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1964-02-19 第46回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月十九日(水曜日)     午前十時十一分開議  出席分科員    主査 松浦周太郎君       荒舩清十郎君    安藤  覺君       井出一太郎君    仮谷 忠男君       櫻内 義雄君    周東 英雄君       淡谷 悠藏君    加藤 清二君       川俣 清音君    栗原 俊夫君       多賀谷真稔君    永井勝次郎君       稲富 稜人君    兼務 川崎 秀二君 兼務 石田 宥全君    兼務 田口 誠治君  出席国務大臣         農 林 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         大蔵事務官         (関税局長)  佐々木庸一君         農林事務官         (大臣官房長) 中西 一郎君         農林事務官         (大臣官房予算         課長)     太田 康二君         農林事務官         (農林経済局         長)      松岡  亮君         農林事務官         (農政局長)  昌谷  孝君         農林事務官         (農地局長)  丹羽雅次郎君         農林事務官         (畜産局長)  桧垣徳太郎君         農林事務官         (蚕糸局長)  久宗  高君         農林事務官         (園芸局長)  酒折 武弘君         食糧庁長官   齋藤  誠君         林野庁長官   田中 重五君         水産庁長官   庄野五一郎君  分科員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   宮崎  仁君         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      筒井 敬一君         通商産業事務官         (通商局次長) 大慈弥嘉久君         中小企業庁次長 阿部 久一君     ————————————— 二月十九日  分科員加藤清二君及び小平忠委員辞任につき、  その補欠として永井勝次郎君及び稲富稜人君が  委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員永井勝次郎君及び稲富稜人君委員辞任に  つき、その補欠として栗原俊夫君及び小平忠君  が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員栗原俊夫委員辞任につき、その補欠と  して加藤清二君が委員長指名分科員に選任  された。 同日  第一分科員石田宥全君、第二分科員川崎秀二君  及び田口誠治君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十九年度一般会計予算農林省所管  昭和三十九年度特別会計予算農林省所管      ————◇—————
  2. 松浦周太郎

    ○松浦主査 それでは、これより会議を開きます。  昭和三十九年度一般会計予算及び同特別会計予算中、農林省所管を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑通告順によりこれを許します。  淡谷悠藏
  3. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 きょうはひとつ農林大臣にお伺いしたいと思うのですが、この問からの本会議あるいは予算委員会等農林大臣の御答弁を聞いております中に、私は非常に悲壮なものを実は感じたのです。赤城さんの御答弁の中には、元気のいいのもあるし、元気の悪いのもありますけれども、何かこう農林大臣として一つ危機感を持っているという感じがしたのですが、私実は長い問農民運動をやってきた者として、いまの日本農業に非常な危機感を持っておりますので、その気持ちのあらわれかもしれませんが、もう、通り一ぺんの答弁の中でも、農林大臣赤城宗徳氏ではなくて、農人赤城宗徳としてのどうにもたまらない気持ちを私は感得するのです。これはおそらくは最近の日本農業動きについての全国の農民がひとしく持つ感情だろうと思うのです。むしろ親近感を覚えたのであります。きょうはひとつ、基本的な問題についてお話しするほどの時間もございませんけれども、この基本的な問題から派生しておるさまざまな問題をじっくり農人としての赤城宗徳氏から私はお聞きしたい。これは、やはり、同じく心配な、非常に困った問題に対処する者として、深刻に考えてみたいと思います。きょうは時間も大体一時間と制限されておりまするし、また、そのあと質問の都合もございますから、問題を二つに切りまして、土地問題と農産物流通機構に対する二つの問題に限って御質問申し上げたい。  土地問題について、この農地改革以来何か解決がついたような気分があるのですが、私は、新しい土地問題処理の必要が起こってきていると感じるのです。いろいろグリーン・レポート等も読んで見ましたが、一番基盤をなす農地がたいへん動揺している形が見えます。これは一つ工場敷地あるいは住宅敷地などで耕地がつぶれていくのもございますけれども、これは全体の数から言えばたいしたものでない。私が最もおそれるのは、農民農業に対する熱意の喪失、特に、若い連中がもう農業はだめだといったような気分に巻き込まれまして、漸次農地を捨ててしまうという傾向が多い。農地はものをつくる場所ではなくて、売買によって利益をあげるんだと、商品化していくような傾向が非常に濃厚なんです。この点をたいへんに心配いたしますが、一方また、日本農業は滅ぼしてはいけないものですから、これは新しい形で新しい農業基盤が造成されなければならないことは、これは当然であります。その場合、せっかくここまで来ました農地改革の成果を放任しておいて、派生する問題のままにしておいたり、あるいはまた一定の方針を立てないままに処理したりしますと、いざ踏み出すときに思わざる障害にぶつかることが出てくるだろうと思います。飼料増産などに対しても計画があるようですが、もはや狭い土地で片手間に生産するような生産政策ではとうていやっていけないことは明らかであります。その意味で私は農林大臣にお考えを願いたいと思うのですが、農地交換分合は一体順調に進んでおるだろうかどうかということと、それから、新しい協業その他を遂行する場合に、池田総理に言わせますと、第二種兼業土地を投げる農民がふえてくれば、それが自営農家の育成にだいぶ役立つのだというようなことを言っておりますが、これはたいへん間違いではないかと思うのでして、むしろ、一方の農家から土地を削って他の農家に合わせるというような土地兼併の様式でなくして、長い間放置されておった山林原野というものに対して、新しい土地づくり農業基盤づくりが大事だと思うのですが、そういう点で率直に大臣のお考えを聞かしていただきたいと思います。  なお、これは蛇足でございますけれども、私はきょうは別に大臣のあげ足を取ろうとは思いません。どうかひとつ、憂いを同じくする者として率直な気持ちをお聞かせ願えればよろしいと思いますし、また、わからないからひとつ一緒に研究をしようというのであれば、それもけっこうです。そのつもりで御答弁を願いたい。
  4. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 土地制度あるいは農地問題等の何らかの解決をはからなければ、これからの自立農家に対しましても、あるいはまた共同化の方面におきましても、非常に支障といいますか、進み方が悪いという現段階に来ていると思います。  そこで、お尋ねの点でございますが、交換分合、私はこの交換分合というものはほんとう農地改革のときにそういうことをやって耕作民に配ったほうがいいのではないかということを、非常に強くその当時も感じておったのでありますが、そういうことなしに農地改革は進んで、その後、近代化という点から言いますと、どうしても交換分合していかなければ、機械化も進みませんし技術の適用にも十分でない。交換分合は相当進んではおると思いますが、ただ、いろいろ実態的に見ますと、形式的で、いかにも交換分合したごとく申請しておって、実態はそれほど進んでいない、こういう点が非常に町村の中に多かったのであります。そこで、ことしの問題になりますが、そういうことを私も強調いたしまして、農地にもその他の関係にもそれがよかろうということで圃場整備、これは去年からやっておりますが、圃場整備を大々的にやって交換分合会を進めていこうじゃないか、こういう進め方をいたしておるわけであります。  それから、経営規模妥当性といいますか、合理性、こういう点から考えましても、いまの経営規模では、国内の他産業との競争力におきましても、まして国際間の競争力におきましても、それにたえ得るようなものではないと思います。でありますので、できるだけ経営規模も集団化し、あるいは拡大していく。そういう意味で、いま御指摘になりました兼業農家土地自分のほうに、私のことばで言えばかき込む、自分のほうに入れて、そうして拡大するというのは、これは第二義的なものだと思います。第一義的には、やはり荒廃地とかあるいは林野とか、そういうものを含めて自分土地経営面積を多くする。しかしながら、やはり結果といたしまして、兼業農家が迷っておる面が相当あると思うのです。ほんとうにこれからもう自分の時代から後には農業をやめてしまって、サラリーマンとして自分の子供らはやっていくのだというのと、あるいはまた、それも思い切れないで、少ないながらやはり農に帰らなければならないかもしれない、こういうような岐路といいますか、迷いながら、収入が多いから第二種あるいは第三種にとどまっている。こういうことから、結果的に見て、かっこむわけではございませんが、自分のほうは雇用の安定等ができてきたならばもう農家としじゃなくてやっていくのだという気持ちの者もあろうと思います。そういう面は、あえてこれを拒否する必要もございませんし、そういう面の農地買収等の費用というか、金融もできますから、そういう面から経営面積を拡大していく、こういうこともあっていいと思います。しかし、人のものを取るという意図でやっていくというような形はどうかと思いますが、結果的にはそういうことも必要なことだ、こう考えます。
  5. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 一七%内外の既成の耕地、これはどのように交換分合しましても絶対的な土地利用はできないし、特に畜産などの振興に伴ってえさ生産が大切になる。御承知のとおり、日本で養っておる牛がアメリカの小麦を食べておるといったような現状、輸入飼料が非常に多くなってきておるということは、今後大きな問題だろうと思います。これは、勢い、あらかじめ飼料生産土地の構想が大切だと思いますけれども土地問題は大事でありながら、計画あとにくっついて土地処理が始まるという悪いくせが日本にあります。道路一本通すのでも、あるいは住宅をつくるのでも、工場をつくるのでも、あらかじめ計画を打ち出しておいて、その計画に便乗して思惑土地を買い占めた者が土地値段をつり上げるという形が随所にあらわれてきておる。国有林開放の話が出ますと、この間川俣委員が指摘しましたように、もうそれは農地のためではなく、国有林開放に乗じて、あるいは青函トンネルのための思惑をやるのに払い下げを申請してきたり、土地そのものに愛着するのではなくて、土地を売った金に愛着するという傾向が非常に強い。それで、いまからはっきりした土地計画を定め、利用区分を明らかにしておきませんと、酪農奨励の波に乗じた土地ブローカーの暗躍と思惑買いが盛んになるだけである。これはあとになるとたいへんなことになると思います。  特に私申し上げたいのは、今日の地価暴騰の原因です。これを一体どこに見出すかという問題が大きい。外国の例だと、私乏しいながらよく見てまいりましたが、団地の形成でも、日本では、ここにつくろうということになると、団地をつくろうとする役所なり公団なりが直接にやるのじゃなくて、土地ブローカーに買い集めさせて、土地ブローカーからまた集めて買うという形ですから、たいへん地価が上がってきますし、土地も不自由になってくる。狭い土地にたくさんの住宅をつくろうと思いますから、木があれば木を切り、高いところがあればくずして、土地そのもの条件を生かさないで、狭いところに箱みたいな住宅を詰め込んでしまうという、まことに魅力の乏しい住宅となっている。土地がふんだんに計画されていますと、山は山のように、川は川のように、森林森林のように、おのずから土地環境整備されたままで住宅をつくるという事例を、実は見てまいりました。北欧三国にこれは多いのであります。農場開発なんかでも、大まかに私有地の中に大きな農場計画をしますと、土地資本が非常に高まるのです。そこに将来の問題があると思う。一体、田畑農地改革で解放しましたけれども山林原野をなぜ農地改革の、土地改革の線に乗せなかったか。第三次農地改革をやるかやらないかということは、今後の農業の進展にも非常に大きな意味があるだろうと思います。これを突っ込んでいきますと、おそらく農林大臣窮地に立つでしょう。私はそれを追及しませんけれども、少なくとも今日土地区分を明らかにし利用区分をはっきりさせないでおきますと、将来大きな障害になると思いますから、あえて言っておきたい。  それから、さらに、最近の農家の心理ですが、農産物値段がどんどん落ちていくし、経営が立たないから、農産物を売るよりも地面を売るほうが得だという感じが非常に大きい。しかも、私有地がどんどんふえてまいりますと、どうも、土地利用よりも、土地を売った、土地を商品として処分したほうが簡単に金になるのだという観念がございます。都市周辺農家ども、いつかは売れるだろうという形で土地をじっくり握っているという形がしばしば見られる。何かそこに割り切れないものがありますが、私は固定資産税の値上げに対しても反対いたしますのは、地価が幾ら上がりましても、農業を営む農家にとってはちっとも得にならないのです。土地を売らない限りは、地価暴騰というものは何にも得にならない。これは税金の過重のためにいたずら農民圧迫しますので、やはり土地利用についても本来の目的を失わないような方向にいきたいというのがわれわれの考え方なんですが、そこで、率直にひとつお聞きしたいのは、日本全体の国土計画をいたします際、これは触れにくいのですが触れざるを得ないのですけれども、やはり第三次農地改革が必要であろうと思うのですがね。たとえば治山治水の問題にしましても、それから原野利用の線にいたしましても、どこかそこで土地の造成でぶつかる面があるように思えてしようがない。これはいろいろ閣内の事情もございましょうし、影響が大きいものですから、はっきりした結論は出ないかもしれませんが、そういう障害を若干感ずることはございませんか。その点だけでもひとつ明らかにしていただきたい。
  6. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いろいろお話がありまして、土地利用区分ということも必要だと思います。現に、建設省などで、宅地地帯農業地帯というふうな、宅地地帯以外の区分をしようというような案もあるようでございます。私どものほうとも必ずしもよく話し合っておりませんから、一致している面、一致してない面等もありますが、そういう考え方は必要だと思います。それからだんだん押し詰めていけば、第三次農地改革的なものに直面せざるを得ないじゃないかという御意見でございます。日本私有財産制度といいますか、そういうものをそこなわないで、農地の問題についていろいろ工夫はないものだろうか、こういうことは私なども考えておるのでございますが、なかなか、名案といいますか、そういう案もまだございませんけれども、ともかく、いろいろな面で、農地の問題をどういうふうに持っていくか、解決をはかるというわけじゃないですが、方向づけをしていかなくちゃならぬという感じをいま持って、検討もいたしております。
  7. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 農地問題をまじめにお考えくださるということは、これは正しい線だと思います。実は、例の愛知用水の問題、それから熊野三山開発の問題など、私当時農林水産委員会におったものですから見てまいりました。特に熊野三山開発にあたっては、あそこには国有林はありませんで、ほとんど民有林であり、しかも、民有林の中にあって農民がかなり苦しい生活をしておる、それから、一人で数千町歩というものを所有している山林地主が残されておるために、自分山林自分管理ができないというところに、森林開発公団の発生を見たということを、私たちよく実情を見て感じてまいりました。統計を見ましても、まだかなり広い未利用私有山林原野が残っています。これは、確かに、私有地については私有権の問題と関連いたしますから、なかなかやりずらいと思いますが、一方解放された田畑地主にしてみれば、自分たち私有権だけが奪われて、どうして山林地主が残されたんだろうという不満が、また農地補償なんかの一つの刺激になっておるわけです。もう一つは、田畑を持っておったのではしようがない、もう耕作する意欲もないし、力もないのだが、山林原野を持っていれば、幾らでも値上がりによってもうけられるのだという風潮が著しい。したがって、逆に田畑耕地などを投げておいても、山林は無制限に持てるんだから、新しい山林地主として誕生しようという空気が各地に見られてくるわけです。だから、これは苦しい矛盾ではございますけれども、いつかはひとつ農林大臣覚悟してかからなければならない問題になると私は思う。  特に治山治水の面で考えてみますと、個人山地主ではとうていできないような治水問題、治山問題が起こってきていると思うのですが、その点だけはひとつ認識をはっきりしておいていただきたいと思う。民有林で六千町歩、七千町歩という広大なものを持っている山林地主が、はたして国家が要請する治山治水要求に応じ得る能力があるかないか、気持ちがあるかないか、この見通しだけを伺いたいと思う。
  8. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 治山治水一つ公共事業でございますから、私有のものであっても公共事業に協力させるようなことはいまでもできますし、そういたしたいと思います。また、治山治水公共事業とは別といたしまして、管理が十分でない、こういう面が私有林にあろうかと思います。そういうもの等につきましても、いま本国会で、林野基本法ですか、そういうものを出して、管理をよくするように監視をしたい、こういう考えも持っておるわけであります。
  9. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 林業基本法でも打ち明けた話があるのですが、私ども社会党では、林業基本法を、あれは四年前でしたか五年前でしたか、つくり上げたのです。これは小倉武一さんの意見もだいぶ聞いたのですが、率直に申し上げますと、このわれわれの基本法の試案ができ上がったので、それに刺激されて非常に動き出したということも、これは争えない事実だろうと思う。その審議の過程で、いま大臣がたいへん心配しておりました土地私有の問題、第三次農地改革の問題でがちっと行き詰まったことも、これは事実なんです。今度また出されてきます林業基本法では、またいろいろ論議ば展開されましょうけれども、これは、いやでも、おそかれ早かれ一ぺんは解決しなければならぬ問題ですが、私は、原則としては治山治水に関する処置は国が国策としてやるべきもの、そのためには第三次農地改革を断行する必要もこの範囲においてはあっていいと思う。私たちは、何も、林業をみずから経営するような二十町歩、三十町歩、四十町歩というふうな山地主には手をつけようとは思っておりませんし、社会党も、すべての土地国有にするというようなことは、いまの段階では考えておりませんけれども、しかし、少なくとも国がやるべき道路とかあるいは治山治水のための山林とか、こういうものは仕事がしやすいような体制のもとに置かなければ、これはとてもできないと思う。国有林開放の問題などもずいぶん騒がれておりますけれども、私の地元の青森県では、森田重次郎代議士なんかが先頭に立ちまして、国有林開放を盛んに叫んでおります。しかし、開放した国有林をどう処置するかという問題になると、その運動を起こしている諸君にもさらに成案がない。利用権開放するのか所有権開放するのか、それさえはっきりしてない。所有権開放した場合に、その所有権町村が持つのか個人が持つのか森林組合が持つのか、この点についての要求もまだはっきりしてない。社会党いたずら国有林開放には反対するのではないのです。少なくとも、東北、九州のように、国有林が非常に大きな比重を占めて、軒下まで山林だというところに対しては、これは開放すべきだと思っております。また、耕地にすべきところは開放すべきだと思う。ただし、少なくともたいてい半々になっております国有林私有林とが同じ国内にありながら、国有林圧迫は困るが、大きな私有林圧迫には手がつかないという状態であっては、これは国の林政上、農政上たいへん不公平なことだと思う。こういう心配一つ。  もう一つは、いま国有林開放をしまして、この処置を明らかにしないままで投げ出すならば、いたずらにこの所有権が兼併されまして、新しい山地主をつくり出すというおそれが多分にある。この間川俣委員予算委員会における質問に対しまして、池田総理はこう言っているのです。これはたいへん大事なところですから思い出していただきたいのですが、「私は、一部の人が国有林払い下げによって利益を得るようなことは、これは予想いたしておりません。もしありとすれば、厳に慎まなければならぬ。しかし、いままでの国有林管理のあり方が、ただ単に国有林管理するということにとらわれて、一般経済の発展、国利、国家利益農民の当然受けるべき利益を阻害する場合があるのであります。そういう場合におきましては、私は、大胆に国有林払い下げしなければいかぬ。」、こう言っている。この前の条条がついた払い下げならば、何も間違ってもいないし、私たちは当然だと思うのですが、ただ、心配しますのは、総理予算委員会答弁をした、大胆に国有林払い下げしなければいかぬというこのことは、前の条件抜き利用されるおそれがある。これは別な例ですが、この間私どものほうの青森県から陳情がありまして、酒屋の小売り権許可権といったようなものを大蔵省が撤廃する意思がある、これを撤廃さしたら小売り商一大脅威だからやめてくれという陳情が盛んに出てきました。大会もやっています。こちらでだんだん聞いてみますと、大蔵省ではそういうもくろみがないのです。全然ない。ないものが、どうして小売り商などに大きな動揺を与え、不安を与えたかと申しますと、これは、選挙とからんで、そういう動きがあるからいまからつぶさなければだめですよと説いて回って、これは場所によって違うかもしれませんが、一軒の酒の小売り屋から千円集めています。総額一億二千万集まっています。これは運動をやっている連中が言っていることなんです。そうして騒いでおいて、おれたちの力でこれはとめたんだということを宣伝しますから、悲しいかな地方末端ではほんとうにします。国有林開放ども、一体開放するのかしないのか、どういう方法でやるのか、このことが具体的に明らかにされないうちに、おれは国有林開放してやるのだというえさでつって、これを選挙利用したり、何かの利権に結びつけようとするならば、私は許しておけないと思う。これは国有林を種にして動いているにすぎないと思う。この点は赤城さんは決して間違いないと思いますが、総理が大胆に国有林開放すると言うのは、軒下国有林とかあるいは耕地を阻害している、こういうものに限ってという前提がありますから、私は誤解しませんけれども、世間にそういう誤解を招くなり、あるいはまた一般農民諸君に要らざる損害を与えないように、この際農林大臣としての態度を明らかにしておいていただきたいと思います。
  10. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 国有林開放についての基本的な考え方は、いまお読みになった総理考え方のように、前提があるわけでございます。大胆にといっても、前提のもとに大胆に売り払うということでございますから、国土保全あるいは森林の存在意義、こういうものを離れて大胆に払い下げる、こういうことはいたしません。やはりその目的に沿うて、そうしてまた、目的がないといいますか、もう目的を失って払い下げてもいい、それがまた農業全体あるいは経済面に寄与するという場合には、これは総理の言うように大胆に払い下げをするが、国土保全その他森林の目的上どうしても存置すべきものは、大胆に払い下げるというようなことはいたしたくないと思います。
  11. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 この国有林開放に関連いたしまして、地元のほうでもそういう声が起こっておりますが、里林は国有林よりも私有林が多いのですね。農民ほんとうにほしいのは国有林じゃなくて私有林開放だということさえ言う人がある。いわんや、北海道、東北、九州という一帯を除いた一般の農村では、私有林に対する圧迫国有林以上に感じている農民があるだろうと思う。この開放の必要は、国有林だけじゃなくて、民有林に対しても、耕地のすぐそばにあるとかあるいは軒先まで民有林を持っているとかいう地主がそのままに残るということは、これはどうも、理論の上から言っても、実際の上から言っても、私は妥当じゃないと思う。だから、国有林に対して必要なものは開放という線を大胆に打ち出されるならば、やはり、一般民有林に対しても、必要のないとは言いませんが、必要以上に持っているもの、あるいは実際に農村を圧迫しているような存在に対しては、同じように大胆に開放させるということも打ち出して初めてこれは車の両輪のように妥当になると思うのですが、これはたいへんデリケートな御答弁しかいただけないと思いまするけれども、そういう含みもひとつございますので、大臣のお考えをお聞きしたいと思うのです。
  12. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 ただ一般的に民有林開放しろというようなことは、私はできないと思います。根本的な問題がございますから。たとえば、隣に大きな家ができたけれどもじゃまになるから隣の家を開放しろというようなことはでき得ないと同じように。しかし、個々的の場合に、やはり公共事業とかあるいは農業の発展のために必要だという場合に、それを正規に買収するとか、そういうようなことで林野農業発展のために含んでいく、こういうことはあり得ると思いまするが、一般的に民有林開放しろ、こういうことは、ほかの問題と非常にデリケートな問題もありまするし、私有財産を勝手に開放させるということができるかできないか、また、そういうことをしたらどういうふうに影響するかという大きな問題がありまして、一般的には言えないと思います。まあ一つの例を申し上げますと、たとえば、いま里山の話が出ましたが、農業構造改善に実はその里山が必要だ、国有林は少し上のほうにあってだめなんだ、こういう例があろうかと思います。そういう具体的の問題になりましたときには、国有林民有林とを交換してやるようなかっこうで、国有林民有林に移して、そうして民有林を構造改憲のほうに繰り入れてもらうというような個々的な例はあると思います。一般的に民有林開放せよ、また、開放するというような考えは絶対持っていませんが、個々的に買収するとかなんとかいう場合の考え方としてはいろいろあろうかと思います。
  13. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 もう一つ心配になりますのは、いまおっしゃったように、日本農地改革山林原野で足踏みをしている。田畑の解放は大臣心配される私有権の問題、これを侵害したとは言いませんけれども、相当圧迫しましたが、山林原野のほうだけは持ちほうだいだということになっています。国有林開放で私心配するのは、その農地改革の穴に向かって開放された土地が全部流れ込むというきらいが非常にあるのです。開放前提としては、山林原野に対しての使用をどの程度にするかということをはっきりしておきませんと、思惑開放された国有林をどんどん買い込むことは必至なんです。これは松浦主査もそのほうには専用ですから私の質問を笑って聞いていますが、もうすでに出てきている。また、こういう含みがあって開放しろという線まで出てきているわけなんです。地元の人たちはむしろ所有権よりも利用権がほしいのだ。山に入って木を切ったり草を刈ったりする利用権がほしいのだ。ただ、その土地自分のところに置いておいて値上がりを待って売ろうというような土地ブローカーなり、新しい山林地主的な構想を持った者がかなり暗躍している事実を見のがしてはならないと思う。したがって、私は国有林開放をするならば、その開放する前に、そうした山林あるいは原野の所有権に対し、あるいはその後の処理の仕方に対して的確な方針をきめておきませんと、意外な結果が生ずるおそれが多分にあると思います。この点の配慮はいかがでしょうか。
  14. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 国有林開放しようという方針が出ておるわけでありますが、これは全部開放するというのでないことは御承知のとおりだと思います。何か、国有林開放するという方針を立てると、全部開放されるような期待を持たれたり、あるいはまた議会内でも、全部農地解放のときみたいに開放してしまうのだというような感じ方を持たないとは限りませんが、そういう意味ではございません。大体農業構造改善というような目的のために国有林払い下げていこうじゃないか、こういうのを中心として考えておるわけでございまするし、それからまた、どういうところを開放したらいいかということにつきましても、一律的に申し上げられません。やはり営林局所在でこさいに調べてからでありませんと、一々問題が出てきて、払い下げの問題が出てきた場合に審査をしていくという形でなければやれないと思います。国有林の存在理由も非常に強いのであります。ですから、全体として国有林開放という頭で当たるのでなく、農業の前進のために必要なものについて払い下げをするけれども、それについては具体的に上がってきた問題を審査したい、特に、行政の問題で、農林省設置法の一部改正案なども出しておりますが、営林局内に、学識経験者といいますか、有識者で審議会を設けまして、払い下げ等についても慎重を期して意見を聞いたりなんかする、そういう制度も置いてみたい、こう思いますので、全般的ということではございません。御承知だと思いますが、念のために申し上げておきます。
  15. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは今後たいへん重大な影響のあることでございますから、かなり慎重にいたしませんと混乱いたしますから、その点はいまの基本方針を曲げないようにお願いしておきたいと思うのです。  林野庁長官がおいでになっておりますので、ちょっとお伺いしておきますが、国有林開放運動が起こってから払い下げの申請がふえておりませんか。実は、この間、知らなかったのですが、川俣委員から質問されまして、青森県の津軽半島で、いよいよ青函トンネルに着手するということになりますが、細長い土地払い下げ申請が出ている、これは、農地にするというのじゃなくて、鉄道道路をつくることが予定されているので、早く払い下げにしておいてひともうけしようという思惑だろうというので、かなり質問があったのですが、そういう事例はふえておりませんか。
  16. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 ただいまのお話につきましては、私はまだ聞いておりません。  それから国有林の活用につきましては、ただいま農林大臣が申し上げましたように、国土の保全、あるいは保健休養、そういうものを国有林の使命と考えております。さらに木材の生産の面で、国の需要と供給の安定をはかっていく上において国有林の果たすべき役割があるというふうにも考えておりますので、そういうような面を十分に考慮をいたしながら、一方におきまして農業生産の面で必要な部分につきましては、これは積極的にこの活用をはかっていきたい。そこで、農業生産の面につきましては、昨年すでに農林省から一定の方針を打ち出しまして、農業構造改善のために必要な土地について、その周囲の市町村あるいは府県、さらに上がりまして、地方農政局等の段階で検討が十分になされたものについて、そのもよりの国有林野を活用することが農業構造改善の推進上好ましいという部分につきましては、これは活用をはかっていくという方針でございますし、さらには将来に向かって、林業の構造の改善等に必要なものについては、部分林等を考えながら、あわせこれも活用をはかっていく。その他、将来の地元対策上必要とされました国有林の活用のさせ方については、さらにこの改善をはかりながら進めていきたいという考え方なのでございまして、それ以外の国有林開放林政という面につきましては、現在のところ、特に買い受けの申請について関知をいたしておりませんと同時に、考えていないということを申し上げておきます。
  17. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 大臣、いまお聞きのような形で、ちょっとしたことがありますと、すぐこれに敏感なブローカーが乗ってまいります。私も、軒先の国有林とか、あるいは著しく地元の農民の生活の阻害をしているような国有林払い下げを、しばしばお願いに出たことはあることはあるのです。その際に、林野庁としては、非常にやりづらい面があるようです。国有財産か何かによって、会計監査院なりあるいは管財局なりがおそろしく幅をきかせまして、林野の持っている基本的な方針をかなり曲げる例がいまでも残っています。これはいずれ大蔵省のほうに対しても、私は質問をしたいと思っております。それで開放要求を見ますと、国有林があるべき本来の姿というものはたな上げされちゃって、ただ地元における小さないざこざ、国有林と地元の農民との、木を切る権利がないとか、草を刈る権利がなくなったとか、山に入れなくなったとか、あるいはもう少し土地がほしいとか、ごく末端の、国有林としても当然利益をはかってやらなければならないところの操作がうまくいかないので、この国有林開放ということをぽんと打ち上げて、それに乗じてくるという、まことに憂うべき状態が起こってきている。一ぺん誤ったら、日本の国土保全上もたいへん問題を起こすと思います。その点なども、やはり林野庁長官じゃなかなか遠慮もあるでしょうから、大臣、閣議の席などでも、少なくとも基本的な線だけはくずさないで、ただどうでも国有林農民に売りつけて、金が国庫に入ればいいのだというような考えを捨てまして、やはり基本線はくずさないようにやっていただきたいし、なおまた、こうした内容の伴わない開放運動、それから内容にさまざまな含みのある開放運動に対しては、十分に今後も監査をし、研究をして、慎重にこの問題に対処していただきたいと思うのですが、最後に一言だけ大臣のお考えを聞きたい。
  18. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまお話の点は、私も十分注意いたして対処しておるのでございますけれども、今後とも、なおそういう方針で対処していきたい、こう考えています。
  19. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 この問題は、まだいろいろ残りますけれども、もう一つ大事な問題がありますので、移りますが、流通問題についてです。  具体的な例を申し上げますと、グリーン・レポートを読みますと、くだものの価格が、三十七年度がちょっと上がったようになっております。三十八年度は大暴落してますね。具体的な例をあげるために、青森県のリンゴを申し上げましょう。生産地五百円が二百五十円になっています。この値下がりの要因が一体どこにあったとお考えになるか。これは大臣でなくてもけっこうですが、お答え願いたい。これはもう需給理論からいっても、半値になるような状態じゃない。これは一体どこに原因をおさがしになっておりますか。
  20. 酒折武弘

