○多賀谷
委員 それは当然期末手当その他を入れなければ生活できませんから、入れておるけれども、本来そう、いった性格のものでもないでしょう。大体月々もらうものでやっていけるというのが制度ですよ。それはたくわえだって要りますし、住宅だって永久に借り家というわけにもいかぬでしょう。ですから、それらを含めれば何とかなるのだということでは、何のために標準生計費をつくったかわからないでしょう。
まあとにかく、これだけ賃金は低いのですよ。あなたのほうはこれが妥当だというけれども、民間との比較においてもかように、私が指摘いたしましたように年おくれである。そしてその内容は、必ずしも民間
給与と合致していない、こういうように言えると思うのです。
大体私は、過去昭和三十三年十一月九日、臨時人事
委員会、続いて公務員法の改正があり、人事院が発足して、十二月九日に
政府及び
内閣に
勧告して以来ずっと見ますと、一体人事院は争議権を剥奪をした代償としての機能を果たしておるかどうか、非常に疑わしいと思う。そうしてこういうようなでたらめの
勧告をして、義憤を感じて人事官をやめた人の話も聞かない。また人事院の公務員の諸君が、こんなに押えつけられてたまらぬ、こう言ってやめた人の話も聞かない。以下、私は若干時間をさいてもらって、ごく簡単に一回から述べてみたいと思う。こういうでたらめのことが平然として行なわれているわけですよ。
第一回は、これはいま申しましたように、臨時人事
委員会が
政府に
勧告して、公務員法の改正がありましたから、翌月人事院があらためて
政府並びに
内閣に
勧告をしたのですが、これは大体ベースはのみました。しかし扶養手当は三分の一ぐらいに削減をいたしました。しかし
勧告があったとき、十二月に実施しました。第三回は、これは当時七千八百七十七円ベースですら低いと言われたのですが、吉田
総理は完全に無視する、本年は実施しないという旨を声明して、それで終わったわけです。何もしません。これはもう全部パーになった。次に第三回、二十五年八月九日、これは
勧告がありましたが、ベースはダウンをされて、そうして翌年の一月一日に実施された。三十六年八月二十日の
勧告は、これはさらに
政府によってベースは切り下げられて、そうして八月実施ということが明記されておったにもかかわらず、十月一日から実施をされた。
〔野田(卯)
委員長代理退席、
委員長着席〕
二十七年の八月一日はさらにベースは切り下げられて、
勧告は切り下げられた。さらに実施時期は五月と明記されてあったにかかわらず、十二月一日から実施をされた。第六回は二十八年七月十八日です。これはベースはそのまま、実施時期は書いてありませんでしたから翌年の一月一日実施をされた。三十九年七月の
勧告は、これはむしろ一時
勧告を留保する、こういう答申がなされた。しかも消費者物価は九・四%上がっておるということを報告書に入れておる。それから毎勤統計では一年間に九・二%アップをしたことを誓いている。人事院自体の
調査によっても民間は九・五%アップしている、こういうことを書いておるにも一かかわらず、
勧告は一応保留すると答申をした。これは非常に私は問題だと思う。三十年の七月十六日は、これは本年もベース改定
勧告は保留すると報告している。本年は消費者物価は若干下がった。しかし毎勤統計や人事院自体の
調査によると、三・五%ないし三・八%アップしているけれども、失業者の増大、賃金支払いの悪化等で本年も
勧告を保留すると、昨年のことは全然触れないで保留している。しかしこの時期から神武景気にかかっておるわけです。三十一年の七月十六日の
勧告を見ると、これは消費者物価はわずかしか上がらなかったけれども、労働省の毎勤統計では四・〇%、人事院の
調査では六・六%アップになっておる。そこでそれを基礎にして
——ここずっと保留しておりますからね、
調査をしたところが官民比較が一一・〇%出てきた。私はこういう点も問題だと思うけれども、人事院自体が理想的な方式であるというフィッシャー方式だけでいくと一二・四%になるものですから、ラスパイレス方式とパーシェ方式とを入れて一一・〇%というのを出した。ところが出して、それを
勧告すればよかったのだけれども、出して、それを人事院自体か値切っておる。どういう理由で値切ったかというと、先ほども話があったけれども、税務職、公安職、海事職、教育職というのは本来民間よりも高いから、この分だけは差し引くのだというので、差し引いて六%の
勧告をしておるでしょう。ところが六%も、
勧告の形がベースアップという
勧告をしないで、一号俸上げるという
勧告をした。そこで
政府は、これはベースアップではない、
給与体系の是正であると称して、翌年の四月一日から実施をした。この間は一体人事院は何をしておったのか、私はこう言いたい。ですから、人事院無用論が出たのはこの時期です。続いて三十二年の七月、これは、ベースの改定はしておりません。三十三年もベースアップの改定はしておりません。初任給と期末手当だけです。それから三十四年もベースアップの改正はしない、中だるみ是正と期末手当だけです。しかしこの時期は、大蔵大別も先ほど少しお話がありましたけれども、三十年から三十一年にかけて岩戸景気だ、あるいは三十二年の中ごろから三十三年にかけては下降をたどりましたが、三十三年から三十五年にかけては繁栄の時期だ、こう言われておる。その時期に三年間ベースアップしてないのです。それから三十五年から以降今日まで五回ですが、これは皆さん御存じのようにベースアップの
勧告をしておる。しかし、十月一日という実施時期に五月一日が引き下げられておる、こういうような状態になっておる。
そこで
労働大臣、スト権の代償とした人事院がこういうていたらくですよ。
政府だって、ほとんど
勧告を実施しないと言ってもいいぐらいですよ。この状態をあなたはどう
考えられますか。この人事院の
勧告の実施という問題は、要するに公務員の団結権、基本的人権の問題と非常に関連があるんですよ。かように踏みにじられて、そうしてあなたのほうは、人事院がありますからスト権の代償になっておる、でありますからこれによって
勧告をさして
政府は、実施しておりますと、こう言い切れるかどうか。本年はどうするつもりであるか。本年は、先ほどの
成田さんに対する
答弁によって明らかなように、
労働大臣は実施をする、時期を含めてと、こういうことであるから私は安心をしておるのだけれども、過去の例を見てあなたは一体どういうふうに
判断をされますか。