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1964-02-17 第46回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和三十九年二月十五日(土曜日)委 員会において設置することに決した。 二月十五日  本分科員委員会において、次の通り選任され  た。       愛知 揆一君    青木  正君       植木庚子郎君    田澤 吉郎君       登坂重次郎君    中曽根康弘君       松野 頼三君    水田三喜男君       井手 以誠君    石田 宥全君       辻原 弘市君    横路 節雄君       今澄  勇君 同日  植木庚子郎君が委員会において主査に選任され  た。 ————————————————————— 昭和三十九年二月十七日(月曜日)     午前十時十六分開議  出席分科員    主査 植木庚子郎君       青木  正君    田澤 吉郎君       登坂重次郎君    松野 頼三君       水田三喜男君    井手 以誠君       石田 宥全君    野原  覺君       横路 節雄君    今澄  勇君       受田 新吉君    兼務 川俣 清音君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         国 務 大 臣 福田 篤泰君  出席政府委員         内閣法制次長  高辻 正巳君         総理府総務長官 野田 武夫君         宮内庁次長   瓜生 順良君         総理府事務官         (宮内庁皇室経         済主管)    小畑  忠君         科学技術政務次         官       鹿島 俊雄君         法務政務次官  天埜 良吉君         大蔵政務次官  纐纈 彌三君  分科員外出席者         衆議院事務総長 山崎  高君         衆議院参事         (庶務部長)  大久保 孟君         衆議院参事         (管理部長)  三樹 秀夫君         参議院参事         (管理部長)  佐藤 吉弘君         裁判官弾劾裁判         所参事         (事務局長)  隈井  亨君         裁判官訴追委員         会参事         (事務局長)  福島 尚武君         国立国会図書館         副館長     岡部 史郎君         会計検査院事務         総長      上村 照昌君         会計検査院事務         官         (第一局長)  保川  遜君         会計検査院事務         官         (第二局長)  樺山 糾夫君         最高裁判所事務         総長      関根 小郷君         大蔵事務官         (主計官)   秋吉 良雄君     ————————————— 二月十七日  分科員石田宥全君及び今澄勇君委員辞任につ  き、その補欠として野原覺君及び受田新吉君が  委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員野原覺君及び受田新吉委員辞任につき  その補欠として石田宥全君及び今澄勇君が委  員長指名分科員に選任された。 同日  第三分科員川俣清音君が本分科兼務となつた。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十九年度一般会計予算皇室費国会、  裁判所会計検査院内閣総理府経済企画  庁を除く)法務省及び大蔵省所管  昭和三十九年度特別会計予算大蔵省所管  昭和三十九年度政府関係機関予算大蔵省所管      ————◇—————
  2. 植木庚子郎

    ○植木主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  私が本分科会主査をつとめることになりましたので、よろしく御協力をお願い申し上げます。  本分科会は、皇室費国会裁判所会計検査院内閣総理府経済企画庁を除く)、法務省及び大蔵省所管並びに他の分科会所管以外の事項について審査を行なうことになっております。  本分科会審査日程は、一応分科員各位のお手元にお配りいたしておりますとおりでございます。  なお、質疑希望の方が多数にのぼる見込みでありますので、質疑時間は、本務貝は一時間、兼務貝もしくは交代して分科員になった方は三十分程度を目標としていただきたいと存じます。また、質疑をなさる方は、政府委員などの御要求をあらかじめ御通省お願いいたします。  それでは、昭和三十九年度一般会計予算皇室費国会裁判所会計検査院内閣経済企画庁を除く総理府法務省及び大蔵省所管昭和三十九年度特別会計予算大蔵省所管昭和三十九年度政府関係機関予算大蔵省関係を議題といたします。  順次関係当局より説明を求めます。  皇室費説明を求めます。小畑皇室経済主管
  3. 小畑忠

    小畑政府委員 昭和三十九年度皇室費歳出予算について、その概要を御説明いたします。  本歳出予算に計上いたしました金額は、二十三億三千八百五十九万六千円でありまして、その内訳は、内廷費六千八百万円、宮廷費二十二億四千七百六十四万六千円、皇族費二千二百九十五万円であります。これを前年度予算に比較いたしますと、十四億二千四百二十三万六千円の増加となっております。  そのおもなものについて事項別に申し述べますと、内廷費は、皇室経済法第四条の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する差額を計上いたすことになっておりますが、本年度は、前年度に比較いたしまして八百万円の増加となっております。これは、内廷費定額六千万円を、本年度において、六千八百万円に増額改定することを予定いたしていることによるものでありまして、これに伴う皇室経済法施行法の一部改正法律案は、今次国会に提出いたし、御審議を願うことになっております。  宮廷費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上いたしたものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費四千八百五十二万円、本年度より本体工事に着手いたします宮殿の新営及びこれに関連する施設等に必要な経費十五億二千六百五十九万三千円、皇居東側地区整備に必要な経費一億五千二百六十五万六千円、皇后陛下還暦記念ホール建設に必要な経費九千二百十二万一千円、その他皇室用財産管理等に必要な経費四億二千七百七十五万六千円でありまして、前年度に比較いたしますと、約十四億一千四百万円の増加となっております。  なお、宮殿の新営につきましては、別に国庫債務負担行為として十億五千四百二十四万五千円を計上いたしております。  皇族費は、皇室経済法第六条の規定に基づき、両法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上いたすことになっておりますが、前年度より一百八十万円の増加となっております。  これは、内廷費と同様に定額改定を予定いたしておりまして、年額算定の基礎となる定額四百七十万円を、本年度から五百十万円に増額改定することによるものであります。  これに伴う改正法律案は、今次国会に提出いたし、御審議願うことになっております。  以上をもちまして、昭和三十九年度皇室費歳出予算概要説明を終わります。  よろしく御審議あらんことをお願いいたします。     —————————————
  4. 植木庚子郎

    ○植木主査 次に、衆議院予算説明を求めます。大久保庶務部長
  5. 大久保孟

    大久保参事 昭和三十九年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和三十九年度国会所管衆議院関係歳出予算要求額は、五十九億四千九百七十七万一千円でありまして、これを前年度予算額五十二億八千七百二十二万八千円に比較いたしますと、六億六千二百五十四万三千円の増加となっております。  次に、この要求額事項別について御説明申し上げます。  まず第一に、国会運営に必要な経費といたしまして四十九億千二百四十八万円を計上いたしております。これは議員関係の諸経費及び事務局法制局所掌事務処理するため必要な経費でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、五億六千八百八十八万七千円の増加となっております。  第二は、衆議院営繕工事に必要な経費といたしまして十億三千二十九万一千円を計上いたしております。これは議員会館の第二号館新営及びその関連施設並びに議員宿舎建設等に必要な経費でございます。なお、議員会館の第二号館新営につきましては、別途、国庫債務負担行為として十九億三千七百五十一万五千円を要求いたしております。  第三は、国会予備金に必要な経費として前年度同額の七百万円を計上いたしております。  以上簡単でございますが概略を御説明申し上げました。     —————————————
  6. 植木庚子郎

    ○植木主査 次に、参議院予算説明を求めます。佐藤管理部長
  7. 佐藤吉弘

    佐藤参議院参事 昭和三十九年度国会所管参議院関係歳出予算要求額は、四十三億八千三百九十二万九千円でありまして、これを前年度予算額二十九億八千六十一万六千円に比較いたしますと、十四億三百三十一万三千円の増加となっております。  次に、この要求のおもな事項について御説明申し上げます。  まず第一に、国会運営に必要な経費として二十九億七千二百四十六万七千円を計上いたしております。これは議員に関する諸経費及び事務局法制局所掌事務処理するため必要な経費であります。前年度予算額に比較いたしますと、三億三千五百三十七万三千円の増加となっております。  第二に、参議院営繕工事に必要な経費として十四億六百四十六万二千円を計上いたしております。これは前年度に引き続く議員会館の新営及びこれに関連する施設工事並びに議員宿舎増築等に必要な経費でありまして、前年度予算額に比較いたしますと、十億六千七百九十四万円の増加となっております。これは主として議員会館新営費の増加によるものであります。  第三に、国会予備金に必要な経費といたしまして前年度同額の五百万円を計上しております。  以上、簡単でありますが、参議院関係歳出予算概要でございます。     —————————————
  8. 植木庚子郎

    ○植木主査 次に、国立国会図書館予算説明を求めます。岡部館長
  9. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 昭和三十九年度国会所管国立国会図書館歳出予算について御説明申し上げます。  昭和三十九年度国立国会図書館歳出予算要求額は、九億二千二百五十三万五千円でありまして、これを前年度予算額八億五下五百七十七万二千円に比較いたしますと、六千六百七十六万三千円の増加となっております。  次に、要求額のおもなものについて御説明申し上げますと、国立国会図書館維持管理に必要な経費といたしまして、七億九百六十七万一千円を計上いたしております。これは、人件費及び一般事務処理庁舎維持等に要する経費でございます。  次に、業務運営に必要な経費といたしまして、二億一千二百八十六万四千円を計上いたしております。これは、図書館資料を購入するための経費一億三千七百五十六万六千円をはじめ、立法調査業務図書館資料収集整理利用目録書誌作成写真複製業務印刷カード作成科学技術関係資料整備等に要する経費でございます。  以上、はなはだ簡単な説明でございますが、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。     —————————————
  10. 植木庚子郎

    ○植木主査 次に、裁判官訴追委員会予算説明を求めます。福島事務局長
  11. 福島尚武

    福島裁判官訴追委員会参事 裁判官訴追委員会予算につきまして御説明申し上げます。  裁判官訴追委員会における昭和三十九年度歳出予定経費要求額は、一千二百二十六万四千円でありまして、これを前年度予算額一千百四万四千円に比較いたしますと、百二十二万円の増加となっております。  この経費は、裁判官訴追委員会における委員長職務雑費及び事務局職員給与に関する経費並びに訴追事案審査に要する旅費その他の事務費でありまして、前年度に比し増加となっておりますもののうちおもなものは、職員俸給等増加によるものであります。  何とぞよろしく御審議いただきたいと存じます。     —————————————
  12. 植木庚子郎

    ○植木主査 次に、裁判官弾劾裁判所予算説明を求めます。隈井事務局長
  13. 隈井亨

    隈井裁判官弾劾裁判所参事 昭和三十九年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算を御説明申し上げます。  昭和三十九年度国会所管裁判官弾劾裁判所歳出予算要求額は一千三百六十万二千円でありまして、これを前年度予算額一千二百七十二万三千円に比較いたしますと、八十七万九千円の増加となっております。  これは人件費等給与改定に基づく自然増加によるものでありますが、この要求額事項別に御説明申し上げますと、まず、裁判官弾劾裁判所運営に必要な経費といたしまして、一千三百三万円を計上しております。これは、当所の運営に必要な裁判長職務雑費裁判員調査旅費並びに事務局人件費事務費等であります。  次に裁判に必要な経費といたしまして、五十七万二千円を計上いたしております。これは、裁判官弾劾法に基づく裁判官弾劾裁判に必要な旅費庁費等であります。  以上簡単でありますが、概略説明を終わります。よろしく御審査のほどお願い申し上げます。     —————————————
  14. 植木庚子郎

    ○植木主査 次に、裁判所所管説明を求めます。関根最高裁判所事務総長
  15. 関根小郷

    関根最高裁判所長官代理者 昭和三十九年度裁判所所管予定経費要求額について、御説明申し上げます。  第一といたしまして、昭和三十九年度裁判所所管予定経費要求額総額は三百三十九億五千九百七十四万二千円でございまして、これを前年度予算額二百十九億二百十三万三千円に比較いたしますと、差し引き二十億五千七百六十万九千円の増加になっております。  この増加額内訳を大別して申し上げますと、人件費におきまして十六億一千六十二万七千円、営繕費におきまして二億五千百十九万三千円、裁判費におきまして一億二千五百六十一万七千円、その他一般司法行政事務を行なうために必要な旅費庁費等におきまして七千十七万二千円であります。  次に、昭和三十九年度予定経費要求額のうち、おもな事項について御説明申し上げます。  第一に、交通事件処理円滑化に必要な経費でございまして、激増する交通癖件を迅速に処理いたしますため、昭和三十八年から特に事件の多い地域におきまして交通切符制による即日処理を実施いたしておりますが、事件増加はその後も著しく、これを円滑に処理するために必要な経費といたしまして簡易裁判所交通事件処理につき、簡易裁判所判事五人、裁判所書記官十九人、裁判所事務官三十四人の増員に要する人件費として一千六百二十万七千万、家庭裁判所の少年の交通事件処理につきまして、家庭裁判所調査官四十人、裁判所書記官九人、裁判所事務官十三人の増員に要しまする人件費として一千八百九十八万五千円、務能率器具購入費といたしまして百五十万円、合計三千六百六十九万二千円が計上されたのでございます。  第一といたしまして、訴訟の迅速適正な処理に必要な経費といたしまして、近時、事件増加複雑化の著しい東京、大阪等大都市地方裁判所裁判の適正と迅速化をはかるための裁判官等増員と、裁判事務処理能率向上のための機械化に要する経費といたしまして、判事五人、判事補五人、裁判所書記官二十人の増員に要する人件費一千六百四十五万七千円。裁判事務処理機械化に要する経費といたしまして七千九百十二万八千円、合計九千五百五十八万五千円が計上されたのでございます。  第三といたしまして、補助機構整備充実に必要な経費でございますが、裁判所書記官事務量増加に伴い、現在裁判所書記官事務を恒常的に取り扱っている裁判所書記官補定員を、裁判所書記官定員に組みかえ、裁判官補助機構を合理的に再編成するために必要な経費といたしまして、裁判所書記官補定員六百九十四人を裁判所書記官定員へ組みかえに要する人件費三千九百二十一万九千円が計上されたのでございます。  第四といたしまして、執務環境整備に要する経費でございますが、下級裁判所庁舎整備に必要な経費といたしまして、下級裁判所庁舎継続工事二十五庁、新規工事二十四庁の新営工事費として二十億四百九十二万七千円、その他法廷の増築庁舎補修等施設整備費として二億六千万円、庁舎新営に伴います敷地買収のための不動滝購入費換地清算金を含みますが、四千九百十四万五千円、営繕事務費として四千四百六十一万五千円、計二十三億五千八百六十八万七千円。事務用器具整備に必要な経費として、執務環境を改善し事務能率向上をはかるため、事務用器具整備するに必要な経費といたしまして一千七百九十万円がそれぞれ計上されたのでございます。  第五といたしまして、最高裁判所庁舎の新営に必要な経費として、最高裁判所庁舎は、終戦後日大審院の建物を改修したもので、かなり老朽の度を加えており、かつ狭隘で、最高裁判所庁舎として必ずしも適当ではないので、これが新営は多年の懸案でありましたが、このたび、三宅坂パレスハイツあとに新庁舎が建設されることとなり、その準備のための経費として、敷地調査整備費等五百万円が計上されたのでございます。  第六といたしまして、裁判費。これは裁判に直接必要な経費でありまして、国選弁護人報酬、証人及び調停委員等旅費日当その他裁判に直接必要な旅費庁費等として十八億三千八百七十九万一千円が計上されたのでございます。  第七として、国選弁護人調停委員等待遇改善に必要な経費でございますが、国選弁護人報酬現行基準、たとえば地方裁判所一件六千二百円を約一〇%増額、たとえば地方裁判所一件六千八百円とするに必要な経費として一千九百四十六万五千円。調停委員等日当増額といたしまして、調停委員司法委員及び参与員等日当を、現行七百円から八百円に増額するに必要な経費といたしまして六千百四十四万五千円がそれぞれ計上されたのでございます。  最後に、刑事補償金増額に必要な経費といたしまして、刑事補償金は、昭和二十五年刑事補償法が制定されて以来据え置かれておりますが、その後の物価の変動、賃金の上対等の事情に照らしまして、増額する必要がございますので、現行一日二百円以上四百円以下を、四百円以上千円以下に改訂するため必要な経費として六百十五万六千円が計上されたのでございます。  以上が昭和三十九年度裁判所所管予定経費要求額の大要でございます。よろしくお願い申し上げます。     —————————————
  16. 植木庚子郎

    ○植木主査 次に、会計検査院所管説明を求めます。上村事務総長
  17. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 昭和三十九年度会計検査院所管歳出予算について御説明申し上げます。  昭和三十九年度会計検査院所管一般会計歳出予算要求額は十億八千七百十六万二千円でありまして、これは会計検査院日本国憲法第九十条及び会計検査院法規定に基づいて会計検査を行なうために必要な経費であります。  いま、要求額のおもなものについて申し上げますと、職員一千二百十二人分の俸給給与手当等として八億八千八十九万一千円を計上いたしましたが、これは総額の八一%にあたっております。  職員を現地に派遣し実地について検査するための旅費として八千三百六十一万三千円を計上いたしましたが、このうちには沖繩援助費及び海外移住事業団実地検査を実施するための外国旅費二百三十四万一千円が含まれております。  事務上必要な備品、消耗品通信運搬印刷製本光熱水料等庁費関係経費として五千九十三万一千円を計上いたしました。  庁舎施設関係経費といたしまして、前年度に引き続き庁舎増築工事費を三千六百三十六万五千円計上したほか、庁舎外壁タイル張り改修工脚費として三千十三万三千円を計上いたしました。  なお、検査を強化するため、参事官一人、上席調査官三人、調査官十六人の増員と、上席調査官二人の振りかえ設置を計上いたしました。  次に、ただいま申し上げました昭和三十九年度歳出予算要求額十億八千七百十六万二千円を前年度予算額九億七千八百三十四万四千円に比較いたしますと、一億八百八十一万八千円の増加となっておりますが、その内訳について申し上げますと、職員俸給給与手当等において、七千四百七十七万八千円、実地検査旅費において二百二十一万二千円、庁費関係経費において五百九十万三千円、その他、庁舎増築等経費を合わせまして二千五百九十二万五千円となっております。  以上、はなはだ簡単でございますが、昭和三十九年度会計検査院所管一般会計歳出予算要求額概要の御説明を終わります。よろしく御審議のほどお願いいたします。     —————————————
  18. 植木庚子郎

    ○植木主査 次に、内閣及び総理府所管説明を求めます。野田総務長官
  19. 野田武夫

    野田政府委員 昭和三十九年度における内閣及び総理府所管歳出予算案について、その概要を御説明いたします。  内閣所管昭和三十九年度における歳出予算要求額は十八億六千二百七十八万一千円でありまして、これを前年度歳出予算額十五億九千九百八十六万円に比較いたしますと、二億六千二百九十二万一千円の増額となっております。  内閣所管歳出予算に計上いたしましたものは、内閣官房内閣法制局、人事院、憲法調査会国防会議及び臨時司法制度調査会事務の執行に必要な経費であります。  次に、総理府所管昭和三十九年度における歳出予算要求額は五千六百十六億三千七百三十万八千円でありまして、これを前年度歳出予算額四千九百六十四億九百六十五万八千円に比較いたしますと、六百五十二億二千七百六十五万円の増額となっております。  総理府所管歳出予算に計上いたしましたものは、総理本府のほかに公正取引委員会国原公安委員会土地調整委員会及び首都圏整備委員会の四つの委員会と、宮内庁、行政管理庁、北海道開発庁、防衛庁(防衛施設庁を含む。)、経済企画庁及び科学技術庁の六庁の外局に関するものでありますが、このうち、経済企画庁に関する歳出予算計上額百五十六億六千二百四十七万五千円につきましては、他の分科会において御審議を願っておりますので、経済企画庁以外のおもなる経費について、以下予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、総理本一般行政等に必要な経費二十八億九千百四十五万三千円、文官等に対する恩給支給に必要な経費百八十四億九千百八十四万六千円、旧軍人遺族等に対する恩給支給に必要な経費一千二百二十二億四千九百五十六万七千円、沖繩援助等に必要な経費二十億三千五百五十三万円、警察行政に必要な経費二百二十七億四千百九万二千円、北海道の開発事業に必要な経費八苦九億八千五百三十五万九千円、防衛本庁に必要な経費二千六百十二億五千九百十三万二千円、防衛施設庁に必要な経費百三十三億九千九十六万円、科学技術庁に必要々経費百四十九億二千二百三十七万九千円等であります。  次に、その概要を御説明いたしますと、総理本一般行政等に必要な経費は、政府政策に関する広報活動積極的推進生存者及び戦没者等の叙勲、青少年対策推進対外経済協力推進及び臨時在外財産問題等のための経費であり度して、前年度に比較して二億六千百三十六万八千円の増額となっております。  文官等に対する恩給支給に必要な経費は、恩給法等に基づいて退職した文官等に対して年金及び恩給を支給し、また国会議員互助年金法に基づいて退職した国会議員に対して互助年金を支給するための経費でありまして、昭和三十九年度におきましては、新たに昭和三十九年十月から実施することとして、恩給金額改定年齢制限撤廃琉球政府職員及び奄美群島教育職員恩給是正外国特殊機関職員期間通産等のための経費を計上しておりますが、失権等に伴う減少がありまして、前年度に比較して七億八千八百四十万一千円の増額となっております。  旧軍人遺族等に対する恩給支給に必要な経費は、恩給法等に基づいて旧軍人及び遺族に対して恩給を支給するための経費でありまして、昭和三十九年度におきましては、新たに昭和三十九年十月から実施することとして、恩給金額改定年齢制限撤廃、傷病年金受給者の妻に対する家族加給、特別扶助料の支給範囲拡大及び南西諸島における戦地加算算入のための経費を計上しておりますが、失権等に伴う減少がありまして、前年度に比較して書五十億三千六百二十一万三千円の増額となっております。  沖繩援助等に必要な経典は、沖繩における農林漁業資金、土地改良事業、護岸、漁港等施設整備及び土地調査等の産業開発関係その他社会的福祉、医療、文教、技術関係の援助並びに南方同胞援護会に対する補助等のための経費であり、医療、文教等の援助経費につきましては、その執行にあたって必要に応じ、それぞれ関係各省の所管に移しかえて使用されるものでありまして、前年度に比較して四千七百三十八万一千円の増額となっております。  警察行政に必要な経費は、警察庁及びその付属機関並びに地方機関の経費及び都道府県警察費補助のための経費でありまして、前年度に比較して二十億四千八百六十四万七千円の増額となっております。  北海道の開発事業に必要な経費は、北海道における土地改良、農用地開発、漁港、住宅、林道及び造林事業等の経費と、治水、通路整備及び港湾整備率業等の経費に充てるための財源の各特別会計への繰り入れ金等であり、事業費については、その執行にあたって必要に応じそれぞれ関係各省の所管に移しかえて使用されるものでありまして、前年度に比較して百二十七億八千九百九万六千円の増額となっております。  防衛本庁に必要な経費は、長官官房及び各局並びに統合幕僚会議、付属機関、陸上、海上及び航空各自衛隊の維持運営に必要な経費でありまして、前年度に比較して二百六十億九千六百四十七万七千円の増額となっております。  防衛施設庁に必要な経費は、行政協定及び地位協定による在日合衆国軍隊並びに国連軍協定による国際連合軍隊などに対する施設区域の提供に伴って日本側が負担する経費及び駐留軍、国連軍の行為に基づき生じた補償金並びに駐留米軍及び歳出外資金諸機関の使用する労務者の労務管理の処理等の経費でありまして、前年度に比較して十六億一千九百十九万二千冊の増額となっております。  科学技術庁に必要な経費は、原子力平和利用の促進、宇宙開発の推進、科学技術の重要総合研究の推進、試験研究機関の整備充実等のための経費でありますが、試験研究費につきましては、その執行にあたって必要に応じそれぞれ関係各省の所管に移しかえて使用されるものでありまして、前年度に比較して十六億五千七百五十一万三千円の増額となっております。  なお、総理府所管におきましては、他に五百二十五億六千三百六十八万六千円の国庫債務負担行為を計上いたしております。  そのおもなものは、防衛本庁におきまして、航空機購入、器材整備、弾薬購入、施設整備及び艦船建造について四百三十三億五千五百九十七万四千円、科学技術庁におきまして、日本科学技術情報センター出資、日本原子力研究所出資、原子燃料公社出資、日本原子力船開発事業団出資、核燃料物質の借り入れ等、国立機関原子力試験研究施設整備、航空宇宙施設整備、放射線医学研究施設整備及び防災科学技術研究施設整備について九十一億六千七百五十八万二千円等であります。  以上をもちまして昭和三十九年度内閣及び総理府研管の歳出予算計上額説明を終わります。  なお、詳細につきましては御質問に応じまして関係外政府委員からお答えいたすことにいたします。よろしく御審議あらんことをお願いいたします。     —————————————
  20. 植木庚子郎

    ○植木主査 次に、防衛庁予算について補足説明を求めます。福田防衛庁長官。
  21. 福田篤泰

    ○福田(篤)国務大臣 昭和三十九年度防衛庁予算につきまして、その概要を御説明いたします。  昭和三十九年度の防衛庁の歳出予算総額は、二千六百十二億五千九百十三万二千円でありまして、これを昭和三十八年度歳出予算額二千三百五十一億六千二百六十五万五千円(補正予算を含む。)に比べますと、二百六十億九千六官四十七万七千円の増加となっております。  このほか、国庫債務負担行為として、航空機の購入について四十五億八千五百十七万二千円、器材の整備について三百四十一億三千六百二十四万八千円、弾薬の購入について二十六億千二百三十三万七千円、施設の整備について一億九千六百九十三万三千円、艦船の建造について十八億二千五百二十八万四千円、計四百三十三億五千五百九十七万四千円を計上し、さらに継続費として、昭和三十九年度甲型警備艦建造費について三十億五千五百六十一万九千円、昭和三十九年度甲II型警備艇建造費について四十億七千二百五十八万五千万、昭和三十九年度潜水艦建造費について三十九億七千百八十万四千円、合計百十一億八千円を計上いたしております。  また、職員の定数につきましては、防衛庁の昭和三十九年度職員定数は、自衛官二十四万六千九十四人、自衛官以外の職員二万七千二十九人、計二十七万三千百二十三人でありまして、これを昭和三十八年度職員定数に比べますと、自衛官二千百七十一人、自衛官以外の職員において七百六十一人、計二千九百三十二人の増加となっております。  次に、予算案の内容について組織別に申し上げます。  陸上自衛隊につきましては、第二次防衛力整備計画にのっとり、ホーク一個大隊を新編するほか、昭和三十六年度以来改編してきた十三個師団態勢の改編完了に伴い、後方支援能力の整備充実をはかる等のため、所要の改編増強を行なうこととしておりまして、昭和三十九年度末における陸上自衛隊の職員定数は、自衛官十七万千五百人、自衛官以外の職員一万三千六百三十人、計十八万五下百三十人となりますが、このほか予備自衛官五千人の増員を行なうことといたしております。次に陸上自衛隊の運営に必要な経費は、(項)防衛本庁千四十三億三千六百九十六万四千円、(項)航空機購入費九億六千九百四十七万円、(項)施設整備費三十億六千三百三十四万四千円、(項)施設整備等付帯事務費四千百三十五万三千円、計千八十四億千百十三万一千円でありまして、これを昭和三十八年度に比べますと、百二十七億七千八百七十円三千円の増加となっております。このうち(項)防衛本庁において百二十二億五千二百五万九千円の増加、項航空機購入費において三千八百五十一万四千円の増加、項施設整備費において四億七千三百二十八万八千円の増加、(項)施設整備等付帯事務費において千四百八十四万二千円の増加となっております。  このほか陸上自衛隊に属する分として、国庫債務負担行為で(事項)航空機購入十三億四千八十八万円、(事項)器材整備二十二億五百六十万円、(事項)弾薬購入十三億六千三百十万円、計四十九億九百五十八万円を計上いたしております。  海上自衛隊につきましては、昭和三十八年度及び昭和三十九年度就役艦艇の増及び就役航空機の増等に伴う要員確保のため、自衛官千六百七十二人、自衛官以外の職員四百六十人、計二千百三十二人を増量することといたしておりまして、昭和三十九年度末における海上自衛隊の職員定数は、自衛官三万四千九百六十三人、自衛官以外の職員四千九百八十人、計三万九千九百四十三人となります。  次に昭和三十九年度に増勢を計画している艦船といたしまして、甲型警備艇二千トン型一隻及び甲II型警備艦三千トン型一隻、潜水艦千六百トン型一隻、駆潜艇一隻、掃海艇二隻、支援船六隻、合計十二隻八千七百三十一トンの増加を予定しております。  これにより、昭和三十九年度末保有艦艇は、四百八十一隻、十五万千三百三十一トンとなる予定であります。また航空機の増強につきましては、前年度に引き続き対潜哨戒機P2V−7及び対潜ヘリコプターHSS2等の生産を行なうとともに、新たに対潜ヘリコプター四機、練習機二機を購入することにしておりますので、これらにより昭和三十九年度末の海上自衛隊の保有航空機数は二百五十機となります。  海上自衛隊の運営に必要な経費は、(項)防衛本庁四百十六億九千六十二万九千円、(項)航空機購入費三十九億六千六十万五千円、(項)航空機騒音対策費六千四百五十七万五千円、(項)施設整備費十六億四千再六十八万円、(項)艦船建造費二十億七百十六万円、(項)昭和三十五年度甲型警備艦建造費七億八千八万円、(項)昭和三十六年度潜水艦建造費十二億九百七十八万六千円、(項)昭和三十七年度甲型警備艦建造費十四億七千四百九十八万四千円、(項)昭和三十八年度甲型備艦建造費十五億六百二十五万六千円、(項)昭和三十八年度甲II型警備艦建造費八億六千三百六十一万円、(項)昭和三十八年度潜水艦建造費七億八千七百十九万八千万、(項)昭和三十九年度甲型警備艇建造費五億四千百二十九万九千万、(項)昭和三十九年度甲II型警備艦建造費七億二千八百十八万三千円、(項)昭和三十九年度潜水艦建造費六億六千六百五十三万六千円、(項)施設整備等附帯事務費一億七千二百三十二万六千円、計五百八十億九千四百九十万七千円でありまして、これを昭和三十八年度に比べますと五十一億三千四百二万円の増加となっております。  このうち、項防衛本庁において二十六億九千百五十八万円の増加、(項)航空機購入費において十六億九千二十三万四千円の増加、(項)航空機騒音対策費において六千四百五十七万五千円の増加、(項)施訓整備費において五億三百五十九万四千円の減少、(項)艦船建造費の合計において十一億五千二百七十九万二千円の増加、(項)施設整備等附帯事務費において三千八百四十二万三千円の増加となっております。  このほか、海上自衛隊に属する分として、国庫債務負担行為で(事項)航空機購入十七億八百六十二万九千円、(事項)器材整備四十四億六千八百百十二万七千円、(事項)弾薬購入八億五千六百七十七万七千円、(事項)施設整備一億千五百九十三万三千円、(事項)艦船建造十八億二千五百二十八万四千円、計八十九億七千四百七十五万円、また、継続費の昭和四十年度以降の年割額として、(項)昭和三十九年度甲型警備艦建造費、(項)昭和三十九年度甲II型警備艇建造費及び(項)昭和三十九年度潜水艦建造費で九十一億六千三百九十九万円を計上いたしております。  航空自衛隊につきましては、F104J飛行隊の新編等に要する自衛官四百九十六人を増員することにいたしておりますので、昭和三十九年度末の航空自衛隊の職員定数は、自衛官三万九千五百五十三人、自衛官以外の職員五千三百五十六人、計四万四千九百九人となります。  次に、航空機の増強につきましては、前年度に引き続きF104J戦闘機を取得するとともに、輸送機YS11二機及び救難ヘリコプターS62二機の購入をはかりますので、昭和三十九年度末の航空自衛隊の保有航空機は実用機七百二十一機、練習機四百三十二機、計千百五十三機となります。  航空自衛隊の運営に必要な経費は、(項)防衛本庁五百六十七億七百六十五万四千円、(項)航空機購入費二百六十五億四千四百七十六万四千円、(項)航空機騒音対策費十三億四千三百四十二万円、(項)施設整備費三十六億千五百七十九万三千円、(項)施設整備等附帯事務費四千八百二万六千円、計八百八十二億五千九百六十五万七千円でありまして、これを三十八年度に比べますと七十七億五千六百四十五万九千円の増加となっております。  このうち、項防衛本庁におきまして五十一億千八百六万二千円の増加、(項)航空機購入費において三十一億二千九百七十一万九千円の増加、(項)航空機騒音対策費において八億五千四百万六千円の減少、(項)施設整備費におい二二億六千二百十九万四千円の増加、(項)施設整備等附帯事務費において四十九万円の増加となっております。  このほか、航空自衛隊に属する分として、国庫債務負担行為で、(事項)航空機購入十五億三千五百六十六万三千円、(事項)器材整備二百六十六億五千八百五十八万四千円、(事項)弾薬購入三億九千二百四十六万円、計二百八十五億八千六百七十万七千円を計上いたしております。  長官官房及び各局、統合幕僚会議、防衛研修所、防衛大学校、技術研究本部並びに調達実施本部の職員定数は、自衛官七十八人、自衛官以外の職員二千六十三人、計三千百四十一人でありまして、昭和三十八年度に比べますと、自衛官三人、自衛官以外の職員七十人、計七十三人の増加となっております。  次に、長官白房及び各局並びに統合幕僚会議に必要な経費は、項防衛本庁十二億三千三百九十八万六千円、(項)施設整備費千四百八十八万七千円、(項)施設整備等附帯事務費二十二万三千円、計十二億四千九百九万六千円でありまして、昭和三十八年度に比べますと、(項)防衛本庁において一億二千六百五十六万四千円の増加、(項)施設整備費おいて五千七百十四万六千円の減少、(項)施設整備等附帯事務費において八十五万七千円の減少、計大千八百五十六万一千円の増加となっております。  また、付属機関、すなわち防衛研修所、防衛大学校、技術研究本部及び調達実施本部の運営に必要な経費は、(項)防衛本庁二十五億二百六十五万一千円、(項)研究開発費二十三億二千四百六十一万三千円、(項)施設整備費四億千九十九万二千円、(項)施設整備等附帯事務費六百八万五千円、計五十二億四千四百三十四万一千円でありまして、昭和三十八年度に比べますと、項防衛本庁において二億千六百八十八万五千円の増加、(項)研究開発費において一億六千五万七千円の増加、(項)施設整備費において千七百三十二万五千円の減少、(項)施設整備等附帯専務費において八十七万三千円の減少、計三億五千八百七十四万四千円の増加となっております。  以上の経費のほか、技術研究本部に国庫債務負担行為として、(事項)器材整備八億三百九十三万七千円、(事項)施設整備八千百万円、計八億八千四百九千三万七千円を計上いたしております。  以上をもちまして防衛庁予算概略説明を終わります。  次に、昭和三十九年度(組織)防衛施設庁歳出予算要求額について、その概要を御説明いたします。  昭和三十九年度の(組織)防衛施設庁歳出予算要求総額は百三十三億九千九十六万円で、これを昭和三十八年度予算額百十七億七千百七十六万八千円に比べますと、十六億一千九百十九万二千円の増額となっております。  これを項別に見ますと、(項)防衛施設庁二十七億七千九百九十九万八千円、(項)調達労務管理事務費八億三千四百八十一万四千円、(項)施設提供等諸費九十七億七千六百十四万八千円であります。  なお、昭和三十八年度までありました(項)国際連合軍等関係補償費につきましては、昭和三十九年度から(項)施設提供等諸費に統合して計上されております。  次に、各項別について御説明いたしますと、(項)防衛施設庁、この項より支出するものは、防衛施設庁業務遂行に必要な人件費及び物件費でありまして、この要求額は二十七億七千九百九十九万八千円であり、昭和三十八年度の二十八億三千九十万八千円と比較いたしますと、五千九十一万円の減額となっております。増額したおもなものは、人件費給与ベース引き上げに伴うもの一億二千九十一万三千円、その他百五十六万円、計一億二千二百四十七万三千円、減額したおもなものは、庁舎新営費一億七千三百三十八万三千円でありまして、差し引き五千九十一万円の減額となっております。  (項)調達労務管理事務費、この項より支出するものは、駐留米軍及び歳出外資金諸機関の使用する労務者の労務管理を処理するため必要な経費であります。この要求額は八億三千四百八十一万四千円でありまして、これを昭和三十八年度の八億一千七百七十二万三千円と比較いたしますと、一千七百九万一千円の増額となっております。増額したものは、支給単価改定に伴う特別給付金二千五百六十八万五千円、人件費の引き上げに伴う八百十九万八千円、労務者職業訓練委託費四百六十三万二千円、その他二百五十七万七千円、計四千百九万二千円、減額したものは、労務者宿舎施設整備費二千三百六万二千円、その他九十三万九千円、計二千四百万一千円でありまして、差し引き一千七百九万一千円の増額となっております。  (項)施設提供等諸費、この項より支出するものは、行政協定及び地位協定による在日合衆国軍隊並びに国連軍協定による国際連合軍隊などに対する施設区域の提供に伴って日本側が負担する経費、及び駐留軍、国連軍の行為に基づき生じた損失の補償などに要する経費であります。要求額は九十七億七千六百十四万八千円でありまして、これを昭和三十八年度の八十一億二千三百十三万七千円と比較しますと、十六億五千三百一万一千円の増額となっております。増額したものは、提供施設借料三億二百七十二万七千円、不動産購入費三億七千四万六千円、施設提供関連事業費補助金一億一千六百一万九千円、教育施設等騒音防止対策事業費補助金八億五千万円、特別損失防止対策事業費補助金八千九百八十五万四千円、その他七千百四十万五千円、計十八億五万一千円となっております。減額したものは、事故給付金一億四千五百五十四万円、その他百五十万円、計一億四千七百四万円でありまして、差し引き十六億五千三百一万一千円の増額になっております。  以上が(組織)防衛施設庁として計上いたしております経費概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛成くださるようお願いいたします。
  22. 植木庚子郎

