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1964-02-21 第46回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月二十一日(金曜日)     午前十時十五分開議  出席分科員    主査 植木庚子郎君       愛知 揆一君    青木  正君       田澤 吉郎君    登坂重次郎君       安宅 常彦君    井手 以誠君       石田 宥全君    滝井 義高君       只松 祐治君    辻原 弘市君       横路 節雄君    今澄  勇君       受田 新吉君    兼務 川俣 清音君 兼務 田口 誠治君    兼務 吉村 吉雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣 佐藤 榮作君  出席政府委員         内閣官房長官  黒金 泰美君         内閣参事官兼内         閣総理大臣官房         会計課長    多治見高雄君         内閣法制次長  高辻 正巳君         人  事  官 佐藤 正典君         人事院事務官         (任用局長)  矢倉 一郎君         人事院事務官         (給与局長)  瀧本 忠男君         人事院事務官         (職員局長)  大塚 基弘君         総理府総務長官 野田 武夫君         総理府総務副長         官       古屋  亨君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房公務員制度         調査室長)   岡田 勝二君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房賞勲部長) 岩倉 規夫君         総理府事務官         (恩給局長)  増子 正宏君         総理府事務官         (特別地域連絡         局長)     大竹 民陟君         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  竹中喜満太君         総理府事務官         (行政管理庁行         政監察局長)  山口 一夫君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   江上 龍彦君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房会計課         長)      木戸 四夫君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   島村 武久君         厚生事務官         (大臣官房国立         公園部長)   今村  譲君         厚生事務官         (援護局長)  鈴村 信吾君         水産庁長官   庄野五一郎君  分科員外出席者         内閣調査官         (内閣調査室         長)      石岡  実君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房臨時農地等         被買収者問題調         査室長)    山野 幸吉君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房臨時在外財         産問題調査室         長)      広長敬太郎君         外務事務官         (アジア局外務         参事官)    番  徹夫君         大蔵事務官         (主計官)   秋吉 良雄君         文部事務官         (初等中等教育         局教科書課長) 諸沢 正道君         文部事務官         (調査局国際文         化課長)    佐藤  薫君         文部事務官         (調査局宗務課         長)      中城 堅吉君         厚 生 技 官         (年金局年金課         長)      曽根田郁夫君         農林事務官         (林野庁林政部         林政課長)   黒河内 修君         運輸事務官         (鉄道監督局民         営鉄道部長)  岡田 良一君         会計検査院事務         総長      上村 照昌君     ————————————— 二月二十一日  分科員石田宥全君委員辞任につき、その補欠と  して滝井義高君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員滝井義高委員辞任につき、その補欠と  して只松祐治君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員松祐治君及び今澄勇委員辞任につき、  その補欠として安宅常彦君及び受田新吉君が委  員長指名分科員選任された。 同日  分科員安宅常彦君及び受田新吉委員辞任につ  き、その補欠として石田宥全君及び今澄勇君が  委員長指名分科員選任された。 同日  第二分科員田口誠治君、第三分科員川俣清音君  及び第四分科員吉村吉雄君が本分科兼務となっ  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十九年度一般会計予算内閣総理府所  管(経済企画庁及び防衛庁を除く)      ————◇—————
  2. 植木庚子郎

    植木主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  昭和三十九年度一般会計予算中、内閣所管及び経済企画庁を除く総理府所管を議題といたします。  本日はまず総理府所管のうち、科学技術庁関係について質疑を行ない、そのあと引き続き内閣所管防衛庁及び科学技術庁関係を除く総理府所管について質疑を行なうことといたします。  なお、この際分科員各位にお願い申し上げます。本日の質疑通告者は十三名の多きにのぼっております。譲与の円滑な運営のため、質疑時間はかねても申し上げておりますとおり、本務員につきましては一時間、兼務員もしくは交代して分科員となられた方につきましては三十分間とし、時間厳守を励行くださいますよう、特に御協力をお願いいたします。  これより科学技術庁関係について質疑に入ります。横路節雄君。
  3. 横路節雄

    横路分科員 科学技術庁長官お尋ねをいたしますが、去年のちょうどいまごろは、原子力潜水艦寄港問題で二月、三月、四月というのは非常にやかましかった時期ですが、その後、原子力潜水艦寄港問題について、一体アメリカ側との折衝がどうなっておるのか、少しも明らかにされていないわけです。しかも問題が重要でございますので、私はあらためて長官お尋ねをしたい、こう思っておるわけです。  まず長官お尋ねしたい点は、原子力潜水艦寄港に対する長官の基本的な態度について承りたいと思うのです。原子力潜水艦というのは、動力用原子炉で推進されているわけで、原子炉が動かされている状態、及び放射能危害が、全くこれは物理学的な生物学的な現象であって、これに対する配慮というのは、軍事的あるいは政治的意図で曲げられるものではないと私は思うわけです。そこで私は、動力用原子炉が、軍事用なるがゆえにそれが日本国あるいは領海内に持ち込まれたときに、わが国原子炉安全審査規制を受けなくてもよいという理由は存存しないと思うのです。私はそう思うのです。これがまた日本政府の基本的な態度でなければならぬと思うのでございまして、その点長官からまだ私寡聞にして原子力潜水艦寄港に対する長官の基本的な態度というものについてお聞きしておりませんので、この際あらためてお聞かせをいただきたいと思う次第です。
  4. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 科学技術庁長官としてお答えいたしますが、涼子力潜水艦の場合は、これは軍艦でございますから、いわゆる原子力安全審査、その対象にはならない。しかし、私のほうは原子炉というものに対しましての安全性、あるいは放射能、それらについて、商船等であればこれは私どもタッチする、こういうことでございます。
  5. 横路節雄

    横路分科員 いまの長官の基本的な態度というものを聞いていると、はなはだわれわれがく然とするわけです。いまのお話は、原子力潜水艦の場合は国内における原子炉設置についての安全審査規制対象にはならない。なるほどならないかもしれません。しかし、何かいまのお話ですと、原子力満船については安全性の問題については考えてもいいが、原子力潜水艦というのは全然別だ、軍事的な目的なんだからわれわれは関知しないんだ。そうなんですか。その点はっきりしてください。
  6. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 これは、関知しようとしても相手がタッチさせてくれない。この点は横路さんもよく御存じだろうと思います。
  7. 横路節雄

    横路分科員 それでは長官一体いままで何をしていたのです。何をしていたというのは、私は第二日目の第二分科会外務省所管に出まして、この問題についてお尋ねをしたわけです。そうしましたら、究明すべき若干の点があるから、実は折衝しているのだというのです。究明すべき若干の点とは何か、それはいわゆる原子炉から出される冷却水の問題、イオンの交換樹脂問題等について日本がとっている基準と違うから、したがって日本基準と同様にしてもらいたいということについて折衝しているのだ。原子力潜水艦は軍事的な目的でやっているのだから、日本の関知しないところだというならば、何で一体外務省日本基準と同じにしてくれという折衝をしているのですか。あなたたち相談を受けてやっているじゃないですか。長官は全然御存じなければ、局長にでも答弁してもらいますよ。しかし事これは政治的な問題なのですから、ただ長官が事なかれとここで答弁だけして済ませる問題ではないのですからね。知らなければ知らないで、局長以下に答弁さしてもらってもいいですよ。
  8. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど来お答えしておりますように、科学技術庁長官としての範囲で申し上げたのでございます。もちろん外国軍艦が入ってきます場合に、外務省から私のほうに対しまして一体どういうことだろうと、こういう相談は受けておりますから、そういう場合において、これは外務省に対して科学技術庁長官として必要なものは当然言うわけであります。これの経過については、おそらく外務大臣からお答えしただろうとかように思いますので、その点は私の答えるところではなかろう、かように思うから、先ほどのような答弁をいたしたのでございます。
  9. 横路節雄

    横路分科員 それでは長官お尋ねしますが、今度日本寄港を希望している原子力潜水艦で、科学技術庁としては何が問題になっているのですか。その点ならお答えになれるでしょう。
  10. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 私のほうできめております基準に合うだろうかどうだろうか、いわゆる放射性廃棄物というものがどういう影響を与えるだろうか、こういうことについては科学技術庁として十分見ております。しかし軍艦そのものでございますので、この寄港そのものについては私のほうはタッチしておらない。かような点、また相手軍艦でありますがゆえに、私のほうでそれについて深入りするわけにいかないということを申しておるのでございます。
  11. 横路節雄

    横路分科員 長官、これは寄港そのものは私のほうではタッチしていない——しかし寄港の中で問題になっているのは原子力潜水艦による放射性廃棄物海洋投棄基準が問題になっているのです。それでは長官お尋ねしますが、原子力潜水艦による放射性廃棄物海洋投棄基準のどこが、日本アメリカで問題になっているのですか。
  12. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 御承知のように原子力潜水艦の一次冷却水排出基準、これはいままで公表されているものによりますと、米国商務省標準局資料ハンドブック五十二、これによって定めたものであります。一方これに対応するものとして、わが国が定めている放射性物質の水中に含まれる許容濃度、これは国際放射線防護委員会、ICRPの一九五八年次の勧告によるものであります。この国際放射線防護委員会というものは、二回にわたって勧告を出しておりますので、このアメリカハンドブック五十二というものは一九五八年の勧告のものではなしに、その以前に出たものによるように思います。したがって、この一九五八年の勧告との相違は、各放射性物質によってまちまちでありますが、一般にいわれることは、一九五八年のほうが、許容濃度は低くなっている、こういうことでございます。
  13. 横路節雄

    横路分科員 いまお話しのように、アメリカ原子力潜水艦がとっている放射性廃棄物海洋投棄基準ハンドブック五十二号によっている。日本の場合には六十九号によっている。許容量が違うわけです。そこで私はお尋ねをしたいのだが、科学技術庁としては外務省に対して、こういう違いがありますと——もちろん科学技術庁長官としては、放射能による日本国民に及ぼす影響廃棄物海洋投棄に伴うところのいろいろな水産物に及ぼす影響——特に日本の場合は、アサクサノリだとか、ナマコだとか、タコだとか、カニだとか、あるいはカキ貝だとか、こういうものは非常に影響を受けるわけです。そこで私は長官お尋ねしておきたいのは、当然これは科学技術庁長官としての責任があるわけだから、科学技術庁長官として、私はタッチしていないと言うが、これは六十九号の基準でやってもらわなければ困る、こういう考え方でおっしゃっているのか、その点はどうなんです。
  14. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど来申しましたことで誤解されては困りますが、ただいままで入手しておりますのは、米国ハンドブック五十二、この資料でございます。その後一九五八年の勧告が出ておりますので、アメリカ側も変わっているだろう、こういうことを私ども考えますので、私のほうの五八年による基準、それと、アメリカ側はどういう処置をしているか、いままで発表したところでは、ハンドブック五十二になっているが、それがはたしてそのとおりかどうかということを実は交渉している。ただいまその段階でございまして、それは外務省を通じてやらす以外には方法がないから、外務省を通じてそれをやらしておる、こういうことでございます。
  15. 横路節雄

    横路分科員 日本の場合は六十九号でやっているのでしょう。今日アメリカ原子力潜水艦がとっていることは、アメリカ原子力潜水艦艦上における公聴会ですか、一九六〇年ですか六一年ですか、これから得たものは五十二号になっているのだから、したがってあなたのほうでは、アメリカに対して、ただ何号になっているのだ——私はお尋ねしたいのですが、五十二号で原子力潜水艦がやっていることは事実なのだが、五十二号でやっている、こういうことになったら、あなたのほうは何とおっしゃるのですか。ああそうですかということで終わるのですか、それとも、日本のほうは六十九号でやっているから、六十九号の基準にしてもらわなければ私のほうでは困ります。まず、外務大臣より、あなたは科学技術庁長官なのだから、国民に対して責任がある。外務大臣条約を締結する上の交渉の責任はあっても、放射能による国民に対する被害その他はあなたの責任なのだから、何人の責任でもないのだから、あなたの態度はどうなんです。
  16. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいままでのところでは五十二によっているのだ、こうきめてしまうのは少し早計なのです。その後、私のほうの基準とどう違うかということで、ただいま折衝さしている。私のほうは、すでに国内においてはそういう基準をつくっておるのですから、その基準であることが望ましいこと、これはもちろんでございます。問題は、この基準そのものよりも、そういう場合に一体人体にどういう影響があるかということ、それによって考えることも必要でございますから、その基準は、ただいままでのところ、一九五八年の勧告によるもの、それがただいまおっしゃるように六十九ですか、そういうことでございますが、さらに具体的には中身を十分検討する必要がございます。
  17. 横路節雄

    横路分科員 長官、だめですね、そういう御答弁では。私も実はこの分科会で時間を一時間と制約されておるので、私は原子力の諸君をみな呼んだのですよ。私はきょうはできるだけここの時間は長官に聞きたいと思って呼んで調べてある。ところがいま、原子力潜水艦が五十二号になっているものやら六十九号になっているものやら明らかになっていないという話は、長官として少し不勉強です。ここに書いてあるじゃないですか。あなたのほうの関係者をみんな呼んで聞いたのです。一九五九年の四月十一日、十五日の二日間にわたって、原子力潜水艦スキップジャック艦上での、アメリカ合衆国の議会の上下合同原子力委員会公聴会の記録で、原子力潜水艦については五十二号をとっているというのは明らかなんです。それをいまあなたが、科学技術庁長官としてそんなことを、はっきりしないなんと言う、そういうものの答弁で、この委員会を、なに、どうせ国会議員はあまり知りもせぬだろう、適当に答弁しておけば済ませるだろうというような考えで、もしもおやりになるならば、これは私ども社会党としては、植木さんとの間には一時間という約束はしてあるけれども、こんなことで答弁の時間だけを、ただ時間が一時間過ぎればいいというやり方であれば、私たちは半日だって一日だってやりますよ。もっとはっきり、そういうあいまいなことでなく、私のほうだってきょうここに質問に立つまでには、皆さんのほうの関係者その他を呼んで聞いているのです。そういうものの言い方で、ここの科学技術庁予算審査について、一時間さえたてば終わるのだというやり方では、断じて承服できないですよ。そうですよ。いまになって五十二号だか六十九号だかわからぬというようなことではいかぬですよ。わからぬければ局長にでも答弁さしたらどうですか。
  18. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど来申し上げますように、いままで発表されておるものは五十二だ、これははっきりしておる。その点はあなたと私と同じ考え方なんです。そこでその後一九五八年の勧告も出ておるのだから、そこで私のほうが重ねてアメリカ折衝しておる、かように申しておるので これはただ一時間たてばという意味じゃございませんから、私の誠意ある、またここへ出てくる以上は、私も係員からよく聞いておりますので、それはひとつ信用していただきたいと思います。
  19. 横路節雄

    横路分科員 それでは長官お尋ねしますが、それじゃ一九五九年四月十一日、十五日のアメリカ原子力潜水艦スキップジャック艦上での公聴会というのが、いま政府のたった一つのよりどころになっている。ですから五十二号なのか六十九号なのか問い合わせをしている。そこで私はお聞きしたい。公聴会でやったとおり、五十二号ですということになったらどうなるのですか。
  20. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 それはそういう結果になるかどうか、ただいまからいろいろ想像してやることはどうかと思います。だから私どもは実際の実情をはっきりつかまえる。ただいままでのところ、必ずしも五十二号によっている、こうまで向こうも言い切っておらないようです。それだけは言える。五十二号によっているのだ、こうはっきり言わないようでございますので、重ねて私どもは交渉している、こういう段階でございます。
  21. 横路節雄

    横路分科員 そこで私は長官に一番最初お尋ねしたのです。一体長官の基本的な態度はどうなんですか。なるほど五十二号だとそのとき公聴会で述べているが、必ずしもそうでないかもしれない。しかし日本は六十九号でやっておるのだから、六十九号の基準でなければ科学技術庁長官としては困るというのか困らないというか。それは安保条約の第六条で一般軍艦と同じように寄港を認められておるのだから、したがって五十二号でもしかたがないというのか。そこの基本的な態度を聞いているのです。そこがやはり国務大臣として国民に対して、これだけ大きな問題になっているのですから、その点の態度だけはきちっとしておいてもらいたい。
  22. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 そこは商船の場合だったら、はっきり私のほうの法規によらなければ困る、私のほうの基準によらなければ困る、これははっきり言えることであります。これが軍艦でありますだけに、相手にそういう国内法を強要することができない。だからそこに問題がある。そういう場合において私ども安心のいくような方法をとろう、これが私ども態度でございます。
  23. 横路節雄

    横路分科員 長官安心のある態度というのは何かと言えば、それは国内法によることが安心でありますよ。そうでなければ何であなたたちは一体こういう法律をつくったのですか。料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律、それから原子炉設置運転等に関する規則、何でこんなものをつくったのですか。あなたは、原子力商船であれば国内法の適用でなければ困る、しかし軍艦だから強要するわけにはいかない。しかしわれわれは、原子力潜水艦が入ってくるためには、安心して入ってくるようにしてもらいたい。安心とは何だ。安心とは国内法基準によってやる以外に何が安心がありますか。その点、長官もっとはっきり言ったらどうですか。ぼくは佐藤長官に期待しているのですよ。安心して入ってもらうための安心とは何か。その安心とは、それは国内法によって入ってくる。国内法に基づく。ただいま私が読んだこの核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律原子炉設置運転等に関する規則、これによって入ってくるのが安心なので、それ以外何が安心がありますか。
  24. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、外国軍艦でございますから、その基準をそのまま適用するということは、これはできません。国際法上の外国軍艦地位、これは横路さんもよくおわかりだと思います。したがって私は、そういうものに対する基準というものがどういうことであるのか、こういうことで国内にも納得のいくような結論を出したい、こういうことで苦慮しておる、これはよくおわかりだと思います。
  25. 横路節雄

    横路分科員 あなたはいま国内納得のいく基準でやりたいと言う。国内納得のいく基準というのは、重ねて申し上げますが、核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律原子炉設置運転等に関する規則、これによってやるのが一番国民納得するのです。それ以外に何があるのですか、それ以外に何が納得するものがあるのでか。何があるのでしょうか。
  26. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 私たちがきめたものよりもっときびしいものであるならば、これは納得がいくでしょう。そういう場合もありましょう。だから、いま言われております国内法規外国軍艦には直接には基準として当てはめるわけにいかない。これが国際法上の地位で、それを私は先ほど来繰り返して申し上げておる。この点は最も法律に明るい横路さんよく御承知のことだろうと思います。
  27. 横路節雄

    横路分科員 この問題は安保条約の当然の権利だ、こういう立場を池田内閣がとっておるのかというとそうでもないのですね。なぜそうでないかと言えば、いままでこの委員会で明らかにされているところは、もしも安保条約にいうアメリカ軍隊として当然の権利だというならば、横須賀佐世保ばかりではありません。第六条でいう施設、区域を提供したところ全部、合意議事録でいうところの一般貿易港、しかもこの間の本委員会においては、貿易港外一般の港にも入れる。ところがアメリカはそう言っていないわけです。横須賀佐世保だけに入りたいというのだから、しかも日本で認めてくださいませんかと言っている。そうすれば安保条約第六条にいう当然の権利ではない。何とか認めていただけないでしょうか、こう言うならば、われわれは絶対反対だが、かりに池田内閣が認めるとしても、何か基準がなければならぬ。その基準は何か。それは二回にわたる原爆の被害洗礼を受け、ビキニの水爆の洗礼を受けている。日本国民としては、国内法で定めているこれによらなければ困りますということは言って差しつかえないのじゃないですか。なぜそれが言えないのですか。その点について長官お尋ねします。
  28. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど来から申し上げておるのですが、軍艦国際法上の地位、それを考えますと、国内法そのものを適用するというわけにいかない。私は、基準といいますか。安全測定の基準、これは国内基準はある、それは国内法規として出しておる、しかしその表現のしかたはいろいろあるのじゃないだろうかと、いま苦心しておるのです。したがって横路さんが言われるように、その基準そのものによれとか、こう言われても、それは私無理なように思う。しかし私あまり別のことを考えてもおりません。その表現の問題でございますから、その辺はよくおわかりだろうと思っています。
  29. 横路節雄

    横路分科員 佐藤さん、あなたのいまの答弁で、私はたいへんどうも納得のできないところがある。軍艦国際法上の地位にかんがみて、国内法は適用できない、断わったらいいのじゃないですか。私の国では海洋投棄に関する基準はこういうのがあります、あなたのほうの基準はそれに合わないから、あなたのほうの軍艦は入ってきては困ります、何でも言えるじゃありませんか。言えないのですか、そういうことは。言えるじゃありませんか。軍艦に対して何でもかんでも許可するのじゃないんですよ。外国軍艦に対して、日本の秩序安全が阻害されるおそれがある、国際的に影響がある、国民に対して甚大な被害を与えるおそれがある場合は、入港を拒否していいじゃないですか。あなたのいまの説明からすると、軍艦というのは国際法上の地位があって、国内法は適用できないからそれはだめなんです、そんなことにはならないでしょう。断わればいいんです、断われば。それはどうなんです。
  30. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 断わるということになると、これは外務省の仕事でございます。私のほうが先ほど来申し上げておりますのは、ハンドブック五十二号、それではたしてそのままやっておるのか、いままでの資料は十分公表されておるものだけ、それで間違いないのか、その点を確かめておるというのが現状でございます。それはもちろん結論が出て、どうしてもこれはこわいとなれば、外務省は何と言いましても、科学技術庁として強い主張をすることも、これは当然でございます。しかしそれが、国際法上から軍艦は除外されておるとか、こういう意味で、いわゆる外交上の出入りは別として、この程度の事柄はというものがそこに残るだろう、で、私どもその納得がいくかいかないかということは、五十二号という発表されたものでは、いかにもこれは違っておるじゃないか、われわれの基準とは相当開きがある。したがってさらにその内容を確かめてみる、こういうのが現状でございますから、御了承願いたい。
  31. 横路節雄

    横路分科員 いままた佐藤さんは、外国軍艦には国際法は適用できない、そうでしょう。適用できないが、しかし日本国内法に基づいて比較をしたところが、日本国民に危害を与えるおそれがある、海洋が汚染されるおそれがある、そういう特殊な事情があれば、何でも入港を断わればいいんです。  そこで私はあなたにお尋ねをしたいのです。これもあなたのほうからいただいた資料だから、私はそういうものをもとにして議論しようと思っている。そうでないと、おまえどこから持ってきたということになるから。あなたのほうで出した「原子力潜水艦による放射性廃棄物海洋投棄基準」で、いま言いました一九五九年の四月十一日、十五日の二日間にわたって、原子力潜水艦スキップジャック艦上での、アメリカ合衆国議会の上下合同原子力委員会公聴会、そこにこういうのがあるわけです。「使用ずみイオン交換樹脂の処分手続き(a)海上で艦が距岸十二マイル以上にあるときは、つぎの場合に限り、使用ずみイオン交換樹脂は艦外へ排出してもよい。(1)艦が前進中のとき。(2)他の艦が三マイル以内にないとき。(3)艦が、既知の漁区内にいないとき。(b)上記に定めたほかは、使用ずみイオン交換樹脂は艦外へ排出してはならない。」こうなっているわけです。これを見ますと、イオン交換樹脂についてまず私がお尋ねをしたいのは、そのイオン交換樹脂についてはどんなものが含まれているかということについては、この公聴会では明らかにされていないわけです。  そこで私は、これは原子力局長お尋ねをしたいのですが、このイオン交換樹脂については、これは十二マイル以上は無制限に廃棄してしまうのだから、何が含まれているかわからない。私のほうでも要求したが資料がないというのですが、これは資料があるのでしょうか、ないのでしょうか、これは局長でいいです。
  32. 島村武久

    ○島村政府委員 お答え申し上げます。  使用済みのイオン交換樹脂、これの内容の詳細はちょっと記憶いたしませんが、ただいまお尋ねスキップジャック公聴会資料には、たしかその強さはあったと思います。一二・五キュリーでございますか、そのうちコバルト六〇は一〇キュリーを含むということになっておったと考えるわけでございます。
  33. 横路節雄

    横路分科員 これはたいへんな量、濃度ですね、局長そうでしょう。いまあなたはコバルト六〇を例にとられたが、あなたのほうで私に出していただいた米国艦船局訓令別表1、距岸十二マイル以内で排出する場合の廃液中の放射性同位元素最大許容濃度のコバルト六〇に比べて、それは大体何百万倍になるのですか。
  34. 島村武久

    ○島村政府委員 廃棄いたしました量、コバルト六〇が一〇キュリーであるとすれば、許容量の何倍かという比較はできないと思います。御承知のとおり、海中に投棄いたしますと……
  35. 横路節雄

    横路分科員 投棄じゃない、そのものがどうかと聞いている。投棄して薄まったときのことを聞いているのじゃない、そのときの濃度、その一〇キュリーというのは、いま言っている、あなたのほうで出された米国艦船局訓令別表1の中におけるコバルト六〇との比較はどうか、そのことを聞いているのです。薄まった場合はどうかということはあとで聞きます。
  36. 島村武久

    ○島村政府委員 許容濃度との比較ということは、そのもの自体としてすぐに比べるという性質のものでないと私は思いますので、そういうことでの御返事はいたしかねると思います。たとえば飲料水としてとかあるいはそういうような……(横路分科員「濃度」と呼ぶ)許容濃度と申しますのは、いろいろな場合に違ったきめ方がございますので、一〇キュリーは何倍に当たるかというのは、ちょっと科学的なお答えはできかねると思います。
  37. 横路節雄

    横路分科員 そこで私はお尋ねをしたいのですが、あなたのほうで出された原子炉設置運転等に関する規則の第十四条の第七号に「固体状の放性廃棄物を海洋に投棄する場合は、次によること。」投棄する「放射性廃棄物を封入した容器の比重は、」これはどうも数字がはっきりしない、一対二という意味じゃないかと思うのだが「一・二以上であること。」その次に「投棄する箇所の海洋の深さは、二千メートル以上であること。」こうなっていますね。そうすると、これはあなたにお聞きをしたいのだが、イオンの交換樹脂というのは固体状なんでしょう。その点ちょっとはっきりしてください。ここでいう原子炉設置運転等に関する規則の抜粋で、この十四条の七号は、これはイオンの交換樹脂をいっているのでしょう。この点、局長、はっきりしてください。
  38. 島村武久

    ○島村政府委員 イオンの交換樹脂はもちろん固体でございます。ただ、原子炉規制法で規定いたしておりますのは、お手元に資料が参っておるようでございますけれども廃棄物を容器の中に密封いたしましたものを捨てる場合の捨て方をきめたものでございます。
  39. 横路節雄

    横路分科員 ですから、イオンの交換樹脂もその中に含まれるのでしょうと聞いている。この固体状の、第十四条の七号は、イオンの交換樹脂も含まれるのですねと聞いているのですよ。
  40. 島村武久

    ○島村政府委員 もちろんイオン交換樹脂がございますれば含むことは当然でございますが、繰り返して申し上げますように、イオン交換樹脂そのものでなくて、それを容器の中に封じ込めました場合が、日本の法令に基づく捨て方であり、また捨てる制限の対象になる、そういうふうに御了解願いたいと思います。
  41. 横路節雄

    横路分科員 そこで私はこれから長官にその点についてお尋ねをしたい。この使用済みイオン交換樹脂の処分手続は、海上では十二マイル以上にあるときは捨ててもいいというわけですね。日本では二千メートル以上の水深のところにコンクリートで固めた容器で沈めなさいとなっておる。ところがこれは原子力潜水艦が走っている限りは十二マイル以上で投げてもいいとある。まるっきり違うわけです。水深二千メートルということをいっている。私はきのう、やはりこれも政府機関の役所のほうに、一体この二千メートルというのはどんなのだろう、こう聞いてみると、横須賀の軍港を含む東京湾一体では、大体三十マイル以上でなけれだ二千メートルという水深はない。大体東京は二十マイルから三十マイル、六十マイルまで行かなければ水深二千メートルというところはない。問題は二つあるわけです。一つは、日本のいまの法律で、原子炉設置、逆転等に関する規則の抜粋で、どうなっているかというと、二千メートル水深のところに密閉してコンクリートで固めて入れなさいという。ところがアメリカの規定は、イオンの交換樹脂は岸から十二マイル離れたら走っている間は無制限に出していいのだ、こういっている。ところが日本の周辺の海を見ると、これは水産庁、海上保安庁その他から全部調べたのだが、二千メートルというのは、まず横須賀を含む東京湾では、大体沿岸から最低二十マイルから三十マイル、六十マイルでなければならぬ。しかも日本ではコンクリートの中に密閉して二千メートルの深さのところに入れなさいというのに、向こうは十二マイル以上は無制限に流してもいい。こんなことを承知できますか。ここであなたのほうにお尋ねしますが、やはりアメリカに対して、日本と同じようにコンクリートでちゃんと固めて、そうして二千メートルのところに入れなさいと当然言うでしょうね。局長、どうなんですか、あなた専門家だから……。これは長官もとっさにどうだと言われても、あんまり詳しいことは知らぬだろうから、局長、どうです。当然要求するでしょうね。外務省を通じて、いわゆるイオンの交換樹脂については、日本でこういう規定があるから、コンクリートの容器で固めて、そして水深二千メートル以上のところに入れなさい、そうでなければおれらは困る、なぜならば、ノリだとか、貝だとか、タコだとか、カニだとかいうのが一ぱいいるのだから、だめです、こう言うでしょうね。
  42. 島村武久

    ○島村政府委員 日本規則で二千メートル以上の水深のところに捨てるという問題と、十二マイル沖で捨てるという問題は、私は別個の問題であると思います。アメリカ日本の領海内で二千メートルでなくて、干メートルということになりますと、確かにそこに食い違いがあって問題になると思うのでございますけれども、ただいま御質問の反対の場合を考えてみますと、よくわかるのでございますけれども、かりに十二マイルでなくて、領海内でしかも二千メートルでなくて、もっと浅いところに捨てるというようなことになりますれば、これは問題になろうかと思いますが、しかし、そうでございませんで、アメリカは、領海内では全然捨てない、岸から十二マイル以内では全然捨てない。こういっておるのでございますから、問題にならぬ、そういうふうに考えるわけでございます。
  43. 横路節雄

    横路分科員 あなたはそういうことを言ってはだめですね。あなたがそういうことを言うと、あなたは独立した官庁としての立場でものを言っていることにならないです。公海に関する条約というものがありまして、その公海に関する条約の第二十五条の一項には、「いずれの国も、権限のある国際機関が作成する基準及び規則を考慮して、放射性廃物の投棄による海水の汚染を防止するための措置を執るものとする。」第二項には、「すべての国は、放射性物質又は他の有害な作用物による活動の結果生ずる海水又はその上空の汚染を防止するための措置を執るに当っては権限のある国際機関と協力するものとする。」とありまして、まだできないではありませんか。それからもう一つ、あなたは一体大陸だなの問題御存じですか。いわゆる水深二百メートルまでのものを大陸だなとして、日本アメリカとカナダとの漁業条約で一番問題になって、カニその他の資源保護のためにアメリカはがんばっているじゃありませんか。領海、領海と言ったって、十二マイルまではあれだが、それより向こうは何をやってもいいのだというものではないのですよ。あなた、長崎から五島列島の先、そうして対馬海峡のほうは水深がどれだけあるか知っていますか。大体どれだけあるのです。
  44. 島村武久

    ○島村政府委員 五局列島の付近がどの程度の水深であるか存じておりません。
  45. 横路節雄

    横路分科員 そうすると、あなた、十二マイル以上は何でもいいのだという説明は成り立たないのです。きのう私は海上保安庁の測量課長に尋ねたわけだ。一体海図の作成でどうなっているか。そうしたら、五島列島からずっと朝鮮の近海に至るまで大体水深は百メートルだと言う。佐世保に入ってきて、十二マイル離れたら流すのですよ、イオンの交換樹脂は、十二マイル以上で流さないという基準が何かありますか。他の艦が三マイル以内にあるとき、あるいは既知の漁区内にある場合には流せないが、その他は流せるでしょう。二千メートルでなければ絶対流せないのですか。その点はっきりしてください。
  46. 島村武久

    ○島村政府委員 ただいま御質問の際におっしゃいましたとおり、知れたる漁区につきましては、十二マイル以外でありましても捨てないというふうに承知いたしております。
  47. 横路節雄

    横路分科員 いや私は水深のことを聞いている。水深はどうなのです。十二マイル離れたら、どんな深さでもいいのですか。日本のこの規則ではちゃんと投棄する個所は海洋の深さ二千メートル以上である、これはあなた方きめておるじゃないですか、しかもコンクリートで固めて、容器に入れて投棄する。それを十二マイル以上離れたら水深が百でも百五十でも二百でもいいのですか。しかもいまこの大陸だなの問題で、日本アメリカとカナダの条約でもそれががんばられているのです。十二マイル以上離れたら、——もちろん他の艦が三マイル以内にあるときはだめだ、既知の漁区内にいるときはだめだ、それは向こうでいっていますよ。しかし水深はどうなのです。一つも触れていない。水深はあなたのほうではどう思っているのかと聞いている。
  48. 島村武久

    ○島村政府委員 日本規則によりまして、水深は二千メートル以上のところに捨てることということになっております。
  49. 横路節雄

    横路分科員 それはアメリカ原子力潜水艦にも適用してもらいたいというのがあなたの考えですね、そう聞いているのですよ。使用済みのイオン交換樹脂の処分に関する場合は、アメリカの場合もそうしてもらいたいというのが、科学技術庁考え方ですねと聞いておるのです。
  50. 島村武久

    ○島村政府委員 科学技術庁といたしましては、アメリカの潜水艦の場合に十二マイルの外でのことであり、知れたる漁区に投棄しないということであるならば、必ずしも二千メートルということを要求する必要があるというふうには考えておりません。
  51. 横路節雄

    横路分科員 だから私はさっきあなたに聞いているじゃないか。いま日本アメリカ、カナダの漁業条約でも、なるほど領海というものは三海里とか六海里とか十二海里といっているけれども、しかしカニとかそういうような生息物に対して、いわゆる水深二百メートルまでの大陸だなというものを要求して、がんとして譲らないじゃありませんか。その点はどうなっておるのですか。そんなものは関係ないのですか。そういうものは関係あるかないのか。
  52. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま局長からお答えしておりますように、十二マイルというものを一応その基準にしております。しかしただいま御指摘のように、非常に水深の浅いところがございますから、そういう点についてどういう影響があるか、これは私ども、もう少しよく検討しなければならないことだと思います。ただいまいろいろ御注意を受けておりますので、ただ単に外国軍艦だ、向こうとの交渉だというだけではいかないように思います。私ども海洋について事前に実はいろいろの調査がしたい、かように考えておりますが、万一原子力商船にいたしましてもそういうものが入ってきたときに、それがどういうような影響を与えるだろうか、現在の平静な状態において、そういうものが入らないときのデータが全然ない。したがってそういうものを早く調査する必要があるのじゃないだろうか。そうして入ってきた後にそれがいかに影響するか、こういうことも科学技術庁としては調べておきたい、かように思いますが、ただいままで原子力潜水艦の問題が非常な反対を受けておりまするので、科学技術庁が事前に調査するだけでも、これはもう原子力潜水艦を許すのじゃないだろうか。こういうようなおそれがあり、政府自身としてもこの態度をきめかねております。私は、これでは科学技術庁としての十分の責務を果たし得ないのだ、かように思いますので、この原子力潜水艦、そういう事柄とは別に現在の海洋の状況、これは自然放射物も相当あるのでございますから、それがどういう形になっておるか、そういうことを至急に調べさしたい、かように思っております。ただいまの話はそれとは違いますが、お尋ねの点、これは私どももいろいろ御注意を受けまして、大いに考えるところがありますから、さらに私ども調査する、あるいは相手方に対してわれわれが納得のいくような説明を聞くこと、これが必要のように思います。
  53. 横路節雄

    横路分科員 長官、私がこれを言っているのは、実は長崎にも希望しておるわけです。横須賀も希望しておるわけです。ところが一番影響を受けるのは、ノリだとかタコだとかカニだとか、それから貝類ですね。これは非常に影響を受けるわけです。そこできのう私は、海洋汚染に関してどういう影響を受けているかという点について水産庁の関係者を呼びましたが、いま長官が言ったように、必ずしも日本政府機関では十分調査をされていないわけです。いま科学技術庁としては全然調査をしていないという、何か調査すれば原子力艦水艦を認めるという態度においてやっているのではないかと懸念されるそうだが、しかし四面海の日本としては、当然私は、科学技術庁としてはその放射性物質海洋投棄に関する基準によってどういう影響を与えるかということは、半年や一年でなくて、長期にわたってやるべきだ。  そこで、イオンの交換樹脂について、日本は水深二千メートル以上、水深二百メートルよりもっと深いところにコンクリートで打ち固めて入れろ、こうなっておる。ところが長崎あたりでは水深はそんなに深くないわけです。大体百メートルくらいだという。ところがいま日本アメリカとカナダの漁業条約では、水深三百メートルまでを大陸だなとして、いわゆる主権を主張しておるのですね。そうすれば、当然佐世保の入港は困ります。横須賀は困ります。こういうことに私はなってくると思うので、いまだこの点については検討していないというならば、いま長官の言うように、私は堂々と科学技術庁は検討すべきであると思う。あなたのほうは二千メートルという。片一方は百メートルという、あなたの方はコンクリートで打ち固めて入れろという、片一方は走っておれば流してもいいという、これはたいへんな違いですから、もっと詳細に検討してもらいたい。長官、ひとつこのことだけ答弁してください。
  54. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほどお答えいたしましたように、これは相手方もあることですから、相手方とも十分折衝いたしますが、なお私自身、科学技術庁自身としても、こういう事前調査は至急にすべきものだ、かように考えております。
  55. 横路節雄

    横路分科員 それでは長官、そこまで御答弁なったのですから——公海に関する条約というのがあるわけです。この公海に関する条約の第二十五条の二項には「すべての国は、放射性物質又は他の有害な作用物による活動の結果生ずる海水又はその上空の汚染を防止するための措置を執るに当っては権限のある国際機関と協力するものとする。」こうなっておる。この点は私こういうように承知しておるのです。きのうあなたのほうに電話して、まだできていないだろうと言ったら、いま一生懸命国際機関をつくってやっている最中だ、そのとおりです。だからこの原子力潜水艦寄港問題は、少なくともこの国際機関がいろいろ協力をして、放射性物質海洋投棄に関してどういう結果があらわれるかという、その共同の結果があらわれるのを待った後において、政府としてはどうするかということについてもう二度考えるべきだ、それだけの配慮をすべきだと私は思う。  第二に、長官は、もういずれやがて総理大臣になるかもしれないというもっぱらのお話なんだから、やっぱりそのときの用意にも、公海に関する条約——領海ではない、公海に関する条約の第二十五条第二項にせっかくそううたってあるのですから、そういう意味で、権威ある国際機関でそれがきちっとわかるまで待つべきだ、こう思うのです。これは長官どうですか。
  56. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 その問題は、ただいまの申し合わせというか、条約というか、そういうものがございましても、現在もうすでに原子力潜水艦が動いておる。そうしてこれはアメリカばかりでなく、ソ連においても同じようなことをやっておるわけです。また原子力商船まで動いておる。なかなか信頼すべき国際機関——これはまだできておらない。そこに問題があるわけですから、現状におきまして、私ども納得のいくような結論を得るならば、それを了承して、現在の事態そのものを現実に対処する、こういうことが望ましいのじゃないだろうか、かように考えます。ひとり軍艦ばかりでなく、もうすでに原子力商船そのものの時代でございますし、その条約でまだ国際機関ができていないのですから、これだけではちょっと事態に合わないような気がします。
  57. 横路節雄

