごろできておりますところの名神国道をさらに延長しまして東京まで来るあの大道路動脈に沿ったところにありやしないかということで、一応調査してみようと思っております。規模は、御承知のようにいまの羽田が約百万坪ですが、これの最低七倍、広ければ広いほどいいというので、七百万坪ないし百万坪。それからその次に、非常に重大なる点は航空管制の問題で、それに適するところ。それから東京へなるべく一時間以内で来られるところ、等々を勘案しまして、三十九年度に本格的に調査いたしまして、四十六年には間に合うようにいたしたい、かように考えて、せっかく構想を練っておるというのが現段階でございまして、私ども航空審議会答申の、地点がよりいいところがあるやいなやということについては多大の疑問を持っておりますが、一応調査をするという大きな政治全体の面から申しまして、首都過度集中を排除するという意味におきまして検討はいたしたいと思っております。  以上が現段階における状況でございます。
  14. 保科善四郎

    保科分科員 大体のいきさつは運輸大臣の御説明でわかりましたが、新聞等で伝えられるところによりまして、われわれ非常に心配をいたしておったわけであります。四十六年度までには完成して間に合うということであれば、非常にわれわれの心配が薄らぎましたけれども、いずれにしてもこの首都過度集中はもちろん戒めなくてはいけませんが、首都をはずした国際空港というのはどこの国へ行ってもあるわけでして、これは、ある時間内で首都に到達する土地を卜するということは当然なことと思います。したがって、われわれは、航空審議会がそれぞれの権威を持って検討された結果に深く期待をしておったわけであります。そういう面において、運輸大臣はひとつ堅確なる決意を持ってどんどん所管事務を進められて、そして国際的要請にも応じられるように、特に私からお願いをいたしておきたいと思います。
  15. 稻葉修

    稻葉主査 関連して西村直己君から発言を求められております。これを許します。西村直己君。
  16. 西村直己

    西村(直)分科員 関連でございますからそう長くしゃべりませんが、この問題は運輸大臣というよりはむしろ建設大臣も関連しているようで、御出席が願えればいいのだができないでしょうね。
  17. 稻葉修

    稻葉主査 ええ急には……。
  18. 西村直己

    西村(直)分科員 では別の機会にしますが、ただ一つ運輸大臣に申し上げて、答弁を願っておきたいと思いますことは、この所管はまず運輸大臣であるということがはっきりしておるのかどうか、これが一つ。もちろん政治問題ですから閣議報告了承、こういうことはあり得ると思いますが、この点は運輸大臣はどういうように御決意になっておるか。  それから第二番目は時期の問題でございます。常識から考えても東京中心にした空港であるということがわかりきっておるのに対して、閣議の席で、しかも権威ある航空審議会答申に対して、ああいう新聞に出たような話が出た。遠くのほうをさがして歩く。むだなことをしておるわけであります。そこでこういうむだを排除するという意味からも、いつまでに御決定になるか、この所信をはっきりさしておかれないといかぬと思う。たとえば七月以降になれば政変というものも一応考えなければならぬ場合がある。そこでまたまたごたごたしておって、こういう問題が次々と延びていくというようなことがあってはいけないわけであります。問題は時期というものをいつにおとりになるか、いわゆる政府の意思の決定でございます。  それからもう一つ聞いておきたいのは、航空審議会にかけるのには、総理なり他の閣僚ももちろん知っておってかけたのか、運輸大臣がただ単独におかけになったのか、それによって航空審議会権威というものが違ってくるわけです。閣僚なり総理なりが了承して、審議会に聞いてみようじゃないかということになったのか。審議会が各界の権威ある者、しかも非常な専門家を動員してやっておるのに対して、また閣議でしろうとの思いつきでがたがたとやるのでは、もう日本の航空政策に対して権威ある発言をするものはなくなるという心配を私は持つのです。でありますから、第一はまず所管の問題で、これを建設する場合においても運輸大臣所管であるなら所管であるらしく大臣は御処置をなさるべきだと考えるが、この点に対する大臣の所信。第二は、時期について、三十九年度中に調査なんということはこれはあり得ないのであって、むしろなるべくすみやかにということではあるが、大体の時期というか、その腹づもりをお聞かせ願いたい。第三番目は、航空政策の基本を審議するああいう各界を網羅した審議会にかけるには、少なくとも事前に政治関係者の間には根回しをして、了承を得た上でかけたのかどうか。この三点を明らかにしておいていただきたいと思います。
  19. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 第一点は、申すまでもなく、航空行政の主管官庁は御承知のように運輸省でございます。ゆえに、運輸省が主管官庁であるということは言うを待たないと思います。私はそのつもりでやっております。  第二点は、航空審議会にかける場合のいきさつと申しますか、方法と申しますか、これは私独自の考えで閣議にかけずに、航空審議会意見をまず聞いて、閣議できめても航空関係権威者がだめだというようなことがあっては相なりませんから、航空審議会意見をまず聞きまして、しかる後に閣議報告して了承を求めるという形をとりました。  それから第三番目のいつまでにきめるかということは、時期の終期がもう四十六年ときまっておるのですから、なるべくすみやかにというお答えを申し上げる以外に現時点におきましては申し上げかねるということを申し上げておきます。
  20. 西村直己

    西村(直)分科員 大臣の立場からそういう答弁をなさることはわかります。ただ独自にというのは、表面的にはあくまでも独自でしょう。しかしああいうことをやる場合には、国家百年というか、五十年というか、大きな問題であります。したがって、かける以上は、総理なり関係する閣僚、あるいは道路その他で関係しやすい閣僚等には、この問題は大きいから審議会に一応かけて答申を得ようじゃないかというような根回しというか、これをやっておいてやるのが常識だと思うのであります。ただ機械的に行政だけで突っ込んでおいて、ばっと閣議に持っていって、そこで思いつきの議論が出て、がちゃがちゃやって、それに追随して、東海道から遠く琵琶湖の辺までさがしておるというようなぶざまなかっこうでは、政治ではないということになるのであります。この点は私はあまり賛成できないのでございますが、おそらく大臣も慎重な方ですからやっておられるでしょう。何も閣議の席でそういったことをされないでも、事前にそういう根回しをしておく必要があるのではないかと思ってお伺いしたわけであります。ああいう状態を見て、世間も非常に遺憾に思っておるというような状況でございますので、御答弁があるならばその点についてもう少し明らかにしておいていただきたいと思います。
  21. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 私がさっき申し上げた答弁に尽きておると思いますが、私は私の考えるところによってやっておりますが、私はそう世間であるいは新聞紙の言うようにがたがたしているとは考えておりません。必ず私の所信が通る本のと確信いたしております。
  22. 保科善四郎

    保科分科員 私の質問はこれで終わります。
  23. 稻葉修

  24. 岡本隆一

    岡本分科員 交通の問題が近ごろ非常にやかましく言われ、ことに交通戦争ということばが使われております。そしてまた、人口に対する交通事故の死亡率、あるいはまた車の数に対する交通事故の死亡率、そういうようなものが世界一であるといわれており、これは日本にとっては非常に不名誉なことである。だから、そういうふうな交通事情を緩和するためには、まず第一には、輸送機関の整備をやらなければならぬ。さらにまた道路の整備をやらなければならぬ。それと同時にまた、つくられたところの道路の有効利用をやらなければならぬと思う。道路の整備については建設省が担当し、また道路の有効利用については運輸省が担当しておられる、私はこのように理解しておるのでございますけれども、私も建設委員として道路整備には努力をしておるのでございますが、大臣も、かつては建設委員会の中で、道路整備に非常に御努力願っておりました。しかし、幾ら努力をして、建設省側のほうで道路をつくりましても、整備いたしましても、その道路が有効に使われなければ、これは何にもならないのです。今日の交通事情は緩和いたしません。だから、その道路を有効に使うためにはいろいろのことをやらなければならぬと思います。まず第一には、道路の路面そのものを有効に使うということ、あるいはまた、道路の上を走るところの車を整理するということ、こういうような二つの面に分けてやらなければなりませんが、その二つの面についてきょうはお尋ねをしていきたいと思います。  最初に、運輸大臣にお伺いする前に、道路整備、有効利用ということについて、警察側からお伺いいたしたいのでありますけれども、近ごろ道路の上における駐車が非常に多い。先日も、私、東京駅から人形町まで、距離にして——タクシーでたしかそのとき八十円払ったと思うのですが、八十円の距離を三十分ほどかかっております。それは、右折禁止がある、あるいはまた、細いところへ入れば至るところに路上駐車がある、そんなことのために三十分以上かかった。そのときに、乗っておった運転手が言うんです。政治家は一体何をしているんでしょう、道もつくらずに自動車ばっかりつくらせやがって……こう言っていた。確かに私はそれは至言だと思う。そこで、あのように路面に駐車をされて、そして道路を狭くしているあの自動車、あの駐車というものをどういうようにいま取り締まっておられるか、そしてまた、どうすれば路面を有効に使えるようにできるのか、その二つの面についてまずお伺いしたいと思います。
  25. 片岡誠

    ○片岡説明員 先生のおっしゃいました道路の有効利用の観点から見ても、路上駐車につきましては私どもも全く同感でございます。できる限り、せっかくできました道路を有効に使う、できる限り、非常に交通の混雑しているところから、公安委員会が駐車禁止区間をつくって、その取り締まりを担当していくという方針で、現在仕事を進めております。たとえば、東京につきましては、昭和三十七年末に、停駐車禁止区間東京都内に約百キロメートルございました。それが昨年末、三十八年末には、約二十一倍の二千百キロメートルになっております。さらに、こういう都市内のみならず、自動車交通の広域化に伴いまして、幹線道路におきましてはやはり交通が混雑するのみならず、駐車車両に後続車がぶつかって重大な事故を起こしておるという事例が相当ございます。幹線道路における駐車禁止というものを進めてまいりまして、現在、たとえば一級国道一号線、東海道線の場合には、道路総延長の九八%まで、両側に駐車禁止をかけております。こういうことで、次第に混雑が地方の都市にまで及んでおりますので、そういう方向でできる限り路面を有効に使うという方針で、現在各県とも指導いたしております。  それからもう一つ昭和三十六年に、御承知のように青空車庫規制と申しますか、自動車の保管場所の確保に関する法律ができまして、それの施行につきまして、ことしになりましてから人口三十万以上の都市を中心に、二十七都市の地域が指定されまして、これも次第に地方都市にまで及ぼしていくということにいたしたいと思います。
  26. 岡本隆一

    岡本分科員 私どもは日常、国会の周辺が一番目につくのでございますが、最近、国会の周辺にも路上駐車が非常にたくさんございます。だから、観光バスはもう駐車できなくなってきた。あるいはまたはなはだしきに至っては、この間の雪の日なんか、どうやら二晩ぐらい置いていたらしい、雪がつもったままになっておりますから。そういうふうな車すらあるわけなんです。この国会の周辺は駐車禁止になっておらない模様でございますが、駐車禁止になっておらないところへ、駐車禁止の場所からどんどん車が逃げてまいります。だから、もっと広い範囲に駐車禁止を広げていただいて、そして路面駐車というものがほとんど不可能だというふうなことにしていただかなければならぬと思います。しかしながら、たとえば車に乗ってきて、二十分か三十分、降りて用たしをしてくる。その間すら駐車できないというふうなことは、これはまた車を利用する者にとっては非常に不便なことでございますから、やはり一定時間をオーバーする駐車を禁止する、こういうことにしなければならない。それは技術上の困難さが伴ってくると思います。だから、私はパトロールの強化以外にそれの手段はないと思う。だから、路面駐車をしている車を見たら片っ端から時間の紙をはっていって、それから一定時間こえて回って見たときに、同じ車がとまっておれば、それを違反車として摘発する。摘発された車に対しては、これは一定の過料ですか、を取る。その過料を財源としてパトロールの費用に充てる。これで私は収支償うと思うのです。また収支償うだけの過料を取れば、結局路面の有効利用ができるだけが大きなプラスになっていく、こういうふうに思いますが、そういうふうな方法はとれないものかどうか、お伺いしたいと思います。
  27. 片岡誠

    ○片岡説明員 現在駐車違反も刑罰体系の中に入っておりまして、その場合には罰金をとっておるわけであります。したがいまして、それを過料にするということについては、現在の段階ではむずかしいと思います。また、これをそういう財源に振り向けることも、現在の法制のもとではむずかしいと思います。ただ将来の問題といたしましては、私ともも何らか——特に駐車違反のような場合は、交通の危険というよりも、道路の適正使用と申しますか、そういう角度から考えれば、刑罰による違反ではなくて、ほかの行政罰と申しますか、何か秩序罰になり得るんじゃないかというようなことで、現在検討は進めております。
  28. 岡本隆一

    岡本分科員 きょうは公安委員長はお見えになりませんし、所管の大臣も来ておりませんから、これは運輸大臣お願いしておきたいと思うのでありますが、そういう方向で今後ひとつ進めるように御努力をお願いいたしたい。  その次には、車が非常にふえてまいりまして、そのために非常な交通難がまいっておる。また私どもも数日前に雨の降りました日に所用で出ようと思いましても、衆議院の車はない、さらにまたハイヤーを呼ぼうにもハイヤーもどうしても来ないというようなことで、非常に不便を感じましたが、勢いそういうような不便さが自家用車を持つ、持った自家用車は一日のうち使う時間はほんのわずかであって、ほとんど遊ばして駐車場に休ましておるということになると思う。だから車そのものも非常に不経済でございますし、また車を運転しておる運転手というものも人的な意味においても不経済でございます。またそれが勢い多くの駐車場を要求し、路面を占領するというふうなことになるわけであります。したがって、私はすぐ間に合うところの営業車、同時にそれに伴う自家用車の規制、この二つの方面から車の数を減らしていかなければならないと思う。いま営業車については強い規制がございますのに、自家用車については何も規制はございません。だから自家用車はどんどんふえる、道がふさがれるから、営業の能率は上がらない、そしてまた自動車がそうふえては困るというので営業車を規制している、そうすると営業車はもうからない、運賃を上げなければならぬということになる。ついこの間もタクシー運賃が上がりました。そうすると、結局悪循環になって、車は不便になる一方です。しかも道路は車で一ぱいになっている。こういう現象が出ているのが今日の交通事情であると思う。だから私は、いまの自動車政策、自動車運輸政策と申しますか、これは全く逆だと思うのです。だから、これを逆に転換して、自家用車をうんと規制する。そして営業車を安い料金ですぐ間に合うようにする。営業車もそれで成り立ちます。また自家用車に乗っている人も、結局そのほうがはるかに経済につくのです。車の償却、人件費、そういうふうなものを考えますと、はるかにそのほうが経済的なんです。今日では営業車がすぐに間に合わないから、やむを得ず自家用車を持つということになってきておるのです。だからこういうふうな大転換を私はやっていただきたいと思うのでございますけれども運輸大臣はそれについてどうお考えになりますか。
  29. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 お説のようなことはあると思います。それかといって、いま直ちに自家用車を廃止せしめるような強い規制を加えることはいかがかと思うのですが、御趣旨のような点よく勘案いたしまして、考えてみたいと思います。
  30. 岡本隆一

    岡本分科員 もちろん法律的に自家用車を持つことを禁止するというようなことはできません。しかしながら駐車禁止区域が非常に広くなる。そしていま申しましたように、長時間駐車した者は過料をとられるというふうなことになると、むしろ営業車を利用したほうが便利だ。乗っては次から次へ乗り捨てて、新しいものを拾っていったほうがはるかに便利ですから、そういうふうな行政の姿の中で自家用車を持っても、かえって非常に不便で損だというふうな行政指導をしていかれたら、容易にそういうふうに転換されると私は思うのです。たとえば郊外に住んでおって、都心に店舗を経営しておる人は、その車庫は郊外に持っております。そこから運転してきて、店舗の前へいわゆるライトバンなんか長時間置いておる。ちょっとした配達にはその車を利用しておる。ところがそれがまたのろのろ運転だ、こういうことになる。たとえば小型の営業車というもいをうんとふやして、電話一本かければその日のうちにずっと荷物を集めて必要なところに配達していくというふうな小型運送というものをもっと普及さすというふうな方法で、私はあのライトバンをはるかに数少なく減らすことができる、こう思うのです。またタクシーにいたしましても、戦前は、至るところに、二、三台車を持っておって、自分の家の表の間を改造してガレージに充てて、二、三台の車を収容して、電話一本持っておって、呼ばれればすぐ出ていくというふうな、狭い範囲を絶えずお得意にしておるタクシーがあったわけです。呼べばすぐ来てくれました。ところがこのごろはそういうふうな個人営業車がありましても、それは流しておるのが主であって、そういうふうな店舗を張ってやっておるというようなタクシーはございません。だから需要者のほうでも、車を拾おうと思えば、町へ出て走っておるものを拾わなければならぬ。これは一面では車を走らせておくということは非常なガソリンの空費です。空車率が今日何割か知りませんが、まあ五割あるいは五割近く空車率があるのじゃないかと思いますが、そういたしますと、それだけ大きなガソリンの空費をやっておる。同時にまたそれは外貨の食いつぶしです。だからそういうふうな見地からも、これはもっと個人タクシーをどんどんふやす必要がある。何も個人タクシーを私は制限する必要はないと思うのです。職業の自由という憲法のなにがある。たとえば今日非常に大きな問題として一部に騒がれておるあんま、はり、きゅうの問題なんか、昔は、徳川時代は盲人のためにあんまという職業は確保されておった。だからそこへは晴眼者は入ることができなかった。ところが今日ではその中にはどんどん晴眼者が入ってきて、あんまさんとか目の不自由の人の職業を奪っておるわけです。そういうふうな世界、しかも身体障害者の世界をすら脅かすような職業の自由というものが、憲法の中にあるからという理由でもって確保されておる。ところが自動車の営業の面ではその職業の自由が確保されておらないのです。これは憲法違反ですよ。交通行政上必要だとあなたのほうでは言われるか知りませんが、自動車を持って営業するということは、単に店舗をかまえて他の商品を売るのと同じことです。職業の自由です。それを交通上の理由をもって規制しておられる。しかしながらむしろ私は個人タクシーをうんとふやして、自分の車で自分で責任を持って営業していく、そしてまた自主的な立場で、いわゆる会社側からのノルマに追われないで安全運転をしていく、こういうタクシーがふえるほうがはるかに私は交通事情はよくなるし、また交通難も減ると思うのです。いまやっておられることは全く逆であると思うのでございますが、今後相当——最近個人タクシーをふやされたということを聞いております。だからいい傾向ではあると思う。しかしながら、もっともっとこの規制を緩和することはできないものか、この点を大臣にお伺いしたいと思います。
  31. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 憲法の営業の自由、もちろん尊重いたしますが、一面におきまして、それが今日個人タクシーの評判がいいということは、個人タクシーをやる人はいい人を選ぼうとする趣旨に従ってやっておって、いい人が許されておるからして評判がいいので、これを世上伝えるような届け出制にする——極端に営業自由の名によりまして、届け出にするとかいうことになれば、それがまた一そう何らの会社その他の規制を受けないで勝手にやれるということになれば、その弊害は必ずや今日より大きくなるということは予想されます。そこで、世界各国大体自動車の営業というものは免許となっておるのが大勢のように私ども承知いたしております。しかし、趣旨はあなたのおっしゃるとおりで、私も就任以来、個人タクシーの許可をなるべくよけいしてやるようにいたしておるのです。ところが、運輸省といたしましては、届け出があって適格の者があれば許すつもりなんですが、その適格であるやいなやということを調査するのにたいへん時間がかかる。三十八年度におきましては、五千台近い個人タクシーの申請があった。その五千人が願書のとおりやっておるやいなやということを、わずかな運輸省の陸運局の人で調べて——大体、都心のようなところには、やらんとする運転手の人は住んでおりません。大体郊外です。その郊外も新都市のようなところにおりまして、それを一々さがし出して、そういう人がはたしてそこにおるやいなやすらもわからない。うそを書いている人がたくさんおる。それから車庫を持っていなければならぬとか、車庫を借り入れる契約をしていなければならぬとかいうのですが、車庫を持っておるといっても、持っておらぬ人がたくさんある。それから契約をしておるといっても、それは手付だけは払っておるけれども、あとの金を持ってこないから、それはもうキャンセルして貸してありません。そういうものを一々検査して、ほんとうに書いてあるとおりのことをやっておるか調べて、やっておる人にどんどん許しておるのです。そういうような実情でございますから、幾ら憲法による営業の自由といっても、その本人以外の多数人に迷惑をかけるようなことをやっては、これは憲法の営業の自由の原則を乱用するものであって、決して民主主義ではないと思います。そこで、そういうあなたの言う趣旨に従って、どうすればよけいできるかということで、いまその方針には賛成してやらしております。現状はさような状態でございますから、御了承願いたいと思います。
  32. 岡本隆一

    岡本分科員 ほかに問題を持っておりますので、これ以上議論してもなんですから、希望だけ申しておきますが、いまおっしゃるように調査が困難だということなら、調査に人手がないからということなら、調査機関におまかせになってもいいと思うのです。調査に要する費用は、非常に希望しているのですから、たとえば興信所とかそういうような調査機関にまかして、五千円くらいそれに必要な費用をおとりになっても、喜んでそれくらいの手数料は出すと思うのです。だから、そういう点についてはもう少し検討をしていただきたい。それで、私は、個人タクシーのタクシー業者の立場に立つというよりも、道路の有効利用という観点から、どうしてもそういう方針を積極化していただかないとだめだ、こういう観点に立ってあなたにお願いしておりますので、大体そういうふうな趣旨で、自家用タクシーの規制をするためには、勢い個人タクシーをふやさなければいかぬという趣旨には大臣も御賛同くださったようでございますから、私も大いに大臣の今後の行政の運用を期待いたしたいと思います。  次に、最近、数日前でございましたが、二月の十二日でございましたか、ふとテレビを見ておりましたら、東急であるとかいろいろな都内のバス会社が、赤字路線が相当あるから、そこの赤字路線はバスの運行を停止するのだ、こういうようなことをテレビで発表いたしておりました。私は、バス会社が、ガソリン税が上がった、これ以上上がったのじゃとても採算が合わないからという、そのなにはわからないではありませんが、しかしながら、それは都民の足を奪うということになります。しかも郊外のほうで電車もないというところは、一部道路がつくられると、そこのバス路線だけを交通機関として、それを頼みにして住宅が伸びていっている。そのバス路線が採算が合わぬからといって休止されたのでは、都民の足を奪うことになります。だから、いわばこれも一種の企業のスト行為です。自民党のほうは労働者のスト行為を非難されますが、しかしながら、それ以上に企業そのものが路線をやめてしまう。しかも路線の許可にはかなり強い優先権があるのです。ほかの社は入れない。そういう路線許可をとっておりながら、しかも採算が合わぬからといってやめる、採算の合う、もうかるところだけをやる、こういうことは一種の社会的な罪悪だと思うのですが、こういう路線を廃止したいというのを大臣は許可されるつもりでありますか。それからまた、路線を廃止した場合に、他の業者から別に申請があれば、その路線を許可するという手段をおとりになりますか。この路線廃止の、運行休止問題についての大臣の御方針を承りたいと思います。
  33. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 もちろん、そのバス路線を一部もうからぬからやめるということは、届け出認可が要るのでございまして、いま具体的にまだそういう廃止するという届け出はありません。ですから、現在具体的にどういう点がどうなっているかはわかりませんが、根本的に申しますれば、あなたと私は同意見です。そういうことをして、きめたものをかってにやめるということは、いかに採算が苦しくなっているからと申しましても、そういうことはあり得ないと私は思っております。同時に、これは経済自由の原則に従うと、バス経営に非常に不可欠の値上げをせねばやっていけぬということでありますが、今回のような、政府がかってにガソリン税とかいろいろなものを上げておいて、それで採算をとれるようにしないということは異例の措置でございまして、われわれはそういうことのないことを希望して、そうして、それにつきましては、行政指導といたしまして、しばらくごしんぼうをしていただきたい。大きな国の目的のためにしばらくしんぼうしてくれということを行政指導をやっておりまして、ただいまあなたのおっしゃるような、かってにやめておるというようなところは、いなかのほうはそういうなにがあるかないか、ちょっといまつまびらかにいたしませんが、東京都内にはさようなことは現在においてはないと思っております。
  34. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 補足して申しますと、今回の、運賃を一年間抑制するということで経営の非常に苦しい会社の中では、これ以上赤字が増大することを何とかして防がなければならぬ、その方法として、そういった赤字要因をなるべく少なくする意味において、採算のとれない赤字の路線を間引くとか、あるいは運行休止をせざるを得ないでしょう、というふうな話は持ってきております。私は、交通事業の使命からいいまして、企業全体としてもちろん健全に運営されなければならないけれども、反面においてそういったサービスの犠牲において企業の健全化をはかるということは重大な問題でございますので、本来からいえば、そういう場合には運賃を改正して企業ができるようにやるべきでございますが、政府の経済政策の方針のもとで一年間がまんしてもらうということでございますので、できる限りにおいて、そういうサービスの犠牲において赤字克服ということを考えないで、他のいろいろな経営の合理化その他においても善処してもらいたいということを強く要請いたしております。
  35. 岡本隆一

    岡本分科員 そうすると、一応そういうふうな間引きとか運行の休止を申請してきても、許可しない方針だというふうに理解していいわけでございますね。  それから、もう一つ、さっきのタクシーの問題でお尋ねするのを落としましたが、たとえば駅で車を拾おうとしますと、たくさんの人が行列しております。たとえば私が京都へ帰りましても、京都駅前はそうでございます。雨降りなんかはことにそうでございます。それからまた東京の郊外で、省線であるとかその他の交通機関で郊外の駅へおりましても、たくさんの人が行列して車を待っておる。車の数が少ないものだから、なかなかやってきません。場合によれば三十分以上立ちんぼしなければならない。ところが車が出ていく方向はいつも同じ方向へ、限られた方向へ行く。そういう場合には、非常に乗客がたくさんある。車の数は少ない。しかも乗っていくのは一人か二人ずつ乗っていくのです。まことにこれは時間ももったいないし、同時にまた路面の使用の効率あるいはまた車の使用の効率というふうなことを考えると、これはあらゆる面でまことに不経済な話だ。もうこんな今日の交通事情なら、一人が一台ずつの車に乗って走る必要はないと私は思う。だから、並んでいる人の一番前列の人に、あなたどこへ行きますか、行く先を聞いたら、どこどこへ行く人ございませんか、あと何人相乗りできますよということで、うしろに並んでいる人からだれか案内者といいますか、一人をつければ、これは相当なにができるはずです。一緒に行こうという希望者が出るはずです。立ちんぼして待っているよりも相乗りしたら運賃も安いし、これはできます。料金は、とるほうの基準をきめればどのようにでもできると思うのです。少々きめ方に不公平があっても、一人で行くよりも安くつくのなら、それは料金については不満はないと思う。しかも待つ必要がないということなら、タクシーの共同利用ということはもう踏み切るべき時期ではないか。外国の非常に道路の整備されたところですら、タクシーの共同利用ということがもう行なわれているところがあると聞いている。さらにまた、最近の道路というもの、自動車交通というものほど不経済な交通機関はない。とにかく一人の人が自動車一台に乗って、しかもその前後の三十メートルはスペースをあけておかないと追突のおそれがある。だから路面の使用ということにおいては非常に効率が悪い。むしろ高速度輸送機関、電車であるとかあるいはまた地下鉄もしくは例のモノレール、ああいうようなものをつくらなければいかぬ。ああいうものを輸送の主軸にしなければいかぬ。そしてタクシーを利用するのは、もよりの駅からドアまでというふうに転換すべきだということが世界的な交通の趨勢として言われてきておる今日、やはりそういう点、日本でも十分考えるべきではないか。いまのように非常に車が逼迫しておる、しかも道路事情は悪いというふうな場合には、タクシーの共同利用というものに当然踏み切らるべきだと思いますが、運輸大臣のお考えを承りたい。
  36. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 それは前にもやっておったのでありますが、これは主として治安上の問題、風紀の問題、それからたまたま三人とかが乗ればいいが、男と女がたった二人乗るとか、どろぼうと相乗りするとか、そういうことが起こった場合に非常な問題が起こりまして、一応考えてやったのですが、またいまの方式に変わったと私は記憶いたしております。それから交通問題の基本対策としてモノレールに踏み切るべきであるということは、私も賛成であります。順次その方向にやっております。現に東京でも長距離のモノレールが実施されております。いまの相乗りのことにつきましてはしばらく研究させていただかないと、たまたま全部がいい人であって一緒に乗るのにはいいけれども、男と女二人乗って、そして中でいろいろの風紀問題を起こされたりすることが間々あるのではないか。そういうことが過去において非常に多かったと思うのです。そこでこういうことになったのだろうと私は記憶いたしておりますが、詳細は自動車局長答弁させます。
  37. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 輸送の能率をあげる点においては、確かに一つの考え方でございまして、われわれも気がついておるわけでございますが、いま大臣が申し上げましたように、いまの特に東京あたりの一般的な社会情勢から考えまして、風紀の問題あるいは治安上、制度としてこれを認めますと、相乗りをさせますと車のほうでどうしても得になるわけですから、お互いのあれを選ばずして相乗りに持っていくということになりますと、いろいろ問題が起こることを非常に憂慮いたしております。それから料金も、適正な料金をどういうふうにとったらいいかということも一つ大きな研究問題でございます。これは絶対不可能ということではございませんが、困難な問題としてございます。そういう問題がございますので、まだ実施に踏み切っておりませんが、研究問題としてはわれわれも十分考えておる次第でございます。
  38. 岡本隆一

