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1964-06-19 第46回国会 衆議院 本会議 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月十九日(金曜日)     —————————————  議事日程 第三十七号   昭和三十九年六月十九日    午後二時開議  第一 公認会計士特例試験等に関する法律案(   内閣提出)  第二 税理士法の一部を改正する法律案内閣   提出)  第三 近畿圏整備法の一部を改正する法律案(   建設委員長提出)  第四 私立学校振興会法等の一部を改正する法   律案内閣提出参議院送付)  第五 総理府設置法等の一部を改正する法律案   (内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  小林国務大臣新潟地震による被害状況政府   の講じた措置概要についての発言及び質疑  新潟地震による被災地慰問のため特に院議をも   つて議員十二名を派遣することとし、その人   選は議長に一任するの件(議長発議)  日程第一 公認会計士特例試験等に関する法律   案(内閣提出)  日程第二 税理士法の一部を改正する法律案(   内閣提出)  日程第三 近畿圏整備法の一部を改正する法律   案(建設委員長提出)  道路法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第四 私立学校振興会法等の一部を改正す   る法律案内閣提出参議院送付)  日程第五 総理府設置法等の一部を改正する法   律案内閣提出)  中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正   する法律案内閣提出)  林業基本法案内閣提出)  公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出   第一四三号)    午後三時五十五分開議
  2. 船田中

    議長船田中君) これより会議を開きます。      ————◇—————  小林国務大臣新潟地震による被害状況政府の講じた措置概要についての発言
  3. 船田中

    議長船田中君) 小林国務大臣から、新潟地震による被害状況政府の講じた措置概要について発言を求められております。これを許します。国務大臣小林武治君。   〔国務大臣小林武治登壇
  4. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 去る六月十六日午後一時過ぎ、新潟村上沿岸付近震源地として発生しました新潟地震は、裏日本一帯、東北、北陸、関東の各県にわたりおびただしい被害を及ぼしました。不測の事態であるとは申せ、はなはだ遺憾なことであり、政府といたしましては、現地被災者の方方に対しまして、心から御同情申し上げる次第でございます。  地震発生の報に接するや、政府は、直ちに災害基本法に基づきまして、河野国務大臣本部長とする新潟地震非常災害対策本部総理府に設置いたし、対策に着手いたしました。  この機会に、政府を代表いたしまして、私より地震概要被害概況、これまで政府のとった措置等につきまして、御報告を申し上げたいと存じます。  まず、地震概要につき申し述べます。  このたびの新潟地震は、新潟、仙台、酒田相川等各地震度五を記録いたしました強大なものでありまして、かつての関東大震災の際のものにほぼ近い七・七マグニチュードという大規模なものでありました。そしてその及ぶ範囲も広域にわたり、各地相当震度を記録いたしました。余震も同日午後八時ころまでに十一回に及び、最大震度三を記録いたしたのであります。この間、地震につきものの津波も発生し、酒田において二なしい三メートル、輪島、新潟で一メートルを記録したのであります。  次に、ただいままでに判明いたしました被害概況について御説明申し上げます。  まず、人的被害は、幸いにいたしまして比較的少なく、死者二十五名、行くえ不明十一名、負傷者三百九十八名を数えておりますが、建物被害は、全壊家屋千四百五十五戸、半壊床屋七千二百八十四戸、全焼家屋三百十七戸のほか、流失浸水破損等相当の数にのぼっておる現状であります。また、田畑等の農地は、流失、埋没、または冠水したものが約三千ヘクタールに及び、その他道路橋梁、堤防、鉄道船舶通信施設等被害相当な数にのぼっております。羅災世帯は二万三千九百六十三、羅災者は十万八千二百六十名を数えております。なお、各地におきまして、停電水道ガス停止等があり、石油タンク炎上等被害にはかなりきびしいものがある実情でございます。  次に、これまでに政府におきましてとった措置のおもなるものについて御報告申し上げます。  災害対策本部を設置すると同時に、まず赤澤自治大臣現地に急行したほか、翌十七日には、私及び町中大蔵大臣がそれぞれ被災地に出発、現地被害状況を調査するとともに、被災民を見舞ったのであります。  また、中心被害地域である新潟市には、消防庁長官を長とする現地災害対策本部を設置しまして、現地調査緊急対策に当たらせておりますが、関係省庁等におきましても、それぞれ中央ないしは現地対策本部を設置して、活動を開始いたしております。  以下、現在までに緊急措置いたしました主要な対策につきまして、その概要を御説明申し上げたいと存じます。  まず、赤澤調査団からの緊急要請によりまして、信濃川決壊個所の仮締め切り工事に必要な土のう十五万俵を急送するとともに、自衛隊員約六千四百名、護衛艦等十七隻を派遣し、また自衛隊員約一万一千名を緊急待機させております。  次は、最も緊急かつ重要な道路交通確保をはかるため、迂回道路の指定を行ない、主要幹線道路復旧工事に全力を傾注し、一級国道の七号、八号等を開通させ、また、特に、新潟市内幹線街路整備確保努力をいたしております。  次に、各地停電が起こりましたが、その後鋭意復旧努力した結果、現在におきましては、市民生活に必要な電灯等につきましては復旧しつつある状態でございます。  なお、震災地域の全域にわたり発生しました鉄道不通区間復旧電話通信復旧努力しました結果、そのほとんどは近日中に回復する見通しと相なっております。  次は食糧対策でありますが、さしあたり精米二百トンを応急用として放出することとし、なお、念のため精米五十トンを群馬県等から急送する措置をとっておるほか、自衛隊日本赤十字社等から乾パン約十九万食を配送いたしております。  次に、現地給排水事情がきわめて悪化いたしておりますので、自衛隊東京都、大阪市、名古屋市等から給水タンクを緊急に送りましたほか、専門の技術者派遣し、復旧に当たらせております。なお、ポンプ、補修資材等緊急発送もいたしました。  また、復興資材生活必需物資の値上がりを避けるため、特に必要な日用雑貨品復旧資材供給を行ない、ないしは手配を行なっております。  消防対策につきましては、機材応援体制を固めているほか、特に新潟市内における石油タンクの爆発による火災に対しては、化学消防車の出動、特殊化学消火剤輸送等措置をいたしました。  次は救護対策でありますが、医薬品、保存血液各種血清を急送したほか、国立病院日赤等による救護班を編成し、派遣または待機いたさせました。また、伝染病の予防につきましては万全を期し、近隣都県から防疫担当職員を増援させております。  また、海上保安対策としましては、巡視船艇航空機等をもって救援船隊を編成し、船舶交通、安全、警戒、救援活動に当たらせております。  次に、被災家屋に対する備蓄国有林材緊急輸送、住宅金融公庫による災害貸し付け、日銀現地金融機関への貸し出しの弾力化被災地における税の減免納税猶予為替貯金関係の即時払い、簡易保険の非常貸し付け、NHKの受信料免除中小企業金融措置等を行なうほか、地方公共団体に対する財政しの措置といたしましては、短期資金の手当て、普通交付税の繰り上げ交付交付税特別措置中小企業金融措置等につき必要な準備を開始いたしております。  また、国民健康保険及び国民年金保険料保育所保育料等につきまして減免措置を講ずるとともに、労災保険失業保険につきましても、保険料の延納、保険金支給促進等措置を講ずることといたしております。  また、災害を受けた学生、生徒に対しましては、授業料寄宿料減免、教科書の確保学校給食費及び衣料費補助金増額等措置を講ずることといたしております。  以上が、政府でとりました主要な応急措置でありますが、関係地方公共団体にありましても、それぞれの対策が進められており、特に被害のひどい新潟市、村上市、鶴岡市、酒田市及び飽海郡遊佐町外十カ町村には災害救助法の発動を見ている次第であります。  なお、今後、政府といたしましては、刻々に現地被害状況を的確に把握しつつ、応急対策に万遺漏のないよう努力してまいりたい所存でありますが、河野本部長本朝現地視察に出発いたしましたほか、今後必要に応じ関係閣僚も随時現地に出向く予定であります。また、近く科学技術庁を中心として復旧対策に関する科学技術的調査及び震害防災総合研究を実施いたしますので、これらも十分に参考といたしまして、復旧対策はもちろんのこと、この機会に、特に地震被害防止のための抜本的対策につき万全を期したい覚悟であります。  現地被災民方々の困惑は並みたいていのものではないと存じますが、関係地方公共団体協力のもとに、被災民各位がこの不幸にもめげず、復興の意欲に燃え立たれて、一日も早く被害から回復されるよう格別の御努力をいたされることを祈念いたしてやみません。  何とぞ、国会におかれましても、よろしく御協力、御支援のほどを賜わりますよう、強くお願いいたす次第でございます。  以上をもちまして、私の御報告といたします。(拍手)      ————◇—————  新潟地震による被害状況政府の   講じた措置概要についての発   言に対する質疑
  5. 船田中

    議長船田中君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。田澤吉郎君。   〔田澤吉郎登壇
  6. 田澤吉郎