    横路分科員 あなたいまソ連の原子力潜水艦だって動いておるじゃないか、こう言うが、なるほどソ連の原子力潜水艦も動いておるが、ソ連は国際会議でイオンの交換樹脂海洋投棄することは反対だ、こう言っている。そういうことですから、問題はアメリカだけなんです。これはいま長官答弁せいといってもちょっと無理かもしれない。この点は委員長にお願いしてありますから、いずれ分科会が終わってから、一般質問でまたこの問題をぜひやってもらわなければ困る。外務大臣の権限かもしれないけれども、いまのことは、ソ連は、国際会議において、使用済みのイオン交換樹脂については海洋投棄に反対だ、こう言っておるわけです。  そこで次に、定められた時間もだんだん少なくなりましたから、ぜひ出してもらいたいのは、去年の八月の十四日に、社会党で原子力潜水艦の事故が発生した場合の対策を考えて、あなたのほうでは草案をつくっているというような発表をしたわけです。ここにそのあなたのほうで書いた草案を持っていますけれども、私はこの間、あなたの答弁を聞いていたら、そんなものをつくった覚えはないという。しかし八月十六日の新聞で「科学技術庁原子力局では、社会党が十四日発表した政府原子力災害対策について次のように説明している。科学技術庁としては米原子力潜水艦寄港受け入れを前提として災害対策を立てたということはない。しかし、わが国の災害対策基本法によって、大量の放射能による災害が起こった場合に、どのような対策を講ずべきかをきめておくことになっており、今春四月ごろその対策の素案をつくったことはある。それは放射能災害にあたって退避を円滑にし、伝達、指導、救済などの方法を定めたもので、特に原子力潜水艦を想定したものではないが、原子力潜水艦の事故の場合にも適用され得る。」こうなっておる。これは率直な話、係の方を呼んでつくっただろうと言ったら、つくったと言う。やはり正直に言うのですよ。そのつくったものがどういうのか新聞にすっぱ抜かれた、こういうわけです。これは長官、あなたがあとでだれだそんなことを言ったのはなんてお問いになる必要はない。実は三十五年の安保のときに防衛庁はCBR作戦というのをやっているじゃないか、毒ガス、生物細菌、放射能によるいろいろなものをやっているじゃないか。そのときはがんとしてないと言った。ところがおとといやったところが、いやそういう草案については考えています、こう言って、私のほうから資料を要求したらやっぱり出してきた。それは外部の本に出ているわけだ。私は当然だと思うのです。この核戦争の時代にそんな対策がないような防衛庁なんてあるわけないのだから。だから長官、一つこの委員会に東海村の原子炉等が事故を起こした場合においてどういう対策を立てたらいいか。私、いまここに持っておりますが、これは皆さんのほうから一応否定されたかっこうになっているから、これは大事なことですから、ぜひこの委員会に草案を概略印刷して出してもらいたい。これは科学技術庁として当然出す責任があると思うのです。
  58. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 この前他の会議の機会にそういうものはございませんと、実はきっぱりお断わりいたしました。横路さんから、確かに出ているじゃないかという半畳が出たと思います。私がはっきり申し上げますのは、この問題が新聞に取り上げられたときに、私も責任のある立場上、直ちに係の者から聞いたのでございます。そういうものをやっておるか、こういうことをいろいろ申しましたところが、そういうものは素案はありますけれども、まだ公表すべき段階に達しておりません。したがいまして、いまお話のように、係からそういうものをもらったと言われますが、この点はいわゆる公表すべきまだ段階でないものだ、かように承知しておりますので、そういう資料を提出することはいかがかと思います。本来から申しますならば、東海村におきましても、災害が起こるならば、それに対する対策は科学技術庁としてももちろん考えておかなければならない。考えれば、それを公表して、周知徹底させなければならないものである。だからそういうものができましたら、私は当然周知徹底さす。それはむしろ積極性を持ってやらなければならないと思います。本来災害対策基本法に基づく対策が要求されております。したがいまして、これは原子力潜水艦の場合とは別でありますけれども、私ども別に原子力潜水艦の入港を予定して云々ということを考えなくとも、災害対策として公表すべきものができましたら、これは東海村ばかりに限ることでなしに、積極性を持って周知徹底さす。これは当然のことだと考えますが、ただいまのところはまだ素案の程度でございますので、それを公表しろ、こう言われましても、ちょっと私のほうではお断わりするよりほかございません。
  59. 横路節雄

    横路分科員 科学技術庁は怠慢でないですか。東海村に原子力炉がある。事故が発生する場合があり得る。その場合に当然災害対策基本法等もあるんだから、したがって原子炉の事故が発生した場合の退避、避難の方法、要領についてふだんから一般国民に指示しておくのが科学技術庁としての当然の仕事ではありませんか。そうでしょう。いまあなたのほうで素案をつくっておるならば早急にまとめて発表しなさい。予算委員会に発表してください。きょうとは言わないが、予算委員会中に。できなければ、素案でけっこう。
  60. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま、科学技術庁は怠慢ではないか、こう言われるけとはまことに遺憾でございます。私どもも常識的な退避訓練はしておる。そういうものでございますが、一般国民に対して納得がいくようなものを周知徹底さす、そういう点に事を欠いていることは、お説のとおり、これは怠慢と言われても、その責めを負わなければならないだろう、かように思います。予算委員会の間に必ず出せと言われる。その期限をつけるよりも、そういうものはほんとうにりっぱなものをつくるほうが、望ましいのではないか、かように私は考えます。
  61. 横路節雄

    横路分科員 しかし、そういうりっぱなものをつくる前に事故が起きたらどうするんですか。国民がそれによって被害を受けてから、あとでりっぱなものができたってだめですよ。そうでないですか。だから私はこの点は、長官、やはりお出しになるべきだと思う。早急に出してください。二十九日とか三月の三日とか言わないから、至急出してください。
  62. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 早急にまとめるようにいたしましょう。
  63. 横路節雄

    横路分科員 まとめたら、出しますね。
  64. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 まとめたら、周知徹底さすのが目的でございますから、当然出します。
  65. 横路節雄

    横路分科員 素案はつくっておる。長官、実はこれは新聞に発表になっておるのと同じだそうです。  そこで、時間もだいぶ過ぎましたが、庄野水産庁長官、あなたにたいへん長くおいでいただいて恐縮でしたが、最後に一言お尋ねをしたいと思います。  実は放射性物質海洋投棄によって海水の汚染その他が起こってくる。それで使用済みのイオン交換樹脂の廃棄に関する問題は初めての問題なわけです。これはきのうあなたのほうの機関の人を呼んだけれども、必ずしもはっきりしない。それで海洋投棄によって海水汚染その他ノリとか、タコとか貝とか、そういうようなものについてどういう影響を及ぼすのか。しかもいま実際長崎に入るという希望なんだが、大体水深が百メートル。日米加の漁業条約では、大陸だなまでアメリカはがんとして主張しているというような状態で、私はあなたにお尋ねしたい点は、科学技術庁と協力して早急にそういうものについての研究調査をやってもらいたい。そしてそういうイオン交換樹脂日本では容器をコンクリートで固めてその中に入れて水深二千メートルというのが、向こうは一方的に十二マイル以上で流すのだから、特にそういうものを中心にして検討してもらいたいと思うが、それは科学技術庁と協力してやっていただけると思うのです、長官が言っているから。その点、水産庁長官としてどうなのか、まずお聞きしておきたい。
  66. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 イオン交換樹脂の問題についてはまだ十分な資料は、ただいま御質問の段階では、われわれのほうにも入っておりません。ただ核爆発の実験によりまして、水産といたしましても御承知のように福竜丸事件等が起こって非常に問題になったわけでございまして、水産庁といたしましては、核爆発の実験が行なわれだしましてから、また原子力の平和利用、こういうような面も開発されていく、こういう段階におきまして、要はそういう廃棄物が全部海のほうに廃棄される可能性が非常にあるわけでございまして、水産庁といたしましても、不十分ではございますが、そういった放射能物質による水産におきます影響というものにつきまして、ただいまのところは東海区研究所というのが中心になりまして、底棲動物等について、あるいはプランクトンというものについて、放射脂の影響等の調査を不十分ながらやっております。そういう今後の原子力問題、原子力潜水艦の問題で、冷却水とかあるいは汚染されたイオン交換樹脂といったような問題はデータの要求はわれわれはいたしておりますが、できるだけやはりそういう面につきましては科学技術庁とも御相談いたし、また連絡をとりまして、必要な研究は水産庁といたしましてもやっていきたい、こういうふうに考えております。
  67. 横路節雄

    横路分科員 これは長官、どうでしょうね。そういう結論は何年ぐらいたったら出るものでしょうね。どれくらいの期間でそういうものの結論が出るものでしょうか。大体の見当はどうです。
  68. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 まだ非常に初めての新しい実験でございます。実験方法とかそういう問題にも根本的な研究をするということも必要であると思いますので、そういうものについて何年と、いまここで区切ってお答えするわけにはいかないと思います。またそういう研究の規模等にも影響されるかと思いますので、そういう点につきましては、できるだけそういう資料——世界的な資料もまだあまり明らかでないという段階でございますので、ここでわれわれが何年というふうに区切ってお答えするわけにはまいらぬと思いますが、研究は十分続けなければならぬと思っております。
  69. 横路節雄

    横路分科員 長官、そこでもう一つ聞きたいのです。先ほどからお聞きかもしれないけれども、公海に関する条約の第二十五条の第二項に「すべての国は、放射性物質又は他の有害な作用物による活動の結果生ずる海水又はその上空の汚染を防止するための措置を執るに当っては権限のある国際機関と協力するものとする。」こうなっているのですから、これはひとつあなたのほうの研究もあるし、そういう権限のある国際機関とも協力してやってもらいたいと思う。そういうものは当然、結果を国会に報告してくれるでしょうね。
  70. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 公海に関します条約は、まだ日本といたしましては批准いたしておりません。これはだんだん世界的に批准されていく段階になろうかと思いますが、そういう国際機関としては、日本といたしましてはやはり科学技術庁が窓口になろうかと思います。そういう点につきましては科学技術庁とも十分連絡をとりまして措置していこう、こういうふうに考えております。
  71. 横路節雄

    横路分科員 これで終わりますが、水産庁長官、ひとつ何年かかっても十分権威あるものについてやってもらいたい。特にいまあなたそこでお聞きのように、たいへん問題があるわけです。特にイオン交換樹脂原子力潜水艦は十二マイル以上ではかってに流す、日本ではコンクリートの容器に入れて固めて、水深二千メートル、これはたいへんな違いなんですから、そういう権威のある調査について十分やってもらいたい、こう思います。  そこで最後に長官、これだけ議論をしましたが、アメリカ原子力潜水艦のいわゆる原子炉冷却水の問題、イオン交換樹脂問題等はたくさん問題があるわけです。しかもあなたが先ほど言っているように、国の安全、国民に対して危害を加えない、こういう点からいっても、私は日本こそ二回にわたる原爆、一回にわたる水爆の被害を受けているわけです。だから、そういう意味で、私はこの問題はただ単に外務省安保条約の規定で入れる入れないというだけの問題ではなくて、科学技術庁としては、そういう点の十分な検討をして十分国民納得のいく解明をしなければならぬし、また少なくとも、外国軍艦であるけれども、当然国の安全、国民の生命を守るという点からいって、国の法律的な基準というものをたてにとって、やはり入浴する場合には拒否する、私ら断固反対なんだ。しかしあなたたちの場合でもその基準に合ってこなければ、政府としても断固たる措置をとるということでなければならぬのです。この点長官に強く要望しておきますが、もしもお答えがいただければそれで私は終わりたいと思います。
  72. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 御意見はよく伺いました。しかし私考えますのに、科学技術、新しい科学そのものについての理解が第一だと思います。ただ新しい科学についての理解に事欠きますと進歩もないという結果にもなりますので、そういう点を私ども科学技術庁の立場において十分正しい理解をしてもらう、こういう意味で、また文化の進運にも寄与し、同時にまた安全であるようにも最善を尽くしてまいる考えでございます。     —————————————
  73. 植木庚子郎

    植木主査 次に、内閣所管防衛庁及び科学技術庁関係を除く総理府所管についての質疑に入ります。横路節雄君。
  74. 横路節雄

    横路分科員 官房長官お尋ねをしたいのですが、予算の組み方、予算の使い方という問題で、特に長官は大蔵関係の御出身でもございますので、そういう意味でお尋ねをしておきたいのですが、この間会計検査院の事務総長が来られて、報償費についてお尋ねをしたわけです。そうしましたら、一つの問題は、ここで詳細に説明できないと言われる。私はこれははなはだ遺憾だと思うのですが、ただこういうことを言うのですね。報償費は三つに分かれています。一つはお礼金です。一つは情報を提供してくれた者に対する報償費です。三番目は懇談会、会談等における交際費です。そうするとあなたのほうの内閣官房に交際費というのが二千三百三十九万四千円ある。また諸謝金についても、もっとほかを調べてみればわかるのかもしれませんが、六十七万四千円ある。そうすると、もしも諸謝金であれば諸謝金の中に組むべきだし、交際費であれば交際費の中に組むべきだ。一体この二億七千三百八十一万八千円のうちで、たいへん恐縮ですが諸謝金は大体幾らに見ているのか、交際費的なものは幾らなのか、情報提供者に対するそれは幾らなのか、そういう点を明らかにしてもらいたいと思う。この間会計検査院の事務総長が言わなければそこまで聞くつもりはなかったのだけれども、三つに分けて答弁したものですから、それであれば、ここに交際費その他組んであるのに、なぜわざわざ一本にしてあるのか、そこらをできれば具体的に話していただきたい。
  75. 黒金泰美

    ○黒金政府委員 ただいま、会計検査院のほうから三つの態様というお話でございましたが、私ども別に三つの態様に分けて経理もいたしておりません。御承知のとおりに、報償費の使途内容はいろいろでございまして、いまおっしゃるような情報の収集もございましょうし、あるいはまた、総理が外国にまいりますときにそれを用いるときもございますし、あるいは国賓の接待等もございますから、いまおっしゃるように、いわば庁費的なもの、交際費的なもの、謝金的なもの、調査委託費的なもの、いろいろございますので、私ども別にそういうように三つに分けたり何かして経理しておりませんので、おのおのについての額をとおっしゃいますが、その額を集計するわけにはまいらないと存じます。
  76. 横路節雄

    横路分科員 そうすると、あらためて会計検査院に来てもらってお尋ねします。私は会計検査院が言わなければ、そういうことを聞くつもりはなかった。会計検査院ははっきりと言ったのです。一つは諸謝金です、一つは情報提供者に対する報償費です、一つは懇談会、会談等の交際費的なものです、こう言ったのです。あなたのほうは、別にそんな三つに仕分けして使っておるわけでもないということになれば、この問題はひとつあらためて、分科会が終わってから一般質問ででもやらしてもらわなければ、私はこれはたいへんルーズだと思うのです。  いまあなたは、報償費の中に総理大臣が外国に行ったときの旅費があると言われたが、何が報償費なんですか。これはまことに不可解ですね。いつも報償費の中で内閣総理大臣外国に行ったときの旅費をお使いになっているのですか。
  77. 黒金泰美

    ○黒金政府委員 第一点につきまして、会計検査院がいかなることを申し上げているか、これは私の責任じゃございませんから、私どもは自分たちの使っている内容を例示的に申し上げただけでございます。  同時に、総理の外遊の旅費とは私は申し上げておりません。国賓の接待関係がございましたり、外遊に関係する金がございましたり、いろいろございます、こう申し上げておるのでございます。
  78. 横路節雄

    横路分科員 いや長官、同じじゃないですか。外遊のときの金といえば、外遊のときの旅費じゃないですか。おみやげもあるでしょうが、一切旅費です。そうすると、内閣官房の報償費の中から総理大臣の外遊の金が出て、そのほかにどこからか出ておりますか。総理大臣が外国に行くときの、すなわちお供をひっくるめて二千五百万とか出ておりますが、それは一切ここから出ておるのですか。官房長官、きょうは分科会ですから、こまかく聞くというのが分科会の本旨なんですから、官房長官もあまりむきにならないで……。このほかにどこからか総理大臣の外国行きの旅費が出ているなら、そのほかに出ております、こう言ってもらわなければ困るのです。
  79. 黒金泰美

    ○黒金政府委員 横路さんは予算にお詳しいので御承知と思いますが、予備費が支出になっております。なお、つけ加えますが、私ども旅費と申し上げておりますのは、外国の旅費規定に基づく旅費を申しております。そのほかに、いまおっしゃいますように、おみやげもございましょうし、向こうで御接待をすることもございましょうし、いろいろありますので、外国に行きますときの関係の経費もこれから出ておるものがございます。例示で申し上げておるので、旅費そのものを申し上げておるわけではございません。
  80. 横路節雄

    横路分科員 そうすると、この旅費そのものは予備費から出ておる。しかし報償費の中には、おみやげもあろうし、外国に行っての接待の金もあろう、そういうものも報償費の中に含まれておるのですか。これは情報提供をするための報償なんではないですか。そうすると接待費まで報償費にあるということは、どういうものでしょうね。それなら交際費に入れておいたらいいのじゃないですか。お礼をするためのものなら、諸謝金に入れたらどうですか。そういう点は、私はいささかこの予算全体がルーズだと思いますよ。この点はどうですか。
  81. 黒金泰美

    ○黒金政府委員 いま申し上げましたように、国賓が見えます際に、接待もございますし、また外国にまいりまして、総理が向こうで接待をするものもございます。ただ、それを交際費だけでまかなえとおっしゃいますが、交際費というよりも、やはりいろいろと内外関係の仕事がございますので、外交あるいは国交を円滑に推進するために、報償費で出したほうがいいという分もございますので、その点は御了承を願いたいと思います。
  82. 横路節雄

    横路分科員 これは、外務省にも報償費がありますね。在外公館にも報償費がありますね。総理が外遊されるときには、やはり外務本省の報償費からも出し、在外公館の報償費からも出るのでしょうね。やはり総理が外遊されたときのいろいろな接待、そういうところでもお使いになるでしょうね。まさかこっちから持っていったものだけで、在外公館はいいんです、外務省はいいんですよというようなことではないでしょう。外務本省の報償費も出ておる、在外公館のものも出ておる、内閣官房の報償費も出ておる、旅費はいわゆる予備費で出ておる、こういうことなんですか、そこをひとつお尋ねしておきたい。
  83. 黒金泰美

    ○黒金政府委員 在外公館なり外務省は、これは毎年総理が外遊するわけでもございませんから、別に予定いたしておりません。したがいまして、総理がまいりますときには、いま申し上げたように、旅費等につきまして予備費の支出を願いましたり、また、私どものほうの報償費で向こうで交際をしたりいたしておるわけであります。
  84. 横路節雄

    横路分科員 それは、外務省の報償費や在外公館の報償費は一切使わないという意味ですか。
  85. 黒金泰美

    ○黒金政府委員 多少使っておるそうでございますが、おおむね私どものほうでやります。
  86. 横路節雄

    横路分科員 それは総理が外遊されるときには金が要る、いろいろお使いになるでしょう。しかしそのほかに内閣官房の報償費も使う、在外公館の報償費も使う、外務本省の報償費も使う、もしも国策上総理の外遊が必要であるというならば、きちんと予算内閣官房なら内閣官房で組んでおいたらいいじゃないですか。しかも先ほどあなたは、会計検査院の事務総長が何と言ったかわからないと言うが、事務総長は言っておるわけであります。諸謝金、交際費、それから情報収集のための金、こう言っておる。だからそういう意味で私は、いまのそれは明らかに交際費だと思います。交際費なら交際費に組めばよい。官房長官、私はこういうこまかな点について少しルーズになっておると思いますよ。だからやはり予算審議の際において、私はこのことを特に取り上げてお話ししておるのです。しかも、多いわけです。外務省は六億七千万、在外公館八億七千万、あなたのほうは二億七千三百万、去年からたしか一億ぐらいふえているんです。ほかの省はおそらく三百万、五百万、一千万、二千万とふやすことさえたいへんなのに、さすが官房長官の腕だと見えて、ぽんと一億というのがはね上がっているわけだから、そういう点でもう少しこれは正確を期して、項目できちっとすべきものはしていくというのが、予算の支出上私は正しいと思う。この点私はあらためてまた会計検査院に来てもらって、官房長官は否定したが、そうなのか、こう言って聞いてみようと思う。  その次、情報調査委託費というのがずいぶんふえたわけですね。今度は四億五千八百九十九万八千円、こうなっているわけだ。一応私のほうでは情報調査委託団体等一覧表というのを出していただいてはいますけれども、やはりこの際記録に明らかにしておく必要があるから、たいへん恐縮ですが、官房長官のほうから、どこに幾らやっているのかということについて、一応御説明していただきたいと思うのです。これはいただいているのですけれども、ただ私がいただいているというにとどまりますから、これはひとつ御発表願います。
  87. 黒金泰美

    ○黒金政府委員 いま仰せになっているのは過去の実績でございましょうか、三十九年度の予定しているものでしょうか。
  88. 横路節雄

    横路分科員 三十九年度の予定でけっこうです。
  89. 黒金泰美

    ○黒金政府委員 三十九年度の予定は、日本放送協会千四百余万円でございます。内外情勢調査会四千五百余万円、共同通信社七百万円ほど、ラジオプレスに二百五十万、共同通信社開発局に二千三百十万、海外事情調査所に四千八百万余り、世界政経調査会に一億三千六百万、東南アジア調査会に千六百万、国際情勢研究会に四千三百万余り、それから国民出版協会に六千万余り、民主主義研究会に六千二百万円余り、大体こんな予定をしております。
  90. 横路節雄

    横路分科員 実は私資料要求しまして、提出資料名一覧表として仕事の内容等も出していただいたのです。これは、内閣調査室でおやりになっていることは、世界の情勢を分析するのに少しへんぱではないでしょうか。まず中共資料、ソ連東欧資料、ソ連関係重要事項年誌、中共月誌、朝鮮資料、国際共産主義資料、まあ東南アジアその他ございますけれども、どうもそういう共産主義陣営に対するのがずいぶん多く占めていると思うのです。私はこの間資料をいただいたのですが、いまあなたが御指摘をされた東南アジア調査会のほうは、去年は千三百四十四万九千円、ことしは千六百万円という資料をいただいたんですが、東南アジア中東月報というのだけ一冊いただいたのです。私一九六三年十一月のものをいただいたんですが、これが毎月出ているだけじゃないかと思う、あとのものは来ませんから。そうすると、東南アジア中東月報、これを毎月一冊ずつ出すのに去年千三百四十四万九千円、ことし千六百万円。ほかの省では、内閣官房のようにあんなにたくさん金を持っているんなら、もっといい仕事ができるがなあ、こう言っているのです。毎月これ一冊だけでないんでしょうか。私資料要求したら、東南アジア調査会関係としてこれ三川来ました。去年は千三百四十四万九千円です。これは金の使い方、どんなもんでしょうか。ただ私に見せてはうまくないと思ったんで、大事な資料ははずしてこれだけよこしたもんでしょうか。またこれを委員会で使ったらうまくないと思って、これだけよこしたもんですか。しかし、これだけで千三百四十四万お使いになるというのは……。ほかの省はみんな泣いているですよ。これはどうなんですか。実際私これしかいただいてないんですが、ほかのものは隠したのかどうか。
  91. 黒金泰美

    ○黒金政府委員 まあ能率の点は、できるだけ上がるように一生懸命に努力はいたしております。それから、どうもへんぱではないかというお話でございますが、われわれやはり知識の足らないところを一生懸命勉強したい、またしなければならないということで、われわれの知識の度合いによりまして、いろいろと重点的に勉強をさしていただいている、こんなふうな関係でございます。ただ、いま御指摘になっております東南アジア調査会でございますか、このものは定期的にはいま御指摘になっております東南アジア中東月報を出しておりますが、こういうところの調査というものは、決して定期な刊行物だけで尽きているものではございません。時々いろいろな調査をお願いしてみましたり、また、そういう刊行物にはいたしませんが、いろいろと随時にわれわれのところに報告がある、こういう状態でありまして、それを全部が全部印刷にして公にしているわけではございません。横路分科員のお手元にまいりましたものはごくわずかで、まあお目ざわりだったかもしれませんが、そういうことで大いに勉強はさしておるつもりでございます。
  92. 横路節雄

    横路分科員 しかし、どうも東南アジア調査会ではそのほかにあまり重要な資料をやっているとは聞いていない。いろいろなものを調査するために、他の団体に委託するということもあるでしょう。しかし、ほかの省を見てごらんなさい。全体で百万円とか二百万円とか三百万円。それをあなたのほうは、四億五千万も使っているのです。そうしてその内容といえば、私はたいへん失礼なものの言い方だが、その中で国会に出していただいているのは、内外情勢調査会から出していただいている。もしも政府のほうでこれだけの金を使っておやりになるならば、当然私は国会にもお出しいただいて、国会議員にも全部配付さるべきだと思う。どうなんですか。私たちが要求すれば出してくる、要求しなければ出してこない。ただ、しょっちゅうくるのは内外情勢調査会のものだけだ。こういう東南アジア中東月報というものは毎月出しているのだから、われわれ国会議員にみんな出したって何も差しつかえないじゃないか。その点はどうなんですか。要求しなければ出さない、ひた隠しに隠したいというのか。お出しになったらいいのじゃないか。そして、なるほどこれはいわゆる国政審議の上で非常に重要だということになるならば、われわれもこんな議論をしないかもしれません。もっと出しなさいと言うかもしれません。どうなんですか。あまりにも秘密主義過ぎませんか。その点お尋ねしたいのです。お出しになったらいいと思う。
  93. 黒金泰美

    ○黒金政府委員 調査をぜひ能率的に行なってまいりたい、できるだけその調査が全体に使えるようにしていきたいということにつきましては、横路分科員お話、同感でございます。いままでの態度は、御要望があれば出します、できるだけ出しますというような態度であったことも事実のようでございます。今後、いま申し上げたように、でき得る限り多くのものを出してまいりたい、かように考えております。
  94. 横路節雄

    横路分科員 それから、この予算の中に報道関係の予算があるわけですね。この報道関係に関する予算は、何も内閣官房ばかりではない、ほかの省にもあるのです。あなたのほうで払っているが、ほかの省からも払っているということがあるのではないのでしょうか。これはどうなんですか、そういうことは絶対ないですか。二つ以上の省にまたがって支払いをしているということはないですか、いろいろな団体について……。
  95. 黒金泰美

    ○黒金政府委員 ちょっと私不敏でわからないのですが、マスコミの金というのはどれをおっしゃっているのですか、もう少しお教え願って……。
  96. 横路節雄

    横路分科員 これは一体どういう意味なのか、率直に  報道関係の諸君も聞いているわけだが、これはたとえば、共同通信社七百二十万円、共同通信社開発局二千万円、あなたのほうの一つの省で。これはどういうことを意味しているのでしょうか。何かこれは別の社なんですか、名前は同じなんですけれども
  97. 黒金泰美

    ○黒金政府委員 いまお尋ねの二つは、相互に別の人格でございます。共同通信は、御承知のように海外その他の通信がずっと定期的に入っております。これの金でございますし、その開発局の問題は、そういうふうに一般に流れておりますもの以外にいろいろと入ってまいります海外のニュースその他、そこでもってもう一ぺんわれわれに役立つものを選別いたしまして、そうしてこちらに送ってくるというような関係でございます。
  98. 横路節雄

    横路分科員 そうすると、共同通信社は一般的な通信社、共同通信社開発局というのは、全く内閣官房にいろんな資料を提供するための特別な機関である、こういうわけですか、そこをはっきりしてください。何だったら調査室長でもいいのですよ。
  99. 黒金泰美

    ○黒金政府委員 いまお尋ねの点ですが、共同通信社のほうは、御承知のとおり、これは一般的に流しておるわけです。それを買っておるわけです。ところが、そういうふうにして一般的に流れるもののほかにもまだ、一ぱい入ってきましたものの残りがあるわけです。その残りの中からまた、必要なものが選別されまして送ってくる。ただ、これは私どものところだけのためにあるんじゃございませんが、そういうわれわれに役立つものを残った一般向き以外のところからピックアップしまして持ってきてくれるのが、開発局のほうでございます。
  100. 横路節雄

    横路分科員 しかし、共同通信社でやることには変わりはないんでしょう。これは全然違うのですか。
  101. 黒金泰美

    ○黒金政府委員 別人格でございます。
  102. 横路節雄

    横路分科員 実はこの情報調査委託費につきましては、まだたくさん問題があります。ただ、私きょうは内閣と総理府と両方合わせて一時間ということに時間の制約を受けましたから、この程度にしょうかなと思っているところです。  それからもう一つ。内閣調査室の機構という点について、実は私もやっぱりここに持ってはいますけれども、これは私が持っていただけでは意味をなしませんので、内閣調査室の機構というものをずっと一つ文書で読み上げてというか、説明してくださいませんか。これはいまの情報調査委託費との関係が非常にあるわけですが、これはぜひここで明らかにしていただきたいと思います。室長からでいいです。
  103. 石岡実

    ○石岡説明員 お答え申し上げます。  内閣調査室の内部機構は、室長、次長がおりまして、そのほかに総務、それから国内情報調査関係、海外情報調査関係、それからマスコミ等にあらわれました動向の調査関係、情報の分析評価関係、研究調査関係並びに資料関係の部門に分かれております。
  104. 横路節雄

    横路分科員 情報関係というのはあるんでしたか、ないんでしたか、情報主幹というか……。
  105. 石岡実

    ○石岡説明員 こういう部門に分かれておりまして、それぞれそれを調査官が担当いたしてやっておるわけであります。
  106. 横路節雄

    横路分科員 いまのあなたのほうの内閣調査室の機構とこの情報調査委託団体との関係というものは、あなたのほうのいまのこの機構とあわせて、いろいろ各調査団体に金を渡して、調査室のほうで連絡をとって、その資料をいろいろ分析して官房長官に出していく、こういうかっこうなんでしょう。
  107. 石岡実

    ○石岡説明員 内閣調査室の情報収集調査につきましては、調査室自体の収集するものもあります。しかし、その多くは団体に委託をいたしまして、収集調査をいたしております。その必要なる収集調査をいたします関係上、そういう収集調査されましたところの資料の確認とか整理とか整とんとか、それをさらにいろいろ総合するとかいうふうな関係で、そういうふうな系統にだんだんと仕事の形もなってくる、こういうふうなかっこうになっておるわけであります。
  108. 横路節雄

    横路分科員 それでは私はこれで、時間もあまりございませんから、内閣官房のほうの質問は終えたいと思いますが、ただ官房長官に申し上げておきます。  私は、予算の使い方で、今回は資料を取りませんでしたが、国民出版協会などは、前に資料を取って全部検討したのです。これはここにもございますが、論調、松川事件、ケネディ暗殺の週刊論論、マスコミの焦点、地方ニュースの焦点、日本知識人の社会的役割、最近における都市大衆の動向、テレビと青少年問題、調査月報と、こうあって、あなたのほうでことしの予算は六千二十一万円組んでおります。これは、私はその膨大な資料を一ぺん検討してみましたが、けさの朝刊からというので、さっさとまとめてある。そういうことで六千万円も使う。それが一体どれだけの情報の分析をしておるかと見ると、各新聞社の社説をだっと集めてある。なるほど各新聞社の社説を官房長官はその日忙しくて見れませんから、まとめておいて一括して、朝日、讀売、毎日、何々というように、こうなっておりますよとおやりになるのかもしれないけれども、そういう意味で官房長官、調査委託費についても、これは膨大な金額を支出しておるわりあいには、そういう点の管理運営というのはルーズだと思う。これは長官、あとでお調べになってもわかると思う。そういう点で私は情報調査委託費にしても、それから報償費についても、これだけ膨大な金を、さすが大蔵大臣は官房長官であるというゆえをもって、おそらく削減しないでみんな組んだんだろうと思う。そういう点はこの予算の支出にあたっても、予算の編成にあたっても、もっと厳格な態度でやるべきだと私は思うのです。そういう点で、この点は予算の編成においてもルーズになり過ぎておりはしないか。予算の支出についてもそうだと思う。私は長官にこのことを申し上げておきたい。初め内閣官房だけで一時間かと思っておりましたら、内閣官房と総理府と合わせて一時間ということですから、ちょうど時間も三十分ほど過ぎましたので、私長官にそのことを強く要望しておきますが、長官、どうお思いになりますか、その点だけひとつ……。
  109. 黒金泰美

    ○黒金政府委員 横路さんのいまの御忠告は、まことにありがたく承ります。予算がふえてまいりますに従って、特に厳重に自粛自戒して予算の執行をしてまいりたい。特に、ともすればこういう仕事はマンネリズムに流れやすい仕事でありますから、よく自戒してまいります。あなたの御忠告をありがたく承ります。
  110. 横路節雄

    横路分科員 次に、総務長官お尋ねいたします。  琉球諸島に対する援助金に関する覚書というのを昭和三十八会計年度でいただいてあり、それから三十七年度の琉球諸島に対する援助金に関する覚書というものをもらっておる。まず三十七年度について、なぜこれだけの予算を組んでおきながら、農林中央金庫に対する琉球政府の出資のための補助金、一億三千万円しか支出できなかったのか。これは一体アメリカから何か制肘を受けたのかどうか。その点をひとつ最初に承っておきたい。  それから、時間もありませんから、一括して御答弁いただきたいのですが、この間、沖繩のキャラウエー高等弁務官とあなたと会談をやられたようだが、それはおそらく昭和三十八会計年度における琉球諸島に対する援助金に関する覚書その他をめぐっていろいろお話があったのだろうと思うが、そういう点について最初に二点お尋ねをしておきます。
  111. 野田武夫

    ○野田政府委員 第一点のお尋ねの農林中央金庫の出資の問題ですが、これは、農林中央金庫だけに出資いたしましたのは、琉球政府の希望も一ありましたし、またアメリカとの折衝過程でも、まず一応農林中央金庫に出資だけでよかろう、したがって特別、アメリカの圧力があったとか、あるいはアメリカのほうでいろいろ苦情を言ってきたということではなくて、現実に即して一応農林中央金庫の出資でよかろう、こういうことになったので、農林中央金庫だけにいたしたのでございます。
  112. 横路節雄

    横路分科員 ほかのほうはどうしてやらぬのか。
  113. 野田武夫

    ○野田政府委員 ほかのほうは今後必要によってやろうということでございまして、折衝過程でいろいろございましたが、一応一番大事なのは農林中央金庫だ、こういうことになったものですから、農林中央金庫だけに出資したのでございます。  第二点の問題ですが、キャラウェーと私の今度の話でございますが、特別新たな問題はございませんが、横路さんもよく御存じのとおり、三十七年度以後、琉球に対する援助の内容が年度ごとに消化しておりませんものですから、だいぶん繰り越しいたしております。これは私どもとして非常に遺憾に思っておりまして、できるだけひとつ援助した金はその年度で消化するようにやりたい。ところが事実において、これも御承知のことと思いますが、その事情は、アメリカの会計年度が七月である。琉球政府も七月であるということと、   〔主査退席、田澤主査代理着席〕 アメリカの議会で予算が成立するのがいつもおそいのでございまして、三十七年度も十二月になっておる。三十八年度も同様でございまして、したがって三十七年度の援助費に対する最後の覚え書きが、三十七年度は三十七年十二月の末になりまして、三十八年度は本年の一月三日にようやく覚え書きができた、こういう経過でございます。それで私は、今回のキャラウェーとの会見におきましても、過去において繰り越しが非常に大きいのであってせっかくこちらが出した、またアメリカも出しておりますが、援助費がその年度において消化されないことは遺憾であるから、今後ひとつぜひその年度において消化するように配慮を願いたい、こういうことを特にキャラウエーに申しました。
  114. 横路節雄

    横路分科員 これは、琉球のアメリカの民政府の民生安定五カ年計画というのを出して、最初アメリカのほうでは、ケネディ大統領はプライス法によって毎年の支出権限額を、これは何ぼですか、二千五百万ドル、それが議会で削減をされて千二百万ドル、だんだん、しまいには六四年で八百万ドル、こういうようにわれわれ承知しているのだが、沖繩におけるアメリカの民政府の民生安定五カ年計画での、アメリカのこの計画に基づく援助額というのか、これは一体どういう金額になっているのか。これはこの間お話ししなかったのですか、キャラウェー高等弁務官との会談では。
  115. 野田武夫

    ○野田政府委員 ただいまお示しのアメリカの沖繩対策五カ年計画というものは、まだ明らかになっておりません。したがって、その問題を中心として話す段階ではなかったのでございますから、話しておりません。
  116. 横路節雄

    横路分科員 しかし日本が幾ら幾らと金額をきめたときには、琉球政府の経済開発五カ年計画か、アメリカの沖繩における民政府の民生安定五ヵ年計画かで六対三対一、アメリカは三支出して日本は一だ、こういうことでやったのではないですか。それに基づいて日本のほうの予算を組んだのに、アメリカのほうは幾ら組むかわからないのだというようなことはありますか。六対三対一でやるということについては、そういう話だったでしょう。長官、その点御答弁ください。それがなぜそうなって、なぜアメリカのほうの金額が明確でないのか、その点を明らかにしてください。
  117. 野田武夫

    ○野田政府委員 アメリカの五カ年計画をもとにして、いまお話しのアメリカ日本と三対一の援助ということで、われわれもそれは非常に期待しておりましたが、実は五カ年計画もアメリカは明示いたしませんし、三対一のことも約束はできておりません。話し合いができておりません。これはつまりそういう意向があるということを一部の新聞その他で報道されただけでございます。
  118. 横路節雄

    横路分科員 それでは、昭和三十八会計年度における琉球諸島に対する援助金に関する覚書で日本がこれだけ組んでいるというのは、アメリカはどれだけ組むかわからぬが、まあとりあえず日本はこれだけやりましょう、こういうことで、やったわけですか。それじゃいままで、池田総理となくなられたケネディ大統領との間に沖繩に対する——沖繩に関するケネディ大統領の声明というものがここにもあります。一九六二年三月二十日。いろいろ私ども手元に持っているのですが、そういうことを全然相談なしに、全然何もワクがなくて、それじゃ日本は一方的にやりましょうか、こういうことなんでしょうが、長官、それじゃこの間一体何の話をなすったのです。せめてそういうお話をなさるのが、この間の話の目的ではなかったでしょうかね。どうなんですか。
  119. 野田武夫

    ○野田政府委員 実は横路さんのお話のように、私どももそういう事態があることを非常に希望するのです。ところが、さきほど申しましたとおり、アメリカの五カ年計画も明示しないし、またアメリカがどの程度の援助をするかということも事実わかっておりません。しかしできるだけ、アメリカもそうでありますが、日本といたしましても財政の許すだけひとつ援助しよう、こういうことで、大体過去のいろいろの琉球政府の財政計画なんかも見まして、そして申し上げると一番おわかりのとおり、実を言うと、幾ら金をやっても消化しなければ困るという点もあります。そういうことを勘案しまして、できるだけ日本の財政の許す範囲においてひとつ最大限に援助しよう、こういうことで今度の予算も大体組んだのでございまして、この点は決して、アメリカが幾ら出す、君のほうは幾ら出せということでは入っておりません。
  120. 横路節雄

    横路分科員 それでは、琉球政府が出した経済開発五カ年計画やアメリカの琉球における比政府の民生安定五カ年計画というものは、それはもう全くただ計画が発表されたというだけで、日本の出す金と合わせてやるなんというものではないわけですね。それじゃ何をしようというのですか。  それじゃちょっと長官に……。一昨年の十一月、アメリカから提案された日米協議委員会と日米琉技術委員会設置、これはできたのですか、まだできていないのですか。それからできていないとすれば、何が障害になっているのか。こういう点についてひとつ明らかにしてもらいたい。
  121. 野田武夫