    岡本分科員 私は、風紀問題だとかそういうようなことは、それは運営の方針の中で努力をすることによって十分避けられると思うのです。たとえば男女一緒に乗せることが危険があるとおっしゃるなら、そういうことを避ければいい。あるいはまた、他に、運転手が責任を負うというふうな形で幾らでも私は防止できると思う。なにも二人だけで行くのではなくて、運転手が必ずいるのですから、車の中でおかしなことをして、きゃっとでも言えば、これは運転手が車をとめてつかまえれば痴漢になるのですから、そんなおろかなことをする人もいないと思う。だから、それは古い従来の方針をそのままあなたのほうが踏襲しておるので、ここらで今日の自動車事情というものを考えなければならぬ。当然私はそういう対策を考えていただくべきことだと思います。この問題は懸案としてひとつ御検討お願いいたしたいと思う。  それから、ガソリン税の一〇%引き上げがきまりました。そうしますと、これは燃料の値上がりですから、バス事業にとってはたいへんでございます。だから、バス料金の値上げは停止するということと、今度はガソリン税の引き上げということとは、これは二律背反です。こういうようなことは、これは政策として精神分裂症的だと言われてもやむを得ないと思うのですが、運輸大臣はこのガソリン税の値上げに何の異議もなしに賛成されたのですか、あるいは強硬な反対をされたのですか、その点を承りたい。
  39. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 もちろん私は強硬に反対をいたしました。が、しかしより高い見地のいわゆる目的税であって、これによりまして一番日本で困っておる住宅問題と道路問題の施策として早急にこれをやらなければ、しかも国家財政に影響を及ぼすことが少なくてやれるという意見閣議においては圧倒的でありまして、私の反対は通らなかったのが実情でございます。
  40. 岡本隆一

    岡本分科員 そこで、ガソリン税を上げれば、勢いガソリンが上がる。そうすると公営バスですね、これにも大きな赤字が出てまいります。公営バスの赤字が出てまいりましたときに、公営企業法がありまして、一般財源は投入できない。それからまた、赤字ができれば一般財源から一時借り入れても、すぐもう返さなければならぬというふうなことで、非常に強い独立採算制が要求されております。こういうことでありますと、公営企業としてのバス事業というものが非常に運営が困難になってくると思うのですね。そこで、これは運輸省ももちろんこの問題と取り組んでいただかなければならないのですが、自治省のほうから公営企業関係の方に来ていただいておると思うのでございますが、一体この問題を自治省ではどう処理していこうとせられるのか、これをお伺いしたいと思います。
  41. 近藤隆之

    ○近藤説明員 御案内のとおり、六大都市のバス事業について膨大な赤字をかかえております。三十八年末で、バスだけで百億に達すると思いますが、非常に経営が困難となってきております。今回の料金改定一年抑制によりまして、なお三十九年度も相当な赤字が出る見込みであります。これにはいろいろ原因がございまして、経営の合理化がなお不徹底であるといったような部面も指摘されております。現在政府の至上命令といたしまして料金改定を抑制されております以上、現状のものでできるだけ経営の合理化をするようにということで指導をいたしておる状況でございますけれども、赤字の増高を防止するきめ手がなくて、現在非常に困っておりますが、こういった都市の交通事業を将来どういう形で持っていくか。現在までのところは独立採算というたてまえで料金も決定され、われわれも指導してまいってきておりますけれども、すでに地下鉄あるいは路面電車においては今後独立採算を維持していくことが不可能な状況になってまいっております。こういったこともからみまして、今後どういうふうな指導をしていくかということは、あげてこの四月から発足を予定されております公営企業制度調査会に諮問いたしまして、いろいろ学識経験者の方々の御意見も聞き、どう持っていくかという自治省としての対策をきめたいと思っておるような次第でございます。
  42. 岡本隆一

    岡本分科員 百億の赤字が現在累積しておる。本年度ガソリン税が値上がりして、現在のままでいけば、どのくらい赤字が増になる見通しですか。それともう一つは、都市別の赤字の現状を、指定都市だけでけっこうですが……。
  43. 近藤隆之

    ○近藤説明員 軽油引取税が今度二割引き上げになりますが、これで総費用に占める影響と申しますと、〇・九%程度の影響であろうと推定いたしております。  それから各都市別の赤字でございますが、三十八年度末の見込みで、交通全体といたしますと、東京都で約百十億、横浜市で約四十億、名古屋市で約二十八億、京都市で約六億、大阪市で約七十億、神戸市で約十七億、合わせまして二百七十億の赤字になります。バス事業につきましては、三十八年度末で、東京都で四十三億、横浜で十八億、名古屋は赤字を出しておりません。京都が五千万ばかりございます。それから大阪が三十一億、神戸で八億というような形で、合わせてバスだけで大体百億の赤字になる予定であります。
  44. 岡本隆一

    岡本分科員 民間バスの場合は、比較的収益の成り立つところを申請してまいります。あるいはまた黒字に比較的早くなりやすいところをよって出てまいります。ところが公営バスの場合にありましては、バスの路線を敷く目的が違うのです。つまり都市の開発というようなこと、あるいはまた収益はとれなくても、やはりその地元の住民から、他に交通機関がないからバスを敷いてくれ、こういうふうな要望が強いと、多少の赤字もある程度覚悟で敷いていかなければならぬということです。これは独立採算主義に徹するわけにいかない理由があると思うのです。都心に住んでおる者は、下水道にいたしましても上水道にいたしましても、その他一切の生活環境というものが非常に整備されておる。同じように住民税を出し、固定資産税は、都心と周辺部とは違うかもしれない、しかしながら住民税においては同じことなんです。同じように住民税を出して、それで都心の人は非常に整備された生活環境の中に住んでおる。周辺の者は、道路はぬかるみで、しかも蚊やハエは多い。そしてまた交通機関も不便だ。あるいはまた通勤するのにも高い交通料金を払わなければならない。こういうふうな環境の中に周辺の者は住んでいかなければならないから、できるだけその生活条件をよくするためにということで、やはりバス路線、道路の改良というようなことが非常に大きな要求として出てくるわけです。またそれに応じて、その要求をいれた施策としてバスの路線などが敷かれるわけなんですね。だからそういうふうな形の事業に対して、独立採算制をどこまでも要求する、赤字になるようなことをやってはいかぬ、こういうふうな方針でいまの地方公営企業法が立てられておるということの中に大きな矛盾が私はあると思うのであります。だからそういうふうな意味における、周辺部に対するところのいろいろな行政の施策として行なわれる分に対しては、一般財源を投入してもいい、ある範囲を限って投入してもいい、あるいはまた、場合によれば、一時赤字ができれば融資を受けて、それに対する利子補給をしてもいい、こういうふうな形の公営企業法の改正が行なわれるべきであると思うのです。しかしこれは、きょう時間もございませんから、私の要望としてひとつお願いしておきたいと思うのです。また運輸大臣も、今日の交通事情から、やはりそういう点について自治省だけにまかしておかないで、これは自治大臣と一緒に御協力をお願いいたしておきたいと思うのです。  それからもう一つお尋ねしておきますが、このガソリン税の値上がりによりますところの赤字の増大、これに対するところの財政援助といいますか、財政措置、これは自治省のほうでどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。これは全く物価値上がり抑制に対する政府の施策のしわ寄せですから、政府のほうで財政措置をなさる必要があると思うのですが、これに対する措置はいかがされますか。
  45. 近藤隆之

    ○近藤説明員 軽油引取税は、バスがほとんどだと思いますが、その引き上げというのは、明年度におけるところの道路財源という至上目的のためにこういった措置がなされたのだと思います。これは公営バスのみならず、一般のバスにも全部軽油を使っておるわけでございますので影響するところでございますが、ただいま申しましたように、及ぼすところの影響が〇・九%というわずかなものでございますので、そのものを取り上げて、これに対する財源措置というようなことは現在考えておりません。先ほども申しましたように、公営バスについては、民営バスに比べて経営の合理化の余地はなお相当あるというような調査の結論になっておりますので、そういった面でできるだけカバーし、政府の施策に沿って合理化を今後とも進めていただきたいという態度でおるわけでございます。
  46. 岡本隆一

    岡本分科員 公営バスと民営バスとの性格の相違というものは、私はさきに御説明申し上げています。民営バスはもうかるところをよってやるのです。公営のバスは利潤というものを無視した運営というものを要求されている。その性格の違ったものを同じ次元において扱おうとなさるところに私は大きな無理があると思うのですよ。しかもガソリン税の値上がりというものに対する影響は〇・九%だ、これは私もそこまで計数を調べておりませんから知りませんが、それにしても相当な金額になるのです。それをすべて企業の合理化だけに求めるというようなことでは、路線をそれじゃ間引きをするかあるいは従業員の首切りをやるか、こういったようなことになってくると思うのです。たとえば京都なんかでも、もうそういうふうなことで、京都市の市電が二両連結の運転をやろうなどということをいたしております。しかしボギー車の二両連結の運転ということがいかに線路を痛め、いかに交通に大きな阻害を来たすか、私はこれについて非常に大きな疑義を持っているのです。そういうような無理な経営を今日の公営企業法の姿というものが要求するとするなら、これは自治省として考えていただかなければならぬ。この問題、議論しても——いま早くやめろ、こういうなにがきていますから、この辺で打ち切りますが、ひとつ私の希望として申し上げておきますから、もう一度御検討お願いいたしたい。  最後に、もう一つだけお尋ねいたしたいと思いますが、名神道路です。せっかくいいものができまして、りっぱなバス・ストップができております。ところが、バスの運行がまだ始まりません。これはいかなる理由に基づくものか、運輸大臣にお尋ねいたしたいと思います。
  47. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 現在の時点におきましては、御承知のように、あの国道はほとんど人のおらぬところを通っておりますから、おそらくあれが延長されまして、大垣か、それからもう少し——それに行くまでの間に、人の動きの状態その他を勘案して適当な処置をとろうというので、いませっかく考え中でございます。
  48. 岡本隆一

    岡本分科員 それは逆ですよ。これから延びるところに人はおらぬです。いまは曲尺大阪、京都という、一番名神道路の中の人の多い、しかも人の動きの多いところが完成している。これからは栗東から関ケ原を越えて名古屋まで、約半分ですが、これはバスをつくっても、バスの利用は比較的低いだろうと思われる。だから、現在の段階では、もしバスをつくれば、一番利用者が多いであろうと思われるところが開設されて、しかも非常にりっぱなバス・ストップができておる。それを、利用が少なかろう、検討中だというのは、これは話が少し見当違いだと思うのです。
  49. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 私が申しましたのは、そういう短区間は、現在のところで利用が多いというのはもちろん認めておるのでございますが、その短区間の間を各社がかってにバスをてんでんめいめいやるということは、今後実際やるような場合には非常に支障に相なると思いますので、建設大臣とも相談の上、もう少しさきに行ったときに適当な方策をやろうじゃないかというので、いま各種の申請を押えているというのが実情でございます。根本問題として、せっかくいま検討いたしております。
  50. 岡本隆一

    岡本分科員 いま輸送機関が非常に——ことに朝晩ものすごいラッシュなんです。また、比較的人が少ないといえども、インターチェンジの周辺には相当な戸数があります。だから、インターチェンジの周辺の人たちは、そこから相当の距離を歩いて郊外電車に乗って、通勤している。だから、もしもインターチェンジからバスに乗れるということなら、私は相当交通機関としてそれは利用され、今日の省線であるとかその他の私鉄のラッシュの混雑を緩和する上に大きく役に立つ、こういうふうに思います。しかも大きな資本をかけて、りっぱなバス・ストップができている。だから、バスを動かせば何らかの役に立ちます。せっかく投資された大きな資本を、あのようにして開店休業のように遊ばしておる、あくびをさしておるということは、運輸大臣として、あなたは責任をとらなければならないと思う。私どもの聞くところでは、いま運輸省と建設省との間で、何かそれの免許可をめぐって、たとえば公団が付帯事業としてやりたがっておるとか、あるいは私鉄関係がやりたがっている、あるいは国鉄がやりたがっている、その競願の調整がつかないのでその許可が出せないんだというふうなうわさも聞いております。そういうふうなことで、利権争いというようなことをめぐって許可が延びておるということなら、これは私は重大な問題だと思う。非常に大きな国家の資本を眠らせ、しかも今日の交通事情のこのような混雑をそのままにしておいて、少しでも緩和するための努力、一日でも早くできれば、ちょっとでも輸送機関を——せっかくできたバス路線を開かないというようなことは、私は運輸大臣としては、これは大きな怠慢であると追及されてもやむを得ないのではないか、こういうふうに思うのです。私個人の意見としたら、私はああいうふうな国家的な大資本を投じたところの路線ですね、あれはいわば鉄道が線路を敷いたと同じことです。いま政府が、政府資金で路線を敷いたのです。だから、そこへバスを運行して、それによってある程度の収益があがるなら、当然その収益は道路財源に使われたらいいと思う。そうして、京都、大阪、名古屋というふうな非常に交通のひんぱんな、同時にまた道路網のわりあいに先行してつくられたところから、これからだんだん末端に、道路事業の経済効率が落ちていく。だから、たとえていえば有料道路にいたしましても、償還が非常に延びるというところがございます。そういうふうなところの路線の設定のための今後の財源というものが、非常に困難なんです。だから、そういうふうな国家的な大資本を投じた上に敷かれる路線というものは、それからあがる収益は公共事業のために投ずるというような形において、たとえば特殊の営団をつくられるとか、何らかの形で道路資本に今後投ずるための事業として、私は政府がそれの運行を始められるべきである、こういうふうに思うのでございますが、これは議論になると思いますので、私の希望だけを御参考までに申し上げておきまして、私の質問を終わります。
  51. 稻葉修

    稻葉主査 栗原俊夫君。  栗原君に申し上げますが、運輸大臣は、他の委員会の都合上、十二時から一時ごろまでちょっと退席いたしますが、その点御了承お願いいたします。
  52. 栗原俊夫

    栗原分科員 一、二の点についてお尋ねさしていただきたいと思います。  まず東海道新幹線についてですが、東海道新幹線はいつ完成予定でございますか。
  53. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 大体本年の七月に工事完成いたしまして、八月、九月と試運転をいたしまして、十月一日から開始の予定で、いませっかくやっておる次第でございます。
  54. 栗原俊夫

    栗原分科員 その新幹線の建設にあたっての路線の敷地買収費及びこれに関連する補償費、この当初予算、そしてその後、これはたぶん足らなくて増額したんだと思いますが、その増額した額、こういう点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  55. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 数字にわたりますから、事務当局をしてお答えいたさせます。
  56. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 いま担当の者を呼びまして、お答えさせることにいたします。
  57. 栗原俊夫

    栗原分科員 当初の予算からかなり多額な追加を必要とした、その中には物価の値上がりもあると思うのですが、土地の買収費あるいは補償費、こういうもので予定以上の金がかかった。そこでお尋ねするのですが、新幹線の建設にあたって、公共事業としての土地収用の事業認定、あるいはその後できました公共用地の取得に関する特別措置法による事業認定、この新幹線建設について、このような事業認定は行なわれておるのですか。
  58. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 もちろんそれは行なわれておると思いますが、私はいま直接のほうでないものですから、国鉄説明員もしくは責任者が来るまでお待ち願います。
  59. 栗原俊夫

    栗原分科員 昨今非常に交通事故が多いわけですが、その理由にはいろいろございましょうけれども、自動車が数が多くなっていく、これに対して、運転手が粗製乱造されておるというと少し言い過ぎかもしれませんが、もちろん事故を起こす者は、運転がへただからばかりで事故を起こすのではないと思います。酔っぱらい運転とかいろいろ事情もありましょうけれども、やはりその中には運転未熟な者もかなり大きな要因になっておると思っておるのですが、運転手をつくる段取り、都道府県で最終的な仕上げの試験をやっておるようですが、実力のある者は試験を受けに行く、あるいは一般教習所で習った者が試験を受けに行く、さらには最近公認教習所と称するものが、実地免除という形で免除をしてもらって、法規だけ試験を受ける、こういうような形で行なわれておると思うのですが、運転手ができる過程というのはどんなふうになっていますか。
  60. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 運転免許の問題は公安委員会の関係であります。警察庁から来ておられます。
  61. 藤森俊郎

    ○藤森説明員 警察庁の運転免許課長であります。  運転免許をとりますためには、現在の制度は公安委員会の技能試験を受けますのと、それから指定自動車教習所へ参りまして、一定の時間の教習を受けまして、それから定められました公安委員会の試験に準じた内容を持っております検定を受けまして、そうして卒業証明書をもらった者に対しては技能試験が免除される、さような形で免許をとるものと、二通りのものがあるわけでございますが、片一方の公安委員会の技能試験と、それから指定自動車教習所におきます技能検定とは、その基準を同一にするようにいたしておることによりまして、その質の統一性を確保しておるような次第でございます。
  62. 栗原俊夫

    栗原分科員 現在教習所というものの数が、指定教習所、それから指定を受けない前の教習所がありますね、実地免除でない教習所、こういうものの数はおわかりでございますか。
  63. 藤森俊郎

    ○藤森説明員 三十八年の十二月末におきまして、指定教習所の数は全国で七百六十三ございます。それから指定でございません教習所等の教習施設、それにつきましては内容が非常にまちまちでございまして、単にコースを貸すというふうな施設から、ある程度先生がおりまして、そしてまた指定を受けたいというふうな形のものまでございまして、その数は、私どもその点については監督もいたしておりませんので、十分な把握はいたしておりませんが、これは三十八年の一月でございますので、先ほどのと一年のズレがございますが、当時は全国で六百八十六ございました。
  64. 栗原俊夫

    栗原分科員 現地で見ますと、指定の教習所が陸続とできていく。認可されるという姿なんでしょうが、できていくように見受けるのですが、今後指定をしていく方針、態度といいますか、これについてひとつお話を願いたいと思います。
  65. 藤森俊郎

    ○藤森説明員 現在の制度におきましては、教習施設というものがあるわけでございますが、その中で政令で定めます一定の基準、この基準には、まず人的な面で管理者でございますとか、各種の指導員でございますとか、そういう人的な面での基準、それからコースでございますとか、そのほかの施設、物的な面での基準、それからそれを運営してまいります教習内容のいろいろの教習計画プランニングの面、それぞれの基準が定められておりまして、その基準に客観的に適合いたすものはこれを指定するということになっておるわけでございます。そしてそれが現在指定になっておりますものが、ただいま申しましたような基準に合致しないというふうな事態が起きました場合は、これを排除してまいるということになっております。さような制度でございますので、私どもは各県におきましてそういうふうな教習施設を見てまいりまして、そこから申請がありました場合、その基準に適合するやいなやについては、十分慎重に検討をいたして、基準に適合したものはこれを指定し、合わなくなったものはこれを排除する指導をいたしておるわけであります。
  66. 栗原俊夫

    栗原分科員 お話を伺いますと、基準というものがあって、基準に合致しておればこれは認可をしなければならないたてまえになっておる。隣合っておっても基準どおりできておるということになれば、これは認可しなければならない、そういうことになっておる、このように承知しますが、実態はなかなか数多く出てきまして、初めはわんさと習う者が寄ったのですが、近ごろは、少しその計画がはずれたというところはスクールバスなどを出して、相当遠距離にまで行って教習者をかき集める、こういうことが行なわれておるわけです。そういう中で何が出てくるかというと、もちろんたてまえからいえば、それは府県の試験場で試験するのと同じ基準の試験をしておるのだから間違いないはずだ、こうおっしゃるだろうと思うのですが、率直にいうと、普通の指定外の教習所で、二、三教程をやって受かるような人でもなかなか受からないので、この指定のところへ行くというようなことは、どうもその府県の試験場の検定よりも実地免除のほうが、これはわれわれのひが目かもしれませんがいささか軽いのではないかというような感じがするのですけれども、こういう点はいかがでしょう。
  67. 藤森俊郎

    ○藤森説明員 ただいまお話のございました点でございますが、試験制度とそれから指定教習所の卒業検定制度、これを比べてみました場合の重要な違いは、教習所の卒業生の場合は、ある一定の期間ちゃんと正いし基礎的な教習からずっと受けていたという事実が証明されておるわけで、それプラス検定に合格したという、いわば二重の証明があるわけでございます。その点、公安委員会の試験のほうは、試験を十分にがっちりやるわけでございますが、その試験以前のどういう教育を受けてきたかというふうなことについては、いわば野放しというふうな形になるわけでございます。私ども経験的に理解しておりますことでは、運転技能というのは、やはり正しい教育を基礎から積み上げていくということが非常に効果があるように承知をいたしておるわけでございます。これは二、三の府県の一部の数字でございますが、指定教習所を出た者の事故率は、指定教習所を出ない一般のドライバーの事故率よりも、比較いたしてみます場合に相当低いのではないかという推定数字が出ておるようなわけでございます。したがいまして、試験だけを比べまして、試験場のコースとそれから学校内のコースとは物理的にいろいろ形が違ったりなんかいたしまして、比較いたす場合に、こちらが重い、こちらが軽いという印象を受ける場合もございますけれども、総合的に見まして、指定教習所の講習を終わり、検定を受けて出ました者の能力というものは、決して試験制度で認められた者より落ちるものではないというふうに私ども考えておるのであります。ただ御指摘にございましたように、やはり指定教習所は営利企業というふうな面もございますので、この点、各県の公安委員会といたしましては、やはり十分にこれを監督し、指導することによりまして、少しでも検定内容がルーズになりましたり、その他教習内容の水準が落ちるというふうなことのないように指導をいたさねばならないと思います。今後はお話の点も十分にいたしまして、さらにそういうふうな指導を強めてまいりたい、かように考えております。
  68. 栗原俊夫

    栗原分科員 私がなぜこういう質問をやっておるかと申しますと、いま係のほうのお話によれば、指定教習所を出た者は、指定教習所を出ずに試験を通った者よりも事故率が低いのではないか、こういうようなお話なんですが、この点は私にはわかりません。わかりませんけれども、率直に申しまして、いままで試験を受けて受からなかった者が指定へ飛び込んで、待ってましたとばかりにやる。こういうところに、しろうと考えからいって、どうも府県の試験場で受ける試験よりも実地免除のところでやるほうがレベルが低いのではないかというような気がしてなりません。そこで、私は何を言おうとしておるかというと、事故が起これば、単なる自分の車体事故ばかりではなくて、他人の生命にも関係するようなことが多い自動車のことでございますから、やはり指定のところを出た者をいま一度最終的に府県の責任において試験をする。もちろん、出向いてやっているのだからいいではないかという議論になるかもしれませんよ。なるかもしれませんけれども、どうも私はそのところがふに落ちないし、心配なんです。医学生でも、医学校をりっぱに卒業した者がインターンをやって、国家試験を受けるわけですから、やはりそれくらいの段取りをしないと、特に近ごろの若い者は——もちろん技術だけで事故が起こるのではない、冒頭にも言ったとおり、技術は上手でも事故は起こるかもしれぬけれども、やはり技術の未熟ということも事故の一つの大きな柱になっていると思うので、そういうことを考えてもらったらどうか。こういうことを常日ごろ考えておるのですが、この点はいかがでございましょうか。それは、自動車の運転手を陸続とつくるのはいいが、しかし、やはり安心してハンドルを持たせるには、指定して一定の時間教習をさせて、最後の仕上げとして府県の試験を受けさせる、その場所が狭いではないかということなら、金をかけてもいいと私は思うのです。人の命をいつすっとばすかわからぬというときに、しかもただ試験をやっているわけではない、言うならば、いまの実際に試験をやっているのを見ると、金額そのものは大きくないけれども、受ける試験の内容から見ればかなり高額な金を取っているのだから、ああいう金の取り方をやればやってできないことはないと思うので、これはぜひやってもらいたいと思うが、御意見を伺いたいと思います。
  69. 藤森俊郎

    ○藤森説明員 御意見の御趣旨は、あくまで運転者の技量を高めるという点にあるのだと存ずるわけでございまして、試験の制度と検定の制度との比較論からいうと、先ほど私が言ったようになるわけでございます。制度的に申しますと先ほどのようなこともございますが、私どもとしては、現行制度のもとにおいても、検定制度というものをさらによりよきものにしてまいる努力を続けて、実質的にも公安委員会の試験よりいやしくも劣るのではないかというお話の出ませんように、今後運営について十分に努力をいたしてまいりたい、かように思います。
  70. 稻葉修

    稻葉主査 栗原君に申し上げますが、先ほどの国鉄に関する御質疑に対しまして、いま答弁者が参りましたが……。
  71. 栗原俊夫

    栗原分科員 わかりました。  大臣に、このことについて一言お伺いしますが、いまの指定教習所で習うと実地免除になるということ、これは、私はどうも雨後のタケノコのごとく粗製乱造をするような気がしてならないので、私の意見は、お医者さんが、学校の試験は受かって卒業したけれども、さらに仕上げの国家試験を受ける立場と同じように、指定教習所をやっても、最後の仕上げにはやはり試験をやるという制度をつくってもいいのではないか、これをぜひやってもらいたいという希望ですが、大臣の御所見を伺いたい。
  72. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 運転手が非常に不足しておる、その結果粗製乱造というか、急に充足するためにその規定等が甘くないかという御意見は、私も同感でございます。ただ、しかし何と申しましても、免許のことは国家公安委員会の所管事項でございまして、よく国家公安委員長その他と話し合いまして、できるだけそういうことについて善処いたしたいと思います。
  73. 栗原俊夫

    栗原分科員 それでは国鉄のほうにちょっとお伺いしますが、東海道新幹線の事業は、土地収用法によるところの公共事業認定あるいは公共用地の取得に関する特別措置法による事業認定、こういう認定のいずれかをおやりになって執行しておられるのですか。
  74. 向井重郷