    ○植木主査 次に、科学技術庁予算の補足説明を求めます。鹿島政務次官。
  23. 鹿島俊雄

    ○鹿島政府委員 昭和三十九年度における科学技術庁関係の予算案について御説明申し上げます。  まず、昭和三十九年度一般会計予算要求額のうち総理府所管として計上いたしましたのは、歳出予算額百四十九億二千二百万円、国庫債務負担行為額九十一億六千七百万円でありますが、このほかに、大蔵省所管として計上いたしましたものが、歳出予算額二十億円、国庫債務負担行為額七億三千七百万円ありますので、これを合計いたしますと、歳出予算額百六十九億二千二百万円、国庫債務負担行為額九十九億四百万円となり、これを昭和三十八年度歳出予算額百四十七億五千八百万円、国庫債務負担行為額四十八億六千二百万円に比較いたしますと、歳出予算額二十一億六千四百万円、国庫債務負担行為額五十億四千二百万円のそれぞれ増額となっております。  次に、予算要求額のうち、おもなるものについてその大略を御説明申し上げます。  第一に、科学技術庁一般行政費、科学技術会議、原子力委員会等各種審議会の運営費及び資源の総合的利用方策の調査等に必要な経費をはじめとし、科学技術者の海外留学のための渡航費、発明実施化の促進をはかるための助成費、科学技術試験研究に対する助成費、日本科学技術情報センターの業務に必要な経費等、及び特別研究促進調整費として、歳出予算額十五億八千四百万円、国庫債務負担行為額三億五千万円を計上いたしました。これを昭和三十八年度予算額に比較いたしますと、歳出予算額一億四千五百万円、国庫債務負担行為額三億五千万円の増額となっております。  第二に、原子力に関する研究開発利用の推進をはかるため、日本原子力研究所及び原子燃料公社の施設を整備するための経費、日本原子力船開発事業団の原子力第一船建造費、国立機関、民間機関等の行なう原子力平和利用試験研究に必要な経費、放射能対策のための調査研究に必要な経費等として、歳出予算額九十五億四千百万円、国庫債務負担行為額八十五億四千二百万円を計上いたしました。これを昭和三十八年度予算額に比較いたしますと、歳出予算額十億三千四百万円、国庫債務負担行為額五十二億六千三百万円の増額となっております。  第三に、所管試験研究機関等についてでありますが、航空宇宙技術研究所、金属材料技術研究所及び放射線医学総合研究所の研究施設等整備に必要な経費並びに昨年発足いたしました国立防災科学技術センターの整備に必要な経費のほか、新たに設置を予定しております宇宙開発推進本部におけるロケット等の開発に必要な経費等として、歳出予算額三十七億九千八百万円、国庫債務負担行為額二億七千五百万円を計上いたしました。これを昭和三十八年度予算額に比較いたしますと、歳出予算額四億七千九百万円の増額国庫債務負担行為額八億八千六百万円の減額となっております。  以上申し述べましたもののほか、大蔵省所管に計上いたしました新技術開発事業団及び理化学研究所の事業運営費に充てるための政府出資金として、歳出予算額二十億円、国庫債務負担行為額七億三千七百万円がございます。これを昭和三十八年度予算額に比較いたしますと、歳出予算額五億六百万円、国庫債務負担行為額三億一千五百万円の増額となっております。  最後に、原子力損害を賠償することにより生ずる原子力事業者の損失を国が補償するため、原子力事業者と補償契約を締結することのできる金額総額を八十八億円と予定いたしました。  以上、簡単でありますが、昭和三十九年度科学技術庁関係の予算案について、その概略を御説明申し上げました。よろしく御審議のほどお願いいたします。     —————————————
  24. 植木庚子郎

    ○植木主査 次に、法務省所管予算説明を求めます。天埜政務次官。
  25. 天埜良吉

    天埜政府委員 昭和三十九年度法務省所管予算の内容につきまして、大要を御説明申し上げます。  昭和三十九年度予定経費要求額は、四百九十四億一千二百九十万四千円であります。このほかに、官庁営繕費として、建設省所管予算中に、法務本省第二新館新営工事費六千六百九十九万六千円が計上されております。前年度当初予算額四百二十二億二千六百二十四万円に比して、法務省所管分は、七十一億八千六百六十六万四千円の増額となっております。なお、前年度の補正後予算額四百三十五億七千三百八十三万六千円に比較して、五十八億三千九百六万八千円の増額となっております。  増額分の内訳を大別して御説明いたしますと、  第一に、人件費関係の四十二億一千二百八十二万五千円であります。これは、昨年十月から実施されました公務員給与ベースの改定に伴う増額分及び昇給等原資としての職員俸給等増額分がおもなものでありますが、そのほかに、検事、副検事、検察事務官、登記関係職員、入国審査官、公安調査官等六百十名の増員、——別に大村入国者収容所の収容人員減に伴う関係職員二十四名の減員があります——に伴う所要人件費が含まれております。  第二に、営繕施設費の十九億四千五百七十万六千円であります。これには、名古屋、福岡両刑務所の国庫債務負担行為契約に基づいて名古屋市及び福岡市の建設した施設を取得する経費が計上されたことによる増額分が含まれております。  第三に、その他一般事務費としての十億二千八百十三万三千円であります。これは、事務量増加に対応して増額されたもののほか、積算単価の是正及び要務能率器具その他の備品の整備等事務の改善に伴う増額分等でありますが、そのおもな事項について申し上げますと、  一、法秩序の確立のためのものとしまして、暴力、公安検察、麻薬犯罪取り締まりの強化をはかるための検察体制の拡充強化経費、刑法改正作業の迅速をはかるための経費、不法出入国看取り締まりのための違反調査経費、及び破壊活動調査機能の充実のための団体調査経費増額分として、一億五千七百二十九万九千円があります。  二、非行青少年対策としまして、青少年検察、少年院の教化活動、少年鑑別、保護観察、少年非行予防対策の研究等の充実強化をはかるための経費増額分として、一億四千五百二十二万六千円があります。  三、道路交通法違反、業務上過失致死傷事件等の交通事件に関する検察取り締まりの充実をはかるための経費増額分として、四千二百四十六万四千円があります。  四、矯正関係収容者の処遇改善のため収容者に支給する作業賞与金、業代、生活用品・薬品の単価の増額等に伴う増額分として、一億六千七百五十七万二千円があります。  五、刑務所における刑務作業を充実するため、紙細工等の低格作業を出所後の更生に役立つ有用作業に切りかえることに要する機械器具の整備及び原材料購入に要する経費増額分として、一億五千九百五十万一千円があります。  六、基本的人権擁護の伸長をはかるために行なわれております扶助の充実を期するのに要する経費等の増額分として、四千六百二十三万三千円があります。  さらに、昭和三十九年度新たに予算に計上された事項経費として、第一に、本年十月東京において開催を予定されているオリンピック大会に伴う出入国者の審査を迅速、適正に行なう必要がありますので、これに要する経費として五百六十七万一千円が計上されております。第二に、商業登記法に基づく商業及び法人登記の事務を改善する必要がありますので、これに要する経費として一千二百二十一万四千円が計上されております。  次に、増員六百十名の内容としましては、一、破壊活動調査機能を充実するため、公安調査官二百名、二、公判審理を迅速に処理するため、検事五名、検察事務官五名、計十名、三、交通事件事務処理機能を充実強化するため、副検事十名、検察事務官七十一名、鑑別技官十名、計九十一名、四、非行青少年対策を強化するため、七十二名、1、少年院教化活動の充実、教官五十名、2、保護観察所機能の充実、保護観察官二十二名、五、登記台帳事件増加に対処して、その事務処理を円滑適正化するため、法務事務官二百名、六、羽田入国管理事務所における出入国者の増加に対処して、その出入国審査業務を適正迅速化するため、入国審査官十二名、七、その他の入国管理事務所出張所新設に対処して、入国審査官三名、入国警備官二名、計五名、八、出入国、在留資格等審査業務増加に対処して、その事務処理を適正迅速化するため、入国審査官六名、入国警備官六名、計十二名、九、国を当事者とする民事及び行政事件の訴訟事務増加に処して、その事務処理を適正迅速化するため、法務事務官三名、十、法務本省の健康管理要員として、医療職員、薬剤士一名、看護婦四名、計五名、となっております。なお別に、前述いたしましたが、大村入国者収容所の収容人員の減少に伴い、入国警備官十一名、事務員四名、傭人九名、計二十四名の減員があります。  次に、おもなる事項経費について、概略を御説明申し上げます。  第一に、外国人登録法に基づき、在日外国人の登録事務処理するために要する経費として一億二千九百三十三万八千円、第二に、法務局、地方法務局において登記、台帳、供託、戸籍等の事務処理するために要する経費として七億一千七百九十二万九千円、第三に、検察庁において処理する一般刑事事件その他各種犯罪事件についての直接検察活動に要する経費として六億一千九百二十四万一千円、第四に、拘置所、刑務所、少年刑務所、少年院、少年鑑別所及び婦人補導院の一日平均収容予定人員の合計七万九千七百人の衣食、医療及び就労等に要する経費として、五十九億三千七百七十三万二千円、第五に、犯罪者予防更生法、更生緊急保護法及び執行猶予者保護観察法に基づき、刑余者及び執行猶予者を補導監督し、これを更生せしめるための補導援護に要する経費として七億五百九十一万五千円、第六に、出入国管理令に基づき、退去を強制される者の護送、収容、送還に必要な衣食、医療等に要する経費として五千六百五十七万八千円、第七に、公安調査庁において処理する破壊活動防止のための調査活動等に要する経費として八億五千六百四十八万五千円、第八に、検察庁、法務局等の庁舎及び刑務所、少年院等収容施設の新営、整備、移転に要する経費として四十二億五千二百三十四万一千円がそれぞれ計上されております。  以上が、法務省所管歳出予算予定経費要求の大要であります。  最後に、当省主管歳入予算について一言御説明申し上げます。  昭和三十九年度法務省主管歳入予算額は百九十四億一千九百九十一万二千円でありまして、前年度予算額百二十億二千四百七十六万三千円に比し、七十三億九千五百十四万九千円の増額となっております。  これは過去の実績等を基礎として算出したものでありまして、増額となったおもなものは、罰金及び科料と刑務作業収入であります。  以上、法務省所管昭和三十九年度予算について、その概要を御説明申し上げました。よろしく御審議を賜わりますようお願い申し上げます。
  26. 植木庚子郎

    ○植木主査 次に、大蔵省関係予算説明を求めます。纐纈政務次官。
  27. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 ただいまから、昭和三十九年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算について御説明いたします。  まず、一般会計歳入予算額は三兆二千五百五十四億三千八百万円でありまして、これを前年度予算額三兆五百六十八億七百万円に比較いたしますと一千九百八十六億三千百万円の増加となっております。  以下、歳入予算額のうちおもなる事項について内容を御説明いたします。  第一に、租税及印紙収入の総額は二兆九千四十二億七千三百万円でありまして、前年度予算額に比し三千九百二十一億五千万円の増加となっております。  この予算額は、現行の税法によって見積もった場合の租税及び印紙収入見込額二兆九、千八百七十九億千万円から、今次の税制改正に伴う所得税法人税等の一般的減税、租税特別措置及び税制の整備による減収見込み額千三億二千三百万円を差し引き、揮発油税の増徴による増収見込み額百八十二億三千四百万円及び関税率の改定等による減収見込み額十五億四千八百万円を調整したものであります。  次に、各税目別におもなるものを申し上げますと、まず所得税につきましては、今次の税制改正に伴う基礎控除、配偶者控除、扶養控除、専従者控除及び給与所得控除の引き上げ等による減収額六百五十五億二百万円を見込み、七千七百二十二億五千八百万円を計上いたしました。  法人税につきましては、今次の税制改正に伴う耐用年数の短縮、軽減税率の適用範囲の拡大、同族会社の留保所得課税の軽減等による減収額三百億四千九百万円のほか、租税特別措置及び税制の整備に伴う減収額二十億七千万円を見込み、一兆百四十九億九千六百万円を計上いたしました。  相続税につきましては、今次の税制改正に伴う遺産にかかる基礎控除の引き上げ等による減収額二十七億二百万円を見込み、三百六十五億二千六百万円を計上いたしました。  揮発油税につきましては、道路整備計画の改定に伴う税率の引き上げによる増収額百八十二億三千四百万円を見込み、二千三百三十七億九百万円を計上いたしました。  関税につきましては、今次の関税率の改定による減収額二十七億千九百万円を見込み、二千四十三億峯千四百万円を計上いたしました。  とん税につきましては、今次の税制改正に伴う税率の引き上げによる増収額十一億七千百万円を見込み、二十三億四千二百万円を計上いたしました。  以上申し述べました税目のほか、酒税三千五百二十億二千百万円、砂糖消費税二百六十二億八十五百万円、物品税千五百十三億二千四百万円及びその他の各税目並びに印紙収入を加え、租税及び印紙収入の合計額は二兆九千四十二億七千三百万円となっております。  第二に、専売納付金は千五百六十七億九千八百万円でありまして、前年度予算額に比し十一億七千百万円の減少となっております。これは、日本専売公社納付金において十億九千七百万円、アルコール専売業特別会計納付金において七千四百万円、それぞれ減少することによるものであります。  第三に、官業益金及び官業収入は百五十三億七千六百万円で、前年度予算額に比し百五億六千四百万円の減少となっております。これは、印刷局特別会計受け入れ金において六億千三百万円増加いたしており、また、病院収入において通常の増収額十六億七千八百万円が見込まれますが、従来の学校附属病院等収入を新設される国立学校特別会計へ振りかえることとしたため、差し引き百十一億七千七百万円減少することによるものであります。  第四に、政府資産整理収入は二百三十一億五千三百万円で、前年度予算額に比し七億六百万円の増加となっております。  この収入のうちおもなるものは、国有財産売り払い収入百十六億五千四百万円、有償管理がえ収入十七億三千八百万円、地方債証券償還収入九十一億五千二百万円となっております。  第五に、雑収入は七百九十七億八千五百万円で、前年度予算額に比し四十一億千四百万円の増加となっております。この収入のうち、おもなるものは、日本銀行納付金二百八十億五千二百万円、日本中央競馬会納付金五十億三千三百万円、特別会計受け入れ金五十一億八千百万円、懲罰及び没収金百五十六億三千五百万円等であります。  最後に、前年度剰余金受け入れにおきましては、昭和三十七年度の決算によって同年度に新たに生じた純剰余金七百六十億五千百万円を計上いたした次第であります。  次に、当省所管一般会計歳出予算額は二千五百億四千五百万円でありまして、これを前年度予算額三千百九十五億四千七百万円に比較いたしますと、六百九十五億二百万円の減少となっております。これは政府出資金において三十億六百万円、産業投資特別会計への繰り入れにおいて十五億円、海運業再建整備日本開発銀行交付金において七十億五千万円、予備費において百億円を増加いたしましたが、他方、国債費において七百六億四千七百万円、産業投資特別会計資金への繰り入れにおいて三百億円の減少を見たこと等によるものであります。この歳出予算額をまず組織に大別いたしますと、大蔵本名千九百四十六億六千九百万円、財務局五十二億六千五百万円、税関五十一億五千四百万円、国税庁四百四十九億五千七百万円となっております。以下、この歳出予算額のうち、おもなる事項について内容を御説明いたします。  まず、国債費につきましては、四百五十五億四百万円を計上いたしておりますが、この経費は、一般会計の負担に属する国債の償還、国債の利子及び大蔵省証券発行割引料の支払い並びにそれらの事務取り扱いに必要な経費でありまして、国債整理基金特別会計へ繰り入れるものであります。このうち、国債の償還財源に充てる額につきましては、財政法第六条の規正に基づく三十七年度決算剰余金の二分の一に相当する額として、三百六十二億六百万円を計上いたしております。  次に、公務員宿舎施設費につきましては、五十二億六千四百万円を計上いたしておりますが、この経費は、国家公務員に貸与する国設宿舎の設置及び借り上げのため必要な経費でありまして、公務員宿書の充足がいまだ不十分である現況にかんがみ、前年度に比し十四億四百万円を増加し、その充足をはかろうとするものであります。  次に、賠償等特殊債務処理費につきましては二百五十六億千九百万円を計上いたしておりますが、この経費は、連合国との間に締結する条約に基づいて行なう賠償その他賠償等特殊債務処理特別会計法に規定する賠償等特殊債務の処理に充てるための財源を、同会計へ繰り入れるために必要な経費であります。  次に、産業投資特別会計への繰り入れにつきましては、五百七十二億円を計上いたしておりますが、この経費は、産業投資特別会計において行なう産業投資支出の財源に充てるため、一般会計から同特別会計へ繰り入れるものであります。  次に、政府出資金につきましては、農林漁業金融公庫等七機関に対し、一般会計から出資するために必要な経費として百三十八億円を計上いたしておりますが、その内訳は、農林漁業金融公庫十五億円、中小企業信用保険公庫四十五億円、医療金融公庫二十九億円、森林開発公団二十七億円、水資源開発公団二億円、新技術開発事業団五億三千万円、理化学研究所十四億七千万円となっております。  次に、海運業再建整備日本開発銀行交付金につきましては、七十億五千万円を計上しておりますが、この経費は、海運業の再建整備に関する臨時措置法に基づき、日本開発銀行が、整備計画を実施した海運企業に対し、船舶の建造融資にかかわる利子の支払いを猶予することに伴い、その猶予する額に相当する金額を日本開発銀行に交付するために必要な経費であります。  次に、予備費につきましては、予見しがたい予算の不足に充てるため三百億円を計上いたしております。  以上が大蔵本省に計上された歳出予算額のおもなるものでありますが、財務局、税関及び国税庁につきましては、その歳出予算額の大部分はこれら機関の事務処理のために必要な経費でありまして、その内容につきましては説明を省略させていただきたいと存じます。  次に、各特別会計の歳入歳出予算でありますが、当省所管の特別会計としては、造幣局特別会計をはじめ十一の特別会計がありますが、そのうちおもなる会計につきまして、概略を御説明いたします。  まず造幣局特別会計におきましては、歳入歳出とも九十一億円でありまして、前年度予算額に比し、いずれも二十七億二千五百万円の増加となっております。歳出増加のおもなる理由は、補助貨幣の製造経費等の増加によるものであります。  印刷局特別会計におきましては、歳入百三十九億三千七百万円、歳出百二十八億八千五百万円、差し引き十億五千二百万円の歳入超過であります。歳出におきましては、前年度予算額に比し、十三億九千二百万円の増加となっておりますが、これは、主として日本銀行券の製造量の増加に伴う経費及び工場施設等整備するため必要な経費増加によるものであります。  資金運用部特別会計におきましては、歳入歳出とも二千三百七十八億二千三百万円でありまして、前年度予算額に比し、いずれも四百三億六千四百万円の増加となっておりますが、これは主として、歳入においては運用資金の増加に伴う利子収入、歳出においては預託金の増加に伴う支払い利子がそれぞれ増加することによるものであります。  国債整理基金特別会計におきましては、歳入歳出とも四千六百二十六億八千四百万円でありまして、前年度予算額に比し、いずれも七百八十八億七千五百万円の減少となっております。減少いたしましたおもなる理由は、国債償還費の減少等によるものであります。  産業投資特別会計におきましては、歳入歳出とも千百四十五億五千三百万円でありまして、前年度予算額に比し、いずれも三十六億五千万円の増加となっております。  出資につきましては、前年度に比較して百十八億円増加し、総額八百十二億円の出資を行なうこととし、その原資の一部として、一般会計から五百七十二億円及びこの会計に設置されている資金から百八十九億円を受け入れることといたしております。  また、貸し付けにつきましては、本年度四千万ドルの外貨債を発行することとし、その手取り金百三十五億円をもって、日本道路公団への貸し付けを行なうことといたしております。  以上申し述べました各特別会計のほか、貴金属、外国為替資金、経済援助資金、余剰農産物資金融通、賠償等特殊債務処理及び国有財産特殊整理資金の各特別会計につきましては、お手元の予算関係書類によりましてごらんいただきたいと存じます。  最後に、当省関係の各政府関係機関の収入支出予算につきまして、簡単に御説明いたします。  まず、日本専売公社におきましては、収入四千五百八十三億六千八百万円、支出三千二百六十億三千四百万円、差し引き千三百二十三億三千四百万円の収入超過であり、専売納付金は千五百六十億八千四百万円を見込んでおります。  これを前年度予算額に比較いたしますと、収入は四百七十億四千六百万円、支出は四百八十八億五千万円の増加でありまして、専売納付金は十億九千七百万円の減少を見込んでおりますが、これは市町村たばこ消費税の税率引き上げ等によるものであります。  なお、専売公社の事業のうち、たばこ事業につきましては、本年度の製造たばこ国内販売数量は前年度に比し百三億本を増加し、千六百五十四億本を見込んでおります。次に国民金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、北海道東北開発公庫、公営企業金融公庫、中小企業信用保険公庫、医療金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行の各機関につきましては、収入支出予算は、主としてこれら機関の事業の運営に伴う貸し付け金利息収入並びに借り入れ金の支払い利息及び必要な事務費等を計上したものでありますが、本年度におきましては、前年度に比し、各機関とも事業量の増加を見込みましたことに伴い、収入支出とも増加いたしております。  これら各機関の収入支出予算額及び前年度予算額に対する増減等につきましては、お手元の予算関係書類によりましてごらんいただきたいと存じます。  以上をもちまして、大蔵省関係予算概略について説明を終わります。何とぞよろしくお願い申し上げます。
  28. 植木庚子郎

    ○植木主査 以上をもちまして、本分科会所管予算説明は全部終了いたしました。  午後は一時より再開し、皇室費国会及び会計検査院所管について質疑を行なうことといたします。  暫時休憩いたします。    午前十一時五十一分休憩      ————◇—————    午後一時十八分開議
  29. 植木庚子郎

    ○植木主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和三十九年度一般会計予算中、皇室費国会及び会計検査院所管について質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。横路節雄君。
  30. 横路節雄

    横路分科員 私は、会計検査院にお尋ねをするわけですが、実はこの委員会でたびたび問題になっておる報償費です。まず内閣官房で報償費というのは二億七千三百八十一万八千円あるわけです。警察庁では二千七百九万八千円、それから防衛庁では九千七百七十五万円、法務本省では百四十八万二千円、検察庁では二百十三万八千円、地方検察官署では二千九百三十八万五千円、公安調査庁では、公安調査官活動費として七億二千二百四十九万四千円、外務省では、これは二つございまして、一つは外務本省の報償費が六億七千万円、もう一つは在外公館に関する報償費が七億八千万円、外務省は二口になっております。そのほかに外務省では啓発宣伝費であるとか啓発宣伝事業委託費であるとか、たくさんありますが、それはあとに譲ります。そのほかにもありますが、大きいところは大体こういうのですが、これらの報償費について、会計検査院はどういうようにして会計検査をなされているのか、この点についてひとつお尋ねをしたいのです。
  31. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 ただいまお尋ねの報償費関係につきましては、私のほうの検査といたしましては、計算証明と申しまして、相手方官庁から支出の関係の書類をとって一応検査し、あるいは実地検査をいたしまして、検査しておるわけでございます。ただ、いまのお話の中で、全部が全部じゃないと思いますが、一部証明を簡略いたしまして、実地検査の際その支出の内容をできるだけ調査して、これが適当であるかどうかというような形で見ておるものも相当ございます。
  32. 横路節雄

    横路分科員 この報償費というのは、会計検査院のほうでは会計検査をされて、これは一体何なんですか。私たちずいぶんこの委員会で聞いてみるのですが、はっきりしないのです。たとえば情報を常時提供している者に、一件について十万とかあるいは五十万とか、そこら辺のこともはっきりしない。これは何に使っているものかはっきりしない。これぐらい国会の論議であいまいなものはないのです。私はこういうものがあいまいに済まされてはならないと思うわけです。私は会計検査院のお仕事というのはそうだと思いますので、まず一つずつ聞いていきたいと思うのですが、この内閣官房でやっている報償費二億七千三百八十一万八千円——これは三十九年度ですね、三十八年度は一億七千三百八十一万八千円、三十七年度は三十七年度であります。あなたのほうは三十七年度会計検査を終わったわけですから。そこで、この内閣官房の報償費というのは何なんでしょう。性質はどういうものなんでしょうか。この国会の論議で、どんなものなのか、どんなに聞いてもはっきりしないものですから、ひとつぜひ明らかにしていただきたいと思います。
  33. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 内閣の報償費につきまして私全部記憶いたしておりませんので、全部について触れるかどうかちょっと……。
  34. 横路節雄

    横路分科員 局長でもいいです。
  35. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 局長が来ておりませんのですが……。
  36. 横路節雄

    横路分科員 事務総長ばかりきょう答弁しなくたって、局長でもいいです。
  37. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 一応私どものほうといたしましては、報償費は全般的に申しますとある一定の仕事を頼み、そういうものに対する一つの報償として出る金だ、こういうふうに考えておるわけでありますが、先ほどお話がございましたように、一つの行為について十万円とか、二十万円——これは金額は別ですが、そういう場合に十万がいいか二十万がいいかという価値判断の問題になりますと、これはなかなかむずかしい問題でございまして、相手方の役所に聞いて、それで適当であろうというような考え方で検査を進めていくよりほかにしかたがないというふうに考えておるわけでございます。
  38. 横路節雄

    横路分科員 それでは、いまの内閣官房の報償費というのは、ある一定の仕事を頼む、たとえばどんな仕事なんでしょうか。ある一定の仕事というと、事務総長おわかりかもしれませんが、情報調査委託費というのがあるわけです。情報調査委託費というのは、これは各官庁によっては出してくれるところもありますし、出してくれないところもあるわけです。内閣官房の情報調査委託費はあとで内閣官房のときにお尋ねしますが、これは私のほうに資料を出してくれているわけです。だからこれは明らかにある一定の仕事を頼んだ、そういう意味で調査委託費。報償費というのはこれは何なんでしょうか。あなたがお調べになったうちでどんなものがあるのでしょうか、私ども全然わからないのです。しかも相当な金額になっておるわけです。ある一定の仕事を頼む、報償費十万円、二十万円という価値判断は自分たちとしてはできない、だから、それはその当該官庁で価値判断する以外にないというけれども、各官庁に情報調査委託費というのがあるわけですね。それ以外に報償費というのは何なのか、わかりやすく説明していただけないでしょうか。
  39. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 いまの内容になりますと、具体的に私ちょっと承知いたしておりませんので、局長を呼んであれいたしたいと思います。
  40. 横路節雄

    横路分科員 何か先ほどのお話で、連絡員の方が、事務総長のほかに各局長が出ているから答弁させますからということで、私も別に事務総長ばかり答弁に立っていただくつもりもないわけで、局長がどなたかいらっしゃれば局長が立たれれば、分科会ですから、そういう点で御答弁いただいて私のほうはけっこうなんです。ものごとがはっきりすればいいわけですから。
  41. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 情報調査委託費のほうの関係は内容がわかっているということでございますが、内閣の報償費はわかってないということにつきましては、内容を一般に知らせることがまずいというような行政官庁のほうの考えがございますので、そういう線に沿ってわれわれも検査しておる次第でございます。内容についてちょっと説明できませんけれども……。
  42. 横路節雄

    横路分科員 そうすると事務総長、これは機密費——機密費というのがあるのかないのか知りませんが、いまのお話で、一般に知らせることが悪いといっても、ここは国会の論議の場所なんです。国会の論議の場所なのに、その内容については知らせることができないというのは、一体これはどうなんです。どうも私たち、この予算審議の過程からいって了解できない。一般に知らせることが悪い、しかし、一般に知らせることが悪くても、国会議員には全部を知らせることができるわけですから、どういうのでしょう。
  43. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 これは、私のほうから知らせることがどうかという問題になりますと、やはり相手方官庁の御意見なりそういうものに従って行動しないと、相手方が困られるということを私のほうから御説明するということはちょっとむずかしいと思いますので、その点を説明することが必要かどうかという判断は相手方の官庁がいたされまして、そして御答弁になるほうが適当じゃなかろうかということで、実は終始そういうことになっておるわけであります。
  44. 横路節雄

    横路分科員 それではあれですか、ここは予算委員会の場所ですが、しかし三十九年度予算に関連して、三十七年度の決算だって問題なわけですから、三十七年度の決算について私がお尋ねをすればお答えできますか。三一七年度決算の内閣官房の報償費、これはあなたのほうで決算済みのことです。何も予算委員会だからといって三十九年度予算ばかりでなくったっていいわけです。もとへ戻って三十七年度の決算についてお尋ねをしてもいいわけです。それはお答えできますか。
  45. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 三十七年度の決算につきまして確認しておることは事実でございますが、決算を確認しておるのだから答えることができるかどうかということでございましても、その内容につきましては、やはり相手方官庁の取り扱いということを重視してわれわれも行動しなければなりませんので、相手方官庁からどの程度話してよろしいのか、あるいは進んで話されるということのほうが実は至当じゃないかというふうに、三十七年度決算についても同じように考えております。
  46. 横路節雄

    横路分科員 私は最初報償費の性格を聞いたわけです。すでに三十七年度まで決算をやっておるわけだから、私が三十九年度の報償費の内容を一々話をせいというなら、これは無理でしょう、しかし、あなたが取り扱った三十七年度の決算についてどういう内容でしたか、とこうお尋ねしたときに、事務総長として、私はお答えできませんというのはどういうことでしょうか。それはそのことを官房長官から予算委員会で答弁してはなりませんよと前もって言われてあるのですか。そのことをお尋ねしておけば、あなたからそう言われれば、それじゃ官房長官にでもお尋ねしますが、しかし独立している機関である会計検査院事務総長に対して、官房長官が国会で答弁してはなりませんぞなんということを行うとは、私ちょっと思わないのですけれども、その間のいきさつはどうなっているのです。
  47. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 ただいまお尋ねの点の、官房長官から言っては困るのだということを私のほうに言われたことはございません。ただ扱いといたしまして、計算証明を簡略する場合に、事柄が機密であるから簡略にしてくれということがありまして、そういう点を考えまして、私のほうだけでその内容をお話しするということはいかがであろうか、かように考えておるわけでございます。
  48. 横路節雄