    ○野田政府委員 まず最初のお尋ねでございますが、沖繩の政府で出されたという五カ年計画、これも沖繩の大体の計画の方針と申しますか、そういうものを出したのでございまして、これも最後にアメリカ政府日本政府も、沖繩五カ年計画というものを実際にやろうという承認を与えておりません。したがって、沖繩の出しました五カ年計画というものは、沖繩政府の一つの計画でございまして、実態としては、これを根拠として援助するということまでいっておりません。  それから、いまの日米協議委員会、日米琉委員会というのは、これはいまお話しのとおり、アメリカから提議してきたものでございますが、実は率直に申しますと、早くできると思ったのです。私もできることを非常に希望しているのです。これができると、いろいろお互いに腹を割って話ができると思っておりましたが、その経過は——これは大体外務省がやっておることでございまして、私あまり立ち入ってかれこれそれを申し上げられませんが、もう最終段階に来て、近くこれが成立するだろうということは外務省から報告を聞いております。
  122. 横路節雄

    横路分科員 長官、何が長引いておる原因なんですか。日米協議委員会アメリカ側は大使、日本側は外務大臣とあなた二人になっているわけです。だから、あなたも報告を受けているでしょう。アメリカが提案をしておきながら、一年有半にわたって延び延びになっておるが、アメリカ側の理由は何ですか。この点については、あなたはこの間キャラウェー高等弁務官と会談の際には話をしなかったのですか。この点は何が障害になっているのですか。
  123. 野田武夫

    ○野田政府委員 これは先ほど申しました外務省アメリカ政府とやっていることでございまして、私一々その点の経過を詳しく申し上げられませんが、大体交渉の長引いておりますのは、同委員会に対する基本的な考え方、あるいは構成員とか手続等において多少日米両国側において隔たりがあった。そのことから手直ししてやっておったことで、その後数次のお互いの対案を出しまして、そして逐次調整をいたしまして、大体その調整も最後の段階に来ておる、こう聞いております。
  124. 横路節雄

    横路分科員 総務長官、その調整が問題なんです。あなたのほうでは、日米の協議委員会に総務長官としては、いわゆる沖繩に対する施政権返還の問題を入れてもらいたい、施政権返還に関する問題を協議委員会でいろいろ協議さしてもらいたい、ところが、アメリカとしてはがんとして拒否をしてきた、これがあなたのいう基本的な考え方に隔たりがあったということでしょう。だんだんと調整してきた、調整というのは、総務長官は、泣く泣く沖繩の施政権問題は取り上げない、こう下がったので、そうか、それならばやってやろうか、こうなったのじゃないですか。その点は長官、非常に大事なところです。いまあなたは基本的な考え方に隔たりがあったと言うのですが、ここで遠慮なしに言ってください。沖繩の人たちはみな非常に期待をしているのだから、経過はどうなっているのか、あなたのほうの態度はどうだったのか、きちっと言ってください。
  125. 野田武夫

    ○野田政府委員 基本的な考え方に多少の隔たりがあったということは、これはいろいろありますが、私は総務長官としては、もちろんいろいろ希望を持っております。しかし、いやしくも外交交渉でございますから、私が外務大臣でございますと、こうこうですということを申し上げますが、私の立場といたしましては、外交交渉の内容まで触れてお答えするということは、少し越えていると思いますから、ひとつできましたら、外務省からだれか来ていると思いますから、そのほうに聞いてもらいたいと思います。
  126. 横路節雄

    横路分科員 総務長官、沖繩問題は非常に大事ですから、私もこの分科会が終わったら、聞ける機会があったら聞こうと思うが、これははっきりしているのじゃないのですか。いまあなたが基本的な考え方に隔たりがあるというのは、日米協議委員会で総務長官としては沖繩の施政権の問題をそれに含めておきたいのだ、それがアメリカ側から強い反対があって、一年有半たってしまったのだ。しかたがないからだと思うが、総務長官のほうはやむを得ずそれを取り下げたんだと思う。まあ発足することにしようかということになった、というようにわれわれは理解している。その点、あなたの答弁で明らかにして—何も外務大臣ここへ来なさいというようなことではなしに、総務長官としては希望したけれども、だめだった、だめだったらだめとはっきり言いなさいよ。長官分科会がまた延びるんですよ。総務長官のおかげでまた一日延びたといったら、与党からたいへんおしかりを受けるのじゃないですか。長官、はっきり言われたらいいですよ。そういう点は、私のほうはやはりこう思った、しかしアメリカのほうで受け入れなかったから、だめになってきて、おろした、だから今度発足することになったというのなら、なったというふうに言っていただかないと、だめですよ。その点、長官、男らしく言いなさいよ。
  127. 野田武夫

    ○野田政府委員 横路さんの総務長官に対する御同情といいますか、御理解といいますか、非常に感謝するものであります。基本的隔たりだといいましても、いま御指摘の問題だけが基本的ではございません。いろいろございます。また、外交交渉でございますから、私もあまり知らないのです。知らないというのは、全部は知りません。一部は知っております。そこで、それを私が申し上げるということは、横路さんはそれでよかろうとおっしゃるかもしれませんが、これはやはり政府部内としまして、よその所管のことをかってに私が経過を——それも全部私が交渉相手になっておれば、それに参加しておれば、もちろん申し上げますが、そういう事情でございますから、そういうことは百も御承知横路さんでございますから、どうぞしかるべくその点お考えの上で、外務省その他にお尋ね願いたい、こう思っております。
  128. 横路節雄

    横路分科員 実はこれは非常に問題のあるところです。特に予算も組んであることですし、覚え書きもできたことでございますし、しかもアメリカ側から提案されたものが一年有半延び延びになっているということですから、総務長官としては外交折衝の当面の責任者ではないから、外務省のしかるべき者を呼んでやってくれということになると、私はこの問題は質問を留保しておいて、適当な機会に、長官お話のように外務大臣なりその他に来てもらって、これは大事な問題ですから、ぜひお話ししなければならぬ、こう思っておりますから、この点は、いま長官のせっかくの御答弁ですから、ひとつお願いします。いいですね。
  129. 田澤吉郎

    ○田澤主査代理 けっこうです。
  130. 横路節雄

    横路分科員 それでは、承諾をしていただきましたので、次に移ります。  私は、覚え書きの中で予算を検討したのですが、三十七年の予算にも三十八年の予算にもないのですが、教科書無償供与援助金三千六百十八万二千円というのが三十八会計年度の中で出てきたわけですが、これはどこの予算を移流用したわけですか。
  131. 野田武夫

    ○野田政府委員 御承知のように、三十八年度から沖繩においては小学生の教科書を全部無償配付するのですが、最初の援助予算には、これは組んでおりませんでしたが、この予算の流用は南方援護会の予算を流用いたしまして、これを教科書無償配付のほうに回したのでございます。  それから、三十九年度は、もちろんこれははっきりいたしましたから、沖繩に対する援助費の中に組んでおります。
  132. 横路節雄

    横路分科員 これは、もちろんすでに大蔵大臣の承認を得てあるわけですね。その点、はっきりしておいてください。——得ている。  それでは、沖繩に対しては経過があるわけですね。経過があるというのは、初めアメリカはあまり希望しなかったわけですね。そこで、希望しなかったのに、理屈をくっつけて、一年生ばかりやるのはつまらぬ、やるんなら一年から六年までやれ、こういうことになった。そこで、これは幾らですか。日本は三分の一援助して、琉球政府は三分の二を出すんですね。その点、ひとつはっきりしてください。
  133. 野田武夫

    ○野田政府委員 いまお話しのとおり、日本は三分の一出すことになっております。
  134. 横路節雄

    横路分科員 これは三十九年度はどうなるんですか。三十九年度は日本から全額いくんですか。やはり三分の一いって、向こうが三分の二ですか。
  135. 野田武夫

    ○野田政府委員 やはり同じように日本は三分の一負担することになっております。
  136. 横路節雄

    横路分科員 これは琉球政府では経過があって、初めは一年生の全額でしたか、そうでしたね。今度それが六年生までやれということになって、こちらは三分の一、琉球政府は三分の二ということで、琉球政府はそのために一般の教育費が非常に圧迫をされている、そういうことを言われておるわけです。  これはやるなら、いっそのこと全額負担したらどうですか。長官としてはどう思いますか。全額負担したほうがいいんじゃないですか。その点の長官の見解をひとつ……。
  137. 野田武夫

    ○野田政府委員 実は私、横路さんと同様に、できれば日本がせっかく援助するから、全額負担したらいいじゃないかという気持ちは十分あります。しかし、実情を申しますと、琉球のほうの子供の父兄も、日本の援助だけじゃなくて、やはりみずからひとつ税金の中から無償配付に対しては出したほうが気持がいいという空気もあるのです。そこで……。(横路分科員「一部でしょう」と呼ぶ)  それは一部かもしれませんが、あるのです。  そこで、これは将来はどう取り扱うか知りませんが、何しろ小学生の教科書の無償配付でございますから、いいことだと思いまして、いずれにしても将来の負担の問題は別として、いいことからひとつ手をつけていこう、こういうことでいまの三分の一の負担をしておるわけでございます。
  138. 横路節雄

    横路分科員 いま長官の、三分の一でけっこうだ、われわれ父母も三分の二負担するというのは、私は一部の話だと思うのです。  大体これは、日本国民に話してごらんなさい。三分の一でけっこうです、われわれ親は子供を養育するためには三分の二程度はやるべきだと言わない。全額やってくれ、憲法で義務教育は無償だというから全額やってくれと言っているじゃないですか。それはどこですか。いまあなたがおっしゃっていることは、すぐ向こうにも知れるのです。琉球のほうにもぽんと出るのですから、もしも琉球の人々が希望し、琉球政府が希望するならば総務長官としては、日本の児童に対すると同様に全額負担したほうがいい、こういう考えか、この点、はっきりしてください。向こうの人が希望しないから三分の一にしたのか。向こうの者が希望し琉球政府もそれを希望するならば、総務長官としては全額やるというのか。その点、はっきりしておいてください。
  139. 野田武夫

    ○野田政府委員 沖繩における義務教育の教科書の無料配付は、実は四十年度からは中学生も全部やりたい、こう計画いたしております。そこで、いま横路さんがおっしゃったとおり、できれば全額日本が負担してやるということは、私はいいことだと思っております。いいことだと思っておりますが、四十年度からさらに中学生の全部の学生にも無料配付するということでございますから、やはりおのずから援助費にも、大体教育費にはどの程度、産業関係にどの程度という限度がございますから、ただ私が希望しているから、向こうが希望すればすぐそれは実現できるというように簡単には財政計画がいけないと思っております。しかし、希望するところは、できればそういうことが実現すればけっこうと思いますけれども、いま申しましたとおり、いろいろ援助内容につきましても計画がございますものですから、したがって、四十年度からの中学生を全部教科書を無料配付するということになりますと、直ちに全額を日本が負担するということは多少困難ではないか、こう思っております。
  140. 横路節雄

    横路分科員 総務長官、それはアメリカ側が反対しているんではないですか。その点はありませんか。日本国民同様に全額国庫負担をして全額をやれば、次第に日本国内並みの扱いをやられれば、施政権が一部ずつへっ込んでいくのではないか。  長官、これは大事なんですよ。いまあなたが沖繩の父母のことを言っているが、沖繩の父母はそんなことを言っていないですよ。沖繩の父母が三分の二負担したいと言ったから三分の一出したのだなんて、向こうの新聞にばかんと出ますよ。そうすると、向こうからそんなことはないと育ってきますよ。それじゃ全部頼みますよと、ちゃんと決議してきますよ。  だから、私はここではっきり御答弁願いたいのは、そうではなくて、日本の児童と同じに全額やれば、何か施政権の一部がへっ込むのではないかという、そういう懸念をして補助にしている。そうでしょう。向こうの親からすれば、何だったらことし一年から四年までやってもらって、来年は六年までやってもらって、その次は三年と、こうのばしても全額負担のほうがいいですよ。三分の二琉球政府が負担するということは、財政貧困な琉球政府としてはたいへんな教育費に対する圧迫ですよ。この点やはり長官、国会の論議を通じてはっきり言えるところは言っておいたほうがいいですよ。アメリカがどうも納得してくれないのでやれないのだというふうにはっきり言ったほうがいいですよ。沖繩の父母が三分の二負担したいからなんて、だれがそんなことを言いますか。そんなことが向こうの新聞に出たら、総務長官何を言っているか、と言われますよ。だからはっきりと、とにかくわれわれはやりたいのだが、アメリカ側が希望しないのだ、とこう一言言いなさいよ。どうして遠慮なさるのだろうな。
  141. 野田武夫

    ○野田政府委員 お答えいたします。まず三分の二を沖繩が負担することは、教育費のほかの仕事に差しさわるということはよくわかります。しかし、いま日本政府としましては、やはり援助費はなるべく毎年増していこう、それからその間に、沖繩の事情によっては、教育費も援助費なんかに相当重点的に取り扱っておりますが、さらにひとつ増額していこうという気がまえはございます。また、いま申しました再来年四十年度からの中学生の教科書無料配付も、なかなか金のかかることでございますが、これもひとつ一挙にやろうということでございますから、いまお話しのとおり、全額日本が負担するということは、私も先ほど申しますように希望いたしております。希望いたしておりますが、いわゆる財政計画の都合がございます。  それからもう一つ、いまアメリカお話がございましたが、これは、すべての沖繩援助につきましては、やはり施政権を持っているアメリカと話し合いをして、そうしてアメリカもできるだけ多くひとつ援助してもらいたいし、日本もできるだけ多く援助するということでございますから、その間、ただ日本政府の意思によってすべてがやれるという状態ではございません。したがって、ただ、そのときの交渉では、アメリカも一応日本から三分の一の補助をしてくれないかというお話は事実あります。しかし、将来の計画についてかれこれアメリカが反対とか賛成とかいう意向はまだ漏らしておりません。
  142. 横路節雄

    横路分科員 私はあと二つだけお尋ねをして質問をやめたいと思います。  一つは、先ほど昭和三十八年度の教科書の無償配付に対する援助金は、南方同胞援護会の予算を移流用した、こういうわけです。南方同胞援護会というのは、これは団体ですね、政府の機関ではないわけですから。したがって、三十八年度については、おそらくこれだけ南方同胞援護会の予算を移流用したのであって、その後はないでしょうね。三十九年度の予算の中にも、沖繩に対する援助金を南方同胞援護会の中に組んであることはないでしょうね。なぜそのことを私はお尋ねしているかというと、政府責任においてやるべきことなんだから、政府責任においてやるべきことならば、それは総別府の中に予算を組んでおくべきであって、団体の南方同胞援護会の予算の中に組んだ費用から移流用をしてやるなんていうことは——三十八会計年度における琉球諸島に対する援助金に関する覚書も私はおかしいと思うのです。南方同胞援護会の予算から移流用をしてやるという考え方はおかしいと思うのです。しかし、これは終えてしまったのだが、これだけであって、三十九年度以降はないでしょうね。三十九年度予算の中にはそういうものは入っていないでしょうね。
  143. 野田武夫

    ○野田政府委員 三十九年度以降には流用するようなことは考えておりませんから、三十九年度におきましてもそういうことはございません。
  144. 横路節雄

    横路分科員 これはなぜ南方同胞援護会の予算を移流用したのですか。これがおかしいですね。ほかから出しようがなかったのでしょうか。その点はどうなんですか。三十八年度の教科書の無償援助に対する援助金……。
  145. 野田武夫

    ○野田政府委員 実は小学生の教科書無料配付ということは非常にいいことなんです。そこで、その問題は実は予算を組むまでには出ていなかったのです。予算を組んだあとで出てきたのです。そこで、いま申しますように、問題によりましてはそういう流用なんということは差し控えるべきことでございますが、せっかく小学生の教科書を無料配付するという教育上、また経済上、社会的にも非常にいいことだから、それじゃ少し変則であるけれどもいいことをやるのだから、ひとつその財源は予算に組んでないからというので、特別にそのときは南方同胞援護会の金を流用したのでございまして、今後はそういうことは絶対ございません。
  146. 横路節雄

    横路分科員 長官日本政府としてはどうなんですか。先ほどの琉球におけるところの民政府の民生安定五カ年計画、あるいは琉球政府の経済開発五カ年計画というようなもので、基本的な方針は日本政府としては六対三対一、こういう基本的な方針は堅持しつつ——予算はそうなっていないけれども——その方針は堅持しつつやるのでしょうね、できるだけそれに近いように。そうでなければ、この池田総理とケネディ大統領との間のいろいろな取りきめから出てきたところの、琉球諸島に対する援助金を六百万ドル以内にしている現在の制限を撤廃するためのプライス法を改正するよう議会に要請する云々ということは全然飛んでしまう。当然日本政府のこれが上がってくれば、アメリカ政府のほうの援助金も上げてくる、こういうことだけはこの間の総務長官と高等弁務官のキャラウェーとの間では話し合いをしているのでしょうね。
  147. 野田武夫

    ○野田政府委員 いわゆるプライス法の改正でアメリカは千二百万ドルまでということに限度がなりまして、日本政府といたしましては少しでもよけいにアメリカに出してもらいたい、こういうふうに熱望しております。それで、私は今度ひとりキャラウェーだけでなくて、できるだけ機会を見てアメリカ側にその意思を伝えております。しかし、琉球政府の経済開発、生活、いわゆる福祉、安寧の向上、こういうことを考えますと、日本政府としては、やはり何といっても同胞でございますから、アメリカが三でなければおれのほうは出さないというようなくぎづけの考え方でなくて、やはりもう少し幅の広い考え方を持っていい。しかし、基本的にはいまお話のとおり、アメリカの三に対して日本は一ということに大体考えております。この三十九年度の予算編成にあたりましても、実はアメリカの援助費の内容、日本側に対するアメリカはどのくらい出すだろうかという、向こうからもいろいろ非公式の連絡がありまして、しかし、日本は少なくとも昨年度よりも増さなければいけない、三十八年度よりも三十九年度の援助費は増額したいのだという意思は、これは非公式でございますが、しばしばアメリカにも伝えておきました。その結果、大体卸承知のとおり、アメリカも一千万ドル程度の金を出したし、日本も昨年に比べまして二千数百万円よけいに出すという経過になっております。したがって……。
  148. 横路節雄

    横路分科員 一千万ドルですか。
  149. 野田武夫

    ○野田政府委員 一千万ドル。いや、一千万ドルまで……。つまりプライス法は御承知のとおり千二百万ドルですから、いままで最初より漸次ふやしてきておることは事実でございます。三十九年度は大体一千万ドル。それで日本も、繰り返して申しますが、三十八年度に比べて二千数百万円よけいに、二十億一千何百万円を出しました。  そういうことでありまして、ただ比率が常に三対一だという、方針はそうでございますが、アメリカの出した金の常に三分の一だという考え方では、やはり琉球の住民の福祉のためにはよくないと思いますから、日本日本でできるだけ増額したい、こういう考えを持っております。
  150. 横路節雄

    横路分科員 あと長官に二つ一ぺんに聞きます。  一つは、沖繩援助に関する調査団で、第一次調査団は三十六年の六月十五日から二週間、団長は当時の総務長官から、大竹特連局長からずっと行っておるわけです。それから第二回は三十六年七月十日から行っておる。そのときは第一班、第二班と二回に行っておるのです。このときの調査報告書が、何を一体調査して、どういうことになったのか、調査報告というのが全然わからないわけです。それをぜひひとつ出してもらいたい。  その次にもう一つ。今度の覚え書きの中で、会計検査院が会計検査をすることができる。これはぜひこの覚え書きどおりやってもらう、何々についてはできないということのないようにということで。  まずあなたに、調査団のことと報告書のことの二つだけお尋ねをしておきます。
  151. 野田武夫

    ○野田政府委員 調査団の報告書を出せということでございまして、打ち明けると、実は私、ちょっと事務当局に聞いてみたのです。それで、できておるかというと、大体まとまっておるようでございますが、まだ各省間の打ち合わせが、いろいろ人が行っておりますから、打ち合わせをしたいと言っておりますから、ここではっきり出しますということはお答えはできないのですが、もう一ぺん役所でもって打ち合わせてみますから、御了承願います。  それから、会計検査は覚え書きにあるとおりであります。私といたしましては、本年の年度末に一応三十七年度の援助費が沖繩で消化されるという見通しをしておりますから、その際ひとつ会計検査をしたい、こう思っております。
  152. 横路節雄

    横路分科員 いまのお話ですが、三十六年の六月十五日から二週間が第一次調査団、それから三十六年の七月十日から二週間が第二次調査団の第一班、三十六年の七月二十六日から二週間が第二班、こうなっているのです。ですから三十七年、三十八年、三十九年で、二年半以上たっておるのですから、沖繩援助に対する調査団がどういう調査をしたのか、これはぜひひとつ予算委員会に出していただきたい。私たちもぜひその調査団の報告書を拝見したいわけです。お約束できますね。いますぐここに出せといってもあれだけれども、あすでも、あさってでも、出して下さい。
  153. 野田武夫

    ○野田政府委員 三十六年じゃなくて、三十七年です。まあその一年は別といたしまして、すぐ予算委員会へ出せとおっしゃいますが、いま申し上げましたとおり、打ち合わせをやるというのは、そのときの調査団は各省が行ったものですから、各省でいろいろやっておるようです。そういうことでございますから、はたしてそこまで全部がまとまっているかどうかということを調べなければわかりませんし、すぐ出すというはっきりしたお答えができませんことを遺憾に存じます。
  154. 田澤吉郎

    ○田澤主査代理 横路君に申し上げます。外務省から番参事官が見えましたから、先ほどの御質問をどうぞ。
  155. 横路節雄

    横路分科員 それでは、番参事官、やってください。あなたは聞いてなかったそうだから言いますが、日米協議委員会でなぜ施政権返還を打ち出さなかったかということで、基本的な食い違いがあると総務長官がさっき私に答弁をしたから、その基本的な食い違いの中には、総理府のほうで要求しておる施政権の返還問題があるじゃないか、こう聞いたら、私はお答えできないから、外務省のだれか呼んで聞いてくれ、こうなったものですから、ひとり……。
  156. 番徹夫

    ○番説明員 外務省参事官の番でございます。いま日米協議委員会でなぜ施政権返還を打ち出さなかったか、この問題につきまして御質問があった趣でございまして、この経緯につきまして御説明さしていただきたいと思います。  これは一昨々年の十一月二日にアメリカ側から協議委員会と技術委員会設置につきまして提案がありました。自来一年有余の間、アメリカ側といろいろと交渉をいたしております。それで、この日米協議委員会設置につきましてちょっと経緯を説明さしていただきたいと思います。  昭和三十六年の六月に池田総理大臣がワシントンを訪問されまして、ケネディ前大統領と沖繩の問題につきましていろいろと協議をなされました。その結果、ケネディ前大統領が六二年の三月十九日に声明を出しました。その声明の中には、沖繩は日本の本土の一部であります、したがいまして、安全保障上の考慮——これはだんだんと政治的な緊張が緩和されまして、安全保障上の見地から、もう沖繩を日本に返してもいい、こういう時期が一日も早く到来することを期待している、こういうことが述べてあります。そしてそれには、いつ沖繩を日本の施政に返すかということははっきりしておりませんので、日本政府としてもその間について沖繩住民の生活水準の向上に関していろいろと援助をされる必要があるんじゃないか、こういうことをアメリカ側が認識いたしまして、その施政権が日本に返還されるまで、日本側から経済協力を受け入れよう、こういう意図が明らかにされております。したがいまして、その声明の第四項に、この日米の間で沖繩の生活水準を向上するための経済協力について具体的な、実際的な取りきめを結ぶことを始める、こういうことが述べてあります。その結果、アメリカ側といたしましては、一昨々年の十一月の二日に協議委員会と技術委員会設置に関しまして日本側に提案いたしたような次第でございます。  このような経緯がありますので、協議委員会は日米の間で沖繩の生活水準を向上するための経済的な問題を論議する、こういう権限上の制約がございます。したがいまして、施政権の返還、これは政治的な問題でございますが、この政治的な問題は日米協議委員会の権限の中には含まれないというたてまえで話をいたしております。  この政治問題と申しますのは、外交交渉によりまして、あるいはこれは非常に高度の政治的な判断を必要とするのでございますから、これは総理大臣が渡米をされたときとか、あるいはそのようなときにいろいろとお話しになることがこれまでの慣例になっております。したがいまして、協議委員会の権限ではこれが議題として取り上げられないということがこれまでの交渉の経緯でございます。  このような事情でございますので、その点を御了解いただきたいと思います。
  157. 横路節雄

    横路分科員 了解はできないです。了解できないというのは、いまあなたは長々とお話しなさったけれども、私が聞いているのは、アメリカが提案しながら一年有半延びているのはどういう理由なのか。それは総理府のほうでは施政権返還について要望している、それが基本的な食い違いではないかと言うのに、あなたはただ経過を話されただけで、一番大事な、アメリカのほうで提案しながらなぜ一年有半も延び延びになっておるかということは、総務長官のほうから、基本的な食い違いがあって調整できなかったんだ。それは施政権返還のことではないのかと聞いたんです。ほんとうはそこを答弁してもらいたかったんです。できましたら、そこのところを答弁してください。そうしたら、私は終わりますから。
  158. 番徹夫

    ○番説明員 いまの御質問に対してお答えさせていただきたいと思います。  さっきも申し上げましたように、一昨々年の十一月の二日に向こう側から提案されたのでございますが、これは沖繩の生活水準を向上さすというきわめて重要な問題でございますので、アメリカ側も非常に慎重でございます。これは協議委員会と技術委員会のいろいろの権限のことにつきまして論議する場合にもこれが早急に粗雑にできて、そうして一年か二年たってまた問題が起こるようなことでは、これはせっかくの取りきめもむだになるのではないか、こういう向こう側の考え方もございますし、私たちのほうといたしましても、これが基本的な取りきめでございますので、これによって沖繩の生活水準の向上ということが根本的に解決されるような仕組みでないといけない、こういうことでございまして、その交渉に関しましては、きわめて慎重に、またきわめてたんねんに交渉いたしておりまので、このように時間をとっておるような次第でございます。決してこれを等閑に付しておるような事情ではございませんので、その点を御了解していただきたいと思います。何ぶん外交交渉は和子があるものでございますから、こちらで一存できめることができませんものですから、そういうような事情をおくみ取りくださいまして、この遅延の理由に関しては御了承いただきたいと思います。
  159. 横路節雄

    横路分科員 了承はできない。基本的な食い違いを聞いたのだけれども、そこは一つも明らかにされないわけだ。だけれども、そのことは滝井さんのほうから話があるそうですから。
  160. 田澤吉郎

    ○田澤主査代理 次に、滝井君に質疑を許します。  滝井君に申し上げますが、本日は質疑通告があと十名あります。滝井委員の質疑時間は三十分でございますので、時間厳守をお願いいたします。
  161. 滝井義高

    滝井分科員 私が質問をしたい相当の点は横路さんから御質問がございましたので、少し重複するところがあるけれども、なおそれを突っ込んで質問をさしていただきたいと思います。ちょっと三十分では無理ですから、予算は慎重審議をやることがたてまえですから、一時間は優にかかると思います。前もって言っておきます。  同じ沖繩の問題です。一月二十五日に沖繩の自由民主党の幹事長がやってまいりまして、たぶん池田総理に面会をいたしたと思うのです。そのときに四点の要望をしているわけです。それは、まず第一点はマイクロ回線の早期使用開始をぜひやってもらいたい。二つには、日米琉の協議委員会の早期発足です。いまの問題です。三番目は、琉球議員の国会参加の具体化、四番目は、沖繩産糖の保護育成、こういう四つの要望をしているわけです。  そこで、野田さんにまず第一にお尋ねをいたしたいのは、マイクロ回線の使用開始が停滞しているという点です。いまわれわれのもとに昭和三十七年度の決算の説明が出ております。この一一三ページを見ますと、「本土・沖繩間マイクロ回線設定援助必要工事の殆んどを終え、各種試験を実施できる状態にいたった。」という決算報告が出ておるわけです。これは三十七年の決算報告です。したがって、これはもうすでに使用できることになっておるはずです。マイクロ回線の問題については、私は二度か三度予算委員会一般質問でも取り上げたし、分科会でも取り上げた。この設置についてはなかなか複雑な過程をたどっておるわけです。現物なんかを持っていったり、古い電電公社の機械を持っていって据え付けて、それを新しく金に見積もったりして予算は複雑な過程をとったことを私はここで一応質問したことがあるのです。しかし、いずれのことにせよ、経過をたどってとにかく完成しておるのです。これが一体なぜ使用できないのかということです。この理由をまず総務長官に明らかにしていただきたいと思うのです。
  162. 野田武夫

    ○野田政府委員 マイクロ回線は、いまお話のありましたとおり、すでに完成しております。昨年の十一月と思っております。そこで、これを使用するということは当然のことで、しかも、もうできればすぐから使いたいということでございました。実は琉球列島に対する電気通信設備の譲与に関する覚書によってこの業務が開始されることになっております。それで、その関係で、日本の電電公社と沖繩の電電公社と、いまその最後の——開始前には、料金及び分収問題がありまして、これが解決しなければやはり業務は開始できないというので、今日まで料金及び分収問題で両公社が折衝いたしております。われわれといたしましても、せっかくでき上がったものを使用がおくれていることは残念だというので、電電公社に対しても、また郵政省当局も一緒になって、何とかひとつ早く業務を開始してもらいたいということで、その意思は強く伝えてありますが、いま申しました両公社の話し合いでございまして、実は今度キャラウエーさんが参りましたときも私はその点を触れておきました。同時に、日本の電電公社の幹部も琉球に参りまして、いままで幾たびか交渉いたしておりますが、ひとつ最後の交渉にかかろうというので、琉球の電電公社の責任者ときょうあたりおそらく折衝しているんじゃないかと思います。お説のとおり、これはすべて施設ができたのでございますから、一日も早くわれわれも業務を開始したい、こう希望いたしております。
  163. 滝井義高

    滝井分科員 その隘路になっているのはどこですか。料金の配分というのは、具体的に、言うとどういう点ですか。
  164. 野田武夫

    ○野田政府委員 料金の分収問題ですが、これは琉球電電公社はフィフティ・フィフティということを希望しているのです。ところが、設備その他が、琉球のほうも出しましたけれども、大部分日本のほうで出しているものですから、それじゃ無理ではないかというので、六対四とか、いろいろな比率の折衝もやっておるわけですが、その点も何とか煮詰めてくれないかというので——日本の電電公社としますと、五対五となりますと、投資その他の関係からいたしまして、公社自体の経済的な事由もございまして、なかなか無理だというので、そういうところで実はひっかかっておるのでありまして、実は両公社の話し合いがもう少し進まなければ——ども干渉してやるわけにいきませんものですから。しかし、最後は何とかわれわれも強くあっせんしたい、こう思っております。
  165. 滝井義高

    滝井分科員 ぜひひとつ早期に使用ができるように努力をしていただきたいと思います。せっかくつくったものが、料金の配分で使用できないなどというのは、ばかげたことですから。  次は、公職選挙法の改正に伴う琉球議員の国会参加、いわゆる潜在議席の問題です。外務省の番さん、いらっしゃいますね。これ総務長官や早川さんは非常に熱心だ。ところが、問題は、やはりこれも沖繩統治のたてまえからいって、どうもこれは好ましくない、こういうことが伝えられておるわけです。潜在主権を持っているんだから、潜在議席を置くということはちっとも差しつかえないと思うのです。こういうところはひとつふんどしを締めて、勇気を持ってアメリカを説得しなければいかぬと思うのですが、まず野田さんの見解を承って、そして、これは大平さんが消極的だということを新聞等でも書いておるわけですが、外務省は一体どういう折衝をしておるのか、当然これは外交折衝になると思うので、外務省の見解を承りたい。
  166. 野田武夫

    ○野田政府委員 いわゆる潜在議席の問題でございますが、私といたしましても、いまお話のように、同胞でございますし、政権が復帰いたしてまいりますと当然議席を持つ沖繩の住民でございますから、できればそういうことが実現するように実は希望を持っております。しかし、これはいわゆる選挙法改正の問題でございまして、私の管轄でもございませんし、また、いま選挙法の定員にそれを入れておきましても、いまのお話のとおり潜在議席でございまして、事実すぐこれが議席を占めるわけではないということもございまして、政治的にどう取り扱ったらいいかということは、各省間にもまた話し合いを進めておりまして、いまのところ結論はまだ得ない点でございます。滝井さんの御趣旨は私もよくわかっておりますし、いまはっきりと御答弁のできないのが非常に残念で、遺憾とする次第でございます。
  167. 番徹夫

    ○番説明員 この問題につきましては、きわめて機微な政治的な判断を必要といたしますので、私がここでどのような方針であるかということにつきましては、はっきりと申し上げることができないわけでございますが、いま総務長官がおっしゃいましたことが、大体の現在政府で考えられていることであると確信いたします。
  168. 滝井義高

    滝井分科員 どちらの答弁もなかなかたよりないのですが、しかし、こういうことははっきりしてもいいんじゃないですか。政府の気持ちは滝井さんと同じだというような気持ちのようでもあるのだけれども、こういうことは——国民的な外交、超党派外交をやりたいとよくいうけれども、超党派外交というのは、国民をバックにした外交だと思うんです。そうしますと、あなたがここで、総理府の総務長官として沖繩関係を所管しておるものとしては、ぜひそういう方向に持ってまいりたい、そういう方向に努力してみたい、こういうぐらいの積極的なことを言えば、なるほどと、こういうことになるわけですよ。何か奥歯にもののはさまったような言い方ではいかぬと思うのです。それはすでに、沖繩に関するケネディ声明、いわゆる沖繩新政策を見ても、私はこういう精神があらわれていると思うのです。高度の政治的な問題かもしれぬけれども、総務長官もう少し積極的にやってもらわないと——いろいろあとでまだこまかい予算のことをやりますけれども、沖繩関係の予算というのは、ここで私三回か四回同じことをやるわけですが、きょうは横路君もやりましたけれども、ちっとも進んでおらぬ。毎年同じです。まずこの潜在議席を日本に四つ確保するということで、とりあえず国会の中に四つの議席を設ける、向こうから来なくても設けるというだけでも、精神的にずいぶん違う。これは別に実害はないわけですから、向こうから人が来るわけじゃなくてもいいのですから、とりあえず国会に沖繩の四つの議席を設けた、これだけでもずいぶん違うわけですよ。どうですか、ここでもう少し積極的なあなたの意思表示をしていただきたいと思うのですが……。沖繩関係の主管長官ですから。
  169. 野田武夫

    ○野田政府委員 選挙法の改正で定員を増加するという案を自治省が持っておるのでございますが、その際、できれば、潜在議席と申しますか、そういうものを織り込みたいという希望もありましたけれども、しかし、これはかりに織り込んでも、実際沖繩で選挙ができるわけじゃございませんものですから、それはできるときにすぐ改正案を出していいじゃないかという議論もございます。これは立法の技術でございますから。そこで法律上これを明示するかせぬかということは、いま申しましたとおり技術の問題です。第二は、どうせこの法案が通過しますと衆議院は増員になりますから、その際、できれば沖繩の将来に備えて、これは法律じゃございませんが、実際上いわゆる席をそれだけ用意しておいたらどうだということも、与党の自民党でも出ておりますし、私どもも、できればそのくらいいいじゃないかということを考えております。つまり、意味は、沖繩の住民に対するわれわれの気持ちがあらわれたらいいじゃないか、こう思っております。
  170. 滝井義高

    滝井分科員 公職選挙法の改正にあたっては、ぜひ積極的にやっていただく必要があると思う。特に閣内では主管のあなたががんばらなければ、これはなかなかがんばり手がないと思うんです。だから、からだはあなたのほうが大平さんよりちょっと小さいけれども、押し切るつもりでぜひひとつがんばっていただきたいと思います。  では、これから具体的な予算に入っていきます。  沖繩の援助の予算は、年度によって所管が違ってきているわけですね。たとえば三十六年を見ますと、総理府所管、文部省所管、こうなっておるわけです。三十七年度の予算を見ると、総理府所管、文部省所管、厚生省所管、運輸省所管となっている。三十八、九年になると、今度総理府所管となりまして、文部、厚生、運輸に対しては一部の予算が移しかえになる、こういう形になっておるわけです。これは一体どうしてこういうことになってきたのですか。予算編成の技術上の問題ですけれども……。
  171. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 全く技術的な問題でございます。最初の間各省に分かれ分かれについておりましたが、三十八年度からでございますか、予算もふえてまいりましたが、各省はばらばらでは非常に見にくい、わかりにくいというような御注文がございました。それでまとめまして、総理府に一本に計上したということであります。
  172. 滝井義高