    田澤吉郎君 ただいま厚生大臣から御報告がありました点に関して、私は、自由民主党を代表して、質問を行なわんとするものであります。(拍手)  質問に入る前に、まず、今次災害における被災害者方々に対して、心からなるお見舞いを申し上げる次第であります。  新潟県村と市付近震源地とする新潟地震によりまして、新潟県、秋田県、山形県を中心とする東日本各地におきまして、なくなられました方々負傷された方々に加え、家を失い、あるいは田畑その他に被害を受けられた方々が多数にのぼっているのであります。あの十六日、いつもと変わりなく平和な生活を営んでおられたのに、一瞬のうちに悲境に沈まれたこれらの方々の御不幸に、まことに胸ふさがる思いで、ございまして、衷心から御同情申し上げる次第であります。  この悲境にもめげず、現地被災者方々は、生活再建復興のため、たくましく立ち上がっておられる御様子でありますが、何ぶん不慮のことで、思うにまかせない面が多々あると存じますので、政府民間ともに相携え、あたたかい手を差し伸べてこれを助け励ますことが、当面最も緊要なことであろうと思うのであります。(拍手)  特に政府におかれては、事態に即応し所要の対策を講じておられるようでありますが、なお一そうの努力を傾注し、万全を期していただきたいと存ずる次第であります。  よって、私は、この際、災害状況及び政府のこれに対する応急措置復旧対策等状況をただし、政府水災害に対する所信を問う所存でございます。  まず、内閣総理大臣に対し御質問申し上げます。  今回の新潟地震は、その規模におきまして、昭和二十三年に発生した福井地震を凌駕し、かの関東大震災にも匹敵する近年まれに見る大地震であります。したがって、そのもたらした被害も、新潟県、山形県及び秋田県を中心に、広く東日本各地に及んでおるのであります。  十八日八時現在、人的被害につきましては、死者、行くえ不明三十六名、負傷者三百七十七名、羅災世帯数実に一万九千七百六十九世帯に及び、物的被害につきましては、家屋全壊が千八十一棟、半壊が七千四百七十棟を数え、さらに各地において道路橋梁決壊鉄道通信被害が多数発生したのであります。  この事態に際し、政府は直ちに国務大臣を長とする現地調査団を二次にわたって派遣するとともに、新潟地震非常災害対策本部を設置するなど、機を失することなく、迅速かつ適切な応急措置を講じておられるところでありますが、余震津波、大火災発生等も加わり、被災住民の不安ははなはだしいものがあるのであります。この際、内閣総理大臣から、今回の地震災害には万全の措置を講ずる旨確固たる心がまえを言明することによって、被災者に一刻も早く安心感を与えていただきたいと存ずる次第でありますが、内閣総理大臣所信をお伺いいたす次第であります。(拍手)  次に、大蔵大臣にお尋ねいたします。  今回の災害に対処するため、国としてとり得るあらゆる措置を講ずべきでありますが、特に、いやしくも資金面でこれに制約が加えられてはなりません。よって、当面諸般災害救助活動鉄道及び電信電話施設、その他土木関係応急復旧工事が緊急を要すると考えられますが、これに対し、いかなる財政ないし金融措置をとられたか、また今後とろうとするかをお伺いいたしたいのであります。  また、生活再建等のため相当資金を要すると思われますが、税務行政の面でいかなる配慮を加えだか、また将来加えようとするかをお伺いいたしたいのであります。  さらに、政府及び民間金融の疎通についてでありますが、この対策は講じられましたか、また将来どのように講じてまいろうとするのでありますかをお尋ねいたします。  次に、文部大臣にお伺いいたします。  山形県下におきまして、木造二階建ての幼児園が倒壊し、幼児が多数死傷したという痛ましい事例があり、そのほか中、小学校において校舎の天井が落ちるなど被害があったと聞いておりますが、いわゆる老朽校舎耐震構造化というものの現況はいかようになっているかをお尋ねいたす次第であります。  次に、厚生大臣にお伺いいたします。  今回の災害により、家屋に多数浸水を見た事例があり、つゆの季節でもあるので、伝染病の発生するおそれがあると考えられるが、これに対する災害防疫対策についてお伺いいたしたいのであります。  次に、通産大臣にお伺いいたします。  災害現地において、電力ガス供給がとまったため、日常生活に重大な支障が生じておりますが、これが復旧についてどのような措置を講じたか、お答えを願いたいのであります。  また、生活物資復旧資材緊急手配についていかなる措置をとられたかをつまびらかにしていただきたいのであります。  次に、運輸大臣にお伺いいたします。  今回の災害による国鉄の被害額は非常に大きく、各線において運休となっており、その早急な開通が望まれるところでありますが、その被害状況及び復旧見込みについてお伺いいたすのであります。  また、従来からしばしば問題となっている地震予知体制整備強化につきましては、今回の災害実情を見ましても、その緊急性を痛感いたした次第であリますが、この点について所信をお伺いいたしたいのであります。  さらに、地震発生後三日目の状況を、本日の日本経済新聞がこう書いております。「新潟溝は孤立したまま、臨海ふ頭浮かばず、救援物資も野ざらしに」という題目で、埠頭の不整備あるいはまた材木等の非常に乱雑なために、いまなお救援物資羅災者の間に届かないという状況に相なっているということでございますが、この点は運輸大臣はおわかりでございましょうか、また御存じだといたしますならば、その対策いかんということでございます。  次に、建設大臣にお構いいたします。  新潟付近におきましては、道路各地で交通不能になっていると聞いており、復旧資材等のスムーズな運送につきまして心配いたしておりますが、その被害状況及び復旧見込みについてお伺いいたします。  最後に、自治大臣にお伺いいたします。  今回の災害によりまして、被災地方公共団体は、諸般災害対策費支出により財政支出が増大する反面、税の減免等によりまして、財政収入等減少が予想されるのでありますが、これに対し政府はいかなる対策をとられる方針でありますか、お伺いいたします。  また、今回の新潟地震に際しまして、特に石油等危険物施設から生じた火災の防御に困難を来たしたと考えられるのでありますが、最近はこの種近代科学施設が著しく増加したところでありますので、これらによる災害に対処するため、政府は早急に消防近代化を促進することが緊要事であると思うが、自治大臣所信を伺いたいのであります。  以上、いろいろお伺いいたしましたが、今底の災害についての万全の善後措置を講じられることを重ねて要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔国務大臣池田勇人登壇
  7. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今回の新潟山形秋田地方におきまする地震によりまして、災害を受けられた方々に対しまして、衷心よりお見舞いを申し上げ、御同情の意を表したいと思います。  なお、災害状況並びにこれが応急対策につきましては、ただいま御報告申し上げたとおりでございます。私は、今後におきましても、災害実情をつぶさに見まして、そうして迅速かつ適切な方法をとりたい、そうして対策といたしましては、あらゆる方面に万全の措置をいたす覚悟でございいます。  詳細な点は各大臣よりお答えいたさせます。(拍手)   〔国務大臣田中角榮登壇
  8. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 災害復旧に対する財政及び金融その他の問題に対してお答えを申し上げます。  関係地方公共団体及び自治体等が現在救助作業を行なっておるわけでございます。鉄道電信電話等施設被害につきましても応急対策努力いたしております。これらの費用に対しまして、お説のように、いやしくも予算上の拘束によりまして救助作業復旧作業が制限を受けないようにという基本的な考えでございます。  それから、災害復旧毒薬につきましては、被害額の判明次第、これに見合った十分な財政措置を講じていく所存でございます。なお、地方公共団体財政措置をする前に、緊急に応急復旧工車中をやらなければならない面につきましては、当面のつなぎ資金といたしまして、資金運用部短期資金を融通するようにいたしておる次第でございます。  税制面につきましては、御承知のとおりの国税通則法災害減免法その他各税法における規定を最大限に活用いたしまして、税の申告、納付または徴収期限の延長、申告所得税予定納税額の減額、納税猶予給与所得者層に対する租税の減免被災の酒数等の酒税等軽減等も実施をいたしまして、被災納税者措置に万全を講ずるつもりでございます。なお、これらの措置につきましては、国税局長また税務署長に直ちに通達を発しておりますし、国税出局からも現地係官派遣いたし、被災者の側になって万全の処理をいたしておるわけであります。  金融主の問題につきまして申し上げます。  まず、日本銀行関係から申し上げますと、現金につきまして、現地日銀支店長に指示をいたしまして、十分な量の確保をいたしております。それから、現地金融機関からの要求があれば、日銀支店で十分処置できるようにいたしておりますし、日銀支店及び現地民間金融機関で相互の連絡を十分にとりながら、資金需要に対応できるようにいたしておるわけでございます。なお、現地財務部日銀支店及び地方銀行等連絡会議もつくっておるわけでございます。それから、小切手、手形等不渡り処分等の問題につきましては、十分猶予をして、期日を延期するということを実施いたしております。  それから、政府関係機関の問題につきましては、直ちに現地係官派遣もいたしておりますし、被災中小企業に対する貸し付け手続等につきましても簡易迅速化をはかり、また、既往の貸し付け償還条件緩和等応急処置もとりまして、遺憾のないようにいたしておるわけでございます。それから、証券等につきましては、つなぎ融資をいたしますとともに、また、顧客に対する株式の担保金融等も行なっております。  いずれにいたしましても、財政金融税制上遺憾なき処置をとりたい、こう考えておるわけであります。(拍手)   〔国務大臣福田一登壇
  9. 福田一