    ○酒折政府委員 くだものの価格は、御指摘のとおり、三十七年度は相当下がっております。この原因でございますが、相当複雑な要素を含んでおると思いますが、たとえばリンゴ、ミカン等につきまして、前年に比べまして相当な増産があります。それから、一般に言われておることでございますけれども、バナナの輸入等も影響しておる。こういうことで、時期によって若干違いますけれども、昨年の十月が特に値段が下がった。そのうち若干回復しておるようであります。十月がどうしてそんなに安かったかということについては、私はどうもわからない。もしバナナのせいならば、むしろ特にバナナが大量に入りました八、九月ごろが下がってもしかるべきじゃないか。十月になって下がってきた、そのうち若干持ち直した、そういう状況でございます。
  21. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 大臣、ひとつお聞き願いたいのですが、私は、農産物の価格の問題は、まだほとんど検討されていないと思います。卸売り物価と消費者物価と申しますが、一体農産物の卸売り物価をどこで押えるかということさえ、まだはっきりしていない。中央卸段階で押えるのか、生産地で押えるのか。生産地で押えたら、こんな値下がりはないと思う。中央卸売りで押えたならば、その値下がりが若干緩和されましょうけれども生産地は、きのう加藤委員も言ったとおり、農産物はもう全部下がったといってもいいくらいです。いつか本会議かどこかで物価問題の質問があったときに、池田総理は、それでも白菜は下がっておりますという答弁をして、大笑いをされたことがありました。そのとおりです。幾ら物価が上がりましても、農産物は下がっているのです。この秘密をはっきりつかまえませんと、私は、中央卸売り段階で幾らごたごたしても、とてもだめだと思う。価格構成は、中央市場までは、多少の不合理を残しましても、理論的にはどうにかなりますけれども、中央卸売市場から消費者に渡る段階で、まことに不思議な作用を起こしております。リンゴなども、去年は産地で五百円、ことしは二百五十円、半額になっておりましても、消費者価格は変わっていないのです。値幅が開いておるだけです。そこで、これは私自分でもいろいろなことにタッチしているからわかりますが、この生鮮食料品の価格構成は、まことにデリケートなものであります。バナナが入ってから一定の時期を置いてリンゴが落ちたのは、当然なんです。バナナが開放経済という形でどっと入って、そうしましたら、大きな損をしていますね。中には、あまり値が下がるので、船を沈めたとか沈めようとかいうことまであるのです。これはずっと前に、初めて日本へバナナが来たときに、みんな食いついて買ったのはいいけれども、あまりたくさん入ったので、値が落ちた。台湾から入ってきたバナナを、船に保険をつけて船を一そう沈めて市価の値上げをはかったという事実は、ずっと前からあったのです。このバナナがもうかっていれば、リンゴは下がらなかったですよ。わからないでしょう。この点は、実はこうなっているのです。小売り屋の小売り価格決定というのは、全体のくだものを見ているのです。しかも桃とかサクランボとかイチゴとか、こういったような質の弱いくだものは、全部捨てるよりは、だめになった場合は安売りしちゃうのです。バナナもそれに入ります。安売りしますけれども小売り商としては、バナナ、桃、あるいは桜桃、イチゴなどで損をしたものを、どっかで埋めなければならない。この埋めるものをどこに求めるかというと、第一はミカン、それからリンゴです。リンゴは特に一年じゅうあるくだものであり、相当内容が変になっておりましても、外見が変わりありませんから、一年じゅう売ってもうけるのには都合のいいくだものなんです。しかも、農村の販売機構というのは、全然と言っていいくらいに確立されておりませんので、非常に弱い。小売り価格を上げ、消費者価格を上げると、販売量には影響を来たしましょうから、まず生産地をたたいて値幅をつくる。それが十月の暴落なんです。おわかりでしょう。生鮮食料品の価格というのは、こういう構成を持つのです。理論が貫いておりません。この機微を考えませんと、今度御計画になっておりますスーパーマーケットみたいなものが、とんざしますよ。一体生鮮食料品というのは、これはもう商人としては苦手なんです。なま魚屋はなま魚だけではもうからない、なま魚で売れ残りができて損をしたものは、干ものでもうけなければしようがない。くだもの屋がかん詰めを売っているのはこれなんです。イワシで損したらスルメでもうけてやれということが、素朴な感情です。スーパーマーケットで扱うのは、全部生鮮食料品でしょう。そういう配慮があったかどうか。いかがです。売れ残りがありませんか。生産もほとんど無統制、それから消費のほうもほとんど無統制、自由経済開放経済、競争かってたるべしといった形の中で、生鮮食料品をお役所の仕事みたいにスーパーマーケットで処理できると思ったら、とんでもない違算を来たしますが、その点はいかがですか。
  22. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 小売りのほうでも、生鮮食料は苦手で、なかなか骨が折れる。政府のほうでも、これをやるのはなかなか苦手なんです。さりとて統制経済でやっていいという面もございません。苦手ではございますが、スーパーマーケットなどでは、いままでの不得手な点などを是正して、政府が干渉するということはいたしませんが、機械化とか省力化だとか、いろいろな面で消費者の便宜をはかりつつ、価格の安定といいますか——ですから、生鮮品ばかりでなく、消費者のためにもほかのものも扱うと思います、かん詰め類とか、その他も。小売り商も入りますから、その中へ入って改革したやり方でやっていくように指導したいと思います。しかし、何としてもそれはほんとうの商売人のほうがじょうずですから、変な干渉はいたしたくないと思います。
  23. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 その点を覚悟してかかっていただいたら、たいへんありがたいことになるのですが、やはり生鮮食料を扱うスーパーマーケットというのは、多少の赤字が出ても、これはひとつ政府が見てやるというくらいの安心感を与えませんと、赤字を出すまいと思って、かえって変なものを売ったりしてじんましんにがかったらたいへんですから、その点は思い切った施策は施策としてやったほうがよろしいし、またこれによって大きな脅威を受けるのは、小売り商ですから、できるだけ専門家の小売り商なんかも組織してやられたらけっこうです。ただ価格構成はそうなっておりますから、それだけでは流通過程の樹立はなかなかむずかしいということを、私は申し上げておきたい。さらに一そうの前進をしていただきたいのです。特に中央卸売り市場をいじるだけで、何とか流通機構の改革ができたという観念から一歩進んで、消費者まで出ていこうということは、私は前進だと思っております。はっきり前進だと思っておりますが、これは少し理屈めいて、あるいは大臣の立場とは若干違うかもしれませんが、私は、資本主義社会では、生産利益よりも、流通の利潤が大きいと思うんです。農林大臣の深刻な表情はこの辺から生まれると思うのですけれども、どんなに生産利益を上げましても、所得倍増計画なんというものには乗らないのです。この計画が発表されたとき、すでにもう総理大臣からこのことは質疑応答の過程で明らかにされました。これは赤城さん、非常にはっきりお考えだろうと思いますが、総理農民に対してはのんきですよ。あと二年待て、三年待て、四年待てということを言われますけれども、これは貯金もあり、生活に余裕もある、二、三年は損をしても食っていけるような人たちの感覚から生まれることだ。総理はそんな人の最たるものだと思いますから、なるほど金も出ましょうが、農民は、二年、三年、四年も待てるようなのんきな存在じゃない。これはおわかりだろうと思う。二年どころか、ことしも待てない状態です。ですから、若干動揺しているうちはいいけれども、これはどうせだめなんだということがわかりますと、伝播は早いです。一ぺんにぐっと落ちる可能性がある。生産が落ちます。日本の食糧の構造の土台をくずしてしまうというような地すべりが起こる可能性が多分にある。二年、三年、四年なんてのんきな考えじゃない。この点はひとつじっくり大臣はお考えを順いまして、場合によっては大臣をおやめになるような覚悟をもって、農政に対してはき然たる態度をもって臨んでいただきたい。これは非常に大事です。この二、三年は山です。私はこの点を特に申し上げておきたい。  それから、流通利潤が非常に大きくなっておる。それは農産物、生鮮食料品みなそうです。農民が二百五十円で売ったリンゴが二千円になりますから、流通過程において付加されておる価値は、千七百五十円という大きなものになってきておる。この事実を率直に受け取っていただきたい。だから、気のきいたところは、農産物をつくりながら、加工、貯蔵、販売、一貫したものを農業資本がやっております。水産資本などが上陸作戦をやりまして、これをねらっておる。これは生産までこの資本が伸びていきませんと、徹底しません。外国の例を見ますと、農村の資本が増大していって、細々ながら流通利潤まで納めておる例はありますが、日本では、逆に商業資本や工業資本が農村の資本まで食い込んでおる実情がある。この資本が一体どこの手に落ちるかで大体きまる。われわれは資本主義社会では、なかなかうまくいかないと言っておりますが、そうは言っておれませんから、少なくとも資本主義社会で農政を伸ばしていく、資本主義社会で農村を守ろうとするならば、資本構成の点でかなり大胆に措置をしなければ、幾らもがいても、生産者は永久に浮かばれない悲運にあると思うのです。大臣のお考えはどうでしょう。
  24. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 資本構成の点を十分に考えなくてはならぬという点は、ごもっともでございます。そういう意味におきましても、今度の農業施策におきまして、金融施策に重点を置いた、こういう点で御認識をいただけると思いますけれども、資本構成の点については、十分力をつけていかなければならぬと思います。
  25. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 そこでことしの農林予算なんですが、補助金も若干出していますが、金を貸せば農村が立ち直るというように簡単に考えておるかどうか。金を貸せば、貸しておる間は伸びていきますけれども、返す段階でつぶれちゃう。今度のパイロット・ファームがそうでしょう。うまくいっていますけれども、あそこについた資本の償還の段階で困ってきておる。金を出しただけでは立ち直らない。この金が生きるように方針を立ててやらなければならぬというところに、重点があると思う。ことしは予算をつけたから十分じゃないかと言われるが、その予算も十分じゃありませんが、そういう安易な気持ちでは、なかなか農村は立ち直らないと思う。これははからずも総理大臣の最もきらいな革命的革新という問題が出ましたけれども、それでよろしいと思う。もうおざなりなちょっとしたこう薬ばりの療法では、農村は立ち直らない。これは文字どおり革命的な革新を行なわなければ、とてもいまの農村は立っていけない。ひいては食糧にも大きな不安を与えるデータが、そろそろ出てきておる。お答えは要りませんが、この点はひとつ真剣に農林大臣にもお考えをいただきたい。私どももこれは真剣に考えて対処したいと思っております。もう容易じゃない時期に農村が落ちておるという認識だけは、はっきり持っていただきたいと思います。以上で終わります。
  26. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これにて淡谷悠藏君の質疑は終了いたしました。  次に川崎秀二君。
  27. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 本日の質問は、分科会でもありますので、農林当局にお教えもいただきたいし、またお訴えをしたい問題であります。  問題の主題は穀用かますの問題、これ一点であります。多少掘り下げて伺いたいと思いますが、農業者の副業生産ということで今日まで大きな問題でありましたかますが、最近非常に不振におちいっておるという実情が出ております。これは去年の夏ごろからのことだろうと大体推察をするのですが、こういうことになってきた原因は、やはり麻袋、それから紙袋の許可にあると私は考えておりますが、その経緯をまず伺いたいと思います。
  28. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 詳しくは食糧庁長官から申し上げたいと思いますが、実は数年前にかます生産地等において、私どものほうもかます生産地でございますが、麻袋とかあるいは紙袋は反対だという声が非常に多かったわけであります。というのは、やはり農閑期においてかますあるいは俵をつくってやる、その仕事を奪われる、ということからだいぶ反対がございました。しかし、その後の情勢は、御承知のように人手が非常に不足にもなっておりますし、農閑期の副業的な仕事ということにもう追われていない、そういうことをやっていけない、こういう状況がだんだん進んでまいりまして、やはりわら等は堆肥の材料にしたらいいのじゃないか、それだけの採算もとれないじゃないか、こういう傾向がありまして、そこへ一方、何といいますか、俵にかわる、かますにかわるもの、それよりも処理しいいような麻袋とか紙袋にかえてもいいのじゃないか、こういう情勢がだんだん出てきましたものですから、これはどれを使おうとも自由でございますが、このほうが相当ふえてきた、こういうことでございますけれども、詳しくは食糧庁長官から御答弁申し上げます。
  29. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 ただいま大臣からお話しがありましたような事情でございまして、農家のほうにおきましても、特に俵をつくったり、あるいは米を入れた場合の荷づくり、あるいはなわかけ、そういった労力をだんだんきらうようになりまして、できるだけ簡易にやりたいというふうな要望がだんだん強くなってまいったわけであります。そこで、一面農家の副収入という面もありますけれども、他方農家のほうから麻袋なり紙袋を使用さしてもらいたい、認めてもらいたい、こういう要望も非常に強くなりまして、実は昭和三十六年から、米につきまして麻袋を全国的に使用することを認めるようにいたしたわけであります。また、紙袋につきましては、三十六年から認めるようにいたしましたが、これは硬質米地帯だけに限定いたしておりまして、軟質米地帯にはまだ適用しておりません。そういうことを認めた結果、最近におきましては紙袋あるいは麻袋の使用量がだんだんふえてまいりまして、昭和三十七年度におきましては、全体の米の包装の使用状況の中におきまして、麻袋と紙袋が占めておる割合は、それぞれわずか七%くらいであったわけであります。それが三十八年におきまして、麻袋が一六%、それから紙袋が一一%というようにふえてまいりました。それに応じまして俵のほうの使用割合が減ってまいったわけでありますが、穀用かますについては、米のほうは大体三四%という割合で推移いたしておりまして、若干三十七年から三十八年にかけて微増いたしております。ただ、麦のほうの関係で、これの麻袋、紙袋の使用割合がふえました関係で、かますの使用割合が三十七年から三十八年にかけまして非常に減ってまいりまして、同じような比率で申し上げますと、全体の使用量の中で三十七年度はかますが三四%でありましたものが、三十八年には一二%になっている、こういうようなことになっておるわけでございます。
  30. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 私が質問をしておる立場も明らかにしておきます。われわれは、やはりわら工業生産業者というよりは、むしろこれに関連する農家の何千万とはいわない、何百万あるいは何十万——百万から二百万の間の人々であろうと思うのです。この数字があまり的確でないので恐縮ですが、そういう方々の意見を代表して、本日は申し上げようと思っております。同時にまた、国際収支の面から、国民的な立場で私はいろいろ聞かなければならぬ問題があるのであります。  いま農家がだんだん輸送上の関係、たとえば取り扱い、運搬等について、昔から伝わってきたかますの取り扱いというようなものよりも、紙袋あるいは麻袋のほうが便利である、運搬、輸送に便利である、取り扱いにもいい、また今日の農業の実態からして、そういうひまもないというような反論があった。これは想定問答があるのですから、こんなことは大体知っておるのです。そういうことでなしに、お訴えをしておるわけです。つまりこの穀用かますの需給がうまくいかなかった原因は、一番急所はどこにあるかというと、三十八年度産米から軟質米地帯に麻袋の使用を許可した。いま紙袋はまだやっておらぬ、こういう話であります。それも知っております。そこでこういう地帯での使用がどのくらいになったかというと、いまお答えになったパーセンテージは、これは全国的なことです。北海道でとってみると、これはたまたま主査が北海道出身でありますけれども、この方針が打ち出されて、穀用かますの大消費地であった北海道では、三十七年度では七百万袋近いものが使用されておったにかかわらず、三十八年度産米においては三百五十万袋という程度に 使用が半分以下になりつつある。これは非常に重要な問題であって、この傾向がだんだん全国的な影響をもたらしてくることになると、事は非常に重大ではないかということが、私の取り上げた点であります。したがって、ただいま反論があった点はよくわかりますけれども、しかし、大体農林省、食糧庁というものは、むろん農業近代化ということでいろいろなことを進めなければならないけれども、何といっても伝統のあるものを近代化する、あるいは農業の地からはえたものを産業的に育成するということも、一つの重要な役割ではないかと、私はそういうふうに思うので、その点についてこの傾向がだんだん多くなれば、わら工品生産を副業としておるところのものは、非常な危機におちいるではないか。その点について、何かこれを指導するところの対策を立てておられるのか、伺いたいと思います。
  31. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 現在各種の包装につきまして農家がどれを選択するかということにつきましては、全く農家の選択にまかせておるわけでございます。ただ、現実問題といたしましては、一つの倉庫に紙袋もあれば麻袋もある、あるいはかますもあるというようなことで非常に混蔵されるということになりますと、これは農協としても保管、運送の面において非常にまずいということもありますので、この集荷団体単位にどのような包装を使うべきかというようなことを、需給調整とにらみ合わせて指導いたしておるわけでございます。今後におきましても、そういうことによって農協単位の調整はできると思います。ただ問題は、農民自身の、かますよりも取り扱いの便宜な紙袋なりあるいは麻袋を使いたい、こういう強い要望自身をも押えてやるということにつきましては、やはり穀用かます自身をある程度普及し得るような事態、情勢に合うようないろいろな努力くふうが願わしいと思っておるわけでございます。そういう面におきまして、たとえばかますにつきましても、最近、農村の労働力がだんだん軽量化を希望するというようなことで、いままで六十キロ単位のかますをかりに五十キロに下げるとか、あるいは一番農家のきらうなわかけの労力を省くためにバンドで締めるとかいうようなくふうも、だんだん行なわれておるわけであります。われわれといたしましては、いろいろの面において、輸送の面、保管の面、あるいは製造コストの面、あるいはさらにあいたかますの用途、これがどうなるか、それからつくる場合も、機械を新しく今度取りかえるということになりますと、そのほうの経費もかかってきますから、将来に対する見通しとか、そういうような面もよく検討して、これに対処いたしてまいりたいと思っておりますが、そういう業界のくふうに対しましては、われわれも十分試験研究をしまして善処してまいりたい、こういうふうに考えております。
  32. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 ただいまの御答弁で表裏わかった点もありますが、それならば、だんだん問題を発展させましてお尋ねをしたいことがあるのであります。この麻袋の倉庫内の保全あるいは維持というような点で、麻袋というものは、耐久度あるいは保全性というものに対して、非常にすぐれておる点があるのですか。たとえばネズミの害などに非常に弱いのではないかということが言われておる。それから水にも弱いのじゃないか。こういような点についてのお考えを聞いておきたいと思うのです。
  33. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 麻袋がかますに比べて貯蔵上特に耐久性が弱いかどうかということでございますが、特に麻袋が劣っているというふうには考えません。鼠害等につきましては、麻袋だろうと紙袋だろうと、あるいは普通の俵だろうとも、農業倉庫に入れた以上は鼠害がないようにしたいという指導をいたしておりますので、特にどれが鼠害に弱いとか強いとかいうことが、麻袋に関してあるというふうに私は承知いたしておりません。  水分等につきましては、麻袋でも俵でも同じような影響を受けるというように考えます。
  34. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 最近、内地のどこから送ったか知りませんが、北海道に送った紙袋は、相当に乱袋されておる。あるいは破袋されておる。破れておるということが——どの地域から送ったのか知りませんが、四六、七%あるいは五〇%破れたというので相当の問題になっておりますが、そういうことは聞いたことがありませんか。
  35. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 まだ私、そういうことを数字につきましては承知いたしておりませんが、紙袋につきましては、三十キロということで量が小さいわけでありますが、当初紙袋につきましても、これはたとえば貨車からすとんと下に落とすというような場合に破袋する。しかし、取り扱い上普通の状態のもとにおいて破袋するというようなことは、だんだんなくなってきました。紙袋の紙質につきましても、当初の枚数を三層にするというような特別の規格を設けたりしておりますので、取り扱いが特別の取り扱いをしない限りは、特に破袋が必ず起こるというふうには、私は承知しておりません。
  36. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 ただいま私が指摘したことについては、いずれ具体的な事実について委員会ないし農林大臣にその事実をお知らせしたいと思っております。これは聞いた話で、いま正確な資料があるわけではないのですけれども、そういう話を最近聞いておる。これも一つの問題点だろうと私は思うのです。  それからぜひ伺いたい点は、麻袋の需給事情はどうなんですか。これは原材料は、パキスタンやインドあたりから買っておるのではないですか。そうすると、本年はどのくらいの見込みをもって買い付けをやっておるのか、その見通しは完全なのか、世界的食糧事情の変化等において変化はないものか。
  37. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 麻袋全部について、その原料とする輸入の見通し等につきましては的確にお答えいたしかねるのでありますが、米麦に使っております麻袋の使用量自身は、いまお話しになりました輸入原料の中では一六%程度で、金額にしますれば約二百万ドルくらいだと承知しております。その量が全体の中で一六%程度のものでありますから、したがって、この供給に事欠くというようなことは、私は聞いておりません。大体の需要量としては、麻袋が二千万枚くらいではないだろうかというふうに考えております。
  38. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 二百万ドルは、そうばかにならない数字ですよ。これはもっと大きな工作機械や何かということになれば、国際収支でも響く点はありますけれども、二百万ドルをインド、パキスタン等から買っておるということに対しては、相当な国際収支上の一つの問題点であろうと私は思います。相当国内一つの独特の生産問題を圧迫しておいて、そうして買い付けをするということ自体——ただ運搬に便利であるというような点から、麻袋の原材料を相当に買い付ける。そこで問題は、ことしはどのくらい輸入したのかわからぬ。私の見通しでは多分二割増しか三割増しでしょう。そうすると二百四十万ドルないし二百六十万ドルくらい買い付けをしておると思うのですが、これは四大メーカーあたりの情報では、食糧事情の変化によって完全に受け合うことはできないという情報もあるわけです。それは私は、ことしの二月十四日になってソビエトのフルシチョフ首相が、本年のロシアの最大の政策は農業集約化である。こういうことを言われた。先ほど淡谷委員から、資本主義経済体制下の農業問題も出摂したが、実は共産囲いずれも農業不振で弱っておる。チェコスロバキアのような優秀な国でも、一九五九年から六一年の半ばにかけての生産の不振のために、昨年あたり行ってみると、非常な不振の状態です。それは工業生産もそれに響いてきておる。農業生産がうまくいかない国はみんな非常に困っておるので、そこでフルシチョフ首相は大胆にも、われわれは西側からも学ばなければいかぬ。農業生産をいまの二倍にするためには、米国の技術あるいは米国の設備というものに対しても、われわれは学んで追いつき、追い越さなければならぬと、さすがに近来の名宰相らしく言っておられる。これは私反対の立場に立つけれども、率直にものを認めておる点において非常に敬意を表するわけです。  このフルシチョフ首相の考え方によって、本年農業集約化ということがされ、アメリカの小麦を相当買い付けるということになれば、隣接国のインド、パキスタンから相当な麻袋の買い付けもあるものと私は思うのです。この数字は現在のわれわれでは握るわけにはいかない。したがって、そういうこともかなり影響してくるんじゃないか。あるいは中近東方面の政策も影響してくるのではないかと思うので、その意味で、この需給関係に不安があるものよりは、むしろ伝統的な生産技術というものを近代化して、わら工品生産近代化して補助をしてやることがよいのではないかというのが私の議論であるわけであります。そういう不安のあるときには特にそういう政策をとらなければいけないのではないか、この点に対して農林大臣、どうでしょう。
  39. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 小麦の問題は混みの問題、ばら積みの問題ですから、直接麻袋とどういうふうな関連があるか、私もよくは承知しませんが、内地に入ってからそういうこともあろうかと思います。それから日本で麻袋を買う国際的な関係は、輸入、輸出の面で、やはりそういう関係である程度は国際貿易上必要であろうかと思います。しかし、国内的に、いまお話のありましたように、農業者でわらそのものを利用していこうという一つの副業的な、副次的な仕事をだんだん奪っていくというような形は避けたらいいと思います。いま、わら等におきましても、事実問題といたしましては、堆肥のほうとか、あるいはえさのほうとか、そういうほうへ回している傾向が非常に強いと思います。しかし、かます工業については、肥料の袋等にもまだかますを使っている面もございますから、そういう面でかます等の面もできるだけやっていけるような調整をとりながら進んでいきたい、こう思います。
  40. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 ただいまの私の質問に対して、専門的な見地からはいかがですか。
  41. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 大臣のお話のあったことで尽きるわけでありますが、私のほうにおきましても、麻袋の使用割合はだんだんふえますけれども、しかし同時に、これは紙袋だけでなしに、故麻袋の利用ということも考えられるわけであります。それで、国内におきましても、一空であるとか、あるいは二空であるとかいう程度までは、これを優先的に利用していきたいという考え方をとっておるわけであります。同時に、先ほど申し上げましたように、かます業者自身も、時代の要請に応じたいろいろのくふうもありますので、現在かます自身の量としては、やはり麻袋あるいは紙袋以上の割合を占めておるわけであります。われわれとしては十分こういうことに配慮いたして指導していきたいと思います。
  42. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 過去の経緯もひとつ聞いておきたいのですが、三十六年に硬質米地帯に麻袋を許可した。そのときには、何か三十五年の十二月二十日の参議院の農林水産委員会、それから翌日の衆議院の農林水産委員会で、食糧庁から、硬質米地帯の産米に対して、新しく麻袋及び紙袋の使用を認めることを主眼とした「米穀包装改善の推進について」という政府の方針が出た。そうして種々賛否の意見はあったわけですが、付帯条件で承認をされた、こういう経緯があるように私は聞いておるわけです。ところが、今度の軟質米地帯に麻袋を使用したことについては、農林水産委員会はいろいろな問題を協議されておるのですが、この問題に対する集中的な御議論はなかった、また食糧庁のほうからも出さなかった、そういう点はどうですか。
  43. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 その当時の事情をよく承知いたしておりませんが、食糧庁としては、いまお話しになりましたような「米穀包装改善の推進について」という方針を出しまして、そして軟質米地帯については、これは従来同様俵、かますを自由に使用する、それから硬質米地帯については、麻袋と紙袋の併用を認める、こういうことを指導いたしたわけであります。
  44. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 そこで、そのときの政府側の答弁を速記などで集約してみると、麻袋使用は硬質米地帯に限られており、軟質米地帯では、北海道、東北、北陸等については、従来からの俵使用偏重というものから、かますを大いに奨励しようということで指導したという一項があるわけですね。その結果、所によっては、手内職みたいなものからもうひとつ飛躍をして近代的なものになりたいという意味から、自動製麺機というものを相当購入した。ワンセット三十万円ということだそうです。ところが、それをやって一時三十六年、三十七年、三十八年——三十七年まではずっと伸びていたやつが、急に麻袋の使用によって、わら工品生産業者というものがいま苦慮におちいって、これの償却もできないという点が、私が提起した一つの問題であるわけなんですが、こういう点どうでしょうか。食糧庁長官少し教えてください。
  45. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 その当時の事情を詳しく存じておりませんので、満足なお答えはできないかと存じますが、かますなりあるいはなわなりの副業としての製麺機につきましては、これは農林省でも、農協や何かが使う場合は近代化資金の対象にするというような措置をとっておりますが、一般のいわゆるかます業者に対する融資等につきましては、特にやったということはないのじゃないかというふうに思っております。しかし、かますの従来の経緯もありますので、急にそれを切りかえてどうする、こういうふうな考え方でないことは明らかであります。
  46. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 いま抽象的なお答えで、そう融資について特定になにしたことはないというのですが、実際には九州あるいは北陸、さらには青森等におきまして、農業近代化資金をもってこれを購入したところもあるわけで、それがこういうような状態になって、非常に困難な状態になっておるのです。したがって、所によりましては、いままでは農家所得四人家族で二万五千円、そのほかにこれらの副業が二万五千円程度、五万円程度あったものが、それが今日の状態では、副業のほうは四千円から五千円ということになっておる農家もあるわけなんで、この点が私が取り上げて問題にいたした点と、国際収支の点から見ても、そう軽視することばできない。もとよりインド、パキスタンはほかになかなか買うものもないわけですから、よく事情はわかりますけれども、しかしこれらの容器対策については、農林省において、また食糧庁においては、ぜひ総合的な対策を立てて、これらの農家に不安のないようにさしていただきたいと思うのです。赤城農林大臣、これはかますの問題ですが、きょうは一発かまそうと思って来たわけではないのです。先年、予算の分科会では、たいへんあなたの親分に御迷惑をかけて、党内にだいぶ迷惑をかけたけれども、いまはそういう立場とは違いますので、ぜひお願いを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  47. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これにて川崎秀二君の質疑を終了いたしました。  次に石田宥全君質疑に入ります。石田宥全君
  48. 石田宥全