    滝井分科員 各省にあると見にくいのだそうで、それは見よくなってけっこうなことです。それだけのことならけっこうでございますから、それでいいです。  それから、この沖繩の予算が毎年多額に繰り越されておるわけですね。これはさいぜん横路君の質問に対して、会計年度が違う、アメリカの議会が最終的に沖繩の予算をきめるのは十二月だということになっておるわけです。それならば、やはりそれに対応するくふうをもう少し前もってやったらいいと思うのです。これは昨年も一昨年も沖繩の予算がずいぶん繰り越されておる。これはちょうど防衛庁の潜水艦なんかをつくる予算と同じです。これもしょっちゅう何百億という金が繰り越されていく。そんなばく大な金が毎年繰り越されていくならば、それはそのときそのときに予算を組んだらいい。三十八年度分が三十九年に繰り越されるならば、三十九年にお組みになったらいい。何も食いだめをしなくてもいいと思うのです。これはどうせ沖繩の住民のためには金を出さなければならぬのだから……。したがって、予算が非常に見にくいです。わからないですよ。よほどずっと継続的に調べておかぬと、沖繩の予算はわからない。  まず、三十七年度の予算については、三十七年の十二月に覚書ができておやりになったわけですね。そうしてそれに基づいて三十七年度の予算の繰り越し明許を補正予算でとったわけですね。それから三十八年度の予算というものは、さいぜんあなたが御説明になったように、三十九年一月になっておるでしょう。三十九年一月になって、しかも今度はどういうことになったかというと、三十八年の予算を使うのに、三十九年の一月にしか覚書ができぬのですから、具体的な全部の実施というのはそれからしかできないわけです。これも三十八年度の予算に繰り越し明許をつけたわけです。三十七年度の補正につけて、三十八年度の当初予算に繰り越し明許をつけたわけですね。そうしてことしは三十九年の予算にまた繰り越し明許をつけてきているわけですね。こういうように、予算は単年度主義であるにもかかわらず、沖繩の予算というものは三十七年以来ずっと繰り越し明許をつけてきた。しかも繰り越し明許をつけるものが大体同じものなんですよ。ほとんど同じものがついてきているわけです。こういうことをよくも平然としてやれたものだと私は思うのですがね。あなた方は三十七年の覚書でどういうことをやったかというと、こういう繰り越しというものは前例としないというトーキング・ペーパーを覚書でつけておるのでしょう。前例としないといいながら、やはり繰り越しの覚書を三十八年の覚書にもつけておるわけです。そうして三十九年には日本一般会計の予算に繰り越し明許をおつけになっておるわけです。こういうように、次から次にばく大な金が繰り越されていく。たとえば三十七年の決算をごらんになると、沖繩の三十七年度の予算は、総額十億しか予算を組まなかったわけです。ところが、これが繰り越しが出てきたので、予算現額は十四億になってきておるわけです。そして、三十七年のこの決算で一体どのくらい使われたかというと、支出済み額は六億七千万ちょっとでしょう。そして翌三十八年に六億一千万繰り越される。こういうことは、全くもう国会を無視するやり方ですよ。それならば、必要ならば六億だけの予算をお組みになったらいい。どうしてこういうわかりにくい予算の操作をやるかということです。毎年毎年繰り越し明許をつけて、しかも繰り越し明許をつけた額が予算よりも五割もふくれてくる。五割もふくれておって、その半分しか使えぬで、またその半分は翌年に繰り越していく。そこで今度は予算は前より少なく取るかと思ったら、前よりかだんだん、十億だったのが十九億になり、十九億が二十億になる、こんなによけいに取っていって、沖繩援助はよけいにやっておりますよという形式だけつくる。こういう行き方というのは、私はよくないと思うのです。これは一体どうしてこういうことをやらなければならぬのですか。こういうところは覚書やアメリカの議会とは無関係です。予算の組み方ですよ。大蔵省、来ておるはずでしょう。どうして大蔵省はこういう予算のずさんな組み方をやるのだということです。まず先に、総務長官がこういう予算の組み方についていかなる反省を持っておるかということ、それから、金をあれだけずたずたと切っていく大蔵省が、どうしてこういうずさんな予算の組み方をいつもやるのかということです。
  173. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 お答えいたします。  予算の執行状況で、琉球政府の執行が、消化がおくれておって、相当な繰り越しが出ていることは、御指摘のとおりでございます。このおくれました理由につきましては、先ほど御指摘がございましたように、覚書の調印が相当おくれてきたということに理由はあるわけでございますが、私ども、もちろん当初から予算が消化されないということを見込んで予算化するわけではないのでございますが、そういったいろいろの事情がございまして、調印等の関係があって、予算消化が思うようにいかなかったということは、非常に遺憾に思っております。したがって、三十九年度についてはどうかということでございますが、これらにつきましては、先ほど総務長からお話がございましたように、日米協議委員会等の設置も相当煮詰まってきているというような状況でございまして、相当こういったいろいろの問題が円滑にいくものと思っております。したがいまして、予算消化も十分円滑にいくものと当然予定されております。したがって、予算を三十八年度は十九億、ことしは二十億という予算化をしたわけでございまして、十分琉球政府予算消化能力あるものとして予算化いたした次第でございます。  なお、なぜまた繰り越し明許費として予算計上しているかという御指摘でございますが、御承知のように、中身を見ていただきますと、いずれも公共業費的な性質のものでございまして、これらにつきましては、やはりその性質上万やむを得ない事態もあるわけでございますから、予算審議をいただきまして繰り越し明許費を計上いたした次第でございます。
  174. 滝井義高

    滝井分科員 全くいまの説明は、外務省の対米折衝がどうもうまくいっておらぬから、大蔵省なり総理府にこういう迷惑が及んでくるのだと言わんばかりの御説明だった。それではあんまり情けないことで、少なくとも、日本は世界の三本柱の一つになった、こうおっしゃっておるわけでしょう。アメリカとパートナーシップを確立したのだ、岸さんはすっ裸になってアイゼンハワーと握手したのだ、こうおっしゃっておるのに、この、金を出して使ってくださいという金さえよく使ってもらえないのですから、これではパートナーシップも何もないですよ。日本の姿がここは如実に浮き彫りされておると思うのですよ。しかもその繰り越しをされるものを見てみると、きわめて沖繩の民生安定にとって重要なものばかりでしょう。しかも野田さん、総理府川管が一番多いのですよ。他の文部とか、厚生とかいうものは全部予算が相当の消化ですよ。あなたの所管のところが一番悪い。これは一体どういうことですか。総理府所管にかかる各種の援助金の繰り越し額が一番多いのです。
  175. 野田武夫

    ○野田政府委員 予算が年度内に消化される、これは全く希望するところでございまして、私といたしましても一番気がかりな点はこの点でございます。いま大蔵省からも説明いたしておりましたとおり、覚書の交換がいつもおくれる。もう一つ、日本の会計年度とアメリカ並びに琉球政府の会計年度が、日本は四月であり、向こうは七月である。ここは非常にむずかしい点でございまして、そこで先ほど大蔵省からもお答えいたしておりましたとおり、私どもが一番この点を心配し、解決しなくちゃならぬと思います。外務省の交渉ももちろん頼まなくちゃなりませんが、先ほどお話に出ました日米協議委員会、これが開始されますると、この点を十分ひとつアメリカ側と話し合ってみたい、こう考えております。また、その結果は相当期待し得るものがあると思っております。ただいま各省別の予算の執行状態のお話でございましたが、各省別に、総理府関係は特に琉球政府日本の援助を交付してやらせるのでございまして、琉球政府といたしましての予算の使い方が、一応の予算計画ができていろいろわたっておりますうちで、総理府関係のが一番おくれております。それは、日本から交付する金を琉球政府で直接使用するというような、いろいろの事務的な関係もございましておくれております。それは別といたしまして、先ほど申しましたように、御指摘のとおり、おくれておることはまことに遺憾でございまして、何とかこの点はひとつアメリカのほうにも考えてもらって、少なくともアメリカの会計年度と同じ琉球政府の会計年度である七月というところからはすぐ使えるように今後改めたい、またそれに対して努力したい、こう考えております。
  176. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと、三十七年度の予算については、三十七年十二月に覚書ができ、三十八年度の予算については、三十九年一月——ことしの一月にできたのです。そうすると、いまあなたの言うように、もし予算が通過すれば、三十九年度の予算は少なくともことしの七月くらいから実施できるように、もう直ちにいまから覚書の話し合いに入らなければいかぬ。七月から実施できる、そういう方向にいけますか、野田さん、責任を持って——私は執念深いですからね。沖繩ばかり何回も尋ねますから。もうこれで私は三回目か四回目ここで沖繩をやるのですよ。あなたは、だいじょうぶ、ことしは七月から三十九年度の予算を実施できるように覚書をつくるという言明ができますか。
  177. 野田武夫

    ○野田政府委員 これも先ほど申しましたとおり、外務省アメリカ政府に交渉することも一つの方法だし、特に私の期待しておりますのは日米協議委員会、これが実現いたしますと、この日米協議委員会でまずこの問題も第一に取り上げなくちゃならぬ。そこで実現するかどうか、こう割り切ってお尋ねございましたについては、これはアメリカ相手でございまして、相手のあることでございますから、はっきりここでお答えできません。私はその方針でひとつアメリカに当たりたい、こう思っております。
  178. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと、七月に実施できるということになると、五、六月ころにはまとまっていなければいかぬわけです。そうしますと、今度は逆説的に言うと、日米協議委員会はいつごろから発足するかということになる。私がどうしてそう言うかというと、私は何回もごまかされているから、執念深く言うわけです。大平さんが三十八年一月二十七日の四十二回国会の外交演説で、近く東京に協議委員会を設ける、沖繩に日米琉の技術委員会設置されることになった、これは去年の一月二十三日に大平さんが外交演説でやった。ここで、外務省の審議官の、番さんの前の人、宇山さんを呼んでやっぱりやった。近くそれができるという意味の答弁をしているでしょう。それからことしの一月二十一日の四十六国会の外交演説でもやっぱり「沖繩につきましては、近く協議委員会及び技術委員会設置されることとなっておりますので、沖繩同胞の安寧と福祉の増進のための日米協力関係は、一そう促進されることになるものと信じます。」これでもまた「近く」と言った。もちろん、近くといえば、それは永遠の歴史から考えれば二年、三年も近くですけれども、しかしいまわれわれは昭和三十九年度の予算を審議しておるのですから、近くというと、その予算を審議するときか、あるいは少なくとも年度間にはできなければ困るわけですよ。近く、近くと言うだけで、一向に近くならない。今度は、もう七月には実施したい、こうおっしゃるんですね。一体外務省はいつごろくらいにその見通しはつくのですか。交換公文が近くできるなんて新聞には書いてある。いつころこれはできるんです。仏の顔も三度というが、その三度も四度もごまかされてはたいへんです。あなたのほうがはっきりしない限りは、総務長官の、七月から予算を実施するなんということは、砂上の楼閣になる。一切の責任は大平外務大臣になっちゃう。いつごろになるんですか。
  179. 野田武夫

    ○野田政府委員 大平外務大臣の昨年、本年の外交演説、私も承知しております。また私の外務省から得た情報によりましても、もうそう遠くないということをしばしば聞いておりました。外務省も一生懸命やっております。これはひとり外務大臣責任じゃなくて、何しろ外務大臣としては、演説するときは、そうだという相当な根拠のある情報をもって演説していると私は思っております。最近もしばしばこの問題を外務大臣と話し合っておりますが、大体の経過が今度はほんとうに煮詰まったのだということでございまして——その外務大臣が言って無責任じゃないかということでございますが、これは外務大臣はそう信じておったのでございまして、決して無責任態度でもっていわゆる放言したのではない、相当な根拠ある情報に基づいて国会でも発言していると思っております。したがって、いまお話しの、いつごろこれが交換公文が取りかわせるかということは、これも決して逃げことばではありませんで、相手のほうの態度でございまして、その相手のほうの態度——相手と申しますとアメリカですが、アメリカのほうの情報でも、今度は決してそう遠くはならぬという情報は得ておるのです。このお答えをするときにいつでも困りますのは、私は外務省その他の情報で申し上げているものですから、直接やっておりませんから、これで申し上げる以外ない。決して私は外務大臣をかばうわけじゃありませんが、いつも外務省からそういう情報がきておりますし、外務大臣もそう信じて御発言していると思いますが、今度はいつ開く開かぬということよりも、日米協議委員会ができますれば、どうしてもアメリカに率直にわれわれの意見を言う大事な問題を控えておりますから、その関係で私の持っている情報では、何月何日と言えませんが、全く近くこれが交換公文が取りかわせるというように、私自身はその情報を信じて申し上げておる次第でございます。
  180. 滝井義高

    滝井分科員 外務省どうですか。番さん、あなたは沖繩のこれに面接当たっていらっしゃるわけですね。こういう事務処理はあなたがおやりになっておるが、あなたの事務的な感覚から言うとどうですか。いつごろできる。   〔田澤主査代理退席、主査着席〕
  181. 番徹夫

    ○番説明員 お答えいたします。  この協議委員会の発足がおくれておりますので、たいへん恐縮に存じている次第でございます。実はこの問題につきましては、しばしばアメリカ大使館の担当官と話しておりますが、今度はほんとうに近くでございまして、近く話がまとまる、こういうように担当官も説明しておりますので、もう少しお待ちいただきたいと思います。
  182. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと、この日米協議委員会と、沖繩に常設される技術委員会の人的構成はどうなるのでしょう。
  183. 番徹夫

    ○番説明員 東京に設置されます協議委員会には、日本側といたしましては、外務大臣が首席でございまして、外務大臣と総務長官が正式のメンバーになっております。アメリカ側は、アメリカの大使がメンバーになっております。
  184. 滝井義高

    滝井分科員 沖繩のほうは……。
  185. 番徹夫

    ○番説明員 沖繩は、高等弁務官の代表者、それから琉球政府の行政主席またはその代表者、それから技術委員会の代表者といたしましては、総理府のほうで総務長官が任命される方が代表者になられると思います。
  186. 滝井義高

    滝井分科員 そういう代表者が近くできるそうですから、ひとつぜひすみやかにやって、七月から三十九年度予算を執行するようにしてもらいたいと思うのです。  そうしますと、いま三十六年度の予算の執行状態、三十七年度の予算の執行状態、三十八年度の予算の執行状態、パーセントはどうなっていますか。
  187. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 三十六年度を申し上げますと、予算総額が五億七千九百五十七万三千円でございまして、翌年度に繰り越しましたのが三億四千四百万でございます。その翌年に繰り越しました三億四千四百万のうち、翌年で消化いたしましたものが二億三千七百二十一万六千円でございます。この三億四千力と一億三千万との間に差がございますが、これは不用額でございます。それから次に三十七年度を申し上げますと、予算総額が十億七千二百万でございます。それに対しまして翌年に繰り越しましたものが六億一千三百万でございます。三十七年度についてもう少し詳しく申し上げますと、先ほど申しました十億七千二百万のうち、沖繩に渡す分が七億一千二百万でございますが、今日まで支出未済になっておりますものが三億四千六百万現在まだ出してございません。三十七年度予算でございます。これはこの三月に全部出る予定になっております。それから三十八年度の予算でございますが、これは現在やっております予算でまだ締めくくりができておりませんが、沖繩に渡します分が十四億二千百万でございます。このうち三月までに支出を終わるというふうに考えておりますのが三億八千二百万程度、それ以上というふうに考えております。
  188. 滝井義高

    滝井分科員 いまの説明を聞いてみますと、結局三十六年の予算で三十六年に支出をされるのは三割ちょっとしかないわけですね。それから三十七年も同じく十億で六億繰り越されて四億くらいですから、三割七、八分から四割ですよ。ことし三十八年に至っては、もう三十八年はすぐ終わってしまうのに、三月末までに三億八千万しかいかないのですからね、十四億沖繩に渡す分で。全部総額十九億としてみたら、もっとこれは率が悪くなる。おそらく一割ちょっとくらいになってしまう。こういう状態で、もうじんぜん日を送っておるということは、何としてもやはり問題だと思うのですよ。だからひとつことしはぜひふんどしを締め直してやってもらわなければいかぬと思うのです。こういう執行状態では、これはことしから三十九年度の沖繩予算は全部削っちゃって、その経費を予備費にぶち込んでいってやるのがほんとうですよ、こういう予算の執行状態では。何なら私は党に帰って一ぺん相談して予算を修正しなければ、これは使っていないのだから、余っておるのですから、一ぺん沖繩の予算を全部削って、そして予備費の中に入れておく、そして必要になったら出す、こういう形態でいいですよ。そのときに補正で何かやってもらう、そういう形で一ぺんアメリカに反省を与えなければ、とてもこれはなかなかうまくいかぬですよ。  次は、こういう状態のもとで会計検査をもう何回もここでやりたい、去年三十七年の予算委員会のときから言っておるわけです。そうすると会計検査はこの覚え書きを見ますと、これは三つの同意をとらなければならないことになるのです。総理府と高等弁務官府と琉球政府と、こんな三つも同意を得られなければ会計検査ができぬというようなことで、一体会計検査ができますか。会計検査院長いらっしゃっておりますか。——もう私、会計検査、たぶん二度目か三度目だと思うのです。この前も会計検査をぜひやりたいというお話があったんですね。どうですか、あなた方はこういう覚え書きの状態でできますか。それからいままで何か会計検査をおやりになったことがありますが、私は何回もここで催促して、ぜひやりたい、やるようにいたしたいということを言われているのですが、いままでやったことがありますか。それからこういう覚え書きの状態で一体スムーズにやれるかどうかということです。
  189. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 沖繩の検査はやりたいということは去年あたりも委員会で申しておりますが、現在までやったのはございません。と申しますのは、覚え書きの条項によりましていろいろ完成報告が出ましてやっていくと、先ほどお話がございましたようにいろいろの手続によってやるということでございますが、まだその段階になっておりませんので、やっておりません。したがいましていまのいろいろな手続の関係相当複雑だと思いますが、われわれは特連局のほうへやりたいということで連絡いたしまして、特連局のほうでも十分その点をくんで、できるだけ早い機会にやれるように協力するということで現在交渉中でございます。
  190. 滝井義高

    滝井分科員 これもできるだけ早く早くと言うだけですよ。一向に早くならぬ。これは日本の金を沖繩に持っていって使ってもらったのに、その使った状態がうまくいっておるかどうかということを見るくらいのことをアメリカはどうして拒否するのですかね。これもやはり施政権に関係があるからだろうと思うのですが、これは総務長官どうですか。キャラウェーさんこのごろやってきたが、キャラウェーさんはからだは小さいけれども、なかなか根性がしっかりしているというから、あなたもしっかりしないととても押し切れぬでしょう。どうですか。ここで会計検査院は、やりたくてしかたがない、とこう言っているのですよ。何回も去年もおととしも言っているのですよ。けれどもまだ近く近くと言っているだけでしょう。
  191. 野田武夫

    ○野田政府委員 会計検査についてアメリカがまつ正面から反対しているということはございません。そこで、いままでの会計検査をやりたいということは、総理府も考えておりますし、会計検査院ももちろんお考えでございますが、ちょうど三十七年度から御承知のとおり日本政府の援助金は直接琉球政府に交付することになっておりまして、その三十七年度の援助金がこの三月で大体向こうで消化するということは、先ほどお答えしたとおりでございます。その機会にひとつぜひ会計検査をやりたい。この三月で三十七年度の日本の援助金が出て、沖繩政府でもって消化して仕事を終わるという見通しでございますから、その三月末を期して会計検査を行ないたい、その点について折衝をやる。私ども総理府の考え方といたしましては、決してアメリカも真正面からこれを反対しないだろうという感覚を持っておりますから、できると思っております。
  192. 滝井義高

    滝井分科員 そうすると近くというのが、今度は三月末に終わればできることになれば、まあ五月ぐらいには会計検査ができる。こういうことになるわけですね。あなた首を縦に振っておるからひとつ鳴くまで待とうホトトギスという徳川家康の気持ちで待ってみましょう。  次は物品調達です。覚え書きを見ると、日本の品物が安くて、質がよければ使うことになっているわけですね。ところが最近におけるアメリカのドル防衛で、なかなかこれは使えぬのじゃないかという感じもします。一体十九億、二十億の援助を沖繩にする場合に、当然われわれは向こうのパイナップルとか砂糖とかを買うてやれば、やはり日本の品物も沖繩に相当優先的に使ってもらわなければならぬわけです。この関係は一体うまくいっておりますか、予算執行にあたって。国産品愛用の立場から使ってもらっているかどうか。
  193. 野田武夫

    ○野田政府委員 ただいままでのところ大体日本のものを使っております。今後もそうしたいと思っております。
  194. 滝井義高

    滝井分科員 次は、さいぜん横路さんも触れました教科書の問題です。文部省来ていただいておると思っておりますが、昨年ここで一般質問で、これは荒木文部大臣が勘違いをしておったわけですが、御存じのとおり、日本予算では昭和三十七年度の予算に七億円の教科書の無償措置の予算を組んでおるわけです。この七億円というのは三十七年の予算に組んでおるわけです。そうしてそれは三十八年の四月一日から入学する一年生の子供にやることになる。それから三十八年には二十七億の教科書の無償措置の予算を組んでおるわけです。これは三十九年の四月から入学する一年生から三年生までにやるわけです。そして三十九年、ことし三十五億余り組んでおるわけです。これは四十年の四月から入学する一年生から五年生までにやることになっておるわけです。そこで沖繩の場合には、三十七年度分については予算を組んでいないわけでしょう。まずここを明らかにしてみてください。
  195. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 先ほど横路先生の御質問で総務長官から申し上げましたが、三十八年度の沖繩関係の予算では、南方同胞援護会の中に図書贈与費として沖繩関係の教科書の無償分を考えておったわけでございます。その際は、一応内地と同じように本土側と同じように、三十九年の四月から小学校の一年から三年までの全額という考え方で、こちらに合わせて一応考えておったわけでございます。その際に、実はまだ教科書無償制度を実施するかどうかということは、沖繩側ではきまっておりませんでした。したがいまして、もしできるならば内地側と歩調を合わせてやりたいというふうに考えておったわけでございます。その後になりまして、琉球政府が決定をいたしまして、沖繩としては三十八年の四月からの新入学児童に対して、一年から六年まで一挙に実施しようということを決定いたしましたので政府といたしましてはその分に対応する経費を支出するということにあとできめたわけでございます。一応最初の予算といたしましては内地側に合わせてあったわけでございますが、向こうの制度がきまったのがおそかったものでございますから、そういういきさつになっております。
  196. 滝井義高

    滝井分科員 この南方同胞援護会ですか、この予算というものは低所得階層にやる予算のはずなんです。
  197. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 三十八年度の予算には両方入っております。
  198. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと、当時この予算委員会での説明では、四千二百四十七万一千円を三十九年度分として計上してある。三十九年度分でなかったのですか、計上しておるとすれば。三十八年度の教科書というものは三十九年にやることになる。三十八年度そのものじゃないはずだ。
  199. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 三十八年度に計上いたしましたときは、最初の考えといたしましては、三十九年四月から沖繩の一年から三年までの子供にあげよう、こういうことでございました。おっしゃるとおりでございます。
  200. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと、アメリカの言っておるのは、三十八年に三十万ドルの金が要るのだ。だから三十八年の四月一日から入学する子供にやるのだということでしょう、当時の予算委員会の問題は。そうしますと、いまあなたの言うように、三十九年の四月から入学する一年から三年までの子供を組んでおったということでは、ことしの予算はなくなってしまう。
  201. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 おっしゃいますとおり、内地では教科書の予算は四月に間に合いますように前年の予算に組んであるわけでございます。沖繩分につきましては、当該年度の予算に組む結果になったということでございます。
  202. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと、三十八年の琉球政府に対する援助金に関する覚書の一番最後にある教科書無償供与援助金三千六百十八万二千円、これは三十八年度における小学校第一学年から第六学年までの児童に対する教科書の無償供与に要する経費、こうなっているわけです。これはまだ実施ができていないわけでしょう、覚え書きができたばかりですから。そうすると、これはもう教科書を先にやらなければ間に合わぬわけですから、やっておらなければならぬ。ところが、この覚え書きはこれから実施するやつでしょう。そうするとおかしいじゃないですか。ずれてくる。
  203. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 先ほどから御説明ございましたように、教科書の必要経費の三分の一を日本政府が負担するという意味の援助でございます。三分の二は琉球政府予算でとってあるわけでございます。琉球政府といたしましては、こちらから現金がまいります前に、自分の財源で立てかえまして、金はこれからまいりますけれども、すでに実施はいたしております。
  204. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと、沖繩政府が先に実施して、あとで日本政府が金を持っていく、もしこういう形ができるとすれば、予算の執行がわずかに三割か四割しかその年度内にできないということはないはずです。沖繩が全部立てかえてやって、あとから金がいけばいいわけですから……。他のものはどうしてそれができないのですか。
  205. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 実は全般的にすべて沖繩に対して琉球政府でやってもらい、金の払い方は、後払いと申しますか、精算払いという仕組みになっております。もっとも覚え書きをごらんいただきますと書いてございますが、向こうが必要とする場合には前払いあるいは概算払いということもしてあげましょうという取りきめになっておりますが、実際の運用におきましては、全部精算してあとで現金を交付するということになっております。事業自身といたしましては、ただいまのようにすでに終わっておるというものもあるわけでございます。
  206. 滝井義高

    滝井分科員 そうすると、前もって向こう側で実施をしてしまって、あとで日本が金を払うということになると、予算のおくれている理由がわからない。沖繩でアメリカ政府と話し合って、日本予算さえきまれば向こうがどんどん実施してよいのでしょう。金を立てかえてやればよい。借りておってもよいのですから……。ところが、それが覚え書きができなければ実施できないといままで再三再四にわたって説明してきておきながら、ようやくいまわれわれが覚え書きを手に入れて見た。ところが、その覚え書きの中に、教科書のことはこれから実施するものの中に入っておらぬわけです。だから私は、これをふしぎだと思っていた。ところが、それを沖繩政府が立てかえてやるというならば、支出済みの額と実質的には同じなんでしょう、後払いだから。ところが、その金はやはり繰り越しの形でずっとくるわけでしょう。だから、実際の仕事はやってしまっており、そして金はあとから確定払いをやるのだということでは、まるっきり仕事をやってしまって、あとから日本予算が追っかけていくということでは、これは会計検査上からもおかしいでしょう。やはりその金でやる形をとらなければいかぬことになるわけです。そうすれば、三年おくれようと五年おくれようとかまわない、日本が先にこんな予算を組む必要はますますなくなってしまう。ところが、沖繩の民生安定にあれだけ大事な、灯台を建設するとか、児童の福祉施設をつくるとか、道路をつくり、土地の改良をやるという経済建設のことはちっともできていない。みんな繰り越しになってしまうでしょう。どうも、いまの教科書のようなことであっては、先に概算払いで向こうでやってしまっておって、そして覚え書きはまだ実施していないことになっているが、それを先に実施してしまっているということになると、おかしいですよ。
  207. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 少しことばが足りませんでしたが、覚え書きができましたあとで琉球政府として日本の援助事業を実施するということがもちろん原則でございまして、その意味におきまして、覚え書きに書いてありますようないろいろな事業は覚え書き成立後すぐに着手するというかっこうでやっておるわけでございます。ただいまの教科書の無償配付、これはやはり買う時期に迫られましたので、事実問題としてすでに了解ができておりまして、先に買って使ったということになっておるわけでございます。
  208. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと、ことしの六千三百七十二万八千円、これは三十九年度の四月一日からやる分ですね。ことしの予算ですから。三十九年四月一日から入学する小学校と中学の子供はもちろん、全小中学の子供にこれはやる。さいぜん中学もやる、こうおっしゃったわけですから、沖繩は全部やる。これが六千三百七十二万八千円、ちょうど三分の一。小中入れたら十万ドル以上になるわけですね。小中全部のいわゆる三分の一だ、この予算はこういうことですね。
  209. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 三十九年度にお願いしております教科書の無償の分でございますけれども、これは沖繩の小学校について言いますと、ことしの四月から始まる新学年のことです。それから中学の分につきましては、実はこれは前払いのような形に改めておるわけでございますが、中学の分は昭和四十年四月から入学するものでございます。そういう平仄が合いません事情ができましたのは、先ほど御説明いたしましたように内地でもやはり前年度の予算に計上するということを原則としてやっておるわけでございまして、沖繩の場合に中学を昭和四十年四月からやるというのはすでに決定しておりますので、その点を取り入れましてことしの予算に組んだわけでございます。沖繩の小学校分につきましては、三十八年度予算を組みます際に沖繩で制度がきまっておらなかったということで、当該年度計上して援助したということでございます。
  210. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと、ますますおかしくなるですね。さいぜんの総務長官答弁では、ことしは小学校も中学校もやりますと言った。ところが、だんだん突っ込んでいってみると、いや、やるのは、六千三百万余りの金は小学校は一年から六年までです。三十九年四月一日からの小学校は一年から六年。中学校はそうじゃありません。日本と同じように、これは四十年四月からです。荒木文部大臣のときには、当然沖繩の教育というものは日本の教育基本法にのっとってやらなければならぬ、日本と同じでなければならぬと思うのだけれども、たってのアメリカ側等の要求もあるので、自分としてはこれはいいことだからぜひ推進をいたしたい、こういうことだったわけですよ。いいことなので、一年から六年までおやりになること、われわれも賛成だから、沖繩もそうなれば当然日本もそうならなければならぬということで推進をしたわけです。ところが、推進をしてみたところが何ということはない。中学校は先行はしておりますけれども、中学校はことしじゃないんだ、来年からだ、こういうことなんですね。こういうように、沖繩と日本の教育行政が、これは義務教育が三つになるわけですね。日本では一年から三年までしかやらない。沖繩では小学校は六年までもらう。中学校はことしからと思ったら来年からだ。沖繩同胞が日本に復帰することを願っておるときに、やはりこういうばらばらのことでなくて、むしろ小学校、中学校一本にしておやりになったほうがいいのではないかと私は思うのです。教育行政からいっても貧しい沖繩、ようやく二百九十八ドル、三百ドル近くに国民所得がなってきたという沖繩です。しかも社会保障も確立されておらないのですから貧しい人が多いわけでしょう。そうすると思い切って中学校全部差し上げたって、ここに予算がもう六千三百万ちょっとあればみなできるわけですから、そのくらいの善政は、あの怒りの島と言われ、基地の島と言われ、悲哀の島と言われる沖繩に私は出してもいいと思うのですよ。これは文部大臣がいないから——文部大臣がおれば、きょうはそのくらいの言質をここでとってしまいたいと思うのだけれども、どうですか。横路さんもおそらく——質問が終わっておとなしく帰ったけれども——ああ、いらっしゃったか。とにかく横路さんもおそらく中学校も小学校もことしからだと思ってすわったのだと思う。ぼくもそこで聞いておって、ことしからだと思っておった。ところが、だんだん聞いてみると、中学は来年からだということでは、何かぺてんにかけられたような感じがするのですよ。どうですか総務長官、ここで思い切って予算をお組みになって、毎年半分以上の金は来年に繰り越すのですからね、思い切っておやりになったらどうでしょうか。
  211. 野田武夫

    ○野田政府委員 御趣旨はよくわかりますが、御存じのとおり琉球はアメリカが施政権を持っておりまして、日本はこれに協力する立場でございます。そこで小学校のほうは三十八年度で全部やる、中学校は四十年からというのが琉球政府のたてまえでございまして、これに対して協力をしてくれということでございます。いま申しましたとおり、日本はやはり琉球政府の教育行政と申しますか、そのたてまえとやり方に協力しておるわけでありますから、いまの日本と同じようにやれということは、御趣旨はわかりますが、現実に協力体制にある日本としては、向こうの計画に沿うのがいいと思って協力しておる次第であります。
  212. 滝井義高

    滝井分科員 これで終わりますが、アメリカは沖繩に相当の援助をしておるわけですね。当然これは、さいぜん予算の執行がおくれるというのはアメリカの議会とアメリカの会計年度の関係があるからだ、こうおっしゃっておるわけです。そうしますと、アメリカ予算の組み方と日本予算の組み方とは唇歯輔車の関係にあるわけです。車の両輪をなすわけです。したがって、たとえばいまのような教科書の問題でも、日本が三分の一出すなら、さいぜんの横路さんの民生安定五カ年計画ではないけれどもアメリカが六で琉球が三で日本が一ですか、六・三・一になっておるわけですね。それと同じように教科書についても、やはり日本が出せばアメリカも一出し琉球も一出すくらいのことは、当然やってしかるべきだと思うのですよ。もし潜在主権を持っておるわれわれが一を出すなら、施政権を持っておる向こうは相当出さなければならない、そう思います。そこで問題になってくるのは、いまの中学校の四十年四月からの実施をことしに繰り上げるということになると、アメリカ関係の予算の問題が出てくるわけです。なかなかアメリカ予算はよくわかりにくいのですが、一体いま沖繩の援助に対してアメリカはどういう種類の金を出しておるのか、アメリカの金の出し方をちょっとわかりやすく説明してみてください。
  213. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 援助ということばをどう理解するかでございますが、アメリカ国会の議決を経て支出されるものがございます。これには一般によく知られております。プライス法の援助というのが一審大筋になっておるわけであります。そのほか、たとえば余剰農産物に関する法律に基づいて支出されるもの、あるいは二、三の単行法がございまして、これは期限を切って、いつからいつまで幾ら金を出すというふうなことをきめてある法律でございますが、その法律に基づいてアメリカ国会が議決して金を出しておるという種類のものがございます。それから予算以外としては、余剰農産物の借款というふうなものも行なわれております。それからまたアメリカの国会の議決を経ずに現地の高等弁務官が自分で運用しておる資金がございまして、その資金の利益から沖繩に支出される、還元されるという種類の援助もございます。
  214. 滝井義高

    滝井分科員 終わります。
  215. 植木庚子郎

    植木主査 間もなく本会議が開かれますので、この際暫時休憩いたします。    午後一時五十八分休憩      ————◇—————    午後三時四十一分開議
  216. 植木庚子郎

    植木主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  防衛庁及び科学技術庁関係を除く総理府川管について質疑を続行いたします。川俣清音君。
  217. 川俣清音

    川俣分科員 私は、この際、国家公務員の人事管理に関して内閣の所見をただしておきたいと思うのでございます。  政府は、常日ごろ国家公務員あるいは地方公務員に対しましても、また一般国民に対しましても、順法精神を説いて、そうして公の秩序を維持いたそうと努力を払っておられるようでございまして、そのこと自体はまことにけっこうだと思います。しかるに国家公務員法百三条の改正によりまして、いわゆる営利企業への就職を本来は禁止いたしておるのですが、特別な認可、許可があった場合にはこれを認めるという特例を開いておることはそのとうりでございますが、本来は監督下にありました営利企業への就職は、基本的な考えとしてはこれを排撃しようというのが百三条の精神であると思うのでございます。しかしいろいろな事情がありまして、必ずしも全面的に禁止しないで、事情によっては許可を与えようというものでございますが、近年その就職の状態があまりにも露骨になってまいりましたので、法改正が行なわれましたことは、御承知のとおりでございましょう。  そこで、ことしからあらためて、営利企業への就職の承諾に関する年次報告なるものが、国家公務員法によりましてできたわけでございます。人事院は新しいことであり、かつてないことを調べるので、いろいろ苦労されたと思うのでございますが、第一には、この報告を出されることになりましての初めての報告でございますから、基本的な態度について人事院から承り、その後に審査をするほうは人事院でありますが、審査請求をするほうは内閣でございます。これは統一的な申請がなければならないと思いますので、中には当然見込みのないようなものは、この資料の中に上がってこないようでございます。前もって認可できるかどうかというような打診をして、それから出されておるようでありますから、最近ここ一両年は、不認可になったものはないようでありまして、むしろ不認可になるような場合には、取り下げておるような状態でありますから、いわゆる認可しないものの件数はなくなってはおりますものの、内容的にはなくなっていない。形式的には、取り下げるということで不認可ということはないようでございますが、特に私どもが注意を喚起したいと思うのは、天下り的に就職あっせんされるばかりではなくして、そういういわゆる管理者が退職後の職をあっせんするという美風ではなしに、むしろ自分の在職中に許可認可の条件を緩和して、それを条件に就職するというようなことになると、これは綱紀紊乱だと思うのです。むしろ法の精神はそれをねらって禁止しているのだと思うのです。個人の職業を禁止しているという意味ではなくて、そうした露骨な認可許可にからんで就職するということを最も拒否しなければならないというのが立法の精神だ、私はそう理解している。  そこで、人事院から今度の報告を出すに至りました経過について、審査の傾向について御説明願えれば幸いだと思います。もしできなければ、私のほうからお尋ねしてもいいと思いますが……。
  218. 佐藤正典

    佐藤(正)政府委員 私から一応概略御説明申し上げたいと思います。  この報告は、昨年の改正によっておりまして、いわゆる国家公務員法の第百三条の九号によってこの報告書がつくられたのでございまして、その内容といたしますところは、昭和三十八年間に人事院の行なった、営利企業への就職の承認の処分についての報告書でございます。昨年一年間に人事院が受理いたしました申請の総数は、百七十三件でございまして、その中で承認したものが百六十五件、不承認のものが七件、就職先の変更のために取り下げられたものが一件ございます。承認の件数を省庁別にざっと見ますと、運輸省が四十四件、大蔵省が三十五件、通産省が二十七件、建設省が二十三件、国税庁が十四件といったところで、比較的件数の多いところはこのようなところでございます。  ところで、国家公務員法百三条の精神、つまり在職中に便利を供与したその代償として企業入りをいたしますことを禁じたこの法律の精神を十分体しまして、この案件の審議をきわめて公平に行なったつもりではございますが、詳細は当該局長の大塚職員局長から御説明させます。
  219. 川俣清音

    川俣分科員 かなり努力をされて報告書をおつくりになったことに対しては敬意を表しますが、いま私が指摘をいたしましたように、最近の承認事項が前と比べてだんだん減って、自粛してこられているということは認めていいのではないかと思います。かつては三百何件、四百件という大きな数字に上っていたのが、この法の改正によってかなり自粛されてきた、こう見ていいのではないかと思います。特に省別に見ますと、かって大きな件数を持っておりました農林省関係が、本省で二件、食糧庁で二件、水産庁で一件というふうに、いままでかなりあった件数が減ってきております。これは私が非常にやかましく農林省に追及をいたしました結果、なかなか農林省が慎重になってきた、そう理解する。ところが、いつでも問題になるのは、いまあげられましたように、大きいのは運輸省でありまして、四十四件。大蔵省が三十五件で、国税庁を入れてこれは五十件になります。通産省が二十七件、建設省が二十五件ですか、私どもはこの審査の報告を受けまして拝見しますると、やはり非常に問題の多いのは運輸省じゃないかと思うのでございます。これは必ずしも運輸省は、大会社という意味じゃなくして、むしろ認可許可にからんで就職をしておるのではないか。バス会社の認可がなかなか渋くなってきた。それには運輸省関係の者を入れなければ、許可認可ができないのではないか。あるいは、数年認可にならぬでおったタクシー会社が、社長に運輸省出身の者を入れると、入れる前後に許可になったという例もあるわけです。数年かかって許可にならなかったものが、運輸省の関係者を入れたために許可認可になったということになりますると、そういう者を入れたという条件がつくのじゃないか、認可許可に条件がついておるのではないか、こういうふうに思われないわけはないのであります。人事のことでありまするから、私は人の名前をあげては申し上げませんけれども、主として運輸省関係、一、二を参考のために申し上げます。  名前は遠慮いたしまするけれども、運輸省の、ことに陸運局関係、これは承認を与えておるのですけれども、あるタクシー会社の認可の前後に、その社長として入社した人があります。審査によりますと、総務課長だから直接認可許可に関係しておられないのだ、こういうことですけれども、総務課長というものは事務所の人事権を持っているものでありまして、下の許可する者に圧力のきくことは当然のことでございます。総務課長という職責自体は認可許可の取り次ぎ程度のものでありましょうけれども、大きな支配を持つところの人事権の把握者であります。管理職である、すなわち管理職というものは、全体の認可許可には非常な影響があるものと見なければならぬだろうと存じます。官房長官は各省の人事についてそれほど関係ないけれども、やはり官房長百となるとその影響力が大きいということでわかるように、総務部長とか官房長というようなものは、そういう人事の背景を持っていると思う。したがって、総務部長であるとか総務課長というものは、やはり人事権に非常に関係のあるものなんだ。直接その審査権に関係があるかないかは別にいたしましても、これは大いに注意をしてやるべきじゃないか、私はそう思うのです。しかし、タクシー会社で、小さな会社ですから、小さな会社に対して就職するようなものは寛大であってもいいのではないかということは、一面言えないこともないと思います。しかし、いまタクシー会社の許可を取れば、数百万円の権利が発生するとさえいわれておる。それほど競争が激しい。あるいはバス会社にいたしましても、バスの台数をふやすことについては非常に困難を来たしておる。それが、運輸省関係の人が入社することによって、台数がふえるというようなことが起こっている。ふえるばかりではなくして、他の競争会社に悪影響を与えるというような結果になるだろうと思います。それだけにこの許可に当っては慎重でなければなりませんし、また、これは内閣に言うのですが、こういう申請をさせる場合には、就職させる場合には、各省に対して相当のにらみを政府がきかさなければならぬではないかと思う。退職後の就職あっせんということは必ずしも悪いことではないのでございます。けれども、利権をもって就職をするということは、法律の規定からいって厳に戒めていかなければならぬのじゃないかと思うのでございます。職員局長、ひとつ伺いたい。
  220. 大塚基弘