    ○向井政府委員 東海道新幹線工事その他につきましては、国鉄は当然土地収用法なり特別措置法のほうの指定を受けてやっておるわけでございます。
  75. 栗原俊夫

    栗原分科員 事業の認定を受けたのは、土地収用法の認定はいつで、また特別措置法の認定はいつですか。私がなぜこれを聞いているかというと、決算委員会に関連があるから聞いているのです。
  76. 向井重郷

    ○向井政府委員 土地収用法につきましては、これはずっと前からやっておりますが、特別措置法のほうは立法があとでできた関係上、用地買収をほとんど全面的に交渉を始めてから法律ができたようなわけであります。したがいまして、特別措置法のほうでやった例はないように私は記憶しておりますが、とにかく土地収用法のほうは、いつと言われましても、全体的に工事全般を一件として受けておるのではないと思っておりますが、詳しい年月日はあとでまた申し上げます。
  77. 栗原俊夫

    栗原分科員 東海道新幹線もいよいよ七月で完成して、あと試運転、開業を待つばかりという切迫したところなのですが、敷地等についてはもうすでに完全に完了しておるわけですか。
  78. 向井重郷

    ○向井政府委員 つい先ごろまで静岡県下で一件未解決の問題がございましたが、これがつい先ごろ解決をいたしまして、現在では全線用地については獲得済みということになっております。
  79. 栗原俊夫

    栗原分科員 いま一点。当初予定した路線の鉄道関係の敷地並びにこれに関連する買収費、こういうものの予算、これは幾らで出発しましたか。
  80. 向井重郷

    ○向井政府委員 当初の予算は五百十億でございます。
  81. 栗原俊夫

    栗原分科員 土地買収費合わせてですね。
  82. 向井重郷

    ○向井政府委員 そうでございます。
  83. 栗原俊夫

    栗原分科員 それで済んだわけですか。
  84. 向井重郷

    ○向井政府委員 五百十億。これは、ちょっといま失礼いたしましたが、一回補正をしたあとの……。
  85. 栗原俊夫

    栗原分科員 私の聞いているのは、出発するときは幾らで、いつ幾ら補正追加したか、こういうことを明らかしようと思っている。
  86. 向井重郷

    ○向井政府委員 おそれ入りますが、用地費の問題について一番初めの原計画の数字を持ち合わせておらないのであります。補正を経たあとで、いわゆる二千九百二十六億に全体の工事費を改訂いたしました際の用地費が五百十億でございます。それに対して先ごろの追加でもってその計画を五百九十八億、八十八億補正追加をいたすということにしてあるわけでございます。
  87. 栗原俊夫

    栗原分科員 時間がございませんから最後に一問確認をいたしますが、この東海道新幹線は、この事業を始めるにあたって土地収用法の事業認定を受けてあることは間違いございませんね。
  88. 向井重郷

    ○向井政府委員 収用委員会で確実にいつ何日にどこの区間について受けたかということについては、私先ほど申し上げましたように正確な資料を持参しておりませんけれども、収用関係の話し合いはずいぶん進めておる実例を十分承知しておりますので、そういうところから考えまして、収用手続を十分にやり得る資格がある、そういうふうに私どもは考えておるわけでございます。
  89. 栗原俊夫

    栗原分科員 時間がございませんので、以上で終わります。
  90. 稻葉修

    稻葉主査 関連して発言を求められておりますので、これを許します。中井徳次郎君。
  91. 中井徳次郎

    中井分科員 先ほどから国鉄さんの土地の問題について、栗原委員の質問に対する答弁を伺っておりましたが、少しおかしいじゃありませんか。最初は千九百五十億の新幹線の予算で、その中における用地代は百五十億、私はそういうふうに記憶をいたしております。皆さんだって御存じだと思うのです。もちろんその中には戦争前の弾丸列車の用地もありますし、もうすでに買収した用地もあるし、なんですが、それが三倍になって四百五十億か何かになって、去年からことしにかけて、おととしですか、非常に問題になったじゃありませんか。ですから、そういうことについて、済んだことでありますけれども、あまりどうも初めから五百十億でありましたなんという、そういう答弁をするということは、私は非常にふまじめだと思うのですが、いかがですか。私の記憶にまあ誤りがない。初めあなたのほうで出しましたときには千九百五十億で新幹線はやる、こう言った。いま三千八百億——この間は、私はまだ要るんじゃないか、まだ四百億要るんじゃないか。国鉄は新幹線を完全にするためには、どうもそれがほんとうらしいですよ。あなた方が要らないという返事をしたから、私はさようですかといって引き下がりましたけれども、ほんとうにきちっと施設をするためには、あと二百億ないし四百億要るというのが、鉄道関係の専門家の一致した意見であるように、私はそういうように判断しております。きょうはそんなに追及しませんけれども、初めから百五十億であるということは天下周知の事実なんですが、いかがですか、間違っていますか。
  92. 向井重郷

    ○向井政府委員 失礼いたしました。五百十億は、先ほど申し上げましたように補正後の姿でございまして、なるほど全体計画が千九百七十二億、この一番初めのスタートのときには、用地費として計上してございましたものは、資料によりますと百四十六億ということになっておるわけでございます。この数字をちょっと古い資料でございますので失念して、だいぶ失礼いたしました。
  93. 中井徳次郎

    中井分科員 これは、全体の形として、国鉄にいやしくもつとめておられる幹部の皆さん方、新幹線を建設する過程などくらいは、政府の一員として国会で説明しなさる皆さん方が、これは非常な問題になったことでありまするから——用地が四、五年の間に全国的に暴騰した。それから、いま栗原さんが言っておられますのも、土地収用との関係でございます。そういうこととも関連して、大石君あたりがいいわいいわでもって、とにかくオリンピックまでにやればいいわということで方々でもって汚職が起こっておる。私は何もそこまでは深く言いたくないけれども、そういう根本の気持ちが、皆さん予算を取ってしまったら、もうこっちのものだという、ものの考え方について、われわれ国民としては非常に不愉快なんです。新幹線のできることは大賛成だ。大賛成だけれども、その過程をあまり乱暴にやるとおかしいじゃないかというのが実際のところなんですよ。それは幹部の皆さんが初めからそういうことをあまり問題にされてない。問題にされてないから頭の中にないというふうな、ずさんなことでは非常に困ると私は思うのです。ですから、ついでに伺いますが、これはできたら、たとえば東京−大阪間のこの国鉄の新幹線の料金ですね、料金なんか大体試算なさっていると思うが、どれくらいになるのですか、それをちょっと伺います。
  94. 向井重郷

    ○向井政府委員 料金につきましては、ただいま国鉄のほうでいろいろと研究を重ねているところでございまして、近く成案を得て運輸省とも相談するということになっているわけでございますが、ただいま研究の途上でございますので、もうしばらく御猶予願いたいと思います。
  95. 中井徳次郎

    中井分科員 そういう料金を決定する際にも、千九百五十億がせめて三千億くらいで——物価騰貴はちょうどその間二割ですから、厳格に言いますと二千五百億くらいでやられるならば、国民もあまりやかましく言わない。これが三千八百億になったのですから、これは原価計算なり何なりたいへんで、非常に高いものになりやせぬかと心配するわけです。——あなたは国鉄でなくて運輸省国鉄部長ですか。それはどうも……。しかし、あなた監督しておって、それはほんとうに有名な事件なんだから、それくらいのことはやはり当然のことですよ。転勤して一週間もたったら、国鉄はどう変わったぐらいのことを調べておかなければ私はいけないと思う。どうもきのうからいろいろ聞いておりますけれども事務的に少しそういうずさんな面が多い。きょうは関連ですから言いませんけれども、もっとそういう意味における基本的な立場に立った御研究なり、しっかりとした資料を持ってお越しをいただきたい。以上申し上げます。
  96. 稻葉修

  97. 肥田次郎

    肥田分科員 私は問題点だけ簡単に質問したいと思うのですが、まず三十九年度の運輸省予算は要求の額と決定額とで相当な開きがあって、こういうことでは交通運輸の重要任務を果たせないのではないかという心配がありますので、そういう点で質問をまずいたしたいと思うのであります。   〔主査退席、井村主査代理着席〕 一例をとってみますると、国鉄の要求予算では三千八百五十六億というのが要求でありましたが、決定は約二千八百五十億円、こういうことになっております。国鉄輸送の大問題であるところの保安設備というようなものは一体どういうふうに処理をしていかれるのだろうか。事故は頻発しておりまして、こういう問題をなおざりにはできないと思うのでありますが、要求の予算決定額とでは一千億からの開きがある。こういう事情をまず説明を求めたいのであります。  それからもう一つは、今年度の国鉄のベースアップを一体どうするのか。聞くところによりますと、国鉄の労働者の家族は、その大部分がみんなそれぞれの住宅において手仕事をしておる、そうしてその手仕事をしておる中からやっと生活費を補っている、国鉄一家の面目を保つと言いますか、そういう状態を今日まで続けてきておるのだ、これは国鉄の人々が私の耳に入れてくれた話であります。したがいまして、そういう問題がありますので、円滑な運転を行ない、安全輸送を行ない、それから事故をなくするためにも、国鉄の労働者の待遇というものを考慮しなければならないのでありまして、一体ことしのベースアップについては運輸省はどのような指導をしようとしておるのか、この点もお聞きをいたしたいと思います。  それから都市におけるターミナル問題は、これはもう今日非常な重大な問題でありまして、これにはいろいろと問題点があります。しかし当面したところの問題としては、都心にターミナルを持つところの私鉄の高架化あるいは地下化、こういうものに対する助成対策というものは、大臣のお話には意見としてあるいは省議としての意向は聞きましたけれども、これが予算には全く今年度もゼロになっておる。こういう実情ではたしていつの日に交通問題を解決できるのだろうかという心配があります。それから地方鉄道整備法という法律に基づくところの助成は、近年非常に形式的になってまいりまして、ほとんどそれに対する助成金というものがあってなきがごとし、こういう問題を一体どうするのかということが一つございます。  昨年は北陸、山陰、東北地方に非常な雪害があった。この非常な雪害に対して何らかの方法でこれらの救援対策をやるべきではないかという陳情その他がありましたけれども、具体的な問題は何一つあらわれないままにこれが流れてしまった。幸いことしは雪が少なかったので、何とかその補いはついていくだろうとは思いますけれども地方鉄道整備法というものはこのままにしておくならばもう必要ないではないかということさえ考えられまするが、なぜこれに対して助成がだんだん減ってきているのかということをひとつ聞きたいと思います。  それから踏切道改良促進の問題でありますが、踏切道改良促進に対する助成は、当初の要求額では一億四千六百万円ということになっておりました。これに対して五千二百五十八万九千円というのが三十八年度の予算でありました。ところが三十九年度では四千二百十一万七千円、一千万円からこれが減じておる。こういう事情はどうしても納得できない。今日御承知のように踏切道の改良というものが非常に重大な問題であって、踏切道の整備、立体交差、もう踏切道を廃止してしまう、こういう処置を講じてまで安全な輸送をはかろうかというのが問題になっているのでありまして、これらに対して昨年度わずかの額であっても、一千万円から予算が減ってくる、こういうことで一体踏切道改良促進がほんとうにできるのかどうか。こういう点について大きな疑問を持つものであります。全国で七万カ所をこすところの踏切道につきましては、それぞれの対策を立てられておるようでありますが、今日一つの例を東武電鉄にとってみようと思います。私が聞いたところでは、東武電鉄の浅草−日光間は百三十五・六キロの距離があります。ここは特急の所要時間が百六分ぐらいであります。急行では百二十七分ということになっておりますが、この中で踏切りの数が第一種の甲というのが十七、それから乙が百十二、第二種が七つ、第三種が百二十九、第四種が千二十、合計千二百八十五カ所の踏切がある。この百三十五・六キロの間にこれだけの踏切があるわけです。そのほかにも信号もある。結局これを時間で計算をいたしますると、平均時速が七十六・七キロとなりまして、いわゆる時速七十六・七キロで走ると、四・九五秒ごとに一カ所の踏切を通過することになる。これは全くたいへんなものであります。運転者の苦労のほどもさることながら、これだけ多数の、四秒か五秒の間に一カ所の踏切を通らなければならぬような多数の踏切をそのまま存置しておくことがいいのかどうか、こういう問題も起こってまいりまするので、したがいまして、踏切道の整備促進という関係では、ただ警報機をつけたりあるいは立体交差にしたり、それだけでは手の足らないところがありますから、これらについてはすみやかに政府のほうで指導をして、そうして無理につけたところの、あるいはサービスの意味でつけたような、ただ単に人を通すために、線路を通すときにいろいろな問題で因縁がついておるような、こういうごく人通りが少ない踏切などは、これを至急に整理する必要があるのではないか、こういうことを考えるのであります。  以上、具体的な問題はあとにいたしまして、とりあえずそのような関係において、一体政府は今年度の予算内でどのようにして実施していこうとするのか、そうして、今年度実施できなかったところの予算面については、来年度四十年度においては、具体的にどういう対策をお考えになっておるのか、この点について御答弁を賜わりたいと思います。
  98. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 お答えいたします。ベースアップにつきましては、重要な、私として答えられることをまずお答えいたしまして、以下民鉄部長、国鉄部長それぞれから答弁いたさせます。  ベースアップにつきましては、財源としては、今年度の予算は御承知のようにたいへんな、申さば窮屈な予算に相なっておるのでございまして、ベースアップにつきましては、すでに、ベースアップはなかなか困難だということを団体交渉で回答いたしております。しかし、国鉄の従業員が非常な生活に困窮をいたしておるということにつきましては、私も直接陳情も受け、実情も存じておるので、何とかこれを三公社五現業の、三公社の電信電話公社並みに、もしくはそれ以上にやるべく努力はいたしておりますが、今日の国鉄が非常な窮境にあるということを私も存じております。そこで、私どもといたしましては、その基本はどこにあるかと申しますと、何と申しましても公共性と企業性、この相両立することが困難な問題に国鉄というものは置かれておるということに非常なる問題があると考えまして、そういう根本問題につきまして、政府部内におきまして、単に国鉄に限らず、政府全体の責任のもとに根本問題について調査組織を設けまして、おそくとも来年度の予算の編成時期までに結論を出して、その結論に従ってやっていきたい、かように考えております。  それからターミナルの問題は、御承知のように非常に金のかかる問題でございまして、東京につきましては開銀融資を約十億円予定して、それでなるべくあなたの御趣旨のような点を解消すべく努力いたしておる次第でございます。  それから、地方につきましては、目下財政資金の融資を政府内において交渉をいたしておるのが現状でございます。  それから私鉄の高架化、地方鉄道の軌道整備、地方助成の政策、雪害対策、最後に例示されました東武その他の踏切改良施策につきましては、それぞれ民鉄部長その他よりお答えいたさせます。
  99. 岡田良一

    ○岡田説明員 都市の高架化の問題につきましては、前に踏切道改良促進法によりまして、立体交差を促進するために国が助成するという規定がございまして、この規定によりまして現在立体交差を促進しておりますが、しかし、これによって根本的に高架化することは非常に困難でありますので、運輸省といたしましても、私鉄に助成をして根本的に高架化をする方策を、現在検討いたしておりますが、いまだ予算化する段階まで来ておりません。  それから整備法の関係につきましては、昨年の北陸地方の雪害がありましたときにも、整備法によって補助すべきであるということでいろいろ検討いたしましたが、整備法の条文から、除雪費に対して補助することは困難であるということになりましたので、別に、法律に基づかない予算措置といたしまして、予備費約二千万を、除雪費の非常にかかった会社に補助いたしました。整備法につきましては、現在、三十九年度予算では四社適用されることになっておりますので、なお今後そういうものがまた出てくる可能性もございますし、活用していくことはなお考えられると思います。  それから踏切の問題につきましては、私鉄関係の踏切で、自動車が通るような二メートル以上の踏切は、一万三千ございます。そのうちどうしても早急に整備する必要があるというものを、踏切道改良促進法の関係で、約三千ほど早急に指定をいたしまして、これによって整備するという計画を立てておりまして、その五カ年計画に基づきまして、毎年逐次三千を整備していく。とりあえず三千を整備いたしまして、残りの約一万ほどのものにつきましては、整備促進法は限時立法でございますので、これが終わりましたあとでもさらに整備していきたいというふうに考えております。
  100. 肥田次郎

    肥田分科員 詳しいことはまた別の機会にやりたいと思いますが、私はこの分科会において確認をしていただきたいことは、少なくとも運輸省の交通政策として取り上げなければならない問題として今日重大な問題は、やはり都市におけるバスのターミナルの設置とか、あるいは都市にターミナルを持つところの私鉄の高架化、地下化、それから踏切道の整備、こういう問題は、少々の経費は当然覚悟の上で急速に設定しなければならぬ問題であると思うのであります。すでに運輸省の方針としてこれらが考えられておりながら、いつまでたってもこれが予算の上にあらわれてこない。こういうことでは、今日、池田総理の言っておられるところのいわゆる高度経済成長政策というものにマッチしないままに、交通政策だけ取り残されていくというような矛盾が生じてまいります。したがって、これらに対しては、今年だめなものなら、来年度においては必ず予算措置の実現が可能である、こういうことの大臣の考え方をまず私は聞かしてもらいたいと思うのであります。  その他の問題については、それぞれの関係の委員会において、なお具体的な問題を聞きたいと思います。
  101. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 先ほど申しましたように、政府にこしらえます調査機関によりまして国鉄の基本問題を研究し、同時に、その結論に従って予算措置をするように努力いたします。また、それは可能であると私は考えます。と申しますのは、経済企画庁におきましては、所得倍増計画の中間の手直しをするために、いままで先行公共投資の不足であるところの鉄道と港湾については、さらに思い切った政府資金を回すような研究を目下いたしておるのでございます。それはこの前運輸委員会で企画庁の公共投資担当の当局から御説明申し上げたとおりでございますが、必ずや道路等に比較しましておくれておるところの公共投資の増額ということは期待していいのではないか。しかし、その額をどうするかということ、それからさらに根本問題といたしましては、先ほど私が申し上げましたように、国鉄のあり方に従って予算措置等が関連してまいりますので、その根本問題を政府権威者を集めまして、もちろんその中には大蔵当局も入れまして、私どもは少なくとも、おそくとも予算の編成期までにきめてまいりまして、来年度予算の設定に当たりまして、努力いたしてまいりたいと考えております。
  102. 肥田次郎

    肥田分科員 大臣のお考えはよくわかりました。われわれが強調したいのは、人間のからだでいったら交通機関というものはこれは血管のようなものです。血管の通っておらないところはみんな半身不随になるのです。ですからこれを円滑なものにするには、他の部分を少々犠牲にしても、この方面に対して予算がさかれなければならぬ、こういう考え方を持つものであります。したがいまして、いま大臣が言われたように、これらに対し実現のために全力をあげて努力をしていただくそうでありますから、とりあえずこの問題についてはそれでおきたいと思います。大臣は御用があるそうですから……。  それでは次に具体的な問題で二点ほどお伺いいたしたいのでありますが、それは最近バスの運転者、車掌が非常に供給困難な事情にあるということを聞いておるのであります。先般来タクシーにもこういう問題が出ておりまして、乗車拒否なんかはすべて運転手の不足から起きるものだろう、こういうことが言われておるくらいでありまして、これらに対しては、重要な問題だと考えております。特にバスの車掌は年少の女子を今日まで採用してまいりました。ところがこの年少の女子を採用するということには、もう御承知のようにいろいろな条件がこれにくっついてまいります。したがいまして、こういう問題は幾つかあるのでありますが、私はこの中で特に一つ問題にしたいのは、御承知のように昨年神戸の市バスの車掌さんが身体検査を受けて自殺をしたという事件がありました。これに対して人権擁護局でも検査の際の行き過ぎがないように、こういう要望書をそれぞれ関係方面に出したということまでこれが発展をしたのであります。当時この運輸委員会におきましては、自動車局長その他にこれらの関係についていろいろと意見をただしましたが、その後これもいまから四、五日ほど前に、この問題がさらに日本弁護士連合会の関係でいろいろと意見が出て、結局日弁連の結論としては、車掌の身体検査は違憲である、こういうふうに結論を出して、関係方面へ勧告をするということが新聞に出ておりました。ここで問題になりますのは、先ほど言いましたように、バスの女の子の車掌が今日まで人権じゅうりんにひとしいところの身体検査をされる。ふろに入れるときに全部裸にしてそして所持品一切を調べる、あるいはからだをそれぞれ調べる、こういうことが今日なおかつ行なわれておる。しかもこれを行なうについては、これも先般来問題になりましたように、赤玉と青玉でしたか、二つの玉を色分けしておいて、赤が出たら厳重なる検査をする、青の場合には簡単な検査で済まされる。こういうやり方でいろいろ検査をしておるというふうな風習がなおかつ今日残っておる。しかもそういうことはけしからぬじゃないかということになると、一部ではいやそれは身体検査ではない、物品の検査をしておるのだ、こういうふうな形で言いのがれをしてのがれております。そういうことが続くから今日ではなかなかバスの車掌さんにはなり手がない、こういうふうな事情が起こってきておると思うのであります。したがいまして、すでにこうして人権擁護局でも勧告をする、あるいは日弁連でもこういう結論を出してそれぞれの業者に勧告をする、こういう事情が起こってまいりましたので、これに対して運輸省としては、今後どのような処置を講じるのか。それからまたこれが直接現在——この当時の問題からしても一番こういう事件が多いとされておるところの地方公営企業、いわゆる市バス、都バスの中においてこういう風習があるので、これらに対して自治省関係では一体今後どのように指導されるのか。この点について双方からひとつ意向を承りたいと思うのであります。  私は時間がありませんので、結論的に申し上げまするのは、たとえば神戸の関係でも、車掌の自殺事件があって以来労組側とも団体交渉を続け、交通局としても検討をしているが、いまのところまだ結論は出ていない、われわれは身体検査をしておるのではなく所持品の検査をしておるわけで、人権侵害にならぬよう特に配慮してきたつもりだ、こういうふうに言いわけをしておりますけれども、しかし人権侵害にならないようにしておるというその反面に、五時間も六時間も調べられて、それで結局その娘さんが自殺をするという事件が起こっておる以上は、こうした規則というものはすみやかに改めるべきである。とにかく現行の身体検査というような規則は、一応全部廃止して、そうして新しい立場で双方が——もしそういう金銭をごまかすという心配があるなら双方が納得した手段でこれを調査をするということで、労働組合の代表と当局とで協議をしてきめるべきじゃないか、こういうふうに考えますので、これについて自治省とそれから運輸省との双方からひとつ御返答を賜わりたいと思います。
  103. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 昨年の六月に神戸の市の交通局で起こりました車掌に対する服装検査の行き過ぎによる気の毒な事件につきましては、当時神戸の法務局、それから人権擁護局、両方から運輸省あるいは大阪の陸運局長あてに当時のその事実につきまして人権侵害のことのないように注意するようにというふうな書面をもらっております。われわれとしてもその書面を受けるまでもなく、あの事件に非常に深い関心を持ちまして実情調査いたしたのであります。その結果、法務局あるいは人権擁護局の意見も十分くみまして、服装検査の程度あるいは方法、つまり行き過ぎた服装検査によって人権を侵害するということは絶対にないように今後注意をするということで指導をしてまいっております。先般たまたま日本弁護士会のほうでも、昨年の事件以来いろいろ調査をされまして、新聞に出ておりますような意見の表明があった。われわれとしては引き続き服装検査等につきましては十分注意をして、あるいはできるだけこれをやめて他の方法に変えて不正防止等を考えるという方法で、公営といわず民営といわず、くふうをこらしてやるように厳重に注意を与えております。いまのところそれ以後そういった事件を私はまだ聞いておりませんが、しかし、こういうことは間々あることでございますから、常に注意を怠らないで厳重にやりたい、かように考えます。
  104. 近藤隆之

    ○近藤説明員 ただいま運輸省のほうから御説明があったとおりでございますが、自治省といたしましても、昨年の事件の後、法務省の人権擁護局長のほうからいろいろこうした点が行き過ぎであるというような通牒が参りましたので、それをしんしゃくいたしまして、各事業所に対しまして行き過ぎにならないようにという旨の通達を発して、その線に沿って現在指導しております。なお神戸市につきましても、その後三十数回とか申しておりましたけれども、組合のほうと管理者のほうとが団体交渉によりまして、これをどう持っていくかいろいろ協議をいたしましたが、現在服装検査にかわるようないい方法が見つからないということで、従来定期的にやっておりましたのを臨時検査だけにするとか、物品を自分で提出するように改めるとか非常に簡素化した方法でやっておるようでございまして、現在のところ問題は起こっておらないというような状況でございます。
  105. 肥田次郎