    横路分科員 これは事務総長、正式に委員部を通じて三十七年度内閣官房の報償費についてあなたのほうで発表できる程度について発表してもらいたいということを、私は終わったら要求しようと思うのですがね。その場合に、あなたは全部が全部否認なさるのではないでしょうね。ある程度のことは発表してもらいたい。それも一切できません、こういうことなんでしょうか。どういうことなんでしょうか。これはこれからの委員会審議との関係もありますからね。どうなんですか。
  49. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 この問題につきましては、ずっと以前から論議がありまして、私も承知しておりますが、私のほうで出せるという点から申しますと、月に大体どれぐらい出ておるだろうかという点ならば出してよろしいんじゃなかろうかというふうに考えておりますけれども、その中身につきましては、申し上げることは実は差し控えたい、かように考えております。
  50. 横路節雄

    横路分科員 もう一度委員会運営会計検査院の機能という点からお尋ねしたいのですがね。それは絶対出せないものなんですか。そういう性質のものなんですか。その点だけひとつはっきりしておいてもらいたい。絶対出せないというものなんでしょうか。どうもいまあなたの話を聞くと、絶対出せないというふうにも聞こえますが、どうなっておるのでしょう。
  51. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 絶対に出せないかどうかとおっしゃいますと、実はむずかしい問題だと思いますが、かつてこの委員会だったか、あるいは本委員会であったかと思いますが、私のほうの三代前くらいの院長が来て言ったとき、正式の委員会の御要求があるならば考えましょうと言ったことがあるかと思いますが、出せるか、絶対に出せぬかということになりますと、その法的の関係その他を検討しなければなりませんし、いまちょっとお答えするのをちゅうちょするわけでございます。
  52. 横路節雄

    横路分科員 どうもその点あいまいですが、ただ私は、まだあなたの最終的な結論を得てないわけですね。出せるのか絶対出せないというのか。しかしこれはこの委員会でも議論しましたが、委員会が決定をすれば出せるわけですね。その点はどうなんですか。この資料について委員会が決定すれば出せるものなんでしょう。その点明らかにしてください。
  53. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 委員会が決定されれば出せるかどうかということでございますが、資料を提出する場合にいろいろの手続があるだろうと思いますが、その事項が機密であるかどうかということを私のほうだけで判断してよろしいかどうかという点につきましては、やはり相手方の官庁に聞きまして、出しては困るものかどうかというような点を明らかにした上でないと、出せるかどうかという点もちょっとお答えいたしかねるように思います。
  54. 横路節雄

    横路分科員 事務総長、そうではないです。これは国会法の手続がありまして、委員会で議決をすれば出せるのです。いや、出さなければならない。それは事務総長勘違いですよ。相手の官庁とよく相談した上で出せるか出せないかをきめますなんというものではない。国会法、議事規則その他によりまして、委員会で議決をすれば出さなければならないのです。その点だけはそういうようにちゃんと心得ておいていただきたい。しかしちょっと会計検査院としてもおかしいですね。相手官庁に気がねをして、これから一つずつ言いますが、この膨大な金が一つもここで論議されないということは、私はおかしいと思うのです。しかし大かたといいますか、大体については答弁してください。  そこで、大きいのは外務省で、本省で報償費六億七千万円、在外公館で報償費七億八千万円、これは一体どういうところに使っているのでしょうか。この点の大要についてひとつお話ししてください。これも全然、ただお話しできません、ここでは返事できませんというのでは、ちょっとこれは予算委員会分科会としてはおかしいと思う。いままで三十七年度決算を通じて大体どういうところに使っているのか。
  55. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 この内容の詳細は必ずしも知りませんが、大部分のものは、おそらく一定の行為に対する報償ということで金が出ておるように考えております。これも外務省の検査の際相当の詳細な書類に当たりまして検討いたして、結果的に決算を確認することがよろしいということで決算を確認しておるわけでございます。
  56. 横路節雄

    横路分科員 一定の報償というのは大体どんな内容を言っているのでしょうか。あなたの答弁は外務省の答弁よりも——外務省はもう少し答弁しておりますよ。この中に、たとえば本省は「諸外国との外交交渉により幾多の懸案の解決をはかり、また、各種の条約、協定を締結する必要がありますが、これらの交渉をわが国に有利に展開させるため本省において必要な工作費であります。」これが六億七千万ですね。今度は七億八千万については、先ほど言いましたように、「諸外国との外交交渉をわが国に有利に展開するため在外公館において必要な工作費」、工作費だという、外務省は予算説明でそう言っておるのですが、会計検査院として三十七年度会計検査を通じて、一体これは大体どの程度のものなのか。たとえば先ほどの内閣官房の場合には、一件当たり十万円とか二十万円、あるいは一件当たり百万円とか二百万円とか、相当大きい金額があるのでしょう。その辺はどうなっているのですか。せめてそのぐらいのことはここで答弁なさったっていいのじゃないでしょうか。
  57. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 外務省の報償費につきまして、いま外務省関係のものをお読みになりましたが、私もそういうものがあったということは三十七年度決算についても申し上げられると思います。それから十万円か二十万円か、大きいものがあるかどうかということでございますが、私も正確には記憶しておりませんけれども、ある程度の金額になっておるものがあるというふうに聞いております。
  58. 横路節雄

    横路分科員 ある程度の金額というのはどの程度なんでしょうか。ある程度の金額と言っても、あなたの言うある程度の金額というのは必ずしも私たちには理解できない場合があるのですが、どの程度の単位がある程度の金額になっているのか。
  59. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 私がある程度と申し上げましたのは、実は直接見ておりませんのではっきりしたことが申し上げられませんので、それで……。
  60. 植木庚子郎

    ○植木主査 ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  61. 植木庚子郎

    ○植木主査 速記を始めて。
  62. 横路節雄

    横路分科員 それではいまの報償費の問題は非常に金額が多うございますから、ここでただお答えできませんだけでは了解できません。  そこで、次に私がお尋ねをしたいのは、先ほど「昭和三十九年度会計検査院所管歳出予算説明書」というのをいただき、説明を承ったわけです。そうしましたらこういう事項がございまして、それに関連してお尋ねするのですが、「職員を現地に派遣し実地について検査するための旅費として八千三百六十一万三千円を計上いたしましたが、このうちには沖繩援助費及び海外移住事業団実地検査を実施するための外国旅費二百三十四万一千円が含まれております。」こうなっているわけです。このうちの沖繩援助費に関する会計検査についてお尋ねをしようと思います。沖繩援助費に対してこれはことし初めての予算の計上だったでしょうか、ちょっと私不勉強な点もありますから、ことし初めての予算の計上なのか、いままでやったのか、その点まず第一にお伺いしておきたい。
  63. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 予算といたしましては三十八年度にことしとほぼ同額の三十万七千円、ことしは二年目になっております。
  64. 横路節雄

    横路分科員 三十八年度につきましては会計検査をなさったのですか。三十八年度については実際に沖繩に行ってやるのでしょうが、外国旅費ですから、これは行ってなさったのですか。
  65. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 御承知のように沖繩関係の実地検査は、向こうから完成報告が出まして、それに基づいて向こうと協議して検査するという段階になっておるわけですが、現在の状況から申し上げますと、三十八年の末に一部出て、その後多少出ておるかと思いますが、現在のところはまだ行ける段階になっておりませんので、行くということで現在いろいろ交渉中でございます。
  66. 横路節雄

    横路分科員 三十七年度の場合には沖繩援助費というものは七億あったわけですね。この場合には沖繩援助費に対する会計検査の費用は組んでないわけですね。三十八年度予算沖繩援助費十九億八千八百万円を組んだ、そこで三十万七千円を組んで、一部出ておるが、まだ会計検査はしていないというお話ですが、三十七年度の場合には予算を七億組んでおきながら、沖繩援助費に対する会計検査のための外国旅費を組んでなかったのはどういう理由だったのでしょうか。
  67. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 私のほうは会計年度検査をする年度が一年ずれるわけであります。三十八年度に組んであるということは、三十七年度の七億一千万円の分を検査するということで組んだわけであります。
  68. 横路節雄

    横路分科員 三十八年度予算についての執行は三月三十一日まであるわけですが、三十七年度の繰り越しの分、三十八年度を入れての分、これは三月三十一日までに会計検査ができる状態になっているんですか、沖繩援助費については。
  69. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 私、ちょっと詳細の数字を覚えませんが、たしか三十七年度が七億幾らだったと思いますが、そのうち一部三十七年度に支出になりましたけれども、大部分が三十八年度に繰り越されておるわけなんです。繰り越された分が三十八年の終わりから現在に至って支出あるいは支出されようとする段階になっておるわけであります。それらを含めまして検査したいというふうに実は考えておるわけであります。
  70. 横路節雄

    横路分科員 三十七年度予算については、これは全部繰り越しになっているんでなかったでしょうかね、三十七年度予算についての沖繩援助費については全部繰り越しでないでしょうか。私のほうはそういうふうに承知しているんですが。そこで、私はあなたにもう一つお尋ねをしたいのだが、三十七年度予算でもしも一部使っているとすれば、会計検査をなすっていいわけですね。そうでしょう。いまあなたの御答弁で、三十七年度七億幾らのうち一部使っている——一部でも使っていれば三十七年度の決算は今度のここにある決算報告書に出てくるわけだから、そうすると会計検査はしてもいいんじゃないか、三十七年度の使用した分については。そうなっているんですか。
  71. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 私が持っている数字に間違いありませんと思いますが、一部と申し上げますのは、農林中金の出資金が一億三千万円ございます。この分が三十八年の三月三十日に金が出ておるというふうに思います。それで実地検査のほうの関係は、琉球諸島に対する援助金に関する覚書というものが御承知のようにございまして、それの関係から申し上げますと、すぐこれが検査するということにはなっておりませんし、それから出ておる金が出資金として出ればよろしいということで一応出しておられるようでございますので、行って見なくても、一応決算の確認はできるということで決算の確認をやっておるわけであります。
  72. 横路節雄

    横路分科員 話はちょっと違うんでないですか。琉球語局に対する援助金に関する覚書というのは昭和三十七年度のときにはできていましたか。それはできていないんじゃないですか。できていないからやれないんじゃないですか。それはどうなんですか。できていないんじゃないですか。
  73. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 いまのお尋ねでございますが、私は昭和三十七年度分ができると実は了解しておるわけでございますが、ここへちょっと資料としましてはっきりした、そこの点がわかった資料がございませんので、いま確かめてあれいたします。私のほうは三十七年度検査ができるというたてまえで、もちろん繰り越しの分もということで実は考えておったわけですが、あるいはできたのが、たしか三十八年にできましたから、あるいはお話のとおりかもわかりません。ちょっとそこのところを確かめたいと思います。
  74. 横路節雄

    横路分科員 それでは、まあ確かめていただいてから御答弁をいただきます。私のほうは私のほうで資料がありますから。  そこで、いまのあなたの御答弁で一つお尋ねしておきたいのですが、農林中金へ一億三千万円を出資した。農林中金からですか、向こうの農林中金にという意味ですか。どうもそこの点、私もはっきりいたしませんでしたが、この出資の場合は会計検査をしなくてもいいんですか。いまあなたのお話だと、そういう意味ですか。
  75. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 向こうの農林中金に日本政府が出資したという形でございます。これはするほうがいいかどうかということになりますと、一般的には問題があると思いますけれども、この出資金の性格は、金を出資するということが目的だということでございますので、内地の関係と多少違うように思いますので、出資するということは金が出たということで、一応確認してよろしいのじゃないかということで確認しておるわけでございます。
  76. 横路節雄

    横路分科員 これは事務総長、国内におけるいろんな団体に出資されておる場合には会計検査の対象になるのですね。国内のいろんな団体その他に政府の金を出資しているという場合には、これは会計検査の対象になるでございましょう。
  77. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 出資しております場合に、これは金額に限度が多少ございますけれども、一応は出資団体については検査ができるということでございます。
  78. 横路節雄

    横路分科員 そうすると、沖繩に対しての出資は農林中金に政府資金を出資したが、これが会計検査しなくてもいいのじゃないかというのは、一方的な判断なのですか。それとも三十七会計年度における琉球諸島に対する援助金に関する覚書が交換されていなかったのではないでしょうか。まだわかりませんか、その点。
  79. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 先ほどの覚え書きのほうの関係の何といいますか、年度適用はいつあるかということは、先ほどちょっとお答えして、はっきりいたさないのでございますけれども、検査ができるというのは御承知のように覚え書きの九項にございますが、その条件の中にこれは一応入っておらないのじゃないかというふうに、これは総理府のほうで解釈しておられたわけです。それで、その面から見てもこれはちょっとむずかしいのじゃないかというふうにわれわれも考えております。
  80. 横路節雄

    横路分科員 そうすると、事務総長、いまのお話は、三十七会計年度についてはその覚え書きがあるのかないのかもはっきりしないというわけですね。それはこれから聞いてみなければ、あなたも調べてみなければわからない、覚え書きがあるかないかもはっきりしない、かりに覚え書きがあるとしても、それは入っていないのじゃないか、こういうことですか、いまの御答弁は。
  81. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 御承知のように、「援助事業の進捗状況に関する四半期報告書が事業の完了を示した後」とか、「すべての事業が完了した後」、こういう条項が入っておるわけですが、この条項に——いまの関係は三十七年度からか三十八年度からか、先ほどちょっとわからない点がございましたが、これが三十七年度から適用されるにしましても、三十八年度から適用されるにしましても、この条項には入っていない、私ども総理府のほうから、そういうふうに了解しておるわけでございます。
  82. 横路節雄

    横路分科員 いまのは三十八会計年度からやるのには入っていないということですね。結論からいえばそうですね。そこで実は、昭和三十八会計年度における琉球語局に対する援助金に関する覚書というので、ここに私は覚え書きの全文を持っておるわけです。この覚え書きの前文は、これは「昭和三十八会計年度(一九六三年四月から一九六四年三月まで)において、合計十四億二千百三万三千円の金額の範囲内の援助金を」云々とこうなっておって、「高等弁務官府を通じ琉球諸島政府に供与する。」こうなっておるわけですが、ここにこういうことがあるわけです。その第九項に——ひとつあなたも開いて見て下さい。「(会計検査総理府は、この覚書の条件に基づいて資金を交付した事業の完了及び援助金の適正な支出を確認するため、職員を派遣することができる。同職員は、総理府、高等弁務官府及び琉球政府によって同意された次の場合に派遣されるものとする。」、その一つは、「援助事業の進捗状況に関する四半期報告書が事業の完了を示した後」、bは、「すべての事業が完了した後」、こういうようになっているわけですね。そこで私はあなたにお尋ねをしたいのですけれども、これは一月の三日「高等弁務官に代って承認する。総務部長」となっていますから、その点は一月の三日で覚え書きは効力を発生しているわけですね。
  83. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 日付を入れておりませんので、ちょっと……。
  84. 横路節雄

    横路分科員 日付を入れておらぬからわからぬ——それじゃどなたかわかりませんかね。日本国政府総理府特別地域連絡局長は一九六三年十一月四日、ところが、琉球政府内務局長は一九六四年一月三日、「高等弁務官に代って承認する。総務部長一九六四年一月三日」、何かこれ一月三日に承認されているように思うし、まだ承認が残っているのかどうか。その点はどうなんでしょうか。はっきりしなければ、これはまた総理府のときお尋ねしますが、あなたのほうには連絡ありませんか。会計検査をなさるあなたのほうが七体なんだから、それで聞いておるわけなんです。
  85. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 まず先ほどの関係の、三十七年度から適用あるかどうか、私ちょっと見落としておりましたが、この文書にはっきり書いてありますので、これは昭和三十七日本会計年度において云々ということがございまして、三十七年度から一応あるわけでございます。先ほどお読みになった分はおそらく三十八年度の分だと思いますが、三十七年度のほうで検討しておりまして、三十八年度まで——私自身、これは局ではもちろん検討しておると思いますが、検討しておりませんので、ちょっとお答えいたしかねます。
  86. 横路節雄

    横路分科員 そうすると、事務総長、おかしいじゃないですか。私は、昭和三十八会計年度における琉球諸島に対する援助金に関する覚書——三十七はなかったわけです。いまあなたの御指摘で、昭和三十七会計年度における琉球諸島に対する援助金に関する覚書というものが、両方合意の上でできていれば、昭和三十八年三月三十一日までに支払いを、出資をしたという日本政府からの琉球への農林中金に対する一億三千万、これはやはり政府出資金ですから、会計検査をなさるのが至当ではないですか。あなたの一方的な判断でしなかったのか。今度は問題は別ですよ。あなたはさっきないのじゃないかとおっしゃったから私は聞かなかったが、あるものをしなかったのは、あなたのほうの一方的な判断でできなかったのか。高等弁務官のほうで、そんなものはしてもらいたくないと言ったのか、それとも官房長官のほうで、どうも刺激をするからやめろと言ったのか、その点はどうなんですか。
  87. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 別に相手方官庁あるいは米国等から、してはいかぬとかいうようなことではございません。支出の目的が出資することを一応目的とした金の支出でございますので、支出しておるという事実が確かめられれば、一応検査を確認していいのではないかということで、検査を確認しておるわけであります。
  88. 横路節雄

    横路分科員 それでは事務総長、これから、三十九年度予算にあるかどうかわかりませんが、そういう出資金についてはもう将来ともに別に会計検査をしなくてもいいというわけですか、それはどうなんです。
  89. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 その後このことにつきましては特連局のほうに主管局長から確かめたわけでございますが、沖繩における検査はできないというふうに私どもは聞いております。そういうことで、検査はできないのではないかと思いますが、まあできるだけわれわれも何らかの方法で見ていくことを考えたらということはもちろん考えておりますが、一応できないというふうに私どもは聞いております。
  90. 横路節雄

    横路分科員 いまのお話、またちょっとふに落ちないですね。いまのお話は、覚え書きでは会計検査できるようになっている、しかし特連局長のほうから沖繩については会計検査できない、こう言った、いまのあなたはそう答弁をしたですね。覚え書きには会計検査をすると書いてあるのじゃないですか。だから、私が言うように、そのことは高等弁務官府の合意がないからだめなのか。これは合意を得てとなっている。だから、これはこう書いて、あなたのほうでも予算を組んでみたけれども、さっき私が指摘したように、「総理府は、この覚書の条件に基づいて資金を交付した事業の完了及び援助金の適正な支出を確認するため、職員を派遣することができる。同職員は、総理府、高等弁務官府及び琉球政府によって同意された次の場合に派遣されるものとする。」この同意をしない、実際には。ここで判こをついておるけれども、名前を書いておるけれども、高等弁務官府としては沖繩については会計検査は好まないのだ、こういうことなのでしょうね、いまのあなたの答弁は。特連局長から沖繩の会計検査はできないと言われたからしないのだ、この点はどうなのです。
  91. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 私が申し上げましたのは農林中金の出資金だけでございます。そのほかの分はもちろんできるというたてまえでございます。これは、覚え書きの九項に「援助事業の進捗状況に関する四半期報告書が事業の完了を示した後」それから「すべての事業が完了した後」とこうございますが、この覚え書きの中には含まないというふうに特連局のほうからは聞いておるわけです。それで、三十七年度検査で私のほうで拒否されたからどうだからということで検査をやらなかったものじゃございませんが、後に聞きましたら特連局のほうからそういうものだというふうな回答がございました。
  92. 横路節雄

    横路分科員 それでは農林中金に出資をしたものについては会計検査はしないというたてまえですか、この覚え書きからいって。そういう意味なのですか。これからいろいろ出資するでしょう、それについては会計検査はできないという意味なのですか。
  93. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 これは私のほうから御答弁するのはどうかというふうな感じがいたしますが、農林中金についてはできないのだというふうに特連局のほうから説明を聞いております。
  94. 横路節雄

    横路分科員 どうしてできないのです。もう一ぺん聞きますが、あなたはさっき私が指摘したように国内における各団体に対しての出資は会計検査をなさるのでしょう。沖繩に対しても同様に、援助金と同じように、政府出資金を出したら当然それは会計検査をなさるのじゃないですか。それが何で沖繩への農林中金その他に対する政府出資金についてできないのか。それはどういう理由に基づいておるのです。
  95. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 沖繩について、いまの覚え書きがなかった場合に検査ができるかできぬかということにつきましては、一応できないということになっておるわけです。できるのは何に基づいてできるかといいますと、覚え書きに基づいてできるということです。そうしますと、覚え書きの中にその事項が入っておるか入ってないかということになると思いますが、いまの出資金については総理府のほうから入ってないというふうにわれわれは聞いておるわけであります。
  96. 横路節雄

    横路分科員 実は、私がこのことをお尋ねをしているのは、沖繩の施政権との関係があるので聞いているわけです。これは事務総長もきっとお気づきだと思いますが、高等弁務官としては覚え書きを承認したくないわけです。日本政府の会計検査院が行って会計検査をするということになると、これはその点に関して一部アメリカの施政権が引っ込む、その分だけ。こういう意見が私は成り立つであろうと思うのです。日本政府が自分の出した援助金なり出資金に対してそこへ行って会計検査をやれるということは、いわゆるアメリカの施政権が一部引っ込む、そのアメリカの施政権が引っ込んだ分だけは日本政府に回復するとは言わないけれども、とにかく向こうが引っ込んだからこっちは出てくるわけです。そういう意味で琉球諸島に対する援助金に対して会計検査ができるということは私どもは非常に重大だと思うのです。それがあればこそ昭和三十七年度に七億何ぼ使ったが、いまの話のように農林中金で一億三千万使ったけれどもあとは全部繰り越しだ、三十八年についても十四億幾らかやったけれども、これもごく最近までほとんど使わずじまい。これは会計検査ができるかどうかということで、私は施政権との関係があっていままでもたついていたと思うわけです。だから、そういう意味で会計検査院はもう覚え響きについて会計検査をできるんだから、そういう意味で一々あなたのほうで——これはどうなんですか、一々特連局の承認を得なければできないのか。こういう覚え書きができているんだから会計検査院としては独自のたてまえでやれるのか、その点はどうなっているんです。
  97. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 ちょっと覚え書きの点で……。私どもの了解しておるところによりますと、特連局で、私のほうで行くという場合に向こうと交渉して行く時期その他を決定して連絡する、その結果によって行くというふうに大体了解しております。
  98. 横路節雄

    横路分科員 なお昭和三十七会計年度における琉球諸島に対する援助金に関する覚書が私の手元にありませんから、あとで私のほうに提出をしてもらいたい。これはあなたのほうにあるんですね。
  99. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 私のほうから出せとおっしゃれば出せぬわけではございませんが、特連局のほうでございますので、できれば特連局のほうから出していただいたらとこういうように考えておりますけれども……。
  100. 横路節雄

    横路分科員 どうせこれは総理府所管でもございますから、もう一度そのときお尋ねします。それでは三十七会計年度についての覚え書きは特連局のほうからもらいましょう。  私は先ほどから報償費その他についてもお尋ねしましたが、どうも会計検査院というのは何かどこかはっきりしないところがあるんじゃないか。会計検査院こそ国の金、税金が的確に支出されているかどうかということを独自の立場においてやる権限があるのに、何か四方を見ながらやっているような感じがしないわけではないわけです。そこで野原委員が来ましたからあとで内閣の報償費その他の報償費をもう一ぺんお尋ねしますから、その間に十分ひとつ用意をしておいてもらいたい。なお、琉球諸島に関する援助金に対するいわゆる会計検査は的確にやってもらいたい。これはなぜ的確にやるかというと、先ほども私が言いましたようにやはり施政権との関連があるので的確にやるべきである。これが高等弁務官が終始拒否をしているところだろうと思うわけです。そういう意味で私は非常に大事なんで、一々——もちろんこれは総理府が相手と相談をして合意の上でやることでありますけれども、会計検査院としてもひとつ正確を期してやるべきである、私はこう思うわけです。なおこれは総理府所管のときにもう一ぺんお尋ねしますから、そのときにまたおいでをいただくかもしれませんので、いろいろひとつ用意をしておいていただきたい。報償費につきましてもよく御相談をしておいていただきたい。あとでまたお尋ねします。
  101. 植木庚子郎

    ○植木主査 次に、川俣清音君。
  102. 川俣清音

    川俣分科員 会計検査院にお尋ねをいたしたいのですが、こういう分科会でもないと会計検査院の仕事についてお尋ねをする機会がないものでありますから、特にこの機会を選んだわけでございます。会計検査院は現金会計につきましては相当きびしく審査をしておられるようでございますが、国有財産につきましては案外十分な監査をしておられないのじゃないかという印象を受けるのでございます。そういう意味でお尋ねをしたいのでございます。  一つは、会計検査院が最近土地の値上がりによって、国有財産もまた土地価格が上がったと称しまして国有地の貸付料の引き上げを各省に強く要請されておるようでございますが、一方、行政府は地価の値上がりでいろいろ建設事業その他住宅等の用地の獲得に非常に悩んでおるわけでございますので、適正な土地価格というものの基準を一体どこに置いておられるのでございますか、この点をお尋ねしたいと思います。安過ぎるというようなことも言われておるようでございます。何を基準にして一体安いとか高いとかというふうに判断をされておるのか、この点を検討されてのことなのか、ただ、あまり自信がないけれども、世間流に、土地が上がったというから、それじゃ国有地もまた上がってなければならぬだろうというばく然たるものなのか。普通の現金会計につきましてはいろいろきびしい基準を置いておられるようですけれども、国有財産の管理についていろいろ発言されておるようです、進言しておるようです。勧告も出されておるようですが、何を基準にして安いとか高いとかときめられておるのですか。会計検査院に独自の基準がありましたならば、それをお示し願いたいと存じます。
  103. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 国有財産の値段の点でございますが、一口に申し上げますと、何によってきまるか何を基準にするかということになりますと非常にむずかしゅうございますが、(川俣分科員「むずかしいったって、かってにあなたのほうで勧告しているじゃないか」と呼ぶ)その場合に、一応われわれは、普通の場合、鑑定人の意見だとか、あるいは一般の付近類似地区の取引価格だとか、あるいは固定資産の評価だとかそのほかのものをいろいろ総合勘案いたしまして、安いか高いかという点をきめていくわけでございまして、すぐそのものずばりでこうだということはなかなかむずかしゅうございますが、そういうものを総合判断した上で高いか安いかということをきめてまいっております。
  104. 川俣清音

    川俣分科員 それじゃ、具体的にひとつ例をあげますが、国有林野特別会計の貸付料が安いということで、ここ数年の間、数次にわたって貸付料の値上げをしておりますね。これは会計検査院の指摘だということで、会計検査院の指摘があったからやむを得ないということで貸付料の値上げをいたした。ところが、これはもっと露骨に申しますと、こういう特に国有林野特別会計などは従来からの縁故関係もあって、あえて借りておる、所有権の争いさえあるのを貸付という形で問題を処理している場合もたくさんある。それを非常に安いのだなんという判定をされたとすれば、何が基準なんですか。その付近が高いから、それにはそれだけの因縁があるわけです。いままでの経過がある。あるいは、特に採草地等については、かつて入り会い権を持っておったのが、明治初年地租改正のときに手続がおくれたために、入り会い権を主張しないで国有地になったという例もたくさんあるわけです。そのために貸付料が非常に安くなっている場合もたくさんあります。それを、一般的に土地価格が上がったのだから上げろという根拠はどこにあるのですか。例を言ったのだが、例を出されるとあなた方はお困りになるだろうと思う。一体会計検査院は何が基準で安い高いということを言うか。もっと露骨に言うと、もしも一般的に安いというならば、もう一つ問題があるんじゃないでしょうか。国有資産所在町村交付金というのがございますね。これは地価が上がれば当然上げなければならぬものです。これをいまの行政はそのままに据え置いている。ことしの予算を見ましても、予算書の中にはそのまま据え置きになっている。もし地価が上がったということになれば、国有財産の所在町村に対する交付金についても当然会計検査院から意見が出なければならぬはずなんですね。持っているものは、地価が上がったということになれば同じことなんです。これはこのままにしておいて何らの検討を加えないで、貸したものだけについて、安過ぎるという判断を下されるとすれば、何が根拠なんですか。会計検査院が根拠なしに安いとか高いとかいう判断をされるわけはないと思うんです。そうは会計検査院を理解してない。そう理解して、いいかげんにきめる、会計検査院とはそんなものだというふうに理解されても差しつかえないのかどうか、この点をあわせてひとつ御答弁願いたいと思います。
  105. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 農林省関係で林野の貸し付け料が安いということで三十七年度指摘した事項がございます。ただいまお話しのように入り会い権がどうだこうだという点は、実は私は現地にそういうものがあるかどうかよく存じておりませんが、どういうにで認定していったか申し上げますと、先ほども申し上げましたように、現地の状況を考慮しないで、宅地として評価すべきものを山林として評価したり、近傍類地の売買実例価格、固定資産税課税標準価格等を十分聴取しなかったため低くなったということで、これは低いのじゃないかということを農林省のほうへ照会いたしました。農林省のほうも、検査院のおっしゃるとおり低いからということで、上げるということになっておるわけでございまして、私、この中身の関係が、ただいまおっしゃった点があるかどうかちょっとわかりませんが、あるというふうには私はいままでは聞いておりません。  それからもう一つ、土地が高くなれば市町村の交付金を上げるということについてなぜ勧告しないかという点でございますが、これは御承知のように、林野は台帳が一つのところが相当大きいところになっておるわけです。私のところで取り上げておりますのはその一部分でございます。したがいまして、これを勧告するのがいいかどうかという本質の問題ももちろんございますけれども、そういうことを取り上げるということは、実際問題としてできないような状況でございます。
  106. 川俣清音

    川俣分科員 それは言いのがれです。たとえば営林署の管轄の中に担当区というのがございますね。ここの敷地などは、台帳では、不動産登記法ではおそらく畑地になっているかもしれませんが、建物を建てておるのでありまするから、使用はこれは宅地でしょう。現実に宅地として使用しておる。こういうところも、あなたのお説だと、そういう宅地に利用するようなところは当然評価がえをして高くしなければならない、これは高くなっていることはあたりまえですから、高くしなければならない、こうなるでしょう。ところが、こういうところはおもに借りているところが多いですね。営林署の敷地ということになりますと、担当区などはときにはかわる場合も多いものですから、たいてい借地の場合が多い。また買ったのもございましょう。買うのもありましょう。そうすると、営林署の敷地あるいは買い求めた担当区の敷地は、これは山に近かろうと、宅地として使用しておる。借りておるのもありましょうし、取得したのもありましょうが、こういうところの評価は当然高くなっていなければならぬでしょう。そうすると、所在町村交付金もその影響を受けなければならぬはずじゃないですか。同じ町村の中にある町村民が借りておるのもは借り賃を上げていく、自分が存在する国有地の宅地——宅地ではないでしょう、地目は別でしょうけれども、それは依然として畑地だ、あるいは原野だ。おもに原野になっておるのが多いようですけれども、これはおかしいじゃないですか。あなたのいまの説明と矛盾するんじゃないですか。人のものは、宅地として利用しているのだから、あるいは宅地に近いものだから、当然貸し付け料を上げなければならぬ。一方、自分の敷地として使用しておるところは、地目が原野だから、こういう説明だとすると、町村民は納得しないんじゃないですか。上がっているなら一様に上がったと見なければならぬ。そこに、会計検査院の土地評価というものは一体何を基準にしておるのであろうか、厳正な会計検査院が、何を考えて高いとか安いとか言われるかという疑問が生じている。こういう疑問が出てまいりますと、会計検査院がこれからいろいろな検査をなさる場合に、会計検査院の信頼性というものは非常に希薄になってくるんじゃないか。いままで会計検査院というと非常におそれられておったが、そんないいかげんなものなら何もでたらめだということになりましたら、あなた方の権威にかかわりませんか。何を基準にしてお考えになっておるか、もう一度お尋ねいたします。何らかの根拠がなければならぬでしょう。会計検査院は根拠なしだということをお認めになるなら、それでもよろしゅうございますよ。どうですか。
  107. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 土地の評価がむずかしい点につきましては、先ほど申し上げましたとおりでございまして、その評価する場合には、その現地の状況がどうであるとか、あるいは近隣の売買実例がどうであるとか、あるいは相続税なり固定資産の評価の関係がどうであるとか、あるいは鑑定人の価格とか、あらゆるそういうものを総合勘案した上で、適正だというものをきめてまいっております。  それからもう一つ、先ほど交付金のほうの関係のお話がございましたけれども、これは私詳細知りませんが、林野のほうの関係の交付金は、林野の台帳価格を基準としてやる、交付金をきめるということになっておって、それが不適正な場合には多少変えることができるというような規定にたしかなっているのじゃなかったかと思いますが、その場合に、林野の価格と申しますと、いま私のほうで取り上げておりますのは、台帳からいいますと千ぐらいの広さのところ、そのうち取り上げておりますところは一ぐらいのところだということになりますと、その一と隣を見た場合には、これはもちろん安いということが出ますけれども、全体として国有林野の評価が適切であるかどうかという点の判断は、私のほうでなかなかできがたいので、その点はちょっと……。
  108. 川俣清音

    川俣分科員 判断できないものを判断するから……。
  109. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 全体と一部分でございまして、全体についてどうだという判断をしていかなければならぬものでございますから、非常にむずかしいので、われわれのほうではなかなか取り上げにくいということで御了承願いたいと思います。
  110. 川俣清音