    ○大塚政府委員 いろいろごもっともなお話だと思いますが、われわれの審査の手続といたしましては、一応この一四−四の規則にのっとりましてやっております。したがいまして、在職されておられた過去五年間の、どういうポストにおられたか、それから、おつきになろうとする会社の役員、非役員、どういう地位につくかということ。在職しておられました期間に、ある課長のポスト、ある部長のポストを持っておられた、そこでそのつこうとする会社との間に具体的にどういう許認可なり何なりの権限行政の関係があったかということ、その五年間に関しましては、一々どういう許可をやり、どういう認可をやったかということを調べております。もちろんおっしゃるように、いま運輸省の例をあげれらたような場合、当然その認可、許可に権限を持って関係なさっておられる場合は、その一年間にそういう権限行政の関係が具体的におありになった場合は、まずほとんどわれわれとしては承認しておらないと思います。ただ、御例示になりました総務課長と申しますものは、確かにそれは省内なりあるいはある部局の中でお話しのような影響力を持つということは、一般的に考えられることでございますけれども、この種の影響力、つまり内部の人事管理における影響力なりあるいは同市、後輩というような関係、その他のいろいろな人間関係からまいります影響力で、その方がなさる許可認可等に全くそういう影響がない、あらゆる場合にないのだとは私としてもちろん申し上げかねますけれども、しかし、こうしたいわば直接権限のない方の、人間関係の中での影響というものは、法のたまてえ上はどうも審査基準として取り上げることはむずかしい。それが何らかのスキャンダルとか、あるいは汚職というような問題にからめば、これはもちろんでございますが、そうでない限りは、われわれとして一応審査の中ではそういう点は考えておらない。まあ一応そう割り切って審査をしております。
  221. 川俣清音

    川俣分科員 弁解は一応了承できないわけでもございませんけれども、運輸業界におきまして、なかなか認可できなかったものが運輸省関係の者が入って許可になったということは、普通伝えられるところですね。そういうことがいかぬのじゃないか。あれはうまくやった、こういうことが言われておるわけですね。しかもこのタクシー会社のごときは、前から申請してもなかなか許可にならなかったのが、たまたま、どういう結果かわかりませんけれども、社長に入ることになって認可になったことは現実なのですね。時を同じくして認可になったということになっている。偶然かどうかわかりませんけれども、何らか関連がなかったとは世間は見ないと思う。いままで許可にならないでおった。タクシー会社のほうで、タクシー業会のほうで、きるだけ競争者を押えようとしておった。そのために認可にならなかった。ところが、社長になるときまり、日にちの点は一日や一週間ずれたり何かしているかもしれないが、ほとんど認可と同時に社長に就任しておられる。関係があったかなかったか、あるいは役職の上では総務課長でなかったかもしれない。しかし社長という地位につくことによって——認可になって社長になったのか、社長ということが条件になって認可になったのか、その辺は別にいたしまして、現に社長であることは、あなたのお調べのとおり。認可になったから社長になったのでしょう。このタクシー会社がもし認可にならなければ、会社ができないのですから、できたということは認可になったことなのですね。しかもその社長になったということ、これは現実に明らかなんですね。どういう陰の取引があったか、もちろん私もわかりません。長年運動してもできなかったのが、今度できたという事実は明らかなんです。しかも社長に就任したということも、あなたの報告によって明らかなんです。そこに問題があるのじゃないかというのです。個人の名前も何も知りませんよ。人がせっかくいい職を得たのに、それに対して制肘を加えようというような考え方ではもちろんございません。この人が悪いからという意味でもございません。あるいはりっぱな人かもしれません。しかし、タクシーの認可、許可というもの、あるいはバスの増車というものが非常な競争になっておるときに、そういう運輸省に関係の深い者、しかも陸運事務所に関係の深い者——国鉄の車掌であったとか、あるいは駅長だったとかいう程度のものであれば、どんなに深くてもたいしたものじゃない。陸運事務所という、いままでばく大な権限を持っておったその関係打が入ることによって、増車ができたとか、あるいは認可ができたということは、形式的には関連がないんだというようなお調べのようですけれども、これは問題があるんじゃないか。これはまた承認という権限を持っている人事院ばかりでなく、政府も考えなければいかぬ。綱紀粛正の上からも考えていかなければならぬではないかと私は思う。ずいぶん官房長官のほうにも認可、許可のことについて運動に来るだろうと思いますけれども、なかなか困難な問題なんです。それが陸運事務所の人が入って社長になれば認可になるということは、何としても綱紀紊乱のそしりを免れないのではないかと思うわけです。そのためにかえって正規の者の認可がおりないで、その人を入社させることによって認可がくるということになると、これからはほんとうの意味の会社ができるのではなくて、こういう運輸省関係の者を入社させるかどうかによってできるということになったら、全く運輸行政というものは紊乱してくることになるだろうと思う。そういう上からいって、内閣の方針をひとつ承っておかなければならぬと思うのです。
  222. 黒金泰美

    ○黒金政府委員 ただいま川俣委員からお話がありました点は、ごもっともだと思います。私どもの気持ちを率直に申しますれば、上司があっせんするとか、あるいはまた民旧例からぜひこの人をという懇望があり、上司の人が判断をして、まあこれはいま遊んでいるんだからというようなところまではまだまだいいんじゃないか。自分自身で取引をされるのが、一番危険じゃないかと思います。こんなような考えでおるわけでございますが、実はいままでのところは、人事担当官が時おり集まりますので、あまり無理なことはしないようにというような自粛はいたしておりますが、別に私ども各省に対して、人事院に申請をする際にこういう条件の者ならしていいとか、こういう者はして悪いとかいうような基準は実は定めておりませんで、個々に人事院に御相談をする。きょうここで初めて御報告をいたしましたが、こういうものが一つの判例みたいになりまして、その範囲内で御相談に行ける、これをあまり越えているものは持っていっても無理じゃないか、こんなような考え方で今後運営していくと思いますが、私どもとしてはぜひ無理のないように、ともすれば、いま御指摘のようないろいろなうわさが立てられます、これは事実であるとかないとか、あるいは刑事問題があるとかないとかいう問題よりも、そういううわさ自体が好ましくないことでございますから、十分に注意をしてまいりたいと思いますし、この国会にこういう資料を提出しておりますのも、これをごらん願って、これらはあまりひどいじゃないか、もう少し直す点があるのじゃないかというような御指摘を受けますれば、謙虚に反省をして——これは人事院になりますけれども、私どものほうも反省をしてまいりたいと思います。どうか御注意をお願いいたします。
  223. 川俣清音

    川俣分科員 それでけっこうだと思いますけれども、普通に長年公務員としてやってきて、将来の就職を上司があっせんをやることは当然なんです。人情であると同時に、美風だと思うのです。また、そうなければならぬと思う。問題はそれを禁止するという趣旨ではなしに、先ほど申し上げましたように、事業の認可、許可にからんで、それを口実にして押し売りをするようなもの、またそれによって認可ができるというところに、刑事上の問題もあるでしょうけれども、なしにしましても、そうした風潮が生まれてまいりますことは、一般を指導される立場にある内閣としましては、大いに戒心を要する点じゃないか。したがって、そういう考え方で人事院でもやっておられるようですけれども、もう一段の監視が必要なんではないでしょうか。相当りっぱに調査されていますから、不十分だというのじゃないのです。こういう認可、許可にからんでは、特に慎重であっていいのではないかというのが、私の要望であると同時に、人事院に対する質問なんです。それをただ形式的に、総務課長だから権限に関係ないんじゃなくて、むしろそういう総務課長というのは外部との折衝が多いところである、外部との折衝の多い地位におって、直接の認可、許可にはあるいは権限は薄いかもしれぬけれども、外部折衝の先端にある者が、まっ先に専務なり社長になってあとの会社が運営されているということに、むしろ問題があるんじゃないか、こういう指摘ですから、人事官、私の意見おわかりにならぬわけじゃないでしょう。おそらく同意見じゃないかと思うのですが、人事官の御意見を承りたい。あるいは職員局長からでもけっこうですが、承りたい。
  224. 大塚基弘

    ○大塚政府委員 先ほど申し上げましたこととあまりかわりございませんけれども、確かにそういう疑惑が持たれるような場合は、われわれとしてわかっております場合には、そういう疑問があります場合には、やはり十分調査をいたしておるつもりでございます。ただしかし、運輸省陸運局関係とバスあるいは自動車関係、路面関係と申しましても、場合によっては過去五年間に一度も許認可というようなものの権限行使の関係がないというような者もございますので、一がいにバス会社と運輸省の陸運局関係だからといいまして、何といいますか、範疇的にというか、一括してその関係はだめなんだというふうには、私どもはいまだ踏み切っておらぬわけでございます。あくまでその職員の方の過去五年間の在職したポストとの具体的な関係で見る。もちろんそういうふうな異例はケース・バイ・ケースでまいっておるわけでございますけれども、今後といたしましても必ずしも一般的な審査基準、ある種の国の機関のある種のポストと民間のある種の企業とは、そもそも一般的にだめなんだというような、基準を全然打ち立てないということではございませんで、過去十年間審査をやってまいりました中では、幾らかは一般的に承認できないという基準もできかかってはおります。今後の問題として十分お話の点を考慮に入れながら、審査基準を厳正にしていきたい、そう思っております。
  225. 川俣清音

    川俣分科員 名前はできるだけあげませんけれども、たとえば山梨交通に入られた、かつて運輸省の自動車局の総務課の方ですけれども、これは陸運局でなく本省ですから、まだ因縁は薄いと思いますけれども、この承認の理由の中に、本人は過去五年間に当省の所管する官職に在職しなかった、とある、自動車局の総務課でありまするならば、最終の決裁は自動車局の総務課が握っておるはずだと思います。直接の認可許可については地方の運輸局だと思いますけれども、本省の自動車局の総務課というものは、最終の審査権を持っておるものだと思うのであります。それをことさら同社を所管する官職に在職しなかったのでと、こういう寛大な扱いをしておられるのですが、こういう審査について私は疑問を持つ、こういうふうに申し上げたのでございます。そういう意味で、一々私が人のことでけちをつけるという意味じゃないのですよ。いままでせっかく就職された人にけちをつけるという意味じゃない。とかく陸運事務局は非常にうわさの高いところであります。バス並びにタクシーについては、かなりいろいろな人が運動しておる問題でございます。それだけに注意を喚起したいというのが、私のきょう問題を提起しているところです。こんな男はだめなんだといって、個人をさしているわけじゃないのです。問題のある省を指摘しておるわけです。  かつて農林省はこういうことがあったのですが、いろいろ問題が起きまして、かなり自粛したわけです。御承知のとおり、農林省の課長補佐で、国から命ぜられたか自分が特に運動して行ったかわかりませんけれども外国の肥料行政を見てくる、肥料技術を研究してくるということで、国外に官費で出張いたしまして、帰ってくると同時に肥料会社に入社した男がある。これはひどいですね、官費で技術研究に行って、帰ってきて肥料会社へ入社するというのは。研究は官費だし、給料をもらうのは個人だという、こういう例があったので、やかましく指摘いたしました結果、このごろ非常に自粛せざるを得ないようであります。非常にけっこうだと思うのです。したがって、今度も農林省は二件より出ていないでしょう。悪くして二件より許可にならなかったのかと思うが、官房に行って聞いてみると、あまり申請がなかったと聞くわけでございますから、かなりおびえたと申しますか、官房長官に言わすと、川俣先生におびえておるので出しそびれておる、こういうようであります。それほどまでにおびえる必要はないと思うのですけれども認可許可にからむとか、あるいは官費で外国に行って研究、視察してきた、それを高く肥料会社へ売りつけるというがごときは綱紀紊乱だ、こういうことを指摘するだけでありまして、そういう意味合いでやかましくやられることが必要なんです。少しあなたのほうでやかましくなって不認可になったとなると、相当な影響を与えますから、慎重であることは望ましいと思いますよ。しかしやはり、にらみをきかしておくということが、この際運輸省などには必要なのじゃないか。確かに大蔵省も件数は多いです。しかし大蔵省は、何といいましてもこれは認可せざるを得ないようなかっこうで、おもに有力な銀行などにいっている。銀行もまた営利企業でありましょうけれども、これは既存の銀行に認可許可などというものは、いまさら各省もしておりませんし、こういう銀行に入られる者まで就職——これこそ晩年の就職をあっせんするようなものでありましょうし、後進に道を開くために退職をさせた、その始末をつけなければならないということでございましょう。これなど非常にむずかしい問題だと思います。しかし、大蔵省というところはいい会社へはいれるものだというねたみを持たれている点がありますから、あるいは慎重でなければならぬ点もありましょうけれども、認可許可には直接関係はない。既存の堂々たる会社であって、にわかにできた銀行などにはお入りにならないのですからいまできたあぶないような銀行には入られないで、ゆうゆうたる会社へお入りになるのですから、認可許可には関係ないでしょうけれども、いわゆる顔をきかせるということでございましょう。どういう顔かといったって、一つ一つ指摘できない顔でございましょうから、これは無理だと思いますが、運輸省の場合は特に民間の激しい競争の中での問題でありますから、悪影響を与えることおびただしいと思うわけでございます。大蔵省の場合は件数も多いけれども、大蔵省というところはしあわせなところだというねたみは持ちますけれども、不正だとか、あるいは何かおかしいというような感じは世間的には出てこない。ところがバス路線の認可あるいはタクシーなどについては、御承知のとおり、いま熾烈な運動が行なわれている。あれは運動したためにできたんだろうというような評判が立ちやすいものであります。それだけに慎重であってほしい。  それともう一つは、建設省の関係です。建設省の関係あるいは地方の建設事務所の関係者が、土建会社に入る。そうすると次の指名に便宜を得られるであろうという期待なんですね。その期待どおりにいくかいかないかは別ですよ。地方建設事務所のこれこれの者を入れておけば、次の指名のときには何らかの便宜を得られるだろうという期待ですから、期待まで憶測することは困難でありましょうけれども、そういう期待を持たれるからには、やはり期待の実績があったと思うのです。実績があるからこそ、引っぱってきて入社させるということになるのではないかと思うのです。これは問題だと思う。業者というのはけちですから、役に立たないのに、高い給料を払って役人の古手を連れてくるほどの余裕もない。がっちりしたものです。これを持ってくれば次の入札の場合、次の仕事を獲得する場合に便利だろう。それにはこのくらいの犠牲を払っておいても安いものだ、こういうことで採用されるということになると、ここに問題が生ずると思うが、どうですか。職員局長、そう思いませんか。
  226. 大塚基弘

    ○大塚政府委員 お話のとおりだと思います。それで地方建設局長が土建会社に御就職になりたいというふうな申請に対しましては、私どもかなり厳重に審査しておるつもりでおります。大体原則的にはまず、承認にならない場合のほうが多いのでございます。ただ逝去五年間の在職期間中に、かりにその会社との契約関係が全然ないという場合は、これは承認できる場合と考えられましょうし、また契約の手続上の問題もございますし、それからまた契約額が非常に軽微である、その会社にとってほとんどとるに足らない、またその建設局あるいは事業所にとって、それほどたいした予算額を使っている場合でもないというふうに、非常に軽微だと判断されるような場合には承認した場合もございます。しかし、おっしゃるような点がございますので、かなり厳重に審査しているつもりでございます。
  227. 川俣清音

    川俣分科員 なるべく時間を省略しますけれども、それが問題なんです。軽微なところが問題なんです。充実した会社はそんな役人は連れてこないでも、いままでの因縁もついておりましょうし、あえて連れてくる必要もない。むしろ契約高の少ないものが、これから発展するには役人を使わなければならないということで、犠牲を払って高級の職員を選ぶ、こういうことになるのではないですか。そうでなければ、何も高給を払って役人を連れてくる必要はない。むしろ契約高の少ないところが、これから飛躍するための一つの投資だと思っているのです。何も役人を尊重して連れてくるのではない。これも事業に対する投資だと思っている。その投資が綱紀紊乱のもとになるから問題でしょう、こう指摘しているだけです。りっぱな建設会社が事務的に有能な者をほしいと思って連れてくるなら、契約高がいかに多くとも、まだ問題は薄いと思うのです。それは大きいということは安定しておるのですから、そういう役人を連れてこなくても事業としては安定している。そこにはむしろ問題がない。契約高の少ないところにむしろ問題がある、これから大きくしようというねらいなんですから。少ないところはそんな高級官僚を雇うだけの能力が比較的薄いところなんですね。それをあえて連れてくるということは、期待量が大きい。期待に沿わなければやめてもらわなければならねという結果も出てくるでしょうけれども、それだけに、入ったからには期待に報いるだけの契約高を増してこなければならぬという義務を負ってくる。義務を負えば、そこに過去の関係者の間に運動が熾烈に行なわれ、情実関係が出てくるということになるだろうと思う。これは私がこうして言わないでも、これだけ言えば皆さんもおわかりですね。これほどわかることが人事院でわからないということになると、これはめくらだといわざるを得ない。
  228. 大塚基弘

    ○大塚政府委員 確かにお話しの点、ごもっともだと思います。ただ、私どもといたしまして、法の精神に反しないという点で審査をいたす場合に、将来の問題を取り上げることは非常にむずかしいと思います。非常に明白でかつ合理的な根拠があって将来を懸念して承認しないというようなことができないとは申しかねますが、そういう場合も若干の例はございます。しかし、おっしゃるような懸念がございますから、小さい会社に関しては絶対に承認ができないのだというふうには、これは踏み切りにくいことでございます。ただ、お話の趣旨は、今後とも、審査の上でなるべくしんしゃくいたしてまいりたい、そうは思っております。
  229. 川俣清音

    川俣分科員 大体人事管理についてはこれで了解いたしますが、今後、世相がこんとんとしておりますときに、こういうところからかえって世相の混乱を助長するようなことになったのでは日本の将来が思いやられるという意味で、あえて指摘をしたのでございまして、個々の人に対しては非常にこういうことを言うことは気の毒だということは十分察します。それだけに人事院も苦労しておることは十分認めまするけれども、やはり世間の疑惑を招くようなことがあってはならないというところから——人事院は誤解を受けているというのではないのですよ、こういう就職をすることについて政府が無関心であるというようなことや、あるいは連動がうまくいったものが行をするというような印象を与えることを避けたいというのが私の質問の趣旨でありまするから、どうか、新しい仕事を人事院が背負ったことになりまするけれども、せいぜいひとつ御奮発願いたいし、この指摘に基づきまして、政府のほうも、申請する側におきましても——大体これは許可になるかならぬかということは、わかっておるはずだと思います。申請してからあわてて取り下げたりなんかしておる部分もあるようですが、これはみっともないと思うのです。どうかこういう点につきましては、政府全体として自粛を願って、国民に範をたれてほしいということをお願いしまして、人事管理の問題についてはこれで終わります。  次に、総務長官お尋ねをいたしたいし、官房長官にも、もしお許し願えればおっていただきたいと思うのですが、旧地主補償の問題についてお尋ねをいたしたい。  この補償がいいか悪いかということはかなり論争になっておりまするから、いま私ここで取り上げません。しかし、問題の本質だけはわかっていただかなければならぬのではないかと思います。  法律によって自作農主義をとりまして、旧地主の土地を買収したわけでございます。これは日本の歴史から見て画期的だともいわれておりますし、あるいは戦時立法だということをいわれておりますが、必ずしもそうじゃない。それは一つの例を引いてわかりやすくここで明らかにしたいと思うのですが、日本でも、一八六八年、明治元年、戊辰戦争のとき、このときに初めて農民に土地の併有を認めたのです。それまでは私有権を認めていなかったのです。しかし、私有権は認めましたけれども、売買は禁止しておった。一八七二年、明治五年に至って初めて太政官布告をもって田畑の永代売買の禁止を解除したということになるわけでございます。日本の歴史から見ても、特に各藩の租税の中心でありました田畑の収入でございますから、かなりいろいろな制度が徳川時代からあったわけです。強権もあったろうし、かなりひどいこともあったろう。  そういう歴史を経てきているのであって、戦争になって、いくさに負けたから急に地主が土地をとられたというわけでは必ずしもないということなんです。特に戦後におきましては、未墾地強制買収などが行なわれたわけでございますが、これらをもしも放任しておいたならば、日本の全体の発展というものはできなかったわけです。むしろ未墾地の解放によって農民の所得がふえ、今日のような経済成長を遂げ、購買力を旺盛ならしめた。その結果土地価格も上がったので、持っていたがゆえに土地価格が上がったのではない。日本の経済の発展の結果上がった。その発展の素地になったのが農地解放であって、技術革新と同時に、農地改革が日本の経済が大きな発展を遂げた要素なんです。そのために自分が持っておった土地があるいは上がったかもしらぬけれども、持っていたということによって上がったのではない。かつて持っておったということで上がったのではなくて、その後に起こったところの経済の発展によって土地価格が上がったということだと私は思うのです。  そうなると、補償制度とかいうことがおかしいというので、おそらく報償というようなことば、「何らかの報償」なんということを言い出されたのだと、私はそう思います。補償には値しないのだ、報償するのだ。  ところが、ここで官房長官お尋ねしなければならぬ。あなたにおいで願ったのは、昭和二十九年十一月二十六日、法制局発第八十九号で「法令用語改善実施要領」というものがあって、各省でこれに準じた法令用語にするようになっております。これによりますと、日本に使われている「ホウショウ」ということばは三色ぐらいあるようです。償い報いるという「報償」、それから奨励の「報奨」というのがあります。それから、ほうびをくれたりする賞状の「褒賞」という、三色あるようでございます。前の「ホウショウ」についてはできるだけ統一をしようということが、この法令用語にある。それには「奨励」と読みかえられる。地主に対して何らかの報償をするということは、何らかの奨励をするというふうに読みかえられるわけですね。この間、私、高等学校の生徒に聞きましたら、やはり高等学校の生徒はこのごろ「ホウショウ」というのは奨励というふうに理解をしておるようです。そうすると、いまの子供からいうと、政府が旧地主に何らかの報償をするということは、何らかの奨励をすることで、その奨励をするというのは一体何だ。旧地主に何らかの奨励をする。これが農地解放が進行しているときだと、それに応じたから奨励をする、あるいは奨励した結果応じたから報償をするというならわりあいに連絡して理解されるでしょうけれども、判例が出て、いまどきになってから古いのに振り返って報償しなければならない、奨励しなければならない。奨励どころじゃない、向こうからいえば、圧力団体でよこせというやつを、奨励をするということになると、ああいう圧力団体を奨励されるのかという誤解を生むのじゃないかと思うのです。あれを奨励する、それではおれもひとつ圧力団体になる、ということが奨励されるというふうに誤解されてはたまらないのじゃないですか。高校の生徒に聞いてみなさい。二、三人。このごろ国語審議会の方で決定しているのかどうかしらぬけれども、そんなのは奨励だろう、こういう意見を言う者が多いのです。すると、政府は何らかの奨励をしたというふうにとられます。何の奨励だかわからぬ。たぶんワイワイと騒ぐことの奨励だというふうに子供にはとられやすいのじゃないか。そうすると、春闘でワイワイ騒ぐのも、あれも奨励されてやっているのじゃないかという誤解を生むのじゃないか。子供から見ると、何かの奨励をするということは、奨励の結果やっていいのじゃないか、こう理解しないとも限らぬと思うわけです。子供の感覚で、あれは奨励だ——内閣はそういう意味じゃなくお使いになったかもわかりませんが、いまそういうふうに理解するようになっておるときに、内閣の「何らかの報償」というのは一体どういう意味でございますか。あらためて聞いておかないと、子供が誤解すると思いますので、お尋ねいたします。
  230. 黒金泰美

    ○黒金政府委員 いまお話にありましたように、報償ということばを使います際に、実は法令川語辞典も引かずに、法制局にも相談せずに使ったものでありますから、奨励という意味にすぐ読みかえるということは、これはちょっと無理なように思います。  私どもは、過去に決して悪いことをしたのじゃございません、りっぱな農地解放をしたのでございますが、やはりそういう大きな事業をやっている川には、何かつめのあとが残る。どこかにひずみがある。ひずみができたことが悪いというのではなく、それ自体いいことをやりましても、やはり大きな仕事をやりますと、どこかにひずみがありますので、それを報償、報いていきたい、気持ちをやわらげていきたい、かような、いわば法律用語としてではなく、私ども率直に申せば、実は非常に新しいことばをつくりましたので、観念としては法律的にはっきり申し上げることは少しむずかしいかと思いますが、いまのような気持ちでひとつ御了承願いたいと思います。
  231. 川俣清音

    川俣分科員 私は、これはしいて他に発展させる結果を招くのじゃないかと思います。  戦後親族法が改正になりまして、長く親の財産相続の代襲権を持っておりました長男が、法律によってすっかりこの権利を剥奪されておるわけです。古来の美風だ、家族制度だということでまいりました、習慣に基づく、法制に基づく承求権、相続権が、一片の法律で剥奪されたわけです。これもやはり法律の犠牲者だということになるわけです。これもひずみだということになる。そういうことになると新しい改革ができない。新しいものをやれば必ずどこかにひずみがでてくるのは当然なことなんです。できるだけそういう極端なひずみが起きないように、やる場合に考慮することは必要であるが、あえて古いことをここに呼び起こして、問題を他に発展させるということは好ましくないのではないか。こういう意味なんで、そうでなければ農村においてはこういう長男の問題など、また出てくるのではないか。  これは秋田の例ですが、総額二万円に足らない土地買収費をもらった。この方が、親から不動産をもらってできた金だから、これを現金で使ったりするのは先祖に印しわけないということで、そのまま山林を買われた。この方がこの間なくなられまして、お通夜の晩行っていろいろ聞いたら、いまその山は九十七万円くらいの価値があるそうでございます。何も新しい投資ではなくて、地主として土地を解放された代金をもって、おやじがせっかく残した不動産を失ったのだから、今度は買収されない不動産にかえておかなければならぬということで、山林が高くなると考えたわけではないらしい。ただ、不動産を持っていなければもらった先祖に申しわけないというので、山林を買った。当時山林は安くて、二万円で三十何町歩が買えた。これが立木だけで九十七万円くらいの価値になっておるわけです。いや、もっと高くなるかもしれぬ。そういう話です。そうすると、これは報償すべきなんですか。  こういうように、農地改革でもうかった例もある。持っているとそれだけになったかならないか怪しいのです。農地改革で不動産を失ったから、かわりに不動産を持っておりたいというので、不動産を持っておった人は損をしていないが、現金で持っていた人は減った、こういうことになるかもしれぬ。そうすると、これは何らかの報償をしなければならぬ。こういう不動炭にかえておけば何ともなかったということになる。したがって、法律制度のもとで行なわれた当時の代償を何か他のものに転換できなかったという人がいるが、地主は旧式で、不動産を持っていたほうがよいというので、不動産を持っていた。これは別に時代の感覚に目ざめてやったわけではない。親から残された不動産だから、現金でなく不動産で持っていなければならないというので、持っていた方はそうなったということで、失ったから損失を与えたということには必ずしもならないと思う。代償を何らか有効に使ってあったならば、むしろ非常に寄与しているといわなければならぬ。  それを、何か一生懸命運動も行なわれておるようです。地方によりましては、一反歩五十円ずつの運動費をとられている。そうして、その清算がどうだこうだとごたごたしております。未亡人などから一反歩五十円という強制献金をさせて、その金が集まらなくなると、もう成功が近い、内閣ではこう決心したのだから、それに参加しないとお前は報償金をもらえないということで、無理に加入金を集めているという児もある。そのことは決してよいことではない。私は、圧力に屈したことが悪いとかそういうことではない。そういう運動に参加しなければということで運動費をとって、その運動費を催促されるということで、けつを内閣に持っていったり、政府に持っていったりすることは考え直さなければいかぬじゃないか。  そういう意味で、この報償の問題を取り扱うに対しては慎重でなければならぬと思います。  総務長官お尋ねいたしますが、あなたのほうで調査会を担当しておられるようですが、一体なぜ総理府がやらなければならないのか。農林省のようにも思うが、これを農林省がやったらば農林行政が破綻するだろうと思うのです。農業というものは、勤労意欲に燃えた者がその勤労意欲をどう発揮して農業を解決していくかということでなければならぬ。制度に食けた右があとへさかのぼって報償をもらうなんていう考え方では、農業の進歩というものはないだろう。勤労精神はなくなるだろう。不労所得でいくなどということは、農業から見るならば最も遠い政策でなければなりませんから、農林省がおそらくやらないのはあたりまえだ。そうすると、やるところがないから野田さんところでやる、こういうことになっておるのです。所管があっちへ行ってみたりこっちへ行ってみたりで、ふらふらしておるのです。まあ旧地主の補償というものはそういうものだろうと思うのです。ふらふらしておるようですが、一体どこでおやりになるつもりですか。
  232. 黒金泰美

    ○黒金政府委員 いまお話しございましたように、実はどこで実施するのかということもいろいろ問題になっておりますが、それより前に、本年度は調査費をいただきまして、この調査は総理府でやってもやれるであろう調査でございますから、その調査をこの年度一ぱいやる、こういう段階でございます。この調査がだんだんに終わりに近づいてきておりますので、その調査結果によって何らかの報償をしようというのでございますから、いかなる報償が適当か、またすべきかということを考えながら、それによって、そういう報償ならどの役所にお願いしたらいいのか。ただ、その場合にもやはり考えなければいけないことは、仕事の類似もございますから、こういう報償が何年続きますか、二、三年で終わるものならばやはりあまり大きな規模のものを一時つくって、またなくすというのはいかがかと思いますし、いずれにしましても、日本全体にわたる問題でありますから、地方との連絡が十分でないと、これもやっていかれないだろうというわけで、どこでどうするのが一番実効的か、一番安上がりにできるかというような、いろんな見地から考えます。と同時に、一体どんな報償をするのか、その結論を、だんだん調査も終わりに近くなりましたから、そういうことを見通しながら、いま実は行政管理庁——これは本来そういう所管をきめる役所でございます。——それから私どものほう、それに法制局、農地に関連しますので農林省、いままで御調査を願っておりましたから総理府、こういうところで寄り寄りにいま検討をしておるような次第でございまして、まだ結論を得ていない、かような状態であります。
  233. 川俣清音

    川俣分科員 もう一点で終わりたいと思います。  もう調査が完了したということで、調査費がないようにも聞いております。ところが、いま長官の御説明では、調査費が三十九年度もついたと言っておりますが、どこの所管になって予算化されておりますか、お尋ねしたい。  もう一つ問題は、私、非常に警戒しておりまするのは、今後の農産物の価格が地価の上昇でさらに上がるような傾向にあるのじゃないか。特に今年度の生産者米価につきましては、生産費の補償でございまするから、生産費といたしまするならば、やはり従来は肥料であるとかそういうものが一番大きなウエートを持っておりますが、最近は地価の値上がりで、その地代部分になりますか、そういう資本部分について生産費を補償しなければならないということになって、それからでも米価の上がるような傾向が出てくるわけです。すべての物価の上昇を刺激するようなことになるのではないか。したがって、土地価格については、何らかの形で抑制していかなければならないのじゃないか、こう思われるわけです。上がるようなことをできるだけ押えていかなければならない。引き下げる方法はなかなかむずかしいけれども、上がるようなことだけは、考えて相当手を打っていかなければならないのではないか、こういう情勢ではないかと思う。  そういう中において、かつての地主の補償は少なかったんだということになりますると、いまは高いという印象を与え、これからも高くなるであろうという印象を与えまして、ますます土地の値を上げるような空気をつくるのではないか。  今日まで、御承知でもありましょうけれども、これは念を押したいのですが、宅地であるとか、山林は比較的上がってまいりましたけれども、田畑の地価というものは、ほかと比べましてわりあいに上がっていないわけです。なぜかというと、これは農地法がありまして、自由な移動を禁止しておるわけです。自由な移動を禁止すると売買がしにくいということで、農地の価格を押えておる、規制しておるゆえんだと思うのです。そういうところから、土地の取引が非常に自由になるということになると、日本のような狭い領土における土地の奪い合いというものが激化しまして、土地の値が上がる傾向を持っておる。これは宅地にも影響し、農産物にも影響する。  そういう中において補償というのは、「何らかの報償」かもしれないが、これは土地の問題にからむのじゃないか。そういうふうに報償をするということになると、それも加えた地価というような感じが出てくるわけでありまして、地価を上昇させる大きな要因になるのではないか。そうなってくると、とめどもなく物価を上げる刺激の要素になるのではないか。私どもは、政府が何と考えようと、物価はできるだけ抑制していかなければならないだろう。これは与党だけの責任ではなくて、政府だけの責任ではなくて、国民共同で物価の抑制に当たらなければならないものだと思う。政府だけ一人でやろうと思ってもできるものではありません。そういう意味で、なるべく土地の値を上げるようなことだけは考慮してもらわなければならない。それにもかかわらず報償だ、報償だというようなことでやっていかれると、最近は田畑の代金も地価もまた上がりつつあるような傾向でございます。これは小作料が押えられ、収益が押えられておりますから、大体それによって移動をとめておる、収益が限定されておるということによって上がる率が少なかったものさえ、最近またこれが旺盛になってきた。あるいは宅地に転向できるかもしれぬ。地主報償をめぐって転用が非常に楽になったのだという印象を与えております。もちろん一方は宅地が旺盛だということもありましょうが、そういう空気の中において上げる刺激要素になっておる。鎮静要素になっていない。そういう点でも大いに考慮を払っていただかなければならないのではないか。  これだけ申し上げて、もし調査費で調査しなければならないのなら、十分調査しなければならないであろう。もう調査費が私はないと思っておったのですが、ないならば思い切って早く結論を出されたほうがいいのじゃないか、こういう意味でお尋ねしておるわけであります。
  234. 黒金泰美

    ○黒金政府委員 いまお話のありましたように、消費者物価の値上がりというものはみんなで押えてまいりたい。そのためには地価の高騰はできるだけこれを抑制したい。非常に困難なことでありますが、していきたいという御趣旨、ごもっともでありまして、十分に御意見は尊重しながら結論を出してまいりたいと思います。  なお、調査費は本年度は総理府所管に組んでございました。来年度は予算に計上いたしておりません。
  235. 川俣清音

    川俣分科員 大体これで時間がまいりましたから、了承いたしました。どうもありがとうございました。
  236. 植木庚子郎

    植木主査 次に、只松祐治君。
  237. 只松祐治

    ○只松分科員 まず最初に、厚生省の方にお尋ねをいたしますが、お見えでなければ人事院でもけっこうです。  現在、医薬や医学の進歩によりまして、非常に私たちの、いわゆる平均寿命というのが長くなってまいりました。男子で六十六歳、女子で七十一歳、こういうふうに発表されておりますけれども日本の平均寿命は幾つになりましたか、ひとつお教えいただきたい。
  238. 岡田勝二

    岡田政府委員 厚生省の統計によりましても、日本人の平均寿命が男子、女子ともに延びているということは御指摘のとおりでございます。ただ、その数字がどの程度かということにつきましては、手元に持っておりませんので、ちょっとお答えいたしかねます。
  239. 只松祐治

    ○只松分科員 たいへん怠慢な話ですが、人事院でもわかっているでしょう、日本の平均寿命ぐらい。
  240. 矢倉一郎

    ○矢倉政府委員 お答えいたします。日本のいわゆる余命年数というものが、非常に延びつつあるということは、厚生省の統計でもあらわれておりまして、われわれもその余命年数の延び方については、それなりに一応の調査をいたしております。したがって、この具体的な数字はやはりほんとうは厚生省の正確な統計資料によることが一番正しいのではないだろうか、とこういうふうに考えるわけですが、一応現有の余命年数の延び方というものをわれわれのほうの、いわゆる総理府統計局の日本統計年鑑の所載によりますと、大体たとえば零歳の人が昭和十年のときには、四十六歳九二となっておりましたのが、三十五年には六十五歳三七というふうになっておりますし、これは男子でありますが、女子のほうは四十九・六三歳が七十・二六歳というふうに、かなり余命年数が延びております。個個の内容については、もし必要でございましたら、申し上げますが、一応の参考にいま零歳の場合の余命年数を読み上げてみたわけでございます。
  241. 只松祐治

    ○只松分科員 日本人の平均寿命もたいへんこういうふうに延びてきておりますが、諸外国の主要な先進資本主義国でけっこうでございますが、平均寿命がどの程度ですか、お教えいただきたいと思います。
  242. 岡田勝二

    岡田政府委員 外国人の場合、男子でございますが、イギリスでは六十七・九、アメリカでは六十六・三、フランスで六十五・〇、西ドイツで六十四・五、一例を申し上げますと、このような状況でございます。
  243. 只松祐治

    ○只松分科員 これを男子に対比いたしますと、それほどこういう諸外国日本人の男子との余命年数の差はないわけでございます。  ところが、日本の退職年限というのは非常に早いわけでございますが、日本の退職制度あるいは退職年限はどういうふうになっておりますか、ひとつお尋ねをいたします。
  244. 岡田勝二

    岡田政府委員 現在の日本におきます定年につきましては、おおまかに言いまして大体八〇%ぐらいが五十五歳定年制を採用しておるようでございます。
  245. 只松祐治

    ○只松分科員 いまの定年制と言われたのは、民間のことですか、官公ですか、八〇%というのは……。
  246. 岡田勝二

    岡田政府委員 民間でございます。
  247. 只松祐治

    ○只松分科員 官公ではどうですか。
  248. 岡田勝二

    岡田政府委員 公務員につきましては、現在裁判官につきましては、最高裁判所の裁判官が七十歳、一般の裁判官が六十五歳、簡易裁判所判事が七十歳。それから防衛庁関係につきましては、自衛官につきましては、たとえば陸海空将の五十八歳を最高に、階級に応じてきまっております。それから一般職につきましては、まず検察官におきまして、検事総長が六十五歳、その他の検察官が六十三歳。それから大学教官につきましては、これは各大学ごとにきめることになっておりますので、その定年年齢の分布状況はいろいろございます。これが公務員の定年でございまして、いま申し上げましたもののほかには、一般的に定年制度はございません。
  249. 只松祐治

    ○只松分科員 一般的には、一番肝心の一般の公務員の話は抜きにして、定年制はございません、こういう話ですが、実際上は五十五歳でほとんど定年になっております。そのことを御存じですか。
  250. 岡田勝二

    岡田政府委員 一般の公務員につきまして定年制度がないことは、いま申し上げたとおりでございますが、現実の問題といたしまして、それぞれの省庁の人員構成、新陳代謝等をはかって、行政の能率的運用を確保するというふうな見地から、勧奨退職ということを現実の問題としてそれぞれの省庁の個々の事情に応じて適宜やっておられるというのが今日の状況でございます。
  251. 只松祐治

    ○只松分科員 勧奨退職などというのは、全くこれは人権問題ですね。何も法律にも規制がない。何らのものがなくて、だれがどういうふうに勧奨しているのか知りませんが、局長には大臣が勧奨し、課長には局長が勧奨し、一般職員には課長が勧奨し、どこでどう勧奨しているのか知りませんが、どういう基準で勧奨しているのですか。その権限その他はどういうところにあるのですか。
  252. 岡田勝二

    岡田政府委員 ただいま申し上げました勧奨退職につきましては、これも辞職の一環といたしまして、退職の発令をいたしますのは、それぞれその職員の任命権者がいたすわけでございます。現実の勧奨ということになりますと、ただいまお話がありましたように、所属の上司なりで勧奨しておるというのが現実の姿でございます。
  253. 只松祐治

    ○只松分科員 何の権限に基づいて、どういう権限に基づいて勧奨するのですか。
  254. 岡田勝二

    岡田政府委員 それぞれの職員の上司が勧奨いたしますのは、結局その部局の最高にありますところの任命権者の補佐者として、その任命権を助けるという実質的な意味においてやっているわけでございます。
  255. 只松祐治

    ○只松分科員 任命権者が任命するときは権利があっても、規定がないのに退職を勧告する、あるいは勧奨する権限はないわけですね。ぼくが聞いているのは、何の権限に基づいて退職を勧告するか。たとえば具体的に、各省に、あるいは内閣に、そういう内規なり基準なり、そういうものがあるのかどうか。
  256. 岡田勝二