    石田(宥)分科員 まず最初に、食管制度の問題で大臣にお伺いしたいのでありますが、現在の食管法は生産者と消費者、国民全体にとって非常に大きな貢献をいたしておると考えておるわけでありますが、数年前から食管法の改廃の議論がやかましくなってまいりました。かつて重政農相の当時、四十三国会でありますが、臨時食糧管理制度調査会設置法というものをおつくりになりまして、与党である自民党も、政調会、総務会はこれを承認いたしまして、閣議の了解も得たということで、提案の準備がなされたようでありますが、当時選挙近しということで、提案が見合わされておったようでございます。  そこでお伺いしたいことは、農林大臣はこの臨時食管制度調査会設置法案というものを今国会にお出しになるおつもりであるか、あるいはまたその他の政令等によって食管制度の調査をおやりになろうと考えておられるのか、この点をまず承りたいと思います。
  49. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 食管制度の問題につきましては、御承知のように、数年前に、豊作である、そういう面から考え直したらどうかという意見が一部にございました。それにやみ米というものを法治国で認めておるというような状態がございまして、こういう二つの点から食管制度をひとつ検討してみようじゃないかという議論が、党内あるいは農林省内にありまして、実は昨年私は総務会長をしておりましたから、その法案を出すことで総務会の議決は得たわけでございます。出さなかったのは、選挙ということではありませんで、実は農林省設置法などがかかっておりましたので、私は押えたのです。こういうものを出すと設置法なんか通らぬことになるからあとにしろということで、議決だけで、政府と相談して私は押えたような事情が実際の実情でございます。ところが、その当時から私の立場は、食管制度というものは生産者に対しても消費者に対しても非常な貢献をしておる一つの制度である。米というものが統制なしであったという時代は、米の歴史を見てもほとんどない。御承知のように、初めは戦前ですが、米穀法という法律ができ、その次には米穀統制法、それから食糧管理法と移ってまいりましたが、間接か直接かは別といたしまして、全く野放しであった時代は、明治の初めのころちょっとありましたけれども、大正時代からなかった。これに手をつけるということは大きな問題であると思いましたので、私は党の立場から、農林省のほうで松村謙三さんに座長になってもらって検討してみたらどうか、こういうことで検討いたしましたところが結論が出ません。三つ並列の結論があるだけです。こういう重大な問題でございますから、これを検討するならばじっくりと検討してみたらどうか、そういう意味において食糧問題の調査の法案を出して、それについて調査会を設けてみて、じっくり検討したらどうか、こういう私は考えを持っております。しかし、いろいろ行政関係の法律とのにらみ合わせもあるものですから、いまこれを出すかどうかということはきめておりません。検討してみたいと思っておりますが、しかし、それと別に食糧管理制度または食糧管理会計というものが御承知のようにございます。食糧管理特別会計等につきましては、いつかも申し述べましたように、この前私の農林大臣のときでありますが、どんぶり勘定をやめて、いろいろな勘定を設けて、そうして筋を通したらどうかということで、いろいろな勘定ができておるわけであります。さらに、この食管という制度は私いいと思いますが、食管の会計において何かいろいろ考えてみるべきものがあるのじゃなかろうか、そういう意味において、その検討はなお事務当局に続けさしております。先ほど申し上げました、食管制度の問題についてどうするかという審議会を設けることについての法律を出すかどうかということについては、いま結論を持っておりません。
  50. 石田宥全

    石田(宥)分科員 先般の農林水産委員会農林大臣は、いまの食管法は、これは第三条と四条で全然別個の性格を持っておる。もちろんそのとおりですが、その関係が全然切り離されたものであって、生産者米価と消費者米価との間に何か関連を持たすべきではないかと考えておるという答弁をされておりました。そうすると、そういう考え方というものは、当然食管法をいじらなければできないことですね。同時に、いまお話しのように、制度と食管特別会計との関係についても検討を命じておるというお話なんですが、何らかの形で食管法に手を加えようという意図でおられることは間違いないわけですね。そうすると、この臨時食管制度調査会設置法案という法案を出すか出さないかは別として、食管制度をいじらなければならないということですでに検討を命じてある、こういうふうに理解してよろしいのですか。
  51. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 この間申し上げましたように、生産者米価と消費者米価との関係等につきましても、前にも検討いたしたことはありますけれども、政府の持つべき分野とか、あるいは消費者が分担してもいい筋合いのものもあろうかと、こういうふうな点などの検討は前にもいたしたことはあります。しかし、こういうときに、また消費者米価の値上げというものを前提としてではなく検討をしておくことが必要じゃないか。あるいは時期的にも、一体生産者米価と消費者米価を同じときにきめたらいいんじゃないかというような考え方を持っているのですが、これにつきましても、いろいろ議論があろうと思います。そういう意味におきまして、問題を提起する前に、私のほうとして内部的にもいろいろ人の意見ども聞いて検討をしておくということが必要だろう、こういうふうに考えますので、ともかくもどういうところまでいくかは別といたしましても、いつまでもこのままでいいんだということじゃなくて、何かその中で改善されるべきものがあったならば改善していくのが私どもの立場だと思いますので、そういう意味におきまして検討して、三月から五月までの間くらいに結論を出すように、こういうふうに事務当局には検討を命じているわけであります。
  52. 石田宥全

    石田(宥)分科員 この調査会法案につきましては、農林省は、大臣もすでに提案の用意をされたんだが、今国会に提案されておりまする国家行政組織法の一部改正法案が内閣委員会に出ておりますね、この国家行政組織法の一部改正を行なって、そうしてその改正に伴って、いま申し上げた臨時食管制度調査会法案と同様の内容のことを政令で行なおうとしておるんだ、こう一般に言われておるんですね。これはもう周知の事実です、農林省の中でも、国会議員の中でも。この点はどうなんですか。
  53. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私は、周知だとは思いません。おことばですが、行政組織法ですか、まだ改正案はまとまらないんです。国会のほうに出ていないのです。これについても、私は私なりの意見がございますが、ここはそういう席じゃございませんから申し上げませんが、それはまだ出ていません。そういう考えも一部にはあるが、わざわざ法律を出して、あなた方にもまれて何かするよりは、行政組織法の改正でも通ったら、それでやってもいいんじゃないかという意見もないわけじゃなかったのです。率直に言ってないわけじゃなかったが、それを待っていてそれでやろうという腹がまえで待機しているんだ、こういうことはございません。いろいろ検討した結果、やはり置くということが必要ならばどういう方法で置くかということで、まだその第二段階でいま検討中でございますので、それを待っていてやろうというようなねらいをつけているわけじゃございません。
  54. 石田宥全

    石田(宥)分科員 国家行政組織法の改正は、私は、提案されたと実は考えておりましたが、提案の予定表の中に入っておったようでありますから、これはひとつ慎重にやっていただきたいと思うんです。少なくともこの行政組織法の改正に基づいて政令でこういう大きな問題を処理するというようなことは、官僚主義の最も悪い面が出てくることになるし、全く民主主義的な政治をここで逆行させることになると思うので、ことに赤城さんはかっては村長もおやりになり、農業団体の役員もおやりになって、農民気持ちもよくおわかりであるし、消費者、国民の立場もよく御理解になっておられるのですから、この点はひとつそういうファッショ的な考え処理されるようなことのないように御要望を申し上げておきたいと思います。  それから次に、米価の問題でありますが、すでに大臣予算委員会その他で、消費者米価は大体上げない方針だ、こう言明をしておられますので、この点について私は触れようとは考えませんが、ただ、大臣就任当時しばしばこの米価の問題では、生産費及び所得補償方式であると政治米価になりやすいので、スライド米価をひとつ考えたい、スライド方式を考えたいということを言っておられますね。一体スライド米価ということはどういうことなのか。最近になって生産費及び所得補償方式によると言っておられるけれども大臣考えの中には、何か違ったものを持っておられるようにうかがえるのでありますが、スライド米価とはどういうことなのか、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
  55. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これはそういうふうに受け取られておったとすると、私の表現がまずかったと思いますが、私は、生産者米価をスライドするということを申し上げたわけじゃなかったわけであります。先ほどもちょっと触れましたように、生産者米価と消費者米価との間に、立て方に少し関連がなさ過ぎるじゃないか。それぞれの目的はあります。生産費及び所得償補方式という生産者米価の決定の方法もあるし、消費者米価は、家計をそこなわない、こういう一つのルールはありますけれども、その間に関連がないじゃないか。生産者米価が上がったのに、そのうちの幾分かは消費者もしょっていい要素などもありはしないか。またそういうことがあっても、政策面からことしは上げないなら上げない、こういうことは別個の問題としてこれはきめていいのだ。そういうふうに生産者米価と消費者米価、生産者米価が上がったときにまた消費者米価はこの面でこれこれ上げるべきものだというような関連がありはしないだろうか。そういうスライド的なものがないだろうかということを申し上げたのであります。あるいは時期的にも——時期がスライドということではありませんけれども、時期的にも両者を一緒にきめておくというようなこと。しかし、それが必ずしも消費者米価を上げるということではなく、検討はして、関連はあっていいのじゃないか。上げるか上げないかはまた第二段の別個の問題であります。それで、ことしとしては消費者米価は上げない、第二段階としてそういうことがきまっておるわけでありますが、生産者米価の生産費及び所得補償方式を別にして、生産者米価にスライドして何かこうということ、そういうことを申し上げたわけじゃないのであります。そういうことでなかったのであります。
  56. 石田宥全

    石田(宥)分科員 ちょっとくどいようですけれども、以前から、生産者米価を基礎として、消費者米価はコスト米価でというか、買い入れ価格に諸経費をかけて、そうしてコスト米価にするという意見がかつてはだいぶ論議されたことがあるのですが、いまの大臣の御説明を聞きますと、コスト米価とも若干ニュアンスが違うようでありますが、それはやはり先ほど来お話しになっておりますような、制度と食管赤字その他を勘案してそういう考え方もあるという考えだ、こう理解していいわけですか。
  57. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 固まった考え方じゃございませんけれども、そういうことなども含めて検討してみる必要がありはしないか、こういうふうに考えたわけでございますので、正確に学問的にコスト計算であるとか、あるいはスライドという意味で何か術語的な深い意味を持ったわけではございません。いろいろ検討する一つの問題としてそういうこともありはしないか、こういうことを申し上げたのであります。
  58. 石田宥全

    石田(宥)分科員 スライド米価というと非常にいろいろのとり方があるわけです。たとえば昭和三十八年度米価をひとつ基準米価として、諸物価の値上がり分、労働賃金の値上がり分をスライドしていくという考え方もあるわけで、非常に受け取り方がいろいろございまして、私どももちょっと判断に迷ったわけでありましたが、よくわかりました。  そこで次に伺いたいのでありますが、算定方式については生産費及び所得補償方式によりたいという御意向のようでありますから、この点は従来どおりとわれわれは判断をいたしておるわけでありますが、いかがですか。
  59. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまの方式を変えるつもりは全然ございません。それを踏襲いたします。
  60. 石田宥全

    石田(宥)分科員 そこで、従来の算定方式の中でも、私は政府がとっておられる算定の基準に非常に大きな無理があると思う。その第一点はバルクラインの問題です。これは多年にわたって農業団体、農民団体が八〇%バルクライン方式を主張いたしておるのでありますが、政府はなぜか、なかなかこれをとろうとしていない、そして平均バルクにして標準偏差というもので修正をするというような非常に手続上ややこしいことをやっておられるわけですが、この点はやはり農業団体や農民団体の主張するように八〇%バルクラインということで、すっきりした形でおやりになるほうが、政府のほうもむずかしい作業は必要がなくなるし、また、農業団体、農民団体の多年の要望が実現されれば、そういう面でも喜ばれると思うのですが、これはいかがでしょうか。   〔主査退席、淡谷主査代理着席〕
  61. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いつでも生産者米価決定のときに争われる問題でございますが、バルクライン方式も一つの方式だと思います。肥料などいままでやっておりました。しかし、私はいまの標準偏差方式のほうが合理的のように、私が関係いたしました範囲においては見ております。これは一つの政策にも関係ありますが、現状のままで生産費がかかったものに対して、毎年毎年バルクラインで生産費・所得補償方式でやっていくということですと、やはり生産性を向上すると言いますか、幾らかかってもバルクラインでやっていくというようなことでいくよりも、これは生産性を向上していくというか、コスト低下というか、なかなかむずかしい問題ですけれども、そういう面を考えて、やはり生産性も上げてコストも低下していく。それからまた、できたものに対しては所得補償方式でやっていく。こういう意味で両建てでいかなくちゃならぬと思いますが、いま当面の問題は所得補償方式、その所得補償方式で、私はバルクラインよりも標準偏差方式でやったほうが合理的なような気がいたします。八〇%までやっているが、いつまでも、どう費用がかかってもそれは八〇%まで補償していくのだ、こういうことでは、やはり実態もありますけれども、政策として少しどうかという考えを持っていますので、私は標準偏差方式を入れたいまのやり方がいいというふうに感じております。
  62. 石田宥全

    石田(宥)分科員 次に、自家労賃の評価がえの問題でありますが、これは農民団体は製造工場の三十人規模以上を希望している。農業団体は三十人規模以上が妥当であろうと思うけれども、なかなかそれは実現困難であるから五人規模以上、こう言っている。ところが、政府のほうは一人規模以上で修正をされておりまする。そうすると大臣、一体日本の国で製造工場労働者の一人規模以上なんという労働統計はないですね。一般的には全規模全労働者の賃金といえば五人規模が標準になっているのです。同時にまた一人規模なんという、一人雇っておくなどというものに満足な賃金があろうはずはないですね、何か特殊事情です。これはそういう特殊な事情の、統計にもあらわれてこないし、よるべき何ものもないのです。それを五人規模以上という政府の統計を基礎にして、いろいろむずかしい作業をやって推定した一人規模の賃金で評価がえが行なわれておるわけです。こういう不合理はひとつ赤城さんからやめてもらって、せめて政府がすべての政策を決定するにあたって基礎となるべき五人規模以上なり三十人規模以上というように、明確な資料のあるものに基づいて評価がえは行なうべきであろうと思いますが、いかがでしょうか。
  63. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 五人規模以下でも統計はあって、その統計に従っていままでやっていると私は思っております。どの辺の規模を農家としてやっていくべきかということには、非常になお検討すべき問題があろうと思います。これは、大体は製造業者と似ていますから、そういうものの賃金をとるということは必要だ。五人か、三十人か、全規模かというようなことにつきましては、さらになお事務的にも、また政治的にも検討してみたいと思いますが、いま結論を申し上げることはちょっと早いかと思います。
  64. 石田宥全

    石田(宥)分科員 この問題は先ほど申し上げるように、非常に無理な作業をやらざるを得ないわけでありまして、十分検討しようということでございますし、また米価の決定までは相当時日のあることでありますから、これはぜひ再検討をお願いしたいと思います。  次に、時期別格差の問題でありますが、時期別格差は、かつては早場米奨励金というものでありましたが、早場米奨励金というものではどうも実態に合わないということで時期別格差というものになって、しかも昨年は第一期の八百円をなくされたわけです。先般新聞の伝えるところによりますと、ことしはさらに六百円を整理し、来年は四百円を整理するということで閣議決定を行なわれたということでありますが、これは新聞の報ずるとおり、政府は時期別格差を整理される方針なのかどうか、承りたいと思います。
  65. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 実は、時期別格差はいまお話しのように、早場米奨励金から転化してきたものでございます。収穫の状況やら集荷の状況からだんだん縮小していくべきじゃないか、こういう考え方がありまして、昨年の三十八年産米について四つの段階を三つにしたわけです。三十九年度につきましても一段階縮めていって、あとのほうは残しておいても、その程度にしていくのがいいじゃないかという考え方がございます。御承知のように、日本全国の米価の中にこの早場米時期別が入るものですから、西日本とか東北のほうでは、自分のほうの価格は北陸方面の価格に吸い取られちゃって手取りは安いんじゃないか、それをなくしてしまえば平均的に米に対する価格が出てくるんじゃないかというような意見もございます。そういうような諸般の情勢等がありましたので、三十九年度についても、そのまぎわになってそういう措置をとるということになると生産者を迷わせますから、先に閣議の了解を得て出していくという方針でいくのが一番いいじゃないか、こういうことで閣議にかけてきめてあるわけです。
  66. 石田宥全

    石田(宥)分科員 かつてこの米の問題については、閣議決定をいたしましても、その後の事態の変化等で変更をされた場合がしばしばございますから、情勢の変化等があれば、先般の決定というものを必ずしも行なわない場合もあり得るとわれわれは承知をしておるのでありますが、どうでしょう。
  67. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これは御自由に御承知願っておいて、利のほうでは閣議決定のとおりに進めるということより以外にございません。
  68. 石田宥全

    石田(宥)分科員 そこで食糧庁長官に伺いますが、政府手持ちというものが最近非常に激減をしておるようでありますが、三十七年と三十八年の八月の政府手持ちはどのくらいの数字になりますか。
  69. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 三十七年、三十八年度について申し上げますと、三十七年の八月末の在庫が八十万一千トン、三十八年が六十二万五千トン、九月末が、三十七年が百二十四万七千トン、三十八年が百二十万一千トン、十月末が、三十七年が三百六十二万一千トン、三十八年が三百五十九万五千トン、これが政府の所有内地米の在庫であります。
  70. 石田宥全