    川俣分科員 しかし、あえて取り上げたのは何なんですか。そのために林野は、会計検査院の指摘があったからという理由で、みんな貸し付け料金を上げたのです。しかし、自分が営林署の敷地あるいは担当区の敷地として借りておるものはそのままです。所在市町村の交付金じゃなしに、借り賃はそのままですよ。この地付近に担当区があれば便宜だろうから、まあそう言うなよ、こういうことで押えておる。自分の借りているほうの敷地料は、なかなか予算がないから上げられませんということで抑えておる。あるいは、今度は自分の借りているほうは上げることに同意しないで、貸しているほうだけは取るということになると、これはおかしいじゃないですか。もちろん地目によっても違うでしょうけれども、大体同じ付近なんです。ですから、安いとか高いとか、何かの基準をお示しにならないと、あなたは公平な監査と言えないじゃないですか。土地価格というのは、御承知のとおり非常にむずかしいのです。一方、建設省は、住宅対策について、なるべく敷地は安く買おう、取得しようとして、付近の地価なんて認めない。政策上の土地価格を要求しておる。これはやはり行政府がやっておることでしょう。あるいは道路のごときもそうです。これは道路という非常に便宜が与えられるのだからという。道路というものが便宜を与えられるのだったら、その付近の土地価格が上がってこなければならないはずじゃないですか。それをなるべく上げさせない方策を行政府がとられておる。これに対してあなた方が何も指摘しないでおいて、ただ、貸し付け料が安いんだ、安いんだということで刺激することは、土地価格を上げることにあなた方が一生懸命やっておられることなんで、行政府と非常に意見を異にするのだが、一体行政府とそういう点を打ち合わせたことがあるのですか。国の大きな政策と州反したこともあえてやらなければならないという根拠はどこにあるのですか。
  111. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 国の政策と反しておるかどうか、ちょっとわかりかねますが、私のほうといたしましては、安過ぎるものを適正なところにしようというのが私のほうのあれでございますから、そのために物価政策なり、そういうものに影響するかどうかということになりますと、ちょっと筋が違うんじゃないかという感じがしておるのであります。  それから、先ほどお話のように、貸しておるところと借りておるところのお話がございましたが、これはごもっともだと思いますけれども、現在のところそういうのを検査で実は私いま聞いておりませんし、それから一面考え方からいいますと、結局個人間の貸借というものを公正に見ていくということは、検査院としてもちろん当然でございますが、一面、個人としての権利を擁護するために、安過ぎるものは高くしてくれということの主張も当然すべきじゃないかという感じがいたしますが、それはそれといたしまして、私のほうとしては、適正な形になるように検査をやっていきたい、かように考えております。
  112. 川俣清音

    川俣分科員 私は安い高いというのじゃなくて、基本的に適正というのはどういうことをお考えになっておるのか。適正には基準がなければならない。基準なしに、適正か適正でないかというものさしがなしに、会計検査院は適正か適正でないかの判断はできない。適正の基準はどこに置かれるのか。土地価格がむずかしいのは、適正価格なんです。適正とは何か。すなわち、建設省などが適正というのは、建設行政がある程度連行がうまくいけるような価格を適正というのです。道路行政上適正価格というようなものをつくっております。あるいは通産省などは、ダムの用地にする適正価格というようなものをつくっております。会計検査院の適正価格というのは何なんです。これをお示しにならなければいけないのだ。それをお示しにならないで、お前のところは適正であるとかないとかいっても、基準をどこに置いているかわからない。適正というからには、やっぱり公平でなければならない。公平ということになると、やはり示される基準がなければならない。ある程度のものは基準になるべきものがなければならぬ。適正か不適正かという基準がなければ、適正、不適正という判断はできないでしょう。何かものさしなしに適正か不適正かなんて判断できるわけがない。これは常識でもうわかる。それほど常識と違ったことを会計検査院はおやりになっておるのですか。その点が私にはわからない。常識と非常に違った考え方を持っておられるのか。一定の基準があれば、これは私どもが見て適正か適正でないか判断できます。持ってないというのだから、それではあなたのほうには適正か不適正かの判断の根拠はないわけでしょう。あなた自身だってないでしょう。何か適正か不適正かの根拠がなければならぬ。
  113. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 根拠は、先ほど申し上げましたような形で一応判断するわけでございますが、その場合でも、各人各様におそらく高いとか安いとかいうものが出てくるだろうと思います。われわれが判断する適正という場合、一体どこに筋を引くかということになりますと、適正ということよりも、むしろ、非常に現在の価格が不適正だから、適正のほうへ持っていく。この適正というのは、これはある程度、人の考えによっては、これは百万円する、八十万円する、七十万円すると、いろいろあるだろうと思いますが、そういうものを勘案して八十万円のところに持っていくというようなことじゃなくて、ある程度のゆとりを持って、だれが見てもよろしいというような線に実は引いておるわけであります。適正とは何かとおっしゃられると、これはちょっと答えにくいわけでございますが、そういうふうにやっております。
  114. 川俣清音

    川俣分科員 あなた自身わからずに答弁しておられるから、聞くほうはなおわからない。  それではもう一つ具体的に申しましょうか。今度は価格の問題じゃないのですけれども、農林省に自作農特別会計というのがございますね。この会計につきましては、なかなかよく審査されておるようでございますが、この法の目的を達成するように運営されておるかどうかということについてはあまり関心を持っておられないように思う。持っておられるならばひとつお尋ねをしたい。私のところにあります資料は国有農地でございますが、この国有農地というのは、個人所有である農地を買い上げまたは買収しましたり、あるいは所管がえ、所属がえ等で取得しておる農地が非常に多いわけでございますが、これらは農地処分をするために買収したものでございましょう。それが現在どのくらい残っておると思われますか。三十三年は一万二千町歩、三十四年が二万一千八百町歩、三十五年が一万一千四百町歩、三十六年が一万一千五百町歩、三十七年が一万一千三百町歩、三十八年も大体一万一千三、四百町歩、こういうことでございます。農地として必要な農民に売り渡そうという目的でこの会計ができております。これは私が説明するまでもなく、会計法によって明らかであります。それを農地として処分をしないで、いつまでも国有農地として持っていなければならぬ理由はないわけですね。本来はこれを農民に売り渡すために持っている臨時的な会計なんです。特別会計法上そうでしょう。立法の趣旨もそうでしょう。それを現に依然として二万一千町歩も一体国有農地として持っていなければならぬ理由がどこにあるか。国有農地としてそれを利用しているかといえば、利用してない。むしろ利用させなければならない。中には宅地もありまして、住宅が建っているところがある。現在では市街地になっているところがたくさんある。市街地の宅地をなぜ一体農林省が農地として持っていなければならぬのか。こういうことを一体検査されたことがあるのですか。特別会計の会計についてはいろいろな審査をされたことはよく存じています。会計についてはなかなかやかましいことを言うけれども、こういう財産についてはあまり関心がないのではないか。あれば、全く小さなことで、少し安過ぎるのじゃないかと指摘してみたり、安い根拠もわからないで指摘してみたりしたようなことなんです。だから、会計検査院というものは、重箱のすみをほじくるみたいなことばかりやっているという非難が起こってくるのも、こういう点だと思う。立法の趣旨に基づいて運営をしているか、この運営のしかたについて会計検査院審査しなければならぬことだと思うのです。こんな会計はむだな会計じゃないですか。何も農林省が農地を持っていなければならぬ理由はない。一時的に農林省に所属さして、それを農民に売り渡すために持っておる農地なんです。売り渡さないで依然として持っているのなら、持っている必要はないものでしょう。これは明らかじゃないですか。農地法から見て毛、自作農創設維持資金の制度から見ましても、長く持っているために所有するのじゃないんですね。一時農林省が買収をして、その買収したものを適正に配分していこうというのがこの使命なんです。いつまでも一万一千町歩持っていなければならぬという理由はないでしょう。これに対して審査されたことがございますか。ないようですから、なぜやらないのか、ひとつお聞きしたいと思います。
  115. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 自作農の関係に一万一千町歩あって、その点はどうかという点でございますが、実はその点、詳細は私自身は承知いたしておりませんが、自作農関係の法の趣旨に従って運営されるということについては、われわれ関心を持って検査しておるわけでございます。三十七年度検査報告でも、多少そういう面を申しておる点はございます。たとえば農業上の用に供するため貸し付けを行なっているもののうち他用途に転用されているもの、農業上の用に供しないことが明らかであるのに、他用途に一時貸し付けを継続しておるもの、所在不明のものとか、こういうものについて十分管理をやって、適正なほうにいくべきじゃないかということを、三十六年度も言っておりますが、三十七年度にも引き続いて申しておる面があります。なお、あるいは御指摘のように不十分な点があるかとも思いますが、この点は今後十分気をつけていきたいと思います。
  116. 川俣清音

    川俣分科員 これは私は三十五年からやかましく指摘して、ようやく会計検査院がここまで最近踏み切られたのですから、その労は多としますよ。しかし、私の指摘するのは、こういう国有財産になると、基準もなければ、法の命じるままにやっていないことについても、非常に無関心でおられる。ようやく関心が出てきたということは認めますけれども、ほかのほうと違って割合と無関心じゃないか。これは一銭一厘の問題ではなくて、むしろ基本的な問題なんです。あなただから、こうやさしく言いますけれども、農林省だったらば、一体何のために農林省はあるのだ、農地の活用の道を開くために農林行政があるのに、ただ持っていればいいなんということなら、農林省なんてもう廃止したほうがいいと思うのです。そういう持ち方をしなければならぬとすれば、それよりも能力がないとすれば。会計検査院も大体そうじゃないですか。やれないとすれば会計検査院は解体したほうがいいのではないか。ことばは少し荒いかもしれませんけれども。ようやくやられたのだから、あえて問いませんが……。   〔主査退席、田澤主査代理着席〕 だから、ここでそういう検査をするために予算が不足だと言われるなら、そう説明していただくなら、まだ予算審議中ですから、予算をふやせないこともないでしょう。そういう意味でお尋ねしているのです。何らかの意味があるのではないかと思っているのです。やろうとしているのだけれども、旅費その他人件費等が不足でやれないとか——これは当然やらなければならないことなんです。われわれに指摘されるまでもなく、やらなければならないことなんです。それをやっておられないからには何か事情があるだろう、こう善意に推察しているわけなんです。善意にですよ。悪意に推察はしていない。こんなことをやらないでおるのだなんて思っていない。何かの理由があるのだろうと思うのです。何かそういう点があるのではないですか。やろうとしているのだけれども、予算的措置がないとか、人件費が足りないとか、何かあるのじゃないでしょうか。やらなければならぬということは、これは私から指摘されるまでもないことなんです。毎日その仕事に当たっておられる人が、やらなければならぬ仕事か、やらぬでもいい仕事かなんということは、われわれに指摘されるまでもなく、十分わかっておるはずだ。それをやらないでこれまでずっとこられたのは何か理由があったのではないでしょうか、お聞きしたいと思います。
  117. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 私のほうの検査は厳正適確にもちろんやっていかなければならぬわけでございますが、検査が多少手ぬるかったというような点も御指摘のようでございますが、われわれとしてはできるだけやっておるつもりでございます。今後もお話の点は十分考えに入れてやっていきたいと思います。  それから人のほうの関係も、ことしは相当予算においても認められましたので、今後十分検査を実施していきたい、かように考えております。
  118. 川俣清音

    川俣分科員 それは答弁にならないですよ。たとえば農地のほうを申すと、三十三年は、四千七百七十七町歩あらためて取得しておる、そうして処分をしたのが五千町歩。三十四年は、四千九百町歩を取得して、五千八百町歩処分した。あるいは三十六年では、一万二千町歩なお必要なりとして買収あるいは所属がえをして、その一万二千町歩よりも少ないものしか処分をしていない。処分はあまりふえていない。三十三、三十四、三十五年は約五千町歩、三十六年度が幾らか画期的で一万二千町歩、三十七年が九千町歩、今年もやはり約九千町歩、そしてなお一万一千町歩持っている。数字からいいますと、取得はするけれども、処分は進行していないのですよ。それならば、あなたのほうで、適正にやっておる、大いにやらしたなんというようなこともあまり言えないのではないかというふうに、結果的には言えるんですね。御承知のとおり、三十三年から、先ほど指摘したように、依然として現在所有しているのは一万一千町歩、端数のほうは上下がありますけれども、一万一千町歩というのは動かないんですね。未処分のままになっておる。非常に督促されたことはあるようでございますが、依然として一万一千町歩。これでは自作農特別会計の趣旨からいっても、国の資金の運用からいいましても、買い求めるほうは進んでおるけれども、依然として処分はおくれておる。そうすると自作農会計というものはいつまでも停滞しているということになる。新しい資金を入れなければならない。しかもその用地というものは、適正に活用されていない。こんなことが農業政策上大きな欠陥になっておる。農林省はこれはあまり会計検査院にやかましく言ってもらっては困るらしい口吻を漏らしておりますけれども、農林省から何かお話があって手心を加えておるのですか、この点もう一度お尋ねしたい。
  119. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 促進をはかることはもちろん当然でございますが、検査について農林省から何かあったか、手心か加えるような点があったかということですが、私直接担当しておりませんのでわかりませんが、そういうことがあったということを聞いておりませんから、ないはずだと思います。
  120. 川俣清音

    川俣分科員 なければ、何で一体進行させないのですか。あなた方がやらなければならぬ仕事のうちの一つでしょう。これはあなたも御承知でしょう。進行していなければ、進行させることがあなた方の任務じゃないですか。何かあったかと言うとない、ないならばなお、やらなければならぬことじゃないですか。何か事情があるということなら、これはまた別ですよ。事情もないし何もないなら、なぜおやりにならないか。それで貸し付けのほうはやかましくやって、人を呼び出して上げろ上げろということでしょう、農林省全体からいうとね。法律に基づく行為すらやっていないものに対しては、もっときびしくやらなければならぬのに、この点どうですか。何か事情があるなら——私はこれは全然事情がないとは言わない。一万一千町歩という広範な面積ですから。事情があるなら、これは別です。あるかもしれない。そういう事情があるために促進ができないのだというんなら、それもやむを得ない。もちろんあると思います。特殊事情があると思いますよ。しかしこういう、一万一千町歩といえば大きな面積ですね。農地配分をしなければならぬ、農業構造改善を進めなければならぬ、こういうときにあたって依然としてこのままであるのには、何かの理由がなければならぬ。あるならば、会計検査院としてもこれは認めざるを得ないと思います。何か理由もわからないというなら——そういう何とかしてもらわなければならないという事情があるために延ばしておるなら、これは別ですよ。いま聞くと、何もないと言うでしょう。ないならば、なぜ促進しないか。会計検査院の怠慢ですか。もちろんこれは農林省の怠慢でしょうけれども、会計検査院も少し怠慢じゃないですか。
  121. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 私のほうで検査に手心を加える理由はもちろんないということを申し上げたわけでございまして、農林省のほうで、あるいはいろいろのことが立て込んでおり、あるいは人員とかそういう面で、仕事の前後というような関係もありましょうから、あるいはそういうことがあるかもしれませんが、私のほうとしては全体として農地がどういうふうに入ってきて、そして出ていく、その間の処分も適正にいくかどうかということで検査しておりますから、これは十分私のほうはやっておるつもりでおります。いまのどういうわけでおくれておるかという点は、ちょっと私直接担当しておりませんので、ここでお答えはできませんけれども、何か事情があるんじゃないかというふうには考えております。
  122. 川俣清音

    川俣分科員 もう一問でやめますが、あなたのほうで適正な価格で買っておるかどうかというようなことを検査しておられることはよく承知しておる。そういうことについては、非常に熱心にやっておられるようです。その買ったものが買った用途に向かって適正に管理されているかどうかということもやらなければならぬでしょう。そうでしょう。買うのに適正な価格で買ったか、売り渡しに適正な価格で売り渡したかということを一々お調べになっておるのですよ。それならば、買ったものが適正に所有されておるか、利用されておるかということも対象にならなければならぬはずだと思うのですよ。同じ審査の内容なんですね。価格ばかりじゃないのだというのですよ。私が言うのは。適正に運営されているかどうかということも、当然検査の対象にならなければならぬはずだ。これは、買ったものが安い高いだけじゃないのです。あなたのほうはどうも商売人みたいに、高い安いということについてだけは非常にやかましいが、何のために国の金を使ったか、買ったのかどうか、これも審査の対象になっているはずでしょう。現になっているはずでしょう。これだけ膨大な金が動いているのですから、それが一体そのまま農林省の所有地として持っていなければならぬ理由はないはずだから、それについてもっとメスを加えられない理由がわからないと聞いておるのです。何か農林省に事情があったためにやむを得ないのだと認めておられるなら、それもやむを得ない。農林省に何らかの事情があって、それが適正に運用できないのもやむを得ないという判断なら、それも私はいいと思うのですよ。農林省に何かあるかわかりませんなんて、人のことみたいに言っているのはどういうわけですか。農林省といえども、国の所有地を農林省が管理しておるだけなんです。御承知のとおり、それは農地とするための管理をしておるだけなんです。あなた方の当然対象になるべきものなんですよ。私が言うまでもないのですよ。あなた方の仕事の内容にまで入ろうと思いませんよ。農林省の特殊な事情があってやむを得ないのだとお認めになっておるなら、私それを惑いというようなことを言っておるのではない。いま問題にしておるのは、一般的な問題としてですよ。私は一つ一つ知らぬけれども、二万一千町歩というものは、これは一つ一つ御存じにならぬことを十分私も知っておりますよ。方針をお聞きしているのですよ。もう一度ひとつこの点……。
  123. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 相当の数があることはあると思いますが、私のほうの検査といたしましては、そういうものが適正に管理されるというような考え方から、管理についても十分検査をやっておりますが、そういう意味から申しまして、先ほど自作農創設特別会計の財産管理について、私のほうで検査報告に取り上げておる面もございます。なお、ただいまのようにいろいろお話がございまして、その二万一千町歩がはたしてどういうわけでということは、私自身はちょっといまお答えできませんので、その点は残念でございますが、御意見を十分尊重して、検査を管理の面についても十分やっていきたい、かように考えております。
  124. 川俣清音

    川俣分科員 農地でありながら、すでに十数年も都市計画の中に入って宅地になり、住宅が建っておるところがございまして、   〔田澤主査代理退席、主査着席〕 それが農林省の自作農創設維持資金所有のところである、そういうことで町村から、そこに国有地の国有財産が所在するから、平衡交付金の増額の話が出たときに、すでにこれは農地として処分すべきものだから、年内に処分するからと言われてもう十数年になって、宅地どころでなくて、大きな住宅ができておる。そこで会計検査院がたまたま出張されて審査に来られたときに、こういう問題があるから時間をさいてひとつお調べになったらどうですか。もう一見してすき間もなく住宅ができておる。しかも農林省の農地だというのだから、ひとつ適正に審査されたらどうですかということを申請したんですね。ところが、いや時間がない、それだけの余裕がないということなんですね。それでいて、同じ町村の処分したものを、価格が安いか高いかというようなことで審査されておるのですね。同じ町村役場でお調べになるなら、あわせてその点も聞かれてもいいはずなんですね、わざわざ出張するのではないのだから。適正に処分されたかどうかということ、それこそむずかしい手数のかかる調べなんだ。それはおやりになるけれども、管理状態についてはおやりにならないというあなた方の心がけは私には理解できないから、どうわけですか、こうお聞きしているのですよ。むずかしいほうはおやりになるけれども、比較的常識的にもわかるようなことはおやりにならないというのは、あまり常識的なことだからわれわれの権威にかかわるというようにでもお考えになっているのかどうか。非常にむずかしい、評価がどうとかこうとかいうことについては、非常にやかましくお調べになっている。たとえば銀行等にお出かけになって、この辺の土地の価格はどのくらいかとお調べになって、えらいたいへんな御苦労をかけておる。それはそれでよろしい。適正価格を見出そうというのですから悪いとは言いませんけれども、これはそれよりもっと簡単なことなんです。それはおやりにならない。一反歩の評価が高いか安いかということは、目をさらのようにしてお調べになる。まことにけっこうなことだ。御苦労しごくだと存じますよ。労は多としますよ。遊んでおるところを指摘しておるのじゃない。全く御苦労なことには、非常に熱心だけれども、もっとやらなければならぬ基本的なことについてはずさんではないかというのが、私の会計検査院に対する指摘事項でございます。いかがお考えになりますか。もう一度答弁伺いまして、この程度にいたしたいと思います。
  125. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 先ほどから申し上げましたように、高い安いのただいま申されましたような点についても検査をやるということでもちろんやっておりますが、あるいはわかりにくくて、その町村に聞けばいいのを聞かなくて見なかったということもあるかもしれませんが、そういう点は十分御意見を尊重して今後検査に反映していきたい、かように考えております。いろいろの方面からそういうような話がありますれば、私のほうもそういうものを検査に取り上げるという形でやっていく方針でありますが、今後ともそういう点があればできるだけ耳を広くし、目をみはってやっていくような形にやってまいりたい、かように考えております。
  126. 川俣清音

    川俣分科員 私はもう質問しないつもりですが、これは部市計画の図面を見せてもらえばわかる。そこに農地があるかどうかと尋ねるときにわかるわけです。評価するのと違って、部市計画の図面があるかないか、そこに国の所有地があるかないか、お調べになればそれでいいわけです。面積がそこに出ている。比較的これは証拠的にははっきりしている問題です。この辺の地価は幾らかと聞いてみなければならない、あるいは銀行までたずねて行かれるだけの努力を払われるなら、千分の一くらいの努力で明らかになるのですね。だから、会計検査院というのはおかしいと私は思うのですよ。めんどうなことは一生懸命にやるけれども、やさしいことはやられないというのがわからない。経費がないとかなんとかいうことならば別ですけれども、もっと簡単にできることは何か軽んじられて、しかも重要なことと感じられない、この点を指摘しているのです。いまおやりになったことを指摘して、いるのではない。そういう農地処分について、安い商いということをお調べになることは決して悪いことじゃない。それも仕事の中のことですから、悪いことではない。しかもその付近のところなんで、そこがたまたま市街地になっているのだからお調べになったらどうですかということを指摘した。知らないと思うからわざわざ指摘した。あまりにルーズになっているから指摘したわけです。大体そのときのことは、そういうことはやる目的で来ないんだ、こういうお話です。それは別の道路の検査に行ったなら別ですよ。しかし同じ農地の売り渡し価格が高いか安いかということの評価に行かれたのですから、関連してくる。地番も同じ小字ですよ。ですから、遠くじゃないのです。これは一例なんですね。どうも会計検査院の頭のぐあい、常識がわれわれと違うのじゃないかという感じがするわけです。会計検査院は非常に常識的におやりになっているというけれども、どうもわれわれの常識とは非常に隔たりがあるのじゃないかという感じがするわけです。そこで注意を喚起したい、こういうことなんです。どうでしょうか。
  127. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 御注意の点十分気にとめてやっていきたいということを先ほどから申し上げておったわけでありますが、どうかひとつ御了承願いたいと思います。
  128. 川俣清音

    川俣分科員 会計検査院に対しては大体これだけにしまして、まだありますが、他の機会に……。
  129. 植木庚子郎

    ○植木主査 次に、野原覺君。
  130. 野原覺

    野原(覺)分科員 私は主として国会に関する問題で二、三お尋ねをしたいと思うのであります。この問題は昨年の予算分科会でもお尋ねをしたわけでございまして、その際事務局なり、あるいはまた国会図書館の方々から御答弁がございましたので、その御答弁の上に立ってさらに賛同をいたしてみたいと思うのであります。  まず私は国会図書館の問題で二、三お尋ねしたいのです。私いろいろの角度から国会図書館の運営なり、あるいは図書館職員の待遇等についてお尋ねをいたしました。その際に昨年御答弁に立たれました副館長が、国会図書館を国際的レベルにまで引き上げたい、そのために努力をするという御答弁がございました。これはまことにけっこうなことでございまして、国際的レベルにまで引き上げてもらわなければならぬのでございますから、まことに同感でありますが、一体、その答弁をされてから今日まで一年間経過いたしましたが、国際的レベルに引き上げるためにどういう御努力を図書館は続けてきておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  131. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 お答え申し上げます。昨年当分科会におきまして野原先生から御質問のございましたとおり、私ども日夜国立国会図書館の使命達成に及ばずながら努力いたしておるつもりでございます。具体的な方策といたしましては、昨年御指摘がございました後、国立国会図書館の機能を一そう強化改善いたしますために、組織面においてどうしたらいいかということを考えまして、四月一日以降組織を改組いたしまして、従来の閲覧部のほかに参考書誌部を設けまして、閲覧部におきましては閲覧業務すなわち出納とか閲覧について一そう敏活な活動ができるように、また中央図書館としての国立国会図書館の機能を発揮いたしますために、参考書誌部を設けまして、書誌の作成、充実につとめてまいりました。また館内に業務改善調査会を設けまして、百人以上の多数の職員の総意をあげて、館の業務を改善したいと考えまして、過去一年間に約二十五件の改善答申を館長に行ないました。それに基づきまして、荒々実施しております。そのようなやり方によりまして、荒々と国立国会図書館を世界的な図書館のレベルにあげたい、こう考えておる次第でございます。
  132. 野原覺

    野原(覺)分科員 世界的な図書館のレベルに上げるということは、これはきわめて抽象的なことでございますから、二、三私は具体的な問題を提起してお伺いをしたいと思うわけです。  その第一は、新聞の資料でございますが、明治から大正にかけての新聞はほとんど国会図書館に収録されておるもの、このように私も思いたいのでございますが、その辺はいかがですか。
  133. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 新聞はあらゆる意味におきまして重要な図書館資料でございますので、これの蓄積、保存には最大の意を用いております。国立国会図書館は明治五年以来の帝国図書館の伝統を背負っております。したがいまして、帝国図書館が収集した以来の新聞を持っております。また、これのマイクロフィルムの複製につきましても努力しております。また現在、全国の日刊紙五十一紙をマイクロフィルムにとりまして、これを保存する処置も講じております。
  134. 野原覺

    野原(覺)分科員 ある人が私のところに来て、明治時代の古い新聞をぜひ見たいと思って図書館に申し込んだ。そうしたら、破損して閲覧不能であった、こういうことを聞くのです。図書館は日本の国にたくさんございますけれども、少なくとも国会図書館は中央図書館であり、最高の権威のある図書館でございますから、国会図書館でだけなりとも、たとえば萬朝報にしても、あるいは時事新報にしても、明治の最初からの新聞資料というものは保存されておらなければならない。それが見たいという人の要求にこたえることができない、破損してお目にかけることができないということであると、これはいかがなものかと思いますが、最初からの新聞が今日完全に閲覧できる状態に置かれておりますか。
  135. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 御承知のとおり、新聞は紙質が非常にいたみやすいものでございますし、また使用頻度が多いものでございますから、古い新聞は非常にいたんだ状態になっておるものがかなりございます。私どもその保存に苦心しております。しかし、新聞紙というものはせいぜい百年の寿命は持たないといわれておりますので、古いものはマイクロフィルムにとって保存したい、こう考えておりますし、また中には破損いたしまして、書庫から持ち出すのが困難なものもございます。そのためには、実は新聞につきましてはいろいろな図書館にまだいた主ないものもございますので、図書館閥の貸し出しを利用いたしまして、利用者には御不便をかけたくないと思っておりますが、要するに国会図書館における明治五年以来の新聞は、かなりいたんでいるものがある。しかし、私どもその保存にはできるだけ注意したいと考えております。
  136. 野原覺

    野原(覺)分科員 保存ということになれば、これは相当金もかかるわけです。だから、そういったような措置に若干欠ける面があるのではないか。あなたのほうが予算要求しても大蔵省が認めないといったようなところから、貴重なこういった図書館の資料収集あるいは保存、そういう面において欠けるところがあるとすれば、これはきわめて遺憾なことでございますから、実はお尋ねをしたのであります。  第二の具体的な点は、雑誌等の製本でございますが、これは製本に努力されておられるようでありますけれども、その製本された雑誌が整理されていない。整理されていないために貸し出しに応ずることができない。貸し出しに応ずることができないということは、図書館の機能を発揮できないということです。そうなってまいりますと、これもきわめて遺憾なことでございますが、お尋ねしたいことは、整理待ちのものが一万冊もあるように、実は私は図書館の中に入って係に聞いたのですが、製本をして整理待ちのものが一万冊もある、そのまま積み上げられてある、そういうことはございませんか。
  137. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 御指摘のとおり、雑誌というものは製本しなければならぬものでございますから、製本過程が長くなりますと、利用に非常に不便をおかけいたします。私どももこれは非常に苦にいたしております。できますならば、頻度の高い、利用度の高い雑誌は二冊買いまして、一冊は閲覧のほうに出し、一冊は整理、記録をとるという方向に回したい、こういうように考えております。  それから、御指摘のとおり、実は雑誌というものは、私どものほうでは約二万冊月間に入る非常に大量なものでありますから、これが閲覧に回っておりますと、なかなか製本のほうとの調整がむずかしい。したがって製本がおくれるということは、私ども一番苦心しておる一つの問題点でございます。したがいまして、雑誌については相当製本待ち、したがって閲覧に出ない面があるということは、御指摘のとおりでございます。また単行本の製本のみならず、雑誌の製本についても努力はいたしておりますけれども、雑誌の製本につきましてかなり滞貨がある。御指摘に近い数字があることは、私も承知いたしております。
  138. 野原覺

    野原(覺)分科員 御指摘の数字の滞貨といえば、一万冊。一万冊の滞貨が解決されないということでは、図書館の機能を果たし得ない。これはいまあなたがおっしゃったとおり。どうしてそういうことになるのかということですね。私どもは、図書館というのは必要な雑誌がいつでも読める、そういう状態にやはり持っていかなければならないと思う。あなたのほうは組織面を整備して、世界的なレベルの図書館ということを目標にやっておられるのでけっこうでありますが、いつの時点においても一万冊の雑誌が滞貨として積み上げられて、利用者の便に供することができないということは、これは世界的なレベルの図書館ではないのです。図書館というものは、いついかなる場合でも、必要なものがその利用者の目に入る状態に持っていかなければならぬと思うのです。どういうわけで一万冊の滞貨ができるのか、その原因をお聞かせ願いたい。
  139. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 確かに御指摘のとおり、雑誌の製本がおくれるということは、私ども非常に重大な問題と考えております。ことに現代におきます図書館資料というものは、単行本と同じウエートを雑誌に置かなければならぬと考えております。その雑誌に御指摘のような滞貨があり、製本待ちがある、利用が不能ということは、私ども非常に重大な欠陥と考えます。どういうわけでそういうことが起こるかということはいろいろな原因がありますので、組織面から、やり方からいろいろ考えまして、先ほど申し上げました業務改善調査会におきましても、重大な項目の一つとして考えております。そこで組織面の流れにおいていままで欠陥があったに違いないということを考えまして、特に機構上、新聞雑誌課を設けました。また、記録の統一をはかるということが必要なものでありますから、収書部に雑誌のための記録課を設けまして記録の統一をはかり重複を避ける。そうして雑誌の流れをすみやかにしたならば、そのようなことがもっと避けられるのではないかということを考えます。  それからまた、雑誌というものは利用者のために雑誌記事索引をつくらなければなりません。その雑誌記事索引をつくるために索引課を設けておりますが、そこに流れるために若干の日にちも必要とするというようなことも改善しなければならぬ、そういうようなことで、まことに適切な御忠告、御指摘をいただきましたが、私どもといたしましては、ここ一年来この点について重点を置いて改善いたしたいと考えますので、もうしばらく御猶予いただきたいと思います。私ども、この点については最善の努力を尽くしているのだということを御了承いただきたいと思います。
  140. 野原覺

    野原(覺)分科員 最善の努力を尽くされて、組織機構の整備をされておられるということはけっこうなことですが、私が申し上げたいことは、どんなに組織機構を整備されましても、にわかにこの問題の解決はできないのではないか。人員が足らぬのではないか。人員が足らないということは、つまり図書館の予算が足らないということです。この点はいかがですか。予算は十分ございますか。人員は十分ございますか。
  141. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 目下のところ、機構の面、それから仕事の流れの面、やり方の面につきまして最大の能率をあげるように努力いたしております。その上で、どうしても足りなければ人員、予算というものをさらに要求いたして御承認いただかなければならぬと思っておりますが、現在新設いたしました新聞雑誌課におきましても四十一人の職員を配当しております。そこで、もうしばらくそういう点につきまして検討の上、結論を出したい、こう考えております。
  142. 野原覺

    野原(覺)分科員 人員、予算が足らないということであれば、これはやはり国会図書館の権威のためにも——たいした予算額にはならぬと私は思うのです。だからして、これはあなたのほうで検討されておられるようでございますから、すみやかに結論を出して要求をされるべきではないか、このように思うのであります。  次に、国会図書館でお尋ねしたいことは、複写の問題です。コピーをとる複写でございます。この複写については、今日どういうようになっておりますかね。これは著作権との問題もございますから、慎重になされておると思いますけれども、その実情、並びにその実情の上に立って今後どのように進めていこうと考えておられるか、その辺をひとつまとめてお伺いしたいと思います。
  143. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 図書館資料の利用の方法につきましては、直接図書館に来て本を読むということも従来どおり一つの中心的な方法でございますけれども、このごろは複写設備の発達によりまして、資料を直接複写するという利用の方法が非常に重要になってまいりました。これは世界を通じての現象でございますが、同時にこの複写ということは、ややもすると著作権に触れるおそれのある問題でございますから、図書館界におきまして非常に慎重を要する問題でございます。  わが図書館におきましては、利用者の便宜のために従来自写席を設けまして、利用者個人の研究のために一部を写すのならば、これは国際的にも図書館における著書利用の方法として許される形と考えまして、そういうやり方を認めると同時に、また図書館自体の設備をもちまして複写に応じてまいったわけであります。すなわち図書館の設備をもって複写に応ずる、これは当然のやり方であります。あと、その能力に間に合いませぬ場合において自写席を設けて自写させる、こういう形でありますが、最近の傾向といたしましては、との複写がますます多くなる。また、複写をしたいという人が多くなる。その結果どうなるかと申しますと、ややもするとその間に業者が介在してくる。そうして、業者が利用者の正当な委任をとってやってくる場合にはいいのでありますが、その名に隠れまして複写をして、それを売り歩くというような風聞も耳にいたします。そういたしますと、これは著作権法に触れるおそれが大でございますので、私どもこれを未然にと申しますか、なるべく早く正常化いたしますために、図書館本来の施設を拡充いたしまして、ことにこのごろはゼロックスというような機械が発達しておりますから、電子複写施設が非常に精密に、迅速にできるようになりましたので、この電子複写施設を拡充いたしまして、それによって図書館自体の複写能力を拡大し、そうして大部分はこれによって利用者の需要に応じよう、それによって著作権に触れるようなあぶないやり方を極力なくしていきたい、こう考えております。
  144. 野原覺