    肥田分科員 私が申し上げたいことは、こういう身体検査をしても、物品検査をしても、するという規則がある以上は、一時問題が起こればノーマルな運営がされることになるでしょうが、時期が過ぎると、やはり双方がそういう問題を起こす可能性が十分あると思うのです。たとえばわれわれがよく耳にすることですが、一方の誤りというものは、そういう状態が悪くなってくるとまた検査その他の取り締まりが強くなってくる、そしてそれを繰り返すことになるだろうと思う。ですからこういうことを繰り返すことのないように、この際すみやかにそういう問題を解決する道を考えるべきではないかということを考えるわけです。ですからこれもまたあらためてそれぞれの関係で処理できることでございますから、どうかそういう点については、現在事故が起こっておらないということを前提にするのではなしに、根本的にこれらの取り扱いについての対策というものを、自治省においてもひとつ監督上の立場から十分御検討願いたい、かように思います。  それからもう一つ、私は最近交通取り締まりという問題についてやはり重要な問題を含んでおると思うので、具体的な問題でお伺いしたいのでありますが、大体バスの運転者というのは、一応自動車運転手といわれる仲間でも比較的優秀なグループだろうと思います。要するに乗客輸送という任務を負わされておりまするから、非常に社会的意識が強くなってきて、いうところの雲助根性のようなものはバスの運転手になるとほとんど消え去ってしまって、みんな優良な運転手になっておるのが実情だろうと思うのであります。これらが実は交通違反として摘発をされます。この摘発されることの条件にも幾つかあると思うのでありますが、要はわれわれがよくその訴えを聞くところでは、いわゆる交通難という問題が一つあります。しかし一方、徹底したところのいわゆるダイヤではないけれども予定ダイヤといわれるべき性質のものの中で、とにかくできるだけ自動車を運転さそうとする乗客輸送の意識、こういうものが間々スピード違反を起こすというようなことはあるだろうと思います。それからもう一つは、会社の業務命令の拘束というものも重要な影響力を持っておると思います。要するに業務命令の中で縛られて、そして想定されたダイヤの中で車を運転さそうということで交通違反ということが起こる場合も想定されるのでありまして、このような点については、無理のないような業務命令というものについて、運輸省のほうでは特にひとつ監督指導を強化をしていただきたいと思います。  そこで私が一、二ここで聞きたいのは、今日そういう交通違反を摘発する立場におられるところのいわゆる交通警察、この関係についての問題でありますが、われわれはもちろん交通警察官というものが今日の交通難、交通事故を処理するために雨の日も風の日も一生懸命街頭に立って努力をされておることに対しては、実に最大の感謝を惜しまないのであります。しかもこれらの人は、非常に生活環境にも恵まれない人々でありますから、こういう警察官全体の給与の問題については、最大の報酬をもってねぎらうべきである、こういうことは常にわれわれが考えておるところであります。この交通警察官が一たび交通違反を摘発すると、まるで鬼か蛇のように恨まれるという矛盾した姿があらわれてきております。よくわれわれが訴えを聞く中に、そういう面では若干やはりそういう恨みがなきにしもあらずということを考えるのであります。  一つの例を申し上げますと、こういう例がございます。ある地点で交通事故が起きたのです。交通事故が起きたためにそこに人だかりがしておった。人だかりがしておって、タクシーがたまたまそこを通りかかったところが、それが通れない。その向こうのほうには交通事故が起きた、その処理をしておる警察官が二、三人おった。けれども群衆の処理はしてくれない。しかたがないから、タクシーをそのままセンターラインを少々オーバーして、それをよけて通ったところが、おい待ったとこうきた。そしておまえは区分通行違反だ、いま忙しいから判だけ押しておけと言われて、そして摘発をされた。これなんかはいかにも警察官が交通事故が起きた直後で、いささかどうかと思うような事情もあると思いますが、いずれにしても、そういう事情というものは指導上解決する問題ではないか。そのような通れないところをセンターラインをオーバーしたからといって、直ちにこれを交通違反として摘発をするというこの行為は、これは明らかに指導の欠陥であろう、こういうふうに考えるのであります。  それからもう一つは、こういうことを聞きました。ある交差点でバスが信号無視をやったというので、これも摘発されて、そしてこれは行政処分をつける、こういうのがちゃんと裏に書き込まれて送られまして、私はこれでバスの運転手ができなくなるという訴えをしてきたのであります。そこで一体君はどういう事情で交通違反をやったのか、けしからぬじゃないかということで聞きましたところ、いや実は信号が変わる以前に私は右折する地点にちゃんと出て待っておった、そして信号が変わったので、それから右折をした、ところが二十メートルほど出たところで、おい待った、こう言われた。そしておまえは信号無視だということでそういう処分を受けた、こう言うのであります。そこで今度は警察のほうの話を聞いてみましたところ。その交差点から二、三十メートル離れたところに摘発をする警察官が立っておった、そしていわゆる通常の場合の交通違反というものは、現認するかあるいは機械で測定をして違反として摘発するか、大体そういう扱いになっておると思うのでありますが、その場合には大体ここに立っておって、ぐるっと向こうを回ってきたから、どうもこれは違反をやったのだ、いわゆる目測で違反の摘発をしておるという形態が非常に濃いのであります。一体あなたたちはどうしてそういう確認ができるのだと言ったら、いや実はここに立っておりまして、そしてこことここと大体この線は見ておりましたが、この出てきた車は信号無視であります、こう言うのであります。これはなるほど一応もっとものように聞こえますけれども、しかしこれには時間的な差というものが計算の中に入れられておらない、いわゆる不正確だと思うのであります。先ほどの運転者が言っておりますように、信号が青の状態のままで右折する地点に差しかかって、じっと待機しておった、そして信号が赤になったものだから、それで初めてその間隔を縫って入ったところが、おい待ったときた、こう言うのであります。ただしその前に先行車としてトラックがおったようでありますが、要するに交通警察官はトラックの陰に隠れておったために、どうも判断を誤っておったようなそういう事情があります。けれども、そういうものも一様に信号無視として処罰をされて、しかも運転停止の行政処分を受ける、こういう事情があるのであります。したがいまして、これらについてはすみやかに、そういう不規則な、不確定な、いわゆる目測で違反を摘発するというようなことはどうかと思いますから、もっと適切な指導がされるべきではないか、そうして交通運輸に携わるところの、最も優良であるとされるところのバスやタクシーの運転者というものについては、一般のにわかに雇い入れた自家用の、いわゆる昔の大八車を引いて、あるいは自転車に乗って、そうして親方にたたき使われるというような条件の人とは一応違って、組織とバックというものがあるのですから、指導もりっぱにできる条件にある者を、ただ単に摘発摘発ということで処分するということはどうかと思います。したがいまして、こういう点についていわゆる交通警察としてはどのようなお考えなのか、これは念のためにひとつお伺いをしておきたいと思います。
  106. 井村重雄

    ○井村主査代理 肥田委員にお願い申し上げます。持ち時間より十二分超過いたしましたので、それだけプラスいたしましたから、どうぞよろしくお願いいたします。
  107. 片岡誠

    ○片岡説明員 いま御指摘の点につきまして、私ども現在全国の交通警察官に取り締まりの方針について指導をいたしておるわけでございますが、一番強調して申しておりますのは、国民に納得のいく取り締まりをやれ、それはもちろん取り締まりの言語、態度のみならず、やはり一番交通事故に直接つながるような違反形態を、交通事故の多発するような場所あるいは時間を選んで取り締まりをやれ、いたずらに点数主義に走るな、こういう基本的な考え方で指導いたしております。ただ、何ぶん数多い警察官の中でございますので、末端まで徹底しない向きもあるいはあろうかと思いますが、今後ともそういう方針で指導を続けていきたいと思います。
  108. 肥田次郎

    肥田分科員 ただいまのようなそういうことに対してはもっと具体的な指導ができるはずですが、そういうことについては、あなたのほうに報告されるあるいはされないということとは関係なしに、ぜひひとつ何かの適切な指示というものを出してもらいたいと私は思いますが、いかがでしょうか。
  109. 片岡誠

    ○片岡説明員 私は、一片の指示じゃなくて——基本的な考え方につきましては、もうたびたび指示いたしております。しかし、たとえば信号無視であれば、それの技術的な方法論をもう少し詰めて、取り締まられる方についても、なるほどこれは自分が悪かった、自分が違反しておったということが納得のいくような方法論を、もう少し技術的に詰めていきたい。そういう意味の研修を、私どものほうで主宰して現在やっておりますので、そういうことで徹底をはかっていきたいと思います。
  110. 肥田次郎

    肥田分科員 私は先ほどから申し上げておるように、少なくとも違反を摘発するということは、これは確定的なものでなければいかぬと思います。定点をきめておいて、目測で、ここへ出てきたからこれは違反だというような、そういう方法はやはり廃止してもらうべきだと思います。あなたのおっしゃるように、もっと具体的な方法で、こうすればもう相手がいやおうなしにぐうと言うというような手段を講じてもらわなければならぬと思うのでありますから、どうかその点をひとつ徹底してもらいたいと思います。ただ、それが交通取り締まりを強化しろという意味ではありませんから、どうかひとつ……。  時間を超過して申しわけございません。質問を終わります。
  111. 井村重雄

    ○井村主査代理 午後二時より再開することとし、この際暫時休憩いたします。    午後零時五十五分休憩      ————◇—————    午後一時十五分開議
  112. 井村重雄

    ○井村主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際一言お願いを申し上げておきます。質問の持ち時間を三十分ということに、お互いに御了解をいただいておりますから、よろしく時間をお守りくださるようにお願いをいたします。政府側においても、答弁は簡潔明瞭にお願いを申し上げます。  それでは、昭和三十九年度一般会計予算及び同特別会計予算運輸省所管並びに同政府関係機関予算中日本国有鉄道関係に対する質疑を続行いたします。勝澤芳雄君。
  113. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 最初に大気汚染の関係についてお聞きいたします。あとは大臣が見えてからのことといたしまして……。  特に最近大気汚染の問題につきましては各所で問題になっておりまして、気象庁もこれについてスモッグ対策というものを積極的に打ち出しておるようでありますが、この大気汚染の現状、今日までの対策、これについて、まず御説明を賜わりたいと存じます。
  114. 舘林宣夫

    舘林政府委員 大気汚染の現状について最初に申し上げます。  わが国の大気汚染の状況は、比較的近年に至りましてその実態が把握され始めましたので、今日の段階ではまだ必ずしも十分に徹底してその汚染の程度が把握されておるとは申しがたいかとも思うわけでございますが、ただいま三地区——京浜地区、阪神地区、北九州地区、この三地区が汚染地区として指定されておりまして、これらの地区におきます汚染状況は、ある程度調査によって判明しておるわけであります。そのほか、主要都市におきましては、現在調査が行なわれておりまして、たとえば四日市あるいは尼崎、宇部、名古屋等、各地で国または都道府県あるいは市等の手によって調査中でございます。したがいまして、その汚染状況はある程度判明しておるわけでございます。一例を申しますと、ばい煙の排出量は、わが国では釜石、札幌等が非常に多いわけでございます。この釜石、礼幌等のばい煙の降下量は、世界的に見ても最高水準に近いほどの多量な降下量でございます。東京、大阪等のばい煙の降下量は、ロンドン、ニューヨーク等に比べて大体似たようなものでございますが、日本の都市によりましては、ばい煙の降下量はかなり多いわけでございます。釜石は製鉄所がございまして、札幌は、御承知のように家庭の燃料炭が非常に影響いたしておりますので、ばい煙としては非常に降下量が多いわけでございます。しかしながら、人体に最も影響を及ぼすと見られるものは亜硫酸ガスでございまして、しばしば大きな事故が発生いたします原因となるものと見られておるわけでございます。もちろん、人体に発生いたします事故は、すべてが亜硫酸ガスではなくて、あの大気汚染の各種の混合物の総合的な影響であると見られておりますが、おもなものは、やはりこの亜硫酸ガスが大きな原因であろう、かように見られておるわけでございます。この亜硫酸ガスの含有量が問題であるわけでございますが、一九五〇年当時、ロンドンで五千人スモッグのために一時的に死者が出たと称せられる亜硫酸ガスの濃度は、〇・七五PPM空気中にあったスモッグが数日間続いたといわれておるわけであります。わが国の現状で申しますと、東京は〇・二PPM程度の濃度は年に数回、まあ二回ないし三回程度三時間をこす。ところが、〇・三PPMの濃度になりますと、年に一回あるかなしか、こういう程度でございます。一番公害が叫ばれております四日市あるいは大阪は東京より亜硫酸ガスの量は少し多いのでございますが、大阪におきましては〇・二PPMが三時間以上、これは先般スモッグ警報の一応の基準として出した数字でございますが、この警報の対象となるような日数は年間を通じて十数日程度、かように私ども観測いたしております。四日市におきましてもおおむねこれに近いわけでございますが、ただ四日市におきましては、局地的にはもっと濃度の強い状況があるようでございます。  それから、大気汚染の中でも問題となりますものに、自動車の排気ガスの一酸化炭素がございます。この面の観測は大気汚染の中では比較的観測のおくれておる部分でございまして、いま主としてこの部分を観測いたしておりますのは大阪及び東京でございます。東京状況を申しますと、銀座四丁目で観測いたしますと、二・四から七・五PPM、五反田は非常に自動車が通るところで、四・八から二〇・二PPMでございます。人体にある程度障害を与える範囲といいますのは、これはいまだ必ずしも確定いたしておりませんけれども、公衆衛生協会あたりの答申によりますと、一ないし一〇PPMということでございますので、おおむねこれ以上ふえると人体によくない影響があるかもしれない。ただこの一酸化炭素は局地的なものでございまして、都内全体がこのような強い濃度になるわけではございませんので、この影響を最も受けるのは交通巡査であるわけでございます。交通関係の警察官を大阪ではかりますと、内勤の普通の警察官に比べて、交通巡査の血液の中の一酸化炭素の含量はほぼ倍になっておる、こういう状況でございますし、交通巡査の中にも、目まい、非常な疲労というような実態上の障害も出ておるようでございます。  以上、かいつまんで申しましたが、今日の大気汚染の実情でございます。  これに対しましてどのような施策が行なわれておるかと申しますと、ばい煙の排出の規制等に関する法律というのがございまして、これは厚生、通産両省が共管で施行いたしております。そのほかに大気汚染に関係のある法律といたしまして、鉱山保安法、旧電気事業法、ガス事業法、熱管理法、建築基準法、道路交通法、道路運送車両法というような法律があるわけでございます。主たるものは、ただいま申しました、私どもが通例ばい煙規制法と言っておりますばい煙の排出の規制等に関する法律があるわけでございます。この法律によりまして指定をいたしまして、その指定をされた地域におきましては、ばい煙を排出する施設に対します規制があるわけでございます。この指定地域になりました場合には、その地域内のばい煙を出す施設は一定の基準以下のばい煙にとどめなければならない。これは排出口のところで規制いたしております。大気中の規制でございませんで、煙突の出口といいますか、そういうところにおける規制の基準を定める。ただ小型の発生炉、熱伝導面積三十平方メートル以下、こういうところにおきましては知事がその基準を定める、こういうことになっておりまして、先ほど申しましたように、この地域に規制を受けておりますのは三地区でございます。ただいま、それ以外の地区につきましても指定をいたし、順次基準を定めてばい煙の排出を規制するようにやっておるわけでございます。  なお、先ほど申しました一酸化炭素につきましては、道路交通法並びに道路運送車両法によって設備並びに運行上の規制がございます。
  115. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 気象庁はことし九千七百万円スモッグの予算を要求したそうですか、これが予算折衝の段階で全額削除されたというような状態だそうですか、今日までの気象庁としての対策はどうなっておりますか。
  116. 畠山久尚

    ○畠山(久)政府委員 新聞記事にはいまおっしゃいましたようなのが出ましたけれども、この国会に提出されております予算案では、それが載っておりません。そういうわけでありますけれども現状の観測の結果からして大体の傾向はわかりますので、そういうことに基づいて、必要な場合には資料を提供して御協議申し上げたいと考えております。将来の問題としては、大気汚染のために特別な観測網をつくりまして、高い塔によるところの観測とか、あるいは飛行機によるところの気象観測とか、そういうものを併用してやるようにしなければいけないと考えております。
  117. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 将来でなくて、いまやらなければならぬ時期にきておるというふうに気象庁はお考えになっておるのではないでしょうか。
  118. 畠山久尚

    ○畠山(久)政府委員 これはやはり全体のことと考え合わせてきめられることと思いますので、私どもがただ技術的な面から見ただけで、それをすぐにやらなくちゃいけないとか、次の年度あるいはその次の年度でいいとかいうこの判定は、また別のところでされるわけでありますから、それに従うよりしかたがないと考えております。
  119. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 大気汚染の実情について、あるいはスモッグの対策について詳しいのは、お金を出す大蔵省じゃなくて、気象庁のあなたが一番詳しいわけですから、やはり気象庁なり厚生省なり、そういうところがそういう問題について警鐘乱打しなければ、いつまでたっても放任されておるというのが実情だと思うのです。ですから、それは声を大にしてやらなければならぬときに今日きておると思います。そういう点で大気汚染については積極的にやるべきだと思う。  そこで、次に大気汚染の許容限度はどのようにきめられておるのでしょうか。
  120. 舘林宣夫

    舘林政府委員 ただいまお尋ねの許容限度が一番問題でございまして、大気の中にどの程度の汚染があることが人体に悪影響があるかという許容限度は、非常にむずかしいものでございます。したがって、先般スモッグ警報を出します基準といたしまして、一番有害と思われる亜硫酸ガスが大気中に〇・二PPM以上が三時間以上、それから〇・三PPM以上が二時間以上続いた場合には、スモッグ警報を一般に出して周知させ、また工場、事業場等でばい煙を排出するものに対しては、協力してばい煙の排出の規制の努力をしなければならないように知事から勧告する、こういうような目標を示して指導いたしたわけでございまして、これはばい煙規制法に基づいて知事がそういうことを行なわなければならない規定になっておりますから、そういうことで一応の目安として、これ以上になれば人体に悪い影響があるおそれがある、こういうふうに一応きめておるわけであります。
  121. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 産業の立場からいいますと、たとえばこの間三池の炭鉱で鉱害が起きました。ああいうものの取り締まりも、人命を守る立場から、あるいは労働省なり厚生省というところで見ればいいわけですけれども、産業を振興させなければならぬ通産省の立場から見てみると、その競合というものはどうしてもあるわけです。ですから、最近いわれておる肺ガンの問題、あるいは洗剤の問題、あるいはこのような大気汚染の問題、こういうような問題も、人命を尊重するという立場からものごとを考えていかないと、どうしても産業との食い違いが出てくると思うのです。ばい煙規制法にいたしましても、施設をすれば金がかかる、金がかかるよりも、補償金をちょっとでも払ったほうがいいという考え方がどうしても産業の間にあるわけですから、結局それとの競合を考え、それから人体に及ぼす影響を考えたときに、もう少し積極的なやり方をしない限り、この問題は解決しないと思うのです。せっかくいま世論が大気汚染という問題をいっておるわけでありますから、ひとつこの問題については積極的に進めていただきたいと思うわけであります。  次に、自動車の排気ガスに対する規制であります。これは道路運送車両法なりあるいは道路交通法で規制せられておるようでありますが、効果があがっていないといわれておるのであります。これについては当然もう少し具体的な基準によって取り締まりをしなければならぬということがいわれておりますが、実情と今後の方針等について、自動車局長のほうからひとつ……。
  122. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 自動車の排気ガスにつきましては、現状では防止の装置をすることを義務づけております。この装置の整備を定期的にやっていくということにしておりまして、そういう整備のできていない車は走らせてはいけないということで取り締まっておりますが、猛毒あるいは悪臭、それからばい煙といったものを清浄化いたします清浄装置そのものの機械がまだわが国では完全でございませんので、その点につきましては、現在補助金等を出しまして研究をいたしております。できるだけよりいいものをつくって、これを装置させていきたいというように考えております。
  123. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 その場合、規制の基準というものが具体的ではない、しかも検査をする場合一時期だけに限られておって、日常の検査が十分にされていないということがいわれておりますし、特に機械的な検査でなくて、目で見るだけだというようなことであるわけでありますから、日常車が走っている中で、ある程度路上において気がついたときの取り締まりというような点などについても、相当やはり街路監査といいますか、こういうようなこともやっていかなければならぬと思うのですけれども、そういう点についてはいかがですか。
  124. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 路上を走っておりまして、そういった排気の状況にあります場合には、道路交通法によって取り締まることになっております。  なお、こういった排気の出る原因といたしましては、車の性能ももちろんございますし、それから急停車するとか急に速度を加えるとか、あるいは過積みをするということも原因でございますが、そういう点につきましては、運転者の運転操作上の注意を必要とするわけでございます。これらは一般的にそういうことについて注意を行なうように指導をしていくことしかないのじゃないかと思います。
  125. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 時間がありませんから、一応大気汚染はこれで終わりまして、次に、国鉄の問題について総裁にお尋ねしたいのですが、国鉄経営についてこのままではたいへんなことだということで、国鉄基本問題調査会の構想が出されまして、近く発足するということも聞いておりますが、一体国鉄自体としては、国鉄経営の問題はどこにあるとお考えになっておりますか。そのことは、公共企業体ということで独立採算にはなっておる。しかし、独立採算になっていながら、収入そのものについては一つの規制が運賃法によってなされておる。だから必要なことをやらなければならぬ。収入に見合った支出を行なっていればいいわけでありますけれども、それでは国鉄輸送が完遂できないという点で、あとは資金は全部借金だ。そうすると、借金をどれだけするかというのが一つの限度にしかなっていないわけであります。借金の大小によって国鉄投資がきまってくる、こういうふうな経営が行なわれているように思うわけでありますが、借り入れ金のある程度の限度、あるいは借り入れ金が少なければ、予算内において経営の効率を高めるためにどうしても営利主義になる、無理な合理化というのが進められていくという形になるわけであります。この辺の問題について、今度の基本問題調査会に対して、国鉄としてはどういうふうにお考えになっているか、まずお尋ねしたいと思います。
  126. 石田礼助

    ○石田説明員 勝澤さんにお答えいたします。  国鉄が、いま輸送需要に対して輸送力が不足のために、過密ダイヤをやって、事故が起こると拡大する危険が存在しておる。これは何とか是正しなければならぬということは、すでに御承知のとおりであります。その方法はいろいろありますが、運転の安全に対する機械装置だとか、あるいは職員の訓練、指導の問題だとかいうこともあるのでありますが、一番大きな問題は、何といっても輸送力の増強ということなんです。輸送力を増強するためにはどうするかということになりますと、ただいまおっしゃたとおりの借り入れ金の増加ということはありますが、そのほかに収入をふやすということ、この両方でありまして、われわれが今度第三次五カ年計画として考えておりますところは、借り入れ金をふやせば、それに対しては、借金はもとより利息を払わなければならぬ。普通の官庁と違って、もらう金でなくて借りる金だから、利息も払わなければならぬ。借金すればするほど借金の負担というものは大きくなってくる。そこで、できるなら収入をふやすことによって輸送力を増強していきたいというわけなんでありまして、第三次五カ年計画においては、当然収入をふやすということの問題が起こってくると思います。
  127. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 そこで、収入をふやすということ自体が、安全輸送と、それからサービスの低下といいますか、営利競争といいますか、こういうこととの問題点になるわけであります。そこで、三十九年度の運輸収入の見込みを見ましても、相当無理な収入というものが盛られておる。具体的にこの事業計画というものを考えてみますと、列車計画旅客列車が一丁三%もふえる。あるいは電車が二三・二%もふえるし、貨物も六・五%もふえる。これからの経済の成長を考えたときに、三十九年度の運輸収入というものは新たに水増しされた運輸収入になっている、こう実は見ざるを得ないわけでありますけれども、総裁いかがでしょうか。
  128. 石田礼助

    ○石田説明員 私はいま勝澤さんのお説と同じように考えております。要するに大蔵省の査定はわれわれの査定に比べて二百億以上ふえておる。これは私は無理だと思う。大体国鉄の収入の予算というものは、三十八年度に比べてふえておりますが、それは達成するだけで精一ぱい、これ以上ふやすことには非常に無理がある。これは意見の相違といえば意見の相違ですが、われわれの経済的見地から見て、大蔵省の見積もりがわれわれに比べて二百億以上ふえておる。これは少し収入というものを甘く見ているのじゃないか、こういうふうに考えておる次第であります。
  129. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 総裁がそういうお気持ちならたいへんけっこうですが、収入をふやそう、ふやそうとすれば、必ず安全というものを無視した経営政策が行なわれることは、火を見るよりも明らかだと思うのです。あるいは一方合理化の問題もそうです。やはり無理な営業成績をあげようとすれば、そこに必然的な無理な経営政策が行なわれるわけでありますから、そういう点は、無理な経営政策によって事故が起きて、安全をかりにも粗末にするようなことがないように、私は強く要望いたしておきます。  そこで、第一次五カ年計画計画と実績を見て、その実績の中で一番言われることは、実績が計画よりおくれていることは事実です。六、七割しか行なわれておりません。そして実績の中における国鉄の自己資金の負担分というのは、まさに計画よりずっと下回った実績しかないわけであります。これは第一次五カ年計画、第二次五カ年計画も同じことが言えると思う。その中の一番の要素は何かといえば、口を開けば人件費が上がったんだ、人件費が上がったんだと言う。しかし、人件費そのものはとまっているわけじゃない。第一次五カ年計画、第二次五カ年計画をやったときに、とまった給料でおるわけではありませんから、社会党が十八歳八千円とこの前言いましたけれども、このごろは一万円以上だ。これほど社会党の目標まで上がっているわけでありますから、いまの池田さんの高物価政策ならまさに上がっているのがあたりまえなんです。ですから、それを人件費が上がったことをとらえて、五カ年計画が達成できなかった、こういう今日までの国鉄の言いわけは間違いだと思うのです。ですから、その点について、私は第一次五カ年計画、第二次五カ年計画を通観して考えることは、自己資金の不足がみんな借金政策になっている。だから、借金政策の中で、サービスというよりも収益をあげることに重点投資が行なわれた。これでは困る。だから、やはりこの次に考えられる場合においては、輸送の安全というものを中心に考えた具体的な国鉄のあり方というものを考えていかなければならぬと思いますけれども、総裁いかがですか。
  130. 石田礼助

    ○石田説明員 第一次五カ年計画の達成がうまくいかなかったということは、資金の不足ということが原因をなしていると思います。資金の不足ということについては経費の増加で、経費の増加ということになると、経費のほとんど五割は人件費の増ということなんで、これが問題になってくるのでありまするが、第一次五カ年計画の達成がうまくいかなかったということは、初めわれわれが考えた需要の増加というものが甘かった。途中になってくると、とてもこんなことではいかぬ、こういうことで、第一次五カ年計画を御破算にして、第二次五カ年計画に移ったのでありまして、これについては予算関係で借金が十分できなかった。それで、第一次五カ年計画の輸送力の増強というものは、御承知のとおり新線の建設よりは幹線の輸送力増強のほうが収入増になるのだ、こういうことでありまして、何もわれわれは、人件費が上がっただけのことをもって第一次五カ年計画が完遂しなかった、こういうようには考えておらないのであります。
  131. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 私が先ほど申し上げましたように、結局自己資金の不足が借り入れ金になる。その極端な例が人件費に転嫁されるわけでありますけれども、では、経営費の全体を見てみますと、昭和三十二年に国鉄職員は四十五万人、それから昭和三十七年あるいは今年度を見ても四十五万人、何も現実にはふえていないわけですね。輸送量はどうかというと、輸送量は実に二倍以上にも伸びておるわけです。輸送量に見合って実は人はふえていないわけであります。そうしてみますと、この人員はふえていない。賃金はどうかというと、賃金を見てみると、国鉄労働者の賃金と他産業、同種産業の賃金を構成別に調べてみると、あまりにも低過ぎる。なぜ低いかというと、その原因はやはり国鉄の経営全体の中からものを見られておるわけでありまして、今度の政府の公労協に対する賃金回答を見ても、経営内部のやりくりということを中心にものを考えている。一つ一つの公社の経営自体というものの実績をよく解剖せずにおいて、そういう見方をしている。ですから、それが今度は予算に響いてくる。たとえば、いま三十九年度予算をやっております。これで賃金を上げろということがきまれば、その賃金を上げることは借金でやらなければ、国鉄はやっていけないと思うわけであります。そうすれば、ある程度借金をさせればいいけれども、言うだけ借金をさせなければ、その分だけどこか他から持ってこなければならぬ、そうすればその分だけへっこむことになる、そういうことになります。この点は、総裁としては一生懸命働かせると同時に、それは国鉄の責任によって負担すべきではないということを強く言うべきだと私は思う。たとえば賃金を三百億やれ、いや三百億は大蔵省で見れないから、二百五十億を見て、あとの五十億は中でやりくりしろ、こういうことは、総裁がいま言われたように余裕がないと思うのです。だったら、こういう場合には、修正なり何なりによってその分を補正しなければならぬ。国鉄職員の賃金が他産業と比べて低いという点から考えたならば、これはやはり真剣に考えるべきだと思うのですけれども、特に、いま賃金の問題が問題になっている時期でございますから、その点についての総裁のお考えをお聞きしたいと思います。
  132. 石田礼助

    ○石田説明員 大体国鉄の賃金というものは、私は公平に見て、他の公社の賃金に比べて安過ぎる、つまり仕事の質、労働時間の関係その他から見て安過ぎると思う。いわゆる国鉄の仕事が一番ハードワーク、苦しいにもかかわらず、その差というものはきわめてわずかなものである。要するに、国鉄職員の賃金というものの中には、職務給というものの精神があまり入っていないことは、私も事実だと思う。それで、私は、国鉄総裁として、職員に対する自分の責務からいえば、この点は何とか是正しなければならぬというふうに思っております。ただし、問題は、国鉄というものは、独立採算制ということでもって、収入と支出とのバランスをはかっていかなければならぬ。しかも、一方においては公共負担というものを年に七百億も負担しておる。しかもそれが年々ふえておる。こういうことで、つまりこういうものは今後の国鉄経営の上からいえばぜひとも是正しなければいかぬ。ことに、いまの運賃の問題でも、ほかの物価は昭和十一年に比べて三百六十倍、七十倍になっておるのに比べてみて、国鉄の運賃は旅客においてわずか百五十九倍、問題にならぬわけです。これはひとつ政府に考えてもらって、国鉄をあえて搾取とまでは言わぬけれども国鉄の犠牲において国の政策をやるということに対しては、もう少しお手やわらかにしてもらいたい、こういうことを主張したいと私は思っておるのであります。
  133. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 国鉄の経営の実態については総裁もよくお考えになっておるわけでありますが、国鉄の経営の中から、国鉄労働者の賃金問題を、経営が悪いから賃金はこれ以下でがまんしてくれ、こういう押え方というものはすべきではないと私は思う。やはり世間並みに給料を上げて、足らなければ、国鉄経営のひずみからくる問題は別の角度で、やはり借り入れ金なり何なりあるいは国の負担なりの形で処理すべきだと思うわけでありますが、その点は私と同じ意見でありますね。
  134. 石田礼助