    石田(宥)分科員 長官、いま一カ月の配給量というのはどれくらいです。
  71. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 約二十万トンです。
  72. 石田宥全

    石田(宥)分科員 一カ月の配給量が二十万トンということでありますが、一番少ない三十八年の八月の残高は六十二万五千トンという程度であります。これが、全国的に大量に在庫があればあまり問題はない。ところが、これがちょっと偏在でもいたしますと、たいへんなことになると思うんです。そういう意味で、私は今日のこの時期別格差というものは、国の食糧政策の面から見て、やはり相当重要な役割を今日なお果たしておると考えておるのです。先般予算委員会でもちょっと私が触れましたように、実は最近の米の事情は、まあ大臣や長官の口からはちょっと不安定性が出てきたなどとは言えないでしょうけれども、このごろはもうみな知っておるのです。先般もある新聞がずばりとそのことを書いておりますが、一人一カ月十キロ当たりの配給と表面はなっておるけれども、米屋のほうでは、内地米は六キロしか入ってきていない、あとは陸稲と準内地米が〇・五キロだ。そうすると、表向きは十キロ配給ということになっておるけれども、米屋へは六・五キロしかきていない。また配給を受けるほうも、九八・何%という率でほとんど配給を受けるようになっておるので、そうすると、米屋さんは政府からもらう米だけでは配給はし切れないので問題だということを言っておるわけです。現実にいまそうなっているんです。そういう事態は、最近まであまり政治面にも経済面にもあらわれておらないからよかったようなものだけれども、どこかでひとつくずれてきて米屋さんが騒ぐと、今度は配給を受けるほうがこれはあぶないぞということになって、買いあさりをする、買いだめをする、売り惜しみをするという状態になると非常に危険な状態が出かねないと思うのです。米の問題くらい国民が敏感に動くものはない。こういう点を考えると、私、は需給がバランスしておるから時期別格差というものは漸次整理をする方針だということは、まことに危険千万な考え方と言わなければならないと思うのです。いまの数字でわかりますように、九月になればもう新米が若干出てくるからよろしいです。しかし、これまでは時期別格差というものがあるから、若干収量が少なくても早場米をつくっておったわけです。今度時期別格差というものがなくなれば、やはりなかて、おくての収量の多い品質のいいもののほうに漸次移っていくでしょう。そうなった場合に、いまのような経済情勢のもとにおいて、特にこの点は消費者米価が据え置きになるということになり、一方小麦の値段が高くなり、小麦が売手市場であったのが今度は買手市場に変わってきておる、こういうことで世界的に食糧難というものが砂糖をはじめあらゆる面に出てきておることを考えると、私は、政府としてこの時期別格差を整理してしまうというこについては非常な問題があろうと思うのでございますが、そういう点をひとつよく御勘案になって再検討される用意がございましょうか、どうでしょうか。
  73. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 需給関係との関連においていろいろ問題があろうかと思います。まあ方針はいまの方針で進めていきますけれども、御意見の点はよく頭へ入れていかなくちゃならぬと思います。
  74. 淡谷悠藏

    淡谷主査代理 齋藤政府委員から答弁の訂正があります。齋藤政府委員。
  75. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 先ほど御質問の中で、一カ月の配給量はどのくらいかという御質問がございまして、私は、主要な消費県を頭に置いて二十万トンと申しましたが、全国についての売却量は約五十万トンです。訂正しておきます。
  76. 石田宥全

    石田(宥)分科員 そこで、時間がありませんから先に進めますが、三十八年度の予約減税は、この間政府提案できまりました。これは、もう数年前から政府はやめようかというような議論があって、昨年も一昨年も私どものほうで法案を出して、そうして政府をして出さざるを得ざらしめるような措置でやってまいったわけでありますが、やはり本年度の作付をする農民の心がまえとして、予約減税はなかなか大きいものでありますから、新潟県などでは、石当たり四、五百円くらい影響をいたします。何といたしましても、千二、三百円も非課税部分が出るか出ないかということでありますから、大きいのでありますが、これは大臣考えはどうですか。
  77. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 もう衆議院も通りましたが、毎年問題になる問題でございますが、できるだけ予約減税をしておいたほうがよかろうと思います。
  78. 石田宥全

    石田(宥)分科員 次に、小さな問題ですけれども、農協の倉庫の問題ですね。倉庫がずいぶん足りないということで、政府は奨励金を出したり、補助金を出したりで、倉庫をつくらせられた。これは全部政府の指定倉庫なんです。ところが、最近、先ほど来お話のように、一カ月の配給量五十万トンも要るところへ、六十万トンくらいしかないというような事態が起こっているのでありますから、もう出来秋にどんどんみんな送り出しちゃうわけです。そうなると、倉庫ががらあきになっちゃって、いつでもからになっておる。ところが、政府が指導奨励をしてつくらせて——これは川崎さんがさっき質問をされたものと同じような性質なんですが、つくらせておいて、からっぽにしておいて、からになっておれば金は出さない。こういうことで、末端の農協が悲鳴を上げておるのですね。少なくとも政府指定倉庫である以上、やはり最低限維持管理費をまかなうに足るだけのものを政府は見てやる必要があるんじゃないか、これこそ政府の責任だと思うのですが、どうでしょう。
  79. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 農協の保管料は、農協の収支面から言うと、非常に少ないようです。私のほうで聞いているのは二%くらいだと思います。それにしても、何から何まで政府がめんどうを見なくちゃならぬという考え方もどうかと思います。さりとて指定倉庫でもありますから、全然見ないというようなこともどうかと思いまして、その辺はなかなかデリケートな問題でございます。そういう意味で、実はことし出荷が早くて、また出荷が倉庫にとまっている期間が少ない。すぐに早く出してしまう。こういう事情等もありまして、予算編成時におきまして保管料の値上げの要求が相当あったわけでございます。これは、直接に保管料をあげるということよりも、やはり一つの実績というものを見て、期間的にある程度入っておったものとして、その実績、去年やその他の実績に比較してことし非常に入っている期間が少なくなった、その差といいますか、その差をいろいろ検討いたしまして、期別に払う。期別に見て補助していく、一俵幾らということでなく。そうして実績に沿うような形でやっていくということで、予算もそういうふうに出してあるわけであります。ですから、全然見ないというわけじゃない。そういう意味において考えて、見ているわけでございます。
  80. 石田宥全

    石田(宥)分科員 昨年農業団体の諸君が盛んに運動いたしまして、石当たり六円ほど出されたようでありますけれども、石当り六円くらいではとてもどうにもならない。これは、農協全体の運営の面から見ればわずかな問題でありますけれども、やはり私がいま申し上げたように、維持管理が可能なような何らかのてこ入れの必要な性質のものではないかと考えますので、なおひとつ御検討願いたいと思います。  時間がありませんから、次に生鮮食料品の問題をちょっと伺いたいのでありますが、昨年は生鮮食料品の値上がりで、池田内閣はしばしば閣議でこれを取り上げて、新聞もまた大きく取り上げておりました。私どもも流通構造対策というものに対しては、相当期待をいたしておったのでありますが、ほとんど見るべきものがなかったようであります。それはそれといたしまして、最近の蔬菜の暴落については、大臣の地元でも起こっておりますし、よく御案内だと思うのです。きのう私どもある会合に出ましたところが、深谷の諸君ですが、深谷のネギがいま五キログラム四円なんです。そうすると、それを畑から抜いて持ってきて、それから皮を向いて結束をするのに、五キロで二十二円かかる。そうすると、地代も肥料代も労働力も何も見ないで、ただのものを持ってきて結束して出すだけで二十二円かかるものを五円で売らされておる、こういう状態ですね。ですから、賢い者は畑のまん前に捨てておく。そのほうがいいというような状態ですが、蔬菜の暴落に対して一度も閣議あたりで問題になったと伺わないのでありますが、政府はこれに対する対策をどのようにお考えですか。
  81. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 閣議で正式に出たことはございませんが、いろいろそういう話は出ております。昨年の青果物等は、流通対策、物価対策といいますか、消費者物価の問題から非常に問題になったのでございますが、いま生産者の間で、お話のような問題が非常に深刻になっております。これは、一つの安定価格制度というものを設けていきつつありますけれども、そういう問題が十分でないという面もあろうと思います。あるいは出荷の調整等において十分でない面等もあろうと思います。そういう点によりまして、やはり流通対策としては、生産から、流通の中間の市況から、あるいは小売りの面、全般にわたって相当考えていかなければならぬ問題がたくさんあると思います。十分にいっておらぬことは、もう御指摘のとおりでございます。   〔淡谷主査代理退席、主査着席〕
  82. 石田宥全

    石田(宥)分科員 大臣答弁のとおりなんですが、こういう状態では、従来の豊作貧乏をいつまでも繰り返すことになると思うのですね。ですから、もっと基本的に生産面における計画性を持たせるということをしなかったならば、豊作だ、暴落した、翌年はまただれもつくらなくなった、そしてまた暴騰する、またその翌年は暴落をする、そういう昔ながらのことを今日の時代にいつまでも繰り返されるということは、私はやはり政治の貧困と言わざるを得ないのでありますが、もう少し積極的に生産面について計画性を持たせる、こういう措置が第一の要件でなければならないと思うのですが、それらについてはどんな対策をお考えですか。
  83. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 計画生産ということはなかなかむずかしいことで、戦争中の作付制限なども完全ではございません。失敗した面が多かったと思います。しかし、その計画性を持たせるといいますが、需給の状況等をよく勘案して作付等もする。あるいはまた生産基盤としての問題等もあります。御承知のように、こういう点で指定栽培の制度もありますが、農協等において非常にすすめております。大体契約栽培というものは、私は非常にいい方法で、すすめていきたいと思うのですが、一つの最低価格制度みたいなものを設けて契約栽培をして、これ以上下がったときには集荷者のほうで払うぞと、そういう形で農協があっせんしてやっていく面もありますし、そういう制度は広げていきたい。何といたしましても、生産面の出荷、作付、あるいはまた基盤整備、そういう面について計画性を持たせるということが必要だと思います。それにつきましては、統計等も利用いたしまして、需給、状況を末端までよく知らせる、協同組合等と連携をとりまして、協同組合等にそういう計画性を持って指導していくようにすすめてまいる、そういう方法を講じてまいりたい、こう考えております。
  84. 石田宥全

    石田(宥)分科員 農協は、本来ならばやるべきでありますけれども、農協はなかなか及び腰で本気に取り組みませんよ。なぜかというと、先刻申し上げたとおりで、暴騰、暴落が激しいものでありますから、大きく取り組んだら農協の危機を招くおそれがあるのです。ですから、そういう問題はやはり農協にというわけにはいかない。もし農協にやらせるならば、農協をバックアップして、政府の責任においてやる以外に方法はなかろうかと思うのですよ。ところが、政府は指定産地をつくるとか、いろいろことしはこまかい予算がたくさん出ておるようでありますけれでも、しかし、あまりこまかくて、何をやろうとしているのか、何をねらっているのかわからない、項目だけたくさんあって。こういうことでは、池田さんがせっかく閣議あたりで問題にして取り組まれたものがしりつぼみになってしまって、何が何だかわからないようなことになったのじゃ、これは処置ないですよ。これは、赤城さん、ひとつ本格的に取り組んでいただきたい。いま申し上げるとおり、農協にまかしておいてもだめです、非常に危険なものですから。今日価格保障制度などもありますけれども、最近の値下がりが続いておるのは、一つはあの制度のために値下がりが続く。あの金がほしいために、幾ら安くてもどんどん出していく。ますますそれが輪をかけて、下落に追い打ちをかける。こういう悪循環があることは、大臣もお認めだと思うのですが、これは、やはりこの機会にひとつ根本的な再検討を願わなけばならぬと思いますが、どうでしょう。積極的にやる御意思はありますか。
  85. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 安定するということが必要だと思うのでございます。上がったり下がったりが非常に激しいということでは困ることですから、この点につきましては、さらに一そう力を入れて安定さしていく方向に努力いたしたいと思います。
  86. 石田宥全

    石田(宥)分科員 次に、流通の問題にちょっと触れておかなければなりませんが、流通については、大臣御承知のとおり、中央卸売市場法というのがありまして、中央卸売市場法によれば、全国の生鮮食料品を取り扱う市場というものは、開設から、わずかな問題の変更やら、あるいは業務規模に至るまで大臣の許可、認可が必要だということでありますから、法律上は、これは完全に農林大臣が管轄をしているわけです。ところが、実際に市場をやっておるものは都市なんですね。市当局なんです。そして、それに対してはあまり財政的な援助もされておらない。東京都あるいは大阪のような財政力のあるところはいいかもしれませんよ。その他のところでは国が財政的にバックアップしないで、市当局にまかせておいて、そうして閣議などでわんわん騒いでみたって、これは何にもならないのです。前に河野農林大臣がずいぶんこの問題を取り上げて、現地調査などをやって、いや国営市場をやるのだとか、直売所を設けるのだとか、えらそうなことを言われたけれども、一体何をやるかと思ったら何もやらない。そういうことがやれないような仕組みになっているのではないですか。政府が金でも出しておれば発言権があるけれども、文書の上で許可認可はすべて大臣が掌握しておっても、財政的には市がかってにやりなさいということだから、実はちっともにらみがきいていないのです。こういう点について、中央卸売市場法というものも時代にそぐわないし、それから東京都のごときは、これは、皆さん御承知なんだけれども、かつて東京都の人口五百万の時代に取り扱い荷量五百トンくらいを目標にしてつくられたものです。ところが現在は、五百万人が一千万人になっているし、数量は千五百トンにもなっているわけです。そういう状態で、東京都における市場というものは非常に狭隘を告げているわけです。これは中央卸売市場法の改正と、そうしてやはり流通機構に対して政府が本気で取り組む必要があると思いますが、中央卸売市場法の改正と、それから、そういう面において流通構造に対して積極的にお取り組みになる御意思があるかどうか。
  87. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 卸売市場等は、これはほんとうに自由主義経済における価格形成のかなめというようなことであろうと思います。そういう意味におきまして、卸売市場の問題はまことに重大でございます。それについて、いまの中央卸売市場法等において法的な監督権というか、掌握はしておりながら、財政的に何もやらぬじゃないかということでございますけれども、そういう面も考えまして、この予算にも、中央卸売市場の整備につきまして三十九年度は三億七千百十三万五千円で、生鮮食料品の適正かつ円滑な流通を確保するため、中央卸売市場の新設、増設または改善等の十六都市に対して、施設費の助成を行なうものといたしておりまして、補助の対象の拡張をはかってまいり、基幹的な施設に対しては、新設都市では三割、既設都市では二割、その他起債ワクを拡充して、本年度は補助対象施設を拡大していくという意味で、いませっかく御注意のようなことをやろうとしております。
  88. 石田宥全

    石田(宥)分科員 予算を拝見しております。しかし、それではどうにもならないじゃないかと私は言っておるのです。それは私もよく調べております。そこで、もう時間がありませんから簡単に伺いますけれども、東京都のごときはごらんのとおりなんです。あんな狭いところで一日に数十万円の盗難がある。ときによると百万円以上の盗難があるといわれる。ベルトコンベヤーさえない。全く明治時代のような取引の状況が繰り返されているわけですが、幸いにして大阪の東部市場というものは近代的なものができて、いままではそでの下取引みたいなことをやって、われわれが行ったってわけのわからないことをやっておりましたけれども、今度は百人近くのものが一ぺんに入札のボタンを押せば、最高の値段がそこにぴゅっと出るというような近代的なものができたわけです。これは去年の七月できたわけですが、いまだに開場されないのですが、これはいつごろ開場されるのですか。これは局長でもけっこうです。
  89. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 大阪の東部市場の施設の整備は、今年中に完成することを目途にいたしまして、大体の設備はでき上がっておるのでございますが、一部冷蔵庫、引き込み線等がまだ工事中でございます。これは、大体三月にはでき上がりますので、四月には開場の見込みでございます。
  90. 石田宥全

    石田(宥)分科員 局長に伺いますが、大阪の場合に、蔬菜のほうも鮮魚のほうも、卸の関係は単一でやるお見込みがつきましたか、どうですか。
  91. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 東部市場をつくる方針がきまりました当時から、農林省といたしましては、単数の荷受け機関でまいりたいということで指導してまいっておるのでございます。青果の部門につきましては、いろいろこれもまだ問題はございます。類似市場の業者が入場するにつきまして、いろいろトラブルがあるのでございますが、これは、大体一本でいくというめどがほぼついたわけでございます。鮮魚の部門につきましては、これは、本場で御承知のように現在三社で運営されておりますが、これを一社にして入場させることで話し合いを進めておるのでございますが、荷主側にかなり強硬な単数反対の意見どもございますので、できるだけ円満に単数でおさめるように話し合いをしつつある段階でございます。
  92. 石田宥全

    石田(宥)分科員 それで、局長、時間がありませんから、私、よけいなことを申しませんが、昨年、卸売りの手数料の引き下げが行なわれましたね。ところが、卸売りの手数料をお下げになったけれども、卸売り人は、出荷人に対する出荷奨励金を下げたり、仲買い人に交付するところの交付金を下げたりで、卸売り人はちっとも腹が痛まないで、そして小売り値段にはちっとも影響がないんです。これは、おわかりだと思うのですがね。そこで、従来の卸売り手数料の引き下げをやったり、あるいは仲買いの共同化の問題やセリ単位の引き上げということをおやりになって、お考えになっておられるようですけれども、実は一番大きなガンは、いま大阪の鮮魚関係で、会社は一つにするが、セリ場は二つにするというようなことで落ちつきそうになっているんですが、これは、どうも農林省、それで押し切られちゃいけませんよ。なぜかというと、これは鮮魚の部分ですけれども、もう局長の御承知のとおりで、大会社は、ああいう公設取引所に対して指し値をきめておる。幾ら以下なら落札しないという指し値でもって出してくる。一体こんな卸売り市場がありますか。そうして、これ以下なら売らないということをあらかじめちゃんと予告しておくから、安ければすぐ荷を引っ込めちゃう。そうして今度仲買い人には、したがってそれを高く売りつけておいて、そして漁業会社などの零細漁民のものを今度安く買いたたかせて、これでバランスさせるというような、それはもう大生産会社の全く走狗になっておるわけです。この点にメスを入れないで生鮮食料品を云々などということは、口幅ったいと私は思うのです。もっとひどいのは、セリ人の選任をどうやっているか。大会社の社員がセリ人になっておるじゃないか。大洋漁業やなんかの大会社のセリ人が出ていって、あのセリ人のさじかげんでいかようにもなるところの現場をごらんなさい。それはみんな大会社の社員じゃないですか。取引を大口化するなんということを言っているけれども、大口化せば大口化すほどその弊害は大きいということですよ。あなた方はわかっておるはずなんだが、しかし大生産会社に歯が立たないのでしょうけれども、やはりそこにメスを入れなければ、流通構造の改善というものは絵にかいたもちに終わる。卸売り会社は手数料は下げられたけれども、荷主に対する出荷奨励金と仲買い人に対する交付金でかげんして、自分はでんとしておる。もちろんこの出荷奨励金には問題がありますよ。農協の駐在員などというものは、ずいぶん悪いことをやっておる。もうかってな悪いことをやっておる。農協の駐在員があすこで駐在なんかやっていれば、三年間おれば一財産できるといわれておる。これは大臣、御存じですか。これもはっきりしておる。名前もあげられる。そういう状態のところにメスを入れないで、あなた方新聞に去年は三段抜き、五段抜きの記事が、池田総理の発言だといって何回も出たけれども、肝心なところは何一つ手を入れてないじゃないか。セリ人は依然として大会社の社員だし、そうして、そういうものにすべて牛耳られておって弱い者いじめだけやっておるじゃないか。これは、大臣、ひとつ根本的に考え直していただきたい。いまあなた、予算案をお読みになったけれども、私は全部それをもっとこまかいところまで調べております。大事なところに手を触れないで、そんな末梢神経みたいなものをいじったって一体何になりますか。これはひとつ、私これ以上あなたからいろいろなことをお聞きしようとは思わない。実はまだ時間があれば、月島における消費地冷蔵庫の問題があります。これは河野さんの遺産ですけれども、ろくなことをしていない。たいへん悪いことをやっておる。消費地冷蔵庫と称して生産者にそっくりまかして、消費地の仲買い人をそこに参画させない。こんなべらぼうな話が一体ありますか。何かこれは非常にいかがわしいものがあります。場合によると、これは私は決算委員会で問題にしたいと思いますけれども、そこでまあ最後に大臣、そういう実情にあるので、大体はおわかりだと思うのだが、いままで池田内閣が取り上げておったような取り上げ方では処置ないのだ。もっとひとつ根本的に考え直してやってもらうほかはないのだが、大臣、いかがでございましょうか。
  93. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いろいろ例を引かれました中に、そういうものもあろうと思います。しかし、そうでない面も、私見ている面もございます。しかし悪い面は、ほんとうにそこにメスを入れて直していかなければならぬと思っております。
  94. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これにて石田宥全君質疑は終わりました。  午後は一時五十分より再開することといたしまして、暫時休憩いたします。    午後零時四十八分休憩      ————◇—————    午後一時五十九分開議
  95. 松浦周太郎

    ○松浦主査 休憩前に引き続き、会議を開きます。  農林省に対する質疑を続行いたします。永井勝次郎君。
  96. 永井勝次郎

    ○永井分科員 時間がございませんから、大臣に簡単に、お答えしやすいようにお尋ねし、答弁も簡単にしていただいて、前向きでどんどんスピードが上がるように御答弁願います。  最初に、糖業政策についてお伺いしたいと思いますが、そのうちの国内産糖としてのビートの問題について、国内における砂糖生産計画が当初の計画より相当狂ってきた、計画を立てかえたようであります。この最初の計画と相当にひどい狂い方をしているということは、原因がどこにあるのか、そうしてその計画の組みかえの重点をどこに置くのか、この点をひとつ伺いたいと思います。
  97. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 てん菜の栽培といいますか、栽培面積が初めの予定のとおりにふえなかった、あるいは収穫がされてなかった、こういう事情があったと思います。それについては雑豆等の競合作物等もある。それから輪作の作物でございますから、ちょうど一回り回った年ぐらいにきておりますので、そういう土壌の関係等もあろうかと思いますが、全体を見まして、初めの予定どおりの増産見込みに達しなかった、こういうことに原因があろうと思います。
  98. 永井勝次郎

    ○永井分科員 時間がありませんから省略したいのですが、それだけではないと思うのです。たとえば暖地ビートをいやに最初宣伝したが、これは全然伸びない。北海道においても工場設置の計画を発表し、建てられたのですが、それが工場廃止がされたというふうに、非常な根本的な修正が行なわれたということは——単に雑豆との競合ということは価格関係であり得ることなんです。あたりまえです。それから輪作経営という問題、土地の関係があるということですが、これは畑作経営における基本的な技術の問題ですから、こんなものは最初からわかっておるのです。これは狂ったということではないと思うのです。ですから、最初の計画にこういうものが全然見込まれないでやったとすれば、ずさんに過ぎると思うのです。そういう計画の上に立てたものが狂った原因、暖地ビートは全然伸びないんだ、北海道においても伸びないんだという原因がどこにあったのか、大臣、政策上の問題ですから、もっとわれわれが了解できる程度の御答弁を願いたいと思います。
  99. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 国際糖価の関係などもあったと思いますが、非常に一時下ぶりぎみの傾向があったりして、国内での自給度といいますか、そういう面で、国際的に見てどうかというような面などもあったと思います。しかし、先を申し上げては失礼でございますが、自給度は進めていきたいという気持ちを持っておりますので、それに沿うたような計画に変える。ですから、これという原因はどうかと言われましたならば、初めの計画の見通しが適当でなかったということじゃなかったかと私は考えております。
  100. 永井勝次郎

    ○永井分科員 私の質問に対して大臣もにやっと笑い、局長もにやっと笑った。わからぬような顔をしておる。こんな程度——最初の糖業政策として、それから国内自給度を高めるとして発表した事柄にこういう根本的な狂いがきたというのは、ただ国際糖価の関係だというだけでは、見通しが甘かったんだというだけでは、砂糖の問題だから甘い問題で解決しようったってそれは答弁にならぬと思うのです。暖地ビートなんかは、もともと日本でやるというにはそれだけの用意と技術的な準備が必要だ、そういうことでなしに、ただばく然とやり、科学的に基礎がないからこういうふうに狂ってくる。北海道の寒地ビートにしても、基礎的なことの検討を十分にして積み上げておかないからこういう狂いがくる。そうすると、最初に立てた見通しというのは、全く科学的な基礎のないばく然としたものだった。だから、実際にやれば裏づけとして間違いがはっきりしてきた、実績の中で明確に立証された、こういうふうに理解してよろしいわけですか。
  101. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 原因はいろいろありましょうけれども、別ににやっと笑って責任を免れようというのではなくて、見通しがずさんであったかというと、十分でなかった点が、こういう見通しの計画を変更しなければならないことになったのだろう。一時は工場をふやしてみたり、あるいはまた減らさなければならない、これは見通しが十分でなかった、こういうことだと私は感じております。
  102. 永井勝次郎

    ○永井分科員 それならば最初の雑豆との競合とか、あるいは輪作の関係だとかいうことも一つの原因でありましょうが、もう少し見通しの甘い内容が何であるか、具体的でなければ、単に甘かったというだけではよくわからない。どの点がどういうふうに甘かったということを、明確にしていただきたいと思います。
  103. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 それは、やはり需給といいますか、生産の見通しと、業界というか、工場等とのアンバランスといいますか、そういう面に狂いがあったのだろうと私は考えております。
  104. 永井勝次郎