    岡田政府委員 ただいま任命権者と申し上げましたその任命権者と申しますのは、その権限内容といたしましては、任命することはもちろんでございますが、その退職発令も任命権の作用の一つとして含まれておるわけでございます。その任命権者の権限でございます。
  257. 只松祐治

    ○只松分科員 たとえば公務員として適当でない行為を行なったり、あるいは違法行為を行なったり、いろいろなことをする場合には、これは当然任命権者が退職を勧告し、あるいはやめさせるということはあり得るのですが、たとえば犯罪行為、あるいは公務員としてきわめて不適切——先ほどから申しますように、われわれの寿命が非常に長くなって、昔は四十五歳であったが、いま男子でも六十五歳、六十六歳、こういうふうに長くなったときに、五十五歳になって君はやめろいわば五十五歳は働き盛り、そのときに、どういう権限でやめろと任命権者は言うのか、その根拠をひとつ明らかにしてください。
  258. 岡田勝二

    岡田政府委員 先ほども申し上げましたように、任命権の内容といたしまして、免職なり、あるいは辞職を承認するなり、そういうう発令をする権限を任命権者は有しておるわけでございます。それに基づきまして退職の勧奨をいたしまして、これに対して職員が応ずれば、退職願いを出す、それを承認するという形におきまして退職の発令がなされる、こういうことになるわけでございます。
  259. 只松祐治

    ○只松分科員 いまおっしゃっているのは、おそらく、一言にして言うならば、慣習に基づいて行なっておる、こういうこと以外に、法的な根拠もなければ、それからいま言うように、公務員としてきわめて適当な行為を行なっている公務員に、五十五歳だからみんなやめろ、こういうことできっているわけですが、それなら、五十歳なり四十五歳のときにやめろ、こういうことをすれば、これはいかに任命権者といえども、かってにそういうことができるとするならば、これはたいへんなことになってしまうわけですね。だから、五十五歳になったときに、何の基準、何の権限によって、どこの法的権限によって、やめろと、こういうことをおっしゃるのか。それが五十五歳だから、慣習によって行なっているからいいわけだけれども、もし五十歳なり四十五歳なりで、部長なり局長なり、そういうものがかってに、君やめたまえ、こういうことで言ってきたら、これは生活不安もはなはだしい。人権無視もはなはだしい。えらいことになるわけですね。しかし、かりに諸外国——あとでお尋ねしますが、諸外国は大体六十歳から七十歳くらいが退職年齢、日本が六十歳になったときに——ぼくはしなければならぬと思っておるのだが、そのときに、五十五歳で、やめろということをかってに上司が言う、こういうことになったらどうなるか。灯火の生活設計も何も立たない。何の権限に基づいてそういうことを言われているのか、明らかにしてもらいたい。慣習以外に何かありますか。
  260. 岡田勝二

    岡田政府委員 勧奨するということは、まさに事実上の行為でございまして、それ自体に何らの法的効果を持つわけでもございません。したがいまして、そういう意味におきましては、どの根拠あるいは法律のどの条文ということでお答えはいたしがたいわけでごごいます。ただ、現実の問題といたしましては、たとえば退職手当法などにおきましても、勧奨によって退職した場合に、年齢の制限もございますが、普通退職より多くの退職金を出すというふうな規定もございます。そういうところにも、そういう勧奨退職をいたすことが、現実の問題として法律制度の上においても承認されておる、こういう状況になっております。
  261. 只松祐治

    ○只松分科員 諸外国の退職年齢についてお伺いをいたします。一例を申し上げますが、日本の公務員制度に主として取り入れておるアメリカでは、十五年以上勤務した者が七十歳、なお、七十歳に達した際に勤務期間が十五年に達しない者は引き続き勤務ができる、こういう規定がございます。アメリカは一例でございますが、イギリスなりフランスなり、ほかの国の退職のおよその年限というものをひとつお教えいただきたい。
  262. 岡田勝二

    岡田政府委員 たいへん申しわけございませんが、諸外国の公務員の定年に関する資料をただいま手元に持ち合わせておりませんので、的確なお答えをいたすことができません。
  263. 只松祐治

    ○只松分科員 詳しくは言っておりませんが、きょう私が公務員の退職問題について質問をするということは事前に通告をしてあるわけです。その場合に、当然、日本国内だけでなくて、諸外国のものが論議の対象になる、こういうことは、国会の論戦として明らかだ。それを持ってこないというのはまことにけしからぬ話で、ひとつ即刻なり後刻取り寄せていただきたい。
  264. 岡田勝二

    岡田政府委員 イギリスにつきましては、原則として六十五歳、それからアメリカにつきましては、ただいま御指摘のありましたように、十五年以上勤務した場合七十歳、それからフランスにつきましては、普通の官職につきましては、その級の区分に応じまして六十歳ないし七十歳の定年を定めております。それから技能労務、あるいは公安、教育、税務、そういった職類につきましては、やはり級の区分に応じて五十五から六十二程度の定年をきめております。さらにまた、西ドイツにつきましては六十五歳大体このようになっておるようでございます。
  265. 只松祐治

    ○只松分科員 いまの一部の報告によりましても、英国で六十五歳、アメリカで七十歳、あるいはフランスは六十歳から七十歳、西ドイツは六十五歳、こういうふうに日本より五年ないし十五年長い。さっきの日本人の余命統計と、諸外国のいま言われたところの余命統計とは一、二歳長いか短いか、こういう程度ですが、なぜ日本だけ五十五歳で勧奨までされて定年退職をしなければならないか、この点についてひとつ明確な理由をお教えいただきたい。
  266. 岡田勝二

    岡田政府委員 ただいま五十五歳というお話がございましたが、先ほど申し上げましたように、民間の大体八割程度は五十五歳であるということが、実際問題として大きな力を持っております。公務員につきましては、それぞれの省庁の人員構成の実情等に応じまして、その辺は五十五歳一律ということでなしに、幅をもって適宜きめられております。一律に五十五歳というふうに私ども承知しておりません。
  267. 只松祐治

    ○只松分科員 言いわけばかりしていますけれども、事実上五十五歳で皆さん方もやがて——さっき川俣議員が聞いたのもそういうことで、新聞に出ているのもそういうことなんです。これはあとで伺いますけれども、五十五歳でやめなければならぬから、先を見て横すべりなんか皆さんたちは考えなければならない。あるいは一般公務員の人も、五十五歳になったら、まだ子供が小学校とか中学校とかで、在職年限が幾ばくもないのにどうするか、こういうことで非常に苦労しておるのは事実なんです。私だってそう退職年限を知らないわけじゃないのだから、そういうとぼけたあれじゃなくて、もう少し具体的に、日本だけがなぜこんなに早く五十五歳でやめなければならぬか、しかも、昔のように平均四十五、六歳の余命のときも、六十五歳になったときも、一律に五十五歳でなぜやめなければならないか、そういうことについて私は理由を聞いておるので、言いわけを聞いておるのじゃないのです。その明確な理由をひとつお示し願いたい。
  268. 岡田勝二

    岡田政府委員 先ほど来申し上げておりますように、民間において八〇%が五十五歳ということは、世間的にもかなり周知された事実でございます。そういたしますれば、やはり民間に働く人も公務に職を奉ずる人も、大体そういったものを同じ程度に考えるというのは、普通の自然なものの考え方じゃないか、このように考えておる次第であります。それを、五十五歳でなければならない積極的な根拠というふうな角度からのお答えは、たいへんむずかしいと存じます。
  269. 只松祐治

    ○只松分科員 私が聞いていることにまともに答弁ができてないと思いますがね。普通皆さん方が指導され、あるいはお答えになる場合には、むしろ官側が定年制の問題にしても延長するということになれば、それに準じて民間が行なっておる、これが現在の日本における通例の社会状態の諸般のあり方です。民間が八〇%だから有史もそうしている、そういうでたらめな答弁というものはありません。それから、民間のことを聞いておるのではなくて、ここで聞いておるのは、なぜ官公吏が五十五歳でやめなければならないか、その理由を聞いておるのであって、民間のことを聞いておるのではない。しかも答弁というのは、いま申しますように民間がこうだから官がこうだ、そういういままでにないでたらめな答弁というものはやめてもらいたい。政府の人事管理の方針として明確にその理由を明らかにしていただきたい。
  270. 矢倉一郎

    ○矢倉政府委員 お答え申し上げます。  私は人事院の立場でお答えを申し上げますが、御承知のように、現在の公務員の定年制というのは、一部限られた職員に対する定年制が実施されておりますだけで、一般職については定年制の規定がないことは、先ほど来御指摘のとおりであります。ところで、ただいままでお話の中に出ておりますように、いわゆる勧奨退職なることばがございますが、これは各省庁の人事管理体制というものが、いわゆる人的構成の面でいろいろな問題が出てくることは事実でございます。したがって、さような観点から、人事管理上の必要性の判断というものは任命権者がするということに相なりますので、そこで任命権者が、人事管理上の必要に基づいて、そういった勧奨の必要性を認めた場合に、たとえばある職員に向かってそういった勧奨を試みるということはございます。ただし、勧奨でありますために、あくまでも勧奨という性格上、本人が退職する意思がなければ、当然そのまま退職ということにならないのでございますので、そこに人事管理上のいま申し上げました必要性を満たす余地というものが出てまいる、かようになります。そこで、現在の実態からしますと、省庁によっては、明らかにたとえば六十歳をこえる職員が現にかなりの数勤務しておられるわけであります。したがって、いま申し上げましたような法の運用の中でいかに人事管理の実質を備えさせていくかということが、いま申し上げましたような勧奨退職というふうな、いわゆる実質を備える形になってきておりまして、したがって、さような場合には、すでに御指摘がございましたように、いわゆる勧奨退職による退職金の割り増しという制度を使って、それらに対する一つの保障の道を講じ、さらに、その勧奨退職がもし本人の意思に反するという場合には、訴願の道を講ずるということによって、本人の不利益を解消していくという措置をとっておるわけでございます。
  271. 只松祐治

    ○只松分科員 そういう通り一ぺんのことを聞いているのじゃないのです。そういう通り一ぺんのことは、聞かなくたってぼくも知っております。そういうことじゃなくて、事実上五十五歳で定年になっておるじゃないですか。そうでしょう。六十歳、七十歳までの人は例外的な者しかいない。世の中には幾らだって例外的なものはあるのです。例外的なことを言って本質をはぐらかそうとしたってだめです。五十五歳で一般的に定年になっていることは、御承知のとおりなんです。したがって、五十五歳の定年というのが事実上日本には現存しているのです。その五十五歳というのは、これは明治時代からの慣行だから、そう言っているのです。これが五十歳で勧奨して、やめなさい、こういうことになったら、どうなるのです。あなたが局長から、五十歳でやめなさい、こう五十歳のときに言われたらどうなる。あと五年はある。こう思っていたのに、五十歳、こういうことになる。ぼくが言っているのは、こういうふうに諸外国と同じに私たちの生命が長くなっても、——外国では六十歳から七十歳が大体あなたたちがいう定年であり、あるいは勧奨退職である。ところが、日本だけなぜ五十五歳でしなければならないか、その理由を明らかにしなさい、こういうことを言っておるわけです。
  272. 矢倉一郎

    ○矢倉政府委員 ただいまの御指摘によりますと、公務員は五十五歳ですべて勧奨退職をしているように御指摘でございますけれども、実は省庁のいろいろな特殊事情がございますので、決して五十五歳ということで一般に定年制がしかれたと同じような実態を備えるような扱いになっていないと承知いたしております。したがって、ただいま申し上げましたように、六十歳の勤務者がいるということは、例外にはあらずして、いま申し上げましたような省庁の実態で勧奨の必要性を是認されて、初めて勧奨が行なわれておるというふうなことに相なっているように、私のほうでは存じておるわけでございます。
  273. 只松祐治

    ○只松分科員 私は三十分でやめようと思っておったのだけれども先ほどから同じことを抽象的なことだけ繰り返して言われるので、責任者が来ていないから答弁できないことかもしれませんけれども、こういう答弁で私も満足しないし、あるいは一般の働く人々が五十五歳で定年退職させられて満足することはない。時間がございませんので、いまのはきわめて不十分であるということだけを申して、その点は一応終わります。  それから、そういうふうに定年がたいへん早いので、そういう一般公務員あるいは会社員で五十五歳でやめて、六十五歳まででも十年、これはゼロ歳の平均余命が六十五歳ですから、事実上は七十二、三歳になるわけです。それだけの長い間、老後を非常に不安な状態で送っておるということを御存じになりますか。それから、したがって、先ほど川俣議員が質問しておりましたように、人事院から報告されたものだけでも、昨年度で百六十一人ある。こういうふうに横すべりが起こったり、あるいは自分の将来の行く先のために、長い間また生きていかなければならない、こういうことで、その在職中に、大きい会社なら大きい会社で子会社、あるいは高級官吏なら高級官吏で、自分の利権を与えたりあるいは関係した会社と関係を持つ、そこで公務員のいろいろな弊害が生じてきておる、こういうことについて御存知ですか、あるいはどういうふうにお思いになりますか、それが一点。それから、一般的にそういう特殊関係も何も結ぶことができない一般職員は、老後たいへん不安な状態におちいっておるということをどういうふうにお考えになりますか、お尋ねをいたします。
  274. 佐藤正典

    佐藤(正)政府委員 一般日本のただいまの常識から申しますれば、ただいま御指摘の点はごもっともな点があるかと存じます。しかし、公務員全体の仕事をうまく能率的に運営していく上から申しますると、任免権者の責任として、能率よくそして適正に仕事をやっていく上から申しますと、なるべく適正な方法で適当な時期に適当な仕事をできるならば見つけてあげて、お勧めして御退職を願うというふうなことが願わしいのじゃないかと私自身は考えております。しかし、その場合といえども、あくまでお勧めするのであって、決して強制の線に入ってはいけないと私は考えているのであります。もしも強制という線に入りました場合は、ただいま矢倉局長が申しましたように、不利益処分に訴えて訴願の道もございますので、なるべく不安のないようなふうに考えていくのが私ども考え方じゃないか、かように考えております。
  275. 只松祐治

    ○只松分科員 定年退職、皆さん方でいえば勧奨退職ですが、こういう状況の中で、統計的にも日本人と西欧諸国との余命の年齢が変わりがないということが明らかになっておるし、先ほどから聞きますと、退職させる基本的な理由も何もない、法的な基準もない、こういうことがるる明らかになったわけでございますけれども、そういたしますと、政府としては、この定年退職を五十五歳で勧奨しない、こういう考えを今後お持ちになりますかどうか、ひとつお尋ねをいたします。
  276. 岡田勝二

    岡田政府委員 勧奨退職につきましては、先ほど来御説明申し上げたとおりでございまして、一律に五十五歳でやっているわけでもございません。各省庁のそれぞれの人員構成の実情なり何なりに応じまして、その辺の年齢もいろいろと変わってございます。また先ほど申し上げましたように、退職手当法におきましても勧奨退職の制度も認められておるわけでございまして、何ら根拠なしにやっておるわけでもございません。したがいまして、先ほども申し上げましたように、あくまで勧奨でございまして、本人はこれを拒否する自由を持っているわけでございます。その勧奨に応じるといった場合にのみ、そこで初めて退職の発令ということになるわけでございますので、政府として、この点につきまして、いままでやってきたやり方につきまして特段に改めなければならないものはないのじゃないか、このように考えております。
  277. 只松祐治

    ○只松分科員 世界の資本主義の三本の柱の一つとか、あるいは盛んに池田内閣は世界的なことを言っておって、賃金とか、あるいはこういう退職年齢の問題とか、こういう問題は——私は国内の問題については比較論争をしませんでしたけれども、これは明治以来の五十五歳なんです。こういうふうにわれわれの命が長くなってきても依然として五十五歳であるということは、日本の政治がいかに封建的であるか、いかにわれわれの社会から現実離れをしておるか、こういうことを意味しておるのです。人事を担当する人事官あるいは内閣の諸君は、こういう点についてもっと勉強するとともに、さっきいろんな諸外国の生命延長の例を持ってこいといっても、こない、不勉強きわまりない。そういうことでなくて、もっとこういう実態——一番困っているのは、五十五歳になって、あとどうするだろう、ちまたを歩いてごらんなさい、ぼくらが相談を受けるのはほとんどそういうことなんです。これは官たると民間たるとを問わない。いま聞けば、そういうことを改める考えはございません、こういう不謹慎な話はないわけで、研究いたしますというならいざ知らず、研究する余裕もなければ、改める考えもない、そういう失礼なことはない。一室長だからそれ以上のことは言えないかしれぬけれども、もう少しこの点については政府側として考慮すべきだと思う。調査室長としてもう少しそういう点について考慮する余地はないか、重ねて御質問いたします。
  278. 岡田勝二

    岡田政府委員 ただいまの勧奨退職の問題につきましても、それから法律上の定年制度につきましても、いろいろそれにからみましてはむずかしい問題もございますので、政府としても、今後ともこの点につきましては各般の見地から慎重に検討いたしたいと存じます。
  279. 只松祐治

    ○只松分科員 最後に、御承知のように、政府の発表によっても、いま物価が年々七%前後上がっております。一般の消費物資は一〇%から二〇%前後上がっておることは、御承知のとおりでございます。いわゆる生産に従事しておる者は、賃上げ闘争をやりまして、若干の賃金は上がってまいります。しかし、こういうふうに退職して退職金をもらった人々、あるいは年金、恩給をもらって生活しておる人々は、こういう物価の急上昇によって非常に生活に困っております。日本のこういう恩給や何かはスライド制ではございません。したがって、こういう点について退職後の生活対策が何かありますか。あれば一つお教えをいただきたい。それから、私としては、退職後のこういう物価の変動する中において、もう少し退職者に安定した状態ができるように、恩給、年金のスライド制その他もあわせて考えてもらいたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  280. 岡田勝二

    岡田政府委員 退職された公務員の方々の恩給、あるいはいまで申します退職年金、これが、物価が上昇していきますとその価値を失ってくるということは、御指摘のとおりでございます。この点につきましては、いろいろそういう話も現実にわれわれも聞いておりますので、昨年暮れ以来、政府部内におきまして、公務員年金制度連絡協議会をつくりまして、そういった問題をどう対処し、どう処理していくのがいいかということを検討する機関を設けて、目下その検討中でございます。その結論を待って、この問題につきましては善処していきたい、かように考えております。
  281. 植木庚子郎

    植木主査 次に、安宅常彦君。
  282. 安宅常彦

    安宅分科員 行政管理庁の方、政務次官か、だれか来ていますか。——おられなかったら、その次の行政監察局長かだれか来ていると思うので、ちょっとお伺いしたいのですけれども、山形県と宮城県の間に蔵王山という有名な山がありますが、何かリフトをつくるという営利会社二つが競願をしたために、いろいろないきさつから、どうも蔵王の山が西か東かに少し動いて、たいへん困っておる問題があることを行政監察局長御存じでしょうか。
  283. 山口一夫

    ○山口政府委員 ただいまお尋ねの件につきましては、最近山形行政監察局から、管内における行政に関する重要事項の一つとしての報告がまいっております。山形市の北都開発商会と、同じく山形市の山形交通の二つの会社が、ケーブルの競願をいたしまして、その間、これに関する許認可等につきまして、若干一方のほうの会社に御不満がございまして、山形監察局に対して苦情の申し出がございました。その苦情を受け付けまして処理をいたそうとした際に、一応関係者の間の話が進行いたしまして、処理のほうは一段落いたしましたが、それに関連いたしましてお話のような件が問題になったということを聞いております。
  284. 安宅常彦

    安宅分科員 これは非常に重大なことだと思うのです。このごろ池田さんが、国有林の開放だとかなんとかいうことを、具体的な方針もきめないでぱっぱと放言するものですから、非常に困っておるんじゃないかと思うんですね。この国有林の開放といいますか、払い下げといいますか、こういう問題というものは、やはり観光用の場合もあるし、それから農耕用の場合もあるし、その他の施設をつくる場合もあるし、こういう問題は、大きくは国土の総合開発的な意味から、具体的に一つの基本的な計画なり方針というものがびしっときまっていないと、どうしても監察局長がお調べになったような事件が今後各所に起きる。以前もそういうことがたくさんあったと私は聞いておるのですが、そういうことがどうしても起こりがちだと思うのですが、そういうことについてやはり明確な方針というものを政府が持っていなければ、ほんとうに仕事がやりにくい、こういうふうなことを監察局長はお感じになっておりませんか。
  285. 山口一夫

    ○山口政府委員 ただいまのお話の点も含めまして、国有林の管理の問題はきわめて重要な問題でございます。監察局といたしましても、お話のような点で運営が行なわれることを期待しており、先般それに関する監察におきましても同様の趣旨の勧告をいたしております。
  286. 安宅常彦

    安宅分科員 それでは具体的に山形児の例の場合を申し上げたいのでありますが、あなたがただいまお話しになった、営利会社二つの競願のためにケーブルの許可その他について片一方のほうに若干不利なことがあったというお話をしておられるのですが、そういうことをお認めになった場合の措置ですね、こういうことについて、監察の事項としては三段階か何かに分かれているそうですね。必ずこういうふうにしなさいというのと、部内の報告事項くらいにしておくのと、その中間くらいのとあるのだそうであります。これはいまあなたのほうで御指摘になったと思うのですが、ことしの二月三日の朝日新聞の山形版には、行政管理庁としては、この県の境がこの問題以前は、道路があるものですから、その地域はちゃんと交付税の算定基準にもなっておった、それから四十年間も登山道がそこを通っているのですけれども、これは当然山形県のものとして行政の慣行になっておったのだし、五万分の一の地図もはっきりしておるので、当然これは山形県の区域に入るのだ、そういう意味の行政措置をすべきであるという意見を報告書には書いておるというふうに私は聞いておるのですが、そこのところはどうなんですか。そういうふうにはっきりした行政監察局の意見というものがあるのですか。
  287. 山口一夫

    ○山口政府委員 ただいま御質問の前半の問題につきましては、行政管理庁といたしましては、行政に関する各種の苦情の申し出がありました場合に、その苦情を受け付けましてこれを個々に処理するという仕事を、設置法の規定に基づいてやっております。今回の問題につきましても、関係の会社の一方からお申し出がございましたので、それを苦情として受け付けましていろいろ実情を承り、その間に関係の陸運局あるいは営林局あるいは一部県というような各種の機関がどのような措置をとったか、その措置が若干適切でなかったような面もうかがわれましたので、苦情のあっせんに入ろうとしたやさきに問題が解決されたということで、一応苦情の処理といたしましては、問題を取り上げるに至らずして、問題を取り上げようとした瞬間に解決をしたということで、したがって苦情の問題としてはそれ以上手を触れませんでした。  ただ、後段にお話のございましたケーブルの許可にあたりまして、たまたま場所が山形県と宮城県の境でございました関係上、その境界に、県の境によりまして営林局の出先の営林署の管轄が山形県側の営林署の管轄に属するか、あるいは宮城県側の営林署の管轄に属するかというような問題があったようでございます。  県境の問題につきましては、したがってそれがはっきりすることは望ましいのでございますし、またはっきりしないことはおかしいと思っております。この問題につきましては、直接行政管理庁としてはそれを裁定するとかあるいは調査するとかいうような段階には至っておりませんし、その問題は別の問題として的確に、適正に結論が出ることを期待いたしております。
  288. 安宅常彦

    安宅分科員 これは両方の会社の競願の問題であっせんに乗り出そうとしたなんて、あなたのほうがあっせんに乗り出すのはおかしいんですよ。あっせんに乗り出すなんて、裁判官じゃあるまいし、そんなことはあなたのやる役目ではないのであって、たとえば一方の会社に不利なことをやったようだということはあなたも認めているようです。それはわかりました。あとでお伺いいたしますが、この点によって、私は山が動いたという表現をとったのですが、蔵王という山が少し移動しているんですね。大山鳴動して、あなたのほうは処置をしないからネズミ一匹ぐらいでごまかされようとしているんですが、非常に重大な行政上の問題じゃないでしょうか。県境がきまらない。きまっておるのにきまらないようなかっこうになり、しかもあなたのいまの答弁から、営林署の林班境がいろいろ営林署間で争いがあった、こういうようなことを伺っております、こういうふうにあなたは言っておりますが、営林署の林班境の境があっちへ動いたりこっちへ動いたりするのは、隣のうちとこっちのうちとの境が石がき一つあっちへいったりこっちへいったりけんかしている日本の世の中でありますから、そういうことはあり得るとしても、ちゃんと宮城県と山形県の行政上の境ははっきり——まさかアフリカの砂漠の中じゃあるまいし、日本は大国だそうでありますから、こういう国でははっきりしておるはずなのに、営林署の境によってそれがきまったならば県境もきまるのであろうなんという意味にとれる答弁をあなたがするというのは非常に間違いじゃないでしょうか、こういう問題が一つ残っております。いいですか、二つの会社が妥協したなんという問題ではなくて、それも一つありますが、だけれども、それが一つ残っている、県境の問題が。それを行政管理庁が私らの任務じゃないなんと言うのはおかしいではないですか。あっせんすることがほんとうは任務ではないでしょう。あべこべじゃないでしょうか。  それからもう一つは、北都開発商会というのと山形交通株式会社というものが競願をしたために、一方に不利なことをやったという認定をあなた方がされたならば、これに対してだれがそういうことをやったのか、話し合いがついたとしてもだれがそういうことをやったのか、やったものを明らかにしなければならない任務が行政監察局の任務ではありませんか。両方の会社が話がついたから、妥協したからああよかったなんというのは行政監察局長の任務以外ではありませんか。そこを取り違えておりませんか。
  289. 山口一夫

    ○山口政府委員 行政管理庁の行ないますあっせんというのは、二つの会社が競願しておるので、二つの会社に対してよく話し合いをしろという意味のあっせんではないのでありまして、苦情の申し出がございました当人、この場合には一つの会社とその会社が出願をいたしました関係の行政庁との間の処理についての不手ぎわはなかったかというようなことについて、対行政庁と苦情申し出人との間に対しまして、あっせんをいたすのであります。したがって今回の場合も申し出のありました一方の会社とその会社が申請をいたしました陸運局あるいは営林局等に対しまして、あっせんをいたそうとしたのであります。
  290. 安宅常彦

    安宅分科員 それでもあなたの任務は違っておると私は思うね。それはあなたのほうは行政をやる側の、たとえばその場合にはこのケーブルを許可する陸運局、それから国有林を使ってもよろしいという林野庁との間にそういう二つの官庁、あるいは県、そういうところに一方に不親切で不当な何か差をつけたということをお認めになっておる以上、なぜ差がついたのか、どういうことをどういう役人がしたのか、こういうことを監察するのがあなたの任務ではないですか。
  291. 山口一夫

    ○山口政府委員 あっせんに入りますればおっしゃいましたように調査をいたしまして、もしその間に関係の営林局なり陸運局なりあるいは仕事によりましては県なりの措置が適当でないという事実があったかどうか、そういうことを調査いたすのがあっせんの内容でございます。ただこの場合はそれに至らずして関係の各省庁、関係の出先なり県なりからも措置がなされたということで問題が解消いたしましたので、そこまでは入らなかったといことでございます。
  292. 安宅常彦

    安宅分科員 さらにお伺いしますが、つまり片一方に不利な取り扱いをしたという問題は依然として残っておりますね。そのことをお認めになりますか。  それからもう一つは、円満解決をしたと言うけれども、工事に着手し得る状態になったというだけであって、この北都開発という会社は県、営林署等を被告として公務員の職権乱用、それから業務妨害ですか、そういう理由でいま裁判ざたにしているのです。五千万円以上の損害をこうむった。それはそうですよ。そういうことで現に問題を起こしておるのです。それでもあなたのほうでは問題は落ちついたと思っておるのでしょうか。円満解決したという意味は、私はそういうふうに理解しておるのですが、私の理解が間違っておるかということが第二点。第一点は、依然として片一方に不利な行政措置があったということをあなたのほうではお認めになっておるのですから、問題は依然として残っておるが、そうであるか、そうでないか、これ二つに答えてください。
  293. 山口一夫

    ○山口政府委員 先ほど申しましたように、出先の山形行政監察局といたしましては苦情の申し出があって、それに基づいてあっせんに入るに至らなかった。したがって監察局のほうで両方の会社の事情を聞いて、その結果どういうことがあったかということの判定はいたしておりません。したがって私のほうといたしましても一方の会社に対する措置が不適当であったということは、調査をいたしておりませんので断定はできません。ただ、しかしながら、一応これまでの経過を見てあっせんに入ろうとする事前の段階におきまして、山形局におきまして両方の会社に対する国の機関の許可の状況なりその他の状況を一応見たところにおきましては、一方の会社に対する許可が非常におくれていたという事情もございます。それからまた許可に至りますまでの間におきまして工事の取り消し等の事態もあったようでございます。それには何かその間に事情があったかと思いますが、調査をいたしておりませんので、一方に対して不適当な措置があったということは断定はできませんが、何か問題はあったように思います。
  294. 安宅常彦

    安宅分科員 あなた、局長うそを答弁したら困りますよ。あなたのほうの重要報告には明らかに、「リフト建設に関する許認可について。北都開発と山形交通は、ほとんど同時期に隣接地に同種のリフト建設計画をたて、これに必要な許認可の申請を営林署、県、陸運局に対して行ったのに対し、各機関の取扱いは、山形交通に有利となっているため、北都開発の苦情を招く結果となった。」ちゃんと判定を下しておるではないですか。そこまで調べなかったというのはうそです。その次にはまた、「山形営林署は北都開発の国有林野貸付申請について、申請人が納得するような明確な理由を示さず、言を左右にして、申請書の受理を遅らせた。」またさらに「白石営林署は、同様な条件の山形交通の申請を問題なく受理し、現地調査することなく貸付契約をしている。反面、北都開発に対してはリフト建設用地の一部が白石管内になるので無許可入林に対し弁償金、始末書を徴したのみならず、立入禁止仮処分をすべく検事の現地確認を求める等厳重な態度を示した。」みんなあなたのほうで調べがついているのだ。調べがついていないなんてうそですよ。そういううそを答弁してもらいたくない。朝日新聞にちゃんと発表しておる。
  295. 山口一夫

    ○山口政府委員 ただいまお読み上げになりましたような事実は、あっせんに入る前に一方の苦情申し立て人から聞いておるようでございます。したがいまして、それらの事実をもとにしてあっせんに入ろうとしたわけです。
  296. 安宅常彦

    安宅分科員 だからそういう一方に片寄った行政措置が行なわれたということを、あなたのほうでは調べておりませんでしたじゃなくて、ちゃんと調べたでしょうと言っているのですよ。どうなんです、はっきりしてください。
  297. 山口一夫

    ○山口政府委員 そういう申し出がありましたので、これから苦情あっせんに入ろう、苦情あっせんに入れば正式に問題を取り上げまして、はたしてそういう事実が適当であるかどうか、あったかどうかということの認定を監察局としてするわけでございますが、監察局としての立場においてそういうことに入るに至らなかったのであります。一方の当事者からそういうお申し立てがあった、そのお申し立てにつきましては、一応そういう事実が立証されておりますので、それについて調べる直前の段階で、しばしば申しましたように事実上問題が解決いたしましたし、関係の許可認可等もそれぞれの役所から出ましたので問題が解消して、監察局として問題を取り上げて監察局の責任において調べ、判断をするという段階には至っておりませんので、監察局側でそういうことがあったということを監察局の立場において断定するというに至らなかったのであります。ただそういう一方のほうのお申し出によって、そういう事実があったろうということで問題を取り上げようとしたということでございます。
  298. 安宅常彦

    安宅分科員 そういう趣旨の重要事項を報告として——あなたは一番先に言いました。重要事項報告として山形監察局から報告を受けております。そういうことを認めた上でそういうことがありましたという報告をあなたのほうは受けておるのです。片方の会社から聞いただけであとは何もしなかったなんてうそです。その報告は権威のないものですか。山形の監察局長がそういう報告をしたのをあなたは認めないというのですか。報告しているでしょう。報告を受けておりますというのですよ。北都開発商会から聞いたところによりますと、こういうことであるようでありますという報告じゃないはずです。あなたのほうのお役所にはそういう報告のやり方はない。具体的に言えば、そういうことを一々認めて、さらに今度「仙台陸運局は山形交通のリフト建設について、宮城県の意向を確認することなく免許した。」山形交通という有利なほうには、確認することなく免許しております。そして仙台陸運局は宮城県に対して、山形交通のリフト建設についてどうしたらいいかという意見を求めたところ、県は国定公園の特別保護地区を予定しているので同意できない、こういう回答をしておるにもかかわらず、仙台陸運局は県の返答を無視して片方に対しては許可しているのです。一々言い出せば分科会でやる時間ではとても間に合いませんから、私はあと何らかの委員会で徹底的にやりますよ、そんなうそを言うんだったら。そうして新聞にも大きく出し、山形県議会でも問題になって、県境の問題が解決がついておらないということもあなた方は認めておる。そうしておいてそういうことは調べなかった。まるでとんでもない答弁をしないでください。そういう国有林の貸与の問題、観光施設の許可の問題について行政監察をしておるあなたのほう自体が逃げ腰で、そうして一番先に私が言ったように、大きくいえば計画的な国土総合開発というようなものも含めて基準などをきめてもらえばたいへんありがたいと、うまいことを育っておきながら、自分のほう自体は逃げておって何ができますか。県境が動いたということもあなたのほうでは認めておるのです。認めていないなどとは私は言わせない。そういう文書が出ていないといえば、文書も出します。そういううそを言わないでください。あなたのほうはあっせんする機関じゃない、あなたのほうは理非曲直を明らかにする役所です。県境の問題で尾を引いておって、県境が移動して蔵王は山形だか宮城だかわからなくなってしまって、昔でいえば、仙台藩と山形藩とがけんかしたならば、ぼやぼやしたら伊達政宗が攻めるかもしれません。そういう重大な問題のときに、そういう問題を残しておるという報告を受けておきながら、行政監察局として、これは両方の会社の話し合いできまったからよかったと、商売人のブローカーのあっせん人みたいな考え方で、行政監察局長の任務がつとまりますか。明らかにしなければならない。いままでその地域は、地方交付税の配分の基準なんかは山形県がなにしておる。それから上山市の市道にも入っておる。それを県道に直すときにも秋田営林局にちゃんとそうしたいという山形県知事の公文書も出ておる。すべて山形県であったにもかかわらず、山形交通という山形県における独占的な交通会社が何とかしてこのリフトつまりケーブルを独占したいために、もう一つの競争会社である北都という小さな開発商会に対して、あらゆる権力を利用して許可をさせないようにしたからこういうことになった。その結果は歴然としておる。しかし、いろいろなことがあったというふうにあなたが言っておる表現の中には、今日の質問時間の中では解明できない一つ一つ私があげられるところの証拠がある。きょうは時間がありませんから言いませんが、まずあなたのほうでは行政監察の立場で県境をはっきりするということ、それから一方に不利な行政措置をしたのだということがはっきりしている以上、これに対して勧告なりあるいはまた相当の措置をしなければならぬと私は思うが、あなたはそれをする意思がありますか。
  299. 山口一夫

    ○山口政府委員 行政管理庁でこの問題を監察として取り上げて措置するということにつきましては、問題が非常に具体的にはっきりした問題でありますと同時に、また二つの会社とそれに関連する許認可をつかさどる幾つかの国の出先の問題でありますので、いわゆる監察としてこの問題を措置するのは適当でないと思います。ただ、しかしながら問題が苦情の相談として、苦情のあっせんの申し出として出ておりますので、その内容につきましては、その事後の状況等につきましては、なお必要によりまして十分に私のほうで調査をいたしたいと思っておりますが、先ほど私がこの問題を行政管理庁として調査をしていないと申しましたのは、監察として、あるいは監察以外の機能であるところの苦情の、いわゆる行政相談の問題として、監察局が問題をその立場において処理をしていないということを申しました。ただ、しかしながら、申し出がありました際に、申し出に至りますまでの経過を一応当事者から聞きましたその段階におきましては、御指摘のございましたようないろいろな事態があったようでございます。したがって、もし問題が解決をしていないということでございますれば、さらにその問題を取り上げて、申し出のされました事項の一々につきまして、行政管理庁設置法にいうあっせんという立場から問題を当然取り上げて、どういうところにそういう問題があったか、許可の状況はどういうふうになっていたかということにつきまして、当然調べるべきであったというふうに考えております。
  300. 安宅常彦

    安宅分科員 それでは林野庁の方にちょっとお伺いしますが、あなたのほうの下部機構である山形営林署は、このリフト、つまりケーブルの建設にあたって、いろいろな申請を、北都開発という会社がおおむね山形交通の会社と同じ時期に申請を出しているのですが、片一方は青森営林局管内の白石営林署、片一方は山形営林署に出しておる。ところが、山形営林署の署長が秋田営林局に伺いを立てたり、いろいろなことがあるようです。あるようですが、その場合には競願があるからこれは許可しない方針だなどという報告までして、そうして意識的にこの北都開発の申請書を受利しないでずっと延ばしておって、秋田営林局長の判断で一月ごろのものをその五月になって初めて入林の許可を与えておる。そうして五月二十三日に国有林の貸し付け見込み書を下付しておる。ところがそのあと、七月になると、新潟の陸運局も免許を下付しておる。その間に林班会の現地確認も秋田と青森の営林局でやっておるのです。だから、そのあとで免許下付を新潟陸運局がちゃんとやっておるのです。ところがそういう手続を全部山形交通より半年ぐらいずつおくらせながらやっておって、そうしていろいろ紛争がその間に起きるのですが、その場合に今度は山形営林署としては国有林の貸し付け申請などを受理しておきながら、今度白石営林署のほうから逆に宮城県の分だなんていって、そして陸運局が免許を下付してから今度は入林許可の申請と始末書と弁償金の請求などを出してみたり、今度せっかくそう出しておきながら次の日には入林許可を出してみたり、その一週間もたたないうちに今度は立ち入り禁止の仮処分なんか申請してみたり、まるで支離滅裂のことを営林局がやっておるのです。許可をしておる、現地を確認しておる、したがってそれに基づいて新潟陸運局が免許をしておる。免許をしておった、あと今度は始末書をとっておる。始末書をとったあと入林の許可をすぐ出しておる。そして今度入林の許可を出して五日ばかりたったら立ち入り禁止の仮処分の申請なんか出しておる。こういうふうにして、変転きわまりない処置をしておるのです。こういう問題について、あなたのほうでは部内の報告として何かあなたに報告を受けていませんか。
  301. 黒河内修

    ○黒河内説明員 お答えいたします。ただいま先生からお話のございました事情につきましては、去る二月に秋田の局長のほうから、何か営林署長と庶務課長が告訴をされたということの報告に関連いたしまして、若干のいきさつの報告がございました。
  302. 安宅常彦

    安宅分科員 それから、運輸省の方どなたかおられますか。——あなたのほうでこういう種類の何かトラブルというのは、従来まで相当あったでしょうか、ちょっとお伺いしたい。
  303. 岡田良一

    岡田説明員 リフトの関係につきましては、本省でやりませずに、地方の陸運局長に委任をいたしております。その関係上、陸運局が異なる場合には、多少行き違いがあるということも起こり得るわけでありますが、そこは現地の陸運局同士でいろいろ連絡をいたしまして、できるだけそういうことの起こらないように処理しておりますので、いままでこういうことはあまり聞いておりません。
  304. 安宅常彦