    ○石田説明員 まず、われわれとしてすべきことは、何といってもやはり職員の給与を上げるためにはそれだけの金が要る。その金をどこから持ってくるかということになれば、まずもって収入をふやすことに努力する。そうしてそれはつまり運賃の値上げ、第二は公共負担を軽減する、こういうことに私はあると思います。まずもってこれをやって、そうしてそれでどうしてもいかない場合には、またその次の方策を考える、こういうことに考えております。ということは、国鉄の運賃の値上げなんということになると、いつも、国鉄は運賃の値上げを考える前に合理化をやれ、こういうことを言われるのですが、どこに一体合理化の余地があるのか、あったって大したものじゃないのです。動力費だとか、修繕費だとか、業務費だとか、結局ひねり出せばその三つなんです。それ以外にあえて合理化する余地というものはありやせぬ。ここに国鉄の非常にむずかしいところがある。外国においては、こういう公共負担なんというのに対しては、政府が補てんしているのでありますが、日本ではやってない。しかし、どうしてもいけなければ、やはりそこまでいく必要があるんじゃないか。とにかくひとつできるだけ職員に喜んで働いてもらうように、正当な給与ができるようにしたいということが、私の義務だと考えております。
  135. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 国鉄基本問題調査会が一応予算折衝の中でつくられるということがきまったわけでありますけれども、これは大体いつごろできて、大まかなメンバーはどんなふうに考えておって、そうしていつごろ結論が出て、この結論というのが第三次五カ年計画関係があるといわれておるわけでありますけれども、この辺の構想について、簡単でいいですから……。
  136. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 御承知のように、この間の予算は、国鉄並びに運輸省予算の要求に対してはほど遠い査定が下されました。まあ国家財政の現状においてはやむを得ぬと思いましたが、しからばとういうようにして——この国鉄予算問題を、毎年毎年同じようなことを繰り返しておったのでは、まるで夜店の何かを値切るように、要求したものの三割減らすとか五割減らすとかいうことでは、予算というものの意味がないじゃないか。そこで今度は国鉄の諸公に忍ぶだけ忍んでもらいまして、あれで政府の査定に応じたのでございます。その節に、予算決定する閣議の席上、私は、こんなことをしておったのでは、いろいろな運輸の非常な需要に応ずることもできなければ、国鉄の職業意識を減殺し、士気に関するようなことがあるから、基本的に問題を研究する、第二といたしましては、企業性と公共性の問題、あるいはただいま総裁が述べられたように、政府の施策のために国鉄が負担している非常な制約があるから、それをどうするか等々、重要問題につきまして調査会の結論を出して、それに従って予算の組み方を考えるということで、閣議はこれを了承いたしました。非常に国鉄当局運輸省といたしましては不満足でありましたが、とにかく了承いたしました。その結果こういうものを置くことになったのです。  そこで、それじゃどういう組織とどういうメンバーでやるかということは、いままだきまっておりませんが、少なくとも予算関係のある大蔵省、それから経済企画庁、運輸省の大臣は、もちろんそれに参画するでありましょう。それから外部から学識経験者を入れるか、それからどういうメンバーにして、人数をどのくらいにするかというようなことば、いま内閣の官房長官のところにおいてせっかく検討しております。  それでは、いつまで検討を続けるかといえば、御承知のように大体予算概算提出期は八月であります。その以前に結論を出すためには、おそくも三月、早いほどいいですが、三月一ぱいにおそくもやってもらわなければいかぬというように私ども考えまして、その方針に従いまして官房長官その他に要請をいたしておるというのが現状でございます。
  137. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 時間がありませんから、次の問題を大臣にお尋ねいたしますが、新東京国際空港の建設計画の問題であります。これは昨年の八月二十日に航空審議会に諮問をいたしまして、そしてその結論というのが出てきたわけでありますね。ですから、運輸大臣としては、運輸大臣の権限に基づいて航空審議会にやり、そして航空審議会から答申が出された。しかし、答申が出されたけれども、何か予算編成期になったら、閣議でもって、東京周辺にこだわらずに、浜名湖だとか、琵琶湖だとか、富士山麓にどうだというような発言閣僚の中からあって、そうしてもう一回やり直しになったというようなことがいわれておるわけでありますが、まさに運輸行政というのは陸も海も空ももう行き詰まっておるわけです。空はもういまから手を打たなければ間に合わないといわれておるわけです。ましてや昭和四十五年が完成目標といわれておりますけれども、四十五年で間に合うのかどうかすら私は疑問なんです。またかりにきまったとしても、今度は四十五年に完成しようとしても、土地の買収を考えてみましたら、最近の高速道路やあるいは新幹線の模様を見てみましても、これはたいへんなことなんです。そういうことを考えてみますと、これはやはり早急にきめなければならぬと思うわけでありますけれども航空審議会答申なり、あるいは大臣がいままでやられてきて、閣議でまたもう一回やり直しになっておるというような話を聞いておるのですが、大臣としてはどういうふうにお考えになって、いつまでに結論を出して、そうして計画されるのか、その点について御質問いたします。
  138. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 羽田東京国際空港がもう限度に来ておるということは、私もあなたのおっしゃるとおり認めております。そこで、しからばそれはいつまでにどういう規模でやるかということにつきましては、これは政府の施策としては非常に重大な問題でございますから、ほんのちょっとやってみて、なまじっかなことでやったのでは、もう今度さらに改装するとか改築するとかいうようなことは、ほとんど不可能といってもいいのです。そこで、まず私は、航空審議会の諸公に、あらゆる面から、あるいは航空管制の面から、東京への距離の面から、あるいは工事の都合に、より便利なところ等々を考えまして、航空審議会意見を聞いたのでございます。そこで大体われわれの希望しておる七百万坪以上、それから航空管制上の見地からいたしましては、いまの軍用機、駐留軍の飛行機、それから現在使っておる民間飛行機等々の支障のないような場所、こういうことにつきましてほとんど成案に近い結論を得ましたので、何もこれは閣議に出す必要はないのですが、何と申しましても非常に大きな国家施設でございますから、一応航空審議会答申はこういう答申であったということにつきまして、閣議報告いたしました。そして現在に至っておるのであります。超音速機は、大体日航が予定してありますのは、昭和四十六年に実用化されるという予定のもとに、少なくとも昭和四十五年中にやりたい。それで今日の土木技術をもってすれば、付属ターミナルその他の問題は、大小等によって多少の波がありますが、大体二カ年あれば、滑走路と用地が完全に得られたならば、着手ができる、こういうような目算のもとに、御審議を願っておる三十九年度の予算に一億円の調査費がつきますものですから、それに基づきましてさらに検討をいたしまして、誤りなきようにいたしたい、かように考えて、せっかく予算の成立を待っておるような次第でございます。
  139. 井村重雄

    ○井村主査代理 勝澤君、もう一問に願います。
  140. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 そうすると、航空審議会答申があった。この答申に従って運輸大臣としてはこれからも実施していく、閣議でいろいろ意見があったけれども、それは別である、こういうことなんですね。
  141. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 私は、航空審議会、それから私のほうの考え方等につきまして、さらによりよい意見がありはしないかということを考えまして、そういう意見があるのを、さらに本年三十九年度中に調査を完了いたしまして、三十九年度、少なくとも四十年から着工いたしたい、かように考えております。
  142. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 もう一問。航空審議会に再答申をさせることになるのですか。
  143. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 再答申適当であると、われわれ事務当局、私どもで考えましたなら、あるいは再答申させるかもわかりませんが、どう考えてみても現在の答申以外にいいところがないと判断いたしますれば、再答申はさせません。
  144. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 時間切れですから、運輸委員会のほうでやります。
  145. 井村重雄

    ○井村主査代理 横山利秋君。
  146. 横山利秋

    横山分科員 短い時間の問題でありますから、一つだけの問題でありますが、運輸省並びに農林省、建設省に聞きたいと思います。  伊勢湾台風は、ばく大な人命と国の財産及び国民の財産を喪失いたしまして、そのために、三十六年の春から百八億の巨額な費用をかけて、延々伊勢湾に八千二百五十メートルの大防潮堤を建設する。そして愛知県の海部郡弥富町から知多郡の知多町にかけまして工事中のものは、本年にはほぼ完成をして、再びあの大惨害を避けるという大工事がいま竣工の手前にあるわけであります。しかるところ、昨年の夏運輸省は、その大防潮堤の出入口、主開口部三百五十メートル、副開口部五十メートルを、一挙に、地元の陳情があった以上に五百メートルと三百メートルに拡張をしても防災上問題はない、こういうことを発表をいたしました。そこまではまだしもでありますが、本年の一月の半ばに及んで、この計画はもとへ返して三百五十メートル及び五十メートルの原案、当初の方針どおり行なうと発表したわけであります。まことに百八十億の巨額をかけた大工事、それによって百五十万名古屋市民はもとより、愛知、三重、岐阜の全県民に対しまして、この大防潮堤によって与えた信頼度、科学的合理性というものは、一瞬にして信頼感は失われました。そして、防災かあるいは港湾整備か、港が大事か防災が大事かという二つの方向に地元住民の見解は分かれてしまったわけであります。これは、一つには依然たる官庁のなわ張り争い——大防潮堤は周壁を含んで運輸省、農林省、建設省の合議で行なわれておりますその一つの結果だと思いますけれども、それにしても、科学的合理性を持って長期にわたって検討した結果というものが、運輸省の一夜にして大拡張しても差しつかえなし、そうしてまた一夜にして旧に復するというような決定は、大失態のそしりを免れがたいと思う。何たる非合理性、何たる不覚の行政態度であるか。むしろ私の問題にしたいのは、その行政の失態はさることながら、地域住民が、これによって、港の仕事が大事であるか、防災が大事であるかという論議に、二つに分かれてしまったことであります。しかも、その論争は必ずしも科学的合理性を持って論ぜられずに、感情的な論争に波及をしたという悲しむべき一事であります。短い時間にこの問題を全部ただすことはできないのではありますが、少なくともこの国会を通じて、単に東海三県の問題でなくして、いまや防潮堤の工事は各所に運輸省並びに建設省の仕事として出ておるのでありますから、この際、私は、どちらがいいということよりも、むしろまず地域住民のために合理性を追求いたしたい。どういうことでそんなばかげた失態を演じたのか、こういうことを追及いたしたいのであります。  それで、数字に入ります前に、大臣がお急ぎのようでありますから、大臣の本件に対する責任を私はただしたい。あなたは、三省の本件に関する責任者として、一体この問題をどういうふうにお考えなのか、どういうふうに事情を聴取し、また、地域の各官庁並びに地域住民諸君に対して政治的に御説明をなさるつもりであるか、それをお伺いいたします。
  147. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 問題の実情については、多分に技術的でございますから、港湾局長をして答弁せしめます。その結果、私が責任ありと判断いたしますれば、善処いたしたいと思います。
  148. 横山利秋

    横山分科員 責任ありとすればということですが、大臣、しまいまで残ってくださいますか。約一時間でございますが、最後まで残ってくだされば、あなたの責任も合理的な立場ではっきりすると思いますから……。
  149. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 ところが、三時には……。
  150. 横山利秋

    横山分科員 ですから、この問題について、御存じないということは言わせませんから、数字的な問題はさておくとして、大臣の政治的態度を明確にしてください、こう言っておる。——それでは内容に入って、全部私は数字的な実証をあげてただしますから、最後まで残ってくださいますか。
  151. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 最後までは残れません。
  152. 横山利秋

    横山分科員 ですから、数字に入る前に、あなたの態度を聞きたいと言っておるのです。
  153. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 態度は先ほど申しました通りでございます。
  154. 井村重雄

    ○井村主査代理 横山議員に申し上げますが、大臣は運輸委員会にちょっとお急ぎのようでございます。それで、いずれ機会を見て、時間があれば、あなたの質問の持ち時間内にお帰りをいただければ、また重ねて御質疑いただいてもけっこうでございます。また適当な機会に取り計らいまして、大臣からあなたの質疑に対して明らかな答弁をさせたいと思いますが、いかがでしょうか。
  155. 横山利秋

    横山分科員 私はきわめて不可解な大臣の態度だと思う。この問題について、内容をあなたは御存じないのですか。お急ぎであるから、数字的な説明を聞くということはあとでと申し上げているのでありますが、私がいまお話を申し上げたことは、だれでもわかる話でございます。二転も三転もしてみっともないことをしておるのに対して、大臣としてはどう考えるかという行政的責任を追及しておるのであるから、大臣がそれに答えられないはずはないと思う。それを数字を先に説明さして、あなたが責任がありとするならばと言うのですが、数字の問題じゃないですよ。政治的にひっくり返してみっともないことをして、地域住民に非常な不安を抱かせて、百八億もの巨大な工事に対して信頼感がなくなっておるということに対して、どう思うかと言っておるのです。
  156. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 私は内容をつまびらかにいたしません。同時に、局長その他から、新聞紙上に出ている程度のことは聞いておりますので、私といたしましては、いま住民が納得しないような状態にしたことについては納得いくように説明をさせ、同時に問題を処理しつつあるのでありまして、近いうちに解決するやに聞いておりますので、その結果を待ちまして責任をとりたいと思います。
  157. 横山利秋

    横山分科員 それでは大臣に伺いますが、私が言うように、去年の八月に運輸省——もちろんこれはあなたのほうが正式に発表されたわけではないが、しかしながら、天下に明らかになったのは、運輸省が主開口部及び副開口部を、一挙に三百五十メートルから五百メートルに、五十メートルから三百メートルに大拡張するということが世間にわかるようになったわけです。そういうことはきわめて軽率であるということが第一。第二番目に、本年の一月になってこれをまたもとへ戻すということも軽率であれば、つくってから将来必要があればまた広げるというのもさらに軽率である。この軽率な態度をお認めになりますか。
  158. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 あなたのおっしゃるとおりであれば軽率と思います。
  159. 横山利秋

    横山分科員 これは事実なんですよ。これは発表のしかたについては正式発表ではないと言いますが、けれども、これは厳然たる事実であります。あなたはその御相談を受けなかったわけですか。開口部を広げることについて、運輸省及び農林省に折衝するということを、御相談を受けなかったわけでありますか。
  160. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 技術上の問題でございますから、私は、私の信頼する部下でありますから、技術上の点については一々相談を受けておりません。
  161. 横山利秋

    横山分科員 いま振り返ってどうお考えになりますか。これだけの巨額な金で大工事をやっているものを、いきなり五百、三百に広げる、そしてまたもとへ返したというようなことは、あなた責任者として、部下のとった態度、及び地域住民に及ぼした不安というものについて遺憾だとは思いませんか。
  162. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 お話のごとくんば遺憾と思います。
  163. 横山利秋

    横山分科員 そちらにいらっしゃる方はどなたですか。
  164. 井村重雄

    ○井村主査代理 比田港湾局長です。
  165. 横山利秋

    横山分科員 大臣は、お話のごとくんばとおっしゃるのですが、私の話のごとくであるかどうか、簡単にイエスかノーか一言ってください。
  166. 比田正

    比田政府委員 ただいまの御意見に対しましては、私ども、結果といたしましてはそうなったやに聞いておりますけれども運輸省といたしましては大臣にも御相談いたしておりません。この開口部を広げることができるということは、まず第一に本年の台風期までに予定どおり——これは大蔵省、通産省、経済企画庁、農林省、それから建設省と御相談した結果の計画でございますから、その計画どおりに一応いたしまして、その後において、内部に埋め立て地がいまできつつございますので、西部の埋め立てができますと、口をあけても安全になる。したがいまして西部の埋め立てができました際には、御指摘のとおりに大幅に口を広げても、中の高潮は安全であるということを討検いたしました。これは部内限りで検討いたしまして、外部に発表いたしたことはございません。また、大臣に申し上げるまでの段階にも至っておりません。したがいまして中央では一切これは発表いたしませんでした。もしも埋め立てが近い将来できたときには、逐次口を広げまして、最後にはこのくらいの幅にまで広げることができるというようなことは、部内限りの計算でございましたが、部内と申しましても、この港の港湾管理は、名古屋港管理組合すなわち県と市の一部事務組合が関与いたしておりますので、管理者には相談いたさないわけにはまいりませんので、私ども運輸省の出先の機関を通じまして、こういうことになっておるのだから、先々御心配はありませんよということを、昨年の時点におきまして、現地の出先機関から港湾管理者にひそかにお話をいたしました。管理者のほうも、そういうことでございますが、それでは一応締めてまた埋め立てを急ぎましょう。そうしてこれを広くすれば、大船も楽に入るし、小舟の流れも楽になって入れる。こういうことが御指摘の昨年の夏ごろにあったわけでございます。それが、何らかの機会に、運輸省とは私は思いませんが、どこかからそういう話があったということが現地で漏れまして、新聞紙上に出たということも伺っております。したがいまして、大臣に対しましては、これはまだ部内で研究ごとでありますし、将来こういうことが可能であるという段階でございますので、大臣には御報告申し上げませんでしたので、大臣には、ただいま御答弁になったようなことになっております。それ以下の責任は私も大いに感じておるわけでございます。
  167. 横山利秋

    横山分科員 これは堂々と部外に公表される愛知県議会の議事録でございます。あなたが自分で内部の問題だと言ったところで、ほんとうに内部の問題なら内部の問題のようにしなければなりません。昨年の九月の愛知県の常例県議会で堂々とこれが議論をされ、また堂々と答弁がなされておるわけなんであります。したがいまして、どういうふうにおっしゃったかは知りませんけれども、その気持ちが徹底的に措置されていなければ同じことです。ですから、結果としては愛知県、三重県、岐阜県の諸君は、昨年からこの問題でわき立っておるわけなんです。そうしてはしけ組合に至っては、もしも要求をいれてくれなければ、数十隻の舟を河口部へ入れて、そうしてデモ、ストライキをやる、こういうような態勢になっておることは、あなたも御存じのとおりであります。  大臣にお伺いいたしますが、これでいきさつはわかったと思いますが、どういうふうにお考えになりますか。もう一度、今日までの経過で、地域住民に対して心理的に及ぼした影響、百八億もの巨額の金を投じた大工事に対して、その合理性を疑われておるという点に対して、どう大臣はお考えでありますか。
  168. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 先ほど申しましたように、あなたのおっしゃるごとくんば遺憾千万に思っております。
  169. 横山利秋

    横山分科員 決してことばのあげ足をとろうとは思いません。いま局長お話で、事態はわかったと思うのです。どうしてあなたの話のごとくんばということをおっしゃるのですか意味がわからないのですが、何がわからないのですか、いまあなたには。
  170. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 あなたの話といま局長から聞きました話とにおいても、住民がそういうことの不安のないようになったということを申されておりますから、私はわからぬというのです。
  171. 横山利秋

    横山分科員 大臣はいま住民が不安がないというふうになっているからいいだろう、こういうふうにおっしゃるわけですか。そういう意味ですね。
  172. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 そのとおりです。
  173. 横山利秋

    横山分科員 それでは、ここにたくさんの新聞を持ってきておりますが、この地元新聞をちょっと目を通してください。そのほかにも、いろいろな声明書や陳情文、それから地元の諸雑誌等に一ぱい載せられております。これらは何によって生じたかといいますと、八月に広げると言ったときよりも、現状どおりにすると言った一月によって巻き起こった問題であります。広げると言ったときよりも現状どおりにするということによって、新しき話題が殺到してきているわけです。いまのほうがむしろ地域住民の意見はまっ二つに分かれているのですよ。いまのほうが昨年よりもむずかしいのです。
  174. 比田正

    比田政府委員 先ほど申しましたように、大臣には私は詳しいことを申し上げておりません。それで私どものほうの事務的責任をもちましてこの問題は解決いたす。ただ地元では少し騒いでいることもございますが、しばらく時節をお貸しくださいましたら解決いたす自信はございますというふうに申し上げているので、大臣からはいま何も申し上げることはできないのだと思います。したがいまして、お責めになりますならば、どうぞ私をお責めいただきたいと思います。ただし私は一人の考えで申しているのではございません。この問題は、先ほども申しましたように、建設省が非常に関係がございますので、きょうここに河川局長もお見えになっておりますが、河川局長のほうに御相談いたしました。そうしたらば——私のほうは実は正直に申しまして、どうせ開くものならば、開かずに工事をそこでとめたほうがいいだろうと内部でいろいろ考えたわけでございます。そこで、建設省さんに御相談申し上げましたところが、建設省は、それは約束が違うじゃないか、この計画を承認したときには、メインの入り口は三百五十メートルで、副口は五十メートルということになっておる、そのとおりやらないと、うちのほうの防潮堤の高さはそれを考えてつくってあるのだ、こう申されます。したがいまして、私のほうは、ひとつこの一年半かそこいらのことですから、どうかごしんぼう願えませんかと交渉いたしましたときに、これは人命に関することだ、もしも伊勢湾台風みたいなものが再び一年半の間にきたら、あなた方は責任を負えますか、こういう建設省御当局の御意見でございましたので、部内でいろいろ検討いたしましたところが、それは万が一ということがあって、もしも入り口をあけたために貴重な人命を多数に失うことがあったら、われわれは死しても申しわけないことでございますので、それは多少手元になりますが、一応ことしの台風時期には予定どおりに入り口を締めまして、政府のほうの埋め立てがだんだん高くなってくるのはもう一、二年の問題でございますから、それができ次第除々に入り口を広げるのはよろしゅうございますかと河川局長お話しいたしましたところが、河川局長はここにおいででございますが、それに対しては反対いたしません、中の埋め立てができればよいということになりましたので、先生が御指摘のとおり内部の意見が再転いたしまして、それでは建設省がそれほどおっしゃるならば、ひとつ機帆船その他に御不自由をしばらくお忍び願いたいということで、ただいま現地では機帆船組合等と折衝いたしまして、事を荒立てないために、折衝の期間はその問題のところの工事も一時停止いたしまして、数次にわたりましてただいま話し合いをいたしておるわけでございます。機帆船は大体八百隻ございますけれども、その中で機帆船の非常に困るのは五、六十隻と聞いております。非常に数が少のうございます。大きい船のほうはこの趣旨は一応了承していただきましたので、残る問題はごく小型の数十隻の機帆船の方々にしばらく御迷惑をかけるのを、片方の問題は人命に関係があることですから、どうぞお忍び願いたいということを、ただいまいろいろと御交渉申し上げている次第でございます。本日も名古屋の商工会議所の方々が大勢お見えになりまして、この件についてたとえば外のほうにしばらく小さい機帆船が仮泊するような仮泊設備をつくってくれないかとか、あるいはいろいろな信号所をつくってくれないかとかいうような御要望もございました。この点につきましては私どもまことに賛成でございますので、小さい機帆船がここ一年半か二年の間危険がないように、そういう施設も進めていきたいというようにお話を申し上げまして、だんだんといま現地と了解をつけつつあるわけでございます。したがいまして、大体見通しといたしましては、御納得いただけるようになるというふうに考えております。また防波堤のほうも、これができました暁には、高潮だけの効果でなくて、大名古屋港の防波堤も兼ねるわけでございます。防波堤と防潮堤と兼ねていますので、そういう点からもこれは名古屋港の発展のための非常に大切なものだということは、現地の方もよく存じていただいているわけでございます。ただ、先生からただいま御指摘がございましたように、たとえ部内のことでありとも、これが御指摘のように新聞紙上に出たり、あるいは県会の議論になったということにつきましては、私どもの指導といいますか、あるいは連絡方法が当を得なかったということは、重々おわび申し上げたいと思います。なお、最近の県会等の様子を聞きますと、その問題は一応一段落しているようにわれわれも伺っております。また、先ほども申しましたけれども、名古屋港の港湾管理組合というのは、県会議員さんもこの議員になっております。それから市会議員さんも港湾の議員になっておりますので、あるいは事務当局がその議員さんたちにおはかりしたのが、そのまま母体のほうの議会の問題になったのではないか、かように考えるのでございます。繰り返して申し上げますけれども、埋め立てができれば、開口部を御希望どおりあるいはそれ以上に広げてもなおかつ安心であるから、将来は御心配なさいますな、ただいまのところお忍び願いたいというのが、私どもが繰り返しこの問題につきまして現地にお話ししている実情でございます。それに対しましては大体御納得がいきかけているというのが今日の段階だと思っております。大臣のほうに報告が悪かった点は、港湾局長まことに怠慢でございまして、この点はつつしんでおわび申し上げます。よろしくどうぞ。
  175. 横山利秋

    横山分科員 まことに忠臣ぶりを発揮されて、あれだけことわけしたお話をされると、私もしいては言いませんが、しかしながら、後日のためにひとつ大臣に考えておいてもらいたい。あとで話が出ると思うのですが、この防潮堤を全国の各所につくるとなれば、どちらにしたって防災か港の機能かという、二者択一の論議にこういう問題が発展をいたしますならば、本来の地域住民の信頼も失われることは、これはもうたいへん意味のないことでありますから、取り扱いについては十分に注意をされると同時に、当初計画において、将来あり得べきことについては十分勘案をされて、一たん決定をしたあとにおいて、工事途中にかかることが二度と生じないように、十分に戒心を願いたいと思います。大臣、よろしゅうございますか。
  176. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 もちろん当然のことと思います。
  177. 井村重雄

    ○井村主査代理 横山委員に申し上げますが、時間がございませんから、どうぞお急ぎをいただきます。
  178. 横山利秋

    横山分科員 話が少し大まかな話だけになりましたが、少し具体的にお伺いいたします。私が質問をいたしますときには、私も科学者でございませんから、どちらが正しいということの以前に、どうしてこういうことになるのか、これによって本来の目的が達せられるのであるかどうかという点で、数字的な点を二、三お伺いをします。簡潔にお答えを願いたい。  当初計画ではいかなる効果を期待したか。大防潮堤の三百五十、五十及び周辺の築堤では、伊勢湾台風を目標にしていかなることを期待したかということを、数字的に簡潔に言ってください。
  179. 比田正

    比田政府委員 この防波堤の効果といたしまして当初きめましたのは、高潮の高さは五十センチ減殺する。それから波がそのほかにございますが、波浪の高さは場所によって異なりますので、七十センチないし一メートル三十センチ、平均いたしまして約一メートルの低減をいたします。したがいまして、一言で言いますと、潮と波と合わせて一メートル五十だけ沿岸の潮の高さが低くなるというような数字的な決定になっております。
  180. 横山利秋

    横山分科員 伊勢湾台風はそれに対してどういうような高さ及びどういうような数字であったか、もう一度おっしゃってください。
  181. 比田正

    比田政府委員 伊勢湾台風がまいりましたための異常の潮の高さ、これを偏差と称しておりますが、三メートル五十だけふだんの潮よりよけい上がったというふうな数字が出ております。
  182. 横山利秋

    横山分科員 私のほうは、この当初計画を昨年の八月変更する主たる理由は何であったか。
  183. 比田正

    比田政府委員 昨年の夏に変更しようと内部で考えましたことは、次のとおりでございます。  防波堤の中に埋め立て地が、南部のほうには東海製鉄はじめできましたし、西部のほうにもできつつありますので、将来大型の船が入ってくるということになりますと、どうしても口の幅も広げなければいけないということになります。またもう一つは、この案を策定いたしました当初は、非常に大きな災害がありましたので、一にも二にも災害の防止ということで、名古屋の方も中央の人も頭が一ぱいでございましたが、それがだんだんほとぼりがさめまして、五年もたちますと、名古屋港の将来の利用という問題に非常に頭が向いてきたわけでございます。そこで、いまの大きな船の問題もさることながら、小さい船も名古屋港には非常にたくさん出入りするので、小さい船のための副口のほうも拡大する必要があるということは、この計画決定いたしました当初から四年たちました今日において、だいぶ日本の経済状態も、中京地区の発展の度合いも急速に変わってまいりましたので、計画の方針を若干修正するということが生まれたわけでございます。
  184. 横山利秋