    国務大臣福田一君) お答えをいたします。  十六日の午後、通産省といたしましては、直ちに災害対策本部を省内につくりまして、まず、電力につきましては、東京電力、中部電力、北陸電力をして応援体制をつくらせ、ヘリコプターその他をもって人並びに資材を急送いたしまして、本日十九日をもちまして大体の電力供給電灯回復は行なわれることになりました。  また、ガスにつきましては、これまた東京瓦斯及び瓦斯協会を動員いたしまして応援体制を整えまして、大体今回の新潟地区におきましては四万五千戸の罹災家屋がございますが、二十日をめどといたしまして二万戸が回復する予定であります。ただし、ガスのほうは、ガス管でございますから、なかなか回復いたしがたいところもありますが、できるだけすみやかにこれが回復をはかるよう努力をいたしておる次第であります。  なお、生活物資復旧資材につきましては、直ちに在庫状態を把握いたしまして、供給体制を整えますと同時に、暴利をむさぼらざるよう各関係団体連絡をいたしました。  また、十七日、赤澤大臣から要請されました懐中電灯、しちりん、ろうそく等緊急物資につきましては、直ちにこれを手配いたしまして、現地にお送りをした次第であります。さらにまた、必要な石油等手配につきましても、これを完了いたしております。  私は、明日現地におもむきまして、重化学工業に対して今後とるべき臨時あるいは恒久の対策を十分に研究をいたしたいと考えておるところであります。(拍手)   〔国務大臣赤澤正道登壇
  10. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 税の減免などによりましての財政収入減少につきましては、地方債の許可並びに特別交付税交付にあたりまして、十分措置をしたいと考えております。  それから、消防近代化についてでございますが、今回化学消防につきましては、まことに考えさせられるところがありました。機材薬剤ともに備えが不十分であったことは事実でございます。近代科学の進歩に伴いまして、新しい消防が必要であります。この点、消防法自体にも欠陥がありますので、この経験を生かしまして、早急に再検討いたしますとともに、防火の指導には今後完ぺきを期さなければならぬ、かように考える次第でございます。(拍手)   〔国務大臣灘尾弘吉登壇
  11. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 今回の震災によりまして、山形県下の幼稚園の園児その他若干の痛ましい児童等犠牲者を出しましたことは、まことに残念に存じております。心から哀悼の意を表する次第でございます。  お尋ねの老朽校舎でございますが、従来からその改築に鋭意努力してまいりました。昭和三十八年現在、なお今後改築を要する老朽建物が約二百十万坪ございます。これを今後五カ年間に耐震耐火構造改築する計画を立てて推進しておるところであります。  なお、昭和二十一年以降今日までに約五百四十万坪の鉄筋鉄骨づくり校舎建築が行なわれており、昭和三十七年度の実績におきましては、公立学校建築坪数のうち七五%が鉄筋鉄骨づくりと相なっておるような状況でございます。公立学校建築の中に占める鉄筋鉄骨づくりの比率につきましては、これが増大に努力をいたしたいと存じております。(拍手)   〔国務大臣小林武治登壇
  12. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 災害地には伝染病発生の公算が非常に大きくありまするので、厚生省といたしましては、十七日の午前に担当官新潟派遣するとともに、近隣諸県の防疫職員応援が必要になりましたので、福島県、群馬東京、神奈川、愛知、富山の各都県衛生部に対しまして、防疫官新潟に出動せしめるよう指示いたしたのでございます。  新潟市内には、現在のところ幸いにしてまだ伝染病は発生いたしておらないのでありますが、しかし、現在、なお避難者が約三万人市内の中、小学校に分宿をいたしております上に、御案内のように水道が停止をいたしておりまして、新潟市内には約二万人の水洗便所の使用者があるということで、大きなビル、また水洗便所等が停止をいたしておりますので、し尿の処理に非常な困難を来たしており、なお、一方、新潟市のし尿処理場が二カ所とも破損をして現在使用不能におちいっておる、こういうことで、応急の措置として、土地の借り受けをして、穴を掘ってこれを一時収容するというふうな応急の措置も考えておるのでございますが、これらが当盤伝染病の発生にも影響する、こういうことでありまして、私どもとしましては、水道の復旧が最も急を要する仕事である、かように考えております。  現在飲み水につきましては、東京、名古屋あるいは川崎等からして、給水タンクあるいはいろいろの入れもの、ドラムかん等の容器も送致いたしまして、大体において飲み水の確保はできておりますが、洗たくとか水洗便所とかの用を便ずることができません。したがいまして、まずもって伝染病予防のためには水道の復旧を急がなければならぬ、こういうことで、これらの水道の技術者東京、名古屋等から大規模派遣をいたしまして、目下これの復旧につとめておるのでございます。  なお、現在の避難者につきましては、十八日から県の保健所の応援を得まして、検病調査及び衛生管理等を行なっておるのでございます。  その上、なお市の三分の一ぐらいが浸水をいたしておりますが、今度の震災の特徴といたしまして、地盤沈下等の関係上、減水速度がきわめておそい、こういうことが考えられますので、減水した個所から順次消毒をしてまいりたいと存じますが、相当程度の期間を必要とする、かように考えておりまして、十八日から、避難者等につきましては、赤痢の予防薬剤の内服等も現在実施をいたしておるのでございます。なお、消毒のための石灰が市内に非常に不足をいたしておりますので、厚生省では、現在これを新潟に大量送付する手配をいたしておるのでございまして、いずれにいたしましても、防疫関係につきましては遺漏のないよう十分の配意をいたしておる、かようなことを申し上げておきたいと存じます。(拍手)   〔国務大臣綾部健太郎君登壇
  13. 綾部健太郎

    国務大臣(綾部健太郎君) お答えいたします。  地震を予知することは、現在の地震に関する学術、技術水準では不可能であります、したがって、気象庁の業務といたしましては、地震の発生に関する予警報を発することは行なっておらないのであります。しかしながら、地震に原因する津波については、技術上すでに予知が可能になっておるので、今回の地震についても難波警報の措置がとられたものであります。なお、地震そのものを予知することについては、鋭意技術的進歩をはかって、相当の年月を要するものと考えられますが、政府といたしましては、年々防災に関する予算を三十六年以来逐次増加いたしまして、本年は八億六千余万円の防災予算を盛っておりますが、なお必要に応じましてその予算を増額いたしまして、災害を未然に紡ぐ点につきまして一般科学者、大学の学者等を動員いたしまして今後研究を続けてまいりたいと考えます。  この際、新潟地震被害状況を運輸機関別に御報告申します。  国鉄は、上越線、信越線その他十八線が非常な被害を受けましたが、まず、これを復旧することが第一と考えまして、本日正午現在におきまして信越線は全線開通します。羽越線及び越後線が一部区間において不通でありま潟駅が非常な損害を受けまして、手がつけられないような状態でございますので、現在の新潟駅の五百メートルと六百メートルの中間ぐらいに仮ホームをこしらえまして、列車の着くようにいま努力をいたしております。今明日のうちにそれが完成すると考えております。  私鉄につきましては、新潟県、秋田県、山形県、各県の私鉄十社が一部または全線不通となっておりましたが、大半は復旧いたしまして、現在は新潟交通の一部が不通となっております。  次に、港湾でございますが、港湾は、新潟港が岸壁、護壁とも非常な損害を受けまして、ほとんど壊滅と申し上げてもよいような状態でございまして、その総額百六十億円と見込まれております。今朝まで船舶の出入りが禁止されておりましたが、今朝その船舶の出入り禁止を解除いたしました。それから、本朝の新聞等の御例示がありましたが、私どものところへまいりました報告によりますと、あの新聞ほどのことはないように聞いております。船舶は、漁船それから機帆船等、百数隻が沈没あるいは座礁いたし、また流失いたしました。  それから、新潟空港は滑走路に亀裂が生じまして、非常に噴水が多くて浸水いたしましたが、順次自衛隊その他の努力によりましてその水をとめまして、今日におきましては一部使用可能でございまして、セスナ、 ヘリコプター等は発着ができるようになっております。ただ、急に補修をいたしましても、大型機の運航を可能にするのには、まだ数日かかると考えております。  応急措置といたしましては、十六日、省内に直ちに新潟地震対策本部を設置いたしまして、情報の収集その他必要なことを国鉄に指示し、ヘリコプター等で現地係官派遣いたしまして連絡応急措置を講じました。また、海上保安庁は巡視船艇十四隻、測量船一隻、航空機四機が出動いたしまして、通信確保被害の調査等を行ない、また、救援物資あるいは救護班並びに応急の資材等の輸送に努力しております。  最後に申し上げますが、国鉄では、十七日から、災害地への救恤物資は無料、災害復旧資材は半額ということで受付を開始いたしております。さらに、緊急物資の輸送については、関係各省と連絡をとりまして、鉄道、自動車、船舶、航空、あらゆる輸送機関を総動員いたしましてこれに努力いたしておりまして、目下最も必要であるところの水道管、石油こんろ、それから土のう等の復旧に必要な救援物資は大量に現在輸送しておる状態でございます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)   〔政府委員鴨田宗一君登壇
  14. 鴨田宗一

    政府委員(鴨田宗一君) 本日、大臣現地へ視察出張中でありますので、かわって御答弁をいたしたいと思います。  ただいまの御質問は、災害によって道路各地で交通不艇となっておるが、その状況並びに復旧見込みはどうかという御質問でございます。ただいま、主要幹線通路の交通確保につきましては、建設省北陸地方建設局はじめ新潟県、各県において総力を結集いたしまして復旧作業に当たっており、国道につきましては、応急組み立て橋梁、ロードマット等の機材をも投入いたしまして、現在ほとんど交通可能の状況に復しており、一部の不能区間についても、迂回線を利用することにより、交通に支障を来たすことのないような程度を確保しておる次第でございます。  なお、橋梁被害の多いことにかんがみまして、十七日に土木研究所の専門家を現地派遣いたしまして、詳細調査を実施の上、復旧対策に万全を期したいと考えております。  十九日の午前九時現在の道路交通不能の状況は、一級国道は十三号線、秋田県の雄勝峠のみ、二級国道は新潟山形線、新潟県関川村蛇崩ほか一カ所、地方道は二十六カ所ございまして、うち橋梁は十六カ所、道路は十カ所でございますが、二十八日までにはほとんど復旧の見込みでございます。  以上でございます。     —————————————
  15. 船田中