    野原(覺)分科員 そういたしますと、業者が館内で複写をしておったけれども、それはやめさせた、それははっきりやめさせましたね。業者の館内複写ということは、今日行なわれておりませんね。
  145. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 ただいま申し上げました自写設備の画期的な拡充は、新年度予算からお願いすることになっておるのでありまして、本年度は従来どおりの形であります。すなわち表面におきましては、率直に申し上げますと、従来どおりの形ということは、利用者、すなわち各研究機関、大学の先生であるとか、研究機関の研究員とかが直接自写をするのだけれども、それをまあ業者と申しますか、業者に依頼して、業者がその委任を受けてやるという形でございますが、その形は現在もやっております。
  146. 野原覺

    野原(覺)分科員 業者の館内複写が著作権法とのからみで問題がある、こういうことであれば、やはりこれはあなたのほうが四月からはやめていきたいという方針でございますから、即刻やめるべきですよ。何も新年度を待つ必要はない。いけないことは直ちに改めていったらいい。どうもそこら辺が、あなた方のやり方を見ておると、いつも問題があると思うのです。  そこでお聞きしますが、ある国会議員でございますが、あなたのほうに資料の要求をしたのです。そうしたら返答がきまして、複写のため外部に貸し出しておる。とうとうその国会議員は資料を見る機会を逸したわけです。そういうことがあったそうですが、こういうことに対してどう考えますか。
  147. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 私ども図書館業務におきましては、国立国会図書館としては、まず優先的に国会議員の国政審議にお手伝いしなければならないと思っておりますので、図書の閲覧、貸し出し、複写につきましても、議員さんに対しては、最優先的にやるつもりでございますから、ただいまの御指摘のケースは具体的には存じませんけれども、図書館資料において一般的には外部に貸し出しておりません。したがいまして、一般の資料につきましては、そういう事態は起こらないと思いますが、科学技術資料につきましては、そのうちのマイクロフィルムであるとか、PBリポートとか、特殊なものにつきまして、これを原子力産業会議に貸し出すことがございます。大体一度には二十点を二週間貸し出しておりましたが、最近におきましてはそれを期間短縮いたしまして、大体四日間に短縮しているはずでございますので、そう特別、一般の方には御迷惑をおかけすることが少ないと考えておりますが、ただいまのような御指摘の点については申しわけなく存じております。
  148. 野原覺

    野原(覺)分科員 一般には貸し出していないけれども、特殊のものには貸し出しておる、こういうことです。その特殊のものとは何かといえば、原子力産業会議だ。原子力産業会議というのはたくさんの団体が加盟をしておりますね。いわゆる企業が加盟をしておるでしょう。たとえば日立であるとか、東芝であるとか……。その大メーカーが原子力産業会議の名前で資料を持ち出す、貸し出してもらう。そうなってまいりますというと、個々の企業に対しては貸し出しを禁止するけれども、この産業会議に加盟しておるいわゆる大企業には貸し出すんだ、こういうことになるわけですか。
  149. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 国立国会図書館は、御承知のとおり、一般個人には資料の貸し出しはやっておりませんけれども、中央図書館といたしましてあらゆる種類の図書館には貸し出すことになっております。したがいまして、その図書館の範囲につきまして、これが図書館かどうかということに若干疑問のものがございます。公共図書館とか市立図書館ですとはっきりいたしますが、会社の図書室というようなものを図書館と認めるかどうかというようなことがございますけれども、私ども研究に便宜をはかりますために、民間施設の図書室も図書館として認めることがございます。原子力産業会議の、たしか企画室か図書室だったと思いますが、それも図書館として認めて、貸し出しを認めておるわけであります。決して中小企業には貸し出さない、大企業には貸し出すということでございませんけれども、資料のできるだけ有効な利用をはかりますために、原子力産業会議の図書室に貸し出すことが図書館貸し出しの目的にかなうものと考えまして、そういう措置をとっております。
  150. 野原覺

    野原(覺)分科員 貸し出しを受けておる団体は原子力産業会議だけですか、ほかにございますか。
  151. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 原子力産業会議のほか、相当数ございます。
  152. 野原覺

    野原(覺)分科員 それはどういう団体ですか。
  153. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 専門図書館協議会に加盟している団体、それからそのほか民間施設におきまして図書室を持っておるもの、こういうものをみな指定しておりますので、たくさんございますから、後ほどその貸し出している機関につきましては資料でお届けいたしたいと思います。
  154. 野原覺

    野原(覺)分科員 それは後ほど拝見さしてもらいたいと思います。  そこで副館長、館内の複写は四月から禁止するんだ、その禁止する目的は、著作権法に抵触するかもわからぬ、こういう考え、私はこの考えは間違っていないと思うんです。そこで私が疑問に思うのは、そう言っておきながらある特殊の団体には貸し出しをする。貸し出されたその団体は、これを四日間で複写をする。いいですか、館内の複写は禁止して、その意味では著作権法の問題は起こらないと思いますけれども、その特殊の団体、つまり原子力産業会議に加盟する団体、これは私が調べたところではことごとく大メーカーです。だから、大メーカーは、図書館の本を引っぱり出して複写の恩典にあずかるということもできるじゃないかというので、この団体に加盟をする。そういうものは著作権法に抵触しませんか。目の届かないところでは著作権法の違反が行なわれる可能性ができるじゃありませんか。これはどう考えていますか。
  155. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 ただいま申し上げましたことは、私ども図書利用規則というものを設けまして、それによってやっておるわけでございます。その図書利用規則によりますと、図書利用規則の三十四条でございますけれども、「一 原子力関係図書、二 PBリポート、三 閲覧部科学技術参考課で供用する図書」というようなもので、大体いま申し上げましたとおり、これらは著作権のないものを主としておるわけでございまして、そういう意味におきまして、いま申し上げたものは大体直接著作権に関係のないもの、そういうものをそういうところに貸し出ししておるということにいたしております。
  156. 野原覺

    野原(覺)分科員 副館長、著作権のあるものを貸し出しておりませんか。これはいいかげんな御答弁でなしに、あなたのほうは貸し出しは著作権のないものに限っておりますか。
  157. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 この規程の趣旨は、先ほど申し上げましたとおり、ここに列挙いたしました原子力関係図書、PBリポートというものは、大体において著作権に関係のないものと了解いたしておりますが、著作権のあるものが全然貸し出されてないかどうかということについては、もちろん私ここではっきりお答えいたすことができません。考え方としてはそんなことで運営いたしております。
  158. 野原覺

    野原(覺)分科員 これは館内の複写を禁止するという趣旨からいっても、やはり著作権法違反の疑いが起こるというのでそのような措置をとるわけですから、著作権のある書物を外部に貸し出すということはおやめになったほうがよかろうと思う。
  159. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 まことに御指摘のとおりでございまして、原子力産業会議等に貸し出しますものは、これは複写の可能性がございますから、著作権のないものを貸し出す、そして御指摘のとおり、著作権のあるものは、これは極力貸し出さないということにいたしたい、こう考えております。
  160. 野原覺

    野原(覺)分科員 そこで、あなたがただいま読み上げました図書利用規則なんですが、この図書利用規則が今日守られておるかという疑いを私は持つ。その図書利用規則によりますと、これは何条でございますか、一団体が貸し出しを受ける手持ちの件数は二十件に制限をされておる。ところが、あなたのほうの担当のセクションで手心を加えて、特に頼まれた、よく知っておるというようなことで、その規則が三十件に広げて貸し出されておる、こういわれておる。規則が守られていない。だから、何か特別な関係をつけて、たとえば仲よくなるとか、あるいは一ぱい飲むとか、いろいろなことで、この原子力産業会議の加盟団体の係があなたのほうの係とひもをつけておりますと、その利用規則の二十件が三十件になる。こういうことが行なわれておるというのですが、あなたは絶対に、断じてそういう事実はない、こう断言されますか、いかがですか。
  161. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 ただいまの利用規則におきましては、先ほど申し上げましたとおり、貸し出しするものは科学技術資料の著作権のないものでございますから、私どもといたしましては、これらのものを広く、科学技術界でできるだけたくさん利用していただいたほうがいいわけでございます。しかし、私どもの事務の都合と、それから一カ所にあまりたくさん貸し出ししては他の利用者に差しつかえますから、一応二十件に制限いたしております。  ただ、最近、私、承知いたしたのでありますけれども、このごろは科学技術資料の利用が多くて、二十件ではとても足りないから、せめて三十件貸し出してくれという要請があって、部内で試験的に三十件貸し出ししている、そのかわり返還は二週間じゃなしに、四日間によってやらせているということを承知いたしましたが、これは貸し出し部局の事実上の運営の問題として試験的にやっているということを承知しました。したがいまして、三十件を四日間でやるということのほうが資料の回転利用上よろしければ、またそういうことに規則を直してやるのが当然でございます。また、申すまでもなく、規則は二十件ということを限っておりますのを三十件貸したという事実があれば、これは確かによくないことは事実でございますから、私、ごく最近その事実を知りましたので、いずれ検討いたしたいと思っております。
  162. 野原覺

    野原(覺)分科員 非常に苦しい御答弁ですね。これは規則どおり守って二十件に限定して、三十件ほしいけれども、二十件だからということでがまんして帰る人があるわけです。ところが、実は試験的かどうか知りませんけれども、三十件借りていく人もあるわけです。もし三十件にするならするで、私はこの利用規則を改めたらいいと思う。利用規則がある限りは二十件にすべきなんです。特殊の者に図書館は手心を加えておるのです。あなたも御承知かもしれませんが、かつて春秋会事件という問題を引き起こしておる。私はこの複写の問題で、これが外部に貸し出されるというところから、実はこういった、一般的ではありませんけれども、科学技術資料の特殊なものでございますけれども、いろんな問題がどうも介在しておるやに聞くのです。私は、ほんの小さなことのようですけれども、二十件と三十件の問題をいまここで取り上げてみたのです。ですから、せっかくこの利用規則があれば、規則どおりにやる。そうして規則を改めて、三十件が必要ならば三十件。これは公平に公正にこの種のことは行なわれなければならぬのじゃないかと思う。  そこで、次に、お聞きしたいことは、この複写の料金ですが、これはどのぐらい図書館はとっておられますか。
  163. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 前段につきましては、先生御指摘のとおりと存じますので、その点につきましては私のほうとしてはたいへんやり方がよくないと思っております。今後関係者に注意いたしまして、そういうことのないように、規則どおり守るように、平生も言っておることでございますけれども、そういたしたいと思っております。  それから、複写料金につきましては、現在、ゼロックスがございますが、一件二十五円でやっております。ただ、これも実は材料費その他が高騰してまいりましたので、この是正をはかりたい、こう思っております。
  164. 野原覺

    野原(覺)分科員 現在は二十五円、三月までは業者が入って複写をしておりますね。業者は五十円で請け負っているらしいんですが、その辺は御承知でございませんか。
  165. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 国立の国会図書館でございますから、複写は何と申しましても一番安いものになるのであります。他の複写機関は安いところで四十円。四十五円、五十円といったところがございます。そういたしますと、わが国立国会図書館が、広く、安く資料を提供しようと思う趣旨が、一部の、不心得の者によりまして、安いものを場合によっては他に転売するというよろなことが起きようかと思います。この点が実はちょっと苦にいたしているところでございます。
  166. 野原覺

    野原(覺)分科員 業者は五十円くらいで、あなたのほうには一十五円納めて、残り二十五円は業者がもうける。こういう仕組みで、入って、今日盛んに複写をやっておる。これは副館長御承知のとおりなんです。  そこでお伺いしたいことは、四月からはこの業者が入ることをあなたのほうは差しとめるわけですね。そうなりますと、この複写は、一枚について、一件について二十五円がどのくらいに上がりますか。
  167. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 まだ最終価格は決定しておりませんが、原価計算その他によりますと、どうしても四十円近い値段が妥当ではないかという計算を係の者がいたしておりますので、それらを材料にいたしまして適正な値段を考えていきたいと思います。
  168. 野原覺

    野原(覺)分科員 これはおかしいですね。これは三十九年度予算として雑収入になるか何の収入になるのか知りませんけれども、これは当然決定しておかなければならぬでしょう。三十五円になるのか四十円になるのか、それがきまっていないということは、国の事業としてはおかしいですよ。
  169. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 この値段につきましては、もちろん雑収入といたしまして歳入に計上いたしまして、国庫に入るわけでございます。図書館は来年度は千三百万円ばかりの歳入を計上いたしておりますが、この計算の基礎は二十五円でやっております。
  170. 野原覺

    野原(覺)分科員 これは三十五円だと私は聞いておりますが、それは聞違いですか。従来どおり複写は二十五円、そう受け取ってよろしゅうございますか。
  171. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 歳入の計算の基礎は二十五円でございます。
  172. 野原覺

    野原(覺)分科員 歳入の計算の基礎は二十五円だと思いますが、この複写をした場合にどれだけいただくことになっておりますか。計算の基礎として二十五円であなたのほうはいくわけですか。
  173. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 一枚二十五円でいただくように歳入は計算いたしておりますが、何しろ物価が高騰いたしておりますし、二十五円では少し安過ぎるからこれを適正な価格に上げたい。その数字は計算させておりますけれども、正直のところ、まだ幾らにするかはきめておりません。
  174. 野原覺

    野原(覺)分科員 この種のことは、新年度はもう目の前に来ているわけですから、早く方針をきめられたらいいと思う。  そこで、あなたのほうは、この複写のために富貴をふやしましたね。何名ふやしたか、及びそのふやした理由。
  175. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 複写のために新たに職員三名をふやしました。これは、ゼロックス二台を操作し、複写を行なうために必要な最小限度の人員でございます。
  176. 野原覺

    野原(覺)分科員 千三百万円の収入を見込んで三名をふやした。  そこで、これはおそらく二十五円が三十五円になるか四十円くらいに持っていくように大蔵省のほうとは話ができているんじゃないですか。これは大蔵省はどういう見解ですか。この収入について、もし大蔵省が何らの見解を示していないとすれば問題ですよ。これは歳入機関として問題がございますね。大蔵省は二十五円でよいということですか。これを重ねてお伺いします。
  177. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 この複写料金の基礎につきまして、もちろん予算折衝の場合においては大蔵当局ともいろいろ突っ込んだ話をいたしたわけでございます。いろいろな原価計算から見て、二十五円では安いということは両者において意見が一致した次第であります。したがいまして、その原価計算の上において適正な数字ならば、これはもうおそらく三十五円以上になるものというようなことにつきましては、両者たいして見解の相違はなかったように記憶いたしておりますが、この金額につきましては、もちろん大蔵省が指示したりきめたりする問題ではございませんので、それは私のほうが責任をもってきめなければならぬ問題でございますから、そういう程度の話し合いだったと記憶いたしております。
  178. 野原覺

    野原(覺)分科員 小さいことのようですが、これは図書館運営として、図書館は国民全体のものだ。大メーカーだけが利用すべきものではない。科学技術の重要な資料についても、中小企業のメーカーだって個人だって必要なんです。いわゆる原子力産業技術会議に加盟するところのそういう団体は、あなたのほうの本を利用するために加盟しておるものもあるのです。たくさん私は知っておる。そういうところには貸し出しを認め、複写を認め、個々人はそれができないといったそういうことでは、国会図書館の役割りを十分に果たしていない、大企業本位ですよ。池田内閣がそういう方針をとっておるからといって、あなたのほうが国会図書館の運営までそれを持ってきて何もごきげんをとる必要はさらさらない。これは小さいことのようですけれども、事は大きいのです。今日各方面で問題になってきておる。  そこで、さらに発展して、国会図書館の問題でもう一点聞きたいのです。この目録は、いまローマ字の訓令式で表記されていますね。これを何でも、図書館長の鈴木さんの御意見かどうか知りませんが、ヘボン式に改めようじゃないか、そういう話が出て、ヘボン式のローマ字の表記にこれを変えたいという方針をとられたやに聞きますが、いかがですか。
  179. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 図書館資料の利用につきましては、ただいま先生が御指摘の点十分拝承いたしまして、もちろん大企業に偏するようなことがないようにいたしたいと思います。御了承いただきたいと思います。なお私どもといたしましても、科学技術資料を広く、特に中小企業の方に使っていただきたいというのが念願でございます。大企業のほうはそれ相当の資力、施設もあるわけでございますから、中小企業の方にも使っていただきたいために、全国の主要地十カ所に科学技術資料館を設けまして、科学技術資料も送ってその利用に当たっておるわけであります。御指摘が特にございましたので、今後とも中小企業の資料活動を助けるようにいたしたいと思っております。  なお第二段の、図書館が行なっておりますいろいろな資料のローマ字表記についてどういう方法をとるかという問題でございますが、国立国会図書館におきましては、御承知のとおり印刷カードをつくっておりますが、その印刷カードの著者名表記に訓令式を使っております。しかし何と申しましてもヘボン式がなされておるものでございますから、図書館の資料を調べてみますと、大部分はヘボン式を使っておる。ただカードだけは訓令式を使っております。ところがこの印刷カードというものは図書館資料利用の点において国際的にも非常に重要なツールでございます。それでこのカードはアメリカ初め各国にいくわけでございますが、この表記が訓令式であるということは各国の図書館にとって非常に苦情の極になるわけでありまして、国立国会図書館のカードがヘボン式であるならばどんなに助かるであろう、わざわざ国立国会図書館から印刷カードを買いましても、それをへボン式に改めるために、先般館長がアメリカに行きましたときに、日本の本一冊について五ドルかかる、これでは何のために印刷カードを買うんだかわからない、ぜひへボン式にしてくれないかという痛切な訴えがあったそうでございます。それから各国を回ってみましても、ローマ字は全部ヘボン式である。また国内の外務省をはじめ、あらゆる——と申しては語弊がございますが、おもなるところはみなへボン式で、結局私どもは別にローマ字の形式について権威ある判定をするとか、あるいは国語問題についてどうこうするということとは別問題といたしまして、ただ私どもの仕事が国際的に幾らかでも役に立つようにするのには、訓令式よりはヘボン式のほうがよろしいということに、いろいろな研究の結果いたしまして、今後はヘボン式によって館内のローマ字表記を統一いたしたい、こう考えております。しかし図書館の仕事と申しますのはたくさんつくったカードを一挙に変えるわけにはいきませんから、その実行方法については、無理のないような方法でやっていきたいと思っております。
  180. 野原覺

    野原(覺)分科員 その表記を訓令式からへボン式に書きかえる、そういたしますと、大体の見積もりでけっこうですが、延べ人員と予算、どのくらいお考えですか。
  181. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 これはやり方によっていろいろございますので、どのやり方によってやったらいいかということを、まだ具体的に結論を出しておりません。一番いい方法、すなわちカード、図書館の資料のやり方を全部へボン式に変えるということは、大部隊の敵前転回のようなもので、それをなるべくスムーズにやるのにはどうしたらいいか、具体的な方法を、さっきの業務改善調査会においても検討しておる次第でございまして、でありますから、このやり方で幾らかかって幾ら人間が要るという結論は出ておりません。
  182. 野原覺

    野原(覺)分科員 ヘボン式に改めるという方針はもう確定したのかどうか。それからすでにヘボン式に直す作業が始まっておるのかどうか、お聞きしておきたいと思います。
  183. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 今後の目録その他図書館資料につきましてはヘボン式でやるということは、館の方針として決定いたしております。したがって今後つくる資料は極力ヘボン式でやります。従来の訓令式でやっているカードをヘボン式に書きかえるという作業は、まだ始まっておりません。
  184. 野原覺

    野原(覺)分科員 政府の方針を統一してもらわなくちゃ困ると私は思うのだ。きょうは池田総理がいないからですけれども、文部省は訓令式をとっておりますよ。御承知ですか、副館長
  185. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 御承知のとおり訓令式を原則としてはおりますが、ヘボン式を使ってもよろしいという、現在のたてまえは、政府の方針といたしましても両方認めているわけでありまして、したがいまして各官庁におきましてもあるいは訓令式を使っているものもありますが、ヘボン式を使っているもののほうが多いという実情でございます。
  186. 野原覺

    野原(覺)分科員 文部省は、ローマ字教育は、学校教育の中では訓令式をとっておる。そうなると文部省は学校教育の中で訓令式をとる、各官庁は今日へボン式であるというのは、ヘボン式が訓令式に十分に改められていないのですよ。日本のローマ字というのはヘボンと訓令がこんがらかってずっときておりますね。それを改められていない。だからその残滓が残っておる。私はここであなたに問題を提起しておきたいのだが、上野図書館は今日国立国会図書館に合併をされた。上野図書館はかつてヘボン式であったのですよ。御承知ですか。そのヘボン式であったのを、国会図書館に合併する際、わざわざ訓令式に変えさせたのですよ。たまたま鈴木館長がアメリカに行った、そうしたらその訓令式に対する文句がアメリカから出たわけです。その文句を聞いて鈴木館長はあわてて今度はヘボン式だ、こう言い出した。何百万の目録をヘボンに改めるなんということをやると、おそらく一千万円以上の予算がかかるに違いない。九千人ぐらいの延べ人員の労力が要るに違いない。一体国会図書館というのは方針がぐらぐらしておる。目録を書くのでも、上野を合併するときには訓令に直さして、そうして今度アメリカに行ってアメリカの意見を聞いてきたら、今度はヘボンだ、こう言う。鈴木さんが館長をやめてだれか館長がかわってみなさい、またこの問題は訓令だと言い出しかねないです。だから、こういうことについてはあなた方だけではなしに、これは広く国民の意見を聞いて決定さるべき問題ではないか、こう私は思う。日本の図書館、国会の図書館はアメリカの図書館じゃないです。外国の図書館じゃないです。なるほど世界的な文化の交流という面もございますから、御不便はあるでしょう。しかしながら、せっかく文部省がローマ字は訓令式をとるのだという、これが国としての方針ですよ。ヘボンでもいいという方針じゃないですよ。ヘボンは変則として認めざるを得ない。これがいけないとは言わないけれども、原則として訓令式でいくのだという方針をとっておる限りは、国民の図書館それから国全体の日本の図書館であれば、軽々にヘボンに変えるべきではないと私は思います。これはあなたと私の意見の相違でございますから、この点は私は質問の形では申し上げませんけれども、これはどうかひとつ鈴木館長と十分相談をされて、過去の経緯等もございますから、対処されるように要望しておきたいと思うのであります。  そこで、事務総長にお伺いしたいと思う。私は去年の分科会で、あなたは出てきませんでしたが、庶務部長の藤野さんが来られて答弁に当たった。実はたくさんの問題を提起していろいろ御意見を伺ったのですが、まず事務総長に私の質問を申し上げる前に承っておきたいことは、あなた方はこの予算分科会をどう考えておるのかということです。なるほど国会の問題は衆議院の議運の庶務小委員会で取り上げられる。私もかつて議運の理事をしてきた。それがあるからというので、この予算分科会の意見ないしは要望等を軽視していないか、こんなものはどうでもいいんだ、かってに言わしておけというような考えがあなたにあるのじゃないかと私は思う。いかがですか。
  187. 山崎高

    ○山崎事務総長 分科会を軽視するという考えは毛頭持っておりません。
  188. 野原覺

    野原(覺)分科員 じゃ、私が去年尋ねたことについてあなたのほうが、私の要望については慎重に検討する、実現するために努力するとたくさんのお約束をしておる。じゃ、その約束をあなたは知っておられますか。それでその約束は守られておりますか。どれだけのことが去年の予算分科会では問題になって——私と横路委員と二人が国会の問題を取り上げていろいろお尋ねをしてきたのです。そのほかにも二、三あったわけです。どういうことが去年の予算分科会では取り上げられたか。その項目についてあなたは御記憶であれば伺っておきたいと思う。
  189. 山崎高

    ○山崎事務総長 昨年の予算分科会におきましては、私は他の委員の方の御要求に応じまして出席いたしたのでございますが、野原先生の場合におきましては担当の庶務部長がお答えしたと思います。そこで、率直に申し上げますと、庶務部長が善処したと思いますが、いまここでもってその当時どのような約束をしたかということはすぐ思い浮かばないのでありますので、ひとつ昨年のことにつきまして個々的にお示し願いたい、かように存じております。
  190. 野原覺

    野原(覺)分科員 あなたは出席されないならば、予算の速記くらい見なくてはいかぬ。お読みになりましたか。予算分科会国会のことが問題になったら、事務総長としては当然速記録に目を通すべきだ。お読みになりましたか。
  191. 山崎高

    ○山崎事務総長 昨年のものは読んでおりません。自分の答弁につきましては、もし間違ったことがあるといかぬというので、確認の意味で目を通しました。しかし他の問題につきましては読んでおりません。その点まことに恐縮に存じます。
  192. 野原覺

    野原(覺)分科員 それが分科会をなめておるのです。いやしくも事務総長予算分科会国会のことが質問されて、その速記に目を通さないというのは不見識だ。そういう不誠実な態度は私は許せないと思う。とんでもないことです。この予算委員会を何と思っておりますか、国会を何と思っているのです。あなたはその点は非常にいけなかったと言いますけれども、そのいけなかったということも、あなたが速記を読まなかったという、そういう考え方からいって、私はいいかげんな、口先だけではないかという気もするのだ。この点はひとつ十分改めてもらいたい。  そこで、去年深夜国会があった場合に非常に職員が困っておる、私も深夜国会で一階の職員のたまり場をずっと歩いた経験があります。行ってみると机の上にふとんもなしにごろごろ寝ておる。こういうことは、国会というところは議論が伯仲すれば深夜国会は当然なんだ。国会は官庁のように九時に来て五時に帰るというべき筋合いのものじゃない。重要な問題が起こったら深夜国会が二日でも三日でも続くことはわかり切っておる。わかり切っておるのに、しかもそういうことは何回も繰り返されてきたのに何もされていない。深夜国会に一体どういう施設をして職員を休養させるかというところの何らの考慮も払われない、この点はきわめて私は遺憾じゃないかと言ったら、藤野庶務部長は速記録でこう言っているのですよ。「おっしゃる通り、何らかの方法で宿泊者に対する便宜をはかるということは考えていかなければならない」、あなたのおっしゃるとおりです。こう言っておる。考えていかなければならない問題と思いますから、これは早急に考えるということも庶務部長事務局を代表して答弁しておる。考えてきましたか、考えてきたならどういう計画があるのか、どういう考えをしてきておるのか、承っておきたい。
  193. 山崎高

    ○山崎事務総長 深夜国会があります際には、これは当然職員としては議会事務が円滑に行なわれるよう奉仕するのがその義務でございますので、全職員をもって努力せねばいかぬと思いますが、しかし私たちといたしましても、その深夜国会に従事する職員の健康なり、あるいはさらにあすもまた忙しいというようなこともございますので、十分に注意しなければいかぬと考えております。従来は、もし幸いに深夜でありますが明け方までの完全徹夜でない場合におきましては、それぞれ送り届ける等の方法、また夜具等のこともあらかじめ見通しを立てましてある程度準備をする、さらに根本的にはなるべく公務員宿舎を議会のそばに置くというような点を考えまして、この国会発足以来努力してまいっておるのであります。また食事等につきましても、あるいは夜食を提供するというようなことにいたしまして、できるだけ各職員一体となりまして各党の御要望に沿って国会運営が円満にいくように、なお全部の職員を残すということもどうかと思いますので、ごく必要なる要員に限って超過勤務命令を出すというようなことを実施してまいっております。幸いに昨年以来におきまして深夜国会の数も少のうなりましたので、われわれもまたその点は従来よりも気が楽なんでございますけれども、しかしいかなる場合に対処してもできるだけのことをしなければならぬという心境には変わりないのでございます。
  194. 野原覺

    野原(覺)分科員 やはり職員には思いやりのある措置を早急にとってやるべきだと私は思う。婦人職員というのが衆議院は何人おりますか。
  195. 山崎高

    ○山崎事務総長 婦人の職員は二百九十名というふうに考えています。
  196. 野原覺

    野原(覺)分科員 三百名近い婦人職員ですけれども、三百名もおれば、当然婦人のための休養室というものがあってしかるべきだと思いますが、これはございますか。
  197. 山崎高

    ○山崎事務総長 遺憾ながら、ただいまのところございません。なぜかといえば、その点につきましては、目下議員会館第二号館を建築中でございますが、第一号館の建築以来、事務局プロパーの課の仕事におきましても、これは皆さまの御了承を得まして、たとえば議員面談室の一部を使うとか、あるいは供待ちを事務室に使うとかいたしまして事務の不便をしのいでおりまして、いずれ第二会館ができますれば、さような点も諸般の点にわたって考究したい。いま、事務局自体があちこちに間借りしておりまして、非常に狭いところでもって机を押し並べてやっておるようなわけでございますので、いましばらくひとつ猶予せざるを得ぬ、かような状況でございます。
  198. 野原覺

    野原(覺)分科員 国会が、この議事堂ができて長い年数がたっておるので、いましばらくで——第二会館までといえば、あと二年。これもきわめて誠意のないやり方だと私は思うのです。  それから次は給与のことで聞いておきますが、御承知のように、給与表には行(一)と行(二)があるわけですね。あなたのほうが職員組合と交渉する際に、行(二)は望ましくない、われわれも君らと同じ考えを持っておる、こういう発言をされた、こう聞きますが、ほんとうですか。
  199. 山崎高

    ○山崎事務総長 行(二)のことにつきましては、私たちはこの国会——政府全般というようなことでありませんで、この国会——参議院とも十分打ち合わせなければいかぬと思いますが、事衆議院に関しましてはなるべく少なくしたい、できるならばなくしたい、かような気持ちを持っておりますので、望ましくないというような発言をしたかと思うのでございますが、確かにさようなような気持ちは持っておるのでございます。
  200. 野原覺

    野原(覺)分科員 自動車の運転手がいつの国会でも問題になる。私も自動車を利用して、乗るたびに個々の運転手からも聞くわけです。給与がお話にならぬのです。固定給というのが。それで、あの人方はどう考えておるか知りませんが、かろうじて、議員からチップをいただいてそのチップが必要な生活費になっておる。このことは事務総長もよく知っておると思う。この自動車運転手の給与は、私、時間をとって恐縮ですから、いまここにこまかい数字をあげてきてありますけれども、一々は申し上げません。これはお話にならぬ。ところがこれは行(二)なんですね。これは早急に改めなさい、ずっとこう言ってきたわけです。どの国会でも。それで、何とか考えます。考えますといって、少しも改まっていない。これはどう考えますか。
  201. 山崎高

    ○山崎事務総長 行(二)の職種につきましては、自動車運転手のほか電話交換手あるいは用人等がおるのでございまして、国会の勤務の実情を見ましても、自動車運転手は単に自動車を運転するという単純労務というふうに私は考えられないわけであります。実際いうと、議員さんの身になってもあるいは頼まれたこともやらねばいかぬ。また、電話交換手になりましても、宿舎等にいるのはいろいろと議員さんの頼みを受けてそれを取り次ぐとか、あるいは留守中の電話を引き継ぐとか、あるいは電話番号だけでなく、どこそこへかけてくれといってそこへかけるというようなこともございますし、また、小使さんにいたしましても、先生方大ぜいに仕えておるという関係もございますし、宿舎の小使さん等もなかなか気骨が折れる、いろいろな点がありますので、できるだけ可能な範囲でもってひとつ行(二)というものからなるべく行(一)に移したいというよう考えております。しかしやはりこの点につきましては大蔵省当局の国会事務の内容に関する理解が必要でございます。われわれは及ばずながらも今後そのように努力したい、かように考えております。
  202. 野原覺

    野原(覺)分科員 これは自動車運転手だけではなしに、電話の交換手、それから用人もございますね。こういう人々の給与はお話にならぬ。数字はなんでございますが、四十五歳ぐらいの方で一万八千円ぐらいしかもらってない人もあるのです。私ここに俸給袋を——私のところに陳情に持ってきたわけでございますが、だから、この行(二)が好ましくないというあなたの考え、事務当局の考えであれば、これはひとつすみやかに改善するようにしてもらいたい。よろしゅうございますか。次の予算分科会ではこの種の問題が二度と出ないような措置をとってやるべきなんです。年齢三十九歳、勤務年数十年で家族六人、この人が幾ら俸給をもらっておるかというと、手当を一切入れて二万四千円です。これは国会につとめておる。人事院の生計費によれば、この人の場合にはこれの倍なければ生活できない。二万四千円で泣く泣く、やめたらどこにも行けぬから、中高年齢層はなかなか雇ってもらえないので、泣く泣く国会につとめておるという実情なんです。こういう問題については、職員組合の諸君が庶務部長なり事務総長に陳情をし、嘆願をし、それからいろいろ交渉をされておると思うので、ひとつ十分聞いて、私は、この種のことはやはりすみやかに対処してやるべきだと思う。国会がその気になれば、あなたのほうがその気になれば、大蔵省ぐらいこれは話がつきますよ。国会は各官庁とは違うわけですから、衆議院議長のもとで国会職員給与を出しておるわけですから。国権の最高機関につとめておる諸君が一万八千円や二万四千円だ、手当を入れて、それが四十五、六歳の人だなんということは、あまりにも私は気の毒ではないかと思うが、そういう思いやりが十分になされていないように思うのです。山峡さんは個人としてはいろいろ御心配されておると思いますけれども、事務総長、この点はひとつすみやかに是正していただくようにお願いをしておきたいと思うのであります。  それから、これも話が余談のように聞こえるかもしれませんが、私はこの前の分科会で、国会職員が青い顔をしておるじゃないか、このくらいいくじのない顔をしておる諸君はないじゃないか、こういうことも実は問題に出してきたのです。何が原因かと言えば、これはいろいろあると思います。国会職員は大蔵省や農林省の役人と違うところがある。ほんとうに元気がないですよ。いろいろこれはあるでしょうが、その一つの原因としては、こう然の気を養うところがどこにもないのです、国会に判こを押して出勤いたしますと。キャッチボールもできないのです。国会議員がたくさんおる関係もあるし、その場所もない。ところが各役所に行ってみなさい。昼休みは太陽のもとでほんとうに手足を伸ばして伸び伸びと運動をやっておる。キャッチボールをし、走り、バレーをやり、そして高らかな笑い声を立ててやっておりますけれども、実に国会ではそういうことがない。ほんとうに締めつけられてしゅんとしてしまっておる。これでは私はやはりほんとうの能率はあがらぬと思うのです。そこで私はこの前も——これはあなた速記を読んでおらぬのでもう一度言いますが、ピンポン台ぐらいひとつ設備してやったらどうだ、そういうことを言ったら、藤野庶務部長、考えましょうということを言って一つも考えてない。こういう点も早急にやはり事務総長たるものは考えていただかなければならぬと思うのです。  そこで、事務総長に最後にお聞きしたいことは、あなたが院内におる限りは部課長は残っておれ、こういうような御指示をされておりますか、いかがですか。
  203. 山崎高