    安宅分科員 そうすると、ちょっと両方の方にお伺いをしますが、こういう場合には、国有林に入林することを許可したり貸し付けをすることを許可したりするのは営林局の権限、それから、そういうリフトをつくる、ケーブルをつくるというのは、その免許をやるのは陸運局、こういうことになっているわけですが、たとえば先ほど私が言ったように片一方で県に対して陸運局が照会を発して、そして許可していいものだろうかどうだろうかといったら、県のほうでは自然公園の、何といいますか風致地区みたいになっているので、そういう予定だから許可しないでもらいたい、同意できないという返事がきているのに、許可をしたりしているのです。県と営林署とそういう連絡というのはどういうふうにとっているのか。幾ら委任したと言ったって本省の人が知らないというわけにはいかない。それから林野庁だって知らないとは言わせない。いままでどういうふうになっているのですか。これは全然連絡なしになっているのですか。
  305. 岡田良一

    岡田説明員 その件につきましては、山形交通のほうにつきましては仙台の陸運局から宮城県の観光課と白石営林署に連絡をいたしました。宮城県の観光保のほうからは現在は国定公園になっておらないという返事がございました。白石の営林署からは、こういうふうな条件を満たせばやってもよろしい、貸し付けてもよろしい、そういう返事がございましたので免許をいたしました。
  306. 黒河内修

    ○黒河内説明員 私のほうの秋田の営林局からの報告によりますと、山形営林署の管内につきましては、先生も御指摘がございましたように県立公園に入っております。それは山形県でちゃんと条例をつくっております。そこで、そういう関係もございまして、営林署といたしましては、自然公園法に基づきます条例がございますので、その管理者としての知事の施設を設ける場合の許可が国有林を貸す場合に必要になるわけでございます。そういう意味で、県には十分連絡をとりまして、県の御意向等も考えてこちらの態度をとる。ところが県の意向というものが申請人の方のお話とどうも若干食い違っておるといったような点があって、いろいろその間処理がおくれたというふうにも聞いておるわけです。  それから、白石営林署管内は、宮城児は条例をつくっておりません。したがいまして、そういう意味では白石の件については特に私のほうへ報告がございませんけれども、おそらく営林署といたしましては、そういう場合の処置をする場合には、県立公園になっておりますから、県の意向を聞いて処置した、これは推測でございますが、そういうふうに私どもは考えております。
  307. 安宅常彦

    安宅分科員 もう最後に入りますが、いずれにしても私はおかしいと思うのです。あなたが答えたことは、まだ国定公園ですか何かになっておりませんという返事でありましたけれども、そのあとをあなたは抜いて答弁しているのですよ。なっておりませんが、そういう予定ですから同意できないということを回答しているのですよ。そういうふうに回答したということは、行政管理庁の報告にも載っているのです。ごまかさないでください。私知らないと思って。あなた、いいですか。それからあなたの言い分ですが、国定公園になったのは途中からです。その前は山形県といえどもなってなかったのです。国定公園の指定というのは、あとになったのです。だからそこは違う。  今度は監察局長、そういうことをみなそれぞれ所管の官庁が言いのがれをしておる。そういうことがあったからこんなトラアルが起きたのです。その場合に設置法によるあっせんか何か知らぬけれども、もっと強い立場でこういうことを明らかにすることがあなたの任務だと私は思うので、きょうは時間がありませんから、あなたの答弁を聞いて、もし私の言うとおりやってくれないというのなら、また取り上げざるを得ませんけれども、そういうことでなくて県境の問題でいま紛争が起きておって、いままでの行政慣行というものは乱れておる。これを正すことが一つ、それをやることが一つ。  それからもう一つは、依然として一方の会社に不利な指貫をしたのであるということを、あなたのほうで認めてるのですから、これに対する、尾を引いている問題を解決する何らかの措置をやはり行政監察局としてやらなければならない。あなたももしそういう問題が尾を引いておるとするならば、いろいろ検討してやらなければならなかったと思います。なお今後とも問題がありましたならばやりたいと思いますみたいな答弁がありましたが、私はあなたに二つのことを要求する。これをやるかやらないか、はっきりきょう答弁してください。
  308. 山口一夫

    ○山口政府委員 苦情の申し出といたしましては、申し出人も一応撤回されておりますし、また許認可等につきましても、それぞれ措置がされておりますので、この問題は解消されたと考えておりますが、しかし特にこの席上での御発言もございましたし、また問題が苦情処理として私たちの出先の山形行政監察局に提出された経緯もございますので、その後の状況につきましてはさらに別途私ども責任において、その後どうなったかということを調査をいたしたいと思います。
  309. 安宅常彦

    安宅分科員 やるのか、やらないのか、はっきりしてもらいたい。
  310. 山口一夫

    ○山口政府委員 調査をいたしましてその結果を御連絡申し上げます。
  311. 安宅常彦

    安宅分科員 ひとつ主査を通じてお願いがあるのですが、重要事項として報告した内容を、私どもあほうにぜひ提出してもらわないと、これはあとで取り上げる場合に——あなたがやらないときは私が取り上げなければならないから、それをぜひ出してもらうように要求します。あなたのほうでひとつ頼みます。もしなんだったらこっちのほうで相談してやってください。私個人でやってすっぽかされたらいかぬので、これはぜひ出してもらわぬと困る。いいでしょう、それは。
  312. 植木庚子郎

    植木主査 いま要求のような資料は出せますか。
  313. 安宅常彦

    安宅分科員 それは出せるはずですよ。新聞発表までしているのですから。
  314. 山口一夫

    ○山口政府委員 委員会から御要求がございますれば、その御要求を十分に拝承いたしまして、どういう資料が出せますか、なるべく御期待に沿うような資料を用意いたしたいと思います。ただ公文書でございますので、その取り扱い等につきましては一応検討させていただきました上で、御質疑の線に沿うような資料を整えたいと思います。
  315. 安宅常彦

    安宅分科員 御期待に沿えるか沿えないかわからないじゃないですか。報告した全文を下さいと私は言っておるのです。公文書などといって、役所の文書で公文書でないものは何がある。役所の資料は公文書にきまっておる。
  316. 山口一夫

    ○山口政府委員 御要求のございました資料の内容は、山形地方局からまいりました報告そのものを出せという御要求でありますか。
  317. 安宅常彦

    安宅分科員 そのものです。
  318. 山口一夫

    ○山口政府委員 これは山形局から行政管理庁に内部の事務上の報告としてまいったものでございます。したがって行政管理庁の責任においてそれを御提出いたします場合には、さらに行政管理庁としての意見もございますし、また報告それ自体につきましてもわれわれの立場からもう少し検討いたしたいと思います。十分御期待に沿うような資料をたくさん出しますが、出し方はひとつおまかせいただきたいと思います。
  319. 安宅常彦

    安宅分科員 あなたが率直に私に答えてくれたらそんなことは言わないのだけれども、調査しているのに調査していないと言うてみたり、そういううそを言うし、何を言っているかわけがわからないから、今度委員会で取り上げるのに取り上げようがない、これは出してもらわなければ困る。さっきこういうことを調査してあなたのほうに報告しておるはずだと言われたら、報告しておりますと言うたが、それまではうまくあっせんしようと思ったところが、話はついたのでそういう調査はしませんでしたといううそを私に答弁しておるのだ。そういうことであってはいかぬから、その明らかな文書を出してもらわぬと困るのです。何も私がそれをばらまいたりするわけではないのだから、そんなものくらい出してください。
  320. 山口一夫

    ○山口政府委員 私の答弁の表現が適当でなくて、あるいは誤解を生じたかもしれませんが、私はうそは申さないつもりでございます。
  321. 植木庚子郎

    植木主査 ただいまの安宅君の資料要求につきましては、行政管理庁において善処をお願いいたします。  次に、田口誠治君。
  322. 田口誠治

    田口(誠)分科員 人事院の関係についてお願いをいたしたいと思います。まだ人事院の総裁が正式にきまっておりませんので、私が質問しようとすることについて省略しなければならないことがございますけれども、時期的な問題がございますから、その点を申し上げておきたいと思いますることは、ここ数年間公務員の人事院勧告の問題については、五月実施を十月実施というように、毎年毎年、四カ年も続いてやられておるということから、この勧告の時期とか、あるいは調査の指数を出す時期、こういうようなものについては検討する必要がある云々というようなことも、私どもが審議する過程において言われておりましたので、そういう点を新しく人事院の総裁ができましたら、内部で御検討をお願いしたい。この点をまずお願い申し上げまして、この分をどうするという質問については私はきょうは省略しておきたいと思います。  そこで御質問申し上げることは、私どもが公務員の給与を審議するときに、いつも附帯決議とかあるいは質問の中で要望いたしておりまする寒地手当の引き上げでございます。この問題につきましては当該市町村においても非常に熱心に陳情もいたしておりまするし、私どももともに人事院のほうに強く要請をいたしております。人事院も努力されておるということは知っておりまするが、なかなか勧告が出ないので、その経過がどういうようになっておるかということをひとつお示しいただきたいと思います。
  323. 佐藤正典

    佐藤(正)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の寒冷地手当の問題は、人事院といたしましても、重要な課題の一つといたしまして自主的に解決したいという意図のもとに、合理化することを中心といたしまして、昨年来慎重に検討を重ねてまいりました。昨今ようやく煮詰まったと申しますか、やうやく結論に近づいてきたようなわけでございます。しかし、ただいまははっきり御質問ございませんでしたが、いつ勧告するかというようなことは、実は総裁が近々に就任されますので、総裁がおつきになりましたならば、その上で内容とともに決定いたしたいと考えております。詳細にわたりましては給与局長からお話し申し上げます。
  324. 田口誠治

    田口(誠)分科員 事務局の案としてはもうできておるのですね。時期を提示するというようなことについては、総裁がおいでにならないので、そういう答弁はできぬということでありますけれども、大かた煮詰まって、いつ勧告するかという程度まで煮詰まってきておるというように私のほうは解釈しておいてよろしゅうございますか。
  325. 佐藤正典

    佐藤(正)政府委員 おことばのとおりに、煮詰まっているということははなはだあいまいなことばのようでございますけれども、ほぼ審議を尽くしている、こういうふうになっております。しかし総裁がおつきになりまして、最後的の決定はその上でいたしたい、そういう意味でございます。
  326. 田口誠治

    田口(誠)分科員 該当市町村のほうから強く私どもに働きかけのきておることは、昨年のうちに勧告が出されるという、ほぼそういうような様子であったし、期待をいたしておったけれども、まだ勧告に至らないんだ、したがって予算委員会のときにその点を明確にしておいてもらって、そして早く出してもらいたい、こういう強い要望があるので、私もう少し内容的な煮詰まり方について、表現はいろいろとむずかしい面がございましょうけれども、ただ単なるただいまの御回答のようなことばだけでなしに、もう少し答え方があろうと思うのです。ひとつ、どなたでもよろしゅうございますが、もう一度御回答いただきたいと思います。
  327. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいま人事官がお答え申し上げましたように、作業はほとんど煮詰まったといってもいい段階にまいっております。これはかって総裁が国会でお話し申し上げましたように、もう少し早い時期に勧告したいというようなことを考えたときもございます。ただ問題は、技術的に非常にむずかしい問題がございまして、現在でもはっきり結論を得ておるというところまでいっておらぬような部分的な問題も残っております。しかし、それはそれほど今後時間をかける問題でもなかろうというように思いまするので、新総裁が御発令になりましたならば、これは先ほど人事官がおっしゃいましたように、速急に案を御検討願って、そして最終結論を出したい。  もう少し話ができないかということでざごいまするが、今回のわれわれの案というものは、現在の寒冷地手当の制度というものに、もう少し合理化したらいいではなかろうかというような面が残っておりまするので、そういう点に着目をいたしまして、合理化をするということが一つの中心でございます。  それからもう一つは、すでに現在使っておりまする地域の区分というものが、昭和二十七年当時の区分を使っております。これはもうすでに十数年も経過しまして、現在では町村合併も大部分済みまして、昭和二十七年当時に比べますと、全国の市町村数は約三分の一程度になっております。寒冷地手当の支給されます地域につきましても、おおむねその程度になっておるということもございます。いつまでも十数年も前の行政区域に固執いたしまして、それで運営していくということにつきましては、やはり問題があろう、できるだけ新しい地域区分を用いましてやっていくということが適切じゃなかろうか、そういう観点から問題を研究いたしておるわけでございます。ただ町村合併が行なわれます場合に、いろいろな形で町村の合併が行なわれますので、これを寒冷地手当の観点から見ますと、そういう新行政区域を一つの級地格づけにするということは非常にむずかしい場合もございます。これはいろいろあるわけでございますが、そういう問題につきましてもできる限り、気象条件が酷似しておる場合にはこれをなるべく広域にしてまいろう、こういうことが一つの中心でございます。そのほか、すでに昨年の勧告におきまして、休職者の処遇につきまして、期末手当等につきまして若干の措置を勧告いたしました。これは現在実現いたしておりますが、そういう問題がありますので、寒冷地手当につきましても、やはり同様の考慮をしたほうがよろしいのではなかろうかというような問題がございます。そのほか八月三十一日以降に公務員の異動ということも事実上、数は多くはございませんけれども、あるわけでございます。現在は寒冷地手当、石炭手当、薪炭手当は八月末支給ということになっておりまして、その以後そういう寒地に異動いたしました者の措置が欠けておるというような実情もございます。こういう問題に対しましても、でき得る限り合理的な措置をしたらいいのではなかろうか、こういうことも研究いたしております。  以上申し上げましたようなことを中心に研究をいたしておりまして、問題の大部分はほぼ煮詰まっておるのでございますけれども、まだ多少残っておる部分等もございます。これは総裁が着任されますれば、早々に人事院会議で審議していただきまして、できるだけ早い機会に人事院として勧告する場合の決定をしていただきたい、このように思っております。
  328. 田口誠治

    田口(誠)分科員 残っているという分は、相互調整をするという面だけなんですか。それと合理化という表現は、その他のほうで合理化ということになると、会社なんかの合理化は首切りということになるから、合理化ということになると、いままで寒地手当をつけておったところを取り上げるというようなぐあいに、逆な判断もできるわけなんですが、おそらくそういうことではないと思いますので、もしそうであればそれはお答え願いたいし、そうでなければお答えしていただかなくてもよろしいが、相互調整という面だけが残っておる程度ですか。
  329. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 いろいろこれはむずかしい問題でございますので問題は残っておりますが、しかし大まかに申しますと、公務員の場合は法律とか、あるいはそれを受けました、寒冷地手当の場合は総理府令ということになるのでありますが、そういうところでどういうふうに表現できるかという技術的な問題が非常に多いわけでございます。そういう問題が主でございます。  合理化の点につきましては、これは給与問題というものを一律に線を引きまして、上のものは引き下げる、下のものは引き上げるというようなわけにいくものではございません。したがいましてこれはできるだけ現在の状態を切り込むというようなことは避けてやるべきであろう、そういう方針でございます。
  330. 田口誠治

    田口(誠)分科員 わかりました。要望をしておきますが、早急に勧告を出してもらいたいということと、それから要求は、寒地手当の引き上げでございますから、その点を十分に考慮していただきますようにお願いをいたしておきます。  それから次にお聞きをいたしたいことは、これはどっちかといえば内閣関係で聞くことでございますけれども、人事院とは縁のないものではございませんので、私この機会にお聞きいたしたいと思います。これは前にこの分科会でほかの先生がお聞きになった以外のことを私はお聞きしたいと思うのですが、国会の職員は特別職であるけれども一般職の行一、行二に準じて待遇を改善していくということになっております。国会開会中なんかには、労働の面で相当過重労働さしておる。無理をさしておるということなんです。したがって、こういうことから私は、特別職であるけれども一般職の行一、行二に準じてやるということは、やはり人事院としても検討をしていただく必要があるのではないかと思うわけなんです。それと申しますのは、現在のところ残業をやった場合でも、三時間残業をやったのだから最低、基準法に示されておる二割五分増しというような計算でなしに、大まかにこの課には幾ら、この課には幾らというようなことで予算が盛り込まれて、早い話をいえばそれを分配されるというような支給のしかたでございますから、実際にその内容を調べてみますれば、課によっては相当損をしておる課があるわけなんです。したがって、こういうことからいろいろ考えますと、特別職であるということなれば、国会職員の給与体系というものは、特別職なら特別職としてこれはやるべきではないか、こういうように考えておりますので、これは人事院で今後検討をしていただきたいと思います。  特に私は四十三国会の暁の国会のときに経験をし、見てきたわけですが、非常にからだもくたびれておりましたのでお医者さんにかかっておりまして、また朝がたお医者さんへ行きましたら、昼勤めておった看護婦さんが、国会の職員と同様に勤務しておるわけなんです。女子の勤務態様というのは原則として深夜業をやらしてはならないということになっておりますけれども、しかし交換手とか、あるいは医療関係に従事しておる人とか、こういうような者は除外はされております。除外されておりますから、深夜業という面については私は疑義はございませんけれども、労働組合のはえ抜きの者だけに、昼からあくる朝まで引き続きに勤務させるということは、これは女子の場合はできないと思うので、だれでしたか、私、これはちょっとひどいですなということを話したら、国会の職員は特別職だから、ということなんです。しかし特別職でも、特別に特別職としての取り扱いはされておらぬ。一般職の職員の行一、行二を適用されておるわけでございますから、こういうような点を考えてみますと、検討していただく余地があろうと思います。  なお、私のほうから申し上げることは全部申し上げておきますが、おそらく前の先生もお話しになったかしりませんけれども、きょうあたり私のいる第三議員会館の受付のところへ行きますと、定員が足りないから、あそこの館長さんが受付をやっておられるということなんです。こういうような定員の状態でございますから、おそらく国会の職員組合の中からも警備の関係にどれだけ足らぬ、速記関係にどれだけ足らぬ、いろいろと要求が庶務部長あたりには出ておると思いますが、こういう内容を人事院のほうでも見ていただいて、そうして定員の問題につきましてもやはり人事院としては考慮していただく必要があろうと思います。特に女子の昼からあくる朝までにかけての深夜業の問題は、これはやらしてはいけないと私は思うのです。こういう点についてあなた方はどのようにお考えになっておられるか、ひとつ承りたいと思います。今日までのことは今日までのこととして私はやむを得ないと思いますけれども、将来の問題としてお聞きいたしたいと思います。
  331. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいまのお話の中で、国会職員は特別職でございますが、俸給は大体一般職に準じて行一、行二が適用されておるというようなお活と、それから看護婦さんなんかの深夜勤務の問題、二つあるわけであります。そこで二番目の問題になりますと、直接人事院の問題ではごごいませんけれども、これは職員局関係の勤務態様、勤務条件というような問題になりますので、私はまず給与の点からだけお答え申し上げたいと思います。  そこで、国会におきましては、一般職の行一、行二に準じておやりになっております。しかしながら、これは自主的に国会でおきめになることでございますので、必ずしもそのとおりぜひやらなければならぬというわけのものでもなかろう、このように私は思うのであります。また現に国会の給与体系で、一般職と違っておる部面もございます。そこでわれわれといたしましては、権限といたしましても、国会職員の処遇問題等につきまして云々する権限はございませんが、これは衆議院、参議院のそれぞれ人事課長とか、そういう関係のほうからいろいろ御相談を受けますれば、技術的にいろいろまた御相談に乗って事実上の援助をする、こういうことはできようか、このように考えております。
  332. 田口誠治

    田口(誠)分科員 あなたからのお答えは、そういう程度のお答えより責任を持ったお答えはできぬと思いますけれども、ただいま申しましたような実態でございますから、これは国会の庶務部長さんあたりと十分に連係をされて、人事院として指導される面については適切な指導助言をしてもらいたい、このことをお願をしておきたいと思います。個々の問題がいろいろありますけれども、時間の関係上この点は省略いたしておきます。  それから次に、これはぜひ人事院でもう一度確認しておかなければならないと思いましたことは、この間農林関係の分科会で、今度食糧事務所が合理化を行ないまして、五カ年間に食糧事務所を四百五十合理化するわけです。少なくするわけなんです。したがって、所長さんが四五十名、結局過剰人員ということになります。そこでいま考えておられますことは、当面統廃合をして、そうして残っておるところの食糧事務所の所長補佐という名称で勤務をしてもらうということになっております。しかしこのことは、今度の予算書の内容からいきましても、この所長補佐というのは全国で百六十人しか定員が見てないわけなんです。そうすると、定員以外の所長補佐さんは、これはよく労働組合なんかでは属人所長補佐というような名称をつけておるのですが、こういうことになりますると、待遇改善のときなんかには、ほんとうの所長補佐さんと属人所長補佐さんとの待遇に格差ができてくるということになると困りまするし、そしてもし待遇は公平に取り扱うというお話があっても、やはり定員というものがあって、定員外の者を置くということになりますると、私は問題になろうと思いまするので、これはやはり人事院のほうでこういう点の処遇について明確な結論を御回答いただきたいと思います。
  333. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいまお話のございました、食糧事務所の統廃合の問題でございます。この統廃合自体は、これはもう人事院の問題ではございません。これは農林省自体の問題でございます。しかし今回の統廃合というのは、別に定員削減というようなことでやるわけではないので、業務上の都合だけで統廃合する、このようにわれわれ聞いております。したがいまして、その統廃合をするについては、廃止されるところの、あるいは統合されるところの職員をどういうふうにやるかということは、当然問題として残るわけでございまして、これを不利な取り扱いにするわけにはとても参りません。したがいまして、そのお話はわれわれ途中で連絡を受けたのでございまするが、ただいま御指摘のように、出張所長補佐というのは百六十名だ、われわれもそのように考えております。しかしながら、今回の出張所廃止は百八十七、こういうことになっておりまして、あとの二十七名というのは専門技術職員、これは現にそういう制度があるのでございますが、そのほうで同等級振りかえということにいたしまして、これは全部現在の方々をそれぞれ同等級振りかえということで、不利な取り扱いはいたさない、このようにわれわれは処置するつもりでおります。
  334. 田口誠治

    田口(誠)分科員 不利な取り扱いをしないという答弁については十分に了解はできまするが、ただ定員が百六十名ということになっておるのに、定員外に所長補佐という名前がついたとて、これは本物でないということなんですね。だから、本物と本物でないものとおるということになると、どうもそこに私は割り切れぬものがあると思うのですが、先ほど申しましたように、五カ年間で計画としては四百五十出張所をなくするということなんでして、 だいまの御答弁では、当面百八十七ということでございますが、したがって百八十七の所長さんが浮くということなんです。そうすると、この所長さんが、これは全部所長補佐になられるか、所長さんになられる人もあるかもわかりませんけれども、大方の人は所長補佐ということになりますると、百六十人の定員外ということになるのだから、結局そういうことから、合理化から、そうした処置をとらなければ、百六十名の所長補佐の定員を正式にふやしてもらわなければならぬと思うのですが、この点はどうなんですか。   〔主査退席、田澤主査代理着席〕
  335. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 所長補佐の定数を百六十ふやすわけでございます。
  336. 田口誠治

    田口(誠)分科員 現在は百六十なんですね。現在は百六十というのは定員になっておるけれども、私は今年何人ということは知りませんけれども、五カ年閥に四百五十出張所を統廃合するということは、これは計画に出ておりまするから、四百五十人の所長さんが五カ年間に浮いてくる。そしてただいまの御答弁では、百八十七ということは、今年百八十七の出張所を統廃合するということであろうと思いまするが、そうしますると、現在の百六十名の所長補佐さんの上に百八十七名の所長補佐さんをつくらなければならない、こういうことになりますると、人事院の認めておる定員外ということになりますので、おかしいじゃないか。そういう合理化からそうした必要性があれば、この定員を正式にふやしてもらう必要があるのではないか、こう思うわけなんです。
  337. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 お答え申し上げます。御指摘のように本年、統廃合の結果、百八十七の出張所が減るわけでございます。その百八十七のうち、百六十を新たに従来あるものの上に増して、新たに百六十を出張所長補佐としてふやすわけでございます。そして二十七を専門技術職員としてふやすわけでございまするから、まさに御指摘のとおりのことをいたすわけでございます。将来、計画があって五カ年計画ですかで減らしていくということでございますが、その話は、内容を聞いてみましてもまだはっきりいたしてはおりません。したがいまして、そういう問題がはっきりいたしました際に、あらためてまた次年度以降のことは考える、さしあたりことしの問題につきましては、御指摘のとおりに処置いたしておる、このような次第でございます。
  338. 田口誠治

    田口(誠)分科員 ちょっと確認しておきますが、これは間違いがないかあるかということで確認しておきますが、現在ある所長補佐の定員を百六十名ふやすのですか。
  339. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 先ほどからちょっとこんがらかったようでございまするが、そういう措置がとられない場合の所長補佐というのは、百七定数があるわけでございます。今回、百八十七の所長の減になりますので、そのうち百六十をその百七に加えまして、出張所長補佐として定数をつくるわけでございます。ふやすわけでございます。そしてあとの二十七を専門技術職員として同等級振りかえということで、ふやすわけで、今回の百八十七はそのような形で保障がされる、こういう次第でございます。
  340. 田口誠治

    田口(誠)分科員 わかりました。そうしますると、確認しておきまするが、数字でいきますると、昭和三十九年度には所長補佐は定員が二百六十七、そしてあとの二十七名は技術員としてほかのほうに対等の待遇で職務につかせる、こういうことなんですね。
  341. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいま御指摘のとおりでございます。
  342. 田口誠治

    田口(誠)分科員 わかりました。私の質問は終わります。
  343. 田澤吉郎

    ○田澤主査代理 次に、吉村吉雄君。   〔田澤主査代理退席、主査着席〕
  344. 吉村吉雄

    吉村分科員 私は旧軍人にして恩給を受給する資格を持っていない人たちの処遇の問題、同時に、これらの方々の社会保険上から見た均衡の問題、こういう事柄について、総務長官並びに厚生省のほうの見解を承っておきたいと思います。  まず初めに、事務当局のほうからお答えをいただきたいのでありますが、旧軍人にして恩給の受給資格を持っていない人の総数というものは、どのくらいに達しておりますか。
  345. 増子正宏

    ○増子政府委員 ただいま御質問の旧軍人で恩給の受給資格のない者ということでございますが、厳密な意味でいかなる恩給にも該当していない軍人の数というものの正確な調査はございません。ただ従来行ないましたもので、旧軍人でありまして七年以上の在職年のある者は年金年限に満たない場合におきましても、いわゆる一応恩給というものを支給することにいたしておりますが、この七年未満の者のうち三年以上の者につきましては、かつて一応調査をいたしたことがございますので、その数はおおむね百六十万程度でございます。
  346. 吉村吉雄

    吉村分科員 三年以下の人たちについては全然把握できませんか。
  347. 増子正宏

    ○増子政府委員 先ほど申し上げましたように、厳密な意味での調査の結果という数字は、ちょっと申しかねるわけでございますが、一応従来の動員数その他から見ますれば、おそらく五百万程度はあるのではなかろうか、これは一応の推定でございます。
  348. 吉村吉雄

    吉村分科員 そういたしますと、三年以上にして七年未満の方が百六十万、それから三年以下の方が推定で五百万、こういうことになりますか。それを合わせたものが五百万という意味ですか。どちらですか。
  349. 増子正宏

    ○増子政府委員 全部含めたものとしてでございます。
  350. 吉村吉雄

    吉村分科員 次にお尋ねしたいのは、この五百万にのぼる方々の所属しておる産業、従事しておる職場、こういうことについて調査をされたものがありましたら提示をしてもらいたいと思うのです。もっと具体的に申し上げますと、大まかに見て農業従事者がどのくらい、雇用労働者がどのくらい、その他の個人の企業等に従事している方がどのくらい、いままでの答弁によりますと、こういうことについて正確に調べたものはないようでございます。しかし、恩給局としましては、旧軍人の問題についてどういうふうに国家的に処置をしていくかということについては考慮をされてしかるべき問題であると思いまするので、推定値くらいはあるのではないかと思いますから、それをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  351. 増子正宏

    ○増子政府委員 お話にもございましたように、その種の調査はございませんし、また各廃業別の分布というものも、これはちょっと推定でも出しかねる次第でございます。
  352. 吉村吉雄

    吉村分科員 それでは、三年以上の方々百六十万の産業別分布の状況はどうですか。
  353. 増子正宏

    ○増子政府委員 これもそのような趣旨においての調査はいたしていないわけでございます。と申しますのは、先ほど御質問中にもございましたが、恩給局といたしましては、恩給法に従いまして、受給資格というものは一応法律上決定いたしておりますので、そういう該当者という点ではいろいろと調査研究もいたしますけれども、それがどの種の職業に従事しているか、いかなる産業関係であるかということにつきましては、恩給法上としては別に考慮すべき要素にはなっていないわけでございます。そういう意味におきまして、そうした職業分布というものは従来まで調査をいたしたことがないわけでございます。
  354. 吉村吉雄

    吉村分科員 それでは、厚生省のほうではこの種の問題について把握をされておりますか。旧軍人にして軍人期間三年以上七年未満の方々が、先ほど答弁によりますと百六十万人くらいおる、こういうことがございます。私がこのあと知りたいのは、この百六十万人の方々の産業別の分布状況はどうなっているかということについてでございますが、恩給局のほうとしては、恩給受給資格の観点からだけなので、そういう数字についてはとらえていない。こういうことでございます。しかし、すでに厚生省のほうではおわかりだろうと思いますけれども、この旧軍人の期間につきましては、それぞれの社会保険制度の中で、組合員期間、被保険者期間として組み入れているところ、そうでないところもあるのでありますから、いわば社会保障制度の均衡上の観点からするならば、厚生省としてはこの百六十万人の方々の産業別の分布状況というものは把握されてしかるべきではないかと思いまするので、もしそれを知っておったならば、調べられておったとするならば、それを知らしてもらいたい、こういうことでございます。
  355. 曽根田郁夫

    ○曽根田説明員 旧軍人恩給受給者等のいわゆる恩給期間というものが、たとえば厚生年金の場合でありますと、現在の通算制度のたてまえではいわゆる通算対象期間になっていない、厚生年金あるいは国民年金等と軍人恩給の期間とは通算の対象になっていないということになっておりますので、私どもとしては、そういう軍歴の方々の分布状況、そういったものについてもちろん具体的な資料は持ち合わせておりません。
  356. 吉村吉雄

    吉村分科員 そこでお尋ねをしておきたいと思うのですけれども、現在の日本の社会保障制度、特に所得保障、老齢保障、こういう制度につきましては、戦後急速に発展をしてまいった制度でございます。このためにそれぞれの所属する産業、そこに従事をしておる人、こういうことによって非常に異なったところの給付、待遇を受けておるということが、社会保障上の見地からはいま大きな問題となっておるのであります。旧軍人の問題につきましても、長官も御承知だろうと思いますけれども、旧法によりまするならば、三年間の期間があった人については一時恩給支給の対象であったわけでございます。しかし新法のもとにおきましては、これが七年以上ということに改められたわけでありまして、七年以下の方々が、七年に若干満たないということのために、一時恩給の対象にならないということで、いろいろこの不均衡を是正してもらいたいという運動、あるいは動きというものがあることは御存じのとおりかと思います。私は、この旧軍人期間の七年未満の方々の問題については、今日の日本の情勢の中では社会保障制度全般の中で対処し、これを措置していくということが、最も妥当であるというふうに考えるものでありますけれども、ところが同じ七年未満の方々の中にも、たとえば官庁関係、公務員の方々、あるいは地方公務員、公共企業体職員、こういう方々については旧軍人期間というものがそれぞれの共済組合等に組合員の期間として通算をされる、こういうような措置がとられております。ところが民間の厚生年金保険あるいは三十四年に発足をしましたところの農民なり自由業者を対象とする国民年金、こういう制度の適用を受ける方々については、それらの通算というものがなされていない、こういう状況に今日あります。旧軍人の問題の最も近代的な合理的な処理の方向として、私はいま申し上げたような社会保障制度という見地から対処をしたほうがいいのではないかというふうに思いますけれども、いま申し上げましたように、社会保障制度の中においても、その所属するあるいは従事をする職場、産業、こういうことによって、きわめて均衡を失しておる、しかも不利益な扱いを受けておる方方、というのはたいへん今日問題になっておるところの農民の方々、自由業者の方々、こういう方々であります。旧軍人の一時恩給復活の要求なり運動なりというものがある、この中でそれらの問題を解決していく、その衝にあるところの総務長官としては、いま私が申し上げたような社会保障上の不均衡の問題について、どのように考えられますか。
  357. 野田武夫

    ○野田政府委員 ただいま吉村さんの御意見を拝聴いたしまして、私どもも七年未満の旧軍人の恩給に関する取り扱いは、今日まで必ずしも妥当なものとは思っておりません。当時御承知のとおり、一昨連合国最高司令官によって恩給が廃止されて、平和条約で復活した。そういたしましたときの社会的環境というものが御承知のとおり、非常に混乱期でございまして、そこで経済的にも社会的にもたいへん秩序がなかった、それから弱体であった、こういうことで、そのときに大体旧軍人の恩給復活についての基準というものをきめております。その際も当然従来のあった三年以上七年未満においても一時金と申しますか、支給するという議論があったようでございます。何しろ当時まず長い間軍務に勤務された人、それから傷病者、また高齢のこれも長い勤務をされた、こういう方々をまず何とか恩給が復活した以上は恩給を支給しなければならない。そこでいまお話のありましたとおり、七年未満から三年まで、またそのことを通算いたしましても、たいへんな数でございまして、これらの方々に一時金を支給するということは、原則的には私は妥当だと思いますが、その当時の事情を聞きますと、非常に調査も困難であったばかりでなくて、短い期間の勤務をされた方は若い方であるから一応仕事もまた早く見つかる、こういう事情もあったようでございます。決して七年未満の人に一時金を支給できなかったのは当然だということでなくて、いろいろな事情を勘案いたしまして現行法になったようでございます。  そこで第二段としてこのままほっておいていいかというお考えであるし、ことにこの問題は社会保障の関係から考えたらいいんじゃないかという御意見でございまして、私もできるならばそういう社会保障の制度のもとにこの七年未満の方の処遇ができれば非常にけっこうだと思っております。お示しのとおり、職業によっていまあります通算年金の法律がありますけれども、これにも適用できない方、これらにつきまして、どうしても社会保障制度の何かの面でもって改善していかなくちゃならぬということは私も同感でございます。しかし現行ではできませんが、これらのことを考えまして、今後やはり厚生省とも打ち合わせますし、私ども政府自体としてもひとつ考慮すべき問題と考えております。
  358. 吉村吉雄

    吉村分科員 ただいまの長官の御答弁によりますと、私が提起をした問題について、その方向としては同感であるという回答でございます。社会保障全般の問題を扱っておる厚生省としては、いまの長官答弁からして、これを具体的に実施をしていったほうがよいというふうに考えられますか、それとも何らかの別な措置というものを考えられますか。
  359. 曽根田郁夫

    ○曽根田説明員 結局厚生省の立場からいたしますと、現行の通算制度が一応たてまえとして、通算制度が設けられました昭和三十六年以降の期間についてのみ通算の対象とする、それ以前の期間は引き続きその期間を有するものについてだけであって、原則的には見ていないという立場を再検討するかどうかの問題になるだろうと思います。この点は非常にむずかしい問題ではございますけれども、しかし現在の通算制度のそのような整理が絶対のものであるということは必ずしもいえないわけでございますから、今後その通算対象期間というものを全般の問題としてどういうふうに検討していくか、そういう点については十分検討の余地があろうかと思います。
  360. 吉村吉雄

    吉村分科員 いまの答弁によりますと、通算年金通則法の発足は確かに三十六年でございます。私が先ほど来申し上げておるのは、通算年金通則法という法律が制定をされるされないにかかわらず、それぞれの共済組合というものはあったわけです。公務員、地方公務員、公共企業体職員については、軍期間というものが通算をされておる。その通算をされたそれぞれの期間というものを今度は厚生年金の関係とまた通算をするのが通算年金通則法でしょう。ですからいまの答弁は、私の質問からするならば的を射た答弁ということにはなっていないと思うのです。私が申し上げておるのは、同じ国家的な仕事に従事をしてきている人が約五百万人もおる。この五百万人のうちで官公庁につとめておる方々というものは、軍期間というものが通算をされて、社会保障的にその分が見られるということになっておる。ところが、この中でも一番数は多いだろうと思いますけれども、農民の方々あるいはまた一般の自由業者の方々や民間の会社、工場で働いておる方々については、その通算措置すらない。こういうような今日の状態というものは、私は社会保障上の観点からしてもきわめて大きな問題だと思うのです。ですから総務、長官はこの七年未満の方々についても国家的に何らかの措置を、というお話がございましたが、この点についてはいろいろ問題があるところでありますから、私は、その措置の方法としては、社会保障上の観点から処理をするということがきわめて今日的であるというふうに申し上げたわけです。ところが、その社会保障の制度の中でもいま言ったような不均衡がある、こういうことなんです。これをまず改めるということが第一の前提でなくてはならない、こういうふうに私は思うのでございますけれども、この点は厚生省としては、一体そういうふうに事を進める、こういうような気概があるかどうかということを明瞭にしていただきたいと思うのです。
  361. 曽根田郁夫

    ○曽根田説明員 他の共済等で以前から恩給等の期間あるいは旧令共済組合等の期間が通算されておった。ところが厚生年金については、通算制度ができる以前、そういうような措置が講ぜられてなかったわけですけれども、それは厚生年金側の立場の了解としては、そういういわゆる恩給あるいは旧令共済等と公務員というものがいわば親類づき合いといいますか、とにかくグループとして大体近い立場にある。ところが厚生年金の場合は純然たる民間労働者でありますから、一般的に厚生年金以外のものの通算というのはなかった。そういうふうに一応考えられると思うのですけれども、しかし現在の時点で総合的な通算制度ができた場合に、はたしてそれでいいかどうかについては十分検討の余地はあろうかと思います。また現に私ども目下作業を進めております厚生年金改正の今回の一つの検討事項に、具体的な問題として旧令共済組合の組合期間を通算してはどうかという一つの問題が出ておりまして、そういう意味で検討はしておるのでございますけれでも、しかしこれを一般的に他の拠出制度全般を通算対象にするかどうかという問題になりますと、少なくとも厚生年金の立場からいいますと、厚生年金自体に問題があるわけです。と申しますのは、厚生年金自体で過去において脱退一時金をもらっておる人間が相当あって、そういう脱退一時金をもらって、さらにその後厚生年金に現に入っておるというのが相当おるわけでございますけれども、これは現在のたてまえでは、過去の脱退一時金をもらってしまったその期間というものは、通算の上で全然生きてないことになっておりますから、率直に厚生年金の立場からいうと、ほかの制度の拠出期間を見るならば、その前に厚生年金自体の内部の、そういう脱退一時金の消されてしまった期間を見るべきではないかという議論が当然に起こり得るわけです。ですから私どもは、これを決してやらぬというわけじゃございませんけれども、しかしその前にいろいろ順序がございまして、少なくともそういう脱退一時金をもらった期間をどうするかという問題を同時に検討しなければいかぬのではないか、そういうふうに考えておるわけでございます。
  362. 吉村吉雄

    吉村分科員 総務長官先ほど答弁の趣旨は、七年未満の軍関係者については、私が先ほど来申し上げておるような、それぞれの適用を受ける社会保障の制度の中で均衡のとれた同一の処遇を受けるような、そういう解決措置というものをすべきではないかということに対して、長官は同感であるという趣旨の答弁をしました。いまの厚生省のお話では、それが非常に容易ではない、こういう話でございますが、この食い違いは一体どのように措置をされようとしますか。
  363. 野田武夫