    横山分科員 運輸省計画変更は五百と三百ですね。五百と三百によっていかに効果が低下するか。五百、三百案はどういう減殺効果をもたらすと期待しておるか。
  185. 比田正

    比田政府委員 五百と三百というのは最高の幅でございまして、そこまでできるという数字でございますが、それに向かってやるのであって、たとえば最大を言っただけであって、あるいは四百五十と二百五十あるいは三百というふうに多少下回るかもしれませんが、そのねらうところは、幅を広げることによりまして、現在のままいけば潮流が四ノットくらい、一番ひどいときには四ノットになることがある。それはわずかな時間でございますが、大潮のときの一時間くらいがそういう潮流になるという計算ができますのが、これを広げますと半分以下に減殺するというような考えからまいったわけでございます。また幅を広げるということは、流れからではなくて、錯綜する船の通路の幅が広いというのは非常に便利であるということも考えたわけでございます。
  186. 横山利秋

    横山分科員 この間京都大学へ実験を依頼されたと言うのだが、その実験効果は簡単に言うとどういう結果があらわれておりますか。
  187. 比田正

    比田政府委員 京都大学に実験を依頼しましたのは、非常に急いでいたしましたし、必ずしも万全でなくて、性質を知るための結果ということになっておりますが、それによりますと、防波堤の入り口をそのままにいたしまして広げない。それから中に埋め立てができないということを考えますと、これは五ノットをこえるような潮流が起こり得るということがわかったわけでございますが、その後に至りまして、内部の埋め立てがどしどしと進みましたので、それまでの中間の、われわれのことばで申しますと、傾向を知るための模型試験というふうに私どもは解釈をしているわけでございます。
  188. 横山利秋

    横山分科員 建設省、農林省ともに両方同じ意見であったかもしれませんが、この運輸省の提案に対して反対をした理由は何であったか、簡潔に言ってください。
  189. 畑谷正実

    ○畑谷政府委員 河川局長からお答え申し上げます。  反対というような表現ではございませんが、当初基本計画を立てるときに、副口五十メートル、それから主口三百五十メートル、そういう幅で開口部でなおかつ伊勢湾級の台風に持ちこたえる、そういうためには中の堤防の高さをどうするかという計画をいたしました。その計画によりまして現在進んでおるわけであります。したがいまして、その開口部が広がりますと、結局中の堤防の高さを変えてこなければならない。ただし、いまお話しのとおり工事は十分に埋め立ての計画がございませんので、埋め立てがないものとして計算しております。したがいまして、もし埋め立てが具体的に早期にできるということで、それが減殺されれば問題はございませんが、御相談のときには、まだ埋め立てが十分にはっきりした計画年次がわからないということでございましたので、それはやはり埋め立て計画がはっきりするまでは、内側の人たちに対して安全であるということに対してオーケーは言えない、こういうことでございます。
  190. 横山利秋

    横山分科員 農林省も同意見ですか。
  191. 永田正董

    ○永田説明員 ただいまの建設省の御意見と全く同じとは言い得ないのでありまして、積極的に農林省が非常に反対の意思を表明したという程度ではなかったと思います。と申しますのは、私のほうは、相当ある干拓堤防を伊勢湾で災害を受けまして、災害復旧でやりました際に将来の沈下量を見ておった。この沈下は場所によって違いますけれども、長い期間で下がるところは三十年、五十年とかかって下がる見込みでやっております関係で、その沈下の速度ということを頭に入れなければならない。したがいまして、多少私のほうは余裕を持って考えてもいいのじゃないか。したがいまして、埋め立てのスピードと関係があるということ、五年も十年もかかる埋め立てでは、これはちょっとできかねるのだけれども、相当早く埋め立てができるものとすればいいではないか、こういう立場をとったわけであります。
  192. 横山利秋

    横山分科員 運輸省にお伺いいたしますが、この陳情があるから今回はこれにしてくれ、埋め立てが終わればなるべく早く広げるよというお話なんですが、その埋め立ての進行をどういうふうに算段をしているのか。単にあらぬ希望を出させておいて、そうして事を一時おさめるとしたところで、問題がまた起こるのだから、この際あなたのほうの展望を明らかにしたほうがいい。
  193. 比田正

    比田政府委員 防波堤の中の水面積は約七千万平方メートルございますけれども、その両側に埋め立てができます。南側の埋め立てば千九百五十万平方メートル、約二千万平方メートルでございます。この分はもう九分九厘ほとんどでき上がっております。それから海部地区の西側のほうは約千八百万平方メートルくらいございますけれども、これにつきましてはすでに着工いたしまして、急速にこれから地上げが進む段階にまで立ち至っております。  これは実は余談になりますけれども、大災害のときに非常に材木が問題になりました。大きな貯木場はこちらに移して、木材製造工業等はこの海部の海岸の奥のところに至急やるということになりまして、公共事業の予算もついておりますし、起債も昨年以来大幅に伸びておりますので、ここ二年くらいたちますと大体計画ができまして、中の堤防に直接波が当たらないように、また潮の高さも心配ないような程度に進むという見通しを立てておるわけでございます。
  194. 横山利秋

    横山分科員 ちょっとあと戻りしますけれども、いまの開口部を広げること、五百、三百にするとどのくらいの費用が節約できるかということと、つくってしまってから将来手戻りして五百、三百にしたらどのくらいの費用が要るかということを伺います。
  195. 比田正

    比田政府委員 予定どおり仕上げますには、先ほど御指摘の全体の工費の百八億の中で、九十九億はすでに予算がついておりまして、その分は三十八年度までにできてしまいます。来年度の予算は九億数千万円だけ残っているわけでございますので、ただいまの状態では三百五十にするということで仕事が進んでおります。したがいまして、そのほうは別といたしまして、もし取り除くとすれば、さしあたり一番問題なのは副口のほうの港口でございます。これにつきましては、一メートル当たり十万円くらいのもので取り除くことができる。また工事のやり方は、このような問題が出ましたので、下のほうは厳重に石でもって基礎をつくりまして、上は鉄筋コンクリートの箱をつくりました。これは通常行なう工法でございます。ケーソンというものをつくりまして、その中に砂を詰めて取り除けば、すぐ浮かび上がるような形のものになりますので、ただいま申しましたように、相当安いものにつきます。また、取り除きましたものはむだに廃棄するものではございません。ただいま申しましたように、政府のほうの木材港の整備が非常に急がれておりますので、そのほうにケーソンというコンクリートの箱を直ちに使うというように、工事の段取りをいたしております。したがいまして、それらを見ますと、一メーター当たり十万円くらいの見当で取り除きができるということが、ただいま持っております数字でございます。
  196. 横山利秋

    横山分科員 地域住民が、最初この大防潮堤について考えましたのは、その大防潮堤が、単に防潮ということのみならず、交通とかあるいは他に多目的な方向に使用されるということを、イメージとして描いたわけであります。今日はこれが防災という大きな目的はあるけれども、それに限定をされておるのだが、この計画を立案いたしましたときに、それぞれ三省が合議をいたしたときに、単なる防災だけの問題として考えられたものか、将来この大防潮堤を交通網の一環として組み入れることは想定になかったのか、その点は、将来計画があればひとつ明らかにしてほしい。
  197. 比田正

    比田政府委員 この防波堤が各省で協議してやることにきまりましたときには、その後におきまして、大蔵省予算要求をいたしまして、その説明には防潮の効果と防波の効果、防災のことと港湾の開発のこと、両方兼ね備えたというふうに説明いたしまして予算がつけてあります。したがいまして、その当時の考え方としては、それ以外の目的は考えておりません。しかしながら、これができ上がりますと、今後、もしもでございますが、これを道路に利用しようというような問題が起きましたときには、たいへんかっこうな足がかりとなることは事実でございます。道路をここに通そうという一部の御意見もありますけれども運輸省といたしましては、そういう案を決定しているようなことはございません。そういう御説も伺っておりますが、やるようには、ただいまなっておりません。
  198. 横山利秋

    横山分科員 せっかく巨額の金を投じたものでありますから、予算上、今日の状態としては、防潮、防波という意味で、それが主目的ではあろうと思いますが、えんえん二里にわたって対岸を結びつけた道路網としては、将来の夢としては非常に期待し得るものがあると私は思うのです。大臣がいらっしゃらないので非常に残念でありますが、その点については、各三省の皆さんが、将来の計画として、こういう考えについて賛意を表されるかどうか、主としてこれは建設省の所管になると思うのですが、建設省の御意見も伺っておきたいと思います。
  199. 畑谷正実

    ○畑谷政府委員 私から、いま建設省はどう考えるということについては答弁できませんけれども、いま港湾局長からお話しのとおりに、いままでそういうようなことを考えておりませんのですが、いろいろな御要望の向きがあれば、私ども十分その説を体しまして検討してまいりたいと思います。
  200. 横山利秋

    横山分科員 港湾局長に最後に伺いますけれども、結局それでは原案どおりにやる、将来の余裕を残しておる、将来の夢も相談があれば余地があるというお話でありますが、当面の問題として、承れば商工会議所も来たそうでありますが、はしけの諸君の要望も続出して、いまなお現地においては問題が解決しておらないと考えておるらしい。それで当初、はしけの諸君の要求は、三ノット以下にせよ、大型専用の水路を入港、出港の二カ所にせよ、堤外に小型船舶の待避所を設けよ等々の要求を出しておったわけであります。現実にあなたのほうとして、これらの小型船舶なりあるいは商工会議所なりの要望を原案で工事をするという条件のもとにいれられる緩和策がとられることは何であるか、どうするつもりなのか、その点をまとめて御説明を伺っておきましょう。
  201. 比田正

    比田政府委員 時間を省略するために、商工会議所と現地の逐条は申しません。しかしながら、けさも伺ってまいったのでございますが、大体現地の皆さんが申されておりました待避所とか、あるいは信号所をつくるとか、小船だまりをつくるというようなことにつきましては、将来も必要なことだと思いますので、これは別途港湾改修の面で前向きで考える。きょうも港湾管理組合の方と会いまして、管理組合としても実際の案を練ってもらいたい、至急にそういう手はずをしようじゃないかという約束をして別れたわけでありますので、今度の原案を承認してごしんぼうをいただければ、御要望の事項はおおむねこの線に沿いましてお約束したいというふうに話して帰ってもらっております。  また、もう一つ将来の夢と申されましたが、たいへんに御卓見でございまして、せっかくつくったものでございますから、道路でも通せばわれわれも非常にありがたいと思いますので、これは前向きの姿勢で今後の研究問題にしたいと思います。
  202. 井村重雄

    ○井村主査代理 堀昌雄君。
  203. 堀昌雄

    ○堀分科員 それでは国鉄の側にお伺いをいたしますが、皆さんのほうから出した一種の通達といいますか、申し入れに対して、国鉄関係の業者がそれを実行しない場合には、国鉄は一体どうしますか。
  204. 磯崎叡

    磯崎説明員 事柄の内容がいろいろ実はあると思います。先生の御質問は、具体的に申しますと、いままでのお話の食堂その他の問題としてお答えしてよろしゅうございますか。——そういう場合には、契約書の内容につきましては、結局最終的には営業停止ということ、あるいはもしそれを聞かない場合には、その者から営業権を奪うという最終的な方法が考えられると思います。それから過般のチフスなどの問題のときには、私のほうから当分営業を遠慮しろというふうに申したこともございます。これは懲罰というような意味ではなしに、監督上の一つの方法としてやったことでございます。
  205. 堀昌雄

    ○堀分科員 私は昨年の二月二十六日の当分科会において、特急の食堂及び弁当の販売等の諸問題、それから特急内部の暖冷房、換気等の問題について実は論議をいたしました。そのときの、当時の副総裁の答弁は、「ただいま御指摘のございました点につきましても、とくと食堂会社を督励いたしまして、御趣旨に沿うように指導いたしたいと思います。」そういうふうにはっきり答えておられるわけです。ところが、私それから約一年ずっと特急に乗って東京−大阪間を動いておりまして、ほとんど改善がされていないということをいま確認をしておるわけです。そこで、実はこの間国鉄の方にちょっと来ていただいて、その後の経過を聞いてみました。そうすると、驚いたことに、私もそのとき初めて見たのですけれども、交通公社が出しております時間表の終わりのところに国鉄案内というのがありまして、その中に私が要望したことがちゃんと載っておるわけです。これは私も気がつきませんでしたけれども、すでに載っておる。その後に伺ってみると、日本食堂株式会社及び株式会社帝国ホテル、株式会社都ホテル、株式会社新大阪ホテル、おそらくこれが現在の食堂車に入っておる関係業者だと思いますが、管財第五十九号で、昭和三十八年三月三十日にあなた方のほうは指示をして、その実行期限を三十八年四月十五日からとすでに定められております。ところが、私はそういうものが出たということを感じないほどに今日に至っております。そこで私は、この間国鉄の方に来ていただいてから、さらにまた二往復ほどしました。その際に気をつけて見たら、依然として改善されていない。こういう場合に一体国鉄はどうするか。そこで二点問題がある。その一点は、国鉄は、こういうものを出しっぱなしでその後これが守られておるかどうかをどういう形で確認をしておるか。列車には毎日車掌も乗っておることですから、国鉄職員が乗っておるのに依然として放置されておるという、国鉄側の指示を出したことに対する責任の問題が一つあると思います。それからもう一つは、指示が出されてもやらない業者側の責任の問題、この二点です。  これは皆さん突然お聞きになるとわからない点があるかと思いますから申し上げますと、私が昨年論議をいたしましたのは、特急車が食事時間というものを約二時間ばかり設定をしておりまして、その時間には予約をとって歩くというのがいまの特急車の食堂の慣例的な取り扱いなんです。そして大体いま三百五十円ぐらいを最低として、六百円、八百円ぐらいに及ぶところの定食だけが申し込めるような仕組みになっておって、その他の安い、たとえばライスカレーというようなものはその申し込みのときは受け付けてもらえなくて、それ以外の時間、要するに定時の食事時間でないときの食堂では利用できる、こういう仕組みになっておる。そこでこれは国鉄内部のことでありますから、公正取引の問題が直接介入してくることではないけれども、少なくとも取引上の優位性に基づいて不公正な取引をしておることは明らかでありますから、その点について私は国鉄側に注意を喚起したわけです。少なくともその時間には、ライスカレーでも食べたい人は食べられるようにするのが正しいのではないか。そこで国鉄はそれに基づいてお出しになっておる。この間私が見ましたのは、なるほど持ってきた紙には、ここに書いてあるようなものが下に刷ってある。私はこれを食べたいのだがと言いましたら、いや予約時間は定食だけでお願いをいたしております。ああそうですか、それならよろしい、こういうことだったのです。紙に印刷はしたけれども、予約は依然としてとらないということが現実に行なわれている。私はそれまでに何回も経験をしておったから、特に国鉄の方に伺ったのです。国鉄では、こういう指示は出しました、こちらにこういうふうに印刷もしてありますということですが、これは明らかにこちらの範囲なら、国鉄内部のことですから、国民の側としては関知しない。少なくとも国民一般に対して、ここに一枚破って持ってきたけれども、こういうかっこうで周知がしてあるのに、何らその実があがらないということでは、私は国鉄は国民に対して責任があると思う。そういうことが守られていないことに対する虚偽の事実を公表しておるということになると思います。この国鉄側の責任の問題、その後の管理の問題が一体どうなっておるか。こういうものを出しながら——それが一点と、それから業者側の責任の問題を明らかにしてもらいたいと思います。
  206. 磯崎叡

    磯崎説明員 昨年当委員会で堀先生からそういう御注意がございまして、その後そういう通牒を出したことは事実でございます。それから実際にメニューその他を見ましても、先生の御満足がいかないまでも、形だけは一応整っておったようでございます。ただ実際に、ただいま先生から御指摘のように、ごく最近そういう実例があったということでございますが、これは相当重大な問題であると思います。私どもといたしましては、列車食堂の監督につきましては、車掌は実はお客さまのほうで非常に忙しくて、なかなか食堂の監督まで実際にやれませんし、またいろいろ弊害も考えられますので、車掌にはあまり直接的な監督はさせないようないたし方をしております。そして一管理局の旅客課と申しますか、その人間にある程度便乗させまして、その中で監査をさせ、また通牒が守られておるかどうかをチェックしておるわけであります。ただいまお示しのような事実があるとすれば、というよりも、現に先生が御体験なさったのでございますから、確かに私のほうの監督の不行き届きの点があったと思います。その点については、過般私どもの係員が先生のところに伺って、やっておりますと申しておるにもかかわらず、まだ実際にやっておらなかったといたしますれば、先生のお乗りになったのがたまたまそうだったというような弁解は許されないというふうに考えますので、即刻もう一ぺん十分監督を厳重にいたしたいと思います。いままで通牒を出しっぱなしというつもりはなかったのでありますが、その点通牒のチェックが十分でなかった点はたいへん申しわけなく存じます。  それから、そういうふうにいたしましても、なお私どもの趣旨にそぐわない業者がもしあるといたしますれば、それは冒頭に申しましたとおり、適当な処分を行なってまいりたいと存じます。いずれにいたしましても、一年前の御趣旨がまだ徹底していないことはたいへん申しわけないと考えますので、今後十分気をつけてまいりたいと思います。
  207. 堀昌雄

    ○堀分科員 この特急の問題は、非常に特急がふえておりまして、自由に弁当も買えないわけですけれども、この間あわせて弁当の問題も論議しております。この間、私は念のために弁当を売る女の子に聞いてみました。そうすると、余るときもありますが、大体足らないときのほうが多いのですというのが女の子の話であります。これは女の子の話ですから、調査というかっこうにはまいりませんが、大体一列車二百個内外を積むということであります。そこでこの問題も前段の問題も両方あると思いますが、あの列車に積んで売れ残った弁当の処置は、一体いまどういうことになっておるのでしょうか。
  208. 磯崎叡

    磯崎説明員 私の記憶がもし間違っておれば後ほど訂正しますが、食品衛生上売れ残ったものは全部廃却処分をするようになっておるはずでございます。もし間違っておるようでしたら訂正しますが、たしかそうなっておるはずです。
  209. 堀昌雄

    ○堀分科員 その廃却処分はけっこうですが、その場合、結局それが全部業者の損失になるので、業者側が、やはり営利事業であるために、それを見越して少なく少なく積むということが、現実にこういう問題をもたらしておる結果ではないかと思う。そこでいままでのそういう問題について、もう少し詳しい調査を一ぺん国鉄側でやってもらいたい。月間では何か調査しておるようでありますが、一列車ごとに一ぺん、しばらく、一週間でもいいから、どの列車の上りはどうだ、下りはどうだ、幾ら積んだらどうだったかということ、それは時期により、乗客の状態によってこんなことは一律にいきませんけれども、大体の目安を立てて、そうして平均した数を積んでおるにもかかわらず非常に残るようなときがあるならば、これは国鉄でどういう処理をするかは別としても、くふうをしてみる必要があるのではないか。そうでなければ、営業の利益のほうが前に出れば、そういうリスクをなるべく減らそうとすれば、そのしわは乗客の側に寄ってしまう。最近私の見た著しい例は、私の前と左側との人が弁当を注文しておった。ところがどう錯覚をしたか、女の子が片一方しか記憶になかったとみえて、最後に残った二つの弁当を四人がくれということになってしまった。それで女の子は、どうしたらいいのか、とほうにくれておった。結局あとで弁当を持ってきたのですが、どうやって持ってきたのかわからない。あるいは自分たちが食べるべく残しておったのを持ってきたのかもしれないが、約二十分私の前で押し問答をしておるわけです。だから、ああいう列車の中でもし弁当が食べられなければ——安いものもそういう時間外のときに上がればそれはあるかもしれませんが、非常に制約をされておる問題がありますから、旅客の立場を考えるならば、そういう問題も含めて少し検討してもらいたい。そのことは同時に、いまの列車食堂の契約の条件、一体あれはああいう定食を出さなければペイしないのかどうかということですね。そういうような問題を含めて、経済性を全然無視してやれといっても、これはやはり資本主義社会で営業をやっておるものは、どこかで、そういう片一方があれば、片一方に問題のしわを寄せるということになって、結局質の悪いものをまたお客さんに食わせるという結果にならざるを得ないと思いますから、そこら辺の点は総合的に判断をしてもらって、ともかくやはりまず第一に旅客の便益をはかり、公正な取引が行なわれるということを前提として、国鉄側で今後ひとつ検討をしていただきたいし、私が申し上げることは二回目ですから、予算委員会で毎年毎年こんなことを言わなければならぬようでは、率直にいって国鉄権威に関する。その点ひとつ国鉄権威にかけて今後はこういうことがないように、ここではっきりお答えをいただきたい。
  210. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまの御忠告でございますが、第一点の問題につきましては、御承知のとおり、あの制度ができましてまだ日が浅かったわけでございますので、列車別のいろいろな予想、その他について必ずしも的確でなかった。手元の数字がございますが、月間の数字になりますけれども、最近だんだん残りの部数が減ってきたということは、ある程度予想もじょうずになってきたのじゃないかとも思います。しかし、やはり最終的には非常にむずかしい予想になりますので、いま先生のおっしゃったとおり、残ったらうちで買い上げるとか、あるいはある程度補償するとかいう方法でも講じない限り、業者側もある程度リスクになりますので、そういう新しい方向でもってあの制度をもっと拡充強化すると申しますか、将来窓のあかない列車がどんどんふえますので、御説示のとおり確かに窓から買うということはできませんから、結局ああいう制度を将来もっと生かさなくちゃいかぬ。それには、いまのお話のような、残ったものをどうするかという問題、それに対する補償の問題等を十分研究しなければならないと思います。  それからもう一点の食堂車の中のメニューの問題でございますが、御承知のとおりいまのような状況で、弁当もだんだん買えなくなりますと、やはり短時間にどうしても多数の人に飯を食べていただくために、なるべく一つの形にまとまったものにしたいということで、なるべくある一定時間内はきまったものにしたいという供食者側の意向もわからないわけではない。御承知のように台所が非常に狭くて混雑しているところでございますので、できれば形をきまったものにして、そしてなるべくたくさんのお客さんに短い時間でサービスしたいというふうに考えるのもやむを得ないことだと思います。そういう問題と個人の好みとの調和の問題になると思います。ことにメニューにもはっきり一品料理もお売りするというふうに書いてある以上、それをお売りするのは当然の義務だと思いますので、今後十分検討してまいりたいと思います。
  211. 堀昌雄

    ○堀分科員 私も、いまの食堂車のそういう特殊な条件ということはわかります。だから、ここに書いてあるほどにたくさんのものを定時間に売りなさいとは私は言ったわけではないのです。しかし比較的価格が安くて、一般大衆が任意に考えられるものを二、三点でいいから、少なくともその程度は当然入れるべきではないか。池田総理もカレーライスが好きだというのですから、日本人はカレーライスが好きなのでしょうが、カレーライスくらい、比較的安価に食べられるものが一品ぐらいあったって、食堂車の狭さと時間とには関係がないのじゃないかと思いますので、その点はひとつはっきりしておいていただきいと思います。  その次は暖房、冷房及び空気の汚染の問題であります。このほうも幸いにして調査をしていただいておりますが、この調査結果を拝見いたしますと、これは長距離列車であるところの「はやぶさ」で調査をしていただいておりますが、結果は、私が予想したように空気は非常に汚染されておる。その汚染される条件は、私がこの前指摘をいたしましたように、やはり暖房設備の不十分な条件と暖房設備の機構上の不備の問題とが重なり合っておるように感じます。そこで、これは技術担当の方もお見えですから、お答えをいただきたいのですが、要するに空気の入ってくる入り口の角度その他をもう少し考慮すれば、いまのこのような、上段におる者が温度が上がらないために換気せんを締めてしまうというようなことは起きないのではないか。だから、これはこのデータを拝見しながら思ったのですが、くふうのしかたで、何かあけたり締めたりを車掌にさせるように指導しているということは全くナンセンスだと思うのです。だって、自動的にそれがなるというなら話は別でありますが、人間が夜通しあけたり締めたりできる性格のものではありませんから、これはやはり設備上考えなければならぬ問題じゃないか、こういうふうに思いますが、これらについて御検討はされていただいておりますか。設備のほうではどういう解決方法をとろうとしておられるか、ちょっと承りたい。
  212. 宮地健太郎

    ○宮地説明員 先生よく御存じのことでございますので、くどくど申しませんが、結局取り入れ口の角度という御指摘でございますが、厳寒期などにおきまして、はたして角度を変えただけでうまく解決するかどうかということは、もう少し実験してみなければわからぬと思うのであります。昨年、先生の御指摘によりまして汚染度の調査をいたしましてから、計画いたしました新製の特急列車並びに改造分につきまして、約六十五両の車は取り入れ口にヒーターをつけたわけでありまして、やはりこのほうがいいのではなかろうかと考えております。したがいまして、残り百三十一両ほどでございますが、この分につきましても同様な改造をやったほうがいい、ただいまのところそういうふうにわれわれは考えて計画を進めでおりまして、これらの車が定期修繕で鉄道工場に入ってくるたびにこの改造を実施していくという方向で計画いたしております。
  213. 堀昌雄

    ○堀分科員 そこで特急車の空気汚染で私これを拝見して、これは当然なことだと思うのですけれども、一等寝台と二等寝台を比べてみると、二等の寝台のほうが、一両で四十八人から五十人余りで人数が多いですから、汚染される程度は当然強いわけです。炭酸ガスだけは、目安でありますからなんですが、〇・五八という非常に高い。普通一般的に許容量は〇・一くらい、いろんな時間的に許容量には変化がありますけれども、寝台のように長時間、中に寝ているもので〇・五以上もあるということは、異常な空気汚染の状態だという感じがするのです。そこで、いまお話のヒーターをつけていただくことによって換気が十分できればそれでいいのですが、百八十両ですか、残っておるものが定期検査をやって、いまの一等、二等含めて全部そういうことが完了する時期は一体いつごろになりますか。
  214. 宮地健太郎

    ○宮地説明員 ちょっとお金もかかりますので、来年度の工事になると思います。こういう優等車は大体年一回の定期修繕をやっておりますので、四月からかかりまして約一年ということでございます。
  215. 堀昌雄

    ○堀分科員 そうすると、いまの「あさかぜ」型のああいうものは来年中には全部そういうことがなくなる、こういうふうに考えていいわけですね。  そこでもう一つお願いしておきたいのは、今度新しくヒーターをつけて、もう一ぺんちょっと調査してみていただきたいと思います。寒い時期、いまのうちにやらないと、あたたかくなるとわかりませんから、もう一ぺんひとつヒーターをつけてから、調査しておられるのかもしれませんが、その状況をもう一ぺんお願いしておきたいと思います。  それからもう一つの問題は、今度東海道新幹線ができると、いまの大阪−東京間のビジネス特急といわれるものはなくなりますね。しかし広島まで行っておる「つばめ」とか、それから宇野に行っておる「富士」とか、こういうのは旧東海道線のあのかっこうの特急が通るのでしょうか、どうなっておるのですか。新幹線以後のことをちょっと承りたいと思います。
  216. 河村勝

    ○河村説明員 実はまだ新幹線開通後の旧東海道線のダイヤは最終的にきまっておりませんが、九州特急は当然夜行でございますから残さざるを得ないと思います。ただ広島、宇野その他につきましては、まだもう少し検討いたしませんと、あるものを残し、あるものを大阪から乗り継ぎにするとか、いろいろな場合がございますので、その辺十分検討の上できめたい、かように考えております。
  217. 堀昌雄