    議長船田中君) 稻村隆一君。   〔稻村隆一君登壇
  16. 稻村隆一

    ○稻村隆一君 私は、日本社会党を代表し、今回発生したる新潟山形秋田三県の地震による被害に関し、政府対策と決意に対し、若干の質問を試みんとするものであり、ただいま政府の御報告を承り、その災害のいかに深刻なるかを痛感したのであります。私どもの経験せる約四十年前の関東大震災とともに、今度の震災はまさに人類史上における最大の悲劇の一つでありまして、犠牲となられたる方々に対し、心より哀悼の意を表するものであります。また、被災された方々に対し、真に同情の念禁ずあたわざるものであります。  しかしながら、われわれは現代の進歩せる科学を駆使し、政治の英知と勇気と情熱によって、国民大衆の協力を動員し、断固として、このおそるべき自然の暴威より発展したる災害を克服しなければならないし、またし得ると思うのであります。(拍手)幸いに、政府におかれましては、かつて豪雪対策本部長として非常災害と取り組んだ河野建設大臣がこのたび新潟地震非常災害対策本部長に就任され、適切に敏速に各種施策の実行に着手されつつあるのは感謝にたえざるところであります。  しかしながら、われわれの懸念するところは、過去において激甚災害対策は常に龍頭蛇尾に終わっていることであります。かくのごときは、政府必ずしも怠慢なるにあらず、災害に関する法運用の誤りと現行法の不備欠陥に原因するのであります。したがって、われわれは、かかる激甚災害の経験に徴し、国会において現行法の欠陥を整備し、改正するのはもちろんのことでありますが、政府においては、現行法の運用を最大限に拡大適用し、罹災民衆に失望を与えざるよう、一そうの努力を要望するものであります。  すなわち、今回の震災において最も有効な法律と思われる昭和三十七年九月六日公布の激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律をすみやかに発動することであります。政府は、この法律を適用するにあたり、なるべく拡大解釈し、災害地に対し広範に発動し、抜本的な対策を講ずべきであると思うのでありますが、池田総理並びに関係大臣の御所見を承りたいのであります。また、この法律の適用は国家財政に重大なる影響を及ぼすものなるがゆえに、田中大蔵大臣の決意をお伺いしたいのであります。  昨年一月の北陸豪雪におきまして、衆議院は、同年二月五日、満場一致の決議をもってこの法律を雪にも適用すべきことを政府に要請したのであります。すなわち、衆議院は、史上まれなる豪雪の災害に対して、この法律は広義に解釈するならば適用可能であるとの見解に立っていたのであります。しかるに、政府はついにこの法律の発動をしなかったのであります。憲法上、法律の制定は立法府に専属するものであって、いやしくも、みずからが制定したる法律を国会が満場一致適用すべきことを決議した以上、政府は院議を尊重し、当然この法律を発動すべきであったのであります。ところが、政府は、全くほおかむりをして、ついに発動しなかったのであります。かくのごときは、憲法政治、議会政治の立場から見て許すべからざる国会軽視の行為といわなければなりません。(拍手)この法律を雪に適用しなかったことは、主として大蔵官僚の抵抗にあったのであります。もっとも、大蔵省は国家財政を管理する重要なる省であるから、強大な力を持つのは自然であり、国家財政を破綻せしめるがごとき不当なる財政支出に対し、制限を加えることをやむを得ないことであります。おみやげ法案や無数の陳情政治に対し、財政を守るために、自己の良心に従って制御することは、むしろ称賛すべきことであります。しかし、官僚の狭い見解に立って、高い政治判断に従わず、はなはだしきは立法府の審議に干渉するがごとき態度が昨年の豪雪のときにあったのは、断じて黙認することができないのであります。(拍手)しかも、大蔵大臣の権力は、先進諸国の例によっても、それは総理大臣の次に位するのが普通であり、この意味において田中大蔵大臣は重要なる地位にあるのであります。この際、民生安定の立場より、重大な決意が必要であります。見解狭小なる大蔵官僚を統御し、この激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律を即刻発動する意思ありやいなや、特に承りたいのであります。(拍手)  新潟県及び新潟市のごときは、この法律の適用を受けることは疑問の余地はないのでありますが、山形県、秋田県等に対し、または市町村に対し、法を窮屈に解釈して適用の範囲外に置かんとする小細工は、決してやらぬよう御留意をお願いしたいのであります。  また、今回のごとき大災害を克服すべき幾多の特別立法の必要ありと思うのであります。たとえば、田中大蔵大臣が、昨日、新潟の視察よりお帰りになり、地震、風水害に対する災害保険制度を強調されておりますが、これはまことに当を得た所見であって、かけ声だけでなく、直ちに立法化を実現するお考えがあるかどうか。また、道義上、火災保険会社が類焼者に二割くらいの見舞い金を出すべく、政府よりアドバイスをすべきじゃないかと私は思うのであります。この点に対しまして、総理並びに大蔵大臣のお考えをお伺いしたいのであります。(拍手)  次に、今回直ちに応急対策の一環として、災害救助法新潟県、山形県において発動されたことは、まことに時宜に適した処置であったと考える次第であります。  しかしながら、この点につきましても、やはり政府に対して強い要請を付せざるを得ないのであります。それは、従来、同法の発動におきまして、地方公共団体財政面の不安から、ともすると、この法律の精神を完全に生かすだけの十全な措置を講ずるにちゅうちょの態度を見せたかのごとき印象をぬぐい切れないのであります。これは過去において、都道府県に対する国の補助が、はたして完全であったかどうかについて反省を促すところの現象であるといわざるを得ません。応急仮設住宅、たき出し、その他食料品、飲料水の供給、被服、寝具等生活必需品の給与、医療などのごとき、災害救助法第二十三条に定める各種の救助活動の費用の限度は著しく低く抑えられております。しかも、このようにコストを低く押えているだけでなく、国庫負担金の総額においても窮屈であるやに聞き及んでおります。  同法の目的は、必要な救助を行ない、災害にかかった者の保護と社会の秩序の保全をはかることとされており、救助活動は、被災者に対して、復旧活動に力強く立ち上がらせる勇気づけの一助となるべき最低の措置なのであります。この点、政府当局におかれましては、せっかくの同法発動がかけ声倒れに終わらぬよう、被災県に対して同法関係の十分たい財政的裏づけも講ぜられんことを強く要望いたす次第であります。  さらに、今次のごとき大災害に際しては、当然被災地方公共団体財政負担は膨大となり、ときとして赤字団体に転落するおそれすらあるのであります。この点、当局としての対策はどうか。  また、今回の被災者に対し、早急に税の減免措置をとる必要があると思うが、いかなる措置を行なったか。  さらに、今日の都道府県税の減税に関する準則は、十年前にきめられたものであって、今日の実情に沿わざるところがあり、広く被災者に適用することが不可能であると思うが、この点の改正に関し、いかなる具体策を講じつつあるか。また、長期低利、無利子の資金を何とか捻出する必要があるのではないか。  以上に関しまして、赤澤自治大臣その他関係大臣にお伺いしたいのであります。  被災住民は、いまだ余震の続く中で、恐怖と困窮にたえつつ、早くも復旧への第一歩を踏み出しております。この人々に対する国家の何よりの激励は、要するに、救助、復旧の諸活動に対する十二分なる財政的裏づけ以外にはないと信ずるものであります。この意味におきまして、政府は、被害の全貌の判明次第、早急に補正予算を組む必要があり、そのために臨時国会の召集も考慮すべきであると考えるのでありますが、総理の見解をお尋ねしたいのであります。  かつて占領時代、シャウプ勧告において、災害復旧資金のごときは、近代国家であるならば、決して個人の負担とすべきものにあらず、本質上、国の負担すべきものであるといっているのでありますが、全くそのとおりであって、日本の災害対策のごときは、未開の状態にありといっても過言ではないのであります。   以上申し述べましたこと以外にも、種々政府に望むところ、お尋ねしたい点もございますが、最後に、重ねて、一刻も早くこの大災害より現地住民を救い出すことを念願するとともに、今国会冒頭において、総理が英知と勇気をもって政治を行なうと言明されたことを、この復旧対策において事実をもって示されんことを心から要望いたしまして、この質問を終わる次第であります。(拍手)    〔国務大臣池田勇人登壇
  17. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今回の災害に対しましては、先ほど申し上げましたごとく、現行法の精神を最大限に活用いたしまして、万全の措置をとる考えでございます。  なお、地震保険につきましては、従来も政府で一時検討いたしたことがございます。わが国の置かれた特殊事情から考えまして、こういう大災害のときの保険制度も考える要ありやに私は考えつつあるのでございます。十分検討してみたいと思います。  また、見舞い金の問題は、これは政府から強制すべきものではございません。やはり罹災者の実情を考え、保険会社等関係会社が考慮すべき問題と考えております。  なお、今回の災害対策として、財政上の措置は十分とる考えでございます。予定経費あるいは予備費の使用、また災害状況によりましては、私は臨時国会も考えなければならぬようになるのではないかという気持ちを持っておりますが、何ぶんにも、いまは災害状況、またこれが対策を講ずることが主でございます。被害状況によりましてあらゆる措置をとることにやぶさかではないことを申し上げておきます。(拍手
  18. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 第一点につきましては、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律を適用するかどうかという御質問でございますが、御承知のとおり、現在災害復旧事業費について所要額を見込みつつあるわけでございます。地方公共団体等の財政事情を勘案するわけでございますが、私は現地を見た立場において、本法が大体適用されるのではないかというふうに考えております。確定をすれば、可及的すみやかに激甚災害としての政令指定を行ない、同法に定める特別措置を行なう所存でございます。  第二点の災害保険につきましては、総理大臣がいま申し述べられたとおりでございますが、この災害を契機にして、地震を含む災害保険制度につきまして、前向きで積極的な立場で検討してまいりたいと考えるわけであります。  見舞い金につきましては、先ほど当院の大蔵委員会の附帯決議もございましたので、損保各社の前向きの体制を待ちつつ、適切なる指導をしてまいりたいと考えます。  補正予算の問題につきましては、御承知のとおり年度当初でございますので、三百億に近い予備費を現在持っておるわけでありまして、現在のところこの予備費で十分まかなえると思うわけでございますが、本件については、先ほど総理大臣がより高い立場で御答弁をいたしましたので、それ下御了解いただきたいと思います。(拍手)   〔国務大臣赤津正道君登壇
  19. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 地方団体の対策費の支出についてでございますが、困っておられる実情は私も見てまいりました。当面のさしあたりの資金繰りにつきましては、とりあえず必要な資金のあっせんはいたしますし、なお普通交付税の繰り上げ交付も検討いたしたいと考えております。なお、実情に応じまして、もちろん税の減免はいたさなければなりません。それによって財政収入減少が起こりますので、これは地方債の許可並びに特別交付税交付にあたりまして、十分措置したいと考えております。  なお、低利の融資その他につきまして御希望がありましたが、これはただいま総理大臣も申しましたとおりに、財政援助につきましては現行法を最大限に活用すると総理が申しました。われわれもそういう考え方で臨みたいと考えております。(拍手)   〔国務大臣小林武治登壇
  20. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 災害救助法は、現在新潟酒田、鶴岡、遊佐町ほか十町村に実施をされておりまして、これらにつきましては、必要に応じ既定予算から概算交付もいたしたい、かように考えておりますし、予算が不足をいたしますれば予備費をもって措置をし、御期待に沿うようなことにいたしたいと存じます。ことに新潟市の災害救助につきましては、水の引き方が非常におそいであろうと、かように考えまして、ある程度長期にわたる救助が必要であろうと、かように考えて、その準備もいたしております。(拍手
  21. 船田中