    ○山崎事務総長 さようなことは毛頭いたしておりません。むしろ早く帰ってくれと言いまして、用でおっても、仕事をしていても、ランプは消すというようなことをいたしております。
  204. 野原覺

    野原(覺)分科員 そういうことはなかろうと思いましたけれども、あなたがいなくなると部課長がいないのです。あなたが九時まで残っておると、みな部課長は残っておる。これは一つの官僚機構でございますから、何だあれは帰ったのかということでにらまれたらたいへんだということもあるでしょう。こういうことは小さいことのようですけれども、やはりあなただって人間ですからね。議運の諸君と雑談をすることもある。そのために二時間総長室におることもあるんだから、おれがいようといまいと、時間がきて用事がなくなったら帰ってよろしい、しかし帰るときにはぼくのほうに連絡だけはしてくれ、こういうことにされたらいかがなものかと思う。私はいろいろなところからそういうことは聞いておりますから、その点も小さいことのようですが申し上げておきたいと思うのであります。  そこで、訴追委員会にお聞きします。訴追委員会事務局長、あなたのほうは定員は十二名のようですが、この定員昭和二十五年の定員のままのようです。二十五年に訴追委員会が開庁されましたが、その開庁された当時と今日と比較いたしますと、相当件数が増加しておるのではないかと私は思う。その辺をひとつ御説明願いたいと思います。
  205. 福島尚武

    福島裁判官訴追委員会参事 さようでございます。一年間に新たに受け付けました件数についてちょっと申し上げますと、昭和二十四年が二十八件、二十五年が三十一件というような程度であったのでございますが、最近になりますと、昭和三十四年が百十六件、三十五年が百十三件、三十六年が百三十六件、三十七年が九十六件、三十八年が百七件というふうに、毎年百件以上というふうに増加しております。これを思いますに、戦後、裁判所の訴訟事件増加してまいりましたにつれて、裁判官訴追請求事件もふえたという点もあるかと思いますが、何ぶんにもこの委員会が発足いたしまして今日では十六年余りたっておりますので、近ごろは国民一般広くこの制度が周知されたということ、あるいは戦後、裁判の民主化というようなことに伴いまして、御承知のように裁判批判ということが広く国民一般の間に行なわれる風潮に伴いまして、結論といたしまして裁判官を訴追するというところまでには至らなくとも、一応訴追委員会へ請求するというような傾向が多くなったことで、これは今後とも事件数は増加していくのじゃないかというふうに考えられるのでございます。
  206. 野原覺

    野原(覺)分科員 件数も増加する、それから内容も複雑になる、そういうことになりますと、いかがですか、昭和二十五年の定員十二名というのは、やっていけますか。
  207. 福島尚武

    福島裁判官訴追委員会参事 この裁判官訴追委員会の事案の処理につきましては、その後、発足当時に比べまして、ただいま御質問になりましたとおりに事件数もふえてまいり、また内容も複雑になっておりますし、また何ぶんにも、事務局の仕事といたしましては、訴追委員会におられます委員の方方はそれぞれの本務をお持ちになりながら、なおかつ訴追委員会の事案を処理していただく、それだけ余分に事務が加担されておる、こういう事情でございますので、委員の方々には事案の処理に余分の負担をかけないようにくふうをしていかなければならない、こういうような考えで事務の改善ということを着々進めてまいりまして、いろんな書類が出てまいりましても、それを要点をまとめまして、わかりやすい一つの資料を整備して委員の方々に配付する、あるいはまた委員が調査のために出張されますときには、その資料もいろいろ整備するというような、量も非常にふえてまいっておりますので、発足の昭和二十五年当時の十二名では非常に不足している、しかしながら、日々の事案の処理については万遺漏なくやらなければならないということで非常に努力しておるわけでございます。そういう点で、いろいろ御指摘のとおり、十二名でやれるかといわれれば、現在持っております事案の処理については、これは十分やれるように努力しておりますが、それ以外の、事案の処理と申しますよりも、たとえば資料を整理するとか、あるいは記録を整備していくというような処理については、片手間にやらざるを得ない、こういう実情であります。
  208. 野原覺

    野原(覺)分科員 十二名でやれないということであれば、一体定員要求をしていますか。
  209. 福島尚武

    福島裁判官訴追委員会参事 現在承知しておりますところでは、近年は何ぶん取り扱います事案が裁判官のやりました裁判事務に関係があるものでございますので、その必要上、局長を補佐する意味で、次長の定員要求をここ数年来やっております。ところが、一般職員についての定員要求はいたしておらないのでありますが、現在におきましては、ただいま申しましたような実情から、事件が昨年末までに開庁以来千三百三十一件にも達しておりますので、昨年から事案処理カードのようなものをつくりまして、これらの事案の内容の要点を記載するという作業を始めたのでございますが、そこまで十分手が回らないというような事情で、今後事務局の機構をどういうふうに持っていくか、あるいはどういう点について増員要求をすべきかということを昨年から検討を始めておりまして、具体案ができまして訴追委員会の承認を得ますれば、成案を得てただいま御質問の人員の要求もいたしたい、こういうふうに考えております。
  210. 野原覺

    野原(覺)分科員 これはもう議論の余地はないですよ。件数が何倍にもなって、あなた自身も増員してもらわなければ困るんだ、これは増員要求をやったらいいと思う。それをあなたのほうではしないのです。しないものだから十二名のそこの職員は非常に労務過重に今日落ち込んでおる。あなたのほうがいま考えておるのは次長を置くということだ、次長を置けば局長は楽なんだ、自分のことばかりしか考えない、次長を置いたら局長は助かる。しかしながら一般の職員はそう助かりませんよ。ですからほんとうに件数が倍になって、内容は複雑になってたいへんだというなら、何をぼやぼやしているんだと言いたい。あなた方が要求しないから、だれもこれはほっておきますよ。そういう点はほんとうに困るなら困るで要求すべきだ、要求したらいいと私は思う。  最後に、事務総長にお聞きいたしますが、第一議員会館が建ったわけです。あの建築についていろんな意見がお互いの中でもかわされておる。私は、今度第二議員会館が建築されるにあたっては、第一議員会館の建築の不備その他いろんな意見を聞いて、その反省の上に立って第二議員会館は建てらるべきものだと思いますが、その配慮はございますか。
  211. 山崎高

    ○山崎事務総長 第二会館の設計につきましては、第一会館に起きました不備を十分検討いたしまして——いろいろと御注文がございます。担当の部長におきまして項目別に詳しく調べておりまして、また今後、設計につきましても、皆さんの御意見を十分承って直していきたい、かように考えております。
  212. 野原覺

    野原(覺)分科員 たくさんあるわけで、実はこまかな問題については時間の関係で皆さんに御迷惑をかけてもどうかと思いましたので、これは他日適当な機会に議運の庶務小等を通じて私の所見を申し上げておきたいと思うのです。どうかひとつ、特に職員に関する待遇、住宅の問題、こういうことについては、衆参両院と国会図書館あるいは訴追委員会等に格差がないようにしてもらいたい。まかない雑費は三千五百円衆議院はもらうのに、図書館の職員は千円だ。これはいつも問題になってきておる。同じ国会職員でありながらそういう格差をつけておるわけです。これは格差をつけないようにしてもらいたい。それから待遇の改善は、これは国権の最高の機関であるならあるとして、事実上行二を廃止して、すみやかに是正すべきです。これは引き上げてやるべきです。このことを私は要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  213. 植木庚子郎

    ○植木主査 次に川俣清音君。
  214. 川俣清音

    川俣分科員 衆議院事務総長国会予算についてお尋ねをするのですが、その前に、いま野原君から問題になりました、いわゆる非常な期待をもって建築されました衆議院の第一議員会館について、設計上かなり批判を受けておるようなところがあると思うのですが、どのような批判を受けておるというふうにお考えになっておりますか。この点をお尋ねしたいと思います。
  215. 山崎高

    ○山崎事務総長 入口の問題もございますし、それから待合室の間仕切り、そこの公衆便所をどうするかという問題、議員食堂をどうするかという問題、エレベーターがあれでいいかという問題、いろいろとございます。なお、でき上がりの結果につきまして、壁の剥脱があったんじゃないか。あれはセメントがかわく余裕がなくて、ある程度覚悟はしておったのでございますが、急にスチームを入れた関係上そういう点もあった。初めからそういう場合をおもんばかりまして、壁布などは、張りかえるための予備を残しておくというような状況であったのでありますが、ああいう点もやはり考えなければいけないのではなかったかという点が多々ございます。その点、こまかい点はいろいろとございましょうけれども、今後ひとつ十分に研究をしまして——しかし、設計だけはいまのまま出しませんと、工期がおくれるといけませんから、ときによっては設計変更で次々と直していくという方法もとらなければいかぬかと考えております。
  216. 川俣清音

    川俣分科員 壁についてはがまんをするつもりでおった——これは事務総長ががまんするべきじゃないですよ。初めからそのくらいのことは予想されておったのだから、がまんしなければならぬと思っておったと言うが、何も事務総長にがまんしてもらわぬでもいいです。これは入る者の問題なんです。そういう点で少し事務総長軽率じゃないかと思うのですが、一番問題になっておるのは、もちろん待合室及び便所等が一番非難の的になっておりますけれども、東京じゅうの交通の難所が新しく新会館の前にできた、こういわれておる。これは私は設計のミスだと思うのです。あるいは設計のミスというか、設計指導のミスだと思う。注意上のミスだと思う。一体国会議員がこれだけおってどのくらい車を使うかということが、設計者はわからないにしても、設計委託者はわからぬわけはなかったと思う。初めから予想されておったことなんです。それを設計依頼にあたって十分依頼をしなかったというミスだろうと思うのです。会館ができたって、利用できないじゃないですか。何のために会館をつくったのか、わざわざ交通を混雑させるためにつくったのか、通路が使えないように、あるいは自動車を乗り入れさせないようにつくったのか、何のためにつくったかということに疑問が出てきたんじゃないでしょうか。外来者はもちろんのこと、議員自体の交通に非常な障害を来たすような会館を何のためにつくらなければならなかったのですか。議員の運用を考えておつくりになったのだと思うのです。そうじゃないでしょうか。御答弁願いたいと思います。
  217. 山崎高

    ○山崎事務総長 議員会館をつくりますにあたりまして、交通とおっしゃいましたが、要するに自動車に伴うものと思いますが、相当の自動車が出入りするに違いないということは最初考えたわけでございます。しかし、会館と申しますと、やはり議事堂のすぐそばになくちゃいかぬ、限られた土地を利用いたしまして、そこにつくらなければいかぬという点もございますし、議員さんの交通は地下道をお願いするはかなかろう、しかし、たくさん来る車を将来どうするかというので、とりあえずB棟の地下に二層のガレージを置いておるのでございますが、設計上は四百六十七のガレージを置くというたてまえになっております。しかし、何と申しましても先にまず議員の個室をつくらなければいかぬ。それは御承知のようにオリンピック道路に関係いたした問題でございます。そこで、さしあたってのものから逐次いくという点でございまして、その点皆さまに非常に御迷惑をおかけいたしまして恐縮に存じておりまするが、これもやはりできるだけ早い機会に計画どおり直すほかないんじゃないか、かように考えております。
  218. 川俣清音

    川俣分科員 事務総長は何か考え違いしておられるんじゃないですか。個室を与えればいいという考え方のようですが、個室は何のために与えるかというと、議員事務能率を高めるために与えるということだと思うのです。別にあそこを入ったら出るなというためにつくった個室じゃないと思う。議員活動を便利にするためにつくられた個室だと思うのです。すなわち、出入りが激しいということ、議員活動を便利にするというためにつくられた会館だと私は理解をする。そうでなければ不経済な話だと思う。その用をなしておるかといえば、いまお説のように、活動を非常に阻害しておる。それが一番問題じゃないでしょうか。あるいは当然外来者のあることも予想されます。あるいは他官庁からの連絡等にも来られるでしょう。従来の会館の例から見て、どの程度の出入りがあるかということは、当然想定されていなければならなかった。その想定と今日と違っていますか。異常になっておりますか。この点はどうですか。
  219. 山崎高

    ○山崎事務総長 第一会館につきましては、御承知のように、本議員室のほかに、仮議員室を置きまして、この数は約百だと思いましたが、いま全部で約三百名の方がいらっしゃいますけれども、仮議員室を設けたために、建物の回りの利用施設に比べましてそれ以上の方に御利用願っておる、これはいまいった国会整備いたしていく過程におきまして、ほかにしょうがないというような状況でさようなことになっておりまして、まあ第二会館ができまして——工事中であそこら辺を掘り返しますが、それが一段落ちつきますと、だいぶ解決できるのではないか。かように思っておりますが、何も、第二議員会館ができて、それで自然的に少しぐらい緩和されるから、それで満足するというものでもございませんので、さらに進みまして国会周辺全体の計画もございます。国会の三角の構内を四角にして広くするという点もございますし、いろいろの点から車の駐車の位置等も考えまして、図上ではさようやっておりますが、現実の工事におきましては一歩一歩やるというような実情でございますので、いまおっしゃった点は十分に注意したい、かように考えております。
  220. 川俣清音

    川俣分科員 私のお尋ねしているのは、想定した交通量と申しますか、出入り、車、人を加えまして、そういう想定と現在とはだいぶん違っておるかどうか・こういう点なんです。想定したとおりだというならこれは別ですが、これはおそらく設計にあたってこういうことを考慮に入れておらなかったんじゃないか。そうするとこれは総長の重大なミスだということになると思うのですね。想定よりも多いのだというなら、これはある程度やむを得ないということも言えるかもしれません。それは想定の誤りだということになる。一体その点はどうなんですか。私どもは、こういう程度のことは、当然——第一会館のあの人数の少ないときから、出入りについてはいろいろ苦慮しておったはずだが、当然こういうものは考慮されて設計されたものと理解するのが普通の理解のしかたじゃないかと思う。
  221. 山崎高

    ○山崎事務総長 実は、会館にあれほど人が来るということは、想定以上でございました。最初はまさかそれほどと思わなかったのでありますが、あの会館をつくってみますと、四千人程度の人が来まして、会館の廊下というか、上がり口がデパートの階段みたいに一ぱいになってしまって、これではというので、もっとも当時できたのが十二月末でございまして、しかも予算期とか、いろいろの点と合致したためもあるかと思うのでございます。いまはそれほどでございませんけれども、事実あれほどの人があれほど利用されるということは、われわれの想定以上でございました。しかし、車につきましては、これはきっと込むだろう、たいへんだろうというので、議員さんの車は二層八十台置かねばいかぬだろう、それから外のほうは訪問者のために残しておかなければいかぬだろう——あいにくいま国会裏の道路を広げるという拡張工事とかなんとか、いろいろの点がございまして、当時は実に皆さまに御迷惑をかけた、かような点は恐縮いたしております。
  222. 川俣清音

    川俣分科員 車の数も、おそらく想定した数からそう大きくふえておることではないと思います。東京都内の自動車のふえ方を想定するならば、当然今日のようなことは想定できないわけはなかった。できないとすれば、あまりにも議員活動というものをにぶく判断をしておった、あるいは国民の国会に寄せる関心の度合いというものを軽視しておったということになると私は理解します。そういう結果のミスじゃないかとも思います。これは第一会館といい、第二会館といい、あの前の交通の混雑の状態というものは、交通方面でもなかなか頭を悩ましている状態でございます。警視庁の交通課に行きますと、こういう車の出入りについては十分考慮してほしいということを、口頭だけれども申し入れしておったはずだ、いまでは交通の一番難所があらためて国会の前にできた、あそこの領域は警視庁の管轄ではないから、あまり積極的に意見を言うことはできなかったんだ、こういう弁明です。そうすると、ますます議長の責任は暗いと思うのです。もしもこれが警視庁の管内であればもっと注意をしたかったんだと言う。権限だけは持っておるけれども、みずから進んでこれを緩和する——どうもあなたは議員活動をなるべく不活発ならしめたいというような考え方があるんじゃないですか。それならそれでいいですよ。それならそれで、私ども非常に都合のいいことが起きますからね。ベルを鳴らすにも、十分前なんということでなしに、二十分とか三十分とかという余裕を置いてもらわなければならぬという問題も出てくるでしょう。あるいは国会に対する時間の遅延ということも、当然これは事務総長が責任を負われるのではないかと期待します。国会が紛糾してまいりますと、さらにこういう問題が起きるだろう。私も予算委員をやっておりまして、会館には来ているんだけれども、ここまで届くのに相当な時間を要しておるようです。採決の前に狩り集めなければならぬというときに、非常に行動が不敏活です。これは現実の審議ですよ。審議を促進するような便宜をはからなければならないのが事務総長の任務だと私は思うのです。それを停滞させるんだったら、事務総長は要らぬですよ。じゃまになるだけですよ。まあ極端ですけれども……。  そこで、具体的にひとつお尋ねをしたいと思います。資料を取り寄せておりますが、国会の医務室というのは、これは通常の、いわゆる平常な国会なら別にいたしましても、それでも四百六十七名という議員がおりまして、相当高年齢で、とにかく健康上の障害の起こりやすい年齢層を持っておるということは否定できないと思います。したがいまして、医務室の利用人員も非常に大きいわけでございまして、昨年は延べ一万二千人利用しておる。今年もすでに一月末で九千百八十三人医務室を利用しておるという状態です。これは他の職場から見まして、利用度が非常に高いということが言える。これは激務であるということと、やはり年齢層が相当高い、健康障害を起こしやすいということである。そういたしますれば、議員の生命にかかわるようなもの、健康にかかわるようなものについては、事務総長は非常に責任があると思う。これは議員の健康のやはり管理者でなければならないと思うのです。議員活動の管理者でなければならぬ、私はそう思うのですが、この点はいかがですか。
  223. 山崎高

    ○山崎事務総長 ただいまお話がございましたように、国会議員さん、ことに衆議院議員さんは、活動が非常に激務であるほかに、ただいま御指摘のように、御年齢におきましても相当御注意を要する方も中にはおられますので、そういう点からも、ただいまおっしゃるように、医務室というものは、これはもう十分気をつけて整備しなければいかぬ、かように考えております。私といたしましてもちょいちょい顔を出しますが、何か困ったことがあったら、すぐにでもできるように、また皆さんから御注文がございましたら、できるだけ早くそれができるようにいたすように心がけてまいっております。
  224. 川俣清音

    川俣分科員 これは事務総長も相当利用しておられるのですから、実情をよく御存じだと思うのです。われわれと同じくらいやはり利用されておると思うのです。利用することは決して悪いことじゃない。そういう意味じゃないので、現状を認識されておるという意味でのお話をしておるのです。ところが、特殊薬は別にいたしまして、あれは議員の負担になっておりますが、通常の薬品に事欠くようなことが出てきていることを御存じですか。
  225. 山崎高

    ○山崎事務総長 十年以上前、私が担当の部長をしておりましたときは、ときどきそういうふうな話を直接聞いたのでございまして、すぐ補充したことがございますが、近ごろは幸いにして何か足らぬじゃないかと、むしろこちらが心配する気持ちを持っておりますけれども、通常薬において何か不自由をかけておるというような話は私は聞いておりませんですが、もしありましたならば、私ではなくて担当のそれぞれの係に話せば、すぐに処置が済むように、だんだんそういうようなことになっておるのではないか、かように考えておりますけれども、もしありますれば、これはまたはなはだ遺憾なことだと思います。
  226. 川俣清音

    川俣分科員 遺憾だということが現に起こっております。医務室の責任者にお聞きになってごらんなさい。遺憾な事実、遺憾だと言われることが行なわれているのはどういうわけでしょう。何かの関係で、知っておりながら処置できないというようなことが——遺憾な事実があるならば、処理できるということであれば、処理されたらいいじゃないかと思います。  もう一つは、この三十九年度予算を見ましても、明確にいって、医務室の費用はどこの科目にあるのか不明なんですね。これはどのくらいな予算でやっておられるのかというのが明確でないのです。医務室の経費というものはないのですね。方々から集めてこられるようですから、こういう結果が起こるのじゃないかと思うのです。あの雑費からとか、あの費用からとか、いろいろな方面から集められて、そのほうの費用がなければやはり薬の費用に差しさわるということになって、供給が十分でないのではないか、いろいろ好意的にさがしましたが、それよりほかにないんですね。これだけ重要なものでありますならば、もちろん職員の方もお使いになるでしょうが、職員職員で共済で別ですけれども、臨時的には、ときには時間外のような場合はやはり利用されることもあって——これは悪いとは私は思いませんよ。どうせ緊急のためにある処置なんです。たいてい主治医なんというものを議員は持っておりますけれども、おそらく緊急のために御使用になるものと、私はそう理解をしておる。それならばそれなりの用意がなければならぬであろう。病気になったからお見舞いに行くようなことにはなかなか総長は御熱心のようですが、見舞いする前に予防措置を講じてやるということが、より親切なことじゃないかと思うのです。どこか一つ項目を設けて、どうせ出さなければならぬものですから、医務案の費用なら医務室の費用というものを明確に認められて、計画的に経費を出されたらどうですか。雑費から出してくるというようなことになると、何かのために使いましょうというと、そのほうの用意をしてないということになると、こういう不都合が、あなたの意思に反する結果が出てくる。どこの経費で薬なんか出すおつもりですか、総長。そんなことをさせないと言うけれども、どの予算から出すつもりですか。そういう不自由はさせないと言うけれども、あなたのポケットマネーから出すのかどうか別にして、それでなければ、どこから出すのか。ないんですよ。そういう不自由はかけません、そういうことはいたしませんと言うけれども、それじゃどこから出すつもりですか。いま薬が足りないという場合に、どの項目から支出されますか。ないでしょう。
  227. 山崎高

    ○山崎事務総長 ただいまたいへんよき御意見を承りましたのでございますが、医務室の経費を独立していいか悪いかということは、これはやはり検討しなければいかぬと思うのでございます。事務局におきましても、各部の経費というものは独立しておりません。たとえば七十年史編さんの事業等がございましたけれども、やはり一般庁費の中に突っ込んでおります。かえって、足らない場合には予算の適当な費目からよけい出せるという利点もあるわけでございます。  その例を申し上げましても、三十七年度に実際かかった額と、三十八年度につぎ込んだ額というものは、三十八年度がずっと多い。一般庁費という大きなワクの中から必要な分だけはひとつ優先的にやろう、がまんできるものと、がまんできない経費がございますから、やはり医務室の経費は最優先的にやろうということになっておりますので、あるいは医務室だけの経費として独立してよいか悪いかということは、もうしばらくわれわれのほうで研究したい、かように考えております。
  228. 川俣清音

    川俣分科員 どこの会社でも、厚生費というものを持っております。健康管理については国会議員も非常な関心を持っておることは、御承知のとおりです。健康管理についてどこの会社でも非常な関心を払っておることは、御承知のとおりです。それを国会だけが無関心でおられるわけはないと思う。そういう意味でもっと支出の内容等について、あるいは項目を設けるか設けないかは別といたしまして、十分理解があるというのですから、理解のほどをどこで明らかにされるか、これは見ますけれども、このほうが便宜だ、便宜ならば便宜らしい効果が出てこなければならない。  次に移りますが、ほかの予算の中で、超過勤務の予算が相当膨大でございます。一億二千万円ばかり出ておりましょうか、大きな予算、これは国会運営上当然なことだと思いますが、私ども解せないと思われますのは、特に、いやな問題でございますけれども、他の厚生費などと比べてみまして、一億数百万円の超勤を払っておられるのですが、このうちでも相当な経費になっておるのが、自動車運転手の超過勤務のようでございます。自動車運転手の超過勤務の中で、資料をいただくところによると議長、副議長お二人で百三時間、事務総長及び法制局長お二人で九十八時間、常任委員長九十八時間、議院運営委員会理事で九十六時間、事務局八十時間ですが、事務総長及び法制局長お二人で九十八時間というものは、不足ではあるだろうけれども、比率から見ると割合に優遇されておると私は見ますが、事務総長はどうお考えになっておりますか。議長及び副議長が百三時間ですが、特殊なお仕事を持っておられるとはいいながら、それほど、国会運営上車をおそくまでお使いになって、公用としてお使いになっている時間は不足なんではないかと思います。私どもがいろんな紛争があった場合に議長をさがしますと、たいていお帰りになっておるわけです。院内に所在しておられない、公用を果たしておられない場合が多いのです。超勤だけは、おそらくこれは私用の分は入っていないと思いますから公用でしょうが、公用であれば、どこへ行っているかということがわからなければならぬはずであります。公用ならば、行き先がわからなければならないと思います。私用ならば行き先がわからないでしょう。それにしては超勤の時間が多過ぎる、他と比べて多いのではないかという印象を持ちますが、事務総長はどういうふうにお考えになっておりますか。
  229. 山崎高

    ○山崎事務総長 ただいま、御要求がございまして、われわれ算術計算のとおり資料を出したわけでございまして、その内容については、実は私は当然多いだろうという考えをもちまして、別にかれこれ中を見ているということはいたしておりません。ただ、使われる車を運転する運転手の諸君に対しましては、やはりこれはそれだけやったわけでございますから、私としてはやはり、働いた分だけはそれはあげなければいけない、かように考えておりますので、その点はひとつ御了承願いたいと思います。ただ対照する範囲の数が少のうございますので、数字がそのまま出たわけでございまして、全部として見れば、あるいは多い人もいるし少ない人もいるという関係で、平均が出るわけでございますが、議長、副議長という二人だけの関係になりますと、お忙しい方が二人出たわけでございますので、数字上はどうしても多くなる、かような関係になると思うのでございます。
  230. 川俣清音

    川俣分科員 これは意外なことです。お忙しい方が二人出たということになると、議長の任務を果たすために忙しいのではなくて、ほかの仕事を持っておるために忙しいのだということになるのですね、たまたま忙しい方が出られたということは。そうすると、適任じゃないじゃないかということになるのじゃないですか。忙しい方が出られたということは、議長になられた、副議長になられたということは適任じゃないのじゃないか、職務遂行には障害がある人が出た、こういうふうにあなたの説明を私は聞き取るのですが、この聞き取り方は意地の悪い聞き取り方だと存じますが、正当な理解だとお考えになりますか、その点をお尋ねしたい。
  231. 山崎高

    ○山崎事務総長 御承知のように議長、副議長は衆議院の院議をもって御選任、御就任になった方でございますので、もちろん院議として適任と認めて御選任願ったというふうに御理解願えればけっこうだと思うのです。
  232. 川俣清音

    川俣分科員 私は決してことばを返すわけではないのですけれども、お忙しい方が出たということなんですね。そうすると、お忙しい方が選任されたということは、人によっては忙しくない、人によっては忙しいということが出てくると思うのです。そうすると、議長の職務遂行のためには格別なものじゃないけれども、個人の活動の範囲が非常に忙しい、こうあなたの説明を承ると理解しなければならないと思います。公用ではなくて、他の職務の遂行上忙しいということに聞き取れるわけです。そうすると、それは超勤には関係ないのじゃないでしょうか。国会の議長の任務のために車をおそく使ったということに支払わるべきなのが、国会予算だと私は理解する。そうすると議長、副議長は、公用も私用も区別なしに議長の車、副議長の車をお使いになっておることをお認めになっておるのですか、この点をお尋ねしたい。
  233. 山崎高

    ○山崎事務総長 先ほど申し上げましたのは、百数十人おります運転手の中で、平均いたしますと、忙しい人もいるし忙しくない人もいるという意味で、議長、副議長の分だけを取り上げると数字がはっきり出ますけれども、全部の平均としては七十何時間というふうになっておるということの数字が出た意味を申し上げたのでございまして、政治的な意味で申し上げたわけではございませんので、その点はひとつ御了承願いたいと思います。
  234. 川俣清音

    川俣分科員 国会予算要求されるからには、忙しいということを想定して予算を積算されるであろうと思います。私どもは、忙しいというのは議長として、副議長として、議長任務の遂行上あるいは副議長任務の遂行上忙しいから、議長及び副議長の車の運転手には超過勤務をつけておる、こういうふうに予算上は理解をするのですがね。私用で使われたのもこの予算要求の中に入っておるのですか。忙しいということは、議長活動として忙しい、副議長活動として忙しい、それはいろんなお仕事を持っておるから、忙しいという中には二つありますね。議長任務遂行のために忙しいのであれば、お使いになるのですから、国会経費で運転手の超過勤務を見るということは当然なことでしょう。そうじゃなく、従来も使っておったからということの予算要求のようでもありますけれども、特にお忙しい方だからということは、議長の身辺の忙しさということには理解はできますけれども、議長の任務遂行上の忙しさということが説明されなければならないと思うのですが、どうもその説明がないのですね。だから私が言いたいのは、議員の健康管理についてはけちけちしながら、議長が私用的にも車を使っておるのじゃないかということなんです。そういう予算があるならば、なぜ議員の健康上のことについて予算をつけないのか。ないないというようなことは言わないで、こんな議長が私用にまで使っておる予算があるならば、議長みずから反省すべきだと思います。事務総長、答弁できなければ議長においで願います。
  235. 山崎高

    ○山崎事務総長 ただいま健康管理に必要な予算をけちけちしているじゃないかというお話でございますが、実はさような考えは少しも持っておりません。入り別な点があれば私としてもどんどん十分に注意していきたい、かように考えておりますので、超過勤務は超過勤務で別でございまして、医務室のことは医務室でもって十分にしたい、かように考えております。医務室につきまして予算を渋るというような考えは毛頭持っておりません。
  236. 川俣清音

    川俣分科員 それは、お使いになって超過勤務を払わなければならないということは当然のことですよ。それが多いというようなことを聞いておるのではない。何のためにお使いになるのですかということを聞いておるんですよ。議長として公の活動をしなければならぬために使われておるならば、それはどんなに多くてもやむを得ないのじゃないですか。当然のことじゃないですか。ただ、あなたと比べてみて議長もこのくらいにしておかないとぐあいが悪いのじゃないかということで、そちらのほうはなるべく過分に見るが、健康管理のほうについては必要があった場合、あるいは議長及び事務総長の場合は、あろうとなかろうと、そういうことがあるだろうという想定なんですね。払った実績ではない、お忙しい方だから起こることがあるであろうという想定であり、議員のほうは何とかなるであろうという想定、非常な違いがありませんか。これは国会議員が議案書を見ていないからです。これをみんなに知らせてごらんなさい。議案書なんか見ていないから問題にしていないけれども、見たらどうなりますか。議長及び副議長の夜の活動については十分配慮するけれども、議員の正当な活動についてはそのときの状態を見て処置する、こういうことでしょう。予算書からはそう出てくるわけです。これで一体よいのですか。これは議長みずから反省すべき問題ではないかと思います。事務総長、答弁できなければ議長にあすでもおいでを願って、議長のお考えを聞かなければならぬと思う。どうですか、あなたそうお考えになりませんか。
  237. 山崎高

    ○山崎事務総長 御要求によりまして提出いたしました資料は、これは割り当てではございませんで、過去の実績なんでございます。従来、事務局の運転手につきましては——ほかの職員は、ある程度各部に割り当て等をいたしております。これは過去において組合諸君からの話もございましたし、十分実績を基礎にいたしまして割り当てしておるところがございますが、自動車課の職員につきましては実績でいこう、その実績というものは、結局議員さんに配属する車がおもでありますが、入り用なものだけはちゃんと運転手諸君に差し上げよう。ただ各党に配属しておる運転手につきましては、いわゆる党用ですが、それに配属いたしますときに、予算はこれだけであると申し上げております。つまり、これは国会になりましてから超過勤務制度ができてからのずっと実際のやり方なんでございますけれども、自動車課の諸君というものは、たとえば職員が帰りましても、役所まで帰る時間がなくてはいかぬ、迎えに行く場合でも早く役所に出なければいかぬ。各人がうちへ車を持って帰ることは許しておりません。これは国有財産の関係もありますし、車庫を全部整備しなければいかぬ。そこで、どうしてもほかの職員よりもよけい超過勤務をする。そこで職員の平均時間よりもよけいに、つまりほかの職員の分を減らして回しても、自動車課の運転手諸君には実績でいこう。こういう考えで、超過勤務制度ができてからずっと今日まで、そうやっておるわけでございます。そこで、中には、たとえばトラックだとかあるいはバス等の運転をする場合には、時間どおり帰れるという場合が多うございますので、わりあいに超過勤務というものが少なくて済むわけでございますけれども、多く要る場合もあるわけでございます。党用の車が配属になりますときは、大体の予算を、これは庶務小委員会でしたか、各党にお話しいたしまして、あなたの党に配属になっているAならAの人には予算が幾らいきます、これこれいきますということの御理解を願って、その範囲でまかなっている。それ以外は実績です。こういうわけなんでございます。
  238. 川俣清音