    ○永井分科員 この計画がなぜスムーズにいかなかったか、そうして根本的な変更をしなければならなくなったかという原因を、明確に農林大臣がつかんでいないと、これからの諸施策においてまたずるずると的はずれなことをやって、同じあやまちを繰り返してくるのだ。いままでの見通しが誤っていたとすれば、その見通しの甘かった点、間違いを明確にして、そうして姿勢を立て直して、積み上げていく方向に再出発しなければならないと思う。そういうことがまだ緒についてないと思う。全然めくら見当で歩いておる。方向がきまっていない。こう思うのです。そういう点で現在の行き詰まり、根本から狂った原因は何であるかということを聞くことによって、これからの農林省の進む姿勢が私は判断できると思うのです。その点についてお尋ねをしておるのですが、農林大臣はさっぱりこれが実態を知らない。ただ答弁のための答弁をしておる、こうとより脅えられません。  それならばもう一つ、問題を現時点に置いて、毎年のように原料の価格の問題、あるいは取引のいろんな条件、地域の問題等たくさん問題があると思うのですが、時間がありませんから一々あげられませんが、そういう問題を繰り返し繰り返し同じようなことを毎年やっておるのですが、これは原因がどこにあると思うのですか。農民がいけないからなんですか、あるいは業者ががめついからなんですか、あるいはこういう業者の間に立つ政府の行政指導というか、あるいは糖業の政策というか、そういうしっかりしたものを持っていて、業者の方向を明らかにする、農民の向こう方向を明らかにする、そういうものが一体あるのですか。毎年同じことを繰り返しておるのですが、これは原因がどこにあるのですか。
  105. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いろいろありますけれども、今度法案等につきまして、そういう方向を生産者の面におきましても、あるいは業者の面におきましても、あるいは価格の面におきましてもやっていく。しかし問題が起きるということは、なるたけ起きないほうがいいのですけれども、相当な成果があっても起きるのです。御承知のように、米のように毎年米価で騒いでいるものがある。だから、問題が起きるから政策がまずいと言い切る面もある程度ありますけれども、そういう面は改めていきたい、こう考えて法案を提出しておるような次第でございます。
  106. 永井勝次郎

    ○永井分科員 そのいろいろあるということを具体的に伺っておるのです。いろいろあるではわからないのです。具体的にお尋ねしたい。
  107. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 生産のほうからいえば、生産基盤がよくできていないとか、あるいは土壌の改良もしていかなければならない、あるいは作付の安定性というものもありましょう。あるいは出荷の関係の問題もありましょう。あるいは価格の問題もあろうかと思います。価格等もどの程度がいいかというようなことの予定が立たない。こういう面で、不安定な面がある。それから先ほど言いましたようなほかの作物との競合関係もありましょうし、永井さんみたいに、一つ何かはっきりとこの点だという点をお持ちかと思いますが、私のほうから見ればいろいろな原因があるので、この点だ、それだけ改めればそれで直るのだということは、私はなかなかできないと思います。
  108. 永井勝次郎

    ○永井分科員 そうすると、こういう手を打ったら直るという原因がわからない、はっきりしたものがない、こういうことですか。
  109. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 一つの手はないということです。この手をやれば、すべて眠っていてもうまくいくのだというようなうまい手は私にはちょっとない。こういうことです。
  110. 永井勝次郎

    ○永井分科員 私が農林大臣にお尋ねしておるのは、一つの手で解決せいというのではない。二つの手でも、三つの手でも、四つの手でも、十でも、十五でも、いろいろな手を使って、総合的に、合理的に直せるものはそういう方向をおとりなさい、こういう立場で言っておる。一つの手を聞いておるのじゃないのです。  そこでやはり自由化をしているわけですから、国際競争の問題もあります。国内の態勢が整っていないという点もあります。時間がありませんから、あまりあれこれと問題を広げるわけにいかないと思うのですが、私は一つは原料生産の面において、農林省がその農業政策の主管であるにかかわらず、それらの問題について全くめくらがやっておるようなことをやっておる。過去に何十年という経験をしてきたその実績のの上に立って計画が樹立されていない。あるいは糖業、ビート耕作として、国際的に百年以上の経験のあるそういう文献なり、実績なり、そういうものを参考にしてやろうとしておらない。こういうところに問題がある。工場をつくって、そしてそこで耕作しながら、一つずつゆがんだ出発点をごまかすために、ああでもない、こうでもない、こう言いながらなしくずしに問題を処理しているから、問題の核心に一つも、毎年同じことをやりながら、触れない。その点がいま一番糖業政策における根本の問題だと思う。もっと本質は何かということをこの辺でちゃんと立て直さなければ、それだけ農民も被害を受けるし、糖業工場のほうも自分の向かう方向がきまってこない。そして政治というものがこんなに無責任な、こんなにでたらめなものかという不信を買う結果だけだと思う。三者が三様にそれぞれ大損をしておる。ばかな目にあっておるというのが糖業政策の現状ではないか、こう思うのです。  そこで農業政策において問題点を、これから計画を立てて、そしてそれを推進していくためには、政府の持っておる一つ計画というものを具体的に推進するためには、どういうところから、どういうふうにしてやるのだ、こういうことを大体でいいですから、時間をかけないで簡単に御説明願いたい。
  111. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 大きくやれば生産体制と集荷体制、価格体制、三つだと思います。生産体制としては、やはり省力栽培的な、あるいは機械化によって栽培を進めていく。種の問題などもこまかくいえばありますけれども、そういうような形で、一つ耕地のあれもありましょう、耕作単位等もありましょうけれども、とにかく経営が十分にできるような生産基盤整備という必要があろうと思います。それから集荷体制でございますが、これは、いままでも適当にやっていましたが、少し集荷体制などもアジャストするといいますか、調整する面も幾らかあろうかと思います。もう一つは、やはりいまもお話がありました、国際的にもいろいろ価格の問題等につきましても関連がございますが、そういう面で安んじて安定して生産を進められる、栽培を進められる、こういうような価格面の支持と申しますか、そういうことが必要であろうと思います。
  112. 永井勝次郎

    ○永井分科員 原料生産の増強をはかるためには、土地改良も必要でしょう。種子の問題もあります。あるいは機械の導入であるとかあるいは紙筒であるとか、いろいろ研究されているような問題もありましょう。あるいは病虫害の防除もある、省力化の問題もある、いろいろな問題があります。そうして生産の問題があるという点については、いろいろ内容的に技術的にありますけれども、時間がありませんから省略して、それはよろしいと思います。それから価格の問題がある、これもいいと思います。それから大臣は製糖会社の問題に一つも触れないのですが、製糖会社の分野において障害になっている点はないのですか。
  113. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 製糖工場等も障害になっておったものですから、まあ少し生産に見合わない工場許可をしてきたと思います。そういう面で、生産に見合ったようにアジャストしなくちゃいかぬということで、去年でしたか、四工場を当分、というと半ばこれからもやれないような形でやめにしたというような事情もございます。そういうふうな意味におきまして、生産工場も、まだこれでよけいであるかどうかというような問題もまた残っているかと思います。あるいはまた生産工場一つ整備といいますか、協調的な体制をとるほうがいいかどうかというような問題も残っていると思います。各工場における生産費の差などもあるのじゃないか。そういう面につきましてもなお検討する必要があろうと思いますが、いままで生産体制に見合わなくて非常に工場が多かったということは、これは事実であったと思います。そういう面におきまして、昨年度工場を新たにやらないように、いままでやろうとしていたのをやめさせた、こういうようないきさつがございます。これは御承知のとおりであります。
  114. 永井勝次郎

    ○永井分科員 ビート工場というのは輸入精糖のぼろもうけの関係にあおられて、そうして全然技術的に実現も何もしない、自信もない暖地ビートをラッパを吹いてみたり、ほらを吹いてみたり、あるいは寒地ビートの関係については、工場さえ建てれば原料は何ぼでも増産されるような、こういうめちゃくちゃなものの考え方でやった。それがにっちもさっちも動かなくなって、工場は建てないのだというふうに廃止せざるを得ない。さらに残っておる工場が、やはり原料の現状に比べて過剰である。そういうところから製品がコスト高になる。製品がコスト高になるという条件について、政府は、そういう政府の施策の間違いからこういう事態を引き起こしたことについて、少しも責任を明らかにしない。私は、工場が現在原料に比較して過剰である、またそういう原料の調整をしますために、ばかのするような、何百キロの距離を原料をこっちからこっちへ持っていく、またこっちからこっちへ持っていく、交錯輸送のようなことを平気でしている。こうしてコスト商の現実をつくっている。そうしてコスト高であるからといって、工場の採算性の立場からだけそれを起点にして、逆算して原料の価格をきめて、そして農家にこれを押しつけている、こういうところに私は今日の大きな問題があると思うのです。ビート工業における問題があると思う。そして農民のほうから、原料価格については生産費所得補償方式をやってくれ、こういう要求がある。この所得補償方式については、どこを基準にしてどういうふうな採算をするかという問題点はいろいろございましょう。ありますが、農家の立場からいうならば、採算の合わない農業経営などできるわけはないのですから、これは最低赤字を出さない、できればずっと有利な条件をつくっていく、こういうことは農家の立場からすれば当然なわけです。そういう要求が今日農民の間から起こる。そうすると、政府は直接その原料価格の問題に取っ組もうとしないで、そしてこれは会社と交渉してきめなさいというふうにして会社にこれをまかしてしまう。会社の立場はどうかといえば、いま言うように原料が不足である、そうして交錯輸送というばかなことをやっておる。そうしてコストが高くついている。またいろいろな取引面においても、私はこれから一、二聞きたいと思うのですが、いろいろな点において農民をばかにするような、あたりまえなこと、もうわかり切ったことが実行に移されていかない。政府の責任においてこういうものはどんどんできることなんですからやればいいのですが、それをやらない。こういうことで政治に対する不信というもの——価格の問題ももちろんあるし、政府に対する不信という問題、それから実態に合わないいろいろな糖業政策の施策のやり方、こういうものに対する全体の悪い条件というものが悪循環してきて、にっちもさっちも動かないのだと私は思う。ですから、この原因がどこにあるかということをもっと——むずかしい問題ではないのですから、大臣、これは赤城大臣ならやれると思うのですが、いままでの経過における不合理、それから政府の責任、どこまでは政府で——大臣がかわったって、責任を負わなければならぬものは責任を負うということを明確にしなければ、政治の責任というものは明らかにならぬ。その上で、原料ビートの価格というものが、工場が出せる価格、工場が採算をとって不合理な条件の中で生産している、それをそこで払えるだけの価格を払えばそれ以上のことは知らないと、ほったらかしておくような形では私はいけないと思うのですが、その点については、どのようにお考えになっておりますか。
  115. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 生産者にいたしましても、かかるだけかかったのだからという最高の価格を補償するということも、これはむずかしかろうと思いますし、また製糖会社においても、合理化もしなければ何もしない、いまの輸送等におきましてもその一例、交錯輸送をしてよけいな金をかける、そういうものまでも買い上げのときに補償できるようなそういう価格でやれということは、これまた政府としての責任を全うするわではないと思います。そういう意味におきまして、いろいろ算出の方法、見方もありましょうけれども、私どもといたしましては、生産者に対しましては最低価格を補償するということで、最低価格の公示を早くしたい。またその後の情勢の変化により、あるいは会社の経営状況等も見まして、たとえば政府が砂糖を買い上げる場合、むだな費用まで見る必要はないのでございますから、そういうことも検討いたしまして、生産者からの原料買い入れ価格等におきましても、両者の話し合いが十分にいかない、あるいは話し合いの過程において不適当だというような場合には、指示価格といいますか、合理的な価格をきめて、それを勧告するというか、指示する、こういうことでいきたいと思います。でございますから、製糖業者等が、いかに自由経済下であるといいながら、合理化もしないでむだな金をかけたものを全部見てやろう、こういうような考えは持っておりません。ただ、岡者で話し合いというのは一つの制度でございますので、いま政府の専売というような制度でございませんので、その点はそういう基礎の上に立って、不合理といいますか、あるいは妥当でないような面ば、責任を持って是正していかなくちゃならない、こう考えております。
  116. 永井勝次郎

    ○永井分科員 大臣はもう少し国産ビートの糖業の実態について当局から話を聞いて、もう少し具体的に理解をする必要があると思います。理解をほんとうにされたら、赤城農林大臣としての糖業政策に取っ組む姿勢もできてくるし、どこまでは政府としてやるべきだ、どこから先は業者の責任において自由な経済の分野においてやるべきだ、行政の立ち入る限界である、経済で自由に活動する分野である、そしてその中において、砂糖の現在当面している実態の中で、税金の問題であるとか、金融の問題であるとか、価格の問題であるとか、あるいは原料生産における農業政策の分野の問題とか、こういうものは明確に分析されてきますから、その中で私は大臣がもっと理解をされる必要があると思います。交錯輸送にしても、それから原料の分量にしても、あるいは地域割りの問題にしても、これは何も業者が好んでやっておるのではなくて、政府の行政措置によって強制でこうやっているのですから、会社のほうとしたって迷惑千万な話です。そういう政府のやり方のまずさのしわ寄せを生産者である農民が受けて、会社としてはこれだけより払えないのだ、そのしわ寄せを原料生産者である農民が食っているのですから、これは私は自由主義経済の中における経済の姿ではないと思います。企業の形ではないと思う。何から何まで政府が容喙し、立ち入って、そしてその中でやりなさい、こう突っ放している問題ですから、この責任は私は政府にあると思います。  時間がございませんから、また農林委員会などでは甘味資源特別措置法の法案の審議もございますから、それらの領域において、私はなお、今度は時間に追い立てられないで質問をしたいと思っておりますが、一つお尋ねいたします。  いまの砂糖の原料価格は六千五百円と指示されたわけですが、これの基準になっているのが含糖率一三・五%、こうなっている。去年の製品の含糖率は、工場によってもいろいろ違いますが、大体どういうふうになっているか、含糖率を示していただきたい。
  117. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 事務当局から……。
  118. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 いまちょっと資料を探しておりますのですが、大体一四%ぐらいじゃなかろうかと思います。
  119. 永井勝次郎

    ○永井分科員 一四%以上あるわけですね。大臣、これは価格の問題ですから、パーセントその他の問題も、これは基準が一三・五%、基準でこれだけの価格ということになれば、一四・四、五%あるのじゃないかと思うのですが、少なくも平均して一%以上も含糖率が多くなっている、こういうふうに数字に明らかになったものは、これは当然払うべきものだと思うのですが、これはどうですか。
  120. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 それは当然そうなると思います。価格全体の決定のときにはどうかと思いますが、とにかく含糖率が多くなったときは、多く払うのはあたりまえだと思います。
  121. 永井勝次郎

    ○永井分科員 それは原料工場がそれを独占すべきものでなくて、一三・五%というのは、建て値ですから、その差額は生産者に、農民に還元すべきものと考えますが、大臣あとのほうの答弁があいまいでしたので、重ねて明確にしておきます。
  122. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私のあいまいというのは、最後の価格が去年とどれくらいになるかという場合に、これだけできまるのじゃない。しかし、この要素としての含糖率は一%上がった。一%のその中に含まれて上がっているものと思うのです。全体としてはこれだけでないから、それで一%去年より上がったということにはならないだろうということで、その含まれた率だけはその中に含まれて上がっています。上がるのがあたりまえだと思います。
  123. 永井勝次郎

    ○永井分科員 農林大臣、世界じゅうでビートの取引はみな含糖率で取引しているのです。日本だけです、目方で取引して台糖率をごまかしているのは。それを一二・五%、はっきり建て値にして取引しているのですから、その結果として、ほかの条件は同じです。よくなっても悪くなる条件はないと思います。そういうはっきり出た数字を、農民にそれはこうだああだと理由をつけてやるということは、ますます農民の不信を買うのです。私は、時間がありませんが、それじゃ指示価格がそればかりでないならば、一三・五%ととにかく表面に含糖率取引というものが出ないですから——世界じゅうで日本だけですよ、ごまかしてやっているのは。そういう点もわかることからずんずん明確にしていくべきだ。工場経営の立場だけで、そうして農民にそのしわ寄せをみんな持ってくる、そうして政府は景気のいいことだけ、でたらめなことを言ってやらしておいて、そのしりは、ちっとも政治の責任を負わない、こういうやり方ではいけない、この姿勢を直さなければこの糖業政策というものは進みませんよ。ことしあたり原料作付けはもっと減りますよ。私は警告するわけです。ですから今後、これは原料生産の面における農業技術の面、それから製糖工場における合理化の問題、合理化の問題はもっともっと——操業度が低いと思うのです。原料がもっとくればもっとコストが下がって、農民に払える分があると思うのです。それを非常に不合理な経営の状態にしておる。その差額というものは、政治の責任ですから、こういうことをやらしたのはその責任は政府が負うべきだ。無理なことを言っているのじゃない。そしてそれを政府がしょうのがいやなら早く原料生産して、フル操業して、そして合理的な国際的な操業基準に持っていって、工場の合理化によって農民にこたえていくという政治責任が、ここから明確に出てこなければだめだ。出たとこ勝負で不合理な経営をして、これだけは払えませんよ、そういうやり方はいけない。ですから合理化の面における製糖工場の合理化、これはきびしく推進してもらわなければいけない。それから価格の問題ですが、これは配分の問題があるのです。いまのように工場が吸収してしまって、そして残ったものだけを、その残りだけを農民に払うというような現在の組み立て、運用のしかた、指示価格の決定のしかた、こういうものはいけないと思います。それからただいま言った含糖率の取引、これは当然世界でやっているのですからやるべきです。それからこの欠減の問題、取引の内容にわたったものは非常な不信を農民感じておりますから、これらの点は技術的にできることですから、世界の各国がやっておることですから、これはすぐやるべきだ。さらに政府のほうとしては、関税の問題であるとか消費税の問題であるとか、あるいは流通分野における問題であるとか、そういった問題と、それから国際輸入糖における関連の問題とか、ずいぶんでたらめにやり過ぎてきた砂糖の政策というもの、これを交通整理をして、そうしてきちっとした体制に戻す、きちっとした体制を確立するということが、今日必要である。前向きでないのです。もう何年も過去において言っていることを、その場のがれにやって、そうしてますます現実を動かない状態にし、農民の不信を買う、そうして製糖工場の不安を助長していく、これが現在の糖業の実態だと思う。政府も責任を負わない。そういう点において赤城農林大臣はあまりわかっておらないようです。もう少し分析して理解をされまして、理解されたら、誠実な人でありますから、私は農林大臣はきちっとした糖業政策というものができる、こういうふうに確信をします。甘味資源特別措置法という法律、あんなものは空漠なものですから、これに内容を入れるということが、これからの行政の手腕だと思います。ひとつがんばってこれらの問題を是正していただきたい。時間がきましたから、これで……。
  124. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これにて永井勝次郎君の質疑は終了いたしました。  次に栗原俊夫君の質疑に移ります。栗原俊夫君。
  125. 栗原俊夫

    栗原分科員 時間を三十分という制約を受けましたので、土地改良の問題と園芸局関係の問題にしぼってお尋ねをしてみたいと思います。  まず最初に、大臣にお尋ねいたしますが、農業をうまく経営していく基盤農地の改良だというようなことで、現在農業基本法の中の構造改善事業の中でも土地改良というものが大黒柱になっておるようです。一方では土地改良法で土地改良をやっておる。いずれにいたしましても農民が全然ただというわけではなくて、農民の負担がかかるわけですが、農民負担は土地改良、特に水をほしいという土地改良の中で、農民がこれを渇望をしておるのですが、負担との関係にいろいろ問題があるわけです。今日の貨幣価値、こういう時点において一反歩どのくらいまで農民には負担でき、またこのくらいならば農民は当然やるべきだという何らか一つのものさしがあるだろうと思うのですが、大臣の御所見をまず承っておきたいと思います。
  126. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 一反歩でいま三万円だ、二万円だというような、一つの基準はなかなかむずかしかろうと思いますが、私は二十五年なら二十五年、長期低利の金をかけて、毎年その収益の中から払っていける、払ってなお残るそのパーセンテージはどれくらいということはまた問題でありましょうけれども、そういうようなところから計算していく以外にはないんじゃないか。一律的にはちょっと申し上げられないと思います。
  127. 栗原俊夫

    栗原分科員 時間がございませんので、端的に、具体的な問題でこれから農地局長と幾つか質問のやり取りをやり、最後に大臣の御判断をいただきたい、こう思うのですが、実は群馬に鏑川用水という国営の土地改良事業があるわけです。これはなかなか問題の国営の土地改良事業であって、すでに完成の時期が過ぎておるにもかかわらず、完成どころか今年になって計画変更、こういうことが行なわれて、いま計画変更の再調印、こういうことが行なわれようとしておるわけですが、なぜ予定年度内に完成できなかったのか、そしていまなぜ計画変更を行なわれようとしておるのか、この点について、時間がございませんから端的に、ひとつずばりとお答えを願いたいと思います。
  128. 丹羽雅次郎

    ○丹羽(雅)政府委員 御承知のとおり、鏑川地区は二十八年から調査を始めまして、三十三年に着工いたしまして、その後二年ほど工事を続けておりましたが、ストップをいたしました。そのストップのおもな原因は、当時の繭の値段の低下と、当初の食糧事情、食糧増産的な考え方との関係で進んでまいりましたものが、三十三、四を境にいたしまして、繭糸の価格の暴落を契機とし、さらにその後の好転を契機といたしまして、一つには田畑輪換の計画について、桑を残しておきたいという地元の御要望が変更を必要とする一つのポイントでございます。もう一つは、高崎市を中心といたします都市化の傾向から、地域の一部におきまして、脱退といいますか、そういう御要望が出てまいりました。それからもう一つは、御指摘のございました地元負担金、以上三点がこれにからみまして、計画変更の必要を生じたもの、さように考えます。
  129. 栗原俊夫

    栗原分科員 変更前の計画面積、これから変更して実施しようという計画面積、そして前回の反当の農民負担、変更後の反当農民負担、こういう経緯をひとつ御説明願いたいと思います。
  130. 丹羽雅次郎

    ○丹羽(雅)政府委員 当初は、水田に対します補水のほかに、田畑輪換を含めまして四千三百ヘクタールほどを受益面積として計画をいたしました。この事業の農民負担金は、いろいろ問題がございましたが、計画を決定いたします時点におきましては、大体三万五百円見当でこれを実行したい、こういうことでございます。   〔主査退席、仮谷主査代理着席〕  現在計画は、農林省が県と相談をいたしまして一応素案をつくりまして、御相談中の段階でございますが、計画面積といたしましては二千六百ヘクタール程度に縮めます。負担は、三十三年当時とは物価がだいぶ上がっておりますので、三万五百円のお話に、その後の物価の上昇程度を加味する程度に何とかとめる方法はないか。そういうことで、目下、県を入れまして、関係市町村にも入っていただきまして御相談中であります。
  131. 栗原俊夫

    栗原分科員 この計画変更ですが、計画変更をいま再調印によって決定しようとしておるわけですが、これは臨み方が二色あると思うのです。農民ほんとうに自由な判断によって答えが出て、法の規定するだけの数字が得られなければこれでやめてもいい、こういう考え方なのか。計画変更することによって、まあことばは少しオーバーになるかしれませんが、しゃにむにやれる態勢をつくり出そうという態度で臨んでおるのか。その辺はなかなか重大なところなので、これは局長にお答えしてもらって、その確認を大臣にしていただきたいと思います。
  132. 丹羽雅次郎

    ○丹羽(雅)政府委員 この地区は、先生よく御存じのとおり、もともと水田が総体的に非常に少ない、それから桑を中心にしてまいったところでございまして、何とか伸びていく立場におきましてこの事業をやりたいというので、当初は全く下から盛り上がった御要望だと私存じております。ただ、いま申しました負担の問題なり桑の問題をめぐりまして、いろいろの問題が起きたわけでございます。土地改良事業というものの意味がやはり当地区にはあると私思います。ただ、やり方につきまして、桑を引っこ抜いて一斉に田畑輪換をやるとか、あるいはコストの面で相当無理な計画といいますか、理想的な計画をつくりましたために、コスト面で非常にかかっておる。したがって、そういう点を調整いたしまして、地元、県その他の御要望と納得がいくならば、この地区の事業は、せっかく手をつけました地区でございますから、進めてまいりたい。もちろん土地改良事業は、地元の申請によって行なう精神の上に立っておりますので、地元がやらないというのを国がやるという考え、強制する考えは毛頭ございません。
  133. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 この地区の話を聞いただけで、私現地を見ておりませんが、設計変更してやっていけるなら、やったほうがいいのではないか。桑も、やはり一つの桑畑として存置するならするという設計変更の方法もあろうと思います。しゃにむに押し切るというような気持ちはございません。いまのお話のように、農民の自由な判断に基づくことは必要ですが、私は、手をかけたようなところは、おそかれ早かれこれはどうしてもやらざるを得ないような個所だと思うのです。ですから、こういう機会に、せっかく国営として始まったときならば、設計変更が適当であり、また無理やりのものでなければ私は進んでいきたい、こう考えております。
  134. 栗原俊夫