    議長船田中君) 鈴木一君。   〔鈴木一君登壇
  22. 鈴木一

    ○鈴木一君 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま政府から御報告のありました新潟地震につきまして、政府を督励し、政府の足らざる点について若干の質問をいたし、御注意を喚起したいと思うのでございます。  私は、去る十六日の本会議の議場で、自民、社会、民社各党の話し合いがまとまり、とるものもとりあえず、自衛隊のヘリコプターで現地に向かったのでございます。一昨日つぶさに現地を視察いたしまして帰ったのでございますが、現地の惨状はまことに深刻でございます。  政府も、今回の新潟地震に対しては、直ちに対策本部を設置し、きわめて機敏な対策に乗り出しておられ、われわれは、現段階においては、政府を批判するというよりは督励の意味で、以下、緊急対策応急対策、恒久対策に区分いたしまして、お尋ね申し上げたいと思うのでございます。  災害は忘れたころにやってくるということわざもありますが、わが国では忘れないうちにやってくるのが実情でございます。災害に対しましては、超党派的な立場から、この対策に万全の手を打つべきであると思うのでございます。  新潟地震現地を見て痛感することは、新潟という都市が砂上楼閣的な都市であり、一帯に地盤がゆるい上に、さらに新市街は、信濃川流域の旧河川敷地、埋め立て地に発展しております。ここに近代建築を建て、新産業都市を建設しつつあるのでありますが、これまで地盤と工法の関係について徹底的な研究調査が不十分であったのではないかと思われるのであります。(拍手)いたずらに建築ブームに酔い、深遠な大自然の摂理に対する謙虚な探求と万全の対策を怠っていたために、このような結果になったのではないかと思われるのでございます。この際、政府は、建設省を中心に、工法の基礎的研究を行ない、直ちに対策を立てるべきであり、また、産業災害として最大の被害をこうむった新潟地震の経験を生かし、都市計画、特に新産業都市の建設、配置については、徹底的な再検討を加えなければならないと思うのでございます。地盤と工法、都市計画、新産都市の再検討については、対策本部長を兼ねておる河野建設大臣にお尋ねするつもりでございましたが、御不在のようでございますので、問題がはなはだ重要と思われますので、池田首相からお答えを願いたいと思います。  緊急対策については、政府も十分手を打っておられますので、重複をする部分もあると存じますが、私が現地を視察しまして、特に強く感じた点について申し上げ、政府の一そうの善処を求めるものでございます。  緊急食糧の確保に万全を期することはもちろん、野菜その他の値上がりを防止し、家庭燃料、飲料水の補給にあらゆる可能な措置を講ずべきであると思います。特に新潟の場合、家庭燃料の大部分を天然ガスに依存しておりますが、これが復旧にはかなりの時間がかかると思うのでございます。したがって、この間は木炭に依存する以外ないわけでありますが、最近減産の一途をたどっておる木炭の十分な供給に、はたして政府は自信があるかどうか、この点をまずお伺いしたいと思います。  公共事業の復旧にあたっては、当面国の責任において最善を期すべきものであります。  特に浸水地帯の排水は、梅雨期を目前に控えまして一日もゆるがせにできないのでありますが、とれに要する動力、ポンプ、土のう等、機械、器具について自信ありやいなや、また、いつごろまでに排水が可能であるのか、この点も見通しを承りたいと思うのであります。  さらに、応急対策といたしましては、次のようなことが必要であろうと存じます。  まず第一に、住宅の復旧にあたっては、住宅金融公庫その他の住宅資金を最優先に確保すること、第二に、不況下にある中小企業の企業再建に対しましては、中小企業金融公庫、商工中金、国民金融公庫など政府資金を集中的に融資することはもちろん、市中銀行の融資を大幅に確保するよう指示すべきであると思うのでございます。第三に、大企業、中小企業を問わず、企業の再建に対しましては低利長期の資金確保すること、第四に、国税、地方税の徴税につきましては、被害の大なるものにつきましては免税の措置を講じ、軽微なものについて徴税猶予措置を講ずべきと思うのでございます。第五に、地方自治体の財源を確保するため、政府は、地方交付税の先払いを実施すべきであると思うのでございます。第六に、事業場の休業、被災による通勤不能などにより就労不能な者に対しては失業保険を支給するよう特例を開くべきであると思うのでございます。以上の諸点について、政府の御見解を承りたいと思います。  次に、災害対策の基本的な問題につきまして、首相にお尋ねしたいと思うのでございます。  資本主義体制下にある現在の社会では、災害が起こりましても、個人の生命、財産に、国が保障しているのは、災害救助法の発動によって、毛布一枚、ろうそく三本、洗面器、一日平均百四十円といわれております握りめしと乾パン、掘っ立て小屋ともいうべき災害住宅など、きわめて微々たるものでございます。これでは中以下の低額所得者の自力による復旧は困難でございます。問題は、災害の補助率や、救助隊の編成などをきめた災害基本法を抜本的に改正することが必要であろうと存ずるのでございます。(拍手)すなわち、わが国のような災害常襲国におきましては、災害による人命の損失、家財道具等の被害に対しましては、災害基本法の抜本的改正と並行いたしまして、被災者救援法、災害保険法のような法律を制定し、政府管掌の災害保険を実施し、低額の掛け金によって不時の災害に備えることが必要であろうと思うのでございます。  さらに、公共事業関係災害復旧を早期に完了させるために、工事実施に弾力性を持たせるためにも、災害金庫を設置し、予算総額を前借りし得るような制度が必要であろうと思うのでございますが、災害に対する基本問題について総理はいかなる抜本恒久対策をお持ちであるか、お伺いしたいと思うのでございます。  この新潟地震がもし東京で起こったとするならば、その損害は、はかりしれないものがあったと思うのであります。新潟も、国体終了直後であり、競技場は一メートル余りも陥没しておったのでございます。オリンピックの前後にこのような地震が起こらないとはいえないのでございます。オリンピック並びに関係諸施設が、さらにはここ数年次々と建設された大工場、ビルディングが、この程度の地震に耐え得るという自信がありゃいなや、また消火対策にも確信ありゃいなや、この点も伺いたいと思うのでございます。  昨今、一部より、東京遷都の問題が提起されております。東京、名古屋、大阪などの大都市の今後のあり方について、いまこそ百年の計を立てるべきであると思いますが、池田総理はいかなるお考えをお持ちか、この点もお伺いしたいと思います。  終わりに、新潟地震によってたっとい人命を失われた犠牲者の冥福を祈るとともに、復旧の一日も早からんことを期待いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔国務大臣池田勇人登壇
  23. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今回の災害激甚地の新潟は、御承知のとおり、従来より、水溶性ガスの採掘等によりまして、地盤沈下が起こり、いわゆる軟弱地帯に属しておったのでございます。したがいまして、今回の被害の様相、あるいは原因等、十分専門家をして現地調査をさせ、対策を立てていきたいと考えておるのであります。  なお、災害に対しまして、いまの災害基本法では不十分だ、あるいは災害対策として、いわゆる災害金庫を設けてやったらどうか、こういうお話でありますが、災害の事業主体は地方公共団体でございます。したがいまして、ただいまにおきましても、災害が起こったならば、地方公共団体資金繰りにつきましては遺憾のないようにできるのであります。私は災害基本法の精神を活用いたしまして、あらゆる科学知識を活用して、万般の処置を講じたいと考えておるのであります。  なお、東京、大阪、名古屋等の市街地におきまする地震対策、その他災害対策につきましては、あらゆる全知全能をしぼって、予防その他災害の場合の対策を講じていきたいと考えております。  なお、今回の対策について御意見数カ条並べられました。ごもっともな点も多々ございますので、御意見を十分考慮いたしまして、対策の迅速かつ適正を期していきたいと考えます。(拍手)   〔国務大臣赤津正道君登壇
  24. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 地方税につきましては、減免、徴収猶予につきましては、御指摘のとおり十分指導いたしたいと考えております。  なお、普通交付税の繰り上げ交付につきましては、大規模災害のためにはその道が開かれておりますので、そのように措置をいたしたいと考えております。(拍手)   〔政府委員鴨田宗一君登壇
  25. 鴨田宗一