    川俣分科員 あなた、よそを見て返事をするからだめですよ。そういう場合は、あなたが職員を使う場合はそれでもよろしゅうございますけれども、あなた国会予算要求をしているのですよ。いま予算要求をしている中の説明なんですよ。これだけ必要だという要求をしておるのですよ。それで御審議願いたいということなんでしょう。予算要求内訳をお聞きしたのですよ。その中にそういうものが出てきた。積算の基礎が出てきた。御審議願うということで、これは国会審議中の予算なんです。だから、議長及び副議長の運転手の超過勤務については、従来の実績もあって、このぐらい乗り回した、したがってこれからも乗り回すであろうという予算なんだ。夜おそくまで使用するであろうという予算なんだ。その夜おそくまで乗り回すであろうということが、公用から出てくるのか、私用から出てくるのか。確かに夜おそくまで乗り回したことは事実のようです。乗り回した実績から出てきたんだ、これは。それを運転手に払わなければならぬ。それが、国会が払うべきか個人が払うべきか、問題点があると思うのですよ。そこで、あなた方はこれは実績から出てきた、こう言うのですけれども、過去の実績の中には、全部公用でお使いになったのもありましょう、かなり私用でお使いになったのもあるのじゃないか。  もっと詳しく、別に聞きましょうか。前議長及び副議長の車に対して超勤を払っておられるようですけれども、この内容がありませんけれども、ある特定の人だけが、全体の議長及び副議長の超過勤務に当たるだけを一人で——全体の議長、副議長の割り当ての車の半分はある人がお使いになっておるようです。私は名前はあげません。そういう予算要求は妥当な要求とは認めがたい、こういうことなのです。結論は。議長のこの積算の基礎が多いということじゃないのです。もっと削るべきものがあるのじゃないか。公用でないものに超勤は払うべきじゃない。個人で負担せよ。運転手を私用に使ったならば、議長ともあろうものが、副議長ともあろうものが、私用で使ったものまで国会に払わせなければならぬというばかなことはないじゃないですか。しかも、片方の薬代は削らなければならぬ、倹約しなければならぬという。どこに一体節約のめどがあるのです。こういうところにメスを加えるべきじゃないですか。これにメスを加えたってだれも反対する人はないじゃないですか。なぜこんなことを寛大に許しておくのです。みな国民の血税ですよ。議長にだけ、副議長にだけ、事務総長にだけ特権を与えてまで血税を払わなければならぬ理由はない。これは大蔵省の査定も悪いと思う。大蔵省、おいでになったらひとつ内容を聞きたいと思うが、どういう査定をされたのですか、ひとつ答弁願いたい。
  239. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 御質問の趣旨は、超過勤務手当の積算の御指摘だと思いますが、これにつきましては、個々的な予算積算はいたしておりませんで、国会職員一人につきまして平均何時間という査定で参っております。従前と変わりございません。ただ、本年につきましては、年間を通じまして八時間の超過勤務手当を一人当たりふやしております。
  240. 川俣清音

    川俣分科員 事務総長、お聞きのとおりなんです。議院全体にきた超過勤務の配分を、議長と副議長と事務総長がとっているということなのです。議院を利用してとっているということなんです。これでも恥じないのですか。大蔵省から総体できているのですよ。その配分がこれじゃないですか。これはだれが配分権を持っておるのです。議長でしょう。あなたですか、議長ですか、この配分権を持っているのは。
  241. 山崎高

    ○山崎事務総長 ただいま大蔵省の主計官から御説明がありましたけれども、ただいま説明がありましたとおり、職員一人当たり三百二十九時間、開会中は五十時間、閉会中は十五時間の割合で積算しております。そこで、私先ほど申し上げましたように、実働でいくところと実働でいけない部分がございまして、各部で割り当てはしておりますが、割り当ては実働の超過勤務という過去の実績を基礎にいたしまして、調整をとってもらう意味で、担当部長が超過勤務命令を下しているというのが実情でございますし、それから自動車課の運転手につきましては、庶務部長が直轄するといいますか、その実際の日報というか、実際の時間を計算いたしましてやっております。予算の積算の基礎といたしましては職員一人当たり三百二十九時間となっているわけでございます。ただ、三百二十九時間というのは、これは平年度でありまして、臨時会、会期延長等がございますれば、その分としてさらに補正予算等、あるいは他の方法で弔って超過勤務の増額を受ける、かような仕組みになっております。  それで、ただいまだれの運転手は幾らというように割り当てでやっているわけではございません。
  242. 川俣清音

    川俣分科員 いまあなたの説明のとおりなんですね。ただ、実際的にだれが多く使っているか。総体的の割り当てをもらいながらだれが多く使っているかというと、議長、副議長、事務総長だということに間違いない、そうなっている。大蔵省の査定では、議長だから、あるいは事務総長だからつけたんじゃない。国会審議運営からいって一人当たり運転手は何時間というようなことでつけてある。積算の基礎はそこだという。それを配分するのに、配分の権限を持っておる議長と副議長と事務総長が配分をしたということなんだ、これは。大蔵省の積算の中にはそれは入ってない。議長のためにこれだけとった、事務総長のためにこれだけとったということは何もないのです。積算がそうでないのです。そういう積算をとったならまだしもなんですよ。そうでなく、がっくるめてとっておいて、うまく一人で配分だけしてやろう、そういう心がけが悪いと言うのです。そう思いませんか。あなたはそう思われないなら、議長なり副議長なりおいでいただいて、配分権を持っておる者が、予算の積算の基礎にないものの配分をするにあたって、自分たちの特権を利用したということのそしりは免れないと思います。もうあなたに質問はしないから……。  主査、ほんとうの配分権は、これは形式的には議長なんですね。事務総長事務をやっているだけですから、ほんとうの権限じゃない。あらためて議長の出席を求めたいと思います。総長じゃ十分答弁できないです。
  243. 山崎高

    ○山崎事務総長 実際の配分権の問題がございましたけれども、やはり私が実際は事務局としては全部責任を持っておるわけでございます。  結局先ほど申し上げましたように、ここに出ております数字は、御要求によりまして区分けして出したわけでございます。国会役員全般として幾らというふうなわけではございませんで、先生の御要求が、議長、副議長の運転手は幾らだったか、常任委員長は幾らだったか、事務総長法制局長は幾らであったかというような御要求でありました。そこで、過去の実績というものを見ますと、たまたま議長、副議長が百時間くらいですか、常任委員長は一人当たり九十八時間だった。事務総長法制局長とも九十八時間だったということの資料が出たわけでございます。そこで、それを配分してあらかじめこれだけ使っていいからやっていいというようなわけでございません。先ほど申し上げましたように、自動車課の運転手諸君につきましては、実際要ったものを庶務部長のところで計算してやる、こういうことになっておるのでございます。配分してこれだけ、特によその予算を減らしてよけいやるというわけでございません。ワクとして自動車課としてはどのくらい、少なくとも国会が始まってから何時間ぐらい使うからということで、これはもう政党とか政治的とかは関係ございません。昔から何時間ぐらい要るので、自動車課はたいへんだから見てやろうというので、実績によってやっておるわけでございます。
  244. 川俣清音

    川俣分科員 運転手に超過勤務を払わなければならないということを否定しておるものじゃないのです。国会予算要求として大蔵省に要求をされて、この案ができたと思う。それで、その予算をだれが一番多くお使いになっておるかというと、車を一番おそくまでお使いになった議長及び副議長及びあなただ、こういうことなんです、過去の実績は。これからやかましくなってお使いにならないということになると、これは別ですよ。いままでの実績はこうであった、こういうことですから……。お使いになったことだけは間違いないです。お使いになって払わざるを得なくなって払ったということは間違いないでしょう。  その払わなければならないような事態というものが、議長として払わなければならなかったのか、あるいは何がしという個人が御使用になったのか、こういうことが問題だと思うのです。議長の公務でお使いになった、あるいは公務の帰りだ、国会の帰りもこれは公務の続行でしょう、そういうことでお使いになったのか。または、議長といえども議員ですから、この間、私、見ましたら、議長が自分のところの選挙区の人々を招待するのに行っておられました。これは議長じゃないでしょう。選挙区の人ですから、議員としての活動でしょう。議長の活動じゃない。議長には選挙区はないはずだから。選挙区だとおっしゃれば、議員全部が選挙区だ。ほんとうの議長の選挙母体である議員の健康についてはかまわないが、自分の議員としての夜の選挙区の活動の中には、公用として議長という公用がありますか。選挙区は、議員全部が選挙区です。議員全部のほうはどうでもいい。選挙区だということになると、これは今日では個人と理解されています。それをあなた、検討したことございますか。議長の要求だから、何にお使いになったかわからぬけれども、夜おそくまでお使いになったから超勤を出すということで出しておられるでしょう。自動車課に行って聞いたらそうですよ。調べたんですよ、あなた。あまり調べたというと、担当の人があなたからにらまれるだろうというので、あとになってから、あれは言わなかったことにしてくれ、こういうことなんです。そんなばかなことありますか。問題にされるのだったらそんなこと言うのじゃなかった——冗談じゃありません。国会審議権のためにお聞きしているのであって、うそを言ったという取り消しなら応じるが、あれを言われると困るということでの取り消しには応じられませんよ。そうじゃないですか。言われては困るからという取り消しには応じられませんよ。あれは間違えて報告したのだという取り消しには応じますけれども。国会議員国会審議活動国会の内部から阻止されるなんていうことは、受けられません。あなたは国会審議権まで抑えるという考え方ですか。それはできないじゃないですか。事務総長ともあろう者が、国会審議を促進しなければならぬ任務を持っているときに、その審議を抑えるような答弁はできるはずはないと思う。どうですか、お使いになったことは事実でしょう。従来の実績だというのですからね。そういう中には、議長としての行動でないものが含まれておるじゃないか。それまで国民に負担をかけなければならないということはないと思う。特定の選挙区の人のために国民全体の税金を払わせるのですか。特定の選挙区の住民をごちそうするために国民全体の税金を払わせなければならぬのですか。こんなばかなことは許されません。おそくまで活動された、そのとおりです。それは認めますよ。しかし、その中は選挙区の人を招待している。そのためにおそくなったやつまで国会がなぜ責任をもって払わなければならぬのですか。よその官庁じゃそんなことはしませんよ。御答弁願います。
  245. 山崎高

    ○山崎事務総長 先ほどから御説明申したのでございますが、これは従来とも、超過勤務制度が始まったときから、実際運転手職員としては働いた分だけは超過勤務をつける。現在そうやっておりますのは、常任委員長を含む国会役員のほかに前議長、副議長というものもありますし、永年勤続の議員の方もございますけれども、それらは要り用の分だけは払うということにいたしておるのでございます。皆さまそれぞれやはり御活動になった分として考えておりますので、それに仕える職員としては当然やはり一生懸命にやらなければいかぬ、こういう考え方から、必要な超過勤務を払うという考え方で従来ともやっておったわけでございます。
  246. 川俣清音

    川俣分科員 これだけで終わりますが、おそくなったときに超過勤務手当を払うことがいけないなどということを質問しているのじゃないのですよ。なぜおそくなるのか。公用でおそくなるのか、私用でおそくなるのか、それによって払い方があるでしょう、こう言っているのです。おそくまで運転手を使って、それに払っては悪いなんていう議論はしておりませんよ、そんな見方じゃない。払わなければならないものを払ってはならないという議論などはしておりません。いかに私が非常識でも、そこまでは言いませんよ。そんなことじゃないですよ。何のためにおそくなられたのか。議長としての職務遂行上、これは国会が深夜に及んだということで払われる超勤は、議長はいやであろうけれども、議長任務のためにおられた超過時間ですから、それが運転手に払われるのは当然なことでしょう。そうじゃないのですよ。世間でいえば遊びに行ったと見るかもしれません。いや、遊びじゃないでしょう。おそらく選挙区の人々を慰労するということもあるでしょうから、これは遊びじゃないでしょう。あなたが親戚の人が郷里から来たときに車をお使いになるのもいいでしょう。専属ですから。そのときの超過勤務を国会予算から出すという非常識さはないと思いますよ。あなたはないと思います。議長がそういう場合にも、議長だからやむを得ないとあなたがお支払いになっているのじゃないかということが問題なんですよ。割当があるんだからということで、ほかのほうはなかなかやかましくやっておられます。議長と副議長だけなぜ特権を与えなければならぬのだと言うのです。特権を与えることが問題なんですよ。おそくなったときに超過勤務を払うことが問題ではなくて、議長、副議長だけは私用らしいものでもおそくなった場合になぜ払わなければならぬか、これが問題だとしてお尋ねしているのです。事務総長、十分わかっておりながら何か弁解しようとしているのですけれども、それなら議長においで願うよりやむを得ないですよ。質問はこのくらいにして、あなたは何とか弁護しなければならぬということで一生懸命弁護されておりますが、それは弁護になりませんよ。議長みずから反省する必要があると思いますから、私は議長にお尋ねしようと思う。時間も詰まりましたから、この点を保留いたしまして私の質問を終わります。
  247. 植木庚子郎

    ○植木主査 次に横路節雄君。
  248. 横路節雄

    横路分科員 それではお尋ねをしますが、会計検査院法の第一条に「会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する。」こうなっておるわけです。これを会計検査院の方が忘れて、どうも内閣官房長官の許可を得なければ答弁できないだの、あるいは外務大臣と話し合いをしなければ答弁できないだのと言うようなことは、会計検査院法第一章にいう「会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する。」これをみずから放棄することになるのですから、あたりを見回して、行政官庁のほうの言いぶんを聞かなければ答弁ができないということでなしにひとつやってもらいたい、こう思うわけです。そこで先ほどからの問題は、私は問題を分けてありますから、皆さんのほうで第十二条に「事務総局に官房及び左の五局を置く。」とあるのですから、何も事務総長ばかりでなくて局長のほうから詳細に答弁をしてもらいたい。  私がこのことをお話しするのは、報償費が年々ふえているわけです。たとえば内閣官房は、去年は一億七千三百八十一万でしたが、ことしは二億七千三百八十一万と一億ふえているわけです。それから防衛庁にしても二千万ふえています。私がいままでここでずいぶん質問したが皆さんのほうで答えていないのに、公安調査庁の公安調査官の調査活動費にしても、去年が五億九千七百六十九万だのにことしは七億二千二百四十九万と、ここでも一億二千四百八十万ふえているわけです。先ほど言ったように、外務省の在外公館でも七億三千万が七億八千万にふえている。こういうのを拾っていくとばく大な金になるわけです。これが私のほうからお尋ねして、何の金でしょうと聞かれても、全然これは答弁するわけにいきません、こういうことでは国会審議にならないのです。だから私はここで一つ問題を区切って、第一番目、いま申し上げましたまず内閣官房の報償費は何なのか。情報調査委託費というのは四億五千八百九十九万八千円あるのですから、そのほかにつまみ命というのですか、そういうものが二億七千三百万あるということはばく大なんですから、そういう点で、ここで誠意をもってお答えをしてもらいたい。まず内閣官房の報償費が三十七年度会計検査院会計検査をやった結果、どんなところに使用されておるのか、こういう点についてまずお尋ねします。
  249. 保川遜

    ○保川会計検査院説明員 お答えいたします。先ほど事務総長にお尋ねがありまして、あるいは私の答弁が重複いたすかもしれませんが、御了承お願いします。  報償費につきましては、内閣官房で申しますと、報償費の性質としましては、国の事務あるいは国の事業に寄与した者に対する報償というような意味かと私承知いたしておりますが、実質的にはどういうふうに使われているかと申しますと、国の施策を遂行するための工作費と考えております。そういうことで、これは計算証明の関係では、御承知かと存じますが、政府当局の御要求によりまして、簡易証明をいたしております。それで実地に参りまして、証拠書類を拝見いたしまして、こういう事項にお使いになったということをそこで確認をいたす、そういうふうな方法で実は検査をいたしておる次第でございます。
  250. 横路節雄

    横路分科員 第一局長にお尋ねしますが、これは全部個人あてですね。たとえば佐藤何がしというのに対して百万、五十万とか三十万とか、そういうようになっているのですか。それとも団体に対して払っているのか。私の聞きたいのは、特定の個人何のだれがしというのがたくさんおりましょう。それに五十万だ、三十万だ、二十万だ、十万だとこうやって、情報を提供している者にやっているのか。それが、特定の者に月ぎめでやっているのか、そうではなくて、そのつど情報を提供した者にやっているのか、それから団体にやっているのか、その点ひとつ明らかにしてもらいたい。
  251. 保川遜

    ○保川会計検査院説明員 お答えいたします。  いまおっしゃられるような個人あるいは団体、月ぎめ、そのつど、いろいろ種類が千差万別あると存じますが、内容の詳細はちょっと私承知いたしませんので、御了承お願いします。
  252. 横路節雄

    横路分科員 ちょっと局長、いまの、内容について私わからないからお答えできないという御答弁はおかしいですよ。内容についてわからないものなら、ここで私が聞いている、個人に払っているのか、団体に払っているのか、それがそのつど払っているのか、毎月契約して払っているのかということについては、わからないんじゃないですか。私は内容を承知していませんでは、せっかくここで私も三時間ほど待っていたかいがないわけじゃないですか。それはどうなっているのです。言ってくださいよ。
  253. 保川遜

    ○保川会計検査院説明員 ただいま申し上げましたのは、検査資料としましてとっておらないために申し上げられない、こういう意味でございます。実地検査に参りまして、いろいろ主任官が担当者からお話を聞くことは、これは聞いて検査をいたしておるわけであります。その詳細については、そういうこまかな資料をとっておりませんので、ちょっとお答えいたしかねるという意味でございます。
  254. 横路節雄

    横路分科員 それではこれはどうなんでしょうか。事務総長にお尋ねしますが、第二十四条に、「書類の提出」というので「会計検査院検査を受けるものは、会計検査院の定める計算証明の規程により、常時に、計算書及び証拠書類を、会計検査院に提出しなければならない。」というのがあるわけです。いまあなたのお話だと、こまかい資料はないからわからない、こう言うのです。そうすると、この二十四条の規定はどうなるでしょうか。
  255. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 ただいまお読みになりました規定によって、一般的には指定しまして、それによって出してくるわけでございますが、例外的にこちらで考えまして、あるいは向こうのほうからこういうふうな事情でこういうふうに証明してくれと言われたときに、それを承認するというまた一つの方法があるのでございます。そういう関係で、いまの報償費の関係は、相手方官庁から、内容が機密であるから相当内容を簡略にしてくれということで、非常に簡略にして出させております。さような関係で証拠書類なり、あるいはそのほかで内容が十分にわかる形にはなっていない。そこで実地検査において見る、こういうたてまえをとっておるわけであります。
  256. 横路節雄

    横路分科員 実地検査というのはどういうふうにしてやるのですか。
  257. 保川遜

    ○保川会計検査院説明員 実地検査の場合は、証拠書類が向こうに保存してございます。領収証その他の証拠書類がそれぞれの支出官の手元にいつでも見れるように整備されておるわけであります。これを拝見しまして、これは何に使ったか、これは何に使ったか、これはどういう趣旨で使ったかということをお伺いをして検査をする。そういうやり方でやっておるわけでございます。
  258. 横路節雄

    横路分科員 そうするとこういうことなんですね。いうなれば、内閣官房に行って、どこに使ったかそこで書類を出してもらう、それで調べる。その程度ですね。はっきりしておいてもらいたい。
  259. 保川遜

    ○保川会計検査院説明員 そのとおりでございます。
  260. 横路節雄

    横路分科員 そうすると事実上は、会計検査が行なわれたということではない。あなたたちが会計検査をなさるときは、そうではないのじゃないですか。そこで書類をもらう、それが実際にそういう支出になっているかどうか、あなたたちは現場に行ってやっているんじゃないですか。たとえばあすこに出ている不正工事その他いろいろなものだって、そうじゃないですか。書類にはちゃんと三千五百万、三千六百万と出ているが、実際に行ってやってみたら、実際の仕事はそうではないというのが、あすこに出てくる。いろいろ不正な事項について国会に報告になっている、ではありませんか。だから、そういう意味では実際には半分しか調査していないでしょう。その書類は、はたしてそういう支出になっておるかどうかわからないのですよ。だからその点は会計検査院としては、会計検査院法の二十四条の規定している検査ではないですね。相手方の官庁がこれで了解してくれ、これ以上やられては困る、私のほうでそろえてある書類でかんべんしてもらいたい、相手方に行って調査などしないでくれ——相手方に行って調査はしていないでしょう。その点はっきりしてもらいたい。
  261. 保川遜

    ○保川会計検査院説明員 おっしゃるとおり、相手方まで行っては調査いたしておりません。
  262. 横路節雄

    横路分科員 そうすると、まず内閣官房のいままでの分ですね。これから三十九年度の二億七千三百八十一万八千円が実際にはどこに使われるかわからないという懸念があるわけです。  それでは次にお聞きしますが、この外務省の報償費ですね。本省は六億七千万、在外公館は七億八千万、在外公館は行って調べるのに相当の日数もかかるであろうが、本省の六億七千万、これも同じですか。六億七千万というのはたいした金額ですよ。これを特定の個人にやっておるのか、団体へやっておるのか、月ぎめでやっておるのか、そのつどやっておるのか、その程度のことはわからないものでしょうか。これはまさか飲み食いに使ってないでしょうね。会合費に使っているのか、何に使っているのか、そこら辺のことはここで答弁してもらわなければ、私たちは、あるいはこの委員会審議もできないかもしれないですよ。どうなんです。ここら辺のところもう少しはっきりしてもらいたい。外務省だけで使っておるのが六億七主力ですよ。
  263. 保川遜

    ○保川会計検査院説明員 外務省の関係も、先ほどの内閣の関係で申しましたのと同じような検査をやっております。内容の詳細につきましては、やはり同じように詳細な資料をとっておりませんので、ちょっと申し上げかねるわけでございます。
  264. 横路節雄

    横路分科員 私が質問していることにまでも答弁できないのですかね。これは一体何なのです。これは飲み食いには使ってないのでしょうね。個人が情報を提供したから出したというのか、特定の団体に工作費として出したというのか、そのつど出しているというのか、個人や特定の団体について月ぎめで出しているというのか、どうなんですか、こう聞いておるのです。もしわからなければ、委員長たいへん恐縮ですが、あしたもう一ぺん朝ひとつ外務省のほうと打ち合わせて答弁してもらいたい。これだけの金額です。六億七千万。在外公館は七億八千万ですよ。これをあれですか、いま以上全然答弁できないというのですか。しかもあなたたち半分しか調べてないのですから、あなた方のやっておる会計検査の本質の仕事と違う。会計検査は、こちら側を調べて相手方を調べて符合すれば、それで間違いない、こうなっておる。こちらだけ調べて、相手方がどうなっておるかわけがわからない。外務本省だけでも六億七千万、全部合わせたら二十億くらいになるでしょう。そのほかに、まだ公安調査庁その他の金を入れれば、これは三十億以上ですよ。そういうものを全然ここでひた隠しに隠して何も言わないという会計検査院の態度は、委員長どういうものでしょうか。どうなんです。これはあまりひどいじゃないですかね。
  265. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 内容の詳細なことを私答えられませんことは、先ほど申し上げましたけれども、検査におきまして相手方の支払い先を調べること、もちろん一般的にはございます。ございますけれども、これは必ずしも普遍的にやっておるわけじゃございません。そういう意味におきましては、報償費関係もやってないから、検査院の検査をやってないのじゃないかというふうには、実は考えておりません。一応私のほうとしては検査に当たる者が内容を聞き——これは内容をおそらく相当詳しく聞いておると思いますが、聞き、そうしてそれで納得できたというところで相手方に行っていない。こういうふうな考え方でやっておるわけでありまして、普通の検査と形が違うんじゃないかという点は、必ずしもそうではないということだけちょっとお答えしておきます。
  266. 横路節雄

    横路分科員 いまのような会計検査院の答えで私たち予算審議を進めることは、どんなに私たち協力をしてやろうとしても無理だと思う。実は国民は相当疑惑を持っているのです。もう少し私は会計検査院が答弁されていいと思うのです。私も全部が全部証拠書類を並べて、一から十まで、五万円出したか、十万円出したか、何が何だとは聞きませんけれども、しかしせめて私たちが聞いているようなことについて答弁してもらわなければ、これから——きょうやっと分科会に入った程度なんです。この問題だけは主査、ひとつ事務総長その他の諸君とよく話してもらって、どこでどういうように話をしてはならぬなんということでそういうことになっているのかわかりませんが、今晩よく相談されて、あしたの朝もう少しこのことについて——私たち国会審議なんですから……。
  267. 植木庚子郎

    ○植木主査 速記停止。   〔速記中止〕
  268. 植木庚子郎

    ○植木主査 速記開始。
  269. 横路節雄

    横路分科員 それでは報償費につきましては、できるだけ早い機会に私の質問に答えていただきたいと思います。  次に、先ほどの昭和三十八会計年度における琉球諸島に対する援助金に関する覚書の中で、事務総長の私に対する答弁を先ほど聞いておかしいなと思いまして、いま昭和三十七年度琉球諸島に対する援助金に関する覚書をとったわけです。先ほどあなたはこう言ったのですね。農林漁業中央金庫に対する日本政府から琉球への出資のための援助命、これは一億三千万円である、これは出資金だからいいんだ、こう言っておるわけです。ところが私も先ほどあなたに質問してから見ますと、昭和三十八会計年度における農林漁業資金援助金は三億ですが、三十七年度は一億三千万円になっているわけです。そうして「9 会計検査」の中に、「総理府はこの覚書の条件に基づいて資金を交付した事業に対する援助金の完了と適正な支出を確認するため職員を派遣することができる。」とある。あなたはこれは出資金だからやらなくともいいんじゃないか、こう言ったけれども、見るとやはりこれは援助金になっているわけです。これはやはり会計検査をやらなくてもいいのですか。
  270. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 出資金でございますので、相手方に一億三千万円を渡したということは、領収証書等から見まして明瞭でございますので、実地検査をする必要はない、こういうふうに実は考えておるわけですが、ただ内地の関係がありますので、何とかして農林中金の全体でどういうふうな形かというような点も、できれば見たいと思っておりますけれども、一応は一億三千万渡したという領収証書がはっきりついておりますので、その点は間違いないということで確認しておるわけであります。
  271. 横路節雄

    横路分科員 ただここで問題は、いわゆる覚書の七番目に「援助金の誤用」という点で、「援助金が事業の本来の目的に従って使用されていない場合、又はこの覚書の条件に違反して使用された場合は、総理府は、高等弁務官府を通じ琉球政府に対し、その誤用の是正を勧告し、又は援助金の一部若しくは全部の返還を求めることができる。」、こうなって、なお会計検査院法の第二十三条の「任意的検査事項」の中にもそれがあるわけです。だから私はそういう意味でおやりになるのが至当ではないか、こういうように聞いているわけです。この点どうですか。
  272. 保川遜

    ○保川会計検査院説明員 お答えいたします。  ただいま先生のおっしゃいました御趣旨、私も全く同感でございます。それでできるだけそういったふうな、これは相手方のあることでございますので、そういうふうな検査趣旨がどういう内容で使われているかということを何らかの形でやはり見たいという希望を持っております。そういうことで話し合いを進めたいと考えております。
  273. 横路節雄

    横路分科員 私、これで終わりますが、会計検査院の皆さんに要望しておきますが、琉球諸島に対する援助金に関する覚書の中で、私は、会計検査をすることができるというのは非常に重要だと思う。さっき私が言いましたように、高等弁務官が、まあ反対をしているのだろう、なかなかうんと言わないというのは、やはり一般的には施政権がいささかへこむのではないかという懸念を向こうは持っているだろう。こちらのほうとしては、会計検査をやるということは、そういう意味で、人によって解釈が違うかもしれないが、施政権の一部がこちらに戻ってくる、そういう解釈も成り立つと思う。だから、せっかくこの覚え書きの中で、これは援助金としてなっているのであって、しかも援助金を誤用した場合には、全部並びに一部は返還できる、そして会計検査ができるとなっているのだから、そういう意味で、会計検査院としては総理府のほうに、会計検査をしたい、ぜひさせてもらいたい、覚え書きどおりやらしてもらいたいということは、ぜひひとつ強く主張してもらいたいと思う。そうでないと、内閣に対して独立の地位を有する皆さんが何とはなしに遠慮をされているということはうまくないと思う。その点、事務総長から答弁していただいて、私は終わりにします。
  274. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 沖繩の検査につきまして、いまの施政権が一部返還になるかどうかは別といたしまして、検査としては十分やりたいという方向で、現在も向こうと交渉しておりますので、お話のように十分やっていきたい、かように考えております。
  275. 植木庚子郎

    ○植木主査 次に、川俣清音君。
  276. 川俣清音

    川俣分科員 だいぶ予定の時間も切迫しておりますので、宮内庁に一言だけお尋ねしておきたいと思います。  宮内庁予算審議するにあたりまして、一言だけお尋ねしたいと思いますのは、義宮さまの御結婚について世間でるる流布されておりまして、あるいは誤った報道もあるのではないかということを懸念いたすわけでございまして、せっかくの御縁談がこわれたというような話も出ておりまするし、いや、そうではなかったのだというようないろいろな端摩憶測が飛んでおりまするので、御結婚についてはどのような状態であるかということをここで明らかにしていただきたい、こう思うわけでございます。
  277. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 義宮さまのおきさきがどういう方になられるかという問題につきまして、いろいろ揣摩憶測があり、あるいは何か交渉があってどうなったのだろうかというようなことまで想像したような記事が、主として週刊誌でございますけれども、載っておる事実がございまするが、しかしながら、現在のところ、われわれ見まして事実と出遅う場合が多いわけでございます。義宮さまも去年の十一月のお誕生日で二十八歳になられましたので、もう早く御結婚になったほうがよかろうというので、鋭意、御結婚に運びますように、われわれ奉仕している者は努力をいたしております。そういう状態にいまあるわけでございます。
  278. 川俣清音

    川俣分科員 私もあまり内容に立ち至りたいというような感じはございませんけれども、国民が御慶事を期待しておるところからいろいろなデマといいますか、憶測が飛び散っておるわけでございまして、このまま放置するとかえっていろいろな揣摩憶測を飛ばしてせっかくの御慶事をよごすようなことがあってはならないのではないかという意味でのお尋ねでございます。ですからあまり揣摩憶測を信じてお尋ねするとかえってそれを助長するようなことになってもいけないと思うのでございますが、しかしある程度やはり明らかにすることによってそういうことを打ち消すことができればしあわせだという意味でお尋ねをしておるのですが、もう少しそういうものを、大体の方向をお示しいただいて、これはお喜びで見ておるのですから、何とか国民を喜ばしていただくほうがいいのではないか。いろいろ中には興味本位もあるでしょうが、そうでない純真な国民もありまして、御慶事が早く実現することを一般の国民は期待をしておるのではないかと思います。それだけに大体の目安をお話しくだされば国民は非常な大きな喜びをもってこれを迎えるのではないかと存じますので、お差しつかえない限りお話ができないものかどうか、こういう意味でございます。これは非常に順調にいっている場合にはあえてお聞きしないでもある期待の中に喜びをもってその日を待つわけですが、いろんなものが飛んでいるために何となく不安と申しますか、いたずらなる憶測が飛び過ぎているような感じもいたしますのであえてお尋ねいたしますのですが、お差しつかえない限りお漏らし願えないでしょうか、こういう意味であります。
  279. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 義宮さまの御結婚の問題につきましては鋭意努力いたしておりますが、できれば今年じゅうに御結婚されるような運びにいけば、そういうような希望を持って努力いたしておるわけでございます。しかしこれは普通の事柄と違いまして、御縁談の問題はその周囲で考えるようにうまくぱっと予定どおりいくというようなことはなかなかむずかしい場合がございますので何とも申し上げかねて、また来年になるかもしれませんけれども、われわれといたしましては今年じゅうぐらいには御結婚になられるように運びがいきますればと思って努力いたしておるわけであります。  なお、いろいろの揣摩憶測、その中にはいま先生もおっしゃいましたように必ずしも悪意ではなくて非常に期待からきているものもあろうと思いますが、国民の多くの方が早くいいおきさきがきまることを大いに期待しておられるという点も十分われわれ考えまして、この御期待に沿うように、あまり長くならないように、できれば早くおきめになることができるように運びたいということで目下大いに努力いたしておるということでございます。
  280. 川俣清音

    川俣分科員 重ねてお尋ねしたいのでございますが、御存じのとおり非常に義宮さまは民主的であられるだけに期待も大きいわけです。これが国民から遠ざかっておられるとそれほどでもないのですけれども、非常に国民から親しまれておるだけに国民の期待も大きいといいますか、御結婚を非常にこいねがっておるという点があると御想像になっていただけると思うのです。それだけにいたずらに変な憶測が飛んで、傷つけられて、障害になるようなことにならないようにしなければならないという意味で質問しながらも、そういうことが起きては困るということで、率直に申し上げて、非常に私どもお尋ねしにくい点がございますけれども、そういういろんなものを打ち消す意味でも、もう少し国民が想像できると申しますか、安堵できるような御答弁が願えればしあわせじゃないかということでお尋ねしているのですが、非常にお差しつかえがあるなら、せっかくの善意がこわされてはいけませんので、無理にお尋ねしようとは思いませんけれども、せっかく国会予算審議中でもございまするし、この際お漏らし願えればと、こういうことなんですが、非常にお差しつかえがあれば私は質問をやめたいと存じますけれども、お差しつかえない限りにおきましてはお話し願えればしあわせだと存じます。これは私が聞きたいというより、国民が聞きたいところでございますから……。
  281. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この御結婚問題についての調査の内容を具体的にいろいろ申し上げるというような点は、これはいま差し控えたほうがいいと思います。これはいろいろそのためにまた迷惑される方がいてもいけませんし、また、円滑にいく話が、それがために円滑にいかなくてもいけないと思いますので、その点は御遠慮をするのがたてまえかと思いまするが、しかし、国民の皆さまの大きな御期待がございまするし、何とか早くこの御結婚まで運んでいけるようにいま大いに努力いたしておるということです。それではちょっとどうもはっきりしないじゃないかとおっしゃるかもしれませんが、事柄が事柄なんでございますので、そういう点でひとつごかんべんを願いたいと思います。
  282. 川俣清音

    川俣分科員 概略の見通し等もやはりいま触れるのは早過ぎるというふうに理解するわけですか。
  283. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 見通しといいますものも、結局、縁談という問題は、普通建物をつくるとかなんとかいうのとは違いまして、いついつまでにこうなりますと、われわれ自体もわからない点がございます。しかしながら、先ほども申しましたように、われわれといたしましては、できれば今年じゅには何とかこの事柄が決着するようにいったほうがいいと思って、大いに努力いたしておる、それがある意味においては見通しということになるかもしれません。しかし、これも縁談のことでございますから、ああ言ったけれども、まただめだったじゃないかというようなこともあるかもしれません。来年になるかもしれない、また再来年になるかもしれないということもありましょうが、目標としてはそんなに長くないようにしたいと思って努力いたしております。
  284. 川俣清音