    栗原分科員 内容的には後ほどいま少しくこちらからも説明して、大臣の判断を受けたいのですが、そこで、計画変更の手続ですけれども土地改良法の八十七条の三でやる、こういうことが地元では言われておるわけです。そこでこの八十七条の三の解釈ですが、この中で署名をとる人たちの問題です。それはどういうことかというと、いままで計画しておったのをここでは縮小するわけです。ここに書いてあるのは、カッコをして、土地の広くなった場合には新たに広くなったものも当然入ると特に付記してあるのですが、縮小したときのことが書いてないために、地元で疑義が起こっておるわけです。そこで、計画変更する土地が縮小になる、縮小になる立場の人は、つまり除外してもらう立場の人は、除外してもらおうということを要求して除外してもらうのだから、除外するという案件については一〇〇%賛成するわけです。こういうものまで入れて三分の二をとればいいというのが現地における出先当局の指導方針なのです。ぼくらの解釈は、それは違う、これからやろうという、ほんとうに今後施行するという計画受益面積の中の人たちが、それだけ負担があってもやるのだ、こういう人が三分の二以上いないと、抜ける者、そういう人も入れて三分の二以上署名があったのだからこの計画変更は成立したのだ、こういう行き方をすると、これはたいへんなことが起こる。私も、むろん営農には水がなくちゃならぬ、たんぼばかりじゃない、畑地灌水も水が大事なのだということで推進してきた一人なのだけれども、率直に言って、昨今の農産物価格の問題と負担の関係で、行き詰まっておるわけです。  いま一つ農民が非常に錯覚を持っておったことは、一町五反を持っておって五反を水田にしたい、水がくる、開田をする、けっこうだ、これは賛成の手を上げる、それは五反歩だけ負担すればいい、こういうふうに思い込んでいる。ところが実際法律からいくと、受益面積は一町五反全部均等の負担金を負わなければならぬ。それがわかってくると、そういうつもりじゃなかった、こういうことになってくる。今日までの土地改良は、実際は金額があまり張らなかったから、実際に開田した人たちが少しは高くかかっても、おれたちが持とうということで行き切ったけれども、今日は特に国営のような広大な面積になってくると、これがなかなかやり切れない。こういうところも十分教えて、しかも具体的に施行する地域の人たちの三分の二以上の署名がとれぬというと、これは事業遂行上必ず壁にぶち当たる。どこでも、あちらこちらでぶち当たっている。こういうことを十分教えずに、土地改良にはこういうことがあるのだがいいか、ここまでだめを押さずに、いいところだけ教えて判こを押させて、そうしてあとからえらいことがわかってくる。えらいことといっても、当然な法的な問題なのだけれども。そこで、そんなことならば、とこういう問題になっているので、いろいろ問題があるのですが、この八十七条の三の一項に「係る地域」というのは、計画変更で施行する受益面積の地域なのか、あるいはすでに計画されておって、今回変更されて落ちる部分もまぜて、今度は諸君のほうはやめるんだから、やめることについてもやはり判こをとらなければだめなんだという解釈をなさるのか、その辺はどちらになるでしょうか。
  135. 丹羽雅次郎

    ○丹羽(雅)政府委員 当初ある地域を定めまして計画を立てて、所定の手続をとったものでございますから、計画を変更する場合に、当初参加された方々が対象になることは当然なんです。そこで、御質問の三分の二の問題でございます。われわれ長い間土地改良事業をやってまいりまして、やはり地元の同意が相当いっているものでないと、着工後非常にトラブルが起こる。これはあちらこちらにございますので、現在の考え方といたしましては、三分の二がとれればいいというような考え方でなく、もっと多数の同意がとれるまで話し合いを続けさせておるわけであります。いま御指摘の問題は、法の解釈の問題もさることながら、当然この計画を切る部分のやめる方々がやめることは同意するという意味において、全体の三分の二以上要ることは当然だ。同時に運営の態度といたしましては、これから負担金をもってやろうという方々の三分の二以上の同意をもって取り進めることが当然であろう、かように存じております。
  136. 栗原俊夫

    栗原分科員 再確認いたしますが、除外をする。すでに計画して進行させてきたものをやめて除外させるんだから、もちろん同意もとらなければならぬが、新規に施工する区域の中で、そこで三分の二以上がなければならぬ、こういう御理解でやるということでございますね。
  137. 丹羽雅次郎

    ○丹羽(雅)政府委員 そういうふうに考えたいと思います。
  138. 栗原俊夫

    栗原分科員 そこで、この事業は内容をいろいろ農地局長も聞いておられると思いますが、補給水の負担金というようなものも、既開発のたんぼにはあるわけなんですが、現実には補給水を必要としないたんぼが相当たくさんあるそこでそうしたところは、金をかけるのならばわれわれは参加しない。こういう態度をとっておるわけなんですが、既開発の水田では、特に国営部分についてはお金はいただかなくてもいい、こういうことになるわけです。そういうことになれば勢い残った新規開田に負担がしわ寄せになる。それでは高くなり過ぎていろいろ問題が起こるからということで、関係町村からかなり莫大な金を負担させよう。こういうことで、聞くところによれば、関係市町村で二億五千万円ほどひとつ出させようという計画を立てる。ところが一方町村の中では、政府のほうから、農林省のほうから言うてきたんだからといって、するするといったところもありますが、二カ所ばかり、そうはなかなかいかないよ、こういうような形で留保されておるところもある。もちろん地方自治体がその住民のために金を出すのですから、観念的には悪いことではないと思いますけれども、言うならば、一つ町村で数千万円というものを、国営事業の仕事に、農民負担分として肩がわりをしてしょい出すというようなあり方が、はたしていいのかどうか、たまたま一カ所くらい出たといたしましても、そういうあり方がいいのかどうか、こういうことが論議されなければならぬと思うのです。私はこういうあり方は、やはり先ほど冒頭に農林大臣にもお聞きしたのですが、農民の負担というものにおのずから限度がある。その部分については町村で払うんだからいいではないかといえば、それも一つの議論かもしれませんけれども、少なくとも国営の分については、国並びに県がこれをしょって立つというような姿に、土地改良に対する当局の考え方が改まっていって制度化されていかないと、これはいい仕事をしてやりながら、必ず壁にぶち当たる。第一線で苦労しておる者が犠牲を払いながら先頭に立って、最後には全く悪口を言われて、いてもたってもおられなかったというようなことになるわけですが、この点についての基本的な考え方をお聞かせ願いたい、このように思います。
  139. 丹羽雅次郎

    ○丹羽(雅)政府委員 大臣からお答え願う前に、私からお答え申し上げます。  事柄の当然として、市町村が負担してやればいいということは毛頭考えておりません。いろいろな経過で非常にむずかしくなった地区でございますから、関係の数カ所の市または町が、この際金を出し合ってでも、農民の負担を上げずに計画を変更して、この計画を取り進めたいというお立場で問題の解決にあたられて、幸い皆様方の意見の一致を見て、これが取り進められるならば、これはけっこうなことと存じておるわけでありますが、事柄の当然として、土地改良事業はそういう形でやっていくべきものとは毛頭考えておりません。  なお、関係市町村の状態につきましては、私どもの承知いたしておりますところでは、もちろん市町村の議会にかけて——いま二つばかり問題があるということでございましたが、一つ残りまして、その一つも大体議会を通るであろう、情報としてはかように承知いたしております。
  140. 栗原俊夫

    栗原分科員 私は、こういう事業をやることには反対ではないのです。ただ問題は、やはりやるについては関係農民ほんとうに腹の底まで納得して、一緒になってやる、こういう姿でないと、なかなか問題である。そうして今日まで幾多——鏑川国営、それから碓氷県営、どうもいろいろ地元にたくさんぶち当たっておりまして、先達をつとめる人が苦労されながら、しかも農民から恨まれるというような立場に立つ、こういうことではならぬと思う。やはり仕事の初めに先頭に立つ者が、最後まで——最後には碑の一本くらい建ててもらえるような姿の中で進めてもらいたい、このように思います。したがって、この再調印につきましても、何がなんでも始めた仕事なのだからやるということでなくて、もちろんわからないでいやがっている場面もときにはありますから、こういう場面は徹底的にわれわれも説得もします。真実も知らせます。そうしてその上でそれならやろうという立ち上がりの中でひとつ進行さしていただきたい、このように心からお願いする次第です。  それからいま一つ、群馬にやはり国営でありましたが今度水公団に移した群馬用水というような大きなのがあるのですが、これらにつきましても、やはり受益面積の一つ一つが全部負担金をしょうのだというようなことを、十分納得させた上で取りまとめが進められておるかどうか、それらの実態を——この鏑川用水はどういうのかというと、当初国から金がきて、県からも金がきて、農民諸君は、冬のひまなときにほんとうに肩だけ貸せば銭は一文も出さぬでいいのだ、だから判こを押しな、こういうことでみな判を押したのであります。ですから、群馬用水ももちろんそんなことで出発すれば、これは相手が県の仕事あるいは国の仕事というような形でなくて、水公団という県、国よりももっとそろばんをがっちり握った立場で執行してきますから、正面衝突して血を見るようなことになりますよ。仕事はやったわ、銭はこぬわ、差し押えだということがばんばん出てくれば、これはえらいことになりますので、これは十分注意してもらいたいと思うのですが、その実情を伺っておきたいと思います。
  141. 丹羽雅次郎

    ○丹羽(雅)政府委員 群馬用水につきましては、昨年の十月に農林大臣から実施方針の指示をいたしまして、いま公団で実施計画を作成中でございます。二月の末ごろまでかかるだろうと思うわけでございますが、御承知のとおり水公団法でも、土地改良法の精神を引き継ぎまして、負担の伴う場合には、その受益農民の三分の二以上の同意をとる規定が入っております。したがって、当然土地改良法の運営と同じ姿勢、同じ精神で、この同意をとった上で取り進めることには変わりございません。現に印旛沼につきまして、公団も非常に努力をいたしまして、時間をかけて説得を重ねまして、同意をとって仕事に手をつけた次第でございます。群馬用水はこれからでございますが、公団も十分理解をいたしておりますが、私ども土地改良事業の本質は、先ほど来お話のありましたとおりの性格の事業でございますので、御指摘のような考え方に立ってやりたい、かように思っております。
  142. 栗原俊夫

    栗原分科員 農民にとっては水を使った土地改良というのは実際ぜひとも必要なことでありますから、それについて経費の問題等も十分考えつつ、しかも農民に負担させる、あとから銭をとる仕事でありますから、そのときになって問題の起こらぬように、事前に十分理解をさして、ひとつ間違いのない円滑な運営をしていただくように、心から希望いたします。   〔仮谷主査代理退席、主査着席〕  次に、園芸局関係の問題について、時間もございませんから少しくお伺いしたいと思います。  それは、群馬の出身でございますから、いつも出てくるコンニャク問題なのですが、まず大臣にお伺いいたします。これは前の大臣にお伺いして確認をしてきた一つの行き方があるわけです。それはコンニャクの方向をどのような姿勢でやるか——私はいつも時の農林大臣に、コンニャクは嗜好物だ、なければ生きていけないという食物とは違うから、高くなって高過ぎるといえば、これは食わずにおればいいんだ。ところが一方安くなり過ぎたときに、安ければほかのものをつくったらいいではないかと言われても、率直に言うと、コンニャク生産農民というのは、御承知の傾斜地あるいは砂れき土、こういうところがコンニャクの主生産地を形成しておるので、他のものに転作しろといってもできない。そしてまたこれが一年草でなくて三年がかりのしろものであって、ちょっと値が下がってかわろうと思ってもかわれない。こういう品物だから、コンニャク政策というものの大黒柱は、少なくともコンニャク生産農民がぜいたくはできないまでも食っていけるという価格制度を持っていくのが、コンニャクに対する基本的な態度でなくてはならぬのではないか、全くそうだ。こういう形で歴代の農林大臣に御了承願ってやってきたわけです。たまたまそういう中から、したがって外産コンニャクについては、何も入れなくてもいいではないか、こういう形できたわけなんですが、昨年はコンニャクの輸入も許可されて、あとから局長にいろいろその後の情勢をお聞きしたいと思うのですが、問題も起こっております。農林大臣のコンニャクに対する基本的なものの考え方を、ひとつお伺いしておきたいと存じます。
  143. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまお話しのとおりだと思います。生活必需品というものでもございませんが、しかし、作物の転換ということが非常に困難である。それから多年生でございますし、生産地も局限されておるような状況でございます。そういう事情で、業者の団体ができているようでございますが、そういう団体で安定帯価格等を設けて価格を支持していく、こういうことが必要であります。また非常に都会的な嗜好品ではないけれども、輸入するという場合もあり得るのでございますが、暮れなどに非常に需要がふえるような時期もございます。そういうこともあり得ると思いますが、要するに、価格につきましての問題、生産状況等、いまお話しのような方針を私もとっていきたいと思います。
  144. 栗原俊夫

    栗原分科員 昨年六月ですか七月ですか、七百五十トンほどの輸入が許可になったようでありますが、その後三百トン足らず輸入されて、それがストップになっておった。ところがまたまた時期はずれに残りの三百六十トンの輸入が進行されたというか、その辺のいきさつはよくわかりませんけれども一般では、特に産地では新たに許可されたというような宣伝、受け取り方がされて、かなり混乱が起こったので、そうではなくて、これは七百五十トンの残りが云々されたのだろう、実はこう説明しておいたのですが、七百五十トン輸入のいきさつとその後の動き等について、時間もございませんから概略御説明願いたいと思います。
  145. 酒折武弘

    ○酒折政府委員 昨年の五月に七百五十トン、これは荒粉でございますが、これの外貨割り当てを行ないました。実はこれは当初、できるだけ早くということで、八月ごろまでに入れる予定でおりました。ところが、向こうのインドネシア側の体制がなかなか整備しないという関係でおくれまして、秋までかかりましたけれども、最終的には七百二十トン入っております。精粉換算約三百トン、これは精粉にいたしましてもうすでに末端のほうに配給済みでございます。
  146. 栗原俊夫

    栗原分科員 荒粉七百二十トン入って、精粉換算三百トン、そしてこれはすでに精粉になって市中へ出回っておるわけですか。
  147. 酒折武弘

    ○酒折政府委員 もうほとんど大部分のものは末端まで行っております。
  148. 栗原俊夫

    栗原分科員 聞くところによると、三者構成でやったこんにゃく協会ですか、こんにゃく協会は精粉六万円の単価で売り出すということだそうでありますが、こういう線からはじき出された荒粉、そしてなま玉、こういうものに換算して一応の相場の見通しはつくわけです。コンニャク生産農民は、できふできの年によっていろいろと収入に変化はありましょうけれども、大体コンニャクの荒玉はどのくらいだったら、いま特に農産物でいわれておる生産費・所得補償方式に基づく価格というものが見られるのでしょうか。計算なさったことはおありですか。
  149. 酒折武弘

    ○酒折政府委員 コンニャクイモの原価計算というのはまことにむずかしいのでございまして、われわれも正確なところはわからぬのでありますが、ただ現在、先ほど大臣からもお話しいたしましたように、協会のほうで精粉四十キロ当たり五万円ないし七万五千円程度が適当ではなかろうか、生産者の立場も考え、また消費者の立場も考えまして、その辺が適当ではなかろうかというふうな考え方になっておりますが、われわれも過去の価格の推移等を見まして、この辺のところで安定しておれば大体関係者皆さんに御満足が得られるのではないか、そう考えております。
  150. 栗原俊夫

    栗原分科員 昨年七百五十トンの荒粉輸入を許して、すでに七百二十トンが輸入済み、残が三十トンあるわけですが、これは輸入権が継続されるのかどうかわかりませんけれども、輸入ということについて、もちろん価格がべらぼうな暴騰をすればまた考えるということもありましょうけれども、今年の展望について——これはそういうことを言えば市場にいろいろと影響もきついのでというような考え方に立つかもしれませんけれども農民にとってみれば、輸入されるかされぬかということは容易ならざる問題です。いまこの七百五十トンの粉が出回るという中で、率直に言って、新聞にも出ておるとおり、精粉の売買取引全くなしというのが現状です。値を下げて取引がないのですよ。全然建て値が立っておりません。あるとしてもノミナルです。そういう形で、実際を言うと、五十億金があればコンニャク相場を支配できるというような悪口も言っておるのですが、下仁田相場が立つ。そして全く供給と需要との関係とは別に相場がのして歩くというような実態があるわけです。こういう点などもよく局長のほうでも調べていただいて善処していただきたいと思うのですが、今年の展望はいかがでございますか。
  151. 酒折武弘

    ○酒折政府委員 その前に、いま御指摘の点で、私の考え方をちょっと申し上げたいのでございますが、御指摘のとおり、どうもコンニャクの相場は異常な変動をいたしまして、しかもデマに惑わされるというようなことが往々にしてあるわけであります。そこで、今後はこのこんにゃく協会を通しまして、そういう間違った情報が入らないように最善の努力をしたいと思います。  それから、今後の見通しの問題でございますけれども、現在こんにゃく協会で来年度の需要供給の関係の調査をやっております。まだその結論が出ておりませんけれども、ただ概括的に申しますと、来年度全然輸入しないとすれば、また価格が八万円なり九万円まで上がるというふうな可能性は十分あるのではないかというふうに考えております。
  152. 栗原俊夫

    栗原分科員 時間がございませんので、これでおしまいにしますが、所得倍増ということを強く池田政府がやっておる。農村の中がコンニャクづくりでたまたま所得倍増になりかかってきたら外産輸入だというのでばさりとたたかれる。百姓には倍増は許されないのか、こういうことを率直に言っているのですよ。これはコンニャクばかりでなく、あとで農林委員会で大臣にも少しくいろいろお教えをいただきたいと思うのですが、そういうことで、単にいわゆる粉屋、練り屋が少し値が高いからこれをすぐ入れろということに耳を傾けずに、やはり所得倍増が農民にも及ぶ、農業基本法の精神にのっとって、ある程度はやはり大きな腹で見てやらぬと、どうにもならぬと思う。この点だけよくお願いを申し上げて私のこの場の質問を終わりたいと思います。
  153. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これにて栗原俊夫君の質疑は終わりました。  次は田口誠治君の質疑に入ります。田口誠治君。
  154. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それでは時間がありませんので単刀直入にお伺いいたしますので、そのようにお答えをいただきたいと思います。  食糧事務所の関係をお伺いしたいと思うのですが、今度食糧事務所を統廃合するという合理化案が出されておりまして、昭和四十年までに完全に実行したいというお考え方なんですが、それはそのとおりやられるのですか。
  155. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 食糧事務所というのは農林省の出張所ですが、全国で三千三百五十一カ所あるわけでございます。その後町村合併等がありまして、必ずしも出張所の配置が適正でない、あるいはその後の事情で出張所の職員がたった一人しかいない、所長一人というようなところもありますので、そこで今後集荷事情あるいはその町村の事情等もにらみ合わせまして合理的な適正な配置を考えてまいりたい。それに応じて統廃合も行なってまいりたいというように考えております。何年計画でどういうふうにやっていくのだということについては、むしろその地方地方の実情に合わせてやってまいりたい、こういうふうなことで現在考えております。
  156. 田口誠治

    田口(誠)分科員 私はここにある全農林通信で内容を見せてもらっておるのですが、これは年次計画ははっきりしておるようですし、それから各県とも事務所数がどれだけあるのをどれだけに減らすのだということもはっきりしておるのですが、おそらくここに書かれておるのは、あなたのほうで計画されておる内容と相違がないと思うのです。それでこのように合理化をしたいのだが、ただ何年に終了するのかということについてのみわからぬ、こういうことなんですか。
  157. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 ただいま申し上げましたように、出張所の三千三百五十一の中で、現在員が一名というところが百三十七カ所ばかりあります。あるいは二名というのが四百五十というような事情で、だいぶその後の事情が変わってまいったわけでございます。そこで、これらの出張所につきましての適正な配置を考えてまいりたいと考えておりますが、年次を何年でどういうふうにするかということにつきましては、おおむね五年間くらいということを考えておりますけれども、それぞれの地域における事情もありますので、無理のないようなやり方をしていかなければならぬ、こう思っております。
  158. 田口誠治

    田口(誠)分科員 出張所長一人というところもある、二人というところもあるということでございますので、常識的に考えまして、そういうような案が出されるということも、これは考えられると思いまするが、これは手をつけられるのは大体何名くらいまでのところを手をつけられるのですか。
  159. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 いま申しましたような人数の面におきまして、出張所が非常に零細で十分機能が発揮できない、むしろほかの出張所につけてやったほうがより合理的ではないかというようなところであるとか、さらにまた、町村合併に伴いまして、人数はあるけれども、しかし同じ町村の中に出張所が三つも四つもあるということで、農協あるいは市町村あたりから非常に統合してもらいたいというようなところもありますので、必ずしも人数によって統合をきめていくという考え方ではなくして、そういう事情も入れまして、いま各府県の食糧事務所から出張所の統廃合につきましての考え方なり、あるいはどういうふうにやれば一番合理的であるかというような資料を取りまして、それに基づいて進めてまいりたいというふうに考えております。したがって、何名以下のものは全部落とすとかいうような考え方では必ずしもございません。
  160. 田口誠治

    田口(誠)分科員 三千三百五十一出張所がありまして、それでおよそどの程度にするのかということはわかるでしょう。全然わからないのですか。
  161. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 いまちょっとその数字を記憶いたしておりませんので、後ほどおおよそどのくらいかということにつきましてお知らせいたしたいと思います。
  162. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それでは私は全国的なことを言わずに、私の県の関係の、ここに数字の書いてあるのを申し上げますが、現在は百七、それが今度六十二になって、四十五廃統合される、こういうことです。まあ、はっきり数字をいまのところで出していただけなければ聞くわけにはいきませんので、それはどなたか電話でもかけていただけば、私の質問しておる三十分以内でわかることかわからないことか、どうなんですか。
  163. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 全国ではおおよそ四百五十くらいを統廃合の対象にしておる、こういうふうに考えております。
  164. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そこで当面、これは私は各県とも調べておりませんので、各県の模様を申し上げることはできませんけれども、当面岐阜では百七あるところで、まず六十二にするという作業が進んでおるらしいのですが、これは進めておるかもわかりませんが、そこで従業員の方はそれぞれ配置転換がこれは可能であるわけなんですが、ただ一人の従業員の所長さんでも、二人の従業員の所長さんでも、七人の従業員の所長さんでも、所長さんは所長さんなんですが、所長さんは、廃統合した場合に所長補佐という役職をつけてどこかの出張所に勤務してもらう、こういうことになっておるらしいのです。したがってそうなりますると、この所長補佐という役職は、これはもう人事院で正式に認められた役職でもあり、これは異論はございませんが、ただ所長補佐を置く場合には、七名以上の職員が在職しておるところに補佐一名を置くというのが人事院で認められておる数だと思うのです。そうなりますると、今度廃統合されて何年か後に、岐阜県の場合なら四十五人の方々はどこかの所長補佐ということになりまするが、そうすると人事院で認めておる定員外のものができるわけなんです。こういう点の取り扱いについて何か構想はあるのですか。
  165. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 いまお話しになりましたことで若干誤解があるように思いますが、この統廃合によって人員が整理されるというようなことは考えておりません。したがって、すべて定員内における措置の問題でございますので、職員のいままでの給与の関係、あるいは身分の関係等につきまして不利益のないような処置をとりたいという考え方をとっておりますが、いまお話しになりましたのは、人事院の出張所長の補佐を置く場合に、これは大体六等級になっておりますが、六等級の格づけされた人員の配分を受けておるわけです。その際に、所長補佐というのを置くたてまえの計算の基礎としては、七人に一人というようなことで六等級の格づけを受けた所長補佐を置くことにいたしておりますが、先ほど来申し上げましたように、事務所全体のより効率的な運用の仕方、あるいは適正な規模と適正な配置ということを考えてやりますと、必ずしも七名というふうには限定いたしておりません。  それから出張所長で所長補佐になる場合もありますけれども、いずれも六等級であります。これは、三十九年度全体としては相当大幅に六等級の人数をとりましたので、いまお話しになりましたような、つまり定員外にはみ出てくる、六等級の格づけ外にはみ出てくる、こういうことは絶対にないと思います。
  166. 田口誠治

    田口(誠)分科員 私も今度の統廃合の合理化案は、職員の整理をされるというようには解釈はしておりませんが、ただ一番取り扱いのしにくいのは、所長さんの取り扱いなんです。それで所長さんはどこへ行くかということになるのですね。それでどういう役をつけるかということになる。したがって、いま考えられておることは、所長補佐という役職で統廃合されたどこかの出張所に勤務される、こういうことになるのです。そうなりますると、いまの六等級云々というその等級の面では、これは私は別に何も疑義をはさみませんけれども、所長補佐というのは、人事院の認めておるところでは、七名以上の職員がいるところに所長補佐というものを置くのだというようになっておるから、今度廃統合された場合には、この七名以上というところばかりではない。それは五名、六名というところがある。そうすると、これはどういう名前をつけておるのか。いま労働組合なんかでは、俗に出張所長補佐というような言い方をして、名前をつけておるのですが、この出張所長さんの身分の取り扱いが明確でないので、その点をお聞きしておるのですから、これにしぼってひとつ答えていただきたいと思います。
  167. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 出張所長の待遇につきましても、これはほとんど全部六等級になっておるわけであります。したがって、出張所長補佐ということになりましても、待遇上においては何ら変わりはないわけでございます。それから、いまお話しになりましたが、七人でなければ置けないということにはいたしておりません。七人単位で定数の配分を受けておりますけれども、現実に置く場合には、五人程度でも置くことについては差しつかえないということで、むしろ実情に合わせて配分をしたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  168. 田口誠治