    政府委員(鴨田宗一君) ただいまの御質問中、特に耐震性の強化の問題について御質問がございました。総理大臣お答えのとおりの線に従いまして、建設省としては、その調査の決定をまちまして、さらに検討を加えて善処いたしたい、こういうふうに実は考えておる次第であります。  さらに、信濃川河口の逆流の河川浸水の問題につきましての御質問でございまするけれども、さっそく災害発生と同時に、建設省といたしましては技監をつかわしまして、富山県、長野県、各県から十五万袋の締め切り袋を実は用意いたしまして、ただいませっかく努力中でございます。(拍手
  26. 船田中

    議長船田中君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————  新潟地震による被災地慰問のため   特に院議をもつて議員十二名を   派遣することとし、その人選は   議長に一任するの件(議長発議
  27. 船田中

    議長船田中君) おはかりいたします。  今般の新潟地震により、各地方々が不測の惨禍をこうむられましたことは、まことに痛心の至りにたえません。ここに深甚なる同情を申し上げます。  つきましては、被災地慰問のため、特に院議をもって議員十二名を派遣することとし、その人選は議長に一任せられたいと存じます。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。      ————◇—————  日程第一 公認会計士特例試験等   に関する法律案内閣提出)  日程第二 税理士法の一部を改正   する法律案内閣提出
  29. 船田中

    議長船田中君) 日程第一、公認会計士特例試験等に関する法律案日程第二、税理士法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
  30. 船田中

    議長船田中君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員長山中貞則君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔山中貞則君登壇
  31. 山中貞則

    ○山中貞則君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  初めに、公認会計士特例試験等に関する法律案について申し上げます。  この法律案は、職業会計人制度の整備合理化に資するため、現在経過的に残されている旧計理士制度を廃止するとともに、計理士及び計理士登録延期者で試験によって公認会計士の資格要件を具備すると認められる者に対しては、公認会計士に登用する道を開き、また現行の公認会計士試験第三次試験
  32. 船田中

    議長船田中君) 日程第二につき討論の通告があります。これを許します。平林剛君。    〔平林剛君登壇
  33. 平林剛

    ○平林剛君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されました税理士法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行なわんとするものであります。  まず、この法律案の第一の問題は、大蔵官僚がその特権的地位を利用して、税理士の弱体化をはかり、官僚統制を強化して、国民から税金を取りやすい徴税下請機関としてとどめようとする危険思想が底流となっておることであります。  一昨年、世論の強い反撃の中で、ナチ・ドイツの租税調整法に範をとった国税通則法の成立をはかり、権力的な徴税行政を強化した政府は、最近の社会情勢と税制の著しい推移を理由として、現行の税理士制度を根本的に改めるため、税制調査会の答申という形式を踏んで、この法律案を提案してきたのであります。しかし、税制調査会における税理士制度特別部会は、初めから一部大蔵官僚の意を受けた元大蔵省主税局長、元国税局長などの委員構成で固められ、答申案の作成も、国税庁次長をはじ大蔵官僚の部課長クラスによってまとめられたものでありまして、その中心的思想は、従順にして、税務行政協力する税理士を大量に生産し、税務当局に都合のよい税理士制度をつくり、徴税権力に対抗して納税者たる国民の権利を擁護する税理士は懲戒権の拡大強化によって押えつける官僚独善の立法にあったのであります。(拍手)  このため、税理士の資質の向上と試験制度の改善という大義名分に名をかりて、勤続二十年以上の管理職にある税務職員にほとんど無試験同様の措置により税理士の資格を与えようとする横すべり特権をおくめんもなく盛り込んで、とかく批判の強い古手官僚の民間産業への天下りのように、税理士業界になだれ込もうとしておるのであります。これは厳正公平たるべき国家試験の権威をくずし、勤労のかたわら営々として受験準備を進めつつある数万の税理士志望者に深刻な失望を与え、かつ、税理士を大蔵当局の下請機関化する結果となるであろうことは、火を見るより明らかであります。(拍手)かくして、税理士の資質向上とは単なる擬装の口実となり、これを容認せんか、税理士制度の将来に大きな禍根を残すことになるのであります。  しかるに、一部大蔵官僚の特権意識は、これを税理士の実務応用能力の反映と独善的解釈を下し、これを国税職員の待遇改善と宣伝するに至りましては、言語道断、本末転倒もはなはだしいと思うのであります。(拍手)しかも、多数一般の国税職員に対しては、賃上げによる待遇改善、生活に不安を与える配置転換に関する諸要求をほおかむりして、一部の管理職員に功利的恩典を与えることは、誤れる成績主義を助長し、職制権力にへつらう暗黒の職場をつくり上げる巧妙な労務政策と断定せざるを得ません。  第二の問題点は、税理士に対する懲戒処分について改正を加え、国税庁長官の懲戒権の拡大強化をはかり、処分の効力は裁判所における判決を待たずに即日発生し、一方的に税理士業務を剥奪しようとしている点でありまして、税務行政はまさに検察行政に変貌する危険をはらんでおるのであります。  税理士法弟一条には、納税義務者の信頼にこたえ、また、納税義務を適正に実現するためとして、中正な立場を税理士に押しつけておきながら、他方で懲戒権を強化拡大することは、そうでなくても、疑わしきは課税するのが税法であるとうそぶいて取りてしやまんの徴税権力に、税理士は恐怖観念から徴税官庁の走狗におちいり、ひいては正当な納税者の権益擁護の使命すら侵害されるであろうことは、単なる杞憂にすぎないでありましょうか。  現に、税務当局による法権力の乱用は、中小企業三社の税務訴訟に端を発した、いわゆる飯塚税理士事件に見られるように、一たび当局の忌諱に触れれば、権力をかさにきた、まさに犯罪捜査を上回る強権的調査で、処分権の行使どころか、その存在さえも事実上抹殺しようと狂奔しておることは、すでに大蔵委員会においてわが党平岡、横山両議員により鋭く追及されてきたところであります。  また、今回の税理士法改正案に関する批判記事が、税理士会の機関紙に掲載されるや、その記事は国税庁長官のげきりんに触れて、税理士会は、その記事取り消しと謝罪文の掲載、投稿者の氏名通告を要求され、その上税理士会長は長官のもとに謝罪にくるよう慫慂されて、弾圧を加えられているなど、すでに国税庁の横暴、ふりは目に余るものがあるのであります。  このように権力を掌中におさめた一握りの官僚が、今回の法律改正によって、法衣のもとのよろいを露骨にし、権力行政に拍車をかけるであろうことは、私どもの看過し得ざるところであります。そもそも税理士制度の本質は、税理士が税務行政の補助としてではなく、あくまでも納税者たる国民の代理制度として、その委任契約に基づき徴税難局と相対峙し、納税者の信頼にこたえて税法に規定された納税義務を適正に実現し、納税に関する道義を高めるよう努力する立場にあるのでありまして、中正の立場という表現にきわめてあいまいで、実情に沿わないのであります。西洋のことわざに、「なんじ、柔弱な味方より、真剣に刃向かう敵を愛せ」ということばがあります。徴税権力に弱い中小企業法人の権益を擁護する税の専門家集団であり、徴税当局にとってよきライバルである税理士制度の正しい発展こそ、わが国の税務行政の姿勢を正す有効な措置であり、これに反する法律改正は、どのような  一部修正案にせよ、また、飾りつけの附帯決議があっても、税理士制度の本質を誤るものとして、国家百年の大計から断じて賛成することはできません。(拍手)   第三の問題点は、この法律改正の緊急性に対する疑問と、関係各界との調整を必要とする点であります。  御無知のように、わが国の税理士制度は、昭和十七年の税務代理士法の制定から幾多の変遷を経て今日に及んでおるのでありまして、理論的にも行政的にも、暫定的性格を持ち、また、税理士業務の明確化、業務範囲、税理士の自主権など、多くの検討課題が山積みしておりまして、なお十分な検討と調整をはかることが必要であると思うのであります。  現に、この法律案をめぐる日本税理士会連合会をはじめ、関係各方面、政府与党の中にさえ、これほど激しい批判の強い法律案はありません。もし、この法改正がわが国の税理士制度の正しい発展と円満な運営を願うものであるとしたら、この激しい不満と反対の動きを何と理解すべきでございましょうか。すなわち反国民的な徴税強化の布石として、税理士界の官僚支配を背景とした一部特権官僚のねらいがそこに隠されているから、この法律をめぐる混乱があると見なければなりません。私は、その出発点から、一握りの大蔵官僚の私的立法に振り回されておる天下の政党、その特権意識に目をつぶる議会政治を考えますとき、国会の権威と議会政治に対する信頼のためにも、税理士法改正案に対する慎重な審議を強調するものであります。(拍手)  しかるに、六月十七日午後八時三十五分、本法律案が多くの質疑者を残したまま、大蔵委員長が質疑打ち切り、採決の挙に至りました経緯は、まことに大局を忘れた愚かなる結果といわなければなりません。(拍手)  大体、今国会における池田内閣は、誤れる情勢判断に基づいて日韓会議の成立にあせり、ILO条約批准は、総裁公選をめぐる党内情勢によって、公党の信義を忘れて進まず、何もしない内閣などという党内ゆさぶり論に、せっかくの看板である低姿勢をこんなところで爆発させるとは、議会審議を政治家のメンツと党利党略に供しているとの批判を免れることができないと思うのであります。(拍手)今日、重要法案の多くが各委員会において軒並みたなざらしにあるのは、信義を守らずその日暮らしの政府の責任でありまして、私は、税理士法改正案の強行突破の非を国民とともに追及するとともに、その猛反省を促すものであります。  以上、私は、税理士法改正案の誤りを指摘しましたが、政府・与党におきましても、議員の良識にかけて、この法律案に再検討の機会を持つよう強く要望いたしまして、反対討論を終わるものであります。(拍手
  34. 船田中