    ○堀分科員 ですから、やはりかなりのものは残るのじゃないかと私は思います。そして、また、残った車両は地方でどうせ使われることになると思うのです。この際、この前指摘をいたしました冷房の問題とそれから暖房関係の問題は、実はこれまた一年間全然手がついていない。私が暖房について提案をしましたのは、要するに進行方向の入り口から冷たい風が入ってきますから、一番前の座席は寒くていられないくらい温度が低い、うしろへ行きますと五度くらいの差があってあったかい。そこで、三段くらいにして、前のほうはあったかくなって、まん中が少なくて、うしろはもう一台つけられるようなくふうを一ぺんしてもらったらどうかという提案を昨年しておいたのですが、一年間全然されていない。それからもう一つ車掌に聞いてみると、あそこは二重ドアみたいになっていればもうちょっと多少は違うのじゃないかということを言っておりました。あそこにもう一つ戸をつけるのは技術的にちょっと無理じゃないかと思いますが、何かあれは改善してもらわないと、お天気の日だけはいいのです、日が当たっておれば昼間の間はいいのですが、夜になってくると、いまのように前のほうは寒くてうしろのほうはあたたかい。出入りするたびに冷たい風がびゅうびゅう入ってくる。それが一年間全然改善されていない。  それから、冷房の、この前申し上げた横に出てきますね、冷房がああいうふうにして横に出てくるのは、専門家に聞いてみますと、建築としては当然だと言うのです。ところが、壁から一フィートというのはもうくっつかないという原則で、一フィート離れたところ以後こっちにいるのはよろしいということになっている。ところが、国鉄の場合、壁にくっついて人間がすわるわけですから、壁にすわった人間は非常に冷たい気流を直接受けることになるわけです。これはいまああいうふうに露出したかっこうになっておりますが、三センチか幾らかくらいのものを少しカバーをかけて、ある程度を出すとかもう少し冷房についてくふうをすれば、直接あの冷房機のちょうど真横におる人だけがひどく寒い思いをしなくても済むのではないかと思うのです。これもひとつ技術的な問題になりますが、昨年提案をしてありますけれども、一年間全然手がつけられていない。いまの暖房の、三段切りかえか何かして、もう少し進行方向によって操作ができるようなくふうをするという問題と、いまの冷房についてのくふう、これは技術的に検討をしていただいたのかどうか、予算がないからしなかったのか、そこらをちょっと伺いたい。
  218. 宮地健太郎

    ○宮地説明員 暖房のほうから申し上げますが、あの車は車の長手方向に対しまして前、中、うしろ、それから廊下をはさみまして左右、合計六つのブロックに電熱装置を区分いたしております。その区分ごとに車掌が適当に操作をしながら、車内の温度を適温に保つというふうに設計されておるわけでございます。御指摘の進行方向に対して寒い、これは事実そうでございます。ただ、寒さの原因と申しますのは、要するに、出入り口を開閉する頻度並びにそこを通られるお客の数などによりますので、どの程度にしたらいいかということは一がいに言えませんし、また、かりに先生のおっしゃるように三段切りかえなら三段切りかえにしまして、非常にそこはあたたかくできるのだといたしましても、はたしてそれでほんとうに効果があるのかないのか、それからまた、かえって局部的にあたたか過ぎて困るというふうな事態が起きやせぬか、この点はほうっておいたわけではございませんで、いろいろ議論いたしたのでありますが、現在のところ非常にむずかしい問題でございまして、結論を得ておりません。この六つのブロックを車掌に適宜温度を感じとらせながら調節していくという方法で、いまのところしかたがなかろうかと考えておる次第であります。  それから、冷房につきましてはお話のとおり、確かに天井に沿って両方の側に流れ落ちていくような形にいたしたのでありますが、結局これを非常に冷たく感ずるということは、風の流れが皮膚に感じておられるためでございまして、こういった感触というものが、すわっておられるお客様のはだに感じとられない程度の強さの流れまでにファンのほうを調節いたしまして、これで冷房のやり方としてはよろしいのではなかろうかということを、いろいろと部内の学識経験者の方々にも御相談の上きめまして、現在そのようにやっておる次第でございます。
  219. 堀昌雄

    ○堀分科員 冷房は昨年の夏の経験ですから、私は二月に議論しましたので、夏に乗って調べてみたのですが、昨年の夏の経験では全然改善されていない。その後に改善されたかどうかは別として、改善されていません。確かに、おっしゃるように、気流の当たり方の強さにも非常に関係いたしますから、その点は、もし改善されておるとすれば、もう一ぺん乗ってさらに検討いたしますが、そういう点を含めて——昨年までは、特に婦人の場合は手足を出しておりますから、それに直接冷たい風が当たるから、あるものをそこらじゅう出してかぶっているという、実に見ていてお気の毒な情景がしばしばあったものですから、その点について十分考慮していただきたい。  あとのほうのいまの暖房の問題ですけれども、これはいまどうにもならないと言われると私も困るのですが、あそこはドアだけではなくて、上のほうに外から入るものがついている。入り口の真上のところに通風のあれがついておりますが、そうするとあれはその後閉めたのでしょうか。私は、機械がそのままになっているから、あそこから冷たい風が入ってくるのだろうと思いますが、ドアを開けると、真上のところに横に機のようなものが入っていて、通風孔みたいなものがついているのですが、あれはどうなんでしょうか。
  220. 宮地健太郎

    ○宮地説明員 空気を取り入れますほうは、天井にございます六つの通風機並びに冷房装置がございます。あれから取り入れておりまして、妻側にある穴は空気の取り出し口でございます。
  221. 堀昌雄

    ○堀分科員 そうすると、あれは中からは出るけれども、外からは入らないのですか。
  222. 宮地健太郎

    ○宮地説明員 はあ。
  223. 堀昌雄

    ○堀分科員 わかりました。  大体、いまの暖冷房はわかりましたが、もう一つ、最後に残るのは、寝台車の暖房というのは非常にむずかしい、上下の高さがありますから非常にむずかしいと思うのですが、やはり寝ておる者が不快な温度になっても第一困るわけですし、今後十分検討していただいて、これは特急車に限らず、普通寝台の急行等についても——私は最近普通寝台は、一等には乗りますけれども、二等に乗ったことはないのでわかりませんが、あそこは三段でかなり上下があるわけですから、それらについても十分検討していただきたい。ああいう古い列車は窓があくけれども、このごろは特急以外の寝台急行でも窓があかない列車もできておるわけですから、それらについては十分配慮してもらって、国民が快的な旅行ができるように、国鉄としては十分責任を持ってやっていただきたいと思います。
  224. 井村重雄

    ○井村主査代理 内海清君。
  225. 内海清

    内海(清)分科員 私は船舶の登録税のことについてまず若干お尋ねいたしたいと思います。時間があまりありませんので、十分掘り下げてこれを討議することはできぬかもしれませんが、簡単に申し上げてみたいと思います。  御承知のように日本の海運というものは、戦争によってほとんど大半を失った。戦後わが国の経済の要請によりまして、船腹の拡充にできるだけの力を入れてきた。ところが、戦時補償を打ち切られたわが国の海運界におきましては、これらの船舶を建造いたしますのにあたりましては、非常に膨大な設備資金の借り入れをやる。しかも世界で比を見ないほどのわが国特有の高金利の重圧にあえぎながら、今日まで列国海運と国際競争をやってきた。これが実情であると思うのです。しかし、その結果は、ここ数年来の現象といたしましてすでに御承知のとおりに、この海運の経営基盤の脆弱性が暴露されまして、わが国の海運界の危機を招来した、こういうことです。ところが、一面におきましては、わが国の経済の非常な高度の成長と、さらに国際収支の改善という立場から、一そう船腹の増強ということが今日強く要請されておる、これまた御承知のとおりなんであります。  そこで、四十三国会で、この海運界の危機を打開して、わが国の経済の高度の発展と国際収支の改善という立場から、わが国におきましては画期的といわれるようないわゆる海運二法の成立を見た。そうして海運の経営基盤を強化しよう、こういうことになりまして、目下これが進行中であるのであります。ところが、さらに最近の現象といたしましては、OECDへの加盟ということによって、新たな事態がここに一つ生まれて、再検討を余儀なくされるような事態もあるので、そういうことから考えますと、より一そうわが国の国内の海運に対する体制の整備が必要になってくると思います。なお、内航海運につきましても、これも決してらち外でありません。終戦以来の苦境に低迷しているのが現在の状況である。この点につきましては、この国会でも今後大きく論議されることだと思うのであります。  かような海運界の状態から考えてみますときに、わが国の海運が列国海運と国際競争を行なうためには、どうしてもまずもって世界におきます主要海運国と同一のスタートに立たせるということ、同一のスタートに立たして国際競争を行なう、これが一番肝要なことであり、それが海運振興の第一義でなければならぬというふうに私は考えるのであります。こういうふうな観点から登録税の問題を私はひとつ検討してみたい、かように思うのであります。  まず、お伺いしたいのは、世界の主要海運国におきまする登録税に対する状況、これは運輸省関係あるいは大蔵省関係、どちらでもけっこうですから、ひとつ御説明願いたい。
  226. 若狭得治

    ○若狭政府委員 外国におきます船舶の登録税の状況につきましては、アメリカ、イギリス、西独等につきましては、登録税の制度はないようであります。フランスにつきましては、抵当権につきましては、一万分の五、ノルウェーにつきましては、やはり一万分の五というような登録税がかけられておるようであります。  日本の登録税は、御承知のように船舶の登記、それから登録と、こう二重制度になっておりまして、その関係の高額な登録税が必要でありますけれども、主要海運国におきましては、手数料的な賦課以外の賦課というものはないという現状でございます。
  227. 内海清

    内海(清)分科員 世界のおもな海運国におきましては、大体登録税はないというのが一般のようでありまして、いまお話しのように、アメリカ、イギリス、西独はいずれもない、そうしてノルウェーが抵当権の設定の場合に一万分の五、フランスも同様である。オランダも同じ、こういうふうに私ども調査によってもなっておると思うのであります。  そこで、いまお話しのように、わが国におきましては、登記、登録、こういうふうなものがございますが、船舶に対するわが国の登録税についてのあらかたを御説明願いたい。
  228. 若狭得治

    ○若狭政府委員 登録税法によりますと、所有権の保存登記が船舶価格の千分の四、所有権の取得が千分の二十八、抵当権の取得が債権金額の千分の六・五ということになっておるわけであります。  これに対しまして、租税特別措置法におきまして、年限を限りまして、所有権の保存については千分の一、抵当権の取得については千分の一・五という特例を認めておるということでございまして、これは外航船舶についてのみの特例であります。  なお、海運再建整備につきましては、やはり租税特別措置法におきまして、所有権の取得につきまして、千分の一という特例が認められておるわけでございます。
  229. 内海清

    内海(清)分科員 それで大体わかりましたが、登録税法の三条で、所有権の保存、これは船舶価格の千分の四、それから所有権の取得、これは船舶価格の千分の二十八、抵当権の取得は債権金額の千分の六・五、ただし、租税特別措置法の七十九条によって外航船舶に対する特例がある。これは所有権の保存につきましては、船舶価格の千分の一、抵当権の取得については債権金額の千分の一・五、さらに、海運再建に関しましては、所有権の取得は千分の一、こういうことになっておるようであります。  そこで、最近におきまするわが国の船舶に関しまする登録税の納税実績がどの程度になっておるかお示し願いたい。
  230. 若狭得治

    ○若狭政府委員 昭和三十七年度の実績について申し上げますと、所有権保存登録が二億四百万円、それから所有権の取得登記の登録税が一億六千万円、それから抵当権の設定に伴う登記が五億四千三百万円、昭和三十七年度合計九億七百万円という状況でございます。
  231. 内海清

    内海(清)分科員 それは三十七年ですね。三十六年はやっぱり同様な程度ですか。
  232. 若狭得治

    ○若狭政府委員 三十六年度の実績を申し上げますと、所有権の保存登記が三億四千五百万円、取得登記が二億一千八百万円、抵当権の登記が三億三千六百万円、合計八億九千九百万円、約九億ということで、ほぼ同額の登録税を納税いたしておるわけでございます。
  233. 内海清

    内海(清)分科員 そうすると、最近におきましては、この登録税は船舶関係に関しては納税実績は大体九億程度だということに理解できると思うのであります。そこで、諸外国にはこういうものがほとんどない。あってもフランスあるいはノルウェーに抵当権の場合にわずかに一万分の五というものである。そうすると、先ほど私が申しました海運というものは、いわゆる国際海運の中に伍して激しい国際競争をやっている、少なくともそのスタートは同一のスタートに立たせなければ、当然そこでハンディキャップがつくわけです。ところが、この登録税一つ見ましても、そこに大きなハンディキャップがある。しかも、わが国の海運の経営基盤が脆弱だから、この二法案までつくってこれを強化していこう、そして国際競走に打ち勝っていかなきゃならぬ、それによってわが国の産業の発達と国際収支に寄与しようというこのときにあたって、こういう問題を——まず船ができた最初からハンディキャップがここにあることについては、私ははなはだ不可解です。しかしこれは、調べてみますと、登録法で、ことに船舶のは明治二十九年ごろに最初にできたようです。その後部分的な改定はありますが、その辺にもいろいろな変遷の事情もあると思うけれども、これらにつきまして、運輸当局並びに大蔵当局は、いま申しましたような観点からいかにお考えになるか、これをひとつお伺いいたします。
  234. 若狭得治

    ○若狭政府委員 現在の登録税の軽減につきましては、従来長い間この軽減をお願いしてまいっておるような状況でございます。ただ根本的にわが国の船舶についてのいわゆる公示制度というものが二元的になっているわけでございます。航空機、自動車は同じように輸送機関でございますけれども、これは登録だけになっているわけでございますが、船舶だけは公示制度が二元的になっておるという状況でございますので、こういう面から非常に重い課税が行なわれているのではないかということが考えられるわけでございます。これにつきましては、われわれのほうで一元的に公示するという制度を考えたらどうかということで、現在検討はいたしております。また、学者の中にも、事務簡素化という面から一元制度を主張するような方々もあるような状況でございますので、現在の不動産登記法というものを基準にした公示制度というものと、船舶の公示制度というものを総合いたしまして、これを一元化するという方向で今後検討してまいりたいと考えております。
  235. 宇佐美勝

    ○宇佐美説明員 船舶の登録税につきましても全廃せよというお話でございますが、私どもはそこまでは考えておらないのでございますけれども、さしあたりの問題といたしましては、外航船舶の保存登記あるいは抵当権、取得の登記の税率の特例が租税特別措置法にございまして、御承知と思いますが、今年度で切れるわけでございます。これにつきましては、とりあえず三年の延長をはかるようにいたしておりますし、先ほど船舶局長からお話になりましたように、他種の登録税に比べまして、その船舶の関係につきましては、いろいろ特別の措置を講じておるというわけでございます。
  236. 内海清

    内海(清)分科員 私のお尋ねしましたのは、大体いまの日本の海運の状況からして、国際競争力に太刀打ちできる海運経営基盤の強化をはかろうということでいま進んでおるわけです。ところが、船舶が生まれた当初から、そこにハンディキャップがあるじゃないか。こういうものであっていいのかどうかということです。それに対する御所見を伺いたい。
  237. 宇佐美勝

    ○宇佐美説明員 これはいろいろお考えもあろうと存じますが、また税の立場から申し上げますと、やはりその税の中のバランスの問題もございますし、それからまた、これは外国の船舶のすべての租税につきまして総合的に考えてみる必要もあるのじゃないか、こういう感じもいたすわけでございます。  それから、これは私の所管ではございませんが、金融の関係あるいは金利の関係、そういうことが全体として考えられるのが筋でございまして、私どもとしましては、さしあたり税の中のバランスの問題も考え、この程度のところで、現在の条件のもとではやむを得ないのではないか、こういうぐあいに考えております。
  238. 内海清

    内海(清)分科員 それではひとつお尋ねしますが、やはりいま海運局長からお話がありましたように、同じ交通機関であっても、航空機とかその他については一元になっておりますね。これと船舶の関係は、それではどういうことなんですか。
  239. 宇佐美勝

    ○宇佐美説明員 御指摘のように、航空機の場合と船舶の場合につきましては、制度が多少異なっておりますが、これは全部総合して考えてみます場合には、必ずしも航空機よりも船舶のほうが不利であるとか、あるいは船舶のほうが有利であるとか、そういうことにはならないんで、大体似たような状態になっておるのじゃないかというぐあいに考えます。
  240. 内海清

    内海(清)分科員 それでは具体的にお尋ねしますが、同じ金額で船をつくって、この登録税と、同じ金額の飛行機の場合に実際の税額でどうなりますか、計算されたことがありますか。
  241. 宇佐美勝

    ○宇佐美説明員 非常に荒い数字でございますが、大体の見当はつけてみたことはございます。一応計算の基礎としまして、多少古いのでございますが、十七次造船計画の船を取り上げまして、これと比べます対象としましてDC8をとってみまして、トン当たりの単価を比較してみますと、船舶につきましてはおおむね八万二千円程度、それからDC8につきましては三千六百万円程度ということになるわけでございます。したがいまして、これに対するトン当たりの登録関係の経費を比べてみますと、原始取得につきましては、船舶のほうが十五万三千円、航空機はこれに対しまして五万八千円で、船舶のほうが高くなっております。ところが、これを売買によりまして取得した場合におきましては、船のほうが三万八千円、それから航空機が五万八千円というぐあいに航空機のほうが高くなっております。それから、かりにこれを両方とも借り入れ金によりまして建造したというようなぐあいに考えてみまして、抵当権を両者とも設定したといたしますと、結果だけ申し上げますと、船舶が四百七十万円程度、それから航空機が六百三十万円程度ということになるわけでございます。
  242. 内海清

    内海(清)分科員 ただいまの御説明に対して、海運局長のほうではどうお考えになりますか。
  243. 若狭得治

    ○若狭政府委員 ただいまの問題は、耐用年数の問題もございますし、それから船自体の価格の問題もあるわけでございまして、われわれ単純に航空機と船舶の税負担の比較ということを、その収益性ということを別にして考えるということはなかなかできないわけでございます。われわれといたしましては、やはり海運は海運の国際競争をやっておりますので、そういう外国の海運との比較という面で問題を考えてまいりたいというふうに考えておりますけれども、具体的には、国内の税の問題につきましては国内の税体系の問題がございますので、現在のような二重の公示制度というものに手をつけない以上は、なかなか問題を解決することは困難ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  244. 内海清

    内海(清)分科員 私の手元にあります資料によりますと、これはどこでそういう開きができるか御検討願いたいのだけれども、たとえば建造費二十四億円の場合、船舶でいいますと三千五百トン級ですか、これは外航船として保存登記が二十四億円の千分の一ですね。それから原簿登記が十トンごとに六十円、こういうもので計算してみますと、大体船舶の場合は二百六十一万円、航空機の場合二十四億といいますと、大体六十トンのジェット機になる。これによりますと、大体原簿登記の毎一トン千円ということであれば六万円ということになる。ここに非常に大きな開きがあるわけです。この問題はどういうことなのでしょうか。
  245. 宇佐美勝

    ○宇佐美説明員 ただいま私申し上げましたのは、初めにお断わり申し上げましたように非常に荒っぽい計算でございまして、これが終局的に正しいのだということで申し上げるわけではございませんので、大体において権衡を見てみるならば、必ずしも船舶だけが特に不利という扱いになっておらないという趣旨で、例としてちょっと申し上げたわけでございます。ただいまお話しのような点もございますが、前に申し上げましたように、借り入れ金によりまして建造して抵当権を設定したというような条件を入れてみますと、先ほど申し上げましたように、船舶は五百万円足らず、それから航空機は六百万円程度、こういうことになるわけでございます。いまお話しになりましたのは、航空機につきましては登録関係の点だけをごらんになっておられるように思うわけです。
  246. 内海清

    内海(清)分科員 つまりこの抵当権の設定を別にしまして、登記登録でもってこれだけの大きい違いが出てきておるわけですね。だから抵当権の問題はさらに別に論議していいと思うのですけれども、登録の関係から考えると、実に四百二十倍ぐらいになっておる。もともとこれは外航船舶につきましても保存登記が千分の二だ。それが千分の一になっておるわけです。それでなおかつこういう状態にあるということです。この点、いま海運界でも大きい問題にしておるゆえんはここにあると私は考える。これにつきましては、海運局長、どうお考えになりますか。
  247. 若狭得治

    ○若狭政府委員 いま御指摘のとおりのような状態でありますので、われわれとしては毎年この税の軽減については努力を続けてまいっておるわけでございます。ただ、現在の取得価格の千分の一という租税特別法の例外というものが実は三十九年三月三十一日で廃止になることになっておったわけでありますが、これを延長するというところが精一ぱいというのが現実であろうかと思います。しかし、こういう状態を繰り返しておっても、とても先生のおっしゃるような税の軽減ということは期待し得ないという点をわれわれとしては感じておるわけでございます。もっと根本的に考えなければいかぬという状態ではないかと思います。
  248. 内海清

    内海(清)分科員 大蔵省の税制第三課長さんのいまの御説明は、われわれしろうとだからなかなか端的によくわかりません、了解しにくいのだが、私どもは登記登録の面から考えてみるならば、こういうふうな非常に大きな差がある。これは、私がさっき申しましたように、すでに出発点において大きなハンディキャップを船舶においては受けておるということです。この点については、今日わが国の海運の再建の段階にあるときに、大蔵省としてもひとつ十分考えてもらわなければならぬ問題だと思います。さらに、これが建設機械とか、あるいは漁業財団の漁船などについてみましても、なお一般船舶というものが非常な不利な立場にあることは、私間違いないと思うのです。時間がありませんから詳しく申し上げられませんが、この点については、私のいま申し上げたことが間違いであるならば、ひとつ十分御訂正願いたいけれども、ただいままでの大蔵省説明では、私いま納得しかねるわけです。したがって、今後この問題につきましては、ひとつ大蔵省当局において十分御勘案願いたい。少なくとも航空機その他交通機関に関しては同様の取り扱いを受けるべきである。ことに船舶の登録につきましては、いま言ったように非常に法律が不利で、部分的な改正はあるけれども、航空機に関しては、これが非常に新しいということで、税の歴史的な変遷からも一挙に改革がむずかしいというふうな点も災いしておるかもしれませんけれども、この点はひとつあくまでも十分検討してもらいたい。おそらく海運当局からもこの点は年々大蔵省に話があることだと思う。それがいつも等閑に付されてきておる。けれども、いまの海運の状況からいえば、これは十分腰を入れて検討すべきときだというふうに私は考えておる。これは海運関係からもいままでも要望があったと思いますけれども、所有権の保存登記あるいは取得の登記等につきましても、当然これは外国並みに手数料的な考えでいくべきではないかというふうに私も考える。さらにこの抵当権の設定に伴います登録税にしても、現在内航船は千分の六・五であり、外航船が千分の一・五ですが、これも一度になかなかむずかしいにしても、少なくとも、いずれも千分の一程度には軽減すべきじゃないか。これはいろいろ他の税の関係もありましょう。ありましょうが、この海運は国際競争裏においてやらなければならない。この点をひとつ十分考えて、今後この税の処理に対処していただきたい、この点を強く要望いたしたいと思うのであります。こういう状態であっては、せっかくいままで政府において海運が基幹産業ということで、海運二法をはじめとしていろいろな助成措置が講ぜられておるけれども、これらの措置に対して逆行することになるのじゃないか。少なくともすべての歩調を一つにして、そして日本の海運の国際競争力を強化する。かりそめにもこれを減殺するようなことがあってはならぬと思うのです。これはいずれにしたところが今後の問題でありますから、これらにつきましてひとつ海運当局並びに大蔵当局の御所見を伺ってこの問題を打ち切りたいと思います。
  249. 若狭得治

    ○若狭政府委員 船舶の登録税の問題については、先生御指摘のとおりでございますので、われわれとしても、今後ともこの軽減について努力を重ねてまいりたいと考えております。
  250. 宇佐美勝

    ○宇佐美説明員 お話の御趣旨もよく検討いたしまして、税制の範囲内におきましてどの程度まで船舶を優遇するかということにつきましては、今後も検討をしていきたいと思っております。
  251. 内海清

    内海(清)分科員 ただいまのような御答弁でありますが、私は重ねて要望しますが、少なくともあの画期的な海運二法を制定して、海運の基盤の強化をして、国際競争に打ち勝とうといういまの段階であります。その線に沿いまして強力に進めていただきたい、このことを要望しておきます。  それから、これは時間がありませんから、ただ要望だけしておきたいと思いますことは、御承知のような船舶税というものがシャウプ勧告によって固定資産税方式になっておるのであります。固定資産税方式は土地建物と償却資産ということになっておる。ところが、船舶は償却資産の中に入っていますね。その償却資産の評価というのは、取得価額が大体その基準になるということ、ここに私は船舶に対しては一つの矛盾があると思う。船舶に対しては、少なくとも時価評価ということが重要なことではないかというふうに私は考えておるのであります。しかも土地建物は時価よりも非常に安く評価されておる。こういう現状もあるので、この点についてもひとつ今後お考えいただきたい。この点は時間がありませんから要望だけしておきます。  それから次に、これは本年度の予算にも関係したわけでありますが、船舶の自動化の問題です。在来船の自動化の問題、これもやはり海運基盤の強化と関連いたしまして、大きい問題であると私は考えております。特にいま集約が進んでおりますが、その集約の中にもこの在来船というものが相当入るわけであります。さて助成して基盤強化しようと思っても、そういうふうなものをかかえておったのでは、やはり再建整備はうまくいかないということは明らかなことであります。同時に、いま非常に陸上関係がよろしいので、船員がなかなか得にくいという点、さらに船員の労働条件の問題がある。自動化ということはいわゆる経済性を向上するということであります。そういう観点からこれもまた重要なことだと思うのでありますが、運輸省では三十九年度の予算で、外航に対しましては国際競争の強化ということでいろいろ要求されました。それの中で、船質改善ということでこの面を取り上げられておるということであります。ところがこれは、全部で百十九億要求されたのが、高船価対策は——これは時間がございませんので詳しく申し上げられませんが、運輸省も最終的にこれは引っ込めたということで、わずかに老朽船対策と標準船、輸送船対策として十億認められた、この程度なのであります。この高船価船対策にいたしましても、いろいろ戦時標準船で議論はあるだろうけれども、高船価船というものが今日集約されます中に相当入っておる。非能率船をかかえておったのでは経営の基盤強化はできない。これもやはり合理化して自動化の方向に持っていかなければならぬということを考えておるのでありますが、この問題については、いずれまた運輸省のほうとあれいたすといたしましても、百十九億のものが、これは高船価対策をのけますと約三十億、それを最終的に運輸省がしぼって二十億、その二十億が十億しか認められなかったということでありますが、この対象になるのは老朽船対策、これは老朽船を解撤して建造しようということでありますが、解撤の対象が三十三隻で、建造が三十ということになっております。これの中に在来船、いわゆる戦前の船が十四隻も含まれておるのでありますが、こういうものをかかえておったのでは決して基盤強化はできない。これをやっていかなければならぬ。さらにまた輸送船にいたしましても、いわゆる標準型という二万トン、三万トンというのは、いま最も不経済船だ。これを改造していかなければどうにもならぬ。これも対象船は二万トン型が十二隻、三万トン型が十二隻、二十四隻ある。いま老朽船をやるといたしましても、たとえば四千トンクラスのものを改造するといたしましても、相当の金がかかるわけであります。一隻やはり四億くらいかかる。ところが、それも財政投融資を五〇%にしまして、しかも四分の二を工程ベースにしましても、相当かかる。こういうふうな状態で、はたしてわが国の海運の基盤強化ができていくかどうか。かりにいま十億を、油送船に六億として、老朽船に四億といたしましても、老朽船は大体において四隻くらいしかできない。それから油送船に六億回しましても大体三隻くらいしかできない。そうすると、この老朽船をこのベースでいくならば少なくとも八、九年かかる。あるいは油送船にしましても八年くらいかかるということ、こういう状態ではたしていいのかどうか、この点ひとつ海運局長の御所見を伺いたい。
  252. 若狭得治