    川俣分科員 国民の期待に沿うてせっかく努力いたして、今年中に目安をつけて国民とともにお喜びいたしたいという努力をお払いになっているということをお聞きいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。どうぞひとつ御努力願いたいと思います。
  285. 植木庚子郎

    ○植木主査 次に、受田新吉君。
  286. 受田新吉

    ○受田分科員 時間が進んでおりますから、ごくかいつまんで二、三の点を宮内庁長官にお尋ね申し上げたい。——これに関連して、法制局のどなたかおられないですか。
  287. 植木庚子郎

    ○植木主査 いま呼んでおるそうです。
  288. 受田新吉

    ○受田分科員 最初に私がお尋ね申し上げたいのは、予算に関係するわけでございますが、宮殿の新営費に対しまして、皇居造営寄付取扱要領なるものを宮内庁が三十五年五月十七日にお出しになっておられます。これには現金及び物品の寄付を受け付ける規定が掲げてありますが、これは現にどのくらい現金や物品の寄付の申し出があっておるか、お答えを願います。
  289. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 一月三十一日現在で、寄付金の受け入れが、件数で四万三千二百九十五件、金額で四千二十九万四千八百五十三円というふうになっております。なお、そのほかに、物として受け入れたものが七件ございます。これは吹上御所を造営される際に、物として入ったものが七件ございます。
  290. 受田新吉

    ○受田分科員 新年度歳出予算書を拝見しますと、宮殿新営費なるものが十一億ばかり計上されております。これといまの寄付金の関係はどういうふうになってくるのでございますか。
  291. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この寄付金は、こわは国が受けるというたてまえのものですから、その金は一応国庫のほうに入っておるわけでございます。この寄付金はどういうふうに使うかということは、大蔵省とも相談した上で考え三べきだと思いますが、その金額にもよりますが、宮殿がいよいよでき上がろうとする前に、あるいはその装飾とか、そういうものに、寄付によってこの部分ができたというふうにいきたいと思います。したがって、今年度のこの予算金額の中に寄付金の見返りの分はないわけであります。
  292. 受田新吉

    ○受田分科員 わかりました。この寄付金というものは、皇居造営のために出しておるわけなんです。したがって、これが有効に宮殿新営の中に取れ込められるべきものだと私は思うのです。したがって、国庫に一応入れる。そうして入れたものをこの予算のワク内で新営費に回すというような操作をされるのか、あるいは別途の操作をされるのか、その行き方、取り扱い方をちょっとお答え願いたい。
  293. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 これは支出をする場合には、やはり予算の上に載ってまいります。国庫に入っておるわけでございまして、それは特別会計になっておるわけではないのでありますから、宮殿ができ上がると、あとのほうの年度のところで見返りの分としてやはり歳出の予算のほうにその分が載ってくることになります。
  294. 受田新吉

    ○受田分科員 この取扱要領を拝見しますと、売名的な行為のための現金寄付とか物品寄付とかいうものはいけないのであるという規定が書いてあるのです。この点について、いま四千万円という寄付の内容その他について懸念される向きはございませんか。
  295. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 現在までのところ、懸念されるようなものはないと思っております。先ほど申し上げましたのをちょっとごらんになっても、件数が四が三千からで、金額で四千万円、一人当たりの金額というものはそう多くはないわけで、平均しますと千円以下になるわけでございます。やはり誠意を持ってお出しになっている方の分だと思っております。
  296. 受田新吉

    ○受田分科員 寄付金の最高額は幾らですか。
  297. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 最高の中にたしか三百万円くらいのがございます。しかし、そういうものも、名前も出されないし、その方もただ誠意を持って出しておられる、そういうのがございます。この寄付を持ってこられた中で、皇居造営審議会の答申の精神に反するような、何か特に強制的に集めたのではないかというような懸念のあったものが一件ございまして、これはやはり違うからというのでお返しをする、その点は相当潔癖に事務的には進めております。
  298. 受田新吉

    ○受田分科員 このことは、清廉潔白な皇居をつくり、またその環境をつくるという意味で、特に御考慮を願っておきたいし、また、今後寄付命の目標をどのくらいのところに貫いておられるかということも一応伺っておかなければいかぬ。まあ集まるだけ集めるという意味でなくて、寄付金の目標はどのくらいのところに置いておられるか、このこともちょっと伺っておきたいと思います。
  299. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 寄付金の目標というものは立ておりません。こういうのを立てますと、かえって、それまで持っていこうとするような無理をはかったりいたしますので、これはほんとうに誠意を込めたそういうものをお受けするということでいっておりますから、幾らになりますか、これはもっとあとになってみないとわからないことだと思います。
  300. 受田新吉

    ○受田分科員 予算書に皇居造営関係謝金というのがありますが、これは相当の額がここに計上されておる。千四百三十二万円。これはどういう内容を持ったものでございましょうか。
  301. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この謝金は、皇居造営のために顧問をお願いいたしておりますが、そういう顧問に対しまするお礼、それから嘱託を相当お願いしております。そういう人の嘱託に対する謝金、そういうものでございまして、特に嘱託のほうは、これは特に必要だと思いますのは、いま普通の職員の優秀な人を国家公務員に採用していろいろお手伝いしてもらうことがなかなかむずかしいわけです。民間の景気がいいものですから、それで相当の腕のある人を公務員として来ていただくのは無理なので、嘱託というような形で来ていただく、そういう方の数が数十名ございます。
  302. 受田新吉

    ○受田分科員 そうすると、これは諸謝金という性質のものでなくして、給与の一部と理解していいんじゃないでしょうか。
  303. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 いま申しましたようなものを謝金として出すというたてまえになっておりまして、この俸給とは違う謝礼という意味、それからほんとうの役務費というような労務的なものに対する給与とも違う、要するに、もっと程度の高いものでいろいろお手伝いを願うことに対する謝金ということで、これは大蔵省のほうの予算編成ではそういうふうになっておるので、われわれはそれでよろしいかと思っております。
  304. 受田新吉

    ○受田分科員 これはいろいろ考え方があると思うのでございますが、謝金ということばの使い方はよほど考えなければいけないんじゃないかと思うのです。これはそういうふうに大蔵省とお話がきまっておるなら、それで一応おきます。  その次の報償費という項ですね。この報償費というのは、どういう金の使い方をされ、この金額はどうしてお使いになろうとしておるのか、御答弁願います。
  305. 小畑忠

    小畑政府委員 私から申し上げます。  報償費でございますけれども、報償費の内容といたしましては、死亡者等の祭粢料だとか、あるいはおさかきだとか玉ぐしだとか、そうした贈賜関係の経費、それから行幸啓の場合に宿泊等を地方でなさいますわけでございますけれども、その関係の宿泊の関係、それから国賓が最近は非常に外国から多くおいでになるわけでございますけれども、国賓接伴の場合のおみやげ等の経費を報償費でもって経理いたしております。
  306. 受田新吉

    ○受田分科員 いま国賓のことを指摘されましたからちょっとお尋ねしますが、国賓として宮内庁に御連絡のある場合は、何を根拠に国賓とされておりますか、お答え願います。
  307. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 国賓の決定は閣議でなさいますから、閣議の決定によってきまるわけですが、皇室で特にもてなされるのは、そのうちで、皇帝とか大統領とか、いわゆる外国の元首あるいは外国の皇族の方というような場合について、皇室で特にもてなしておられるわけであります。
  308. 受田新吉

    ○受田分科員 国賓というものは非常にあいまいで、きょうは法制局あるいは内閣の官房長官でも来てもらったらはっきりするのですが、国賓ということばの使い分けにたいへん問題があると思うのです。国賓及びこれに準ずる者、いま仰せられた国賓でない外国の王女さまですか、そういう方も来られることがあるんじゃないかと思うのです。宮内庁が御所管になっておられる接待の対象になる人に、国賓以外の人がおられるのではないですか。閣議で決定された人以外の、国賓に準ずるような立場の人をお取り扱いしていることがあるんじゃないですか。
  309. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 国賓にはなっておられないが、外国の皇族で来られた方で、特に先方のおつもりでは私的にいろいろ見学する意味で旅行されるというので来られる、そういう場合には、国賓としてはなりませんが、しかしながら、こちらのほうでもてなす場合には、その国との友好関係も考えて、公的に扱われるというものもあります。それで、国賓の定義、これをどうするかという問題については、いま内閣官房のほうと、それから外務省、それに宮内庁、それから経費の関係がありますから大蔵省の関係とか、法制関係は法制局とかいうのでいろいろいま相談をしておられるので、近くもう少しはっきりしたものを打ち出そうというので検討しておられることを聞いております。
  310. 受田新吉

    ○受田分科員 私、大いに国民のために宮内庁に御協力願いたい一点をひとつ取り上げてみたいと思うのです。皇室財産の中に、地方に分散されているものがあるわけですね。那須の御用邸、葉山の御用邸、沼津の御用邸、こういう皇室財産を完全にお使いになっておられるかどうか、お答え願いたいのです。
  311. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 皇室財産は、そのほかに、陵墓とか、いろいろありますけれども、それは別としても、御用邸の関係、葉山の御用邸は、これは特に夏の暑いときで、海水浴のお客が多いようなときを除いた期間、数回、一週間あるいは十日間くらいの予定で、おひまを見てお出かけになっております。それから那須の御用邸は、これは夏の暑い時期に、ときによると七月ごろから九月にかけてですが、年によって違いますけれども、御利用になっております。沼津の御用邸につきましては、このほうは、葉山、那須に比較いたしますると、それほどはお使いになっておりませんで、何年かに一度お使いになっている。最近ですと、一昨年、皇太子殿下、妃殿下、浩宮さんがあそこをお使いになった。去年ですと、全然お使いになっていないという点がござ  います。しかし、この沼津の御用邸は、海の水あたりがだんだんきたなくなってきておりまして、海水浴にもだんだん向かなくなってきているようです。なお、あそこについては、また何かあの付近を新しい工業推進地域に指定して沼津の沖を港にしようというような計画もあったりしておりますので、県のほうでは、沼津の御用邸については御用邸として普通にお使いになるには不適当になっていくおそれもあるからというので、何かかわりのところを考えようかというようなことを検討しておられるという事実がございまして、沼津の御用邸については問題がございます。
  312. 受田新吉

    ○受田分科員 こうした皇室財産であまり必要性の高くないところは、むしろこれを国民に開放されて、国民全体の福祉を増進するほうにこれを転用するというような、ひとつ大所高所からの御措置をされる。特に沼津の御用邸についてはそういう点を考慮せられて、むしろそうしたほうへ宮内庁が積極的に有効にこれを使ってはどうかという意思を表明されるぐらいのほうがいいのではないか。そのほかにある皇室財産で、天皇御一家の御使用にあまり重要度が高くないという場合には、これを開放されるという形の手を打たれることは、これは皇室と国民をむしろつないでいく上に非常に意義が大きいと思っておるのですが、なるべく皇室財産を守っていきたいというお考えか、あるいは必要によって不要不急のような立場になっておるものは、どんどん開放するという御方針を持っておられるか。その他の皇室財産に関連する問題として御答弁を願います。
  313. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 皇室用財産につきましては、終戦後に、以前いわゆる皇室財産であったもののうちの相当大部分のものを開放されて、特に必要な部分を皇室用財産——現在は国有財産でございますが、皇室の用に供する財産として残されて、皇室がこれをお使いになっておるわけで、利用度においては高いものあるいは低いものもございますけれども、部分的には最近でも、あるいは道路をつくるために一部分これを解除するとか、あるいはその他何か特別の場合に解除になっているものもあります。しかしながら、これはごくわずかでございます。しかし、残っております部分は、そう広くはないものですから、これは問題として大いに検討すべき問題ですが、それでは大いに解除しますかという点については、さようでございますともちょっと申し上げかねるので、これは慎重に検討して、その事情によって考えていく。国民とともにあられる皇室ですから、そんな無理なことをもちろんなさるべきではないですが、事情によって考えていくというふうにありたいと思っております。
  314. 植木庚子郎

    ○植木主査 受田分科員に申し上げます。内閣法制局から高辻次長が見えておりますから……。
  315. 受田新吉

    ○受田分科員 そこで、時間も迫っておるからもう早く打ち切りますが、いまの次長のおことばに関連するのですけれども、例の皇居の東側地区の開放、これを四十二年三月までになさる御意思のようでございますが、これは厚生省にやがて移管させるのか、あるいは宮内庁としてあくまでもこれを確保しておく形をとられるのか、将来の見通しを伺いたいのであります。
  316. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この東側地区は、やはり皇居付属の庭園としてこれを整備し、皇室で使われない場合には原則として公開するというようなふうに皇居造営審議会の答申がございます。閣議もそれを受けてきめておるわけでございまして、皇居付属の庭園として整備する、皇室でお使いにならない場合は原則として公開するということでございます。ですから、厚生省に移管をするのではございませんので、やはり宮内庁で管理をいたします。しかしながら皇室でお使いになりますのは、園遊会か何かなさるような、一年でいいますとごくわずかの機会でありまして、そのほかの大部分の機会は一般に公開する——門を自由に入ってこられて、その公園を散策され、レクリエーションの効用のあがるように皆さんが利用されるというふうになるわけであります。
  317. 受田新吉

    ○受田分科員 所管はそういう見通しになっておるのですけれども、将来の長い目で見たときに、国民の福利厚生というような意味を兼ねた厚生省所管に移管する時代があってもいいのじゃないかと思うのです。たとえば皇居前広場のような形にですね。ただ、ここで私、最近皇室が大いに国民のためにサービスをしていただいて親近感をお与えいただいていることを喜ぶものでございますけれども、もう一つの問題は、天皇、皇后並びに他の皇族の方々の外出されるときの警備、これらがやはりあまりはでであると、国民が迷惑を感ずる場合も起こる。特に、交通麻痺などの原因にもなるという場合がある。浩宮さんが今度学習院の幼稚園においでになるわけでありますけれども、これは距離も近いことですし、あまり一般の迷惑にならぬような御措置を御計画のようでありますが、一般に堂々とした儀式的な皇室関係の外出あるいは国賓の送迎、こういうときに交通麻痺が起こってくるということになると、これはまた問題がある。陛下並びに皇族の方々の身辺をお守りするということと、国民の迷惑をなるべく軽くするということとのかね合いで御答弁をお願いしたい一点が、その点です。
  318. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 行幸啓その他宮さまのなにの場合の警備の関係は、警察当局のほうと機会あるごとにいろいろ話をしておりますが、これはできるだけ国民に迷惑が与えられないように、また行き過ぎのあるような警備にならないように、それによって皇室が国民とともに親しんでいかれるようにあるべきであるから、そういう備えにならぬようにということを常に話しておるわけであります。しかし最近のいろいろな交通事情その他で、ときによりますと、少し整理をしますと交通上相当迷惑になっている場合もあると思います。できるだけそういうことを減らすようにというので、お出かけの場合には、その時間等もなるべく交通のほうのすいている時間を選ばれるとか、あるいは以前ですと、葉山へ東京からおいでになるときに自動車でおいでになっておりましたけれども、二年ぐらい前から電車でおいでになる。そうすればまた、交通に与える迷惑も防げるというようなことで、そういうような配慮もいたしておるわけでございまするが、おっしゃった御趣旨の点は精神的に十分考えて、今後とも一そう改善に努力したいと思います。
  319. 受田新吉

    ○受田分科員 質問の時間が非常に短い関係もあるので、最後に一点だけ、法制局高辻次長と御一緒に御答弁を願いたい点があります。  両陛下は大事なお立場ですから別として、そのほかの皇族の方々には、やはり国民の権利としての立場から、どのような仕事へおつきになってもいい、またどのような出版、言論等の自由も認められるという立場に立つべきものだ、原則としてはそう私は思うのです。そこで、義宮さんにされても、もうこうして大学も出ておられて、御結婚も間近い、こういう立場の方々には、でき得べくんば、あまり拘束されないような形で、何か国民に大いに歓迎されるようなお職務へついていただいてもいいのじゃないかと思うのです。そういう職業の選択の自由あるいは言論、出版の自由、こういうようなものを皇室の藩屏としての立場から許される限界があると私は思うのですがね。この点について、もちろん親王費という特別の経費もお受けになっておられる。予算に出ておるのです。それ以外に収入を得て公務におつきになる、あるいは会社員等で御精励される、こういう道をお開きになるほうがかえって、国民に象徴御一家の親近感を深めることになりやしないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  320. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 皇族として何かお仕事につかれるという点につきまして、これはやはり皇族という本来のお立場に支障のないお仕事であれば、おつきになってもよろしいのでございますが、現在でも三笠宮さまは女子大学で考古学の講師をして、講義をされたりもしておるわけです。そのほかの宮さまは特別そういうようなことではなくて、いろいろな協会の総裁とか、そういうのは相当なさっております。これもやはり皇族としての当然のことでもなく、いろいろな御縁故もあってなさっておるものもございます。これも皇族としての品位をそこなわれないようなことであればよろしいのであります。そういう点がございまするが、しかし、中心はやはり皇族として御活動になること、そのために必要ないわゆる歳費のようなもの本国からいただいておられるわけですから、それはやはり皇族としての活動を主に考えて、それに支障のない範囲でなさるということと思います。  それから言論、出版の関係でありますが、これは皇族さまで、いろいろ本を出したり、ときによっては雑誌に随筆とかそういうものを書かれていることもございます。これも根本においてはやはり自由をお持ちでございまするが、しかしここにやはり、皇族の立場と矛盾するような面のあるようなことは留意をしていただくという立場にやはり立っておられると思います。と申しますのは、天皇は憲法第一条でも、国民統合の象徴、国の象徴、国民の総意に基づいてその象徴の地位におられる。いわゆる一党一派とか、あるいは特別の派に片寄ったようなことでなく、国民の総意に基づいて、全体の上に立って象徴というお立場におられるわけで、陛下がそういう立場におられる。皇族さまは、いまおっしゃったことばでは、藩屏ということばをお使いになりましたが、それにちょっと似たようなお立場で、男の宮さまであれば皇位継承権を持っておられる。そういう方も一党一派に偏することのない、もっと広い、高い立場に立って、この言論、出版の自由をお持ちであると思います。
  321. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 ただいま瓜生次長が仰せになりました点で尽きておると思いますが、しかし、ただいま御質問がありました中に、皇族の基本的人権の関係がございましたので、その点についてだけちょっと触れさせていただきます。  申すまでもなく、皇族もまた、実は受田議員が仰せになりますように、憲法で保障する基本的人権を享有されることは、私どもも疑いがないと思っております。ただ、ただいまもお話がございましたように、天皇は日本国憲法の第一条でああいう地位におられますし、皇族はまた皇族として、男のお方であれば皇位継承権をお持ちになるというような関係もありますが、それにはやはり妥当な範囲というものについての、おのずからなる限界というものはあるのじゃないか。そういう意味でやはり、その程度をふさわしい程度に置いて御活躍をいただくというところになろうかと思いますが、その点は瓜生次長が仰せになった点と、私も大体同じ意見を持っております。
  322. 受田新吉

    ○受田分科員 その適当と判断をされるその答えを出す立場の方は、宮内庁長官ですか。つまり基本的人権と皇室の権威とにらみ合わせて、こういう会合へ御出席になってもよろしい、そこでごあいさつをされてもよろしい、こういう御出版物はお出しになってもよろしい、こういうお職務をお持ちになってはどうですかという、御本人の意思が別にあっても、いまの両方をかね合わせした結論を勧告されるのは、宮内庁長官であるか、あるいは他のだれか責任者がおられるのか、ちょっとお答えを願います。
  323. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 宮内庁長官は皇室に関する国家事務というものを扱っておられる、したがって皇室の関係で、いろいろの事柄について、特にこういう点はこうあるべきであるというふうに考える場合には、宮内庁長官がその意見を申すわけでありますが、いまお尋ねのように、こういう本を出す、それを許可するとか、あるいはこういうところに出る、その許可を受けるとか、許可制ではもちろんありません。これはやはり御本人のお気持ちでなさるのですけれども、疑問のあります際には御相談がありますし、それから御相談がなくても、ああいうところはもっと慎重にされたほうがいいのではないかというような気づきの点があれば、長官から申し上げるというようにやっているわけで、その法律上の決定権とかなんとか、そういうような強いものではございませんが、そういう補佐をするという点をいたしておるわけでございます。
  324. 受田新吉

    ○受田分科員 皇族の方といえどもやはり基本的人権をお持ちでございますので、国民の権利として、ある特定の会合へも進んで出席されたいというお気持ちを持たれることがしばしばあると思います。これはよく週刊誌などで批判をされていることでありますが、その出る会合の性格によって、出ていいのと出て悪いのがある。ここへ出たら今度ここへ出ていただきたいという注文も出る。こういうようなことで、なかなか皇族の方のそうした会合への御出席並びにそこへ出られてのごあいさつ、こういうところには、御本人と変わった一つの性格のものの答えが出ている場合がしばしばありますね。それはたいていは宮内庁長官が補佐されて、答えが出ておるのでございましょうか。
  325. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 いまどういう点をお尋ねか、ちょっとその点がはっきりわからないのでありますが、いままでやはり御本人の御意思とそんなに違わないで、お互いに納得でものごとが進んでおると思っております。
  326. 受田新吉

    ○受田分科員 たとえば三笠宮さまにいたしましても、紀元節に対する御意見がある。そういう学会にもいろいろ御関心がある。または義宮さまにしても、いろいろな道徳的な会合へも御出席になって、そこで学びとりたいと思われておる。こういうような御本人の御意思で行動されようとするときに、ただ皇族であるということで制約を受けるということになると、ここに自由というものが非常に制約を受けるわけなんですが、そこの限界がはなはだむずかしいことだと思うのです。皇族であられて、皇室の立場と変わったような御意見を吐かれる方があられたって、思想は自由でありますから、これはお取りやめ申し上げることはできないわけです。そういうことについて別に宮内庁としてあまり大きな制約をされるようなことはありませんか。これはむしろ自由な御意見を吐かれるほうが、国民にはなかなかおもしろい御意見だなと好感を持たれる場合がある。しかしお立場がそういうお立場の方ですから、それはただ単なる御意見として国民は承っておるわけですからね。特に義宮さんの御結婚、いま川俣さんのお説のように、いろいろ国民は関心を持っているわけですけれども、これも宮殿下御自身がもう結婚を急いでおられると思うのです。結婚したいときっと殿下はお考えと思うのです。ところがいろいろな制約を受けて、あれでもない、これでもないということで、周囲の人が逆に結婚をおくらされるような形になっても、これは基本的人権の侵害になると思うのでございますが、むしろすなおな形で、殿下が御結婚をしたいという御意思がすみやかに実行できるように、さっとお手伝いをされるような形がとれないものか。これはなかなかむずかしい問題ではございましょうが、御本人の御意思をできるだけ尊重する形で、いま結婚、言論、それから出版、職業、こういうものにひとつ民主的なお手伝いをされることが宮内庁のお仕事じゃないか。義宮さんの場合だって、候補者を殿下にお会わせする、こういうようなときに、とにかく成り立つことを前提にされて、さあっとやってあげることが事をこじらせないことにもなって、殿下御自身も御幸福だと思うのです。いつまでもこの結婚問題がもたついておるということは、殿下も御不幸ですし、早くおしあわせになられるようにという国民の期待も裏切るわけですから、あまりむずかしく考えないで、さあっと民主的な形で皇室運営をされる、こういう形をおとりになられてはどうかと思うのです。非常に謹厳でごりっぱな、きれいな方々が周辺におられるわけでございますが、だからといって、世上の姿より離れた形で皇室を遊離させても問題があると思うのです。いま来年になるか再来年になるかわからない、ことし一ぱいには何とかと思いますけれども縁は異なものでございますから、ということでは、これはいつまでたったって実は結ばないと思うのです。さっさとおしあわせをつかんであげるように、あまりむずかしい問題ではないですからね。そういう形をおとりになる。  これは高辻さん、ヨーロッパの皇室などで、最近も御存じのような事例で、オランダの王女さまもなかなか頼もしいというか、おもしろい道を歩んでおられる。これはどうですか、日本の場合。皇族の方が御自身で選ばれた相手がどうも皇室周辺の方が納得できないというような場合に、日本の場合は別に皇位継承権を削るとかいうようなことはないわけですから、御自由な立場で御結婚されていいわけです。英国のような制度はないわけですから。ただ、置かれているお立場がなかなか品位を重んじなければいけぬということがあるだけで、この点について、法律的には、皇族がどのような立場で御結婚をされても、皇位継承権を失うことはない、かように了解してよろしゅうございますね。
  327. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 お答え申し上げます。  ただいまのお話でございますが、わが国の制度上は、皇室典範という規定に、これは御案内だと思いますけれども、皇室会議の承認を経るという手続がございます。まあ、しかし、それは一つの制度として、そのほかに受田さんがおっしゃいますのは、承認は承認として、相手方をどう選ぶかということについては、むろん御自身のお考えというものが中心になるものであろうと思います。ただ、国法上の制度から申しますと、いまのような承認というようなことが実定法の上には掲げられておるわけでございます。
  328. 受田新吉

    ○受田分科員 これは私たち、大いに象徴天皇御一家をお守り申し上げたいし、その権威を高めて差し上げたい立場から、なおかつ、そういう親近感を国民に与える意味の皇室御一家であられたいという意味で、いまお尋ねしておるわけなんです。したがって、一般の人とあまりかけ離れたような、何か隠された形でやられるよりも、むしろ一般の国民と同じように、殿下がお好みの方があられれば、私はこの人が好きです。こういうことをはっきり申されるチャンスをお与えにならなければいかぬし、そのことに従って御縁談を進めなければならぬと思うのです。いま宮内庁としては別に対象にされるような方は、まだ全然ないのですね。そういう形になれば、またそういう形で御議論させてもらいたいのですが、全然いま候補者として折衝しておる相手がいる段階ではないということですか。
  329. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この御縁談の問題につきましては、先ほども申しましたが、あまり具体的なことをいろいろ申し上げますといろいろ支障がございますので、その点はひとつ御遠慮願いたいと思うのでありますが、われわれは、やはり義宮さまの御意見は十分聞きながら、義宮さまの御幸福が将来築かれるように、また国民の期待にも沿えるようにということで考えて、進めておるわけでございます。
  330. 受田新吉

    ○受田分科員 私、懸念しますことは、その候補として当たられたような方がよそへ他言されるとか、その途中だれかにつかまって知らせるというようなまずいことをされないで、じょうずにやる手はあるのです。そういうところをあとを追っかけ回されて探り出されるという形でなくて、殿下の、また相手になられる方の人権を侵害しないで、プライバシーの問題にほんとうに心を使いながらやってあげる手があるのです。そういうところを 揣摩憶測でやられるなら、これは週刊誌に対しても、それを書いてもらったためにたいへん迷惑した人に対して適当な措置をされる必要がある。事実そういうことがあったということならばこれは正しい報道でありますから、手の打ちようがありません。私は、そういう意味で、宮内庁のやっておられることにどこかに抜け目があるのじゃないかと、こう思うのです。候補者としていま予定されている人があるということなら、別にだれだということでなくて、予定された人もおありだということなら、そのおありだでいいのです。それなら話がまとまるまでこっそりやられればいいわけです。じょうずにいかれればいいわけですから。それが何ともわからぬような形で、来年になるか再来年になるかわからぬということでは、国民自身も納得できないですからね。候補として考えておられる人はあるわけでしょう。それはあるけれども、それが実を結ぶかどうかわからぬ、こういう形だと私は思うのです。  そういう意味で、宮内庁として十分用意をされて、手落ちのないようにして、殿下のお立場も、また話題にのぼる方も人権が侵害されないように御配慮を願いたい、そして早く結論を出していただきたい。もうそうむずかしく考えないで、結論を出していただきたい。来年になるか再来年になるかわからぬということではなくして、今年なら今年の秋にでもはっきりなにができるようにお進めになってほしい、よろしゅうございますか。
  331. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この御縁談の問題は、相手がございますものですから、この方をと思いましても必ずしもうまくまとまるとも限らない場合もありまするし、なかなかはっきりいつまでということが言いにくい点はあるのですけれども、しかしながら、そう長引くのはよくないという気持ちで大いに努力いたしております。
  332. 受田新吉

    ○受田分科員 もう一つ最後にお聞きしておきたいことは、ケネディさんがなくなられたときに、初め大平さんが行くといって、今度また総理が突然、途中からひょいと行くというような、その過程において皇太子さんをあちらに派遣されてはどうだろうかということが議せられたと一部報道機関が伝えております。これはどういう形であったのか、ちょっとお伺いしたいのです。
  333. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 それほど正式の話というまでのものではないのですけれども、まあ皇太子殿下のおいでになることも考えられるのじゃないかという話がちょっと途中にありました。しかし、池田総理大臣がおいでになることにきまりまして、そういう話は消えたわけでございます。
  334. 受田新吉

    ○受田分科員 これはもう宮内庁長官ではむずかしい問題です。政治問題ですから。  法制局次長さん、これは法理論から議論する問題ではなく、政治論なんですけれども、外国の元首がなくなったときに、政治上の責任者がその葬儀に参列をする、日本の場合は私はそれがしかるべきだと思うのです。もちろん英国の場合など、別のケースがありますけれども、皇太子さんに御苦労を願うような形のものが議せられたという、相談の中にどうだろうかということが出たということ、そのものをどう御判断されますか。適切とか適切でないとかいうことでなくして、皇太子にケネディ大統領の葬儀に参列する御苦労をお願いするという行き方に対する御見解です。
  335. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 非常にむずかしい御質問でございますが、私、法制当局だものでございますから、法律問題については自信を持ってお答えできますけれども、ただいまのお話については、私どうも十分に自信を持ってお答えする自信がございません。もう少し何か問題の中心がわかれば、それに応じましてお答え申し上げます。
  336. 受田新吉

    ○受田分科員 それじゃ申し上げましょう。象徴御一家は政治的立場のものにお出しすべきものじゃない、これははっきりしていますが、ちょっとお答え願いたいのです。
  337. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 受田議員も御承知のように、日本の天皇は国事に関する行為のみを行ない、国政に関する権能を有しないとございます。国事に関する行為としまして、一から十ぐらいまでの事項が掲げられておりますが、国政に関する権能を有しないということは、やはり政治に影響を及ぼすような行為につきましては、御自制になるのが憲法の上からくる精神だろうというようなことは言えると思うのでございます。
  338. 受田新吉

    ○受田分科員 ケネディさんの葬儀に皇太子がおいでになる、ケネディさんの葬儀はある程度政治的な意味も私、含まれておると思います。純然たる政治的な問題であったか、あるいはただ単に儀礼的な問題か、その判断はいろいろあると思いまするが、これはある程度の政治性を持った葬儀である。したがって、これに象徴御一家の御出席があるということは、これはアメリカに皇太子を御派遣になるといえば、ほかの類似の場合にまた御派遣にならなければならぬという問題も起こってくるわけです。英国のような従来の慣例は別としてですね。そういう意味においては、外国の元首の葬儀、王族でない、皇室でない国の元首の葬儀に、天皇御自身が、あるいは皇室御一家が御出席になるということになることは適切であるかどうか、掘り下げてお尋ねします。
  339. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 ただいまのお話の中にありましたように、かつて英国の戴冠式に皇太子殿下がお出かけになったことがございますが、あれと同様に考えられるかどうかということになると思うのでございますが、事柄の性質上、私が申し上げてもどうかという問題でございますので、その問題につきましての私の見解はごかんべん願いたいと思います。
  340. 受田新吉

    ○受田分科員 法制局次長、政治的な問題がにおっておるとお避けになりますが、象徴御一家は外国の元首として王室の御葬儀、あるいは戴冠式、こういうときに御出席になるべきであって、一般の皇族でないお国の場合にどうですか。これはちょっと理論的に見て、元首としての同じ立場——日本の天皇は元首でないという意味とすれば別ですよ。どうですか。七時になりましたからこれで終わります。
  341. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 日本の皇太子殿下がおいでになる場合につきましては、これはおそらく象徴の御名代といいますか、そういう点からおいでになるだろうと思いますが、そういう点で御懸念になるのだろうと思いますが、それは結局ケネディ大統領の場合に、大統領はまさにアメリカの元首であるわけでございますから、元首というものに対しては、英国のキングという場合でも実は同じでございます。ただ違うところは、王室というものであるのと、そうでない大統領制であるのと、ということであろうと思いますが、これはどうも一般的にどういうふうにみんなが感ずるかというようなことに尽きると思うのでございます。私が法制当局の見地からそれをどうこうというふうに断定するのは、やはりいかがかと思いますので、それはひとつ先ほど申し上げましたとおりに、お許しを願いたいと思います。
  342. 受田新吉

    ○受田分科員 天皇陛下は元首かどうか。
  343. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 天皇は元首であるかどうかという御質問でございます。これも非常にむずかしい問題で、学説上にもいろいろな見解がございます。  しかしまあ、せっかくの御質問でございますのでお話を申し上げますと、元首というものが結局何かということに尽きると思います。元首というものを一般に分解してみますと、やはり外国に対して一国を代表するものというのがその定義の中心だろうと思います。その旧来の定義に徴して考えてみました場合に、日本の天皇はやはり象徴としての地位を有せられる、これは日本人が見ても、外国人が見ても、そう思って一向差しつかえない御存在であるわけです。  それが一つと、それから国事行為の中には接受という規定があることは御承知のとおりでございますが、ああいう接受ということは、消極的な立場ではありますけれども、やはり日本国を代表する一面を持っておられるということは確かなことであります。したがって、そういう面でいままでの元首というものが理解られるようなものでありますなら、それはそう言ってかまわないと思いますが、いや、元首というのは一つの定義としてもう完ぺきにあらゆる国政の分野において国家を代表するものでなければいけないのだというふうに元首を限定してかかりますと、おのずから定義がそういうことでございますから、当たらないということになります。要するに、元首というものの観念のしかた次第によって、おのずから日本の天皇が当たるか当たらないかということになると思いますが、さしあたりはいま申し上げたような角度から考えるべきものだということを申し上げておきたいと思います。
  344. 受田新吉

    ○受田分科員 終わります。
  345. 植木庚子郎

    ○植木主査 明十八日は午前十時より開会し、裁判所及び法務省所管について質疑を行ないます。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時九分散会