    議長船田中君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、日程第一につき採決いたします。  本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  35. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。  次に、日税第二につき採決いたします。  本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  36. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  日程第三 近畿圏整備法の一部を   改正する法律案(建設委員長提   出)   道路法の一部を改正する法律案  (内閣提出
  37. 天野公義

    ○天野公義君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、日程第二は、委内閣提出道路法の一部を改正する法律案を追加して両案を一括議題となし、委員長の趣旨弁明及び報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  38. 船田中

    議長船田中君) 天野公義君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  日程第三、近畿圏整備法の一部を改正する法律案道路法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
  40. 船田中

    議長船田中君) 委員長の趣旨弁明及び報告を求めます。建設委員会理事服部安司君。     —————————————   〔報告書は会議録追録に掲載〕     —————————————   〔服部安司君登壇
  41. 服部安司

    ○服部安司君 ただいま議題となりました二法案について申し上げます。  まず、近畿圏整備法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  近畿圏整備法が昨年七月に制定され、またその法律に基づく関連二法案が、本国会において衆議院を通過いたしましたことは、御承知のとおりであります。これらの法律及び法律案は、いずれも近畿圏を一体とし、秩序ある発展をはかろうとするものであることは、申すまでもありません。  しかしながら、そのいずれの法律案においても、近畿圏の特性の一つである京都府及奈良県等の保全区域の措置については、区域指定のみに終わり、何らの措置も講ぜられておりませんことは、わが国を代表する文化財及び観光資源等の保全に対し、強く不安を感ずるとともに、せっかくの近畿圏内の秩序ある発展に不均衡を生ずるおそれがあるため、特に本法律案提出いたした次第でございます。  次に、本法律案の内容について申し上げますと、近畿圏整備法の第十四条に一項を加えて、保全区域の整備に関し特別の措置を必要とするときは、別に法律で定めるものとすることとしたのであります。  以上が本法律案の趣旨並びにその内容でありますが、何とぞ慎重に御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、道路法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  最近におけるわが国経済の進展に伴い、道路における長距離輸送需要の増大は著しく、との傾向は幹線道路において特に顕著になるものと推定されるのであります。  したがいまして、この際、総合的な計画に基づき、全国的な幹線道路網の整備をはかるため、従来の一級国道及び二級国道の区別を廃止して、これを一般国道として統合し、建設大臣の管理責任を強化するとともに、近時における道路交通事故の激増にかんがみ、交通安全施設に関する規定を整備しようとするなどがそのおもな改正点であります。  本案は、去る五月十五日日本委員会に付託、同二十二日提案理由の説明を聴取、富来、地方行政委員会との連合審査を行なうなど、慎重に審査を進めたのでありますが、その質疑の詳細は会議録に譲ることといたします。  かくて、今十九日、討論を省略して直ちに採決の結果、全会一致原案のとおり可決すべきものと決定した次第であります。  なお、国道の負担区分に関する三党共同提案による附帯決議が付されましたが、その内容は会議録に譲ることといたします。  右、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  42. 船田中

    議長船田中君) これより採決に入ります。  まず、日程第三につき採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  43. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は可決いたしました。  次に、道路法の一部を改正する法律案につき採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  44. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇————— 日程第四 私立学校振興会法等の  一部を改正する法律案内閣提  出、参議院送付
  45. 船田中

    議長船田中君) 日程第四、私文学校振興会法等の一部を改正する法律案を議題といたします。     —————————————
  46. 船田中

    議長船田中君) 委員長の報告を求めます。文教委員長久野忠治君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔久野忠治君登壇
  47. 久野忠治

    ○久野忠治君 ただいま議題となりました法律案について、文教委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案の趣旨は、第一に、私立学校振興会の資金の貸し付け対象の範囲を拡大して、職業に必要な技術の教授を目的とする私立各種学校で学校法人または準学校法人の設置するもののうち政令で定めるものを新たに加えようとすること、第二に、私立大学の研究設備の購入費に対する国の補助率を二分の一以内から三分の二以内に改めようとすることであります。  本案は、去る三月三十一日参議院から本院に送付され、同日本委員会に付託、四月一日政府より提案理由の説明を聴取いたしました。去る六月十二日には、私立学校振興会理事長岡田孝平君ほか関係者二名を参考人として招致し、本案に対する意見を聴取するなど慎重に審議を行ないましたが、その詳細は会議録によりごらん願いたいと存じます。  かくて、六月十七日、本案に対する質疑を終了し、討論の通告がないため、直ちに採決に入り、全会一致をもって原案のとおり可決いたしました。  右、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  48. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  49. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第五 総理府設置法等の一部   を改正する法律案内閣提出
  50. 船田中

    議長船田中君) 日程第五、総理府設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。     —————————————
  51. 船田中

    議長船田中君) 委員長の報告を求めます。内閣委員長徳安實藏君。     —————————————報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔徳安實藏君登壇
  52. 徳安實藏

    ○徳安實藏君 ただいま議題となりました総理府設置法等の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法案は、機構の改正及び定員増加等につき、総理府、経済企画庁、科学技術庁、行政管理庁、青少年問題協議会、科学技術会議の各設置法、宮内庁法、北海道開発法及び内閣法その他関係法律をそれぞれ改正しようとするものであります。  本案は、二月十一日本委員会に付託、二月二十日政府より提案理由の説明を聴取し、慎重に審議を行ない、六月十八日質疑を終了いたしました。次いで、山内委員外二名より、青少年局及び国民生活局の設置は、臨時行政調査会の答申を待って検討することが適当であるとして、これを取りやめ、同和対策審議会の存置期間を一年延長すること等を内容とする自民、社会、民社三党共同提案にかかる修正案が提出せられ、山内委員から趣旨説明の後、内閣の意見を聴取いたしましたところ、院議として決定せられる以上、これを尊重する旨の意見の表明があり、採決の結果、全会一致をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決定いたしました。  なお、本法案に対し、辻委員外二名より、自民、社会、民社三党共同提案にかかる「憲法第七条に規定せられた栄典の授与に当っては広く国民各界各層の意見を反映せしめる等適切な措置を講じ、もって栄典制度が公正に行なわれるよう努むべきである。」との附帯決議案が提出せられ、これまた全会一致をもって議決いたしました。詳細は会議録によって御承知願いたいと思います。  以上、御報告を申し上げます。(拍手)     —————————————     —————————————
  53. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  54. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  中小企業団体の組織に関する法律   の一部を改正する法律案内閣   提出
  55. 天野公義

    ○天野公義君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  56. 船田中

    議長船田中君) 天野公義君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。     —————————————     —————————————
  58. 船田中

    議長船田中君) 委員長の報告を求めます。商工委員会理事始関伊平君。     —————————————   〔報告書は会議録追録に掲載〕     —————————————   〔始関伊平君登壇
  59. 始関伊平