    ○野田政府委員 七年未満の旧軍人に対する取り扱いでございますが、これは率直に申しますと、恩給、扶助が復活するときに——旧恩給は、先ほどお示しのとおり、一時金を支給することになっておったのでございますから、その節支給するのが本来の、いわゆる原則的にはそうあるべきだったと思っております。しかし先ほど私が申しましたとおり、社会的、経済的な事情がございましたので、とりあえず戦没者とか傷痍軍人、傷病者とか長期勤務者というふうになったのでございます。その後今日に至ってまいりますと、いろいろの現在の恩給の支給額につきましても、まだその額がたいへん低い、もう少し支給額を上げてくれという声がありますし、またわれわれもこれは相当考慮すべき問題と思っております。  そこで先ほどお話しのとおり、五百万か六百かという大きな数でございますから、これを一時金の旧恩給法を復活しましても、一人一人の支給額なんというものはきわめて少額で、実際今日の経済的な価値から申しますと、これは原則的には厚生省のいわゆる社会保障制度でやるべきか、その前に立ち返るかという問題も残っておりましょう。しかし先ほど申されましたとおり、私もお答えしたとおり、この問題は、まことに気の毒な方々でございますから、でき得ますならば、やはり社会保障制度のもとに何らかの解決案を得ることが妥当ではないか。それで私は特にその案の内容、いまの通算年金通則法をどう適用していくか、またそれ以外の考え方があるか、これは厚生省の社会保障制度のほうでいろいろお考え願わなければ、それがすぐ実現するのだとか、いやこうだということは、私の立場としては希望は持っておりますが、すぐこれが厚生省で取り上げられまして実現するというような見通しは私自身は持っておりません。なかなか困難な問題ということも多少わかりますが、できますならば、いま吉村さんも言われましたとおり、今日の事態ではやはり社会保障制度の一環として何らかの方策はないか、できるだけ厚生省のほうにもその案が出てくるように私自身は希望いたしておる段階でございまして、これがどこまで見通しがあるかないかということになりますと、まだ今日の時点でははっきり申し上げる段階ではないのでございます。
  364. 吉村吉雄

    吉村分科員 総理府は旧軍人の処遇の問題についてこれをどういうふうにしたらいいかということを担当しておるはずでございますから、したがって、三年以上の方々についても調査をされてその数字を把握されているということは、おそらく一つの考え方としては、旧法の線までこれを引き上げて丁時恩給の対象にしようということからこの調査が行なわれておるのではないかと私は思います。そういう事務を進めておるのはけっこうでございますけれども、それはそれなりに政府考え方でやるのはいい、いずれにしましても、総務長官は旧軍人の処遇の問題についてどうするかということを検討して対策を練っていかなければならない責任を持っておるはずですから、私が再三申し上げますのは、その旧軍人の中でもその所属しておるところの産業や職場によってきわめて不均衡な待遇を受けておる、旧軍人の問題を処理していかなければならない総理府総務長官としては、今日の状態というものは芳しいものだというふうには考えられないでしょう。先ほど答弁によりますと、それはなるたけ社会保障的に均衡のとれた姿にしたいという趣旨の答弁があったのは、そのとおりだと思うのです。ところが今日の段階では残念ながらそういう差がある。私が特に申し上げたいのは、一番恵まれない農民の方々がそういうことに不遇な状態にある。しかもそれらの方々は非常に数も多いはずです。そういうことに対し、あるいは民間の会社、工場につとめておるということのために、官庁につとめておる方々との間にきわめて不均衡な状態で冷遇さてれおる、こういうものだけはできるだけ早い機会に解決していくというのが、あなたの今日におけるところの責任ある態度だと私は思うのですよ。私は冒頭あなたの答弁をそういうふうに聞きましたから、実はたいへん喜んでおったわけですけれども、ところが厚生省のほうの立場を見ますと、今日の日本の社会保障というものは社会保険を主体にするそういう社会保障制度のために非常に問題がある、困難があるということを言っておるわけですよ。脱退一時金をもらった人云々という話がいまございましたけれども、公務員、地方公務員、公共企業体職員の場合には同じように脱退一時金をもらっておる人といえども通算期間に該当しておるのですよ。だからそういう答弁によって事の事実というものをごまかしてもらっては私は困ると思う。不均衡な状態にあるということは明らかなはずです。だからその不均衡をなくしていくために、今日の日本の社会保障制度の中で最も困難な点は財源上の問題だろうと私は思います。財源上の問題については地方公務員や公務員あるいは公共企業体職員の共済組合においては財源の許す範囲において具体的な措置がとられておる。しかもそれぞれの官庁がこれを所管をしておりますから、厚生省の思惑はともかくとして、独自の対策というものをとっておるわけです。社会保障制度という観点から見るならば、このようなあり方というものは、厚生省は放置をしておくべきではないと私は思います。同時に、この旧軍人の問題についてこれを処理していかなければならない総務長官、総理府の立場としても、こういうものを看過しておくということは、私はきわめて残念だと思うのです。とりあえずやっていかなければならぬ事柄は、一時恩給の復活とかそういう問題より以前に、同じような国のための仕事に従事をしてきた方々が、その所属する産業なり職場なりによって異なった待遇を受けているこの事態を解消していくということが、いま一審先決同項だということを私は強調しておる。長官どうですか。
  365. 野田武夫

    ○野田政府委員 吉村さんのお話は私もよくわかりますが、ただ、私、総務長官というものは、旧軍人全体の処遇というようなことの仕事じゃございません。私の仕事は、旧軍人の恩給が復活しましたから、その恩給に対して私はその仕事をやる担当者になっております。いまお話しの点は、もちろん七年未満の者は旧軍人の恩給の関係でございますから、これは当然私も考えなくてはならぬことだと思っておりますが、いま吉村さんも言われましたとおり、これを旧恩給法を復活をして一時金を払うとかなんとかいうことは、もうこの時限におきましてはなかなか困難でございますから、いまのお話のそれらの方々に対して、職域によって不均衡があるということは、政府として当然考えて何かの是正策を講じなくちゃならぬ、こう考えております。したがって、これはひとり総別府だけの問題でございませんで、やはり厚生省ともいろいろと話し合いをしまして、お互いに検討いたしまして、できるだけそういう不均衡を是正していくということに今後検討をいたしたいと思っております。
  366. 吉村吉雄

    吉村分科員 時間が制限されておりますからやめざるを得ないのですけれども長官、私がいままで申し上げておることは、旧軍人の七年未満の方々の処遇の問題として申し上げておるのですよ。その処遇の一つの方法として恩給の問題もあるでしょう。だからあなたのほうの所管というものは、旧軍人の問題はおれのほうでやるのではない、恩給だけをやるのだと言っても、恩給そのものはやはり旧軍人の処遇の重要な一つでしょう。したがって、それが困難だというあなたの答弁からするならば、それにかわるものを考えるのがあなたの役割りだと私は認識をするのです。多くを申し上げる時期はございませんから、これ以上申し上げませんが、長官のいまの答弁によりますと、とにかく旧軍人、七年未満の方々でそれぞれの職域、それによってこの軍人期間の扱いというものが不均衡であるということはたいへん問題なので、これを解消するようにしていきたい、こういうことでございますが、その点は間違いございませんね。
  367. 野田武夫

    ○野田政府委員 先ほどからたびたびお答えいたしておりますとおり、この問題、いわゆる職域によって不均衡があるという問題、これはやはり私ども総理府としてももちろん考えなくちゃなりませんが、政府としてもこの不均衡の是正ということを考えなくてはならぬ。これはどこで考えるかというと、お話のとおり、やはり社会保障制度でこの問題を取り扱ったほうが非常に妥当じゃないか。したがって、今後そういう意味におきまして厚生省ともよく検討していきたい、こう思っておるのでございます。
  368. 吉村吉雄

    吉村分科員 各制度間、その制度の適用を受ける人によって旧軍人期剛というものがまちまちに扱われておる。これは何とかしなければならないという長官答弁ですけれども、厚生省はその答弁に異論はないでしょうね。
  369. 曽根田郁夫

    ○曽根田説明員 私どもは、現在の通算制度というものを今後さらに検討してこれを充実する、そういう方向で絶えず問題を検討したいと思っております。
  370. 吉村吉雄

    吉村分科員 これは約五百万人にのぼる方々の問題です。五百万人の中でそういう差別があるということなんです。しかもこの差別の実態というものは、官尊民卑のものの考え方がずっと引き続いている。これをやはり改めていかなければならない。国民すべてがどこのどういう地域にあろうとも、どういう職域にあろうとも、同じように国の施策によって、その生活なりあるいはその生命なりというものが守られていく、そういう制度、そういう施策をつくることは政府全体の責任だと思いますから、金がかかるかもしれませんけれども、そういう方式にのっとって、ひとつ早急に解決をしてもらうように要望をして、私の質問を終わります。
  371. 植木庚子郎

    植木主査 次に、受田新吉君。
  372. 受田新吉

    ○受田分科員 たいへん時間がたって皆さまもお疲れですし、ごく短時間で私の質問を終わります。私は端的にお尋ねしますから、ポイントだけ突いてお答えを願います。  最初に、総理府の御所管であります栄典制度の問題でございます。過ぐる昨年の七月の閣議におきまして、昭和二十一年に一応停止された生存者叙勲制度なるものを復活する決定をされております。そして、幅の広い国家公共に対する功労者に報いる規定を設けておられます。そのこまかい規定は別に定めるということでございますが、この閣議決定に基づいてどのような進行状況に叙勲制度を展開しているか、簡単にお答えを願いたいのであります。
  373. 野田武夫

    ○野田政府委員 ただいまの叙勲制度の進捗状態ということでございますが、昨年の七月十二日に閣議決定いたしまして以来、まず生存者の叙位叙勲を決定して、その後これに伴うて当然戦没者の叙勲も行なわなくてはならぬという考えを持っておりまして、ことしの一月七日の閣議で戦没者の叙位叙勲を決定いたしております。そこで、この作業は、従来の戦没者の方々は、ちょうど戦争中でございまして、このときに一つの内規がございまして、その賞賜内規によって戦争中も叙位叙勲をいたしておりましたが、ほとんどこの事務の半ばで終戦になりまして、その後停止いたしておりましたが、この作業はやはり厚生省の援護局と連絡いたしまして、まず戦没者の叙勲の作業をいたしております。それから、生存者につきましては従来のただ何年間おったとかどうだというような、つまり定例叙勲というようなことではございません。国家社会に功労があった者を対象にするというたてまえでございますから、この基準の決定は広範な各方面の諸般のことをひとつ参酌いたしまして、そうしてこの叙勲制度の基準をきわめて公正にやりたい、こういうことでございますから、今日なお、この基準についての検討を重ねているのでございます。事務的にいろいろなことがございましたら、事務当局が参っておりますからお答えいたします。
  374. 受田新吉

    ○受田分科員 まだ別に基準を正式にきめたわけではなくて、基準をどうするかという研究段階ですか。そうですか。——そうしますと、その方針としては戦没者を優先する、そして、次に生存者に及ぼすという方針のもとに基準をどうきめるかを検討中である、その戦没者に対する叙勲についてはいつごろを目途とされており、生存者に対てしは、これまたいつごろを目途とされておるか、お答え願います。
  375. 野田武夫

    ○野田政府委員 戦没者を優先で生存者はあと回しという考え方ではございません。もしできるだけ早く生存者の基準をきめることができますれば、あるいは同時にやることもあり得ると思いますが、今日のいわゆる現段階では、生存者の基準がまだ未決定でございますから、したがって、一応いつごろその基準をきめて、いつごろ叙位叙勲を行なうかという、まだ見当がついておりません。しかし、戦没者につきましては、先ほど申しましたもう戦時中すでに事務を開始して、その半ばでもって終わっておりますから、これは相当勲記とか通達を遺族の方に出してあるところもございまして、相当調査が進んでおりますから、これはいつということははっきり申し上げられませんが、できるだけ早く戦没者の叙位叙勲だけはひとつ行ないたい、こう思っております。
  376. 受田新吉

    ○受田分科員 私、ここではっきりお答え願いたい点は、すでに、この栄典制度については国会で幾たびか戦後において法案が出されておるわけです。そして、各党の間で話し合いも進んで、ある程度見解の一致した場合もある。私もそれに参画して、これはいい調子にいくぞという結論を得たときもあったわけであります。にもかかわらず、何を好んで、昨年七月に突如として、閣議決定による生存者を含んだ叙勲制度を復活されようとしたのか、理解に苦しむ点があるのでありますが、ずばりお答えを願います。
  377. 野田武夫

    ○野田政府委員 ずばりお答えをとおっしゃったのですが、これはずばりと答えますと、つまり栄典制度は現在も廃止してありません、残っております。それから、これももう百も御承知のとおりで、最初二十一年には生存者には叙勲しないということが、二十八年には緊急なものは生存者でもやってもいいという閣議決定がありまして、これは全部閣議決定で今日まで経過をしております。ところが、戦後、特に緊急を要するものは生存者にも叙勲していいということになりまして以来、大体今日まで一万数千人に叙位叙勲をいたしております。それから外国人も、元首とか大統領とかその他千数百名に日本の勲章をやっておるのでございます。こういうことをいたしますと、これはもう、いろいろ新しい考え方で栄典制度をきめればそれも一つの方法でございますが、現在一万何千人に叙勲している、また外国の人にも千何百人に勲章を差し上げておる、こういうことをいたしますと、やはりすでに栄典制度は残っていることだし、いわゆる勲章制度と申しますか、これも現存しておりますから、そこでここまでくればやはり今日までの栄典制度は長い伝統を持っておるのと、また国民が非常に親しみといいますか、もう勲何等というとすぐわかることでありまして、そういうことを勘案いたしまして、政治的判断に基づいて、これはもうここでもってひとつ現存する栄典制度を生存者にも実施したらよかろう、こういうことで昨年の七月の閣議決定となったのでございます。
  378. 受田新吉

    ○受田分科員 それは言いわけなんでして、これはすでに各党の間で話し合いも進んでおる、ある程度の結論にも達しておる、そういう段階である。特に栄典制度などという国民全体に影響力を持つかかる制度は、憲法七条の天皇の国事事項に属しておりますけれども、これを同時に、国民全体の代表である国会で願わくは党派をこえた結論によって法制化する、その法制化されたものに基づいて、その内閣がかわっても安心していられる——そのときの思いつきでやる懸念のある閣議決定のような、内閣の性格によって変動の起こりやすいような形のものでなくて、国会において堂々と討議の上得た結論、あるいは栄典審議会等の機関を十分に生かした上において、筋の通った栄典制度を設けるべきじゃないですか。いままで実際やっているから差しつかえないんだと言っておるけれども、現に生存者にもある程度やっているけれども、さらにこれを徹底するためには、やはり法制化することが筋が通るんじゃないですか。どこに閣議決定をお急ぎにならなければならなかった理由があるか、私ははなはだ疑わしいと思っております。むしろ今国会あたりに栄典法なるものをお出しになって、その事前に話し合いをつけて結論を得るという方式をとるべきではなかったでしょうか。
  379. 野田武夫

    ○野田政府委員 ただいま受田さんのおっしゃる新しい栄典制度をつくれ、これも一つのりっぱな見解であるし、したがって、内閣によってはそういう試みをいたしたことも事実でございます。しかし、重ねてくどいようでございますが、これが実現しないで、もうすでに終戦後二十年、今日までもうすでに一万数千人に叙位叙勲が行なわれ、外国の方にも千何百人に行なった、こういうことになりますと、ことに日本の栄典制度は、深い伝統と、同時に国民が非常に親しみを持っておるし、かれこれを勘案しますと、もう戦後二十年にもなるから、しかもあれだけ多くの叙位叙勲が行なわれているから、ここでひとつ現行制度をそのまま実行しよう、こういう決意を内閣がいたしまして、そしてそれが政治的に妥当だ、こういう判断をいたしましたのが閣議決定となったゆえんでございます。
  380. 受田新吉

    ○受田分科員 法制局長官、この栄典制度を、従来は閣議決定で片づけておった問題だからといって、その方式を御採用になるということが適当であるか、この際栄典法なるものをつくって、国家百年の大計のもとに国民代表機関で堂々たる結論を出して、これを運用していくというほうが適切であるか、お答え願います。
  381. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 お答え申し上げます。  ただいまのお話でありますが、ただいまもお話がありましたように、現在の制度のもとに栄典の授与というものが行なわれているわけでございますが、それの根拠と申しますか、そういうことでありますれば、私明確にお答え申し上げますが、どちらがよろしいかというのは、全く法制上の見地だけから申しますれば、私は法律でなくても差しつかえない。あとの当否の問題は、私から申し上げる筋合いではないと思います。
  382. 受田新吉

    ○受田分科員 あなたは、純粋な法制的見地からいえば、いまのような方式でもよろしいと、きわめて軽く考えておられますが、あなたが池田内閣の御用法制局次長でいらっしゃるという形が露骨に出ましたね。これは残念です。内閣を向こうに回して戦う純粋な立場で御意見を吐いていただくのが、ほんとうに高辻さんのお姿だと私思っていたわけです。ところが、せっかくここまで各党の間で話が進んできたこの大事な問題を、ここでぽかっとやっていく。池田内閣ができてもう四年、この長い年月を経ているのですから、このあたりで党内をまとめて、各党の協力を求めて立法措置をとるべきだったんですよ。これははなはだ残念でございますが、思いつきの閣議決定は、後世に非常に禍根を残します。野田さん、あなたの御所見から、この閣議決定に基づく基準の決定は栄典審議会のごときものを通じてやっておられるのか、あるいは賞勲部の内部でこそこそとやっておられるのか、いずれでございますか。
  383. 野田武夫

    ○野田政府委員 栄典審議会は設けておりません。この基準決定は賞勲部でこそこそやっておるという——こそこそやっておりません。これは内閣が助言と承認の責任を持つ、そして天皇の国事行為でございますから、内閣責任を持たなければなりません。したがって、やはり内閣責任を持って公正な基準をつくらなければならぬ。そこで、これは各方面の意見を徴することもありますし、また過去のいろいろの実績も事実もこれを検討し、またあるいは外国のいろいろな例等も参考にするとか、基準決定に際しましては、こそこそでなくて、これらの責任をとる立場から、慎重に、しかもきわめて真剣にこの基準決定にかかっております。
  384. 受田新吉

    ○受田分科員 そうしますと、具体的にどんなことをやっておられるのですか。どういう機関でいま慎重にやっているのですか。
  385. 野田武夫

    ○野田政府委員 総理府の賞勲部を中心にいたしまして、そのどこにどうやっているかということは一々申し上げることはできませんが、われわれの常識的な範囲内でもってできるだけいろいろな資料を集めております。
  386. 受田新吉

    ○受田分科員 常識的な範囲内で資料集めしかやっておらぬ、驚くべきことですね。こういうことでこの栄典制度がきまったとすれば、たいへんなことです。こそこそとやっておらないで、議会に堂々と法案をお出しなさいませ。そうして野党も協力しますから、これはもうここまでくれば、国家百年の大計のもとの栄典法をお出しになるべきです。行きがかりを捨てて急に閣議決定に切りかえるようなこそくな手段を池田内閣はとるべきでない。総務長官、そのくらいの馬力をもって、いまから閣議決定を法案提出に切りかえるくらいの努力を払って、今晩一晩考えて明日にでもお出しになってください。私はこの点は非常におかしな不愉快な現象であることをはっきり申し上げておきます。  これに関連して、戦没者をお祭りする靖国神社の性格ですが、これは現在の憲法のもとにおいて、遺族会の要望のごとき国家法人形態、宗教法人でない形でこれに国家から財政援助をするような方式があるかどうか、お答えを願います。
  387. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 靖国神社の問題につきましては、かねてから、ただいまお話のような点について問題がございますことは承知しております。しかし、靖国神社というものに宗教的な色彩というものがないということは、それを払拭し切れるかどうかという問題に帰着するわけでございますが、私どものいままでに研究した段階では、やはりかなりむずかしいことではないかというふうに考えております。
  388. 受田新吉

    ○受田分科員 宗教的色彩を払拭することはむずかしい、したがって、現憲法下においては、靖国神社に国家財政援助、国家的行事を行なうということは不可能であるという判断ですか。
  389. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 御指摘のように、悪法八十九条の公金の支出に関連しまして、問題があるわけでございますが、ただいま申し上げましたように、一つの問題でございますので、なお結論を出すような必要があれば研究もいたさなければならないと思いますが、いままでのところでは、ただいま申し上げましたように、宗教的色彩というものがないというわけにはいかないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  390. 受田新吉

    ○受田分科員 総務長官、あなたはいま次長の申されたような考え方に立っておられるか。八十九条の規定に対抗して、別に靖国神社を、靖国神社という形を宗教的色彩というならば、たとえば靖国廟という名称でもよい、何かの形で名称を変更して、これを八十九条の適用の範囲外で考えていくという方式をとるべきではないか、お答えを願います。
  391. 野田武夫

    ○野田政府委員 靖国神社に対しての意見は、私も各方面から聞いております。したがって、この靖国神社を憲法上のどういう解釈でもっていくかということを、実は受田さんのおっしゃっておられるように私自身もいろいろ話を聞きまして、できるならば何か形を変えたらどうかという感じも、私自身は多少の希望を持っておりますが、少なくともこれは憲法上の問題でございまして、ただここでもって自分の気持ちとか感情とかいうものだけでお答えするということは、ちょっと差し控えたいと思っております。
  392. 受田新吉

    ○受田分科員 憲法の問題は、憲法八十九条の規定のらち外に置く方式をとればいいじゃないですか。それならいいですね。
  393. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 らち外に置く方式というものがうまくいくかどうかということはございますけれども、もしも靖国神社というものを別個に考えまして、たとえば、これは性格が違いますけれども、無名戦士の墓というふうに、何か宗教的色彩とは別のものというふうに考えられるようになれば、それは話は別でございます。
  394. 受田新吉

    ○受田分科員 現に千鳥ガ渕に墓苑があるわけです。これは厚生省が予算をお手伝いして、いま多くの人の尊崇を受けているわけでございます。この千鳥ガ渕墓苑なるものは、高辻次長の御説明に関連して、いかなる性格のものであるか、御答弁できる責任者から御答弁を願います。
  395. 今村譲

    ○今村政府委員 御答弁申し上げます。  二十八年の十一月閣議決定になりましたときには、やはり政府機関で——引き取り手のない御遺骨が相当あった、その後各戦域から遺骨収集団というもので持ってくるものができ、それは氏名も判明しなければ御遺族もわからない、したがって、それの奉安というか、それはどこでもするところがない、やはり国でせざるを得ないということで、二十八年の十一月の閣議決定におきましては、関係団体——これは先生が一番詳しいと思いますけれども、そこでいろいろ議論の上で、そういうふうに遺族にお引き渡しすることができない遺骨を国で管理する施設をつくるという決定をいたしました。ただ、二十八年の決定後、三十四年に竣工いたしますまでに、アリューシャンとかインドネシアとか、いろいろな戦域から相当の御遺骨が御承知のように帰ってまいられたという意味におきましては、単に、御遺族にお渡しできない氏名もわからないものだけということではなしに、全部を持って帰るわけにいきませんので、その戦域の何万、何十万というものの象徴的な御遺骨の一部分を持って帰った、そういうふうな状況がありますので、何といいますか、単に無縁と言っては言葉が悪いのですが、それだけではないということの事情は、二十八年の決定以降その後に少しずつ変わってきております。ただ、現在まで千鳥ガ渕墓苑は厚生省の機関としてつくられ、国がそれをお守り申し上げるということのための二十八年の閣議決定、それから三十四年三月の閣議報告におきましては、無名の御遺骨を国が責任を持ってお守り申し上げる、こういうふうな線で現在まできているわけであります。これは先生も最初から審議の中に入っておられまして、どういう性格のものにするかということで数十回いろいろ議論がございましたが、先ほどお話に出ましたように、無名戦歿者の墓という格好で踏み切るか、あるいはどういうふうに考えるかということにつきまして、関係団体いろいろ御協議の上で、現在のような線で閣議決定、あるいは三十四年の閣議報告、厚生大臣の報告了承という格好でおさまっておりますので、いまのところでは、完全に、無名戦士の墓というふうに公の宣言をする段階には至っておらない。無名戦士の墓という概念も各国によっていろいろ違うようでございますけれども、それは従来の国民感情、御遺族の御心情の問題と、いま出ましたように靖国神社との関連、その辺が非常にむずかしいので、結局、いまのところにおきましては、全戦歿者の象徴的な御墓所であるというところまでは決定しないままに今日まできておる。したがって、今後の問題につきましては、とりあえずは、御遺族のない、氏名の判明しないというようなものをお預かり申し上げているわけでありますけれども国民感情の今後の帰趨に応じていろいろ考えていかなければならないじゃないか、こういうふうな格好で現在まできておるような次第でございます。
  396. 受田新吉

    ○受田分科員 それははなはだ私理解に苦しむのですがね。いろいろ考え方はありましょうけれども、あそこには、無縁の英霊の遺骨あるいは氏名のわからないもの、こういうような意味だけでなくして、各戦域においてなくなられた英霊全体の象徴的なお墓である、こう解釈しておるわけです。そういう解釈をして差しつかえない墓苑である。かようにあなたもお考えになりませんか。アンノンという立場で考えて、全体の象徴的な墓地——無名戦士の墓の無名にもいろいろありますし、ちゃんと有名の部分を含めた、ただ単に無名、こう言っているだけの国々がたくさんあるわけですから、そういう解釈で英霊全体の象徴的な墓地である、かように理解をしてもいいのじゃないですか。また、国立公園部にあるということそのものが何だかおかしな話なんで、こういう英霊の墓地を取り扱う機関は、援護局がいまあるわけですから、当然援護局がなさるか、あるいは総理府という内閣総理大臣の直属の機関があるわけですから、そこで考えていくとか、機構上の問題もひそんでいると思います。両面の問題でお答えいただきます。
  397. 今村譲

    ○今村政府委員 第一点の、いまおっしゃいましたように、全戦歿者の御遺骨の象徴的なものであるというふうに観念できないかということがございますが、先ほど申し上げましたように、二十八年の出発当時はそこまでは踏み切っておらなかった、その後各戦域から逐次奉還してくるという点で、−玉としましては、先生のおっしゃるようなものに非常に近くなってきつつあることは事実だと思います。それでも、三十四年に竣工しまして式典をあげるというときの閣議の厚生大臣の報告、それが了承になったわけでありますが、それもやはり無名の御遺骨をお皿かり申し上げるというふうな格好で固まっております。そういう点から見まして、たとえば名前がはっきわかり、靖国神社におさまっているというようなものとの関連から考えて、三十四年ですか、そういう政治決定がなされたものというふうに考えております。したがいまして、これはやはり一つの政府機関でございますから、その辺の根本的な割り切りにつきましては、やはり今後の御遺族の心情なりなんなりというふうなものを考えて相当慎重にしなければ、踏み切りがむずかしいのではないかというふうに存じあげます。  それから第二点の機構の問題でありますが、これはあそこに三十四年にできますまでは、実は引揚援護局で担当してやっておられたわけであります。それができますときに、公園部の主管にするか援護局の主管にするかという問題はありましたが、たとえばアメリカにおきましても、国立墓地——アーリントンは陸軍省でありますけれども、国立墓地というのは全国に相当数ございまして、それはアメリカの内務省の国立公園局の中で所管しておるというふうな例もございますし、これはちょっと例がおかしいのですけれども、東京都におきましても、多磨霊園その他というふうなものは、東京都の公園緑地部で、いわゆる記念公園とかそういう公園の一部として維持管理をする。皆さんがお参りに来られる、清掃あるいは美観というふうな維持管理は、やはり公園部でやったほうがいいのではないか。これは大阪、京都、いずれも公園系統の主管課でやっておるわけです。というのは、これは非常にことばが悪いのですが、陰気になっては困るので、やはりそこに明るいいろいろな造園学的な配慮も要り、管理も要るということで、公園部がそれを所管するようにということにきめられたわけであります。
  398. 受田新吉

    ○受田分科員 あそこの墓苑の勤務時間も、国立公園のような形でいくものだから、勤務時間をこえればあそこに勤務者がいなくなる。したがって、おそく参拝する人は参拝ができなくなり、精神的に非常な弊害があるわけです。やはりこれはそういう霊的な意味があるのですから、国立公園部で環境の整備とかいう問題のもう一つに奥に深いものを考えていただかなければならぬ。援護局があれば援護局の所管にいまから切りかえるか、あるいは総理府に切りかえるとか、御検討を願いたい。そして現に勤務する方々に対しては、国立公園の職員に準じたような形でやられると、そこに自然に時間制限を受けるというようなこともありますから、遺族の皆さんなどの参拝ができるように時間的に十分余裕のあるような措置をとってもらいたいと思います。希望を付して、いずれあらためてまたお伺いをいたします。  最後に、総理府に、今度在外財産問題の関係の予算を計上されてきておるわけですが、この内訳をちょっと御説明願いたいと思います。
  399. 広長敬太郎

    ○広長説明員 御説明いたします。  総理府に臨時在外財産問題調査室がございますけれども、そこと今度新たに設置が予定されております在外財産問題審議会の両方の予算を合わせまして二千万でございます。この審議会の予算は百八十万五千円でございます。この中身は、各委員の手当でございます。それから会議費でございます。そのほか、調査室といたしましては、大きな項目としては九百六十万円の調査委託費がございます。この調査委託費の中身は、在外財産で現在一番問題になっております、外国において日本国及び国民の財産がどういうように処理されて、現在はどうなっているかという状況がはっきりしませんので、これを中心といたしまして、各国において日本の公私の財産を、平和条約十四条(a)項2号に基づいて、あるいは差し押え、あるいは留置し、あるいは清算その他の処分をやっております。この処分の状況がよくわかっておりません。ですから、これの法的な根拠及びその現在の状況を調査することになっております。そのほか、たとえばイタリアでありますとか、ドイツでありますとか、オーストリアとか、同じような敗戦国におきまして、国内で補償措置を講じております。この補償措置も一応わかっております。一応わかっておりますけれども、具体的にどういうぐあいに補償がなされ、それがほかの、イタリアならイタリアの中の戦災その他の戦後処理の問題とどういうぐあいにつながっておるかというような問題がわかっておりません。したがって、これをやりたいと思っております。そういう資料を集めましてこれは外国資料でございますので、翻訳なんかしなければいけませんが、それをやりまして、さらに国内の学者その他専門家に委嘱いたしまして研究いたしたいと考えております。そのほか、これだけではなかなか足りませんので、各在外公館を通して、なるべく多く網羅的に各国における日本の財産の処理の状況を調べたいと思っております。そのためにはこの九百六十万円の委託調査費では足りませんので、新たに認められました四人の職員と、従来八人おりますので、それを加え、さらに、各省で適任者がおりましたならば、これに委嘱いたしまして海外に出張してもらいまして、なるべく多くの国において日本財産の処理の状況を調べてきてもらおうと考えております。これにつきましては、外務省の協力を得ましてあらかじめ事前の文書の調査をやって、それで不十分なところは、外務省を通しまして各在外公館から相手政府の了解を求めて、相手政府の敵産管理事務局等、日本の財産を管理しております当局に当たりましてその資料を持って帰りたいと考えております。これをやりますと、日本の財産が外国によって処理された状況が大体わかってまいることになります。ただ、これは一人一人のところまではわかりません。それをやりますときわめて膨大になりますので、ただ私たちの調査をする目的といたしましては、政府の内部におきましてこの在外財産問題処理のための政策をきめる判断の資料といたしたいと思っております。ですから、二千万円ございますと大体これでできると思います。それと同時に、審議会が設立されますから、この審議会において各委員さんに審議していただく資料を整えたいと思っております。  以上であります。
  400. 受田新吉

    ○受田分科員 野田さん、いまの室長のお話のように、審議会をつくりたいということですが、審議会の構想をちょっと承りたい。
  401. 野田武夫

    ○野田政府委員 審議会の設置につきましては、本国会に御審議を願っております。これが通過しましてから審議会の構成をきめたいと思っておりまして、現在のところでは、つまり学識経験者というものが中心でございますが、その以上にはまだ構成のメンバーなんかは何もきめておりません。
  402. 受田新吉

    ○受田分科員 そうしますと、この在外財産問題の調査費ができた、海外にも視察に行って実態も調べて、しかる後審議会の委員をきめる、これはもっと幅の広い立場で、関係者までも含めた真剣な討議がなされなければならぬと思う。そこで結論が出て、在外財産の、前の引揚者給付金等支給法という場当たり的なものではなくて、本格的な立場の国内補償という問題が研究される段階が予想されるわけですね。
  403. 野田武夫

    ○野田政府委員 いま申しましたとおり、この予算が通過いたしますと、審議会を構成します。大体二十名以内のつもりでおりますが、これも先ほど申しましたとおり、まだ構成する個々の問題は考えておりません。それから、お話のとおり、在外財産の処理ということはきわめて重大な問題でございまして、この調査が粗雑であってはいけないということでございますから、いま室長が申しましたとおり、できるだけの手を打ちたい。そこで、外務省とも連絡いたしまして、在外の、つまり外国における日本の財産の処理問題を研究いたしまして、そして本格的に取り組んで、この審議会にかけまして審議してもらう、こういう考え方を持っております。
  404. 受田新吉

    ○受田分科員 これで終わりますが、本格的な審議をし、本格的に問題に取っ組む、こういうことでよろしゅうございますね。——御了解願っておきます。  それともう一つ、これに関連するのですが、朝鮮人、台湾人で日本軍人として戦死した方があるのですね。その人にはいま遺族扶助料も遺族年金も出ていないのです。また、日本の中にも、韓国人やら台湾人で日本軍人として負傷したからだを横たえて、たいへん苦労しておる人がおる。日本軍人として負傷し、日本軍人として戦死したのですから、いまの日本法律に基づいて扶助料を差し上げ、年金を差し上げ、また傷病年金を差し上げる、傷病恩給を差し上げる、なぜ堂々とこういう手をおとりにならないのか。在外財産の問題その他日韓会談等で解決するまでというなまぬるいことを言わないで、少なくとも人間として、日本国民として、死亡した人々に対して政府が行政措置として手を打つべきです。社会保障の一環などということも、これは行政措置じゃないですか。この際これらの日本軍人としてなくなられ、日本軍人として負傷された人々、調査可能で現に日本におる人々にこの恩典を与えることによって、どれだけ外交上の大きな好影響がもたらされますか。金額はわずかで済むわけです。どれだけの該当者がおるか、数字があれば示していただきたい。少なくとも大急ぎでこの大事な人道問題を日本政府が御措置されることは、全世界に対して非常に好感を与えることになるのです。遠慮しなさるな。お答え願いたい。
  405. 野田武夫

    ○野田政府委員 足りないところは事務的にまた御説明しますが、御承知のとおり、韓国、朝鮮ともに平和条約によって国籍が日本人でなくなりましたので、現在の恩給法の対象はやはり日本の国籍を持っておる者ということでございまして、恩給法の対象とはならない。これは法律上のことでございます。しかし、いまのお話の点もよくわれわれはわかっております。それから、これに対してどうするか、これはやはり両国の交渉によって考えなければならぬことでございまして、国籍を失っておられる関係上、恩給法が直ちに適用できないという状態でございますところは、よくおわかり願うと思います。今後の問題は、やはり日本と朝鮮、韓国というものとの国交の折衝によってこれらの問題が話が出てくる、こう思っております。  さらに、いま何人くらいどうだということは、事務当局からお答えすることにいたします。
  406. 受田新吉

    ○受田分科員 事務当局が答える前に一言。いま長官は、日本人でないから法的基礎がないとおっしゃった。それなら、いま社会保障で一部の人にお手当てされておる。外国人に社会保障制度でお手当てする法的根拠がどこにあるか、それをあわせて御答弁願います。
  407. 増子正宏

    ○増子政府委員 ただいま長官から申し上げました以上に、内容につきまして私つけ加える点はないのでございますが、現行恩給法によりますと国籍を失いたる場合には恩給受給の資格を失うことになっておるわけでございますが、御指摘の方々はそれに現行法上は該当いたしておるわけでございます。したがいまして、これに恩給法に基づく恩給を支給するということになりますれば、この現行法をそれに適合するように改めなければならぬという問題があるわけでございます。この点は、従来の取り扱いと関連いたしまして、非常に大きな問題であろうということで、今日までこの点は結論を得ておりません。  なお、該当者の数でございますが、これは現在ここにその数字につきましての資料を持ち合わせておりませんので、何ともお答え申しかねる次第でございます。  なお、外国人等に生活保護法の適用をいたしておりますことにつきましては、これは私からお答え申し上げるのはいかがかと存じますので、省略させていただきます。
  408. 受田新吉

    ○受田分科員 社会保障制度、生活保護だって、同じ額をこれら日本におる韓国人、台湾人にいま出しておる。それは何を根拠に出しておられるのか。外国人に生活保護法の適用をしていいようになっておるのですか。行政措置でやっておるのじゃないですか。だからその点をはっきりさせてもらいたいのです。したがって、少なくとも日本国軍人として戦死された英霊の遺族に、いま現に日本におる韓国人、台湾人になぜお出しにならぬか。これは非常に大きな人道問題ですよ。必要があれば法律改正を堂々とおやりになればいいですよ。将来の問題じゃないのです。非常に差し迫ったものです。非常にあたたかいこの一事をもって日本国民の友愛がどんなに大きく各国に影響するか、お考えいただきたいのです。——お答えができないですか。厚生省のどなたか——法制局次長さんでもいいです。事実何を根拠に生活保護費を出しておるのか。これは法的根拠はないと私は思います。保護法には、外国人に出していいということはない。
  409. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 ただいまお話がございましたように、恩給法上は「国籍ヲ失ヒタルトキ」ということがございますので、そういう消極要件に該当することによって、出すわけにいかないということだと思います。  生活保護が出ておるということでございますが、これは生活保護法上、いま申しましたような関係の規定がないので、そういう関係で生活保護法の運用としてやっておるものだと了解いたします。  法改正の問題につきましては、これはそれぞれ主務当局のお考えによるものだと思います。ただいまお話がありましたようなことは、それぞれの主務当局において現に伺っておるわけでございますから、それぞれの当局において考慮してもらいたいと思います。
  410. 受田新吉

    ○受田分科員 人道問題として解決する用意があるかどうか。法改正か、どちらでもいい、いずれにしてもこの措置を適切にやってほしいと思うのです。これだけは、人数も一緒に示してもらって、急いでやってもらいたい。何らかのお答えを願いたい。
  411. 野田武夫

    ○野田政府委員 お答えいたします。  ただいま受田さんのお話のことは、われわれとしてもまことにお気の毒だと思っております。しかし、たびたび申しましたとおり、いまの恩給法では、法の規制がございまして、国籍関係でできない、こうなりますと、どういう方法があるかといえば、一つは、いまお話の恩給法改正、それもありましょう。しかし、実際の問題として、いろいろかけ引きだけ言ってお答えしてもむだだと思いますから、率直に申しますが、やるならば、まず援護法なんかのことを考えたらどうか、こう思っております。しかし、私がやるということを言明しましても、これは私の立場でございまして、おのおの各省のお考えでございます。突き詰めてお尋ねになりますから、それじゃ私の管轄の恩給法をすぐ改正してやるかとおっしゃると、私は、恩給法の改正でなくて、援護法か何かの方法がないかという感じを持っておるだけでございまして、ここでお約束するということはなかなかむずかしいのでございます。
  412. 受田新吉

    ○受田分科員 それでは終わります。
  413. 植木庚子郎

    植木主査 以上をもちまして、通告がありました質疑は全部終了いたしました。よって、内閣所管防衛庁関係を除く総理府所管に対する質疑は終了いたしました。  明二十二日は、午前九時三十分より開会し、総理府所管のうち防衛庁関係について、去る十九日に引き続き質疑を行ないます。  本日は、これにて散会いたします。    午後八時二十一分散会