    田口(誠)分科員 その点わかりました。そうしますと、七名以上の職員のいるところでないと、正式の所長補佐というものは置けないというように人事院で規制されておると私は解釈をして質問をしましたけれども、そうではなしに、これは七名に一名の割りで所長補佐というものを設けようという一つのワクがあるだけで、六名のところに所長補佐を置いても、これはりっぱな所長補佐という役職名には変わりはないし、待遇改善、昇給等の場合に、普通の所長補佐の場合と、今度廃統合で七名以下のところへ所長補佐で行かれた方も、そうした待遇の関係は何ら差別をつけない、こういうように受け取ってよろしゅうございますか。
  169. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 大体お話のような考え方で対処しておるつもりでございます。六名のところにも、必要に応じて所長補佐を置くというふうに考えております。ただ、予算配分の基準だからということだけで、それじゃ一人でも二人でもというようなわけにはあるいはいかないと思いますが、必ずしも七名ということにはこだわらないで、実情に合わせて配置していこう、こういうふうな考え方でおります。
  170. 田口誠治

    田口(誠)分科員 公務員の場合には、人事院でワクというものが相当設けられてくるわけです。それでことばのニュアンスでは、七名以上の職員のいるところには補佐が一名置けるんだ、こういうように人事院が認めておるのだ、私はこういう見方をしましたけれども、あなたのほうでは、そうではなしに、七名に一名の割りで補佐をつくるという定員ができておるのだ、こういうようなお答えなんですね。違いますか。
  171. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 予算の要求としては、そういう形で要求いたしたわけであります。だから、大体そういうものが基準になっております。しかし、実際に七名以上でなければ絶対に置かないのかというと、そういう考え方はとっておりません。六名の場合においても置き得る場合があり得る、こう御了解願いたいと思います。
  172. 田口誠治

    田口(誠)分科員 あなたのほうではとっておりませんと断言されても、人事院のほうで所長補佐というものは七名以上のところでなければ置けないのだというように規定づけられたら困るから、私はそれを言っておるのだし、そういう規定づけは絶対にないかどうかということなんです。どうもお答えの中に、何かはっきりしておってちょっとぼやけたようなところがある、その点をはっきりしてもらいたい。
  173. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 この出張所長補佐をどういう程度に置くかということにつきましては、もちろん人事院との協議になりますけれども、組織規定上は食糧庁長官の権限に属しておりまので、いま答弁いたしましたような趣旨で運用してまいりたい、こう考えております。
  174. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そうすると、私の質問の順序からいきますと、要はきょう、ただいまのようなお答えがあった場合には人事院と御相談になって、そうして七名以下のところでも所長補佐を置くことができるのだという、そういう内約はあるのだし、そうして長官の権限の範囲内のものだからまかしておけ、こう答えてもらいたいのだけれども、まだ人事院とのそういうような約束はされておらないと思うのですが、これは全然そういう約束なしで長官のほうで断言されても間違いございませんですか、それは信用しておいてもよろしいですか。
  175. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 所長補佐の定数というのは、先ほど来申し上げましたように、これは人事院とはっきり協議して、そうして配分を受けるわけですから、これをこえて所長補佐を置くというわけにはいきません。しかし、七人か六人か、これは運用の配分の問題ですから、先ほど来申し上げているように、絶対に七名以上でなければならないというようにわれわれは考えておりません。
  176. 田口誠治

    田口(誠)分科員 ただいま私の質問申し上げておるようなことになっており、またなる場合には、本庁のほうからこうせよ、こういう指示なのか、出先機関の事務所長がそういうような便法を講じておるのか、この点もやはりはっきりしてもらわないと、別に長官のほうから、そういう指示がないのに下部のほうで、まあ所長が一人浮いたのだから、この出張所へ行って所長補佐をやれということでやっておってもらっては困るので、この点は本庁からの拘束力のある指示なのかどうか、これをやはり明確にしていただきたいと思うのです。
  177. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 先ほど来申し上げましたように、出張所の具体的な配置統合につきましては、各事務所から本庁のほうに、こういう計画で進めたいという打ち合わせがあるわけであります。したがって、当然その際、従来の所長だった者をどこに配置すべきかというようなことについては、直接的には食糧事務所長が当たるわけでありますが、食糧事務所長と本庁とで十分協議した上で、それではどこにどう配置するか、こういうことを具体的にきめてまいるわけであります。したがって、指示というわけではありません。事務所長と協議してきめてまいる、こういうたてまえをとっております。
  178. 田口誠治

    田口(誠)分科員 事務所長と長官が協議されて、そしてここへ所長補佐として勤務させよ、こう話がついた場合に、それをそのまま実施した場合には、これはただいまの答弁の中ではまだぼやけておりますけれども、七名以下の出張所でも所長補佐としての資格は七名以上と対等である、こういうように判断してよろしいですか。六等級の場合ですね等級が違えば別ですけれども
  179. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 そのとおりでございます。
  180. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そうしますと、これをこれからお進めになるのに、現地のほうでは、ただいま私が申し上げたようなことを組合のほうからいろいろただしても、自信を持った明確な答弁がないらしいのです。ということは、本庁との話し合いがはっきりしてないのじゃないかというように私らのほうでは判断したので、そういう点をくどくお聞きをしたのですが、これは昇給の場合でもその他労働条件の場合も、やはり七人以下の所長補佐もりっぱな所長補佐として待遇は対等に取り扱うのだということと、もう一つは、人事院が一つの定員のめどを七人以上の出張所に一人という認め方をしておるのであって、この点はやはり長官が責任を持って人事院と話をつけられるかどうか、くどいようですけれども、これをもう一ぺん答弁していただきたいと思います。
  181. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 たびたび念を押されるようでありますが、先ほど申したとおり、百六十名という定数は、これはこえてやるわけにまいりませんけれども、運営の面につきましては、食糧庁長官の権限においてできるわけであります。いま御質問になりました点につきましては、食糧事務所を通じていろいろ指示しておりまして、何らの懸念はない、こう考えております。
  182. 田口誠治

    田口(誠)分科員 ただいまのところは七人以上の職員のいるところとして百六十名という人数になっておるのですね。そうしますと、今度統廃合しまして所長補佐がたくさんできるわけなんです。岐阜県でも四十五名余分にできるわけなんです。そうすると、百六十名のワクをこしてはいけないが云々というところがちょっと受け取りにくいのですが、これは長官でなくても、局長さんでもどなたでもよろしいです。私がのみ込めればいいのですから、ひとつはっきりしてもらいたいと思います。
  183. 筒井敬一

    ○筒井説明員 出張所長補佐でございますが、先ほどちょっと長官が六等となにを一緒にされましたので、三十九年度は二百六十七人ということに相なっております。したがいまして、この二百六十七名をどういうように配置するかということにつきましては、先ほど長官から話しましたように、できるだけ大きな出張所に一人の補佐を必要とするというような考え方でこの人間が配置されてくるわけでございますけれども、先ほど来お話しのように、統合した、しかしなかなか家から離れられないというような所長もあるかもしれませんので、七人以上のところへ転勤しろといったってできないような、そういう特殊な方々もあろうかと思います。そういう事情も考えまして、算定の基礎としては、七人くらいの出張所に一人の補佐を置くということにしておりますけれども、運用の面につきましては、それ以下であっても、あるいはそれ以上であっても差しつかえないということにいたしておるわけでございます。
  184. 田口誠治

    田口(誠)分科員 先ほど御答弁のありましたように、廃統合される出張所は四百五十であります。そうなりますると、所長さんが四百五十名浮くということになる。そうすると、この浮いた四百五十名の所長さんは所長補佐になる。ところが人事院のほうから一つのめどとして出ておるものは百六十名ということですね。ここらのところが安心できるようで安心できない。これはまかしておけ、私の権限にあると言われたとて、これは人事院というものもありまするし、なかなか員数が——五人や六人の差のものならいいけれども、百六十人認められておるものに、今度は四百五十名所長さんが浮いてきて、所長補佐になるというのだから、なかなか言われるようなぐあいにはならぬのじゃないかという疑念があるので、私はこの点をくどく言っておるのですが、こう言っておるうちに三十分はたってまいりますから、もう少し単刀直入にやってもらえぬですか。その点はまだ考慮中なら考慮中でもいいですよ。あまり衣を着せなくてもいいから……。
  185. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 先ほど出張所統廃合の数について約四百五十と申し上げたのは、これは五年間における計画なのですから、これに伴って毎年所長補佐の定数を、四十年は四十年でまた要求し、四十一年は四十一年でまた増配を受けるわけですから、何も歯に衣を着せているわけじゃございません。何らの不安のないような定数で運用しておるわけでございます。
  186. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そうしますると、これは心配して考えますると、五年間に四百五十だから、五年たつうちには四百五十人くらいの所長補佐は整理できるのだ、こういうような考え方が頭にあるとすると、無理のいくところがありまするので、人事院のほうで七名以上と言っておるけれども、これは重要な食糧庁の食糧事務所の廃統合という合理化なのだから、この辺は七名以上と言わぬと、五名でも四名でも、所長補佐なら所長補佐として身分を認めてほしいというように、あなた方も交渉をして、そういう心配のないようにしてもらわなくちゃならないので、私この点をくどく言っておるのですが、これは正直に言ってどうですか。五年間だから心配ないと言われたとて、五年間に所長補佐が四百五十名やめられるということもないと思いまするので、これは人事院のほうでかっこうをつけてもらわなければならないと思うのです。こういう交渉を強力にやってもらって、そうした該当者の身分を保障してもらわなくてはならないのですが、この点は約束してもらえますか。
  187. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 出張所の統廃合によって現在の六等級から不利益になるということについては、絶対ならないようにいたしたいと考えております。また、それに必要な所長補佐を毎年確保していく、これは当然私の職務でありますので、当然やっていかなければならぬ。ただ、数字の関係だけで言いますと、六等級の者がほかの出張所長になる場合もある。必ずしも所長補佐にならなくても、出張所長に格上げされる場合もあります。それから農産物検査官という専門検査官があるわけです。これもまた六等級として特別の格づけを受けております。したがって、自分は検査官としてやったほうがもっと自分の仕事として向いておるのだという人もおるわけでありますから、四百五十という数字が全部所長補佐になるというふうには必ずしも割り切らなくてもいいと思います。要は、現在の六等級の待遇を受けておる職員について不利益にならないような配慮をすることについては責任を持って対処したいということを申し上げておきます。
  188. 田口誠治

    田口(誠)分科員 これで終わりますが、最後に念を押しておきます。これはあとで速記録を読みますと、こうやりたいと思っておりますというのは、どうもはっきりしないわけなんです。いままでの答弁は、ただいま言われたことも、思っておりますということばが入っておりますが、はっきりこうしますと、やってもらわなくてはなりませんので、もう一言けだ明快に答弁してもらって確認して、私は質問を終わりたいと思いますが、ただいま質問でやりとりをいたしました統廃合されるいわゆる五年間に四百五十名とみなされる所長の身分は、所長補佐とか、あるいは所長補佐と対等の待遇を受けられる役職またはその上の所長、こういうようなところへ必ずつけて身分保障はします、こういうようにはっきり言っていただけますか、一口でいいのですから。
  189. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 できるだけそういうふうにしたいと思います。
  190. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それはもう政治的な答弁でなしに、ほんとうにそれができるなら、はっきりとやりますと、こう言ったらいいのですけれども、何だか、やはり国会の答弁ですな。国会の答弁でなしに、はっきり言ってくださいよ。これは何回も同じことを言うが、長官でなくても——赤城農林大臣はすいも甘いも苦労してみえるから、その点は聞いておってもうよくわかっておると思うので、大臣からでもよろしいから、もっとすっきりした答弁をお願いできませんかね。
  191. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 六等級の出張所長が統廃合によって不利益なことにならないようにということについては、私が食糧庁長官であるうちはそういうことにいたしたいと思っております。
  192. 田口誠治

    田口(誠)分科員 あなたが長官のうちは国会の答弁はそんなものではない。それなら赤城農林大臣答弁したことは、赤城農林大臣がやめたらそれでいいかと言うたら、そんなものではないのだから。それだけかたくならなければならないくらい、これはくさいものなのか。これは実際にその該当になる人にとってはやはり重大問題なんですよ。員数は四百五十名であっても、該当者はほんとうに切実な思いを持っておりますから、私はその点をこれだけ——私まだ赤城さんにだいぶ聞こうと思っておるのだが、あなたがはっきりせぬからちっとも質問できやせぬじゃないですか。どうですか、これはやはりはっきり責任を持てるのでしょう。それをはっきり速記録の上で言うてくださいよ。
  193. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 いずれもわが食糧庁の職員でございますから、私は責任を持って対処してまいります。
  194. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これをもって田口誠治君の質疑は終了いたしました。  次は稲富稜人君の質疑に入ります。
  195. 稲富稜人

    稲富分科員 私は農林大臣にお尋ねいたします。実は時間がありませんので質問を要約いたしますので、あるいは不十分かと思いますけれども、ひとつ明快な御知識で十分なる御答弁をお願いしたいと思います。今日農村におきましての一番大きな悩みは、将来農村にとどまって農業経営をやっていこうという意欲に燃えた青年ほど、将来の日本農業がどうなるかということに非常に不安を持っておる。こういうようなことは、政治の上において解決してやらなければならない今日の一番大きな問題じゃないかと私は思うのであります。私は、そういうような農村の青年としばしば農村の将来を語り明かすことがあるのでございますが、その青年は、われわれと話しているときには何だか農村の将来も明るいような気持ちがするが、別れて翌日から仕事に取りかかると、また不安がつのってくるのだ、こういうことをよく訴えるのであります。私は、こういう点から、すでに農業基本法も実施されておりますし、この予算の上において、その青年の不安をどうして解消してくれるか、農村の経営にどういうような希望を持たせるかということが、今日の一番大きな問題だと思うのでございますが、そういうような観点からいま提出されております予算案を私は何回も何回も繰り返して見たのでございますけれども、これならば農村の青年に安心を与えるのだという的確なる答えを、私はふびんにして見出し得ない。おそらく農林大臣も、この予算編成に対しては非常な御苦労をなさっていると思うのでございますが、願わくは、この際、この点が農村の青年を安心させるところだという確信がある点がありますならば、その点をまずもってお示しを願いたい、かようにお願い申し上げたいと思うのであります。
  196. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 毎度申し上げておるのですけれども、この点で農村は希望が持てるという点はないと私は思います。やはり農業は一年で——毎日毎日できまる問題でないことは御承知のとおりでございますから、そういう意味では、経済成長のあり方についてはいろいろ問題があろうかと思いますけれども、やはりその経済成長で国に余力ができたものを農業方面、あるいは中小企業方面にぶち込むのだ、こういうような態度は、農業が他産業に貢献したことから考えましても、決して悪い態度ではないと思うのです。そういう点で、予算などもそういうふうに持っていこうと思ったのですが、十分ではございません。その点は十分でないと思いますが、そういう態度といいますか、かまえは、農村青年等に対しましても、農業に対して経済成長したいろいろな成長をぶち込んでいくのだ、こういうかまえをとっていきたいと思います。  それから農業政策そのものから見ますならば、やはり長い年月を要するものでございますから、いますぐにというわけにはまいりませんが、いま切迫感もあります。たとえば国内的に、他産業との伸び方の面から考えて、そう伸びないじゃないかという何か緊迫感というか、切迫感というものも、若い人だけによけいに持っていると思いますし、あるいは国際農業の中に入っていくところの日本農業、こういう面についての不安感もあろうと思います。そういう面におきましては、私どもは四つの柱か五つの柱か設けましたが、やはり体質改善の時期に来ておるのだ。そういう意味におきまして、構造改善その他基盤整備していくのに全力を尽くしていく。こういうことであるから、いますぐに自分の目の前のものが必ずしもそうなるとは考えられないけれども、全体としてそういう方向に進みつつあるのだというようなこと、あるいは価格の点につきましても、これが全部満足な価格の支持ということではないと思いますけれども、何から何までというわけにもいきませんし、そういう面で流通価格支持対策なども、非常にやかましく言われておる。それに対して、進め方も、ほうっておけないという意味で進め方をしておるというような面、それからまた、私が再々申し上げておりますように、弱い基盤でありますから、助成を打ち切るとか助成をしないとかいう考え方は持っておりませんけれども、やはり自分からも立ち上がるのだ、しかし立ち上がるには資金がないのだ、その資金を全面的に国のほうであっせん融通しようじゃないかというような資金、金融面のほうにも政策を推進しておる。ですから、こういうものを十分に使ったり、またやろうという気持ちがあれば決して望みなきものではないのだ。いろいろな面がございましょう、暗い面も相当ありますが、明るい面もなきにしもあらず。その明るい面をお互いに生かしていく、それを助長していく、こういう気分で、青年というか、後継者のほうも育っていってもらいたい、また育つべく私どもも全力をあげたい、こういうふうに考えております。
  197. 稲富稜人

    稲富分科員 日本農業が将来暗いものであってはいけない、もちろんわれわれもそう思う。それがためには、やはり価格対策であるとか、農業構造改善事業であるとか、いろいろな計画がされておると思うのでありますが、こういう基本的な問題をまたいろいろやっておりますと、これで時間を要しますので、そういうことは省くといたしましても、ただいまも、農林大臣みずから本年度の予算が十分であることをお認めになっていないようであります。農業基本法が実施されますときに、もちろんこの農業基本法をもってわれわれは十分なものとは考えておりません。ところが、農民はこれに対する期待が非常に大きかった。農業基本法を忠実に実行することによって、いささかなりとも農民の期待に沿うていくということが、政府の一番大きい問題ではないかと思うのでありますが、その点が、予算面等に制約されて、農業基本法の実施にあたっての目的を達することがなかなかできないような状態に置かれておる。これは率直に大臣もお認めになっておると私は思のであります。  それで、今後農業基本法の不備な点はもっと改正の機会もあるでしょうし、そういうことによって進んでいかなくちゃいけないと思うのです。こういう問題は、いま大臣も申されたように、特に生産基盤に対する問題だとか、あるいは農産物の価格に対する対策であるとか、あるいはこの価格対策からくる、先国会からも論議されております流通機構の問題であるとか、こういう問題は、当然一番最初に触れなくちゃならない問題である。ところが、十分に触れられていない。そこに複雑性があると思いますが、こういうことに対しては、将来また何かの機会に十分語り合うといたしまして、ひとつ善処方をお願いしたいと思うのであります。  それで、私は、農業基本法を実施する過程において具体的な問題をお尋ねしたいと思うのでございますが、たとえば、将来の農村青年に希望を与えるという意味から、農業基本法の第十六条に、これは実際いまでも問題が起こっている点でございますが、相続の問題がうたってあります。「国は、自立経営たる又はこれになろうとする家族農業経営等が細分化することを防止するため、遺産の相続にあたって従前の農業経営をなるべく共同相続人の一人が引き継いで担当することができるように必要な施策を講ずるものとする。」ということが明文にはっきりうたってある。私は、一昨年でございましたか、この問題を聞きましたところが、民法上の問題、憲法上の問題があるから検討しておるのだということを政府は言っておりましたが、しかしながら、この条文をすでに農業基本法にうたうときに、憲法上の問題、民法上の問題を十分検討した上でこの条文というものは挿入しなければできなかったと私は思うのであります。これに対して、現在この問題は農村に起こっております。次々と細分化が行なわれる。これは農業基本法の精神に反する。これに対しては、すみやかに政府は何らかの処置をとるべきであると思うのであります。三十九年度の予算を見ますると、あるいはこの四十五億円を農業改良資金制度の充実強化のために使うということをいわれておりますが、この金は、おのずから十六条に規定されておる相続の問題とは別個の問題だ、こう私は考えるわけでございますが、これに対してはどういうように御解釈になっておるのであるか、この点を伺いたいと思います。
  198. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 十六条は俗にいわれた家産制度でございますが、この制度につきましては、農業基本法ができるときから、お話のとおり、民法との関係があったはずでございます。まだ事実上解決がついておりません。ただ、税金の面で生前贈与——子供たちにやった場合にこれが相続税をかけられておったのでございますが、生前贈与は税金をかけない、いずれまた相続人が死んだ場合にこれはかけることになるかと思いますが、生前贈与は税金をかけない、そういう法案が出てきます。  それからいま御指摘の農業改良資金の四十五億のワク、これは、この条文とは関連がございません。後継者が自己の責任において——後継者でも青年でもよいのでございますが、自分の分野における農業経営をひとつやってみようという場合に、その無利子の金を借りて、あるいは貸して、それでやってみようということでございますから、この条文と直接関係がございません。
  199. 稲富稜人

    稲富分科員 私も、この改良資金制度の問題はこの条文と関係ない、こう思っておるわけでございますが、ただいま農林大臣もおっしゃいましたように、民法上の問題が結論がついていない、こう言う。実にこれは意外でございまして、私たちは、こういう問題は、やはり法適用にあたりましては、冒頭に解決すべき問題だと思うのであります。現にもう地方においては、分散相続問題が次々に事実の問題として起こっておるという状態でございます。これがもうすでに農業基本法実施以来四カ年間を一経過したときにおいて、十六条の明文にはっきりうたってありますこの条項さえもまだ解決がしてないということは、これは私は政府の非常な怠慢だと思うのであります。いつまでも検討すべき問題でございません。これに対して、さらにどういうような点まで進んでおるのであるか、またどういうような方向にこれを持っていかれようとするのであるか、この点も、できますならこの機会に承りたいと思います。
  200. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私ども進めたい気持ちではもちろんおりますけれども、なお経過等につきまして、担当局長から御説明いたします。
  201. 昌谷孝

    昌谷政府委員 その点について、私からお答え申し上げます。基本法の十六条は、ここにありますように、そういう相続を原因として農地の零細化が進行しないように諸般の施策を講ずる必要があるということをきめておりまして、必ずしも民法の現在の規定が直接的にそういう問題であるということだけ論じておるわけでございません。むしろその辺のところについては、基本法御審議の際にもしばしばお答えがあったと思いますが、民法の現在の均分相続の規定が農地の零細化にどのように作用しておるかということについては、なお実態の調査を十分にした上で、要すれば措置を講ずる、これはもちろん十六条ができた以上はやりますが、その辺をとくと調べるのだということで御了承いただいておったかと思います。その後、実は調査を続けてまいっておるわけでありますが、さしあたって中間報告的に——学者の先生方にお願いして調査をいたしました結果の中間報告といたしましては、農地の零細化が相続を原因として起こっておると考えられておるのは、むしろ村の実態は必ずしもそうなっていない。むしろ零細化の問題は、相続を原因とする以前、何と申しますか、生前分与の形で零細化が行なわれておる事例は意外に認められるけれども、相続を原因としての均分相続、特に農地の均分相続というような事例は比較的に少ないのだというのが、その中間報告の御答申でございます。私どもとしては、なおそれらの事情をもう少し確かめたいと思いまして、現にアンケート調査等を引き続いてやっております。近々それの結果もまとまろうかと思います。そのような状態でございまして、むしろ村の実態としては、農地の均分化は、次男あるいは嫁に行った娘といったような者に対する経営主の生前における分与というものが一番問題なんだという御指摘を受けております。そこで、必ずしも民法の問題と直結してこの条文を読むということでは問題が片づかないであろう、それらの点につきましては、ただいま大臣からお答えがありましたように、生前贈与の場合の贈与税の取り扱いにつきまして、通常の場合の贈与税は、御承知のような形でとりますけれども農業経営を一括して引き継ぐ見込みのある後継者に一括して生前贈与する場合に限っては、一応延納を認めておきまして、相続と同時に相続税等一定の課税をするという特典を、今回の租税の一連の法律の中でお願いいたしております。むしろ、先ほど申しました中間報告の結果等から見ますと、そういったことで、生前贈与の場合の予定される農業経営の後継者の場合を税法上特段に有利に扱うというような措置が、実態的にはこの十六条より適切な、必要な施策ではなかろうか、さように考えておる次第でございます。
  202. 稲富稜人

    稲富分科員 もちろんこの問題は、死亡による相続、生前贈与の問題も、精神においては同じだと思うのでございますが、ただ、問題が私は相続税だけによって片づく問題ではないと思うのであります。やはり生前分与によりましても、それをやる上においては、お互いの話し合いの解決というものが必要なんだ。話し合いの解決だということになりますと、やはり金銭上の問題が起こってくると私は思うのです。ところが、現在の零細なる農家経営において、それでは分離するその兄弟に対して金によってこれを配分して片づけるという場合に、それだけの余裕がないということに当然なってくるので、この場合のいわゆる解決の融資をどうするかという問題が起こってくると私は思う。この融資が起こってきた場合に、これを単に金利をかけた融資を受ければ、将来農業経営をやる者がその金利の負担にたえかねて、農業経営が困難になってくるという問題が起こってくる。その場合、当然金利の問題を考えなくちゃならぬ。さらにこれが短期に償還しなければいけないということになりますと、また農業経営をする者の負担が過重になってくる。当然これは長期の金融を受けなければならないという問題になってくる。こういう問題が当然考えられる問題でございまして、ただ相続税だけでこの十六条の条文を片づけようというような考え方というものは、あまりにも実施に対して通り一ぺんの考え方であり、農業基本法の精神から申しましても、私はそういう趣旨じゃないと思う。  そこで最後に聞きたいことは、この問題は相続税だけで片づけようという考えであるのかどうか。相続税以外に、ただいま申し上げましたような政治的なと申しますか、事実上の問題として解決する方途を考える余地があるのじゃないか、こういう点に対してひとつどういうようなお考えを持っておられるかを承りたい。
  203. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 お話のとおり、相続税だけで解決すべき問題ではないと思います。いま事実上細分の傾向もありまするし、また事実兄弟が約束して、自分は金も要らぬ、相続も放棄するというような約束を道義的にかわしている面もあります。こういうふうにして分散をさせない例もあります。しかし、それは約束でございますから、請求されればやはり分散するような形になります。しかし、自立経営という面から見ましても、分散どころか、もっとふやしていきたいところでございますから、相続税ばかりでなく、ほかの対策も講じて、これだけについても相当な一つの方途を講じなくちゃならぬと思います。外国の例などもいろいろあるようでありますが、父子契約とか、そういう例もあるようですけれども日本として日本の実情から考えても、これだけ問題を取り上げても、相続税だけでなく、ほかの同一の方向で分散をいかに押えるか、細分を押えるかということについて施策を講じていく問題であろうと思いますし、金融も一つの面だろうと思いますが、いろいろな対策を講じていきたい、こう考えます。
  204. 稲富稜人