    ○始関伊平君 ただいま議題となりました中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。  本案は、大企業の進出に対処して、必要な事業活動の調整を行なって、中小企業の事業活動機会の適切な確保をはかろうとするものでありまして、その内容の第一は、一定の要件を備えた商工組合は、大企業の進出によって中小企業の経営に重大な悪影響を及ぼすおそれがあるときは、その大企業との間に特殊契約を締結することができることとすること、第二は、特殊契約は主務大臣の認可制とし、その特殊契約は独禁法の適用除外とすること、第三は、特殊契約の相手方である大企業は、商工組合から契約を締結するための交渉の申し出があったときは、その交渉に応じなければならないこと、第四は、交渉の当事者は、主務大臣に対し、交渉についてのあっせんまたは調停を申請することができることとし、主務大臣は、中小企業調停審議会に諮問して、あっせん、または調停を行なうものとすること、第五は、中小企業調停審議会に専門員を置くこと。  以上であります。  本案は、去る四月二十三日商工委員会に付託され、翌三十四日通商産業大臣より提案理由の説明を聴取し、六月十日より質疑に入り、慎重に審議をいたしました。六月十七日に至り質疑を終了し、十九日、採決の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決した次第であります。  なお、修正の要旨は、特殊契約の締締の要件等について整備したことであります。  以上をもって報告を終わります。(拍手)     —————————————
  60. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  61. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  林業基本法案内閣提出
  62. 天野公義

    ○天野公義君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出林業基本法案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  63. 船田中

    議長船田中君) 天野公義君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  林業基本法案内閣提出)を議題といたします。     —————————————
  65. 船田中

    議長船田中君) 委員長の報告を求めます。農林水洋委員長高見三郎君。     —————————————   〔報告書は会議録追録に掲載〕     —————————————   〔高見三郎君登壇
  66. 高見三郎

    ○高見三郎君 ただいま議題となりました内閣提出林業基本法案について、農林水産委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  林業の生産基盤としての森林は、国土の保全等公益的機能を持ち、治山治水群業の推進がはかられておりますが、一方、林業は、木材需給構造の変化、山村からの労働力の流出等、諮情勢の著しい変化に直面し、これに対応して経済政策としての林業政策の確立が緊要の問題となっております。  林業の総生産の増大と生産性の向上を目途に、林業を産業として確立し、その安定的な発表をはかり、林業従事者の所得の増大を期するため、本案が提出されたのであります。  本案のおもな内容は、第一に、国は林業の総生産の増大と生産性の向上を目途としてその安定的な発展をはかり、林業従事者の所得増大による経済的社会的地位の向上に資する政策の目標を明らかにしたこと、さらに、国は、林野の林業的利用の高度化、林業構造の改善、林業技術の向上、林産物の需給及び価格の安定、林業をになう林業経営担当者、技術者の養成確保、林業労働従事者の養成確保と福祉向上について総合的施策を講ずること、第二に、国有林事業については、事業の企業性確保に考慮を払いつつ、その適切な運営を通じて重要な林産物の需給及び価格の安定並びに林業総生産の増大に寄与し、林業構造の改善のため積極的活用をはかること、この場合、国土の保全その他公益的機能の確保とともに、農業構造の改善その他廃業の振興または住民の福祉向上のためにも同様につとめること、第三に、政府は、毎年、国会に、林業の動向及び国が林業に関して講じた施策に関する報告並びにその報告にかかる林業の動向を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書を提出しなければならないこと、第四に、政府は、第一の施策を実施するために必要な法制上、財政上、金融上の措置を講ずること、第五に、総理府に林政審議会を置き、この法律の施行に関する重要事項を調査審議すること等であります。  本案は、四月二日提出され、各員会におきましては、四月十六日政府から提案理由及び補足説明を聴取した後、川俣清音君外十二名提出の森林基本法案、稲富稜人君外一名提出林業基本法案とともに一括議題に供し、五月二十二日以降六月十九日まで審議を行ない、その固、委員会として、地方及び中央の各参考人から意見を聴取する等慎重審議を重ね、六月十九日、一切の質疑を終了いたしましたところ、自由民主党、日本社会党及び民主社会党三党共同提案により、森林資源の確保と国土保全等、公益機能の確保関係条文に明記するほか、森林所有者等の林地の高度利用の責務に関する規定の新設、その他林業労働に従事する者に関する規定を整備する等の修正案が提出され、採決の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対し、自民、社会、民社三党共同提案により、政府は、森林資源の維持、開発の施策としての林道網の整備拡充と造林の推進については、国庫負担及び補助率の引き上げ、貸し付け条件の改善並びに予算及び融資の飛躍的増大等、特段の措置を講ずること等七項目にわたる附帯決議を付することに決しましたことを申し添えます。  以上、報告を終わります。(拍手)     —————————————
  67. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  68. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  公職選挙法の一部を改正する法律   案(内閣提出第一四三号)
  69. 天野公義

    ○天野公義君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出公職選挙法の一部を改正する法律案(第一四三号)を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  70. 船田中

    議長船田中君) 天野公義君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出第一四三号)を議題といたします。     —————————————
  72. 船田中

    議長船田中君) 委員長の報告を求めます。公職選挙法改正に関する調査特別委員長小泉純也君。     —————————————   〔報告書は会議録追録に掲載〕     —————————————   〔小泉純也君登壇
  73. 小泉純也

    ○小泉純也君 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、公職選挙法改正に関する調査特別委員会における審議の経過並びに結果について御報告を申し上げます。  本案は、選挙制度審議会の答申に基づき、さしあたり衆議院議員の総定数及び各選挙区において選挙すべき定数について是正を行なおうとするもので、そのおもな内容は次のとおりであります。第一に、衆議院議員の選挙区において選挙すべき議員数について改正することといたしております。申し上げるまでもなく、現状におきましては、衆議院議員の選挙区別の人口と議員の定数との間には、各選挙区間において相当の不均衡が見られ、その上下の差は三倍以上となっておりますので、不均衡の特に著しい選挙区について是正することといたしております。すなわち、十二選挙区について、当分の間十九名増員しようとするものであります。この改正の基準は、地域性をも考慮して、各選挙区における議員一人当たりの人口が、全国平均議員一人当たりの平均人口を基準として上下おおむね七万人の幅のうちにおさまるようにするという、さきの答申の考え方に基づくものでありまして、これにより、選挙区別一人当たりの人口の最高と最低の開きは二倍程度となり、この結果、現在の定数の不均衡が是正されるものとしておるのであります。  第二に、この是正に伴い、衆議院議員の総定数四百六十六人を、奄美群島地域に配当されている定数一人と合わせて、当分の間、暫定措置として四百八十六人とすることといたしております。  なお、この法律は次の総選挙から施行することといたしております。  以上が本案のおもな内容であります。  本案は、三月二十六日本特別委員会に付託され、三月三十一日政府より提案理由の説明を聴取し、質疑を重ねてまいったのであります。この間、特に内閣総理大臣自治大臣等の出席を求め、本案審議の慎重を期した次第でありますが、四月二十二日、さらに本案の慎重なる審議をするため、小委員五名よりなる選挙区に関する小委員会を設置いたしました。同小委員会は、数次にわたって慎重審査を続け、特に最後まで問題となった東京都第六区については、荒川放水路を中心としてヘリコプターによる現地視察を行なうなど、審議を尽くしてまいったのでありますが、本日委員会におきまして青木小委員長より同小委員会の報告を聴取した次第でありますが、これら詳細につきましては会議録に譲ります。  続いて、自由民主党、日本社会党共同提案にかかる修正案が提出され、青木正君より趣旨の説明がありました。その要旨を簡単に申し上げますと、本案中六人区、八人区につきましては、次のとおり分割することといたしております。  すなわち、東京都のうち、千代田区、港区及び新宿区をもって東京都第一区とし、議員数は三人。中央区、文京区及び台東区をもって東京都第八区とし、議員数は三人。豊島区及び練馬区をもって東京都第五区とし、議員数は三人。北区及び板橋区をもって東京都第九区とし、議員数は三人。墨田区、江東区及び荒川区をもって東京都第六区とし、議員数は四人。足立区、葛飾区及び江戸川区をもって東京都第十区とし、議員数は四人。名古屋市のうち、千種区、東区、北区、西区、中村区、中区及び守山区をもって愛知県第一区とし、議員数は三人。昭和区、瑞穂区、熱田区、中川区、港区、南区及び緑区をもって愛知県第六区とし、議員数は三人。現行大阪府第一区のうち、西区、港区、大正区、浪速区、住吉区及び西成区をもって大阪府第一区とし、議員数は三人。天王寺区、南区、生野区、阿倍野区及び東住吉区をもって大阪府第六区とし、議員数は三人に改めようとするものであります。  引き続いて、討論に入り、民主社会党山下榮二君より、選挙区の分割については、第三者たるべき審議会において行なうものであるとの観点から、議院において分割する修正案には反対、政府原案に賛成の旨の意見が述べられ、採決の結果、自由民主党、日本社会党共同提案の修正案どおり賛成多数をもって修正議決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し、附帯決議を付すべしとの動議が自由民主党、日本社会党及び民主社会党より提出され、畑和君より趣旨の説明がなされました。     附帯決議  今回の定数改正は選挙制度審議会の 答申により昭和三十五年度国勢調査の人口を基準にしているため、四年を経過した今日においては、東京都 第六区を始め、既に多くの人口と議員定数のアンバランスを生じている。よって政府は、次期国勢調査の結果に基き、更に合理的改訂を検討すべきである。  右附帯決議は全会一致可決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  74. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  75. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————
  76. 船田中

    議長船田中君) 本日は、これにて散会いたします。    午後六時八分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  池田 勇人君         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         文 部 大 臣 瀬尾 弘吉君         厚 生 大 臣 小林 武治君         農 林 大 臣 赤城 宗徳君         通商産業大臣  福田  一君         運 輸 大 臣 綾部健太郎君         自 治 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         内閣法制局長官 林  修三君         総理府総務長官 野田 武夫君         気象庁長官   畠山 久尚君         建設政務次官  鴨田 宗一君      ————◇—————