    ○若狭政府委員 まことに御指摘のとおりでございますが、開発銀行の資金の面から申しますと、本年度で工事を完了する予定でございました戦時標準船の代替建造対策費というものが、来年度の資金量に二十五億円ずれ込んでまいったわけでございます。昨年度戦時標準船の対策といたしまして、開発銀行の計画造船以外のワクというのは三十億円ついておるわけでございます。そういう面とあわせまして、本年度はこの不経済船対策といたしまして十億円を計上していただいたわけでございますが、これは全く初年度に頭を出しただけというような状態でございまして、問題は来年以降に、戦時標準船の対策が終わりましたときにもう一度大蔵省と十分話し合いを進めてまいりたいと考えているわけでございます。
  253. 内海清

    内海(清)分科員 この戦慄船の改造費が残っているから今年度はある程度いくだろうということでありますが、これは大蔵省当局にしましても、おそらくこれが十億という、いわばこの最初の計画に対してはつまみ金でありますけれども、これがはたしてしからば老朽船のほうにどういうふうにやれば日本の海運はこうなる、あるいは油送船のほうはこうなるというようなお考えがあったものでもないと私は考える。しかし、こういうことではたして海運の基盤強化ができていくかどうか、この点に対して大蔵省当局のほうはどうお考えになっておるか、ちょっと聞きたい。
  254. 海堀洋平

    海堀説明員 お答えいたします。海運の再建二法、これはすでに老朽船なり、そういう二万トン、三万トンなりというタンカーがあるということを前提といたしまして、こういう助成をし、こういう集約化をして海運の再建をはかるということを計画され、それによってできるということで政府決定し、現在再建整備を行なっているわけでございます。したがいまして、その時点におきましては、それらをもって再建整備が可能であるということで判断されてそういう措置がとられており、現に一般会計は相当な負担をしまして、そういう船をかかえた状態における再建整備について助成を行なっているわけでございます。私のほうに、確かにいわゆるタンカーとか、それから鉄鋼の専用船とか、最近の需要に応じた海運融資の造船の要求のほかに、運輸省からタンカーの改装の要求とか、あるいは近海に就航している老朽船の代船建造の要求はございました。しかし、それらを、たとえばタンカーの改装、これは種類が違うのですから、二万トンは別にタンカーとするんじゃなしにほかの専用船にかえたい、三万トンは要するにそれを大きくしたい、こういう要求でございますから、これをしさいに検討いたしてみますと、現在のそれぞれの運賃レートというものを前提といたしまして、市中銀行からの借り入れでやりまして十分に採算がとれるという計算になります。これは私のほうが別につくったのではなくて、運輸省からいただきましたそれぞれのデータをもとにいたしましてそういう計算になったわけでございます。この点につきましては、運輸省におきましても、それはそうである、しかし、さらに低利の融資をもらえればさらに採算はよくなるはずだ、こういうお話であります。それで私のほうとしましては、それでは試みにいろいろな事情もあるようでございますからということで、最終的に十億という金額を決定いたしましたので、今後これを大々的に——という意味は、財政投融資の原資にもおのずから限度のある問題でございますので、日本の海運の拡充を考えていく場合におきまして、まずやはり国際競争力上非常に問題があり、しかも今後輸入量の非常に大きく伸びていくであろうタンカー、しかもそれは大型のタンカーでございますが、それから鉄鋼関係の原料、すなわち鉄鉱石と石炭というものに対する専用船の建造の需要は、今後ふえるといえども減ることはなかろう、したがって、これに対する資金手当は何をおいてもしていかなければならぬ。そうなってきますと、ある程度高金利でもって改装をしても、採算のとれる面にまで財政資金を回していけるかどうかは、それぞれの年度の財政事情を見なければ何とも申し上げられないと思います。
  255. 内海清

    内海(清)分科員 ただいまの話を聞いておりますと、この十億円もお恵みで出たような感じがする。はたしてこれは、なるほどいまのお話は、集約される面におきましては、そういうこともある程度考えられる。ところが、全部の船会社が集約されるのであります。特にオーナーにとりましては、これからの少なくとも計画造船は、主としてオペレーターであり、あるいはそれとの共有という形でなければできぬという。そうするとオーナーにとりましては、今後生きる道は唯一にこれしかないと私は考える。だからそういうふうなものは、おのずからもう消えてなくなっても差しつかえないのだというようなことならばまた別であります。しかしそういうわけにもいかぬと思います。でありますから、もう時間がありませんからやめますけれども、この面につきましては、今後できるだけ、大蔵省におきましても考慮を払われまして、ことに先ほど申しましたような自動化ということが、船が経済性を一日も早く高度にするということが海運基盤の強化に役立つという観点から、この点につきましては十分ひとつ今後お考えいただかなければならぬと私は思う。いまのこういう状態では、これは日暮れて道遠しという感がある。ただ単に集約会社のみを対象として考えるのではなしに、日本の海運界全体というものを対象にして考えていかなければならぬと思う。これらにつきまして内航海運の問題もございますが、これはいずれ今国会でいろいろ論議されますから、そのときに譲るといたしますが、この問題につきましても、ひとつ今後大蔵当局におきましても十分お考えいただきたいと思いますし、海運当局におきましても今後この面を進めなければ再建整備というものはなかなか順調にいきにくいのではないか、こういう点を非常に心配いたしておるわけです。時間がありませんからこの辺で終わりますが、その点ひとつ十分了承の上で今後御検討いただきますことを強く要望して終わりたいと思います。
  256. 井村重雄

    ○井村主査代理 この際川俣分科員より、先ほどの大蔵省当局説明に対し発言を求められておりますので、これを許します。川俣清音君。
  257. 川俣清音

    川俣分科員 私に質問の機会を与えていただきましてまことにありがたいと存じますが、質問する前に主査及び大蔵省にひとつ意見を申し上げておきたい。  私が質問するにあたりまして大蔵省出席を求めたのは、政府委員である主計局長または次長の出席を求めたのであります。委員部御承知のとおり、記録に明らかと思いますけれども政府委員の出席を求めたのであります。しかるところ、説明員をもって代行させるということでございます。あえて私はそれにはこだわらない。しかしながら、代行するのでありますから、当然政府委員と同格の立場をとって答弁されるものと期待したのは私の誤りではないと思う。政府委員にかわるに説明員でかんべんしてくれというのでこういうことを申し上げたのであります。あくまでも私は政府委員の出席を求めたのでございますが、代理ができるというのですから、別にえらい人とかなんとかでなくて、正式な政府委員の出席を求めたにもかかわらず買って出られたのであります。したがいまして、これから質問いたしますけれども、そう責任を負えないような、もう一ぺん説明を変えなければならぬ、協議してこなければならぬというような説明員でありますならば、私は質問はやめたいのであります。当然、大臣とかあるいは責任ある政府委員の出席を求めて質問をしなければならないと思いますけれども、せっかく主査がこの時間を与えてくださいましたから、そういうことでおまえじゃだめだということも、いまさら気の毒に思いますから質問はいたしますけれども、その答弁がまた相談してこなければだめなんだ、いや違うんだということになると、時間が非常にむだであります。あの答弁大蔵省答弁ではなかったのだ、私の個人の答弁だということになると審議にも差しつかえることになるので、初めからその点は念を押して、これからの答弁大蔵省を代表しての責任ある答弁でありますという言明がないと、政府委員の出席を待たなければ私の質問ができないことになるので、まことに残念ですけれども、そういうことになるのですが、その点ひとつ念を押しておきたいと思うのです。
  258. 井村重雄

    ○井村主査代理 おそらく——おそらくではございますません、川俣委員の御満足のいくような御答弁が得られると存じますから、どうぞ御質疑をお続けくださいませ。
  259. 川俣清音

    川俣分科員 私は満足を得たいという意味質問するのじゃなくて、あのときの答弁は、協議した結果違っておったのだというような答弁では困ると思うのです。私の答弁に、合意してもらいたいという質問じゃないのですよ。自分の発言について責任がとれないような発言であるならば、質問したくない、お断わりしたいというわけです。
  260. 井村重雄

    ○井村主査代理 私の満足と申し上げたのは、おそらく十分御理解をいただける、責任が持たれるということでございますから……。
  261. 川俣清音

    川俣分科員 けさの御答弁は、私まことにけっこうだと思うのであります。なぜけっこうだか、そこで責任の問題が出てまいりますが、その答弁によりますと、国鉄ならば国鉄に直接財政投融資をすべきで、そう遠回しな融資などはすべきではないという議論ですから、まことにそのとおりだ、それをなぜやらないかと言ったところが、やれないのだ、こう言うから、それでは東北開発のほうに回して、ひとつ国の要請、国民の要請である国鉄要望に沿ったらどうかという意味東北開発会社の問題を問題にした。これは初めから国鉄計画どおり、国民の期待するような運行のできるように、事業が遂行できるような施策を講ずるのが本来なんだ、本来はそのとおりやるべきだ、こういうのでありますから、そのとおりやってほしいのです。ところが、やってくれと言うと、いやそうじゃない、こういうことになるので、一体大蔵省はどっちがほんとうなのか。これはむしろ国鉄に融資をするのが本来の姿ですよ。それを大蔵省がやらないから、何とか便法はないかということの問題なんです。今後やりますというならば非常にけっこうなことだが、いやそれは大蔵省の省議に待たなければならないということをおそらく言うであろうと思って、前もって私は布石を打ったわけでありますが、どうですか。
  262. 熊田淳一郎

    熊田説明員 けさの私の答弁、特に昨日の答弁に、先生の誤解を招くような点があったかと思いまして、これははなはだ申しわけないと思っておりますが、きょう発言を許していただきましたのは、そういう先生の誤解があってはならないと思いましてさらに発言のお許しを得た次第でございます。  国鉄に対します財政投融資、これはやはり財政投融資には限界がございますので、今年も国鉄の要求を約千億近くも改良費について切るというようなことをいたしております。これははなはだ遺憾なことでございますが、しかしそのほかに債務負担行為の増加とか、あるいは今年度のさらに百億の追加補正とか、さらに民有車両二百億円の増加を認めるとか、こういう措置をいたしまして何とか国鉄の要求に近づけるように政府としても努力をいたしておるわけであります。この利用債の問題でございますが、これはやはり財政投融資に限度がございますので、その補完的な資金源と申しますか、そういう意味合いから利用債の制度ができておるわけであります。これはあくまでも財政投融資の補完的な作用を目的としておるものでありますから、したがって政府の金ではない、つまり民間資金を動員するのが目的でございます。先生がおっしゃいます東北開発の金を回したらどうかという点は、実質的に政府財政投融資をしました金が利用債の引き受けに回るということでは、この利用債の趣旨に合致しないというふうに考えるわけであります。また、先ほど先生もおっしゃいましたように、国鉄から見まして直接に財政投融資を受けたほうが金利からいっても安うございまして、国鉄としても有利でございます。また東北開発利用債に資金を運用するということも、東北開発の現在の事業の実情から申しまして、はたしてそれが有利であるかどうかということには疑義があるということでございます。そこでそうではないというふうにお答えをしたわけでございます。
  263. 川俣清音

    川俣分科員 結論的な意味についてはそうあるべきであって、東北開発からわざわざ国鉄に回すというより、直接に財政投融資をするのが当然だという御意見に対しては、私は満幅の賛意を表する。それをひとつおやりなさったらどうかということをすすめたのです。もしも回り回ったような投資のしかたが悪いというなら、もう一歩大蔵省は進んで、郵政省の持っている保険資金も直接民間の希望に沿うてお回しになればもっと直接的だ。わざわざ大蔵省の資金部に入れて、それからピンはねをして、それからまた国鉄へ回すよりも、郵政省と話をして——どうせ郵政省と国鉄とは密接な関係があるのだから、輸送上につきましてもお互いに協力し合わなければならないのだから、こういうところで得た資金を直接国鉄に回す。大蔵省をわざわざ通さぬでも、そう回せばもっと便利なんです。人のことになると持ち回ることはできない、大蔵省の都合のいいときには持ち回りをさせるというのが、いままでの大蔵省のしぶいというのか、すべて自分が締めてやらなければ満足しないということで、国民経済なんて考えない。与えられた使命というものは、国民経済にどれだけ寄与するかというのが大蔵省にまかせられた財政の権限なんです。それをあたかもそういう権利を持っているような考え方で、あれをやらねばいかぬのだ、これをやらねばいかぬのだ。それじゃ列車の運行をひとつ大蔵省がやってごらんなさい。さっとやれますか。もしやったら毎日事故ばかり起こして、それこそ一日か二日でやめなければならないでしょう。そんな金繰りみたいな考え方で鉄道を動かしてごらんなさい。事故ばかり起きるでしょう。いまこんな事故が起きて、こんなに非難をされているけれども、それは国鉄も緊張を欠いている責任もあるだろうけれども大蔵省の金融に引きずり回されて相当な事故が起こっているのではないかという非難が国民の間から起こってきているのですよ。それを私は指摘したわけです。金利の安いものを回すなら、もっと国鉄だってやりますよ。ところが、あなたのほうも、全体の財政計画とかなんとか考えて——考えることが悪いわけではないですが、いじり回して、遠回しに資金を融通しているのはむしろ大蔵省なんだ。だから、今度やらないとあなたが言われたから、私は非常に心強いですよ。心強いと言うと、いやそれは私の私見だなんてあとで逃げられるから、前もって申し上げた。本来ならば国鉄が直接に資金調達をする。それをあなた方のほうで見ておいてくれるならば、おそらく郵政省だって——いまの郵政省は大蔵省に一ぺん取り上げられてから資金を回されるなんて迷惑だ。あしたか、あさって、郵政省の部会がありますから、そこで聞きますけれども、おそらく大蔵省へ回して、たらい回しで——それから融資も、直接少しぐらい金利を上げて融資をするなら、どれくらいいいかわからぬと考えておるだろう。あなたのように、遠回しにぐるぐる回しをしてコスト高になるより直接やれという御意見でありますから、非常なけっこうな御意見で、私は大いに賛成をしたいと思う。そのかわり今度は郵政省としても、そんな持ち回りをするよりも、直接国鉄に貸してやったらどうか、こういう意見に発展するだろうと思います。実はこれから郵政省の会議に出ますけれども、その場合にはあなたがひとつ大蔵省を代表してもう一ぺんおいで願えれば、もう質問する要はない。きのうの答弁どおりということになって、非常にけっこうだと思います。これはいじめて言うわけではないのですよ。別に、あなたを、主計官をいじめる、そんな考え方ではないが、大蔵省はそんな考え方でなくてほしい、勇敢な考え方になってほしい。あなたが悪いのじゃない、大蔵省があなたぐらいの勇敢さを持ってほしいという意味であなたに質問申し上げておりますから、非常に御意見を尊重して、そうして主計局全体がそういう考え方になってほしいという意味質問を申し上げておる。ですからどうかあしからず。非常にけっこうな御意見だと私は思います。国鉄に対しても回り回った資金を融通してやって事業が進まないなんということのないようにしていただきたいというのが私の質問の本体なのです。ただ、それには、そういったってなかなかあなたのほうで財政投融資をしないから、しないのに対してただ手をこまねいて待っているわけにいかないでしょう、こういう利用債のしかたをしたらどうかというふうに発展をしたわけです。私は、当然直接国が財政投融資をするのがほんとうは望ましいということは、そのとおり、あなたの言われる筋論、そのとおりと思う。だから、その筋をどこまでも通してもらいたい。どうですか。今後主計局の会議があるでしょうし、必ず予算編成前に主計官を集めて今度の省議の前提になる会議を持ちますから、ひとつ、せっかくここでこれだけ名答弁をされるのですから、それを実現してほしいと思うのですが、どうでしょうか。
  264. 熊田淳一郎

    熊田説明員 ただいま、たとえば郵便貯金等について、直接郵政省から財政投融資をしたらいいだろうというようなお話でございますが、これはまた別の観点から考えなければならない。つまり、資金の効率的な運用をはかるために資金運用部が、郵便貯金ばかりじゃありません、もろもろの資金を集めまして効率的な運用をはかっておるわけでございます。したがって、各省がばらばらに自分の所管の資金を投資をするということでは、投資の一元性あるいは効率性を阻害するわけでございます。したがいまして、いま国鉄に対して直接投資をするということが郵政省の問題にまで波及をするとおっしゃいましたけれども、それは全然別個の問題だというふうに私は考えます。
  265. 川俣清音

    川俣分科員 私は別の問題と申しません。あなたの答弁によると、わざわざ遠回しにして回り回って金利が高くなるよりも直接やるほうがより合理的だ、こういうお説に対して、そのとおり、まことにけっこうな御意見でございます。賛意を表した。その賛意を表すると、それではわざわざ遠回しにするよりも、国民から見れば、国民は総体的資金の調整なんて考えない、安いほうがいいと考える、安い資金を国鉄にやるならば運賃の値上げもなしでしまうだろうと考えちゃう。それならば、われわれの郵便貯金を使ってくれれば運賃を上げないで済む、それが望ましいと思うのは、資金の効率なんて考えない国民から見れば当然です。どうしたら安い運賃で安全に運転してもらえるかということが国民の要望だと思うのです。その要望に沿うということなのです。おれたちの出した預金をそんな遠回しにしないで、便利な交通網の完備をして、地獄みたいな電車に乗せないで、それでいけるならおれたちの預金を使ってもいい、そういうふうに使ってもらうなら喜ばしいといって、また預金がふえるかもしれません。大蔵省にまかせておくから預金がふえないが、そういうように使ってくれるならもう少し預金してやろうかということになる。いまみたいに大蔵省がしぶいことばかり言っていたのでは、人のものを使っておいて、運賃を上げるわ、地獄みたいな汽車に乗せるわでは、そんなんなら預金なんかしないことになるでしょうが、それが預金として効率的な利用をされておるということになれば、国民的感情として——私だって喜んで預金しますよ。電車だって汽車だって安くなる、そして安全に運転できるということになるならば、預金で済むならば、支出でなくて預金だから、喜んでひとつ預金はしましょう、それを有効に使ってもらいたい、大蔵省なんか遠回しをしないでまっすぐに使ってもらったほうが、利子なんか別にしても、それで運行がよくなって安全で生命が保持されるということになれば、どうか使ってください。やってごらんなさい。おそらく、そういうふうな預金をしてくれるならば安全運転をさせてみますなんて言ったら、喜んで国民はさらに預金するでしょう。一ぺんやってごらんなさい。おそらくそうだと思う。死にもの狂いの電車に乗らなければならない、預金はせいと言ったって、その預金は何に使っているかわからない。そういうものを解消するためにひとつ預金したらどうだと言えば、おそらく東京都民は預金を、ほんとうに零細預金ですが、零細預金を積み立てるだろうと思いますよ。これは私保証してやると思う。大蔵省なんかに遠回しするものだから一向効率がない。国民から見れば大蔵省くらい効率のない金の使い方はないと思う。死にもの狂いの電車に乗って、しかも危険なものに乗せられて——これは投票してごらんなさい。圧倒的にこれは優勢だと私は思います。だから大蔵省だけが効率的だなんて言ったって、国民から見ればこのくらい不効率な使い方はないと思う。どうかそういう意味で大いに反省してもらいたい。ただ郵政省が出したから神経過敏になったかどうか知らぬけれども、これは国民の率直な偽らざる声だと思う。私の声じゃない。いまの輸送難から見て、あの混雑ぶりから見て、しかも事故が起こるという現象から見て、何とか国鉄の安全運転しかも能率的な輸送をしてもらいたいというのが国民のあげての要望だと思うのです。それに沿うようにしたいというのが私の願望です。それで質問したわけです。それに沿えないと言うから、何とか便法がないか、政府が金がないと言うのだから、それじゃひとつわれわれ民間がやったらどうか、こういうことなんですね。私はこの間言わなかったけれども、優待乗車券なんか持っている人には利用債を持たしたほうがいいと思う。優待されているからには、少しくらいそういう資金面についても協力するということが望ましいのじゃないかと思う。これは代議士仲間ですからそういうことを言ってもどうかと思うけれども、これをやったら私は一番効果があると思う。熊田さんに言うけれども、大体国会というのはうるさいからおそらく反対だ、大蔵省のやり方が悪いためにおれたちが利用債を買わなければならぬと言って圧倒的な力で大蔵省は責めつけられてしまうと思う。私はこれをやったらいい、そうしなければ解決つかない状態なんですね。非常手段なんです。私は尋常手段を言っているのじゃない。非常手段を用いなければなかなか解決つかないのじゃないかということから、あえて利用債の問題まで持ち出したわけなんです。何もおもしろくて持ち出したのじゃない。ただ議論するために持ち出したのじゃない。それほど国鉄のあれは逼迫をしておる。何とか解決しなければならぬじゃないか。それじゃひとつ目を広げて、むしろ進んで優待乗車券を持っている人にみんな利用債を持ってもらったらどうかということを私は原稿には書いた。これはひど過ぎるのですよ。代議士をはじめ国鉄の首脳部、高級職員にはみんな利用債を持ってもらって、パスを出している者にはみんな持ってもらう、そうでなければ優待しないというくらいなところまでいかないと、国鉄が事業を遂行できないというところに追い込まれておるのです。これはぜひ私はやったらいいと思う。代議士のパスを持った者には利用債を、一定限度でありましょうが、持たせなければならぬと言ったら国会は大騒ぎになりますよ。自分のことになってくると代議士も強いですからね。これはおれたちが出さなければ大蔵省が出すのはあたりまえじゃないかということになって、少しぐらい騒ぎが大きくならないと、あなたの御本尊の大蔵省——みんなあなた方みたいになると非常にいいんですけれども、そうじゃない、大蔵省全体がなかなか渋いもんだから、ついあなたに当たったということを御理解ください。代表して当たられたと思って答弁してください。
  266. 熊田淳一郎

    熊田説明員 国鉄の非常に困難な事情というのは先生がおっしゃるとおりでございます。そのために政府としましてもできるだけの資金を投入いたしまして、過密ダイヤの解消ということに努力をいたしておるわけであります。財政資金の足りないところは利用債あるいは縁故債とか、そういうようなものも投入をいたしまして措置をしておるわけでございます。利用債のあり方の問題でございますが、先生が問題にされましたのは利用債一つの形態でございます。そこで問題になりますのは、最初に申し上げましたように、これが財政資金の補完的な作用、つまりそういう意味で民間資金の動員ということになれば、これは利用債の目的に合致するわけでございます。今度の先生のお考えの利用債は、これは財政資金の範囲ではないわけでございます。民間資金であれば、いろいろ先生のおっしゃいますように、東北へ生鮮食料とかいうようなものの運搬に事欠く、したがって、そのための車両をもっと拡充すれば、それによってその生鮮食料の価格の安定がはかれるというようなことは、これはよくわかるのでございます。これは、それならばその地元の方々が利用債を引き受けられて、そうしてそれを車両の充実に回されるということが政府資金の補完としての利用債のあり方だと思うわけです。
  267. 川俣清音

    川俣分科員 もう一言で終わります。東北会社はいま東北興業を引き継いでおりますが、当時は半分以上が民間資金であったわけです。いまだにその残存を継続いたしておるわけです。しかし東北会社の金は全部財政投融資資金ではないわけです。当時は御承知のとおり民間資金でやっておったために配当保証をしておった。民間資金を主にしておった。いまは財政投融資政府出資のほうが多いわけです。これは政府資金でございましょうが、財政資金じゃないですね。出資が多いわけです。早くいえば株式会社ですから、株を多く持っておるというだけだ。政府株だからといって、株ですから、必ずしも政府資金ということにはならないわけです。内容は政府の出資金のような形になっておるが、形は大蔵大臣が株主を代表しているということで、あくまでも株式会社であるわけです。したがってこれを全部財政投融資だなんていうことは、法律上は言えないことなんです。確かに財政投融資の部分も最近は多いということはいなめないけれども、頭から全部財政投融資だなんていうのはとんでもないことになるのですが、確かに財政投融資を受けておることは事実だから、財政投融資じゃないの、あるいは株式だのというようなことをいま争う考え方は私は持っておりません。国の財政資金は足りないし、利用債を民間からとるならいいというならば、代議士などから利用債をとったらどうですかというので、これは財政上何にも文句は言えないでしょう。ただ国会というやかましい場から、こんなだらしのないとり方をするならば大蔵省何とかせいという政治圧力は加わるだろう。そのときに一番困るのは、国鉄でなくてあなたのほうだということをさっき言っただけなんです。しかし国鉄は非常手段としてそんなことをやったらどうかと私はすすめている。このくらい困っているということを言ったって、大蔵省もなかなかわからないし、国会もわからないというから、それじゃひとつ優待乗車券を出している者には利用債を持ってもらわなければ困るということだって、これは言えないことないと思う。そうすると利用債を持つなんと言っておらぬのです。代議士の諸君がそうでなくたって金詰まっているときに利用債なんか持ったらたいへんだ、それならひとつ大蔵省を説いて何とかしなければならぬというので、政務次官だってやらざるを得ないでしょう。そのくらいしないとできないのじゃないか、それほどに私は考えざるを得ない。私は自分が言うのではないんですよ。国民が期待しているものを達成しなければならないというから、そういう非常手段というものを考えざるを得ないということ、国鉄だってなかなかおっかなびっくりで、優待乗車券を出しておる者に対して利用債を持たせるなんていうことは、おそらく磯崎さんでも閉口しておられると思うけれども磯崎さんだってそのくらいな決意を持たなければ資金が集まらない。集まらないでてんとしていられるかというと、そうじゃない。国民経済の要望が非常に強いのだから、そこまで決意をしなければならぬところに追い込まれておる。追い込まれておる姿を私は表現したと思うのです。なかなか総裁だってそんなことはやれっこはないけれども、そのくらいのところまで今日追い込まれておる。そこまで来ているということを少し大蔵省に認識をさせなければならぬために、今日まで長い時間かかったということ、これをひとつ主計局の会議のときにぜひ出していただいて、あなたのお説のとおり直接国鉄に融資することができまするならば、あなたのお説は生きてくるし、私の質問も生きてくる。そうでないと、私に対しての答弁は、その場限りの答弁になるおそれがある。あなたはいつか主計局を代表して政府委員になってここに来るかもしれないですよ。そのときには——いまは説明員だからあんまり責めませんけれども、今度政府委員になったときには、何だ、この前国会で答弁したときには、と言って、責任を追及しますから、十分予算省議のときにはこのことを頭に入れておいていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。  あなたをいじめるつもりはない。大蔵省代表として言っておるのですから、御了承願いたいと思います。
  268. 井村重雄

    ○井村主査代理 大蔵省から努力する旨決意を表明してください。
  269. 熊田淳一郎

    熊田説明員 先生のいまのお説の、国鉄の窮状に対していろいろな手段をとらなきゃいかぬじゃないかというお説はよくわかります。ただ今度の東北開発国鉄との間の利用債という問題については、私は問題があるということを申し上げただけでございます。先生の国鉄に対する御趣旨はよくわかっております。今後も政府の一員といたしまして、できるだけ事故の防止と過密ダイヤの是正、このための政府の施策の推進、こういう点に、私も微力でございますけれども、努力をいたしたいと思います。
  270. 井村重雄

    ○井村主査代理 ほかに質疑はございませんか。——質疑がないようでありますから、これにて運輸省所管及び日本国有鉄道関係に対する質疑は一応終了いたしました。  明二十一日は、午前十時より開会し、建設省所管について審査を行ないます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十三分散会