    稲富分科員 この問題でいろいろまた突っ込んでお尋ねしたいと思いますけれども、こればかりやっておりますと、時間がありません。もうすでにこれは農業基本法も実施四カ年目でありますので、いま時分に相続税の問題などを検討しているというのは、私は政府は非常に怠慢だと思うのでございます。早くこれは結論を出して、もうすでにこういうような問題にぶつかっている農家はたくさんあるのですから、忠実に、こういう問題の実行に対してはひとつ急速に方策を立てて、そして分散相続をやろうというものに対していかに細分化を押えていくことができるか、こういう方途を立てられるように、計画を立てられるような、こういう方向にひとつ急速に進んでいただきたい。こういうことを重ねてお願いを申し上げたいと思うのであります。  さらに、その次にお尋ねいたしたいと思いますことは、農業基本法の実施によりまして、当然農業近代化の問題が起こってまいると私は思うのでございます。もちろんこの農業近代化においても、いろいろ問題があると思いますが、その問題をお尋ねしておりますと、これまた非常に長くなりますので、ただ私は、農業近代化の問題から一番取り残されるものは、日本の僻地農業だと思うのでございます。里地におきます農業というものは、いろいろ近代化の方法もありましょう。ところが、この近代化から依然取り残されていく僻地農業対策というものに対して、政府はどういうような考え方を持つかということなんです。私はこれを見ましても、僻地農業対策というものは、ただ僻地農山漁村に電気導入事業をやろうという蚊の涙よりも少ない計画を立てられておるようでございますが、僻地農業対策というものは、このくらいのことで済むと思わない。これは僻地農業にある者の非常な悩みだと思う。農業基本法から取り残されていく僻地農業に対して、もっと具体的な対策を樹立する必要があるのではないか、こう思うのでございますが、これに対して政府はどういうような含みを持っておられるか、承りたいと思うのでございます。
  205. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 他産業との生産性の格差あるいは生活水準の格差等から見ましても、僻地農村がそういう面で一番恵まれておらぬという実態は、御指摘のとおりだと思います。そういう意味におきまして、いまの電気導入も一つの手でございますが、やはり林野の構造改善で、構造改善事業を林野関係でそういう僻地にはどんどん進めていきたいということを一つ考えております。  それから、これは両面でございますが、新産業都市の周辺等における農業というものも、これは非常な変革が来たされると思います。同時に、いまの非常に立ちおくれの僻村、こういうものにつきまして専門的な調査をしようではないか。これもまたおそいではないか、のろいじゃないかというおしかりを受けるだろうと思うのでございますけれども、おくればせながらひとつ専門的な調査をして、そして僻地山村に適応するところの対策を講じていこうというわけで、いま調査費などを設けて、それを進めていく、こういう考えでございます。
  206. 稲富稜人

    稲富分科員 そういうような調査をいまやられているというのはけっこうでございますが、これも非常におそいと思います。それで私は、主産地形成のごときものにおいても、僻地農業は僻地農業として、主産地形成をする上においてのいろいろな具体的な問題があると思う。その土地に合うたような、その土地に適したような、いろいろな主産地形成をやる、こういう具体的な問題が、非常に必要ではないかと思う。要するに、私は、農業基本法を親切に実施する上において一番具体的な問題は、この僻地農業対策において最もやらなければならぬ問題だと思いますが、これもいませっかく調査機関をつくっておやりになるということでございますので、これに対してひとつ十分やっていただきたいということをこの機会に重ねてお願い申し上げたいと思うのでございます。非常に簡単な、かけ足の質問でなにでございますけれども、十分僻地農業対策を樹立していただきたいということを、この機会に申し上げておきます。  さらに、その次にお尋ねいたしたいのは、今回の予算を見ますと、農業団体の整備強化対策というものが予算に組まれております。これはもちろん農業協同組合等に対する問題でございますが、同じ農業団体といたしましても、今日一番問題の多いのは、農業共済の事業であると思うのでございます。もちろん農業共済の対策といたしましては、農業災害補償制度の改善費というものがいささか組まれておることは、私も承知いたしておるのでございますが、今日農業団体といたしまして、ことに農業共済といたしまして一番大きな問題というのは、過去の農業共済事業を実施する上において災害が非常に多かった府県ほど、たくさんの不足金をしょい込んでおります。この不足金があるということが、農業共済の事業を推進していく上の非常な障害になっておることは、御承知であると思うのであります。ところが、この農業共済の各県のこの不足金というものは、何も経営の不都合からきた不足金じゃなくて、制度上から生じた不足金であることは、御承知のとおりであります。でありますがゆえに、私は当然農業団体の整備強化というものを考えるならば、おのずからこの農業団体の一つであります農業共済の実施にあたる連合会が持っております不足金の処理をどうするかということを考えなければいけないと思います。幸いに昨年度におきまして、農業災害補償法の一部改正を見ております。この農業災害補償法の改正によって、農民もいささか期待を持っております。この機会に、この不足金の処理をどうするかということに対しては、やはり具体的な考え方を持つことが最も必要であると思うのでございますが、これに対して政府はいかなる考え方をお持ちであるか。農業災害補償法の改正されましたこの機会に、これに対する対策を承りたいと思うのでございます。
  207. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 経済局長から詳しく申し上げます。
  208. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 ただいま御指摘のありました共済団体の不足金は、三十八年度末の推計でございますが、四十七億ほどにのぼります。このような大きな赤字がございますために、これは借り入れ金でつないでおるわけでございます。それのまた利子が赤字となって、雪だるま式に赤字がふえるということにならざるを得なくなってまいります。これは、もちろんいろいろな原因があったわけでございますが、いま御指摘のありましたように、災害の非常に多かった県がこういう不足金を生む、災害の少なかったところは非常な黒字になるという結果になっておりまするので、この機会に、これが処理につきましては検討をいたしたいというように考えておるわけであります。
  209. 稲富稜人

    稲富分科員 これは、不足金の検討だというと、非常に検討というのにはいろいろあるのでごごいまして、どうも検討ということばではもの足らないのでございますが、これに対して具体的にどういう処理をしていこう、こういう案でもありましたならば、承ることができればけっこうだと思います。
  210. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 この赤字が現実に幾つかの連合会の運営に非常な圧迫になっておりまするので、赤字を何とか処理していく方向で具体的な成案を得るように検討いたしたい、こういうことでございます。
  211. 稲富稜人

    稲富分科員 そうすると、この赤字解消に対しては、政府がひとつ積極的に何とか処理していこうということを検討されておるということでございますので、非常に心強く思うわけでございますが、この機会に、特にそれでは私注文といいますか、考えなくちゃいけない問題として申し上げたいと思いますのは、御承知のとおり各県が赤字を持っております。現に三十八年度末には、いまおっしゃいましたように四十七億の赤字があります。ところが、この四十七億の赤字も、内容を洗いますと、基金に対する金利がいまおっしゃったように非常に多いのでございます。ところが、農業共済基金法から申し上げましても、これは私が申さなくとも十分御承知かと存じますが、「この法律は、農業災害補償法による農業共済組合連合会の保険収支の長期均衡性にかんがみ、農作物共済、蚕繭共済及び家畜共済について、その保険金の支払に必要な資金の供給を円滑にするため、農業共済基金を設立し、もって農業災害補償事業の健全な運営を図ることを目的とする。」、こういうことが基金法の第一条にうたわれている。ところが、赤字が出ておるために健全なる運営というものができないのが実情なんです。健全なる運営をやるべくできた農業基金が、高い金利をとっている。いまの不足金のおそらく半分以上はこの金利だと思うのでございますが、これは当然金利のごときものは私は免除してしかるべきものだ、かように考えるわけでございます。これに対して政府はどういうような考えを持っておられるか、伺いたいと思います。
  212. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 どういう方法で対処するかという具体的な結論は、もちろんまだ得ておりませんので、いまのお尋ねに具体的なお答えはいたしかねるのでございますが、従来、農協系統団体の再建整備等で行なわれた方法なども参考にして検討してはどうか、かように考えております。
  213. 稲富稜人

    稲富分科員 その検討をされるときに特に考えていただきたいのは、任意共済の不足金というのがあります。しかも、この任意共済の不足金というものは、政府の介入によりまして任意共済をやっておった。また政府のおすすめによりまして任意共済を廃止した。ところが、その不足金だけは任意共済として残されているという状態なんです。政府の指導によって任意共済を始め、政府の指導によって任意共済を廃止した。しかし、その問における任意共済の不足金だけ依然として残っている。こういうような問題は、特に何とか考え処理されてしかるべきだと思うのでございますが、これに対してどういうお考えを持っているか。
  214. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 先ほど申し上げましたように、まだ具体的に申し上げることができないわけでございますが、任意共済は、これは本来は共済団体が自主的におやりになる性格のものだと思っておりますから、政府がとやかく言って干渉はあまりいたさないことでまいっておるわけでございます。ただ、いろいろな原因もございますので、よく検討さしていただきたいと思います。
  215. 稲富稜人

    稲富分科員 もう私は言おうと思ってないけれども、いま局長が、任意共済は任意にやっておるから政府は干渉したくない、こういうことを言われると、また言わなければならぬのです。任意共済をやるときは、それは各県連合会が自分のほうでかってにやったのではない。農林省の指導を受けて、試験的にやったらどうかということでやっている。自分が指導するときだけはただそうしておいて、かってにやったんだから知りませんでは、あまりに無責任だと思う。いまの局長の御答弁は、私は納得できません。やはりそういうような考えで任意共済に対しては処していかれるか。そういうようなお考えであるなら、私はもっとこの問題に対してはさらに時間をいただいて、十分政府の考え方をたださなくちゃいけないと思います。そういうお考えでございますか。
  216. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 ただいまのお話の任意共済は、おそらく畑作などについてのことをお話しになっておるかと思うのでありますが、任意共済は、御承知のように、建物共済が非常に大きいわけでございます。それで三重県とか愛知県あるいは岐阜県あたりで、その建物共済のために赤字を大きく出しておる、こういう問題を主として私は先ほどお答えしたわけでございます。いま御指摘のありましたような問題は、今後十分検討さしていただきたいと思います。
  217. 稲富稜人

    稲富分科員 それでは具体的に申しますと、私の申し上げておりますのは、なたね共済があるのです。これを私が言えばたいがいぴんとくるだろうと思ってはっきり言わなかったのですが、どうもなたねまで局長は頭がいないようでございます。ことに福岡県が持っておりますなたね共済の問題は、これは農林省の御指導によりまして、なたねの任意共済をやりまして、農林省の御指導によりましてやめたのでございます。私がやって私がやめたのでございますから、それをあなたのほうでいまさら知らぬとは言うてもらいたくないから言っておるので、その点は具体的に申しますれば、福岡県のなたねの共済の問題をどうお考えになっておるかということでございます。
  218. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 当時の経緯等もよく調べまして、検討いたしたいと思います。
  219. 稲富稜人

    稲富分科員 それでは、この共済の問題は、十分そういう実情をお調べになって御検討され、善処方をお願いしたいと思うのでございます。  さらに、この機会にお尋ねいたしたいと思いますことは、農作物の共済金に対する課税対策でございます。私、本日大蔵省の主税局長を呼ぶことにしておったのでございますけれども、ほかの委員会があるので大蔵省はだれも出席されないから、こういうことでありますので、大蔵省の意向といたしましても、農林大臣にそのことは十分ひとつ希望を述べておいて、農林省から大蔵省にその折衝をしてもらうように話をしていただきたい、こういうような非公式な話がありましたので、この点を農林大臣に特にお願い申し上げたいと思うのでございます。  御承知のごとく、農作物の共済金というのは、農業災害補償法に基づいて行なわれるわけでございますが、これが課税対象になるということは、私たち最も心外であると思うのでございます。農業災害補償法のたてまえから申し上げましても、この共済金に対しては非課税処置をとることが私は当然である、こう思うのでございますが、これに対して農林省はどう考えるか、農林省自体の考え方をひとつ承りたいと思うのでございます。
  220. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 税のほうはだいぶ詳しく農政局長検討しておりますから、農政局長から答弁いたさせます。
  221. 昌谷孝

    昌谷政府委員 農業共済で支払われます支払い共済金につきましては、やはり所得でございますから、これを得べかりし所得にかわる補てんされた所得という意味で、在来の税法のたてまえから申しますと、やはり所得であることにはかわりがないようでございます。ただ問題は、御承知のように、農家の所得は、個々の収入源ごとに所得課税をしておるわけではございませんので、総合的に全体の所得と、それから全体の諸経費と対応して課税さるべき所得をきめてまいりますから、そういった災害が激甚で共済金をもらったというような場合に、その共済掛け金はもちろん経費として見ますし、それから種子代、肥料代も経費として見ておるわけでございますから、総合的な帳じりとしての所得に、かりに他の部門でかなりの収益が上がって所得が黒字で出るというような場合に課税問題が出るということは、現行税法上では一応やむを得ないというふうに考えております。
  222. 稲富稜人

    稲富分科員 農林省がそういうような考え方を持っておるから、大蔵省は課税するのですよ。御承知のように、農業災害補償法は、「農業者が不慮の事故に因って受けることのある損失を補填して農業経営の安定を図り、生産力の発展に資することを目的とする。」ということをはっきりうたっている。こういうようなために、保険金というものは当然農民が取得するものでございます。御承知のごとく、非課税の所得に対しては、たとえばこういうことがあるのですよ。有名芸能人のような人たち、これは生活にも何も困らないような人が、心身に加えられた損害の補償金というものは、非課税の対象にされている。こういうように災害をこうむって、次期生産を補うために取得した保険金というものは、こういう点から見ても私は当然考えるべきものであると思うのでございます。少なくとも非課税所得というものは、こういうことなんです。非課税所得には、それぞれの経済状態を考慮したものであるとか、あるいは資本蓄積の奨励といったような政策的なものが考慮されるのです。こういうような点から申し上げましても、当然農作物に対する共済金のごときものは、私は課税対象から除外されることが当然であると思う。ただ、所得を取得したということは間違いないから課税の対象になるのはやむを得ないだろうと言う。同じ取得でも取得の内容が違うのですよ。ただ入ったから課税の対象になるのだというような農林省の考え方が私は間違っていると思う。どういうような状態で取得したか、この基本的な問題を考えなければいけないと私は思うのです。これは、不慮の災害が起こったがために受けた所得なんです。しかもその取得というものは十分じゃない。生産費を補うことができないから、生産費を償うための一部分として取得したものなんですから、こういうものを課税対象にするという考え方は当然間違っているのじゃないか、こういう点から、いま申し上げましたようなことで課税対象から除外すべきものである、こういうように私たち考えるのであります。農林省が、いま局長が言うような、課税されるのはあたりまえだろうというようなことでは、大蔵省は喜んで課税しますよ。大蔵省にわからないなら、農林省は取得の内容はよくわかっているのだから、その内容を十分力説して、課税対象から除外すべきものであるということを主張するのが正しいと思うのですが、私の意見が間違っているかどうか、いま一度伺いたいと思う。
  223. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 農作物等の災害があったときには、事実所得税がかからないような状態になるのが多かろうと思いますけれども実際相当大きな農家であるといたしますならば、共済金を収入と見て課税されておる例があると思います。しかし、私も、どうもお話しのような感じがいたします。災害ですから、十分それが補われているのなら収入としてもいいのですけれども、災害見舞い金のような程度ですから、そういうものはなるべく課税外に除くのが農業の再生産のためにも必要じゃないかという感じがいたしております。なお、税法上のいろいろな面もあろうと思いますから、そういうふうに考えてはいますけれども、検討させていただきたいと思います。
  224. 稲富稜人

    稲富分科員 この問題は、ひとつ農林大臣におまかせいたします。ただいま申し上げましたような趣旨から申しましても、当然これは課税対象から除外すべきものである、こういうたてまえでひとつ十分課税関係の大蔵省との間に折衝を願いたいと思うのであります。  さらにお尋ねいたしたいのは——これは農林大臣にお聞きしましたところで、党の関係だとおっしゃるかもわかりませんが、農地報償の問題が最近自民党内部で大騒ぎになっておるようであります。私は、現在の日本農業の実態及び農業基本法に対する予算の裏づけ等から申しましても、先刻から農林大臣が言われたように不十分な予算であると思うのであります。私たちは国の財源が許すならば、農林予算に対しましても前向きの姿勢において農村対策を樹立することが最も必要であり、これが、私は、現在の農業対策の最も必要なものであると思うのでございます。すでに御承知のごとく、私は、今日日本農業が、兼業農家が安心して農業経営ができず、専業農家農業経営に不安があるということは、日本農政がないといわれてもしかたがないと思うのであります。私は、専業農家が安心して農業経営のできるようなあらゆる施策をやってやることが、日本農政だと思うのです。こういうときにもしも農地報償とか、名目は何でございましても、そういうような余裕が国にあるならば、こういうような金は、私は当然前向きの形において日本の健全なる農村を建設するために使うべきものである、かように考えます。これは、自民党がいろいろいわれておりますので、農林大臣としての答弁はお苦しいかもわかりませんけれども、農林行政を担当する者から申されましたならば、こういう問題に対してはどうお考えになるか、率直に承りたいと思うのでございます。
  225. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 農地改革の基礎の上に立って、いま御指摘の農業基本法どもできておるわけでございますから、積極的に農政を推進していきたい、こういう熱意は強く持っておるわけでございます。いまの農地補償の問題は、党のほうでいろいろ検討いたしまして、三月の調査を経て何らかの措置を講ずる、こういうことになっておりますけれども、私のほうとしても、こういうものをかりに私のほうの予算なんかに盛られたのでは、それでなくても前向きでないなと思っているのに、まことに足を引っぱられるような形になりますので、手続の面においては、農林予算というような形で持ってこられては困ると拒否しているわけでございます。しかし、何らかの措置をとるかとらぬかということについては、自民党のほうでとるべく進めておりますので、これについて、私も党できまったことをいまさら否定するということはいたしたくないと思っております。
  226. 稲富稜人

    稲富分科員 農林大臣の立場としてはそうかわかりませんけれども、いま農林大臣も言われましたように、日本農業対策としてはもっとやるべきものがある。しかも、将来日本農業を育てる上からやるべきものがたくさんあるということを考えますときに、こういうものに対しては、政府みずから、あるいは自民党自体にも一考を促したいものである、かように私たち考えます。
  227. 松浦周太郎

    ○松浦主査 時間が参りましたから、簡潔に願います。
  228. 稲富稜人

    稲富分科員 最後に二点だけお尋ねいたします。御承知のとおり、最近暖冬異変のために、太平洋沿岸のノリが非常に被害をこうむっております。これに対しては、天災融資法の適用をしようとするような計画もあるやに承っております。ところが天災融資法の激甚地帯として、ノリの収穫農家所得の上から申しまして、はたしてこれが適用範囲に入るかどうかということに対してはどういうようなお考えを持っておられるのであるか。もしもこれが適用されないというならば、このノリの被害に対する特別の特例法でも提出しようというお考えであるのかどうか、この点をひとつ承りたいと思います。
  229. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 天災融資法の中の特別被害地帯というようなことで、これは大体そういうことで進めていきたいと思っております。そのほかに、別法で激甚災害としての適用まで進めるかどうかという問題につきましては、いま至急実態調査をいたしておりますので、検討の上でいずれにするかきめなければならぬと思いますが、まだ結論は得ておりません。
  230. 稲富稜人

    稲富分科員 そうするとこの問題はいま実情を検討されておるということですが、もしもこれが現在のまま激甚地帯に入るような状態にあるところ——被害状態は非常にひどい。ところが法的には、農家所得の百分の五十でございますので、農家所得の百分の五十に達しない、しかしノリとしては非常に激甚地帯である、こういうときには、ノリに対する特例法でも提出される、こういうようなお考えであるかどうかということです。
  231. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 まだノリに対して特例法を出すかどうかというところまでは、調査も検討も進めておりません。
  232. 稲富稜人

    稲富分科員 くどいようでありますが、それではそこまで進んでいないとしても、天災融資法によってこのノリの被害に対する対策はやらなくちゃいかぬ。これに対する融資の対象としては、当然天災融資法が考えられますが、さらに非常に被害をこうむった地方に対する補償ですね、あるいは施設に対する問題とか、いろいろあると思いますが、こういうことに対しては何か考えておられるかどうか、この機会に承ることができましたら幸いだと思います。
  233. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 第二点の御指摘の施設等につきましては、なお調べてみませんと、私のほうではわかりませんが、天災融資法を適用するということは、ほとんど結論に達したと申し上げていいと思います。
  234. 稲富稜人

    稲富分科員 最後に一点だけ。これは、農地局長、きらいでございますけれども、この機会に一言聞いておきたいと思います。  実はこの間から大臣にもしばしばお願いしたマピカの問題でございます。くどいことは申し上げませんが、いよいよ水稲の時期になりますと、PCPの使用規制が行なわれておるのでございます。おそらく今後の問題として、もうマピカは使わないでかってにPCPを使う、こういうようなものが出てこぬとも限らないと思うのであります。私は、これに対して政府を責めようと思いません。いろいろ調べてみますと、マピカの使用に対しましても、私は政府に落ち度がなかったとは言えないと思うのであります。私は、政府の苦労のあることはわかるのでありますが、海産物に対する被害をどうしてなくするかということに対する試験研究が非常にやられた結果、水稲に対する被害というものはあまり考えられなかった、こういうような実情があるのではないかと思うのでございます。この点を責めようとするのではございませんが、結論として使用規制をされているけれども、PCPを使う、こういうものが生じた場合に、政府はどういう処置をとられるのであるか、この点をひとつ念のため承っておきたいと思うのであります。
  235. 昌谷孝

    昌谷政府委員 本年度の水稲の場合に、在来問題のありました地帯でどういうふうに処置をするかという点につきましては、こういうふうに考えております。実は先般一月末に技術的な見地からPCPあるいはマピカその他の除草剤について現地での技術的な研究をいたしたわけであります。その結果、大体技術的な予知された条件を十分頭に置いて使用していただくならば、十分PCPを使わなくても技術的にはほかの薬剤で除草がやっていける、しかも水稲に対しても使用上の注意事項を守っていただき、また指導よろしきを得ればいけるという技術的な面での検討の結果の一応の結論を得ております。  そこで、いろいろ問題もございますので、私どもとしては、そういった技術上代替し得る薬剤があるということは、昨年来検討いたし、またいま申しましたような検討の結果で一応技術的な確信を得たようでございます。しかし、問題は、本来が水産関係の被害をいかに食いとめるかという問題から出た問題でございます。農業側で自主的に規制をすると申しましても、よほどその辺の両業界関係の調整を必要とするという大局的見地に立たなければ、なかなか御理解が得がたいものであります。そこで、大体関係県の御意向としては、本年度も、昨年同様、原則として自主規制によってPCPの使用を控えていただくということで指導いたすということに、おおむね各県ともそういう御方針でおられるように思いますけれども、念のため、近く九州農政局その他関係農政局を通じまして、各県の本年度のこの問題についての御指導の方針なり御計画なりを伺って、その上で万全を期してまいる、かように考えておる次第でございます。
  236. 稲富稜人

    稲富分科員 この問題は、もちろん農林省として自主規制で御指導なさるだろうと思うのでございますが、今年度において打撃が大きかっただけに、やはり非常に悩みが大きいと思います。そこで、こういうような実情もございますので、当然あなたのほうで自主規制をやらせようという御指導はなさるでありましょうけれども、これが実施にあたっては、やはり価格の問題であるとか、あるいは本年度の水稲に対する事実あった被害の問題であるとか、こういう問題が十分な補償ができれば、強制的な自主規制もできるだろうと思いますが、これがなかったならばなかなか困難ではないかと私は考えます。この点がありますので私はお聞きするのであります。こういう点を十分勘案して御指導に当たられたほうが非常にいいんじゃないか、こう思うわけでございますので、その点、ひとつ考え方を申し上げたのでございますから、そういう方針で進んでいただきたいと思います。
  237. 昌谷孝

    昌谷政府委員 御指摘のような点もございますので、念には念を入れるという意味で、関係県のほうに、やはり水産関係との調整の必要上、そういう必要があろうかどうかという点をさらに念を押して慎重に進めたいというふうに申し上げた次第であります。また県のほうで、その結果、両業界の利害調整のポイントをどの辺に置くのが適切かということの御判断の上で、自主規制で足りるということであれば自主規制でおやりいただくでありましょうし、知事さんのほうでさらにまたお考えがあれば、先般の法律改正をした経過がございますから、また御相談にあずかることもあろうかと思います。
  238. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これにて稲富稜人君の質疑は終了いたしました。  本日はこの程度にとどめ、次会は明二十日午前十時から開会し、通商産業省に対する質疑を行なうことといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十六分散会