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愛知委員 そこで、これは大蔵大臣に引き続いてお
伺いしたいのですが、
昭和三十九年度
予算が編成されましたときに、いろいろ
新聞の切り抜きなどを見てみますと、マスコミの評判は、非常にこれは大型である、景気に対して刺激的である、ぶんどり主義であり、総花主義だといって、なかなか手きびしいのですね。しかし、私は全然そうは
考えない。私は
考えないことを私なりに申し上げますから、それと同
意見であるかどうか
伺いたい。
まず第一は、
政府の説明にもありますように、
予算の単純な規模を比べてみましても、三十八年度の当初の増加率よりは、ことしのほうが一般会計も
財政投融資も少ないわけですね。これは明らかにされているとおりです。それから
国民所得に対する比率も、三十八年度の当初の比率が一七・一%、これに対して三十九年度のものは二八・三%。
経済が進んでいるのですから、それに対する伸び率、増加率が去年よりも少ないということは、これだけだって大型化でなく、小型化なんです。これは間違いないところですね。さらに私が私なりに指摘したいと思いますのは、こういう比較は、大体すべて年度当初でやっているわけです。そこで
昭和三十六年度から三十九年度までを試みにとってみますと、
予算編成の当初に予想されたところの
国民総生産——GNPというものは、その当初に予定されているわけですね。つまりその前年に対する
国民総生産が、前の年より幾ら伸びると想定していたか。三十六年度は二二・五%伸びると想像しておった。それに対して
予算規模は二四・四%大きくなっていた。それが歴年そうなんです。三十七年度は一番ひどいので、GNPの増加率が二二・一%なのに対して、
予算規模はほぼ倍の二四・三%になっておる。三十八年度も一五・四%が一七・四%と広がっている。しかるに、この数年来なかったことが三十九年度には起こってきた。二十四兆七百億円と想像されるGNPの昨年に対する増加率は一八%、しかし、
予算の規模は一四・二%にとどめた。これは大型化どころじゃないのです。私がさっき七%に
経済成長率をとどめていただきたい、そしてモデレートに、堅実な成長をやっていただきたいと言ったことは、与党と
政府の合作でできたこのりっぱな
予算に現実にあらわれている。これは大型化でもなければ、景気の刺激でもない、私はこういうふうに確信するのです。
さらに、これも
政府の資料にも出ておりますが、三十九年度
予算の
財政資金と対民間収支を見てくだされば、これはよく
理解ができると思うのです。三十八年度は、当初は三千七百五十億円散布超過の見込みであった。ところが、それに対して今度は千二百十億円の散布超過にすぎないから、実に二千五百億円をこす散布超過の減少になるのです。もちろん、これはすべて
予算編成の当初を比べておりますから、実績を見たらいろいろの変化はあります。しかし、今日この段階においては、今後こうやっていこうとする見通しと
予算とを比べるよりほかに方法がないのですから、私は
自分なりのこの比較は正しいと思う。こういったように、どこから見ても大型化ということはいえないと思う。それからいま言ったような点は、むしろ金融市場に対して引き締め要素になるわけです。いわんや三十九年度の公募債の発行はどうか。千八百七十六億円、三十八年度の千三百三十六億円を相当オーバーしている。これはやはり金融市場や公社債市場に対して、むしろ引き締め要因なんだ。だから私は、今度の
政府の計画の中で、
予算と
財政措置が、まずお行儀よく、そして
世間の期待にこたえるようにできていると思うのです。大ざっぱに申しますと、これからむしろ物価問題とか、あるいは国際収支の問題、あるいは金融政策の問題、そういうことに十分の戒心をしていかなければならないと思いますけれども、
予算については、私はもっと大蔵大臣も、
総理大臣はもちろんですが、こんなにいい
予算はないのだということを
国民に
理解を求められてしかるべきだと思うのです。ことしの
予算ぐらいよくできているものはないです。ことに私は、
自分が言い過ぎたらいかぬかもしれませんが、私はかねがね思っておりましたが、消費者物価の問題も、今度の三十九年度
予算編成を契機にしまして、かねがね私どもが指摘していたように、中小企業、農業といったような構造改善のところに大幅に補強策を講じていかなければならない、これができることによっても物価問題というものが安定するんだという、そういうわが党の
考え方というものが、小型ではあるけれどもこの
予算の中に手ぎわよく入っている。その点もまた、私は、
国民的に
政府のほうも大いに誇示されてしかるべきではなかろうかと思います。その点になりますと、先ほどこの
予算全体の規模などについては、マスコミの評価が辛いのではないかということを私ちょっと申し上げましたけれども、その中身になりますと、今度は非常に評判がいいのです。たとえば農業でいってみましょう。ある
新聞におきましては、農家の企業家意識を高める、労力を省く技術の革新ということ、融資拡充に重点、いずれもわれわれの意図しているところが表題に取り上げられ、しかも、その中に一々説明がついて、金額の増加までちゃんと出ている。こういうりっぱな
予算になっている。そしてこれで物価対策にも大いに筋金が入ってくる。中小企業を見てみましょう。中小企業も画期的なふえ方です。大企業との格差をなくする、近代化に最も重点、合理化への手助け、金融の道も広げる、無利子の融資もできるというようなわけで、こういうことは、せっかくこういうふうないい
予算をつくられたのならば、
国民に、口先だけのわれわれのあれじゃなくて、これが実際に役立つように大いに啓蒙もされたらいいし、実際にこれを期待している
人たちの手にしてもらうようなくふうを大いにしていただきたい。いわば
財政の民主化とでも申しますか、そういう点についてうんと努力を新たにしていただきたいと私は思うわけでございますが、大蔵大臣、何か御
意見がありましたら……。